説明

HM74A受容体アゴニストとしての2置換5員ヘテロアリールカルボキシレート

式(I)


[式中、R、R、X、YおよびZは、本明細書中で定義されるとおりである]
で示される治療上活性なヘテロアリールカルボン酸誘導体、該誘導体の製法、該活性化合物を含有する医薬処方、治療、特に、HM74A受容体の不十分な活性化が疾患に寄与するか、または該受容体の活性化が有益である疾患の治療における該化合物の使用が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘテロアリールカルボン酸誘導体である治療上活性な化合物、該誘導体の製造方法、該活性化合物を含有する医薬製剤、該化合物の治療における使用、特に、HM74A受容体の不十分な活性化が寄与しているか、または該受容体の活性化が利益をもたらす疾患の治療における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
異常脂質血症は、異常なリポタンパク質プロファイルを有する個体を表すのに使用される一般的な用語である。臨床上、異常脂質血症の患者、したがって、心血管疾患の危険性がある患者の治療に使用される化合物の主要なクラスは、スタチン、フィブラート、胆汁酸結合樹脂およびニコチン酸である。ニコチン酸(ナイアシン、ビタミンB)は、様々な形態の異常脂質血症の患者に対し、40年以上もの間、臨床的に使用されてきた。ニコチン酸の主な作用様式は、ホルモン感受性トリグリセリドリパーゼ(HSL)の阻害を介したものであり、血漿非エステル化脂肪酸(NEFA)の減少をもたらし、次いで、肝脂肪代謝を変化させて、LDLおよびVLDL(低および超低密度リポタンパク質)の産生を低下させる。VLDLレベルの減少は、コレステロールエステル転送タンパク質(CETP)活性を低下させ、その結果、心臓血管調整効果が観察される原因になりうるHDL(高密度リポタンパク質)の増加をもたらすと考えられる。かくして、ニコチン酸は、リポタンパク質プロファイルに非常に望ましい変化をもたらし、VLDLおよびLDLのレベルを低下させると同時に、HDLを増加させる。ニコチン酸は、疾患修飾効果があることも明らかにされており、アテローム性動脈硬化病変の進行を遅くし、かつ退行を速くし、いくつかの治験では、心臓血管系事象数を減少させる。
【0003】
ニコチン酸治療によって観察されるHSLの阻害は、アデニリルシクラーゼのGタンパク質媒介型阻害によって引き起こされる細胞性環状アデノシン一リン酸(cAMP)の減少によって媒介される。最近、Gタンパク質結合受容体HM74およびHM74Aがニコチン酸の受容体であることが確認された(PCT特許出願WO02/84298;Wise他 J Biol Chem.2003 278(11)9869〜9874)。ヒトHM74AのDNA配列は、Genbank;受入れ番号AY148884に見出すことができる。その他、2つの論文が、この発見を裏付けているが(Tunaru他 Nature Medicine 2003(3)352〜255、およびSoga他 Biochem Biophys Res Commn.2003 303(1)364〜369)、命名がわずかに異なっている。Tunaruの論文でヒトHM74と呼ばれるものは、実際にはHM74Aであり、Sogaの論文におけるHM74bは、HM74Aと同一である。HM74Aおよび/またはHM74を発現するようにトランスフェクトされた細胞は、ニコチン酸に曝された後、GGタンパク質媒介型応答を顕在化する能力を獲得する。HM74A相同物が不足しているマウス(m−PUMA−G)では、ニコチン酸は、血漿NEFAレベルを低下させることができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、今回、ニコチン酸受容体HM74Aの選択的アゴニストであって、したがって、該受容体の不十分な活性化が寄与するか、または該受容体の活性化が有益である疾患の治療、予防、および抑制において有効な一連の置換された5員ヘテロアリールカルボン酸誘導体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は、治療上活性な5員ヘテロアリールカルボン酸誘導体、より詳細には、置換されたチオフェンカルボン酸アミドおよびフランカルボン酸アミド誘導体、該誘導体の治療での使用、特に、HM74A受容体の不十分な活性化が寄与するか、または該受容体の活性化が利益をもたらす疾患、特に、異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の障害、例えば、糖尿病性異常脂質血症および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患の治療における該誘導体の使用を提供する。同様に、該化合物は、また、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中、ならびに、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管適応症の治療薬として好ましい場合がある。該化合物は、以下にさらに述べるように、炎症性の疾患または状態の治療にも役立てることができる。
【0006】
本明細書に記述されている中間体、製剤、方法、およびプロセスは、本発明のさらなる態様を形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
発明の詳細な説明
本発明は、式(I)
【化1】

[式中、
は、水素またはC−Cアルキルを示し;
は、5、6または10員のアリール、ヘテロアリール、複素環式または脂環式環系を示し;
X、YおよびZは、独立して、S、OまたはCHを示し、但し、X、YおよびZの3つ全てがCHを示すことはなく;
Wは、−(CH−;−CH=CH−;−(CHNHC(O)−;−(CHNHC(O)NH−;−(CHNHC(O)O−;−(CHSONR−;−(CHNRSO−;−(CHO−;−C(R)O−または−A−B−C−を示し;
AおよびCは、独立して、存在していても、存在していなくてもよく、独立して、−(CH−;−CH=CH−;−(CHNHC(O)−;−(CHNHC(O)O−;−(CHNHC(O)NH−;−(CHSONR−;−(CHNRSO−;−(CHC(O)−;−(CHNH−;−(CHO−;−(CHS−または−(CHO−CH−を示し;
Bは、5または6員のアリール、ヘテロアリール、複素環式または脂環式環を示し;
nは、2、3および4から選択される整数を示し;
pは、0、1および2から選択される整数を示し;
qは、1、2、3および4から選択される整数を示し;
は、水素またはメチルを示し;
およびRは、同一または異なっていてもよく、独立して、C−Cアルキルを示す]
で示される化合物ならびにその塩、溶媒和物および生理学上機能的な誘導体を提供する。
【0008】
本発明のある特定の具体例において、Rは水素またはメチルを示す。
ある特定の具体例において、X、YおよびZのうち1個だけがヘテロ原子であり、例えば、ある特定の具体例において、X、YおよびZは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、チオフェニルまたはフラニル環を形成する。
【0009】
本発明のある特定の具体例において、Wは、−A−B−C−、−(CH−、−(CHO−または−(CHNHC(O)−を示す。
ある特定の具体例において、Aは、−O−、−CH−または−CHO−を示す。特定の具体例において、Cは存在しないか、または−(CHSONR−、−(CHNHC(O)−または−(CHNHC(O)NH−を示す。Aが−CH−を示すある特定の具体例において、Cは−(CHSONR−を示す。Aが−O−または−CHO−を示すある特定の具体例において、Cは存在しない。
【0010】
特定のB基は、5または6員のアリールまたはヘテロアリール環である。Bがアリール、例えば、C6アリール(例えば、フェニル)であるある特定の具体例において、Bは、1位および4位または1位および3位を介して結合している。Bがヘテロアリール、例えば、5員ヘテロアリール環(例えば、1、2、4オキサジアゾリル)であるある特定の具体例において、Bは、3位および5位を介して結合していてもよい。Bがヘテロアリール、例えば、6員ヘテロアリール環(例えば、ピリジニル)である他の具体例において、Bは、2位および5位を介して結合していてもよい。Cが−(CHSONR−である場合、pは0であって、Bは非置換フェニルであり、Bは、例えば、1位および4位(パラ位)を介して結合していてもよい。
【0011】
特定のB基は、5または6員の複素環である。BがC6複素環式基(例えば、ピペラジニル、ピペリジニル)であるある特定の具体例において、Bは1位および4位を介して結合している。
ある特定の具体例において、nは2を示す。
ある特定の具体例において、pは0または1から選択される整数である。
【0012】
本発明の化合物において、R環系は、環炭素原子または環ヘテロ原子(存在する場合)を介してWリンカー単位に結合していてもよい。
がヘテロアリールであるある特定の具体例において、Rは、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、およびベンゾトリアジニルから選択される。Rが複素環であるある特定の具体例において、Rは、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニルおよびモルホリニルから選択される。
【0013】
さらなる具体例において、Rは、シクロヘキシル、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンゾトリアジニルおよびイソオキサゾリルから選択される。下記に定義されるように、5、6または10員のアリール、ヘテロアリール、複素環式または脂環式R基は、置換されていてもよく、かくして、置換されたシクロヘキシル、置換されたフェニル、置換されたピリジン、置換されたピリミジン、置換されたピリダジン、置換されたベンゾトリアジニルまたは置換されたイソオキサゾールを包含する(ここに、置換基はさらに書きに定義されるとおりである)。
【0014】
かくして、Rが置換されたフェニルである場合、置換基は、下記の「アリール」置換基について定義されるとおりである。いくつかの具体例において、置換されたフェニルは、ハロゲン、C1−3アルキル(例えば、メチルフェニル)、C1−3ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチルフェニルを包含するトリフルオロアルキル)、C1−3アルコキシ(例えば、メトキシフェニル)およびC1−3ハロアルコキシ(例えば、トリフルオロメトキシフェニルを包含するトリフルオロアルコキシ)から選択される1または2個の置換基を有する。Rが単置換フェニルを示すある特定の具体例において、該置換基は、メタまたはパラ位にあり、例えば、パラにある。Rが2置換フェニルであるある特定の具体例において、該置換基は、パラおよびメタ位にあるか、またはどちらもメタ位にある。
【0015】
ある特定の具体例において、BおよびRは各々、非置換フェニルを示し、一方、他の具体例において、Bは、非置換フェニルを示し、Rは、置換フェニルを示す。
【0016】
ある特定の具体例において、R
【化2】

