説明

KPVおよびKPVダイマーによる眼疾患の治療

本発明は、眼疾患に苦しむ脊椎動物に、治療有効量のα−メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)から誘導されるペプチドおよびその生物学的機能等価物を投与することによる眼疾患の治療方法を開示する。さらに詳しくは、α−メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)から誘導される本発明ペプチドとして、SYSMEHFRWGKPV(配列番号4)であるα-MSH(1-13)、MEHFRWG(配列番号2)であるα-MSH(4-10)、HFRWGKPV(配列番号3)であるα-MSH(6-13)、KPV(配列番号1)であるα-MSH(11-13)およびKPVダイマー(配列番号5)が挙げられる。眼疾患は、「コンピューター・アイ」または眼の急性もしくは慢性感染などの進行中の傷害の結果でありうる。微生物感染は、細菌、真菌またはウイルスなどの微生物によって引き起こされうる。脊椎動物には、鳥類および哺乳動物が含まれる。本発明ペプチドは、解熱、抗炎症、抗細菌、抗真菌および抗ウイルス特性を有し、したがって、疾患を引き起こす傷害が決定される前の眼疾患の発症時ならびにその後において投与することができる。

【発明の詳細な説明】
【優先権主張】
【0001】
本出願は、米国仮出願番号60/382,887(2002年5月21日出願)について優先権を主張する、米国出願番号10/298,142(2002年11月15日出願)について優先権を主張するものであり、これらの両方は、図面を含めて全体を参考文献として本発明に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、抗微生物、抗炎症性ペプチド、さらに詳しくは、α-MSHペプチド製剤を用いる眼疾患の治療に関する。
【背景技術】
【0003】
眼は、外界に対して開かれた身体の窓であり、栄養に富んでおり、生物が周囲の環境を感知するのを手助けする。起きている時間に常に使用するために、眼精疲労および疲労は一般的である。最近の労働環境は、職場においてコンピューターのモニター、蛍光照明およびバラバラな照明で作業する時間の量により、窓を通って入ってくる太陽光と比べて、眼の疲労および緊張を増加させる。長期の眼の疲労および緊張の結果は、眼の炎症およびかすみ目である。
さらに、眼は、たとえば、眼瞼炎、結膜炎および角膜炎などの種々のタイプの眼感染を引き起こす、花粉、塵、化学元素的条件および毒性微生物などの炎症源、浸潤および無制御成長に対して脆弱である。
【0004】
コンピューター視覚症候群(CVS)という比較的近年の用語が受け入れられている。「コンピューター・アイ」は、今や、コンピューターモニターの使用に関連する眼精疲労のさらに一般的な診断を述べるものである。CVSは、米国において、何百万ものケースにおいて診断されている(Bremer Communications, 2000)。国立衛生および安全研究所(National Institute of Heath and Safety)による最近の研究は、1日3時間以上コンピューターで作業する労働者の90%が種々の眼の病変に苦しむことを開示している(同文献)。これらの症状は、筋肉の緊張に直接関連することが多い。患者は、通常、「眼の筋肉の緊張」を訴えることはないが、まばたきの減少および乾燥、紅斑およびかすみ目によって気付かれる炎症性続発症を訴える。
【0005】
CVSの治療は、栄養補給、人間工学的運動、眼鏡および、もちろん、点眼薬など多岐にわたる。副作用に関連する合併症を回避するので、眼に対する自然な治療が最良である。しかし、たとえば、ユーフラシア(euphrasia)(植物アイブライトの学術名)のような自然な治療でさえも、アレルギーのために多くの人々にとって耐えられないものとなる可能性がある。さらに、点眼薬に関連する治療は、2時間毎に繰り返さなければならない。CVS治療の作用の持続時間における増加はいずれも有益である。さらに、抗微生物効能と抗炎症効能および低い副作用を併せ持つ点眼薬が必要である。
【0006】
抗微生物/抗炎症点眼薬は、現在、一連の眼感染症に用いられている。眼感染症を引き起こす一般的なタイプの微生物は、ウイルス、細菌および真菌である。これらの微生物は、眼の表面に直接侵入するか、または外傷もしくは外科処置を通って眼球に浸透するか、または全身性疾患の結果として血流もしくはリンパ系を通って眼に伝染することができる。微生物は、結膜、角膜、ブドウ膜、硝子体、網膜および視神経といったような眼の構造のどの部分でも攻撃することができる。
【0007】
眼感染症は、激しい痛み、眼の周囲の組織の腫れおよび発赤ならびにかすみ目または視力低下を引き起こしうるものであり、迅速な治療を必要とする。感染症を引き起こしている微生物の適当な培養および感受性試験が行われる前は、最初の治療オプションが通常非常に限定される。さらに、この病像を複雑化するのが、感染症それ自体の性質である。臨床的観察に基づく細菌起因性眼感染症とウイルスまたは真菌起因性感染症の差異は、信頼性がないことが多い。Leibowitzら, Human Conjunctivitis: Diagnostic Evaluation, Arch. Ophthalmol. 94: 1747-1749(1976)。いったん培養および感受性データが利用可能になると、感染体の培養後の日々は、通常、個々にまたは組み合わせて、抗ウイルス薬、抗細菌薬または抗真菌薬などの適切な抗微生物薬で疾患を治療することができるようになる。
【0008】
眼感染症の治療に通例用いられる抗ウイルス薬は、イドクスウリジンおよびアシクロビルである。イドクスウリジンは、ウイルスDNAの複製を阻害し、単純ヘルペスウイルス(HSV)に対して有効である。しかし、イドクスウリジンは、角膜上皮細胞に対して毒性があり、わずか7日間にわたる治療において点状病変を引き起こすことが研究により明らかにされている。Lazarusら, An in vitro Method Which Assesses Corneal Epithelial Toxicity due to Antineoplastic, Preservative and Antimicrobial Agents, Lens Eye Toxic. Res. 6: 59-85(1989)。アシクロビルは、帯状疱疹ウイルス(HZV)の複製を阻害し、したがって、通例、HZV起因性眼瞼炎また角膜炎に用いられる。しかし、アシクロビルが、HZVの眼の合併症において、わずかにしか予防効果がないか、あるいは無効であることが報告されている。Ayladら, Influence of Oral Acyclovir on Ocular Complications of Herpes zoster ophthalmicus, Eye 8: 70-74(1994)。
【0009】
大部分の細菌起因性眼感染症は、スルホンアミド、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、アミノグリコシド、ベータラクタム、バンコマイシンおよびフルオロキノロンといったような抗細菌薬の局所適用により治療される。Leeming, Treatment of Ocular Infections with Topical Antibacterials, Clin. Pharmacokinet. 37: 351-360(1999)。しかし、抗細菌薬に対する著しい耐性が報告されている。研究により、眼のブドウ球菌の75%が、テトラサイクリンに対して耐性をもつことが明らかにされている。Doughteryら, The Role of Tetracycline in Chronic Blepharitis: Inhibition of Lipase Production in Staphylococcus, Inv. Ophthalmol. Vic. Sci. 32: 2970-2975(1991)。フラボバクテリウム・インドロゲネスは、いまや、大部分の抗細菌薬に対して耐性をもつ。Lu & Chan, Flavobacterium indologenes Keratitis, Ophthalmologica 211: 98-100(1997)。ストレプトコッカス・ニューモニアエおよび肺炎球菌の幾つかの株は、ペニシリンに対して耐性をもつ。Wilkinsら, Penicillin-Resistant Streptococcus pneumoniae Keratitis, Cornea 15: 99-100(1996)。ブドウ球菌株の約3分の1が、ゲンタマイシンに耐性がある。Huberspitzら, Corneal Ulceration: An Update from a Specialized Ambulatory Care Centre, Klinische. Monals. Augen. 200: 251-256(1992)。さらに、角膜潰瘍から単離された細菌の50%が、すべての一般的な抗細菌薬に耐性がある。Satpathy & Vishalakshi, Ulcerative Keratitis: Microbial Profile and Sensitivity Pattern: A Five Year Study, Ann. Ophthalmol. Glaucoma 27: 301-306(1995)。
