説明

MEM共振器の周波数を調整するための方法

【解決手段】 ここには多くの発明が説明され、図示されている。これらの発明は、パッケージングの前及び/又は後の何れかに関わらず、出力周波数が調整され、整調され、設定され、画定され、及び/又は選択されるマイクロ電気機械共振器を製作する方法に着目している。或る態様では、本発明の方法は、機械的構造の1つ又は複数の要素及び/又は梁(例えば、移動可能又は拡張可能な電極及び/又は周波数調整構造)を(選択又は非選択的方法で)抵抗加熱することによって、共振器の機械的構造の材料を変化させ、及び/又は共振器の機械的構造から材料を除去することにより、マイクロ電気機械共振器の周波数を調整し、整調し、設定し、画定し、及び/又は選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ電気機械システム及び/又はナノ電気機械システム(以後、総称して「マイクロ電気機械システム」)と、マイクロ電気機械システムを製作するための技法に、より具体的には、或る態様では、マイクロ電気機械共振器の出力周波数を調整し、整調し、設定し、画定し、及び/又は選択するための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来型のマイクロ機械構造の多くは、印加された力に対する梁構造の反応(例えば、振動、変位、又は捻れ)に基づいている。そのような梁構造は、しばしば単結晶又は多結晶の半導体から製作される。これらの材料は、優れた機械的強度と、高い内在品質因子を有している。
【0003】
しかしながら、その様なマイクロ機械構造に関する製造及び材料上の公差は、しばしば当該構造の作動及び/又は機能に大きく影響を与える。例えば、マイクロ電気機械共振器は、通常、曲がり梁及び側方振動梁構造に依存している。この点で、製造及び材料上の公差は、その様な共振器の共振周波数の大きなばらつきに繋がる傾向がある。
【0004】
注記すると、従来型共振器の梁構造は、形状及び/又は断面が長方形であることが多い。梁の幅(W)に平行な振動方向について計算する場合、梁の機械的剛性(K)は、ヤング係数(E)と、梁の幾何学的形状の或る尺度に比例し、長方形断面を有する梁については、長さ(L)及び高さ(h)となり、以下の式1で表すことができる。
【0005】
【数1】

【0006】
静電力を考慮しなければ、梁の共振周波数(f)は、上記を前提にして、以下の式2で定義される。
【0007】
【数2】

【0008】
ここで、meffは、梁の共鳴モード形に対する有効質量である。
従って、式1と2から明らかなように、マイクロ電気機械共振器の(可動)梁又は電極の寸法及び有効質量と、その様な寸法及び質量を正確に繰り返し制御できる能力は、共振器の共振周波数を正確に予測(及び/又は制御)するために必要不可欠である。
【0009】
マイクロ電気機械共振器を製作するための従来の加工法は比較的精密ではあるが、その様な加工法は、固有の製作又は加工公差を有している。同様に、材料の特徴及び/又は特性の公差/範囲は、ヤング係数に差異を作り出し、これを製作前に正確に予測、補正、対処及び/又は事前判定するのは難しい。その様な製造及び材料上の公差は、同じ設計の共振器の間でさえ、比較的大きな周波数のばらつきに繋がる。実際、そのような周波数のばらつきは、例えば同じウェーハ上に製作された共振器のような、同じ加工/組み立てを経たマイクロ電気機械共振器同士の間でも測定される(おそらく許容されない)。
【0010】
製造及び材料上の公差のためにマイクロ電気機械共振器の共振周波数がばらつくという問題に取り組む試みが、数多くなされている。例えば、その様な技法の1つは、レーザーを使って、開放されたパッケージングされていない状態の発振器から材料を蒸発させる。この技法では、パッケージング前に発振器の出力周波数が測定される。特定の出力周波数を提供するのに調整が必要な場合、出力の周波数を上げるために、発振器上に配置されている材料が除去される(例えば、Noell他の「観察のためのMEMS」、IEEE2004、0−7803−8265−X/04、1−4頁参照)。適切な周波数が得られると、発振器はパッケージングされる。
