説明

EVクラウド

【課題】電気自動車等のバッテリを搭載した車両間で電力を融通するシステムであって、できるだけ社会全体での電力の廃棄量を減らし、路側の設備等の社会インフラを簡易化することが可能なシステムを提供する。
【解決手段】第1の車両の第1の受電手段と、第2の車両の第1の送電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段から電力を受電するように構成された第2の受電手段と、前記第2の受電手段に繋がる前記電力の少なくとも一部を送電する送電線に繋がり、前記第1の受電手段に向けて前記電力を送電するように構成された第2の送電手段に対して、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段への電力の移送と、前記第2の受電手段で受け前記送電線によって送電された前記電力の少なくとも一部を前記第2の送電手段から前記第1の受電手段への移送を制御することを特徴とする電力伝達ネットワークシステムの制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを備える車両に給電するシステムおよび方法に関し、特に、電力を受ける受電車と、受電車に電力を給電する給電車のペアを選択し、給電車の電力を受電車に給電するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド自動車および燃料電池車は、車載のバッテリ等の蓄電デバイスに蓄電された電力によってモータを駆動することで走行するのでエネルギー効率もよく、また、自動車自身に燃焼機関を備えないため二酸化炭素等の排出を抑制する。このことから、これらの自動車は、省エネルギーおよび環境保護の観点で地球に優しい自動車である。
【0003】
これらの自動車は、従来の液体燃料または気体燃料を利用する燃焼機関のみを備える自動車とは異なり、自動車内部の蓄電デバイスに電力エネルギーを蓄える必要がある。電力エネルギーは、液体燃料等と違って、必ずしも有体物のやり取りを伴わずに移送することができる。この特性を用いて、電気自動車の走行中、または停止中に路面または路側に設けた装置から電磁波を介して電力を送電または受電することが可能である。
【0004】
たとえば、固定された電力供給装置から、電気自動車等の車両に電力を供給する非接触給電システムとして、電磁誘導型、磁界共鳴型などの非接触電力伝送システムが知られている。電磁誘導型非接触電力伝送システムでは、電磁誘導の相互誘導作用を利用して、給電側のコイルから受電側のコイルに電力を供給する。この方式は停止している車両への給電装置で既に使用されている。この電磁誘導型非接触電力伝送システムとして、受電側のコイルとして空芯コイルを用いることによって、電力損失やノイズの低減、位置ずれの許容度の増加が可能なシステムが知られている(特許文献1)。磁界共鳴型非接触電力伝送システムは、原理的には電磁誘導型に比べて伝送距離が長く、位置ずれに強いという特徴を有する(非特許文献1)。このような電力供給装置を路面または路側に設置することによって、電気自動車等は、蓄電のためにわざわざ特定の場所に行ったり、停止をしたりすることなく、常に走行に必要な電力を路面または路側に設置された電力供給装置から受電することができる。一般には、路面または路側に設置された電力供給装置には発電所からの電力が供給される。
【0005】
ところで、電気自動車では、制動時にモータを発電機として使用するなどして発電をすることができる。このようなエネルギーは回生エネルギーと呼ばれることがある。この回生エネルギーを有効利用するために、自車両の電力が不足している場合には車両外部から無接触で電力の供給を受け、自車両の電力に余裕がある場合には電力を車両外部に無接触で供給する電力供給システムが知られている(特許文献2)。車両の電力に余裕がある場合としては、走行するにつれて発生した電気量が車両に搭載されたバッテリの容量を超える場合が挙げられる。また、車両の電力が不足する場合としては、上り坂を上がるための駆動力を得るために大量の電力を要する場合や、エアコンなど駆動以外のことに電力を使用してバッテリの蓄電量が不足する場合が挙げられる。システムの一例では、車両は、路側に設けられている路側電源装置と非接触電力伝送システムを利用して電力の授受を行う。路側電源装置とは、道路交通情報通信システム(VICS)用機器や、ノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)用機器、交通情報標識(電光掲示板)用機器、信号機等に設けられた電源装置であって、電力の送電、蓄電および電力供給を受けるものであっても良い。さらに、路側電源装置は、発電所や変電所から電力の供給を受けている。また、別の例では、隣接する2台の車両同士で、非接触電力伝送システムを利用して電力の授受を行う。この例では、電力に余裕のある車両は、電力が欲しい車両に電磁波を介して直接的に電力を伝送する。また別の例では、AdHoc通信網を利用して、連続して走行または停止している複数の車両のうちの2台の間で電力の授受を行う。このようなシステムを用いることによって、走行する車両の制動時に回収した回生エネルギーにより、車両のバッテリが満杯になっても、余剰な電力を廃棄せずに、路側電源装置に送電し蓄電することや、電磁波を介して別の車両に電力を電送することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−71909号
【特許文献2】特開2005−210843号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】小柳拓也、居村岳広、堀洋一「MHz帯を用いた電気自動車向け非接触給電システムに関する研究」電気学会産業応用部門大会2010講演論文集
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、車両の電力が不足している場合には路側電源装置から無接触で電力の供給を受け、車両の電力に余裕がある場合には電力を路側電源装置に無接触で供給する電力供給システムでは、路側電源装置は発電所または変電所から電力の供給を受ける。この場合、電力が不足している車両への電力が発電所または変電所からの電力によってまかなわれるか、路側電源装置に備えられたバッテリに蓄えられた電力によってまかなわれる。電力が不足している車両への電力は発電所または変電所からの電力によってまかなわれる場合、電気自動車の車両数の増加した社会では、発電所で発電する電力量を増やす必要があり、電気自動車が普及した社会は必ずしも省エネルギー社会ではなくなるという問題があった。路側電源装置に備えられたバッテリに蓄えられた電力によってまかなわれる場合、電気自動車のバッテリを減らす代わりに路側電源装置のバッテリを増やすことになり、社会全体のコストとしてはあまり変わらないという問題があった。
【0009】
また、隣接する2台の車両同士での直接的な電磁波の遣り取りによる非接触電力伝送システムを利用して電力の授受を行う場合、電磁波を介して電力を効率よく授受するために、電力に余裕がある車両と電力を欲する車両の距離には限界があり、限界以上の距離では電力の授受が行われない場合があるという問題があった。また、隣接する2台の車両同士の連鎖として連続する車両のうちの2台の間で電磁波を介した非接触電力伝送システムを利用して電力の授受を行う場合、電力に余裕がある車両と電力を欲する車両の間に、AdHoc通信が可能な距離間隔で車両が詰まっていなければならず、電力の授受が成立するか否かは、社会インフラとして整備することが不可能な交通状況という要素に依存するという問題があった。
【0010】
さらに、上記従来技術を組み合わせても、電力に余裕がある車両の電力供給可能量と電力を欲する車両の電力需要を、所定の地理的領域内であっても、監視または管理することはないので、社会インフラの設備と電力の無駄の削減を実現するシステムは存在しないという問題があった。このように個々の電気自動車に積まれているバッテリの電力を社会全体または一部地域内で自動的に融通しようというシステムは、電気自動車の搭乗者が自覚的な行動を取らずに、車両間でバッテリの電力を融通するという意味での電気自動車(EV)クラウドとも呼ぶべき自動給電システムであり、このEVクラウドに対する要求が存在する。
【0011】
よって、電気自動車等のバッテリを搭載した車両間で電力を融通するシステムであって、電気自動車の搭乗者が意識せずにバッテリの充電を行うことが出来、さらに、できるだけ社会全体での電力の廃棄量を減らし、路側の設備等の社会インフラを簡易化することが可能なシステムおよびシステムの制御装置が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に従う電力伝達ネットワークシステムの制御装置は、第1のバッテリ、前記第1のバッテリの蓄電量に関する情報を含む第1のバッテリ情報信号を送信する第1のバッテリ情報送信手段、および電力を受電して前記第1のバッテリを充電する第1の受電手段を含む第1の車両の前記第1のバッテリ情報送信手段から送られる前記第1のバッテリ情報信号に含まれる情報、ならびに第2のバッテリ、前記第2のバッテリの蓄電量に関する情報を含む第2のバッテリ情報信号を送信する第2のバッテリ情報送信手段、および前記第2のバッテリに充電された電力の少なくとも一部を送電する第1の送電手段を含む第2の車両の前記第2のバッテリ情報送信手段から送られる前記第2のバッテリ情報信号に含まれる情報に基づいて、前記第1の車両の前記第1の受電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段から電力を受電するように構成された第2の受電手段と、前記第2の受電手段に繋がる前記電力の少なくとも一部を送電する送電線に繋がり、前記第1の受電手段に向けて前記電力を送電するように構成された第2の送電手段に対して、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段への電力の移送と、前記第2の受電手段で受け前記送電線によって送電された前記電力の少なくとも一部を前記第2の送電手段から前記第1の受電手段への移送を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
電気自動車の間で電力を融通することができ、社会全体としての電力の廃棄量を減らし、路側の設備等の社会インフラを簡易化することが可能なシステムおよびシステムの制御装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に従うシステムの概略図である。
【図2】図1のシステムのクラウドセンターのブロック図である。
【図3】図2のクラウドセンターに記憶される車両トランザクションデータのフォーマットである。
