説明

CFTRモジュレーターとしてのアザインドール誘導体

本発明は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(「CFTR」)を含む、ATP結合カセット(「ABC」)輸送体またはその断片のモジュレーター、その組成物、およびその方法に関する。また、本発明は、そのようなモジュレーターを使用して、ABC輸送体介在疾患を治療する方法に関する。本発明は、一般式I:(式中、Ar、R、環A、環B、X、Rおよびxは、以下に記載する通りである)で表わされる化合物またはその医薬的に許容しうる塩を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(「CFTR」)を含む、ATP結合カセット(「ABC」)輸送体またはその断片のモジュレーター、その組成物およびその方法に関する。また、本発明は、そのようなモジュレーターを使用して、ABC輸送体介在疾患を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ABC輸送体は、さまざまな薬剤、潜在的毒薬および生体異物、ならびにアニオンの輸送を制御する膜輸送体タンパク質のファミリーである。ABC輸送体は、それらの特異的な活性のために、細胞のアデノシン三リン酸(ATP)を結合し、使用する均質な膜タンパク質である。これらの輸送体の中には、多剤耐性タンパク質(MDR1−P糖タンパク質または多剤耐性タンパク質,MRP1のような)として発見され、化学療法薬に対する悪性癌細胞を規定するものもある。今日まで、48個のABC輸送体が同定され、それらの配列相同性および機能に基づいて、7つのファミリーに分類されている。
【0003】
ABC輸送体は、体内の種々の重要な生理的役割を制御し、有害な環境化合物に対する防御を提供する。このため、これらは、輸送体における欠陥に関連する疾患の治療、標的細胞からの薬物輸送の防止、およびABC輸送体活性の調節が有益である他の疾患における介入に関する重要な潜在的薬物標的の代表である。
【0004】
一般的に、疾患に関連するABC輸送体ファミリーの1つは、cAMP/ATP介在アニオンチャネル、CFTRである。CFTRは、吸収性および分泌性上皮細胞を始めとする種々の細胞型で発現し、そこで、膜を横切るアニオンフラックス、ならびに他のイオンチャネルおよびタンパク質の活性を制御する。上皮細胞では、CFTRが正常に機能することが、呼吸器組織および消化組織を始め、体全体の電解質輸送の維持のために欠かせない。CFTRは、膜貫通ドメインのタンデム反復で構成されたタンパク質をエンコードする約1480個のアミノ酸から成り、それぞれ、6個の膜貫通へリックスおよびヌクレオチド結合ドメインを含有する。2つの膜貫通ドメインは、チャネル活性および細胞輸送を制御する複数のリン酸化部位を持つ、大きな、極性の制御(R)−ドメインによって結合されている。
【0005】
CFTRをエンコードする遺伝子は、同定され、配列決定されている(非特許文献1;非特許文献2),(非特許文献3参照)。この遺伝子における欠陥により、CFTRで突然変異が起き、ヒトにおいて最もよく見られる致命的な遺伝子疾患である嚢胞性線維症(「CF」)を発症させる。米国において、約2,500人に1人の幼児が、嚢胞性線維症にかかっている。一般的な米国の人口のうち、最大1000万人が、明らかな有害作用のない欠陥遺伝子の単コピーを保有している。これと対照的に、2コピーのCF関連遺伝子を持つ個体は、慢性肺疾患を始めとする、衰弱させ、致命的結果のCFを患う。
【0006】
嚢胞性線維症を患う患者では、呼吸上皮で内因的に発現するCFTRにおける突然変異によって、イオンおよび流体輸送における不均衡を起こす、頂端部のアニオン分泌の減少が引き起こされる。その結果であるアニオン輸送の減少は、肺中への粘液蓄積の助長、およびCF患者を最終的には死に至らしめる付随的な微生物感染の一因である。呼吸器疾患の他に、CF患者は、通常、治療せずに放置すれば死に至る、消化器問題および膵機能不全を患う。加えて、嚢胞性線維症を患う男性の大部分は、生殖能力がなく、嚢胞性線維症を患う女性は、受胎能が減少する。2コピーのCF関連遺伝子の重篤な効果とは対照的に、単コピーのCF関連遺伝子を持つ個体は、コレラおよび下痢に起因する脱水症状に対する抵抗の増加を示し、おそらく、人口内にCF遺伝子は比較的高い頻度であることを説明している。
【0007】
CF染色体のCFTR遺伝子の配列解析により、突然変異を起こす種々の疾患が明らかになってきている(非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6;非特許文献7)。今日まで、CF遺伝子中に突然変異を起こした、1000件を超える疾患を同定している(http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/)。最も頻繁に起こる突然変異は、CFTRアミノ酸配列の508位のフェニルアラニンの欠失であり、通常、ΔF508−CFTRと言われる。この突然変異は、嚢胞性線維症の症例の約70%に起き、重度疾患を伴う。
【0008】
ΔF508−CFTR中の残渣508の欠失により、発生期のタンパク質が正しく折りたたまれるのが妨げられる。これにより、変異タンパク質が、小胞体(「ER」)から排出され、細胞質膜へ移ることが不可能となる。その結果、膜中に存在するチャネルの数が、野生型CFTRを発現する細胞において観察される数より、はるかに少なくなる。移送障害に加え、突然変異は、チャネル開閉の欠陥を起こす。総合すれば、膜中のチャンネルの数の減少および開閉の欠陥により、上皮を横切るアニオン輸送が減らされ、イオンおよび流体輸送の欠陥を導く(非特許文献8)。しかし、膜中のΔF508−CFTRの数の減少は、野生型CFTRを下回るのにもかかわらず、機能的であることを示す研究がある(非特許文献9;Denningら上記を参照;非特許文献10)。ΔF508−CFTRの他に、移送、合成および/またはチャネル開閉に欠陥をもたらす、CFTR中の突然変異を起こす他の疾患は、上方または下方制御され、アニオン分泌を変更し、疾患の進行および/または重症度を変える可能性がある。
【0009】
CFTRは、アニオンに加え、種々の分子を輸送するが、この役割(アニオンの輸送)は、上皮を横切るイオンおよび水の輸送の重要な機構における1構成要素を代表することは明らかである。他の構成要素として、塩素の細胞への取り込みに関与する、上皮Naチャネル、ENaC、Na/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPアーゼポンプおよび側底膜Kチャネルが挙げられる。
【0010】
これらの構成要素は、一緒になって作用し、それらの細胞内での選択的発現および局在化によって、上皮を横切る定方向輸送を達成する。塩素イオン吸収は、頂端膜に存在するENaCおよびCFTRと、細胞の側底面で発現するNa−K−ATPアーゼポンプおよびCl−チャネルとの協調活性によって起こる。管腔側からの塩素イオンの二次性能動輸送により、細胞内に塩素イオンが蓄積し、次いで、Clチャネルにより細胞を受動的に残し、ベクトル輸送を起こす結果となる可能性がある。側底面上のNa/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPアーゼポンプおよび側底膜Kチャネル、ならびに管腔側上のCFTRの配置により、管腔側のCFTRを介する、塩素イオンの分泌作用が整えられる。水は、おそらくそれ自体能動的に輸送されないので、水の上皮を横切る流れは、ナトリウムおよび塩素イオンの容積流によって作られる小さい経上皮浸透圧勾配に依存する。
【0011】
CFTR活性の調節は、嚢胞性線維症に加えて、CFTRにおける突然変異に直接起因しない他の疾患、たとえば、CFTRが介在する二次疾患およびおよび他のタンパク質フォールディング疾患にも有益であるかもしれない。これらとして、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ドライアイ疾患およびシェーグレン症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
COPDは、進行性で、完全に可逆的でない気流制限を特徴とする。気流制限は、粘液分泌過多、肺気腫および細気管支炎が原因である。変異または野生型のCFTRの活性化因子は、粘液分泌過多およびCOPDでよく見られる粘液線毛クリアランス障害の潜在的な治療を提供する。具体的には、CFTRを横切るアニオン分泌の増加は、気道表面液への流体輸送を容易にし、粘液を水和し、線毛間の流体粘性を最適化する。これは、粘液線毛クリアランスを高め、COPDに関連する症状を減らすことになる。ドライアイ疾患は、涙液産生の減少、および異常な涙膜脂質、タンパク質およびムチンプロファイルを特徴とする。ドライアイには多くの原因があるが、その中のいくつかとして、年齢、レーシック眼科手術、関節炎、投薬、化学的火傷/熱傷、アレルギー、および嚢胞性線維症およびシェーグレン症候群のような疾患が挙げられる。CFTRによりアニオン分泌を増加することによって、角膜内皮細胞および眼を囲む分泌腺からの流体輸送を増強し、角膜水化を増やす。これは、ドライアイ疾患に伴う症状の緩和を助ける。シェーグレン症候群は、免疫系が、眼、口、皮膚、呼吸組織、肝臓、膣および腸を含む体全体の水分生成腺を攻撃する自己免疫疾患である。症状として、ドライアイ、口および膣の乾き、ならびに肺疾患が挙げられる。また、前記疾患は、リウマチ性関節炎、全身性ろうそう、全身性硬化症および多発性筋炎/皮膚筋炎を伴う。タンパク質輸送の欠陥が疾患を起こすと考えられ、このため、治療の選択肢は限定される。CFTR活性のモジュレーターは、疾患に罹病した種々の器官を水和し、随伴症状をより回復させる。
【0013】
先に検討したように、ΔF508−CFTR中の残基508の欠失により、発生期のタンパク質が正しく折りたたまれるのが妨げられ、この変異タンパク質が、ERから排出され、細胞質膜へ移ることが不可能となると考えられる。その結果、細胞質膜で存在する成熟タンパク質の量は不十分で、上皮組織内の塩素イオン輸送は、大きく減少する。実際、ER機構によるABC輸送体の欠陥のあるERプロセシングのこの細胞の現象は、CF疾患のみの基礎となるのではなく、広い範囲の他の単離された遺伝性の疾患にも基礎となることが示されてきている。ER機構が機能不全である可能性のある2つの経路は、分解に導くタンパク質を排出するERへの結合の喪失によるもの、またはこれらの欠陥のある/誤って折りたたまれたタンパク質のER蓄積によるものである[非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15]。ER機能不全の最初の群に関連する疾患は、嚢胞性線維症(先に検討したように、誤って折りたたまれたΔF508−CFTRによる)、遺伝性肺気腫(α1−抗トリプシンによる;非Piz変異体)、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線溶欠乏症(coagulation−fibrinolysis deficiencies)、たとえば、プロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫,脂質処理欠損症(lipid processing deficiencies)、たとえば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポ蛋白血症、リソソーム蓄積症、たとえば、I‐細胞病/偽ハーラー症候群、ムコ多糖体代謝異常(リソソームプロセシング酵素による)、サンドオフ/テイ・サックス(β−ヘキソサミニダーゼによる)、クリグラー−ナジャーII型(UDP−グルクロニル−シアル−トランスフェラーゼによる)、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、糖尿病(インスリンレセプターによる)、ラロン小人症(成長ホルモンレセプターによる)、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症(プレプロ副甲状腺ホルモンによる)、メラノーマ(チロシナーゼによる)である。ER機能不全の後の群に関連する疾患は、グリカノシス(glycanosis)CDG1型、遺伝性肺気腫(α1−抗トリプシン(PiZ変異体)による、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I型、II型、IV型プロコラーゲンによる)、遺伝性低フィブリノゲン血症(フィブリノゲンによる)、ACT欠損症(α1−抗キモトリプシンによる)、尿崩症(DI)、神経身体的(neurophyseal)DI(バソプレシンホルモン/V2−レセプターによる)、腎性尿崩症(アクアポリンIIによる)、シャルコー−マリー・ツース症候群(末梢ミエリンタンパク質22による)、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患、たとえば、アルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンによる)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、数種のポリグルタミン神経性障害、たとえば、ハンチントン、脊髄小脳失調症I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、たとえば、遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠陥による)、ファブリ病(リソソームα−ガラクトシダーゼAによる)、ストロイスラー−シャインカー症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ドライアイ疾患、およびシェーグレン症候群である。
【0014】
CFTR活性の上方制御に加え、CFTRモジュレーターによるアニオン分泌の減少は、分泌促進物質で活性化された塩素イオン輸送の結果、上皮水輸送が劇的に増加した分泌性下痢の治療に有益である。このメカニズムは、cAMPの上昇およびCFTRの刺激に関与する。
【0015】
下痢には数多くの原因があるが、過剰な塩素イオン輸送を原因とする下痢の疾患の主な事象は、全て共通し、脱水症状、アシドーシス、発育障害および死が挙げられる。
【0016】
急性および慢性の下痢は、世界の多くの地域で、主な医学的問題である。下痢は、両方とも、5歳未満の子供には、栄養障害の重要な要因および死の主要原因(1年で5,000,000人の死)である。
【0017】
また、分泌性下痢は、後天性免疫不全症候群(AIDS)および慢性炎症性腸疾患(IBD)の患者にも、危険な状態である。毎年、先進工業国から途上国へ旅行する1600万人の旅行者が、下痢を発症し、下痢の症例の重症度および数は、旅行した国および地域により、様々である。
【0018】
スコア(scour)としても知られている、ウシ、ブタおよびウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコおよびイヌのような家畜およびペットの下痢は、これらの動物の主な死因である。下痢は、離乳または物理的な移動のような任意の主な移行、ならびに細菌またはウィルス感染に応答することにより起こる可能性があり、一般的に、動物の命の最初の数時間以内に起こる。
【0019】
最も一般的な下痢を起こす細菌は、K99線毛抗原を有する毒素原性大腸菌(ETEC)である。下痢の原因の一般的なウィルスとして、ロタウィルスおよびコロナウィルスが挙げられる。他の感染病原体として、とりわけ、クリプトスポリジウム、ランブルべん毛虫およびサルモネラが挙げられる。
【0020】
ロタウィルス感染の症状として、水状の便の排泄、脱水症状および脱力が挙げられる。コロナウィルスは、新しく生まれた動物に、より重篤な病気を起こし、死亡率は、ロタウィルスの感染より高い。しかし、若い動物は、同時に複数のウィルスまたはウィルスと細菌性微生物との組合せに感染することが多い。これは、疾患の重症度を劇的に増やす。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Gregory,R.J.ら(1990)Nature347:382−386
【非特許文献2】Rich,D.P.ら(1990)Nature347:358−362
【非特許文献3】Riordan,J.R.ら(1989)Science245:1066−1073
【非特許文献4】Cutting,G.R.ら(1990)Nature346:366−369
【非特許文献5】Dean,M.ら(1990)Cell 61:863:870
【非特許文献6】Kerem,B−S.ら(1989)Science 245:1073−1080
【非特許文献7】Kerem,B−Sら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8447−8451
【非特許文献8】Quinton,P.M.(1990),FASEB J.4:2709−2727
【非特許文献9】Dalemansら(1991),Nature Lond.354:526−528
【非特許文献10】PasykおよびFoskett(1995),J.Cell.Biochem.270:12347−50
【非特許文献11】Aridor M,ら,Nature Med.,5(7),第745−751頁(1999)
【非特許文献12】Shastry,B.S.,ら,Neurochem.International,43.,第1−7頁(2003)
【非特許文献13】Rutishauser,J.,ら,Swiss Med Wkly,132,第211−222頁(2002)
【非特許文献14】Morello,JPら,TIPS,21,第466−469頁(2000)
【非特許文献15】Bross P.,ら,Human Mut,14,第186−198頁(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、哺乳類の細胞膜におけるABC輸送体の活性を調節するために使用することができるABC輸送体活性のモジュレーターおよびその組成物に関する必要性がある。
【0023】
そのようなABC輸送体活性のモジュレーターを使用して、ABC輸送体介在疾患を治療する方法に関する必要性がある。
【0024】
エキソビボの哺乳類の細胞膜でABC輸送体活性を調節する方法に関する必要性がある。
【0025】
哺乳類の細胞膜において、CFTRの活性を調節するために使用することができるCFTR活性のモジュレーターに関する必要性がある。
【0026】
そのようなCFTR活性のモジュレーターを使用して、CFTR介在疾患を治療する方法に関する必要性がある。
【0027】
エキソビボの哺乳類の細胞膜でCFTR活性を調節する方法に関する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
(発明の要旨)
本発明の化合物、およびその医薬的に許容しうる組成物は、ABC輸送体活性、特にCFTR活性のモジュレーターとして有用であることが、今まさに見出された。これらの化合物またはその医薬的に許容しうる塩は、一般式I:
【0029】
【化1】

(式中、Ar、R、環A、環B、X、Rおよびxは、以下に記載する通りである)
で表わされる。
【0030】
これらの化合物および医薬的に許容しうる組成物は、種々の疾患、障害または状態を治療または重症度を軽減するのに有用であり、該疾患、障害または状態として、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線溶欠乏症、たとえば、プロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、たとえば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポ蛋白血症、リソソーム蓄積症、たとえば、I‐細胞病/偽ハーラー症候群、ムコ多糖体代謝異常、サンドオフ/テイ・サックス、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、メラノーマ、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経身体的尿崩症、腎性尿崩症、シャルコー−マリー・ツース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患、たとえば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、数種のポリグルタミン神経性障害、たとえば、ハンチントン、脊髄小脳失調症I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、たとえば、遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリ病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患およびシェーグレン病が挙げられるが、これらに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0031】
1.本発明の化合物の一般的説明:
本発明は、ABC輸送体活性、特にCFTR活性のモジュレーターとして有用な式I:
【0032】
【化2】

