説明

LGR6のスプライス変異

本発明は、ロイシンリッチリピート共役レセプター6(LGR6−SV)を含むGタンパク質及びそれをコードする核酸を提供する。本発明は、選択的結合剤、ベクター、宿主細胞、及びLGR6−SVポリペプチドを生産するための方法をも提供する。本発明は更に、LGR6−SVポリペプチドに関連した疾患、病気、及び症状を診断、治療、改善及び/又は予防するための方法にも関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役レセプター6(LGR6−SV)ポリペプチド及びそれをコードする核酸を提供する。本発明は、選択的結合剤、ベクター、宿主細胞、及びLGR6−SVポリペプチドを生産するための方法をも供する。本発明は更に、LGR6−SVポリペプチドに関連した疾患、病気、及び症状を診断、治療、改善及び/又は予防するための方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
Gタンパク質共役レセプター(GPCR)は、ヘテロ三量体Gタンパク質を介し、多くの様々なリガンドのシグナル伝達を介在する7回膜貫通型ドメインタンパク質であり(Strader,C.D.ら(194)Annu.Rev.Biochem.vol.63:pp.101〜132)、Gタンパク質共役レセプター(GPCR)は、Gタンパク質及びエフェクタータンパク質(例えば、細胞内酵素及チャネル)と並んで、モジュラーシグナル伝達系の成分である。
【0003】
リガンドがGPCRの細胞外部分に対して結合すると、様々なGタンパク質が活性化され、それは順番に、様々な細胞内エフェクター酵素及びイオンチャネルの活性を調節する(Gutkind,J.S.(1988)J. Biol.Chem.273:1839〜1842;Selbie;L.A.及びHill,S.J.(1998)Trends Pharmacol.Sci.vol.19:pp.87〜93)。
【0004】
Gタンパク質共役レセプター(GPCR)/7回膜貫通ドメインレセプターの糖タンパク質ホルモンレセプターサブファミリーの多くは、比較的巨大(330超のアミノ酸)なリガンド結合型N末端細胞外ドメイン(独特のロイシンリッチなリピート構造を含む)を特徴とする(Dufau,1998,Annu.Rev.Physiol.vol.60:pp.461〜96)。このサブファミリーのメンバーなかでも、甲状腺刺激ホルモン(TSH)レセプター、濾胞刺激ホルモン(FSH)レセプター、及び黄体形成ホルモン(LH)/絨毛性ゴナドトロピン(CG)レセプターが挙げられる。
【0005】
最近、糖タンパク質ホルモンレセプターサブファミリーに対して有意なホモロジーを有する多くのオーファンGPCRのメンバーが記載されている。これら新規メンバーとしては、ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役レセプター(LGR)4(Hsuら,1998,Mol.Endocrinol.vol.12:pp.1830〜45;PCT刊行物No.WO99115545)、LGR5(McDonaldら, 1998, Biochem. Biophys. Res. Commun. vol.247: pp.266〜70; Hsuら, 1998, Mol. Endocrinol. vol.12: pp.1830〜45 ; PCT刊行物No. WO 99/15660)、LGR6 (欧州特許出願. No. EP 0 950 711 A2)、LGR7 (PCT刊行物No. WO 99/48921; Hsuら, 2000, Mol.Endocrinol.vol.14: pp.1257〜71) 及びLGR8 (Hsuら, 2002, Science vol.295: pp.671〜4)が挙げられる。
【0006】
糖タンパク質ホルモンレセプターサブファミリーのN末端細胞外ドメインは、膜貫通ドメイン及び細胞質C末端領域の両方の不在下でリガンド結合能力を維持する。実際に、LH、FSH、及びTSHレセプターのN末端細胞外ドメインは、組換えにより発現させた場合、LH、FSH又はTSHが誘導したシグナル伝達を選択的に無効にすることが示されている(Osugaら, 1997, Mol. Endocrinol. vol.11: pp.1659〜68)。換言すれば、この溶解性細胞外ドメインは、細胞外ドメインが導かれたシグナル伝達経路の機能的アンタゴニストとして働くことが示されている。
【0007】
ホルモン及びレセプターは様々な生理的プロセスにおいて重要な役割を果たすので、新規レセプター及びそれらのリガンド、並びにそれらをコードする遺伝子を同定することにおける絶え間ない注目がある。
【0008】
GPCRはいくつかの系、例えば、内分泌系、中枢神経系及び末梢の生理プロセスに対して非常に重要である。
【0009】
進化解析により、これらのタンパク質の先祖は本来、複合体計画及び神経系計画と共に発展したことが示唆されている。GPCR遺伝子及び遺伝子産物は疾患の有力な原因因子であると考えられる(Spiegelら.(1993) J Clin. Invest. vol.92: pp.1119〜1125); McKusick 及び Amberger (1993) J. Med. Genet. vol.30: pp.1〜26)。
【0010】
例えば、ロドプシン遺伝子及びV2バソプレッシンレセプター遺伝子における特異的な欠陥は、様々な形態の常染色体優性網膜色素変性及び常染色体劣性網膜色素変性(Nathansら. (1992) Annual Rev. Genet. vol.26: pp.403〜424)、並びに腎性尿崩症を生じることが示されている(Holtzmanら.(1993) Hum. Mol.Genet.vol.2:pp.1201〜1204)。
【0011】
GPCRの重要な生物学的な役割及び特性を考えれば、かかるタンパク質をコードする新規遺伝子を同定すること並びに様々な正常の細胞プロセス及び/又は生理的細胞プロセスを調節することにおいて使用するためのかかる分子のモジュレーターの発見をすることに関する要請がある。
【0012】
注目の参照関連文献としては:El Tayar, N, "Advances in the Molecular Understanding of Gonadotropins-Receptors Interactions,"Mol. Cell. Endocrinol.(December 20,1996), vol.125: pp.65〜70; Bhowmickら,"Determination of Residues Important in Hormone Binding to the Extracellular Domain of the LuteinizingHormone/Chorionic Gonadotropin Receptor by Site-Directed Mutagenesis and Modeling,"Mol. Endocrinol.(September 1996) vol.10: pp.1147〜1159; Thomasら,"Mutational Analyses of the Extracellular Domain of the Full-LengthLutropin/Choriogonadotropin Receptor Suggest Leucine-Rich Repeats1-6 are Involved in Hormone Binding,"Mol. Endocrinol. (June 1996)vol.10: pp.760〜768; SegaloffとAscoli,"The Gonadotropin Receptors: Insights from the I Cloning of their cDNAs, "Oxf. Rev. Reprod. Biol. (1992) vol.14: pp.141〜168; Braunら,"Amino-Terminal Leucine-Rich Repeats in Gonadotropin Receptors Determine Hormone Selectivity, "EMBO J (July 1991) vol.10: pp.1885〜1890; andSegaloffら,"Structure of the Lutropin/Choriogonadotropin Receptor, "Recent Prog. Horm. Res. (1990) vol.46:pp.261〜301が挙げられる。
【発明の開示】
【0013】
発明の概要
本発明は、2つの新規且つ個別のLGR6代替スプライシング変異体に、詳細にはLGR6.1及びLGR6.2 (本明細書中、以降まとめて「LGR6−SV」とよぶ)に関連する。LGR6コーディング配列は、巨大なN末端ロイシンリッチリピート含有細胞外ドメイン、7個の予測された膜貫通ドメイン、及び細胞質C末端領域をコードする18個以上のエキソンからなる。このLGR6.1コーディング配列は、LGR6.1コーディング配列が1つの新規リーダーペプチドをコードする新規エキソン及び2つの内部エキソンを含んで成ることを除けば、LGR6コーディング配列と同一である。このLGR6.2コーディング配列は、LGR6.1中に存在する同エキソンに加えてストップコドンを誘導する更なる(extended)エキソンからなり、LGR6.1コーディング配列のトランケーションをもたされ膜貫通ドメイン及び細胞質C末端領域を欠くをもたらされる。従って、LGR6.2は、LGR6.1の分泌された、N−末端細胞外ドメイン版であり、そしてLGR6.1シグナル伝達経路のアンタゴニストとして働くようだ。LGR6.2は、N−末端細胞外ドメインのC−末端付近で、更なる22個のアミノ酸及びストップコドンの導入をもたらすスプライシングアクセプター部位を択一的に使用することよって、トランケーションされている。
【0014】
本発明は、
(a) 配列番号:1又は配列番号:3のいずれかにおいて開示されたヌクレオチド配列;
(b) 配列番号:2又は配列番号:4のいずれかにおいて開示されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(c) ストリンジェント条件下で、
●(a)又は(b);又は
●配列番号:1又は配列番号:3のヌクレオチド配列1〜102;又は
●配列番号:1もしくは配列番号:3のヌクレオチド配列319〜606;
●配列番号:3のヌクレオチド配列1027〜1201、
からなる群から選択されたヌクレオチド配列を含んで成る単離された核酸分子を提供する。
【0015】
本発明は、本明細書中に開示されている単離された核酸分子を含んで成る発現ベクター、本明細書中に開示されている組換え核酸分子を含んで成る組換え宿主細胞、及び宿主細胞を培養することを含んで成るLGR6−SVポリペプチドを生産する(そして任意にその様にして生産したポリペプチドを単離することを含んで成る)方法に関連する。
【0016】
LGR6−SVポリペプチドをコードする核酸分子を含んで成るトランスジェニック非ヒト動物も本発明によって包含されている。LGR6−SV核酸分子は、LGR6−SVポリペプチドの発現を可能にし且つ量を増やすような方法(それは循環量を増やすことも含みうる)で、動物中へと導入されている。代わりに、LGR6−SV核酸分子は、内因性LGR6−SVポリペプチドの発現を妨げるような方法(即ち、LGR6−SVポリペプチド遺伝子を有するトランスジェニック動物を生じさせるような方法(ノックアウト)で動物中に導入されている。
【0017】
トランスジェニック非ヒト動物は好適に、哺乳動物であり、そして一層好適にはげっ歯類の例えば、ラット又はマウスである。
【0018】
本発明のLGR6−SVポリペプチドの誘導体が提供されており、それは配列番号:2又は配列番号:4のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドを含む。
【0019】
更に、本発明のLGR6−SVポリペプチドを特異的に結合することができる選択的結合剤の、抗体及びペプチドなどが提供されている。かかる抗体及びペプチドはアゴニスト又はアンタゴニストでありうる。
【0020】
本発明の核酸、ポリペプチド、もしくは選択的結合剤及び1もしくは複数の医薬的に許容できる製剤を含んで成る医薬組成物も本発明によって包含されている。この医薬組成物は、治療上有効な量の本発明のヌクレオチド又はポリペプチドを提供するために使用されている。本発明はまた、このポリペプチド、核酸分子及び選択的結合因子を使用する方法にも向けられている。
【0021】
本発明のLGR6−SVポリペプチド及び核酸分子は、疾患及び病気、例えば本明細書中に引用されたものなどを予防、改善及び/又は及び検出するために使用されて良い。
【0022】
本発明は、LGR6−SVポリペプチドに対して結合する試験分子を同定するために試験分子をアッセイするための方法をも提供する。この方法は、当該試験分子が当該ポリペプチドに対して結合する程度を特定するために、LGR6−SVポリペプチドと試験分子を接触させることを含んで成る。本方法は更に、かかる試験分子がLGR6−SVポリペプチドのアゴニストであるかるかあるいはアンタゴニストであるかどうかを特定することも更に含んで成る。本発明は更に、分子がLGR6−SVポリペプチドの発現に対して又はLGR6−SVポリペプチドの活性に対して及ぼす影響を試験する方法をも供する。
【0023】
LGR6−SVポリペプチドの発現を調節する方法及びの量をモジュレートする方法(即ち、増加又は減少させること)も本発明によって包含されている。1つの方法は、動物に対して、LGR6−SVポリペプチドをコードする核酸分子を投与することをも含んで成る。他の方法において、LGR6−SVポリペプチドの発現を調節又はモジュレートするエレメントを含んで成る核酸分も投与されて良い。これらの方法の例は、遺伝子療法、細胞療法、及び本明細書中更に記載されているアンチセンス療法が含まれる。
【0024】
LGR6−SVポリペプチドは更にそれらのリガンドを同定するために使用されて良い。「発現クローニング」の様々な形態がレセプターのためのリガンドをクローニングするために使用されている(例えば,Davisら, 1996, Cell,vol.87:pp.1161〜69を参照のこと)。これら及び他のLGR6−SVリガンドクローニング実験が本明細書中、更に詳細に記載されている。1又は複数のLGR6−SVリガンドの単離により、LGR6−SVシグナル伝達経路の新規アゴニスト又はアンタゴニストを同定又は開発することが可能になる。かかるアゴニスト及びアンタゴニストとしては、1又は複数のLGR6−SVリガンド、抗LGR6−SVリガンド抗体及びそれらの誘導体、小分子、又はアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられ、その全ては、本明細書中に引用された、1又は複数の疾患又は病気を有効に治療するために使用されて良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
発明の詳細な説明
本明細書中に記載のこの節の見出しは、創作的目的のためのみであり、そして記載事項を限定する目的はない。本願に引用されている全ての参考文献は、本明細書中、参照によって組み込まれている。
【0026】
LGR6.1は、N−末端細胞外ドメイン、多数の膜貫通ドメイン、及びC末端細胞質ドメインを有する膜結合型ポリペプチドであることが理解されるだろう。従って、LGR6.1は、アゴニスト又はアンタゴニスト分子の例えば、限定されないが、抗体、融合ポリペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)、又は小分子量有機分子のための標的として有用でありうる。
【0027】
更に、LGR6.1及びLGR6.2のN末端細胞外ドメインはLGR6シグナル伝達経路のアンタゴニストとして使用されて良いことも理解されるだろうし、ここで例えば、N末端細胞外ドメインは抗体のFc部分に対して融合している。
【0028】
LGR6.2は、LGR6.1のN−末端細胞外ドメインから分泌されていることも理解されるだろう。これに関して、LGR6.2は、1又は複数のLGR6リガンドのアンタゴニストとして働きうる。LGR6.2は、アンタゴニスト分子及びアゴニスト分子、例えば、限定されないが、抗体、融合ポリペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)、又は小分子量有機オリゴヌクレオチドのための標的として使用されても良い。例えば、LGR6.2に対して特異的なアンタゴニストは、LGR6.2のアンタゴニスト活性を阻害し、それによって1又は複数のLGR6リガンドの活性を増強する及び/又はLGR6レセプターを介してのシグナル伝達を増強するだろう。反対に、LGR6.1に対して特異的なアゴニストは、LGR6.2のアンタゴニスト活性を増強し、それにより、1又は複数のLGR6リガンドの活性を低下させる及び/又はLGR6レセプターを介するシグナル伝達を低下させるだろう。
【0029】
定義
用語「LGR6−SV遺伝子」もしくは「LGR6−SV核酸分子」もしくは「LGR6−SVポリヌクレオチド」とは:
(a)配列番号:1又は配列番号:3のいずれかにおいて開示されたヌクレオチド配列;
(b)配列番号:2、配列番号:4のいずれかにおいて開示されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(c)穏和なストリンジェント条件下で:
●(a) もしくは (b);又は
●配列番号:1もしくは配列番号:3のヌクレオチド配列1〜102;又は、
●配列番号:1もしくは配列番号:3のヌクレオチド配列319〜606;又は
●配列番号:3のヌクレオチド配列1027〜1201、
とハイブリダイズするヌクレオチド配列、
からなる群から選択されたヌクレオチド配列を含んで成る単離された核酸分子を意味する。
【0030】
用語「単離された核酸分子」とは、本発明の核酸分子を意味し、それは、(1)全長核酸が、その源である細胞から単離された場合に、天然おいて発見される約50%以上のタンパク質、脂質、炭水化物又は他の物質から分離されている、(2)天然において「単離された核酸分子」が結合しているポリヌクレオチドの全部又は一部に対して結合していない、(3)天然においてポリヌクレオチドに対して作用可能式に連結していない、又は(4)天然においてより大きなポリヌクレオチド配列の一部として生じることはない。好適に、本発明の単離された核酸分子は実質上、任意の他の汚染性の1または複数の核酸分子又は天然環境中で発見され、それをポリペプチドの生産又は治療、診断、予防もしくは調査のために使用することと干渉をするだろう汚染物質を何ら含まない。
【0031】
