説明

COD分析装置及びCOD分析方法

【課題】排水中に酸化性物質が存在する場合においても、該酸化性物質の影響を受けることなく、正確なCOD分析を行うことができるCOD分析装置及びCOD分析方法を提供する。
【解決手段】COD分析装置10Aは、酸化性物質13を含む排水11と当量又は過剰の亜硫酸イオンを含む溶液14により前記排水11中の酸化性物質13の分解を行う酸化性物質分解部15と、前記酸化性物質分解部15において前記酸化性物質13を分解した後の前記排水11中のCODを分析するCOD分析部12とを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化性物質を含む排水、水道水、河川水、湖沼水のCOD分析装置及びCOD分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場排水、工場用水を対象とした分析方法は、日本工業規格(JIS K 0102 17)に記載された公定法により行われている。また、この公定法を実施するため、過マンガン酸カリウム(KMnO4)又は重クロム酸カリウム(K2Cr27)を用いて酸素消費量(COD)の分析を行うCOD分析装置も市販されている。
【0003】
図11は、JISに基づく公定法(JIS K 0102 17)によりCODの分析を行うCOD分析装置の構成を示す構成図である。図11に示すように、従来のCOD分析装置100は、工場排水、工場用水等の排水11中のCODの値を分析するCOD分析部101を有しており、分析試料である排水11を直接COD分析部101に送給し、ここで排水11の分析を行っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記工場排水、工場用水等の分析対象試料中には、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、過酸化水素(H22)など酸化性物質13が共存している場合がある。これら酸化性物質13が工場排水、工場用水等の分析対象試料中に共存していると、前記JISに基づく公定法では、前記酸化性物質13の影響によりCODの値が著しく低下しCODの値が本来のCODの値より低値を検出してしまう、という問題がある。
【0005】
例えば、図12は次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の次亜塩素酸イオン濃度(mg−Cl/l)とCODの値(mg/l)との関係を示す図である。図12に示すように、次亜塩素酸イオン濃度(mg−Cl/l)が高くなるに従いCODの値(mg/l)が低くなっている。これは、試料中の残留塩素がCOD分析において消費された過マンガン酸カリウム(MnO2)を再度過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)に再生するためである。
【0006】
そして、低いCODの値を示していた排水11が河川、海域などの公共域に放流された場合には、排水11中の酸化性物質13の自然分解が急速に進行し、排水11中のCODの値が急激に上昇する、という問題がある。
【0007】
例えば、図13は、放出された排水とCODの値との関係を示した図である。図13に示すように、排水11の排出時のCODの値は低いが、河川、海域など公共域に流れていった排水11中の酸化性物質13が自然分解することにより、排水11中のCODの値が急激に上昇する。
【0008】
よって、排水11中のCODの分析を行う際に、排水中の酸化性物質が自然分解し排水中のCODの値が上昇することまで考慮する必要がある。
【0009】
しかしながら、従来のJIS法に基づいて排水中のCODの分析を行うCOD分析装置では、排出される時点での排水中のCODを分析するものであり、酸化性物質の自然分解について考慮されていないので、実際にはCODの値が基準値以上の排水が河川、海域など公共域に放流されていることになる。
【0010】
このように、CODの値が基準値以上の排水を河川、海域などの公共域に放流してしまうことは環境面においても重大な問題である。
【0011】
本発明は、前記問題に鑑み、排水中に酸化性物質が存在する場合においても、該酸化性物質の影響を受けることなく、正確なCOD分析を行うことができるCOD分析装置及びCOD分析方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、前記酸化性物質を含む排水と当量又は過剰の亜硫酸イオンを含む溶液により前記排水中の酸化性物質の分解を行う酸化性物質分解部と、前記酸化性物質分解部において前記酸化性物質を分解した後の前記排水中のCODを分析するCOD分析部とを有することを特徴とするCOD分析装置にある。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、前記COD分析装置が、過剰に含まれている亜硫酸イオンを分解する過剰亜硫酸イオン分解部を有することを特徴とするCOD分析装置にある。
【0014】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記亜硫酸イオンを含む溶液の添加量が、前記酸化性物質の濃度の1.1倍以上1.2倍以下であることを特徴とするCOD分析装置にある。
【0015】
第4の発明は、第1乃至第3の発明のいずれか一つにおいて、排水中の酸化性物質の濃度の分析を行う酸化性物質分析部を有することを特徴とするCOD分析装置にある。
【0016】
第5の発明は、第1乃至第4の発明のいずれか一つにおいて、前記酸化性物質が、次亜塩素酸ナトリウム又は過酸化水素であることを特徴とするCOD分析装置にある。
【0017】
第6の発明は、第1乃至第5の発明のいずれか一つにおいて、前記COD分析部で用いるCOD分析試薬が、過マンガン酸カリウム又は重クロム酸カリウムのいずれかを用いてなることを特徴とするCOD分析装置にある。
【0018】
第7の発明は、海水から回収したクラゲの破砕及び分解を行うクラゲ分解装置と、分解されたクラゲ分解液中のCOD成分を酸化処理するCOD分解装置と、前記COD分解装置からの排水中のCODを計測する請求項1乃至6のいずれか一つのCOD分析装置とからなることを特徴とするクラゲ処理システムにある。
【0019】
第8の発明は、排水中の酸化性物質を含む溶液と当量又は過剰の亜硫酸ナトリウム溶液を添加して前記酸化性物質を分解し、その後前記酸化性物質を分解した後の前記排水のCODの分析を行うことを特徴とするCOD分析方法にある。
【0020】
第9の発明は、第8の発明において、排水中のCODの分析を過マンガン酸カリウム溶液又は重クロム酸カリウム溶液のいずれかのCOD分析試薬を用いて行うことを特徴とするCOD分析方法にある。
【0021】
第10の発明は、第9の発明において、前記COD分析試薬として前記過マンガン酸カリウム溶液を用いる際に、亜硫酸ナトリウム溶液を添加して前記酸化性物質を分解した後、硫酸溶液を添加して硫酸酸性とし、硝酸銀溶液を添加して溶液中のハロゲン化物イオンを除去し、過マンガン酸カリウム溶液を添加して溶液中の残余の酸化性物質を還元し、シュウ酸ナトリウム溶液を添加して溶液中の残余の過マンガン酸カリウム溶液を除去し、過マンガン酸カリウム溶液で滴定してシュウ酸ナトリウム溶液の余剰分を反応させて、CODの分析を行うことを特徴とするCOD分析方法にある。
【0022】
第11の発明は、第9の発明において、前記COD分析試薬として前記過マンガン酸カリウム溶液を用いる際に、亜硫酸ナトリウム溶液を添加して前記酸化性物質を分解した後、硫酸溶液を添加して過剰の亜硫酸イオンを分解し、更に酸素供給を行うことにより過剰の亜硫酸イオンの分解を促進し、硝酸銀溶液を添加して溶液中のハロゲン化物イオンを除去し、過マンガン酸カリウム溶液を添加して溶液中の残余の酸化性物質を還元し、シュウ酸ナトリウム溶液を添加して溶液中の残余の過マンガン酸カリウム溶液を除去し、過マンガン酸カリウム溶液で滴定してシュウ酸ナトリウム溶液の余剰分を反応させて、CODの分析を行うことを特徴とするCOD分析方法にある。
【0023】
