説明

CB1受容体アンタゴニストとしての桂皮アルデヒドおよび桂皮抽出物

【課題】インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病および肥満の治療、改善、抑制、または予防に用いる、天然物由来の素材から得られ、安全性が高いCB1受容体阻害活性を有する組成物およびその製造方法を提供。
【解決手段】天然物由来の素材である桂皮抽出物および桂皮アルデヒドを、CB1受容体特異的なアンタゴニスト/逆アゴニストとして含んでなる、メタボリックシンドロームなどの治療、改善、抑制、または予防に有効な食品ならびに医薬組成物およびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、桂皮抽出物を有効成分として含んでなる、CB1受容体(カンナビノイド受容体)阻害活性を有する組成物に関し、より詳細には、当該組成物を含むインスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病および肥満の治療、改善、抑制、または予防に用いられる食品およびCB1受容体に関連する疾患または症状の治療、改善、抑制、または予防に用いられる医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビノイド(CB)受容体は、7回膜貫通型ドメインを持つGたんぱく質共役型の受容体に属する。このうち、CB1受容体は、主に中枢神経系に分布するが、胃、脂肪組織、肝臓、骨格筋、膵臓などの末梢組織中にも発現していることが報告されている(非特許文献1参照)。CB2受容体は、主に免疫系の細胞に分布することが分かっている(非特許文献1参照)。CB1受容体とCB2受容体は48%の相同性を示し、CB1受容体は、ラット、マウス、ヒトにおいて97〜99%のアミノ酸配列相同性を保持している。
【0003】
今日、肥満症は、羅患率およびそれに伴う健康リスクの増大のため、主要な公衆衛生上の問題の1つであることが認識されている。これは肥満症の増加が、冠動脈性心疾患、卒中、高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、骨関節炎、非アルコール性脂肪肝炎、癌および呼吸器障害と相関し、死亡率の増加に関連するからである。
【0004】
肥満症管理のための現在利用できる処方薬は、一般に満腹感を誘発する、または、食事脂肪の吸収を減少させることにより、体重を減少させる。一方、アンフェタミン、メタンフェタミンおよびフェンメトラジンなどのアドレナリン作動性減量薬は、それらの乱用のリスクのため、もはや推奨されない。さらに、フェンフルラミンおよびデクスフェンフルラミンなどのセロトニン作動性減量薬は、肺や心臓に重篤な副作用があるため、もはや使用できない。
【0005】
CB1受容体およびそのリガンドである内在性カンナビノイドはエネルギーバランスの制御に関与している。肥満時には、CB1受容体遺伝子発現や内在性カンナビノイド量が亢進しており、CB1受容体アンタゴニスト/逆アゴニストが肥満抑制薬として機能することが示唆されている(非特許文献2、3参照)。CB1受容体アンタゴニストは、視床下部に作用して一過性に摂食量を減少させる。しかし、摂食行動への効果に比べて、体重抑制効果は持続的であることから、末梢組織への作用も示唆されている。CB1受容体アンタゴニストによる末梢組織への作用のメカニズムとしては、例えば以下のものが挙げられる。酸素消費量を増加し、骨格筋における糖取り込みを増加させる。白色脂肪組織において、脂質合成に関与する酵素遺伝子の発現を抑制するなどの働きを持つアディポカインであるアディポネクチンの遺伝子発現量を促進する。肝臓において、脂肪合成系の転写因子の発現を抑制する。これら末梢組織への作用を介して、エネルギー消費を亢進させ、インスリン感受性を維持することが示唆されているが、CB1受容体アンタゴニストの抗肥満効果における主要なメカニズムはまだ議論となっている(非特許文献1参照)。
【0006】
また、CB2受容体は免疫系への関与が示唆されていることから、CB1受容体特異的なアンタゴニストが望ましい。
【0007】
CB1受容体アンタゴニストは、臨床試験からヒトにおける有効性も実証されている。
【0008】
このようにCB1受容体アンタゴニストは肥満を改善し、高脂血症や糖尿病などに関わるメタボリックシンドロームの予防および/または改善作用が期待される。CB1受容体アンタゴニストとしては、リモナバン、2環式ピラゾイルおよびイミダゾリル化合物などが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】特表2007−509113号公報
【特許文献2】特表2006−524228号公報
【非特許文献1】Diabetes Metab Res Rev 2007;23:507-517.
