説明

GPS受信機用の時間を決定するための方法

【課題】 移動ユニットの位置を決定するために使用される全地球測位システム(GPS)受信機用の時間を決定する。
【解決手段】 セルラー電話送信信号など、通信システムから導出されるタイミング信号をGPS受信機で受信してデコードし、正確な時間情報を移動ユニットが提供する。この時間情報は、タイミング・インジケータでマークを付けた同期化事象の形式にするか、またはシステム時間情報としての形式にしたセルラー通信信号内の時間情報とGPS受信機が受信した衛星信号から決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、以下に示す同時係属米国特許出願に関連し、その一部継続出願である。すなわち、
Norman F.Krasnerにより1997年4月15日に出願された、「An Improved GPS Receiver Utilizing a Communication Link」という名称の、出願番号第 号の米国特許出願と、1996年3月8日に出願された、「An Improved GPS Receiver Utilizing a Communication Link」という名称の、出願番号第08/612582号の米国特許出願と、1996年12月4日に出願された、「An Improved GPS Receiver Utilizing a Communication Link」という名称の、出願番号第08/759523号の米国特許出願であり、いずれも本発明の譲受人に譲渡されている。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に衛星位置決めシステム(SPS)に関し、より具体的には衛星位置決めシステム受信機にタイミング情報を提供することに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
衛星位置決めシステム受信機は、通常、GPS(またはNAVSTAR)衛星などの多数の衛星から同時に送信された信号の相対到着時間を計算することによってその位置を決定する。たとえば、米国の全地球測位システム(GPS)の軌道上の人工衛星配列は、1周12時間で地球の周囲を回る24個の衛星からなる。これらの衛星は、それぞれが4個の衛星を含む6つの軌道面に配置されている。軌道面は互いに60度ずつ離れており、赤道面に対して約55度傾いている。この衛星配列は、地球上のどの地点からもユーザが約5〜8個の衛星を見えるようにするものである。このような衛星は、そのメッセージの一部として、衛星位置決めデータ、いわゆる「エフェメリス」データと、クロック・タイミング・データの両方を送信する。しかも、この衛星は、衛星信号に関連するタイムオブウイーク(time−of−week:TOW)情報を送信し、受信機が現地時間を明白に決定できるようにする。GPS信号をサーチして捕捉し、多数の衛星に関するエフェメリスおよびその他のデータを読み取り、このデータから受信機の位置(および正確な時刻)を計算するプロセスは時間がかかり、数分間を要する場合も多い。多くの応用例では、このように長い処理時間によって容認できないほどの遅延がもたらされ、さらに、小型化回路を使用する携帯型応用例では電池の寿命が大幅に制限される。
【0004】
その上、多くの状況では、衛星信号の遮断が発生する可能性がある。このような場合、GPS衛星からの受信信号レベルが低すぎて、エラーなしで衛星データ信号を復調し導出することができない。このような状況は、個人追跡やその他の移動性の高い応用例で発生する可能性がある。このような状況で、通常、受信機がGPS信号を捕捉し追跡し続けることは可能である。しかし、このようなデータなしで位置および明瞭な時間測定を行うには、代替方法が必要になる。
したがって、GPS衛星から受信したGPS信号または内部生成クロックからタイミング情報を導出するために受信機を必要とせずにGPS受信機に時間情報を提供するためのシステムを提供することが望ましい。さらに、受信機が受信した通信送信に含まれるタイミング信号からGPS応用例のためのタイミング情報を導出するシステムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の概要
本発明は、全地球測位システム(GPS)受信機で使用するためにタイミング信号を捕捉するための方法および装置を開示するものである。本発明の一実施態様では、GPS受信機は、セルベースの通信受信機も含む統合受信機に収容されている。本発明の一方法では、通信受信機が時間同期化事象を表す時間インジケータを含む商用通信信号を受信し、GPS受信機が1つまたは複数の全地球測位システム衛星から衛星位置情報を受信する。GPS受信機は、時間インジケータを受信機側のタイミング・データに関連付ける。時間インジケータが通信信号内のタイミング・フレームまたはパルスである場合、受信機は、一実施態様の時間間隔カウンタを使用して、このようなフレームまたはパルスに関してその現地時間を決定する。時間インジケータが通信データとともに送信されるシステム時間である場合、受信機は、送信されたシステム時間からその現地時間を決定する。次に、衛星位置情報とタイミング情報を使用して、GPS受信機の位置を決定する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
商用提供されている送信信号を使用して全地球測位システム受信機内の時間情報を決定するための方法および装置について説明する。以下の記述では、説明を目的として、本発明を完全に理解できるようにするために多数の具体的な詳細例を示す。しかし、このような具体的な詳細例を使用せずに本発明を実施できることは、当業者には明白なことだろう。他の実例では、説明を容易にするために周知の構造およびデバイスをブロック図形式で示す。
【0007】
全地球測位システム(GPS)受信機は、軌道を旋回するGPS衛星から送信されたGPS信号を受信し、受信した疑似ランダム雑音(PN)コード信号シーケンスと内部生成PN信号シーケンスとの時間シフトを比較することにより固有のPNコードの到着時間(TOA)を決定する。
【0008】
送信された各GPS信号は直接シーケンス・スペクトラム拡散信号である。商用提供されている信号は、標準位置決めサービスに関連するものであり、1575.42MHz(L1周波数)の搬送波上で1.023MHzという拡散速度の直接シーケンス2相拡散信号を使用する。各衛星は、特定の衛星を識別し、複数の衛星から同時に送信された信号が互いにほとんど干渉せずに受信機によって同時に受信できるようにする固有の疑似ランダム雑音コード(「ゴールド」コードともいう)を送信する。疑似ランダム雑音(PN)コード・シーケンス長は1023チップであり、1ミリ秒の期間に対応する。1023チップからなる1サイクルはPNフレームと呼ばれる。したがって、C/A(粗捕捉)モードで受信した各GPS信号は、1023チップからなる高速の1.023MHz反復PNパターンで構築されている。受信信号レベルが非常に低い場合でも、疑似ランダム・パターンを追跡するかその他の方法で使用し、多くのPNフレーム(たとえば、1秒間に1000回の反復)を処理することによって不明瞭なシステム・タイミングを提供することができる。このプロセスでは、GPS受信機は本質的に多数の受信GPS信号に関するPNフレームの開始時間を測定する。このような時間は、既知のモジュロの1ミリ秒PNフレーム境界のみである場合に、「疑似距離」と呼ばれ、より正確には「不明瞭な疑似距離」と呼ばれる。このような信号に関連する絶対時間を何らかの方法で把握し、不明瞭な疑似距離に付加した場合、単に「疑似距離」と呼ばれる真の明瞭な疑似距離が作成される。
【0009】
GPS受信機の位置を解決するためには、GPS信号の送信の絶対時間とこのような絶対時間に関する衛星の位置とを把握するとともに、4つの不明瞭な疑似距離からなる1つのセットがあれば、十分である。ただし、精密位置決定には、GPS受信機側で受信した衛星送信間の時間差を非常に正確に、通常は約10ナノ秒の範囲内まで測定する必要があることに留意されたい。しかし、各衛星からの送信の絶対時間またはGPS受信機での受信の絶対時間は、このような高い正確度で把握する必要はない。高精度を維持するために、このような絶対時間は約1〜10ミリ秒の正確度で把握すればよい。送信時にGPS衛星の位置を決定し、したがって、GPS受信機の位置を計算するためには、送信(または受信)の絶対時間が必要である。たとえば、1ミリ秒の期間内にGPS衛星は約3.9メートルしか移動せず、より重要なことに、地球上のある地点からの距離は約2.7フィートしか変化しない。典型的な状況では、この移動の結果として、およそ1メートルの位置決定エラーしか発生しない。本発明で関心のある時間情報はGPS受信機での現地時間である。このため、ほとんどの応用例では、1〜10ミリ秒の正確度でこの時間を把握すれば十分である。
【0010】
