説明

HDAC阻害剤

本発明は、腫瘍の治療において有用な以下の構造を有する化合物またはその塩を提供する:
【化1】


式中、nは1〜10であり;XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;Zは
【化2】


であり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;R5はOHまたはSHであり;R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2008年2月6日に提出された米国仮出願第61/063,965号;2007年12月21日に提出された第61/008,673号;および2007年10月1日に提出された第60/997,338号の利益を主張するものであり、その内容の全体が本明細書の一部として援用される。
【0002】
本願を通して、ある出版物が参照される。これらの出版物の全体の引用は、特許請求の範囲の直前に見ることができる。これらの出版物の全体の開示は、本発明の関連する技術の状況をより完全に述べるために、本明細書の一部として援用される。
【背景技術】
【0003】
ヒストン脱アセチル化酵素(デアシラーゼ)(以下、HDACとも称する)は、ヒストン過アセチル化(hyperacetylation)を含む遺伝子発現を制御するための転写機構において重要な役割を果たしており、遺伝子発現に影響を及ぼすことが既知である。それ故、炎症性疾患、糖尿病、糖尿病性合併症、ホモ接合型サラセミア、線維症、肝硬変、急性前骨髄球性白血病(APL)、臓器移植拒絶、自己免疫疾患、原虫感染症、腫瘍等のような、異常な遺伝子発現により引き起こされる疾患に対する治療剤または予防剤の標的となり、HDACタンパク質を阻害する。
【0004】
ヒストンのアセチル化および脱アセチル化は、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)およびヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)により行われる。ヒストンのアセチル化の態様は、遺伝子転写の重要な決定因子である。脱アセチル化は、一般的に、遺伝子の転写の減少を伴うが、一方、HDAC阻害剤の作用により引き起こされるヒストンのアセチル化の増大は、結果として遺伝子のより多くの転写を生じる。それ故、HDAC阻害剤は、その複製および分化の能力に関して細胞の力学的な状態に依存しているように思われる細胞における複数の工程に影響を与える。
【0005】
ヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤の研究は、これらの酵素が細胞の増殖および分化において重要な役割を果たしていることを示す。阻害剤トリコスタチンA(TSA)(Yoshida et al. (1990) "Structural specificity for biological activity of trichostatin A, a specific inhibitor of mammalian cell cycling with potent differentiation-inducing activity in Friend leukemia cells" J. Antibiot. 43(9):1101-6), causes cell cycle arrest at both G1 and G2 phases (Yoshida and Beppu, (1988) "Reversible arrest of proliferation of rat 3Y1 fibroblasts in both the G1 and G2 phases by trichostatin A" Exp Cell Res. 177(1):122-31)は、異なる細胞株の形質転換された表現型を元に戻し、フレンド白血病細胞等の分化を誘発する。TSAおよびサブエロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)は、マウスにおいて、細胞増殖を阻害し、末端分化を誘導し、腫瘍の形成を妨げることが報告されている(Finnin et al., (1999) “Structures of a histone deacetylase homologue bound to the TSA and SAHA inhibitors” Nature 401, 188 - 193)。
【0006】
TSAによる細胞サイクル停止は、悪性の乳癌において下方制御されるアクチン制御タンパク質である(Mielnicki et al., (1999) “Epigenetic Regulation of Gelsolin Expression in Human Breast Cancer Cells” Experimental Cell Research, 249(1) pp. 161-176)ゲルソリンの発現の増大に関連する(Hoshikawa et al., (1994) ”Trichostatin A induces morphological changes and gelsolin expression by inhibiting histone deacetylase in human carcinoma cell lines” Exp Cell Res. 214(1):189-97)。細胞サイクルおよび分化における同様の効果は、多くの脱アセチル化酵素阻害剤を用いた場合に観察されている(Kim et al., (1999) “Selective Induction of Cyclin-Dependent Kinase Inhibitors and Their Roles in Cell Cycle Arrest Caused by Trichostatin A, an Inhibitor of Histone Deacetylase” Ann. N.Y. Acad. Sci. 886: 200-203)。
【0007】
トリコスタチンAは、例えば肝繊維症および肝硬変のような繊維症の治療において有用であることも報告されている。例えば、Geerts et al., (1998) “Hepatic Stellate Cells and Liver Retinoid Content in Alcoholic Liver Disease in Humans” Clinical and Experimental Research 22 (2), 494-500を参照されたい。
【0008】
最近では、分化を誘導するある一定の化合物がヒストン脱アセチル化酵素を阻害することが報告されている。いくつかの実験的な抗腫瘍化合物(例えば、トリコスタチンA(TSA)、トラポキシン、suberoylanilideヒドロキサム酸(SAHA)、およびフェニルブチレート)が、少なくとも部分的に、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害することにより作用することが報告されている(例えば、Yoshida et al. (1990) “Structural specificity for biological activity of trichostatin A, a specific inhibitor of mammalian cell cycle with potent differentiation-inducing activity in Friend leukemia cells" J. Antibiot. 43(9):1101-6; Richon et al., (1998) "A class of hybrid polar inducers of transformed cell differentiation inhibits histone deacetylases" PNAS 95(6) 3003-3007; and Kijima et al., (1993) "Trapoxin, an antitumor cyclic tetrapeptide, is an irreversible inhibitor of mammalian histone deacetylase" J. Biol. Chem., 268(30) 22429-22435を参照されたい)。さらに、ジアリルスルフィドおよび関連する分子(例えば、Lea et al., (1999) “Increased acetylation of histones induced by diallyl disulfide and structurally related molecules” Int J Oncol. 15(2):347-52を参照されたい)、オキサムフラチン(例えば、Kim et al., (1999) “Selective Induction of Cyclin-Dependent Kinase Inhibitors and Their Roles in Cell Cycle Arrest Caused by Trichostatin A, an Inhibitor of Histone Deacetylase” Ann. N.Y. Acad. Sci. 886: 200-203を参照されたい)、合成ベンズアミド誘導体であるMS−27 275(例えば、Saito et al., (1999) “A synthetic inhibitor of histone deacetylase, MS-27-275, with marked in vivo antitumor activity against human tumors” PNAS 96(8) 4592-4597; Suzuki et al., (1999) “Synthesis and Histone Deacetylase Inhibitory Activity of New Benzamide Derivatives” J. Med. Chem., 42 (15), 3001 -3003を参照されたい; MS-27 275は後にMS-275と改名されたことに注意されたい);ブチレート誘導体(例えば、Lea and Tulsyan, (1995) “Discordant effects of butyrate analogues on erythroleukemia cell proliferation, differentiation and histone deacetylase” Anticancer Res. 15(3):879-83を参照されたい)、FR901228(例えば、Nokajima et al., 1998を参照されたい)、デプデシン(例えば、Kwon et al., (1998) “Depudecin induces morphological reversion of transformed fibroblasts via the inhibition of histone deacetylase” PNAS 95(7) 3356-3361を参照されたい)、およびm-カルボキシケイ皮酸ビスヒドロキサミド(例えば、Richon et al., 1998を参照されたい)は、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害することが報告されている。インビトロにおいて、これらの化合物のいくつかは、G1およびG2相において細胞サイクルの停止を引き起こすことにより、線維芽細胞の増殖を阻害し、末端分化および種々の形質転換細胞株の形質転換ポテンシャルの喪失を引き起こし得ることが報告されている(例えば、Richon et al, 1996; Kim et al., 1999; Yoshida et al., 1995; Yoshida & Beppu, 1988 (full cites provided earlier)を参照されたい)。インビボにおいて、フェニルブチレートは、レチノイン酸と組み合わせて、急性前骨髄球性白血病の治療において効果的であることが報告されている(例えば、Warrell et al., (1998) “Therapeutic Targeting of Transcription in Acute Promyelocytic Leukemia by Use of an Inhibitor of Histone Deacetylase” Journal of the National Cancer Institute, Vol. 90, No. 21, 1621-1625を参照されたい)。SAHAは、ラットにおける乳房腫瘍およびマウスにおける肺腫瘍の形成を妨げるのに効果的であることが報告されている(例えば、Desai et al., 1999を参照されたい)。
【0009】
細胞の増殖および分化の制御におけるHDACの明確な関与は、異常なHDAC活性が癌において一定の役割を果たし得ることを示唆する。脱アセチル化酵素が癌の進行に寄与することの最も直接的な示唆は、異なる急性前骨髄性白血病(APL)の分析に由来する。ほとんどのAPL患者において、クロモソーム15および17の転位(t(15;17)は、ほとんどのRARα(レチノイン酸受容体)に結合したPML遺伝子産物のN末端部分を含む融合タンパク質の発現を生じる。いくつかの場合において、異なる転位(t(11;17))は、Znフィンガータンパク質PLZFとRARαの間の融合を引き起こす。リガンドの非存在下において、野生型RARαは、HDAC受容体複合体とプロモーターDNAをつなぐことにより標的遺伝子を抑制する。正常な造血の間、レチノイン酸(RA)はRARαに結合し、受容体複合体を置換し、骨髄の分化に関係する遺伝子の発現を可能にする。APL患者において生じるRARα融合タンパク質は、もはやRAの生理学的レベルに対して応答せず、骨髄分化を促進するRA誘導性の遺伝子の発現を妨げる。このことは、前骨髄球性のクローン増殖および白血病の発達を生じる。インビトロ実験は、TSAが融合RARαタンパク質に対するRA応答性を回復することができ、骨髄分化を可能にすることを示している。これらの結果はHDACと発癌遺伝子との間の関係を確立し、HDACがAPL患者における医薬発明に対する潜在的な標的であることを示唆する(例えば、Kitamura et al., (2000) “Histone deacetylase inhibitor but not arsenic trioxide differentiates acute promyelocytic leukaemia cells with t(11;17) in combination with all-trans retinoic acid” Brit. J. Hemat. 108(4) 696-702,; David et al., (1998) “Histone deacetylase associated with mSin3A mediates repression by the acute promyelocytic leukemia-associated
PLZF protein" Oncogene (1998) 16, 2549-2556; Lin et al., (1998) "Role of the histone deacetylase complex in acute promyelocytic leukaemia" Nature 391(6669):811-4を参照されたい)。
【0010】
さらに、異なる株での証拠は、HDACが他のタイプの癌における重要な治療上の標的であり得ることを示唆する。多くの異なる癌に由来する細胞株(前立腺、結腸直腸、乳房、神経細胞、肝臓)は、HDAC阻害剤により分化を誘導される(Yoshida and Horinouchi, (1999) “Trichostatin and Leptomycin: Inhibition of Histone Deacetylation and Signal-Dependent Nuclear Export” Annals of the New York Academy of Science 886: 23-35)。多くのHDAC阻害剤は、癌の動物モデルにおいて研究されている。それらは腫瘍の増殖を減少させ、異なるタイプの移植された腫瘍(メラノーマ、白血病、大腸癌、肺癌および胃癌等)を有するマウスの寿命を延長する(Ueda et al., (1994) “Serum levels of cytokines in patients with colorectal cancer: Possible involvement of interleukin-6 and interleukin-8 in hematogenous metastasis” 29(4); Kim et al., 1999)。
【0011】
いくつかの既知のHDAC阻害剤は、異なる細胞および動物モデルの急性および慢性の神経変性の傷害および疾患、例えば、虚血性脳卒中、多発性硬化症、およびポリグルタミン過剰疾患(ハンチントン舞踏病ならびに脊髄および延髄の筋萎縮(SBMA)等)において保護性であることが見出されている(Kozikowski et al, J. Med. Chem. (2007), 50, 3054-3061)。さらに、最近の知見は、HDAC阻害剤が、広範な神経性および精神医学的な障害(ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、不安および気分障害、ルービンスタイン−テービ症候群、ならびにレット症候群)において、シナプス形成性の欠乏、認識力、およびストレスに関連する行動を改善することを示している(Abel, T and Zukin, R.S., Current Opinion in Pharmacology (2008) 8:57-64)。BeglopoulosおよびShen (Beglopoulos, V. and Shen, J., TRENDS in Pharmacological Sciences (2006) 27:33-40)は、ホスホジエステラーゼ4およびヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤が、cAMP応答要素(CRE)遺伝子に影響を及ぼすADの動物モデルにおいて記憶力不足および神経変性を減少させることを見出した。最近、Fischerらは (Fischer, A. et al., Nature (2007) 447:178-182)、著しいニューロン損失の後における改善された学習行動および長期記憶へのアクセスを報告しており、脳萎縮はマウスモデルにおいて、環境を豊かにすることおよびヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤で処理することにより再構築され得ることを報告している(reviews and commentaries by Sweat, J.D. et al., Nature (2007) 447:151-152; Mangan, K.P. and Levenson, J.M., Cell (2007) 129:851-853; Albert, M.S., New Engl. J. Med. (2007) 357(5):502-503; and Abel, T and Zukin, R.S., Current Opinion in Pharmacology (2008) 8:57-64)。過剰なヒストン脱アセチル化酵素活性に関連する神経変性疾患のあまりよく理解されていない要素、またはアセチル化の増大により補正され、結果として学習および記憶の改善を生じるある一定のヒストンの少なくとも1のアセチル化の減少の状態があるように思われる。この点において、ここで述べる化合物を用いたある一定のヒストン脱アセチル化酵素の阻害は、ADのような神経変性疾患の治療において有用であることを潜在的に証明する。
【0012】
神経変性疾患は、現在、世界で2000万人に発症していると見積もられている。例えばADに罹患した患者の治療に対するコストは、2005年で910万ドルであり、2010年までに1600万ドルまで増加すると予測されている(Burke, R.E., Pharmacology and Therapeutics (2007) 114:262-277)。これらの疾患の病因および薬理学的治療における多数の研究にもかかわらず、それらの進行を遅らせるための治療方法は知られていない(Schapira, A.H.V. and Olanow, C.W., JAMA (2004)291:358-364; Burke, R.E., Pharmacology and Therapeutics (2007) 114:262-277)。アルツハイマー病(AD)および他の神経変性疾患は、神経のタウタンパク質の凝集体の蓄積により特徴付けられるため、タウオパシー(tauopathy)と呼ばれている。ADのような神経変性疾患は、学習および記憶の障害によりしばしば特徴付けられる。これらの最も面倒な症状の原因となるメカニズムは、神経細胞死を伴う。分子レベルにおいて、記憶の形成および固定における変化に対する基礎は、ヒストン脱アセチル化酵素クロマチン構造の活性に関連する(Korzus, E. et al., Neuron (2004) 42:961-972; Levenson, J.M. et al., The Journal of Biological Chemistry (2004) 279:40545-40559)。
【0013】
ヒストン脱アセチル化酵素は、炎症性疾患においても重要な役割を果たしている(Hildemann et al. Appl Microbiol Biotechnol (2007), 75(3), 487-497; Riester et al. Appl Microbiol Biotechnol (2007), 75(3), 499-514; Adcock, IM. Br J Pharmacol (2007), 150(7), 829-831; Huang L, J Cell Physiol (2006), 209(3), 611-616)。炎症性遺伝子発現の制御、DNA修復および細胞増殖を含む多様な細胞機能は、ヒストンおよび非ヒストンタンパク質のアセチル化状態における変化により制御される。最近、インビトロおよびインビボにおけるデータは、HDAC阻害剤が、非ヒストンタンパク質のアセチル化を通して細胞死に作用することにより抗炎症作用を有し得ることを示している。これらの薬剤の長期安全性に対する関心があるにもかかわらず、特に現在の抗炎症治療が最適以下である場合にそれらが有用であることがわかるであろう(Adcock, IM. Br J Pharmacol (2007), 150(7), 829-831)。
【0014】
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、Song et al.(2002)により進められた仮説およびデータに基づいて、レトロウイルスのZnフィンガードメインにおけるZn官能基を標的とする強力な抗HIV剤としても提案されている(“Synthesis and Biological Properties of Amino Acid Amide Ligand-Based Pyridinioalkanoyl Thioesters as Anti-HIV agents” Bioorganic & Medicinal Chemistry 10, 1263-1273)。
【0015】
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、以下に示す文献により進められたデータに基づいて、心肥大の強力な阻害剤としても提案されている:国際公開第2007021682号、国際公開第2006129105号、国際公開第2007014029号、国際公開第2006023603号、米国特許出願公開第2007-0004771号、米国特許出願公開第2007-0135433号、米国特許出願公開第2006-0235231号、欧州特許第1663310号、米国特許出願公開第2007-0135365号、欧州特許第1694688号、欧州特許第1715870号、欧州特許第1691891号、日本国特許第2007511528号、欧州特許第1699436号、および日本国特許第2007514665号。
【0016】
HDAC阻害剤の主要な構造的な基には、亜鉛に対する結合能によりこれらの分子の阻害活性に対して重要であると推定されるヒドロキサム酸成分が含まれる。新規のHDAC阻害剤の成分としてのいくつかの他のタイプの亜鉛結合性基は、評価中である。我々は、亜鉛結合剤としてメルカプトベンズアミノイル基を用いた新規の一連のHDAC阻害剤を開発し、この部分は、ヒドロキサム酸および全ての他のHDAC阻害剤における他の亜鉛結合性部分の代わりに使用することができ、潜在的な利点を有していると信じている。これらのHDAC阻害剤の合成は、本明細書中に示す。
【0017】
ここで開示されている化合物は、ヒト癌細胞の増殖の活性阻害剤でもある。これらの化合物は、ヒストン脱アセチル化酵素3およびヒストン脱アセチル化酵素4(それぞれHDAC3およびHDAC4)を阻害し、細胞が培養中にこれらの化合物に曝された場合に、ヒト脳細胞株(U−87)におけるN−CoRの安定性にも影響を与える。
【発明の概要】
【0018】
本発明は、以下の構造を有する化合物またはその塩を提供する:
【化1】

