説明

C型肝炎ウイルス阻害剤

一般式(I)


を有するC型肝炎ウイルス阻害剤を開示する。HCVを阻害するための、該化合物を含有する組成物および該化合物を用いる方法もまた開示する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年5月29日に出願された米国仮特許出願第61/056,952号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して抗ウイルス性化合物に関するものであり、さらに具体的には、C型肝炎ウイルス(HCV)によりコードされるNS3プロテアーゼ(本明細書において「セリンプロテアーゼ」とも称される)の機能を阻害することができる化合物、該化合物を含有する組成物、およびNS3プロテアーゼの機能を阻害する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
HCVは主要なヒト病原体であり、世界中で推定1億7千万人が感染しており-これはヒト免疫不全ウイルス1型による感染数のおよそ5倍である。これらHCV感染者のかなりの割合が、肝硬変および肝細胞癌を含む重篤な進行性肝疾患を発症する。
【0004】
現在、最も有効なHCVの治療法は、α-インターフェロンとリバビリンの組み合わせを用いており、40%の患者において持続的効果をもたらしている。最近の臨床結果は、ペグα-インターフェロンが単独療法としては未修飾のα-インターフェロンよりも優れていることを示す。しかしながら、ペグα-インターフェロンとリバビリンの組み合わせを含む実験的な治療レジメンでも、かなりの割合の患者において、ウイルス量の持続的な減少が認められない。従って、HCV感染症の有効な治療法の開発が明確にかつ長年にわたって切実に必要とされている。
【0005】
HCVはプラス鎖RNAウイルスである。5'非翻訳領域における推定アミノ酸配列および広範な類似性の比較に基づいて、HCVはフラビウイルス科の独立した属として分類されている。フラビウイルス科の全てのメンバーは、単一の連続したオープンリーディングフレームの翻訳を介して全ての公知のウイルス-特異的タンパク質をコードするプラス鎖RNAゲノムを含有するエンベロープに包まれたビリオンを有する。
【0006】
HCVゲノム全体にわたって、ヌクレオチドおよびコードされたアミノ酸配列内に、かなりの多様性が見いだされる。6つの主要な遺伝子型がキャラクタライズされており、50を超えるサブタイプが記載されている。HCVの主要な遺伝子型は世界的な分布において異なっており、病原および治療法における遺伝子型の影響の可能性についての多くの研究にもかかわらず、HCVの遺伝的多様性の臨床的意義は依然として捉えにくい。
【0007】
一本鎖HCV RNAゲノムは約9500ヌクレオチド長であり、約3000のアミノ酸である単一の大きなポリタンパク質をコードする単一のオープンリーディングフレーム(ORF)を有する。感染細胞において、このポリタンパク質は、細胞プロテアーゼおよびウイルスプロテアーゼにより複数の部位で切断され、構造タンパク質および非構造(NS)タンパク質を生じる。HCVの場合、成熟非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、およびNS5B)の生成は、2つのウイルスプロテアーゼによりもたらされる。1つめのものはNS2-NS3接合部を切断し;2つめは、NS3のN-末端領域内に含まれるセリンプロテアーゼであり、NS3の下流、すなわちNS3-NS4A切断部位においてシスで、残りのNS4A-NS4B、NS4B-NS5A、NS5A-NS5B部位についてトランスでの両方における以降の切断の全てを仲介する。該NS4Aタンパク質は複数の機能を果たすと思われ、NS3プロテアーゼの補助因子として作用し、NS3および他のウイルスのレプリカーゼ成分の膜局在をおそらく補助している。NS3タンパク質とNS4Aとの複合体形成は、効率的なポリタンパク質プロセシング、全ての部位におけるタンパク質分解効率の増強に必要であると思われる。該NS3タンパク質はまた、ヌクレオシドトリホスファターゼおよびRNAヘリカーゼ活性を示す。NS5Bは、HCVの複製に関与するRNA-依存性RNAポリメラーゼである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、NS3プロテアーゼが、例えばNS4Aプロテアーゼと合わさって、機能するのを阻害することができるペプチド化合物を提供する。さらに本開示は、患者への組み合わせ療法の実施について記載し、HCV NS3プロテアーゼを阻害するのに有効である本発明による化合物は、抗-HCV活性を有する1または2つのさらなる化合物とともに投与することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様において本発明は、式(I)
【化1】

