説明

HM74A受容体アゴニストとしてのアントラニル酸誘導体

式(I)


[式中、R、RおよびWは、本明細書中で定義されるとおりである]
で示される治療上活性なアントラニル酸誘導体、該誘導体の製法、該活性化合物を含有する医薬処方、および治療、特に、HM74A受容体の不十分な活性化が疾患に寄与するか、または該受容体の活性化が有益である疾患の治療における該化合物の使用が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アントラニル酸誘導体である治療上活性な化合物、該誘導体の製造方法、該活性化合物を含有する医薬製剤、該化合物の治療における使用、特に、HM74A受容体の不十分な活性化が寄与しているか、または該受容体の活性化が利益をもたらす疾患の治療における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
異常脂質血症は、異常なリポタンパク質プロファイルを有する個体を表すのに使用される一般的な用語である。臨床上、異常脂質血症の患者、したがって、心血管疾患の危険性がある患者の治療に使用される化合物の主要なクラスは、スタチン、フィブラート、胆汁酸結合樹脂およびニコチン酸である。ニコチン酸(ナイアシン、ビタミンB)は、様々な形態の異常脂質血症の患者に対し、40年以上もの間、臨床的に使用されてきた。ニコチン酸の主な作用様式は、ホルモン感受性トリグリセリドリパーゼ(HSL)の阻害を介したものであり、血漿非エステル化脂肪酸(NEFA)の減少をもたらし、次いで、肝脂肪代謝を変化させて、LDLおよびVLDL(低および超低密度リポタンパク質)の産生を低下させる。VLDLレベルの減少は、コレステロールエステル転送タンパク質(CETP)活性を低下させ、その結果、心臓血管調整効果が観察される原因になりうるHDL(高密度リポタンパク質)の増加をもたらすと考えられる。かくして、ニコチン酸は、リポタンパク質プロファイルに非常に望ましい変化をもたらし、VLDLおよびLDLのレベルを低下させると同時に、HDLを増加させる。ニコチン酸は、疾患修飾効果があることも明らかにされており、アテローム性動脈硬化病変の進行を遅くし、かつ退行を速くし、いくつかの治験では、心臓血管系事象数を減少させる。
【0003】
ニコチン酸治療によって観察されるHSLの阻害は、アデニリルシクラーゼのGタンパク質媒介型阻害によって引き起こされる細胞性環状アデノシン一リン酸(cAMP)の減少によって媒介される。最近、Gタンパク質結合受容体HM74およびHM74Aがニコチン酸の受容体であることが確認された(PCT特許出願WO02/84298;Wise他 J Biol Chem.2003 278(11)9869〜9874)。ヒトHM74AのDNA配列は、Genbank;受入れ番号AY148884に見出すことができる。その他、2つの論文が、この発見を裏付けているが(Tunaru他 Nature Medicine 2003(3)352〜255、およびSoga他 Biochem Biophys Res Commn.2003 303(1)364〜369)、命名がわずかに異なっている。Tunaruの論文でヒトHM74と呼ばれるものは、実際にはHM74Aであり、Sogaの論文におけるHM74bは、HM74Aと同一である。HM74Aおよび/またはHM74を発現するようにトランスフェクトされた細胞は、ニコチン酸に曝された後、GGタンパク質媒介型応答を顕在化する能力を獲得する。HM74A相同物が不足しているマウス(m−PUMA−G)では、ニコチン酸は、血漿NEFAレベルを低下させることができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、今回、ニコチン酸受容体HM74Aの選択的アゴニストであって、したがって、該受容体の不十分な活性化が寄与するか、または該受容体の活性化が有益である疾患の治療、予防、および抑制において有効な一連のアントラニル酸誘導体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は、治療上活性なアントラニル酸誘導体、該誘導体の治療での使用、特に、HM74A受容体の不十分な活性化が寄与するか、または該受容体の活性化が利益をもたらす疾患、特に、異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の障害、例えば、糖尿病性異常脂質血症および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患の治療における該誘導体の使用を提供する。同様に、該化合物は、また、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中、ならびに、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管適応症の治療薬として好ましい場合がある。該化合物は、以下にさらに述べるように、炎症性の疾患または状態の治療にも役立てることができる。
【0006】
本明細書に記述されている中間体、製剤、方法、およびプロセスは、本発明のさらなる態様を形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
発明の詳細な記載
本発明の1の態様によると、発明者らは、式(I)
【化1】

[式中、
は、水素、ハロゲンまたはC−Cアルキルを示し;
は、6または10員のアリールまたはヘテロアリール環系を示し;
Wは、−C(R)−(CH−、−C(R)−(CHNHC(O)−、−C(R)−(CHNHC(O)NH−、−C(R)−(CHNHC(O)O−、−C(R)−(CHSONR5−、−C(R)−(CHNRSO−、−C(R)−(CHO−、−C(R)−(CHC(O)−、−C(R)−(CHNH−、−C(R)−(CHS−、−C(R)−(CHO−CH−、
【化2】

から選択されるリンカーを示し;
Vは、CHまたはNを示し;
X、YおよびZは、独立して、CH、O、NまたはSを示し、但し、X、YおよびZの3つ全てがCHを示すことはなく;
Aは、−C(R)−(CH−、−C(R)−(CHO−、−C(R)−(CHNH−および−C(R)−(CHS−から選択されるリンカーを示し;
nは、0、1および2から選択される整数を示し;
は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアリールまたはC−Cシクロアルキルを示し;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアリールまたはC−Cシクロアルキルを示すか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、4、5、6または7員のシクロアルキル環を形成し;
は、水素またはC−Cアルキルを示す]
で示される化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理学上機能的な誘導体を提供する。
【0008】
該化合物は、HM74A受容体の不十分な活性化(under-activation)が寄与するか、または該受容体の活性化が有益である疾患、特に、異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の疾患、例えば、糖尿病性異常脂質血症、混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患の治療に有用である。同様に、該化合物は、また、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中、ならびに、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管適応症の治療薬として好ましい場合がある。
【0009】
ある特定の具体例において、Rは、水素、フッ素またはメチル(例えば、水素)を示す。
【0010】
ある特定の具体例において、Wは、−C(R)−(CHO−(例えば、−CH(CH)−O−)、−C(R)−(CH−(例えば、−CH(CH)−CH−)、−C(R)−(CHS−(例えば、−CH(CH)−S−)、−C(R)−(CHO−CH−(例えば、−CH(CH)O−CH−)または
【化3】

を示す。
【0011】
ある特定の具体例において、RおよびRのうち1つは水素を示し、他方はC−Cアルキル、
【化4】

【0012】
本発明の特定の具体例において、nは1を示す。
本発明のある特定の具体例において、Rは、水素またはメチルを示す。
【0013】
は、本明細書中に定義されるようなアリール、ヘテロアリール、ビアリール、ヘテロ−ビアリール、縮合アリール−シクロアルキル、縮合ヘテロアリール−シクロアルキル、縮合アリール−複素環または縮合ヘテロアリール−複素環系を示していてもよい。Rがヘテロ原子を包含するある特定の具体例において、1〜3個のヘテロ原子が存在する。該R環系は、環炭素原子または存在するならば、ヘテロ原子のいずれかを介して、Zリンカーに結合していてもよい。
【0014】
単位が10員環系である本発明のある特定の具体例において、これはナフチルであってもよく、1、2または3個のヘテロ原子を有していてもよい。2または3個のヘテロ原子が存在する場合、特定の具体例において、それら全てが該縮合系の同じ環に存在する。特定の具体例において、10員環系のヘテロ原子は、窒素原子である。ある特定の具体例において、10員のR基は、
【化5】

