説明

COX‐2阻害薬及びEGFR[ERBB1]とHER‐2[ERBB2]の二重阻害薬を用いた癌を治療するための併用療法

本明細書には、組成物並びに被験者における癌、腫瘍、及び腫瘍関連疾患を治療する際にこれらの組成物を使用する方法が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌、腫瘍、及び腫瘍関連疾患を治療するための混合組成物及びそのような混合物の使用に関する。
【0002】
(相互参照)
本出願は、2007年9月24日に出願された米国仮出願第60/974731号の利益を主張するものであり、これらは本出願明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
癌、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び新生物性疾患状態は重篤であり、生命に危険を及ぼす状態であることが多い。これら急速に増殖する細胞成長を特徴とする疾患及び障害について、依然として治療に有効な治療薬を同定しようと研究努力が続けられている。そのような薬剤は患者の生存期間を延長し、新生物を伴う急速に増殖する細胞成長を阻害する、あるいは新生物の退縮に影響を及ぼすと考えられる。
【0004】
概して、手術及び放射線療法は、局所限局型とみなされる癌の治療法として検討される第1選択療法であり、最善の予後が得られる。特定の癌に対する化学療法は、一般的に生存率は期待外れの結果に終わるが、それでも延命効果は得られる。例えば、進行性の転移性乳癌を有する患者に対しては、パクリタキセル、ドセタキセル、アントラサイクリン、又はトラスツズマブ等の化学療法レジメンが使用される。患者がこの療法に反応しなかった場合は、次にラパチニブとカペシタビンの併用投与が行われる。ラパチニブは、高発現し、場合によっては種々のタイプの癌に突然変異する上皮成長因子受容体(EGFR[ErbB1])チロシンキナーゼとHER2[ErbB2]受容体チロシンキナーゼの両方を標的とする。患者がラパチニブ投与に反応しなかった場合は、従来の治療を追加するが、利益は少ない。
【0005】
ほとんどの治療薬と同様、ラパチニブも進行性の転移性乳癌の治療に対し承認されているが、その使用により副作用が生じる。例えば、よくみられる副作用(ラパチニブ服用患者の20%超)は皮疹、下痢、疲労、手掌・足底発赤知覚不全、悪心、及び嘔吐などである。さらに、頻度が少ない副作用は、左室駆出率低下及びQT間隔延長などである。極めて興味深いのは、腫瘍の治療にラパチニブを利用することで当初は腫瘍サイズが縮小するが、最終的に腫瘍サイズは拡大し、とりわけ耐性が生じることが示唆されているという意見が増えていることである。ラパチニブは、使用により癌に効果があるという点で癌治療に使用される治療薬の代表であると考えられるが、完全には明らかにされていないその他の要因により、腫瘍は耐性を獲得し、進行する。
【0006】
したがって、必要なのは、薬剤の有効性を増加させ、一般的に従来の治療法と関連のある副作用を低減及び/又は除去する治療的併用で認められる相乗作用を利用する、癌に対する組成物及び/又は治療法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書には、1,2‐ジフェニルピロール誘導体(COX-2選択的阻害薬)とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物の投与に基づく癌の治療法が記載されている。本方法は、この混合物に1種類又は複数の治療薬又は治療法が補充される治療法をさらに含む。1つの方法では、カペシタビンは1,2ジフェニルピロールとEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬と併用投与される。後者の組み合わせは、HER2[ErbB2]の過剰発現に関連する乳癌の治療に役立つ。1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬は、別個の製剤として又は併用して1つの製剤として(一定用量等)提供される。
【0008】
1つの実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物を提供するものであり、この場合、NSAID性副作用は実質的に減少する。例えば、NSAID性副作用には悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、胃炎、十二指腸炎、胃の出血、十二指腸の出血、食欲低下、皮疹、浮動性めまい、頭痛、傾眠状態、体液貯留、浮腫、腎不全、肝不全、潰瘍、及び術後出血の長期化などが含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む組成物を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブであり、この場合、NSAID性副作用は実質的に減少する。
【0009】
本明細書に記載される1,2‐ジフェニルピロール誘導体は、以下の一般式:
【化1】

(Rは水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至6のアルキル基であり、
は炭素原子数1乃至6のアルキル基又はアミノ基であり、
は置換されていない、又は置換基α及び置換基βからなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるフェニル基であり、
は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至6の、置換されていない、又は水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基であり、
は水素原子、炭素原子数1乃至6の、置換されていない、又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基;炭素原子数3乃至8のシクロアルキル基;アリール基;アラルキル基;環状炭素における環炭素原子数6乃至14の、置換されていない、又は置換基α及び置換基βからなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換される前述のアリール基;炭素原子数1乃至6且つ上で規定される少なくとも1つのアリール基により置換されるアルキル基である前述のアラルキル基;
ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選択される前述の置換基α;
炭素原子数1乃至6の、置換されていない、又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基からなる群から選択される前述の置換基β、炭素原子数1乃至6のアルカノイロキシ基、メルカプト基、炭素原子数1乃至6のアルカノイルチオ基、炭素原子数1乃至6のアルキルスルフィニル基;炭素原子数3乃至8のシクロアルクロキシ基(cycloalkloxy group);炭素原子数1乃至6のハロアルコキシ基;及び炭素原子数1乃至6のアルキレンジオキシ基;あるいは薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグである)
で表される。
【0010】
1つの実施形態では、本発明が提供する1,2‐ジフェニルピロール誘導体は、以下の一般式:
【化2】

(Rは水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至4のアルキル基であり、
はメチル基又はアミノ基であり、
は無置換フェニル基又はハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるフェニル基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基、炭素原子数1乃至4のハロアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキレンジオキシ基であり、
は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、又は炭素原子数1乃至4且つハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基及び炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換される置換アルキル基であり、
は水素原子、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つ水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換される置換アルキル基、炭素原子数3乃至6のシクロアルキル基、環炭素原子数6乃至10且つハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により無置換又は置換されるアリール基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基、炭素原子数3乃至7のシクロアルキロキシ基、アルキル部における炭素原子数1乃至4且つ前述のアリール基を少なくとも1つ含むアラルキル基、あるいは薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグである)
で表される。
【0011】
1つの実施形態では、本発明は、
Rは水素原子であり、
はアミノ基であり、
は無置換フェニル基又はハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基、炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数1乃至4のハロアルキル基、炭素原子数1乃至4のハロアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキレンジオキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるフェニル基であり、
は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は炭素原子数1乃至4のハロアルキル基であり、
は水素原子、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つヒドロキシ基及び炭素原子数1乃至4のアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換される置換アルキル基、炭素原子数3乃至6のシクロアルキル基、環炭素原子数6乃至10且つヒドロキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により無置換又は置換されるアリール基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つ少なくとも1つのハロゲン原子により無置換又は置換されるアルキル基、炭素原子数3乃至7のシクロアルキロキシ基、及びアルキル部における炭素原子数1乃至4且つ前述のアリール基を少なくとも1つ含むアラルキル基、あるいは薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグであるような、1,2‐ジフェニルピロール誘導体を提供する。
【0012】
1つの実施形態では、Rは水素原子である。別の実施形態では、Rはフッ素原子である。別の実施形態では、Rは塩素原子である。別の実施形態では、Rはメチル基である。
【0013】
1つの実施形態では、Rはメチル基である。別の実施形態では、Rはアミノ基である。
【0014】
1つの実施形態では、Rはフェニル基である。
【0015】
1つの実施形態では、Rは水素原子である。別の実施形態では、Rはハロゲン原子である。
【0016】
1つの実施形態では、Rは水素原子である。
【0017】
「アリール」とは1つ又は複数の芳香環における炭素原子数6乃至14の炭素環芳香族炭化水素基又は炭素原子数3乃至10のシクロアルキル基に融合されるような基のことであり、その基はヒドロキシ基、ハロゲン原子、低アルコキシ基、低アルキルチオ基、低アルキル基、アルカノイロキシ基、メルカプト基、アルカノイルチオ基、低アルキルスルフィニル基、シクロアルクロキシ基、低ハロアルコキシ基、及び低アルキレンジオキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する低アルキル基である。
【0018】
一部の実施形態では、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は、本明細書中で参照して援用する米国特許第6887893号明細書において開示される表2の化合物2‐1乃至2‐213からなる群から選択される。
【0019】
1つの実施形態では、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は4‐メチル‐2‐(4‐メチルフェニル)‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐メトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐クロロフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、4‐メチル‐2‐(4‐メチルチオフェニル)‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐メトキシ‐3‐メチルフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(3‐フルオロ‐4‐メトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(3,4‐ジメチルフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、4‐メチル‐1‐(4‐メチルチオフェニル)‐2‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、1‐(4‐アセチルアミノスルフォニルフェニル)‐4‐メチル‐2‐(4‐メトキシフェニル)ピロール、及び1‐(4‐アセチルアミノスルフォニルフェニル)‐4‐メチル‐2‐(3,4‐ジメチルフェニル)ピロールからなる群から選択される。別の実施形態では、本発明は、1,2‐ジフェニルピロール誘導体が2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールである方法を提供する。
【0020】
別の実施形態では、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールである。
【0021】
本明細書で示されている1,2‐ジフェニルピロール誘導体の合成法は、米国特許RE第39420号明細書の「実施例」の項に記載されており、これを本出願明細書に援用する。
【0022】
1つの実施形態では、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬は、以下の一般式:
【化3】

(XはN又はCHであり、
YはW(CH)、(CH)W又はW基であり、この場合、WはO、S(O)であり、mは0、1、又は2あるいはNRであり、この場合、Rは水素又はC1〜8のアルキル基であり、
は、N、O、又はS(O)から選択される1乃至4のヘテロ原子を含む5‐又は6‐員環複素環であり、この場合、mは上記のとおりであり、環には近接する2つの原子O又はS(O)がなく、ヘテロ原子としてNのみを有する場合、環はC結合キナゾリン又はキノリン環であり、Rは1つ又は複数のR基により任意選択的に置換され、
各Rはアミノ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、カルボキシ、ホルミル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルバモイル、ウレイド、グアニジノ、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、C3〜8シクロアルコキシル、C4〜8アルキルシクロアルコキシ、C1〜8アルキルカルボニル、C1〜8アルコキシカルボニル、N‐Cl‐4アルキルカルバモイル、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル、ヒドロキシアミノ、C1〜4アルコキシアミノ、C2〜4アルカノイルオキシアミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4アルキル)アミノ、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C1〜4アルキレン‐(C1〜4アルキル)アミノ、C1〜4アルキルアミノ‐C1〜4アルキレン‐(C1〜4アルキル)アミノ、ヒドロキシ‐C1〜4アルキレン‐(C1〜4アルキル)アミノ、フェニル、フェノキシ、4‐ピリドン‐1‐イル、ピロリジン‐1‐イル、イミダゾール‐1‐イル、ピペリジノ、モルフォリノ、チオモルフォリノ、チオモルフォリノ‐1‐オキシド、チオモルフォリノ‐1,1‐ジオキシド、ピペラジン‐1‐イル、4‐C1〜4アルキルピペラジン‐1‐イル、ジオキソラニル、C1〜8アルキルチオ、アリールチオ、C1〜4アルキルスルフィニル、C1〜4アルキルスルフォニル、アリールスルフォニル、アリールスルフィニル、ハロゲノ‐C1〜4アルキル、ヒドロキシ‐C1〜4アルキル、C2〜4アルカノイロキシ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ‐C1〜4アルキル、カルボキシ‐C1〜4アルキル、ホルミル‐C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシカルボニル‐C1〜4‐アルキル、カルバモイル‐C1〜4アルキル、N‐C1〜4アルキルカルバモイル‐C1〜4アルキル、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル‐C1〜4アルキル、アミノ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルキルアミノ‐C1〜4アルキル、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C1〜4アルキル、フェニル‐C1〜4アルキル、4‐ピリドン‐1‐イル‐C1〜4アルキル、ピロリジン‐1‐イル‐C1〜4アルキル、イミダゾール‐1‐イル‐C1〜4アルキル、ピペリジノ‐C1〜4アルキル、モルフォリノ‐C1〜4‐アルキル、チオモルフォリノ‐C1〜4アルキル、チオモルフォリノ‐1‐オキシド‐C1〜4アルキル、チオモルフォリノ‐1,1‐ジオキシド‐C1〜4アルキル、ピペラジン‐1‐イル‐C1〜4アルキル、4‐C1〜4アルキルピペラジン‐1‐イル‐C1〜4アルキル、ヒドロキシ‐C2〜4アルコキシ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルコキシ‐C1〜4アルキル、ヒドロキシ‐C2〜4アルキルアミノ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ‐C2〜4‐アルキルアミノ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルキルチオ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルキルスルフィニル‐C1〜4アルキル、C1〜4アルキルスルフォニル‐C1〜4アルキル、ヒドロキシ‐C2〜4アルキルチオ‐C1〜4‐アルキル、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルキルチオ‐C1〜4アルキル、フェノキシ‐C1〜4アルキル、アニリノ‐C1〜4アルキル、フェニルチオ‐C1〜4アルキル、シアノ‐C1〜4アルキル、ハロゲノ‐C2〜4アルコキシ、ヒドロキシ‐C2〜4アルコキシ、C2〜4アルカノイロキシ‐C2〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルコキシ、カルボキシ‐C1〜4アルコキシ、ホルミル‐C1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル‐C1〜4アルコキシ、カルバモイル‐C1〜4アルコキシ、N‐C1〜4アルキルカルバモイル‐C1〜4アルコキシ、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル‐C1〜4アルコキシ、アミノ‐C2〜4アルコキシ、C1〜4アルキルアミノ‐C2〜4アルコキシ、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C2〜4アルコキシ、ジ‐(C1〜4アルキル‐C2〜4アルコキシ)アミノ‐C2〜4アルコキシ、C2〜4アルカノイロキシ、ヒドロキシ‐C2〜4‐アルカノイロキシ、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルカノイロキシ、フェニル‐C1〜4アルコキシ、フェノキシ‐C2〜4アルコキシ、アニリノ‐C2〜4‐アルコキシ、フェニルチオ‐C2〜4アルコキシ、4‐ピリドン‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、ピペリジノ‐C2〜4アルコキシ、モルフォリノ‐C2〜4アルコキシ、チオモルフォリノ‐C2〜4アルコキシ、チオモルフォリノ‐1‐オキシド‐C2〜4アルコキシ、チオモルフォリノ‐1,1‐ジオキシド‐C2〜4‐アルコキシ、ピペラジン‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、4‐C1〜4アルキルピペラジン‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、ピロリジン‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、イミダゾール‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、ハロゲノ‐C2〜4‐アルキルアミノ、ヒドロキシ‐C2〜4アルキルアミノ、C2〜4アルカノイロキシ‐C2〜4アルキルアミノ、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルキルアミノ、カルボキシ‐C1〜4アルキルアミノ、C1〜4アルコキシカルボニル‐C1〜4アルキルアミノ、カルバモイル‐C1〜4アルキルアミノ、N‐C1〜4アルコキシカルバモイル‐C1〜4アルキルアミノ、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル‐C1〜4アルキルアミノ、アミノ‐C2〜4アルキルアミノ、C1〜4アルキルアミノ‐C2〜4アルキルアミノ、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C2〜4アルキルアミノ、フェニル‐C1〜4アルキルアミノ、フェノキシ‐C2〜4アルキルアミノ、アニリノ‐C2〜4アルキルアミノ、4‐ピリドン‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、ピロリジン‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、イミダゾール‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、ピペリジノ‐C2〜4アルキルアミノ、モルフォリノ‐C2〜4‐アルキルアミノ、チオモルフォリノ‐C2〜4アルキルアミノ、チオモルフォリノ‐1‐オキシド‐C2〜4アルキルアミノ、チオモルフォリノ‐1,1‐ジオキシド‐C2〜4アルキルアミノ、ピペラジン‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、4‐(C1〜4アルキル)ピペラジン‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、フェニルチオ‐C2〜4アルキルアミノ、C2〜4アルカノイルアミノ、C1〜4アルコキシカルボニルアミノ、C1〜4アルキルスルフォニルアミノ、C1〜4アルキルスルフィニルアミノ、ベンズアミド、ベンゼンスルホンアミド、3‐フェニルウレイド、2‐オキソピロリジン‐1‐イル、2,5‐ジオキソピロリジン‐1‐イル、ハロゲノ‐C2〜4アルカノイルアミノ、ヒドロキシ‐C2〜4アルカノイルアミノ、ヒドロキシ‐C2〜4アルカノイル‐(C1〜4アルキル)‐アミノ、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルカノイルアミノ、カルボキシ‐C2〜4アルカノイルアミノ、C1〜4アルコキシカルボニル‐C2〜4アルカノイルアミノ、カルバモイル‐C2〜4アルカノイルアミノ、N‐C1〜4アルキルカルバモイル‐C2〜4アルカノイルアミノ、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル‐C2〜4アルカノイルアミノ、アミノ‐C2〜4アルカノイルアミノ、C1〜4アルキルアミノ‐C2〜4アルカノイルアミノ、又はジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C2〜4アルカノイルアミノからなる群から独立して選択され、
この場合、R置換基の前述のベンズアミド置換基又はベンゼンスルホンアミド置換基あるいはアニリノ基、フェノキシ基、又はフェニル基は任意選択的に1つ又は2つのハロゲノ置換基、C1〜4アルキル置換基、又はC1〜4アルコキシ置換基を有し、複素環式環を有する置換基は、前述の環に任意選択的に1つ又は2つのハロゲノ置換基、C1〜4アルキル置換基、又はC1〜4アルコキシ置換基を有し、複素環式環を有する置換基は、前述の環に任意選択的に1つ又は2つのオキソ置換基又はチオキソ置換基を有し、
あるいはRはM1‐M2‐M3‐M4、M1〜M5、又はM1‐M2‐M3’‐M6から選択される群であり、この場合、
M1はC1〜4アルキル基であり、この場合、任意選択的にCH基はCO基により置換されるものであり、
M2はNR12又はCR1213であり、この場合R12及びR13はそれぞれ独立してH又はC1〜4アルキルであり、
M3はC1〜4アルキル基であり、
M3’はC1〜4アルキル基であるか存在せず、
M4はCN、R12S(O)13、S(O)NR1415、CONR1415、S(O)13又はCO13であり、この場合、R12、R13、及びmは上の定義のとおりであり、R14及びR15はそれぞれ独立してH又はC1〜4アルキルであり、あるいはR14及びR15は窒素原子と結合して、N、O、又はS(O)から選択される1つ又は2つの追加的ヘテロ原子を任意選択的に含む5‐又は6-員環複素環を形成し、この場合、窒素原子が存在する環はC1〜4アルキル基により任意選択的に置換され、その環は1つ又は2つのオキソ置換基又はチオキソ置換基を任意選択的に含み、
M5はNR1415基であり、この場合、R14及びR15は上の定義のとおり、あるいはM5は
【化4】

であり、この場合、tは2〜4、R16はOH,OC1〜4アルキル、又はNR1415であり、
M6はNR1415であるC3〜6シクロアルキル基であり、この場合、R14及びR15は上の定義のとおりであり、あるいは、N、O、又はS(O)から選択される1〜4つのヘテロ原子を含む5‐又は6-員環複素環系であり、
pは0〜3、あるいはPが2又は3のときは近接する2つのR基が任意選択的に置換されるメチレンジオキシ基又はエチレンジオキシ基を形成し、
は水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、及びC1〜4アルコキシからなる群から選択され、
Uはフェニルあるいは5〜10‐員単環系又は二重環系であり、この場合、1つ又は複数の炭素原子がN、O、及びS(O)から独立的に選択されるヘテロ原子により任意選択的に置換され、この場合、mは0、1、又は2であり、Uは少なくとも1つの独立的に選択されるR基であり、Uは少なくとも1つの独立的に選択されるR基であり、
各Rは独立して水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルアミノ、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルフィニル、C1〜4アルキルスルフォニル、C1〜4アルキルカルボニル、C1〜4アルキルカルバモイル、ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル、カルバミル、C1〜4アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ、又はトリフルオロメチルであり、
各Rは独立的にZR基であり、この場合、Zは(CHを介してRと結合し、この場合、pは0、1、又は2であり、ZはV(CH)基、V(CF)基、(CH)V基、(CF)V基、V(CRR)基、V(CHR)基、又はVであり、この場合、R及びRはそれぞれC1〜4アルキルであり、Vは0、1、又は2個の炭素原子、カルボニル、ジカルボニル、CH(OH)、CH(CN)、スルホンアミド、アミド、O、S(O)、又はNRを含むヒドロカルビル基であり、この場合、Rは水素あるいはRはC1〜4アルキルであり、Rは任意選択的に置換されるC3〜6シクロアルキルあるいは任意選択的に置換される5、6、7、8、9、又は10‐員炭素環成分又は複素環成分であり、
あるいはRはZR基であり、この場合、ZはNRであり、NR及びRは任意選択的に置換される5、6、7、8、9、又は10‐員炭素環成分又は複素環成分を形成する)
で表されるか、又はその塩類、又は溶媒化合物である。
【0023】
別の実施形態では、上記のEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はさらに改良することが可能であり、この場合Rは、C1〜4アルキルスルフィニル‐C1〜4アルキル又はC1〜4アルキルスルフォニルC1〜4アルキルから選択される1つ又は複数のR基により置換される5‐又は6‐員環複素環である。
【0024】
別の実施形態では、上記のEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はさらに改良することが可能であり、この場合、XはN、YはNRであり、この場合、Rは水素又はC1〜4アルキルであり、Rはフラン、チアゾール、チオフェン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、トリアゾール、ジオキソラン、あるいはこれらの基の部分水素化誘導体又は完全水素化誘導体であり、これらはメチルスルフォニルエチルアミノメチル、メチルスルフォニルエチルアミノ‐カルボニル、メチルスルフィニルエチルアミノ‐メチル、メチルスルフィニルエチルアミノ‐カルボニル、メチルスルフォニルプロピルアミノ‐メチル、メチルスルフィニルプロピルアミノ‐メチル、メチルスルフォニルプロピルアミノ‐カルボニル、メチルスルフィニルプロピルアミノ‐カルボニル、メチルスルフォニルエチル‐(メチルアミノ)‐メチル、メチルスルフォニルエチル‐(メチルアミノ)‐カルボニル、メチルスルフィニルエチル‐(メチルアミノ)‐メチル、メチルスルフィニルエチル‐(メチルアミノ)‐カルボニル、メチルスルフォニルプロピル‐(メチルアミノ)‐メチル、メチルスルフィニルプロピル‐(メチルアミノ)‐メチル、メチルスルフォニルプロピル‐(メチルアミノ)‐カルボニル、メチルスルフィニルプロピル‐(メチルアミノ)‐カルボニル、メチルスルホンアミドエチルアミノ‐メチル、メチルスルホンアミドプロピルアミノ‐メチル、アミノスルフォニルエチルアミノメチル、メチルアミノスルフォニルエチルアミノメチル、サルコシンアミドメチル、グリシニルメチル、グリシンアミドメチル、グリシニルメチルメチルエステルアセチルアミノエチルアミノメチル、ピペラジニルメチル、メチルピペラジニルメチル、ピペリジニルメチル、ピリジルメチル、N‐(プロリンアミド)メチル、(N,N‐ジメチル‐プロリンアミド)メチル、ピリジルアミノメチル、シクロプロピルアミノメチル、N‐(ピペリジン‐4‐イル)‐N‐メチルアミノメチル、N,N‐ジメチルアミノプロプ‐2‐イルアミノメチル、N‐(2‐ジメチルアミノエチル)‐N‐エチルアミノメチル、イソプロピルアセトアミド、N‐モルフォリニルアセトアミド、又はテトラヒドロフラノメチルアミノメチルから選択されるR基により任意選択的に置換され、1つ又は複数のC1〜4アルキル基により任意選択的にさらに置換され、pは0であり、Rは水素であり、Rは水素、ハロ、又はメチルであり、Uはフェニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、又はインダゾリルであり、Rはフェニル、ベンジル、α‐メチルベンジル、フルオロベンジル、ジフルオロベンジル、ピリジルメチル、ベンゼンスルフォニル、フェノキシ、フルオロフェノキシ、ベンジルオキシ、又はフルオロベンジルオキシである。別の実施形態では、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬は
【化5】