【図4】図2のクラウドセンターに記憶される車両マスタのフォーマットである。
【図5】図2のクラウドセンターに記憶される個人マスタのフォーマットである。
【図6】本発明の第1の実施形態において、車両のバッテリ残量の予測で用いられる複数の領域に区分された地図と各領域での消費電力、回生電力等、電力のテーブルの例である。
【図7】図2のクラウドセンターに記憶される電力特性テーブルの例である
【図8】図2のクラウドセンターに記憶される電力授受管理テーブルの例である。
【図9】本発明の第1の実施形態が適用される状況を示す概略図である。
【図10】本発明の第1の実施形態における受電車、給電車、およびクラウドセンターの処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態が適用される状況を示す概略図である。
【図12】本発明の第2の実施形態における受電車、給電車、およびクラウドセンターの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明をする。尚、図中で類似の部分または類似の機能を果たす部分については、同一または類似の参照符号を付与して重複した説明を省略する。
【0016】
(実施例1)
図1から10を参照して本発明の実施例1に従うシステムについて説明する。本システムは、バッテリを搭載する車両への給電システムであって、特に、搭載されたバッテリの蓄電量に余裕がない車両と、搭載されたバッテリの蓄電量に余裕がある車両のペアを見出し、両車両にそれぞれ受電指示および送電指示を出すクラウドセンターを含む給電システムである。本実施形態では、個々の電気自動車に積まれているバッテリの電力を社会全体または一部地域内で自動的に融通しようというシステムであって、電気自動車の搭乗者が自覚的な行動を取らずに、車両間でバッテリの電力を融通するという意味での電気自動車(EV)クラウドとも呼ぶべき自動給電システムおよびシステムの制御装置が提供される。
【0017】
<システムの全般的説明>
図1は、本実施例に従うシステム10の概略図である。本システム10は、バッテリ搭載する車両100、120、クラウドセンター140、道路190の路面に埋め込まれたアンテナまたはコイル(以下、“アンテナ”と呼ぶ)160i−1、160、160i+1、...、および道路195の路面に埋め込まれたアンテナまたはコイル(以下、“アンテナ”と呼ぶ)160j−1、160、160j+1、...(以下、まとめて160として参照することがある)、アンテナ160i−1、160、160i+1、...、160j−1、160、160j+1、...のそれぞれに接続されるアンテナコントローラ170i−1、170、170i+1、...、170j−1、170、170j+1、...(以下、まとめて170として参照することがある)ならびにこれらを接続するネットワーク180を含む。以下の説明では、車両100、120はそれぞれ、電気自動車、ハイブリッド自動車および燃料電池車のように、車載のバッテリ等の蓄電デバイスに蓄電された電力によってモータを駆動することで走行する車両とする。また、アンテナ160は車両100が走行する道路190に埋め込まれている一方で、アンテナ160は車両120が走行する道路195に埋め込まれている。道路190と道路195は必ずしもつながっている必要はない。たとえば、道路190と道路195が異なる島の道路であっても良い。ただし、道路190に埋め込まれたアンテナ160と道路の路面195に埋まれたアンテナ160は、送電線200によって電気的に接続されている。アンテナのコントローラ170は、クラウドセンターからの指示に従って、道路に埋め込まれたアンテナ160を制御する。このアンテナ160は、車両100、120への電磁波を介した電力の移送(給電)または車両100、120からの電磁波を介した電力の移送(受電)のために使用される。すなわち、車両にはアンテナ160から送出された電磁波を受信する、またはアンテナ160に電磁波を送信するアンテナ、たとえば車両100のアンテナ108が搭載されている。本実施例では、電力は電磁波の形で遣り取りされるが、レーザー光の形で遣り取りされても良い。
【0018】
アンテナ160、コントローラ170および送電線200は、図1では路面に埋め込まれている。このように構成することによって、また、アンテナ160を路面に埋め込むことによって、車両のアンテナとの距離を短くし、電磁波の漏洩を減らすことができる。また、道路の景観を損なうことなく、本システムを実装することが可能である。また、路面に埋め込むことによって、アンテナ160およびコントローラ170を必ずしも小型化、軽量化する必要に迫られず、社会全体のコストとして有利な構成を採用することができる。しかしながら、アンテナ160、コントローラ170および送電線200は、必ずしも路面に埋め込まれていなくても良い。たとえば、アンテナ160、コントローラ170および送電線200は、路面の上に設置されていてもよいし、地上数メートルの位置など、路面から離れたところに設置されていても良い。アンテナ160、コントローラ170、送電線200およびクラウドセンター140をまとめて社会インフラと呼ぶ。
【0019】
本システムの全体の構成は上記のようなものであるが、本システム10の個別の構成要素、たとえば、車両100、120、クラウドセンター140またはアンテナ160に接続されているコントローラ170、は少なくともネットワーク180に接続可能な通常のコンピュータ機能を有している必要がある。このようなハードウェアの条件の下で、本システム10の個別の構成要素の処理は、ソフトウェアプログラムが汎用コンピュータにインストールされることで実行される、または専用ハードウェアによって実行される。
【0020】
本システム10では、たとえば、車両100および120のバッテリ残量や走行状況を含む情報を受けたクラウドセンター140が、車両100のバッテリ102は充電が必要であること、バッテリ102を充電するための電力は車両120のバッテリが提供可能であること、を判定する。これらの判定は、クラウドセンターでの、車両100および120のバッテリ残量の予測に基づいて行われても良い。さらに、クラウドセンター140は、車両120のバッテリの電力の少なくとも一部が、アンテナ160、送電線200を含む社会インフラを介して車両100のバッテリ102に移送されるように車両および社会インフラを制御する。より詳細には、クラウドセンター140は、車両100のバッテリ102は、充電の必要があると判断すると、搭載されたバッテリの蓄電量に余裕がある車両120を見つけるためのマッチング処理を行い、給電車と受電車のペアを決定する。つまり、複数の車両の中から、給電車と受電車のペアを探す。そして、車両100のバッテリ102の充電のために、車両120のバッテリに蓄えられた電力の少なくとも一部を社会インフラ側に送る給電指示を車両120に出す。給電指示を受けた車両120は、搭載しているバッテリの一部の電力をアンテナ160に電磁波の形で送信し、車両100はその電力の少なくとも一部をアンテナ160から電磁波の形で受電する。そして、アンテナ160から受けた電力によって、車両100のバッテリ102が充電される。
【0021】
このようなシステム10によって、電気自動車等の車両に搭載されるバッテリは、搭乗者の意図的な動作を必要とせずに、蓄えられる電力の不足を防ぐことができる。また、社会全体として、廃棄される電力量を最小化することができる。また、車両に搭載するバッテリの容量を小さくすることができる。さらに、道路を走る車両の軽量化によって路面に埋め込まれたコイルの損傷を防ぐことが可能である。また、電気自動車による電力消費が増加しても、本システム10では、廃棄される電力量を減らせるので、発電所の発電量の増加を抑えることができる。このように、本システム10は、環境に配慮しながらも、省エネルギーを実現する社会のツールとなり得る。
【0022】
また、車両100がクラウドセンター140に対して、電力の供給を要求する受電要求信号を送信しても良い。このときは、車両100から受電要求を受けたクラウドセンター140は、車両100に電力を送ることが可能な車両120(給電車)を探す。そして、クラウドセンター140は、給電車120のバッテリに蓄えられている電力の少なくとも一部を、社会インフラを介して受電車のバッテリに移すように車両および社会インフラを制御する。
【0023】
また、本システム10において、車両間で行われる電力の遣り取りには、金銭の授受が付随していても良い。たとえば、電力を供給した車両120の搭乗者または所有者は、供給量に応じた金銭を、たとえばクレジット会社経由で受け取り、電力を受けた車両100の搭乗者または所有者は、受電量に応じた金銭を、たとえばクレジット会社経由で支払う。
【0024】
<車両の構成>
車両100は、バッテリ102、モータ104、スマートメータ106、車載アンテナ108、車輪110およびセンサ112を含んでいる。また、車両100には、この車両に特有の認識子(ID)が、車両IDとして付与されている。また、スマートメータ106は、IPアドレス等、ネットワーク108との通信のためのデータを保持している。この車両IDは、車両100の走行状態等をクラウドサーバ140が管理するために用いられる。バッテリ102は電力を蓄電する。バッテリの電力の量(蓄電量またはバッテリ残量とも呼ぶ)または充電率(State of Charge、SOC)、温度等、バッテリ特性に影響を与える量はセンサ112によって検知される、またはモニタされている。これらのバッテリに関する情報は、バッテリ情報として、スマートメータ106からクラウドセンター140に送られる。バッテリ102に蓄えられた電力は、スマートメータ106による制御の下で、モータ104によって回転力に変換され、その回転力によって車輪110が回転し、車両の走行のために使用される。また、バッテリ102に蓄えられる電力は、たとえば下り坂を走行中、または惰性での走行中に、モータ104を発電機として機能させ、いわゆる回生電力を発電させて得られる電力によって充電される。
【0025】
車両100のセンサ112は、バッテリ102の状態のみならず、車両の状態、たとえば、速度、加速度、乗っている人の重量を含めた車両の重量、走行中の道路の位置、斜度および摩擦係数等を検知する。これらのセンサによって検知された情報は車両情報と呼ばれ、リアルタイムでまたは一定時間間隔でまたはクラウドセンター140からの要求に応じて、スマートメータ106からクラウドセンター140に送られる。車載アンテナ108は、道路に埋め込まれたアンテナ160のいずれか一つまたは複数とペアを組んで、スマートメータ106の制御の下、道路のアンテナ160に電磁波として電力を送電する、またはアンテナ160から電磁波として電力を受電する。電磁波を介して電力を授受する方法は、電磁誘導型、磁界共鳴型などの非接触電力伝送システムであって良い。しかしながら、走行中または停止中の車両、たとえば車両100、120と路面に埋め込まれたアンテナ160の間で電磁波を授受することによって電力の移送が可能な非接触電力伝送システムであれば良い。