からなる群から選択される。
【0015】
単位が10員環系である場合、これは不飽和であってもよい。Rが置換された10員環系であるある特定の具体例において、置換基は、C−Cアルキル(例えば、メチル)、−C(O)Me、=O、およびC−Cアルコキシ(例えば、メトキシ)から選択される。
【0016】
が6員ヘテロアリール環を示す場合、Rは、チオフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびピラジニルから選択されてもよい。ある特定の他の具体例において、Rは、6員のアリール、例えば、フェニルを示す。R単位が6員アリールまたはヘテロアリール環を示す場合、これは非置換であってもよい。Rがフェニルを示す場合、これは非置換であってもよく、またはメチルもしくは非置換フェニルで一置換されていてもよい(すなわち、メチルフェニルまたはビフェニルであってもよい)。R環が置換された6員ヘテロアリールである特定の具体例において、1以上の置換基は、ハロゲン(例えば、フッ素)、C−Cアルキル(例えば、メチル)、C−Cアルコキシ(例えば、メトキシ)、ペルフルオロC−Cアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、非置換C6アリール(例えば、フェニル)、−NH−SO、COHおよびCOMeから選択される。
【0017】
が単置換フェニルを示す具体例において、置換基は、メタ位またはパラ位、例えば、パラ位にある。
【0018】
本発明が、特定の具体例の組み合わせのいずれかを包含し、上記の特定の置換基のあらゆる組み合わせを包含することが理解されよう。
【0019】
本発明の明細書および添付される特許請求の範囲の全体を通して、「含む(comprise)」および「包含する(include)」という語と、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「包含する(includes)」、および「包含している(including)」などの変形例は、全てを含むと解釈すべきである。即ち、これらの単語は、文脈が許す場合には、具体的に列挙されていないその他の要素または整数を含むことが可能であることを示唆するものとする。
【0020】
本明細書で使用される、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を指す。
【0021】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は(基として、または基の一部として使用する場合)、指定された数の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状の炭化水素鎖を指す。例えばC〜Cアルキルは、少なくとも1個、かつ多くとも3個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状の炭化水素鎖を意味する。本明細書で使用されるアルキルの例には、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、およびi−プロピルなどが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0022】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は(基として、または基の一部として使用する場合)、アルキルエーテル基を指し、この「アルキル」という用語は、上記にて定義した通りである。本明細書で使用されるアルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、およびi−プロポキシなどが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0023】
本明細書中で使用する場合、「アリール」なる語(基として、または基の一部として使用する場合)は、特定数の炭素原子を含有する芳香環をいう。本明細書中で使用する場合、アリールの例は、限定するものではないが、フェニルを包含する。該アリール基は、置換されていてもよく、別記しない場合、置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C(O)Me、COH、COMeおよび=Oから選択される1以上の基であってもよい。
【0024】
本明細書中で使用する場合、「ビアリール」なる語(基として、または基の一部として使用する場合)は、特定数の原子を含有し、かつ、2個の原子を共通で有する2個の芳香環を含む基をいう。本明細書中で使用する場合、ビアリールの例は、限定するものではないが、ナフチルを包含する。該ビアリール基は、置換されていてもよく、別記しない場合、置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C(O)Me、COH、COMeおよび=Oから選択される1以上の基であってもよい。
【0025】
本明細書中で使用する場合、「ヘテロ−ビアリール」なる語(基として、または基の一部として使用する場合)は、特定数の原子を含有し、かつ、1以上の窒素、硫黄または酸素ヘテロ原子を含有するビアリール基をいう。本明細書中で使用する場合、ヘテロ−ビアリールの例は、限定するものではないが、キノリン、イソキノリン、キノキサリンおよびベンゾトリアジン基を包含する。該ヘテロ−ビアリール基は、置換されていてもよく、別記しない場合、置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C(O)Me、COH、COMeおよび=Oから選択される1以上の基であってもよい。
【0026】
本明細書中で使用する場合、「縮合アリール−シクロアルキル」なる語(基として、または基の一部として使用する場合)は、特定数の原子を含有し、かつ、2個の原子を共通で有する1つの芳香環および1つの脂環を含む基をいう。該縮合アリール−シクロアルキル基は、置換されていてもよく、別記しない場合、置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C(O)Me、COH、COMeおよび=Oから選択される1以上の基であってもよい。
【0027】
本明細書中で使用する場合、「縮合ヘテロアリール−シクロアルキル」なる語(基として、または基の一部として使用する場合)は、そのアリール環が1以上の窒素、硫黄または酸素ヘテロ原子を含有する特定数の原子を含有する縮合アリール−シクロアルキル基をいう。該縮合ヘテロアリール−シクロアルキル基は、置換されていてもよく、別記しない場合、置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C(O)Me、COH、COMeおよび=Oから選択される1以上の基であってもよい。
【0028】
本明細書中で使用する場合、「縮合アリール−複素環」なる語(基として、または基の一部として使用する場合)は、その複素環が1以上の窒素、硫黄または酸素ヘテロ原子を含有する特定数の原子を含有する縮合アリール−シクロアルキル基をいう。該縮合アリール−複素環基は、置換されていてもよく、別記しない場合、置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C(O)Me、COH、COMeおよび=Oから選択される1以上の基であってもよい。
【0029】
本明細書中で使用する場合、「縮合ヘテロアリール−複素環」なる語(基として、または基の一部として使用する場合)は、1以上の窒素、硫黄または酸素ヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子が2つの環の間で共有の原子として存在するか、または1以上のヘテロ原子が各環に存在する特定数の原子を含有する縮合アリール−シクロアルキル基をいう。該縮合ヘテロアリール−複素環基は、置換されていてもよく、別記しない場合、置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−C(O)Me、COH、COMeおよび=Oから選択される1以上の基であってもよい。
【0030】
本明細書で使用される「生理学上機能的な誘導体」という用語は、本発明の化合物のいずれかの医薬上許容される誘導体を指し、例えば、そのエステルまたはアミドを指し、ヒトなどの哺乳類に投与した後に、式(I)の化合物、あるいはその活性代謝産物または残渣を提供する(直接または間接的に)ことが可能ないずれかの医薬上許容される式(I)の化合物の塩、エステル、またはそのようなエステルの塩を含む。式(I)の化合物は、該化合物中の官能基のいずれかで、その生理学上機能的な誘導体が得られるように修飾されていてもよく、また式(I)の化合物は、複数の位置でそのように修飾されていてもよいことが、当業者に理解されよう。
【0031】
本明細書で使用される場合、患者に投与するための医薬処方に含めることができる成分(活性成分または賦形剤)に関して使用される「医薬上許容される」という用語は、成分が医薬処方中に存在するいずれか他の成分に対して適合性であって、かつ、そのレシピエントに有害ではないという意味で許容されることを指す。
【0032】
本明細書で使用される「溶媒和物」という用語は、溶質(本発明では、式(I)の化合物、その塩、またはその生理学上機能的な誘導体)および溶媒によって形成された種々の化学量論量の複合体を指す。本発明の目的のためのかかる溶媒は、溶質の生物活性を妨げない。適当な溶媒の例には、水、メタノール、エタノール、および酢酸が含まれる。使用される溶媒は、医薬上許容される溶媒であることが好ましい。適当な医薬上許容される溶媒の例には、水、エタノール、および酢酸が含まれる。使用される溶媒は、水であることが最も好ましく、その場合は溶媒和物を、問題となっている溶質の水和物と呼ぶことができる。
【0033】
医薬の用途では、上記にて言及された「塩または溶媒和物」が、医薬上許容される塩または溶媒和物であることが理解されよう。しかしながら、他の塩または溶媒和物は、例えば、式(I)の化合物の調製、あるいは医薬上許容されるその塩または溶媒和物の調製で用途を見出すことができる。
【0034】
医薬上許容される塩には、Berge,BighleyおよびMonkhouseによるJ.Pharm.Sci.,1977,66,1〜19に記載されているものが含まれる。適当な医薬上許容される塩には、無機酸または有機酸、好ましくは無機酸の付加から形成された酸付加塩が含まれる。適当な酸付加塩の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、および酢酸塩が含まれる。医薬上許容される塩のさらに代表的な例には、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモ酸、コハク酸、ビスメチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、リン酸、および硝酸から形成されたものが含まれる。適当な医薬上許容される塩には、アルカリ金属水酸化物などのアルカリ金属塩基の付加から形成されたアルカリ金属塩も含まれる。適当なアルカリ金属塩の例は、ナトリウム塩である。
【0035】
本発明の化合物は、異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の多くの疾患、例えば、糖尿病性異常脂質血症、および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患の症状の治療および改善において治療上の利益をもたらす可能性がある。同様に、該化合物は、また、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中、ならびに、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管適応症の治療薬として好ましい場合がある。これら疾患の1つまたは複数の治療における、式(I)の化合物の使用は、本発明のさらなる態様である。
【0036】
さらに、HM74およびHM74A受容体は炎症に関与すると考えられている。炎症とは、外傷に対する血管、細胞および神経の一連の応答を表す。炎症は、単球、好中球および顆粒球などの炎症細胞の組織内への移動として特徴付けることができる。これは通常、内皮障壁機能の低下および組織内への浮腫に関連する。疾患に関する炎症は、典型的に、慢性炎症と呼ばれ、生涯続く可能性がある。このような慢性炎症は、疾患症状を通じて発現しうる。したがって、抗炎症療法の目的は、この慢性炎症を低下させ、かつ、治癒および組織修復の生理学的プロセスを進行させることである。
【0037】
したがって、本発明のさらなる態様は、関節の炎症性疾患または炎症状態、特に、関節炎(例えば、関節リウマチ、骨関節症、人工関節障害)、あるいは胃腸管の炎症性疾患または炎症状態(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、および他の炎症性腸および胃腸疾患、感染由来の胃炎および粘膜炎症、非ステロイド性抗炎症剤によって誘発される腸疾患)、肺の炎症性疾患または炎症状態(例えば、成人呼吸窮迫症候群、喘息、嚢胞性線維症、または慢性閉塞性肺疾患)、心臓の炎症性疾患または炎症状態(例えば、心筋炎)、神経組織の炎症性疾患または炎症状態(例えば、多発性硬化症)、膵臓の炎症性疾患または炎症状態(例えば、真性糖尿病およびその合併症に関連する炎症)、腎臓の炎症性疾患または炎症状態(例えば、糸球体腎炎)、皮膚の炎症性疾患または炎症状態(例えば、皮膚炎、乾癬、湿疹、蕁麻疹、日焼け)、眼の炎症性疾患または炎症状態(例えば、緑内障)、ならびに移植臓器(例えば、拒絶)および多臓器疾患(例えば、全身性エリテマトーデス、腐敗症)の炎症性疾患または炎症状態、およびウイルスまたは細菌感染の炎症性続発症、およびアテローム性動脈硬化症に関連する炎症状態、および例えば、脳または虚血性心臓病における、低酸素症または虚血性傷害(再潅流を伴う、または伴わない)後の炎症状態の治療における、上記にて定義された式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは生理学上機能的な誘導体の使用にある。
【0038】
特に、式(I)の化合物は、炎症、およびアテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、高トリグリセリド血症、および混合型異常脂質血症を包含する心血管疾患または状態の治療および予防に有用である。