[式中、
R2aおよびR2bは、水素またはメチルから独立して選択され;
R3は、アルケニル、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルから選択され;
R4は、-SR8、-S(O)-R8、またはSO2R8から選択され;
R6は、水素、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルキル、ハロアルコキシカルボニル、ハロアルキル、ハロアルキルカルボニル、(NReRf)カルボニル、または(NReRf)スルホニルから選択されるか;あるいは、
R6は、フェニル、または、窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を適宜含有する5-もしくは6-員の部分もしくは完全不飽和環から選択され;ここで、該環の各々は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルファニル、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、-NRgRh、(NRjRk)カルボニル、(NRjRk)スルホニル、またはオキソから独立して選択される1〜4個の置換基で適宜置換されており;
R7は、アルキル、シクロアルキル、または(シクロアルキル)アルキルから選択され;ここで、該シクロアルキルおよび該(シクロアルキル)アルキルのシクロアルキル部分は、アルケニル、アルコキシ、アルキル、またはハロから選択される1個の基で適宜置換されており;
R8は、アルコキシアルキル、アルキル、アリールアルキル、ハロアルコキシアルキル、またはハロアルキルから選択され;そして、
Qは、C5-7飽和または不飽和鎖である]
の化合物または医薬的に許容されるその塩を提供する。
【0010】
第1の態様の第1の実施態様において本発明は、R7がシクロアルキルである、式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩を提供する。第1の態様の第2の実施態様において、R7は無置換シクロアルキルである。
【0011】
第1の態様の第3の実施態様において本発明は、R2aおよびR2bが各々水素である、式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩を提供する。
【0012】
第1の態様の第4の実施態様において本発明は、R3がアリールである、式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩を提供する。
【0013】
第1の態様の第5の実施態様において本発明は、QがC6不飽和鎖である、式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩を提供する。
【0014】
第1の態様の第6の実施態様において本発明は、R8がアルキルである、式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩を提供する。
【0015】
第2の態様において本発明は、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩および医薬的に許容される担体を含有する組成物を提供する。第2の態様の第1の実施態様において、該組成物は、抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物ををさらに含有する。第2の態様の第2の実施態様において、該さらなる化合物のうちの少なくとも1つはインターフェロンまたはリバビリンである。第2の態様の第3の実施態様において、該インターフェロンはインターフェロンα2B、ペグインターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、またはリンパ芽球インターフェロンタウから選択される。
【0016】
第2の態様の第4の実施態様において本発明は、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、医薬的に許容される担体、および抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物を含有する組成物を提供し;ここで、該さらなる化合物のうちの少なくとも1つは、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5'−一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、アマンタジン、またはリマンタジンから選択される。
【0017】
第2の態様の第5の実施態様において本発明は、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、医薬的に許容される担体、および抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物を含有する組成物を提供し;ここで、該さらなる化合物のうちの少なくとも1つは、HCV感染症の治療のために、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、またはIMPDHから選択される標的の機能を阻害するのに有効である。
【0018】
第3の態様において本発明は、治療上有効な量の式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩を患者に投与することを含む、患者においてHCV感染症を治療する方法を提供する。第3の態様の第1の実施態様において、該方法は、抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物を、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の前、後、または同時に投与することをさらに含む。第3の態様の第2の実施態様において、該さらなる化合物のうちの少なくとも1つは、インターフェロンまたはリバビリンである。第3の態様の第4の実施態様において、該インターフェロンは、インターフェロンα2B、ペグインターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、またはリンパ芽球インターフェロンタウから選択される。
【0019】
第3の態様の第5の実施態様において本発明は、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の前、後、または同時に、治療上有効な量の式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩と、抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物を患者に投与することを含む、患者においてHCV感染症を治療する方法を提供し、ここで、該さらなる化合物のうちの少なくとも1つは、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5'−一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、アマンタジン、またはリマンタジンから選択される。
【0020】
第3の態様の第6の実施態様において本発明は、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の前、後、または同時に、治療上有効な量の式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩と、抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物を患者に投与することを含む、患者においてHCV感染症を治療する方法を提供し、ここで、該さらなる化合物のうちの少なくとも1つは、HCV感染症の治療のために、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、またはIMPDHから選択される標的の機能を阻害するのに有効である。
【0021】
第4の態様において本発明は、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、抗-HCV活性を有する1〜5個のさらなる化合物、および医薬的に許容される担体を含有する組成物を提供する。第4の態様の第1の実施態様において、該組成物は、抗-HCV活性を有する3または4個のさらなる化合物を含有する。第4の態様の第2の実施態様において、該組成物は、抗-HCV活性を有する1または2個のさらなる化合物を含有する。
【0022】
第5の態様において本発明は、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の前、後、または同時に、治療上有効な量の式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩と、抗-HCV活性を有する1〜5個のさらなる化合物を患者に投与することを含む、患者においてHCV感染症を治療する方法を提供する。第5の態様の第1の実施態様において、該方法は、抗-HCV活性を有する3または4個のさらなる化合物を投与することを含む。第5の態様の第2の実施態様において、該方法は、抗-HCV活性を有する1または2個のさらなる化合物を投与することを含む。
【0023】
本発明の他の態様は、本明細書において開示されている実施態様の適切な組合せを含んでよい。
【0024】
本発明のさらに他の態様および実施態様は、本明細書の記載中に見いだされうる。
【0025】
本明細書における本発明の記載は、化学結合の法則および原理と一致して解釈すべきである。場合によっては、任意の所与の位置に置換基を配置するために、水素原子を除去することが必要であり得る。
【0026】
本発明により包含される化合物は、医薬品としての使用に適切に安定であるものであることが理解されるべきである。
【0027】
分子中の特定の位置でのいずれの置換基または変数の定義は、該分子中の他の部分におけるその定義から独立していることを意図する。
【0028】
本明細書に記載の全ての特許、特許出願、および参考文献は、引用によりその全体が援用される。一貫性に欠ける場合、本出願の開示(定義を含む)を優先する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書において用いる場合、以下の用語は以下に記載される意味を有する。
【0030】
本明細書において用いる単数形「a」、「an」および「the」は、他に明確に指示されない限り、複数の言及も含む。
【0031】
特に指定のない限り、本発明の全てのアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクリル基は、それらの各々の定義に記載の通り置換されていてよい。例えば、アリールアルキル基のアリール部分は、用語「アリール」の定義に記載のとおり置換されていてよい。
【0032】
場合によって、任意の特定の基における炭素原子の数は、該基の表記の前に記載される。例えば、用語「C6アルキル」は6個の炭素原子を含むアルキル基を示す。これらの表記がされている場合、それらを本明細書に含まれる全ての他の定義に優先する。
【0033】
本明細書において用いる単数形「a」、「an」および「the」は、他に明確に指示されない限り、複数の言及も含む。
【0034】
本明細書において用いる用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する2から6個の炭素原子の直鎖または分枝鎖基を言う。
【0035】
本明細書において用いる用語「アルコキシ」は、酸素原子を介して親分子部分に結合したアルキル基を言う。
【0036】
本明細書において用いる用語「アルコキシアルキル」は、1〜3個のアルコキシ基で置換されたアルキル基を言う。
【0037】
本明細書において用いる用語「アルコキシカルボニル」は、カルボニル基を介して親分子部分に結合したアルコキシ基を言う。
【0038】
本明細書において用いる用語「アルキル」は、1から10個の炭素原子を含有する、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素由来の基を言う。
【0039】
本明細書において用いる用語「アルキルカルボニル」は、カルボニル基を介して親分子部分に結合したアルキル基を言う。
【0040】
本明細書において用いる用語「アルキルスルファニル」は、硫黄原子を介して親分子部分に結合したアルキル基を言う。
【0041】
本明細書において用いる用語「アルキルスルホニル」は、スルホニル基を介して親分子部分に結合したアルキル基を言う。
【0042】
本明細書において用いる用語「アリール」は、フェニル基、または1つもしくは両方の環がフェニル基である二環式縮合環系を言う。二環式縮合環系は、4-〜6-員芳香族もしくは非芳香族炭素環に縮合したフェニル基から成る。本発明のアリール基は、該基中のいずれの置換可能な炭素原子を介して親分子部分に結合することができる。アリール基の代表的な例としては、限定はされないが、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、およびテトラヒドロナフチルが挙げられる。本発明のアリール基は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、第2のアリール基、カルボキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロシクリル、ニトロ、-NRcRd、(NRcRd)カルボニル、またはオキソから独立して選択される1〜5個の置換基で適宜置換され得て;その中で、該第2のアリール基および該ヘテロシクリルは、アルコキシ、アルキル、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、またはニトロから独立して選択される1〜5個の置換基でさらに適宜置換され得る。
【0043】
本明細書において用いる用語「アリールアルキル」は、1〜3個のアリール基で置換されたアルキル基を言う。
【0044】
本明細書において用いる用語「カルボニル」は、-C(O)-を言う。
【0045】
本明細書において用いる用語「カルボキシ」は、-CO2Hを言う。
【0046】
本明細書において用いる用語「シアノ」は、-CNを言う。
【0047】
本明細書において用いる用語「シクロアルキル」は、3から10個の炭素原子および0個のヘテロ原子を有する、飽和単環式もしくは二環式の炭化水素環系を言う。シクロアルキル基の代表的な例としては、限定はされないが、シクロプロピル、シクロブチル、およびシクロペンチルが挙げられる。
【0048】
本明細書において用いる用語「(シクロアルキル)アルキル」は、1〜3個のシクロアルキル基で置換されたアルキル基を言う。
【0049】
本明細書において用いる用語「シクロアルキルオキシ」は、酸素原子を介して親分子部分に結合したシクロアルキル基を言う。
【0050】
本明細書において用いる用語「シクロアルキルオキシカルボニル」は、カルボニル基を介して親分子部分に結合したシクロアルキルオキシ基を言う。
【0051】
本明細書において用いる用語「ハロ」および「ハロゲン」は、F、Cl、Br、またはIを言う。
【0052】
本明細書において用いる用語「ハロアルコキシ」は、酸素原子を介して親分子部分に結合したハロアルキル基を言う。
【0053】
本明細書において用いる用語「ハロアルコキシアルキル」は、1〜3個のハロアルコキシ基で置換されたアルキル基を言う。
【0054】
本明細書において用いる用語「ハロアルコキシカルボニル」は、カルボニル基を介して親分子部分に結合したハロアルコキシ基を言う。
【0055】
本明細書において用いる用語「ハロアルキル」は、1から4個のハロゲン原子で置換されたアルキル基を言う。
【0056】
本明細書において用いる用語「ハロアルキルカルボニル」は、カルボニル基を介して親分子部分に結合したハロアルキル基を言う。
【0057】
本明細書において用いる用語「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する5-〜7-員環を言う。該5-員環は0から2個の二重結合を有し、該6-および7-員環は0から3個の二重結合を有する。該用語「ヘテロシクリル」には、ヘテロシクリル環が4-〜6-員芳香族もしくは非芳香族炭素環または別の単環式ヘテロシクリル基に縮合している二環式基も含まれる。本発明のヘテロシクリル基は、該基中の炭素原子または窒素原子を介して親分子部分に結合することができる。ヘテロシクリル基の例としては、限定はされないが、ベンゾチエニル、フリル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、オキサゾリル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピロロピリジニル、ピロリル、チアゾリル、チエニル、およびチオモルホリニルが挙げられる。本発明のヘテロシクリル基は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アリール、カルボキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、第2のヘテロシクリル基、ニトロ、-NRcRd、(NRcRd)カルボニル、またはオキソから独立して選択される1〜5個の置換基で適宜置換され得て;その中で、該アリールおよび該第2のヘテロシクリル基は、アルコキシ、アルキル、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、またはニトロから独立して選択される1〜5個の置換基でさらに適宜置換され得る。
【0058】
本明細書において用いる用語「ヘテロシクリルアルキル」は、1〜3個のヘテロシクリル基で置換されたアルキル基を言う。
【0059】
本明細書において用いる用語「ニトロ」は、-NO2を言う。
【0060】
本明細書において用いる用語「-NRcRd」は、窒素原子を介して親分子部分に結合した2個の基、RcおよびRdを言う。RcおよびRdは独立して、水素、アルコキシカルボニル、アルキル、またはアルキルカルボニルから選択される。
【0061】
本明細書において用いる用語「(NRcRd)カルボニル」は、カルボニル基を介して親分子部分に結合した-NRcRd基を言う。
【0062】
本明細書において用いる用語「-NReRf」は、窒素原子を介して親分子部分に結合した2つの基、ReおよびRfを言う。ReおよびRfは、各々独立して、水素、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ハロアルコキシアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルから選択される。
【0063】
本明細書において用いる用語「(NReRf)カルボニル」は、カルボニル基を介して親分子部分に結合した-NReRf基を言う。
【0064】
本明細書において用いる用語「(NReRf)スルホニル」は、スルホニル基を介して親分子部分に結合した-NReRf基を言う。
【0065】
本明細書において用いる用語「-NRgRh」は、窒素原子を介して親分子部分に結合した2つの基、RgおよびRhを言う。RgおよびRhは独立して、水素、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アリールアルキル、またはハロアルキルから選択される。
【0066】
本明細書において用いる用語「-NRjRk」は、窒素原子を介して親分子部分に結合した2つの基、RjおよびRkを言う。RjおよびRkは独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、またはヘテロシクリルから選択され;ここで、該アリール、該アリールアルキルのアリール部分、および該ヘテロシクリルは、アルコキシ、アルキル、もしくはハロから独立して選択される1もしくは2個の置換基で適宜置換されている。
【0067】
本明細書において用いる用語「(NRjRk)カルボニル」は、カルボニル基を介して親分子部分に結合した-NRjRk基を言う。
【0068】
本明細書において用いる用語「(NRjRk)スルホニル」は、スルホニル基を介して親分子部分に結合した-NRjRk基を言う。
【0069】
本明細書において用いる用語「オキソ」は、=Oを言う。
【0070】
本明細書において用いる用語「スルホニル」は、-SO2-を言う。
【0071】
本発明の化合物はプロドラッグとして存在し得る。本明細書において用いる用語「プロドラッグ」は、血液中での加水分解により、in vivoで迅速に親化合物に変換される化合物を意味する。本発明のプロドラッグとしては、親分子上のヒドロキシ基のエステル、親分子上のカルボキシ基のエステル、および親分子上のアミンのアミドが挙げられる。
【0072】
本発明の化合物は、医薬的に許容される塩として存在し得る。本明細書で用いる用語「医薬的に許容される塩」は、本発明の化合物の塩または双性イオン形態を意味し、それは水もしくは油-溶性もしくは分散性であり、適切な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずに患者の組織に接触して用いるのに適していて、それらの使用目的に有効である。該塩は化合物の最終的な単離および精製の間に製造することができるか、あるいは別途、適切な塩基性官能基を適切な酸と反応させることにより製造することができる。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩;ジグルコン酸塩(digluconate)、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロプリオン酸塩(phenylproprionate)、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、炭酸水素塩、パラ-トルエンスルホン酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。医薬的に許容される付加塩の形成に用いることができる酸の例としては、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸)、および有機酸(例えばシュウ酸、マレイン酸、コハク酸、およびクエン酸)が挙げられる。
【0073】
塩基付加塩は、酸性基を適切な塩基(例えば、金属カチオンのヒドロキシド、カーボネート、もしくはビカーボネート)と反応させるか、あるいはアンモニア、または有機第一級、第二級、もしくは第三級アミンと反応させることによる、化合物の最終的な単離および精製の間に製造することができる。医薬的に許容される塩のカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム、ならびに無毒性の第四級アミンカチオン(例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジクロロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、およびN,N'-ジベンジルエチレンジアミン)が挙げられる。塩基付加塩の形成に用いることができる他の代表的な有機アミンとしては、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、およびピペラジンが挙げられる。
【0074】
本明細書において用いる用語「抗-HCV活性」は、HCVウイルスの処置に有効な化合物を意味する。
【0075】
該用語「本発明の化合物」および同等の表現は、式(I)の化合物ならびにその医薬的に許容されるエナンチオマー、ジアステレオマー、および塩を包含することを意味する。同様に、中間体についての言及は、内容的に許される限りそれらの塩を包含することを意味する。
【0076】
該用語「患者」には、ヒトおよび他の哺乳動物の両方が含まれる。
【0077】
該用語「医薬組成物」は、投与方法および剤形の種類によって、少なくとも1種のさらなる医薬担体、すなわち、希釈剤、保存剤、充填剤、流動性調整剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着香剤、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤および予製剤などの、アジュバント、賦形剤またはベヒクルと組み合わせた本発明の化合物を含む組成物を意味する。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA (1999)に記載された成分を用いてもよい。
【0078】
該フレーズ「医薬的に許容される」は本明細書において、適切な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合って、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずに患者の組織と接触する使用に適した、化合物、物質、組成物、および/または剤形を意味するように用いられる。
【0079】
該用語「治療上有効な量」は、有意義な患者利益、例えばウイルス量の持続的減少、を示すのに十分な各活性成分の総量を意味する。単独で投与される個々の活性成分に適用する場合、この用語はその成分単独を意味する。組合せに適用する場合は、この用語は、組合せであれ、連続的であれ、または同時投与であれ、治療効果をもたらす活性成分の合計量を意味する。
【0080】
該用語「治療」は:(i)疾患、障害、および/または症状に罹りやすいが、まだ罹患していると診断されていない患者において、疾患、障害、または症状の発症を予防すること;(ii)疾患、障害、または症状の抑制、すなわち、その進行を抑止すること;ならびに/あるいは(iii)疾患、障害、または症状を軽減すること、すなわち、疾患、障害、および/または症状の退行をもたらすことを言う。
【0081】
本発明の化合物の命名において用いる場合、本明細書において用いる記号、P1'、P1、P2、P2*、P3、およびP4は、天然ペプチド切断基質の結合に対する、結合しているプロテアーゼ阻害剤のアミノ酸残基の相対的位置を表示する。切断はP1およびP1'間の天然基質で生じ、ここで、ノンプライム位置は、ペプチド天然切断部位のC-末端終部から開始してN-末端に伸びているアミノ酸を表し;一方、プライム位置は指定切断部位のN-末端から始まってC-末端に向かって伸びる。例えば、P1'は切断部位のC-末端の右側終部からの第1の位置(すなわち、N-末端第1位置)を示し;一方、P1はC-末端切断部位の左側から番号付けを開始(P2:C-末端からの第2の位置、など)する。[Berger, A. et al., Transactions of the Royal Society London series, B257:249-264 (1970)参照]。
【0082】
以下の図は、本発明の化合物のサブサイト記号表示を示す。
【化2】