【0011】
別の技法は、レーザーを使って、金属材料を近隣の「犠牲」金属層からマイクロ電気機械共振器の(シリコン材料から成る)機械的構造上に「移動させる」。例えば、ChialとLinの「パルス式レーザー蒸着によるマイクロ共振器のパッケージング後の整調」IEEE2003、0−7803−7731−1/03、1820−1823頁を参照されたい。ここでは、マイクロ電気機械共振器は、ガラスウェーハキャップでウェーハーボンディングによって気密密閉されている。レーザーの出力は、ガラスキャップを貫いて印加され、密閉されたチャンバ内に配置されている金属層に入射する。金属材料は、キャップから発振器の質量上へと「飛び出す」。この様にして、追加の質量が、例えば、可動梁又は電極の上に蒸着され、マイクロ電気機械共振器の共振器周波数が下がる。
【0012】
そのような構成、具体的には、ガラスウェーハパッケージ及び犠牲金属層は、特に共振器チャンバ内における金属材料の蒸発の点で、とりわけマイクロ電気機械共振器の真空に悪影響を与える。その様な蒸発は、チャンバ内に望ましくない汚染を生成し、それが次には共振器の作動に悪影響を与えることになる。
【0013】
従って、従来型技法の欠点の1つ、一部又は全部を克服する、マイクロ電気機械共振器の出力周波数を整調、設定、画定及び/又は選択するための技法が必要とされている。共振器のチャンバを汚染すること無く、マイクロ電気機械共振器の製造及び材料上の公差の悪影響を補償及び/又は対処し、最小化し及び/又は無くする技法が必要とされている。注記すると、その様な技法が、CMOS回路に不適合であるか、又はCMOS回路と一体化するのが難しい材料及び/又は技法を組み込むことに依存していなければ、好都合である。
【特許文献1】WO 01/77008 A1号
【特許文献2】WO 01/77009 A1号
【特許文献3】USPA 10/455,555号
【特許文献4】USPA 10/454,867号
【非特許文献1】Noell他「観察のためのMEMS」、IEEE2004、0−7803−8265−X/04、1−4頁
【非特許文献2】Chial、Lin「パルス式レーザー蒸着によるマイクロ共振器のパッケージング後の整調」IEEE2003、0−7803−7731−1/03、1820−1823頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下、多くの発明について説明し、図示する。第1の重要な態様では、本発明は、第1共振周波数を有するMEMS共振器の共振周波数を調整する方法である。或る実施形態では、MEMS共振器は、第1電気接点を含む第1基板アンカーと、第2電気接点を含む第2基板アンカーと、第1端部が第1基板アンカーによって固定され、第2端部が第2基板アンカーによって固定されている梁構造と、を備えている。本方法は、第1電気接点に印加する第1加熱電流を選択する工程と、第1加熱電流をMEMS共振器に印加する工程を含んでおり、前記第1加熱電流を印加する工程は、第1加熱電流を第1電気接点から第2電気接点へ流して、梁構造を(例えば、300℃以上の、約900℃と約1200℃の間の、及び/又は、1200℃以上の温度まで)抵抗加熱する工程を含んでいる。これに応じて、第1梁構造の材料が変化して、MEMS共振器の第2共振周波数を提供する。
【0015】
或る実施形態では、本方法は、更に、MEMS共振器の第1共振周波数を測定する工程を含んでおり、第1加熱電流は、測定した第1共振周波数に基づいて選択される。別の実施形態では、本方法は、更に、MEMS共振器の第2共振周波数を測定する工程と、第1電気接点に印加する第2加熱電流を計算する工程と、第2加熱電流をMEMS共振器に印加する工程と、を含んでおり、第2加熱電流を印加する工程は、第2加熱電流を第1電気接点から第2電気接点へ流して梁構造を抵抗加熱する工程を含んでいる。第2加熱電流に応じて、第1梁構造の材料が変化して、MEMS共振器の第3共振周波数を提供する。
【0016】
