説明

BCLタンパクの結合パートナーとの相互作用を阻害するための化合物および方法

本発明のある態様は、bclタンパク質に結合しBcl機能を阻害する、ヘテロ環化合物に関する。本発明の別の態様は、本発明のヘテロ環化合物を含む組成物に関する。本発明は、がんなどの過剰増殖を伴う障害を治療し調節する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2006年11月15日に出願された米国特許出願番号11/600,332に基づく優先権を主張し;これを参照によりそのまま包含する。
【0002】
発明の分野
本発明は、がん治療の分野に関する。具体的には、本発明はイソオキサゾリジン類似体を用いた腫瘍細胞におけるアポトーシスを促進するがん治療の分野にある。本発明のイソオキサゾリジン化合物はBclタンパク質に結合し、Bclタンパク質を発現するがん細胞および腫瘍組織におけるBcl抗アポトーシス機能を遮断する。化合物およびこれらの化合物を含む医薬組成物は、がん疾患の治療にて単独または化学療法剤もしくは他の薬物との併用にて用いることができる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
アポトーシス、すなわちプログラム細胞死は、正常な胎生発育/解剖学的発展、宿主防衛、および腫瘍形成の抑制に重要である。アポトーシスの不完全な調整は、がん、ならびに細胞分裂および細胞死の過程間の不均衡に起因する他の多くのヒト疾患に関わっている。Bcl-2は本来、t(14;18)を有するB細胞リンパ腫の染色体切断点にて同定され、アポトーシスを調整するタンパク質の成長ファミリーに属する(Gross, A; McDonnell, JM; Korsmeyer, S. J. BCL-2 family members and the mitochondria in apoptosis. Genes & Development 1999, 13, 1899-1911,Cory, S.; Huang, D.C.S.; Adams, J.M. The Bcl-2 family: roles in cell survival and oncogenesis. Oncogene, 2003 22, 8590-8607. Danial, N.N.; Korsmeyer, S. J. Cell death: Critical control points. Cell 2004, 116, 205-218. Chao, D. T.; Korsmeyer, S. J. Bcl-2 family: regulators of cell death. Annu. Rev. Immunol. 1998, 16, 395-419)..Apoptosis, Christopher Potten, James Wilson, Cambridge University Press, 2004)。タンパク質のBcl-2ファミリーは、Bcl-2およびBcl-XLなどの抗アポトーシス分子と、Bax、Bak、BidおよびBadなどのプロアポトーシス分子の両方を含む。Bcl-2は生理学的細胞死機序により引き起こされる正常な細胞ターンオーバーを阻止することによりがん細胞進行に寄与する。Bcl-2の過剰発現は乳がんおよび他の多くの形態のがんの70%に観察されている(Buolaniwini, J. K. Novel anticancer drug discovery. Curr. Opin. Chem. Biol. 1999, 3, 500-509)。Bcl-2タンパク質の発現レベルはまた、広範な化学療法剤およびγ-放射線治療に対する耐性とも相関する(Reed, J. C.; Miyashita, T.; Takayama, S.; Wang, H.-G.; Sato, T.; Krajewski, S.; Aime-Sempe, C.; Bodrug, S.; Kitada, S.; Hanada, M. Bcl-2 family proteins: Regulators of cell-death involved in the pathogenesis of cancer and resistance to therapy. J. Cell. Biochem. 1996, 60, 23-32; Reed, J. C. Bcl-2 family proteins: strategies for overcoming chemoresistance in cancer. Advances in Pharmocology 1997, 41, 501-553; Strasser, A.; Huang, D. C. S.; Vaux, D. L. The role of the Bcl-2/ced-9 gene family in cancer and general implications of defects in cell death control for tumorigenesis and resistance to chemotherapy. Biochem. Biophys. Acta 1997,1333, F151-F189; DiPaola, R. S.; Aisner, J. Overcoming Bcl-2- and p53-mediated resistance in prostate cancer. Semin. Oncol. 1999, 26, 112-116)。
【0004】
タンパク質のBcl-2ファミリーのメンバーは、プロアポトーシス機能(例えばBax、Bak、Bid、Bim、Noxa、Puma)および抗アポトーシス機能(例えばBcl-2、Bcl-xL、Mcl-1)を有するアポトーシスの重要な調整因子を示す。ファミリーのプロ-および抗アポトーシスメンバー間の選択的および競争的二量化は、プロアポトーシス刺激を与えられた細胞の運命を決定する。がんにおけるBcl-2およびBcl-xLの正確な役割は完全には理解されていないが、Bcl-2およびBcl-xLが正常な細胞ターンオーバーを阻止することによりがん進行に寄与するだけでなく、現在のがん治療へのがん細胞の耐性に関与することを示唆する証拠がいくつかある。Bcl-2(Bcl-xL)の実験的過剰発現は、広範な化学療法剤および放射線に耐性のあるがん細胞を提供する(Bcl-2 family proteins: Regulators of cell-death involved in the pathogenesis of cancer and resistance to therapy. J. Cell. Biochem. 1996, 60, 23-32; Reed, J. C)。Bcl-2および/またはBcl-xLは以下に示すすべての腫瘍の50%以上にて過剰発現する(from Wang, S.; Yang, D.; Lippman, M.E. Targeting Bcl-2 and Bcl-xL with nonpeptidic small-molecule antagonists. Seminars in Oncology, 2003, 5, 133-142)。
【表1】

