説明

GPR119アゴニスト

糖尿病および肥満を治療するための以下の式


のGPR119アゴニスト化合物、および医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はGPR119アゴニストに関する。
【背景技術】
【0002】
GPR119は、ヒトにおいて、大部分は膵臓(β細胞)および腸組織(腸内分泌細胞)に限定されているGタンパク質共役受容体であり、SNORF25、RUP3、GPCR2、19AJ、OSGPR116およびグルコース依存性インスリン分泌促進受容体を含む、種々の同義語を使用して研究および説明されている。
【0003】
GPR119についての薬理学および治療可能性は、最近、概説されており(非特許文献1)、糖尿病および肥満の治療のための興味のある標的としてGPR119を開示している。
【0004】
多くのGPR119の合成アゴニストは糖尿病および肥満の治療のために開示されており、例えば特許文献1に開示されているものがある。抗糖尿病および抗肥満治療としての代替のGPR119アゴニストについての必要性が依然として存在する。
【0005】
典型的に、経口投与が、抗糖尿病および抗肥満治療についての好ましい投与経路である。良好な経口バイオアベイラビリティを示す化合物について、典型的に、それらの化合物は、吸収を可能にするために十分な水溶解度、および肝臓における最初の移動による分解を最小化するために十分な代謝的安定性を有さなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第09/038974号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Br.J.Pharmacol.2008,153,S76−S81
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
式Iの化合物は、インビトロにおいてGPR119のアゴニストであることが見出されている。本発明の特定の化合物は、インビボにおいてGIP分泌を刺激することが示されている。本発明の特定の化合物は、既存のアゴニストより非常に有効であることを示す。本発明の特定の化合物は、良好な経口バイオアベイラビリティを有する。
【0009】
本発明は、糖尿病または肥満、特にII型糖尿病の治療または予防における、Gタンパク質共役受容体GPR119のアゴニストである式Iの化合物、活性成分としてそれらを含む医薬組成物、およびそれらの使用に関する。
【0010】
本発明は、式I
【化1】

(式中、
Xは、NおよびCHから選択され、
は、FおよびCFから選択され、
およびRは、Fおよびメチルから独立して選択されるか、または結合してC3〜5シクロアルキル環を形成し、
は、Hおよびメチルから選択され、
は、HおよびFから選択される)
の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。
【0011】
本発明は、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能な希釈剤もしくは担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0012】
本発明は、治療に使用するための式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。本発明はまた、糖尿病および肥満の治療に使用するための式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。本発明はさらに、糖尿病または肥満の治療に使用するための式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。本発明の別の態様において、糖尿病および肥満を治療するための医薬を製造するための式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の使用を提供する。本発明はさらに、糖尿病または肥満を治療するための医薬を製造するための式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の使用を提供する。
【0013】
本発明はまた、糖尿病および肥満を治療するための方法を提供し、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の有効量を、それを必要とするヒトまたは動物に投与することを含む。本発明はさらに、糖尿病または肥満を治療するための方法を提供し、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の有効量を、それを必要とするヒトまたは動物に投与することを含む。本発明の化合物は、糖尿病または肥満、特にII型糖尿病の治療に使用されることが好ましい。
【0014】
式Iの化合物の好ましい種は、式
【化2】

(式中、X、R、R、およびRは本明細書に定義される通りである)
の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0015】
式Iの化合物の好ましい種は、式
【化3】

(式中、X、R、R、およびRは本明細書に定義される通りである)
の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0016】
式I、IIまたはIIIの化合物の特定のクラスが好ましい。以下に列挙した選択は、このような好ましいクラスを記載する。
1)XはNであり、
2)XはCHであり、
3)RはHであり、
4)RはFであり、
5)RはCFであり、
6)RおよびRは、Fおよびメチルから独立して選択されるか、または結合してCシクロアルキルを形成し、
7)RおよびRは、メチルであるか、または結合してCシクロアルキルを形成し、
8)XはNであり、RおよびRは、メチルであるか、または結合してCシクロアルキルを形成し、
9)XはCHであり、RおよびRは、メチルであるか、または結合してCシクロアルキルを形成し、
10)RおよびRはメチルであり、RはFであり、
11)RおよびRは結合してCシクロアルキルを形成し、RはCFである。
【0017】
本発明の化合物の各々の薬学的に受容可能な塩は、本明細書の範囲内であると意図される。
【0018】
本発明の好ましい化合物は、5−[1−(2−フルオロ−2−メチル−プロピル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル、および1−メタンスルホニル−4−{4−[1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピルメチル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−フェニル}−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジンを含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書全体にわたって使用される場合、基が、「本明細書に定義される(defined herein)」または「本明細書に定義される(herein defined)」として特定される場合、その基は、最初に現れ、かつ最も広い範囲の定義ならびにその基の特定の定義の各々および全てを包含することが理解されるべきである。
【0020】
上記および本発明の説明全体にわたって使用される場合、他に示されない限り、以下の用語は以下の意味を有する。
【0021】
本明細書に使用される場合、用語「C〜Cシクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンチルを意味すると考慮される。好ましいC〜Cシクロアルキル基は、シクロプロピルおよびシクロブチルを含み、別の好ましい基はシクロプロピルである。
【0022】
本明細書に使用される場合、用語「異性体1」および「異性体2」は、最終化合物または中間体の特定の鏡像異性体に関し、「異性体1」は、記載されるクロマトグラフプロセスから溶出する第1の化合物に関し、「異性体2」は第2に関する。用語「異性体1」または「異性体2」は、最初に中間体に属する場合、その用語は最終化合物まで保たれる。
【0023】
本明細書に使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩」とは、生物に対して実質的に非毒性である本発明の化合物の塩をいう。そのような塩およびそれらを調製するための一般的な方法は当該技術分野において周知である。例えば、P.Stahlら,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties Selection and Use,(VCHA/Wiley−VCH,2002);およびJ.Pharm.Sci.66,2−19(1977)を参照のこと。好ましい薬学的に受容可能な塩には、塩酸塩、メシラートおよびフマレートが含まれ、より好ましい塩は塩酸塩およびメシラートである。
【0024】
本発明の化合物は、好ましくは、種々の経路で投与される医薬組成物として製剤化される。最も好ましくは、そのような組成物は経口投与用である。そのような医薬組成物およびそれらを調製するためのプロセスは当該技術分野において周知である。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(A,Gennaroら,eds.第19版,Mack Publishing Co.,1995)を参照のこと。好ましい医薬組成物は、0.5Mのリン酸(100mg/mlの最大濃度);ヒドロキシエチルセルロース(1%w/v)、ポリソルベート80(0.25%v/v)、消泡剤(0.05%v/v)および脱イオン水(110mg/mlの最大濃度);ならびにビタミンE TPGS(コハク酸d−アルファ−トコフェロールポリエチレングリコール1000)(10%v/v)、消泡剤(0.05%v/v)および脱イオン水(250mg/mlの最大濃度)からなる群より選択されるビヒクルと混合される本発明の化合物を含む。
【0025】
本発明のさらなる態様において、本発明の化合物は、1つ以上の治療成分と併せて投与される。そのような治療成分は、例えば、メトホルミンまたはDPPIV阻害剤(例えばシタグリプチン)を含む。
【0026】
併用投与は、同時、別個または連続投与を含む。
【0027】
糖尿病を治療するための併用投与に関して、本発明の化合物は、メトホルミンと同時、別個または連続して投与されることが好ましい。肥満を治療をするための併用投与に関して、本発明の化合物は、シタグリプチンと同時、別個または連続して投与されることが好ましい。
【0028】
以下のスキーム、調製例および実施例は、本発明の実施をより明らかにするために提供する。これらのスキーム、調製例および実施例の工程についての適切な反応条件は当該技術分野において周知であり、溶媒および共試薬の置換を含む、反応条件の適切な修飾は当業者ができる範囲内である。以下の調製例および実施例に示される温度は、他に示されない限り、外部の槽温度に対応する。
【0029】
さらに、当業者は、一部の状況において、部分が導入される順序は重要でないことを理解するだろう。式Iの化合物を生成するのに必要とされる工程の特定の順序は、合成される特定の化合物、出発物質、および置換部分の相対不安定性に依存し、熟練した化学者により十分に理解される。当業者は、全ての置換基が全ての反応条件と適合するとは限らないことを理解するだろう。それらの化合物は、当該技術分野において周知の方法によって合成における都合の良い点で保護または修飾されてもよい。
【0030】
適切な保護基には、T.W.Greene,「Protective Groups in Organic Synthesis」,John Wiley and Sons,New York,N.Y.,1991(本明細書以下で「Greene」と称する)に記載されているものが含まれる。Greeneは、当業者に使用される適切な保護基を「保護」および「脱保護」するための適切な条件を示している。
【0031】
所望の場合、再結晶またはシリカゲルもしくはアルミナなどの固体支持上でのクロマトグラフィーなどの一般的技術によって、本発明の中間体および最終生成物はさらに精製されてもよい。
【0032】
本発明の実施例についての化合物名はAutoNom2000を使用して生成する。
【0033】
本明細書に使用される略語は以下のように定義する。
「h」は時間を意味し;「min」は分を意味し;「cAMP」は環状アデノシン一リン酸を意味し;「DMEM」はダルベッコ改変イーグル培地を意味し;「HTRF」は均一時間分解蛍光測定を意味し;「PBS」はリン酸緩衝生理食塩水を意味し;「IBMX」はイソブチルメチルキサンチンを意味し;「BSA」はウシ血清アルブミンを意味し;「FBS」はウシ胎仔血清を意味し;「EBSS」はアール平衝塩類溶液を意味し;「EDTA」はエチレンジアミン四酢酸を意味し;「NADPH」はニコチンアミドアデノシンジヌクレオチドリン酸を意味し;「HEC」はヒドロキシエチルセルロースを意味し;「LC−ESI/MS」は液体クロマトグラフィー−エレクトロスプレーイオン化質量分析を意味し;「Pg」は保護基を意味し;「Tf」はトリフルオロメチルスルホニルを意味し;「Ts」はパラ−トルエンスルホニルを意味し;「Ms」はメチルスルホニルを意味する。
【0034】
【化4】

