説明

CCD固体撮像素子

【課題】 本発明は、電荷転送効率を低下させることなく転送レジスタにおける消費電力を低減するCCD固体撮像素子を提供するものである。
【解決手段】 本発明のCCD固体撮像素子は、転送電極が単層で形成され相互にギャップを置いて配列された単層電極構造の転送レジスタを有し、前記転送電極の両端のギャップ幅が中央部よりも広く形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCD固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
CCD固体撮像素子では、多画素化、高速化が進み消費電力の増加が問題視されている。
【0003】
図11は、従来のインターライン転送(IT)方式のCCD固体撮像素子に適用した要部、すなわち撮像領域から水平転送レジスタ、さらに出力部に至る要部を示す。
本例のCCD固体撮像素子30は、画素となる複数のフォトセンサ部31がマトリクス(行列)状に配列され、各フォトセンサ部列に対応してCCD構造の垂直転送レジスタ33が形成され、各垂直転送レジスタ33の最終段に接続するようにCCD構造の水平転送レジスタ34が形成され、水平転送レジスタ34の後段に出力部36が接続されて構成される。
【0004】
垂直転送レジスタ33は、1つのフォトセンサ部31に2つの垂直転送電極が対応するように形成され、4相の垂直転送パルスφV1,φV2,φV3,φV4で信号電荷を垂直方向に転送駆動するように構成される。すなわち4つの転送電極32[321、322、323、324]に夫々垂直転送パルスφV1,φV2,φV3,φV4が印加されるようになされる。この例では、フォトセンサ部31の位置に対応して転送電極321、323が形成される。垂直方向の最終に位置するフォトセンサ部31は、垂直転送パルスφV1が印加される転送電極321に対応している。
【0005】
垂直転送レジスタ33は、最終段の例えば1ビット分の転送電極(φV1〜φV4が印加される転送電極)321〜324を介して水平転送レジスタ34に接続される。各転送電極321〜324は、夫々各垂直転送レジスタ33に共通となるように、水平方向に延長して形成される。
【0006】
水平転送レジスタ34は、各垂直転送レジスタ33に対応して1ビット分の水平転送電極351、352が対応するように成され、2相の水平駆動パルスφH1,φH2で信号電荷を水平方向に転送駆動するように構成される。
【0007】
この水平転送レジスタ34として、図12Aの拡大図に示すように、水平転送電極351、352を単層ポリシリコンで形成したいわゆる単層電極構造の水平転送レジスタが用いられている。単層の水平転送電極では、2つの転送電極351a,351bにより第1の水平駆動パルスφH1が印加される水平転送電極351が形成され、2つの転送電極352a,352bにより第2の水平駆動パルスφH2が印加される水平転送電極352が形成される。すなわち、図12Aは、水平転送レジスタ34の要部の断面図である。例えば、Siよりなる半導体基板40が、n型サブストレイト42に、p型ウェル領域43が形成された構成を有し、このp型ウェル領域43にn型水平転送チャネル領域44が形成され、ゲート絶縁膜45を介して単層ポリシリコン膜からなる水平転送電極35[351a,351b,352a,352b]が形成される。水平転送電極35は、通常、図12Bに示すように長方形をなして形成される。
【0008】
このCCD固体撮像素子30では、フォトセンサ部31において受光され光電変換して受光量に応じた信号電荷が蓄積される。このフォトセンサ部31の信号電荷は、垂直ブランキング期間にフォトセンサ部31から垂直転送レジスタ33へ読み出され、以後、水平ブランキング期間に1水平ライン毎の信号電荷が垂直転送され、いわゆる垂直ラインシフトが行われて、水平転送レジスタ34に転送される。そして、水平転送レジスタ34に転送された信号電荷は水平有効転送期間に水平方向に転送され、出力部36を通じて出力される。
【0009】
このような単層電極構造CCD撮像素子の例が、特許文献1の[従来の技術]で開示されている。
