BIBW2992を含有する固形医薬製剤
本発明は、活性物質BIBW2992を二マレイン酸塩として含有し、該活性物質の即時放出プロフィールを提供する医薬剤形に関するものであり、さらに、本発明は、BIBW2992二マレイン酸塩(BIBW2992MA2)からローラー圧密と篩い分けとが連結されたステップを使用して調製される粉末形態のBIBW2992二マレイン酸塩を含有する圧密化中間体;前記圧密化中間体から調製される中間ブレンド;ならびに前記圧密化中間体から、または前記中間ブレンドから作られ、活性物質の即時放出プロフィールを提供する即時使用/摂取のための固形経口製剤、例えば、カプセル、および直接圧縮によって調製される非被覆またはフィルムコート錠剤;ならびにこれらの製造方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性物質BIBW2992を二マレイン酸塩として含有し、薬物製剤の即時放出溶出プロフィールを提供する医薬剤形に対する一態様に関する。
第2の態様によれば、本発明は、圧密(ローラー圧密、ブリケッティング(briquetting)またはスラッギング(slugging))とそれに続く1回または複数回の篩い分け段階とを組み合わせてBIBW2992MA2から得ることのできる、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤との混合物の状態でもよい、粉末形態での沈降性BIBW2992二マレイン酸塩(以後BIBW2992MA2と略記する)を含有する圧密化中間体(compacted intermediates);前記圧密化中間体から調製される中間ブレンド;ならびに前記圧密化中間体からまたは前記中間体ブレンドから製造され、例えば、経口用粉末またはカプセル、および直接圧縮によって調製される非被覆のまたはフィルムコートされた錠剤などの錠剤製剤のような即時放出溶出プロフィールを提供する即時使用/摂取のための固形経口製剤に関する。本発明は、また、前述の圧密化中間体、中間ブレンド、および固形経口製剤の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
活性成分が、医薬剤形から吸収され、作用部位で利用可能となる割合および程度が、バイオアベイラビリティーと定義される(Chen,M.L.ら、「Bioavailability and bioequivalence」:an FDA regulatory overview,Pharm.Res.2001,18,1645〜1648)。しかし、作用部位の薬物を測定することは、めったに実行できない。したがって、バイオアベイラビリティーは、全身循環中の薬物濃度に基づいて評価される。全身暴露は、薬物投与に続く多数の時点での活性薬物の血中または血漿中濃度の測定、および濃度−時間曲線下面積(AUC)の計算によって判定される。血中/血漿中薬物濃度−時間のプロフィールは、溶出、溶解度、吸収、代謝、分配、および排泄の動力学によって影響される。
【0003】
原理的に、投与後の固形経口剤形からの薬物吸収は、一連の同時および逐次的過程に由来する固形剤形からの溶出、および胃腸管の消化管壁を横切る透過性に左右される可能性がある。原薬の生物薬剤学分類システム(BCS)に応じて、in vitroでの溶出は、in vivoでの血漿中濃度およびそれゆえにバイオアベイラビリティーの予測に関連している可能性がある[産業のための指針(Guidance for Industry)、「即時放出固形経口剤形の溶出試験」、米国保険福祉省、食品医薬品庁、医薬品評価・研究センター(CDER)1997年8月]。
【0004】
この一般的考察に基づき、錠剤およびカプセルなどの即時放出固形経口剤形のためのin vitro溶出試験を使用して薬物製剤の特質を評価する。即時放出製品は、薬物の溶出または吸収の遅延または延長を引き起こさないで、成分または活性部分が胃腸管中で溶出することを可能にする。即時放出製品の溶出試験に関する要件は、産業のための指針(Guidance for Industry)「即時放出固形経口剤形のための溶出試験」(CDER 1997)、「即時放出固形経口剤形−スケールアップおよび承認後変更」(CDER1997)、ICH指針Q6A「仕様:新規原薬および新規薬物製剤のための試験方法および容認基準」中で重点的に取り扱われている。欧州薬局方6.3(第6版)に記載のような最も一般的に採用される溶出試験法は、バスケット法(装置1)およびパドル法(装置2)である。記載の方法は、簡単で確実で広く標準化され、世界的に使用される。それらの方法は、多様な薬物製剤の溶出試験を可能にするのに十分な順応性がある。溶出挙動に影響を及ぼす次のパラメーター:装置、撹拌速度、溶出媒質および温度は、例えば、即時放出固形経口製品に適切なin vitro溶出試験条件の選択に関連している可能性がある。
【0005】
BIBW2992は、化合物4−[(3−クロロ)−4−フルオロフェニル)アミノ]−6−{[4−(N,N−ジメチルアミノ)−1−オキソ−2−ブテン−1−イル]アミノ}−7−((S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)−キナゾリンとして公知である。
【化1】
【0006】
BIBW2992は、erbb1受容体(EGFR)およびerbB2(Her2/neu)受容体チロシンキナーゼの強力で選択的な二重阻害薬である。さらに、BIBW2992は、EGFRおよびHER2に共有結合で結合し、それによって、それが結合した受容体分子を不可逆的に不活性化するように設計された。この化合物、二マレイン酸BIBW2992MA2などのその塩、およびその結晶改変体、それらの調製、ならびにBIBW2992またはその塩を含有する医薬製剤が、国際公開第02/50043号および国際公開第2005/037824号に開示されている。これらの文献は、これらの態様に関して参照により援用される。以下で言及されるBIBW2992 BSは、前記式によって特徴付けられた通りのBIBW2992と同一である遊離塩基としての化合物を意味する。
【0007】
BIBW2992は、肺および気道の腫瘍性疾患、過分泌疾患;胃腸管、総胆管および胆嚢の疾患の治療に適している。BIBW2992で、および併用治療で治療できる適応症は、国際公開第2007/054550号および国際公開第2007/054551号に開示されている。
【0008】
(本発明の根底にある問題の一般的様相)
活性医薬成分(API)の薬理学的活性のほかにも、経口用の粉末、顆粒、ペレット、錠剤、カプセル、咀嚼錠剤、分散性錠剤、トローチまたはロゼンジのような固形経口剤形の調製に関連する活性物質の多様な物理的または物理化学的特性が存在する。薬物製剤の正確なアッセイ、含有物および質量の均一性、化学的および物理的安定性、ならびに適切な溶出速度のような妥当な製剤特性を達成するためには、製品中間体の特性も、確実で迅速かつ費用効果の高い加工に適していなければならない。
【0009】
限定するものではないが、活性薬剤(原薬)の加工に関連するこれらのパラメーターの例が、最終医薬製剤(薬物製剤)の安定性に強力に影響を及ぼす多様な環状条件下での原薬の安定性;ならびに嵩密度(すなわち、注入およびタップ密度)または得られるハウスナー係数(表1)、粒子の組織形態、形状、針状結晶体に関する長さ対幅の比率、粒度分布、原薬の沈殿および乾燥条件により変化する可能性のある静電帯電および表面付着特性などの原薬の物理的特性である。これらの特性は、原薬の最終製剤への加工のための鍵となる特徴、例えば流動性および圧縮性にかなりの影響を及ぼす可能性がある。
表1:ハウスナー係数および対応する流動特性
【表1】
【0010】
ハウスナー係数は、嵩容積対圧密容積の比率であり、式(嵩密度/タップ密度)で計算される。嵩密度は、Ph.Eur2.9.15(欧州薬局方、第4版)により注入密度として測定される。タップ密度は、Ph.Eur.2.9.15により測定される(また、Voigt R.Lehrbuch der pharmazeutischen Technologie[製薬技術の教科書]、Verlag Chemie、第5版、148頁参照)。ハウスナー係数は、粉末の流動性/圧縮性に関する尺度であり、理想的には1に近くあるべきである。
【0011】
これらの特性は、例えばパイプ、打錠機のホッパーおよびフィーダー中でのその移動の際に粉末混合物の内部でのAPIの分離を妨げるのに重要である。それらの特性は、特に低用量製剤または直接圧縮加工において、1つの薬物製剤バッチ内での再現性がありかつ均一なAPI含有量を保証する。さらに、これらの特性は、流動性、圧縮性、原薬またはその混合物の賦形剤との凝集性および滑沢性などのパラメーターに著しい影響を及ぼし、かくして自動化生産における加工性にとって決定的である可能性がある。
【0012】
錠剤を製造する場合、適切で再現性のある錠剤質量および錠剤硬度を保証するには、材料のダイ中への自由流動が必須である。材料は、また、取扱いの際の崩壊および散逸から圧密体を守るために、ある程度の凝集性を所持すべきである。最後に、材料は、打錠の際の材料、ポンチおよびダイの間での摩擦を最小にするため、および錠剤の移動を可能にするため、ある程度の滑沢性を有さなければならない。最終剤形として使用する予定の圧密体に関しても、それらは、適切な度合いの硬度、崩壊の能力および速度、ならびに均一性を所持すべきである。
結局、医薬組成物の特性は、それ自体、活性薬剤のバイオアベイラビリティー、それゆえ、意図した医療用途における薬剤の効力に決定的に貢献する。
活性化合物を、規制当局によって規定された基準/規、および治療標的のプロフィール(バイオアベイラビリティーおよび薬物動態プロフィール)によって示される特定の要求に合致する固形経口製剤に作りあげることに関連のある原薬のこのような特性を改善するために、いくつかの物理的または物理化学的方法、例えば、再結晶、異なる多形形態への変換、いくつかの賦形剤または補助材料との混合、粒径を適切なレベルへ縮小するための粉砕、あるいは原薬のさらなる加工処理の可能な中間的固体形態への変換(粉末の顆粒への転化など)を適用できる。
【0013】
その最も広い意味の粉砕は、粒子または凝集体の大きさを縮小する機械的処理であり、切断(cutting)、圧断(chopping)、摩砕(grinding)、圧砕(crushing)、製粉(milling)、ミクロ化および練砕(trituration)を含む広範な種類の操作を包含する。材料は、圧縮性を改善するために粉砕されることが多い。材料の圧縮性は、粒子の粒径または表面積によってかなり影響される。
摩砕(またはミクロ化)の副作用としての薬学的活性物質の分解および/または非晶質化は、処理中に要求される厳しい条件にもかかわらず、できる限り回避しなければならず、活性物質が、摩砕処理中に高度に安定でなければならないことは、絶対的に必須である。このことが満たされるなら、常に再現性のある方式で指定量の活性物質を含有する均一な医薬製剤を製造することが可能である。
【0014】
また、粉砕処理は、形状または融点のような材料特性によって影響される。これらの側面で不適切な材料は、処理中に摩砕チャンバーを閉塞し、不経済なことに、処理を中断し、清掃操作を必要にする可能性がある。
粉末から顆粒(複数の粉末粒子から構成される小さな凝集体)への転換は、ブレンドの均一性を改善すること、粒径の均一性を改善すること、粉塵の危険性を低減すること、製品流動の改善を可能にすること、均一な嵩密度を改善すること、粒子の硬度を調節すること、および分散性を改善することを含む、いくつかの利点を提供することの多い、APIの不適切な物理化学的特性を補償するさらなる取組みである可能性がある。最も一般的に採用される造粒法は、湿式造粒、乾式造粒、およびホットメルト造粒である。
【0015】
湿式造粒では、液状結合剤溶液を、混合された粉末床と合わせ、粒子を一緒に集めて顆粒にする。次いで、湿った塊体を篩いにかけ、乾燥し、所望の大きさに製粉する。また、該塊体を、乾式で篩い、滑沢化し、穴の開いた網を通して圧縮または押し出し、次いで乾燥することができる。乾燥中は、水和状態を維持するため、および粒子上の静電帯電を低減するために、造粒中に残留水分量を維持することが多くの場合望ましい。造粒物の水分含有量は、均一であるべきである。湿式造粒は、いくつかの欠点を有する。主要な欠点は、別々の含まれるステップの数、ならびに方法を実施するのに必要な時間と労力である。さらに、水性溶媒の使用は、造粒すべき製品の安定性によって制約される。爆発の懸念および環境規制は、いくつかの有機溶媒の使用を制約する可能性がある。
【0016】
材料が、顆粒を形成するのに十分な固有の結合または凝集特性を有するなら、乾式造粒を使用できる。乾式造粒は、液体を使用することのない造粒方法を指す。材料が乾式で造粒されるためには、その構成要素の少なくとも1種、活性成分または希釈剤のどちらかが、凝集特性を有さなければならない。乾式造粒は、「スラッギング(slugging)」として知られる方法によって実施できる。「スラッギング」では、造粒される予定の材料を、まず、典型的には大きな平らな表面の型押しを使用する打錠機によって、大きな圧縮された大きな塊体または「スラグ」にする。(線形プレスの例が、米国特許第4880373号に図解されている)。圧密される予定の材料から空気が逃げるのに十分な時間を与えることによって、かなり緻密なスラグを形成することができる。次いで、圧密されたスラグを、用手的に、または例えば粉砕製粉機によるなどして自動的に、所望するメッシュの網を通して粉砕する。「スラッギング」により顆粒の形成は、また、予備圧縮として知られる。錠剤を造粒されたスラグ化材料から作る場合、該方法は、「二重圧縮法」と呼ばれる。
【0017】
乾式造粒は、また、「ローラーコンパクター」を使用して実行できる。ローラーコンパクターでは、材料を2本の高圧ローラーの間を通過させることによって、材料粒子を固め、緻密にする。ローラーコンパクターからの緻密化された材料を、次いで、製粉することによって均一な顆粒の大きさに縮小する。次いで、均一な顆粒を、滑沢剤などのその他の物質と混合し、材料を打錠する(例えば、回転打錠機などによって)。医薬用途に加えて、ローラーコンパクターは、食品産業、動物飼料産業および肥料産業などの他の産業で使用される。
【0018】
APIの賦形剤、主に、糖などの結合剤、リン酸水素カルシウムのような無機材料、セルロースまたはその誘導体との乾式造粒は、効率的で有用な造粒方法である可能性がある。特に、APIが水分に敏感である場合には、最終製品の安定性が、湿式造粒技術によって影響される可能性がある。
【0019】
しかし、得られる顆粒の圧縮性が錠剤への二次圧密ステップに向けて低下するので、なお難題を抱える。乾式造粒粉末を錠剤に圧縮することの結果として、主として系の多孔性の低下によって錠剤硬度が低下し、かつ崩壊が遅延する。多孔性があまりに低いと、水は、錠剤の芯中に導かれず、崩壊を支援することができない。したがって、錠剤の適切な硬度および崩壊速度を確保するため、乾式造粒ステップでは、採用される賦形剤のほんの一部のみを添加することが多い。
【0020】
最も一般的な乾式造粒法としてのローラー圧密は、大量の材料を短時間で処理する能力がある。特殊な亜型として、ブリケッティング(briquetting)は、圧密化粉末を破片(ブリケット)に分割する特別に設計された圧密ロールを利用する。「スラッギング(slugging)」による乾式造粒は、手間がかかり非効率的であり、かつ材料の流動を確保するには、多くの場合、好結果の製剤でのいくつかの試みを必要とする。乾式造粒の場合、最終製品の均一な硬度および崩壊性を保証するには、圧密力の程度および分布の均一性が、顆粒の多孔性の均一性に関して必須である。
【0021】
溶融造粒は、粉末を、結合剤の助けを借りて溶融状態または処理中に溶融する固体状態のどちらかで凝集させる方法である。選択される装置は、高剪断ミキサーであり、そこでは、粉末の温度を、加熱ジャケットまたはインペラーブレードにより生じる摩擦力のどちらかによって、溶融可能な結合剤の融点を超えて上昇させることができる。温度に留意した造粒終点の決定が、溶融造粒にとって決定的に重要である。したがって、該方法は制御するのが困難である。さらに、造粒塊体が、造粒機のボウル壁に固着し、成分の分布、API含有量の均一性、および粒度分布に関して均一でない塊体を生じる。
【0022】
欧州特許出願公開第0241126号には、イブプロフェン結晶の凝集体からなり、バルクの結晶性イブプロフェンに比べてより良好な流動特性を提供する顆粒を含有する医薬組成物が開示されている。結晶性イブプロフェンの圧密によって圧密体が製造され、賦形剤を含まない顆粒状凝集体を形成する。圧密に使用される方法には、ローラー間での圧密、押出しまたは造粒ボウル中での圧密が含まれる。