【0005】
アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは一本鎖抗体を用いるBcl-2機能を調節するための生物学的アプローチは、腫瘍細胞感受性を増強するために示されている(Ziegler, A.; Luedke, G. H.; Fabbro, D.; Altmann, K. H.; Stahel, R. A.; Zangemeister-Wittke, U. Induction of apoptosis in small-cell lung cancer cells by an antisense oligodeoxynucleotide targeting the Bcl-2 coding sequence. J. Natl. Cancer. Inst. 1997, 89, 1027-1036; Webb, A.; Cunningham, D.; Cotter, F.; Clarke, P. A.; Di Stefano, F.; Ross, P.; Corpo, M.; Dziewanowska, Z. Bcl-2 antisense therapy in patients with non-hodgkin lymphoma. Lancet 1997, 349, 1137-1141; Cotter, F. E. Phase I clinical and pharmacokinetic study of Bcl-2 antisense oligodeoxynucleotide therapy in patients with non-hodgkin's lymphoma. J. Clin. Oncol. 2000, 18, 1812-1823; Piche, A.; Grim, J.; Rancourt, C.; Gomez-Navarro, J.; Reed, J. C.; Curiel, D. T. Modulation of Bcl-2 protein levels by an intracellular anti-Bcl-2 single-chain antibody increases drug-induced cytotoxicity in the breast cancer cell line MCF-7. Cancer Res. 1998, 58, 2134-2140)。
【0006】
Bcl-2 mRNAにおける配列にハイブリダイズするよう設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(G3139)(Raynaud, F. I.; Orr, R. M.; Goddard, P. M.; Lacey, H. A.; Lancashire, H.; Judson, I. R.; Beck, T.; Bryan, B.; Cotter, F. E. Pharmacokinetics of G3139, a phosphorothioate oligodeoxynucleotide antisense to Bcl-2, after intravenous administration or continuous subcutaneous infusion to mice. J. Pharmacol. Exp. Ther. 1997, 281, 420-427)がBcl-2発現を阻害し、アポトーシスを誘発し、Bcl-2過剰発現を有するヒト乳がん細胞における細胞増殖を阻害することが示されている(Chen, H. X., Marchall, J. L., Trocky, N., Baidas, S., Rizvi, N., Ling, Y., Bhagava, P., Lippman, M. E., Yang, D., and Hayes, D. F. A Phase I study of Bcl-2 antisense G3139 (Genta) and weekly docetaxel in patients with advanced breast cancer and other solid tumors. Proceedings of American Society of Clinical Oncology, 2000)。重要なことに、相乗効果および完全な腫瘍退縮はインビボにおけるG3139とドセタキセルの併用治療にて観察された。それゆえ、Bcl-2は多くの形態のがんの治療のための新規療法の開発のための非常に魅力的な標的を示す。
【0007】
オリゴヌクレオチド、タンパク質およびポリペプチドなどの大分子の治療剤としての使用に関する制限としては、低い経口利用性、インビボ安定性および高いコストが挙げられる。より望ましい治療剤は、Bcl-2に結合し、がんにおける抗アポトーシス機能を遮断し、腫瘍における細胞死を促進する、非ペプチド細胞透過性小分子であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
種々の小分子は、Bcl-2の機能を阻害することが示されている。例えば、アシルスルホンアミドは生化学およびインビトロアッセイにおけるBcl-2およびBcl-xLの機能を阻害することが示された(Nature (2005) 435, 677-681)。しかしながら、Bcl-2に結合し、がんにおけるその抗アポトーシス機能を遮断し、腫瘍における細胞死を促進する別の小有機分子の必要性が存在する。本発明は、この必要性を達成し、他の関連する利点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要約
本発明のある態様は、イソオキサゾリジン化合物に関する。ある場合には、イソオキサゾリジン環の窒素原子は置換アラルキル基に結合する。ある場合には、置換アラルキル基は置換ベンジル基である。ある場合には、イソオキサゾリジン環はヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチル基で置換される。ある場合には、イソオキサゾリジン環はヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチル基で置換される。ある場合には、イソオキサゾリジン環はアミド基で置換される。本発明はさらに、上記イソオキサゾリジン化合物の医薬的に活性な塩を提供する。本発明の別の態様は、本発明のイソオキサゾリジン化合物を含む医薬組成物に関する。本発明の別の態様は、上記化合物またはその医薬的に活性な塩を単独でまたはがんを治療するための他の薬剤と併用して使用する方法に関する。具体的には、本発明は腫瘍細胞などの哺乳動物細胞の病理学的増殖(例えば乳がんおよび骨髄性白血病)により特徴付けられる病態を有効量の本発明の化合物をそのような病態を患った哺乳動物またはヒトに投与することにより治療することを含む治療方法を提供する。ある場合には、本発明化合物は医薬的に許容される担体とともに投与される。
【0010】
発明の詳細な記載
本発明は一般に、がんの治療に有用なイソオキサゾリジン化合物に関する。本発明のイソオキサゾリジン化合物は1以上のBclタンパク質に結合し、Bclタンパク質を発現するがん細胞および腫瘍組織におけるBcl抗アポトーシス機能を遮断する。いくつかの具体的態様にて、本発明のいくつかの化合物は選択的に、抗アポトーシスタンパク質のBcl-2サブファミリーのただ一つのメンバーの抗アポトーシス活性を阻害する。本発明のイソオキサゾリジン化合物は、Bclに関する疾患を患う患者を治療するために用いることができる。ある場合には、本発明のイソオキサゾリジン化合物はがんを患う患者を治療するために用いられる。本発明のイソオキサゾリジン化合物は医薬組成物の形態にて患者に投与することができる。医薬組成物は本発明のイソオキサゾリジン化合物および1以上の医薬的に許容される賦形剤を含む。ある場合には、医薬組成物は本発明のイソオキサゾリジン化合物、化学療法剤および1以上の医薬的に許容される賦形剤を含む。ある場合には、化学療法剤はドセタキセル、パクリタキセル、シスプラチン、5-FU、ドキソルビシン、エピポドフィロトキシン、カンプトテシン、17-AAGまたはシクロホスファミドである。
【0011】
イソオキサゾリジン化合物の合成
本発明のイソオキサゾリジン化合物はニトロンおよびアルケン間の[3+2]シクロ付加反応を用いて製造することができる。ニトロン基質およびアルケンは、イソオキサゾリジンコアの合成、次いで化学的誘導体化に適切な官能基を含むことができる。ある場合には、Lewis酸を反応物に加える。好ましい具体的態様にて、Lewis酸はTi(Oi-Pr)4である。ある場合には、反応混合物はマイクロウェーブ照射を受ける。一般に、対象反応は液体反応媒体中にて行われるが、固体担体上でも行うことができる。反応は非プロトン性溶媒中にて行うことができ、好ましくは反応成分が実質的に可溶性である。適切な溶媒としては、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジグリム、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、四塩化炭素などのハロゲン化溶媒;ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、ペンタンなどの脂肪族および芳香族炭化水素溶媒;酢酸エチル、アセトンおよび2-ブタノンなどのエステルおよびケトン;アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ピリジンなどの極性非プロトン性溶媒;または2以上の溶媒の組合せが挙げられる。反応は種々の温度にて行うことができる。一般に、低温にて行われる反応は、完了に達するまでより長い時間を要する。ある場合には、シクロ付加反応は約15℃〜約60℃の範囲で行う。ある場合には、シクロ付加反応は約15℃〜約30℃の範囲で行う。ある場合には、シクロ付加反応は約室温にて行う。ある場合には、シクロ付加反応は約80℃〜約150℃の範囲で行う。ある場合には、シクロ付加反応は約90℃〜約120℃の範囲で行う。ある場合には、シクロ付加反応は約95℃〜約105℃の範囲で行う。ある場合には、シクロ付加反応は固体担体に担持された基質を用いて行う。イソオキサゾリジンコアの合成に次いで、イソオキサゾリジン化合物は当分野にて知られる種々の官能基化反応を用いて誘導体化することができる。代表的な例としては、アルケニルハライドまたはアリールハライドへのパラジウムカップリング反応、酸化、還元、求核剤との反応、求電子剤との反応、ペリ環状反応、保護基の導入、保護基の除去などが挙げられる。
【0012】
生物学的活性分析
以下のインビトロ結合アッセイおよび細胞アッセイを用いて、Bcl-2に結合して細胞内のBcl-2機能を阻害する本発明化合物の活性および特異性を測定することができる。
【0013】
Bcl-2結合アッセイ
Bcl-2およびBcl-xL結合は種々の既知の方法を用いて測定することができる。そのような一つのアッセイは、文献(Wang, J. -L.; Zhang, Z -J.; Choksi, S.; Sjam. S.; Lu, Z.; Croce, C. M.; Alnemri, E. S.; Komgold, R.; Huang, Z. 細胞透過性Bcl-2結合ペプチド:腫瘍細胞におけるアポトーシス誘導への化学的アプローチ. Cancer Res. 2000, 60, 1498-1502)に記載の蛍光偏光(FP)を用いた感受性定量的インビトロ結合アッセイである。
【0014】
細胞ベースアッセイ
本発明のイソオキサゾリジン化合物のがん細胞におけるBcl-2タンパク質過剰発現を伴う細胞生存性を阻害する能力を立証した。RL-細胞が本発明のイソオキサゾリジン化合物に曝露される場合、阻害剤はアラマーブルー細胞毒性アッセイにて約100μM〜約1μMのIC50値の用量依存細胞死滅を示す(実施例を参照のこと)。Panc1細胞がカンプトテシンとの組合せにて本発明のイソオキサゾリジン化合物に曝露される場合、阻害剤はヨウ化プロピジウム除外細胞生存アッセイにて約100μM〜約1μMのIC50値の相乗的用量依存細胞死滅を示す(実施例を参照のこと)。
【0015】
Bcl-2阻害剤は、単一薬剤として、乳がん(US 2003/0119894, 公開PCT出願WO 02/097053およびWO 02/13833)、リンパ腫(Nature (2005) 435, 677-681)、小細胞肺がん(Nature (2005) 435, 677-681)、頭部および頸部がん(公開PCT出願WO 02/097053)および白血病(公開PCT出願WO 02/13833)を含むが、これらに限定されない、多くのがん細胞株に対して活性であると示されている。
【0016】
Bcl-2阻害剤は、他の抗がん剤および放射線との併用にて、乳がん(ドセタキセルとの併用, 公開PCT出願WO 02/097053)、前立腺がん(ドセタキセルとの併用, 公開PCT出願WO 02/097053)、頭部および頸部がん(ドセタキセルとの併用, 公開PCT出願WO 02/097053)および非小細胞肺がん(パクリタキセルとの併用, Nature (2005) 435, 677-681)を含むが、これらに限定されない、多くのがん細胞株に対して活性であると示されている。上記組合せ化学療法剤に加えて、Bcl-2タンパク質の小分子阻害剤は、エトポシド、ドキソルビシン、シスプラチン、パクリタキセルおよび放射線(Nature (2005) 435, 677-681)を含むが、これらに限定されない、他の抗がん剤との相乗性を示す。
【0017】
治療および処置方法
本発明はさらに、がんの重篤度ならびに他のBcl媒介障害または病態を治療し軽減する方法を提供する。
本発明の化合物および組成物の投与により治療しうるがんまたは腫瘍性疾患および関連障害としては、第1表記載のものが挙げられるが、これらに限定されない(そのような障害の概説としてFishman et al., 1985, Medicine, 2d Ed., J. B. Lippincott Co., Philadelphiaを参照のこと):
【0018】
第1表
がんおよび腫瘍性疾患
白血病
急性白血病
急性リンパ性白血病
急性骨髄性白血病
骨髄芽球性
前骨髄球性
骨髄単球性
単球性
赤白血病
慢性白血病
慢性骨髄性(顆粒球性)白血病
慢性リンパ球性白血病
真性赤血球増加症
リンパ腫
ホジキン病
非ホジキン病
多発性骨髄腫
ヴァルデンストレームマクログロブリン血症
重鎖病
固形腫瘍
肉腫および癌腫
線維肉腫
粘液肉腫
脂肪肉腫
軟骨肉腫
骨肉腫
脊索腫
血管肉腫
リンパ管肉腫
リンパ管内皮肉腫
滑液腫瘍
中皮腫
ユーイング腫瘍
平滑筋肉腫
横紋筋肉腫
結腸がん
膵臓がん
乳がん
卵巣がん
前立腺がん
扁平上皮がん
基底細胞がん
腺がん
汗腺がん
脂腺がん
乳頭がん
乳頭腺がん
嚢胞腺がん
髄様がん
気管支がん
腎細胞がん
肝がん
胆管がん
絨毛がん
精上皮腫
胎生期がん
ウィルムス腫瘍
子宮頸がん
子宮がん
精巣腫瘍
肺がん
小細胞肺がん
膀胱がん
上皮性がん
神経膠腫
星状細胞腫
髄芽腫
頭蓋咽頭腫
上衣腫
松果体腫
血管芽細胞腫
聴神経腫
乏突起膠腫
髄膜腫
黒色腫
神経芽細胞腫
網膜芽腫
【0019】
好ましい具体的態様にて、本発明の化合物は、リンパ腫(好ましくは濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫または慢性リンパ球性白血病)、前立腺がん(より好ましくはホルモン非感受性)、乳がん(好ましくはエストロゲン受容体陽性)、神経芽細胞腫、結腸直腸、子宮内膜、卵巣、肺(好ましくは小細胞)、肝細胞がん、多発性骨髄腫、頭部および頸部または精巣がん(好ましくは生殖細胞)を含むが、これらに限定されない、がんを治療するために用いる。
【0020】
化学療法または放射線療法との併用におけるがんの治療
いくつかの具体的態様にて、1以上の本発明化合物は、メトトレキセート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシウレア、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルバジン(procarbizine)、エトポシド、プレドニゾロン、デキサメタゾン、シタラビン(cytarbine)、カンプトテシン(campathecin)、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセルおよびドセタキセルを含むが、これらに限定されない、1以上の抗がん剤、化学療法剤との併用にてがんまたは腫瘍性疾患を治療または予防するために用いる。好ましい具体的態様にて、1以上の本発明化合物は、第2表に示されるものを含むが、これらに限定されない、1以上の化学療法剤または他の抗がん剤との併用にてがんまたは腫瘍性疾患を治療または予防するために用いる。
【0021】
第2表
化学療法剤および他の抗がん剤
放射線: γ-放射線
アルキル化剤
ナイトロジェン・マスタード: シクロホスファミド
イホスファミド
トロホスファミド
クロラムブシル
エストラムスチン
メルファラン
ニトロソウレア: カルムスチン(BCNU)
ロムスチン(CCNU)
スルホン酸アルキル ブスルファン
トレオスルファン
トリアゼン: ダカルバジン
白金含有化合物: シスプラチン
カルボプラチン
オキサプラチン
植物アルカロイド
ビンカアルカロイド: ビンクリスチン
ビンブラスチン
ビンデシン
ビノレルビン
タキソイド: パクリタキセル
ドセタキソール
DNAトポイソメラーゼ阻害剤
エピポドフィリン: エトポシド
テニポシド
トポテカン
9-アミノカンプトテシン
カンプトイリノテカン
クリスナトール
マイトマイシン
マイトマイシンC マイトマイシンC
抗代謝物
抗葉酸:
DHFR阻害剤: メトトレキセート
トリメトレキセート
IMP脱水素酵素阻害剤: ミコフェノール酸
トリアゾフリン
リバビリン
EICAR
リボヌクレオチド還元酵素阻害剤: ヒドロキシウレア
デフェロキサミン
ピリミジン類似体:
ウラシル類似体 5-フルオロウラシル
フロクスウリジン
ドキシフルリジン
ラルチトレキセド(Ratitrexed)
カペシタビン
シトシン類似体 シタラビン(ara C)
シトシンアラビノシド
フルダラビン
プリン類似体: メルカプトプリン
チオグアニン
ホルモン療法:
レセプター・アンタゴニスト:
抗エストロゲン タモキシフェン
ラロキシフェン
メゲストロール
LHRHアゴニスト: ゴスクルクリン(goscrclin)
酢酸ロイプロリド
抗アンドロゲン: フルタミド
ビカルタミド
レチノイド/デルトイド
ビタミンD3類似体: EB 1089
CB 1093
KH 1060
光線力学療法: ベルトポルフィン
(vertoporfin, BPD-MA)
フタロシアニン
光増感剤Pc4
デメトキシ-ヒポクレリンA
(2BA-2-DMHA)
サイトカイン: インターフェロンα
インターフェロンγ
腫瘍壊死因子
その他:
イソプレニル化阻害剤: ロバスタチン
ドーパミン作動性神経毒: 1-メチル-4-フェニルピリジニウムイオ

細胞周期阻害剤: スタウロスポリン
アクチノマイシン: アクチノマイシンD
ダクチノマイシン
ブレオマイシン: ブレオマイシンA2
ブレオマイシンB2
ペプロマイシン
アントラサイクリン: ダウノルビシン
ドキソルビシン(アドリアマイシン)
イダルビシン
エピルビシン
ピラルビシン
ゾルビシン
ミトキサントロン
MDR阻害剤: ベラパミル
Ca2+ ATPase阻害剤: タプシガルジン
抗体 アバスチン
エルビタックス
リツキサン
その他 プレドニゾロン
イマチニブ
サリドマイド
レナリドマイド
ボルテゾミブ
ゲムシタビン
エルロチニブ
ゲフィチニブ
ソラフェニブ
スチニブ
【0022】
化学療法剤および/または放射線治療は、当分野にてよく知られる治療的プロトコールにより投与することができる。化学療法剤および/または放射線治療の投与が治療される疾患ならびにその疾患に対する化学療法剤および/または放射線治療の既知の効果により変化しうることは当業者に明らかであろう。また、熟練した臨床医の知識に従い、治療プロトコール(例えば投与量および投与時間)は、投与される治療剤(すなわち抗腫瘍剤または放射線)の患者に対する観察された効果、および投与される治療剤への疾患の観察された応答を考慮して変化しうる。
【0023】
また、一般に、本発明化合物および化学療法剤は同一の医薬組成物にて投与する必要はなく、異なる物理的および化学的特性により異なる経路により投与することができる。例えば、本発明化合物は、静脈内投与して良好な血中濃度を生成し維持することができるが、化学療法剤は経口投与することができる。同一の医薬組成物における投与の形態、および可能であれば投与の妥当性の決定は十分に熟練した臨床医の知識の範囲内である。初期投与は当分野にて知られた確立されたプロトコールにより行うことができ、次いで観察される効果に基づき、投与量、投与形態および投与時間は熟練した臨床医により改変することができる。
【0024】
化学療法剤または放射線の具体的な選択は、主治医の診断、および患者の病態および適当な治療プロトコールの判断に依存するだろう。
【0025】
本発明化合物および化学療法剤および/または放射線は、増殖性疾患の性質、患者の病態、および本発明化合物と併せて(すなわち単一の治療プロトコール内で)投与されるべき化学療法剤および/または放射線の実質的な選択に依存して、併用できるか(例えば同時に、実質的に同時にまたは同一の治療プロトコール内で)、または連続的に投与することができる。
【0026】
本発明化合物、および化学療法剤および/または放射線が同時にまたは実質的に同時に投与されない場合、本発明化合物、および化学療法剤および/または放射線の投与の最適順序は異なる腫瘍について異なってよい。従って、ある場合には、本発明化合物を最初に投与し、次いで化学療法剤および/または放射線を投与することができ;他の場合には化学療法剤および/または放射線を最初に投与し、次いで本発明化合物を投与することができる。この代替投与を単一の治療プロトコールの間に繰り返すことができる。治療プロトコール間の各治療剤の投与順序および投与の繰り返し数の決定は、治療される疾患および患者の病態の評価後の熟練した臨床医の知識の十分範囲内である。例えば、化学療法剤および/または放射線は、特にそれが細胞毒性薬である場合には最初に投与し、次いで本発明化合物の投与による治療を続け、有利であると決定されるならば化学療法剤および/または放射線の投与などを治療プロトコールが完了するまで続けることができる。
【0027】
従って、経験および知識に従って、臨床医は、治療が進行するにつれて、個々の患者の必要性による治療の成分(治療剤、すなわち本発明化合物、化学療法剤または放射線)の投与のための各プロトコールを改変することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
定義
便宜上、本明細書、実施例および特許請求の範囲にて用いるいくつかの用語をここに集める。
用語「併用」および「併用する」は、治療剤が同時に患者にある程度存在する限り、同時投与(2以上の治療剤の同時投与)および時間変化投与(別の治療剤の投与時間と異なる時間における1以上の治療剤の投与)の両方を意味する。
【0029】
本明細書において用語「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の任意の原子を意味する。好ましいヘテロ原子はホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄およびセレンである。
【0030】
用語「アルキル」は、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基などの飽和脂肪族基を意味する。好ましい具体的態様にて、直鎖または分枝鎖アルキルはその骨格中に30以下、より好ましくは20以下の炭素原子を有する(例えば直鎖についてC1-C30、分枝鎖についてC3-C30)。同様に、好ましいシクロアルキルは、その環構造中に3〜10の炭素原子、より好ましくは環構造中に5、6または7の炭素を有する。
【0031】
炭素数が特に明記されなければ、本明細書において「低級アルキル」は上記に定義されるアルキル基であるが、1〜10の炭素、より好ましくは1〜6の炭素原子をその骨格構造中に有するものを意味する。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は同様の鎖長を有する。好ましいアルキル基は低級アルキルである。好ましい具体的態様にて、アルキルとして本明細書に指定される置換基は低級アルキルである。
【0032】
本明細書において用語「ハロアルキル」は、1〜すべての水素のいずれかがハライドで置き換えられているアルキル基を意味する。「パーハロアルキル」はすべての水素がハライドで置き換えられているものである。
本明細書において用語「アラルキル」は、アリール基(例えば芳香族またはヘテロ芳香族基)で置換されているアルキル基を意味する。
用語「アルケニル」および「アルキニル」は、鎖長で類似する不飽和脂肪族基を意味し、上記アルキルに置換することができるが、少なくとも一つの二重結合または三重結合をそれぞれ含む。
【0033】
本明細書において用語「アリール」としては、0〜4のヘテロ原子を含むことができる5-、6-および7-員単環式芳香族基、例えばベンゼン、アントラセン、ナフタレン、ピレン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどが挙げられる。環構造にてヘテロ原子を有するアリール基はまた、「アリールヘテロ環」または「ヘテロ芳香族」とも称することができる。芳香環は、上記のような置換基、例えばハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部分、-CF3、-CNなどで1以上の環位置にて置換することができる。用語「アリール」はまた、2以上の炭素が2の隣接する環と共通する2以上の環式環(環は「縮合環」である;ここに、少なくとも一つの環は芳香族であり、例えば他の環式環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリルであることができる)を有する多環式環系も含む。
【0034】
用語オルト、メタおよびパラはそれぞれ、1,2-、1,3-および1,4-二置換ベンゼンに適用する。例えば1,2-ジメチルベンゼンおよびオルト-ジメチルベンゼンは同義である。
【0035】
用語「ヘテロシクリル」または「ヘテロ環式基」は、3-〜10-員環構造、より好ましくは3-〜7-員環を意味し、その環構造は1〜4のヘテロ原子を含む。ヘテロ環はまた、多環であることもできる。ヘテロシクリル基としては、例えばチオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジノンおよびピロリジノンなどのラクタム、スルタム、スルトンなどが挙げられる。ヘテロ環式環は、上記のような例えばハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部分、-CF3、-CNなどの置換基で1以上の位置にて置換することができる。
【0036】
用語「ポリシクリル」または「多環式基」は、2以上の環を意味し(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリル)、ここに、2以上の炭素は2の隣接する環と共通する、例えば環は「縮合環」である。非隣接原子を通して結合している環は「架橋」環を意味する。多環の環のそれぞれは、上記のような例えばハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部分、-CF3、-CNなどの置換基で置換することができる。
【0037】
本明細書において用語「ニトロ」は-NO2を意味し;用語「ハロゲン」は-F、-Cl、-Brまたは-Iであり;用語「スルフヒドリル」は-SHを意味し;用語「ヒドロキシル」は-OHを意味し;用語「スルホニル」は-SO2-を意味する。
【0038】
用語「アミン」および「アミノ」は当分野にて知られており、非置換および置換アミンの両方、例えば一般式:
【化1】