【非特許文献2】FASEB J.2005 Sep;19(11):1567-9
【非特許文献3】Cell Metab.2008 Jan;7(1):68-78
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来的に公知である、上記したようなCB1受容体アンタゴニストは高価であり、副作用などの不都合があった。よって、安全性が高く、効果の高い、容易に入手可能なCB1受容体アンタゴニスト剤が望まれている。
【0011】
本発明は、天然物由来の素材から得られ、安全性が高いCB1受容体アンタゴニスト活性を有する組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症および糖尿病などに関わるメタボリックシンドロームの治療、改善、抑制、または予防に有効な食品、ならびにCB1受容体に関連する疾患または症状の治療、改善、抑制、または予防に用いられる医薬組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、各種食用素材由来の各種抽出物について、In vitroでの系を用いて、CB1受容体アンタゴニストの探索を行った。その結果、日常容易に入手または食用とし得る天然物由来の素材である桂皮抽出物および桂皮アルデヒドが、CB1受容体特異的なアンタゴニスト/逆アゴニストとしての高い活性を有することを見出し、本発明の完成に至った。
【0013】
すなわち、本発明は以下[1]〜[15]の特徴を包含する。
[1] 桂皮抽出物を有効成分として含んでなる、CB1受容体の阻害用組成物。
[2] 桂皮抽出物が桂皮アルデヒドである、[1]の組成物。
[3] 抗肥満効果を有する、[1]または[2]の組成物。
[4] 抗肥満効果がインスリン抵抗性もしくは脂質代謝の改善効果、体重増加の抑制効果、または痩身効果である、[3]の組成物。
[5] [1]〜[4]のいずれかの組成物を含む、飲食品。
[6] 肥満を治療、改善、抑制および/または予防するためのものである旨の表示を付した、[5]の飲食品。
[7] CB1受容体に関連する疾患または症状を治療、改善、抑制および/または予防するための、[1]または[2]のいずれかの組成物。
[8] CB1受容体に関連する疾患または症状が、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病および肥満である、[7]の組成物。
[9] [7]または[8]の組成物を含む、医薬組成物。
[10] 桂皮抽出物を添加することを含む、CB1受容体阻害活性を有する組成物の製造方法。
[11] 桂皮抽出物が桂皮アルデヒドである、[10]の方法。
[12] CB1受容体阻害活性を有する組成物が、抗肥満効果を有する組成物である、[10]または[11]の方法。
[13] 抗肥満効果がインスリン抵抗性もしくは脂質代謝の改善効果、体重増加の抑制効果、または痩身効果である、[12]の方法。
[14] CB1受容体阻害活性を有する組成物が、CB1受容体に関連する疾患または症状を治療、改善、抑制および/または予防するため組成物である、[10]または[11]の方法。
[15] CB1受容体に関連する疾患または症状が、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病および肥満である、[14]の方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の組成物は、CB1受容体の活性を有意に阻害することができる。
【0015】
また本発明の組成物は、天然物(食品)由来の組成物であるため、副作用等の心配が少なく、安価に、長期間にわたって継続的に摂取することができる。
【0016】
本発明の組成物は、CB1受容体に対する拮抗活性により、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病および肥満などの生活習慣病の治療、改善、抑制、または予防のための食品に利用することが出来る。さらに、本発明の組成物は、CB1受容体に対する拮抗活性により、CB1受容体に関連する疾患または症状の治療、改善、抑制、または予防に用いられる医薬組成物に利用することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明におけるCB1受容体の阻害用組成物は天然物由来の素材である桂皮より抽出して得られる桂皮抽出物を含む。当該桂皮抽出物は、CB1受容体阻害のための有効成分として桂皮アルデヒドを含む。
【0018】
桂皮は、クスノキ科クスノキ属の植物トンキンニッケイ(学名Cinnamomum cassia)、アンナンニッケイ(学名Cinnamomum obtussifolium)、セイロンニッケイ(学名Cinnamomum verum)などの樹皮である。エキスの抽出試料として用いる桂皮としては、樹皮部をミキサーなどで粉砕したもの、あるいは桂皮乾燥粉末などを用いることが出来る。
【0019】
また、本発明においては樹皮の保存状態、粉砕方法、品種または産地は特に限定されない。
【0020】
桂皮抽出物は、当業者に公知の抽出方法によって得ることができ、例えば抽出方法として、有機溶媒抽出、超臨界流体抽出法、加温加圧抽出法などを挙げることができる。上記抽出方法は、それぞれを単独で用いてもよいし、複数の抽出方法を組合せて用いてもよい。
【0021】
