説明

IVA族小粒子の組成物および関連する方法

IVA族(例えば、ケイ素、ゲルマニウム)小粒子の組成物および関連する方法が記載されている。ある実施形態では、この小粒子組成物および関連する方法を用い、基板上に層を作成する。ある実施形態では、方法は、供給材料を粉砕することにより、IVA族元素を含む粒子を作ることであって、該粒子は、250nm未満の平均粒径を有する、ことと、基板を該粒子および液体の混合物と接触させることにより、該基板上に該IVA族元素を含む層を作ることとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮出願第61/108,336号(2008年10月24日出願)に基づく優先権を主張する。該仮出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般的に、IVA族(例えば、ケイ素、ゲルマニウム)小粒子の組成物および関連する方法に関する。ある実施形態では、この小粒子組成物および関連する方法を用い、基板上に層を作成する。
【背景技術】
【0003】
IVA族元素には、ケイ素、ゲルマニウムが含まれる。このような元素および関連する組成物を、例えば、電池のような電気化学セルに用い得る。このような元素および関連する組成物を処理し、例えば、粉末を作り、これを用いてセルの電極(例えば、アノード、カソード)を作り得る。
【0004】
粉砕プロセスは、典型的には、磨砕媒体を用い、生成物を砕くか、または叩いて寸法を小さくする。例えば、この生成物は、比較的大きな粒子を有する粉末の形態で提供され得、粉砕プロセスを用いて粒径を小さくし得る。
【0005】
磨砕媒体は、大きさおよび形状はさまざまであり得る。典型的な粉砕プロセスでは、磨砕媒体は、ミル(例えば、ボールミル、ロッドミル、アトライタミル、媒体撹拌型ミル、ペブルミル)として知られているデバイスで用いられる。ミルは、典型的には、生成物を磨砕媒体の周囲にいきわたらせ、回転させて、磨砕媒体の間で衝突させ、生成物の粒子を破壊して寸法を小さくし、粉砕された粒子組成物を得るように操作する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
IVA族(例えば、ケイ素、ゲルマニウム)小粒子の組成物および関連する方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、方法が提供される。この方法は、供給材料を粉砕し、平均粒径が250nm未満のIVA族元素を含む粒子を作ることを含む。この方法は、基板と、粒子および液体の混合物とを接触させ、基板上にIVA族元素を含む層を作成することをさらに含む。
【0008】
別の態様では、方法が提供される。この方法は、供給材料を粉砕し、IVA族元素を含む粒子を作ることを含む。この方法は、この粒子上に、厚みが50nm未満の炭素コーティングを作ることをさらに含む。
【0009】
別の態様では、方法が提供される。この方法は、IVA族元素を含む粒子と、液体との混合物を提供することを含む。この方法は、基板と上述の混合物とを接触させ、基板上に層を形成することをさらに含み、この層は、50重量%より多い量のIVA族元素を含んでいる。
【0010】
別の態様では、粒子組成物が提供される。この粒子組成物は、平均粒径が100nm未満のIVA族元素を含む粒子を含み、この粒子組成物は、スピンコーティングすることが可能である。
【0011】
別の態様では、粒子組成物が提供される。この粒子組成物は、平均粒径が100nm未満のIVA族元素を含む粒子を含み、この粒子は、炭素コーティングを有している。
【0012】
別の態様では、物品が提供される。この物品は、基板と、上述の複数の粒子組成物から作られるコーティングとを含む。
【0013】
別の態様では、物品が提供される。この物品は、基板と、上述の1種類の粒子組成物から作られるコーティングとを含む。
【0014】
本発明の他の態様、実施形態および特徴は、以下の詳細な記載を添付の図面と組み合わせて考えれば明らかになるだろう。添付の図面は模式図であり、縮尺どおりに記載することを意図したものではない。明確にするために、すべての図面ですべての要素にラベル付けをしているわけではなく、当業者が本発明を理解するのに説明が必要でない場合には、本発明の各実施形態のすべての要素が示されているわけでもない。本明細書に参考として組み込まれるすべての特許出願および特許は、その全体が参考として組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含め、本明細書の記載に従う。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にしたがって小粒子組成物から作成した電極を含む、模式的な電気化学セルを示す。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にしたがって小粒子組成物から作成した電極を含む、電池の構造を示す。
【図3】図3A〜3Dは、実施例1に記載した粒子のSEM画像のコピーである。
【図4】図4は、実施例2に記載した、浸漬コーティングした基板を示す写真のコピーである。
【図5】図5は、実施例3に記載した、スピンコーティングした基板の実例を示す写真のコピーである。
【図6】図6A〜6Dは、実施例4に記載した粒子のSEM画像のコピーである。
【図7】図7A〜7Dは、実施例5に記載した粒子のSEM画像のコピーである。
【図8】図8A〜8Dは、実施例5に記載した粒子のSEM画像のコピーである。
【図9】図9A〜9Dは、実施例6に記載した粒子のSEM画像のコピーである。
【図10】図10A〜10Dは、実施例7に記載した粒子のSEM画像のコピーである。
【図11】図11Aおよび11Bは、実施例9に記載した粒子のSTEM画像のコピーである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、一般的に、IVA族(例えば、ケイ素、ゲルマニウム)小粒子の組成物および関連する方法に関する。この粒子は、例えば、粉砕プロセスで作られてもよい。ある実施形態では、この粒子は、炭素のような導電性コーティングを含む。種々の技術(例えば、スピンコーティング、浸漬コーティング、キャストコーティング)を用いて基板をコーティングするために、小粒子の組成物を用い得る。得られたコーティング層は、使用中の安定性向上、応力吸収性が高いことのように、高い性質を有し得る。コーティングは、特に、電池用途で有用な場合がある(例えば、電極のコーティングとして)。他の用途としては、例えば、電子機器で用いられる導電性インクが挙げられる。
【0017】
本明細書で使用される場合、「IVA族」の組成物は、IVA族元素を含む組成物である。IVA族元素は、元素の形態であり得、またはIVA元素を含む化合物の形態であり得る。適切なIVA族元素の例は、ケイ素およびゲルマニウムである。他の適切なIVA族元素は、炭素(例えば、グラファイト形態の炭素)、スズ、鉛である。ある場合には、粒子組成物は、ケイ素元素の粒子またはゲルマニウム元素の粒子で作られている。ある場合では、粒子は、ケイ素組成物で作られる(すなわち、ケイ素を含み、1個以上のさらなる元素が含まれ得る組成物);ある場合では、粒子は、ゲルマニウム組成物で作られる(すなわち、ゲルマニウムを含み、1個以上のさらなる元素が含まれ得る組成物)。
