DCDCコンバータ
【課題】小型、高効率および高エネルギー密度のDCDCコンバータを実現する。
【解決手段】1次側直流電圧源V1および2次側直流電圧源V2との間に接続されるDCDCコンバータ1は、各直流側入出力端子P1−1およびP1−2が1次側直流電圧源の正極端子および負極端子にそれぞれ接続され、直流と交流との間で相互に電力変換する1次側電力変換部11と、一方の直流側入出力端子P2−1が2次側直流電圧源の正極端子に接続され、もう一方の直流側入出力端子P2−2が1次側直流電圧源の正極端子に接続され、直流と交流との間で相互に電力変換する2次側電力変換部12と、各1次側端子R1−1およびR1−2が1次側電力変換部11の各交流側入出力端子Q1−1およびQ1−2にそれぞれ接続され、各2次側端子R2−1およびR2−2が2次側電力変換部12の各交流側入出力端子Q2−1およびQ2−2にそれぞれ接続された変圧器13と、を備える。
【解決手段】1次側直流電圧源V1および2次側直流電圧源V2との間に接続されるDCDCコンバータ1は、各直流側入出力端子P1−1およびP1−2が1次側直流電圧源の正極端子および負極端子にそれぞれ接続され、直流と交流との間で相互に電力変換する1次側電力変換部11と、一方の直流側入出力端子P2−1が2次側直流電圧源の正極端子に接続され、もう一方の直流側入出力端子P2−2が1次側直流電圧源の正極端子に接続され、直流と交流との間で相互に電力変換する2次側電力変換部12と、各1次側端子R1−1およびR1−2が1次側電力変換部11の各交流側入出力端子Q1−1およびQ1−2にそれぞれ接続され、各2次側端子R2−1およびR2−2が2次側電力変換部12の各交流側入出力端子Q2−1およびQ2−2にそれぞれ接続された変圧器13と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次側直流電圧源および2次側直流電圧源との間に接続され、これら2つの直流電源の各直流電圧間で双方向に電圧変換するDCDCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境問題の視点からハイブリッド電気自動車(HEV)が注目されている。ハイブリッド電気自動車が従来の自動車と同等の駆動力を達成するためには100kW程度の高いモータ出力が要求されるので、それに対応したインバータドライブが必要である。近年のハイブリッド電気自動車では、モータ出力の向上のため、インバータドライブの電源電圧(直流リンク電圧)を高く設計する傾向にあるが、バッテリの直列セル数を増やし直流リンク電圧を高くすると、コストが上昇し信頼性も低下する。また、バッテリ電圧をインバータドライブに直接供給すると、バッテリの内部抵抗により放電時にはバッテリ電圧が低下するので、大出力が必要な場合であっても高い電圧を得ることができない。その一方で、充電時にはバッテリ電圧が上昇するので、インバータに用いる素子の耐圧は充電時のバッテリ電圧に合わせて設計しなければならない。
【0003】
このため、通常は、バッテリ電圧をインバータドライブに直接供給するのではなく、DCDCコンバータを用いて昇圧する手法が用いられている(例えば、特許文献1参照。))。
【0004】
図9は、チョッパ回路を用いた従来のハイブリッド電気自動車用DCDCコンバータを示す回路図である。ハイブリッド電気自動車において、三相交流モータ51をインバータ53で駆動する場合、バッテリ52とインバータ53との間にはDCDCコンバータ100が接続される。ハイブリッド電気自動車では、回生動作時にはインバータ53からバッテリ52に向けたパワーフローとなりバッテリ52を充電するため、DCDCコンバータ100として双方向チョッパを採用している。DCDCコンバータ100は、1次側コンデンサC1と、チョッパインダクタLと、スイッチング素子Sおよびこれに逆並列接続されるダイオードDを2組と、2次側コンデンサC2と、を備える。ここで、バッテリ52の電圧をV1、インバータ53の直流リンク電圧をV2とする。近年のハイブリッド電気自動車では、バッテリ52の電圧をV1は 200〜300V、インバータ53の直流リンク電圧V2は500〜650Vであり、昇圧比は2〜2.5倍程度である。
【0005】
ハイブリッド電気自動車用のDCDCコンバータは、車両内の限られたスペースに設置する必要があるので、小型化・高パワー密度化が求められている。特に、図9に示した双方向チョッパであるDCDCコンバータ100では、チョッパインダクタLが大きな体積の割合を占めるため、小型化が求められている。
【0006】
図10は、従来の双方向型のDCDCコンバータにおける変換器容量と伝送電力との関係を説明する図である。ここで、DCDCコンバータ101は絶縁型および非絶縁型どちらの回路構成も考えられ、例えば図9を参照して説明したチョッパ回路型のものがある。ここで、双方向DCDCコンバータ101に接続される1次側直流電圧源54の電圧をV1、2次側直流電圧源55の電圧をV2とする。1次側直流電圧源54と2次側直流電圧源55との間の伝送電力PS〔W〕はすべてDCDCコンバータ101を経由する。それゆえ、DCDCコンバータの変換器容量PCについては、「PC=PS」の関係が成り立つ。
【0007】
図11は、従来の双方向型のDCDCコンバータを用いて直列コンバータを構成した場合における変換器容量と伝送電力との関係を説明する図である。双方向型のDCDCコンバータ101の1次側入出力端を1次側直流電圧源54に並列接続し、DCDCコンバータ101の2次側入出力端を2次側直流電圧源55に直列接続したものを一般に「直列コンバータ」と称する。ここで、1次側直流電圧源54の電圧をV1、2次側直流電圧源55の電圧をV2とし、「V1<V2」の大小関係が成り立つものとする。このような直流コンバータ構成の場合、DCDCコンバータ101の2次側入出力端における電圧VCは、V2とV1との差となる。すなわち、DCDCコンバータ101は、V2とV1との差を補償するための電圧のみを供給すればよい。ここで、変換器容量PCと伝送電力PSとの間には式1の関係が成り立つ。
【0008】
【数1】
【0009】
例えば、「V2=2V1」すなわち昇圧比が2倍の場合、DCDCコンバータ101の変換器容量PCは、伝送電力PSの1/2で済む。このように、直列コンバータ構成によれば、DCDCコンバータ101の変換器容量PCは伝送電力PSと比較して小さくすることができ、結果として、変換器効率の向上や、DCDCコンバータ101内のインダクタ(磁性素子)の小型化をもたらすと期待される。
【0010】
また、フルブリッジ型双方向絶縁型のDCDCコンバータが提案されている(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照。)。図12は、非特許文献1に記載された従来のフルブリッジ型双方向絶縁型のDCDCコンバータの回路図である。この図は、非特許文献1のFig.3(a)に示された単相デュアルアクティブブリッジDCDCコンバータ(Single phase dual active bridge dc/dc converter)を示している。非特許文献1に記載されたフルブリッジ型双方向絶縁型のDCDCコンバータ102は、1次側にスイッチS1、S2、S3およびS4を有するフルブリッジ変換器ならびにコンデンサC1を備え、2次側にスイッチS5、S6、S7およびS8を有するフルブリッジ変換器ならびにコンデンサC2を備え、1次側と2次側とは高周波変圧器62を介して電気的に絶縁されている。この図において、DCDCコンバータ102の1次側には1次側直流電圧源61が接続され、2次側には負荷63が接続されている。フルブリッジ型双方向絶縁型のDCDCコンバータ102のスイッチング素子については、非特許文献1および非特許文献2に記載されているようなソフトスイッチングが可能であるため、さらなるスイッチング周波数の高周波化と低損失化が可能である。したがって、高周波変圧器62は大幅に小型化することができる。
【0011】
また、上述の直列コンバータに、フライバックコンバータおよび極性反転チョッパを用いた回路も提案されている(非特許文献3)。図13は、非特許文献3に記載された従来のフライバックコンバータを用いた直列コンバータを示す回路図である。V1はバッテリ電圧、V2は負荷に供給される電圧を示す。フライバックコンバータ200によってV1とV2との差を補償する電圧を発生し、昇降圧動作を可能にするため、フルブリッジコンバータ部201で正負電圧の切り替えを行っている。この回路はバッテリから負荷への単方向のパワーフローを想定しているが、降圧動作(V1>V2の場合)では直列コンバータは負の電圧を出力するため、直列コンバータ内でのパワーフローはバッテリへ向かう方向である。そのため、フライバックコンバータ200は双方向の回路構成となっている。一方、図14は、非特許文献3に記載された従来の極性反転チョッパを用いた直列コンバータを示す回路図である。極性反転チョッパ300を用いた場合、そのままでは直列コンバータの1次側と2次側との間が絶縁されず、バッテリ電圧V1を短絡してしまう。そのため、SC3およびSC4を設置することによってバッテリ電圧V1の短絡を防いでいる。
【0012】
また、上述の直列コンバータに、単方向絶縁型のDCDCコンバータを用いた回路が提案されている(非特許文献4)。図15は、非特許文献4に記載された従来の単方向絶縁型のDCDCコンバータを用いた直列コンバータを示す回路図である。単方向絶縁型のDCDCコンバータ400は、スイッチング素子耐圧の低減と出力フィルタの小型化を目的として、2台のDCDCコンバータ400−1および400−2を、入力側については直列接続、出力側については並列接続したインタリーブの構成となっている。この直列コンバータは、主として太陽電池の電力調整に用いる昇圧コンバータとして利用されるものである。
【0013】
なお、変圧器あるいはインダクタの体積を定量的に評価する手法として、Area Product(エリアプロダクト)というパラメータを用いた手法が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−55690号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】リック.W.A.A.デ・ドンカー(Rik W.A.A.De Doncker)、ディーパクラジ.M.ディヴァン(Deepakraj M.Divan)、ムスタンサー.H.ケラルワラ(Mustansir H.Kheraluwala)著、「高パワーアプリケーションのための三相ソフトスイッチ高パワー密度DCDCコンバータ(A Three−Phase Soft−Switched High−Power−Density DCDCConverter for High−Power Applications)」、(米国)、米国電気電子学会トランザクション(IEEE Transactions)、産業応用(Industry Applications)、 Vol.27、No.1、pp63〜73、1991年1月