【0039】
したがって、異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の障害、例えば、糖尿病性異常脂質血症、および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患の治療のための医薬の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学上機能的な誘導体の使用が提供される。該化合物は、また、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中、ならびに、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管適応症の治療における使用のために提供される。
【0040】
ニコチン酸は、おそらく高レベルで(毎日、グラム量で)投与されるので、著しい副作用プロファイルを有している。最も一般的な副作用は、激しい皮膚の発赤である。本発明の化合物は、好ましくは、ニコチン酸に比べて少ない副作用を示す。HM74Aは、ニコチン酸に対して高親和性の受容体であることが確認されているのに対し、HM74は、低親和性の受容体である。望ましくは、本発明の化合物は、HM74Aに対して選択的であり、これは、本発明の化合物が、HM74に対してよりもHM74Aに対してより大きい親和性を示すことを意味している。
【0041】
式(I)の化合物がHM74Aを活性化する能力は、例えば、下記の酵素およびイン・ビトロ全細胞アッセイを用いて実証することができる。
【0042】
イン・ビトロ試験
一過性トランスフェクションのために、HEK293細胞(SV40ラージT抗原を安定して発現するHEK293細胞)を、10%胎仔ウシ血清および2mMグルタミンを含有するDMEM中で維持する。細胞を90mm培養皿に播き、トランスフェクション前に、60〜80%の集密度になるまで(18〜24時間)成長させる。ヒトHM74A(GenBankTM(登録商標)受入れ番号AY148884)を哺乳動物発現ベクター(pcDNA3;Invitrogen)内でサブクローニングし、リポフェクタミン試薬を使用してトランスフェクトする。トランスフェクションのために、DNA 9μgを、Opti−MEM(Life Technologies Inc.)0.6ml中で30μlのリポフェクタミンと混合し、室温で30分間インキュベートした後に、Opti−MEM 1.6mlを添加する。細胞をリポフェクタミン/DNA混合物に5時間曝し、次いで、DMEM中における20%(v/v)胎仔ウシ血清6mlを添加する。トランスフェクション後48時間で細胞を収集する。百日咳毒素処理を、50ngml−1で培地に補うことにより、16時間実施する。全ての一過性トランスフェクション研究は、受容体と、Gi/oGタンパク質、Go1αとの同時トランスフェクションを含む。
【0043】
安定な細胞系統の作成のために、上記の方法を使用して、30%の集密度に成長させた6ウェルプレートに播かれたCHO−K1細胞をトランスフェクトする。これらの細胞を、10%胎仔ウシ血清および2mMグルタミンを含有するDMEM F−12 HAM培地中で維持する。トランスフェクション後48時間で、培地に400μg/mlのジェネティシン(G418、Gibco)を補い、抗生物質抵抗性細胞の選択を行う。HM74Aを安定して発現するクローンCHO−K1細胞系統は、がニコチン酸添加後の[35S]−GTPγS結合測定によって確認される。
【0044】
P2膜調製
原形質膜含有P2粒状画分を、採取後に−80℃で凍結させた細胞ペーストから調製する。全ての手順は、4℃で実施する。細胞ペレットを、1mlの10mM Tris−HClおよび0.1mM EDTA、pH7.5(緩衝液A)に再懸濁し、Ultra Turraxで20秒間均質化し、その後、25ゲージ針に通す(5回)。細胞可溶化物を、1000gで10分間マイクロ遠心機で遠心分離して、核および破壊されていない細胞をペレット化し、P2粒状画分を16000gで30分間、マイクロ遠心機により回収する。P2粒状画分を、緩衝液A中に再懸濁し、必要になるまで−80℃で保管する。
【0045】
35S]−GTPγS結合−アッセイは、以前に記載されたように、96ウェルフォーマットで(Wieland,T.およびJakobs,K.H.(1994)Methods Enzymol.237,3〜13)、または384ウェルフォーマットで実施された適応済みプロトコルにおいて室温で行う。
【0046】
96ウェルフォーマット:
手短に言うと、膜(1点当たり10μg)を、サポニン(10mg/l)が補われたアッセイ緩衝液(20mM HEPES、100mM NaCl、10mM MgCl、pH7.4)中で0.083mg/mlに希釈し、10mM GDPと共にプレインキュベートする。様々な濃度のニコチン酸または関連する分子を添加し、その後、0.3nM(100μlの総容量)の[35S]−GTPγS(1170 Ci/mmol、Amersham)を添加し、室温で30分間、結合を進行させる。非特異的結合を、0.6mM GTPを含めることによって測定する。25μlのアッセイ緩衝液中における小麦胚芽凝集素SPAビーズ(Amersham)(0.5mg)を添加し、その全体を撹拌しながら室温で30分間インキュベートする。プレートを1500gで5分間遠心分離し、結合した[35S]−GTPγSを、Wallac 1450マイクロベータTriluxシンチレーションカウンタでシンチレーションカウントすることによって測定する。
【0047】
384ウェルフォーマット:
簡単に言うと、標準または試験化合物の希釈物を調製し、10μlの容量で384ウェルプレートに添加する。膜(HM74AまたはHM74)を、サポニン(60μg/ml)、Leadseeker WGAビーズ(Amersham;250μg/ウェル)および10μM GDPが補われたアッセイ緩衝液(20mM HEPES、100mM NaCl、10mM MgCl、pH7.4)中に希釈し、その結果、各ウェルに添加された20μlの容量が膜5μgを含有するようにする。[35S]−GTPγS(1170 Ci/mmol、Amersham)をアッセイ緩衝液中に希釈し(1:1500)、20μlを各ウェルに添加する。放射性リガンドを添加した後、プレートを密封し、パルススピンを行い、室温で4時間インキュベートする。インキュベーション期間の終わりに、プレートをLeadseeker機(VIEWLUX PLUS;Perkin−Elmer)で読み取って、特異的結合のレベルを測定する。
【0048】
イン・ビボ試験
HM74Aアゴニストについて、研究前に少なくとも12時間絶食させた雄性Spague−Dawleyラット(200〜250g)で試験をする。化合物を、静脈内(5ml/kg)または経口栄養補給(10ml/kg)によって投与する。血液サンプル(0.3ml 尾静脈から採血)を投与前および投与後に3回採取する(投与後、15分から8時間に及ぶ時間で)。各血液サンプルをヘパリン管(Becton Dickinson Microtainer,PST LH)に移し、遠心分離して(10000gで5分間)、血漿サンプルを作製する。血漿サンプルの非エステル化脂肪酸(NEFA)レベルに関し、市販のキット(Randox)を使用してアッセイを行う。投与前のレベルに相対的な血漿NEFAレベルの阻害を、HM74Aアゴニスト活性の代わりとして使用する。
【0049】
本発明の化合物が、ニコチン酸に関連した発赤応答を示すか否かを決定するために、本発明の化合物を、麻酔下にあるモルモットに投与する。ニコチン酸は、陽性対照として使用する。雄性Dunkin Hartleyモルモット(300〜800g)を12時間絶食させ、その後に、塩酸ケタミン(Vetalar、40mg/kg i.m.)、キシラジン(Rompun、8mg/kg i.m.)、およびペントバルビタール酸ナトリウム(Sagatal、30mg/kg i.p.)の混合物で麻酔をかける。麻酔後、気管切開を行い、この動物を、大気を用いて機械的に呼吸させる(10〜12mL/kg、呼吸60回/分)。頚静脈および頚動脈に、試験化合物の静脈内投与のためのカニューレ処置を施し、それぞれ血液を収集する。赤外線温度プローブ(Extech Instruments)を、左耳の先端から3〜5mmの位置に置く。温度測定値を、試験化合物またはニコチン酸の投与前の5分から、試験化合物またはニコチン酸の投与後の40分まで、毎分記録する。データは、Psionコンピュータで自動的に収集され、その後、Excelスプレッドシート内でデータ解析するために転送される。化合物投与の前、および化合物投与の後の短い間隔で、血液サンプル(0.3ml)を頚動脈カニューレを介して採取し、リチウムヘパリンが入っているMicrotainer(BD)管に移す。サンプルを、血液ローラ上で完全に混合し、次いで氷上で保管した後に、1200gで5分間遠心分離する。
【0050】
式(I)の化合物を合成した(下記の合成例を参照)。
【0051】
上記のように、式(I)の化合物は、異常脂質血症および高リポタンパク血症を管理する際の、ヒトおよび動物の医療において、特にHM74Aの活性化剤として有用である。
【0052】
かくして、本発明のさらなる態様として、ヒトの医学または獣医学において、特に、異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の障害、例えば、糖尿病性異常脂質血症および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症を包含する心血管疾患、動脈硬化症、高トリグリセリド血症、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中、ならびに、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管適応症の治療において有用な式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物または生理学上機能的な誘導体が提供される。
【0053】
当然のことながら、本明細書における治療への言及は、予防、再発防止および症状抑制ならびに確立された状態の治療にまで及ぶ。
【0054】
本発明の別の態様によると、異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の障害の治療のための医薬の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物または生理学上機能的な誘導体の使用が提供される。特に、糖尿病性異常脂質血症、混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中、ならびに、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管適応症の治療のための医薬の製造における式(I)の化合物の使用が提供される。
【0055】
本発明の該態様が医薬の製造における式(I)の化合物の使用に関して、特定の具体例のいずれの組み合わせも包含し、かつ、上記の式(I)の化合物の特定の置換基のあらゆる組み合わせを包含することが理解されよう。
【0056】
さらに、本発明は、関節の炎症性疾患または炎症状態、特に、関節炎(例えば、関節リウマチ、骨関節症、人工関節障害)、あるいは胃腸管の炎症性疾患または炎症状態(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、および他の炎症性腸および胃腸疾患、感染由来の胃炎および粘膜炎症、非ステロイド性抗炎症剤によって誘発される腸疾患)、肺の炎症性疾患または炎症状態(例えば、成人呼吸窮迫症候群、喘息、嚢胞性線維症、または慢性閉塞性肺疾患)、心臓の炎症性疾患または炎症状態(例えば、心筋炎)、神経組織の炎症性疾患または炎症状態(例えば、多発性硬化症)、膵臓の炎症性疾患または炎症状態(例えば、真性糖尿病およびその合併症に関連する炎症)、腎臓の炎症性疾患または炎症状態(例えば、糸球体腎炎)、皮膚の炎症性疾患または炎症状態(例えば、皮膚炎、乾癬、湿疹、蕁麻疹、日焼け)、眼の炎症性疾患または炎症状態(例えば、緑内障)、ならびに移植臓器(例えば、拒絶)および多臓器疾患(例えば、全身性エリテマトーデス、腐敗症)の炎症性疾患または炎症状態、およびウイルスまたは細菌感染の炎症性続発症、およびアテローム性動脈硬化症に関連する炎症状態、および例えば、脳または虚血性心臓病における、低酸素症または虚血性傷害(再潅流を伴う、または伴わない)後の炎症状態の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその生理学上許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0057】
さらなる、または別の態様において、HM74A受容体の不十分な活性化が寄与するか、または該受容体の活性化が有益である疾患を罹患しているヒトまたは動物の治療方法であって、該ヒトまたは動物対象に有効量の式(I)の化合物またはその生理学上許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを特徴とする方法が提供される。
【0058】
また、本発明の該態様は、治療方法における式(I)の化合物の使用に関して、特定の具体例のいずれの組み合わせも包含し、かつ、上記の式(I)の化合物の特定の置換基のあらゆる組み合わせを包含することが理解されよう。
【0059】
より詳細には、本発明は、異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の障害、例えば、糖尿病性異常脂質血症、混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満の治療方法であって、ヒトまたは動物対象に、有効量の式(I)の化合物またはその生理学上許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを特徴とする方法を提供する。同様に、該化合物は、また、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中の治療方法であって、ヒトまたは動物対象に、有効量の式(I)の化合物を投与することを特徴とする方法においても好ましい。