【特許文献1】特許第3252807号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述のCCD固体撮像素子30では、単層電極構造の水平転送レジスタ34において、発生する負荷容量よって消費電力を増加させている。単層電極構造の水平転送レジスタ34における負荷容量について説明する。
図12に示すように、水平転送レジスタ34では、水平転送電極35とn型サブストレイト42間に寄生容量Csubが発生する。この容量Csubは、水平転送チャネル領域44及びp型ウェル領域43が空乏化し、水平転送電極35からn型サブストレイト42の空乏層端までの距離は数μm程度であるため、それ程大きな容量にならない。しかし、それぞれの水平転送電極351,352間の寄生容量Cgapは、各水平転送電極351,352間の距離X1は通常0.5μm以下と狭く、しかも2相の水平駆動パルスφH1,φH2を逆位相で印加することにより、ミラー効果の影響で非常に大きな容量値となってしまう。
水平転送レジスタの消費電力を低減するには、各水平転送電極351,352間のギャップ幅を広げることが効果的であるが、この場合、水平転送レジスタ34の転送効率を低下させてしまう。
【0011】
上述のように、それぞれの転送電極間で発生する寄生容量は、CCD固体撮像素子の多画素化、高速化を進める上で、消費電力を増加させてしまい、その中でも、特に水平転送レジスタにおける消費電力は出力バッファに次いで2番目に大きいため、この水平転送レジスタの消費電力の低減が課題となっている。
【0012】
本発明は、上述の点に鑑み、電荷転送効率を低下させることなく転送レジスタにおける消費電力を低減するCCD固体撮像素子を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の固体撮像素子は、転送電極が単層で形成され相互にギャップを置いて配列された単層電極構造の転送レジスタを有し、前記転送電極の両端のギャップ幅が中央部よりも広く形成されていることを特徴とする。
【0014】
水平転送レジスタの前記転送電極下における転送チャネル領域の中央部に微小信号転送用チャネルが形成されていることが好ましい。隣接する転送電極間のギャップ部にポテンシャルディップを打ち消す不純物が導入され、前記不純物の濃度は前記ギャップ幅が広いほど高濃度であることが好ましい。
【0015】
本発明の固体撮像素子は、転送電極が単層で形成され相互にギャップを置いて配列された単層電極構造の転送レジスタを有し、異相な転送電極間の各転送電極の両端のギャップ幅が中央部よりも広く形成されている。
【0016】
水平転送レジスタの前記転送電極下における転送チャネル領域の中央部に微小信号転送用チャネルが形成されていることが好ましい。隣接する転送電極間のギャップ部にポテンシャルディップを打ち消す不純物が導入され、異相な転送電極間の前記不純物の濃度は前記ギャップ幅が広いほど高濃度であることが好ましい。
【0017】
本発明のCCD固体撮像素子では、単層電極構造の水平転送レジスタ又は/及び垂直転送レジスタにおいて、転送電極の両端のギャップ幅が中央部よりも広く形成されるので、隣合う転送電極間の寄生容量は低減される。信号電子数が少ないいわゆる微小信号電荷の転送では、信号電荷が転送電極のギャップの狭い中央部に対応した、転送チャネル領域の中央部を転送するので、電荷の転送効率を低下させることがない。信号電子数が多いいわゆる大信号電荷の転送では、信号電荷が転送チャネル領域の全幅にわたって転送し、最終段階で転送チャネル領域の中央部に集中するので、転送効率がそれ程高くなくても実質的に問題ない。
【0018】
水平転送レジスタにおいては、水平転送電極の両端のギャップ幅を中央部のギャップ幅よりも広く形成すると共に、さらに、水平転送チャンネル領域の中央部に微小信号転送用チャンネルを形成している。微小信号転送用チャンネルの部分は、両側のチャンネル部分よりもポテンシャルが深くなっているので、信号電子数が少ない時には信号電荷は微小信号転送用チャネルの部分を転送することになり、しかも、この部分は転送電極間のギャップ幅が狭いので十分に高い転送効率を確保することができる。一方、信号電子数が多いとき、信号電荷は水平転送チャンネル領域の全域に、すなわち転送電極間のギャップ幅が広い部分まで広がった状態で転送される。この場合も、上述と同様に信号電荷は最終段階で転送チャネル領域のポテンシャルの深い中央部、すなわち微小信号転送用チャネルに集中して転送され、転送効率については実質的に問題ない。