MEMS共振器は、多梁整調フォーク構造を備えた梁構造を含んでおり、多梁整調フォーク構造内の各梁は、第1基板アンカーによって固定されている第1端部と、第2基板アンカーによって固定されている第2端部とを備えている。或る実施形態では、梁構造は高張力区域を備えており、高張力区域は、第1電流に応じて抵抗加熱され、高張力区域の材料を変化させる。別の実施形態では、高張力区域は、梁構造の他の部分より相当に高い温度まで加熱される。
【0017】
別の重要な態様では、本発明は、第1共振周波数を有するMEMS共振器の共振周波数を調整する方法である。MEMS共振器は、第1電気接点を含む第1基板アンカーと、第2電気接点を含む第2基板アンカーと、第1端部が第1基板アンカーによって固定され、第2端部が第2基板アンカーによって固定されている梁構造と、を備えている。本方法は、第1加熱電流をMEMS共振器に印加する工程を含んでおり、第1加熱電流を印加する工程は、第1加熱電流を第1電気接点から第2電気接点へ流して梁構造を(例えば、300℃以上、約900℃と約1200℃の間、及び/又は1200℃以上の温度まで)抵抗加熱する工程を含んでいる。これに応じて、第1梁構造の材料(例えば、単結晶及び/又は多結晶シリコン材料)が蒸発して、MEMS共振器の第2共振周波数を提供する。
【0018】
本方法は、更に、MEMS共振器の第1共振周波数を測定する工程と、測定した第1共振周波数に基づいて第1加熱電流を決める工程を含んでいる。本方法は、更に、MEMS共振器の第2共振周波数を測定する工程と、第1電気接点に印加する第2加熱電流を決める工程と、第2加熱電流をMEMS共振器に印加する工程と、を含んでおり、第2加熱電流を印加する工程は、第2加熱電流を第1電気接点から第2電気接点へ流して梁構造を抵抗加熱する工程を含んでいる。その様な加熱に応じて、第1梁構造の材料が変化して、MEMS共振器の第3共振周波数を提供する。
【0019】
更に別の重要な態様では、本発明は、第1共振周波数を有するMEMS共振器の共振周波数を調整する方法である。本発明のこの態様のMEMS共振器は、梁構造と周波数調整構造を備えており、周波数調整構造は、多結晶シリコンから成り、第1及び第2電気接点を含んでいる。本方法は、第1加熱電流を周波数調整構造に印加する工程を含んでおり、第1加熱電流を印加する工程は、第1加熱電流を第1電気接点から第2電気接点へ流して周波数調整構造を(例えば、約900℃と約1200℃の間、及び/又は1200℃以上の温度まで)抵抗加熱する工程を含んでいる。周波数調整構造を加熱するのに応じて、周波数調整構造の材料は蒸発し、梁構造の上に蒸着してMEMS共振器の第2共振周波数を提供する。
【0020】
本発明のこの態様の或る実施形態では、本方法は、更に、MEMS共振器の第1共振周波数を測定する工程を含んでおり、第1加熱電流は、測定した第1共振周波数に基づいて選択される。別の実施形態では、本方法は、更に、MEMS共振器の第2共振周波数を測定する工程と、前記第1電気接点に印加する第2加熱電流を計算する工程と、第2加熱電流をMEMS共振器に印加する工程と、を含んでおり、第2加熱電流を印加する工程は、第2加熱電流を第1電気接点から第2電気接点へ流して梁構造を抵抗加熱する工程を含んでいる。第2加熱電流に応じて、第1梁構造の材料が変化して、MEMS共振器の第3共振周波数を提供する。
【0021】
注記すると、周波数調整構造は、MEMS共振器の固定電極と一体になっている。
梁構造は、少なくとも1つの高張力区域を含んでおり、第1加熱電流に応じて、周波数調整構造の材料は、高張力区域上に蒸着する。実際、或る実施形態では、周波数調整構造の相当量の蒸発した材料が、高張力区域上に蒸着する。
【0022】