用語「核酸配列」もしくは「核酸分子」とはDNAもしくはRNA配列を意味する。この用語は、DNA及びRNAの公知の塩基類似物から形成された分子を含有し、それは例えば、限定されないが、4−アセチルシトシン,8−ヒドロキシ−N6−メチルアデノシン、アジリジニルシトシン、シュードシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチリル)ウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシ−メチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6−イソ−ペンテニルアデニン、1−メチルアデニン、1−メチルシュードウラシル、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチル−グアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルケオシン、5’−メトキシカルボニル−メチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、オキシブトキソシン、シュードウラシル、ケオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、Nウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、シュードウラシル、ケオシン、2−チオシトシン、及び2,6−ジアミノプリンが挙げられる。
【0032】
本発明は、LGR6−SV又はその断片をコードするDNA配列とハイブリダイズする組み換えDNA分子にも関する。この遺伝子は、天然のイントロンを含んでも含まなくても良く、そして例えば、適切な細胞から抽出によって獲得して公知の方法により精製されて良い。
【0033】
ヒトのゲノムDNAなど適切なDNAの調製物は、適切な方法、好適には制限酵素で切断されて良く、そしてそのようにして獲得した断片は、DNAライブラリーを形成するために適切な組換えベクター中に導入されて良い。かかるベクターは、本発明のLGR6−SVをコードする配列を同定するために合成オリゴヌクレオチドプローブにより選択されて良い。
【0034】
他方、対応するmRNAはLGR6−SVを発現する細胞から単離され、そして公知の方法により相補的DNA(cDNA)を調製するために使用されて良い。このcDNAは、2重らせんに転換された後、適切な状態になった宿主細胞を形質転換するためにその後使用されて良い適切なベクター中へと導入されて良い。
【0035】
次いで、生じる培養物は、標的配列をコードするcDNAを獲得するために適切なプローブで選択される。
【0036】
求められているクローンが一度単離されれば、cDNAはゲノムDNAと本質的に同じ方法で操作されて良い。cDNAはイントロンを含まない。
【0037】
遺伝コードの縮重により、様々なコドンが、特異的なアミノ酸をコードするために使用されて良く、従って、各々がLGR6−SVの断片をコードできる1又は複数のオリゴヌクレオチドが生産されて良い。しかし、このプールの1つのメンバーだけが遺伝子と同一のヌクレオチド配列を有する。それがプール中に存在すること及びプールの他のメンバーの存在下でもDNAとハイブリダイズするその能力により、標的ペプチドをコードする遺伝子をクローニングするために使用されて良い単一のオリゴヌクレオチドの場合と同じ方法で、断片化されていないオリゴヌクレオチドの群を使用することが可能になる。
【0038】
代わりに、LGR6−SVの遺伝子断片を理論上最もコードできる可能性のある配列を含有する単一のオリゴヌクレオチドによりLGR6−SV又はその断片をコードするcDNAの同定が可能になる("rules for the use of codons"in Lathe Rら. J. Molec. Biol.vol.183:pp.1〜12 (1985)の記載に従えば)。
【0039】
核酸をハイブリダイズさせるための方法は、公知であり且つ例えば、Maniatis Tら, Molecular Cloning : A laboratory manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY, 1982) and in Haymes B. T.ら. Nucleic Acid Hybridization: A practical approach, IRL Press, Oxford, England, (1985)に記載されている。前記プローブ又はヌクレオチドプローブの集団を使用してハイブリダイゼーションさせることで、ゲノム又はcDNA遺伝子ライブラリー中で、かかるハイブリダイゼーションをできるDNA配列を同定することが可能であり、それらはその後それらが、本発明のポリペプチドをコードすることを確かめるために分析される。かかる相補的配列を含むオリゴヌクレオチドは、合成されて良くそして本発明のポリペプチドの遺伝子を同定及び単離するためにプローブとして使用されて良い(Maniatis T.ら,ibid.)。上記方法を使用することで、LGR6−SVに対して特異的な適切なオリゴヌクレオチドが選択されれば、それを合成してDNAとハイブリダイズさせることが可能であり、又は好適に要求された遺伝子を発現できる細胞(例えば、要求された遺伝子を大量に生産する細胞からRNAを抽出すること及び逆転写酵素を使用することでRNAを対応するcDNAへと転換することによって、cDNAの源を要求された配列で富ませた後に)に由来するcDNAとハイブリダイズさせることが可能である。
【0040】
代わりに、LGR6−SVに対して特異的な適切なオリゴヌクレオチドが合成されそしてRACE−PCR(M. A. Innisら, PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications, Academic Press, 1990)によってLGR6−SVcDNA断片を増幅するためのプライマーとして使用されて良い。
【0041】
用語「実質上精製されている」とは、分子、核酸又はアミノ酸配列のいずれかが天然環境から取り出され、単離され又は分離され、そして天然において結合している他の成分を60%以上、好適には75%以上、そして最も好適には90%以上含まないことを意味する。
【0042】
用語「ハイブリダイゼーション」とは、本明細書中で使用された場合、核酸の鎖が、相補的な鎖と塩基対形成を介して結合することを意味する(Coombs J, 1994, Dictionary of Biotechnology, Stokton Press, New York NY)。「増幅」とは、本明細書中、核酸配列の更なるコピーを生産することとして規定されており、そしてそれは一般に当業者に周知のポリメラーゼ連鎖反応 (Dieffenbach and Dveksler, 1995, PCR Primer, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press,Plainview NY) を使用することで行われている。
【0043】
「ストリンジェンシー」とは、典型的に約Tm−5℃(プローブが融解する温度の5℃下)〜Tmの下約20℃〜25℃の範囲で生じる。用語「ストリンジェント条件」とは、ハイブリダイゼーション及びその後の洗浄条件を意味し、それは当業者は通常「ストリンジェント」とよぶ。Ausubel etal., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publications andWiley Interscience, New York, NY, pp.1987〜1995; Sambrookら, Molecular Cloning : A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 1989を参照のこと。
【0044】
本明細書中で使用された場合、ストリンジェント条件は、ハイブリダイゼーション実験において使用される温度、ハイブリダイゼーション溶液中での一価陽イオンのモル濃度及びホルムアミドの%の関数である。任意の与えられた条件の組に関わるストリンジェントの条件を決定するために、当業者は最初、DNA−DNAハイブリッドの融解温度Tmとして表される100%同一性ハイブリッドの安定性を決定するためにMeinkothら(1984)の等式:
Tm=81.5 C+16.6(LogM)+0.41(% GC)−0.61(%形成)−500/L
(式中、Mは一価陽イオンの分子量であり、% GCはDNA中のG及びCヌクレオチドの%であり、%形成は、ハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドの%であり、そしてLはハイブリッドの長さ(bp)である)
を使用する。各1℃(Tmは100%同一性ハイブリッドについて計算したものから下がっている)について許容されるミスマッチの量は、約1%ごとに増えている。従って、所定の塩濃度及びホルムアミド濃度での任意のハイブリダイゼーション実験のために使用されたTmが、Meinkothの方程式に従い100%ハイブリッドについて計算されたTmよりも10℃低ければ、ハイブリダイゼーションは、たとえ最大約10%ミスマッチがあったとしても生じるだろう。
【0045】
本明細書中で使用した場合、「高ストリンジェント条件」とは、上記式によって計算した場合かあるいは実際に測定したいずれかの場合、標的配列を伴う完全な二重体のために存在するだろうTmよりも10℃以上低いTmを供するものを意味する。「適度なストリンジェント条件」とは、上記式によって計算した場合かあるいは実際に測定したいずれかの場合、標的配列を伴う完全な二重体のために存在するTmよりも20℃以上低いTmを供するものである。限定を伴わず、高ストリンジェント(ハイブリッドの計算又は測定したTmより5〜10℃低い)及び穏和なストリンジェント(ハイブリッドの計算又は測定したTmよりも15〜20℃低い)条件には、ハイブリッドの計算されたTmよりも低い適切な温度で、2 X SSC (標準クエン酸塩類溶液)及び0.5% SDS (ドデシル硫酸ナトリウム)の洗浄溶液を使用する。この条件の最終的なストリンジェンシーは主に、使用されたハイブリダイゼーション条件が、安定したハイブリットに伴って安定性が少ないハイブリッドを形成を可能にするものであれば洗浄条件が理由である。次いで、より高いストリンジェントでの洗浄条件により安定性が少ないハイブリッドが取り除かれる。上記の高ストリンジェント〜穏和なストリンジェント洗浄条件で使用されて良い共通のハイブリダイゼーション条件は、6 X SSC (又は6 X SSPE (標準リン酸塩類−EDTA))、5 X Denhardt試薬、0.5% SDS、100μg及び;g/mlの変性、断片化したサケ精子DNAの溶液をTmよりおよそ20〜25℃低い温度で使用できうるハイブリダイゼーション条件である。もし混合プローブが使用されていれば、SSC(Ausubel, 1987,1999)の代わりにテトラメチルアンモニウムクロリド(TMAC)が使用されることが好適である。
【0046】
用語「ベクター」とは、コード情報を宿主細胞に対して輸送するために使用される全ての分子(例えば、核酸、プラスミド、又はウィルス)を意味するために使用されている。
【0047】
用語「発現ベクター」とは、宿主細胞の形質転換のために適しており且つ挿入された異種核酸配列の発現を指示する及び/又は調節する核酸配列を含むベクターを意味する。発現とは、限定はされないが、例えば、転写、翻訳、及び、もしイントロンが存在すればRNAのスプライシングを含む。
【0048】
用語「作用可能式に結合」とは本明細書中で使用された場合、そのような記載をされたフランキング配列が、それらの通常の機能を果たすように配置又は集成されたフランキング配列のアライメントを意味する。従って、コーディング配列に対して作用可能式に結合したフランキング配列は、コード配列の複製、転写及び/又は翻訳を行うことができる。例えば、コード配列は、プロモーターがコード配列の転写を指示できる場合に、当該プロモーターに対して作用可能式に結合している。フランキング配列は、それが正確に機能する限りコード配列と隣接している必要はない。従って、例えば、介在する未だ翻訳されていない転写された配列がプロモーター配列とコード配列の間に存在して良く、そしてプロモーター配列はなおもコーディング配列に対して「作用可能式に連結」してると考えられて良い。
【0049】
用語「宿主細胞」とは、形質転換されている細胞を意味するために使用されており、又は核酸配列で形質転換させ、次いで注目の選定の遺伝子を発現させることができる細胞を意味する。この用語には、子孫が形態学的に同一であるかどうかあるいは遺伝子構造が元来の親に対して同一であるかどうかを問わず、選定の遺伝子が存在する限り、親細胞の子孫が含まれる。
【0050】
用語「LGR6−SVポリペプチド」とは、配列番号:2及び配列番号:4のいずれかのアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドを意味する。
【0051】
用語「天然に生じる」又は「天然」とは、生物物質の例えば、核酸分子、ポリペプチド、宿主細胞などと共に使用された場合、天然において発見される物質をいい、そして人間によって操作されていな物質を意味する。類似して、「天然に生じない」又は「非天然」とは、本明細書中で使用された場合、天然では発見されておらず、そして人間によって構造的な修飾をされているかあるいは合成された物質を意味する。
【0052】
用語「有効な量」及び「治療上有効な量」とはそれぞれ、本明細書中に開示されているように、LGR6−SVポリペプチドの1又は複数の確認できるレベルでの生物活性を支持するために使用される所定量のLGR6−SVポリペプチド又はLGR6−SV核酸分子を意味する。
【0053】
用語「医薬的に許容できる担体」又は「生理学的に許容できる担体」とは、本明細書中で使用された場合、LGR6−SVポリペプチド、LGR6−SV核酸分子、又は医薬組成物としてのLGR6−SV選択的結合剤のデリバリーを達成するかあるいは増強するために適した1又は複数の製剤物質を意味する。
【0054】
用語「抗原」とは、選択的結合剤の、例えば、抗体などによって結合でき、そして更に、抗原のエピトープに対して結合することができる抗体を生産するために動物中で使用できる分子もしくは分子の一部を意味する。抗原は1又は複数のエピトープを有しうる。
【0055】
用語「選択的結合剤」とは、LGR6−SVポリペプチドに対して特異性を有する1又は複数の分子を意味する。本明細書中で使用された場合、用語「特異的」及び「特異性」とは、ヒトLGR6−SVポリペプチドに対して結合してヒト非LGR6−SVポリペプチドに対して結合しない選択的結合剤の能力を意味する。しかし、選択的結合剤は、配列番号:2及び配列番号:4のいずれかにおいて開示されたようなポリペプチドのオーソロガス遺伝子をも結合しうることが理解されるだろう。
【0056】
核酸分子
LGR6−SVポリペプチドのアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコードする核酸分子は、様々な方法において容易に獲得されて良いが、その方法とは例えば、限定されないが、化学合成、cDNA又はゲノムライブラリースクリーニング、発現ライブラリースクリーニング、及び/cDNAのPCR増幅が挙げられる。
【0057】
本明細書中で使用されている組換えDNA法は一般に、Sambrookら, Molecular Cloning : A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989) 及び/又はCurrent Protocols in Molecular Biology (Ausubelら著, Green Publishers Inc. and Wiley and Sons 1994)に記載されている。本発明は、本明細書中に記載の核酸分子及びかかる分子をかくとくするための方法を供する。
【0058】
LGR6−SVポリペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子がある種から同定されている場合、その遺伝子の全部又は一部が、同種からオーソログ遺伝子又は関連遺伝子を同定するためにプローブとして使用されて良い。このプローブ又はプライマーは、cDNAライブラリーを、LGR6−SVポリペプチドを発現すると考えられている様々な組織源からスクリーニングするために使用されて良い。加えて、配列番号:1及び配列番号:3のいずれかで開示されているような配列を有する核酸分子の一部又は全部は、ゲノムライブライブラリーをスクリーニングし、そしてLGR6−SVポリペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子を単離し且つ同定するために使用されて良い。典型的に、穏和な又は高ストリンジェント条件が、スクリーニングのために使用され、このスクリーニングから、誤って多くの陽性遺伝子が獲得されるのを最小にするだろう。
【0059】
LGR6−SVポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸分子は、発現したタンパク質の特性に基づき陽性クローンを検出することを使用する発現クローニングによって同定されて良い。典型的に、核酸ライブラリーは、抗体又は他の結合パートナーを(例えば、レセプター又はリガンド)を、宿主細胞の表層で発現又は呈示されているクローンニングされたタンパク質に対して結合させることによってスクリーニングされている。抗体又は結合パートナーは、所望のクローンを発現する細胞を同定するために、検出可能標識で修飾されている。
【0060】
下で開示されている記載に従い行われる組換え発現技術には、これらのポリヌクレオチドを生産すること及びコードされたポリヌクレオチドを発現させることが続いて良い。例えば、LGR6−SVポリペプチドのアミノ酸配列コードする核酸を、適切なベクター中へと挿入することによって、当業者は多量の所望のヌクレオチド配列を容易に生産することができる。次いで、この配列は、検出プローブ又は検出プライマーを生じさせるために使用されて良い。
【0061】
代わりに、LGR6−SVポリペプチドのアミノ酸配列をコードするポリペプチドが発現ベクター中に組み込まれて良い。発現ベクターを適切な宿主へと挿入することによって、コードされたLGR6−SVポリペプチドが多量に生産されて良い。
【0062】
適切な核酸配列を獲得するための他の方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。この方法において、cDNAは逆転写酵素を使用することでポリ(A)+RNA又は全長RNAから調整されている。次いで、2つのプライマー、典型的に、LGR6−SVポリペプチドのアミノ酸配列をコードするcDNAの2つの個別の領域に対して相補的なプライマーが、Taqポリメラーゼなどのポリメラーゼと共にcDNAに対して加えられ、そして当該ポリメラーゼは2つのプライマーの間のcDNA領域を増幅する。
【0063】
