説明

C型肝炎ウイルス5及び6型

【課題】新規なC型肝炎ウィルス5型及び6型のアミノ酸又は塩基配列を提供する。
【解決手段】以下のアミノ酸配列からなる群から選択される抗原性NS4配列を有するHCVペプチド。
HCV5型 RPAI I PDREVLYQQFDKM、
HCV6型 KPAVVPDREILYQQFDEM、
生物試料における対応するHCV-5及びHCV-6抗体を検出するための免疫分析に有用な、抗原性NS4ペプチドを付与するように続いている欠失、挿入又は置換を有するその配列変異体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新たに解明されたC型肝炎ウイルス5型(HCV−5)の配列及び新たに発見された6型(HCV−6)に関する。特に、C型肝炎ウイルス5及び6型の病因並びに生体試料中のHCV−5及びHCV−6の検出用免疫分析に有効なポリヌクレオチド及び免疫反応性ポリペプチドに関し、更に、ワクチンにおけるHCV−5及びHCV−6抗原特異的ポリペプチドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
急性ウイルス性肝炎は、慢性の肝臓損傷を引き起こすことのある疾患である。
臨床的には、黄疸、肝痛覚及び血清レベルのアラニンアミノトランスフェラーゼ及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの上昇を含む患者の一組の明瞭な症状によって診断される。血清学的免疫分析は、通常、特定の種類のウイルス作因を診断するために行われる。歴史的には、肝炎の症状を示しかつA型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス又、エプスタイン・バールウイルス又はサイトメガロウイルスによって感染されていない患者は、怠慢により臨床的には非A非B型肝炎(NANBH)として診断された。
【0003】
長い間、非A非B型肝炎の作因はわかりにくいままであった。そこで、多くの場合のNANBHがC型肝炎ウイルス(HCV)と呼ばれる異なったウイルスよることが確かめられた。欧州特許出願第 0318216号には、1HCV株由来のcDNA、ポリヌクレオチドプローブ及び免疫分析において有用なポリペプチドが開示されている。更に、その株についての情報が欧州特許出願第 0388232号に記載されている。
【0004】
HCVゲノムは、構造及び非構造領域を含む大きなポリタンパク質前駆体をコードするものである。単一のタンパク質が生産された後に種々のタンパク質に切断されることは明らかである。そこで、その構造及び非構造タンパク質のほとんどが試験管内RNA翻訳及び発現において組換えタンパク質として同定された。
C及びE領域は、各々ヌクレオキャプシド構造タンパク質とエンベロープ構造タンパク質をコードする。更に、まだはっきりしない機能を有する非構造(NS)タンパク質をコードする少なくとも5つの領域が続いている。その体制は、次の通りであると考えられている(A.Alberti,Journal of Hepatology,1991; 12;279-282)。

