説明

KVMスイッチ及びその制御方法

【課題】サーバからクライアントに送信される画面データ量を減少させ、クライアントに接続される入力デバイスからの操作データを受信する機会を増加させることができるKVMスイッチ及びその制御方法を提供する。
【解決手段】ビデオ信号入力処理部1311は、新たな画像データが画面データ保存メモリ1312に保存される場合に、既に保存されている画面データに対する新たな画面データの変化領域に対応するデータ(即ち、変化領域の画面データ)を検出する。制御部1314は、変化領域の画面データを間引き、通信部1316が当該間引き後の変化領域の画面データをクライアント100に送信すると共にクライアント100に接続される入力デバイス140からの操作データを受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
サーバに直接接続され、クライアントにネットワークを介して接続されるKVMスイッチ及びその制御方法に関し、特に、サーバから出力される画像信号をクライアントに接続される表示装置に表示させるKVMスイッチ及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のコンピュータとマウス、キーボード及びモニタ等の周辺機器との間に接続されるKVM(K:キーボード、V:ビデオ、M:マウス)スイッチが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来より、複数のサーバ及びマウス、キーボード、モニタ等の周辺機器に接続され、且つネットワークを介して遠隔端末であるクライアントに接続されるKVMスイッチが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
このKVMスイッチを含むサーバクライアントシステムでは、サーバからの画像データは、KVMスイッチ及びネットワークを介してクライアントに接続されるモニタに表示される。
【0005】
また、従来より、市松配列状に画素を間引いて被圧縮データを減らし、画像の圧縮・伸長処理を高速かつ低コストで実現する信号処理装置(例えば、特許文献2)、ドットの間引き率を設定し、設定された間引き率で画像を用紙に記録する記録装置(例えば、特許文献3)、信号送信側が画像情報を奇数走査線と偶数走査線との2つのフィールド情報に分けて送信し、信号受信側が受信した2つのフィールド情報を合成して1フレームの画像情報とするテレビジョン方式(例えば、特許文献4)などが知られている。
【特許文献1】米国特許6,567,869号(KVM SWlTCH lNCLUDlNG A TERMlNAL EMULATOR)
【特許文献2】特開2006−340300号公報
【特許文献3】特開平9−34244号公報
【特許文献4】特開昭59−54394号公報
【非特許文献1】Rose Electronics 社、製品名「UltraMatrix Remote」(http://www.rose.com/htm/ultramatrixremote.htm)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記サーバクライアントシステムでは、動画像のように、画像データが常に変化する場合、全画面領域分の画像データが、KVMスイッチ及びネットワークを介してサーバからクライアントに送信される。
【0007】
このため、サーバからクライアントへの画像データの送信に時間がかかる。また、ネットワークの通信帯域がサーバからクライアントへの画像データの送信に割かれてしまい、クライアントに接続された入力デバイスの操作データをサーバへ送信する処理が遅れる。
【0008】
また、サーバからクライアントに送信される画像データを間引いても、依然として、画像データの送信に時間がかかる場合がある。結果として、クライアントに接続された入力デバイスの操作データをサーバへ送信する処理が遅れる。
【0009】
本発明の目的は、サーバからクライアントに送信される画面データ量を減少させ、クライアントに接続される入力デバイスからの操作データを受信する機会を増加させることができるKVMスイッチ及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のKVMスイッチによれば、サーバに接続されると共にネットワークを介してクライアントに接続されるKVMスイッチであって、前記クライアントの表示装置で表示される画面データに対応するアナログ画像信号を前記サーバから受信し、A/D変換を実行し、デジタル画像信号を画面データとして記憶部に保存する信号処理手段と、新たな画像データが前記記憶部に保存される場合に、前記記憶部に既に保存されている画面データに対する新たな画面データの変化部分に対応するデータを検出する検出手段と、前記検出手段により検出された新たな画面データの変化部分に対応するデータを間引く間引き手段と、当該間引き後の新たな画面データの変化部分に対応するデータを前記クライアントに送信すると共に前記クライアントに接続される入力デバイスからの操作データを受信する送受信手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、画面データは変化のあった場合にのみ、サーバからクライアントに送信され、しかも、変化部分の画面データを間引いたデータがサーバからクライアントに送信されるため、サーバからクライアントに送信される画面データ量を減少させることができる。また、サーバからクライアントに送信される画面データ量を減少させることで、クライアントに接続される入力デバイスからの操作データのパケットの送信可能な回数が増加する。よって、クライアントに接続される入力デバイスからの操作データを受信する機会を増加させることができる。
【0012】
好ましくは、前記間引き手段は、前記クライアントへのデータ送信に使用されるネットワークの許容帯域の値及び前記画面データの変化部分に対応するデータの間引き方法を設定する設定手段を備えることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、サーバからクライアントに送信される画面データ量を調整することができる。また、クライアントに接続される入力デバイスからの操作データを受信する機会の増減を調整することができる。
【0014】
より好ましくは、前記新たな画面データの変化部分に対応するデータの間引き方法は、前記新たな画面データの変化部分に対応するデータの間引き量及び間引きの形態を含むことを特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば、データの間引き量及び間引きの形態を設定することができる。
【0016】
さらに好ましくは、前記間引きの形態は、市松模様、縦縞模様、及び横縞模様のいずれか1つであることを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、画面データの変化部分に対応するデータを市松模様、縦縞模様、及び横縞模様のいずれかの形態で間引くことができる。また、クライアントのユーザが画面データの変化の全体を把握する時間を減らすことができる。
【0018】