LGR6−SVポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸分子を調製するための他の手段は、Engelsらによって記載された当業者に公知の方法(1989, Angew.C11 em. Ind. 第28版:pp.716〜34)を使用することで化学合成されて良い。これらの方法としては、とりわけ、核酸を合成するためのホスホトリエステル、ホスホラミデート及びH−ホスホネート法が挙げられる。かかる化学合成のために好適な方法は、標準的なホスホフォラミデート化学を使用するポリマー支持合成が挙げられる。典型的に、LGR6−SVポリペプチドのアミノ酸配列をコードするDNAは、長さが数百ヌクレオチドであろう。約100ヌクレオチドよりも大きい核酸は、これらの方法を使用することでいくつかの断片として合成されて良い。次いで、断片は、LGR6−SV遺伝子の完全長ヌクレオチド配列を形成するために一緒にライゲーションされて良い。通常、ポリペプチドのアミノ末端をコードするDNA断片はATGを有するだろうし、それはメチオニン残基をコードする。このメチオニンは、宿主細胞中で生産されたポリペプチドが当該細胞から分泌されるように設計されているかどうかに依存して、LGR6−SVポリペプチドの成熟形態上にとして存在してもしなくても良い。当業者に公知の他の方法もまた使用されて良い。
【0064】
所定の実施態様において、核酸変異体は、ある宿主細胞中でのLGR6−SVポリペプチドの最適な発現のために変化しているコドンを含む。特定のコドン変化は、LGR6−SVポリペプチド及び発現のために選択された宿主細胞に依存するだろう。かかる「コドン最適化」は、様々な方法、例えば、3c)宿主細胞中で非常に良く発現する遺伝子において使用するための好適であるコドンを選択することによって行われて良い。コンピューターアルゴリズム(コドン頻度表の例えば、「Eco-high. Cod」を、非常に良く発現した好適な細菌遺伝子のコドンのために内蔵する)は使用されて良く、そしてUniversity of Wisconsin Package Version 9.0 (Genetics Computer Group, Madison, W1)によって提供されている。他の有用なコドン頻度表としては「C. elegans-high. cod」、「C.elegans-low. cod」、「Drosophila-high. cod」、「 Human-hig h. cod..... Maize-high.cod」及び「Yeast-high. cod」が挙げられる。
【0065】
いくつかの場合、LGR6−SVポリペプチド変異体をコードする核酸分子を調製することが望ましい。変異体をコードする核酸分子は、部位特異的突然変異誘発、PCR増幅、又は他の適切な方法(ここで1又は複数のプライマーが所望の点変異を有する)を使用することで生産されて良い(突然変異誘発技術に関して、上記Sambrookら,及び上記Ausubelらを参照のこと)。上記Engelsらによって記載された方法を使用する化学合成もかかる変異体を調製するために使用されて良い。当業者に公知の他の方法もまた使用されて良い。
【0066】
ベクター及び宿主細胞
LGR6−SVポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸分子は、標準的なライゲーション技術を使用することで適切な発現ベクター中へと挿入されている。ベクターは典型的に使用される特定の宿主細胞中で機能を有するように選択されている(即ち、ベクターは宿主細胞と機械的に適合しており、従って遺伝子の増幅及び/又は遺伝子の発現が生じる)。LGR6−SVポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸分子は、原核生物、酵母、昆虫(バキュロウィルス系)及び/又は真核宿主胞中で増幅/発現させられて良い。宿主細胞の選択は、ある程度、LGR6−SVポリペプチドが転写後に修飾される(例えば、グリコシル化される及び/又はホスホリン酸化される)かどうかに依存するだろう。もしそうであれば、酵母、昆虫、哺乳類宿主細胞が好適である。発現ベクターに関しては、Meth. Enz.,vol.185(D. V. Goeddel著, Academic Press 1990)を参照のこと。
【0067】
典型的に、全ての宿主細胞中で使用される発現ベクターはプラスミドを維持するため及び外因性ヌクレオチド配列のクローニング及び発現のための配列を含むだろう。かかる配列は、所定の実施態様において、「フランキング配列」とよばれおり、1又は複数の次のようなヌクレオチド配列: プロモーター、1又は複数のエンハンサー配列、複製の開始点、転写終結配列、ドナー及びアクセプタースプライス部位を含む完全イントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるべきポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、及び選択的マーカーエレメントを含むだろう。これらの各々の配列は下で論じられている。
【0068】
任意に、ベクターは「標識」コーディング配列、即ち、LGR6−SVポリペプチドコーディング配列の5’又は3’末端に位置するオリゴヌクレオチド分子;ポリHis(例えばヘキサHis)をコードするオリゴヌクレオチド配列、又は他の「標識」の例えば、FLAG、HA (ヘメグルニチンインフルエンザウィルス)、又はmye(これについては市販されて入手可能な抗体が存在する)を含んで良い。この標識は、典型的に、ポリペプチドの発現により、当該ポリペプチドに対して融合され、そしてLGR6−SVポリペプチドを宿主細胞からアフィニティー精製するための手段として働く。アフィニティー精製は、例えば、アフィニティーマトリクスとして標識に対する抗体を使用することで、カラムクロマトグラフィーによって達成されて良い。任意に、標識は次いで、様々な手段、例えば、解裂のための所定のペプチダーゼを使用するなど様々な手段によって、その後、精製されるLGR6−SVポリペプチドから取り除かれて良い。
【0069】
フランキング配列は、相同的(即ち、宿主細胞と同種及び/又は同系統)、異種(即ち、宿主細胞種以外の種又は系統に由来する)、ハイブリッド(即ち、1超の源に由来するフランキング配列の組み合わせ)、もしくは合成であるかあるいはフランキング配列は、LGR6−SVポリペプチド発現を調節するために正常に機能させる天然配列であって良い。従って、フランキング配列の源は、当該フランキング配列が宿主細胞中で機械的に、機能し、そして活性化されるならば、任意の原核もしくは真核生物、任意の脊椎生物もしくは非脊椎生物、又は任意の植物であって良い。
【0070】
本発明のベクター中で有用であるフランキング配列は、当業界で周知のいくつかの方法によって獲得されて良い。典型的に、本明細書中で有用なフランキング配列(LGR6−SV遺伝子フランキング配列を除く)はマッピングによってそして/又は制限エンドヌクレアーゼ消化によって予め同定されて良く、そして従って、適切な制限エンドヌクレアーゼを使用することで適切な組織源から単離されて良い。多くの場合、フランキング配列の完全ヌクレオチド配列は知られている。ここで、フランキング配列は、核酸合成又はクローニングのために本明細書中で記載された方法を使用することで合成されて良い。
【0071】
フランキング配列の全部又は一部のみが既知である場合、それはPCRを使用することで並びに/又はゲノムライブラリーを適切なオリゴヌクレオチド及び/もしくは同種又は他の種に由来するフランキング配列断片によってスクリーニングすることによって獲得されて良い。
【0072】
フランキング配列が既知では無い場合、フランキング配列を含むDNAの断片は、例えば、コーディング配列又は更に他の1又は複数の遺伝子を含みうるDNAのより大きな部分から単離されて良い。単離は、適切なDNA断片を生産するために制限エンドヌクレアーゼ消化をし、その後、アガロースゲル精製、Qiagenカラムクロマトグラフィー(Chatsworth, CA) 又は当業界で公知の他の方法を使用する単離によって達成されて良い。この目的を達成するための適切な酵素の選択は、当業者に容易に理解されるだろう。
【0073】
複製の開始点は、典型的に、商業的に購入した真核発現ベクターの一部であり、そして当該開始点は、宿主細胞中での増幅を助ける。ベクターを所定のコピー数へと増幅することは、ある場合において、LGR6−SVポリペプチドの最適な発現のために重要でありうる。もし、選定のベクターが複製の開始部位を含まなければ、当業者は公知の配列に基づいて化学的に合成し、そしてベクターとライゲーションして良い。例えば、プラスミドpBR322に由来する複製の開始点(New England Biolabs,Beverly, MA)は、大部分のグラム陰性細菌のための適しており、そして様々な開始点(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウィルス、水泡性口内炎ウィルス(VSV)、又はパピローマウィルスの例えば、HPV又はBPV)は哺乳類細胞中でベクターをクローニングするために有用である。一般に、複製の開始点の成分は哺乳類発現ベクターのためには必要ではない(例えば、SV40の開始点は往々にして単独で用いられ、その理由は、それが初期プロモーターを含んでいるからだ)。
【0074】
転写終結配列は、典型的にポリペプチドコーディング領域の3’末端に位置し、そして転写を終結させるために働く。通常、原核細胞中、転写終結配列は、G−、C−リッチなフラグメントがあり、ポリT配列が続く。この配列は、ライブラリーから容易にクローニングされるかあるいはベクターの一部として容易に入手可能でさえもある一方で、本明細書中に記載の核酸合成のための方法を使用することで容易に合成されても良い。
【0075】
選択的マーカー遺伝子エレメントは、選択培養培地中で増殖する宿主細胞の生存と増殖のために欠かすことのできないタンパク質をコードする。典型的な選択的マーカー遺伝子はタンパク質をコードしそのタンパク質とは、(a)抗体又は他の毒素の例えば、アンピシリン、テトラサイキリン、又はカナマイシンに対する耐性を原核宿主細胞のために供する;(b)細胞の栄養要求欠損を補完する;又は(c)複合媒体からは利用できない必須栄養素を供給する。好適な選択的マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、及びテトラサイクリン耐性遺伝子である。ネオマイシン耐性遺伝子も、原核宿主細胞及び真核宿主細胞における選択のために使用されて良い。他の選択遺伝子が、発現されるだろう遺伝子を増幅するために使用されて良い。
【0076】
増幅とは、増殖のために重要なタンパク質を生産するためにより要求が大きい遺伝子が、組換え細胞の連続的に発生する染色体内で、直列的に反復されている過程である。哺乳類細胞のための適切な選択的マーカー遺伝子の例としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)及びチミジンキナーゼが挙げられる。哺乳類細胞形質転換体は、選択圧の下に置かれ、ここでは形質転換体のみが、ベクター中に存在する選択遺伝子によって生存するように独自に適合させられている。選択圧は、形質転換した細胞を、培地中の選択剤の濃度が連続して変化し、それによって選択遺伝子及びLGR6−SVポリペプチドをコードするDNAの両方を増幅することにつながる条件の下で培養することによって与えられる。結果として、増加量のLGR6−SVポリペプチドが、増幅したDNAから合成される。
【0077】
リボソーム結合部位は通常、mRNAの転写開始のために必須であり、そしてシャイン・ダルガノ配列(原核細胞)又コザック配列(真核細胞)を特徴とする。このエレメントは典型的に、プロモーターの3’側に位置し、そして発現されるLGR6−SV ポリペプチドのコーディング配列の5’側に位置する。シャイン・ダルガノ配列は多彩であるが、典型的にポリプリンである(即ち、高A−G含有率を有する)。 多くのシャイン・ダルガノ配列が同定されており、その各々は、本明細書中開示されて原核ベクター中で使用された方法を使用することで容易に合成されて良い。
【0078】
リーダー配列、又はシグナル配列は、宿主細胞からLGR6−SVポリペプチドを出す指示をするために使用されて良い。典型的に、シグナル配列をコードするヌクレオチド配列は、LGR6−SV核酸分子のコーディング領域に配置されている、又はLGR6−SVポリペプチドコーディング領域の5’末端に直接配置されている。多くのシグナル配列が同定されており、そして選択された宿主細胞中で機能を有するもの全てがLGR6−SV核酸分子と共に使用されて良い。従って、シグナル配列は相同的(天然に生じる)又はLGR6−SV核酸分子に対して非相同的である。更に、1つの配列が、本明細書中に記載の方法を使用することで化学的に合成されて良い。多くの場合、LGR6−SVポリペプチドの、宿主細胞からの、シグナルペプチドの存在を介する放出は、当該分泌されたLGR6−SVポリペプチドからのシグナルペプチドの除去をもたらすだろう。シグナル配列は、ベクターの成分であって良く、又はベクター中に挿入されているLGR6−SV核酸分子の一部であって良い。
【0079】
本発明の範囲内に含まれているものは、LGR6−SVペプチドコード領域に対して連結された、天然LGR6−SVポリペプチドシグナル配列をコードするヌクレオチド配列又はLGR6−SVポリペプチドコード領域に対して連結された異種シグナル配列をコードするヌクレオチド配列のいずれかの使用である。選択されたこの異種シグナル配列は、認識されプロセッシングされる、即ち、シグナルペプチダーゼによって、宿主細胞によって認識されプロセッシングされるものであるべきだ。天然LGR6−SVポリペプチドシグナル配列を認識及びプロセッシングしない原核宿主細胞に関して、シグナル配列が、例えば、アルカリフォスファターゼ、ペニシリナーゼ、又は熱安定性エンテロトキシン11リーダー配列の群から選択された原核シグナル配列によって置換されている。酵母の分泌に関して、天然LGR6−SVポリペプチドシグナル配列は、酵母インベルターゼ、α因子、酸フォスファターゼリーダー配列によって置換されていて良い。哺乳類細胞発現に関して、天然のシグナル配列で十分であるが、他の哺乳類シグナル配列も適している。
【0080】
いくつかの場合、例えば、グリコシル化が真核宿主細胞発現系において望まれている場合、当業者は様々なプレ配列を操作してグリコシル化又は収率を高めて良い。例えば、当業者は、特定のシグナルペプチドのぺプチダーゼ解裂部位を変化させる、又はグリコシル化にも影響を与えうるプロ配列を加えても良い。最終タンパク生産物は、−1位(成熟タンパク質の第一番目のアミノ酸)において1又は数個の更なるアミノ酸の発生を有しても良く、それは完全に取り除かれなくても良い。例えば、最終タンパク質産物は、アミノ末端に対して結合したぺプチダーゼ解裂部位において発見される1又2個のアミノ酸を有して良い。代わりに、いくつかの酵素解裂部位の使用は、もし酵素が、成熟ポリペプチド内のかかる領域内の切断をすれば、僅かにトランケーションされた形態の所望のLGR6−SVポリペプチドをもたらす。
【0081】
多くの場合、核酸分子の転写は、1又は複数のイントロンがベクター中に存在することによって増加し;これは特に、ポリペプチドが真核宿主細胞、特に哺乳類宿主細胞において生産されている場合に当てはまる。使用されるイントロンはLGR6−SV遺伝子内で天然に生じて良く、ここで特に当該使用される遺伝子は完全長ゲノム配列であるかあるいはそれらの断片である。イントロンが遺伝子(大部分のcDNAに関して)内で天然に生じていない場合、イントロンは他の源から獲得されて良い。イントロンの、フランキング配列及びLGR6−SV遺伝子に対する位置は一般的に非常に重要であり、何故なら、当該イントロンは効率的に転写されなければならないからだ。従って、LGR6−SVcDNA分子が転写されている場合、イントロンのための好適な位置は、転写開始部位の3’側且つポリA転写終結配列の5’側である。好適に、1又は複数のイントロンがコーディング配列に干渉しないように、cDNAの片側又は他の側(即ち、5’又はY)に位置しているだろう。任意の源の例えば、ウィルス、原核及び真核生物(植物又は動物)生物に由来するイントロンも本発明を行うために使用されて良いが、但し、それが挿入される宿主細胞と適合性があることが必要だ。そしてまた、本明細書中に含まれるのは合成イントロンである。任意に、1超のイントロンがベクター中で5つ使用されて良い。
【0082】
本発明の発現及びクローニングベクターは、典型的に、宿主生物によって認識され且つLGR6−SVポリペプチドをコードする分子に対して作用可能式に連結しているプロモーターを含むだろう。プロモーターは、構造遺伝子の転写を制御する構造遺伝子(一般に約100〜1000bp)の開始コドンの上流(即ち、Y)に位置する非転写配列である。プロモーターは都合良く:誘導性プロモーター及び構造性プロモーターの2種類のうちの1つにグループ分けされている。誘導性プロモーターは、培養条件におけるいくつかの変化、例えば、栄養の存在もしくは不在又は温度の変化に応じて、それらの制御の下でDNAからの転写量を増加させることを始める。構造性プロモーターは、一方で、連続的な遺伝子産物生産を開始し、即ち、遺伝子発現に対する制御は殆ど無いかあるいは全く無い。様々な有効な宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが公知である。適切なプロモーターは、LGR6−SVポリペプチドをコードするDNAに対して、源DNAからプロモーターを制限酵素消化によって除去し、そして所望のプロモーター配列を当該ベクター中に挿入することによって作用可能式に連結されている。天然のLGR6−SVプロモーター配列は、LGR6−SV核酸分子の増幅及び/又は発現を指示するために使用されて良い。しかしながら、異種プロモーターは、それが天然のプロモーターに比べて、より多量の転写及びより高い収率でタンパク質の発現を可能にするなら、そして使用するために選択されている宿主細胞系と適合性があるならば、好適である。
【0083】
原核宿主と共に使用するために適したプロモーターとしては、βラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系;アルカリフォスファターゼ;トリプトファン(trp)プロモーター系;及びハイブリッドプロモーターの例えば、tacプロモーターである。他の公知の細菌性プロモーターも適している。それらの配列は、公開されており、それによって当業者はそれらを所望のDNA配列に対して、任意の有用な制限部位を提供するために必要に応じてリンカー又はアダプターを使用することでライゲーションすることが可能である。
【0084】
酵母宿主と共に使用するために適したプロモーターも当業界で周知である。酵母エンハンサーは、酵母プロモーターと共に有利に使用されている。哺乳類宿主細胞共に使用するための適切なプロモーターは当業界で周知であり、そして限定はされないが、ポリオーマウィルス、アデノウィルス(例えば、アデノウィルス2)、ウシパピローマウィルス、 鳥類サルコーマウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルス及び最も好適にはサルウィルス40(SV40)などのウィルスのゲノムから獲得されたものが挙げられる。他の適切な哺乳類プロモーターとしては、異種哺乳類プロモーターの例えば、熱ショックプロモーター及びアクチンプロモーターが挙げられる。
【0085】