欧州特許出願公開第0172014号には、85〜99質量%のイブプロフェン15〜1質量%のクロスカルメロースナトリウム、および任意選択で0.4〜1質量%の賦形剤としてのコロイド状二酸化ケイ素を含有し、混合物をローラーコンパクターまたはスラッギング操作を通すこと、および圧密されたまたはスラグ化された組成物を振動篩いまたは一連の網を通して篩いにかけることによって調製される、さらなる加工処理に適した顆粒形態の医薬組成物が開示されている。
【0023】
(本発明の根底にある問題の具体的側面)
国際公開第2005/037824号中に記載されているようなBIBW2992MA2は、固形経口剤形の調製において、加工性に関連する以下の困難な物理化学的特性を示す:
・APIの化学的安定性に影響を及ぼし、かつ活性成分の減少および加水分解生成物による汚染の増大に繋がる水分に対する感受性、
・針状結晶体のランダム配置および長さに起因する小さな注入密度の大きな変動;針状結晶体の流動方向への整列に対する抵抗性の増大に起因する不十分な流動特性;最終ブレンドの内部へのあまりにも多い空気の閉じ込めに起因する直接圧縮処理中の錠剤のキャッピングまたは積層化;これらの顆粒の崩壊に起因する打錠中のAPIの分離傾向を後に伴う乾式造粒法における機械的に弱い顆粒につながる、結合剤または充填剤などのさらなる賦形剤とも組み合わせた小さな圧縮性;ならびに加工中の粉末混合物中のBIBW2992MA2の選択的減少、およびそれゆえに不適切なアッセイ値を示す製造される錠剤中のAPIの不足に繋がる静電帯電の増大に起因する表面上へのAPIの付着特性をもたらす、沈降性活性成分の針状形状。
【0024】
沈殿性BIBW2992MA2は、その注入密度のランダムな変動性を示す。それらの密度は、0.12〜0.40g/mLの範囲にわたり、針状結晶体の長さの相違に起因する(表2)。
表2:非製粉BIBW2992MA2の嵩密度のバッチ対バッチの変動
【表2】
【0025】
100%を超える変動は、確実な製造方法にとって許容できない。特に、10%を超える量のAPIを含む製剤において、直接圧縮の効果は、後で説明するように、BIBW2992MA2の好ましくない物理化学的特性を平衡させるまたは補償する希釈が不足すると、顕著である。
得られるようなBIBW2992MA2粉末は、直接打錠法で使用すると、流動性が不十分である。この打錠法は、ダイの不完全な充填のため、標準的な打錠速度のかなりの減速を必要とし、圧密力および錠剤質量の大きな変動をもたらす。粉末は、極めてかさばっているので、目標の錠剤質量および許容できる錠剤硬度は達成できない。さらに、打錠処理で印加される大きな圧密力は、キャッピングに繋がり、一方、小さな圧密力は錠剤の固着に繋がる。
【0026】
したがって、本発明の目的は、経口投与用の固形医薬製剤へのさらなる加工に適し、医薬組成物に課せられる厳格な要件に合致する、固形粉末形態のBIBW2992MA2を商業的規模で提供することである。このことは、前に考察したような当初の嵩密度とは関係なく達成されなければならない。
生産規模での加工性に関連するBIBW2992MA2原薬の特性を改善するための、すなわち原薬を固形経口医薬組成物の製造に適した形態に変換するためのいくつかの取組みは、失敗し、例えば、再結晶実験は、要求特性に合致するBIBW2992MA2をもたらさなかった。
【0027】
表示した物理化学的特性を有する沈降性活性体の場合、通常的には、種々の造粒技術が適用される。湿式造粒は、APIが加水分解による分解、および加工中のさらなる分解反応を受けるので、適切でない。
沈降性APIを用い乾式造粒加工を使用する実験は、顆粒の物理的安定性が不十分で、注入密度を異にする製品をもたらした。結果として、APIは、他の賦形剤との持続的合一体を形成せず、さらなる加工中に分離した。それゆえ、BIBW2992MA2の針状結晶体は、混合物中での移動中に上昇し、均一でないブレンドをもたらす。したがって、製造された最初の錠剤中の含有量は低く、一方、終末の錠剤は、過剰のAPIを含んでいた。全体的に、バッチ中でのAPI含有量の均一性が不適切であった。さらに、乾式造粒されたAPIから得られる錠剤の崩壊性および硬度は、混合物の二重の圧密のため、不満足なものであった。
【0028】
製粉したAPIを用い乾式造粒を適用する実験は、含有量の均一性に優れた安定な顆粒、および最終ブレンド中に針状形状の結晶を含まない製品をもたらしが、得られた錠剤の崩壊は、溶性APIの表面積の増大のため十分に延長されなかった。さらなる欠点は、顆粒中の微細物の量が多く、圧縮力の変動をもたらすことである。
沈降性APIを用いたホットメルト造粒も、含有量の均一性に優れた安定な顆粒、および最終ブレンド中に針状形状の結晶を含まない製品をもたらしたが、それにもかかわらず、この取組みの欠点は、顆粒を打錠するのに必要とされる圧縮力の変動、生成物の注入密度が変動、およびミキサーの造粒ボウル内部に壁固着物を形成する傾向であった。
【0029】
上に要約した結果は、標準的な最新技術を定型的手順で単純に適用して、BIBW2992MA2の変動する物理化学的特性に関して確実な処理および一定の薬物製剤品質を確保することは、実質上可能でないことを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
第1態様によれば、本発明の目的は、所望の目標とする投与量範囲にとって適切なバイオアベイラビリティー要件に合致し、かつ、活性成分の適切な血漿中濃度−時間プロフィールを提供する特定の即時放出プロフィール範囲によってさらに特徴付けられる、前記原薬のための医薬剤形を得ることである。このような特定の放出プロフィール特性は、この原薬に関する先行技術から公知ではない。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の第1の目的は、生理学的に意味のあるpH1〜6.8のpH領域のすべてにわたっておよび水中(900mLの溶出媒質、50/70rpmの撹拌速度、37℃の温度)で即時放出溶出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。溶出特性は、60分以内で85%以上(Q=80%)が溶出するという即時放出固形経口剤形に関して推奨される容認基準に従う(産業のための指針(Guidance for Industry)、「即時放出固形経口剤形の溶出試験」、米国保健福祉省、食品医薬品庁、医薬品評価・研究センター(CDER)、1997年8月)。好ましくは、活性物質BIBW2992MA2(API塩)の85%以上(Q=80%)が、30分以内に、より好ましくは15分以内に溶出される。
【0032】
本発明のさらなる目的は、前記条件下で、1〜160mgの活性物質の投与強度から独立に、好ましくは5〜100mgの投与強度範囲内、より好ましくは5〜50mgの投与強度範囲内で、類似のin vitroでの溶出プロフィールを示す前記の医薬剤形である。
本発明のさらなる目的は、定常状態での血漿中の分析対象物/活性物質の最大濃度(Cmax,ss)が、好ましくは、活性物質の用量範囲が10〜160mg、好ましくは10〜100mgである場合に、用量に比例して増加する、即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
本発明との関連で示されるいずれの範囲も、限界値を含むことを意味し、例えば、「10〜160mg」と定義される範囲は、10および160mgである下限値および上限値を含む。
【0033】
本発明のさらなる目的は、定常状態での血漿中の分析対象物/活性物質の用量で正規化された最大濃度(Cmax,ss,norm)が、好ましくは、活性物質の用量範囲が10〜160mg、好ましくは10〜100mgである場合に、異なる用量に対して類似している即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
本発明のさらなる目的は、定常状態での血漿中の分析対象物/活性物質の投与間隔τにわたる血漿中濃度−時間曲線下面積(AUCτ,ss)が、好ましくは、活性物質の用量範囲が10〜160mg、好ましくは10〜100mgである場合に、用量に比例して増加する即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
【0034】
本発明のさらなる目的は、定常状態での血漿中の分析対象物/活性物質の投与間隔τにわたる用量で正規化された血漿中濃度−時間曲線下面積(AUCτ,ss,norm)が、好ましくは、活性物質の用量範囲が10〜160mg、好ましくは10〜100mgである場合に、異なる用量に対して類似している即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
本発明のさらなる目的は、癌患者の血漿において、定常状態で単回投与後好ましくは1〜6時間の間のメディアン値で、0.75〜7時間の間に最大血漿中濃度に到達することを特徴とする即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
【0035】
本発明のさらなる目的は、各種の進行性固形癌を有する癌患者の血漿において、20mgのBIBW2992MA2(API塩)を含む剤形を1日1回、少なくとも14日間投与すると、定常状態での最大血漿中濃度が、15〜35ng/mlの間の幾何平均値で、少なくとも5ng/ml〜100ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
本発明のさらなる目的は、各種の進行性固形癌を有する癌患者の血漿において、30mgのBIBW2992MA2(API塩)を含む剤形を1日1回、少なくとも14日間投与すると、定常状態での最大血漿中濃度が、25〜120ng/mlの間の幾何平均値で、少なくとも5ng/ml〜30ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
【0036】
本発明のさらなる目的は、各種の進行性固形癌を有する癌患者の血漿において、40mgのBIBW2992MA2(API塩)を含む剤形を1日1回、少なくとも14日間投与すると、定常状態での最大血漿中濃度が、25〜120ng/mlの間の幾何平均値で、少なくとも5ng/ml〜230ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
本発明のさらなる目的は、各種の進行性固形癌を有する癌患者の血漿において、50mgのBIBW2992MA2(API塩)を含む剤形を1日1回、少なくとも14日間投与すると、定常状態での最大血漿中濃度が、35〜120ng/mlの間の幾何平均値で、少なくとも5ng/ml〜230ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
【0037】
本発明のさらなる目的は、経口で送達可能な剤形である上記医薬剤形である。
本発明のさらなる目的は、錠剤、カプセル、ペレット、粉末または顆粒の形態である上記剤形である。
本発明のさらなる目的は、薬剤として使用するための上記医薬剤形である。
本発明のさらなる目的は、抗増殖活性を有する医薬組成物として使用するための上記医薬組成物である。
本発明のさらなる目的は、腫瘍学的疾患から選択される疾患または状態を治療するための上記医薬剤形である。
【0038】
本発明のさらなる目的は、腫瘍学的疾患から選択される疾患または状態を治療するための薬剤を調製するための上記医薬剤形の使用である。
本発明のさらなる目的は、腫瘍学的疾患から選択される疾患または状態を治療および/または予防するための方法であって、有効量の上で規定した医薬剤形を患者に経口で1日に1回または数回投与することを特徴とする方法である。
第2態様によれば、本発明は、圧密(ローラー圧密、ブリケッティングまたはスラッギングのいずれか)とそれに続く圧密化活性体の篩い分けとを組み合わせて得ることのできる、任意選択でバルク特性を調節および平衡化し、それによって最終剤形へのさらなる加工に向けたその適合性を確実にするための滑沢剤との混合物の状態での、粉末形態のBIBW2992MA2を含有する圧密化中間体を対象とする。
【0039】
本発明のさらなる目的は、前記の圧密化中間体から調製され、固形経口剤形の調製におけるさらなる加工に適した中間および最終ブレンドを対象とする。
本発明のさらなる目的は、前記の圧密化中間体から、または前記の中間ブレンドから、または前記の最終ブレンドから作られる即時使用/摂取用の固形経口製剤、例えば、カプセル、および直接圧縮で調製される非被覆またはフィルムコートされた錠剤などの錠剤製剤を対象とする。
本発明のさらなる目的は、前述の圧密化中間体、中間ブレンド、および固形経口製剤の製造方法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(溶出特性および薬物動態特性)
例に記載の4種の投与強度(20、30、40、50mg)のBIBW2992MA2フィルムコート錠剤のin vitroでの比較を実行するための溶出試験(表4)は、欧州薬局方6.2による装置2(パドル)を使用し、以下で説明される:
装置: 装置2(パドル)
パドル速度: 50/75rpm
溶出媒質: 0.05Mリン酸緩衝液(pH6.8)
McIlvaine緩衝液(pH4.0)
0.1M HCl(pH1)
水(50rpm)
容積: 900ml
サンプリング時点: 5、10、15、20、30分
錠剤数(n): 投与強度ごとに12錠
溶出容器中の濃度測定は、HPLC−UVを用いて実施した。
【0041】
投与強度が20、30、40、および50mgであるBIBW2992MA2の本発明によるフィルムコート錠剤のpH1.0、4.0、6.8および水で得られた溶出プロフィールを、それぞれ図6〜9に示す。バッチ当たり12錠のフィルムコート錠剤のサンプルに関して得られた平均値およびy−エラーバーは、計算された95%信頼区間を表す。図6〜8からわかるように、4種の投与強度は、すべて、15分後に85%超が溶出した。したがって、該製剤も4種の投与強度は、すべて、等価と考えられる。BIBW2992MA2のフィルムコート錠剤の4種の投与強度(20、30、40、50mg)の類似した急速なin vitroでの溶出挙動に基づいて、in vivoでの等価な性能が予想される。
【0042】
各種の進行性固形腫瘍を有する癌患者での4例の第I相研究において、BIBW2992の薬物動態(PK)特性が分析された。すべての研究およびすべての試験された投与群(10〜100mg)の代表として、1例の試験からの40mg投与群についてより詳細に説明する。治療期間1(治療の最初の28日間)の27日目に40mg(1日1回の投与)を投与した後のBIBW2992の個別および幾何平均(gMean)血漿中濃度−時間プロフィールを図10に示す。BIBW2992の血漿中濃度は、経口投与後に増加し、血漿中濃度のピークは、主として投与のおよそ2〜5時間後であった。血漿中濃度は、翌時間内に下降し(投与後9時間まで)、第1動態相を示す。第2動態相は、投与後9〜24時間の時間間隔で観察された。これらのデータに基づいて、BIBW2992は、少なくとも二重指数の動態速度を示した。
【0043】
図10は、40mg投与群の個々の患者(n=17)の血漿中濃度の高い個体間変動性を示す。異なる時点での活性物質の血漿中濃度の変動性(gCV=幾何変動係数)は、薬物投与の9時間後まで109〜159%、もっと後の時点(薬物投与の24時間後)で66.9〜72.9%であった。
【0044】
各種の進行性固形腫瘍を有する癌患者での、BIBW2992の単剤療法を用いた4例の第I相試験、およびドセタキセルと併用したBIBW2992療法の1例の試験において、単回投与後または1日1回投与の定常状態でのどちらにおいても、肉眼検査を介して観察される、活性物質のAUCおよびCmaxの用量に比例した増加からの逸脱の徴候はなかった。結果として、癌患者において活性物質の幾何平均Cmax,ssおよびAUCτ,ssは、単回投与後および1日1回投与の定常状態において、用量に比例して増加した。4例の第I相単剤試験からのすべてのCmaxおよびAUC値の代表として、定常状態でのそれぞれのPKパラメーターを図11および12に示す。ドセタキセルと併用したBIBW2992の第I相併用試験からのすべてのCmaxおよびAUC値の代表として、BIBW2992のそれぞれのPKパラメーターを図13および14に示す。各種の臨床試験で癌患者における薬物投与前に定常状態で測定された血漿中薬物濃度について観察される、肉眼検査を介して見出される用量比例性からの逸脱はなかった(データは示さない)。
【0045】
(BIBW2992MA2を含有する固形製剤およびそれらの調製方法)