[式中、R50、R51およびR52はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、-(CH2)m-R61であるか、またはR50およびR51はそれらが結合しているN原子と一緒になって、環構造にて4〜8の原子を有するヘテロ環を形成し;R61はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環または多環であり;mはゼロまたは1〜8の範囲の整数である]
で示すことができる部分を意味する。いくつかの具体的態様にて、R50またはR51の一方のみがカルボニルであることができ、例えばR50、R51および窒素は一緒になってイミドを形成しない。他の具体的態様にて、R50およびR51(場合によりR52)はそれぞれ独立して水素、アルキル、アルケニルまたは-(CH2)m-R61である。従って、用語「アルキルアミン」は結合した置換または非置換アルキルを有する上記に定義されるアミン基を含み、すなわちR50およびR51の少なくとも一方はアルキル基である。
【0039】
用語「アシルアミノ」は当分野にて知られており、一般式:
【化2】

[式中、R50は上記に定義されるとおりであり、R54は水素、アルキル、アルケニルまたは-(CH2)m-R61であり、mおよびR61は上記に定義されるとおりである]
で示すことができる部分を意味する。
【0040】
用語「アミド」はアミノ置換カルボニルとして当分野にて知られており、一般式:
【化3】

[式中、R50およびR51は上記に定義されるとおりである]
で示すことができる部分が挙げられる。本発明におけるアミドのいくつかの具体的態様は不安定であることがあるイミドを含まない。
【0041】
用語「アルキルチオ」は、結合した硫黄基を有する上記に定義されるアルキル基を意味する。いくつかの具体的態様において、「アルキルチオ」部分は-S-アルキル、-S-アルケニル、-S-アルキニルおよび-S-(CH2)m-R61(ここに、mおよびR61は上記に定義されるとおりである)の一つにより示される。典型的なアルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。
【0042】
用語「カルボキシル」は当分野にて知られており、一般式:
【化4】

[式中、X50は結合であるか、または酸素もしくは硫黄であり、R55およびR56は水素、アルキル、アルケニル、-(CH2)m-R61または医薬的に許容される塩であり、R56は水素、アルキル、アルケニルまたは-(CH2)m-R61であり、mおよびR61は上記に定義されるとおりである]
で示すことができる部分が挙げられる。X50が酸素であり、R55またはR56が水素でない場合、式は「エステル」である。X50が酸素であり、R55が上記に定義されるとおりである場合、該部分は本明細書にてカルボキシル基とも称され、特にR55が水素である場合、式は「カルボン酸」である。X50が酸素であり、R56が水素である場合、式は「ホルメート」である。一般に、上記式の酸素原子が硫黄で置き換えられる場合、式は「チオールカルボニル」基である。X50が硫黄であり、R55またはR56が水素でない場合、式は「チオールエステル」である。X50が硫黄であり、R55が水素である場合、式は「チオールカルボン酸」である。X50が硫黄であり、R56が水素である場合、式は「チオールホルメート」である。一方、X50が結合であり、R55が水素でない場合、上記式は「ケトン」基である。X50が結合であり、R55が水素である場合、上記式は「アルデヒド」基である。
【0043】
本明細書において用語「アルコキシル」または「アルコキシ」は、結合した酸素基を有する上記に定義されるアルキル基を意味する。典型的なアルコキシル基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert-ブトキシなどが挙げられる。「エーテル」は酸素により共有結合した2の炭化水素である。従って、アルキルエーテルを意味するアルキルの置換基は、-O-アルキル、-O-アルケニル、-O-アルキニル、-O-(CH2)m-R8(ここに、mおよびR8は上記のとおりである)の一つで示すことができるアルコキシルであるか、またはこれに類似する。
【0044】
用語「スルホネート」は当分野にて知られており、一般式:
【化5】

[式中、R41は電子対、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである]
で示すことができる部分が挙げられる。
【0045】
用語トリフリル、トシル、メシルおよびノナフリルは当分野にて知られており、それぞれトリフルオロメタンスルホニル、p-トルエンスルホニル、メタンスルホニルおよびノナフルオロブタンスルホニル基を意味する。用語トリフレート、トシレート、メシレートおよびノナフレートは当分野にて知られており、それぞれトリフルオロメタンスルホネートエステル、p-トルエンスルホネートエステル、メタンスルホネートエステルおよびノナフルオロブタンスルホネートエステル官能基、およびこれらの基を含む分子を意味する。
【0046】
用語「カルバモイル」は-O(C=O)NRR'(ここに、RおよびR'は独立してH、脂肪族基、アリール基またはヘテロアリール基である)を意味する。
用語「アルキルアミノ」は-NHR(ここに、Rはアルキル基である)を意味する。
用語「ジアルキルアミノ」は-NRR'(ここに、RおよびR'はともにアルキル基である)を意味する。
用語「ヒドロキシアルキル」は-R-OH(ここに、Rは脂肪族基である)を意味する。
用語「アミノアルキル」は-R-NH2(ここに、Rは脂肪族基である)を意味する。
用語「アルキルアミノアルキル」は-R-NH-R'(ここに、RおよびR'はともに脂肪族基である)を意味する。
【0047】
用語「ジアルキルアミノアルキル」は-R-N(R')-R''(ここに、R、R'およびR''は脂肪族基である)を意味する。
用語「アリールアミノアルキル」は-R-NH-R'(ここに、Rは脂肪族基であり、R'はアリール基である)を意味する。
用語「オキソ」はカルボニル酸素(=O)を意味する。
【0048】
本明細書において用語「ジラジカル」または「二価」は同義で用いられ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアミノ、アルコキシル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびヘテロアラルキル基からの一連の二価の基のいずれかを意味する。例えば式:
【化6】

で示される基は二価アルキルまたはアルキルジラジカルであり;式:
【化7】

で示される基もまた、二価アルキルまたはアルキルジラジカルであり;式:
【化8】

で示される基は二価アリールまたはアリールジラジカルであり;式:
【化9】

で示される基は二価アラルキルまたはアラルキルジラジカルであり;式:
【化10】

で示される基は二価(アルキル)ヘテロアラルキルまたは(アルキル)ヘテロアラルキルジラジカルである。
【0049】
略語Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、Msはそれぞれメチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p-トルエンスルホニルおよびメタンスルホニルである。当業者の有機化学者により活用される略語のより包括的なリストは、Journal of Organic Chemistryの各巻の創刊号に見られ;このリストは典型的に略語の標準リストと題された表に示される。略語はそのリストに含まれ、当業者の有機化学者により活用されるすべての略語は参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
用語「スルフレート」は当分野にて知られており、一般式:
【化11】

[式中、R41は上記に定義されるとおりである]
で示すことができる部分が挙げられる。
【0051】
用語「スルホニルアミノ」は当分野にて知られており、一般式:
【化12】

で示すことができる部分が挙げられる。
用語「スルファモイル」は当分野にて知られており、一般式:
【化13】

で示すことができる部分が挙げられる。
【0052】
本明細書において用語「スルホニル」は一般式:
【化14】

[式中、R44は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールからなる群から選択される]
で示すことができる部分である。
【0053】
本明細書において用語「スルホキシド」は一般式:
【化15】

[式中、R44は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アラルキルまたはアリールからなる群から選択される]
で示すことができる部分である。
【0054】
「セレノアルキル」は結合した置換セレノ基を有するアルキル基を意味する。そのアルキル上で置換されていてよい典型的な「セレノエーテル」は、-Se-アルキル、-Se-アルケニル、-Se-アルキニルおよび-Se-(CH2)m-R7(ここに、mおよびR7は上記に定義されるとおりである)の一つから選択される。
【0055】
同様の置換は、アルケニルおよびアルキニル基になされ、例えばアミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキニル、カルボニル置換アルケニルまたはアルキニルを生成する。
【0056】
本明細書において、いずれかの構造にて2回以上起こる場合の各表現の定義、例えばアルキル、m、nなどは、同じ構造の他の場所の定義から独立しているものである。
【0057】
「置換」または「で置換」は、そのような置換が置換原子および置換基の可能な価数に従い、置換が例えば転位、環化、脱離などによる変換を自発的に受けない安定な化合物をもたらすという暗黙の条件を含むことが理解されよう。
【0058】
本明細書において用語「置換」は、有機化合物のすべての許容される置換基を含むものである。広範な態様にて、許容される置換基としては、有機化合物の非環状および環状、分枝鎖および非分枝鎖、炭素環およびヘテロ環、芳香族および非芳香族置換基が挙げられる。例示的な置換基としては、例えば本明細書に記載のものが挙げられる。許容される置換基は、適当な有機化合物について1以上の同一または異なるものであることができる。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、および/またはヘテロ原子の価数を満足する本明細書に記載の有機化合物の任意の許容される置換基を有することができる。本発明は有機化合物の許容される置換基により何ら限定されるものではない。
【0059】
本明細書において用語「保護基」は、所望でない化学変換から潜在的に反応性の高い官能基を保護する一時的な置換基を意味する。そのような保護基の例としては、それぞれカルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、およびアルデヒドおよびケトンのアセタールおよびケタールが挙げられる。保護基化学の分野はレビューされている(Greene, T.W.; Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd ed.; Wiley: New York, 1991)。本発明化合物の保護形態は本発明の範囲内に含まれる。
【0060】
本発明のいくつかの化合物は、特定の幾何または立体異性形態にて存在することができる。本発明はcis-およびtrans-異性体、R-およびS-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、そのラセミ混合物およびその他の混合物などのすべてのそのような化合物を本発明の範囲内として包含する。さらなる不斉炭素原子はアルキル基などの置換基に存在することができる。そのようなすべての異性体ならびにその混合物は本発明に含まれるものである。
【0061】
例えば本発明化合物の特定のエナンチオマーが所望である場合、不斉合成、またはキラル補助基による誘導体化により製造することができ、得られたジアステレオ混合物を分離し、補助基を開裂して純粋な所望のエナンチオマーを得る。あるいは、分子がアミノなどの塩基性官能基またはカルボキシルなどの酸性官能基を含む場合、ジアステレオマー塩が適当な光学活性な酸または塩基と形成され、次いで形成されたジアステレオマーを当分野にてよく知られたフラクション結晶化またはクロマトグラフィー法により分割した後、純粋なエナンチオマーを回収する。
【0062】
上記化合物の包含される均等物としては、そうでなければこれに対応し、その同じ一般的特性(例えば鎮痛剤としての機能)を有する化合物が挙げられ、ここに、1以上の置換基はシグマレセプターへの結合における化合物の有効性に悪影響を与えないように単純な変形がなされる。一般に、本発明化合物は、容易に入手可能な出発物質、試薬および従来の合成手順を用いて、例えば以下に記載のような一般的反応式にて説明される方法、またはその改変により製造することができる。これらの反応にて、それ自体で知られているが、ここには述べられていない変形を使用することも可能である。
【0063】
本発明の目的のために、化学元素は元素の周期表, CAS版, Handbook of Chemistry and Physics, 67th Ed., 1986-87表紙裏に従って同定される。
【0064】
本明細書において用語「対象」は、治療、観察および/または実験の目的である動物、典型的には哺乳動物またはヒトを意味する。化合物または薬物の投与とともに用語を用いる場合、対象は治療、観察および/または化合物もしくは薬物の投与の目的である。
【0065】
本明細書において用語「治療的有効量」は、研究者、獣医、臨床医または医師により求められる細胞培養、組織系、動物またはヒトにおける生物学的または医学的反応(治療される疾患、病態または障害の症状の緩和を含む)を導き出す活性化合物または医薬の量を意味する。本発明において、そのような量は、細胞におけるbcl-2に結合し、タンパク質の抗アポトーシス活性の少なくとも一部を阻害するのに十分であろう。そのような量は患者における治療的有効性を提供するのに十分であるか、または別の抗がん剤による治療に細胞が敏感であるような働きをすることができる。
【0066】
用語「組成物」は、特定の成分を特定の量にて含む生成物、ならびに特定の量にて特定の成分の組合せを直接的にまたは間接的にもたらす任意の生成物を包含するものである。
【0067】
用語「医薬的に許容される担体」は、化合物の所望の剤形を製造するために用いる媒体を意味する。医薬的に許容される担体は、1以上の溶媒、希釈剤または他の液体ビヒクル;分散剤または懸濁補助剤;界面活性剤;等張剤;増粘剤または乳化剤;保存剤;固体結合剤;滑沢剤などを挙げることができる。文献(Remington's Pharmaceutical Sciences, Fifteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1975) and Handbook of Pharmaceutical Excipients, Third Edition, A. H. Kibbe ed. (American Pharmaceutical Assoc. 2000))は医薬組成物の製剤化に用いられる種々の担体およびその製造のための既知の技術を開示する。
【0068】
用語「Bcl媒介障害」および「Bclタンパク質を発現する細胞により媒介される障害」は、Bclタンパク質が関与する病理学および疾患状態を意味する。そのような役割は病理学的病態に直接関連することができるか、または病態に間接的に関連することができる。このクラスの病態に共通する特徴は、病態がBclタンパク質またはそれに関連する活性、機能を阻害することにより改善しうることである。
【0069】
本明細書において用語「Bcl」および「Bclタンパク質」は、1以上のBcl-2サブファミリーの抗アポトーシスタンパク質Bcl-2、Bcl-w、Mcl-1、Bcl-XL、A1、Bfl1、Bcl-B、BOO/DIVAおよびその同族体を包含するものである。
【0070】
本発明化合物
いくつかの具体的態様において、本発明は、式1:
【化16】