第12の発明は、第9の発明において、前記COD分析試薬として前記過マンガン酸カリウム溶液を用いる際に、亜硫酸ナトリウム溶液を添加して前記酸化性物質を分解した後、硫酸溶液を添加して過剰の亜硫酸イオンを分解し、更に酸素供給を行うことにより過剰の亜硫酸イオンの分解を促進し、更に硫酸溶液を添加して硫酸酸性とし、硝酸銀溶液を添加して溶液中のハロゲン化物イオンを除去し、過マンガン酸カリウム溶液を添加して溶液中の残余の酸化性物質を還元し、シュウ酸ナトリウム溶液を添加して溶液中の残余の過マンガン酸カリウム溶液を除去し、過マンガン酸カリウムで滴定してシュウ酸ナトリウム溶液の余剰分を反応させて、CODの分析を行うことを特徴とするCOD分析方法にある。
【0024】
第13の発明は、第8乃至第12の発明のいずれか一つにおいて、前記酸化性物質が、次亜塩素酸ナトリウム又は過酸化水素であることを特徴とするCOD分析方法にある。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、排水中の酸化性物質を除去する前処理を行っているため、排水中の酸化性物質の影響を受けることなく、安定して分析試料中のCODの分析を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0027】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態にかかるCOD分析装置について、図面を参照して説明する。 図1は、本発明の第一の実施形態にかかるCOD分析装置の概略構成を示す図である。 図1に示すように、本実施形態にかかるCOD分析装置10Aは、前記酸化性物質13を含む排水11と当量又は過剰の亜硫酸イオンを含む溶液14により前記排水11中の酸化性物質13の分解を行う酸化性物質分解部15と、前記酸化性物質分解部15において前記酸化性物質13を分解した後の前記排水11中のCODを分析するCOD分析部12とを有するものである。
【0028】
本実施形態のCOD分析装置10Aは、前記次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を含む溶液13と当量又は過剰の前記亜硫酸イオン(SO32-)を含む溶液14を酸化性物質分解部15に対して供給する亜硫酸イオン溶液供給部17を有している。前記亜硫酸イオン溶液供給部17から供給される亜硫酸イオン(SO32-)を含む溶液14により、排水11中の前記酸化性物質13がハロゲン化物イオンに分解される。
【0029】
排水11中の酸化性物質13をハロゲン化物イオンに分解することにより、COD分析部12において、排水11中に残留する酸化性物質13がCOD分析において消費された過マンガン酸カリウム(MnO2)を再度過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)に再生しないようにし、CODの分析に影響を与えないようにすることができる。
【0030】
また、前記亜硫酸イオン(SO32-)を含む溶液14の添加量は、CODの分析値への影響度を少なくするため前記酸化性物質13の濃度の1.1倍以上1.2倍以下であることが好ましい。
【0031】
また、本実施形態にかかるCOD分析装置10Aは、排水11中の酸化性物質13の濃度の分析を行う酸化性物質分析部16を有している。前記酸化性物質分析部16によって、排水11中の前記酸化性物質13の濃度の分析を行い、亜硫酸イオン溶液供給部17より酸化性物質分解部15に添加する亜硫酸イオン(SO32-)を含む溶液14の添加量を調整することができる。
【0032】
よって、前記酸化性物質13を分解するために添加する前記亜硫酸イオン(SO32-)を含む溶液14を前記酸化性物質13の濃度に比べて過剰になるほど添加することはない。これにより、亜硫酸イオン溶液供給部17より前記亜硫酸イオン(SO32-)を含む溶液14の添加によるCODの分析値への影響を与えないようにすることができる。
【0033】
また、本実施形態にかかるCOD分析装置10Aは前記酸化性物質分析部16に制御装置(CPU)18を有しており、前記制御装置18により前記酸化性物質分析部16において分析された排水11中の前記酸化性物質13の濃度に応じて亜硫酸イオン溶液供給部17より添加する亜硫酸ナトリウム溶液(Na2SO3)の添加量を調整するようにしている。
【0034】
ここで、前記亜硫酸イオン(SO32-)はCOD分析においては、正の誤差を与えるものの、前記酸化性物質13の分解後の該酸化性物質13の残存量は数mg/l程度であり、亜硫酸イオン(SO32-)がCOD分析値に対して与える影響は極わずかであるため、COD分析への影響は少ないものとなる。
【0035】
また、本実施形態では、前記亜硫酸イオン(SO32-)を含む溶液14として亜硫酸ナトリウム溶液(Na2SO3)を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
酸化性物質が分解された排水11cは、COD分析部12においてCODが分析され、排水11中の真のCODの値が分析される。
【0037】
また、本実施形態におけるCOD分析装置は、連続的な測定方法又はバッチ式の測定方法で行うようにしても良い。
【0038】
次に、酸化性物質13を含む排水11のCOD分析工程を図2を参照して具体的に説明する。尚、本実施形態におけるCOD分析装置は図1のものを用いている。
図2は、酸化性物質として次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を含む排水のCOD分析方法を示す工程図である。
図2に示すように、前記次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を含む排水11の一部11aは、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の次亜塩素酸イオン(ClO-)濃度の分析を行う酸化性物質分析工程Aに用いられ、チオ硫酸ナトリウム溶液(Na223)を用いて滴定し、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の次亜塩素酸イオン(ClO-)濃度を測定する。
【0039】
一方、前記次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を含む排水の他の一部11bは、酸化性物質分解工程Bに用いられ、亜硫酸ナトリウム溶液(Na2SO3)により前記次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の次亜塩素酸イオン(ClO-)は以下の式(1)のように分解される。
ClO-+SO32- → Cl-+SO42- ・・・(1)
【0040】
また、このとき添加される亜硫酸ナトリウム溶液(Na2SO3)の量は、酸化性物質分解工程Bにおいて分析された次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の次亜塩素酸イオン(ClO-)濃度に応じて調整された次亜塩素酸イオン(ClO-)を分解するために必要な亜硫酸ナトリウム溶液(Na2SO3)を前記酸化性物質分解部15において前記次亜塩素酸イオン(ClO-)を含む排水11bに添加される。
【0041】
そして、酸化性物質分解工程Bにおいて、亜硫酸ナトリウム溶液(Na2SO3)を添加して前記次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の前記次亜塩素酸イオン(ClO-)を分解して酸化性物質が分解された排水11cとした後、COD分析工程Cにおいて以下の操作によりCODの値を分析する。
【0042】
まず、酸化性物質が分解された排水11cに硫酸溶液(H2SO4)を添加して硫酸酸性とし、その後、硝酸銀溶液(AgNO3)を添加して、硝酸銀溶液(AgNO3)中の銀イオン(Ag+)が以下の式(2)のように溶液中の塩化物イオン(Cl-)と中和反応により塩化銀(AgCl)となって分解、除去される。