【0083】
本発明の化合物には不斉中心が存在する。例えば、該化合物は、式
【化3】

で表されるP1シクロプロピル部分を含んでもよく、上記式中、C1およびC2は各々、該シクロプロピル環のポジション1および2における不斉炭素原子を示す。
【化4】

【0084】
本発明は、HCVプロテアーゼを阻害する能力を有する、全ての立体化学形態またはその混合物を包含すると理解されるべきである。
【0085】
本発明の特定の化合物はまた、異なる安定した立体構造形態で存在していてよく、それは分離可能でありうる。非対称単結合について制限された回転に起因するねじれ非対称(Torsional asymmetry)、例えば、立体障害または環の歪みにより、異なる配座異性体の分離が可能になり得る。本発明は、これら化合物の各配座異性体およびその混合物を含む。
【0086】
本発明の特定の化合物は双性イオン形態で存在していてよく、本発明はこれら化合物の各双性イオン形態およびその混合物を含む。
【0087】
治療で用いるために、治療上有効な量の式(I)の化合物ならびに医薬的に許容されるその塩を未加工の化学薬品(raw chemical)として投与することができる場合、活性成分を医薬組成物として存在させることができる。従って、本発明は、治療上有効な量の式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩、および1つ以上の医薬的に許容される担体、希釈剤、もしくは賦形剤を含む医薬組成物をさらに提供する。該式(I)の化合物および医薬的に許容されるその塩は上記の通りである。該担体、希釈剤、または賦形剤は、製剤の他の成分に適合し、そのレシピエントに有害でないという意味で許容可能でなくてはならない。本発明の別の態様によると、式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩を、1つ以上の医薬的に許容される担体、希釈剤、もしくは賦形剤と混合することを含む、医薬製剤の製造方法もまた提供する。
【0088】
医薬製剤は、単位用量あたり所定の量の活性成分を含む単位剤形であってもよい。本発明の化合物が1日あたり約0.01から約250ミリグラム/キログラム(「mg/kg」)体重、好ましくは1日あたり約0.05から約100mg/kg体重である投与量濃度が、HCV介在疾患の予防および治療に対する単独療法においては典型的である。通常、本発明の医薬組成物は、1日あたり約1から約5回投与されるか、あるいは持続投与され得る。そのような投与は、長期治療もしくは救急治療として用いることができる。担体材料と組み合わせて単一剤形を製造する活性成分の量は、治療する症状、症状の重篤性、投与回数、投与経路、用いた化合物の排出速度、治療期間、ならびに患者の年齢、性別、体重、および状態によって変えられ得る。好ましい単位用量製剤は、本明細書において上記した、活性成分の1日量もしくはそれ以下、またはその適当な画分を含むものである。通常、化合物の至適用量よりかなり少ない少用量で治療を開始する。その後、該条件下で最適な効果に達するまで投与量を少しずつ増加させる。概して、いずれの有害または有毒な副作用も伴わずに抗ウイルス効果が通常得られる濃度レベルで、該化合物を投与することが最も望ましい。
【0089】
本発明の組成物が、本発明の化合物と1つ以上のさらなる治療薬もしくは予防薬の組み合わせを含む場合、該化合物とさらなる薬剤の両者とも、通常、単独療法レジメンにおいて標準的に投与される用量の約10から150%、より好ましくは10から80%の用量レベルで存在する。
【0090】
医薬製剤は、いずれの適当な経路、例えば経口(頬側もしくは舌下を含む)、直腸、経鼻、局所的(頬側、舌下、もしくは経皮を含む)、膣、または、非経口(皮下、皮内、筋肉内、関節内、滑液嚢内(intrasynovial)、胸骨内、髄腔内、病巣内、静脈内、または皮内注射もしくは注入を含む)経路による投与に適応しうる。そのような製剤は、薬学の分野において公知のいずれの方法よっても(例えば活性成分と担体もしくは賦形剤を会合させることにより)、製造され得る。
【0091】
経口投与に適応した医薬製剤は、カプセル剤もしくは錠剤;粉末剤もしくは顆粒剤;水性もしくは非水性液体中の液剤もしくは懸濁剤;食用フォーム剤もしくはホイップ剤;または水中油液体エマルジョン剤もしくは油中水エマルジョン剤のような別々のユニットであってよい。
【0092】
例えば、経口投与用の錠剤もしくはカプセル剤の形態において、活性薬剤成分は、経口で無毒の医薬的に許容される不活性担体(例えばエタノール、グリセロール、水など)と組み合わせることができる。粉末剤は、化合物を適切な微粒子サイズに細かく粉末化し、同様に粉末化された食用炭水化物(例えばデンプンまたはマンニトール)などの医薬担体と混合することにより製造される。着香剤、保存剤、分散剤、および着色剤もまた存在し得る。
【0093】
カプセル剤は、上記の粉末混合物を製造し、成型ゼラチンシース(gelatin sheath)に詰めることにより製造される。充填工程の前に、流動化剤および滑沢剤(例えばコロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、または固体のポリエチレングリコール)を粉末混合物に添加することができる。崩壊剤または可溶化剤(例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム)を添加して、カプセル剤が摂取される際の薬剤の有効性を高めることもできる。
【0094】
さらに、所望される場合もしくは必要な場合、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤を混合物に加えることもできる。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖(例えばグルコースもしくはβ-ラクトース)、コーンシロップ、天然および合成ガム(例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらの剤形に用いられる滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、限定はしないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。錠剤は、例えば、粉末混合物を製造し、顆粒化もしくは充填し、滑沢剤および崩壊剤を添加し、そして錠剤に圧縮することにより製剤化される。粉末混合物は、適切に粉末化された化合物と、上記の希釈剤もしくは塩基、ならびに適宜、結合剤(例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート(aliginate)、ゼラチン(gelating)、もしくはポリビニルピロリドン)、溶解遅延剤(例えばパラフィン)、吸収促進剤(例えば第四級塩)および/または吸収剤(例えばベントナイト、カオリン、もしくはリン酸水素カルシウム)とを混合することにより製造される。結合剤(例えばシロップ、デンプン糊、アカシア粘液(acadia mucilage)、またはセルロース系物質もしくはポリマー系物質の溶液)で湿らせて、ふるいに押し通すことにより、粉末混合物を顆粒化することができる。顆粒化の代替法として、該粉末混合物を錠剤機に通して、不完全に成型されたスラグを得た後、顆粒に粉砕することができる。該顆粒を、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、または鉱物油の添加により滑らかにして、錠剤成形型から離れやすくすることができる。次いで、滑らかにした混合物を錠剤へと圧縮する。本発明の化合物はまた、自由流動性不活性担体と合わせて、顆粒化工程もしくは成形工程(slugging step)を経ずに直接、錠剤へと圧縮することができる。シェラックのシールコート(sealing coat)、糖もしくはポリマー材のコーティング、およびワックスの艶出しコーティングから成る、澄明もしくは不透明な保護コーティングを施すことができる。これらのコーティングに染料を添加して、異なる単位用量と区別することができる。
【0095】
経口液剤(例えば液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤)は、所定の分量が所定の量の化合物を含むように単位用量形態で製造することができる。シロップ剤は、化合物を適切に風味付けされた水溶液に溶解させることにより製造でき、一方、エリキシル剤は無毒のベヒクルを用いることにより製造される。可溶化剤および乳化剤(例えばエトキシ化イソステリアルアルコールおよびポリオキソエチレンソルビトールエーテル)、保存剤、香味添加剤(例えばペパーミント油あるいは天然甘味剤、またはサッカリンもしくは他の人工甘味剤など)を添加することもできる。
【0096】
必要に応じて、経口投与のために単位用量製剤をマイクロカプセル化することができる。該製剤はまた、例えば、ポリマー、ワックスなどの中に粒子状物質をコーティングまたは組み込むことによって、放出を遅延もしくは持続するように製造することもできる。
【0097】
式(I)の化合物、および医薬的に許容されるその塩はまた、リポソームデリバリーシステム(例えば、小型の単層ベシクル、大型の単層ベシクル、および多重層ベシクル)の形態で投与することもできる。リポソームは、様々なリン脂質(phopholipid)、例えばコレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンから形成することができる。
【0098】
式(I)の化合物および医薬的に許容されるその塩はまた、化合物分子が結合した個々の担体としてモノクローナル抗体を用いることによって送達してもよい。該化合物はまた、標的化可能な薬剤担体としての可溶性ポリマーと結合してもよい。そのようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはパリトイル(palitoyl)残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを挙げることができる。さらに、該化合物は、薬剤の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーの類、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン(polepsilon caprolactone)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロック共重合体に結合していてよい。
【0099】
経皮投与に適した医薬製剤は、長期間、レシピエントの表皮と密接な接触を維持することを目的とした、個別のパッチであってもよい。例えば、Pharm. Res., 3(6):318 (1986)に一般的に記載されるように、該活性成分はイオントフォレーシスによってパッチから送達されうる。
【0100】
局所投与に適した医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、粉末剤、液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアロゾル剤、または油剤として製剤化されうる。
【0101】
眼または他の外部組織、例えば口および皮膚の治療用の製剤は、局所用軟膏剤もしくはクリーム剤として塗布するのが好ましい。軟膏剤に製剤化する場合、該活性成分はパラフィン系(paraffinic)または水-混和性のいずれかの軟膏基剤とともに用いられ得る。別法として、該活性成分は水中油型クリーム基剤もしくは油中水型基剤(水-in oil base)を用いてクリーム剤に製剤化され得る。
【0102】
眼への局所投与に適した医薬製剤としては、該活性成分が適切な担体、とりわけ水性溶媒に溶解もしくは懸濁されている点眼剤が挙げられる。
【0103】
口への局所投与に適した医薬製剤としては、ドロップ剤(lozenge)、トローチ剤(pastille)、および口腔洗浄剤(mouth wash)が挙げられる。
【0104】
直腸投与に適した医薬製剤は、坐薬または浣腸剤であってよい。
【0105】
該担体が固体である、経鼻投与に適した医薬製剤としては、例えば20〜500ミクロンの粒子サイズを有する粗粉末(course powder)が挙げられ、それは、嗅ぎ薬を摂取する方法、すなわち、鼻に近づけられた粉末剤の容器から鼻腔を介して急速吸入することにより、投与される。鼻腔用スプレーもしくは点鼻薬として投与するための、担体が液体である適切な製剤としては、活性成分の水性または油性液剤が挙げられる。
【0106】
吸入による投与に適した医薬製剤としては、微粒子粉末もしくは微粒子ミストが挙げられ、それは様々なタイプの定量加圧(metered, dose pressurized)エアロゾル剤、ネブライザー、または吸入器を用いて発生されうる。
【0107】
膣内投与に適した医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、またはスプレー製剤であってよい。
【0108】
非経口投与に適した医薬製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤(bacteriostat)、および製剤を対象のレシピエントの血液と等張にする塩(soute)を含みうる水性および非水性の無菌注射液剤;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含みうる水性および非水性の無菌懸濁剤が挙げられる。該製剤は、単位用量もしくは複数用量(multi-dose)容器、例えば、密封アンプルおよびバイアルに入っていてよく、使用の直前に無菌の液体担体(例えば注射用の水)の添加のみを必要とする凍結乾燥状態で保存してもよい。即時調製(Extemporaneous)注射液剤および懸濁剤は、無菌粉末剤、顆粒剤、および錠剤から調製されうる。
【0109】
具体的に上述した成分に加えて、該製剤は、当該製剤のタイプに関して当分野で通常の他の薬剤を含んでもよい(例えば経口投与に適した製剤は香味剤を含んでもよい)ことが理解されるべきである。
【0110】
以下の表1は、本発明の化合物とともに投与することができる化合物のいくつかの実例を記載する。本発明の化合物は、他の抗-HCV活性化合物とともに併用療法において、一緒にまたは別個に、あるいは組成物中で該化合物と合わせることによって、投与することができる。
表1
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【0111】
本発明の化合物はまた、実験室用試薬として用いてもよい。化合物は、HCV疾患メカニズムの知識をさらに高めるためのウイルス複製アッセイの設計、動物アッセイ系の検証および構造生物学研究についての研究手段の提供において有益でありうる。さらに、本発明の化合物は、例えば競合阻害により、他の抗ウイルス性化合物の結合部位の確立または決定に有用である。
【0112】
本発明の化合物はまた、物質のウイルス汚染を治療もしくは予防するのに用いてもよく、それにより、そのような物質(例えば血液、組織、手術器具および手術着、実験器具および実験着、ならびに採血または輸血の器具および材料)と接触する、実験または医療の関係者または患者のウイルス感染の危険性を低下させうる。
【0113】
本発明は、合成プロセスまたは代謝プロセス(ヒトもしくは動物の体内(in vivo)で生じるもの、またはin vitroで生じるプロセスを含む)により作られる、式(I)を有する化合物を包含することを意図する。
【0114】
特に後述の例示的スキームおよび実施例におけるものを含めた本出願において使用される略語は、当業者には周知である。使用される略語のいくつかは以下の通り:DMSOはジメチルスルホキシド;THFはテトラヒドロフラン;および、rtは室温もしくは保持時間(文脈によって決定される)である。
【0115】
本発明の化合物の合成に有用な出発物質は当業者に公知であり、容易に製造できるか、または市販されている。
【0116】
以下に記載の方法は、例示目的であり、特許請求の範囲を制限することを意図するものではない。それは、一般的な保護基を用いて官能基が保護されている化合物を製造し、次いで該保護基を除去して、本発明の化合物を得るのに必要でありうると認識されよう。本発明による保護基の使用に関する詳細は、当業者には公知である。
【0117】
合成の概要
本発明の化合物は、一般スキーム1および2に概説されたとおりに合成されうる。
スキーム1
【化5】

