説明

CRF受容体アンタゴニストおよびその製法

発作などの哺乳類におけるCRFの分泌過多を示す障害の治療を含む、様々な障害の治療に有用であり得るCRF受容体アンタゴニストを開示している。本発明のCRF受容体アンタゴニストは、下記の構造:


[式中:R、R、n、R、ArおよびHetは、本明細書と同意義である]
およびその医薬上許容される塩、エステル、溶媒和物およびプロドラッグを有する。医薬上許容される担体と結合するCRF受容体アンタゴニストを含む組成物ならびにその使用方法も開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年10月19日に出願した米国仮出願番号60/620012の優先権を主張し、全体としてそれを本明細書の一部とする。
【0002】
本発明は、一般に、CRF受容体アンタゴニストおよびそれを必要とする哺乳類に対するかかるアンタゴニストの投与により障害を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最初の副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)はヒツジの視床下部より単離され、41個のアミノ酸ペプチドとして同定された(Valeら,Science 213:1394−1397,1981)。その後、ヒトおよびラットCRFの配列が単離され、これらの配列は同一であるが、41個のアミノ酸残基の7個がヒツジCRFと異なることが決定された(Rivierら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:4851,1983;Shibaharaら,EMBO J.2:775,1983)。
【0004】
CRFは内分泌系、神経系および免疫系機能に著しい変化をもたらすことが見出された。CRFは、下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモン(「ACTH」)、β−エンドルフィンおよび他のプロ−オピオメラノコルチン(「POMC」)誘導ペプチドの基礎放出およびストレス応答放出の主要な生理学的調節物質であると考えられている(Valeら,Science 213:1394−1397,1981)。簡単に記載すると、CRFは、脳(DeSouzaら、Science 224:1449−1451、1984)、下垂体(DeSouzaら、Methods Enzymol.124:560、1986;Wynnら、Biochem.Biophys.Res.Comm.110:602−608、1983)、副腎(Udelsmanら、Nature 319:147−150、1986)および脾臓(Webster,E.L.およびE.B.DeSouza、Endocrinology 122:609−617、1988)全体に分布していることが見出されている原形質膜受容体に結合することにより、その生物学的作用を開始すると考えられている。CRF受容体は、cAMPの細胞内産生におけるCRFに刺激された増加を媒介する、GTP結合蛋白質(Perrinら、Endocrinology 118:1171−1179、1986)にカップリングする(Bilezikjian,L.M.,およびW.W.Vale,Endocrinology 113:657−662,1983)。今や、CRFの受容体は、ラット(Perrinら,Endo 133(6):3058−3061,1993)およびヒトの脳(Chenら,PNAS 90(19):8967−8971,1993;Vitaら,FEBS 335(1):1−5,1993)からクローニングされている。かかる受容体は、7回膜貫通ドメインを含む、415個のアミノ酸からなるタンパク質である。ラットおよびヒトの配列間の同一性の比較により、アミノ酸レベルで高度の相同性(97%)を示す。
【0005】
ATCHおよびPOMCの産生を刺激するという役割に加えて、CRFはまた、ストレスに対する内分泌、自律神経および行動応答の多くを協調すると考えられており、CRFは情動障害の病態生理学に関与しているかもしれない。さらに、CRFは、免疫系、中枢神経系、内分泌系および心血管系の間の連絡における主要な介在物質であると考えられている(Croffordら,J.Clin.Invest.90:2555−2564,1992;Sapolskyら,Science 238:522−524,1987;Tildersら,Regul.Peptides 5:77−84,1982)。概して、CRFは、極めて重要な中枢神経系伝達物質の一つであると考えられ、ストレスに対する体全体の応答を統合するという重要な役割を果たす。
CRFを脳に直接投与すると、ストレスの多い環境に曝された動物について観察される応答と同一の行動的、生理学的および内分泌応答が誘起される。例えば、CRFを脳室内に注入すると、行動活性化(Suttonら,Nature 297:331,1982)、脳波図の持続的活性化(Ehlersら,Brain Res.278:332,1983)、交感神経副腎髄質経路の刺激(Brownら,Endocrinology 110:928,1982)、心拍数および血圧の上昇(Fisherら,Endocrinology 110:2222,1982)、酸素消費の増加(Brownら,Life Sciences 30:207,1982)、胃腸活性の変化(Williamsら,Am.J.Physiol.253:G582,1987)、食物消費の抑制(Levineら,Neuropharmacology 22:337,1983)、性行動の変化(Sirinathsinghjiら,Nature 305:232,1983)および免疫機能減弱(Irwinら,Am.J.Physiol.255:R744,1988)がもたらされる。さらに、臨床データは、CRFが、鬱、不安に関する障害および拒食症の脳において分泌過多であり得ることを示唆している(DeSouza,Ann.Reports in Med.Chem.25:215−223,1990)。したがって、臨床データは、CRF受容体アンタゴニストが、CRFの分泌過多を示す精神神経疾患の治療に有用であり得る新規の抗鬱薬および/または抗不安薬となり得ることを示唆している。
【0006】
最初のCRF受容体アンタゴニストはペプチドであった(例えば、Rivierら,米国特許第4,605,642号;Rivierら,Science 224:889,1984を参照のこと)。これらのペプチドは、CRF受容体アンタゴニストがCRFに対する薬理学的応答を弱めうることを立証したが、ペプチド性CRF受容体アンタゴニストは、安定性が欠如していること、および経口活性が限られていることを含む、ペプチド治療薬の一般的な欠点を有する。
【0007】
インテグリン受容体アンタゴニストのプロドラッグとして縮合またはスピロ6,5−二環式酸アンモニオアルキルエステル化合物について開示する、公開出願WO98/43962およびビトロネクチン受容体アンタゴニストとしてヘテロシクリル置換インダゾール誘導体について開示する、WO97/23480は、ピラゾロ[4,3−b]ピリジン核を有する化合物について開示している。
【0008】
CRFの生理学的有意性のために、有意なCRF受容体結合活性を有し、CRF受容体を拮抗しうる生物学的に活性のある低分子の開発が、今なお、望ましい目標である。かかるCRF受容体アンタゴニストは、一般的にストレスに関する障害を含む、内分泌状態、精神状態および神経学的状態の治療において有用であってもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
CRF受容体アンタゴニストの投与により、CRFの調節の獲得に向けて有意な一歩がなされたが、当該分野には効果的な低分子CRF受容体アンタゴニストが今なお必要とされている。かかるCRF受容体アンタゴニストを含有する医薬組成物、ならびに、例えば、ストレスに関する障害を治療するためのその使用に関する方法も必要とされている。本発明はこれらの必要性を満たすものであり、関連する他の利点も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一般に、CRF受容体アンタゴニストを対象とし、さらに具体的に言えば、下記の一般的構造(I):
【化1】

[式中:Rは各場合において独立して、C−Cアルキルであり;
nは0、1または2であり;
は、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、−ORまたは−NR4a4bであり;
は、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、C−C10アルコキシアルキル、置換C−C10アルコキシアルキル、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであり;
4aおよびR4bは、同一であるかまたは異なり、独立して、水素、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、C−C10アルコキシアルキルまたは置換C−C10アルコキシアルキルであり(ただし、R4aおよびR4bが共に水素であることはない);
は、水素またはC−Cアルキルであり;
Arは、置換フェニル、ピリジルまたは置換ピリジルであり;および
Hetは、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルである]
を有するCRF受容体アンタゴニストならびにその医薬上許容される塩、エステル、溶媒和物、立体異性体およびプロドラッグを対象とする。
【0011】
本発明のかかる態様および他の態様は、以下の詳細な記載に出典明示として明らかであろう。このために、様々な出典が、より詳細な特定の製法、化合物および/または組成物について記載する本明細書に開示されており、全体としてそれを本明細書の一部とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、一般に、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)受容体アンタゴニストとして有用な化合物を対象とする。最初の実施態様において、本発明のCRF受容体アンタゴニストは、以下の構造(I):
【化2】

(I)