【0060】
望ましい生物学的効果を達成するのに必要とされるHM74Aモジュレーターの量は、当然ながら、いくつかの要因、例えば、投与様式およびレシピエントの正確な臨床状態に依存する。一般に、日用量は、0.1mg〜1g/kgの範囲、典型的には0.1〜100mg/kgになる。静脈内用量は、例えば、1分当たり、0.01mgから0.1g/kgの範囲、典型的には0.01mgから10mg/kgであってもよく、好都合には、0.1μgから1mgの輸液として投与することができる。この目的に適した輸液は、例えば、1ミリリットル当たり0.01μgから0.1mgを含有してよい。単位用量は、例えば、HM74Aモジュレーターを0.01μgから1g含有してよい。したがって、注射用アンプルは、例えば、0.01μgから0.1gを含有することができ、錠剤やカプセルなどの経口投与可能な単位用量処方は、例えば、0.1mgから1gを含有することができる。本発明の化合物を上記の投薬範囲で投与した場合、毒物学的効果は示されず/予測されない。
【0061】
本発明の化合物は、HM74A受容体の不十分な活性化が寄与しているか、または該受容体の活性化が利益をもたらすことになる疾患の治療において、化合物そのものとして用いてもよいが、好ましくは、医薬処方の形態で許容される担体と共に提供される。担体は、当然ながら、処方の他の成分と適合性があるという意味で許容可能でなければならず、レシピエントに有害であってはならない。担体は、固体または液体でもよく、あるいはその両方でもよく、単位用量処方として、例えば、錠剤として、HM74Aモジュレーターと共に処方することが好ましく、HM74Aモジュレーターを0.05重量%から95重量%含有することができる。
【0062】
処方には、経口、直腸、局所、バッカル(例えば舌下)、および非経口(例えば皮下、筋肉内、皮内、または静脈内)投与に適したものが含まれる。
【0063】
本発明によれば、成分を混合する工程を含むかかる医薬組成物を調製するための方法も提供される。
【0064】
経口投与に適した処方は、カプセル、カシェ剤、ロゼンジまたは錠剤など、それぞれが所定量のHM74Aモジュレーターを含有している別個の単位において、粉末または顆粒として、水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として、あるいは水中油または油中水エマルジョンとして提供されうる。一般に、処方は、活性なHM74Aモジュレーターと、液体または微粉化固形担体あるいはこれら両方とを、均一にかつ十分に混合し、次いで、必要に応じて、生成物を成形することによって調製される。例えば、錠剤は、所望により1種または複数の副成分と共に、HM74Aモジュレーターの粉末または顆粒を圧縮または成型することによって調製されうる。圧縮された錠剤は、所望により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤および/または表面活性/分散剤と共に混合した、粉末や顆粒などの易流動性形態の化合物を適切な機械で圧縮することによって調製されうる。成型された錠剤は、不活性液状希釈剤で湿らせた粉末状化合物を適切な機械で成型することによって作製されうる。
【0065】
経口投与のための錠剤およびカプセルは、結合剤、例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、デンプンの粘漿剤、またはポリビニルピロリドン;増量剤、例えば、ラクトース、微結晶質セルロース、砂糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、またはソルビトール;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、またはシリカ;崩壊剤、例えば、ジャガイモデンプン、クロスカルメロースナトリウム、またはデンプングリコール酸ナトリウム;あるいはラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤など、従来の賦形剤を含有してもよい。錠剤は、当該分野で周知の方法に従ってコーティングしてもよい。経口液体製剤は、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ、またはエリキシルの形をとることができ、あるいは、使用前に水またはその他の適切なビヒクルを加えて元に戻すための乾燥生成物として提供することができる。そのような液体製剤は、懸濁剤、例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/シュガーシロップ、ゼラチン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、または水素化食用脂肪;乳化剤、例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアラビアゴム;非水性ビヒクル(食用油を含んでもよい)、例えば、アーモンド油、分画ヤシ油、油性エステル、プロピレングリコール、またはエチルアルコール;あるいは保存剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピル、またはソルビン酸など、従来の添加剤を含有してもよい。製剤は、緩衝塩、香料、着色剤、および/または甘味料(例えばマンニトール)を、必要に応じて含有してもよい。
【0066】
バッカル(舌下)投与に適した処方には、風味付けした基剤、通常はシュークロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントゴム中に、HM74Aモジュレーターを含むロゼンジと、ゼラチンおよびグリセリンまたはシュークロースおよびアラビアゴムなどの不活性基剤中にHM74Aモジュレーターを含む香錠が含まれる。
【0067】
非経口投与に適した本発明の処方は、好都合には、好ましくは意図されるレシピエントの血液と浸透圧が等しいHM74Aモジュレーターの滅菌水性製剤を含む。これらの製剤は、静脈内投与することが好ましいが、投与は、皮下、筋肉内、または皮内注射を用いて行ってもよい。そのような製剤は、好都合には、HM74Aモジュレーターと水とを混合し、得られた溶液を滅菌し、血液と浸透圧を等しくすることによって調製することができる。本発明による注射可能な組成物は、一般に、HM74Aモジュレーターを0.1から5%w/w含有することになる。
【0068】
したがって、本発明の化合物を含む非経口投与に適した本発明の処方は、ボーラス注射または連続輸液による非経口投与に合わせて処方することができ、単位用量形態、例えばアンプルやバイアル、小容量輸液、または充填済みシリンジで、あるいは保存剤が添加された多回用量容器において提供することができる。該組成物は、水性または非水性ビヒクル中の溶液、懸濁液またはエマルジョンなどの形をとることができ、酸化防止剤、緩衝液、抗菌剤および/または毒性調節剤などの製剤助剤を含有することができる。あるいは、活性成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば、滅菌された発熱物質を除去した水を加えることによって元に戻すことができるような粉末形態であってもよい。該乾燥固体は、滅菌粉末を無菌状態で個々の滅菌容器内に充填することによって、または滅菌溶液を無菌状態で各容器に充填し、次いで、凍結乾燥することによって調製されうる。
【0069】
直腸投与に適した処方は、好ましくは、単位用量の坐薬として提供される。これらは、HM74Aモジュレーターと、1種または複数の従来の固体担体、例えばココアバターまたはグリセリドとを混合し、次いで得られた混合物を成形することによって調製されうる。
【0070】
皮膚への局所施用に適した処方は、好ましくは、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油の形をとる。使用することができる担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびこれらの2種以上の組合せが含まれる。HM74Aモジュレーターは、一般に、組成物の0.1から15%w/wの濃度、例えば0.5から2%の濃度で配合される。
【0071】
本明細書で使用される場合、局所施用には、吹送および吸入による投与も含められる。局所投与のための様々なタイプの製剤の例には、軟膏、クリーム、ローション、粉末、ペッサリー、スプレー、エアロゾル、吸入器または吹送器で使用されるカプセルまたはカートリッジ、あるいは点滴薬(例えば点眼薬または点鼻薬)が含まれる。
【0072】
軟膏およびクリームは、例えば、適切な増粘剤および/またはゲル化剤および/または溶媒を添加して、水性または油性基剤と共に処方することができる。したがってそのような基剤には、例えば、水、および/または油、例えば、液体パラフィン、または落花生油やヒマシ油などの植物油、またはポリエチレングリコールなどの溶媒を含めることができる。使用することのできる増粘剤には、パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、微結晶質ワックス、および蜜蝋を含めることができる。
【0073】
ローションは、水性または油性基剤と共に処方することができ、一般に、1種または複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、または増粘剤も含有することになる。
【0074】
外部施用のための粉末は、いずれかの適切な粉末基剤、例えば、タルク、ラクトース、またはデンプンの助けにより形成することができる。点滴薬は、1種または複数の分散剤、可溶化剤または懸濁剤も含めた水性または非水性基剤と共に処方することができる。
【0075】
スプレー組成物は、例えば、加圧されたパックから送出される水性溶液または懸濁液としてあるいはエアロゾルとして、適切なプロペラント、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、二酸化炭素、またはその他の適切な気体を使用して処方することができる。
【0076】
本発明の化合物と、ラクトースやデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含有する吸入器または吹送器で使用されるカプセルおよびカートリッジ、例えばゼラチン製のカプセルおよびカートリッジを処方することができる。
【0077】
本発明の医薬組成物は、他の治療薬と組み合わせて、例えば他の種類の異常脂質血症薬(例えばスタチン、フィブラート、胆汁酸結合樹脂、またはニコチン酸)と組み合わせて使用してもよい。
【0078】
本発明の化合物は、1種または複数の治療薬と組み合わせて、例えば、他の種類の異常脂質血症薬、例えば、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素Aレダクターゼ阻害剤(スタチン)またはフィブラートまたは胆汁酸結合樹脂またはニコチン酸と組み合わせて使用してもよい。かくして、本発明は、さらなる態様において、HM74A受容体の不十分な活性化が寄与しているか、または該受容体の活性化が利益をもたらすことになる疾患の治療におけるかかる組合せの使用、および異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の多くの疾患、例えば、糖尿病性異常脂質血症および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、または肥満の併用療法のための医薬の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学錠機能的な誘導体の使用を提供する。
【0079】
本発明の化合物を他の治療薬と組み合わせて使用する場合、該化合物は、いずれかの好都合な経路によって、連続的または同時に投与すすればよい。
【0080】
上記にて言及された組み合わせは、好都合には、医薬処方の形態で使用するために提供することができ、かくして、上記の組み合わせを最適には医薬上許容される担体または賦形剤と共に含む医薬処方は、本発明のさらなる態様を構成する。かかる組み合わせの個々の成分は、個別または組み合わされた医薬処方において、連続的または同時に投与すればよい。
【0081】
同じ処方中で組み合わせられる場合、2つの成分は安定であり、互いに適合性であり、かつ処方の他の成分とも適合性でなければならず、投与に相応しくなるよう処方されうることが理解されよう。別々に処方される場合、これらの成分は、いずれか好都合な処方において、好都合には当該分野でこのような化合物に対して知られているような方法で提供すればよい。
【0082】
同じ疾患に対して活性な第2の治療薬と組み合わせる場合、各成分の投与量は、化合物が単独で使用される場合の投与量と異なってもよい。適切な投与量は、当業者に容易に理解されよう。
【0083】
かくして、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物またはその生理学上許容される塩もしくは溶媒和物を別の治療上活性な薬剤と一緒に含む組み合わせを提供する。
【0084】
上記の組み合わせは、好都合には、医薬処方の形態で使用するために提供され、したがって、上記の組み合わせを医薬上許容される担体と共に含む医薬処方は、本発明のさらなる態様を表す。
【0085】
式(I)の化合物、ならびにその塩および溶媒和物は、本発明のさらなる態様を構成する以下に記述される方法によって調製されうる。
【0086】
略語
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
DMSO ジメチルスルホキシド
HBTU O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート
CDI カルボニルジイミダゾール
PyHOTs ピリジニウムトシラート
HATU N−{(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメチレン}−N−メチルメタンアミニウム ヘキサフルオロホスフェートN−オキシド
DCM ジクロロメタン
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
【0087】
方法A
Wが
【化6】