LGR6−SV遺伝子発現を制御することにおいて注目のものでありうる更なるプロモーターとしては、限定されないが: SV40早期プロモーター領域(BemoistとChambon, 1981, Nature vol.290: pp.304〜10);CWプロモーター;ラウス肉腫ウィルスの3’長末端リピートに含まれるプロモーター(Yamarnotoら, 1980, Cell vol.22: pp.787〜97);ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. vol.78:pp.1444〜45); メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら, 1982, Nature vol.296: pp.39〜42); 原核発現ベクターの例えば、βラクタマーゼプロモーター(Villa-Kamaroffら, 1978, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. ,vol.75:pp.3727〜31); 又はtaeプロモーター(DeBoerら, 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. ,vol.80:pp.21〜25)が挙げられる。そしてまた注目なものは以下の動物転写制御領域であり、それは組織特異性を示しそして標的トランスジェニック動物中で利用されている: 膵臓細胞中での活性を有するエラクターゼI遺伝子コントロール領域(Swiftら, 1984, Cell vol.38:pp.639〜46; Omitzら, 1986, Cold Spring Barbor Symp. Quant.Biol. vol.50:pp.399〜409 (1986);MacDonald, 1987, Hepatology vol.7:pp.425〜515);膵臓のβ細胞中で活性を有するインスリン遺伝子コントロール領域(Hanahan, 1985, Nature vol.315: pp.115〜22); リンパ細胞中で活性を有する免疫グロブリン遺伝子コントロール領域(Grosschedlら, 1984, Cell vol.38: pp.647〜58; Adamesら, 1985, Nature vol.318: pp.533〜38; Alexanderら, 1987, Mol. Cell.Biol., vol 7:pp.1436〜44); 精巣、乳房、リンパ及びマスト細胞中で活性を有するマウス哺乳類腫瘍ウィルスコントロール領域(Lederら, 1986, Cell vol.45:pp.485〜95) ;肝臓で活性を有するアルブミン遺伝子コントロール領域(Pinkertら, 1987, Genes and Devel. vol.1: pp.268〜76); 肝臓で活性を有するα−胎児−タンパク質遺伝子コントロール領域(Krumlaufら, 1985, Mol. Cell.Biol., vol.5: pp.1639〜48; Hammerら, 1987, Science vol.235: pp.53〜58); 肝臓で活性を有するα1−アンチトリプシン遺伝子コントロール領域(Kelseyら., 1987, GenesとDevel. vol.1: pp.161〜71); 骨髄性細胞で活性を有するβグロブリン遺伝子コントロール領域(Mogramら., 1985, Nature vol.315: pp.338〜40; Kolliasら,1986, Cell vol.46:pp.89〜94); 脳における乏突起膠細胞で活性を有するミエリン塩基性タンパク質遺伝子コントロール領域(Readheadら, 1987, Cell vol.48: pp.703〜12); 骨格筋中で活性を有するミオシン軽鎖−2遺伝子コントロール領域(Sani, 1985, Nature vol.314: pp.283〜86); 及び視床下部において活性を有するゴナドトロピン放出ホルモン遺伝子コントロール領域(Masonら.,1986, Science vol.234: pp.1372〜78)が挙げられる。
【0086】
エンハンサー配列は、本発明のLGR6−SVポリペプチドをコードするDNAの高等真核生物による転写を高めるために、ベクター中に挿入されて良い。エンハンサーはDNAのシス作用エレメントであり、通常は、長さが約10〜300bpであり、プロモーターに対して働き転写を高める。エンハンサーは比較的、方向及び位置依存性である。それらは転写単位の5’及び3’側において発見される。哺乳類遺伝子から入手できるいくつかのエンハンサー配列が公知である(例えば、グロブリン、エラスターゼ、アルブミン、α−胎児−タンパク質及びインスリン)。しかしながら、典型的に、ウィルスに由来するエンハンサーも使用されるだろう。SV40エンハンサーのサイトメガロウィルス早期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、及びアデノウィルスエンハンサーが、真核プロモーターを活性化するためのエンハンスエレメントの例である。エンハンサーはスプライシングされてベクター中へと、LGR6−SV核酸分子の5’又は3’側の位置において挿入されて良いが、それは典型的にプロモーターから5’側に位置している。
【0087】
本発明の発現ベクターは、市販されて入手可能なベクターなどの出発ベクターから構築されて良い。かかるベクターは、所望のフランキング配列の全てを含んでも含まなくとも良い。本明細書中に記載の1又は複数のフランキング配列がベクター中に既に存在していることがない場合、それらは個々に獲得され、そしてベクターへとライゲーションされて良い。各フランキング配列を獲得するために使用される方法は当業者に周知である。
【0088】
本発明を行うための好適なベクターは、細菌、昆虫、及び哺乳類宿主細胞と適合するものである。かかるベクターとしては、とりわけ、pCRII、pCR3、及びpCDNA3.1 (Invitrogen, San Diego, CA)、pBSII (Stratagene, La Jolla, CA)、pET 15 (Novagen, Madison,W1)、pGEX(Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)、pEGFP−N2 (Clontech, Palo Alto, CA)、pETL (BlueBaell, Invitrogen)、pDSRα (PCT Pub. No. WO 90/14363)及びpFastBacDual (Gibco-BRL, Grand Island, NY)が挙げられる。
【0089】
更に適切なベクターとしては、限定されないが、コスミド、プラスミド、又は修飾されたウィルスが挙げられるが、ベクター系は選択された宿主細胞と適合性でなければならないことが理解されるだろう。かかるベクターとしては、限定されないが、例えば、ブルースクリプトプラスミド誘導体(高コピー数のColEl−ベースのファージミド; Stratagene Cloning Systems, La Jolla CA), Taq−増幅PCR産物をクローニングするために設計されたPCRクローニングプラスミド(例えば、TOPOTm TAクローニングキット及びPCR2.1”プラスミド誘導体; Invitrogen)、及び哺乳類、酵母又はウィルスベクターの例えば、バキュロウィルス発現系(pBacPAKプラスミド誘導体; Clontech)が挙げられる。
【0090】
ベクターが構築され、そしてLGR6−SVポリペプチドをコードする核酸分子がベクターの適当な部位へと挿入された後、完成したベクターは、増幅及び/又はポリペプチド発現のために適切な宿主細胞中へと挿入されて良い。LGR6−SVポリペプチドの発現ベクターを選定の宿主細胞中へと形質転換することは、トランスフェクション、インフェクション、塩化カルシウム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE−デキストラン法などの周知の方法によって、又は他の公知の技術によって達成されて良い。選択される方法は、ある部分において、使用される所定の種類の宿主細胞の機能の一部であろう。これらの方法及び他の適切な方法は、当業者に公知であり、そして例えば上記Sambrookらにおいて開示されている。
【0091】
宿主細胞は、原核宿主細胞(例えば、大腸菌(E. coli))又は真核宿主細胞(例えば、酵母、昆虫、又は脊椎動物細胞)であって良い。宿主細胞は、適切な条件下で培養された場合、LGR6−SVポリペプチドを合成し、それはその後、培養培地から(もし宿主細胞がそれを培地中へと分泌すれば)又はそれを生産する宿主細胞から直接(分泌されなければ)回収されて良い。適切な宿主細胞の選択は、様々な因子、例えば、所望の発現レベル、活性のために望ましい又は必須であるポリペプチド修飾(例えば、グリコシル化又はリン酸化)及び生物学的に活性のある分子中への折りたたみの容易さに依存するだろう。
【0092】
多くの適切な宿主細胞が当業界で公知であり、そしてAmerican Type Culture Collection (ATCC), Manassas, VA. Examplesから入手可能であり、例えば、限定されないが、哺乳類細胞の、例えば、チャイニーズハムスターオバリー細胞(CHO)、CHO MFR(−)細胞(Urlaubら, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. U. SA. vol.97: pp.4216-20)、ヒト胎児腎臓細胞(HEK)293もしくは293T細胞、もしくは3T3細胞が挙げられる。適切な哺乳類宿主細胞及び形質転換、培養、増幅、スクリーニング、産物生産、及び増幅のための方法は当業界で公知である。他の適切な哺乳類細胞系統はサルCOS−1及びCOS−7細胞系統、及びCV−1細胞系統である。更なる哺乳類宿主細胞の例としては、霊長類細胞系統及びげっ歯類細胞系統(形質転換した細胞を含む)である。正常な二倍体細胞、一次組織のin vitro培養に由来する細胞系統、並びに一次移植物も適している。候補細胞は選定の遺伝子を遺伝的に欠損していて良いかあるいは、優先的に作用する選択遺伝子を含んでも良い。他の適切な哺乳類細胞系統としては、限定されないが、マウス神経細胞芽腫N2A細胞、HeLa、マウスL−929細胞、Swiss、Balb−eもしくはN1Hマウスに由来する3T3系統、BHY、もしくはHaKハムスター細胞系統が挙げられる。これらの細胞系統はタンパク質発現の当業者に公知であり、入手可能である。
【0093】
類似して、本発明のために適切な宿主細胞は細菌細胞である。例えば、様々な系統の大腸菌(例えば、HB101、DH5α、DH10及びMC1061)が生物工学の分野における宿主として周知である。様々な系統のB.サブチリス(B. subtilis)、シュードモナスspp.(Pseudomonas spp.)、他のバチルスspp.(Bacillus spp)、ストレプトミセスspp.(Streptomyces spp.)などもこの方法において使用されて良い。
【0094】
当業界で公知の多くの酵母細胞の系統も本発明のポリペプチド発現のための宿主細胞として使用できる。好適な酵母細胞系統としては、例えば、サッカロミセスセレビジアエ(Saccharomyces cerivisae)及びピチア・パストリス(Pichia pastors)が挙げられる。
【0095】
更に、所望された場合、昆虫細胞は本発明の方法中で使用されて良い。かかる系は、例えば、Kittsら, 1993, Biotechniques, vol.14: pp.810〜17; Lucklow, 1993, Curr. Opin. Biotechnol. vol.4: pp.564〜72; 及びLucklowら, 1993, J Virol., vol.67: pp.4566〜79.において記載されている。好適な昆虫細胞はSf−9及びH3(Invitrogen)である。
【0096】
当業者は、グリコシル化されたLGR6−SVポリペプチドを発現させるために、トランスジェニック動物を使用しても良い。例えば、当業者は、トランスジェニックミルク生産動物(例えば、ウシ又はヤギ)を使用して当該動物のミルク中のグリコシル化されたポリペプチドを獲得しても良い。しかし、当業者は、一般に、LGR6−SVポリペプチドを生産するために、植物を使用しても良く、この植物において生じるグリコシル化は哺乳類動物細胞中で生産されたものとは異なり、そしてヒト治療用途には適さないグリコシル化された産物をもたらしうる。LGR6−SVポリペプチド発現ベクターを含んで成るポリペプチド生産宿主細胞は、当業者に周知の標準的な培地を使用することで培養されて良い。この培地は、通常、細胞の増殖及び生存のために必要な全栄養を含むだろう。大腸菌細胞を培養するための適切な培地としては、例えば、Luriaブロス(LB)及び/又はTerrificブロス(TB)培地が挙げられる。真核細胞を培養するための適切な培地としては、Roswell Park Memorial Institute培地1640(RPMI 1640)、最小必須培地(MEM)及び/又はDulbeccoの改変イーグル培地(DMEM)が挙げられ、それら全ては、必要に応じて、培養される特定の細胞のためにスクラム(scram)及び/又は増殖因子を補われて良い。昆虫培養のための適切な培地はGraceの培地(イーストレート、ラクトアルブミン加水分解物、及び/又はウシ胎児血清を必要に応じて補った)である。
【0097】
典型的に、トランスフェクション又は形質転換された細胞の選択的増殖のために有用な抗生物質又は他の化合物は、培地に対して補助物質として加えられて良い。使用される化合物は、宿主細胞を形質転換させたプラスミド上に存在する選択マーカーによって決定されるだろう。例えば、選択マーカーエレメントがカナマイシン耐性である場合、培養培地に対して加えられる化合物はカナマイシンであろう。選択的増殖のための他の化合物としては、アンピシリン、テトラサイクリン及びネオマイシンが挙げられる。
【0098】
ポリペプチドの精製及び単離
宿主細胞によって生産されるLGR6−SVポリペプチドは、当業界で公知の標準的な方法を使用することで評価されて良い。かかる方法としては、限定されないが、ウェスタンブロット分析、SDSポリアクリルミドゲル電気泳動、非変性ゲル電気泳動、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)分離、免疫沈降、及び/又は活性アッセイの例えば、DNA 結合ゲルシフトアッセイが挙げられる。
【0099】
もしLGR6−SVポリペプチドが宿主細胞から分泌されるように設計されていれば、ポリペプチドの大部分が細胞培養培地中で発見されて良い。しかし、もしLGR6−SVポリペプチドが宿主細胞から分泌されていなければ、それは細胞質及び/又は核(真核細胞について)又はサイトゾル(グラム陰性細菌について)に存在するだろう。
【0100】
宿主細胞の細胞質中及び/もしくは核(真核細胞について)もしくはサイトゾル(細菌宿主細胞について)中に位置するLGR6−SVポリペプチドについて、細胞内物質(例えば、グラム陰性細菌の封入体)は、当業界で公知の任意の標準的な技術を使用することで宿主細胞から抽出されて良い。例えば、宿主細胞は、例えば、フレンチプレス、ホモジナイゼーション、及び/又は超音波処理、しかる後の遠心によって溶解されペリプラズム/細胞質の内容物を放出して良い。
【0101】
もしLGR6−SVポリペプチドがサイトゾル中で形成された封入体を有せば、当該封入体は往々にして、内部及び/又は外部の細胞膜に対して結合することができ、従って、遠心後、主にペレット状物質中で発見されるだろう。次いで、このペレット状物質は、極端なpHで処理されるかあるいはカオトロピック剤の例えば、デタージェント、グアニジン、グアニジン誘導体、尿素、又は尿素誘導体により、還元剤の例えば、アルカリpHにおけるジチオトレイトール又は酸性pHにおけるトリスカルボキシエチルフォスフィンの存在下で、封入体を放出、破壊分離、及び可溶化するために処理されて良い。次いで、この可溶化されたLGR6−SVポリペプチドは、ゲル電気泳動、免疫沈降などを使用することで分析されて良い。もしもLGR6−SVポリペプチドを単離することが望まれている場合、単離はMarstonetら, 1990, Meth. Enz., vol.182: pp.264〜75などに記載の標準的な方法を使用することで達成されて良い。
【0102】
いくつかの場合、LGR6−SVポリペプチドは、単離することにより生物活性がなくなりうる。ポリペプチドをその三次構造へと「再度折りたたむ」又は転換してジスルフィド結合を形成させるための様々な方法が、生物活性を回復させるために使用されて良い。かかる方法としては、可溶化したポリペプチドを、特定の濃度のカオトロープの存在下で、通常7より上のpHに曝すことを伴う。カオトロープの選択は、封入体可溶化のための使用した選択と非常に類似するが、通常は、カオトロープはより低い濃度で使用され、そして、可溶化のために使用したカオトロープと必ずしも同じではない。多くの場合、再折りたたみ/酸化溶液には、特定の還元電位によりタンパク質のシステインブリッジの形成においてジスルフィドシャッフリングが生じることを可能にするために、還元剤又は他の還元剤+その酸化形態が特異的な比率で含まれるだろう。いくつかの通常使用される酸化還元カップルとしては、システイン/システミン、グルタチオン(GSH)/ジチオビスGSH、塩化第二銅、ジチオトレイトール(DTT)/ジチアンDTT、及び2−2−メルカプトエタノール(bME)/ジチオ−b(ME)が挙げられる。多くの場合、共溶媒が、再折りたたみの効率を高めるために、使用されて良いかあるいは必要とされて良く、そしてこの目的のために使用される一層共通の試薬としては、グリセロール、様々な分子量のポリエチレングリコール、アルギニンなどが挙げられる。
【0103】
もし封入体がLGR6−SVポリペプチドの発現により、有意な程度に形成されていなければ、当該ポリペプチドは主に、遠心後、細胞ホモジネートの上清で発見されるだろう。このポリペプチドは更に、本明細書中に記載の方法を使用することで更に上清から単離されて良い。
【0104】
溶液からのLGR6−SVポリペプチドの精製は、様々な技術を使用することで達成されて良い。もし、ポリペプチドが、それが標識の例えば、ヘキサ-ヒスチジン(LGR6−SVポリペプチド/ヘキサHis)もしくは他の小ペプチドの例えば、FLAG(Eastman Kodak Co., New Haven, CT)もしくはmyc(Invitrogen)をそのカルボキシ末端かあるいはアミノ末端のいずれかにおいて含むように合成されていれば、当該溶液を、アフィニティーカラム(カラムマトリクスが標識に対して非常に高い親和性を有する)に通すことによって一段階で精製されて良い。例えば、ポリヒスチジンは強力な親和性且つ特異性によりニッケルに対して結合する。従って、ニッケルのアフィニティーカラム(例えば、Qiagenニッケルカラム)がLGR6−SVポリペプチド/ポリHisを精製するために使用されて良い。例えば、Current Protocols in Molecular Biology 10.11. 8 (Ausubelら著, Green Publishers Inc. andWiley and Sons1993)を参照のこと。
【0105】
