ICタグ付き物流搬送機器及びICタグ付き車輪
【課題】ハンドルのないドーリーは不使用時に積み重ねて置かれることが多く、キャリーや台車も持ち手を折りたたんで積み重ねられることがある。このように積み重ねられると、ドーリー等の物流搬送機器に取り付けられたICタグは上に載る物流搬送機器に接触して損傷し、あるいは外れ落ちることがあった。本願発明の課題は、物流搬送機器を重ね置いてもICタグが損傷し又は外れ落ちることがなく、二以上の方向からの送受信に対しても精度よく反応し得るICタグ付き物流搬送機器を提供することにある。
【解決手段】本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、ICタグが物流搬送機器の荷台底面であって、物流搬送機器の上に他の物流搬送機器を重ね置きしても他の物流搬送機器には接触しない位置に設けられ、且つ、ICタグが、荷台の外縁を構成する外縁線のうち異なる方向に向いた二以上の外縁線に沿って、それぞれ配置されたものである。
【解決手段】本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、ICタグが物流搬送機器の荷台底面であって、物流搬送機器の上に他の物流搬送機器を重ね置きしても他の物流搬送機器には接触しない位置に設けられ、且つ、ICタグが、荷台の外縁を構成する外縁線のうち異なる方向に向いた二以上の外縁線に沿って、それぞれ配置されたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、荷物などを運搬するドーリー、キャリー、台車といった物流搬送機器にICタグが取り付けられたICタグ付き物流搬送機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
数多くの荷物が集められかつ配送される荷物の集配場では、場内の荷物移動のために物流搬送機器が利用される。物流搬送機器で荷物を移動する際、通常、荷物の内容、配送先、荷物の取り扱い条件、配送日時といった荷物情報を記録したものとともに移動する。これは目的の場所(目的の配送車や予定された保管場所など)まで正しく荷物を運ぶためであるが、従来この荷物情報の記録手段としては荷札、伝票、ホワイトボードなどへ手書きすることが多く、面倒な手間が生じるばかりか乱雑な文字による読み間違いからミスも生じていた。
【0003】
そこで昨今では、特許文献1のように物流搬送機器にICタグ(RFID:Radio Frequency IDentification)を設置し、このICタグに必要な情報を記録させたうえで物流搬送機器の荷物を移動することも行われている。ICタグは「電子荷札」と呼ばれることもあるように荷物そのものに取り付けられることもあるが、複数の荷物に対してまとめて荷物情報を記録させる場合、荷物そのものではなく荷物を載せる物流搬送機器の方にICタグを取り付けることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−36230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ハンドルのないドーリー(図7)は不使用時に積み重ねて置かれることが多く、キャリーや台車も持ち手を折りたたんで積み重ねられることがあり、このように積み重ねられると、ドーリー等の物流搬送機器に取り付けられたICタグは上に載る物流搬送機器に接触して損傷し、あるいは外れ落ちることがある。
【0006】
また、従来のICタグを取り付けた物流搬送機器は、一方向からの送受信に対応するようにICタグが取り付けられており、その方向以外からの送受信に対しては精度よく反応できないという難点があった。具体的には、物流搬送機器が平面視長方形のドーリーの場合、従来ではドーリーの長手方向の側面のみにICタグが取り付けられており、長手方向の側面に向けて無線通信する場合は精度よく反応できるが、短手方向の側面に向けて無線通信する場合にはあまり反応精度がよくなかった。
【0007】
本願発明の課題は、物流搬送機器を重ね置いてもICタグが損傷し又は外れ落ちることがなく、二以上の方向からの送受信に対しても精度よく反応し得るICタグ付き物流搬送機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、ドーリー、キャリー、台車といった重ね置き可能な物流搬送機器に、集積回路とアンテナを有する無線機能を備えたICタグが設けられたICタグ付き物流搬送機器であり、前記ICタグの一又は二以上が、物流搬送機器の荷台底面であって、前記物流搬送機器の上に他の物流搬送機器を重ね置きしても他の物流搬送機器には接触しない位置に設けられたものである。前記ICタグは、前記荷台の外周縁のうち異なる方向に向いた二以上の外周縁に沿って、それぞれ配置されたものである。
【0009】
本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、請求項1又は請求項2記載のICタグ付き物流搬送機器において、前記ICタグの受信面が荷台底面に沿って配置されたものである。この場合、ICタグを異なる二以上の方向に対して、受信可能又は送受信可能なものとすることもできる。
また、本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、請求項1又は請求項2記載のICタグ付き物流搬送機器において、ICタグの受信面が荷台底面下方に垂下して設けられ、前記受信面の前面及び背面から送受信可能となるよう配置されたものとすることもできる。この場合、ICタグを取り付けるICタグ取り付け材と、台車に取り付け可能な取り付け部を有する支持具を備え、前記支持具のIC取り付け材は、一部開口した開口部を有し、前記ICタグ取り付け板の前面又は/及び背面に前記ICタグを取り付け、又は、前記ICタグ取り付け板の開口部に前記ICタグを嵌め込んで前記取り付け部を物流搬送機器の荷台底面に取り付けることもできる。
【0010】
本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のICタグ付き物流搬送機器において、ICタグが、物流搬送機器の一の車輪に又は二以上の車輪夫々に接近して、且つ、前記車輪と物流搬送機器の荷台の外縁を構成する外縁線との間に配置されたものとすることもできる。
また、本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のICタグ付き物流搬送機器において、物流搬送機器に取り付けるための取り付け具を有する車輪を一又は二以上備えると共に、前記車輪の一又は二以上の車輪のうち、一又は二以上の車輪の取り付け具にICタグが配置されたものとすることもできる。
本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、上記いずれの場合も、ICタグが、物流搬送機器の荷台の外縁を構成する外縁線よりも内側に設けられたものとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本願発明のICタグ付き物流搬送機器には次のような効果がある。
(1)荷物情報の記録のため手書きするといった面倒な手間や、手書の乱雑な文字を読み間違うことに伴うミスが生じない。
(2)ICタグに荷物情報を書き込み、その情報を読み取ることで物流搬送機器の荷物を、確実かつ迅速に運搬することができる。
(3)ICタグが物流搬送機器の荷台底面に設けられているので、荷物を置くための邪魔とならない。
(4)物流搬送機器の上に他の物流搬送機器を重ね置きした場合でも、ICタグが他の物流搬送機器には接触しない位置に設けられているので、ICタグは損傷することも外れ落ちることもない。
(5)ICタグが、物流搬送機器の荷台の外縁を構成する外縁線のうち異なる方向に向いた二以上の外縁線に沿って配置されているので、二以上の方向からの送受信に対しても精度よく反応することができる。
(6)ICタグが、その受信面が荷台底面下方に垂下されるように設けられ、前記受信面の前面及び背面から送受信可能となるよう配置されているので、前後二方向からの送受信に対しても精度よく反応することができる。
(7)ICタグが、物流搬送機器の荷台の外縁を構成する外縁線よりも内側に設けられているので、荷台の外縁を障害物に衝突させた場合でもICタグは直接衝撃を受けることがない。