より好ましくは、前記間引き手段は、前記新たな画面データの変化部分に対応するデータの転送率が前記設定手段で設定されたネットワークの許容帯域の値に収まるように、前記新たな画面データの変化部分に対応するデータの送信間隔を制御することを特徴とする。
【0019】
かかる構成によれば、新たな画面データの変化部分に対応するデータの転送に使用されるネットワークの通信帯域が設定手段で設定された許容帯域の値に制限されるので、従来のように、ネットワークの通信帯域がサーバからクライアントへの画像データの送信に全て割かれることがなく、クライアントに接続される入力デバイスからの操作データを受信する機会を確保することができる。
【0020】
より好ましくは、前記間引き手段は、前記新たな画面データの変化部分に対応するデータの転送率が前記設定手段で設定されたネットワークの許容帯域の値に収まるように、前記新たな画面データの変化部分に対応するデータの間引き方法を制御することを特徴とする。
【0021】
かかる構成によれば、新たな画面データの変化部分に対応するデータの転送に使用されるネットワークの通信帯域が設定手段で設定された許容帯域の値に制限されるので、従来のように、ネットワークの通信帯域がサーバからクライアントへの画像データの送信に全て割かれることがなく、クライアントに接続される入力デバイスからの操作データを受信する機会を確保することができる。
【0022】
より好ましくは、前記送受信手段は、前記設定手段で設定されたネットワークの許容帯域以外のネットワークの通信帯域を使って、前記クライアントに接続される入力デバイスからの操作データを受信し、当該操作データを前記サーバに送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、従来よりもクライアント/サーバ間のデータ通信を効率良く行うことができる。
【0024】
好ましくは、前記間引き手段が間引いた箇所のデータを一時保存する保存手段を備え、前記送受信手段は、前記間引き後の変化部分に対応するデータを前記クライアントに送信した後に、前記保存手段に保存された間引いた箇所のデータを前記クライアントに送信することを特徴とする。
【0025】
かかる構成によれば、画面データの変化部分に対応するデータは全てクライアントに送信され、クライアントの表示装置で表示することができる。
【0026】
好ましくは、前記送受信手段は、前記間引き後の変化部分に対応するデータと共に、当該データの前記表示装置における表示位置及び表示サイズ並びに当該データの間引き形態及び間引き量を示すデータを前記クライアントに送信することを特徴とする。
【0027】
かかる構成によれば、クライアントは、間引き後の変化部分に対応するデータの表示位置及び表示サイズ並びに当該データの間引き形態及び間引き量を示すデータに基づいて、間引き後の変化部分に対応するデータを適切な位置及びサイズで表示装置に表示することができる。
【0028】
好ましくは、前記信号処理手段は、前記クライアントの表示装置で表示される画面データに対応するアナログ画像信号を前記サーバから受信し、予め指定された間引きの情報に基づいて受信されたアナログ画像信号を間引き、A/D変換を実行し、デジタル画像信号を画面データとして記憶部に保存し、前記送受信手段は、前記記憶部に保存された画面データを前記クライアントに送信することを特徴とする。
【0029】
かかる構成によれば、間引き手段で間引き処理を実行することなく、画面データをクライアントに送信することができる。
【0030】
本発明のKVMスイッチの制御方法によれば、サーバに接続されると共にネットワークを介してクライアントに接続されるKVMスイッチの制御方法であって、前記クライアントの表示装置で表示される画面データに対応するアナログ画像信号を前記サーバから受信し、A/D変換を実行し、デジタル画像信号を画面データとして記憶部に保存する信号処理工程と、新たな画像データが前記記憶部に保存される場合に、前記記憶部に既に保存されている画面データに対する新たな画面データの変化部分に対応するデータを検出する検出工程と、前記検出工程により検出された新たな画面データの変化部分に対応するデータを間引く間引き工程と、当該間引き後の新たな画面データの変化部分に対応するデータを前記クライアントに送信すると共に前記クライアントに接続される入力デバイスからの操作データを受信する送受信工程とを含むことを特徴とする。
【0031】
かかる構成によれば、画面データは変化のあった場合にのみ、サーバからクライアントに送信され、しかも、変化部分の画面データを間引いたデータがサーバからクライアントに送信されるため、サーバからクライアントに送信される画面データ量を減少させることができる。また、サーバからクライアントに送信される画面データ量を減少させることで、クライアントに接続される入力デバイスからの操作データのパケットの送信可能な回数が増加する。よって、クライアントに接続される入力デバイスからの操作データを受信する機会を増加させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、サーバからクライアントに送信される画面データ量を減少させ、クライアントに接続される入力デバイスからの操作データを受信する機会を増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0034】
図1は、本発明の実施の形態にかかるKVM(K:キーボード、V:ビデオ、M:マウス)スイッチを含むサーバクライアントシステムの構成図である。
【0035】
同図に示すように、サーバクライアントシステム1は、入力デバイス140及びモニタ150が接続されたクライアント100、サーバ120、サーバ120に接続されると共にネットワーク130を介してクライアント100に接続されるKVMスイッチ100を備えている。クライアント100及びサーバ120はコンピュータで構成されており、入力デバイスは、キーボードやマウス等で構成されている。
【0036】
ユーザが入力デバイス140を操作すると、クライアント100からネットワーク130及びKVMスイッチ1を介してサーバ120に操作データが送信される。また、サーバ120からの画面データは、ネットワーク130及びKVMスイッチ1を介してクライアント100に送信され、モニタ150に表示される。
図2は、図1のモニタ150の表示画面を示す図である。
【0037】
モニタ150の表示画面200の中に、サーバ120からの画面データを表示する画像表示領域210が表示されている。この画像表示領域210のサイズは、480×640ピクセルである。
【0038】
ここでは、ユーザが、入力デバイス140としてのマウスを操作する動作を考える。ユーザは、図2の点P0を開始点として、20[ms]間隔で点P0〜P53を順番に時計周りで回転するようにマウスを操作している。
【0039】
また、画像表示領域210に表示されるサーバ120からの画面データは、常になんらかの変化が発生しているものとする。また、ネットワーク130で画面データ及び操作データの送受信に使用可能な通信帯域は10Mbpsであるとする。
【0040】
1ピクセルの色をBGR233形式で表す場合、ネットワーク130上で画像表示領域210分の画面データの送信にかかる時間は、以下の通りである。
640×480[byte]×8[bit/byte]/(1024×1024×10)[bit/s] ≒0.234[s]=234[ms]