【非特許文献2】井上重徳、赤木泰文著、「次世代3.3kV/6.6kV電力変換システムのコア回路としての双方向絶縁型DC/DCコンバータ」、電気学会論文誌D、第126巻、第3号、pp211〜217、2006年
【非特許文献3】伊東淳一、藤井崇史著、「直列補償方式による非絶縁昇降圧形DC/DCコンバータ」、電気学会論文誌D、第130巻、第1号、pp18〜25、2010年
【非特許文献4】J.P.リー(J.P Lee)、B.D.ミン (B.D Min)、T.J.キム(T.J Kim)、D.W.ヨー(D.W.Yoo)、J.Y.ヨー(J.Y.Yoo)著、「太陽電池電力調整システムのための高効率インタリーブ入力直列出力並列のDC/DCコンバータ(High Efficient Interleaved Input−Series−Output−Parallel−Connected DC/DC Converter for Photovoltaic Power Conditioning System)」、(米国)、米国電気電子学会(IEEE)、エネルギー変換会議および博覧会(ECCE:Energy Conversion Congress and Exposition)、 pp327〜329、2009年9月
【非特許文献5】コロネル.Wm.T.マクライマン(Colonel Wm.T.Mclyman)著、「変圧器およびインダクタの設計ハンドブック(Transformer and inductor design handbook)」、(米国)、Kgマグネティクス社(Kg Magnetics Inc.)、CRCプレス社、(CRC Press)、第3版、第5章および第8章、1988年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
DCDCコンバータは、ハイブリッド電気自動車など利用される分野が増えるにつれ、小型化、高効率化および高エネルギー密度化がより一層求められている。例えばハイブリッド電気自動車においては、DCDCコンバータを限られた設置スペースに配置しなければならないので、できる限り小型化するのが望ましい。
【0017】
DCDCコンバータを構成する個別の部品に関して言えば、スイッチング素子として用いられるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)については近年の技術進歩に伴い、小型化、高性能化が進んでいる。一方、インダクタや変圧器などのような磁性素子はDCDCコンバータ内において大きなスペースを占めていることから、DCDCコンバータのより一層の小型化、高効率化および高エネルギー密度化を実現するためには磁性素子の小型化は欠かせない。しかしながら、インダクタに関しては、技術がある程度成熟しており、今後の大幅な小型化は難しい。
【0018】
また、非特許文献3に記載された直列コンバータでは、フライバックコンバータおよび極性反転チョッパともに、小容量の変換器では素子数が少ないため適しているが、インダクタ体積が大型となるため大容量の変換器には適していない。
【0019】
また、非特許文献4に記載された直列コンバータでは、DCDCコンバータの2次側にダイオード整流器を採用しているため、回生動作は不可能である。
【0020】
従って本発明の目的は、上記問題に鑑み、小型、高効率および高エネルギー密度の双方向DCDCコンバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を実現するために、本発明によれば、1次側直流電圧源および2次側直流電圧源との間に接続され、これら2つの直流電源の各直流電圧間で双方向に電圧変換するDCDCコンバータは、1次側直流電圧源の正極端子および負極端子にそれぞれ接続された一対の第1直流側入出力端子と、一対の第1交流側入出力端子と、を有し、直流と交流との間で相互に電力変換する1次側電力変換部と、一対の第2直流側入出力端子と、一対の第2交流側入出力端子と、を有し、直流と交流との間で相互に電力変換する2次側電力変換部であって、一方の第2直流側入出力端子が2次側直流電圧源の正極端子に接続され、他方の第2直流側入出力端子が1次側直流電圧源の正極端子に接続された2次側電力変換部と、各第1交流側入出力端子にそれぞれ接続された一対の1次側端子と、各第2交流側入出力端子にそれぞれ接続された一対の2次側端子とを有する変圧器と、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、小型かつ高効率で高エネルギー密度の双方向DCDCコンバータを実現することができる。本発明によれば、高出力を維持しつつ変換器容量を低減することが可能である。また、スイッチング素子の耐圧を小さくすることができる。またさらに、スイッチング素子に対してソフトスイッチングが可能である。したがって、磁性素子について言えば、従来の双方向チョッパを用いたDCDCコンバータのインダクタと比較して、本発明によれば変圧器の体積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるDCDCコンバータを示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータを示す回路図である。
【図3】非特許文献5に記載されたArea Productを説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施例によるDCDCコンバータを示す回路図である。
【図5】本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータの昇圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータの降圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施例によるDCDCコンバータの昇圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施例によるDCDCコンバータの降圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。
【図9】チョッパ回路を用いた従来のハイブリッド電気自動車用DCDCコンバータを示す回路図である。
【図10】従来の双方向型のDCDCコンバータにおける変換器容量と伝送電力との関係を説明する図である。
【図11】従来の双方向型のDCDCコンバータを用いて直列コンバータを構成した場合における変換器容量と伝送電力との関係を説明する図である。
【図12】非特許文献1に記載された従来のフルブリッジ型双方向絶縁型のDCDCコンバータの回路図である。
【図13】非特許文献3に記載された従来のフライバックコンバータを用いた直列コンバータを示す回路図である。
【図14】非特許文献3に記載された従来の極性反転チョッパを用いた直列コンバータを示す回路図である。
【図15】非特許文献4に記載された従来の単方向絶縁型のDCDCコンバータを用いた直列コンバータを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明によるDCDCコンバータを示す図である。本発明によるDCDCコンバータ1は、1次側直流電圧源V1および2次側直流電圧源V2との間に接続され、これら2つの直流電源V1およびV2の各直流電圧間で双方向に電圧変換する。DCDCコンバータ1は、1次側電力変換部11と、2次側電力変換部12と、高周波変圧器13と、を備える。
【0025】
1次側電力変換部11は、1次側直流電圧源V1の正極端子および負極端子にそれぞれ接続された一対の第1直流側入出力端子P1−1およびP1−2と、一対の第1交流側入出力端子Q1−1およびQ1−2と、を有し、直流と交流との間で相互に電力変換する。
【0026】
2次側電力変換部12は、一対の第2直流側入出力端子P2−1およびP2−2と、一対の第2交流側入出力端子Q2−1およびQ2−2と、を有し、直流と交流との間で相互に電力変換する。一方の第2直流側入出力端子P2−1は2次側直流電圧源12の正極端子に接続され、他方の第2直流側入出力端子P2−2が1次側直流電圧源の正極端子に接続される。
【0027】
高周波変圧器13は、各第1交流側入出力端子Q1−1およびQ1−2にそれぞれ接続された一対の1次側端子R1−1およびR1−2と、各第2交流側入出力端子Q2−1およびQ2−2にそれぞれ接続された一対の2次側端子R2−1およびR2−2とを有する。
【0028】
上述の1次側電力変換部11および2次側電力変換部12は、以下で説明するフルブリッジ型もしくはハーフブリッジ型の電力変換器で構成される。また、各電力変換器における交流側の電圧のレベル数は、本発明を限定するものではなく、2レベル以上であればいくつであってもよい。以下の実施例では、一例として交流側の電圧が2レベルである変換器について説明する。
【0029】
図2は、本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータを示す回路図である。本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータ1では、1次側電力変換部11および2次側電力変換部12が、以下のようなフルブリッジ型の電力変換器で構成される。
【0030】
1次側電力変換部11は、1次側直流電源V1に並列接続されたコンデンサC1と、それぞれがコンデンサC1に並列接続された2つのレグ部L1−1およびL1−2と、を備える。各レグ部L1−1およびL1−2は、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有する。本実施例では、交流側の電圧を2レベルとするので、上側アーム部および下側アーム部は、スイッチング素子とこのスイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を、それぞれ1組ずつ有する。各レグ部L1−1およびL1−2における上側アーム部と下側アーム部との接続点を、1次側電力変換部11の第1交流側入出力端子Q1−1およびQ1−2として用いる。
【0031】
一方、2次側電力変換部12は、2次側直流電源V2の正極端子と1次側直流電圧源V1の正極端子との間に接続されるコンデンサC2と、それぞれがコンデンサC2に並列接続された2つのレグ部L2−1およびL2−2と、を備える。各レグ部L2−1およびL2−2は、上述の1次側電力変換部11と同様、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有する。本実施例では、交流側の電圧を2レベルとするので、上側アーム部および下側アーム部は、スイッチング素子とこのスイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を、それぞれ1組ずつ有する。各レグ部L2−1およびL2−2における上側アーム部と下側アーム部との接続点を、2次側電力変換部12の第2交流側入出力端子Q2−1およびQ2−2として用いる。
【0032】