を示す本発明の化合物の製法は、スキーム(a):
【化7】

スキーム(a)
に示される。
【0088】
したがって、式(I)の化合物を調製するための本発明の方法は、
a)メチル2−[(クロロアセチル)アミノ]ベンゾエートと3−(1−ピペラジニル)−1,2,4−ベンゾトリアジンとの反応;
b)水酸化リチウムを用いるメチルエステルの加水分解;および
c)所望により、または必要に応じて、式(I)の得られた遊離の酸または塩基を生理学上許容される塩形態に変換し、またはその逆の変換、または1の塩形態を別の生理学上許容される塩形態に変換する
ことを含む。
【0089】
方法B
Wが
【化8】

を示す本発明の化合物の製法は、スキーム(b):
【化9】

に示される。
【0090】
したがって、式(I)の化合物を調製するための本発明の方法は、
a)HATUを用いるメチル2−アミノベンゾエートとカルボン酸とのカップリング;
b)TFAを用いるBoc基の除去;
c)アミンと3−クロロ−1,2,4−ベンゾトリアジン1−オキシドとのカップリング;
d)N−オキシドの水素化による還元;
e)炭酸ナトリウムを用いるメチルエステルの加水分解;
f)所望により、または必要に応じて、式(I)の得られた遊離の酸または塩基を生理学上許容される塩形態に変換し、またはその逆の変換、または1の塩形態を別の生理学上許容される塩形態に変換する
ことを含む。
【0091】
方法C
Wが−C(R)−(CHO−を示す本発明の化合物の製法は、スキーム(c):
【化10】

スキーム(c)
[式中、Arは、Rを示し、R2は、フェニルまたは置換されたフェニルを示す]
に示される。
【0092】
したがって、式(I)の化合物を調製するための本発明の方法は、
a)1,1−ジメチルエチル2−アミノベンゾエートと塩化2−クロロプロパノイルとを反応させて、α−クロロアミドを形成し;
b)芳香族アルコールを用いるα−クロロアミドのアルキル化;
c)TFAを用いるtert−ブチルエステルの除去;
d)所望により、または必要に応じて、式(I)の得られた遊離の酸または塩基を生理学上許容される塩形態に変換し、またはその逆の変換、または1の塩形態を別の生理学上許容される塩形態に変換する
ことを含む。
【0093】
方法D
Wが
【化11】

を示す本発明の化合物の製法は、スキーム(d):
【化12】

[式中、Rは、上記のとおりの−A−Rを示す]
に示される。
【0094】
したがって、式(I)の化合物を調製するための本発明の方法は、
a)アミドカップリング;
b)ニトリルとヒドロキシルアミンとの反応;
c)カルボン酸を用いる環化;
d)所望により、または必要に応じて、式(I)の得られた遊離の酸または塩基を生理学上許容される塩形態に変換し、またはその逆の変換、または1の塩形態を別の生理学上許容される塩形態に変換する
ことを含む。
【0095】
下記の非限定的な実施例は、本発明を説明するものである。
【実施例】
【0096】
合成例
A.方法Aを用いて合成された実施例化合物
実施例1:
2−({[4−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−1−ピペラジニル]アセチル}アミノ)安息香酸
【化13】