【0010】
抗真菌薬は、アムホテリシンBなどのポリエン類およびフルコナゾールなどのアゾール類という2つのグループに分類される。アムホテリシンBは、依然として、多くの真菌感染症に対して選択される薬物である。しかし、アムホテリシンBは、眼組織への浸透性が乏しく、眼に対する毒性を示すことが報告された。Ishibashi & Kaufman, The Effects of Subconjunctival Miconozole in the Treatment of Experimental Candida Keratitis in Rabbits, Arch. Ophthalmol. 103: 1570-1573(1985)。さらに、アゾールおよびアムホテリシンBに対する耐性も報告されている。Armstrong, The microbiology of the Eye, Ophthal. Physiol. Opt. 20: 429-503(2000)。
【0011】
もし、毒性と耐性が一般的に、既存の抗微生物薬を用いる眼感染症の治療に不随するならば、毒性および耐性を減少もしくは最小化するための本発明の抗微生物薬を用いる眼感染症の治療方法を提供するのが望ましい。抗ウイルス、抗細菌および抗真菌特性を有し、感染症を引き起こしている微生物の性質を決定するために最初の数日を費やすことなく、感染の開始後すぐに眼感染症の治療に用いることができる本発明の抗微生物薬を用いる眼感染症の治療方法を提供するのも望ましい。これらの治療ならびに眼の炎症に対する新規な治療が必要である。
【発明の概要】
【0012】
本発明の第1の態様は、薬理学的有効量のペプチドを投与することを含む、眼疾患に苦しむ脊椎動物における眼疾患の治療方法に関する。さらに詳しくは、感染症、乾燥症、眼瞼炎、角膜炎、CVS、眼の緊張および/または疲労および眼の炎症。
【0013】
本発明の1つの具体例にしたがって、KPV(配列番号1)、MEHFRWG(配列番号2)、HFRWGKPV(配列番号3)、SYSMEHFRWGKPV(配列番号4)、KPVダイマー(配列番号5)からなるアミノ酸配列を有する一群のペプチドおよびその生物学的機能等価物からペプチドが選択される。該ペプチドは、結膜投与、経鼻投与、バッカル投与、経口投与、直腸投与、膣内投与、上皮投与および非経口投与によって投与することができる。
【0014】
本発明の別の具体例にしたがって、該ペプチドは、眼感染症を引き起こす微生物を決定する前の眼感染症の開始時または眼感染症を引き起こす微生物を決定した後に投与することができる。同様に、乾燥症、CVSおよび他の眼の炎症を予防するためにペプチドを予防的に投与してもよい。
本発明の別の具体例にしたがって、本発明ペプチドを単独で、あるいは他のペプチドとともに、あるいは既存の薬剤とともに、あるいは非薬剤とともに投与することができる。
【0015】
添付の図面および図解は、本発明の説明に役立つ実例を提供するため、および本発明の原理を説明するために、明細書に組み込まれ、その一部を形成するものである。引用する文献は全体を参考文献として本発明に援用される。図面および図解は、好ましく、どのように本発明を行い、使用するかの代替的具体例を例示する目的のためのみのものである。もちろん、図面は、本発明の概念を表現し、説明することを企図されることを理解すべきである。図解および図面は、本発明を例示された実例のみに限定するものと解釈されるべきではない。本発明の種々の利点および特性は、記載の明細書および添付の図解および図面の検討から明らかであろう。
【発明の詳細な記載】
【0016】
本発明の最も広い態様は、ペプチドを用いる眼感染症の治療方法である。本発明の好ましい具体例は、KPV(配列番号1)、MEHFRWG(配列番号2)、HFRWGKPV(配列番号3)、SYSMEHFRWGKPV(配列番号4)、KPVダイマーであるVPKC-s-s-CKPV(配列番号5)からなるアミノ酸配列を有する一群のペプチドおよびその生物学的機能等価物から選ばれるペプチドを用いる眼感染症の治療方法である。
【0017】
SYSMEHFRWGKPV(配列番号4)は、α-メラニン細胞刺激ホルモン(ここで、α-MSHまたはアルファ-MSHまたはα-MSH[1-13]と称する)の完全なアミノ酸配列であり、副腎皮質刺激ホルモン(ここで、ACTHと称する)から誘導される最初の13個のアミノ酸配列である。米国特許No. 5,028,592には、α-MSH(配列番号4)が解熱および抗炎症特性を有すること、およびC末端トリペプチドであるα-MSH[11-13](配列番号1)がα-MSHの解熱および抗炎症特性の原因であることが開示されている。α-MSHおよびKPVは米国特許No. 5,028,592に詳しく開示されているので、この文献は全体を参考文献として本発明に援用される
【0018】
HFRWGKPV(配列番号3)は、6〜13残基のα-MSHのアミノ酸配列であり、α-MSH[6-13]とも称される。MEHFRWG(配列番号2)は、4〜10残基のα-MSHのアミノ酸配列であり、α-MSH[4-10]とも称される。Antimicrobial and anti-inflammatory peptides for use in human immunodeficiency virus,と題する米国特許出願No.09/533,341には、KPV(配列番号1)、MEHFRWG(配列番号2)、HFRWGKPV(配列番号3)およびSYSMEHFRWGKPV(配列番号4)のペプチドが、抗ウイルス、抗細菌および抗真菌特性を有することが開示されている。米国特許出願No.09/533,341は全体を参考文献として本発明に援用される。
【0019】
KPVダイマーは、2つのKPVペプチドのN末端がリンカーによって結合する場合に形成される。たとえば、KPVダイマーの1つであるVPKC-s-s-CKPV(配列番号5)は、KPVペプチドのN末端にシステインを加え、2つのCKPVペプチドのシステインにジスルフィド結合(-s-s-)を形成させることによって形成される。すなわち、VPKC-s-s-CKPVは、-Cys-s-s-Cys-リンカーが2つのKPVペプチドを結合する場合に形成される。リンカーは、2つのKPVペプチドのN末端を一緒に結合するどのような種類の化学結合にも変更することができる。リンカーの異なるバリエーションは、修飾KPVダイマーを創り出す。好ましい修飾ダイマー連鎖は、-Cys-s-s-Cys-、-DCys-s-s-Cys-、-Pen-s-s-Cys-、-Pen-s-s-DCys-、-DPen-s-s-Cys-、-DPen-s-s-DCys-、-DPen-s-s-DPen-、-Pen-s-s-Pen-、-hCys-s-s-Cys-、-hCys-s-s-DCys-、-hCys-s-s-hCys-、-DhCys-s-s-DhCys-、-DhCys-s-s-hCys-、-hCys-s-s-Pen-、-hCys-s-s-DPen-または-DhCys-s-s-DPen-から選ぶことができる。リンカーが、-Cys-Cys-であるのが好ましい。用語「Pen」は、ペニシラミンを意味する。用語「Cys」は、システインを意味する。用語「hCys」は、ホモシステインを意味する。