【0026】
スマートメータ106は、ネットワーク180との通信をするための機能のほかに、モータ104の制御のための機能、車載アンテナ108の制御のための機能、バッテリ102の充放電の制御のための機能、図示されていない衛星等を介したグローバル・ポジショニング・システム(GPS)の受信機としての機能を果たす。さらに、スマートメータ106は、車両ID、車両の車名、型名、搭載しているバッテリ102の最大容量、バッテリの種類、バッテリの充電方法、スマートメータ106に付与されているIPアドレス等、ネットワーク180との通信に必要なデータをクラウドサーバ140に送信する機能も有する。さらに、たとえば車両の所有者または搭乗者に関する情報を、車両に関する情報と共にクラウドセンター140に送る機能も果たす。搭乗者に関する情報は、たとえば、電子料金収受システム(ETC)利用のためのETCカードから取得しても良いし、電気売買システム利用のためのカードから取得しても良い。このような搭乗者に関する情報は、個人を特定する個人ID、氏名、住所、連絡先、性別、および生年月日を含み得る。
【0027】
また、スマートメータ106からクラウドサーバ140に送られる車両情報は、金銭の売買を伴う電力の授受を行うか否かを示す電力売買フラグを含んでいても良い。
また、スマートメータは計時のためのクロックを含んでいる。
【0028】
スマートメータ106の上述のような機能は、ソフトウェアで定義された命令を汎用コンピュータによって処理することで、または専用のハードウェアによって実現される。バッテリの種類、バッテリの充電方法、バッテリの特性等、バッテリ102を特徴付けるための情報はバッテリ情報と呼ばれる。バッテリ情報は車両情報の一部でもある。
【0029】
スマートメータ106のモータ104を制御するための機能には、車両の搭乗者の意思に従って車両の速度制御をするため、バッテリ102からモータ104に供給される電力量の制御のための機能を含む。スマートメータ106の車載アンテナ108の制御のための機能には、道路190、195に埋め込まれたアンテナ160に向けた電磁波の送受信を開始、終了するための機能、道路190、195に埋め込まれたアンテナ160と車載アンテナ108の間のマッチングを取るために、車載アンテナ108の共振周波数等の特性を変化させるための機能、外部回路等を調整してインピーダンスを変化させるための機能、車載アンテナ108から送信する電力を調整する機能などを含む。
【0030】
スマートメータ160がクラウドセンター140に送信する情報には次のような情報が含まれる。すなわち、車両の運行履歴、すなわち車両100がいつ、どこにいたのか、という情報、車両100の搭乗者に関する情報、バッテリ残量またはバッテリの充電率(SOC)、バッテリが充電された日時およびその時の充電量、バッテリに蓄えられている電力を路面に埋め込まれたアンテナ160に送電した日時およびその時の供給量、車両100の加速度情報、すなわち車両100がいつ加速または減速したのかの情報、車両が向かっている目的地に関する情報等である。
【0031】
また、スマートメータ160は、バッテリ残量またはバッテリの充電率に基づいて、電力の受電を要求する受電要求信号をクラウドセンター140に送信しても良い。このとき、スマートメータ160は受電要求信号送信手段を構成する。また、スマートメータ160は、バッテリ残量またはバッテリの充電率に基づいて、電力の給電が可能であることを示す給電可能信号をクラウドセンター140に送信しても良い。
【0032】
また、スマートメータ160は、バッテリ残量またはバッテリの充電率に基づいて電力に余裕があると判定されるときは、電力の供給が可能であることを示す給電可能信号をクラウドセンター140に送信しても良い。このときスマートメータ160は、給電可能信号送信手段を構成する。
【0033】
道路190に埋め込まれたアンテナ160と車載アンテナ108の間で電磁波を介して電力の遣り取りをする原理は、いわゆる電磁誘導であっても、磁気または電気共鳴であっても良い。また、ある与えられたアンテナ160の上は、不特定多数の車両が通過する可能性がある。よって、アンテナ160と車載アンテナ108の間で遣り取りされる電磁波は、アンテナ160と車載アンテナ108のペアに特有の特性を有しても良い。
【0034】
車両120の構成は車両100と同一である。車両100を第1の車両、車両120を第2の車両と呼ぶこともある。すなわち、車両120は、図示されていない、バッテリ122、モータ124、スマートメータ126、車載アンテナ128、車輪120およびセンサ132を含んでいる。
【0035】
センサ112で取得されたバッテリ情報はスマートメータ106、126からそれぞれ第1および第2のバッテリ情報信号としてクラウドセンター140に送信される。この際、センサ112、スマートメータ106およびバッテリ102は(第1の)バッテリ情報送信手段を構成する。また、センサ132、スマートメータ126およびバッテリ122は、(第2の)バッテリ情報送信手段を構成する。また、アンテナ108、128、スマートメータ106、126およびバッテリ102、122は、路面に埋め込まれたアンテナ160から電力を受電してバッテリを充電する(第1の)受電手段を構成する。さらに、アンテナ108、128、スマートメータ106、126およびバッテリ102、122は、バッテリ102、122に蓄えられた電力の少なくとも一部をアンテナ108、128から路面に埋め込まれたアンテナ160に電磁波の形で送信する(第1の)送電手段を構成する。
【0036】
<社会インフラの構成>
車両間、たとえば車両100と車両120の間で電力の授受を行うために、道路にはアンテナ160、アンテナのコントローラ170が埋め込まれ、各アンテナは送電線200によって互いに接続されている。各コントローラは、クラウドサーバ140からの指示によって動作するように構成されている。このような構成によって、アンテナ160で車両120から受けた電力を送電線200を介してアンテナ160iまで送電し、アンテナ160iから車両100に送ることが可能である。
【0037】
車載アンテナ108との電力の移送が磁界共鳴型非接触電力電送方式で行われる場合、アンテナ160の例として、ヘリカルアンテナが挙げられる。ヘリカルアンテナの特性は、巻き数、線巻ピッチ、アンテナ半径などを変化させることによって調整することができる。
【0038】
各アンテナ160にはコントローラ170が接続される。図1では明確には描かれていないが、各コントローラ170はネットワーク180に電気的に接続されている。よって、各コントローラ170は、ネットワーク180を介してクラウドセンター140と通信可能である。コントローラ170は、クラウドセンター140からの指示を受信して、アンテナ160と車載アンテナ108の間で遣り取りされる電磁波の送受信のスイッチングや、周波数、電力などの電磁波の特性の制御のみならず、アンテナ160の周辺回路として、車載アンテナ108との相互インピーダンスの制御等を行う。また、アンテナ160で受電した電力など、アンテナ160と車載アンテナ108の間で遣り取りされた電磁波に関する情報を、ネットワーク180を介してクラウドセンター140に送信する。コントローラ170からクラウドセンター140に送信されるデータには、コントローラ170によるアンテナ160の制御の履歴を含んでいても良い。
【0039】
コントローラ170は、ネットワーク180との通信を行う通信部、通信部で受信したクラウドセンター140からの指示に基づいてアンテナ160の特性を制御するための外部回路として機能するアンテナ特性制御部を含んでいる。コントローラ170は専用回路として構成されても良いし、汎用コンピュータであっても良い。アンテナ特性制御部は、車載アンテナ108とインフラ側のアンテナ160の間の電力の移送の効率を上げるためのマッチング回路を含んでいても良い。車載アンテナ108との電力の移送が磁界共鳴型非接触電力電送方式であって、車載のアンテナ108およびインフラ側のアンテナ160がヘリカルアンテナである場合、マッチング回路の例としては、LC回路が含まれる。
【0040】
路面に埋め込まれたアンテナ160は発電所等の給電設備に接続され、常時、電流がアンテナ160に流れるようにしても良い。また、個々のアンテナ160は個々に太陽電池等の発電デバイスを有し、そのデバイスからの電力によって常時、電流が流れるようにしても良い。
【0041】
ネットワーク180は一部または全てが無線通信でつながるネットワークでもよいし、一部または全てが有線でつながるネットワークでも良い。
【0042】
アンテナ160およびコントローラ170は、電磁波を車両の受電手段に送信するときは(第2の)送電手段として働き、車両の送電手段から電磁波を受信するときは(第2の)受電手段として働く。これらの給電手段および受電手段は、それぞれ車両、例えば車両100、120の(第1の)受電手段および(第1の)送電手段とペアとなって、電磁波を介して送電手段から受電手段に電力を移送することができる。
【0043】
また、社会インフラとして、図示されていないが、電力を発電する発電所および発電所から電力を受けて、車両に搭載されているバッテリを充電する電気スタンド等が存在し得る。本実施例の送電線200は、発電所に接続されていても良い。この場合、発電所からの電力を、車両のバッテリの充電に用いることが可能である。しかし、発電所からの電力より他車両から電力を受けることを優先することによって、社会全体の電力消費量を抑えることができる。
【0044】
<クラウドセンターの構成>
図2は、図1のシステム10のクラウドセンター140のブロック図である。クラウドセンター(サーバ)140は、車両100、120のスマートメータ106、126、およびアンテナ160のコントローラ170に対して指示を出し、これらを制御する制御装置である。
【0045】
クラウドセンター140は、車両からの情報収集部1410、車両への指示内容判定部1420、および指示送信部1430を含む。情報収集部1410および指示送信部1430は、図示されていないが、ネットワーク180と通信するインターフェイスを備えている。情報収集部1410では、車両100、120のスマートメータ106、126および路面に埋め込まれたアンテナ160を制御するコントローラ170からの情報を受信する。さらに、指示送信部1430では、車両100、120のスマートメータおよび路面に埋め込まれたアンテナ160を制御するコントローラ170に向けて指示を送信する。
【0046】