の群から選択される。別の実施形態では、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0025】
(使用法)
本発明は、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブを含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供する。
【0026】
1つの実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールである。
【0027】
別の実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0028】
別の実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬あるいはこれらの各薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグを含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものである。
【0029】
1つの実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は4‐メチル‐2‐(4‐メチルフェニル)‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐メトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐クロロフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、4‐メチル‐2‐(4‐メチルチオフェニル)‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐メトキシ‐3‐メチルフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(3‐フルオロ‐4‐メトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(3,4‐ジメチルフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、4‐メチル‐1‐(4‐メチルチオフェニル)‐2‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、1‐(4‐アセチルアミノスルフォニルフェニル)‐4‐メチル‐2‐(4‐メトキシフェニル)ピロール、及び1‐(4‐アセチルアミノスルフォニルフェニル)‐4‐メチル‐2‐(3,4‐ジメチルフェニル)ピロールからなる群から選択される。
【0030】
別の実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬は、順番を問わず連続的に又は同時に投与される。別の実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体が先に投与される。1つの実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬が先に投与される。別の実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、この混合物の投与は1,2‐ジフェニルピロール誘導体又はEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬のいずれかの単独投与に比べて被験者の治療を強化する。別の実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、この混合物の投与は腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌の治療による副作用を低減する。
【0031】
1つの実施形態では、本発明は腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌は、HER2/neuの過剰発現を特徴とする。
【0032】
1つの実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、癌は口腔癌、前立腺癌、直腸癌、非小細胞肺癌、口唇・口腔癌、肝臓癌、肺癌、肛門癌、腎臓癌、外陰癌、乳癌、口腔咽頭癌、鼻腔癌、副鼻腔癌、鼻咽腔癌、尿道癌、小腸癌、胆管癌、膀胱癌、卵巣癌、咽頭癌、下咽頭癌、胆嚢癌、結腸癌、結腸直腸癌、頭頚部癌、副甲状腺癌、陰茎癌、膣癌、甲状腺癌、膵臓癌、食道癌、ホジキンリンパ腫、白血病関連疾患、菌状息肉腫、及び骨髄異形成症候群からなる群から選択される。
【0033】
1つの実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、癌は乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、胃癌、唾液腺癌、膵臓癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、口腔癌、及び扁平上皮癌から選択される。
【0034】
別の実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、癌は非小細胞肺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、及び頭頚部癌である。
【0035】
1つの実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び/又は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、癌は乳癌である。
【0036】
1つの実施形態では、本発明は癌を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、癌は癌腫、腫瘍、新生物、リンパ腫、黒色腫、神経膠腫、肉腫、及び芽腫である。
【0037】
1つの実施形態では、本発明は癌腫を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、癌腫は癌腫、腺癌、腺様嚢胞癌、腺扁平上皮癌、副腎皮質癌、高分化癌、扁平上皮癌、漿液性腺癌、小細胞癌、浸潤性扁平上皮癌、大細胞癌、島細胞癌、燕麦細胞癌、扁平上皮癌、未分化癌、いぼ状癌、腎細胞癌、乳頭状漿液性腺癌、メルケル細胞癌、肝細胞癌、軟組織癌、気管支腺癌、管癌、バルトリン腺癌、基底細胞癌、癌肉腫、乳頭腫/癌腫、明細胞癌、類内膜腺癌、中皮癌、転移性癌、粘類表皮癌、胆管細胞癌、光線角化症、嚢胞腺腫、及び肝腺腫症からなる群から選択される。
【0038】
1つの実施形態では、本発明は腫瘍を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、腫瘍は星細胞腫、悪性中皮腫、卵巣生殖細胞腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、ウィルムス腫瘍、下垂体腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、ガストリノーマ、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、脳腫瘍、松果体腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、ソマトスタチン産生腫瘍、内胚葉洞腫瘍、カルチノイド症候群、大脳星細胞腫、グルカゴノーマ、肝細胞腺腫、インスリノーマ、髄様上皮腫、形質細胞腫、ビポーマ、及び褐色細胞腫からなる群から選択される。
【0039】
1つの実施形態では、本発明は新生物を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、新生物は上皮内新生物、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、形質細胞新生物、上皮間扁平上皮細胞新生物、内膜増殖症、巣状結節性過形成、血管内皮腫、及び悪性胸腺腫からなる群から選択される。
【0040】
1つの実施形態では、本発明はリンパ腫を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、リンパ腫は神経系リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ腫、及びワルデンストローム・マクログロブリン血症からなる群から選択される。
【0041】
1つの実施形態では、本発明は黒色腫を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、黒色腫は末端黒子型黒色腫、表在拡大型黒色腫、ブドウ膜黒色腫、悪性黒子由来黒色腫、黒色腫、眼球内黒色腫、細胞腺腫、結節性黒色腫、及び血管腫からなる群から選択される。
【0042】
1つの実施形態では、本発明は肉腫を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、肉腫は腺腫、腺肉腫、コンドザルコーマ、子宮内膜間質細胞肉腫、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、肉腫、子宮肉腫、骨肉腫、及び偽肉腫からなる群から選択される。
【0043】
1つの実施形態では、本発明は神経膠腫を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、神経膠腫は神経膠腫、脳幹膠腫、視床下部神経膠腫、及び視路神経膠腫からなる群から選択される。
【0044】
1つの実施形態では、本発明は芽腫を有する被験者を治療する方法を提供するものであり、この場合、芽腫は肺芽腫、胸膜肺芽腫、網膜芽腫、神経芽腫、髄芽腫、膠芽腫、及び血管芽腫からなる群から選択される。
【0045】
1つの実施形態では、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬は小分子化合物である。別の実施形態では、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はGW2974、ゲフィチニブ、AEE788、HKI‐272、BIBW‐2992、及びPKI‐166あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグからなる群から選択される小分子化合物である。
【0046】
1つの実施形態では、本発明は腫瘍細胞の分化を誘発する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む有効量の混合物を細胞と接触させることを含んでいて、その方法により混合物が腫瘍を区別する。1つの実施形態では、本発明は腫瘍細胞の分化を誘発する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む有効量の混合物を細胞と接触させることを含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0047】
1つの実施形態では、本発明は癌細胞の増殖を阻害する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を癌細胞と接触させることを含んでいて、その方法により混合物が癌細胞の増殖を阻害する。1つの実施形態では、本発明は癌細胞の増殖を阻害する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を癌細胞と接触させることを含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0048】
別の実施形態では、本発明は癌細胞の増殖を低減する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を細胞へ送達することを含んでいて、その方法により1,2‐ジフェニルピロール誘導体単独又はEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬単独よりも細胞増殖が大きく低減される。1つの実施形態では、本発明は癌細胞の増殖を低減する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を細胞へ送達することを含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0049】
1つの実施形態では、本発明はATP分子を用いた自己リン酸化を調節する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む有効量の混合物を癌細胞へ送達することを含んでいて、この場合、混合物はATP分子を用いた自己リン酸化を阻害する。1つの実施形態では、本発明はATP分子を用いた自己リン酸化を調節する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む有効量の混合物を癌細胞へ送達することを含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0050】
別の実施形態では、本発明は腫瘍細胞の転移を阻害する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む有効量の混合物の投与を含んでいるため、混合物は腫瘍細胞の転移活性を阻害する。1つの実施形態では、本発明は腫瘍細胞の転移を阻害する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む有効量の混合物の投与を含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0051】
1つの実施形態では、本発明は癌細胞のアポトーシスを誘発する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]/HER2[ErbB2]阻害薬を含む混合物を癌細胞と接触させ、十分にアポトーシスを誘発することを含む。1つの実施形態では、本発明は癌細胞のアポトーシスを誘発する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を癌細胞と接触させることを含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0052】
別の実施形態では、本発明はEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に抵抗性を示す癌細胞をEGFR[ErbB1]阻害薬により感作する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物の投与を含んでいて、この場合、混合物はEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に対し(抵抗性を示す)癌細胞を感作する。別の実施形態では、本発明はEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に抵抗性を示す癌細胞をHER2[ErbB2]により感作する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物の投与を含んでいて、この場合、混合物はEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に対し(抵抗性を示す)癌細胞を感作する。別の実施形態では、本発明はEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に抵抗性を示す癌細胞を感作する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物の投与を含んでいて、この場合、混合物はHER2[ErbB2]に対し(抵抗性を示す)癌細胞を感作する。1つの実施形態では、本発明はEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に抵抗性を示す癌細胞をEGFR[ErbB1]阻害薬により感作する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物の投与を含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。1つの実施形態では、本発明はEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に抵抗性を示す癌細胞をHER2[ErbB2]により感作する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物の投与を含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。1つの実施形態では、本発明はEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に(EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬)抵抗性を示す癌細胞を感作する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物の投与を含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0053】
別の実施形態では、本発明は癌細胞におけるプロスタグランジン合成を調節する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を細胞と接触させることを含んでいて、この場合、混合物は癌細胞のプロスタグランジン合成を阻害する。1つの実施形態では、本発明は癌細胞におけるプロスタグランジン合成を調節する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を細胞と接触させることを含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブであり、この場合、NSAID性副作用は実質的に減少する。
【0054】
1つの実施形態では、本発明は癌細胞におけるシクロオキシゲナーゼの発現を調節する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を細胞へ送達することを含んでいて、この場合、混合物は癌細胞におけるシクロオキシゲナーゼの発現を阻害する。1つの実施形態では、本発明は癌細胞におけるシクロオキシゲナーゼの発現を調節する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を細胞へ送達することを含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0055】
1つの実施形態では、本発明は癌細胞における血管形成を調節する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を細胞と接触させることを含んでいて、この場合、混合物は癌細胞における血管形成を阻害する。1つの実施形態では、本発明は癌細胞における血管形成を調節する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を細胞と接触させることを含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。別の実施形態では、本発明は新生物形成及び/又は新生物形成関連疾患に対する従来の治療法の投与量を低減する方法を提供するものであり、その方法は被験者に対する1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物の投与を含んでいて、この場合、混合物は新生物形成及び/又は新生物形成関連疾患に対する従来の治療法の投与量を低減する。1つの実施形態では、本発明は新生物形成及び/又は新生物形成関連疾患に対する従来の治療法の投与量を低減する方法を提供するものであり、その方法は被験者に対する1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物の投与を含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0056】
1つの実施形態では、本発明は新生物形成及び/又は新生物形成関連疾患を治療する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物の投与を含む。1つの実施形態では、本発明は新生物形成及び/又は新生物形成関連疾患を治療する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物の投与を含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0057】
1つの実施形態では、本発明は免疫応答を調節する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物の投与を含む。1つの実施形態では、本発明は免疫応答を調節する方法を提供するものであり、その方法は1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物の投与を含んでいて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0058】
(併用療法)
一部の実施形態では、本明細書に記載される1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物は、1,2‐ジフェニルピロール誘導体単独の効果とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬単独の効果とを合わせた効果を有する。別の実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む組成物を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]/HER2[ErbB2]阻害薬はラパチニブであり、この場合、混合物は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール単独の効果とラパチニブ単独の効果とを合わせた効果を有する。2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールに基づく混合物は、セレコキシブで得られる効果より優れた相乗効果を示した。
【0059】
一部の別の実施形態では、本明細書に記載される1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物は、1,2‐ジフェニルピロール誘導体単独の効果とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬単独の効果とを合わせた効果を上回る効果を有する。別の実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む組成物を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブであり、この場合、混合物は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール単独の効果とラパチニブ単独の効果とを合わせた効果を上回る効果を有する。
【0060】
一部の実施形態では、本明細書に記載される1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物は、1,2‐ジフェニルピロール誘導体単独の効果(例、シクロオキシゲナーゼ‐2阻害のみ)を上回る効果を有する。別の実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む組成物を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブであり、この場合、混合物は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール単独の効果を上回る効果を有する。
【0061】
別の実施形態では、本明細書に記載される1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物は、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬単独の効果を上回る効果を有する。別の実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む組成物を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブであり、この場合、混合物はラパチニブ単独の効果を上回る効果を有する。
【0062】
別の実施形態では、本発明は本明細書に記載される1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物の投与を含む、癌、腫瘍、及び腫瘍関連疾患を治療する方法を提供するものであり、この場合、混合物は1,2‐ジフェニルピロール誘導体単独の効果とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬単独の効果とを合わせた効果を有する。別の実施形態では、本発明は本明細書に記載される1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物の投与を含む、癌、腫瘍、及び腫瘍関連疾患を治療する方法を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブであり、この場合、混合物は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール単独の効果とラパチニブ単独の効果とを合わせた効果を有する。
【0063】
一部の別の実施形態では、本発明は本明細書に記載される1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物の投与を含む、癌、腫瘍、及び腫瘍関連疾患を治療する方法を提供するものであり、この場合、混合物は1,2‐ジフェニルピロール誘導体単独の効果とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬単独の効果とを合わせた効果を上回る効果を有する。別の実施形態では、本発明は本明細書に記載される1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物の投与を含む、癌、腫瘍、及び腫瘍関連疾患を治療する方法を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブであり、この場合、混合物は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール単独の効果とラパチニブ単独の効果とを合わせた効果を上回る効果を有する。
【0064】
一部の実施形態では、本発明は本明細書に記載される1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物の投与を含む、癌、腫瘍、及び腫瘍関連疾患を治療する方法を提供するものであり、この場合、混合物は1,2‐ジフェニルピロール誘導体単独の効果(例、シクロオキシゲナーゼ‐2阻害のみ)を上回る効果を有する。別の実施形態では、本発明は本明細書に記載される1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物の投与を含む、癌、腫瘍、及び腫瘍関連疾患を治療する方法を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブであり、この場合、混合物は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール単独の効果を上回る効果を有する。
【0065】
別の実施形態では、本発明は本明細書に記載される1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物の投与を含む、癌、腫瘍、及び腫瘍関連疾患を治療する方法を提供するものであり、この場合、混合物はEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬単独の効果を上回る効果を有する。別の実施形態では、本発明は本明細書に記載される1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物の投与を含む、癌、腫瘍、及び腫瘍関連疾患を治療する方法を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブであり、この場合、混合物はラパチニブ単独の効果を上回る効果を有する。
【0066】
1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物の相乗作用を用いて、副作用が最小限となる用量で、任意の効果が得られると考えられる。例えば、患者はEGFR[ErbB1]又はHER2[ErbB2]の阻害が有効な腫瘍、腫瘍関連疾患、癌、新生物形成等の疾患、障害、又は状態に対する治療を受けるが、同時に1,2‐ジフェニルピロール誘導体阻害薬の利益を用いて、炎症等、EGFR[ErbB1]又はHER2[ErbB2]の阻害の副作用に対する治療も受けると考えられる。1つの実施形態では、本発明は、副作用が最小限となる用量で、任意の効果を得るために使用される2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物を提供する。
【0067】
1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物は、単独療法として適用されるか、あるいはカペシタビンの併用等、1種類又は複数のその他の材料及び治療薬を含むが、これらに限定されない。
【0068】
したがって、1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]阻害薬の混合物を含む組成物は、例えばビンブラスチン等の分裂抑制因子、シスプラチン、カルボプラチン、及びシクロホスファミド等のアルキル化薬、カペシタビン、5‐フルオロウラシル、シトシンアラビノサイド、及びヒドロキシウレア等の代謝拮抗物質あるいはN−(5‐[N‐(3,4‐ジヒドロ‐2‐メチル‐4‐オキソキナゾリン‐6‐イルメチル)‐N‐メチルアミノ]‐2‐テノイル)‐L‐グルタミン酸等の代謝拮抗物質、成長因子阻害薬、細胞周期阻害薬、アドリアマイシン及びブレオマイシン等の挿入用抗生物質、インターフェロン等の酵素、レトロゾール、アナストロゾール、及びエキセメスタン等のアロマターゼ阻害薬、トラスツズマブ、ペルツズマブ、及びトラスツズマブ‐DM1等のモノクローナル抗体、NolvadexO(タモキシフェン)等の抗エストロゲン又はCasodexO(4’‐シアノ‐3‐(4‐フルオロフェニルスルフォニル)‐2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐3’‐(トリフルオロメチル)プロピオンアニリド)等の抗アンドロゲン等の抗ホルモンから選択される1種類又は複数のその他の抗腫瘍物質と一緒に適用されることがある。1つの実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFREGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブであり、例えばビンブラスチン等の分裂抑制因子、シスプラチン、カルボプラチン、及びシクロホスファミド等のアルキル化薬、カペシタビン、5‐フルオロウラシル、シトシンアラビノサイド、及びヒドロキシウレア等の代謝拮抗物質あるいは又はN−(5‐[N‐(3,4‐ジヒドロ‐2‐メチル‐4‐オキソキナゾリン‐6‐イルメチル)‐N‐メチルアミノ]‐2‐テノイル)‐L‐グルタミン酸等の代謝拮抗物質、成長因子阻害薬、細胞周期阻害薬、アドリアマイシン及びブレオマイシン等の挿入用抗生物質、インターフェロン等の酵素、レトロゾール、アナストロゾール、及びエキセメスタン等のアロマターゼ阻害薬、トラスツズマブ、ペルツズマブ、及びトラスツズマブ‐DM1等のモノクローナル抗体、NolvadexO(タモキシフェン)等の抗エストロゲン又はCasodexO(4’‐シアノ‐3‐(4‐フルオロフェニルスルフォニル)‐2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐3’‐(トリフルオロメチル)プロピオンアニリド)等の抗アンドロゲン等の抗ホルモンから選択される1種類又は複数のその他の抗腫瘍物質と一緒に適用されることがある。
【0069】
1つの実施形態では、1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグを含む有効量の組成物の被験者への投与と被験者における異常な細胞成長を阻害するのに有効な放射線療法を併用することを含む、異常な細胞成長を阻害する方法を提供する。放射線療法を施行する技術は当業者には既知であり、これらの技術は本明細書に記載される併用療法で使用してよい。
【0070】
1つの実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の組成物の被験者への投与を含む、EGFR[ErbB1]阻害薬抵抗性癌細胞を有する被験者を治療する方法を提供する。1つの実施形態では、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールである。別の実施形態では、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。1つの実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の組成物の被験者への投与を含む、HER2[ErbB2]阻害薬抵抗性癌細胞を有する被験者を治療する方法を提供する。1つの実施形態では、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールである。別の実施形態では、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。1つの実施形態では、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む治療的有効量の組成物の被験者への投与を含む、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に抵抗性を示す癌細胞を有する被験者を治療する方法を提供する。1つの実施形態では、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールである。別の実施形態では、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0071】
1つの実施形態では、本発明は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール及びラパチニブを含む治療的有効量の組成物を利用してNSCLC(非小細胞肺癌)を治療する方法を提供する。さらに、NSCLCを治療する療法では、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール、ラパチニブ、及び抗悪性腫瘍薬である ベバシズマブ、ドセタキセル、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセート、ビノレルビンのいずれか1つを含む治療的有効量の組成物又は放射線療法を利用する。
【0072】
本発明の1つの実施形態は、手術後、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物を含む組成物のレジメンなど、結腸直腸癌を治療するための併用療法を提供する。さらに本発明の別の実施形態は、手術後、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物を含む組成物のレジメン並びに1種類又は複数の血管新生阻害薬(MMP阻害薬など)あるいはインテグリン拮抗薬を投与するなど、結腸直腸癌を治療するための併用療法を1年以上のサイクルで提供する。本発明の別の実施形態は、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物を含む組成物のレジメン後、結腸又は直腸からの腫瘍の外科的切除を行い、その後、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物を含む組成物のレジメンを投与するなど、結腸直腸癌を治療するための、1年以上のサイクルの併用療法を提供する。大腸癌を治療する別の療法は、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール及びラパチニブを含む治療的有効量の組成物の投与を含む。
【0073】
本明細書には、1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物及び薬剤的に許容できる賦形剤又は担体を含む、癌を治療するための医薬組成物が記載されている。
【0074】
1つの実施形態では、本発明は、薬剤的に許容できる補形剤、担体、希釈剤、又は賦形剤あるいはその混合物、及び1種類又は複数の薬剤的に許容できる賦形剤又は担体中に、有効成分として2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物、あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【0075】
別の実施形態では、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールと、薬剤的に許容できる賦形剤又は担体である。別の実施形態では、EFRGとHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブと薬剤的に許容できる賦形剤又は担体である。別の実施形態では、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EFRGとHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブと、薬剤的に許容できる賦形剤又は担体である。
【0076】
1つの実施形態では、本発明は、4‐メチル‐2‐(4‐メチルフェニル)‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐メトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐クロロフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、4‐メチル‐2‐(4‐メチルチオフェニル)‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐メトキシ‐3‐メチルフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(3‐フルオロ‐4‐メトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(3,4‐ジメチルフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、4‐メチル‐1‐(4‐メチルチオフェニル)‐2‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、1‐(4‐アセチルアミノスルフォニルフェニル)‐4‐メチル‐2‐(4‐メトキシフェニル)ピロール、及び1‐(4‐アセチルアミノスルフォニルフェニル)‐4‐メチル‐2‐(3,4‐ジメチルフェニル)ピロールからなる群から選択される1,2‐ジフェニルピロール誘導体の混合物を含む癌を治療する医薬組成物を提供する。別の実施形態では、本発明は、1,2‐ジフェニルピロール誘導体が2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールと、EFRGとHER2[ErbB2]の両方の阻害薬と、薬剤的に許容できる賦形剤又は担体である方法を提供する。
【0077】
(参照による援用)
本明細書に記載されるすべての公報、特許、及び特許出願は、各公報、特許、及び特許出願が参照により援用されたことが具体的且つ個別に示されている場合、同程度参照により援用される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】結腸直腸癌におけるCOX-2の発現量を示すグラフ。Cox-2陰性患者及びCox-2陽性患者の全10年生存率を全コホート(P=0.0006)(A)、ステージI/IIの癌を有する患者(P=0.0271)(B)、又はステージIIIの癌を有する患者(P=0.0081)(C)について示す。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本明細書には、1,2‐ジフェニルピロール誘導体(COX-2選択的阻害薬)とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物の投与に基づく癌の治療法も記載されている。本方法は、この混合物に1種類又は複数の治療薬又は治療法が補充される治療法をさらに含む。1つの方法では、カペシタビンは1,2‐ジフェニルピロールとEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬と併用投与される。後者の組み合わせは、HER2[ErbB2]の過剰発現に関連する乳癌の治療に役立つ。1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬は、別個の製剤として又は併用して1つの製剤として(一定用量等)提供される。
【0080】
本明細書に記載の本開示の理解を促すため、多くの用語を下で定義する。
【0081】
本明細書で使用される「異常な細胞成長」とは、正常細胞の異常な成長及び異常細胞の成長を含む、正常な制御機構(接触阻止の喪失等)とは無関係な細胞成長を示す。
【0082】
本明細書に記載される「新生物形成」とは制御不能の破壊された異常な細胞増殖のことであり、自律的増殖及び体細胞変異によって正常細胞と区別される。新生細胞は増殖・分化するため、遺伝子変異及び増殖特性が異常細胞に移る。新生物又は腫瘍は、新生細胞の蓄積したものである。一部の実施形態では、新生物には良性と悪性がある。
【0083】
本明細書で使用される「転移」とは、リンパ又は血管を介した腫瘍細胞の播種を示す。転移は漿液腔、くも膜下腔、又は他のスペースを介して直接拡大する腫瘍細胞の移動も示す。転移過程により腫瘍細胞が身体の他の部位に移動することで、初期に出現した部位から離れた領域に新生物が定着する。
【0084】
本明細書に記載されるように、「血管形成」は、腫瘍形成及び転移において重要である。血管形成因子は、横紋筋肉腫、網膜芽腫、ユーイング肉腫、神経芽腫、及び骨肉腫等の複数の固形腫瘍と関係していることが確認されている。腫瘍は、血液供給がなければ、拡大して栄養を補給し、細胞の老廃物を取り除くことができない。血管形成が重要である腫瘍は、腎細胞癌、肝細胞癌等の固形腫瘍並びに聴神経腫及び神経線維腫等の良性腫瘍等の固形腫瘍を含む。血管形成は、白血病等、血液由来の腫瘍と関連している。血管形成は、白血病の原因である骨髄の異常において役割を果たすと考えられている。血管形成予防により癌性腫瘍の増殖及び、その結果として生じる腫瘍の存在による被験者に対するダメージを止めることができる。
【0085】
「被験者」という用語は、哺乳類(例、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、又はマウスを含む動物を示すが、これらに限定されない。本明細書では、ヒト被験者等、哺乳類被験者について、「被験者」及び「患者」という用語を互いに同義で使用する。
【0086】
「治療する」「治療中」「治療」という用語は、障害、疾患、又は状態、あるいは障害、疾患、又は状態と関係している1種類又は複数の症状の軽減又は抑制、あるいは障害、疾患、又は状態自体の原因の軽減又は根治を含むことを意味する。
【0087】
「治療的有効量」という用語は、投与時に、治療対象の障害、疾患、又は状態の1種類又は複数の症状の発現を予防する、あるいはこれらの症状をある程度軽減するのに十分な化合物の量を示す。「治療的有効量」という用語は、研究者、獣医、開業医、又は臨床医が対処しようとする細胞、組織、系、動物、又はヒトの生物学的又は医学的反応を誘発するのに十分な化合物の量も示す。
【0088】
「薬剤的に許容できる担体」「薬剤的に許容できる賦形剤」「生理的に許容できる担体」又は「生理的に許容できる賦形剤」という用語は、液体又は固体の増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、又は封入用材料等、薬剤的に許容できる材料、組成物、又は補形剤を示す。各構成成分は、医薬品製剤の他の成分と適合するという意味において「薬剤的に許容できる」必要がある。また、各構成成分は、ヒト及び動物の組織又は臓器と接触させ、妥当なベネフィット/リスク比に対応した過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、又は他の問題や合併症が生じることなく使用するのに適している必要もある。レミントンを参照する:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition;Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia,PA,2005;Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th Edition;Rowe et al.,Eds.,The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2005;及びHandbook of Pharmaceutical Additives,3rd Edition;Ash and Ash Eds.,Gower Publishing Company:2007;Pharmaceutical Preformulation and Formulation,Gibson Ed.,CRC Press LLC:Boca Raton,FL,2004)。
【0089】
「医薬組成物」という用語は、本明細書で開示される化合物と希釈剤又は担体等、他の化学的構成成分との混合物を示す。医薬組成物は、化合物の生体への投与を促進する。技術分野にみられる化合物の複数の投与法には経口、注入、エアゾール、非経口、及び局所投与などがあるが、これらに限定されない。医薬組成物は化合物と無機酸又は有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、サリチル酸等とを反応させることによって得ることもできる。
【0090】
(シクロオキシゲナーゼ)
シクロオキシゲナーゼ(COX)は、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、及びトロンボキサン等、プロスタノイドと呼ばれる重要な生物学的メディエーターの形成に反応する酵素である。COXは、アラキドン酸というω-6必須脂肪酸をプロスタグランジンH(PGH)というシリーズ2のプロスタノイドの前駆物質へ変換する。この酵素は、PGGをPGHへ還元させるペルオキシダーゼ活性を有するヘムと、アラキドン酸がヒドロペルオキシエンドペルオキシドプロスタグランジンG(PGG)へ変換されるシクロオキシゲナーゼ部位の2つの活性部位を含む。ぺルオキシダーゼ活性部位により生成されるチロシンラジカルを用いてアラキドン酸から水素原子を引き抜くことにより反応が進み、2個の酸素分子がアラキドン酸ラジカルと反応し、PGGが得られる。
【0091】
COX‐1は、中でも胃及び腎臓の粘膜においてプロスタグランジンの生合成を引き起こす構成酵素である。COX‐2は、炎症細胞においてプロスタグランジンの生合成を引き起こす誘導性遺伝子により生成される酵素である。炎症によりCOX‐2が誘導され、プロスタノイド(プロスタグランジンE2)の放出をもたらし、これが末梢侵害受容器末端を感作し、限局性疼痛過敏症、炎症、及び浮腫を生じさせる。
【0092】
(COX‐2の過剰発現と癌)
COX‐2並びにプロスタグランジン合成経路の上流及び下流の酵素の過剰発現は、複数の癌のタイプ及び一部の新生細胞性病変で示されている。細胞生存を増強する、あるいは血管形成を刺激するオートクリン又はパラクリン経路を介したプロスタグランジンとそれらの受容体の直接の相互作用が、COX酵素の基礎にある癌誘発機能の分子レベルでの機序とされている。
【0093】
複数の試験により、シクロオキシゲナーゼにより合成されるプロスタグランジンが癌の開始及び促進の原因であることが示されている。COX‐2の異常発現は、結腸直腸癌及び腺腫において初めて報告され、現在は乳癌を含む様々なヒト癌に認められる。さらに、COX‐2は大腸、乳房、肺、前立腺、食道、膵臓、小腸、子宮頸部、卵巣、膀胱、及び頭頚部の新生物病変において過剰発現する(下の表1参照)。
【表1】