[式中:Rは各場合において独立して、C−Cアルキルであり;
nは0、1または2であり;
は、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、−ORまたはNR4a4bであり;
は、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、C−C10アルコキシアルキル、置換C−C10アルコキシアルキル、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであり;
4aおよびR4bは、同一であるかまたは異なり、独立して、水素、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、C−C10アルコキシアルキルまたは置換C−C10アルコキシアルキルであり(ただし、R4aおよびR4bが共に水素であることはない);
は、水素またはC−Cアルキルであり;
Arは、置換フェニル、ピリジルまたは置換ピリジルであり;および
Hetは、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルである]
ならびにその医薬上許容される塩、エステル、溶媒和物、立体異性体およびプロドラッグを有する。
【0013】
本発明のCRF受容体アンタゴニストは、治療の応用の広範囲にかけて利用してもよく、ストレスに関する障害を含む、様々な障害または疾患を治療するために用いてもよい。かかる方法は、それを必要とする動物に有効量の本発明のCRF受容体アンタゴニストを、好ましくは、医薬組成物の形態で投与することを含む。したがって、別の実施態様において、医薬組成物は、医薬上許容される担体および/または希釈剤と結合して本発明の1以上のCRF受容体アンタゴニストを含むことを開示している。
【0014】
本明細書において用いられる上記の用語は、以下の意味を有する:
「アルキル」は、1から10個の炭素原子を含む、直鎖または分岐、非環状または環状、非飽和または飽和脂肪族炭化水素を意味し、一方、「低級アルキル」なる語は、アルキルと同様の意味を有するが、1から6個の炭素原子しか含まない。したがって、「低級アルキル」なる語は、「C−Cアルキル」なる語の代用となる。典型的な飽和直鎖アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどを含む;一方、飽和分岐アルキルは、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチルなどを含む。典型的な飽和環状アルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CH−シクロプロピル、−CH−シクロブチル、CH−シクロペンチル、−CH−シクロヘキシルなどを含む;一方、不飽和環状アルキルは、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどを含む。環状アルキルは、「同素環」とも呼ばれ、デカリンおよびアダマンチルなどのジ同素環およびポリ同素環を含む。不飽和アルキルは、隣接した炭素原子の間に少なくとも1個の二重結合または三重結合を含有する(それぞれ「アルケニル」または「アルキニル」と呼ばれる)。典型的な直鎖および分岐アルケニルは、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニルなどを含む;一方、典型的な直鎖および分岐アルキニルは、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニルなどを含む。
【0015】
「アリール」は、フェニルまたはナフチルなどの芳香族炭素環部分を意味する。
【0016】
「アリールアルキル」は、例えば、ベンジル(すなわち、−CH−フェニル)、−CH−(1−または2−ナフチル)、−(CHフェニル、−(CHフェニル、−CH(フェニル)などのアリール部分で置換される少なくとも1個のアルキル水素原子を有するアルキルを意味する。
【0017】
「ヘテロアリール」は、5ないし10員の芳香族複素環を意味し、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有し、少なくとも1個の炭素原子を含有し、単環系も二環系も含む。典型的なヘテロアリールは、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニルおよびオキサジアゾリルを含む(しかし、これに限定されるものではない)。
【0018】
「ヘテロアリールアルキル」は、例えば、−CH−ピリジニル、−CH−ピリミジニルなどのヘテロアリール部分で置換される少なくとも1個のアルキル水素原子を有するアルキルを意味する。
【0019】
「複素環」(本明細書において「ヘテロ環」または「ヘテロシクリル」とも呼ばれる)は、飽和、不飽和または芳香族のいずれかであり、窒素、酸素および硫黄(ここで、窒素および硫黄ヘテロ原子は、所望により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は、所望により四級化されていてもよい)から独立して選択される1から4個のヘテロ原子を含む、5ないし7員の単環式または7ないし14員の多環式の複素環を意味し、上記の複素環が、ベンゼン環ならびに三環系(およびそれ以上の)複素環に縮合される二環式環を含む。複素環は、ヘテロ原子または炭素原子を介して結合してもよい。複素環は、上記のヘテロアリールを含む。したがって、上記の芳香族ヘテロアリールに加えて、複素環はまた、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペリジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロプリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどを含む(しかし、これに限定されるものではない)。
【0020】
「複素環アルキル」は、例えば、−CH−モルホリニル、−CH−ピリジル、−CH−ピリミジニルなどの複素環で置換される少なくとも1個のアルキル水素原子を有するアルキルを意味する。
【0021】
本明細書に用いられる「置換」なる語は、上記のいずれかの置換基(すなわち、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、複素環または複素環アルキル)上の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されるということを意味する。ケト置換基(「−C(=O)−」)の場合において、2個の水素原子が置換される。本発明の範囲内にある「置換基」は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、チオアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ハロアルコキシ、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキル、置換複素環アルキル、−NR、−NRC(=O)R、−NRC(=O)NR、−NRC(=O)OR −NRSO、−OR、−C(=O)R −C(=O)OR、−C(=O)NR、−OC(=O)NR、−SH、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、−OS(=O)、−S(=O)OR、ここで、RおよびRは、同一であるかまたは異なり、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルである。
【0022】
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0023】
「ハロアルキル」は、例えば、トリフルオロメチルなどのハロゲンで置換される少なくとも1個の水素原子を有するアルキルを意味する。ハロアルキルは置換アルキルの特定の実施態様であり、ここで、アルキルは1個または複数のハロゲン原子で置換される。
【0024】
「アルコキシ」は、例えば、−O−メチル、−O−エチルなどの酸素架橋(すなわち、−O−アルキル)を介して結合されるアルキル部分を意味する。
【0025】
「ハロアルコキシ」は、例えば、トリフルオロメトキシなどのハロゲンで置換される少なくとも1個の水素原子を有するアルコキシを意味する。
【0026】
「アルコキシアルキル」は、例えば、メトキシメチルなどのアルコキシで置換される少なくとも1個の水素原子を有するアルキルを意味する。
【0027】
「チオアルキル」は、−S−メチル、−S−エチルなどの硫黄架橋(すなわち、−S−アルキル)を介して結合されるアルキル部分を意味する。
【0028】
「アルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」は、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどの窒素架橋(すなわち、−NHアルキルまたは−N(アルキル)(アルキル))を介して結合される1または2個のアルキル部分を意味する。
【0029】
「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されるアルキルを意味する。
【0030】
本明細書に示される発明の実施態様は、例示を目的とするものあって、限定を目的とするものではない。本発明の一の実施態様において、(R−は、nが、0、1または2である、n回得られるアルキル置換基Rを表す。したがって、本発明の典型的な化合物は、以下の構造(IIa)から(IId):
【化3】

を含む。
【0031】
本発明の特定の実施態様において、RはC−Cアルキルであり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルおよびイソブチルにより例示してもよい。
【0032】
本発明のさらなる実施態様において、RはC−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである。特定の実施態様において、Rは、例えば、メチルなどのC−Cアルキルである。
【0033】
本発明のさらなる実施態様において、Rは、下記の構造(III):
【化4】

[式中:Rは、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、C−C10アルコキシアルキル、置換C−C10アルコキシアルキル、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルである]
中の−ORである。
【0034】
が−ORである、本発明のさらなる実施態様において、Rは、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシアルキルまたはヘテロアリールアルキルである。
【0035】
本発明のさらなる実施態様において、Rは、C−CアルキルまたはC−C置換アルキルである。
【0036】
本発明のさらなる実施態様において、Rは、下記の構造(IV):
【化5】

[式中:R4aおよびR4bは、同一であるかまたは異なり、独立して、水素、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、C−C10アルコキシアルキルまたは置換C−C10アルコキシアルキルである(ただし、R4aおよびR4bが共に水素であることはない)]
中の−NR4a4bである。
【0037】
本発明のさらなる実施態様において、R4aおよびR4bは、独立して、C−Cアルキルである。本発明のさらなる実施態様において、Rは、水素であるかまたはC−Cアルキルである。さらなる実施態様において、Rはメチルである。
【0038】
本発明のさらなる実施態様において、Arは、下記の構造(V):
【化6】

[式中:mは1−4を含めた整数であり、それぞれのRは、独立して、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシまたはハロゲンである]
中に示されるフェニルである。
【0039】
特定の実施態様において、それぞれのRは、独立して、メチル、メトキシまたはトリハロメチルである。
【0040】
本発明のさらなる実施態様において、Arは、下記の構造(VIa、VIbおよびVIc):
【化7】

それぞれに示されるピリジルであり、置換基はピリジル環の炭素原子番号2、3または4を介してピラゾロピリジン核に結合する。
【0041】
本発明のさらなる実施態様において、Arはピリジルであり、ピリジン環の炭素原子番号2、3または4を介してピラゾロピリジン核に結合し、下記の構造(VIIa、VIIbおよびVIIc):
【化8】

それぞれに示され、mは1−3を含めた整数であり、それぞれのRは、独立して、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシまたはハロゲンである。
【0042】
本発明のさらなる実施態様において、Hetは、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラザニル、ピリジル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびテトラヒドロインドロンに限定することなく例示する、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルである。
【0043】
本発明の化合物は、一般に、遊離塩基として利用してもよい。一方、本発明の化合物は酸付加塩の形態で用いてもよい。本発明の遊離塩基アミノ酸化合物の酸付加塩は、当業者に周知の方法で調製してもよく、有機および無機酸から形成してもよい。適当な有機酸として、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、桂皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。適当な無機酸として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸が挙げられる。したがって、構造(I)の「医薬上許容される塩」なる語は、ありとあらゆる医薬上許容される塩の形態を含むと意図される。
【0044】
一般に、構造(I)の化合物は、該分野の当業者に周知の有機合成法ならびに実施例に記載の典型的な方法にしたがって作製してもよい。例えば、構造(I)の合成は、一般に、以下の反応スキーム1から反応スキーム9にしたがって開始してもよく、スキームは、例示の目的のために示されるのであって、限定されるものではない。
【0045】
反応スキーム1
【化9】

7−クロロピラゾロ[4,3−b]ピリジン核の7位でのアルキル化は、テトラヒドロフラン(THF)およびN−メチルピロリドン(NMP)中鉄(III)アセチルアセトネートなどの鉄(III)塩存在下において、臭化アルキルマグネシウムを経て開始する(Furstnerら、J.Am.Chem.Soc.2002,124,13856−13863)。
【0046】
反応スキーム2
【化10】