5' 3'
NCR:C:E1:E2:NS1:NS2:NS3:NS4:NS5
【0005】
ある種の免疫反応性タンパク質は、組換えタンパク質として、例えば、C22(コア領域に)、C33(NS3領域に)、5−1−1及びC100(共にNS4領域に)及びNS5(NS5領域)として記載された。現在のC型肝炎の診断は、たいてい、そのC−100クローンの産物に対する抗体を検出する方法に基づくものである。このクローンは、NS3−NS4ゲノム領域の部分に対応する大きなウイルス抗原(C100)を生じるようにオーバーラップクローンの連結反応により作製された。次いで、C100をヒトスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)遺伝子と融合し、大きな組換え融合タンパク質(C100−3)として使用して発現させ、放射能標識分析法(RIA)及び酵素結合免疫吸着分析法(ELISA)を展開するために固相に用いた。
【0006】
HCVをスクリーニングするのに有効であると主張されたポリヌクレオチドが欧州特許出願第 0398748号に開示されている。欧州特許出願第 0414475号には、培養細胞におけるHCVの増殖及び診断に有用な抗原の生産が開示されている。
欧州特許出願第 0445423号には、HCV抗体を検出するために改良された免疫分析法であることが明記されているものが開示されている。
英国の血液銀行は、供血者のHCV成分に対する抗体の通常の試験を実施している。1世代分析は、C100−3ポリペプチドに対するHCV抗体の検出を含むものであった。そのC100−3抗体は、ウイルスの非構造領域内の複合ポリタンパク質抗原を認識し、HCV感染の一致したマーカーである。しかしながら、急性感染症においては、この抗体は、露出後のセロコンバージョンが遅い(典型的には22週間)ために信頼性がない。更に、そのC100−3抗体試験は、C型肝炎ウイルスに対する特異性がない。
【0007】
2世代抗体試験は、ウイルスの高度に保存されたコア領域からの構造抗原及び非構造抗原を表す組換え抗原及び/又は合成線状ペプチドを使用する。しかしながら、2世代ELISA試験は、虚偽の陽性反応を生じることがあることが判明している。HCVゲノムからの4種類の抗原を取込む組換え免疫ブロット分析(RIBA−2)は、純粋な抗HCV反応性を同定する方法であるというものである。しかしながら、結果は“不確定”であることがある。本発明の研究者らは、HCV陽性供血者の5−1−1、C100、C33及びC22抗原に対する種々の反応性を報告し(The Lancet,338; Oct.19,1991)、HCVポリヌクレオチドを増幅するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて血液試料中に存在するHCVRNAの直接検出結果とこれらを比較した。しかしながら、その研究は、HCV感染症のはっきりした診断がまだ可能でないことを示している。
最近、配列がかなり異なる別の種類のHCVが発見され、これらはHCV−2、3及び4と呼ばれた。我々の国際出願第93/10239号(1993年5月27日に公開された)には、HCV−2、3及び4の特定の抗原配列が記載されている。HCV−4として開示された配列は、5′NCR及びコア領域にのみある。前者は、HCVの免疫分析に用いられるタンパク質をコードしないが、コア領域は保存される傾向がある。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、HCVゲノムの特定領域におけるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅されかつ系統発生分析により確認された配列比較によるHCVの以前には未知の6型変異体の発見を含むものである。本発明は、HCV−4、HCV−5、HCV−6特異的であるポリヌクレオチド配列及びポリペプチドを同定した。これらは、HCV−4、HCV−5、HCV−6感染を診断するために用いられるので、HCV感染の明確な試験に含まれねばならない。
本発明の1態様は、肝炎ウイルス4、5又は6型にユニークなヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを提供するものである。
その配列は、他のHCV型によって共有されないのでHCV型をユニークに検出するために用いることができる意味で関係しているHCV型にユニークである。
HCV4、5及び6間の配列変動性は、NS4、NS5及びコア領域に特に見られるので、特に型特異的ポリヌクレオチド及びペプチドが得られるのはこれらの領域からである。型特異的とは、そのHCV型にユニークな配列を含むことを意味する。更に、各HCV型の中に多数のサブタイプが存在し、小さな配列変動がある。
【0009】
本発明は、C型肝炎ウイルス4及び6型(HCV−4及びHCV−6)にユニークなNS5ポリヌクレオチド配列;及びHCV−4、HCV−5及びHCV−6に各々ユニークなNS4配列を含むものである。これらの配列は、cDNAを含むRNA又はDNA配列であってもよい。場合によっては、これらのDNA配列はポリメラーゼ連鎖配列によって増幅される。DNA配列は、ハイブリッド形成プローブとして用いることができる。これらの配列は、組換え(即ち、形質転換細胞で発現された)又は合成であってもよく、場合によっては長い配列の中に含まれていてもよい。同様に、ポリヌクレオチドが特異的プローブとしてなお機能するのであれば、欠失、挿入又は置換も許容される。また、抗原タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列が特に有効である。
【0010】
本発明の他の態様は、肝炎ウイルス4、5又は6型にユニークなアミノ酸配列を有するペプチドを提供するものである。
本発明は、NS5領域からの抗原HCV−4又はHCV−6特異的ポリペプチド又はNS4領域からの抗原HCV−4、HCV−5又はHCV−6特異的ポリペプチド;又はこれらの抗原を含むポリペプチドを含むものである。このペプチドの複数のコピーが多抗原ペプチドコアに結合される。
本ペプチドは、検出を容易にするために標識され、例えば、対応する抗体を検出する免疫分析に有用な、NS5領域からの標識抗原HCV−4又はHCV−6特異的ポリペプチド又はNS4領域からの標識抗原HCV−4、HCV−5又はHCV−6特異的ポリペプチド;(又はその混合物)であってもよい。
これらのポリペプチドは、NS4又はNS5全領域を必ずしも含まないが、HCVの具体的な型にユニークなその特徴的部分(通常特徴的エピトープ)が用いられることは理解されねばならない。
【0011】
本発明の別の態様は、本ペプチド、特にHCV−4又はHCV−6NS5抗原又はHCV−4、HCV−5又はHCV−6NS4抗原に対する抗体、特に治療及び診断に有用なモノクローナル抗体を提供するものである。即ち、標識抗体は生体内診断に用いられる。細胞障害因子をもつ抗体は、HCV−4、HCV−5又はHCV−6感染細胞を攻撃するために用いられる。
本発明の別の態様は、免疫原性ペプチド、特にHCV−4又はHCV−6NS5ペプチド又は免疫原性HCV−4、HCV−5又はHCV−6NS4ポリペプチドを含むワクチンを提供するものである。
本発明の別の態様は、試験管内HCV型別方法であって、制限断片を得るHCV含有試料のエンドヌクレアーゼ消化を行い、その制限パターンがHCV−4、HCV−5又はHCV−6の特徴を示すことを含む方法を提供するものである。
更に、本発明は、HCV−4、HCV−5又はHCV−6抗原エピトープ(又はそれに対する抗体)を少なくとも1種含むポリペプチド並びに必要な分取用試薬、洗浄試薬、検出試薬及びシグナル発生試薬を含む分析キットを包含する。
HCV−4、HCV−5又はHCV−6特異的ポリヌクレオチド配列は、ハイブリッド形成法によりHCVウイルス自体(通常はPCRによって増幅される)の同定に用いられる。
【0012】
可変領域に対応する、例えば、NS5又はNS4領域内のオリゴヌクレオチドは、型特異的PCRに用いることができる。外部センスオリゴヌクレオチド内部センスプライマーは、2つの保存アンチセンスプライマーと組合わせてHCV4、5及び6型に特異的な検出法に用いられる。
また、本発明は、本明細書で定義されたDNA配列を含む発現ベクターであって、適切な宿主中で本明細書で定義されたペプチドを産生するDNA配列を発現させることができる発現ベクターを提供するものである。