の化合物、またはその医薬的に許容しうる塩に関する
(式中、
Arは、
【0033】
【化3】

(式中、G、G、GおよびGは、それぞれ独立して、CHおよび窒素からなる群から選択され、ここで、G、G、GおよびGの1つは窒素であり、G、G、GおよびGの残りは、それぞれ、CHである)であり;
Arは、GまたはGを介してN(R)に結合し;
Arは、任意に、w個の−WRで置換され;および
は、H、RまたはRであり;
環Aは、酸素、イオウおよび窒素からなる群から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜7員単環であり、ここで、環Aは、任意に、q個の−Q−Rで置換され;
環Bは、任意に、脂環、アリール、複素環およびヘテロアリールからなる群から選択される5〜7員環に縮合し、ここで、環B、および前記任意の縮合環は、任意に、x個の−XRで置換され;
Q、WまたはXは、独立して、結合、または独立して、任意に置換された(C1−C6)アルキリデン鎖であって、ここで、Q、WまたはXの2個までのメチレン単位は、任意におよび独立して、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−または−NR’SONR’−で置換され;
、RおよびRは、それぞれ独立して、R、R、R、RまはたRであり;
R’は、独立して、R、RまたはRであり;
は、オキソ、=NN(R、=NN(R、=NN(R)、Rまたは((Cl−C4)脂肪族)−Yであり;
ここで、nは0または1であり;および
Yは、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORであり;あるいは
隣り合う原子上の2個のRは、一緒に
【0034】
【化4】

(式中、Jは、CH、CF、C(CH、C(O)、
【0035】
【化5】

、C(フェニル)、B(OH)およびCH(OEt)からなる群から選択される)を形成し;
は、脂肪族基であり、ここで、各Rは、任意に、R、RおよびRからなる群から独立して選択される2個までの置換基によって置換され;
は、脂環、アリール、複素環またはヘテロアリール環であって、Rは、任意に、R、R、RおよびRからなる群から独立して選択される3個までの置換基で置換され;
は、
【0036】
【化6−1】

であり;
は、脂環、アリール、複素環またはヘテロアリール環であり、ここで、Rは、任意に、3個までのRで置換され;
は、Hまたは脂肪族基であって、Rは、任意に、Rで置換され;
は、脂環、アリール、複素環またはヘテロアリール環であり、各Rは、任意に、H、(C1−C6)−直鎖または分岐状アルキル、(C2−C6)直鎖または分岐状アルケニルまたはアルキニル、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシおよび(CH−Zからなる群から独立して選択される2個までの置換基で置換され;
Zは、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、S−脂肪族、S(O)−脂肪族、SO−脂肪族、NH、NH−脂肪族、N(脂肪族)、N(脂肪族)R、NHR、COOH、C(O)O(−脂肪族)およびO−脂肪族からなる群から選択され;
は、アミノ保護基であり;
wは、0〜5であり;および
xおよびqは、それぞれ独立して、0〜5である)。
【0037】
2.化合物および定義:
本発明の化合物は、先に一般的に記載した化合物を含み、本明細書で開示する群、サブクラス、および種によってさらに説明する。特記する場合を除き、本明細書で使用される場合、以下の定義を適用する。
【0038】
本明細書で使用される用語「ABC輸送体」は、少なくとも1つの結合ドメインを含むABC輸送体タンパク質またはその断片であって、該タンパク質またはその断片は、インビボまたはインビトロで存在するものを意味する。本明細書で使用される用語「結合ドメイン」は、ABC輸送体上のドメインであって、モジュレーターに結合することができるドメインを意味する。たとえば、Hwang,T.C.ら,J.Gen.Physiol.(1998):111(3)477−90参照。
【0039】
本明細書で使用される用語「CFTR」は、活性を調節することが可能な嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子またはその突然変異体であり、ΔF508 CFTRおよびG551D CFTRが挙げられるが、これらに限定されない(たとえば、CFTR突然変異について、http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/参照)。
【0040】
本明細書で使用される用語「調節すること」は、測定可能な量で増加または減少することを意味する。
【0041】
本発明の目的上、化学元素は、元素の周期表、CASバージョン、Handbook of Chemistry and Physics,第75編に従って記載する。さらに、有機化学の一般的な原理は、「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、および「March’s Advanced Organic Chemistry」,第5編:Smith,M.B.およびMarch,J.,John Wiley & Sons,New York:2001に記載され、これらの全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0042】
本明細書で記載するように、本発明の化合物は、任意に、一般的には先に説明したように、あるいは、本発明の特定のクラス、サブクラス、および種で例示するように、1個以上の置換基で置換されてもよい。語句「任意に置換された」は、語句「置換されたまたは置換されていない」と相互互換的に使用されることは認められるであろう。一般的に、用語「置換された」は、「任意に」という用語が先行していても、あるいは先行していなくても、特定の置換基のラジカルを持つある構造において、水素ラジカルが置換されることを言う。特記する場合を除き、任意に置換された基は、該基の置換可能な位置で置換基を有し、任意の構造において複数の位置が、特定の群から選択された複数の置換基で置換されている場合、該置換基は、位置毎に、同じまたは異なってもよい。本発明で想定する置換基の組合せは、安定または化学的に実施可能な化合物を形成する結果となる組合せが好ましい。本明細書で使用される用語「安定な」は、化合物を、生産、検出および、好ましくは、回収、精製および本明細書で開示する1以上の目的に使用する条件に供した場合、実質的に変化しない化合物を言う。いくつかの実施形態では、安定な化合物または化学的に実施可能な化合物は、水分のないあるいは他の化学的に反応可能でない条件下、40℃以下の温度で、少なくとも1週間保った時、実質的に変化しないものである。
【0043】
本明細書で使用される用語「脂肪族」または「脂肪族基」は、直鎖(すなわち非分岐状)または分岐状の、置換または非置換の炭化水素鎖を意味し、これは、完全に飽和、または1個以上の不飽和の単位を含有し、または完全に飽和、または1個以上の不飽和の単位を含有するが、芳香族ではない(本明細書では、「炭素環」、「脂環」または「シクロアルキル」とも言う)、単環式炭化水素または二環式炭化水素であり、分子の残りと1点で結合する。他に記載がない限り、脂肪族基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、脂肪族基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含有する。他の実施形態では、脂肪族基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、「脂環」(または「炭素環」または「シクロアルキル」)は、単環式C−C炭化水素または二環式C−C12炭化水素を言い、これは、完全に飽和、または1個以上の不飽和の単位を含有するが、芳香族ではなく、分子の残りと1点で結合し、ここで、二環式環系中のそれぞれ独立した環は、3〜7員環である。適切な脂肪族基として、直鎖または分岐状、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル基およびこれらの組合せ、たとえば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書で使用される用語「ヘテロ脂肪族」は、1個以上の炭素原子が、独立して、酸素、イオウ、窒素、リンまたはケイ素の1個以上で置換された脂肪族基を意味する。ヘテロ脂肪族基は、置換または非置換の、分岐状または非分岐状の、環状または非環状であってもよく、「ヘテロ環」、「ヘテロ環状」、「ヘテロ脂環式」または「複素環式」基が挙げられる。
【0045】
本明細書で使用される用語「ヘテロ環」、「ヘテロ環式」、「ヘテロ脂環式」または「複素環式」は、1個または複数個の環の構成要素が、独立して、選択されたヘテロ原子である非芳香族の、単環式、二環式または三環式の環系を意味する。いくつかの実施形態では、「ヘテロ環」、「ヘテロ環式」、「ヘテロ脂環式」または「複素環式」基は、1個以上の環の構成要素が、酸素、イオウ、窒素およびリンからなる群から独立して選択されるヘテロ原子である、3〜14個の環構成要素を有し、系中の各環は、3〜7個の環構成要素を含有する。
【0046】
用語「ヘテロ原子」は、1個以上のホウ素、酸素、イオウ、窒素、リンまたはケイ素(窒素、イオウ、リンまたはケイ素の任意の酸化形態、任意の塩基性窒素の四級化形態、または複素環の置換可能な窒素、たとえば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにおけるような)、NH(ピロリジニルにおけるような)またはNR(N−置換ピロリジニルにおけるような)を含む)を意味する。
【0047】
本明細書で使用される用語「不飽和」は、ある部分が、1個以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0048】
本明細書で使用される用語「アルコキシ」または「チオアルキル」は、酸素(「アルコキシ」)またはイオウ(「チオアルキル」)原子を介して、主炭素鎖に結合した、先に定義したアルキル基を言う。
【0049】
用語「ハロ脂肪族」および「ハロアルコキシ」は、任意に、1個以上のハロゲン原子で置換された脂肪族またはアルコキシを意味する。用語「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを意味する。ハロ脂肪族の例として、−CHF、−CHF、−CF、−CF−または−CFCFのようなパーハロアルキルが挙げられる。
【0050】
単独、または「アラルキル」、「アラルコキシ」または「アリールオキシアルキル」のような大きな部分の一部として使用される用語「アリール」は、合計5〜14個の環の構成要素を有する単環式、二環式および三環式環系を言い、該系中の少なくとも1個の環は芳香族であり、前記系中の各環は、3〜7個の環の構成要素を含有する。用語「アリール」は、用語「アリール環」と相互互換的に使用してもよい。また、用語「アリール」は、以下に定義するようなヘテロアリール環系も言う。
【0051】
単独、または「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」のような大きな部分の一部として使用される用語「ヘテロアリール」は、合計5〜14個の環の構成要素を有する単環式、二環式および三環式環系を言い、該系中の少なくとも1個の環は芳香族であり、前記系中の少なくとも1個の環は1個以上のヘテロ原子を含有し、前記系中の各環は、3〜7個の環の構成要素を含有する。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」または用語「ヘテロ芳香族」と相互互換的に使用してもよい。
【0052】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)またはヘテロアリール(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含む)基は、1個以上の置換基を含有してもよい。アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適切な置換基は、ハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;任意にRで置換されたフェニル(Ph);任意にRで置換された−O(Ph);任意にRで置換された−(CH1−2(Ph);任意にRで置換された−CH=CH(Ph);
【0053】
【化6−2】

からなる群から選択され、ここで、各Rは、独立して、水素、任意に置換されたC1−6脂肪族、非置換5〜6員ヘテロアリールまたは複素環式、フェニル、−O(Ph)および−CH(Ph)からなる群から選択され、あるいは上記定義とは別に、同じ置換基または異なる置換基上の2個の独立したRは、各R基が結合する原子(複数を含む)と一緒になって、窒素、酸素およびイオウからなる群から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、3〜8員シクロアルキル、ヘテロ環式、アリールまたはヘテロアリール環を形成する。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)およびハロC1−4脂肪族(ここで、Rの各前記C1−4脂肪族基は、置換されていない)からなる群から選択される。
【0054】
脂肪族またはヘテロ脂肪族基、あるいは非芳香族複素環は、1個以上の置換基を含有してもよい。脂肪族またはヘテロ脂肪族基、あるいは非芳香族複素環の飽和炭素上の適切な置換基は、アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素に関して、先に列挙したものからなる群から選択され、加えて、以下のもの:=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)および=NRが挙げられ、ここで、Rは、独立して、水素、および任意に置換されたC1−6脂肪族からなる群から選択される。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)およびハロ(C1−4脂肪族)からなる群から選択され、ここで、Rの各前記C1−4脂肪族基は、置換されていない。
【0055】
非芳香族複素環の窒素上の任意の置換基は、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(Rおよび−NRSOからなる群から選択され、ここで、Rは、水素、任意に置換されたC1−6脂肪族、任意に置換されたフェニル、任意に置換された−O(Ph)、任意に置換された−CH(Ph)、任意に置換された−(CH1−2(Ph);任意に置換された−CH=CH(Ph);または酸素、窒素およびイオウからなる群から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する非置換5〜6員ヘテロアリールまたは複素環であり、あるいは上記定義とは別に、同じ置換基または異なる置換基上の独立した2個のRは、各R基が結合する原子(複数を含む)と一緒になって、窒素、酸素およびイオウからなる群から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員シクロアルキル、ヘテロ環式、アリールまたはヘテロアリール環を形成する。Rの脂肪族基またはフェニル環上の任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)およびハロ(C1−4脂肪族)からなる群から選択され、ここで、Rの各前記C1−4脂肪族基は、置換されていない。
【0056】
用語「アルキリデン鎖」は、完全に飽和していてもよく、あるいは1つ以上の不飽和単位を有してもよく、分子の残りと2点で結合する直鎖または分岐状の炭素鎖を言う。用語「スピロシクロアルキリデン」は、完全に飽和していてもよく、あるいは1つ以上の不飽和単位を有していてもよく、同じ環炭素原子から、分子の残りに2点で結合する炭素環を言う。
【0057】
先に詳細に記載したように、いくつかの実施形態では、2個の独立したR(またはR、あるいは本明細書で同じように定義する任意の他の変化しうるもの)は、各変化しうるものが結合する原子(複数を含む)と一緒になって、窒素、酸素およびイオウからなる群から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員シクロアルキル、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環を形成する。2個の独立したR(またはR、あるいは本明細書で同じように定義する任意の他の変化しうるもの)が、各変化しうるものが結合する原子(複数を含む)と一緒になって形成する代表的な環として、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。a)2個の独立したR(またはR、あるいは本明細書で同じように定義する任意の他の変化しうるもの)が同じ原子に結合し、かつ該原子と一緒になって環を形成する場合、たとえば、N(Rは、2個のRが窒素原子と一緒になって、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イルまたはモルホリン−4−イル基を形成し;およびb)2個の独立したR(またはR、あるいは本明細書で同じように定義する任意の他の変化しうるもの)が異なる原子に結合し、かつ該両原子と一緒になって環を形成する場合、たとえば、フェニル基が2個のORで置換されている、
【0058】
【化7】

は、これら2個のR°は、これらが結合する酸素原子と一緒になって、縮合6員酸素含有環、
【0059】
【化8】

を形成する。2個の独立したR°(またはR、あるいは本明細書で同じように定義する任意の他の変化しうるもの)は、各変化しうるものが結合する原子(複数を含む)と一緒になって、種々の他の環を形成することができ、先に詳細に示した例示は、限定ではないことは、理解されるであろう。
【0060】
他に記載がない限り、本明細書で示す構造体は、該構造体の全ての異性体(たとえば、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何(または立体配座的))形態、たとえば、各不斉中心に関するRおよびS立体配座、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)立体配座異性体も含む。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学的異性体、ならびにエナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何(または立体配座的)混合物は、本発明の範囲内である。他に記載がない限り、本発明の化合物の全ての互変異性体は、本発明の範囲内である。さらに、他に記載がない限り、本明細書で示される構造体は、1種以上の同位体的にリッチな原子の存在下においてのみ異なる化合物も含むものである。たとえば、水素が重水素または三重水素で置き換えられていることが、または炭素が13C−または14Cリッチな炭素で置き換えられていることが異なる、本発明の構造を持つ化合物は、本発明の範囲内である。そのような化合物は、たとえば、生物学的アッセイにおいて、分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0061】
3.代表的な化合物の説明
一実施形態では、Arは、
【0062】
【化9】

からなる群から選択される、任意に置換された環である。
【0063】
いくつかの実施形態では、Arは、Ar−i、Ar−ii、Ar−iiiおよびAr−ivから選択される、任意に置換された基である。
【0064】
いくつかの実施形態では、Arは、原子GまたはGを介して、N(R)窒素原子に結合する、任意に置換された基である。
【0065】
一実施形態では、Rは水素である。別の実施形態では、Rは、任意に置換されたC1−C6脂肪族である。あるいは、Rは、C1−C4アルキルである。代表的な実施形態として、メチル、エチルまたはi−プロピルが挙げられる。
【0066】
いくつかの実施形態では、環Aは、任意に置換された3〜7員脂環である。
【0067】
他の実施形態では、環Aは、O、NHおよびSからなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する、任意に置換された3〜7員環である。あるいは、環Aは、O、SおよびNHからなる群から選択される2個までのヘテロ原子を含有する。
【0068】
一実施形態では、環Aは、
【0069】
【化10】

【0070】
【化11】

からなる群から選択される。
【0071】
環Aは、a、b、c、dおよびlからなる群から選択されるのが好ましい。
【0072】
一実施形態では、環Bは、B、O、NおよびSからなる群から独立して選択される3個までのヘテロ原子を有する5〜7員複素環またはヘテロアリール環に縮合する。
【0073】
別の実施形態では、環Bは、B、O、NおよびSからなる群から独立して選択される3個までのヘテロ原子を有する5〜6員複素環に縮合する。
【0074】
別の実施形態では、環Bは、O、NおよびSからなる群から独立して選択される3個までのヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロアリール環に縮合する。
【0075】
さらに別の実施形態では、環Bは、前記縮合環と共に、任意に、2個までのR置換基で置換されている。
【0076】
別の実施形態では、R置換基はRである。
【0077】
別の実施形態では、環Bに縮合する前記環は、
【0078】
【化12】