からなる群から選択される。
【0017】
本発明が、特定の具体例の組み合わせのいずれかを包含し、上記の特定の置換基のあらゆる組み合わせを包含することが理解されよう。
【0018】
本発明の明細書および添付される特許請求の範囲の全体を通して、「含む(comprise)」および「包含する(include)」という語と、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「包含する(includes)」、および「包含している(including)」などの変形例は、全てを含むと解釈すべきである。即ち、これらの単語は、文脈が許す場合には、具体的に列挙されていないその他の要素または整数を含むことが可能であることを示唆するものとする。
【0019】
本明細書で使用される、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を指す。
【0020】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は(基として、または基の一部として使用する場合)、指定された数の炭素原子を含有する置換されていてもよい直鎖状または分枝状の炭化水素鎖を指す。例えばC〜Cアルキルは、少なくとも1個、かつ多くとも3個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状の炭化水素鎖を意味する。本明細書で使用されるアルキルの例には、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、およびi−プロピルなどが含まれるが、これらに限定するものではない。他に特に指示しない限り、任意の置換基には、ヒドロキシ、ハロゲン、=S、および=Oが含まれる。
【0021】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は(基として、または基の一部として使用する場合)、アルキルエーテル基を指し、この「アルキル」という用語は、上記にて定義した通りである。本明細書で使用されるアルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、およびi−プロポキシなどが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0022】
本明細書で使用される「脂環式」という用語は(基として、または基の一部として使用する場合)、指定された数の炭素原子を含有する環状の炭化水素環を指す。本明細書で使用される脂環式の例には、シクロヘキシルおよびシクロプロピルなどが含まれるが、これらに限定するものではない。前記脂環式基は、ヒドロキシ、ハロゲン、=S、=O、C〜Cアルキル(1個または複数のヒドロキシ、=O、またはハロ基でさらに置換されていてもよい)、ハロゲン化されていてもよいC〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシC〜Cアルキル、NR、−NHC(O)C〜Cアルキル、−C(O)NR、および−S(O)〜Cアルキルであって、Rが上記にて定義されたものから選択される1個または複数の基、例えば1〜3個の基で置換されていてもよい。
【0023】
本明細書で使用される「アリール」という用語は(基として、または基の一部として使用する場合)、指定された数の炭素の芳香族炭化水素環を指す。本明細書で使用されるアリールの例には、フェニル、ナフチルおよびベンジルが含まれるが、これらに限定するものではない。前記アリール基は、ヒドロキシ、ハロゲン、=S、=O、C〜Cアルキル(1個または複数のヒドロキシ、=O、またはハロ基でさらに置換されていてもよい)、ハロゲン化されていてもよいC〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシC〜Cアルキル、NR、−NHC(O)C〜Cアルキル、−C(O)NR、および−S(O)〜Cアルキルであって、Rが上記にて定義されたものから選択される1個または複数の基、例えば1〜3個の基で置換されていてもよい。
【0024】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は(基として、または基の一部として使用する場合)、1個または複数の窒素または酸素ヘテロ原子を含有する上記にて定義されたアリール基を指す。本明細書で使用されるヘテロアリールの例には、チオフェン、フラン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、イミダゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、ベンゾトリアジンなどが含まれるが、これらに限定するものではない。前記ヘテロアリール基は、ヒドロキシ、ハロゲン、=S、=O、C〜Cアルキル(1個または複数のヒドロキシ、=O、またはハロ基でさらに置換されていてもよい)、ハロゲン化されていてもよいC〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシC〜Cアルキル、NR、−NHC(O)C〜Cアルキル、−C(O)NR、および−S(O)〜Cアルキルであって、Rが上記にて定義されたものから選択される1個または複数の基、例えば1〜3個の基で置換されていてもよい。
【0025】
本明細書で使用される「複素環」という用語は(基として、または基の一部として使用する場合)、1個または複数の窒素または酸素ヘテロ原子を含有する上記にて定義された脂環式基を指す。前記複素環式基は、ヒドロキシ、ハロゲン、=S、=O、C〜Cアルキル(1個または複数のヒドロキシ、=O、またはハロ基でさらに置換されていてもよい)、ハロゲン化されていてもよいC〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシC〜Cアルキル、NR、−NHC(O)C〜Cアルキル、−C(O)NR、および−S(O)〜Cアルキルであって、Rが上記にて定義されたものから選択される1個または複数の基、例えば1〜3個の基で置換されていてもよい。
【0026】
本明細書で使用される「生理学上機能的な誘導体」という用語は、本発明の化合物のいずれかの医薬上許容される誘導体を指し、例えば、そのエステルまたはアミドを指し、ヒトなどの哺乳類に投与した後に、式(I)の化合物、あるいはその活性代謝産物または残渣を提供する(直接または間接的に)ことが可能ないずれかの医薬上許容される式(I)の化合物の塩、エステル、またはそのようなエステルの塩を含む。式(I)の化合物は、該化合物中の官能基のいずれかで、その生理学上機能的な誘導体が得られるように修飾されていてもよく、また式(I)の化合物は、複数の位置でそのように修飾されていてもよいことが、当業者に理解されよう。
【0027】
本明細書で使用される場合、患者に投与するための医薬処方に含めることができる成分(活性成分または賦形剤)に関して使用される「医薬上許容される」という用語は、成分が医薬処方中に存在するいずれか他の成分に対して適合性であって、かつ、そのレシピエントに有害ではないという意味で許容されることを指す。
【0028】
本明細書で使用される「溶媒和物」という用語は、溶質(本発明では、式(I)の化合物、その塩、またはその生理学上機能的な誘導体)および溶媒によって形成された種々の化学量論量の複合体を指す。本発明の目的のためのかかる溶媒は、溶質の生物活性を妨げない。適当な溶媒の例には、水、メタノール、エタノール、および酢酸が含まれる。使用される溶媒は、医薬上許容される溶媒であることが好ましい。適当な医薬上許容される溶媒の例には、水、エタノール、および酢酸が含まれる。使用される溶媒は、水であることが最も好ましく、その場合は溶媒和物を、問題となっている溶質の水和物と呼ぶことができる。
【0029】
医薬の用途では、上記にて言及された「塩または溶媒和物」が、医薬上許容される塩または溶媒和物であることが理解されよう。しかしながら、他の塩または溶媒和物は、例えば、式(I)の化合物の調製、あるいは医薬上許容されるその塩または溶媒和物の調製で用途を見出すことができる。
【0030】
医薬上許容される塩には、Berge,BighleyおよびMonkhouseによるJ.Pharm.Sci.,1977,66,1〜19に記載されているものが含まれる。適当な医薬上許容される塩には、無機酸または有機酸、好ましくは無機酸の付加から形成された酸付加塩が含まれる。適当な酸付加塩の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、および酢酸塩が含まれる。医薬上許容される塩のさらに代表的な例には、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモ酸、コハク酸、ビスメチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、リン酸、および硝酸から形成されたものが含まれる。適当な医薬上許容される塩には、アルカリ金属水酸化物などのアルカリ金属塩基の付加から形成されたアルカリ金属塩も含まれる。適当なアルカリ金属塩の例は、ナトリウム塩である。
【0031】
さらなる態様において、本発明は、上記のような式(I)
【化3】