その発現ベクターは、通常、適切な宿主中でDNA配列を発現させるDNAの制御要素を含む。これらの要素は、宿主によって異なるが、通常、プロモーター、リボソーム結合部位、翻訳開始及び停止部位及び転写終結部位が含まれる。かかるベクターの例としては、プラスミド及びウイルスが挙げられる。本発明の発現ベクターは、染色体外ベクター及び宿主細胞の染色体に組込まれるベクターの双方を包含する。E.coliに使用する場合、発現ベクターは、本発明のDNA配列を任意により、例えばB−ガラクトシダーゼをコードするDNA配列の5′端あるいは3′端又は例えばtrpE遺伝子をコードするDNA配列の3′端に結合した融合体として含んでもよい。昆虫バキュロウイルス(AcNPV)系に使用する場合、DNA配列はポリヘドリンコーディング配列に任意に融合されてもよい。
本発明は、また、本明細書で定義された発現ベクターで形質転換された宿主細胞を提供するものである。
【0013】
本発明と使用する宿主細胞の例としては、細菌、酵母、哺乳動物及び昆虫細胞のような原核細胞及び真核細胞が挙げられる。かかる細胞の具体例は、E.coliS.cerevisiaeP.pastoris、チャイニーズハムスター卵巣細胞及びマウス細胞及びSpodoptera frugiperda及びTricoplusia niである。宿主細胞の選択は、多くの要因に左右されるが、HCVウイルスペプチドの翻訳後修飾が重要である場合には、真核宿主が好ましい。
本発明は、また、本明細書で定義されたペプチドの調製方法であって、本明細書で定義されたDNA配列をHCVゲノムから分離するか又は本明細書で定義されたペプチドをコードするDNA配列を合成するか又は該ペプチドをコードするDNA配列を作成する工程、適切な宿主中で発現することができるように発現ベクターに該DNA配列を挿入する工程、該発現ベクターで宿主細胞を形質転換する工程、その形質転換宿主細胞を培養する工程及び該ペプチドを単離する工程を含む方法を提供するものである。
該ペプチドをコードするDNA配列は、標準方法を用いて合成される(Gait, Olligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,1984,Oxford,IRLPress)。
【0014】
上記のように得られた所望のDNA配列は、既知の手法及び標準手法を用いて発現ベクターに挿入される。その発現ベクターは、通常、制限酵素を用いて切断され、DNA配列が平滑端又は付着端連結反応を用いて挿入される。切断は、通常、DNA配列が挿入されるとその発現を行うDNA機能要素の制御のもとにあるように発現ベクターの便利な位置の制限部位で行われる。
宿主細胞の形質転換は、標準手法を用いて行われる。ある表現型マーカーは、通常、発現ベクターを巧く挿入する形質転換細胞と巧く挿入しないものを区別するために用いられる。その形質転換宿主細胞の培養と要求されたペプチドの分離も標準手法を用いて行われる。
即ち、本発明のペプチドは、組換えDNA技術によって調製されるか又は、例えば自動シンセサイザーを用いて合成される。
本明細書で用いられる“ペプチド”(及び“ポリペプチド”)なる語は、抗原性として最低数のアミノ酸残基を有するエピトープペプチドをオリゴペプチドを介してタンパク質まで含むものである。このペプチドは、形質転換細胞から発現された組換えペプチドであってもよいし、化学合成によって生産された合成ペプチドであってもよい。
本発明のペプチドに特異的な抗体は、そのペプチドを用いて産生させることができる。その抗体は、そのペプチドのバッチ品質制御試験に;ペプチド又はウイルス溶菌液の精製に;エピトープマッピングに;標識された場合、抗体検出用競合的型分析における複合体として;及び抗原検出分析に用いられる。
【0015】
本発明のペプチドに対するポリクローナル抗体は、免疫応答を促進させるためにキャリヤに任意に結合されていてもよいペプチドをマウス、ラット、ヒツジ又はウサギのような哺乳動物宿主に注入し、そのようにして産生された該抗体を回収することにより得られる。本ペプチドは、通常、本ペプチドが生理的に許容しうる希釈剤と混合されている注入可能な製剤の形で投与される。フロイント完全アジュバント(FCA)又はフロイント不完全アジュバント(FIA)のようなアジュバントが該製剤中に含まれる。該製剤は、通常、適切な時間をかけて宿主に注入され、血漿試料が適切な間隔で抗HCVウイルス抗体の分析用に採血される。適切なレベルの活性が得られると、宿主から採血する。次いで、標準方法を用いて、例えば、プロテインA又はイオン交換クロマトグラフィーによって抗体が血漿から抽出及び精製される。
本発明のペプチドに対するモノクローナル抗体は、不死化細胞系の細胞をトポグラフィー的に関連したペプチドのウイルスに対して抗体を産生する細胞と融合し、その融合不死化細胞系を培養することにより得られる。典型的には、マウス又はラットのような非ヒト哺乳動物宿主に該ペプチドを接種する。該宿主が抗体応答を開始するのに十分な時間が経過した後、脾細胞のような抗体産生細胞を取り出す。マウス又はラット骨髄腫細胞系のような不死化細胞系の細胞を抗体産生細胞と融合し、所望のモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマのような細胞系を同定するために得られた融合物をスクリーンする。その融合細胞系を培養し、該モノクローナル抗体がポリクローナル抗体の精製と同様の哺乳動物で培養基から精製される。
【0016】
本発明に基づく診断分析は、HCV感染の有無を決定するために用いられ、そのHCV型が含まれる。また、かかる感染の治療をモニターするために、例えば、インターフェロン治療に用いられる。
ウイルス感染の診断用分析においては、ウイルス核酸、ウイルス抗原又はウイルス抗体の検出を各々含む基本的に3種類の異なった方法が採用される。ウイルス核酸は、一般にはウイルス自体の存在の最良の指標と見なされ、感染しているらしい材料を同定する。しかしながら、核酸の検出は、通常、標的レベルが非常に低いので抗原又は抗体の検出ほど端的でない。ウイルス抗原は、ウイルスの存在のマーカーとして及び感染の指標として用いられる。ウイルスによっては、試料中に存在する抗原の量が少なく検出が難しいことがある。抗体検出は、実際には、宿主免疫系が多量の循環抗体を産生することにより感染に対する応答を増幅することから比較的端的である。抗体応答の種類は、たいてい臨床上有効であり、例えば、IgGクラスよりEgMクラス抗体が最近の感染を示し、具体的なウイルス抗原に対する応答はウイルスのクリアランスと関連がある。即ち、ウイルス感染の診断に採用される正確な方法は、具体的な状況及び探究された情報に左右される。HCVの場合、診断分析はこれらの3種類の方法のいずれを具体化してもよい。
【0017】
ウイルス核酸の検出を含むHCV診断用分析においては、本方法は、試験試料中に存在するウイルスRNA又はそのウイルスRNAから合成されたcDNAを本発明のヌクレオチド配列に対応するか又は本発明のペプチドをコードするDNA配列とハイブッレド形成する工程、及びHCVウイルス核酸を同定するために得られた核酸ハイブリッドをスクリーンする工程、を含むものである。本方法の適用は、通常、ウイルスRNAが高レベルで存在すると考えられる肝生検のような適切な組織の試験試料に限定される。本発明のヌクレオチド配列に対応するか又は本発明のペプチドをコードするDNA配列は、プラスミド内に任意に含まれていてもよいオリゴヌクレオチド又はcDNA配列の形を取ってもよい。核酸ハイブリッドのスクリーニングは、標識DNA配列を用いて行うことが好ましい。本発明のペプチドは、ペプチドのウイルス核酸への結合が結合部位にあまりに近接している標識によって妨害されないように標識がペプチドから十分に離れて位置しているオリゴヌクレオチド部分であることが好ましい。ハイブリッドを更に確認し、もって、HCV核酸を同定するために、1種類又は別の種類のスクリーニングが1ラウンド以上行われる。ハイブリッド形成工程及びスクリーニング工程は、当該技術で既知の方法に従って行われる。
【0018】
更に、ウイルス核酸の検出方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PRC)を用いてウイルスDNAの増幅を含むものである。選択されたプライマーは、問題のHCV型配列に特異的であるので、その特定のHCV型とのみ増幅が起こる。また、増幅されたコピー配列の大きさ及び数は特定のHCV型の特徴を示したり、選択されたエンドヌクレアーゼで特徴的な制限パターンを有する。