【0094】
ネズミ乳腺におけるCOX‐2の過剰発現は、腫瘍形成をもたらすのに十分である。複数のin vitro動物モデルにおいて、COX‐2阻害薬が腫瘍増殖及び転移を阻害した。
【0095】
癌それ自体の他に、COX‐2も過形成病変及新生物病変の内部及び隣接部の脈管形成性血管系に過剰発現し、COX‐2が血管形成の原因であることを示している。マウスとラットの両方で、COX‐2阻害薬はbFGF性新生血管形成を著明に阻害した。COX‐2阻害薬の化学予防薬、抗血管新生薬、及び化学療法薬としての有用性は、文献(Koki et al.,Exp.Opin.,Invest.Drugs,1999,8(10)16223‐38)に記載されている。
【0096】
さらに、複数の試験により、COX‐2の発現が大きな腫瘍サイズ、腋窩リンパ節転移陽性、及びHER2‐陽性腫瘍状態などを含む侵襲性の乳癌のパラメータと関連していることが示唆されている。マウス及びラットを用いた乳房腫瘍に関する試験では、中等度〜高度のCOX‐2発現が、非特異的及び特異的COX‐2阻害薬の投与に感受性を示す乳房腫瘍の発生と関係していることが示されている。HER2[ErbB2]チロシンキナーゼ受容体とCOX‐2の関係に関する試験により、HER2/neu陽性乳癌におけるHER2[ErbB2]シグナル伝達とCOX‐2の発現の関係が実証されている(Subbaramaiah et al.,J.Biol.Chem.,202,277,18649‐657)。
【0097】
(受容体チロシンキナーゼ)
蛋白質チロシンキナーゼは、蛋白質基質におけるATP又はGTPからのチロシン残基へのリン酸基の移動を触媒する酵素である。蛋白質チロシンキナーゼが正常な細胞成長に役割を果たしていることは明らかである。多くの成長因子受容体蛋白質はチロシンキナーゼとして作用しており、その作用はこれらの蛋白質がシグナル伝達に影響を及ぼす過程によるものである。成長因子とこれらの受容体の相互作用は、細胞成長の正常な制御に必要な状況である。しかし、特定の条件下では、変異又は過剰発現のいずれかの結果として、これらの受容体は脱制御される。その結果、細胞の増殖がコントロール不能になり、腫瘍増殖が生じ、最終的に癌になる(Wilks,Adv.Cancer Res.,1993,60,43)。成長因子受容体キナーゼのうち、同定されており、本明細書で示される混合物の標的となる癌原遺伝子は、上皮成長因子受容体キナーゼ(erbB癌遺伝子の蛋白質産物であるEGFR[ErbB1]キナーゼ)及びerbB2(neu又はHER‐2とも呼ばれる)癌遺伝子により生成される産物である。リン酸化は細胞が分裂するのに必要なシグナルであり、また、キナーゼの過剰発現及び変異は癌と関連していることから、このような状況を阻害する蛋白質チロシンキナーゼ阻害薬には、コントロール不能又は異常な細胞成長を特徴とする癌及びその他の疾患を治療する方法として価値がある。例えば、erbB‐2癌遺伝子の受容体キナーゼ産物の過剰発現は、ヒトの乳癌及び卵巣癌に関連している(Slamon et al.,Science, 1989,244,707)。EGFR[ErbB1]キナーゼの脱制御は、類表皮腫及び他の主要臓器に及ぶ腫瘍と関連している。癌の原因において脱制御受容体キナーゼが果たす役割は重要であるため、最近の多くの試験は、強力な抗癌治療薬として特異的蛋白質チロシンキナーゼ阻害薬の開発を対象としている。
【0098】
受容体チロシンキナーゼは細胞膜に広がり、上皮成長因子受容体(EGF)等の成長因子用の細胞外結合ドメイン(膜貫通ドメイン)及び蛋白質に特異的なチロシンキナーゼ残基として作用し、それにより細胞増殖に影響を及ぼす細胞内ドメインを有する。EGF受容体チロシンキナーゼファミリーはEGFR[ErbB1](HER1、erbB1)、HER2(c‐erbB2,erbB2,neu)、HER3(erbB3)、及びHER4(erbB4)の4つである。ErbB受容体は、概して2つの経路を介してシグナルを伝達する。そのようなキナーゼは、乳癌、消化管癌(結腸、直腸、又は胃)、白血病、卵巣癌、気管支癌、又は膵臓癌等、ヒトにおける一般的な癌に頻繁に異常発現することが知られている。前述のとおり、脳、肺、扁平上皮、膀胱、胃、乳房、頭頚部、食道、婦人科癌、及び甲状腺の腫瘍等、多くのヒトの癌では、上皮成長因子受容体キナーゼ(EGFR[ErbB1])が変異及び/又は過剰発現している。
【0099】
EGFR[ErbB1]及びCOX経路
EGFR[ErbB1]とCOX経路の関係は、これまでのところ、完全には解明されていない。しかし、COX‐2の誘導によりオートクリン的及び/又はパラクリン的にプロスタグランジン濃度が高くなり、血管形成、細胞増殖、及び細胞成長が促進されるという意見がある。上記のとおり、NSAIDはこの過程を阻害する。プロスタグランジンは血管形成並びに細胞の分化及び増殖を促進する。また、EGFR[ErbB1]を介したシグナル伝達を活性化させる。EGFR[ErbB1]の活性化により、チロシン残基において受容体のチロシンキナーゼドメインによるリン酸化が生じ、分子Grb‐2、SOS、小G蛋白質Rafを含むシグナリング経路が開始される。Rafはマイトジェン活性化蛋白質キナーゼキナーゼ(MAPKK)及び各転写因子群(c-myc、c‐fos、c‐jun)を活性化し、これらの因子は細胞の増殖及び分化の制御に関与する遺伝子の転写を開始する。さらに、これらの因子は、COX‐2遺伝子の転写を誘発する。このような作用は元のEGFR[ErbB1]が媒介するシグナルを著明に増幅し、新生物形成作用をもたらすと考えられる。両シグナル伝達経路を阻害することにより、著明な抗新生物形成作用をもたらす。
【0100】
HER2/neu
上記のとおり、HER2/neu(ErbB‐2とも呼ぶ)は上皮成長因子受容体(ErbB)ファミリーであり、乳癌の原因として役割を果たしており、治療の標的であることが知られている。これは細胞膜表面結合受容体チロシンキナーゼであり、通常はシグナル伝達経路に関与し、細胞成長と分化をもたらす。HER2はオーファン受容体と考えられており、これを活性化させるEGFファミリーのリガンドは認められない。しかし、ErbB受容体はリガンド結合上で二量体化し、HER2は二量化する際の他のErbBファミリーの優先的なパートナーである。
【0101】
HER2遺伝子は、ヒトの17番染色体の長腕(17q11.2‐q12)に位置する癌原遺伝子である。乳癌の約25乃至30%に、HER2/neu遺伝子の増幅又はその蛋白質産物の過剰発現が認められる。乳癌におけるこの受容体の過剰発現は、再発増加及び予後悪化に関連している。neu癌遺伝子はラットの神経膠芽腫細胞株から見つかったことから、そのような名称となっている。HER2(又はHER1)はヒトの上皮成長因子受容体とほぼ同じ構造を有するため、そのような名称となっている。ErbB2は、のちにEGFR[ErbB1]をコードすることが確認された癌遺伝子ErbB(ニワトリ赤芽球症癌遺伝子B)との類似性により、そのような名称となった。遺伝子クローニングにより、neu、HER2、及びErbB2は同一であることが証明された。
【0102】
一般に、HER2の状態を確認するには2つの方法がある。第1の方法は、遺伝子増幅の測定である。FISH又は蛍光in−situハイブリダイゼーションは遺伝子に基づく診断法であり、増幅したHER2、すなわち過剰なHER2蛋白質を同定するのに使用される。この診断法により過剰な遺伝子が示された場合、HER2陽性とみなされる。この診断法により正常な遺伝子数が示された場合、HER2陰性とみなされる。第2の方法は、蛋白質発現の測定である。蛋白質発現に基づく診断法であるIHC又は免疫組織化学を用いて、HER2遺伝子の過剰なコピーに起因するHER2蛋白質の過剰発現を同定する。IHCは、0、1+、2+、3+と様々なレベルによりHER2蛋白質過剰発現を測定する。検査が2+の場合、FISH検査を実施してHER2の状態が陽性か陰性か確認するのがよい。腫瘍が3+の場合は、HER2陽性である。
【0103】
シクロオキシゲナーゼ‐2(COX‐2)がHER2/neuの作用を仲介しているというエビデンスは増加している。上記のとおり、COX‐2はアラキドン酸のプロスタグランジン(PG)への変換を触媒する。高濃度のCOX‐2とその主要産物であるPGE2は、HER2/neuを過剰発現しているヒトの乳癌細胞及び腫瘍で確認されているが、正常な乳房組織では確認されていない。COX‐2の過剰発現はアポトーシス、特にNO誘導性アポトーシスへの抵抗性を高める。
【0104】
HER2は新たな癌療法を探るなかで重要な標的となっている。小分子キナーゼ阻害薬は、CP‐654577等、HER2のみに作用するものと、ラパチニブ、ゲフィチニブ、AEE788、HKI‐272、PKI‐166、又はBIBW‐2992等、HER2とEGFR[ErbB1]の両方に作用するものが報告されている。
【0105】
HER2/neu陽性乳癌
HER2/neuの過剰発現に関連する癌は乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、胃癌、唾液腺癌、膵臓癌、結腸直腸癌、口腔癌、及び非小細胞肺癌などである。乳癌は、抗HER2/neu治療の中心である。
【0106】
現在、米国女性において乳癌は依然としてもっとも多く診断される癌である。米国女性の8人に1人が乳癌の発症リスクを有する。乳癌の危険因子として、年齢、家族歴、食事、及び遺伝因子が同定されている。乳癌は、女性の死因の第2位である。乳癌の約25乃至30%に、HER2/neu遺伝子の増幅又はその蛋白質産物の過剰発現が認められる。乳癌におけるこの受容体の過剰発現は、再発増加及び予後悪化に関連している。
【0107】
HER2チロシンキナーゼ受容体とCOX‐2の関係に関する試験により、HER2陽性乳癌におけるHER2シグナル伝達とCOX‐2の発現の関係が実証されている(Subbaramaiah et al.,J.Biol.Chem.,202,277,18649‐657)。この試験でCOX‐2制御の機序が調べられ、HER2の誘導作用が、部分的にはCOX‐2プロモーターの環状AMP反応要素に対するAP‐1結合の強化によって媒介されることが確認された。HER2/neu陽性乳癌の治療では、本明細書に記載される療法及び組成物は、他の血管新生阻害薬と併用される、あるいは手術、放射線療法、又は例えばカペシタビン、トラスツズマブ、CL‐387785、パクリタキセル、ドセタキセル、シスプラチン、カルボプラチン等の化学療法と併用される。
【0108】
ホルモン陽性癌
乳癌の多くは、ホルモンであるエストロゲンが増殖する必要がある。閉経期に入った女性では、エストロゲンは主にアンドロゲンのエストロゲンへの変換により供給される。このプロセスは、アロマターゼという酵素により実行される。ホルモン陽性乳癌の治療では、本明細書に記載される療法及び組成物は、例えばエキセメスタン、レトロゾール、及びアナストロゾール等のアロマターゼと併用される。
【0109】
トリプルネガティブ乳癌
癌がエストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性、及びHER2陰性であるトリプルネガティブ乳癌の治療では、本明細書に記載される組成物及び方法は他の治療薬と併用される。そのような薬剤は、例えばセツキシマブ、パクリタキセル、ドセタキセル、タキサン製剤、例えばAbraxaneO(ABI‐007)、Paclitaxel‐Cremophor EL、パクリタキセル・ポリグルメックス、パクリタキセル注射用乳剤(PIE)などがある。これらの混合物は、癌がHER2の過剰発現と関連している場合は有利であると考えられるが、上記の試験における技術的制限によりまだ発見されていない。
【0110】
EGFR[ErbB1]/HER2 neu抵抗性
ErbB1/ErbB2キナーゼ阻害薬の臨床的有効性は、後天的な自己抵抗性により制限される。遺伝子発現・蛋白質解析は、ラパチニブに対する後天的抵抗性が、ErbB2発現の消失やErbB2‐MAPK‐PI3K経路のラパチニブに対する無反応ではなく、エストロゲン受容体(ER)シグナル伝達の増加によって起こることを示している。ラパチニブ単独療法を受けたErbB2‐過剰発現/ER陽性乳癌患者において、ERシグナル伝達が増加することが示唆されている。
【0111】
上記のとおり、本開示は1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物の投与に基づく癌の治療法を提供する。本開示は、1,2‐ジフェニルピロール誘導体が2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬がラパチニブである方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は化合物2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブとさらなるカペシタビンの併用投与に基づく癌の治療法を提供する。後者の組み合わせは、HER2[ErbB2]の過剰発現に関連する乳癌の治療に役立つ。1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬は、別個の製剤として又は併用して1つの製剤として(一定用量等)提供される。さらに、抵抗性の乳癌治療では、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物を含む組成物とアロマターゼ阻害薬、例えばエキセメスタン、レトロゾール、又はアナストロゾールと併用して癌を治療してもよい。本発明と有利に併用される他の療法は、下記のとおりである。
【0112】
その他の療法
本明細書で開示される療法及び組成物と有利に併用される乳癌の治療法には補助療法として放射線療法、化学療法、ホルモン療法、抗体療法、及びチロシンキナーゼ阻害薬などがあり、制限はない。
【0113】
放射線療法は、高エネルギーX線又は他の種類の放射線を用いて癌細胞を死滅させる、あるいは増殖を阻止する癌治療である。化学療法は、細胞を死滅させる、あるいはこれらの分化を止めることによって癌細胞の増殖を止める薬剤を使用する癌治療である。化学療法を服用あるいは静脈又は筋肉に注入した場合、薬剤が血流に入り、全身を回って癌細胞に到達する(全身化学療法)。化学療法を脊柱、臓器、又は腹部等の体腔に直接入れた場合、薬剤は主に当該領域の癌細胞に影響を及ぼす(局所化学療法)。化学療法の投与法は、治療対象の癌の種類及びステージに依存する。
【0114】
乳癌を治療する種々の化学療法薬は、当業者には既知である。乳癌の治療に使用される細胞毒性薬には、ドキソルビシン、シクロホスファミド、メトトレキサート、5‐フルオロウラシル、マイトマイシンC、ミトキサントロン、パクリタキセル、タキサン製剤などがある。例をあげると、AbraxaneO(ABI‐007)、Paclitaxel‐Cremophor EL、パクリタキセル・ポリグルメックス、パクリタキセル注射用乳剤(PIE)、ゲムシタビン、ドセタキセル、カペシタビン、及びエピルビシンなどがある。
【0115】
乳癌に対する他の化学療法は、ベンダムスチン、カルボプラチン(例、パラプラチンO)、カルムスチン(例、BCNUO)、クロラムブシル(例、ロイケランO)、シスプラチン(例、プラチノールO)、シクロホスファミド注射(例、シトキサンO)、経口シクロスホスファミド(例、シトキサンO)、ダカルバジン(例、DTICO)、イホスファミド(例、ifexO)、ロムスチン(例、CCNUO)、メクロレタミン(例、ナイトロジェンマスタード、MustargenO)、メルファラン(例、アルケランO)、プロカルバジン(例、マチュレーンO)、ブレオマイシン(例、ブレノキサンO)、ドキソルビシン(例、アドリアマイシンO、ルベックスO)、エピルビシン、イダルビシン(例、イダマイシンO)、ミトキサントロン(例、ノバントロンO)、ゲムシタビン(例、ジェムザールO)、経口メルカプトプリン(例、プリネトールO)、メトトレキサート、ペントスタチンIV(例、NipentO)、経口チオグアニン(例、ランビスO)、経口エトポシド(例、VP‐16、VePesidO、Etopophos)‐エトポシドIV(例、VP‐16、VePesidO、Etopophos)、ビンブラスチン(例、VelbanO)、ビンクリスチン(例、オンコビンO)、ビノレルビン(例、ナベルビンO)、デキサメタゾン(例、デカドロンO)、メチルプレドニゾロン(例、メドロールO)、及びプレドニゾン(例、DeltasoneO)の1種類又は複数の投与を含む。
【0116】
ホルモン療法は、ホルモンを除去するあるいはその作用を阻害し、癌細胞の増殖を止める癌治療である。タモキシフェンを用いるホルモン療法は、早期乳癌患者及び転移性の乳癌(身体の他の部位に広がる癌)患者に対し投与されることが多い。タモキシフェン又はエストロゲンを用いるホルモン療法は全身の細胞に作用し、子宮内膜癌の発症リスクを増加させることがある。アロマターゼ阻害薬を用いるホルモン療法は、ホルモン依存性乳癌を有する閉経後女性に投与されることがある。ホルモン依存性乳癌は、増殖するのにホルモン・エストロゲンを必要とする。
【0117】
アロマターゼ阻害薬は、アロマターゼと呼ばれる酵素を阻害することにより、アンドロゲンがエストロゲンに変わらないようにし、身体のエストロゲンを低減させる。早期乳癌を治療するため、タモキシフェンの代わりに、あるいは2年以上のタモキシフェン使用後に、特定のアロマターゼ阻害薬を補助療法として使用することがある。転移性乳癌を治療するため、臨床試験でアロマターゼ阻害薬について試験を行い、タモキシフェンを用いるホルモン療法と比較する。現在使用されているアロマターゼ阻害薬の例は、アナストロゾール、レトロゾール、及びエキセメスタンである。
【0118】
モノクローナル抗体療法は、実験室で1種類の免疫系細胞から作製した抗体を用いる癌の治療法である。このような抗体は、癌細胞上の物質又は癌細胞の成長を助ける正常な細胞を同定することができる。抗体がそれらの物質に接着して癌細胞を死滅させたり、増殖を阻害したり、広がるのを阻止したりする。モノクローナル抗体は注入投与される。モノクローナル抗体は単独で使用されるか、あるいは薬剤、毒素、又は放射性物質を癌細胞へ直接運ぶのに使用される。モノクローナル抗体は、補助療法として化学療法と併用して使用されることもある。
【0119】
トラスツズマブ(ハーセプチンO)は、成長シグナルを乳癌細胞へ伝達する成長因子蛋白質HER2の作用を阻害するモノクローナル抗体である。
【0120】
トラスツズマブは単剤として臨床反応をもたらし、進行性のHER2‐陽性乳癌に対する化学療法と併用した場合は生存期間を改善させる。しかし、患者によってはトラスツズマブに反応せず、ほとんどの場合、最終的には臨床的抵抗性が生じる。トラスツズマブの内因性及び後天性の抵抗性の機序は、よくわかっていない。細胞株を用いたアプローチにより、抵抗性に関連する遺伝的及び蛋白質の変化を示す1件の試験が報告されている(D.Tripathy et al Jouornal of Clinical Oncology,2005 Vol 23,No 16S,3121)。この研究者らは、in vitroで抵抗性が示されるまでトラスツズマブ存在下で連続的に継代させた2種類のHER2‐陽性乳癌細胞株(BT474及びSKBR3)について試験を行った。トラスツズマブ非存在下では12ヵ月後に抵抗性細胞株が生じ、増殖速度は3倍高かった。トラスツズマブ曝露後、抵抗性を示す細胞に比べて感受性細胞においてG/G停止が認められ(84対68%)、S期の細胞が少なかった(3対14%)。感受性細胞に比べて、抵抗性細胞株はトラスツズマブによる遺伝子発現の変化が少なく、ケモカイン受容体CXCR4及び有糸分裂チェックポイント制御因子が増加し、PTENが減少した。
【0121】
したがって、本明細書で開示される組成物及び療法と有利に併用される他の治療法にはアナストロゾール、ドセタキセル、エピルビシン、エキセメスタン、フルベストラント、エポチロンA、B、又はD、酢酸ゴセレリン、レトロゾール、パクリタキセル、パミドロン酸、タモキシフェン、トレミフェン、ベバシズマブ、又はトラスツズマブなどがあり、制限はない。
【0122】
上記のとおり、本明細書には、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物とカペシタビンの併用に基づく癌治療が記載されている。2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールに基づく混合物は、セレコキシブで得られる効果より優れた相乗効果を示した。これらの混合物については、下で詳細に記載される。
【0123】
2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール
2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールはCOX‐2選択的阻害薬である。米国特許第6887893号明細書及び米国特許RE第39420号明細書には、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール及び化学的に関連している他の化合物の生成について記載されている。
【化6】

2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールの化学的構造
【0124】
ラパチニブ
ラパチニブ(タイケルブ)は小分子の4‐アニリノキナゾリン系キナーゼ阻害薬である。ラパチニブはジトシル酸塩の一水和物として示され、化学名はN‐(3‐クロロ‐4‐{[(3‐フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)‐6‐[5‐({[2‐メチルスルフォニル)エチル]アミノ}メチル)‐2‐フラニル]‐4‐キナゾリンアミン・ビス(4‐メチルベンゼンスルホナート)一水和物である。現在、ラパチニブはカペシタビンとともに進行性又は転移性乳癌の治療に使用されている。米国特許第6727256号明細書及び7157466号明細書には、ラパチニブ及び化学的に関連している他の化合物の生成について記載されている。ラパチニブはEGFR[ErbB1](K=3 nM)及びHER2[ErbB2] (K=13 nM)の二重阻害薬であり、カペシタビン(ゼローダ)との併用は、以前トラスツズマブ(ハーセプチン)及びタキサンの投与を受けたことのある女性の進行性の転移性乳癌に適応する。ラパチニブ(1250 mg)は1日1回投与(食前又は食後1時間以内)、カペシタビン(2000 mg/m/日)は1日2回投与とする。
【化7】

ラパチニブの化学的構造
【0125】
1つの実施形態では、本発明は、本明細書で開示されるCOX‐2選択的阻害薬とEGFR[ErbB1]/HER2[ErbB2]阻害薬の混合物を含む組成物を、癌、腫瘍、腫瘍関連疾患、及び新生物性疾患状態の治療並びに予防のために提供する。
【0126】
1つの実施形態では、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬は小分子化合物である。
【0127】
1つの実施形態では、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。別の実施形態では、小分子化合物はGW2974、ゲフィチニブ、AEE788、HKI‐272、BIBW‐2992、及びPKI‐166あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグからなる群から選択される。
【0128】
カペシタビン
カペシタビン(ゼローダ)は、転移性乳癌及び結腸直腸癌の治療に使用される経口投与用の化学療法薬である。カペシタビンはプロドラッグであり、腫瘍において酵素的に5‐フルオロウラシルへ変換され、DNA合成を阻害し、腫瘍組織の増殖を遅らせる。カペシタビンの活性化は3つの酵素的ステップ及び2つの中間代謝物5’‐デオキシ‐5‐フルオロシチジン(5’‐DFCR)及び5’‐デオキシ‐5‐フルオロウリジン(5’‐DFUR)を有する経路をたどり、5‐フルオロウラシルを形成する。
【化8】