繰り返すが、ここでは多くの発明について説明し図示している。本発明の本概要は、本発明の範囲を網羅しているわけではない。また、本概要は、本発明の範囲を限定する意図はなく、その様に解釈しないで頂きたい。本概要では、本発明の特定の実施形態、特徴、属性、及び利点について説明してきたが、本発明の多くのこの他の、異なる、及び/又は同様の実施形態、特徴、属性、及び/又は利点が、説明、図、及び請求項から明らかであると理解頂きたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下の詳細な説明は、添付図面を参照しながら行う。これらの図面は、本発明の異なる態様を示しており、適切な場合は、各図面を通して、同様の構造、構成要素、材料及び/又は要素には、同様の参照番号を付している。構造、構成要素、材料及び/又は要素については、明確に図示している以外の様々な組み合わせも、考えることができ、本発明の範囲に含まれるものと理解頂きたい。
【0024】
ここでは多くの発明について説明し図示している。これらの発明は、最終パッケージングの前及び/又は後の何れでも調整、整調、設定、画定、及び/又は、選択することのできる出力周波数を有するマイクロ電気機械共振器を製作する方法に関している。第1態様では、本発明の方法は、機械的構造の1つ又は複数の要素及び/又は梁(例えば、移動可能又は拡張可能電極)を抵抗加熱することによって共振器の機械的構造の材料を変化させ、及び/又は取り除くことにより、マイクロ電気機械共振器の周波数を調整、整調、設定、画定、及び/又は選択する。
【0025】
本発明のこの態様では、電流を移動可能電極に印加して、機械的構造の1つ又は複数の移動可能電極の材料を変化させ、及び/又は取り除けるほどの温度まで、電極を抵抗加熱する。或る実施形態では、材料は、変化し、及び/又は移動可能電極の選択された部分(例えば、高応力又は高張力の区域)から取り除かれる。別の実施形態では、材料は、変化し、及び/又は移動可能電極の全部又は実質的に全部の活性区域(例えば、固定電極に相対する区域)から取り除かれる。この様にして、ばね定数が変化し、及び/又は梁の質量が変化し、その結果、共振器の出力の周波数に変化が生じる。
【0026】
例えば、図1に示すように、本発明のこの態様の第1実施形態では、MEMS共振器10は、アンカー16aと16bの間に配置された移動可能梁14aと14bを有する機械的構造12を含んでいる。この実施形態では、移動可能梁14aと14bは、導電性材料(例えば、金属材料)又は半導体材料(例えば、シリコン及び/又はゲルマニウム)の様な、電流が存在すると抵抗を生じる材料で構成されている。
【0027】
MEMS共振器10は、更に、固定電極18a及び18bと電気接点20a及び20bを含んでいる。この実施形態では、電気接点20aと20bは、電流を供給する電源(図示せず)に接続されている。例えば、或る実施形態では、電気接点20aは電源に接続され、電気接点20bは共通及び/又は大地電位に接続されている。別の実施形態では、電気接点20aと20bは、電源の端子及び/又は接点の間に接続されている。
【0028】
注記すると、固定電極18a及び18bと電気接点20a及び20bは、導電性材料(例えば、アルミニウムの様な金属材料)又は半導体材料(例えば、シリコン、ゲルマニウム、及び/又はその不純物ドープ版)で構成されている。抵抗が比較的低く、CMOS組み込みの様な追加処理に適しているか、又は適合する材料を採用すると好都合である。
【0029】
電源(図示せず)は、移動可能梁14a及び14bを通り、電気接点20aと20bの間を流れる電流を供給する。作動時、電流は移動可能梁14a及び14bを通って流れ、梁14aと14bは抵抗加熱される。例えば、高電圧が電気接点20aに印加され、低電圧が電気接点20bに印加される(か、又はそこに存在する)場合、(従来通りに指定された)電流は、図1に示しているように、電気接点20aから電気接点20bに流れる。
【0030】
つまり、背景として、電気抵抗(R)を有する要素は、電流(I)が抵抗要素を通過するとき、電気エネルギーを熱エネルギーに変える。本発明の文脈では、加熱電流(I)を梁構造に固有の電気抵抗へ印加することにより生じる抵抗加熱によって熱の形態で散逸される電力(P)は、以下の式3で特徴付けられる。
【0031】
【数3】

【0032】