【0019】
また、隣接する転送電極間のギャップ部にポテンシャルディップを打ち消す不純物を導入し不純物の濃度を、ギャップ幅が広いほど高濃度にすることにより、ギャップ部のポテンシャルディップが解消され転送チャネル領域の全領域に渡ってポテンシャル分布を最適化することができる。これによって、電荷の転送効率の向上が図れる。
【0020】
水平転送レジスタにおいては、異相な水平転送電極の両端のギャップ幅を中央部のギャップ幅よりも広く形成すると共に、さらに、水平転送チャンネル領域の中央部に微小信号転送用チャンネルを形成している。微小信号転送用チャンネルの部分は、両側のチャンネル部分よりもポテンシャルが深くなっているので、信号電子数が少ない時には信号電荷は微小信号転送用チャネルの部分を転送することになり、しかも、この部分は転送電極間のギャップ幅が狭いので十分に高い転送効率を確保することができる。一方、信号電子数が多いとき、信号電荷は水平転送チャンネル領域の全域に、すなわち異相な転送電極間のギャップ幅が広い部分まで広がった状態で転送される。この場合も、上述と同様に信号電荷は最終段階で転送チャネル領域のポテンシャルの深い中央部、すなわち微小信号転送用チャネルに集中して転送され、転送効率については実質的に問題ない。同相な水平転送電極の間のギャップ幅は、転送電極の両端であっても等しく形成されているので転送効率の更なる向上を図れる。
【0021】
また、異相な隣接する各転送電極間のギャップ部にポテンシャルディップを打ち消す不純物を導入し不純物の濃度を、ギャップ幅が広いほど高濃度にすることにより、ギャップ部のポテンシャルディップが解消され転送チャネル領域の全領域に渡ってポテンシャル分布を最適化することができる。同相な転送電極間のギャップ部の不純物の濃度は低濃度であるため、最適な転送を行うことができる。これによって、電荷の転送効率の向上が図れる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のCCD固体撮像素子によれば、CCD転送レジスタであって、転送効率の低下を招かずに、それぞれの転送レジスタ間の寄生容量を低減できる。よって、転送効率の低下無しに転送レジスタの消費電力を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
図1は、本発明に係るCCD固体撮像素子の一実施の形態を示す構成図である。図1は、インターライン転送(IT)方式のCCD固体撮像素子に適用した要部、すなわち撮像領域から水平転送レジスタ、さらに出力部に至る要部を示す。
本実施の形態に係るCCD固体撮像素子1は、画素となる複数のフォトセンサ部11がマトリクス(行列)状に配列され、各フォトセンサ部列に対応してCCD構造の垂直転送レジスタ13が形成され、各垂直転送レジスタ13の最終段に接続するようにCCD構造の水平転送レジスタ14が形成され、水平転送レジスタ14の後段に出力部16が接続されて成る。toutは出力端子である。
【0025】
垂直転送レジスタ13は、1つのフォトセンサ部11に2つの垂直転送電極が対応するように形成され、4相の垂直転送パルスφV1,φV2,φV3,φV4で信号電荷を垂直方向に転送駆動するように構成される。すなわち4つの転送電極12[121、122、123、124]に夫々垂直転送パルスφV1,φV2,φV3,φV4を印加するようにしている。本例では、フォトセンサ部11の位置に対応して転送電極121、123が形成される。垂直方向の最終に位置するフォトセンサ部11は、垂直転送パルスφV1が印加される転送電極121に対応している。
【0026】
垂直転送レジスタ13は、最終段の転送電極(φV4が印加される転送電極)124を介して水平転送レジスタ14に接続される。各転送電極121〜124は、夫々各垂直転送レジスタ13に共通となるように、水平方向に延長して形成されている。