カペシタビンの化学的構造及びカペシタビンの5‐FUへの変換
【0129】
本明細書に記載されている組成物は、単独の鏡像異性体又は単独のジアステレオマー等、鏡像異性的に純粋である、あるいは鏡像異性体、ラセミ混合物、又はジアステレオマー混合物等、立体異性混合物である、あるいは活性薬の同質多形である。したがって、当業者は、in vivoでエピマー化される化合物について、剤形(R)の化合物の投与は、剤形(S)の投与と同等であることを理解する。個々の鏡像異性体を生成/分離する従来の方法は、光学的に純粋な適切な前駆物質からのキラル合成、あるいは例えばキラルクロマトグラフィーを用いたラセミ化合物の分解、再結晶化、分解、ジアステレオマー塩形成、又はジアステレオマー付加物への誘導体化後の分離などである。
【0130】
本明細書に記載される組成物が酸性又は塩基性の成分を含んでいる場合、その組成物は薬剤的に許容できる塩類としても提供可能である(Berge et al.,J.Pharm.Sci.1977,66,1‐19及び“Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,and Use,”Stah and Wermuth,Ed.;Wiley‐VCH and VHCA,Zurich,202参照)。
【0131】
薬剤的に許容できる塩類の生成に使用される適切な酸には酢酸、2,2‐ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L‐アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4‐アセトアミド安息香酸、ホウ酸、(+)‐ショウノウ酸、ショウノウスルホン酸、(+)‐(1S)‐ショウノウ‐10‐スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、ドデシル硫酸、エタン‐1,2‐ニスルホン酸、エタンスルホン酸、2‐ヒドロキシ‐エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D‐グルコン酸、D‐グルクロン酸、L‐グルタミン酸、α‐オキソ‐グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、(+)‐L‐乳酸、(±)‐DL‐酪酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(−)‐L‐リンゴ酸、マロン酸、(±)‐DL‐マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン‐2‐スルホンサン、ナフタレン‐1,5‐ニスルホン酸、1‐ヒドロキシ‐2‐ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、過塩素酸、リン酸、L‐ピログルタミン酸、サッカリン酸、サリチル酸、4‐アミノ‐サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)‐L‐酒石酸、チオシアン酸、p‐トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、及び吉草酸などが含まれるが、これらに限定されない。
【0132】
薬剤的に許容できる塩類の生成に使用される適切な塩基には水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛、又は水酸化ナトリウム等の無機塩基、L‐アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2‐(ジエチルアミノ)‐エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、N‐メチル‐グルカミン、ヒドラバミン、1H‐イミダゾール、L‐リジン、モルフォリン、4‐(2‐ヒドロキシエチル)‐モルフォリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1‐(2‐ヒドロキシエチル)‐ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、二級アミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N‐メチル‐D‐グルカミン、2‐アミノ‐2‐(ヒドロキシメチル)‐1,3‐プロパンジオール、及びトロメタミンを含む一級、二級、三級、及び四級の脂肪族及び芳香族アミン等の有機塩基などが含まれるが、これらに限定されない。
【0133】
本明細書に記載される組成物は、1,2‐ジフェニルピロール誘導体及び/又はEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の機能的誘導体であり、in vivoですぐに親化合物へ変換可能なプロドラッグとしても提供可能である。プロドラッグは、場合によっては親化合物より投与しやすいため、役に立つことが多い。例えば、プロドラッグは経口により生物学的に利用可能であるが、親化合物はそうではない。プロドラッグは、親化合物より医薬組成物の溶解性も高めると考えられる。プロドラッグは、酵素的過程及び代謝性加水分解など、様々な機序により親化合物へ変換される。Harper,Progress in Drug Research 1962,4,221‐294; Morozowich et al.in“Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs,”Roche Ed.,APHA Acad.Pharm. Sci.1977;“Bioreversible Carriers in Drug in Drug Design,Theory and Application,”Roche Ed.,APHA Acad.Pharm.Sci.1987; “Design of Prodrugs,”Bundgaard,Elsevier,1985;Wang et al.,Curr.Pharm.Design 1999,5,265‐287;Pauletti et al.,Adv.Drug.Delivery Rev.1997,27,235‐256; Mizen et al.,Pharm.Biotech.1998,11,345‐365;Gaignault et al.,Pract.Med.Chem.1996,671‐696;Asgharnejad in “Transport Processes in Pharmaceutical Systems,”Amidon et al.,Ed.,Marcell Dekker,185‐218,2000; Balant et al.,Eur.J.Drug Metab.Pharmacokinet.1990,15,143‐53; Balimane and Sinko,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,183‐209; Browne,Clin.Neuropharmacol.1997,20,1‐12;Bundgaard,Arch.Pharm.Chem.1979,86,1‐39;Bundgaard,Controlled Drug Delivery 1987,17,179‐96;Bundgaard,Adv.Drug Delivery Rev.1992,8,1‐38; Fleisher et al.,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,115‐130;Fleisher et al.,Methods Enkymol.1985,112,360‐381; Farquhar et al.,J.Pharm.Sci.1983,72,324‐325;Freeman et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1991,875‐877; Friis and Bundgaard,Eur.J.Pharm.Sci.1996,4,49‐59;Gangwar et al.,Des.Biopharm.Prop.Prodrugs Analogs,1977,409‐421;Nathwani and Wood,Drugs 1993,45,866‐94;Sinhababu and Thakker,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,241‐273; Stella et al.,Drugs 1985,29,455‐73; Tan et al.,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,117‐151;Taylor Adv.Drug delivery Rev.1996,19,131‐148; Valentino and Borchardt,Drug Discovery Today 1997,2,148‐155;Wiebe and Knaus,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,63‐80;Waller et al.,Br.J.Clin.Pharmac.1989,28,497‐507参照。
【0134】
本明細書に記載される混合物は、種々の蛋白質キナーゼに関連する異常発現リガンド/受容体の相互作用又は活性化又はシグナル伝達が関与するその他の疾患の治療にも役に立つと考えられる。そのような疾患には、erbBチロシンキナーゼの異常な機能、発現、活性化、又はシグナル伝達が関与する神経細胞性、グリア性、星状細胞性、視床下部性、腺性、マクロファージ性、上皮性、間質性、又は胞胚腔性の疾患などがあると考えられる。さらに、本明細書で示される混合物は、炎症性、血管形成性、及び免疫性の疾患に対し治療的有用性を有し、本明細書で示される混合物により阻害されるチロシンキナーゼは同定されているものと依然として同定されていないものと両方ある。
【0135】
本開示で使用される非転移性腺腫を治療するための治療法の組み合わせは、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物を含む組成物と術前の胆管減圧(閉塞性黄疸を呈する患者);標準的切除、拡大切除、放射状切除、及び膵尾部切除(腫瘍の体部及び尾部)などの外科的切除;補助的放射線療法;抗血管新生療法;並びに化学療法の併用などが考えられる。
【0136】
転移性腺腫を治療する場合の併用療法は、本開示の2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物を含む組成物と5‐フルオロウラシルの持続的併用投与後、週1回のシスプラチン療法からなる。
【0137】
嚢胞性新生物を治療するための別の併用療法は、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物を含む組成物とゲムシタビンの併用である。
【0138】
医薬組成物
本明細書には、薬剤的に許容できる補形剤、担体、希釈剤、又は賦形剤あるいはその混合物、及び1種類又は複数の薬剤的に許容できる賦形剤又は担体中に、有効成分として1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEFRGとHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物、あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグを含む医薬組成物が記載されている。また、本明細書には、薬剤的に許容できる補形剤、担体、希釈剤、又は賦形剤あるいはその混合物、及び1種類又は複数の放出制御賦形剤中に、有効成分として1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEFRGとHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物、あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグを含む医薬組成物も記載されている。本明細書には、薬剤的に許容できる補形剤、担体、希釈剤、又は賦形剤あるいはその混合物、及び1種類又は複数の放出制御賦形剤中に、有効成分として1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEFRGとHER2[ErbB2]の両方の]阻害薬の混合物、あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグを含む医薬組成物も記載されていて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EFRGとHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。適切な修飾型放出制御補形剤には親水性又は疎水性のマトリックス・デバイス、水溶性の分離層コーティング、エンテリックコーティング、浸透圧デバイス、多粒子システム、及びそれらの混合物などが含まれるが、これらに限定されない。医薬組成物は、非放出制御賦形剤を含むこともある。
【0139】
本明細書には、有効成分として1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEFRGとHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物、あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグ、及び従来の成形過程及びその後のコアコーティングを用いて錠剤コアを形成するための1種類又は複数の成形賦形剤を含む、フィルムコーティング剤形の医薬組成物が記載されている。錠剤コアは、従来の造粒法、例えば湿式造粒法又は乾式造粒法を用いて製造可能であり、顆粒は任意選択的に粉砕され、その後圧縮及びコーティングがなされる。造粒法は、例えばVoigt,156‐69に記載されている。
【0140】
顆粒を製造するための適切な賦形剤は、例えばタルク、二酸化ケイ素、例えば合成非結晶無水ケイ酸であるSyloidO(Grace)、例えばSYLOID 244 FP、微結晶セルロール、例えばAvicelOタイプ(FMC社)、例えばAVICEL PH101、102、105、RC581、又はRC591タイプ、EmcocelOタイプ(Mendell社)、又はElcemaOタイプ(Degussa)等の任意選択的に流れ状態調節特性を有する粉状の増量剤、糖、糖アルコール、スターチ、又はスターチ誘導体等の炭水化物、例えばラクトース、デキストロース、サッカロース、グルコース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、コメデンプン、コムギデンプン、アミロペクチン、リン酸三カルシウム、リン酸水素カルシウム、又は三ケイ酸マグネシウム、ゼラチン、トラガント、寒天、アルギン酸、セルロースエーテル等の結合剤、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、あるいはエチレンオキシドホモポリマー(具体的には約2.0x10乃至1.0x10の重合)、例えばPolyoO(Union Carbide)、という名で知られている賦形剤、ポリビニルピロリドン又はポビドン(具体的には約500乃至約2500の重合)、及び寒天又はゼラチン,界面活性剤、例えば硫酸アルキルタイプの陰イオン界面活性剤、例えば硫酸アルキルエーテルタイプのナトリウム、カリウム、マグネシウムn-硫酸ドデシル、n-硫酸テトラデシル、n-硫酸ヘキサデシル、又はn-硫酸オクタデシル、例えばアルカンスルホン酸タイプのナトリウム、カリウム、マグネシウムn-ドデシルオキシエチルスルホン酸、n-テトラデシルオキシエチルスルホン酸、n-ヘキサデシルオキシエチルスルホン酸、又はn-オクタデシルオキシエチルスルホン酸、ソルビタンモノラウレート、モノオレエート、モノステアリン酸、モノパルミテート、ソルビタントリステアレート、又はソルビタントリオレエート等の脂肪酸多価アルコールエステルタイプ、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、モノオレエート、モノステアリン酸、モノパルミテート、トリステアレート、又はトリオレエート等の脂肪酸多価アルコールエステルのポリオキシエチレン付加物、ステアリン酸ポリオキシエチル、ステアリン酸ポリエチレングリコール400、ステアリン酸ポリエチルグリコール2000(具体的に、エチレンオキシド/プロピレンオキシドはPluronicsO[BWC]又はSynperonicO[ICI]タイプのポリマーを阻害する)等のポリエチレングリコール脂肪酸エステルの非イオン界面活性剤である。
【0141】
本明細書には、有効成分として1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEFRGとHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物、あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグ、及びエンテリックコーティング剤形に使用するための1種類又は複数の放出制御賦形剤を含む、エンテリックコーティング剤形の医薬組成物がさらに記載されている。本明細書には、薬剤的に許容できる補形剤、担体、希釈剤、又は賦形剤あるいはその混合物、及びエンテリックコーティング剤形に使用するための1種類又は複数の放出制御賦形剤中に、有効成分として1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEFRGとHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含むエンテリックコーティング剤形の医薬組成物が記載されていて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EFRGとHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。医薬組成物は、非放出制御賦形剤を含むこともある。
【0142】
本明細書には、有効成分として1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEFRGとHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物、あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグ、及び発泡剤形に使用するための1種類又は複数の放出制御賦形剤を含む、発泡剤形の医薬組成物がさらに記載されている。また、本明細書には、薬剤的に許容できる補形剤、担体、希釈剤、又は賦形剤あるいはその混合物、及び発泡剤形に使用するための1種類又は複数の放出制御賦形剤中に、有効成分として1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む発泡剤形の医薬組成物も記載されていて、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。医薬組成物は、非放出制御賦形剤を含むこともある。
【0143】
さらに、速放成分及び少なくとも1種類の徐放成分を有し、0.1時間乃至最長24時間の時間で分離されている少なくとも2連続パルスの形態の化合物の非連続的な放出が可能な剤形の医薬組成物も提供される。本医薬組成物は、有効成分として1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物、あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグ、及び崩壊可能な半透膜に適するような賦形剤及び膨張可能な物質等、1種類又は複数の放出制御及び非放出制御賦形剤を含む。さらに、本発明は有効成分として1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物、あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグ、及び崩壊可能な半透膜に適するような賦形剤及び膨張可能な物質等、1種類又は複数の放出制御及び非放出制御賦形剤を含む医薬組成物を提供するものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0144】
本明細書には、有効成分として1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物、あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグ、及び1種類又は複数の薬剤的に許容できる賦形剤又は担体を含む、被験者に経口投与される剤形の医薬組成物も記載されていて、この医薬組成物は、部分的にアルカリにより中和化される胃液抵抗性ポリマー層材料中間反応層を含み、陽イオン交換能及び胃液抵抗性外層を有する中間反応層に封入される。さらに、本発明は1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む、被験者に経口投与される剤形の医薬組成物も提供していて、この医薬組成物は、部分的にアルカリにより中和化される胃液抵抗性ポリマー層材料中間反応層を含み、陽イオン交換能及び胃液抵抗性外層を有する中間反応層に封入されるものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0145】
本明細書には、有効成分として1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物、あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグを含む医薬組成物が記載されていて、この医薬組成物は、経口投与される徐放性カプセルとしてエンテリックコーティング顆粒の形態である。また、本発明は有効成分として1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物、あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグを含む医薬組成物を提供するものであり、この医薬組成物は、経口投与される徐放性カプセルとしてエンテリックコーティング顆粒の形態であって、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブであり、この場合、組成物中に存在する2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールの量は約100 mg乃至約1200 mgであり、組成物中に存在するラパチニブの量は約500 mg乃至約1500 mgであり、この場合、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの両方とも存在する。別の実施形態では、本組成物は、有効成分として約100 mg、約200 mg、約300 mg、約400 mg、約500 mg、約600 mg、約700 mg、約800 mg、約900 mg、約1000 mg、約1100 mg、又は約1200 mgの2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール、あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグを含む。別の実施形態では、本組成物は、有効成分として約500 mg、約600 mg、約700 mg、約800 mg、約900 mg、約1000 mg、約1100 mg、約1200 mg、約1300 mg、約1400 mg、又は約1500 mgのラパチニブ、あるいは薬剤的に許容できるその塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグを含む。
【0146】
本医薬組成物は、モノステアリン酸グリセリン40乃至50、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウム、メタクリル酸コポリマー、球状糖、タルク、カルナウバロウ、クロスポビドン、ジアセチル化モノグリセリド、エチルセルロース、ヒプロメロースフタル酸、マンニトール、水酸化ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、二酸化チタン、三二酸化鉄、ステアリン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酸化鉄、ポリソルベート80、ポビドン、プロピレングリコール、炭酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びクエン酸トリエチルをさらに含む。
【0147】
本明細書に記載される医薬組成物は、単位投与剤又は反復投与剤として提供される。本明細書で使用される単位投与剤は、当業者には既知のとおり、ヒト及び動物への投与に適する物理的に独立した単位であり、個包装される。各単位投与剤形は、必要とされる製剤的担体又は賦形剤と一緒に、任意の治療効果をもたらすのに十分な既定量の有効成分を含む。単位投与剤の例は、アンプル剤、シリンジ、並びに個包装の錠剤及びカプセルなどである。単位投与剤は、一部又は複数として投与される。反復投与剤は、同一の単位投与剤が単一の容器中に多数包装され、分離単位剤として投与される。反復投与剤の例は、バイアル、錠剤又はカプセル入りのボトル、あるいはパイント又はガロン単位のボトルなどである。
【0148】
本明細書に記載される組成物は、単独あるいは本明細書に記載される1種類又は複数の他の化合物、すなわち1種類又は複数の他の有効成分と併用して投与される。本明細書に記載される化合物を含む医薬組成物は、経口投与、非経口投与、バッカル投与、鼻腔内投与、硬膜外投与、舌下投与、肺内投与、局所投与、直腸投与、経皮投与、又は局所(塗布)投与用の種々の製剤として製剤化される。本医薬組成物は、遅放性(delayed‐)、徐放性(extended‐)、持続放出性(prolonged‐)、持続放出性(sustained‐)、パルス放出性、徐放性(controlled‐)、放出促進性、迅速放出性、ターゲッティング放出性、プログラム放出性、及び胃内滞留性の剤形を含む、修飾型放出制御製剤としても製剤化される。これらの製剤は、当業者には既知の従来の方法及び技術に基づいて調製される(上のRemington:The Science and Practice of Pharmacy,Modified‐Release Drug Deliver Technology,Rathbone et al.,Eds.,Drugs and the Pharmaceutical Science,Marcel Dekker,Inc.:New York,NY,202;Vol.126参照)。
【0149】
本明細書に記載される医薬組成物は、一定の時間間隔において1回又は複数回投与される。正確な用量及び投与期間は、投与される患者の年齢、体重、及び状態によって異なり、既知の検査プロトコルを用いて、あるいはin vivo又はin vitro検査の外挿あるいは診断データにより経験的に決定されることを理解されたい。特定の個人について、個々のニーズ及び製剤を投与する者又はこれを監督する者の判断により、経時的に固有の用量レジメンを調節すべきであることをさらに理解されたい。
【0150】
患者の状態が改善しない場合は、医師の判断により、本混合物の投与を生存している全期間中など長期的に、つまり投与期間を延長して投与し、患者の疾患の症状又は状態を回復させるか、できなければこれらをコントロール又は抑制する。
【0151】
患者の状態が改善した場合は、医師の判断により、本混合物の投与を持続投与するか、あるいは一定期間(例、「休薬期間」)、一時的に中止する。
【0152】
患者の状態が改善したあとは、必要に応じて維持量を投与する。その後、症状に応じて、用量又は投与頻度、あるいは両方とも、改善した疾患、障害、又は状態が保持される程度まで低減させてもよい。しかし、症状が再発し、長期にわたって間欠的な投与が必要になる患者もいる。
【0153】
本明細書に記載されるとおり、本組成物及び1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物の使用法は、担体及び賦形剤を使用せずに製剤化される、あるいは薬剤的に許容できる1種類又は複数の投与用担体と併用される。例えば、溶媒、希釈剤等は、錠剤、カプセル、分散性粉剤、顆粒、又は懸濁液などの剤形で経口投与され、これらは例えば約0.05乃至約5%の懸濁剤、例えば約10乃至約50%の糖を含むシロップ、及び例えば約20乃至50%のエタノールを含むエキシル剤を含む。そのような医薬品は、例えば約0.05乃至最高約90%の有効成分と、より通常は約5重量%乃至約60重量%の担体を含むことがある。また、本組成物及び1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物を含む組成物の使用法は、担体及び賦形剤を使用せずに製剤化される、あるいは薬剤的に許容できる1種類又は複数の投与用担体と併用されるものであり、この場合、1,2‐ジフェニルピロール誘導体は2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬はラパチニブである。
【0154】
使用される各有効成分の有効量は、使用される特定の化合物、投与法、及び治療対象の重症度により異なる。EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の予定1日投与量は、力価に依存する。同様に、使用される1,2‐ジフェニルピロール誘導体阻害薬の用量は、例えばスリンダクに対する1,2‐ジフェニルピロール誘導体の相対的力価に依存する。1,2‐ジフェニルピロール誘導体阻害薬の力価を評価し、比較する様々な方法は、当業者には既知である。1つの実施形態では、1,2‐ジフェニルピロール誘導体阻害薬の1日経口投与量は約100乃至約1200 mgの範囲であり、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の予定1日投与量は約1000乃至約1500 mgの範囲である。別の実施形態では、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールの1日経口投与量は約100乃至約1200 mgの範囲であり、ラパチニブの予定1日投与量は約1000乃至約1500 mgの範囲であり、カペシタビンの予定1日投与量は約2800乃至約4400 mgの範囲である。この用量レジメンは、最適な治療反応を提供するよう調節される。例えば、1日に複数回分割して投与する、あるいは治療の緊急状況に応じて、用量を比例して減量する。1,2‐ジフェニルピロール誘導体阻害薬並びにEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬は、混合製剤として又は別個の構成成分として投与することもある。別個の構成成分として投与する場合、各成分は治療期間中に同時に又は別の時点で投与される。
【0155】
しかし、特定の患者の固有の用量レベルは、例えば肝機能及び腎機能の低下等、様々な因子により異なることを理解されたい。
【0156】
治療用量は、概して漸増して安全性及び有効性を最適化する。一般に、in vitro試験における用量‐反応関係は、患者に対する適切な用量の有益な指針となる。動物モデルを用いた試験は、本開示により、概して癌を治療するための有効量に関する指針として使用される。治療プロトコルに関しては、投与される用量は、投与される特定の薬剤、投与経路、特定の患者の状態等、複数の因子により異なることを理解されたい。これらのパラメータの測定法は、当業者には既知である。このような検討事項、有効な製剤、及び投与法は当業者には既知であり、標準的な教科書に記載されている。
経口製剤
【0157】
本明細書に記載される有効成分を含む経口製剤は、錠剤、カプセル、丸薬、トローチ、口内錠、香錠、カシェ剤、ペレット剤、医療用チューインガム、顆粒剤、バルクパウダー、原薬粉末、発泡性又は非発泡性の散剤又は顆粒剤、溶液、乳剤、懸濁剤、溶液、ウエハ、スプリンクル、エキシル剤、シロップ剤、バッカル剤、及び経口液状製剤など、従来使用される経口製剤を含む。カプセルは、有効成分と薬剤的に許容できるスターチ(トウモロコシ、ジャガイモ、又はタピオカデンプン等)、糖、人工甘味剤、粉末セルロース(微結晶セルロース、結晶セルロース等)、小麦粉、ゼラチン、ゴム等の不活性増量剤及び/又は希釈剤の混合物を含む。有用な錠剤は、従来の圧縮法、湿式造粒法、乾式造粒法を用いて製造可能であり、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶セルロース、カルメロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アラビアゴム、キサタンゴム、クエン酸ナトリウム、複合ケイ酸塩、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、サッカロース、ソルビトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、タルク、乾燥澱粉、及び粉末糖を含む、薬剤的に許容できる希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、表面修飾剤(界面活性剤を含む)、懸濁剤、又は安定剤を利用するが、これらに限定されない。一部の実施形態では、表面修飾剤は、非イオン性及び陰イオン性の表面修飾剤を含む。例えば、表面修飾剤にはポロクサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ろう、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、及びトリエタノールアミンなどが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載される経口製剤は、標準的な徐放製剤(delay formulation、time release formulation)を利用して有効成分の吸収性を変える。経口製剤は、必要に応じて適切な溶解剤又は乳化剤を含む、水中又は果汁中に溶解した有効成分の投与からもなる。
経口投与
【0158】
本明細書に記載されるとおり、本併用レジメンでは、同時投与又は1,2‐ジフェニルピロール誘導体をEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬ではなく化学療法中の異なる時点で投与する時差投与が可能である。2剤の投与の時間差は、数分、数時間、数日、数週間、又はそれ以上である。したがって、期間投与は、必ずしも同時投与及び単位投与を意味するのではなく、任意の期間中に各構成成分が投与されることを示す。本剤は、異なる投与経路より投与されることもある。化学療法レジメンに一般的なとおり、化学療法は数週間後に反復投与され、2剤の投与の時間枠は同一又は患者の反応に応じて変更される。
【0159】
別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、経口投与用の固形、半固形、又は液状の製剤として提供される。本明細書で使用されるとおり、経口投与にはバッカル投与、舌投与、及び舌下投与などもある。適切な経口製剤には錠剤、カプセル、丸薬、トローチ、口内錠、香錠、カシェ剤、ペレット剤、医療用チューインガム、顆粒剤、バルクパウダー、原薬粉末、非発泡性又は発泡性の散剤又は顆粒剤、溶液、乳剤、懸濁剤、溶液、ウエハ、スプリンクル、エキシル剤、及びシロップ剤などが含まれるが、これらに限定されない。有効成分の他に、本医薬組成物は、結合剤、薬剤的に許容できる1種類又は複数の担体又は時増量剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、潤滑剤、流動促進剤、着色剤、色素移動阻害剤(dye‐migration inhibitor)、甘味剤、及び着香剤など、薬剤的に許容できる1種類又は複数の担体又は賦形剤を含む。
【0160】
結合剤又は造粒剤は錠剤に粘着性を付与し、圧縮後の錠剤が完全な状態を保つようにする。適切な結合剤又は造粒剤にはトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、及びアルファ化デンプン(例、STARCH 1500)等のスターチ、ゼラチン、糖(サッカロース、グルコース、デキストロース、糖蜜、及びラクトース等)、天然ゴム及び合成ゴム(アラビアゴム、アルギン酸、アルギン酸塩、アイルランドゴケ抽出物、パンワーゴム、インドゴム、イサゴールの皮の粘液、カルメロースカルシウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビーゴム、カラマツアラボガラクタン、粉末トラガント、及びガーゴム等)、セルロース(エチルセルロース、酢酸セルロース、カルメロースカルシウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等)、微結晶セルロース(AVICEL‐PH‐101、AVICEL‐PH‐103、AVICEL RC‐581、AVICEL‐PH‐105(FMC社、ペンシルヴェニア州マーカスフック)等)、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。適切な増量剤にはタルク、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、スターチ、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。結合剤又は増量剤は、本明細書に記載される医薬組成物中に約50乃至約99重量%存在すると考えられる。
【0161】
適切な希釈剤にはリン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、ソルビトール、サッカロース、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥スターチ、及び粉末糖などが含まれるが、これらに限定されない。マンニトール、ラクトース、ソルビトール、サッカロース、及びイノシトール等、特定の希釈剤は、十分な量で存在する場合、場合によっては圧縮錠剤に複数の特性を付与し、咀嚼により口内で崩壊できるようになる。どのような圧縮錠剤は、咀嚼錠として使用できる。
【0162】
そのような崩壊剤には寒天、ベントナイト、セルロース(メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等)、木製品、海綿、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、ゴム(ガーゴム及びビーゴムHV)、賦形類の果肉、架橋セルロース(クロスカメロース等)、架橋ポリマー(クロスポビドン等)、架橋スターチ、炭酸カルシウム、微結晶セルロース(澱粉グリコール酸エステルナトリウム等)、ポラクリリンカリウム、スターチ(トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、及びアルファ化デンプン等)、粘土、align、及びこれらの混合物などが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載される医薬組成物中の崩壊剤の量は製剤の種類により異なり、当業者には容易に識別可能である。本明細書に記載される医薬組成物は、約0.5乃至約15重量%又は約1乃至約5%重量%の崩壊剤を含む。
【0163】
適切な潤滑剤にはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、グリコール(ベヘン酸グリセロール及びポリエチレングリコール(PEG)等)、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(ラッカセイ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、ダイズ油等)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、スターチ、セキショウシ、シリカ又はシリカゲル(AEROSILO200(W.R.Grace社、メリーランド州ボルティモア)及びCAB‐O‐SILO(Cabot社、マサチューセッツ州ボストン)等)、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載される医薬組成物は、約0.1乃至約5重量%の潤滑剤を含む。
【0164】
適切な流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、CAB‐O‐SILO(Cabot社、マサチューセッツ州ボストン)、及びアスベストを含まないタルクなどである。着色剤は、承認・保証済みの水溶性のFD&C染料、アルミナ水和物に懸濁された非水溶性のFD&C染料、レーキ顔料、及びこれらの混合物を含む。レーキ顔料は、水溶性の染料を重金属の含水酸化物へ吸収させて不溶性の染料にした混合剤である。着香剤は、植物(果物等)から抽出した天然香料及びおいしそうな感覚をもたらす化合物の合成配合(ペパーミント及びサリチル酸メチル等)を含む。甘味剤は、サッカロース、ラクトース、マンニトール、シロップ、グリセリン、及び人工甘味剤(サッカリン及びアスパラテーム等)を含む。適切な乳化剤は、ゼラチン、アカシア、トラガント、ベントナイト、及び界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(TWEENO20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート80(TWEENO80)、及びオレイン酸トリエタノールアミンを含む。懸濁剤及び分散剤は、カルボキシメチルセルロース、ペクチン、トラガント、ビーゴム、アカシア、カルボメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンを含む。防腐剤は、グリセリン、メチル、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、及びアルコールを含む。湿潤剤は、モノステアリン酸プロピレングリコール、ソルビタンモノオレアート、ジエチレングリコールモノラウレート、及びポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテルを含む。溶媒は、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、及びシロップを含む。乳剤で使用される非水系液体の例は、鉱油及び綿実油を含む。有機酸は、クエン酸及び酒石酸を含む。炭酸ガスの供給源は、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムを含む。
