説明

GSK−3阻害剤

本発明は、グリコーゲン生成酵素キナーゼ3β、GSK−3の阻害剤としての式(I)の尿素誘導体、それら化合物の製造方法、それら化合物を含む薬学的組成物、および、それら組成物の、GSK−3が関与する病気(例えばアルツハイマー病またはインスリン非依存性糖尿病)の処置または予防のための使用、に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、酵素阻害剤に関し、より詳しくは、グリコーゲン生成酵素キナーゼ3β、GSK−3の阻害剤としての尿素誘導体、そのような化合物の製造方法、それらの化合物を含んでなる薬学的組成物、および、GSK−3が関与する、例えばアルツハイマー病またはインスリン非依存性糖尿病等の病気の処置または予防のためのそれらの使用、に関する。
【発明の背景】
【0002】
近年、新しい治療薬の研究は、標的とする病気に関連する酵素および他の生物分子の構造がより深く理解されるにつれて、大きく加速されている。広範囲な研究の主題になっている一つの重要な酵素区分は、タンパク質キナーゼである。多くの病気が、タンパク質キナーゼが仲介する結果により引き起こされる異常細胞応答に関連している。これらの病気としては、自己免疫疾患、炎症性の病気、神経学的および神経変性病、癌、心臓血管病、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病またはホルモンに関連する病気が挙げられる。したがって、製薬化学では、治療薬として有効なタンパク質キナーゼ阻害剤を発見するための鋭意検討がなされている。
【0003】
グリコーゲン生成酵素キナーゼ−3(GSK−3)は、それぞれ個別の遺伝子によりコードされた、αおよびβアイソフォームを含むセリン/トレオニンタンパク質キナーゼである(Coghlanら, Chemistry & Biology, 7, 793-803 (2000)、KimおよびKimmel, Curr. Opinion Genetics Dev., 10, 508-514 (2000))。トレオニン/セリンキナーゼグリコーゲン生成酵素キナーゼ−3(GSK−3)は、種々のレセプタに連結した信号伝達経路で中枢的な役割を果たしている(Doble, BW, Woodgett, JR J,Cell Sci, 2003, 116:1175-1186)。これらの経路における調節異常は、広範囲なヒトの病気、例えばII型糖尿病(Kaidanovich O, Eldar-Finkelman H, Expert Opin. Ther. Targets, 2002, 6:555-561)、アルツハイマー病(Grimes CA, Jope RS, Prog. Neurobiol, 2001, 65:391-426)、CNS異常、例えば躁鬱病および神経変性病、および慢性炎症性障害(Hoeflich KP, Luo J, Rubie EA, Tsao MS, Jin O, Woodgett J, Nature 2000, 406:86-90)の進行における深刻な結果と考えられている。これらの病気は、GSK−3が関与する特定の細胞信号伝達経路の異常作動により引き起こされるか、またはそれを引き起こす場合がある。
【0004】
GSK−3は、多くの調整(regulatory)タンパク質をリン酸化し、その活性を調節することが知られている。これらのタンパク質としては、グリコーゲン生成に必要な速度制限酵素であるグリコーゲン生成酵素、微小管に関連するタンパク質Tau、遺伝子転写因子βカテニン、翻訳開始因子e1F2B、ならびにATPクエン酸塩リアーゼ、アキシン(axin)、熱衝撃因子-1、c-Jun、c-Myc、c-Myb、CREB、およびCEPBαが挙げられる。これらの種々のタンパク質標的は、細胞代謝、増殖、分化および発生の多くの観点で、GSK−3と関連している。
【0005】
現在、GSK−3の阻害は、インスリン模造(mimicry)、tau脱リン酸化およびアミロイド処理によるか、または転写調節により、克服されていない病気の処置に使用する新規な医薬群を開発するための、有用な戦略となり得る(Martinez A, Castro A, Dorronsoro I, Alonso M, Med. Res. Rev., 2002, 22:373-384)。
【0006】
従来技術として、尿素基を含むいくつかの化合物が、GSK−3阻害特性を有するとしてすでに開示されている。例えば、国際公開WO03/004472号、同WO03/004475号および同WO03/089419号に開示されている。これらの公報には、非常に多くの、マーカッシュ構造により規定される化合物を開示しており、その構造は大型で複雑であり、そのために、これらの化合物の製造がより複雑になり、化合物が反応する確率を増大させる。特に、これらの化合物は、構造的な亜群、例えば置換されたチアゾール化合物および複素環式アミンを有する。これらの化合物は、他の多くの基の中で、とりわけ尿素官能基を含むことができる。これらの化合物は、一般的にGSK−3に対して阻害効果を有し、したがって、GSK−3に関連する一連の病気、例えば痴呆、糖尿病および気分障害の処置および防止に潜在的な活性を有すると言われている。それにも関わらず、上記の文献のいずれにも、特定の化合物に関して、GSK−3阻害に関する結果は含まれていない。すなわち尿素官能基を含むこれらの化合物のいずれに関しても、尿素誘導体の活性を立証する結果は示されていない。
【0007】
一方、国際公開WO03/004478号および文献「GSK-3特異的阻害剤AR-A014418の構造的考察および生物学的効果(Structural Insights and Biological Effects of GSK-3 specific Inhibitor AR-A014418)」、J. Biol. Chem.,278 (46), 2003には、一種類の特徴的な尿素である4−(4−メトキシベンジル)−N’−(5−ニトロ−1,3−チアゾール−2−イル)尿素が記載されており、この尿素は、事実、上記の尿素よりも、はるかに小さく、簡単な構造を有する。この尿素は、GSK−3阻害特性を有し、したがって、グリコーゲン生成酵素キナーゼ3に関連する多くの症状を処置および/または防止する潜在的活性を有するとされている。それにも関わらず、例えば上記のWO03/089419号のように、複素環式化合物はGSK−3阻害特性を有すると記載されているため、このGSK−3阻害効果が、尿素自体によるものなのか、またはニトロ−チアゾールによるものなのかが明らかではない。
【0008】
ある種の他の尿素が、神経学的障害の処置に関して、但し、全く異なった作用の方法に関して、例えば国際公開WO00/06156号に開示されているが、同文献では、尿素はグルタメートレセプタ機能の強化剤であるとされている。
【0009】
したがって、効果的であると共に選択的であり、良好な「薬剤形成」特性、すなわち投与、配分、代謝および排出に関して良好な薬学的特性を有する、良好なGSK−3阻害剤を見出すことが依然として求められている。簡単で安定した構造を有し、当業者には公知の通常の手順により、容易に製造できる化合物を見出すことも必要である。
【発明の説明】
【0010】
安定した、小型の尿素誘導体の群が、GSK−3酵素に対して阻害効果を示すことが見出された。
【0011】
下記式(I):
【化1】