接頭語「D」は、アミノ酸のデキストロ体を意味する。したがって、KPVダイマーが、VPK-Cys-s-s-Cys-KPV(配列番号5)、VPK-DCys-s-s-Cys-KPV(配列番号6)、VPK-Pen- s-s-Cys-KPV(配列番号7)、VPK-Pen-s-s-DCys-KPV(配列番号8)、VPK-DPen-s-s-Cys-KPV(配列番号9)、VPK-DPen-s-s-DCys-KPV(配列番号10)、VPK-DPen-s-s-DPen-KPV(配列番号11)、VPK-Pen-s-s-Pen-KPV(配列番号12)、VPK-hCys-s-s-Cys-KPV(配列番号13)、VPK-hCys-s-s-DCys-KPV(配列番号14)、VPK-hCys-s-s-hCys-KPV(配列番号15)、VPK-DhCys-s-s-DhCys-KPV(配列番号16)、VPK-DhCys-s-s-hCys-KPV(配列番号17)、VPK-hCys-s-s-Pen-KPV(配列番号18)、VPK-hCys-s-s-DPen-KPV(配列番号19)またはVPK-DhCys-s-s-DPen-KPV(配列番号20)であるのが好ましい。KPVダイマーが、VPK-Cys-s-s-Cys-KPV(配列番号5)であるのがより好ましい。
【0020】
生物学的機能等価物は、生物活性の点から見て、KPV(配列番号1)、VPKC-s-s-CKPV(配列番号5)、MEHFRWG(配列番号2)、HFRWGKPV(配列番号3)、SYSMEHFRWGKPV(配列番号4)およびKPVダイマーに対して機能的に等価であるアミノ酸配列として定義される。本明細書に記載した特定のアミノ酸配列が有効であるが、ペプチドの有効性を変更することなく、アミノ酸配列中のアミノ酸を置換または欠失させうることは当業者にとって明白である。たとえば、いくつかを上述したKPVダイマーの修飾は生物学的に等価である。さらに、α-MSH配列の安定化が、ペプチドの活性を非常に強化させること、およびL-体の代わりにD-アミノ酸体を用いることがペプチドの有効性を改善または減少させることが知られている。たとえば、α-MSHの安定した類縁体である、メラニン細胞およびメラノーマ細胞において著しい生物活性を有することが知られている[Nle4 DPhe7]-α-MSHは、解熱作用において親ペプチドよりも約10倍効力がある。Holdeman、M.およびLipton、J.M.、Antipyretic Activity of a Potent α-MSH Analog、Peptides 6、273-5(1985)。さらに、α-MSH(11-13)配列のC末端にアミノ酸を付加すると、解熱力を低下または増大させることができる。Deeter、L.B.; Martin、L.W.; Lipton、J.M.、Antipyretic Properties of Centrally Administered α-MSH Fragments in the Rabbit、Peptides 9、1285-8(1989)。グリシンを添加して10-13配列を形成すると効能がわずかに減少した;9-13配列は、ほとんど活性がないが、8-13配列の効能は11-13配列の効能よりも大きかった。[D-K11]α-MSH 11-13が、とトリペプチドα-MSH 11-13のL体と同じ一般的効能をもつことがわかっている。 Hiltz、M.E.; Catania、A.; Lipton、J.M.、Anti-inflammatory Activity of α-MSH(11-13)Analogs: Influences of Alterations in Stereochemistry、Peptides 12、767-71(1991)。しかし、ある研究では、トリペプチドの12位をD-プロリンで置換すると不活性になる。13位のバリンのD体による置換または11位のリシンのD体による置換プラス13位のバリンのD体による置換は、L体のトリペプチドより大きな抗炎症活性をもたらす。これらの例は、ペプチドのアミノ酸特性が、ペプチドの活性に影響を及ぼしうること、あるいは操作の性質に応じてほとんど効果がないことを示す。
【0021】
さらに当然のことながら、生物学的機能等価物は、類似した疎水性親水性指標値を有するアミノ酸の置換によって得ることもできる。したがって、たとえば、それぞれ+4.5と+3.8という疎水性親水性指標値を有するイソロイシンとロイシンは、+4.2という疎水性親水性指標値を有するバリンと置換することができ、なお同様の生物活性をもつタンパク質を得ることができる。別法として、スケールの反対側において、リシン(-3.9)をアルギニン(-4.5)などと置換することができる。一般に、アミノ酸が置換されたアミノ酸の約+/-1指数単位という疎水性親水性スコアをもつ場合に、アミノ酸をうまく置換することができると考えられる。生物学的機能等価物の抗微生物特性は、本発明実施例に開示するように、細菌または真菌のコロニー形成単位におけるそれらの阻害効果により、あるいはウイルス発現または転写におけるそれらの阻害効果により測定することができる。
【0022】
本発明で用いる用語「眼感染症」は、眼または眼瞼および涙器、結膜、角膜、ブドウ膜、網膜および視神経などの眼の構造の内部または周囲において1種または複数種の微生物によって引き起こされる感染症を意味する(図1を参照)。眼感染症として、細菌性眼感染症、真菌性眼感染症およびウイルス性眼感染症が挙げられる。
【0023】
本発明で企図する眼疾患として、CVS(コンピューター・アイ)、眼瞼炎、麦粒腫、前中隔蜂巣炎、涙嚢炎、眼窩蜂巣炎、丹毒、春季カタル、細菌性結膜炎、結膜裂傷、上方輪部角結膜炎、偽膜性結膜炎、流行性角結膜炎、細菌性角膜炎、角膜潰瘍、フリクテン症、前部ブドウ膜炎、眼内炎、細菌性膿瘍、急性敗血症性網膜炎、慢性細菌性網膜炎、乳頭炎、視神経炎および眼窩蜂巣炎が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
眼感染症は、ブドウ球菌(Staphylococcus)、連鎖球菌(Streptococcus)、トレポネーマ(Treponema)、肺炎球菌(Pneumococcus)、淋菌(Gonococcus)、ヘモフィルス(Haemophilus)、クレブシェラ(Klebsiella)、ナイセリア(Neisseria)、クラミジア(Chlamydia)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、セラチア(Serratia)、プロピオン酸菌(Propionibacterium)、アクチノミセス(Actinomyces)、シュードモナス(Pseudomonas)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、髄膜炎菌(Meningococcus)および腸球菌(Enterococcus)などの多くの属によって引き起こされるが、これらに限定されるものではない。ブドウ球菌および連鎖球菌属のうちで重要な種は、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、緑連菌および肺炎連鎖球菌である。
【0025】
眼のウイルス性疾患および感染症として、眼部帯状疱疹、単純ヘルペス眼瞼炎、いぼ、伝染性軟属腫、伝染性単核球症、ウイルス性結膜炎、上強膜炎、強膜炎、単純ヘルペス性角膜炎、虹彩毛様体炎、眼梅毒、サイトメガロウイルス網膜炎よびウイルス性乳頭炎ならびに視神経炎が挙げられるが、これらに限定されるものではない。眼のウイルス性感染症には、ポックスウイルス、ヘルペトウイルス、アデノウイルス、パラミクソウイルスおよびヒト免疫不全ウイルスによって引き起こされる感染症も含まれる。ヘルペトウイルスにおける重要な種は、単純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バールウイルスおよびサイトメガロウイルスである。
【0026】
眼の真菌性疾患および感染症として、白癬、真菌性結膜炎、角膜真菌症、ブドウ膜炎、膿瘍、カンジダ網膜炎、真菌性乳頭炎および視神経炎、侵入性アスペルギルス症、ムコール菌症、小胞子菌、白癬菌、アスペルギルス、レプトスリックス、スポロトリクム、フザリウム、セファロスポリウム、クリプトコッカス、藻菌およびカンジダが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アスペルギルス属の重要な種は、アスペルギルス・フミガーツスである。カンジダ属の重要な種は、カンジダ・アルビカンスである。