【0019】
式中、nは1〜10であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
Zは
【化2】

【0020】
であり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0021】
本発明は、以下の構造を有する化合物の製造方法を提供し;
【化3】

【0022】
(式中、nは1〜10であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
Zは
【化4】

【0023】
であり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。)
前記製造方法は、
a)以下の構造を有する化合物を
【化5】

【0024】
(式中、R16
【化6】

【0025】
またはNH2である)
以下の構造を有する化合物
【化7】

【0026】
(式中、R8
【化8】

【0027】
またはNH2であり、R9はHまたは
【化9】

【0028】
である)
および以下の構造を有する化合物と接触させることを含んでなる:
【化10】

【0029】
(式中、R10はHまたはMeであり、mは1または2であり、
mが1の場合、αは存在せず、YはOHまたはSHであるか;または
mが2の場合、αは存在し、YはSであり、以下の構造を有する化合物を形成する
【化11】

【0030】
式中、Zは
【化12】

【0031】
である。)。
【0032】
本発明は、神経変性疾患に罹患した対象を治療する方法であって、以下の構造を有する化合物またはその塩を対象の治療のための有効量で対象に投与することを含んでなる方法を提供する:
【化13】

【0033】
式中、nは1〜10であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
Zは
【化14】

【0034】
であり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0035】
本発明は、細胞中のタウタンパク質の凝集を減少させるための方法であって、細胞を以下の構造を有する化合物またはその塩の有効量と接触させ、それにより細胞におけるタウタンパク質の凝集を阻害する方法を提供する:
【化15】

【0036】
式中、nは1〜10であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
Zは
【化16】

【0037】
であり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】1、3、および7日目において測定した、化合物201によるグリア芽細胞腫多形細胞株U373の増殖の阻害。
【図2】1、3、および7日目において測定した、化合物203によるグリア芽細胞腫多形細胞株U373の増殖の阻害。
【図3】1、3、および7日目において測定した、化合物204によるグリア芽細胞腫多形細胞株U373の増殖の阻害。
【図4】1、3、および7日目において測定した、化合物205によるグリア芽細胞腫多形細胞株U373の増殖の阻害。
【図5】1、3、および7日目において測定した、化合物206によるグリア芽細胞腫多形細胞株U373の増殖の阻害。
【図6】0、7、14、21および28日目において測定した、GBM異種移植腫瘍容積における化合物205、化合物206、またはSAHAの阻害。
【図7】1、3および7日目において測定した、化合物205または化合物205とATRAとの組み合わせによる髄芽細胞腫細胞株DAOYの培養の阻害。
【図8A】乳癌細胞株MDA−MB−231の増殖の阻害:MDA−MB−231細胞の化合物205への曝露の後、CellTiter−Gloアッセイを用いて得られたデータの図示(A)およびIC50値を用いたカーブフィット(B)。陽性対照として使用した10μMドキソルビシンの効果もAに示した。各点は、少なくとも3つのサンプルの平均値±SDを示す。
【図8B】大腸癌細胞株HT−29の増殖の阻害:HT−29細胞の化合物205への曝露の後、CellTiter−Gloアッセイを用いて得られたデータの図示(A)およびIC50値を用いたカーブフィット(B)。陽性対照として使用した10μMドキソルビシンの効果もAに示した。各点は、少なくとも3つのサンプルの平均値±SDを示す。
【図8C】大細胞肺癌細胞株NCI−H460の増殖の阻害:NCI−H460細胞の化合物205への曝露の後、CellTiter−Gloアッセイを用いて得られたデータの図示(A)およびIC50値を用いたカーブフィット(B)。陽性対照として使用した10μMドキソルビシンの効果もAに示した。各点は、少なくとも3つのサンプルの平均値±SDを示す。
【図8D】肺腺癌細胞株NCI−H522の増殖の阻害:NCI−H522細胞の化合物205への曝露の後、CellTiter−Gloアッセイを用いて得られたデータの図示(A)およびIC50値を用いたカーブフィット(B)。陽性対照として使用した10μMドキソルビシンの効果もAに示した。各点は、少なくとも3つのサンプルの平均値±SDを示す。
【図8E】肺小細胞癌細胞株NCI−H69の増殖の阻害:NCI−H69細胞の化合物205への曝露の後、CellTiter−Gloアッセイを用いて得られたデータの図示(A)およびIC50値を用いたカーブフィット(B)。陽性対照として使用した10μMドキソルビシンの効果もAに示した。各点は、少なくとも3つのサンプルの平均値±SDを示す。
【図8F】胃癌細胞株GXF−209の増殖の阻害:GXF−209細胞の化合物205への曝露の後、CellTiter−Gloアッセイを用いて得られたデータの図示(A)およびIC50値を用いたカーブフィット(B)。陽性対照として使用した10μMドキソルビシンの効果もAに示した。各点は、少なくとも3つのサンプルの平均値±SDを示す。
【図8G】肝癌(肝細胞腫)細胞株HepG2の増殖の阻害:HepG2細胞の化合物205への曝露の後、CellTiter−Gloアッセイを用いて得られたデータの図示(A)およびIC50値を用いたカーブフィット(B)。陽性対照として使用した10μMドキソルビシンの効果もAに示した。各点は、少なくとも3つのサンプルの平均値±SDを示す。
【図8H】卵巣腺癌細胞株OVCAR−3の増殖の阻害:OVCAR−3細胞の化合物205への曝露の後、CellTiter−Gloアッセイを用いて得られたデータの図示(A)およびIC50値を用いたカーブフィット(B)。陽性対照として使用した10μMドキソルビシンの効果もAに示した。各点は、少なくとも3つのサンプルの平均値±SDを示す。
【図8I】膵臓癌細胞株PANC−1の増殖の阻害:PANC−1細胞の化合物205への曝露の後、CellTiter−Gloアッセイを用いて得られたデータの図示(A)およびIC50値を用いたカーブフィット(B)。陽性対照として使用した10μMドキソルビシンの効果もAに示した。各点は、少なくとも3つのサンプルの平均値±SDを示す。
【図8J】前立腺癌細胞株DU−145の増殖の阻害:DU−145細胞の化合物205への曝露の後、CellTiter−Gloアッセイを用いて得られたデータの図示(A)およびIC50値を用いたカーブフィット(B)。陽性対照として使用した10μMドキソルビシンの効果もAに示した。各点は、少なくとも3つのサンプルの平均値±SDを示す。
【図8K】前立腺癌細胞株LNCAPの増殖の阻害:LNCAP細胞の化合物205への曝露の後、CellTiter−Gloアッセイを用いて得られたデータの図示(A)およびIC50値を用いたカーブフィット(B)。陽性対照として使用した10μMドキソルビシンの効果もAに示した。各点は、少なくとも3つのサンプルの平均値±SDを示す。
【図8L】白血病細胞株HL−60の増殖の阻害:HL−60細胞の化合物205への曝露の後、CellTiter−Gloアッセイを用いて得られたデータの図示(A)およびIC50値を用いたカーブフィット(B)。陽性対照として使用した10μMドキソルビシンの効果もAに示した。各点は、少なくとも3つのサンプルの平均値±SDを示す。
【図8M】白血病細胞株K562の増殖の阻害:K562細胞の化合物205への曝露の後、CellTiter−Gloアッセイを用いて得られたデータの図示(A)およびIC50値を用いたカーブフィット(B)。陽性対照として使用した10μMドキソルビシンの効果もAに示した。各点は、少なくとも3つのサンプルの平均値±SDを示す。
【図8N】白血病細胞株MOLT4の増殖の阻害:MOLT4細胞の化合物205への曝露の後、CellTiter−Gloアッセイを用いて得られたデータの図示(A)およびIC50値を用いたカーブフィット(B)。陽性対照として使用した10μMドキソルビシンの効果もAに示した。各点は、少なくとも3つのサンプルの平均値±SDを示す。
【図9】U87 GBM異種移植片の化合物205および206による阻害。
【図10】SHSY−5Y異種移植片の化合物205による阻害。
【図11】DAOY異種移植片の化合物205による阻害。
【図12】DAOY細胞におけるHDAC活性の化合物205およびトリコスタチンによる阻害。
【図13】DAOY異種移植片におけるHDAC活性の化合物205およびSAHAによる阻害。
【図14】SHSY−5Y異種移植片におけるHDAC活性の化合物201および205による阻害。
【図15】正常なマウス脳組織における化合物201および205。
【図16】グリア芽細胞腫多形(U373)に対する化合物205および212。
【図17】グリア芽細胞腫多形(U373)に対する化合物205および213。
【図18】グリア芽細胞腫多形株U373に対する化合物214。
【図19】グリア芽細胞腫多形(U373)に対する化合物205および214。
【図20】グリア芽細胞腫多形株U373に対する化合物208。
【図21】グリア芽細胞腫多形U373に対する化合物213。
【図22】グリア芽細胞腫多形株U373に対する化合物212。
【発明の詳細な説明】
【0039】
本発明は、以下の構造を有する化合物またはその塩を提供する:
【化17】