本発明において、特に好ましい抽出方法は溶媒抽出である。溶媒抽出は当業者に知られる一般的な手法を用いて行うことができる。具体的には、まず、桂皮の粉砕物または乾燥破砕物に水と有機溶媒とを添加して、室温または加温にて抽出する。
【0022】
抽出溶媒としては、エタノール、メタノール、酢酸エチル、アセトン、水などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの溶媒は単独または2種類以上を混合して用いてもよい。好ましくは、食品等への使用の安全性からエタノールを用いるのが望ましい。添加する溶媒の量は、桂皮素材の重量の1〜100倍、好ましくは5〜50倍、例えば10倍量を用いる。
【0023】
抽出方法としては、例えば、桂皮と前記抽出溶媒とを混合し、室温で1〜5時間攪拌または抽出溶媒の煮沸温度で1〜5時間還流して抽出を行った後、ろ過や遠心分離などにより抽出液から試料残渣を取り除き、減圧または限外ろ過により抽出物を濃縮する方法が挙げられる。さらに、抽出液を乾固、凍結乾燥、スプレードライなどの一般的な方法により乾燥させることも出来る。
【0024】
上記のようにして得られた桂皮抽出物より、桂皮アルデヒドを適当な分離法および精製法を組み合わせて精製して用いることが可能である。当該精製法としては、例えば、液−液分配、有機溶媒沈澱、各種カラムクロマトグラフィー(例えばHPLC、シリカゲルクロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなど)、結晶化などを使用することができる。
【0025】
得られた桂皮抽出物および/または桂皮アルデヒドは、CB1受容体アンタゴニストとしてそのまま直接摂取することも出来るし、また、公知の担体や各種基材などに配合することも出来る。
【0026】
なお、桂皮アルデヒド(別名シンナムアルデヒド、(E)-3-フェニルプロペナール)については、TRPカルシウムチャネルタンパク質に対するアゴニスト作用が知られており、TRPチャネルアゴニストは一般的に脂肪分化を誘導するので、桂皮アルデヒドについても脂肪細胞の分化誘導作用を調節することが可能であると考えられる(特開2006−199647号公報)。しかし、桂皮アルデヒドに関して、以下に記載するCB1受容体アンタゴニストとしての活性については、これまでに報告されていない。さらに、この桂皮アルデヒドについてCB1受容体を介してインスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病および肥満などの疾患または症状を治療、改善、抑制または予防しうることについてはいずれも開示されていない。桂皮アルデヒドがCB1受容体アンタゴニスト活性を有することは本発明者らが初めて見出した事柄である。
【0027】
本発明の組成物は、CB1受容体阻害活性を有する。当該活性は、公知の方法によって評価することが可能であるが、In vitroではCB1受容体安定発現細胞を用いた細胞内cAMP蓄積アッセイにより評価することが可能である。当該アッセイはCB1受容体阻害活性を直接測定する実験系である。さらに、CB1受容体にアゴニスト活性を有する化合物はIn vivoで体温低下の作用を示すことが知られている(J. Pharmacol. Exp. Ther., 1994, 270, 219-227;The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, Vol. 284, No. 3, 1209-1217, 1998)。よって、CB1受容体阻害活性は、本発明の組成物を前投与した後、CB1受容体アゴニスト、例えば、HU210を投与し、その後の体温低下を本発明の組成物が阻害するか否かを判定することにより評価することができる。
【0028】
また、本発明の組成物は抗肥満効果を有し得る。「抗肥満効果」とは、食欲抑制作用、体重増加抑制作用、体重減少作用、体脂肪蓄積抑制作用、体脂肪減少作用などの作用を指し、肥満の予防、抑制、改善および治療に有効である効果を意味する。特に本発明の組成物は、CB1受容体阻害による抗肥満効果、特にインスリン抵抗性もしくは脂質代謝の改善効果、体重増加の抑制効果、または痩身効果を有し得る。
【0029】
すでに生体内において抗肥満効果が示されているリモナバンは、In vitroにおけるヒトCB1受容体安定発現CHO細胞を用いた細胞内cAMP蓄積アッセイ(The Journal of Neuroscience,July 15,1997,17(14):5327-53333)の結果よりCB1受容体阻害活性を有することが明らかとなっている。また、リモナバンは、In vivoにおける経口投与により体重増加抑制効果を有することが明らかとなっている(Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 284:R345-R353,2003)。これらの結果より、In vitroにおけるCB1受容体阻害活性とIn vivoにおける体重増加抑制効果とが相関関係を有することは明らかである。
【0030】
本発明の組成物は、CB1受容体阻害活性を有し、当該阻害活性による体重増加抑制効果を有し得、抗肥満効果を生じ、肥満の予防、抑制、改善および治療に有効であり得る。
【0031】