更に、LGR6−SVポリペプチドは、LGR6−SVポリペプチドを特異的に認識して結合することができるモノクローナル抗体を使用することにより精製されて良い。
【0106】
精製のための他の適切な手段としては、限定されないが、アフィニティークロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、分子篩クロマトグラフィー、HPLC、電気泳動(例えば、天然ゲル電気泳動)しかる後のゲル溶出、及び分取(preparative)等電点焦点(「イソプレーム(Isopreme)」機械/技術, Hoefer Scientific, San Francisco, CA)が挙げられる。いくつかの場合において、2以上の精製技術が、純度の増加を達成するために組み合わされて良い。
【0107】
LGR6−SVポリペプチドは化学合成法(例えば、固層ペプチド合成)によって調製されて良く、それはMerrifieldら, 1963, J Am. Chem. Soc. vol.85: p.2149; Houghtenら, 1985, Proc Natl Acad. Sci. USA vol.82: p.5132; 及びStewartとYoung, Solid Phase Peptide Synthesis (Pierce Chemical Co.1984)に開示されているような当業界で周知の方法を使用することで調製されても良い。かかるポリペプチドは、アミノ末端上にメチオニンの有無で合成されて良い。化学的に合成されたLGR6−SVポリペプチドは、ジスルフィド結合を形成するために、これら参照中に開示されている方法を使用することで酸化されて良い。化学的に合成されたLGR6−SVポリペプチドは、組み換えによって生産された又は天然の源から精製された対応するLGR6−SVポリペプチドに匹敵する生物活性を有することが予測されており、従って、組み換え又は天然LGR6−SVポリペプチドと同義で使用されて良い。
【0108】
LGR6−SVポリペプチドを獲得する他の手段は、生物学的試料の例えば、源組織及び/又は流体からの精製により、この試料又は流体中、LGR6−SVポリペプチドは天然に発見される。かかる精製は、本明細書中に記載のタンパク質精製のための方法を使用することで行われて良い。精製する間にLGR6−SVポリペプチドの存在がモニタリングされて良く、例えば、組み換えにより生産されたLGR6−SVポリペプチド又はその断片に対して調製された抗体を使用することでモニタリングされて良い。核酸及びポリペプチドを生産するための多くの更なる方法が当業界で公知であり、そして当該方法は、LGR6−SVポリペプチドに対して特異性を有するポリペプチドを生産するために使用されて良い。例えば、Robertsら, 1997, Proc.Natl. Acad. Sci. U. S. A. vol.94: pp.12297〜303を参照のこと。それは、mRNAとそれによりコードされたペプチドの間での融合タンパク質の生産を記載している。そしてまた、Roberts, 1999, Curr. Opin. Chem. Biol. vol.3: pp.268〜73をも参照のこと。加えて、米国特許5,824, 469号は、特異的な生物学的機能を担持することができるオリゴヌクレオチドを獲得するための方法を記載している。この手順には、オリゴヌクレオチド(各々は、5つのランダム化された配列、1つの中心的な事前選択された配列、及び1つの3’ランダム配列を有する)の異種プールを生じさせることを伴う。生じる異種遺伝子プールは、所望の生物学的機能を示さない細胞の集団中へと導入されている。次いで、細胞の亜集団は、所定の生物学的機能を示すものについてスクリーニングされる。亜集団から、所望の生物学機能を実行できるオリゴヌクレオチドが単離されている。
【0109】
米国特許第5,763, 192号;5,814, 476号;5,723, 323号; 及び5,817, 483号は、ぺプチド又はポリペプチドを生産するための方法を記載する。これは、確率的遺伝子又はその断片を生産し、次いで、これらの遺伝子を宿主細胞(確立的遺伝子(stochastic genes)によってコードされる1又は数個のタンパク質を生産する)中へと導入することによって行われている。次いで、宿主細胞は、1.5所望活性を有するペプチド又はポリペプチドを生産するクローンを同定するためにスクリーニングされて良い。
【0110】
ペプチド又はポリペプチドを生産するための他の方法は、Athersys, Incによって記載され、「Random Activation of Gene Expression for Gene Discovery」(RAGE−GD)として知られている、PCT/IJS98/20094 (W099/15650)に記載されている。この方法は、in situ組み換え方法による遺伝子の過剰発現又は内因性遺伝子発現の活性化を伴う。例えば、内因性遺伝子の発現は、調節配列を標的細胞(非相同又は非正統的組み換えによって遺伝子の発現を活性化できる)中へと統合することによって活性化又は増加させられている。標的DNAは最初に放射線処理され、そして遺伝子プロモーターが挿入される。プロモーターは最後に遺伝子の前の中断点(break)に位置し、遺伝子の転写を始める。これは、所望のペプチド又はポリペプチドの発現をもたらす。
【0111】
これらの方法は、包括的LGR6−SVポリペプチド発現ライブラリー(それは、生物化学的アッセイ、細胞アッセイ、及び生物(例えば、植物、マウスなど)全体アッセイなど様々なアッセイにおけるハイスループット表現型スクリーニングのために使用されて良い)を生産するためにも使用されて良い。当業者には、本明細書に記載の核酸及びポリペプチド分子は、組み換え又は他の方法によって生産されて良いことが理解されるだろう。
【0112】
選択的結合剤
用語「選択的結合剤」とは、1又は複数のLGR6−SVポリペプチドに対して特異性を有する分子を意味し、適切な選択的結合剤とは例えば、限定ではないが、抗体及びその誘導体、ポリペプチド及び小分子を意味する。適切な選択的結合剤は、公知の方法を使用することで調製されて良い。
【0113】
本発明のLGR6−SVポリペプチド選択的結合剤の例は、LGR6−SVポリペプチドの所定の部分に結合することができ、それによって当該ポリペプチドがLGR6−SVポリペプチドレセプターに対して結合するのを阻害することができる。例えば、選択的結合剤の、LGR6−SVポリペプチドを結合する抗体及び抗体断片は本発明の範囲内である。抗体はポリクローナル抗体の例えば、単一特異性ポリクローナル抗体;モノクローナル抗体(MAbs);組み換え抗体;キメラ抗体;ヒト化抗体、の例えば、相補性決定領域(CDR)移植抗体;ヒト抗体;単鎖抗体;及び/又は二重特異性抗体;並びにその断片;変異体;又はその誘導体が挙げられる。抗体断片としては、LGR6−SVポリペプチド上のエピトープに対して結合する抗体の部分が挙げられる。かかる断片の例としては、完全長抗体の酵素的解裂によって生じたFab及びF(ab’)断片が挙げられる。他の結合断片としては、組み換えDNA技術、例えば、抗体可変領域をコードする核酸を含む組み換えプラスミドの発現によって生じたものが挙げられる。
【0114】
LGR6−SVポリペプチドに対して向けられたポリクローナル抗体は、一般に、LGR6−SVポリペプチド及びアジュバントの多重皮下注射又は多重経皮注射によって動物(例えば、ラビット又はマウス)中で生産される。それはLGR6−SVポリペプチドを、免疫源化される種中で免疫源性である担体タンパク質、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、スクラム、アルブミン、ウシチログロブリン又はダイズトリプシン阻害物質に対して結合させるために有用である。そしてまた、ミョウバンなどの凝集剤は、免疫反応を増強するために使用されている。免疫化後、動物は標識されそして血清は、抗LGR6−SV抗体力価についてアッセイされる。
【0115】
LGR6−SVポリペプチドに向けられたモノクローナル抗体は、細胞系統を連続的に培養によって抗体分子の生産を供する全ての方法を使用することで生産されている。モノクローナル抗体を生産するための適切な方法としては、Kohlerら, 1975, Nature vol.256:pp.495〜97のハイブリドーマ法及びヒトB−細胞ハイブリドーマ法(Kozbor, 1984, J Immunol. vol.133:p.3001;Brodeurら, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications pp.51〜63 (Marcel Dekker,Inc., 1987)のが挙げられる。そしてまた、本発明により、LGR6−SVポリペプチドと反応性があるモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞系統が提供されている。
【0116】
本発明のモノクローナル抗体は、治療剤として使用するために修飾されて良い。1つの実施態様は、「キメラ」抗体であり、ここで重(H)鎖及び/又は軽(L)鎖の部分は、特定の種に由来する抗体又は特定の抗体クラス又はサブクラスに属す対応する配列と同一もしくは相同的であり、一方で、1又は複数の残りの鎖は他の種に由来する抗体又は他の抗体のクラス又はサブクラスに由来する対応する配列と同一もしくは相同的である。そしてまた、かかる抗体の断片も、それらが所望の生物活性を示す限り含まれている。例えば、米国特許第4,816,567号; Morrisonら, 1985, Proc.Natl. Acad. Sci. vol.81:pp.6851〜55を参照のこと。
【0117】
他の実施態様において、本発明のモノクローナル抗体は、「ヒト化」抗体である。ヒト以外の抗体をヒト化するための方法は、当業者に周知である。例えば、米国特許第5,585,089号及び5,693,762を参照のこと。一般に、ヒト化抗体は、ヒト以外の源から導入された1又は複数のアミノ酸残基を有する。ヒト化は、例えば、当業界で周知の方法(Jonesら, 1986, Nature 321:pp.522〜25;Riechmannら, 1998, Nature vol.332:pp.323〜27; Verhoeyenら, 1988, Science vol.239:pp.1534〜36)を使用することで、げっ歯の類相補性決定領域の部分を少なくとも、ポリペプチドを使用することでヒト抗体の対応する領域に置換することによって行われて良い。
【0118】
LGR6−SVポリペプチドを使用することでの細胞源の同定
本発明の所定の実施態様によれば、それはLGR6−SVポリペプチドと関連する所定の細胞型の源を特定できるために有用でありうる。例えばそれは、適切な治療を選択することの助けとして、疾患又は病状の病的症状を特定するために有用でありうる。所定の実施態様において、LGR6−SVポリペプチドをコードする核酸は、プローブにより細胞の核酸をスクリーニングすることによって本明細書中に記載の細胞を同定するためにプローブとして使用されて良い。他の実施態様において、他の実施態様において、当業者は、細胞中のLGR6−SVポリペプチドの存在を試験し、それによってかかる細胞が本明細書中に記載の所望の型であるかどうかを特定するために抗LGR6−SVポリペプチド抗体を使用して良い。
【0119】
LGR6−SVポリペプチド組成物及び投与
治療組成物は本発明の範囲内である。かかるLGR6−SVポリペプチド医薬組成物は、治療上有効な量のLGR6−SVポリペプチド又はLGR6−SV核酸分子を、投与の方法のために適切な選択をされた医薬又は生理的に許容できる製剤との混合物において含んで成って良い。医薬組成物は、治療上有効な量の1又は複数のLGR6−SVポリペプチド選択的結合剤を、投与の方法のために適切な選択をされた医薬又は生理学的に許容できる製剤との混合物において含んで成って良い。
【0120】
許容できる製剤物質は、使用される投与量及び濃度では、受容者に対する毒性はない。
【0121】
医薬組成物は、例えば、当該組成物のpH、浸透圧、粘度、透明度、色合い、等張性、臭気、滅菌性、安定性、解離もしくは放出、吸収もしくは浸透の速度を改変する;維持する;又は保存するための製剤物質を含んで良い。適切な製剤物質としては、限定されないが、アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、又はリジン)、抗微生物剤、抗酸化物質(例えば、アスコルビン酸、硫酸ナトリウム、又は亜硫酸水素ナトリウム)、バッファー(例えば、ホウ酸塩、重炭酸塩、トリス−HCI、クエン酸塩、リン酸塩、又は他の有機酸)、バルキング剤(例えば、マンニトール又はグリシン)、キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、錯化剤(例えば、カフェイン、ポリビニルピロリロン、β−シクロデキストリン、又はヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン)、充填剤、単糖類、二糖類及び他の炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、又はデキストリン)、タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン)、着色剤、風味及び希釈剤、乳化剤、親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)、低分子量ポリペプチド、塩形成対イオン(例えば、ナトリウム)、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、 フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、シクロヘキシジン、ソルビン酸、又は過酸化水素)、5溶媒(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、又はポリエチレングリコール)、糖アルコール(例えば、マンニトール又はソルビトール)、懸濁剤、界面活性剤又は湿潤剤(例えば、プルロニクス(pluronics);PEG; ソルビタンエステル;ポリソルベートの例えば、ポリソルベート20又はポリソルベート80;トリトン;トロメタミン;レシチン;コレステロール又はチロキサパル(tyloxapal))、安定性増強剤(例えば、スクロース又はソルビトール)、等張化増強剤(例えば、ハロゲン化アルカリ金属、好適には、塩化ナトリウムもしくはカリウムもしくはマンニトールソルビトール)、デリバリービヒクル、希釈剤、賦形剤及び/又は医薬アジュバントが挙げられる。Reinington's Pharmaceutical Sciences (第18版, AR. Gennaro著, Mack Publishing Company 1990)を参照のこと。
【0122】
最適な医薬組成物は、例えば、投与の経路、デリバリー形態、及び所望の投与量に依存して当業者によって特定されるだろう。例えば、上記Remington's Pharmaceutical Sciences, supraを参照のこと。かかる組成物は、物理状態、安定性、 in vivo放出の速度、LGR6−SV分子のin vivoクリアランスの速度に影響を及ぼしうる。
【0123】
医薬組成物中での一次ビヒクル又は担体は、天然において水性又は非水性のいずれかであって良い。例えば、注射のための適切なビヒクル又は担体は、水、生理的塩類溶液、又は人工脳脊髄流体であって良く、非経口投与のために組成物中で共通に使用される他の物質を補足されることも考えられる。天然のバッファー塩類溶液又は血清アルブミンと混合した塩類溶液の例としては更にビヒクルが挙げられる。
【0124】
他の例として挙げられる医薬組成物は、トリスバッファー(pH約7.0〜8.5)、又は酢酸バッファー(pH約4.0〜5.5)を含んで成り、それは更にソルビトール又は適切な代替物を含んで良い。本発明の1つの実施態様において、LGR6−SVポリペプチド組成物は、所望の程度の純度を有する選定の組成物と任意の製剤(上記Remington's Pharmaceutical Sciences, supra)を混合することによって、凍結乾燥ケーキ又は水溶液の形態状で保存のために調製されて良い。更に、LGR6−SVポリペプチド産物は、スクロースなどの適切な賦形剤を使用することで凍結乾燥剤として処方されて良い。
【0125】
LGR6−SVポリペプチド医薬組成物は、非経口デリバリーのために選択されて良い。代わりに、組成物は、吸入のため又は消化管を通じてのデリバリーのため、例えば経口的デリバリーのために選択されて良い。かかる医薬的に許容できる組成物の調製は当業者の範囲内である。
【0126】
製剤成分は、投与の部位に許容される濃度において存在している。例えば、バッファーは、組成物を、生理的なpH又は僅かに低いpHで、典型的に、約5〜約8の範囲内のpHで維持するために使用されている。
【0127】
非経口投与が熟考される場合、本発明において使用するための治療組成物は、病原体フリーの、非経口的に許容できる、医薬的に許容できるビヒクル中に所望のLGR6−SV分子を含んで成る水溶液の形態にあって良い。非経口注射のための特に適したビヒクルは、滅菌蒸留水であり、この中でLGR6−SV分子は滅菌の、等張溶液として処方され、適切に保存される。更に他の調製は、デポット注射を介してデリバリーされて良い産物の制御又は持続放出を供する、ある剤(注射可能ミクロスフィア、生物侵食性粒子(bio-erodible particles)、ポリマー性化合物(例えば、ポリ乳酸又はポリグリコール酸)、ビーズ又はリポソーム)を伴う所望の分子の処方を伴って良い。ヒアルロン酸も使用されて良く、そしてこれは、循環中に持続的な遅延を促す効果を有して良い。所望の分子を導入するための他の適切な手段としては、移植可能ドラッグデリバリー装置が挙げられる。
【0128】
1つの実施態様において、医薬組成物は、吸入のために処方されて良い。例えば、LGR6−SVポリペプチドは吸入のための乾燥粉末として処方されて良い。LGR6−SVポリペプチド又は核酸分子吸入溶液は、エアロゾルデリバリーのための推進剤と共に処方されても良い。更なる他の実施態様において、溶液は噴霧状にされて良い。肺投与は更に、化学的に修飾されたタンパク質の肺デリバリーを記載するPCT刊行物WO 94/20069に記載されており、
【0129】
所定の製剤が経口的に投与されて良いことも熟考されている。本発明の1つの実施態様において、この態様で投与されるLGR6−SVポリペプチドは、錠剤及びカプセルなどの固体投与形態を化合物化することにおいて通常使用される担体の有無で処方されて良い。例えば、カプセルは、生体利用効率が最大化され且つ前全身分解が最小化される場合、製剤の活性部分を胃腸管の地点において放出するように設計されて良い。更なる剤は、LGR6−SVポリペプチドの吸収を促すために含まれて良い。希釈剤、香料、低融点ろう、植物油、潤滑剤、懸濁剤、錠剤分解促進剤、及び結合剤も使用されて良い。
【0130】