【0027】
水平転送レジスタ14は、各垂直転送レジスタ13に対応して1ビットの水平転送電極151、152が対応するように成され、2相の水平駆動パルスφH1,φH2で信号電荷を水平方向に転送駆動するように構成される。
この水平転送レジスタ14として、図2の拡大断面図に示すように、水平転送電極151、152を単層ポリシリコン膜で形成したいわゆる単層電極構造の水平転送レジスタに形成される。単層の水平転送電極では、前述と同様に、2つの転送電極151a,151bにより第1の水平駆動パルスφH1が印加される水平転送電極151が形成され、2つの転送電極152a,152bにより第2の水平駆動パルスφH2が印加される水平転送電極152が形成される。すなわち、水平転送レジスタ14は、例えば、シリコン半導体基板6を構成するように第1導電型、本例ではn型のサブストレイト2に第2導電型のp型ウェル領域3を形成し、このp型ウェル領域3の表面に形成した第1導電型のn型水平転送チャネル領域4上にゲート絶縁膜5を介して単層ポリシリコンからなる複数の水平転送電極15を相互にギャップgを置いて電荷転送方向に配列するように形成して構成される。
【0028】
本実施の形態においては、特に、隣合う水平転送電極15[151a,151b,152a,152b]間のギャップgとして、水平転送電極の電荷転送方向と直交する方向の電極両端でのギャップ幅W1 を電極中央部でのギャップ幅W2より広くなるように、水平転送電極が形成される。このため、図3に示すように、各転送電極15[151a,151b,152a,152b]が、転送チャネル領域4の後述する微小信号転送用チャネル10となる中央部上に対応する電極中央部から電荷転送方向と直交する方向の電極両端に向って電極幅が漸次狭くなるように形成される。この電極構造により、隣合う転送電極15間では電極両端におけるギャップ幅W1 が、電極中央部におけるギャップ幅W2より広くなる。
【0029】
一方、転送チャネル領域4は、信号電子数が少ないときの信号電荷(いわゆる微小信号電荷)をチャネル中央部で転送し、信号電子数が多いときの信号電荷(いわゆる大信号電荷)を転送チャネル幅全域で転送できるようなポテンシャル分布、すなわち不純物プロファイルを有して形成される。このため、図4に示すように、転送チャネル領域4は、電荷転送方向と直交する方向の断面で見ると、転送チャネル全域にわたり形成した所要の不純物濃度のn型半導体領域4aの中央部分にn型半導体領域4aより不純物濃度の高いn+ 半導体領域4bを形成して構成される。この図4の転送チャネル領域4のポテンシャル分布を図5に示す。中央部のポテンシャルは深く、ここに微小信号転送用チャネル10が形成される。この中央部を挟む両側のポテンシャは中央部のポテンシャルより浅い。
【0030】
なお、図4は、図3のA−A´線上の断面を示す。図3では、水平転送レジスタ14の転送電極152a,152bの垂直転送レジスタ13側に対応する領域に、p+素子分離領域9が形成され、水平転送レジスタの垂直転送レジスタ13とは反対側の領域にも、p+素子分離領域17が形成されている。
【0031】
本発明に係るCCD固体撮像素子1によれば、水平転送レジスタ14において、水平転送チャンネル領域4の中央部に、不純物濃度の高いn+半導体領域4bを形成してポテンシャルを深くした微小信号転送用チャンネル(HSG)10が形成され、且つ水平転送電極15[151a,151b,152a,152b]においては、両端のギャップ幅W1が中央部のギャップ幅W2よりも広く形成される。この構成により、微小信号転送用チャンネル10の部分は、水平転送チャンネル領域4よりもポテンシャルが深くなっているので、信号電子数が少ない時には信号電荷は微小信号転送用チャネル10の部分に集中して転送され、しかも、この部分は水平転送電極15間のギャップ幅W2が狭いので十分に高い転送効率を確保することができる。一方、信号電子数が多いとき、信号電荷は水平転送チャンネル領域4の幅全域に、すなわち水平転送電極15間のギャップ幅が広い部分(ポテンシャルの浅い領域)まで広がった状態で転送される。広い領域にわたって転送される信号電荷は、転送の最終段階で微小信号転送用チャネル10の部分に集中することになり、信号電荷の多いときの転送効率はそれ程高くなくても問題ない。従って、本実施の形態のCCD固体撮像素子1においては、水平転送電極間の負荷容量を低減することができ、消費電力を低減できる。