さらに、本発明の組成物は、CB1受容体に関連する疾患または症状を治療、改善、抑制または予防するために用いることができる。「CB1受容体に関連する疾患または症状」とは、CB1受容体の活性を阻害することにより治療、改善、抑制または予防することが可能な疾患または症状を指す。当該疾患または症状としては、CB1受容体遺伝子発現の増加やCB1受容体の活性化、リガンドである内在性カンナビノイド量の亢進などの要因に起因するものが挙げられ、例えばインスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病および肥満などが挙げられる。
【0032】
一実施形態において、本発明の組成物は、医薬組成物として提供することが可能である。本発明の医薬組成物はCB1受容体阻害活性を有する。本発明の医薬組成物はCB1受容体に関連する疾患または症状を治療、改善、抑制または予防するのに有効であり得る。
【0033】
本発明による組成物を医薬組成物として提供する場合には、上記桂皮抽出物および/または桂皮アルデヒドを薬学上許容される添加物と混合することにより製造できる。
【0034】
本発明による医薬組成物は、経口投与または非経口投与により投与することができる。経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤が挙げられる。非経口剤としては、注射剤(例えば、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤)、点滴剤、外用剤(例えば、経鼻投与製剤、経皮製剤、軟膏剤)、坐剤(例えば、直腸坐剤、膣坐剤)が挙げられる。これらの製剤は、当分野で通常行われている手法により、薬学上許容される担体を用いて製剤化することができる。薬学上許容される担体としては、賦形剤、結合剤、希釈剤、添加剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられ、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、カカオバターを担体として使用できる。
【0035】
経口剤は、有効成分に、例えば賦形剤(例えば、乳糖、白糖、デンプン、マンニトール)、崩壊剤(例えば、炭酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム)、結合剤(例えば、α 化デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース)または滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000)を添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより製造することができる。コーティング剤としては、例えばエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびオイドラギット(ローム社製、ドイツ、メタアクリル酸・アクリル酸共重合物)などを用いることができる。
【0036】
注射剤は、有効成分を分散剤(例えば、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、米国)、HCO60(日光ケミカルズ製)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、保存剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、クロロブタノール、フェノール)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、ソルビトール、ブドウ糖、転化糖)などと共に水性溶剤(例えば、蒸留水、生理的食塩水、リンゲル液等)あるいは油性溶剤(例えば、オリーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油などの植物油、プロピレングリコール)などに溶解、懸濁あるいは乳化することにより製造することができる。この際、所望により溶解補助剤(例えば、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイン)等の添加物を添加してもよい。
【0037】
外用剤は、有効成分を固状、半固状または液状の組成物とすることにより製造することができる。例えば、上記固状の組成物は、有効成分をそのまま、あるいは賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、デンプン、微結晶セルロース、白糖)、増粘剤(例えば、天然ガム類、セルロース誘導体、アクリル酸重合体)などを添加、混合して粉状とすることにより製造できる。上記液状の組成物は、注射剤の場合とほとんど同様にして製造できる。半固状の組成物は、水性または油性のゲル剤、あるいは軟骨状のものがよい。また、これらの組成物は、いずれもpH調節剤(例えば、炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウム)、防腐剤(例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム)などを含んでいてもよい。坐剤は、有効成分を油性または水性の固状、半固状あるいは液状の組成物とすることにより製造できる。該組成物に用いる油性基剤としては、高級脂肪酸のグリセリド〔例えば、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベル社製)〕、中級脂肪酸〔例えば、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社製)〕、あるいは植物油(例えば、ゴマ油、大豆油、綿実油)が挙げられる。水性基剤としては、ポリエチレングリコール類、プロピレングリコールが挙げられる。また、水性ゲル基剤としては、天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体が挙げられる。