情報収集部1410は、ネットワーク180経由で、数々の車両のスマートメータ、たとえば車両100のスマートメータ106、によって送信された個々の車両に関するデータを受信する。また、特定の車両、たとえば、車両100から、受電要求信号を受け取る。受け取った車両に関するデータは、車両トランザクションデータベース(DB)1440に図3のようなフォーマットで記憶される。もし、受電要求信号を受信すれば、そのことは指示内容判定部1420に知らされる。この情報収集部1410はバッテリ情報受信手段を構成する。また、スマートメータ160が受電要求信号送信手段として機能するとき、情報収集部1410は受電要求信号受信手段を構成する。
【0047】
また、情報収集部1410は、車両のスマートメータから給電可能信号が送信されたときには、給電可能信号受信手段を構成する。このとき、給電可能信号を送信した車両は給電車の候補として、指示内容判定部1420に知らされる。
【0048】
図3は車両トランザクションDB1440に記憶されるデータのフォーマットである。車両トランザクションDB1440には、キーバリュー型データストア(KVS)形式で、車両に関するデータが記憶される。KVS形式では、データ(バリュー)に任意のラベル(キー)を付けて(キー、バリュー)のペアでデータを保存する。このことから、キーの値に応じて保存先のサーバを変えるなど、複数のサーバに分散してデータを保存することができる。図3では、キーは車両IDに相当し、たとえば、車両100に付与された「ev1」である。データとしては、個人ID、タイムスタンプ、車両100の状態および走行データを含む。車両IDの代わりに個人IDをキーとして用いても良い。この車両状態および走行データに含まれるデータの種類は、多種多様で一律ではなくても良い。車両100の状態および走行データには、バッテリ残量、加速度情報、位置情報を含む。バッテリ残量は充電率でも良い。位置情報は、好適には、予め車両が走行する道路をエリア1、エリア2などと区分けしておいて、各エリアの端からの距離によって示すことも可能である。図3の<位置情報>の欄の「2、3.0」は、走行中の道路のエリア2の端から3.0kmの地点であることを示す。このようにエリアに区分された道路地図は、地図DB1442に記憶されている。KVS形式のバリューの部分は、指示内容判定部1420での処理のために、マークアップランゲージ形式で所定のタグが設定されている。これにより、指示内容判定部1420での処理において、タグによって必要なデータを集めることができる。また、車両トランザクションデータには、次の時系列レコードのポインタの欄を含み、車両IDまたは個人ID毎に、車両の状態の履歴および走行の履歴を容易に取得することができる。
【0049】
図3のトランザクションデータの車両IDおよび個人IDで特定される車両および個人の情報は、図4および5に示されているように車両マスタおよび個人マスタ中に含まれる。これらの情報は、各車両のスマートメータから送られてきたものである。
【0050】
車両マスタは、車両ID、車名、型名などで特定される車種、搭載されているバッテリ最大容量、バッテリの種類(バッテリ種)、バッテリの充電方法、バッテリに蓄積された電力またはモータで発電される回生電力を売買するか否かを指定する電気売買フラグ、車両のスマートメータに記憶されているIPアドレス等、ネットワークと車両間の通信のためのデータが含まれる。また、車両マスタは、車両マスタDB1446に記憶され、必要に応じて指示内容判定部1420から読み出される。また、車両マスタは、情報収集部1410で受信された車両のスマートメータ、たとえば車両100のスマートメータ106からのデータを元に随時、アップデートされても良い。
【0051】
個人マスタは、個人ID、氏名、住所、連絡先、性別、生年月日を含んでも良い。また、さらに、電気売買のためのクレジットカード番号を含んでも良い。個人マスタは、個人マスタDB1448に記憶され、必要に応じて指示内容判定部1420から読み出される。
【0052】
指示内容判定部1420では、情報収集部1410に集められたデータに基づいて、車両間の電力の授受を管理する。車両間の電力の授受の形態として、1台の電力を受ける車両(受電車)に対して、1台の車両(給電車)のみが電力を供給しても良いし、複数台の車両が電力を供給しても良い。また、電力の授受の管理は、所定の車両から受電要求を受けることによって開始されても良いし、クラウドセンター140に集められる車両のデータを元に、自動的に開始されても良い。
【0053】
指示内容判定部1420では、電力の授受を行う車両のペア(たとえば、車両100と車両120)の選定、車両が路面に埋め込まれたアンテナ160から電力を受信(受電)する、および路面に埋め込まれたアンテナ160に電力を送信(給電)する位置の選定、受電および給電を行う車両100、120と電磁波の遣り取りを行う路面に埋め込まれたアンテナ180の選定、受電車と路面に埋め込まれたアンテナおよび給電車と路面に埋め込まれたアンテナで授受される電磁波の特性(周波数や電力)の決定などを行う。これらの処理を行うためにバッテリ残量予測部1422、車両マッチング部1424、車両、個人属性処理部1426を含んでいる。
【0054】
また、情報収集部1410が、ある車両から受電要求信号を受けた場合には、その車両に電力を与えることが可能な車両を探し、受電要求信号を発した車両のバッテリへの給電を行うための処理を行う。
【0055】
バッテリ残量予測部1422は、車両トランザクションDB1440に記憶されたある車両の車両状態および走行データ、地図DB1442に記憶された地図、各車両の走行時の消費電力等の電力特性が記憶された電力特性テーブルDB1444を用いて、その車両に搭載されているバッテリ残量の予測をする。この予想は、将来のある時刻でのバッテリ残量の予測でも良いし、今後走行する道路の各位置でのバッテリ残量の予測でも良い。また、バッテリの残量予測に基づいて、電力が不足しているか、または近い将来に電力が不足するか、を判定する。その判定に際しては、その車両が走行中の道路の先方の地形、その車両の重量や、その車両に搭載されているモータの特性などの動力学特性および消費、発電特性、車両の運転手の年齢、性別等の属性などを考慮する。
【0056】
車両および搭乗者の個人的な属性の考慮は、車両、個人属性処理部1426を介して、適宜車両マスタDB1446に記憶されている車両マスタおよび個人マスタDB1448に記憶されている個人マスタを参照して行われる。図4及び図5はそれぞれ、車両マスタおよび個人マスタの例を示している。
【0057】
このように個人属性を考慮することによって、たとえば、急発進急加速を頻繁に行う癖がある、道路に定められた規定速度を守る走行をする傾向がある、など搭乗者個人の運転技術や癖を考慮した予測が可能となる。
【0058】
車両が走行中の道路の地形の考慮は、地図DB1442を参照して行われる。地図DB1442に記憶されているデータの例を図6に示す。地図DB1442には、道路を上空から見た上面地図と、たとえば道路上の各地点の海抜を示す断面地図が記憶されている。各道路は複数のエリアに分割されている。一般に、道路の混雑状況等の電気自動車の電力消費量、回生電力の発電量に影響を与える因子は、一日の時間毎に変化をする。そのため、詳細は後に説明するが各エリアに対して、そのエリアを通過する際の、車両種ごとの消費電力、回生電力、受電可能な電力、給電可能な電力を含むテーブルが記憶されている。このテーブルは、同一のエリアに対して、時間帯毎に別々に用意される。時間帯のみならず、季節、月などによって異なるテーブルが用意されていても良い。このテーブルは、車両トランザクションDBに蓄積されるデータを元に、修正されても良い。図6に示されているテーブルでは、消費電力、回生電力等は車両種が決まれば一つの値に決まる。しかしながら、車両のバッテリ残量のより細かな予測が必要である状況がある。たとえば、その場合は、車両ごとの電力特性テーブルを記憶している電力特性DB1444と現在走行中の道路を記憶している地図DB1442を参照しながら、情報収集部1410で受信した車両のスマートメータからの情報を元に車両のバッテリ残量を予測する。
【0059】
たとえば、図6のテーブルT11は、道路に勾配のあるエリア2に対して、6:00〜8:00の時間帯に適用されるテーブルの例である。区間IDは、道路のある区間を特定するための文字、数、またはこれらの組み合わせである。たとえば、エリアの番号が入力される。図6の例では、道路のエリア2に対して、「2」いう区間IDが付与されている。消費電力は、車両がこの領域を西から東に向かって坂道を上るときに消費される電力である。回生電力は、車両がこの領域を東から西に向かって坂道を下るときに生成される電力である。受電電力は、車両がこの領域を走行中に受電することが可能な電力である。また、給電電力は、車両がこの領域を走行中に給電することが可能な電力である。受電電力および給電電力は、この領域の道路の路面にはどの程度の割合でアンテナ160が埋め込まれているか、など社会インフラの整備状況によって変わる。また、授受可能な電力量は路面に埋め込まれたアンテナおよび車両種が例えばev1の車両に搭載されているアンテナの性能にも依存する。
【0060】
図7は、車両のバッテリ残量を予測する際に用いられる電力特性テーブルの例である。このテーブルは、車両種、すなわち搭載バッテリの種類、外気温、車両の走行状態によって異なる消費電力または回生電力の情報を含んでいる。車両の走行状態には、時速何キロメータの定速走行か、回生電力を利用しない加速または減速か、回生電力を利用する加速または減速か、加速または減速の場合は、具体的に時速何キロメータから何キロメータへの加速または減速か、を含む。さらに、ある充電率から別の充電率までバッテリの充電を行うのに要する時間に関する情報を含んでいる。車両トランザクションDB1440に記憶されているデータ、地図DB1442に記憶されている地図、車両マスタDB1446に記憶されている走行中の車両の特性などから、走行中の車両に関して、受電が必要か否か、もし受電の必要があるとすれば、どのくらいの電力をどの場所またはいつまでに受け取らないといけないのか、搭載されているバッテリに蓄積されている電力は供給可能か否か、もし供給可能な場合は、どの場所までにどのくらいの電力を供給可能か、などを予測する。電力特性テーブルを用いたバッテリ残量の予測の結果は、車両の搭乗者に対して、望ましい走行を指示するために用いられても良い。たとえば、特定のスピードでの定速走行を搭乗者に推奨しても良い。
【0061】
車両マッチング部1424では、バッテリ残量予測部1422で予測された各車両に関するバッテリ残量の現状および/または見通しから、バッテリの充電が必要である場合には、電力を受電する車両と電力を供給する車両のペア、たとえば、車両100と120を決定する。この際、受電する車両(受電車)と給電する車両(給電車)は、地図上の位置で近いほうが好ましい。車両マッチング部1424は、複数の車両の中から給電車を選択する給電車選択手段の一例である。
【0062】