【0079】
【化13】

からなる群から選択される。
【0080】
いくつかの実施形態では、環Bに縮合する環は、i、ii、iii、viii、ix、x、xi、xii、xiiiおよびxviからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、環Bに結合する環は、i、ii、iii、ix、xi、xii、xiiiおよびxviからなる群から選択される。他の実施形態では、環Bに縮合する環はiである。あるいは、環Bに縮合する環はiiである。あるいはiiiである。
【0081】
別の実施形態によれば、RはRであり、ここで、Rは、任意にRで置換された直鎖または分岐状(C1−C6)アルキル、あるいは(C2−C6)アルケニルまたはアルキニルである。
【0082】
別の実施形態によれば、Rは、(C1−C4脂肪族)−Yであって、ここで、nは0または1であり、Yは、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORである。
【0083】
別の実施形態によれば、Rは、ハロ、CF、NH、NH(C1−C4アルキル)、NHC(O)CH、OH、O(C1−C4アルキル)、OPh、O−ベンジル、S−(Cl−C4アルキル)、C1−C4脂肪族、CN、SONH(C1−C4アルキル)およびSON(C1−C4アルキル)からなる群から選択される。さらに別の実施形態によれば、2個のRが一緒になって、メチレンジオキシ、ジフルオロメチレンジオキシおよびエチレンジオキシからなる群から選択される。
【0084】
別の実施形態によれば、Rは、メチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチル、シクロプロピルメチル、シクロプロピル、ハロ、CF、NH、NH(CH)、NHC(O)CH、OH、OCH、OPh、O−ベンジル、S−(C)、S−CH、NO、CN、SONH(n−プロピル)およびSON(n−プロピル)からなる群から選択される。さらに別の実施形態によれば、2個のRが一緒になって、メチレンジオキシおよびジフルオロメチレンジオキシからなる群から選択される。
【0085】
一実施形態によれば、Rは、直鎖または分岐状(C1−C6)アルキル、あるいは(C2−C6)アルケニルまたはアルキニルであって、これらは、任意に、R、RまたはRで置換されている。ある実施形態では、Rは、直鎖または分岐状(Cl−C4)アルキル、あるいは(C2−C4)アルケニルまたはアルキニルであって、これらは、任意に、R、RまたはRで置換されている。他の実施形態によれば、Rは、直鎖または分岐状(Cl−C4)アルキル、あるいは(C2−C4)アルケニルまたはアルキニルである。
【0086】
一実施形態によれば、Rは、脂環式、アリール、複素環式またはヘテロアリール環であって、ここで、Rは、任意に、R、R、RおよびRからなる群から独立して選択される3個までの置換基で置換されている。一実施形態では、Rは、C3−C8脂環であって、任意に、R、R、RおよびRから独立して選択される3個までの置換基で置換されている。代表的な脂環として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルが挙げられる。別の実施形態では、Rは、C6−C10アリールであって、R、R、RおよびRから独立して選択される3個までの置換基で置換されている。代表的なアリール環として、フェニルまたはナフチルが挙げられる。別の実施形態では、Rは、C3−C8複素環であって、任意に、R、R、RおよびRから独立して選択される3個までの置換基で置換されている。代表的な複素環として、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルまたはチオモルホリニルが挙げられる。別の実施形態では、Rは、C5−C10ヘテロアリール環であって、任意に、R、R、RおよびRから独立して選択される3個までの置換基で置換されている。代表的なヘテロアリール環として、ピリジル、ピラジル、トリアジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリニル、シンノリニル、フタラジン、キナゾリニル、キナオキサリニル、ナフチリリニルまたはプテリジニルが挙げられる。
【0087】
一実施形態によれば、Rは、OR、OR、SR、SR、NRCOR、NRCOR、NRCORおよびNRCORからなる群から選択される。
【0088】
一実施形態によれば、Rは、C5−C6シクロアルキル、C6またはC10アリール、C5−C10ヘテロアリール、あるいは、C3−C7ヘテロ環であり、これらは、任意に、2個までのRで置換されている。ある実施形態では、Rは、任意に置換されたシクロヘキシル、フェニル、C5−C6ヘテロアリールまたはC3−C6ヘテロ環である。
【0089】
一実施形態によれば、RはHである。
【0090】
別の実施形態によれば、Rは、直鎖または分岐状(C1−C6)アルキル、あるいは(C2−C6アルケニル)またはアルキニルであり、これらは、任意に、Rで置換されている。
【0091】
別の実施形態によれば、Rは、直鎖または分岐状(C1−C6)アルキル、あるいは(C2−C6アルケニル)またはアルキニルである。
【0092】
一実施形態によれば、Rは、C5−C6シクロアルキル、フェニル、ナフチル、C5−C10ヘテロアリール、またはC3−C7ヘテロ環であり、これらは、任意に、直鎖または分岐状(C1−C6)アルキル、あるいは(C2−C6アルケニル)またはアルキニルで置換されている。あるいは、Rは、C5−C6シクロアルキル、フェニル、ナフチル、C5−C10ヘテロアリールまたはC3−C7ヘテロ環であって、これらは、任意に、メチレンジオキシ、ジフルオロメチレンジオキシ、エチレンジオキシまたは(CH−Zで置換されている。ある実施形態では、Rは、任意に置換された、シクロヘキシル、フェニル、C5−C6ヘテロアリールまたはC3−C6ヘテロ環である。
【0093】
一実施形態によれば、Rは、アセチル、アリールスルホニルまたはC1−C6アルキルスルホニルである。
【0094】
いくつかの実施形態では、JはCHである。他の実施形態では、JはCFである。あるいは、JはC(CHである。あるいは、JはC(O)である。あるいは、Jは
【0095】
【化14−1】

である。あるいは、Jは
【0096】
【化14−2】

である。あるいは、Jは
【0097】
【化14−3】

である。あるいは、Jは
【0098】
【化14−4】

である。あるいは、JはC(フェニル)である。あるいは、JはB(OH)である。あるいは、JはCH(OEt)である。
【0099】
一実施形態では、Qは結合である。あるいは、Qは、(C1−C6)アルキリデン鎖である。あるいは、Qは、(C1−C6)アルキリデン鎖であって、該鎖中の2個までのメチレン単位は、任意におよび独立して、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−または−NR’SONR’−で置換されている。一実施形態では、前記鎖中の前記2個までのメチレン単位は、任意におよび独立して、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−または−NR’SONR’−で置換されている。あるいは、前記鎖中の前記2個までのメチレン単位は、任意におよび独立して、−CO−、−O−、−S−、−NR’−、−CO−または−SO−で置換されている。
【0100】
一実施形態では、wは、0〜3である。別の実施形態では、wは1〜3である。
【0101】
いくつかの実施形態では、Wは結合である。他の実施形態では、Wは、任意に置換された(C1−C6)アルキリデン鎖であって、ここで、Wの2個までのメチレン単位は、任意におよび独立して、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−または−NR’SONR’−で置換されている。あるいは、Wは、任意に置換された(C1−C6)アルキリデン鎖であって、ここで、Wの2個までの隣り合わないメチレン単位は、任意に、−CONR’−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−NR’−または−SONR’−で置換されている。
【0102】
いくつかの実施形態では、Rは、独立して、RまたはRである。
【0103】
別の実施形態では、Rは、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される4個までの置換基で置換されたC1−C6脂肪族である。
【0104】
別の実施形態では、Rは、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される5個までの置換基で置換されたC6−C10アリールである。
【0105】
さらに別の実施形態では、Rは、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される5個までの置換基で置換された3〜10員単環式または二環式の複素環式環である。
【0106】
別の実施形態では、Rは、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される5個までの置換基で置換された5〜10員単環式または二環式のヘテロアリール環である。
【0107】
代替的実施形態では、xは1〜5である。いくつかの実施形態では、xは1であり、他では、xは2であり;いくつかの他では、xは3であり;さらに他では、xは4であり;他では、xは5である。
【0108】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの他の実施形態では、Xは(C1−C6)アルキリデン鎖であって、ここで、1個または2個の隣り合わないメチレン単位は、任意におよび独立して、O、NR’、S、SO、COOまたはCOで置換されている。いくつかの実施形態では、Rは、RまたはRである。
【0109】
別の実施形態では、本発明は、式II:
【0110】
【化15】

(式中、
、X、x、R、G、G、GおよびGは、先に定義した通りであり;
mは、0〜4であり;
Arは、
【0111】
【化16】

(式中、G、G、GおよびGの1つは、窒素であり、G、G、GおよびGの残りは、それぞれ、CHである)であり、
Arは、GまたはGを介してN(R)に結合し;
Arは、任意に、3個までのR置換基で置換され、ここで、各Rは、独立して、R、R、RおよびRからなる群から選択される)の化合物を提供する。
【0112】
一実施形態では、Arは、原子Gを介して結合する。
【0113】
他の実施形態では、Arは、原子Gを介して結合する。
【0114】
別の実施形態では、本発明は、式IIIAまたは式IIIB:
【0115】
【化17】

(式中、
、X、x、m、R、G、G、GおよびGは、先に定義した通りであり;
各Rは、独立して、R、R、RおよびRからなる群から選択される)の化合物を提供する。
【0116】
IIIAの一実施形態では、GはNであり、GおよびGはそれぞれCHであり、GはCである。IIIAの別の実施形態では、GはNであり、GおよびGはそれぞれCHであり、GはCである。IIIAのさらに別の実施形態では、GはNであり、GおよびGはそれぞれCHであり、GはCである。IIIBの一実施形態では、GはNであり、GおよびGはそれぞれCHであり、GはCである。IIIBの別の実施形態では、GはNであり、GおよびGはそれぞれCHであり、GはCである。IIIBのさらに別の実施形態では、GはNであり、GおよびGはそれぞれCHであり、GはCである。
【0117】
一実施形態では、Rは、Rまたは((C1−C4)脂肪族)−Yであり;
nは0または1であり;
Yは、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORである。
【0118】
一実施形態では、Rは、C1−C6脂肪族であって、これは、任意に、R、RおよびRからなる群から独立して選択される4個までの置換基で置換されている。
【0119】
別の実施形態では、Rは、C6−C10アリールであって、これは、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される5個までの置換基で置換されている。
【0120】
さらに別の実施形態では、Rは、3〜10員単環または二環式複素環であって、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される5個までの置換基で置換されている。
【0121】
別の実施形態では、Rは、5〜10員単環または二環式ヘテロアリール環であって、任意に、R、RおよびRからなる群から独立して選択される5個までの置換基で置換されている。
【0122】
いくつかの実施形態では、本発明は、式IVA、式IVBまたは式IVC:
【0123】
【化18】

(式中、R、X、xおよびRは、先に定義した通りである)の化合物を提供する。
【0124】
一実施形態では、2位の炭素に結合するRは、RまたはRである。
【0125】
いくつかの実施形態では、2位の炭素に結合するRは、C1−C6脂肪族であって、これは、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される4個までの置換基で置換されている。
【0126】
いくつかの実施形態では、2位の炭素に結合するRは、任意に置換されたC1−C6アルキルである。
【0127】
いくつかの実施形態では、2位の炭素に結合するRは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、1−メチルシクロプロピルまたはtert−ブチルである。
【0128】
いくつかの実施形態では、2位の炭素に結合するRは、tert−ブチルである。
【0129】
いくつかの実施形態では、2位の炭素に結合するRは、エチルである。
【0130】
いくつかの実施形態では、2位の炭素に結合するRは、1−メチルシクロプロピルである。
【0131】
いくつかの実施形態では、3位の炭素に結合するRは、Hである。
【0132】
いくつかの実施形態では、本発明は、式VA、式VBまたは式VC:
【0133】
【化19】

(式中、R、X、xおよびRは、先に定義した通りである)の化合物を提供する。
【0134】
いくつかの実施形態では、Wは、任意に置換されたC1−C6アルキリデンである。
【0135】
いくつかの実施形態では、Wは、ヒドロキシ、アルコキシまたはアミノ基で置換されたC1−C6アルキリデンである。
【0136】
いくつかの実施形態では、Wは、ヒドロキシ基で置換されたC1−C6アルキリデンである。
【0137】
いくつかの実施形態では、RはRである。
【0138】
いくつかの実施形態では、RはORである。
【0139】
いくつかの実施形態では、RはOHである。
【0140】
いくつかの実施形態では、Wは、任意に置換されたC1−C6アルキリデンであり、RはORである。
【0141】
いくつかの実施形態では、Wは、ヒドロキシル、アルコキシまたはアミノ基で置換されたC1−C6アルキリデンであり、RはOHである。
【0142】
いくつかの実施形態では、−WRは、−COHまたは−CHCH(OH)CHOHである。
【0143】
代表的な本発明の化合物を、以下の表1に列挙する。
【0144】
表1
【0145】
【表1−1】

【0146】
【表1−2】

4.一般的合成スキーム
式Iの化合物は、当該分野で周知の方法によって製造することができる。式Iの化合物を製造する代表的な方法を以下に示す。以下のスキームIでは、式Iの化合物の代表的な合成方法を示す。
【0147】
合成スキーム
本発明の化合物は、スキームI〜IXに示すように、公知の方法によって製造してもよい。
【0148】
スキームI
【0149】
【化20】