ウイルス抗原又は抗体の検出を含むHCV診断用分析においては、本方法は、試験試料を本発明のペプチド又は該ペプチドに対するポリクローナル又はモノクローナル抗体と接触させる工程及び該試験試料中に抗原−抗体結合が含まれているかを決定する工程を含むものである。このために、本明細書で定義されたペプチド又はそれに対するポリクローナル又はモノクローナル抗体及び試験試料中に抗体又は抗原との結合が各々含まれて免疫複合体を生成しているかを決定する手段を含む試験キットが提供される。試験試料は、適切な組織又は生理的液体、例えば、血液(血清又は血漿)、唾液、尿、脳脊髄液、汗、涙又は組織浸出液のいずれかから採取される。生理的液体が得られる場合には、存在するウイルス抗原又は抗体が任意に濃縮されてもよい。
【0019】
種々の分析方式が用いられる。本ペプチドは、溶液からHCVに対する抗体を選択的に捕捉するために、既に捕捉されたその抗体を選択的に標識するために及びその抗体を捕捉及び標識双方をするために用いることができる。更に、本ペプチドは、ペプチドと反応する抗体を相を分離させずに溶液として検出する種々の均質系分析方式に用いられる。
本ペプチドが溶液から抗体を捕捉するために用いられる分析のタイプは、本ペプチドを固体表面上に固定化することを含む。この表面は、いくつかの方法で洗浄できなければならない。適切な表面の例としては、種々のタイプの(マイクロタイターウェル;ビーズ、種々のタイプのディップスティック;吸引チップ;電極;及び光学装置に成形された)ポリマー、粒子(例えば、ラテックス;安定化赤血球;細菌又は真菌細胞;胞子;金又は他の金属又は金属含有ゾル;及びタンパク質コロイド)(通常、粒径は0.02〜5ミクロンである)、膜(例えば、ニトロセルロース;ろ紙;酢酸セルロース;及び有機又は無機材料の高多孔性/高表面積膜)が挙げられる。
【0020】
ペプチドの表面への結合は、界面活性剤、溶媒、塩及び/又はカオトロピックイオンを含めてもよい最適組成物の溶液からの受動吸着;又は活性化学結合によることができる。活性結合は、表面に露出される種々の反応性又は活性化しうる官能基(例えば、縮合剤;活性酸エステル、ハロゲン化物及び無水物;アミノヒドロキシル又はカルボキシル基;スルフィドリル基;カルボニル基;ジアゾ基;又は不飽和基)を介するものである。場合によっては、その活性結合は、タンパク質(それ自体が受動的に表面に結合されるか又は活性結合を介する)、例えば、アルブミン又はカゼインを介してもよく、ウイルスペプチドが種々の方法によって化学的に結合される。この方法においてタンパク質を使用すると、等電点、電荷、親水性又は他の物理化学的性質のために有利である。また、ウイルスペプチドは、表面(一般的であるが必ずしも膜ではない)に結合した後に反応混合液が免疫沈降のように電気泳動分離される。
【0021】
本発明においては、交差反応性を遮断する阻止ペプチドを供給し、特定の試験位置に存在する抗原の種類とだけ反応する試料中のHCV抗体のみを残すことが好ましい。例えば、HCV−6を検出するようにした試験位置は、HCV1〜5型に対する反応性を有する抗体全てと反応すると共に6型反応性のみを有する抗体を残すHCV−1〜5ペプチドを含む阻止混合液によって遮断される。
ペプチドを担持する表面を試験試料(場合によっては阻止混合液の存在下)とを接触させ、反応させ、必要な場合には種々の手段(例えば、洗浄、遠心、ろ過、磁性又は毛細管現象)によって余分な試料を除去した後、検出可能なシグナルを与える手段によって捕捉された抗体が検出される。例えば、これは、捕捉された抗体と反応する上記の標識分子又は粒子(例えば、プロテインA又はプロテインG等;抗化学種又は抗免疫グロブリンサブタイプ;リウマチ因子;又は競合又は阻止方法で用いられたペプチドに対する抗体)又はペプチド内に含まれるエピトープを含む分子を使用することにより達成される。本発明においては、ホースラディッシュペルオキシダーゼに結合した抗ヒトIgGを加え、次いで呈色する基質と反応させることにより結合した酵素を検出することが好ましい。
【0022】
検出可能なシグナルは、光学的又は放射性又は物理化学的といった当該技術で既知の手段によって生じ、分子又は粒子を、例えば、染料、放射能標識、蛍光、発光、化学発光、電気活性化学種、磁気共鳴化学種又は発蛍光団で標識することにより直接的に又は分子又は粒子を任意の種類の測定可能な変化を生じることができる酵素自体で標識することにより間接的に示される。また、検出可能なシグナルは、例えば凝集を用いて又は表面が粒子の形にある場合には回折又は複屈折作用を介して得られる。
ペプチド自体が既に捕捉された抗体を標識するために用いられる分析には、検出を可能にするそのペプチドのある標識化形態が必要である。その標識化は、ペプチドに、例えば、放射能標識、磁気共鳴化学種、粒子又は酵素標識を化学的又は受動的に結合することによる直接のもの;又は標識形態をペプチドと反応する分子に結合することによる間接のものである。標識をペプチドに結合する化学は、アミノ基のようなペプチドに既に存在する部分を直接介するか又はマレイミド基のような中間部分を介することができる。抗体の捕捉は、結合される特定の抗体又は免疫複合体を生じる受動又は活性吸着を含む試薬として既に言及された表面に対するものである。特に、抗体の捕捉は、抗化学種又は抗免疫グロブリンサブタイプ、リウマチ因子、プロテインA、G等又はペプチドに含まれたエピトープを含む分子によるものである。
【0023】
標識ペプチドは、上記で例示した表面のいずれかに対する特定の分子に対する結合が試料中の抗原によって阻止される競合結合方法で用いられる。また、試料中の抗原が上記表面のいずれかに特異的に又は非特異的に結合しかつ特定の2価又は多価分子(例えば、抗体)に結合し、残りの原子価は標識ペプチドを捕捉するために用いられる非競合方法で用いられる。
たいてい均質分析においては、ペプチドと抗体は別々に標識されるので、抗体が遊離溶液中で組換えペプチドと反応する場合、その2つの標識は相互に作用して、例えば、一方の標識によって捕捉されたエネルギーをもう一方の標識へ非放射移動することを可能にし、励起した第2標識又は消光した第1標識を適切に検出する(例えば、蛍光定量法、磁気共鳴法又は酵素測定法により)。試料中のウイルスペプチドあるいは抗体を添加すると、標識した一組の相互作用を制限するので検出器において異なったレベルのシグナルを生じる。
更に、HCV抗体を検出するのに可能な分析方式は、直接サンドイッチ酵素免疫分析(EIA)方式である。抗原ペプチドは、マイクロタイターウェルに被覆される。酵素が結合される試験試料及びペプチドが同時に添加される。試験試料中に存在するHCV抗体は、ウェルを被覆するペプチド及び酵素結合ペプチドの双方に結合する。典型的には、同じペプチドがサンドイッチの両側に用いられる。洗浄後、色の変化を含む特定の基質を用いて結合した酵素が検出される。
【0024】
また、抗ヒトIgG及び/又はIgM抗体が固体基質に被覆されるIgG/IgM抗体捕捉ELISAを用いることが可能である。試験試料を加える場合には、試料中に存在するIgG及び/又はIgMが抗ヒト抗体に結合する。結合したIgG及び/又はIgMは、その抗体の全集団を表す。本発明のペプチドは、ペプチド内に存在する抗原決定基に対する応答で産生したIgG及び/又はIgM抗体、即ち、ペプチドが由来するHCV型に感染の結果として産生したその抗体にのみ結合する。ペプチド/抗体複合体の検出の場合、ペプチド自体を直接標識しておいてもよいし、捕捉抗体と相互に作用させた後にペプチドをペプチドに結合する標識分子と反応させてもよい。
これにより、本発明のペプチドが多くの方式において、即ち遊離ペプチドとして、古典的ELISA、競合ELISA、b膜結合EIA及び免疫沈降を含む分析においてHCV感染の検出に用いられることがわかる。ペプチド複合体は、増幅した分析及びIgG/IgM抗体捕捉ELISAにおいて用いられる。
本発明の分析は、例えば、供与した血液のスクリーニングに又は臨床用に、例えば、HCV感染症の検出、型別及びモニターに用いられる。スクリーニング用の場合、好適な分析方式は、自動化することができるもの、特に、マクロタイタープレート方式及びビーズ方式である。臨床用の場合、そのような方式に加えて、小規模な又は単一の使用に適するもの、例えば、ラテックス分析が用いられる。スクリーニング手順における確認分析の場合、ウエスタン又は他の免疫ブロッティング試験の使用に適したストリップに抗原を存在させることができる。