なお、1次側電力変換部11および2次側電力変換部12内のスイッチング素子に対するスイッチングパターンについては、非特許文献1および非特許文献2に示されたフルブリッジ型双方向絶縁型DCDCコンバータについてのものと同様でよい。また、上述の各スイッチング素子は、自己消弧形のものであればよく、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やSiC−MOSFET(Silicon Carbide−Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などでよい。このことは後述する第2の実施例の場合でも同様である。
【0033】
高周波変圧器13は、各1次側端子R1−1およびR1−2が1次側電力変換部11の各第1交流側入出力端子Q1−1およびQ1−2にそれぞれ接続され、各2次側端子R2−1およびR2−2が2次側電力変換部12の各第2交流側入出力端子Q2−1およびQ2−2にそれぞれ接続される。
【0034】
ここで、本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータ1と、図1を参照して説明した従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100とを比較すると次の通りである。
【0035】
まず、スイッチング素子の耐圧について検討すると次の通りである。本発明の第1の実施例におけるフルブリッジ型の1次側電力変換部11では、スイッチング素子の耐圧は、V1 以上必要であり、フルブリッジ型の2次側電力変換部12では「V2−V1」以上必要である。これに対し、従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100では全てのスイッチング素子についてV2以上の耐圧が必要である。このように、本発明の第1の実施例のDCDCコンバータ1によれば、従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100に比べ、スイッチング素子の耐圧を低くすることができる。一般に低耐圧のスイッチング素子ほどスイッチング周波数を高周波化することができるので、本発明の第1の実施例によれば高周波変圧器13の駆動周波数を高速化できる。
【0036】
またに、非特許文献1および2に記載されているように、本発明の第1の実施例のようなフルブリッジ型の双方向絶縁型DCDCコンバータではソフトスイッチングが可能であるため、さらなるスイッチング素子の高周波化および低損失化が可能である。したがって、高周波変圧器13は大幅に小型化可能である。
【0037】
また、変換器効率について検討すると次の通りである。非特許文献2には、第5世代IGBTを用いてフルブリッジ型の双方向絶縁型DCDCコンバータを構成した場合、最大97%の変換器効率が得られることが報告されている。また、SiC−MOSFET(Silicon Carbide−Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)に置き換えた場合では99%の効率に達すると予想されている。本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータ1では変換器容量を低減することができるため、さらなる高効率化が可能である。例えば昇圧比が2倍の場合、直列コンバータの容量は伝送電力の1/2であるため、フルブリッジ型の双方向絶縁型DCDCコンバータの効率が97%であれば全体の効率は99.5%であり、またSiC−MOSFETを用いて直列コンバータの効率を上述のように99%に達成できれば、本発明の第1の実施例の場合では99.5%の効率を得ることができる。
【0038】
また、変換器の体積について検討すると次の通りである。本発明の第1の実施例におけるフルブリッジ型の1次側電力変換部11と2次側電力変換部12とは、高周波変圧器13を介して電気的に絶縁される。高周波変圧器13の定格電力は、直列コンバータであるDCDCコンバータ1の変換器容量PCと等しいため、伝送電力PSよりも小さい。したがって、本発明の第1の実施例における変換器13は、図9を参照して説明した従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100におけるインダクタLに比べ、小型化することができる。以下、非特許文献5に記載されたArea Product(エリア・プロダクト)というパラメータを用いて、本発明の第1の実施例におけるDCDCコンバータ1における高周波変圧器13の体積および従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100におけるインダクタLの体積について定量的に比較検討するが、これに先立ち、エリアプロダクトApの概念について説明する。図3は、非特許文献5に記載されたArea Productを説明する図である。図3は変圧器もしくはインダクタのコア31を概略的に示しており、ここで、コア断面積をAcore、コアの開口部(窓)の面積をAwindowとする。非特許文献5に記載されているように、エリアプロダクトApは式2のように定義される。
【0039】
【数2】
【0040】
AcoreとAwindowとは直交しているので、エリアプロダクトApは一意に定まり、変圧器もしくはインダクタの体積を評価可能である。エリアプロダクトApと変圧器もしくはインダクタの体積νとの間には式3の関係が成り立つ。
【0041】
【数3】
【0042】
ここで、Kνはコアの形状から決定される定数である。なお、式3においてエリアプロダクトApを3/4乗するのは、式2は「面積×面積」すなわち「長さの4乗」を表わしており、式3は体積すなわち「長さの3乗」を表わしているからである。
【0043】
インダクタの場合、最大蓄積エネルギーをWとすると、エリアプロダクトAPLは式4のように得られる。
【0044】
【数4】
【0045】
ここで、Kuは巻線の断面積がコアの開口部(窓)の面積を占める割合である線積率であり、Bmはコアの最大磁束密度、Jwは巻線の電流密度である。式4からわかるように、インダクタのエリアプロダクトAPLは蓄積エネルギーWに比例する。
【0046】
一方、変圧器の場合、定格電力をPとすると、エリアプロダクトAPTは式5のように得られる。
【0047】
【数5】
【0048】
ここで、fSは変圧器の駆動周波数を示す。式5からわかるように、変圧器のエリアプロダクトAPTは定格電力Pに比例する。
【0049】
上述の2つのエリアプロダクトAPLおよびAPTを用いて、本発明の第1の実施例におけるDCDCコンバータ1における高周波変圧器13の体積および従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100におけるインダクタLの体積とを比較する。
【0050】
従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100について、伝送電力をPs〔W〕、1次側直流電圧源の電圧をV1〔V〕、2次側直流電圧源の電圧をV2〔V〕、インダクタ電流平均値をIL〔A〕、インダクタ電流リプル電流幅をΔI〔A〕、スイッチング周波数(インダクタの駆動周波数)をfL〔Hz〕とする。従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100のインダクタのインダクタンス値Lは、式6のように表わされる。
【0051】
【数6】
【0052】
ここで、インダクタ電流のリプル率rを式7で定義する。
【0053】
【数7】
【0054】
ただし、連続通流を維持する場合、「0<r≦1」である。インダクタの最大蓄積エネルギーWは、式6および式7から式8のように表わされる。
【0055】
【数8】
【0056】
ここで、1次側直流電圧源の電圧V1と2次側直流電圧源の電圧V2との昇圧比nを式9のように定義する。
【0057】
【数9】
【0058】
従来のチョッパ回路における1次側直流電圧源の電圧V1と2次側直流電圧源の電圧V2とデューティー比dとの関係は式10で表わされる。
【0059】
【数10】
【0060】
式9および式10より、昇圧比nとデューティー比との関係は式11で表わされる。
【0061】
【数11】
【0062】
また、インダクタ電流平均値ILは式12で表わされる。
【0063】
【数12】
【0064】
式11および式12より、式8は式13のように変形できる。
【0065】
【数13】
【0066】
式13を式4に代入すると、式14に示すようなインダクタのエリアプロダクトAPLが得られる。
【0067】
【数14】
【0068】
一方、本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータ1について、高周波変圧器13のエリアプロダクトAPTを算出すると次の通りである。高周波変圧器13の定格電力は直列今コンバータであるDCDCコンバータ1の変換器容量と等しい。よって、式1および式9から、高周波変圧器の定格電力PTは式15で表わされる。
【0069】
【数15】
【0070】
式15を式5に代入すると、式16に示すような高周波変圧器13のエリアプロダクトAPTが得られる。
【0071】
【数16】
【0072】
式14および式16から、従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100とインダクタのエリアプロダクトAPLと本発明の第1の実施例におけるDCDCコンバータ1における高周波変圧器13のエリアプロダクトAPTとの比は、式17のように表わされる。
【0073】
【数17】
【0074】
式3および式17から、従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100のインダクタの体積νLと本発明の第1の実施例におけるDCDCコンバータ1における高周波変圧器13の体積νTとの比は、式18のように表わされる。
【0075】
【数18】
【0076】
式18は、「0<r≦1」の範囲においてリプル率rに関して単調増加であることを示している。スイッチング周波数を同一(fL=fT)とし、リプル率r=1とした場合、本発明の第1の実施例におけるDCDCコンバータ1における高周波変圧器13の体積νTは、従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100のインダクタの体積νLの35%である。実用上は「fL<fT」であり、リプル率r<1で設計するので、本発明の第1の実施例におけるDCDCコンバータ1における高周波変圧器13はさらに小型化することができる。例えば、リプル率r=0.5とした場合、本発明の第1の実施例におけるDCDCコンバータ1における高周波変圧器13の体積νTは、従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100のインダクタの体積νLの32%となる。このように、本発明の第1の実施例によれば、図9を参照して説明した従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100に比べ、磁性素子(変換器)を小型化することができる。