情報収集部1410が、ある車両から受電要求信号を受けた場合には、給電可能な車両を探し、その車両を給電車とする。この場合も、受電する車両(受電車)と給電する車両(給電車)は、地図上の位置で近いほうが好ましい。
【0063】
車両マッチング部1424では、さらに、電力を受電する車両と電力を供給する車両のペアのそれぞれが、電力を受電/給電する場所およびその場所でそれぞれの車両と路面に埋め込まれたアンテナの間で送受信される電磁波の周波数、強度、時間等の決定を行う。
【0064】
指示送信部1430は、指示内容判定部1420からデータを受け、受電車、給電車、受電車が受ける電磁波を送信する路面に埋め込まれたアンテナ、および給電車が送信する電磁波を受信する路面に埋め込まれたアンテナ、に対して動作指示を、ネットワーク180を介して送信する。
【0065】
指示送信部1430から送られる指示の情報は、電力授受管理テーブルデータベース(DB)1450に蓄積される。このデータは、もし電力の遣り取りに金銭の授受が伴う場合には、受電車の所有者または搭乗者に金銭を請求する、または給電車の所有者又は搭乗者へ金銭を支払う際に用いられても良い。
【0066】
図8に電力授受管理テーブルDB1450に記憶されるテーブルの例を示す。テーブルの各行に、指示送信部1430から送られる指示の情報が含まれている。指示の情報は、具体的には、電力の授受が行われた日時、給電車から電磁波を受信した受電アンテナ、受電車に電磁波を送信した給電アンテナ、電磁波を介して授受された電力量、受電車の車両ID、給電車の車両ID、複数の車両が給電するときそれぞれの車両が与える電力量を含んでいる。
【0067】
現在、バッテリに蓄えられている電力には余裕がある場合でも、車両のスマートメータから送られた車両の現在位置と目的地情報から、今の段階で充電をしておいた方がこのましい状況があり得る。たとえば、現在走行中の位置の前方に長い上り坂があるような場合には、上り坂に差し掛かる前にバッテリの充電をする方が好ましい。つまり、現在平地を走行中で充電率が十分にある、たとえば60%以上あるが、地図DB1442に記憶されているデータ中の上り坂の頂上までの消費電力を参照して、バッテリの残量予測を立てると、早めに充電した方が好ましいと判定される場合がある。そのような場合には、指示内容判定部1420は、その車両(受電車)に電力を送る車を(給電車)を探して、受電車と給電車をペアリングする。そして、受電車、給電車、受電車が受ける電磁波を送信する路面に埋め込まれたアンテナ、および給電車が送信する電磁波を受信する路面に埋め込まれたアンテナに向けて、給電車から受電車に電力を伝送するような動作指示を、ネットワーク180を介して送信する。
【0068】
情報収集部1410は、車両に搭載されたバッテリの残量等の情報を含むバッテリ情報を、その車両のスマートメータから受信するバッテリ情報信号受信手段としても機能する。
【0069】
また、指示内容判定部1420と指示送信部1430は、複数の車両のスマートメータからの車両情報に基づいて、給電車および受電車のスマートメータと給電車および受電車と電磁波の遣り取りを行う社会インフラのアンテナのコントローラを制御して、給電車から受電車に電力が移送されるようにする指示手段を構成する。
【0070】
<処理の流れ>
以下では、図9〜12を参照して、このようなシステム10で、1台の給電車の電力を1台の受電車に譲り渡す処理の流れを説明する。
図9は、本実施例が適用されるような状況を示す図である。
【0071】
1台の車両100が上り坂を走行しており、その一方、1台の車両120が下り坂を走行している。一般に、電気自動車が坂を登る場合は、平地を走行する場合に比べて、車両が単位距離を走るために必要な電力量は大きくなる。反対に、電気自動車が坂を下る場合は、電気自動車のモータは電力を消費するよりむしろ、電力を生成する働きをする。このとき、車両100に搭載されているバッテリに蓄積されている電力が頂上に辿りつくまでに要する電力量より小さい場合には、車両120から電力供給を受けることが必要になる。
【0072】
図9に示されている状況で、クラウドセンター140のバッテリ残量予測部1422において実行される車両100のバッテリ残量予測に用いられる地図の例が図6である。
【0073】
図9の上り坂および下り坂は、それぞれ図6のエリア2およびエリア3に相当する。アリア2に付随するテーブルを見ると、西から東に走る車両にしてみると登り坂になる、このエリアでは二つの車両種、ev_m、ev_nのいずれも、消費電力は有限の値であるが、回生電力は0kwhである。一方、西から東に走る車両にしてみると下り坂になるエリア3に付随するテーブルを見ると、二つの車両種、ev_m、ev_nのいずれも、消費電力より回生電力の方が上回っている。つまり、エリア3を東向きに走る車両のバッテリは充電が可能である。よって、場合によっては、坂を下る車両のバッテリの電力を、坂を登る車両に与えることによって、坂を登る途中で車両のバッテリが足りなくなることを防ぐことができる。
【0074】
図10は、車両100(受電車)、クラウドセンター140、車両120(給電車)で行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0075】
車両100はS1100で、車両120はS1200で、逐次または一定時間ごとに走行位置情報、必要に応じて目的地に関する情報をクラウドセンター140に送信する。車両のスマートメータからクラウドセンターに送られるデータは図3に示したようなフォーマットであっても良い。また、受電車100および給電車120の搭乗者に関する情報、バッテリに蓄えられている電力またはバッテリの充電率(SOC)、バッテリが充電された日時およびその時の充電量、バッテリに蓄えられている電力を路面に埋め込まれたアンテナに送電した日時およびその時の供給量、車両の加速度情報、車両の運行履歴等を送信する。
【0076】
S1000では、クラウドセンター140は、車両100および車両120のそれぞれのスマートメータ106、126によって送信されたデータを受信する。クラウドセンター140がスマートメータ106、126から受け取るデータは、図3〜5に示されている車両トランザクション、車両マスタ、個人マスタのみならず、車両のセンサによって得られた情報を含むデータを含んでも良い。
【0077】
S1000に引き続くS1005では、車両100および車両120が、地形的に電力授受頻度が高い領域に入ったか、を判定する。たとえば、図6のエリア2および3は、電力授受頻度が高い領域である。もしこの判定がYESであれば、スマートメータ140の処理はS1010に進み、NOであればS1000に戻る。S1000では、車両100が上り坂であるエリア2の領域に居り、車両120が下り坂であるエリア3の領域に居るか、を判定しても良い。このとき、エリア3の下り坂を下っている車両120は、回生電力の供給が可能である。
【0078】
また、S1005の判定では、車両100および/または車両120が、この先、地形的に電力授受頻度が高い領域に入りそうかどうかを判定しても良い。たとえば、車両100が、現在、図6のエリア1を東向きに走行中であれば、先に、エリア2、3という地形的に電力授受頻度が高い領域が存在する。このような場合には、S1005の判定をYESとしても良い。このとき、処理はS1010に進む。もしそうでなければ、即ち判定がNOであれば、S1000に戻る。
【0079】
車両120は、S1205で、搭載されているバッテリの余力量をスマートメータでチェックをし、最新情報として、クラウドセンター140に送信する。このとき、車両120からクラウドセンター140に送られるデータのフォーマットは、図3に示されている車両トランザクションデータであっても良い。また、クラウドセンター140は、S1005の判定でYESであったときに、電力授受頻度が高い領域を走行中、または電力授受頻度が高い領域の周辺領域を走行中の各車両にバッテリ余力量を送信させる要求信号を出し、それを受けた車両が、その要求信号に対する特有のフォーマットでクラウドセンター140にデータを送信しても良い。
【0080】
また、車両120が下り坂を走行中であり、今後も下り坂が続くとき、バッテリ余力量には、今後発生すると予測される回生電力を含めても良い。
【0081】
クラウドセンター140は、S1010で車両100の走行ルートを予測する。走行ルートの予測は、S1000で車両100から受けたデータに基づいて、地図DB1442を参照しながら、行われる。
【0082】
車両100は、S1105で、搭載されているバッテリの余力量をスマートメータでチェックをし、最新情報として、クラウドセンター140に送信する。このとき、車両120からクラウドセンター140に送られるデータのフォーマットは、図3に示されている車両トランザクションデータであっても良い。また、クラウドセンター140は、電力授受頻度が高い領域の周辺領域を走行中の車両にバッテリ余力量を送信させる要求信号を送信しても良い。
【0083】
車両120および車両100からトランザクションデータを受け、さらに車両100の走行ルートを予測したクラウドセンター140は、S1015で車両100はバッテリ不足になるか否かを判定する。この処理はクラウドセンター140の指示内容判定部1420で行われる。
【0084】
図6を参照しながら、S1015での判定処理の例を説明する。
車両100の車両種がev1であり、図6に示されている道路を西から東に向かって走行中であるとする。車両100は、エリア2に入ったところであるとする。さらに、車両100に搭載されているバッテリ102の容量が30kwhであるとする。そして、バッテリが残量不足かどうか、の基準値は、バッテリ容量の20%、すなわち6kwhであるとする。つまり、バッテリ残量が6kwhを下回ることが予想されると、バッテリ残量は不足であると判定されるとする。そして、車両100は、受電が必要な受電車として認定される。本例では、エリア2の終点である坂の頂上、すなわちその地点より先では回生電力の発電が見込まれる地点で判定する。つまり、その地点まで到達できれば、バッテリ残量が不足して車両が停止してしまう事態を免れる地点でバッテリ残量が不足するかどうかの判定を行う。エリア2に入った時点でバッテリ残量が14kwhであるとき、図6のテーブルT11を参照すると、エリア2での消費電力は9kwhであるから、エリア2の終点でのバッテリ残量は5kwhと予測される。これは基準値を下回る。このような場合、S1015では受電車がバッテリ不足になると判定される。S1015で用いられる基準値は、1日の時間帯、月、季節によって変化しても良い。また基準値は、バッテリの種類によって異なっていても良い。さらに、基準値は地図上のエリアに依存しても良い。さらに、基準値は、車両の走行履歴に依存しても良い。また、本例では基準値は一つであるが、充電の必要性の大きさに応じて、複数の基準値を有しても良い。