Ag++Cl- → AgCl ・・・(2)
【0043】
次に、過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)を添加して以下の式(3)、(4)、(5)に示す反応により溶液中の残余の次亜塩素酸イオン(ClO-)を還元する。
MnO4-+8H++5e- → Mn2++4H2O ・・・(3)
3Mn2++2MnO4-+2H2O → 5MnO2+4H+ ・・・(4)
2Mn2++10ClO-+4H+ → 2MnO4-+5Cl2↑+2H2O ・・・(5)
【0044】
そして、シュウ酸ナトリウム溶液((COONa)2)を添加し、以下の式(6)、(7)に示す反応により溶液中の残余の過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)を除去する。
2MnO4-+5C242-+16H+ → 2Mn2++10CO2↑+8H2O ・・・(6)
MnO2+C242-+4H+ → Mn2++2CO2↑+2H2O ・・・(7)
【0045】
そして、過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)を用いて滴定し、以下の式(8)に示す反応によりシュウ酸ナトリウム溶液((COONa)2)の余剰分と反応させる。
5C242-+2MnO4-+16H+ → 2Mn2++10CO2↑+8H2O・・・(8)
【0046】
また、本実施形態では、酸化性物質13として前記次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を含む排水を分析対象としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば過酸化水素(H22)を含む排水中のCODの分析を行うようにしても良い。
【0047】
また、本実施形態では、COD分析試薬として過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば重クロム酸カリウム溶液(K2Cr27)を用いても良い。
【0048】
本発明の第一の実施形態によるCOD分析装置によれば、COD分析部12の前に設けた酸化性物質分解部15により予め前記次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)等の酸化性物質を取り除くことにより、CODの値を正確に分析することができる。
また、排水中のCODの値を放流基準値以下として排水を河川、海域などの公共域に放流することができるため、環境面に配慮したCOD分析装置を提供することができる。
【0049】
[第二の実施形態]
本発明の第二の実施形態にかかるCOD分析装置について、図3を参照して説明する。 図3は、本発明の第二の実施形態にかかるCOD分析装置の概略構成を示す図である。 本実施形態にかかるCOD分析装置10Bは、図1に示す第一の実施形態のCOD分析装置10Aの構成と同様であるため、同一部材には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
図3に示すように、本実施形態においては、COD分析装置10Bが、酸化性物質分解部15とCOD分析部12との間に、酸化性物質が分解された排水11c中に過剰に含まれている亜硫酸イオン(SO32-)を分解する過剰亜硫酸イオン分解部19を有するものである。そして前記過剰亜硫酸イオン分解部19は、硫酸溶液(H2SO4)を供給する硫酸溶液供給部20を有するものである。
【0050】
硫酸溶液供給部20より硫酸溶液(H2SO4)を供給することにより前記酸化性物質分解部15で添加されて残留する過剰の亜硫酸イオン(SO32-)を前記過剰亜硫酸イオン分解部19において分解、除去することができる。
【0051】
更に、本実施形態では、前記過剰亜硫酸イオン分解部19に酸素(O2)を供給する空気供給部21を設ける。前記空気供給部21より過剰亜硫酸イオン分解部19に酸素(O2)を供給することにより、亜硫酸イオン(SO32-)の分解を促進することができる。
【0052】
次に、酸化性物質13を含む排水11のCOD分析工程を具体的に説明する。
図4は、酸化性物質として次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を含む排水のCOD分析方法を示す工程図である。図2に示す第一の実施形態のCOD分析方法を示す工程図と同様の部分についての説明は省略する。
【0053】
図4に示すように、排水11の他の一部11bは酸化性物質分解工程Bに用いられ、亜硫酸ナトリウム溶液(Na2SO3)を添加して前記次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の次亜塩素酸イオン(ClO-)を分解する。その後、酸化性物質が分解された排水11cに硫酸溶液(H2SO4)を添加して過剰の亜硫酸イオン(SO32-)を分解する。更に酸素(O2)供給を行うことにより過剰の亜硫酸イオン(SO32-)の分解を促進する。
【0054】
尚、本実施形態では酸素(O2)供給を行っているが、必ずしも酸素(O2)供給を行う必要はない。
【0055】
また、本実施形態では、硫酸溶液(H2SO4)を添加した後、ヨウ素滴定を行うことにより過剰の亜硫酸イオン(SO32-)が除去されたか確認するようにしている。
【0056】
また、本実施形態では、COD分析部におけるCODの分析方法は第一の実施形態におけるCODの分析方法と同じである。
即ち、更に硫酸溶液(H2SO4)を添加して硫酸酸性とする。そして、硝酸銀溶液(AgNO3)を添加して溶液中の塩化物イオン(Cl-)を除去する。その後、過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)を添加して溶液中の残余の次亜塩素酸イオン(ClO-)を還元する。その後、シュウ酸ナトリウム溶液((COONa)2)を添加して溶液中の残余の過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)を除去する。その後、過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)で滴定してシュウ酸ナトリウム溶液の余剰分を反応させて、CODの分析を行う。
【0057】
また、本実施形態では、過剰の亜硫酸イオン(SO32-)を分解、除去すれば良いため、酸化性物質分解工程Bに添加する硫酸溶液(H2SO4)とCOD分析工程Cにおいて添加する硫酸溶液(H2SO4)との比は2対8若しくは3対7、又は等量の割合で添加すればよい。
【0058】
また、本実施形態では、COD分析部におけるCODの分析方法は第一の実施形態におけるCODの分析方法と同じであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0059】
また、本実施形態では、COD分析部におけるCODの分析方法において、酸化性物質分解工程Bで硫酸溶液(H2SO4)を添加して過剰の亜硫酸イオン(SO32-)を分解、除去した後は、更にCOD分析工程Cにおいて硫酸溶液(H2SO4)を添加しなくても良い。
【0060】
例えば、COD分析工程Cにおいて更に硫酸溶液(H2SO4)を添加しないCODの分析方法は、以下の通りとなる。
酸化性物質13として次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を含む排水11のCODを分析する場合には、酸化性物質分解工程Bで亜硫酸ナトリウム溶液(Na2SO3)を添加して前記次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の次亜塩素酸イオン(ClO-)を分解して、酸化性物質が分解された排水11cとする。
【0061】