(式中、
は、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のシクロアルキル、アリールがフェニル、ナフチル、フェナントリルおよびアントラシルの群から選択される、置換または未置換のアリール、アラルキルがベンジルである、置換または未置換のアラルキル、アゼピン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、フラン、イミダゾール、インドール、ピペリジン、ピペラジン、プリン、チアジアゾール、テトラヒドロフラン、ベンゾジオキソール、チオフェン、ベンゾフラン、インダゾール、キナゾリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピリジン、イソキサゾール、ピロール、ピラン、−OR、および−S(O)−Rから選択された複素環から選択されるものであり、Rは、C、O、NおよびSから選択された8〜15個の原子を含むが、但し、複素環によって置換された複素環ではなく、
、R、R’、R’、R’、R’、およびR’は、それぞれ独立して、水素、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のシクロアルキル、置換または未置換のアルケニル、置換または未置換のアリール、置換または未置換の複素環、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR10、−C=NR11、−CN、−OR12、−OC(=O)R13、−S(O)−R14、−NR1516、−NR17C(=O)R18、−NO、−N=CR1920またはハロゲンから選択されるが、その際、RおよびRはともに=O基を形成することができ、RR’、RR’、RR’、RR’、R’R’、R’R’、R’R’、R’R’、R1516、R1718またはR1920のいずれの対も、ともに環状置換基を形成することができ、
tは0、1、2、3であり、
は、水素、アルキル、アリールおよび複素環から選択されるものであり、
、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19およびR20は、それぞれ独立して、水素、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のシクロアルキル、置換または未置換のアルケニル、置換または未置換のアリール、置換または未置換の複素環、置換または未置換されていないアルコキシ、置換または未置換のアリロキシ、ハロゲンから選択されるものである。)
で表される化合物、またはその、薬学的に許容され得る塩、プロドラッグまたは溶媒和化合物の、GSK−3が仲介する病気または症状を処置および/または防止するための薬剤の製造における使用であり、前記病気または症状は、糖尿病、糖尿病に関連する症状、痴呆を包含する慢性神経変性症状、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソン症候群、脳炎後遺症パーキンソン症候群(postencephalitic parkinsonism)、ボクサー様(pugilistic)脳炎、グアムパーキンソン症候群−痴呆コンプレックス、ピック病、皮質基礎変性(corticobasal degeneration)、前頭側頭(frontotemporal)痴呆、ハンチントン病、AIDSに関連する痴呆、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症および神経外傷性の病気、例えば急性発作、てんかん、気分障害、例えばうつ病、精神分裂病および双極性障害、発作後の機能的回復促進、脳出血、例えば孤立性脳アミロイド脈管病によるもの、脱毛症、肥満症、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、虚血、脳損傷、外傷性脳損傷、癌、白血球減少症、ダウン症候群、Lewy体疾病、炎症、慢性炎症性疾病、癌および過形成のような過増殖性疾病および免疫不全の群から選択される。
【0012】
好ましい化合物は、Rが芳香族基を含んでなる化合物である。
【0013】
特別な実施態様においては、Rが少なくとも10個の芳香族炭素原子を有する。
【0014】
別の態様においては、本発明は、下記式
【化2】