開始ヒドロキシル(a)を、高温にて、アセトニトリルなどの適切な溶媒中で、カルボン酸tert−ブチルエステルなどの適切な保護基および炭酸カリウムなどの適切な塩基を用いてピペリジンを有するメシラートと反応する。単離した生成物を、当業者に周知の条件下で脱保護して、化合物(b)を得る。化合物(b)を、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中で、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリドなどの適切な還元剤を用いて、標準的な還元的アミノ化条件下でアルデヒドと反応して、最終化合物(I)を得る。代替として、化合物(b)を、高温にて、ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中で、o−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレートなどのカップリング試薬およびジイソプロピルエチルアミンなどの適切な塩基を使用して、適切に置換した酸と反応する。単離した生成物を、高温にて、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で、水素化アルミニウムリチウムなどの適切な還元剤と反応して、最終化合物(I)を得る。代替として、化合物(b)を、高温にて、アセトニトリルなどの適切な溶媒中で、R’OYおよび炭酸カリウムなどの適切な塩基と反応して、最終化合物(I)を得る。
【0035】
代替として、RがFであり、RおよびRの両方がメチルである場合、化合物I’を以下のスキームBに記載されるように調製してもよい。
【化5】

【0036】
開始ピペリジン(b)を、メタノールなどの適切な溶媒中で、窒素などの不活性雰囲気下で、2,2−ジメチルオキシランと反応する。単離した生成物を、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中で、ビス(2−メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリドなどの適切なフッ素化剤と反応して、最終化合物(I’)を得る。
【0037】
必要なヒドロキシル(a)を以下のスキームCに記載されるように調製してもよい。
【化6】

【0038】
開始ピペリジン−4−オール(c)を、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で、メタンスルホニルクロリドおよびトリエチルアミンまたはピリジンなどの適切な塩基と反応して、化合物(d)を得る。化合物(d)を、高温にて、トルエンなどの適切な溶媒中で、p−トルエンスルホン酸と反応して、テトラヒドロ−ピリジン(e)を得る。化合物(e)を、高温にて、ジオキサン/水などの適切な溶媒中で、水酸化カリウム、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリ−i−プロピル−1,1’−ビフェニルおよびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを使用して、J.Am.Chem.Soc 2006,128,10694−10695に記載される方法により反応して、テトラヒドロ−ピリジン化合物(a)を得る。
【0039】
代替として、必要なブロモ(e)およびヒドロキシル(a)を以下のスキームDおよびEに記載されるように調製してもよい。
【化7】

【0040】
開始ピペリドン(f)を、低温にて、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で、リチウムジイソプロピルアミドなどの適切な塩基と混合し、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)と反応して、化合物(g)を得る。テトラヒドロ−ピリジン化合物(g)を、高温にて、1,4−ジオキサンなどの適切な溶媒中で、ビス(ピナコラト)ジボロン、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)クロリド、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、および酢酸カリウムと反応して、化合物(h)を得る。
【0041】
【化8】

開始臭化物を、高温にて、ジオキサン/水などの適切な溶媒中で、カルボン酸tert−ブチルエステルなどの適切な保護基、テトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウムなどの適切なパラジウム触媒および炭酸セシウムなどの適切な塩基を用いてボロネート化合物(h)と反応する。単離した生成物を、当業者に周知の条件下で脱保護して、化合物(i)を得る。化合物(i)を、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中で、メタンスルホニルクロリドおよびトリエチルアミンなどの適切な塩基と反応して、化合物(j)を得る。置換基YがOCHである場合、当業者に周知の条件を使用して、さらなる脱保護工程を、化合物(j)を得るために必要とする。
【0042】
代替として、RがHである化合物を、以下のスキームFに記載されるように調製してもよい。
【化9】