スキーム2
【化6】

【実施例】
【0118】
実施例1:化合物1
【化7】

スキーム3
【化8】

工程1.
メチルスルホキシド(28.0 ml, 395 mmol)/ジクロロメタン(150 ml)溶液に、-78℃で、塩化オキサリル(99 ml, 198 mmol)を滴下した。得られた溶液をこの温度で30分間撹拌した。(2S,4R)-1-ベンジル 2-メチル 4-ヒドロキシピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(25.08 g, 90 mmol)/ジクロロメタン(150 ml)溶液を、-78℃で、滴下した。得られた白色のスラリーを-78℃で2時間撹拌した後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(78 ml, 449 mmol)を滴下した。最終的なピンク色の溶液を室温で3時間撹拌し、氷冷した1M HCl、5%クエン酸、および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残った薄茶色の油状物を、カラム(4:1、3:1、次いで2:1のヘキサン-酢酸エチルで溶出)により精製して、目的の生成物(17.8 g, 72%収率)を薄茶色の粘稠性の油状物として得た。 1H NMR (CDCl3) δ 2.58-2.63 (m, 1 H), 2.90-2.99 (m, 1 H), 3.62, 3.77 (s, 3 H, 回転異性体), 3.95-4.02 (m, 2 H), 4.82-4.89 (m, 1 H), 5.11-5.24 (m, 2 H), 7.32-7.39 (m, 5 H).
【0119】
工程2.
(S)-1-ベンジル 2-メチル 4-オキソピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(13.24 g, 47.8 mmol)/トルエン(400 mL)溶液に、0℃で、ビフェニル-4-イルマグネシウムブロミド(124 mL, 62.1 mmol)を滴下した。得られた薄黄色の溶液をこの温度で1時間撹拌し、NH4Clでクエンチし、有機層を分離した。水相を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせて食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、シリカゲルプラグ(4:1、3:1、次いで2:1、最後に3:2のヘキサン-酢酸エチルで溶出)を通すことにより精製して、10.50 gの白色の固形物を得て、それを酢酸エチル-ヘキサン(50 ml-150 ml)から再結晶化させて、7.50 gの目的の生成物を小さいピンク色の針状物質として得た。母液を濃縮し、BIOTAGE(登録商標)カラム(5%〜50% EtOAc-ヘキサンで溶出)により精製して、さらなる1.89 gの目的の生成物を得た。 1H NMR (CDCl3) δ 2.39-2.45 (m, 1 H), 2.70-2.75 (m, 1 H), 3.66, 3.86 (s, 3 H, 回転異性体), 3.80-3.90 (m, 1 H), 4.00-4.07 (m, 1 H), 4.62 (dd, J1,2 = 9.5, 28 Hz, 1 H), 5.09-5.15 (m, 1 H), 5.21-5.25 (m, 1 H), 7.31-7.38 (m, 6 H), 7.42-7.45 (m, 2 H), 7.54-7.59 (m, 6 H);LC-MS (保持時間: 2.77分, 方法B), MS m/z 414 (M+- H2O), 370 (M+- H2O - CO2).
【0120】
工程3.
アセトニトリル(30 mL)中の(2S,4R)-1-ベンジル 2-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-4-ヒドロキシピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(2.59 g, 6 mmol)および1-ブタンチオール(0.773 mL, 7.20 mmol)の澄明な溶液に、固体のトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)(0.295 g, 0.600 mmol)を、室温で一度に加えた。得られたピンク色の溶液をこの温度で26時間撹拌した。TLC分析によって、出発物質が完全に消費されたことが示された。飽和塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。残渣をBIOTAGE(登録商標)カラム(グラジエント 5〜40% 酢酸エチル-ヘキサンで溶出)により精製して、ジアステレオマーの混合物 2.54 g (84%)を得た。この油状の混合物をBIOTAGE(登録商標)(グラジエント 0〜20% 酢酸エチル-トルエンで溶出)により再度精製した。カラムから第1ピークを採取して、副生成物(2S,4S)-1-ベンジル 2-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-4-(ブチルチオ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(1.54 g, 2.60 mmol, 43.3%収率)をロウ状物質として得た。 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 0.77 (t, J=7.17, 3 H), 1.21-1.24 (m, 2 H), 1.28 - 1.34 (m, 2 H), 2.20 - 2.29 (m, 2 H), 2.41-2.46 (m, 1 H), 2.86 (dd, J=12.82, 7.32 Hz, 1 H), 3.53, 3.75 (s, 回転異性体, 3 H), 3.89 (dd, J=17.09, 11.29 Hz, 1 H), 4.23 - 4.36 (m, 1 H), 4.69 - 4.77 (m, 1 H) 5.22 - 5.30 (m, 2 H) 7.28 - 7.44 (m, 10 H), 7.53 - 7.60 (m, 4 H). LC-MS (保持時間: 3.28分, 方法B), MS m/z 504 (M+ H).
【0121】
目的の生成物(2S,4R)-1-ベンジル 2-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-4-(ブチルチオ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(0.96 g, 1.620 mmol, 27.0%収率)を、カラムから第2ピークとして、ロウ状物質として採取した。 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 0.77 (t, J=7.17, 3 H), 1.18 - 1.26 (m, 2 H), 1.27 - 1.35 (m, 2 H), 2.15 - 2.24 (m, 2 H), 2.64 - 2.73 (m, 1 H), 2.76 - 2.84 (m, 1 H), 3.61, 3.77 (s, 回転異性体, 3 H), 3.93 - 3.95 (m, 1 H), 4.16 - 4.30 (m, 1 H), 4.35 - 4.45 (m, 1 H), 5.03 -5.15 (m, 1 H), 5.22 (dd, J=16.02, 12.36 Hz, 1 H), 7.25 - 7.41 (m, 3 H), 7.33 - 7.39 (m, 4 H), 7.41 - 7.46 (m, 3 H), 7.51 - 7.60 (m, 4 H). LC-MS (保持時間: 3.28分, 方法B), MS m/z 504 (M+ H).
【0122】
工程4.
(2S,4R)-1-ベンジル 2-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-4-(ブチルチオ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(1.19 g, 2.363 mmol)/アセトニトリル(20 mL)の氷冷した溶液に、ヨードトリメチルシラン(0.404 mL, 2.84 mmol)を加えた。得られた薄茶色の溶液を室温で2時間撹拌した。氷浴で冷却し、チオフェノール(0.314 mL, 3.07 mmol)および飽和塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過した。濾液を塩酸(3.54 mL, 7.09 mmol)で処理し、減圧濃縮した。残った油状物をエーテルでトリチュレートし、エーテル層をデカンテーションした。残ったガム状物質を乾固するまでポンピングして、目的の生成物(2S,4R)-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-4-(ブチルチオ)ピロリジン-2-カルボキシレート, HCl(952 mg, 1.876 mmol, 79%収率)を薄黄色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 0.78 (t, J=7.22 Hz, 3 H), 1.23 - 1.32 (m, 4 H), 2.33 (dt, J=11.67, 7.13 Hz, 1 H), 2.37 - 2.43 (m, 1 H), 2.98 (dd, J=14.19, 10.22 Hz, 1 H), 3.13 (dd, J=14.04, 1.83 Hz, 1 H), 3.81 (d, J=11.90 Hz, 1 H), 3.96 (s, 3 H), 4.02 (d, J=11.90 Hz, 1 H), 4.79 (dd, J=10.38, 2.75 Hz, 1 H), 7.38 (m, 1 H), 7.44 - 7.52 (m, 4 H), 7.63 - 7.71 (m, 4 H). LC-MS (保持時間: 2.27分, 方法B), MS m/z 354 (M+ H).
【0123】
工程5.
ジクロロメタン(6 mL)中の(2S,4R)-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-4-(ブチルチオ)ピロリジン-2-カルボキシレート, HCl(235 mg, 0.579 mmol)、(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ノナ-8-エン酸(173 mg, 0.637 mmol)、およびO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムホスフェート(HATU, 330 mg, 0.868 mmol)の氷冷したスラリーに、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.404 mL, 2.315 mmol)を加えた。得られた無色のスラリーを室温で終夜撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、5%クエン酸でクエンチした。有機層を、0.1 M NaOHおよび食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。残渣をBIOTAGE(登録商標)カラム(5〜35% 酢酸エチル-ヘキサンで溶出)により精製して、目的の生成物(2S,4R)-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ノナ-8-エノイル)-4-(ブチルチオ)ピロリジン-2-カルボキシレート(215 mg, 0.345 mmol, 59.6%収率)を白色の泡状物質として得た。 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 0.73 - 0.91 (m, 3 H) 1.14 - 1.39 (m, 6 H) 1.38 - 1.60 (m, 14 H) 1.63 - 1.72 (m, 1 H) 1.75 - 1.85 (m, 1 H) 2.13 (q, J=6.92 Hz, 2 H) 2.25 - 2.36 (m, 2 H) 2.64 (dd, J=12.97, 6.26 Hz, 1 H) 2.89 (dd, J=12.97, 8.09 Hz, 1 H) 3.75 (s, 3 H) 4.09 (d, J=10.99 Hz, 1 H) 4.46 (dt, J=10.15, 3.78 Hz, 1 H) 4.68 (d, J=10.68 Hz, 1 H) 4.94 - 4.98 (m, 1 H) 5.01 - 5.11 (m, 1 H) 5.79 - 5.94 (m, J=17.01, 10.15, 6.71, 6.71 Hz, 1 H) 7.36 (t, J=7.48 Hz, 1 H) 7.46 (t, J=7.78 Hz, 2 H) 7.57 - 7.72 (m, 6 H). LC-MS (保持時間: 3.88分, 方法C), MS m/z 623 (M+ H).
【0124】
工程6.
THF(1.5 mL)およびメタノール(1.500 mL)中の(2S,4R)-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ノナ-8-エノイル)-4-(ブチルチオ)ピロリジン-2-カルボキシレート(135 mg, 0.217 mmol)の溶液に、予め製造した、水酸化リチウム一水和物(18.19 mg, 0.433 mmol)/水(1.5 mL)溶液を加えた。得られた濁った溶液を室温で(at room)3時間撹拌した。5%クエン酸でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、目的の生成物(2S,4R)-4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ノナ-8-エノイル)-4-(ブチルチオ)ピロリジン-2-カルボン酸(129 mg, 0.191 mmol, 88%収率)を白色の泡状物質として得た。 LC-MS (保持時間: 3.67分, 方法C), MS m/z 609 (M+ H).