【0018】
ある実施形態では、IVA族組成物は、混合物であり得、合金であり得、および/または金属間化合物であり得る。適切なIVA族組成物は、マグネシウム、銅およびケイ素から作られる組成物を含み得る。例えば、ある実施形態では、粒子は、MgCu16Siで作られ得る。ある実施形態では、粒子は、MNi16Siで作られ得、ここで、M=Mg、Sc、Ti、NbまたはTaである。ある実施形態では、組成物は、AlSi17CuNiMgであり得、Cr、Co、Mo、W、および/またはTiで構成される対応する組成物であり得る。また、適切な組成物としては、例えば、Si/Ge、Si/C、Ge/C、Si/Ge、Si/Sn、Si/Sn/C、Si/Cu/Co/Snが挙げられる。これらの組成物は、混合物、合金または金属間化合物の形態であり得る。ある場合では、IVA族組成物は、組成が異なる粒子の混合物であり得る。例えば、IVA族組成物は、Si粒子とGe粒子の混合物を含み得、または、上述の任意の他の組み合わせを含み得る。このような組成物を、コンポジット構造を作るのに用い得る。
【0019】
IVA族粒子組成物が、適切なドーパントを含み得ることも理解されるべきである。ドーパントは、n型であり得(例えば、N、P、As、Sb、Bi)、p型であり得る(例えば、B、Al、Ga、In、Ti)。また、適切なドーパントとしては、例えば、Wおよび/またはZrが挙げられる。電気伝導度および/または原子の移動度のような特定の性質を高めるために、Liのようなドーパントを与え得る。
【0020】
また、上述化合物が粒子に組み込まれ得る。例えば、粒子が、フッ素前駆体にさらされ、次いで、フッ素が粒子中または粒子の凝集物中に分散するように、燃焼させられ得る。
【0021】
上述のように、ある実施形態では、粒子をコーティングし得る。粒子組成物の1つ以上の性質を高めるために、コーティングを用い得る。例えば、コーティングが、電極(例えば、電気化学セルの電極)中の粒子の性能を高め得る。コーティングされた粒子は、コーティングされていない粒子と比較すると、導電性が向上している場合がある。
【0022】
一般的に、コーティング材料は、粒子表面をコーティングすることが可能な任意の適切な材料であり得る。ある場合では、コーティング材料が、導電性材料であることが好ましい。ある実施形態では、コーティングは、炭素を含み得る。炭素コーティングは、粒子がケイ素である場合に、特に好ましい場合がある。例えば、コーティング材料は、グラファイト(例えば、良質のグラファイト)、カーボンナノチューブ、アセチレンブラックのような炭素を含有する材料であり得る。炭素コーティングは、sp2配置を有する炭素を含み得る。炭素コーティングの構造は、当該技術分野で知られている技術(例えば、ラマン分光法)を用いて評価することができる。ある実施形態では、コーティングは、導電性金属であり得る(例えば、コバルト、ニッケル)。他のコーティング組成物も可能であることは、理解されるべきである。
【0023】
コーティングは、ある実施形態では、層の形態であり得る。他の実施形態では、コーティングは、粒子表面から延びるナノ構造(例えば、ナノチューブまたはナノロッド)のような他の形態をなし得る。これらの実施形態では、粒子は、ナノ構造のような構造を成長させるための触媒として機能し得る。例えば、ケイ素粒子は、グラファイト構造、カーボンナノチューブなどを製造するための成長触媒として機能し得る。還元性有機気体は、これらの材料を合成するための原料の一例である。
【0024】
コーティングが層として作られる場合、コーティングは、粒子の表面領域のうち、少なくとも一部分を覆っている。ある場合では、層は、粒子の表面領域のうち、50%より多い領域、75%より多い領域を覆い得、または実質的に完全に覆い得る(例えば、99%より多い領域)。層は、厚みが50nm未満、25nm未満であり得、ある場合では、10nm未満であり得る。ある実施形態では、コーティング層は、粒子の大部分の表面領域にわたって均一の厚みを有し得る。例えば、コーティング層は、粒子の表面領域のうち、50%より大きい領域で、厚みの変動が20%より小さくあり得る。
【0025】
粒子は、例えば、ケイ素で作られている場合、存在し得る任意の他のコーティングに加え、天然の酸素の層が存在していてもよいことが理解されるべきである。ある実施形態では、IVA族元素から天然の酸素の層を取り除くことが望ましい場合もある。天然の酸素の層を除去する技術は、当該技術分野で知られており、IVA族元素を化学物質(例えば、フッ化水素)で処理すること、および/または熱処理することを挙げることができる。ある実施形態では、粒子は、天然の酸化物層を有していないことがある(例えば、ゲルマニウムで作られている場合)。
【0026】
ある実施形態では、粉砕された粒子組成物の粒径は、500nm未満である。特定の実施形態では、平均粒径は、これよりも小さくてもよい。例えば、平均粒径は、250nm未満、150nm未満、100nm未満、75nm未満、または50nm未満であり得る。ある実施形態では、粒子組成物が、非常に小さな粒径であることが好ましい場合がある(例えば、平均粒径が100nm未満)。ある場合では、粒子組成物の平均粒径が、30nm未満、20nm未満、または10nm未満のものを製造することも可能である。このような粒径は、以下にさらに記載するように、部分的には、特定の好ましい特徴を有する磨砕媒体を用いることによって得られる。
【0027】
本明細書に記載されている粒径は、コーティングされているIVA族粒子組成物のためのものであり得、コーティングされていないIVA族粒子組成物のためのものであり得ることが理解されるべきである。
【0028】
IVA族粒子組成物の好ましい平均粒径は、典型的には、目的とする用途に依存する。特定の用途では、平均粒径がきわめて小さいことが望ましい場合があり(例えば、100nm未満、50nm未満、25nm未満など);一方、他の用途では、平均粒径がわずかに大きい方が望ましい場合がある(例えば、100nm〜500nm)。一般的に、望ましい粒径を与えるために、粉砕パラメータを制御し得るが、特定の場合には、粉砕しやすくするために、平均粒径が約1nmよりも大きいことが好ましい場合がある。例えば粉砕した材料の平均粒径は、磨砕媒体の特徴(例えば、密度、大きさ、硬度、靭性)、ならびに粉砕条件(例えば、特定のエネルギー入力)のような多くの因子によって制御され得る。
【0029】
本明細書の目的のために、粒子組成物の「平均粒径」は、組成物中にある代表的な数の一次(凝集していない)粒子の「粒径」の数平均である。一次(凝集していない)粒子の「粒径」は、x軸、y軸またはz軸に沿った最大断面寸法である。例えば、実質的に球状の粒子の最大断面直径は、その直径である。本明細書の記載中の数値および特許請求の範囲中の数値では、顕微鏡技術(例えば、走査型電子顕微鏡技術または透過型電子顕微鏡技術)を用いて粒径を決定する。
【0030】
また、上述の範囲の外側にある(例えば、500nmより大きい)平均粒径を有する粒子組成物も、本発明の特定の実施形態で有用な場合があることが理解されるべきである。
【0031】
ある実施形態では、粒子は、最少断面寸法が100nm未満である。つまり、最も小さな断面寸法が100nm未満である。ある実施形態では、最少断面寸法は、50nm未満であり、25nm未満であり、23nm未満であるか、または10nm未満である。
