FIBで調製した試料を把持する素子を使用した顕微鏡検査のための方法、システム、および装置
【解決手段】 一実施形態において、集束イオンビーム(FIB)で基板を切断することにより、前記基板から少なくとも部分的に試料を切断する工程と、把持要素を作動させることにより前記基板試料を捕持する工程と、前記捕持済み試料を前記基板から分離させる工程とを含む方法。前記捕持済み試料は、前記基板から分離して検査用に電子顕微鏡へ移送することもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology、略称NIST)より付与された70NANB1H3021の下、米国政府の助成により成されたものである。米国政府は、本発明の一定の権利を有する。
【0002】
本願は、2004年2月23日付け申請済みBaurらの米国仮出願第60/546,840号"AUTOMATED AND SEMI−AUTOMATED PROBING IN A CHARGED PARTICLE BEAM DEVICE"(荷電粒子ビーム装置における自動および半自動のプロービング)に関し、その出願日に基づく利益を主張するものでもある本明細書での言及によりその開示全体を本明細書に組み込むものとする。
【0003】
また、本願は、(1)PCT出願番号PCT/US03/16695、Dyerの"MANIPULATION SYSTEM FOR MANIPULATING A SAMPLE UNDER STUDY WITH A MICROSCOPE"(顕微鏡で研究対象試料を操作するための操作システム)および(2)米国特許出願第10/173,543号、Yuらの"MODULAR MANIPULATION SYSTEM FOR MANIPULATING A SAMPLE UNDER STUDY WITH A MICROSCOPE"(顕微鏡で研究対象試料を操作するためのモジュラー操作システム)と(本明細書での言及によりその開示全体を本明細書に組み込むものとする)に関連するものである。本明細書での言及によりその開示全体を本明細書に組み込むものとする。
【背景技術】
【0004】
電子顕微鏡機器は、マイクロスケールおよびナノスケールの対象物に対する検査および操作の実行に必要とされることが多い。一般に、電子顕微鏡では研究対象試料を照射するため電子ビームが使用され、その電子ビームの波長は、光学顕微鏡で使う光の波長よりはるかに短い。近年の電子顕微鏡では、サブナノメートルの分解能(約0.1nmの分解能など)、すなわち最高約100万倍の倍率で、原子レベルの細部を見ることができる。電子顕微鏡その他同様に使用できる顕微鏡としては、原子間力顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡法、走査型トンネリング顕微鏡、走査型近接場光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡などがある。
【0005】
走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、略称SEM)は、別タイプの電子顕微鏡である。典型的なSEMでは、電子のビームを1点に焦点合わせし、試料の表面を走査する。検出器は、試料表面から反射される、あるいは試料表面から生じる後方散乱電子および二次電子を回収し、それらを試料についての写実的な3次元画像を生成するための信号に変換する。この走査工程中、検出器は前記表面の凹部から受け取る電子が比較的少ないため、表面のより低い領域は結果として得られる画像でより暗色になる。SEMでは、最高約200,000の倍率、場合によってはそれ以上の倍率が得られる。
【0006】
集束イオンビーム(focused ion beam、略称FIB)システムは、試料走査で電子ビームの代わりにイオンビームが使用されることを除き、走査型電子顕微鏡に類似している。このイオンビームは、液体金属イオン源(ガリウムなど)から通常約10nm未満のスポットサイズで放出される。FIB技術は、TEMまたは他の電子顕微鏡による検査用に試料を調製するため使用できる。
【0007】
TEM用に調製したFIB試料は、関心のある特定サイトから電子透過断面を迅速に調製する手段をもたらす「リフトアウト」法により製造されることが多い。このリフトアウト法では、試料表面から小型試料を作製するよう、比較的大きなバルク試料をFIBチャンバーに挿入することができる。次に、静電プローブを使って前記小型試料をその溝から取り出して「リフトアウト」し(取り出し)、検査グリッド上に配置する。
【0008】
ただし、静電プローブで取り出した試料を正確に位置決めおよび/または配向することが困難な場合もある。例えば、試料は単に静電力によって一時的に前記プローブに結合するだけで堅固に固定されるわけではないため、プローブから外れる、および/または汚染・破壊される恐れがある。そのため、試料の結合先または溶接先である検査グリッドが必要になりうる。このような工程では、単一配向だけで試料の検査が可能であり、可能性として基板または基板領域を十分に検査するため複数試料の検査が必要になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の開示では、種々の実施形態の異なる特徴を実施するため、多数の異なる実施形態または実施例を提供していることは言うまでもない。以下では、本開示を簡略化するため構成要素および配置の特定の例を説明している。当然のことながら、これらは単なる例に過ぎず、限定を意図するものではない。また、本開示では種々の例で繰り返し参照符号を使用する場合がある。この反復は簡潔性および明瞭性のためであり、それ自体が種々の実施形態および/または開示される構成の関係を決定するものではない。さらに、以下の説明における第2の特徴より上位にある、または前記第2の特徴上にある第1の特徴の構造は、前記第1の特徴および前記第2特徴が直接接触して構成される実施形態を含む場合があり、また前記第1の特徴と前記第2特徴が直接接触し合わないよう前記第1の特徴と前記第2の特徴の間に追加特徴が介在可能な実施形態を含む場合もある。
【0010】
図1は、本開示の態様に係る顕微鏡検査システム100の一実施形態の少なくとも一部の断面図を例示したものである。このシステム100は、集束イオンビーム(focused ion beam、略称FIB)手段120を収容するFIBチャンバー110を具備することができる。このチャンバー110は、FIBでの試料調製後に電子顕微鏡で検査する基板140を支持する際に使用することができるものなどを含むステージ130も収容される。このFIBチャンバー110は、従来の真空槽でも、今後開発される真空槽でも、あるいはFIB手順が実施される他タイプのチャンバーであってもよい。前記FIB手段120は、前記基板140の試料を検査用に調製するため、FIB手順を実施する従来の機器または今後開発される機器を前記基板140上に具備される。例えば、このFIB手段120は、イオンビームを生成するイオン源と、このイオンビームで所定の位置を照射するイオンビーム光学系を具備される。前記ステージ130は、前記チャンバー110および/または前記FIB手段120に対し、最高6の自由度で前記基板140を位置決めおよび配向するよう構成される。
【0011】
前記システム100は、ハンドリングアセンブリ150、または前記FIBチャンバー110および電子顕微鏡チャンバー160の間でFIBで調製した試料(FIB調製試料)を移送する場合などに使用される組み立て、配向、および/または操作用の他のツールも具備する。前記ハンドリングアセンブリ150は、前記FIBチャンバー110または前記電子顕微鏡チャンバー160のどちらかに取り外し自在に連結されるが、自立構造の機器であってもよい。このハンドリングアセンブリ150は、FIB調製試料と整合するよう構成された把持要素155を具備する。一部の実施形態では、このハンドリングアセンブリ150、またはその一部か機能かが、例えば前記FIBチャンバー110および/または前記顕微鏡チャンバー160など、前記ハンドリングアセンブリ150が使用されるチャンバー内に実質的に収容されうる。例えば、位置決めシステムまたは他タイプのマニピュレータが前記ハンドリングアセンブリ150の少なくとも一部を構成し、試料が操作される前記チャンバー内に収容されるようにしてもよい。
【0012】
このシステム100は、それぞれが1若しくはそれ以上の把持要素155を具備される2つ以上のハンドリングアセンブリ150も具備される。各把持要素155は、1若しくはそれ以上のFIB調製試料と整合するようにも構成される。従って、複数の試料を直列または並列どちらでも調製および/または操作でき、これは可能性として、以下さらに説明するとおり自動化により実施される。2つ以上のハンドリングアセンブリ150または把持要素155を使用する場合、各ハンドリングアセンブリ150は、互いに実質的に類似したものであっても、そうでなくてもよく、各把持要素155も、互いに実質的に類似したものであっても、そうでなくてもよい。
【0013】
この把持要素155は、前記電子顕微鏡チャンバー160内の検査グリッド170上にFIB調製試料を位置決めするよう、FIB試料を最高6の自由度で位置決めまたは配向するようにも、あるいは可能性として前記検査グリッド170がない場合はFIB調製試料を検査中に前記電子顕微鏡チャンバー160内で固定するようにも構成される。この把持要素155は、静電気的、熱的、および/または圧電的に作動させるなどして、FIB調製試料を把持するよう作動させうる。この把持要素155は、二者択一的または付加的に、作動停止させることによりFIB調製試料を把持するようにもできる。すなわち、この把持要素155は、電源オンの状態でFIB調製試料を把持し電源オフの状態でFIB調製試料をリリースするか、電源オフの状態でFIB調製試料を把持し電源オンの状態でFIB調製試料をリリースするか、電源オンの状態でFIB調製試料を把持し電源オンの状態でFIB調製試料をリリースするか、電源オフの状態でFIB調製試料を把持し電源オフの状態でFIB調製試料をリリースするか、のように構成される。
【0014】
このハンドリングアセンブリ150と、可能性として前記把持要素155とは、前記FIBチャンバー110内での試料調製中に実行される1若しくはそれ以上の手順工程、前記電子顕微鏡チャンバー160への試料移送、および/または前記電子顕微鏡チャンバー内での試料検査が、一度前記のような手続き工程を始動すると人の手をほとんど、またはまったく介さずに実行できるよう、手操作および/または(自動)ロボット操作される。一部の手順工程は、人の手をほとんど、またはまったく介すことなく、前手順により自動的に始動させることもできる。
【0015】
前記電子顕微鏡チャンバー160は、従来の真空槽でも、今後開発される真空槽でも、あるいは電子顕微鏡手順を実行される他タイプのチャンバーであってもよい。この電子顕微鏡チャンバー160はステージ180を具備してよく、このステージ180は、前記検査グリッド170を支持し、この検査グリッド170が使用されない場合はFIB調製試料を支持し、かつ/または前記ハンドリングアセンブリ150と協動して、FIB調製試料を検査中に位置決めおよび配向する。この電子顕微鏡チャンバー160は、FIB調製試料を検査するための検査手段190も具備する。一実施形態では、この検査手段190は透過型電子顕微鏡(transmission electron microscope、略称TEM)を具備する。言うまでもなく、この検査手段190は、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、略称SEM)、原子間力顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡法、走査型トンネリング顕微鏡(scanning tunneling microscope、略称STM)、走査型近接場光学顕微鏡など、他の顕微鏡機器を具備される。この検査手段190は、イオン顕微鏡または光学顕微鏡など、電子顕微鏡以外の検査手段、または電子顕微鏡に追加した検査手段も具備される。ただし、単に簡潔化のため、本明細書におけるいかなる顕微鏡機器または顕微鏡装置への言及も電子顕微鏡装置への言及であるとし、このような言及はイオン顕微鏡または光学顕微鏡など他の顕微鏡装置も含むよう意図される。前記検査手段190は、2つ以上の顕微鏡機器も具備される。例えば、前記電子顕微鏡チャンバー160および/または前記システム100は、検査および/または付加的な試料調製工程に1若しくはそれ以上のチャンバーが使用されるよう、複数のチャンバーであって、それぞれ検査工程で1若しくはそれ以上の工程に使用される複数のチャンバーを具備することができる。
【0016】
このシステム100の操作の一実施形態では、検査対象である前記基板140は、前記ステージ130および/または前記ハンドリングアセンブリ150の操作などにより、前記FIBチャンバー110内で配向される。その後、従来のFIB工程または今後開発されるFIB工程が実行されて、前記基板140から後続検査用の試料が画成される。次に試料は、手操作および/またはロボット操作により前記把持要素155で把持、係合、固定、あるいは捕持(本明細書において以下、「捕持」と総称する)されたのち、手操作および/またはロボット操作で前記FIBチャンバー110から取り出される。次に、前記ハンドリングアセンブリ150および前記把持要素155は、前記FIB調製試料を前記電子顕微鏡チャンバー160へ移送し、前記電子顕微鏡手段190により前記FIB調製試料を検査用に配向する。前記FIB調製試料の移送および/または配向は、手操作または(自動)ロボット操作することができる。
【0017】
FIB調製試料は、検査中、前記把持要素155に捕持されたままであってよい。異なる別の実施形態では、FIB調製試料が検査前に前記把持要素155からリリースされるよう、前記ハンドリングアセンブリ150および前記把持要素155が検査前に前記検査グリッド170上でFIB調製試料を位置決めおよび配向する。あるいは、これらハンドリングアセンブリ150および把持要素155は、前記電子顕微鏡チャンバー160内でのFIB調製試料配置前に前記検査グリッド170上でFIB調製試料を位置決めおよび/または配向してもよく、その場合、前記検査グリッド170は、FIB調製試料が前記把持要素155からリリースされた後、前記電子顕微鏡チャンバー160内で位置決めおよび/または配向される。
【0018】
前記システム100の操作では、電子顕微鏡での検査前に前記FIBチャンバーからFIB調製試料を取り出す必要がない場合がある。例えば、単一のチャンバー(または複数チャンバーツール)が前記FIB手段120および前記電子顕微鏡手段190の双方を具備する場合がある。その結果、FIB調製試料は単に前記FIB手段120および前記電子顕微鏡手段190の作業領域間を移送するだけで、前記ハンドリングアセンブリ150および前記把持要素155により適切に配向されうるか、もしくはFIB調製試料は実質的に静止したままでFIB手段120が前記試料から離れる方向へ向かって再位置決めされ、前記電子顕微鏡手段190が検査のため前記試料に近接させて再位置決めされるようにできる。
【0019】
一部の実施形態では、前記検査グリッド170は、1若しくはそれ以上のラッチ、クランプ、ソケット、ハンドル、またはこれらの組み合わせといった把持手段か、試料を連結あるいは固定する他の手段かを具備することができる。このような把持手段は、以下で説明する把持要素の1若しくはそれ以上の実施形態を具備する、および/またはそれに類似しうる。例えば一実施形態では、前記検査グリッド170は、互いに抗して付勢された、あるいは互いに近接または接触した2つ以上の把持部材を有する把持手段を具備してよく、その場合、前記把持部材は弾性または付勢自在な性質を有することができる。このような実施形態では、FIB調製試料は前記把持部材間の位置へ移動され、前記検査グリッド170の把持部材の付勢自在な性質のため前記試料を前記検査グリッド170に溶接または永久固定することなく前記試料が固定されるよう、前記把持要素155によりリリースされる。前記検査グリッド170の前記把持部材は、例えばFIB調製試料の前記検査グリッド170への固定を、可能性として1若しくはそれ以上の所定位置において堅固なものにする、あるいは改善または支援するよう構成されるものなど、前記試料の外部輪郭に対応した内部輪郭または他の輪郭も有することができる。
【0020】
したがって一部の実施形態では、前記把持要素155を使用して前記検査グリッド170上で前記試料を初期位置決めし、前記試料をリリースしたのち、再び前記試料を把持し再配向して前記試料を前記検査グリッド170上で新しい配向に位置決めすることができる。同様に一部の実施形態では、前記把持要素155を使用して前記検査グリッド170上で前記試料を初期位置決めし、前記試料をリリースしたのち、再び前記試料を把持し、追加顕微鏡チャンバーなど異なる別の検査環境および/または処理環境に前記試料を移送することができる。
【0021】
図2は、本開示の態様に係る把持要素200の一実施形態の少なくとも一部の概略図を例示したものである。一実施形態では、この把持要素200は、前記把持要素155などの役割を果たすものとして図1に示した前記システム100において使用されうる。この把持要素200は、前記把持要素200の表面上または内部に形成されたボンドパッド215を有する本体210を具備することができる。この把持要素200は、FIB技術などにより基板202から調製された試料205を把持する作動装置220も具備する。この作動装置220は、1若しくはそれ以上の作動部材230を具備し、これらの作動部材230はリボン形状の直線状部材および/または成形部材であるか、これを具備することができる。これら作動部材230の遠端240は、前記本体210と一体化または連結することができる。これら作動部材230の近端は、スペーサー部材250などにより互いに連結することができる。あるいは、これら作動部材230のうち1若しくはそれ以上が実質的に前記作動装置220の幅だけ延在してもよく、可能性としては(例えば図2のように前記本体210の中心部へ向かって)角度を成した凹型輪郭または弓形の凹型輪郭を有するか、(例えば前記本体210の中心部から離れる方向へ傾斜して)角度を成した凹型輪郭または弓形の凹型輪郭を有する。
【0022】
前記把持要素200は、前記作動部材230と一体化されているか、これに連結された把持部材270も具備する。これらの把持部材270は、前記把持要素200の作動時または作動停止時に、前記FIB調製試料205を固定するよう構成されている。例えば、前記作動部材230は熱エネルギーの付与に応答して膨張および収縮するよう構成される。このような熱エネルギー付与は、加熱ランプ、加熱板、またはオーブンを使用することにより達成することができる。局部的な加熱は、レーザー装置でも達成することができる。一実施形態では、前記作動部材230は、この作動部材230に沿って流される電流により生成される熱エネルギーに応答して膨張および収縮するよう構成されている。例えば、前記作動部材230、または前記把持要素200の他の部分は、電気抵抗素子、または電流に応答して温度上昇する材料を有することができる。このため、前記作動部材230は、ボンドパッド215か、電流源または電圧源と相互接続するための他手段かに直接または間接に連結されうる。
【0023】
抵抗加熱に応答して前記把持要素200が作動または作動停止される実施形態では、このような抵抗加熱を前記作動装置220内にもたらことができる前記抵抗素子は、単結晶シリコン、ドープ多結晶シリコン(ポリシリコン)、および/または電流に応答して熱エネルギーを生成する従来の、または今後開発される他の材料など、一定長さの抵抗材料をいくつか有することができる。この抵抗素子は、前記把持要素200が作動されたとき前記抵抗素子により散逸する熱エネルギーが前記作動部材230を膨張収縮させる上で十分であるよう、前記作動部材230の内部または表面上に位置するか、あるいは前記作動部材230から十分短距離にある前記把持要素200の内部または表面上の他の位置に配置される。
【0024】
前記作動部材230は、前記把持部材270または前記作動部材230に印加したバイアス電圧に応答して膨張および収縮するよう、付加的または二者択一的に構成される。このようなバイアス電圧は、前記作動部材230または前記把持部材270を電圧源と相互接続することにより達成され、可能性としてはこのような相互接続手段として前記ボンドパッド215が使用される。一実施形態では、これら作動部材230は、熱的に作動されず他の手段で作動されるよう、熱エネルギー以外に応答して膨張および/または収縮するよう構成される。一実施形態では、これら作動部材230またはその一部、および/またはその内部に付随した支持構造は、電気的および/または熱的に作動されるものなどを含む形状記憶合金を有することができる。
【0025】
前記作動部材230は、付与される熱エネルギーに応答した温度上昇に伴って膨張する。本開示では種々の熱膨張スキームが企図されているが(構造、熱膨張係数とそれに対応した膨張方向など)、例示した実施形態では、長さが幅または高さより著しく大きい前記作動部材230を示している。これにより、熱エネルギーを付与すると、これらの作動部材230は他のどの方向よりも長さ方向に膨張する。ただし、前記作動部材230の端部240は固定されているため、これら作動部材230は長さ方向に膨張し、前記本体210の中心部へ向かって曲がるか平行移動する。その結果、これら作動部材230の中点および前記スペーサー部材250は、前記本体210の中心部へ向かって平行移動する。前記作動部材230の中点は中心を外して同じ方向へ傾斜させてあるため、それぞれの膨張中に同じ方向へ曲がるか平行移動する。
【0026】
その結果、前記スペーサー部材250が前記本体210の中心部へ向かって平行移動し、前記作動部材270の対向し合う部分間の角度が狭まる。これにより、前記スペーサー部材250が前記本体210の中心部へ向かって平行移動することに加え、前記把持部材270も内向きに回転して前記FIB調製試料205の両側面を把持する。
【0027】
一実施形態では、熱エネルギーの付与に応答した位置決めの後など、作動済み状態での前記把持部材270の位置は試料がリリースされた位置でありうる。このような実施形態では、これら把持部材270は、電源オフの状態で前記FIB調製試料205を固定することができる。言い換えると、前記把持部材270は、熱エネルギーまたは他の作動手段に応答して膨張すると互いに遠ざかり、熱エネルギーまたは他の作動手段の除去時には収縮して閉塞位置になりうる。これにより、熱エネルギーまたは他の作動手段は前記試料205を把持する前に前記把持部材270を前記試料205に近接させて初期位置決めする際だけ必要となり、チャンバー間またはツール間で前記FIB調製試料205を移送する間、またはチャンバー内またはツール内で前記FIB調製試料205を位置決めまたは配向している間、熱エネルギーを付与し続ける必要はなくなる。
【0028】
一実施形態では、前記把持要素200はマイクロ電子(電気)機械システム(micro−electro−mechanical system、略称MEMS)の装置として製造することができる。例えば、基板上に絶縁層および1若しくはそれ以上の導電層を連続的に積み重ねることができる。前記本体210および前記作動装置220は、マイクロマシニングおよび/または、可能性としてフォトレジストまたは他材料のマスクを使用した従来のエッチング工程か今後開発されるエッチング工程かによりこの導電層内に画成することができる。前記ボンドパッド215は、前記本体210と同じ導電層から形成するか、前記本体210が画成されている導電層より上位にある第2の導電層内に画成することができる。前記把持要素200は、図1に示した前記ハンドリングアセンブリ150などのハンドリングアセンブリとのインターフェース用手段も具備するが、このようなインターフェース手段は本開示の範囲により限定されるものではない。このようなインターフェース手段は前記本体210を画成する層内に画成することができる。前記絶縁層は非ドープシリコン、二酸化ケイ素、異なる別の酸化物、または電気絶縁材料を含有してよく、前記1若しくはそれ以上の導電層は、ドープポリシリコン、金、および/または他の導電性材料を含有してよい。