スキームII
【0150】
【化21】

スキームIII
【0151】
【化22】

フェニルアセトニトリルは、市販されており、またはスキームIVで示すように製造してもよい。
【0152】
スキームIV
【0153】
【化23】

スキームV
【0154】
【化24】

スキームVI
【0155】
【化25】

スキームVII
【0156】
【化26】

スキームVIII
【0157】
【化27】

スキームIX
【0158】
【化28】

上記スキームにおいて使用したラジカルRは、置換基、たとえば、先に定義したRである。当業者であれば、本発明の種々の置換基のために適切な合成経路は、そのような反応条件およびステップであることを、容易に理解するであろう。
【0159】
5.用途、製剤化および投与
医薬的に許容しうる組成物
先に検討したように、本発明は、ABC輸送体のモジュレーターとして有用な、したがって、たとえば嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線溶欠乏症、たとえば、プロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、たとえば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポ蛋白血症、リソソーム蓄積症、たとえば、I細胞病/偽ハーラー症候群、ムコ多糖体代謝異常、サンドオフ/テイ・サックス、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、メラノーマ、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経身体的尿崩症、腎性尿崩症、シャルコー‐マリー・ツース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患、たとえば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、数種のポリグルタミン神経性障害、たとえば、ハンチントン、脊髄小脳失調症I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、たとえば、遺伝性クロイツフェルト‐ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠陥による)、ファブリ病,ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患およびシェーグレン病のような疾患、障害または状態の治療において有用な化合物を提供する。
【0160】
したがって、本発明の他の態様では、医薬的に許容しうる組成物が提供され、これらの組成物は、本明細書に記載された化合物の任意のものを含み、任意に、医薬的に許容しうる担体、補助剤またはビヒクルを含む。ある実施形態では、これらの組成物は、任意に、さらに、1種以上の追加の治療剤を含む。
【0161】
本発明の化合物の中には、治療のために、遊離した形で存在しうるもの、あるいは適切な場合は、その医薬的に許容しうる誘導体として存在しうるものがあることも理解されるであろう。本発明によれば、医薬的に許容しうる誘導体として、医薬的に許容しうる塩類、エステル類、そのようなエステル類の塩類、またはそれを必要とする患者に投与すると、直接または間接的に、本明細書で他に記載したような化合物、またはその代謝物または残渣物を提供することができる任意の他の付加物または誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
本明細書で使用される用語「医薬的に許容しうる塩」は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応などを起こさず、ヒトおよび下等動物の組織との接触に適切に使用され、合理的な利益/リスク率に見合う塩類を言う。「医薬的に許容しうる塩」は、受容者に投与すると、直接または間接的に、本発明の化合物、またはその抑制的に活性な代謝物または残渣物を提供することができる本発明化合物の任意の無毒性塩またはエステルの塩を意味する。本明細書で使用される用語「その抑制的に活性な代謝物または残渣物」は、その代謝物または残渣物も、ATP結合カセット輸送体の抑制剤であることを意味する。
【0163】
医薬的に許容しうる塩類は、当該分野で周知である。たとえば、S.M.Berge,らは、医薬的に許容しうる塩類を、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19(これは、参照により、本明細書に組み込まれる)に、詳細に記載している。本発明の化合物の医薬的に許容しうる塩類として、適切な無機および有機の酸および塩基から誘導されるものが挙げられる。医薬的に許容しうる無毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸のような無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、スクシン酸またはマロン酸のような有機酸で、またはイオン交換のような当該分野で使用される他の方法を使用して形成されるアミノ基の塩類である。他の医薬的に許容しうる塩類として、アジピン酸塩、アルギニン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミスルフェート、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パラミチン酸塩、パモ酸縁、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、スクシン酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、、吉草酸塩などが挙げられる。適正な塩基から誘導される塩類として、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1−4アルキル)塩が挙げられる。また、本発明は、本明細書で開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も想定する。水溶性または油溶性または分散性生成物は、このような四級化によって得てもよい。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩として、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらに、医薬的に許容しうる塩として、適切な場合、無毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびハライド、水酸化物、カルボキシラート、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩のような対イオンを使用して形成されたアミンカチオンが挙げられる。
【0164】
先に記載したように、本発明の医薬的に許容しうる組成物は、付加的に、医薬的に許容しうる担体、補助剤またはビヒクルを含み、これは、本明細書で使用される場合、所望する特定の剤形に適するように、ありとあらゆる溶剤、希釈剤または他の液体ビヒクル、分散液または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘または乳化剤、保存剤、固体結合剤、潤滑剤などを含む。Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版、E.W.Martin(Mack Publishing社,Easton,Pa.,1980)には、医薬的に許容しうる組成物の調剤において使用される種々の担体、およびその製造のための公知の技術が開示されている。たとえば、望ましくない生物学的効果を作り出すことにより、あるいは医薬的に許容しうる組成物の他の成分(複数を含む)と有害なやり方で相互作用することにより、任意の従来の担体媒体が、本発明の化合物と相いれない場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内であることが想定される。医薬的に許容しうる担体としての役割を果たすことができる物質のいくつかの例として、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レクチン、血清タンパク質、たとえば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、たとえば、リン酸、グリシン、ソルビン酸またはソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩類または電解質、たとえば、プロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化水素、亜鉛塩類、コロイド状シリカ、3ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス類、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロック重合体、羊毛脂、糖類、たとえば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン類、たとえば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、たとえば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;トラガント粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、たとえば、ココアバターおよび座剤ワックス;油類、たとえば、ピーナツ油、綿実油、ひまわり油、ごま油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;グリコール、たとえば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール;エステル類、たとえば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、たとえば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギニン酸;発熱物質のない水;等張生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、ならびに他の無毒性の適合する潤滑剤、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、着色剤、離型剤、被覆剤、甘味剤、香味剤、着香剤、保存剤、および抗酸化剤も、調剤者の判断により、組成物中に存在させてもよい。
化合物および医薬的に許容しうる組成物の用途
さらに別の態様では、本発明は、ABC輸送体活性が関与している状態、疾患または障害を治療する方法を提供する。ある実施形態では、本発明は、ABC輸送体活性の欠乏が関与している状態、疾患または障害を治療する方法を提供し、該方法は、式(I)の化合物を含む組成物を、それを必要とする対象、好ましくは哺乳類に投与することを含む。
【0165】
ある好ましい実施形態では、本発明は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫(1−抗トリプシンによる;非Piz変異体)、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線溶欠乏症、たとえば、プロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫,脂質処理欠損症、たとえば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポ蛋白血症、リソソーム蓄積症、たとえば、I‐細胞病/偽ハーラー症候群、ムコ多糖体代謝異常(リソソームプロセシング酵素による)、サンドオフ/テイ・サックス(β−ヘキソサミニダーゼによる)、クリグラー−ナジャーII型(UDP−グルクロニル−シアル−トランスフェラーゼによる)、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、糖尿病(インスリンレセプターによる)、ラロン小人症(成長ホルモンレセプターによる)、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症(プレプロ副甲状腺ホルモンによる)、メラノーマ(チロシナーゼによる)を治療する方法を提供する。ER機能不全の後の群に関連する疾患は、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫(α1−抗トリプシン(PiZ変異体)による、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I型、II型、IV型プロコラーゲンによる)、遺伝性低フィブリノゲン血症(フィブリノゲンによる)、ACT欠損症(α1−抗キモトリプシンによる)、尿崩症(DI)、神経身体的DI(バソプレシンホルモン/V2−レセプターによる)、腎性尿崩症(アクアポリンIIによる)、シャルコー−マリー・ツース症候群(末梢ミエリンタンパク質22による)、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患、たとえば、アルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンによる)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、数種のポリグルタミン神経性障害、たとえば、ハンチングトン、脊髄小脳失調症I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、たとえば、遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠陥による)、ファブリ病(リソソームα−ガラクトシダーゼAによる)、ストロイスラー−シャインカー症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ドライアイ疾患、およびシェーグレン症候群であり、前記哺乳類に、式(I)の化合物、または先に記載したその好ましい実施形態を含む組成物を有効量投与するステップを含む。
【0166】
代替の好ましい実施形態によれば、本発明は、嚢胞性線維症を治療する方法であって、前記哺乳類に、式(I)の化合物、または先に記載したその好ましい実施形態を含む組成物を有効量投与するステップを含む方法を提供する。
【0167】
本発明によれば、「有効量」の化合物または医薬的に許容しうる組成物は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫(1−抗トリプシンによる;非Piz変異体)、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線溶欠乏症、たとえば、プロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫,脂質処理欠損症、たとえば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポ蛋白血症、リソソーム蓄積症、たとえば、I‐細胞病/偽ハーラー症候群、ムコ多糖体代謝異常(リソソームプロセシング酵素による)、サンドオフ/テイ・サックス(β−ヘキソサミニダーゼによる)、クリグラー−ナジャーII型(UDP−グルクロニル−シアル−トランスフェラーゼによる)、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、糖尿病(インスリンレセプターによる)、ラロン小人症(成長ホルモンレセプターによる)、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症(プレプロ副甲状腺ホルモンによる)、メラノーマ(チロシナーゼによる)の1種以上の重症度を、治療しまたは軽減するのに有効な量である。ER機能不全の後の群に関連する疾患は、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫(α1−抗トリプシン(PiZ変異体)による、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I型、II型、IV型プロコラーゲンによる)、遺伝性低フィブリノゲン血症(フィブリノゲンによる)、ACT欠損症(α1−抗キモトリプシンによる)、尿崩症(DI)、神経身体的DI(バソプレシンホルモン/V2−レセプターによる)、腎性尿崩症(アクアポリンIIによる)、シャルコー−マリー・ツース症候群(末梢ミエリンタンパク質22による)、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患、たとえば、アルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンによる)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、数種のポリグルタミン神経性障害、たとえば、ハンチントン、脊髄小脳失調症I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、たとえば、遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠陥による)、ファブリ病(リソソームα−ガラクトシダーゼAによる)、ストロイスラー−シャインカー症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ドライアイ疾患、およびシェーグレン症候群である。
【0168】
本発明の方法によれば、化合物および組成物は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫(1−抗トリプシンによる;非Piz変異体)、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線溶欠乏症、たとえば、プロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫,脂質処理欠損症、たとえば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポ蛋白血症、リソソーム蓄積症、たとえば、I‐細胞病/偽ハーラー症候群、ムコ多糖体代謝異常(リソソームプロセシング酵素による)、サンドオフ/テイ・サックス(β−ヘキソサミニダーゼによる)、クリグラー−ナジャーII型(UDP−グルクロニル−シアル−トランスフェラーゼによる)、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、糖尿病(インスリンレセプターによる)、ラロン小人症(成長ホルモンレセプターによる)、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症(プレプロ副甲状腺ホルモンによる)、メラノーマ(チロシナーゼによる)の1種以上の重症度を治療または軽減するのに効果的な任意の量および任意の投与経路を使用して投与してもよい。ER機能不全の後の群に関連する疾患は、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫(α1−抗トリプシン(PiZ変異体)による、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I型、II型、IV型プロコラーゲンによる)、遺伝性低フィブリノゲン血症(フィブリノゲンによる)、ACT欠損症(α1−抗キモトリプシンによる)、尿崩症(DI)、神経身体的DI(バソプレシンホルモン/V2−レセプターによる)、腎性尿崩症(アクアポリンIIによる)、シャルコー−マリー・ツース症候群(末梢ミエリンタンパク質22による)、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患、たとえば、アルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンによる)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、数種のポリグルタミン神経性障害、たとえば、ハンチントン、脊髄小脳失調症I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、たとえば、遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠陥による)、ファブリ病(リソソームα−ガラクトシダーゼAによる)、ストロイスラー−シャインカー症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ドライアイ疾患、およびシェーグレン症候群である。
【0169】
必要とする正確な量は、対象により変化し、対象の種類、年齢および全身状態、感染の重症度、特定の薬剤、その投与モードなどによる。本発明の化合物は、投与の容易さおよび投与量の均一性のため、単位投与剤形に調剤されるのが好ましい。本明細書で使用される表現「単位投与剤形」は、治療されるべき患者に適切な薬剤を物理的に分離した単位を言う。しかし、本発明の化合物および組成物の1日の合計使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で、担当の医師によって決定されるであろうことは理解されるであろう。任意の特定の患者または生物のための具体的な有効投与量レベルは、治療すべき障害および障害の重症度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、全身的健康状態、性別および食事;使用される具体的な化合物の投与の回数、投与経路および排出速度;治療の継続時間;使用される具体的な化合物と組合わせてあるいは同時に使用される薬、およびこのような医薬分野で周知の要因を始めとする、種々の要因によるであろう。本明細書で使用される用語「患者」は、動物を意味し、好ましくは哺乳類、および最も好ましくはヒトである。
【0170】
本発明の医薬的に許容しうる組成物は、治療されるべき感染の重症度によって、経口的に、直腸に、非経口的に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(粉末、軟膏剤または液滴によるように)、口腔内に、経口または鼻スプレーとして、ヒトおよび他の動物に投与することができる。ある実施形態では、本発明の化合物を、1日当たり、対象の体重の約0.01mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg〜約25mg/kgの投与レベルで、1日1回以上、経口的または非経口的に投与し、所望の治療効果を得てもよい。
【0171】
経口的投与用の液状投与形態として、医薬的に許容しうる乳液、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル液が挙げられるが、これらに限定されない。活性化合物に加え、液状投与形態は、当該分野で一般的に使用される不活性希釈剤、たとえば、水または他の溶剤、可溶化剤および乳化剤、たとえば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物を含有してもよい。不活性希釈剤の他に、経口的組成物は、補助剤、たとえば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤および着香剤も含有することができる。
【0172】
注射製品、たとえば、滅菌注射用水性または油性懸濁液は、適切な分散または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術に従って製剤化することができる。また、滅菌注射製品は、たとえば1,3−ブタンジオール中の溶液のように、無毒性の非経口的に許容しうる希釈剤または溶剤中の滅菌注射溶液、懸濁液または乳液であってもよい。使用してもよい、許容しうるビヒクルおよび溶剤の中には、水、リンゲル液,U.S.P.および塩化ナトリウム等張溶液がある。さらに、滅菌された固定油類は、溶剤または懸濁溶媒として従来から使用されている。この目的のため、合成モノまたはジグリセリドを始めとする、任意の無刺激性固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸を、注射用剤の製造において使用する。
【0173】
注射用製剤は、たとえば、細菌固定フィルターによってろ過することにより、または滅菌剤を、滅菌固体組成物の形態で挿入することによって、滅菌することができ、これらは、使用の前に、滅菌水または他の滅菌された注射用溶媒に溶解または分散することができる。
【0174】
本発明の化合物の効果を長引かせるために、皮下注射または筋肉注射から化合物の吸収を遅らせることが望ましい場合がしばしばある。これは、水溶性の低い結晶性または無定形物質の液状懸濁液を使用することによって達成できる。次に、化合物の吸収速度はその溶解速度により、該速度は結晶径および結晶形による。あるいは、非経口的に投与される化合物形態の吸収の遅延は、油性ビヒクルに化合物を溶解または懸濁することにより達成される。注射可能なデポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドのような生分解性ポリマー中で、化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより製造する。ポリマーに対する化合物の比、および使用する特定のポリマーの性質により、化合物の放出速度をコントロールすることができる。他の生分解性ポリマーの例として、ポリ(オルソエステル)類およびポリ(無水物)が挙げられる。また、デポー注射製剤は、生体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルジョンに、化合物を閉じ込めることによっても製造される。
【0175】
経直腸投与または経膣投与用の組成物は、本発明の化合物を、周囲温度では固体であるが、体温で液体となり、したがって、直腸または膣腔で融解し、活性化合物が放出する、適切な非刺激性賦形剤または担体、たとえば、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは座薬用ワックスと混合することにより製造することができる、座剤が好ましい。
【0176】
経口投与用の固形投与形態としては、カプセル、錠剤、ピル、粉剤および顆粒剤が挙げられる。そのような固体投与形態において、活性化合物は、少なくとも1種の不活性な医薬的に許容しうる賦形剤または担体、たとえば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムおよび/またはa)充填剤または増量剤、たとえば、デンプン、ラクトース、サッカロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、b)結合剤、たとえば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、サッカロースおよびアカシアゴム、c)保湿剤、たとえば、グリセロール、d)崩壊剤、たとえば、寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギニン酸、ある種のケイ酸塩および炭酸ナトリウム、e)溶液抑制剤、たとえば、パラフィン、f)吸収促進剤、たとえば、四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、たとえば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート、h)吸収剤、たとえば、カオリンおよびベントナイトクレー、およびi)潤滑剤、たとえば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物と混合される。カプセル、錠剤およびピルの場合、投与形態は、緩衝剤を含んでもよい。
【0177】
また、類似のタイプの固形組成物を、ラクトースや乳糖のような賦形剤および高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟質および硬質充填ゼラチンカプセルにおいて、充填剤として使用してもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル、ピルおよび顆粒剤の固形投与形態は、腸溶コーティングおよび医薬品製造分野で周知の他の皮膜のような、皮膜および殻で製造することができる。それらは、任意に、乳白剤を含有してもよく、および活性成分(複数を含む)を、単独で、あるいは好ましくは腸管のある部分で、任意に徐放的に放出する組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例として、重合体物質およびワックスが挙げられる。また、類似のタイプの固体組成物は、ラクトースや乳糖のような賦形剤および高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟質および硬質充填ゼラチンカプセルにおいて、充填剤として使用することもできる。
【0178】
また、先に記載したように、活性化合物は、1種以上の賦形剤で、マイクロカプセル化された形態である可能性もある。錠剤、糖衣錠、カプセル、ピルおよび顆粒剤の固体投与形態は、腸溶コーティング、放出コントロールする膜、および他の医薬製造分野で周知の膜のような、塗膜および殻で製造することができる。そのような固体投与形態では、活性化合物を、少なくとも1種の不活性希釈剤、たとえば、サッカロース、ラクトースまたはデンプンと混合してもよい。また、そのような投与形態は、一般的慣例のように、不活性希釈剤以外の追加の物質、たとえば、錠剤形成用潤滑剤および他の錠剤形成補助剤、たとえば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースを含んでもよい。カプセル、錠剤およびピルの場合、前記投与形態は、緩衝剤を含んでもよい。それらは、任意に、乳白剤を含有してもよく、および活性成分(複数を含む)を、単独で、あるいは好ましくは腸管のある部分で、任意に徐放的に放出する組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例として、重合体物質およびワックスが挙げられる。
【0179】
本発明の化合物の局所または経皮投与のための投与形態として、軟膏剤、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、粉末剤、溶液、スプレー、吸入薬またはパッチが挙げられる。活性成分は、滅菌状態下で、医薬的に許容しうる担体、および必要とされる場合は、任意の必要な保存剤または緩衝液と混合される。眼科用製剤、点耳剤、および点眼剤も、本発明の範囲内であると想定される。さらに、本発明は、化合物のコントロールされた送達を体に提供する追加の利点を持つ、経皮パッチの使用も想定する。そのような投与形態は、化合物を適正な媒体に溶解または分散することにより製造する。吸収促進剤も、皮膚を通る化合物の流量を増やすために、使用することができる。速度コントロール膜を備えることによって、または化合物をポリマーマトリックスまたはゲルに分散することによって、速度をコントロールすることができる。
【0180】
先に一般的に記載したように、本発明の化合物は、ABC輸送体のモジュレーターとして有用である。したがって、いかなる特定の理論に縛られるつもりではないが、化合物および組成物は、ABC輸送体の過剰活性または不活性が、疾患、状態または障害に関連する場合において、該疾患、状態または障害の重症度を治療または軽減するのに、特に有用である。ABC輸送体の過剰活性または不活性活性が、特定の疾患、状態または障害に関連する場合、該疾患、状態または障害を、「ABC輸送体介在疾患、状態または障害」とも言う。したがって、別の態様では、本発明は、ABC輸送体の過剰活性または不活性が疾患状態に関与する疾患、状態または障害の重症度を治療または軽減する方法を提供する。
【0181】
本発明において、ABC輸送体のモジュレーターとして利用される化合物の活性は、当該分野およびおよび以下の実施例で一般的に記載されている方法にしたがって、アッセイすることができる。
【0182】
本発明の化合物および医薬的に許容しうる組成物は、併用療法において使用することができる、すなわち、化合物および医薬的に許容しうる組成物は、1種以上の他の所望の治療薬または医療的処置と同時に、その前に、またはそれに続けて投与することができることも理解されるであろう。併用レジメンにおいて使用するための治療(治療薬または処置)の特定の組合せは、目的とする治療薬および/または処置と目的とする達成される治療効果との適合性が考慮されるであろう。使用される治療は、同じ障害に関する目的の効果を達成してもよく(たとえば、本発明の化合物は、同じ障害を治療するために使用される別の薬剤と同時に投与されてもよい)、あるいは、それらは、異なる効果を達成してもよい(たとえば、任意の副作用のコントロール)ことも理解されるであろう。本明細書で使用される、特定の疾患または状態を治療または予防するために通常投与される追加の治療薬剤は、「治療すべき疾患または状態のために適正である」として知られている。
【0183】
本発明の組成物中に存在する追加の治療薬の量は、その治療薬を唯一の活性剤として含む組成物において通常投与される量を超えることはない。ここで開示する組成物中の追加の治療剤の量は、その治療薬を唯一の活性剤として含む組成物において通常存在する量の約50%〜100%であることが好ましい。
【0184】
また、本発明の化合物またはその医薬的に許容しうる組成物は、埋め込み式医療装置、たとえば、プロテーゼ、人工弁、人工血管、ステントおよびカテーテルを被覆する組成物に導入されてもよい。したがって、他の態様では、本発明は、埋め込み式装置の被覆組成物であって、先に一般的に記載した、本明細書の群またはサブクラスの本発明の化合物と、前記埋め込み式装置を被覆するのに適した担体とを含む組成物を含む。さらに他の態様では、本発明は、先に一般的に記載した、本明細書の群またはサブクラスの本発明の化合物と、前記埋め込み式装置を被覆するのに適した担体とを含む組成物で被覆された埋め込み式装置を含む。適切な被膜および被覆された埋め込み式装置の一般的な製法は、米国特許第6,099,562号、第5,886,026号および第5,304,121号に記載されている。被膜は、典型的な生体適合性ポリマー物質、たとえば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレンビニルアセテート、およびこれらの混合物である。被膜は、任意に、さらに、組成物でのコントロールされた放出特性を与えるために、フルオロシリコーン、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、リン脂質またはこれらの組合せの適切なトップコートによって、覆われていてもよい。
【0185】
本発明の別の態様は、生体試料または患者において(たとえば、インビトロまたはインビボで)、ABC輸送体活性を調節することに関し、該方法は、式Iの化合物または該化合物を含む組成物を、患者に投与すること、または前記生体試料に接触させることを含む。本明細書で使用される、用語「生体試料」は、細胞培養物またはその抽出物;哺乳類から得た生検物質またはその抽出物;および血液、唾液、尿、便、精液、涙液、または他の体液、あるいはその抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0186】
生体試料におけるABC輸送体活性の調節は、当業者に公知の種々の目的のために有用である。そのような目的の例として、生物学的および病理学的現象におけるABC輸送体の研究、およびABC輸送体の新しいモジュレーターの比較判断が挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
さらに別の実施形態では、アニオンチャネルの活性をインビトロまたはインビボで調節する方法が提供され、該方法は、前記チャネルを、式(I)の化合物と接触させるステップを含む。好ましい実施形態では、アニオンチャネルは、塩素イオンチャネルまたは重炭酸チャネルである。他の好ましい実施形態では、アニオンチャネルは、塩素イオンチャネルである。
【0188】
代替の実施形態によれば、本発明は、細胞の膜中での機能的なABC輸送体の数を増やす方法であって、前記細胞を式(I)の化合物と接触させるステップを含む方法を提供する。本明細書で使用される用語「機能的なABC輸送体」は、活性を輸送することができるABC輸送体を意味する。好ましい実施形態では、前記機能的ABC輸送体はCFTRである。
【0189】
別の好ましい実施形態によれば、ABC輸送体の活性は、膜貫通電圧電位を測定することによって測定される。生体試料中の膜を貫通する電圧電位を測定する方法は、光学的膜ポテンシャルアッセイまたは他の電気生理学的方法のような、当該分野で公知のいかなる方法を用いてもよい。
【0190】
光学的膜ポテンシャルアッセイは、GonzalezおよびTsienによって記載された電圧感受性FRETセンサー(Gonzalez,J.E.およびR.Y.Tsien(1995)「Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells」Biophys J69(4):1272−80、およびGonzalez,J.E.およびR.Y.Tsien(1997)「Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer」Chem Biol4(4):269−77参照)を、蛍光強度変化を測定するための計測器、たとえば、電圧/イオンプローブリーダー(VIPR)(Gonzalez,J.E.,K.Oadesら(1999)「Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets」Drug Discov Today4(9):431−439)と組合わせて利用する。
【0191】
これらの電圧感受性アッセイは、膜溶解性、電圧感受性染料、DiSBAC(3)と、細胞質膜の外側小葉に結合し、FRETドナーとして作用する蛍光リン脂質、CC2−DMPEとの間の蛍光共鳴エネルギー伝達(FRET)の変化に基づく。膜電位(V)の変化は、DiSBAC(3)を負に帯電させ、細胞質膜を貫通して再分布し、それに従ってCC2−DMPEからのエネルギー伝達の量を変化させる。蛍光発光の変化は、96−または384−ウェルマイクロタイタープレート中で細胞ベースのスクリーニングを行うように設計された、集積液体ハンドラーおよび蛍光検出器であるVIPR(商標)IIを使用してモニターすることができる。
【0192】
別の態様では、本発明は、生体試料中のABC輸送体またはその断片の活性のインビトロまたはインビボでの測定において使用されるキットであって、(i)式(I)または任意の前記実施形態の化合物を含む組成物と、(ii)a)組成物を生体試料と接触させ、およびb)前記ABC輸送体またはその断片の活性を測定するための使用説明書とを含むキットを提供する。一実施形態では、該キットは、さらに、a)追加の組成物を生体試料と接触させ、b)前記ABC輸送体またはその断片の活性を、追加の化合物の存在下で測定し、およびc)追加の化合物の存在下でのABC輸送体の活性を、式(I)の組成物の存在下でのABC輸送体の密度と比較させるための使用説明書も含む。好ましい実施形態では、キットは、CFTRの密度を測定するために使用される。
【0193】
本明細書に記載された発明をさらに十分に理解できるようにするため、以下に実施例を記載する。これらの実施例は、説明の目的のためだけにあり、いかなる方法によっても本発明を限定すると解釈すべきではないことは、理解されるべきである。
【実施例】
【0194】
以下の表2は、市販のまたは以下に記載の方法の1つにより製造した、ブロックを構築するカルボン酸のリストを含む。
【0195】
表2:ブロックを構築するカルボン酸
【0196】
【表2】