【0077】
図4は、本発明の第2の実施例によるDCDCコンバータを示す回路図である。本発明の第2の実施例によるDCDCコンバータ1では、1次側電力変換部11および2次側電力変換部12が、以下のようなハーフブリッジ型の電力変換器で構成される。
【0078】
1次側電力変換部11は、互いに直列接続された2つのコンデンサC1-1およびC1-2と、これら直列接続された2つのコンデンサC1-1およびC1-2に並列接続されたレグ部L1とを備える。互いに直列接続された2つのコンデンサC1-1およびC1-2は1次側直流電源V1に並列接続され、2つのコンデンサC1-1およびC1-2の直列接続点を1次側電力変換部11の一方の第1交流側入出力端子Q1−2として用いる。レグ部L1は、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有する。本実施例では、交流側の電圧を2レベルとするので、上側アーム部および下側アーム部は、スイッチング素子とこのスイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を、それぞれ1組ずつ有する。レグ部L1における上側アーム部と下側のアーム部との接続点を1次側電力変換部11の他方の第1交流側入出力端子Q1−1として用いる。
【0079】
一方、2次側電力変換部12は、互いに直列接続された2つのコンデンサC2-1およびC2-2と、これら直列接続された2つのコンデンサC2-1およびC2-2に並列接続されたレグ部L2とを備える。互いに直列接続された2つのコンデンサC2-1およびC2-2は、2次側直流電源V2の正極端子と1次側直流電圧源V1の正極端子との間に接続され、2つのコンデンサC2-1およびC2-2の直列接続点を2次側電力変換部12の第2交流側入出力端子Q2−2として用いる。レグ部L2は、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有する。本実施例では、交流側の電圧を2レベルとするので、上側アーム部および下側アーム部は、スイッチング素子とこのスイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を、それぞれ1組ずつ有する。レグ部L2における上側アーム部と下側のアーム部との接続点を2次側電力変換部12の第2交流側入出力端子Q2−1として用いる。
【0080】
高周波変圧器13は、各1次側端子R1−1およびR1−2が1次側電力変換部11の各第1交流側入出力端子Q1−1およびQ1−2にそれぞれ接続され、各2次側端子R2−1およびR2−2が2次側電力変換部12の各第2交流側入出力端子Q2−1およびQ2−2にそれぞれ接続される。
【0081】
本実施例によるハーフブリッジ型のDCDCコンバータ1では、高周波変圧器13の定格電力は、第1の実施例によるフルブリッジ型のDCDCコンバータ1の高周波変圧器13の定格電力と等しいが、電圧定格は1/2に、電流定格は2倍となる。また、スイッチング素子の個数は、第1の実施例によるフルブリッジ型のDCDCコンバータ1の場合に比べて1/2で済むが、スイッチング素子の電流定格は2倍必要となる。
【0082】
次に、本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータ1のシミュレーション結果について説明する。シミュレーションでは、1次側直流電圧源V1の電圧250V、2次側直流電圧源V2の電圧を500Vとし、それぞれ定電圧源とした。また、1次側直流電圧源V1と2次側直流電圧源V2との間の伝送電力を100kWとし、高周波変圧器13のモレインダクタンスを4.34μHとした。これは、1次側電力変換器11と2次側電力変換器12のブリッジの位相差が30度の場合にこれら1次側電力変換器11および2次側電力変換器12間の伝送電力が50kWとなる値である。
【0083】
図5は、本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータの昇圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。図6は、本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータの降圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。図5(a)に示すように、昇圧時では、1次側直流電圧源V1から流出する電流i1の平均値(すなわち直流成分)は400A である。したがって、1次側直流電圧源V1から100kW(=250V×400A)の電力が流出している。1次側電力変換器11に流入する電流をiP、2次側電力変換器12に流入する電流をi1−iP、2次側電力変換器12から流出する電流をiSとする。図5(b)に示すように、1次側電力変換器11に流入する電流iPの平均値は200Aであるため、50kW(=250V×200A)の電力が流入している。つまり、1次側直流電圧源V1から供給される電力の1/2がDCDCコンバータ1を経由している。また、図5(c)に示すように、2次側電力変換器12から流出する電流をiSの平均値(すなわち直流成分)は200A である。一方、図6(a)に示すように、降圧時では、1次側直流電圧源V1から流出する電流i1の平均値(すなわち直流成分)は−400A である。したがって、図6(b)および(c)に示すように、図5(b)および(c)に示した昇圧時とは逆向きのパワーフローとなっている。
【0084】
図7は、本発明の第2の実施例によるDCDCコンバータの昇圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。図8は、本発明の第2の実施例によるDCDCコンバータの降圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。図7(a)に示すように、昇圧時では、1次側直流電圧源V1から流出する電流i1の平均値(すなわち直流成分)は400A である。したがって、第1の実施例の場合と同様、1次側直流電圧源V1から100kW(=250V×400A)の電力が流出している。1次側電力変換器11に流入する電流をiP、2次側電力変換器12に流入する電流をi1−iP、2次側電力変換器12から流出する電流をiSとする。図7(b)に示すように、1次側電力変換器11に流入する電流iPの平均値は200Aであるため、50kW(=250V×200A)の電力が流入している。つまり、1次側直流電圧源V1から供給される電力の1/2がDCDCコンバータ1を経由している。また、図7(c)に示すように、2次側電力変換器12から流出する電流をiSの平均値(すなわち直流成分)は200A である。一方、図8(a)に示すように、降圧時では、1次側直流電圧源V1から流出する電流i1の平均値(すなわち直流成分)は−400A である。したがって、図8(b)および(c)に示すように、図7(b)および(c)に示した昇圧時とは逆向きのパワーフローとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、ハイブリッド電気自動車のモータを駆動するインバータドライブに電力を供給するDCDCコンバータや、太陽電池システムに用いられるDCDCコンバータなど、単方向、双方向問わず、DCDCコンバータに適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 DCDCコンバータ
11 1次側電力変換部
12 2次側電力変換部
13 高周波変圧器
L1、L1−1、L1−2、L2−1、L2−2 レグ部
P1−1、P1−2 第1直流側入出力端子
P2−1、P2−2 第2直流側入出力端子
Q1−1、Q1−2 第1交流側入出力端子
Q2−1、Q2−2 第2交流側入出力端子
R1−1、R1−2 1次側端子
R2−1、R2−2 2次側端子
V1 1次側直流電圧源
V2 2次側直流電圧源
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次側直流電圧源および2次側直流電圧源との間に接続され、これら2つの直流電源の各直流電圧間で双方向に電圧変換するDCDCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境問題の視点からハイブリッド電気自動車(HEV)が注目されている。ハイブリッド電気自動車が従来の自動車と同等の駆動力を達成するためには100kW程度の高いモータ出力が要求されるので、それに対応したインバータドライブが必要である。近年のハイブリッド電気自動車では、モータ出力の向上のため、インバータドライブの電源電圧(直流リンク電圧)を高く設計する傾向にあるが、バッテリの直列セル数を増やし直流リンク電圧を高くすると、コストが上昇し信頼性も低下する。また、バッテリ電圧をインバータドライブに直接供給すると、バッテリの内部抵抗により放電時にはバッテリ電圧が低下するので、大出力が必要な場合であっても高い電圧を得ることができない。その一方で、充電時にはバッテリ電圧が上昇するので、インバータに用いる素子の耐圧は充電時のバッテリ電圧に合わせて設計しなければならない。
【0003】
このため、通常は、バッテリ電圧をインバータドライブに直接供給するのではなく、DCDCコンバータを用いて昇圧する手法が用いられている(例えば、特許文献1参照。))。
【0004】
図9は、チョッパ回路を用いた従来のハイブリッド電気自動車用DCDCコンバータを示す回路図である。ハイブリッド電気自動車において、三相交流モータ51をインバータ53で駆動する場合、バッテリ52とインバータ53との間にはDCDCコンバータ100が接続される。ハイブリッド電気自動車では、回生動作時にはインバータ53からバッテリ52に向けたパワーフローとなりバッテリ52を充電するため、DCDCコンバータ100として双方向チョッパを採用している。DCDCコンバータ100は、1次側コンデンサC1と、チョッパインダクタLと、スイッチング素子Sおよびこれに逆並列接続されるダイオードDを2組と、2次側コンデンサC2と、を備える。ここで、バッテリ52の電圧をV1、インバータ53の直流リンク電圧をV2とする。近年のハイブリッド電気自動車では、バッテリ52の電圧をV1は 200〜300V、インバータ53の直流リンク電圧V2は500〜650Vであり、昇圧比は2〜2.5倍程度である。
【0005】
ハイブリッド電気自動車用のDCDCコンバータは、車両内の限られたスペースに設置する必要があるので、小型化・高パワー密度化が求められている。特に、図9に示した双方向チョッパであるDCDCコンバータ100では、チョッパインダクタLが大きな体積の割合を占めるため、小型化が求められている。
【0006】
