説明

ICタグ利用検品システム

【課題】 入荷検品の作業効率の向上と精度向上を図ることのできるICタグ利用検品システムを提供する。
【解決手段】 軸受やその他の機械部品等の規格化された製品wを梱包容器Wに複数入れて運搬する物流系統に適用される。工場2に梱包情報書込手段5を設け、配送センター3に、梱包情報読取手段6と入荷検品手段7とを設ける。梱包情報書込手段5は、出荷する各梱包容器Wに取付けられるICタグ1に梱包情報Iを書き込む手段である。梱包情報Iは、製品wの品名,個数,およびカウント用情報を含む。梱包情報読取手段6は、入荷される各梱包容器WのICタグ1から前記梱包情報Iを読み取る。入荷検品手段7は、この読み取られた梱包情報Iを所定の情報bと比較して検品する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軸受や等速ジョイント等の機械部品、その他の規格化された工場生産製品を梱包容器に複数入れて運搬する物流系統におけるICタグ利用検品システムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械部品等の量産される製品は、工場生産後、段ボール箱等の梱包容器に複数個入れ、梱包容器をパレタイズし、トラックに積載して工場から配送センターへ運搬する。配送センターでは、入荷検品を行って、製品種類毎に倉庫のラックの棚に格納し、客先の納品要求に応じて、要求個数の製品をパレタイズし、トラックに積載して出荷する。
【0003】
従来、このような物流過程における配送センターでの入荷時に、梱包容器に貼られたラベルの表示を、伝票や通信手段から得られた入荷情報と比較し、検品を行っている。検品は、品目毎の個数の確認等である。梱包容器が開けられる場合は、梱包容器内の製品を目で見て検品を行う場合もある。梱包容器が開けられないものや、開けると後の処置が面倒なものは、上記ラベルの表示だけから検品を行っている。
【0004】
電子化された管理システムとしては、農産物や水産物を運搬する通い箱において、その運搬物の管理のために、通い箱に設けられたポケットにICカードを入れ、そのICカードに商品情報や出荷情報等を記録し、物流管理に利用することも提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−341845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配送センターでの検品時において、多くは、梱包容器を開けることができないため、梱包容器内の実際の製品個数を確認せずに、ラベルの表示等に頼っている。この場合に、品名の似た製品が入荷されたときに、作業者がその誤りを見過ごすことがある。また、検品の効率が悪い。例えば、同一系統の製品で一部の仕様が異なる場合、品名のうちの付加記号の部分が異なるものとされるが、その判断をうっかりと見過ごすことがある。確実な判断を行おうとすると、検品の効率が低下する。
【0006】
具体例を挙げると、軸受等の機械部品の場合、用途や客先の要望等に応じて、内部隙間や封入グリースが異なる仕様のものとされる。このような仕様が僅かでも異なる製品は、別品名とされるが、品名のうちの一部の文字だけが異なるものとされるため、認識を誤り易い。また、梱包容器を開け、製品を見て検品ができる場合でも、上記のような内部仕様の異なる製品は、外見は同じであり、あるいは外見が非常に似たものであるため、区別がつき難く、判断を誤る場合が生じる。
【0007】
特許文献1に示されるような通い箱のポケットにICカードを入れて各種の管理を行うシステムは、運搬物が農産物や水産物の場合には適していても、量産される機械部品の場合は、通い箱とせずに、使い切りの梱包容器が用いられるため、適用し難いシステムとなる。また、ICカードがポケットから外れ、再度の挿入時に誤挿入の恐れがある。
【0008】
この発明の目的は、入荷検品の作業効率の向上と精度向上を図ることのできるICタグ利用検品システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のICタグ利用検品システムは、機械部品(w)を梱包容器(W)に複数入れて運搬する物流系統におけるICタグ利用検品システムであって、上記部品(w)を生産する工場(2)に設置され、出荷する各梱包容器(W)に取付けられるICタグ(1)に梱包情報(I)を書き込む梱包情報書込手段(5)と、配送センター(3)に設置され入荷される各梱包容器(W)の前記ICタグ(1)から前記梱包情報(I)を読み取る梱包情報読取手段(6)と、この読み取った梱包情報(I)を所定の情報(b)と比較して検品する入荷検品手段(7)とを備える。