で表される化合物に関する。
【0015】
別の態様において、本発明は、上記式(I)の化合物またはその、薬学的に許容され得る塩、プロドラッグまたは溶媒和化合物および薬学的に許容され得るキャリヤー、アジュバントまたはビヒクルを含んでなる薬学的組成物に関する。
【0016】
好ましくは、GSK−3が仲介する病気または症状は、アルツハイマー病、II型糖尿病、うつ病および脳損傷から選択される。
【0017】
別の態様においては、上記式(I)の化合物が、生物学的検定用の反応性物質として、好ましくはGSK−3阻害用の反応性物質として使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【0018】
本発明の式(I)の尿素誘導体は、驚くべきことにGSK-3酵素に対して良好な阻害効果を、良好な安定性および低毒性と共に示す化学的物質である。
【0019】
上記のように、第一の態様において、本発明は、式(I)の化合物、または、その、薬学的に許容され得る塩、プロドラッグまたは溶媒和化合物の、GSK−3が仲介する病気または症状を処置するための薬剤の製造における使用に関する。好ましくは、Rが芳香族基を含み、さらに好ましくは、Rが少なくとも10個の芳香族炭素原子を有する。
【0020】
好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、尿素基のN原子に直接結合した芳香族基を有する。
【0021】
もう一つの特別な実施態様においては、Rが置換または未置換のナフチル基、好ましくは置換されていないアルファ−ナフチル基である。
【0022】
好ましくは、R
【化3】

から選択される。
【0023】
特に好ましい実施態様においては、RおよびRがHである。
【0024】
もう一つの特別な実施態様においては、R’、R’、R’、R’およびR’は、それぞれ独立して、水素、置換または未置換のアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−OR12、−NR1516、またはハロゲンから選択され、R、R、R12、R15、およびR16は、上記の定義の通りである。
【0025】
このましくは、R’、R’、R’、R’およびR’はHである。
【0026】
式(I)の2種類の好ましい化合物は、
【化4】

である。
【0027】
本発明において、「GSK−3が仲介する病気または症状」との記載は、GSK−3がある役割を果たしている全ての病気または他の有害な症状または状態を意味する。これらの病気または症状は、糖尿病、糖尿病に関連する症状、痴呆を包含する慢性神経変性症状、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソン症候群、脳炎後遺症パーキンソン症候群、ボクサー様脳炎、グアムパーキンソン症候群−痴呆コンプレックス、ピック病、皮質基礎変性、前頭側頭痴呆、ハンチントン病、AIDSに関連する痴呆、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症および神経外傷性の病気、例えば急性発作、てんかん、気分障害、例えばうつ病、精神分裂病および双極性障害、発作後の機能的回復促進、脳出血、例えば孤立性脳アミロイド脈管病によるもの、脱毛症、肥満症、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、虚血、脳損傷、外傷性脳損傷、癌、白血球減少症、ダウン症候群、Lewy体疾病、炎症、慢性炎症性疾病、癌および過形成のような過増殖性疾病および免疫不全であるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
好ましくは、GSK−3が仲介する病気または症状は、アルツハイマー病、II型糖尿病、うつ病または脳損傷である。
【0029】
別の態様において、本発明は、下記式で表される化合物、および、その医薬としての使用に関する。
【化5】