【0032】
上述の転送電極15[151a,151b,152a,152b]は、図6Aに示す様に転送方向と直交する方向において中央部から両端側に向って電極幅が漸次狭くなるような形状で形成されている。このような電極形状においては、図6Bに示すように、転送チャネル領域4のポテンシャルにポテンシャルディップ18が形成される虞れがある。すなわち、転送電極間のギャップ幅がW2とギャップ幅が狭い領域のポテンシャルはショートチャネル効果によって浅くなり、逆に転送電極間のギャプ幅がW1とギャップ幅が広い領域のポテンシャルは深くなる。このため、ポテンシャルディップ18が生じることになる。なお、図6Bは、図6AのB−B´線上のポテンシャルを示す。
【0033】
図7に、上記の課題を解決した本発明に係るCCD固体撮像素子の他の実施の形態を示す。同図には水平転送レジスタ14の要部のみを示す。他の構成は前述の図1、図2のCCD固体撮像素子1と同様であるので、重複説明を省略する。
本実施の形態に係るCCD固体撮像素子21は、水平転送レジスタ14において、隣合う水平転送電極15[151a,151b,152a,152b]間のギャップ部22a,22bにポテンシャルディップを打ち消す不純物をイオン注入する。このときの不純物イオン注入は、ギャップ幅が広い程不純物濃度を高くする。したがって、ギャップ幅がテーパ状に広くなる領域では、ギャップ幅が広くなる方向に漸次イオン注入する不純物濃度を高くするようになす。n型の水平転送チャネル領域4では、転送電極間のギャップ部表面がn−領域として形成される。
このような構成によれば、水平転送チャネル領域4におけるポテンシャルディップの発生が解消され、電荷転送効率を向上することができる。
【0034】
図8は、同様にポテンシャルディップの発生を解消するようにした本発明に係る固体撮像素子の他の実施の形態を示す平面図である。図8には水平転送レジスタ14の要部のみを示す。その他の構成は、図1、図2のCCD固体撮像素子1と同様であるので、重複説明を省略する。
本実施の形態に係る固体撮像素子23は、水平転送レジスタ14において、水平転送電極15[151a,151b,152a,152b]が中央部を幅広の四角形、両端部を幅狭の四角形とした形状に形成される。そして、水平転送電極15間のギャップ幅が狭い部分のギャップ領域22aとギャップ幅が広い部分のギャプ領域22bの2種類に分け、それぞれのギャップ部22a,22bにポテンシャルディップを打ち消すように、ギャップインプラの不純物のドーズ量を変えてドープする。すなわち、ギャップ幅が広いほど高濃度となるように、転送チャネル領域4の導電型とは反対導電型、本例では、p型不純物をイオン注入する。
【0035】
図9は、本発明に係る固体撮像素子の他の実施の形態を示す平面図である。図9には水平転送レジスタ14の要部のみを示す。その他の構成は、図1、図2のCCD固体撮像素子1と同様であるので、重複説明を省略する。
本実施の形態に係る固体撮像素子24は、水平転送レジスタ14において、水平転送電極15[151a,151b,152a,152b]が中央部を幅広とし、両端部に向って幅狭となる形状に形成される。この場合、異相な水平転送電極151bと152a間においては、中央部のギャップ幅W2が狭く、これより両端側に向って漸次広くなるように形成されて、同相な水平転送電極151aと151bもしくは152aと152b間においては、ギャップ幅W2が中央部から両端側に渡って同じ狭い幅に形成される。さらに、異相な水平転送電極151bと152a間のギャップ幅が狭い部分のギャップ領域22aとギャップ幅が広い部分のギャプ領域22bの2種類に分け、それぞれのギャップ部22a,22bにポテンシャルディップを打ち消すように、ギャップインプラの不純物のドーズ量を変えてドープする。同相な水平転送電極151aと151bもしくは152aと152b間のギャップ部には、異相な水平転送電極151bと152a間のギャップ部22aと同じギャップインプラの不純物のドーズ量をドープする。すなわち、異相な水平転送電極間のギャップ幅が広いほど高濃度となるように、転送チャネル領域4の導電型とは反対導電型、本例では、p型不純物をイオン注入する。