【0029】
図3は、本開示の態様に係る把持要素300の異なる別の一実施形態の少なくとも一部の概略図を例示したものである。この把持要素300は、組成および製造上、図2に示した前記把持要素200に実質的に類似したものであってよく、図1に示した前記システム100などの電子顕微鏡システムで使用することができる。
【0030】
この把持要素300は、前記把持要素200の表面上または内部に形成されたボンドパッド315を有する本体310を具備することができる。この把持要素300は、FIB技術などにより基板302から調製された試料305を捕持する作動装置320も具備することができる。この作動装置320は、1若しくはそれ以上の作動部材330を具備し、これらの作動部材330はリボン形状の直線状部材および/または成形部材であるか、これを具備することができる。これら作動部材330の端部340は、前記本体310と一体化または連結することができる。これら作動部材330は、その中点350かその付近かでスペーサー部材などにより互いに連結されていてもよい。さらに、これらの中点350は、前記本体310の中心部へ向かって、またはそれから離れる方向へわずかにオフセットまたは傾斜された中立位置を有することができる。例示した実施形態では、前記中点350は前記本体310の中心部から離れる方向へ傾斜されている。
【0031】
前記把持要素300は、前記作動部材330と一体化されているか、これに連結された把持部材370も具備する。この把持部材370は、前記把持要素300の作動時または作動停止時に、前記FIB調製試料305を固定するよう構成されている。例えば、この把持部材370は、前記FIB調製試料305と整合するよう構成された圧着エンドエフェクタ375を有することができる。言うまでもなく、この圧着エンドエフェクタ375の形状は、図3に示した実質的に半球または半円の形状に限定されず、前記FIB調製試料305に整合して前記試料305の前記基板302からの取り出しを助けるよう成形することができる。例えば、この圧着エンドエフェクタ375は、この圧着エンドエフェクタ375を前記FIB調製試料305の縁部へ導入する際に役立つ弓形で角度を成した、または直線状の凹型形状を有することができる。
【0032】
この圧着エンドエフェクタ375は、前記FIB調製試料305との結合を助けるフィルム、または可鍛性で導熱性および/または導電性の他の表面処理であるか、これを有することができる。例えば、このフィルムは金、銀、インジウム、および/または他の材料を有することができる。前記圧着エンドエフェクタ375の表面処理または表面処理部は、この圧着エンドエフェクタ375の表面を修飾する、あるいは結合能力を強化する1若しくはそれ以上の工程であるか、これを有するか、その結果得られるものである。このようなフィルムおよび/または表面処理には、ナノチューブ構造、ナノチューブ材料、または固有の伸展性をもたらしうる、および/またはファンデルワールス結合力を増加させうる、可能性として凹凸を付けた他の組成物を使用することができる。
【0033】
前記作動部材330は熱エネルギーの付与に応答して膨張および収縮するように構成される。このような熱エネルギー付与は、加熱ランプ、加熱板、またはオーブンを使用することにより達成することができる。局部的な加熱は、レーザー装置でも達成することができる。一実施形態では、前記作動部材330は、この作動部材330、または前記把持要素300の他の部分に沿って流される電流により生成される熱エネルギーに応答して膨張および収縮するよう構成されている。例えば、この作動部材330は、電気抵抗素子、または電流に応答して温度上昇する材料を有することができる。このため、前記作動部材330は、ボンドパッド315か、電流源または電圧源と相互接続するための他手段かに直接または間接に連結されうる。
【0034】
抵抗加熱に応答して前記把持要素300が作動される実施形態では、このような抵抗加熱を前記作動装置320内にもたらすことができる前記抵抗素子は、ドープ多結晶シリコン(ポリシリコン)および/または電流に応答して熱エネルギーを散逸させる従来の、または今後開発される他の材料など、一定長さの抵抗材料をいくつか有することができる。この抵抗素子は、前記把持要素300が作動されたとき前記抵抗素子により散逸する熱エネルギーが前記作動部材330を膨張収縮させる上で十分であるよう、前記作動部材330の内部または表面上に位置するか、あるいは前記作動部材330から十分短距離にある前記把持要素300の内部または表面上の他の位置に配置される。前記作動部材330は、前記作動部材330に印加したバイアス電圧に応答して膨張および収縮するよう、付加的または二者択一的に構成される。このようなバイアス電圧は、前記作動部材330を電圧源と相互接続することにより達成され、可能性としてはこのような相互接続手段として前記ボンドパッド315が使用される。
【0035】
前記作動部材330は、付与される熱エネルギーに応答した温度上昇に伴って膨張する。本開示では種々の熱膨張スキームが企図されているが(構造、熱膨張係数とそれに対応した膨張方向など)、例示した実施形態では、長さが幅または高さより著しく大きい前記作動部材330を示している。これにより、熱エネルギーを付与すると、これらの作動部材330は他のどの方向よりも長さ方向に膨張する。ただし、前記作動部材330の端部340は固定されているため、これら作動部材330は長さ方向に膨張して曲がりを生じる。その結果、これら作動部材330の前記中点350は横方向に平行移動する。前記作動部材330の前記中点350は中心を外して同じ方向へ傾斜させてあるため、それぞれの膨張中に同じ方向へ曲がる。
【0036】
これら作動部材330の前記中点350が前記本体310の中心部から離れる方向へ平行移動することにより、前記把持部材370もこの本体310の中心部から離れる方向へ平行移動する。その結果、前記圧着エンドエフェクタ375は前記FIB調製試料305に接触する。前記圧着エンドエフェクタ375は、前記作動部材330が膨張することにより前記把持部材370を介して与えられた力だけで、前記FIB調製試料305と結合することができる。ただし、前記エンドエフェクタ375および前記FIB調製試料305の結合は、音響エネルギーおよび/または熱エネルギーを付与することでより強化される。このような熱エネルギーの付与は上述したとおりでよく、その場合、前記熱エネルギーの付与および/または付与停止により、前記エンドエフェクタ375と前記FIB調製試料305との間に機械的および/または化学的な結合が形成される。音響エネルギーの付与には、前記把持要素300の中央に位置する、または前記把持要素300から遠く離れた位置にある源からの高周波音または圧力波の照射が含まれうる。
【0037】
一実施形態では、図3に示した前記把持部材370の位置は、熱エネルギーの付与に応答した位置決めの後など、付勢または作動された位置でありうる。これにより、熱エネルギーまたは他の作動手段は、前記FIB調製試料305を初期固定する際のみ必要となり、前記FIB調製試料305をチャンバー間またはツール間で移送している間、または前記FIB調製試料305をチャンバー内またはツール内で位置決めしている間、前記熱エネルギーまたは他の作動手段を付与し続ける必要はなくなる。
【0038】
さらに異なる別の実施形態では、前記把持部材370を前記本体310に堅固に連結することができる。そのような実施形態では、前記把持要素300は、前記作動部材330または他のいかなる作動コンポーネントも具備しなくてよい。すなわち前記把持部材370は、単に前記本体310の位置決めだけにより、前記FIB調製試料305に近接または接触して位置決めされうる。次に前記把持部材370に電流を流すなどして前記把持部材370に熱エネルギーが付与され、この熱エネルギーが前記エンドエフェクタ375の一部を溶融するかこれに触媒作用を及ぼし、あるいは前記把持部材370および前記FIB調製試料305との結合を強化する。このFIB調製試料305は、前記把持部材370および前記FIB調製試料305の圧着中などに前記把持部材370の押圧先となる硬質表面を提供するため、実質的な硬度を有するプラチナまたはタングステンなどの材料の層を含みうる。これにより、前記把持要素300の作動工程は、この把持要素300の少なくとも一部に熱エネルギーおよび/または他のエネルギーを付与する工程に加え、またはそれと二者択一的に、物理的に前記把持要素300を位置決めする工程を有することができる。
【0039】
図4Aは、本開示の態様に係る把持要素400Aのさらに異なる別の一実施形態の少なくとも一部の概略図を例示したものである。この把持要素400Aは、組成および製造上、図2に示した前記把持要素200に実質的に類似したものであってよく、図1に示した前記システム100などの電子顕微鏡システムで使用することができる。
【0040】
この把持要素400Aは、前記把持要素200の表面上または内部に形成されたボンドパッド415を有する本体410を具備することができる。この把持要素400Aは、FIB技術などにより基板402から調製された試料405を把持する作動装置420も具備する。この作動装置420は、1若しくはそれ以上の作動部材430を具備し、これらの作動部材430はリボン形状、直線状部材、あるいは成形部材であるか、これを有することができる。これら作動部材430の第1の端440は、前記本体410と一体化または連結することができる。
【0041】
これら作動部材430は、前記本体410の反対端において把持部材470Aも具備する。これらの把持部材470Aは、前記作動部材430に一体化または連結することができる。これらの把持部材470Aは、前記把持要素400Aの作動時または作動停止時に、前記FIB調製試料405を固定するよう構成されている。例えば、これら把持部材470Aは、前記FIB調製試料405を囲むように適合する、あるいはそれに対応するよう構成された三角形の先端475を有することができる。付加的または二者択一的に、前記把持部材470Aは、FIB工程中など前記基板402内および/または前記試料405内に形成される1若しくはそれ以上の穴(holes)、開口部(apertures)、凹部(recesses)、凹部(indentations)、スロット(slots)、溝(trenches)、または他の開口部403に対し協動する、係合する、嵌入される、あるいは対応するように構成される。前記先端475の形状は、図4Aに示した三角形または先端を面取りした三角形に限定されるものではなく、前記FIB調製試料405を囲むように適合する、および/または前記開口部403内に適合して前記405を把持し前記基板402から取り外すよう成形することができる。
【0042】
前記作動部材430は熱エネルギーの付与に応答して膨張および収縮するように構成される。このような熱エネルギー付与は、加熱ランプ、加熱板、またはオーブンを使用することにより達成することができる。局部的な加熱は、レーザー装置でも達成することができる。一実施形態では、前記作動部材430は、これらの作動部材430、または前記把持要素400Aの他の部分に沿って流される電流により生成される熱エネルギーに応答して膨張および収縮するよう構成されている。例えば、この作動部材430は、電気抵抗素子、または電流に応答して温度上昇する材料を有することができる。このため、前記作動部材430は、ボンドパッド415か、電流源または電圧源と相互接続するための他手段かに直接または間接に連結されうる。
【0043】
抵抗加熱に応答して前記把持要素400Aが作動される実施形態では、このような抵抗加熱を前記作動装置420内にもたらすことができる前記抵抗素子は、ドープ多結晶シリコン(ポリシリコン)および/または電流に応答して熱エネルギーを生成する従来の、または今後開発される他の材料など、一定長さの抵抗材料をいくつか有することができる。この抵抗素子は、前記把持要素400Aが作動されたとき前記抵抗素子により散逸する熱エネルギーが前記作動部材430を膨張収縮させる上で十分であるよう、前記作動部材430の内部または表面上に位置するか、あるいは前記作動部材430から十分短距離にある前記把持要素400Aの内部または表面上の他の位置に配置される。
【0044】
前記作動部材430は、前記把持部材470Aまたは前記作動部材430に印加したバイアス電圧に応答して膨張および収縮するよう、付加的または二者択一的に構成される。このようなバイアス電圧は、前記作動部材430または前記把持部材470Aを電圧源と相互接続することにより達成され、可能性としてはこのような相互接続手段として前記ボンドパッド415が使用される。
【0045】
前記作動部材430は、付与される熱エネルギーに応答した温度上昇に伴って膨張する。本開示では種々の熱膨張スキームが企図されているが(構造、熱膨張係数とそれに対応した膨張方向など)、例示した実施形態では、長さが幅または高さより著しく大きい前記作動部材430を示している。これにより、熱エネルギーを付与すると、これら作動部材430は他のどの方向よりも長さ方向に膨張する。これら作動部材430が膨張すると、前記把持部材470Aは前記本体410から離れる方向へ横方向に伸長する。その結果、前記把持部材470Aは前記FIB調製試料405と整合する。前記FIB調製試料405と前記先端475の傾斜表面とが干渉しあうことにより、前記把持部材は、前記把持部材470Aが前記FIB調製試料の縁部上で少なくとも部分的に摺動する上で必要な程度まで互いに遠ざかる。前記把持要素400Aへの熱エネルギー付与または他の作動手段の適用を停止した時点で、前記把持部材470Aは図4Aに示した中立位置へ向かって付勢されて前記FIB調製試料405の両側面を把持し、その後の平行移動、位置決め、および/または配向用に前記FIB調製試料405を捕持する。
【0046】
一実施形態では、前記作動部材430は、熱エネルギーまたは他の作動手段に応答して作動することなく前記FIB調製試料405を把持するよう構成された可撓性部材でありうる。例えば、これら作動部材430は、前記FIB調製試料405に近接させたのち、この試料405の端部へと押圧することができる。前記作動部材430は可撓性部材であることから、前記FIB調製試料405が前記部材430間に圧入されることに応答して互いに分離することができる。ただし前記作動部材430は、その可撓性のため、前記試料405の側面上を下方へ摺動するに伴って前記FIB調製試料405を挟む際、これを圧迫または把持することができる。その後、前記FIB調製試料405は、前記基板402から完全に切断され、可撓性の前記作動部材430による締まりばめだけで捕持された状態になる。これにより、前記把持要素400Aの作動工程は、この把持要素400Aに熱エネルギー、静電エネルギー、および/または圧電駆動エネルギーまたは手段を付与する工程に加え、またはそれと二者択一的に、物理的に前記把持要素400Aを位置決めする工程を有することができる。
【0047】
図4Bおよび4Cは対になっており、図4Aに示した前記把持要素400Aのさらに異なる別の実施形態(図中では参照番号400B)の概略図を例示したものである。この把持要素400Bは、可能性として以下説明する事柄を除き、前記把持要素400Aに実質的に類似したものであってよい。このように、例示した実施形態において前記把持要素400Bは、図4Aに示した前記把持部材470Aに実質的に類似した把持部材470Bを具備する。
【0048】
ただし、各前記把持部材470Bは、FIB調製試料405の輪郭に対し係合、協動、あるいは少なくとも部分的に対応するよう構成された内部輪郭475を具備する。例えば、この内部輪郭475は、図4Bおよび図4Cに示した実施形態のように、前記試料405の1若しくはそれ以上の凹部または開口部407に対応したキャスタレーション構造(方形波状構造)、波形のこぎり歯状、のこぎり歯状、あるいは波状の輪郭を有することができる。その結果、前記把持要素400Bが前記試料405上に位置決めされるに伴い、この把持要素400Bの前記内部輪郭475は、図4Cに示すように前記試料405の少なくとも一部に係合することができる。言うまでもなく、前記試料405の断面形状は、図4Bおよび図4Cに示した試料405の実質的な矩形断面に適合または類似していなくともよい。さらに、実質的に非矩形の断面を有するこのようなFIB調製試料は、上記の実施形態を含め、本開示の範囲内である他の実施形態でも使用することができる。
【0049】
一部の実施形態では、この試料405は、前記把持要素400Bが前記試料405上に位置決めされるに伴い、前記把持部材470Bの分離を促すか、あるいは前記把持部材470Bを湾曲させうる。したがって前記把持部材470Bの一部の実施形態は、前記試料との接触に応答して前記把持部材470が互いに離れるよう促し、さらに/あるいは前記把持要素400Bの前記試料405上への誘導を助ける表面であって、角度を成した、傾斜した、凹型の、凸型の、あるいは成形された表面(表面476など)を有することができる。前記把持部材470Bは、電気エネルギー、熱エネルギー、および/または上述手段を含む他の作動手段を付与するなどして、前記把持要素400Bを前記試料405上に位置決めする際、作動または作動停止させうる。
【0050】
さらに、これらの把持部材470Bは、図4Bおよび図4C、また本明細書の他の図に例示した実施形態では互いに鏡像であるが、互いに鏡像でなくともよい。例えば、前記把持部材470Bのうち第1の把持部材だけが、前記試料405の輪郭の少なくとも一部に実質的に対応する上記の内部輪郭475を有すようにし、他方、第2の把持部材は実質的に平面状の輪郭、あるいは前記第1の把持輪郭475に対し、鏡像でない、または対応しない輪郭を有すようにしてもよい。このような実施形態では、前記第2の把持部材の輪郭は、前記試料405の輪郭のいかなる部分にも対応しなくてよい。もちろん、前記把持要素400Bの前記把持部材470B間のこのような相違は、本開示の範囲内で把持要素の他の実施形態にも適用することができる。
【0051】
図4Dおよび図4Eは対になっており、図4Aに示した前記把持要素400Aのさらに異なる別の実施形態(図中では参照番号400C)の概略図を例示したものである。この把持要素400Cは、可能性として以下説明する事柄を除き、前記把持要素400Aに実質的に類似したものであってよい。このように、例示した実施形態において前記把持要素400Cは、図4Aに示した前記把持部材470Aに実質的に類似した把持部材470Cを具備する。
【0052】
ただし、各前記把持部材470Cは、FIB調製試料405の輪郭に対し係合、協動、あるいは少なくとも部分的に対応するよう構成された内部輪郭475を具備する。図4Dおよび図4Eでも、前記試料405が実質的に矩形の断面以外の断面形状、あるいはこれらの図に示した断面形状を有することができることを例示している。例えば、図4Dおよび図4Eに示した前記試料405は、実質的に三角形状の断面を有している。他の実施形態では、この試料405の断面は、非対称または不規則な形状を含む他の幾何学形状を有することができる。ただし、前記試料405の断面形状がどのようなものであっても、前記把持部材470Cの前記内部輪郭475は、前記試料405の断面形状に対し実質的に適合、係合、協動、あるいは対応することができる。一部の実施形態では、前記把持部材470Cの前記内部輪郭475と、前記試料405の断面との対応は、前記試料405を前記基板402に連結している部分であって、テーパーがかかった、ネック状になった、細くなった、または他の前記試料405の部分を引き裂く、もぎ取る、破壊する、破砕する、分離させる、あるいは損傷することにより、可能性としては単に前記試料405を把持し前記把持要素400Cを前記基板402から離れる方向へ平行移動することにより、前記把持要素400Cが前記試料405を前記基板402から取り出せるようにする上で十分でありうる。
【0053】
一部の実施形態では、この試料405は、前記把持要素400Cが前記試料405上に位置決めされるに伴い、前記把持部材470Cの分離を促すか、あるいは前記把持部材470Cを湾曲させうる。したがって前記把持部材470Cの一部の実施形態は、前記試料との接触に応答して前記把持部材470が互いに離れるよう促し、さらに/あるいは前記把持要素400Bの前記試料405上への誘導を助ける表面であって、角度を成した、傾斜した、凹型の、凸型の、あるいは成形された表面(表面476など)を有することができる。前記把持部材470Bは、電気エネルギー、熱エネルギー、および/または上述手段を含む他の作動手段を付与するなどして、前記把持要素400Bを前記試料405上に位置決めする際、作動または作動停止させうる。
【0054】
さらに、これらの把持部材470Bは、図4Bおよび図4C、また本明細書の他の図に例示した実施形態では互いに鏡像であるが、互いに鏡像でなくともよい。例えば、前記把持部材470Bのうち第1の把持部材だけが、前記試料405の輪郭の少なくとも一部に実質的に対応する上記の内部輪郭475を有すようにし、他方、第2の把持部材は実質的に平面状の輪郭、あるいは前記第1の把持輪郭475に対し、鏡像でない、または対応しない輪郭を有すようにしてもよい。このような実施形態では、前記第2の把持部材の輪郭は、前記試料405の輪郭のいかなる部分にも対応しなくてよい。もちろん、前記把持要素400Bの前記把持部材470B間のこのような相違は、本開示の範囲内で把持要素の他の実施形態にも適用することができる。
【0055】
図5は、本開示の態様に従って構成された把持要素500のさらに異なる別の一実施形態の少なくとも一部の概略図を例示したものである。この把持要素500は図1に示した前記システム100などの電子顕微鏡システムで使用でき、また図1〜3および図4A〜4Eを参照して説明した前記把持要素に類似したものでありうる。
【0056】
前記把持要素500は本体510を具備し、一実施形態において、この本体510はワイヤーセグメントを実質的に有する。この本体510は、ワイヤーセグメントからプローブを形成しうるタングステンまたは他の材料を含有することができる。例えば、この本体は、エッチングされた、あるいはプローブ先端へと成形された端部515を有するタングステンワイヤーセグメントを有することができる。一実施形態では、前記本体510から形成された前記プローブのこの先端は、約0.1mm〜約1.0mm範囲の直径と、曲率約20nm未満の先端半径とを有することができる。言うまでもなく、この端部515の形状は図5に示した形状に限定されず、また前記FIB調製試料305に整合して前記試料305を前記基板402から取り出すよう成形することができる。例えば、前記端部515は、前記FIB調製試料405縁部への前記端部515の誘導を助ける形状を含む、弓形または実質的に直線状の凹型形状などを有することができる。
【0057】
前記本体510のこの端部515の少なくとも一部は、可鍛層520でコーティングすることができる。この可鍛層520は金、銀、インジウム、これらの合金、および/または他の可鍛材料を有することができる。従って、この端部515は、FIB調製試料505と整合するよう構成された圧着エンドエフェクタとして機能することができる。
【0058】
操作中、この端部515は、前記本体510の位置決めにより、前記FIB調製試料405に近接または接触して位置決めされうる。次に、この端部515に熱エネルギー、圧縮エネルギー、および/または音響エネルギーが付与され、そのエネルギーにより前記可鍛層520の少なくとも一部が軟化または溶融されるか、あるいは前記本体510の前記FIB調製試料405への結合が促進される。前記FIB調製試料405は、前記本体510に抗して押圧される硬質表面をもたらすため、プラチナまたはタングステンなど実質的な硬度を有する材料の層を含みうる。
【0059】