【0032】
また、粒子組成物は、大きな粒子を比較的含まないものであり得る。つまり、粒子組成物は、大きな粒子を少ない濃度でしか含まないものであり得る。例えば、組成物のD90値は、上述の平均粒径のいずれかであり得る。しかし、本発明がこのようなD90値に限定されないことが理解されるべきである。
【0033】
また、粒子組成物は、平均表面積が非常に高くあり得る。高い表面積は、部分的には、上述の非常に小さな粒径によるものである。粒子組成物の平均表面積は、1m/gより大きくあり得、他の場合には、5m/gより大きくあり得、他の場合には、50m/gより大きくあり得る。ある場合では、粒子は、100m/gより大きな、きわめて高い表面積を有し得、または、500m/gよりも大きな表面積を有し得る。これらの高い表面積は、コーティングされていない粒子および/または実質的に多孔性ではない粒子でも達成可能であるが、その他の粒子は、表面に孔を有し得ることが理解されるべきである。表面積は、従来のBET測定を用いて測定され得る。このような高い表面積は、部分的に、以下にさらに記載されるように、特定の好ましい特徴を有する磨砕媒体を用いることによって得られる。
【0034】
粒径と同様に、粒子組成物の好ましい平均表面積は、典型的には、意図する用途に依存する。特定の用途では、平均表面積がきわめて大きいことが望ましい場合がある(例えば、50m/gより大きいか、または260m/gより大きい);一方、他の用途では、平均表面積がわずかに小さいことが望ましい場合がある(例えば、50m/g〜1m/g)。一般的に、望ましい表面積を与えるために、粉砕パラメータを制御し得るが、特定の場合には、平均表面積が約3,000m/g未満であることが好ましい場合がある(例えば、実質的に非多孔性の粒子の場合)。例えば、粉砕した粒子組成物の平均表面積は、磨砕媒体の特徴(例えば、密度、大きさ、硬度、靭性)、ならびに粉砕条件(例えば、エネルギー、時間)のような多くの因子によって制御され得る。
【0035】
以下にさらに記載されるように、粉砕した粒子組成物を粉砕プロセスで製造し得る。したがって、これらの粒子組成物は、特徴的な「粉砕された」形態/トポロジーを有するものとして記載され得る。当業者は、「粉砕された粒子」を同定することができる。例えば、1つ以上の以下の顕微鏡で確認できる以下の微細な特徴を含み得る:複数の鋭い縁部、切断された表面、化学析出した粒子では典型的にみられるような平滑で丸まった「隅部」がないこと。本明細書に記載される粉砕した粒子が、上述の1つ以上の顕微鏡で確認できる微細な特徴を有し得るが、もっと低い倍率でながめた場合に、他の形状(例えば、平板状)を有し得ることが理解されるべきである。
【0036】
本発明のすべての実施形態が、粉砕した粒子または粉砕プロセスに限定されるものではないことが理解されるべきである。
【0037】
ある実施形態では、平板の形状を有する粒子が好ましい場合がある。例えば、粒子がケイ素で作られている場合、その粒子は、平板の形状を有していることが望ましい場合がある。これらの場合では、粒子は、粒子の長さ方向に沿って、厚みが比較的均一であり得る。粒子は、実質的に平坦な第1の表面と、実質的に平坦な第2の表面とを有し得、粒子は、第1の表面と第2の表面との間に延びる厚みを有している。粒子の厚みは、粒子の幅および長さよりも小さくてもよい。ある実施形態では、長さおよび幅は、ほぼ等しくてもよいが、他の実施形態では、長さと厚みは異なり得る。長さと幅が異なる場合、平板状粒子は、長方形の形状を有し得る。特定の場合には、粒子は、鋭い縁部を有するものとして特徴づけられてもよい。例えば、粒子の上側表面(例えば、第1の平坦な表面)と、粒子の側面との角度は、75°〜105°であり得、または85°〜95°であり得る(例えば、約90°)。しかし、粒子が、すべての実施形態で平板の形状を有していなくてもよく、本発明はこの観点に限定されるものではないことが理解されるべきである。例えば、粒子は、特に、実質的に球状であり得、偏球の形状であり得る。粉砕した粒子組成物の中で、個々の粒子が、上述の1つ以上の形状の形態をしていてもよいことが理解されるべきである。
【0038】
ある実施形態では、本発明の組成物は、好ましい結晶配向を有する粒子を含み得る。このような粒子を作るのに適した方法は、共同所有の同時係属の米国特許出願第11/318,314号、名称「Small Particle Compositions and Associated Methods」、10/27/05に出願(本明細書に参考として組み込まれる)に記載されている。ある実施形態では、組成物中の粒子の大部分(すなわち、50%を超える)は、同じ結晶配向を有し得る。他の実施形態では、組成物中の粒子の75%を超える量、または95%を超える量、または実質的にすべてが、同じ結晶配向を有し得る。
【0039】
粒子の好ましい結晶配向は、部分的に、粒子を形作る材料の結晶構造に依存する場合がある。ある実施形態では、IVA族系粒子は、111面または010面に沿って砕ける面心立方構造を有し得る。結晶は、一般的に、このような面に沿って破壊部を誘発するのに必要な特徴的なエネルギー量で、特定の面に沿って優先的に砕ける。粉砕中、このようなエネルギーは、粒子/磨砕媒体の衝突から生じる。粉砕パラメータ(例えば、磨砕媒体の組成、特定のエネルギー入力)によって、このような衝突エネルギーを制御することによって、好ましい結晶配向を有する粒子組成物を作る特定の結晶面に沿って粒子を優先的に砕けさせることが可能であることが観察される。
【0040】
粒子の結晶配向は、既知の技術を用いて測定され得る。適切な技術は、x線回折(XRD)である。XRDを用いて、同じ好ましい結晶配向を有する粒子の相対百分率を評価することが可能であろう。
【0041】
本発明の特定の実施形態の利点は、本明細書に記載される粒径を、混入物質の濃度が非常に低い状態で達成することができるということである。以下に記載する磨砕媒体は、上述の組成物とともに用いると、混入物質の濃度を下げることができる。このような特徴によって、摩耗率がきわめて低くなるからである。例えば、粉砕された組成物は、混入物質の濃度が、900ppm未満、500ppm未満、200ppm未満、または100ppm未満であり得る。あるプロセスでは、実際に混入物質を含まないことが検出され得、一般的に、代表的な混入濃度は10ppm未満である。本明細書で使用される場合、「混入物質」は、粉砕中に、生成物組成物に入り込む磨砕媒体材料である。典型的には市販されている原料製品は、特定の濃度の不純物を含み得(粉砕前)、このような不純物は、本明細書で使用されるような混入物質の定義には含まれないことが理解されるべきである。また、生成物に導入される他の供給源の不純物(例えば、粉砕装置に由来する物質)は、本明細書で使用されるような混入物質の定義には含まれない。「混入物質の濃度」は、粉砕した材料の重量濃度に対する、混入物質の重量濃度を指す。典型的な混入物質の濃度単位はppmである。混入物質の濃度を測定する標準的な技術は、化学組成分析技術を含め、当業者には知られている。
【0042】