【0027】
脊椎動物は、本発明のために企図される好ましい動物である。これは、哺乳動物および非哺乳動物を含む。好ましい哺乳動物として、霊長類、食肉類、長鼻類、奇蹄類、偶蹄類、齧歯類およびウサギ目が挙げられるが、これらに限定されるものではない。哺乳動物が、Canis familiaris(イヌ)、Felis catus(ネコ)、Elephas maximus(ゾウ)、Equus caballus(ウマ)、Sus domesticus(ブタ)、Camelus dromedarius(ラクダ)、Cervus axis(シカ)、Giraffa camelopardalis(シマウマ)、Bos taurus(ウシ)、Capra hircus(ヤギ)、Ovis aries(ヒツジ)、Mus musculus(マウス)、Lepus brachyurus(ウサギ)、Mesocricetus auratus(ハムスター)、Cavia porcellus(モルモット)、Meriones unguiculatus(スナネズミ)およびHomo sapiens(ヒト)であるのがより好ましい。本発明にいて哺乳動物がヒトであるのがさらにより好ましい。
【0028】
本発明の別の好ましい態様は、脊椎動物に本発明に調和する形態でペプチドを投与することを含む眼疾患の治療方法である。本発明のペプチドは、結膜投与、経鼻投与、口腔投与、経口投与、直腸投与、膣内投与、局所投与および非経口投与によって脊椎動物に投与される。結膜投与は、角膜および結膜の表面を横切る脊椎動物の眼内または身体の他の部分へのペプチドのデリバリーを意味する。最も一般的な投与形態は、点眼薬タイプのデリバリーシステムである。経鼻投与は、鼻粘膜上皮を横切る末梢循環内へのペプチドのデリバリーを意味する。エアロゾル化スプレーまたは局所適用が企図される。口腔投与は、口腔または舌上皮を横切る末梢循環系内へのデリバリーを意味する。ペースト、ゲル、溶ける媒体およびエアロゾル化スプレーが企図される。経口投与は、口腔上皮を通るが、優先的に飲み込まれ、胃および消化管で吸収されるペプチドのデリバリーを意味する。直腸投与は、粘膜を薬液で浸して末梢循環系内に入る座剤または浣腸による下部消化管を通るペプチドのデリバリーを意味する。膣内投与は、膣粘膜を通る末梢循環内へのペプチドのデリバリーを意味する。表皮投与は、真皮を横切り末梢循環内へ吸収されるペプチドのデリバリーを意味する。非経口投与は、脊椎動物への溶液に包含されたペプチドの注射を意味する。非経口投与における注射は、静脈内、筋肉内、皮下、結膜下、眼内、球後、硬膜外、脊髄およびクモ膜下腔内注射が可能である。
【0029】
ペプチドが点眼溶液、点眼懸濁液、点眼ゲル、眼科軟膏または眼科ストリップ/インサートの剤形で含まれうる結膜投与を介して、本発明ペプチドが脊椎動物に投与されるのが好ましい。点眼溶液は、点眼薬としての使用のために製剤された水性または有機溶液である。点眼懸濁液は、ペプチドを含む微細ナノ粒子などの小さい粒子を水性または有機溶液に添加する。点眼ゲルは、涙液膜に分散し、眼の表面を横切る本質的に透明な薄膜を形成する特殊なポリマーである。眼科軟膏は、ワセリン基剤と羊毛脂との混合物である。眼科ストリップ/インサートは、ペプチドを含浸させることができるフィルターまたは不溶性コンタクトレンズ様物体を意味する。次いで、含浸眼科ストリップ/インサートを眼の表面に置くか、または下部結膜円蓋に挿入することができる。
【0030】
本発明の別の好ましい具体例は、治療有効量のペプチドを用いる、脊椎動物における眼感染症の治療方法である。治療有効量は、少なくとも10-12モルである。治療有効量が、少なくとも約10-8モルであるのが好ましい。正確な治療有効量は、使用する特定の投与、治療される特定の脊椎動物の年齢、体重および一般的身体状態、眼感染症の重篤度およびペプチドと組み合わせて用いられる他の抗微生物剤に応じて変わるのが、これは当業者には当然のことである。
【0031】
本発明の別の好ましい具体例は、治療有効量のペプチドを投与する、脊椎動物における眼感染症の治療方法である。ペプチドは、解熱、抗炎症、抗細菌、抗真菌および抗ウイルス特性を有するので、疾患を引き起こす傷害の原因を決定する前の、眼疾患が観察された直後にペプチドを用いることができる。このことは、特定の感染実体が未知である感染症の治療において特に有用である。さらに、疾患を引き起こす傷害の原因が決定された後にペプチドを継続して用いることができる。
【0032】
本発明の別の好ましい具体例は、眼疾患の前もしくは予防のために治療有効量のペプチドを投与する、脊椎動物における眼感染症の治療方法である。さらに、ペプチドは、単独で、単独で、あるいは他のペプチドとともに、あるいはペプチドではない抗微生物薬とともに、あるいは非微生物薬とともに用いることができる。
【0033】
以下に、KPV、KPVダイマーまたはKPVの等価物である有効成分を点眼薬製剤として用いる、好ましい製剤の例を示す。
【表1】

【実施例】
【0034】
実施例I
α-MSHペプチドおよびKPVダイマーを含む誘導体の製剤
実施例で用いたペプチドは以下のとおりである:α-MSH(1-13)(配列番号4)、MEHFRWGであるα-MSH(配列番号2)、α-MSH(6-13)(配列番号3)およびα-MSH(11-13)(配列番号1)、これらのすべてはN-アセチル化およびC-アミド化されている;ならびにACTH(1-39)(配列番号21)およびCLIPとも呼ばれるACTH(18-39)(配列番号22)。ペプチドは、固相ペプチド合成によって製造し、逆相高性能液体クロマトグラフィーによって精製する。本調査に用いたもう1つのペプチドは、アミノ酸配列KPV(配列番号1)のダイマー、さらに詳しくはVPKCCKPV(配列番号5)であり、これもまたN-アセチル化およびC-アミド化されている(KPVダイマー)。VPKCCKPV(配列番号5)は、Val-Pro-Lys-AcCys-s-s-CysAc-Lys-Pro-ValまたはVPKC-s-s-CKPVとして化学的に表すことができる。VPKCCKPV(配列番号5)は、KPV(配列番号1)ペプチドのN-末端にシステインを付加し、2つのCKPVペプチドのシステインにジスルフィド結合を形成させることによって形成される。図9に示すように、分子モデリング技術によって、VPKC-s-s-CKPV(配列番号5)の分子コンホメーションを調査した。分子モデリング研究は、シリコン・グラフィック・インディゴ2・ワークステーションにおいてSYBYLソフトウェアバージョン6.2を用いて行う。コンホメーションの調査から、VPKCCKPV(配列番号5)ペプチドが、分子内水素結合によってうまく構築され、安定化されたβターン様構造をとることが示される。ダイマーの三次構造は、折り畳まれ、アミノ酸は、十分に保護される。それはβターンをもつ環状ペプチドにも似ている。
【0035】
実施例II
本発明ペプチドは、HIV感染細胞においてHIV-p24の発現を阻害する
HIV-1感染前単球U1細胞系を対数増殖期において、完全培養培地(10 mM Hepesを補足したRPMI 1640)、2 mM L-グルタミン(Sigma-Aldrich)、10% 加熱不活性化FCS(HyClone Laboratories、ローガン、UT、USA)、100 ユニット/mLのペニシリンおよび100 μg/mLのストレプトマイシン(Gibco Laboratories、グランドアイランド、NY)中で維持する。使用前に、HBSS(Gibco)で3回細胞を洗浄して、細胞外ウイルスを除去する。24ウエルの平底プレートに、10-l3〜10-4 Mの濃度のα-MSHペプチドの存在または不在下、培地プラスTNF-α(10 ng/mL(R&D Systems、オックスフォード、イングランド、UK)とともに2 x 106/mL(最終体積1 mL)の濃度で細胞を植える。5% CO2中37℃にて48時間インキュベートした後、遠心分離によって上清を除去し、HIV-p24放出について試験する。市販のELISAキットを用いてp24抗原放出(Cellular Products Inc. バッファロー、NY、USA)を決定する。すべての実験において、各条件を3回繰り返し試験する。HIV-p24は、キャプシドHIV構造タンパク質である。HIV-p24のレベルは、HIV感染およびHIVウイルス量を反映する。図2に示すように、α-MSHおよびトリペプチドKPV(配列番号1)は、TNF-α刺激U1細胞からのp24放出を有意に阻害する。α-MSHペプチドの阻害効果は、ヒト血漿中で生じるピコモル濃度を含む広範囲のペプチド濃度において生じる。濃度が高いと、より著しいHIV阻害が生じ、両方のペプチドにとって最も効果的な濃度は10-5 Mである。この濃度において、α-MSH(配列番号4)およびKPV(配列番号1)は、p24放出をそれぞれ52.7%および56.0%阻害する。