で示される化合物またはその塩、溶媒和物および生理学上機能的な誘導体の、異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の障害または炎症性疾患もしくは炎症状態の治療のための医薬の製造における使用を提供する。本発明の該態様が、医薬の製造における式(I)の化合物の使用に関して、特定の具体例のいずれの組み合わせも包含し、上記の式(I)の化合物の特定の置換基のあらゆる組み合わせを包含することは理解されよう。
【0032】
本発明の化合物は、異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の多くの疾患、例えば、糖尿病性異常脂質血症、および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患の症状の治療および改善において治療上の利益をもたらす可能性がある。同様に、該化合物は、また、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中、ならびに、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管適応症の治療薬として好ましい場合がある。これら疾患の1つまたは複数の治療における、式(I)の化合物の使用は、本発明のさらなる態様である。
【0033】
さらに、HM74およびHM74A受容体は炎症に関与すると考えられている。炎症とは、外傷に対する血管、細胞および神経の一連の応答を表す。炎症は、単球、好中球および顆粒球などの炎症細胞の組織内への移動として特徴付けることができる。これは通常、内皮障壁機能の低下および組織内への浮腫に関連する。疾患に関する炎症は、典型的に、慢性炎症と呼ばれ、生涯続く可能性がある。このような慢性炎症は、疾患症状を通じて発現しうる。したがって、抗炎症療法の目的は、この慢性炎症を低下させ、かつ、治癒および組織修復の生理学的プロセスを進行させることである。
【0034】
したがって、本発明のさらなる態様は、関節の炎症性疾患または炎症状態、特に、関節炎(例えば、関節リウマチ、骨関節症、人工関節障害)、あるいは胃腸管の炎症性疾患または炎症状態(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、および他の炎症性腸および胃腸疾患、感染由来の胃炎および粘膜炎症、非ステロイド性抗炎症剤によって誘発される腸疾患)、肺の炎症性疾患または炎症状態(例えば、成人呼吸窮迫症候群、喘息、嚢胞性線維症、または慢性閉塞性肺疾患)、心臓の炎症性疾患または炎症状態(例えば、心筋炎)、神経組織の炎症性疾患または炎症状態(例えば、多発性硬化症)、膵臓の炎症性疾患または炎症状態(例えば、真性糖尿病およびその合併症に関連する炎症)、腎臓の炎症性疾患または炎症状態(例えば、糸球体腎炎)、皮膚の炎症性疾患または炎症状態(例えば、皮膚炎、乾癬、湿疹、蕁麻疹、日焼け)、眼の炎症性疾患または炎症状態(例えば、緑内障)、ならびに移植臓器(例えば、拒絶)および多臓器疾患(例えば、全身性エリテマトーデス、腐敗症)の炎症性疾患または炎症状態、およびウイルスまたは細菌感染の炎症性続発症、およびアテローム性動脈硬化症に関連する炎症状態、および例えば、脳または虚血性心臓病における、低酸素症または虚血性傷害(再潅流を伴う、または伴わない)後の炎症状態の治療における、上記にて定義された式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは生理学上機能的な誘導体の使用にある。
【0035】
特に、式(I)の化合物は、炎症、およびアテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、高トリグリセリド血症、および混合型異常脂質血症を包含する心血管疾患または状態の治療および予防に有用である。
【0036】
したがって、異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の障害、例えば、糖尿病性異常脂質血症、および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患の治療のための医薬の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学上機能的な誘導体の使用が提供される。該化合物は、また、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中、ならびに、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管適応症の治療における使用のために提供される。
【0037】
ニコチン酸は、おそらく高レベルで(毎日、グラム量で)投与されるので、著しい副作用プロファイルを有している。最も一般的な副作用は、激しい皮膚の発赤である。本発明の化合物は、好ましくは、ニコチン酸に比べて少ない副作用を示す。
【0038】
HM74Aは、ニコチン酸に対して高親和性の受容体であることが確認されているのに対し、HM74は、低親和性の受容体である。望ましくは、本発明の化合物は、HM74Aに対して選択的であり、これは、本発明の化合物が、HM74に対してよりもHM74Aに対してより大きい親和性を示すことを意味している。
【0039】
式(I)の化合物がHM74Aを活性化する能力は、例えば、下記のイン・ビトロおよびイン・ビボアッセイを用いて実証することができる。
【0040】
イン・ビトロ試験
一過性トランスフェクションのために、HEK293細胞(SV40ラージT抗原を安定して発現するHEK293細胞)を、10%胎仔ウシ血清および2mMグルタミンを含有するDMEM中で維持する。細胞を90mm培養皿に播き、トランスフェクション前に、60〜80%の集密度になるまで(18〜24時間)成長させる。ヒトHM74A(GenBankTM(登録商標)受入れ番号AY148884)を哺乳動物発現ベクター(pcDNA3;Invitrogen)内でサブクローニングし、リポフェクタミン試薬を使用してトランスフェクトする。トランスフェクションのために、DNA 9μgを、Opti−MEM(Life Technologies Inc.)0.6ml中で30μlのリポフェクタミンと混合し、室温で30分間インキュベートした後に、Opti−MEM 1.6mlを添加する。細胞をリポフェクタミン/DNA混合物に5時間曝し、次いで、DMEM中における20%(v/v)胎仔ウシ血清6mlを添加する。トランスフェクション後48時間で細胞を収集する。百日咳毒素処理を、50ngml−1で培地に補うことにより、16時間実施する。全ての一過性トランスフェクション研究は、受容体と、Gi/oGタンパク質、Go1αとの同時トランスフェクションを含む。
【0041】
安定な細胞系統の作成のために、上記の方法を使用して、30%の集密度に成長させた6ウェルプレートに播かれたCHO−K1細胞をトランスフェクトする。これらの細胞を、10%胎仔ウシ血清および2mMグルタミンを含有するDMEM F−12 HAM培地中で維持する。トランスフェクション後48時間で、培地に400μg/mlのジェネティシン(G418、Gibco)を補い、抗生物質抵抗性細胞の選択を行う。HM74Aを安定して発現するクローンCHO−K1細胞系統は、がニコチン酸添加後の[35S]−GTPγS結合測定によって確認される。
【0042】
P2膜調製
原形質膜含有P2粒状画分を、採取後に−80℃で凍結させた細胞ペーストから調製する。全ての手順は、4℃で実施する。細胞ペレットを、1mlの10mM Tris−HClおよび0.1mM EDTA、pH7.5(緩衝液A)に再懸濁し、Ultra Turraxで20秒間均質化し、その後、25ゲージ針に通す(5回)。細胞可溶化物を、1000gで10分間マイクロ遠心機で遠心分離して、核および破壊されていない細胞をペレット化し、P2粒状画分を16000gで30分間、マイクロ遠心機により回収する。P2粒状画分を、緩衝液A中に再懸濁し、必要になるまで−80℃で保管する。
【0043】
35S]−GTPγS結合−アッセイは、以前に記載されたように、96ウェルフォーマットで(Wieland,T.およびJakobs,K.H.(1994)Methods Enzymol.237,3〜13)、または384ウェルフォーマットで実施された適応済みプロトコルにおいて室温で行う。
【0044】
96ウェルフォーマット:
手短に言うと、膜(1点当たり10μg)を、サポニン(10mg/l)が補われたアッセイ緩衝液(20mM HEPES、100mM NaCl、10mM MgCl、pH7.4)中で0.083mg/mlに希釈し、10mM GDPと共にプレインキュベートする。様々な濃度のニコチン酸または関連する分子を添加し、その後、0.3nM(100μlの総容量)の[35S]−GTPγS(1170 Ci/mmol、Amersham)を添加し、室温で30分間、結合を進行させる。非特異的結合を、0.6mM GTPを含めることによって測定する。25μlのアッセイ緩衝液中における小麦胚芽凝集素SPAビーズ(Amersham)(0.5mg)を添加し、その全体を撹拌しながら室温で30分間インキュベートする。プレートを1500gで5分間遠心分離し、結合した[35S]−GTPγSを、Wallac 1450マイクロベータTriluxシンチレーションカウンタでシンチレーションカウントすることによって測定する。
【0045】
384ウェルフォーマット:
簡単に言うと、標準または試験化合物の希釈物を調製し、10μlの容量で384ウェルプレートに添加する。膜(HM74AまたはHM74)を、サポニン(60μg/ml)、Leadseeker WGAビーズ(Amersham;250μg/ウェル)および10μM GDPが補われたアッセイ緩衝液(20mM HEPES、100mM NaCl、10mM MgCl、pH7.4)中に希釈し、その結果、各ウェルに添加された20μlの容量が膜5μgを含有するようにする。[35S]−GTPγS(1170 Ci/mmol、Amersham)をアッセイ緩衝液中に希釈し(1:1500)、20μlを各ウェルに添加する。放射性リガンドを添加した後、プレートを密封し、パルススピンを行い、室温で4時間インキュベートする。インキュベーション期間の終わりに、プレートをLeadseeker機(VIEWLUX PLUS;Perkin−Elmer)で読み取って、特異的結合のレベルを測定する。
【0046】
イン・ビボ試験
HM74Aアゴニストについて、研究前に少なくとも12時間絶食させた雄性Spague−Dawleyラット(200〜250g)で試験をする。化合物を、静脈内(5ml/kg)または経口栄養補給(10ml/kg)によって投与する。血液サンプル(0.3ml 尾静脈から採血)を投与前および投与後に3回採取する(投与後、15分から8時間に及ぶ時間で)。各血液サンプルをヘパリン管(Becton Dickinson Microtainer,PST LH)に移し、遠心分離して(10000gで5分間)、血漿サンプルを作製する。血漿サンプルの非エステル化脂肪酸(NEFA)レベルに関し、市販のキット(Randox)を使用してアッセイを行う。投与前のレベルに相対的な血漿NEFAレベルの阻害を、HM74Aアゴニスト活性の代わりとして使用する。
【0047】
本発明の化合物が、ニコチン酸に関連した発赤応答を示すか否かを決定するために、本発明の化合物を、麻酔下にあるモルモットに投与する。ニコチン酸は、陽性対照として使用する。雄性Dunkin Hartleyモルモット(300〜800g)を12時間絶食させ、その後に、塩酸ケタミン(Vetalar、40mg/kg i.m.)、キシラジン(Rompun、8mg/kg i.m.)、およびペントバルビタール酸ナトリウム(Sagatal、30mg/kg i.p.)の混合物で麻酔をかける。麻酔後、気管切開を行い、この動物を、大気を用いて機械的に呼吸させる(10〜12mL/kg、呼吸60回/分)。頚静脈および頚動脈に、試験化合物の静脈内投与のためのカニューレ処置を施し、それぞれ血液を収集する。赤外線温度プローブ(Extech Instruments)を、左耳の先端から3〜5mmの位置に置く。温度測定値を、試験化合物またはニコチン酸の投与前の5分から、試験化合物またはニコチン酸の投与後の40分まで、毎分記録する。データは、Psionコンピュータで自動的に収集され、その後、Excelスプレッドシート内でデータ解析するために転送される。化合物投与の前、および化合物投与の後の短い間隔で、血液サンプル(0.3ml)を頚動脈カニューレを介して採取し、リチウムヘパリンが入っているMicrotainer(BD)管に移す。サンプルを、血液ローラ上で完全に混合し、次いで氷上で保管した後に、1200gで5分間遠心分離する。
【0048】
上記のように、式(I)の化合物は、異常脂質血症および高リポタンパク血症を管理する際の、ヒトおよび動物の医療において、特にHM74Aの活性化剤として有用である。
【0049】
かくして、本発明のさらなる態様として、ヒトの医学または獣医学において有用な、特に、異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の障害、例えば、糖尿病性異常脂質血症、および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患の治療において有用な、式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学上機能的な誘導体が提供される。同様に、該化合物は、また、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中、ならびに、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管適応症の治療薬として好ましい場合がある。
【0050】
当然のことながら、本明細書における治療への言及は、予防、再発防止および症状抑制ならびに確立された状態の治療にまで及ぶ。
【0051】
さらなる、または別の態様において、HM74A受容体の不十分な活性化が寄与しているか、または該受容体の活性化が利益をもたらす疾患に罹患しているヒトまたは動物対象の治療法であって、該ヒトまたは動物対象に、有効量の式(I)の化合物またはその生理学上許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを特徴とする方法が提供される。
【0052】
より詳細には、本発明は、該ヒトまたは動物対象に有効量の式(I)の化合物またはその生理学上許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを特徴とする、異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の障害、例えば、糖尿病性異常脂質血症、および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患の治療法を提供する。また、本発明は、該ヒトまたは動物対象に有効量の式(I)の化合物またはその生理学上許容される塩、溶媒和物もしくは誘導体を投与することを特徴とする、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中、ならびに、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管適応症の治療法を提供する。
【0053】
望ましい生物学的効果を達成するのに必要とされるHM74Aモジュレーターの量は、当然ながら、いくつかの要因、例えば、投与様式およびレシピエントの正確な臨床状態に依存する。一般に、日用量は、0.1mg〜1g/kgの範囲、典型的には0.1〜100mg/kgになる。静脈内用量は、例えば、1分当たり、0.01mgから0.1g/kgの範囲、典型的には0.01mgから10mg/kgであってもよく、好都合には、0.1μgから1mgの輸液として投与することができる。この目的に適した輸液は、例えば、1ミリリットル当たり0.01μgから0.1mgを含有してよい。単位用量は、例えば、HM74Aモジュレーターを0.01μgから1g含有してよい。したがって、注射用アンプルは、例えば、0.01μgから0.1gを含有することができ、錠剤やカプセルなどの経口投与可能な単位用量処方は、例えば、0.1mgから1gを含有することができる。本発明の化合物を上記の投薬範囲で投与した場合、毒物学的効果は示されず/予測されない。
【0054】
本発明の化合物は、HM74A受容体の不十分な活性化が寄与しているか、または該受容体の活性化が利益をもたらすことになる疾患の治療において、化合物そのものとして用いてもよいが、好ましくは、医薬処方の形態で許容される担体と共に提供される。担体は、当然ながら、処方の他の成分と適合性があるという意味で許容可能でなければならず、レシピエントに有害であってはならない。担体は、固体または液体でもよく、あるいはその両方でもよく、単位用量処方として、例えば、錠剤として、HM74Aモジュレーターと共に処方することが好ましく、HM74Aモジュレーターを0.05重量%から95重量%含有することができる。
【0055】
処方には、経口、直腸、局所、バッカル(例えば舌下)、および非経口(例えば皮下、筋肉内、皮内、または静脈内)投与に適したものが含まれる。
【0056】
本発明によれば、成分を混合する工程を含むかかる医薬組成物を調製するための方法も提供される。
【0057】
経口投与に適した処方は、カプセル、カシェ剤、ロゼンジまたは錠剤など、それぞれが所定量のHM74Aモジュレーターを含有している別個の単位において、粉末または顆粒として、水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として、あるいは水中油または油中水エマルジョンとして提供されうる。一般に、処方は、活性なHM74Aモジュレーターと、液体または微粉化固形担体あるいはこれら両方とを、均一にかつ十分に混合し、次いで、必要に応じて、生成物を成形することによって調製される。例えば、錠剤は、所望により1種または複数の副成分と共に、HM74Aモジュレーターの粉末または顆粒を圧縮または成型することによって調製されうる。圧縮された錠剤は、所望により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤および/または表面活性/分散剤と共に混合した、粉末や顆粒などの易流動性形態の化合物を適切な機械で圧縮することによって調製されうる。成型された錠剤は、不活性液状希釈剤で湿らせた粉末状化合物を適切な機械で成型することによって作製されうる。
【0058】
経口投与のための錠剤およびカプセルは、結合剤、例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、デンプンの粘漿剤、またはポリビニルピロリドン;増量剤、例えば、ラクトース、微結晶質セルロース、砂糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、またはソルビトール;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、またはシリカ;崩壊剤、例えば、ジャガイモデンプン、クロスカルメロースナトリウム、またはデンプングリコール酸ナトリウム;あるいはラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤など、従来の賦形剤を含有してもよい。錠剤は、当該分野で周知の方法に従ってコーティングしてもよい。経口液体製剤は、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ、またはエリキシルの形をとることができ、あるいは、使用前に水またはその他の適切なビヒクルを加えて元に戻すための乾燥生成物として提供することができる。そのような液体製剤は、懸濁剤、例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/シュガーシロップ、ゼラチン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、または水素化食用脂肪;乳化剤、例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアラビアゴム;非水性ビヒクル(食用油を含んでもよい)、例えば、アーモンド油、分画ヤシ油、油性エステル、プロピレングリコール、またはエチルアルコール;あるいは保存剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピル、またはソルビン酸など、従来の添加剤を含有してもよい。製剤は、緩衝塩、香料、着色剤、および/または甘味料(例えばマンニトール)を、必要に応じて含有してもよい。
【0059】
バッカル(舌下)投与に適した処方には、風味付けした基剤、通常はシュークロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントゴム中に、HM74Aモジュレーターを含むロゼンジと、ゼラチンおよびグリセリンまたはシュークロースおよびアラビアゴムなどの不活性基剤中にHM74Aモジュレーターを含む香錠が含まれる。
【0060】
非経口投与に適した本発明の処方は、好都合には、好ましくは意図されるレシピエントの血液と浸透圧が等しいHM74Aモジュレーターの滅菌水性製剤を含む。これらの製剤は、静脈内投与することが好ましいが、投与は、皮下、筋肉内、または皮内注射を用いて行ってもよい。そのような製剤は、好都合には、HM74Aモジュレーターと水とを混合し、得られた溶液を滅菌し、血液と浸透圧を等しくすることによって調製することができる。本発明による注射可能な組成物は、一般に、HM74Aモジュレーターを0.1から5%w/w含有することになる。
【0061】
したがって、本発明の化合物を含む非経口投与に適した本発明の処方は、ボーラス注射または連続輸液による非経口投与に合わせて処方することができ、単位用量形態、例えばアンプルやバイアル、小容量輸液、または充填済みシリンジで、あるいは保存剤が添加された多回用量容器において提供することができる。該組成物は、水性または非水性ビヒクル中の溶液、懸濁液またはエマルジョンなどの形をとることができ、酸化防止剤、緩衝液、抗菌剤および/または毒性調節剤などの製剤助剤を含有することができる。あるいは、活性成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば、滅菌された発熱物質を除去した水を加えることによって元に戻すことができるような粉末形態であってもよい。該乾燥固体は、滅菌粉末を無菌状態で個々の滅菌容器内に充填することによって、または滅菌溶液を無菌状態で各容器に充填し、次いで、凍結乾燥することによって調製されうる。
【0062】
直腸投与に適した処方は、好ましくは、単位用量の坐薬として提供される。これらは、HM74Aモジュレーターと、1種または複数の従来の固体担体、例えばココアバターまたはグリセリドとを混合し、次いで得られた混合物を成形することによって調製されうる。
【0063】
皮膚への局所施用に適した処方は、好ましくは、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油の形をとる。使用することができる担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびこれらの2種以上の組合せが含まれる。HM74Aモジュレーターは、一般に、組成物の0.1から15%w/wの濃度、例えば0.5から2%の濃度で配合される。
【0064】
本明細書で使用される場合、局所施用には、吹送および吸入による投与も含められる。局所投与のための様々なタイプの製剤の例には、軟膏、クリーム、ローション、粉末、ペッサリー、スプレー、エアロゾル、吸入器または吹送器で使用されるカプセルまたはカートリッジ、あるいは点滴薬(例えば点眼薬または点鼻薬)が含まれる。
【0065】
軟膏およびクリームは、例えば、適切な増粘剤および/またはゲル化剤および/または溶媒を添加して、水性または油性基剤と共に処方することができる。したがってそのような基剤には、例えば、水、および/または油、例えば、液体パラフィン、または落花生油やヒマシ油などの植物油、またはポリエチレングリコールなどの溶媒を含めることができる。使用することのできる増粘剤には、パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、微結晶質ワックス、および蜜蝋を含めることができる。
【0066】
ローションは、水性または油性基剤と共に処方することができ、一般に、1種または複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、または増粘剤も含有することになる。
【0067】
外部施用のための粉末は、いずれかの適切な粉末基剤、例えば、タルク、ラクトース、またはデンプンの助けにより形成することができる。点滴薬は、1種または複数の分散剤、可溶化剤または懸濁剤も含めた水性または非水性基剤と共に処方することができる。
【0068】
スプレー組成物は、例えば、加圧されたパックから送出される水性溶液または懸濁液としてあるいはエアロゾルとして、適切なプロペラント、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、二酸化炭素、またはその他の適切な気体を使用して処方することができる。
【0069】
本発明の化合物と、ラクトースやデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含有する吸入器または吹送器で使用されるカプセルおよびカートリッジ、例えばゼラチン製のカプセルおよびカートリッジを処方することができる。
【0070】
本発明の医薬組成物は、他の治療薬と組み合わせて、例えば他の種類の異常脂質血症薬(例えばスタチン、フィブラート、胆汁酸結合樹脂、またはニコチン酸)と組み合わせて使用してもよい。
【0071】
本発明の化合物は、1種または複数の治療薬と組み合わせて、例えば、他の種類の異常脂質血症薬、例えば、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素Aレダクターゼ阻害剤(スタチン)またはフィブラートまたは胆汁酸結合樹脂またはニコチン酸と組み合わせて使用してもよい。かくして、本発明は、さらなる態様において、HM74A受容体の不十分な活性化が寄与しているか、または該受容体の活性化が利益をもたらすことになる疾患の治療におけるかかる組合せの使用、および異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の多くの疾患、例えば、糖尿病性異常脂質血症および混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患および卒中、ならびに、II型真性糖尿病、I型糖尿病、インスリン耐性、高脂質血症、拒食症、肥満に関連する心血管適応症の併用療法のための医薬の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理学錠機能的な誘導体の使用を提供する。
【0072】
本発明の化合物を他の治療薬と組み合わせて使用する場合、該化合物は、いずれかの好都合な経路によって、連続的または同時に投与すすればよい。
【0073】
上記にて言及された組み合わせは、好都合には、医薬処方の形態で使用するために提供することができ、かくして、上記の組み合わせを最適には医薬上許容される担体または賦形剤と共に含む医薬処方は、本発明のさらなる態様を構成する。かかる組み合わせの個々の成分は、個別または組み合わされた医薬処方において、連続的または同時に投与すればよい。
【0074】
同じ処方中で組み合わせられる場合、2つの成分は安定であり、互いに適合性であり、かつ処方の他の成分とも適合性でなければならず、投与に相応しくなるよう処方されうることが理解されよう。別々に処方される場合、これらの成分は、いずれか好都合な処方において、好都合には当該分野でこのような化合物に対して知られているような方法で提供すればよい。
【0075】
同じ疾患に対して活性な第2の治療薬と組み合わせる場合、各成分の投与量は、化合物が単独で使用される場合の投与量と異なってもよい。適切な投与量は、当業者に容易に理解されよう。
【0076】
かくして、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物またはその生理学上許容される塩もしくは溶媒和物を別の治療上活性な薬剤と一緒に含む組み合わせを提供する。該組み合わせは、好都合には、医薬処方の形態で使用するために提供され、したがって、上記の組み合わせを医薬上許容される担体と共に含む医薬処方は、本発明のさらなる態様を表す。
【0077】
式(I)の化合物、ならびにその塩および溶媒和物は、本発明のさらなる態様を構成する以下に記述される方法を含めた様々な合成経路によって調製されうる。
【0078】
略語
PyHOTs ピリジニウムトシラート
CDI カルボニルジイミダゾール
THF テトラヒドロフラン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
PyHCl ピリジニウム塩酸塩
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
IPA イソプロピルアルコール
【0079】
方法A:
式(I):
【化4】