【0030】
本発明の別の態様において、上記の化合物、またはその、薬学的に許容され得る塩、プロドラッグまたは溶媒和化合物、および薬学的に許容され得るキャリヤー、アジュバントまたはビヒクルを含んでなる薬学的組成物に関し、該薬学的組成物は経口投与用である。この薬学的組成物で処置できる好ましい病気または症状は、糖尿病、糖尿病に関連する症状、痴呆を包含する慢性神経変性症状、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソン症候群、脳炎後遺症パーキンソン症候群、ボクサー様脳炎、グアムパーキンソン症候群−痴呆コンプレックス、ピック病、皮質基礎変性、前頭側頭痴呆、ハンチントン病、AIDSに関連する痴呆、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症および神経外傷性の病気、例えば急性発作、てんかん、気分障害、例えばうつ病、精神分裂病および双極性障害、発作後の機能的回復促進、脳出血、例えば孤立性脳アミロイド脈管病によるもの、脱毛症、肥満症、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、虚血、脳損傷、外傷性脳損傷、癌、白血球減少症、ダウン症候群、Lewy体疾病、炎症、慢性炎症性疾病、癌および過形成のような過増殖性疾病および免疫不全であるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本発明の別の態様は、GSK−3阻害剤を用いて、GSK−3が仲介する病気または症状を処置または防止する方法であって、処置を必要とする患者に、治療的に有効な量の上記式(I)の化合物またはその薬学的組成物を投与することを含む。
【0032】
別の態様において、本発明は、生物学的試料中のGSK−3活性を式(I)の化合物により阻害する方法であり、この方法は、生物学的試料を式(I)のGSK−3阻害剤と接触させることを含む。ここで使用する用語「生物学的試料」としては、細胞培養またはその抽出物、インビトロ検定に好適な酵素、哺乳動物またはその抽出物から得た生検材料、および血液、唾液、尿、咽頭、精液、涙、または他の体液もしくはその抽出物があるが、これらに限定されるものではない。例えば、一実施態様において、本発明は、式(I)の化合物の、生物学的検定用の反応性物質、とりわけGSK−3阻害に対する反応性物質としての使用に関する。
【0033】
上記の式(I)の化合物の定義は下記の用語を意味する。
【0034】
「アルキル」とは、炭素および水素原子からなり、飽和を含まず、1〜8個の炭素原子を有し、分子の残りの部分に単結合により付加している直鎖状または分岐鎖状の炭化水素鎖基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル等を意味する。アルキル基は、所望により一個以上の置換基、例えばハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、カルボニル、アシル、アルコキシカルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプト、およびアルキルチオにより置換されていてよい。
【0035】
「アルコキシ」とは、式−OR(ここで、Rは上記に定義したアルキル基である。)である基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等を意味する。
【0036】
「アルコキシカルボニル」とは、式−C(O)OR(ここで、Rは上記に定義したアルキル基である。)である基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル等を意味する。
【0037】
「アルキルチオ」とは、式−SR(ここで、Rは上記に定義したアルキル基である。)である基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ等を意味する。
【0038】
「アミノ」とは、式−NH、−NHR、または−NRの基を意味する(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、上記に定義したアルキル基である。)。
【0039】
「アリール」とは、フェニル、ナフチル、インデニル、フェナントリル、またはアントラシル基、好ましくはフェニルまたはナフチルである。アリール基は、所望により一個以上の、本明細書中に定義する置換基(例えば、ヒドロキシ、メルカプト、ハロ、アルキル、フェニル、アルコキシ、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アシルおよびアルコキシカルボニル)により置換されていてよい。
【0040】
「アラルキル」とは、アルキル基に結合したアリール基を意味する。好ましい例としては、ベンジルおよびフェネチルがある。
【0041】
「アシル」とは、式−C(O)−Rおよび−C(O)−R(ここで、Rは、上記に定義したアルキル基であり、Rは、上記に定義したアリール基である。)である基、例えば、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル等を意味する。
【0042】
「アロイルアルキル」とは、−R−C(O)−Rで置換されたアルキル基を意味する(ここで、Rは、上記に定義したアルキル基であり、Rは、上記に定義したアリール基である。)。好ましい例としては、ベンゾイルメチルがある。
【0043】
「カルボキシ」は、式−C(O)OHの基を意味する。
【0044】
「シクロアルキル」は、飽和した、または部分的に飽和した、炭素と水素原子のみからなる、安定した3〜10員の単環または二環式基を意味する。本明細書中に特にことわりのない限り、用語「シクロアルキル」とは、所望により一個以上の、例えばアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、アルコキシ、カルボキシおよびアルコキシカルボニルにより置換されたシクロアルキル基を包含することを意味する。
【0045】
「ハロ」とは、ブロモ、クロロ、ヨードまたはフルオロを意味する。
【0046】
「複素環」とは、複素環式基を意味する。複素環は、炭素原子、ならびに、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択された1〜5個の異原子からなる、安定した3〜15員環、好ましくは一個以上の異原子を含む4〜8員環、より好ましくは一個以上の異原子を含む5または6員環を意味する。本発明の目的には、複素環は単環、二環、または三環系でよく、縮合環系を包含することができ、複素環式基中の窒素、炭素または硫黄原子は、所望により酸化されていてよく、窒素原子は、所望により4級化されていてよく、複素環式基は、部分的または完全に飽和しているか、または芳香族でよい。そのような複素環の例としては、アゼピン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、フラン、イソチアゾール、イミダゾール、インドール、ピペリジン、ピペラジン、プリン、キノリン、チアジアゾール、テトラヒドロフラン、チアジアゾール、テトラヒドロフラン、ベンゾジオキソール、チオフェン、ベンゾフラン、インダゾール、キナゾリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピリジン、イソキサゾール、ピロール、ピラゾール、ピランがある。