上記の反応スキーム2のRB(OH)で示される、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールのボロン酸との反応による7−クロロピラゾロ[4,3−b]ピリジン核の7位での塩素置換は、高温でテトラキス(トリフェニルホスホリン)パラジウム(0)などの適当なパラジウム触媒およびジオキサンなどの適当な溶媒中炭酸カリウムなどの適当な塩基の存在下にて起こる。
【0047】
反応スキーム3
【化11】

上記の反応スキーム3のHNR4a4bなどのアミンによる7−クロロピラゾロ[4,3−b]ピリジン核の7位での塩素置換は、高温でアセトニトリル中p−トルエンスルホン酸などの酸の存在下にて起こる。
【0048】
反応スキーム4
【化12】

適当な窒素複素環の窒素原子による臭化またはヨウ化アリールの置換は、ヨウ化銅(I)、ジアミン共触媒および塩基などの銅触媒の存在下にて起こる(Klaparsら、J.Am.Chem.Soc.2002,124,7241−7428)。適当なジアミンとして、N,N’−ジメチルエチレンジアミンおよびトランス−1,2−シクロヘキサンジアミンが挙げられる、適当な塩基は、炭酸カリウムおよびリン酸三カリウムである。
【0049】
反応スキーム5
【化13】

3−ブロモ−7−クロロ−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン核の7位でのアミンによる塩素置換は、高温でp−トルエンスルホン酸の存在下にて起こる。
【0050】
反応スキーム6
【化14】

有機ホウ素誘導体と有機ハロゲン化物のパラジウム触媒によるクロスカップリングは、ピラゾロ[4,3−b]ピリジンの3位での置換を達成するために用いることができる。
【0051】
反応スキーム7
【化15】

ピラゾロ[4,3−b]ピリジン核の7位の塩素についてのアミン置換は、高温でp−トルエンスルホン酸存在下にて起こり、スキーム3に記載の同様の過程でアミンを得る。中間体の第二級アミンは、THFまたはDMFなどの不活性溶媒中NaHなどの塩基存在下において、上記の反応スキーム7のハロゲン化アルキルR4bXとの反応により第三級アミンに変換することができる。
【0052】
反応スキーム8
【化16】

7−ヒドロキシピラゾロ[4,3−b]ピリジン核は、THFまたはトルエンなどの不活性無水溶媒中トリフェニルホスフィンなどのホスフィンおよびジエチルアゾジカルボン酸塩などのアゾジカルボン酸塩を用いる光延条件下で、上記の反応スキームの(R)OHなどの第一級または第二級アルコールでアルキル化することができる。
【0053】
反応スキーム9
【化17】

7−ヒドロキシピラゾロ[4,3−b]ピリジンは、上記の反応スキーム9のRBrなどの第一級または第二級ハロゲン化アルキルでアルキル化でき、高温でNaHなどの適当な塩基およびTHFまたはDMFなどの適当な無水溶媒を用いて、アルコキシ化合物を得ることができる。
【0054】
反応スキーム10
【化18】

フェニルリチウムは、ピラゾロ[4,3−b]ピリジン核の7位のアルデヒド官能基と反応し、フェニル−(1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−イル)−メタノールを得る。
【0055】
CRF受容体アンタゴニストとしての化合物の有効性を、様々なアッセイ方法により決定してもよい。本発明の適当なCRFアンタゴニストは、かかる受容体に対するCRFの特定の結合を阻害することができる。構造(I)の化合物は、かかる目的のために1以上の一般的に許容されるアッセイによりCRFアンタゴニストとして活性を評価してもよく、DeSouzaら(J.Neuroscience 7:88,1987)およびBattagliaら(Synapse 1:572,1987)に記載のアッセイを含むが、これに限定されるものではない。上記のように、適当なCRFアンタゴニストは、CRF受容体のアフィニティーを示す化合物を含む。CRF受容体のアフィニティーは、かかる受容体(例、ラット大脳皮質膜から調製した受容体)に対する放射性標識CRF(例、[125I]チロシン−CFR)の結合を阻害する化合物の能力を測定する結合試験により決定してもよい。DeSouzaら(supra,1987)に記載の放射性リガンド結合アッセイは、CRF受容体に対する化合物のアフィニティーを決定するアッセイを提供する。かかる活性は、典型的には、受容体から50%の放射性標識リガンドを置換するために必要な化合物の濃度としてIC50から算出され、下記の等式:
【数1】

[式中:L=放射性リガンドおよびK=受容体に対する放射性リガンドのアフィニティーである]
により算出される「K」値として記録される(Cheng and Prusoff,Biochem.Pharmacol.22:3099,1973)。
【0056】
CRF受容体の結合を阻害することに加えて、化合物のCRF受容体アンタゴニスト活性は、CRFについての活性を拮抗する化合物の能力により定めてもよい。例えば、CRFは、アデニル酸シクラーゼ活性を含む様々な生化学過程を刺激することが知られている。そのため、化合物は、例えば、cAMP濃度を測定することによりCRF刺激性アデニル酸シクラーゼ活性を拮抗する能力によるCRFアンタゴニストとして評価してもよい。Battagliaら(supra,1987)に記載のCRF刺激性アデニル酸シクラーゼ活性アッセイは、CRF活性を拮抗するための化合物の能力を測定するアッセイを提供する。したがって、CRF受容体アンタゴニスト活性は、一般に、初期の結合アッセイ(例えば、DeSouza(supra,1987)に開示)およびcAMPスクリーニングプロトコル(例えば、Battaglia(supra,1987)に開示)を含むアッセイ技法により測定してもよい。
【0057】
CRF結合アフィニティーに関して、本発明のCRF受容体アンタゴニストは、典型的には、10μM未満のKを有する。本発明の一の実施態様において、CRF受容体アンタゴニストは、1μM未満のKを有する。別の実施態様において、本発明のCRFアンタゴニストは、0.25μM(すなわち、250nM)未満のKを有する。以下により詳細に記載しているので、Ki値は、実施例20に記載の方法により分析してもよい。
【0058】
本発明のCRF受容体アンタゴニストは、CRF受容体部位で活性を示してもよく、内分泌的、精神的、神経的障害または疾患を含む、広範囲の障害または疾患の治療における治療薬として用いてもよい。より具体的には、本発明のCRF受容体アンタゴニストは、CRFの分泌過多から生じる生理的病態または障害を治療することに有用であってもよい。CRFは、ストレスに対する内分泌、習性的および自動反応を活性化し、調節する重要な神経伝達物質であると考えられているので、本発明のCRF受容体アンタゴニストは、精神神経疾患を治療するために用いることができる。本発明のCRF受容体アンタゴニストで治療可能でありうる精神神経疾患は、鬱などの情動障害、全般性不安障害などの不安に関する障害、パニック障害、強迫性障害、異常攻撃、不安定狭心症および反応性高血圧などの心臓血管の異常;および拒食症、過食症および過敏性腸症候群などの摂食障害を含む。CRFアンタゴニストはまた、様々な疾患状態ならびに発作についてのストレス誘導性免疫抑制を治療することに有用でありうる。本発明のCRFアンタゴニストの別の使用は、炎症状態(関節リウマチ、ブドウ膜炎、ぜんそく、炎症性大腸炎および胃腸運動など)、疼痛、クッシング病、乳児けいれん、てんかんおよび幼児と成人における別の発作ならびに薬物乱用および禁断症状(例、アルコール依存症)の治療を含んでいてもよい。
別の実施態様において、本発明は、本発明の1以上のCRF受容体アンタゴニストを含む医薬組成物を提供する。本発明の化合物を動物(例、哺乳類)に対する投与の目的のために、医薬組成物として製剤化してもよい。本発明の医薬組成物は、本発明のCRF受容体アンタゴニスト(すなわち、構造(I)の化合物)および医薬上許容される担体および/または希釈剤を含む。CRF受容体アンタゴニストは、特定の障害を治療するための有効である量、すなわち、CRF受容体アンタゴニスト活性を達成するために十分な量、好ましくは、患者に対し許容される毒性を有する組成物中に含まれる。一の実施態様において、本発明の医薬組成物は、投与経路によるが投与量当たり0.1mgから250mg、より具体的には、1mgから60mgの量のCRF受容体アンタゴニストを含む。別の実施態様において、投与量は、例えば、5mg、10mg、15mgまたは20mgであってもよい。適当な濃度および投与量は、当業者が容易に決定することができる。
【0059】
医薬上許容される担体および/または希釈剤は、当業者に周知である。液剤として製剤化される組成物における、許容される担体および/または希釈剤は、生理食塩水および滅菌水を含み、酸化防止剤、緩衝液、静菌薬および別の一般的添加物を所望により含んでいてもよい。組成物はまた、CRF受容体アンタゴニストに加えて、希釈剤、分散剤および界面活性剤などの一般的添加剤、結合剤および潤滑油を含む丸薬、カプセル、顆粒または錠剤として製剤化してもよい。当業者は、適当な手法、および例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Gennaro,Ed., Mack Publishing Co.,Easton,PA 1990に記載の慣例にしたがってCRF受容体アンタゴニストをさらに製剤化してもよい。
【0060】
加えて、プロドラッグもまた、本発明の範囲内に含まれる。かかるプロドラッグが患者に投与されると、プロドラッグは、インビボで構造(I)の化合物を放出する共有結合した担体である。プロドラッグは、一般的に、通常の操作またはインビボで、親化合物を産生するために開裂する修飾方法で官能基を修飾することにより調製される。
【0061】
構造(I)の化合物は、キラル中心を有していてもよく、ラセミ体、ラセミ混合物としておよび個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして生じてもよい。全てのかかる異性体は、その混合物を含む、本発明内に含まれる。さらに、構造(I)の化合物の結晶体は、多型として存在してもよく、本発明中に含まれる。加えて、構造(I)の化合物は、水または別の有機溶媒と溶媒和物を形成してもよい。かかる溶媒和物は、同様に、本発明の範囲内に含まれる。
【0062】
別の実施態様において、本発明は、内分泌的、精神的および神経的障害または疾患を含む、様々な障害または疾患を治療する方法を提供する。かかる方法は、障害または疾患を治療するのに十分な量で哺乳類(例、ヒト)に対し本発明の化合物を投与することを含む。かかる方法は、CRF受容体アンタゴニスト、好ましくは、医薬組成物の形態での全身投与を含む。本明細書で用いられるように、全身投与は、経口および非経口の投与方法を含む。経口投与における、CRF受容体アンタゴニストの適当な医薬組成物は、散剤、顆粒、丸薬、錠剤およびカプセルならびに液剤、シロップ、懸濁液および乳濁液を含む。これらの組成物はまた、香料、保存料、懸濁化剤、増粘剤および乳化剤ならびに他の医薬上許容される添加剤を含んでいてもよい。非経口投与における、本発明の化合物は、CRF受容体アンタゴニストに加えて、緩衝液、抗酸化剤、静菌薬およびかかる液剤に一般的に用いられる他の添加剤を含んでいてもよい、水性注射液で調製することができる。
【0063】
別の実施態様において、本発明は、放射性または非放射性医薬品の使用により体内の特定部位の診断の可視化を可能とする。本発明の化合物の使用は、患者に関する生理学的、機能的または生物学的評価を提供し、疾患または病理学的検出および評価を提供する。放射性医薬品は、シンチグラフィー、ポジトロン放出断層撮影(PET)、コンピュータ断層撮影(CT)および単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)で用いられる。かかる出願における、放射性同位体は、123I(PET)、125I(SPECT)および 131Iを含むヨウ素(I)、99Tc(PET)を含むテクネチウム(Tc)、31Pおよび32Pを含むリン(P)、51Crを含むクロム(Cr)、11Cを含む炭素(C)、18Fを含むフッ素(F)、201Tlを含むタリウム(Tl)としてかかる元素ならびに陽電子および電離放射線の放射体などが包含される。非放射性医薬品は、磁気共鳴映像法(MRI)、透視法および超音波診断に用いられる。かかる出願における同位体は、153Gdを含むガドリニウム(Gd)、鉄(Fe)、バリウム(Ba)、マンガン(Mn)およびタリウム(Tl)としてかかる元素が包含される。かかる構成要素はまた、混合物の特定の標的部位の存在を特定し、混合物の分子を標識化することに有用である。上記のように、本発明の化合物の投与は、多種多様の障害または疾患を治療するために有用であってもよい。特に、本発明の化合物は、鬱、不安障害、パニック障害、強迫性障害、異常攻撃、不安定狭心症、反応性高血圧、拒食症、過食症、過敏性腸症候群、ストレス誘導性免疫抑制、発作、炎症、疼痛、クッシング症、乳児けいれん、てんかんおよび薬物乱用または禁断症状の治療において哺乳類に対し投与してもよい。
【0064】
以下の実施例は、例示のために提供するものであり、限定するものではない。
【実施例】
【0065】
本発明のCRF受容体アンタゴニストは、実施例に開示される方法により調製してもよい。実施例20は、受容体結合アフィニティーを測定する方法を示し、実施例21は、CRF刺激性アデニル酸シクラーゼ活性における本発明のスクリーニング化合物に対するアッセイを開示している。
略語:
LAH:水素化アルミニウムリチウム
DCM:ジクロロメタン
DMSO:ジメチルスルホキシド
EAA:アセト酢酸エチル
LC−MS:液体クロマトグラフィー−質量分析
NaBH(OAc):トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム
Pd−C:炭素担体パラジウム(10%)
TFA:トリフルオロ酢酸
acac:アセチルアセトネート
MDA:マロンジアルデヒドビス−ジメチルアセタール
MEEA:(2−メトキシエチル)エチルアミン
調製用HPLC−MS
Gilson製215オートサンプラー/フラクションコレクター、UV検出器およびThermoFinnigan製AQA Single QUAD質量検出器(エレクトロスプレー)装着のGilson製HPLC−MS;
HPLCカラム:BHK ODS−O/B、5μ、30x75mm
HPLC勾配:35mL/分、7分にわたり水中10%アセトニトリルないし100%アセトニトリル、100%アセトニトリルで3分間維持