1.023MHzのPNコードには、50Hzの速度で低速データが重ねられる。この50Hzの信号は、PNフレームの先頭にビット境界が位置合わせされた2進移相変調(BPSK)データ・ストリームである。データ・ビット周期(20ミリ秒)当たり正確に20個のPNフレームが存在する。50Hzの信号は、GPS衛星の軌道、クロック補正、時刻情報、その他のシステム・パラメータを記述するデータ・ビットからなるナビゲーション・メッセージを変調する。衛星送信に関連する絶対時間は、GPS信号のナビゲーション・メッセージ内に含まれるデータを読み取ることによって従来のGPS受信機内で決定される。時間決定の標準的な方法では、従来のGPS受信機が50ボーのデータ・ビット・ストリームをデコードし同期化する。50ボーの信号は、10ワードずつのサブフレームにグループ化された30ビット・ワードとして配置され、300ビットの長さと6秒の持続期間を有する。5つのサブフレームで1500ビットかつ持続期間が30秒のフレームを構成し、25個のフレームで持続期間が12.5分のスーパフレームを構成する。6秒おきに発生するデータ・ビット・サブフレームは、6秒の分解能で時刻を示すビットを含む。(20ミリ秒間隔の)データ・ビット・エッジの到着時間が絶対送信時間を最も近い20ミリ秒まで解明するように、50ボーのデータ・ストリームはC/Aコード遷移と位置合わせされている。ビット境界との精密同期化によって、約1ミリ秒以下まで絶対送信時間を解明することができる。標準的な時間導出方法では、1データ期間(20ミリ秒)にわたって測定した信号対雑音比は約12dBより高くなければならず、そうではない場合、このデータ信号を正確に復調し、メッセージからシステム時間を明瞭に読み取ろうと試みたときにエラーが発生することになる。信号対雑音比が低い(12dB未満)場合、絶対時間を正確かつ確実に決定するには代替解決策が必要である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、GPS受信機用の明瞭な受信機タイミングは、通信リンクによりタイミング・インジケータを含む適当な信号を受信することによって設定される。この方法によって設定される時間は衛星からのGPS信号の送信時間ではなくGPS受信機による通信信号の受信時間になるので、この手法は従来のGPS処理とは異なるものである。それにもかかわらず、GPS受信機の位置が把握されている場合、衛星の軌道情報とともに受信機の時間を大まかに(たとえば、100マイルの正確度で)把握するだけでも、高い正確度(通常は1ミリ秒以上)で衛星の送信時間が設定される。
本発明の一方法によれば、タイミング信号の他にも情報を伝達するセルラー音声信号またはデータ信号など、商用提供されている通信信号によって送信されるフレーミング構造またはタイミング・データからタイミング情報が導出される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態により基地局との通信リンクを確立できる通信システムと結合されたGPS受信機を有する携帯通信システムのブロック図表現である。
【図2】本発明の代替実施形態により通信システムと結合されたGPS受信機を有する携帯通信システムのブロック図表現である。
【図3】セルラー電話網で使用する結合通信GPS受信機を示す図である。
【図4A】IS−95 CDMAセルラー電話システムのデータ構造を示す図である。
【図4B】GSMセルラー電話システムのデータ構造を示す図である。
【図5A】本発明の一実施形態により、タイミング・インジケータを含む通信信号からGPS受信機内の時間情報を導出する方法の流れ図である。
【図5B】本発明の代替実施形態により、タイミング・インジケータを含む通信信号からGPS受信機内の時間情報を導出する方法の流れ図である。
【図6】GPS受信機から衛星および導出時間データを受信する、GPSサーバ内のGPS受信機の位置を決定する方法の流れ図である。
【図7】セルラー・サービス・エリアに関して所与の時点でのドップラー情報セット間の関連を示す、セルラー・ベース情報ソースの表現例である。
【実施例】
【0013】
GPS受信機
第1図は、本発明の一実施形態で使用するために通信トランシーバとGPS受信機とを結合した携帯通信受信機のブロック図である。結合された移動ユニット100は、GPS信号を処理するために必要な機能ならびに通信リンクにより受信した通信信号を処理するために必要な機能を実行するための回路を含む。通信リンク130などの通信リンクは、通常、通信アンテナ107を有する基地局106などの他の構成要素への無線周波通信リンクである。
【0014】
GPS受信機100は、結合されたGPS通信受信機および送信機である。受信機100は、捕捉回路104と通信トランシーバ・セクション120とを含む、GPS受信機段階を含む。捕捉回路104はGPSアンテナ101に結合され、通信トランシーバ120は通信アンテナ102に結合されている。GPS信号は、GPSアンテナ101により受信され、様々な受信衛星に関するPNコードを捕捉する捕捉回路104に入力される。捕捉回路104によって生成される疑似距離データは、トランシーバ120による送信のためにプロセッサ112によって処理される。通信トランシーバ120は、通信アンテナ102および受信機100との間で通信信号(通常はRF)を経路指定する送信/受信スイッチ108を含む。システムによっては、T/Rスイッチの代わりに、帯域分割フィルタまたは「送受切換器」が使用される。受信した通信信号は、通信受信機110に入力され、処理のためにプロセッサ112に渡される。プロセッサ112から送信すべき通信信号は、変調器114および周波数変換器116に伝搬される。電力増幅器118は、基地局106への送信に適したレベルまで信号の利得を増加する。受信機100の結合されたGPS/通信システムでは、捕捉回路104によって生成された疑似距離データが通信リンク130により基地局106に送信される。次に、基地局106は、遠隔受信機からの疑似距離データ、疑似距離を測定した時間、それ専用のGPS受信機から受信したエフェメリス・データ、またはこのようなデータの他のソースに基づいて、受信機100の位置を決定する。位置データは、GPS受信機100または他の遠隔位置に返送することができる。受信機100と基地局106との間の通信リンク130は、直接リンクまたはセルラー電話リンクを含む様々な実施形態で実現することができる。
【0015】
第2図は、本発明の一実施形態で使用するために通信トランシーバとGPS受信機とを結合した移動通信受信機のより詳細なブロック図である。結合された移動ユニット200は、GPS受信機段階とGPSアンテナ201ならびに通信トランシーバ段階と通信アンテナ202を含み、以下「結合されたGPS/通信受信機」と呼ぶことにする。
【0016】
受信したGPS信号は、GPSアンテナ201から無線周波(RF)/中間周波(IF)変換器204に入力される。周波数変換器204は、この信号を適当な中間周波数、たとえば、70MHzに変換する。次に、より低い中間周波数、たとえば、1MHzにさらに変換する。RF/IF変換器204内の各変換器は、通常、フィルタと、増幅器と、ミキサからなる。第1の変換器の構成要素は、通常、広い周波数範囲(たとえば、800〜2000MHz)を包含するのに十分な広帯域のものであり、多くの場合、GPS信号および最も重要な通信信号が及ぶ周波数範囲を処理するのに十分な広帯域になっている。
【0017】
RF/IF変換器204の出力は、アナログ/ディジタル(A/D)変換器206の入力に結合され、その変換器がRF/IF変換器204からの出力信号をディジタル化する。実施態様によっては、RF/IF変換器204が互いに矩象状態になっている1対の出力を提供するものもあり、このような場合、2つのA/D変換器を使用することもある。A/D変換器206からの出力はディジタル・スナップショット・メモリ208の入力に結合され、そのメモリは処理すべきデータの記録を格納することができる。場合によっては、A/D変換器206から出力されるデータ転送速度が十分低ければ、このディジタル・スナップショット・メモリ208をバイパスし、データをプロセッサ構成要素210(図示の通り、ディジタル信号処理(DSP)チップにするか、1組のディジタル処理チップ・セットにすることができる)に直接送ることもできる。スナップショット・メモリ208は、通常、一般にDSP210に結合された個別のメモリ・デバイスに格納されたGPS信号を処理する際に使用する。また、スナップショット・メモリ208は、通常、パケット化された通信信号、すなわち、長期間の非活動状態が続くデータ・ビットのバーストからなる信号にも使用する。これは、本発明で使用するものとして想定された通信信号方式の主な形式である。しかし、多くのセルラー・タイプ信号などの連続信号方式は、DSP210によって連続して処理することができる。
【0018】
結合されたGPS/通信受信機200の通信段階は、送信/受信(T/R)スイッチ220により通信アンテナ202に結合された受信機段階と送信機段階とを含む。第1図の基地局117などの通信基地局からセルラー電話信号などの通信信号を受信すると、T/Rスイッチ220は入力信号を周波数変換器218に経路指定する。周波数変換器218は、さらに処理するために通信信号を適当な中間周波数に変換する。RF/IF変換器218の出力はアナログ/ディジタル(A/D)変換器216の入力に結合され、その変換器はRF/IF変換器218からの出力信号をディジタル化する。A/D変換器216からの信号はディジタル復調器214を通過し、その復調器は通信信号内のコマンドまたは通信信号内の他のデータ(たとえば、ドップラー・データまたは見えるところにある衛星のエフェメリスを表すデータ)を決定するために通信信号を復調する。