[式中、それぞれ独立して、
nは0、1、2、3または4であり;
R1はそれぞれ独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハライド、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ニトロ、アシルチオ、カルボキサミド、カルボキシル、ニトリル、-COR5、-CO2R5、-N(R5)CO2R6、-OC(O)N(R5)(R6)、-N(R5)SO2R6または-N(R5)C(O)N(R5)(R6)であり;
R2およびR3はそれぞれ独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルまたは-[C(R5)(R6)]p-R4であるか;または式1a:
【化17】

(式中、
mは0、1、2、3、4または5であり;
R7はそれぞれ独立してH、アルキル、アリール、アルケニル、ハライド、ヒドロキシル、アルコキシル、アルケニルオキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ニトロ、アシルチオ、カルボキサミド、カルボキシル、ニトリル、-OSO3R5、-SO2R5、-S(O)R5、-SR5、-PO2OR5、-OPO2OR5、-COR5、-CO2R5、-OCH2CO2R5または-OCH2C(O)N(R5)(R6)であるか;または2つのR7は一緒になって5-8の環原子の単環式環(該環原子の1、2または3の原子は独立してS、OまたはNである)を形成することができる)
で示される基を有し;
R4はハライド、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ニトロ、アシルチオ、カルボキサミド、カルボキシル、ニトリル、-OSO3R5、-SO2R5、-S(O)R5、-PO2OR5、-OPO2OR5、-COR5、-CO2R5、-N(R5)CO2R6、-OC(O)N(R5)(R6)、-N(R5)SO2R6または-N(R5)C(O)N(R5)(R6)であり;
R5およびR6はそれぞれ独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキルであるか;またはR5およびR6は一緒になって4-8の環原子の単環式環(該環原子の1、2または3の原子は独立してS、OまたはNである)を形成することができる]
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩に関する。
【0071】
本発明はまた、以下の化合物:
【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