その後、COD分析工程Cで硝酸銀溶液(AgNO3)を添加して溶液中の塩化物イオン(Cl-)を除去する。その後、過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)を添加して溶液中の残余の次亜塩素酸イオン(ClO-)を還元する。その後、シュウ酸ナトリウム溶液((COONa)2)を添加して溶液中の残余の過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)を除去する。その後過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)で滴定してシュウ酸ナトリウム溶液((COONa)2)の余剰分を反応させて、CODの分析を行うようにしてもよい。
【0062】
本発明の第二の実施形態によるCOD分析装置10Bによれば、前記過剰亜硫酸イオン分解部19を設けて過剰の亜硫酸イオン(SO32-)を分解除去することにより、過剰の亜硫酸イオン(SO32-)の影響を受けることなく、より正確なCODの値を正確に分析することができる。
【0063】
[第三の実施形態]
次に、本発明の第三の実施形態に係るクラゲ処理システム30について、図5を参照して説明する。
【0064】
図5は、クラゲ処理システム30の構成を示す概念図である。
図5に示すように、本実施形態に係るクラゲ処理システム30は、クラゲ処理装置31とCOD計測装置32とからなる。前記クラゲ処理装置31は海水から回収したクラゲの破砕及び分解を行うクラゲ分解装置33と、分解されたクラゲ分解液中のCOD成分を酸化処理するCOD分解装置34とを具備してなる。また、前記COD分解装置34からの排水中のCODを計測するCOD計測装置32は、本発明の第一又は第二の実施形態によるCOD分析装置と同様であるため、ここでは説明は省略する。
【0065】
図示しない発電所では、取水口35から海水36を取り込み冷却水として使用している。このとき海水36中のクラゲ37が取水口35から取り込まれて、フィルタ38の目詰まりとなること等の弊害を防ぐため、この取水口35の前方部分で図示しない回転式除塵機等を使用して海水36中のクラゲ37を捕獲・回収している。このクラゲ37を含んだ海水36aはクラゲ処理装置31に移送されている。
【0066】
前記クラゲ処理装置31において、前記クラゲ37を含んだ海水36aはクラゲ分解装置33において破砕及び分解される。前記クラゲ37を破砕、分解する方法としては、機械的、化学的又は生物学的処理方法を挙げることができる。例えば、海水36から回収したクラゲ37はまずクラゲ分解装置33で分解酵素により破砕及び分解される。
【0067】
破砕、分解されたクラゲ分解液39は、COD分解装置34において次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)により酸化処理される。また、クラゲ分解液39を酸化処理する方法として次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)に限定されるものではない。
【0068】
そして、COD処理された前記クラゲ分解液39は、COD計測装置32において酸素消費量(COD)が分析される。また、クラゲ分解液39のCODの濃度が高いためクラゲ分解液39の量が少なく、亜硫酸イオン(SO32-)の絶対量が少ない。そのため、COD計測装置32において添加される亜硫酸ナトリウム溶液(Na2SO3)の亜硫酸イオン(SO32-)はCOD計測装置32で添加する硫酸溶液(H2SO4)によって分解されるため、CODの分析への影響を与えないようにしている。
【0069】
そして、過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)による酸素消費量(COD)が分析された結果、CODの値が基準値以下であることが確認された排水11は再び海に放出する。
【0070】
また、前記COD計測装置32において分析されたCODの値が基準値以上である場合には、排水11の放出を止めて、前記COD分解装置34に戻して再び酸化処理し、クラゲ分解液39中のCODの値を基準値以下とした後に、海に放出する。
【0071】
本クラゲ処理システム30は、COD計測装置32において排水中の次亜塩素酸、過酸化水素等の酸化性物質を予め除去し、排水中の次亜塩素酸、過酸化水素などの酸化性物質の影響を排除しているため、排水中の真のCODの分析を行うことが可能となり、信頼性の高いクラゲ処理装置を提供することができる。
また、排水中のCODの値を放流基準値以下として排水を河川、海域などの公共域に放流することができるため、環境面に配慮したクラゲ処理システムを提供することができる。
【0072】
[第四の実施形態]
次に、本発明の第四の実施形態に係るCOD分析装置を用いた石炭ガス化複合発電設備(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)について、図9を参照して説明する。
【0073】
図9は、石炭ガス化複合発電設備(IGCC)の構成を示す概念図である。
図9に示すように、本実施形態に係る石炭ガス化複合発電設備(IGCC)40は、石炭ガス化炉41と、ガスタービン設備42と、蒸気タービン設備43と排水中のCOD成分を分析するCOD分析装置44とを備えている。また、前記COD分析装置44は、本発明の第一又は第二の実施形態によるCOD分析装置と同様であるため、ここでは説明は省略する。
【0074】
前記石炭ガス化炉41の上流側に設けられている石炭供給設備45において供給された原料炭を粉砕して微粉炭とし、複数のホッパ46に貯留される。この各ホッパ46に貯留された前記微粉炭は、空気分離装置47から分離された窒素により石炭ガス化炉41のコンバスタ48及びリダクタ49に設けられているコンバスタバーナ48a及びリダクタバーナ49aに一定流量ずつ供給される。前記コンバスタバーナ48aには、空気昇圧機50からの空気が前記空気分離装置47において分離された酸素と共に酸素濃度が調整されつつ、供給される。
【0075】
また、前記リダクタ49では、石炭ガス化部41aにおいて前記リダクタバーナ49aから供給された微粉炭及び前記コンバスタ48内で揮発分を放出したチャーが、前記コンバスタ48からの高温燃焼ガスによってガス化され、一酸化炭素(CO)や水素(H2)等の可燃性ガスを生成する。
【0076】
前記石炭ガス化炉41の熱交換部41bでは、前記リダクタ49から導かれる生成ガスから顕熱を得て蒸気を発生させ、前記熱交換部41bを通過した前記生成ガスは、チャー回収装置51へと導かれる。そして、前記チャー回収装置51を通過した生成ガスは、燃料ガスとして前記ガスタービン設備42の燃焼器42aへ送られ燃焼し、燃焼ガスがガスタービン42bに送給される。そして、前記ガスタービン42bを通過した燃焼排ガス(ガスタービン排気ガス)は、排熱回収ボイラ(HRSG)52へと導かれる。
【0077】
前記排熱回収ボイラ52では、前記ガスタービン42bからの前記燃焼排ガスとボイラ給水53とを熱交換することによって蒸気を発生させ、この発生させた蒸気は、主として、蒸気タービン43bの駆動のために用いられる。前記排熱回収ボイラ52の下流側に設けられている脱硫装置54で排ガス中の硫黄分が取り除かれ、前記脱硫装置54を通過したガスは、図示しない湿式電気集塵機(wet−EP)及び誘引ファン(BUF)を通過して煙突55から大気へと放出される。
【0078】
また、前記排熱回収ボイラ52において熱交換された前記ボイラ給水53は、IGCC排水56として排出される。このIGCC排水56は、酸化性物質供給部57より酸化性物質として過酸化水素水(H22)58をCOD分解部59に供給し、前記IGCC排水56中のCOD成分を除去するようにしている。
【0079】
そして、COD処理された前記IGCC排水56は、前記COD分析装置44において前記IGCC排水56中の余剰分の前記過酸化水素水(H22)58を除去した後、前記IGCC排水56中のCODが前記COD分析装置44により分析される。
【0080】
そして、過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)による酸素消費量(COD)が分析された結果、CODの値が基準値以下であることが確認された前記IGCC排水56は廃水として海に排出する。