【0125】
工程7.
ジクロロメタン(4 mL)中の(2S,4R)-4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3,3-ジメチルノナ-8-エノイル)-4-(ブチルチオ)ピロリジン-2-カルボン酸(126 mg, 0.198 mmol)、(1R,2S)-エチル 1-アミノ-2-ビニルシクロプロパンカルボキシレート(36.8 mg, 0.237 mmol)、およびO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムホスフェート(HATU, 113 mg, 0.297 mmol)の氷冷したスラリーに、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.104 mL, 0.594 mmol)を加えた。得られた薄茶色の溶液を室温で終夜撹拌した。酢酸エチルで希釈し、5%クエン酸、0.1 M NaOH、および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた茶色の残渣をBIOTAGE(登録商標)カラム(グラジエント 5〜45% 酢酸エチル-ヘキサンで溶出)により精製して、目的の生成物(1R,2S)-エチル 1-((2S,4R)-4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3,3-ジメチルノナ-8-エノイル)-4-(ブチルチオ)ピロリジン-2-カルボキサミド)-2-ビニルシクロプロパンカルボキシレート(75 mg, 0.097 mmol, 49.0%収率)を白色の膜状物質として得た。 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 0.75 - 0.90 (m, 3 H) 1.24 - 1.54 (m, 24 H) 1.61 (tt, J=9.00, 4.27 Hz, 1 H) 1.65 - 1.77 (m, 2 H) 1.86 (d, J=7.32 Hz, 1 H) 1.94 - 2.11 (m, 2 H) 2.19 - 2.41 (m, 3 H) 2.41 - 2.51 (m, 1 H) 2.77 (dd, J=13.12, 7.02 Hz, 1 H) 3.03 (dd, J=12.51, 7.63 Hz, 1 H) 3.94 - 4.04 (m, 1 H) 4.09 - 4.24 (m, 3 H) 4.35 (t, J=7.48 Hz, 1 H) 5.07 - 5.18 (m, 1 H) 5.24 - 5.36 (m, 1 H) 5.70 - 5.86 (m, 2 H) 7.30 - 7.41 (m, 1 H) 7.46 (t, J=7.63 Hz, 2 H) 7.58 - 7.75 (m, 6 H). LC-MS (保持時間: 3.72分, 方法C), MS m/z 774 (M-C2H4).
【0126】
工程8.
(1R,2S)-エチル 1-((2S,4R)-4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3,3-ジメチルノナ-8-エノイル)-4-(ブチルチオ)ピロリジン-2-カルボキサミド)-2-ビニルシクロプロパンカルボキシレート(75 mg, 0.097 mmol)/ジクロロメタン(30 mL)溶液を、窒素で3分間パージした。次いで、第2世代Hoveyda-Grubbs触媒(73.1 mg, 0.116 mmol)を加えた。得られた緑色の溶液を5時間還流加熱した。該反応液を2-メルカプトニコチン酸(30.1 mg, 0.194 mmol)でクエンチし、飽和Na2CO3および食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。茶色の残渣をBIOTAGE(登録商標)カラム(グラジエント 5%〜50% 酢酸エチル-ヘキサンで溶出)により精製して、目的の生成物(2R,6S,13aS,14aR,16aS,Z)-エチル 2-(ビフェニル-4-イル)-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(ブチルチオ)-5,16-ジオキソ-1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13a,14,14a,15,16,16a-ヘキサデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアザシクロペンタデシン(diazacyclopentadecine)-14a-カルボキシレート(59 mg, 0.074 mmol, 76%収率)をオフホワイト色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 0.83 (t, 3 H) 1.14 - 1.37 (m, 8 H) 1.38 - 1.54 (m, 17 H) 1.52 - 1.68 (m, 4 H) 1.79 - 1.95 (m, 1 H) 1.97 - 2.10 (m, 1 H) 2.25 - 2.37 (m, 2 H) 2.37 - 2.49 (m, 2 H) 2.53 (dd, J=12.51, 10.07 Hz, 1 H) 2.88 (dd, J=12.51, 7.02 Hz, 1 H) 3.97 - 4.08 (m, 2 H) 4.07 - 4.22 (m, 3 H) 4.50 (dd, J=10.22, 2.90 Hz, 1 H) 5.17 (d, J=10.68 Hz, 1 H) 5.34 (t, J=9.77 Hz, 1 H) 5.56 - 5.68 (m, 1 H) 7.30 - 7.41 (m, 1 H) 7.41 - 7.50 (m, 2 H) 7.60 (d, J=8.24 Hz, 4 H) 7.77 (d, J=8.24 Hz, 2 H). LC-MS (保持時間: 3.55分, 方法C), MS m/z 718 (M+ H).
【0127】
工程9.
THF(1 mL)およびMeOH(1.000 mL)中の(2R,6S,13aS,14aR,16aS,Z)-エチル 2-(ビフェニル-4-イル)-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(ブチルチオ)-5,16-ジオキソ-1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13a,14,14a,15,16,16a-ヘキサデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアザシクロペンタデシン-14a-カルボキシレート(59 mg, 0.082 mmol)の溶液に、予め製造した、水酸化リチウム一水和物(6.90 mg, 0.164 mmol)/水(1 mL)溶液を加えた。得られた濁った溶液を室温で(at room)5時間撹拌した。LC/MS分析によって、部分的な反応が示された。別部の水酸化リチウム一水和物(6.90 mg, 0.164 mmol)/水(0.2 ml)を加えて、さらに17時間撹拌した。LC/MS分析によって、ごく一部の出発物質が依然として残っていることが示された。別部の水酸化リチウム一水和物(6.90 mg, 0.164 mmol)/水(0.2 ml)を加えて、さらに5時間撹拌した。5%クエン酸でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、目的の生成物(2R,6S,13aS,14aR,16aS,Z)-2-(ビフェニル-4-イル)-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(ブチルチオ)-5,16-ジオキソ-1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13a,14,14a,15,16,16a-ヘキサデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアザシクロペンタデシン-14a-カルボン酸(57 mg, 0.074 mmol, 90%収率)を白色の泡状物質として得た。 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 0.84 (t, J=7.32 Hz, 3 H) 1.14 - 1.37 (m, 5 H) 1.38 - 1.54 (m, 16 H) 1.53 - 1.68 (m, 4 H) 1.82 - 1.95 (m, 1 H) 1.96 - 2.12 (m, 1 H) 2.21 - 2.38 (m, 2 H) 2.42 (dt, J=12.21, 7.17 Hz, 1 H) 2.48 - 2.63 (m, 1 H) 2.84 - 3.00 (m, 1 H) 3.92 - 4.18 (m, 2 H) 4.49 (dd, J=10.38, 2.75 Hz, 1 H) 5.18 (d, J=10.68 Hz, 1 H) 5.35 (t, J=9.77 Hz, 1 H) 5.56 - 5.68 (m, 1 H) 7.30 - 7.39 (m, 1 H) 7.45 (t, J=7.63 Hz, 2 H) 7.55 - 7.63 (m, 4 H) 7.77 (d, J=8.24 Hz, 2 H). LC-MS (保持時間: 3.34分, 方法C), MS m/z 690(M+ H).
【0128】
工程10.
テトラヒドロフラン(1 mL)中の(2R,6S,13aS,14aR,16aS,Z)-2-(ビフェニル-4-イル)-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(ブチルチオ)-5,16-ジオキソ-1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13a,14,14a,15,16,16a-ヘキサデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアザシクロペンタデシン-14a-カルボン酸(15 mg, 0.022 mmol)およびCDI(7.05 mg, 0.043 mmol)の溶液を、3時間、穏やかに還流加熱した。室温に冷却し、シクロプロパンスルホンアミド(5.27 mg, 0.043 mmol)およびDBU(9.83 μL, 0.065 mmol)を加え、該反応を室温で終夜続けた。溶媒を減圧除去した。残渣をプレパラティブHPLCにより精製して、目的の生成物tert-ブチル (2R,6S,13aS,14aR,16aS,Z)-2-(ビフェニル-4-イル)-2-(ブチルチオ)-14a-(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)-5,16-ジオキソ-1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13a,14,14a,15,16,16a-ヘキサデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアザシクロペンタデシン-6-イルカルバメート(11 mg, 0.014 mmol, 63.8%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 0.84 (t, J=7.32 Hz, 3 H) 1.00 - 1.06 (m, 1 H) 1.09 - 1.17 (m, 2 H) 1.27 -1.38 (m, 5 H) 1.38 - 1.47 (m, 5 H) 1.46 - 1.63 (m, 14 H) 1.70 (dd, J=8.09, 5.34 Hz, 1 H) 1.86 - 2.00 (m, 2 H)2.24 - 2.33 (m, 1 H) 2.39 - 2.48 (m, 2 H) 2.50 - 2.58 (m, 1 H) 2.63 (s, 1 H) 2.88 - 2.97 (m, 2 H) 3.98 - 4.07 (m,2 H) 4.46 (d, J=9.46 Hz, 1 H) 5.08 (t, J=9.31 Hz, 1 H) 5.28 (d, J=10.38 Hz, 1 H) 5.65 - 5.75 (m, 1 H) 7.36 (t, J=7.48 Hz, 1 H) 7.46 (t, J=7.63 Hz, 2 H) 7.59 (d, J=8.55 Hz, 4 H) 7.79 (t, J=9.00 Hz, 2 H). LC-MS (保持時間: 3.48分, 方法C), MS m/z 793(M+ H).
方法BについてのLC/MS条件:
開始%B = 0
最終%B = 100
グラジエント時間 = 3分
停止時間 = 4分
流速 = 4 ml/分
波長 = 220
溶媒A = 90% 水 -10% メタノール-0.1% TFA
溶媒B = 10% 水 -90% メタノール-0.1% TFA
カラム3 = (3) PHENOMENEX(登録商標)-LUNA 4.6 x 50mm S10
方法CについてのLC/MS条件:
開始%B = 30
最終%B = 100
グラジエント時間 = 3分
停止時間 = 4分
流速 = 4 ml/分
波長 = 220
溶媒A = 90% 水 -10% メタノール-0.1% TFA
溶媒B = 10% 水 -90% メタノール-0.1% TFA
カラム3 = (3) PHENOMENEX(登録商標)-LUNA 4.6 x 50mm S10
【0129】
実施例2:化合物2
【化9】