この構成によると、配送センター(3)において、入荷された各梱包容器(W)のICタグ(1)を、梱包情報読取手段(6)で読み取り、その読み取った梱包情報(I)を入荷検品手段(7)で所定の情報(b)と比較することで検品が行われる。このようにICタグ(1)を利用するため、検品を効率良く行え、検品の精度も向上する。
【0010】
前記梱包情報読取手段(6)は、パレットまたはトラック等の運搬手段に積載された複数の梱包容器(W)のICタグ(1)を、所定のゲート位置(P)の通過時に同時に読み取り可能なものであっても良い。
この構成の梱包情報読取手段(6)を用いると、パレットまたはトラック等に積載したままで、ゲート位置(P)を通過するときに、その積載された各梱包容器(W)のICタグ(1)が読み取られる。そのため、より一層効率の良い検品が行える。
【0011】
この発明において、前記ICタグ(1)に書き込む梱包情報(I)としては、製品(w)の品名,個数,およびカウント用情報を含むものとしても良い。
配送センター(3)での入荷検品では、製品(w)の品目毎の個数の検品が要求されるが、ICタグ(1)にこれらの品名,個数の情報が書き込まれていると、品目毎の個数の検品が自動化できる。カウント用情報は、例えば、梱包容器(W)の1個につき、「1」とカウントさせるフラグ情報等であり、このカウント用情報を検品手段(7)でカウントすることで、梱包容器(W)の個数の積算が行える。この積算値と、梱包容器(W)毎の個数とが分かれば、入荷された品目毎の全個数が計算できる。
【0012】
前記ICタグ(1)に書き込む梱包情報(I)としては、この他に、梱包された製品(w)のロット番号、製品番号、生産工場、生産ライン、生産日付、および出荷日付のうちの少なくと一つの情報を含むようにしても良い。
これらロット番号、製品番号、生産工場、生産ライン、生産日付、および出荷日付等が分かると、製品(w)の不具合が発見された場合等におけるトレーサビリティに役立つ。ICタグでは、バーコード等に比べて記憶できる容量は大きいため、上記ロット番号やその他の情報を全て書き込んでおいても良い。
【0013】
前記ICタグ(1)は、梱包容器(W)の直接に取付ける他に、梱包容器(W)に貼り付けられるラベル(4)に取付けても良い。上記ラベル(4)は、製品(w)に関する情報の表示されたものである。
物流過程では、目視による判断が便利な場合があり、作業者の目で見てわかるように各種の情報を表示したラベル(4)が一般に梱包容器(W)に貼り付けられる。このようなラベル(4)にICタグ(1)を取付けると、ICタグ(1)の取付位置が分かり易くてICタグ(1)の読み取りに便利であり、またラベル(4)にICタグ(1)を取付けたものを準備しておいて、そのラベル(4)を梱包容器(W)に貼れば良いため、ICタグ(1)の梱包容器(W)への取付作業も容易となる。また、ラベル(4)にICタグ(1)が取付けられていると、ラベル(4)への印刷等による記述とICタグ(1)への書き込みとが同じ位置や近い位置で行え、ICタグ(1)への書き込みの作業性が向上する。
【0014】
前記ラベル(4)は、梱包された製品(w)の生産工場、生産ライン、日付の情報が記述されたバーコード(14)が付されたものであっても良い。
ラベル(4)に付されたバーコード(14)に製品(w)の生産工場、生産ライン、各種日付を記述することは、現在の物流過程で一般に行われており、例えば配送センター(3)内での各種の処理にも利用される。バーコード(14)に記述される情報を、全てICタグ(1)に書き込んで管理することも可能であるが、バーコード(14)とICタグ(1)とを併用することで、従来の物流過程における既存のシステムをできるだけ利用しながら、ICタグ(1)の取付けによる入荷検品等の効率向上を図ることができる。
【0015】
この発明において、個々の製品(w)またはその個別包装に付されたICタグ(1A)の書込情報を読み取る製品情報読取手段(28)を前記配送センター(3)に設け、前記入荷検品手段(7)は、前記製品情報読取手段(28)で読み取った情報を検品のため情報の一部として用いるものとしても良い。