【0038】
本発明の医薬組成物を、CB1受容体に関連する疾患または症状を罹患、または罹患する危険にある患者に投与することにより、当該疾患または症状を治療、改善、抑制または予防し得る。
【0039】
本発明の医薬組成物における有効成分である桂皮抽出物および/または桂皮アルデヒドの投与量または摂取量は、所与の症状や用法について治療効果を与え得る量であり、その量は、動物を用いた試験、臨床試験の実施により当業者によって適宜決定されるが、投与対象の年齢、性別、体重、適用疾患およびその症状、剤形、投与方法などが考慮されるべきである。例えば、本発明の医薬組成物が経口剤である場合には、上記投与量または摂取量は、0.01〜20mg/Kg体重/日、好ましくは0.01〜8mg/Kg体重/日とすることができる。
【0040】
また別の実施形態において、本発明の組成物は飲食品として提供することが可能である。本発明の飲食品はCB1受容体阻害活性を有する。また、本発明の飲食品はCB1受容体阻害活性による抗肥満効果を有し、インスリン抵抗性もしくは脂質代謝の改善、体重増加の抑制、または痩身に有効であり得る。
【0041】
本発明の食品は、上記桂皮抽出物および/または桂皮アルデヒドを有効量含んでなるものである。食品には、上記桂皮抽出物および/または桂皮アルデヒドをそのまま、またはそれらを含む組成物の形態で、配合することができる。
【0042】
より具体的には、本発明による食品は、桂皮の粉砕物あるいは上記桂皮抽出物および/または桂皮アルデヒドを、食品として調製したもの、各種タンパク質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類等をそれらにさらに配合して調製したもの、液状、半液体状もしくは固体状にしたもの、ペースト状にしたもの、または、一般の飲食品へ添加したものであってもよい。
【0043】
また本発明において「食品」には、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、疾病リスク低減表示を付した食品、または、病者用食品のような分類のものも包含される。疾病リスク低減表示としては、例えば肥満を治療、改善、抑制および/または予防するためのものである旨の表示が挙げられる。従って、本発明の組成物は、例えば桂皮抽出物および/または桂皮アルデヒドを含有する肥満を治療、改善、抑制および/または予防するためのものである旨の表示を付した飲食品である。
【0044】
通常の食品の形状だけでなく、サプリメントのような栄養補助食品の形状であってもよい。
【0045】
本発明によれば、CB1受容体アンタゴニスト活性を持つ抽出物を有効量含んでなる食品であって、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病および肥満といった生活習慣病などの疾患または状態の治療、予防、抑制または改善に用いられる食品が提供される。
【0046】
ここでこれら食品に付される機能表示は、製品の本体、容器、包装、説明書、添付文書、または宣伝物のいずれかにされてなることができる。
【0047】
本発明による食品の具体例としては、飯類、餅類、麺類、パン類およびパスタ類等の炭水化物含有飲食品;クッキーやケーキなどの洋菓子類、饅頭や羊羹等の和菓子類、キャンディー類、ガム類、ヨーグルトやプリンなどの冷菓や氷菓などの各種菓子類;ジュース、清涼飲料水、乳飲料、茶飲料、機能性飲料、栄養補助飲料、ノンアルコールビール等の各種飲料;ビール、発泡酒等のアルコール飲料;スープ、味噌汁、お吸い物などの飲食品;卵を用いた加工品、魚介類(イカ、タコ、貝、ウナギなど)や畜肉(レバー等の臓物を含む)の加工品(珍味類を含む);だし、しょうゆ、みりんその他の調味料;などが挙げられる。
【0048】
添加・配合の対象である食品として以下のものに限定されないが、好ましい食品の例としては、本発明の組成物は、カプチーノ等の飲料や、アップルパイなどの洋菓子などにも用いることができる。
【0049】
例えば、本発明の組成物は茶や酒類として飲用したり、ゼリーやガムなどの菓子類に添加・配合したりすることもできる。
【0050】