【0041】
また、図2に示すように、原点O、X軸及びY軸を設定した場合に、操作データはピクセル値の座標で表される。また、操作データは、入力デバイス140がマウスであるため、ボタン情報として1byteをピクセル値の座標に追加した計5byteのデータとする。
【0042】
この場合、操作データの送信にかかる時間は、以下のとおりである。
5[byte]×8[bit/byte]/(1024×1024×10)[bit/s] ≒3.81x10-6[s]=3.81[μs]
【0043】
図3は、図2のマウス操作が実行された場合のサーバクライアントシステム1の動作シーケンスを示す図である。
【0044】
図3の入力デバイス140では、20[ms]間隔で、点P0から点P53への移動操作が発生しており、点P0〜点P53から伸びる左向きの矢印の先端が操作データの送信先を表している。
【0045】
KVMスイッチ110が操作データを受信した場合、KVMスイッチ110は当該操作データを入力デバイス140のデータに変換してサーバ120へ出力する。KVMスイッチ110が、操作データを入力デバイスのデータに変換する時間及び入力デバイスのデータをサーバ120へ出力する時間は、無視できるほど少ない時間であるとする。
【0046】
右向きの矢印321〜325は、KVMスイッチ110がクライアント100に対してネットワーク130を介してサーバ120の画面データを送信し始めることを示す。矩形310〜319は、画面データの送受信が完了するまでにかかる時間を表している。これらの時間中、画面データの送受信にネットワーク130の通信帯域が使用されているため、入力デバイス140の操作データは、KVMスイッチ110に通知できない。
【0047】
画面データを受信したクライアント100は、画面データをモニタ150で表示可能な信号に変換して、モニタ150に送信する。変換された信号はモニタ150に表示される。右向き矢印331〜334は変換された信号を示す。なお、画面データをモニタ150で表示可能な信号に変換するのに必要な時間、モニタ150への信号出力に必要な時間及び信号の表示が完了するまでの時間は、無視できるほど小さいものとする。
【0048】
図3のシーケンスでは、サーバ120に対して操作データが通知されるタイミングは、点P0(時間t=0[ms])、点P12(時間t=240[ms])、点P24(時間t=480[ms])、点P36(時間t=720[ms])、点P48(時間t=960[ms])の合計5点である。
【0049】
図4は、画像表示領域210上に、サーバ120に対して操作データが通知されるタイミングを示す図である。
【0050】
丸印401〜405が、点P0、点P12、点P24、点P36、点P48の位置をそれぞれ表している。破線矢印411〜414がサーバ120に通知されるマウスカーソルの軌跡である。
【0051】
入力デバイス140の操作は、図2で示した点P0〜点P53の円を描く操作であるのに対して、サーバ120に通知される操作は、図4の破線矢印411〜414で示される五角形の状態になる。
【0052】
そこで、画面データを画像表示領域210のY軸の奇数段目と偶数段目との2回に分けて送信する方法にて、入力デバイス140の操作を行う。
【0053】
ネットワーク130上の画面データの1/2画面領域分のデータ送信にかかる時間は、以下のとおりである。
640×240[byte]×8[bit/byte]/(1024×1024×10)[bit/s]≒0.117[s]=117[ms]
【0054】
図5は、画面データを画像表示領域210のY軸の奇数段目と偶数段目との2回に分けて送信する方法で入力デバイス140の操作を行った場合のシーケンスを示す図である。
【0055】
図3と同様に、入力デバイス140では、20[ms]間隔で、点P0から点P53への移動操作が発生しており、点P0〜点P53から伸びる左向きの矢印の先端が操作データの送信先を表している。右向きの矢印541〜549は、KVMスイッチ110がクライアント100に対してネットワーク130を介してサーバ120の画面データを送信し始めることを示す。
【0056】
右向きの矢印541,543,545,547,549は、KVMスイッチ110が画像表示領域210のY軸が偶数となるラインの画面データを送信し始めることを示し、右向きの矢印542,544,546,548は、KVMスイッチ110が画像表示領域210のY軸が奇数となるラインの画面データを送信し始めることを示す。
【0057】
矩形510〜527は、画像表示領域210の1/2の領域に対応する画面データの送受信が完了するまでにかかる時間となり、これらの時間中、画面データの送受信にネットワーク130の通信帯域が使用されているため、入力デバイス140の操作データは、KVMスイッチ110に通知できない。
【0058】
図5のシーケンスでは、サーバ120に対して操作データが通知されるタイミングは、点P0(時間t=0[ms])、点P6(時間t=120[ms])、点P12(時間t=240[ms])、点P18(時間t=360[ms])、点P24 (時間t=480[ms])、点P30(時間t=600[ms])、点P36(時間t=720[ms])、点P42(時間t=840[ms])、点P48(時間t=960[ms])の合計9点である。
【0059】
図6は、画像表示領域210上に、サーバ120に対して操作データが通知されるタイミングを示す図である。
【0060】
丸印601〜609が、点P0、点P6、点P12、点P18、点P24、点P30、点P36、点P42、点P48の位置をそれぞれ表している。破線矢印611〜618がサーバ120に通知されるマウスカーソルの軌跡となる。
【0061】
入力デバイス140の操作は、図2で示した点P0〜点P53の円を描く操作であるのに対して、サーバ120に通知される操作は、図6の破線矢印611〜618で示される9角形の状態となる。しかし、図4の破線矢印411〜414の五角形の状態と比較すると、実際の操作状態である円に近い形となっている。
【0062】
次に、KVMスイッチ110がサーバ120からクライアント100に送信するデータ量を制限した場合の画像表示領域210の表示状態について説明する。
【0063】
例えば、KVMスイッチ110がサーバ120からクライアント100に送信するデータ量を画像表示領域210の半分の領域に対応するデータ量に制限した場合、既存の方法では、画像表示領域210のY軸が0〜239の値に対応するラインの画面データが送信され、残りのY軸が240〜480の値に対応するラインの画面データが、後ほど送信される。
【0064】
この場合のシーケンスは、図5と同一となる。サーバ120に対して操作データが通知されるタイミングは図6と同一である。この画面データの送信方法は、KVMスイッチ110がサーバ120からクライアント100に送信する画面データを画像表示領域210のY軸の奇数段目と偶数段目との2回に分けて送信する方法と、モニタ150に表示される画面データが異なる。
【0065】
たとえば、モニタ150で表示される画面データが、図5の時間t<0の時点で、図7のような黒一色の画像であり、図5の時間t=0の時点で、図8のような星の画像に変化させる場合を考える。
【0066】