而して、電気接点20aと20bの間を流れる加熱電流(I)は、移動可能梁14内に抵抗熱を生成する。この抵抗加熱の過程は、以下に詳細に説明するように、移動可能梁14aから所定量の材料を取り除き、マイクロ電気機械共振器の周波数を調整、整調、設定、画定、及び/又は選択するため、正確に制御される。その後、MEMS共振器10は、所定の、選択され、及び/又は画定された出力周波数を提供する。
【0033】
移動可能梁14aと14bが多結晶シリコンで構成されている上記の例では、移動可能梁14aと14bを、例えば、約300℃から約900℃の範囲の温度まで抵抗加熱すると、移動可能梁14aと14bをアニールすることになる。この様にして、移動可能梁14aと14bの堅硬度、従って特性が変化する。例えば、粒子が大きくなると、梁内の応力が解放されてヤング係数が変化することになる。
【0034】
更に、移動可能梁14aと14bが約900℃から約1200℃の範囲の温度まで抵抗加熱されると、移動可能梁14aと14bの単結晶及び/又は多結晶シリコン表面は、例えば、表面原子の結合エネルギーが低いために、溶け始める。注記すると、、この効果は、移動可能梁14aと14bの材料の表面不動態化に依存する。例えば、移動可能電極が、周知の湿式エッチング技法と緩衝処理されたHF混合物(即ち、緩衝処理酸化エッチング)、又は蒸気HFを使う周知の蒸気エッチング技法を使って解放され、その後、薄膜封入技法を使って封入される場合、MEMS共振器10の機械的構造12が入っているチャンバは、反応性のH環境内に密閉されて、塩素と水素末端基を有する高反応性シリコン表面が残る。注記すると、溶解している表面は、表面エネルギーが低い状態に改質され、移動可能梁14aと14bの幾何学形状、従ってその剛性が変わることになる。
【0035】
移動可能梁14aと14bを約1000℃から1200℃を越える温度まで抵抗加熱すると、移動可能梁14aと14bの単結晶及び/又は多結晶シリコン表面の原子は、蒸発し、移動可能梁14aと14bの表面から周囲の低温表面(例えば、固定電極18aと18b)に移動し始める。この様にして、移動可能梁14aと14bは薄くなって、質量が変わる。更に、移動可能梁14a及び/又は14bのばね定数も下がる。
【0036】
例えば、移動可能梁14aと14bの表面から原子層を数層(即ち、1nmの範囲)取り除くだけで、2MHzの連続固定−固定支持二本梁共振器(図2B参照)の周波数を114ppm変えることができる(移動可能梁14aと14bが、長さ185μm、幅9μmの範囲内にある場合)。式1と式2は、梁の剛性と幅の関係を示している。
【0037】
注記すると、、本発明は、どの様な構成、設計及び/又は制御の機械的構造12のMEMS共振器10でも使用することができる。実際、現在既知のものであれ今後開発されるものであれ、全ての構成、設計及び/又は制御の機械構的造12が、本発明の範囲に入るものとする。例えば、機械的構造12は、(1)1つ又は複数のアンカー16の間に配置される1つ又は複数の移動可能梁14と、(2)容積型構成(例えば図11と12参照)と、(3)例えば面内及び面外の何れか及び全方向に振動する構造と、を含んでいる。
【0038】
更に、移動可能梁14と固定電極18を含め、MEMS共振器10を製作するには、数多くの方法と技法がある。例えば、移動可能梁14の材料及び/又は層を蒸着させ、その後、周知のリソグラフィ、エッチング、及び/又はドーピング技法を使って、その様な材料及び/又は層から、移動可能梁14を形成する。移動可能梁14を含め、MEMS共振器10を製作する方法は、全て、現在既知のものであれ今後開発されるものであれ、本発明の範囲に入るものとする。
【0039】
更に、或る実施形態では、機械的構造12は、薄膜又はウェーハレベルの封入技法を使ってチャンバに封入される。この場合、MEMS共振器10は、従来の薄膜封入技法及び構造を使って密閉又は封入される。(例えばWO 01/77008A1及びWO 01/77009A1参照)。他の薄膜封入技法も適している。実際、全ての薄膜封入技法は、現在既知のものであれ今後開発されるものであれ、本発明の範囲に入るものとする。
【0040】