図6は、本開示の態様に係る前記FIB調製試料405(図中では参照番号605)のさらに異なる別の実施形態の断面図を例示したものである。この試料605は、組成および製造上、上記の試料405と実質的に類似したものであってよい。この試料605は、2回(以上)FIBを通過させて調製することができる。例えば図6に示した実施形態の場合、この試料605は、基板602の表面602aに対し鋭角に配向させたFIBを少なくとも2回通過させることにより成形することができる。この基板602は、上記の基板に実質的に類似したものであってよい。この鋭角度は、例示した実施形態のように約45度でありうるが、他の角度も本開示の範囲内である。これにより、前記試料605の側壁605a同士が成す相対角度Aは図6のように約90度になりうるが、約10度〜約150度範囲にもなり、さらに他の実施形態も本開示の範囲内である。
【0060】
一部の実施形態では、前記試料605の断面が三角形または楔(くさび)形であることにより、上記の把持要素といった把持要素による前記試料605の捕持がより堅固なものになる言うまでもなく、この試料605の断面形状は、このような捕持を助ける上記以外の形状でもよく、テーパーがかかった1若しくはそれ以上の側壁605aを有する、あるいは幅が線形に変化しない(階段状輪郭などの)実施形態を含め可変幅を有する他の断面形状などがこれに含まれる。一実施形態では、前記試料605の外部輪郭は、上記の前記把持要素400A、400B、および/または400Cなど、前記試料605の捕持に使用される把持要素の凹部または開口部の内部輪郭に対し、実質的または少なくとも部分的に適合あるいは協動する。
【0061】
図7は、本開示の態様に係る上記の試料405(図中では参照番号705)のさらに異なる別の実施形態の上面図を例示したものである。この試料705は、組成および製造上、前記試料405、605と実質的に類似したものであってよい。この試料705は、周囲705bが非矩形である。もちろん、図7に示した周囲705b以外の周囲形状を有する試料も本開示の範囲内である。
【0062】
この試料705は、前記試料705を前記基板602に連結した部分であって、薄く、可能性としてテーパーがかかった部分705cも含みうる。他の実施形態では、同様に配置された切り欠き部分あるいは一定構成部分が、前記テーパーがかかった部分507cに対し付加的または二者択一的に使用されうる。このようなテーパーがかかった、ネック状になった、細くなった、切り欠き付きの、あるいは成形された領域が前記試料705の脆弱な部分となり、上記の把持要素など把持要素での前記試料705把持工程の実施後など、前記基板602から離れる方向への前記試料705付勢に応答して、前記テーパーがかかった部分507cに応力が集中することができる。言うまでもなく、このような部分705cを使用することに対し、二者択一的または付加的に、前記基板602および前記試料705を連結する前記基板602の一部を、レーザー、マイクロマシニング、選択的エッチング、および/または他の工程を使用するなどして切断してもよい。
【0063】
本開示の範囲内である把持要素製造と、試料調製と、試料の移送および配向と、試料検査との種々の態様は、自動化が可能である。例えば、FIBチャンバー内、可能性として試料ステージ上で、試料を配置および/または配向するには、1若しくはそれ以上のマニピュレータ(それぞれが図1に示した前記ハンドリングアセンブリ150の実施形態であるか、これを含みうる)を使用することができる。このように、本開示の態様に係る1若しくはそれ以上の工程中で、自動化した試料交換が使用できる。前記1若しくはそれ以上のマニピュレータは、付加的な位置決め機構上に固着および/または取り付けることができるグリッドホルダー上に試料を配置するため使用される。
【0064】
パーソナルコンピュータまたは他のコンピュータ装置(本明細書において以下「PC」と総称する)であるか、これを含みうる制御機器は、対象となる試料を配置および配向することができる。このような配置および/または配向では、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、他の電子顕微鏡、光学顕微鏡、または他タイプの顕微鏡など、顕微鏡の画像処理ビームを使用することができる。このような配置および/または配向は、ロボット部品を含む、マニピュレータか、ハンドリングアセンブリか、把持要素か、エンドエフェクタか、これらのコンポーネントかを、画像処理機器と相対的に配向するように構成される他の手段を付加的または二者択一的に使用することができる。
【0065】
なお、本願の規定では、検査工程中またはその工程段階中などにおけるSEMまたはTEMの使用に具体的に言及しているが、本開示の態様は、TEM以外の顕微鏡を使用する用途にも適用可能であるか容易に適用可能である。例えば一実施形態では、FIB機器チャンバー内で試料調製を行い、調製した試料を前記FIBチャンバー内で把持して前記試料の基板から分離し、分離した前記試料をTEM機器チャンバー内で検査することができる。ただし、他の実施形態では、FIB/SEM兼用ツールのチャンバー内、または専用FIBチャンバーではない他のチャンバー内で試料を調製し、その試料を集合的に把持してその基板から分離したのち、TEMチャンバー内で検査することができる。一部の実施形態では、試料調製と、捕持と、切断と、検査と、他の操作とのうち1若しくはそれ以上または各々を、FIBチャンバー内か、SEMチャンバー内か、TEMチャンバー内か、他の顕微鏡機器チャンバー内かに含まれるロボットまたは他の自動機器を含む自動化により実施するか助けることができる。
【0066】
PCを使うと、可能性として電子顕微鏡の画像処理ビームを使用して、対象となる試料との相対位置など、把持要素(本明細書の図を参照して上記説明した把持要素など)の相対位置を決定することができる。一実施形態では光学顕微鏡も付加的または二者択一的に使用でき、その場合、PCおよび/または異なる別の装置は、このような相対位置決定中に使用される特徴検出ソフトウェアを具備することができる。前記PCは、次に試料の上位位置あるいは近接位置へと把持要素を駆動し、前記把持要素を下方へ移動して前記試料に係合させたのち、この把持要素を閉じて前記試料を固定する。上記のとおり、把持要素を閉じて試料を固定するこの工程は、把持要素を作動または作動停止する工程を含む場合があり、あるいは試料に対し把持要素を単に平行移動するだけで把持要素を閉じるか試料を固定できる。
【0067】
一部の実施形態では、試料を基板から分離させる際、追加のFIB切断工程および/または他の工程が必要になりうる。その後、または二者択一的に、マニピュレータで試料を基板から引き離す。次に、可能性としてセンサおよび/または前記画像処理ビームなどからの視覚的フィードバックを使用して、マニピュレータでグリッド配置位置を決定する。そして試料をグリッド配置位置に対し整列する。一部の実施形態では、前記グリッド配置位置の表面を浄化、汚染除去、あるいは調整などするため、その表面へガスを吹き込む場合がある。
【0068】
その後、マニピュレータで試料をグリッドに整列および係合させ、FIBビームで前記グリッド上に前記試料を溶接あるいは固定することができる。他の実施形態では、上記の把持要素などを使って試料を固定(または固定したままに)し配向するなどにより、他の手段を試料の位置決めおよび/または配向に使用することができる。ただし、試料をグリッドに固定する場合は、前記試料を前記把持要素から係合解除してマニピュレータを引き離することができる。
【0069】
このようなリフトアウト(取り出しまたは「ピック」)工程および配置工程の付加的な態様は、以下で説明する。なお、以下で説明する態様の多くはピック工程に関して説明したものであるが、このような態様は配置工程に適用可能であるか容易に適用可能である。
【0070】
上記の工程の自動化を可能にするには、把持要素、把持部材、ハンドリングアセンブリ、マニピュレータ、試料の検査、および/または任意の工程管理測定能力の操作可能性をもたらす種々の装置を、自動顕微鏡試料調製システム(Automated Microscopy Sample Preparation System)(ここで、顕微鏡とはSEM、STM、TEM、光学顕微鏡、および他の顕微鏡機器のうち1若しくはそれ以上を指すことができる)として通信自在に連結することができる。これにより、ビーム装置内への導入用に試料を調製する、ビーム装置内に試料を導入する、測定および/または操作用に試料を調製する、試料上の目標領域に近接させ把持要素を配置する、把持要素を作動させて前記目標領域に対し把持、係合、あるいは接触を行う、また調製した試料を操作するなどの工程を開始、調整、または終了するため、1つの装置から異なる別の装置へ通信が行えるようになる。
【0071】
また、このような工程を自動化できるようにするため、前記自動顕微鏡試料調製システムを有する種々の装置の可動コンポーネントが互いに参照可能になり、また前記システムを有する固定装置にとっても参照可能になるよう(例えば、可動部品から可動部品へ、そして可動部品から固定部品へ)、前記自動顕微鏡試料調製システムが参照システム(Reference System)を有するようにもできる。前記種々の装置の可動コンポーネントを互いに参照させ合うことにより、処理対照である試料の特徴に対し、把持要素の自動位置決めが可能になる。さらに、前記自動顕微鏡試料調製システムの種々の装置を通信自在に連結することにより、前記参照システムにより収集された情報が前記装置間で通信可能になり、これらの装置を開始、監視、調整、終了し、また装置により実施される特定の工程に関するデータを収集できるようになる。
【0072】
前記参照システムは、前記自動顕微鏡試料調製システム内で、またはそれにより使用される種々の装置に関する情報を収集よう、また前記自動顕微鏡試料調製システム内で、またはそれにより使用される前記装置により実施される工程に関する情報を収集するよう動作自在な位置センサ、圧力センサ、環境センサ、材料/元素センサ、タイマー、および/または位置に関する手順(画像処理による位置決定など)といった装置を有することができる。この参照システムは、前記センサ、前記タイマー、および/または前記位置に関する手順により収集された情報を、前記装置間で通信できるメッセージなどに変換するためのプログラム/ソフトウェアも有することができる。例えば、前記参照システムからのメッセージは、電気信号の形態、または前記参照システムに関連付けられたソフトウェアにより生成されるコマンドの形態でありうる。
【0073】
一実施形態では、この参照システムは、前記自動顕微鏡試料調製システムの前記通信自在に連結された装置の1つへプログラムとして組み込まれる制御ルーチン(Control Routine)の一部として実装される。このような例の1つでは、前記参照システムは前記把持要素に操作可能性をもたらす位置決め制御装置にプログラムとして組み込まれた手順セットとして前記制御ルーチン内で実装される。前記制御ルーチンは、本明細書に開示した自動試料調製を可能にする種々のサブルーチンなども有することができる。
【0074】
このような参照システムは、具体的には、実施する自動工程のタイプに応じて異なりうる。例えば、自動工程としての試料調製に前記参照システムが必要とする情報は、自動工程としての試料測定にその参照システムが必要とする情報により異なる。ただし一般には、実施される自動工程のタイプにかかわらず、前記参照システムは荷電粒子ビーム装置により生成されるビームに対する試料の位置、試料に対する把持要素の位置、および/または試料の「マップ」など一定の要因に依存する。試料の「マップ」とは、その試料の特徴の位置決定に使用できる、その試料に関するデータを指す。例えば、この試料は前記試料上に一定の特徴が形成された半導体チップであってよい。試料チップのマップは、その試料の1若しくはそれ以上の特徴であって、処理する必要がある特徴に関する位置情報を提供する。試料のマップは、CADデータ、利用者による試料の工作、および/または、利用者指定または外部システム指定の参照座標のセットを含む(これに限定はされるものではないが)種々のソースから得られる。あるいは、処理する必要のある試料を自動的に検出および処理されるようにでき、したがって前記マップが自動工程自体により動的に生成され見出されるようにすることができる。
【0075】
前記参照システムは、前記制御ルーチンにより実施された工程から得られた情報を使って、荷電粒子ビーム装置の試料チャンバー内で位置決めされた試料の位置を前記荷電粒子ビーム装置のビームと相対的に決定することができる。二者択一的または付加的に、前記制御ルーチンは、位置決めステージまたは把持要素に対する試料の位置を決定したのち前記ビームに対する前記ステージまたは把持要素の位置を見出す工程を含みうる。二者択一的または付加的に、前記制御ルーチンは、位置決めステージに対する把持要素の位置を決定したのち前記ビームに対する前記ステージの位置を見出す工程を含みうる。一例によると、前記制御ルーチンは、標準的な画像解析手順を実施して、前記ビームか位置決めステージか把持要素かに対する試料の位置を決定する。例えば、この画像は、走査済み荷電粒子ビーム、または画像解析ソフトウェア用途に適切な表現を作成できるこのような他の装置で作成された表現から導出可能である。試料上、ステージ上、および/または把持要素上の参照特徴を画像解析で使用すると、前記参照システムに対し前記試料、前記ステージ、および/または前記把持要素の位置または配向を記述する座標系を作成することができる。
【0076】
この参照システムでは、試料チャンバー内において試料の位置に対する把持要素の位置または配向を決定するため前記制御ルーチンにより実施された工程から得られた情報も使用することができる。この工程を実施する方法はいくつか考えられる。一例によれば、前記ビームまたはステージに対する把持要素の位置または配向は、適切な画像解析技術を使って決定される。これに対し二者択一的または付加的に、ハンドリングアセンブリに対する前記把持要素の位置または配向が決定されたのち、前記ビームまたは前記ステージに対する前記把持要素の位置または配向が決定される。把持要素の位置または配向は、画像解析などの技術を使うことにより、またはこのような要件に適したフィードバックを提供する機械センサ、電気センサ、またはレーザーセンサを移動することにより決定できる。
【0077】
可能性として上記のように得られたマップを使用すると、前記参照システムはポジショナー制御装置など、把持要素の操作可能性をもたらす装置へ情報を通信でき、これにより指定された特徴あるいは望ましい位置または配向の上位における前記把持要素の位置駆動が前記装置により始動される。例えば、前記マップに対する特徴の座標、試料チャンバー内で位置決めを行う際の検査試料の実際の位置、前記把持要素の実際の位置、および/または前記ポジショナーの実際の位置は数学的に組み合わせることができる。
【0078】
図8は、上記の参照システムが動作しうる自動顕微鏡試料調製システムの一実施形態の少なくとも一部のブロック図を例示したものである。図8に例示した自動顕微鏡試料調製システム例に従い、システム800は、例えば、把持要素と、荷電粒子ビーム装置800bと、測定装置800cとが連結されたハンドリングアセンブリ(図1に示したアセンブリ150など)を具備し、かつ/またはそれを制御するよう動作自在なポジショナー制御装置800aを有する。前記ポジショナー800aおよび上記のハンドリングアセンブリ150の態様は互いに類似することがあり、以下に説明する場合などでは、これらの用語を同義的に使用しても差し支えない。
【0079】
例をとると、Zyvex Corporationから市販されているS100 Nanomanipulator Systemなどのポジショナー制御装置800aは、本明細書に開示するように前記自動顕微鏡試料調製システムに連結することができる。別の例では、Automated Microscopy Sample Preparation Systemから市販されているKeithley 4200などの測定装置800cも、本明細書に開示するように前記自動顕微鏡試料調製システムに連結することができる。同様に、FEI、LEO、日立、JEOLなどから入手可能なSEMやFIBなどの荷電粒子ビーム装置800bも、前記自動顕微鏡試料調製システムに連結することができる。Evactron Model 30(これも市販されている)などの汚染防止装置800dも、本明細書に開示するように前記自動顕微鏡試料調製システムに連結することができる。
【0080】
前記ポジショナー制御装置800a、荷電粒子ビーム装置800b、および/または汚染防止装置800dは、荷電粒子ビーム装置に試料を導入する、試料の処理用に把持を準備する、試料上の目標領域に近接させて把持要素を位置決めする、前記把持要素を作動させ前記目標領域に接触させる、および/または試料を処理するといった工程を開始および/または制御するため、1つの装置から異なる別の装置へ通信が行われるよう連結することができる。前記装置間の通信は前記制御ルーチンにより解釈でき、前記システム800の前記装置の1つにプログラムとして組み込める。前記制御ルーチンは、前記荷電粒子ビーム装置800bまたは前記システム800に連結された他装置から受け取った通信内容に応答して、前記システム800を構成する前記装置に対し試料の調製または把持要素の準備など特定の工程について始動、監視、データ回収、調整、および/または終了の指示を送るよう動作する。
【0081】
一例によれば、前記制御ルーチンは、前記ポジショナー制御装置800a、前記荷電粒子ビーム装置800b、測定装置800c、および/または汚染防止装置800dのうち1若しくはそれ以上の動作の指示を制御し、また複数の前記手順も制御する単一のコンピュータまたは機械(「主制御コンピュータ」など)へプログラムとして組み込まれる。例えば、試料を荷電粒子ビーム装置内へ導入する手順は、ポジショナー制御装置を操作し前記把持要素を望ましい位置へ駆動するコンピュータと同じコンピュータで制御することができる。また、データ取得(Data Acquisition)基板は、前記位置制御装置を操作するコンピュータまたは機械に実装することができ、これにより例えば、通常であれば前記測定装置のコンピュータか、機械か、操作システムかにより実施される測定または工程を、前記装置が実行できるようにする。
【0082】
前記制御ルーチンと、前記自動顕微鏡試料調製システムの前記装置の1つまたはすべての操作とが単一の機械に常駐する例では、種々の装置間の通信はソフトウェアにより可能となる。さらに異なる別の例によれば、前記ポジショナー制御装置800aと、前記荷電粒子ビーム装置800bと、前記測定装置と、前記汚染防止装置800dとのうち1若しくはそれ以上は、その操作を命令するため別個のコンピュータまたは機械を有する。このような例において、各装置は、ワイヤ、ケーブル、ネットワーク(すなわちEthernet(登録商標)、1394接続、および/またはUSBのTCP/IPネットワーク)といった経路、または無線プロトコルなどの手段により通信自在に連結できる。このように、前記自動顕微鏡試料調製システムの前記装置間の通信は、別個のコンピュータを介し物理ネットワーク経由でアクセスされる、もしくは主制御コンピュータにローカルに常駐しうる論理操作/サブシステムとして記述できる。
【0083】
図9は、前記システム800を有した前記装置の通信を可能にする例示的構成の少なくとも一部をブロック図として例示したものである。この構成例では、試料を操作する操作プラットフォーム810を例示している。本明細書における操作とは、X方向とY方向とZ方向との試料移動を包含し、可能性として電気的、機械的、光学的、または化学的な測定、あるいはこれらの組み合わせを実行するなど試料の物理的および化学的な特性を決定することを包含する(これに限定はされないが)。前記操作プラットフォーム810は、基部806であって、その上にサイト812などのマニピュレータモジュールインターフェースサイトが構成される基部806を具備しうるが、一部の実施形態では、2つ以上のマニピュレータモジュールインターフェースサイトが前記基部806上に具備されうる。前記マニピュレータモジュールインターフェースサイト812は、米国特許出願第10/173,543号(その開示全体を言及により本明細書に組み込むものとする)の説明のようにマニピュレータまたは同様に構成されたモジュールを受容することができる。
【0084】
前記プラットフォーム810は、操作すべき試料を受容する試料ステージ815を有することができる。このプラットフォーム810は、SEMやFIBといった荷電粒子ビーム装置800bへの基部806の連結を可能にするインターフェース807も具備することができる。前記荷電粒子ビーム装置800bがSEMまたはFIBである例では、試料ステージ815上に試料を配置し、インターフェース807を介した前記SEMまたは前記FIBへの連結により、これらSEMまたはFIBの前記試料チャンバー内に前記操作プラットフォーム810を配置する。これにより、例えば一度プラットフォーム810をSEMまたはFIBに連結させると、試料ステージ815上に配置された試料は、この試料を操作するため利用する(1つまたは複数の)前記マニピュレータモジュールと同時に画像処理できるようになる。
【0085】
図9にさらに示すように、ポジショナー制御装置800aは操作プラットフォーム810に連結されている。操作プラットフォーム810がインターフェース807により荷電粒子ビーム装置800bに連結されている場合、前記荷電粒子ビーム装置800bおよび前記ポジショナー制御装置800aは、これらポジショナー制御装置800aおよび荷電粒子ビーム装置800b、さらに、これらの装置内に位置し前記参照システムで使用するための情報を導出するセンサに対し、入出力通信が行えるよう通信自在に連結される。
【0086】
前記ポジショナー制御装置800aは、1若しくはそれ以上の前記インターフェースサイト812に連結された(1つまたは複数の)マニピュレータモジュールの操作を自動制御するためプログラム可能である。一例によれば、可能性として前記参照システムを方法セットとして有する制御ルーチンも、前記荷電粒子ビーム装置800bまたは前記測定装置800cから受け取った通信内容に応答して、前記システム800を構成する前記装置に対し把持要素の準備または配向、試料の調製、または前記把持要素および/またはハンドリングアセンブリの作動など特定の工程について始動、監視、データ回収、調整、および/または終了の指示を送るため、前記ポジショナー制御装置800aにプログラムとして組み込まれる。
【0087】
本開示の態様に係る自動試料移送システムは、前記制御ルーチンおよび/または前記参照システムにより使用される情報を通信する適切なソフトウェアおよびハードウェアにより実現されうる。適切な通信を可能にするハードウェアおよびソフトウェアに加え、前記自動試料移送システムは、試料積載ステーションから前記試料チャンバー内へなど試料を移送するよう動作自在な移送機構(例えば、電気モーター、圧電モーター、MEMSモーター、機械的に作動させる空気圧式機構、または摩擦低減法など)を具備することができる。
【0088】
一例によれば、試料は、ツール、クランプ、ブラケット、グリッパ、把持要素、減圧などにより積載ステーション内の定位置に保たれ、そこで任意選択のディプロセシングおよび調製が実施される。試料が前記試料チャンバーに導入される前に把持要素がチャンバー内に導入され調整される例では、前記把持要素は、前記試料チャンバー内で位置決めされ、試料が積載ステーション内に保たれた状態で調整または特徴付けされる。前記把持要素が適切に調整された旨の信号を受け取ると(このような調整が実行される場合)、前記制御ルーチンは、前記自動試料移送システムの移送機構をトリガして試料を前記試料チャンバー内に導入する。
【0089】