【0047】
本明細書において、本発明の化合物における置換された基は、一つ以上の置換可能な位置で、一個以上の好適な基により置換されていてよい特定の基を意味する。それらの好適な基は、例えばフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード等のハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、アジド、アルカノイル、例えばアシル等のC1〜6アルカノイル基、カルボキサミド、1〜約12個の炭素原子、または1〜約6個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を有する基を包含するアルキル基、一個以上の不飽和結合および2〜約12個の炭素原子または2〜約6個の炭素原子を有する基を包含するアルケニルおよびアルキニル基、一個以上の酸素結合および1〜約12個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有するアルコキシ基、アリールオキシ、例えばフェノキシ、一個以上のチオエーテル結合および1〜約12個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有する部分を包含するアルキルチオ基、一個以上のスルフィニル結合および1〜約12個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有する部分を包含するアルキルスルフィニル基、一個以上のスルホニル結合および1〜約12個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有する部分を包含するアルキルスルホニル、アミノアルキル基、例えば一個以上のN原子および1〜約12個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を有する基、置換されていないシクロアルキル(シクロアルキルは上記に記載した通りである。)、置換されていないアリール、特にフェニルまたはナフチル、およびアラルキル、例えばベンジルである。とくにことわりのない限り、所望により置換された基は、その基の置換可能な位置のそれぞれに置換基を有することができ、各置換基は互いに独立している。
【0048】
本発明の化合物は、特にことわりのない限り、一個以上の同位体濃度が高い原子が存在することのみが異なる化合物を包含するものとする。例えば、水素をジュウテリウムまたはトリチウムで置き換えた、または炭素を13Cまたは14C濃度が高い炭素もしくは15N濃度が高い窒素で置き換えた以外は、本構造を有する化合物も、本発明の範囲内に入る。
【0049】
用語「薬学的に許容され得る塩、誘導体、溶媒和化合物、プロドラッグ」とは、患者に投与した時に (直接または間接的に)本明細書で記載の化合物を付与し得る、全ての薬学的に許容され得る塩、エステル、溶媒和化合物、または他の全ての化合物を意味する。しかしながら、薬学的に許容されない塩も、薬学的に許容され得る塩の調製に有用な場合もあり、これらの塩も本発明の範囲内に包含されることは言うまでもない。塩、プロドラッグおよび誘導体の調製は、当該技術分野において公知の方法により行うことができる。
【0050】
例えば、本明細書で提供する化合物の薬学的に許容され得る塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から、従来の化学的方法により合成される。一般的に、そのような塩は、例えばこれらの化合物の遊離酸または塩基形態を化学量論的量の適切な塩基または酸と、水中または有機溶剤中もしくは両者の混合物中で反応させることにより調製される。一般的に、非水性媒体、例えばエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリル、が好ましい。酸付加塩の例としては、鉱酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、および有機酸付加塩、例えば酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩がある。アルカリ付加塩の例としては、無機塩、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、マグネシウム、アルミニウムおよびリチウム塩、および有機アルカリ塩、例えばエチレンジアミン、エタノールアミン、N,N−ジアルキレンエタノールアミン、トリエタノールアミン、グルカミンおよび塩基性アミノ酸塩がある。
【0051】
特に好ましい誘導体またはプロドラッグは、本発明の化合物を投与した時に、(例えば経口投与された化合物を、血液中に、より容易に吸収されるようにすることにより)そのような化合物の生物学的利用能を増加するか、または親化合物を、親化学種よりも、より強力に生物学的区画(例えば脳またはリンパ系)に送達する物質である。
【0052】
式(I)の化合物のプロドラッグである全ての化合物が本発明の範囲に包含される。用語「プロドラッグ」とは、その最も広い意味で使用され、生体内で本発明の化合物に転化される誘導体を包含する。そのような誘導体は、当業者には明らかであり、分子中に存在する官能基に応じて、この化合物の以下の誘導体、すなわちエステル、アミノ酸エステル、ホスフェートエステル、金属塩スルホネートエステル、カルバメート、およびアミドがあるが、これらに限定されるものではない。特定の作用化合物のプロドラッグを製造する方法の例は、当業者には公知であり、例えばKrogsgaard-Larsenらの「Textbook of Drugdesign and Discovery」Tayloe & Francis(2002年4月)に記載されている。
【0053】
本発明の化合物は、遊離化合物としてまたは溶媒和化合物(例えば水和物)として、結晶形態でよく、どちらの形態も本発明の範囲内に包含される。溶媒和の方法は、当該技術分野において一般的に公知である。好適な溶媒和化合物は、薬学的に許容され得る溶媒和化合物である。特別な実施態様においては、溶媒和化合物は水和物である。
【0054】
式(I)の化合物またはそれらの塩もしくは溶媒和化合物は、好ましくは薬学的に許容され得るか、または実質的に純粋な形態である。薬学的に許容され得る形態とは、とりわけ、薬学的に許容され得るレベルの純度を有し、通常の薬学的添加剤、例えば希釈剤およびキャリヤー、を排除し、通常の投与量レベルで毒性と考えられる材料を含まない。薬物物質に対する純度レベルは、好ましくは50%を超え、より好ましくは70%を超え、最も好ましくは90%を超える。好ましい実施態様では、このレベルは、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和化合物もしくはプロドラッグが95%を超える。
【0055】
上記式(I)で表される本発明の化合物は、キラル中心の存在に応じた鏡像異性体または多重結合の存在に応じた異性体(例えばZ、E)を包含することができる。単一異性体、鏡像異性体またはジアステレオ異性体およびそれらの混合物が本発明の範囲内に入る。
【0056】
上記に規定した式(I)の化合物は、使用可能な合成手順により、例えば好適な溶剤、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン中、+20〜+150℃で、下記の反応を行うことにより得ることができる。
【化6】