【0081】
また、前記COD分析装置44において分析されたCODの値が基準値以上である場合には、前記IGCC排水56の排出を止め、前記COD分解部59に戻して前記IGCC排水56中のCOD成分を再び酸化処理し、前記IGCC排水56中のCODの値を基準値以下とした後に廃水として海に排出する。
【0082】
本発明の実施形態に係るCOD分析装置を用いた石炭ガス化複合発電設備は、COD分析装置において排水中の次亜塩素酸、過酸化水素等の酸化性物質を予め除去し、排水中の次亜塩素酸、過酸化水素などの酸化性物質の影響を排除しているため、排水中の真のCODの分析を行うことが可能となり、信頼性の高い石炭ガス化複合発電設備(IGCC)を提供することができる。
また、排水中のCODの値を放流基準値以下として排水を河川、海域などの公共域に放流することができるため、環境面に配慮した石炭ガス化複合発電設備(IGCC)を提供することができる。
【0083】
また、本実施形態において用いられる分析装置のCODの分析試料としては、クラゲ分解液、石炭ガス化複合発電設備(IGCC)から排出される排水に限定されるものではなく、本発明は他の分析試料にも用いることができる。
【実施例1】
【0084】
以下、本発明の効果を示す実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
[くらげ分解試験での残留塩素のCOD分析値への影響]
本実施形態のCOD分析装置を用いて残留塩素を含む試料がCOD分析における残留塩素のCOD分析値への影響についてクラゲ分解試験を用いて確認したCODの結果について説明する。
【0086】
実施例1は、前記排水中の酸化性物質の分解を行う酸化性物質分解部と、前記酸化性物質分解部において前記酸化性物質を分解した後の前記排水中のCODを分析するCOD分析部とを具備してなる図1に対応するCOD分析装置10Aである。
また、比較例1は、前記排水中の酸化性物質の分解を行う酸化性物質分解部を有しないJIS工程に基づく図11に対応するCOD分析装置100である。
【0087】
また、実施例1と比較例1は同一の日にクラゲ分解試験を行ったものである。
【0088】
実施例1の試料の分析工程は、前記図2に示す分析方法で行った。
まず、図2の酸化性物質分解工程Bにおいて、試料に過剰の亜硫酸ナトリウム溶液(Na2SO3)を添加する。その後、COD分析工程Cにおいて試料に純水を加えて100mlとし、硫酸溶液10ml加えた後、硝酸銀を加え、溶液を攪拌した。そして、N/40の過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)を10ml加えて、100℃のウォーターバスで30分溶液を加熱した。その後、N/40のシュウ酸ナトリウム溶液((COONa)2)を10ml加えた。その後、70℃でN/40の過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)で滴定した。また、本実施例では滴定量が5mlに近い値となるように試料の量を調整した。
【0089】
また、比較例1は、試料に純水を加えて100mlとし、硫酸溶液10ml加えた後、硝酸銀を加え、溶液を攪拌した。そして、N/40の過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)を10ml加えて、100℃のウォーターバスで30分溶液を加熱した。その後、N/40のシュウ酸ナトリウム溶液((COONa)2)を10ml加えた。その後、70℃でN/40の過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)で滴定した。また、本実施例では滴定量が5mlに近い値となるように試料の量を調整した。この比較例1の分析工程を図6に示す。
【0090】
CODの値は、下記数式(I)より算出した。
COD(mg/l)=(t1−tBl)×f×(1000/v)×0.2 ・・・(I)
但し、t1はN/40の過マンガン酸カリウム滴定量(ml)であり、tBlはブランクのN/40の過マンガン酸カリウムの滴定量(ml)であり、fはN/40の過マンガン酸カリウムのファクターであり、vは試料量(ml)である。
【0091】
[COD分析値の比較]
次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)と実施例1及び比較例1のCOD(mg/l)とTOC(全有機体炭素)(mg/l)を表1に示す。
【0092】
【表1】

【0093】
実施例1では、COD分析装置の始動0時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は100mmol/lであり、CODの値は230mg/lであり、COD分析装置の始動2時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は90mmol/lであり、CODの値は320mg/lであった。
【0094】
また、COD分析装置の始動3.5時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は100mmol/lであり、このときのCODの値は300mg/lであった。そして試料採取してから24時間後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は80mmol/lであり、このときのCODの値は180mg/lであった。
【0095】
また、COD分析装置の始動6時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は165mmol/lであり、このときのCODの値は340mg/lであった。そして試料採取してから24時間後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は60mmol/lであり、このときのCODの値は270mg/lであった。
【0096】
また、COD分析装置の始動7.5時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は90mmol/lであり、このときのCODの値は320mg/lであった。そして試料採取してから24時間後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は45mmol/lであり、このときのCODの値は210mg/lであった。
【0097】
比較例1では、COD分析装置の始動0時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は100mmol/lであり、このときのCODの値は148mg/lであり、COD分析装置の始動2時間のときの次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は90mmol/lであり、試料採取直後のCODの値は120mg/lであった。
【0098】
また、COD分析装置の始動3.5時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は100mmol/lであり、このときのCODの値は132mg/lであった。そして試料採取してから24時間後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は80mmol/lであり、このときのCODの値は172mg/lであった。
【0099】
また、COD分析装置の始動6時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は165mmol/lであり、このときのCODの値は144mg/lであった。そして試料採取してから24時間後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は60mmol/lであり、このときのCODの値は152mg/lであった。
【0100】