本発明の一実施形態では、復調器214からの出力はDSP210およびマイクロプロセッサ212に渡される。マイクロプロセッサ212は通信受信機能および通信送信機能に必要な処理を実行し、DSP210はGPS機能に必要な処理を実行する。本発明の代替実施形態では、DSP210およびマイクロプロセッサ212は、特定用途向け集積回路(ASIC)などの単一プロセッサ・デバイスまたはプログラマブル論理回路に組み込むことができる。結合受信機100の通信段階を介して受信した音声データは、マイクロプロセッサ212に結合されたスピーカ232などの出力装置を介して出力される。結合受信機の通信段階により受信したコマンドまたはGPSデータは、ディジタル復調器214から直接またはマイクロプロセッサ212を介してDSP210に渡される。
【0019】
通信リンクによる送信が必要な場合、DSP210は、送信すべきデータとその信号のベースバンド・ディジタル・サンプルとを生成する。次に、このデータを使用して、ディジタル変調器222により搬送波信号を変調する。このような変調は、周波数偏移変調または移相変調などのディジタル・タイプである場合が多い。周波数変調などのアナログ変調も使用することができる。変調した信号はD/A変換器224でディジタルからアナログへ変換される。ディジタル変調器222で変調が行われる搬送周波数は通信信号の最終RF周波数である場合もあれば、そうではない場合もあり、それが中間周波数(IF)である場合、信号を通信信号用の最終RF周波数に変換するために追加のIF/RF変換器226を使用する。電力増幅器228は信号レベルを押し上げ、この増幅した信号はT/Rスイッチ220により通信アンテナ202に送信されるが、そのスイッチの目的は電力増幅器228から出力される強力な信号レベルから敏感な受信機段階を隔離することである。このようにして、位置情報を表すデータ(たとえば、様々な衛星までの疑似距離または結合されたGPS/通信受信機200の緯度と経度)を含む通信信号は、通信リンク130により基地局117などの基地局に送信される。基地局117は携帯GPSユニットの位置情報を計算するための処理サイトとして機能することができるか、または中継サイトとして機能し、携帯GPSユニットから受信した情報を再送信することができる。結合されたGPS/通信受信機200の送信機段階により送信すべき音声データは、マイクロプロセッサ212に結合されたマイクロホン234を介して受け入れられる。
【0020】
ただし、T/Rスイッチ220は、たとえば、時分割多重アクセス方式(TDMA)セルラー電話システムのように同時送受信が不要な場合の信号フォーマットに適したものであることに留意されたい。周波数分割多重アクセス方式(FDMA)またはスペクトラム拡散符号分割多重アクセス方式(CDMA)のように同時送受信が必要な場合、T/Rスイッチ220は、「送受切換器」という回路内のように、2つの帯域分割フィルタで置き換えられる。
【0021】
本発明の代替実施形態によれば、プロセッサ212に結合されたメモリ内に格納された電力管理アルゴリズムを使用して電力管理回路を実現することができる。このようなアルゴリズムは電力伝達を制御し、通信信号の送信後に電力増幅器228、変換器226、変調器222などのデバイスが低電力状態に入るようにこれらのデバイスに被制御電力信号を供給する。通常、これらの構成要素は、通信リンクによる追加送信が必要になるまでこの低電力状態のままになる。この実施形態の典型的な例は両方向ページャ・システムであり、そのシステムでは、結合されたGPS/通信受信機が両方向受信機および送信機の機能を実行し、送信機段階が送信していないときに送信機がオフになる(または消費電力が低減される)。
【0022】
本発明の他の実施形態では、個別のアンテナ201および202を設けるのではなく、GPS信号と通信信号の両方のために単一アンテナが設けられている。GPS信号と通信信号の周波数間隔が接近している場合に単一アンテナを使用することができる。この実施形態では、単一アンテナからの信号はプリセレクト・フィルタおよびスイッチに入力され、そのスイッチは受信機回路を通しての送信のために適切な信号を選択する。このスイッチは、GPS信号を受信したときにGPS信号をGPS受信機回路に入力し、通信信号を受信または送信するときに通信信号を入力し、それを通信送信機回路に出力する。
【0023】
第3図は、結合されたGPSセルラー・システム300を形成するためにセルラー電話網という状況での結合されたGPS/通信受信機の使い方を示している。エリア306は、セル・サイト304が処理するセルラー電話セルを表している。セル・サイト304は、セル306内で移動ユニット302などのセルラー電話および受信機との間でセルラー電話信号を送受信する。移動ユニット302は、第1図の結合されたユニット100などの結合されたGPS/通信受信機を含む。移動ユニット302は、通信アンテナ102によりセル・サイト304にセルラー信号を通信し、GPSアンテナ101によりGPS衛星からGPS信号を受信する。セル・サイト304は、セルラー切替えセンター308によりセル306内の移動ユニットから地上ベース電話網310にセルラー送信を行う。セルラー切替えセンター308は、移動ユニット302から受信した通信信号を適切な宛先に送信する。セルラー切替えセンター308は、セル306に加え、他のいくつかのセルにも対応することができる。移動ユニット302が送信した信号の宛先が他の移動ユニットである場合、呼び出された移動ユニットが位置するエリアをカバーするセル・サイトへの接続が行われる。宛先が地上ベースである場合、セルラー切替えセンター308は地上ベース電話網310に接続する。
【0024】
ただし、セルラーベース通信システムは複数の送信機を有する通信システムであり、そのそれぞれが別々の地理的エリアを処理し、そのエリアはいかなる瞬間でも事前定義されていることに留意されたい。通常、各送信機は20マイル未満の地理的半径を有するセルを処理するワイヤレス送信機であるが、カバーするエリアは特定のセルラー・システムによって決まる。セルラー電話、PCS(パーソナル・コミュニケーション・システム)、SMR(専用移動無線)、一方向および両方向ページャ・システム、RAM、ARDIS、ワイヤレス・パケット・データ・システムなど、多数のタイプのセルラー通信システムが存在する。通常、事前定義の様々な地理的エリアをセルと呼び、複数のセルをまとめて1つのセルラー・サービス・エリアにグループ化し、これらの複数のセルを1つまたは複数のセルラー切替えセンターに結合し、そのセンターが地上ベース電話システムおよび/または地上ベース電話網への接続を行う。サービス・エリアは料金請求のために使用する場合が多い。このため、複数のサービス・エリア内の複数のセルが1つの切替えセンターに接続される場合がある。あるいは、特に人口密度の高いエリアでは、1つのサービス・エリア内の複数のセルが別々の切替えセンターに接続される場合もある。一般に、サービス・エリアは、地理的に互いにきわめて接近したセルの集合として定義される。上記の説明に適合するもう1つのクラスのセルラー・システムは衛星ベースのものであり、セルラー基地局は、通常、軌道を描いて地球の周囲を回る衛星である。このようなシステムでは、セル・セクタおよびサービス・エリアは時間の関数として移動する。このようなシステムの例としては、Iridiumシステム、Globalstarシステム、Orbcommシステム、Odysseyシステムを含む。
【0025】
第3図に示すシステムでは、移動ユニット302が送信するGPS位置情報は、地上ベース電話網310によりGPSサーバ基地局117に送信される。GPS基地局117は遠隔ユニット302内のGPS受信機の位置を計算するための処理サイトとして機能する。また、GPS基地局117は、GPS受信機312で受信した衛星信号からGPS情報も受信することができる。また、GPS基地局117は、移動ユニット302内の結合されたGPS/通信受信機が受信したセルラー通信信号に対応するセルラー通信信号も受信することができる。このため、GPS基地局117はセルおよび地上ベース電話網310のリンクにより結合されたGPS/通信受信機から受信したタイミング・インジケータと通信タイミング・インジケータとを突き合わせることができる。GPS基地局117は、対応するセルラー通信信号を受信するために地上線または無線リンクによりセル・サイト304に直接リンクすることができる。あるいは、GPS基地局117は、このような信号を受信してそれをGPS基地局117に供給するセルラー電話314から対応するセルラー通信信号を受信することができる。通信信号のタイミング・インジケータは、GPS基地局117で受信され、タイムスタンプが付けられる。時間インジケータが移動ユニット302から送信されると、基地局は送信された時間インジケータ(たとえば、以下に説明するようにセルラー通信信号内のフレーム番号)をGPS基地局117に格納されたタイムスタンプ付き時間インジケータと突き合わせることができる。このように実行する際に、GPS基地局117は移動ユニット302側でのGPS信号の受信時間を決定することができる。
【0026】
ただし、第3図のセルラー・ネットワーク・システム300は本発明の使い方の一実施形態を表し、移動ユニットからGPS基地局にGPS信号を送信するためにセルラー電話網以外の通信システムも使用できることに留意されたい。
【0027】
時間の決定