【0036】
実施例III
本発明ペプチドは、TNF-α、IL-6、IL-10およびPMAによって刺激されたHIV感染細胞においてHIV-p24および逆転写酵素発現を阻害する
24ウエルの平底プレートに、10-5 Mの濃度のKPV(配列番号1)の存在または不在下、培地単独またはTNF-α(10 ng/mL)、IL-6(20 ng/mL)、IL-10(20 ng /mL(R&D Systems)またはPMA(I ng /mL)(Sigma-Aldrich Chemicals、セントルイス、MO、USA)とともに2 x 10/mL(最終体積1 mL)の濃度でHIV-1感染前単球U1細胞系を植える。5% CO2中37℃にて48時間インキュベートした後、遠心分離によって上清を除去し、HIV-p24放出および逆転写酵素放出について試験する。密集実験において、2x105 mLの密度でU1細胞を植え、5% CO2中37℃にて、7日間培地を交換することなく培養物中に維持する。濃度10-5MのKPV(配列番号1)を第1日に加える。市販のELISAキットを用いてp24抗原放出(Cellular Products Inc. Buffalo、NY、USA)および逆転写酵素(ELISA Retrosys RT アッセイ、Innovagen、Lund、スウェーデン)を決定する。すべての実験において、各条件を3回繰り返し試験する。図3に示すように、KPV(配列番号1)は、IL-6、IL-10、PMAおよび密集条件によって誘発されたU1細胞からのp24およびRT放出を有意に阻害する。
【0037】
実施例IV
本発明ペプチドは、HIV転写を阻害する
HIV転写におけるKPV(配列番号1)の影響を決定するために、KPV(配列番号1)10-5Mの存在または不在下で、PMA(1 ng/mL)により、2x106個のU1細胞(完全培地中の密度2 x 105/mLにて)を24時間刺激する。使用説明書にしたがい、RNA単離キット(Tripure、Boehringer Mannheim、インディアナポリス、IN)を用いるチオシアン酸グアニジン・フェノール法によって総RNAを抽出する。0.8%アガロース/ホルムアルデヒドゲル電気泳動によって、10μgの総RNAを分離し、ナイロン膜に移す。フィルターを乾燥させ、α32P-標識HIV-全長プローブと18時間ハイブリッド形成させる(L. TurchettoおよびE. Vicenzi提供、S. Raffaele Hospital、ミラノ、イタリー)。DNA標識キット(Ready-to-go、Pharmacia Biotech、サンフランシスコ、CA)を用いて放射標識反応を行う。フィルターを洗浄し、X線フィルムに5日間曝露する。0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを含む0.1 x SSC中、80℃にて洗浄することによって標識プローブを除去し、次いで、α32P-標識グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)cDNAプローブで再ハイブリダイズする。ImageMaster(商標)VDS 3.0ソフトウェア(Pharmacia Biotech)を用いてデンシトメトリー分析を行い、結果を密度単位で表す。図4に示すように、HIV転写におけるKPV(配列番号1)の阻害活性をPMA刺激U1細胞中のHIV-RNAのノーザンブロット分析によって確認する。KPV(配列番号1)の付加が、PMA刺激U1細胞中のスプライスおよび非スプライスHIV-1 RNAの両方を約50%まで減少させる。
【0038】
実施例V
本発明ペプチドは、黄色ブドウ球菌の生存率を著しく減少させる
Ospedale Maggiore di Milanoの微生物学科のコレクションから黄色ブドウ球菌(ATCC29213)を入手する。10-15〜10-4Mの範囲の濃度のα-MSH[1-13](配列番号4)、α-MSH[11-13](配列番号1)またはKPVダイマー(配列番号5)の存在または不在下で、黄色ブドウ球菌(HBSS中、1x106/ml)を37℃にて2時間インキュベートする。次いで、黄色ブドウ球菌を冷蒸留水で洗浄し、HBSSで100微生物/mlの濃度に希釈する。1 mlのアリコートを血液寒天プレートに分配し、37℃にて24時間インキュベートする。コロニー形成単位の数から微生物生存率を評価する。
図5に示すように、α-MSH[1-13](配列番号4)およびα-MSH[11-13](KPV)(配列番号1)が黄色ブドウ球菌のコロニー形成を阻害する。KPVダイマー(配列番号5)も黄色ブドウ球菌のコロニー形成を阻害する。阻害効果は、広範囲の濃度にわたって生じ、ペプチド濃度10-12〜10-4Mにおいて統計学的に有意(p<0.01)である。
【0039】
実施例VI
本発明ペプチドは、ウロキナーゼ誘発成長増進黄色ブドウ球菌の生存率を著しく減少させる
この実験では、ウロキナーゼ誘発成長増進におけるα-MSHの影響を測定する。Hart、D.A.; Loule、T.; Krulikl、W.; Reno、C.、Staphylococcus Aureus Strains Differ in Their in Vitro Responsiveness to Human Urokinase: Evidence that Methicillin-Resistant Strains are Predominantly Nonresponsive to the Growth-Enhancing Effects of Urokinase、Can. J. Microbiol. 42、1024-31(1966)。10-6Mのα-MSH[1-13](配列番号4)またはα-MSH[11-13](配列番号1)の存在または不在下で、黄色ブドウ球菌(105/100 ml)を組換えヒトウロキナーゼ500 U(Lepetit、ミラノ、イタリー)とともに、振とう水浴中で37℃にて4時間インキュベートする。黄色ブドウ球菌の適当な希釈物を寒天プレートに分配し、37℃にて24時間インキュベートした後に、コロニーを計数する。図6に示すように、ウロキナーゼ処置は、黄色ブドウ球菌のコロニー形成を増加させ、濃度10-6Mのα-MSH[1-13](配列番号4)またはKPVであるα-MSH[11-13](配列番号1)の添加は、ウロキナーゼの増進効果を有意に阻害する。
【0040】
実施例VII
本発明ペプチドは、カンジダ・アルビカンスの生存率を著しく減少させる
Ospedale Maggiore di Milanoの微生物学科のコレクションからカンジダ・アルビカンス(臨床分離株)を入手する。サブロー(Sabouraud's)寒天斜面にカンジダ・アルビカンスを維持し、定期的にサブロー寒天平板に移し、28℃にて48時間インキュベートする。定常成長期酵母を調製するために、寒天平板からコロニーを採取し、30 mlのサブローデキストロースブロスに移し、32℃にて72時間インキュベートする。細胞を100 x gにて10分間遠心分離し、ペレットを蒸留水で2回洗浄する。細胞を計数し、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)に所望の濃度で懸濁させる。0.01%メチレンブルーの排除によ理決定された生存率は、>98%である。次いで、10-15〜10-4Mのα-MSH[1-13]、KPVであるα-MSH[11-13](配列番号1)またはKPVダイマー(配列番号5)の存在または不在下で、カンジダ・アルビカンス(HBSS中、1x106/ml)を37℃にて2時間インキュベートする。次いで、細胞を冷蒸留水で洗浄し、HBSSで100微生物/mlの濃度に希釈する。1 mlのアリコートを血液寒天プレートに分配し、37℃にて48時間インキュベートする。形成されたコロニーの数から微生物生存率を評価する。図7に示すように、カンジダ・アルビカンスのコロニー形成単位は、α-MSHおよびKPV(配列番号1)によって大きく減少する。アミノ酸配列KPVのダイマー、さらに詳しくはVPKCCKPV(配列番号5)もまた、カンジダ・アルビカンスのコロニー形成を阻害する。10-13〜10-4Mの濃度の3つのペプチドすべてが、CFUを有意に阻害する(p<0.01 vs.コントロール)。