図8の画面データの送信は、右向き矢印541で、KVMスイッチ110からクライアント100に対してネットワーク130を介して開始される。その後、KVMスイッチ110は右向き矢印551でモニタ150にサーバ120より受信した画像を表示させる。
【0067】
このとき、既存の方法にて、画面データの送信量を画像表示領域210の半分の領域に対応するデータ量に制限した場合、モニタ150は、図9のように、Y軸が240〜480の値に対応する領域が黒一色である画面データを表示する。
【0068】
しかし、KVMスイッチ110がサーバ120からクライアント100に送信する画面データを画像表示領域210のY軸の奇数段目と偶数段目との2回に分けて送信する場合は、図10のように、モニタ150は星の形の画面データを表示する。これにより、ユーザはサーバ120から送信されている画面データが星であることをより正確に認識する。この後、KVMスイッチ110は、先に間引いた、クライアント100に未送信の画面データを、クライアント100に送信し、クライアント100が、先に送信された画面データ及び後に送信された画面データを合わせてモニタ150に表示させると、図8となる。
【0069】
また、図8の画像がモニタ150に表示された後、図11のように、100×100ピクセルの四角101のデータが表示される場合を考える。
【0070】
上述のように、1ピクセルの色がBGR233形式で表される場合、100×100ピクセルの四角領域分のデータ量は10000byte≒9.7kbyteとなる。なお、四角1101が表示されている位置情報などは省く。
【0071】
KVMスイッチ110が、図11の四角1101のデータがストライプとなるように間引いてクライアント100に送信すると、モニタ150の画像表示領域210は図12のような画面データを表示する。
【0072】
ここで、図12の画面データを見ると、画面変更箇所および変更内容(即ち四角1101)が容易に推測できるため、KVMスイッチ110は、間引いた画面データをクライアント100に送信しないようにしてもよい。
【0073】
この時点までの画面データの送信量は、100×100ピクセルの四角領域の半分の領域に相当する5000byte=4.9kbyteである。四角1101の全画面データをクライアント100に送信する場合と比較してクライアント100に送信されるデータ量が約半分ですむことになり、ネットワーク負荷を軽減することが可能である。また、サーバ120からクライアント100に送信される画面データ量を減少させ、クライアント100に接続される入力デバイス140からの操作データを受信する機会を増加させることができる。
【0074】
図13は、図1のサーバクライアントシステム1の詳細な構成図である。
【0075】
KVMスイッチ110は、サーバ120から出力される画像信号(即ちビデオ信号)を受信し、デジタルデータ(即ち画面データ)に変換するビデオ信号入力処理部1311(信号処理手段、検出手段)、画面データや当該画面データに関連する情報(例えば、後述する変化領域のX座標及びY座標の情報、並びに変化領域の水平データ数及び垂直データ数等)を保存する画面データ保存メモリ1312(記憶部)、入力デバイスのデータをサーバ120に送信する入力デバイス処理部1313(送信手段)、画面データ保存メモリ1312に保存された画面データをネットワークに送信可能なデータに変換すると共に受信した操作データを入力デバイスのデータに変換する制御部1314(間引き手段)、間引き後の変化領域の画面データを一時保存すると共に、変化領域の画面データの間引き方法を示す値(即ち、後述する分割率(n)、送信ライン(l)、及び間引き形態(m))や変化領域の画面データの送信で占有されるネットワーク130の許容帯域(bw)を示す値を保存する汎用メモリ1315(保存手段)、クライアント100とネットワーク130を介して変化領域の画面データ及び操作データの通信を行う通信部1316(送受信手段)、及びネットワーク130の許容帯域や変化領域の画面データの間引き形態の設定や変更を行う内部設定変更通信部1317(間引き手段、設定手段)を備えている。
【0076】
汎用メモリ1315は、間引き後の変化領域の画面データを一時保存するための画像送信バッファを備えている。画像送信バッファは、間引き後の変化領域の画面データがクライアント100に送信されると、次に間引いた部分の変化領域のデータを保存する。
【0077】
図13において、汎用メモリ1315に保存された分割率(n)、送信ライン(l)、間引き形態(m)、許容帯域(bw)は、内部設定変更用通信部1317で変更可能であり、さらに、クライアント100からネットワーク130及び通信部1316を介して内部設定変更用通信部1317で変更可能である。
【0078】
制御部1314は、クライアント100へ送信する変化領域の画面データの転送率が、汎用メモリ1315に保存された許容帯域(bw)の値に収まるように、クライアント100へ送信される変化領域の画面データを含むパケットの送信間隔を制御する機能を有する。この場合、例えば、内部設定変更通信部1317は図24に示すテーブルデータを備え、制御部1314は、当該テーブルデータと汎用メモリ1315に保存された許容帯域(bw)の値に応じて、パケットの送信間隔を決定する。図24に示すテーブルデータでは、許容帯域(bw)の値が小さいほど、パケットの送信間隔が大きくなる。
【0079】
この機能によれば、変化領域の画面データの転送に使用されるネットワークの通信帯域が内部設定変更通信部1317で設定された許容帯域の値に制限されるので、従来のように、ネットワークの通信帯域がサーバ120からクライアント100への画像データの送信に全て割かれることがなく、クライアント100に接続される入力デバイス140からの操作データを受信する機会を確保することができる。
【0080】
さらに、制御部1314は、クライアント100へ送信する変化領域の画面データの転送率が汎用メモリ1315に保存された許容帯域(bw)の値に収まるように、汎用メモリ1315に保存された分割率(n)、送信ライン(l)及び間引き形態(m)を自動調整してから、クライアント100へ変化領域の画面データを送信する機能を有する。この場合、例えば、内部設定変更通信部1317は図25に示すテーブルデータを備え、制御部1314は、当該テーブルデータと汎用メモリ1315に保存された許容帯域(bw)の値に応じて、分割率(n)を決定する。図25に示すテーブルデータでは、許容帯域(bw)の値が小さいほど、分割率(n)を大きくして、1パケットあたりの送信データ量を減らす。
【0081】
この機能によれば、変化領域の画面データの転送に使用されるネットワークの通信帯域が内部設定変更通信部1317で設定された許容帯域の値に制限されるので、従来のように、ネットワークの通信帯域がサーバ120からクライアント100への画像データの送信に全て割かれることがなく、クライアント100に接続される入力デバイス140からの操作データを受信する機会を確保することができる。
【0082】
制御部1314の上記2つの機能は、併用可能又は単一で使用可能であり、これらの機能を併用するか又は単一で使用するかは、内部設定変更用通信部1317で設定される又はクライアント100からネットワーク130及び通信部1316を介して内部設定変更用通信部1317で設定される。