この試料のチャンバー内処理は、前記試料の輪郭および/または断面を画成するなどのため、1回以上のFIB切断を実施する工程を含みうる。チャンバー内処理は、付加的または二者択一的に、XEI Scientific(米国カリフォルニア州レッドウッドシティ(Redwood City))から市販されているEVACTRON(R)SEM−CLEAN(TM)装置などを使用して試料および/または基板表面を汚染除去する工程を含みうる。全体として、EVACTRON(R)SEM−CLEAN(TM)装置は、低出力RFプラズマを使って空気から酸素ラジカルを生成でき、次にこの酸素ラジカルがSEM内部または他の顕微鏡の内部からの炭化水素を酸化し化学的にエッチングする。他の付加的または二者択一的な処理としては、FIBスパッタリング、イオン銃スパッタリング、プラズマまたはラジカルによる浄化などがあり、これらはいずれも前記制御ルーチンのサブルーチンを介して実施できる。
【0090】
導入後、そして任意選択のチャンバー内試料調製および調整後(実施される場合)、この試料が存在する旨の信号が前記制御ルーチンへ送られる。試料が前記試料チャンバー内で位置決めされるのが前記把持要素導入の前であるか後であるか、また可能性として前記把持要素が適切に調整された旨および/または前記試料が前記試料チャンバー内に配置された旨の情報受信時であるかにかかわらず、前記制御ルーチンは、前記参照システムおよび前記ポジショナー制御装置にアクセスして、前記把持要素を前記試料またはその関心のある特徴の上位あるいは近傍に位置決めする。例えば、試料上の関心のある特徴は、前記把持要素が前記試料を最終的に取得する、あるいは前記試料に接触する時点でのTEM試料クーポン試験片の諸点でありうることから、「捕持接触点」(acquisition contact points)と呼ばれる。この捕持接触点の「上位」とは、この捕持接触点への「最終的な」軌跡を決定および実行できる出発点の位置を指すことができる。一例によれば、このような位置は、前記接触捕持点が含まれる平面において前記接触捕持点から法線方向にある。前記捕持接触点近傍での前記把持要素の位置決めは、前記参照システムにより、またはこれを使用して実施される。
【0091】
上記のように、前記参照システムにより、前記自動顕微鏡試料調製システムを有する種々の装置の可動(および静止)コンポーネントは互いに参照され、また前記顕微鏡に参照されることが可能になる。これを受け、前記参照システムが前記試料、前記把持要素、前記ハンドリングアセンブリ、および/または前記試料のマップの相対位置に関する情報を使って適切なメッセージを前記制御ルーチンに提供すると、前記制御ルーチンは前記適切なメッセージを前記ポジショナー制御装置へ送信し、前記把持要素が前記接触捕持点などに対し適切に位置決めされるよう前記把持要素を移動させる。把持要素が望ましい捕持接触点に接触せず、必ずしも前記捕持接触点の真上にないが、移動後はこの捕持接触点に接触しうる他のアプローチ方法も、本開示の態様に従って実施可能である。
【0092】
前記制御ルーチンが適切な位置を含むメッセージを前記ポジショナー制御装置に送信した時点で、前記ポジショナー制御装置は、前記把持要素を前記位置まで移動制御するポジショナーかハンドリングアセンブリか他の装置かの移動に適したハードウェアおよびソフトウェアを具備することになる。その一例として、前記ポジショナー制御装置800aは、米国特許出願第10/173,543号に説明されている方法でポジショナーおよび操作モジュールを操作する。
【0093】
前記制御ルーチンは、把持要素位置決め用の1若しくはそれ以上のサブルーチンで前記ポジショナー制御装置800aの操作を増補し、その場合、前記サブルーチンは前記参照システムにより登録された接触捕持点に対する前記把持要素の位置決めを監視および/または検出する。前記把持要素位置決めサブルーチンは、把持要素が捕持接触点上位の望ましい位置に到達した時点を決定する手順も実施する。把持要素位置決め工程と、前記把持要素が接触点上位の望ましい位置に到達した時点を決定する工程の例示的な手順は、前記荷電粒子ビーム装置により実施される画像処理工程と、アラインメントマークを荷電粒子ビームを使って位置決めする工程と、前記参照システムから得られたマップデータを参照する工程と、前記荷電粒子ビーム装置を教示モードで操作する工程と、前記試料上の絶対座標(以前決定された座標のリストなど)を参照する工程と、自動または半自動の「ポイントアンドクリック」工程とを含む(これに限定はされないが)。
【0094】
言うまでもなく、上記の試料調製、リフトアウト、移動、配向、および/または位置決めで使用される1若しくはそれ以上の工程段階または工程の態様は、前段落で説明した自動化態様に対し付加的(または二者択一的)に自動化することができる。例えば、米国仮特許出願第60/546,840号では、自動化の態様を多数説明している。その中では、自動化態様の多くが試料またはウエハーのプロービングまたは調製の文脈で説明されているが、このような態様は、試料調製と、リフトアウトと、操作と、検査と、本明細書で説明する他の工程とに追加する工程に適用可能であるか容易に適用可能であり、完全に本開示の範囲内である。
【0095】
このように、本開示は方法であって、一実施形態において、集束イオンビーム(FIB)で基板を切断することにより、前記基板から少なくとも部分的に試料を切断する工程と、把持要素を作動させることにより前記基板試料を捕持する工程と、前記捕持済み試料を前記基板から分離させる工程とを含む方法を提供する。
【0096】
本開示の態様に係る方法の異なる別の実施形態は、(1)集束イオンビーム(FIB)で基板を切断することにより、前記基板から少なくとも部分的に試料を切断する工程と、(2)前記試料を捕持するよう構成された圧着エンドエフェクタを有するアセンブリツールを前記試料に近接させて位置決めする工程と、(3)前記圧着エンドエフェクタを介して前記試料に力を加える工程であって、前記力は、前記圧着エンドエフェクタと前記試料とを圧着させる上で十分な大きさを有することにより前記試料を捕持する、前記試料に力を加える工程と、(4)前記捕持済み試料を前記基板から分離させる工程とを含む。
【0097】
本開示は、一実施形態において、試料を基板から少なくとも部分的に切断する集束イオンビーム(FIB)手段と、前記試料を捕持するよう構成された把持要素と、前記試料を捕持するため前記把持要素を作動させる手段と、前記捕持済み試料を前記基板から分離させる手段とを具備するシステムも導入する。
【0098】
本開示では、FIB調製試料を捕持する把持要素も提供される。一実施形態では、この把持要素は、ハンドリングアセンブリに連結されるよう構成された本体と、前記本体に連結された作動部材と、前記作動部材に連結され、前記作動部材の作動に応答してFIB調製試料を捕持するよう構成された把持部材とを具備する。
【0099】
本開示の態様に係る方法の異なる別の実施形態は、(1)集束イオンビーム(FIB)で基板を切断することにより、前記基板から少なくとも部分的に試料を切断する工程と、(2)把持要素で前記基板試料を捕持する工程と、(3)前記捕持済み試料を前記基板から分離させる工程と、(4)前記把持要素を作動させることにより、捕持済み前記基板試料をリリースする工程とを具備する。前記試料の切断と、前記試料の捕持と、前記試料の分離と、前記試料のリリースとのうち1若しくはそれ以上は、自動化することができる。
【0100】
上記では、本開示について当業者の理解がより深まるよう、いくつかの実施形態の特徴を概略説明した。当業者であれば、本明細書で導入した実施形態と同一の目的を実行するため、および/または本明細書で導入した実施形態と同一の優位性を実現するための他の工程および構造を設計または修正する基礎として、本開示内容を容易に適用できることが理解されるであろう。また当業者であれば、このような均等構造が本開示の要旨を変更しないこと、また本開示の要旨を変更しない範囲で種々の変形形態、置換形態、および修正形態が可能であることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0101】
本開示の態様は、添付の図面と併せて以下の「発明を実施するための最良の形態」を読むことにより最もよく理解される。前記分野の標準的慣行に基づき、種々の特徴は実際の縮尺どおりに描画されない場合があることをここに特筆する。例えば、種々の特徴の寸法は、説明を明瞭にするため適宜拡大または縮小している場合がある。
【図1】図1は、本開示の態様に係る顕微鏡検査システムの一実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図2】図2は、本開示の態様に係る把持要素の一実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図3】図3は、本開示の態様に係る把持要素の異なる別の実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図4A】図4Aは、本開示の態様に係る把持要素のさらに異なる別の実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図4B】図4Bおよび図4Cは、本開示の態様に係る把持要素のさらに異なる別の実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図4C】図4Bおよび図4Cは、本開示の態様に係る把持要素のさらに異なる別の実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図4D】図4Dおよび図4Eは、本開示の態様に係る把持要素のさらに異なる別の実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図4E】図4Dおよび図4Eは、本開示の態様に係る把持要素のさらに異なる別の実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図5】図5は、本開示の態様に係る把持要素のさらに異なる別の実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図6】図6は、本開示の態様に係る、FIBで調製した試料を有する基板の一実施形態の少なくとも一部の断面図。
【図7】図7は、本開示の態様に係る、FIBで調製した試料を有する基板の一実施形態の少なくとも一部の上面図。
【図8】図8は、本開示の態様に係るシステムの一実施形態の少なくとも一部のブロック図。
【図9】図9は、本開示の態様に係る、図8に示したシステムの一部の一実施形態のブロック図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology、略称NIST)より付与された70NANB1H3021の下、米国政府の助成により成されたものである。米国政府は、本発明の一定の権利を有する。
【0002】
本願は、2004年2月23日付け申請済みBaurらの米国仮出願第60/546,840号"AUTOMATED AND SEMI−AUTOMATED PROBING IN A CHARGED PARTICLE BEAM DEVICE"(荷電粒子ビーム装置における自動および半自動のプロービング)に関し、その出願日に基づく利益を主張するものでもある本明細書での言及によりその開示全体を本明細書に組み込むものとする。
【0003】
また、本願は、(1)PCT出願番号PCT/US03/16695、Dyerの"MANIPULATION SYSTEM FOR MANIPULATING A SAMPLE UNDER STUDY WITH A MICROSCOPE"(顕微鏡で研究対象試料を操作するための操作システム)および(2)米国特許出願第10/173,543号、Yuらの"MODULAR MANIPULATION SYSTEM FOR MANIPULATING A SAMPLE UNDER STUDY WITH A MICROSCOPE"(顕微鏡で研究対象試料を操作するためのモジュラー操作システム)と(本明細書での言及によりその開示全体を本明細書に組み込むものとする)に関連するものである。本明細書での言及によりその開示全体を本明細書に組み込むものとする。
【背景技術】
【0004】
電子顕微鏡機器は、マイクロスケールおよびナノスケールの対象物に対する検査および操作の実行に必要とされることが多い。一般に、電子顕微鏡では研究対象試料を照射するため電子ビームが使用され、その電子ビームの波長は、光学顕微鏡で使う光の波長よりはるかに短い。近年の電子顕微鏡では、サブナノメートルの分解能(約0.1nmの分解能など)、すなわち最高約100万倍の倍率で、原子レベルの細部を見ることができる。電子顕微鏡その他同様に使用できる顕微鏡としては、原子間力顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡法、走査型トンネリング顕微鏡、走査型近接場光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡などがある。
【0005】
走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、略称SEM)は、別タイプの電子顕微鏡である。典型的なSEMでは、電子のビームを1点に焦点合わせし、試料の表面を走査する。検出器は、試料表面から反射される、あるいは試料表面から生じる後方散乱電子および二次電子を回収し、それらを試料についての写実的な3次元画像を生成するための信号に変換する。この走査工程中、検出器は前記表面の凹部から受け取る電子が比較的少ないため、表面のより低い領域は結果として得られる画像でより暗色になる。SEMでは、最高約200,000の倍率、場合によってはそれ以上の倍率が得られる。
【0006】
集束イオンビーム(focused ion beam、略称FIB)システムは、試料走査で電子ビームの代わりにイオンビームが使用されることを除き、走査型電子顕微鏡に類似している。このイオンビームは、液体金属イオン源(ガリウムなど)から通常約10nm未満のスポットサイズで放出される。FIB技術は、TEMまたは他の電子顕微鏡による検査用に試料を調製するため使用できる。
【0007】
TEM用に調製したFIB試料は、関心のある特定サイトから電子透過断面を迅速に調製する手段をもたらす「リフトアウト」法により製造されることが多い。このリフトアウト法では、試料表面から小型試料を作製するよう、比較的大きなバルク試料をFIBチャンバーに挿入することができる。次に、静電プローブを使って前記小型試料をその溝から取り出して「リフトアウト」し(取り出し)、検査グリッド上に配置する。
【0008】
ただし、静電プローブで取り出した試料を正確に位置決めおよび/または配向することが困難な場合もある。例えば、試料は単に静電力によって一時的に前記プローブに結合するだけで堅固に固定されるわけではないため、プローブから外れる、および/または汚染・破壊される恐れがある。そのため、試料の結合先または溶接先である検査グリッドが必要になりうる。このような工程では、単一配向だけで試料の検査が可能であり、可能性として基板または基板領域を十分に検査するため複数試料の検査が必要になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の開示では、種々の実施形態の異なる特徴を実施するため、多数の異なる実施形態または実施例を提供していることは言うまでもない。以下では、本開示を簡略化するため構成要素および配置の特定の例を説明している。当然のことながら、これらは単なる例に過ぎず、限定を意図するものではない。また、本開示では種々の例で繰り返し参照符号を使用する場合がある。この反復は簡潔性および明瞭性のためであり、それ自体が種々の実施形態および/または開示される構成の関係を決定するものではない。さらに、以下の説明における第2の特徴より上位にある、または前記第2の特徴上にある第1の特徴の構造は、前記第1の特徴および前記第2特徴が直接接触して構成される実施形態を含む場合があり、また前記第1の特徴と前記第2特徴が直接接触し合わないよう前記第1の特徴と前記第2の特徴の間に追加特徴が介在可能な実施形態を含む場合もある。
【0010】
図1は、本開示の態様に係る顕微鏡検査システム100の一実施形態の少なくとも一部の断面図を例示したものである。このシステム100は、集束イオンビーム(focused ion beam、略称FIB)手段120を収容するFIBチャンバー110を具備することができる。このチャンバー110は、FIBでの試料調製後に電子顕微鏡で検査する基板140を支持する際に使用することができるものなどを含むステージ130も収容される。このFIBチャンバー110は、従来の真空槽でも、今後開発される真空槽でも、あるいはFIB手順が実施される他タイプのチャンバーであってもよい。前記FIB手段120は、前記基板140の試料を検査用に調製するため、FIB手順を実施する従来の機器または今後開発される機器を前記基板140上に具備される。例えば、このFIB手段120は、イオンビームを生成するイオン源と、このイオンビームで所定の位置を照射するイオンビーム光学系を具備される。前記ステージ130は、前記チャンバー110および/または前記FIB手段120に対し、最高6の自由度で前記基板140を位置決めおよび配向するよう構成される。
【0011】
前記システム100は、ハンドリングアセンブリ150、または前記FIBチャンバー110および電子顕微鏡チャンバー160の間でFIBで調製した試料(FIB調製試料)を移送する場合などに使用される組み立て、配向、および/または操作用の他のツールも具備する。前記ハンドリングアセンブリ150は、前記FIBチャンバー110または前記電子顕微鏡チャンバー160のどちらかに取り外し自在に連結されるが、自立構造の機器であってもよい。このハンドリングアセンブリ150は、FIB調製試料と整合するよう構成された把持要素155を具備する。一部の実施形態では、このハンドリングアセンブリ150、またはその一部か機能かが、例えば前記FIBチャンバー110および/または前記顕微鏡チャンバー160など、前記ハンドリングアセンブリ150が使用されるチャンバー内に実質的に収容されうる。例えば、位置決めシステムまたは他タイプのマニピュレータが前記ハンドリングアセンブリ150の少なくとも一部を構成し、試料が操作される前記チャンバー内に収容されるようにしてもよい。
【0012】
このシステム100は、それぞれが1若しくはそれ以上の把持要素155を具備される2つ以上のハンドリングアセンブリ150も具備される。各把持要素155は、1若しくはそれ以上のFIB調製試料と整合するようにも構成される。従って、複数の試料を直列または並列どちらでも調製および/または操作でき、これは可能性として、以下さらに説明するとおり自動化により実施される。2つ以上のハンドリングアセンブリ150または把持要素155を使用する場合、各ハンドリングアセンブリ150は、互いに実質的に類似したものであっても、そうでなくてもよく、各把持要素155も、互いに実質的に類似したものであっても、そうでなくてもよい。
【0013】
この把持要素155は、前記電子顕微鏡チャンバー160内の検査グリッド170上にFIB調製試料を位置決めするよう、FIB試料を最高6の自由度で位置決めまたは配向するようにも、あるいは可能性として前記検査グリッド170がない場合はFIB調製試料を検査中に前記電子顕微鏡チャンバー160内で固定するようにも構成される。この把持要素155は、静電気的、熱的、および/または圧電的に作動させるなどして、FIB調製試料を把持するよう作動させうる。この把持要素155は、二者択一的または付加的に、作動停止させることによりFIB調製試料を把持するようにもできる。すなわち、この把持要素155は、電源オンの状態でFIB調製試料を把持し電源オフの状態でFIB調製試料をリリースするか、電源オフの状態でFIB調製試料を把持し電源オンの状態でFIB調製試料をリリースするか、電源オンの状態でFIB調製試料を把持し電源オンの状態でFIB調製試料をリリースするか、電源オフの状態でFIB調製試料を把持し電源オフの状態でFIB調製試料をリリースするか、のように構成される。
【0014】
このハンドリングアセンブリ150と、可能性として前記把持要素155とは、前記FIBチャンバー110内での試料調製中に実行される1若しくはそれ以上の手順工程、前記電子顕微鏡チャンバー160への試料移送、および/または前記電子顕微鏡チャンバー内での試料検査が、一度前記のような手続き工程を始動すると人の手をほとんど、またはまったく介さずに実行できるよう、手操作および/または(自動)ロボット操作される。一部の手順工程は、人の手をほとんど、またはまったく介すことなく、前手順により自動的に始動させることもできる。
【0015】
前記電子顕微鏡チャンバー160は、従来の真空槽でも、今後開発される真空槽でも、あるいは電子顕微鏡手順を実行される他タイプのチャンバーであってもよい。この電子顕微鏡チャンバー160はステージ180を具備してよく、このステージ180は、前記検査グリッド170を支持し、この検査グリッド170が使用されない場合はFIB調製試料を支持し、かつ/または前記ハンドリングアセンブリ150と協動して、FIB調製試料を検査中に位置決めおよび配向する。この電子顕微鏡チャンバー160は、FIB調製試料を検査するための検査手段190も具備する。一実施形態では、この検査手段190は透過型電子顕微鏡(transmission electron microscope、略称TEM)を具備する。言うまでもなく、この検査手段190は、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、略称SEM)、原子間力顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡法、走査型トンネリング顕微鏡(scanning tunneling microscope、略称STM)、走査型近接場光学顕微鏡など、他の顕微鏡機器を具備される。この検査手段190は、イオン顕微鏡または光学顕微鏡など、電子顕微鏡以外の検査手段、または電子顕微鏡に追加した検査手段も具備される。ただし、単に簡潔化のため、本明細書におけるいかなる顕微鏡機器または顕微鏡装置への言及も電子顕微鏡装置への言及であるとし、このような言及はイオン顕微鏡または光学顕微鏡など他の顕微鏡装置も含むよう意図される。前記検査手段190は、2つ以上の顕微鏡機器も具備される。例えば、前記電子顕微鏡チャンバー160および/または前記システム100は、検査および/または付加的な試料調製工程に1若しくはそれ以上のチャンバーが使用されるよう、複数のチャンバーであって、それぞれ検査工程で1若しくはそれ以上の工程に使用される複数のチャンバーを具備することができる。
【0016】
このシステム100の操作の一実施形態では、検査対象である前記基板140は、前記ステージ130および/または前記ハンドリングアセンブリ150の操作などにより、前記FIBチャンバー110内で配向される。その後、従来のFIB工程または今後開発されるFIB工程が実行されて、前記基板140から後続検査用の試料が画成される。次に試料は、手操作および/またはロボット操作により前記把持要素155で把持、係合、固定、あるいは捕持(本明細書において以下、「捕持」と総称する)されたのち、手操作および/またはロボット操作で前記FIBチャンバー110から取り出される。次に、前記ハンドリングアセンブリ150および前記把持要素155は、前記FIB調製試料を前記電子顕微鏡チャンバー160へ移送し、前記電子顕微鏡手段190により前記FIB調製試料を検査用に配向する。前記FIB調製試料の移送および/または配向は、手操作または(自動)ロボット操作することができる。
【0017】
FIB調製試料は、検査中、前記把持要素155に捕持されたままであってよい。異なる別の実施形態では、FIB調製試料が検査前に前記把持要素155からリリースされるよう、前記ハンドリングアセンブリ150および前記把持要素155が検査前に前記検査グリッド170上でFIB調製試料を位置決めおよび配向する。あるいは、これらハンドリングアセンブリ150および把持要素155は、前記電子顕微鏡チャンバー160内でのFIB調製試料配置前に前記検査グリッド170上でFIB調製試料を位置決めおよび/または配向してもよく、その場合、前記検査グリッド170は、FIB調製試料が前記把持要素155からリリースされた後、前記電子顕微鏡チャンバー160内で位置決めおよび/または配向される。