【0041】
実施例VIII
フルコナゾールおよびACTHと比較した、カンジダ・アルビカンス生存率の減少におけるペプチド間の効力
フルコナゾールは確立した抗真菌薬である。実施例VIIと同様の手順を用いて、カンジダ・アルビカンス生存率の減少における本発明ペプチドの効力をフルコナゾールおよびACTHと比較して調査する。10-6Mの濃度においてペプチドとフルコナゾールを試験する。ペプチドの各濃度について少なくとも6回反復する。図8に示すように、α-MSH[11-13](KPV)(配列番号1)、α-MSH[6-13](配列番号3)およびα-MSH[1-13](配列番号4)が最も有効である。それらの阻害活性は、フルコナゾールの阻害活性と類似している。「コア」α-MSH配列であるα-MSH[4-10](配列番号2)は、CFUを約50%阻害する。この阻害効果は実質的であるが(p<0.01 vs.コントロール)、KPVシグナル配列をもつα-MSHフラグメント、すなわち、α-MSH[6-13](配列番号3)およびα-MSH[11-13](配列番号1)(p<0.01)または親分子α-MSH[1-13](配列番号4)(p<0.05)によって引き起こされる効果よりも有意に低い。ACTH(1-39)(配列番号21)およびACTHフラグメント(18-39)(配列番号22)は、カンジダ・アルビカンスの生存率を減少させない(図4)。より高濃度のこれらのACTHペプチド(10-4Mまで)は、同様に、カンジダ・アルビカンスのCFUの減少において効果がない(結果は図に示さず)。
【0042】
実施例IX
ウイルス性眼感染症(HSV眼瞼炎)の治療
患者は単純ヘルペスウイルス眼瞼炎であると診断される。10-5MのKPV(配列番号1)を含む点眼水性溶液を調製する。7日間1日4回、3〜5滴の点眼水性溶液を患者の眼の表面に処置する。7日間の処置後、HSV眼瞼炎の症状は実質的に軽減する。
【0043】
実施例X
細菌性眼感染症(細菌性角膜炎)の治療
患者は、まばたき時の眼の痛みおよびかすみ目を訴えている。検査によれば、角膜の透明度が正常な角膜と比べて微妙に低下しており、その表面に潰瘍がある可能性がある。診断は、細菌性の病因である感染性角膜炎であり、検査所見により確認される。7日間1日4回、3〜5滴の10-5MのKPV(配列番号1)を含む点眼水性溶液を患者の眼の表面に処置する。7日間の処置後、患者は著しい改善または完全な回復を示す。
【0044】
実施例XI
真菌性眼感染症(角膜真菌症)の治療
検査によれば、患者は角膜真菌症と診断される。7日間1日4回、3〜5滴の10-5MのKPV(配列番号1)を含む点眼水性溶液を患者の眼の表面に処置する。7日間の処置後、患者は著しい改善または完全な回復を示す。
【0045】
実施例XII
感染症を引き起こしている微生物が決定される前の眼感染症の治療
患者は、まぶたの発赤および腫れならびに視野を妨げる眼のムコイド分泌物の存在を訴えている。ムコイドサンプルに基づく培養および感受性試験の結果を待っている間に、患者は3日間1日4回3〜5滴の点眼水性溶液を眼の表面に処置され、症状は消える。その後、臨床検査の結果から、患者が細菌性結膜炎であることがわかる。
【0046】
実施例XIII
CVSまたは「コンピューター・アイ」の治療
事務所労働者は、ほぼ5〜7時間をコンピューター画面またはその他の視覚的モニターの前ですごす。ある程度の長時間が過ぎた後、労働者は、まばたきをしなくなり始める。その後短期間の内に、労働者は眼の乾燥、ヒリヒリ感およびかすみ目に気付くようになる。労働者は、労働者の眼の状態を医療専門家に相談するための仕事を休む時間がないことを心配しつつ、医療的補佐を受けることを選択することができる。この出来事において、労働者は、本発明ペプチドを含む点眼薬の店頭販売品を購入する。点眼薬を使用すると、労働者の眼の状態は実質的に軽減される。さらに、点眼薬の有効成分が天然のものなので、眼への傷害を懸念することなく点眼薬を繰り返し使用することができる。
【0047】
実施例XIV
本発明ペプチド処置の前および後における症状の比較
次の実施例は、表形式で表す。本発明を用いた場合の症状と本発明を使用しなかった場合の症状を比較する。実験では、種々の症状をもつ22名の被験者を本発明で処置した。実験から、本発明が種々の眼の病的状態に関連する症状に対して成功裏に用いることができることが示される。
【0048】
第1表
処置実験
【表2】

1=平均(標準偏差);2=頻度(%)
【0049】
第2表
本発明処置と無処置の比較
【表3】

【0050】
第3表
個々の症状の有病率
【表4】

【0051】
上記の内容から、本発明の特定の具体例は説明を目的として記載されているが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく種々の変更を行いうるのは当然のことである。したがって、本発明は、添付の請求の範囲以外によって制限されることはない。前述の実施例は、例示のみを意図しており、本発明を制限することを意図するものではない。当然のことながら、上記実施例は、本発明の精神から逸脱するものではない。さらに当然のことながら、各実施例は、それ自体で、または他の実施例と組み合わせて適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ヒトの眼の解剖学的構造である。ヒトの眼の構造は、結膜、角膜、硝子体、網膜および視神経を含む。
【図2】TNF-α刺激U1細胞によるp24放出におけるα-MSH[1-13](SYSMEHFRWGKPV)またはα-MSH[11-13](KPV)の効果を示す。α-MSH[1-13]and KPVペプチドの両方が、広範囲の濃度にわたってp24放出を阻害した。本図および以下の図において、カラムまたは点は平均を表し、バーはp<0.05(*)またはp<0.01(**)である場合の標準偏差または信頼区間を表す。
【図3】刺激U1細胞によるRTおよびp24放出におけるKPVの効果を示す。KPV(10-5 M)処置は、異なる刺激に曝されたU1細胞からのHIV逆転写(RT)およびp24放出を阻害した。
【図4】休止およびPMA刺激U1細胞中のHIV RNAにおけるKPVの効果を示す。KPV(10-5M)の添加により、PMA刺激U1細胞中のスプライシングおよび非スプライシングHIV-1 RNAの両方が約50%まで低下した。
【図5】コントロールと比較した場合の黄色ブドウ球菌コロニー形成単位(CFU)におけるα-MSH[1-13]、α-MSH[11-13]およびKPVダイマー(VPKC-s-s-CKPV)の効果を示す。3つの分子はすべて、広範囲のペプチド濃度にわたって、黄色ブドウ球菌コロニー形成単位を有意に減少させた。
【図6】黄色ブドウ球菌の成長がウロキナーゼによって増強される場合の黄色ブドウ球菌コロニー形成単位におけるα-MSH[1-13]、α-MSH[11-13]およびKPVダイマーの効果を示す。ウロキナーゼ処置は、黄色ブドウ球菌コロニー形成を増加させるが、α-MSH[1-13]またはα-MSH[11-13](KPV)の添加は、このウロキナーゼ増強効果を有意に阻害する。
【図7】コントロールと比較した場合のカンジダ・アルビカンスのコロニー形成単位(CFU)におけるα-MSH[1-13]、α-MSH[11-13]およびVPKC-s-s-CKPVであるKPVダイマーの効果を示す。3つの分子はすべて、広範囲のペプチド濃度にわたって、カンジダ・アルビカンスコロニー形成単位を有意に減少させた。