【0083】
制御部1314は、ビデオ信号入力処理部1311、画面データ保存メモリ1312、入力デバイス処理部1313、汎用メモリ1315、通信部1316、及び内部設定変更通信部1317に接続されている。内部設定変更通信部1317は汎用メモリ1315に接続され、ビデオ信号入力処理部1311は画面データ保存メモリ1312に接続されている。
【0084】
クライアント100は、入力デバイス140から操作データを受信するクライアント入力デバイス処理部1301、操作データをパケット化するクライアント制御部1302、クライアント100とネットワーク130を介して変化領域の画面データ及び操作データの通信を行うクライアント通信部1303、変化領域の画面データ及び表示中の画面データを合成してモニタ150に出力するクライアント画像出力部1304、及び変化領域の画面データを一時保存するクライアント汎用メモリ1305を備えている。クライアント制御部1302は、クライアント入力デバイス処理部1301、クライアント通信部1303、及びクライアント汎用メモリ1305に接続されており、クライアント画像出力部1304はクライアント汎用メモリ1305に接続されている。
【0085】
図14は、KVMスイッチ110で実行される処理を示すフローチャートである。
【0086】
ビデオ信号入力処理部1311は、サーバ120から出力される画像信号をデジタル信号に変換し、画面データ保存メモリ1312にデジタル化した画像データ(即ち画面データ)を保存する(ステップS1401)。
【0087】
ここで、ビデオ信号入力処理部1311で実行される処理を図15に示す。
【0088】
ビデオ信号入力処理部1311は、サーバ120から出力されるアナログRGBの画像信号を受信し(ステップS1501)、デジタル信号にA/D変換し(ステップS1502)、画面データ保存メモリ1312の画面データ保存領域(pixels[1200][1600])にデジタル化した画面データを保存すると共に画面データの最大水平画素数(W)、最大垂直画素数(H)も合わせて保存する(ステップS1503)。さらに、画面データ保存メモリ1312は、変化領域のX座標(x)、変化領域のY座標(y)、変化領域の水平データ数(w)、及び変化領域の垂直データ数(y)の情報を保存する。
【0089】
ビデオ信号入力処理部1311は、画面データ保存メモリ1312に保存された画面データと異なる画面データを検出した場合、即ち、画面データの変化領域を検出した場合は、画面データ保存メモリ1312に保存された、変化領域のX座標(x)、変化領域のY座標(y)、変化領域の水平データ数(w)、及び変化領域の垂直データ数(y)の情報を更新し(ステップS1504)、ステップS1501に戻る。
【0090】
また、ビデオ信号入力処理部1311は、サーバ120から出力されるアナログRGBの画像信号を受信し、制御部1314から指定された間引きの情報(即ち、汎用メモリ1315に保存された分割率(n)、送信ライン(l)及び間引き形態(m))に基づいて、アナログ画像信号を間引き、間引き後のアナログ画像信号をA/D変換し、画面データ保存メモリ1312の画面データ保存領域(pixels[1200][1600])に画面データとしてのデジタル画像信号を保存してもよい。この場合、制御部1314は、改めて間引き処理を実行せずに、画面データ保存領域に保存された画面データを読み出して、パケット化し、クライアント100に送信することができる。尚、間引いた部分の画面データ、即ち、未だクライアント100に送信されていない画面データは、間引き後の画面データがA/D変換されクライアント100に送信された後に、A/D変換されクライアント100に送信される。
【0091】
図16は、画面データ保存メモリ1312の画面データ(pixels[1200][1600])、最大水平画素数(W)、最大垂直画素数(H)、変化領域のX座標(x)、変化領域のY座標(y)、変化領域の水平データ数(w)、及び変化領域の垂直データ数(h)の関係を示す。
【0092】
図14に戻り、制御部1314は、通信部1316がクライアント100から操作データのパケットを受信しているか否かを判別する(ステップS1402)。尚、操作データのパケットとは、サーバ120を遠隔操作するために、ユーザがクライアント100に接続されている入力デバイス1340を操作した際に、クライアント100からKVMスイッチ110に送信されるパケットのことである。また、このパケットは、クライアント入力デバイス処理部1301が受信した操作データを、クライアント制御部1302がRFBプロトコルなどの一般的なリモートシステムで使用されている既知のプロトコル規約に従いパケット化したものであり、クライアント通信部1303からKVMスイッチ110の通信部1316へ送信されている。
【0093】
ステップS1402でYESの場合には、制御部1314は、通信部1316より操作データのパケットを読み取り、入力デバイスのデータに変換する(ステップS1403)。
【0094】
次いで、制御部1314は、入力デバイスのデータを入力デバイス処理部1313に通知し、入力デバイス処理部1313は入力デバイスのデータをサーバ120へ出力して(ステップS1404)、ステップS1401に戻る。
【0095】
ステップS1402でNOの場合には、制御部1314は、通信部1316がクライアント100から画像データ要求パケットを受信しているか否かを判別する(ステップS1405)。
【0096】
ステップS1405でNOの場合には、ステップS1401に戻る。ステップS1405でYESの場合には、制御部1314は、変化領域の画面データをパケット化し、通信部1316に送信する(ステップS1406)。通信部1316は、パケット化された変化領域の画面データをクライアント100へ送信し(ステップS1407)、ステップS1401に戻る。
【0097】
尚、クライアント100から受信した画像データ要求パケットに、入力デバイス140の状態が含まれている場合、操作データを入力デバイス140のデータに変換する。入力デバイス140の状態とは、入力デバイス140がキーボード及びマウスの場合、キーボードで打鍵されているキーの情報及びマウスのカーソル座標値の情報である。
【0098】
上記ステップS1402で制御部1316が受信する操作データは、入力デバイス140の操作が発生したタイミングで送られてくるため、入力デバイスの操作データに関する帯域は一定ではなく、また、ネットワークの状態如何ではパケットを取りこぼすおそれがある。そこで、入力デバイス140の状態の変化の有無にかかわらず、クライアント100が送信する画像データ要求パケットに、入力デバイス140の状態データを含ませる。これにより、入力デバイス140の操作データの帯域を常に確保することが可能となる。
【0099】
図17は、制御部1314で実行される図14のステップS1406の詳細な処理を示すフローチャートである。
【0100】
制御部1314は、画面データ保存メモリ1312から、変化領域のX座標(x)、変化領域のY座標(y)、変化領域の水平データ数(w)、変化領域の垂直データ数(h)を読み取り、画面データに変化が発生したか否かを判別する(ステップS1701)。
【0101】