ICタグの普及,低価格化に伴い、個々の製品毎にICタグを取付けることも提案されており、製品(w)のトレーサビリティ等に役立てられる。上記ICタグ(1A)は、製品(w)自体に貼り付けたり、埋め込んだりする他に、製品(w)の段ボール箱等の個別包装に付される場合もある。このように個々の製品(w)毎に設けられるICタグ(1A)を利用し、入荷検品手段(7)において、梱包容器(W)のICタグ(1)の品目,個数の情報と、個々の製品(w)のICタグ(1A)から得られる品目の情報とを対比させることで、梱包容器(W)内の製品(w)の入数不足等が検出できる。実際の入数は、従来の入荷検品システムでは、梱包容器(W)を開けなればできなかったが、このような実際の入数の検品が製品(w)毎のICタグ(1A)と梱包容器(W)のICタグ(1)との併用により可能になる。
【0016】
この発明において、個々の製品(w)またはその個別包装に付されたICタグ(1)の書込情報を読み取る製品情報読取手段(28)を前記配送センター(3)に設け、梱包容器(W)のICタグ(1)から読み取った個数情報とその梱包容器(W)内の個々の製品(w)またはその個別包装に付されたICタグ(1A)から読み取った情報とから、梱包容器(W)の製品(w)の入数を確認する入数確認手段(31)を設けても良い。
製品(w)毎のICタグ(1A)と梱包容器(W)のICタグ(1)との併用は、入荷検品に限らず、配送センター(3)内での他の各処理に利用することも可能である。例えば、出荷に際して梱包容器(W)内の製品(w)の入数を前記入数確認手段(31)で確認確認することで、信頼性が向上する。
【0017】
この発明において、前記配送センター(3)から出荷される梱包容器(W)のうち、その梱包容器(W)の規定の製品個数に対する端数の入数となる梱包容器(W)は、その梱包容器(W)に取付けられたICタグ(1)に製品個数の情報が入力されたものであり、前記配送センター(3)における出荷経路に、出荷する梱包容器(W)に設けられたICタグ(1)の記録情報から前記製品個数の情報を読み取る個数情報読取手段(23)と、この個数情報読取手段(23)の読み取った個数情報を所定の納品要求情報と比較する個数確認手段(24)とを設けても良い。
配送センター(3)では、梱包容器(W)の満杯個数である規定の製品個数に対して、端数となる出荷が求められる場合がある。このような場合、空の梱包容器(W0 )を準備し、配送センター(3)内の棚(22)等に保管された梱包容器(W)から一部の製品(w)を取り出し、その空の梱包容器(W0 )に入れて出荷する。このように準備される空の梱包容器(W0 )にICタグ(1)を取付けておき、このICタグ(1)に製品個数の情報を書き込んでおく。
前記個数情報読取手段(23)は、規定個数の製品(w)が入った梱包容器(W)の他に、上記のような端数の入数となる梱包容器(W0 )についても、製品個数の情報を読み取り、個数確認手段(24)で所定の納品要求情報と比較する。これにより、端数の梱包容器(W0 )を含む場合も、出荷個数の確認が行える。
【発明の効果】
【0018】
この発明のICタグ利用検品システムは、機械部品を梱包容器に複数入れて運搬する物流系統におけるICタグ利用検品システムであって、上記部品を生産する工場に設置され、出荷する各梱包容器に取付けられるICタグに梱包情報を書き込む梱包情報書込手段と、配送センターに設置され入荷される各梱包容器の前記ICタグから前記梱包情報を読み取る梱包情報読取手段と、この読み取った梱包情報を所定の情報と比較して検品する入荷検品手段とを備えたものであるため、入荷検品の作業効率の向上と精度向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図3と共に説明する。このICタグ利用検品システムは、製品wを梱包容器Wに複数入れて運搬する物流系統において、工場2から出荷する各梱包容器WにICタグ1を取付け、ICタグ1を利用して検品を行うシステムである。製品wは、軸受、等速ジョイント、その他の機械部品等の規格化された工場生産製品である。軸受や等速ジョイント等の機械部品の場合、上記のように外見が同じで内部隙間や封入グリース等の一部の仕様の異なるものが、別品目の製品wとして生産される。梱包容器Wは、段ボール箱や、木箱、プラスチックケース等である。梱包容器Wは、同じ品目の製品wが複数入れられる。ICタグ1には、非接触で情報の読み書きが可能なものが用いられ、後述のRFIDタグ等が用いられる。ICタグ1は、梱包容器Wに直接に取付けても良いが、この実施形態では、梱包容器Wに貼り付けられるラベル4にICタグ1を取付けるようにしている。ラベル4は、製品wに関する情報が表示されたものである。
【0020】
このICタグ利用検品システムは、製品wを生産する工場2に設置された梱包情報書込手段5と、配送センター3に設置されて入荷されるICタグ1を読み取る梱包情報読取手段6と、入荷検品手段7とを備える。
【0021】