分析方法1−高速液体クロマトグラフィー(HPLC−MS)
カラム:Phenomenex SynergiMAX−RP、4ミクロン、2x50mm;
移動相:A=水、0.025%のTFA;B=アセトニトリル、0.025%のTFA;
勾配:13分にわたり5%B/95%Aないし95%のB/5%のA、次いで、2.5分保持;
流速:1.0mL/分;
UV波長:220nmおよび254nm.

分析方法2−超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)
プラットフォーム:Berger製FCM1200 SFCポンプ、Agilent製ダイオードアレイ検出器、Agilentモデル220マイクロプレートオートサンプラー、Agilentモデル1946 MSD(APCIインターフェース);
カラム:Berger製ピリジン60A、4ミクロン、3x150mm;
溶媒:SFCグレードCO、1.5%の水および0.025%のエタンスルホン酸を有するOptima−グレードメタノール;
流速:4.0mL/分、120Barの背圧;
勾配:2.4分にわたり5−55%メタノール/CO
保持時間(t)を、分析方法2で用いられる化合物13−1以外の分析方法1で用いられる全ての化合物に対し記録した。
【0066】
実施例1
3−ブロモ−7−クロロ−5−メチル−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジンおよび7−ベンジルオキシ−3−ブロモ−5−メチル−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン試薬の合成
【化19】

工程1A:
ピラゾール(30.0g、441mmol)を、氷浴中で硫酸(220mL、97%)に滴下した。混合物を55℃に加熱し、硝酸(30mL、70%、0.5mol)をゆっくりと添加した。反応混合物を、55℃で3時間攪拌し、冷却し、氷水(600mL)に注ぎ、6NのNaOH溶液で中和した(pH=7)。反応混合物を酢酸エチルで抽出した(5x150mL)。有機相を合わせ、水(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し減圧下で濃縮し、白色固体として化合物1aを得た(37.0g、326mmol、74%);GC/MS:m/z=113(100%)。
工程1B:
化合物1a(15.0g、133mmol)を、エタノール(100mL)中10%炭素担体パラジウム(7.0g、6.65mmol)の懸濁液に添加した。混合物を、水素ガス圧下において(40psi)、室温で3時間振盪した。触媒を、セライト(登録商標)の一部に通して濾過により除去し、溶媒を蒸発した。化合物1bを赤紫色油として得(10.5g、126mmol、95%)、精製することなく次の工程に用いた;GC/MS:m/z=83(100%)。
工程1C:
1b(10.5g、126mmol)、アセト酢酸エチル(18.0g、140mmol)および触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物(1.3g、6.65mmol、5%)のベンゼン(100mL)中溶液を、ディーン−スターク(Dean−Stark)・トラップで1時間還流した。溶媒を減圧下で除去し、短いシリカクロマトグラフィーカラムで流すことによりイミンを精製し、溶媒の蒸発後黄褐色固体として化合物1cを得た(22.4g、125mmol、91%);GC/MS:m/z=195(100%)。
工程1D:
化合物1c(7.03g、35.9mmol)を、ジオキサン(30mL)およびジフェニルエーテル(30mL)の沸騰溶液に添加した。混合物を、固体が形成するまで加熱した(5分)。反応混合物をさらに2分間加熱し続けた。室温に冷却後、ジエチルエーテル(300mL)を添加し、反応混合物を15分間攪拌した。固体をジエチルエーテルですすいだ。黄褐色結晶性固体として化合物1dを得た(5.09g、34.1mmol、95%);LC/MS:[M+H]=150.0。
工程1E:
オキシ塩化リン(30mL)中化合物1d(4.58g、30.7mmol)を、110℃で30分間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を氷に注ぎ、pHをNaOH溶液(6N)でpH=5に合わせた。固体を濾過で収集し、母水層を酢酸エチルで抽出した(3x250mL)。上記の固体を合わせた有機相中で溶解し、ブライン溶液で洗浄し(1x250mL)、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。短いシリカゲルクロマトグラフィーカラムで流すことにより濃縮物を精製し、淡黄色固体として化合物1eを得た(4.50g、26.8mmol、87%);GC/MS:m/z=167(100%);LC/MS:[M+H]=168。
工程1F:
化合物1e(600mg、3.58mmol)を、氷浴中で水/メタノール(12mL/12mL)の混合物で溶解した。臭素(629mg、3.94mmol)のHO/MeOH 1mL/1mL)の溶液中溶液を冷却した混合物に滴下した。10分後、溶液がより透明となり、LC/MSはもはやクロロ化合物を示さなかった。反応混合物を、MeOHを除去するために濃縮した。反応混合物を酢酸エチルで抽出した(3x50mL)。有機相を合わせ、ブライン溶液(1x100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。化合物1fを淡黄色固体として得た。GC/MS:m/z=245、247(100%);LC/MS:[M+H]=246.2。
工程1G:
30mL無水ジオキサン中化合物1f(4.9g、19mmol)に、12時間還流しながら、NaH(60%鉱物油中溶液の1.0g)、次いで、ベンジルアルコール(2.3mL)を添加した。反応物をHOで急冷し、6NのHClで中和した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(1:1の酢酸エチル:ヘキサン)に付した後に化合物1gを得た(3.5g、56%);LC/MS:[M+H]=332.1。
【0067】
実施例2
1−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)ピラゾールおよび2−メチル−4−(ピラゾール−1−イル)フェニルボロン酸ピナコールエステル試薬の合成
【化20】