(8)ICタグの受信面が物流搬送機器の荷台底面に沿うように、ICタグが配置されているので、ICタグの取り付け作業が容易である。またこの場合も、ICタグが異なる二以上の方向に対して受信可能(又は送受信可能)であるので、本願発明のICタグ付き物流搬送機器も二以上の方向からの送受信に対しても精度よく反応することができる。
(9)物流搬送機器に取り付けるための取り付け具にICタグを配置することもできるので、ICタグ配置箇所の選択肢がさらに広がる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本願発明のICタグ付き物流搬送機器を裏返して重ね置きした状態を示す斜視図。
【図2】ICタグを支持具に取り付けた状態を示す斜視図。
【図3】対角する二つの車輪にそれぞれ接近するようにICタグを配置した平面図。
【図4】一つの車輪に接近するようにICタグを配置した平面図。
【図5】車輪に接近してICタグを配置した側面図。
【図6】開口部を有する支持具の斜視図。
【図7】ドーリーの一辺の該周縁を外して見易くした状態の全体斜視図。
【図8】本願発明のICタグ付き物流搬送機器を通常の姿勢で重ね置きした状態を示す斜視図。
【図9】車輪を荷台底面に取り付けるための取り付け具に直接ICタグを取り付けた状態を示す斜視図。
【図10】ICタグの長手方向がドーリーの短辺に沿うようにICタグを配置した状態を示す斜視図。
【図11】ICタグの長手方向がドーリーの長辺に沿うようにICタグをドーリーの端部材に配置した状態を示す斜視図。
【図12】ICタグの長手方向がドーリーの長辺と略平行となるようにICタグをドーリーの中央部材に配置した状態を示す斜視図。
【図13】ICタグの長手方向がドーリーの短辺と略平行となるようにICタグをドーリーの中央部材に配置した状態を示す斜視図。
【図14】ICタグの長手方向がドーリーの各辺に対して斜方向となるようにICタグをドーリーの中央部材に配置した状態を示す斜視図。
【図15】ICタグの受信面が荷台底面に沿って配置された本願発明のICタグ付き物流搬送機器を通常の姿勢で重ね置きした状態を示す斜視図。
【図16】車輪を荷台底面に取り付けるための取り付け具に、ICタグの受信面が荷台底面に沿うように、直接ICタグを取り付けた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
本願発明のICタグ付き物流搬送機器の一実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、二台のドーリー1を裏向きにして重ね置いた状態を表す図である。このドーリー1は荷物を載せる荷台2と車輪3からなり、通常は手押し用のハンドルが取り付けられていないものであるが、手押し用のハンドルを取り付け可能なものとすることもできる。
なお、本実施形態では物流搬送機器としてドーリー1を例に挙げて説明しているが、その他、キャリーや台車といった手押し用のハンドルを折りたたむことができる物流搬送機器の場合であっても構わない。
【0014】
ドーリー1の荷台2は平面視長方形を呈し、荷台2の底面四隅にはそれぞれ車輪3が固定されている。この車輪3は、鉛直軸周りに回転できないいわゆる固定式の車輪や、鉛直軸周りに回転可能な自在式の車輪とすることができる。また、固定式であっても自在式であっても、車輪にストッパ機能を設けることもできる。
【0015】
図1に示すように、ドーリー1を重ねて置く場合、裏向きにして荷台2の長手方向と短手方向を交差させる。具体的には、下のドーリー1を荷台2の長手方向が横向きとなるように置くと、その上に載せるドーリー1は荷台2の長手方向が縦向きとなるように置く。さらに上に載せるドーリー2は荷台2の長手方向が横向きとなるように置き、以降、荷台2の長手方向を縦向き、横向きの順で繰り返す。これによって車輪が邪魔にならずに重ねられていき、ドーリー2を置くための鉛直方向の設置スペースが軽減されることとなる。
ドーリー1を図1に示すように重ねて置くと、車輪3によって滑りだすことなく安定して重ね置けるが、これに限らず、図8に示すようにドーリー1を通常使用する姿勢のまま順次重ね置くこともできる。この場合、図に示すように上下のドーリー1の長手方向と短手方向をそれぞれ揃えることができる。その他、ドーリー1を裏返し、重ねられる上下ドーリー1の長手方向と短手方向を揃えて置くこともできるし、通常使用する姿勢のまま上下ドーリー1の長手方向と短手方向を交互に向けて重ね置くこともできる。
【0016】
荷台2の底面には、この底面形状を構成する外縁線(つまり長方形の四辺)のうち、長手方向の外縁線(以下、「長辺」という)に沿って一箇所に、短手方向の外縁線(以下、「短辺」という)に沿って一箇所に、それぞれICタグ4が取り付けられている。このように、荷台2の底面にICタグ4を取り付けることで、荷台2上に載せる荷物には邪魔にならず、また、ICタグ4を荷台2の長辺と短辺に配置することで、進行方向と進行方向に対して直角方向からの通信にも対応することができる。
【0017】
ICタグ4は、リードオンリー型(読み取り専用)やリードライト型(書き込み可能)を選択することが可能である。リードライト型を選択した場合には、ドーリー1を読取機の前に停止させると、読取機から必要な情報をICタグ4に記録させることができる。またICタグ4には電源を備えたアクティブ型と、電源を備えないパッシブ型があり、いずれとも選択できることは言うまでもないが、アクティブ型はICタグ4自ら情報を発信することができて通信距離もパッシブ型に比べ長くなるという特長がある。
また読取機が読み取りと書き込みが可能ないわゆるリーダー/ライターの場合であっても、読み取り専用のリーダーであっても、ICタグ4は対応可能であるが、読取機をリーダーとした場合にはICタグ4に情報を記録させることはできない。
【0018】
図1では、ICタグ4を荷台2の一つの長辺と一つの短辺にそれぞれ一箇所配置してあるが、一つの長辺や一つの短辺にそれぞれ二箇所以上配置してもよいし、長辺と短辺を組み合わせれば二つの長辺や二つの短辺に配置することもできる。
また、本実施形態では荷台2の形状を平面視長方形としているが、ICタグ4が荷台形状の外縁線に沿って異なる2方向以上に配置されれば、長方形の四隅を曲線としたものや、多角形のものや、他の任意の形状とすることができる。
【0019】
図2は、ICタグ4を支持具5に取り付けた状態を示す図である。支持具5は、ICタグ4を取り付けるためのICタグ取り付け材6と、台車に取り付けるための荷台取り付け材7からなり、ICタグ取り付け材6、荷台取り付け材7ともに細長い薄板状のものであり、これら2枚の板状材によって断面視L形の形状を構成している。支持具5は市販の山形鋼、I型鋼、その他の形状のものを利用することができる。
【0020】
ICタグ4はRFID(Radio Frequency IDentificationの略で、無線を利用した非接触による自動認識技術)を利用したものであり、ICチップとアンテナの無線機能部分と、これらを包む包装部分からなる。ICチップは、集積回路(Integrated Circuit)をチップ状にしたもので情報を記憶する機能を有し、アンテナは情報を送受信するためのものである。具体的には、読取機(リーダー/ライター)から無線で情報が発信されるとアンテナがこの情報を受信してICチップに書き込まれ、ICチップで記憶された情報がアンテナから発信されて読取機によって読み込まれる。
【0021】
図2に示すように、ICタグ4の包装部は細長い薄板状を呈し、即ちICタグ4そのものの外観も細長い薄板状を呈しており、略同形のICタグ取り付け材6に固定されている。
なお、ICタグ4の包装部は細長い薄板状に限らず、断面視円形あるいは楕円形の円盤状のもの、断面視矩形の角柱状あるいは棒状のもの、断面視円形あるいは楕円形の柱状や棒状のもの、六面体や八面体をはじめとする多面体のもの、球状あるいは半球状のものなど、種々のものを選択することができる。いずれの場合であっても、ICタグ4の前記アンテナは方向を選ばず送受信(又は受信)することができるので、包装部を構成する全ての面から送受信(又は受信)することができる。ただし、金属面に対しては送受信(又は受信)感度が劣るため、たとえば荷台2底面が金属製の場合、包装部を構成する全ての面のうち荷台2底面に近接している面は送受信(又は受信)が難しく、それ以外の面からは送受信(又は受信)できることとなる。