梱包情報書込手段5は、出荷する各梱包容器Wに取付けられるICタグ1に梱包情報Iを書き込む手段であり、ICタグライタと、このICタグライタを動作させるコンピュータ等の情報処理手段とで構成される。梱包情報書込手段5は、コンピュータシステム等からなる出荷管理手段8から、梱包情報Iを得てICタグ1への書き込みを行う。出荷管理手段8は、出荷に関する管理一般を行う手段である。梱包情報書込手段5によるICタグ1への梱包情報Iの書き込みは、ICタグ1が梱包容器Wに取付けられた状態で行うものであっても、梱包容器Wへの取付前のラベル4上のICタグ1に対して行うものであっても良い。
【0022】
ICタグ1に書き込む梱包情報Iとしては、この実施形態では、梱包容器W内の製品wの品名,個数を少なくとも含むものとれ、他にカウント用情報を含むものとされる。カウント用情報は、梱包容器Wの数を1個カウントさせるための情報であり、例えば「1」の数字情報、または0または1の1桁の2値情報等とされる。ICタグ1に書き込む梱包情報Iとして、この他に、例えば図3に示すように、製品wのロット番号、製品番号、工場情報(どの工場かを区別する工場名,所在等の情報)、製造ライン、製造日付、出荷日付等を含めても良い。
【0023】
図1において、梱包容器Wへのラベル4の貼り付け、およびICタグ1への情報書き込みの終了した梱包容器Wは、パレタイザでパレット9上にパレタイズし、パレット積み体をトラック10に積載して工場2から配送センター3に向けて出荷する。
【0024】
梱包情報読取手段6は、ゲート位置Pを通過する梱包容器WのICタグ1を読み取るタグリーダ11と、このタグリーダ11の読み取りの操作および読み取り情報の処理を行うコンピュータ等の情報処理手段とでなる。タグリーダ11は複数のICタグ1の同時読み取りが可能なものが用いられ、例えば、トラック10上に積載された全体の梱包容器WのICタグ1の読み取りが、トラック10の通過によって読み取り可能なものが用いられる。タグリーダ11のアンテナは、フレーム12に設置されている。フレーム12は、ゲート位置Pの脇に立設されたポール状のもの、または内部にトラック10を通過させる一対の支柱部分および天井部分を有する門型のものとされる。
【0025】
入荷検品手段7は、梱包情報読取手段6で読み取った梱包情報Iを所定の情報bと比較して検品する手段である。所定の情報bは、入荷検品を行う各項目の情報であり、適宜設定される。所定の情報bは、例えば、そのトラック10で入荷を行う品目および品目毎の個数を示した情報とされ、または他の出荷元の情報等が含められる。所定の情報bは、適宜の入荷情報伝達手段13により入荷検品手段7に伝えられる。入荷情報伝達手段13は、トラック10の運転者より渡される伝票であっても良く、また通信回線で接続された物流管理データベース等であっても良い。
【0026】
梱包情報読取手段6から入荷検品手段7へは、図1中に同時読取情報Sの内容例を示すように、トラック10の1台分の梱包情報Iとなる、品名毎の個数,容器数の情報が与えられる。入荷検品手段7は、この同時読取情報Sを、上記所定の情報bと比較して合致すしていることを確認する処理、および過不足を調べる処理を行うことにより、検品処理とする。
【0027】
この実施形態のICタグ利用検品システムによると、配送センター3において、入荷された各梱包容器WのICタグ1を、梱包情報読取手段6で読み取り、その読み取った梱包情報Iを入荷検品手段7で所定の情報bと比較することで検品が行われる。このようにICタグ1を利用するため、検品を効率良く行え、検品の精度も向上する。
梱包情報読取手段6は、トラック10に梱包容器Wを積載したままで、ゲート位置Pを通過するときに、各梱包容器WのICタグ1が同時に読み取られる。そのため、より一層効率の良い検品が行える。なお、同時読み取りが可能な梱包情報読取手段6は、現在では製品化されたものがある。
【0028】
配送センター3の入荷検品では、製品wの品目毎の個数の検品が要求されるが、ICタグ1にこれらの品名,個数の情報を書き込むようにしたため、品目毎の個数の検品が自動化できる。カウント用情報は、例えば、梱包容器Wの1個につき、「1」とカウントさせるフラグ情報等であり、このカウント用情報を検品手段7でカウントすることで、梱包容器Wの個数の積算が行える。入荷検品手段7は、この積算値と梱包容器W毎の個数とから、入荷された品目毎の全個数を計算し、検品処理を行う。
【0029】
ICタグ1に書き込む梱包情報として、この他に、梱包された製品のロット番号、製品番号、生産工場、生産ライン、生産日付、および出荷日付を含むようにした場合は、製品の不具合が発見された場合等におけるトレーサビリティに役立つ。ICタグ1では、バーコード等に比べて記憶できる容量は大きいため、上記ロット番号やその他の情報を全て書き込んでおいても良い。