本発明の根底にある問題は、材料の緻密化のために活性成分BIBW2992MA2に圧密ステップ(ローラー圧密、ブリケッティングまたはスラッギング)を、ならびにそれ続いて、リボンの解体およびさらなる粒径の縮小、そしてすべての賦形剤との混合およびさらなる直接圧縮に先立つAPIの分散のための1回または複数回の篩い分けステップを適用することによって解決される。
【0046】
(BIBW2992MA2を含有する圧密化中間体)
本発明の1つの目的は、任意選択で滑沢剤との混合物の状態での圧密後のBIBW2992MA2からの少なくとも1回の篩い分けステップと組み合わせた、ローラー圧密、ブリケッティングまたはスラッギングから選択される圧密ステップによって得ることのできる、粉末形態のBIBW2992MA2を含有する圧密化中間体を対象とする。
本発明によるその最も広い実施形態における圧密化中間体は、API塩の量に基づいて計算して0〜2.0%の滑沢剤を含む粉末形態のBIBW2992MA2である。
【0047】
それは、次のパラメーターで特徴付けられる:
粒度分布は、Ph.Eur.2.9.35(欧州薬局方、6.02版)による範囲で指定できる。
「x10」は、10%の累積篩下分布に一致する粒径を意味する。
「x50」は、メディアン粒径、すなわち粒子の50%が×50よりも小さく、粒子の50%が×50よりも大きいことを意味する。
「x90」は、90%の累積篩下分布に一致する粒径を意味する。
・最も広い実施形態において、粒度分布は、範囲、x10<200μm、1μm<x50<300μm、75μm<x90<600μmによって、好ましくは、範囲、x10<100μm、1μm<x50<200μm、75μm<x90<400μmによって、最も好ましくは、かつ図4および図5に典型的に示されるように、範囲、x10<5μm、1μm<x50<100μm、75μm<x90<200μm、およびx100<1000μmによって特徴付けられる。
・注入密度(ρp)は、範囲、0.2g/mL<ρp<1.0g/mLで指定できる。
・ハウスナー係数(HF)は、範囲、1.00<HF<1.30で指定できる。
【0048】
(BIBW2992MA2の圧密化中間体から調製される中間ブレンド)
本発明のさらなる目的は、BIBW2992MA2を含有する圧密化中間体から調製され、圧密化中間体に関して前に定義したような固形経口剤形の調製におけるさらなる加工に適した中間および最終ブレンドを対象とする。本発明によるその最も広い実施形態における中間および最終ブレンドは、成分(a)〜(g):
(a)約1〜99質量%の量の本発明の第1目的によるBIBW2992の圧密化中間体、
(b)任意選択で、約10〜99質量%の量の1種または複数の担体、
(c)約0〜99質量%、好ましくは1〜99質量%の量の1種または複数の結合剤、
(d)約0〜10質量%、好ましくは0.1〜10質量%の量の1種または複数の流動促進剤、
(e)約0〜10質量%、好ましくは0.1〜10質量%の量の1種または複数の崩壊剤、
(f)約0〜10質量%、好ましくは0.1〜10質量%の量の1種または複数の滑沢剤、
(g)0〜10質量%のさらなる賦形剤および/または補助薬、
から選択される含有物によって特徴付けられ、
ここで、中間および最終ブレンド中には、成分(a)に加えて、成分(b)〜(g)中の少なくとも1つの存在が必須であるが、任意選択の成分(b)〜(g)中の2つから多くて6つすべてが存在することも許され、すべての成分を合わせて合計を100%にする。
【0049】
疑念を回避するため、流動促進剤の主要目的は、粉末の流動性を改善することであり、一方、滑沢剤は、成分が一緒に凝集すること、例えば錠剤ポンチまたはカプセル充填機に固着することを防止する。滑沢剤は、また、固体とダイ壁との間での錠剤形成を、低摩擦で行うことができることを保証する。
【0050】
当然、総称的にまたは具体的に言及される補助成分(a)〜(g)のいずれも、食用に適し、かつ薬理学的に許容されるべきである。
【0051】
担体成分(b)は、
・糖類(沈殿、噴霧乾燥、ドラム乾燥、または微結晶セルロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、ダルシトール、リビトール、エリスリトールのようなさらなる賦形剤と共処理された多様な結晶改変形態の、例えば、ブドウ糖のような単糖類、蔗糖のようなオリゴ糖類、または乳糖などの二糖類)
・セルロースおよびその誘導体(例えば、粉末化セルロースまたは微結晶セルロース)
・デンプンまたは修飾デンプン(例えば、α化、または部分加水分解された)のような固体有機物、あるいは
・リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、ヒドロキシルアパタイト、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム)のような固体無機物、あるいは
・脂質またはパラフィンのような半固体でよい。
【0052】
結合剤(c)は、
・セルロースおよび/またはその誘導体(微結晶セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのような)、
・デンプンまたは修飾デンプン(例えば、α化、または部分加水分解された)、
・ポリエチレングリコール、
・ポリビニルピロリドン(例えば、Kollidon(登録商標)K30)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールまたはこれらの共重合物(例えば、Copovidone)、
から選択できる。
【0053】
流動促進剤(d)は、コロイド状シリカ、軽質無水ケイ酸、結晶性セルロース、タルク、またはステアリン酸マグネシウムから選択できる。
崩壊剤(e)は、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および乾燥コーンスターチから選択できる。
滑沢剤は(f)は、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、トリベヘン酸グリセロール、またはポリエチレングリコールから選択できる。
【0054】
さらなる賦形剤および/または補助薬は、成分(b)〜(f)の定義に包含されない、または成分(b)〜(f)について具体的に言及されていない任意のその他の成分から選択できる。単なる例として、染料および顔料(赤色または黄色酸化鉄、および二酸化チタンなど)をはじめとする着色剤は、この範疇に包含される。
【0055】
本発明による中間ブレンドの好ましい実施形態(1)および(2)は、次のように特徴付けられる(量は、中間ブレンドの総量に対する質量%で示す):
(1)(1.1)BIBW2992MA2の圧密化中間体: 5%〜50%
(1.2)担体/結合剤またはこれらの組合せ: 55%〜95%
(1.3)崩壊剤: 0.5%〜3.0%
(1.4)流動促進剤: 0.1%〜2.0%
(1.5)滑沢剤: 0%〜2.0%
(1.6)さらなる賦形剤および/または補助薬: 0%〜5%
(1.1)ならびに(1.2)、(1.3)、(1.4)、(1.5)および(1.6)の1つ、2つ、3つまたは4つを含む任意の二元、三元、四元または五元の組合せ(ここで、示した成分量は、不在成分のため補正される)は、中間ブレンドのさらなる好ましい実施形態であると解される。
(2)(1.1)BIBW2992MA2の圧密化中間体: 15%〜50%
(2.2)担体/結合剤またはこれらの組合せ: 75%〜85%
(2.3)崩壊剤: 1.5%〜2.5%
(2.4)流動促進剤: 0.1%〜1.0%
(2.5)滑沢剤: 0%〜1.0%
(2.6)さらなる賦形剤および/または補助薬: 0%〜3%
(2.1)ならびに(2.2)、(2.3)、(2.4)、(2.5)および(2.6)の1つ、2つ、3つまたは4つを含む任意の二元、三元、四元または五元の組合せ(ここで、示した成分量は、不在成分のため補正される)は、中間ブレンドのさらなる好ましい実施形態であると解される。
【0056】
本発明による最終ブレンドの好ましい実施形態(3)、(4)および(5)は、次のように特徴付けられる(量は、最終ブレンドの総量に対する質量%で示す):
(3)(3.1)BIBW2992MA2の圧密化中間体: 5%〜50%
(3.2)担体/結合剤またはこれらの組合せ: 55%〜95%
(3.3)崩壊剤: 0.5%〜3.0%
(3.4)流動促進剤: 0.1%〜2.0%
(3.5)滑沢剤: 0.5%〜3.0%
(3.6)さらなる賦形剤および/または補助薬: 0%〜1%
(3.1)ならびに(3.2)、(3.3)、(3.4)、(3.5)および(3.6)の1つ、2つ、3つまたは4つを含む任意の二元、三元、四元または五元の組合せ(ここで、示した成分量は、不在成分のため補正される)は、中間ブレンドのさらなる好ましい実施形態であると解される。
【0057】
(4)(4.1)BIBW2992MA2の圧密化中間体: 25%〜35%
(4.2)担体/結合剤またはこれらの組合せ: 75%〜85%
(4.3)崩壊剤: 0.5%〜3.0%
(4.4)流動促進剤: 0.1%〜2.0%
(4.5)滑沢剤: 0.5%〜3.0%
(4.6)さらなる賦形剤および/または補助薬: 0%〜1%
(4.1)ならびに(4.2)、(4.3)、(4.4)、(4.5)および(4.6)の1つ、2つ、3つまたは4つを含む任意の二元、三元、四元または五元の組合せ(ここで、示した成分量は、不在成分のため補正される)は、中間ブレンドのさらなる好ましい実施形態であると解される。
【0058】
(5)(5.1)BIBW2992MA2の圧密化中間体: 10%〜25%
(5.2)担体/結合剤またはこれらの組合せ: 75%〜85%
(5.3)崩壊剤: 0.5%〜3.0%
(5.4)流動促進剤: 0.1%〜2.0%
(5.5)滑沢剤: 0.5%〜3.0%
(5.6)さらなる賦形剤および/または補助薬: 0%〜1%
(5.1)ならびに(5.2)、(5.3)、(5.4)、(5.5)および(5.6)の1つ、2つ、3つまたは4つを含む任意の二元、三元、四元または五元の組合せ(ここで、示した成分量は、不在成分のため補正される)は、中間ブレンドのさらなる好ましい実施形態であると解される。
【0059】
(即時使用/摂取用固形経口製剤)
BIBW2992MA2の圧密化中間体から、または中間ブレンドから作られる即時使用/摂取用固形経口製剤は、粉末、顆粒、ペレット、錠剤、カプセル、咀嚼錠剤、分散性錠剤、トローチ、およびロゼンジを包含する。
本発明によるカプセル製剤は、BIBW2992MA2の粉末状圧密化中間体;粉末状圧密化中間体を含む中間ブレンド;適切な中間ブレンドの通常の湿式、乾式またはホットメルト造粒によって得られるペレットまたは顆粒を含有し、通常のカプセル、例えば、硬質ゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填される。
【0060】
本発明による錠剤製剤は、適切な最終ブレンドの直接圧縮によって、あるいは適切な中間ブレンドの通常の湿式、乾式またはホットメルト造粒によって得られるペレットまたは顆粒の打錠によって得られるような錠剤を包含する。
本発明による錠剤製剤は、非被覆であるか、あるいは最終製剤の溶出特性に否定的影響を及ぼさないことが知られている適切な被覆を使用して、被覆、例えばフィルムコートすることができる。例えば、錠剤は、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの高分子量ポリマーを可塑剤、滑沢剤および任意選択の顔料およびテンシド(tenside)と一緒に水またはアセトンなどの有機溶媒中に溶解すること、およびこの混合物をパンコーターまたはウルスターインサート(Wurster insert)を備えた流動床コーターなどの被覆装置内で錠剤芯上に噴霧することによって、患者の環境および臨床スタッフを保護するための、ならびに水分防護のための封止被覆を備えて提供することができる。
【0061】
さらに、被覆が、剤形の崩壊/溶出に対して実質的影響を有さず、かつ被覆された剤形が、その安定性に関して影響を受けないとの条件で、蜜蝋、セラック、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、ゼイン(zein)、フィルム形成性ポリマー(ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースおよびポリマー性メタクリレートなど)などの薬剤を、錠剤に塗布することができる。
剤形にフィルムコートした後、封止された医薬剤形上に糖衣を塗布することができる。糖衣は、蔗糖、デキストロース、ソルビトールなど、またはこれらの混合物を含むことができる。所望であれば、糖溶液に着色剤または不透明化剤を添加することができる。
【0062】
本発明による固形経口製剤は、好ましくは、BIBW2992を基準にして1〜150mg、より好ましくは5〜100mgのAPIを含む(この段落で、および以後の錠剤製剤の組成について示す量は、すべて、BIBW2992MA2の量から遊離塩基BIBW2992の含有量を指すように再計算される)。目下、好ましい形態は、それぞれ、5,10、20、30、40、50、70または100mgのBIBW2992を含む。
【0063】
例えば、本発明による錠剤製剤の組成は、すべて、中間ブレンドについて前に示した比例的組成に合致するとの条件で、次の範囲内で変えることができる:
1〜150mgのBIBW2992、
50〜500mgの担体、結合剤またはこれらの組合せ、
0.1〜5mgの流動促進剤、
1〜15mgの崩壊剤、
1〜15mgの滑沢剤、
好ましくは、
20〜70mgのBIBW2992、
120〜500mgの担体、結合剤またはこれらの組合せ、
0.5〜5mgの流動促進剤、
2.5〜15mgの崩壊剤、
2.5〜15mgの滑沢剤。
【0064】
本発明の固形製剤は、軽度の吸湿性である傾向がある。それらの製剤は、PVC−ブリスター、PVDC−ブリスター、または防水包装材料(アルミ箔ブリスターパック、アルミ/アルミブリスター、袋を備えた透明または不透明ポリマーブリスターなど)、任意選択で子供にとって安全である特色を含むポリプロピレンチューブ、ガラス瓶、およびHDPE瓶を使用して包装することができるか、あるいはいたずらを明らかにできる。主な包装材料は、APIの化学的安定性を改善するためにモレキュラーシーブまたはシリカゲルなどの乾燥剤を含むことができる。着色ブリスター材料、チューブ、褐色ガラス瓶などの不透明包装を使用して光分解を低減することによってAPIの貯蔵寿命を延長することができる。
【0065】
(圧密化中間体、中間ブレンド、および固形経口製剤の調製方法)
本発明のもう1つの目的は、前に言及したBIBW2992MA2の圧密化中間体、中間ブレンド、および固形経口製剤の製造方法を対象とする。
【0066】
(圧密化中間体の調製方法)
BIBW2992MA2を含有する粉末形態の圧密化中間体は、リボンまたはブリケットの解体に付加される少なくとも1回の篩い分けステップと組み合わせられ、任意選択で滑沢剤との混合物の状態での、ローラー圧密、ブリケッティングまたはスラッギングから選択される圧密ステップによって得ることができる(図1)。
ローラー圧密ステップは、
・0.10〜0.4mg/mLの注入密度の変動性(表1参照)、および
・1.05〜1.61のハウスナー係数(表1参照)
を有する可能性のある材料の緻密化のために導入された(表3参照)。
表3:ローラー圧密および篩い分けを導入する前と後でのBIBW2992MA2の粉末および錠剤の特性
【表3】
RSD:相対標準偏差
*ダイの不適切な充填、錠剤の固着、層化により打錠できない
**製造しない
【0067】
ローラー圧密は、APIであるBIBW2992MA2を単独で用いて、あるいは任意選択で、圧密ロール上への重大な固着を防ぐために、APIと0〜1.0%の滑沢剤とのフリーフォールまたはタンブルブレンダー中での予備ブレンドを用いて実施することができる。ローラーコンパクター上に負荷する場合に、撹拌された予備ブレンドを撹拌下に保持しながら使用すると、滑沢剤の添加を回避できる。
【0068】
APIまたはAPIの予備ブレンドを、水平、垂直または45°の角度に配置されたその表面が平坦または形があってもよい圧密ロールを備えた通常のローラーコンパクターで圧密する。
【0069】
圧密力は、1kN/cm〜20kN/cm、好ましくは2kN/cm〜10kN/cmの間で、
圧密ロールの圧密速度は、1rpm〜30rpm、好ましくは1rpm〜10rpmの間で、
圧密ロールの間隙幅は、1mm〜10mm、好ましくは1mm〜5mmの間で変えることができる。
【0070】