図10は、従来の双方向型のDCDCコンバータにおける変換器容量と伝送電力との関係を説明する図である。ここで、DCDCコンバータ101は絶縁型および非絶縁型どちらの回路構成も考えられ、例えば図9を参照して説明したチョッパ回路型のものがある。ここで、双方向DCDCコンバータ101に接続される1次側直流電圧源54の電圧をV1、2次側直流電圧源55の電圧をV2とする。1次側直流電圧源54と2次側直流電圧源55との間の伝送電力PS〔W〕はすべてDCDCコンバータ101を経由する。それゆえ、DCDCコンバータの変換器容量PCについては、「PC=PS」の関係が成り立つ。
【0007】
図11は、従来の双方向型のDCDCコンバータを用いて直列コンバータを構成した場合における変換器容量と伝送電力との関係を説明する図である。双方向型のDCDCコンバータ101の1次側入出力端を1次側直流電圧源54に並列接続し、DCDCコンバータ101の2次側入出力端を2次側直流電圧源55に直列接続したものを一般に「直列コンバータ」と称する。ここで、1次側直流電圧源54の電圧をV1、2次側直流電圧源55の電圧をV2とし、「V1<V2」の大小関係が成り立つものとする。このような直流コンバータ構成の場合、DCDCコンバータ101の2次側入出力端における電圧VCは、V2とV1との差となる。すなわち、DCDCコンバータ101は、V2とV1との差を補償するための電圧のみを供給すればよい。ここで、変換器容量PCと伝送電力PSとの間には式1の関係が成り立つ。
【0008】
【数1】
【0009】
例えば、「V2=2V1」すなわち昇圧比が2倍の場合、DCDCコンバータ101の変換器容量PCは、伝送電力PSの1/2で済む。このように、直列コンバータ構成によれば、DCDCコンバータ101の変換器容量PCは伝送電力PSと比較して小さくすることができ、結果として、変換器効率の向上や、DCDCコンバータ101内のインダクタ(磁性素子)の小型化をもたらすと期待される。
【0010】
また、フルブリッジ型双方向絶縁型のDCDCコンバータが提案されている(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照。)。図12は、非特許文献1に記載された従来のフルブリッジ型双方向絶縁型のDCDCコンバータの回路図である。この図は、非特許文献1のFig.3(a)に示された単相デュアルアクティブブリッジDCDCコンバータ(Single phase dual active bridge dc/dc converter)を示している。非特許文献1に記載されたフルブリッジ型双方向絶縁型のDCDCコンバータ102は、1次側にスイッチS1、S2、S3およびS4を有するフルブリッジ変換器ならびにコンデンサC1を備え、2次側にスイッチS5、S6、S7およびS8を有するフルブリッジ変換器ならびにコンデンサC2を備え、1次側と2次側とは高周波変圧器62を介して電気的に絶縁されている。この図において、DCDCコンバータ102の1次側には1次側直流電圧源61が接続され、2次側には負荷63が接続されている。フルブリッジ型双方向絶縁型のDCDCコンバータ102のスイッチング素子については、非特許文献1および非特許文献2に記載されているようなソフトスイッチングが可能であるため、さらなるスイッチング周波数の高周波化と低損失化が可能である。したがって、高周波変圧器62は大幅に小型化することができる。
【0011】
また、上述の直列コンバータに、フライバックコンバータおよび極性反転チョッパを用いた回路も提案されている(非特許文献3)。図13は、非特許文献3に記載された従来のフライバックコンバータを用いた直列コンバータを示す回路図である。V1はバッテリ電圧、V2は負荷に供給される電圧を示す。フライバックコンバータ200によってV1とV2との差を補償する電圧を発生し、昇降圧動作を可能にするため、フルブリッジコンバータ部201で正負電圧の切り替えを行っている。この回路はバッテリから負荷への単方向のパワーフローを想定しているが、降圧動作(V1>V2の場合)では直列コンバータは負の電圧を出力するため、直列コンバータ内でのパワーフローはバッテリへ向かう方向である。そのため、フライバックコンバータ200は双方向の回路構成となっている。一方、図14は、非特許文献3に記載された従来の極性反転チョッパを用いた直列コンバータを示す回路図である。極性反転チョッパ300を用いた場合、そのままでは直列コンバータの1次側と2次側との間が絶縁されず、バッテリ電圧V1を短絡してしまう。そのため、SC3およびSC4を設置することによってバッテリ電圧V1の短絡を防いでいる。
【0012】
また、上述の直列コンバータに、単方向絶縁型のDCDCコンバータを用いた回路が提案されている(非特許文献4)。図15は、非特許文献4に記載された従来の単方向絶縁型のDCDCコンバータを用いた直列コンバータを示す回路図である。単方向絶縁型のDCDCコンバータ400は、スイッチング素子耐圧の低減と出力フィルタの小型化を目的として、2台のDCDCコンバータ400−1および400−2を、入力側については直列接続、出力側については並列接続したインタリーブの構成となっている。この直列コンバータは、主として太陽電池の電力調整に用いる昇圧コンバータとして利用されるものである。
【0013】
なお、変圧器あるいはインダクタの体積を定量的に評価する手法として、Area Product(エリアプロダクト)というパラメータを用いた手法が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−55690号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】リック.W.A.A.デ・ドンカー(Rik W.A.A.De Doncker)、ディーパクラジ.M.ディヴァン(Deepakraj M.Divan)、ムスタンサー.H.ケラルワラ(Mustansir H.Kheraluwala)著、「高パワーアプリケーションのための三相ソフトスイッチ高パワー密度DCDCコンバータ(A Three−Phase Soft−Switched High−Power−Density DCDCConverter for High−Power Applications)」、(米国)、米国電気電子学会トランザクション(IEEE Transactions)、産業応用(Industry Applications)、 Vol.27、No.1、pp63〜73、1991年1月
【非特許文献2】井上重徳、赤木泰文著、「次世代3.3kV/6.6kV電力変換システムのコア回路としての双方向絶縁型DC/DCコンバータ」、電気学会論文誌D、第126巻、第3号、pp211〜217、2006年
【非特許文献3】伊東淳一、藤井崇史著、「直列補償方式による非絶縁昇降圧形DC/DCコンバータ」、電気学会論文誌D、第130巻、第1号、pp18〜25、2010年
【非特許文献4】J.P.リー(J.P Lee)、B.D.ミン (B.D Min)、T.J.キム(T.J Kim)、D.W.ヨー(D.W.Yoo)、J.Y.ヨー(J.Y.Yoo)著、「太陽電池電力調整システムのための高効率インタリーブ入力直列出力並列のDC/DCコンバータ(High Efficient Interleaved Input−Series−Output−Parallel−Connected DC/DC Converter for Photovoltaic Power Conditioning System)」、(米国)、米国電気電子学会(IEEE)、エネルギー変換会議および博覧会(ECCE:Energy Conversion Congress and Exposition)、 pp327〜329、2009年9月
【非特許文献5】コロネル.Wm.T.マクライマン(Colonel Wm.T.Mclyman)著、「変圧器およびインダクタの設計ハンドブック(Transformer and inductor design handbook)」、(米国)、Kgマグネティクス社(Kg Magnetics Inc.)、CRCプレス社、(CRC Press)、第3版、第5章および第8章、1988年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
DCDCコンバータは、ハイブリッド電気自動車など利用される分野が増えるにつれ、小型化、高効率化および高エネルギー密度化がより一層求められている。例えばハイブリッド電気自動車においては、DCDCコンバータを限られた設置スペースに配置しなければならないので、できる限り小型化するのが望ましい。
【0017】
DCDCコンバータを構成する個別の部品に関して言えば、スイッチング素子として用いられるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)については近年の技術進歩に伴い、小型化、高性能化が進んでいる。一方、インダクタや変圧器などのような磁性素子はDCDCコンバータ内において大きなスペースを占めていることから、DCDCコンバータのより一層の小型化、高効率化および高エネルギー密度化を実現するためには磁性素子の小型化は欠かせない。しかしながら、インダクタに関しては、技術がある程度成熟しており、今後の大幅な小型化は難しい。
【0018】
また、非特許文献3に記載された直列コンバータでは、フライバックコンバータおよび極性反転チョッパともに、小容量の変換器では素子数が少ないため適しているが、インダクタ体積が大型となるため大容量の変換器には適していない。
【0019】
また、非特許文献4に記載された直列コンバータでは、DCDCコンバータの2次側にダイオード整流器を採用しているため、回生動作は不可能である。
【0020】
従って本発明の目的は、上記問題に鑑み、小型、高効率および高エネルギー密度の双方向DCDCコンバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を実現するために、本発明によれば、1次側直流電圧源および2次側直流電圧源との間に接続され、これら2つの直流電源の各直流電圧間で双方向に電圧変換するDCDCコンバータは、1次側直流電圧源の正極端子および負極端子にそれぞれ接続された一対の第1直流側入出力端子と、一対の第1交流側入出力端子と、を有し、直流と交流との間で相互に電力変換する1次側電力変換部と、一対の第2直流側入出力端子と、一対の第2交流側入出力端子と、を有し、直流と交流との間で相互に電力変換する2次側電力変換部であって、一方の第2直流側入出力端子が2次側直流電圧源の正極端子に接続され、他方の第2直流側入出力端子が1次側直流電圧源の正極端子に接続された2次側電力変換部と、各第1交流側入出力端子にそれぞれ接続された一対の1次側端子と、各第2交流側入出力端子にそれぞれ接続された一対の2次側端子とを有する変圧器と、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、小型かつ高効率で高エネルギー密度の双方向DCDCコンバータを実現することができる。本発明によれば、高出力を維持しつつ変換器容量を低減することが可能である。また、スイッチング素子の耐圧を小さくすることができる。またさらに、スイッチング素子に対してソフトスイッチングが可能である。したがって、磁性素子について言えば、従来の双方向チョッパを用いたDCDCコンバータのインダクタと比較して、本発明によれば変圧器の体積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるDCDCコンバータを示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータを示す回路図である。