ある実施形態では、粒子組成物は、粉砕技術を用いて製造され得る。あるプロセスでは、原料粒子(粉砕前)が、1ミクロンより大きく、10ミクロンより大きく、または50ミクロンよりも大きい平均粒径を有している場合に、粉砕した粒子の粒径は、達成される。あるプロセスでは、原料粒子の平均粒径は、粉砕した粒子の平均粒径よりも10倍大きくてもよく、50倍、100倍、または500倍よりも大きくてもよい。粉砕した材料の特定の粒径は、粉砕条件(例えば、エネルギー、時間)を含む多くの因子に依存するが、部分的には、粉砕した材料が使用される用途によって指示される。一般的に、粉砕条件を制御し、望ましい最終粒径を与え得る。供給材料の粒径は、他の因子のなかでも、商業的な入手可能性に依存する場合がある。
【0043】
供給材料は、粒子および/またはウェハを含み得、どちらかが単結晶であり得る。これらの供給材料の粉砕によって、アモルファスおよび/または結晶性の最終生成物を得ることができる。ある実施形態では、供給材料は、ドープされたウェハであり得、これを粉砕し、ドープされた小粒子を製造し得る。ある場合では、供給材料および粉砕した粒子は、同じ結晶構造(例えば、アモルファス、結晶性)を有している。
【0044】
粒子組成物は、本明細書に記載されるような磨砕媒体を用いる粉砕プロセスで製造され得る。このプロセスは、種々の異なる設計および能力を有する広範囲の従来のミルを利用し得る。適切な種類のミルとしては、限定されないが、特に、ボールミル、ロッドミル、アトライタミル、媒体撹拌型ミル、ペブルミル、振動型ミルが挙げられる。ある場合では、流体キャリア中で、粒子を解凝集させるために、粉砕プロセスを用い得る。ある場合では、粉砕プロセスを用い、本明細書に記載されているようなコーティングされた粒子を製造し得る。
【0045】
本発明の粉砕プロセスは、供給製品(例えば、原料粒子)および流体キャリア(スラリーを作る)を、ミルの中にある磨砕媒体が閉じ込められた処理空間に導入することを含むことができる。例えば、スラリーに分散剤のような添加剤を加えることによって、スラリーの粘度を制御することができる。ミルを望ましい速度で回転させ、材料粒子を磨砕媒体と混合する。粒子と磨砕媒体との衝突によって、粒径を小さくすることができる。粒子は、典型的には、特定の粉砕時間にわたって磨砕媒体にさらされ、その後に、粉砕した材料を従来の技術(例えば、洗浄および濾過、スクリーニングまたは重力による分離)を用いて磨砕媒体から分離する。粉砕プロセスを任意の温度で行い得る(室温を含む)。
【0046】
あるプロセスでは、粒子のスラリーを、ミルの入り口に導入し、粉砕した後、ミルの出口から回収する。このプロセスを繰り返してもよく、多くの粉砕は、あるミルの出口を、次のミルの入り口と流体が流れるように接続させ、連続して用い得る。
【0047】
粉砕プロセスを周囲条件で行い得る(例えば、空気にさらした状態で)。また、粉砕プロセスは、空気が存在しない状態で(例えば、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下)または他の適切な条件で行われ得る。
【0048】
上述のように、特別な特徴をもつ磨砕媒体を用いることが好ましい場合がある。しかし、本発明のすべての実施形態が、この観点で限定されるものではないことが理解されるべきである。適切な磨砕媒体は、例えば、共同所有の米国特許第7,140,567号に記載されており、この文献は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0049】
本発明のすべての粉砕プロセスが、上述のそれぞれの特徴を有する磨砕媒体を用いるものではないことが理解されるべきである。
【0050】
ある場合では、本明細書に記載されている磨砕媒体を用いて粒子組成物を加工するために従来の粉砕条件(例えば、エネルギー、時間)を用い得る。他の場合には、本明細書に記載されている磨砕媒体は、優れた粉砕性能(例えば、非常に小さな平均粒径)を達成しつつ、従来の粉砕プロセスに典型的な条件よりも負荷が顕著に下げられた(例えば、少ないエネルギー、短い時間)粉砕条件を用いることができる。ある場合では、応力エネルギーは、典型的な従来の粉砕プロセスにおけるよりも大きい場合がある。
【0051】
磨砕媒体は、粉砕条件に利点を与えることができる。例えば、本発明の磨砕媒体の粉砕効率が高いため、短い粉砕時間、特定のエネルギー入力を利用することができる。本明細書で使用される場合、「特定のエネルギー入力」は、生成物の重量あたり、消費する粉砕エネルギーである。上述の粒径と混入物質濃度を有する粉砕した粒子組成物は、低い粉砕入力エネルギーおよび/または短い粉砕時間で製造することができる。例えば、特定のエネルギー入力は、125,000kJ/kg未満;または90,000kJ/kg未満であり得る。ある場合では、特定のエネルギー入力は、50,000kJ/kg、未満まで低くてもよく、25,000kJ/kg未満であり得る。実際の特定のエネルギー入力および粉砕時間は、他の因子の中でも、生成物の組成および所望される粒径の低下に依存する。
【0052】
粉砕した粒子がコーティングされる場合、種々の適切な技術を用い得る。ある場合では、粒子は、気体または気体混合物にさらすことによってコーティングされる。例えば、粒子は、メタンのような炭素源の気体または他の適切な有機物の気体にさらすことによって、炭素でコーティングされ得る。高温で、例えば、500℃よりも高い温度で、例えば、600℃〜800℃で、供給源の気体にさらし得る。
【0053】
他の実施形態では、コーティング材料前駆体を用い得る。例えば、炭素コーティング材料前駆体を用い得る。ある場合では、コーティング材料前駆体を炭素化および/またはグラファイト化し、適切な炭素コーティングを作成し得る。炭素材料前駆体を不活性雰囲気下で加熱することのような、炭素化および/またはグラファイト化を達成する技術は、当業者に知られている。他の場合には、コーティング材料前駆体は、IVA族系組成物の粒径よりも小さな粒子(例えば、小粒子)の形態であり得る。コーティング材料前駆体粒子(例えば、炭素小粒子)を、IVA族系組成物粒子の表面に付着し、コーティングを作成し得る。コーティング(例えば、コーティング材料の粒子)を、共有結合または共有結合ではない相互作用(例えば、水素結合、イオン結合、静電相互作用、ファンデルワールス相互作用など)によって、IVA族系組成物粒子に付着し得る。
【0054】
IVA族系組成物粒子を、粉砕プロセス中にコーティングし得る。IVA族系組成物粒子の粒径を小さくするために用いられる同じ粉砕プロセスが、粒子をコーティングするためにも用いられることが好ましい場合がある。これらの実施形態では、粒径を小さくすることは、コーティングするその場で為される。ある場合では、粒径を小さくする工程と、コーティングする工程とを続けて行ってもよく、他の場合には、粒径を小さくする工程と、コーティングする工程とを少なくともいくらか(または完全に)同時に行い得る。ある実施形態では、IVA族系組成物粒子および/またはコーティング材料前駆体粒子(存在する場合)を解凝集させるために、粉砕プロセスを用い得る。これらの実施形態では、解凝集は、粒径を下げ、コーティングするその場で為され得る。
【0055】
ある実施形態では、原料粒子とコーティング材料前駆体(例えば、コーティング材料前駆体粒子)とを含むIVA族系組成物の供給材料を流体キャリアに懸濁し、この懸濁物を粉砕し得る。上述のように、任意の適切なコーティング材料前駆体粒子組成物を用い得る(例えば、カーボンブラック粒子)。ある場合では、流体キャリアは、水系である(例えば、水、または水溶性流体)。ある場合では、流体キャリアは、非水系である(例えば、有機溶媒)。供給材料は、粉砕の前および/または粉砕している間に、流体キャリアと混ぜ合わせてもよい。ある実施形態では、流体キャリアの存在しない状態で、原料粒子およびコーティング材料前駆体を粉砕し、粒子を部分的にコーティングしてもよく、次いで流体キャリアと混ぜ合わせ、粉砕し得る。