【0057】
好ましい薬学的に許容され得る形態の一つは、結晶形態であり、薬学的組成物にあるそのような形態を包含する塩および溶媒和化合物の場合、追加のイオン系および溶剤部分も無毒性でなければならない。本発明の化合物は、種々の多形形態を有することができ、本発明は、そのような全ての形態を包含する。
【0058】
薬学的組成物の例としては、経口、局所または非経口投与するための全ての固体(錠剤、ピル、カプセル、顆粒等)または液体組成物(溶液、懸濁液またはエマルション)がある。
【0059】
好ましい実施態様においては、薬学的組成物は、経口形態にある。経口投与するための好適な投与形態は、錠剤およびカプセルであり、当該技術分野において公知の通常の添加剤、例えば結合剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、またはポリビニルピロリドン、充填材、例えばラクトース、砂糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン、錠剤形成用潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、崩壊剤、例えばデンプン、ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸エステルナトリウムまたはミクロクリスタリンセルロース、または薬学的に許容され得る濡れ剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムを含んでいてよい。
【0060】
固体経口組成物は、混合、充填または錠剤形成の従来方法により製造することができる。大量の充填材を使用するこれら組成物全体に、活性試剤を配分するために、反復混合操作を行うことができる。そのような操作は、当該技術分野で一般的である。錠剤は、例えば湿式または乾式造粒により製造し、所望により通常の製薬作業で良く知られている方法により、特に腸溶コーティングで被覆することができる。
【0061】
この薬学的組成物は、例えば適切な単位投与量形態の無菌溶液、懸濁液または凍結乾燥製品として、非経口投与にも適用できる。適切な添加剤、例えば増量(bulking)剤、緩衝剤または界面活性剤、を使用することができる。
【0062】
上記の処方物は、標準的な方法、例えばスペインおよび米国薬局方および類似の参考書に記載されている方法、により調製する。
【0063】
本発明の化合物または組成物の投与は、いずれかの好適な方法、例えば静脈内注入、経口製剤、ならびに、腹腔内および静脈内投与により行うことができる。経口投与は、患者および処置すべき多くの病気の慢性的性格に好都合であるので、好ましい。
【0064】
一般的に、本発明の化合物の有効投与量は、選択する化合物の相対的な効能、処置している障害の重度および患者の体重によって異なる。しかし、活性化合物は、典型的には1日1回以上、例えば毎日1、2、3または4回、毎日の典型的な総投与量は0.1〜1000mg/kg/日である。
【0065】
本発明の化合物および組成物は、他の薬物と併用し、組合せ治療を行うことができる。他の薬物は、同じ組成物の一部を構成するか、または別の組成物として、同時に、または異なった時点で投与することができる。
【0066】
以下に、本発明を例によりさらに説明する。これらの例は、請求項に規定する本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0067】
式(II)の化合物の調製
上記のような適切なイソシアネートを適切なアミンと反応させて、対応する尿素を形成することにより、本発明の式(II)の化合物を調製した。
【0068】
例1
1−ベンジル−3−ナフタレン−1−イル−尿素の調製
ベンジルアミン0.44ml(4mmol)を2−イソシアナート−ナフタレン0.58ml(4mmol)と、ジクロロメタン中、室温で一晩反応させる。
【化7】