【0030】
この実施形態では、前記ICタグ1は、梱包容器Wに貼り付けられるラベル4に取付けいる。そのため、ラベル4の目視による利用と、ICタグ1の利用とが併用できる。物流過程では、目視による判断が便利な場合があり、作業者の目で見てわかるように各種の情報を表示したラベル4が一般に梱包容器に貼り付けられる。このようなラベル4にICタグ1を取付けるため、ICタグ1の取付位置が分かり易くて、ICタグ1の読み取りに便利である。また、ラベル4にICタグ1を取付けたものを準備しておいて、そのラベル4を梱包容器Wに貼れば良いため、ICタグ1の梱包容器Wへの取付作業も容易となる。また、ラベル4にICタグ1が取付けられていると、ラベル4への印刷等による記述とICタグ1への書き込みとが同じ位置や近い位置で行え、ICタグ1への書き込みの作業性が向上する。
【0031】
ラベル4は、例えば図2に示すようにバーコード14が付されたものであっても良い。ラベル4は、客先名称情報15、客先番号情報16、トレーサビリティ情報17、製造元名称情報18、容器番号情報19、製品個数情報20等が目視で読み取り可能に記述されたものである。トレーサビリティ情報17としては、梱包された製品wの生産工場、生産ライン、生産日付(年月日)、出荷日付(出荷年月日)、品名等の情報等がコード番号等で表示される。バーコード14には、トレーサビリティ情報17として表示する前述の生産工場等の各事項を示すものされる。
この場合に、ラベル4に貼り付けられたICタグ1は、品名、製品個数の情報の他、前記トレーサビリティ情報17として表示される前述の生産工場等の各事項が記述され、さらにロット番号や製品番号(シリアル番号)等の情報を書き込んでも良い。
【0032】
ラベル4に付されたバーコード14に、製品wの生産工場、生産ライン、各種日付を記述することは、現在の物流過程で一般に行われており、例えば配送センター3内での各種の処理にも利用される。バーコード14に記述される情報を、全てICタグ1に書き込んで管理することも可能であるが、バーコード14とICタグ1とを併用することで、従来の物流過程における既存のシステムをできるだけ利用しながら、ICタグ1の取付けによる入荷検品等の効率向上を図ることができる。
【0033】
図4は、配送センター3内における入荷検品後の流れを示す。入荷検品された各梱包容器Wは、品目毎に整理して、ラック21の各棚22に格納される。配送センター3からの出荷は、客先の納品要求に応じて、要求個数の製品wをパレタイズし、トラック10に積載して出荷する。
配送センター3では、梱包容器Wの満杯個数である規定の製品個数に対して、端数となる出荷が求められる場合がある。例えば、規定の製品個数が100個である場合に、120個の出荷が求められる場合がある。このような場合、端数となる20個については、空の梱包容器W0 を準備し、配送センターW内の棚22等に保管された梱包容器W1 から一部の製品wを取り出し、上記空の梱包容器W0 に入れて出荷する。このように準備される空の梱包容器W0 にICタグ1を取付けておき、このICタグ1に製品個数の情報を書き込んでおく。
【0034】
このような処理を行う配送センター3において、その出荷経路に、出荷する梱包容器W,W0 に設けられたICタグ1の記録情報から前記製品個数の情報を読み取る個数情報読取手段23と、この個数情報読取手段23の読み取った個数情報を所定の納品要求情報と比較する個数確認手段24とを設ける。個数情報読取手段23は、前記梱包情報読取手段6と同様に、タグリーダ25とコンピュータ等の情報処理手段とで構成される。個数確認手段24は、例えば、個数情報読取手段23と同じコンピュータ、または個数情報読取手段23に接続されたコンピュータに設けられる。タグリーダ25は、前記と同じくポール状または門型等のフレーム26に設けられる。この場合のフレーム26は、例えば梱包容器Wのパレット積み体をフォークリフト27で搬送する経路に設けられ、その搬送中にパレット積み体の全ての梱包容器WのICタグ1を読み取り可能なものとされる。
【0035】
この構成の場合、個数情報読取手段23は、規定個数の製品wが入った梱包容器Wの他に、上記のような端数の入数となる梱包容器W0 についても、製品個数の情報を読み取りる。その読み取り結果が、個数確認手段24で所定の納品要求情報と比較される。これにより、端数の梱包容器W0 を含む場合も、出荷個数の確認が行える。
【0036】