【0056】
目的の用途のために望ましい場合には、粒子をさらに加工し得る。例えば、電気化学セル(例えば、電池)で用いる要素(例えば、電極)に粒子を組み込むために、加工技術を用い得る。ある実施形態では、さらに加工しやすくするために、粉砕した粒子を流体と混合し得る。
【0057】
適切な流体としては、IVA族の粒子を含む流体化合物、溶液、懸濁物、または分散物を生成することが可能な任意の流体が挙げられる。ある場合には、流体は、IVA族の粒子との化学反応を受けないように選択され得る。流体キャリアは、水系または非水系(例えば、有機物)であり得る。ある場合では、流体キャリアは、疎水性である。ある場合では、流体キャリアは、親水性である。流体キャリアの例としては、未精製の水、水溶液、炭化水素(例えば、ヘキサン)、芳香族炭化水素、エーテルなどを挙げることができる。ある場合では、溶媒は、N−メチルピロリジノン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イソプロパノールなどであり得る。
【0058】
混合物は、粒子の懸濁物であり得、他の従来の添加剤を含み得る。適切な添加剤としては、分散剤および/または界面活性剤が挙げられ、ある場合には、IVA族系組成物が分散しやすくなるような分散剤および/または界面活性剤を用い得る。ある場合では、混合物にバインダーを加えてもよく、ある実施形態では、以下にさらに記載するようなコーティング層を作るのに有用な場合がある。適切なバインダーとしては、PVDFおよびPTFEが挙げられる。特定の実施形態では、有益には、粒子と流体の混合物は、バインダーをほとんど含まないか、まったく含まなくてもよい。このようなバインダーをほとんど含まないか、まったく含まない混合物からは、驚くべきことに、高品質のコーティング層が得られることがわかっている。以下にさらに記載されるように、このような層は、非常に高い割合の活性材料(例えば、ケイ素)を含み得、バインダーがほとんど存在しないか、まったく存在しないため、性能を高めることができる。
【0059】
IVA族の粒子を、種々の技術によって基板に適用し得る。ある場合では、IVA族の粒子と液体との混合物を基板に適用する。このような混合物を適用するのに適した技術としては、スピンコーティング、浸漬コーティング、キャストコーティング、テープコーティングなどが挙げられる。任意の適切な基板にコーティングを適用し得る。ある場合では、基板は、導電性である。導電性基板の一例は銅である。
【0060】
ある実施形態では、コーティングを焼結し得る。焼結は、例えば、コーティングされた基板を、メタンのような有機物の気体を含む還元雰囲気下で加熱することによって行われ得る。ある場合では、約500℃〜約1000℃の温度が焼結に適している。また、この範囲から外れる温度を使用し得る。また、焼結は、レーザーアニーリングによって行われ得る。他の焼結技術は、当業者に知られているであろう。
【0061】
他の実施形態では、基板にコーティングをアニーリングし得る。ある場合では、アニーリングプロセスによって、基板へのIVA族小粒子の接着を実行し得る。典型的には、アニーリングは、約600℃〜約700℃で行われ得る。それ以外の温度も同様に用い得る。
【0062】
コーティング層の厚みは、ある場合には、基板をコーティングするのに用いられるスラリーの粘度や、他のパラメータを変えて調節することができる。例えば、スピンコーティング操作の速度および継続時間を変えることによって、コーティングの厚みを制御することができる。浸漬コーティングの場合、スラリーから基板を取り出す速度が、コーティングの厚みに影響を及ぼす場合がある。コーティングの厚みは、ある場合では、約500ミクロン未満であり得、約100ミクロン未満、約50ミクロン未満、約10ミクロン未満であり得る。特定の厚みは、用途によって変わるだろう。
【0063】
上述のように、特定の実施形態の利点のひとつは、活性物質(例えば、ケイ素のようなIVA族物質)を高い割合で含む層を作成するように基板をコーティングする能力である。この観点で、活性物質は、使用中の層の性能に積極的に関与する物質である。ある実施形態では、活性物質の重量%は、約50%より大きく、約75%より大きく、約90%より大きく、約95%より大きくあり得る(例えば、100%)。ある場合では、層は、なんらバインダーを含んでいないことがある。このような高い割合によって、優れた性能が生じる(例えば、電池用途の電極材料、または電子機器用途の伝導性材料のような)。
【0064】
本明細書で開示されている粒子組成物から作成されるコーティング層の利点のひとつは、このような層が、使用中に応力を吸収することができることである。例えば、層は、使用中に電極が伸びたり、および/または縮んだりすることに関連する応力を吸収し得る。リチウム電池の場合、電極は、リチオ化および脱リチオ化の間に、かなり伸びたり、および/または縮んだりすることがある。このような電極の変化によって、ある場合では、電極の上のコーティング層が割れたり、はがれたりする。本明細書に開示されているコーティングは、優れた応力吸収性を有しており、コーティングが、このような電極の容積変化に耐える。コーティング層が応力を吸収する能力には、粒径、コーティング内の個々の粒子の一部が、膨張可能な状態ではアモルファス構造を有し得、これらの部分は、リチオ化のときに結晶構造になるという事実、粒子上のコーティング(例えば、炭素)の存在のようないくつかの因子が関与しているであろう。しかし、コーティングされていない粒子が作られる場合にも、上述の層が有益な応力吸収性を示していてもよいことが理解されるべきである。
【0065】
本明細書に記載される方法を用いて加工される粒子は、多くの利点を有しているであろう。粒径が小さいことによって、(例えば、電池の場合)、充電/放電速度の増加、容量の増加、電力密度の増加、費用節約額の増加、装置の寿命が延びること(例えば、変性を起こさない、充電/放電サイクルの数)のような電気化学的性能が高まる場合がある。本発明の粉砕プロセスは、単純で効率がよく、既知の方法と比較すると、さらなる加工工程を必要としないであろう。ある場合では、原料粒子を粉砕し、1回の粉砕工程でコーティングし得る。ある場合では、スプレー乾燥、再燃焼などのさらなる加工工程を必要とせずに、所望の粒子組成物(所望の粒径を含む)を得ることができる。
【0066】
上述のように、電気化学用途を含め、多くの用途で粒子組成物を用い得る。適切な電気化学用途としては、電池が挙げられる。ある場合では、IVA族組成物は、アノードであり得る。例えば、アノードはケイ素系のものであり得る。
【0067】
図1は、本発明の一実施形態の電気化学セル10を模式的に示す。電気化学セルは、アノード12(すなわち、陰極)を備え、これが外部回路によってカソード14(すなわち、陽極)に接続している。アノードおよび/またはカソードは、本明細書に記載されているIVA族粒子組成物を含み得る。アノードで酸化反応が起こり、電子が失われ、カソードで還元反応が起こり、電子が生成される。電解質18は、陽性イオンをアノードからカソードに移動させ、電子は、電源として機能することができる外部回路を通って流れる。他の機能の中でも特に、セパレーターが、アノードとカソードとを電気的に隔離していてもよい。