また、COD分析装置の始動7.5時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は90mmol/lであり、このときのCODの値は72mg/lであった。そして試料採取してから24時間後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は45mmol/lであり、このときのCODの値は84mg/lであった。
【0101】
また、実施例1及び比較例1では、COD分析装置の始動開始時のTOC(全有機体炭素)の値が568mg/lであり、COD分析装置が始動して7.5時間経過後の試料採取直後でもTOC(全有機体炭素)の値が624mg/lであり、COD分析装置の始動開始から7.5時間経過後でも試料に有機物が多く含まれていることが確認された。
【0102】
よって、COD分析装置の始動0時間から7.5時間の間に採取した試料のCODの値は、実施例1の方が比較例1よりも高い数値を示した。よって、採取した試料にはJIS法に基づく比較例1よりも実際にはCODの値が高いことが確認された。
【0103】
次に、前記排水中の酸化性物質の分解を行う酸化性物質分解部と、前記酸化性物質分解部において前記酸化性物質を分解した後の前記排水中のCODを分析するCOD分析部とを具備してなる実施例1と前記排水中の酸化性物質の分解を行う酸化性物質分解部を有しないJIS工程に基づく図11に対応する比較例1において分析した試料から求められるそれぞれの試料中の残存塩素量とCODの値と、実施例1から求められるCODの値と比較例1から求められるCODの値の差(ΔCOD)を表2に示す。
【0104】
【表2】

【0105】
表2より、試料中の残存塩素量が4.97mgの場合では、実施例1で分析されたCODの値は320mg/lであったのに対し、比較例1で分析されたCODの値は330mg/lであった。このときの実施例1から求められるCODの値と比較例1から求められるCODの値の差(ΔCOD)は10mg/lであった。
【0106】
一方、その他の試料中の残存塩素量が5.00mg以上の場合では、実施例1から求められるCODの値と比較例1から求められるCODの値の差(ΔCOD)は全て負の値であった。
【0107】
よって、試料中の残存塩素量が5.00mg以上の場合には、ΔCODの値が全て負の値を示すことから、前記排水中の酸化性物質の分解を行う酸化性物質分解部を有しないJIS工程に基づく図11に対応する比較例1は実際の試料中のCODの値より低く検出し、正確な試料中のCODの値を分析しないことが確認された。
【0108】
また、試料中の残存塩素量が高くなるほど、ΔCODの値のばらつきが大きくなった。これは、試料を採取した後から硫酸を添加する工程と、硫酸銀を添加する工程での試料中の残存塩素が分解又は気散するためと考えられる。また、過マンガン酸溶液の滴定においてJIS記載では滴定量5±1.5mlとなっており、過マンガン酸溶液の滴定量が少ないために生じる誤差が原因であると考えられる。
【0109】
一方、試料中の残存塩素量が5.00mg以下の場合には、COD分析において、妨害の影響はなくなることが確認された。
【0110】
また、図7は、COD分析の試料中の試料中の残存塩素量(mg/l)と、実施例1から求められるCODの値と比較例1から求められるCODの値の差(ΔCOD)との関係を示す図である。
【0111】
図7より、試料中の残存塩素量(mg/l)が増加するに従って、ΔCODの値が負に大きくなっていることが確認された。また、残存塩素量(mg/l)の増加に伴いΔCODの値のばらつきが大きくなっていることが確認された。これは、残留塩素が還元物質の影響で消費された過マンガン酸カリウム(MnO2)を再度過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4)に再生するためである。
【実施例2】
【0112】
次に、実施例1及び比較例1と異なる日に同様にして行われた実施例2及び比較例2のクラゲ分解試験結果について説明する。
【0113】
実施例2及び比較例2の分析方法は、実施例1及び比較例1の分析方法と同様であるため、説明は省略する。
【0114】
[COD分析値の比較]
次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)と実施例2及び比較例2のCOD(mg/l)とTOC(全有機体炭素)(mg/l)を表3に示す。
【0115】
【表3】

【0116】
実施例2では、COD分析装置の始動0時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は250mmol/lであり、このときのCODの値は110mg/lであった。COD分析装置の始動2時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は45mmol/lであり、このときのCODの値は250mg/lであった。
【0117】
比較例2では、COD分析装置の始動0時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は250mmol/lであり、このときのCODの値は−4mg/lであった。そしてCOD分析装置の始動2時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は45mmol/lであり、このときのCODの値は180mg/lであった。
【0118】
また、COD分析装置の始動4時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は7mmol/lであり、このときのCODの値は240mg/lであった。また、COD分析装置の始動5.5時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は6mmol/lであり、このときのCODの値は248mg/lであった。
【0119】
また、COD分析装置の始動8.5時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は6mmol/lであり、このときのCODの値は296mg/lであった。
【0120】
また、COD分析装置の始動10時間のときの試料採取直後の次亜塩素酸イオン濃度(mmol/l)は6mmol/lであり、このときのCODの値は308mg/lであった。また、時間の経過と共にCODの値が上昇していることが確認された。
【0121】
また、実施例2及び比較例2では、時間の経過と共にTOC(全有機体炭素)の値が上昇していることから、時間の経過と共に試料に有機物が多く含まれていることが確認された。
【0122】
COD分析装置の始動0時間から2時間の間に採取した試料のCODの値は、実施例2の方が比較例2よりも高い数値を示した。よって、採取した試料にはJIS法に基づく比較例2よりも実際にはCODの値が高いことが確認された。
【0123】
次に、前記排水中の酸化性物質の分解を行う酸化性物質分解部と、前記酸化性物質分解部において前記酸化性物質を分解した後の前記排水中のCODを分析するCOD分析部とを具備してなる実施例2と前記排水中の酸化性物質の分解を行う酸化性物質分解部を有しないJIS工程に基づく図11に対応する比較例2において分析した試料から求められるそれぞれの試料中の残存塩素量とCODの値と、実施例2から求められるCODの値と比較例2から求められるCODの値の差(ΔCOD)を表4に示す。
【0124】
【表4】

【0125】
表4においても、前記実施例1及び比較例1の場合同様、試料中の残存塩素量が5.00mg以下の場合には、COD分析において、妨害の影響はなくなることが確認された。
【0126】
また、試料中の残存塩素量が5.00mg以上の場合には、ΔCODの値が全て負の値を示し、前記排水中の酸化性物質の分解を行う酸化性物質分解部を有しないJIS工程に基づく図11に対応する比較例2は実際の試料中のCODの値より低く検出し、正確な試料中のCODの値を分析しないことが確認された。
【0127】