例えば、2003年6月4日出願の非仮特許出願第10/455,555号「トレンチ絶縁接点を有するマイクロ電気機械システム、及びその製作方法」(以後、「トレンチ絶縁接点を有するマイクロ電気機械システムの特許出願」)に記載され図示されている封入技法を採用することができる。トレンチ絶縁接点を有するマイクロ電気機械システムの特許出願に記載され図示されている全ての発明/実施形態(例えば、機械的構造の製作、封入及び電気的絶縁技法を含む)は、ここに記載し図示している温度補償技法と組み合わせて実施することができる。簡潔にするために、トレンチ絶縁接点を有するマイクロ電気機械システムの特許出願に記載され図示され、ここに記載し図示している温度補償技法と組み合わせて実施される実施形態については、詳細に繰り返すことはせず、概要を述べるに止める。しかしながら、トレンチ絶縁接点を有するマイクロ電気機械システムの特許出願の内容全体を、例えば、当該発明の全ての特徴、属性、代替案、材料、技法、及び利点を含めて、参考文献としてここに援用する。
【0041】
或る実施形態では、移動可能梁14a及び/又は14bの抵抗加熱は、MEMS共振器10の機械的構造12に選択的及び/又は所定の変化をもたらし、及び/又はそこから材料を取り除くために、集中され、集結され、及び/又は局所化される。例えば、図2Aに示すように、或る実施形態では、移動可能梁14a及び/又は14bは、移動可能梁14aと14bの高張力区域22に、集中され、集結され、及び/又は局所化された加熱を提供するように設計及び/又は製造されている。注記すると、、高張力区域22の材料を、変化させ及び/又はそこから除去するのは、移動可能梁14aと14bの機械的剛性が変化するので、MEMS共振器10の周波数に(移動可能梁14aと14bの他の区域に比べて)より大きな影響又は効果を及ぼす(例えば、式1及び式2参照)。
【0042】
高張力区域22は、移動可能梁14a及び/又は14bの中又は上に垂直及び/又は水平方向の不純物ドーピング輪郭(例えば、燐のようなn型不純物)を設けることによって、他の区域とは異なる加熱を施すことができる。ドーピング輪郭は、移動可能梁14a及び/又は14bに沿う選択的位置に、高いか又は低い抵抗を提供する。この様にして、電流(l)を電気接点20aと20bを通して印加すると、移動可能梁14a及び/又は14bに選択的抵抗加熱が施される。
【0043】
例えば、高張力区域22には、移動可能梁14a及び/又は14bの他の区域よりも軽く、不純物でドーピングを施す(例えば、ドーピングを施さない)。こうすると、高張力区域22は、移動可能梁14a及び/又は14bの他の区域と比べて、電流に対する抵抗が高くなる。この様にして、高張力区域22は、移動可能梁14a及び/又は14bの他の区域より高い温度に加熱される。
【0044】
或る実施形態では、移動可能梁14aと14bが単結晶及び/又は多結晶シリコンで構成されており、高張力区域22を約1000℃から1200℃を越える温度まで抵抗加熱すると、高張力区域22の表面の原子が、蒸発して、高張力区域22の表面から周囲の低温の表面に移動する。先に述べたように、この実施形態では、高張力区域22は、所与の電流(l)に対して、移動可能梁14aと14bの他の区域より高い温度になる。この様にして、移動可能梁14aと14bの高張力区域22は、移動可能梁14aと14bの他の区域の前で薄くなる。(図2B参照)。高張力区域22が「薄くなる」と、移動可能梁14aと14bの質量に選択的変化が生じ、高張力区域22に属する領域内の移動可能梁14a及び/又は14bのばね定数が選択的に下がることになる。
【0045】
注記すると、図2Aの、高張力区域22を含め、移動可能梁14を製作するための全ての方法及び技法は、現在既知のものであれ今後開発されるものであれ、本発明の範囲に入るものとする。例えば、移動可能梁14の材料及び/又は層を蒸着させ、その後、周知のドーピング技法を使って、移動可能梁14の高張力区域22をその様な材料及び/又は層から形成する。機械的構造12を通って周囲の材料に流れる熱の流れ(例えば、基板とアンカー16a及び16bを通る熱の流れ)と、その様な材料へのその影響は、選択的、集結的及び/又は集中的抵抗加熱技法を実施するときには考えなければならない。