[式中、Rは、C1−3アルキルを示し、W、X、Y、ZおよびRは上記のとおりである]
で示される化合物の製法をスキーム(a):
【化5】

に示す。
【0080】
したがって、本発明は、CDIを用いるアミドカップリングを含み、所望により、または必要に応じ、得られた式(I)の遊離の酸または塩基化合物を生理学上許容される塩形態に変換し、またはその逆に変換し、または1の塩形態を別の生理学上許容される塩形態に変換することを含む式(I)の化合物の製法を提供する。
【0081】
方法B:
式(I)の化合物のメチルエステルの対応するカルボン酸への変換は、スキーム(b):
【化6】

に示されるように、ピリジン塩酸塩を用いて実施されうる。
【0082】
方法C:
式(I)
【化7】

[式中、Rは水素を示し、W、X、Y、ZおよびRは上記の通りである]
で示される化合物の製法をスキーム(c):
【化8】

に示す。
【0083】
したがって、本発明は、銅を用いるヨードまたはブロモ複素環のアミドとのカップリングを含み、所望により、または必要に応じて、得られた式(I)の遊離の酸または塩基化合物を生理学上許容される塩形態に変換し、またはその逆に変換し、または1の塩形態を別の生理学上許容される塩形態に変換することを含む式(I)の化合物の製法を提供する。
【0084】
方法D:
式(I)
【化9】

[式中、Rは水素を示し、XはSを示し、YおよびZは各々、CHを示し、WおよびRは上記のとおりである]
で示される化合物の製法をスキーム(d):
【化10】

に示す。
【0085】
したがって、本発明は、アミノチオフェンと酸クロリドとの間のアミド結合の形成を含み、次いで、メチルエステルの塩基加水分解を含む式(I)の化合物の製法を提供する。
【0086】
方法E:
式(I)
【化11】

[式中、Rは水素を示し、YはSを示し、XおよびZは各々、CHを示し、Wはピペラジニルを示し、Rは上記のとおりである]
で示される化合物の製法をスキーム(e):
【化12】

に示す。
【0087】
したがって、本発明は、
a)アミノチオフェンとトリクロロメチルクロロホルメートとの反応、次いで、置換ピペラジンとの反応、
b)塩基を用いるメチルエステルの加水分解
を含む式(I)の化合物の製法を提供する。
【0088】
方法F:
式(I)
【化13】

[式中、Rは水素を示し、XおよびYは上記のとおりであり、ZはCHを示し、Wは−A−B−C−を示し、Aは−(CH−を示し、Bは環状アミンを示し、Cは存在せず、Rはベンゾトリアジニルを示す]
で示される化合物の製法をスキーム(f):
【化14】

に示す。
【0089】
したがって、本発明は、
a)塩化物のアミンでの置換、
b)CDIを用いるアミドカップリング(方法A)、
c)ピリジン塩酸塩(方法B)または塩基加水分解を用いる、メチルエステルのカルボン酸への変換
を含む式(I)の化合物の製法を提供する。
【0090】
下記の非限定的な実施例は、本発明を説明するものである。
【実施例】
【0091】
合成例
実施例1:
4−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−3−チオフェンカルボン酸
a)メチル−4−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−3−チオフェンカルボキシレート
【化15】

(方法A)
(4−ビフェニルイルオキシ)酢酸(J. Med. Chem 1976, 19, 1079-1088)(0.151g,0.663mmol,1当量)および1,1−カルボニルジイミダゾール(0.129g,0.795mmol,1.2当量)を無水THF(5ml)中、窒素下で勢い良く攪拌した。1時間後、メチル−4−アミノ チオフェン−3−カルボキシレート(0.125g,0.795mmol,1.2当量)およびp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(400mg,2.16mmol,2.4当量)を加え、混合物を窒素下で18−20時間還流した。次いで、混合物を室温に冷却し、セライトでろ過し、真空下で濃縮して粗生成物を得た。19−9:1 シクロヘキサン:酢酸エチルで溶出するバイオタージ(Biotage)TM(登録商標)クロマトグラフィー(Si,50g)による精製により、標題化合物を白色固体として得た(0.052g,21%)。
1H NMR δH (400 MHz; CDCl3) δ: 3.94 (3H, s), 4.71 (2H, s), 7.15 (2H, m), 7.33 (1H, m), 7.44 (2H, app t, J=7.5 Hz), 7.53-7.62 (4H, m), 8.07 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.12 (1H, d, J=3.5 Hz), 11.14 (1H, s); m/z 368.1 [MH+]
【0092】
b)4−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−3−チオフェンカルボン酸
【化16】

(方法B)
メチル4−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−3−チオフェンカルボキシレート(51mg,0.139mmol,1当量)およびピリジン塩酸塩(0.032mg,0.278mmol,2当量)の無水ピリジン(1ml)中混合物を一緒に、110℃で18時間加熱した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、2M HCl(20ml)で酸性化し、EtOAc(2x30ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。該化合物を負荷し、MeOH/CHClで洗浄、次いで、MeOH中における2Mアンモニア溶液で溶出するアミノプロピルSPE(5g)によって精製した。該アンモニア溶液の蒸発により、標題化合物を白色固体として得た(40mg,81%)。
1H NMR δH (400 MHz; DMSO-d6) 4.81 (2H, s), 7.15 (2H, app d, J=8.5 Hz), 7.32 (1H, t, J=7.5 Hz), 7.44 (2H, t, J=7.5 Hz), 7.60-7.69 (4H, m), 8.00 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.34 (1H, d, J=3.5 Hz), 11.22 (1H, s), 13.58 (1H, br s); m/z 354.0 [MH+].
【0093】
実施例2:
3−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−4−メチル−2−チオフェンカルボン酸
a)メチル3−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−4−メチル−2−チオフェンカルボキシレート
【化17】