図2では、ICタグ4は2箇所でボルト固定されているが、接着等他の固定方法でも構わない。
ICタグ4をICタグ取り付け材6に固定した状態で、荷台取り付け材7を荷台2の底面に固定する。この固定方法も、図に示すボルト固定に限らず、接着や溶接など他の固定方法でも構わない。その結果、図1に示すように、ICタグ4の受信面(最も面積が大きい面)が荷台2底面の下方に垂下した状態で、ICタグ4はドーリー1に取り付けられる。
【0022】
このとき、ICタグ4の長手方向が長辺又は短辺に沿うように(略平行となるように)、且つ、ICタグ4の受信面が長辺又は短辺といった外縁線よりも若干の隙間をあけた内側(荷台2の中心側)となるように、ICタグ4は配置されている。このように、ICタグ4の受信面を外縁線よりも内側に配置することで、ドーリー1を壁などの障害物に衝突させた場合でも、ICタグ4は直接衝撃を受けない。
【0023】
ICタグ4を荷台2の長辺と短辺に配置する方法としては、二つのICタグ4を隣接する二つの車輪3にそれぞれ接近するように配置したり、図3に示すように二つのICタグ4を対角する二つの車輪3にそれぞれ接近するように配置したり、図4に示すように二つのICタグ4を一つの車輪3に接近するように配置したり、あるいは、三つ以上のICタグ4を二つ以上の車輪3に接近するように配置したり、種々の配置を選択することができる。
このように、車輪3に接近してICタグ4を配置することによって、図1に示すようにドーリー1を裏返して長手方向と短手方向の向きを交互に重ね置く場合であっても、上に載るドーリー1が下のドーリー1のICタグ4に接触せず、下のドーリー1のICタグ4の損傷や落下が防止される。尤も図8に示すように、通常使用する姿勢のまま長手方向と短手方向を揃えて順次重ね置く場合は、重ねられるドーリー1の間に相当の隙間ができるので、必ずしも車輪3に接近してICタグ4を配置する必要はないが、もちろん車輪3に接近してICタグ4を配置しても構わない。
なお、図4に示すように平面視L形にICタグ4を配置する場合は、平面視L形となるように連続したICタグ4や支持具5としたり、2つのICタグ4や支持具5を平面視L形となるように組み合わせて配置したり、任意に選択することができる。
【0024】
ICタグ4を自在式(鉛直軸周りに回転可能)の車輪3に接近させる場合は、車輪の回転を干渉しない配置となるようにICタグ4を荷台2に取り付ける。具体的には、図5に示すように自在式の車輪3のブラケット8の上端(図では下端)とICタグ4の下端(図では上端)との間にクリアランスを設けることで、ICタグ4が車輪3の回転を阻害しない配置とする。
なお図5では、ICタグ4を車輪3の取り付け具9に隣接させるように荷台2の底面に直接取り付けているが、ブラケット8の上端とICタグ4の下端との間にクリアランスを設けることができれば、図9に示すように取り付け具9の下方(図では上方)に直接取り付けても構わない。
もちろん、ICタグ4を固定式の車輪3に接近させる場合であっても、車輪3の取り付け具9に隣接させるように荷台2の底面にICタグ4を直接取り付けることも、取り付け具9の下方にICタグ4を直接取り付けることもできる。
【0025】
(実施形態1の使用例)
本実施形態におけるICタグ付き物流搬送機器を用いて、荷物集配場内で荷物移動を行う場合について、以下その一例を示す。
荷物集配場に集められた荷物は、それぞれ予め定められた搬送車に適切に積み込まれなければならない。そこで、場内で荷物を運搬する者(以下、「運搬者」という)は、目的の搬送車とこれに積むべき荷物を把握したうえで、運搬作業を開始する。
【0026】
運搬者は、ICタグ4を備えたドーリー1を指令地点に持っていく。この指令地点では、読取機(リーダー/ライター)と電子計算機(以下、パソコンという)が設置されている。読取機は壁面に埋め込まれており、運搬者はこの読取機の前にドーリー1を停めて情報の書き込みを待つ。なお読取機は壁面に埋め込まれる場合に限らず、ゲート式のものを設置したり、ハンディタイプの読取機としたり、その他種々の態様を選択することができる。
ここで待機している指令者は、パソコンを操作することで読取機を介して通信し、運搬すべき荷物や目的の搬送車など必要な荷物情報をドーリー1のICタグ4に書き込む。
【0027】
運搬者は、ICタグ4に記録された荷物情報に基づいて適宜荷物をドーリー1に積み込んでいく。この際、運搬者がICタグ4に記録された荷物情報を確認するために、ICタグ4から情報を読み込んで表示させることができる携帯用モニタ(例えばPDA等のモバイルコンピューター)を携行すると、より好適である。
【0028】
運搬者は、全ての荷物を積み終えると目的の搬送車までドーリー1を運搬する。搬送車待機地点では、計画どおり荷物が積み込まれているか否かの確認作業を行うこともできる。具体的には、次のような手順で行うことができる。
まず読取機でドーリー1のICタグ4から計画荷物情報を読み取り、予め設置されたパソコンに伝送する。次に、ドーリー1に載せられた個々の荷物に貼付されているICタグを、ハンディタイプの読取機でそれぞれ読み取ってパソコンに伝送する。これにより、計画荷物情報と実際に積み込まれた荷物情報を照らし合わせることで、適切な積み荷となっているか否かを判断することができる。
【0029】
前記確認作業を経て、運搬者はドーリー1に載せている全ての荷物を搬送車に積み替える。この積み替え作業を終えると、運搬者は再び指令地点に戻り、一連の作業を繰り返す。
【0030】
(実施形態2)
本願発明のICタグ付き物流搬送機器の他の実施形態を図に基づいて説明する。
この実施形態は、ICタグ4の受信面が前後2方向から通信できるようにICタグ4を配置した実施形態を説明するための実施形態であって、基本的構造等は実施形態1と共通する。
【0031】
図6は、本実施形態の支持具5を示す図である。図に示すように支持具5は、ICタグ4を取り付けるためのICタグ取り付け材6と、台車に取り付けるための荷台取り付け材7からなり、ICタグ取り付け材6、荷台取り付け材7ともに細長い薄板状のものであり、これら2枚の板状材によって断面視L形の形状を構成している。このICタグ取り付け材6には開口部10が設けられており、このICタグ取り付け材6にICタグ4を取り付けても、開口部の効果で前後どちらの方向からも通信することができる。
【0032】
ICタグ4をICタグ取り付け材6に固定した状態で、荷台取り付け材7を荷台2の底面に固定する。この固定方法は、ボルト固定、接着、溶接など種々の固定方法を選択できる。その結果、図1に示すように、ICタグ4の受信面(最も面積が大きい面)が荷台2底面下方に垂下した状態で、ICタグ4はドーリー1に取り付けられる。
【0033】
ICタグ取り付け材6の長手方向に立設された前面(荷台取り付け材7が取り付けられていない面)側にICタグ4を取り付けた場合(図2と同様に取り付けた場合)、前面方向からの通信はもちろん、その反対方向である背面方向からの通信に対しても、開口部10の効果によりICタグ4の受信面が露出しているので、ICタグ4に内蔵されたアンテナが通信に対して反応しICタグ4は送受信可能となる。
【0034】
また、ICタグ取り付け材6の背面(前面の裏面)側にICタグ4を取り付けた場合も同様に、背面方向からの通信はもちろん、前面方向からの通信に対しても、開口部10の効果によりICタグ4の受信面が露出しているので、ICタグ4に内蔵されたアンテナが通信に対して反応しICタグ4は送受信可能となる。さらに開口部10の中にICタグ4を嵌め込むように取り付けても、やはり開口部の効果で前後方向からの通信に対してICタグ4は送受信可能となる。
【0035】
なお、ICタグ4がその受信面の前面及び背面から送受信可能となるよう配置されることができれば、他の方法でICタグ4をドーリー1に固定してもよい。例えば、開口部10に代えてICタグ取り付け材6をフレーム形状として立設するICタグ4を支持固定してもよいし、あるいはICタグ取り付け材6を設ける代わりに、荷台取り付け材7に溝状の構造を設けて、この溝にICタグ4を支持固定してもよい。
【0036】
本実施形態の場合、ICタグ4は前後2方向からの送受信が可能であるので、実施形態1のように必ずしも長辺と短辺に設ける必要はないが、もちろん長辺と短辺にそれぞれ設けてもよいし、異なる二つの長辺や異なる二つの短辺にそれぞれ設けたり、全ての長辺と短辺に設けたり、任意に選択することができることは言うまでもない。