【0025】
上記で示したように、試験試料、特に、供与した血液のスクリーニングにおいて抗HCV抗体の存在を検出するために現在用いられている分析は、HCV1型から得られた抗原ペプチドのみを使うものであり、かかる抗原が他のHCV遺伝子型を検出することは確実でない。従って、HCV−1の試験を他の全ての遺伝子型、例えば、2、3、4、5及び6及び更に発見される別の遺伝子型の試験で補足することが望ましいことは明らかである。
特に、本発明は、従来の分析(HCV1型をコードした抗原を用いる)による供血者スクリーニングを、例えばHCV−4又はHCV−6のNS5配列又はHCV−4、HCV−5又はHCV−6のNS4配列に見出される抗原領域に対応するオリゴペプチドを含む第2試験で補足することを可能する。
遺伝子型スペクトルを試験するために、HCVの1つの遺伝子型から1種以上の抗原ペプチドを各々含む一連の分析手段、例えば、マイクロタイタープレートの一連のウェル又はビーズ方式を用いる等価なものが提供される。かかる分析方式は、試料中に存在するHCV型を決定するために用いられる。またあるいは更に、分析手段は、1以上の型からの抗原ペプチドを含んでもよく、例えば、マイクロウェル又はビーズは1以上の型からのペプチドで被覆される。
【0026】
また、HCV−4、HCV−5又はHCV−6の抗原領域に対応するオリゴペプチドは、これらの異なったHCV型に感染した個体を区別するために別個に用いられる。かかる分析は、HCV4、5及び6型の抗原領域のオリゴペプチドで被覆したウェル又はビーズセットを用いる間接酵素免疫分析(EIA)の方式であってもよい。存在するであろう少しの交差反応性は、阻止量の可溶性異型オリゴペプチドを含んだ希釈剤に試験試料を希釈することにより吸収させて固相に結合した型特異的抗体反応性を有する抗体のみを確実にすることができる。
試験用HCV抗原を1種以上、特に、ゲノムの構造領域由来の抗原ペプチドを少なくとも1種及び非構造領域由来の抗原ペプチドを少なくとも1種含む組合わせ、特に、コア抗原とNS3、NS4及びNS5領域より選ばれた抗原少なくとも1種の組合わせを使用することが有利である。ウェル又はビーズは、別個に抗原で被覆される。しかしながら、2種以上の抗原ペプチドを単一ポリペプチドとして、好ましくは組換え融合ポリペプチドとして融合することが有利である。かかる方法の利点は、個々の抗原が所定の一定比率(通常等モル)で混合することができること及び単一ポリペプチドのみが生産、精製及び確認するのに必要であることである。1種以上のかかる融合ポリペプチドが、場合によっては1種以上の非融合ペプチドに加えて分析において用いられる。融合ポリペプチドにおいて抗原の多くの組合わせが可能であり、例えば、融合ポリペプチドが1つの型のみからの抗原の所望の範囲を含んでもよいし、1以上の型からの抗原を含んでもよいことが理解されるであろう。
【0027】
発現技術により多ペプチド抗原を含むポリペプチドを得る1つの方法は、個々のコーディング配列を単一オープンリーディングフレームに融合するものである。各成分ペプチドの抗原活性が他のペプチドに相対する位置によって著しく妥協されないような方法で融合が行われなければならないことは当然のことである。実際のペプチド間結合において配列の種類に対して特に注意しなければならないことは当然のことである。得られたコーディング配列は、例えば、一般の組換えペプチドに関する上記のように発現させることができる。かかる融合ポリペプチドを得ることができる方法は当該技術において既知であり、HCV1型株の多抗原を含む組換え融合ポリペプチドの生産は英国特許出願第 2 239245号に記載されている。ペプチド複合体は、増幅した分析及びIgG/IgM抗体捕捉ELISAに用いられる。
本発明のペプチドは、人においてHCVに対する免疫を誘導するワクチン製剤に混合される。そのワクチンは、HCV1〜6型の抗原を含めてもよい。この目的のために、本ペプチドは薬学的に許容しうるキャリヤと共に存在させる。
【0028】
ワクチン製剤中に使用する場合、本ペプチドは、Clarkeら(Nature,1987,330,381-384)に記載されているB型肝炎コア融合粒子又はTam(RNAS,1988,85,5409-5413)に記載されているポリリシンに基づくポリマーの一部として任意に存在させてもよい。
また、本ペプチドは、リポソーム又はISCOMSのような微粒子構造に任意に結合させてもよい。
ワクチン用の薬学的に許容しうるキャリヤとしては、本ペプチドを患者に導入するために賦形剤として使用するのに適した液体媒体が含まれる。かかる液体媒体の例は、生理的食塩水である。本ペプチドは、キャリヤ中に溶解あるいは固体として懸濁される。
また、ワクチン製剤は、免疫応答を刺激するためのアジュバントを含めてもよく、もって、ワクチンの効果が高められる。アジュバントの例としては、水酸化アルミニウム及びリン酸アルミニウムが挙げられる。
ワクチン製剤は、最終ペプチド濃度が0.01〜5mg/ml、好ましくは0.03〜2mg/mlの範囲で含まれる。ワクチン製剤は、滅菌容器に取込まれ、次いで密閉され、低温、例えば4℃で貯蔵されるか又は凍結乾燥される。
人においてHCVに対する免疫を誘導するために、1回以上のワクチン製剤用量が投与される。各投与量は、0.1〜2ml、好ましくは0.2〜1mlとする。人においてHCVに対する免疫を誘導する方法は、上記で定義されたワクチン製剤の有効量を投与することを含むものである。
【0029】
また、本発明は、人においてHCVに対する免疫を誘導するのに有用なワクチンの調製において本明細書で定義されたペプチドの使用を提供するものである。
本発明のワクチンは、経口及び非経口(例えば、静脈内、皮下又は筋肉内)注射を含むワクチン投与に便利な方法により投与される。治療は、1回のワクチン用量か又は時間をかけて複数回用量からなるものである。
【0030】
実施例1(HCV−4及びHCV−6;NS5領域配列)
試料。 スコットランド、エジプト及び香港の合計16人のHCV感染供血者及びレバノンの慢性肝炎をもつ患者からの血漿を4及び6型のNS5配列の分析に用いた。
ヌクレオチド配列の分析。NS5領域の配列を得るために、ウイルスRNAを逆転写し、HCVの種々の変異型の中で高度に保存されると考えられる以前に発表されたプライマーとの単独反応のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅させた(Enomotoら,1990)。いくつかの配列の場合、新しい2つのプライマー、122(センス配向;5′CTC AAC CGT CAC TGA GAG AGA CAT3′)及び123(アンチセンス;5′GCT CTC AGG TTC CGC TCG TCC TCC3′)と組み合わせたプライマー554及び555(Chanら,1992b)を用いて第2PCRを行った。産物DNAをSimmonds & Chan,1993に記載されている手順に従ってリン酸化し、精製し、pUC19のSmaI部位にクローン化した(Yanisch-Perronら,1985)。また、増幅したDNAを精製し、Simmondsら,1990及びChaら,1992に記載されているように直接配列決定した。これらの方法は、始原型ウイルスの位置7975〜8196(Chooら,1991での番号)に相同なDNAの222bp断片の比較を可能にした。結果を図1及び図2に示す。
【0031】
ヌクレオチド配列の比較。
GDE配列分析パッケージで実施されるようにCLUSTAL V プログラム(Higginsら,1992)を用いてヌクレオチド配列を並べた。配列対間の距離は、トランジションとトランスバージョンの種々の割合及び4つのヌクレオチドの種々の頻度を可能にするモデル(Felsenstein,1991)を用いて、Dr.J.Felsensteinの好意で提供されたPHYLIPパッケージ(バージョン3、4)の DNADISTプログラム(Felsenstein,1991)を用いて算出した。系統発生図表は、PHYLIPプログラム,NEIGHBORを用いる以前の対方向距離セットで隣接結合演算法(Saitouら,1987)を用いて作った。図3に示された系統発生図表は根がない。また、等価な系統発生関係は、最大可能性分析(PHYLIPプログラムDNAMI; データは図示せず)及び隣接結合図表の200ブートストラップ複製物(PHYLIPプログラムSEQBOCT及びCONSENSE)にも見出された。