【0043】
適切に置換した酸を、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で、1,1’−カルボニルジイミダゾールと反応し、それに、ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステルを加える。単離した生成物を、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で、水素化アルミニウムリチウムなどの適切な還元剤と反応して、化合物(k)を得る。化合物(k)を、低温にて、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートおよびトリフェニルホスフィンなどの標準的な光延条件を使用して化合物(a)と反応して、最終化合物(I’’)を得る。
【0044】
調製例1
4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェノール
1:4−(4−ブロモ−フェニル)−1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−オール。
窒素雰囲気下、23℃(内部温度)にて、塩化メタンスルホニル(21.91g,14.81mL,191.30mmol)を、テトラヒドロフラン(575mL)中の4−(4−ブロモフェニル)−4−ピペリジノール(50.00g,191.30mmol)およびトリエチルアミン(29.04g,40.00mL,286.95mmol)の溶液にゆっくり(10分)加える。混合物を23℃にて30分間撹拌する。500mLの1M塩酸水溶液を加え、混合物を10分間撹拌する。この混合物を酢酸エチル(2×500mL)で抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して、白色固体として60.0gの標題化合物を得る。MS m/e(79Br/81Br)333,335(M+1)。
【0045】
2:4−(4−ブロモ−フェニル)−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン。
トルエン(1.08L)中の4−(4−ブロモ−フェニル)−1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−オール(60.00g,179.51mmol)およびp−トルエンスルホン酸(9.37g,53.85mmol)の混合物を100℃にて16時間撹拌する。反応物を23℃まで冷却し、pH10まで2M水酸化ナトリウム水溶液、および水で連続して洗浄する。相を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去する。メチルtert−ブチルエーテル(200mL)を加え、固体を濾過し、メチルtert−ブチルエーテルで洗浄して、薄茶色の固体として35.0gの標題化合物を得る。MS m/e(79Br/81Br)315,317(M+1)。
【0046】
3:4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェノール。
4−(4−ブロモ−フェニル)−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン(23.50g,74.32mmol)、水酸化カリウム(14.72g,222.95mmol)、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリ−i−プロピル−1,1’−ビフェニル(2.52g,5.95mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.36g,1.49mmol)の混合物を窒素でパージし、次いで脱酸素1,4−ジオキサン(150mL)および脱酸素水(150mL)を加える。混合物を100℃にて1時間撹拌する。混合物を23℃まで冷却し、pHが2〜3になるまで1M塩酸水溶液を加える。水層を酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して、赤色の固体を得る。ジエチルエーテルを加え、固体を濾過して、オフホワイトの固体として16gの標題化合物を得る。MS(m/z)254(M+1)。
【0047】
調製例2
1−メタンスルホニル−4−[4−(ピペリジン−4−イルメトキシ)−フェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
1:4−メタンスルホニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル。
窒素雰囲気下、9℃(内部温度)にて、塩化メタンスルホニル(29.26g,19.77mL,255.47mmol)を、無水ジクロロメタン(700mL)中のtert−ブチル4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(50.00g,232.24mmol)およびトリエチルアミン(35.25g,48.56mL,348.36mmol)の溶液にゆっくり(10分)加える。混合物を23℃にて16時間撹拌する。反応混合物を、1M塩酸水溶液、水、およびブラインで連続して洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して、白色固体として60gの標題化合物を得る。MS(m/z)316(M+23)。
【0048】
2:4−[4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェノキシメチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル。
アセトニトリル(120mL)中の4−メタンスルホニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(17.95g,61.19mmol)、調製例1(15.50g,61.19mmol)および炭酸カリウム(16.91g,122.37mmol)の混合物を18時間、還流下で加熱する。反応物を23℃まで冷却し、溶媒を除去する。残渣を1Lのジクロロメタンおよび500mLの水の混合物で溶解し、相を分離する。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させる。得た固体を250mLのメチルtert−ブチルエーテルで処理して、22.0gの標題生成物を得る。MS(m/z)473(M+23)。
【0049】
3:1−メタンスルホニル−4−[4−(ピペリジン−4−イルメトキシ)−フェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン。
トリフルオロ酢酸(2.98g,1.97mL,26.10mmol)を、ジクロロメタン(13mL)中の4−[4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェノキシメチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.20g,2.61mmol)の溶液に加える。混合物を23℃にて30分間撹拌する。2M水酸化ナトリウム水溶液を加える。得られた白色沈殿物を濾過し、水で洗浄する。母液をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して、白色固体を得、それを初期の沈殿物と合わせ、高真空下で16時間乾燥させる。ジエチルエーテルを加え、固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄して、0.810gのオフホワイトの固体を得る。MS(m/z)351(M+1)。
【0050】
調製例3
4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
1:4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル。
添加漏斗、温度プローブおよび磁気撹拌器を備えた3つ口フラスコ中で、テトラヒドロフラン(160mL)中のジイソプロピルアミン(32.30g,44.93mL,319.20mmol)の溶液を−10℃(内部温度)まで冷却する。n−ブチルリチウム(ヘキサン中に133.0mL,332.50mmol,2.5M)を滴下して加える(10分、−10℃〜1℃まで温度を変化させる)。混合物を−10℃にて10分間撹拌し、次いで−60℃(内部温度、−75℃の槽)まで冷却する。テトラヒドロフラン(160mL)中のN−tert−ブトキシカルボニル−4−ピペリドン(53.00g,266.00mmol)の溶液を滴下して加える(10分)。混合物を−60℃にて1.5時間撹拌し、テトラヒドロフラン(160mL)中のN−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(99.78g,279.30mmol)の溶液を−60℃にて滴下して加える(5分)。さらにテトラヒドロフラン(40mL)を加え、混合物を16時間、23℃まで加温する。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(400mL)を混合物に加え、次いでそれを酢酸エチル(3×400mL)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。得られた混合物をシリカゲルプラグに通し、4:1のヘキサン:酢酸エチルで溶出して、黄色の油状物として78.00gの標題化合物を得る。その物質をさらに精製せずに次の工程に使用する。H NMR(CDCl)δ(ppm):1.47(s,9H),2.43−2.47(m,2H),3.63(t,2H),4.03−4.11(m,2H),5.76(s,1H)。
【0051】
2:4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル。
4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(235.43mmol;78.00g)を、1,4−ジオキサン(1170mL)中に溶解し、溶液を5分間脱気する。ビス(ピナコラト)ジボロン(65.76g,258.97mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(6.53g,11.77mmol)、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)クロリド(9.61g,11.77mmol)および酢酸カリウム(69.32g,706.28mmol)を加え、混合物を85℃にて3時間、窒素下で撹拌する。混合物を23℃まで冷却し、16時間撹拌する。混合物を珪藻土で濾過し、酢酸エチルで洗浄し、真空中で濃縮する。粗生成物を、ヘキサン:酢酸エチル(12:1〜4:1)で溶出するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、72.00gの標題化合物を得て、それをさらに精製せずに次の工程に使用する。MS(m/z)254(M−55)。
【0052】
調製例4
4−(1−メタンスルホニルオキシ−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
1:4−(1−ヒドロキシ−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル。
−78℃にて、テトラヒドロフラン中のN−tert−ブトキシカルボニル−4−ピペリジンカルボキシアルデヒド(32.20g,151.45mmol)の溶液に、メチルマグネシウムブロミド(ジエチルエーテル中に2M,100.96mL,302.89mmol)を加える。反応物を−78℃にて4.5時間撹拌し、次いで30分間、−50℃まで加温する。反応物を−50℃にて水でクエンチし、16時間、室温まで加温する。溶媒を除去し、物質をジエチルエーテルと0.1Mの塩酸との間に分配する。混合物をジエチルエーテルで抽出する。合わせた有機層を0.1Mの塩酸、飽和炭酸水素ナトリウムおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮する。粗物質をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、無色の油状物として16.90gの標題化合物を得る。MS(m/z)229(M+1)。
【0053】
2:4−(1−メタンスルホニルオキシ−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル。
0℃にて、ジクロロメタン(400mL)およびトリエチルアミン(12.20mL,87.49mmol)中の4−(1−ヒドロキシ−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(18.24g,79.54mmol)の溶液に、メタンスルホニルクロリド(9.23mL,119.30mmol)を加える。反応物を16時間にわたって、室温まで加温する。混合物を、0.1Mの塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水およびブラインで洗浄する。物質を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮する。粗物質を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、無色の油状物として22.65gの標題化合物を得る。H NMR(CDCl)δ(ppm):1.19−1.30(m,2H),1.39(d,3H),1.44(s,9H),1.6−1.8(m,3H),2.66(m,2H),2.99(s,3H),4.16(m,2H),4.62(t,1H)。
【0054】
調製例5
4−{1−[4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェノキシ]−エチル}−ピペリジン
1:4−{1−[4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェノキシ]−エチル}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル。
アセトニトリル(93.00mL)中の調製例1(2.35g,9.27mmol)および調製例4(2.85g,9.27mmol)の溶液に、炭酸セシウム(3.02g,9.27mmol)および18−クラウン−6(0.49g,1.85mmol)を加える。混合物を72時間、80℃まで加熱する。混合物を真空中で濃縮し、残存物質を酢酸エチルと水との間に分配する。有機層を1Mの水酸化ナトリウムおよびブラインで洗浄する。物質を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮する。得られた物質を10mLのジエチルエーテルで希釈し、3分間超音波処理し、残存固体を濾過し、真空下で乾燥させて、白色固体として2.02gの標題生成物を得る。MS(m/z)487(M+32),365(M−55)。
【0055】
2:4−{1−[4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェノキシ]−エチル}−ピペリジン。
ジクロロメタン(25mL)中の4−{1−[4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェノキシ]−エチル}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.16g,2.50mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(1.32mL,17.48mmol)を加える。反応物を室温にて18時間撹拌する。混合物を真空中で濃縮し、3mLの酢酸エチルで希釈する。2Mの水酸化ナトリウム水溶液を加えて、白色固体を生成する。その固体を濾過し、乾燥させて、0.86gの標題化合物を得る。MS(m/z)365(M+1)。標題化合物(0.320g,0.88mmol)を、1mL/分にて4.6×150mm Chiralcel AD−Hカラム上で2:3のアセトニトリル:メタノール中の0.2%のジメチルエチルアミンの溶出液を用いてその鏡像異性体に分離して、0.115gの異性体1を得る(100%ee、RT=5.27分)。MS(m/z)365(M+1)および0.112gの異性体2(100%ee、RT=8.59分)。MS(m/z)365(M+1)。
【0056】
調製例6
4−(1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−イルオキシメチル)−ピペリジニウム二塩酸塩
1:5−ブロモ−3’,6’−ジヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル。
1,4−ジオキサン(633mL)中の2,5−ジブロモピリジン(50.00g,211.07mmol)、調製例3(71.79g,232.17mmol)、2Mの炭酸ナトリウム水溶液(158.30mL,316.60mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.32g,6.33mmol)の混合物を、一晩窒素雰囲気下で100℃にて加熱する。反応物を室温まで冷却し、珪藻土で濾過し、酢酸エチルで洗浄する。有機層を500mLの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させる。粗物質を、6:1のヘキサン:酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、55gの白色固体を得る。MS m/e(79Br/81Br)339,341(M+1の両方の同位体)。
【0057】
2:5−ブロモ−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−1’−イウム;二塩酸塩。
1,4−ジオキサン中の4Mの塩化水素(170.24g,162.13mL,648.52mmol)を、ジクロロメタン(810mL)中の5−ブロモ−3’,6’−ジヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(55.00g,162.13mmol)の溶液に加える。混合物を室温にて12時間撹拌し、40℃にて6時間加熱する。混合物を蒸発させ、固体を濾過し、メチルt−ブチルエーテルで洗浄する。固体を40℃にて12時間、オーブン中で乾燥させて、50gの標題化合物を得る。MS m/e(79Br/81Br)238/240(M+1)。
【0058】
3:5−ブロモ−1’−メタンスルホニル−1’2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル。
標題化合物を、出発物質として5−ブロモ−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−1’−イウム;二塩酸塩を使用して調製例1(工程1)の方法によって実質的に調製する。MS m/e(79Br/81Br)316/318(M+1)。
【0059】
4:1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−オール。
標題化合物を、出発物質として5−ブロモ−1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニルを使用して調製例1(工程3)の方法によって実質的に調製する。MS(m/z)255(M+1)。
【0060】
5:4−(1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル。
標題化合物を、出発物質として1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−オールを使用する調製例2(工程2)の方法によって実質的に調製する。MS(m/z)452(M+1)。
【0061】
6:4−(1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−イルオキシメチル)−ピペリジニウム;二塩酸塩
標題化合物を、この調製例の工程2のように実質的に調製する。MS(m/z)352(M+1)。
【実施例】
【0062】
実施例1
4−{4−[1−(1−フルオロ−シクロペンチルメチル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−フェニル}−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【化10】