多くの最新の電話システムは、互いに著しく干渉せずに多数のユーザが同じ信号帯域内で通信できるようにする精密タイミング信号を含む。このようなタイミング信号は、個別の制御信号を送信する時期(epoch)を指定するためにも使用する。典型的なシステムでは、時間の基本単位は「フレーム」と呼ばれ、各フレームはユーザ・データまたは制御データを含む1つまたは複数のタイム・スロットを含む。たとえば、汎ヨーロッパ・ディジタル・セルラー規格であるGSM(移動通信用グローバル・システム)では、8スロットの情報で構成され、持続期間が約4.6ミリ秒のフレームを使用する。米国のスペクトラム拡散セルラー電話規格は北米CDMA(符号分割多重アクセス方式)規格(IS−95)である。このシステムでは、音声トラフィックを送信するための20ミリ秒のフレームと、個別の26.67ミリ秒の同期チャネルとを使用する。もう1つの北米セルラー電話規格はIS−136 TDMA規格であり、これは40ミリ秒のフレームを使用する。
【0028】
フレームベース・セルラー電話システムでは、フレームの集合をまとめてグループ化して1つのマルチフレームを形成する場合が多く、連続するマルチフレームをグループ化すると1つのスーパフレームを形成することができ、スーパフレームの集合をまとめてグループ化すると1つのハイパーフレームを形成することができる。このようなフレームの構成は階層と呼ばれる。ヨーロッパのGSMシステムのスーパフレーム周期は約6.12秒である。通常、このようなシステムを使用する各通信装置は、ネットワークの制御要素、通常はセル・サイト基地局によって送信される特殊な固有ワードまたはパターンとの同期をとることによってシステム・タイミングを認識する。北米CDMAシステムなどの他のセルラー・システムでは、実際のシステム時間がメッセージとして正確に送信される。北米CDMAシステムのシステム時間は、「同期チャネル」という特殊チャネルで送信される。
【0029】
アナログ・セルラー電話システムなど、他のセルラー電話システムでは、通信信号内の同期化事象としてフレームを使用することができない。このようなシステムでは、同期化時間インジケータを供給するために時間パルスを重ねるかまたはデータ・ストリームとともに送信することができる。
【0030】
代替GPS受信機構成
特定のGPS受信機構成に関して本出願の実施形態を説明してきた。しかし、当業者には明らかになるように、本発明の時間決定方法を利用できる各種GPS受信機構成がいくつか存在する。
【0031】
このような代替実施形態の1つは従来のGPS受信機である。従来のGPS受信機は、見えるところにある衛星を探すその初期探索中に現地時間を把握することによって支援することができる。一例として、従来の受信機は所定の期間にわたって、大まかな衛星位置対時間のデータ、いわゆる暦データを収集する。このため、受信機は、その位置とその現地時間をだいたい把握していれば、見えるところにある衛星とそのそれぞれのドップラーを決定することができる。現地時間が分からない場合、適切なドップラーを計算することができないので、通常、第1のGPS衛星の初期捕捉は非常に時間が長くなる。
【0032】
本発明の他の代替実施形態は、Taylor他に付与された米国特許第4445118号に開示されているような衛星位置データ対時間(いわゆるエフェメリス・データ)を送信するために通信リンクを使用するGPS受信機を含む。このような受信機は、その位置を迅速に決定するか、または入力信号対雑音比が低いときに受信したGPS信号から衛星データ・メッセージを直接読み取らずにその位置を決定することができる。このような状況では、GPS信号の送信または受信時にGPS衛星の位置を計算するために現地時間を把握することが必要である。特に通信リンクで発生する待ち時間が長い場合、このような時間把握を行わないと、衛星位置の間違いによる位置決めエラーが重大なものになる可能性がある。
【0033】
さらに他の代替実施形態は、米国特許第4445118号のように、GPS衛星からの相対到着時間、いわゆる疑似距離のみをGPS受信機側で測定し、このような疑似距離を通信リンクにより遠隔処理局(「サーバ」)に送信して計算を完了するGPS受信機を含む。この場合も、このような疑似距離の測定時のGPS衛星の位置、言い換えると、このような疑似距離測定に使用する信号の送信時のGPS衛星の位置を計算できるように、疑似距離を測定する時間を決定し、遠隔処理局に送信しなければならない。
【0034】
他の代替実施形態は、GPS信号生データを適当なベースバンドに変換し、ディジタル化し、バッファ・メモリにローカルで格納するGPS受信機を含む。次にこのデータは、収集時間情報とともに通信リンクにより遠隔処理局に送信することができる。遠隔局は、このデータから疑似距離を計算し、(たとえば、それ自体のGPS受信機からの)ディジタル化したデータの収集時の衛星位置情報を使用して、遠隔受信機の位置を計算する。この手法の例は、Russell K.Johnsonに付与された米国特許第5420592号およびBrown他に付与された米国特許第5379224号に開示されている。この場合も、データが最初に収集され、バッファ・メモリに格納された時間を正確に把握していないと、収集したデータに対応するGPS衛星位置のエラーによって、位置計算が間違ったものになる。
【0035】
GPS送信時間または受信時間の計算
本発明の一実施形態によれば、第1図および第2図に示すシステムなど、結合されたGPS/通信受信機を使用する全地球測位システムのシステムでは、GPS受信機は、通信信号から絶対時間を導出せず、むしろ、位置計算を実行する際にそれを支援するGPS基地局とその時間を調整する。
【0036】
第3図に示す通信システムがヨーロッパのGSMセルラー規格を使用している場合、移動ユニット302内のGPS受信機は、たとえば、それがGSMスーパフレーム時間マーカに対する疑似距離を測定するときの時間を測定することができる。次にGPS基地局117は、この同じマーカに対応する絶対時間をセルラー・ネットワークによりGPS受信機に送信し、それにより、受信機側で本質的な絶対時間を設定する。あるいは、GPS受信機は、スーパフレーム時間マーカに対する測定時間とともにセルラー・リンクによりGPS基地局117に疑似距離データを送信することができる。次にGPS基地局117は、衛星位置決めデータ(エフェメリスとして知られている)とともにこのデータを使用して移動ユニット302内の遠隔GPS受信機の位置を計算するが、その衛星位置決めデータはそれ自体のGPS受信機312または他のソースから収集することができる。このようなシステムのフレームは通常、このようなフレームを使用するかまたは提供するセルラー通信信号用の制御信号目的に対応できることが分かるだろう。ある意味で、このようなフレームはセルラー通信システムで送信中のデータを区分するものである。
【0037】
時間インジケータおよび疑似距離計算に関する相対時間測定値の使用は、アナログ・セルラー・システムなど、他のセルラー電話システムでも使用する。このようなアナログ・システムの1つは、北米アナログ・セルラー規格(AMPS)である。電話呼出し中に信号はアナログ周波数変調(FM)により基地局と移動局との間で送信される。制御信号は、FM信号を(約50ミリ秒の間)消去し、代わりにデータ・バーストを送信することによって送信される。このバーストのタイミングは特定の境界(たとえば、1秒の境界)上にくるように手配することができ、あるいは、バースト・データはバーストの開始に対する時刻情報を示すことができる。どちらの手法も、ディジタル・セルラー電話システムについて前述したように時間伝達を行えるだろう。前述のような正確な時間伝達が現在は必要ではないので、これらの手法ではAMPSシステムの何らかの変更が必要になるだろう。ただし、呼出しセットアップ中にAMPSシステムはセットアップ・チャネル上で基地局からの連続データ送信を使用し、このため、ディジタル・セルラー・システムについて前述した方法がこの状況でも適用可能であることに留意されたい。
【0038】
IS−95 CDMAセルラー規格および同様の規格では、同期フレーム境界などの特定のタイミング・マーカに対するシステム時間が送信される。このようなシステムでは、遠隔GPS受信機202は、遠隔ユニットによって行われた疑似距離またはGPS衛星位置測定の絶対時間を設定することができる。この場合、相対時間には頼らず、その結果、遠隔GPS受信機202とGPS基地局117の両方が時間を調整する必要はない。
【0039】
第4A図は、北米IS−95 CDMAセルラー規格用の同期チャネル・メッセージのデータ構造を示している。このようなメッセージ内のデータは、フレーム402などの96ビットのフレームからなるシリーズに含まれている。3つのフレームがスーパフレーム404を構成する。データ・メッセージの一例は第4A図の領域406として示されている。このデータは、システム時間メッセージ(GPS時間と同等)と、第1図の基地局117など特定の基地局による同期信号の送信時間に関連するオフセット時間408とを含む。同期チャネル・メッセージを含むスーパチャネルの終わりに、4つの追加スーパチャネルに等しい時間を加えると、システム時間とオフセット時間とを加えたものに等しくなる(ただし、基地局から移動局へのわずかな伝播遅延は除く)。したがって、第4図では、システム時間414は、同期チャネル・メッセージ406を含む3つのスーパフレームの終了時間410に、この終了時間410後の4つのスーパフレーム412を加え、オフセット時間408に等しい時間を差し引いたものに等しくなる。マーカ414は、同期チャネル・メッセージ406に関するシステム時間の測定を示している。