【0068】
図2は、本発明の別の実施形態の電池セル構造20を模式的に示す。電池セル構造は、アノード側22と、カソード側24と、これらの間に位置する電解質/セパレーター26とを備えている。アノード側では、電流コレクタ28(例えば、銅の開放格子の網で作られている)が活性材料層30上に作られている。カソード側は、電流コレクタ32(例えば、アルミニウムの開放格子の網で作られている)と、活性材料層34とを備えている。保護カバー38が、電池セル構造を取り囲み得る。
【0069】
任意の適切な電解質/セパレーターを用い得る。例えば、電解質/セパレーターは、固体の電解質またはセパレーターであり得、液体の電解質であり得る。固体の電解質としては、ポリマーマトリックスを挙げることができる。液体の電解質は、溶媒と、アルカリ金属塩とを含み得、これらはイオン的に伝導性の液体を形成する。本発明の電気化学セル(例えば、電池)が、さまざまな異なる構造の構築物を有し得、本発明がこの観点に限定されるものではないことが理解されるべきである。
【0070】
粒子組成物が、種々の他の用途で用いられ得ることが理解されるべきである。ある場合では、粒子組成物は、電子インクとして用いられ得る。例えば、このインク(例えば、Siおよび/またはGe)を薄膜トランジスタ(TFT)用途および太陽電池用途で用い得る。
【0071】
以下の実施例は、説明するために与えられているものであり、限定する意図はない。
【実施例】
【0072】
(実施例1)
この実施例は、ケイ素小粒子スラリーの調製法を示す。
【0073】
500mL平底ビーカーにおいて、15.9%w/wの固体が含まれる分散剤を作るために、従来の分散剤の混合物を含む99.9%IPA370gに、平均寸法が50〜60nmのケイ素70gを撹拌しつつ加えた。
【0074】
このスラリー混合物を500mLの開放槽に移し、CAT R−18ミキサーで撹拌した。SiをIPAに分散させるために、Masterflex小型蠕動ポンプの速度を4に設定し、速度1200RPMで34分間撹拌しつつ、1.7〜1.9mm YTZを用い、スラリーをNetzsch MiniCerに移した。
【0075】
得られたスラリーは、Mettler Toledo HR83−P Moisture Analyzerで乾燥することによって決定した場合に、固体の最終的なw/w重量%が12.10%であった。
【0076】
500mL平底ビーカーに、ケイ素55gの加工した混合物を500mLの開放槽に移し、CAT R−18ミキサーで撹拌した。Masterflex小型蠕動ポンプの速度を4に設定し、速度1200RPMで238分間撹拌しつつ、磨砕媒体を用い、スラリーをNetzsch MiniPurに移した。出発固体1kgあたりのキロジュールで測定される合計エネルギー入力は、140000kJ/kgに等しかった。得られたスラリーは、Mettler Toledo HR83−P Moisture Analyzerで乾燥することによって決定した場合に、固体の最終的なw/w重量%が12.18%であった。粒径は、Dispersion Technology DT1200によって決定すると約50nmであり、BET表面積は67m/gであった。
【0077】
前加工した後の最終的なスラリーの重量は、固形分が12.10w/w%で454gであり、これは、固体重量55gと等しい。この重量を、加工する配合物に用いる。XRD分析から、ケイ素が純粋な相であることを確認した。図3A〜3Dは、ケイ素小粒子のSEM画像のコピーを示す。
【0078】
(実施例2)
この実施例は、ケイ素小粒子分散物を用いた銅箔の浸漬コーティングを示す。
【0079】
実施例1の分散物を、銅箔に直接浸漬コーティングし、不活性雰囲気または還元雰囲気で、高温でアニーリングした。図4は、浸漬コーティングした銅箔を示す写真のコピーを示す。
【0080】
(実施例3)
この実施例は、ケイ素小粒子分散物を用いた銅箔のスピンコーティングを示す。
【0081】
銅箔をイソプロパノールで洗浄し、従来のスピンコーティング装置を用い、実施例1の分散物を銅箔に直接スピンコーティングした。スピンコーティングは、800RPMで約30秒間行った。図5は、スピンコーティングした銅箔の実例を示す写真のコピーを示す。
【0082】
(実施例4)
この実施例は、分散物における小粒子に対し、炭素コーティングを適用することを示す。
【0083】
実施例1の分散物を、酢酸セルロースのイソプロパノール溶液と混合し、酢酸セルロースで粒子をコーティングし、乾燥し、チューブ炉中、不活性条件または還元条件で、700℃で燃焼させ、グラファイトコーティングを作成した。EDXから、炭素コーティングがグラファイトであることを実証した。図6A〜6Dは、炭素コーティングされたケイ素小粒子のSEM画像のコピーを示す。
【0084】
(実施例5)
この実施例は、Sn系金属間小粒子スラリーの調製法を示す。
【0085】
500mL平底ビーカーにおいて、界面活性剤混合物を含む99.9%IPA400gに、粒径が約20ミクロン〜約100ミクロンのCoCuSn 90gを撹拌しつつ加えた。このスラリー混合物を500mLの開放槽に移し、CAT R−18ミキサーで撹拌した。金属間粒子をIPAに分散させるために、Masterflex小型蠕動ポンプの速度を4に設定し、速度1200RPMで34分間撹拌しつつ、2mm YTZを用い、スラリーをNetzsch MiniCerに移した。
【0086】
500mL平底ビーカーに、加工した金属間混合物を500mLの開放槽に移し、CAT R−18ミキサーで撹拌した。Masterflex小型蠕動ポンプの速度を4に設定し、速度1200RPMで238分間撹拌しつつ、磨砕媒体を用い、スラリーをNetzsch MiniPurに移した。得られたスラリーは、Mettler Toledo HR83−P Moisture Analyzerで乾燥することによって決定した場合に、固体の最終的なw/w重量%が11.07%であった。出発固体1kgあたりのキロジュールで測定される合計エネルギー入力が150000kJ/kgに等しい場合、粒径は、SEMによって決定した場合、30nmであった(図7A〜7D、Sn系粒子のSEM画像のコピーを示す)。測定された合計エネルギー入力が20000kJ/kgに等しい場合、粒径は、SEMによって決定した場合、200nmであった。(図8A〜8D、Sn系小粒子のSEM画像のコピーを示す)。
【0087】
(実施例6)
この実施例は、分散物におけるSn系小粒子上に炭素コーティングを適用することを示す。
【0088】
実施例6の分散した粒子を、酢酸セルロースのイソプロパノール溶液と混合し、500℃の炉で処理し、気体を発生させた。これにより、炭素コーティングが得られた。図9A〜9Dは、炭素コーティングされたSn系小粒子のSEM画像のコピーを示す。
【0089】
(実施例7)
この実施例は、ヒ素をドープしたゲルマニウム小粒子スラリーの調製法を示す。
【0090】