1:1−オキサ−スピロ[2.4]ヘプタン−2−カルボニトリル。
tert−ブチルアルコール(184.4mL,184.4mmol)中のカリウムter−ブトキシドの1Mの溶液を、無水t−ブチルアルコール(33mL)中のクロロアセトニトリル(10.8mL,167.6mmol)およびシクロペンタノン(15.0mL,167.6mmol)の溶液にゆっくりと加える。反応物を室温にて16時間撹拌する。混合物を珪藻土で濾過し、溶媒を除去し、残渣を水で希釈する。混合物を30%のリン酸二ナトリウム水溶液で中和し、ジエチルエーテルで抽出する。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去する。残渣を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、無色の油状物として14.1gの標題化合物を得る。H NMR(CDCl)δ(ppm):3.46(s,1H),1.65−2.20(m,8H)。
【0063】
2:(1−フルオロ−シクロペンチル)−ヒドロキシ−アセトニトリル。
ピリジン中の無水ジクロロメタン(3mL)および70%w/wのフッ化水素の溶液(2.68mL,20.44mmol)を、窒素雰囲気下0℃にて、ポリエチレンボトル内で混合する。無水ジクロロメタン(3.2mL)中の1−オキサ−スピロ[2.4]ヘプタン−2−カルボニトリル(3.30g,26.76mmol)の溶液をゆっくりと加える。反応物を0℃にて1時間、室温にて1時間撹拌する。混合物を0℃にて冷却し、飽和炭酸ナトリウム溶液を注意深く加える。水層をジエチルエーテルで抽出する。有機層を合わせ、水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去する。ヘキサン:ジエチルエーテル(100:0〜80:20)で溶出する20gのシリカゲルカートリッジ中のクロマトグラフィーによって残渣を精製して、無色の油状物として1.7gの所望の化合物を得る。H NMR(CDCl)δ(ppm):4.47(d,1H),3.50(bs,1H),2.12−1.67(m,8H)。
【0064】
3:1−フルオロ−シクロペンタンカルバルデヒド。
25%の水酸化ナトリウム水溶液(7.00mL,72.8mmol)を、エタノール(10mL)中の(1−フルオロ−シクロペンチル)−ヒドロキシ−アセトニトリル(0.50g,3.5mmol)の溶液に加え、反応物を室温にて15分間撹拌する。混合物を水およびジエチルエーテルで希釈し、水層をジエチルエーテルで抽出する。有機層を合わせ、水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で除去して、430mgの黄色の油状物を得て、それをさらに精製せずに使用する。
【0065】
4:4−{4−[1−(1−フルオロ−シクロペンチルメチル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−フェニル}−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン。
酢酸(0.024mL,0.42mmol)および1−フルオロ−シクロペンタンカルバルデヒド(0.367mL,3.70mmol)を、ジクロロメタン(4mL)中の調製例2(150mg,0.427mmol)の懸濁液に加え、混合物を40℃にて45分間撹拌する。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(236.22mg,1.07mmol)を加え、混合物を40℃にて1.5時間撹拌する。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせ、水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去する。残渣を、20%、50%、および100%のジクロロメタン:酢酸エチルで溶出する10gのシリカゲルカートリッジ上でクロマトグラフして、淡黄色の固体を得る。化合物をジエチルエーテルで粉砕し、濾過して、白色固体として25mgの標題化合物を得る。MS(m/z)451(M+1)。
【0066】
実施例2
4−{4−[1−(2−フルオロ−2−メチル−プロピル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−フェニル}−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【化11】

1:2−フルオロ−1−{4−[4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェノキシメチル]−ピペリジン−1−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン。
ジイソプロピルエチルアミン(1.60g,2.16mL,12.40mmol)を、無水ジメチルホルムアミド(20mL)中の調製例2(1.60g,4.13mmol)、o−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(1.99g,6.20mmol)および2−フルオロ−2−メチル−プロピオン酸(0.48g,0.54mL,4.55mmol)の懸濁液に加え、混合物を40℃にて1時間撹拌する。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1Mの塩酸水溶液、水、および2Mの水酸化ナトリウム水溶液で連続して洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去する。残渣を、0%、5%次いで10%のジクロロメタン:酢酸エチルで溶出するシリカゲルカートッリジ上のシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、薄茶色の固体として1.0gの標題化合物を得る。MS(m/z)439(M+1)。
【0067】
2:4−{4−[1−(2−フルオロ−2−メチル−プロピル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−フェニル}−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン。
室温にて、テトラヒドロフラン(23mL)中の2−フルオロ−1−{4−[4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェノキシメチル]−ピペリジン−1−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン(1.00g,2.28mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン(7.18g,7.98mL,7.98mmol)中の1Mの水素化アルミニウムリチウムの溶液を、カニューレを介して加える。1時間後、硫酸ナトリウム十水和物を注意深く加える。混合物を15分間撹拌し、固体を濾過し、ジクロロメタンで洗浄する。溶媒を除去し、残渣を、5.6:1〜2:1のジクロロメタン:酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、固体を得る。ジエチルエーテルを加え、固体を濾過し、ジエチルエーテルおよび酢酸エチルで洗浄して、白色固体として0.245gの標題化合物を得る。MS(m/z)425(M+1)。
【0068】
以下の化合物を、実施例2に示したものと同様の方法により実質的に調製する。
【0069】
【表1】

【0070】
実施例6
5−[1−(2−フルオロ−2−メチル−プロピル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル
【化12】