【0165】
多くの担体及び賦形剤は、同一製剤中でも複数の作用を発揮することを理解すべきである。
【0166】
別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、圧縮錠剤、湿製錠剤、咀嚼錠、多層錠剤、エンテリックコーティング錠剤、糖衣錠、又はフィルムコーティング錠として提供可能である。エンテリックコーティング錠は、胃酸の作用に対し抵抗性を示すが、腸内で溶解及び崩壊しない物質でコーティングされる圧縮錠剤であるため、胃の酸性環境から有効成分を保護する。エンテリックコーティングには、脂肪酸、脂肪、サリチル酸フェニル、ろう、シェラック、アンモニアと化合したシェラック、及び酢酸フタル酸セルロースなどが含まれるが、これらに限定されない。糖衣錠は、糖衣により囲まれる圧縮錠剤であり、不快な味や臭いを隠すのに役立ち、錠剤の酸化を予防する。フィリムコーティング錠は、水溶性の材料の薄層又は膜で被覆される圧縮錠剤である。フィルムコーティングには、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、及び酢酸フタル酸セルロースなどがあるが、これらに限定されない。フィルムコーティングは、糖衣と同一の一般的特性を付与する。多層錠剤は、層状状態、プレスコーティング剤、又は有核錠など、複数の圧縮サイクルにより作製された圧縮錠剤である。
【0167】
錠剤は、粉末状、結晶状、又は顆粒状の有効成分から調製され、単独投与あるいは本明細書に記載される1種類又は複数の担体又は賦形剤(結合剤、崩壊剤、徐放性ポリマー、潤滑剤、希釈剤、及び/又は着色剤など)と併用投与される。着香剤及び甘味剤は、咀嚼錠及び口内錠を作製するのに特に役に立つ。
【0168】
本明細書に記載される医薬組成物は、ゼラチン、メチルセルロース、スターチ、又はアルギン酸カルシウムから作製される軟カプセル又は硬カプセルとして提供される。乾燥充填カプセル(DFC)としても知られている硬カプセルは2つのセクションからなり、1つをもう1つのセクションにかぶせるため、有効成分が完全に密閉される。軟弾性カプセル(SEC)は、ゼラチンシェル等の柔らかい球状シェルであり、グリセリン、ソルビトール、又は同様の多価アルコールの添加により可塑化される。軟ゼラチンシェルは防腐剤を含み、微生物の増殖を防ぐ。本明細書に記載される適切な防腐剤は、メチル‐パラベン、プロピル‐パラベン、及びソルビン酸を含む。本明細書に記載される固形、半固形、又は液状の製剤は、カプセル中に封入される。適切な固形及び半固形の製剤は、炭酸プロピレン、植物油、又はトリグリセリド中の溶液及び懸濁液を含む。そのような溶液を含むカプセルは、米国特許番号第4328245号明細書、第4409239号明細書、及び第4410545号明細書に記載のとおりに調製される。本カプセルは、当業者には既知のとおりコーティングし、有効成分の溶解性を変化させる、あるいは持続させることができる。
【0169】
別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、乳剤、溶液、懸濁液、エキシル剤、及びシロップを含む、液状及び半固形の剤形で提供される。乳剤は2相系であり、1液は小球形状で別の液体中に分散される、水中油型又は油中水型である。乳剤は、薬剤的に許容できる非水系液体又は溶媒、乳化剤、及び防腐液を含む。懸濁液は、薬剤的に許容できる懸濁剤及び防腐剤を含む。水性のアルコール溶液は、アセトアルデヒドジエチルアセタール等、低アルキルアルデヒドのジ(低アルキル)アセチル(「低」という用語は、炭化水素数1乃至6のアルキルを意味する)等の薬剤的に許容できるアセタールと、プロピレングリコール及びエタノール等、1個又は複数のヒドロキシ基を有する水混和性溶媒を含む。エキシル剤は、透明且つ甘みのある水アルコール溶液である。シロップは、例えばサッカロースといった糖の濃縮水溶液であり、防腐剤も含む。液状の製剤の場合、例えばポリエチレングリコール中の溶液は、十分な量の薬剤的に許容できる液状の担体(水等)で希釈され、容易に計量して投与できるようにされる。
【0170】
他の有用な液状及び半固形の製剤には本明細書に記載される有効成分と、1,2‐ジメトキシメタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラグリム、ポリエチレングリコール‐350‐ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール‐550‐ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール‐750‐ジメチルエーテルなど、ジアルキル化モノ‐又はポリ‐アルキレングリコールを含む製剤が含まれるが、これらに限定されない。この場合、350、550、及び750はポリエチレングリコールのおおよその平均分子量である。これらの製剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、プロピルガレート、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオジプロピオン酸とそのエステル、及びジチオカルバメート等、1種類又は複数の抗酸化剤をさらに含む。
【0171】
本明細書に記載される経口投与用の医薬組成物は、リポソーム、ミセル、微小球、又はナノシステムの形態で提供される場合もある。ミセル製剤は、米国特許第6350458号明細書に記載のとおりに調製される。
【0172】
別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、非発泡散剤又は発泡散剤、顆粒、及び粉末として提供され、液状の製剤へ再構成される。非発泡性の顆粒剤又は散剤で使用される薬剤的に許容できる担体及び賦形剤は、希釈剤、甘味剤、及び湿潤剤を含む。発泡性の顆粒剤又は散剤で使用される薬剤的に許容できる担体及び賦形剤は、有機酸及び炭酸ガスの供給源を含む。
【0173】
着色剤及び着香剤は、上のすべての製剤で使用できる。
【0174】
本明細書に記載される医薬組成物は、遅放性(delayed‐)、持続放出性(sustained‐)、パルス放出性、徐放性(controlled‐)、ターゲッティング放出性、及びプログラム放出性の剤形を含む、即放性又は修飾型放出制御製剤として製剤化される。
【0175】
別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、任意の治療的作用を損なわない他の有効成分又は任意の作用を補充する物質(他のコリン作動薬、他のセロトニン作動薬、アルファアドレナリン作用薬、CCK拮抗薬、5‐HT拮抗薬、NMDA受容体拮抗薬、オピオイド薬、消化管運動促進薬、タキキニン、アンタラルミン、及びZ‐338等)と共配合される。
非経口投与
【0176】
一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、注射、点滴、又は埋入により、局所又は全身投与される。本明細書で使用される非経口投与は、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、くも膜下投与、心室内投与、尿道内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与、滑液内投与、及び経皮投与を含む。
【0177】
別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、ミセル、リポソーム、微小球、ナノシステムを含む非経口投与に適する剤形及び注入前に液体中に溶解する溶液又は懸濁液に適する固形の剤形に製剤化される。そのような剤形は、当業者には既知の従来の方法に基づいて作製される(上のRemington:The Science and Practice of Pharmacy参照)。
【0178】
非経口投与に適応の医薬組成物には水性補形剤、水混和性補形剤、非水性補形剤、微生物の増殖に対する抗菌剤又は防腐剤、安定剤、溶解促進剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁剤、分散剤、湿潤剤又は乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤又はキレート剤、凍結保護剤、溶解保護剤、増粘剤、pH調節剤、及び不活性ガスを含む、1種類又は複数の薬剤的に許容できる担体及び賦形剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0179】
適切な水性補形剤には水、食塩水、生理食塩水又はリン酸緩衝食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射剤、リンガー液、等張デキストロース注射剤、減菌水注射剤、デキストロース及び乳酸加リンガー液などが含まれるが、これらに限定されない。非水性補形剤には植物性の固定油、ヒマシ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ラッカセイ油、ペパーミント油、ベニバナ油、ゴマ油、ダイズ油、硬化植物油、硬化ダイズ油、及び中鎖トリグリセリド(ココナツ油及びパーム核油)などが含まれるが、これらに限定されない。水混和性補形剤にはエタノール、1,3‐ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール(例、ポリエチレングリコール300及びポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N‐メチル‐2‐プロピレン、ジメチルアセトアミド、及びジメチルスルホキシドなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0180】
適切な抗菌剤にはフェノール、クレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、メチル‐パラベン、プロピル‐パラベン、及びソルビン酸などが含まれるが、これらに限定されない。適切な等張剤には塩化ナトリウム、グリセリン、及びデキストロースなどが含まれるが、これらに限定されない。適切な緩衝剤にはリン酸及びクエン酸などが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載される適切な抗酸化剤は、亜硫酸水素塩及びメタ重亜硫酸ナトリウムを含む。適切な局所麻酔剤には塩酸プロカインなどが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載される適切な懸濁剤及び分散剤は、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンを含む。本明細書に記載される適切な乳剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート80、及びオレイン酸トリエタノールアミンを含む。適切な金属イオン封鎖剤又はキレート剤にはEDTAなどが含まれるが、これらに限定されない。適切なpH調節剤には水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、及び乳酸などが含まれるが、これらに限定されない。適切な錯化剤にはα‐シクロデキストリン、β‐シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル‐p‐シクロデキストリン、スルホブチルエーテル‐β‐シクロデキストリン、及びスルホブチルエーテル7‐β‐シクロデキストリン(CAPTISOLO,CyDex社、カンザス州レネクサ)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0181】
一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は単回投与用又は反復投与用に製剤化される。単回投与用の製剤は、アンプル、バイアル、又はシリンジで包装される。反復投与用非経口製剤は、静菌濃度又は静真菌濃度の抗菌剤を含んでいなければならない。全非経口製剤は、当業者には既知且つ実践しているとおり、無菌でなければならない。
【0182】
1つの実施形態では、本医薬組成物はすぐ使用できる無菌溶液として提供される。別の実施形態では、本医薬組成物は凍結乾燥粉末及び皮下注射用錠剤など無菌乾燥可溶剤として提供され、使用前に補形剤を用いて再構成される。別の実施形態では、本医薬組成物はすぐ使用できる無菌懸濁剤として提供される。別の実施形態では、本医薬組成物は無菌乾燥不溶剤として提供され、使用前に補形剤を用いて再構成される。別の実施形態では、本医薬組成物はすぐ使用できる無菌乳剤として提供される。
【0183】
本明細書に記載される医薬組成物は、遅放性(delayed‐)、持続放出性(sustained‐)、パルス放出性、徐放性(controlled‐)、ターゲッティング放出性、及びプログラム放出性の剤形を含む、即放性又は修飾型放出制御製剤として製剤化される。
【0184】
本医薬組成物は、懸濁液、固形、半固形、又は揺変性液として製剤化され、埋め込みデポー剤として投与される。1つの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、体液に不溶性であるが、医薬組成物中の有効成分が拡散できる外部ポリマー膜により囲まれる固形内部基質中に分散される。
【0185】
適切な内部基質は、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化又は無可塑化塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、炭酸シリコンコポリマー、親水性ポリマー(アクリル酸及びメタクリル酸エステルのヒドロゲル等)、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、及び部分的に加水分解された架橋ポリ酢酸ビニルを含む。
【0186】
適切な外部ポリマー膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルを有する塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、エチレン・プロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレンビニルアルコールコポリマー、酢酸エチレンビニル/ビニルアルコールターポリマー、及びエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーを含む。
【0187】
修飾型放出制御
別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、修飾型放出制御製剤として製剤化される。本明細書で使用される「修飾型放出制御」は、同一経路で投与されたときの有効成分の放出速度及び放出場所が即放性製剤と異なる剤形を示す。修飾型放出制御製剤は、遅放性(delayed‐)、徐放性(extended‐)、持続放出性(prolonged‐)、持続放出性(sustained‐)、パルス放出性、徐放性(controlled‐)、放出促進性、迅速放出性、ターゲッティング放出性、プログラム放出性、及び胃内滞留性の剤形を含む。修飾型放出制御製剤における医薬組成物は、当業者には既知の多様な修飾型放出デバイス及び方法を用いて調製されるものであり、基質制御徐放性デバイス、浸透圧制御徐放性デバイス、多粒子制御徐放性デバイス、イオン交換樹脂、エンテリックコーティング、多層コーティング、微小球、リポソーム、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。有効成分の放出速度は、有効成分の粒子サイズ及び多形を変えることによって変更してもよい。
【0188】
修飾型放出制御の例は、米国特許番号第3845770号明細書、第3916899号明細書、第3536809号明細書、第3598123号明細書、第4008719号明細書、第5674533号明細書、第5059595号明細書、第5591767号明細書、第5120548号明細書、第5073543号明細書、第5639476号明細書、第5354556号明細書、第5639480号明細書、第5733566号明細書、第5739108号明細書、第589147号明細書、第5922356号明細書、第5972891号明細書、第5980945号明細書、第5993855号明細書、第6045830号明細書、第6087324号明細書、第6113943号明細書、第6197350号明細書、第6248363号明細書、第6264970号明細書、第6267981号明細書、第6376461号明細書、第6419961号明細書、第6589548号明細書、第6613358号明細書、及び第6699500号明細書に記載されているが、これらに限定されない。
【0189】
1.基質制御徐放性デバイス
一部の実施形態では、修飾型放出制御製剤における本明細書に記載される医薬組成物は、当業者には既知の基質制御徐放性デバイスを用いて製造される(Takada et al in ”Encyclopedia of Controlled Drug Delivery,” Vol.2,Mathiowitz ed.,Wiley, 1999)。
【0190】
1つの実施形態では、修飾型放出制御製剤における本明細書に記載される医薬組成物は、合成ポリマー及び天然ポリマーとその誘導体(多糖類及び蛋白質等)を含む水膨潤性、浸食性、又は可溶性のポリマーである浸食性基質デバイスを用いて製剤化される。
【0191】
浸食性基質を形成するのに有用な材料にはキチン、キトサン、デキストラン、及びプルラン;寒天ゴム、アラビアゴム、カラヤゴム、ローカストビーンゴム、トラガカントゴム、カラゲナン、インドゴム、ガーゴム、キサタンゴム、スクレログルカン;デキストリン及びマルトデキストリン等のスターチ;ペクチン等の親水性コロイド;レシチン等のリン脂質;アルギン酸;アルギン酸プロピレングリコール酸;ゼラチン;コラーゲン;エチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸セルロース(CA)、プロピオン酸セルロース(CP)、酪酸セルロース(CB)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、酢酸トリメリット酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAT)、及びエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)等のセルロース酸;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;ポリ酢酸ビニル;グリセロール脂肪酸エステル;ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸;エタクリル酸又はメタクリル酸コポリマー(EUDRAGITO、Rohm America社、ニュージャージー州ピスカタウェイ);ポリ(2‐ヒドロキシエチル‐メタクリル酸);ポリラクチド;L‐グルタミン酸及びエチル‐L‐グルタメート)のコポリマー;分解可能な乳酸‐グリコールコポリマー;ポリ‐D‐(‐)‐ヒドロキシ酪酸;及びブチルメタクリル酸、メチルメタクリル酸、エチルメタクリル酸、エチルアクリル酸、ブチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、(2‐ジメチルアミノエチル)メタクリレート、及び(トリメチルアミノエチル)メタクリル酸クロリド等、他のアクリル酸誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0192】
別の実施形態では、本医薬組成物は、非浸食性基質デバイスを用いて製剤化される。有効成分は不活性の基質中に溶解又は分散され、投与後、主に不活性の基質を介した拡散により放出される。非浸食性基質デバイスとしての使用に適する材料にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル‐メタクリル酸メチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、アクリル酸エチレンエチルコポリマー、酢酸ビニルを有する塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、エチレン・プロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、エチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー、塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、炭酸シリコンコポリマー等の不溶性プラスチック;エチルセルロース、酢酸セルロース、クロスポビドン、及び部分的に加水分解された架橋ポリ酢酸ビニル等の親水性ポリマー;並びにカルナウバロウ、微結晶ロウ、及びトリグリセリド等の脂肪族化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0193】
基質制御徐放性システムでは、例えば使用されるポリマーの種類、ポリマーの粘性、ポリマー及び/又は有効成分の粒子サイズ、有効成分とポリマーの比率、並びに組成物中の他の賦形剤又は担体により、任意の放出速度を制御してもよい。
【0194】
別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、直接圧縮、乾式又は湿式造粒法後の圧縮、融解造粒法後の圧縮など、当業者には既知の方法により調製される。
【0195】
2.浸透圧制御徐放性デバイス
一部の実施形態では、修飾型放出制御製剤における本明細書に記載される医薬組成物は、1チャンバーシステム、2チャンバーシステム、非対称膜技術(AMT)、及び押出コアシステム(ECS)など、浸透圧制御徐放性デバイスを用いて製造される。一般に、そのようなデバイスは、(a)有効成分を含むコア及び(b)少なくとも1つのデリバリーポートを有し、コアを封入する半透膜という少なくとも2つの成分を有する。半透膜は、水性の使用環境からコアへの水の流入を制御し、デリバリーポートからの排出により薬剤を放出させる。
【0196】
有効成分の他に、浸透圧デバイスのコアは、使用環境からデバイスのコアへ水を輸送するための推進力をもたらす浸透圧物質を含む。「浸透性ポリマー」及び「ヒドロゲル」と呼ばれる浸透圧物質である水膨潤性親水性ポリマーには親水性ビニルアクリル酸ポリマー、多糖類(アルギン酸カルシウム等)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2‐ヒドロキシエチル‐メタクリル酸)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、疎水性モノマー(メタクリル酸メチル及び酢酸ビニル等)を有するPVA/PVPコポリマー、大きなPEOブロックを含む親水性ポリウレタン、クロスカメロースナトリウム、カラゲナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサタンゴム、及び澱粉グリコール酸エステルナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0197】
別の種類の浸透圧物質は、吸水可能で周囲のコーティングのバリアを通過して浸透圧勾配に影響を及ぼす酵素原である。適切な酵素原には硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウム等の無機塩;デキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、サッカロース、トレハロース、及びキシリトール等の糖;アスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデト酸、グルタミン酸、p‐トルエンスルホン酸、コハク酸、及び酒石酸等の有機酸;尿素;及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0198】
溶解速度が異なる浸透圧物質を用いて、有効成分が製剤から最初にデリバリーされる速さに影響を及ぼすこともある。例えば、Mannogeme EZ(SPI Pharma社、デラウェア州ルイス)等の非晶質糖を用いて最初の2,3時間のデリバリー速度をより迅速にし、任意の治療効果を速やかにもたらし、残量を徐々に且つ持続的に放出して、長期にわたって任意のレベルの治療効果又は予防効果を保つ。この場合、有効成分は、代謝及び排泄される有効成分の量を補充するために一定の速度で放出される。
【0199】
コアは、本明細書に記載される広範なその他の賦形剤及び担体も含み、製剤の性能を増強する、あるいは安定性又は加工を促進する。
【0200】
半透膜を形成するのに有用な材料は、生理的に関連のあるpHにて水透過性及び水不溶性である、あるいは架橋等の化学的変化の影響を受けやすく、水不溶性になる種々の程度のアクリル、ビニル、エーテル、ポリアミド、ポリエステル、及びセルロース系誘導体を含む。コーティングを形成するのに有用な適切なポリマーの例は、可塑化、無可塑化、及び強化された酢酸セルロース(CA)、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸CA、硝酸セルロース、酢酸酪酸セルロース(CAB)、カルバミン酸エチルCA、CAP、カルバミン酸メチルCA、コハク酸CA、トリメリト酸酢酸セルロース(CAT)、ジメチルアミノ酢酸CA、炭酸エチルCA、クロロ酢酸CA、シュウ酸エチルCA、スルホン酸メチルCA、スルホン酸ブチルCA、p‐トルエンスルホン酸CA、酢酸寒天、アミローストリアセテート、ベータグルカンアセテート、ベータグルカントリアセテート、アセトアルデヒドジメチルアセテート、ローカストビーンゴムのトリアセテート、水酸化エチレン‐酢酸ビニル、EC、PEG、PPG、PEG/PPGコポリマー、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸及びエステルとポリ(メタクリル)酸及びエステルとこれらのコポリマー、スターチ、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニルエステル・エーテル、天然ろう、及び合成ろうを含む。
【0201】
米国特許第5798119号明細書で開示されるとおり、半透膜は、疎水性の微孔膜であり、孔には実質的にガスが満ちており、水性媒体で濡れることはないが、水蒸気に対しては透過性である。そのような疎水性ではあるが、水蒸気透過性の膜は、一般的にはポリアルケン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ハロゲン化ポリビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルエステル及びエーテル、天然ろう、並びに合成ろうから構成される。
【0202】
半透膜上のデリバリーポートは、機械的又はレーザー穴あけによりコーティング後に形成される。コアのくぼみ上のデリバリーポートは、水溶性材料のプラグの侵食又は膜の薄い部分の断裂により形成される場合もある。さらに、米国特許第5612059号明細書及び第5698220号明細書で開示されるタイプの非対称膜コーティングの場合と同様、デリバリーポートはコーティング工程中に形成される場合もある。
【0203】
放出される有効成分の総量及び放出速度は、実質的には半透膜の厚さ及び多孔度、コアの組成、並びにデリバリーポートの数、サイズ、及び位置により調節可能である。
【0204】
浸透圧制御徐放性製剤における本医薬組成物は、本明細書に記載される従来のその他の賦形剤又は担体をさらに含み、製剤の性能又は加工を促進する。
【0205】
浸透圧制御徐放性製剤は、当業者には既知の従来の方法及び技術に基づいて調製される(上のRemington:The Science and Practice of Pharmacy参照。Santus and Baker,J.Controlled Release 1995,35,1‐21;Verma et al.,Drug Development and Industrial Pharmacy 20026,695‐708;Verma et al.,J.Controlled Release 202,79,7‐27)。
【0206】
別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、有効成分及び他の薬剤的に許容できる賦形剤又は担体を含むコアを被覆する非対称浸透膜を備えるAMT制御徐放性製剤として製剤化される。米国特許第5612059及び国際公開第202/17918号パンフレット参照。AMT制御徐放性製剤は、直接圧縮、乾式造粒法、湿式造粒法、及び浸漬コーティングなど、当業者には既知の方法により調製される。
【0207】
特定の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、有効成分であるヒドロキシエチルセルロース及び他の薬剤的に許容できる賦形剤又は担体を含むコアを被覆する浸透膜を備えるECS制御徐放性製剤として製剤化される。
(3.多粒子制御徐放性デバイス)
【0208】
一部の実施形態では、修飾型放出制御製剤における本明細書に記載される医薬組成物は、径が約10 μm乃至約3 mm、約50 μm乃至約2.5 mm、又は約100 μm乃至約1 mmである多くの粒子、顆粒、又はペレットを含む多粒子制御徐放性デバイスとして製造される。そのような多粒子は、湿式及び乾式造粒法、押出/球形化、ローラー締固め、溶融凝固など、当業者には既知の工程及びシードコアのスプレーコーティングにより製造される。例えば、Multiparticulate Oral Drug Delivery;Marcel Dekker:1994、及びPharmaceutical Pelletization Technology;Marcel Dekker:1989参照。
【0209】
本明細書に記載される他の賦形剤又は担体は本医薬組成物と混合され、多粒子の加工及び形成に役立つ。結果生じる粒子は、多粒子デバイスを構成するか、あるいはエンテリックポリマー、水膨潤性ポリマー、及び水溶性ポリマー等、種々の膜形成材料により被覆される。多粒子は、カプセル又は錠剤としてさらに加工される。
(4.標的化デリバリー)
【0210】
一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、リポソーム、再封入赤血球、及び抗体を用いたデリバリーシステムなど、治療対象の被験者の身体の特定の組織、受容体、又はその他の部位を標的として製剤化される場合もある。例は、米国特許番号.第6316652号明細書、第6274552号明細書、第6271359号明細書、第6253872号明細書、第6139865号明細書、第6131570号明細書、第6120751号明細書、第6071495号明細書、第6060082号明細書、第6048736号明細書、第6039975号明細書、第6004534号明細書、第5985307号明細書、第5972366号明細書、第590252号明細書、第5840674号明細書、第5759542号明細書、及び第5709874号明細書を含むが、これらに限定されない。いずれも本明細書に完全に組み込まれる。
即放性
【0211】
USPXXII、1990(The United States Phamacopeia)に記載されているとおり、一部の実施形態では、即放性製剤における本明細書に記載される医薬組成物は、治療的有効成分又は混合物の75%以上を放出することができる及び/又は錠剤のコアに含まれる特定の治療薬あるいは混合物である即放性錠剤の崩壊要件あるいは溶解要件を満たす。
(局所投与)
【0212】
別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、皮膚、開口部、又は粘膜に局所投与される。本明細書で使用される局所投与は、皮膚(内)、結膜、角膜内、眼内(intraocular)、眼球内(ophthalmic)、耳介、経皮、経鼻、膣、尿道、呼吸器、及び直腸投与を含む。
【0213】
別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、乳剤、溶液、懸濁液、クリーム、ジェル、ヒドロゲル、軟膏、粉剤、包帯剤、エキシル剤、ローション、懸濁剤、チンキ剤、ペースト剤、発泡剤、フィルム、エアゾール、潅注剤、スプレー、坐剤、絆創膏、皮膚パッチなど、局所投与によって局所又は全身効果を得るのに適する剤形として製剤化される。本明細書に記載される医薬組成物の局所製剤は、リポソーム、ミセル、微小球、ナノシステム、及びこれらの混合物も含む。
【0214】
本明細書に記載される局所製剤における使用に適する薬剤的に許容できる担体及び賦形剤には水性補形剤、水混和性補形剤、非水性補形剤、微生物の増殖に対する抗菌剤又は防腐剤、安定剤、溶解促進剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁剤、分散剤、湿潤剤又は乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤又はキレート剤、浸透増強剤、凍結保護剤、溶解保護剤、増粘剤、及び不活性ガスが含まれるが、これらに限定されない。
【0215】
一部の実施形態では、本医薬組成物は、電気穿孔法、イオン浸透療法、電離療法、超音波導入、POWDERJECTTM(Chiron社、カリフォルニア州エメリービル)及びBIOJECTTM(Bioject Medical Technologies社、オレゴン州トゥアラティン)顕微針又は無針注射により局所投与される。
【0216】
本明細書に記載される医薬組成物は、軟膏、クリーム、及びジェルの形態で提供される。適切な軟膏補形剤は、豚脂、安息香豚脂、オリーブ油、綿実油、その他の油、白色ワセリン等、油性又は炭化水素補形剤;親水性ワセリン、硫酸ヒドロキシステアリン、及び無水ラノリン等、乳化性又は吸収補形剤;親水性軟膏等、水で除去可能な補形剤;様々な分子量のポリエチレングリコールを含む水溶性軟膏補形剤;セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ラノリン、及びステアリン酸を含む油中水型(W/O)乳剤又は水中油型(O/W)乳剤のいずれかの乳剤補形剤を含む(上のRemington:The Science and Practice of Pharmacy参照)。これらの補形剤は皮膚軟化剤であるが、概して抗酸化剤及び防腐剤を添加する必要がある。
【0217】
適切なクリーム基剤は、水中油型又は油中水型である。クリーム補形剤は水で洗浄可能であり、油相、乳化剤、及び水相を含む。油相は「内部」相とも呼ばれ、概してワセリン及び脂肪族アルコール(セチルアルコール又はステアリルアルコール等)からなる。水相は、必ずというわけではないが、通常は油相より容積が大きく、概して湿潤剤を含む。クリーム製剤中の乳化剤は、非イオン性、陰イオン性、又は両性の界面活性剤である。
【0218】
ジェルは、半固形の懸濁タイプの系である。単相ジェルは、実質的に液体担体中に均一に分布する有機巨大分子を含む。適切なジェル剤は、カルボマー、カルボキシポリアルキレン、CarbopolO等の架橋アクリル酸ポリマー;ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン‐ポリオキシプロピレンコポリマー、及びポリビニルアルコール等の親水性ポリマー;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びメチルセルロース等のセルロースポリマー;トラガントゴム、キサンタンゴム等のゴム;アルギン酸ナトリウム;及びゼラチンを含む。均一なジェルを調製するため、アルコール又はグリセリン等の分散剤を添加する、あるいは粉砕、機械混合、及び/又は撹拌によりジェル剤を分散させる。
【0219】
本明細書に記載される医薬組成物は、坐剤、膣坐剤、ブジー剤、湿布剤又はパップ剤、ペースト剤、散剤、包帯剤、クリーム、避妊剤、軟膏、溶液、乳剤、懸濁剤、タンポン、ジェル、発泡剤、スプレー、又は浣腸の形態で、経直腸的、経尿道的、経膣的、又は経膣周囲的に投与される。これらの製剤は、上のRemington:The Science and Practice of Pharmacyに記載される従来の工程を用いて製造される。
【0220】
直腸、尿道、及び膣用の坐剤は、身体の開口部に挿入するため固形体であり、常温では固形であるが、体温で融解又は軟化し、有効成分を開口部内部に放出する。直腸および膣用の坐剤で使用される薬剤的に許容できる担体は、本明細書に記載される医薬組成物及び本明細書に記載される抗酸化剤(亜硫酸水素塩及びメタ重亜硫酸ナトリウムなど)を用いて製剤化されるときに、体温付近を融点にする硬化剤等の基剤又は補形剤を含む。適切な補形剤にはココアバター(カカオ脂)、グリセリン‐ゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、鯨ろう、パラフィン、白ろう、黄ろう、脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドの適切な混合物、ヒドロゲル(ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリル酸、ポリアクリル酸等)、グリセリン化ゼラチンなどが含まれるが、これらに限定されない。種々の補形剤の組み合わせを用いることもある。直腸及び膣用の坐剤は、圧縮法又は成形により調製される。直腸及び膣用の坐剤の一般的な重量は、約2乃至約3 gである。
【0221】
本明細書に記載される医薬組成物は、溶液、懸濁液、軟膏、乳剤、ジェル形成液、溶液用散剤、ジェル、眼内挿入物、及びインプラントの形態で、眼に投与される。
【0222】
本明細書に記載される医薬組成物は、鼻腔内又は気道への吸入により投与される場合もある。本医薬組成物は、デリバリーのため加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(微粒ミストを生成するために電気流体力学を用いたアトマイザー等)、又はネブライザーを用いて、単独又は適切な噴霧剤(1,1,1,2-テトラフルオロエタン又は1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン等)と併用して、エアゾール又は溶液の形態で提供される場合もある。本医薬組成物は、吸入剤用の乾燥散剤として単独又は不活性な担体(ラクトース又はリン脂質)と併用して、若しくは点鼻剤として提供される場合もある。鼻腔内使用のため、散剤はキトサン又はシクロデキストリンなど、生物学的接着剤を含む場合もある。
【0223】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、又はネブライザーで使用される溶液又は懸濁液は、本明細書に記載される有効成分を分散・溶解・放出拡大させるためのエタノール、水性エタノール、又は適切な代替剤、溶媒としての噴霧剤、及び/又はソルビタントリオレエート、オレイン酸、又はオリゴ乳酸等の界面活性剤を含むよう製剤化される。
【0224】
別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、約50マイクロメーター以下又は約10マイクロメーター以下等、吸入送達に適するサイズまで超微粉砕される。そのようなサイズの粒子は、スパイラルジェットミル、流動層ジェットミル、ナノ粒子を形成するための超臨界流体抽出、高圧ホモジナイゼーション、又は噴霧乾燥等、当業者には既知の粉砕法を用いて調製される。
【0225】
吸入器又は注入器で使用されるカプセル、ブリスター、及びカートリッジは、本明細書に記載される医薬組成物の粉末混合物、適切な粉末基剤(ラクトース又はスターチ)、及び性能調節剤(1‐ロイシン、マンニトール、又はステアリン酸マグネシウム等)を含むよう製剤化される。ラクトースは、無水又は一水和物の形態である。適する他の賦形剤は、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、サッカロース、及びトレハロースを含む。吸入/鼻腔内投与用の本明細書に記載される医薬組成物は、適切な着香剤(メントール及びレボメントール等)又は甘味剤(サッカリン又はサッカリンナトリウム等)をさらに含む。
【0226】
1つの実施形態では、局所投与用の本明細書に記載される医薬組成物は、遅放性(delayed‐)、持続放出性(sustained‐)、パルス放出性、徐放性(controlled‐)、ターゲッティング放出性、及びプログラム放出性など、即放性又は修飾型放出制御性を示すよう製剤化される。
【0227】
実施例
【実施例1】
【0228】
2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールの合成
【化9】