【0046】
先に述べたように、電源は、移動可能梁14a及び/又は14bを通り、電気接点20aと20bの間を流れる電流を提供する。或る実施形態では、電流が移動可能梁14a及び/又は14bを通って流れる際には、移動可能梁14a及び/又は14bの異なる区域の相対的抵抗のために、全部又は実質的に全部の熱が高張力区域22内で発生する。
【0047】
図3に示すように、本発明の或る実施形態では、機械的構造12の1つ又は複数の要素及び/又は梁(又はその一部分)を抵抗加熱することを介して、MEMS共振器10の機械的構造12の材料を変化させ、及び/又はそこから材料を取り除くことによってMEMS共振器10の周波数を調整、整調、設定、画定及び/又は選択するのに必要な(電源26からの)電流を、制御回路24が判定及び/又は計算する。制御回路24は、MEMS共振器10の出力の「初期」又は現在の周波数を使用して、所与の設計のMEMS共振器10の所与の作動温度又は温度範囲に適した電流を判定及び/又は計算する。注記すると、制御回路24は、最終パッケージングの前及び/又は後でもよいが、例えば、製作、試験及び/又は較正の間に、本発明の技法を実行及び/又は実施する。
【0048】
制御回路24は、MEMS共振器10の具体的な出力周波数を調整、整調及び/又は提供するのに必要な適切な加熱を判定するのに、数多くの技法を使用することができる。例えば、「初期」及び/又は現在の周波数に基づいて、制御回路24は、ルックアップ表及び/又は所定の又は数学的な関係(何れか又は両方が、図示しない常駐メモリに入っている)を使用して、或る梁構造のMEMS共振器10の加熱を調整及び/又は制御し、機械的構造12の材料を変化させ、及び/又はそこから取り除くことによって、MEMS共振器10の出力の周波数を補償、調整及び/又は整調する。ルックアップ表及び/又は所定の又は数学的な関係は、機械的構造12を出力信号の周波数で(先に述べたように、例えば、約300℃から約900℃の範囲、及び/又は約900℃から約1200℃の範囲の温度まで)抵抗加熱することの影響に基づく実験データを使って導き出される。抵抗加熱は、温度で表すこともでき、電源26による電流の出力と相関関係にある。注記すると、(機械的構造12の材料を変化させ、及び/又はそこから取り除くことによって)特定の梁構造のMEMS共振器10の抵抗加熱を制御して、MEMS共振器10の出力の周波数を補償、調整、及び/又は整調するための全ての技法及び/又は構成は、先に論じたものも含めて、現在既知のものであれ今後開発されるものであれ、本発明の範囲に入るものとする。
【0049】
本発明の或る実施形態では、MEMS共振器10の周波数の調整、補償、及び/又は整調は、反復する過程で行われる。つまり、MEMS共振器10の出力信号の「初期」又は現在の周波数が測定され、機械的構造12が抵抗加熱され、冷却された後に、制御回路24は、MEMS共振器10の周波数の追加的な調整及び/又は整調が必要であるか否かを、MEMS共振器10の出力の測定した周波数(即ち、測定した共振周波数が、所望の、選択された、及び/又は所定の共振周波数であるか、及び/又は所望の、受容可能な及び/又は所定の周波数の範囲内にあるか)に基づいて判定する。必要であれば、この過程が繰り返される。(例えば図4参照)。
【0050】
MEMS共振器10の出力の周波数を調整及び/又は整調する過程は、移動可能梁14の抵抗加熱温度をどの様に組み合わせ及び/又は入れ替えて、MEMS共振器10の出力の周波数を調整及び/又は整調することを含んでいてもよい。これに関し、移動可能梁14aは、先ず、約1200℃の温度まで抵抗加熱される。冷却後に、制御回路24は、MEMS共振器10の周波数の追加的な調整及び/又は整調が必要か否かを(測定後に)判定する。この第2の抵抗加熱過程では、移動可能梁14aは、共振周波数に比較的小さな調整を施すために、約900℃から約1200℃未満の範囲の温度まで加熱される。注記すると、移動可能梁14aが加熱される時間の長さは、どれだけの料の材料が移され又は取り除かれるかに影響する。その後、制御回路24は、共振周波数が所定の仕様(即ち、20MHz±1%の様な周波数の範囲)内にあるか否かを判定する。この様に、加熱過程の組み合わせによって、MEMS共振器10の共振周波数が適切に調整及び/又は整調される。抵抗加熱温度の全ての組み合わせ及び/又は入れ替えは、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0051】