【0069】
得られた白色沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄する。分子量276の白色粉末1.18グラムが得られる。対応する1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルを図1に示す。これらのスペクトルは、この白色化合物が1−ベンジル−3−ナフタレン−1−イル−尿素であることを示す。
【0070】
例2
1−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−3−ベンジル−尿素の調製
ベンジルアミン0.44ml(4mmol)を5−イソシアナート−ベンゾ[1,3]ジオキソール654.5mg(4mmol)と、ジクロロメタン中、室温で一晩反応させる。
【化8】

【0071】
得られた白色沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄する。分子量276の白色粉末1グラムが得られる。対応する1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルを図2に示す。これらのスペクトルは、この白色化合物が1−ベンジル−3−ナフタレン−1−イル−尿素であることを示す。
【0072】
生物学的方法
GSK−3β阻害
GSK−3β活性は、組換え体ヒトGSK−3酵素、リン酸塩供給源およびGSK−3基質の混合物を、対応する試験化合物の存在下および非存在下で培養し、この混合物のGSK−3活性を測定することにより決定した。
【0073】
組換え体ヒトグリコーゲン生成酵素キナーゼ−3βを、MOPS8mMpH7.3、EDTA0.2mM、MgCl210mMおよびオルトバナジウム酸ナトリウム0.25mM中で、ホスホ−グリコーゲン生成酵素ペプチド−2(GS−2)62.5μM、0.5μCiγ−33P−ATPおよび標識を付けていないATP最終濃度12.5μMの存在下で検定した。最終検定量は20μlであった。30℃で30分間培養した後、15μlアリコートをP81ホスホセルラーゼ紙上にスポットした。フィルターを4回、それぞれ少なくとも10分間洗浄し、シンチレーション計数器中、シンチレーションカクテル1.5mlで計数した。
【0074】
本発明の化合物の存在下におけるGSK−3活性の値を種々の濃度で測定し、比較試料との比較した結果を図3および4に示す。
【0075】
これらの化合物のIC50値を、GraphPad Prismを使用し、非直線的回帰により阻害曲線を解析することにより、計算した。IC50(酵素阻害50%における濃度)値を表1に示す。
【0076】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】1−ベンジル−3−ナフタレン−1−イル−尿素の1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルを示す。
【図2】1−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−3−ベンジル−尿素の1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルを示す。
【図3】種々の濃度で測定した1−ベンジル−3−ナフタレン−1−イル−尿素のGSK−3活性を示すグラフである。これらの結果は、比較試料と比較して示す。
【図4】種々の濃度で測定した1−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−3−ベンジル−尿素のGSK−3活性を示すグラフである。これらの結果は、比較試料と比較して示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】