【図3】非特許文献5に記載されたArea Productを説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施例によるDCDCコンバータを示す回路図である。
【図5】本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータの昇圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータの降圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施例によるDCDCコンバータの昇圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施例によるDCDCコンバータの降圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。
【図9】チョッパ回路を用いた従来のハイブリッド電気自動車用DCDCコンバータを示す回路図である。
【図10】従来の双方向型のDCDCコンバータにおける変換器容量と伝送電力との関係を説明する図である。
【図11】従来の双方向型のDCDCコンバータを用いて直列コンバータを構成した場合における変換器容量と伝送電力との関係を説明する図である。
【図12】非特許文献1に記載された従来のフルブリッジ型双方向絶縁型のDCDCコンバータの回路図である。
【図13】非特許文献3に記載された従来のフライバックコンバータを用いた直列コンバータを示す回路図である。
【図14】非特許文献3に記載された従来の極性反転チョッパを用いた直列コンバータを示す回路図である。
【図15】非特許文献4に記載された従来の単方向絶縁型のDCDCコンバータを用いた直列コンバータを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明によるDCDCコンバータを示す図である。本発明によるDCDCコンバータ1は、1次側直流電圧源V1および2次側直流電圧源V2との間に接続され、これら2つの直流電源V1およびV2の各直流電圧間で双方向に電圧変換する。DCDCコンバータ1は、1次側電力変換部11と、2次側電力変換部12と、高周波変圧器13と、を備える。
【0025】
1次側電力変換部11は、1次側直流電圧源V1の正極端子および負極端子にそれぞれ接続された一対の第1直流側入出力端子P1−1およびP1−2と、一対の第1交流側入出力端子Q1−1およびQ1−2と、を有し、直流と交流との間で相互に電力変換する。
【0026】
2次側電力変換部12は、一対の第2直流側入出力端子P2−1およびP2−2と、一対の第2交流側入出力端子Q2−1およびQ2−2と、を有し、直流と交流との間で相互に電力変換する。一方の第2直流側入出力端子P2−1は2次側直流電圧源12の正極端子に接続され、他方の第2直流側入出力端子P2−2が1次側直流電圧源の正極端子に接続される。
【0027】
高周波変圧器13は、各第1交流側入出力端子Q1−1およびQ1−2にそれぞれ接続された一対の1次側端子R1−1およびR1−2と、各第2交流側入出力端子Q2−1およびQ2−2にそれぞれ接続された一対の2次側端子R2−1およびR2−2とを有する。
【0028】
上述の1次側電力変換部11および2次側電力変換部12は、以下で説明するフルブリッジ型もしくはハーフブリッジ型の電力変換器で構成される。また、各電力変換器における交流側の電圧のレベル数は、本発明を限定するものではなく、2レベル以上であればいくつであってもよい。以下の実施例では、一例として交流側の電圧が2レベルである変換器について説明する。
【0029】
図2は、本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータを示す回路図である。本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータ1では、1次側電力変換部11および2次側電力変換部12が、以下のようなフルブリッジ型の電力変換器で構成される。
【0030】
1次側電力変換部11は、1次側直流電源V1に並列接続されたコンデンサC1と、それぞれがコンデンサC1に並列接続された2つのレグ部L1−1およびL1−2と、を備える。各レグ部L1−1およびL1−2は、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有する。本実施例では、交流側の電圧を2レベルとするので、上側アーム部および下側アーム部は、スイッチング素子とこのスイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を、それぞれ1組ずつ有する。各レグ部L1−1およびL1−2における上側アーム部と下側アーム部との接続点を、1次側電力変換部11の第1交流側入出力端子Q1−1およびQ1−2として用いる。
【0031】
一方、2次側電力変換部12は、2次側直流電源V2の正極端子と1次側直流電圧源V1の正極端子との間に接続されるコンデンサC2と、それぞれがコンデンサC2に並列接続された2つのレグ部L2−1およびL2−2と、を備える。各レグ部L2−1およびL2−2は、上述の1次側電力変換部11と同様、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有する。本実施例では、交流側の電圧を2レベルとするので、上側アーム部および下側アーム部は、スイッチング素子とこのスイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を、それぞれ1組ずつ有する。各レグ部L2−1およびL2−2における上側アーム部と下側アーム部との接続点を、2次側電力変換部12の第2交流側入出力端子Q2−1およびQ2−2として用いる。
【0032】
なお、1次側電力変換部11および2次側電力変換部12内のスイッチング素子に対するスイッチングパターンについては、非特許文献1および非特許文献2に示されたフルブリッジ型双方向絶縁型DCDCコンバータについてのものと同様でよい。また、上述の各スイッチング素子は、自己消弧形のものであればよく、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やSiC−MOSFET(Silicon Carbide−Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などでよい。このことは後述する第2の実施例の場合でも同様である。
【0033】
高周波変圧器13は、各1次側端子R1−1およびR1−2が1次側電力変換部11の各第1交流側入出力端子Q1−1およびQ1−2にそれぞれ接続され、各2次側端子R2−1およびR2−2が2次側電力変換部12の各第2交流側入出力端子Q2−1およびQ2−2にそれぞれ接続される。
【0034】
ここで、本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータ1と、図1を参照して説明した従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100とを比較すると次の通りである。
【0035】
まず、スイッチング素子の耐圧について検討すると次の通りである。本発明の第1の実施例におけるフルブリッジ型の1次側電力変換部11では、スイッチング素子の耐圧は、V1 以上必要であり、フルブリッジ型の2次側電力変換部12では「V2−V1」以上必要である。これに対し、従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100では全てのスイッチング素子についてV2以上の耐圧が必要である。このように、本発明の第1の実施例のDCDCコンバータ1によれば、従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100に比べ、スイッチング素子の耐圧を低くすることができる。一般に低耐圧のスイッチング素子ほどスイッチング周波数を高周波化することができるので、本発明の第1の実施例によれば高周波変圧器13の駆動周波数を高速化できる。
【0036】
またに、非特許文献1および2に記載されているように、本発明の第1の実施例のようなフルブリッジ型の双方向絶縁型DCDCコンバータではソフトスイッチングが可能であるため、さらなるスイッチング素子の高周波化および低損失化が可能である。したがって、高周波変圧器13は大幅に小型化可能である。
【0037】
また、変換器効率について検討すると次の通りである。非特許文献2には、第5世代IGBTを用いてフルブリッジ型の双方向絶縁型DCDCコンバータを構成した場合、最大97%の変換器効率が得られることが報告されている。また、SiC−MOSFET(Silicon Carbide−Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)に置き換えた場合では99%の効率に達すると予想されている。本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータ1では変換器容量を低減することができるため、さらなる高効率化が可能である。例えば昇圧比が2倍の場合、直列コンバータの容量は伝送電力の1/2であるため、フルブリッジ型の双方向絶縁型DCDCコンバータの効率が97%であれば全体の効率は99.5%であり、またSiC−MOSFETを用いて直列コンバータの効率を上述のように99%に達成できれば、本発明の第1の実施例の場合では99.5%の効率を得ることができる。
【0038】
また、変換器の体積について検討すると次の通りである。本発明の第1の実施例におけるフルブリッジ型の1次側電力変換部11と2次側電力変換部12とは、高周波変圧器13を介して電気的に絶縁される。高周波変圧器13の定格電力は、直列コンバータであるDCDCコンバータ1の変換器容量PCと等しいため、伝送電力PSよりも小さい。したがって、本発明の第1の実施例における変換器13は、図9を参照して説明した従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100におけるインダクタLに比べ、小型化することができる。以下、非特許文献5に記載されたArea Product(エリア・プロダクト)というパラメータを用いて、本発明の第1の実施例におけるDCDCコンバータ1における高周波変圧器13の体積および従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100におけるインダクタLの体積について定量的に比較検討するが、これに先立ち、エリアプロダクトApの概念について説明する。図3は、非特許文献5に記載されたArea Productを説明する図である。図3は変圧器もしくはインダクタのコア31を概略的に示しており、ここで、コア断面積をAcore、コアの開口部(窓)の面積をAwindowとする。非特許文献5に記載されているように、エリアプロダクトApは式2のように定義される。