ステップS1701でNOの場合、当該判別工程を繰り返す。一方、ステップS1701でYESの場合、制御部1314は、汎用メモリ1315から分割率(n)、送信ライン(l)、間引き形態(m)の情報を取得する(ステップS1702)。これらは、画面データ保存メモリ1312に保存された変化領域の画面データの間引き方法を示す値である。
【0102】
具体的には、間引き形態(m)は、変化領域の画面データの間引きにより生じる模様を示す値である。m=0の場合には、変化領域の画面データの間引きは実行されない。m=1の場合には、変化領域の画面データの間引きにより生じる模様は横縞であり、m=2の場合には、変化領域の画面データの間引きにより生じる模様は横縞であり、m=3の場合には、変化領域の画面データの間引きにより生じる模様は市松模様である。分割率(n)及び送信ライン(l)は、間引き形態(m)で示される模様となるように変化領域の画面データの間引く量を示す値である。
【0103】
制御部1314は、画面データ保存メモリ1312の画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から分割率(n)、送信ライン(l)及び間引き形態(m)に従って読み取った変化領域の画面データを汎用メモリ1315の画面送信バッファ(data[1200*1600])に保存する(ステップS1703)。
【0104】
図18(A)は、間引き形態(m)が「1」で、分割率(n)が「2」で、且つ送信ライン(l)が「0」であるときに、画面データ保存メモリ1312の画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図である。図18(B)は、間引き形態(m)が「1」で、分割率(n)が「2」で、且つ送信ライン(l)が「1」であるときに、画面データ保存メモリ1312の画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図である。
【0105】
図19(A)は間引き形態(m)が「1」で、分割率(n)が「3」で、且つ送信ライン(l)が「0」であるときに、画面データ保存メモリ1312の画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図である。図19(B)は間引き形態(m)が「1」で、分割率(n)が「3」で、且つ送信ライン(l)が「1」であるときに、画面データ保存メモリ1312の画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図である。図19(C)は間引き形態(m)が「1」で、分割率(n)が「3」で、且つ送信ライン(l)が「2」であるときに、画面データ保存メモリ1312の画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図である。
【0106】
図20(A)は間引き形態(m)が「3」で、分割率(n)が「2」で、且つ送信ライン(l)が「0」であるときに、画面データ保存メモリ1312の画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図である。図20(B)は間引き形態(m)が「3」で、分割率(n)が「2」で、且つ送信ライン(l)が「1」であるときに、画面データ保存メモリ1312の画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図である。
【0107】
図21(A)は間引き形態(m)が「2」で、分割率(n)が「2」で、且つ送信ライン(l)が「0」であるときに、画面データ保存メモリ1312の画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図である。図21(B)は間引き形態(m)が「2」で、分割率(n)が「2」で、且つ送信ライン(l)が「1」であるときに、画面データ保存メモリ1312の画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図である。
【0108】
図17に戻り、制御部1314は、画面送信バッファから読み出した変化領域の画面データの送信パケットを作成し、通信部1316へ送信し(ステップS1704)、ステップS1701に戻る。通信部1316は、クライアント100へ変化領域の画面データの送信パケットを送信する。
【0109】
図22は、変化領域の画面データの送信パケットのフォーマットを示す。同図において、エンコードタイプとは、変化領域の画面データの圧縮方式を示すデータである。
【0110】
図23は、クライアント100で実行される処理を示すフローチャートである。
【0111】
まず、クライアント制御部1302は、クライアント通信部1303を介して画面データ要求パケットを送信する(ステップS2301)。次いで、クライアント制御部1302は、クライアント入力デバイス処理部1301が操作データを受信しているか否かを判別する(ステップS2302)。
【0112】
ステップS2302でNOの場合には、後述するステップS2305に進む。ステップS2302でYESの場合は、クライアント制御部1302は、クライアント入力デバイス処理部1301から操作データを受信し、受信した操作データをパケット化する(ステップS2303)。その後、クライアント制御部1302は、パケット化された操作データをクライアント通信部1303を介してKVMスイッチ110に送信する(ステップS2304)。
【0113】
次いで、クライアント制御部1302は、クライアント通信部1303が変化領域の画面データのパケットを受信しているか否かを判別する(ステップS2305)。
【0114】
ステップS2305でNOの場合は、ステップS2302に戻る。一方、ステップS2305でYESの場合は、クライアント制御部1302は、パケット化された変化領域の画面データをデコードし、クライアント汎用メモリ1305に保存する(ステップS2306)。クライアント画像出力部1304は、デコードされた変化領域の画面データと表示中の画面データとを合成し(ステップS2307)、合成された画面データを画像信号としてモニタ150に表示させ(ステップS2308)、ステップS2301に戻る。
【0115】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、ビデオ信号入力処理部1311が、クライアント100のモニタ150で表示される画面データに対応するアナログ画像信号をサーバ120から受信し、A/D変換を実行し、デジタル画像信号を画面データとして画面データ保存メモリ1312に保存し、新たな画像データが画面データ保存メモリ1312に保存される場合に、既に保存されている画面データに対する新たな画面データの変化領域に対応するデータ(即ち、変化領域の画面データ)を検出する。そして、制御部1314が変化領域の画面データを間引き、通信部1316が当該間引き後の変化領域の画面データをクライアント100に送信すると共にクライアント100に接続される入力デバイス140からの操作データを受信する。
【0116】