また、本発明の飲食品は、CB1受容体アンタゴニスト活性を抑制しない限りにおいて、本発明の組成物の他、栄養補助成分などの他の成分を含むことができる。かかる成分には、ビタミン類(例えばビタミンA、ビタミンB群、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、葉酸等)、カロチノイド(例えばβカロチン、リコピン、フコキサンチン等)、ミネラル類(例えば海藻成分、CCM、ヘム鉄、鉄塩系、乳清カルシウム、発酵乳酸カルシウム、牛骨カルシウム、珊瑚カルシウム、卵殻カルシウム等)、各種植物体並びにその抽出物、精製物および分画物(例えばオオバコ、クロレラ、スピルリナ、にんにく、いちょう葉、ギムネマ、杜仲の葉、しその葉、ハトムギ、大豆グロブリン、ルチン、緑茶抽出物、テアニン、ポリフェノール類、甘草、ユッカ、大豆サポニン、カフェイン、ホワトルベリーエキス、シャンピニオンエキス、ガルシニア・カンボジアエキス等)、微生物並びにその増殖因子および微生物生産物(例えば乳酸菌、酵母、乳酸菌増殖因子等)、食物繊維およびその酵素分解物(例えばアップルファイバー、コーンファイバー、澱粉由来の食物繊維、難消化性デキストリン、グアガム酵素分解物、サツマイモ繊維、大豆繊維、海藻繊維、きのこ繊維、茶繊維、酸性多糖類、植物粘質物、小麦フスマ等)、動物体並びにその抽出物、精製物、分解物および生産物(例えばローヤルゼリー、プロポリス、牡蠣エキス、キチン、キトサン、タウリン、コラーゲン、ゼラチン等)、各種オリゴ糖(例えばガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖等)、脂質(例えば不飽和脂肪酸(DHA、EPA等)、リン脂質、サラトリム等)、各種蛋白質および蛋白分解物(例えばとうもろこし蛋白、大豆蛋白、TMP(トータルミルクプロテイン)、ラクトアルブミン、カゼイン、ホエー、グルタチオン、大豆ペプチド、卵白ペプチド、グルタミンペプチド等)、脱脂胚芽等の小麦胚芽などが挙げられる。
【0051】
本発明の飲食品の摂取により、抗肥満効果を生じ、インスリン抵抗性もしくは脂質代謝の改善、体重増加の抑制、または痩身に有効であり得る。
【0052】
本発明の飲食品における有効成分である桂皮抽出物および/または桂皮アルデヒドの含有量は、通常、0.01〜50重量%、好ましくは1〜30重量%程度であり、成人1人につき、1日当たり1〜500mg、好ましくは1〜200mgの摂取量となるように摂取すればよい。
【0053】
上記本発明の医薬組成物および飲食品およびは、上記の通り天然物由来の成分を有効成分として含むため、副作用等の心配が少なく、安価にかつ長期間にわたって継続的に摂取することができる。
【実施例】
【0054】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0055】
(実施例1)桂皮低極性抽出物の調製
桂皮乾燥粉末300mgに50倍量の80%アセトン含有水溶液を加え、室温で1時間攪拌した。遠心後に上清を回収し、減圧下乾固させて29.4mgを得た。これを100倍量の80%メタノール含有水溶液に溶解し、等量のヘキサンで3度分配した。得られた80%メタノール含有水溶液層を減圧下乾固させ、200倍量の水に溶解後、酢酸エチルで3度分配した。酢酸エチル層を減圧下乾固させて4.6mgの抽出物を得た。
【0056】
(実施例2)CB1安定発現細胞の樹立
ヒトCB1受容体cDNAを含んだpcDNA3.2プラスミドを、FuGENE 6(Roche)を用いてチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)に遺伝子導入した。遺伝子導入後、この細胞を1.5mg/ml GENETICIN(GIBCO)で選択し、GENETICIN耐性クローンを増殖させて細胞系を樹立した。同様にして、ヒトCB2受容体安定発現細胞も樹立した。
【0057】
(実施例3)抽出物のCB1受容体アンタゴニスト活性および濃度依存性の検討
実施例1で調製した桂皮低極性抽出物は、100mg/mlになるようにエタノールに溶解し、CB1受容体アンタゴニスト活性を評価した。
【0058】
実施例2で作製したヒトCB1受容体を安定発現させたCHO細胞を96穴培養プレートに1×10cells/wellとなるように播種し、37℃、5%CO条件下で18時間程度培養した。培地には、10%FBS、500U/mlペニシリン・ストレプトマイシン溶液、1.5mg/ml GENETICINを含むα-MEM,100μl/wellを用いた。播種18時間後に、実施例1で調整した桂皮低極性抽出物、ホルスコリン、CB1受容体アゴニスト(HU210)を以下の表1のように含有した培地と交換し、30分培養した。
【0059】
【表1】

【0060】
その後、市販の測定キット(cAMP−ScreenTMSystem,Applied Biosystems)を用い、細胞溶解液の回収および細胞内cAMP量の定量を行った。HU210添加時のホルスコリン依存性cAMP蓄積の抑制程度(cAMP量((2)−(3))、表1参照)を100%とし、それに対する抽出物およびHU210添加時のホルスコリン依存性cAMP蓄積の抑制程度(cAMP量((4)−(3))、表1参照)をCB1受容体アンタゴニスト活性(%)として相対的に表した。一群につき3例で実験を行った。桂皮低極性抽出物の添加濃度を数段階設定し測定した結果、添加濃度依存的なCB1受容体アンタゴニスト活性の上昇が認められた(図1を参照)。
【0061】
(実施例4)CB1受容体特異性の評価
実施例3と同様に、実施例1で調製した桂皮低極性抽出物のCB2受容体アンタゴニスト活性について評価し、CB1受容体アンタゴニスト活性と比較することで、CB1受容体特異性を評価した。HU210のKi値はCB1受容体、CB2受容体に対して、それぞれ0.061nM, 0.52nMである。そこでHU210の濃度を、CB1受容体アンタゴニスト活性測定時は、1nM、CB2受容体アンタゴニスト活性測定時は、10nMとした。一群につき3例で実験を行った。桂皮低極性抽出物(最終濃度0.06mg/mlで添加)のCB1受容体およびCB2受容体アンタゴニスト活性を測定した結果、CB2受容体アンタゴニスト活性はCB1受容体アンタゴニスト活性の50%以下であり、桂皮アルデヒドを含む桂皮低極性抽出物のCB1受容体特異性が認められた(図2を参照)。