【0085】
S1015での判定処理の別の例を説明する。前の例と同様、車両100の車両種がev1であり、図6に示されている道路を西から東に向かって走行中であるとする。まず、車両100はエリア1を走行中であるとする。この例では、S1005で電力授受頻度の高い領域に入りそうかどうかが判定されている。図示されていないが、考えている状況でエリア1の消費電力は5kwhであるとする。車両100は、これまでにエリア1の60%を既に走っているとする。するとクラウドセンター140は、車両100は今後、エリア1内で2kwhを消費すると予測する。前の例を参照すると、エリア2の入口の時点でバッテリ残量が15kwhを下回ると、バッテリ残量は不足すると判定されるので、現時点では、バッテリ残量は17kwhを下回ると残量不足すると判定される。そして、車両100は、受電が必要な受電車として認定される。
【0086】
また、道路の混雑状況等を参照して、車両100のバッテリ残量の予測をしても良い。
S1015の判定でYESであれば、S1020に進み、NOであればS1000に戻る。
【0087】
S1020でクラウドセンター140は、電力に余剰がある車両を探査し、マッチングを取る。本実施例では、電力に余剰がある車両は図10のエリア2および3で坂を下っている車両の中から選ばれるが、もしそのような車両がない場合には、電力授受頻度が高い領域の外にある車両から選んでも良い。そのような場合には、電力に余剰がある車両は、下り坂を走行中とは限らず、平地または上り坂を走行中であるが、近い将来にバッテリ残量の不足は起こらない車両であってもよい。近い将来にバッテリ残量の不足が起こるか否かの判定は、クラウドセンター140の指示内容判定部1420で行われる。また、本実施例では、電力に余剰がある車両は車両120の1台のみであるが、複数の車両から電力を供給することによって、受電車の要求を満たしても良い。本ステップでは、クラウドセンター140の主に車両マッチング部1424によって受電車100に対する給電車を決定する。本例では、受電車は坂を登っている/登ろうとしている車両100、給電車は坂を下っている車両120である。
【0088】
S1020の処理を終えると、クラウドセンター140は次にS1025の処理を行う。
S1025では、クラウドセンター140の指示送信部1430から、受電車である車両100および給電車である車両120のそれぞれのスマートメータに、受電、給電のための指示を送信する。同時に、クラウドセンター140は、路面に埋め込まれたアンテナ160のコントローラ170に、路面に埋め込まれたアンテナ160で車両120から電力を受け、その電力の少なくとも一部を路面に埋め込まれたアンテナ160から車両100に送るように指示を出す。
【0089】
受電車100、給電車120およびアンテナ160のコントローラ170では、それぞれS1110、S1210およびS1300で、S1040でクラウドセンター140から送信された指示を含む信号を受信する。その指示に従って、給電車120はS1215で、自車のアンテナから路面に埋め込まれたアンテナ160に電磁波を介して電力を送る。
給電車120からの電力の少なくとも一部が、アンテナ160から受電車100に電磁波を介して送られるように、コントローラ170および170が制御される。受電車100は、S1115で路面に埋め込まれたアンテナ160から電磁波の形で電力を受ける。
【0090】
クラウドセンター140では、S1025で給電車、受電車のスマートメータおよび路面に埋め込まれたアンテナ160のコントローラに、電磁波の送受信のための指示を含む情報を送信した後、S1030で遣り取りされた電力量、受電車、給電車の車両ID、電力の授受が行われた日時と位置を電力授受管理テーブルDB1450に記録する。このときに、受電車100の所有者または搭乗者、および給電車120の所有者または搭乗者との間で遣り取りされる金銭の計算をしても良い。
【0091】
S1120で受電車100は、S1115で路面に埋め込まれたアンテナ160を介して、給電車の電力の少なくとも一部を受電した後受電車100のバッテリ102に蓄積された電力量をクラウドセンター140に送信する。この処理は、S1100と同様に、図3に示されている車両トランザクションデータの形式で、受電車100からクラウドセンター140に送られても良い。
【0092】
受電車100から、受電車100のバッテリ102に蓄積されている電力量に関する情報を受け取ったクラウドセンター140は、受電車100に十分な電力を給電車120から給電できたかをS1035で判定する。受電車100のバッテリの充電量が十分である場合には、クラウドセンター140の処理はS1000に戻る。受電車100のバッテリの充電量が不十分である場合には、クラウドセンター140の処理はS1020に戻り、給電車120とは異なる、新たな給電車を探し、改めて受電車100とのマッチングを取る。
【0093】
このように、本実施例では、電気自動車の間で電力を融通するシステムであって、電気自動車の搭乗者が意識せずにバッテリの充電を行うことが出来、さらに、できるだけ電力を融通することによって電力の廃棄量を減らし、路側の設備等の社会インフラを簡易化することが可能なシステムが提供される。
【0094】
また、電力を受ける受電車と、受電車に電力を給電する給電車のペアを選択し、給電車の電力を受電車に給電するシステムが提供される。
【0095】
また、本実施例では、S1035での判定でNOであった場合、新たな給電車を探すためにS1020に戻る。しかしながら、S1020には戻らず、発電所から電力を受ける充電スタンドを探しても良い。
【0096】
(実施例2)
図11および図12を参照して、本発明に従う実施例2を説明する。
本実施例では、交差点等、車両が低速で走行または停止する機会が多いエリア内で、給電車から受電車に電力を移送する。車両が低速で走行している、または停止している状況では、車両100、120のアンテナ106、126と路面に埋め込まれたアンテナ160の間で遣り取りされる電磁波にドップラー効果がない。また、季節によっては、特定の道路の特定のエリアで車両の渋滞が発生し、車両が低速で走行する、または停止する時間が長いことがある。そのような場合に、車両に搭載されたバッテリに蓄積された電力の少なからぬ部分が動力目的以外の電気機器、たとえばエアコン等で消費され、バッテリの充電が必要になる場合もあり得る。
【0097】
図11は、本実施例に従うシステムが適用される状況の例を示す図である。図示されているような交差点付近では、停止している車両100に反対車線を走行している車両120から電力を移す。
【0098】
図12は、車両100(受電車)、クラウドセンター140、車両120(給電車)で行われる処理の流れを示すフローチャートである。図10とは、S1005がS1500に入れ替わること、S1020の処理が若干異なること以外は同一である。
【0099】
S1500では、受電車および給電車は低速での運転または停止の機会が多い地域に入ったか、または入りそうかどうか、を判定する。
【0100】
本実施例のS1020では前例のS1020とは若干異なり、受電車に対する給電車としては、バッテリ残量に余裕がある車両の中から選択する。前の例のように、坂を下っている車両の場合は、回生電力を余剰電力として他の車両に供給可能であるが、本例では必ずしもそうではないからである。すなわち、受電車に電力を供給しても、バッテリの残量が不足しない車両から選択される。バッテリ残量の不足が起こるか否かの判定は、クラウドセンター140の指示内容判定部1420、特にバッテリ残量予測部1422で行われる。
【0101】
このように、本実施例では、車両は低速で走行している、または停止している可能性が大きいエリアで受電をすることができる。これは、アンテナ間で電磁波の遣り取りによって電力を送電する場合には、電磁波の特性の制御を簡単化することができることを意味する。
【0102】
以上の実施例1〜2を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
第1のバッテリ、前記第1のバッテリの蓄電量に関する情報を含む第1のバッテリ情報信号を送信する第1のバッテリ情報送信手段、および電力を受電して前記第1のバッテリを充電する第1の受電手段を含む第1の車両の前記第1のバッテリ情報送信手段から送られる前記第1のバッテリ情報信号に含まれる情報、ならびに第2のバッテリ、前記第2のバッテリの蓄電量に関する情報を含む第2のバッテリ情報信号を送信する第2のバッテリ情報送信手段、および前記第2のバッテリに充電された電力の少なくとも一部を送電する第1の送電手段を含む第2の車両の前記第2のバッテリ情報送信手段から送られる前記第2のバッテリ情報信号に含まれる情報に基づいて、前記第1の車両の前記第1の受電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段から電力を受電するように構成された第2の受電手段と、前記第2の受電手段に繋がる前記電力の少なくとも一部を送電する送電線に繋がり、前記第1の受電手段に向けて前記電力を送電するように構成された第2の送電手段に対して、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段への電力の移送と、前記第2の受電手段で受け前記送電線によって送電された前記電力の少なくとも一部を前記第2の送電手段から前記第1の受電手段への移送を制御することを特徴とする電力伝達ネットワークシステムの制御装置。
(付記2)
前記制御手段は、前記第1の信号および前記第2の信号に含まれる情報に基づいて、前記第1のバッテリを充電することを決定することを特徴とする付記1の電力伝達ネットワークシステムの制御装置。
(付記3)
前記制御手段は、複数の車両の中から前記第2の車両を選択する給電車選択手段を含むことを特徴とする付記1または2の電力伝達ネットワークシステムの制御装置。
(付記4)
第1のバッテリ、前記第1のバッテリの蓄電量の不足を示す受電要求信号を送信する受電要求信号送信手段、および電力を受電して前記第1のバッテリを充電する第1の受電手段を含む第1の車両から送信された前記受電要求信号、ならびに第2のバッテリ、前記第2のバッテリの蓄電量の余剰を示す給電可能信号を送信する給電可能信号送信手段、および前記第2のバッテリに充電された電力の一部を送電する第1の送電手段を含む第2の車両から送信された前記給電可能信号に応答して、前記第1の車両の前記第1の受電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段から電力を受電するように構成された第2の受電手段と、前記第2の受電手段に繋がる前記電力の少なくとも一部を送電する送電線に繋がり、前記第1の車両の前記第1の受電手段に向けて前記電力を送電するように構成された第2の送電手段に対して、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段への電力の移送と、前記第2の受電手段で受け前記送電線によって送電された前記電力の少なくとも一部を前記第2の送電手段から前記第1の受電手段への移送を制御することを特徴とする電力伝達ネットワークシステムの制御装置。