よって、画面データは変化のあった場合にのみ、サーバ120からクライアント100に送信され、しかも、変化領域の画面データを間引いたデータがサーバ120からクライアント100に送信されるため、サーバ120からクライアント100に送信される画面データ量を減少させることができる。また、サーバ120からクライアント100に送信される画面データ量を減少させることで、クライアント100に接続される入力デバイス140からの操作データのパケットの送信可能な回数が増加する。よって、クライアント100に接続される入力デバイス140からの操作データを受信する機会を増加させることができる。
【0117】
また、内部設定変更通信部1317がクライアント100へのデータ送信に使用されるネットワーク130の許容帯域の値及び変化領域の画面データの間引き方法を設定するので、サーバ120からクライアント100に送信される画面データ量を調整することができる。また、クライアント100に接続される入力デバイス140からの操作データを受信する機会の増減を調整することができる
【0118】
さらに、通信部1316が、内部設定変更通信部1317で設定されたネットワーク130の許容帯域の値以外のネットワーク130の通信帯域を使って、クライアント100に接続される入力デバイス140からの操作データを受信し、入力デバイス処理部1313が操作データをサーバ120に送信するので、クライアント/サーバ間のデータ通信を効率良く行うことができる。
【0119】
また、汎用メモリ1315は、制御部1314が間引いた箇所のデータを一時保存し、通信部1316は、間引き後の変化領域の画面データをクライアント120に送信した後に、一時保存された間引いた箇所のデータをクライアント120に送信するので、変化領域の画面データは全てクライアント100に送信され、モニタ150で表示することができる。
【0120】
さらに、通信部1316は、間引き後の変化領域の画面データと共に、当該画面データのモニタ150における表示位置及び表示サイズを示すデータ(即ち、変化領域のX座標及びY座標の情報、並びに変化領域の水平データ数及び垂直データ数)をクライアント100に送信する。よって、クライアント100は、間引き後の変化領域の画面データを適切な位置及びサイズでモニタ150に表示することができる。
【0121】
本実施の形態では、KVMスイッチ110は、変化領域の画面データを間引いてクライアント100に送信したが、変化領域に限らず、画面データの全体を間引いてクライアント100に送信してもよい。
【0122】
KVMスイッチ110の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムが記録されている記録媒体を、KVMスイッチ110に供給し、制御部1314が記憶媒体に格納されたプログラムを読み出し実行することによっても、上記実施の形態と同様の効果を奏する。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、CD−ROM、DVD、又はSDカードなどがある。
【0123】
また、KVMスイッチ110が、KVMスイッチ110の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムを実行することによっても、上記実施の形態と同様の効果を奏する。
【0124】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の実施の形態にかかるKVMスイッチを含むサーバクライアントシステムの構成図である。
【図2】図1のモニタの表示画面を示す図である。
【図3】図2のマウス操作が実行された場合のサーバクライアントシステムの動作シーケンスを示す図である。
【図4】画像表示領域上に、サーバに対して操作データが通知されるタイミングを示す図である。
【図5】画面データを画像表示領域のY軸の奇数段目と偶数段目との2回に分けて送信する方法で入力デバイスの操作を行った場合のシーケンスを示す図である。
【図6】画像表示領域上に、サーバに対して操作データが通知されるタイミングを示す図である。
【図7】図5の時間t<0の時点の画面データの一例を示す図である。
【図8】図5の時間t=0の時点の画面データの一例を示す図である。
【図9】画面データの送信量を画像表示領域の半分の領域に対応するデータ量に制限した場合に、モニタに表示される画面データの一例を示す図である。
【図10】KVMスイッチがサーバからクライアントに送信する画面データを画像表示領域のY軸の奇数段目と偶数段目との2回に分けて送信する場合に、モニタに表示される画面データの一例を示す図である。
【図11】図8の画像がモニタに表示された後、100×100ピクセルの四角のデータが表示される例を示す図である。
【図12】図11の四角のデータがストライプとなるように間引かれた場合の画面データの一例を示す図である。
【図13】図1のサーバクライアントシステムの詳細な構成図である。
【図14】KVMスイッチで実行される処理を示すフローチャートである。
【図15】ビデオ信号入力処理部で実行される処理を示すフローチャートである。
【図16】画面データ保存メモリの画面データ(pixels[1200][1600])、最大水平画素数(W)、最大垂直画素数(H)、変化領域のX座標(x)、変化領域のY座標(y)、変化領域の水平データ数(w)、及び変化領域の垂直データ数(h)の関係を示す図である。
【図17】制御部で実行される図14のステップS1406の詳細な処理を示すフローチャートである。
【図18】(A)は、間引き形態(m)が「1」で、分割率(n)が「2」で、且つ送信ライン(l)が「0」であるときに、画面データ保存メモリの画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図であり、(B)は、間引き形態(m)が「1」で、分割率(n)が「2」で、且つ送信ライン(l)が「1」であるときに、画面データ保存メモリの画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図である。
【図19】(A)は間引き形態(m)が「1」で、分割率(n)が「3」で、且つ送信ライン(l)が「0」であるときに、画面データ保存メモリの画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図であり、(B)は間引き形態(m)が「1」で、分割率(n)が「3」で、且つ送信ライン(l)が「1」であるときに、画面データ保存メモリの画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図であり、(C)は間引き形態(m)が「1」で、分割率(n)が「3」で、且つ送信ライン(l)が「2」であるときに、画面データ保存メモリの画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図である。
【図20】(A)は間引き形態(m)が「3」で、分割率(n)が「2」で、且つ送信ライン(l)が「0」であるときに、画面データ保存メモリの画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図であり、(B)は間引き形態(m)が「3」で、分割率(n)が「2」で、且つ送信ライン(l)が「1」であるときに、画面データ保存メモリの画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図である。