メチル3−アミノ−4−メチル−2−チオフェンカルボキシレート(0.107g,0.626mmol)および(4−ビフェニルイルオキシ)酢酸(J. Med. Chem 1976, 19, 1079-1088)(0.119g,0.521mmol)を用いる方法A。19−9:1 シクロヘキサン:酢酸エチルで溶出するバイオタージTMクロマトグラフィー(Si,50g)による精製により、標題化合物を白色固体として得た(0.123g,62%)。
1H NMR δH (400 MHz; CDCl3) 2.26 (3H, s), 3.86 (3H, s), 4.73 (2H, s), 7.11-7.15 (2H, m), 7.18 (1H, br s), 7.31-7.37 (1H, m), 7.44 (2H, app t , J=7.5 Hz), 7.55-7.62 (4H, m), 9.70 (1H, br s); m/z 382.0 [MH+].
【0094】
b)3−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−4−メチル−2−チオフェンカルボン酸
【化18】

メチル3−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−4−メチル−2−チオフェンカルボキシレート(0.123g,0.322mmol)を用いる方法B。該化合物を負荷し、MeOH/CHClで洗浄、次いで、標題化合物をMeOH中における2Mアンモニア溶液で溶出するアミノプロピルSPE(5g)によって精製した。該アンモニア溶液の蒸発により、固形残渣を得、それを1M HCl(10ml)で処理し、次いで、EtOAc(50ml)中に抽出した。有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させて、標題化合物をクリーム色固体として得た(55.5mg,47%)。
1H NMR δH (400 MHz; DMSO-d6) 2.05 (3H, s), 4.77 (2H, s), 7.12 (2H, app d, J=8.5 Hz), 7.32 (1H, app t, J=7.5 Hz), 7.44 (2H, app t, J=7.5 Hz), 7.51 (1H, brs), 7.59-7.66 (4H, m), 9.93 (1H, s), 13.10 (1H, br s); m/z 368.1 [MH+].
【0095】
実施例3:
2−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−5−メチル−3−チオフェンカルボン酸
a)メチル2−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−5−メチル−3−チオフェンカルボキシレート
【化19】

メチル2−アミノ−5−メチル−3−チオフェンカルボキシレート(0.1g,0.585mmol)および(4−ビフェニルイルオキシ)酢酸(0.111g,0.487mmol)を用いる方法A。19−9:1 シクロヘキサン:酢酸エチルで溶出するバイオタージTMクロマトグラフィー(Si,50g)による精製により、標題化合物を薄黄色固体として得た(0.142g,76%)。
1H NMR δH (400 MHz;CDCl3) 2.41 (3H, s), 3.90 (3H, s), 4.77 (2H, s), 6.89 (1H, br s), 7.11-7.17 (2H, m), 7.34 (1H, app t, J=7.5 Hz), 7.44 (2H, app t, J=7.5 Hz), 7.54-7.62 (4H, m), 11.83 (1H, s); m/z 382.0 [MH+].
【0096】
b)2−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−5−メチル−3−チオフェンカルボン酸
【化20】

メチル2−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−5−メチル−3−チオフェンカルボキシレート(0.142g,0.372mmol)を用いる方法B。該化合物を負荷し、MeOH/CHClで洗浄、次いで、MeOH中における5−50%酢酸で溶出するアミノプロピルSPE(5g)によって精製した。生成物を含むフラクションを合わせ、蒸発させて、標題化合物をベージュ色固体として得た(12mg,9%)。
1H NMR δH (400 MHz; DMSO-d6) 2.32 (3H, s), 4.84 (2H, s), 6.81 (1H, br s), 7.14 (2H, app d, J=8.5 Hz), 7.35 (1H, app t, J=7.5 Hz), 7.43 (2H, app t, J=7.5 Hz), 7.62 (4H, m), CO2Hおよび NHは δH=13まで観察されず; m/z 368.1 [MH+].
【0097】
実施例4:
4−{[3−(6−フェニル−3−ピリダジニル)プロパノイル]アミノ}−3−チオフェンカルボン酸
a)3−(6−フェニル−3−ピリダジニル)プロパン酸
【化21】

4,7−ジオキソ−7−フェニルヘプタン酸(4.8g,20.5mmol)およびヒドラジン水和物(1ml,20.6mmol)の混合物を蒸気浴上の開放したフラスコ中で2時間加熱した。残渣を沸騰したジオキサン(90ml)中に溶解し、冷却により形成した結晶を収集した。標題化合物を含有する母液を蒸発させ、80:40:1 酢酸エチル:シクロヘキサン:酢酸で溶出するシリカ(100g)上のクロマトグラフィーによって精製した。得られた生成物を次いで、酢酸エチルから結晶化して、標題化合物を結晶性固体として得た(0.29g,6%)。
1H NMR δH (400 MHz; DMSO-d6) 2.18 (2H, t, J=7.5 Hz), 3.19 (2H, t, J=7.5 Hz), 7.48-7.59 (3H, m), 7.70 (1H, d, J=9 Hz), 8.09-8.18 (3H, m), 12.22 (1H, br s).
【0098】
b)メチル−4−{[3−(6−フェニル−3−ピリダジニル)プロパノイル]アミノ}−3−チオフェンカルボキシレート
【化22】

メチル−4−アミノ チオフェン−3−カルボキシレート(56.2mg,0.36mmol)および3−(6−フェニル−3−ピリダジニル)プロパン酸(98mg,0.43mmol)を用いる方法B。1:1 シクロヘキサン:酢酸エチルで溶出するバイオタージTMクロマトグラフィー(Si,25g)による精製により、標題化合物を薄黄色固体として得た(25mg,19%)。
1H NMR δH (400 MHz; CDCl3) 3.14 (2H, t, J=7 Hz), 3.45 (2H, t, J=7 Hz), 3.89 (3H, s), 7.47-7.56 (4H, m), 7.79 (1H, d, J=8.5 Hz), 8.01 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.02 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.07 (2H, app d, J=7.5 Hz), 10.11 (1H, br s); m/z 368.1 [MH+].
【0099】
c)4−{[3−(6−フェニル−3−ピリダジニル)プロパノイル]アミノ}−3−チオフェンカルボン酸
【化23】

メチル4−{[3−(6−フェニル−3−ピリダジニル)プロパノイル]アミノ}−3−チオフェンカルボキシレート(25mg,0.068mmol)のMeOH(1ml)およびTHF(1ml)中溶液に、2M NaOH(0.2ml)を加えた。得られた混合物を45分間振盪させ、次いで、真空下で濃縮した。反応混合物を次いで、1M HCl(5ml)で酸性化し、EtOAc(2x20ml)で溶出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、真空下で濃縮して、標題化合物を黄色固体として得た(12mg,50%)。
1H NMR δH (400 MHz; DMSO-d6) 3.01 (2H, t, J=7 Hz), 3.31 (2H, t, J=7 Hz), 7.50-7.59 (3H, m), 7.77 (1H, d, J=8.5 Hz), 7.89 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.08-8.15 (2H, m), 8.19 (1H, d, J=8.5 Hz), 8.30 (1H,d, J=3.5 Hz), 10.20 (1H, s), CO2HはδH=13まで観察されず; m/z 354.1 [MH+].
【0100】
実施例5:
4−{[3−(4−ビフェニルイル)プロパノイル]アミノ}−3−チオフェンカルボン酸
a)メチル−4−{[3−(4−ビフェニルイル)プロパノイル]アミノ}−3−チオフェンカルボキシレート
【化24】

メチル−4−アミノチオフェン−3−カルボキシレート(204mg,1.3mmol)および3−(4−ビフェニルイル)プロパン酸(0.267g,1.2mmol)を用いる方法A。9:1 シクロヘキサン:酢酸エチルで溶出するバイオタージTMクロマトグラフィー(Si,25g)による精製により、標題化合物を薄黄色固体として得た(0.25g,57%)。
1H NMR δH (400 MHz;CDCl3) 2.78 (2H, t, J=8 Hz), 3.13 (2H, t, J=8 Hz), 3.88 (3H, s), 7.30-7.38 (3H, m), 7.44 (2H, t, J=7.5 Hz), 7.51-7.61 (4H, m), 8.03 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.06 (1H, d, J=3.5 Hz), 10.04 (1H, br s); m/z 366.1 [MH+].
【0101】
b)4−{[3−(4−ビフェニルイル)プロパノイル]アミノ}−3−チオフェンカルボン酸
【化25】

メチル4−{[3−(4−ビフェニルイル)プロパノイル]アミノ}−3−チオフェンカルボキシレート(0.245g,0.67mmol)のMeOH(4ml)およびTHF(4ml)中溶液に、2M NaOH(1ml)を加えた。得られた混合物を3時間振盪し、次いで、真空下で濃縮した。残渣を1M HCl(20ml)で酸性化し、EtOAc(2x40ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、真空下で濃縮して、標題化合物をベージュ色固体として得た(0.185g,79%)。
1H NMR δH (400 MHz; δ: DMSO-d6) 2.76 (2H, t, J=7.5 Hz), 2.97 (2H, t, J=7.5 Hz), 7.31-7.39 (3H, m), 7.44 (2H, t, J=8 Hz), 7.57 (2H, d, J=8 Hz), 7.63 (2H, d, J=7.5 Hz), 7.91 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.29 (1H, d, J=3.5 Hz), 10.14 (1H, s), 13.31 (1H, v br s); m/z 352.1 [MH+].
【0102】
実施例6:
2−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−3−チオフェンカルボン酸
a)メチル2−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−3−チオフェンカルボキシレート
【化26】

メチル2−アミノ−チオフェン−3−カルボキシレート(0.245g,1.56mmol)および(4−ビフェニルイルオキシ)酢酸(0.296g,1.3mmol)を用いる方法A。19:1 シクロヘキサン:酢酸エチルで溶出するバイオタージTMクロマトグラフィー(Si,50g)による精製により、標題化合物を白色固体として得た(0.256g,54%)。
1H NMR δH (400 MHz; CDCl3) 3.93 (3H, s), 4.79 (2H, s), 6.81 (1H, d, J=5.5 Hz), 7.12-7.18 (2H, m), 7.25 (1H, d, J=5.5 Hz), 7.34 (1H, m), 7.44 (2H, app t, J=7.5 Hz), 7.54-7.64 (4H, m), 11.96 (1H, br s); m/z 385.1 [MNH4+].
【0103】
b)2−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−3−チオフェンカルボン酸
【化27】

メチル2−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−3−チオフェンカルボキシレート(0.115g,0.313mmol)を用いる方法B。該化合物を負荷し、MeOH/CHClで洗浄、次いで、MeOH中における2Mアンモニア溶液で溶出するアミノプロピルSPE(10g)によって精製した。該アンモニア溶液の蒸発により、固形残渣を得、それを1M HCl(10ml)で処理し、次いで、EtOAc(50ml)中に抽出した。有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させて、標題化合物を薄茶色固体として得た(47mg,43%)。
1H NMR δH (400 MHz; δ: DMSO-d6) 4.96 (2H, s), 7.06 (1H, d, J=5.5 Hz), 7.13-7.22 (3H, m), 7.33 (1H, app t, J=7.5 Hz), 7.41-7.48 (2H, m), 7.60-7.70 (4H, m), 11.94 (1H, br s), 13.42 (1H, v br s); m/z 352.0 [M-H]-.
【0104】
実施例7:
3−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−2−チオフェンカルボン酸
a)メチル 3−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−2−チオフェンカルボキシレート
【化28】