工程2A:
4−ブロモ−3−メチルアニリン(10.2g)を6NのHCl(85mL)中で懸濁し、0℃に冷却した。亜硝酸ナトリウム(40mLのHO中4g)の溶液を、10分かけて添加した。反応物を0℃で15分間攪拌し、次いで、塩化第一スズ二水和物(25mLの12NのHCl中36g)を添加した。反応混合物を、0℃で2時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾過ケーキを冷HOで洗浄し、黄褐色固体として塩酸4−ブロモ−3−メチルフェニルヒドラジンを得た(化合物2a、20g)。
工程2B:
工程2Aから得られる化合物(20g)を50mLのエタノール中で懸濁した。マロンジアルデヒドビス−ジメチルアセタール(11.0mL、67mmol)を添加し、反応物を2時間85℃に加熱した。反応混合物を、重炭酸ナトリウムで中和し、DCMで洗浄することにより抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を酢酸エチル中で溶解し、混合物をセライト(登録商標)の一部に通して濾過した。濾液を蒸発させ、油性残渣をカラムクロマトグラフィー(1:1の酢酸エチル:ヘキサン)に付して精製し、琥珀油として1−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)ピラゾールを得た(化合物2b、9.6g、73%);LC/MS:[M+H]=238.8。
工程2C:
n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン中溶液の7.9mL、20mmol)を、−78℃で化合物2b(4.7g、20mmol)の100mLのTHF中溶液に添加した。混合物を1時間かけて−25℃に加温し、次いで、混合物を−78℃に冷却した。トリメチルホウ酸塩(3.4mL、30mmol)を添加し、反応物を室温に加温した。続いて、塩酸(1N、100mL)を添加し、混合物を16時間攪拌した。水層のpHを、水酸化ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウム溶液を用いて3−4に合わせ、次いで、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を濃縮し、次いで、残渣をエーテルと0.5Nの水酸化ナトリウム溶液の間に分配した。水層をさらに2回に分けてエーテルで抽出し、次いで、濃塩酸を用いてpH3−4に酸性化した。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた酢酸エチル抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発し、琥珀色ゴムとして2−メチル−4−(ピラゾール−1−イル)フェニルボロン酸を得た(化合物2c、3.5g)。
工程2D:
化合物2b(15mLジオキサン中2.0g)の溶液に、ビス(ピナコラト)ジボロン(2.4g)、酢酸カリウム(2.4g)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)(500mg)を添加した。反応物を12時間85℃に加熱した。反応混合物をセライト(登録商標)の一部に通して濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル:ヘキサン)に付して褐色液体を精製し、黄色油として2−メチル−4−(ピラゾール−1−イル)フェニルボロン酸ピナコールエステルを得た(化合物2d、1.8g、75%);LC/MS:[M+H]=285.0。
以下の化合物:2−メトキシ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(化合物2e);2−クロロ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(化合物2f);および4−(ピラゾール−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(化合物2g)もまた、化合物2dを得る上記の製法により調製した。
【0068】
実施例3
7−ベンジルオキシ−1,5−ジメチル−3−(2−メチル−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジンおよび1,5−ジメチル−3−(2−メチル−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−オール試薬の合成
【化21】

工程3A:
化合物1g(5mLのトルエン中1.0g)の溶液にエタノール(2mL)を添加した。かかる混合物に化合物2d(1.3g)、次いで、水性炭酸ナトリウム(3.5mLの2.0M溶液)、飽和水性水酸化バリウム(1mL)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(200mg、0.15mmol)を添加した。反応混合物を攪拌し、85℃で12時間加熱した。混合物を冷却し、有機相を分離した。水層を酢酸エチルで洗浄し(3x50mL)、合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、黄色固体に濃縮し、カラムクロマトグラフィー(30%酢酸エチル:ヘキサン)に付して精製し、灰白色固体として7−ベンジルオキシ−1,5−ジメチル−3−(2−メチル−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジンを得た(化合物3a、0.82g、67%);LC/MS:[M+H]=411.2。
以下の化合物:7−ベンジルオキシ−3−[2−メトキシ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニル]−1,5−ジメチルピラゾロ[4,3−b]ピリジン(化合物3b); 7−ベンジルオキシ−3−[2−クロロ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニル]−1,5−ジメチルピラゾロ[4,3−b]ピリジン(化合物3c);および7−ベンジルオキシ−3−[4−(ピラゾール−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,5−ジメチルピラゾロ[4,3−b]ピリジン(化合物3d)もまた、化合物3aの調製に用いた製法により調製した。
工程3B:
化合物3a(30mLエタノール中2.0g)の溶液に、10%炭素担体パラジウム(0.3g)を添加した。反応物を、40psiの水素圧下で2時間振盪した。反応混合物をセライト(登録商標)の一部を通して濾過し、濾過ケーキをエタノールで洗浄した。濾液を濃縮し、灰白色固体として1,5−ジメチル−3−(2−メチル−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−オールを得た(化合物3e、1.2g、77%);LC/MS:[M+H]=319.0。
以下の化合物:7−ヒドロキシ−3−[2−メトキシ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニル]−1,5−ジメチル−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン(化合物3f);Pd/Cの代わりに触媒として酸化白金を用いる7−ヒドロキシ−3−[2−クロロ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニル]−1,5−ジメチルピラゾロ[4,3−b]ピリジン(化合物3g);および7−ヒドロキシ−3−[4−(ピラゾール−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,5−ジメチルピラゾロ[4,3−b]ピリジン(化合物3h)もまた、実施例3に示される製法により調製した。
【0069】
実施例4
7−クロロ−1,5−ジメチル−3−(2−メチル−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン試薬の合成
【化22】

工程4A:
化合物3e(1.0g)の無水アセトニトリル(10mL)中溶液にオキシ塩化リン(0.60mL)を添加した。反応物を、窒素下で2時間還流した。反応混合物を冷却し、H0で氷上にて急冷した。混合物を、重炭酸ナトリウムでpH8に塩基性化した。生成物を酢酸エチルで抽出した(3x50mL)。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮し、黄色油として7−クロロ−1,5−ジメチル−3−(2−メチル−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジンを得た。混合物を、溶離液として30%酢酸エチル/ヘキサンを用いて、シリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、白色固体として1.0g(99%)の化合物4aを得た;LC/MS:[M+H]=338.2。
下記の化合物:7−クロロ−3−[2−メトキシ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニル]−1,5−ジメチルピラゾロ[4,3−b]ピリジン(化合物4b);7−クロロ−3−[2−クロロ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニル]−1,5−ジメチルピラゾロ[4,3−b]ピリジン(化合物4c);7−クロロ−3−[4−(ピラゾール−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,5−ジメチルピラゾロ[4,3−b]ピリジン(化合物4d);および7−クロロ−3−(4−ブロモ−2−メトキシフェニル)−1,5−ジメチルピラゾロ[4,3−b]ピリジン(化合物4e)もまた、化合物4aの調製に用いられる製法により調製した。
【0070】
実施例5
7−ホルミル−3−[2−メトキシ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニル]−1,5−ジメチルピラゾロ[4,3−b]ピリジン試薬の合成
【化23】

工程5A:
カテコールボラン(36mLの1.0MTHF中溶液、36mmol)を、フェニルアセチレン(3.06g、30mmol)に添加し、混合物を窒素下で2時間加熱還流した。2−フェニル−エテニルボロン酸カテコールエステル(化合物5a)の冷却溶液を、さらに精製することなく用いた。
工程5B:
化合物5a(0.75mLの名目上1.0M溶液、0.75mmol)を窒素下で、7−クロロ−3−[2−メトキシ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニル]−1,5−ジメチルピラゾロ[4,3−b]ピリジン(化合物4b、200mg、0.57mmol)にシリンジから添加し、混合物を蒸発乾固した。ジオキサン(2mL)および水(2mL)、次いで、炭酸カリウム(157mg、1.14mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(66mg、0.057mmol)を添加した。混合物を攪拌し、6時間加熱還流し、次いで、冷却した。水(5mL)を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、残渣を1:2のヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィーに付し、黄色油として7−(2−フェニル−1−エテニル)−3−[2−メトキシ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニル]−1,5−ジメチルピラゾロ[4,3−b]ピリジンを得た(化合物5b、201mg)。
工程5C:
化合物5b(200mg、0.47mmol)の4:1のDCM/メタノール(10mL)中溶液に、−78℃で酸素中オゾンを流し込んだ。出発物質を消費した後、溶液に窒素を散布し 次いで、硫化ジメチル(0.200mL)を添加し、混合物を室温に加温した。1.5時間後、溶媒を蒸発させ、残渣を、溶離液として1:2のヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィーに付し、黄色固体として化合物5cを得た(149mg)。
【0071】
実施例6
2−[2−(4−ブロモ−2−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−エチル]−イソインドール−1,3−ジオン試薬の合成
【化24】