【0062】
(実施例5)桂皮のエタノール抽出物の調製
桂皮乾燥粉末6.35gに20倍量の100%エタノールを加え、室温で1時間攪拌した。遠心後に上清を回収し、残渣に同量の100%エタノールを加え、室温で1時間攪拌した。遠心後に上清を回収し、先ほどの上清と合わせ、減圧下乾固させて589.7mgの抽出物を得た。これを100mg/mlになるようにエタノールに溶解し、CB1受容体アンタゴニスト活性を評価した。
【0063】
(実施例6)桂皮のエタノール抽出物のCB1受容体アンタゴニスト活性の測定
実施例3と同様に、実施例5で調製した桂皮アルデヒドを含む桂皮のエタノール抽出物(最終濃度は0.2mg/ml)のCB1受容体アンタゴニスト活性を評価した。一群につき3例で実験を行った。その結果、97.48±9.56%のCB1受容体アンタゴニスト活性が認められた。
【0064】
(実施例7)活性成分の同定
実施例1で調製した桂皮低極性抽出物に含まれる成分プロフィールを把握するため、高速液体クロマトグラフィー−フォトダイオードアレイ−質量分析装置(LC−PDA−MS)を用いて検討した。条件は以下の通りである。
【0065】
[条件]
装置:LC;Waters 2695 separation module、PDA;Waters 2996 photodiode array detector、MS;Waters micromass ZQ(全て日本ウォーターズ)
カラム:Atlantis T3 4.6×250 mm(日本ウォーターズ)
カラム温度:40℃
流速:1.0ml/min(質量分析計にはスプリッターを用い1/4量導入)
溶媒A:水(含0/1% ギ酸)
溶媒B:メタノール(含0/1% ギ酸)
グラジエントタイムプログラム:30% B → 100% B(0min → 25min)
キャピラリー電圧:3.0kV
コーン電圧:30V
【0066】
結果、検出波長280nmにおいて複数のピークが観測された(図3Aを参照)。桂皮精油の主成分が桂皮アルデヒドであることから、桂皮アルデヒドについても同条件で検討したところ、桂皮低極性抽出物で観測されたメインピークであるピーク(1)と保持時間が完全に一致した(図3Bを参照)。また、ピーク(1)と桂皮アルデヒドのマススペクトルも一致した(それぞれ図4AおよびBを参照)。以上のことから、桂皮低極性抽出物で観測されたピーク(1)は桂皮アルデヒドであることが判明した。標品を用いて検量線を作成し、桂皮低極性抽出物中の桂皮アルデヒドを定量したところ、同抽出物中の桂皮アルデヒド含量は15%(w/w)であった。
【0067】
実施例3と同様の方法(HU210の濃度(10nM)のみ異なる。)で、桂皮アルデヒドのCB1受容体アンタゴニスト活性を測定し、桂皮低極性抽出物と比較した。桂皮アルデヒドはエタノールに溶解した。一群につき3例で実験を行った。その結果、桂皮アルデヒドに用量依存的なCB1受容体アンタゴニスト活性が認められ、0.2mg/ml桂皮低極性抽出物と0.03mg/ml桂皮アルデヒドが同程度の活性を示した。前述の成分分析の結果から、桂皮低極性抽出物0.2mg/ml中に桂皮アルデヒドは0.03mg/ml含まれることが分かっている。これらのことから、桂皮低極性抽出物の活性本体として桂皮アルデヒドを同定した(図5を参照)。
【0068】
(実施例8)桂皮アルデヒドのCB1受容体アンタゴニスト活性強度の評価
桂皮アルデヒドのCB1受容体アンタゴニスト活性の強度を評価するために、既存のCB1受容体アンタゴニスト剤(AM251)との活性の比較を行った。方法は実施例7と同様である。一群につき3例で実験を行った。その結果、桂皮アルデヒドのIC50は172.18μM、AM251のIC50は0.13μMであり、桂皮アルデヒドのCB1受容体アンタゴニスト活性はAM251の約1/1318であることが明らかになった(図6を参照)。
【0069】
(実施例9)桂皮低極性抽出物のCB1受容体アンタゴニスト活性のIn vivo評価
実施例1で調製した桂皮低極性抽出物のIn vivoにおけるCB1受容体アンタゴニスト活性は、マウスに抽出物を前投与した後、CB1受容体アゴニスト(HU210)を投与し、その後のHU210による体温低下を抽出物が阻害するかにより評価した。実験にはJcI:ICR系雄性マウス(5週齢)を用いた。桂皮低極性抽出物を7.5%の濃度で水溶性ポリマー(PUREBRIGHT)に懸濁し、10ml/kg体重で腹腔内に投与した(最終濃度;75mg/kg体重)。control群およびvehicle群には溶媒のみ投与した。30分後に、体温測定用プローブを接続した温度計(Physitemp BAT−12)にて直腸温を測定した(この値を基準値とした)。さらに15分後に0.15%DMSOに溶解したHU210(10μg/ml)、1%Tween80を含む生理食塩水を10ml/kg体重で腹腔内に投与した(最終濃度;100μg/kg体重)。control群には溶媒のみ投与した。その後30分ごとに90分まで、90分後からは90分ごとに270分まで直腸温を測定した。一群5例で実験を行った。横軸はHU210投与後の時間、縦軸は各時間の直腸温と基準値との差である。
【0070】