【図8】特定のペプチドおよびフラコナゾール(すべて10-6M)の抗真菌活性の比較を示す。最も有効なペプチドは、α-MSH[1-13]、α-MSH[6-13]およびα-MSH[11-13]などのα-MSHのC末端アミノ酸配列を含むペプチドであった。
【図9】KPVダイマーであるVPKC-s-s-CKPVの分子コンホメーション構造を示す。分子モデリングの研究は、KPVダイマーの分子コンホメーション構造を明らかにした。VPKC-s-s-CKPVは、分子内水素結合によってうまく構築され、安定化されたβターン様構造をとる。このダイマーの三次構造は、折り畳まれ、アミノ酸はよく保護される。この構造は、βターンを含む環状ペプチドにも似ている。
【配列表】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシメチルセルロース(0.2%)、塩化ナトリウム(0.2%)、ポリソルベート80(0.5%)、エデト酸ジナトリウム(0.105%)、二塩基性リン酸ナトリウム(1.3%)、ソルビン酸(0.262%)、レシチン(0.05%)、α-MSHペプチド(0.00285%)および滅菌水からなる医薬組成物。
【請求項2】
α-MSHペプチドが、KPV(配列番号1)、MEHFRWG(配列番号2)、HFRWGKPV(配列番号3)、SYSMEHFRWGKPV(配列番号4)、KPVダイマー(配列番号5)およびその生物学的機能等価物から選ばれる請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
KPVダイマーが修飾される請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
修飾KPVダイマーが、VPK-Cys-s-s-Cys-KPV(配列番号5)、VPK-DCys-s-s-Cys-KPV(配列番号6)、VPK-Pen- s-s-Cys-KPV(配列番号7)、VPK-Pen- s-s-DCys-KPV(配列番号8)、VPK-DPen-s-s-Cys-KPV(配列番号9)、VPK-DPen-s-s-DCys-KPV(配列番号10)、VPK-DPen-s-s-DPen-KPV(配列番号11)、VPK-Pen-s-s-Pen-KPV(配列番号12)、VPK-hCys-s-s-Cys-KPV(配列番号13)、VPK-hCys-s-s-DCys-KPV(配列番号14)、VPK-hCys-s-s-hCys-KPV(配列番号15)、VPK-DhCys-s-s-DhCys-KPV(配列番号16)、VPK-DhCys-s-s-hCys-KPV(配列番号17)、VPK-hCys-s-s-Pen-KPV(配列番号18)、VPK-hCys-s-s-DPen-KPV(配列番号19)およびVPK-DhCys-s-s-DPen-KPV(配列番号20)から選ばれる請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
有効量の請求項4に記載の医薬組成物を使用することを含む眼疾患の治療方法。
【請求項6】
眼疾患が、眼瞼炎、麦粒腫、前中隔蜂巣炎、涙嚢炎、眼窩蜂巣炎、丹毒、春季カタル、細菌性結膜炎、結膜裂傷、上方輪部角結膜炎、偽膜性結膜炎、流行性角結膜炎、細菌性角膜炎、角膜潰瘍、フリクテン症、前部ブドウ膜炎、眼内炎、細菌性膿瘍、急性敗血症性網膜炎、慢性細菌性網膜炎、乳頭炎、視神経炎および眼窩蜂巣炎、乾燥症、コンピューター視覚症候群、眼感染症、コンピューター・アイならびに眼の緊張および疲労から選ばれる請求項5に記載の眼疾患の治療方法。
【請求項7】
有効量が、3時間毎にそれぞれの眼において1〜3滴である請求項5に記載の眼疾患の治療方法。
【請求項8】
治療方法が、眼疾患の発病の前、間および/または後である請求項7に記載の有効量。
【請求項9】
眼疾患に苦しむ脊椎動物に治療有効量のα-MSHペプチドを投与することを含む眼感染症の治療方法。
【請求項10】
ペプチドが、KPV(配列番号1)、MEHFRWG(配列番号2)、HFRWGKPV(配列番号3)、SYSMEHFRWGKPV(配列番号4)、KPVダイマー(配列番号5)およびその生物学的機能等価物から選ばれる請求項9に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項11】
KPVダイマーが修飾される請求項9に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項12】
修飾KPVダイマーが、VPK-Cys-s-s-Cys-KPV(配列番号5)、VPK-DCys-s-s-Cys-KPV(配列番号6)、VPK-Pen- s-s-Cys-KPV(配列番号7)、VPK-Pen- s-s-DCys-KPV(配列番号8)、VPK-DPen-s-s-Cys-KPV(配列番号9)、VPK-DPen-s-s-DCys-KPV(配列番号10)、VPK-DPen-s-s-DPen-KPV(配列番号11)、VPK-Pen-s-s-Pen-KPV(配列番号12)、VPK-hCys-s-s-Cys-KPV(配列番号13)、VPK-hCys-s-s-DCys-KPV(配列番号14)、VPK-hCys-s-s-hCys-KPV(配列番号15)、VPK-DhCys-s-s-DhCys-KPV(配列番号16)、VPK-DhCys-s-s-hCys-KPV(配列番号17)、VPK-hCys-s-s-Pen-KPV(配列番号18)、VPK-hCys-s-s-DPen-KPV(配列番号19)およびVPK-DhCys-s-s-DPen-KPV(配列番号20)から選ばれる請求項11に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項13】
眼疾患が、細菌性眼感染症、真菌性眼感染症およびウイルス性眼感染症から選ばれる請求項9に記載の方法。
【請求項14】
細菌性眼感染症が、ブドウ球菌、連鎖球菌、トレポネーマ、肺炎球菌、淋菌、ヘモフィルス、クレブシェラ、ナイセリア、クラミジア、マイコバクテリウム、フラボバクテリウム、セラチア、プロピオン酸菌、アクチノミセス、シュードモナス、コリネバクテリウム、髄膜炎菌および腸球菌によって引き起こされる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
細菌性眼感染症が、ブドウ球菌または連鎖球菌のいずれかによって引き起こされる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
細菌性眼感染症が、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、緑連菌または肺炎連鎖球菌によって引き起こされる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
真菌性眼感染症が、小胞子菌、白癬菌、アスペルギルス、レプトスリックス、スポロトリクム、フザリウム、セファロスポリウム、クリプトコッカス、藻菌またはカンジダによって引き起こされる請求項13に記載の方法。
【請求項18】
真菌性眼感染症が、アスペルギルスまたはカンジダによって引き起こされる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
真菌性眼感染症が、アスペルギルス・フミガーツスまたはカンジダ・アルビカンスによって引き起こされる請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ウイルス性眼感染症が、ポックスウイルス、ヘルペトウイルス、アデノウイルス、パラミクソウイルスまたはヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる請求項13に記載の方法。
【請求項21】
ウイルス性眼感染症が、HIV、単純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バールウイルスまたはサイトメガロウイルスによって引き起こされる請求項20に記載の方法。
【請求項22】
脊椎動物が、鳥類または哺乳動物である請求項9に記載の方法。
【請求項23】
鳥類が、カワラバト、ニワトリまたはシチメンチョウである請求項22に記載の方法。
【請求項24】
哺乳動物が、霊長類、食肉類、長鼻類、奇蹄類、偶蹄類、齧歯類またはウサギ目である請求項22に記載の方法。
【請求項25】