また、前記実施例1及び比較例1の場合同様、試料中の残存塩素量が高くなるほど、ΔCODの値のばらつきが大きくなったことが確認された。
【0128】
また、図8は、COD分析の試料中の試料中の残存塩素量(mg/l)と、実施例2から求められるCODの値と比較例2から求められるCODの値の差(ΔCOD)との関係を示す図である。
【0129】
図8より、試料中の残存塩素量(mg/l)が増加するに従って、ΔCODの値が負に大きくなっていることが確認された。また、残存塩素量(mg/l)の増加に伴いΔCODの値のばらつきが大きくなっていることが確認された。
【0130】
よって、残存塩素量(mg/l)の増加に伴いΔCODの値のばらつきが大きくなり、試料中のCODの値を図ることができず、本願発明のCOD分析COD分析装置を用いることにより、残存塩素の影響を受けずに真の試料中のCODを分析することができる。
【実施例3】
【0131】
次に、本実施形態のCOD分析装置を用いて石炭ガス化複合発電設備(IGCC)の排水中に残留する過酸化水素(H22)のCOD分析値への影響について確認した実施結果について説明する。
また本実施例及び比較例では、IGCC排水中の過酸化水素(H22)が未処理のIGCC排水から一部取り出した試料を4種類(A〜D)用いて行った。
【0132】
実施例3−1〜3−4は、前記IGCC排水から一部取り出した4種類の試料(A〜D)に過酸化水素(H22)を添加した後、残留する過酸化水素(H22)の除去を行ったものである。
比較例3−1〜3−4は、前記IGCC排水中の酸化性物質の分解を行う酸化性物質分解部を有しないJISの公定法に基づく図11に対応するものであり、前記IGCC排水中の過酸化水素(H22)が未処理の排水から一部取り出した4種類の試料(A〜D)に過酸化水素(H22)を添加した後、残留する過酸化水素(H22)の除去を行っていないものである。
【0133】
実施例3−1及び比較例3−1では、排水中の過酸化水素(H22)を処理していない排水の一部を取り出した試料Aを用いた。
また、実施例3−2及び比較例3−2は、排水中の過酸化水素(H22)を処理していない排水の一部を取り出した試料Bを用いた。
また、実施例3−3及び比較例3−3は、排水中の過酸化水素(H22)を処理していない排水の一部を取り出した試料Cを用いた。
また、実施例3−4及び比較例3−4は、排水中の過酸化水素(H22)を処理していない排水の一部を取り出した試料Dを用いた。
【0134】
実施例3−1〜3−4及び比較例3−1〜3−4の分析方法は、実施例1及び比較例1の分析方法と同様であるため、説明は省略する。
【0135】
[COD分析値の比較]
IGCC排水の排水中の過酸化水素(H22)を処理していない排水から一部を取り出した4種類の試料(A〜D)のCODの値(mg/l)と、前記試料(A〜D)に過酸化水素(H22)を添加し残留する過酸化水素(H22)の除去を行っていない比較例3−1〜3−4のCODの値(mg/l)及び前記試料(A〜D)に過酸化水素(H22)を添加し残留する過酸化水素(H22)の除去を行った実施例3−1〜3−4のCODの値(mg/l)を表5に示す。
また、この時のIGCC排水56中の過酸化水素(H22)が未処理の段階の排水を(I)とした。
また、図11に示すJISの公定法に基づくCOD分析法を用いたIGCC排水に過酸化水素(H22)を添加し、残留する過酸化水素(H22)が未分解の排水を(II
)とした。
また、本発明のCOD分析法を用いたIGCC排水に過酸化水素(H22)を添加した後残留する過酸化水素(H22)を分解した後の排水を(III)とした。
【0136】
また、図10は、IGCC排水56から採取した試料のそれぞれの場所(I)、(II
)、(III)を模式的に示した図である。
図10に示すように、石炭ガス化複合発電設備(IGCC)40から排出される過酸化水素(H22)が未処理のIGCC排水56が排水(I)であり、前記排水(I)を酸
化性物質供給部57から過酸化水素水(H22)58をCOD分解部59に供給し、残留する過酸化水素(H22)が未分解の排水が排水(II)である。この時の前記排水(II)を分析する方法が図11に示す従来のCOD分析法に対応するものである。また、前記排水(I)を酸化性物質供給部57から過酸化水素水(H22)58をCOD分
解部59に供給した後、酸化性物質分解部60より亜硫酸イオンを含む溶液61を供給して排水中に残留する過酸化水素水(H22)62を分解した後の排水が排水(III)である。この時の前記排水(III)を分析する方法が本実施例のCOD分析法に対応す
るものである。
【0137】
【表5】

【0138】
表5より、過酸化水素(H22)が未処理の排水から一部取り出した試料AのCODの値は90mg/lであった。そして、前記試料Aに過酸化水素(H22)を添加した後、残留する過酸化水素(H22)の除去を行っていない比較例3−1では、CODの値は57mg/lであった。
一方、前記試料Aに過酸化水素(H22)を添加した後、残留する過酸化水素(H22)の除去を行った実施例3−1では、CODの値は9mg/lであった。
【0139】
また、前記排水中の過酸化水素(H22)が未処理の排水から一部取り出した試料BのCODの値は34mg/lであった。前記試料Bに過酸化水素(H22)を添加した後、残留する過酸化水素(H22)の除去を行っていない比較例3−2では、CODの値は25mg/lであった。
一方、前記試料Bに過酸化水素(H22)を添加した後、残留する過酸化水素(H22)の除去を行った実施例3−2では、CODの値は8mg/lであった。
【0140】
また、過酸化水素(H22)が未処理の前記排水から一部取り出した試料CのCODの値は79mg/lであった。前記試料Cに過酸化水素(H22)を添加した後、残留する過酸化水素(H22)の除去を行っていない比較例3−3では、CODの値は60mg/lであった。
一方、前記試料Cに過酸化水素(H22)を添加した後、残留する過酸化水素(H22)の除去を行った実施例3−3では、CODの値は17mg/lであった。
【0141】
また、前記排水中の過酸化水素(H22)が未処理の排水から一部取り出した試料D
のCODの値は68mg/lであった。前記試料Dに過酸化水素(H22)を添加した後、残留する過酸化水素(H22)の除去を行っていない比較例3−4では、CODの値は50mg/lであった。
一方、前記試料Dに過酸化水素(H22)を添加した後、残留する過酸化水素(H22)の除去を行った実施例3−4では、CODの値は10mg/lであった。
【0142】
この試験結果より、前記排水中に過酸化水素(H22)を添加した実施例3−1〜3−4及び比較例3−1〜3−4のように、前記排水中の過酸化水素(H22)が未処理の排水から採取した試料に過酸化水素(H22)を添加することにより、前記排水中のCODが分解されるため、前記排水中の過酸化水素(H22)が未処理の前記排水から採取した試料よりも排水中のCODの値(mg/l)を低下させることができることが確認された。
【0143】
また、前記排水から採取した前記試料に過酸化水素(H22)を添加した後、残留する過酸化水素(H22)の除去を行った実施例3−1〜3−4のCODの値(mg/l)の方が、前記排水から採取した前記試料に過酸化水素(H22)を添加した後、残留する過酸化水素(H22)の除去を行っていない比較例3−1〜3−4のCODの値(mg/l)より小さいことが確認された。これは、試料中に残留する過酸化水素(H22)がCODとして検出され、CODの値を引き上げているためである。
【0144】
これにより、図11に示すような前記排水中の酸化性物質の分解を行う酸化性物質分解部を有しないJISの公定法に基づく分析方法を用いた比較例3−1〜3−4では、排水から採取した試料の実際のCODの値よりも高く検出され、前記試料の正確なCODの値を検出しないことが確認された。
【0145】
従って、本発明のCOD分析装置を用いることにより、排水から採取した試料中に残存する酸化性物質である過酸化水素(H22)によるCOD分析に与える影響を排除することができるため、前記試料中の真のCODの値を検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0146】