からなる群から選択される化合物にも関する。
【0072】
本発明の別の態様は、上記化合物および少なくとも一つの医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0073】
発明の方法
本発明のある態様は、治療的有効量の上記化合物をそれを必要とする患者に投与する工程を含む、Bcl媒介障害の治療方法に関する。
【0074】
いくつかの具体的態様において、本発明は、Bcl媒介障害ががんまたは腫瘍性疾患である、上記方法に関する。
【0075】
いくつかの具体的態様において、本発明は、がんまたは腫瘍性疾患が急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病、真性赤血球増加症、ホジキン病、非ホジキン病;多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、嚢胞腺がん(stadenocarcinoma)、髄様がん、気管支がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、胎生期がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣腫瘍、肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、上皮性がん、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫および子宮内膜がんからなる群から選択される、上記方法に関する。
【0076】
いくつかの具体的態様において、本発明は、がんが濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ球性白血病 前立腺がん、乳がん、神経芽細胞腫、結腸直腸、子宮内膜、卵巣、肺がん、肝細胞がん、多発性骨髄腫、頭部および頸部がんまたは精巣がんである、上記方法に関する。
【0077】
いくつかの具体的態様において、本発明はがんがBclタンパク質を過剰発現する、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明はがんが増殖および生存のためのBclタンパク質に依存する、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明はBclタンパク質がBcl-2である、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明はBclタンパク質がBcl-xLである、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明はがんが染色体転座t(14;18)を示す、上記方法に関する。
【0078】
いくつかの具体的態様において、本発明は化合物が非経口投与される、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明は化合物が筋肉内、静脈内、皮下、経口、肺、髄腔内、局所的または鼻腔内投与される、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明は化合物が全身投与される、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明は患者が哺乳動物である、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明は患者が霊長類である、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明は患者がヒトである、上記方法に関する。
【0079】
別の態様において、本発明は、治療的有効量の化学療法剤を治療的有効量の上記化合物とともにそれを必要とする患者に投与する工程を含む、Bcl媒介障害の治療方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明はBcl媒介障害ががんまたは腫瘍性疾患である、上記方法に関する。
【0080】
いくつかの具体的態様において、本発明は、がんまたは腫瘍性疾患が急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病、真性赤血球増加症、ホジキン病、非ホジキン病;多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、胎生期がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣腫瘍、肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、上皮性がん、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫および子宮内膜がんからなる群から選択される、上記方法に関する。
【0081】
いくつかの具体的態様において、本発明はがんがBclタンパク質を過剰発現する、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明はがんが増殖および生存のためのBclタンパク質に依存する、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明はBclタンパク質がBcl-2である、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明はBclタンパク質がBcl-xLである、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明はがんが染色体転座t(14;18)を示す、上記方法に関する。
【0082】
いくつかの具体的態様において、本発明は本明細書に記載の化合物の量がBclクライアントタンパク質の細胞レベルを軽減するようなものであり、化学療法剤の量がBclクライアントタンパク質が化学療法剤により有効に阻害されるようなものである、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明は化合物が非経口投与される、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明は化合物が筋肉内、静脈内、皮下、経口、肺、髄腔内、局所的または鼻腔内投与される、上記方法に関する。
【0083】
いくつかの具体的態様において、本発明は化合物が全身投与される、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明は患者が哺乳動物である、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明は患者が霊長類である、上記方法に関する。
いくつかの具体的態様において、本発明は患者がヒトである、上記方法に関する。
【0084】
医薬組成物
別の態様において、本発明は、治療的有効量の1以上の上記化合物を含み、1以上の医薬的に許容される担体(添加剤)および/または希釈剤とともに製剤化される、医薬的に許容される組成物を提供する。以下に詳細に記載するように、本発明の医薬組成物は、以下に適合するものを含む、固体または液体形態における投与のために具体的に製剤化することができる:(1) 経口投与、例えばドレンチ(drench)(水性もしくは非水性溶液または懸濁液)、錠剤、例えば口腔、舌下および全身吸収、ボーラス、散剤、顆粒、舌への塗布用ペーストを目的とするもの;(2) 非経口投与、例えば皮下、筋肉内、静脈内または硬膜外注射による、例えば滅菌溶液または懸濁液または徐放製剤として;(3) 局所適用、例えばクリーム、軟膏または制御放出パッチまたは肌に適用するスプレーとして;(4) 膣内または直腸内、例えばペッサリー、クリームまたは泡状物として;(5) 舌下;(6) 眼内;(7) 経皮;(8) 鼻腔;(9) 肺;または(10) 鞘内。
【0085】
本明細書において用語「治療的有効量」は、任意の医学的治療に当てはまる相応な損益比にて動物における細胞の少なくともサブ集団にてある所望の治療効果を産生するために有効である、化合物、物質または本発明化合物を含む組成物の量を意味する。
【0086】
本明細書において用語「医薬的に許容される」は、妥当な医学的判断の範囲内で過剰な毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題もしくは合併症を伴わないヒトおよび動物の組織との接触における使用に適し、相応な損益比に釣り合う化合物、物質、組成物および/または剤形を意味するものとして用いる。
【0087】
本明細書において用語「医薬的に許容される担体」は、ある臓器または身体の一部から別の臓器または身体の一部への対象化合物の輸送または運搬に関与する、液体充填剤または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、製造補助剤(例えば滑沢剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、カルシウムもしくは亜鉛、またはステアリン酸)、または溶媒カプセル化物質などの医薬的に許容される物質、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と両立可能であるが、患者に無害であるという意味で「許容され」なければならない。医薬的に許容される担体として供しうる物質の例としては:(1) ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;(2) トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3) ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;(4) 粉末化トラガカント;(5) 麦芽;(6) ゼラチン;(7) タルク;(8) ココアバターおよび坐剤用ワックスなどの賦形剤;(9) ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などのオイル;(10) プロピレングリコールなどのグリコール;(11) グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;(12) オレイン酸エチルおよびラウリル酸エチルなどのエステル;(13) 寒天;(14) 水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15) アルギン酸;(16) ピロゲン不含水;(17) 等張性食塩水;(18) リンゲル溶液;(19) エチルアルコール;(20) pH緩衝溶液;(21) ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリアンヒドリド;および(22) 医薬製剤に用いられる他の無毒性両立可能な物質が挙げられる。
【0088】
上記のように、本発明化合物のいくつかの具体的態様は、アミノまたはアルキルアミノなどの塩基性官能基を含むことができ、従って医薬的に許容される酸との医薬的に許容される塩を形成することができる。この点、用語「医薬的に許容される塩」は、比較的無毒性の、本発明化合物の無機および有機酸付加塩を意味する。これらの塩は、投与ビヒクルまたは剤形の製造工程にて系中にて製造するか、または純粋な本発明化合物のそのフリー塩基形態を適切な有機または無機酸と別々に反応させ、次の精製中に形成された塩を単離することにより製造することができる。典型的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート、メシレート、グルコヘプトネート、ラクトビオネートおよびラウリルスルホネート塩などが挙げられる(例えばBerge et al. (1977)「Pharmaceutical Salts」, J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照のこと)。
【0089】
対象化合物の医薬的に許容される塩としては、化合物の従来の無毒性塩または第四級アンモニウム塩、例えば無毒性の有機酸または無機酸が挙げられる。例えばそのような従来の無毒性塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、リン酸塩、硝酸塩などの無機酸由来の塩;および酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、ステアリン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、パルミチン酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、フェニル酢酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、スルファニル酸塩、2-アセトキシ安息香酸塩、フマル酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンジスルホン酸塩、シュウ酸塩、イソチオン酸塩などの有機酸から製造される塩などが挙げられる。
【0090】
他の場合には、本発明化合物は1以上の酸性官能基を含むことができ、医薬的に許容される塩基との医薬的に許容される塩を形成することができる。この場合、用語「医薬的に許容される塩」は、本発明化合物の比較的無毒性の無機および有機塩基付加塩である。これらの塩は同様に、投与ビヒクルまたは剤形の製造工程にて系中で製造するか、あるいは純粋な化合物のフリー酸形態を医薬的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩などの適切な塩基、アンモニアまたは医薬的に許容される有機第一級、第二級または第三級アミンと別々に反応させることにより製造することができる。典型的なアルカリまたはアルカリ土類塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩などが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な典型的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる(例えば上記Berge et al.を参照のこと)。
【0091】
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤および滑沢剤ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、香味料および香料、保存剤および抗酸化剤もまた、組成物に存在することができる。
【0092】
医薬的に許容される抗酸化剤の例としては、(1) アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、メタ硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;(2) パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、アルファ-トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;および(3) クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が挙げられる。
【0093】
本発明の製剤としては、経口、鼻腔、局所(口腔および舌下など)、直腸、膣内および/または非経口投与に適したものが挙げられる。製剤は有利に単位剤形にて与えられ、薬学の分野にてよく知られる任意の方法により製造することができる。担体物質と組み合わせて単一剤形を生成することができる有効成分の量は、治療される宿主、投与の特定の形態に依存して変化するだろう。担体物質と組み合わせて単一剤形を生成することができる有効成分の量は一般に、治療効果を生成する化合物の量であろう。一般に、この量は、100パーセント中、有効成分約0.1パーセント〜約99パーセント、好ましくは約5パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント〜約30パーセントの範囲であろう。
【0094】
いくつかの具体的態様において、本発明の製剤は、シクロデキストリン、セルロース、リポソーム、ミセル形成剤、例えば胆汁酸およびポリマー性担体、例えばポリエステルおよびポリアンヒドリドからなる群から選択される賦形剤;および本発明化合物を含む。いくつかの具体的態様において、上記製剤は、経口投与可能な本発明化合物を意味する。
【0095】
これらの製剤または組成物の製造方法は、本発明化合物を担体および適宜1以上の補助成分と接触させる工程を含む。一般に、製剤は、本発明化合物を液体担体または細分化固体担体またはその両者と均一かつ密接に接触させた後、必要に応じて生成物を成形することにより製造する。
【0096】
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル、カシェ、丸剤、錠剤、ロゼンジ(フレーバー基剤、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを用いて)、散剤、顆粒、または水性もしくは非水性液体における液体もしくは懸濁剤、または水中油型もしくは油中水型液体乳剤、またはエリキシルもしくはシロップ、またはトローチ(ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの不活性塩基を用いる)、および/またはうがい薬としてなどの形態であることができ、有効成分として規定量の本発明化合物をそれぞれ含む。本発明化合物はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとしても投与することができる。
【0097】
経口投与のための本発明の固体剤形(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒、トローチなど)にて、有効成分はクエン酸ナトリウムまたはリン酸ジカルシウムなどの1以上の医薬的に許容される担体および/または以下の任意のものと混合する:(1) デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸などの充填剤または増量剤;(2) 例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなどの結合剤;(3) グリセロールなどの保湿剤;(4) 寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5) パラフィンなどの溶出遅延剤;(6) 第四級アンモニウム化合物およびポリクサマーおよびラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤などの吸収促進剤;(7) 例えばセチルアルコール、モノステアリン酸グリセロールおよび非イオン性界面活性剤などの湿潤剤;(8) カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤;(9) タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸およびその混合物などの滑沢剤;(10) 着色剤;および(11) クロスポビドンまたはエチルセルロースなどの制御離型剤。カプセル、錠剤および丸剤の場合、医薬組成物はまた、緩衝剤も含むことができる。同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを用いて軟および硬殻ゼラチンカプセルに充填剤として用いることもできる。
【0098】
錠剤は、適宜1以上の補助成分との圧縮または成形により製造することができる。圧縮錠剤は結合剤(例えばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えばデンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて製造することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な器具にて成形することにより製造することができる。
【0099】
本発明の医薬組成物の錠剤、および糖衣錠、カプセル、丸剤および顆粒などの他の固体剤形は適宜、医薬製剤分野にてよく知られている腸溶性コーティングおよび他のコーティングなどのコーティングおよび外部構造とともに得るかまたは製造してもよい。それらはまた、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを可変割合にて用いてその中の有効成分の遅延または制御放出を提供するように製剤化して、所望の放出プロファイル、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/または微小球を提供することもできる。それらは急速放出、例えば凍結乾燥用に製剤化することができる。それらは例えば細菌保持フィルターを通したろ過により、または滅菌剤を滅菌水またはいくつかの他の滅菌注射用媒体に使用の直前に溶解することができる滅菌固体組成物の形態にて組み込むことにより滅菌することができる。これらの組成物はまた、適宜乳白剤も含んでもよく、有効成分のみを放出する組成物または選択的に胃腸管のある部分にて適宜遅延的であってもよい。用いうる埋め込み組成物の例としては、ポリマー性物質および蝋が挙げられる。有効成分はまた、必要な場合には1以上の上記賦形剤を有するマイクロカプセル化形態であることもできる。
【0100】
本発明化合物の経口投与用液体剤形としては、医薬的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン、溶液剤、懸濁剤、シロップおよびエリキシルが挙げられる。有効成分に加えて、液体剤形は、例えば水または他の溶媒などの当分野にて一般に用いられる不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、オイル(特に綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびその混合物などの可溶化剤および乳化剤を含むことができる。
【0101】
不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤などのアジュバント、甘味料、香料、着色料、香味料および保存剤を含むこともできる。
【0102】
活性化合物に加えて、懸濁物は、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天-寒天およびトラガカント、およびその混合物などの懸濁剤を含むことができる。
【0103】
本発明の医薬組成物の直腸または膣内投与用製剤は、1以上の本発明化合物を例えばココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤用ワックスまたはサリチル酸塩を含む1以上の適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することにより製造することができ、室温にて固体であるが体温にて液体であり、それゆえ直腸または膣腔にて融解し活性化合物を放出する坐剤として提示することができる。
【0104】
膣内投与に適した本発明の製剤としてはまた、当分野にて適当であると知られているような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡状物またはスプレー製剤も挙げられる。
【0105】
本発明化合物の局所または経皮投与用剤形としては、散剤、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入剤が挙げられる。活性化合物は滅菌条件下、医薬的に許容される担体および必要とされてもよい任意の保存剤、緩衝剤またはプロペラントとともに混合することができる。
【0106】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性脂肪および植物性脂肪、オイル、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント,セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛またはその混合物などの賦形剤を含むことができる。
【0107】
散剤およびスプレーは、本発明化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含むことができる。スプレーはさらに、クロロフルオロヒドロカーボンなどの従来のプロペラント、およびブタンおよびプロパンなどの揮発性非置換炭化水素を含むことができる。
【0108】
経皮パッチはさらに、本発明化合物の身体への制御送達を提供するという利点を有する。そのような剤形は、適切な媒体中に化合物を溶解するかまたは分散することにより製造することができる。吸収増強剤もまた、化合物の肌への流動を増大するために用いることができる。そのような流動速度は、速度制御膜を提供するか、またはポリマーマトリックスもしくはゲルに化合物を分散させることにより制御することができる。
【0109】
眼用製剤、眼用軟膏、散剤、溶液剤などもまた、本発明の範囲内のものとして包含される。
【0110】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、使用の直前に滅菌注射溶液または分散剤中にて再構成することができる1以上の医薬的に許容される滅菌等張性水性もしくは非水性溶液、分散剤、懸濁剤もしくは乳剤または滅菌散剤とともに1以上の本発明化合物を含み、糖、アルコール、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、目的の受容体の血液と等張な製剤を提供する溶質、または懸濁もしくは増粘剤を含むことができる。
【0111】
本発明の医薬組成物にて用いることができる適切な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびその適切な混合物、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティング物質の使用、分散時に必要な粒径の維持および界面活性剤の使用により維持することができる。
【0112】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントも含むことができる。微生物の対象化合物への作用の予防は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール ソルビン酸などを含むことにより確保することができる。糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物中に含むことも所望であってよい。さらに、注射用医薬形態の持続性吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅らせる物質を含むことによりもたらしうる。
【0113】
いくつかの場合には、薬物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射から薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは低水溶性を有する結晶または非晶質の液体懸濁を用いることにより達成することができる。次いで、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、同様に結晶サイズおよび結晶形態に依存してよい。あるいは、非経口投与薬物形態の遅延型吸収はオイルビヒクル中に薬物を溶解または懸濁させることにより達成する。
【0114】
注射用デポー製剤は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマーにて対象化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成させることにより製造する。薬物のポリマーに対する比および用いる特定のポリマーの性質に依存して、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(アンヒドリド)が挙げられる。デポー注射用製剤はまた、体組織に両立可能なリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を取り込むことによっても製造される。
【0115】
本発明化合物が医薬としてヒトおよび動物に投与される場合、それ自体で、または医薬的に許容される担体とともに例えば有効成分0.1〜99%(より好ましくは10〜30%)を含む医薬組成物として与えうる。
【0116】
本発明の製剤は、経口、非経口、局所的または直腸的に与えることができる。それらはもちろん、各投与経路に適した形態にて与えられる。例えばそれらは、注射、吸入、眼用ローション、軟膏、坐剤などにより錠剤またはカプセル形態にて、注射、点滴または吸入投与により;ローションまたは軟膏により局所的に;および坐剤により直腸的に投与される。経口投与が好ましい。
【0117】
本明細書において用語「非経口投与」および「非経口的に投与」は、腸内および局所投与以外の投与形態を意味し、通常注射によるものであり、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心腔内、真皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内および胸骨内の注射および点滴が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
本明細書において用語「全身投与」、「全身的に投与」、「末梢投与」および「末梢的に投与」は、患者の系に入り、従って代謝および他の例えば皮下投与などの工程を受けるような中枢神経系への直接投与以外の化合物、薬物または他の物質の投与を意味する。
【0119】
これらの化合物は、経口、例えばスプレーとして鼻腔的、直腸的、膣内、非経口、嚢内的および局所、口腔および舌下などの散剤、軟膏またはドロップなどの任意の適切な投与経路により治療のためにヒトおよび他の動物に投与することができる。
【0120】
選択される投与経路にかかわらず、適切な水和形態にて用いることができる本発明化合物および/または本発明の医薬組成物は、当業者に知られている従来の方法により医薬的に許容される剤形に製剤化される。
【0121】
本発明の医薬組成物中の有効成分の実際の用量レベルは、特定の患者についての所望の治療応答を達成するのに十分な有効成分の量、組成物および投与形態を患者への毒性なしで得るために変化しうる。
【0122】
選択される用量レベルは、用いられる本発明の特定の化合物またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、用いられる特定の化合物の排出または代謝の速度、吸収の速度および程度、治療期間、用いられる特定の化合物と併用される他の薬物、化合物および/または物質、治療される患者の年齢、性別、体重、病態、一般的健康および病歴などの医学分野にてよく知られている種々の因子に依存するだろう。
【0123】
当分野における通常の知識を有する医師または獣医師は容易に必要な医薬組成物の有効量を決定し処方することができる。例えば医師または獣医師は、所望の治療効果を達成するため、および所望の効果を達成するまで用量を徐々に増大するために、医薬組成物に用いられる本発明化合物の用量を必要量より低レベルにて開始することができる。
【0124】
一般に、本発明化合物の適切な日用量は、治療効果を生ずるのに有効な最低用量である化合物の量であろう。そのような有効用量は一般に、上記因子に依存するだろう。一般に、示された鎮痛効果のために用いる場合、患者のための本発明化合物の経口、静脈内、脳室内および皮下用量は、約0.0001〜約100 mg/体重kg/日の範囲であろう。
【0125】
所望ならば、活性化合物の有効日用量は、一日を通して適当な間隔で別々に2、3、4、5、6以上のサブ用量として適宜単位剤形にて投与することができる。好ましい投与は1投与/日である。
【0126】
本発明化合物を単独で投与できる場合、医薬製剤(組成物)として化合物を投与することが好ましい。
【0127】
本発明化合物は、他の医薬から類推して、ヒトまたは獣医薬における使用のための任意の有利な方法における投与のために製剤化することができる。
【0128】
別の態様において、本発明は、1以上の医薬的に許容される担体(添加剤)および/または希釈剤とともに製剤化される治療的有効量の1以上の上記対象化合物を含む医薬的に許容される組成物を提供する。以下に詳細に記載されるように、本発明の医薬組成物は、以下に適合されるような固体または液体形態における投与のために具体的に製剤化することができる:(1) 経口投与、例えばドレンチ(水性または非水性溶液または懸濁液)、錠剤、ボーラス、散剤、顆粒、舌塗布用ペースト;(2) 非経口投与、例えば滅菌溶液または懸濁液として例えば皮下、筋肉内または静脈内注射による;(3) 局所適用、例えば肌、肺または粘膜に塗布されるクリーム、軟膏またはスプレーとして;または(4) 膣内または直腸内、例えばペッサリー、クリームまたは泡状物として;(5) 舌下または口腔;(6) 眼内;(7) 経皮;または(8) 鼻腔。
【0129】
用語「治療」は予防、治療および治癒も包含するものである。
本治療を受ける患者は必要とする任意の動物、例えば霊長類、特にヒト、および他の哺乳動物、例えばウマ、ウシ、ブタおよびヒツジ;および一般に家禽および愛玩動物などである。
【0130】
本発明化合物は、そのようなものとしてまたは医薬的に許容される担体とともに投与することができ、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシドおよびグリコペプチドなどの抗菌剤とともに投与することもできる。従って、結合治療は、第二投与がなされたときに最初に投与されたものの治療効果が完全に消失しないような活性化合物の連続、同時および分離投与を含む。
【0131】
本発明の活性化合物の動物の飼料への添加は、好ましくは有効量にて活性化合物を含むあらかじめ混合した適当な飼料を製造し、完全な飼料にそのあらかじめ混合したものを組み込むことにより達成する。
【0132】
あるいは、有効成分を含む中間濃縮物または補充飼料を飼料に混合することができる。そのようなあらかじめ混合される飼料および完全な飼料を製造し投与することができる方法は文献に記載される(例えば「Applied Animal Nutrition」, W.H. Freedman and CO., San Francisco, U.S.A., 1969または「Livestock Feeds and Feeding」O and B books, Corvallis, Ore., U.S.A., 1977)。
【0133】
ミセル
近年、医薬産業は微細乳化(microemulsification)技術を導入していくつかの親油性(水不溶性)医薬のバイオアベイラビリティを改善した。例としては、Trimetrine(Dordunoo, S. K., et al., Drug Development and Industrial Pharmacy, 17(12), 1685-1713, 1991 and REV 5901 (Sheen, P. C., et al., J Pharm Sci 80(7), 712-714, 1991)が挙げられる。他の物の中で、微細乳化は循環系の代わりにリンパ系に優先的に吸収させることによりバイオアベイラビリティの増強を提供し、これにより肝臓を回避して肝胆道循環における化合物の破壊を予防する。
【0134】
適切なすべての両親媒性担体が包含される一方、現在好ましい担体は一般に、一般的に安全と認識される(GRAS)状態を有するものであって、溶液が複合水相(例えばヒト胃腸管にて見られるもの)と接触し始める後の段階にて本発明化合物を可溶化し、微細乳化することができるものである。通常、これらの要件を満たす両親媒性成分は、2-20のHLB(親水性対親油性バランス)値を有し、その構造はC-6〜C-20の範囲の直鎖脂肪族基を含む。例えばポリエチレン-グリコール化脂肪グリセリドおよびポリエチレングリコールである。
【0135】
市販の両親媒性担体は特に、Gelucireシリーズ、ラブラフィル、ラブラソール(Labrasol)またはラウログリコール(Gattefosse Corporation, Saint Priest, Franceによりすべて製造され流通している)、PEG-モノオレエート、PEG-ジオレエート、PEG-モノラウレートおよびジラウレート、レシチン、ポリソルベート80(USAおよび世界中の多くの会社により生産され流通している)などを含む。
【0136】
ポリマー
本発明における使用に適した親水性ポリマーは、容易に水に可溶であり、小胞形成脂質に共有結合することができ、毒性効果なしでインビボにて耐性がある(すなわち生体適合性がある)ものである。適切なポリマーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ乳酸(ポリラクチドとも称される)、ポリグリコール酸(ポリグリコリドとも称される)、ポリ乳酸-ポリグリコール酸コポリマーおよびポリビニルアルコールが挙げられる。好ましいポリマーは、約100または120ダルトン〜約5,000または10,000ダルトン、より好ましくは約300ダルトン〜約5,000ダルトンの分子量を有するものである。特に好ましい具体的態様にて、ポリマーは約100〜約5,000ダルトン、より好ましくは約300〜約5,000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールである。特に好ましい具体的態様にて、ポリマーは750ダルトンのポリエチレングリコール(PEG(750))である。ポリマーはまた、そのモノマーの数によっても定義することができ;本発明の好ましい具体的態様は、少なくとも約3つのモノマーのポリマー、例えば3つのモノマー(約150ダルトン)からなるPEGポリマーを用いる。
【0137】
本発明における使用に適してよい他の親水性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリメトキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、およびヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースなどの誘導体化セルロースが挙げられる。
いくつかの具体的態様において、本発明の製剤は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、アクリル酸およびメタクリル酸エステルのポリマー、ポリビニルポリマー、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびそのコポリマー、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、乳酸およびグリコール酸のポリマー、ポリアンヒドリド、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、多糖、タンパク質、ポリヒアルロン酸、ポリシアノアクリレート、およびその融合物、混合物またはコポリマーからなる群から選択される生体適合性ポリマーを含む。
【0138】
シクロデキストリン
シクロデキストリンは、それぞれギリシャ文字.アルファ.、.ベータ.または.ガンマ.により指定される6、7または8のグルコース単位からなる環状オリゴ糖である。6未満のグルコース単位のシクロデキストリンの存在は知られていない。グルコース単位はアルファ-1,4-グルコシド結合により連結される。糖単位のいす型コンフォメーションの結果として、すべての第二級ヒドロキシル基(C-2、C-3位)は環の一方にあるが、C-6位のすべての第一級ヒドロキシル基は反対側にある。結果として、表面上、シクロデキストリンを水溶性とする親水性である。一方、シクロデキストリンの空洞は、C-3およびC-5位原子の水素およびエーテル様酸素により連結するため、疎水性である。これらのマトリクスは、例えば17.ベータ.-エストラジオールなどのステロイド化合物を含む種々の比較的疎水性である化合物との錯体化を可能とする(例えばvan Uden et al. Plant Cell Tiss. Org. Cult. 38:1-3-113 (1994)を参照のこと)。錯体化はファンデルワールス相互作用および水素結合形成により起こる。シクロデキストリンの化学の一般的講評について、文献(Wenz, Agnew. Chem. Int. Ed. Engl., 33:803-822 (1994))を参照のこと。
【0139】
シクロデキストリン誘導体の物理化学的性質は、置換の種類および程度に強く依存する。例えば水におけるそれらの可溶性は不溶性(例えばトリアセチル-ベータ-シクロデキストリン)から147%可溶性(w/v)(G-2-ベータ-シクロデキストリン)の範囲である。さらに、それらは多くの有機溶媒に可溶性である。シクロデキストリンの性質は、それらの可溶性を増大するか、または減少することにより種々の製剤化成分の可溶性にわたる制御を可能とする。
【0140】
多くのシクロデキストリンおよびその製造方法は記載されている。例えばParmeter (I)ら(米国特許番号3,453,259)およびGrameraら(米国特許番号3,459,731)は電気的中性シクロデキストリンを開示した。他の誘導体としては、カチオン性の特性を有するシクロデキストリン[Parmeter (II), 米国特許番号3,453,257]、不溶性架橋シクロデキストリン(Solms, 米国特許番号3,420,788)およびアニオン性の特性を有するシクロデキストリン[Parmeter (III), 米国特許番号3,426,011]が挙げられる。アニオン性の特性を有するシクロデキストリン誘導体のうち、カルボン酸、亜リン酸、亜ホスフィン酸、ホスホン酸、リン酸、チオホスホン酸、チオスルフィン酸およびスルホン酸は親シクロデキストリンに結合している[上記Parmeter (III)を参照のこと]。さらに、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体はStellaら(米国特許番号5,134,127)により記載されている。
【0141】
リポソーム
リポソームは水性細胞内区画を含む少なくとも一つの脂質二層細胞膜からなる。リポソームは細胞膜タイプおよびサイズにより特徴付けることができる。小単層ベシクル(SUV)は単一細胞膜を有し、典型的に直径0.02〜0.05μmの範囲であり;大単層ベシクル(LUVS)は典型的に、0.05μmより大きい。オリゴラメラ大ベシクルおよび多重膜ベシクルは複数の通常同心の細胞膜層を有し、典型的に0.1μmより大きい。いくつかの非同心細胞膜を有するリポソーム、すなわちより大きなベシクル内に含まれるいくつかの小ベシクルは、多小胞ベシクルと称される。
【0142】
本発明のある態様は、本発明化合物を含むリポソームを含む製剤に関し、ここに、リポソーム膜は製剤化されて輸送量が増大したリポソームを提供する。あるいは、またはさらに、本発明化合物はリポソームのリポソーム二層内に含まれるか、または二層上に吸着されてよい。本発明化合物は脂質界面活性剤と凝集し、リポソームの内部空間内に運搬することができ;このような場合に、リポソーム膜は製剤化されて活性剤-界面活性剤凝集体の破壊効果に耐性を有する。
【0143】
本発明のある具体的態様によれば、リポソームの脂質二層は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖が脂質二層の内部表面からリポソームによりカプセル化される内部空間に拡張し、脂質二層の外部から周辺環境に拡張するように、PEGで誘導体化された脂質を含む。
【0144】
本発明のリポソーム内に含まれる活性剤は、可溶化形態である。界面活性剤と活性剤との凝集体(問題の活性剤を含む乳剤またはミセルなど)は、本発明のリポソームの内部空間内に取り込むことができる。界面活性剤は活性剤を分散させ可溶化させるために作用し、鎖長が変化する(例えば約C.sub.14〜約C.sub.20)生体適合性リゾホスファチジルコリン(LPC)を含むが、これらに限定されない、任意の適切な脂肪族、脂環式または芳香族界面活性剤から選択することができる。PEG-脂質などのポリマー誘導体化脂質はまた、作用してミセル/細胞膜融合を阻害し、ポリマーの界面活性剤分子への添加が界面活性剤のCMCを軽減し、ミセル形成に役立つので、ミセル形成に活用することができる。好ましくは、マイクロモル範囲のCMCを有する界面活性剤であり;より高いCMCの界面活性剤を活用して本発明のリポソーム内に取り込まれたミセルを製造することができるが、ミセル界面活性剤モノマーはリポソーム二層安定性に影響しうり、所望の安定性のリポソームの設計における因子となるであろう。
【0145】
本発明のリポソームは、当分野にて知られる種々の任意の技術により製造することができる。例えば米国特許番号4,235,871;国際公開PCT出願WO 96/14057;New RRC, Liposomes: A practical approach, IRL Press, Oxford (1990), pages 33-104;Lasic DD, Liposomes from physics to applications, Elsevier Science Publishers BV, Amsterdam, 1993を参照のこと。
【0146】
例えば本発明のリポソームは、リポソームにて所望される最終モルパーセントの誘導体化脂質に対応する脂質濃度にて、親水性ポリマーで誘導体化された脂質をあらかじめ形成されたリポソーム中に拡散させることにより、例えばあらかじめ形成されたリポソームを脂質移植ポリマーからなるミセルに曝露させることにより製造することができる。親水性ポリマーを含むリポソームはまた、当分野にて知られるように、均質化、脂質領域水和または押出技術により形成することもできる。
【0147】
本発明のある態様にて、リポソームを、選択されるサイズ範囲にて実質的に均質なサイズを有するように製造する。ある有効なサイズ化法は、選択される均一細孔サイズを有する一連のポリカーボネート膜を通してリポソームの水性懸濁液を押し出すことを含み;その細胞膜の細孔サイズはその膜を通した押出により生成されるリポソームの最大サイズに大体対応するだろう。例えば米国特許番号4,737,323 (Apr. 12, 1988)を参照のこと。
【0148】
放出調整剤
本発明の製剤の放出特性は、カプセル化物質、カプセル化される薬物の濃度および放出調整剤の存在に依存する。例えば放出は、pH依存的に扱われ、例えば胃などの低pHまたは腸などのより高いpHのみにて放出されるpH感受性コーティングの使用であることができる。腸溶性コーティングを用いて、胃の通過後までに起こる放出を阻止することができる。異なる物質にカプセル化されるシアナミドの複数のコーティングまたは混合物を用いて、胃における初期放出、次いで腸におけるより後の放出を得ることができる。放出はまた、塩または細孔形成剤の包接により行うこともでき、これによりカプセルからの拡散による水の取り込みまたは薬物の放出が増大しうる。薬物の可溶性を改変する賦形剤もまた、放出速度を制御するために用いることができる。マトリクスの崩壊またはマトリクスからの放出を増強する薬剤もまた、取り込むことができる。それらは薬物に分離相(すなわち微粒子)として加えるか、または化合物に依存してポリマー相に共溶解することができる。すべての場合にて、量は0.1〜30パーセント(w/w ポリマー)であるべきである。崩壊増強剤のタイプとしては、硫酸アンモニウムおよび塩化アンモニウムなどの無機塩、クエン酸、安息香酸およびアスコルビン酸などの有機酸、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛および水酸化亜鉛などの無機塩基、硫酸プロタミン、スペルミン、コリン、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなどの有機塩基、およびTween(登録商標)およびPluronic(登録商標)などの界面活性剤が挙げられる。マイクロ構造をマトリクスに加える細孔形成剤(すなわち無機塩および糖などの水溶性化合物)を微粒子として加える。範囲は1〜30パーセント(w/w ポリマー)であるべきである。
【0149】
取り込みはまた、腸内の粒子の滞留時間を変化させることによっても操作しうる。これは、例えばカプセル化物質、粘膜接着性ポリマーで該粒子をコーティングするか、またはそのようなものとして選択することにより達成しうる。例としては、キトサン、セルロース、特にポリアクリレート(本明細書においてポリアクリレートはアクリレート基ならびにシアノアクリレートおよびメタクリレートなどの改変アクリレート基を含むポリマーを意味する)などの遊離カルボキシル基とのほとんどのポリマーが挙げられる。
【実施例】
【0150】
例示
本発明は一般的に記載され、次の実施例を参照することによりより容易に理解され、これらは本発明のある態様および具体的態様の例示の目的のためにのみ包含され、本発明を限定するものではない。
【0151】
実施例1
【化22】