方法D。塩化(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル(F. De Marchi, G.F Tamagnone, F.Dorato, Farmaco, Edizione Scientifica, 1973, 28(7), 511-522)(123mg,0.5mmol,1当量)、メチル 3−アミノチオフェン−2−カルボン酸(78.5mg,0.5mmol,1当量)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.109ml,81mg,0.63mmol,1.25当量)の無水テトラヒドロフラン(5ml)中混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をジクロロメタン(15ml)中に溶解し、10gシリカSPE(Varian mega bond elut)に添加し、1カラム容量のジクロロメタンで溶出した。溶媒を蒸発させ、残渣をメタノール/ジクロロメタン 1:1中に溶解し、10g Flash SCX−2 SPE(IST Isolute SPE)に添加した。メタノール/ジクロロメタン 3:1での溶出により、標題化合物をオフホワイト色固体として得た(104mg,57%)。
m/z 368.1 [MH+], 385.1 [MNH4+].
【0105】
b)3−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−2−チオフェンカルボン酸
【化29】

メチル3−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−2−チオフェンカルボキシレート(50mg,0.14mmol)のMeOH(2ml)およびTHF(2ml)中溶液に、水酸化リチウム一水和物(12.6mg,0.299mmol)を水(0.5ml)中における溶液として加えた。得られた混合物を20時間攪拌し、次いで、さらに水酸化リチウム一水和物(6.3mg,0.15mmol)を水(0.5ml)中における溶液として加えた。さらに4時間攪拌後、反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を1M HClで酸性化し、次いで、EtOAc(2x25ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、真空下で濃縮した。該化合物を負荷し、MeOH/CHClで洗浄、次いで、標題化合物をメタノール中の5%−20%酢酸で溶出するアミノプロピルSPE(5g)によって精製した。純粋な生成物を含有するフラクションを合わせ、真空下で濃縮して、標題化合物を白色固体として得た(23mg,47%)。
1H NMR δH (400 MHz; δ: DMSO-d6) 4.84 (2H, s), 7.16 (2H, d, J=8.5 Hz), 7.33 (1H, t, J=7.5 Hz), 7.44 (2H, t, J=7.5 Hz), 7.58-7.70 (4H, m), 7.89 (1H, d, J=5 Hz), 8.04 (1H, d, J=5 Hz), 11.30 (1H, br s), 13.65 (1H, vbr s); m/z 352.0 [M-H]-
【0106】
実施例8:
2−{[3−(4−ビフェニルイル)プロパノイル]アミノ}−3−チオフェンカルボン酸
a)メチル2−{[3−(4−ビフェニルイル)プロパノイル]アミノ}−3−チオフェンカルボキシレート
【化30】

メチル−2−アミノ チオフェン−3−カルボキシレート(101mg,0.76mmol)および3−(4−ビフェニルイル)プロパン酸(J.Am. Chem.Soc 1972, 94, 4971-4977)(0.144g,0.64mmol)を用いる方法A。19:1 シクロヘキサン:酢酸エチルで溶出するバイオタージTMクロマトグラフィー(Si,25g)による精製により、標題化合物を白色固体として得た(0.125g,53%)。
1H NMR δH (400 MHz;CDCl3) 2.86 (2H, t, J=8 Hz), 3.14 (2H, t, J=8 Hz), 3.86 (3H, s), 6.74 (1H, d, J=6 Hz), 7.18 (1H, d, J=6 Hz), 7.29-7.37 (3H, m), 7.43 (2H, app t, J=7.5 Hz), 7.51-7.60 (4H, m), 10.97 (1H, br s); m/z 366.0 [MH+].
【0107】
b)2−{[3−(4−ビフェニルイル)プロパノイル]アミノ}−3−チオフェンカルボン酸
【化31】

メチル2−{[3−(4−ビフェニルイル)プロパノイル]アミノ}−3−チオフェンカルボキシレート(0.123g,0.336mmol)のMeOH(2ml)およびTHF(2ml)中溶液に、水酸化リチウム一水和物(31mg,0.74mmol)を水(1ml)中における溶液として加えた。得られた混合物を20時間攪拌し、次いで、真空下で濃縮した。残渣を1M HCl(20ml)で酸性化し、次いで、EtOAc(2x30ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、真空下で濃縮した。該化合物を負荷し、MeOH/CHClで洗浄、次いで、メタノール中の5%−20%酢酸で溶出するアミノプロピルSPE(5g)によって精製した。純粋な生成物を含有するフラクションを合わせ、真空下で濃縮して、標題化合物をクリーム色固体として得た(23mg,20%)。
1H NMR δH (400 MHz; DMSO-d6) 2.87-3.01 (4H, m), 6.93 (1H, d, J=5.5 Hz), 7.12 (1H, d, J=5.5 Hz), 7.29-7.39 (3H, m), 7.43 (2H, t, J=7.5 Hz), 7.57 (2H, d, J=8.5 Hz), 7.63 (2H, d, J=8.5 Hz), 11.26 (1H, br s), CO2HはδH=13まで観察されず; m/z 350.0 [M-H]-.
【0108】
実施例9:
4−({[4−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−1−ピペラジニル]カルボニル}アミノ)−3−チオフェンカルボン酸
a)メチル4−({[4−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−1−ピペラジニル]カルボニル}アミノ)−3−チオフェンカルボキシレート
【化32】

方法E。メチル4−アミノ−3−チオフェンカルボキシレート(250mg,1.59mmol,1当量)の無水ジオキサン(1.5ml)中溶液に、トリクロロメチルクロロホルメート(0.44ml,3.65mmol,2.3当量)を窒素下で滴下し、同時に、〜5℃の温度を維持した。反応混合物を室温で1時間攪拌した後、70℃で4時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、EtO(2ml)中に溶解し、ろ過した。次いで、該溶液を3−(1−ピペラジニル)−1,2,4−ベンゾトリアジン(米国特許第4091098号)(387mg,1.8mmol,1.13当量)の無水ジオキサン(1.9ml)中溶液に窒素下で加えた。該混合物を室温で18時間攪拌し、次いで、真空下で濃縮した。1:9 EtOAc:シクロヘキサンで溶出するバイオタージTMクロマトグラフィー(Si,50g)による精製により、標題化合物をオレンジ色固体として得た(169.3mg,24%)。
δH (400 MHZ, DMSO-D6) 3.65 (4H, APP T, J= 7.0 HZ), 3.88 (3H, S), 4.10 (4H, BR S), 7.54 (1H, T, J= 7.5 HZ), 7.65 (1H, D, J= 8.0 HZ), 7.70 (1H, D, J= 3.5 HZ), 7.87 (1H, APP T, J= 7.5 HZ), 8.27 (1H, D, J= 8.0 HZ), 8.37 (1H, D, J= 3.5 HZ), 9.55 (1H, S); M/Z 399.1 [MH+].
【0109】
b)4−({[4−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−1−ピペラジニル]カルボニル}アミノ)−3−チオフェンカルボン酸
【化33】

THF(0.5ml)およびMeOH(0.5ml)の混合液中におけるメチル 4−({[4−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−1−ピペラジニル]カルボニル}アミノ)−3−チオフェンカルボキシレート(20mg,0.05mmol,1当量)の溶液に、水(0.25ml)中における水酸化リチウム一水和物(4.1mg,0.1mmol,2当量)の溶液を加えた。該混合物を窒素下、室温で3時間攪拌した後、2M HClで酸性化し、EtOAc(2x25ml)で抽出した。有機溶液を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、ろ過し、真空下で濃縮して固体を得た。負荷およびメタノールでの洗浄、次いで、酢酸で溶出するアミノプロピルSPE(1g)による精製により、標題化合物をオレンジ色固体として得た(6.6mg,34%)。
δH (400 MHz, DMSO- d6) 3.65 (4H, app t, J=5.0 Hz), 4.09 (4H, br s), 7.53 (1H, app t, J=7.5 Hz), 7.62-7.68 (2H, m), 7.84-7.90 (1H, m), 8.24-9.29 (2H, m), 10.09 (1H, br s), CO2HはδH=13まで観察されず; m/z 385.1 [MH+].
【0110】
実施例10:
4−({[4−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−1−ピペラジニル]アセチル}アミノ)−3−チオフェンカルボン酸
a)メチル4−({[4−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−1−ピペラジニル]アセチル}アミノ)−3−チオフェンカルボキシレート
【化34】

メチル4−[(クロロアセチル)アミノ]−3−チオフェンカルボキシレート(European Journal of Medicinal Chemistry 24, 569-572)(150mg,0.65mmol,1当量)の無水DMF(3ml)中溶液に、窒素下で、3−(1−ピペラジニル)−1,2,4−ベンゾトリアジン(米国特許第4,091,098号)(180mg,0.84mmol,1.3当量)およびDIPEA(0.147ml,0.84mmol,1.3当量)を加えた。該混合物を窒素下、50℃で5時間攪拌した。室温に冷却後、該混合物を水とEtOAcとの間に分配した。有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、真空下で濃縮した。9:1 シクロヘキサン:EtOAcで溶出するSPE(Si,10g)による精製により、標題化合物をオレンジ色固体として得た(182mg,68%)。
δH (400 MHz, DMSO) 2.73 (4H, app t, J=5.0 hz), 3.27 (2H, s), 3.85 (3H, s), 4.13 (4H, br s), 7.50-7.55 (1H, m), 7.63 (1H, d, J=8.5 Hz), 7.83-7.89 (1H, m), 8.05 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.25 (1H, dd, J=8.5 and 1 Hz), 8.39 (1H, d, J=3.5 Hz), 11.28 (1H, s); m/z 413.2 [MH+].
【0111】
b)4−({[4−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−1−ピペラジニル]アセチル}アミノ)−3−チオフェンカルボン酸
【化35】

THF(1.5ml)およびMeOH(1.5ml)の混合液中におけるメチル 4−({[4−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−1−ピペラジニル]アセチル}アミノ)−3−チオフェンカルボキシレート(180mg,0.44mmol,1当量)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(56mg,1.32mmol,3当量)を水(0.75ml)中における溶液として加えた。該混合物を室温で36時間攪拌した後、2M HClで酸性化し、EtOAc(2x50ml)を用いて抽出した。該有機溶液を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、ろ過し、真空下で濃縮した。負荷およびメタノールでの洗浄、次いで、酢酸で溶出するアミノプロピルSPE(2g)によって精製した。該酢酸の蒸発により、標題化合物を黄色/オレンジ色固体として得た(48.2mg,28%)。
δH (400 MHz, DMSO) 2.73 (4H, app t, J=4.5 Hz), 3.25 (2H, s), 4.11 (4H, brs), 7.52 (1H, app t, J=7.5 Hz), 7.63 (1H, d, J=8.5 Hz), 7.86 (1H, appt, J=7.5 Hz), 7.99 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.25 (1H, app d, J=8.5 Hz), 8.31 (1H, d, J=3.5 Hz), 11.57 (1H, s), CO2HはδH=13まで観察されず; m/z 399.2 [MH+].
【0112】
実施例11:
2−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)−3−チオフェンカルボン酸
a)[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]酢酸
【化36】