以上のように、本発明に係るCOD分析装置は、分析試料中の酸化性物質を除去する前処理を行っているため、分析試料中の酸化性物質の影響を受けることなく、安定して分析試料中のCODの分析を行うCOD分析装置に用いて適している。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかるCOD分析装置の概略構成を示す図である。
【図2】次亜塩素酸ナトリウムを含む排水のCOD分析方法を示す工程図である。
【図3】本発明の第二の実施形態にかかるCOD分析装置の概略構成を示す図である。
【図4】次亜塩素酸イオンを含む排水のCOD分析方法を示す工程図である。
【図5】本発明の第三の実施形態に係るクラゲ処理システムの構成を示す概念図である。
【図6】比較例1、比較例2の分析工程を示す図である。
【図7】COD分析の試料中の残存塩素量(mg/l)と、実施例1から求められるCODの値と比較例1から求められるCODの値の差(ΔCOD)との関係を示す図である。
【図8】COD分析の試料中の残存塩素量(mg/l)と、実施例2から求められるCODの値と比較例2から求められるCODの値の差(ΔCOD)との関係を示す図である。
【図9】本発明の第四の実施形態に係る石炭ガス化複合発電設備(IGCC)の構成を示す概念図である。
【図10】IGCC排水から採取した試料のそれぞれの場所(I)、(II)、(III)を模式的に示した図である。
【図11】JISに基づく公定法によりCODの分析を行うCOD分析装置の構成を示す構成図である。
【図12】次亜塩素酸イオン濃度(mg−Cl/l)とCODの値(mg/l)との関係を示す図である。
【図13】放出された排水とCODの値との関係を示した図である。
【符号の説明】
【0148】
10A、10B COD分析装置
11 排水
12 COD分析部
13 酸化性物質
14 亜硫酸イオンを含む溶液
15 酸化性物質分解部
16 酸化性物質分析部
17 亜硫酸イオン溶液供給部
18 制御装置(CPU)
19 過剰亜硫酸イオン分解部
20 硫酸溶液供給部
21 空気供給部
30 クラゲ処理システム
31 クラゲ処理装置
32 COD計測装置
33 クラゲ分解装置
34 COD分解装置
40 石炭ガス化複合発電設備(IGCC)
41 石炭ガス化炉
42 ガスタービン設備
43 蒸気タービン設備
44 COD分析装置
45 石炭供給設備
46 ホッパ
47 空気分離装置
48 コンバスタ
49 リダクタ
48a コンバスタバーナ
49a リダクタバーナ
51 チャー回収装置
52 排熱回収ボイラ(HRSG)
53 ボイラ給水
54 脱硫装置
56 IGCC排水
57 酸化性物質供給部
58 過酸化水素水(H22
59 COD分解部
60 酸化性物質分解部
61 亜硫酸イオンを含む溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化性物質を含む排水と当量又は過剰の亜硫酸イオンを含む溶液により前記排水中の酸化性物質の分解を行う酸化性物質分解部と、
前記酸化性物質分解部において前記酸化性物質を分解した後の前記排水中のCODを分析するCOD分析部とを有することを特徴とするCOD分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記COD分析装置が、過剰に含まれている亜硫酸イオンを分解する過剰亜硫酸イオン分解部を有することを特徴とするCOD分析装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記亜硫酸イオンを含む溶液の添加量が、前記酸化性物質の濃度の1.1倍以上1.2倍以下であることを特徴とするCOD分析装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
排水中の酸化性物質の濃度の分析を行う酸化性物質分析部を有することを特徴とするCOD分析装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
前記酸化性物質が、次亜塩素酸ナトリウム又は過酸化水素であることを特徴とするCOD分析装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一つにおいて、
前記COD分析部で用いるCOD分析試薬が、過マンガン酸カリウム又は重クロム酸カリウムのいずれかを用いてなることを特徴とするCOD分析装置。
【請求項7】
海水から回収したクラゲの破砕及び分解を行うクラゲ分解装置と、
分解されたクラゲ分解液中のCOD成分を酸化処理するCOD分解装置と、
前記COD分解装置からの排水中のCODを計測する請求項1乃至6のいずれか一つのCOD分析装置とからなることを特徴とするクラゲ処理システム。
【請求項8】
排水中の酸化性物質を含む溶液と当量又は過剰の亜硫酸ナトリウム溶液を添加して前記酸化性物質を分解し、その後前記酸化性物質を分解した後の前記排水のCODの分析を行うことを特徴とするCOD分析方法。
【請求項9】
請求項8において、
排水中のCODの分析を過マンガン酸カリウム溶液又は重クロム酸カリウム溶液のいずれかのCOD分析試薬を用いて行うことを特徴とするCOD分析方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記COD分析試薬として前記過マンガン酸カリウム溶液を用いる際に、
亜硫酸ナトリウム溶液を添加して前記酸化性物質を分解した後、
硫酸溶液を添加して硫酸酸性とし、
硝酸銀溶液を添加して溶液中のハロゲン化物イオンを除去し、
過マンガン酸カリウム溶液を添加して溶液中の残余の酸化性物質を還元し、
シュウ酸ナトリウム溶液を添加して溶液中の残余の過マンガン酸カリウム溶液を除去し、
過マンガン酸カリウム溶液で滴定してシュウ酸ナトリウム溶液の余剰分を反応させて、CODの分析を行うことを特徴とするCOD分析方法。
【請求項11】
請求項9において、
前記COD分析試薬として前記過マンガン酸カリウム溶液を用いる際に、
亜硫酸ナトリウム溶液を添加して前記酸化性物質を分解した後、
硫酸溶液を添加して過剰の亜硫酸イオンを分解し、更に酸素供給を行うことにより過剰の亜硫酸イオンの分解を促進し、
硝酸銀溶液を添加して溶液中のハロゲン化物イオンを除去し、
過マンガン酸カリウム溶液を添加して溶液中の残余の酸化性物質を還元し、
シュウ酸ナトリウム溶液を添加して溶液中の残余の過マンガン酸カリウム溶液を除去し、
過マンガン酸カリウム溶液で滴定してシュウ酸ナトリウム溶液の余剰分を反応させて、CODの分析を行うことを特徴とするCOD分析方法。
【請求項12】
請求項9において、
前記COD分析試薬として前記過マンガン酸カリウム溶液を用いる際に、
亜硫酸ナトリウム溶液を添加して前記酸化性物質を分解した後、
硫酸溶液を添加して過剰の亜硫酸イオンを分解し、更に酸素供給を行うことにより過剰の亜硫酸イオンの分解を促進し、
更に硫酸溶液を添加して硫酸酸性とし、
硝酸銀溶液を添加して溶液中のハロゲン化物イオンを除去し、
過マンガン酸カリウム溶液を添加して溶液中の残余の酸化性物質を還元し、
シュウ酸ナトリウム溶液を添加して溶液中の残余の過マンガン酸カリウム溶液を除去し、
過マンガン酸カリウムで滴定してシュウ酸ナトリウム溶液の余剰分を反応させて、CODの分析を行うことを特徴とするCOD分析方法。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれか一つにおいて、
前記酸化性物質が、次亜塩素酸ナトリウム又は過酸化水素であることを特徴とするCOD分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−292719(P2007−292719A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256372(P2006−256372)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】