【0018】
前記システム100の操作では、電子顕微鏡での検査前に前記FIBチャンバーからFIB調製試料を取り出す必要がない場合がある。例えば、単一のチャンバー(または複数チャンバーツール)が前記FIB手段120および前記電子顕微鏡手段190の双方を具備する場合がある。その結果、FIB調製試料は単に前記FIB手段120および前記電子顕微鏡手段190の作業領域間を移送するだけで、前記ハンドリングアセンブリ150および前記把持要素155により適切に配向されうるか、もしくはFIB調製試料は実質的に静止したままでFIB手段120が前記試料から離れる方向へ向かって再位置決めされ、前記電子顕微鏡手段190が検査のため前記試料に近接させて再位置決めされるようにできる。
【0019】
一部の実施形態では、前記検査グリッド170は、1若しくはそれ以上のラッチ、クランプ、ソケット、ハンドル、またはこれらの組み合わせといった把持手段か、試料を連結あるいは固定する他の手段かを具備することができる。このような把持手段は、以下で説明する把持要素の1若しくはそれ以上の実施形態を具備する、および/またはそれに類似しうる。例えば一実施形態では、前記検査グリッド170は、互いに抗して付勢された、あるいは互いに近接または接触した2つ以上の把持部材を有する把持手段を具備してよく、その場合、前記把持部材は弾性または付勢自在な性質を有することができる。このような実施形態では、FIB調製試料は前記把持部材間の位置へ移動され、前記検査グリッド170の把持部材の付勢自在な性質のため前記試料を前記検査グリッド170に溶接または永久固定することなく前記試料が固定されるよう、前記把持要素155によりリリースされる。前記検査グリッド170の前記把持部材は、例えばFIB調製試料の前記検査グリッド170への固定を、可能性として1若しくはそれ以上の所定位置において堅固なものにする、あるいは改善または支援するよう構成されるものなど、前記試料の外部輪郭に対応した内部輪郭または他の輪郭も有することができる。
【0020】
したがって一部の実施形態では、前記把持要素155を使用して前記検査グリッド170上で前記試料を初期位置決めし、前記試料をリリースしたのち、再び前記試料を把持し再配向して前記試料を前記検査グリッド170上で新しい配向に位置決めすることができる。同様に一部の実施形態では、前記把持要素155を使用して前記検査グリッド170上で前記試料を初期位置決めし、前記試料をリリースしたのち、再び前記試料を把持し、追加顕微鏡チャンバーなど異なる別の検査環境および/または処理環境に前記試料を移送することができる。
【0021】
図2は、本開示の態様に係る把持要素200の一実施形態の少なくとも一部の概略図を例示したものである。一実施形態では、この把持要素200は、前記把持要素155などの役割を果たすものとして図1に示した前記システム100において使用されうる。この把持要素200は、前記把持要素200の表面上または内部に形成されたボンドパッド215を有する本体210を具備することができる。この把持要素200は、FIB技術などにより基板202から調製された試料205を把持する作動装置220も具備する。この作動装置220は、1若しくはそれ以上の作動部材230を具備し、これらの作動部材230はリボン形状の直線状部材および/または成形部材であるか、これを具備することができる。これら作動部材230の遠端240は、前記本体210と一体化または連結することができる。これら作動部材230の近端は、スペーサー部材250などにより互いに連結することができる。あるいは、これら作動部材230のうち1若しくはそれ以上が実質的に前記作動装置220の幅だけ延在してもよく、可能性としては(例えば図2のように前記本体210の中心部へ向かって)角度を成した凹型輪郭または弓形の凹型輪郭を有するか、(例えば前記本体210の中心部から離れる方向へ傾斜して)角度を成した凹型輪郭または弓形の凹型輪郭を有する。
【0022】
前記把持要素200は、前記作動部材230と一体化されているか、これに連結された把持部材270も具備する。これらの把持部材270は、前記把持要素200の作動時または作動停止時に、前記FIB調製試料205を固定するよう構成されている。例えば、前記作動部材230は熱エネルギーの付与に応答して膨張および収縮するよう構成される。このような熱エネルギー付与は、加熱ランプ、加熱板、またはオーブンを使用することにより達成することができる。局部的な加熱は、レーザー装置でも達成することができる。一実施形態では、前記作動部材230は、この作動部材230に沿って流される電流により生成される熱エネルギーに応答して膨張および収縮するよう構成されている。例えば、前記作動部材230、または前記把持要素200の他の部分は、電気抵抗素子、または電流に応答して温度上昇する材料を有することができる。このため、前記作動部材230は、ボンドパッド215か、電流源または電圧源と相互接続するための他手段かに直接または間接に連結されうる。
【0023】
抵抗加熱に応答して前記把持要素200が作動または作動停止される実施形態では、このような抵抗加熱を前記作動装置220内にもたらことができる前記抵抗素子は、単結晶シリコン、ドープ多結晶シリコン(ポリシリコン)、および/または電流に応答して熱エネルギーを生成する従来の、または今後開発される他の材料など、一定長さの抵抗材料をいくつか有することができる。この抵抗素子は、前記把持要素200が作動されたとき前記抵抗素子により散逸する熱エネルギーが前記作動部材230を膨張収縮させる上で十分であるよう、前記作動部材230の内部または表面上に位置するか、あるいは前記作動部材230から十分短距離にある前記把持要素200の内部または表面上の他の位置に配置される。
【0024】
前記作動部材230は、前記把持部材270または前記作動部材230に印加したバイアス電圧に応答して膨張および収縮するよう、付加的または二者択一的に構成される。このようなバイアス電圧は、前記作動部材230または前記把持部材270を電圧源と相互接続することにより達成され、可能性としてはこのような相互接続手段として前記ボンドパッド215が使用される。一実施形態では、これら作動部材230は、熱的に作動されず他の手段で作動されるよう、熱エネルギー以外に応答して膨張および/または収縮するよう構成される。一実施形態では、これら作動部材230またはその一部、および/またはその内部に付随した支持構造は、電気的および/または熱的に作動されるものなどを含む形状記憶合金を有することができる。
【0025】
前記作動部材230は、付与される熱エネルギーに応答した温度上昇に伴って膨張する。本開示では種々の熱膨張スキームが企図されているが(構造、熱膨張係数とそれに対応した膨張方向など)、例示した実施形態では、長さが幅または高さより著しく大きい前記作動部材230を示している。これにより、熱エネルギーを付与すると、これらの作動部材230は他のどの方向よりも長さ方向に膨張する。ただし、前記作動部材230の端部240は固定されているため、これら作動部材230は長さ方向に膨張し、前記本体210の中心部へ向かって曲がるか平行移動する。その結果、これら作動部材230の中点および前記スペーサー部材250は、前記本体210の中心部へ向かって平行移動する。前記作動部材230の中点は中心を外して同じ方向へ傾斜させてあるため、それぞれの膨張中に同じ方向へ曲がるか平行移動する。
【0026】
その結果、前記スペーサー部材250が前記本体210の中心部へ向かって平行移動し、前記作動部材270の対向し合う部分間の角度が狭まる。これにより、前記スペーサー部材250が前記本体210の中心部へ向かって平行移動することに加え、前記把持部材270も内向きに回転して前記FIB調製試料205の両側面を把持する。
【0027】
一実施形態では、熱エネルギーの付与に応答した位置決めの後など、作動済み状態での前記把持部材270の位置は試料がリリースされた位置でありうる。このような実施形態では、これら把持部材270は、電源オフの状態で前記FIB調製試料205を固定することができる。言い換えると、前記把持部材270は、熱エネルギーまたは他の作動手段に応答して膨張すると互いに遠ざかり、熱エネルギーまたは他の作動手段の除去時には収縮して閉塞位置になりうる。これにより、熱エネルギーまたは他の作動手段は前記試料205を把持する前に前記把持部材270を前記試料205に近接させて初期位置決めする際だけ必要となり、チャンバー間またはツール間で前記FIB調製試料205を移送する間、またはチャンバー内またはツール内で前記FIB調製試料205を位置決めまたは配向している間、熱エネルギーを付与し続ける必要はなくなる。
【0028】
一実施形態では、前記把持要素200はマイクロ電子(電気)機械システム(micro−electro−mechanical system、略称MEMS)の装置として製造することができる。例えば、基板上に絶縁層および1若しくはそれ以上の導電層を連続的に積み重ねることができる。前記本体210および前記作動装置220は、マイクロマシニングおよび/または、可能性としてフォトレジストまたは他材料のマスクを使用した従来のエッチング工程か今後開発されるエッチング工程かによりこの導電層内に画成することができる。前記ボンドパッド215は、前記本体210と同じ導電層から形成するか、前記本体210が画成されている導電層より上位にある第2の導電層内に画成することができる。前記把持要素200は、図1に示した前記ハンドリングアセンブリ150などのハンドリングアセンブリとのインターフェース用手段も具備するが、このようなインターフェース手段は本開示の範囲により限定されるものではない。このようなインターフェース手段は前記本体210を画成する層内に画成することができる。前記絶縁層は非ドープシリコン、二酸化ケイ素、異なる別の酸化物、または電気絶縁材料を含有してよく、前記1若しくはそれ以上の導電層は、ドープポリシリコン、金、および/または他の導電性材料を含有してよい。
【0029】
図3は、本開示の態様に係る把持要素300の異なる別の一実施形態の少なくとも一部の概略図を例示したものである。この把持要素300は、組成および製造上、図2に示した前記把持要素200に実質的に類似したものであってよく、図1に示した前記システム100などの電子顕微鏡システムで使用することができる。
【0030】
この把持要素300は、前記把持要素200の表面上または内部に形成されたボンドパッド315を有する本体310を具備することができる。この把持要素300は、FIB技術などにより基板302から調製された試料305を捕持する作動装置320も具備することができる。この作動装置320は、1若しくはそれ以上の作動部材330を具備し、これらの作動部材330はリボン形状の直線状部材および/または成形部材であるか、これを具備することができる。これら作動部材330の端部340は、前記本体310と一体化または連結することができる。これら作動部材330は、その中点350かその付近かでスペーサー部材などにより互いに連結されていてもよい。さらに、これらの中点350は、前記本体310の中心部へ向かって、またはそれから離れる方向へわずかにオフセットまたは傾斜された中立位置を有することができる。例示した実施形態では、前記中点350は前記本体310の中心部から離れる方向へ傾斜されている。
【0031】
前記把持要素300は、前記作動部材330と一体化されているか、これに連結された把持部材370も具備する。この把持部材370は、前記把持要素300の作動時または作動停止時に、前記FIB調製試料305を固定するよう構成されている。例えば、この把持部材370は、前記FIB調製試料305と整合するよう構成された圧着エンドエフェクタ375を有することができる。言うまでもなく、この圧着エンドエフェクタ375の形状は、図3に示した実質的に半球または半円の形状に限定されず、前記FIB調製試料305に整合して前記試料305の前記基板302からの取り出しを助けるよう成形することができる。例えば、この圧着エンドエフェクタ375は、この圧着エンドエフェクタ375を前記FIB調製試料305の縁部へ導入する際に役立つ弓形で角度を成した、または直線状の凹型形状を有することができる。
【0032】
この圧着エンドエフェクタ375は、前記FIB調製試料305との結合を助けるフィルム、または可鍛性で導熱性および/または導電性の他の表面処理であるか、これを有することができる。例えば、このフィルムは金、銀、インジウム、および/または他の材料を有することができる。前記圧着エンドエフェクタ375の表面処理または表面処理部は、この圧着エンドエフェクタ375の表面を修飾する、あるいは結合能力を強化する1若しくはそれ以上の工程であるか、これを有するか、その結果得られるものである。このようなフィルムおよび/または表面処理には、ナノチューブ構造、ナノチューブ材料、または固有の伸展性をもたらしうる、および/またはファンデルワールス結合力を増加させうる、可能性として凹凸を付けた他の組成物を使用することができる。
【0033】
前記作動部材330は熱エネルギーの付与に応答して膨張および収縮するように構成される。このような熱エネルギー付与は、加熱ランプ、加熱板、またはオーブンを使用することにより達成することができる。局部的な加熱は、レーザー装置でも達成することができる。一実施形態では、前記作動部材330は、この作動部材330、または前記把持要素300の他の部分に沿って流される電流により生成される熱エネルギーに応答して膨張および収縮するよう構成されている。例えば、この作動部材330は、電気抵抗素子、または電流に応答して温度上昇する材料を有することができる。このため、前記作動部材330は、ボンドパッド315か、電流源または電圧源と相互接続するための他手段かに直接または間接に連結されうる。
【0034】
抵抗加熱に応答して前記把持要素300が作動される実施形態では、このような抵抗加熱を前記作動装置320内にもたらすことができる前記抵抗素子は、ドープ多結晶シリコン(ポリシリコン)および/または電流に応答して熱エネルギーを散逸させる従来の、または今後開発される他の材料など、一定長さの抵抗材料をいくつか有することができる。この抵抗素子は、前記把持要素300が作動されたとき前記抵抗素子により散逸する熱エネルギーが前記作動部材330を膨張収縮させる上で十分であるよう、前記作動部材330の内部または表面上に位置するか、あるいは前記作動部材330から十分短距離にある前記把持要素300の内部または表面上の他の位置に配置される。前記作動部材330は、前記作動部材330に印加したバイアス電圧に応答して膨張および収縮するよう、付加的または二者択一的に構成される。このようなバイアス電圧は、前記作動部材330を電圧源と相互接続することにより達成され、可能性としてはこのような相互接続手段として前記ボンドパッド315が使用される。
【0035】
前記作動部材330は、付与される熱エネルギーに応答した温度上昇に伴って膨張する。本開示では種々の熱膨張スキームが企図されているが(構造、熱膨張係数とそれに対応した膨張方向など)、例示した実施形態では、長さが幅または高さより著しく大きい前記作動部材330を示している。これにより、熱エネルギーを付与すると、これらの作動部材330は他のどの方向よりも長さ方向に膨張する。ただし、前記作動部材330の端部340は固定されているため、これら作動部材330は長さ方向に膨張して曲がりを生じる。その結果、これら作動部材330の前記中点350は横方向に平行移動する。前記作動部材330の前記中点350は中心を外して同じ方向へ傾斜させてあるため、それぞれの膨張中に同じ方向へ曲がる。
【0036】
これら作動部材330の前記中点350が前記本体310の中心部から離れる方向へ平行移動することにより、前記把持部材370もこの本体310の中心部から離れる方向へ平行移動する。その結果、前記圧着エンドエフェクタ375は前記FIB調製試料305に接触する。前記圧着エンドエフェクタ375は、前記作動部材330が膨張することにより前記把持部材370を介して与えられた力だけで、前記FIB調製試料305と結合することができる。ただし、前記エンドエフェクタ375および前記FIB調製試料305の結合は、音響エネルギーおよび/または熱エネルギーを付与することでより強化される。このような熱エネルギーの付与は上述したとおりでよく、その場合、前記熱エネルギーの付与および/または付与停止により、前記エンドエフェクタ375と前記FIB調製試料305との間に機械的および/または化学的な結合が形成される。音響エネルギーの付与には、前記把持要素300の中央に位置する、または前記把持要素300から遠く離れた位置にある源からの高周波音または圧力波の照射が含まれうる。
【0037】
一実施形態では、図3に示した前記把持部材370の位置は、熱エネルギーの付与に応答した位置決めの後など、付勢または作動された位置でありうる。これにより、熱エネルギーまたは他の作動手段は、前記FIB調製試料305を初期固定する際のみ必要となり、前記FIB調製試料305をチャンバー間またはツール間で移送している間、または前記FIB調製試料305をチャンバー内またはツール内で位置決めしている間、前記熱エネルギーまたは他の作動手段を付与し続ける必要はなくなる。
【0038】
さらに異なる別の実施形態では、前記把持部材370を前記本体310に堅固に連結することができる。そのような実施形態では、前記把持要素300は、前記作動部材330または他のいかなる作動コンポーネントも具備しなくてよい。すなわち前記把持部材370は、単に前記本体310の位置決めだけにより、前記FIB調製試料305に近接または接触して位置決めされうる。次に前記把持部材370に電流を流すなどして前記把持部材370に熱エネルギーが付与され、この熱エネルギーが前記エンドエフェクタ375の一部を溶融するかこれに触媒作用を及ぼし、あるいは前記把持部材370および前記FIB調製試料305との結合を強化する。このFIB調製試料305は、前記把持部材370および前記FIB調製試料305の圧着中などに前記把持部材370の押圧先となる硬質表面を提供するため、実質的な硬度を有するプラチナまたはタングステンなどの材料の層を含みうる。これにより、前記把持要素300の作動工程は、この把持要素300の少なくとも一部に熱エネルギーおよび/または他のエネルギーを付与する工程に加え、またはそれと二者択一的に、物理的に前記把持要素300を位置決めする工程を有することができる。
【0039】
図4Aは、本開示の態様に係る把持要素400Aのさらに異なる別の一実施形態の少なくとも一部の概略図を例示したものである。この把持要素400Aは、組成および製造上、図2に示した前記把持要素200に実質的に類似したものであってよく、図1に示した前記システム100などの電子顕微鏡システムで使用することができる。
【0040】
この把持要素400Aは、前記把持要素200の表面上または内部に形成されたボンドパッド415を有する本体410を具備することができる。この把持要素400Aは、FIB技術などにより基板402から調製された試料405を把持する作動装置420も具備する。この作動装置420は、1若しくはそれ以上の作動部材430を具備し、これらの作動部材430はリボン形状、直線状部材、あるいは成形部材であるか、これを有することができる。これら作動部材430の第1の端440は、前記本体410と一体化または連結することができる。
【0041】
これら作動部材430は、前記本体410の反対端において把持部材470Aも具備する。これらの把持部材470Aは、前記作動部材430に一体化または連結することができる。これらの把持部材470Aは、前記把持要素400Aの作動時または作動停止時に、前記FIB調製試料405を固定するよう構成されている。例えば、これら把持部材470Aは、前記FIB調製試料405を囲むように適合する、あるいはそれに対応するよう構成された三角形の先端475を有することができる。付加的または二者択一的に、前記把持部材470Aは、FIB工程中など前記基板402内および/または前記試料405内に形成される1若しくはそれ以上の穴(holes)、開口部(apertures)、凹部(recesses)、凹部(indentations)、スロット(slots)、溝(trenches)、または他の開口部403に対し協動する、係合する、嵌入される、あるいは対応するように構成される。前記先端475の形状は、図4Aに示した三角形または先端を面取りした三角形に限定されるものではなく、前記FIB調製試料405を囲むように適合する、および/または前記開口部403内に適合して前記405を把持し前記基板402から取り外すよう成形することができる。
【0042】
前記作動部材430は熱エネルギーの付与に応答して膨張および収縮するように構成される。このような熱エネルギー付与は、加熱ランプ、加熱板、またはオーブンを使用することにより達成することができる。局部的な加熱は、レーザー装置でも達成することができる。一実施形態では、前記作動部材430は、これらの作動部材430、または前記把持要素400Aの他の部分に沿って流される電流により生成される熱エネルギーに応答して膨張および収縮するよう構成されている。例えば、この作動部材430は、電気抵抗素子、または電流に応答して温度上昇する材料を有することができる。このため、前記作動部材430は、ボンドパッド415か、電流源または電圧源と相互接続するための他手段かに直接または間接に連結されうる。
【0043】
抵抗加熱に応答して前記把持要素400Aが作動される実施形態では、このような抵抗加熱を前記作動装置420内にもたらすことができる前記抵抗素子は、ドープ多結晶シリコン(ポリシリコン)および/または電流に応答して熱エネルギーを生成する従来の、または今後開発される他の材料など、一定長さの抵抗材料をいくつか有することができる。この抵抗素子は、前記把持要素400Aが作動されたとき前記抵抗素子により散逸する熱エネルギーが前記作動部材430を膨張収縮させる上で十分であるよう、前記作動部材430の内部または表面上に位置するか、あるいは前記作動部材430から十分短距離にある前記把持要素400Aの内部または表面上の他の位置に配置される。
【0044】
前記作動部材430は、前記把持部材470Aまたは前記作動部材430に印加したバイアス電圧に応答して膨張および収縮するよう、付加的または二者択一的に構成される。このようなバイアス電圧は、前記作動部材430または前記把持部材470Aを電圧源と相互接続することにより達成され、可能性としてはこのような相互接続手段として前記ボンドパッド415が使用される。
【0045】
前記作動部材430は、付与される熱エネルギーに応答した温度上昇に伴って膨張する。本開示では種々の熱膨張スキームが企図されているが(構造、熱膨張係数とそれに対応した膨張方向など)、例示した実施形態では、長さが幅または高さより著しく大きい前記作動部材430を示している。これにより、熱エネルギーを付与すると、これら作動部材430は他のどの方向よりも長さ方向に膨張する。これら作動部材430が膨張すると、前記把持部材470Aは前記本体410から離れる方向へ横方向に伸長する。その結果、前記把持部材470Aは前記FIB調製試料405と整合する。前記FIB調製試料405と前記先端475の傾斜表面とが干渉しあうことにより、前記把持部材は、前記把持部材470Aが前記FIB調製試料の縁部上で少なくとも部分的に摺動する上で必要な程度まで互いに遠ざかる。前記把持要素400Aへの熱エネルギー付与または他の作動手段の適用を停止した時点で、前記把持部材470Aは図4Aに示した中立位置へ向かって付勢されて前記FIB調製試料405の両側面を把持し、その後の平行移動、位置決め、および/または配向用に前記FIB調製試料405を捕持する。
【0046】