圧密化中間体から調製される錠剤の崩壊速度(図2)および溶出速度(図3)は、記載された限界内でローラーコンパクターの圧密力を増大させることによって速めることができる。
圧密化中間体は、圧密ロールからリボンの形状で収容され、該リボンは、0.5mm〜1.6mmの網目を備えた造粒ユニットによって直接的に顆粒に解体される。かくして、本発明による圧密ステップは、顆粒形態の圧密化中間体をもたらす。
【0071】
後に続く第2ステップにおいて、顆粒を、例えば、0.5〜2.0mm、好ましくは約1.0mmの網目を備えた振動またはコニカル篩い分け機またはハンマーミルのような篩い分け機によって篩い分け、粉末形態の圧密化中間体を得る。任意選択で、2回目の篩い分けステップを実施するが、この篩い分けは、0.3〜0.5mm、好ましくは約0.5mmの網目で実施すべきである。
【0072】
(中間ブレンドおよび最終ブレンドの調製方法)
中間ブレンド:
APIである粉末形態のBIBW2992MA2を含有する中間ブレンドは、APIを、担体、結合剤またはこれらの組合せ、流動促進剤、着色剤、および固体着香料とフリーフォールまたはタンブラーブレンダー中で混合することによって調製される。
最終ブレンド:
経口用粉末:
粉末形態のBIBW2992MA2を含有する中間ブレンドを、担体、結合剤、流動促進剤、着色剤、および固体着香料とフリーフォールまたはタンブラーブレンダー中で混合する。
経口用顆粒:
粉末形態のBIBW2992MA2を含有する中間ブレンドを、増量剤、担体、結合剤、固体状結合剤、着色剤、および固体着香料とフリーフォールまたはタンブラーブレンダー中で混合する。ブレンドを、ローラーコンパクターで圧密し、約2mmの網目を備えた造粒ユニットで解体する。
カプセル内ペレット:
粉末形態のBIBW2992MA2を含有する中間ブレンドを、固体ポリエチレングリコールおよび微結晶セルロースと混合し、加熱された押出し機を通して押し出す。ペレットを球状にする。球状化の後、生じたペレットを硬質ゼラチンカプセル内に充填する。
錠剤およびフィルムコート錠剤:
粉末形態のBIBW2992MA2を含有する中間ブレンドを、増量剤、担体、結合剤、流動促進剤、および崩壊剤とフリーフォールまたはタンブラーブレンダー中で混合する。最後に、主要ブレンドに滑沢剤を添加し、さらなる混合を実施する。
【0073】
(固形経口製剤の調製方法)
経口粉末剤:
最終粉末ブレンドを包装袋に詰める。
経口用顆粒剤:
顆粒を包装袋に詰める。
カプセル内ペレット剤:
球形化の後、得られたペレットを硬質ゼラチンカプセル内に充填する。
【0074】
錠剤およびフィルムコート錠剤:
最終ブレンドを、錠剤を製造するための適切な錠剤プレスで、破砕抵抗性、錠剤高さ、および崩壊に関して表5に示すような品質パラメーターを得るのに十分な圧縮力で圧縮する。
任意選択で、ドラムコーター中、例えば、Glatt GC550/750コーターを使用し、被覆用懸濁液で錠剤芯を被覆する。
【0075】
図面と関連付けて言及するBIBW2992MA2は、本発明による医薬剤形である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】BIBW2992MA2の圧密化中間体の調製方法を概略的に示す図である。該調製法は、(1)ローラー圧密、および圧密ロールから受け入れたリボンを顆粒に解体する造粒ユニットを使用する圧密ステップ、および(2)篩い分けステップを含む。
【図2】ローラー圧密力の増大による、20mgBIBW2992MA2錠剤の崩壊時間の加速を示す図である。
【図3】ローラー圧密力の増大による、20mgBIBW2992MA2錠剤の溶出速度の加速を示す図である。
【図4】沈降性BIBW2992MA2の乾式造粒ステップ後の圧密化中間体の光学的粒径分析で測定される粒径の、圧密力の変化に伴う増大を示す図である。
【図5】圧密力の変化による、沈降性BIBW2992MA2の乾式造粒ステップ後の圧密化中間体のレーザー回折分析で測定される粒径の、圧密力の変化に伴う増大を示す図である。
【図6】20mg、30mg、40mg、50mgの投与強度のBIBW2992MA2フィルムコート錠剤(表4に記載した通り)の0.1M塩酸(pH1.0)中での溶出比較(パドル75rpm、n=12)を示す図である。
【図7】20mg、30mg、40mg、50mgの投与強度のBIBW2992MA2フィルムコート錠剤(表4に記載した通り)のMcIllvaine緩衝液(pH4.0)中での溶出比較(パドル75rpm、n=12)を示す図である。
【図8】20mg、30mg、40mg、50mgの投与強度のBIBW2992MA2フィルムコート錠剤の0.05Mリン酸緩衝液(pH6.8)中での溶出比較(パドル75rpm、n=12)を示す図である。
【図9】20mg、30mg、40mg、50mgの投与強度のBIBW2992MA2フィルムコート錠剤の水中での溶出比較(パドル50rpm、n=12)を示す図である。
【図10】TP(治療期間)1中の27日間における1日40mgのBIBW2992MA2錠剤の多回経口投与後のBIBW2992の個別および幾何平均血漿中薬物濃度−時間のプロフィールを示す図である(N=17)。血漿中濃度は、BIBW2992の遊離塩基を指す。
【図11】4例の第I相試験からのBIBW2992MA2錠剤の多回経口投与後の定常状態でのBIBW2992BSの個別および幾何平均用量正規化最大血漿中濃度を示す図である。
【図12】4例の第I相試験からのBIBW2992MA2錠剤の多回経口投与後の定常状態でのBIBW2992BSの定常状態での個別および幾何平均用量正規化AUCτ,ss値を示す図である。
【図13】1例の第I相試験からのBIBW2992MA2錠剤の多回経口投与後の治療期間の1日目でのBIBW2992BSの個別および幾何平均用量正規化最大血漿中濃度を示す図である。
【図14】1例の第I相試験からのBIBW2992MA2錠剤の多回経口投与後の治療期間の1日目でのBIBW2992BSの個別および幾何平均用量正規化AUC0-24値を示す図である。
【実施例】
【0077】
(次の非限定的例は本発明を説明するのに役立つ)
表4は、本発明による固形医薬組成物を示す。
【0078】
表4:固形BIBW2992MA2錠剤の代表的組成
【表4】
製剤A、B、C、DおよびEは、表6によるフィルムコートで被覆できる錠剤である。
【0079】
表5は、固形BIBW2992MA2錠剤の代表的特性を示す。
【0080】
表5:適切な圧密硬度の打錠機で得ることのできる固形BIBW2992MA2錠剤の代表的特性
【表5】
【0081】
表6:製剤A〜Eのための代表的なフィルムコーティング組成物
【表6】
【0082】
表7は、本発明による替わりの固形医薬組成物を示す。
【0083】
表7:固形BIBW2992MA2錠剤の代表的組成
【表7】
製剤F、GおよびHは、表8によるフィルムコートで被覆できる錠剤である。
【0084】
表8:製剤F〜Hのための代表的フィルムコーティング組成
【表8】
【0085】
表9は、本発明による替わりの医薬組成物を示す。L、MおよびNは錠剤であり、Oは、ホットメルト造粒の後に圧縮して錠剤を形成することができるか、あるいは経口顆粒剤として使用できる。別法として、それを押し出してペレットとし、硬質カプセル内に充填できる。
【0086】
表9:固形BIBW2992MA2製剤の代表的組成
【表9】
製剤Pは、BIBW2992MA2の圧密化中間体を懸濁した液状フィルミックス(fillmix)として調製される。均一化の後、フィルミックスを硬質または軟質ゼラチンカプセル内に充填する。製剤Qは経口粉剤である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性物質BIBW2992を二マレイン酸塩として含有し、薬物製剤の即時放出溶出プロフィールを提供する医薬剤形に対する一態様に関する。
第2の態様によれば、本発明は、圧密(ローラー圧密、ブリケッティング(briquetting)またはスラッギング(slugging))とそれに続く1回または複数回の篩い分け段階とを組み合わせてBIBW2992MA2から得ることのできる、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤との混合物の状態でもよい、粉末形態での沈降性BIBW2992二マレイン酸塩(以後BIBW2992MA2と略記する)を含有する圧密化中間体(compacted intermediates);前記圧密化中間体から調製される中間ブレンド;ならびに前記圧密化中間体からまたは前記中間体ブレンドから製造され、例えば、経口用粉末またはカプセル、および直接圧縮によって調製される非被覆のまたはフィルムコートされた錠剤などの錠剤製剤のような即時放出溶出プロフィールを提供する即時使用/摂取のための固形経口製剤に関する。本発明は、また、前述の圧密化中間体、中間ブレンド、および固形経口製剤の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
活性成分が、医薬剤形から吸収され、作用部位で利用可能となる割合および程度が、バイオアベイラビリティーと定義される(Chen,M.L.ら、「Bioavailability and bioequivalence」:an FDA regulatory overview,Pharm.Res.2001,18,1645〜1648)。しかし、作用部位の薬物を測定することは、めったに実行できない。したがって、バイオアベイラビリティーは、全身循環中の薬物濃度に基づいて評価される。全身暴露は、薬物投与に続く多数の時点での活性薬物の血中または血漿中濃度の測定、および濃度−時間曲線下面積(AUC)の計算によって判定される。血中/血漿中薬物濃度−時間のプロフィールは、溶出、溶解度、吸収、代謝、分配、および排泄の動力学によって影響される。
【0003】
原理的に、投与後の固形経口剤形からの薬物吸収は、一連の同時および逐次的過程に由来する固形剤形からの溶出、および胃腸管の消化管壁を横切る透過性に左右される可能性がある。原薬の生物薬剤学分類システム(BCS)に応じて、in vitroでの溶出は、in vivoでの血漿中濃度およびそれゆえにバイオアベイラビリティーの予測に関連している可能性がある[産業のための指針(Guidance for Industry)、「即時放出固形経口剤形の溶出試験」、米国保険福祉省、食品医薬品庁、医薬品評価・研究センター(CDER)1997年8月]。
【0004】
この一般的考察に基づき、錠剤およびカプセルなどの即時放出固形経口剤形のためのin vitro溶出試験を使用して薬物製剤の特質を評価する。即時放出製品は、薬物の溶出または吸収の遅延または延長を引き起こさないで、成分または活性部分が胃腸管中で溶出することを可能にする。即時放出製品の溶出試験に関する要件は、産業のための指針(Guidance for Industry)「即時放出固形経口剤形のための溶出試験」(CDER 1997)、「即時放出固形経口剤形−スケールアップおよび承認後変更」(CDER1997)、ICH指針Q6A「仕様:新規原薬および新規薬物製剤のための試験方法および容認基準」中で重点的に取り扱われている。欧州薬局方6.3(第6版)に記載のような最も一般的に採用される溶出試験法は、バスケット法(装置1)およびパドル法(装置2)である。記載の方法は、簡単で確実で広く標準化され、世界的に使用される。それらの方法は、多様な薬物製剤の溶出試験を可能にするのに十分な順応性がある。溶出挙動に影響を及ぼす次のパラメーター:装置、撹拌速度、溶出媒質および温度は、例えば、即時放出固形経口製品に適切なin vitro溶出試験条件の選択に関連している可能性がある。
【0005】
BIBW2992は、化合物4−[(3−クロロ)−4−フルオロフェニル)アミノ]−6−{[4−(N,N−ジメチルアミノ)−1−オキソ−2−ブテン−1−イル]アミノ}−7−((S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)−キナゾリンとして公知である。
【化1】
【0006】
BIBW2992は、erbb1受容体(EGFR)およびerbB2(Her2/neu)受容体チロシンキナーゼの強力で選択的な二重阻害薬である。さらに、BIBW2992は、EGFRおよびHER2に共有結合で結合し、それによって、それが結合した受容体分子を不可逆的に不活性化するように設計された。この化合物、二マレイン酸BIBW2992MA2などのその塩、およびその結晶改変体、それらの調製、ならびにBIBW2992またはその塩を含有する医薬製剤が、国際公開第02/50043号および国際公開第2005/037824号に開示されている。これらの文献は、これらの態様に関して参照により援用される。以下で言及されるBIBW2992 BSは、前記式によって特徴付けられた通りのBIBW2992と同一である遊離塩基としての化合物を意味する。
【0007】
BIBW2992は、肺および気道の腫瘍性疾患、過分泌疾患;胃腸管、総胆管および胆嚢の疾患の治療に適している。BIBW2992で、および併用治療で治療できる適応症は、国際公開第2007/054550号および国際公開第2007/054551号に開示されている。
【0008】
(本発明の根底にある問題の一般的様相)
活性医薬成分(API)の薬理学的活性のほかにも、経口用の粉末、顆粒、ペレット、錠剤、カプセル、咀嚼錠剤、分散性錠剤、トローチまたはロゼンジのような固形経口剤形の調製に関連する活性物質の多様な物理的または物理化学的特性が存在する。薬物製剤の正確なアッセイ、含有物および質量の均一性、化学的および物理的安定性、ならびに適切な溶出速度のような妥当な製剤特性を達成するためには、製品中間体の特性も、確実で迅速かつ費用効果の高い加工に適していなければならない。
【0009】
限定するものではないが、活性薬剤(原薬)の加工に関連するこれらのパラメーターの例が、最終医薬製剤(薬物製剤)の安定性に強力に影響を及ぼす多様な環状条件下での原薬の安定性;ならびに嵩密度(すなわち、注入およびタップ密度)または得られるハウスナー係数(表1)、粒子の組織形態、形状、針状結晶体に関する長さ対幅の比率、粒度分布、原薬の沈殿および乾燥条件により変化する可能性のある静電帯電および表面付着特性などの原薬の物理的特性である。これらの特性は、原薬の最終製剤への加工のための鍵となる特徴、例えば流動性および圧縮性にかなりの影響を及ぼす可能性がある。
表1:ハウスナー係数および対応する流動特性
【表1】
【0010】
ハウスナー係数は、嵩容積対圧密容積の比率であり、式(嵩密度/タップ密度)で計算される。嵩密度は、Ph.Eur2.9.15(欧州薬局方、第4版)により注入密度として測定される。タップ密度は、Ph.Eur.2.9.15により測定される(また、Voigt R.Lehrbuch der pharmazeutischen Technologie[製薬技術の教科書]、Verlag Chemie、第5版、148頁参照)。ハウスナー係数は、粉末の流動性/圧縮性に関する尺度であり、理想的には1に近くあるべきである。
【0011】
これらの特性は、例えばパイプ、打錠機のホッパーおよびフィーダー中でのその移動の際に粉末混合物の内部でのAPIの分離を妨げるのに重要である。それらの特性は、特に低用量製剤または直接圧縮加工において、1つの薬物製剤バッチ内での再現性がありかつ均一なAPI含有量を保証する。さらに、これらの特性は、流動性、圧縮性、原薬またはその混合物の賦形剤との凝集性および滑沢性などのパラメーターに著しい影響を及ぼし、かくして自動化生産における加工性にとって決定的である可能性がある。
【0012】
錠剤を製造する場合、適切で再現性のある錠剤質量および錠剤硬度を保証するには、材料のダイ中への自由流動が必須である。材料は、また、取扱いの際の崩壊および散逸から圧密体を守るために、ある程度の凝集性を所持すべきである。最後に、材料は、打錠の際の材料、ポンチおよびダイの間での摩擦を最小にするため、および錠剤の移動を可能にするため、ある程度の滑沢性を有さなければならない。最終剤形として使用する予定の圧密体に関しても、それらは、適切な度合いの硬度、崩壊の能力および速度、ならびに均一性を所持すべきである。
結局、医薬組成物の特性は、それ自体、活性薬剤のバイオアベイラビリティー、それゆえ、意図した医療用途における薬剤の効力に決定的に貢献する。
活性化合物を、規制当局によって規定された基準/規、および治療標的のプロフィール(バイオアベイラビリティーおよび薬物動態プロフィール)によって示される特定の要求に合致する固形経口製剤に作りあげることに関連のある原薬のこのような特性を改善するために、いくつかの物理的または物理化学的方法、例えば、再結晶、異なる多形形態への変換、いくつかの賦形剤または補助材料との混合、粒径を適切なレベルへ縮小するための粉砕、あるいは原薬のさらなる加工処理の可能な中間的固体形態への変換(粉末の顆粒への転化など)を適用できる。