1:4−(1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−イルオキシメチル)−ピペリド。
調製例6(47g,114.5mmol)を、2Mの水酸化ナトリウム(500mL)に溶解し、ジクロロメタン(2×500mL)で抽出する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、淡黄色固体として40gの標題化合物を得る。MS(m/z)352(M+1)。
【0071】
2:1−[4−(1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−プロパン−2−オール
25℃にて窒素雰囲気下で、メタノール(230mL)中の4−(1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−イルオキシメチル)−ピペリド(40g,113.81mmol)の溶液に、2,2−ジメチルオキシラン(15.18mL;170.71mmol)を一度に加え、反応物を25℃にて16時間撹拌する。水(500mL)を加え、沈殿物を濾過し、メチルt−ブチルエーテル(250mL)で洗浄し、乾燥させて、淡黄色の固体として33gの標題化合物を得る。MS(m/z)424(M+1)。
【0072】
3:5−[1−(2−フルオロ−2−メチル−プロピル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル
22〜23℃の内部温度にて、ジクロロメタン(155mL)中の2−メチル−1−[4−[[6−(1−メチルスルホニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル)−3−ピリジル]オキシメチル]−1−ピペリジル]プロパン−2−オール(33g;77.91mmole)の溶液に、ビス(2−メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド(16.63mL;85.70mmole)を加える。反応物を25℃にて2時間撹拌する。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液をpH7に加える。層を分離し、水層をジクロロメタン(2×500mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて、濾過し、濃縮する。粗物質を、98:2のジクロロメタン:メタノールで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。固体を500mLのメチルt−ブチルエーテルで粉砕し、濾過する。固体を40℃にて3日間、オーブン中で乾燥させて、白色固体として24gの標題化合物を得る。MS(m/z)426(M+1)。
【0073】
実施例6を調製するための代替の方法は以下の通りである。
1:4−[4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェノキシメチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
機械的撹拌器を備えた3つ口フラスコに、4−(1−ヒドロキシ−メチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(350g,1.63mmol)、トリエチルアミン(247g,2.44mol)およびジクロロメタン(1750mL)を加える。その溶液を0℃にて30分間撹拌する。メタンスルホニルクロリド(223.5g,1.95mol)を0〜5℃にてゆっくりと加える。混合物を約5℃にて1.5時間撹拌する。1050mLの0.5Nの塩酸水溶液を、0〜15℃にて混合物に滴下して加え、得られた溶液を30分間撹拌する。層を分離し、有機層を1050mLの水で洗浄し、乾燥するまで濃縮する。700mLのメチルtert−ブチルエーテルを加え、混合物を0.5時間還流する。混合物を約5℃までゆっくり冷却した後、懸濁液を濾過する。固体を500mLのメチルtert−ブチルエーテルで撹拌し、濾過し、乾燥させて、98.6%のHPLC純度で434gのオフホワイトの固体を得る。
【0074】
2:4−(1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
3つ口フラスコに、1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−オール(254.3g,1.0mol)、続いて4−(1−メタンスルホニルオキシ−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(396.1g,1.34mol)および炭酸カリウム(248.8g,1.8mol)を加える。ジメチルホルムアミド(3800mL)を加え、混合物を80〜90℃にて6時間加熱する。3810mLの水を70〜80℃にて滴下して加える。混合物を20〜30℃までゆっくりと冷却し、濾過する。ケーキを1000mLの水でスラリーにし、濃縮し、真空下で乾燥させて、97.13%のHPLC純度で407gの固体を得る。
【0075】
3:4−(1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−イルオキシメチル)−ピペリジン
機械的撹拌器を備えた3つ口フラスコに、4−(1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(407g,0.90mol)および6Nの塩化水素水溶液(2000mL,12.0mol)を25℃にて滴下して加える。混合物を25℃にて0.5時間、機械的に撹拌する。1000mLのジクロロメタンを25℃にて加え、混合物を20〜30分間撹拌する。層を分離し、NaOH水溶液(1500mL,11.6mol)を、25℃にてpH=9〜10まで水溶液に滴下して加える。3200mLのジクロロメタンを加え、混合物を25〜30℃にて40分間撹拌する。NaOH水溶液(300mL,2.3mol)を、固体が完全に溶解するまで、pH>14まで滴下して加え、溶液を20〜30分間撹拌し、層を分離する。水層を1700mLのジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層を900mLの水で洗浄し、濃縮する。残渣を、さらに精製せずに次の工程に使用する。
【0076】
4:1−[4−(1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−プロパン−2−オール
4−(1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−イルオキシメチル)−ピペリジンを、800mLのメタノールに懸濁し、機械的撹拌器を備えたオートクレーブに加える。1500mLのメタノールを加え、次いでジメチルオキシラン(117g,1.62mol)を加える。混合物を60〜70℃にて88時間撹拌し、25〜30℃まで冷却し、約1000mLまで濃縮する。混合物を60〜70℃にて加熱し、4200mLの水を加える。得られた混合物を60〜70℃にて30分間撹拌し、1.5〜2時間、0〜5℃までゆっくり冷却する。それをこの温度にて30分間撹拌し、濾過する。ケーキを0〜5℃に予め冷却したHO:MeOH=3:1(600mL)でスラリーにし、濃縮する(2×)。生成物を40〜50℃にて真空下で乾燥させて、98.3%のHPLC純度で320gのオフホワイトの固体を得る。
【0077】
5:5−[1−(2−フルオロ−2−メチル−プロピル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル
1−[4−(1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−プロパン−2−オール(300g,0.58mol)を3000mLのジクロロメタンに溶解し、溶液を35℃未満にて1L容量まで濃縮する。このプロセスを500mLの容量のジクロロメタン、次いで1000mLの容量のジクロロメタンで繰り返す。35℃未満にて1L容量まで濃縮した後、溶液を1000mLのジクロロメタンで希釈する。別のフラスコ中で、デオキソフルオル(173g,0.74mol)を1250mLのジクロロメタンに溶解し、−30〜−40℃まで冷却する。−30〜−40℃にて混合物を維持しながら、この溶液にジクロロメタン中の1−[4−(1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−5−イルオキシメチル)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−プロパン−2−オールの溶液を加える。反応物を20〜30℃までゆっくりと加温し、この温度で16時間撹拌する。混合物を0〜10℃まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液をpHが6.0〜6.5になるまで滴下して加える。混合物を30分間撹拌し、層を分離する。水層を1000mLのジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層を1000mLの水で洗浄し、50℃未満にて約1Lの混合物まで濃縮する。1750mLのアセトニトリルを加え、混合物を50℃未満にて約1Lの混合物まで濃縮する。500mLのアセトニトリルを加え、混合物を80〜82℃にて30分間加熱して、透明な溶液を得る。1250mLの水を80〜82℃にて滴下して加え、混合物を20〜30℃にゆっくり冷却する。得られた懸濁液を濾過する。ケーキを500mLの1:1のアセトニトリルと水の混合物でスラリーにし、濃縮する。残渣を真空下で乾燥させて、210gの粗固体を得る。粗固体を、98/2のジクロロメタン/メタノールで溶出するシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製して、98%の純度で165gの標題化合物を得る。(DMSO−d6,400MHz),δ=8.23(dd,1H,J=2.8Hz),7.49(d,1H,J=8.8Hz),7.36(dd,1H,J=8.8,2.8Hz),6.56(bs,1H),3,89−3.86(m,4H),3.37−3.33(m,4H),2.91(s,3H),2.90−2.88(m,2H),2.65−2.63(m,2H),2.42−2.39(m,1H),2.38−2.36(m,1H),2.08−2.03(m,2H),1.71−1.67(m,3H),1.31(s,3H),1.25(s,3H)ppm。
【0078】
実施例7
4−{3−フルオロ−4−[1−(2−フルオロ−2−メチル−プロピル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−フェニル}−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【化13】

1:4−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル。
4−ブロモ−2−フルオロアニソール(2.68g,12.94mmol)、調製例3(4.40g,14.23mmol)および(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)クロリド(528.40mg,0.647mmol)を、再び閉じることのできるチューブに入れ、窒素でパージする。ジメチルホルムアミド(40mL)および2Mの炭酸ナトリウム水溶液(23.71mL,38.82mmol)を加え、チューブを密閉し、90℃にて1時間撹拌する。反応物を酢酸エチルと水との間に分配する。水層を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮する。残渣を、ヘキサン:酢酸エチル(8:1)で溶出する20gのシリカゲルカートリッジを使用するクロマトグラフィーにより精製して、白色の油状物として2.6gの標題化合物を得る。MS(m/z)252(M−55)。
【0079】
2:4−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン塩酸塩。
出発物質として4−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して調製例6(工程2)のように実質的に調製する。MS(m/z)208(M+1)。
【0080】
3:4−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン。
4−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン塩酸塩(462.00mg,1.90mmol)をジクロロメタン(10mL)に懸濁する。トリエチルアミン(479.58mg,660.57μL,4.74mmol)およびメタンスルホニルクロリド(260.59mg,176.07μL,2.27mmol)を加え、反応物に蓋をし、室温にて16時間撹拌する。反応物をジクロロメタンと水との間に分配する。水層をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させて、濾過し、乾燥するまで濃縮する。粗物質を、ジクロロメタンで溶出する5gのシリカゲルカートリッジを使用するクロマトグラフィーにより精製して、白色固体として349mgの標題化合物を得る。MS(m/z)286(M+1)。
【0081】
4:4−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−オール。
4−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン(1.12g,3.93mmol)を窒素下で乾燥ジクロロメタン(20mL)に溶解する。溶液を−78℃まで冷却し、三臭化ホウ素(11.52g,7.85mL,7.85mmol)をシリンジにより加える。反応物を室温まで加温し、1時間撹拌し、続いて5%の炭酸水素ナトリウム水溶液およびジクロロメタンを加える。不溶性の固体が形成し、濾過して、ピンク色の固体として729mgの標題化合物を得る。H NMR(CDCl3)δ(ppm):7.21(dd,1H),7.09(m,1H),6.89(t,1H),3.30(m,2H),3.18(td,2H),2.88(m,3H),2.06(m,2H),1,80(m,2H)。
【0082】
5:2−フルオロ−4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−4−イル)−フェノール。
4−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−オール(726.00mg,2.51mmol)を1,4−ジオキサン(10.36g,10.04mL,117.57mmol)に溶解する。p−トルエンスルホン酸(43.65mg,250.93μmol)を加え、混合物を60℃にて加熱する。固体の炭酸ナトリウムを加え、反応物を濃縮する。残渣を水と酢酸エチルとの間に分配し、1Mの塩化水素でpHを7に調整し、酢酸エチルで抽出する。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮して、白色固体として714mgの標題化合物を得る。MS(m/z)272(M+1)。
【0083】
6:4−[2−フルオロ−4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェノキシメチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル。
出発物質として4−メタンスルホニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルおよび2−フルオロ−4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェノールを使用して調製例2(工程2)のように実質的に調製する。MS(m/z)414(M−55)。
【0084】
7:4−[3−フルオロ−4−(ピペリジン−4−イルメトキシ)−フェニル]−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン塩酸塩。
出発物質として4−[2−フルオロ−4−(1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−フェノキシメチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して調製例6(工程2)のように実質的に調製する。MS(m/z)369(M+1)。
【0085】
8:4−{3−フルオロ−4−[1−(2−フルオロ−2−メチル−プロピル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−フェニル}−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン。
4−[3−フルオロ−4−(ピペリジン−4−イルメトキシ)−フェニル]−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン塩酸塩および2−フルオロ−2−メチル−プロピオン酸から開始して実施例2のように実質的に調製する。MS(m/z)443(M+1)。
【0086】
実施例8
4−(4−{1−[1−(2−フルオロ−2−メチル−プロピル)−ピペリジン−4−イル]−エトキシ}−フェニル)−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【化14】