【0036】
図10は、本発明に係る固体撮像素子の他の実施の形態を示す平面図である。図10には水平転送レジスタ14の要部のみを示す。その他の構成は、図1、図2のCCD固体撮像素子1と同様であるので、重複説明を省略する。
本実施の形態に係る固体撮像素子25は、水平転送レジスタ14において、水平転送電極15[151a,151b,152a,152b]が中央部を幅広の四角形、両端部を幅狭の四角形とした形状に形成される。この場合、異相な水平転送電極151bと152a間においては、中央部のギャップ幅W4が狭く、両端側のギャップ幅W3が広くなるように形成され、同相な水平転送電極151aと151bもしくは152aと152b間においては、転送電極の中央部から両端側の全長に渡ってギャップ幅W4が同一の狭い幅に形成される。そして、異相な水平転送電極151bと152a間のギャップ幅が狭い部分のギャップ領域22aとギャップ幅が広い部分のギャプ領域22bの2種類に分け、それぞれのギャップ部22a,22bにポテンシャルディップを打ち消すように、ギャップインプラの不純物のドーズ量を変えてドープする。同相な水平転送電極15間のギャップ部には、ギャップ部22aと同じギャップインプラの不純物のドーズ量をドープする。すなわち、異相な水平転送電極間のギャップ幅が広いほど高濃度となるように、転送チャネル領域4の導電型とは反対導電型、本例では、p型不純物をイオン注入する。
【0037】
本発明に係るCCD固体撮像素子によれば、各ギャップ部22a、22bのポテンシャルをそれぞれ独立に最適化でき、ギャップ部の幅が異なってもポテンシャルディップの発生が解消され、電荷転送効率を向上することができる。
【0038】
本発明に係るCCD固体撮像素子によれば、各ギャップ部22a、22bのポテンシャルをそれぞれ独立に最適化でき、ギャップ部の幅が異なってもポテンシャルディップの発生が解消され、電荷転送効率を向上することができる。同相の水平転送電極15間では、電極間の容量を低減する必要が無く、ギャップ幅を転送電極の中央部から両端側の全長に渡って、狭い同じ幅に形成するので、転送効率を更に向上することができる。
【0039】
なお、本実施の形態に係るCCD固体撮像素子では、ギャップ部の種類を2種類としたが、3種類以上にすることも可能である。その場合には、それぞれのギャップ部に対応してイオン注入する不純物のドーズ量も3種類以上になる。
【0040】
上述の本発明においては、水平転送レジスタ14について説明したが、単層ポリシリコン膜で垂直転送電極12[121、122、123、124]を形成した垂直転送レジスタ13にも同様に、隣合う転送電極12間のギャップ幅を中央部より両端側で広くするようにして、垂直転送電極12の相互間の寄生容量を低減するように構成することもできる。この場合、垂直転送チャネル領域としては、垂直転送電極12の電荷転送方向と直交する方向の幅が水平転送電極15に比べて十分小さいので、図5で説明したような微小信号転送用チャネルを設ける必要はない。
本発明のCCD固体撮像素子では、単層電極構造の水平転送レジスタ又は/及び垂直転送レジスタにおいて、転送電極の両端のギャップ幅を中央部のギャップ幅よりも広く形成して構成することが可能であり、いずれの場合も転送効率を低下させずに、転送電極間の寄生容量を低減し、CCD固体撮像素子の低消費電力化を可能にする。
【0041】
上例では、インターライン転送(IT)方式のCCD固体撮像素子に適用したが、その他、フレームインターライン転送方式(FIT方式)のCCD固体撮像素子にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るCCD固体撮像素子の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】本発明に係るCCD固体撮像素子の一実施の形態を示す要部の断面図である。