1.A−3:1−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−シクロプロパンカルボン酸の製造
【0197】
【化29】

ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−アセトニトリル(5.10g,31.7mmol)、1−ブロモ−2−クロロエタン(9.00mL,109mmol)およびベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(0.181g,0.795mmol)の混合物を、70℃で加熱し、次いで50%(wt/wt)の水酸化ナトリウム水溶液(26mL)を混合物にゆっくり加えた。反応系を70℃で18時間攪拌し、次いで130℃で24時間加熱した。黒褐色の反応混合物を、水(400mL)で希釈し、等容積の酢酸エチルで1回、および等容積のジクロロメタンで1回抽出した。塩基性の水溶液を、濃塩酸で酸化してpHを1未満とし、析出物をろ過し、1Mの塩酸で洗浄した。固体物をジクロロメタン(400mL)に溶解し、等容積の1M塩酸で2回、塩化ナトリウムの飽和水溶液で1回抽出した。有機溶液を、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固し、白色からわずかに灰白色の固体(5.23g,80%)を得た。ESI−MSm/z計算値:206.1、測定値:207.1(M+l)2.37分の保持時間。
【0198】
【化30】

2.A−1:1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボン酸の製造
【0199】
【化31】

ステップa:2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸メチルエステル
アセトニトリル(30mL)およびトリエチルアミン(10mL)を含有する、5−ブロモ−2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール(11.8g,50.0mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[Pd(PPh,5.78g,5.00mmol]メタノール(20mL)溶液を、一酸化炭素の雰囲気(55PSI)下、75℃(油浴温度)で15時間攪拌した。冷却した反応混合物を、ろ過し、ろ液を蒸発乾固した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、粗2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸メチルエステル(11.5g)を得、これを次のステップに直接使用した。
【0200】
ステップb:(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−メタノール
20mLの無水テトラヒドロフラン(THF)に溶解した粗2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸メチルエステル(11.5g)を、0℃で、リチウムアルミニウムハイドライド(4.10g,106mmol)の無水THF(100mL)懸濁液にゆっくり加えた。次いで、混合物を室温に暖めた。室温で1時間攪拌した後、反応混合物を0℃に冷却し、水(4.1g)、次いで水酸化ナトリウム(10%水溶液,4.1mL)で処理した。得られたスラリーをろ過し、THFで洗浄した。合わせたろ液を、蒸発乾固し、残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−メタノール(7.2g,38mmol,2ステップで76%)を、無色油状物として得た。
【0201】
ステップc:5−クロロメチル−2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール
塩化チオニル(45g,38mmol)を、(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−メタノール(7.2g,38mmol)のジクロロメタン(200mL)溶液に、0℃でゆっくり加えた。得られた混合物を室温で一晩攪拌し、次いで蒸発乾固した。残渣を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(100mL)とジクロロメタン(100mL)との間で分配した。分離した水層をジクロロメタン(150mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、蒸発乾固し、粗5−クロロメチル−2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール(4.4g)を得、これをこれを次のステップで直接使用した。
【0202】
ステップd:(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−アセトニトリル
粗5−クロロメチル−2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール(4.4g)およびシアン化ナトリウム(1.36g,27.8mmol)の混合物を、ジメチルスルホキシド(50mL)中、室温で一晩攪拌した。反応混合物を氷に注ぎ入れ、酢酸エチル(300mL)で抽出した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固し、粗(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−アセトニトリル(3.3g)を得、これを次のステップで直接使用した。
【0203】
ステップe:1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボニトリル
水酸化ナトリウム(50%水溶液,10mL)を、粗(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−アセトニトリル、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(3.00g,15.3mmol)および1−ブロモ−2−クロロエタン(4.9g,38mmol)の混合物に、70℃でゆっくりと加えた。
【0204】
混合物を70℃で一晩攪拌し、その後反応混合物を水(30mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固し、粗1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボニトリルを得、これを次のステップで直接使用した。
【0205】
ステップf:1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボン酸
1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボニトリル(直前のステップからの粗生成物)を、10%水酸化ナトリウム水溶液(50mL)中で2.5時間還流した。冷却した反応混合物を、エーテル(100mL)で洗浄し、水相を2Mの塩酸でpH2の酸性とした。析出した固体をろ過し、1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボン酸を白色固体(0.15g,4ステップで1.6%)として得た。ESI−MSm/z計算値:242.04,測定値:241.58(M+l)
【0206】
【化32】

以下の表3は、市販のまたは以下に記載の方法の1つにより製造した、ブロックを構築するアミンのリストを含む。
【0207】
表3:ブロックを構築するアミン
【0208】
【表3−1】

【0209】
【表3−2】

3.B−2:2−tert−ブチル−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−アミンの製造
【0210】
【化33】

ステップa:6−クロロ−2−ヨード−ピリジン−3−イルアミン
6−クロロ−ピリジン−3−イルアミン(10.0g,77.8mmol)のEtOH(150mL)溶液に、AgSO(12.1g,38.9mmol)およびI(23.7g,93.4mmol)を室温で加えた。混合物を20℃で一晩攪拌した。溶剤を真空下、蒸発によって除去した。水(100mL)およびEtOAc(200mL)は、残渣に加えた。有機層を分離し、水層をEtOAc(100mL×3)で抽出した。組合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、真空蒸発し、粗生成物を得、これを、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル7:1)で精製し、6−クロロ−2−ヨード−ピリジン−3−イルアミン(17.1g,86%)を得た。
【0211】
【化34】

ステップb:6−クロロ−2−(3,3−ジメチル−ブチ−1−ニル)−ピリジン−3−イルアミン
6−クロロ−2−ヨード−ピリジン−3−イルアミン(16.0g,62.7mmol)のトルエン(160mL)および水(80mL)溶液に、EtN(12.7g,125mmol)、Pd(PPhCl(2.2g,3.1mmol)、CuI(238mg,1.3mmol)および3,3−ジメチル−ブチ−1−ン(7.7g,94mmol)を、N雰囲気下で順番に加えた。反応混合物を70℃で3時間加熱し、室温に放冷した。得られた混合物を酢酸エチル(150mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を、無水NaSOで乾燥し、真空蒸発し、6−クロロ−2−(3,3−ジメチル−ブチ−1−ニル)−ピリジン−3−イルアミン(11.5g,88%)を得、これを、さらに精製することなく、次のステップで使用した。
ステップc:N−[6−クロロ−2−(3,3−ジメチル−ブチ−1−ニル)−ピリジン−3−イル]−ブチルアミド
6−クロロ−2−(3,3−ジメチル−ブチ−1−ニル)−ピリジン−3−イルアミン(11.5g,55.2mmol)およびピリジン(13.1g,166mmol)のCHCl(150mL)溶液に、ブチリルクロリド(6.5g,61mmol)を、0℃で滴下した。混合物を室温に暖め、この温度で一晩攪拌した。水(50mL)を−0℃で滴下した。得られた混合物を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、真空蒸発し、粗N−[6−クロロ−2−(3,3−ジメチル−ブチ−1−ニル)−ピリジン−3−イル]−ブチルアミド(16g)を得、これを、さらに精製することなく、次のステップで使用した。
【0212】
【化35】

ステップd:2−tert−ブチル−5−クロロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン
粗N−[6−クロロ−2−(3,3−ジメチル−ブチ−1−ニル)−ピリジン−3−イル]−ブチルアミド(16g)のDMF(150mL)溶液に、t−BuOK(12.4g,110mmol)を室温で加えた。混合物を70℃で1時間加熱した。溶剤を真空下、蒸発によって除去した。水(100mL)および酢酸エチル(200mL)を加えた。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、真空蒸発し、粗生成物を得、これをシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル10:1)で精製し、2−tert−ブチル−5−クロロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン(10.8g,2ステップ:94%)を得た。
【0213】
【化36】

ステップe:2−tert−ブチル−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−アミン
500mLのオートクレーブで、2−tert−ブチル−5−クロロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン(5.0g,24mmol)およびCuSO・5HO(0.5g,2.0mmol)のアンモニア水(200mL)およびCHOH(100mL)溶液を、180℃で加熱し(この温度で、オートクレーブ内の圧力は、約2MPaであった)、10時間攪拌した。混合物を室温に放冷した。溶剤を真空下、蒸発によって除去した。得られた混合物を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、真空蒸発し、粗生成物を得、これを分取HPLCで精製し、2−tert−ブチル−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−アミン(1.15g,26%)を得た。
【0214】
【化37】

4.B−3:2−tert−ブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−アミンの製造
【0215】
【化38】

ステップa:(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
CHCl(200mL)中の6−クロロピリジン−3−アミン(30.0g,0.23mol)、DMAP(1g)およびEtN(41.7g,0.47mol)の混合物に、BocO(54.5g,0.25mol)を0℃で加えた。混合物を室温に暖め、一晩攪拌した。混合物を飽和NaHCO溶液で洗浄した。水溶液をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機物を、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空蒸発し、tert−ブチル6−クロロピリジン−3−イルカルバメート(50.0g,94%)を得、これを次の反応で直接使用した。
【0216】
【化39】

ステップb:(6−クロロ−4−ヨード−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
TMEDA(1.45g,12.5mmol)の乾燥EtO(30mL)溶液に、n−BuLi(5.0mL,12.5mmol)を−78℃で滴下した。混合物を−78℃で0.5時間攪拌した。(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(1.14g,5.0mmol)の乾燥EtO(10mL)溶液を、反応混合物に、−78℃で滴下し、得られた混合物を−78℃で1時間攪拌し続けた。I(1.52g,6.0mmol)の乾燥EtO(10mL)溶液を、−78℃で滴下した。混合物をこの温度で1時間攪拌し続けた。反応を飽和NHCl水溶液でクエンチした。有機層を分離し、水相を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、減圧下蒸発させ、残渣を得、これをカラム(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製し、(6−クロロ−4−ヨード−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(1.75g,30%)を得た。
【0217】
【化40】

ステップc:[6−クロロ−4−(3,3−ジメチル−ブチ−1−ニル)−ピリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
(6−クロロ−4−ヨード−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(23.3g,65.6mmol)、3,3−ジメチル−ブチ−1−ン(53.8g,0.656mol)、CuI(623mg,3.3mmol)およびトリエチルアミン(13.3g,0.13mol)のトルエン(150mL)および水(50mL)脱酸素化溶液に、Pd(PPhCl(2.30g,3.28mmol)を、N下で加えた。混合物を、70℃で加熱し、24時間攪拌した。固体をろ取し、酢酸エチル(200mL×3)で洗浄した。ろ液を減圧蒸発させ、残渣を得、これを、カラム(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製し、[6−クロロ−4−(3,3−ジメチル−ブチ−1−ニル)−ピリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(15.8g,78%)を得た。
【0218】
【化41】

ステップd:2−tert−ブチル−5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン
THF(200mL)中の[6−クロロ−4−(3,3−ジメチル−ブチ−1−ニル)−ピリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(15.8g,51mmol)およびTBAF(26.6g,0.1mol)の混合物を、還流温度で24時間加熱した。冷却後、混合物を氷水に注ぎ入れ、CHCl(300mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、減圧蒸発させ、残渣を得、これを、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製し、2−tert−ブチル−5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン(9.2g,87%)を得た。
【0219】
【化42】

ステップe:2−tert−ブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−アミン
2−tert−ブチル−5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン(5.0g,24mmol)のNH・HO(400mL)溶液に、CuSO・5HO(595mg,2.39mmol)を加えた。混合物を200℃(圧力:3MPa)で24時間加熱した。冷却後、混合物をCHCl(150mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、減圧蒸発させ、残渣を得、これをカラム(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製し、2−tert−ブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−アミン(1.2g,27%)を得た。
【0220】
【化43】

5.B−1:2−tert−ブチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミンの製造
【0221】
【化44】