a)メチル2−({[4−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−1−ピペラジニル]アセチル}アミノ)ベンゾエート
メチル2−[(クロロアセチル)アミノ]ベンゾエート(122mg,0.54mmol,1.0当量)の無水DMF(2ml)中攪拌溶液を3−(1−ピペラジニル)−1,2,4−ベンゾトリアジン(150mg,0.70mmol,1.3当量)およびDIPEA(122μl,0.70mmol,1.3当量)で処理した。反応物を50℃で5時間加熱した。冷却後、混合物を水とEtOAcとの間に分配した。有機相を分離し、水層をEtOAcで1回以上抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、黄色/茶色残渣を得た(260mg,定量的)。
δ(400MHz, d6-DMSO) 2.73 (4H, m), 3.27 (2H, s), 3.89 (3H, s), 4.16 (4H, br. s), 7.19 (1H, app. t, J=7.5 Hz), 7.51 (1H, dt, J=1.1 and 8.3 Hz), 7.64 (2H, m), 7.84 (1H, m), 8.01 (1H, dd, J=1.3 and 8.0 Hz), 8.25 (1H, app. d, J=8.3 Hz), 8.70 (1H, d, 8.6 Hz), 11.98 (1H, s). m/z 407.2 [MH+].
【0097】
b)2−({[4−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−1−ピペラジニル]アセチル}アミノ)安息香酸
メチル2−({[4−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−1−ピペラジニル]アセチル}アミノ)ベンゾエート(260mg,0.64mmol,1.0当量)、LiOH(46mg,1.92mmol,3.0当量)、MeOH(15ml)および水(1ml)の混合物を40℃で6時間攪拌した。混合物を約pH4に酸性化し、クロロホルムと水との間に分配した。有機相を分離し、水層をクロロホルムで2回以上抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。得られた固体をMeOHでトリチュレートし、次いで、ろ過して、黄色/緑色固体を得た(154mg,61%)。
δH(400MHz, d6-DMSO) 2.73 (4H, m), 3.27 (2H, s), 4.14 (4H, br. s), 7.16 (1H, app. t, J=7.7 Hz), 7.52 (1H, app. t, J=7.7 Hz), 7.63 (2H, m), 7.86 (1H, app. t, J=7.7 Hz), 8.01 (1H, dd, J=1.1 and 7.9 Hz), 8.26 (1H, d, J=8.3 Hz), 8.75 (1H, d, J=8.3 Hz), 12.29 (1H, s), 13.61 (1H, br. s); m/z 393.2 [MH+].
【0098】
B.方法Bを用いて合成された実施例化合物
実施例2:
2−({[1−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)安息香酸
【化14】

a)1,1−ジメチルエチル4−[({2−[(メチルオキシ)カルボニル]フェニル}アミノ)カルボニル]−1−ピペリジンカルボキシレート
1−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−4−ピペリジンカルボン酸(2.3g,0.01mol)、HATU(3.8g,0.01mol)、(N−[(ジメチルアミノ)(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イルオキシ)メチリデン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェート)およびジイロプロピルエチルアミン(5ml)をジメチルホルムアミド中で10分間攪拌した。メチル2−アミノベンゾエート(1.3ml,0.01mol)を加え、該溶液を室温で17時間攪拌し、次いで、80℃でさらに2時間攪拌した。反応混合物をジエチルエーテルとHCl(2N)との間に分配した。有機抽出物を分離し、次いで、NaHCO(飽和溶液)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、粗生成物を得た。これをシクロヘキサン/酢酸エチル(4:1)で溶出するKP SilTMシリカ(32−63μm,60A,90g)上で精製して、標題化合物を得た(1.2g,33%)。m/z 363 [MH+], Rt 3.35 分。
【0099】
b)メチル2−[(4−ピペリジニルカルボニル)アミノ]ベンゾエート
1,1−ジメチルエチル4−[({2−[(メチルオキシ)カルボニル]フェニル}アミノ)カルボニル]−1−ピペリジンカルボキシレート(1.2g,0.0033mol)をトリフルオロ酢酸/ジクロロメタン(1:1,30 ml)の混合液で3時間処理した。次いで、該混合物を減圧下で蒸発させ、残渣をトルエンと共沸させて、標題化合物を茶色シロップとして得た。m/z 263 [MH+], Rt 1.88 分。
【0100】
c)メチル2−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)ベンゾエート
メチル2−[(4−ピペリジニルカルボニル)アミノ]ベンゾエート(29mg,0.08mmol)、3−クロロ−1,2,4−ベンゾトリアジン1−オキシド(14.5mg,0.08mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(27μl,0.16mmol)をイソプロパノール(0.1ml)中、20℃で17時間攪拌した。反応混合物をクロロホルムとHCl(2N)との間に分配した。有機抽出物を分離し、次いで、NaHCO(飽和溶液)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、標題化合物を黄色固体として得た。これをさらに精製することなく、次工程に用いた。
m/z 408 [MH+], Rt 3.49 分。
【0101】
d)メチル2−({[1−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)ベンゾエート
メチル2−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)ベンゾエート(0.08mmol)および炭素上のパラジウム(10wt.%)(5mg,Degussa型E101,50%HOwet/wt)をエタノール(10ml)中、水素雰囲気下、室温にて4時間攪拌した。反応混合物を窒素下で脱気し、ろ過し、減圧下で蒸発させて、標題化合物を黄色固体として得た。これをさらに精製することなく次工程に用いた。
m/z 392 [MH+], Rt 3.50 分。
【0102】
e)2−({[1−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)安息香酸
メチル2−({[1−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)ベンゾエート(0.08mmol)をジオキサン(1ml)および炭酸ナトリウム(33mg,0.32mmol)の水(1ml)中混合液に溶解した。次いで、該混合物を70℃で17時間加熱した。冷却した反応混合物をHCl(2N)でクエンチし、次いで、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させた。粗生成物をマス・ディレクテッド(mass directed)HPLCによって精製して、標題化合物を黄色固体として得た(5.0mg,17%)。
δ(400MHz, CDCl3) 1.96 (2H, m), 2.22 (2H, m), 2.74 (1H, m), 3.27 (2H, m), 5.18 (2H, m), 7.14 (1H, br. t, J= 7.6 Hz), 7.41 (1H, br.t, J=7.6 Hz), 7.55-7.65 (2H, m), 7.72 (1H, m), 8.14 (1H, br d, J=8.0 Hz), 8.24 (1H, br.d, J=8.3 Hz), 8.76 (1H, d, J= 8.3 Hz), 11.23 (1H, s),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。m/z 378 [MH+], Rt 3.61 分
【0103】
実施例3:
2−({[1−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)安息香酸
【化15】

a)1,1−ジメチルエチル4−[2−({2−[(メチルオキシ)カルボニル]フェニル}アミノ)−2−オキソエチル]−1−ピペリジンカルボキシレート
(1−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−4−ピペリジニル)酢酸(2.4g,0.01mol)、HATU(3.8g,0.01mol)、(N−[(ジメチルアミノ)(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イルオキシ)メチリデン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェート)およびジイソプロピルエチルアミン(5ml)をアセトニトリル中で10分間攪拌した。メチル2−アミノベンゾエート(1.3ml,0.01mol)を加え、該溶液を室温で17時間攪拌し、次いで、さらに1時間、還流温度で攪拌した。反応混合物を蒸発させ、粗生成物を酢酸エチルとHCl(2N)の間に分配した。有機抽出物を分離し、次いで、NaHCO(飽和溶液)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、粗生成物を得た。これをシクロヘキサン/酢酸エチル(4:1)で溶出するKP SilTMシリカ(32−63μm,60A,90g)上で精製して、標題化合物を得た(974mg,26%)。
δ(400MHz, CDCl3) 1.23 (2H, m), 1.46 (9H, s), 1.77 (2H, m), 2.09 (1H, m), 2.37 (2H, d, J=7.0 Hz), 2.75 (2H, m), 3.94 (3H, s), 4.12 (2H, m), 7.10 (1H, br. t, J= 8.2 Hz), 7.56 (1H, br.t, J=7.0 Hz), 8.04 (1H, dd, J=8.0, 1.3 Hz), 8.74(1H, br.d, J=8.5 Hz) 11.13 (1H, br.s); m/z 377 [MH+].
【0104】
b)メチル2−[(4−ピペリジニルアセチル)アミノ]ベンゾエート
1,1−ジメチルエチル4−[2−({2−[(メチルオキシ)カルボニル]フェニル}アミノ)−2−オキソエチル]−1−ピペリジンカルボキシレート(974mg,0.0026mol)をトリフルオロ酢酸/ジクロロメタン(1:1,30ml)の混合液で3時間処理した。次いで、該混合物を減圧下で蒸発させ、残渣をトルエンと共沸させて、標題化合物を茶色シロップとして得た(1.0g,100%)。m/z 277 [MH+]
【0105】
c)メチル2−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)ベンゾエート
メチル2−[(4−ピペリジニルアセチル)アミノ]ベンゾエート(31mg,0.08mmol)、3−クロロ−1,2,4−ベンゾトリアジン1−オキシド(14.5mg,0.08mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(27μl,0.16mmol)をイソプロパノール(0.1ml)中、20℃で17時間攪拌した。反応混合物をクロロホルムとHCl(2N)との間に分配した。有機抽出物を分離し、次いで、NaHCO(飽和溶液)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、標題化合物を黄色固体として得た。これをさらに精製することなく次工程に用いた。m/z 422 [MH+].
【0106】
d)メチル2−({[1−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)ベンゾエート
メチル2−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)ベンゾエート(0.08mmol)および炭素上のパラジウム(10wt.%)(5mg,Degussa型E101,50%HOwet/wt)をエタノール(10ml)中、水素雰囲気下、室温で4時間攪拌した。反応混合物を窒素下で脱気し、ろ過し、減圧下で蒸発させて、標題化合物を黄色固体として得た。これをさらに精製することなく次工程に用いた。m/z 406 [MH+].
【0107】
e)2−({[1−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)安息香酸
メチル2−({[1−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)ベンゾエート(0.08mmol)を、ジオキサン(1ml)と、炭酸ナトリウム(33mg,0.32mmol)を含有する水(1ml)との混合液中に溶解した。次いで、該混合物を70℃で17時間加熱した。冷却した反応混合物をHCl(2N)でクエンチし、次いで、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させた。粗生成物をマス・ディレクテッドHPLCによって精製して、標題化合物を黄色固体として得た(5.9mg,19%)。
δ(400MHz, CDCl3) 1.41 (2H, m), 1.99 (2H, m), 2.34 (1H, m), 2.42 (2H, d, J= 7.3 Hz), 3.14 (2H, m), 5.12 (2H, m), 7.12 (1H, br. t, J= 7.6 Hz), 7.38 (1H, br.t, J=7.8 Hz), 7.50-7.75 (3H, m), 8.13 (1H, br d, J=8.0 Hz), 8.21(1H, br.d, J=8.5 Hz), 8.77 (1H, d, J=8.0 Hz), 11.12 (1H, s),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。m/z 392 [MH+].
【0108】
C.方法Cを用いて調製された実施例化合物
実施例4:
2−{[2−(4−ビフェニルイルオキシ)プロパノイル]アミノ}安息香酸
【化16】