【0013】
その最も広い意味の粉砕は、粒子または凝集体の大きさを縮小する機械的処理であり、切断(cutting)、圧断(chopping)、摩砕(grinding)、圧砕(crushing)、製粉(milling)、ミクロ化および練砕(trituration)を含む広範な種類の操作を包含する。材料は、圧縮性を改善するために粉砕されることが多い。材料の圧縮性は、粒子の粒径または表面積によってかなり影響される。
摩砕(またはミクロ化)の副作用としての薬学的活性物質の分解および/または非晶質化は、処理中に要求される厳しい条件にもかかわらず、できる限り回避しなければならず、活性物質が、摩砕処理中に高度に安定でなければならないことは、絶対的に必須である。このことが満たされるなら、常に再現性のある方式で指定量の活性物質を含有する均一な医薬製剤を製造することが可能である。
【0014】
また、粉砕処理は、形状または融点のような材料特性によって影響される。これらの側面で不適切な材料は、処理中に摩砕チャンバーを閉塞し、不経済なことに、処理を中断し、清掃操作を必要にする可能性がある。
粉末から顆粒(複数の粉末粒子から構成される小さな凝集体)への転換は、ブレンドの均一性を改善すること、粒径の均一性を改善すること、粉塵の危険性を低減すること、製品流動の改善を可能にすること、均一な嵩密度を改善すること、粒子の硬度を調節すること、および分散性を改善することを含む、いくつかの利点を提供することの多い、APIの不適切な物理化学的特性を補償するさらなる取組みである可能性がある。最も一般的に採用される造粒法は、湿式造粒、乾式造粒、およびホットメルト造粒である。
【0015】
湿式造粒では、液状結合剤溶液を、混合された粉末床と合わせ、粒子を一緒に集めて顆粒にする。次いで、湿った塊体を篩いにかけ、乾燥し、所望の大きさに製粉する。また、該塊体を、乾式で篩い、滑沢化し、穴の開いた網を通して圧縮または押し出し、次いで乾燥することができる。乾燥中は、水和状態を維持するため、および粒子上の静電帯電を低減するために、造粒中に残留水分量を維持することが多くの場合望ましい。造粒物の水分含有量は、均一であるべきである。湿式造粒は、いくつかの欠点を有する。主要な欠点は、別々の含まれるステップの数、ならびに方法を実施するのに必要な時間と労力である。さらに、水性溶媒の使用は、造粒すべき製品の安定性によって制約される。爆発の懸念および環境規制は、いくつかの有機溶媒の使用を制約する可能性がある。
【0016】
材料が、顆粒を形成するのに十分な固有の結合または凝集特性を有するなら、乾式造粒を使用できる。乾式造粒は、液体を使用することのない造粒方法を指す。材料が乾式で造粒されるためには、その構成要素の少なくとも1種、活性成分または希釈剤のどちらかが、凝集特性を有さなければならない。乾式造粒は、「スラッギング(slugging)」として知られる方法によって実施できる。「スラッギング」では、造粒される予定の材料を、まず、典型的には大きな平らな表面の型押しを使用する打錠機によって、大きな圧縮された大きな塊体または「スラグ」にする。(線形プレスの例が、米国特許第4880373号に図解されている)。圧密される予定の材料から空気が逃げるのに十分な時間を与えることによって、かなり緻密なスラグを形成することができる。次いで、圧密されたスラグを、用手的に、または例えば粉砕製粉機によるなどして自動的に、所望するメッシュの網を通して粉砕する。「スラッギング」により顆粒の形成は、また、予備圧縮として知られる。錠剤を造粒されたスラグ化材料から作る場合、該方法は、「二重圧縮法」と呼ばれる。
【0017】
乾式造粒は、また、「ローラーコンパクター」を使用して実行できる。ローラーコンパクターでは、材料を2本の高圧ローラーの間を通過させることによって、材料粒子を固め、緻密にする。ローラーコンパクターからの緻密化された材料を、次いで、製粉することによって均一な顆粒の大きさに縮小する。次いで、均一な顆粒を、滑沢剤などのその他の物質と混合し、材料を打錠する(例えば、回転打錠機などによって)。医薬用途に加えて、ローラーコンパクターは、食品産業、動物飼料産業および肥料産業などの他の産業で使用される。
【0018】
APIの賦形剤、主に、糖などの結合剤、リン酸水素カルシウムのような無機材料、セルロースまたはその誘導体との乾式造粒は、効率的で有用な造粒方法である可能性がある。特に、APIが水分に敏感である場合には、最終製品の安定性が、湿式造粒技術によって影響される可能性がある。
【0019】
しかし、得られる顆粒の圧縮性が錠剤への二次圧密ステップに向けて低下するので、なお難題を抱える。乾式造粒粉末を錠剤に圧縮することの結果として、主として系の多孔性の低下によって錠剤硬度が低下し、かつ崩壊が遅延する。多孔性があまりに低いと、水は、錠剤の芯中に導かれず、崩壊を支援することができない。したがって、錠剤の適切な硬度および崩壊速度を確保するため、乾式造粒ステップでは、採用される賦形剤のほんの一部のみを添加することが多い。
【0020】
最も一般的な乾式造粒法としてのローラー圧密は、大量の材料を短時間で処理する能力がある。特殊な亜型として、ブリケッティング(briquetting)は、圧密化粉末を破片(ブリケット)に分割する特別に設計された圧密ロールを利用する。「スラッギング(slugging)」による乾式造粒は、手間がかかり非効率的であり、かつ材料の流動を確保するには、多くの場合、好結果の製剤でのいくつかの試みを必要とする。乾式造粒の場合、最終製品の均一な硬度および崩壊性を保証するには、圧密力の程度および分布の均一性が、顆粒の多孔性の均一性に関して必須である。
【0021】
溶融造粒は、粉末を、結合剤の助けを借りて溶融状態または処理中に溶融する固体状態のどちらかで凝集させる方法である。選択される装置は、高剪断ミキサーであり、そこでは、粉末の温度を、加熱ジャケットまたはインペラーブレードにより生じる摩擦力のどちらかによって、溶融可能な結合剤の融点を超えて上昇させることができる。温度に留意した造粒終点の決定が、溶融造粒にとって決定的に重要である。したがって、該方法は制御するのが困難である。さらに、造粒塊体が、造粒機のボウル壁に固着し、成分の分布、API含有量の均一性、および粒度分布に関して均一でない塊体を生じる。
【0022】
欧州特許出願公開第0241126号には、イブプロフェン結晶の凝集体からなり、バルクの結晶性イブプロフェンに比べてより良好な流動特性を提供する顆粒を含有する医薬組成物が開示されている。結晶性イブプロフェンの圧密によって圧密体が製造され、賦形剤を含まない顆粒状凝集体を形成する。圧密に使用される方法には、ローラー間での圧密、押出しまたは造粒ボウル中での圧密が含まれる。
欧州特許出願公開第0172014号には、85〜99質量%のイブプロフェン15〜1質量%のクロスカルメロースナトリウム、および任意選択で0.4〜1質量%の賦形剤としてのコロイド状二酸化ケイ素を含有し、混合物をローラーコンパクターまたはスラッギング操作を通すこと、および圧密されたまたはスラグ化された組成物を振動篩いまたは一連の網を通して篩いにかけることによって調製される、さらなる加工処理に適した顆粒形態の医薬組成物が開示されている。
【0023】
(本発明の根底にある問題の具体的側面)
国際公開第2005/037824号中に記載されているようなBIBW2992MA2は、固形経口剤形の調製において、加工性に関連する以下の困難な物理化学的特性を示す:
・APIの化学的安定性に影響を及ぼし、かつ活性成分の減少および加水分解生成物による汚染の増大に繋がる水分に対する感受性、
・針状結晶体のランダム配置および長さに起因する小さな注入密度の大きな変動;針状結晶体の流動方向への整列に対する抵抗性の増大に起因する不十分な流動特性;最終ブレンドの内部へのあまりにも多い空気の閉じ込めに起因する直接圧縮処理中の錠剤のキャッピングまたは積層化;これらの顆粒の崩壊に起因する打錠中のAPIの分離傾向を後に伴う乾式造粒法における機械的に弱い顆粒につながる、結合剤または充填剤などのさらなる賦形剤とも組み合わせた小さな圧縮性;ならびに加工中の粉末混合物中のBIBW2992MA2の選択的減少、およびそれゆえに不適切なアッセイ値を示す製造される錠剤中のAPIの不足に繋がる静電帯電の増大に起因する表面上へのAPIの付着特性をもたらす、沈降性活性成分の針状形状。
【0024】
沈殿性BIBW2992MA2は、その注入密度のランダムな変動性を示す。それらの密度は、0.12〜0.40g/mLの範囲にわたり、針状結晶体の長さの相違に起因する(表2)。
表2:非製粉BIBW2992MA2の嵩密度のバッチ対バッチの変動
【表2】
【0025】
100%を超える変動は、確実な製造方法にとって許容できない。特に、10%を超える量のAPIを含む製剤において、直接圧縮の効果は、後で説明するように、BIBW2992MA2の好ましくない物理化学的特性を平衡させるまたは補償する希釈が不足すると、顕著である。
得られるようなBIBW2992MA2粉末は、直接打錠法で使用すると、流動性が不十分である。この打錠法は、ダイの不完全な充填のため、標準的な打錠速度のかなりの減速を必要とし、圧密力および錠剤質量の大きな変動をもたらす。粉末は、極めてかさばっているので、目標の錠剤質量および許容できる錠剤硬度は達成できない。さらに、打錠処理で印加される大きな圧密力は、キャッピングに繋がり、一方、小さな圧密力は錠剤の固着に繋がる。
【0026】
したがって、本発明の目的は、経口投与用の固形医薬製剤へのさらなる加工に適し、医薬組成物に課せられる厳格な要件に合致する、固形粉末形態のBIBW2992MA2を商業的規模で提供することである。このことは、前に考察したような当初の嵩密度とは関係なく達成されなければならない。
生産規模での加工性に関連するBIBW2992MA2原薬の特性を改善するための、すなわち原薬を固形経口医薬組成物の製造に適した形態に変換するためのいくつかの取組みは、失敗し、例えば、再結晶実験は、要求特性に合致するBIBW2992MA2をもたらさなかった。
【0027】
表示した物理化学的特性を有する沈降性活性体の場合、通常的には、種々の造粒技術が適用される。湿式造粒は、APIが加水分解による分解、および加工中のさらなる分解反応を受けるので、適切でない。
沈降性APIを用い乾式造粒加工を使用する実験は、顆粒の物理的安定性が不十分で、注入密度を異にする製品をもたらした。結果として、APIは、他の賦形剤との持続的合一体を形成せず、さらなる加工中に分離した。それゆえ、BIBW2992MA2の針状結晶体は、混合物中での移動中に上昇し、均一でないブレンドをもたらす。したがって、製造された最初の錠剤中の含有量は低く、一方、終末の錠剤は、過剰のAPIを含んでいた。全体的に、バッチ中でのAPI含有量の均一性が不適切であった。さらに、乾式造粒されたAPIから得られる錠剤の崩壊性および硬度は、混合物の二重の圧密のため、不満足なものであった。
【0028】
製粉したAPIを用い乾式造粒を適用する実験は、含有量の均一性に優れた安定な顆粒、および最終ブレンド中に針状形状の結晶を含まない製品をもたらしが、得られた錠剤の崩壊は、溶性APIの表面積の増大のため十分に延長されなかった。さらなる欠点は、顆粒中の微細物の量が多く、圧縮力の変動をもたらすことである。
沈降性APIを用いたホットメルト造粒も、含有量の均一性に優れた安定な顆粒、および最終ブレンド中に針状形状の結晶を含まない製品をもたらしたが、それにもかかわらず、この取組みの欠点は、顆粒を打錠するのに必要とされる圧縮力の変動、生成物の注入密度が変動、およびミキサーの造粒ボウル内部に壁固着物を形成する傾向であった。
【0029】
上に要約した結果は、標準的な最新技術を定型的手順で単純に適用して、BIBW2992MA2の変動する物理化学的特性に関して確実な処理および一定の薬物製剤品質を確保することは、実質上可能でないことを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
第1態様によれば、本発明の目的は、所望の目標とする投与量範囲にとって適切なバイオアベイラビリティー要件に合致し、かつ、活性成分の適切な血漿中濃度−時間プロフィールを提供する特定の即時放出プロフィール範囲によってさらに特徴付けられる、前記原薬のための医薬剤形を得ることである。このような特定の放出プロフィール特性は、この原薬に関する先行技術から公知ではない。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の第1の目的は、生理学的に意味のあるpH1〜6.8のpH領域のすべてにわたっておよび水中(900mLの溶出媒質、50/70rpmの撹拌速度、37℃の温度)で即時放出溶出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。溶出特性は、60分以内で85%以上(Q=80%)が溶出するという即時放出固形経口剤形に関して推奨される容認基準に従う(産業のための指針(Guidance for Industry)、「即時放出固形経口剤形の溶出試験」、米国保健福祉省、食品医薬品庁、医薬品評価・研究センター(CDER)、1997年8月)。好ましくは、活性物質BIBW2992MA2(API塩)の85%以上(Q=80%)が、30分以内に、より好ましくは15分以内に溶出される。
【0032】
本発明のさらなる目的は、前記条件下で、1〜160mgの活性物質の投与強度から独立に、好ましくは5〜100mgの投与強度範囲内、より好ましくは5〜50mgの投与強度範囲内で、類似のin vitroでの溶出プロフィールを示す前記の医薬剤形である。
本発明のさらなる目的は、定常状態での血漿中の分析対象物/活性物質の最大濃度(Cmax,ss)が、好ましくは、活性物質の用量範囲が10〜160mg、好ましくは10〜100mgである場合に、用量に比例して増加する、即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
本発明との関連で示されるいずれの範囲も、限界値を含むことを意味し、例えば、「10〜160mg」と定義される範囲は、10および160mgである下限値および上限値を含む。
【0033】
本発明のさらなる目的は、定常状態での血漿中の分析対象物/活性物質の用量で正規化された最大濃度(Cmax,ss,norm)が、好ましくは、活性物質の用量範囲が10〜160mg、好ましくは10〜100mgである場合に、異なる用量に対して類似している即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
本発明のさらなる目的は、定常状態での血漿中の分析対象物/活性物質の投与間隔τにわたる血漿中濃度−時間曲線下面積(AUCτ,ss)が、好ましくは、活性物質の用量範囲が10〜160mg、好ましくは10〜100mgである場合に、用量に比例して増加する即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
【0034】
本発明のさらなる目的は、定常状態での血漿中の分析対象物/活性物質の投与間隔τにわたる用量で正規化された血漿中濃度−時間曲線下面積(AUCτ,ss,norm)が、好ましくは、活性物質の用量範囲が10〜160mg、好ましくは10〜100mgである場合に、異なる用量に対して類似している即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
本発明のさらなる目的は、癌患者の血漿において、定常状態で単回投与後好ましくは1〜6時間の間のメディアン値で、0.75〜7時間の間に最大血漿中濃度に到達することを特徴とする即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
【0035】
本発明のさらなる目的は、各種の進行性固形癌を有する癌患者の血漿において、20mgのBIBW2992MA2(API塩)を含む剤形を1日1回、少なくとも14日間投与すると、定常状態での最大血漿中濃度が、15〜35ng/mlの間の幾何平均値で、少なくとも5ng/ml〜100ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
本発明のさらなる目的は、各種の進行性固形癌を有する癌患者の血漿において、30mgのBIBW2992MA2(API塩)を含む剤形を1日1回、少なくとも14日間投与すると、定常状態での最大血漿中濃度が、25〜120ng/mlの間の幾何平均値で、少なくとも5ng/ml〜30ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
【0036】