【0040】
式中、nは1〜10であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
Zは
【化18】

【0041】
であり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0042】
1つの実施形態において、前記化合物は以下の構造を有する:
【化19】

【0043】
式中、nは1〜9であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0044】
1つの実施形態において、前記化合物は以下の構造を有する:
【化20】

【0045】
式中、nは1〜8であり;
XはCHまたはNであり;
R1はHまたはOHであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0046】
1つの実施形態において、前記化合物は以下の構造を有する:
【化21】

【0047】
式中、nは1〜9であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8 シクロアルキル、またはアリールである。
【0048】
1つの実施形態において、前記化合物は以下の構造を有する:
【化22】

【0049】
式中、nは1〜8であり;
XはCHまたはNであり;
R1はHまたはOHであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6はH、OH、SH、F、Cl、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0050】
1つの実施形態において、前記化合物またはその塩は以下の構造を有する:
【化23】

【0051】
式中、nは1〜8であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0052】
1つの実施形態において、前記化合物は以下の構造を有する:
【化24】

【0053】
式中、nは1〜8であり;
XはCHまたはNであり;
R1はH、OHまたはSHであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0054】
前記化合物の実施形態において、R5またはR6はSHであり、前記SH基を有する芳香環は、ベンゼノイド、アザ、またはポリアザ芳香族5または6員環である。
【0055】
1つの実施形態において、R1およびR2はHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは4である。
1つの実施形態において、R1はOHであり、R2はHであり、XはCHであり、R5はOHであり、R6はHであり、nは6である。
1つの実施形態において、R1はSHであり、R2はHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは6である。
【0056】
1つの実施形態において、R1およびR2はHであり、XはNであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは4である。
1つの実施形態において、R1はHであり、R2はNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれC1アルキルであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは4である。
1つの実施形態において、R1およびR2はHであり、XはNであり、R5はSHであり、R6はClであり、nは4である。
【0057】
1つの実施形態において、R1およびR2はHであり、XはNであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは5である。
1つの実施形態において、R1はHであり、R2はNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは4である。
1つの実施形態において、R1およびR2はHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はClであり、nは4である。
【0058】
1つの実施形態において、R1およびR2はHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はメトキシであり、nは4である。
1つの実施形態において、R1およびR2はHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは5である。
1つの実施形態において、R1およびR2はHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは6である。
1つの実施形態において、R1およびR2はHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは9である。
【0059】
実施形態において、前記化合物は以下の構造を有する。
【化25−1】

【化25−2】

【0060】
実施形態において、前記化合物は以下の構造を有する:
【化26】

【0061】
式中、R8は、H、アルキル、またはアリールである。
【0062】
本発明は、1以上の上記化合物または薬学的に許容可能なその塩、および薬学的に許容可能なキャリアを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0063】
本発明は、核受容体コリプレッサー(N-CoR)を過剰発現している腫瘍の大きさを縮小させる方法であって、上記医薬組成物を対象に投与することにより前記腫瘍の大きさを縮小させることを含んでなる方法を提供する。
【0064】
前記方法の1つの実施形態において、前記核受容体コリプレッサー(N-CoR)を過剰発現している腫瘍は脳腫瘍である。
【0065】
本発明は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の活性を阻害する方法であって、HDACを1以上の上記化合物と接触させることによりヒストン脱アセチル化酵素の活性を阻害することを含んでなる方法を提供する。
【0066】
1つの実施形態において、前記HDACはヒストン脱アセチル化酵素3(HDAC3)である。
1つの実施形態において、前記HDACはヒストン脱アセチル化酵素4(HDAC4)である。
【0067】
本発明は、HIV複製を阻害する方法であって、HIV感染した細胞を1以上の上記化合物と接触させることによりHIV複製を阻害することを含んでなる方法を提供する。
本発明は、心肥大を阻害する方法であって、心肥大を阻害するのに有効な量の1以上の上記化合物を対象に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0068】
本発明は、乳癌、大腸癌、大細胞肺癌、肺の腺癌、小細胞肺癌、胃癌、肝癌、卵巣腺癌、膵臓癌、前立腺癌、前骨髄球性白血病、慢性骨髄性白血病、または急性リンパ性白血病に苦しんでいる対象を治療する方法であって、上記医薬組成物を前記対象に投与することにより対象を治療することを含んでなる方法を提供する。
【0069】
本発明は、真菌の増殖を阻害する方法であって、真菌を1以上の上記化合物と接触させることにより前記真菌の増殖を阻害することを含んでなる方法を提供する。
【0070】
本発明は、以下の構造を有する化合物の製造方法を提供し;
【化27】

【0071】
(式中、nは1〜10であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
Zは
【化28】

【0072】
であり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。)
前記製造方法は、
a)以下の構造を有する化合物を
【化29】

【0073】
(式中、R16
【化30】

【0074】
またはNH2である)
以下の構造を有する化合物
【化31】

【0075】
(式中、R8
【化32】

【0076】
またはNH2であり、R9はHまたは
【化33】

【0077】
である)
および以下の構造を有する化合物と接触させることを含んでなる:
【化34】

【0078】
(式中、R10はHまたはMeであり、mは1または2であり、
mが1の場合、αは存在せず、YはOHまたはSHであるか;または
mが2の場合、αは存在し、YはSであり、以下の構造を有する化合物を形成する
【化35】

【0079】
式中、Zは
【化36】

【0080】
である。)。
【0081】
1つの実施形態において、以下の構造を有する化合物の製造方法は、
【化37】

【0082】
(式中、nは1〜9であり;
XはCHまたはNであり;
R1はHまたはOHであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。)
以下の工程を含んでなる:
a)以下の構造を有する化合物を
【化38】

【0083】
1以上の適切な第1のアミド結合形成試薬、適切な第1の塩基、および適切な第1の溶媒の存在下において、以下の構造を有する化合物と接触させ、
【化39】

【0084】
以下の構造を有する化合物を形成する工程と;
【化40】

【0085】
b)前記工程a)で得られた生成物を適切な脱保護条件に曝し、以下の構造を有する化合物を形成する工程と;
【化41】

【0086】
(前記生成物は、遊離塩基または塩として得られる)
c)前記工程b)で得られた生成物を、1以上の適切な第2のアミド結合形成試薬、適切な第2の塩基、および適切な第2の溶媒の存在下において、以下の構造を有する化合物と接触させ、
【化42】

【0087】
以下の構造を有する化合物を形成する工程;
【化43】

【0088】
(式中、mは1または2であり、
mが1の場合、αは存在せず、YはOHまたはSHであるか、または
mが2の場合、αは存在し、YはSである。)。
【0089】
1つの実施形態において、前記方法は、さらに以下の工程を含んでなる:
i)前記工程(c)で得られた生成物を、塩酸の存在下で亜鉛と反応させ、以下の構造を有する化合物を得る工程;
【化44】

【0090】
式中、mは2であり、αが存在し、YはSである。
【0091】
1つの実施形態において、以下の構造を有する化合物の製造方法は、
【化45】

【0092】
(式中、nは1〜8であり;
R1およびR5は共にOHであるか、または共にSHである)
以下の工程を含んでなる:
a)以下の構造を有する化合物を
【化46】

【0093】
少なくとも2当量の以下の構造を有する化合物と接触させ、
【化47】

【0094】
以下の構造を有する化合物を形成する工程。
【化48】

【0095】
1つの実施形態において、以下の構造を有する化合物の製造方法は、
【化49】

【0096】
以下の工程を含んでなる:
a)フラスコ中のメチル2−ヒドロキシベンゾエートおよび1,6−ジアミノへキサンを、ディーン−スターク(Dean-Stark)装置を用いて加熱し、メタノールを蒸留する工程と;
b)フラスコを室温まで冷却し、水で倍散する工程と;
c)ろ過によりフラスコ中の固体を回収する工程と;
d)前記固体をアルコールから再結晶する工程。
【0097】
1つの実施形態において、以下の構造を有する化合物の製造方法は、
【化50】

【0098】
以下の工程を含んでなる:
a)3-アミノピリジン、メチレンクロリド中の6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサン酸を混合する工程と;
b)HOBt、EDC・HClおよびDIPEAを前記工程a)の混合物に加える工程と;
c)前記工程b)の混合物を室温で3時間撹拌し、以下の化合物を得る工程と;
【化51】

【0099】
d)前記工程c)の化合物を脱保護条件下で反応させ、以下の化合物を得る工程と;
【化52】

【0100】
e)2,2’-ジチオ二安息香酸、HOBt、EDC・HClおよびDMFを混合する工程と;
f)前記工程d)の化合物を前記工程e)とDIPEAの混合物に加え、室温で一晩撹拌する工程と;
g)前記工程f)の生成物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出する工程と;
h)有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濃縮する工程と;
i)粗製の残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、以下の化合物を得る工程と;
【化53】

【0101】
j)前記工程i)の化合物を氷冷したメタノールおよびメチレンクロリド中に溶解し、濃HClおよびZn粉末を加える工程と;
k)前記工程j)の混合物を4時間撹拌し、前記混合物を水およびメチレンクロリドで希釈する工程と;
l)水層を分離し、水性の飽和炭酸水素ナトリウムを加え、冷却する工程と;
m)ろ過により固体を回収し、一晩乾燥する工程と;
n)熱メタノールとメチレンクロリドの混合物を用いて乾燥固体を抽出する工程と;
o)ガラスフィルターペーパーを用いて熱い溶液を濾過する工程と;
p)ろ液を蒸発させて乾燥し、酢酸エチルを用いて倍散し、以下の化合物を得る工程。
【化54】

【0102】
本発明は、神経変性疾患に罹患している対象を治療する方法であって、以下の構造を有する化合物またはその塩を、前記対象を治療するのに有効な量で前記対象に投与することを含んでなる方法を提供する:
【化55】

【0103】
式中、nは1〜10であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
Zは
【化56】

【0104】
であり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0105】
1つの実施形態において、前記方法は、以下の構造を有する化合物またはその塩を前記対象に投与することを含んでなる:
【化57】

【0106】
式中、nは1〜9であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0107】
1つの実施形態において、前記方法は、以下の構造を有する化合物またはその塩を前記対象に投与することを含んでなる:
【化58】

【0108】
式中、nは1〜9であり;
XはCHまたはNであり;
R1はHまたはOHであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0109】
1つの実施形態において、前記方法は、以下の構造を有する化合物またはその塩を前記対象に投与することを含んでなる:
【化59】

【0110】
式中、nは1〜9であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0111】
1つの実施形態において、前記方法は、以下の構造を有する化合物またはその塩を前記対象に投与することを含んでなる:
【化60】

【0112】
式中、nは1〜9であり;
XはCHまたはNであり;
R1はHまたはOHであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6はH、OH、SH、F、Cl、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0113】
1つの実施形態において、前記方法は、以下の構造を有する化合物またはその塩を前記対象に投与することを含んでなる:
【化61】