他の医薬組成物は、有効な量のLGR6−SVポリペプチドを、錠剤の製造に適したライオン毒性賦形剤(lion-toxic excipients)との混合物において伴って良い。錠剤を滅菌水又は他の適切なビヒクル中に溶かすことによって、溶液は単位投与形態において調製されて良い。適切な賦形剤としては、限定されないが、不活性希釈剤の例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸塩、ラクトースもしくはリン酸カルシウム;又は結合剤の例えばデンプン、ゼラチン、もしくはアカシア;又は潤滑剤の例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはテール(tale)が挙げられる。
【0131】
更なるLGR6−SVポリペプチド医薬組成物は当業者に明らかであろうし、例えば、持続又は制御デリバリー製剤におけるLGR6−SVポリペプチドを伴う製剤が挙げられる。様々な他の持続デリバリー又は制御デリバリー手段を処方するための技術としては、例えば、リポソーム担体、生物侵食性微粒子又は多孔質ビーズ及びデポット注射物も当業者に公知である。例えば、医薬組成物デリバリーのための多孔質ポリマー性微粒子の制御放出を記載するPCT/US93/00829を参照のこと。
【0132】
持続放出製剤の更なる例としては、フィルム又は微粒子などの加工した物の形態における半透性ポリマーマトリックスが挙げられる。
【0133】
持続放出マトリクスとしては、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773, 919号及び欧州特許第058481号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタミン酸塩 (Sidmanら, 1983,Biopolymers Vol.22:pp.547〜56)のコポリマー、ポリ(2−ヒドロキシエチル-メタクリレート)(Langerら, 1981, J Biomed. Mater. Res. vol.15:pp.167〜277 及びLanger, 1982, Chem. Tech.vol.12:pp.98〜105)、エチレンビニルアセテート(上記Langerら)又はポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133988号)を含んで良い。持続放出組成物には、リポソームも挙げられ、それは当業界で公知のいくつかの方法によって調製されて良い。例えば、Eppsteinら, 1985, Proc.Natl. Acad. Sci. USA vol.82: pp.3688〜92;及び欧州特許第036676号、088046号、及び143949号を参照のこと。
【0134】
in vivo投与のために使用されるLGR6−SV医薬組成物は典型的に滅菌されていなければならない。これは、滅菌ろ過膜を通過させるろ過によって達成されて良い。組成物が凍結乾燥させられている場合、この方法を使用する凍結乾燥は、凍結乾燥及び再生の前又は後のいずれかに行われて良い。非経口投与のための組成物は、凍結乾燥形態又は溶液の形態において保存されて良い。加えて、非経口組成物は一般に、滅菌アクセスポートの例えば、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又は容器中へと入れられて良い。
【0135】
一度、医薬組成物が処方されれば、それは滅菌バイアル中、溶液、懸濁、ゲル、エマルション、固体として、又は脱水した又は凍結乾燥させた粉末として保存されて良い。かかる製剤は、すぐに使用できる形態又は投与前に再生必要な形態(例えば、凍結乾燥形態)において保存されて良い。特異的な実施態様において、本発明は、一回用量投与ユニットを生産するためのキットに向けられている。キットは各々、乾燥タンパク質を有する第一の容器及び水性製剤を有する第二の容器の両方を含んで良い。そしてまた、本発明の範囲内には、単一及び多チャンバー状プレ充填シリンジ(例えば、液体シリンジ及びリオシリンジ(lyosyringes))が含まれる。
【0136】
治療上使用されるLGR6−SV医薬組成物の有効な量は、例えば、治療情況及び目的に依存するだろう。
【0137】
当業者は、治療のために適切な投与量が、ある部分において、デリバリーされる分子、LGR6−SV分子が使用されるための処方箋、投与の経路、患者のサイズ、(体重、体の面積、又は器官の大きさ)及び条件(年齢及び一般的な健康)に依存して様々であることを理解するだろう。従って、臨床医は、最適な治療効果を獲得するために投与量を滴定し且つ投与の経路を修飾するだろう。典型的な投与量は、上に例を挙げた因子に基づいて約0.1mg/kg〜最大約100mg/kg以上であろう。他の実施態様において、投与量は、0.1mg/kg〜最大で約100mg/kg;もしくは1g/kg〜最大で約100mg/kg;もしくは5g/kg〜最大で約100mg/kgであって良い。
【0138】
投与の頻度は、使用される製剤中でのLGR6−SV分子の薬物動力学的パラメーターに依存するだろう。典型的に、臨床医は、組成物を、所望の効果を達成する投与量迄投与するだろう。
【0139】
従って、組成物は、単一投与として、2回以上の投与として(同量の所望の分子を含んでも含まなくても良い)経時、又は移植装置もしくはカテーテルを介して連続注入として投与されて良い。適切な投与量の更なる修正は、当業者によって日常的に行われており、そして当業者によって通常行われる仕事の範囲内である。適切な投与量は、適切な投与量−反応データの使用を介して確かめられて良い。
【0140】
医薬組成物の投与の経路は、例えば、経口的に;静脈、腹腔内、脊髄内(実質内)、脳室内、眼内、筋肉内、動脈内、門脈内又は病巣内経路による;持続放出系による;又は移植装置による注射を通じる公知の方法に従う。所望された場合、組成物はボーラス注射によってもしくは注入によって連続的にもしくは移植装置によって投与されて良い。
【0141】
代替的に又は更に、組成物は、膜、スポンジの移植、又は所望の分子が吸着又は封入されている他の適切な物質を介して局所的に投与されて良い。移植装置が使用される場合、当該装置は、適切な組織又は器官中へと導入されて良く、そして所望の分子のデリバリーは、分散、持続放出ボーラス、又は連続投与を介して良い。
【0142】
いくつかの場合、ex vivo 態様でLGR6−SVポリペプチド医薬組成物を使用することが望ましい。かかる場合において、患者から取り出された細胞、組織、又は器官は、LGR6−SVポリペプチド医薬組成物に曝され、その後、当該細胞、組織、又は器官は患者に対して再度移植される。
【0143】
他の場合、LGR6−SVポリペプチドは、LGR-SVsポリペプチドを発現させて分泌させるために本明細書中に記載の方法を使用することで遺伝子操作された所定の細胞を移植することによってデリバリーされて良い。かかる細胞は、動物又はヒト細胞であって良く、そして自系、異種(autologous)又は異種(xenogenic)であって良い。任意に、細胞は、固定化されていて良い。免疫反応の機会を減らすために、細胞は、封入され周囲組織の浸潤を避けて良い。封入物質は、典型的に、1又は複数のタンパク質産物の放出を可能にするが、患者の免疫系による又は周囲組織からの他の有害な因子による細胞の破壊を妨げる生物適合性の、半透性ポリマーエンクロージャー又は膜である。
【0144】
本発明の更なる実施態様は、治療ペプチドのin vitro生産のため及び遺伝子療法又は細胞療法による治療ペプチドのデリバリーの両方のための細胞及び方法(例えば、相同的組み換え及び/又は他の組み換え生産方法)に関連する。同種及び他の組み換え法は、天然に転写サイレントなLGR6−SV遺伝子、又は発現中の遺伝子を含む細胞を改変し、それによって治療上有効な量のLGR6−SVポリペプチドを発現する細胞を生産するために使用されて良い。
【0145】
相同的組み換えは、遺伝子をターゲッティングし、転写活性遺伝子の突然変異、を誘導又は修復するために本来は開発された技術である。Kucherlapati, 1989, Prog. in Nucl. Acid Res. & Mol. Biol. vol.36:p.301。基本技術は、特異的な突然変異を哺乳類ゲノムの特異的な領域へと導入するため (Thomasら, 1986, Cell vol.44:pp.419〜28; Thomas及びCapecchi, 1987, Cell vol.51: pp.503〜12; Doetschmanら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. vol.85:p.858387)又は欠損遺伝子内での特異的な突然変異を修復するため(Doetschmanら, 1987, Nature vol.330: pp.576〜78)の方法として開発された。相同的組み換え技術の例は米国特許第5,272, 071号;欧州特許第9193051号及び第505500号;PCT/US90/07642,及びPCT刊行物No. WO 91/09955に記載されている。
【0146】
相同的組み換えを通じて、ゲノム中に挿入されるDNA配列は、それを標的DNAに結合させることによって注目の遺伝子の特異的な領域に対して向けられて良い。標的DNAはヌクレオチドである。
【0147】
治療使用
LGR6−SV核酸分子、ポリペプチド、並びにそれらのアゴニスト及びアンタゴニストは、本明細書中に引用された多くの疾患、病気、又は症状を治療、診断、改善、又は予防するために使用されて良い。
【0148】
LGR6−SVポリペプチドアゴニスト及びアンタゴニストとしては、LGR6−SVポリペプチド活性を調節し且つLGR6−SVポリペプチドの成熟形態の1以上の活性を高めるかあるいは下げる分子が挙げられる。アゴニスト又はアンタゴニストは、共因子の例えば、LGR6−SVポリペプチドと相互反応し、それによってその活性を調節するタンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質、又は小分子量分子が挙げられる。
【0149】
有力なポリペプチドアゴニスト又はアンタゴニストとしては、当該タンパク質の細胞外ドメインの一部又は全部を含んで成るLGR6−SVポリペプチドの可溶性形態又は膜結合性形態のいずれかと反応する抗体が挙げられる。LGR6−SVポリペプチド発現を調節する分子としては典型的に、発現のアンチセンス調節物質として作用できるLGR6−SVポリペプチド5が挙げられる。
【0150】
糖タンパク質ホルモンレセプターサブファミリーの7つのメンバーは、従来同定されている。これらの中でも、甲状腺刺激ホルモン(TSH)レセプター、濾胞刺激ホルモン(FSH)レセプター、黄体形成ホルモン(LH)/絨毛性ゴナドトロピン(CG)レセプター、及びロイシンリッチリピート含有Gタンパク質結合レセプター(LGR)4、LGR5、LGR6、LGR7及びLGR8が挙げられる。TSH、FSH及びLH/CGレセプターは、機能上、十分に特性決定されており、そしてこれらのレセプターを介するシグナル伝達は、甲状腺及び性腺における増殖及び分化において重要な役割を果たす。TSHレセプターを介するシグナル伝達は、甲状腺ホルモンの生産を調節することによって基礎代謝に影響を与えることが知られている。自己免疫は、様々な甲状腺ホルモンに関連する代謝疾患を生じるTSHレセプターのN末端細胞外ドメインのエピトープに対する抗体である。かかる自己免疫抗体は、アンタゴニスト性であり且つある形態の甲状腺機能低下(Hashimoto甲状腺低下炎のサブグループ)を生じる又はアンタゴニスト性であり且つある形態の甲状腺機能亢進症(Graves疾患)を生じる。FSH及びLH/CGレセプターを介するシグナル伝達は、男性及び女性の生殖機能を維持することにおいて重要な役割を果たす(即ち、甲状腺突然変異及び甲状腺ステロイド生産)ことが知られている。
【0151】
更に、LH/CGレセプターを介するシグナル伝達は、妊娠の最初の3月の間、黄体を刺激しステロイドホルモンを生産させることによって妊娠を維持する重要な役割を果たすことが知られている。TSH、FSH及びLH/CGレセプターは重要な発生(即ち、増殖及び分化)及び生理機能を有することが知られているので、LGR6−SVは、発生及びヒトの生理において重要な役割を果たす様である。
【0152】
例3中で述べたように、LGR6は、LGR4、LGR5及びLGR6からなるLGRサブグループの一部である。Yamamotoらは、GPR49(LGR5)が肝細胞ガン(HCC)の進行に重要な関わり含有しうることを示唆している。彼らはまた、GPR49がカテニン標的であり、Gpr49の発現は、β−カテニン突然変異によって上方制御(up-regulated)されていることを示唆している(Yamamoto Y.ら、2003. Hepatology.vol.37:pp.528〜533)。β−カテニンは、Wnt−シグナル伝達経路の活性化を介して、発ガンに関わり、所定の転写因子の例えば、Tcf/LEF及びCREBのコアクチベーターとして作用でき、その後、下流標的遺伝子の例えば、c−myc、cyclin D1、MDR1、WISP1及び従ってGpr49などの活性化をもたらす。β1−カテニンは非常に様々なガンに関わり、ガンとしては、腺腫様ポリープ、上皮細胞の悪性形質転換、結腸直腸ガン、乳ガン細胞、網膜芽腫、結腸腫瘍形成、メラノーマ、卵巣ガン、子宮内膜性腫瘍、肝芽腫、散発性メジュロブラストーマ(sporadic medulloblastomas)、肺ガン、芽細胞腫、中皮腫、小腸腺ガン、結腸直腸新生組織形成、ピロマトリコーマ(pilomatricoma)、 髪の毛の腫瘍(hair tumors)が挙げられる(OMIM onpl−カテニン, http: lw. ncbi. nlm. nih. aovlentrez/disDomim. cci ?id=116806を参照のこと)。ガンにおけるβ−1カテニン及びLGR5の役割に加えて、糖タンパク質ホルモンレセプターのヒンジ高度保存領域における突然変異は、ガン形成又は先天性疾患につながるレセプターの構造性活性をもたらしうる(TSHRの構造性活性突然変異体は高機能性チロイドアデノーマをもたらす;Yamamotoら;例3を参照のこと)。上記の意見に基づいて、LGR6はガンの進行においても重要である。例えば、LGR6−SV核酸分子、ポリペプチド、並びにそのアゴニスト及びアンタゴニストは、ガンを診断又は治療するために有用でありうる。かかるガンの例としては、限定されないが、濾胞細胞ガン、腺腫性ポリープ、上皮細胞の悪性形質転換、結腸直腸ガン、乳ガン細胞、網膜芽腫、結腸腫瘍形成、メラノーマ、卵巣ガン、子宮内膜性腫瘍、肝芽腫、散発性メジュロブラストーマ(sporadic medulloblastomas)、肺ガン、芽細胞腫、中皮腫、小腸腺ガン、結腸直腸新生組織形成、ピロマトリコーマ(pilomatricoma)、髪の毛の腫瘍(hair tumors)が挙げられる。特に、LGR6.1(例えば、LGR6.1を標的とした抗体)のアンタゴニストはガンの診断及び治療において有用であって良い。更に、LGR6.1(又はLGR6)のヒンジ保存配列における突然変異は、ガン形成又は先天性疾患の治療のため及び本明細書中以降に挙げた症状及び疾患の治療のために修復されている。その疾患及び症状とは限定されない。LGR6.2は分泌タンパク質であり、LGR6.1アンタゴニストとして機能しうる。かかるLGR6.2もしくはそのアゴニストはガンを、又は先天性疾患、及び限定されないが、本明細書中で記載の症状又は疾患さえも診断又は治療することにおいて有用であって良い。
【0153】
LGR6−SVポリペプチド発現は、骨格筋において検出されているが、LGR6−SV核酸分子、ポリペプチド、及びそれらのアゴニスト及びアンタゴニストは、骨格筋に影響を及ぼす疾患及び症状を診断又は処理することにおいて有用でありうる。かかる疾患及び症状の例としては、限定されないが、悪液質及び筋ジストロフィーが挙げられる。骨格筋の成長及び機能に関連する他の疾患及び症状は、本発明の範囲内に含まれている。
【0154】
LGR6−SVポリペプチド発現は、子宮中で検出されているので、LGR6−SV核酸分子、核酸分子、ポリペプチド、及びそれらのアゴニスト及びアンタゴニストは、子宮に影響を及ぼす疾患及び症状を診断又は処理することにおいて有用でありうる。かかる疾患及び症状の例としては、限定はされないが、流産、子宮内膜症、子宮ガン、及び女性の不妊が挙げられる。子宮の成長及び機能に関連する他の疾患及び症状は、本発明の範囲内に含まれている。
【0155】
LGR6−SVポリペプチド発現は、副腎中で検出されているので、LGR6−SV核酸分子、核酸分子、ポリペプチド、及びそれらのアゴニスト及びアンタゴニストは、副腎に影響を及ぼす疾患及び症状を診断又は処理することにおいて有用でありうる。かかる疾患及び症状の例としては、限定はされないが、クシング病及びアジソン病挙げられる。副腎の成長及び機能に関連する他の疾患及び症状は、本発明の範囲内に含まれている。
【0156】
LGR6−SVポリペプチド発現は、精巣中で検出されているので、LGR6−SV核酸分子、核酸分子、ポリペプチド、及びそれらのアゴニスト及びアンタゴニストは、精巣に影響を及ぼす疾患及び症状を診断又は処理することにおいて有用でありうる。かかる疾患及び症状の例としては、限定はされないが、男性の不妊及び睾丸のガンが挙げられる。精巣の成長及び機能に関連する他の疾患及び症状は、本発明の範囲内に含まれている。
【0157】
LGR6−SVポリペプチド発現は、骨髄中で検出されているので、LGR6−SV核酸分子、核酸分子、ポリペプチド、及びそれらのアゴニスト及びアンタゴニストは、骨髄に影響を及ぼす疾患及び症状を診断又は処理することにおいて有用でありうる。かかる疾患及び症状の例としては、限定はされないが、白血病が挙げられる。
【0158】
骨髄の成長及び機能に関連する他の疾患及び症状は、本発明の範囲内に含まれている。
【0159】
LGR6−SVポリペプチド発現は、胎児の腎臓中で検出されているので、LGR6−SV核酸分子、核酸分子、ポリペプチド、及びそれらのアゴニスト及びアンタゴニストは、胎児の腎臓に影響を及ぼす疾患及び症状を診断又は処理することにおいて有用でありうる。
【0160】
かかる疾患及び症状の例としては、限定はされないが、貧血症、高血圧、及び低血圧が挙げられる。腎臓の成長及び機能に関連する他の疾患及び症状は、本発明の範囲内に含まれている。
【0161】
LGR6−SVポリペプチド発現は、卵巣中で検出されているので、LGR6−SV核酸分子、核酸分子、ポリペプチド、及びそれらのアゴニスト及びアンタゴニストは、卵巣に影響を及ぼす疾患及び症状を診断又は処理することにおいて有用でありうる。かかる疾患及び症状の例としては、限定はされないが、女性不妊及び卵巣ガンが挙げられる。卵巣の成長及び機能に関連する他の疾患及び症状は、本発明の範囲内に含まれている。
【0162】
LGR6−SVポリペプチドは、細胞の増殖と分化において役割を果たすようであるので、LGR6−SV核酸分子、核酸分子、ポリペプチド、及びそれらのアゴニスト及びアンタゴニストは、細胞増殖及び分化を調節する疾患及び症状を診断又は処理することにおいて有用でありうる。細胞増殖及び分化を促すことによって処理されて酔い疾患及び症状の例としては、限定はされないが、組織損傷及び変質(例えばガンの治療、感染症、自己免疫疾患、又は病気によって生じる)、加齢、及び創傷治癒が挙げられる。細胞の増殖及び分化を高めることによって治療される他の疾患及び症状は、本発明の範囲内に含まれている。代替的に、本発明のLGR6−SV分子は、細胞の増殖と分化を減らすために使用されて良い。細胞の増殖と分化を低下させることによって処理されて良い疾患の例としては、限定されないが、ガン、過形成、及び肥大が挙げられる。細胞の増殖と分化を低下させることによって処理されて良い他の疾患及び症状は、本発明の範囲内に含まれている。