【0032】
実施例2(HCV−4、−5又は−6;NS4領域配列)
PCR増幅を用いてC型肝炎ウイルス(HCV)4、5及び6型のNS4領域からDNA配列を単離することを試みた。制限部位を含むプライマーを用いることを決定し、もって、付着末端クローニングによりPCR産物のクローニングを可能にした。また、新しいプライマーをHCVNS4遺伝子の比較的に保存された領域から設計した。クローニング戦略は、次のように特定の数工程を含んだ。
(i)クレノウ修復。 増幅したDNAの末端をクレノウDNAポリメラーゼで修復して制限部位を含む末端が完全であることを確実にした。
(ii)末端のキナーゼ化。 T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いてPCR産物末端をリン酸化した。これは、コンカテマー化工程における産物の自己連結反応を可能にした。
(iii)PCR産物のカコンカテマー化。 長いコンカテマー配列を形成するためにDNA断片を一緒に結合した。この工程により、切断工程の効率を著しく高めるプライマー末端にコードされた制限部位が取込まれた。
(iv)制限消化。 PCR産物を要求した制限酵素で一晩消化して付着末端を露出させた。
(v)プラスミドベクターへの連結反応。
【0033】
一般手順及び試薬は、Maniatisら“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor: New York に記載されている。
a)NS4配列のPCR増幅
プライマー007を用いてcDNAを合成した後、PCR増幅を3ラウンド行った。007と435を用いて1ラウンド、次いで5351と5943(共にBamHI制限部位をコードする)を用いて2ラウンドにより4及び5型を増幅した。007と253、281及び221を用いて1ラウンド、次いで5351及び5943を用いて2ラウンドにより6型配列を増幅した。5つの第3ラウンド反応の最低限の産物をクローニングエ程用にプールした。ベクターへの最後の連結反応の効率は、増幅したDNAの高濃度に依存すると考えられた。プライマー反応を図4に示す。
b)クローニング
慣用のアガロースゲル(0.5×トリス酢酸塩EDTA(TAE))からの切除によりPCR産物を単離した。ガラスウールを介して遠心することによりそのアガロースからDNAを再生利用した。DNAの合計量を増加させるために溶出液をプールした。エタノール沈降によりTAE溶出液からDNAを回収した。(沈降したDNAはアガロースから化学的に不活性なデブリをいくらか含んだが、これはベクターに結合する前の次の工程を妨害しなかった。マジックプレプカラム(Promega)を用いることができるが、多量のTAE溶出液を取り扱う場合にはエタノール沈降が簡便で安価で効率がよい。)
【0034】
c)クレノウ修復
沈澱したDNA沈降物を下記のものを含むクレノウ反応混合液50μlに再び懸濁した。
ポリヌクレオチドキナーゼバッファー(10×) 5μl、
3.3mMdNTPs(最終濃度33μM) 0.5μl、
少なくとも100ngの精製PCR断片、
蒸留水 50μlまで、及び
クレノウDNAポリメラーゼ 5単位。
(10×は、試薬を反応混合液中所望の最終濃度を10倍で加えたことを意味する) 37℃で30分間インキュベートし、次いで75℃で10分間加熱不活性化した。
クレノウ反応は、BamHI制限部位が位置する末端を修復する。T4DNAポリメラーゼは、そのエキソヌクレアーゼ活性によりそれらの部位を除去するのでこの反応に用いてはならない。
【0035】
d)末端のキナーゼ化
上記反応混合液に下記のものを加えた。
100mMrATP 5μl、及び
T4ポリヌクレオチドキナーゼ 10単位。
この反応混合液を37℃で30〜60分間インキュベートし、前のように加熱不活性化した。
e)コンカテマー化
次いで、多量のマルチマー中にBamHI制限部位を取込むために、PCR産物をコンカテマー化した。
リン酸化反応のために、下記のものを加えた。
10×リガーゼバッファー 6μl、及び
T4DNAリガーゼ 5単位。
連結反応物を15℃で一晩インキュベートした。コンカテマー化反応物を前述のように加熱不活性化した。
【0036】
f)制限消化
コンカテマー化PCR産物をモノマーにBamHI制限酵素を用いて消化し、付着末端を同時に露出させた。加熱不活性化連結反応混合液に下記のものを加えた。
10×Bバッファー(Boehringer) 6μl、及び
BamHI 10〜20単位。
消化混合液を37℃で一晩インキュベートした。酵素は加熱により全く不活性化されないが、反応混合液をとにかく前のように熱処理した。
この点で、DNAをマジックプレプカラムで精製して切断した末端を除去した。可能な限り濃縮するために、10μlのマジックプレプカラムからDNAを溶離した。
g)ベクターへの連結反応
連結反応に100ngの細菌プラスミドベクターpUC18を用いた。プラスミドベクターDNAをBamHI切断し、“Geneclean”(Bio 101)を用いて精製したが、脱リン酸化しなかった。(脱リン酸化反応は、ベクターの連結反応効率を非常に低下させることが判明した。)後述されるように青−白色の選択がコロニーを同定するのに十分であることが計画された。連結反応混合液は下記のものを含有した。
上記のように産生された精製挿入DNA 10μl、
プラスミドベクターDNA 5μl、
10×リガーゼバッファー 1.5μl、及び
リガーゼ 1単位。
反応混合液を15℃で一晩インキュベートした。
【0037】
h)E.coliの形質転換
細胞株、XL-1 Blue(Stratagene)を用いて細菌形質転換を行った。細胞を、塩化カルシウム標準法で形質転換用コンピテントにし、200μlずつグリセロール/塩化カルシウム懸濁液で急速凍結して貯蔵した。3μlの連結反応産物を用いて100μlの急速解凍コンピテントXL-1 Blue細胞を形質転換した(1mlのLブイヨンを添加した後、振盪しながら氷上で10分、42℃で2分、37℃で1時間)。細胞を200μl ずつX−Gal(20μg/ml)、IPTG(0.1mM)、Ap(50μg/ml)及びTet(12.5μg/ml)を含むL寒天プレート上で平板培養した。培地中に化学薬品IPTG(イソプロピルーβ−D−チオガラクトピラノシド)及びX−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルーβ−D−ガラクトピラノシド)が存在するので、1acZ酵素ペプチドをコードするpUC系のようなプラスミドを含むコロニー中に青色が生じる。これらのプラスミドのポリリンカー領域にクローン化DNAを挿入すると、1acZペプチド配列が中断され、もって、プラスミドの酵素産生能が破壊される。従って、組換えプラスミドを含む細菌コロニーは白色である。
【0038】
i)白色コロニーの分析
青−白色選択により、組換えペプチドを含む細胞コロニーが同定された。これらのコロニーを集め、それらからミニプラスミド調製物によりDNAを調製した。そのDNAをBamHIで消化すると、プラスミドがクローン化挿入断片を含むことが確認された。そのプラスミドDNAをガラスミルクで精製し、M13前進及び逆向プライマーを有するUSBシークエナーゼキットを用いて配列決定した。
j)検討
このプロトコールは多数の工程を含むが、実施することは簡単である。更に、実験により、本方法は程度の高い再現性を有することが判明した。理論的には、このクローニング戦略は、PCR産物が内部BamHI部位を含む場合には実験してはならない。しかしながら、6型の場合に得られたNS4配列はそのような内部部位を含み、短縮した6型配列が実際にクローニング実験の主な産物でなかった明白な理由はない。
図5は、HCV1〜3型(比較として)及び4〜6型に関する2つのNS4領域のDNA及びアミノ酸配列を示すものである。
【0039】
実施例3(NS4ペプチドの合成)
HCV1〜6型のNS領域内の下記ペプチドを合成した。4〜6型は本発明による新規な配列であるが、1〜3型は比較のため及び完全なHCV血清型別分析おける使用のために存在させる。


