【0114】
式中、nは1〜8であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0115】
1つの実施形態において、前記方法は、以下の構造を有する化合物またはその塩を前記対象に投与することを含んでなる:
【化62】

【0116】
式中、nは1〜8であり;
XはCHまたはNであり;
R1はH、OHまたはSHであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0117】
前記方法の実施形態において、前記対象はヒトである。
前記方法の実施形態において、前記神経変性疾患は、アルツハイマー病、軽い認知症、パーキンソン病、前頭側頭骨の痴呆、痴呆、またはレーヴィ小体痴呆である。
1つの実施形態において、前記神経変性疾患はアルツハイマー病である。
【0118】
1つの実施形態において、前記方法はさらに、NMDA受容体アンタゴニスト、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、抗アミロイド抗体、5−HT6アンタゴニスト、γセクレターゼ阻害剤、βセクレターゼ阻害剤、またはアミロイド−βペプチドの凝集の阻害剤を前記対象に投与することを含んでなる。
【0119】
実施形態において、前記方法はさらに、タウ凝集阻害剤を前記対象に投与することを含んでなる。タウ凝集阻害剤の例には、メチルチオニニウムクロリド、ナフトキノン誘導体およびアントラキノン類が含まれる。
【0120】
1つの実施形態において、前記神経変性疾患はパーキンソン病である。
1つの実施形態において、前記方法はさらに、ドパミン受容体アゴニストを前記対象に投与することを含んでなる。
【0121】
本発明は、細胞におけるタウタンパク質の凝集を減少させるための方法であって、細胞を以下の構造を有する化合物またはその塩の有効量と接触させることにより、細胞におけるタウタンパク質の凝集を阻害することを含んでなる方法を提供する:
【化63】

【0122】
式中、nは1〜10であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキルまたはアリールであり;
Zは
【化64】

【0123】
であり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0124】
1つの実施形態において、前記方法は、以下の構造を有する化合物またはその塩を対象に投与することを含んでなる:
【化65】

【0125】
式中、nは1〜9であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0126】
1つの実施形態において、前記方法は、以下の構造を有する化合物またはその塩を対象に投与することを含んでなる:
【化66】

【0127】
式中、nは1〜9であり;
XはCHまたはNであり;
R1はHまたはOHであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0128】
1つの実施形態において、前記方法は、以下の構造を有する化合物またはその塩を対象に投与することを含んでなる:
【化67】

【0129】
式中、nは1〜9であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0130】
1つの実施形態において、前記方法は、以下の構造を有する化合物またはその塩を対象に投与することを含んでなる:
【化68】

【0131】
式中、nは1〜9であり;
XはCHまたはNであり;
R1はHまたはOHであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6はH、OH、SH、F、Cl、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0132】
1つの実施形態において、前記方法は、以下の構造を有する化合物またはその塩を対象に投与することを含んでなる:
【化69】

【0133】
式中、nは1〜8であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0134】
1つの実施形態において、前記方法は、以下の構造を有する化合物またはその塩を対象に投与することを含んでなる:
【化70】

【0135】
式中、nは1〜8であり;
XはCHまたはNであり;
R1はH、OHまたはSHであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4はそれぞれ独立に、C1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【0136】
前記方法の1つの実施形態において、前記細胞は神経細胞である。
実施形態において、前記細胞は対象の中にある。
【0137】
本発明は、N−CoRを過剰発現している腫瘍に苦しんでいる患者を治療するための方法であって、1以上の本発明の化合物を、単独で、あるいは1以上のレチノイド受容体リガンドもしくは1以上のヒストン脱アセチル化酵素リガンドと組み合わせて、またはその両方と組み合わせて、それぞれの場合に前記患者の治療に有効な量で前記患者に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0138】
本発明の化合物は、酵素ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻害する他の化合物と組み合わせて使用されてよい。これらのHDAC酵素は、ヒストンを翻訳後に修飾する(米国特許公報第2004/0197888号, Armour et al.)。ヒストンは、真核生物の細胞においてDNAに付随するタンパク質の群で、クロマチンと呼ばれる圧縮された構造を形成する。この圧縮構造は、莫大な量のDNAを真核生物細胞の核内に存在させることを可能にするが、クロマチンの圧縮構造は、転写因子のDNAへの接近を制限する。ヒストンのアセチル化は、クロマチンの圧縮を低下させ、転写因子がDNAに結合することを可能にする。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)により触媒される脱アセチル化は、それ故、転写因子のDNAへの接近可能性を低下させる。それ故、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤は、クロマチンの圧縮を妨げ、転写因子がDNAに結合することを可能にし、遺伝子の発現を増大させる。
【0139】
本発明の方法において、核におけるN−CoRを有する細胞のパーセンテージに対する細胞質におけるN−CoRを有する細胞のパーセンテージの評価は、与えられた組織において、より分化した細胞の数とより分化しなかった細胞の数の比を表す。
【0140】
本発明の方法において、N−CoRを過剰発現する腫瘍には、グリア芽細胞腫多形、乳癌、直腸結腸癌、小細胞肺癌または卵巣癌が含まれる。
【0141】
本発明は、患者において、N−CoRを過剰発現している腫瘍の増殖を阻害する方法であって、1以上の本発明の化合物を、単独で、あるいは1以上のレチノイド受容体リガンドもしくは1以上のヒストン脱アセチル化酵素リガンドと組み合わせて、またはその両方と組み合わせて、それぞれの場合にN−CoRに影響を及ぼすのに有効な量で前記患者に投与し、それによりN−CoRを過剰発現している腫瘍細胞の分化を引き起こし、患者において腫瘍の増殖を阻害することを含んでなる方法も提供する。
【0142】
ここで使用する場合、「治療的に有効な量」は、本発明の態様で使用した場合に、疾患(例えば、N−CoRを過剰発現している腫瘍)に罹患している対象を治療する、または副作用(例えば、毒性、刺激作用、もしくはアレルギー反応)を伴うことなく症状もしくは前記疾患に付随する合併症を緩和するのに十分であり、適切な利益/リスク比と釣り合った量を意味する。特に有効な量は、治療される特定の条件、患者の身体的な条件、治療される哺乳動物の種類、治療期間、(もしあれば)併用する治療の性質、ならびに使用される特定の製剤および化合物またはその誘導体の構造のような因子により変化し得る。
【0143】
ここで使用する場合、「治療」は、疾患、特にN−CoRを過剰発現している腫瘍の進行を遅くすること、停止させることまたは逆転させることを意味する。
【0144】
ここで使用する場合、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有する分枝状および直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基を含む。それ故、「C〜Cアルキル」におけるC〜Cは、直鎖状または分枝状の配列において、1、2、・・・・、n−1またはn個の炭素原子を有する基を含むと定義される。例えば、「C〜Cアルキル」におけるC〜Cは、直鎖状または分枝状の配列において、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有する基を含むと定義され、特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等が含まれる。1つの実施形態において、アルキルはC(メチル)である。
【0145】
「シクロアルキル」という用語は、3〜8またはこの範囲に含まれるいずれかの数の炭素原子のアルカンの環を意味する(すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル)。
【0146】
ここで使用する場合、「アルケニル」は、直鎖状または分枝状であり、少なくとも1の炭素−炭素二重結合を有する非芳香族炭化水素ラジカルを意味し、可能な限りの最大数まで非芳香族性の炭素−炭素二重結合が存在してもよい。例えば、「C〜Cアルケニル」は、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有し、それぞれ1、2、3、4、または5以内の炭素−炭素二重結合を有するアルケニルラジカルを意味する。アルケニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニルおよびシクロヘキセニルが含まれる。
【0147】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1の炭素−炭素三重結合を含む、直鎖状または分枝状の炭化水素ラジカルを意味し、可能な限りの最大数まで非芳香族性の炭素−炭素三重結合が存在してもよい。それ故、「C〜Cアルキニル」は、2もしくは3の炭素原子および1の炭素−炭素三重結合を有するか、または4もしくは5の炭素原子および2以内の炭素−炭素三重結合を有するか、または6の炭素原子および3以内の炭素−炭素三重結合を有するアルキニルラジカルを意味する。アルキニル基には、エチニル、プロピニル、およびブチニルが含まれる。
【0148】
ここで使用する場合、「アリール」は、各環10原子以内の単環、二環、または多環のいずれかの安定な炭素環を意味し、少なくとも1つの環は芳香族性である。そのようなアリール成分の例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリルまたはアセナフチルが含まれる。アリール置換基が二環であり、そのうちの1つが非芳香族性である場合、結合は芳香環を介すると理解される。
【0149】
本発明の化合物の選択において、当業者は、種々の置換基、すなわちR、R等が、化学構造結合性の周知の原理に従って選択されることを認識するであろう。
【0150】
ここで開示される化合物の芳香環に結合する種々のR基は、例えば、本明細書の一部として援用されるAdvanced Organic Chemistry: Part B: Reaction and Synthesis, Francis Carey and Richard Sundberg, (Springer) 5th ed. Edition. (2007)に発表したような標準的な方法により、環に加えられてよい。
【0151】
本発明の化合物は、塩の形態であってよい。ここで使用する場合、「塩」は、化合物の酸性または塩基性の塩を形成することにより修飾される本発明の化合物の塩である。癌の治療に使用される化合物の場合、前記塩は、薬学的に許容可能なものである。薬学的に許容可能な塩の例は、限定するものではないが、アミンのような塩基性残基の無機または有機酸塩;フェノールのような酸性残基のアルカリまたは有機塩が含まれる。前記塩は、有機酸または無機酸を用いて作られてよい。そのような酸性塩は、塩酸塩、臭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩等である。フェノラート塩は、ナトリウム、カリウムもしくはリチウムのアルカリ土類金属塩である。この点において、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、相対的に無毒である、本発明の化合物の無機酸および有機酸または塩基付加塩を意味する。これらの塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間にインサイチューで、または本発明の精製された化合物をその遊離塩基もしくは遊離酸の形態で適切な有機もしくは無機の酸もしくは塩基と別々に反応させ、形成された塩を単離することにより調製されてよい。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート、メシレート、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオネート、およびラウリルスルホン酸塩等が含まれる(例えば、Berge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照されたい)。
【0152】
本発明の組成物は、ここに詳細に記載するものを含む種々の形態で投与されてよい。前記化合物を用いた治療は、併用療法または補助的療法を構成してよく、すなわち、前記薬剤を必要とする対象または患者は、1以上の本発明の化合物と組み合わせて、前記疾患に対する他の薬剤を与えられている。この併用療法は、経時的な治療であってよく、患者は最初に1つの薬剤で治療され、その後、他の1または2の薬剤を同時に与えられてよい。これらは、同じ経路により、または使用される薬剤形態に依存した2以上の異なる投与経路により、独立して投与されてよい。
【0153】
ここで使用する場合、「薬学的に許容可能なキャリア」は、動物またはヒトに対して本発明の化合物を送達するための薬学的に許容可能な溶媒、懸濁剤または媒体である。前記キャリアは、液体または固体であってよく、設計された投与形態により選択される。リポソームも、薬学的に許容可能なキャリアである。
【0154】
治療において投与される化合物の量は、特定の化学療法剤の薬力学的な特徴およびその形態ならびに投与経路;レシピエントの年齢、性別、代謝速度、吸収効率、健康状態および体重;投与される併用療法の種類;治療の頻度;ならびに望ましい治療効果のような因子に依存して変化し得る。
【0155】
前記化合物の用量単位は、単一の化合物または抗癌化合物もしくは腫瘍増殖阻害化合物もしくは神経突起障害を治療するために使用される他の化合物との混合物を含んでよい。前記化合物は、錠剤、カプセル剤、ピル、散剤、顆粒剤、エリキシル、チンキ、懸濁剤、シロップ、およびエマルジョンとして、経口投与形態で投与されてよい。前記化合物は、静脈内投与(ボーラスまたは輸液)、腹腔内投与、皮下投与、もしくは筋肉内投与、または癌への直接的な導入(例えば、注入または他の方法)で投与されてもよく、使用される全ての投与形態は、医薬の分野における当業者に周知である。
【0156】
前記化合物は、意図される投与形態に関して適切に選択され、通常の医薬プラクティスと一致した適切な薬学的な希釈剤、エクステンダー、賦形剤、またはキャリア(正確にはここでは薬学的に許容可能なキャリアを意味する)との混合物として投与されてよい。前記単位は、経口投与、直腸投与、局所投与、静脈内投与もしくは直接注入または非経口的な投与に適した形態であってよい。前記化合物は、単独で投与されてよいが、一般的に、薬学的に許容可能なキャリアと混合される。このキャリアは、固体または液体であってよく、キャリアのタイプは、一般的に、使用される投与のタイプに基づいて選択される。1つの実施形態において、前記キャリアはモノクローナル抗体であってよい。活性薬剤は、錠剤もしくはカプセル、リポソーム、凝集粉末もしくは液体の形態で同時投与されてよい。適切な固体キャリアの例には、ラクトース、ショ糖、ゼラチンおよびアガーが含まれる。カプセル剤または錠剤は、容易に製剤化することができ、嚥下または咀嚼するのを容易にすることができ;他の固体形態には、顆粒剤、およびバルク粉末が含まれる。錠剤には、適切な結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、フレーバー剤、流動化剤、および融解剤が含まれてよい。適切な液体投与形態の例には、水溶液もしくは水中の懸濁液、薬学的に許容可能な脂肪および油、アルコールもしくはエステルを含む他の有機溶媒、エマルジョン、シロップもしくはエリキシル、懸濁液、非発泡性の顆粒から再構築された溶液および/または懸濁液および発泡性の顆粒から再構築された発泡性の製剤が含まれる。そのような液体投与形態には、例えば、適切な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁化剤、希釈剤、甘味料、増粘剤、および融解剤が含まれてよい。経口投与形態には、任意に、フレーバー剤および着色剤が含まれる。非経口的な投与および静脈内投与の形態は、選択する注入または送達システムのタイプに適合させるために、ミネラルおよび他の金属を含んでもよい。
【0157】
本発明の経口的な投与形態を構築するのに使用され得る薬学的に許容可能なキャリアおよび賦形剤の特別な例は、1975年9月2日に発行されたRobertに対する米国特許第3,903,297号に記載されている。本発明において有用な投与形態を作るための技術および組成は、以下の参考文献に記載されている:7 Modern Pharmaceutics, Chapters 9 and 10 (Banker & Rhodes, Editors, 1979); Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets (Lieberman et al., 1981); Ansel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 2nd Edition (1976); Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed. (Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985); Advances in Pharmaceutical Sciences (David Ganderton, Trevor Jones, Eds., 1992); Advances in Pharmaceutical Sciences Vol 7. (David Ganderton, Trevor Jones, James McGinity, Eds., 1995); Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms (Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Series 36 (James McGinity, Ed., 1989); Pharmaceutical Particulate Carriers: Therapeutic Applications: Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 61 (Alain Rolland, Ed., 1993); Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract (Ellis Horwood Books in the Biological Sciences.
Series in Pharmaceutical Technology; J. G. Hardy, S. S. Davis, Clive G. Wilson, Eds.); Modem Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 40 (Gilbert S. Banker, Christopher T. Rhodes, Eds.)。上述した全ての刊行物は、本明細書の一部として援用される。
【0158】
錠剤には、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、フレーバー剤、流動化剤、および融解剤が含まれてよい。例えば、錠剤またはカプセルの投与単位形態での経口投与の場合、活性薬物成分は、経口的であり、無毒であり、薬学的に許容可能であり、不活性なキャリア(例えば、ラクトース、ゼラチン、アガー、デンプン、ショ糖、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール等)と混合されてよい。適切な結合剤には、デンプン、ゼラチン、グルコースまたはβ−ラクトースのような天然糖、コーン甘味料、アラビアゴム、トラガカントゴム、もしくはアルギン酸ナトリウムのような天然および合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス等が含まれる。これらの投与形態に使用される滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が含まれる。崩壊剤には、限定するものではないが、デンプン、メチルセルロース、アガー、ベントナイト、キサンタンガム等が含まれる。
【0159】
前記化合物は、小さな単層のベシクル(small unilamellar vesicle)、大きな単層のベシクル(large unilamellar vesicle)、および多層のベシクル(multilamellar vesicle)のようなリポソーム送達システムの形態で投与されてもよい。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンのような種々のリン脂質から形成され得る。前記化合物は、組織誘導(tissue-targeted)エマルジョンの成分として投与されてよい。
【0160】
前記化合物は、ターゲッタブル(targetable)な薬物キャリアとして、またはプロドラッグとして、可溶性ポリマーと結合させてもよい。そのようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシルプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタ−ミデフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンが含まれる。さらに、前記化合物は、薬物の徐放を達成するのに有用なある分類の生分解性ポリマーと結合させてもよく、例えば、ポリ乳酸およびポリグリコール酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロック共重合体である。
【0161】
活性成分は、カプセル剤、錠剤、および散剤のような固体の投与形態、またはエリキシル、シロップ、および懸濁液のような液体の投与形態で経口的に投与されてもよい。無菌の液体投与形態で、非経口的に投与されてもよい。
【0162】
ゼラチンカプセルは、活性成分化合物およびラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸等の粉末キャリアを含有してよい。同様の希釈剤が、圧縮錠を作るために使用されてよい。錠剤およびカプセル剤は両方とも、即時の放出製品として、または長時間にわたって薬物を継続的に放出するための徐放製品として製造されてよい。圧縮錠は、不快な味をマスクするためおよび空気から錠剤を保護するためにシュガーコートまたはフィルムコートされてよく、また、消化管において選択的に崩壊させるためにエンテリックコートされてよい。
【0163】
液体投与形態での経口投与の場合、経口薬物成分は、いずれかの経口的な、無毒の、薬学的に許容可能な不活性キャリア(例えば、エタノール、グリセロール、水等)と混合される。適切な液体投与形態の例には、水溶液もしくは水中の懸濁液、薬学的に許容可能な脂肪および油、アルコールもしくはエステルを含む他の有機溶媒、エマルジョン、シロップもしくはエリキシル、懸濁液、非発泡性の顆粒から再構築された溶液および/または懸濁液、発泡性の顆粒から再構築された発泡性製剤が含まれる。そのような液体投与形態は、例えば、適切な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁化剤、希釈剤、甘味料、増粘剤、および融解剤を含有してよい。
【0164】
経口投与のための液体投与形態は、患者の認容性を高めるために着色料およびフレーバー剤を含んでよい。一般的に、水、適切な油、生理食塩水、水性デキストロース(グルコース)、および関連する糖溶液およびプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコールが、非経口的な溶液に対する適切なキャリアである。非経口的な投与のための溶液は、好ましくは、活性成分の水溶性塩、適切な安定剤、および必要であれば緩衝物質を含む。亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、またはアスコルビン酸のような酸化防止剤は、単独または組み合わせで適切な安定剤である。クエン酸およびその塩ならびにEDTAナトリウムも使用される。さらに、非経口的な溶液は、塩化ベンザルコニウム、メチル−またはプロピル−パラベン、およびクロロブタノールのような保存剤を含んでよい。適切な薬学的キャリアは、この分野における標準的な参照テキストであるRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Companyに述べられている。
【0165】
本発明の化合物は、適切な鼻腔内媒体の使用を介して鼻腔内形態で、または当業者に周知の経皮パッチを用いて経皮経路を介して投与されてもよい。経皮送達システムの形態で投与するために、投与は一般的に、投与計画を通して断続的にというよりはむしろ継続的に行われる。
【0166】
非経口的投与および静脈内投与の形態は、選択する注入または送達システムのタイプに適合させるために、ミネラルおよび他の物質を含んでもよい。
本発明の化合物および組成物は、対象の心血管系への一時的または永久のインプラントのためのステント上にコートされてもよい。
【0167】
本発明は、以下の実験の詳細を参照することによりさらに理解されるであろうが、特定の実験の詳細は、付属の特許請求の範囲においてより完全に記載した本発明の説明にすぎないことを当業者は容易に理解するであろう。
【0168】
方法および物質
ビス-1,6-(2-ヒドロキシベンゾイルアミノ)ヘキサン(203)の合成:
【化71】