一実施形態では、前記作動部材430は、熱エネルギーまたは他の作動手段に応答して作動することなく前記FIB調製試料405を把持するよう構成された可撓性部材でありうる。例えば、これら作動部材430は、前記FIB調製試料405に近接させたのち、この試料405の端部へと押圧することができる。前記作動部材430は可撓性部材であることから、前記FIB調製試料405が前記部材430間に圧入されることに応答して互いに分離することができる。ただし前記作動部材430は、その可撓性のため、前記試料405の側面上を下方へ摺動するに伴って前記FIB調製試料405を挟む際、これを圧迫または把持することができる。その後、前記FIB調製試料405は、前記基板402から完全に切断され、可撓性の前記作動部材430による締まりばめだけで捕持された状態になる。これにより、前記把持要素400Aの作動工程は、この把持要素400Aに熱エネルギー、静電エネルギー、および/または圧電駆動エネルギーまたは手段を付与する工程に加え、またはそれと二者択一的に、物理的に前記把持要素400Aを位置決めする工程を有することができる。
【0047】
図4Bおよび4Cは対になっており、図4Aに示した前記把持要素400Aのさらに異なる別の実施形態(図中では参照番号400B)の概略図を例示したものである。この把持要素400Bは、可能性として以下説明する事柄を除き、前記把持要素400Aに実質的に類似したものであってよい。このように、例示した実施形態において前記把持要素400Bは、図4Aに示した前記把持部材470Aに実質的に類似した把持部材470Bを具備する。
【0048】
ただし、各前記把持部材470Bは、FIB調製試料405の輪郭に対し係合、協動、あるいは少なくとも部分的に対応するよう構成された内部輪郭475を具備する。例えば、この内部輪郭475は、図4Bおよび図4Cに示した実施形態のように、前記試料405の1若しくはそれ以上の凹部または開口部407に対応したキャスタレーション構造(方形波状構造)、波形のこぎり歯状、のこぎり歯状、あるいは波状の輪郭を有することができる。その結果、前記把持要素400Bが前記試料405上に位置決めされるに伴い、この把持要素400Bの前記内部輪郭475は、図4Cに示すように前記試料405の少なくとも一部に係合することができる。言うまでもなく、前記試料405の断面形状は、図4Bおよび図4Cに示した試料405の実質的な矩形断面に適合または類似していなくともよい。さらに、実質的に非矩形の断面を有するこのようなFIB調製試料は、上記の実施形態を含め、本開示の範囲内である他の実施形態でも使用することができる。
【0049】
一部の実施形態では、この試料405は、前記把持要素400Bが前記試料405上に位置決めされるに伴い、前記把持部材470Bの分離を促すか、あるいは前記把持部材470Bを湾曲させうる。したがって前記把持部材470Bの一部の実施形態は、前記試料との接触に応答して前記把持部材470が互いに離れるよう促し、さらに/あるいは前記把持要素400Bの前記試料405上への誘導を助ける表面であって、角度を成した、傾斜した、凹型の、凸型の、あるいは成形された表面(表面476など)を有することができる。前記把持部材470Bは、電気エネルギー、熱エネルギー、および/または上述手段を含む他の作動手段を付与するなどして、前記把持要素400Bを前記試料405上に位置決めする際、作動または作動停止させうる。
【0050】
さらに、これらの把持部材470Bは、図4Bおよび図4C、また本明細書の他の図に例示した実施形態では互いに鏡像であるが、互いに鏡像でなくともよい。例えば、前記把持部材470Bのうち第1の把持部材だけが、前記試料405の輪郭の少なくとも一部に実質的に対応する上記の内部輪郭475を有すようにし、他方、第2の把持部材は実質的に平面状の輪郭、あるいは前記第1の把持輪郭475に対し、鏡像でない、または対応しない輪郭を有すようにしてもよい。このような実施形態では、前記第2の把持部材の輪郭は、前記試料405の輪郭のいかなる部分にも対応しなくてよい。もちろん、前記把持要素400Bの前記把持部材470B間のこのような相違は、本開示の範囲内で把持要素の他の実施形態にも適用することができる。
【0051】
図4Dおよび図4Eは対になっており、図4Aに示した前記把持要素400Aのさらに異なる別の実施形態(図中では参照番号400C)の概略図を例示したものである。この把持要素400Cは、可能性として以下説明する事柄を除き、前記把持要素400Aに実質的に類似したものであってよい。このように、例示した実施形態において前記把持要素400Cは、図4Aに示した前記把持部材470Aに実質的に類似した把持部材470Cを具備する。
【0052】
ただし、各前記把持部材470Cは、FIB調製試料405の輪郭に対し係合、協動、あるいは少なくとも部分的に対応するよう構成された内部輪郭475を具備する。図4Dおよび図4Eでも、前記試料405が実質的に矩形の断面以外の断面形状、あるいはこれらの図に示した断面形状を有することができることを例示している。例えば、図4Dおよび図4Eに示した前記試料405は、実質的に三角形状の断面を有している。他の実施形態では、この試料405の断面は、非対称または不規則な形状を含む他の幾何学形状を有することができる。ただし、前記試料405の断面形状がどのようなものであっても、前記把持部材470Cの前記内部輪郭475は、前記試料405の断面形状に対し実質的に適合、係合、協動、あるいは対応することができる。一部の実施形態では、前記把持部材470Cの前記内部輪郭475と、前記試料405の断面との対応は、前記試料405を前記基板402に連結している部分であって、テーパーがかかった、ネック状になった、細くなった、または他の前記試料405の部分を引き裂く、もぎ取る、破壊する、破砕する、分離させる、あるいは損傷することにより、可能性としては単に前記試料405を把持し前記把持要素400Cを前記基板402から離れる方向へ平行移動することにより、前記把持要素400Cが前記試料405を前記基板402から取り出せるようにする上で十分でありうる。
【0053】
一部の実施形態では、この試料405は、前記把持要素400Cが前記試料405上に位置決めされるに伴い、前記把持部材470Cの分離を促すか、あるいは前記把持部材470Cを湾曲させうる。したがって前記把持部材470Cの一部の実施形態は、前記試料との接触に応答して前記把持部材470が互いに離れるよう促し、さらに/あるいは前記把持要素400Bの前記試料405上への誘導を助ける表面であって、角度を成した、傾斜した、凹型の、凸型の、あるいは成形された表面(表面476など)を有することができる。前記把持部材470Bは、電気エネルギー、熱エネルギー、および/または上述手段を含む他の作動手段を付与するなどして、前記把持要素400Bを前記試料405上に位置決めする際、作動または作動停止させうる。
【0054】
さらに、これらの把持部材470Bは、図4Bおよび図4C、また本明細書の他の図に例示した実施形態では互いに鏡像であるが、互いに鏡像でなくともよい。例えば、前記把持部材470Bのうち第1の把持部材だけが、前記試料405の輪郭の少なくとも一部に実質的に対応する上記の内部輪郭475を有すようにし、他方、第2の把持部材は実質的に平面状の輪郭、あるいは前記第1の把持輪郭475に対し、鏡像でない、または対応しない輪郭を有すようにしてもよい。このような実施形態では、前記第2の把持部材の輪郭は、前記試料405の輪郭のいかなる部分にも対応しなくてよい。もちろん、前記把持要素400Bの前記把持部材470B間のこのような相違は、本開示の範囲内で把持要素の他の実施形態にも適用することができる。
【0055】
図5は、本開示の態様に従って構成された把持要素500のさらに異なる別の一実施形態の少なくとも一部の概略図を例示したものである。この把持要素500は図1に示した前記システム100などの電子顕微鏡システムで使用でき、また図1〜3および図4A〜4Eを参照して説明した前記把持要素に類似したものでありうる。
【0056】
前記把持要素500は本体510を具備し、一実施形態において、この本体510はワイヤーセグメントを実質的に有する。この本体510は、ワイヤーセグメントからプローブを形成しうるタングステンまたは他の材料を含有することができる。例えば、この本体は、エッチングされた、あるいはプローブ先端へと成形された端部515を有するタングステンワイヤーセグメントを有することができる。一実施形態では、前記本体510から形成された前記プローブのこの先端は、約0.1mm〜約1.0mm範囲の直径と、曲率約20nm未満の先端半径とを有することができる。言うまでもなく、この端部515の形状は図5に示した形状に限定されず、また前記FIB調製試料305に整合して前記試料305を前記基板402から取り出すよう成形することができる。例えば、前記端部515は、前記FIB調製試料405縁部への前記端部515の誘導を助ける形状を含む、弓形または実質的に直線状の凹型形状などを有することができる。
【0057】
前記本体510のこの端部515の少なくとも一部は、可鍛層520でコーティングすることができる。この可鍛層520は金、銀、インジウム、これらの合金、および/または他の可鍛材料を有することができる。従って、この端部515は、FIB調製試料505と整合するよう構成された圧着エンドエフェクタとして機能することができる。
【0058】
操作中、この端部515は、前記本体510の位置決めにより、前記FIB調製試料405に近接または接触して位置決めされうる。次に、この端部515に熱エネルギー、圧縮エネルギー、および/または音響エネルギーが付与され、そのエネルギーにより前記可鍛層520の少なくとも一部が軟化または溶融されるか、あるいは前記本体510の前記FIB調製試料405への結合が促進される。前記FIB調製試料405は、前記本体510に抗して押圧される硬質表面をもたらすため、プラチナまたはタングステンなど実質的な硬度を有する材料の層を含みうる。
【0059】
図6は、本開示の態様に係る前記FIB調製試料405(図中では参照番号605)のさらに異なる別の実施形態の断面図を例示したものである。この試料605は、組成および製造上、上記の試料405と実質的に類似したものであってよい。この試料605は、2回(以上)FIBを通過させて調製することができる。例えば図6に示した実施形態の場合、この試料605は、基板602の表面602aに対し鋭角に配向させたFIBを少なくとも2回通過させることにより成形することができる。この基板602は、上記の基板に実質的に類似したものであってよい。この鋭角度は、例示した実施形態のように約45度でありうるが、他の角度も本開示の範囲内である。これにより、前記試料605の側壁605a同士が成す相対角度Aは図6のように約90度になりうるが、約10度〜約150度範囲にもなり、さらに他の実施形態も本開示の範囲内である。
【0060】
一部の実施形態では、前記試料605の断面が三角形または楔(くさび)形であることにより、上記の把持要素といった把持要素による前記試料605の捕持がより堅固なものになる言うまでもなく、この試料605の断面形状は、このような捕持を助ける上記以外の形状でもよく、テーパーがかかった1若しくはそれ以上の側壁605aを有する、あるいは幅が線形に変化しない(階段状輪郭などの)実施形態を含め可変幅を有する他の断面形状などがこれに含まれる。一実施形態では、前記試料605の外部輪郭は、上記の前記把持要素400A、400B、および/または400Cなど、前記試料605の捕持に使用される把持要素の凹部または開口部の内部輪郭に対し、実質的または少なくとも部分的に適合あるいは協動する。
【0061】
図7は、本開示の態様に係る上記の試料405(図中では参照番号705)のさらに異なる別の実施形態の上面図を例示したものである。この試料705は、組成および製造上、前記試料405、605と実質的に類似したものであってよい。この試料705は、周囲705bが非矩形である。もちろん、図7に示した周囲705b以外の周囲形状を有する試料も本開示の範囲内である。
【0062】
この試料705は、前記試料705を前記基板602に連結した部分であって、薄く、可能性としてテーパーがかかった部分705cも含みうる。他の実施形態では、同様に配置された切り欠き部分あるいは一定構成部分が、前記テーパーがかかった部分507cに対し付加的または二者択一的に使用されうる。このようなテーパーがかかった、ネック状になった、細くなった、切り欠き付きの、あるいは成形された領域が前記試料705の脆弱な部分となり、上記の把持要素など把持要素での前記試料705把持工程の実施後など、前記基板602から離れる方向への前記試料705付勢に応答して、前記テーパーがかかった部分507cに応力が集中することができる。言うまでもなく、このような部分705cを使用することに対し、二者択一的または付加的に、前記基板602および前記試料705を連結する前記基板602の一部を、レーザー、マイクロマシニング、選択的エッチング、および/または他の工程を使用するなどして切断してもよい。
【0063】
本開示の範囲内である把持要素製造と、試料調製と、試料の移送および配向と、試料検査との種々の態様は、自動化が可能である。例えば、FIBチャンバー内、可能性として試料ステージ上で、試料を配置および/または配向するには、1若しくはそれ以上のマニピュレータ(それぞれが図1に示した前記ハンドリングアセンブリ150の実施形態であるか、これを含みうる)を使用することができる。このように、本開示の態様に係る1若しくはそれ以上の工程中で、自動化した試料交換が使用できる。前記1若しくはそれ以上のマニピュレータは、付加的な位置決め機構上に固着および/または取り付けることができるグリッドホルダー上に試料を配置するため使用される。
【0064】
パーソナルコンピュータまたは他のコンピュータ装置(本明細書において以下「PC」と総称する)であるか、これを含みうる制御機器は、対象となる試料を配置および配向することができる。このような配置および/または配向では、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、他の電子顕微鏡、光学顕微鏡、または他タイプの顕微鏡など、顕微鏡の画像処理ビームを使用することができる。このような配置および/または配向は、ロボット部品を含む、マニピュレータか、ハンドリングアセンブリか、把持要素か、エンドエフェクタか、これらのコンポーネントかを、画像処理機器と相対的に配向するように構成される他の手段を付加的または二者択一的に使用することができる。
【0065】
なお、本願の規定では、検査工程中またはその工程段階中などにおけるSEMまたはTEMの使用に具体的に言及しているが、本開示の態様は、TEM以外の顕微鏡を使用する用途にも適用可能であるか容易に適用可能である。例えば一実施形態では、FIB機器チャンバー内で試料調製を行い、調製した試料を前記FIBチャンバー内で把持して前記試料の基板から分離し、分離した前記試料をTEM機器チャンバー内で検査することができる。ただし、他の実施形態では、FIB/SEM兼用ツールのチャンバー内、または専用FIBチャンバーではない他のチャンバー内で試料を調製し、その試料を集合的に把持してその基板から分離したのち、TEMチャンバー内で検査することができる。一部の実施形態では、試料調製と、捕持と、切断と、検査と、他の操作とのうち1若しくはそれ以上または各々を、FIBチャンバー内か、SEMチャンバー内か、TEMチャンバー内か、他の顕微鏡機器チャンバー内かに含まれるロボットまたは他の自動機器を含む自動化により実施するか助けることができる。
【0066】
PCを使うと、可能性として電子顕微鏡の画像処理ビームを使用して、対象となる試料との相対位置など、把持要素(本明細書の図を参照して上記説明した把持要素など)の相対位置を決定することができる。一実施形態では光学顕微鏡も付加的または二者択一的に使用でき、その場合、PCおよび/または異なる別の装置は、このような相対位置決定中に使用される特徴検出ソフトウェアを具備することができる。前記PCは、次に試料の上位位置あるいは近接位置へと把持要素を駆動し、前記把持要素を下方へ移動して前記試料に係合させたのち、この把持要素を閉じて前記試料を固定する。上記のとおり、把持要素を閉じて試料を固定するこの工程は、把持要素を作動または作動停止する工程を含む場合があり、あるいは試料に対し把持要素を単に平行移動するだけで把持要素を閉じるか試料を固定できる。
【0067】
一部の実施形態では、試料を基板から分離させる際、追加のFIB切断工程および/または他の工程が必要になりうる。その後、または二者択一的に、マニピュレータで試料を基板から引き離す。次に、可能性としてセンサおよび/または前記画像処理ビームなどからの視覚的フィードバックを使用して、マニピュレータでグリッド配置位置を決定する。そして試料をグリッド配置位置に対し整列する。一部の実施形態では、前記グリッド配置位置の表面を浄化、汚染除去、あるいは調整などするため、その表面へガスを吹き込む場合がある。
【0068】
その後、マニピュレータで試料をグリッドに整列および係合させ、FIBビームで前記グリッド上に前記試料を溶接あるいは固定することができる。他の実施形態では、上記の把持要素などを使って試料を固定(または固定したままに)し配向するなどにより、他の手段を試料の位置決めおよび/または配向に使用することができる。ただし、試料をグリッドに固定する場合は、前記試料を前記把持要素から係合解除してマニピュレータを引き離することができる。
【0069】
このようなリフトアウト(取り出しまたは「ピック」)工程および配置工程の付加的な態様は、以下で説明する。なお、以下で説明する態様の多くはピック工程に関して説明したものであるが、このような態様は配置工程に適用可能であるか容易に適用可能である。
【0070】
上記の工程の自動化を可能にするには、把持要素、把持部材、ハンドリングアセンブリ、マニピュレータ、試料の検査、および/または任意の工程管理測定能力の操作可能性をもたらす種々の装置を、自動顕微鏡試料調製システム(Automated Microscopy Sample Preparation System)(ここで、顕微鏡とはSEM、STM、TEM、光学顕微鏡、および他の顕微鏡機器のうち1若しくはそれ以上を指すことができる)として通信自在に連結することができる。これにより、ビーム装置内への導入用に試料を調製する、ビーム装置内に試料を導入する、測定および/または操作用に試料を調製する、試料上の目標領域に近接させ把持要素を配置する、把持要素を作動させて前記目標領域に対し把持、係合、あるいは接触を行う、また調製した試料を操作するなどの工程を開始、調整、または終了するため、1つの装置から異なる別の装置へ通信が行えるようになる。
【0071】
また、このような工程を自動化できるようにするため、前記自動顕微鏡試料調製システムを有する種々の装置の可動コンポーネントが互いに参照可能になり、また前記システムを有する固定装置にとっても参照可能になるよう(例えば、可動部品から可動部品へ、そして可動部品から固定部品へ)、前記自動顕微鏡試料調製システムが参照システム(Reference System)を有するようにもできる。前記種々の装置の可動コンポーネントを互いに参照させ合うことにより、処理対照である試料の特徴に対し、把持要素の自動位置決めが可能になる。さらに、前記自動顕微鏡試料調製システムの種々の装置を通信自在に連結することにより、前記参照システムにより収集された情報が前記装置間で通信可能になり、これらの装置を開始、監視、調整、終了し、また装置により実施される特定の工程に関するデータを収集できるようになる。
【0072】
前記参照システムは、前記自動顕微鏡試料調製システム内で、またはそれにより使用される種々の装置に関する情報を収集よう、また前記自動顕微鏡試料調製システム内で、またはそれにより使用される前記装置により実施される工程に関する情報を収集するよう動作自在な位置センサ、圧力センサ、環境センサ、材料/元素センサ、タイマー、および/または位置に関する手順(画像処理による位置決定など)といった装置を有することができる。この参照システムは、前記センサ、前記タイマー、および/または前記位置に関する手順により収集された情報を、前記装置間で通信できるメッセージなどに変換するためのプログラム/ソフトウェアも有することができる。例えば、前記参照システムからのメッセージは、電気信号の形態、または前記参照システムに関連付けられたソフトウェアにより生成されるコマンドの形態でありうる。
【0073】
一実施形態では、この参照システムは、前記自動顕微鏡試料調製システムの前記通信自在に連結された装置の1つへプログラムとして組み込まれる制御ルーチン(Control Routine)の一部として実装される。このような例の1つでは、前記参照システムは前記把持要素に操作可能性をもたらす位置決め制御装置にプログラムとして組み込まれた手順セットとして前記制御ルーチン内で実装される。前記制御ルーチンは、本明細書に開示した自動試料調製を可能にする種々のサブルーチンなども有することができる。
【0074】
このような参照システムは、具体的には、実施する自動工程のタイプに応じて異なりうる。例えば、自動工程としての試料調製に前記参照システムが必要とする情報は、自動工程としての試料測定にその参照システムが必要とする情報により異なる。ただし一般には、実施される自動工程のタイプにかかわらず、前記参照システムは荷電粒子ビーム装置により生成されるビームに対する試料の位置、試料に対する把持要素の位置、および/または試料の「マップ」など一定の要因に依存する。試料の「マップ」とは、その試料の特徴の位置決定に使用できる、その試料に関するデータを指す。例えば、この試料は前記試料上に一定の特徴が形成された半導体チップであってよい。試料チップのマップは、その試料の1若しくはそれ以上の特徴であって、処理する必要がある特徴に関する位置情報を提供する。試料のマップは、CADデータ、利用者による試料の工作、および/または、利用者指定または外部システム指定の参照座標のセットを含む(これに限定はされるものではないが)種々のソースから得られる。あるいは、処理する必要のある試料を自動的に検出および処理されるようにでき、したがって前記マップが自動工程自体により動的に生成され見出されるようにすることができる。
【0075】
前記参照システムは、前記制御ルーチンにより実施された工程から得られた情報を使って、荷電粒子ビーム装置の試料チャンバー内で位置決めされた試料の位置を前記荷電粒子ビーム装置のビームと相対的に決定することができる。二者択一的または付加的に、前記制御ルーチンは、位置決めステージまたは把持要素に対する試料の位置を決定したのち前記ビームに対する前記ステージまたは把持要素の位置を見出す工程を含みうる。二者択一的または付加的に、前記制御ルーチンは、位置決めステージに対する把持要素の位置を決定したのち前記ビームに対する前記ステージの位置を見出す工程を含みうる。一例によると、前記制御ルーチンは、標準的な画像解析手順を実施して、前記ビームか位置決めステージか把持要素かに対する試料の位置を決定する。例えば、この画像は、走査済み荷電粒子ビーム、または画像解析ソフトウェア用途に適切な表現を作成できるこのような他の装置で作成された表現から導出可能である。試料上、ステージ上、および/または把持要素上の参照特徴を画像解析で使用すると、前記参照システムに対し前記試料、前記ステージ、および/または前記把持要素の位置または配向を記述する座標系を作成することができる。
【0076】
この参照システムでは、試料チャンバー内において試料の位置に対する把持要素の位置または配向を決定するため前記制御ルーチンにより実施された工程から得られた情報も使用することができる。この工程を実施する方法はいくつか考えられる。一例によれば、前記ビームまたはステージに対する把持要素の位置または配向は、適切な画像解析技術を使って決定される。これに対し二者択一的または付加的に、ハンドリングアセンブリに対する前記把持要素の位置または配向が決定されたのち、前記ビームまたは前記ステージに対する前記把持要素の位置または配向が決定される。把持要素の位置または配向は、画像解析などの技術を使うことにより、またはこのような要件に適したフィードバックを提供する機械センサ、電気センサ、またはレーザーセンサを移動することにより決定できる。
【0077】