本発明のさらなる目的は、各種の進行性固形癌を有する癌患者の血漿において、40mgのBIBW2992MA2(API塩)を含む剤形を1日1回、少なくとも14日間投与すると、定常状態での最大血漿中濃度が、25〜120ng/mlの間の幾何平均値で、少なくとも5ng/ml〜230ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
本発明のさらなる目的は、各種の進行性固形癌を有する癌患者の血漿において、50mgのBIBW2992MA2(API塩)を含む剤形を1日1回、少なくとも14日間投与すると、定常状態での最大血漿中濃度が、35〜120ng/mlの間の幾何平均値で、少なくとも5ng/ml〜230ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、活性物質BIBW2992MA2の医薬剤形である。
【0037】
本発明のさらなる目的は、経口で送達可能な剤形である上記医薬剤形である。
本発明のさらなる目的は、錠剤、カプセル、ペレット、粉末または顆粒の形態である上記剤形である。
本発明のさらなる目的は、薬剤として使用するための上記医薬剤形である。
本発明のさらなる目的は、抗増殖活性を有する医薬組成物として使用するための上記医薬組成物である。
本発明のさらなる目的は、腫瘍学的疾患から選択される疾患または状態を治療するための上記医薬剤形である。
【0038】
本発明のさらなる目的は、腫瘍学的疾患から選択される疾患または状態を治療するための薬剤を調製するための上記医薬剤形の使用である。
本発明のさらなる目的は、腫瘍学的疾患から選択される疾患または状態を治療および/または予防するための方法であって、有効量の上で規定した医薬剤形を患者に経口で1日に1回または数回投与することを特徴とする方法である。
第2態様によれば、本発明は、圧密(ローラー圧密、ブリケッティングまたはスラッギングのいずれか)とそれに続く圧密化活性体の篩い分けとを組み合わせて得ることのできる、任意選択でバルク特性を調節および平衡化し、それによって最終剤形へのさらなる加工に向けたその適合性を確実にするための滑沢剤との混合物の状態での、粉末形態のBIBW2992MA2を含有する圧密化中間体を対象とする。
【0039】
本発明のさらなる目的は、前記の圧密化中間体から調製され、固形経口剤形の調製におけるさらなる加工に適した中間および最終ブレンドを対象とする。
本発明のさらなる目的は、前記の圧密化中間体から、または前記の中間ブレンドから、または前記の最終ブレンドから作られる即時使用/摂取用の固形経口製剤、例えば、カプセル、および直接圧縮で調製される非被覆またはフィルムコートされた錠剤などの錠剤製剤を対象とする。
本発明のさらなる目的は、前述の圧密化中間体、中間ブレンド、および固形経口製剤の製造方法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(溶出特性および薬物動態特性)
例に記載の4種の投与強度(20、30、40、50mg)のBIBW2992MA2フィルムコート錠剤のin vitroでの比較を実行するための溶出試験(表4)は、欧州薬局方6.2による装置2(パドル)を使用し、以下で説明される:
装置: 装置2(パドル)
パドル速度: 50/75rpm
溶出媒質: 0.05Mリン酸緩衝液(pH6.8)
McIlvaine緩衝液(pH4.0)
0.1M HCl(pH1)
水(50rpm)
容積: 900ml
サンプリング時点: 5、10、15、20、30分
錠剤数(n): 投与強度ごとに12錠
溶出容器中の濃度測定は、HPLC−UVを用いて実施した。
【0041】
投与強度が20、30、40、および50mgであるBIBW2992MA2の本発明によるフィルムコート錠剤のpH1.0、4.0、6.8および水で得られた溶出プロフィールを、それぞれ図6〜9に示す。バッチ当たり12錠のフィルムコート錠剤のサンプルに関して得られた平均値およびy−エラーバーは、計算された95%信頼区間を表す。図6〜8からわかるように、4種の投与強度は、すべて、15分後に85%超が溶出した。したがって、該製剤も4種の投与強度は、すべて、等価と考えられる。BIBW2992MA2のフィルムコート錠剤の4種の投与強度(20、30、40、50mg)の類似した急速なin vitroでの溶出挙動に基づいて、in vivoでの等価な性能が予想される。
【0042】
各種の進行性固形腫瘍を有する癌患者での4例の第I相研究において、BIBW2992の薬物動態(PK)特性が分析された。すべての研究およびすべての試験された投与群(10〜100mg)の代表として、1例の試験からの40mg投与群についてより詳細に説明する。治療期間1(治療の最初の28日間)の27日目に40mg(1日1回の投与)を投与した後のBIBW2992の個別および幾何平均(gMean)血漿中濃度−時間プロフィールを図10に示す。BIBW2992の血漿中濃度は、経口投与後に増加し、血漿中濃度のピークは、主として投与のおよそ2〜5時間後であった。血漿中濃度は、翌時間内に下降し(投与後9時間まで)、第1動態相を示す。第2動態相は、投与後9〜24時間の時間間隔で観察された。これらのデータに基づいて、BIBW2992は、少なくとも二重指数の動態速度を示した。
【0043】
図10は、40mg投与群の個々の患者(n=17)の血漿中濃度の高い個体間変動性を示す。異なる時点での活性物質の血漿中濃度の変動性(gCV=幾何変動係数)は、薬物投与の9時間後まで109〜159%、もっと後の時点(薬物投与の24時間後)で66.9〜72.9%であった。
【0044】
各種の進行性固形腫瘍を有する癌患者での、BIBW2992の単剤療法を用いた4例の第I相試験、およびドセタキセルと併用したBIBW2992療法の1例の試験において、単回投与後または1日1回投与の定常状態でのどちらにおいても、肉眼検査を介して観察される、活性物質のAUCおよびCmaxの用量に比例した増加からの逸脱の徴候はなかった。結果として、癌患者において活性物質の幾何平均Cmax,ssおよびAUCτ,ssは、単回投与後および1日1回投与の定常状態において、用量に比例して増加した。4例の第I相単剤試験からのすべてのCmaxおよびAUC値の代表として、定常状態でのそれぞれのPKパラメーターを図11および12に示す。ドセタキセルと併用したBIBW2992の第I相併用試験からのすべてのCmaxおよびAUC値の代表として、BIBW2992のそれぞれのPKパラメーターを図13および14に示す。各種の臨床試験で癌患者における薬物投与前に定常状態で測定された血漿中薬物濃度について観察される、肉眼検査を介して見出される用量比例性からの逸脱はなかった(データは示さない)。
【0045】
(BIBW2992MA2を含有する固形製剤およびそれらの調製方法)
本発明の根底にある問題は、材料の緻密化のために活性成分BIBW2992MA2に圧密ステップ(ローラー圧密、ブリケッティングまたはスラッギング)を、ならびにそれ続いて、リボンの解体およびさらなる粒径の縮小、そしてすべての賦形剤との混合およびさらなる直接圧縮に先立つAPIの分散のための1回または複数回の篩い分けステップを適用することによって解決される。
【0046】
(BIBW2992MA2を含有する圧密化中間体)
本発明の1つの目的は、任意選択で滑沢剤との混合物の状態での圧密後のBIBW2992MA2からの少なくとも1回の篩い分けステップと組み合わせた、ローラー圧密、ブリケッティングまたはスラッギングから選択される圧密ステップによって得ることのできる、粉末形態のBIBW2992MA2を含有する圧密化中間体を対象とする。
本発明によるその最も広い実施形態における圧密化中間体は、API塩の量に基づいて計算して0〜2.0%の滑沢剤を含む粉末形態のBIBW2992MA2である。
【0047】
それは、次のパラメーターで特徴付けられる:
粒度分布は、Ph.Eur.2.9.35(欧州薬局方、6.02版)による範囲で指定できる。
「x10」は、10%の累積篩下分布に一致する粒径を意味する。
「x50」は、メディアン粒径、すなわち粒子の50%が×50よりも小さく、粒子の50%が×50よりも大きいことを意味する。
「x90」は、90%の累積篩下分布に一致する粒径を意味する。
・最も広い実施形態において、粒度分布は、範囲、x10<200μm、1μm<x50<300μm、75μm<x90<600μmによって、好ましくは、範囲、x10<100μm、1μm<x50<200μm、75μm<x90<400μmによって、最も好ましくは、かつ図4および図5に典型的に示されるように、範囲、x10<5μm、1μm<x50<100μm、75μm<x90<200μm、およびx100<1000μmによって特徴付けられる。
・注入密度(ρp)は、範囲、0.2g/mL<ρp<1.0g/mLで指定できる。
・ハウスナー係数(HF)は、範囲、1.00<HF<1.30で指定できる。
【0048】
(BIBW2992MA2の圧密化中間体から調製される中間ブレンド)
本発明のさらなる目的は、BIBW2992MA2を含有する圧密化中間体から調製され、圧密化中間体に関して前に定義したような固形経口剤形の調製におけるさらなる加工に適した中間および最終ブレンドを対象とする。本発明によるその最も広い実施形態における中間および最終ブレンドは、成分(a)〜(g):
(a)約1〜99質量%の量の本発明の第1目的によるBIBW2992の圧密化中間体、
(b)任意選択で、約10〜99質量%の量の1種または複数の担体、
(c)約0〜99質量%、好ましくは1〜99質量%の量の1種または複数の結合剤、
(d)約0〜10質量%、好ましくは0.1〜10質量%の量の1種または複数の流動促進剤、
(e)約0〜10質量%、好ましくは0.1〜10質量%の量の1種または複数の崩壊剤、
(f)約0〜10質量%、好ましくは0.1〜10質量%の量の1種または複数の滑沢剤、
(g)0〜10質量%のさらなる賦形剤および/または補助薬、
から選択される含有物によって特徴付けられ、
ここで、中間および最終ブレンド中には、成分(a)に加えて、成分(b)〜(g)中の少なくとも1つの存在が必須であるが、任意選択の成分(b)〜(g)中の2つから多くて6つすべてが存在することも許され、すべての成分を合わせて合計を100%にする。
【0049】
疑念を回避するため、流動促進剤の主要目的は、粉末の流動性を改善することであり、一方、滑沢剤は、成分が一緒に凝集すること、例えば錠剤ポンチまたはカプセル充填機に固着することを防止する。滑沢剤は、また、固体とダイ壁との間での錠剤形成を、低摩擦で行うことができることを保証する。
【0050】
当然、総称的にまたは具体的に言及される補助成分(a)〜(g)のいずれも、食用に適し、かつ薬理学的に許容されるべきである。
【0051】
担体成分(b)は、
・糖類(沈殿、噴霧乾燥、ドラム乾燥、または微結晶セルロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、ダルシトール、リビトール、エリスリトールのようなさらなる賦形剤と共処理された多様な結晶改変形態の、例えば、ブドウ糖のような単糖類、蔗糖のようなオリゴ糖類、または乳糖などの二糖類)
・セルロースおよびその誘導体(例えば、粉末化セルロースまたは微結晶セルロース)
・デンプンまたは修飾デンプン(例えば、α化、または部分加水分解された)のような固体有機物、あるいは
・リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、ヒドロキシルアパタイト、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム)のような固体無機物、あるいは
・脂質またはパラフィンのような半固体でよい。
【0052】
結合剤(c)は、
・セルロースおよび/またはその誘導体(微結晶セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのような)、
・デンプンまたは修飾デンプン(例えば、α化、または部分加水分解された)、
・ポリエチレングリコール、
・ポリビニルピロリドン(例えば、Kollidon(登録商標)K30)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールまたはこれらの共重合物(例えば、Copovidone)、
から選択できる。
【0053】
流動促進剤(d)は、コロイド状シリカ、軽質無水ケイ酸、結晶性セルロース、タルク、またはステアリン酸マグネシウムから選択できる。
崩壊剤(e)は、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および乾燥コーンスターチから選択できる。
滑沢剤は(f)は、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、トリベヘン酸グリセロール、またはポリエチレングリコールから選択できる。
【0054】
さらなる賦形剤および/または補助薬は、成分(b)〜(f)の定義に包含されない、または成分(b)〜(f)について具体的に言及されていない任意のその他の成分から選択できる。単なる例として、染料および顔料(赤色または黄色酸化鉄、および二酸化チタンなど)をはじめとする着色剤は、この範疇に包含される。
【0055】
本発明による中間ブレンドの好ましい実施形態(1)および(2)は、次のように特徴付けられる(量は、中間ブレンドの総量に対する質量%で示す):
(1)(1.1)BIBW2992MA2の圧密化中間体: 5%〜50%
(1.2)担体/結合剤またはこれらの組合せ: 55%〜95%
(1.3)崩壊剤: 0.5%〜3.0%
(1.4)流動促進剤: 0.1%〜2.0%
(1.5)滑沢剤: 0%〜2.0%
(1.6)さらなる賦形剤および/または補助薬: 0%〜5%
(1.1)ならびに(1.2)、(1.3)、(1.4)、(1.5)および(1.6)の1つ、2つ、3つまたは4つを含む任意の二元、三元、四元または五元の組合せ(ここで、示した成分量は、不在成分のため補正される)は、中間ブレンドのさらなる好ましい実施形態であると解される。
(2)(1.1)BIBW2992MA2の圧密化中間体: 15%〜50%
(2.2)担体/結合剤またはこれらの組合せ: 75%〜85%
(2.3)崩壊剤: 1.5%〜2.5%
(2.4)流動促進剤: 0.1%〜1.0%
(2.5)滑沢剤: 0%〜1.0%
(2.6)さらなる賦形剤および/または補助薬: 0%〜3%
(2.1)ならびに(2.2)、(2.3)、(2.4)、(2.5)および(2.6)の1つ、2つ、3つまたは4つを含む任意の二元、三元、四元または五元の組合せ(ここで、示した成分量は、不在成分のため補正される)は、中間ブレンドのさらなる好ましい実施形態であると解される。
【0056】
本発明による最終ブレンドの好ましい実施形態(3)、(4)および(5)は、次のように特徴付けられる(量は、最終ブレンドの総量に対する質量%で示す):
(3)(3.1)BIBW2992MA2の圧密化中間体: 5%〜50%
(3.2)担体/結合剤またはこれらの組合せ: 55%〜95%
(3.3)崩壊剤: 0.5%〜3.0%
(3.4)流動促進剤: 0.1%〜2.0%
(3.5)滑沢剤: 0.5%〜3.0%
(3.6)さらなる賦形剤および/または補助薬: 0%〜1%
(3.1)ならびに(3.2)、(3.3)、(3.4)、(3.5)および(3.6)の1つ、2つ、3つまたは4つを含む任意の二元、三元、四元または五元の組合せ(ここで、示した成分量は、不在成分のため補正される)は、中間ブレンドのさらなる好ましい実施形態であると解される。
【0057】
(4)(4.1)BIBW2992MA2の圧密化中間体: 25%〜35%
(4.2)担体/結合剤またはこれらの組合せ: 75%〜85%
(4.3)崩壊剤: 0.5%〜3.0%
(4.4)流動促進剤: 0.1%〜2.0%
(4.5)滑沢剤: 0.5%〜3.0%
(4.6)さらなる賦形剤および/または補助薬: 0%〜1%
(4.1)ならびに(4.2)、(4.3)、(4.4)、(4.5)および(4.6)の1つ、2つ、3つまたは4つを含む任意の二元、三元、四元または五元の組合せ(ここで、示した成分量は、不在成分のため補正される)は、中間ブレンドのさらなる好ましい実施形態であると解される。
【0058】
(5)(5.1)BIBW2992MA2の圧密化中間体: 10%〜25%
(5.2)担体/結合剤またはこれらの組合せ: 75%〜85%
(5.3)崩壊剤: 0.5%〜3.0%
(5.4)流動促進剤: 0.1%〜2.0%
(5.5)滑沢剤: 0.5%〜3.0%
(5.6)さらなる賦形剤および/または補助薬: 0%〜1%