スキーム1
【0229】
置換ベンズアルデヒドは、5°C乃至200°Cの温度にて、不活性溶媒中のアニリン化合物Aとの反応により脱水縮合し、アルデミン化合物Bを生じさせる。次に、トリメチルシリルシアニドをルイス酸存在下でアルデミンと反応させ、アニリノニトリルCを得る。次に,Ann.Chem.589,176(1954)に記載される方法の変更形態において、α,β‐不飽和アルデヒドをアニリノニトリルCと反応させ、化合物Dを得、基本的条件下で脱水及び脱水によるシアン化を行う。
【実施例2】
【0230】
ラパチニブの合成
【化10】

スキーム2
【0231】
溶媒としてDMF中に溶解したKCO等、基礎的条件下で開始化合物FとアニリンGを縮合させる。ヨードキナゾリンHを、パラジウム(0)触媒を用いたフランボロン酸Iとのカップリング反応にかけると、酸によって脱保護が生じ、複素環Jが得られる。メタンスルフォニルエチルアミンによるJのアセチル化によりラパチニブを得る。
【実施例3】
【0232】
カペシタビンの合成
【化11】

スキーム3
【0233】
5’‐デオキシ‐5‐フルオロシチジンをピリジン中に溶解し、無水酢酸と反応させてジアセチル化合物Kをもたらす。Kとn‐ペンチルクロロホルメートを反応させると、ジアシルカペシタビンLが得られる。化合物Lと水性NaOHを氷浴中で1時間処理すると化合物L中のアセチル基が加水分解され、カペシタビンが得られる。
【実施例4】
【0234】
2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールの薬物動態及び代謝
経口投与した2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールは、試験対象の全動物種(マウス、ラット、イヌ、及びサル)において速やかに吸収される。最高血漿濃度は、5 mg/kg投与の1時間後乃至3時間後に達成された。げっ歯類及びイヌの排出半減期(t1/2)は4乃至5時間、サルでは約2時間であった。経口バイオアベイラビリティはげっ歯類で最も高く、イヌ及びサル(それぞれ59及び34%)は低かった。ヒト被験者における薬物動態によると、2 mgから800 mgまでの経口投与において、直線の用量反応関係が認められた。ヒト被験者の半減期は、15乃至18時間である。
【実施例5】
【0235】
2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールの毒性
マウス、ラット、イヌ、及びサルを用いた2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールの毒性評価により、シクロオキシゲナーゼ阻害に関連する予想通りの所見が認められ、他のCOX‐2選択的阻害薬による動物の安全性に関する観察結果と一致していた。単回投与試験では、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールの最小致死量は、ラットで600 mg/kg、イヌで>2000 mg/kgであった。ヒト被験者を対象として実施された内視鏡検査によると、プラセボに比べて胃及び十二指腸における毒性は増加しなかった。
【実施例6】
【0236】
生物学的評価
COX‐2選択的阻害薬
SK‐BR‐3モデル:
マウスの左足に皮下注入(30%マトリゲル中に懸濁した腫瘍細胞1x10)し、phlethysmometerを用いて、腫瘍容積を週2回、30乃至60日間評価する。ヒトの乳癌細胞(SK‐BR‐3)をヌードマウスに移植すると、30乃至50日間に0.6乃至2 mlに達すると考えられる。24時間プロトコルを用いた実験中に2回採血し、AUC分析により血漿中濃度及び総曝露量を評価する。データは、平均値+/−SEMで表わす。スチューデント検定及びマン・ホイットニー検定を用いて、InStatソフトを使用して平均値間の差を評価する。
【0237】
A.SK‐BR‐3癌細胞を注入したマウスに対し、5、7、及び9日目に、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物(食物中)を含む併用療法存在下又は非存在下で50 mg/kgの用量のサイトキシンを腹腔内投与する。両剤の有効性は、腫瘍容積の測定により確認する。これらの試験の結果により、腫瘍を有するマウスへの2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物を含む併用療法(食物中)の投与は、腫瘍増殖及び転移を遅らせうることが示される。
【0238】
B.第2の実験では、12日目から15日目まで、SK‐BR‐3癌細胞を注入したマウスを5‐FUにより処理する。SK‐BR‐3癌細胞を注入したマウスに対し、12、13、14、及び15日目に、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブ(1600 ppm)とバルデコキシブ(160 ppm)の混合物(食物中)を含む併用療法存在下又は非存在下で50 mg/kgの用量の5‐FUを腹腔内投与する。両剤の有効性は、腫瘍容積の測定により確認する。併用療法を用いた治療により、腫瘍容積は最大70%減少すると考えられる。同一の実験では、5‐FUにより腫瘍容積は61%減少する。さらに、本組成物と5‐FUにより、腫瘍容積は83%減少する。
【0239】
C.第3の実験では、14日目から17日目まで、SK‐BR‐3乳癌細胞を注入したマウスに対し、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール及びバルデコキシブ(食物中)とトラスツズマブ(静脈内投与)の混合物を含む組成物存在下又は非存在下で50 mg/kgの用量の5‐FUを腹腔内投与する。両剤の有効性は、腫瘍容積の測定により確認する。5‐FUの投与により、腫瘍容積は35%減少すると考えられる。本組成物及びバルデコキシブの投与により、腫瘍容積はそれぞれ52%及び69%減少すると考えられる。同一の実験では、5‐FUと本組成物の混合物により腫瘍容積は72%減少するが、5‐FUとバルデコキシブの混合物により腫瘍容積は74%減少すると考えられる。
【実施例7】
【0240】
in vitroにおけるEGFR[ErbB1]キナーゼ活性阻害
受容体チロシンキナーゼを阻害する本明細書に記載される混合物のin vitroの活性は、以下の手順で測定される。本開示の混合物のin vitroの活性は、被験化合物と対照を用いた、上皮成長因子受容体によるチロシンの外因性基質のリン酸化阻害量によって決まる(例、Lys―ガストリン又はポリGluTyr(4:1)ランダムコポリマー(Posner et al.,J.Biol.Chem.,1992,267(29),20638‐472))。G.N.Gill,W.Weber(Methods in Enzymology,1987,146,82‐8)の手順により、A431細胞(American Type Culture Collection,メリーランド州ロックヴィル)からアフィニティ精製可溶性ヒトEGF受容体(96 ng)を得て、リン酸化緩衝液+バナジン酸塩(PBV:50 mM HEPES、pH7.4;125 mM NaCl;24 mM MgCl;100 μMオルトバナジン酸)中に溶解したEGF(2 μg/ml)(総量10 μl)とともに、室温にて20乃至30分間、マイクロチューブ中でプレインキュベートする。ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解した2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物を含む組成物をPBV中で希釈し、10 μlをEGF受容体/EGF配合物と混合し、30°Cにて10乃至30分間インキュベートする。EGF受容体/EGF配合物への20 μl 33P‐ATP/基質配合物(120 μM Lys‐ガストリン(一文字アミノ酸配列KKKGPWLEEEEEAYGWLDF)、50 mM Hepes pH7.4、40 μM ATP、2 pCi.ガンマ−[33P]‐ATP)添加によりリン酸化反応を開始し、室温にて20分間インキュベートする。10 μl停止溶液(0.5 M EDTA、pH8;2 mM ATP)及び6 μl 2N HClの添加により、反応を停止させる。チューブを14,000 RPM、4 °Cにて10分間遠心する。各チューブの上清35 μlをピペットで採取し、Whatman P81ペーパーの2.5 cmの円上に入れ、5%酢酸中で4回(1回洗浄につき1リットル)洗浄し、空気乾燥させる。その結果、基質とペーパーが結合し、洗浄により遊離ATPが失われる。シンチレーション・カウンターを用いて、取り込まれた[33P]を測定する。基質非存在下(例、lys‐ガストリン)の場合、バックグラウンドとして全値から取り込み値を減算し、対照(本組成物なし)に対する阻害率を計算する。被験混合物の用量の範囲で実施されるそのようなアッセイにより、EGFR[ErbB1]キナーゼ活性の in vitroの阻害のおおよそのIC50値が測定できる。本明細書で示される混合物の活性を測定する別の方法は、米国特許第5747498号明細書に記載されており、その開示を本明細書に援用する。
【実施例8】
【0241】
HER2[ErbB2]キナーゼ活性のin vitroの阻害
HER2[ErbB2]受容体チロシンキナーゼを阻害する本明細書に記載される混合物のin vitroの活性は、以下の手順で確認される。HER2[ErbB2]組換え細胞内ドメイン(アミノ酸675〜1255)は、グルタチオン‐S‐転移酵素として、バキュロウイルス感染Sf9細胞に発現する。この蛋白質は、アフィニティクロマトグラフィーにより、本アッセイで使用されるグルタチオンセファロースビーズ上で精製される。PBS中に溶解した0.25 mg/mlポリ(Glu:Tyr、4:1)、(PGT;Sigma Chemical社)を用いてNunc MaxiSorp 96ウェルプレートを被覆し、37°Cで一晩培養した。過剰なPGTを吸引除去し、プレートを洗浄緩衝液(PBSに溶解した0.1%Tween 20)で3回洗浄した。125 mM塩化ナトリウム、10 mM塩化マグネシウム、0.1 mMオルトバナジン酸ナトリウム、1 mM ATP、及び組換え蛋白質約15 gを含む50 mM HEPES(pH7.4)50 μlにおいてキナーゼ反応を実施する。DMSO中に溶解した被験組成物を添加し、最終DMSO濃度を2.5%とする。ATPを添加してリン酸化を開始し、一定の振盪により室温にて6分間進める。キナーゼ反応は、反応混合物の吸引及び洗浄緩衝液にて4回洗浄することにより終了する。抗リン酸化チロシンであるHRP結合PY54(Oncogene Science Inc.Pharmaceuticals、ニューヨーク州ユニオンデール)50 μl/ウェルをブロッキング用緩衝液(PBS中に溶解した3% BSA、0.05% Tween 20)中で0.2 μg/ml、まで希釈し、25分間の培養後、リン酸化PGTを測定する。抗体を吸引除去し、プレートを洗浄緩衝液で4回洗浄する。テトラメチルベンジジンマイクロウェルペルオキシダーゼ基質(Kirkegaard and Perry Labs社、メリーランド州ゲーサーズバーグ)50 μl/ウェルの添加により比色シグナルを進行させ、0.09 M硫酸50 μl/ウェルの添加によりこれを停止させる。形成されるリン酸化チロシン生成物は、450 nmの吸光度を測定することにより推定する。対照のシグナルは一般的にA0.6乃至1.2であり、6分間の培養時間に比例する。基本的にウェルにバックグラウンドは認められず、ATP、キナーゼ蛋白質、及びPGTは使用しない。
【実施例9】
【0242】
医薬組成物及び製剤
薬剤的賦形剤及び担体と、ラパチニブ(A)及び2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール(B)を含む医薬組成物を含む製剤は、以下のとおり。

【0243】
上の表に記載される配合物など、本明細書に記載される製剤は、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブの混合物を含む固定用量単回投与として、あるいは2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール単回投与とラパチニブ単回投与として別個に投与される。
【実施例10】
【0244】
乳癌治療
2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール及びラパチニブ、あるいは各薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグを含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、乳癌患者を治療する方法について検討する。ラパチニブと2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールの併用投与は、ラパチニブ単剤と比べて腫瘍抑制作用が増加すると考えられる。2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール及びトラスツズマブに基づく混合物は、セレコキシブで得られる効果より優れた相乗効果を示した。
【実施例11】
【0245】
ハーセプチンが奏効しなかったHER2[ErbB2]陽性乳癌患者の治療における2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとラパチニブとカペシタビンの併用
アントラサイクリン、タキサン、及びトラスツズマブ投与後に進行した進行性の転移性乳癌を有するHER2[ErbB2]陽性の女性に対し、2‐(エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール(1回経口投与量400 mg/日の持続投与)とラパチニブ(1回経口投与量1200 mg/日の持続投与)とカペシタビン(1回経口投与量1700 mg、21日サイクル中の1〜14日目に12時間ごとに投与)を用いた併用療法を行う。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びHER2[ErbB2]阻害薬あるいは各薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、同質多形、又はプロドラッグを含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、癌を有する被験者を治療する、方法。
【請求項2】
1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]/HER2[ErbB2]の両方の阻害薬あるいは各薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、同質多形、又はプロドラッグを含む治療的有効量の混合物の被験者への投与を含む、癌を有する被験者を治療する、方法。
【請求項3】
前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体の次の一般式:
【化1】

において、
Rは水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至6のアルキル基であり、
は炭素原子数1乃至6のアルキル基又はアミノ基であり、
は置換されていない、又は置換基α及び置換基βからなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるフェニル基であり、
は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至6の、置換されていない、又は水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基であり、
は水素原子、炭素原子数1乃至6の、置換されていない、又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基;炭素原子数3乃至8のシクロアルキル基;アリール基;アラルキル基;環状炭素における環炭素原子数6乃至14の、置換されていない、又は置換基α及び置換基βからなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換される前述のアリール基;炭素原子数1乃至6且つ上で規定される少なくとも1つのアリール基により置換されるアルキル基である前述のアラルキル基;
ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選択される前述の置換基α;
炭素原子数1乃至6の、置換されていない、又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基からなる群から選択される前述の置換基β、炭素原子数1乃至6のアルカノイロキシ基、メルカプト基、炭素原子数1乃至6のアルカノイルチオ基、炭素原子数1乃至6のアルキルスルフィニル基;炭素原子数3乃至8のシクロアルクロオキシ基(cycloalkloxy group);炭素原子数1乃至6のハロアルコキシ基;及び炭素原子数1乃至6のアルキレンジオキシ基;あるいは薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグである、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Rは水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至4のアルキル基であり、
はメチル基又はアミノ基であり、
は無置換フェニル基又はハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるフェニル基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基、炭素原子数1乃至4のハロアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキレンジオキシ基であり、
は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、又は炭素原子数1乃至4且つハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基及び炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換される置換アルキル基であり、
は水素原子、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つ水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換される置換アルキル基、炭素原子数3乃至6のシクロアルキル基、環炭素原子数6乃至10且つハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により無置換又は置換されるアリール基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基、炭素原子数3乃至7のシクロアルキロキシ基、アルキル部における炭素原子数1乃至4且つ前述のアリール基を少なくとも1つ含むアラルキル基、あるいは薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグである、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Rは水素原子であり、
はアミノ基であり、
は無置換フェニル基又はハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基、炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数1乃至4のハロアルキル基、炭素原子数1乃至4のハロアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキレンジオキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるフェニル基であり、
は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は炭素原子数1乃至4のハロアルキル基であり、
は水素原子、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つヒドロキシ基及び炭素原子数1乃至4のアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換される置換アルキル基、炭素原子数3乃至6のシクロアルキル基、環炭素原子数6乃至10且つヒドロキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により無置換又は置換されるアリール基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つ少なくとも1つのハロゲン原子により無置換又は置換されるアルキル基、炭素原子数3乃至7のシクロアルキロキシ基、及びアルキル部における炭素原子数1乃至4且つ前述のアリール基を少なくとも1つ含むアラルキル基、あるいは薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグである、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体が4‐メチル‐2‐(4‐メチルフェニル)‐1‐(4‐スフファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐メトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐クロロフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、4‐メチル‐2‐(4‐メチルチオフェニル)‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(4‐メトキシ‐3‐メチルフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(3‐フルオロ‐4‐メトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、2‐(3,4‐ジメチルフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、4‐メチル‐1‐(4‐メチルチオフェニル)‐2‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロール、1‐(4‐アセチルアミノスルフォニルフェニル)‐4‐メチル‐2‐(4‐メトキシフェニル)ピロール、及び1‐(4‐アセチルアミノスルフォニルフェニル)‐4‐メチル‐2‐(3,4‐ジメチルフェニル)ピロールからなる群から選択される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体が2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールである、請求項7に記載の方法。
【請求項8】
前記EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬が、次の一般式:
【化2】