【0040】
したがって、受信した同期信号との同期をとり、データ・メッセージを読み取ることによって、セルラー電話は、通常、数マイクロ秒の範囲内で正確に時間を決定することができる。本発明の一実施形態によれば、結合されたGPS/通信受信機200は、IS−95 CDMAシステム互換セルラー電話にGPS受信機を取り入れたものである。セルラー電話受信機はセルの基地局から同期信号を受信し、結合されたGPS/通信受信機200内のプロセッサ212は時間決定を実行する。この時間情報は、受信機の位置を決定するために結合されたGPS/通信受信機200が使用することができる。あるいは、最終位置決め動作が個別の基地局で行われる状況では、第1図および第3図に関連して前述したように、結合されたGPS/通信受信機から基地局に送信されるGPS位置データにこのタイミング情報を付加することができる。
【0041】
第4B図は、ヨーロッパのGSMセルラー規格のトラフィック・チャネルのデータ構造を示している。GSM規格では、通信チャネルを使用するために時分割多重アクセス方式(TDMA)の技法を使用する。GSMシステムのデータ・トラフィックは、指定の周期でチャネル上にバースト出力される。GSMバーストは0.577ミリ秒持続する。第4B図では、データ・バーストは156.25ビットの持続期間を含むタイム・スロット430として示されている。GSMバースト内のデータは、それぞれが57ビットからなる2つのサブスロットに含まれている。各バーストは、トラフィックのタイプを示すための信号ビットと、受信機がバーストとの同期をとれるようにするためのトレーニング・ビットも含む。
【0042】
GSMメッセージ階層では、8つのデータ・バーストまたはタイム・スロットが持続期間4.615ミリ秒のGSMフレーム428を構成し、26個のフレームが持続期間120ミリ秒のGSMマルチフレーム426を構成し、51個のマルチフレームが持続期間6.12秒のGSMスーパフレーム424を構成し、2048個のスーパフレームが持続期間3.4816時間のGSMハイパーフレーム422を構成する。
【0043】
GSM同報通信制御チャネル(同期用)および共通制御チャネル(ページングおよびアクセス用)の構造は第4B図に示す構造と同様であるが、1つのマルチフレームは51個のTDMAフレームを含み、1つのスーパフレームは26個のマルチフレームを含む。したがって、制御チャネルの構造は、マルチフレームおよびスーパフレームの構成に関してトラフィック・チャネルと正反対のものである。
【0044】
GSMシステムは様々な時間インスタンスでの適切に規定されたタイミング・マーカを含むので、セルラー電話または受信機は、様々な同期事象を自動追跡し、現地時間表示を確認することができる。たとえば、120ミリ秒ごとに発生するトラフィック・マルチフレームまたは6.12秒ごとに発生するスーパフレームにより、セルの有効範囲エリア内のセル電話は、セルの基地局が送信したネットワーク同報通信から時間を確認することができる。
【0045】
本発明の一実施形態では、結合されたGPS/通信受信機200は、GSMシステム互換セルラー電話にGPS受信機を取り入れている。セルラー電話受信機は、時間インジケータを含むネットワーク同報通信をGSM基地局から受信する。結合されたGPS/通信受信機200内のプロセッサ212は、カウンタを管理し、GSMスーパフレームまたはマルチフレームなど、特定の同期化事象の周期分だけ同報通信信号内の時間表示を増分することにより、セルラー電話側で現地時間を計算する。このカウンタは、時間表示に関してフレーム数のカウントを管理するために使用する。計算した時間は、受信機位置の計算を可能にするためにGPS処理済みデータ(たとえば、疑似距離)に付加することができ、その計算は結合されたGPS/通信受信機200内で実行するかまたはGPS基地局106で遠隔実行することができる。受信機位置の決定は、受信機がGPS衛星位置情報を所有している場合、受信機側でローカルに実行することができる。受信機位置が遠隔決定される場合、時間タグを含む処理済みデータは位置計算を完了するために遠隔処理ユニットに送信される。この手法では、GPS受信機と基地局が互いに異なるセル・サイトからセル・サイト送信を受信するときにネットワークからのそれぞれの時間を調整できるように、様々なセル・サイト送信が互いに同期化されるものと想定している。この同期化は、任意のものなので、GSMシステム内に必ず存在するわけではない。このような制限を克服するための方法については後述する。
【0046】
当業者であれば、メッセージ・フレームまたはマルチフレームなどの同期化事象から現地時間を決定する技法が、GSM内のフレーミング構造の代わりに時間パルスなどを使用する通信システムに適用可能であることが分かるだろう。このような場合、時間インジケータとともにパルスの周期性を使用し、結合されたGPS通信受信機側で現地時間を導出する。
【0047】
遠隔ユニット位置の決定
第5A図は、遠隔の結合されたGPS/通信受信機内で時間を決定するための本発明の一実施形態による方法の流れ図である。第5A図の方法については、第3図に示す結合されたGPSセルラー通信システムに関して説明する。移動ユニット302は、第1図に示す結合されたGPS/通信受信機を含み、遠隔ユニットと呼ぶことにする。ステップ500では、遠隔ユニット302はまずワイヤレス通信リンクによりGPS基地局117との通信を確立する。本発明の実施形態によれば、このワイヤレス通信リンクはセルラー電話リンクである。セルラー規格は様々な国および領域によって異なるので、特定のセルラー・システムまたは規格はそのシステムが配置される領域によって決まる。ステップ502では、遠隔ユニット302は、通信リンクを確立した後、セル・サイト304が送信した通信信号内のフレーミング境界を検出する。フレーミング境界は、GPS信号捕捉に関連する相対時間または絶対時間を導出するための基礎である時間インジケータとして機能する。一般的なディジタル・セルラー・システムでは、検出すべき境界は、通常、スーパフレームまたは他の同様のタイプのデータ境界に関連するものである。一般的なアナログ・セルラー・システムでは、フレーミング境界は、通常、音声による会話中には使用不能である。むしろ、音声データの代わりに、通常、データ・バーストが制御信号として挿入される。これらは、それぞれの発生を何らかの反復間隔(たとえば、1秒または5秒の境界上)に同期化するかまたはそれぞれの発生時間を示すデータを送信することにより、それぞれの発生時間による同期を可能にする事象の境界として機能することができる。
【0048】
ステップ504では、遠隔ユニット302は、時間データが通信信号内に符号化されているかどうかを判定する。セルラー・システムがIS−95 CDMAまたは同様の規格を使用する場合、システム時間は特定のタイミング・マーカに関連して送信される。しかし、ヨーロッパのGSM規格などの他のシステムではシステム時間を送信せず、したがって、フレームの周期性はデータ・タイミングを示す唯一の表示になる。セルラー通信システムがシステム・タイミングを提供する場合、ステップ508で遠隔ユニット302内のプロセッサがシステム時間データとタイミング・マーカから絶対時間を決定することができる。セルラー通信システムがシステム・タイミングを提供しない場合、ステップ506で内部オフセット・カウンタを始動し、遠隔ユニット302内で管理することができる。この内部オフセット・カウンタは、基地局にタイミング・オフセット情報を供給して特定のタイミング・マーカに関する時間の決定を容易にするために使用しなければならないものであり、そのタイミング・マーカはGPS基地局117が同様に観測しタグを付けることができるものである。
【0049】
ステップ510では、遠隔ユニット302は、見えるところにある通信衛星に関する衛星位置データを決定する。衛星位置データはそれぞれの衛星に関する空間的な(x,y,z)座標データを含むことができる。あるいは、衛星位置データはそれぞれの衛星に関する疑似距離を含むことができる。ステップ512では、衛星位置データの決定後、遠隔ユニットが適切な時間情報とともにこのデータを格納する。この時間情報は、システム時間情報を送信しないセルラー・システムに関してステップ506で生成されたタイミング・オフセットからなる。あるいは、タイミング情報は、送信信号内でタイミング情報を送信するセルラー・システムに関してステップ508で決定した絶対時間にすることもできる。次にステップ514では、格納した衛星位置情報および時間情報が通信リンクによりGPS基地局117に送信される。ステップ516では、遠隔ユニット302は、追加の位置修正が必要であるかどうかを判定する。追加の位置修正が不要な場合、遠隔ユニット送信プロセスは終了する。追加の位置修正が必要な場合、遠隔ユニット302は次に、ステップ518で、前の時間測定から得られた時間データが古くなっているかどうかを判定する。通常、前のデータが依然として信頼できるものである場合、前のデータから現行時間データを決定するためにオフセット・カウンタを使用することができる。時間データが依然として有効である場合、ステップ510で新しい衛星位置決定を続行することにより、後続位置修正が決定される。新しい衛星位置データと、オフセット・カウンタの現行値によって修正された元の時間データは、遠隔ユニット302に格納され、通信リンクにより基地局117に送信される。ステップ518で、時間データがもはや有効ではないと判定された場合、プロセスはステップ502から再開し、そこで通信信号から新しい時間データが抽出される。追加の位置修正のために新しい時間データと衛星位置データを決定した後、このデータは基地局117に送信される。