【図3】本発明に係るCCD固体撮像素子の一実施の形態を示す要部の平面図である。
【図4】図3のA−A´線上の断面図である。
【図5】図3のA−A´線上のポテンシャル分布図である。
【図6】A 本発明に係るCCD固体撮像素子の一実施の形態を示す水平転送電極の要部の平面図である。 B 図6AのB−B´線上のポテンシャル分布図である。
【図7】本発明に係るCCD固体撮像素子の他の実施の形態を示す要部の平面図である。
【図8】本発明に係るCCD固体撮像素子の他の実施の形態を示す要部の平面図である。
【図9】本発明に係るCCD固体撮像素子の他の実施の形態を示す要部の平面図である。
【図10】本発明に係るCCD固体撮像素子の他の実施の形態を示す要部の平面図である。
【図11】従来のCCD固体撮像素子を示す構成図である。
【図12】A 図11の水平転送レジスタの要部を示す断面図である。 B 図11の水平転送レジスタの要部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0043】
1、21,23,24,25・・CCD固体撮像素子、2・・n型サブストレイト、3・・p型ウェル領域、4・・水平転送チャネル領域、6・・半導体基板、9、17・・p+素子分離領域、10・・微小信号転送用チャンネル、11・・フォトセンサ部、12[121,122,123,124]・・転送電極、13・・垂直転送レジスタ、14・・水平転送レジスタ、15[151a,151b,152a,152b]・・水平転送電極、16・・出力部、18・・ポテンシャルディップ、22a,22b・・ギャップ部、30・・CCD固体撮像素子、31・・フォトセンサ部、32[321,322,323,324]・・転送電極、33・・垂直転送レジスタ、34・・水平転送レジスタ、35[351a,351b,352a,352b]・・水平転送電極、36・・出力部、40・・半導体基板、42・・n型サブストレイト、43・・p型ウェル領域、44・・水平転送チャネル領域、45・・ゲート絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転送電極が単層で形成され相互にギャップを置いて配列された単層電極構造の転送レジスタを有し、
前記転送電極の両端のギャップ幅が中央部よりも広く形成されている
ことを特徴とするCCD固体撮像素子。
【請求項2】
水平転送レジスタの前記転送電極下における転送チャネル領域の中央部に微小信号転送用チャネルが形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のCCD固体撮像素子。
【請求項3】
隣接する転送電極間のギャップ部にポテンシャルディップを打ち消す不純物が導入され、
前記不純物の濃度は前記ギャップ幅が広いほど高濃度である
ことを特徴とする請求項1記載のCCD固体撮像素子。
【請求項4】
転送電極が単層で形成され相互にギャップを置いて配列された単層電極構造の転送レジスタを有し、
異相な転送電極間の各転送電極の両端のギャップ幅が中央部よりも広く形成されている
ことを特徴とするCCD固体撮像素子。
【請求項5】
水平転送レジスタの前記転送電極下における転送チャネル領域の中央部に微小信号転送用チャネルが形成されている
ことを特徴とする請求項4記載のCCD固体撮像素子。
【請求項6】
隣接する転送電極間のギャップ部にポテンシャルディップを打ち消す不純物が導入され、
異相な転送電極間の前記不純物の濃度は前記ギャップ幅が広いほど高濃度である
ことを特徴とする請求項4記載のCCD固体撮像素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−73901(P2006−73901A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257690(P2004−257690)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】