方法F。4−ピペリジニル酢酸(444mg,3.1mmol,1当量)のIPA(10ml)中溶液に、3−クロロ−1,2,4−ベンゾトリアジン 1−オキシド(米国特許第4,091,098号)(704mg,3.875mmol,1.25当量)およびDIPEA(1.17ml,6.2mmol,2当量)を加えた。該混合物を窒素下、室温で48時間攪拌した。負荷およびメタノールでの洗浄、次いで、メタノール中の2Mアンモニアで溶出するアミノプロピルSPE(10g)によって精製した。該アンモニア抽出物を真空下で濃縮し、残渣を2M HCl(75ml)で処理し、次いで、EtOAc(2x150ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、真空下で濃縮して、標題化合物をオレンジ色固体として得た(894mg,100%)。
δH (400 MHz, DMSO) 1.10-1.30 (2H, m), 1.78 (2H, app d, J = 11 Hz), 1.90-2.05 (1H, m), 2.10-2.20 (2H, m), 3.01 (2H, app t, J=12.5 Hz), 4.56 (2H, app d, J=13 Hz), 7.35 (1H, app t, J=8 Hz), 7.58 (1H, d, 8 Hz), 7.79 (1H, app t, J=7 Hz), 8.13 (1H, d, J=8.5 Hz), CO2H はδH=13まで観察されず; m/z 289.2 [MH+].
【0113】
b)メチル2−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)−3−チオフェンカルボキシレート
【化37】

[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]酢酸(150mg,0.52mmol,1当量)およびメチル2−アミノ−3−チオフェンカルボキシレート(107mg,0.68mmol,1.3当量)を用いる方法A。1:9 EtOAc:シクロヘキサンで溶出するバイオタージTMクロマトグラフィー(Si,50g)による精製により、標題化合物をオレンジ色/黄色固体として得た(45mg,20%)。
δH (400 MHz, DMSO) 1.20-1.35 (2H, m), 1.80 (2H, app d, J=13.0 Hz), 2.08-2.20 (1H, m), 2.57 (2H, app d, J=7.0 Hz), 3.04 (2H, app.t, J=13 Hz), 3.83 (3H, s), 4.57 (2H, app d, J=13.0 Hz), 7.02 (1H, dd, J=6.0 Hz), 7.17 (1H, d, J=6.0 Hz), 7.35 (1H, ddd, J=8.5, 7.5 and 1 Hz), 7.59 (1H, app d, J=8.0 Hz), 7.80 (1H, ddd, J=8.5, 7.5 and 1 Hz), 8.13 (1H, dd, J=8.5 and 0.5 Hz), 10.83 (1H, s); m/z 428.2 [MH+].
【0114】
c)2−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)−3−チオフェンカルボン酸
【化38】

メチル2−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)−3−チオフェンカルボキシレート(40mg,0.094mmol,1当量)の無水ピリジン(1ml)中溶液に、ピリジニウム塩酸塩(54mg,0.48mmol,5当量)を加えた。該混合物を110℃で48時間攪拌した。室温に冷却後、該混合物を真空下で濃縮して残渣を得、それを2M HClを用いて酸性化し、EtOAc(25ml)を用いて抽出した。該有機溶液を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、真空下で濃縮した。負荷およびメタノールでの洗浄、次いで、メタノール中の2Mアンモニアで溶出するアミノプロピルSPE(1g)によって精製して、標題化合物をオレンジ/黄色固体として得た(15mg,40%)。
δH (400 MHz, DMSO) 1.20-1.35 (2H, m), 1.79 (2H, app d, J=11.0 Hz), 2.05-2.20 (1H, m), 2.42 (2H, d, J=7.0 Hz), 3.03 (2H, app t t, J=12.5 Hz), 4.58 (2H, app d, J=13.0 Hz), 6.77 (1H, d, J=5.5 Hz), 7.07 (1H, d, J=5.5 Hz), 7.35 (1H, app t, J=7.5 Hz), 7.59 (1H, d, J=8.5 Hz), 7.76-7.83 (1H, m), 8.13 (1H, d, J=8.0 Hz), 12.65 (1H, br s), NHはδH=13まで観察されず; m/z 414.2 [MH+].
【0115】
実施例12:
2−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)−3−チオフェンカルボン酸
a)1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジンカルボン酸
【化39】

方法F。イソニペコチン酸(0.285g,2.2mmol)のイソプロパノール(20ml)中懸濁液に、3−クロロ−1,2,4−ベンゾトリアジン 1−オキシド(米国特許第4,091,098号)(0.4g,2.2mmol)およびN−N−ジイソプロピルエチルアミン(0.96ml,5.5mmol)を加えた。得られた混合物を室温で20時間攪拌した。次いで、イソプロパノール(20ml)を加え、反応物を40℃で24時間加熱した後、50℃で3時間加熱した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、アミノプロピルSPEカートリッジ(50g)に直接アプライした。カートリッジをメタノールで洗浄した後、該化合物をメタノール中の2Mアンモニアで溶出し、それを真空下で濃縮した。残渣を1M HCl(40ml)で酸性化し、EtOAc(2x100ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させて、標題化合物をオレンジ色固体として得た(0.55g,91%)。
1H NMR (400 MHz; δ: DMSO-d6) 1.50-1.62 (2H, m), 1.90-1.99 (2H, m), 2.55-2.65 (1H, m), 3.18 (2H, m), 4.45 (2H, m), 7.36 (1H, app t, J=7.5 Hz), 7.59 (1H, d, J=8.5 Hz), 7.80 (1H, app t, J=7.5 Hz), 8.13 (1H, d, J=8.5 Hz), CO2HはδH=13まで観察されず; m/z 275.2 [MH+].
【0116】
b)メチル 2−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)−3−チオフェンカルボキシレート
【化40】

1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジンカルボン酸(150mg,0.55mmol,1当量)およびメチル 2−アミノ−3−チオフェンカルボキシレート(113mg,0.72mmol,1.3当量)を用いる方法A。1:9 EtOAc:シクロヘキサンで溶出するバイオタージTMクロマトグラフィー(Si,12g)による精製によって、標題化合物をオレンジ/黄色固体として得た(53mg,23%)。
δH (400 MHz, DMSO) 1.60-1.78 (2H, m), 2.03 (2H, app d, J=13 Hz), 3.96-3.10 (1H, m), 3.15 (2H, app t, J=13 Hz), 3.85 (3H, s), 4.64 (2H, app d, J=13.0 Hz), 7.03 (1H, d, J=6.0 Hz), 7.18 (1H, d, J=6.0 Hz), 7.34-7.40 (1H, m), 7.62 (1H, d, J=8.0 Hz), 7.78-7.84 (1H, m), 8.12 (1H, app d, J=8.5 Hz), 11.00 (1H, s); m/z 414.1 [MH+].
【0117】
c)2−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)−3−チオフェンカルボン酸
【化41】

メチル2−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)−3−チオフェンカルボキシレート(50mg,0.12mmol,1当量)の無水ピリジン(1ml)中溶液に、ピリジニウム塩酸塩(70mg,0.6mmol,5当量)を加えた。該混合物を110℃で48時間攪拌した。室温に冷却後、混合物を真空下で濃縮し、2M HClを用いて酸性化し、EtOAc(25ml)を用いて抽出した。該有機溶液を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、真空下で濃縮した。負荷およびメタノールでの洗浄、次いで、メタノール中の2Mアンモニアで溶出するアミノプロピルSPE(1g)による精製により、標題化合物をオレンジ/黄色固体として得た(35mg,73%)。
δH (400 MHz, DMSO) 1.58-1.71 (2H, m), 2.02 (2H, dd, J=13.0 and 2.5 Hz), 2.73-2.84 (1H, m), 3.16 (2H, app t, J=12.5 Hz), 4.61 (2H, d, J=13.5 Hz), 6.73 (1H, d, J=5.5 Hz), 7.05 (1H, d, J = 5.5 Hz), 7.36 (1H, t, J=7.5 Hz), 7.61 (1H, d, J=8.5Hz), 7.80 (1H, app t, J=8 Hz), 8.14 (1H, d, J=8.5 Hz), 13.36 (1H, br s) CO2HはδH=13まで観察されず; m/z 400.2 [MH+].
【0118】
実施例13:
4−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)−3−チオフェンカルボン酸
a)メチル4−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)−3−チオフェンカルボキシレート
【化42】

1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジンカルボン酸(実施例12a)(150mg,0.55mmol,1当量)およびメチル 4−アミノ−3−チオフェンカルボキシレート(113mg,0.72mmol,1.3当量)を用いる方法B。1:9 EtOAc:シクロヘキサンで溶出するバイオタージTMクロマトグラフィー(Si,50g)による精製により、標題化合物をオレンジ/黄色固体として得た(127mg,56%)。
δH (400 MHz, DMSO) 1.65 (2H, app qd, J=12.0 and 3.5 Hz), 2.00 (2H, dd, J=13.0 and 2.5 Hz), 2.75-2.85 (1H, m), 3.14 (2H, app.t, J=13.5 Hz), 3.86 (3H, s), 4.64 (2H, app d, J=13.5 Hz), 7.37 (1H, app t, J=8.5 Hz), 7.61 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.81 (1H, app t, J = 8.5 Hz), 7.92 (1H, d, J= 3.5 Hz), 8.14 (1H, app d, J=8.5 Hz), 8.37 (1H, d, J=3.5 Hz), 10.04 (1H, s); m/z 414.1 [MH+].
【0119】
b)4−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)−3−チオフェンカルボン酸
【化43】

THF(0.5ml)およびMeOH(0.5ml)の混合液中におけるメチル 4−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]カルボニル}アミノ)−3−チオフェンカルボキシレート(120mg,0.29mmol,1当量)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(36mg,0.87mmol,3当量)を水(0.25ml)中における溶液として加えた。該混合物を室温で4時間攪拌した後、2M HClを用いて酸性化し、EtOAc(2x25ml)を用いて抽出した。該有機溶液を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、真空下で濃縮して、標題化合物をオレンジ色固体として得た(77mg,67%)。
δH (400 MHz, DMSO) 1.60-1.71 (2H, m), 2.95-2.03 (2H, m), 2.70-2.85 (1H, m), 3.16 (2H, app t, J=14.5 Hz), 4.62 (2H, app d, J=13.0 Hz), 7.37 (1H, app t, J=8.5 Hz), 7.61 (1H, d, J=8.5 Hz), 7.81 (1H, app t, J=8.5 Hz), 7.91 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.14 (1H, app d, J=8.5 Hz), 8.31 (1H, d, J=3.5 Hz), 10.29 (1H, s), CO2H は観察されず; m/z 400.2 [MH+].
【0120】
実施例14:
4−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)−3−チオフェンカルボン酸
a)メチル4−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)−3−チオフェンカルボキシレート
【化44】