(5.1)ならびに(5.2)、(5.3)、(5.4)、(5.5)および(5.6)の1つ、2つ、3つまたは4つを含む任意の二元、三元、四元または五元の組合せ(ここで、示した成分量は、不在成分のため補正される)は、中間ブレンドのさらなる好ましい実施形態であると解される。
【0059】
(即時使用/摂取用固形経口製剤)
BIBW2992MA2の圧密化中間体から、または中間ブレンドから作られる即時使用/摂取用固形経口製剤は、粉末、顆粒、ペレット、錠剤、カプセル、咀嚼錠剤、分散性錠剤、トローチ、およびロゼンジを包含する。
本発明によるカプセル製剤は、BIBW2992MA2の粉末状圧密化中間体;粉末状圧密化中間体を含む中間ブレンド;適切な中間ブレンドの通常の湿式、乾式またはホットメルト造粒によって得られるペレットまたは顆粒を含有し、通常のカプセル、例えば、硬質ゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填される。
【0060】
本発明による錠剤製剤は、適切な最終ブレンドの直接圧縮によって、あるいは適切な中間ブレンドの通常の湿式、乾式またはホットメルト造粒によって得られるペレットまたは顆粒の打錠によって得られるような錠剤を包含する。
本発明による錠剤製剤は、非被覆であるか、あるいは最終製剤の溶出特性に否定的影響を及ぼさないことが知られている適切な被覆を使用して、被覆、例えばフィルムコートすることができる。例えば、錠剤は、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの高分子量ポリマーを可塑剤、滑沢剤および任意選択の顔料およびテンシド(tenside)と一緒に水またはアセトンなどの有機溶媒中に溶解すること、およびこの混合物をパンコーターまたはウルスターインサート(Wurster insert)を備えた流動床コーターなどの被覆装置内で錠剤芯上に噴霧することによって、患者の環境および臨床スタッフを保護するための、ならびに水分防護のための封止被覆を備えて提供することができる。
【0061】
さらに、被覆が、剤形の崩壊/溶出に対して実質的影響を有さず、かつ被覆された剤形が、その安定性に関して影響を受けないとの条件で、蜜蝋、セラック、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、ゼイン(zein)、フィルム形成性ポリマー(ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースおよびポリマー性メタクリレートなど)などの薬剤を、錠剤に塗布することができる。
剤形にフィルムコートした後、封止された医薬剤形上に糖衣を塗布することができる。糖衣は、蔗糖、デキストロース、ソルビトールなど、またはこれらの混合物を含むことができる。所望であれば、糖溶液に着色剤または不透明化剤を添加することができる。
【0062】
本発明による固形経口製剤は、好ましくは、BIBW2992を基準にして1〜150mg、より好ましくは5〜100mgのAPIを含む(この段落で、および以後の錠剤製剤の組成について示す量は、すべて、BIBW2992MA2の量から遊離塩基BIBW2992の含有量を指すように再計算される)。目下、好ましい形態は、それぞれ、5,10、20、30、40、50、70または100mgのBIBW2992を含む。
【0063】
例えば、本発明による錠剤製剤の組成は、すべて、中間ブレンドについて前に示した比例的組成に合致するとの条件で、次の範囲内で変えることができる:
1〜150mgのBIBW2992、
50〜500mgの担体、結合剤またはこれらの組合せ、
0.1〜5mgの流動促進剤、
1〜15mgの崩壊剤、
1〜15mgの滑沢剤、
好ましくは、
20〜70mgのBIBW2992、
120〜500mgの担体、結合剤またはこれらの組合せ、
0.5〜5mgの流動促進剤、
2.5〜15mgの崩壊剤、
2.5〜15mgの滑沢剤。
【0064】
本発明の固形製剤は、軽度の吸湿性である傾向がある。それらの製剤は、PVC−ブリスター、PVDC−ブリスター、または防水包装材料(アルミ箔ブリスターパック、アルミ/アルミブリスター、袋を備えた透明または不透明ポリマーブリスターなど)、任意選択で子供にとって安全である特色を含むポリプロピレンチューブ、ガラス瓶、およびHDPE瓶を使用して包装することができるか、あるいはいたずらを明らかにできる。主な包装材料は、APIの化学的安定性を改善するためにモレキュラーシーブまたはシリカゲルなどの乾燥剤を含むことができる。着色ブリスター材料、チューブ、褐色ガラス瓶などの不透明包装を使用して光分解を低減することによってAPIの貯蔵寿命を延長することができる。
【0065】
(圧密化中間体、中間ブレンド、および固形経口製剤の調製方法)
本発明のもう1つの目的は、前に言及したBIBW2992MA2の圧密化中間体、中間ブレンド、および固形経口製剤の製造方法を対象とする。
【0066】
(圧密化中間体の調製方法)
BIBW2992MA2を含有する粉末形態の圧密化中間体は、リボンまたはブリケットの解体に付加される少なくとも1回の篩い分けステップと組み合わせられ、任意選択で滑沢剤との混合物の状態での、ローラー圧密、ブリケッティングまたはスラッギングから選択される圧密ステップによって得ることができる(図1)。
ローラー圧密ステップは、
・0.10〜0.4mg/mLの注入密度の変動性(表1参照)、および
・1.05〜1.61のハウスナー係数(表1参照)
を有する可能性のある材料の緻密化のために導入された(表3参照)。
表3:ローラー圧密および篩い分けを導入する前と後でのBIBW2992MA2の粉末および錠剤の特性
【表3】
RSD:相対標準偏差
*ダイの不適切な充填、錠剤の固着、層化により打錠できない
**製造しない
【0067】
ローラー圧密は、APIであるBIBW2992MA2を単独で用いて、あるいは任意選択で、圧密ロール上への重大な固着を防ぐために、APIと0〜1.0%の滑沢剤とのフリーフォールまたはタンブルブレンダー中での予備ブレンドを用いて実施することができる。ローラーコンパクター上に負荷する場合に、撹拌された予備ブレンドを撹拌下に保持しながら使用すると、滑沢剤の添加を回避できる。
【0068】
APIまたはAPIの予備ブレンドを、水平、垂直または45°の角度に配置されたその表面が平坦または形があってもよい圧密ロールを備えた通常のローラーコンパクターで圧密する。
【0069】
圧密力は、1kN/cm〜20kN/cm、好ましくは2kN/cm〜10kN/cmの間で、
圧密ロールの圧密速度は、1rpm〜30rpm、好ましくは1rpm〜10rpmの間で、
圧密ロールの間隙幅は、1mm〜10mm、好ましくは1mm〜5mmの間で変えることができる。
【0070】
圧密化中間体から調製される錠剤の崩壊速度(図2)および溶出速度(図3)は、記載された限界内でローラーコンパクターの圧密力を増大させることによって速めることができる。
圧密化中間体は、圧密ロールからリボンの形状で収容され、該リボンは、0.5mm〜1.6mmの網目を備えた造粒ユニットによって直接的に顆粒に解体される。かくして、本発明による圧密ステップは、顆粒形態の圧密化中間体をもたらす。
【0071】
後に続く第2ステップにおいて、顆粒を、例えば、0.5〜2.0mm、好ましくは約1.0mmの網目を備えた振動またはコニカル篩い分け機またはハンマーミルのような篩い分け機によって篩い分け、粉末形態の圧密化中間体を得る。任意選択で、2回目の篩い分けステップを実施するが、この篩い分けは、0.3〜0.5mm、好ましくは約0.5mmの網目で実施すべきである。
【0072】
(中間ブレンドおよび最終ブレンドの調製方法)
中間ブレンド:
APIである粉末形態のBIBW2992MA2を含有する中間ブレンドは、APIを、担体、結合剤またはこれらの組合せ、流動促進剤、着色剤、および固体着香料とフリーフォールまたはタンブラーブレンダー中で混合することによって調製される。
最終ブレンド:
経口用粉末:
粉末形態のBIBW2992MA2を含有する中間ブレンドを、担体、結合剤、流動促進剤、着色剤、および固体着香料とフリーフォールまたはタンブラーブレンダー中で混合する。
経口用顆粒:
粉末形態のBIBW2992MA2を含有する中間ブレンドを、増量剤、担体、結合剤、固体状結合剤、着色剤、および固体着香料とフリーフォールまたはタンブラーブレンダー中で混合する。ブレンドを、ローラーコンパクターで圧密し、約2mmの網目を備えた造粒ユニットで解体する。
カプセル内ペレット:
粉末形態のBIBW2992MA2を含有する中間ブレンドを、固体ポリエチレングリコールおよび微結晶セルロースと混合し、加熱された押出し機を通して押し出す。ペレットを球状にする。球状化の後、生じたペレットを硬質ゼラチンカプセル内に充填する。
錠剤およびフィルムコート錠剤:
粉末形態のBIBW2992MA2を含有する中間ブレンドを、増量剤、担体、結合剤、流動促進剤、および崩壊剤とフリーフォールまたはタンブラーブレンダー中で混合する。最後に、主要ブレンドに滑沢剤を添加し、さらなる混合を実施する。
【0073】
(固形経口製剤の調製方法)
経口粉末剤:
最終粉末ブレンドを包装袋に詰める。
経口用顆粒剤:
顆粒を包装袋に詰める。
カプセル内ペレット剤:
球形化の後、得られたペレットを硬質ゼラチンカプセル内に充填する。
【0074】
錠剤およびフィルムコート錠剤:
最終ブレンドを、錠剤を製造するための適切な錠剤プレスで、破砕抵抗性、錠剤高さ、および崩壊に関して表5に示すような品質パラメーターを得るのに十分な圧縮力で圧縮する。
任意選択で、ドラムコーター中、例えば、Glatt GC550/750コーターを使用し、被覆用懸濁液で錠剤芯を被覆する。
【0075】
図面と関連付けて言及するBIBW2992MA2は、本発明による医薬剤形である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】BIBW2992MA2の圧密化中間体の調製方法を概略的に示す図である。該調製法は、(1)ローラー圧密、および圧密ロールから受け入れたリボンを顆粒に解体する造粒ユニットを使用する圧密ステップ、および(2)篩い分けステップを含む。
【図2】ローラー圧密力の増大による、20mgBIBW2992MA2錠剤の崩壊時間の加速を示す図である。
【図3】ローラー圧密力の増大による、20mgBIBW2992MA2錠剤の溶出速度の加速を示す図である。
【図4】沈降性BIBW2992MA2の乾式造粒ステップ後の圧密化中間体の光学的粒径分析で測定される粒径の、圧密力の変化に伴う増大を示す図である。
【図5】圧密力の変化による、沈降性BIBW2992MA2の乾式造粒ステップ後の圧密化中間体のレーザー回折分析で測定される粒径の、圧密力の変化に伴う増大を示す図である。
【図6】20mg、30mg、40mg、50mgの投与強度のBIBW2992MA2フィルムコート錠剤(表4に記載した通り)の0.1M塩酸(pH1.0)中での溶出比較(パドル75rpm、n=12)を示す図である。
【図7】20mg、30mg、40mg、50mgの投与強度のBIBW2992MA2フィルムコート錠剤(表4に記載した通り)のMcIllvaine緩衝液(pH4.0)中での溶出比較(パドル75rpm、n=12)を示す図である。
【図8】20mg、30mg、40mg、50mgの投与強度のBIBW2992MA2フィルムコート錠剤の0.05Mリン酸緩衝液(pH6.8)中での溶出比較(パドル75rpm、n=12)を示す図である。
【図9】20mg、30mg、40mg、50mgの投与強度のBIBW2992MA2フィルムコート錠剤の水中での溶出比較(パドル50rpm、n=12)を示す図である。
【図10】TP(治療期間)1中の27日間における1日40mgのBIBW2992MA2錠剤の多回経口投与後のBIBW2992の個別および幾何平均血漿中薬物濃度−時間のプロフィールを示す図である(N=17)。血漿中濃度は、BIBW2992の遊離塩基を指す。
【図11】4例の第I相試験からのBIBW2992MA2錠剤の多回経口投与後の定常状態でのBIBW2992BSの個別および幾何平均用量正規化最大血漿中濃度を示す図である。
【図12】4例の第I相試験からのBIBW2992MA2錠剤の多回経口投与後の定常状態でのBIBW2992BSの定常状態での個別および幾何平均用量正規化AUCτ,ss値を示す図である。
【図13】1例の第I相試験からのBIBW2992MA2錠剤の多回経口投与後の治療期間の1日目でのBIBW2992BSの個別および幾何平均用量正規化最大血漿中濃度を示す図である。
【図14】1例の第I相試験からのBIBW2992MA2錠剤の多回経口投与後の治療期間の1日目でのBIBW2992BSの個別および幾何平均用量正規化AUC0-24値を示す図である。
【実施例】
【0077】
(次の非限定的例は本発明を説明するのに役立つ)
表4は、本発明による固形医薬組成物を示す。
【0078】
表4:固形BIBW2992MA2錠剤の代表的組成
【表4】
製剤A、B、C、DおよびEは、表6によるフィルムコートで被覆できる錠剤である。
【0079】
表5は、固形BIBW2992MA2錠剤の代表的特性を示す。
【0080】
表5:適切な圧密硬度の打錠機で得ることのできる固形BIBW2992MA2錠剤の代表的特性
【表5】
【0081】
表6:製剤A〜Eのための代表的なフィルムコーティング組成物
【表6】
【0082】
表7は、本発明による替わりの固形医薬組成物を示す。
【0083】
表7:固形BIBW2992MA2錠剤の代表的組成
【表7】
製剤F、GおよびHは、表8によるフィルムコートで被覆できる錠剤である。
【0084】
表8:製剤F〜Hのための代表的フィルムコーティング組成
【表8】
【0085】
表9は、本発明による替わりの医薬組成物を示す。L、MおよびNは錠剤であり、Oは、ホットメルト造粒の後に圧縮して錠剤を形成することができるか、あるいは経口顆粒剤として使用できる。別法として、それを押し出してペレットとし、硬質カプセル内に充填できる。
【0086】
表9:固形BIBW2992MA2製剤の代表的組成
【表9】
製剤Pは、BIBW2992MA2の圧密化中間体を懸濁した液状フィルミックス(fillmix)として調製される。均一化の後、フィルミックスを硬質または軟質ゼラチンカプセル内に充填する。製剤Qは経口粉剤である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質BIBW2992MA2(API塩)の医薬剤形であって、欧州薬局方6.2による下記in vitro溶出条件[装置2(パドル);900mLのpH1〜6.8の溶出媒質または水;50〜150rpm、好ましくは50または75rpmの撹拌速度;温度37℃]下で、生理学的に意味のあるpH1〜6.8のpH領域にわたっておよび水中で、in vitroで、85%以上(Q=80%)が60分以内に溶出される即時放出溶出プロフィールを提供する医薬剤形。
【請求項2】
in vitroで、活性物質の85%以上(Q=80%)が、30分以内に溶出される即時放出プロフィールを提供する、請求項1に記載の医薬剤形。
【請求項3】
in vitroで、活性物質の85%以上(Q=80%)が、15分以内に溶出される即時放出プロフィールを提供する、請求項1に記載の医薬剤形。
【請求項4】
定常状態での活性物質の血漿中最大濃度(Cmax,ss)が用量に比例して増加する即時放出プロフィールを提供する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項5】
定常状態での血漿中の分析対象物/活性物質の投与間隔τにわたる血漿中濃度−時間曲線下面積(AUCτ,ss)が、用量に比例して増加する即時放出プロフィールを提供する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項6】
癌患者の血漿において、単回投与後および定常状態で、好ましくは1〜6時間の間のメディアン値で0.75〜7時間の間に最大血漿中濃度に到達することを特徴とする即時放出プロフィールを提供する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項7】
20mgのBIBW2992MA2(API塩)を含有する剤形を1日1回少なくとも14日間投与した場合に、癌患者の血漿において、定常状態での最大血漿中濃度が、15〜35ng/mlの間の幾何平均値で5ng/ml〜100ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項8】