パートA
【化23】

3-ヨードベンズアルデヒド2(5.8 g, 25 mmol, 1 eq)のMeOH/THF(40 mL, 3:1)溶液に、NH2OH・HClの水溶液(2.04 g, 29.5 mmol, 1.2 eq, 水10 mL中)を加えた。6 N KOHを用いてpHを9に調節した。反応物を室温にて2時間撹拌し、NaCNBH3(1.5 g, 25 mmol, 1 eq)、次いでメチルオレンジの結晶を加えた。pH 2を2に調節し、得られた真紅色物質を1 N HClの添加反応中維持した。2時間後、NaCNBH3の別の一部(1.5 g, 25 mmol, 1 eq)を加えた。混合物を14時間撹拌し、この時点にて溶媒の2/3を留去し、6 N KOH水溶液を加えてpHを9-10に上昇させた。この混合物をDCM(3 x 100 mL)で抽出した。有機層を集め、水、次いで食塩水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧留去して灰白色固体として3を5.7 g得た。85%収率。
【0152】
パートB
【化24】

N-(3-ヨードベンジル)ヒドロキシルアミン3(16 g, 64 mmol, 1 eq)のベンゼン320 mL溶液に、メチルグリオキシレート(6.8 g, 80 mmol, 1.25 eq)を加えた。Dean Starkトラップを用いて混合物を120℃まで3時間加熱した。溶液を室温まで冷却し、溶媒を減圧濃縮し、黄色固体として4を19.1 g得た。93%収率。
【0153】
パートC
【化25】

ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノ酢酸メチルエステル5(28 g, 0.1 mmol, 1 eq)および18-クラウン-6(132 g, 0.50 mmol, 5 eq)のTHF 2 L溶液を窒素雰囲気下-78℃まで冷却した。冷却した溶液にカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(20 g, 0.6 Mトルエン0.1 mmol中, 1 eq)を加えた。次いで(S)-2-(テトラヒドロピラニルオキシ)プロパノール6(J. Chem. Soc., Perkin. Trans. 1, 1994, 2791に記載のように合成; 16 g, 0.1 mmol, 1 eq)を加え、得られた混合物を30分間-78℃にて撹拌した。次いで飽和NH4Cl水溶液を加え、生成物をエーテル(3×500 mL)で抽出した。有機相を集め、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、油状物13(13.5 g)を得た。63%収率。
【0154】
パートD
【化26】

4(S)-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-ペンタ-2-エン酸メチルエステル7(10 g, 46.7 mmol, 1 eq)をJ. Chem. Soc., Perkin. Trans. 1, 1994, 2791記載の手順に従い、DIBAL-Hで還元し、4(S)-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-ペンタ-2-エン-1-オール8(7.6 g)を得た。88%収率。
【0155】
パートE
【化27】

4(S)-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-ペンタ-2-エン-1-オール8(4.0 g, 22 mmol, 1 eq)のTHF 20 mL溶液に、イミダゾール(3.66 g, 53.5 mmol, 2.4 eq)、次いでTBSCl(3.89 g, 25.8 mmol, 1.2 eq)を加えた。反応混合物を室温にて4時間撹拌し、水20 mLで反応停止処理し、エーテル(3×10 mL)で抽出した。集めた有機抽出物を水(5×50 mL)、食塩水50 mLで洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(30%ヘキサン/EtOAc)により精製し、9を油状物として5.9 g得た。92%収率。
【0156】
パートF
【化28】

THP保護基をTetrahedron Letters 1984, 25, 663に記載の手順に従い、t-ブチル-ジメチル-[4(S)-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-ペンタ-2-エニルオキシ]-シラン9(10 g, 33 mmol, 1 eq)から除去し、10を油状物として5.9 g得た。83%収率。
【0157】
パートG
【化29】

ニトロンメチルエステル4(8.1 g, 38 mmol, 1 eq)およびアルコール10(12 g, 38 mmol, 1 eq)のトルエン40 mL溶液に、Ti(OCH(CH3)2)4(16 g, 17 mL, 56 mmol, 1.5 eq)を加えた。懸濁液を140℃まで30分間マイクロウェーブオーブン中にて加熱し、室温まで冷却させた。溶液をEtOAc(150 mL)および3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオール(7 g, 7 mL, 58 mmol, 1.5 eq)で希釈し、室温にて8時間撹拌した。溶液に水100 mLを加え、有機相を分離し、水層をEtOAc(3×30 mL)で洗浄した。集めた有機抽出物を水100 mL、食塩水100 mLで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィー(1:29 Et2O/DCM)により精製し、11を固体として13.5 g得た。71%収率。
【0158】
TBS保護イソオキサゾリジン(13.5 g, 26 mmol, 1 eq)のTHF 120 mL溶液に、6 N HCl 67 mLを加えた。溶液を室温にて1.5時間撹拌し、水25 mLで希釈し、EtOAc(3×80 mL)で抽出し、有機抽出物を集め、飽和NaHCO3(50 mL)、食塩水50 mLで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィー(20-33% DCM/エーテル)により精製し、9を黄色固体として9.5 g得た。2工程の総収率64%。
【0159】
パートH
【化30】

(+) イソピノカンフェイルアミン12(0.2 g, 1.3 mmol, 6.5 eq)のDCM 10 mL溶液にAlMe3(トルエン中2 M溶液0.85 mL, 1.7 mmol, 8.5 eq)を2.5分にわたり滴加した。溶液を室温にて10分間撹拌した後、ラクトン11(0.5 g, 0.02 mmol, 1 eq)のDCM 10 mL溶液を滴加した。反応物を1時間撹拌し、DCM 125 mLおよびRochelle塩の飽和水溶液125 mLで希釈した。二相が形成されるまで、混合物を2時間激しく撹拌した。有機相を分離し、水、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して固体を得た。この物質をさらに精製せずに用いた。
【0160】
パートI
【化31】

ヨウ化アリール13(1.44 g, 2.65 mmol, 1 eq)、ビニルボロン酸14(1.57 g, 10.6 mmol, 10.0 eq)、Na2CO3(1.12 g, 10.6 mmol, 10.0 eq)およびパラジウムテトラキス(0.61 g, 0.53 mmol, 0.2 eq)を100 mlフラスコに量りとった。次いでフラスコをアルゴンでパージし、内容物を4:1比のトルエン/水30 mLに溶解し、65℃にて3時間加熱した。有機層を分離し、水層をEtOAc(3×20 mL)で抽出した。有機層を集め、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶媒系)により精製し、15(1.17 g)を得た。85%収率。
【0161】
パートJ
【化32】

15(0.11 g, 0.21 mmol, 1 eq)のtBuOH 16 ml溶液、THF 8 ml、水2 mlの溶液に、NMO(0.11 g, 0.82 mmol, 4 eq)およびOsO4(2 mL, 0.21 g, 0.021 mmol, 1 eq)の2.5 % tBuOH溶液を加えた。4時間撹拌後、Na2S2O3の溶液で反応停止処理し、EtOAc/食塩水で分液した。水層を洗浄し、MgSO4で有機物を乾燥し、ろ過し、減圧濃縮し、油状物を得た。
次いで粗製物(10 mg, 18μmol, 1 eq)をTHF 0.2 mLに取り、これに水20μLおよび過ヨウ素酸ナトリウム(4.1 mg, 19μmol, 1.05 eq)を加え、反応混合物を終夜撹拌した。Na2S2O3で反応停止処理し、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、16(6.8 mg)を灰白色固体として得た。85%収率。
【0162】
パートK
【化33】

アルデヒド16(40 mg, 90μmol, 1 eq)の1%水性MeOH 2 mL溶液をアミン17(41μL, 0.23 mmol, 2.6 eq.)で処理し、1時間撹拌した。NaBH4(4 mg, 90μmol, 1 eq.)を加え、混合物を0.5時間撹拌し、AcOH 10μLで反応停止処理した。
【0163】
この粗製反応混合物の半分を2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒド18(34 mg, 0.23 mmol, 5 eq.)で処理し;0.25時間後、NaBH3CN(12 mg, 0.23 mmol, 5 eq.)を加え、終夜撹拌し続けた。反応混合物を逆相HPLC(CH3CN/40 mM NH4HCO3を含む水)により直接精製し、1(20 mg)を白色固体として得た。63%収率。MS (ESI(+)) m/z 707.76 (M+H)+.
【0164】
実施例2
【化34】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに3-エトキシサリチルアルデヒドを用いて、化合物19を実施例1記載の手順に従い合成した。34%収率。MS (ESI(+)) m/z 723.82 (M+H)+.
【0165】
実施例3
【化35】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに6-メトキシサリチルアルデヒドを用いて、化合物20を実施例1記載の手順に従い合成した。29%収率。MS (ESI(+)) m/z 709.79 (M+H)+.
【0166】
実施例4
【化36】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに6-フルオロサリチルアルデヒドを用いて、化合物21を実施例1記載の手順に従い合成した。38%収率。MS (ESI(+)) m/z 711.83 (M+H)+.
【0167】
実施例5
【化37】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2-クロロベンズアルデヒドを用いて、化合物22を実施例1記載の手順に従い合成した。35%収率。
MS (ESI(+)) m/z 740.68 (M+H)+.
【0168】
実施例6
【化38】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2-アリルオキシベンズアルデヒドを用いて、化合物23を実施例1記載の手順に従い合成した。50%収率。MS (ESI(+)) m/z 719.82 (M+H)+.
【0169】
実施例7
【化39】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2-エトキシベンズアルデヒドを用いて、化合物24を実施例1記載の手順に従い合成した。25%収率。MS (ESI(+)) m/z 707.82 (M+H)+.
【0170】
実施例8
【化40】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2-(メチルチオ)ベンズアルデヒドを用いて、化合物25を実施例1記載の手順に従い合成した。38%収率。MS (ESI(+)) m/z 709.72 (M+H)+.
【0171】
実施例9
【化41】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに4-ホルミルインドールを用いて、化合物26を実施例1記載の手順に従い合成した。25%収率。MS (ESI(+)) m/z 702.80 (M+H)+.
【0172】
実施例10
【化42】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに3-ヒドロキシベンズアルデヒドを、アミン17の代わりに(S)-N1,N1-ジメチル-2-フェニルエタン-1,2-ジアミンを用いて、化合物27を実施例1記載の手順に従い合成した。45%収率。MS (ESI(+)) m/z 666.89 (M+H)+.
【0173】
実施例11
【化43】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに3-ヒドロキシベンズアルデヒドを、アミン17の代わりに(S)-N1,N1,3-トリメチルブタン-1,2-ジアミンを用いて、化合物28を実施例1記載の手順に従い合成した。47%収率。MS (ESI(+)) m/z 665.85 (M+H)+.
【0174】
実施例12
【化44】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりにシクロペンタンカルボキシアルデヒドを、アミン17の代わりに(S)-N1,N1,4,4-テトラメチルペンタン-1,2-ジアミンを用いて、化合物29を実施例1記載の手順に従い合成した。37%収率。MS (ESI(+)) m/z 669.91 (M+H)+.
【0175】
実施例13
【化45】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに3-ヒドロキシベンズアルデヒドを、アミン17の代わりにアミン (S)-N1,N1,4,4-テトラメチルペンタン-1,2-ジアミンを用いて、化合物30を実施例1記載の手順に従い合成した。48%収率。MS (ESI(+)) m/z 693.92 (M+H)+.
【0176】
実施例14
【化46】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2-クロロ-6-フルオロベンズアルデヒドを、アミン17の代わりに(S)-N1,N1,4,4-テトラメチルペンタン-1,2-ジアミンを用いて、化合物31を実施例1記載の手順に従い合成した。52%収率。MS (ESI(+)) m/z 729.86 (M+H)+.
【0177】
実施例15
【化47】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2-クロロ-6-フルオロベンズアルデヒドを、アミン17の代わりに(S)-N1,N1,3-トリメチルブタン-1,2-ジアミンを用いて、化合物32を実施例1記載の手順に従い合成した。35%収率。MS (ESI(+)) m/z 701.79 (M+H)+.
【0178】
実施例16
【化48】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2-クロロ-6-フルオロベンズアルデヒドを、アミン17の代わりに(S)-N1,N1-ジメチル-2-フェニルエタン-1,2-ジアミンを用いて、化合物44を実施例1記載の手順に従い合成した。21%収率。MS (ESI(+)) m/z 735.83 (M+H)+.
【0179】
実施例17
【化49】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2-クロロベンズアルデヒドを、アミン17の代わりに(S)-N1,N1-ジメチルペンタン-1,2-ジアミンを用いて、化合物34を実施例1記載の手順に従い合成した。53%収率。MS (ESI(+)) m/z 683.75 (M+H)+.
【0180】
実施例18
【化50】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2-クロロ-6-フルオロベンズアルデヒドを用い、アミン17の代わりに(S)-1-(1-ピロリジニル)-2-アミノ-4-メチル-ペンタンを用いて、化合物35を実施例1記載の手順に従い合成した。30%収率。MS (ESI(+)) m/z 741.86 (M+H)+.
【0181】
実施例19
【化51】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2-トリフルオロメチル-6-フルオロベンズアルデヒドを、アミン17の代わりに(S)-1-(1-ピロリジニル)-2-アミノ-4-メチル-ペンタンを用いて、化合物36を実施例1記載の手順に従い合成した。23%収率。MS (ESI(+)) m/z 775.90 (M+H)+.
【0182】
実施例20
【化52】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに6-フルオロサリチルアルデヒドを、アミン17の代わりに(S)-1-(1-ピロリジニル)-2-アミノ-4-メチル-ペンタンを用いて、化合物37を実施例1記載の手順に従い合成した。31%収率。MS (ESI(+)) m/z 723.89 (M+H)+.
【0183】
実施例21
【化53】

パートA
【化54】

ケトン39(500 mg, 2.42 mmol, 1 eq)のDCE 5 mL溶液にN1,N1-ジメチルエタン-1,2-ジアミン(641 mg, 7.27 mmol, 3 eq)、次いでNa(OAc)3BH(771 mg, 3.64 mmol, 1.5 eq)を加え、反応物を40℃まで加熱した。48時間撹拌した後、反応混合物を水100 mL、EtOAc 100 mL、食塩水100 mLで希釈し、pHを6 N NaOHで12に調節した。混合物をEtOAc(2×100 mL)で抽出し、集めた有機物をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮してジアミン40(200 mg)を暗茶色油状物として得た。粗製の油状物をさらに精製せずに直接用いた。
【0184】
パートB
【化55】

アルデヒド16(30 mg, 0.07 mmol)のDCE 1 mL溶液に、ジアミン40(0.02 mg, 0.07 mmol)、次いでNa(OAc)3BH(20 mg, 0.1 mmol)を加え、反応物を40℃まで加熱した。48時間撹拌した後、アルデヒドの別の一部(30 mg, 0.02 mmol)およびNa(OAc)3BH(20 mg, 0.1 mmol)を加え、反応物を40℃にて撹拌した。24時間後、反応混合物を逆相HPLC(CH3CN/40 mM NH4HCO3を含む水)により直接精製し、38(20 mg)を得た。収率42%。MS (ESI(+)) m/z 707.5. (M+H)+.
【0185】
実施例22
【化56】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2-ブロモ-5-(ヒドロキシル)ベンズアルデヒドを用いて、化合物41を実施例1記載の手順に従い合成した。収率38%。MS (ESI(+)) m/z 757.6 (M+H)+.
【0186】
実施例23
【化57】