ヒ素をドープしたゲルマニウムウェハを約100ミクロンになるように砕き、適切な商業的な分散剤を用いて分散させ、2mm YTZ媒体を用い、砕いたGeドープしたウェハ51gを無水IPAに分散させた。500mLの平底ビーカーに、ドープされたGeの加工した混合物を500mLの開放槽に移し、CAT R−18ミキサーで撹拌した。Masterflex小型蠕動ポンプの速度を4に設定し、速度2400RPMで133分間撹拌しつつ、磨砕媒体を用い、スラリーをNetzsch MiniPurに移した。出発固体1kgあたりのキロジュールで測定される合計エネルギー入力は、110000kJ/kgに等しかった。
【0091】
得られたスラリーは、Mettler Toledo HR83−P Moisture Analyzerで乾燥することによって決定した場合に、固体の最終的なw/w重量%が11%であった。粒径は、DT1200によって決定した場合、約40nmであった(図10A〜10Dは、ヒ素をドープしたゲルマニウム小粒子のSEM画像のコピーを示す)。
【0092】
(実施例8)
この実施例は、ケイ素およびゲルマニウムの小粒子スラリー混合物の調製法を示す。
【0093】
500mL平底ビーカーにおいて、ゲルマニウム25gおよびケイ素25gを無水IPA300g中で撹拌し、固形分14.3%w/wを有する分散物を作成した。スラリー混合物を500mLの開放槽に移し、CAT R−18ミキサーで撹拌した。Masterflex小型蠕動ポンプの速度を4に設定し、速度2400RPMで25分間撹拌しつつ、1.7〜1.9mm YTZ媒体を用い、スラリーをNetzsch MiniPurに移した。分散する目的でこの手順を行った。
【0094】
得られたスラリーは、Mettler Toledo HR83−P Moisture Analyzerで乾燥することによって決定した場合に、固体の最終的な割合が9.78%であった。
【0095】
分散させた後の最終的なスラリーの重量は、360gであり、固形分が9.78%であり、これは、固体重量36gに等しかった。この重量を、加工する配合物に用いる。
【0096】
500mL平底ビーカーに、ゲルマニウム25gおよびケイ素25gを含むあらかじめ加工しておいた混合物を500mLの開放槽に移し、CAT R−18ミキサーで撹拌した。Masterflex小型蠕動ポンプの速度を4に設定し、速度2400RPMで120分間撹拌しつつ、磨砕媒体を用い、スラリーをNetzsch MiniPurに移した。出発固体1kgあたりのキロジュールで測定される合計エネルギー入力は、100,000kJ/kgに等しかった。
【0097】
得られたスラリーは、Mettler Toledo HR83−P Moisture Analyzerで乾燥することによって決定した場合に、固体の最終的なw/w重量%が9.77%であった。最終生成物のXRDは、密に混合されたSi/Geサンプルであった。
【0098】
(実施例9)
この実施例は、グラファイトスラリーの調製法を示す。
【0099】
500mL平底ビーカーにおいて、固形分が10%になるように、グラファイト30gを蒸留水270gに分散させた。
【0100】
このスラリー混合物を500mLの開放槽に移し、CAT R−18ミキサーで撹拌した。Masterflex小型蠕動ポンプの速度を4に設定し、速度2400RPMで19分間撹拌しつつ、2mm YTZ媒体を用い、スラリーをNetzsch MiniCerに移した。分散する目的でこの手順を行った。
【0101】
得られたスラリーは、Mettler Toledo HR83−P Moisture Analyzerで乾燥することによって決定した場合に、固体の最終的なw/w重量%が7.99%であった。
【0102】
前処理後の最終的なスラリーの重量は288gであり、固形分が7.99%であり、これは、固体重量23gに等しかった。この重量を、加工する配合物に用いる。
【0103】
500mL平底ビーカーに、グラファイト23gを含むあらかじめ加工しておいた混合物を500mLの開放槽に移し、CAT R−18ミキサーで撹拌した。Masterflex小型蠕動ポンプの速度を4に設定し、速度2400RPMで19分間撹拌しつつ、磨砕媒体を用い、スラリーをNetzsch MiniPurに移した。出発固体1kgあたりのキロジュールで測定される合計エネルギー入力は、30000kJ/kgに等しかった。
【0104】
得られたスラリーは、Mettler Toledo HR83−P Moisture Analyzerで乾燥することによって決定した場合に、固体の最終的なw/w重量%が5.28%であった。粒径は、TEMで決定した場合、約20nmであり、ラマン分光法は、グラファイトのGバンドおよびDバンドが存在していることを示していた。図11Aおよび図11Bは、グラファイト小粒子のSTEM画像のコピーを示す。
【0105】
(実施例10)
この実施例は、ケイ素およびグラファイトの小粒子スラリー混合物の調製法を示す。
【0106】
500mL平底ビーカーにおいて、ケイ素50gおよび炭素50gを手動で約3分間撹拌しつつ、NMP400gに分散させ、固形分20%にした。
【0107】
このスラリー混合物を500mLの開放槽に移し、CAT R−18ミキサーで撹拌した。Masterflex小型蠕動ポンプの速度を4に設定し、速度2400RPMで87分間撹拌しつつ、2mm YTZ媒体を用い、スラリーをNetzsch MiniCerに移した。
【0108】
得られたスラリーは、対流式オーブンで乾燥することによって決定した場合に、固体の最終的なw/w重量%が18.55%であった。
【0109】
前処理後の最終的なスラリーの重量は532gであり、固形分が18.55%であり、これは、固体重量99gに等しかった。この重量を、加工する配合物に用いる。
【0110】
500mL平底ビーカーに、ケイ素99gとグラファイトとを含むあらかじめ加工しておいた混合物を500mLの開放槽に移し、CAT R−18ミキサーで撹拌した。Masterflex小型蠕動ポンプの速度を4に設定し、速度2400RPMで96分間撹拌しつつ、磨砕媒体を用い、スラリーをNetzsch MiniPurに移した。出発固体1kgあたりのキロジュールで測定される合計エネルギー入力は、45000kJ/kgに等しかった。
【0111】
得られたスラリーは、対流式オーブンで乾燥することによって決定した場合に、固体の最終的な割合が7.45%であった。
【0112】
このように、本発明の少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様が記載されているが、種々の変更例、改変例、改良例は、当業者なら簡単に思いつくものであると理解されるべきである。このような変更例、改変例、改良例は、本開示の一部分であることが意図されており、本発明の精神および範囲に入ることが意図されている。したがって、上述の記載および図面は、単なる例示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給材料を粉砕することにより、IVA族元素を含む粒子を作ることであって、該粒子は、250nm未満の平均粒径を有する、ことと、