1,1−ジメチルエチル2−アミノベンゾエート(0.58g,3mmol)のジクロロメタン(2ml)中溶液をトリエチルアミン(0.6ml,0.43mmol)および塩化2−クロロプロパノイル(0.038g,3mmol)のジクロロメタン(1ml)中溶液で処理した。30分後、混合物を10%水性クエン酸で洗浄し、蒸発乾固させた。残渣をアセトニトリル(3ml)中に溶解し、炭酸セシウム(0.1g,0.3mmol)および4−ビフェニルオール(0.052g,0.3mmol)で処理した。該混合物を周囲温度で18時間攪拌し、次いで、蒸発乾固させた。残渣をジクロロメタンおよび10%水性クエン酸の間に用心深く分配した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、蒸発させ、残渣をトリフルオロ酢酸(1ml)中に溶解した。1時間後、該溶液を蒸発乾固させ、残渣をDMSO(1ml)中に溶解し、生成物をマス・ディレクテッドHPLCを用いて精製して、標題化合物を白色固体として得た(0.08g,7%)。
NMR δ(400MHz, d6-DMSO) 1.59 (d, 3H, J=6.8Hz), 5.06 (q, 1H, J=6.8Hz), 7.16-7.20 (m, 3H), 7.32 (t, 1H, J=7.3Hz), 7.43 (t, 2H, J=7.5Hz), 7.61-7.64 (m, 5H), 8.01 (dd, 1H, J=1.5, 8.0Hz), 8.68 (d, 1H, J=8.0Hz), 12.21(bs, 1H),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。m/z 362 [MH+].
【0109】
D.方法Dを用いて合成された実施例化合物
調製例1:
2−{[(5−{[2−(メチルオキシ)フェニル]メチル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)アセチル]アミノ}安息香酸
【化17】

a)1,1−ジメチルエチル2−[(シアノアセチル)アミノ]ベンゾエート
1,1−ジメチルエチル2−アミノベンゾエート(5g,25.9mmol)のジクロロメタン(60ml)中溶液をシアノ酢酸(2.2g,25.9mmol)、1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−オール(4.2g,31.1mmol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(5.5g,28.6mmol)で処理した。該混合物を18時間攪拌し、次いで、蒸発乾固させた。残渣を酢酸エチル(150ml)および飽和水性重炭酸ナトリウム(150ml)の間に分配した。水相を酢酸エチル(150ml)で抽出し、有機フラクションを合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、蒸発させて、粗標題化合物を薄茶色固体として得た(6.8g,100%)。m/z 278 [MNH4+].
【0110】
b)1,1−ジメチルエチル2−{[(3Z)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−イミノプパノイル]アミノ}ベンゾエート
エタノール(60ml)および水(20ml)の混合液中における1,1−ジメチルエチル2−[(シアノアセチル)アミノ]ベンゾエート(6.8g,25.9mmol)の懸濁液に、炭酸カリウム(6g,43.5mmol)および塩酸ヒドロキシルアミン(2.6g,37.4mmol)を加えた。該混合物を100℃で4時間加熱し、次いで、冷却し、蒸発乾固させた。残渣を酢酸エチル(250ml)と飽和水性重炭酸ナトリウム(150ml)の間に分配した。水相をさらなる酢酸エチル(100ml)で抽出し、有機フラクションを合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。生成物を、KP SilTMシリカ(32−63μm,60A,90g)を用い、酢酸エチル/シクロヘキサン 2:1〜酢酸エチルの勾配、次いで、酢酸エチル/メタノール 19:1を用いて溶出するクロマトグラフィーによって精製した。所望のフラクションの蒸発により、標題化合物を白色固体として得た(4.9g,65%)。m/z 294 [MH+].
【0111】
c)2−({[5−(フェニルメチル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]アセチル}アミノ)安息香酸
[2−(メチルオキシ)フェニル]酢酸(0.025g,0.15mmol)のDMF(0.2ml)中溶液をエチル[ビス(1−メチルエチル)]アミン(0.09ml,0.52mmol)、およびDMF(0.2ml)中におけるN−[1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イル(ジメチルアミノ)メチリデン]−N−メチルメタンアミニウムテトラフルオロボレート(0.033g,0.1mmol)および1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−オール(0.03g,0.02mmol)の混合物の溶液で処理した。該混合物を5分間攪拌し、次いで、1,1−ジメチルエチル2−{[(3Z)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−イミノプロパノイル]アミノ}ベンゾエート(0.03g,0.1mmol)のDMF(0.2ml)中溶液で処理し、周囲温度で1.5時間攪拌し、次いで、115℃で4時間攪拌し、次いで、冷却し、蒸発乾固させた。残渣をトリフルオロ酢酸(0.5ml)のジクロロメタン(0.5ml)中溶液で処理した。2時間後、該混合物を蒸発乾固させ、残渣をDMSO(0.5ml)中に溶解し、生成物を、マス・ディレクテッドHPLCを用いて精製した。これにより、標題化合物を白色固体として得た(0.0034g,9%)。
NMR δ(400MHz, d6-DMSO) 3.71(s, 3H), 3.95(s, 2H), 4.24(s, 2H), 6.93(t, 1H, J=7.3 Hz), 7.01(d, 1H, J=8.1 Hz), 7.15(t, 1H, J=7.3 Hz), 7.26-7.33(m, 2H), 7.56(t, 1H, J=8.3 Hz), 7.97(dd, 1H, J=7.8, 1.5 Hz), 8.40(d, 1H, J=8.3 Hz), 11.61(s, 1H),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。m/z 368 [MH+].
【0112】
下記の化合物は、方法Dを用いる2−{[(5−{[2−(メチルオキシ)フェニル]メチル}−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)アセチル]アミノ}安息香酸(調製例1)の製法と類似の方法で調製された。
【0113】
【化18】