【0163】
LGR6−SVポリペプチド機能のアゴニスト又はアンタゴニストは、治療される症状のために適切な場合、1又は複数のサイトカイン、増殖因子、抗生物質、抗炎症剤、及び/又は化学治療剤との組み合わせにおいて使用(同時に又は続いて)されて良い。
【0164】
LGR6−SVポリペプチドの不都合な量によって生じるもしくはそれが介在する他の疾患もしくは病気は、本発明の範囲内である。不都合な量としては、LGR6−SVポリペプチドの過剰量及びLGR6−SVポリペプチドが正常以下の量であることである。
【0165】
LGR6−SV核酸及びポリペプチドの使用
本発明の核酸分子(例えば、それら自身は生物学的に活性のあるポリペプチドをコードしない) は、LGR6−SV遺伝子及び類縁遺伝子の染色体上での位置をマッピングするために使用されて良い。マッピングは、当業者に公知の技術、例えばPCR増幅及びin situハイブリダイゼーションによって行われて良い。
【0166】
LGR6−SV核酸分子(例えば、それら自身は生物学的に活性のあるポリペプチドをコードしない)は、哺乳類組織又は体流体サンプル中でのLGR6−SV核酸分子の存在を、定量的又は定性的のいずれかで試験するために診断アッセイにおけるハイブリダーゼーションプローブとして有用でありうる。
【0167】
他の方法も使用されて良く、ここでそれらは、1又は数個のLGR6−SVポリペプチドの活性を阻害するために望ましい。かかる阻害は、発現コントロール配列に対して(三重らせん形成)又はLGR6−SV mRNAに対して相補的且つハイブリダイズする核酸分子によって生じうる。例えば、アンチセンスDNA又はRNA分子(LGR6−SV遺伝子の少なくとも一部分に対して相補的である)は細胞中へと導入されて良い。消化されて良いアンチセンスプローブは、本明細書中に開示されたLGR6−SV遺伝子の配列を使用する技術によって入手可能である。典型的に、かかるアンチセンス分子は、各選定のLGR6−SV遺伝子の開始部位(5’末端)に対して相補的であろう。次いで、アンチセンス分子が対応するLGR6−SV mRNAに対してハイブリダイズする場合、このmRNAの翻訳は、阻害又は低減される。アンチセンス阻害物質は、細胞又は器官中でLGR6−SVの低減又は不在に関連する情報を提供する。
【0168】
代替的に、遺伝子療法は、1又は複数のLGR6−SVポリペプチドのドミナントネガティブ阻害物質を作り出すために使用されて良い。この場合、各選定のLGR6−SVポリペプチドの突然変異ポリペプチドをコードするDNAは、患者の細胞中へと、本明細書中に記載のウィルス又は非ウィルス法のいずれかを使用することで調製されて導入されて良い。かかる突然変異は、典型的に、その生物学的な役割において、内因性ポリペプチドに匹敵するように設計されている。
【0169】
加えて、LGR6−SVポリペプチドは、生物活性が有ろうが無かろうが、免疫源として使用されて良く、それは即ち、ポリペプチドはエピトープを1つ以上含み、それに対して抗体が生じうる。LGR6−SVポリペプチド(本明細書中に記載の)に対して結合する選択的結合剤は、in vivo及びin vitro診断目的のために使用されて良く、例えば、限定されないが、体流体又は細胞サンプル中のLGR6−SVポリペプチドの存在を検出するために標識された形態において使用されて良い。抗体は、例えば本明細書中に引用された多くの疾患及び病気を予防、治療、又は診断するために使用されても良い。抗体は、LGR6−SVポリペプチドに対して、LGR6−SVポリペプチドの1以上の活性特性を下げる又は遮断するように結合して良く、又はLGR6−SVポリペプチドの1以上の活性特性を増加させる(LGR6−SVポリペプチドの薬物動力学を増加させることによってなど)ためにポリペプチドに対して結合して良い。
【0170】
LGR6−SVポリペプチドは、「発現クローニング戦略」を使用することでLGR6−SVリガンドをクローン化するために使用されて良い。放射性標識された(125Iヨウ素)LGR6−SVポリペプチド又は「アフィニティー/活性標識された」LGR6−SVポリペプチド(例えば、Fc融合又はアルカリフォスファターゼ融合)は、結合アッセイにおいて、LGR6−SVリガンドを発現する細胞型、細胞系統、又は組織を同定するために使用されて良い。次いで、かかる細胞又は組織から単離されたRNAはcDNAへと転換され、哺乳類発現ベクター中へとクローン化され、そして発現ライブラリーを作り出すために哺乳類細胞(例えば、COS又は293)へとトランスフェクションされて良い。次いで、放射性標識された又は標識されたLGR6−SVポリペプチドは、このライブラリー中LGR6−SVリガンドを発現する細胞の一部を同定及び単離するためにアフィニティー試薬として使用されて良い。次いで、DNAは、これらの細胞から単離され、そして、第2の発現ライブラリー(LGR6−SVリガンドを発現する細胞の画分がその最初のライブラリーよりも数倍多いだろう)を生じさせるために哺乳類細胞中へとトランスフェクションされる。このエンリッチ法は、LGR6−SVリガンドを含む単一の組み換えクローンが単離されるまで繰り返しされる。LGR6−SVリガンドの単離は、LGR6−SVシグナル伝達経路の新規アゴニストもしくはアンタゴニストを同定もしくは開発するために有用である。かかるアゴニスト及びアンタゴニストとしては、LGR6−SVリガンド、抗LGR6−SVリガンド抗体、小分子又はアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0171】
本発明のネズミ及びヒトLGR6−SV核酸も、対応する染色体LGR6−SVポリペプチド遺伝子を同定するための有用な道具である。例えば、LGR6−SV配列を含むマウス染色体DNAはノックアウトマウスを構築するために使用されて良く、それによってLGR6−SVポリペプチドのin vivo役割に関する検査が可能になる。ヒトLGR6−SVゲノムDNAは、遺伝性組織変性疾患を同定するために使用されて良い。
【0172】
下の例は、例示目的のみであり、本発明の範囲を限定するものとしていかなる場合も考えられるべきでは無い。
【実施例】
【0173】
実施例
実施例1:LGR6. 1及びLGR6.2の同定
NCBIデータベースを、ヒトLGR6ヌクレオチド配列を照会配列として使用することでサーチした。このサーチでLGR6レセプターの新規変異体を同定した。この変異体を、LGR6はどちらもN−末端並びにC−末端領域においてLGR6とは異なり、LGR6.1. LGR6.1と命名した。LGR6.1は3つの特別なロイシンリッチリピート及び個別のリーダーペプチドをコードする。LGR6.1のC−末端は、公開されているLGR6配列とは異なる。LGR6.1の新規C−末端はF−A−S−H−Vであり、そして興味深いことに、これは、クラスIコンセンサスPDZドメイン(X−S/T−X−V)の完全なPDZ結合モチーフである。
【0174】
更に、我々は、 Research GeneticsからdbEST Id:9815955 (照会配列と部分的にマッチする)に対応するESTクローンを獲得し、そして配列を完成させた。このようにして、我々は、より短い、考えられる可溶性の、LGR6.1レセプターのスプライス変異を同定した。我々は、それをLGR6.2と命名した。興味深いことに、LGR6.2は、348個のアミノ酸のタンパク質をもたらす新規ストップコドンを含む新規エキソンをコードする。TSHレセプターの単鎖型に類似して、LGR6.2はロイシンリッチリピート細胞外部分のみを含む。LGR6.2は7回膜貫通型ドメインを含まないので、in vivoでLGR6.1として働きうる新規分泌タンパク質を示すことができる。LGR6.1、LGR6.2及びLGR6をコードするヌクレオチド配列のアライメントを図1に報じている。
【0175】
これら2つの新規スプラス変異のシグナルペプチドを特定するために、神経ネットワーク(NN)及びHidden Markov(HMM)モデルを使用するSignalP(登録商標)予測をこの配列に対して行った。両予測モデルにより、最初の19個のアミノ酸がシグナルペプチドを示すというおよそ50%の可能性がもたらされた。
【0176】
実施例2:ヒト組織におけるLGR6.1及びLGR6.2の組織分布
LGR6.1及びLGR6.2のTaqMan分析
21の様々なヒト組織に由来する1μgの全長RNA(0.5μgのPolyA+ヒト下垂体に由来するRNA)をMMLV逆転写酵素によって逆転写させた。
【0177】
2.5μlのRT反応物を、製造説明書(1XTaqManユニバーサルミックス、900nMの順方向プライマー及び逆方向プライマー並びに250nMのプローブ(最終体積25μl))に従ってTaqMan分析によって試験した。テンプレートのコントロールをネガティブコントロールとしてランせず、並びにサンプルから逆転写酵素を引く。標準曲線を、コピー数を計算するためにLGR6.1及びLGR6.2をコードするプラスミドを使用することで描いた。β−アクチンを内部コントロール (Applied Biosystem)として選択した。
【0178】
TaqmanをABIPRISM 7700 Sequence Detector (Applied Biosystems)上で行い、そしてその条件は以下の通り:1サイクル(50℃ 2分)、1サイクル(95℃ 10分)、40サイクル(95℃ 15秒及び60℃ 1分)であった。
【0179】
次のようなプライマーを使用している。
LGR6.2 順方向:ATTGGAGGAAATGAGAAGTGGG
LGR6.2 逆方向:CCGCTAGGGCAGCAAGAG
LGR6.2 プローブ:6FAM−CATGGAGCGGAGCCAGGGTCTG−TAMRA
LGR6.1 240 順方向:AAATCCTGATGCTGCAGAACAA
LGR6.1 358 逆方向:CCTCTCCGGGACCAGGG
LGR6.1 プローブ:6FAM−CTGCCGAGCCTGCAGTCGCTG−TAMRA
【0180】
2つの新規配列び組織発現分布を示す図面を図2に示している。
【0181】
実施例3:LGR6ドメインの同定及び記載
3.1 同定
SMART (http://smart.embl-heidelberq.del/)とよばれるバイオインフォマティクスツールを使用し、スプライス変異体LGR6.1及びLGR6.2の推定ドメインを同定するために使用した。結果を図4に示している。加えて、Prositeをも配列上でランした(http://us.expasy.org/prosite/)。
【0182】
Prosite部分スキャン結果:
LGR6:
>PDOC00016 PS00016 RGD細胞接着配列[パターン] [警告: 高い発生確率を有するパターン]. 図3を参照のこと。
621〜623 RGD
LGR6.1:
>PDOC00016 PS00016 RGD細胞接着配列[パターン] [警告: 高い発生確率を有するパターン]. 図3を参照のこと。
708〜710 RGD
【0183】
加えて、ヒンジ領域(ロイシンリッチリピートと膜貫通ドメインとの間に位置する)における保存されたアミノ酸配列を同定した。LGR4、LGR5及びLGR6を、特定のLGRサブグループにおいて再分割できるが、その理由は、それらが共通してYAYQCC及びGXFKPCEXに対応する同じヒンジ保存配列を共有するからだ。LGR6.1は含むがLGR6.2はこれらの保存配列を含まない(図3に示してある)。
【0184】
3.2 ドメインの記載
LRR
ロイシンリッチリピート(LRR)は比較的短いモチーフ(長さ22〜28残基)であり、様々な細胞質タンパク質、膜タンパク質、及び細胞外タンパク質において発見される。これらのタンパク質は非常に様々な機能に関連しているが、共通する特性はタンパク質間相互作用を含むことである。LRRの3D構造は殆ど知られていないが、それらは膜と相互作用できる疎水性表層を伴う両親媒性構造を形成できると考えられている。ショウジョウバエ(Drosophila)トールタンパク質に由来する合成LPRタンパク質のin vitro研究により、延長されたフィラメントを形成するβシート構造を適合することによってゲルを形成するペプチドが示されている。これらの結果はLRRがタンパク質間相互作用及び細胞接着を介在するという考えと矛盾しない。LRR含有タンパク質の他の機能としては、例えば、酵素に対する結合及び血管修復である。リボヌクレアーゼ阻害物質、即ち、15のLRRを含有するタンパク質が特定されており、LRRがα/β折りたたみの新たなクラスであることが明らかである。LRRは延長された非球形構造を形成し、そして往々にしてシステインリッチドメインに隣接している。
【0185】
7回膜貫通レセプター(ロドプシンファミリー)
Gタンパク質共役レセプターのGPCRは、様々な幅広い機能(例えば様々な自己分泌、傍分泌及び内分泌プロセス)を包含する多くのタンパク質ファミリーを構成する。それらは、配列レベルで多様性を非常に示し、それに基づいてそれらを個々のグループに分離できる。我々は、用語「一族」を使用してGPCRを記載するが、何故なら、それらが、進化的関係を示すものがあるが、その間には配列MEDLINE:94224751における統計的に有意な類似性がないファミリーのグループを包含するからである。現在知られている一族のメンバーとしては、ロドプシン様GPCR、セクレチン様GPCR、cAMPレセプター、真菌交配フェロモンレセプター、及び代謝調節型グルタミン酸塩レセプターファミリーが挙げられる。GPCRについて特化したデータベース: http://www. gpcr. orgf7tm/.がある。ロドプシン様GPCRはそれら自身広範囲なタンパク質ファミリーを示し、それには、ホルモン、神経伝達物質及び光受容体が挙げられ、その全ては、細胞外シグナルを、グアニンヌクレオチド結合(G)タンパク質の相互作用を介して伝達する。それらの活性化リガンドは構造及び特性において非常に多彩であるが、レセプターのアミノ酸配列は、非常に類似しておりそして7回膜貫通(TM)ヘリックスの、MEDLINE:30252152、MEDLINE:88139292、MEDLINE:93234436を含んで成る共通の構造フレームワークを採用すると考えられている。
【0186】
PS00016;RGD
フィブロネクチン中で発見された配列Arg−Gly−Aspは、細胞表層レセプターのインテグリンとそれが相互作用するために重要である。「RGD」トリペプチドとよばれているものも、多くの他のタンパク質の配列中で発見されており、それは接着において働くことが示されている。これらのタンパク質は:コラーゲンの、フィブリノーゲン、ビトロネクチン、von Willebrand因子(VWF)、ヘビ分解物質(snake disintegrins)、及び粘性カビヂスコイジン(discoidins)のいくつかの形態が挙げられる。「RGD」トリペプチドは他のタンパク質中でも発見され、ここでは、いつもではないが、同じ目的のために働く。
【0187】
3.3 結論
例1に提案した意見に加え、SMARTの結果(図4)に基づいて、LGR6.1はLGR6に非常に関係しており且つLGR6.2は実際には新規分泌タンパク質を示すことが明らかである。興味深いことに、LGR6及びLGR6.1はRGDトリペプチド配列を含み、これらのタンパク質はインテグリン細胞表層レセプターと相互作用しうることを示し、それは細胞接着に関わる。LGR6.2はトリペプチド配列を欠いており、その配列は可溶性タンパク質としてLGR6.2を支持している。更に、LGR6.1は有するがLGR6.2は、LGR4、LGR5及びLGR6からなるLGRサブグループのヒンジ保存配列を有さない。 かかる特定の活性化メカニズムはこの特定のLGRサブグループと関連しているので、Yu Hsu ら. は、これらのレセプターは、類似するリガンド結合及びシグナル伝達特性を共有することを示唆している(Sheau Yu Hsuら. 2000. Molecular Endocrinology vol.14 (No.8):pp.1257〜1271)。彼らはまた、この特定のLGRサブグループはヒンジ領域で類似の構造決定基を共有するので、オーファンレセプターのこの領域に対する調査により、様々なLGRの活性化メカニズムに対する考えが得られるだろうことも指摘している。更に、彼らはTSHレセプターに対する最近の研究で、保存的YPSHCCモチーフのセリン残基の点突然変異で、重度新生児甲状腺機能亢進症につながるTSHレセプターの構造的活性化がもたらされることが示されたと述べている。類似して、LGR6又はLGR6.1のヒンジ保存配列の重大な突然変異により、構造的にこれらのレセプターが活性化され、特定の先天的な疾患又はガンにつがながりうる。分泌されたLGR6.2は、LGR4、LGR5及びLGR6からなるLGRサブグループの構造的又は過剰の活性化のいくつかの形態を無効にすることができうる。
【0188】
実施例4: タンパク質機能の生物学的関係を調査するために適切な生殖健康アッセイ(Reproductive Health Assays):
多くの生殖健康関連アッセイを出願人は開発しておりそしてLGR6タンパク質機能の生物学的関係を調査することにおいて使用している。卵巣(例2)におけるLGR6.1及びLGR6.2の高い発現率に関して、 かかるアッセイにより特定の関係が見られる。出願人によって開発された生殖健康関連アッセイは、生殖健康に関して18種類の、細胞ベースのアッセイによって開発されている。これらを下に論じている。
【0189】
4.1 一次ヒト子宮平滑筋増殖アッセイ:
子宮平滑筋細胞の増殖は、女性における子宮筋腫の腫瘍進行のための前兆である。このアッセイにおいて、一次子宮平滑筋細胞の増殖を阻害するタンパク質を同定することが目的である。
【0190】
4.2 JEG−3移植アッセイ:
JEG−3細胞は、移植の間の胚盤胞のモデルとして使用される栄養絨毛性(choriotrophoblastic)ヒトガン細胞系統である。Ishikawa細胞は、比較的分化していないヒト子宮内膜ガン細胞系統であり、それは、脱落膜のモデルとして使用されている。JEG−3細胞は、ヒト脱落組織へと「移植」されるだろう。このアッセイにおいて、2−チャンバーシステムが使用されており、ここで蛍光標識されたJEG−3細胞が、Ishikawa細胞又はIshiklawaならし培地が下方チャンバーに配置された場合、Matrigelで覆われた多孔質膜を通じて上方チャンバーから下方チャンバーへと浸潤する。移動する細胞を、プレートリーダーにおいて定量化する。目的は、in vivoでの移植を援助することにおいて使用するためのJEG−3細胞の浸潤を促すタンパク質を同定することである。
【0191】
4.3 オステオポンチンビーズアッセイ(Ishikawa細胞):