出発物質として調製例5(ラセミ化合物)を使用して実施例2のように実質的に調製して、標題化合物を得る。標題化合物(0.194g)を、8mL/分にて420×250mm Chiralpak OJで100%のメタノール中の0.2%のジメチルエチルアミンの溶出液を使用してその鏡像異性体に分離して、77mgの異性体1(96%ee、RT=10.7分)を得る。
【0087】
実施例9
4−{4−[1−(2,2−ジフルオロ−プロピル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−フェニル}−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【化15】

1:トルエン−4−スルホン酸2,2−ジフルオロ−プロピルエステル。
0℃にて、ジクロロメタン(52.0mL)およびトリエチルアミン(0.50g,0.73mL,5.20mmol)中の2,2−ジフルオロプロパノール(0.50g,5.20mmol)の溶液に、p−トルエンスルホニルクロリド(0.99g,5.20mmol)を加える。混合物を24時間にわたって室温までゆっくりと加温する。混合物を濃縮し、ジエチルエーテルと水との間に分配する。有機層を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮する。物質をシリカゲル上で精製して、透明な結晶として1.0gの標題化合物を得る。MS(m/z)250(M+1)。
【0088】
2:4−{4−[1(2,2−ジフルオロ−プロピル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−フェニル}−1−メタンスルホニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
調製例2(0.25g,0.71mmol)およびトルエン−4−スルホン酸2,2−ジフルオロ−プロピルエステル(0.25g,0.91mmol)の混合物に、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(7mL)を加える。混合物をBiotageマイクロ波反応器に入れ、175℃まで1時間加熱し、次いで180℃まで1時間加熱する。混合物を酢酸エチルと水との間に分配する。有機層を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮する。粗物質をシリカゲル上で精製して、白色固体として0.03gの標題化合物を得る。MS(m/z)429(M+1)。
【0089】
実施例10
1−メタンスルホニル−4−{4−[1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピルメチル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−フェニル}−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
【化16】

1:1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロパンカルボニル)−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル
30℃未満に内部温度を維持しながら、1,1’−カルボニルジイミダゾール(77.36g;467.52mmol)を、テトラヒドロフラン(600mL)中の1−(トリフルオロメチル)シクロプロパンカルボン酸(72.04g;467.52mmol)の溶液に加える。10分後にピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(50g;311.68mmol)を加え、反応物を、室温にて窒素雰囲気下で16時間撹拌する。制御した真空下で溶媒を除去し、残渣を2Mの水酸化ナトリウム水溶液(200mL)とジクロロメタン(300mL)との間に分配する。有機層をブライン(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、93.45gの標題化合物を得る。MS(m/z)294(M+1)。
【0090】
2:[1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピルメチル)−ピペリジン−4−イル]−メタノール
テトラヒドロフラン(350mL)中の1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロパンカルボニル)−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(50g;170.48mmol)を、テトラヒドロフラン中の1Mの水素化アルミニウムリチウム(170.48mL;170.48mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温まで加温し、1時間撹拌する。反応混合物を0℃にて冷却し、水/2Mの水酸化ナトリウム/水(1:3:1)を連続して加える(8.5mL:12mL:8.5mL)。得られたスラリーをセライト(登録商標)パッドで濾過し、テトラヒドロフラン(200mL)で洗浄する。有機層を制御した真空下で濃縮して、無色の油状物として17gの揮発性の標題化合物を得る。粗物質をさらに精製せずに使用する。MS(m/z)238(M+1)。
【0091】
3:1−メタンスルホニル−4−{4−[1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピルメチル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−フェニル}−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
0℃にて、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(27.43g;128.87mmol)を、乾燥テトラヒドロフラン(330mL)中のトリフェニルホスフィン(33.80g;128.87mol)の溶液に加える。反応物を20分間撹拌する。乾燥テトラヒドロフラン(200mL)中の[1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピルメチル)−ピペリジン−4−イル]−メタノール(24g;99.13mmol)、調製例1(25.89g;99.13mmol)の懸濁液を滴下して加える。反応物を0℃にて10分間撹拌し、室温まで加温し、一晩反応させる。溶媒を蒸発させ、得られたスラリーをジクロロメタン(350mL)で希釈し、2Mの水酸化ナトリウム水溶液(2×30mL)およびブライン(2×30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。ピンク色の固体を、ヘキサン/アセトン:100%;95:5;90:10;80:20および70:30で溶出するシリカゲル上で精製して、約80%の純度の16gの標題化合物を得る。固体を2Nの塩化水素水溶液で処理する。白色固体を沈殿させ、濾過し、乾燥させる。固体を水(150mL)に溶解し、水酸化ナトリウムのペレットでpH12に塩基性化する。得られた固体を濾過し、乾燥させ、メチルt−ブチルエーテル(100mL)で結晶化し、濾過し、50℃にてオーブン中で乾燥させて、8gの標題化合物を得る。MS(m/z)473(M+1)。
【0092】
実施例10の調製例についての代替の方法は以下の通りである。
1:1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロパンカルボニル)−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル
1−(トリフルオロメチル)シクロプロパンカルボン酸(400g,2.6mol)を、3.2Lのテトラヒドロフランに溶解し、10〜20℃まで冷却する。カルボニルジイミダゾール(462.4g,1.1当量)を一部ずつ加える。混合物を25〜30℃にて20分間撹拌する。次いでピペリジン−4−カルボン酸メチルエステル(445.6g,1.2当量)を30℃未満にて滴下して加える。混合物を25〜30℃にて18〜20時間撹拌する。3.2Lの水を30℃未満にて滴下して加え、溶液を約1L容量まで濃縮して、大部分のテトラヒドロフランを除去する。得られた溶液をジクロロメタン(2×)で抽出する。合わせた有機層を3容量の0.5M塩酸で洗浄し、濃縮する。500mLのメチルtert−ブチルエーテルを加え、溶液を濃縮する。このプロセスを2回実施する。有機層を濃縮して、95%の純度で567gの標題化合物を得る。
【0093】
2:[1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピルメチル)−ピペリジン−4−イル]−メタノール
水素化アルミニウムリチウム(208g,5.0当量)を、3.9Lのメチルtert−ブチルエーテルに懸濁し、その懸濁液を10分間撹拌する。1.3Lのメチルtert−ブチルエーテル中の1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロパンカルボニル)−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエーテル(260g,0.93mol)の溶液を30℃未満にて滴下して加える。混合物を20時間還流させ、0〜10℃まで冷却する。500mLの水を0〜10℃にて加え、混合物を30分間撹拌する。懸濁液を濾過し、ケーキを1.8Lのメチルtert−ブチルエーテルで洗浄する。真空下、35℃未満にて、濾液を約3Lの容量まで濃縮する。溶媒をテトラヒドロフラン(1.0L×2)と置き換え、濃縮して、96.8%の純度で212gの標題化合物を得る。
【0094】
3:1−メタンスルホニル−4−{4−[1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピルメチル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−フェニル}−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン
[1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピルメチル)−ピペリジン−4−イル]−メタノール(371g,1.56mol)を、1.85Lのジクロロメタンおよびトリエチルアミン(237.3g,2.34mol)に溶解し、その混合物を0〜10℃まで冷却する。塩化メタンスルホニル(215g,1.2当量)を滴下して加える。反応物を20〜25℃まで加温し、1時間撹拌する。1.85Lの水を滴下して加える。層を分離し、水層を1Lのジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層を1.85Lの水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、491gの油状物を得て、それを2つのバッチで次の工程に使用する。
【0095】
調製例1(197.8g,0.781mol)を1.8Lのジメチルホルムアミドに溶解し、0〜10℃まで冷却する。その溶液に、1.6Lのジメチルホルムアミドに溶解したカリウムtert−ブトキシド(87.6g,0.781mol)の溶液を滴下して加え、混合物を20〜30℃にて30分間撹拌する。その溶液に、0.5Lのジメチルホルムアミド中の[1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピルメチル)−ピペリジン−4−イル]−メタノール(246g,0.781mol)の溶液を滴下して加える。混合物を約60℃にて加熱し、1.5時間撹拌する。それを30〜40℃まで冷却し、4.4Lの水を滴下して加える。混合物を30℃にて1時間撹拌し、濾過する。このプロセスを、[1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピルメチル)−ピペリジン−4−イル]−メタノールの2つのバッチで行い、得られたケーキを精製するために合わせる。そのケーキを800mLの1:1のジメチルホルムアミドと水との混合物で洗浄する。固体を4Lのジクロロメタンで撹拌し、濾過する。濾液を濃縮し、ジクロロメタンで溶出するクロマトグラフィーにより精製して、99%の純度で180gの標題化合物を得る。(CDCl3,400MHz),δ=7.31(d,2H,J=8.8Hz),6.88(d,2H,J=8.8 Hz),6.00−5.98(m,1H),3.97(s,2H),3.82(s,2H),3.55−3.52(m,2H),3.04−3.01(m,2H),2.87(s,3H),2.70−2.60(m,4H),2.06−2.03(m,2H),1.85−1.82(m,3H),1.48−1.45(m,2H),1.03−1.01(m,2H),0.74−0.71(m,2H)ppm。
【0096】
実施例11
1−(メチルスルホニル)−4−(4−(1−(1−((1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)メチル)ピペリジン−4−イル)エトキシ)フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン
【化17】