工程6A:
濃硫酸(0.3mL)を、3−ブロモフェノール(26.2g)および無水酢酸(15mL)の攪拌した混合物に添加した。発熱反応が起こった後に、混合物を室温に冷却した。酢酸および過剰の無水酢酸を蒸発し、残渣を氷上に注いだ。混合物をエーテルで抽出し、合わせたエーテル抽出物をブラインで洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮し、琥珀油として酢酸3−ブロモフェニルを得た(化合物6a、31.6g)。
工程6B:
化合物6a(31.6g)および塩化アルミニウム(35g)の混合物を、160−170℃で3時間加熱した。混合物を室温に冷却し、次いで、DCMと攪拌し、混合物を氷上に注いだ。混合物を、澄んだ液体二相を得るまで攪拌した(12時間)。層を分離し、次いで、水層を一度DCMで抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過および蒸発し、琥珀油として1−(4−ブロモ−2−ヒドロキシフェニル)−1−エタノンを得た(化合物6b、32.6g)。
工程6C:
ヨードメタン(11.2mL)を、0℃で化合物6b(32.6g)、DMF(100mL)および炭酸カリウム(62.5g)の混合物に添加した。混合物を攪拌し、2時間かけて室温に加温した。水(200mL)を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過および蒸発し、黄褐色固体として1−(4−ブロモ−2−メトキシフェニル)−1−エタノンを得た(化合物6c、33.1g)。
工程6D:
臭化第二銅(64.5g、223mmol)を、化合物6cの500mLの酢酸エチル中溶液に添加した。混合物を攪拌し、2時間加熱還流した。冷却した反応混合物を濾過し、氷上に注ぎ、混合物を固体重炭酸ナトリウムで中和した。層を分離し、水層を酢酸エチルで一回抽出した。合わせた有機層を、水性チオ硫酸ナトリウムで一回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過および濃縮し、黄褐色固体として2,4’−ジブロモ−2’−メトキシアセトフェノンを得た(化合物6d、43.5g)。
工程6E:
化合物6d(43.5g)の無水DMF(150mL)中溶液を、5℃に冷却した。かかる溶液に、フタルイミドカリウム(26.1g、141mmol)を添加した。5分後、冷却槽を除去し、反応物を室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発し、黄褐色固体を得た。固体を、4:1のDCM/メタノールで、次いで、水ですすいだ。濾過ケーキを、トルエン中でスラリー状にし、蒸発乾固し、黄褐色固体として4’−ブロモ−2’−メトキシ−2−(フタルイミド)アセトフェノンを得た(化合物6e、39g)。
【0072】
実施例7
7−ヒドロキシ−3−[2−メトキシ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニル]−1,5−ジメチル−ピラゾロ[4,3−b]ピリジンの別途合成
【化25】

工程7A:
化合物6e(18.4g、49mmol)、ヨウ化第一銅(1.87g、9.8mmol)、ピラゾール(6.7g、98mmol)および炭酸カリウム(20.4g、148mmol)の無水ジオキサン(150mL)中溶液に、5分間窒素を散布した。N,N’−ジメチルエチレンジアミン(1.06mL、9.8mmol)をシリンジから添加し、反応容器を密封し、次いで、29時間攪拌しながら105℃に加熱した。冷却し、反応混合物をセライト(登録商標)を通して濾過し、濾過ケーキを500mLのDCMですすいだ。合わせた濾液を蒸発し、29gの緑色固体を得、DCMで粉末にし、黄褐色固体として11gの2−[2−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2−オキソ−エチル]−イソインドール−1,3−ジオン(化合物7a)を得た。LC/MS分析によるとかかる生成物は約15%の出発臭化物を含有しており、さらに精製することなく用いた。
工程7B:
工程7から得られる化合物(11g、30mmol)、DMF(10mL)およびDMFジメチルアセタール(8.1mL、61mmol)の混合物を、穏やかな窒素パージを有する125℃の浴槽中で1.5時間加熱した。さらにDMFジメチルアセタール(4.0mL、30mmol)を添加し、2時間加熱し続けた。混合物を冷却し、次いで、減圧下で蒸発乾固し、黄褐色固体を得た。かかる固体に、無水エタノール(100mL)中メチルヒドラジン(4.1mL、77mmol)を添加し、反応混合物を3時間還流した。溶媒を蒸発し、得られた固体を、3:1のエーテル/エタノールで洗浄した。合わせた濾液を蒸発し、褐色油としてアミノピラゾール混合物を得た(9.8g)。2つのピラゾール異性体の比率が、ピラゾールのメチルシグナルのH NMR積分で3:2になるように判定された。
工程7C:
工程7Bから得られる化合物(9.8g、36mmol)、エチルアセト酢酸(5.1mL、40.0mmol)およびp−トルエンスルホン酸水和物(1.0g、5mmol)をトルエン(150mL)中で懸濁し、混合物をディーン−スターク・トラップを用いて水を共沸により除去しながら還流した。1.5時間後、混合物を冷却し、蒸発乾固した。残渣をジフェニルエーテル(40mL)中で懸濁し、220℃より高温を保ちながら45分かけて20mLのジフェニルエーテル(初期温度255℃)に添加した。添加を終了すると、混合物を室温に冷却し、次いで、250mLのヘキサンに注ぎ込んだ。得られた析出物を収集し、ヘキサンで洗浄した。得られた化合物を、溶出液としてDCM中4%メタノールを用いてシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製した。部分的に精製した固体生成物を酢酸エチルで磨砕し、褐色固体として7−ヒドロキシ−3−[2−メトキシ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニル]−1,5−ジメチル−ピラゾロ[4,3b]ピリジンを得た(化合物3f、3.75g)。
7−ヒドロキシ−3−]4−ブロモ−2−メトキシフェニル]1,5−ジメチルピラゾロ[4,3−b]ピリジン(化合物7c)もまた、化合物3fの調製における上記の製法により調製される(ただし、出発物質として化合物6eを用い、プロトコルから工程7Aを除く)。
【0073】
実施例8
7−イソブチル−3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジンの合成
【化26】

工程8A:
エーテル中臭化イソブチルマグネシウム(0.6mLの2.0M溶液)を、0℃で0.6mLのTHFおよび0.15mLのNMP中化合物4b(85mg、0.24mmol)および鉄(III)アセチルアセトネート(60mg、0.18mmol)の懸濁液に添加した。混合物を室温に加温し、3時間攪拌した。水性塩化アンモニウムを添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、残渣を、溶離液として2:1のヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィーに付し、黄褐色固体として化合物8−1を得た(67mg)。塩酸塩(68mg、黄褐色粉末)を2当量のエーテル性HClを遊離塩基のDCM/エーテル中溶液に添加し、次いで、溶媒の蒸発により調製した。
工程8Aにおいて臭化イソブチルマグネシウムの代わりに適当なハロゲン化アルキルマグネシウムを用いて、以下の表における化合物を合成した:
【表1】

【0074】
実施例9
7−(2,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジンの合成
【化27】

工程9A:
ジオキサン(0.5mL)中化合物4b(50mg、0.14mmol)に、0.25mLのHOを添加した。混合物に、2,4−ジメトキシフェニルボロン酸(31mg、0.17mmol)、次いで、炭酸カリウム(30mg、0.22mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10mg、0.0017mmol)を添加した。混合物を攪拌し、一晩85℃に加熱した。反応混合物を濾過し、HPLC MSにより精製し、TFA塩として化合物9−1を得た(30.5mg)。
工程9Aで用いられた2,4−ジメトキシフェニルボロン酸の代わりに適当なボロン酸またはボロン酸エステルを用いて、以下の表における化合物を合成した:
【表2】

【表3】

1,5−ジメチル−3−(2−メチル−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−7−(4−メチル−ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン9−13を化合物4aおよび(4−メチル−3−ピリジニル)−ボロン酸を用いて同様の製法にしたがって合成した。LC/MS:[M+H]=394.8、t=4.65。
【0075】
実施例10
エチル−(2−メトキシ−エチル)−{3−[2−メトキシ−4−(3−トリフルオロメチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−1,5−ジメチル−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−イル}−アミンの合成
【化28】

工程10A:
化合物4e(1.07g、2.9mmol)、(2−メトキシエチル)エチルアミン (1.43mL、11.7mmol)、pTSA水和物(550mg、2.9mmol)およびアセトニトリル(2mL)の混合物を、電子レンジにて180℃で60分間、次いで195℃で60分間加熱した。溶媒を蒸発し、残渣を、溶離液として1:1のヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィーに付し、油として化合物10a([3−(4−ブロモ−2−メトキシ−フェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−イル]−エチル−(2−メトキシ−エチル)−アミン)を得た(1.1g)。
工程10B:
ヨウ化銅(I)(6mg、0.03mmol)、炭酸カリウム(62mg、0.45mmol)および3−(トリフルオロメチル)ピラゾール(41mg、0.3mmol)を、1ドラムのバイアルにて計量した。化合物10a(65mg、0.15mmol)の無水ジオキサン(2mL)中溶液、次いで、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(3μl、0.03mmol)を添加した。バイアルを、Teflon(登録商標)ラインキャップで密封し、105℃で45分間攪拌しながら加熱した。さらに、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(10μl、0.1mmol)を添加し、混合物を105℃で8時間加熱した。混合物を冷却し、濾過し(酢酸エチル洗浄)、次いで、濾液を蒸発した。残渣を、溶離液として1:2のヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィーに付し、油として化合物10−1を得た(55mg)。
工程10Bで用いられた3−(トリフルオロメチル)ピラゾールの代わりに適当な複素環を用いて、以下の表における化合物を合成した:
【表4】