ステップa:3−ブロモ−5−ニトロピリジン−2−アミン
5−ニトロ−ピリジン−2−イルアミン(30g,0.22mol)の酢酸(200mL)溶液に、10℃で、Br(38g,0.24mol)を滴下した。添加後、混合物を20℃で30分攪拌した。該固体をろ過し、次いで酢酸エチル(200mL)に溶解した。混合物を飽和NaHCO水溶液でpH8〜9の塩基性とした。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、真空濃縮し、3−ブロモ−5−ニトロピリジン−2−アミン(14.8g,32%)を得た。
【0222】
【化45】

ステップb:3−(3,3−ジメチルブチ−1−ニル)−5−ニトロピリジン−2−アミン
3−ブロモ−5−ニトロピリジン−2−アミン(1.0g,4.6mmol)のトルエン/水(5mL/2.5mL)溶液に、EtN(1.2mL,9.2mmol)、Pd(PPhCl(0.3g,0.46mmol)、CuI(35mg,0.18mmol)および3,3−ジメチルブチ−1−ン(0.75g,9.2mmol)を、N保護下、順番に加えた。混合物を70℃で2.5時間加熱した。固体をろ過し、有機層を分離した。水層を酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、真空濃縮し、3−(3,3−ジメチルブチ−1−ニル)−5−ニトロピリジン−2−アミン(0.9g,90%)を得た。
【0223】
【化46】

ステップc:2−tert−ブチル−5−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
3−(3,3−ジメチルブチ−1−ニル)−5−ニトロピリジン−2−アミン(0.4g,1.8mmol)およびTBAF(1.9g,7.3mmol)のTHF(10mL)溶液を、還流温度で一晩加熱した。反応混合物を真空で濃縮して乾固し、残渣を酢酸エチル(20mL)に溶解した。有機層を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、真空濃縮し、2−tert−ブチル−5−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(0.25g,63%)を得た。
【0224】
【化47】

ステップd:2−tert−ブチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン
2−tert−ブチル−5−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(2.3g,0.01mol)のMeOH(50mL)溶液に、ラネーNi(0.23g,10%)を、N保護下に加えた。混合物を、水素雰囲気(1気圧)下、30℃で1時間攪拌した。触媒をろ取し、ろ液を真空で濃縮して乾固した。残渣を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル1:2)で精製し、2−tert−ブチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミン(1.4g,70%)を得た。
【0225】
【化48】

6.B−5:2−エチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミンの製造
【0226】
【化49】

ステップa:(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
CHCl(200mL)中の6−クロロ−ピリジン−3−アミン(30.0g,230mmol)、DMAP(1.0g)およびEtN(41.7g,470mmol)の混合物に、BocO(54.5g,250mmol)を0℃で加えた。反応混合物を室温に暖め、一晩攪拌した。得られた混合物を、飽和NaHCO溶液、およびブライン(100mL)で洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥し、真空蒸発した。残渣を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル10/1)で精製し、tert−ブチル6−クロロピリジン−3−イル−カルバメート(40.0g,76%)を得た。
【0227】
【化50】

【0228】
【化51】

ステップb:(6−クロロ−4−ヨード−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
TMEDA(25.4g,219.3mmol)の乾燥THF(300mL)溶液に、n−BuLi(87.7mL,219.3mmol)を−78℃で滴下し、混合物をこの温度で0.5時間攪拌した。(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(20g,87.7mmol)のTHF(170mL)溶液を、当該反応混合物に−78℃で滴下し、得られた混合物を、−78℃で1時間攪拌し続けた。次いで、I(26.7g,105.3mmol)の乾燥THF(170mL)溶液を、−78℃で滴下した。1時間後、反応を、飽和NHCl水溶液(300mL)でクエンチした。有機層を分離し、水相を酢酸エチル(150mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、減圧濃縮した。残渣を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル,10/1)で精製し、(6−クロロ−4−ヨード−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(7g,22.7%)を得た。
【0229】
【化52】

ステップc:tert−ブチル4−(ブチ−1−ニル)−6−クロロピリジン−3−イルカルバメート
(6−クロロ−4−ヨード−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(6.0g,16.9mmol)、1−ブチン(9g,169mmol)、CuI(160.1mg,0.84mmol)およびトリエチルアミン(3.4g,33.2mmol)のトルエン(40mL)および水(14mL)脱酸素溶液に、Pd(PPhCl(592mg,0.84mmol)を、オートクレーブ中、N下で加えた。混合物を70℃に加熱し、24時間攪拌した。固体をろ取し、酢酸エチル(60mL×3)で洗浄した。ろ液を減圧蒸発させ、残渣を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル,10/1)で精製し、tert−ブチル4−(ブチ−1−ニル)−6−クロロピリジン−3−イルカルバメート(3.5g,74%)を得た。
【0230】
【化53】

ステップd:2−エチル−5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン
THF(60mL)中のtert−ブチル4−(ブチ−1−ニル)−6−クロロピリジン−3−イルカルバメート(3.5g,12.5mmol)およびTBAF(6.65g,25mmol)の混合物を、還流温度で24時間加熱した。冷却後、混合物を氷水に注ぎ入れ、CHCl(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥し、減圧蒸発した。残渣を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル,10/1)で精製し、2−エチル−5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン(2.0g,89%)を得た。
【0231】
【化54】

ステップe:2−エチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−アミン
2−エチル−5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン(1.3g,7.19mmol)のEtOH(20mL)、CuSO・5HO(179mg,0.72mmol)およびNH−HO(60ml)懸濁液を、オートクレーブ(100mL)に加えた。反応系を、200℃および2MPaで10時間攪拌した。反応系を25℃に冷却し、水でクエンチし、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、無水NaSOで乾燥し、減圧蒸発した。残渣を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル,10/1)で精製し、2−エチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−アミン(190mg,16%)を得た。
【0232】
【化55】

7.B−6:2−(1−メチルシクロプロピル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−アミンの製造
【0233】
【化56】

ステップa:6−クロロ−4−((1−メチルシクロプロピル)エチニル)ピリジン−3−アミン
6−クロロ−4−ヨードピリジン−3−アミン(7.0g,28mmol)のEtN(100mL)溶液に、1−エチニル−1−メチル−シクロプロパン(11.0g,137mmol)、CuI(0.53g,2.8mmol)およびPd(PPhCl(1.9g,2.8mmol)を、N雰囲気下で加えた。混合物を一晩還流し、HO(100mL)でクエンチした。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出剤として石油エーテル中3%のEtOAc)によって精製し、6−クロロ−4−((1−メチルシクロプロピル)エチニル)ピリジン−3−アミン(3.0g,53%)を得た。
【0234】
【化57】

ステップb:5−クロロ−2−(1−メチルシクロプロピル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン
6−クロロ−4−((1−メチルシクロプロピル)エチニル)ピリジン−3−アミン(3.0g,15mmol)のDMF(50mL)溶液に、t−BuOK(3.3g,29mmol)をN雰囲気下加えた。混合物を、80℃で一晩加熱し、HO(100mL)でクエンチした。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、シリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル中3%EtOAc)で精製し、5−クロロ−2−(1−メチルシクロプロピル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン(2.2g,73%)を得た。
【0235】
【化58】

ステップc:2−(1−メチルシクロプロピル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−アミン
100mLのオートクレーブ中で、5−クロロ−2−(1−メチルシクロプロピル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン(1.0g,4.9mmol)およびCuSO5HO(100mg,0.4mmol)のアンモニア水(60mL)およびEtOH(20mL)溶液を200□に加熱し、この温度で8時間攪拌した。混合物を室温に放冷した。アルコールを真空除去した。得られた混合物を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、無水NaSOで乾燥し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出剤として、ジクロロメタン中2%のCHOH)で精製し、2−(1−メチルシクロプロピル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−アミン(250mg,27%)を得た。
【0236】
【化59】

8.B−7:2−シクロブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−アミンの製造
【0237】
【化60】

ステップa:エチニルシクロブタンの製造
n−BuLiを、6−クロロヘキ−1−シン(10.0g,86mmol)のTHF(100mL)溶液に、−78℃で滴下した。混合物を、−78℃で20分攪拌した後、40℃まで暖め、その温度で3日間攪拌した。反応をNHClの飽和水溶液でクエンチし、エーテル(3×50mL)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し、エーテルを蒸留により除去し、エチニルシクロブタンのTHF溶液を得、これをステップbで使用した。
【0238】
ステップb:tert−ブチル6−クロロ−4−(シクロブチルエチニル)ピリジン−3−イルカルバメート
tert−ブチル6−クロロ−4−ヨードピリジン−3−イルカルバメート(7.0g,19.8mmol)のEtN(100mL)溶液に、エチニルシクロブタンのTHF溶液(ステップaで製造)、Pd(PPhCl(1.8g,2.1mmol)およびCuI(400mg,2.1mmol)を加えた。反応混合物を、25℃で16時間攪拌した。混合物を水で希釈し、ジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し、真空濃縮し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出剤として、石油エーテル中の5〜10%の酢酸エチル)で精製し、tert−ブチル6−クロロ−4−(シクロブチルエチニル)ピリジン−3−イルカルバメート(3.6g,60%の収率)を得た。
【0239】
【化61】

ステップc:5−クロロ−2−シクロブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン
tert−ブチル6−クロロ−4−(シクロブチルエチニル)ピリジン−3−イルカルバメート(2.6g,8.5mmol)のDMF(50mL)溶液に、t−BuOK(1.9g,16mmol)を加えた。反応混合物を、90℃で2時間攪拌した。混合物を水で希釈し、ジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し、真空濃縮し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出剤として石油エーテル中5〜10%の酢酸エチル)で精製し、5−クロロ−2−シクロブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジンの純生成物(0.9g,53%の収率)を得た。
【0240】
【化62】

ステップd:2−シクロブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−アミン
5−クロロ−2−シクロブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン(200mg,0.97mmol)のEtOH(10mL)およびNH・HO(30mL)溶液に、CuSO・5HO(30mg,0.12mmol)を加えた。反応混合物を、3MPa下、180℃で16時間攪拌した。混合物を、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。抽出物を乾燥し、真空濃縮し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出剤として酢酸エチル中5〜10%のMeOH)で精製し、純粋な2−シクロブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−アミン(40mg,22%の収率)を得た。
【0241】
【化63】

【0242】
【化64】

9.B−8の製造
【0243】
【化65】

ステップa:tert−ブチル6−クロロピリジン−3−イル−カーバメート
CHCl(200mL)中の6−クロロ−ピリジン−3−アミン(30.0g,230mmol)、DMAP(1.0g)およびEtN(41.7g,470mmol)の混合物に、BocO(54.5g,250mmol)を、0℃で加えた。反応混合物を室温に暖め、一晩攪拌した。得られた混合物を、飽和NaHCO水溶液およびブライン(100mL)で洗浄し、有機層を無水NaSOで乾燥し、真空蒸発し、残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル,10/1)で精製し、tert−ブチル6−クロロピリジン−3−イル−カーバメート(40.0g,76%)を得た。
【0244】
【化66】

ステップb:tert−ブチル6−クロロ−4−ヨードピリジン−3−イルカーバメート
TMEDA(25.4g,219.3mmol)の乾燥THF(300mL)溶液に、n−BuLi(87.7mL,219.3mmol)を−78℃で滴下し、混合物を、この温度で0.5時間攪拌した。tert−ブチル6−クロロピリジン−3−イル−カーバメート(20g,87.7mmol)のTHF(170mL)溶液を、反応混合物に−78℃で滴下し、得られた混合物を−78℃で1時間攪拌し続けた。次いで、I(26.7g,105.3mmol)の乾燥THF(170mL)溶液を、−78℃で滴下した。1時間後、反応を飽和NHCl水溶液(300mL)でクエンチした。有機層を分離し、水相をEtOAc(150mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、無水NaSOで乾燥し、減圧濃縮し、残渣を得、これを、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル,10/1)で精製し、tert−ブチル6−クロロ−4−ヨードピリジン−3−イルカーバメート(10.0g,33%)を得た。
【0245】
【化67】

ステップc:6−クロロ−4−ヨードピリジン−3−アミン
tert−ブチル6−クロロ−4−ヨードピリジン−3−イルカーバメート(10.0g,28mmol)の3MのHCl(600mL)溶液を、60℃で12時間加熱した。混合物を室温に放冷し、飽和NaHCOで処理してpH=8とした。水層を、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出剤として石油エーテル中10%の酢酸エチル)で精製し、6−クロロ−4−ヨードピリジン−3−アミン(6.6g,93%)を得た。
【0246】
【化68】

ステップd:2−(6−クロロ−4−ヨードピリジン−3−イルアミノ)エタノール
6−クロロ−4−ヨードピリジン−3−アミン(6.5g,25.5mmol)のCHOH(1500mL)溶液に、2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)アセタルデヒド(18.0g,103mmol)を加えた。次いで、トリフルオロ酢酸(150mL)およびNaBHCN(8.0g,127mmol)を、0℃でゆっくり加えた。混合物を25℃に暖め、攪拌をさらに12時間続けた。混合物を減圧濃縮し、NaOH(3M)で処理してpH=8とした。水層を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥した。溶剤を真空濃縮し、粗生成物、2−(6−クロロ−4−ヨードピリジン−3−イルアミノ)エタノール(14.5g)を得、これを、さらに精製することなく、次のステップで使用した。
【0247】
ステップe:2−(6−クロロ−4−(3,3−ジメチルブチ−1−ニル)ピリジン−3−イルアミノ)エタノール
2−(6−クロロ−4−ヨードピリジン−3−イルアミノ)エタノール(14.5g,49mmol)のEtN(200mL)溶液に、3,3−ジメチルブチ−1−ン(12.0g,146mol)、CuI(0.9g,4.9mmol)およびPd(PPh)Cl(3.4g,4.9mmol)を、N雰囲気下で加えた。混合物を一晩還流し、HO(100mL)でクエンチした。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出剤として石油エーテル中3%の酢酸エチル)で精製し、2−(6−クロロ−4−(3,3−ジメチルブチ−1−ニル)ピリジン−3−イルアミノ)エタノール(3.6g,29%)を得た。
【0248】
【化69】

ステップf:2−(2−tert−ブチル−5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)エタノール
2−(6−クロロ−4−(3,3−ジメチルブチ−1−ニル)ピリジン−3−イルアミノ)エタノール(3.6g,14.3mmol)のDMF(100mL)溶液に、t−BuOK(3.1g,28mol)を、N雰囲気下で加えた。混合物を80℃で12時間加熱し、次いでHO(200mL)でクエンチした。有機層を分離し、水層をEtOAc(150mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出剤として、石油エーテル中、3%の酢酸エチル)で精製し、2−(2−tert−ブチル−5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)エタノール(1.6g,44%)を得た。
【0249】
【化70】

ステップg:2−(5−アミノ−2−tert−ブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)エタノール
100mLのオートクレーブ中、2−(2−tert−ブチル−5−クロロ−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)エタノール(350mg,1.39mmol)およびCuSO・5HO(35mg,1.4mmol)の混合物を、アンモニア水(14mL)およびCHOH(7ml)中で、120℃に14時間で加熱した。混合物を25℃に放冷した。メタノールを真空下、蒸発によって除去し、得られた混合物を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出剤として、ジクロロメタン中5%のCHOH)で精製し、2−(5−アミノ−2−tert−ブチル−lH−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)エタノール(50mg,16%)を得た。
【0250】
【化71】

10.1−(ベンゾ[d][l,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−tert−ブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドの製造
【0251】
【化72】

2−tert−ブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−アミン(325mg,0.158mmol)および1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸(300mg,1.58mmol)を、トリエチルアミン(659μL,0.470mmol)を含有するアセトニトリル(10mL)に溶解した。O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(608mg,1.60mmol)を混合物に加え、得られた溶液を16時間攪拌し、その間に大量の析出物が形成された。反応混合物をろ過し、フィルターケーキをアセトニトリルで洗浄し、次いで乾燥し、1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−tert−ブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド(397mg,67%)を得た。ESI−MSm/z計算値:377.2,測定値;378.5(M+l);保持時間:1.44分。
【0252】
【化73】

11.N−(2−tert−ブチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][l,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドの製造
【0253】
【化74】

HATU(38mg,0.10mmol)を、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][l,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸(24mg,0.10mmol)、2−(5−アミノ−2−tert−ブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−l−イル)エタノール(23mg,0.10mmol)およびトリエチルアミン(42μL,0.30mmol)のDMF(1mL)溶液に加えた。混合物を室温で1時間攪拌した。混合物をろ過し、逆相HPLC(0.035%TFAを含む10〜99%CHCN−HO)で精製し、N−(2−tert−ブチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを得た。ESI−MSm/z計算値:457.2,測定値:458.5(M+l)。保持時間:1.77分。
【0254】
【化75】

12.N−(2−tert−ブチル−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドの製造
【0255】
【化76】

HATU(31mg,0.083mmol)を、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][l,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸(18mg,0.075mmol)、2−tert−ブチル−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−アミン(16mg,0.083mmol)およびトリエチルアミン(21μL,0.15mmol)のDMF(1mL)溶液に加えた。反応系を60℃で18時間攪拌した。混合物をろ過し、逆相HPLC(0.035%TFAを含む10〜99%CHCN−HO)で精製し、N−(2−tert−ブチル−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][l,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを、TFA塩として得た。ESI−MSm/z計算値:413.2,測定値:414.1(M+l)。保持時間:2.86分。
【0256】
13.N−(2−tert−ブチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドの製造
【0257】
【化77】