1.(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)メタノール
ジエチルエーテル(90mL)中の水素化アルミニウムリチウム(33.91mmole;1.29g)の氷冷した懸濁液に、30mLのジエチルエーテル中のメチル1−(トリフルオロメチル)シクロプロパンカルボキシレート(16.95mmole;3.00g)を25分にわたって滴下して加える。反応物を0℃にて2時間撹拌する。7.5mLの水、次いで15mLの5M水酸化ナトリウムおよび9mLの水をゆっくり加えることによって混合物をクエンチする。厚いスラリーを室温にて3時間激しく撹拌する。混合物を分液漏斗に移し、水で希釈し、ジエチルエーテルで抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮する。無色の油状物として2.37gの標題化合物を得る。2.37g。H NMR(CDCl3)d(ppm):0.762−0.807(m,2H),1.018−1.055(m,2H),3.732(s,2H)。
【0097】
2.(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)メチルメタンスルホネート
出発物質として(1−トリフルオロメチル−シクロプロピル)−メタノールを使用して調製例2(工程1)のように実質的に調製する。1H NMR(CDCl3)d(ppm):0.921−0.975(m,2H),1.182−1.223(m,2H),3.057(s,3H),4.296(s,2H)。
【0098】
3.1−(メチルスルホニル)−4−(4−(1−(1−((1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)メチル)ピペリジン−4−イル)エトキシ)フェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン
バイアル中の調製例5(異性体2)(62mg,0.169mmol)、炭酸カリウム(70mg,0.506mmol)およびアセトニトリル(1.12mL,21.46mmol)に、(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)メチルメタンスルホネート(147mg,0.675mmol)を加える。バイアルを密閉し、110℃にて16時間加熱する。反応物をジクロロメタンおよび水で希釈する。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、オフホワイトの固体を得る。その固体をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、0.057gの白色固体を得る。MS(m/z)487.2(M+1)。
【0099】
実施例12
2−(1−(メチルスルホニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)−5−((1−((1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)メチル)ピペリジン−4−イル)メトキシ)ピリジン
【化18】

マイクロ波バイアル中の調製例6(206mg,0.586mmol)、炭酸カリウム(243mg,1.76mmol)およびアセトニトリル(2.93mL,56mmol)に、(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)メチルメタンスルホネート(256mg,1.17mmol)を加える。マイクロ波バイアルを密閉し、Biotageマイクロ波で140℃にて2時間、次いで150℃にて30分間加熱する。反応物をジクロロメタンおよび水で希釈する。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮する。残渣をジエチルエーテルで粉砕し、標題生成物を真空濾過により回収して、0.181gの標題化合物を得る。MS(m/z)474(M+1)。
【0100】
実施例13
2−(1−(メチルスルホニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)−5−((1−(2,2,2,−トリフルオロエチル)ピペリジン−4−イル)メトキシ)ピリジン
【化19】