【0050】
第5B図は、遠隔結合されたGPS/通信受信機内で時間を決定するための本発明の代替実施形態による方法の流れ図である。第5A図の場合と同様に、第5B図の方法については、第3図に示す結合されたGPSセルラー通信システムに関して説明する。ステップ520では、遠隔ユニット302はまずワイヤレス通信リンクによりGPS基地局117との通信を確立する。説明のため、この場合も、このワイヤレス通信リンクがセルラー電話リンクであると想定する。本発明のこの代替実施形態によれば、絶対時間は通信信号に含まれず、信号内のフレーミング境界が時間を導出するためのタイミング・インジケータとして使用されるものとさらに想定する。
【0051】
ステップ522では、遠隔ユニット302は、通信リンクを確立した後、見えるところにあるGPS衛星から受信したGPS信号を読み取って格納する。また、ステップ522では、遠隔ユニットはセル・サイト304が送信した通信信号内のフレーミング境界も検出する。タイミング・インジケータとGPS信号の実際の受信との間に実質的にいかなる遅延も発生しないように通信信号のフレーミング境界と同時にGPS信号が受信されるものと想定する。しかし、実際には、GPS信号の受信時間とフレーム境界との間に何らかのオフセット時間が発生する可能性がある。たとえば、GPS信号がフレームの途中で受信された場合、タイミング・インジケータとして機能する次のフレーム境界が現れる前に半フレーム分の遅延が発生することになる。セルラー・システムによっては、このオフセットは、位置計算で重大なエラーを引き起こすのに十分なほど大きなものになる可能性がある。このような場合、遠隔ユニット302は、GPS信号を受信したときに開始され、GPS信号の受信とフレーム境界との間隔のカウントを管理する遅延カウンタを管理することができる。この遅延カウンタは、遅延によってもたらされる間違いを解決するために十分な増分(たとえば、10ミリ秒)でカウントするはずである。
【0052】
ステップ524では、遠隔ユニット302は、見えるところにある通信衛星に関する衛星位置データを決定する。前述のように、衛星位置データはそれぞれの衛星に関する空間的な(x,y,z)座標データを含むことができるか、またはそれぞれの衛星に関する疑似距離を含むことができる。ステップ526では、衛星位置データの決定後、遠隔ユニットが適切な時間情報とともにこのデータを格納する。この代替実施形態の時間情報は、その後続境界がタイミング・インジケータとして機能するフレームの番号からなる。次にステップ528では、格納した衛星位置情報およびフレーム番号が通信リンクによりGPS基地局117に送信される。GPS基地局117は、このフレーム番号を使用してフレーム同士を突き合わせ、カウントの同期をとって絶対時間を決定する。
【0053】
ステップ530では、遠隔ユニット302は、追加の位置修正が必要であるかどうかを判定する。追加の位置修正が不要な場合、遠隔ユニット送信プロセスは終了する。追加の位置修正が必要な場合、遠隔ユニット302は次に、ステップ532で、前の時間測定から得られた時間データ、たとえば、フレーミング境界位置が古くなっているかどうかを判定する。時間データが依然として有効である場合、ステップ524で新しい衛星位置決定を続行することにより、後続位置修正が決定される。いずれの場合でも、遅延カウンタは連続的に動作しているものと想定する。次に、新しい衛星位置データと元の時間データ(フレーム番号)は、遠隔ユニット302に格納され、通信リンクにより基地局117に送信される。ステップ532で、時間データがもはや有効ではないと判定された場合、プロセスはステップ522から再開し、そこで通信信号から新しいフレーミング境界データが抽出される。追加の位置修正のために新しいフレーム境界と衛星位置データを決定した後、ステップ528でこのデータが基地局117に送信される。
【0054】
第6図は、GPS基地局内で遠隔結合されたGPS/通信受信機の位置を計算するための本発明の一実施形態による方法の流れ図である。第5A図および第5B図の場合と同様に、第6図の方法については、第3図に示す結合されたGPSセルラー通信システムに関して説明する。ステップ600では、GPS基地局117がローカルGPS受信機312からGPS衛星データおよびGPS時間データを受信する。GPS受信機312などのローカルGPS受信機が使用可能ではない場合、GPS基地局117は遠隔ユニット302以外の遠隔GPS受信機など他のソースからこの情報を受信することができる。GPS基地局117は、GPS信号ソース(たとえば、GPS受信機312)によって捕捉され管理されるGPS信号に関連する現行データを管理する。次にステップ602では、GPS基地局117は通信リンクにより遠隔ユニット302との通信を確立する。このステップでは、第5A図のステップ500または第5B図のステップ520で遠隔ユニット302が開始したように基地局117と遠隔ユニット302との間の両方向通信リンクを確立する。
【0055】
ステップ604では、GPS基地局117は通信信号のフレーミング境界に時間タグを付ける。正確な同期を確実にするためには、GPS基地局117が時間タグを付けたフレーミング境界は、第5A図のステップ502で遠隔ユニット302が検出したフレーミング境界と既知の関係になければならない。これは第3図に示すように行うことができ、GPS基地局117はセル・サイトまたはセルラー受信機(たとえば、セル電話314)から通信信号のサンプルを受信する。ステップ606では、GPS基地局117は、絶対時間データが通信信号内に符号化されているかどうかを判定する。絶対時間データが通信信号内に符号化されている場合、ステップ610でGPS基地局117は遠隔ユニット302から衛星位置データおよび絶対時間を受信する。このステップで受信したデータは第5A図のステップ514で遠隔ユニット302が送信したデータに対応するが、その絶対時間はステップ508で遠隔ユニット302が計算したものである。時間データが通信信号内に符号化されていない場合、GPS基地局117は(ステップ608で)衛星位置データと、時間インジケータのIDと、そのインジケータからのオフセット時間(ある場合)とを遠隔ユニットから受信する。このステップで受信したデータは第5A図のステップ514で遠隔ユニット302が送信したデータに対応するが、そのオフセット時間はステップ506で遠隔ユニット302が始動した内部オフセット・カウンタから導出したものである。GPS基地局117は、時間データとしてオフセット時間を受信した場合、ステップ612で、ステップ604で見られるようにオフセット時間と現地時間とに基づいて遠隔ユニット302に関する絶対時間を計算する。基地局117は、それ自体のタイミング・ソース(GPS受信機など)を使用するかまたは他の通信リンク(セルラー電話314など)によってそれに供給されたタイミング・データを使用することにより、それ自体の現地時間を正確に把握しているものと想定する。ステップ612の内部計算によるかまたはステップ610で遠隔ユニット302から直接行われるように遠隔用の絶対時間がGPS基地局117によって確認されると、ステップ614で基地局は、この絶対時間と遠隔ユニット302から受信した衛星位置データとを使用して、遠隔ユニット302の位置を計算する。
【0056】
第5B図による時間およびGPSデータの送信に対応する本発明の代替実施形態では、ステップ608でGPS基地局117が通信信号のフレーミング境界に対応するフレーム番号を受信する。このフレーム番号は、第5B図のステップ528で遠隔ユニットが送信したものであり、遠隔ユニット位置を計算するためのタイミング・インジケータとして機能する。また、GPS基地局117は、前述のように受信時間とフレーム境界との間のオフセットとともにGPS信号が遠隔ユニット302で受信された場合に遅延カウンタのカウントを受信することもできる。GPS基地局117は、それが通信信号の独立ソース(たとえば、セルラー電話314)から受信した通信フレームとそのフレーム番号とを突き合わせる。また、これは、いかなる遅延オフセットも考慮に入れ、フレーム番号とオフセット遅延とに基づいて遠隔ユニット302用の絶対時間を決定する。遠隔用の絶対時間がGPS基地局117によって確認されると、第6図のステップ614に示すように、基地局はこの絶対時間と遠隔ユニット302から受信した衛星位置データとを使用して遠隔ユニット302の位置を計算する。
【0057】