(付記5)
前記制御手段は、前記第1の車両および前記第2の車両の走行履歴から、前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリの充電状態を予測するバッテリ残量予測手段を含むことを特徴とする付記1乃至4のいずれか一項に記載の電力伝達ネットワークシステムの制御装置。
(付記6)
さらに、前記制御手段は、前記第1の信号および前記第2の信号に含まれる情報に基づいて、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段に移送される電力の量、および前記第2の送電手段から前記第1の受電手段に移送される電力の量を決定することを特徴とする付記1乃至3および5のいずれか一項の電力伝達ネットワークシステムの制御装置。
(付記7)
第1のバッテリ、前記第1のバッテリの蓄電量に関する情報を含む第1のバッテリ情報信号を送信する第1のバッテリ情報送信手段、および電力を受電して前記第1のバッテリを充電する第1の受電手段を含む第1の車両から送信された前記第1のバッテリ情報信号を受信し、
第2のバッテリ、前記第2のバッテリの蓄電量に関する情報を含む第2のバッテリ情報信号を送信する第2のバッテリ情報送信手段、および前記第2のバッテリに充電された電力の少なくとも一部を送電する第1の送電手段を含む第2の車両から送信された前記第2のバッテリ情報信号を受信し、
前記第1および前記第2の車両から送られる前記第1および前記第2のバッテリ情報信号に含まれる情報に基づいて、前記第1の車両の前記第1の受電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段から電力を受電するように構成された第2の受電手段と、前記第2の受電手段に繋がる前記電力の少なくとも一部を送電する送電線に繋がり、前記第1の受電手段に向けて前記電力を送電するように構成された第2の送電手段に対して、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段への電力の移送と、前記第2の受電手段で受け前記送電線によって送電された前記電力の少なくとも一部を前記第2の送電手段から前記第1の受電手段への移送を制御することを特徴とする電力伝送方法。
(付記8)
さらに、前記第1の信号および前記第2の信号に含まれる情報に基づいて、前記第1のバッテリを充電することを決定することを特徴とする付記7の電力伝送方法。
(付記9)
さらに、複数の車両の中から前記第2の車両を選択することを特徴とする付記7または8の電力伝送方法。
(付記10)
第1のバッテリ、前記第1のバッテリの蓄電量の不足を示す受電要求信号を送信する受電要求信号送信手段、および電力を受電して前記第1のバッテリを充電する第1の受電手段を含む第1の車両から送信された前記受電要求信号を受信し、
第2のバッテリ、前記第2のバッテリの蓄電量の余剰を示す給電可能信号を送信する給電可能信号送信手段、および前記第2のバッテリに充電された電力の少なくとも一部を送電する第1の送電手段を含む第2の車両から送信された前記給電可能信号を受信し、
前記第1および前記第2の車両から送られる前記受電要求信号および前記給電可能信号に応答して、前記第1の車両の前記第1の受電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段から電力を受電するように構成された第2の受電手段と、前記第2の受電手段に繋がる前記電力の少なくとも一部を送電する送電線に繋がり、前記第1の車両の前記第1の受電手段に向けて前記電力を送電するように構成された第2の送電手段に対して、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段への電力の移送と、前記第2の受電手段で受け前記送電線によって送電された前記電力の少なくとも一部を前記第2の送電手段から前記第1の受電手段への移送を制御することを特徴とする電力伝送方法。
(付記12)
さらに、前記第1の車両および前記第2の車両の走行履歴から、前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリの充電状態を予測することを特徴とする付記7乃至10のいずれか一項に記載の電力伝送方法。
(付記13)
さらに、前記第1の信号および前記第2の信号に含まれる情報に基づいて、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段に移送される電力の量、および前記第2の送電手段から前記第1の受電手段に移送される電力の量を決定することを特徴とする付記8乃至10および付記12のいずれか一項の電力伝送方法。
(付記14)
第1のバッテリ、前記第1のバッテリの蓄電量に関する情報を含む第1のバッテリ情報信号を送信する第1のバッテリ情報送信手段、および電力を受電して前記第1のバッテリを充電する第1の受電手段を含む第1の車両から送信された前記第1のバッテリ情報信号を受信し、
第2のバッテリ、前記第2のバッテリの蓄電量に関する情報を含む第2のバッテリ情報信号を送信する第2のバッテリ情報送信手段、および前記第2のバッテリに充電された電力の少なくとも一部を送電する第1の送電手段を含む第2の車両から送信された前記第2のバッテリ情報信号を受信し、
前記第1および前記第2の車両の前記第1および前記第2のバッテリ情報送信手段から送られる前記第1および前記第2のバッテリ情報信号に含まれる情報に基づいて、前記第1の車両の前記第1の受電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段から電力を受電するように構成された第2の受電手段と、前記第2の受電手段に繋がる前記電力の少なくとも一部を送電する送電線に繋がり、前記第1の受電手段に向けて前記電力を送電するように構成された第2の送電手段に対して、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段への電力の移送と、前記第2の受電手段で受け前記送電線によって送電された前記電力の少なくとも一部を前記第2の送電手段から前記第1の受電手段への移送とを制御する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
(付記15)
さらに、前記第1の信号および前記第2の信号に含まれる情報に基づいて、前記第1のバッテリを充電することを決定する処理をコンピュータに実行させる、付記14のプログラム。
(付記16)
さらに、複数の車両の中から前記第2の車両を選択する処理をコンピュータに実行させる、付記14または15のプログラム。
(付記17)
第1のバッテリ、前記第1のバッテリの蓄電量の不足を示す受電要求信号を送信する受電要求信号送信手段、および電力を受電して前記第1のバッテリを充電する第1の受電手段を含む第1の車両から送信された前記受電要求信号を受信し、
第2のバッテリ、前記第2のバッテリの蓄電量の余剰を示す給電可能信号を送信する給電可能信号送信手段、および前記第2のバッテリに充電された電力の少なくとも一部を送電する第1の送電手段を含む第2の車両から送信された前記給電可能信号を受信し、
前記第1および前記第2の車両から送られる前記受電要求信号および前記給電可能信号に応答して、前記第1の車両の前記第1の受電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段から電力を受電するように構成された第2の受電手段と、前記第2の受電手段に繋がる前記電力の少なくとも一部を送電する送電線に繋がり、前記第1の車両の前記第1の受電手段に向けて前記電力を送電するように構成された第2の送電手段に対して、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段への電力の移送と、前記第2の受電手段で受け前記送電線によって送電された前記電力の少なくとも一部を前記第2の送電手段から前記第1の受電手段への移送と、を制御する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
(付記18)
さらに、前記第1の車両および前記第2の車両の走行履歴から、前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリの充電状態を予測する処理をコンピュータに実行させる、付記14乃至18のいずれか一項に記載のプログラム。
(付記19)
さらに、前記第1の信号および前記第2の信号に含まれる情報に基づいて、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段に移送される電力の量、および前記第2の送電手段から前記第1の受電手段に移送される電力の量を決定する処理をコンピュータに実行させる、付記14乃至16、18、および19のいずれか一項のプログラム。
(付記20)
第1のバッテリ、前記第1のバッテリの蓄電量に関する情報を含む第1のバッテリ情報信号を送信する第1のバッテリ情報送信手段、および電力を受電して前記第1のバッテリを充電する第1の受電手段を含む第1の車両の前記第1のバッテリ情報送信手段によって送信された前記第1のバッテリ情報信号と、第2のバッテリ、前記第2のバッテリの蓄電量に関する情報を含む第2のバッテリ情報信号を送信する第2のバッテリ情報送信手段、および前記第2のバッテリに充電された電力の少なくとも一部を送電する第1の送電手段を含む第2の車両の前記第2のバッテリ情報送信手段によって送信された前記第2のバッテリ情報信号を受信するバッテリ情報信号受信手段と、
前記第2の車両の前記第1の送電手段から電力を受電するように構成された第2の受電手段と、
前記第2の受信受電に繋がり、前記電力の少なくとも一部を送電する送電線と、
前記送電線に繋がり、入力される電力送信指示信号に応答して前記第1の車両の前記第1の受電手段に向けて前記電力を送電するように構成された第2の送電手段と、
前記第1の信号および前記第2の信号に含まれる情報に基づいて、前記第2の送電手段から前記第1の受電手段に電力を移送し、前記第2の送電手段から前記第1の受電手段に、前記第2の受電手段で受け前記送電線によって送電された前記電力の少なくとも一部を移送するように、前記第1の送電手段、前記第2の送電手段、前記第1の受電手段および前記第2の受電手段を制御する指示手段と、
を含むことを特徴とする電力伝達ネットワークシステム。
(付記21)