なお、上記各実施形態は、梱包容器WにのみICタグ1を取付けた場合について説明したが、図5に示すように、梱包容器W内の個々の製品wにICタグ1Aを取付けておき、各種の管理やトレーサビリティに用いるようにしても良い。例えば、製品wのICタグ1Aに記録される情報として、ロット番号や製品番号の他に、検査結果の情報、仕様情報、材料情報等が挙げられる。上記ICタグ1Aは、製品w自体に貼り付けたり、埋め込んだりする他に、製品wの段ボール箱等の個別包装に付しても良い。
この場合に、個々の製品wに付されたICタグ1の書込情報を読み取る製品情報読取手段28を配送センター3に設け、前記入荷検品手段7は、製品情報読取手段28で読み取った情報を検品のため情報の一部として用いるものとしても良い。製品情報読取手段28は、タグリーダ29とコンピュータとで構成される。タグリーダ29はフレーム30に取付けられる。製品情報読取手段28を構成するタグリーダ29およびコンピュータは、図1の梱包情報読取手段6を構成するタグリーダ11およびコンピュータで兼用させても良い。
【0037】
ICタグの普及,低価格化に伴い、個々の製品w毎にICタグを取付けることも提案されており、製品wのトレーサビリティ等に役立てられる。このように個々の製品w毎に設けられるICタグ1Aを利用し、入荷検品手段7において、梱包容器WのICタグ1の品目,個数の情報と、個々の製品wのICタグ1から得られる品目の情報とを対比させることで、梱包容器W内の製品wの入数不足等が検出できる。実際の入数は、従来の入荷検品システムでは、梱包容器を開けなればできなかったが、このような実際の入数の検品が製品毎のICタグ1Aと梱包容器WのICタグ1との併用により可能になる。
【0038】
上記製品情報読取手段28は、配送センター3における出荷経路等に設けても良い。この場合に、梱包容器WのICタグ1から読み取った個数情報とその梱包容器W内の個々の製品wまたはその個別包装に付されたICタグ1Aから読み取った情報とから、梱包容器W内の製品wの入数を確認する入数確認手段31を設けても良い。製品情報読取手段28は、トラック積み状態やパレット積み体の状態で各製品wのICタグ1Aを読み取るものであっても、個々の梱包容器W毎に個々の製品wのICタグ1Aを読み取るものや、製品w毎にICタグ1Aを読み取るものであっても良い。
製品毎wのICタグ1Aと梱包容器WのICタグ1との併用は、入荷検品に限らず、配送センター3内での他の各処理に利用することも可能である。例えば、出荷に際して梱包容器内の製品の入数を前記入数確認手段確認することで、信頼性が向上する。
【0039】
図6,図7と共に、上記梱包容器Wに取付けられるICタグ1につき、具体的に説明する。ICタグ1Aについてもこれと同様である。ICタグ1に対する情報の読み書きは、タグリーダ42によって行われる。ICタグ1が読み書きの両方が可能なタイプのものである場合は、タグリーダ42は、タグリーダ/ライタとされる。タグリーダ42は、ICタグ1に対向させるアンテナ43を有している。タグリーダ42はコンピュータ44等の情報処理手段に接続される。このタグリーダ42が、上記各実施形態におけるタグリーダとして用いられる。
ICタグ1は、非接触で情報の記録および読取りが可能なもの、または読取りのみが可能なものであり、ICチップ(集積回路のチップ)45とアンテナ46とで構成される。これらICチップ45とアンテナ46は、例えば樹脂(図示せず)で一体に包囲される。ICタグは種々の形式,形状,大きさのものがあり、短冊状や板状の物の他、例えば1mm未満の大きさの角状や球状の物などがある。また、対象物に直接に印刷等で形成されるICタグもある。記憶容量も種々異なるものがあるが、用途や取付対象となる梱包容器Wの大きさ,種類等に応じて適宜選択すればよい。
【0040】
ICタグ1としては、例えばRFID(無線周波数認識:Radio Frequency Identification)技術を応用したRFIDタグが利用できる。RFID形式のICタグは、伝送方式として静電結合、電磁結合、電磁誘導、マイクロ波、光などを用いる形式のものがあり、このうちいずれの形式のものを用いても良い。例えば電磁誘導形式のもの、またはマイクロ波のものが用いられる。
【0041】
図7は、ICタグ1の具体的回路例を示す。このICタグ1のICチップ45は、中央処理装置(CPU)47、メモリ48、送受信回路49、および電源回路50を有しており、電源回路30はアンテナ46から電源を得るものとされている。メモリ48は、情報の記憶に電源が不要なものが用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかるICタグ利用検品システムの概念構成のブロック図である。