セルラー・システムによっては、所与のセル内の相対位置が高い(すなわち、安定性が高い)状態で維持できる場合であっても、あるセル・サイトから次のセル・サイトへの絶対時間の調整が行われないこともある。このため、遠隔受信機が位置するセル・サイトのタイミング情報にGPS基地局がアクセスできない場合、遠隔GPS受信機がその時間をGPS基地局と調整することが困難になる可能性がある。本発明の一実施形態では、この問題は、一連のセルラー電話をセルラー切替えセンターが対応する有効範囲エリアの各セル内に配置することにより、部分的に解決される。それぞれの電話はその特定のセル用のセル・タイミングを決定する。遠隔GPS受信機に関連するセルが把握されている場合、セル内の遠隔ユニットの位置とは無関係に、GPS基地局と遠隔ユニットとの間でそのセル用の絶対時間を調整することができる。
【0058】
ドップラー・データ送信
本発明の代替実施形態によれば、本発明の方法は、1997年4月15日に出願され、出願番号第 が付けられ、参照により本明細書に組み込まれ、Norman F.Krasnerによる「An Improved GPS Receiver Utilizing a Communication Link」という名称の同時係属米国特許出願に記載されているようなセル・ベース通信受信機を有する衛星位置決めシステム(SPS)受信機内のドップラー・エラーにより処理時間を低減するための方法とともに使用することができる。また、セルラー受信機を有するSPS受信機に送信されたドップラー情報を使用するための方法は、1996年3月8日に出願された同時係属米国特許出願第08/612582号と、1996年12月4日に出願された同時係属米国特許出願第08/759523号にも記載されており、どちらの出願も「An Improved GPS Receiver Utilizing a Communication Link」という名称であり、参照により本明細書に組み込まれるものである。ある方法は、セル・ベース情報ソースからGPS受信機の近似位置を決定することを含む。この近似位置は、セル・ベース通信受信機と通信可能なセル・サイトを含むセルラー・サービス・エリアの位置またはそのセル・サイト自体の位置のうちの少なくとも一方を使用することによって決定される。この方法は、GPS受信機に対する少なくとも1つのGPS衛星の近似ドップラーを決定することをさらに含み、その近似ドップラーは近似位置に基づくものである。この近似ドップラーは、少なくとも1つのGPS衛星への少なくとも1つの疑似距離を決定する際または少なくとも1つのGPS衛星から信号を捕捉する際の処理時間を低減するためにGPS受信機で使用する。
【0059】
この方法の例示的な実施形態は、GPS受信機を含むセルラー電話である。このセルラー電話はセル・サイトと通信することによって動作し、それぞれのセル・サイトはセルラー切替えセンターに接続されている。セルラー・ベース情報ソースを表すデータベースは、セルラー切替えセンターまたはセル・サイトあるいは「サーバ」と呼ぶことができる遠隔処理局で管理することができ、セルラー電話の通信相手であるセル・サイト(またはセルラー・サービス・エリア)に基づいてセルラー電話の近似位置を決定するために使用することができる。この近似位置は、セルラー電話内のGPS受信機にGPS信号を送信している様々なGPS衛星に対する近似ドップラーを導出するために使用することもできる。この近似ドップラーは、一実施形態ではセル・サイトからセルラー電話に送信され、次にGPS受信機内のドップラー誘導効果により処理時間を低減するためにGPS受信機内で使用される。
【0060】
本発明のこの態様の他の実施形態は、プロセッサと、プロセッサに結合された記憶装置と、プロセッサに結合されたトランシーバとを含むデータ処理局である。このトランシーバは、データ処理局をワイヤレス・セル・サイトに結合するためのものである。記憶装置は、ワイヤレス・セル・サイトを含むセルラー・サービス・エリアの位置またはワイヤレス・セル・サイト自体の位置のうちの少なくとも一方によって決定された近似位置に関する所与の時点での少なくとも1つの近似ドップラーを指定する情報を含む。トランシーバは近似位置を決定するサイト情報を受信し、プロセッサは前記近似位置から見えるところにある少なくとも1つのGPS衛星の近似ドップラーを決定する。近似ドップラーは近似位置に基づくものである。トランシーバはこの近似ドップラーをワイヤレス・セル・サイトに送信し、次にそのサイトはGPS受信機に結合されたセル・ベース通信受信機に近似ドップラーを送信する。
【0061】
本発明の他の態様は、移動衛星位置決めシステム受信機内で局部発振器信号を供給するための方法に関する。この方法は、搬送周波数を有する信号と搬送周波数上で変調されたデータ信号とを受信することと、搬送周波数上で変調されたデータ信号から基準信号を抽出することと、基準信号を使用して局部発振器信号を供給し、GPS衛星からGPS信号を捕捉することを含む。
【0062】
本発明のこの態様による他の実施形態は、結合されたGPS受信機通信システムである。この通信システムは、通信信号を受信するためにアンテナに結合された捕捉追跡回路を含む。この捕捉追跡回路は、搬送周波数上に変調されたデータ信号を捕捉して追跡し、搬送周波数上で変調されたデータ信号から基準信号を供給する。次に基準信号は、GPS受信機内でGPS信号を捕捉するために使用する局部発振器信号を生成するために、フェーズ・ロック・ループまたは周波数合成器に供給される。
【0063】
本発明の他の態様では、ワイヤレス・セル・ベース送信機を有するGPS受信機の位置を決定するための方法について説明する。この方法は、セル・ベース情報ソースからGPS受信機の近似位置を決定することを含む。近似位置は、セル・ベース送信機と通信可能なワイヤレス・セル・サイトを含むセルラー・サービス・エリアの位置またはワイヤレス・セル・サイトの位置のうちの少なくとも一方によって決定される。GPS受信機は、GPS信号のソースを受信し、複数の疑似距離データを決定し、この複数の疑似距離データをワイヤレス・セル・サイトに送信する。次に、GPS信号と、複数の疑似距離と、近似位置とを使用することによって、SPS受信機の位置が計算される。この方法では、位置計算の収束を容易にするために近似位置を使用する。
【0064】
本発明の他の態様では、GPS受信機にドップラー情報を供給する方法について説明する。この方法では、近似位置から複数の近似ドップラー・データを決定する。この近似位置は、ワイヤレス・セル・サイトの位置またはワイヤレス・セル・サイトを含むセルラー・サービス・エリアの位置のうちの少なくとも一方に基づくものである。複数の近似ドップラー・データは、対応する複数の衛星に関するものである。この方法は、複数の近似ドップラー・データをワイヤレス・セル・サイトのワイヤレス・セル送信機からワイヤレス・セル・サイトが対応するセル内の複数のGPS受信機に同報通信することをさらに含む。通常、少なくとも一実施形態では、セル・サイトは複数の疑似距離を受信し、その疑似距離を遠隔処理局に転送し、そこでGPS信号と疑似距離とを使用してGPS受信機の位置が計算される。
【0065】
本発明のさらに他の態様では、GPS受信機に衛星情報を供給する方法について説明する。この方法は、セルラー・ベース情報ソースから近似位置を決定することと、近似位置から見えるところにある対応する複数の衛星に関する複数の衛星エフェメリス・データを決定することとを含む。この方法は、複数の衛星エフェメリス・データをワイヤレス・セル・サイトのワイヤレス・セルラー送信機からワイヤレス・セル・サイトが対応するセル内のGPS受信機に送信することをさらに含む。
【0066】
本発明のさらに他の態様では、セル・ベース情報ソースから導出された近似位置を使用して、差動GPS補正データの特定セットを選択する。
【0067】
第7図は、一実施形態では第3図に示すGPSサーバ基地局117などのGPSサーバ側で管理可能なセルラー・ベース情報ソースの例を示している。あるいは、この情報ソースは、第3図のセルラー切替えセンター308などのセルラー切替えセンターまたは第3図に示すセル・サイト304などの各セル・サイトで管理することもできる。しかし、通常、この情報ソースは、セルラー切替えセンターに結合されたGPSサーバ側で管理され、定期的に更新される。情報ソース700は様々なフォーマットのデータを管理することができ、第7図に示すフォーマットはこのフォーマットの一例を示すにすぎないことが分かるだろう。通常、時間T1におけるドップラー・セットA1など、特定の時点710におけるドップラー情報の各セットは、セル・サイトまたはサービス・エリアの対応位置またはIDを含むことになる。たとえば、ドップラー・セットA1およびA2の場合、セルラー・サービス・エリアAの対応IDならびにこのサービス・エリアの緯度および経度が存在する。通常、この緯度および経度は、セルラー・サービス・エリアの地理的領域内のほぼ中心に位置する「平均」位置になることが分かるだろう。しかし、特にセルラー・サービス・エリアが使用していない地域を含む場合には、他に考えられる近似方法を使用することができる。第7図に示すように、セルラー・ベース情報ソースは、セルラー・サービス・エリアを指定する列である列702と、セルラー・サイトIDまたは番号を指定する列704とを含む。ただし、セルラー・サービス・エリアAの場合、セル・サイトIDまたは位置を示す指定がまったくなく、したがって、近似位置はセルラー・サービス・エリアの位置に基づき、その結果、近似ドップラーA1およびA2は時間T1およびT2が示す特定の時刻に応じてこの位置に基づくものになることに留意されたい。列706はサービス・エリアの特定の位置の緯度および経度の指定を含み、列708はセルラー・サービス・エリア内の特定のセル・サイトの位置の緯度および経度の指定を含む。