前記制御手段は、前記第1の信号および前記第2の信号に含まれる情報に基づいて、前記第1のバッテリを充電することを決定することを特徴とする付記20の電力伝達ネットワークシステム。
(付記22)
前記制御手段は、複数の車両の中から前記第2の車両を選択する給電車選択手段を含むことを特徴とする付記20または21の電力伝達ネットワークシステム。
(付記23)
第1のバッテリ、前記第1のバッテリの蓄電量の不足を示す受電要求信号を送信する受電要求信号送信手段、および電力を受電して前記第1のバッテリを充電する第1の受電手段を含む第1の車両の前記受電要求信号送信手段によって送信された前記受電要求信号を受信する受電要求信号受信手段と、
第2のバッテリ、前記第2のバッテリの蓄電量の余剰を示す給電可能信号を送信する給電可能信号送信手段、および前記第2のバッテリに充電された電力の少なくとも一部を送電する第1の送電手段を含む第2の車両の前記給電可能信号送信手段によって送信された前記給電可能信号を受信する給電可能信号受信手段と、
前記第2の車両の前記第1の送電手段から電力を受電するように構成された第2の受電手段と、
前記第2の受信受電に繋がり、前記電力の少なくとも一部を送電する送電線と、
前記送電線に繋がり、入力される電力送信指示信号に応答して前記第1の車両の前記第1の受電手段に向けて前記電力を送電するように構成された第2の送電手段と、
前記受電要求信号および前記給電可能信号に反応して、前記第2の送電手段から前記第1の受電手段に電力を移送し、前記第2の送電手段から前記第1の受電手段に、前記第2の受電手段で受け前記送電線によって送電された前記電力の少なくとも一部を移送するように、前記第1の送電手段、前記第2の送電手段、前記第1の受電手段および前記第2の受電手段を制御する指示手段と、
を含むことを特徴とする電力伝達ネットワークシステム。
(付記24)
前記制御手段は、前記第1の車両および前記第2の車両の走行履歴から、前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリの充電状態を予測するバッテリ残量予測手段を含むことを特徴とする付記20乃至23のいずれか一項に記載の電力伝達ネットワークシステム。
(付記25)
さらに、前記制御手段は、前記第1の信号および前記第2の信号に含まれる情報に基づいて、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段に移送される電力の量、および前記第2の送電手段から前記第1の受電手段に移送される電力の量を決定することを特徴とする付記20乃至22および24のいずれか一項の電力伝達ネットワークシステム。
【符号の説明】
【0103】
100、120 車両
102、122 バッテリ
104、124 モータ
106、126 スマートメータ
108、128 (車載)アンテナ
110、120 車輪
140 クラウドメータ
160 (路面に埋め込まれた)アンテナ
170 (路面に埋め込まれたアンテナの)コントローラ
180 ネットワーク
190、195 道路
200 送電線
1410 情報収集部
1420 指示内容判定部
1422 バッテリ残量予測部
1424 車両マッチング部
1426 車両、個人属性処理部
1430 指示送信部
1440 車両トランザクションDB
1442 地図DB
1444 電力特性DB
1446 車両マスタDB
1448 個人マスタDB
1450 電力授受管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のバッテリ、前記第1のバッテリの蓄電量に関する情報を含む第1のバッテリ情報信号を送信する第1のバッテリ情報送信手段、および電力を受電して前記第1のバッテリを充電する第1の受電手段を含む第1の車両の前記第1のバッテリ情報送信手段から送られる前記第1のバッテリ情報信号に含まれる情報、ならびに第2のバッテリ、前記第2のバッテリの蓄電量に関する情報を含む第2のバッテリ情報信号を送信する第2のバッテリ情報送信手段、および前記第2のバッテリに充電された電力の少なくとも一部を送電する第1の送電手段を含む第2の車両の前記第2のバッテリ情報送信手段から送られる前記第2のバッテリ情報信号に含まれる情報に基づいて、前記第1の車両の前記第1の受電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段から電力を受電するように構成された第2の受電手段と、前記第2の受電手段に繋がる前記電力の少なくとも一部を送電する送電線に繋がり、前記第1の受電手段に向けて前記電力を送電するように構成された第2の送電手段に対して、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段への電力の移送と、前記第2の受電手段で受け前記送電線によって送電された前記電力の少なくとも一部を前記第2の送電手段から前記第1の受電手段への移送を制御することを特徴とする電力伝達ネットワークシステムの制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の信号および前記第2の信号に含まれる情報に基づいて、前記第1のバッテリを充電することを決定することを特徴とする請求項1の電力伝達ネットワークシステムの制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、複数の車両の中から前記第2の車両を選択する給電車選択手段を含むことを特徴とする請求項1または2の電力伝達ネットワークシステムの制御装置。
【請求項4】
第1のバッテリ、前記第1のバッテリの蓄電量の不足を示す受電要求信号を送信する受電要求信号送信手段、および電力を受電して前記第1のバッテリを充電する第1の受電手段を含む第1の車両から送信された前記受電要求信号、ならびに第2のバッテリ、前記第2のバッテリの蓄電量の余剰を示す給電可能信号を送信する給電可能信号送信手段、および前記第2のバッテリに充電された電力の一部を送電する第1の送電手段を含む第2の車両から送信された前記給電可能信号に応答して、前記第1の送電手段から、前記第1の送電手段から電力を受電するように構成された第2の受電手段への電力の移送、ならびに前記第2の受電手段で受け、前記第2の受電手段に繋がり前記電力の少なくとも一部を送電する送電線によって送電された前記電力の少なくとも一部を、前記送電線に繋がり前記前記第1の受電手段に向けて前記電力を送電するように構成された第2の送電手段から前記第1の受電手段への移送を制御することを特徴とする電力伝達ネットワークシステムの制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1の車両および前記第2の車両の走行履歴から、前記第1のバッテリおよび前記第2のバッテリの充電状態を予測するバッテリ残量予測手段を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電力伝達ネットワークシステムの制御装置。
【請求項6】
さらに、前記制御手段は、前記第1の信号および前記第2の信号に含まれる情報に基づいて、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段に移送される電力の量、および前記第2の送電手段から前記第1の受電手段に移送される電力の量を決定することを特徴とする請求項1乃至3および5乃至6のいずれか一項の電力伝達ネットワークシステムの制御装置。
【請求項7】
第1のバッテリ、前記第1のバッテリの蓄電量に関する情報を含む第1のバッテリ情報信号を送信する第1のバッテリ情報送信手段、および電力を受電して前記第1のバッテリを充電する第1の受電手段を含む第1の車両から送信された前記第1のバッテリ情報信号を受信し、
第2のバッテリ、前記第2のバッテリの蓄電量に関する情報を含む第2のバッテリ情報信号を送信する第2のバッテリ情報送信手段、および前記第2のバッテリに充電された電力の少なくとも一部を送電する第1の送電手段を含む第2の車両から送信された前記第2のバッテリ情報信号を受信し、
前記第1および前記第2の車両の前記第1および前記第2のバッテリ情報送信手段から送られる前記第1および前記第2のバッテリ情報信号に含まれる情報に基づいて、前記第1の車両の前記第1の受電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段から電力を受電するように構成された第2の受電手段と、前記第2の受電手段に繋がり前記電力の少なくとも一部を送電する送電線に繋がる前記第1の車両の前記第1の受電手段に向けて前記電力を送電するように構成された第2の送電手段に対して、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段への電力の移送と、前記第2の受電手段で受け前記送電線によって送電された前記電力の少なくとも一部の前記第2の送電手段から前記第1の受電手段への移送を制御することを特徴とする電力伝送方法。
【請求項8】
第1のバッテリ、前記第1のバッテリの蓄電量の不足を示す受電要求信号を送信する受電要求信号送信手段、および電力を受電して前記第1のバッテリを充電する第1の受電手段を含む第1の車両から送信された前記受電要求信号を受信し、
第2のバッテリ、前記第2のバッテリの蓄電量の余剰を示す給電可能信号を送信する給電可能信号送信手段、および前記第2のバッテリに充電された電力の少なくとも一部を送電する第1の送電手段を含む第2の車両から送信された前記給電可能信号を受信し、
前記第1および前記第2の車両から送られる前記受電要求信号および前記給電可能信号に応答して、前記第1の車両の前記第1の受電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段と、前記第2の車両の前記第1の送電手段から電力を受電するように構成された第2の受電手段と、前記第2の受電手段に繋がり前記電力の少なくとも一部を送電する送電線に繋がる前記第1の車両の前記第1の受電手段に向けて前記電力を送電するように構成された第2の送電手段に対して、前記第1の送電手段から前記第2の受電手段への電力の移送と、前記第2の受電手段で受け前記送電線によって送電された前記電力の少なくとも一部の前記第2の送電手段から前記第1の受電手段への移送を制御することを特徴とする電力伝送方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図1】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−200043(P2012−200043A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60783(P2011−60783)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】