Ishikawaヒト子宮内膜細胞は、移植のためのモデルとして使用されている。ヒトに移植する際に、胚盤胞によって発現されるタンパク質に対して結合すると考えられている様々なインテグリンが、子宮内膜によって発現されている。Ishikawa細胞はavb3(「移植の窓」の間に子宮内膜によって発現されるインテグリンである)を発現することが刊行物中で示されている。このインテグリンは、トロホブラストによって発現されたオステオポンチンを結合することが考えられている。このアッセイにおいて、オステオポンチンにより覆われた蛍光ビーズは胚盤胞を示し、そしてIshikawa細胞は、それらをエストラジオールで処理することによって、結合するためにそれらを受け入れ始める。目的は、移植の際に、子宮内膜の感受性を高める助けとして、Ishikawa細胞の、オステオポンチンビーズに対して結合する能力を高めるタンパク質を同定することである。
【0192】
4.4 HuF6アッセイ:
HuF6細胞は、一次ヒト子宮繊維芽細胞である。これらの細胞は、それらをIL−1βで処理することによって脱落化に誘導されて良い。脱落化に関するマーカーはPEG2の生産であり、それはELISAによって測定される。目的は、早期妊娠の間に脱落化を増強するような方法でHuF6細胞によるPEG2の生産を高めるタンパク質を同定することである。
【0193】
4.5 子宮内膜症アッセイ:
腹膜TNFαは、腹膜中皮細胞に対して接着して増殖させるために、子宮からの子宮内膜細胞の脱落を誘導することによって子宮内膜症におけるある役割を果たす。このアッセイにおいて、BEND細胞をTNFα(それは子宮内膜症の間に接着に関するアッセイとして、BEND細胞が、フィブロネクチンで覆われた蛍光ビーズに対して結合する能力を高める)で処理した。目的は、細胞のビーズ結合能力を刺激するようなTNFαの能力を減らす又は阻害するようなタンパク質を同定することである。
【0194】
4.6 hLHRを安定にトランスフェクションしたJC−410ブタ粒状質を使用するサイクリックAMPアッセイ:
多嚢胞性卵巣症候群において、下垂体に由来するLHは、アンドロゲンの卵巣莢膜細胞からの放出を比較的高く誘導する。このアッセイを、LHシグナル伝達の阻害物質を調べるために使用しているが、その阻害物質はPCOSの間に卵巣でLHの作用を減らすために使用されて良い。JC−410ブタ顆粒膜細胞系統にヒトLHレセプターを安定にトランスフェクションしている。LHでの処理によりcAMP生産がもたらされる。
【0195】
4.7 hFSHRを安定にトランスフェクションしたJC−410ブタ顆粒膜細胞を使用するサイクリックAMPアッセイ:
JC−410ブタ顆粒細胞系統にヒトFSHRを安定にトランスフェクションさせた。FSHでの処理によりcAMP生産が刺激され、それをこのアッセイによって測定している。目的は、顆粒状細胞におけるFSH作用を高めるタンパク質を同定することである。
【0196】
4.8 LβT2(マウス)下垂体細胞アッセイ:
LβT2は不死化されたマウス下垂体性腺刺激ホルモン分泌細胞である。アクチビン単独で又はGnRH+アクチビンでの刺激により、FSH(GnRH単独での刺激は、LHの分泌をもたらす)の分泌がもたらされる。この細胞は、FSH生産を刺激するためにGnRHと共に作用するタンパク質を発見するために、GnRH+Bioscreenタンパク質で処理されるかあるいは、それらはアクチビン単独の場合と同じようにFSH分泌を刺激することができるタンパク質を発見するためにBioscreenタンパク質単独で処理されるかのいずれかであって良い。
【0197】
4.9 卵丘膨張アッセイ(Cumulus expansion assay):
マウス卵丘卵母細胞複合体を使用する(2/ウェル)卵丘膨張アッセイを、卵母細胞成熟に対して影響を与えるタンパク質をアッセイするために96ウェル形態で確認した(卵丘膨張によって測定した)。2つの96ウェルプレートをアッセイごとに処理でき、そして週当たり2つのアッセイを行うことができうる。もし、Bioscreenタンパク質が1つの濃度でアッセイされれば、全Bioscreen Iタンパク質を1月でアッセイできる。読み出しは、膨張に関してのイェス/ノー応答である、又は画像分析プログラムが、膨張を定量的方法で測定するために使用されて良い。
【0198】
4.10 RWPE増殖アッセイ:
良性前立腺過形成は、アポトーシスによる均衡がとられていない前立腺上皮及び基質の増殖を特徴とし、器官の巨大化をもたらす。RWPEは、HPV−18により不死化された正常なヒト前立腺細胞系統であり、そして一次ヒト前立腺上皮細胞の代わりに使用されて良い。
【0199】
4.11 HT−1080繊維肉腫アッセイ:
このアッセイを、JEG−3移植アッセイ(上記)のためのポジティブコントロールとして開発した。これは、ガン転移のために非常に良く確立されたアッセイモデルである。蛍光標識したHT−1080ヒト繊維肉腫細胞を2チャンバー系の上方チャンバー中で培養し、そして多孔質のMatrigelで覆った膜を通じて下方チャンバー(ここでそれが定量される)中へと入ることが刺激されて良い。目的は、侵入を阻害するタンパク質を同定することである。細胞を侵入させるために、血清を下方チャンバーに加えることによって刺激しており、そしてそれらはドキシサイクリンにより阻害されている。
【0200】
4.12 一次ヒト卵巣平滑筋アッセイ:
子宮筋腫の兆候の一つは、平滑筋腫になる子宮平滑筋によるコラーゲン沈着である。一次ヒト子宮平滑筋細胞は、TGFP(それはRebifにより遮断される)による処理によって、コラーゲンを生産するように刺激されている。この目的は、このような繊維化した表現型を阻害するタンパク質を発見することである。
【0201】
4.13 ヒト子宮筋腫細胞増殖アッセイ:
ヒト子宮筋腫細胞系統は、増殖アッセイにおける子宮筋腫のためのモデルとして使用されて良い。この細胞は、非常に緩やかに増殖しそして我々は、それらをエストラジオール及び増殖因子で処理することによってより速い速度で増殖させている。この目的は、子宮筋腫細胞のエストラジオール依存性増殖を阻害するタンパク質を同定することである。
【0202】
4.14 937移動アッセイ:
子宮内膜症病巣は、免疫細胞を腹膜腔へと集めるサイトカインを分泌する。これら免疫細胞は(特に活性化されたマクロファージ及びTリンパ球)は、子宮内膜症に共通する炎症症状に介在する。RANTESは、子宮内膜症間質細胞によって生産され、そして腹膜流体中に存在していることが示されている。このアッセイにおいて、U937、即ち、単球細胞系統を、活性化されたマクロファージのためのモデルとして使用しており、そしてより少ない量の2チャンバー培養系を、上方チャンバーから移動させるために処理することによって誘導させられて良い。もし、細胞に予め蛍光色素がロードされていれば、それらは、下方チャンバーにおいて定量化されて良い。目的は、U937細胞の移動を阻害するタンパク質を同定することである。
【0203】
4.15 JEG3ヒト栄養膜アッセイ:
胚盤胞の栄養膜はHLA−G、即ちクラスI HLA分子(母親による胚の免疫拒絶を防ぐために重要であると考えられている)を生産する。子癇前に、HLA−Gの量は低いかあるいは存在せず、おそらく、母親の免疫グロブリン干渉が理由で栄養膜の子宮内膜及びらせん動脈への侵入が乏しいことなどの明らかな兆候がもたらされる。JEG−3ヒト栄養膜細胞系統はHLA−Gを生産し、それはIL−10又はLIFによる処理によって増加させられて良い。ELISAは、JEG−3細胞によるHLG−A生産を測定するために使用されて良く、そして目的は、HLA−G生産を高めることができる他のタンパク質の発見である。
【0204】
4.16 一次ラット卵巣分散体(dispersate)アッセイ:
JC−410−FSHR/LHR細胞系統からステロイドを評価可能な量で測定することが困難であることにより、未成熟ラットから採取した全体卵巣に由来する一次細胞を使用するアッセイを開発した。最初に、これらの培養物からのエストラジオールの生産を、FSH及び/又はLHで処理した後に測定している。次いで、この目的は、ゴナドトロピン刺激ステロイド形成を増強するタンパク質を、又は単独で働いてこれらの培養物によるステロイド形成を高めるタンパク質を同定することである。
【0205】
4.17 マウスIVFアッセイ:
このアッセイにおいて、卵母細胞に対する受精能力によって測定される精子機能を、評価し、そして、精子の受精可能性を刺激するタンパク質を発見することが目的である。
【0206】
4.18 一次ヒト前立腺ストローマ細胞増殖アッセイ:
BPHの上皮成分に関するアッセイを既に上記した(上のRWPEアッセイを参照のこと)。このアッセイは、一次ヒト前立腺ストローマ細胞を、BPHの間のこれらの細胞の増殖に関するモデルとして使用する。目的は、これらの細胞の増殖を阻害するタンパク質を同定することである。
【0207】
本発明は好適な実施態様の観点から記載されている一方で、変更及び変形が生じることは当業者に明らかであろう。従って、添付の請求の範囲は、請求項とされた本発明の範囲内のかかる同等な変更を全て網羅することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1−1】Vector NTI Suite のALIGNXアプリケーション(Informax, Inc, Bethesda)を使用することによるLGR6.1、LGR6.2及びLGR6のヌクレオチド配列アライメントを示す。
【図1−2】Vector NTI Suite のALIGNXアプリケーション(Informax, Inc, Bethesda)を使用することによるLGR6.1、LGR6.2及びLGR6のヌクレオチド配列アライメント(続き)を示す。
【図1−3】Vector NTI Suite のALIGNXアプリケーション(Informax, Inc, Bethesda)を使用することによるLGR6.1、LGR6.2及びLGR6のヌクレオチド配列アライメント(続き)を示す。
【図1−4】Vector NTI Suite のALIGNXアプリケーション(Informax, Inc, Bethesda)を使用することによるLGR6.1、LGR6.2及びLGR6のヌクレオチド配列アライメント(続き)を示す。
【図2】2つの新規LGR6−SVの組織発現分布を示す。
【図3−1】Clustal Wアライメントツールを使用するLGR6、LGR6.1及びLGR6.2のアミノ酸アライメントを示す。加えて、YAYQCC及びGPFKPCEYヒンジ保存配列並びにRGDトリペプチド配列を示す。
【図3−2】Clustal Wアライメントツールを使用するLGR6、LGR6.1及びLGR6.2のアミノ酸アライメントを示す。加えて、YAYQCC及びGPFKPCEYヒンジ保存配列並びにRGDトリペプチド配列(続き)を示す。
【図4】LGR6、LGR6.1及びLGR6.2のSMARTドメインアライメントを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された核酸分子であって:
(a) 配列番号:1又は配列番号:3のいずれかにおいて開示されたヌクレオチド配列;
(b) 配列番号:2、配列番号:4のいずれかにおいて開示されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(c)適度なストリンジェント条件下で、
●(a)もしくは(b);又は
●配列番号:1もしくは配列番号:3のヌクレオチド配列1〜102;又は
●配列番号:1もしくは配列番号:3のヌクレオチド配列319〜606;
●配列番号:3のヌクレオチド配列1027〜1201、
のうちの1つとハイブリダイズするヌクレオチド配列、
から成る群から選択されるヌクレオチド配列を含んで成る単離された核酸分子。
【請求項2】
配列番号:2又は配列番号:4のいずれかに開示されたポリペプチドに対して約85%以上の同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成る単離された核酸分子であって、ここでコードされたポリペプチドが、配列番号:2又は配列番号:4のいずれかに開示されたポリペプチドの活性を有する、単離された核酸分子。
【請求項3】
配列番号:2又は配列番号:4のいずれかに開示されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成る単離された核酸分子であって、1以上の保存的アミノ酸置換を伴い、ここで当該コードされたポリペプチドは、配列番号:2又は配列番号:4のいずれかに開示されたポリペプチドの活性を有する、単離された核酸分子。
【請求項4】
請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の核酸分子を含んで成るベクター。
【請求項5】
請求項4に記載のベクターを含んで成る宿主細胞。
【請求項6】
真核細胞である請求項5に記載の宿主細胞。
【請求項7】
原核細胞である請求項5に記載の宿主細胞。
【請求項8】
LGR6−SVポリペプチドを生産する方法であって、当該ポリペプチドを発現させるために請求項5に記載の宿主細胞を適切な条件下で培養し、そして任意に当該培養物から当該ポリペプチドを単離することを含んで成る方法。
【請求項9】
請求項8の方法によって生産した又は請求項1に記載のヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチド。
【請求項10】
前記核酸分子が、LGR6−SVポリペプチドをコードするDNAに対して作用可能式に結合した天然のLGR6−SVポリペプチドためのプロモーターDNAの他にプロモーターDNAを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記%同一性を、GAP、BLASTN、FASTA、BLASTA、BLASTX、BestFit、及びSmith Watermanアルゴリズムからなる群から選択されるコンピュータープログラムを使用することで特定している、請求項2に記載の単離された核酸分子。
【請求項12】
ある化合物がLGR6−SVポリペプチド活性又はLGR6−SVポリペプチド生産を阻害するかどうかを特定するための方法であって、請求項5、6、又は7のいずれか1項に記載の細胞を当該化合物に曝しそして当該細胞中でのLGR−SVポリペプチド活性又はLGR−SVポリペプチド生産を測定することを含んで成る方法。
【請求項13】
配列番号:2もしくは配列番号:4のいずれかにおいて開示されたアミノ酸配列を含んで成る単離されたポリペプチド又は配列番号:2又は配列番号:4に開示されたポリペプチドの活性を伴う1以上の保存的アミノ酸置換を有するポリペプチド。
【請求項14】
請求項13に記載の単離されたポリペプチドの成熟形態。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のポリペプチドを特異的に結合する選択的結合剤又はその断片。
【請求項16】
配列番号:2もしくは配列番号:4のいずれかにおいて開示されたアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド又はその断片を特異的に結合する請求項15に記載の選択的結合剤又はその断片。
【請求項17】
抗体又はその断片である請求項16に記載の選択的結合剤。
【請求項18】
ヒト化抗体である請求項17に記載の選択的結合剤。
【請求項19】
LGR6−SVポリペプチドに関連した疾患、症状、又は病気を治療、予防又は改善するための方法であって、患者に対して有効な量の請求項16に記載の選択的結合剤を投与することを含んで成る方法。
【請求項20】
配列番号:2又は配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドにより動物を免疫化することによって生産した選択的結合剤。
【請求項21】
請求項13又は14に記載のポリペプチドを結合することができる選択的結合剤を生産するハイブリドーマ。
【請求項22】
請求項17又は18に記載の抗LGR6−SV抗体又は断片を使用することでLGR6−SVポリペプチドの量を検出又は定量する方法。
【請求項23】
請求項13又は14に記載のポリペプチド及び医薬的に許容できる製剤を含んで成る組成物。
【請求項24】
前記医薬的に許容できる製剤が、担体、アジュバント、可溶化剤、安定化剤、又は抗酸化物質である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記ポリペプチドが配列番号:2又は配列番号:4のいずれかに開示されたアミノ酸配列を含んで成る、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
請求項13又は14に記載のポリペプチドの誘導体を含んで成るポリペプチド。
【請求項27】
水溶性ポリマーとの共有結合により修飾されている、請求項13又は14に記載のポリペプチド。
【請求項28】
前記水溶性ポリマーが、ポリエチレングリコール、モノメトキシポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、ポリ−(N−ビニル ピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、酸化ポリプロピレン/酸化エチレンコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、及びポリビニルアルコールからなる群から選択されている、請求項27に記載のポリペプチド。
【請求項29】
請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の核酸分子及び医薬的に許容できる製剤を含んで成る組成物。
【請求項30】
前記核酸分子がウィルスベクター中に含まれている、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の核酸分子を含んで成るウィルスベクター。
【請求項32】
異種アミノ酸配列に対して融合した請求項13又は14のいずれか1項に記載のポリペプチドを含んで成る融合ポリペプチド。
【請求項33】
前記異種アミノ酸配列がIgG定常ドメイン又はその断片である、請求項32に記載の融合ポリペプチド。
【請求項34】
臨床症状を治療、予防又は改善するための方法であって、患者に対して請求項13もしくは14に記載のポリペプチド、又は請求項1、2もしくは3のいずれか1項に記載の核酸によってコードされたポリペプチドを投与することを含んで成る方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−523435(P2006−523435A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563248(P2004−563248)
【出願日】平成15年12月23日(2003.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2003/051091
【国際公開番号】WO2004/058818
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(599177396)アプライド リサーチ システムズ エーアールエス ホールディング ナームロゼ フェンノートシャップ (70)
【Fターム(参考)】