30mgのBIBW2992MA2(API塩)を含有する剤形を1日1回少なくとも14日間投与した場合に、癌患者の血漿において、定常状態での最大血漿中濃度が、25〜120ng/mlの間の幾何平均値で5ng/ml〜30ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項9】
40mgのBIBW2992MA2(API塩)を含有する剤形を1日1回少なくとも14日間投与した場合に、癌患者の血漿において、定常状態での最大血漿中濃度が、25〜120ng/mlの間の幾何平均値で5ng/ml〜230ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項10】
50mgのBIBW2992MA2(API塩)を含有する剤形を1日1回少なくとも14日間投与した場合に、癌患者の血漿において、定常状態での最大血漿中濃度が、35〜120ng/mlの間の幾何平均値で5ng/ml〜230ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項11】
経口で送達できる剤形としての、請求項1から10までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項12】
錠剤、カプセル、ペレット、粉末または顆粒の形態にある、請求項11に記載の医薬剤形。
【請求項13】
腫瘍学的疾患から選択される疾患または状態を好ましくは治療するための抗増殖活性を有する医薬組成物として使用するための、請求項11または12に記載の医薬剤形。
【請求項14】
有効量の請求項1から13までのいずれか1項に記載の医薬剤形を、その治療を必要とする患者に1日に1回または数回、経口で投与することを特徴とする、腫瘍学的疾患から選択される疾患または状態の治療方法。
【請求項15】
1〜160mgの活性物質の用量範囲値を包含する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項16】
有効量の請求項1から15までのいずれか1項に記載の医薬剤形を、患者に1日に1回または数回、経口で投与することを特徴とする、腫瘍学的疾患から選択される疾患または状態の治療および/または予防方法。
【請求項17】
圧密後の少なくとも1回の篩い分けステップと組み合わせた、ローラー圧密、ブリケッティングまたはスラッギングから選択される圧密ステップによって得ることができ、API塩の量に基づいて計算して0〜2.0質量%の滑沢剤との混合物の状態にあってもよい、粉末形態のBIBW2992MA2(API塩)を含有する圧密化中間体。
【請求項18】
x10<200μm、1μm<x50<300μm、75μm<x90<600μmの粒径分布を特徴とする、請求項17に記載の圧密化中間体。
【請求項19】
0.2g/mL<ρp<1.0g/mLの範囲の注入密度(ρp)、および/または1.00<HF<1.30の範囲のハウスナー係数(HF)を特徴とする、請求項17に記載の圧密化中間体。
【請求項20】
請求項17から19までのいずれか1項に記載の圧密化中間体から調製される中間または最終ブレンド。
【請求項21】
(a)〜(g)の成分:
(a)約1〜99質量%の量のBIBW2992MA2の圧密化中間体、
(b)任意選択の約10〜99質量%の量の1種または複数の担体、
(c)約0〜99質量%の量の1種または複数の結合剤、
(d)約0〜10質量%の量の1種または複数の流動促進剤、
(e)約0〜10質量%の量の1種または複数の崩壊剤、
(f)約0〜10質量%の量の1種または複数の滑沢剤、および
(g)0〜10質量%のさらなる賦形剤および/または補助薬
から選択される含有物をさらに特徴とし、ここで、成分(a)に加えて、成分(b)〜(g)の少なくとも1種の存在が必須であるが、任意選択の成分(b)〜(g)の2種から多くて6種全部までが、中間および最終ブレンド中に存在してもよく、すべての成分を加えた合計が100%である、請求項20に記載の中間および最終ブレンド。
【請求項22】
請求項17から19までのいずれか1項に記載のBIBW2992MA2の圧密化中間体から、あるいは請求項20または21に記載の中間ブレンドから調製される即時使用/摂取用の固形経口製剤。
【請求項23】
粉末、顆粒、ペレット、錠剤、カプセル、咀嚼錠剤、分散性錠剤、トローチおよびロゼンジから選択される、請求項22に記載の固形経口製剤。
【請求項24】
請求項20または21に記載の最終ブレンドの直接圧縮によって、あるいは請求項20または21に記載の中間ブレンドの通常の湿式、乾式またはホット−メルト造粒で得られるペレットまたは顆粒の打錠によって得られる、請求項22に記載の固形経口錠剤。
【請求項25】
非被覆であるか、あるいは被覆、例えばフィルムコートされている、請求項24に記載の錠剤。
【請求項26】
BIBW2992(遊離塩基)を基準にして1〜150mgのAPIを含有する、請求項24または25に記載の錠剤。
【請求項27】
1〜150mgのBIBW2992、
50〜500mgの担体、結合剤、またはこれらの組合せ、
0.1〜5mgの流動促進剤、
1〜15mgの崩壊剤、および
1〜15mgの滑沢剤
を含む、請求項24、25または26に記載の錠剤。
【請求項28】
袋を備えたPVC−ブリスター、PVDC−ブリスター、またはアルミ箔ブリスターパック、アルミ/アルミブリスター、透明または不透明ポリマーブリスター、ポリプロピレンチューブ、着色ブリスター材料、チューブ、褐色ガラス瓶、ガラス瓶、およびHDPE瓶などの防水性包装材料中に包装され、前記包装材料は子供にとって安全である特徴を含んでもよく、また、モレキュラーシーブまたはシリカゲルなどの乾燥剤を含めて包装されてもよい、請求項22から27までのいずれか1項に記載の固形製剤。
【請求項29】
少なくとも1回の篩い分けステップと組み合わせた、ローラー圧密、ブリケッティングまたはスラッギングから選択される圧密ステップを含む、粉末形態のBIBW2992MA2の圧密化中間体の製造方法。
【請求項30】
ローラー圧密ステップが、
−BIBW2992MA2だけで実施されるか、あるいは任意選択で、
−圧密ロール上での重大な固着を防止するために、フリーフォールまたはタンブラーブレンダー中でのBIBW2992MA2と0〜1.0%の滑沢剤との予備ブレンドで実施される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ローラー圧密ステップが、
−水平、垂直または45°の角度に配置されていてもよく、
−その表面が平坦または形があってもよい、
圧密ロールを備えたローラーコンパクターを用い、
−1kN/cm〜20kN/cmの間
で変動する圧密力を使用し、
−1rpm〜30rpm
の圧密ロールの圧密速度で、かつ
−1mm〜10mm
の圧密ロール間隙幅で実施される、請求項30に記載の方法。
【請求項1】
活性物質BIBW2992MA2(API塩)の医薬剤形であって、欧州薬局方6.2による下記in vitro溶出条件[装置2(パドル);900mLのpH1〜6.8の溶出媒質または水;50〜150rpm、好ましくは50または75rpmの撹拌速度;温度37℃]下で、生理学的に意味のあるpH1〜6.8のpH領域にわたっておよび水中で、in vitroで、85%以上(Q=80%)が60分以内に溶出される即時放出溶出プロフィールを提供する医薬剤形。
【請求項2】
in vitroで、活性物質の85%以上(Q=80%)が、30分以内に溶出される即時放出プロフィールを提供する、請求項1に記載の医薬剤形。
【請求項3】
in vitroで、活性物質の85%以上(Q=80%)が、15分以内に溶出される即時放出プロフィールを提供する、請求項1に記載の医薬剤形。
【請求項4】
定常状態での活性物質の血漿中最大濃度(Cmax,ss)が用量に比例して増加する即時放出プロフィールを提供する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項5】
定常状態での血漿中の分析対象物/活性物質の投与間隔τにわたる血漿中濃度−時間曲線下面積(AUCτ,ss)が、用量に比例して増加する即時放出プロフィールを提供する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項6】
癌患者の血漿において、単回投与後および定常状態で、好ましくは1〜6時間の間のメディアン値で0.75〜7時間の間に最大血漿中濃度に到達することを特徴とする即時放出プロフィールを提供する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項7】
20mgのBIBW2992MA2(API塩)を含有する剤形を1日1回少なくとも14日間投与した場合に、癌患者の血漿において、定常状態での最大血漿中濃度が、15〜35ng/mlの間の幾何平均値で5ng/ml〜100ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項8】
30mgのBIBW2992MA2(API塩)を含有する剤形を1日1回少なくとも14日間投与した場合に、癌患者の血漿において、定常状態での最大血漿中濃度が、25〜120ng/mlの間の幾何平均値で5ng/ml〜30ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項9】
40mgのBIBW2992MA2(API塩)を含有する剤形を1日1回少なくとも14日間投与した場合に、癌患者の血漿において、定常状態での最大血漿中濃度が、25〜120ng/mlの間の幾何平均値で5ng/ml〜230ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項10】
50mgのBIBW2992MA2(API塩)を含有する剤形を1日1回少なくとも14日間投与した場合に、癌患者の血漿において、定常状態での最大血漿中濃度が、35〜120ng/mlの間の幾何平均値で5ng/ml〜230ng/mlの範囲内にある即時放出プロフィールを提供する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項11】
経口で送達できる剤形としての、請求項1から10までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項12】
錠剤、カプセル、ペレット、粉末または顆粒の形態にある、請求項11に記載の医薬剤形。
【請求項13】
腫瘍学的疾患から選択される疾患または状態を好ましくは治療するための抗増殖活性を有する医薬組成物として使用するための、請求項11または12に記載の医薬剤形。
【請求項14】
有効量の請求項1から13までのいずれか1項に記載の医薬剤形を、その治療を必要とする患者に1日に1回または数回、経口で投与することを特徴とする、腫瘍学的疾患から選択される疾患または状態の治療方法。
【請求項15】
1〜160mgの活性物質の用量範囲値を包含する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の医薬剤形。
【請求項16】
有効量の請求項1から15までのいずれか1項に記載の医薬剤形を、患者に1日に1回または数回、経口で投与することを特徴とする、腫瘍学的疾患から選択される疾患または状態の治療および/または予防方法。
【請求項17】
圧密後の少なくとも1回の篩い分けステップと組み合わせた、ローラー圧密、ブリケッティングまたはスラッギングから選択される圧密ステップによって得ることができ、API塩の量に基づいて計算して0〜2.0質量%の滑沢剤との混合物の状態にあってもよい、粉末形態のBIBW2992MA2(API塩)を含有する圧密化中間体。
【請求項18】
x10<200μm、1μm<x50<300μm、75μm<x90<600μmの粒径分布を特徴とする、請求項17に記載の圧密化中間体。
【請求項19】
0.2g/mL<ρp<1.0g/mLの範囲の注入密度(ρp)、および/または1.00<HF<1.30の範囲のハウスナー係数(HF)を特徴とする、請求項17に記載の圧密化中間体。
【請求項20】
請求項17から19までのいずれか1項に記載の圧密化中間体から調製される中間または最終ブレンド。
【請求項21】
(a)〜(g)の成分:
(a)約1〜99質量%の量のBIBW2992MA2の圧密化中間体、
(b)任意選択の約10〜99質量%の量の1種または複数の担体、
(c)約0〜99質量%の量の1種または複数の結合剤、
(d)約0〜10質量%の量の1種または複数の流動促進剤、
(e)約0〜10質量%の量の1種または複数の崩壊剤、
(f)約0〜10質量%の量の1種または複数の滑沢剤、および
(g)0〜10質量%のさらなる賦形剤および/または補助薬
から選択される含有物をさらに特徴とし、ここで、成分(a)に加えて、成分(b)〜(g)の少なくとも1種の存在が必須であるが、任意選択の成分(b)〜(g)の2種から多くて6種全部までが、中間および最終ブレンド中に存在してもよく、すべての成分を加えた合計が100%である、請求項20に記載の中間および最終ブレンド。
【請求項22】
請求項17から19までのいずれか1項に記載のBIBW2992MA2の圧密化中間体から、あるいは請求項20または21に記載の中間ブレンドから調製される即時使用/摂取用の固形経口製剤。
【請求項23】
粉末、顆粒、ペレット、錠剤、カプセル、咀嚼錠剤、分散性錠剤、トローチおよびロゼンジから選択される、請求項22に記載の固形経口製剤。
【請求項24】
請求項20または21に記載の最終ブレンドの直接圧縮によって、あるいは請求項20または21に記載の中間ブレンドの通常の湿式、乾式またはホット−メルト造粒で得られるペレットまたは顆粒の打錠によって得られる、請求項22に記載の固形経口錠剤。
【請求項25】
非被覆であるか、あるいは被覆、例えばフィルムコートされている、請求項24に記載の錠剤。
【請求項26】
BIBW2992(遊離塩基)を基準にして1〜150mgのAPIを含有する、請求項24または25に記載の錠剤。
【請求項27】
1〜150mgのBIBW2992、
50〜500mgの担体、結合剤、またはこれらの組合せ、
0.1〜5mgの流動促進剤、
1〜15mgの崩壊剤、および
1〜15mgの滑沢剤
を含む、請求項24、25または26に記載の錠剤。
【請求項28】
袋を備えたPVC−ブリスター、PVDC−ブリスター、またはアルミ箔ブリスターパック、アルミ/アルミブリスター、透明または不透明ポリマーブリスター、ポリプロピレンチューブ、着色ブリスター材料、チューブ、褐色ガラス瓶、ガラス瓶、およびHDPE瓶などの防水性包装材料中に包装され、前記包装材料は子供にとって安全である特徴を含んでもよく、また、モレキュラーシーブまたはシリカゲルなどの乾燥剤を含めて包装されてもよい、請求項22から27までのいずれか1項に記載の固形製剤。
【請求項29】
少なくとも1回の篩い分けステップと組み合わせた、ローラー圧密、ブリケッティングまたはスラッギングから選択される圧密ステップを含む、粉末形態のBIBW2992MA2の圧密化中間体の製造方法。
【請求項30】
ローラー圧密ステップが、
−BIBW2992MA2だけで実施されるか、あるいは任意選択で、
−圧密ロール上での重大な固着を防止するために、フリーフォールまたはタンブラーブレンダー中でのBIBW2992MA2と0〜1.0%の滑沢剤との予備ブレンドで実施される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ローラー圧密ステップが、
−水平、垂直または45°の角度に配置されていてもよく、
−その表面が平坦または形があってもよい、
圧密ロールを備えたローラーコンパクターを用い、
−1kN/cm〜20kN/cmの間
で変動する圧密力を使用し、
−1rpm〜30rpm
の圧密ロールの圧密速度で、かつ
−1mm〜10mm
の圧密ロール間隙幅で実施される、請求項30に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2011−522011(P2011−522011A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512146(P2011−512146)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056944
【国際公開番号】WO2009/147238
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056944
【国際公開番号】WO2009/147238
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】
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