【図21】(A)は間引き形態(m)が「2」で、分割率(n)が「2」で、且つ送信ライン(l)が「0」であるときに、画面データ保存メモリの画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図であり、(B)は間引き形態(m)が「2」で、分割率(n)が「2」で、且つ送信ライン(l)が「1」であるときに、画面データ保存メモリの画面データ保存領域(pixels[1200][1600])から読み取ったデータ箇所を、ハッチで表示した図である。
【図22】変化領域の画面データの送信パケットのフォーマットを示す図である。
【図23】クライアントで実行される処理を示すフローチャートである。
【図24】パケットの送信間隔を決定するためのテーブルデータの一例を示す図である。
【図25】分割率(n)、送信ライン(l)及び間引き形態(m)を決定するためのテーブルデータの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0126】
100 クライアント
110 KVMスイッチ
120 サーバ
130 ネットワーク
140 入力デバイス
150 モニタ
1301 クライアント入力デバイス処理部
1302 クライアント制御部
1303 クライアント通信部
1304 クライアント画像出力部
1305 クライアント汎用メモリ
1311 ビデオ信号入力処理部
1312 画面データ保存メモリ
1313 入力デバイス処理部
1314 制御部
1315 汎用メモリ
1316 通信部
1317 内部設定変更通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバに接続されると共にネットワークを介してクライアントに接続されるKVMスイッチであって、
前記クライアントの表示装置で表示される画面データに対応するアナログ画像信号を前記サーバから受信し、A/D変換を実行し、デジタル画像信号を画面データとして記憶部に保存する信号処理手段と、
新たな画像データが前記記憶部に保存される場合に、前記記憶部に既に保存されている画面データに対する新たな画面データの変化部分に対応するデータを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された新たな画面データの変化部分に対応するデータを間引く間引き手段と、
当該間引き後の新たな画面データの変化部分に対応するデータを前記クライアントに送信すると共に前記クライアントに接続される入力デバイスからの操作データを受信する送受信手段と
を備えることを特徴とするKVMスイッチ。
【請求項2】
前記間引き手段は、前記クライアントへのデータ送信に使用されるネットワークの許容帯域の値及び前記画面データの変化部分に対応するデータの間引き方法を設定する設定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のKVMスイッチ。
【請求項3】
前記新たな画面データの変化部分に対応するデータの間引き方法は、前記新たな画面データの変化部分に対応するデータの間引き量及び間引きの形態を含むことを特徴とする請求項2に記載のKVMスイッチ。
【請求項4】
前記間引きの形態は、市松模様、縦縞模様、及び横縞模様のいずれか1つであることを特徴とする請求項3に記載のKVMスイッチ。
【請求項5】
前記間引き手段は、前記新たな画面データの変化部分に対応するデータの転送率が前記設定手段で設定されたネットワークの許容帯域の値に収まるように、前記新たな画面データの変化部分に対応するデータの送信間隔を制御することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のKVMスイッチ。
【請求項6】
前記間引き手段は、前記新たな画面データの変化部分に対応するデータの転送率が前記設定手段で設定されたネットワークの許容帯域の値に収まるように、前記新たな画面データの変化部分に対応するデータの間引き方法を制御することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載のKVMスイッチ。
【請求項7】
前記送受信手段は、前記設定手段で設定されたネットワークの許容帯域以外のネットワークの通信帯域を使って、前記クライアントに接続される入力デバイスからの操作データを受信し、当該操作データを前記サーバに送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載のKVMスイッチ。
【請求項8】
前記間引き手段が間引いた箇所のデータを一時保存する保存手段を備え、
前記送受信手段は、前記間引き後の変化部分に対応するデータを前記クライアントに送信した後に、前記保存手段に保存された間引いた箇所のデータを前記クライアントに送信することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のKVMスイッチ。
【請求項9】
前記送受信手段は、前記間引き後の変化部分に対応するデータと共に、当該データの前記表示装置における表示位置及び表示サイズ並びに当該データの間引き形態及び間引き量を示すデータを前記クライアントに送信することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のKVMスイッチ。
【請求項10】
前記信号処理手段は、前記クライアントの表示装置で表示される画面データに対応するアナログ画像信号を前記サーバから受信し、予め指定された間引きの情報に基づいて受信されたアナログ画像信号を間引き、A/D変換を実行し、デジタル画像信号を画面データとして記憶部に保存し、
前記送受信手段は、前記記憶部に保存された画面データを前記クライアントに送信することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のKVMスイッチ。
【請求項11】
サーバに接続されると共にネットワークを介してクライアントに接続されるKVMスイッチの制御方法であって、
前記クライアントの表示装置で表示される画面データに対応するアナログ画像信号を前記サーバから受信し、A/D変換を実行し、デジタル画像信号を画面データとして記憶部に保存する信号処理工程と、
新たな画像データが前記記憶部に保存される場合に、前記記憶部に既に保存されている画面データに対する新たな画面データの変化部分に対応するデータを検出する検出工程と、
前記検出工程により検出された新たな画面データの変化部分に対応するデータを間引く間引き工程と、
当該間引き後の新たな画面データの変化部分に対応するデータを前記クライアントに送信すると共に前記クライアントに接続される入力デバイスからの操作データを受信する送受信工程と
を含むことを特徴とするKVMスイッチの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−53872(P2009−53872A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219074(P2007−219074)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】