【0114】
【表1−1】

【表1−2】

【0115】
分析データ
【0116】
実施例5:
2−[({5−[1−(2−メチルフェニル)ブチル]−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}アセチル)アミノ]安息香酸
NMR δ(400MHz, CDCl3) 0.94(t, 3H, J=7.3 Hz), 1.25-1.39(m, 2H), 2.00-2.13(m, 1H), 2.23-2.36(m, 1H), 2.41 (s, 3H), 4.15 (s, 2H), 4.57 (1H, t, J=7.8 Hz), 7.09 (app t, 1H, J=7.7 Hz), 7.15-7.23 (m, 3H), 7.32 (app d, 1H, J=5.7Hz), 7.54 (app t, 1H, J=7.9Hz), 8.01 (dd, 1H, J=8 and 1.5 Hz), 8.67 (d, 1H, J=7.7Hz), 11.45 (br s, 1H),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。
【0117】
実施例6:
2−[({5−[1−(フェニルオキシ)エチル]−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}アセチル)アミノ]安息香酸
NMR δ(400MHz, CDCl3) 1.83(d, 3H, J=6.5 Hz), 4.10(s, 2H), 5.62(q, 1H, J=6.8 Hz), 6.91-7.01(m, 3H), 7.11(t, 1H, J=7.8 Hz), 7.20-7.29(m, 2H), 7.56(dt, 1H, J=8.3, 1.5 Hz), 8.05(d, 1H, J=8.0 Hz), 8.66(d, 1H, J=8.3 Hz), 11.35(s, 1H),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。
【0118】
実施例7:
2−({[5−(3−メチル−1−フェニルブチル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]アセチル}アミノ)安息香酸
NMR δ(400MHz, CDCl3); 0.92(d, 6H, J=6.8 Hz), 1.46(dt, 1H, J=13.8, 6.7 Hz), 1.98-2.09(m, 1H), 2.09-2.19(m, 1H), 4.15(s, 2H), 4.39(t, 1H, J=8.3 Hz), 7.10(t, 1H, J=7.5 Hz), 7.24-7.39(m, 5H), 7.55(dt, 1H, J=8.8, 1.5 Hz), 8.03(dd, 1H, J=8.0, 1.5 Hz), 8.67(d, 1H, J=8.5 Hz), 11.46(s, 1H),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。
【0119】
実施例8:
2−[({5−[1−(フェニルオキシ)プロピル]−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}アセチル)アミノ]安息香酸
NMR δ(400MHz, CDCl3); 1.08(t, 3H, J=7.3 Hz), 2.10-2. 26 (m, 2H), 4.09(s, 2H), 5.40(dd, 1H, J=7.0, 5.8 Hz), 6.88-7.02 (m, 2H), 7.06-7.16(m, 1H), 7.16-7.30(m, 2H), 7.50-7.60(m, 1H), 7.67-7.76(m, 1H), 8.05(d, 1H, J=8.0 Hz), 8.66(d, 1H, J=8.5 Hz), 11.34(s, 1H),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。
【0120】
実施例9:
2−({[5−(1−フェニルプロピル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]アセチル}アミノ)安息香酸
NMR δ(400MHz, CDCl3); 0.93(t, 3H, J=7.3 Hz), 2.11(s, 1H), 2.21-2.39(m, 1H), 4.12(s, 2H), 4.16(t, 1H, J=8.0 Hz), 7.07(t, 1H, J=7.5 Hz), 7.26-7.34(m, 5H), 7.53(dt, 1H, J=7.3, 1.3 Hz), 8.01(dd, 1H, J=7.8, 1.3 Hz), 8.65(d, 1H, J=8.3 Hz), 11.42(s, 1H),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。
【0121】
実施例10:
2−({[5−(1−フェニルヘキシル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]アセチル}アミノ)安息香酸
NMR δ(400MHz, CDCl3); 0.83(t, 3H, J=6.8 Hz), 1.21-1.32(m, 6H), 2.05-2.18(m, 1H), 2.20-2.33(m, 1H), 4.14(s, 2H), 4.26(t, 1H, J=8.1 Hz), 7.10(t, 1H, J=7.3 Hz), 7.28-7.36(m, 5H), 7.55(td, 1H, J=8.6, 1.3 Hz), 8.04(dd, 1H, J=8.1, 1.3 Hz), 8.67(d, 1H, J=8.3 Hz), 11.43(s, 1H),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。
【0122】
実施例11:
2−({[5−(1−フェニルシクロペンチル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]アセチル}アミノ)安息香酸
NMR δ(400MHz, CDCl3); 1.71-1.88(m, 4H), 2.24-2.36(m, 2H), 2.75-2.87(m, 2H), 4.12(s, 2H), 7.08(t, 1H, J=7.3 Hz), 7.20-7.36(m, 3H), 7.40(d, 2H, J=8.8 Hz), 7.54(dt, 1H, J=7.0, 1.5 Hz), 8.02(dd, 1H, J=7.8, 1.5 Hz), 8.65(d, 1H, J=8.3 Hz), 11.41(s, 1H),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。
【0123】
実施例12:
2−({[5−(1−フェニルシクロヘキシル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]アセチル}アミノ)安息香酸
NMR δ(400MHz, CDCl3); 1.31-1.42(m, 1H), 1.42-1.55(m, 2H), 1.56-1.68(m, 1H), 1.69-1.80(m, 2H), 2.11(dt, 2H, J=10.9, 2.8 Hz), 2.71(d, 2H, J=13.9 Hz), 4.14(s, 2H), 7.09(t, 1H, J=7.6 Hz), 7.19-7.40(m, 5H), 7.54(dt, 1H, J=8.6, 1.3 Hz), 8.02(dd, 1H, J=8.1, 1.5 Hz), 8.67(d, 1H, J=8.3 Hz), 11.39(s, 1H),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。
【0124】
実施例13:
2−({[5−(2−フェニルヘキシル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]アセチル}アミノ)安息香酸
NMR δ(400MHz, CDCl3); 0.80(t, 3H, J=6.8 Hz), 1.07-1.36(m, 4H), 1.72(q, 2H, J=7.6 Hz), 3.16-3.31(m, 3H), 4.10(s, 2H), 7.07-7.20(m, 4H), 7.20-7.29(m, 2H), 7.55(dt, 1H, J=8.6, 1.3 Hz), 8.07(dd, 1H, J=8.1, 1.3 Hz), 8.67(d, 1H, J=8.6 Hz), 11.43(s, 1H),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。
【0125】
実施例14:
2−({[5−(2,2−ジフェニルエチル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]アセチル}アミノ)安息香酸
NMR δ(400MHz, d6-DMSO); 3.79(d, 2H, J=8.3 Hz), 3.89(s, 2H), 4.62(t, 1H, , =8.0 Hz), 7.07-7.29(m, 7H), 7.37(d, 4H, J=7.5 Hz), 7.59(t, 1H, J=8.5 Hz), 7.98(dd, 1H, J=7.8, 1.3 Hz), 8.39(d, 1H, J=8.5 Hz), 11.28(s, 1H), 13.64 (v br s, 1H).
【0126】
実施例15:
2−[({5−[シクロヘキシル(フェニル)メチル]−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}アセチル)アミノ]安息香酸
NMR δ(400MHz, d4-MeOD); 1.11-1.29(m, 2H), 1.43-1.72(m, 8H), 2.69-2.84(m, 1H), 3.95(s, 2H), 4.05(d, 1H, J=10.9 Hz), 7.15(t, 1H, J=7.8 Hz), 7.23(d, 1H, J=7.1 Hz), 7.30(t, 2H, J=8.1 Hz), 7.39(d, 2H, J=8.1 Hz), 7.54(t, 1H, J=7.6 Hz), 8.07(d, 1H, J=7.8 Hz), 8.53(d, 1H, J=8.3 Hz),両交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。
【0127】
実施例16:
2−[({5−[2−メチル−1−(フェニルチオ)−1−プロペン−1−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}アセチル)アミノ]安息香酸
NMR δ(400MHz, CDCl3); 2.27(s, 3H), 2.30(s, 3H), 4.00(s, 2H), 7.01-7.22 (m, 6H), 7.55(dt, 1H, J=7.2, 1.6 Hz), 8.03(dd, 1H, J=7.8, 1.6 Hz), 8.65(d, 1H, J=8.5 Hz), 11.19(s, 1H),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。
【0128】
実施例17:
2−({[5−(1−フェニルペンチル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]アセチル}アミノ)安息香酸
NMR δ(400MHz, d6-DMSO), 0.86(t, 3H, J=7.0 Hz), 1.22-1.31(m, 2H), 1.31-1.39(m, 3H), 2.03-2.18(m, 1H), 2.21-2.35(s, 1H), 4.26(t, 2H, J=8.0 Hz), 7.09(t, 1H, J=7.5 Hz), 7.23-7.29(m, 2H), 7.29-7.36(m, 3H), 7.55(dt, 1H, J=8.5, 1.5 Hz), 8.03(dd, 1H, J=8.0, 1.5 Hz), 8.67(d, 1H, J=8.3 Hz), 11.43(s, 1H),1つの交換可能なプロトンはδ13まで観察されず。
【0129】
限定するものではないが、本明細書中に引用される特許および特許出願を包含する全ての出版物は、出典明示により、あたかも個々の出版物が特別かつ個別に、出典明示により完全に示されているかの如く本明細書の一部とされることが示されているかのように、本明細書の一部とする。
該記載および請求の範囲が一部を形成する本出願は、いずれかのその後の出願に関し優先権の基礎として使用されてもよい。かかる後の出願の請求の範囲は、本明細書中に記載される特徴のいずれか、または特徴の組み合わせに向けられてもよい。それらは、生成物、組成物、製法または使用の請求項の形態を取ってもよく、例示目的で、かつ、限定するものではなく、本出願の特許請求の範囲を包含していてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
は、水素、ハロゲンまたはC−Cアルキルを示し;
は、6または10員のアリールまたはヘテロアリール環系を示し;
Wは、−C(R)−(CH−、−C(R)−(CHNHC(O)−、−C(R)−(CHNHC(O)NH−、−C(R)−(CHNHC(O)O−、−C(R)−(CHSONR5−、−C(R)−(CHNRSO−、−C(R)−(CHO−、−C(R)−(CHC(O)−、−C(R)−(CHNH−、−C(R)−(CHS−、−C(R)−(CHO−CH−、
【化2】

から選択されるリンカーを示し;
Vは、CHまたはNを示し;
X、YおよびZは、独立して、CH、O、NまたはSを示し、但し、X、YおよびZの3つ全てがCHを示すことはなく;
Aは、−C(R)−(CH−、−C(R)−(CHO−、−C(R)−(CHNH−および−C(R)−(CHS−から選択されるリンカーを示し;
nは、0、1および2から選択される整数を示し;
およびRは、独立して、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアリール、C−Cシクロアルキルを示すか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、4、5、6または7員のシクロアルキル環を形成し;
は、水素またはC−Cアルキルを示す]
で示される化合物、およびその塩、溶媒和物、または生理学上機能的な誘導体から選択される化合物。

【公表番号】特表2008−530074(P2008−530074A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554652(P2007−554652)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000508
【国際公開番号】WO2006/085112
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】