【0037】
本実施形態の場合も実施形態1と同様、ドーリー1を裏返して重ね置く際に車輪3が上に載るドーリー1からICタグ4を防御しうるように、車輪3に接近してICタグ4を配置することも可能である。この場合、車輪3がICタグ4の前後方向の通信の妨げとならないように、車輪3とICタグ4が通信方向に重ならないように配置することが望ましい。
【0038】
(実施形態3)
本願発明のICタグ付き物流搬送機器の他の実施形態を図に基づいて説明する。
この実施形態は、支持具5などを用いることなくICタグ4を荷台2に取り付けた実施形態を説明するための実施形態であって、基本的構造等は実施形態1と共通する。
【0039】
図10は、ICタグ4を荷台2に取り付けたドーリー1を底面側から見た図である。図に示すようにICタグ4は、その受信面が荷台2底面に沿って(受信面と荷台2底面が平行に)配置されている。ICタグ4を荷台2に取り付ける方法としては、接着、溶接などによりICタグ4の受信面を荷台2に接触させて取り付ける方法や、ボルト固定などによりICタグ4の受信面を荷台2から若干浮かせて取り付ける方法など、種々の方法を選択することができる。
【0040】
また図10に示すように、ドーリー1の長辺又は短辺といった外縁線よりも若干の隙間をあけた内側(荷台2の中心側)となるように、ICタグ4を配置すれば、ドーリー1を壁などの障害物に衝突させた場合でも、ICタグ4は直接衝撃を受けない。
【0041】
ICタグ4の配置態様としては、図10に示すようにICタグ4の長手方向がドーリー1の短辺に沿うように配置したり、図11に示すようにICタグ4の長手方向がドーリー1の長辺に沿うように端部材11に配置したり、図12に示すようにICタグ4の長手方向がドーリー1の長辺と略平行となるように中央部材12に配置したり、図13に示すようにICタグ4の長手方向がドーリー1の短辺と略平行となるように中央部材12に配置したり、図14に示すようにICタグ4の長手方向がドーリー1の各辺に対して斜方向となるように中央部材12に配置するなど、種々の配置を選択することができる。また、図10〜図14の配置を組み合わせて、荷台2底面の二箇所以上にICタグ4を取り付けることもできる。
【0042】
荷台2底面の一箇所にICタグ4を取り付ける場合、ICタグ4は異なる二以上の方向に対して、受信可能又は送受信可能であるものとすることが望ましい。これにより、本願発明のICタグ付き物流搬送機器も、二以上の方向からの送受信に対して精度よく反応することができることとなる。
ただし前記したように、ICタグ4の前記アンテナは方向を選ばず送受信(又は受信)することができるので、通常であれば、ICタグ4の包装部を構成する全ての面から送受信(又は受信)することが可能であり、その結果、異なる二以上の方向に対して、受信可能又は送受信可能となる。なお荷台2底面が金属製の場合には、包装部を構成する面のうち、荷台2底面に近接している面を除く二面以上が受信面となれば、異なる二以上の方向に対して、受信可能又は送受信可能となる。
【0043】
図11に示すようにICタグ4をドーリー1の端部材11に配置する場合、端部材11の面と中央部材12の面に段差をつけて、ドーリー1を通常使用する姿勢で端部材11の面の方を床から高くしておけば、ドーリー1の長手方向と短手方向を交互に重ね置く場合であっても、上に載るドーリー1が下のドーリー1に取り付けられたICタグ4に接触せず、下のドーリー1のICタグ4の損傷や落下が防止される。
【0044】
同様に、図12〜図14に示すようにICタグ4をドーリー1の中央部材12に配置する場合、端部材11の面と中央部材12の面に段差をつけて、ドーリー1を通常使用する姿勢で中央部材12の面の方を床から高くしておけば、ドーリー1の長手方向と短手方向を交互に重ね置く場合であっても、上に載るドーリー1が下のドーリー1に取り付けられたICタグ4に接触せず、下のドーリー1のICタグ4の損傷や落下が防止される。
【0045】
また、図15に示すように通常使用する姿勢のまま長手方向と短手方向をそろえて順次重ね置く場合、重ねられるドーリー1の間に相当の隙間ができるので、ICタグ4の厚みを考えれば、上に載るドーリー1が下のドーリー1のICタグ4に接触せず、下のドーリー1に取り付けられたICタグ4の損傷や落下が防止される。
【0046】
本実施形態では、ICタグ4をその受信面が荷台2底面に沿うように配置されるので、ICタグ4は荷台2底面の下方へあまり突出せず、自在式の車輪3に接近させて配置する場合であっても車輪の回転を干渉することがない。また、図16に示すように取り付け具9にICタグ4を直接取り付けても、ICタグ4が肉薄のため、車輪の回転を干渉することがない。
もちろん、ICタグ4を固定式の車輪3に接近させた場合であっても、車輪3の取り付け具9に隣接させるように荷台2の底面にICタグ4を直接取り付けたり、取り付け具9にICタグ4を直接取り付けたり、任意に選択できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、荷物の集配場における物流搬送機器での利用に限らず、倉庫で荷物整理する際に利用する場合や、図書館での書籍配置換えに利用する場合、店舗で買い物客がカートを使用する場合など、種々の状況でも応用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 ドーリー
2 荷台
3 車輪
4 ICタグ
5 支持具
6 ICタグ取り付け材
7 荷台取り付け材
8 ブラケット
9 取り付け具
10 開口部
11 端部材
12 中央部材
【技術分野】
【0001】
本願発明は、荷物などを運搬するドーリー、キャリー、台車といった物流搬送機器にICタグが取り付けられたICタグ付き物流搬送機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
数多くの荷物が集められかつ配送される荷物の集配場では、場内の荷物移動のために物流搬送機器が利用される。物流搬送機器で荷物を移動する際、通常、荷物の内容、配送先、荷物の取り扱い条件、配送日時といった荷物情報を記録したものとともに移動する。これは目的の場所(目的の配送車や予定された保管場所など)まで正しく荷物を運ぶためであるが、従来この荷物情報の記録手段としては荷札、伝票、ホワイトボードなどへ手書きすることが多く、面倒な手間が生じるばかりか乱雑な文字による読み間違いからミスも生じていた。
【0003】
そこで昨今では、特許文献1のように物流搬送機器にICタグ(RFID:Radio Frequency IDentification)を設置し、このICタグに必要な情報を記録させたうえで物流搬送機器の荷物を移動することも行われている。ICタグは「電子荷札」と呼ばれることもあるように荷物そのものに取り付けられることもあるが、複数の荷物に対してまとめて荷物情報を記録させる場合、荷物そのものではなく荷物を載せる物流搬送機器の方にICタグを取り付けることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−36230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ハンドルのないドーリー(図7)は不使用時に積み重ねて置かれることが多く、キャリーや台車も持ち手を折りたたんで積み重ねられることがあり、このように積み重ねられると、ドーリー等の物流搬送機器に取り付けられたICタグは上に載る物流搬送機器に接触して損傷し、あるいは外れ落ちることがある。
【0006】
また、従来のICタグを取り付けた物流搬送機器は、一方向からの送受信に対応するようにICタグが取り付けられており、その方向以外からの送受信に対しては精度よく反応できないという難点があった。具体的には、物流搬送機器が平面視長方形のドーリーの場合、従来ではドーリーの長手方向の側面のみにICタグが取り付けられており、長手方向の側面に向けて無線通信する場合は精度よく反応できるが、短手方向の側面に向けて無線通信する場合にはあまり反応精度がよくなかった。
【0007】