【0068】
GPS衛星に関連して本発明の方法および装置を説明してきたが、その教示は、疑似衛星(pseudolite)または衛星と疑似衛星との組合せを使用する位置決めシステムにも同様に適用可能であることが分かるだろう。疑似衛星は、一般にGPS時間との同期がとられ、L帯域搬送波信号上で変調されたPNコード(GPS信号と同様のもの)を同報通信する地上ベース送信機である。遠隔受信機による識別を可能にするために、各送信機には固有のPNコードを割り当てることができる。疑似衛星は、トンネル、鉱山、ビル、その他の密閉エリアなど、軌道旋回している衛星からのGPS信号が使用不能になる可能性のある状況で有用である。ここで使用する「衛星」という用語は疑似衛星または疑似衛星と同等のものを含むものとし、ここで使用するGPS信号という用語は疑似衛星または疑似衛星と同等のものからのGPS状の信号を含むものとする。
【0069】
上記の説明では、米国の全地球測位衛星(GPS)システムでの応用に関連して本発明を説明してきた。しかし、上記の方法はロシアのGLONASSシステムなどの同様の衛星位置決めシステムにも同様に適用可能であることは明白だろう。ここで使用する「GPS」という用語は、ロシアのGLONASSシステムを含むこのような代替衛星位置決めシステムを含む。また、「GPS」信号という用語は、代替衛星位置決めシステムからの信号を含む。
【0070】
前述の説明では、商用提供されている送信信号を使用してGPS受信機用の時間を決定するためのシステムについて説明してきた。特定の実施形態に関連して本発明を説明してきたが、請求の範囲に記載した本発明のより広範囲の精神および範囲を逸脱せずに上記の実施形態の様々な修正および変更が可能であることは明白になるだろう。したがって、本明細書および添付図面は、限定的なものではなく例示的なものと見なすべきものである。
【符号の説明】
【0071】
100:GPS受信機 110:(セルラー)通信受信機
106:基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星位置決めシステム(SPS)受信機とこれと相互接続されたセルラー通信受信機とを備えたSPS移動ユニットの位置情報を決定するために、データ処理局内で実行される方法において、
セルラー通信受信機がサービスされるセルラー・サイトから送信され、かつ該セルラー通信受信機によって受信されるセルラー電話標準に準拠したセルラー通信信号の一部である時間インジケータを識別する情報を、前記SPS移動ユニットのセルラー通信受信機から受信すること、
前記SPS受信機を介して該SPS移動ユニットにて受信されたSPS信号から得られた衛星位置情報を、前記SPS移動ユニットから受信すること、
前記時間インジケータを識別する情報から前記SPS移動ユニットにてSPS信号を受信した時間を決定すること、
前記SPS移動ユニットから受信した衛星位置情報と前記SPS信号を前記SPS移動ユニットにて受信した時間とに基づいて、SPS移動ユニットの位置を決定すること
を含む方法。
【請求項2】
前記時間インジケータは前記セルラー電話標準にしたがって前記セルラー通信号内で転送されるデータを区切るフレームによって表される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記時間インジケータを識別する情報は、前記SPS受信機による測定時間に対する該時間インジケータに関連する時間イベントからの経過時間に対応するカウントであって前記SPS移動ユニット内のカウンターのカウントに基づいて生成される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記カウントは、前記時間イベントからの経過時間内での前記カウンタによってカウントされるフレームの数を表す、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記測定時間は前記SPS移動ユニットのSPS受信機によって受信されたGPS衛星信号の擬似ランダム・シーケンスから得られた当該GPS衛星信号の到達時間に関連する、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記時間インジケータは前記セルラー電話標準によって定められた複数の時間インジケータの一つであり、
前記時間インジケータを識別する情報はその時間インジケータを識別する識別子とその識別子によって識別される時間インジケータからのオフセット時間とを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記識別子は前記時間インジケータとして作用するフレームのフレーム番号を含み、
前記オフセット時間は前記SPS移動ユニットの内部カウンタの遅延カウントであってSPS信号の受信時間と前記フレームとの間の遅延カウントによって表される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記フレーム番号と前記遅延時間とに基づいて前記SPS移動ユニットの絶対時間であって、SPS衛星位置情報に照らしてSPS移動ユニットの位置を決定するために使用される絶対時間を決定することをさらに含む請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記絶対時間の決定が前記SPS移動ユニットから受信したフレーム番号を該SPS移動ユニット以外の独立ソースから受信した通信信号の対応するフレーム番号に一致させることを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
全地球位置決めシステム(GPS)受信機とこれと相互接続されたセルラー通信受信機とを備えたGPS移動ユニットの位置情報を決定するために、データ処理局内で実行される方法において、
前記GPS移動ユニットのセルラー通信受信機がサービスされるセルラー・サイトから送信され、かつ該セルラー通信受信機によって受信されるセルラー電話標準に準拠したセルラー通信信号の一部であるとともにそれに埋め込まれたシステム時間と所定の関係を有する絶対時間を表す情報を、前記GPS移動ユニットのセルラー通信受信機から受信すること、
前記GPS受信機を介して該GPS移動ユニットにて受信されたGPS信号から得られた衛星位置情報を、前記GPS移動ユニットから受信すること、
前記セルラー通信信号のシステム時間と関係する前記絶対時間を表す情報から前記GPS移動ユニットにてGPS信号を受信した受信時間を決定すること、
前記GPS移動ユニットから受信した衛星位置情報と前記決定した受信時間とに基づいて、GPS移動ユニットの位置を決定すること
を含む方法。
【請求項11】
全地球位置決めシステム(GPS)受信機とこれと相互接続されたセルラー通信受信機とを備えたGPS移動ユニットの位置情報を決定するために、データ処理局内で実行される方法において、
前記GPS移動ユニットのセルラー通信受信機がサービスされるセルラー・サイトから送信され、かつ該セルラー通信受信機によって受信されるセルラー電話標準に準拠したセルラー通信信号であって、その通信信号の一部である複数の時間インジケータの内の一つの時間インジケータを表す情報を、前記GPS移動ユニットのセルラー通信受信機から受信すること、
前記GPS受信機を介して該GPS移動ユニットにて受信されたGPS信号から得られた衛星位置情報を、前記GPS移動ユニットから受信すること、
前記受信したGPS信号と前記時間インジケータとの間の時間オフセットと前記時間インジケータを表す情報とから前記GPS移動ユニットにて該GPS信号を受信した受信時間を決定すること、
前記GPS移動ユニットから受信した衛星位置情報と前記決定した受信時間とに基づいて、GPS移動ユニットの位置を決定すること
を含む方法。
【請求項12】
前記時間オフセットは前記時間インジケータと前記GPS信号がGPS受信機を介してGPS移動ユニットにて受信されたローカル時間との間の時間増分のカウントによって表される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記時間インジケータは前記セルラー通信信号の複数のフレームであってセルラー電話標準によって定められた複数のフレームの内の一つのフレームによって表され、
前記時間オフセットは前記時間インジケータに関連するフレームに関するフレーム番号によって表される、請求項11記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−145413(P2010−145413A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13509(P2010−13509)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【分割の表示】特願2007−13576(P2007−13576)の分割
【原出願日】平成9年11月21日(1997.11.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(399030484)スナップトラック・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】