【0040】
【表1】

【0041】
ペプチドの合成の代表例は次の通りである。
【0042】
(a)多抗原ペプチドMDL029の合成 血清型別分析を巧く実験するためには、Tam(Tam J.P.,1988,Proc. Natl. Acad.Sci. USA.,85:5409:5413)によって開発された多抗原ペプチドコア(K4K2K)を担持する特別の樹脂支持体上でペプチドを合成することが必要である。ペプチドは全てFASTmocTM化学を行うApplied Biosystemsモデル432A シネルギーペプチドシンセサイザーで合成した。ペプチド合成は、標準実験プログラムを変更せずに用いて行った。使用した試薬は全てApplied Biosystems Limited(英国、ワーリントン、バーチウッドサイエンスパーク、ケルビンクローズ)から入手した。MAP樹脂は、HMPリンカーとβアラニン内部標準アミノ酸を有するポリオキシエチレン/ポリスチレンコポリマー上のヘプタリシル(K4K2K)コアとした。全てのアミノ酸のN−a−アミノ基を9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基で保護した。反応側鎖基を有するアミノ酸を次のように保護した。



【0043】
【表2】

【0044】
合成の進行は、カップリング及び脱保護混合液の伝導率を測定することによりモニターした。伝導率トレースに異常はなく、合成は成功とみなした。
合成後、完全に保護されたペプチド樹脂を50ml容量の三角ポリプロピレン管に移し、チオアニソール(0.15ml)、エタンジチオール(0.15ml)及びトリフルオロ酢酸(TFA;2.7ml)で処理した。混合液を室温で3時間攪拌し、次いでパスツールピペットのガラスウールでろ過し、ろ液をネジ蓋付ガラスビンに入った20mlの tert-ブチルメチルエーテル(TMBE)に滴下するとペプチドが沈澱した。試験管を遠心し、液を吸引すると試験管にペプチド沈降物が残った。ペプチドをTEBEで20mlずつ3回洗浄し、へらを用いて沈降物を分離し、遠心してペプチドを回収した。最後にペプチドを減圧下室温で乾燥した。
ペプチドの純度を分析するために、少量の試料を精製水に溶解し、逆相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析にかけた。逆相カラムは、C4マトリックスを含む250×4.6mmとした。3.5%アセトニトリルから70%アセトニトリルまでの勾配を用いて流速1.5ml min-1で30分かけてペプチドを溶離した。溶離液を214nmでモニターしてペプチドを検出した。
【0045】
実施例4(HCV1〜6血清型決定用分析)
我々は、生体試料中に存在する抗体を産生したHCV血清型を区別することができる選択競合に基づく分析を開発した。典型的には、試料はC型肝炎感染が確認されたヒトからの血清又は血漿である。
分析は、C型肝炎ウイルス1、2、3、4、5及び6型のNS4タンパク質中の可変配列を含む17種の異なった合成ペプチドの選択性によるものである。HCV血清型のNS4に対する抗血清と他の血清型の相同領域間に交差反応性があるが、これは真の反応性を完全に除去することなしに、交差反応性を阻止することができる。これを考慮して、我々は、同量の17ペプチドを全て有するマイクロタイタープレートのコーティングウェルを含む分析方式を開発した。各ウェルに異なる阻止ペプチド混合液を入れた8個の重複実験ウェルで試料を試験する。分析プロトコールの終わりに1つの試験試料と不完全な対照ウェルのみが呈色し、もって、感染しているC型肝炎ウイルスの血清型を同定する。
【0046】
ポリスチレンマイクロウェルプレートにペプチドの各々をほぼ等モル量被覆することにより、血清型別分析用プレートを調製する。ペプチドを精製水に溶解し、混合液を下記濃度にした。
【0047】
【表3】

【0048】
厳密に言えば各マイクロウェルは検出されることが企図される型のペプチドを含むことのみ必要であるが、各マイクロウェルを6種の抗原型全てで被覆することが便利である。
100μlのペプチド混合液をプレートの各ウェルに加え4℃で一晩インキュベートすることにより、ペプチドをプレートに結合させた。
種々の血清型間の十分な区別を得るためには、試験試料に競合する異種ペプチドを加えることが必要である。競合溶液を分析試料希釈剤に溶解してコーティング濃度に対して100倍過剰量の競合ペプチドを得る。阻止する血清型に従って種々の競合溶液が分類される、即ち、競合溶液1は2〜5型のペプチドを含む。競合溶液は、10μl 中必要とされる過剰量を有するようにする。競合溶液は次の通りである。



















【0049】
【表4】



【0050】
【表5】

【0051】
血清型別分析を用いるためのプロトコールは次の通りである。
1)希釈剤試料180μlを各ウェルに加える。
2)阻止ペプチド10μlを適切なウェルに加える。
3)試料10μlを6ウェルの各々に加える。
4)プレートを混合し、37℃で1時間インキュベートする。
5)ウェルを3回洗浄する。
6)複合体100μlを各ウェルに加える。
7)37℃で1時間インキュベートする。
8)ウェルを3回洗浄する。
9)TMB溶液(3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン、過酸化水素、バッファー等を含む)100μlを加える。
10)37℃で30分間インキュベートする。
11)硫酸で反応を停止させる。
12)450nm/690nmの光学濃度を読み取る。
【0052】
抗HCV抗体を含むことが既知の試料を、上記のように全量200μl中で100倍過剰量の競合ペプチドと1/20の希釈度で試験する。インキュベートした後、試料を取り出し、ウェルを洗浄する。ホースラディシュペルオキシダーゼに結合した抗ヒト免疫グロブリンGを加え、捕捉された抗HCV抗体に結合する。次いで、酵素複合体を取り出し基質と、酵素の存在下に無色から呈色した溶液に変える色素原を加えることにより、結合抗体を可視化する。色の強さを測定することができ、存在する酵素量に正比例する。ある種の試料に関する結果を表1に示す。
【0053】
実施例5(HCV4〜6血清型決定用分析)
実施例4の分析方式と別のものを開発した。本分析は、4、5及び6型のペプチドのみを使用する範囲に更に限定される。ある試料の場合、1型ペプチドとの交差反応性がより大きいために誤った結果を生じることがある。より限定された分析を行うためのプロトコールは、実施例4に示したものと同じである。
実施例4に記載されたようにHCV4〜6型分析用プレートを調製し、違いは使用ペプチドの数を減らしたことだけである。ペプチドを精製水に溶解し、混合液を下記濃度にした。
【0054】
MDL034 )
MDL028 )
MDL024 ) 50 ng/ml
MDL029 )
MDL025 )
MDL022 )
【0055】
100μlのペプチド混合液をプレートの各ウェルに加え4℃で一晩インキュベートすることにより、ペプチドをプレートに結合させる。
種々の血清型間の十分な区別を得るためには、競合する異種ペプチドを試験試料に加えることが必要である。競合溶液を分析試料希釈剤に溶解してコーティング濃度に対して100倍過剰量の競合ペプチドを得る。阻止する血清型に従って種々の競合溶液が分類される、即ち、競合溶液4は5及び6型のペプチドを含む。
競合溶液は、10μl中必要とされる過剰量を有するようにする。競合溶液は次の通りである。
【0056】
【表6】

【0057】
抗HCV抗体を含むことが既知の試料を、実施例4に記載されているように全量200μl中で100倍過剰量の競合ペプチド溶液と1/20の希釈度で試験する。インキュベートした後、試料を取り出し、ウェルを洗浄する。ホースラディシュペルオキシダーゼに結合した抗ヒト免疫グロブリンGを加え、捕捉された抗HCV抗体に結合させる。次いで、酵素複合体を取り出し基質と、酵素の存在下に無色から呈色した溶液に変える色素原を加えることにより、結合抗体を可視化する。色の強さを測定することができ、存在する酵素量に正比例する。ある種の試料に関する結果を表2に示す。
【0058】
【表7】