スキーム4
【化10】

工程1.
アセトニトリル(70 mL)中の(2S,4R)-1-ベンジル 2-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-4-ヒドロキシピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(6.48 g, 15.02 mmol)およびプロパ-2-エン-1-チオール(3.18 g, 30.0 mmol)の澄明な溶液に、固体のトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)(0.739 g, 1.502 mmol)を、室温で一度に加えた。得られたピンク色の溶液をこの温度で20時間撹拌した。LC/MSおよびTLC分析によって、出発物質が完全に消費され、目的の生成物が形成されたことが示された。飽和塩化アンモニウムでクエンチし、EtOAcで抽出した。有機物を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧エバポレートした。残渣をBIOTAGE(登録商標)カラム(5%〜50% EtOAc-ヘキサンで溶出)により精製して、ジアステレオマー(2.88 g, 79%)および出発物質(0.600 g, 18%)の混合物を得た。この混合物を、BIOTAGE(登録商標)カラム(2%〜8% EtOAc-トルエンで溶出)により再度精製して、目的の生成物(2S,4R)-1-ベンジル 2-メチル 4-(アリルチオ)-4-(ビフェニル-4-イル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(1.85 g, 3.41 mmol, 22.74%収率)を粘稠性の油状物として得て、目的でないジアステレオマーといくつかの重複した画分(1.80 g)を粘稠性の油状物として得た。 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 2.57 - 2.74 (m, 1 H) 2.77 - 2.93 (m, 3 H) 3.56 - 3.83 (m, 3 H) 3.92 (d, J=11.60 Hz, 1 H) 4.17 - 4.31 (m, 1 H) 4.33 - 4.49 (m, 1 H) 4.91 - 5.08 (m, 2 H) 5.10 - 5.26 (m, 1 H) 5.63 (ddd, J=17.01, 9.69, 7.17 Hz, 1 H) 7.20 - 7.41 (m, 7 H) 7.41 - 7.49 (m, 3 H) 7.49 - 7.66 (m, 4 H). LC-MS (保持時間: 3.32分, 方法C), MS m/z 488 (M+ H).
【0130】
工程2.
トリフルオロ酢酸無水物(1.451 mL, 10.27 mmol)を、室温で10分間、アセトニトリル(50 mL)中の尿素過酸化水素(2.58 g, 27.4 mmol)の撹拌したスラリーに加えた。得られた溶液を、アセトニトリル(50 mL)中の(2S,4R)-1-ベンジル 2-メチル 4-(アリルチオ)-4-(ビフェニル-4-イル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(1.67 g, 3.42 mmol)および炭酸水素ナトリウム(1.439 g, 17.12 mmol)の撹拌したスラリーに、滴下漏斗を用いて滴下した(わずかに発熱性であった)。最終混合液を室温で1時間撹拌した。水でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、エバポレートした。残渣をBIOTAGE(登録商標)システム(グラジエント 15%〜70% EtOAc-ヘキサンで溶出)により精製して、目的の生成物(2S,4R)-1-ベンジル 2-メチル 4-(アリルスルホニル)-4-(ビフェニル-4-イル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(1.75 g, 3.37 mmol, 98%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 2.92 - 3.07 (m, 1 H) 3.29 (d, J=7.78 Hz, 1 H) 3.57 (d, J=6.02 Hz, 2 H) 3.60 - 3.86 (m, 3 H) 4.17 - 4.34 (m, 2 H) 4.70 (t, J=9.91 Hz, 1 H) 4.92 - 5.17 (m, 2 H) 5.17 - 5.33 (m, 2 H) 5.38 (t, J=8.78 Hz, 1 H) 5.57 - 5.76 (m, 1 H) 7.17 - 7.44 (m, 6 H) 7.48 (t, J=7.65 Hz, 2 H) 7.61 - 7.88 (m, 6 H). LC-MS (保持時間: 1.66分, 方法A), MS m/z 520 (M+ H).
【0131】
工程3.
(2S,4R)-1-ベンジル 2-メチル 4-(アリルスルホニル)-4-(ビフェニル-4-イル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(1.90 g, 3.66 mmol)およびMeOH(100 mL)を含有する容器に、パラジウム炭素(0.195 g, 0.183 mmol)を加えた。該容器を、水素下において、25 psiの圧にて、4時間、パールシェイカー(Parr shaker)で処理した。セライト(登録商標)でクエンチした。濾過し、エバポレートして、目的の生成物(2S,4R)-1-ベンジル 2-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-4-(プロピルスルホニル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(1.77 g, 3.39 mmol, 93%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 0.85 - 1.06 (m, 3 H) 1.64 (dt, J=14.87, 7.50 Hz, 2 H) 2.71 - 2.82 (m, 1 H) 3.01 (dt, J=13.05, 9.16 Hz, 1 H) 3.25 - 3.41 (m, 1 H) 3.60 - 3.84 (m, 3 H) 4.16 - 4.35 (m, 2 H) 4.69 (dd, J=11.42, 6.65 Hz, 1 H) 4.91 - 5.28 (m, 2 H) 7.14 - 7.43 (m, 6 H) 7.44 - 7.53 (m, 2 H) 7.63 - 7.88 (m, 6 H). LC-MS (保持時間: 1.75分, 方法A), MS m/z 522 (M+ H).
【0132】
工程4.
(2S,4R)-1-ベンジル 2-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-4-(プロピルスルホニル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(1.85 g, 3.55 mmol)/アセトニトリル(30 mL)溶液に、ヨードトリメチルシラン(1.211 mL, 8.51 mmol)を0℃で加えた。得られた薄茶色の溶液を室温で2時間撹拌した。氷浴で冷却し、メタノールでクエンチした。揮発性物質を減圧除去した。残った茶色の油状物を2M HCl/エーテル(20 mL)でトリチュレートした。得られた茶色の固形物を濾過した。該ケーキをエーテルで十分に洗浄した。薄茶色の固形物を集めてポンピングし、目的の生成物(2S,4R)-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-4-(プロピルスルホニル)ピロリジン-2-カルボキシレート(1.54 g, 3.19 mmol, 90%収率)を得た。 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 0.97 (t, J=7.32 Hz, 3 H) 1.57 - 1.71 (m, 2 H) 2.96 (dd, J=9.16, 5.49 Hz, 1 H) 3.22 - 3.39 (m, 2 H) 3.65 (dd, J=15.72, 4.73 Hz, 1 H) 3.94 (s, 1 H) 4.14 (d, J=13.12 Hz, 1 H) 4.70 (d, J=13.12 Hz, 1 H) 7.37 - 7.44 (m, 1 H) 7.45 - 7.54 (m, 2 H) 7.66 (dd, J=19.99, 7.78 Hz, 4 H) 7.79 (d, J=8.55 Hz, 2 H). LC-MS (保持時間: 1.42分, 方法A), MS m/z 388 (M+ H).
【0133】
工程5.
DCM(35 mL)中の(2S,4R)-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-4-(プロピルスルホニル)ピロリジン-2-カルボキシレート, HCl(1.505 g, 3.55 mmol)、(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ノナ-8-エン酸(1.060 g, 3.90 mmol)、およびHATU(2.022 g, 5.32 mmol)のスラリーに、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.10 mL, 17.75 mmol)を、氷浴で、滴下した。得られた無色のスラリーを、室温で終夜撹拌した。DCMで希釈し、5%クエン酸で洗浄した。有機層を、0.1 M NaOHおよび食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧エバポレートした。残渣をBIOTAGE(登録商標)カラム(10〜60% EtOAc-ヘキサンで溶出)により精製して、目的の生成物(2S,4R)-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ノナ-8-エノイル)-4-(プロピルスルホニル)ピロリジン-2-カルボキシレート(1.52 g, 2.135 mmol, 60.1%収率)を白色の泡状物質として得た。 1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 0.87 - 1.03 (m, 3 H) 1.35 - 1.57 (m, 13 H) 1.57 - 1.72 (m, 3 H) 1.72 - 1.84 (m, 1 H) 2.11 (q, J=6.61 Hz, 2 H) 2.74 - 2.86 (m, 2 H) 2.94 (dd, J=13.30, 9.79 Hz, 1 H) 3.27 (dd, J=13.05, 7.28 Hz, 1 H) 3.71, 3.91 (s, 3 H) 4.28 (dd, J=9.41, 7.65 Hz, 1 H) 4.41 (d, J=11.04 Hz, 1 H) 4.47 - 4.56 (m, 1 H) 4.92 - 4.99 (m, 1 H) 5.03 (dd, J=17.19, 1.63 Hz, 1 H) 5.12 (d, J=11.29 Hz, 1 H) 5.78 - 5.92 (m, 1 H) 7.34 - 7.43 (m, 1 H) 7.43 - 7.54 (m, 2 H) 7.62 - 7.72 (m, 2 H) 7.71 - 7.82 (m, 2 H) 7.91 (d, J=8.53 Hz, 2 H). LC-MS (保持時間: 2.06分, 方法A), MS m/z 641 (M+ H).
【0134】
工程6.
THF(20.00 mL)およびMeOH(20 mL)中の(2S,4R)-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ノナ-8-エノイル)-4-(プロピルスルホニル)ピロリジン-2-カルボキシレート(1.52 g, 2.372 mmol)の溶液に、予め製造した、水酸化リチウム(0.199 g, 4.74 mmol)/水(20.00 mL)溶液を加えた。得られた濁った溶液を室温で3時間撹拌した。揮発性物質を減圧除去した。残渣を、1M HClを用いてpH 3に酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層を、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧エバポレートして、目的の生成物(2S,4R)-4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ノナ-8-エノイル)-4-(プロピルスルホニル)ピロリジン-2-カルボン酸(1.45 g, 2.198 mmol, 93%収率)を白色の泡状物質として得た。 1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 0.97 (t, J=7.53 Hz, 3 H) 1.36 - 1.55 (m, 12 H) 1.55 - 1.82 (m, 4 H) 2.10 (q, J=6.61 Hz, 2 H) 2.81 (dd, J=8.66, 6.65 Hz, 2 H) 2.91 (dd, J=12.92, 10.42 Hz, 1 H) 3.28 (d, J=7.28 Hz, 1 H) 4.20 (dd, J=9.91, 7.40 Hz, 1 H) 4.37 (d, J=11.04 Hz, 1 H) 4.52 (t, J=6.90 Hz, 1 H) 4.95 (dd, J=10.16, 1.13 Hz, 2 H) 4.98 - 5.07 (m, 1 H) 5.13 (d, J=11.04 Hz, 1 H) 5.77 - 5.94 (m, 1 H) 7.33 - 7.42 (m, 1 H) 7.48 (t, J=7.53 Hz, 2 H) 7.65 (d, J=7.53 Hz, 2 H) 7.72 - 7.78 (m, 2 H) 7.93 (d, J=8.28 Hz, 2 H). LC-MS (保持時間: 1.99分, 方法A), MS m/z 627 (M+ H).
【0135】
工程7.
DCM(30 mL)中の(2S,4R)-4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ノナ-8-エノイル)-4-(プロピルスルホニル)ピロリジン-2-カルボン酸(1.45 g, 2.313 mmol)、(1R,2S)-エチル 1-アミノ-2-ビニルシクロプロパンカルボキシレート, HCl(0.532 g, 2.78 mmol)、およびHATU(1.319 g, 3.47 mmol)のスラリーに、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.212 mL, 6.94 mmol)を、氷浴で、滴下した。得られた薄茶色の溶液を、室温で終夜撹拌した。それを、5%クエン酸、0.1 M NaOH、および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、エバポレートした。得られた茶色の残渣をBIOTAGE(登録商標)カラム(グラジエント 15%〜70% EtOAc-ヘキサンで溶出)により精製して、目的の生成物(1R,2S)-エチル 1-((2S,4R)-4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ノナ-8-エノイル)-4-(プロピルスルホニル)ピロリジン-2-カルボキサミド)-2-ビニルシクロプロパンカルボキシレート(1.47 g, 1.828 mmol, 79%収率)を白色の泡状物質として得た。 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 0.97 (t, J=7.32 Hz, 6 H) 1.24 - 1.41 (m, 6 H) 1.38 - 1.46 (m, 3 H) 1.51 (s, 6 H) 1.56 - 1.81 (m, 6 H) 2.00 (t, J=6.56 Hz, 1 H) 2.28 - 2.50 (m, 1 H) 2.70 - 2.87 (m, 2 H) 2.93 (dd, J=13.12, 10.99 Hz, 1 H) 4.09 - 4.25 (m, 3 H) 4.31 (t, J=7.32 Hz, 1 H) 4.38 (d, J=10.99 Hz, 1 H) 4.70 - 4.85 (m, 1 H) 4.93 - 5.05 (m, 2 H) 5.06 - 5.18 (m, 2 H) 5.25 - 5.41 (m, 2 H) 5.69 - 5.87 (m, 2 H) 7.36 - 7.45 (m, 1 H) 7.49 (t, J=7.63 Hz, 2 H) 7.61 - 7.71 (m, 2 H) 7.73 - 7.81 (m, 2 H) 7.81 - 7.99 (m, 2 H). LC-MS (保持時間: 2.07分, 方法A), MS m/z 764 (M+ H).