本願発明の課題は、物流搬送機器を重ね置いてもICタグが損傷し又は外れ落ちることがなく、二以上の方向からの送受信に対しても精度よく反応し得るICタグ付き物流搬送機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、ドーリー、キャリー、台車といった重ね置き可能な物流搬送機器に、集積回路とアンテナを有する無線機能を備えたICタグが設けられたICタグ付き物流搬送機器であり、前記ICタグの一又は二以上が、物流搬送機器の荷台底面であって、前記物流搬送機器の上に他の物流搬送機器を重ね置きしても他の物流搬送機器には接触しない位置に設けられたものである。前記ICタグは、前記荷台の外周縁のうち異なる方向に向いた二以上の外周縁に沿って、それぞれ配置されたものである。
【0009】
本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、請求項1又は請求項2記載のICタグ付き物流搬送機器において、前記ICタグの受信面が荷台底面に沿って配置されたものである。この場合、ICタグを異なる二以上の方向に対して、受信可能又は送受信可能なものとすることもできる。
また、本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、請求項1又は請求項2記載のICタグ付き物流搬送機器において、ICタグの受信面が荷台底面下方に垂下して設けられ、前記受信面の前面及び背面から送受信可能となるよう配置されたものとすることもできる。この場合、ICタグを取り付けるICタグ取り付け材と、台車に取り付け可能な取り付け部を有する支持具を備え、前記支持具のIC取り付け材は、一部開口した開口部を有し、前記ICタグ取り付け板の前面又は/及び背面に前記ICタグを取り付け、又は、前記ICタグ取り付け板の開口部に前記ICタグを嵌め込んで前記取り付け部を物流搬送機器の荷台底面に取り付けることもできる。
【0010】
本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のICタグ付き物流搬送機器において、ICタグが、物流搬送機器の一の車輪に又は二以上の車輪夫々に接近して、且つ、前記車輪と物流搬送機器の荷台の外縁を構成する外縁線との間に配置されたものとすることもできる。
また、本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のICタグ付き物流搬送機器において、物流搬送機器に取り付けるための取り付け具を有する車輪を一又は二以上備えると共に、前記車輪の一又は二以上の車輪のうち、一又は二以上の車輪の取り付け具にICタグが配置されたものとすることもできる。
本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、上記いずれの場合も、ICタグが、物流搬送機器の荷台の外縁を構成する外縁線よりも内側に設けられたものとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本願発明のICタグ付き物流搬送機器には次のような効果がある。
(1)荷物情報の記録のため手書きするといった面倒な手間や、手書の乱雑な文字を読み間違うことに伴うミスが生じない。
(2)ICタグに荷物情報を書き込み、その情報を読み取ることで物流搬送機器の荷物を、確実かつ迅速に運搬することができる。
(3)ICタグが物流搬送機器の荷台底面に設けられているので、荷物を置くための邪魔とならない。
(4)物流搬送機器の上に他の物流搬送機器を重ね置きした場合でも、ICタグが他の物流搬送機器には接触しない位置に設けられているので、ICタグは損傷することも外れ落ちることもない。
(5)ICタグが、物流搬送機器の荷台の外縁を構成する外縁線のうち異なる方向に向いた二以上の外縁線に沿って配置されているので、二以上の方向からの送受信に対しても精度よく反応することができる。
(6)ICタグが、その受信面が荷台底面下方に垂下されるように設けられ、前記受信面の前面及び背面から送受信可能となるよう配置されているので、前後二方向からの送受信に対しても精度よく反応することができる。
(7)ICタグが、物流搬送機器の荷台の外縁を構成する外縁線よりも内側に設けられているので、荷台の外縁を障害物に衝突させた場合でもICタグは直接衝撃を受けることがない。
(8)ICタグの受信面が物流搬送機器の荷台底面に沿うように、ICタグが配置されているので、ICタグの取り付け作業が容易である。またこの場合も、ICタグが異なる二以上の方向に対して受信可能(又は送受信可能)であるので、本願発明のICタグ付き物流搬送機器も二以上の方向からの送受信に対しても精度よく反応することができる。
(9)物流搬送機器に取り付けるための取り付け具にICタグを配置することもできるので、ICタグ配置箇所の選択肢がさらに広がる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本願発明のICタグ付き物流搬送機器を裏返して重ね置きした状態を示す斜視図。
【図2】ICタグを支持具に取り付けた状態を示す斜視図。
【図3】対角する二つの車輪にそれぞれ接近するようにICタグを配置した平面図。
【図4】一つの車輪に接近するようにICタグを配置した平面図。
【図5】車輪に接近してICタグを配置した側面図。
【図6】開口部を有する支持具の斜視図。
【図7】ドーリーの一辺の該周縁を外して見易くした状態の全体斜視図。
【図8】本願発明のICタグ付き物流搬送機器を通常の姿勢で重ね置きした状態を示す斜視図。
【図9】車輪を荷台底面に取り付けるための取り付け具に直接ICタグを取り付けた状態を示す斜視図。
【図10】ICタグの長手方向がドーリーの短辺に沿うようにICタグを配置した状態を示す斜視図。
【図11】ICタグの長手方向がドーリーの長辺に沿うようにICタグをドーリーの端部材に配置した状態を示す斜視図。
【図12】ICタグの長手方向がドーリーの長辺と略平行となるようにICタグをドーリーの中央部材に配置した状態を示す斜視図。
【図13】ICタグの長手方向がドーリーの短辺と略平行となるようにICタグをドーリーの中央部材に配置した状態を示す斜視図。
【図14】ICタグの長手方向がドーリーの各辺に対して斜方向となるようにICタグをドーリーの中央部材に配置した状態を示す斜視図。
【図15】ICタグの受信面が荷台底面に沿って配置された本願発明のICタグ付き物流搬送機器を通常の姿勢で重ね置きした状態を示す斜視図。
【図16】車輪を荷台底面に取り付けるための取り付け具に、ICタグの受信面が荷台底面に沿うように、直接ICタグを取り付けた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
本願発明のICタグ付き物流搬送機器の一実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、二台のドーリー1を裏向きにして重ね置いた状態を表す図である。このドーリー1は荷物を載せる荷台2と車輪3からなり、通常は手押し用のハンドルが取り付けられていないものであるが、手押し用のハンドルを取り付け可能なものとすることもできる。
なお、本実施形態では物流搬送機器としてドーリー1を例に挙げて説明しているが、その他、キャリーや台車といった手押し用のハンドルを折りたたむことができる物流搬送機器の場合であっても構わない。
【0014】
ドーリー1の荷台2は平面視長方形を呈し、荷台2の底面四隅にはそれぞれ車輪3が固定されている。この車輪3は、鉛直軸周りに回転できないいわゆる固定式の車輪や、鉛直軸周りに回転可能な自在式の車輪とすることができる。また、固定式であっても自在式であっても、車輪にストッパ機能を設けることもできる。
【0015】
図1に示すように、ドーリー1を重ねて置く場合、裏向きにして荷台2の長手方向と短手方向を交差させる。具体的には、下のドーリー1を荷台2の長手方向が横向きとなるように置くと、その上に載せるドーリー1は荷台2の長手方向が縦向きとなるように置く。さらに上に載せるドーリー2は荷台2の長手方向が横向きとなるように置き、以降、荷台2の長手方向を縦向き、横向きの順で繰り返す。これによって車輪が邪魔にならずに重ねられていき、ドーリー2を置くための鉛直方向の設置スペースが軽減されることとなる。
ドーリー1を図1に示すように重ねて置くと、車輪3によって滑りだすことなく安定して重ね置けるが、これに限らず、図8に示すようにドーリー1を通常使用する姿勢のまま順次重ね置くこともできる。この場合、図に示すように上下のドーリー1の長手方向と短手方向をそれぞれ揃えることができる。その他、ドーリー1を裏返し、重ねられる上下ドーリー1の長手方向と短手方向を揃えて置くこともできるし、通常使用する姿勢のまま上下ドーリー1の長手方向と短手方向を交互に向けて重ね置くこともできる。