【0169】
メチル2-ヒドロキシベンゾエート(17.6 g, 115.65 mmole)および1,6-ジアミノへキサン(6.4 g, 55, 32.1 mmole)を100 mL丸底フラスコに入れ、Dean-Stark装置を用いて加熱マントル中で加熱した。20分後、メタノールが反応混合物からDean-Stark装置へ蒸留し始めた。加熱は40分間継続し、その後、混合物を室温まで冷却し、水で倍散した(100 mL)。分離された固体はろ過により除去し、一晩風乾した。固体をアルコールから再結晶し、標題化合物の第1の生成物(4 gm)および1.8 gの第2の生成物を得、共にmp 141-142℃(lit. mp 141-142℃)であった。全収量5.8 g (30%)。1H NMR (CDCl3) δ 12.30 (br s, 2H), 7.40 (m, 4H), 6.98 (d, 2H), 6.82 (t, 2H), 6.40 (br s, 2H), 3.42 (q, 4H), 1.70 (m, 4H), 1.41 (m, 4H)。実験方法は、文献に記載の方法に基づく (J. Med. Chem. (1981); 24, 1245-1249)。
【0170】
ビス-1,6-(2-メルカプトベンゾイルアミノ)へキサン(204)の合成:
標題化合物は、スキーム1に示したように1,6-ジアミノへキサンおよび2,2’-ジチオジベンゾイルクロリドから出発する2つのステップで合成した。
【化72】

【0171】
メチレンメチレン(20 mL)中における1,6-ジアミノへキサン(465 mg, 4 mmole)の溶液に、ピリジン(3 mL)およびメチレンクロリド(5 mL)中の2,2’-ジチオベンゾイルジクロリド(1.03 g, 3 mmole)の溶液を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、蒸発させて乾燥し、メチレンクロリド中の2%メタノールを用いたカラムクロマトグラフィーにより生成物を精製し、純粋なジスルフィド化合物を溶出した。収量0.365 g (31%, mp 220℃)。メタノール(2 mL)とメチレンクロリド(5 mL)の混合物中のジスルフィド誘導体(0.365 g, 0.95 mmole)の氷冷溶液に、濃HCl (0.57 mL, 6 mmole)、続いて亜鉛粉末(285 mg, 4.4 mg atom)を10分にわたって少しずつ加えた。0〜10℃で2時間撹拌した後、残留した亜鉛をろ過により除去し、メタノールとメチレンクロリドの熱い混合物(50 mL)で洗浄した。ろ液を濃縮乾燥し、熱メタノール(5 mL)中に再溶解し、水(25 mL)を加えた。分離された固体をろ過し、水で洗浄し、乾燥して、ビス-1,6-(2-メルカプトベンゾイルアミノ)-ヘキサンを得た。収量100 mg (27%, mp 133-135℃(decomp))。1H NMR (DMSO-d6-D2O) δ 7.01 - 7.40 (m, 8H), 3.22 (m, 4H), 1.26 - 1.62 (m, 8H)。 FAB (MH+) 389。
【0172】
2-メルカプト-N-[5-(ピリジン-3-イルカルバモイル)ペンチル]ベンズアミド(205)の合成:
ステップ1:[5-(ピリジン-3-イルカルバモイル)ペンチル]カルバミン酸tert-ブチルエステル(3):
【化73】

【0173】
メチレンクロリド(50 mL)中の3-アミノピリジン(1, 2.82 g, 30 mmole)および6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサン酸(2, 9.2 g, 40 mmole)の混合物に、HOBt (135 mg, 1 mmole)、EDC. HCl (7.6 g, 40 mmole)、DIPEA (10.45 mL, 60 mmole)を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した。この点において、TLCは、出発物質の消失を示した。反応溶液を水で洗浄し(3×25 mL)、続いて炭酸水素ナトリウム水溶液(25 mL)、その後ブラインで洗浄し、最後に無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、ろ過し、濃縮した。溶離液としてメチレンクロリド中の1%メタノールを用いたカラムクロマトグラフィーにより、粗製の残留物を精製し、油状の残留物として純粋な生成物を得た。この残留物をヘキサンで倍散し、無色の固体として3を得た(6.3 g, 68%, mp 96-98℃)。1H NMR (CDCl3) δ 8.68 (br s, 2H), 8.48 (m, 1H), 8.30 (m, 2H), 7.32 (m, 1H), 4.62 (br s, 1H), 3.16 (m, 2H), 2.40 (m, 2H), 2.78 (m, 2H), 1.50 (m, 4H), 1.40 (s, 9H)。
【0174】
ステップ2:6-アミノ-N-(ピリジン-3-イル)ヘキサノアミドジヒドロクロリド(4):
【化74】