【0136】
工程8.
(1R,2S)-エチル 1-((2S,4R)-4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ノナ-8-エノイル)-4-(プロピルスルホニル)ピロリジン-2-カルボキサミド)-2-ビニルシクロプロパンカルボキシレート(1.36 g, 1.78 mmol)/ジクロロメタン(400 mL)溶液を、窒素で2分間パージした。次いで、第2世代Hoveyda-Grubbs触媒(6.25 mg, 9.95 μmol)を加えた。得られたピンク色の溶液を、4時間還流加熱した。溶媒を減圧除去した。茶色の残渣をBIOTAGE(登録商標)カラム(グラジエント 15%〜70% EtOAc-ヘキサンで溶出)により精製して、目的の生成物(2R,6S,13aS,14aR,16aS,Z)-エチル 2-(ビフェニル-4-イル)-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5,16-ジオキソ-2-(プロピルスルホニル)-1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13a,14,14a,15,16,16a-ヘキサデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアザシクロペンタデシン-14a-カルボキシレート(1.12 g, 1.52 mmol, 85.0%収率)をオフホワイト色の固形物として得た。 1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 0.98 (t, J=7.40 Hz, 3 H) 1.20 - 1.33 (m, 4 H) 1.37 - 1.53 (m, 12 H) 1.53 - 1.66 (m, 3 H) 1.64 - 1.79 (m, 2 H) 1.79 - 1.91 (m, 1 H) 1.94 - 2.08 (m, 1 H) 2.31 (q, J=8.95 Hz, 1 H) 2.40 - 2.55 (m, 1 H) 2.75 - 2.90 (m, 2 H) 3.04 - 3.13 (m, 1 H) 3.13 - 3.25 (m, 1 H) 4.00 - 4.23 (m, 3 H) 4.40 (d, J=10.79 Hz, 1 H) 4.47 (dd, J=10.29, 2.76 Hz, 1 H) 5.25 - 5.42 (m, 2 H) 5.55 - 5.67 (m, 1 H) 7.34 - 7.43 (m, 1 H) 7.48 (t, J=7.53 Hz, 2 H) 7.63 (d, J=7.28 Hz, 2 H) 7.72 (d, J=8.53 Hz, 2 H) 7.99 (d, J=8.53 Hz, 2 H). LC-MS (保持時間: 1.93分, 方法A), MS m/z 736 (M+ H).
【0137】
工程9.
THF(10 mL)およびMeOH(10.00 mL)中の(2R,6S,13aS,14aR,16aS,Z)-エチル 2-(ビフェニル-4-イル)-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5,16-ジオキソ-2-(プロピルスルホニル)-1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13a,14,14a,15,16,16a-ヘキサデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアザシクロペンタデシン-14a-カルボキシレート(996 mg, 1.353 mmol)の溶液に、予め製造した、水酸化リチウム一水和物(341 mg, 8.12 mmol)/水(10 mL)溶液を加えた。得られた濁った溶液を、3時間、穏やかに還流加熱した。室温に冷却し、5%クエン酸でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、エバポレートして、目的の生成物(2R,6S,13aS,14aR,16aS,Z)-2-(ビフェニル-4-イル)-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5,16-ジオキソ-2-(プロピルスルホニル)-1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13a,14,14a,15,16,16a-ヘキサデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアザシクロペンタデシン-14a-カルボン酸(949 mg, 1.274 mmol, 94%収率)を白色の泡状物質として得た。 1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 0.98 (t, J=7.40 Hz, 3 H) 1.21 - 1.33 (m, 1 H) 1.34 - 1.54 (m, 16 H) 1.51 - 1.64 (m, 5 H) 1.64 - 1.78 (m, 2 H) 1.80 - 1.92 (m, 1 H) 1.92 - 2.09 (m, 1 H) 2.32 (q, J=8.95 Hz, 1 H) 2.52 (ブロード. s., 1 H) 2.72 - 2.90 (m, 2 H) 3.03 - 3.12 (m, 1 H) 3.13 - 3.23 (m, 1 H) 4.03 - 4.19 (m, 1 H) 4.39 (d, J=10.54 Hz, 1 H) 4.45 (dd, J=10.29, 2.76 Hz, 1 H) 5.25 - 5.42 (m, 2 H) 5.54 - 5.68 (m, 1 H) 7.32 - 7.43 (m, 1 H) 7.47 (t, J=7.53 Hz, 2 H) 7.63 (d, J=7.28 Hz, 2 H) 7.71 (d, J=8.53 Hz, 2 H) 7.98 (d, J=8.28 Hz, 2 H). LC-MS (保持時間: 1.84分, 方法A), MS m/z 708 (M+ H).
【0138】
工程10.
テトラヒドロフラン(20 mL)中の(2R,6S,13aS,14aR,16aS,Z)-2-(ビフェニル-4-イル)-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5,16-ジオキソ-2-(プロピルスルホニル)-1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13a,14,14a,15,16,16a-ヘキサデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアザシクロペンタデシン-14a-カルボン酸(995 mg, 1.406 mmol)およびCDI(274 mg, 1.687 mmol)の溶液を、3時間、穏やかに還流加熱した。室温に冷却し、シクロプロパンスルホンアミド(204 mg, 1.687 mmol)およびDBU(0.424 mL, 2.81 mmol)を加え、該反応を室温で4時間続けた。溶媒を減圧除去した。残渣をEtOAc中に溶解させた。それを、5%クエン酸および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、エバポレートした。残渣をBIOTAGE(登録商標)システム(グラジエント 10%〜50% アセトン-ヘキサンで溶出)により精製して、目的の生成物tert-ブチル (2R,6S,13aS,14aR,16aS,Z)-2-(ビフェニル-4-イル)-14a-(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)-5,16-ジオキソ-2-(プロピルスルホニル)-1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13a,14,14a,15,16,16a-ヘキサデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアサシクロペンタデシン-6-イルカルバメート(827 mg, 0.999 mmol, 71.1%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 0.87 - 1.09 (m, 5 H) 1.06 - 1.22 (m, 2 H) 1.24 - 1.40 (m, 3 H) 1.39 - 1.66 (m, 17 H) 1.64 - 1.79 (m, 3 H) 1.82 - 2.03 (m, 2 H) 2.39 (d, J=8.53 Hz, 1 H) 2.65 (ブロード. s., 1 H) 2.75 - 3.01 (m, 3 H) 3.05 - 3.27 (m, 2 H) 4.14 (dd, J=10.04, 6.53 Hz, 1 H) 4.43 (d, J=10.54 Hz, 2 H) 4.54 (s, 1 H) 5.11 (ブロード. s., 1 H) 5.34 (d, J=10.54 Hz, 1 H) 5.70 (q, J=8.53 Hz, 1 H) 7.35 - 7.43 (m, 1 H) 7.48 (t, J=7.65 Hz, 2 H) 7.63 (d, J=7.53 Hz, 2 H) 7.72 (d, J=8.28 Hz, 2 H) 7.98 (d, J=8.28 Hz, 2 H). LC-MS (保持時間: 1.92分, 方法A), MS m/z 811 (M+ H).
方法AについてのLC/MS条件:
開始%B = 30
最終%B = 100
グラジエント時間 = 2分
停止時間 = 3分
流速 = 4 ml/分
波長 = 220
溶媒A = 90% 水 -10% メタノール-0.1% TFA
溶媒B = 10% 水 -90% メタノール-0.1% TFA
カラム3 = (3) PHENOMENEX(登録商標)-LUNA 4.6 x 50mm S10
方法BについてのLC/MS条件:
開始%B = 30
最終%B = 100
グラジエント時間 = 3分
停止時間 = 4分
流速 = 4 ml/分
波長 = 220
溶媒A = 90% 水 -10% メタノール-0.1% TFA
溶媒B = 10% 水 -90% メタノール-0.1% TFA
カラム3 = (3) PHENOMENEX(登録商標)-LUNA 4.6 x 50mm S10
方法CについてのLC/MS条件:
開始%B = 0
最終%B = 100
グラジエント時間 = 3分
停止時間 = 4分
流速 = 4 ml/分
波長 = 220
溶媒A = 90% 水 -10% メタノール-0.1% TFA
溶媒B = 10% 水 -90% メタノール-0.1% TFA
カラム3 = (3) PHENOMENEX(登録商標)-LUNA 4.6 x 50mm S10
【0139】
生物学的研究
HCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体酵素アッセイおよび細胞ベースのHCVレプリコンアッセイを本発明において用い、当分野における記載の通り調製し、実施し、確認した(例えばWO 2008/064061参照)。
【0140】
化合物1を上述のとおり試験し、4 nMのIC50(NS3/4A BMS株)を有することが見出された。EC50は5 nMである。
【0141】
本発明は前述の例示的な実施例に限定されず、そしてその本質的特性から逸脱することなく他の特定の形態において具体化することができることが当業者には明白であろう。従って該実施例は、あらゆる点で、制限するものではなく例示的なものとしてみなされ、そして、前述の実施例に対してよりはむしろ特許請求の範囲を参照すべきであり、従って、特許請求の範囲と同等の意味および範囲内となる全ての変更を包含すると意図することが望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
R2aおよびR2bは、水素またはメチルから独立して選択され;
R3は、アルケニル、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルから選択され;
R4は、-SR8、-S(O)-R8、またはSO2R8から選択され;
R6は、水素、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルキル、ハロアルコキシカルボニル、ハロアルキル、ハロアルキルカルボニル、(NReRf)カルボニル、または(NReRf)スルホニルから選択されるか;あるいは、
R6は、フェニル、または、窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を適宜含有する5-もしくは6-員の部分もしくは完全不飽和環から選択され;ここで、該環の各々は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルファニル、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、-NRgRh、(NRjRk)カルボニル、(NRjRk)スルホニル、またはオキソから独立して選択される1〜4個の置換基で適宜置換されており;
R7は、アルキル、シクロアルキル、または(シクロアルキル)アルキルから選択され;ここで、該シクロアルキルおよび該(シクロアルキル)アルキルのシクロアルキル部分は、アルケニル、アルコキシ、アルキル、またはハロから選択される1個の基で適宜置換されており;
R8は、アルコキシアルキル、アルキル、アリールアルキル、ハロアルコキシアルキル、またはハロアルキルから選択され;そして、
Qは、C5-7飽和または不飽和鎖である]
の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項2】
R7がシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項3】
R7が無置換シクロアルキルである、請求項2に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項4】
R2aおよびR2bが各々水素である、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項5】
R3がアリールである、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項6】
QがC6不飽和鎖である、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項7】
R8がアルキルである、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項8】