可能性として上記のように得られたマップを使用すると、前記参照システムはポジショナー制御装置など、把持要素の操作可能性をもたらす装置へ情報を通信でき、これにより指定された特徴あるいは望ましい位置または配向の上位における前記把持要素の位置駆動が前記装置により始動される。例えば、前記マップに対する特徴の座標、試料チャンバー内で位置決めを行う際の検査試料の実際の位置、前記把持要素の実際の位置、および/または前記ポジショナーの実際の位置は数学的に組み合わせることができる。
【0078】
図8は、上記の参照システムが動作しうる自動顕微鏡試料調製システムの一実施形態の少なくとも一部のブロック図を例示したものである。図8に例示した自動顕微鏡試料調製システム例に従い、システム800は、例えば、把持要素と、荷電粒子ビーム装置800bと、測定装置800cとが連結されたハンドリングアセンブリ(図1に示したアセンブリ150など)を具備し、かつ/またはそれを制御するよう動作自在なポジショナー制御装置800aを有する。前記ポジショナー800aおよび上記のハンドリングアセンブリ150の態様は互いに類似することがあり、以下に説明する場合などでは、これらの用語を同義的に使用しても差し支えない。
【0079】
例をとると、Zyvex Corporationから市販されているS100 Nanomanipulator Systemなどのポジショナー制御装置800aは、本明細書に開示するように前記自動顕微鏡試料調製システムに連結することができる。別の例では、Automated Microscopy Sample Preparation Systemから市販されているKeithley 4200などの測定装置800cも、本明細書に開示するように前記自動顕微鏡試料調製システムに連結することができる。同様に、FEI、LEO、日立、JEOLなどから入手可能なSEMやFIBなどの荷電粒子ビーム装置800bも、前記自動顕微鏡試料調製システムに連結することができる。Evactron Model 30(これも市販されている)などの汚染防止装置800dも、本明細書に開示するように前記自動顕微鏡試料調製システムに連結することができる。
【0080】
前記ポジショナー制御装置800a、荷電粒子ビーム装置800b、および/または汚染防止装置800dは、荷電粒子ビーム装置に試料を導入する、試料の処理用に把持を準備する、試料上の目標領域に近接させて把持要素を位置決めする、前記把持要素を作動させ前記目標領域に接触させる、および/または試料を処理するといった工程を開始および/または制御するため、1つの装置から異なる別の装置へ通信が行われるよう連結することができる。前記装置間の通信は前記制御ルーチンにより解釈でき、前記システム800の前記装置の1つにプログラムとして組み込める。前記制御ルーチンは、前記荷電粒子ビーム装置800bまたは前記システム800に連結された他装置から受け取った通信内容に応答して、前記システム800を構成する前記装置に対し試料の調製または把持要素の準備など特定の工程について始動、監視、データ回収、調整、および/または終了の指示を送るよう動作する。
【0081】
一例によれば、前記制御ルーチンは、前記ポジショナー制御装置800a、前記荷電粒子ビーム装置800b、測定装置800c、および/または汚染防止装置800dのうち1若しくはそれ以上の動作の指示を制御し、また複数の前記手順も制御する単一のコンピュータまたは機械(「主制御コンピュータ」など)へプログラムとして組み込まれる。例えば、試料を荷電粒子ビーム装置内へ導入する手順は、ポジショナー制御装置を操作し前記把持要素を望ましい位置へ駆動するコンピュータと同じコンピュータで制御することができる。また、データ取得(Data Acquisition)基板は、前記位置制御装置を操作するコンピュータまたは機械に実装することができ、これにより例えば、通常であれば前記測定装置のコンピュータか、機械か、操作システムかにより実施される測定または工程を、前記装置が実行できるようにする。
【0082】
前記制御ルーチンと、前記自動顕微鏡試料調製システムの前記装置の1つまたはすべての操作とが単一の機械に常駐する例では、種々の装置間の通信はソフトウェアにより可能となる。さらに異なる別の例によれば、前記ポジショナー制御装置800aと、前記荷電粒子ビーム装置800bと、前記測定装置と、前記汚染防止装置800dとのうち1若しくはそれ以上は、その操作を命令するため別個のコンピュータまたは機械を有する。このような例において、各装置は、ワイヤ、ケーブル、ネットワーク(すなわちEthernet(登録商標)、1394接続、および/またはUSBのTCP/IPネットワーク)といった経路、または無線プロトコルなどの手段により通信自在に連結できる。このように、前記自動顕微鏡試料調製システムの前記装置間の通信は、別個のコンピュータを介し物理ネットワーク経由でアクセスされる、もしくは主制御コンピュータにローカルに常駐しうる論理操作/サブシステムとして記述できる。
【0083】
図9は、前記システム800を有した前記装置の通信を可能にする例示的構成の少なくとも一部をブロック図として例示したものである。この構成例では、試料を操作する操作プラットフォーム810を例示している。本明細書における操作とは、X方向とY方向とZ方向との試料移動を包含し、可能性として電気的、機械的、光学的、または化学的な測定、あるいはこれらの組み合わせを実行するなど試料の物理的および化学的な特性を決定することを包含する(これに限定はされないが)。前記操作プラットフォーム810は、基部806であって、その上にサイト812などのマニピュレータモジュールインターフェースサイトが構成される基部806を具備しうるが、一部の実施形態では、2つ以上のマニピュレータモジュールインターフェースサイトが前記基部806上に具備されうる。前記マニピュレータモジュールインターフェースサイト812は、米国特許出願第10/173,543号(その開示全体を言及により本明細書に組み込むものとする)の説明のようにマニピュレータまたは同様に構成されたモジュールを受容することができる。
【0084】
前記プラットフォーム810は、操作すべき試料を受容する試料ステージ815を有することができる。このプラットフォーム810は、SEMやFIBといった荷電粒子ビーム装置800bへの基部806の連結を可能にするインターフェース807も具備することができる。前記荷電粒子ビーム装置800bがSEMまたはFIBである例では、試料ステージ815上に試料を配置し、インターフェース807を介した前記SEMまたは前記FIBへの連結により、これらSEMまたはFIBの前記試料チャンバー内に前記操作プラットフォーム810を配置する。これにより、例えば一度プラットフォーム810をSEMまたはFIBに連結させると、試料ステージ815上に配置された試料は、この試料を操作するため利用する(1つまたは複数の)前記マニピュレータモジュールと同時に画像処理できるようになる。
【0085】
図9にさらに示すように、ポジショナー制御装置800aは操作プラットフォーム810に連結されている。操作プラットフォーム810がインターフェース807により荷電粒子ビーム装置800bに連結されている場合、前記荷電粒子ビーム装置800bおよび前記ポジショナー制御装置800aは、これらポジショナー制御装置800aおよび荷電粒子ビーム装置800b、さらに、これらの装置内に位置し前記参照システムで使用するための情報を導出するセンサに対し、入出力通信が行えるよう通信自在に連結される。
【0086】
前記ポジショナー制御装置800aは、1若しくはそれ以上の前記インターフェースサイト812に連結された(1つまたは複数の)マニピュレータモジュールの操作を自動制御するためプログラム可能である。一例によれば、可能性として前記参照システムを方法セットとして有する制御ルーチンも、前記荷電粒子ビーム装置800bまたは前記測定装置800cから受け取った通信内容に応答して、前記システム800を構成する前記装置に対し把持要素の準備または配向、試料の調製、または前記把持要素および/またはハンドリングアセンブリの作動など特定の工程について始動、監視、データ回収、調整、および/または終了の指示を送るため、前記ポジショナー制御装置800aにプログラムとして組み込まれる。
【0087】
本開示の態様に係る自動試料移送システムは、前記制御ルーチンおよび/または前記参照システムにより使用される情報を通信する適切なソフトウェアおよびハードウェアにより実現されうる。適切な通信を可能にするハードウェアおよびソフトウェアに加え、前記自動試料移送システムは、試料積載ステーションから前記試料チャンバー内へなど試料を移送するよう動作自在な移送機構(例えば、電気モーター、圧電モーター、MEMSモーター、機械的に作動させる空気圧式機構、または摩擦低減法など)を具備することができる。
【0088】
一例によれば、試料は、ツール、クランプ、ブラケット、グリッパ、把持要素、減圧などにより積載ステーション内の定位置に保たれ、そこで任意選択のディプロセシングおよび調製が実施される。試料が前記試料チャンバーに導入される前に把持要素がチャンバー内に導入され調整される例では、前記把持要素は、前記試料チャンバー内で位置決めされ、試料が積載ステーション内に保たれた状態で調整または特徴付けされる。前記把持要素が適切に調整された旨の信号を受け取ると(このような調整が実行される場合)、前記制御ルーチンは、前記自動試料移送システムの移送機構をトリガして試料を前記試料チャンバー内に導入する。
【0089】
この試料のチャンバー内処理は、前記試料の輪郭および/または断面を画成するなどのため、1回以上のFIB切断を実施する工程を含みうる。チャンバー内処理は、付加的または二者択一的に、XEI Scientific(米国カリフォルニア州レッドウッドシティ(Redwood City))から市販されているEVACTRON(R)SEM−CLEAN(TM)装置などを使用して試料および/または基板表面を汚染除去する工程を含みうる。全体として、EVACTRON(R)SEM−CLEAN(TM)装置は、低出力RFプラズマを使って空気から酸素ラジカルを生成でき、次にこの酸素ラジカルがSEM内部または他の顕微鏡の内部からの炭化水素を酸化し化学的にエッチングする。他の付加的または二者択一的な処理としては、FIBスパッタリング、イオン銃スパッタリング、プラズマまたはラジカルによる浄化などがあり、これらはいずれも前記制御ルーチンのサブルーチンを介して実施できる。
【0090】
導入後、そして任意選択のチャンバー内試料調製および調整後(実施される場合)、この試料が存在する旨の信号が前記制御ルーチンへ送られる。試料が前記試料チャンバー内で位置決めされるのが前記把持要素導入の前であるか後であるか、また可能性として前記把持要素が適切に調整された旨および/または前記試料が前記試料チャンバー内に配置された旨の情報受信時であるかにかかわらず、前記制御ルーチンは、前記参照システムおよび前記ポジショナー制御装置にアクセスして、前記把持要素を前記試料またはその関心のある特徴の上位あるいは近傍に位置決めする。例えば、試料上の関心のある特徴は、前記把持要素が前記試料を最終的に取得する、あるいは前記試料に接触する時点でのTEM試料クーポン試験片の諸点でありうることから、「捕持接触点」(acquisition contact points)と呼ばれる。この捕持接触点の「上位」とは、この捕持接触点への「最終的な」軌跡を決定および実行できる出発点の位置を指すことができる。一例によれば、このような位置は、前記接触捕持点が含まれる平面において前記接触捕持点から法線方向にある。前記捕持接触点近傍での前記把持要素の位置決めは、前記参照システムにより、またはこれを使用して実施される。
【0091】
上記のように、前記参照システムにより、前記自動顕微鏡試料調製システムを有する種々の装置の可動(および静止)コンポーネントは互いに参照され、また前記顕微鏡に参照されることが可能になる。これを受け、前記参照システムが前記試料、前記把持要素、前記ハンドリングアセンブリ、および/または前記試料のマップの相対位置に関する情報を使って適切なメッセージを前記制御ルーチンに提供すると、前記制御ルーチンは前記適切なメッセージを前記ポジショナー制御装置へ送信し、前記把持要素が前記接触捕持点などに対し適切に位置決めされるよう前記把持要素を移動させる。把持要素が望ましい捕持接触点に接触せず、必ずしも前記捕持接触点の真上にないが、移動後はこの捕持接触点に接触しうる他のアプローチ方法も、本開示の態様に従って実施可能である。
【0092】
前記制御ルーチンが適切な位置を含むメッセージを前記ポジショナー制御装置に送信した時点で、前記ポジショナー制御装置は、前記把持要素を前記位置まで移動制御するポジショナーかハンドリングアセンブリか他の装置かの移動に適したハードウェアおよびソフトウェアを具備することになる。その一例として、前記ポジショナー制御装置800aは、米国特許出願第10/173,543号に説明されている方法でポジショナーおよび操作モジュールを操作する。
【0093】
前記制御ルーチンは、把持要素位置決め用の1若しくはそれ以上のサブルーチンで前記ポジショナー制御装置800aの操作を増補し、その場合、前記サブルーチンは前記参照システムにより登録された接触捕持点に対する前記把持要素の位置決めを監視および/または検出する。前記把持要素位置決めサブルーチンは、把持要素が捕持接触点上位の望ましい位置に到達した時点を決定する手順も実施する。把持要素位置決め工程と、前記把持要素が接触点上位の望ましい位置に到達した時点を決定する工程の例示的な手順は、前記荷電粒子ビーム装置により実施される画像処理工程と、アラインメントマークを荷電粒子ビームを使って位置決めする工程と、前記参照システムから得られたマップデータを参照する工程と、前記荷電粒子ビーム装置を教示モードで操作する工程と、前記試料上の絶対座標(以前決定された座標のリストなど)を参照する工程と、自動または半自動の「ポイントアンドクリック」工程とを含む(これに限定はされないが)。
【0094】
言うまでもなく、上記の試料調製、リフトアウト、移動、配向、および/または位置決めで使用される1若しくはそれ以上の工程段階または工程の態様は、前段落で説明した自動化態様に対し付加的(または二者択一的)に自動化することができる。例えば、米国仮特許出願第60/546,840号では、自動化の態様を多数説明している。その中では、自動化態様の多くが試料またはウエハーのプロービングまたは調製の文脈で説明されているが、このような態様は、試料調製と、リフトアウトと、操作と、検査と、本明細書で説明する他の工程とに追加する工程に適用可能であるか容易に適用可能であり、完全に本開示の範囲内である。
【0095】
このように、本開示は方法であって、一実施形態において、集束イオンビーム(FIB)で基板を切断することにより、前記基板から少なくとも部分的に試料を切断する工程と、把持要素を作動させることにより前記基板試料を捕持する工程と、前記捕持済み試料を前記基板から分離させる工程とを含む方法を提供する。
【0096】
本開示の態様に係る方法の異なる別の実施形態は、(1)集束イオンビーム(FIB)で基板を切断することにより、前記基板から少なくとも部分的に試料を切断する工程と、(2)前記試料を捕持するよう構成された圧着エンドエフェクタを有するアセンブリツールを前記試料に近接させて位置決めする工程と、(3)前記圧着エンドエフェクタを介して前記試料に力を加える工程であって、前記力は、前記圧着エンドエフェクタと前記試料とを圧着させる上で十分な大きさを有することにより前記試料を捕持する、前記試料に力を加える工程と、(4)前記捕持済み試料を前記基板から分離させる工程とを含む。
【0097】
本開示は、一実施形態において、試料を基板から少なくとも部分的に切断する集束イオンビーム(FIB)手段と、前記試料を捕持するよう構成された把持要素と、前記試料を捕持するため前記把持要素を作動させる手段と、前記捕持済み試料を前記基板から分離させる手段とを具備するシステムも導入する。
【0098】
本開示では、FIB調製試料を捕持する把持要素も提供される。一実施形態では、この把持要素は、ハンドリングアセンブリに連結されるよう構成された本体と、前記本体に連結された作動部材と、前記作動部材に連結され、前記作動部材の作動に応答してFIB調製試料を捕持するよう構成された把持部材とを具備する。
【0099】
本開示の態様に係る方法の異なる別の実施形態は、(1)集束イオンビーム(FIB)で基板を切断することにより、前記基板から少なくとも部分的に試料を切断する工程と、(2)把持要素で前記基板試料を捕持する工程と、(3)前記捕持済み試料を前記基板から分離させる工程と、(4)前記把持要素を作動させることにより、捕持済み前記基板試料をリリースする工程とを具備する。前記試料の切断と、前記試料の捕持と、前記試料の分離と、前記試料のリリースとのうち1若しくはそれ以上は、自動化することができる。
【0100】
上記では、本開示について当業者の理解がより深まるよう、いくつかの実施形態の特徴を概略説明した。当業者であれば、本明細書で導入した実施形態と同一の目的を実行するため、および/または本明細書で導入した実施形態と同一の優位性を実現するための他の工程および構造を設計または修正する基礎として、本開示内容を容易に適用できることが理解されるであろう。また当業者であれば、このような均等構造が本開示の要旨を変更しないこと、また本開示の要旨を変更しない範囲で種々の変形形態、置換形態、および修正形態が可能であることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0101】
本開示の態様は、添付の図面と併せて以下の「発明を実施するための最良の形態」を読むことにより最もよく理解される。前記分野の標準的慣行に基づき、種々の特徴は実際の縮尺どおりに描画されない場合があることをここに特筆する。例えば、種々の特徴の寸法は、説明を明瞭にするため適宜拡大または縮小している場合がある。
【図1】図1は、本開示の態様に係る顕微鏡検査システムの一実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図2】図2は、本開示の態様に係る把持要素の一実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図3】図3は、本開示の態様に係る把持要素の異なる別の実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図4A】図4Aは、本開示の態様に係る把持要素のさらに異なる別の実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図4B】図4Bおよび図4Cは、本開示の態様に係る把持要素のさらに異なる別の実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図4C】図4Bおよび図4Cは、本開示の態様に係る把持要素のさらに異なる別の実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図4D】図4Dおよび図4Eは、本開示の態様に係る把持要素のさらに異なる別の実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図4E】図4Dおよび図4Eは、本開示の態様に係る把持要素のさらに異なる別の実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図5】図5は、本開示の態様に係る把持要素のさらに異なる別の実施形態の少なくとも一部の概略図。
【図6】図6は、本開示の態様に係る、FIBで調製した試料を有する基板の一実施形態の少なくとも一部の断面図。
【図7】図7は、本開示の態様に係る、FIBで調製した試料を有する基板の一実施形態の少なくとも一部の上面図。
【図8】図8は、本開示の態様に係るシステムの一実施形態の少なくとも一部のブロック図。
【図9】図9は、本開示の態様に係る、図8に示したシステムの一部の一実施形態のブロック図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集束イオンビーム(focused ion beam、略称FIB)で基板を切断することにより、前記基板から少なくとも部分的に試料を切断する工程と、
把持要素を作動させることによりを捕持する工程と、
前記捕持済み試料を前記基板から分離させる工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記試料を切断する工程と、前記基板試料を捕持する工程と、前記試料を前記基板から分離させる工程とのうち少なくとも一部は、自動化により実行される。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、この方法は、さらに、
自動化により前記把持要素を前記基板試料に近接させて位置決めする工程を有するものである。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、この方法は、さらに、
前記捕持済み試料を検査用に電子顕微鏡へ移送する、自動化により実行される工程と、
前記電子顕微鏡で前記試料を検査する工程と
を有するものである。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、少なくとも部分的に前記試料を前記基板から分離させる工程は、前記試料を前記基板から一部だけ分離させる工程を含み、前記方法は、前記把持要素による前記試料の捕持後に前記試料を前記基板から完全に切断する工程をさらに含むもんである。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記試料を前記基板から完全に切断する工程は、前記試料と前記基板との間の連結部を切断する工程を含むものである。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、前記試料と前記基板との間の連結部を切断する工程は、FIBによる切断工程を含むものである。
【請求項8】
請求項5記載の方法において、前記捕持済み試料を前記基板から完全に切断する工程は、前記試料と前記基板との間の連結が損なわれるまで、前記捕持済み試料を前記基板に対し再位置決めする工程を含むものである。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記把持要素を作動させる工程は、前記把持要素に供給する電力を調整する工程を含むものである。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記把持要素を作動させる工程は、電力供給状態および電力非供給状態の切り替えを行う工程を含むものである。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記把持要素を作動させる工程は、前記把持要素に供給する電力を増加させる工程を含むものである。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、前記把持要素を作動させる工程は、前記把持要素への電力供給を実質的に停止する工程を含むものである。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、前記把持要素は、前記把持要素を機械的に開閉する作動手段を具備するものである。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記作動手段は電熱的作動手段を具備するものである。
【請求項15】
請求項13記載の方法において、前記作動手段は静電気的作動手段を具備するものである。
【請求項16】
請求項13記載の方法において、前記作動手段は圧電的作動手段を具備するものである。
【請求項17】
請求項1記載の方法において、前記把持要素は熱的に作動するエンドエフェクタを具備し、前記把持要素を作動させる工程は前記把持要素の少なくとも一部を加熱する工程および冷却する工程の少なくとも一方を含むものである。
【請求項18】
請求項1記載の方法であって、前記試料が前記把持要素に捕持された状態にあるうちに前記試料を検査する工程をさらに有する方法ものである。