基板を該粒子および液体の混合物と接触させることにより、該基板上に該IVA族元素を含む層を作ることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記IVA族元素はSiである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記IVA族元素はGeである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接触させる工程は、前記基板を前記混合物の中で浸漬コーティングすることにより、前記層を作ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記接触させる工程は、前記基板上に前記混合物をスピンコーティングすることにより、前記層を作ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記粒子は100nm未満の平均粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記粒子は50nm未満の平均粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記接触させる工程の前に、前記粒子をコーティングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティングは導電性コーティングである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティングは炭素である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティングは、sp2配置を有する少なくとも何らかの炭素を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記層は、約90重量%より多い量の粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
供給材料を粉砕することにより、IVA族元素を含む粒子を作ることと、
該粒子上に炭素コーティングを作ることであって、該粒子は、50nm未満の厚みを有する、ことと
を含む、方法。
【請求項14】
前記コーティングは、sp2配置を有する少なくとも何らかの炭素を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コーティングを作ることは、500℃より高い温度で気体状の炭素源に前記粒子をさらすことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記コーティングは導電性コーティングである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
基板を前記粒子および液体の混合物と接触させることにより、該基板上に前記IVA族元素を含む層を作ることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記IVA族元素はSiである、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記IVA族元素はGeである、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記粒子は100nm未満の平均粒径を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記粒子は50nm未満の平均粒径を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
IVA族元素を含む粒子と液体との混合物を提供することと、
基板を該混合物と接触させることにより、該基板上に層を作ることであって、該層は、50重量%よりも多い該IVA族元素を含む、ことと
を含む、方法。
【請求項23】
前記層は、75重量%よりも多い前記IVA族元素を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記層は、95重量%よりも多い前記IVA族元素を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
供給材料を粉砕することにより、前記IVA属元素を含む粒子を作ることをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
粒子組成物であって、
IVA族元素を含む粒子を含み、
該粒子は、100nm未満の平均粒径を有し、
該粒子組成物は、スピンコーティングすることが可能である、粒子組成物。
【請求項27】
前記IVA族元素はSiである、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記IVA族元素はGeである、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記粒子の平均粒径は50nm未満である、請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
前記粒子は平板の形状をしている、請求項26に記載の組成物。
【請求項31】
粒子組成物であって、
IVA族元素を含む粒子を含み、
該粒子は、100nm未満の平均粒径を有し、
該粒子は、炭素コーティングを有する、粒子組成物。
【請求項32】
前記コーティングは、sp2配置を有する少なくとも何らかの炭素を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記平均粒径は50nm未満である、請求項26に記載の組成物。
【請求項34】
前記粒子は平板の形状をしている、請求項26に記載の組成物。
【請求項35】
基板と、
請求項31に記載の粒子組成物から作られたコーティングと
を含む、物品。
【請求項36】
前記物品は電極である、請求項35に記載の物品。
【請求項37】
基板と、
請求項31に記載の粒子組成物から作られたコーティングと
を含む、物品。
【請求項38】
前記物品は電極である、請求項37に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3A−3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6A−6D】
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【図7A−7D】
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【図8A−8D】
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【図9A−9D】
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【図10A−10D】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−507114(P2012−507114A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533185(P2011−533185)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/005784
【国際公開番号】WO2010/047828
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(511102882)プリメット プレシジョン マテリアルズ, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】