(式中、
は、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のシクロアルキル、アリールがフェニル、ナフチル、フェナントリルおよびアントラシルの群から選択される、置換または未置換のアリール、アラルキルがベンジルである、置換または未置換のアラルキル、アゼピン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、フラン、イミダゾール、インドール、ピペリジン、ピペラジン、プリン、チアジアゾール、テトラヒドロフラン、ベンゾジオキソール、チオフェン、ベンゾフラン、インダゾール、キナゾリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピリジン、イソキサゾール、ピロール、ピラン、−OR、および−S(O)−Rから選択された複素環から選択されるものであり、Rは、C、O、NおよびSから選択された8〜15個の原子を含むが、但し、複素環によって置換された複素環ではなく、
、R、R’、R’、R’、R’、およびR’は、それぞれ独立して、水素、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のシクロアルキル、置換または未置換のアルケニル、置換または未置換のアリール、置換または未置換の複素環、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR10、−C=NR11、−CN、−OR12、−OC(=O)R13、−S(O)−R14、−NR1516、−NR17C(=O)R18、−NO、−N=CR1920またはハロゲンから選択されるが、その際、RおよびRはともに=O基を形成することができ、RR’、RR’、RR’、RR’、R’R’、R’R’、R’R’、R’R’、R1516、R1718またはR1920のいずれの対も、ともに環状置換基を形成することができ、
tは0、1、2、3であり、
は、水素、アルキル、アリールおよび複素環から選択されるものであり、
、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19およびR20は、それぞれ独立して、水素、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のシクロアルキル、置換または未置換のアルケニル、置換または未置換のアリール、置換または未置換の複素環、置換または未置換されていないアルコキシ、置換または未置換のアリロキシ、ハロゲンから選択されるものである。)
で表される化合物、または、その、薬学的に許容され得る塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和化合物の、糖尿病、糖尿病に関連する症状、アルツハイマー病、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソン症候群、脳炎後遺症パーキンソン症候群、ボクサー様脳炎、グアムパーキンソン症候群−痴呆コンプレックス、ピック病、皮質基礎変性、前頭側頭痴呆、ハンチントン病、痴呆に関連するAIDS等の、痴呆を包含する慢性神経変性症状、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、および、急性発作、てんかん等の神経外傷性の病気、うつ病、精神分裂病および双極性障害等の気分障害、発作後の機能的回復促進、孤立性脳アミロイド脈管病等による脳出血、脱毛症、肥満症、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、虚血、脳損傷、外傷性脳損傷、癌、白血球減少症、ダウン症候群、Lewy体疾病、炎症、慢性炎症性疾病、癌および過形成のような過増殖性疾病、ならびに免疫不全、の群から選択される、GSK-3が仲介する病気または症状を、処置および/または防止するための薬剤の製造における使用。
【請求項2】
が芳香族基を含んでなる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
が、少なくとも10個の芳香族炭素原子を有する、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記芳香族基が、尿素基のN原子に直接結合している、請求項2に記載の使用。
【請求項5】
が、置換または未置換のナフチル基である、請求項3に記載の使用。
【請求項6】
が、未置換のアルファ−ナフチル基である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
が、
【化2】

から選択された基である、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
およびRがHである、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
R’、R’、R’、R’およびR’が、それぞれ独立して、水素、置換または未置換のアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−OR12、−NR1516(ここで、R、R、R12、R15、およびR16は、上記の定義の通りである。)、またはハロゲンから選択されるものである、請求項1に記載の使用。
【請求項10】
R’、R’、R’、R’およびR’がHである、請求項1に記載の使用。
【請求項11】
前記式(I)の化合物が、
【化3】

から選択されるものである、請求項1に記載の使用。
【請求項12】
前記病気がアルツハイマー病である、請求項1に記載の使用。
【請求項13】
前記病気がII型糖尿病である、請求項1に記載の使用。
【請求項14】
前記病気がうつ病である、請求項1に記載の使用。
【請求項15】
前記病気が脳損傷である、請求項1に記載の使用。
【請求項16】
下記式で表される化合物。
【化4】

【請求項17】
下記式で表される、医薬として使用する化合物。
【化5】

【請求項18】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の式で表される化合物、または、その、薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和化合物、および薬学的に許容され得るキャリヤー、アジュバントまたはビヒクルを含んでなる薬学的組成物。
【請求項19】
経口投与用の、請求項18に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物の、生物学的検定用の反応性物質としての、好ましくはGSK-3阻害用の反応性物質としての使用。
【請求項21】
糖尿病、糖尿病に関連する症状、アルツハイマー病、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソン症候群、脳炎後遺症パーキンソン症候群、ボクサー様脳炎、グアムパーキンソン症候群−痴呆コンプレックス、ピック病、皮質基礎変性、前頭側頭痴呆、ハンチントン病、痴呆に関連するAIDS等の、痴呆を包含する慢性神経変性症状、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症および、急性発作、てんかん等の神経外傷性の病気、うつ病等の気分障害、精神分裂病および双極性障害、発作後の機能的回復促進、孤立性脳アミロイド脈管病等による脳出血、脱毛症、肥満症、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、虚血、脳損傷、外傷性脳損傷、癌、白血球減少症、ダウン症候群、Lewy体疾病、炎症、慢性炎症性疾病、癌および過形成のような過増殖性疾病、および免疫不全から選択される、GSK-3が仲介する病気または症状を、GSK-3阻害剤で処置または防止する方法であって、処置を必要とする患者に、治療的に有効な量の、請求項1〜11のいずれか一項に記載する式(I)の化合物またはその薬学的組成物を投与することを含んでなる、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−502846(P2009−502846A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523261(P2008−523261)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007520
【国際公開番号】WO2007/017145
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(505132389)ノスシラ、ソシエダッド、アノニマ (12)
【氏名又は名称原語表記】NOSCIRA S.A.
【Fターム(参考)】