結果、上記モデルにおいて、桂皮低極性抽出物は、HU210投与後の体温低下を阻害することが可能であり、In vivoにおいても優れたCB1受容体アンタゴニスト活性を有することが明かになった(図7を参照)。
【0071】
(実施例10)桂皮アルデヒドのCB1受容体アンタゴニスト活性のIn vivo評価
実施例9と同様に、桂皮アルデヒドのIn vivoにおけるCB1受容体アンタゴニスト活性を測定した。エタノールに溶解した桂皮アルデヒドを生理食塩水に懸濁し、10ml/kg体重で腹腔内に投与した(最終濃度;11.25mg/kg体重)。一群5〜8例で実験を行った。結果、桂皮アルデヒドは、HU210投与後の体温低下を阻害することが可能であり、In vivoにおいても優れたCB1受容体アンタゴニスト活性を有することが明かになった(図8を参照)。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の組成物は、CB1受容体阻害活性を有し、抗肥満ならびにCB1受容体に関連する疾患および/または症状の治療、改善、抑制および/または予防に利用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、桂皮低極性抽出物のCB1受容体アンタゴニスト活性の解析結果を示す。
【図2】図2は、桂皮低極性抽出物のCB1受容体に対する特異性についての解析結果を示す。
【図3】図3は、LC−PDA−MSを用いた桂皮低極性抽出物に含まれる成分プロフィールの解析結果を示す。Aは桂皮低極性抽出物のクロマトグラム、Bは桂皮アルデヒドのクロマトグラムをそれぞれ示す。
【図4】図4は、図3のピーク(1)と桂皮アルデヒドとの質量分析の結果を示す。Aはピーク(1)のマススペクトル、Bは桂皮アルデヒドのマススペクトルをそれぞれ示す。
【図5】図5は、桂皮低極性抽出物と桂皮アルデヒドのCB1受容体アンタゴニスト活性の比較解析結果を示す。
【図6】図6は、桂皮アルデヒドのCB1受容体アンタゴニスト活性強度の解析結果を示す。
【図7】図7は、桂皮低極性抽出物のIn vivoにおけるCB1受容体アンタゴニスト活性の分析結果を示す。横軸はHU210投与後の時間、縦軸は各時間の直腸温と基準値との差である。
【図8】図8は、桂皮アルデヒドのIn vivoにおけるCB1受容体アンタゴニスト活性の分析結果を示す。横軸はHU210投与後の時間、縦軸は各時間の直腸温と基準値との差である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桂皮抽出物を有効成分として含んでなる、CB1受容体の阻害用組成物。
【請求項2】
桂皮抽出物が桂皮アルデヒドである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
抗肥満効果を有する、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
抗肥満効果がインスリン抵抗性もしくは脂質代謝の改善効果、体重増加の抑制効果、または痩身効果である、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物を含む、飲食品。
【請求項6】
肥満を治療、改善、抑制および/または予防するためのものである旨の表示を付した、請求項5記載の飲食品。
【請求項7】
CB1受容体に関連する疾患または症状を治療、改善、抑制および/または予防するための、請求項1または2記載の組成物。
【請求項8】
CB1受容体に関連する疾患または症状が、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病および肥満である、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
請求項7または8記載の組成物を含む、医薬組成物。
【請求項10】
桂皮抽出物を添加することを含む、CB1受容体阻害活性を有する組成物の製造方法。
【請求項11】
桂皮抽出物が桂皮アルデヒドである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
CB1受容体阻害活性を有する組成物が、抗肥満効果を有する組成物である、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
抗肥満効果がインスリン抵抗性もしくは脂質代謝の改善効果、体重増加の抑制効果、または痩身効果である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
CB1受容体阻害活性を有する組成物が、CB1受容体に関連する疾患または症状を治療、改善、抑制および/または予防するため組成物である、請求項10または11記載の方法。
【請求項15】
CB1受容体に関連する疾患または症状が、インスリン抵抗性、高脂血症、糖尿病および肥満である、請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−83787(P2010−83787A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253595(P2008−253595)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000253503)キリンホールディングス株式会社 (247)
【Fターム(参考)】