【図2】そのICタグを取付けるラベルの説明図である。
【図3】同ICタグの記憶内容例の説明図である。
【図4】同実施形態における配送センター出荷過程の説明図である。
【図5】この発明の他の実施形態におけるICタグ利用検品システムの一部の説明図である。
【図6】ICタグとタグリーダの関係を示す説明図である。
【図7】ICタグの回路図である。
【符号の説明】
【0043】
1,1A…ICタグ
2…工場
3…配送センター
4…ラベル
5…梱包情報書込手段
6…梱包情報読取手段
7…入荷検品手段
11…タグリーダ
22…棚
23…個数情報読取手段
24…個数確認手段
28…製品情報読取手段
31…入数確認手段
W…梱包容器
w…製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械部品を梱包容器に複数入れて運搬する物流系統におけるICタグ利用検品システムであって、上記部品を生産する工場に設置され、出荷する各梱包容器に取付けられるICタグに梱包情報を書き込む梱包情報書込手段と、配送センターに設置され入荷される各梱包容器の前記ICタグから前記梱包情報を読み取る梱包情報読取手段と、この読み取った梱包情報を所定の情報と比較して検品する入荷検品手段とを備えたICタグ利用検品システム。
【請求項2】
請求項1において、前記梱包情報読取手段は、パレットまたはトラック等の運搬手段に積載された複数の梱包容器のICタグを、所定のゲート位置の通過時に同時に読み取り可能なものであるICタグ利用検品システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記ICタグに書き込む梱包情報として、製品の品名,個数,およびカウント用情報を含むICタグ利用検品システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記ICタグに書き込む梱包情報として、梱包された製品のロット番号、製品番号、生産工場、生産ライン、生産日付、および出荷日付のうちの少なくと一つの情報を含むICタグ利用検品システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記ICタグは、前記梱包容器に貼り付けられて製品に関する情報の表示されたラベルに取付けられるICタグ利用検品システム。
【請求項6】
請求項5において、前記ラベルは、梱包された製品の生産工場、生産ライン、および日付の情報が記述されたバーコードが付されたものであるICタグ利用検品システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、個々の製品またはその個別包装に付されたICタグの書込情報を読み取る製品情報読取手段を前記配送センターに設け、前記入荷検品手段は、前記製品情報読取手段で読み取った情報を検品のため情報の一部として用いるものとしたICタグ利用検品システム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、個々の製品またはその個別包装に付されたICタグの書込情報を読み取る製品情報読取手段を前記配送センターに設け、梱包容器のICタグから読み取った個数情報とその梱包容器内の個々の製品またはその個別包装に付されたICタグから読み取った情報とから、梱包容器の製品の入数を確認する入数確認手段を設けたICタグ利用検品システム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記配送センターから出荷される梱包容器のうち、その梱包容器の規定の製品個数に対する端数の入数となる梱包容器は、その梱包容器に取付けられたICタグに製品個数の情報が入力されたものであり、前記配送センターにおける出荷経路に、出荷する梱包容器に設けられたICタグの記録情報から前記製品個数の情報を読み取る個数情報読取手段と、この個数情報読取手段の読み取った個数情報を所定の納品要求情報と比較する個数確認手段とを設けたICタグ利用検品システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−27773(P2006−27773A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206093(P2004−206093)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】