【0175】
メチレンクロリド(30 mL)中の[5-(ピリジン-3-イルカルバモイル)ペンチル]カルバミン酸tert-ブチルエステル(3, 3.07 g, 10 mmole)の氷冷混合物に、ジオキサン中のHCl溶液(4M, 10 mL)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。分離された固体をろ過し、メチレンクロリドで洗浄し、減圧オーブン中で乾燥し、塩酸塩として生成物4を得た(2.7 g, 96%)。純粋な固体の1H NMRスペクトルは、構造4と一致した。1H NMR (D2O) δ 9.20 (s, 2H), 7.91 (m, 1H), 2.90 (t, 2H), 2.42 (t, 2H), 2.62 (m, 4H), 1.36 (m, 2H)。
【0176】
代替の反応条件は、BOC保護基を除去するために使用されてよい。化合物4は、標準的なアミン脱保護条件下で調製されてよい(例えば、3.0当量の0.75M HCl (エーテル中)、室温で12時間の撹拌 (P. Cali, M. Begtrup, Synthesis, 2002, 63-64を参照されたい)。
【0177】
同様に、以下の2つの化合物、すなわち6-アミノ-N-(フェニル)ヘキサノアミドジヒドロクロリドおよび6-アミノ-N-(4-ジメチルアミノフェニルヘキサノアミドジヒドロクロリド [1H NMR (CDCl3) δ 7.32 (d, 2H), 6.67 (d, 2H), 2.91 (s, 6H), 2.68 (m, 2H), 2.31 (m, 2H), 1.72 (m, 2H), 1.43 (br m, 4H)] も、上記の方法を用いて合成した。
【化75】

【0178】
ステップ3:2,2’-ジチオ-ビス{N-[5-(ピリジン-3-イルカルバモイル)ペンチル]ベンズアミド(6):
【化76】

【0179】
DMF (40 mL)中の2-チオ安息香酸ジスルフィド(5, 0.765 g, 2.5 mmole)、HOBt (0.665 g, 4.9 mmole)、EDC. HCl (2 g, 10 mmole)の混合物に、アミン誘導体4 (1.5 g, 5 mmole)、続いてDIPEA (3.5 mL, 20 mmole)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。その後、それを水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した(5×30 mL)。混合性の有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。メチレンクロリド中の2〜5%メタノールを用いたカラムクロマトグラフィーにより粗製の残留物を精製し、無色の固体として望ましい生成物6 (1 g, 27%)を溶出した。1H NMR (DMSO-d6) δ 10.01 (br s, 2H), 8.67.(s, 2H), 8.21 (d, 2H), 7.98 (m, 4H), 7.83 (d, 2H), 7.65 (t, 2H), 7.42 (t, 2H), 7.30 (m, 2H), 3.81 (t, 4H), 2.30 (t, 4H), 1.46 (m, 4H), 1.30 (m, 4H)。
【0180】
以下の2つの化合物、すなわち2,2’ジチオ-ビス{N-[5-(フェニルカルバモイル)ペンチル]ベンズアミドおよび2,2’ジチオ-ビス{N-[5-(4-ジメチルアミノフェニルカルバモイル)ペンチル]ベンズアミド} [1H NMR (CDCl3) δ 8.00 (d, 2H), 7.56 (m, 4H), 7.35 (m, 6H), 6.66 (d, 4H), 3.90 (t, 4H), 2.90 (s, 12H), 2.51 (t, 4H), 1.76 (m, 12H), 1.45 (m, 4H)]
も、上記方法を用いて合成した。これら2つの化合物の1H NMRスペクトルは、構造と一致する。
【化77】

【0181】
ステップ4:2-メルカプト-N-[5-(ピリジン-3-イルカルバモイル)ペンチル]ベンズアミド(205):
【化78】

【0182】
メタノール(10 mL)とメチレンクロリド(25 mL)の混合物中のジスルフィド誘導体6 (0.85 g, 1.2 mmole)の氷冷溶液に、濃HCl (3.4 mL)、続いてZn粉末(1.2 g)を10分間にわたって少しずつ加えた。室温で4時間撹拌した後、混合物を水(30 mL)およびメチレンクロリド(25 mL)で希釈した。水層を分離し、同時に混合物を冷却しながら飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で塩基性化した。分離した固体をろ過し、一晩風乾した。乾燥した固体を、熱メタノールとメチレンクロリドの混合物(200 mL, 2:3比)中に抽出した。その後、熱い溶液をグラスフィルターペーパーを通して濾過した。ろ液を蒸発させて乾燥し、残留物を酢酸エチルで倍散し、純粋な必須の生成物205 (555 mg, 65%, mp 233-237℃)を無色の固体として得た。1H NMR (DMSO-d6) δ 10.06 (br s, 1H), 9.41 (br s, 1H), 8.76 (d, 1H), 8.21 (d, 1H), 8.02 (d, 1H), 7.40 (m, 2H), 7.32 (m, 1H), 7.02 (t, 1H), 6.91 (t, 1H), 3.24 (q, 2H), 2.30 (t, 2H), 1.60 (m, 4H), 1.38 (m, 2H)。FAB (MH+) 344。
【0183】
上述の方法を用いて、以下の2つの化合物、すなわち2-メルカプト-N-[5-(フェニルカルバモイル)ペンチル]ベンズアミド(201), mp 110-112℃および2-メルカプト-N-[5-(4-ジメチルアミノカルバモイル)ペンチル]ベンズアミド(206), mp 108-110℃を合成した。それらの1H NMRスペクトルは、それぞれ以下の構造と一致する。
【化79】

【0184】
5-クロロ-2-メルカプト-N-[5-(ピリジン-3-イルカルバモイル)-ペンチル]ベンズアミド(207a):
【化80】

【0185】
上述した方法を使用して、ステップ3におけるアミン4を2,2’-ジチオジ安息香酸(5)の代わりに4,4’-ジクロロ-2,2’-ジチオジ安息香酸(9a)で処理することにより、5-クロロ-2-メルカプト-N-[5-(ピリジン-3-イルカルバモイル)-ペンチル]ベンズアミド(207a), mp 238-240℃を調製した。
【0186】
1H NMR (DMSO - d6) δ 10.06 (br s, 1H), 9.47 (br s, 1H), 8.71 (s, 1H), 8.20 (d, 1H, J= 3.2 Hz), 8.02 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.30 (m, 3H), 7.04 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 3.14 (m, 2H), 2.30 (t, 2H), 1.60 (m, 4H), 1.34 (m, 2H)。 FAB (MH+) 378。
【0187】
2-メルカプト-N-[5-(フェニル-3-イルカルバモイル)ペンチル]ベンズアミド(201):
【化81】

【0188】
同様に、上述した方法論を用い、アニリンおよび6-tert-ブトキシ-カルボニルアミノヘキサン酸(2)から開始して、2-メルカプト-N-[5-(フェニル-3-イルカルバモイル)-ペンチル]-ベンズアミド(201)を調製した。mp 110-112℃。1H NMR (CDCl3) δ 7.69 (br s, 1H), 7.58 (d, 2H, J = 8 Hz), 7.49 (dd, 1H, J = 6.3, 1.5 Hz), 7.35 (m, 4H), 7.16 (m, 2H), 6.41 (br s, 1H), 4.71 (s, 1H), 3.51 (q, 2H, J = 6.6), 2.43 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 1.88 - 1.66 (m, 4H), 1.52 (m, 2H)。EIMS (MH+) 343。
【0189】
2-メルカプト-N-[5-(4-ジメチルアミノ-3-イル-カルバモイル)ペンチル]ベンズアミド(206):
【化82】

【0190】
同様に、2-メルカプト-N-[5-(4-ジメチルアミノ-3-イル-カルバモイル)ペンチル]ベンズアミド(206), mp 108-110℃は、4-ジメチルアミノアニリンおよび6-tert-ブトキシカルボニルアミノへキサン酸[2, 1H NMR (CDCl3) δ 7.36 (d, 2H), 6.69 (d, 2H), 3.10 (m, 2H), 2.91 (s, 6H), 2.31 (t, 2H), 1.75 (m, 2H), 1.44 (m, 13H)]から開始し、4つのステップで調製した。206: 1H NMR (DMSO - d6) δ 9.52 (br s, 1H), 9.38 (br s, 1H), 7.37 (d, 4H J = 9 Hz), 7.13 (m, 1H), 6.99 (m, 1H), 6.65 (d, 2H, J = 9.00 Hz), 3.24 (m, 2H), 2.23 (t, 2H, J = 7.4 Hz), 1.55 (m, 4H), 1.33 (m, 2H)。FAB陰イオンモード (M - H+) 384。
【0191】
2-メルカプト-N-[5-(4-アミノフェニルカルバモイル)-ペンチル]ベンズアミド(209):
【化83】

【0192】
同様に、2-メルカプト-N-[5-(4-アミノフェニルカルバモイル)-ペンチル]ベンズアミド(209)は、4-ニトロアニリンおよび6-tert-ブトキシカルボニルアミノヘキサン酸(2)から出発して合成した。ニトロ基は、ステップ4において、Zn/HCl還元の間にアミノ基に還元された。1H NMR (DMSO - d6) δ 9.39 (br s, 2H), 7.41 (d, 1H, J = 8.00 Hz), 7.32 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.14 (m, 3H), 6.99 (m, 1H), 6.47 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 4.79 (s, 2H), 3.28 (m, 2H), 2.21 (t, 2H, J = 7.5 Hz), 1.58 (m, 4H), 1.36 (m, 2H)。 ESMS (MH+) 358。
【0193】
5-クロロ-2-メルカプト-N-(5-フェニルカルバモイル)-ペンチル)ベンズアミド(210):
【化84】

【0194】
同様に、5-クロロ-2-メルカプト-N-(5-フェニルカルバモイル)-ペンチル)ベンズアミド(210)は、アニリンおよび6-tert-ブトキシカルボニルアミノへキサン酸(2)から調製した。ステップ3において対応するアミンは、2,2’-ジチオジ安息香酸(5)の代わりに4,4’-ジクロロ-2,2’-ジチオジ安息香酸(9a)と反応させ、最後のステップにおいて必須の生成物210を得た。
【0195】
1H NMR (DMSO - d6) δ 9.82 (br s, 1H), 8.56 (br s, 1H), 8.71 (s, 1H), 7.51 (m, 4H), 7.40 (m, 1H), 7.34 (m, 1H), 7.28 (m, 1H), 5.41 (br s, 1H), 3.20 (m, 2H), 2.30 (t, 2H, J = 7.2Hz), 1.61 - 1.50 (m, 4H), 1.35 (m, 2H)。 ESMS (MH+) 377。
【0196】
2-メルカプト-5-メトキシ-N-(5-フェニルカルバモイル)-ペンチル)ベンズアミド(211):
【化85】

【0197】
再び、ステップ3におけるアミン誘導体を4,4’-ジメトキシ-2,2’ジチオ-ジ安息香酸(9b)で処理することにより、2-メルカプト-5-メトキシ-N-(5-フェニルカルバモイル)ペンチル)ベンズアミド(211)を調製した。1H NMR (CDCl3) δ 8.30 (br s, 1H), 7.53 (d, 2H, J = 7.8 Hz), 7.44 (d, 1H, J= 8.4 Hz), 7.24 (m, 2H), 7.08 (m, 2H), 6.87 (dd, 1H, J = 3.0, 5.7 Hz), 6.49 (br s, 1H), 3.37 (q, 2H, J = 6.5 Hz), 2.39 (t, 2H, J = 7.5 Hz), 1.75 (m, 2H), 1.56 (m, 2H), 1.46 (m, 2H)。 ESMS (M H+) 373。
【0198】
2-メルカプト-N-(6-フェニルカルバモイル-ヘキシル)ベンズアミド(212):
【化86】

【0199】
同様に、2-メルカプト-N-(6-フェニルカルバモイル-ヘキシル)ベンズアミド(212)は、アニリンおよびステップ1における6-tert-ブトキシカルボニルアミノヘキサン酸(2)の代わりに7-tert-ブトキシカルボニルアミノヘプタン酸(16)から出発して合成した。1H NMR (DMSO - d6) δ 9.82 (br s, 1H), 8.38 (br s, 1H), 7.56 (d, 2H, J = 7.8 Hz), 7.41 (m, 2H), 7.26 (m, 3H), 7.25 (m, 1H), 6.99 (t, 1H, J = 7.5 Hz), 5.34 (br s, 1H), 3.20 (m, 2H), 2.29 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 1.61 - 1.48 (m, 4H), 1.34 (m, 2H)。 m/e 356。
【0200】
2-メルカプト-N-7-フェニルカルバモイル-ヘプチル)ベンズアミド(213):
【化87】