【0016】
荷台2の底面には、この底面形状を構成する外縁線(つまり長方形の四辺)のうち、長手方向の外縁線(以下、「長辺」という)に沿って一箇所に、短手方向の外縁線(以下、「短辺」という)に沿って一箇所に、それぞれICタグ4が取り付けられている。このように、荷台2の底面にICタグ4を取り付けることで、荷台2上に載せる荷物には邪魔にならず、また、ICタグ4を荷台2の長辺と短辺に配置することで、進行方向と進行方向に対して直角方向からの通信にも対応することができる。
【0017】
ICタグ4は、リードオンリー型(読み取り専用)やリードライト型(書き込み可能)を選択することが可能である。リードライト型を選択した場合には、ドーリー1を読取機の前に停止させると、読取機から必要な情報をICタグ4に記録させることができる。またICタグ4には電源を備えたアクティブ型と、電源を備えないパッシブ型があり、いずれとも選択できることは言うまでもないが、アクティブ型はICタグ4自ら情報を発信することができて通信距離もパッシブ型に比べ長くなるという特長がある。
また読取機が読み取りと書き込みが可能ないわゆるリーダー/ライターの場合であっても、読み取り専用のリーダーであっても、ICタグ4は対応可能であるが、読取機をリーダーとした場合にはICタグ4に情報を記録させることはできない。
【0018】
図1では、ICタグ4を荷台2の一つの長辺と一つの短辺にそれぞれ一箇所配置してあるが、一つの長辺や一つの短辺にそれぞれ二箇所以上配置してもよいし、長辺と短辺を組み合わせれば二つの長辺や二つの短辺に配置することもできる。
また、本実施形態では荷台2の形状を平面視長方形としているが、ICタグ4が荷台形状の外縁線に沿って異なる2方向以上に配置されれば、長方形の四隅を曲線としたものや、多角形のものや、他の任意の形状とすることができる。
【0019】
図2は、ICタグ4を支持具5に取り付けた状態を示す図である。支持具5は、ICタグ4を取り付けるためのICタグ取り付け材6と、台車に取り付けるための荷台取り付け材7からなり、ICタグ取り付け材6、荷台取り付け材7ともに細長い薄板状のものであり、これら2枚の板状材によって断面視L形の形状を構成している。支持具5は市販の山形鋼、I型鋼、その他の形状のものを利用することができる。
【0020】
ICタグ4はRFID(Radio Frequency IDentificationの略で、無線を利用した非接触による自動認識技術)を利用したものであり、ICチップとアンテナの無線機能部分と、これらを包む包装部分からなる。ICチップは、集積回路(Integrated Circuit)をチップ状にしたもので情報を記憶する機能を有し、アンテナは情報を送受信するためのものである。具体的には、読取機(リーダー/ライター)から無線で情報が発信されるとアンテナがこの情報を受信してICチップに書き込まれ、ICチップで記憶された情報がアンテナから発信されて読取機によって読み込まれる。
【0021】
図2に示すように、ICタグ4の包装部は細長い薄板状を呈し、即ちICタグ4そのものの外観も細長い薄板状を呈しており、略同形のICタグ取り付け材6に固定されている。
なお、ICタグ4の包装部は細長い薄板状に限らず、断面視円形あるいは楕円形の円盤状のもの、断面視矩形の角柱状あるいは棒状のもの、断面視円形あるいは楕円形の柱状や棒状のもの、六面体や八面体をはじめとする多面体のもの、球状あるいは半球状のものなど、種々のものを選択することができる。いずれの場合であっても、ICタグ4の前記アンテナは方向を選ばず送受信(又は受信)することができるので、包装部を構成する全ての面から送受信(又は受信)することができる。ただし、金属面に対しては送受信(又は受信)感度が劣るため、たとえば荷台2底面が金属製の場合、包装部を構成する全ての面のうち荷台2底面に近接している面は送受信(又は受信)が難しく、それ以外の面からは送受信(又は受信)できることとなる。
図2では、ICタグ4は2箇所でボルト固定されているが、接着等他の固定方法でも構わない。
ICタグ4をICタグ取り付け材6に固定した状態で、荷台取り付け材7を荷台2の底面に固定する。この固定方法も、図に示すボルト固定に限らず、接着や溶接など他の固定方法でも構わない。その結果、図1に示すように、ICタグ4の受信面(最も面積が大きい面)が荷台2底面の下方に垂下した状態で、ICタグ4はドーリー1に取り付けられる。
【0022】
このとき、ICタグ4の長手方向が長辺又は短辺に沿うように(略平行となるように)、且つ、ICタグ4の受信面が長辺又は短辺といった外縁線よりも若干の隙間をあけた内側(荷台2の中心側)となるように、ICタグ4は配置されている。このように、ICタグ4の受信面を外縁線よりも内側に配置することで、ドーリー1を壁などの障害物に衝突させた場合でも、ICタグ4は直接衝撃を受けない。
【0023】
ICタグ4を荷台2の長辺と短辺に配置する方法としては、二つのICタグ4を隣接する二つの車輪3にそれぞれ接近するように配置したり、図3に示すように二つのICタグ4を対角する二つの車輪3にそれぞれ接近するように配置したり、図4に示すように二つのICタグ4を一つの車輪3に接近するように配置したり、あるいは、三つ以上のICタグ4を二つ以上の車輪3に接近するように配置したり、種々の配置を選択することができる。
このように、車輪3に接近してICタグ4を配置することによって、図1に示すようにドーリー1を裏返して長手方向と短手方向の向きを交互に重ね置く場合であっても、上に載るドーリー1が下のドーリー1のICタグ4に接触せず、下のドーリー1のICタグ4の損傷や落下が防止される。尤も図8に示すように、通常使用する姿勢のまま長手方向と短手方向を揃えて順次重ね置く場合は、重ねられるドーリー1の間に相当の隙間ができるので、必ずしも車輪3に接近してICタグ4を配置する必要はないが、もちろん車輪3に接近してICタグ4を配置しても構わない。
なお、図4に示すように平面視L形にICタグ4を配置する場合は、平面視L形となるように連続したICタグ4や支持具5としたり、2つのICタグ4や支持具5を平面視L形となるように組み合わせて配置したり、任意に選択することができる。
【0024】
ICタグ4を自在式(鉛直軸周りに回転可能)の車輪3に接近させる場合は、車輪の回転を干渉しない配置となるようにICタグ4を荷台2に取り付ける。具体的には、図5に示すように自在式の車輪3のブラケット8の上端(図では下端)とICタグ4の下端(図では上端)との間にクリアランスを設けることで、ICタグ4が車輪3の回転を阻害しない配置とする。
なお図5では、ICタグ4を車輪3の取り付け具9に隣接させるように荷台2の底面に直接取り付けているが、ブラケット8の上端とICタグ4の下端との間にクリアランスを設けることができれば、図9に示すように取り付け具9の下方(図では上方)に直接取り付けても構わない。
もちろん、ICタグ4を固定式の車輪3に接近させる場合であっても、車輪3の取り付け具9に隣接させるように荷台2の底面にICタグ4を直接取り付けることも、取り付け具9の下方にICタグ4を直接取り付けることもできる。
【0025】
(実施形態1の使用例)
本実施形態におけるICタグ付き物流搬送機器を用いて、荷物集配場内で荷物移動を行う場合について、以下その一例を示す。
荷物集配場に集められた荷物は、それぞれ予め定められた搬送車に適切に積み込まれなければならない。そこで、場内で荷物を運搬する者(以下、「運搬者」という)は、目的の搬送車とこれに積むべき荷物を把握したうえで、運搬作業を開始する。
【0026】
運搬者は、ICタグ4を備えたドーリー1を指令地点に持っていく。この指令地点では、読取機(リーダー/ライター)と電子計算機(以下、パソコンという)が設置されている。読取機は壁面に埋め込まれており、運搬者はこの読取機の前にドーリー1を停めて情報の書き込みを待つ。なお読取機は壁面に埋め込まれる場合に限らず、ゲート式のものを設置したり、ハンディタイプの読取機としたり、その他種々の態様を選択することができる。
ここで待機している指令者は、パソコンを操作することで読取機を介して通信し、運搬すべき荷物や目的の搬送車など必要な荷物情報をドーリー1のICタグ4に書き込む。
【0027】