【化2】

である化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩および医薬的に許容される担体を含有する組成物。
【請求項10】
抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物をさらに含有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
該さらなる化合物のうちの少なくとも1つがインターフェロンまたはリバビリンである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
該インターフェロンが、インターフェロンα2B、ペグインターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、またはリンパ芽球インターフェロンタウから選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
該さらなる化合物のうちの少なくとも1つが、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5'−一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、アマンタジン、またはリマンタジンから選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
該さらなる化合物のうちの少なくとも1つが、HCV感染症の治療のために、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、またはIMPDHから選択される標的の機能を阻害するのに有効である、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
治療上有効な量の請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩を患者に投与することを含む、患者においてHCV感染症を治療する方法。
【請求項16】
抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物を、請求項1に記載の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩の前、後、または同時に投与することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該さらなる化合物のうちの少なくとも1つがインターフェロンまたはリバビリンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
該インターフェロンが、インターフェロンα2B、ペグインターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、またはリンパ芽球インターフェロンタウから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該さらなる化合物のうちの少なくとも1つが、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5'−一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、アマンタジン、およびリマンタジンから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
該さらなる化合物のうちの少なくとも1つが、HCV感染症の治療のために、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、またはIMPDHから選択される標的の機能を阻害するのに有効である、請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2011−521965(P2011−521965A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511824(P2011−511824)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/045501
【国際公開番号】WO2009/148923
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】