【0076】
実施例11
7−(1−メトキシ−プロピル)−3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジンの合成
【化29】

工程11A:
臭化エチルマグネシウム(0.5mLの3.0Mエーテル中溶液、1.5mmol)を、−78℃で化合物5c(80mg、0.23mmol)のTHF(5mL)中溶液に添加した。5分後、反応物を水性塩化アンモニウムで急冷し、混合物を室温に加温した。混合物を酢酸エチルで抽出した。抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し油を得た。1回量50mgの化合物5cを用いてかかる製法を繰り返し、合わせて得られた化合物を、1:3のヘキサン/酢酸エチルで溶出しながらシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、黄色固体として化合物11aを得た(23mg)。
工程11B:
水素化ナトリウム(油中20mgの60%分散液、0.48mmol)を、室温で化合物11a(22mg、0.058mmol)のDMF(0.2mL)中溶液に添加した。5分後、ヨウ化メチル(10μl、0.16mmol)を添加し、混合物を10分間攪拌した。水性リン酸二水素ナトリウム(10%)を添加し、混合物をDCMで抽出した。合わせた抽出物を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し油を得、溶離液として1:1のヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、黄色油として化合物11−1を得た(21mg);MW=391.47;MS:[M+H]=392.0;t=4.88。
【0077】
実施例12
3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1,5−ジメチル−7−[フェニル−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−メチル]−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジンの合成
【化30】

工程12A:
フェニルリチウム(0.25 mLの1.9Mシクロヘキサン/エーテル中溶液、0.48mmol)を、室温で化合物5c(45mg、0.13mmol)のTHF(5mL)中溶液に添加した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(1:3のヘキサン/酢酸エチル)に付して、黄色油として化合物12aを得た(36mg)。
工程12B:
化合物12a(35mg、0.08mmol)の無水THF(0.4mL)中溶液を、引き続き、2,2,2−トリフルオロエタノール(0.057mL、0.8mmol)、ジエチルアゾジカルボン酸塩(0.03mL、0.18mmol)およびトリフェニルホスフィン(50mg、0.19mmol)で処理した。混合物を室温で8時間攪拌し、次いで、密封したバイアルにて69℃で15時間加熱した。溶媒を蒸発し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー、次いで、イオン交換クロマトグラフィー(Varian製SCXカートリッジ、1:1のDCM/メタノール、次いで、メタノール中1.0Mアンモニアで溶出)、次いで、調製用薄層クロマトグラフィーにより精製し、黄色油として化合物12−1を得た(5mg);MW=507.514;t=7.27。
【0078】
実施例13
[1,5−ジメチル−3−(2−メチル−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−イル]−ジエチル−アミンの合成
【化31】

工程13A:
化合物1f(50mg、0.19mmol)、pTSA−HO(50mg、0.26mmol)およびジエチルアミン(200mg、3.31mmol)の溶液を、密封したバイアルにて180℃で17分間、電子レンジで加熱した。過剰の試薬を蒸発し、酢酸エチル(5mL)を添加した。有機層を飽和水性重炭酸ナトリウム(5mL)およびブライン(5mL)を洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶離液として1:1のヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、油として(1,5−ジメチル−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−イル)−ジエチル−アミン(化合物13a、40mg)を得た。
工程13B:
化合物13a(40mg、0.13mmol)、化合物2c(41mg、0.20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(15mg、0.013mmol)、水性炭酸ナトリウム(0.3mLの2M溶液、0.6mmol)、トルエン(2mL)およびエタノール(2mL)の混合物を、密封したバイアルにて16時間攪拌しながら100℃で加熱した。混合物を冷却し、濾過し、調製用HPLCにより精製し、[1,5−ジメチル−3−(2−メチル−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−イル]−ジエチル−アミンを得た(化合物13−1、3.5mg)。
工程13Aで用いられるジエチルアミンの代わりに適当なアミンを用いて、以下の表における化合物を合成した:
【表5】

【0079】
実施例14
[1,5−ジメチル−3−(2−メチル−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−イル]−ビス−(2−メトキシ−エチル)−アミンの合成
【化32】

工程14A:
化合物4a(40mg、0.12mmol)に、水素化pTSA(41mg、0.24mmol)、ビス(2−メトキシエチル)アミン(0.032mL、0.24mmol)およびアセトニトリル(0.5mL)を添加した。反応物を、マイクロ波で20分間200℃に加熱した。反応混合物をHPLC/MSにより精製し、TFA塩として[1,5−ジメチル−3−(2−メチル−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−イル]−ビス−(2−メトキシ−エチル)−アミンを得た(化合物14−1、11.2mg)。
工程14Aで用いられるものの代わりに適当なクロロピラゾロピリジンおよびアミンを用いて、以下の表における化合物を合成した:
【表6】

【表7】

【表8】

【0080】
実施例15
ベンジル−[3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−イル]−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)−アミンの合成
【化33】

工程15A:
水素化ナトリウム(3mg、鉱油中60%懸濁液、0.08mmol)を、窒素下、室温でアセトアミドオキシム(7mg、0.09mmol)のTHF(1mL)中懸濁液に添加した。シリンジを介して化合物14−13(32mg、0.06mmol)をTHFに注入する前に、混合物を10分間攪拌した。混合物を、密封管にて90℃で2時間加熱した。冷却した反応混合物をメタノールで希釈し、調製用逆相HPLCで精製し、TFA塩として化合物15−1を得た;MW=520.59;MS:[M+H]=521.1;t=5.385。
【0081】
実施例16
ベンジル−[1,5−ジメチル−3−(2−メチル−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−イル]−アミンおよびベンジル−[1,5−ジメチル−3−(2−メチル−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−イル]−プロピル−アミンの合成
【化34】

工程16A:
化合物4a(60mg、0.18mmol)に、pTSA(62mg、0.36mmol)、ベンジルアミン(0.040mL、0.36mmol)およびアセトニトリル(0.5mL)を添加した。反応混合物を、15分間マイクロ波で180℃に加熱した。溶離液として10%MeOH/DCMを用いて調製用TLCにより精製し、黄色固体として化合物16aを得た(43mg);LC/MS:[M+H]=409.2。
工程16B:
化合物16a(43mg、0.11mmol)に、1−ヨードプロパン(0.053mL、0.33mmol)およびNaH(13mg、0.33mmol、鉱油中60%)、次いで、無水THF(0.5mL)を添加した。反応混合物を4時間還流した。直ちに冷却し、反応物をメタノールで急冷し、HPLC/MSにより精製し、固体として化合物16−1を得た(20.8mg)。
工程16Aおよび16Bで用いられるものの代わりに適当なクロロピラゾロピリジン、アミンおよびハロゲン化アルキルを用いて、以下の表における化合物を合成した:
【表9】

【表10】

【0082】
実施例17
7−(1−エチル−プロポキシ)−1,5−ジメチル−3−(2−メチル−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジンの合成
【化35】

工程17A:
化合物3e(30mg、0.09mmol)に、3−ペンタノール(0.012mL、0.14mmol)、トリフェニルホスフィン(0.14、1.5当量)および無水THF(0.5mL)を添加した。反応容器に窒素を流し込んだ後、それを密封し室温で5分間攪拌した。これに続いて、アゾジカルボン酸ジエチル(0.024mL、0.14mmol)を添加した。反応物を、室温で一晩攪拌した。反応混合物を、メタノール(0.5mL)で希釈し、HPLC/MSにより精製し、TFA塩として化合物17−1を得た(3.0mg)。
工程17Aで用いられるものの代わりに適当なヒドロキシピラゾロピリジンおよびアルコールを用いて、以下の表における化合物を合成した:
【表11】

【表12】

【0083】
実施例18
1−{3−メトキシ−4−[7−(1−メトキシメチル−プロポキシ)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル]−フェニル}−1H−ピロール−2−カルボニトリルの合成
【化36】

工程18A:
実施例17の製法の後、1−メトキシ−ブタン−2−オールと化合物7cの光延反応により、3−(4−ブロモ−2−メトキシ−フェニル)−7−(1−メトキシメチル−プロポキシ)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン(化合物18a)を得た。
工程18B:
実施例10の工程10Bの製法の後、ヨウ化銅(I)は、シアノピロールと化合物18aのBuchwald反応を触媒し、1−{3−メトキシ−4−[7−(1−メトキシメチル−プロポキシ)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル]−フェニル}−1H−ピロール−2−カルボニトリル(化合物18−1)を得た。
工程18Bで用いられる2−シアノピロールの代わりに適当な複素環を用いて、以下の表における化合物を合成した:
【表13】

【0084】
実施例19
2−[3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−1,5−ジメチル−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−イルオキシ]−酪酸メチルエステルの合成
【化37】