HATU(31mg,0.083mmol)を、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][l,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸(18mg,0.075mmol)、2−tert−ブチル−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−アミン(16mg,0.083mmol)およびトリエチルアミン(21μL,0.15mmol)のDMF(1mL)溶液に加えた。反応系を、60℃で18時間攪拌した。混合物をろ過し、逆相HPLC(0.035%TFAを含む10〜99%CHCN−HO)で精製し、N−(2−tert−ブチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][l,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを、TFA塩として得た。ESI−MSm/z計算値:413.2,測定値:414.3(M+l)。保持時間:3.25分。
【0258】
14.追加の化合物の製造
表3の化合物は、実施例10〜13で概要を示したカップリング反応を使用し、酸AおよびアミンBから製造した。
【0259】
表3
【0260】
【表3−3】

【0261】
【表3−4】

先の実施例に従って製造した本発明の化合物の特性データを以下に示す。
【0262】
表4
【0263】
【表4】

化合物のΔF508−CFTR修正特性を検出し、測定するためのアッセイ
化合物のΔF508−CFTR調節特性をアッセイするための膜電位光学的方法
該アッセイは、NIH3T3細胞における機能的ΔF508−CFTR増加の読み出しとして、蛍光プレートリーダー(たとえば、FLIPR III,Molecular Devices社)を使用し、蛍光電圧検知染料を利用して、膜電位の変化を測定する。応答用の駆動力は、先に細胞を化合物で処理し、次いで電圧検知染料を含ませた後、単一液体追加ステップにより、チャネル活性化とともに塩素イオン勾配の作成である。
【0264】
修正化合物の同定
ΔF508−CFTRに関連する輸送欠陥を修正する小分子を同定するために、単一追加HTSアッセイフォーマットを作った。細胞を含有するアッセイプレートを、37℃、5%CO、湿度90%の組織培養インキュベーターで、約2〜4時間培養する。次いで、細胞をアッセイプレートの底に付着させ、いつでも化合物に曝露させる状態とする。
【0265】
細胞を、37℃、5%CO、湿度90%の組織培養インキュベーター中、試験化合物の存在下または不存在下(ネガティブコントロール)で、血清のない培地中、16〜24時間培養した。次いで、細胞をクレブス・リンゲル液で3回濯ぎ、電圧検知再分布染料を含ませた。ΔF508−CFTRを活性化するために、10μMのホルスコリンおよびCFTR増強剤、ゲニステイン(20μM)を、Clのない培地とともに、各ウェルに加えた。Clのない培地の添加によりΔF508−CFTR活性に応答して、Cl排出が促進され、得られた膜の脱分極を、電圧センサー染料を使用して、光学的にモニターした。
【0266】
増強剤化合物の同定
ΔF508−CFTRの増強剤を同定するために、二重付加HTSアッセイフォーマットを作った。このHTSアッセイは、蛍光電圧検知染料を利用して、温度修正されたΔF508CFTR NIH3T3細胞内のΔF508CFTRの開閉(コンダクタンス)の増加に関する測定値として、FLIPR III上の膜電位の変化を測定する。応答用の駆動力は、先に細胞を増強剤化合物(またはDMSOビヒクルコントロール)で処理し、次いで再分布染料を含ませた後、FLIPR IIIのような蛍光プレートリーダーを使用する単一液体追加ステップにおけるチャネル活性化を伴うClイオン勾配と、ホルスコリンである。
【0267】
溶液:
浴溶液#1:(単位:mM)NaCl 160、KCl 4.5、CaCl 2、MgCl 1、HEPES10、NaOHでpH7.4
塩素イオンのない浴溶液:浴溶液#1中のクロリド塩を、グルコン酸塩で置換する。
【0268】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、膜電位の光学的測定のために使用する。細胞を、175cmの培養フラスコ中、2mMのグルタミン、10%のウシ胎児血清、1×NEAA、β−ME、1×ペン/連鎖球菌(pen/strep)、および25mMのHEPESを加えたダルベッコー修飾イーグル培地、5%COおよび湿度90%、37℃で維持する。全ての光学的アッセイについて、細胞を、384−ウェルマトリゲル被覆プレートに約20,000個/ウェルで播種し、37℃で2時間培養し、その後、増強剤アッセイについては、27℃で24時間培養した。修正アッセイについては、細胞を27℃または37℃で、化合物とともにおよびなしで、16〜24時間培養する。
【0269】
化合物のΔF508−CFTR調節特性をアッセイするための電気生理学的アッセイ
1.ウッシングチャンバーアッセイ
ウッシングチャンバー試験を、ΔF508−CFTRを発現する、偏光された気管上皮細胞上で行い、さらに、光学的アッセイで同定されたΔF508−CFTRモジュレーターにさらに特徴づけを行った。非CFおよびCF気管上皮を気管支内組織から単離し、先に記載したように培養し(Galietta,L.J.V.,Lantero,S.,Gazzolo,A.,Sacco,O.,Romano,L.,Rossi,G.A.,&Zegarra−Moran,O.(1998)In Vitro Cell.Dev.Biol.34,478−481)、先にNIH3T3でコンディショニングした培地でプレコートした、Costar(登録商標)Snapwell(商標)フィルターに平板培養した。4日後、先端の培地(apical media)を除去し、使用する前に、細胞を空気液体界面で、>14日間成長させた。これにより、繊毛のある、完全に分化した円筒細胞の単分子層を得、これは、気管上皮に典型的な特徴である。いかなる公知の肺疾患も持たない非喫煙者から、非CF HBEを単離した。ΔF508−CFTRに関して同型接合患者から、CF−HBEを単離した。
【0270】
Costar(登録商標)Snapwell(商標)細胞培養挿入物上で成長したHBEを、ウッシングチャンバー(Physiologic Instruments社,San Diego,CA)に固定し、経上皮抵抗および短絡回路電流を、基底面からアピカルまでのCl勾配(basolateral to apical Clgradient)(ISC)の存在下、電圧−クランプシステム(Department of Bioengineering,University of Iowa,IA)を使用して測定した。簡単に言うと、HBEを、電圧−クランプ記録状態(Vhold=0mV)下、37℃で調べた。基底面溶液は、145のNaCl、0.83のKHPO、3.3のKHPO、1.2のMgCl、1.2のCaCl、10のグルコース、10のHEPES(pHはNaOHで7.35に調整)(単位:mM)を含有し、アピカル溶液は、145のNaグルコナート、1.2のMgCl、1.2のCaCl、10のグルコース、10のHEPES(pHはNaOHで7.35に調整)(単位:mM)を含有していた。
【0271】
修正化合物の同定
典型的なプロトコルは、頂端膜Cl濃度勾配に対する基底面を利用した。この勾配を設定するため、正常な信号機を側底膜上で使用し、一方、アピカルNaClを等モルのグルコン酸ナトリウム(NaOHでpH7.4に滴定)で置き換え、上皮を横切る大きなCl濃度勾配を得た。全ての実験は、無処理の単分子層で行った。ΔF508−CFTRを完全に活性化するために、ホルスコリン(10μM)、PDE阻害剤、IBMX(100μM)およびCFTR増強剤、ゲニステイン(50μM)を、アピカル側に加えた。
【0272】
他の細胞のタイプで観察されるように、ΔF508−CFTRを発現する疾患CF患者(CF−HBE)から単離した、FRT細胞およびヒト気管支上皮細胞の低温培養により、細胞質膜中のCFTRの機能的密度は増加する。修正化合物の活性を測定するため、細胞を、試験化合物とともに、37℃で24〜48時間培養し、次いで、記録する前に、3回洗浄した。化合物で処理した細胞中のcAMP−およびゲニステイン−介在Iscを、37℃コントロールに、ノーマライズし、wt−HBEにおけるCFTR活性のパーセント活性として表わした。修正化合物による細胞の予備培養により、cAMP−およびゲニステイン−介在Iscは、37℃コントロールに比較して、大きく増加していた。
【0273】
増強剤化合物の同定
典型的なプロトコルは、頂端膜Cl濃度勾配に対する基底面を利用した。この勾配を設定するため、正常な信号機を側底膜上で使用し、一方、アピカルNaClを等モルのグルコン酸ナトリウム(NaOHでpH7.4に滴定)で置き換え、上皮を横切る大きなCl濃度勾配を得た。ホルスコリン(10μM)および全ての試験化合物を、細胞培養挿入物のアピカル側に加えた。推定上のΔF508−CFTR増強剤の効力を、公知の増強剤、ゲニステインと比較した。
【0274】
2.パッチ−クランプ記録
ΔF508−NIH3T3細胞中の総Cl電流を、先に記載した、有孔パッチ記録形状(Rae,J.,Cooper,K.,Gates,P.,& Watsky,M.(1991)J.Neurosci.Methods37,15−26)を使用してモニターした。電圧−クランプ記録を、Axopatch200Bパッチ−クランプ増幅器(Axon Instruments社,Foster City,CA)を使用して22℃で行った。ピペット溶液は、150のN−メチル−D−グルカミン(NMDG)−Cl、2のMgCl、2のCaCl、10のEGTA、10のHEPESおよび240μg/mlのアンホテリシン−B(pHをHClで7.35に調整)(単位:mM)を含有していた。細胞外培地は、150のNMDG−Cl、2のMgCl、2のCaCl、10のHEPES(pHをHClで7.35に調整)(単位:mM)を含有していた。パルス発生、データ取得および分析は、Clampex8(Axon Instruments社)とともに、Digidata1320A/Dインターフェースを備えるPCを使用して行った。ΔF508−CFTRを活性化するため、10μMのホルスコリンおよび20μMのゲニステインを、浴に加え、電流−電圧関係を30秒ごとにモニターした。
【0275】
修正化合物の同定
細胞質膜内で機能的ΔF508−CFTRの密度を増やす修正化合物の活性を測定するために、修正化合物で24時間処理した後、先に記載した有孔パッチ記録方法を使用して、電流密度を測定した。ΔF508−CFTRを完全に活性化するための、10μMのホルスコリンおよび20μMのゲニステインを細胞に加えた。我々の記録条件下で、27℃での24時間培養後の電流密度は、37℃で24時間培養後に観察された電流密度より高かった。これらの結果は、細胞質膜内のΔF508−CFTRの密度における低温培養の公知の効果と一致している。CFTR電流密度における修正化合物の効果を測定するため、細胞を、37℃で24時間10μMの試験化合物とともに培養し、電流密度を、27℃および37℃コントロールと比較した(%活性)。記録する前に、細胞を、細胞外記録培地で3回洗浄し、残っているいかなる試験化合物も除去した。10μMの修正化合物を用いた予備培養により、37℃コントロールと比較して、cAMPおよびゲニステイン依存性電流は、大きく増加した。
【0276】
増強剤化合物の同定
ΔF508−CFTRを安定的に発現する、NIH3T3細胞中のマクロΔF508−CFTR Cl電流(IΔF508)を増やすΔF508−CFTR増強剤の能力も、有孔パッチ記録方法を使用して調べた。光学的アッセイから同定される増強剤は、IΔF508における用量依存性増加、および光学的アッセイにおいて観察される類似の潜在能および効力を誘起した。調べた全ての細胞において、増強剤適用の前および間の逆転電位は、−30mVの付近であり、これは、計算ECl(−28mV)である。
【0277】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定的に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、全細胞記録をするために使用する。細胞を、175cmの培養フラスコ中、2mMのグルタミン、10%のウシ胎児血清、1×NEAA、β−ME、1×ペン/連鎖球菌、および25mMのHEPESを加えたダルベッコー修飾イーグル培地、5%COおよび湿度90%、37℃で維持する。全細胞記録のために、2,500〜5,000個の細胞を、ポリ−L−リシン被覆カバーガラスに播種し、27℃で24〜48時間培養し、その後増強剤の活性を試験するために使用する。修正剤の活性を測定するために、修正化合物とともにまたはなしで、37℃でインキュベートする。
【0278】
3.単一チャネル記録
NIH3T3細胞で発現される、wt−CFTRと温度修正ΔF508−CFTRとの開閉活性を、Axopatch200Bパッチ−クランプ増幅器(Axon Instruments社)を使用する、先に記載した切除したインサイドアウトの膜パッチ記録(Dalemans,W.,Barbry,P.,Champigny,G.,Jallat,S.,Dott,K.,Dreyer,D.,Crystal,R.G.,Pavirani,A.,Lecocq,J−P.,Lazdunski,M.(1991)Nature354,526−528)を使用して観察した。ピペットは、150のNMDG、150のアスパラギン酸、5のCaCl、2のMgClおよび10のHEPES(単位:mM)(pHをトリス塩基で7.35に調整)を含有していた。浴は、150のNMDG−Cl、2のMgCl、5のEGTA、10のTESおよび14のトリス塩基(単位:mM)(pHをHClで7.35に調整)を含有していた。切除後、wt−およびΔF508−CFTRの両方を、1mMのMg−ATP、75nMのcAMP−依存性タンパク質キナーゼの触媒サブユニット(PKA;Promega社Madison,WI)および10mMのNaFを加え、電流ランダウンを阻止するタンパク質ホスファターゼを抑制することによって活性化した。ピペット電流は、80mVに維持した。チャネル活性を、≦2個の活性チャネルを含有する膜パッチから分析した。同時開口の最大数を、実験中の活性チャネルの数とした。単一チャネル電流振幅を測定するために、120秒からΔF508−CFTR活性を記録したデータを、「オフライン」下、100Hzでフィルターにかけた。次いで、Bio−Patch分析ソフトウェア(Bio−Logic社France)を使用する複数のガウス機能を持つ、全点振幅ヒストグラムを構築するために、使用した。総微視的電流および開確率(P)を、120秒のチャネル活性から測定した。Pは、Bio−Patchソフトウェアを使用して、または関係式:P=I/i(N)(式中、I=平均電流、i=単一チャネル電流振幅、およびN=パッチ中の活性チャネルの数)から求めた。
【0279】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定的に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、切除した膜パッチ−クランプ記録するために使用する。細胞を、175cmの培養フラスコ中、2mMのグルタミン、10%のウシ胎児血清、1×NEAA、β−ME、1×ペン/連鎖球菌、および25mMのHEPESを加えたダルベッコー修飾イーグル培地、5%COおよび湿度90%、37℃で維持する。単一チャンネル記録のために、2,500〜5,000個の細胞を、ポリ−L−リシン被覆カバーガラスに播種し、27℃で24〜48時間培養し、その後使用した。
【0280】
表1の化合物は、先に記載したアッセイにおいて測定されたように、修正活性を発揮することがわかった。
【0281】
本発明の化合物は、ATP結合カセット輸送体のモジュレーターとして有用である。先に記載した手順を使用することで、本発明の化合物の活性、すなわちEC50を測定し、表5に示す。
【0282】
表5
【0283】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化78】

で表わされる化合物、またはその医薬的に許容しうる塩
(式中、
Arは、
【化79】

(式中、G、G、GおよびGは、それぞれ独立して、CHおよび窒素からなる群から選択され、ここで、G、G、GおよびGの1つは窒素であり、G、G、GおよびGの残りは、それぞれ、CHである)であり;
Arは、GまたはGを介してN(R)に結合し;
Arは、任意に、w個の−WRで置換され;および
は、H、RまたはRであり;
環Aは、酸素、イオウおよび窒素からなる群から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜7員単環であり、ここで、環Aは、任意に、q個の−Q−Rで置換され;
環Bは、任意に、脂環、アリール、複素環およびヘテロアリールからなる群から選択される5〜7員環に縮合し、ここで、環Bは、該任意の縮合環と共に、任意に、x個の−XRで置換され;
Q、WまたはXは、独立して、結合、または独立して、任意に置換された(C1−C6)アルキリデン鎖であって、ここで、Q、WまたはXの2個までのメチレン単位は、任意におよび独立して、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−または−NR’SONR’−で置換され;
、RおよびRは、それぞれ独立して、R、R、R、RまたはRであり;
R’は、独立して、R、RまたはRであり;
は、オキソ、=NN(R、=NN(R、=NN(R)、Rまたは((Cl−C4)脂肪族)−Yであり;
ここで、nは0または1であり;および
Yは、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORであり;あるいは
隣り合う原子上の2個のRは、一緒に
【化80】

(式中、Jは、CH、CF、C(CH、C(O)、
【化81】

、C(フェニル)、B(OH)およびCH(OEt)からなる群から選択される)を形成し;
は、脂肪族であり、ここで、各Rは、任意に、R、RおよびRからなる群から独立して選択される2個までの置換基によって置換され;
は、脂環、アリール、複素環またはヘテロアリール環であって、Rは、任意に、R、R、RおよびRからなる群から独立して選択される3個までの置換基で置換され;
は、
【化82】

であり;
は、脂環、アリール、複素環またはヘテロアリール環であり、ここで、Rは、任意に、3個までのRで置換され;
は、Hまたは脂肪族基であって、Rは、任意に、Rで置換され;
は、脂環、アリール、複素環またはヘテロアリール環であり、各Rは、任意に、H、(C1−C6)−直鎖または分岐状アルキル、(C2−C6)直鎖または分岐状アルケニルまたはアルキニル、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシおよび(CH−Zからなる群から独立して選択される2個までの置換基で置換され;
Zは、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、S−脂肪族、S(O)−脂肪族、SO−脂肪族、NH、NH−脂肪族、N(脂肪族)、N(脂肪族)R、NHR、COOH、C(O)O(−脂肪族)およびO−脂肪族からなる群から選択され;
は、アミノ保護基であり;
wは、0〜5であり;および
xおよびqは、それぞれ独立して、0〜5である)。
【請求項2】
Arは、
【化83】