【0039】
【数2】
【0040】
AcoreとAwindowとは直交しているので、エリアプロダクトApは一意に定まり、変圧器もしくはインダクタの体積を評価可能である。エリアプロダクトApと変圧器もしくはインダクタの体積νとの間には式3の関係が成り立つ。
【0041】
【数3】
【0042】
ここで、Kνはコアの形状から決定される定数である。なお、式3においてエリアプロダクトApを3/4乗するのは、式2は「面積×面積」すなわち「長さの4乗」を表わしており、式3は体積すなわち「長さの3乗」を表わしているからである。
【0043】
インダクタの場合、最大蓄積エネルギーをWとすると、エリアプロダクトAPLは式4のように得られる。
【0044】
【数4】
【0045】
ここで、Kuは巻線の断面積がコアの開口部(窓)の面積を占める割合である線積率であり、Bmはコアの最大磁束密度、Jwは巻線の電流密度である。式4からわかるように、インダクタのエリアプロダクトAPLは蓄積エネルギーWに比例する。
【0046】
一方、変圧器の場合、定格電力をPとすると、エリアプロダクトAPTは式5のように得られる。
【0047】
【数5】
【0048】
ここで、fSは変圧器の駆動周波数を示す。式5からわかるように、変圧器のエリアプロダクトAPTは定格電力Pに比例する。
【0049】
上述の2つのエリアプロダクトAPLおよびAPTを用いて、本発明の第1の実施例におけるDCDCコンバータ1における高周波変圧器13の体積および従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100におけるインダクタLの体積とを比較する。
【0050】
従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100について、伝送電力をPs〔W〕、1次側直流電圧源の電圧をV1〔V〕、2次側直流電圧源の電圧をV2〔V〕、インダクタ電流平均値をIL〔A〕、インダクタ電流リプル電流幅をΔI〔A〕、スイッチング周波数(インダクタの駆動周波数)をfL〔Hz〕とする。従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100のインダクタのインダクタンス値Lは、式6のように表わされる。
【0051】
【数6】
【0052】
ここで、インダクタ電流のリプル率rを式7で定義する。
【0053】
【数7】
【0054】
ただし、連続通流を維持する場合、「0<r≦1」である。インダクタの最大蓄積エネルギーWは、式6および式7から式8のように表わされる。
【0055】
【数8】
【0056】
ここで、1次側直流電圧源の電圧V1と2次側直流電圧源の電圧V2との昇圧比nを式9のように定義する。
【0057】
【数9】
【0058】
従来のチョッパ回路における1次側直流電圧源の電圧V1と2次側直流電圧源の電圧V2とデューティー比dとの関係は式10で表わされる。
【0059】
【数10】
【0060】
式9および式10より、昇圧比nとデューティー比との関係は式11で表わされる。
【0061】
【数11】
【0062】
また、インダクタ電流平均値ILは式12で表わされる。
【0063】
【数12】
【0064】
式11および式12より、式8は式13のように変形できる。
【0065】
【数13】
【0066】
式13を式4に代入すると、式14に示すようなインダクタのエリアプロダクトAPLが得られる。
【0067】
【数14】
【0068】
一方、本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータ1について、高周波変圧器13のエリアプロダクトAPTを算出すると次の通りである。高周波変圧器13の定格電力は直列今コンバータであるDCDCコンバータ1の変換器容量と等しい。よって、式1および式9から、高周波変圧器の定格電力PTは式15で表わされる。
【0069】
【数15】
【0070】
式15を式5に代入すると、式16に示すような高周波変圧器13のエリアプロダクトAPTが得られる。
【0071】
【数16】
【0072】
式14および式16から、従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100とインダクタのエリアプロダクトAPLと本発明の第1の実施例におけるDCDCコンバータ1における高周波変圧器13のエリアプロダクトAPTとの比は、式17のように表わされる。
【0073】
【数17】
【0074】
式3および式17から、従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100のインダクタの体積νLと本発明の第1の実施例におけるDCDCコンバータ1における高周波変圧器13の体積νTとの比は、式18のように表わされる。
【0075】
【数18】
【0076】
式18は、「0<r≦1」の範囲においてリプル率rに関して単調増加であることを示している。スイッチング周波数を同一(fL=fT)とし、リプル率r=1とした場合、本発明の第1の実施例におけるDCDCコンバータ1における高周波変圧器13の体積νTは、従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100のインダクタの体積νLの35%である。実用上は「fL<fT」であり、リプル率r<1で設計するので、本発明の第1の実施例におけるDCDCコンバータ1における高周波変圧器13はさらに小型化することができる。例えば、リプル率r=0.5とした場合、本発明の第1の実施例におけるDCDCコンバータ1における高周波変圧器13の体積νTは、従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100のインダクタの体積νLの32%となる。このように、本発明の第1の実施例によれば、図9を参照して説明した従来のチョッパ回路を用いたDCDCコンバータ100に比べ、磁性素子(変換器)を小型化することができる。
【0077】
図4は、本発明の第2の実施例によるDCDCコンバータを示す回路図である。本発明の第2の実施例によるDCDCコンバータ1では、1次側電力変換部11および2次側電力変換部12が、以下のようなハーフブリッジ型の電力変換器で構成される。
【0078】
1次側電力変換部11は、互いに直列接続された2つのコンデンサC1-1およびC1-2と、これら直列接続された2つのコンデンサC1-1およびC1-2に並列接続されたレグ部L1とを備える。互いに直列接続された2つのコンデンサC1-1およびC1-2は1次側直流電源V1に並列接続され、2つのコンデンサC1-1およびC1-2の直列接続点を1次側電力変換部11の一方の第1交流側入出力端子Q1−2として用いる。レグ部L1は、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有する。本実施例では、交流側の電圧を2レベルとするので、上側アーム部および下側アーム部は、スイッチング素子とこのスイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を、それぞれ1組ずつ有する。レグ部L1における上側アーム部と下側のアーム部との接続点を1次側電力変換部11の他方の第1交流側入出力端子Q1−1として用いる。
【0079】
一方、2次側電力変換部12は、互いに直列接続された2つのコンデンサC2-1およびC2-2と、これら直列接続された2つのコンデンサC2-1およびC2-2に並列接続されたレグ部L2とを備える。互いに直列接続された2つのコンデンサC2-1およびC2-2は、2次側直流電源V2の正極端子と1次側直流電圧源V1の正極端子との間に接続され、2つのコンデンサC2-1およびC2-2の直列接続点を2次側電力変換部12の第2交流側入出力端子Q2−2として用いる。レグ部L2は、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有する。本実施例では、交流側の電圧を2レベルとするので、上側アーム部および下側アーム部は、スイッチング素子とこのスイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を、それぞれ1組ずつ有する。レグ部L2における上側アーム部と下側のアーム部との接続点を2次側電力変換部12の第2交流側入出力端子Q2−1として用いる。
【0080】
高周波変圧器13は、各1次側端子R1−1およびR1−2が1次側電力変換部11の各第1交流側入出力端子Q1−1およびQ1−2にそれぞれ接続され、各2次側端子R2−1およびR2−2が2次側電力変換部12の各第2交流側入出力端子Q2−1およびQ2−2にそれぞれ接続される。
【0081】
本実施例によるハーフブリッジ型のDCDCコンバータ1では、高周波変圧器13の定格電力は、第1の実施例によるフルブリッジ型のDCDCコンバータ1の高周波変圧器13の定格電力と等しいが、電圧定格は1/2に、電流定格は2倍となる。また、スイッチング素子の個数は、第1の実施例によるフルブリッジ型のDCDCコンバータ1の場合に比べて1/2で済むが、スイッチング素子の電流定格は2倍必要となる。
【0082】
次に、本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータ1のシミュレーション結果について説明する。シミュレーションでは、1次側直流電圧源V1の電圧250V、2次側直流電圧源V2の電圧を500Vとし、それぞれ定電圧源とした。また、1次側直流電圧源V1と2次側直流電圧源V2との間の伝送電力を100kWとし、高周波変圧器13のモレインダクタンスを4.34μHとした。これは、1次側電力変換器11と2次側電力変換器12のブリッジの位相差が30度の場合にこれら1次側電力変換器11および2次側電力変換器12間の伝送電力が50kWとなる値である。
【0083】