工程19A:
化合物3f(40mg、0.12mmol)に、(+/−)−メチル−2−ブロモプロピオン酸塩(34mg、0.18mmol)、NaH(10mg、0.24mmol、鉱油中60%)および無水THF(0.5mL)を添加した。室温で5分間攪拌した後、反応混合物を、密封管にて85℃で12時間加熱した。冷却後、反応物をメタノール(0.5mL)で急冷し、HPLC/MSにより精製し、固体TFA塩として化合物19−1を得た(11mg)。
工程19Aで用いられる臭化物により、以下の表における化合物を合成した。化合物19−3を、実施例15のプロトコルを用いて化合物19−2から合成した:
【表14】

【0085】
実施例20
CRF受容体結合活性
本発明の化合物は、Grigoriadisら(Mol.Pharmacol vol50,pp679−686,1996)およびHoareら(Mol.Pharmacol vol63 pp751−765,2003)により一般的に記載の標準的な放射性リガンド結合アッセイによりCRF受容体に対する結合活性を評価してもよい。放射性標識CRFリガンドを用いることにより、アッセイは、CRF受容体サブタイプに関する本発明の化合物の結合活性を評価するために用いてもよい。
簡単に記載すると、結合アッセイは、CRF受容体から放射性標識CRFリガンドの置換を含む。より具体的には、結合アッセイは、ヒトCRF受容体を安定にトランスフェクションした細胞に由来する1−10μgの細胞膜を用いて、96ウェルアッセイプレートにて行われる。各ウェルに、目的の化合物または参照リガンド(例えば、ソーバジン、ウロコルチンIまたはCRF)を含む約0.05mLのアッセイ緩衝液(例、Dulbeccoリン酸緩衝生理食塩水、10mMの塩化マグネシウム、2mMのEGTA)、0.05mLの[125I]チロシン−ソーバジン(最終濃度〜150pMまたはScatchard分析により決定するおよそのK)およびCRF受容体を含有する0.1mLの細胞膜懸濁液を入れる。混合物を22℃で2時間インキュベーションし、次いで、ガラスファイバーフィルターにかけて急速濾過させることにより結合および遊離放射性リガンドを分離する。3回洗浄した後、フィルターを乾燥させ、シンチレーションカウンターを用いて放射活性(125Iからのオージェ電子)をカウントする。全ての放射性リガンド結合データを、非線形最小二乗曲線適合プログラムPrism(GraphPad Software Inc)またはXLfit(ID Business Solutions Ltd)を用いて分析してもよい。
【0086】
実施例21
CRF刺激性アデニル酸シクラーゼ活性
本発明の化合物はまた、様々な機能的試験により評価してもよい。例えば、本発明の化合物は、CRF刺激性アデニル酸シクラーゼ活性についてスクリーニングしてもよい。CRF刺激性アデニル酸シクラーゼ活性を測定するためのアッセイは、全細胞調製物に対するアッセイに適合するように修飾を加えて、Battagliaら(Synapse 1:572,1987)により一般的に記載されたものにしたがって実施してもよい。
より具体的には、標準的なアッセイ混合物は、0.1mLの最終容量で、DMEM緩衝液中、以下:2mMのL−グルタミン、20mMのHEPESおよび1mMのIMBXを含んでいてもよい。刺激試験において、トランスフェクトしたCRF受容体を有する全細胞を、96ウェルプレート中に播種し、様々な濃度のCRF関連および非関連ペプチドと共に37℃で30分間インキュベートし、特定の受容体サブタイプの薬理学的序列統計データを構築する。インキュベーション後、試料中のcAMPを、Applied Biosystems製cAMP−ScreenTMなどの標準的な市販キットを用いて測定する。化合物の機能的評価において、cAMP産生の50%刺激を惹起する細胞および単一濃度のCRFまたは関連ペプチドは、様々な濃度の競合化合物と共に37℃で30分間インキュベーションし、上記のようにcAMPを測定した。
【0087】
本発明の特定の実施態様は、例示の目的のために本明細書に記載されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修飾がされてもよいことが理解されるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲により限定する場合を除き、限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造:
【化1】

[式中:Rは各場合において独立して、C−Cアルキルであり;
nは、0、1または2であり;
は、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、−ORまたは−NR4a4bであり;
は、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、C−C10アルコキシアルキル、置換C−C10アルコキシアルキル、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであり;
4aおよびR4bは、同一であるかまたは異なり、独立して、水素、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、C−C10アルコキシアルキルまたは置換C−C10アルコキシアルキルであり(ただし、R4aおよびR4bが共に水素であることはない);
は、水素またはC−Cアルキルであり;
Arは、置換フェニル、ピリジルまたは置換ピリジルであり;および
Hetは、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルである]
により示される化合物またはその医薬上許容される塩、エステル、溶媒和物、立体異性体もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
がメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
nが1である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
がC−Cアルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
が置換アリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
が置換ヘテロアリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
が−ORである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
が、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシアルキルまたはヘテロアリールアルキルである、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
が−NR4a4bである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
4aおよびR4bが、独立して、C−Cアルキルである、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
がメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
Hetが置換ヘテロシクリルである、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
およびRのそれぞれがメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
nが1である、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
Ar−Hetが、式:
【化2】

[式中:mは1、2、3または4であり;および
は各場合において独立して、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシまたはハロゲンである]
である、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
が各場合において、メチル、メトキシおよびトリハロメチルの群から選択される、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
Hetがピリジルまたは置換ピリジルである、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
Hetがピリジルである、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
医薬上許容される担体もしくは希釈剤および医薬上有効な量の下記の構造:
【化3】

[式中:Rは各場合において独立して、C−Cアルキルであり;
nは0、1または2であり;
は、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、−ORまたは−NR4a4bであり;
は、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、C−C10アルコキシアルキル、置換C−C10アルコキシアルキル、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであり;
4aおよびR4bは、同一であるかまたは異なり、独立して、水素、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、C−C10アルコキシアルキルまたは置換C−C10アルコキシアルキルであり(ただし、R4aおよびR4bが共に水素であることはない);
は、水素またはC−Cアルキルであり;
Arは、置換フェニル、ピリジルまたは置換ピリジルであり;および
Hetは、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルである]
により示される化合物またはその医薬上許容される塩、エステル、溶媒和物、立体異性体もしくはプロドラッグを含む医薬組成物。
【請求項20】
がメチルである、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
nが1である、請求項19記載の組成物。
【請求項22】
がC−Cアルキルである、請求項19記載の組成物。
【請求項23】
が、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシアルキルまたはヘテロアリールアルキルである、請求項19記載の組成物。
【請求項24】
がメチルである、請求項19記載の組成物。
【請求項25】
Hetが置換複素環である、請求項19記載の組成物。
【請求項26】
およびRのそれぞれがメチルである、請求項19記載の組成物。
【請求項27】
nが1である、請求項26記載の組成物。
【請求項28】
Ar−Hetが、式:
【化4】

[式中:mは1、2、3または4であり;および
は各場合において独立して、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシまたはハロゲンである]
である、請求項27記載の組成物。
【請求項29】
が各場合において、メチル、メトキシおよびトリハロメチルの群から選択される、請求項28記載の組成物。
【請求項30】
Hetがピリジルまたは置換ピリジルである、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
Hetがピリジルである、請求項30記載の組成物。
【請求項32】
CRFアンタゴニストでの治療の影響を受けやすい疾患または病態を有する哺乳類を治療する方法であって、医薬上許容される担体または希釈剤および医薬上有効な量の下記の構造:
【化5】

[式中:Rは各場合において独立して、C−Cアルキルであり;
nは、0、1または2であり;
は、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、−ORまたは−NR4a4bであり;
は、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、C−C10アルコキシアルキル、置換C−C10アルコキシアルキル、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであり;
4aおよびR4bは、同一であるかまたは異なり、独立して、水素、C−C10アルキル、置換C−C10アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、C−C10アルコキシアルキルまたは置換C−C10アルコキシアルキルであり(ただし、R4aおよびR4bが共に水素であることはない);
は、水素またはC−Cアルキルであり;
Arは、置換フェニル、ピリジルまたは置換ピリジルであり;および
Hetは、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルである]
により示される化合物またはその医薬上許容される塩、エステル、溶媒和物、立体異性体もしくはプロドラッグを含む医薬組成物を前記動物へ投与することを含む、方法。
【請求項33】
前記疾患または病態が、情動障害、摂食障害、心疾患、免疫抑制障害および炎症性疾患の群から選択される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記疾患または病態が、鬱、不安、パニック、強迫性障害、不安定狭心症、反応性高血圧、拒食症、過食症および過敏性腸症候群の群から選択される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記動物がヒトである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記障害が発作である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記障害が鬱である、請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記障害が不安に関する障害である、請求項35記載の方法。
【請求項39】
前記障害が強迫性障害である、請求項35記載の方法。
【請求項40】
前記障害が過敏性腸症候群である、請求項35記載の方法。
【請求項41】
前記障害が拒食症である、請求項35記載の方法。

【公表番号】特表2008−517060(P2008−517060A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537952(P2007−537952)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/037295
【国際公開番号】WO2006/044821
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(502078239)エスビー・ファルムコ・プエルト・リコ・インコーポレイテッド (22)
【氏名又は名称原語表記】SB Pharmco Puerto Rico Inc
【出願人】(500389793)ニューロクライン バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】