からなる群から選択される、任意に置換された環である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
wは、0〜3である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Wは、結合である請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Wは、任意に置換された(C1−C6)アルキリデン鎖であって、ここで、Wの2個までのメチレン単位は、任意におよび独立して、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−または−NR’SONR’−によって置換されている請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Wは、任意に、置換された(C1−C6)アルキリデン鎖であって、ここで、Wの2個までの隣り合わないメチレン単位は、任意に、−CONR’−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−NR’−または−SONR’−によって置き換えら得られている請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
は、独立して、RまたはRである請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される4個までの置換基で置換されたC1−C6脂肪族基である請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される5個までの置換基で置換されたC6−C10アリールである請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される4個までの置換基で置換された3〜10員単環式または二環式の複素環式環である請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される5個までの置換基で置換された5〜10員単環式または二環式ヘテロアリール環である請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
−WRは、任意に置換された、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルからなる群から選択される基である請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
xは、1〜5である請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
Xは、独立して、結合である請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
Xは、(C1−C6)アルキリデン鎖であって、ここで、1個または2個の隣り合わないメチレン単位は、任意におよび独立して、O、NR’、S、SO、COOまたはCOによって置換されている請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
は、R、RまたはRであり、または2個のRは、2個の隣り合うRが一緒になって、
【化84】

(式中、Jは、−CH−または−CF−である)を形成する請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
は、水素またはC1−C6脂肪族である請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
環Aは、任意に、置換された3〜7員脂環である請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
環Aは、O、NHおよびSからなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する、任意に置換された3〜7員環である請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
環Aが、
【化85】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物が、式II:
【化86】

(式中、
、X、x、R、G、G、GおよびGは、先に定義した通りであり;
mは、0〜4であり;
Arは、
【化87】

であり、ここで、Arは、GまたはGを介してN(R)に結合し;および
Arは、任意に、3個までのR置換基で置換され、ここで、各Rは、独立して、R、R、RおよびRからなる群から選択される)で表わされる請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
Arは、原子Gを介して結合する請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
Arは、原子Gを介して結合する請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
前記化合物は、式IIIAまたは式IIIB:
【化88】

(式中、R、X、x、m、R、G、G、GおよびGは、先に定義した通りであり;
各Rは、独立して、R、R、RおよびRからなる群から選択される)で表される請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
式IIIA中のGは、Cである請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
式IIIB中のGは、Cである請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
は、Rまたは((C1−C4)脂肪族)−Yであり;nは0または1であり;およびYは、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORである請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される4個までの置換基で置換されたC1−C6脂肪族基である請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される5個までの置換基で置換されたC6−C10アリールである請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される4個までの置換基で置換された3〜10員単環式または二環式複素環である請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から独立して選択される5個までの置換基で置換された5〜10員単環式または二環式ヘテロアリール環である請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
環Bは、O、NおよびSからなる群から独立して選択される3個までのヘテロ原子を有する5〜7員複素環またはヘテロアリール環に縮合する請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
環Bは、O、NおよびSからなる群から独立して選択される3個までのヘテロ原子を有する5〜6員複素環式環に縮合する請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
環Bは、O、NおよびSからなる群から独立して選択される3個までのヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロアリール環に縮合する請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
環Bは、前記縮合環と共に、任意に、2個までのR置換基で置換されている請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
前記R置換基は、Rである請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
環Bに縮合する前記環は、
【化89】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
前記化合物は、式IVA、式IVBまたは式IVC:
【化90】

【化91】

で表わされる請求項1に記載の化合物。
【請求項39】
2位の炭素に結合するRが、RまたはRである請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
2位の炭素に結合するRが、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される4個までの置換基で置換されたC1−C6脂肪族基である請求項38に記載の化合物。
【請求項41】
2位の炭素に結合するRは、任意に、置換されたC1−C6アルキルである請求項38に記載の化合物。
【請求項42】
2位の炭素に結合するRは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、1−メチルシクロプロピルまたはtert−ブチルである請求項38に記載の化合物。
【請求項43】
2位の炭素に結合するRは、tert−ブチルである請求項38に記載の化合物。
【請求項44】
3位の炭素に結合するRは、Hである請求項38に記載の化合物。
【請求項45】
前記化合物が、式VA、式VBまたは式VC:
【化92】

で表わされる請求項1に記載の化合物。
【請求項46】
Wは、任意に置換されたC1−C6アルキリデンである請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
Wは、ヒドロキシ、アルコキシまたはアミノ基で置換されたC1−C6アルキリデンである請求項45に記載の化合物。
【請求項48】
Wは、ヒドロキシ基で置換されたC1−C6アルキリデンである請求項45に記載の化合物。
【請求項49】
はRである請求項45に記載の化合物。
【請求項50】
はORである請求項45に記載の化合物。
【請求項51】
はOHである請求項45に記載の化合物。
【請求項52】
Wは、任意に置換されたC1−C6アルキリデンであり、RはORである請求項45に記載の化合物。
【請求項53】
Wは、ヒドロキシル、アルコキシまたはアミノ基で置換されたC1−C6アルキリデンであり、RはOHである請求項45に記載の化合物。
【請求項54】
−WRは、−COHまたは−CHCH(OH)CHOHである請求項45に記載の化合物。
【請求項55】
上記表1から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項56】
(i)請求項1に記載の化合物と、
(ii)医薬的に許容しうる担体と、
を含む医薬組成物。
【請求項57】
さらに、粘液溶解剤、気管支拡張薬、抗生物質、抗感染薬、抗炎症薬、CFTR修正剤および栄養剤からなる群から選択される追加の薬剤を含む請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
細胞の膜中のABC輸送体を調節する方法であって、該細胞を、請求項1に記載の化合物と接触させるステップを含む方法。
【請求項59】
前記ABC輸送体は、CFTRである請求項58の方法。
【請求項60】
生体試料中のABC輸送体またはその断片の活性の、インビトロでまたはインビボでの測定において使用するためのキットであって、
(i)請求項1に記載の化合物を含む第一組成物と、
(ii)a)該組成物を該生体試料と接触させ、
b)該ABC輸送体またはその断片の活性を測定するための使用説明書と、
を含むキット。
【請求項61】
さらに、
a)追加の組成物を前記生体試料と接触させ、
b)該追加の化合物の存在下で、前記ABC輸送体またはその断片の活性を測定し、
c)該追加の化合物の存在下でのABC輸送体の活性を、前記第一組成物の存在下でのABC輸送体の密度と比較するための使用説明書を含む請求項60に記載のキット。
【請求項62】
CFTRの密度を測定するために使用される請求項60に記載のキット。
【請求項63】
ABC輸送体活性が関与している患者の状態、疾患または障害を治療する方法であって、式I:
【化93】

で表わされる化合物を該患者に投与するステップを含む方法
(式中、
Arは、
【化94】

(式中、G、G、GおよびGは、それぞれ独立して、CHおよび窒素からなる群から選択され、ここで、G、G、GおよびGの1つは窒素であり、G、G、GおよびGの残りは、それぞれ、CHである)であり;
Arは、GまたはGを介してN(R)に結合し;
Arは、任意に、w個の−WRで置換され;および
は、H、RまたはRであり;
環Aは、酸素、イオウおよび窒素からなる群から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜7員単環であり、ここで、環Aは、任意に、q個の−Q−Rで置換され;
環Bは、任意に、脂環、アリール、複素環およびヘテロアリールからなる群から選択される5〜7員環に縮合し、ここで、環Bは、該任意の縮合環と共に、任意に、x個の−XRで置換され;
Q、WまたはXは、独立して、結合、または独立して、任意に置換された(C1−C6)アルキリデン鎖であって、ここで、Q、WまたはXの2個までのメチレン単位は、任意におよび独立して、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−または−NR’SONR’−で置換され;
、RおよびRは、それぞれ独立して、R、R、R、RまはたRであり;
R’は、独立して、R、RまたはRであり;
は、オキソ、=NN(R、=NN(R、=NN(R)、Rまたは((C1−C4)脂肪族)−Yであり;
ここで、nは0または1であり;および
Yは、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORであり;あるいは
隣り合う原子上の2個のRは、一緒に
【化95】

(式中、Jは、CH、CF、C(CH、C(O)、
【化96】

、C(フェニル)、B(OH)およびCH(OEt)からなる群から選択される)を形成し;
は、脂肪族基であり、ここで、各Rは、任意に、R、RおよびRからなる群から独立して選択される2個までの置換基によって置換され;
は、脂環、アリール、複素環またはヘテロアリール環であって、Rは、任意に、R、R、RおよびRからなる群から独立して選択される3個までの置換基で置換され;
は、
【化97】

であり;
は、脂環、アリール、複素環またはヘテロアリール環であり、ここで、Rは、任意に、3個までのRで置換され;
は、Hまたは脂肪族基であって、Rは、任意に、Rで置換され;
は、脂環、アリール、複素環またはヘテロアリール環であり、各Rは、任意に、H、(C1−C6)−直鎖または分岐状アルキル、(C2−C6)直鎖または分岐状アルケニルまたはアルキニル、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシおよび(CH−Zからなる群から独立して選択される2個までの置換基で置換され;
Zは、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、S−脂肪族、S(O)−脂肪族、SO−脂肪族、NH、NH−脂肪族、N(脂肪族)、N(脂肪族)R、NHR、COOH、C(O)O(−脂肪族)およびO−脂肪族からなる群から選択され;
は、アミノ保護基であり;
wは、0〜5であり;および
xおよびqは、それぞれ独立して、0〜5である)。
【請求項64】
Arは、
【化98】

からなる群から選択される、任意に置換された環である請求項63に記載の方法。
【請求項65】
wは、0〜3である請求項63に記載の方法。
【請求項66】
Wは、結合である請求項63に記載の方法。
【請求項67】
Wは、任意に置換された(C1−C6)アルキリデン鎖であって、Wの2個までのメチレン単位は、任意におよび独立して、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−または−NR’SONR’−によって置換されている請求項63に記載の方法。
【請求項68】
Wは、任意に置換された(Cl−C6)アルキリデン鎖であって、Wの2個までの隣り合わないメチレン単位は、任意に、−CONR’−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−NR’−または−SONR’−によって置換されている請求項63に記載の方法。
【請求項69】
は、独立して、RまたはRである請求項63に記載の方法。
【請求項70】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される4個までの置換基で置換されたC1−C6脂肪族基である請求項63に記載の方法。
【請求項71】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される5個までの置換基で置換されたC6−C10アリールである請求項63に記載の方法。
【請求項72】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される4個までの置換基で置換された3〜10員単環式または二環式の複素環式環である請求項63に記載の方法。
【請求項73】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される5個までの置換基で置換された5〜10員単環式または二環式のヘテロアリール環である請求項63に記載の方法。
【請求項74】
−WRは、任意に置換された、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルからなる群から選択される基である請求項63に記載の方法。
【請求項75】
xは、1〜5である請求項63に記載の方法。
【請求項76】
Xは、独立して、結合である請求項63に記載の方法。
【請求項77】
Xは、(C1−C6)アルキリデン鎖であって、1個または2個の隣り合わないメチレン単位は、任意におよび独立して、O、NR’、S、SO、COOまたはCOによって置換されている請求項63に記載の方法。
【請求項78】
は、R、RまたはRであり、または2個のRは、2個の隣り合うRが一緒になって、
【化99】

(式中、Jは、−CH−または−CF−である)を形成する請求項63に記載の方法。
【請求項79】
は、水素またはC1−C6脂肪族である請求項63に記載の方法。
【請求項80】
環Aは、任意に置換された3〜7員脂環である請求項63に記載の方法。
【請求項81】
環Aは、任意に置換された、O、NHおよびSからなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する3〜7員環である請求項63に記載の方法。
【請求項82】
環Aは、
【化100】

【化101】

からなる群から選択される請求項63に記載の方法。
【請求項83】
前記化合物は、式II:
【化102】

(式中、R、X、x、R、G、G、GおよびGは、先に定義した通りであり;
mは、0〜4であり;
Arは:
【化103】

であり、ここで、Arは、GまたはGを介してN(R)に結合し;
Arは、任意に、3個までのR置換基で置換され、各Rは、独立して、R、R、R、RおよびRからなる群から選択される)で表わされる請求項63に記載の方法。
【請求項84】
Arは、原子Gを介して結合している請求項63に記載の方法。
【請求項85】
Arは、原子Gを介して結合している請求項63に記載の方法。
【請求項86】
前記化合物は、式IIIAまたは式IIIB:
【化104】

で表わされる請求項63に記載の方法。
【請求項87】
IIIA中のGは、炭素である請求項86に記載の方法。
【請求項88】
IIIB中のGは、炭素である請求項86に記載の方法。
【請求項89】
は、Rまたは((C1−C4)脂肪族)−Yであり;nは、0または1であり;およびYは、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORである請求項63に記載の方法。
【請求項90】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される4個までの置換基で置換されたC1−C6脂肪族基である請求項63に記載の方法。
【請求項91】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される5個までの置換基で置換されたC6−C10アリールである請求項63に記載の方法。
【請求項92】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される4個までの置換基で置換された3〜10員単環式または二環式の複素環式環である請求項63に記載の方法。
【請求項93】
は、任意に、R、RおよびRからなる群から独立して選択される5個までの置換基で置換された5〜10員単環式または二環式のヘテロアリール環である請求項63に記載の方法。
【請求項94】
環Bは、O、NおよびSからなる群から独立して選択される3個までのヘテロ原子を有する5〜7員複素環またはヘテロアリール環に縮合している請求項63に記載の方法。
【請求項95】
環Bは、O、NおよびSからなる群から独立して選択される3個までのヘテロ原子を有する5〜6員複素環に縮合している請求項63に記載の方法。
【請求項96】
環Bは、O、NおよびSからなる群から独立して選択される3個までのヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロアリール環に縮合している請求項63に記載の方法。
【請求項97】
前記環Bは前記縮合環と共に、任意に、2個までのR置換基で置換されている請求項63に記載の方法。
【請求項98】
前記R置換基はRである請求項63に記載の方法。
【請求項99】
環Bに縮合する前記環は、
【化105】

【化106】

からなる群から選択される請求項63に記載の方法。
【請求項100】
前記化合物は、式IVA、式IVBまたは式IVC:
【化107】

で表わされる請求項63に記載の方法。
【請求項101】
2位の炭素に結合するRは、RまたはRである請求項100に記載の方法。
【請求項102】
2位の炭素に結合するRは、任意に、R、RおよびRからなる群から選択される4個までの置換基で置換されたC1−C6脂肪族基である請求項100に記載の方法。
【請求項103】
2位の炭素に結合するRは、任意に置換されたC1−C6アルキルである請求項100に記載の方法。
【請求項104】
2位の炭素に結合するRは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、1−メチルシクロプロピルまたはtert−ブチルである請求項100に記載の方法。
【請求項105】
2位の炭素に結合するRは、tert−ブチルである請求項100に記載の方法。
【請求項106】
3位の炭素に結合するRは、Hである請求項100に記載の方法。
【請求項107】
前記化合物は、式VA、式VBまたは式VC:
【化108】

で表わされる請求項63に記載の方法。
【請求項108】
Wは、任意に置換されたC1−C6アルキリデンである請求項107に記載の方法。
【請求項109】
Wは、ヒドロキシ、アルコキシまたはアミノ基で置換されたC1−C6アルキリデンである請求項107に記載の方法。
【請求項110】
Wは、ヒドロキシル基で置換されたC1−C6アルキリデンである請求項107に記載の化合物。
【請求項111】
はRである請求項107に記載の方法。
【請求項112】
はORである請求項107に記載の方法。
【請求項113】
はOHである請求項107に記載の方法。
【請求項114】
Wは、任意に置換されたC1−C6アルキリデンであり、RはORである請求項107に記載の方法。
【請求項115】
Wは、ヒドロキシル、アルコキシまたはアミノ基で置換されたC1−C6アルキリデンであり、RはOHである請求項107に記載の方法。
【請求項116】
−WRは、−COHまたは−CHCH(OH)CHOHである請求項104に記載の方法。
【請求項117】
上記表1から選択される請求項63に記載の方法。
【請求項118】
前記ABC輸送体はCFTRである請求項63に記載の方法。
【請求項119】
上記表1から選択される請求項63に記載の方法。
【請求項120】
状態、疾患または障害は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、プロテインC欠乏症のような凝固−線溶欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症のような脂質処理欠損症、1型カイロミクロン血症、無βリポ蛋白血症、I−細胞病/偽ハーラー症候群のようなリソソーム蓄積症、ムコ多糖体代謝異常、サンドオフ/テイ・サックス、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、メラノーマ、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経身体的尿崩症、腎性尿崩症、シャルコー−マリー・ツース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病のような神経変性疾患、ハンチントン、脊髄小脳失調症I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体および筋緊張性ジストロフィーのような数種の数種のポリグルタミン神経性障害、および遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病のような海綿状脳症、ファブリ病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患およびシェーグレン病から選択される請求項63に記載の方法。

【公表番号】特表2010−540408(P2010−540408A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535483(P2009−535483)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/083464
【国際公開番号】WO2008/127399
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】