図5は、本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータの昇圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。図6は、本発明の第1の実施例によるDCDCコンバータの降圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。図5(a)に示すように、昇圧時では、1次側直流電圧源V1から流出する電流i1の平均値(すなわち直流成分)は400A である。したがって、1次側直流電圧源V1から100kW(=250V×400A)の電力が流出している。1次側電力変換器11に流入する電流をiP、2次側電力変換器12に流入する電流をi1−iP、2次側電力変換器12から流出する電流をiSとする。図5(b)に示すように、1次側電力変換器11に流入する電流iPの平均値は200Aであるため、50kW(=250V×200A)の電力が流入している。つまり、1次側直流電圧源V1から供給される電力の1/2がDCDCコンバータ1を経由している。また、図5(c)に示すように、2次側電力変換器12から流出する電流をiSの平均値(すなわち直流成分)は200A である。一方、図6(a)に示すように、降圧時では、1次側直流電圧源V1から流出する電流i1の平均値(すなわち直流成分)は−400A である。したがって、図6(b)および(c)に示すように、図5(b)および(c)に示した昇圧時とは逆向きのパワーフローとなっている。
【0084】
図7は、本発明の第2の実施例によるDCDCコンバータの昇圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。図8は、本発明の第2の実施例によるDCDCコンバータの降圧時における各部のシミュレーション波形を示す図であり、(a)は1次側直流電圧源から流出する電流の波形を示し、(b)は1次側電力変換器へ流入する電流の波形を示し、(c)は2次側電力変換器から流出する電流の波形を示す図である。図7(a)に示すように、昇圧時では、1次側直流電圧源V1から流出する電流i1の平均値(すなわち直流成分)は400A である。したがって、第1の実施例の場合と同様、1次側直流電圧源V1から100kW(=250V×400A)の電力が流出している。1次側電力変換器11に流入する電流をiP、2次側電力変換器12に流入する電流をi1−iP、2次側電力変換器12から流出する電流をiSとする。図7(b)に示すように、1次側電力変換器11に流入する電流iPの平均値は200Aであるため、50kW(=250V×200A)の電力が流入している。つまり、1次側直流電圧源V1から供給される電力の1/2がDCDCコンバータ1を経由している。また、図7(c)に示すように、2次側電力変換器12から流出する電流をiSの平均値(すなわち直流成分)は200A である。一方、図8(a)に示すように、降圧時では、1次側直流電圧源V1から流出する電流i1の平均値(すなわち直流成分)は−400A である。したがって、図8(b)および(c)に示すように、図7(b)および(c)に示した昇圧時とは逆向きのパワーフローとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、ハイブリッド電気自動車のモータを駆動するインバータドライブに電力を供給するDCDCコンバータや、太陽電池システムに用いられるDCDCコンバータなど、単方向、双方向問わず、DCDCコンバータに適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 DCDCコンバータ
11 1次側電力変換部
12 2次側電力変換部
13 高周波変圧器
L1、L1−1、L1−2、L2−1、L2−2 レグ部
P1−1、P1−2 第1直流側入出力端子
P2−1、P2−2 第2直流側入出力端子
Q1−1、Q1−2 第1交流側入出力端子
Q2−1、Q2−2 第2交流側入出力端子
R1−1、R1−2 1次側端子
R2−1、R2−2 2次側端子
V1 1次側直流電圧源
V2 2次側直流電圧源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側直流電圧源および2次側直流電圧源との間に接続され、これら2つの直流電源の各直流電圧間で双方向に電圧変換するDCDCコンバータであって、
前記1次側直流電圧源の正極端子および負極端子にそれぞれ接続された一対の第1直流側入出力端子と、一対の第1交流側入出力端子と、を有し、直流と交流との間で相互に電力変換する1次側電力変換部と、
一対の第2直流側入出力端子と、一対の第2交流側入出力端子と、を有し、直流と交流との間で相互に電力変換する2次側電力変換部であって、一方の前記第2直流側入出力端子が前記2次側直流電圧源の正極端子に接続され、他方の前記第2直流側入出力端子が前記1次側直流電圧源の正極端子に接続された2次側電力変換部と、
各前記第1交流側入出力端子にそれぞれ接続された一対の1次側端子と、各前記第2交流側入出力端子にそれぞれ接続された一対の2次側端子とを有する変圧器と、
を備えることを特徴とするDCDCコンバータ。
【請求項2】
前記1次側電力変換部は、
前記1次側直流電源に並列接続された第1のコンデンサと、
それぞれが前記第1のコンデンサに並列接続された2つのレグ部であって、各前記レグ部は、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有し、前記上側アーム部と前記下側アーム部との接続点が各前記第1交流側入出力端子として動作する、2つのレグ部と、
を備え、
前記2次側電力変換部は、
前記2次側直流電源の正極端子と前記1次側直流電圧源の正極端子との間に接続される第2のコンデンサと、
それぞれが前記第2のコンデンサに並列接続された2つのレグ部であって、各前記レグ部は、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有し、前記上側のアーム部と前記下側アーム部との接続点が各前記第2交流側入出力端子として動作する、2つのレグ部と、
を備える請求項1に記載のDCDCコンバータ。
【請求項3】
前記1次側電力変換部は、
互いに直列接続された2つのコンデンサであって、前記直列接続された2つのコンデンサは、前記1次側直流電源に並列接続され、前記直列接続された2つのコンデンサの直列接続点が一方の前記第1交流側入出力端子として動作する、2つのコンデンサと、
前記直列接続された2つのコンデンサに並列接続されたレグ部であって、前記レグ部は、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有し、前記上側アーム部と前記下側のアーム部との接続点が他方の前記第1交流側入出力端子として動作する、レグ部と、
を備え、
前記2次側電力変換部は、
互いに直列接続された2つのコンデンサであって、前記直列接続された2つのコンデンサは、前記2次側直流電源の正極端子と前記1次側直流電圧源の正極端子との間に接続され、前記直列接続された2つのコンデンサの直列接続点が一方の前記第2交流側入出力端子として動作する、2つのコンデンサと、
前記直列接続された2つのコンデンサに並列接続されたレグ部であって、前記レグ部は、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有し、前記上側アーム部と前記下側のアーム部との接続点が他方の前記第2交流側入出力端子として動作する、レグ部と、
を備える請求項1に記載のDCDCコンバータ。
【請求項1】
1次側直流電圧源および2次側直流電圧源との間に接続され、これら2つの直流電源の各直流電圧間で双方向に電圧変換するDCDCコンバータであって、
前記1次側直流電圧源の正極端子および負極端子にそれぞれ接続された一対の第1直流側入出力端子と、一対の第1交流側入出力端子と、を有し、直流と交流との間で相互に電力変換する1次側電力変換部と、
一対の第2直流側入出力端子と、一対の第2交流側入出力端子と、を有し、直流と交流との間で相互に電力変換する2次側電力変換部であって、一方の前記第2直流側入出力端子が前記2次側直流電圧源の正極端子に接続され、他方の前記第2直流側入出力端子が前記1次側直流電圧源の正極端子に接続された2次側電力変換部と、
各前記第1交流側入出力端子にそれぞれ接続された一対の1次側端子と、各前記第2交流側入出力端子にそれぞれ接続された一対の2次側端子とを有する変圧器と、
を備えることを特徴とするDCDCコンバータ。
【請求項2】
前記1次側電力変換部は、
前記1次側直流電源に並列接続された第1のコンデンサと、
それぞれが前記第1のコンデンサに並列接続された2つのレグ部であって、各前記レグ部は、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有し、前記上側アーム部と前記下側アーム部との接続点が各前記第1交流側入出力端子として動作する、2つのレグ部と、
を備え、
前記2次側電力変換部は、
前記2次側直流電源の正極端子と前記1次側直流電圧源の正極端子との間に接続される第2のコンデンサと、
それぞれが前記第2のコンデンサに並列接続された2つのレグ部であって、各前記レグ部は、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有し、前記上側のアーム部と前記下側アーム部との接続点が各前記第2交流側入出力端子として動作する、2つのレグ部と、
を備える請求項1に記載のDCDCコンバータ。
【請求項3】
前記1次側電力変換部は、
互いに直列接続された2つのコンデンサであって、前記直列接続された2つのコンデンサは、前記1次側直流電源に並列接続され、前記直列接続された2つのコンデンサの直列接続点が一方の前記第1交流側入出力端子として動作する、2つのコンデンサと、
前記直列接続された2つのコンデンサに並列接続されたレグ部であって、前記レグ部は、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有し、前記上側アーム部と前記下側のアーム部との接続点が他方の前記第1交流側入出力端子として動作する、レグ部と、
を備え、
前記2次側電力変換部は、
互いに直列接続された2つのコンデンサであって、前記直列接続された2つのコンデンサは、前記2次側直流電源の正極端子と前記1次側直流電圧源の正極端子との間に接続され、前記直列接続された2つのコンデンサの直列接続点が一方の前記第2交流側入出力端子として動作する、2つのコンデンサと、
前記直列接続された2つのコンデンサに並列接続されたレグ部であって、前記レグ部は、互いに直列接続された上側アーム部および下側アーム部それぞれに、スイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとの組を少なくとも1つ有し、前記上側アーム部と前記下側のアーム部との接続点が他方の前記第2交流側入出力端子として動作する、レグ部と、
を備える請求項1に記載のDCDCコンバータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−44801(P2012−44801A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185066(P2010−185066)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
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