【0201】
2-メルカプト-N-7-フェニルカルバモイル-ヘプチル)ベンズアミド(213)は、アニリンおよびステップ1における6-tert-ブトキシ-カルボニルアミノヘキサン酸(2)の代わりに8-tert-ブトキシカルボニルアミノオクタン酸(18)から出発して合成した。1H NMR (DMSO - d6) δ 9.82 (br s, 1H), 8.38 (br s, 1H), 7.57 (d, 2H, J = 7.5 Hz), 7.40 (m, 2H), 7.25 (m, 3H), 7.15 (m, 1H), 6.99 (t, 1H, J = 7.2 Hz), 5.34 (br s, 1H), 3.20 (m, 2H), 2.28 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 1.60 - 1.49 (m, 4H), 1.31 (m, 2H)。 m/e 370。
【0202】
2-メルカプト-N-(10-フェニルカルバモイル-デシル)ベンズアミド(214):
【化88】

【0203】
最後に、2-メルカプト-N-(10-フェニルカルバモイル-デシル)ベンズアミド(214)を、アニリンおよびステップ1における6-tert-ブトキシ-カルボニルアミノヘキサン酸(2)の代わりに11-tert-ブトキシカルボニルアミノウンデカン酸(20)から合成した。1H NMR (DMSO - d6) δ 9.82 (br s, 1H), 8.37 (br s, 1H), 7.57 (d, 2H, J = 8.00 Hz), 7.41 (m, 2H), 7.24 (m, 3H), 7.17 (m, 1H), 6.99 (t, 1H, J = 7.5 Hz), 5.34 (br s, 1H), 3.20 (m, 2H), 2.27 (t, 2H, J = 7.5 Hz), 1.56 (m, 2H), 1.48 (m, 2H), 1.34 (m, 2H)。 m/e 412。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【0204】
物質および方法
MDA-MB-231、HT-29、NCI-H460、NCI-H522、NCI-H69、GXF-209、HepG2、OVAR-3、PANC-1、DU-145、LNCAP、HL-60、K-562、およびMOLT-4細胞株は、American Type Culture Collection (ATCC; Manassas, VA)またはNational Cancer Institute (NCI; Frederick, MD)から得た。RPMI-1640培地、L-グルタミンジペプチド(HyQ SG-200)、およびHEPESは、Hyclone (Logan, UT)から得た。ウシ胎児血清(FBS)は、Sigma-Aldrich, (St. Louis, MO)から得た。DMSOは、Fisher Chemicals (Fair Lawn, NJ)から購入した。セルタイター-Glo発光細胞生死判別試験(CellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay)試薬は、Promega Corporation (Madison, WI)から得た。全ての組織培養プラスチック製品は、Corning Incorporated (New York, NY)から得た。化合物100および化合物102は、Lixte Biotechnology Holdings, Inc. (East Setauket, NY)により提供された。
【0205】
全ての細胞株は、慣例的に、2 mM L-グルタミンジペプチド、10 mM HEPES、および10% FBSが補充されたRPMI-1640培地において、毎週2回培養された。
【0206】
接着細胞株MDA-MB-231、HT-29、NCI-H460、NCI-H522、GXF-209、HepG2、OVAR-3、PANC-1、DU-145、およびLNCAP細胞は、ウェル当たり2,500細胞でそれぞれ2つの96-ウェルプレートに50μLの全容積で蒔かれ、37℃の加湿された5% CO2細胞培養インキュベーターで一晩インキュベートされた。懸濁細胞株NCI-H69、HL-60、K-562、およびMOLT-4は、それぞれ、ウェル当たり10,000細胞で2つの96-ウェルプレートに50μLの全容積で蒔かれ、37℃の加湿された5% CO2細胞培養インキュベーターで一晩インキュベートされた。
【0207】
化合物205の20mMストックは、DMSO中で作られた。その後、RPMI-1640培地中で必要とされる最終濃度の2倍のストックが作られた。50μLの2倍ストック溶液を、50μLの細胞および培地を含む適切なウェルに加え、添付物(Appendix)において概要を示された最終濃度とした。50μLの培地を培地および細胞の対照ウェルに加え、50μLの偽の2X DMSOストック溶液を溶媒対照ウェルに加えた。薬物を細胞に加えると同時に、核細胞株に由来するプレートの一方を、核細胞株に対する0日値を得るために以下に示すセルタイター-Gloアッセイに使用した。72時間のインキュベーションの後、セルタイター-Gloアッセイが残りのプレートにおいて行われた。
【0208】
セルタイター-Gloアッセイ
この分析は、製造業者の説明書に従って行われた。簡単に言うと、プレートをインキュベーターから除去し、室温で30分間ベンチに置いた。プレートは積み重ねなかった。室温で30分間インキュベートした後、100μLのセルタイター-Glo試薬がプレート上の各ウェルに加えられ、2分間混合され、さらに10分間室温でインキュベートされた。その後、パーキンエルマーマイクロベータシンチレーションおよび発光カウンター(Trilux)を用いて発光が記録された。
【0209】
結果および考察
これらの研究は「物質および方法」において述べたように実施され、生データおよびプレート機構は、添付物において概要を示された。各細胞株における化合物205についてのIC50値は、表2に概要を示す。各細胞株における化合物の効果の図示は、カーブフィットと共に、図8A〜Nに示されている。
【0210】
試験される細胞株の大部分は、低いμM範囲において、化合物205に感受性であった(表2)。乳癌;大腸癌;2つの主要なタイプの肺癌(腺癌および小細胞癌(大細胞癌は最も低い感受性));胃癌;肝癌(肝腫);卵巣腺癌;膵臓癌;2つのタイプの前立腺癌;および3つのタイプの白血病(前骨髄球性、慢性骨髄性、および急性リンパ性)の細胞株に対して(表2)。化合物205は、肺腺癌、胃癌、膵臓癌、および乳癌に対して最も活性を有していた。
【表2】

【0211】
*は、カーブフィットが利用できないため、IC50値がデータから見積もられたことを意味する。
【0212】
例1:
グリア芽細胞腫多形(GBM)の治療のための新規の治療ターゲットを同定するために、本発明の化合物について、インビトロおよびインビボにおいてグリア芽細胞腫多形細胞を阻害する能力を評価した。
【0213】
各化合物は、図1〜5および16〜22において示すように、インビトロにおいて、用量依存性の態様でGBMの増殖を阻害した。化合物205および206はそれぞれ、図6に示すように、SCIDマウスにおいて、GBM異種移植腫瘍容積の増殖を阻害した。
【0214】
異なる用量の薬物への7日間の曝露の関数としてのGBM細胞株U373のグラフプロットから、対照に対する割合が測定され、図にプロットされた。
【0215】
全ての化合物は、細胞株U−87に対して活性を有するが、化合物201、205、206、212、および213は、等モルを基準にして最も強力である。化合物205および206は共に、対照と比較してU87 GBM異種移植の有意な阻害を示す(図9)。
【0216】
我々は、化合物205が髄芽腫細胞株DAOYに対して活性を有することを示している(図11〜13)。我々は、化合物205が、ATRAと組み合わせて、髄芽腫細胞株DAOYに対して活性を有することも示している(図7)。
【0217】
化合物205は、SHSY−5Y異種移植片の増殖に対して活性を示すが(図10および14)、対照と比較した正常なマウス脳細胞の高い生存度により示されるように、正常な細胞増殖は阻害しない(図15)。
【0218】
我々は、化合物205が、低いマイクロモル濃度において、複数のヒト癌細胞株に対して活性を有することも示している。これらの癌には、乳癌、大腸癌、肺癌(3タイプ)、胃癌、肝臓癌(肝細胞腫)、子宮がん、膵臓癌および前立腺癌ならびに3つのタイプの白血病(前骨髄球性白血病、慢性骨髄性白血病、および急性リンパ性白血病)が含まれる(表2、図8A〜N)。
【0219】
我々は、腫瘍細胞がSCIDマウスに皮下移植された場合、化合物205が、インビボにおいて、ヒトグリア細胞腫多形(GBM)のマウスモデルにおいて活性を有することも見出した。さらに、我々は、この場合、化合物205が等モルのSAHAよりも活性を有することも見出した。
【0220】
それ故、本発明の化合物の抗癌活性に基づいて、これらの化合物の構造も考慮され、レトロウイルスZnフィンガードメインにおいてZn官能基を標的とする抗HIV薬として活性を有するであろう。
【0221】
例2:
新規の抗真菌剤は市場に到達し続け、その多くは現在入手可能な薬剤よりも増大した活性を有する見込みがある。
【0222】
全部で23の単離物は、3のカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、3のカンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、3のクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、3のアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、3のリゾープス・オリザエ(Rhizopus oryzae)、3のフサリウム・ソラニ(Fusarium solani)、3のシューダレスケリア・ボイディイ(Pseudallescheria boydii)、および2のトリコスポロン・ルブラム(Trichosporon rubrum)を含むことを試験された。抗真菌感受性試験は、National Committee for Clinical Laboratory Standards, M-27A2, Reference Method for Broth Dilution Antifungal Susceptibility Testing of Yeasts; Approved Standard, and M38-A “Reference Method for Broth Dilution Antifungal Susceptibility Testing of Conidium-Forming Filamentous Fungi; Approved Standard”に概要が示されている方法に従って達成された。これは、グルタミンを用いた場合および炭酸水素塩を用いない場合のRPMI−1640における試験を含み、酵母当り0.5〜2.5×103またはカビ当り1〜5×104 の菌種サイズ、35℃における24および48時間のインキュベーションであった。最小阻止濃度(MIC)は、酵母について薬物を含まない対照チューブと比較して50%の濁度減少、カビについて80%の阻害を生じる最小濃度として定義された。薬物濃度は、0.125〜64μg/mlであった。
【0223】
エンドポイントは、ほとんどの種に対して、化合物を試験している時に決定された。
【0224】
序論
移植による免疫無防備状態の患者(HIV/AIDSおよび癌、主に白血病)の増加する人口は、重篤な真菌感染症の増大を引き起こしている。これらの患者において感染症から最も頻繁に回復する真菌は、アスペルギルス属およびカンジダ属である。有効な治療は、カンジダ属の治療に有用であるが、免疫無防備状態のホストにおける高い死亡率を伴うアスペルギルス属により引き起こされる感染症の治療に対する関心が残る。そのような感染症は、この群の患者において除去することが難しいため、これらの真菌に対して良好な活性を有する薬剤に対する必要性が高まっている。真菌感染症の除去の状況およびこれらの感染症に対する全体的な治癒の欠如の結果として、本発明の化合物は、強力な抗真菌剤として提案されている。
【0225】
物質および方法
試験は、各薬剤について通常のロットを用いて行った。
【0226】
各粉末を10 mgずつ計量し、化合物205について、1 mlの100% DMSOに加えた。得られた濃度10μg/mlを、100% DMSO中の化合物205について、6400μg/mlの作業濃度に希釈した。全てのその後の希釈も、それぞれの希釈剤を用いて行った。最終的な試験濃度は、0.125〜64μg/mlの範囲であった。
【0227】
NCCLS推薦の培地RPMI-1640 (Hardy Diagnostics, Santa Monica, CA)は、試験培地として利用した。
【0228】
この試験における全ての単離物は、標準的な抗真菌感受性試験および/または同定のためにFungus Testing Laboratoryで入手される臨床的な単離物であった。同定のために送られなかった単離物は、試験の完全性を保証することが確認された。全部で23について、3のカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、3のカンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、3のクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、3のアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、3のリゾープス・オリザエ(Rhizopus oryzae)、3のフサリウム・ソラニ(Fusarium solani)、3のシューダレスケリア・ボイディイ(Pseudallescheria boydii)、および2のトリコスポロン・ルブラム(Trichosporon rubrum)を含むことを試験された。
【0229】
最小阻止濃度(MIC)は、最初の24時間の間に決定され、増殖は、薬物を含まない対照チューブにおいて測定された。定義されたMIC酵母は、増殖対照と比較して濁度の50%低下を示す最小濃度であるが、カビについてのMICは、80%低下が見られたときであると決定した。
【0230】
考察
我々は、新規の分類のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を開発した。それらの新規性は、5〜10のメチレン基により隔てられた置換または非置換の5-フェニル-3-イルカルバモイル末端基または5-ピリジン-3-イルカルバモイル基に結合した2-メルカプト-N-ベンゾイルアミノ基の使用に帰する。これらの化合物の新規性は、亜鉛キレート化のためのメルカプトベンゾイルアミノ基の使用に帰する。我々は、この分類のHDAC阻害剤が、培養液中および免疫抑制マウスにおいて異種移植片として増殖するヒト癌細胞の広範なスペクトルに対して活性を有することを示す。我々は、さらに、この群のHDAC阻害剤が、クラスI(ヒストン3)およびクラスII(ヒストン4)のヒストン脱アセチル化酵素の両方を阻害することを示す。我々は、このタイプの化合物が、ヌードマウスにおける異種移植片増殖においてHDACを阻害し、全身性に与えた場合、マウスの正常な脳組織におけるHDAC活性を阻害することを示す。それ故、このタイプの化合物は、マウスに対してはっきりと分かる毒性を生じないが腫瘍の増殖の著しい阻害を引き起こす薬物の用量において、インビボにおいてそれらの意図されたターゲットを阻害し、正常な脳組織に到達する。
【0231】
この群の薬物の重要な利点は、メルカプトベンザモイル部分および分子の逆側の末端の両方において容易に誘導体化され得ることであり、置換および非置換のピリジニルおよびフェニル部分ならびにメルカプトベンゾイルアミノ部分を有する新規の対照的な分子(ビス-1, 6-(メルカプトベンゾイルアミノ)へキサン(化合物204)からなる例を含む多くの構造のいずれかであってよい。
【0232】
この群の薬物に対するもう1つの潜在的な利点は、HDAC阻害剤が全ての標準的な抗癌剤とは別のメカニズムで作用することである。HDACを他の薬物と組み合わせることにより、毒性が増大することなく抗癌活性を増強することができるように思われる。我々は、全てのトランスレチノイン酸と化合物205との組み合わせが、神経芽細胞腫細胞の増殖の阻害において相加的な活性よりも優れた活性を有することを示す例を提供する(図7)。
【0233】
結論
前記化合物についての結果を表2に示す。本発明の化合物は、エンドポイントを有する。我々がこの分類のHDAC阻害剤は医学的に重要な病原菌に対して有意な抗増殖活性を有することを示すように、ヒトの対象におけるこれらの化合物の到達可能なレベル、安全プロフィールおよび発達に向かうに当り考慮されるべき他の適切な因子に依存して、これらの化合物は、ヒトおよび植物の感染症における抗真菌剤として生存可能な競争者であり得る(表3および4にまとめる)。
【0234】
さらに、この群の化合物のメンバーは、血液脳関門を通過し、正常な脳においてHDACを阻害するため、およびそのような神経性の活性が神経変性疾患のいくつかのモデルにおいて有益な効果を有することが多く報告されているため、我々は、これらの化合物がタウオパシー(tauopathy)および外傷性脳障害のような原因が未知の慢性神経変性疾患を治療するために潜在的な有用性を有する神経保護剤として有用であることを信じている。
【0235】
さらに、このクラスの化合物は、心肥大および関節リウマチのような線維症を伴うものを含む慢性および場合によっては急性の炎症性疾患の治療に対して有用であることが期待される。
【表3】