アセトニトリル(1.50mL)中の調製例6(0.05g,0.14mmol)の溶液に、炭酸カリウム(0.07g,0.56mmol)および2,2,2−トリフルオロエチルトリフルオロメタンスルホネート(0.06g,0.28mmol)を加える。反応混合物を、マイクロ波で85℃にて1時間加熱し、室温にて冷却し、水で希釈する。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機物抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣を、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、オフホワイトの固体として30mgの標題化合物を得る。MS(m/z)433(M+1)。
【0101】
ヒトGPR119活性アッセイ
誘導プロモーターからヒトGPR119を発現する安定な細胞株を、293 T−REx(商標)細胞(Invitrogen)中で生成する。T−REx(商標)(テトラサイクリンにより調節された発現)細胞株はテトラサイクリン抑制タンパク質を安定に発現するので、ドキシサイクリンを有する目的の遺伝子(GPR119)の誘導発現を可能にする。ヒトGPR119受容体に対するアゴニストを、hGPR119を発現する293 T−REx(商標)細胞中のcAMPレベルの増加を測定することにより特徴付ける。10,000細胞/ウェルを96ウェルプレート中に播種し、10%のウシ胎仔血清培地、15μg/mLのブラストサイジンおよび200μg/mLのハイグロマイシンBを加えたDMEM中で24時間培養する。次の日、細胞を、ハイグロマイシンBおよびブラストサイジンをさらに加えていないDMEM中の1ng/mLのドキシサイクリンで刺激する。ドキシサイクリンと共の18時間のインキュベーション後にcAMPアッセイを行う。cAMP HiRange HTRFアッセイ(Cisbo International)を使用してcAMPを測定する。細胞をPBSで洗浄し、2mMのグルコース、0.25mMのIBMXおよび0.1%のBSAを加えたPBSで15分間プレインキュベートする。プレインキュベーションバッファーで希釈した試験化合物を加え、細胞を室温にて1時間さらにインキュベートする。溶解バッファーで希釈したHTRF試薬を加えることによりインキュベーションを停止し、続いて1時間インキュベートし、620および655nmにて蛍光を測定する。アゴニストの効果を、hGPR119により媒介されるcAMP増加の50%の活性を与えるアゴニスト濃度(EC50)として測定する。
【0102】
例示した化合物の全てを上記のように実質的に試験し、各々が10nM未満のEC50値を有することを見出した。実施例1は4.61nMのEC50値を有し、実施例6は0.95nMのEC50値を有し、実施例7は2.13nMのEC50値を有し、実施例8は1.10nMのEC50値を有し、実施例10は0.95nMのEC50値を有する。
【0103】
このように、本発明の特定の化合物は、インビトロにおいてGPR119のアゴニストとして作用することが示される。
【0104】
GLUTag細胞におけるグルカゴン様ペプチド1分泌
グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)分泌に対するGPR119アゴニストの効果をGLUTag細胞においてインビトロで測定する。GLUTag細胞は、プレプログルカゴン遺伝子を発現し、調節された形態でGLP−1を分泌する不死化マウス腸内分泌細胞株である(Brubaker PL,Schloos J,Drucker DJ.Regulation of glucagon−like peptide−1 synthesis and secretion in the GLUTag enteroendocrine cell line.Endocrinology.1998 139:4108−14)。GLP−1分泌を測定するために、15,000細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種し、10%のFBSおよび1%のグルタミンを加えたDMEM中で3日間インキュベートする。実験の日に、細胞をインキュベーションバッファーである、5mMのグルコースおよび0.1%のBSAを加えたEBSSで2回洗浄する。試験化合物を含有する150μLのインキュベーションバッファーを各ウェルに加え、細胞を37℃にて2時間インキュベートする。インキュベーション後、上清を回収し、96ウェルフィルタープレートを使用して濾過する。濾液中のGLP−1含有量を、マウス/ラット全GLP−1アッセイ(Meso Scale Discovery)を用いて測定する。GLP−1分泌を刺激するGPR119アゴニストの効果を、GLP−1の50%増加を与えるアゴニスト濃度(EC50)として測定する。
【0105】
実施例6および9を上記のように実質的に試験し、それぞれ、62.7および36.8nMのEC50値を有することを見出した。
【0106】
従って、本発明の特定の化合物は、インビトロにおいてGPR119のアゴニストとして機能的活性を有することが示される。
【0107】
バイオアベイラビリティ
経口バイオアベイラビリティを評価するための方法は、当該技術分野において十分に理解されている。1つのかかる参考文献はMedicinal Research Reviews Vol21 No.5 382−396(2001)である。本発明の化合物の経口バイオアベイラビリティは以下のように実質的に評価できる。
【0108】
3匹の250〜400グラムの雄のSprague−Dawleyラットまたは約10kgのビーグル犬(雌または雄)の群を使用する。この研究の静脈注射(IV)部分のために動物を絶食させる必要はない。イヌに、カニューレを挿入した橈側皮静脈により化合物をIV投与し、頸静脈により血液を採取する。最初、1mg/kgにて動物にIV投与し、次いで血液試料(0.1〜0.2mL)を、0.0830、0.25、0.50、1、2、4、8、12、および24時間にて抗凝固剤としてEDTAを使用して採取する。少なくとも2日、および一晩の絶食後、3mg/kgにて動物に強制経口投与する。次いで血液試料(0.1〜0.2mL)を、0.25、0.50、1、2、4、6、8、12、および24時間にて抗凝固剤としてEDTAを使用して採取する。研究過程の間、採取した血液の合計(mL)は、全体重(グラム)の1%を超えない。
【0109】
化合物の血漿濃度は、LC/MS/MSアッセイにより測定する。次いでデータを、標準的な非コンパートメント薬物動態分析を使用して分析する。経口バイオアベイラビリティは以下:
(AUC0−無限、経口/AUC0−無限、IV)×(用量、IV/用量、経口)×100%
のように計算する。
【0110】
実施例6を上記のように実質的に試験し、ビーグル犬において90%の経口バイオアベイラビリティを有することを見出した。実施例10を上記のように実質的に試験し、Sprague Dawleyラットにおいて53%の経口バイオアベイラビリティを有することを見出した。
【0111】
従って、本発明の特定の化合物は、良好な経口バイオアベイラビリティを有することが示される。
【0112】
マウスの胃抑制ポリペプチド(GIP)アッセイ
雌のC57BL/6マウス(8〜10週齢、n=20/用量レベル、n=5/時点)を一晩(16時間)絶食させ、翌朝体重を測定し、次いでビヒクル(1%HEC)または種々の用量の試験物を5mL/kgにて経口投与する。動物を1分間のCO窒息により安楽死させ、次いで、種々の時間(化合物投与から0.5、1.5、3および6時間後)にて心穿刺により血液を、10μL/mLのDPP4阻害剤(Millipore、DPP4−010)および1.1×10KIU/mLのアプロチニンを含有するEDTA血漿チューブ中に採取する。3000×gにて5分間、遠心分離により血漿が分離するまで、血液試料を氷上に維持する。得られた血漿試料を96ウェルプレートに入れ、分析するまで−20℃に保存する。全GIPの測定(MilliporeキットEZRMGIP−55Kによって測定した)を各時点について実施する。各処置群について、GIPについてのAUCを、時点に固有の平均GIPレベルに台形公式を適用することによって測定する。用量反応研究から、ビヒクルより上の算出したGIP AUCの回収にわたって区分的線形補間法を使用して効果を評価した。化合物の効果は、実験の時間経過にわたってビヒクル群のGIP AUCより上の350pghr/mLの増加を生じる化合物の用量および/または濃度と定義する。
【0113】
実質的に上記の手順を使用すると、10mg/kg用量の実施例3は762pgh/mLのビヒクルより上のGIP AUCの増加を生じ、10mg/kg用量の実施例10は762pgh/mLのビヒクルより上のGIP AUCの増加を生じ、1.6mg/kg用量の実施例6は422pgh/mLのビヒクルより上のGIP AUCの増加を生じた。
【0114】
本発明の特定の化合物は、インスリン分泌を誘導する、インビボでのGIP分泌を刺激することが示され、このようなデータは、糖尿病の処置において本発明の化合物を使用するための可能性を示す。
【0115】
マウス経口グルコース耐性試験(OGTT)
正常なC57BL/6マウスを一晩絶食させ、群(n=6)に無作為化し、ビヒクル(1%のHEC、0.25%のtween80、0.05%の消泡剤)またはビヒクルに懸濁した0.9、2、6および18mg/kgのGPR119アゴニストを経口投与する。化合物を投与してから30分後、3g/kgにて50%のデキストロース溶液をマウスに経口投与する。種々の時点(グルコース後、0、20、40、または60分)にて、マウスをコットングローブまたはペーパータオル内に拘束し、尾を1mm以下切断する。血液の小液滴を、グルコース測定のためのAccu−Chek(登録商標)グルコース測定器(Rocheモデル22−044217)に置く。3つのグルコース測定器を使用して、各々の採取した試料中のグルコースを読み取り、最終グルコース値として中央値を報告する。血漿グルコース曲線下の領域(グルコースAUC)を各群について算出し、コントロール群に対するグルコースAUCの減少の割合を、血漿グルコースを減少させる化合物の効果の尺度として使用する。
【0116】
実施例6を実質的に上記のように試験し、向上したグルコース耐性を示すことを見出した。実施例6は空腹時血漿グルコースに影響を及ぼさなかったが、食後の血漿グルコースを顕著に減少させた。このデータは、曲線下のグルコース領域の50%の減少を生じる実施例6の用量(ED50)は0.4mg/kgに等しいことを示す。
【0117】
従って、本発明の化合物は、インビボにおいて血漿グルコースレベル減少させることが示され、糖尿病の治療において本発明の化合物を使用するための可能性を示す。
【0118】
食餌性肥満(DIO)マウスの長期処置
DIOの雄のC57/BL6マウスをカロリーが多い食餌で維持し、少なくとも2週間、食物および水を自由に取らせ、その後、体重により群(n=8)を無作為化し、処置する。12時間の明期、12時間の暗期のサイクルで温度制御した(24℃)施設に動物を個々に収容する。体重は34〜40gの範囲である。ビヒクル(1%のHEC)、30mg/kgのGPR119アゴニスト、30mg/kgのDPPIV阻害剤または30mg/kgのGPR119アゴニストおよび30mg/kgのDPPIV阻害剤の組み合わせを、マウスに1日1回投与する。処置を3週間継続する。暗周期の前に、食物および体重を毎日記録する。累積体重変化を、各動物について1日の体重−処置前の体重として算出し、各群についての平均として示す。各動物について食物摂取を毎日測定し、全ての以前の日から動物によって消費された食物の全量と合わせて、累積食物摂取を得て、次いで群について平均化する。研究の終わりに、一晩絶食後、OGTTを行う。
【0119】
DPPIV阻害剤がシタグリプチンである、実施例6を実質的に上記のように試験する。この研究において、シタグリプチン単独では、体重または食物摂取は変化しなかった。実施例6単独では、処置の第1週の間のみで観察された食物摂取および体重増加の両方の穏やかな低下が生じた。シタグリプチンおよび実施例6の組み合わせは、研究過程全体にわたって維持された体重および食物摂取の大きな低下を生じた。実施例6単独またはシタグリプチンとの組み合わせは、このモデルにおいて血漿グルコースレベルを顕著に変化させなかった。
【0120】
従って、本発明の化合物は食物摂取および体重を低下させ、糖尿病の治療において本発明の化合物を使用するための可能性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式
【化1】

(式中、
Xは、NおよびCHから選択され、
は、FおよびCFから選択され、
およびRは、Fおよびメチルから独立して選択されるか、もしくは結合してC3〜5シクロアルキル環を形成し、
は、Hおよびメチルから選択され、
は、HおよびFから選択される)
の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項2】
およびRは、Fおよびメチルから独立して選択されるか、もしくは結合してCシクロアルキルを形成する、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項3】
およびRは、メチルであるか、もしくは結合してCシクロアルキルを形成する、請求項1もしくは2のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項4】
は、CFである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項5】
は、Hである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項6】
5−[1−(2−フルオロ−2−メチル−プロピル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−1’−メタンスルホニル−1’,2’,3’,6’−テトラヒドロ−[2,4’]ビピリジニル、および1−メタンスルホニル−4−{4−[1−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピルメチル)−ピペリジン−4−イルメトキシ]−フェニル}−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジンから選択される、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能な希釈剤もしくは担体を含む医薬組成物。
【請求項8】
1つ以上の他の治療成分をさらに含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
シタグリプチンがさらなる治療成分である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
治療に使用するための請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項11】
糖尿病または肥満の治療に使用するための、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項12】
II型糖尿病の治療に使用するための請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
糖尿病または肥満を治療するための方法であって、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の有効量を、それらを必要とするヒトまたは動物に投与することを含む、方法。
【請求項14】
II型糖尿病を治療するための請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2012−533546(P2012−533546A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520691(P2012−520691)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/041645
【国際公開番号】WO2011/008663
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】