哺乳動物が、イヌ、ネコ、ゾウ、ウマ、ブタ、ラクダ、シカ、シマウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ウサギ、ハムスター、モルモット、スナネズミまたはヒトである請求項24に記載の方法。
【請求項26】
哺乳動物が、ヒトである請求項25に記載の方法。
【請求項27】
結膜投与、経鼻投与、バッカル投与、経口投与、直腸投与、膣内投与、上皮投与または非経口投与によってペプチドを投与する請求項9に記載の方法。
【請求項28】
結膜投与によってペプチドを投与する請求項27に記載の方法。
【請求項29】
点眼溶液、点眼懸濁液、点眼ゲル、眼科軟膏または眼科ストリップ/インサートの剤形で結膜投与によってペプチドを投与する請求項28に記載の方法。
【請求項30】
点眼溶液が、ヒドロキシメチルセルロース(0.2%)、塩化ナトリウム(0.2%)、ポリソルベート80(0.5%)、エデト酸ジナトリウム(0.105%)、二塩基性リン酸ナトリウム(1.3%)、ソルビン酸(0.262%)、レシチン(0.05%)、請求項2〜4のいずれかに記載のペプチド(0.00285%)および滅菌水を含む請求項29に記載の方法。
【請求項31】
眼疾患の原因を決定する前、その間またはその後に、ペプチドを投与する請求項9に記載の方法。
【請求項32】
治療有効量が、少なくとも10-13モルである請求項9に記載の方法。
【請求項33】
治療有効量が、少なくとも10-8モルである請求項9に記載の方法。
【請求項34】
眼感染症に罹っているヒトに、治療有効量のペプチドを投与することを含む眼感染症の治療方法。
【請求項35】
ペプチドが、KPV(配列番号1)、MEHFRWG(配列番号2)、HFRWGKPV(配列番号3)、SYSMEHFRWGKPV(配列番号4)、KPVダイマー(配列番号5)およびその生物学的機能等価物から選ばれる請求項34に記載の方法。
【請求項36】
KPVダイマーが修飾される請求項35に記載の方法。
【請求項37】
修飾KPVダイマーが、VPK-Cys-s-s-Cys-KPV(配列番号5)、VPK-DCys-s-s-Cys-KPV(配列番号6)、VPK-Pen- s-s-Cys-KPV(配列番号7)、VPK-Pen- s-s-DCys-KPV(配列番号8)、VPK-DPen-s-s-Cys-KPV(配列番号9)、VPK-DPen-s-s-DCys-KPV(配列番号10)、VPK-DPen-s-s-DPen-KPV(配列番号11)、VPK-Pen-s-s-Pen-KPV(配列番号12)、VPK-hCys-s-s-Cys-KPV(配列番号13)、VPK-hCys-s-s-DCys-KPV(配列番号14)、VPK-hCys-s-s-hCys-KPV(配列番号15)、VPK-DhCys-s-s-DhCys-KPV(配列番号16)、VPK-DhCys-s-s-hCys-KPV(配列番号17)、VPK-hCys-s-s-Pen-KPV(配列番号18)、VPK-hCys-s-s-DPen-KPV(配列番号19)およびVPK-DhCys-s-s-DPen-KPV(配列番号20)から選ばれる請求項36に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項38】
眼感染症が、細菌性眼感染症、真菌性眼感染症およびウイルス性眼感染症から選ばれる請求項34に記載の方法。
【請求項39】
細菌性眼感染症が、ブドウ球菌、連鎖球菌、トレポネーマ、肺炎球菌、淋菌、ヘモフィルス、クレブシェラ、ナイセリア、クラミジア、マイコバクテリウム、フラボバクテリウム、セラチア、プロピオン酸菌、アクチノミセス、シュードモナス、コリネバクテリウム、髄膜炎菌および腸球菌によって引き起こされる請求項38に記載の方法。
【請求項40】
細菌性眼感染症が、ブドウ球菌または連鎖球菌のいずれかによって引き起こされる請求項39に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項41】
細菌性眼感染症が、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、緑連菌または肺炎連鎖球菌によって引き起こされる請求項40に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項42】
真菌性眼感染症が、小胞子菌、白癬菌、アスペルギルス、レプトスリックス、スポロトリクム、フザリウム、セファロスポリウム、クリプトコッカス、藻菌またはカンジダによって引き起こされる請求項34に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項43】
真菌性眼感染症が、アスペルギルスまたはカンジダによって引き起こされる請求項42に記載の方法。
【請求項44】
真菌性眼感染症が、アスペルギルス・フミガーツスまたはカンジダ・アルビカンスによって引き起こされる請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ウイルス性眼感染症が、ポックスウイルス、ヘルペトウイルス、アデノウイルス、パラミクソウイルスまたはヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる請求項34に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項46】
ウイルス性眼感染症が、HIV、単純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バールウイルスまたはサイトメガロウイルスによって引き起こされる請求項45に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項47】
結膜投与、経鼻投与、バッカル投与、経口投与、直腸投与、膣内投与、上皮投与または非経口投与によってペプチドを投与する請求項46に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項48】
結膜投与によってペプチドを投与する請求項47に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項49】
点眼溶液、点眼懸濁液、点眼ゲル、眼科軟膏または眼科ストリップ/インサートの剤形で結膜投与によってペプチドを投与する請求項48に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項50】
点眼溶液が、ヒドロキシメチルセルロース(0.2%)、塩化ナトリウム(0.2%)、ポリソルベート80(0.5%)、エデト酸ジナトリウム(0.105%)、二塩基性リン酸ナトリウム(1.3%)、ソルビン酸(0.262%)、レシチン(0.05%)、請求項2〜4のいずれかに記載のペプチド(0.00285%)および滅菌水を含む請求項49に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項51】
眼疾患の原因を決定する前、その間またはその後に、ペプチドを投与する請求項44に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項52】
治療有効量が、少なくとも10-13モルである請求項26に記載の眼感染症の治療方法。
【請求項53】
治療有効量が、少なくとも10-8モルである請求項26に記載の眼感染症の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−510616(P2006−510616A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553606(P2004−553606)
【出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/036184
【国際公開番号】WO2004/046165
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(505178192)ゼンジェン・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ZENGEN, INC.
【Fターム(参考)】