【請求項19】
請求項1記載の方法であって、前記把持要素から前記試料をリリースした後で前記試料を検査する工程をさらに有する方法ものである。
【請求項20】
請求項19記載の方法であって、前記試料の検査前に検査グリッド上で前記試料を位置決めするため前記把持要素を操作する工程をさらに有する方法ものである。
【請求項21】
請求項19記載の方法であって、前記把持要素から前記試料をリリースする前に検査グリッドへ前記試料を連結する工程をさらに有する方法ものである。
【請求項22】
請求項1記載の方法において、前記把持要素はMEMS素子である。
【請求項23】
請求項22記載の装置において、前記MEMS素子はニッケルを含有するものである。
【請求項24】
請求項22記載の装置において、前記MEMS素子はシリコンを含有するものである。
【請求項25】
請求項1記載の方法において、前記把持要素を作動させる工程は、前記基板試料に抗して前記把持要素を押圧する工程を含むものである。
【請求項26】
請求項1記載の方法において、前記把持要素は、前記基板試料と整合するよう構成された可鍛層を具備するものである。
【請求項27】
請求項26記載の装置において、前記可鍛層は金を含有するものである。
【請求項28】
請求項1記載の方法において、
前記試料を切断する工程は、複数の試料を各々少なくとも部分的に基板から切断する工程を含み、
前記基板試料を捕持する工程は、前記複数の試料を各々捕持する工程を含み、
前記試料を前記基板から分離させる工程は、前記複数の試料を各々分離させる工程を含むものである。
【請求項29】
請求項1記載の方法において、前記基板試料を捕持する工程と、前記試料を前記基板から分離させる工程との少なくとも一方は、TEMで実行されるものである。
【請求項30】
請求項1記載の方法において、前記基板試料を捕持する工程と、前記試料を前記基板から分離させる工程との少なくとも一方は、SEMで実行される。
【請求項31】
方法であって、
集束イオンビーム(FIB)で基板を切断することにより、前記基板から少なくとも部分的に試料を切断する工程と、
前記試料を捕持するよう構成された圧着エンドエフェクタを有するアセンブリツールを前記試料に近接させて位置決めする工程と、
前記圧着エンドエフェクタを介して前記試料に力を加える工程であって、前記力は、前記圧着エンドエフェクタと前記試料とを圧着させる上で十分な大きさを有することにより前記試料を捕持する、前記試料に力を加える工程と、
前記捕持済み試料を前記基板から分離させる工程と
を有する方法。
【請求項32】
請求項31記載の方法であって、
前記捕持済み試料を検査用に電子顕微鏡へ移送する工程と、
前記電子顕微鏡で前記試料を検査する工程と
をさらに有する方法ものである。
【請求項33】
請求項31記載の方法において、前記試料に力を加える工程は、前記圧着エンドエフェクタが連結されている作動装置を作動させる工程を含むものである。
【請求項34】
請求項33記載の方法において、前記作動装置を作動させる工程は電熱的作動工程を含むものである。
【請求項35】
請求項33記載の方法において、前記作動装置を作動させる工程は静電気的作動工程を含むものである。
【請求項36】
システムであって、
基板から少なくとも部分的に試料を切断する集束イオンビーム(FIB)手段と、
前記試料を捕持するよう構成された把持要素と、
前記試料を捕持するため前記把持要素を作動させる手段と、
前記捕持済み試料を前記基板から分離させる手段と
を有するシステム。
【請求項37】
請求項36記載のシステムであって、前記捕持済み試料を検査用に顕微鏡へ移送する手段をさらに有するシステムものである。
【請求項38】
請求項37記載のシステムにおいて、前記顕微鏡は透過型電子顕微鏡である。
【請求項39】
請求項37記載のシステムにおいて、前記顕微鏡は走査型電子顕微鏡である。
【請求項40】
請求項37記載のシステムにおいて、前記顕微鏡は走査型透過電子顕微鏡である。
【請求項41】
請求項36記載のシステムにおいて、前記把持要素は、開放位置と閉塞位置との間で前記把持要素を構成する一体型作動装置を具備するものである。
【請求項42】
請求項36記載の方法において、前記把持要素は、熱的に作動するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタの加熱時および冷却時の少なくとも一方で前記試料を捕持するよう構成された熱的に作動するエンドエフェクタを具備するものである。
【請求項43】
請求項42記載のシステムにおいて、前記把持要素は、前記エンドエフェクタを作動させるよう構成された一体型ヒーターを具備するものである。
【請求項44】
請求項43記載のシステムにおいて、前記一体型ヒーターは抵抗加熱されるものである。
【請求項45】
請求項36記載のシステムにおいて、前記把持要素は可鍛エンドエフェクタを有し、前記把持要素を作動させる手段は、前記試料に抗し前記エンドエフェクタを押圧して圧着を生じさせる手段を具備するものである。
【請求項46】
請求項36記載のシステムにおいて、前記把持要素は検査中に前記試料を固定するよう構成されているものである。
【請求項47】
請求項36記載のシステムにおいて、前記把持要素を作動させる手段は、自動化により前記把持要素を作動させて前記試料を捕持する自動手段を具備するものである。
【請求項48】
請求項36記載のシステムにおいて、前記捕持済み試料を前記基板から分離させる手段は、自動化により前記捕持済み試料を前記基板から分離させる自動手段を具備するものである。
【請求項49】
請求項36記載のシステムであって、
前記少なくとも部分的に試料を切断する工程中に前記FIB手段を制御し、
前記試料捕持中に前記作動手段を制御し、
前記試料分離中に前記分離手段を制御する
自動化手段をさらに有するシステムものである。
【請求項50】
FIBで調製した試料を捕持する把持要素であって、
ハンドリングアセンブリに連結されるよう構成された本体と、
前記本体に連結された作動部材と、
前記作動部材に連結され、前記作動部材の作動に応答してFIBで調製した試料を捕持するよう構成された把持部材と
を有する把持要素ものである。
【請求項51】
請求項50記載の把持要素において、前記作動は電熱的作動である。
【請求項52】
請求項50記載の把持要素において、前記把持部材は複数の把持部材のうちの第1把持部材である。
【請求項53】
請求項52記載の把持要素において、前記複数の把持部材は、それぞれ実質的に互いの鏡像である。
【請求項54】
請求項50記載の把持要素において、前記把持部材は、前記FIBで調製した試料の第2の輪郭に対応した第1輪郭を具備するものである。
【請求項55】
請求項54記載の把持要素において、前記第1輪郭は実質的に非矩形である。
【請求項56】
方法であって、
集束イオンビーム(FIB)で基板を切断することにより、前記基板から少なくとも部分的に試料を切断する工程と、
把持要素で前記基板試料を捕持する工程と、
前記捕持済み試料を前記基板から分離させる工程と、
前記把持要素を作動させることにより、捕持済み前記基板試料をリリースする工程と
を有する方法。
【請求項57】
請求項56記載の方法において、前記把持要素で前記基板試料を捕持する工程は、前記把持要素で前記基板試料を受動的に捕持する工程を実質的に含むものである。
【請求項58】
請求項56記載の方法において、前記把持要素は、前記把持要素での前記基板試料の捕持中、実質的に一定な温度を維持するものである。
【請求項59】
請求項56記載の方法において、前記把持要素は、前記基板試料を受動的に捕持するよう構成されている。
【請求項60】
請求項56記載の方法において、前記把持要素は、前記把持要素に電力が実質的に供給されていない状態である場合に、前記基板試料を受動的に捕持するよう構成されているものである。
【請求項61】
請求項56記載の方法において、前記把持要素で前記基板試料を捕持する工程は、前記把持要素が非作動状態である場合に前記基板試料を捕持する工程を含むものである。
【請求項62】
請求項56記載の方法において、前記把持要素が前記基板試料を捕持している間は、前記把持要素へ電力は実質的に供給されないものである。
【請求項63】
FIBで調製した試料を捕持する把持要素であって、
ハンドリングアセンブリに連結されるよう構成された本体と、
前記本体に連結された作動部材と、
前記作動部材に連結された把持部材であって、FIBで調製した試料を捕持するよう構成され、前記作動部材の作動に応答して前記FIBで調製した試料をリリースするようさらに構成された把持部材と
を有する把持要素。
【請求項64】
請求項63記載の把持要素において、前記把持部材は、前記FIBで調製した試料を受動的に捕持するよう構成されているものである。
【請求項65】
請求項63記載の把持要素において、前記作動は電熱的作動である。
【請求項66】
請求項63記載の把持要素において、前記把持部材は複数の把持部材のうちの第1把持部材である。
【請求項67】
請求項66記載の把持要素において、前記複数の把持部材は、それぞれ実質的に互いの鏡像である。
【請求項68】
請求項63記載の把持要素において、前記把持部材は、前記FIBで調製した試料の第2の輪郭に対応した第1輪郭を具備するものである。
【請求項69】
請求項68記載の把持要素において、前記第1輪郭は実質的に非矩形である。
【請求項1】
集束イオンビーム(focused ion beam、略称FIB)で基板を切断することにより、前記基板から少なくとも部分的に試料を切断する工程と、
把持要素を作動させることによりを捕持する工程と、
前記捕持済み試料を前記基板から分離させる工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記試料を切断する工程と、前記基板試料を捕持する工程と、前記試料を前記基板から分離させる工程とのうち少なくとも一部は、自動化により実行される。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、この方法は、さらに、
自動化により前記把持要素を前記基板試料に近接させて位置決めする工程を有するものである。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、この方法は、さらに、
前記捕持済み試料を検査用に電子顕微鏡へ移送する、自動化により実行される工程と、
前記電子顕微鏡で前記試料を検査する工程と
を有するものである。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、少なくとも部分的に前記試料を前記基板から分離させる工程は、前記試料を前記基板から一部だけ分離させる工程を含み、前記方法は、前記把持要素による前記試料の捕持後に前記試料を前記基板から完全に切断する工程をさらに含むもんである。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記試料を前記基板から完全に切断する工程は、前記試料と前記基板との間の連結部を切断する工程を含むものである。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、前記試料と前記基板との間の連結部を切断する工程は、FIBによる切断工程を含むものである。
【請求項8】
請求項5記載の方法において、前記捕持済み試料を前記基板から完全に切断する工程は、前記試料と前記基板との間の連結が損なわれるまで、前記捕持済み試料を前記基板に対し再位置決めする工程を含むものである。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記把持要素を作動させる工程は、前記把持要素に供給する電力を調整する工程を含むものである。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記把持要素を作動させる工程は、電力供給状態および電力非供給状態の切り替えを行う工程を含むものである。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記把持要素を作動させる工程は、前記把持要素に供給する電力を増加させる工程を含むものである。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、前記把持要素を作動させる工程は、前記把持要素への電力供給を実質的に停止する工程を含むものである。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、前記把持要素は、前記把持要素を機械的に開閉する作動手段を具備するものである。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記作動手段は電熱的作動手段を具備するものである。
【請求項15】
請求項13記載の方法において、前記作動手段は静電気的作動手段を具備するものである。
【請求項16】
請求項13記載の方法において、前記作動手段は圧電的作動手段を具備するものである。
【請求項17】
請求項1記載の方法において、前記把持要素は熱的に作動するエンドエフェクタを具備し、前記把持要素を作動させる工程は前記把持要素の少なくとも一部を加熱する工程および冷却する工程の少なくとも一方を含むものである。
【請求項18】
請求項1記載の方法であって、前記試料が前記把持要素に捕持された状態にあるうちに前記試料を検査する工程をさらに有する方法ものである。
【請求項19】
請求項1記載の方法であって、前記把持要素から前記試料をリリースした後で前記試料を検査する工程をさらに有する方法ものである。
【請求項20】
請求項19記載の方法であって、前記試料の検査前に検査グリッド上で前記試料を位置決めするため前記把持要素を操作する工程をさらに有する方法ものである。
【請求項21】
請求項19記載の方法であって、前記把持要素から前記試料をリリースする前に検査グリッドへ前記試料を連結する工程をさらに有する方法ものである。
【請求項22】
請求項1記載の方法において、前記把持要素はMEMS素子である。
【請求項23】
請求項22記載の装置において、前記MEMS素子はニッケルを含有するものである。
【請求項24】
請求項22記載の装置において、前記MEMS素子はシリコンを含有するものである。
【請求項25】
請求項1記載の方法において、前記把持要素を作動させる工程は、前記基板試料に抗して前記把持要素を押圧する工程を含むものである。
【請求項26】
請求項1記載の方法において、前記把持要素は、前記基板試料と整合するよう構成された可鍛層を具備するものである。
【請求項27】
請求項26記載の装置において、前記可鍛層は金を含有するものである。
【請求項28】
請求項1記載の方法において、
前記試料を切断する工程は、複数の試料を各々少なくとも部分的に基板から切断する工程を含み、
前記基板試料を捕持する工程は、前記複数の試料を各々捕持する工程を含み、
前記試料を前記基板から分離させる工程は、前記複数の試料を各々分離させる工程を含むものである。
【請求項29】
請求項1記載の方法において、前記基板試料を捕持する工程と、前記試料を前記基板から分離させる工程との少なくとも一方は、TEMで実行されるものである。
【請求項30】
請求項1記載の方法において、前記基板試料を捕持する工程と、前記試料を前記基板から分離させる工程との少なくとも一方は、SEMで実行される。
【請求項31】
方法であって、
集束イオンビーム(FIB)で基板を切断することにより、前記基板から少なくとも部分的に試料を切断する工程と、
前記試料を捕持するよう構成された圧着エンドエフェクタを有するアセンブリツールを前記試料に近接させて位置決めする工程と、
前記圧着エンドエフェクタを介して前記試料に力を加える工程であって、前記力は、前記圧着エンドエフェクタと前記試料とを圧着させる上で十分な大きさを有することにより前記試料を捕持する、前記試料に力を加える工程と、
前記捕持済み試料を前記基板から分離させる工程と
を有する方法。
【請求項32】
請求項31記載の方法であって、
前記捕持済み試料を検査用に電子顕微鏡へ移送する工程と、
前記電子顕微鏡で前記試料を検査する工程と
をさらに有する方法ものである。
【請求項33】
請求項31記載の方法において、前記試料に力を加える工程は、前記圧着エンドエフェクタが連結されている作動装置を作動させる工程を含むものである。
【請求項34】
請求項33記載の方法において、前記作動装置を作動させる工程は電熱的作動工程を含むものである。
【請求項35】
請求項33記載の方法において、前記作動装置を作動させる工程は静電気的作動工程を含むものである。
【請求項36】
システムであって、
基板から少なくとも部分的に試料を切断する集束イオンビーム(FIB)手段と、
前記試料を捕持するよう構成された把持要素と、
前記試料を捕持するため前記把持要素を作動させる手段と、
前記捕持済み試料を前記基板から分離させる手段と
を有するシステム。
【請求項37】
請求項36記載のシステムであって、前記捕持済み試料を検査用に顕微鏡へ移送する手段をさらに有するシステムものである。
【請求項38】
請求項37記載のシステムにおいて、前記顕微鏡は透過型電子顕微鏡である。
【請求項39】
請求項37記載のシステムにおいて、前記顕微鏡は走査型電子顕微鏡である。
【請求項40】
請求項37記載のシステムにおいて、前記顕微鏡は走査型透過電子顕微鏡である。
【請求項41】
請求項36記載のシステムにおいて、前記把持要素は、開放位置と閉塞位置との間で前記把持要素を構成する一体型作動装置を具備するものである。
【請求項42】
請求項36記載の方法において、前記把持要素は、熱的に作動するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタの加熱時および冷却時の少なくとも一方で前記試料を捕持するよう構成された熱的に作動するエンドエフェクタを具備するものである。
【請求項43】
請求項42記載のシステムにおいて、前記把持要素は、前記エンドエフェクタを作動させるよう構成された一体型ヒーターを具備するものである。
【請求項44】
請求項43記載のシステムにおいて、前記一体型ヒーターは抵抗加熱されるものである。
【請求項45】
請求項36記載のシステムにおいて、前記把持要素は可鍛エンドエフェクタを有し、前記把持要素を作動させる手段は、前記試料に抗し前記エンドエフェクタを押圧して圧着を生じさせる手段を具備するものである。
【請求項46】
請求項36記載のシステムにおいて、前記把持要素は検査中に前記試料を固定するよう構成されているものである。
【請求項47】
請求項36記載のシステムにおいて、前記把持要素を作動させる手段は、自動化により前記把持要素を作動させて前記試料を捕持する自動手段を具備するものである。
【請求項48】
請求項36記載のシステムにおいて、前記捕持済み試料を前記基板から分離させる手段は、自動化により前記捕持済み試料を前記基板から分離させる自動手段を具備するものである。
【請求項49】
請求項36記載のシステムであって、
前記少なくとも部分的に試料を切断する工程中に前記FIB手段を制御し、
前記試料捕持中に前記作動手段を制御し、
前記試料分離中に前記分離手段を制御する
自動化手段をさらに有するシステムものである。
【請求項50】
FIBで調製した試料を捕持する把持要素であって、
ハンドリングアセンブリに連結されるよう構成された本体と、
前記本体に連結された作動部材と、
前記作動部材に連結され、前記作動部材の作動に応答してFIBで調製した試料を捕持するよう構成された把持部材と
を有する把持要素ものである。
【請求項51】
請求項50記載の把持要素において、前記作動は電熱的作動である。
【請求項52】
請求項50記載の把持要素において、前記把持部材は複数の把持部材のうちの第1把持部材である。
【請求項53】
請求項52記載の把持要素において、前記複数の把持部材は、それぞれ実質的に互いの鏡像である。
【請求項54】
請求項50記載の把持要素において、前記把持部材は、前記FIBで調製した試料の第2の輪郭に対応した第1輪郭を具備するものである。
【請求項55】
請求項54記載の把持要素において、前記第1輪郭は実質的に非矩形である。
【請求項56】
方法であって、
集束イオンビーム(FIB)で基板を切断することにより、前記基板から少なくとも部分的に試料を切断する工程と、
把持要素で前記基板試料を捕持する工程と、
前記捕持済み試料を前記基板から分離させる工程と、
前記把持要素を作動させることにより、捕持済み前記基板試料をリリースする工程と
を有する方法。
【請求項57】
請求項56記載の方法において、前記把持要素で前記基板試料を捕持する工程は、前記把持要素で前記基板試料を受動的に捕持する工程を実質的に含むものである。
【請求項58】
請求項56記載の方法において、前記把持要素は、前記把持要素での前記基板試料の捕持中、実質的に一定な温度を維持するものである。
【請求項59】
請求項56記載の方法において、前記把持要素は、前記基板試料を受動的に捕持するよう構成されている。
【請求項60】
請求項56記載の方法において、前記把持要素は、前記把持要素に電力が実質的に供給されていない状態である場合に、前記基板試料を受動的に捕持するよう構成されているものである。
【請求項61】
請求項56記載の方法において、前記把持要素で前記基板試料を捕持する工程は、前記把持要素が非作動状態である場合に前記基板試料を捕持する工程を含むものである。
【請求項62】
請求項56記載の方法において、前記把持要素が前記基板試料を捕持している間は、前記把持要素へ電力は実質的に供給されないものである。
【請求項63】
FIBで調製した試料を捕持する把持要素であって、
ハンドリングアセンブリに連結されるよう構成された本体と、
前記本体に連結された作動部材と、
前記作動部材に連結された把持部材であって、FIBで調製した試料を捕持するよう構成され、前記作動部材の作動に応答して前記FIBで調製した試料をリリースするようさらに構成された把持部材と
を有する把持要素。
【請求項64】
請求項63記載の把持要素において、前記把持部材は、前記FIBで調製した試料を受動的に捕持するよう構成されているものである。
【請求項65】
請求項63記載の把持要素において、前記作動は電熱的作動である。
【請求項66】
請求項63記載の把持要素において、前記把持部材は複数の把持部材のうちの第1把持部材である。
【請求項67】
請求項66記載の把持要素において、前記複数の把持部材は、それぞれ実質的に互いの鏡像である。
【請求項68】
請求項63記載の把持要素において、前記把持部材は、前記FIBで調製した試料の第2の輪郭に対応した第1輪郭を具備するものである。
【請求項69】
請求項68記載の把持要素において、前記第1輪郭は実質的に非矩形である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2007−506981(P2007−506981A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528252(P2006−528252)
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/031482
【国際公開番号】WO2005/031789
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(504464210)ザイベックス コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/031482
【国際公開番号】WO2005/031789
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(504464210)ザイベックス コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】
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