XはN又はCHであり、
YはW(CH)、(CH)W又はW基であり、この場合、WはO、S(O)であり、mは0、1、又は2あるいはNRであり、この場合、Rは水素又はC1〜8のアルキル基であり、
は、N、O、又はS(O)から選択される1乃至4のヘテロ原子を含む5‐又は6‐員環複素環であり、この場合、mは上記のとおりであり、環には近接する2つの原子O又はS(O)がなく、ヘテロ原子としてNのみを有する場合、環はC結合キナゾリン又はキノリン環であり、Rは1つ又は複数のR基により任意選択的に置換され、
各Rはアミノ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、カルボキシ、ホルミル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルバモイル、ウレイド、グアニジノ、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、C3〜8シクロアルコキシル、C4〜8アルキルシクロアルコキシ、C1〜8アルキルカルボニル、C1〜8アルコキシカルボニル、N‐Cl‐4アルキルカルバモイル、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル、ヒドロキシアミノ、C1〜4アルコキシアミノ、C2〜4アルカノイルオキシアミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4アルキル)アミノ、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C1〜4アルキレン‐(C1〜4アルキル)アミノ、C1〜4アルキルアミノ‐C1〜4アルキレン‐(C1〜4アルキル)アミノ、ヒドロキシ‐C1〜4アルキレン‐(C1〜4アルキル)アミノ、フェニル、フェノキシ、4‐ピリドン‐1‐イル、ピロリジン‐1‐イル、イミダゾール‐1‐イル、ピペリジノ、モルフォリノ、チオモルフォリノ、チオモルフォリノ‐1‐オキシド、チオモルフォリノ‐1,1‐ジオキシド、ピペラジン‐1‐イル、4‐C1〜4アルキルピペラジン‐1‐イル、ジオキソラニル、C1〜8アルキルチオ、アリールチオ、C1〜4アルキルスルフィニル、C1〜4アルキルスルフォニル、アリールスルフォニル、アリールスルフィニル、ハロゲノ‐C1〜4アルキル、ヒドロキシ‐C1〜4アルキル、C2〜4アルカノイロキシ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ‐C1〜4アルキル、カルボキシ‐C1〜4アルキル、ホルミル‐C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシカルボニル‐C1〜4‐アルキル、カルバモイル‐C1〜4アルキル、N‐C1〜4アルキルカルバモイル‐C1〜4アルキル、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル‐C1〜4アルキル、アミノ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルキルアミノ‐C1〜4アルキル、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C1〜4アルキル、フェニル‐C1〜4アルキル、4‐ピリドン‐1‐イル‐C1〜4アルキル、ピロリジン‐1‐イル‐C1〜4アルキル、イミダゾール‐1‐イル‐C1〜4アルキル、ピペリジノ‐C1〜4アルキル、モルフォリノ‐C1〜4‐アルキル、チオモルフォリノ‐C1〜4アルキル、チオモルフォリノ‐1‐オキシド‐C1〜4アルキル、チオモルフォリノ‐1,1‐ジオキシド‐C1〜4アルキル、ピペラジン‐1‐イル‐C1〜4アルキル、4‐C1〜4アルキルピペラジン‐1‐イル‐C1〜4アルキル、ヒドロキシ‐C2〜4アルコキシ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルコキシ‐C1〜4アルキル、ヒドロキシ‐C2〜4アルキルアミノ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ‐C2〜4‐アルキルアミノ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルキルチオ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルキルスルフィニル‐C1〜4アルキル、C1〜4アルキルスルフォニル‐C1〜4アルキル、ヒドロキシ‐C2〜4アルキルチオ‐C1〜4‐アルキル、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルキルチオ‐C1〜4アルキル、フェノキシ‐C1〜4アルキル、アニリノ‐C1〜4アルキル、フェニルチオ‐C1〜4アルキル、シアノ‐C1〜4アルキル、ハロゲノ‐C2〜4アルコキシ、ヒドロキシ‐C2〜4アルコキシ、C2〜4アルカノイロキシ‐C2〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルコキシ、カルボキシ‐C1〜4アルコキシ、ホルミル‐C1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル‐C1〜4アルコキシ、カルバモイル‐C1〜4アルコキシ、N‐C1〜4アルキルカルバモイル‐C1〜4アルコキシ、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル‐C1〜4アルコキシ、アミノ‐C2〜4アルコキシ、C1〜4アルキルアミノ‐C2〜4アルコキシ、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C2〜4アルコキシ、ジ‐(C1〜4アルキル‐C2〜4アルコキシ)アミノ‐C2〜4アルコキシ、C2〜4アルカノイロキシ、ヒドロキシ‐C2〜4‐アルカノイロキシ、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルカノイロキシ、フェニル‐C1〜4アルコキシ、フェノキシ‐C2〜4アルコキシ、アニリノ‐C2〜4‐アルコキシ、フェニルチオ‐C2〜4アルコキシ、4‐ピリドン‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、ピペリジノ‐C2〜4アルコキシ、モルフォリノ‐C2〜4アルコキシ、チオモルフォリノ‐C2〜4アルコキシ、チオモルフォリノ‐1‐オキシド‐C2〜4アルコキシ、チオモルフォリノ‐1,1‐ジオキシド‐C2〜4‐アルコキシ、ピペラジン‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、4‐C1〜4アルキルピペラジン‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、ピロリジン‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、イミダゾール‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、ハロゲノ‐C2〜4‐アルキルアミノ、ヒドロキシ‐C2〜4アルキルアミノ、C2〜4アルカノイロキシ‐C2〜4アルキルアミノ、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルキルアミノ、カルボキシ‐C1〜4アルキルアミノ、C1〜4アルコキシカルボニル‐C1〜4アルキルアミノ、カルバモイル‐C1〜4アルキルアミノ、N‐C1〜4アルコキシカルバモイル‐C1〜4アルキルアミノ、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル‐C1〜4アルキルアミノ、アミノ‐C2〜4アルキルアミノ、C1〜4アルキルアミノ‐C2〜4アルキルアミノ、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C2〜4アルキルアミノ、フェニル‐C1〜4アルキルアミノ、フェノキシ‐C2〜4アルキルアミノ、アニリノ‐C2〜4アルキルアミノ、4‐ピリドン‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、ピロリジン‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、イミダゾール‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、ピペリジノ‐C2〜4アルキルアミノ、モルフォリノ‐C2〜4‐アルキルアミノ、チオモルフォリノ‐C2〜4アルキルアミノ、チオモルフォリノ‐1‐オキシド‐C2〜4アルキルアミノ、チオモルフォリノ‐1,1‐ジオキシド‐C2〜4アルキルアミノ、ピペラジン‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、4‐(C1〜4アルキル)ピペラジン‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、フェニルチオ‐C2〜4アルキルアミノ、C2〜4アルカノイルアミノ、C1〜4アルコキシカルボニルアミノ、C1〜4アルキルスルフォニルアミノ、C1〜4アルキルスルフィニルアミノ、ベンズアミド、ベンゼンスルホンアミド、3‐フェニルウレイド、2‐オキソピロリジン‐1‐イル、2,5‐ジオキソピロリジン‐1‐イル、ハロゲノ‐C2〜4アルカノイルアミノ、ヒドロキシ‐C2〜4アルカノイルアミノ、ヒドロキシ‐C2〜4アルカノイル‐(C1〜4アルキル)‐アミノ、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルカノイルアミノ、カルボキシ‐C2〜4アルカノイルアミノ、C1〜4アルコキシカルボニル‐C2〜4アルカノイルアミノ、カルバモイル‐C2〜4アルカノイルアミノ、N‐C1〜4アルキルカルバモイル‐C2〜4アルカノイルアミノ、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル‐C2〜4アルカノイルアミノ、アミノ‐C2〜4アルカノイルアミノ、C1〜4アルキルアミノ‐C2〜4アルカノイルアミノ、又はジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C2〜4アルカノイルアミノからなる群から独立して選択され、
この場合、R置換基の前述のベンズアミド置換基又はベンゼンスルホンアミド置換基あるいはアニリノ基、フェノキシ基、又はフェニル基は任意選択的に1つ又は2つのハロゲノ置換基、C1〜4アルキル置換基、又はC1〜4アルコキシ置換基を有し、複素環式環を有する置換基は、前述の環に任意選択的に1つ又は2つのハロゲノ置換基、C1〜4アルキル置換基、又はC1〜4アルコキシ置換基を有し、複素環式環を有する置換基は、前述の環に任意選択的に1つ又は2つのオキソ置換基又はチオキソ置換基を有し、
あるいはRはM1‐M2‐M3‐M4、M1〜M5、又はM1‐M2‐M3’‐M6から選択される群であり、この場合、
M1はC1〜4アルキル基であり、この場合、任意選択的にCH基はCO基により置換されるものであり、
M2はNR12又はCR1213であり、この場合R12及びR13はそれぞれ独立してH又はC1〜4アルキルであり、
M3はC1〜4アルキル基であり、
M3’はC1〜4アルキル基であるか存在せず、
M4はCN、R12S(O)13、S(O)NR1415、CONR1415、S(O)13又はCO13であり、この場合、R12、R13、及びmは上の定義のとおりであり、R14及びR15はそれぞれ独立してH又はC1〜4アルキルであり、あるいはR14及びR15は窒素原子と結合して、N、O、又はS(O)から選択される1つ又は2つの追加的ヘテロ原子を任意選択的に含む5‐又は6-員環複素環を形成し、この場合、窒素原子が存在する環はC1〜4アルキル基により任意選択的に置換され、その環は1つ又は2つのオキソ置換基又はチオキソ置換基を任意選択的に含み、
M5はNR1415基であり、この場合、R14及びR15は上の定義のとおり、あるいはM5は
【化3】

であり、この場合、tは2〜4、R16はOH,OC1〜4アルキル、又はNR1415であり、
M6はNR1415であるC3〜6シクロアルキル基であり、この場合、R14及びR15は上の定義のとおりであり、あるいは、N、O、又はS(O)から選択される1〜4つのヘテロ原子を含む5‐又は6-員環複素環系であり、
pは0〜3、あるいはPが2又は3のときは近接する2つのR基が任意選択的に置換されるメチレンジオキシ基又はエチレンジオキシ基を形成し、
は水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、及びC1〜4アルコキシからなる群から選択され、
Uはフェニルあるいは5〜10‐員単環系又は二重環系であり、この場合、1つ又は複数の炭素原子がN、O、及びS(O)から独立的に選択されるヘテロ原子により任意選択的に置換され、この場合、mは0、1、又は2であり、Uは少なくとも1つの独立的に選択されるR基であり、Uは少なくとも1つの独立的に選択されるR基であり、
各Rは独立して水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルアミノ、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルフィニル、C1〜4アルキルスルフォニル、C1〜4アルキルカルボニル、C1〜4アルキルカルバモイル、ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル、カルバミル、C1〜4アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ、又はトリフルオロメチルであり、
各Rは独立的にZR基であり、この場合、Zは(CHを介してRと結合し、この場合、pは0、1、又は2であり、ZはV(CH)基、V(CF)基、(CH)V基、(CF)V基、V(CRR)基、V(CHR)基、又はVであり、この場合、R及びRはそれぞれC1〜4アルキルであり、Vは0、1、又は2個の炭素原子、カルボニル、ジカルボニル、CH(OH)、CH(CN)、スルホンアミド、アミド、O、S(O)、又はNRを含むヒドロカルビル基であり、この場合、Rは水素あるいはRはC1〜4アルキルであり、Rは任意選択的に置換されるC3〜6シクロアルキルあるいは任意選択的に置換される5、6、7、8、9、又は10‐員炭素環成分又は複素環成分であり、
あるいはRはZR基であり、この場合、ZはNRであり、NR及びRは任意選択的に置換される5、6、7、8、9、又は10‐員炭素環成分又は複素環成分を形成する)
で表されるか、又はその塩類、又は溶媒化合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
が、C1〜4アルキルスルフィニル‐C1〜4アルキル又はC1〜4アルキルスルフォニルC1〜4アルキルから選択される1つ又は複数のR基により置換される5‐又は6‐員環複素環である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
XはN、YはNRであり、この場合、Rは水素又はC1〜4アルキルであり、Rはフラン、チアゾール、チオフェン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、トリアゾール、ジオキソラン、あるいはこれらの基の部分水素化誘導体又は完全水素化誘導体であり、これらはメチルスルフォニルエチルアミノメチル、メチルスルフォニルエチルアミノ‐カルボニル、メチルスルフィニルエチルアミノ‐メチル、メチルスルフィニルエチルアミノ‐カルボニル、メチルスルフォニルプロピルアミノ‐メチル、メチルスルフィニルプロピルアミノ‐メチル、メチルスルフォニルプロピルアミノ‐カルボニル、メチルスルフィニルプロピルアミノ‐カルボニル、メチルスルフォニルエチル‐(メチルアミノ)‐メチル、メチルスルフォニルエチル‐(メチルアミノ)‐カルボニル、メチルスルフィニルエチル‐(メチルアミノ)‐メチル、メチルスルフィニルエチル‐(メチルアミノ)‐カルボニル、メチルスルフォニルプロピル‐(メチルアミノ)‐メチル、メチルスルフィニルプロピル‐(メチルアミノ)‐メチル、メチルスルフォニルプロピル‐(メチルアミノ)‐カルボニル、メチルスルフィニルプロピル‐(メチルアミノ)‐カルボニル、メチルスルホンアミドエチルアミノ‐メチル、メチルスルホンアミドプロピルアミノ‐メチル、アミノスルフォニルエチルアミノメチル、メチルアミノスルフォニルエチルアミノメチル、サルコシンアミドメチル、グリシニルメチル、グリシンアミドメチル、グリシニルメチルメチルエステルアセチルアミノエチルアミノメチル、ピペラジニルメチル、メチルピペラジニルメチル、ピペリジニルメチル、ピリジルメチル、N‐(プロリンアミド)メチル、(N,N‐ジメチル‐プロリンアミド)メチル、ピリジルアミノメチル、シクロプロピルアミノメチル、N‐(ピペリジン‐4‐イル)‐N‐メチルアミノメチル、N,N‐ジメチルアミノプロプ‐2‐イルアミノメチル、N‐(2‐ジメチルアミノエチル)‐N‐エチルアミノメチル、イソプロピルアセトアミド、N‐モルフォリニルアセトアミド、又はテトラヒドロフラノメチルアミノメチルから選択されるR基により任意選択的に置換され、1つ又は複数のC1〜4アルキル基により任意選択的にさらに置換され、pは0であり、Rは水素であり、Rは水素、ハロ、又はメチルであり、Uはフェニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、又はインダゾリルであり、Rはフェニル、ベンジル、α‐メチルベンジル、フルオロベンジル、ジフルオロベンジル、ピリジルメチル、ベンゼンスルフォニル、フェノキシ、フルオロフェノキシ、ベンジルオキシ、又はフルオロベンジルオキシである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬が
【化4】


の群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬がラパチニブである、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体が2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、前記EGFR[ErbB1]とHER−2/nの両方の阻害薬がラパチニブである、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体及び前記EGFR[ErbB1]とHER‐2/nの両方の阻害薬が、順番を問わず連続的に又は同時に投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
1,2‐ジフェニルピロール誘導体が先に投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬が先に投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体と前記EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物の他に、1種類又は複数の療法を前記被験者に投与することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール及びラパチニブを含む混合物の他に、1種類又は複数の療法を前記被験者に投与することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール及びラパチニブを含む混合物の他に、カペシタビンを前記被験者に投与することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
約500 mg/日乃至約1500 mg/日のラパチニブ、約1600 mg/m/日乃至約2500 mg/m/日のカペシタビン、及び約100 mg/日乃至約1200 mg/日の2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールの前記患者への持続的投与を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記癌がHER2[ErbB2]の過剰発現に関連している、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記癌が乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、胃癌、唾液腺癌、膵臓癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、口腔癌、及び扁平上皮癌から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記癌が乳癌である、請求項23に記載の方法。
【請求項24】
前記1種類又は複数の療法が、放射線療法、化学療法、幹細胞移植併用大量化学療法、ホルモン療法、及びモノクローナル抗体療法の1種類又は複数を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
放射線療法が内部及び/又は外部放射線療法である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記化学療法が、ベンダムスチン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド注射、シクロスホスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、プロカルバジン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ゲムシタビン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ペントスタチンIV、チオグアニン、エトポシド、エトポシドIV、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、又はプレドニゾンの1種類又は複数の前記被験者への投与を含む、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記混合物の投与が前記被験者の治療を強化する、請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記混合物の投与が、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬単独投与又は前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体単独投与に比べて癌の前記治療による前記副作用を低減する、請求項2に記載の方法。
【請求項29】
前記混合物の投与が、経口投与、非経口投与、バッカル投与、鼻腔内投与、硬膜外投与、舌下投与、肺内投与、局所投与、直腸投与、又は経皮投与である、請求項2に記載の方法。
【請求項30】
前記混合物の投与が非経口投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
非経口投与が、静脈内投与、皮下投与、くも膜下投与、又は筋肉内投与である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
経口投与が単回投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記単回投与が患者のコンプライアンスを強化する及び/又は丸薬負荷を低減する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記単回投与が単一のカプセル又は単一の錠剤である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が単一の錠剤である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記単一の錠剤が、約100 mg乃至約1200 mgの2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールと約500 mg乃至約1500 mgのラパチニブを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記単一の錠剤が、約100 mg乃至約1200 mgの2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールと約500 mgのラパチニブを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記単一の錠剤が、約100 mg乃至約1200 mgの2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールと約750 mgのラパチニブを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記単一の錠剤が、約100 mg乃至約1200 mgの2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールと約1000 mgのラパチニブを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記単一の錠剤が、約100 mg乃至約1200 mgの2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールと約1250 mgのラパチニブを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記単一の錠剤が、約100 mg乃至約1200 mgの2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールと約1500 mgのラパチニブを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記癌が口腔癌、前立腺癌、直腸癌、非小細胞肺癌、口唇・口腔癌、肝臓癌、肺癌、肛門癌、腎臓癌、外陰癌、乳癌、口腔咽頭癌、鼻腔癌、副鼻腔癌、鼻咽腔癌、尿道癌、小腸癌、胆管癌、膀胱癌、卵巣癌、咽頭癌、下咽頭癌、胆嚢癌、結腸癌、結腸直腸癌、頭頚部癌、副甲状腺癌、陰茎癌、膣癌、甲状腺癌、膵臓癌、食道癌、ホジキンリンパ腫、白血病関連疾患、菌状息肉腫、及び骨髄異形成症候群からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項43】
前記癌が非小細胞肺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、及び頭頚部癌である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記癌が癌腫、腫瘍、新生物、リンパ腫、黒色腫、神経膠腫、肉腫、及び芽腫である、請求項2に記載の方法。
【請求項45】
前記癌腫が腺癌、腺様嚢胞癌、腺扁平上皮癌、副腎皮質癌、高分化癌、扁平上皮癌、漿液性腺癌、小細胞癌、浸潤性扁平上皮癌、大細胞癌、島細胞癌、燕麦細胞癌、扁平上皮癌、未分化癌、いぼ状癌、腎細胞癌、乳頭状漿液性腺癌、メルケル細胞癌、肝細胞癌、軟組織癌、気管支腺癌、管癌、バルトリン腺癌、基底細胞癌、癌肉腫、乳頭腫/癌腫、明細胞癌、類内膜腺癌、中皮癌、転移性癌、粘類表皮癌、胆管細胞癌、光線角化症、嚢胞腺腫、及び肝腺腫症からなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記腫瘍が星細胞腫、悪性中皮腫、卵巣生殖細胞腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、ウィルムス腫瘍、下垂体腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、ガストリノーマ、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、脳腫瘍、松果体腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、ソマトスタチン産生腫瘍、内胚葉洞腫瘍、カルチノイド症候群、大脳星細胞腫、グルカゴノーマ、肝細胞腺腫、インスリノーマ、髄様上皮腫、形質細胞腫、ビポーマ、及び褐色細胞腫からなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記新生物が上皮内新生物、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、形質細胞新生物、上皮間扁平上皮細胞新生物、内膜増殖症、巣状結節性過形成、血管内皮腫、及び悪性胸腺腫からなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記リンパ腫が神経系リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ腫、及びワルデンストローム・マクログロブリン血症からなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記黒色腫が末端黒子型黒色腫、表在拡大型黒色腫、ブドウ膜黒色腫、悪性黒子由来黒色腫、黒色腫、眼球内黒色腫、細胞腺腫、結節性黒色腫、及び血管腫からなる群から選択される、請求項44に前記記載の方法。
【請求項50】
前記肉腫が腺腫、腺肉腫、コンドザルコーマ、子宮内膜間質細胞肉腫、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、肉腫、子宮肉腫、骨肉腫、及び偽肉腫からなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記神経膠腫が神経膠腫、脳幹膠腫、視床下部神経膠腫、及び視路神経膠腫からなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記芽腫が肺芽腫、胸膜肺芽腫、網膜芽腫、神経芽腫、髄芽腫、膠芽腫、及び血管芽腫からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項53】
前記EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬が小分子化合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項54】
前記小分子化合物がGW2974、ゲフィチニブ、AEE788、HKI‐272、PKI‐166、及びBIBW‐2992からなる群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
腫瘍細胞の文化を誘発する方法であって、前記方法が前記細胞と1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]/HER2[ErbB2]阻害薬を含む有効量の混合物を接触させることを含み、前記方法により前記混合物が腫瘍の分化を誘発する、方法。
【請求項56】
癌細胞の増殖を阻害する方法であって、前記方法が癌細胞と1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を接触させることを含んでいて、前記方法により前記混合物が癌細胞の増殖を阻害する、方法。
【請求項57】
癌細胞の増殖を低減する方法であって、前記方法が1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を前記細胞へ送達することを含んでいて、前記方法により1,2‐ジフェニルピロール誘導体単独又はEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬単独よりも細胞増殖が大きく低減される、方法。
【請求項58】
前記方法が1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む有効量の混合物を癌細胞へ送達することを含んでいて、この場合、前記混合物がATP分子を用いた自己リン酸化を阻害する、ATP分子を用いた自己リン酸化を調節する方法。
【請求項59】
前記方法が1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む有効量の混合物の投与を含んでいるため、前記混合物が腫瘍細胞の転移活性を阻害する、腫瘍細胞の転移を阻害する方法。
【請求項60】
前記方法が前記癌細胞と1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を接触させ、十分にアポトーシスを誘発することを含む、癌細胞のアポトーシスを誘発する方法。
【請求項61】
前記方法が1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物の投与を含んでいて、この場合、前記混合物がEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に対し(抵抗性を示す)前記癌細胞を感作する、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に抵抗性を示す癌細胞をEGFR[ErbB1]阻害薬により感作する方法。
【請求項62】
前記方法が1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物の投与を含んでいて、この場合、前記混合物がEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に対し(抵抗性を示す)癌細胞を感作する、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に抵抗性を示す癌細胞をHER2[ErbB2]により感作する方法。
【請求項63】
前記方法が1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物の投与を含んでいて、この場合、前記混合物がEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に対し(抵抗性を示す)前記癌細胞を感作する、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬で(EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬)に抵抗性を示す癌細胞を感作する方法。
【請求項64】
前記方法が1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物の投与を含む、EGFR[ErbB1]阻害薬に対する癌細胞の抵抗性を治療する、方法。
【請求項65】
前記方法が1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物の投与を含む、HER2[ErbB2]阻害薬に対する癌細胞の抵抗性を治療する、方法。
【請求項66】
前記方法が1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物の投与を含む、EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬に抵抗性を示す癌細胞を治療する、方法。
【請求項67】
前記方法が前記細胞と1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を接触させることを含んでいて、この場合、前記混合物が癌細胞のプロスタグランジン合成を阻害する、癌細胞におけるプロスタグランジン合成を調節する方法。
【請求項68】
前記方法が1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を前記細胞へ送達することを含んでいて、この場合、前記混合物が癌細胞におけるシクロオキシゲナーゼの発現を阻害する、癌細胞におけるシクロオキシゲナーゼの発現を調節する方法。
【請求項69】
前記方法が前記細胞と1,2‐ジフェニルピロール誘導体及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬を含む混合物を接触させることを含んでいて、この場合、前記混合物が癌細胞における血管形成を阻害する、癌細胞における血管形成を調節する方法。
【請求項70】
前記方法が被験者に対する1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物の投与を含んでいて、この場合、前記混合物が新生物形成及び/又は新生物形成関連疾患に対する従来の治療法の前記投与量を低減する、新生物形成及び/又は新生物形成関連疾患に対する従来の治療法の前記投与量を低減する方法。
【請求項71】
前記方法が1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物の投与を含む、新生物形成及び/又は新生物形成関連疾患を治療する方法。
【請求項72】
1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬あるいは各薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグを含む、癌を治療するための組成物。
【請求項73】
1,2‐ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]阻害薬あるいは各薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグを含む、癌を治療するための組成物。
【請求項74】
前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体の次の一般式:
【化5】