【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造を有する化合物またはその塩:
【化1】

式中、
nは1〜10であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
Zは
【化2】

であり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【請求項2】
以下の構造を有する請求項1に記載の化合物:
【化3】

式中、
nは1〜9であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【請求項3】
以下の構造を有する請求項1に記載の化合物:
【化4】

式中、
nは1〜8であり;
XはCHまたはNであり;
R1はHまたはOHであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【請求項4】
以下の構造を有する請求項1に記載の化合物:
【化5】

式中、
nは1〜9であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【請求項5】
以下の構造を有する請求項4に記載の化合物:
【化6】

式中、
nは1〜8であり;
XはCHまたはNであり;
R1はHまたはOHであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6はH、OH、SH、F、Cl、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、またはC3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【請求項6】
以下の構造を有する請求項1に記載の化合物またはその塩:
【化7】

式中、
nは1〜8であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【請求項7】
以下の構造を有する請求項6に記載の化合物またはその塩:
【化8】

式中、
nは1〜8であり;
XはCHまたはNであり;
R1はH、OHまたはSHであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物であって、R5またはR6はSHであり、SH基を有する芳香環はベンゼノイド、アザ、またはポリアザ-芳香性の5員もしくは6員環である化合物。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物であって、R1およびR2はHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは4である化合物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物であって、R1はOHであり、R2はHであり、XはCHであり、R5はOHであり、R6はHであり、nは6である化合物。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物であって、R1はSHであり、R2はHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは6である化合物。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物であって、R1およびR2はHであり、XはNであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは4である化合物。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物であって、R1はHであり、R2はNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれC1アルキルであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは4である化合物。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物であって、R1およびR2はHであり、XはNであり、R5はSHであり、R6はClであり、nは4である化合物。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物であって、R1およびR2はHであり、XはNであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは5である化合物。
【請求項16】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物であって、R1はHであり、R2はNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは4である化合物。
【請求項17】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物であって、R1およびR2はHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はClであり、nは4である化合物。
【請求項18】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物であって、R1およびR2はHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はメトキシであり、nは4である化合物。
【請求項19】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物であって、R1およびR2はHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは5である化合物。
【請求項20】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物であって、R1およびR2はHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは6である化合物。
【請求項21】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物であって、R1およびR2はHであり、XはCHであり、R5はSHであり、R6はHであり、nは9である化合物。
【請求項22】
以下の構造を有する請求項1、2、3、4、または5に記載の化合物。
【化9−1】

【化9−2】

【請求項23】
以下の構造を有する請求項1、6、または7に記載の化合物。
【化10】

【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物または薬学的に許容可能なその塩、および薬学的に許容可能なキャリアを含んでなる医薬組成物。
【請求項25】
請求項24に記載の医薬組成物を対象に投与することにより腫瘍の大きさを減少させることを含んでなる、核受容体コリプレッサー(N−CoR)を過剰発現している腫瘍の大きさを減少させる方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記核受容体コリプレッサー(N−CoR)を過剰発現している腫瘍は脳腫瘍である方法。
【請求項27】
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物と接触させることにより、ヒストン脱アセチル化酵素の活性を阻害することを含んでなる、ヒストン脱アセチル化酵素の活性を阻害する方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記HDACはヒストン脱アセチル化酵素3(HDAC3)である方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、前記HDACはヒストン脱アセチル化酵素4(HDAC4)である方法。
【請求項30】
HIVに感染した細胞を請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物と接触させることによりHIV複製を阻害することを含んでなる、HIV複製を阻害する方法。
【請求項31】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物の心肥大を阻害するのに有効な量を対象に投与することを含んでなる、心肥大を阻害する方法。
【請求項32】
請求項24に記載の医薬組成物を対象に投与することにより前記対象を治療することを含んでなる、乳癌、大腸癌、大細胞肺癌、肺の腺癌、小細胞肺癌、胃癌、肝臓癌、卵巣腺癌、膵臓癌、前立腺癌、前骨髄球性白血病、慢性骨髄性白血病、または急性リンパ性白血病に罹患した対象の治療方法。
【請求項33】
真菌を請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物と接触させることにより真菌の増殖を阻害することを含んでなる、真菌増殖の阻害方法。
【請求項34】
以下の構造を有する化合物の製造方法であって;
【化11】

(式中、
nは1〜10であり;
XはC-R11またはNであり、R11はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールであり;
Zは
【化12】

であり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に、H、OH、SH、F、Cl、SO2R15、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R15であり、R15はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。)
a)以下の構造を有する化合物を
【化13】

(式中、R8
【化14】

またはNH2である。)
以下の構造を有する化合物
【化15】

(式中、R8
【化16】

またはNH2であり、R9はHまたは
【化17】

である。)
および以下の構造を有する化合物と接触させることを含んでなる方法:
【化18】

(式中、
R10はHまたはMeであり、
mは1または2であり、
mが1の場合、αは存在せず、YはOHまたはSHであるか;または
mが2の場合、αは存在し、YはSであり、以下の構造を有する化合物を形成する;
【化19】

式中、Zは
【化20】

である。)。
【請求項35】
以下の構造を有する化合物を製造するための請求項34に記載の方法であって;
【化21】

(式中、
nは1〜9であり、
XはCHまたはNであり;
R1はHまたはOHであり;
R2はHまたはNR3R4であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、またはC3〜C8シクロアルキルであり;
R5はOHまたはSHであり;
R6はH、OH、SH、F、Cl、SO2R7、NO2、トリフルオロメチル、メトキシ、またはCO-R7であり、R7はアルキル、アルケニル、アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、またはアリールである。)
a)以下の構造を有する化合物を、
【化22】

1以上の適切な第1のアミド結合形成試薬、適切な第1の塩基、および適切な第1の溶媒の存在下で、以下の構造を有する化合物と接触させ、
【化23】

以下の構造を有する化合物を形成する工程と;
【化24】

b)前記工程a)の生成物を適切な脱保護条件に曝すことにより、以下の構造を有する化合物を形成する工程と;
【化25】

(前記生成物は、遊離塩基または塩として得られる)
c)前記工程b)で得られた生成物を、1以上の適切な第2のアミド結合形成試薬、適切な第2の塩基、および適切な第2の溶媒の存在下において、以下の構造を有する化合物と接触させ、
【化26】

以下の構造を有する化合物を形成する工程と
【化27】

(式中、
mは1または2であり、
mが1の場合、αは存在せず、YはOHまたはSHであるか、または
mが2の場合、αは存在し、YはSである。)
を含んでなる方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、さらに、
i)前記工程(c)で得られた生成物を、塩酸の存在下で亜鉛と反応させ、以下の構造を有する化合物を得る工程を含んでなる方法:
【化28】

(式中、mは2であり、αが存在し、YはSである。)。
【請求項37】
以下の構造を有する化合物を製造するための請求項34に記載の方法であって;
【化29】

(式中、nは1〜8であり;
R1およびR5は、共にOHであるか、または共にSHである。)
a)以下の構造を有する化合物を、
【化30】

少なくとも2当量の以下の構造を有する化合物と接触させ、
【化31】

以下の構造を有する化合物を形成する工程を含んでなる方法。
【化32】

【請求項38】
以下の構造を有する化合物を製造するための、請求項37に記載の方法であって;
【化33】

a)フラスコ中のメチル2−ヒドロキシベンゾエートおよび1,6−ジアミノへキサンを、ディーン−スターク装置を用いて加熱し、メタノールを蒸留する工程と;
b)フラスコを室温まで冷却し、水で倍散する工程と;
c)ろ過によりフラスコ中の固体を回収する工程と;
d)前記固体をアルコールから再結晶する工程と
を含んでなる方法。
【請求項39】
以下の構造を有する化合物を製造するための、請求項36に記載の方法であって;
【化34】

a)3-アミノピリジン、メチレンクロリド中の6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサン酸を混合する工程と;
b)HOBt、EDC・HClおよびDIPEAを前記工程a)の混合物に加える工程と;
c)前記工程b)の混合物を室温で3時間撹拌し、以下の化合物を得る工程と;
【化35】

d)前記工程c)の化合物を脱保護条件下で反応させ、以下の化合物を得る工程と;
【化36】

e)2,2’-ジチオ二安息香酸、HOBt、EDC・HClおよびDMFを混合する工程と;
f)前記工程d)の化合物を前記工程e)とDIPEAの混合物に加え、室温で一晩撹拌する工程と;
g)前記工程f)の生成物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出する工程と;
h)有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濃縮する工程と;
i)粗製の残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、以下の化合物を得る工程と;
【化37】

j)前記工程i)の化合物を氷冷したメタノールおよびメチレンクロリド中に溶解し、濃HClおよびZn粉末を加える工程と;
k)前記工程j)の混合物を4時間撹拌し、前記混合物を水およびメチレンクロリドで希釈する工程と;
l)水層を分離し、水性の飽和炭酸水素ナトリウムを加え、冷却する工程と;
m)ろ過により固体を回収し、一晩乾燥する工程と;
n)熱メタノールとメチレンクロリドの混合物を用いて乾燥固体を抽出する工程と;
o)ガラスフィルターペーパーを用いて熱い溶液を濾過する工程と;
p)ろ液を蒸発させて乾燥し、酢酸エチルを用いて倍散し、以下の化合物を得る工程と
【化38】

を含んでなる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図8I】
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【図8J】
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【図8K】
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【図8L】
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【図8M】
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【図8N】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−540633(P2010−540633A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527975(P2010−527975)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/011367
【国際公開番号】WO2009/045440
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(510090726)リクスト・バイオテクノロジー,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】