[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]酢酸(150mg,0.52mmol,1当量)およびメチル 4−アミノ−3−チオフェンカルボキシレート(107mg,0.68mmol,1.3当量)を用いる方法A。1:9 EtOAc:シクロヘキサンで溶出するバイオタージTMクロマトグラフィー(Si,50g)による精製により、標題化合物をオレンジ/黄色固体として得た(200mg,90%)。
δH (400 MHz, DMSO) 1.22-1.34 (2H, m), 1.80 (2H, app d, J=13.0 Hz), 2.05-2.12 (1H, m), 2.38 (2H, d, J=7.0 Hz), 3.04 (2H, app.t, J=13.0 Hz), 3.84 (3H, s), 4.57 (2H, d, 13.0 Hz), 7.35 (1H, app.t J=8.0 Hz), 7.59 (1H, d, J=8.5 Hz), 7.79 (1H, app.t, J=8.0 Hz), 7.93 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.13 (1H, d, J=8.5 Hz), 8.36 (1H, d, J=3.5 Hz), 9.87 (1H, s); m/z 428.2 [MH+].
【0121】
b)4−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)−3−チオフェンカルボン酸
【化45】

THF(0.5ml)およびMeOH(0.5ml)の混合液中におけるメチル 4−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)−3−チオフェンカルボキシレート(190mg,0.44mmol,1当量)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(55mg,1.33mmol,3当量)を水(0.25ml)中における溶液として加えた。該混合物を室温で4時間攪拌した後、2M HClを用いて酸性化し、EtOAc(2x25ml)を用いて抽出した。該有機溶液を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、真空下で濃縮して、標題化合物をオレンジ色固体として得た(152mg,84%)。
δH (400 MHz, DMSO) 1.21-1.33 (2H, m), 1.80 (2H, app d, J=13 Hz), 2.05-2.17 (1H, m), 2.37 (2H, d, J=7.0 Hz), 3.03 (2H, t, J=11.0 Hz), 4.58 (2H, d, J=13 Hz), 7.35 (1H, app.t, J=8.5 Hz), 7.59 (1H, d, J=8.5 Hz), 7.79 (1H, app.t, J=8 Hz), 7.91 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.13 (1H, dd, J=9.0 and 1.0 Hz), 8.30 (1H, d, J=3.5 Hz), 10.12 (1H, s), 13.40 (1H, v.br s); m/z 414.1 [MH+].
【0122】
実施例15:
4−({[1−(1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)−3−チオフェンカルボン酸
【化46】

方法F最終還元工程。4−({[1−(1−オキシド−1,2,4−ベンゾトリアジン−3−イル)−4−ピペリジニル]アセチル}アミノ)−3−チオフェンカルボン酸(実施例14b)(50mg,0.12mmol)のエタノール(5ml)中溶液を炭素上の10%パラジウム(50%HO,degussaタイプ,10mg)を用いて水素化した。3時間後、該混合物をセライトでろ過し、有機溶液を真空下で濃縮した。負荷およびメタノールでの洗浄、次いで、メタノール中の2Mアンモニアで溶出するアミノプロピルSPE(1g)によって精製した。該アンモニア溶液の蒸発により固体を得、それを2M HCl(25ml)とEtOAc(25ml)との間に分配した。該有機溶液を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、真空下で濃縮して、標題化合物を黄色固体として得た(16mg,34%)。
δH (400 MHz, DMSO) 1.23-1.37 (2H, m), 1.85 (2H, d, J=12.0 Hz), 2.17 (1H, m), 2.38 (2H, d, J=7.0 Hz), 3.10-3.20 (2H, m), 4.91 (2H, d, J=11.0 Hz), 7.48 (1H, app.t, J=7.5 Hz), 7.59 (1H, d, J=8.5 Hz), 7.78-7.85 (1H, m), 7.92 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.21 (1H, d, J=8 Hz), 8.27 (1H, d, J=3.5 Hz), 10.22 (1H, s), 13.19 (1H, v br s); m/z 398.1 [MH+].
【0123】
実施例16:
4−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−3−フランカルボン酸
【化47】

(方法C)
2−(4−ビフェニルイルオキシ)アセトアミド(J. Med. Chem. 1983, 26, 700-714)(0.055g,0.242mmol,1当量)、4−ヨード−3−フランカルボン酸(J. Org. Chem. 1997, 62, 8750-8759)(0.075g,0.315mmol,1.3当量)、ヨウ化カリウム(0.0604g,0.364mmol,1.5当量)、銅粉末(0.0285g,0.448mmol,1.85当量)および炭酸カリウム(0.0838g,0.606mmol,2.5当量)のDMF(0.75ml)中混合物を120℃で20時間加熱した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、1M HCl(20ml)で処理し、EtOAc(2x50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、真空下で濃縮した。該化合物を負荷し、MeOH/CHClで洗浄し、次いで、メタノール中の5%酢酸で溶出するアミノプロピルSPE(5g)によって精製した。純粋な生成物を含有するフラクションを合わせ、真空下で濃縮して、標題化合物を白色固体として得た(45mg,55%)。
1H NMR δH (400 MHz; DMSO-d6) 4.84 (2H, s), 7.13 (2H, app d, J=8.5 Hz), 7.32 (1H, app t, J=7.5 Hz), 7.44 (2H, app t, J=7.5 Hz), 7.64 (4H, app t, J=8.5 Hz), 8.24 (1H, brs), 8.29 (1H, br s), 10.08 (1H, br s), 13.54 (1H, br s); m/z 338.2 [MH+].
【0124】
実施例17:
3−{[(4−ビフェニルイルオキシ)アセチル]アミノ}−2−フランカルボン酸
【化48】

3−ブロモ−2−フランカルボン酸(Heterocycles, 1993, 36, 1867-1882)(95mg,0.5mmol)を用いる方法C。35−80%−0.05%ギ酸 アセトニトリル:0.1%ギ酸 水を用いて8ml/分で溶出するスーパーコシル(supercosil)ABZ(10cmx21.2mm)カラム上のオートプレップ(autoprep)による精製。フラクションを真空下で濃縮して、標題化合物を黄色固体として得た(3.5mg,3%)。
1H NMR δH (400 MHz;δ: DMSO-d6) 4.83 (2H, s), 7.13 (2H, d, J=8.5 Hz), 7.28-7.36 (2H, m), 7.44 (2H, t, J=7.5 Hz), 7.64 (4H, app t, J=9 Hz), 7.82 (1H, v br s), 10.24 (1H, v br s), 13.71 (1H, br s); m/z 336.1 [M-H]-.
【0125】
限定するものではないが、本明細書中に引用される特許および特許出願を包含する全ての出版物は、出典明示により、あたかも個々の出版物が特別かつ個別に、出典明示により完全に示されているかの如く本明細書の一部とされることが示されているかのように、本明細書の一部とする。
該記載および請求の範囲が一部を形成する本出願は、いずれかのその後の出願に関し優先権の基礎として使用されてもよい。かかる後の出願の請求の範囲は、本明細書中に記載される特徴のいずれか、または特徴の組み合わせに向けられてもよい。それらは、生成物、組成物、製法または使用の請求項の形態を取ってもよく、例示目的で、かつ、限定するものではなく、本出願の特許請求の範囲を包含していてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
は、水素またはC−Cアルキルを示し;
は、5、6または10員のアリール、ヘテロアリール、複素環式または脂環式環系を示し;
X、YおよびZは、独立して、S、OまたはCHを示し、但し、X、YおよびZの3つ全てがCHを示すことはなく;
Wは、−(CH−;−CH=CH−;−(CHNHC(O)−;−(CHNHC(O)NH−;−(CHNHC(O)O−;−(CHSONR−;−(CHNRSO−;−(CHO−;−C(R)O−または−A−B−C−を示し;
AおよびCは、独立して、存在していても、存在していなくてもよく、独立して、−(CH−;−CH=CH−;−(CHNHC(O)−;−(CHNHC(O)O−;−(CHNHC(O)NH−;−(CHSONR−;−(CHNRSO−;−(CHC(O)−;−(CHNH−;−(CHO−;−(CHS−または−(CHO−CH−を示し;
Bは、5または6員のアリール、ヘテロアリール、複素環式または脂環式環系を示し;
nは、2、3および4から選択される整数を示し;
pは、0、1および2から選択される整数を示し;
qは、1、2、3および4から選択される整数を示し;
は、水素またはメチルを示し;
およびRは、同一または異なっていてもよく、独立して、C−Cアルキルを示す]
で示される化合物およびその塩、溶媒和物または生理学上機能的な誘導体から選択される化合物。
【請求項2】
が水素またはメチルを示す請求項1記載の化合物。
【請求項3】
X、YおよびZのうち2つがCHを示す請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
X、YおよびZがそれらが結合している炭素原子と一緒になって、チオフェニルおよびフラニルから選択されるヘテロアリール環を形成する請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
がベンゾトリアジニル、シクロヘキシル、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびイソオキサゾリルから選択される請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
が置換されたフェニルである請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
がハロゲン、C1−3アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−3アルコキシおよびC1−3ハロアルコキシから選択される1または2個の置換基で置換されたフェニルである請求項6記載の化合物。
【請求項8】
が:
【化2】

からなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
が:
【化3】

からなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
[請求項9]
Wが−A−B−C−、−(CH−、−(CHO−または−(CHNHC(O)−を示す上記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
Wが−A−B−C−、−O−、−CH−または−CHO−を示す請求項9記載の化合物。
【請求項11】
Wが−A−B−C−を示し、Aが存在しないか、または−(CHSONR−、−(CHNHC(O)−または−(CHNHC(O)NH−を示す請求項10記載の化合物。
【請求項12】
Wが−A−B−C−を示し、Aが−CH−を示し、Cが−(CHSONR−を示す請求項10記載の化合物。
【請求項13】
Aが−O−または−CHO−を示し、Cが存在しない請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
Bが5または6員のアリールまたはヘテロアリール環を示す上記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
Bがフェニルを示す請求項13記載の化合物。
【請求項16】
Bが5員のヘテロアリール環を示す請求項13記載の化合物。
【請求項17】
Bが5員の複素環を示す請求項13記載の化合物。
【請求項18】
Bがベンゾトリアジニルを示す請求項13記載の化合物。
【請求項19】
ヒトまたは獣医学的医薬において有用な上記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項20】
異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の障害または炎症性疾患もしくは炎症状態の治療において有用な請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物。
[請求項20]
糖尿病性異常脂質血症、混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患、高脂質血症、拒食症、肥満、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患または卒中の治療において有用な請求項20記載の化合物。
【請求項21】
異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の障害または炎症性疾患もしくは炎症状態の治療のための医薬の製造における請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項22】
糖尿病性異常脂質血症、混合型異常脂質血症、心不全、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症および高トリグリセリド血症を包含する心血管疾患、高脂質血症、拒食症、肥満、冠動脈疾患、血栓症、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患または卒中の治療において有用な請求項21記載の使用。
【請求項23】
HM74A受容体の不十分な活性化によって特徴付けられるか、または該受容体の活性化が有益である疾患に罹患しているヒトまたは動物の治療方法であって、該ヒトまたは動物に、請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物の有効量を投与することを特徴とする方法。
【請求項24】
疾患が異常脂質血症および高リポタンパク血症を包含する脂質代謝の障害または炎症性疾患もしくは炎症状態である請求項24記載の方法。
【請求項25】
1以上の生理学上許容される希釈剤、賦形剤または担体と混合した請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物を含む医薬処方。
【請求項26】
請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物と別の治療活性剤とからなる、別々または組み合わせた医薬処方において一緒に、または別々、連続的、または同時に投与するための組み合わせ。
【請求項27】
請求項1〜18のいずれか1項記載の化合物、およびスタチン、フィブラート、胆汁酸結合樹脂およびニコチン酸からなる群から選択されるさらなる活性成分、および1以上の生理学上許容される希釈剤、賦形剤または担体を含む医薬処方。

【公表番号】特表2008−530075(P2008−530075A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554653(P2007−554653)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000510
【国際公開番号】WO2006/085113
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】