運搬者は、ICタグ4に記録された荷物情報に基づいて適宜荷物をドーリー1に積み込んでいく。この際、運搬者がICタグ4に記録された荷物情報を確認するために、ICタグ4から情報を読み込んで表示させることができる携帯用モニタ(例えばPDA等のモバイルコンピューター)を携行すると、より好適である。
【0028】
運搬者は、全ての荷物を積み終えると目的の搬送車までドーリー1を運搬する。搬送車待機地点では、計画どおり荷物が積み込まれているか否かの確認作業を行うこともできる。具体的には、次のような手順で行うことができる。
まず読取機でドーリー1のICタグ4から計画荷物情報を読み取り、予め設置されたパソコンに伝送する。次に、ドーリー1に載せられた個々の荷物に貼付されているICタグを、ハンディタイプの読取機でそれぞれ読み取ってパソコンに伝送する。これにより、計画荷物情報と実際に積み込まれた荷物情報を照らし合わせることで、適切な積み荷となっているか否かを判断することができる。
【0029】
前記確認作業を経て、運搬者はドーリー1に載せている全ての荷物を搬送車に積み替える。この積み替え作業を終えると、運搬者は再び指令地点に戻り、一連の作業を繰り返す。
【0030】
(実施形態2)
本願発明のICタグ付き物流搬送機器の他の実施形態を図に基づいて説明する。
この実施形態は、ICタグ4の受信面が前後2方向から通信できるようにICタグ4を配置した実施形態を説明するための実施形態であって、基本的構造等は実施形態1と共通する。
【0031】
図6は、本実施形態の支持具5を示す図である。図に示すように支持具5は、ICタグ4を取り付けるためのICタグ取り付け材6と、台車に取り付けるための荷台取り付け材7からなり、ICタグ取り付け材6、荷台取り付け材7ともに細長い薄板状のものであり、これら2枚の板状材によって断面視L形の形状を構成している。このICタグ取り付け材6には開口部10が設けられており、このICタグ取り付け材6にICタグ4を取り付けても、開口部の効果で前後どちらの方向からも通信することができる。
【0032】
ICタグ4をICタグ取り付け材6に固定した状態で、荷台取り付け材7を荷台2の底面に固定する。この固定方法は、ボルト固定、接着、溶接など種々の固定方法を選択できる。その結果、図1に示すように、ICタグ4の受信面(最も面積が大きい面)が荷台2底面下方に垂下した状態で、ICタグ4はドーリー1に取り付けられる。
【0033】
ICタグ取り付け材6の長手方向に立設された前面(荷台取り付け材7が取り付けられていない面)側にICタグ4を取り付けた場合(図2と同様に取り付けた場合)、前面方向からの通信はもちろん、その反対方向である背面方向からの通信に対しても、開口部10の効果によりICタグ4の受信面が露出しているので、ICタグ4に内蔵されたアンテナが通信に対して反応しICタグ4は送受信可能となる。
【0034】
また、ICタグ取り付け材6の背面(前面の裏面)側にICタグ4を取り付けた場合も同様に、背面方向からの通信はもちろん、前面方向からの通信に対しても、開口部10の効果によりICタグ4の受信面が露出しているので、ICタグ4に内蔵されたアンテナが通信に対して反応しICタグ4は送受信可能となる。さらに開口部10の中にICタグ4を嵌め込むように取り付けても、やはり開口部の効果で前後方向からの通信に対してICタグ4は送受信可能となる。
【0035】
なお、ICタグ4がその受信面の前面及び背面から送受信可能となるよう配置されることができれば、他の方法でICタグ4をドーリー1に固定してもよい。例えば、開口部10に代えてICタグ取り付け材6をフレーム形状として立設するICタグ4を支持固定してもよいし、あるいはICタグ取り付け材6を設ける代わりに、荷台取り付け材7に溝状の構造を設けて、この溝にICタグ4を支持固定してもよい。
【0036】
本実施形態の場合、ICタグ4は前後2方向からの送受信が可能であるので、実施形態1のように必ずしも長辺と短辺に設ける必要はないが、もちろん長辺と短辺にそれぞれ設けてもよいし、異なる二つの長辺や異なる二つの短辺にそれぞれ設けたり、全ての長辺と短辺に設けたり、任意に選択することができることは言うまでもない。
【0037】
本実施形態の場合も実施形態1と同様、ドーリー1を裏返して重ね置く際に車輪3が上に載るドーリー1からICタグ4を防御しうるように、車輪3に接近してICタグ4を配置することも可能である。この場合、車輪3がICタグ4の前後方向の通信の妨げとならないように、車輪3とICタグ4が通信方向に重ならないように配置することが望ましい。
【0038】
(実施形態3)
本願発明のICタグ付き物流搬送機器の他の実施形態を図に基づいて説明する。
この実施形態は、支持具5などを用いることなくICタグ4を荷台2に取り付けた実施形態を説明するための実施形態であって、基本的構造等は実施形態1と共通する。
【0039】
図10は、ICタグ4を荷台2に取り付けたドーリー1を底面側から見た図である。図に示すようにICタグ4は、その受信面が荷台2底面に沿って(受信面と荷台2底面が平行に)配置されている。ICタグ4を荷台2に取り付ける方法としては、接着、溶接などによりICタグ4の受信面を荷台2に接触させて取り付ける方法や、ボルト固定などによりICタグ4の受信面を荷台2から若干浮かせて取り付ける方法など、種々の方法を選択することができる。
【0040】
また図10に示すように、ドーリー1の長辺又は短辺といった外縁線よりも若干の隙間をあけた内側(荷台2の中心側)となるように、ICタグ4を配置すれば、ドーリー1を壁などの障害物に衝突させた場合でも、ICタグ4は直接衝撃を受けない。
【0041】
ICタグ4の配置態様としては、図10に示すようにICタグ4の長手方向がドーリー1の短辺に沿うように配置したり、図11に示すようにICタグ4の長手方向がドーリー1の長辺に沿うように端部材11に配置したり、図12に示すようにICタグ4の長手方向がドーリー1の長辺と略平行となるように中央部材12に配置したり、図13に示すようにICタグ4の長手方向がドーリー1の短辺と略平行となるように中央部材12に配置したり、図14に示すようにICタグ4の長手方向がドーリー1の各辺に対して斜方向となるように中央部材12に配置するなど、種々の配置を選択することができる。また、図10〜図14の配置を組み合わせて、荷台2底面の二箇所以上にICタグ4を取り付けることもできる。
【0042】
荷台2底面の一箇所にICタグ4を取り付ける場合、ICタグ4は異なる二以上の方向に対して、受信可能又は送受信可能であるものとすることが望ましい。これにより、本願発明のICタグ付き物流搬送機器も、二以上の方向からの送受信に対して精度よく反応することができることとなる。
ただし前記したように、ICタグ4の前記アンテナは方向を選ばず送受信(又は受信)することができるので、通常であれば、ICタグ4の包装部を構成する全ての面から送受信(又は受信)することが可能であり、その結果、異なる二以上の方向に対して、受信可能又は送受信可能となる。なお荷台2底面が金属製の場合には、包装部を構成する面のうち、荷台2底面に近接している面を除く二面以上が受信面となれば、異なる二以上の方向に対して、受信可能又は送受信可能となる。
【0043】
図11に示すようにICタグ4をドーリー1の端部材11に配置する場合、端部材11の面と中央部材12の面に段差をつけて、ドーリー1を通常使用する姿勢で端部材11の面の方を床から高くしておけば、ドーリー1の長手方向と短手方向を交互に重ね置く場合であっても、上に載るドーリー1が下のドーリー1に取り付けられたICタグ4に接触せず、下のドーリー1のICタグ4の損傷や落下が防止される。
【0044】
同様に、図12〜図14に示すようにICタグ4をドーリー1の中央部材12に配置する場合、端部材11の面と中央部材12の面に段差をつけて、ドーリー1を通常使用する姿勢で中央部材12の面の方を床から高くしておけば、ドーリー1の長手方向と短手方向を交互に重ね置く場合であっても、上に載るドーリー1が下のドーリー1に取り付けられたICタグ4に接触せず、下のドーリー1のICタグ4の損傷や落下が防止される。
【0045】
また、図15に示すように通常使用する姿勢のまま長手方向と短手方向をそろえて順次重ね置く場合、重ねられるドーリー1の間に相当の隙間ができるので、ICタグ4の厚みを考えれば、上に載るドーリー1が下のドーリー1のICタグ4に接触せず、下のドーリー1に取り付けられたICタグ4の損傷や落下が防止される。