【0059】
【表8】



【0060】




【0061】




【0062】





【0063】




【0064】




【0065】





【0066】








【0067】

【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施例1から推測されたHCV4及び6型のNS5領域部分のアミノ酸配列の比較である(1a型と対比)。比較した配列数は、第2欄に示されている。1文字アミノ酸コードが用いられている。HCV型内の変動性のある位置及び頻度は、下つき添字で示されている。
【図2】HCV−4(3配列)及びHCV−6(1配列)のNS5領域における対応するDNAヌクレオチド配列を示すものである。
【図3】67HCV単離物からのNS5配列の系統発生分析であり、HCV主要型(1〜6の番号がつけられる)及びサブタイプ(a、b及びcと表される)を示し、HCV−4とHCV−6が異なった型であることを示すものである。配列距離は、表示された目盛りによる図表上の間隔に比例する。
【図4】HCV−4、HCV−5及びHCV−6のNS4領域の2領域をPCR増幅するために実施例2で用いられたDNAプライマー配列を示すものである。
【図5】実施例2で説明されたヌクレオチド配列から推定されたHCV−4、HCV−5又はHCV−6のNS4領域の2つの部分領域のDNA及びアミノ酸配列を示すものであり、比較のため、HCV−1、2及び3の対応する領域が示されており、HCV−3領域1及び2は国際出願93/10239号の図9bのアミノ酸1691〜1708及び1710〜1728に各々対応する(Simmondsら,1993,J.Clin.Microb.31:1493も参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のアミノ酸残基配列からなる群から選ばれた抗原性NS4配列を有することを特徴とするHCVペプチド。

HCV5型 RPAI I PDREVLYQQFDKM、
HCV6型 KPAVVPDREILYQQFDEM、及び
生物試料における対応するHCV-5及びHCV-6抗体を検出するための免疫分析に有用な、抗原性NS4ペプチドを付与するように続いている欠失、挿入又は置換を有するその配列変異体。
【請求項2】
多抗原ペプチドコアに結合している請求項1記載のペプチド。
【請求項3】
下記のアミノ酸残基配列からなる群から選ばれた配列を有する請求項2記載のペプチド。
HCV5型 [H2N-RPAI I PDREVLYQQFDKM] 8K4K2K-COOH、
HCV6型 [H2N-KPAVVPDREILYQQFDEM]8K4K2K-COOH、及び
(但し、K4K2Kは、多抗原ペプチドコアである。)
【請求項4】
他のペプチドに融合して融合ペプチドを形成する請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
β−ガラクトシダーゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、trpE 又はポリヘドリンコーディング配列からなる群より選ばれた他のペプチドに融合した請求項4記載のペプチド。
【請求項6】
標識された請求項1〜5のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗原性ペプチドに対する抗体。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗原性ペプチドを含むワクチン製剤。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗原性ペプチドを固定された固体基質を含む免疫分析装置。
【請求項10】
HCV4型、HCV5型又はHCV6型の抗原性ペプチドの混合物が、前記固体基質に固定されている請求項9に記載の装置。
【請求項11】
HCV4型、HCV5型及びHCV6型の抗原性ペプチドの混合物が、前記固体基質に固定されている請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記混合物が、HCV1〜3型の1以上の抗原性NS4ペプチドを更に含む、請求項9〜11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記混合物が、HCV1〜6型の抗原性ペプチドの混合物である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
HCV−4、HCV−5及びHCV−6抗原性ペプチドを各々含む一連の位置を有する固体基質を含む、HCV型別用の請求項9記載の装置。
【請求項15】
前記固体基質が、一連の位置を有し、各位置には、前記抗原性ペプチド又は抗原性ペプチドの混合物が、固定されている請求項9〜14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
各位置が、固定されていない抗原性阻止HCVペプチド混合液を更に含み、各位置における該混合液が、位置により検出しようとするHCV型のペプチドを除外している請求項15記載の装置。
【請求項17】
HCV1〜6型の検出用の請求項14〜16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
一連の溶液とともに、請求項15に記載の免疫分析装置を有する免疫分析キットであって、前記各溶液が、抗原性阻止HCVペプチドの混合物を含有し、かつ該混合物が、いずれかの特定の位置により、検出しようとするHCV型のペプチドを除外する免疫分析キット。
【請求項19】
前記免疫分析装置が、一連の位置を有する固体基質を有し、各位置には、一連の6種類の溶液とともに、HCV1〜6型の抗原性ペプチドの混合物が固定され、各溶液が、HCV1〜6型の抗原性ペプチドから選択される異る抗原性阻止HCVペプチドの混合物を含み、かつ前記6種類の溶液が、該溶液が適用される特定の位置により、検出しようとする型の抗原性ペプチドを除外する、請求項18に記載の免疫分析キット。
【請求項20】
請求項7記載の抗体を結合した固体基質を含む免疫分析装置。
【請求項21】
HCV抗体について試料を試験管内でスクリーニングする方法であって、 請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗原性ペプチドを使用する免疫分析を行う工程、及び形成した抗体−抗原複合体を検出する工程、を含む方法。
【請求項22】
前記抗原性ペプチドが、固体基質に固定され、該試料中に存在するかもしれない、検出すべきHCV抗体が、該ペプチドに結合される請求項21記載の方法。
【請求項23】
抗原性ペプチドの混合物が、前記固体基質に固定されている請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記混合物が、HCV1型〜6型の抗原性ペプチドの混合物である請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記試料及び抗原性阻止HCVペプチド混合液が、該基質に固定された抗原性ペプチドに適用され、該阻止ペプチドの混合液が、検出しようとするHCV型のペプチドを除外する請求項22〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記固体基質が、一連の位置を有し、各位置には、抗原性ペプチドの混合物が固定化され、該固体基質に適用される該抗原性阻止HCVペプチドの混合物が、特定のいずれかの位置によって、検出しようとするHCV型のペプチドを除外する請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記固体基質が、一連の6つの位置を有し、各位置において、HCV1型〜6型の抗原性ペプチドの混合物が固定され、各位置に適用される抗原性阻止HCVペプチドの混合物が、その位置によって、検出しようとするHCV型の抗原性ペプチドを除外する請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記試料中に存在するHCV抗体が、前記固体基質に捕捉され、次いで請求項6に記載の抗原性ペプチドが、それに適用されて、捕捉されたHCV抗体が検出される請求項21記載の方法。
【請求項29】
下記の塩基配列からなる群から選ばれたNS4配列を有する単離されたHCVポリヌクレオチド。

AGACCTGCCATCATTCCCGATAGAGAGGTGTTGTACCAGCAATTTGATAAGATG、及び
AAGCCTGCTGTTGTCCCTGATCGCGAGATCTTATACCAGCAGTTTGACGAGATG
【請求項30】
請求項1記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項31】
HCVについて試料を試験管内で試験する方法であって、該試料中に存在するHCVポリヌクレオチドを逆転写する工程、ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅する工程、及び請求項29及び30のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドをプローブとして使用することによりその増幅したHCVポリヌクレオチドを検出する工程、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−75119(P2007−75119A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289124(P2006−289124)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【分割の表示】特願2005−18491(P2005−18491)の分割
【原出願日】平成6年5月5日(1994.5.5)
【出願人】(501287779)
【出願人】(505003089)ミューアレックス ダイアグノスティックス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】