において、
Rは水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至6のアルキル基であり、
は炭素原子数1乃至6のアルキル基又はアミノ基であり、
は置換されていない、又は置換基α及び置換基βからなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるフェニル基であり、
は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至6の、置換されていない、又は水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基であり、
は水素原子、炭素原子数1乃至6の、置換されていない、又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基;炭素原子数3乃至8のシクロアルキル基;アリール基;アラルキル基;環状炭素における環炭素原子数6乃至14の、置換されていない、又は置換基α及び置換基βからなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換される前述のアリール基;炭素原子数1乃至6且つ上で規定される少なくとも1つのアリール基により置換されるアルキル基である前述のアラルキル基;
ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選択される前述の置換基α;
炭素原子数1乃至6の、置換されていない、又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基からなる群から選択される前述の置換基β、炭素原子数1乃至6のアルカノイロキシ基、メルカプト基、炭素原子数1乃至6のアルカノイルチオ基、炭素原子数1乃至6のアルキルスルフィニル基;炭素原子数3乃至8のシクロアルクロオキシ基(cycloalkloxy group);炭素原子数1乃至6のハロアルコキシ基;及び炭素原子数1乃至6のアルキレンジオキシ基;あるいは薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグである、請求項72に記載の組成物。
【請求項75】
前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体の次の一般式:
【化6】

において、
Rは水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至4のアルキル基であり、
はメチル基又はアミノ基であり、
は無置換フェニル基又はハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるフェニル基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基、炭素原子数1乃至4のハロアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキレンジオキシ基であり、
は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、又は炭素原子数1乃至4且つハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基及び炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換される置換アルキル基であり、
は水素原子、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つ水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換される置換アルキル基、炭素原子数3乃至6のシクロアルキル基、環炭素原子数6乃至10且つハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により無置換又は置換されるアリール基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるアルキル基、炭素原子数3乃至7のシクロアルキロキシ基、アルキル部における炭素原子数1乃至4且つ前述のアリール基を少なくとも1つ含むアラルキル基、あるいは薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグである、請求項74に記載の組成物。
【請求項76】
前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体の次の一般式:
【化7】

において、
Rは水素原子であり、
はアミノ基であり、
は無置換フェニル基又はハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基、炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数1乃至4のハロアルキル基、炭素原子数1乃至4のハロアルコキシ基、及び炭素原子数1乃至4のアルキレンジオキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換されるフェニル基であり、
は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基、又は炭素原子数1乃至4のハロアルキル基であり、
は水素原子、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つヒドロキシ基及び炭素原子数1乃至4のアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換される置換アルキル基、炭素原子数3乃至6のシクロアルキル基、環炭素原子数6乃至10且つヒドロキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により無置換又は置換されるアリール基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数1乃至4の無置換アルキル基、炭素原子数1乃至4且つ少なくとも1つのハロゲン原子により無置換又は置換されるアルキル基、炭素原子数3乃至7のシクロアルキロキシ基、及びアルキル部における炭素原子数1乃至4且つ前述のアリール基を少なくとも1つ含むアラルキル基、あるいは薬剤的に許容できる塩類、溶媒化合物、又はプロドラッグである、請求項65に記載の組成物。
【請求項77】
前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体が、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールである、請求項76に記載の組成物。
【請求項78】
前記EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬が、次の一般式:
【化8】

XはN又はCHであり、
YはW(CH)、(CH)W又はW基であり、この場合、WはO、S(O)であり、mは0、1、又は2あるいはNRであり、この場合、Rは水素又はC1〜8のアルキル基であり、
は、N、O、又はS(O)から選択される1乃至4のヘテロ原子を含む5‐又は6‐員環複素環であり、この場合、mは上記のとおりであり、環には近接する2つの原子O又はS(O)がなく、ヘテロ原子としてNのみを有する場合、環はC結合キナゾリン又はキノリン環であり、Rは1つ又は複数のR基により任意選択的に置換され、
各Rはアミノ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、カルボキシ、ホルミル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルバモイル、ウレイド、グアニジノ、C1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、C3〜8シクロアルコキシル、C4〜8アルキルシクロアルコキシ、C1〜8アルキルカルボニル、C1〜8アルコキシカルボニル、N‐Cl‐4アルキルカルバモイル、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル、ヒドロキシアミノ、C1〜4アルコキシアミノ、C2〜4アルカノイルオキシアミノ、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4アルキル)アミノ、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C1〜4アルキレン‐(C1〜4アルキル)アミノ、C1〜4アルキルアミノ‐C1〜4アルキレン‐(C1〜4アルキル)アミノ、ヒドロキシ‐C1〜4アルキレン‐(C1〜4アルキル)アミノ、フェニル、フェノキシ、4‐ピリドン‐1‐イル、ピロリジン‐1‐イル、イミダゾール‐1‐イル、ピペリジノ、モルフォリノ、チオモルフォリノ、チオモルフォリノ‐1‐オキシド、チオモルフォリノ‐1,1‐ジオキシド、ピペラジン‐1‐イル、4‐C1〜4アルキルピペラジン‐1‐イル、ジオキソラニル、C1〜8アルキルチオ、アリールチオ、C1〜4アルキルスルフィニル、C1〜4アルキルスルフォニル、アリールスルフォニル、アリールスルフィニル、ハロゲノ‐C1〜4アルキル、ヒドロキシ‐C1〜4アルキル、C2〜4アルカノイロキシ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ‐C1〜4アルキル、カルボキシ‐C1〜4アルキル、ホルミル‐C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシカルボニル‐C1〜4‐アルキル、カルバモイル‐C1〜4アルキル、N‐C1〜4アルキルカルバモイル‐C1〜4アルキル、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル‐C1〜4アルキル、アミノ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルキルアミノ‐C1〜4アルキル、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C1〜4アルキル、フェニル‐C1〜4アルキル、4‐ピリドン‐1‐イル‐C1〜4アルキル、ピロリジン‐1‐イル‐C1〜4アルキル、イミダゾール‐1‐イル‐C1〜4アルキル、ピペリジノ‐C1〜4アルキル、モルフォリノ‐C1〜4‐アルキル、チオモルフォリノ‐C1〜4アルキル、チオモルフォリノ‐1‐オキシド‐C1〜4アルキル、チオモルフォリノ‐1,1‐ジオキシド‐C1〜4アルキル、ピペラジン‐1‐イル‐C1〜4アルキル、4‐C1〜4アルキルピペラジン‐1‐イル‐C1〜4アルキル、ヒドロキシ‐C2〜4アルコキシ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルコキシ‐C1〜4アルキル、ヒドロキシ‐C2〜4アルキルアミノ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ‐C2〜4‐アルキルアミノ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルキルチオ‐C1〜4アルキル、C1〜4アルキルスルフィニル‐C1〜4アルキル、C1〜4アルキルスルフォニル‐C1〜4アルキル、ヒドロキシ‐C2〜4アルキルチオ‐C1〜4‐アルキル、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルキルチオ‐C1〜4アルキル、フェノキシ‐C1〜4アルキル、アニリノ‐C1〜4アルキル、フェニルチオ‐C1〜4アルキル、シアノ‐C1〜4アルキル、ハロゲノ‐C2〜4アルコキシ、ヒドロキシ‐C2〜4アルコキシ、C2〜4アルカノイロキシ‐C2〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルコキシ、カルボキシ‐C1〜4アルコキシ、ホルミル‐C1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル‐C1〜4アルコキシ、カルバモイル‐C1〜4アルコキシ、N‐C1〜4アルキルカルバモイル‐C1〜4アルコキシ、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル‐C1〜4アルコキシ、アミノ‐C2〜4アルコキシ、C1〜4アルキルアミノ‐C2〜4アルコキシ、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C2〜4アルコキシ、ジ‐(C1〜4アルキル‐C2〜4アルコキシ)アミノ‐C2〜4アルコキシ、C2〜4アルカノイロキシ、ヒドロキシ‐C2〜4‐アルカノイロキシ、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルカノイロキシ、フェニル‐C1〜4アルコキシ、フェノキシ‐C2〜4アルコキシ、アニリノ‐C2〜4‐アルコキシ、フェニルチオ‐C2〜4アルコキシ、4‐ピリドン‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、ピペリジノ‐C2〜4アルコキシ、モルフォリノ‐C2〜4アルコキシ、チオモルフォリノ‐C2〜4アルコキシ、チオモルフォリノ‐1‐オキシド‐C2〜4アルコキシ、チオモルフォリノ‐1,1‐ジオキシド‐C2〜4‐アルコキシ、ピペラジン‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、4‐C1〜4アルキルピペラジン‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、ピロリジン‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、イミダゾール‐1‐イル‐C2〜4アルコキシ、ハロゲノ‐C2〜4‐アルキルアミノ、ヒドロキシ‐C2〜4アルキルアミノ、C2〜4アルカノイロキシ‐C2〜4アルキルアミノ、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルキルアミノ、カルボキシ‐C1〜4アルキルアミノ、C1〜4アルコキシカルボニル‐C1〜4アルキルアミノ、カルバモイル‐C1〜4アルキルアミノ、N‐C1〜4アルコキシカルバモイル‐C1〜4アルキルアミノ、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル‐C1〜4アルキルアミノ、アミノ‐C2〜4アルキルアミノ、C1〜4アルキルアミノ‐C2〜4アルキルアミノ、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C2〜4アルキルアミノ、フェニル‐C1〜4アルキルアミノ、フェノキシ‐C2〜4アルキルアミノ、アニリノ‐C2〜4アルキルアミノ、4‐ピリドン‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、ピロリジン‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、イミダゾール‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、ピペリジノ‐C2〜4アルキルアミノ、モルフォリノ‐C2〜4‐アルキルアミノ、チオモルフォリノ‐C2〜4アルキルアミノ、チオモルフォリノ‐1‐オキシド‐C2〜4アルキルアミノ、チオモルフォリノ‐1,1‐ジオキシド‐C2〜4アルキルアミノ、ピペラジン‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、4‐(C1〜4アルキル)ピペラジン‐1‐イル‐C2〜4アルキルアミノ、フェニルチオ‐C2〜4アルキルアミノ、C2〜4アルカノイルアミノ、C1〜4アルコキシカルボニルアミノ、C1〜4アルキルスルフォニルアミノ、C1〜4アルキルスルフィニルアミノ、ベンズアミド、ベンゼンスルホンアミド、3‐フェニルウレイド、2‐オキソピロリジン‐1‐イル、2,5‐ジオキソピロリジン‐1‐イル、ハロゲノ‐C2〜4アルカノイルアミノ、ヒドロキシ‐C2〜4アルカノイルアミノ、ヒドロキシ‐C2〜4アルカノイル‐(C1〜4アルキル)‐アミノ、C1〜4アルコキシ‐C2〜4アルカノイルアミノ、カルボキシ‐C2〜4アルカノイルアミノ、C1〜4アルコキシカルボニル‐C2〜4アルカノイルアミノ、カルバモイル‐C2〜4アルカノイルアミノ、N‐C1〜4アルキルカルバモイル‐C2〜4アルカノイルアミノ、N,N‐ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル‐C2〜4アルカノイルアミノ、アミノ‐C2〜4アルカノイルアミノ、C1〜4アルキルアミノ‐C2〜4アルカノイルアミノ、又はジ‐(C1〜4アルキル)アミノ‐C2〜4アルカノイルアミノからなる群から独立して選択され、
この場合、R置換基の前述のベンズアミド置換基又はベンゼンスルホンアミド置換基あるいはアニリノ基、フェノキシ基、又はフェニル基は任意選択的に1つ又は2つのハロゲノ置換基、C1〜4アルキル置換基、又はC1〜4アルコキシ置換基を有し、複素環式環を有する置換基は、前述の環に任意選択的に1つ又は2つのハロゲノ置換基、C1〜4アルキル置換基、又はC1〜4アルコキシ置換基を有し、複素環式環を有する置換基は、前述の環に任意選択的に1つ又は2つのオキソ置換基又はチオキソ置換基を有し、
あるいはRはM1‐M2‐M3‐M4、M1〜M5、又はM1‐M2‐M3’‐M6から選択される群であり、この場合、
M1はC1〜4アルキル基であり、この場合、任意選択的にCH基はCO基により置換されるものであり、
M2はNR12又はCR1213であり、この場合R12及びR13はそれぞれ独立してH又はC1〜4アルキルであり、
M3はC1〜4アルキル基であり、
M3’はC1〜4アルキル基であるか存在せず、
M4はCN、R12S(O)13、S(O)NR1415、CONR1415、S(O)13又はCO13であり、この場合、R12、R13、及びmは上の定義のとおりであり、R14及びR15はそれぞれ独立してH又はC1〜4アルキルであり、あるいはR14及びR15は窒素原子と結合して、N、O、又はS(O)から選択される1つ又は2つの追加的ヘテロ原子を任意選択的に含む5‐又は6-員環複素環を形成し、この場合、窒素原子が存在する環はC1〜4アルキル基により任意選択的に置換され、その環は1つ又は2つのオキソ置換基又はチオキソ置換基を任意選択的に含み、
M5はNR1415基であり、この場合、R14及びR15は上の定義のとおり、あるいはM5は
【化9】

であり、この場合、tは2〜4、R16はOH,OC1〜4アルキル、又はNR1415であり、
M6はNR1415であるC3〜6シクロアルキル基であり、この場合、R14及びR15は上の定義のとおりであり、あるいは、N、O、又はS(O)から選択される1〜4つのヘテロ原子を含む5‐又は6-員環複素環系であり、
pは0〜3、あるいはPが2又は3のときは近接する2つのR基が任意選択的に置換されるメチレンジオキシ基又はエチレンジオキシ基を形成し、
は水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1〜4アルキル、及びC1〜4アルコキシからなる群から選択され、
Uはフェニルあるいは5〜10‐員単環系又は二重環系であり、この場合、1つ又は複数の炭素原子がN、O、及びS(O)から独立的に選択されるヘテロ原子により任意選択的に置換され、この場合、mは0、1、又は2であり、Uは少なくとも1つの独立的に選択されるR基であり、Uは少なくとも1つの独立的に選択されるR基であり、
各Rは独立して水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルアミノ、ジ‐(C1〜4アルキル)アミノ、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルキルスルフィニル、C1〜4アルキルスルフォニル、C1〜4アルキルカルボニル、C1〜4アルキルカルバモイル、ジ‐(C1〜4アルキル)カルバモイル、カルバミル、C1〜4アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ、又はトリフルオロメチルであり、
各Rは独立的にZR基であり、この場合、Zは(CHを介してRと結合し、この場合、pは0、1、又は2であり、ZはV(CH)基、V(CF)基、(CH)V基、(CF)V基、V(CRR)基、V(CHR)基、又はVであり、この場合、R及びRはそれぞれC1〜4アルキルであり、Vは0、1、又は2個の炭素原子、カルボニル、ジカルボニル、CH(OH)、CH(CN)、スルホンアミド、アミド、O、S(O)、又はNRを含むヒドロカルビル基であり、この場合、Rは水素あるいはRはC1〜4アルキルであり、Rは任意選択的に置換されるC3〜6シクロアルキルあるいは任意選択的に置換される5、6、7、8、9、又は10‐員炭素環成分又は複素環成分であり、
あるいはRはZR基であり、この場合、ZはNRであり、NR及びRは任意選択的に置換される5、6、7、8、9、又は10‐員炭素環成分又は複素環成分を形成する)
で表されるか、又はその塩類、又は溶媒化合物である、請求項72に記載の組成物。
【請求項79】
が、C1〜4アルキルスルフィニル‐C1〜4アルキル又はC1〜4アルキルスルフォニルC1〜4アルキルから選択される1つ又は複数のR基により置換される5‐又は6‐員環複素環である、請求項8に記載の方法。
【請求項80】
は水素又はC1〜4アルキルであり、Rはフラン、チアゾール、チオフェン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、トリアゾール、ジオキソラン、あるいはこれらの基の部分水素化誘導体又は完全水素化誘導体であり、これらはメチルスルフォニルエチルアミノメチル、メチルスルフォニルエチルアミノ‐カルボニル、メチルスルフィニルエチルアミノ‐メチル、メチルスルフィニルエチルアミノ‐カルボニル、メチルスルフォニルプロピルアミノ‐メチル、メチルスルフィニルプロピルアミノ‐メチル、メチルスルフォニルプロピルアミノ‐カルボニル、メチルスルフィニルプロピルアミノ‐カルボニル、メチルスルフォニルエチル‐(メチルアミノ)‐メチル、メチルスルフォニルエチル‐(メチルアミノ)‐カルボニル、メチルスルフィニルエチル‐(メチルアミノ)‐メチル、メチルスルフィニルエチル‐(メチルアミノ)‐カルボニル、メチルスルフォニルプロピル‐(メチルアミノ)‐メチル、メチルスルフィニルプロピル‐(メチルアミノ)‐メチル、メチルスルフォニルプロピル‐(メチルアミノ)‐カルボニル、メチルスルフィニルプロピル‐(メチルアミノ)‐カルボニル、メチルスルホンアミドエチルアミノ‐メチル、メチルスルホンアミドプロピルアミノ‐メチル、アミノスルフォニルエチルアミノメチル、メチルアミノスルフォニルエチルアミノメチル、サルコシンアミドメチル、グリシニルメチル、グリシンアミドメチル、グリシニルメチルメチルエステルアセチルアミノエチルアミノメチル、ピペラジニルメチル、メチルピペラジニルメチル、ピペリジニルメチル、ピリジルメチル、N‐(プロリンアミド)メチル、(N,N‐ジメチル‐プロリンアミド)メチル、ピリジルアミノメチル、シクロプロピルアミノメチル、N‐(ピペリジン‐4‐イル)‐N‐メチルアミノメチル、N,N‐ジメチルアミノプロプ‐2‐イルアミノメチル、N‐(2‐ジメチルアミノエチル)‐N‐エチルアミノメチル、イソプロピルアセトアミド、N‐モルフォリニルアセトアミド、又はテトラヒドロフラノメチルアミノメチルから選択されるR基により任意選択的に置換され、1つ又は複数のC1〜4アルキル基により任意選択的にさらに置換され、pは0であり、Rは水素であり、Rは水素、ハロ、又はメチルであり、Uはフェニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、又はインダゾリルであり、Rはフェニル、ベンジル、α‐メチルベンジル、フルオロベンジル、ジフルオロベンジル、ピリジルメチル、ベンゼンスルフォニル、フェノキシ、フルオロフェノキシ、ベンジルオキシ、又はフルオロベンジルオキシである、請求項79に記載の組成物。
【請求項81】
前記EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬が
【化10】

の群から選択される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬がラパチニブである、請求項72に記載の組成物。
【請求項83】
前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体が2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールとEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬がラパチニブである、請求項72に記載の組成物。
【請求項84】
前記組成物が単回投与される、請求項72に記載の組成物。
【請求項85】
前記単回投与が患者のコンプライアンスを強化する及び/又は丸薬負荷を低減する、請求項84に記載の組成物。
【請求項86】
前記混合物が、経口投与、非経口投与、バッカル投与、鼻腔内投与、硬膜外投与、舌下投与、肺内投与、局所投与、直腸投与、又は経皮投与される、請求項83に記載の組成物。
【請求項87】
前記混合物が前記非経口投与用製剤である、請求項86に記載の組成物。
【請求項88】
前記非経口投与用製剤が静脈内投与、皮下投与、くも膜下投与、又は筋肉内投与である、請求項87に記載の併用療法。
【請求項89】
前記単回投与が単一のカプセル又は単一の錠剤である、請求項84に記載の組成物。
【請求項90】
前記組成物が単一の錠剤である、請求項89に記載の組成物。
【請求項91】
前記単一の錠剤が、約100 mg乃至約1200 mgの2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールと約500 mg乃至約1500 mgのラパチニブを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記単一の錠剤が、約100 mg乃至約1200 mgの2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールと約500 mgのラパチニブを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記単一の錠剤が、約100 mg乃至約1200 mgの2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールと約750 mgのラパチニブを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記単一の錠剤が、約100 mg乃至約1200 mgの2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールと約1000 mgのラパチニブを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記単一の錠剤が、約100 mg乃至約1200 mgの2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールと約1250 mgのラパチニブを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項96】
前記単一の錠剤が、約100 mg乃至約1200 mgの2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールと約1500 mgのラパチニブを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項97】
前記組成物が1日1回投与に適する、請求項91に記載の組成物。
【請求項98】
前記EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬が1日1回投与に適する、請求項72に記載の組成物。
【請求項99】
前記小分子化合物がGW2974、ゲフィチニブ、AEE788、HKI‐272、PKI‐166、及びBIBW‐2992からなる群から選択される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記組成物が、従来の癌治療法より低い用量を含む、請求項72に記載の組成物。
【請求項101】
前記組成物が癌の前記治療による前記副作用を低減する、請求項72に記載の組成物。
【請求項102】
前記併用療法が癌の治療を強化する、請求項72に記載の組成物。
【請求項103】
1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬あるいは各薬剤的に許容できる賦形剤又は担体を含む混合物を含む、癌を治療するための、医薬組成物。
【請求項104】
前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体が2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールである、請求項103に記載の医薬組成物。
【請求項105】
前記EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬がラパチニブである、請求項103に記載の医薬組成物。
【請求項106】
前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体が2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、前記EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬がラパチニブである、請求項103に記載の医薬組成物。
【請求項107】
1,2‐ジフェニルピロール誘導体の単回投与及びEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の単回投与並びに前記製剤の併用投与法に関する指示を含む、癌を治療するためのキット。
【請求項108】
前記1,2‐ジフェニルピロール誘導体が2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールであり、前記EGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬がラパチニブである、請求項107に記載のキット。
【請求項109】
カペシタビン製剤をさらに含む、請求項108に記載のキット。
【請求項110】
治療対象の前記癌が乳癌である、請求項13に記載の方法。
【請求項111】
前記被験者が乳癌治療を受ける、請求項20に記載の方法。
【請求項112】
治療対象の前記癌が乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、胃癌、唾液腺癌、膵臓癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、口腔癌、及び扁平上皮癌から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項113】
治療対象の前記癌が乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、胃癌、唾液腺癌、膵臓癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、口腔癌、及び扁平上皮癌から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項114】
前記1種類又は複数の療法が、放射線療法、化学療法、幹細胞移植併用大量化学療法、ホルモン療法、及びモノクローナル抗体療法の1種類又は複数を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項115】
前記2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロール、ラパチニブ、及びカペシタビンの前記混合物の他に、1種類又は複数の療法を前記被験者に投与することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項116】
前記1種類又は複数の療法が、放射線療法、化学療法、幹細胞移植併用大量化学療法、ホルモン療法、及びモノクローナル抗体療法の1種類又は複数を含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
約1250 mg/日のラパチニブ、約2000 mg/m/日のカペシタビン、及び約400 mg/日の2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールの前記患者への持続的投与を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項118】
約500 mg/日乃至約1500 mg/日のラパチニブ及び約100 mg/日乃至約1200 mg/日の2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)ピロールの前記患者への投与を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項119】
約1000 mg/日乃至約1500 mg/日のラパチニブ及び約100 mg/日乃至約1200 mg/日の2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールの前記患者への投与を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項120】
約1200 mg/日乃至約1500 mg/日のラパチニブ及び約100 mg/日乃至約1200 mg/日の2‐(4‐エトキシフェニル)‐4‐メチル‐1‐(4‐スルファモイルフェニル)‐ピロールの前記患者への投与を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項121】
前記方法が1,2‐ジフェニルピロール誘導体とEGFR[ErbB1]とHER2[ErbB2]の両方の阻害薬の混合物の投与を含み、この場合、前記混合物が前記免疫応答を調節する、免疫応答を調節する、方法。
【請求項122】
ホルモン療法が、タモキシフェン、レトロゾール、アナストロゾール、又はエキセメスタンの前記被験者への投与を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項123】
モノクローナル抗体療法がトラスツズマブ、トラスツズマブ‐DM1、又はペルツズマブの前記被験者への投与を含む、請求項24の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−540459(P2010−540459A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526061(P2010−526061)
【出願日】平成20年9月23日(2008.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/077402
【国際公開番号】WO2009/042613
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(510010827)トラガラ ファーマシューティカルズ,インク. (4)
【Fターム(参考)】