【0046】
本実施形態では、ICタグ4をその受信面が荷台2底面に沿うように配置されるので、ICタグ4は荷台2底面の下方へあまり突出せず、自在式の車輪3に接近させて配置する場合であっても車輪の回転を干渉することがない。また、図16に示すように取り付け具9にICタグ4を直接取り付けても、ICタグ4が肉薄のため、車輪の回転を干渉することがない。
もちろん、ICタグ4を固定式の車輪3に接近させた場合であっても、車輪3の取り付け具9に隣接させるように荷台2の底面にICタグ4を直接取り付けたり、取り付け具9にICタグ4を直接取り付けたり、任意に選択できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本願発明のICタグ付き物流搬送機器は、荷物の集配場における物流搬送機器での利用に限らず、倉庫で荷物整理する際に利用する場合や、図書館での書籍配置換えに利用する場合、店舗で買い物客がカートを使用する場合など、種々の状況でも応用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 ドーリー
2 荷台
3 車輪
4 ICタグ
5 支持具
6 ICタグ取り付け材
7 荷台取り付け材
8 ブラケット
9 取り付け具
10 開口部
11 端部材
12 中央部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーリー、キャリー、台車といった重ね置き可能な物流搬送機器に、集積回路とアンテナを有する無線機能を備えたICタグが設けられたICタグ付き物流搬送機器において、
一又は二以上のICタグが、前記物流搬送機器の荷台底面であって、前記物流搬送機器の上に他の物流搬送機器を重ね置きしても他の物流搬送機器には接触しない位置に、設けられたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項2】
請求項1記載のICタグ付き物流搬送機器において、
ICタグが、荷台の外周縁のうち異なる方向に向いた二以上の外周縁に沿って、それぞれ配置されたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のICタグ付き物流搬送機器において、
前記ICタグの受信面が荷台底面に沿って配置されたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項4】
請求項3記載のICタグ付き物流搬送機器において、
ICタグが、異なる二以上の方向に対して、受信可能又は送受信可能であることを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項5】
請求項1又は請求項2記載のICタグ付き物流搬送機器において、
ICタグの受信面が荷台底面下方に垂下して設けられ、前記受信面の前面及び背面から送受信可能となるよう配置されたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項6】
請求項5記載のICタグ付き物流搬送機器において、
ICタグを取り付けるICタグ取り付け材と、台車に取り付け可能な取り付け部を有する支持具を備え、
前記支持具のIC取り付け材は、一部開口した開口部を有し、
前記ICタグ取り付け板の前面又は/及び背面に前記ICタグを取り付け、又は、前記ICタグ取り付け板の開口部に前記ICタグを嵌め込み、
前記取り付け部を物流搬送機器の荷台底面に取り付けたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のICタグ付き物流搬送機器において、
ICタグが、物流搬送機器の一の車輪に又は二以上の車輪夫々に接近して、且つ、前記車輪と物流搬送機器の荷台の外縁を構成する外縁線との間に配置されたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のICタグ付き物流搬送機器において、
物流搬送機器に取り付けるための取り付け具を有する車輪を一又は二以上備えると共に、
前記車輪の一又は二以上の車輪のうち、一又は二以上の車輪の取り付け具にICタグが配置されたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のICタグ付き物流搬送機器において、
ICタグが、物流搬送機器の荷台の外縁を構成する外縁線よりも内側に設けられたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項1】
ドーリー、キャリー、台車といった重ね置き可能な物流搬送機器に、集積回路とアンテナを有する無線機能を備えたICタグが設けられたICタグ付き物流搬送機器において、
一又は二以上のICタグが、前記物流搬送機器の荷台底面であって、前記物流搬送機器の上に他の物流搬送機器を重ね置きしても他の物流搬送機器には接触しない位置に、設けられたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項2】
請求項1記載のICタグ付き物流搬送機器において、
ICタグが、荷台の外周縁のうち異なる方向に向いた二以上の外周縁に沿って、それぞれ配置されたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のICタグ付き物流搬送機器において、
前記ICタグの受信面が荷台底面に沿って配置されたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項4】
請求項3記載のICタグ付き物流搬送機器において、
ICタグが、異なる二以上の方向に対して、受信可能又は送受信可能であることを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項5】
請求項1又は請求項2記載のICタグ付き物流搬送機器において、
ICタグの受信面が荷台底面下方に垂下して設けられ、前記受信面の前面及び背面から送受信可能となるよう配置されたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項6】
請求項5記載のICタグ付き物流搬送機器において、
ICタグを取り付けるICタグ取り付け材と、台車に取り付け可能な取り付け部を有する支持具を備え、
前記支持具のIC取り付け材は、一部開口した開口部を有し、
前記ICタグ取り付け板の前面又は/及び背面に前記ICタグを取り付け、又は、前記ICタグ取り付け板の開口部に前記ICタグを嵌め込み、
前記取り付け部を物流搬送機器の荷台底面に取り付けたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のICタグ付き物流搬送機器において、
ICタグが、物流搬送機器の一の車輪に又は二以上の車輪夫々に接近して、且つ、前記車輪と物流搬送機器の荷台の外縁を構成する外縁線との間に配置されたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のICタグ付き物流搬送機器において、
物流搬送機器に取り付けるための取り付け具を有する車輪を一又は二以上備えると共に、
前記車輪の一又は二以上の車輪のうち、一又は二以上の車輪の取り付け具にICタグが配置されたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のICタグ付き物流搬送機器において、
ICタグが、物流搬送機器の荷台の外縁を構成する外縁線よりも内側に設けられたことを特徴とするICタグ付き物流搬送機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−254388(P2010−254388A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103216(P2009−103216)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000155045)株式会社本宏製作所 (41)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000155045)株式会社本宏製作所 (41)
【Fターム(参考)】
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