2,3 メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2-ホルミルチオフェン-2-カルボン酸を用いて、化合物42を実施例1記載の手順に従い合成した。収率48%。MS (ESI(+)) m/z 713.8 (M+H)+.
【0187】
実施例24
【化58】

2,3 メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシルベンズアルデヒドを用いて、化合物43を実施例1記載の手順に従い合成した。収率27%。MS (ESI(+)) m/z 747.8 (M+H)+.
【0188】
実施例25
【化59】

2,3 メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2-ホルミルフェノキシ酢酸を用いて、化合物44を実施例1記載の手順に従い合成した。収率47%. MS (ESI(+)) m/z 737.7 (M+H)+.
【0189】
実施例26
【化60】

2,3 メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりにチオフェン-2-カルボキシアルデヒドを用いて、化合物45を実施例1記載の手順に従い合成した。収率69%. MS (ESI(+)) m/z 669.8 (M+H)+.
【0190】
実施例27
【化61】

2,3 メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりにo-トルアルデヒドを用いて、化合物46を実施例1記載の手順に従い合成した。収率51%. MS (ESI(+)) m/z 677.9 (M+H)+.
【0191】
実施例28
【化62】

2,3 メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに1-メチルピロール-2-カルボキシアルデヒドを用いて、化合物47を実施例1記載の手順に従い合成した。収率43%. MS (ESI(+)) m/z 666.9 (M+H)+.
【0192】
実施例29
【化63】

2,3 メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに2-カルボキシベンズアルデヒドを用いて、化合物48を実施例1記載の手順に従い合成した。収率65%. MS (ESI(+)) m/z 707.9 (M+H)+.
【0193】
実施例30
【化64】

2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりにチオフェン-3-カルボキシアルデヒドを用いて、化合物49を実施例1記載の手順に従い合成した。収率69%. MS (ESI(+)) m/z 669.8 (M+H)+.
【0194】
実施例31
【化65】

2,3 メチレンジオキシベンズアルデヒドの代わりに4-フルオロ-2-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いて、化合物50を実施例1記載の手順に従い合成した。収率15%. MS (ESI(+)) m/z 697.8 (M+H)+.
【0195】
実施例32
【化66】

パートA
【化67】

Boc-L-ロイシン53(5 g, 22 mmol, 1 eq)およびPyBop(15 g, 28 mmol, 1.3)のDCM 60 mL溶液に、ピロリジンを0℃にて加えた。溶液を10分間撹拌した後、DIPEA(6 g, 8 mL, 48 mmol, 2.2 eq)を滴加した。6時間撹拌した後、溶液を飽和NaHCO3(40 mL)で希釈し、水相をDCM(2×50 mL)で抽出した。集めた有機相を食塩水で洗浄し、分離し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮し、油状物を得た。得られた油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(50-100%ヘキサン/EtOAc)により精製し、53を透明油状物として得た。
【0196】
パートB
【化68】

アミド53(4.5 g, 15.8 mmol, 1 eq)のDCM 100 mL溶液に、TFA 10 mLを0℃にて加えた。2時間室温にて撹拌した後、溶媒を減圧留去し、油状物を得た。得られた油状物をTHFに懸濁させ、0℃まで冷却し、これにLiAlH4(4 g, 108 mmol, 6.8 eq)を少しずつ加え、アルゴン雰囲気下、還流温度にて12時間加熱した。溶液を室温まで冷却し、水4 mLで反応停止処理し、5分間撹拌し、次いで15% NaOH 4 mLを加えてさらに5分間撹拌し、最後に水12 mLを加え、白色析出物が形成されるまで懸濁物を撹拌した。固体をろ過し、EtOAcで洗浄し、ろ液を減圧濃縮し、54を油状物として得、これをさらに精製せずに用いた。
【0197】
パートC
【化69】

16(250 mg, 0.56 mmol, 1 eq)のMeOH 25 mL溶液に、54(96 mg, 0.56 mmol, 1 eq)を加え、室温にて3時間撹拌し、次いでNaBH4(21 mg, 0.56 mmol, 1 eq)を加えた。室温にて12時間撹拌した後、反応混合物をAcOH 0.08 mLで希釈し、減圧濃縮し、油状物を得、これをさらに精製せずに用いた。
【0198】
パートD
【化70】

55(15 mg, 25μmol, 1 eq)のDCM 1.0 mL溶液に、2-ヒドロキシベンズアルデヒド(5 mg, 38μmol, 1.5 eq)、次いでNa(OAc)3BH(11 mg, 50μmol, 2 eq)を加えた。室温にて12時間撹拌した後、反応混合物をAcOH 0.1 mLで希釈し、10分間撹拌した。反応混合物をDCM 2.5 mLで希釈し、飽和NaHCO3 2.5 mLで洗浄し、有機相を分離し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮し、油状物を得た。油状物を逆相HPLC(CH3CN/40 mM NH4HCO3を含む水)により直接精製し、51(7 mg)を白色固体として得た。収率 40%. MS (ESI(+)) m/z 705.9 (M+H)+.
【0199】
実施例33
【化71】

2-ヒドロキシベンズアルデヒドの代わりに2-ホルミルベンゼンスルホン酸を用いて、化合物57を実施例32記載の手順に従い合成した。収率39%. MS (ESI(+)) m/z 705.9 (M+H)+.
【0200】
実施例34
【化72】

2-ヒドロキシベンズアルデヒドの代わりに2-(2-ヒドロキシエトキシ)ベンズアルデヒドを用いて、化合物58を実施例32記載の手順に従い合成した。収率32%. MS (ESI(+)) m/z 749.9 (M+H)+.
【0201】
実施例35
【化73】

2-ヒドロキシベンズアルデヒドの代わりに5-ブロモチオフェン-2-カルボキシアルデヒドを用いて、化合物59を実施例32記載の手順に従い合成した。収率54%. MS (ESI(+)) m/z 775.7 (M+H)+.
【0202】
実施例36
【化74】

2-ヒドロキシベンズアルデヒドの代わりに2-(2-ホルミル-フェノキシ)-アセトアミドを用いて、化合物60を実施例32記載の手順に従い合成した。収率35%. MS (ESI(+)) m/z 762.9 (M+H)+.
【0203】
実施例37
【化75】

2-ヒドロキシベンズアルデヒドの代わりに2-ホルミルフェノキシ酢酸を用いて、化合物61を実施例32記載の手順に従い合成した。収率59%. MS (ESI(+)) m/z 775.7 (M+H)+.
【0204】
実施例38
【化76】

【化77】

61(10 mg, 10μmol, 1 eq)のDMF 0.5 mL溶液に、PyBop(10 mg, 20μmol, 2 eq)、モルホリン(2 mg, 30μmol, 3 eq)およびEt3N(4 mg, 5 uL, 40μmol, 4 eq)を加えた。溶液を12時間撹拌し、水0.5 mLで希釈し、反応混合物を逆相HPLC(CH3CN/40 mM NH4HCO3を含む水)により直接精製し、62(3 mg)を白色固体として得た。収率28%. MS (ESI(+)) m/z 833 (M+H)+.
【0205】
実施例39
【化78】

モルホリンの代わりにジメチルアミンを用いて、化合物63を実施例38記載の手順に従い合成した。収率59%. MS (ESI(+)) m/z 775.7 (M+H)+.
【0206】
実施例40
【化79】

シクロヘキシル(2-フルオロフェニル)メタノンの代わりにシクロヘキシル(フェニル)メタノンを用いて、化合物64を実施例21記載の手順に従い合成した。収率29%. MS (ESI(+)) m/z 689.49 (M+H)+.
【0207】
実施例41
種々の本発明化合物についてのBcl−2結合親和性データを以下に示す。以下の表のとおり、「****」はKiが<1nMであることを示し;「***」はKiが1-5nMであることを示し;「**」はKiが5-9nMであることを示し;および「*」はKiが>9nMであることを示す。
【0208】
種々の本発明化合物についてのBcl−xL結合親和性データを以下に示す。以下の表のとおり、「†††」はKiが<0.2μMであることを示し;「††」はKiが0.2-1μMであることを示し;「†」はKiが>1μMであることを示す。
【0209】
【表2】

【表3】

【表4】

【0210】
参照
本明細書に引用されるすべての米国特許および米国特許出願公開公報が参照される。
【0211】
均等物
当業者は、規定の実験のみを用いて、本明細書に記載の発明の具体的態様の多くの均等物を認識するか、または確認することができよう。そのような均等物は特許請求の範囲に包含されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】

[式中、それぞれ独立して、
nは0、1、2、3または4であり;
R1はそれぞれ独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハライド、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ニトロ、アシルチオ、カルボキサミド、カルボキシル、ニトリル、-COR5、-CO2R5、-N(R5)CO2R6、-OC(O)N(R5)(R6)、-N(R5)SO2R6または-N(R5)C(O)N(R5)(R6)であり;
R2およびR3はそれぞれ独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルまたは-[C(R5)(R6)]p-R4であるか;または式1a:
【化2】

(式中、
mは0、1、2、3、4または5であり;
R7はそれぞれ独立してH、アルキル、アリール、アルケニル、ハライド、ヒドロキシル、アルコキシル、アルケニルオキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ニトロ、アシルチオ、カルボキサミド、カルボキシル、ニトリル、-OSO3R5、-SO2R5、-S(O)R5、-SR5、-PO2OR5、-OPO2OR5、-COR5、-CO2R5、-OCH2CO2R5または-OCH2C(O)N(R5)(R6)であるか;または2つのR7は一緒になって5-8の環原子の単環式環(該環原子の1、2または3の原子は独立してS、OまたはNである)を形成することができる)
で示される基を有し;
R4はハライド、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ニトロ、アシルチオ、カルボキサミド、カルボキシル、ニトリル、-OSO3R5、-SO2R5、-S(O)R5、-PO2OR5、-OPO2OR5、-COR5、-CO2R5、-N(R5)CO2R6、-OC(O)N(R5)(R6)、-N(R5)SO2R6または-N(R5)C(O)N(R5)(R6)であり;
R5およびR6はそれぞれ独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキルであるか;またはR5およびR6は一緒になって4-8の環原子の単環式環(該環原子の1、2または3の原子は独立してS、OまたはNである)を形成することができる]
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
以下の化合物:
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

からなる群から選択される化合物。
【請求項3】
請求項1または2記載の化合物および少なくとも一つの医薬的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項4】
治療的有効量の請求項1または2記載の化合物をそれを必要とする患者に投与する工程を含む、がんの治療方法。
【請求項5】
がんが濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ球性白血病 前立腺がん、乳がん、神経芽細胞腫、結腸直腸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、肺がん、肝細胞がん、多発性骨髄腫、頭部および頸部がんまたは精巣がんである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
がんがBclタンパク質を過剰発現する、請求項4記載の方法。
【請求項7】
がんが成長および生存のためのBclタンパク質に依存する、請求項4記載の方法。
【請求項8】
Bclタンパク質がBcl-2である、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
Bclタンパク質がBcl-xLである、請求項6または7記載の方法。
【請求項10】
がんが染色体転座t(14;18)を示す、請求項4記載の方法。
【請求項11】
治療的有効量の請求項1または2記載の化合物をそれを必要とする患者に投与する工程を含む、bcl媒介障害の治療方法。
【請求項12】
bcl媒介障害ががんまたは腫瘍性疾患である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
がんまたは腫瘍性疾患が急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病、赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病、真性赤血球増加症、ホジキン病、非ホジキン病;多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、胎生期がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣腫瘍、肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、上皮性がん、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫および子宮内膜がんからなる群から選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
治療的有効量の化学療法剤および治療的有効量の請求項1または2記載の化合物をそれを必要とする患者に共投与する工程を含む、bcl媒介障害の治療方法。
【請求項15】
bcl媒介障害ががんまたは腫瘍性疾患である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
がんまたは腫瘍性疾患が急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病、真性赤血球増加症、ホジキン病、非ホジキン病;多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、胎生期がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣腫瘍、肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、上皮性がん、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫および子宮内膜がんからなる群から選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
bcl媒介障害がBclタンパク質を過剰発現する、請求項14記載の方法。
【請求項18】
bcl媒介障害が成長および生存のためのBclタンパク質に依存する、請求項14記載の方法。
【請求項19】
Bclタンパク質がBcl-2である、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
Bclタンパク質がBcl-xLである、請求項17または18記載の方法。
【請求項21】
bcl媒介障害が染色体転座t(14;18)を示す、請求項14記載の方法。
【請求項22】
化合物が非経口投与される、請求項4、11または14記載の方法。
【請求項23】
化合物が筋肉内、静脈内、皮下、経口、局所的または鼻腔内投与される、請求項4、11または14記載の方法。
【請求項24】
化合物が全身投与される、請求項4、11または14記載の方法。
【請求項25】
患者が哺乳動物である、請求項4、11または14記載の方法。
【請求項26】
患者が霊長類である、請求項4、11または14記載の方法。
【請求項27】
患者がヒトである、請求項4、11または14記載の方法。

【公表番号】特表2010−510214(P2010−510214A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537198(P2009−537198)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/023941
【国際公開番号】WO2008/060569
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(506418758)インフィニティ・ディスカバリー・インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】INFINITY DISCOVERY, INC.
【Fターム(参考)】