注記すると、、MEMS共振器10の「初期」及び/又は現在の周波数は、パッケージング又は統合/組み込みの前及び/又は後で測定され、サンプリングされ、感知される。MEMS共振器10は、更に、2つ以上の作動条件(例えば、2つ以上の温度)で較正され、調整され、及び/又は整調される。
【0052】
抵抗加熱過程の間に、或る構造の機械的構造12(例えば移動可能梁14)の温度が、多くの異なる直接及び間接的な技法を使って判定及び/又は測定される。移動可能梁14を含む機械的構造12の温度を判定及び/又は測定する全ての技法が、本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、或る実施形態では、電流が測定され、それに基づいて、例えば、実験情報又は数学的関係を使って、移動可能梁14の温度が判定される。別の実施形態では、温度を測定する光学赤外線法が使用される。
【0053】
更に別の実施形態では、制御回路24は、電源26による電流出力の時間的及び他の特徴(例えば振幅)を適切に制御するために、抵抗加熱される移動可能梁14及び/又は移動可能梁14の各区域に熱的に連結されている温度センサー28(例えば、ダイオード、トランジスタ、抵抗器又はバリスタ、及び/又は、MEMS共振器10の基板の上又は中に配置され及び/又は位置している1つ又は複数のMEMS温度変換器)からの情報/データを使用する。電源26は、移動可能梁14a及び/又は14bを通して印加される電流を(従属的に又は独立して)変更及び/又は修正する。
【0054】
温度センサー28は、移動可能梁14aと14bの実際の温度の情報を測定し、感知し、及び/又はサンプリングするため、移動可能梁14及び/又はアンカー20の上に、及び/又はそれに近接して使用される。温度センサー28は、材料が(実質的に)変化せず、取り除かれない区域に位置していれば好都合である。例えば、温度センサー28は、表面原子が蒸発する区域(図2Bの高張力区域22)以外の区域に位置していれば好都合である。
【0055】
温度センサー28は、制御回路24に、移動可能梁14aと14b、又は移動可能梁14aと14bに近接する領域の温度の情報を提供する。この様にして、制御回路24は、移動可能梁14aと14bの温度を判定、計算及び/又は推定し、それに応じて、電源26を制御及び/又は指揮し、適切な電流を印加又は供給させて、移動可能梁14aと14b(又はその選択された部分)を抵抗加熱する。或る実施形態では、制御回路24は、多数の従来型フィードバック及び/又は制御技法の1つを使って、実際の作動温度を、事前設定された、選択された、及び/又は所望の温度と比較するが、これについては以下に詳細に論じる。
【0056】
別の態様では、本発明は、1つ又は複数の周波数調整構造の抵抗加熱を使用して、材料をMEMS共振器の機械的構造の上に蒸着させる。本発明のこの態様の或る実施形態では、周波数調整構造は、単結晶及び/又は多結晶シリコン材料で構成されており、周波数調整構造から蒸発する材料が、移動可能部材上に蒸着されるように、機械的構造の移動可能部材の近く(例えば、すぐ近くに、及び/又は対面して)に配置されている。別の実施形態では、周波数調整構造は、単結晶及び/又は多結晶シリコン材料で構成されており、周波数調整構造からの材料の蒸着が集中、集結、及び/又は局所化され、機械的構造の選択された梁/部材(例えば、高引張区画)に選択的及び/又は所定の変化(即ち、増厚)をもたらすように、機械的構造に対して配置されている。焦点
図5に示すように、或る実施形態では、1つ又は複数の周波数調整構造30(図示の例では、4つの周波数調整構造)は、或る温度まで電流によって抵抗加熱されると、周波数調整構造30の表面の原子が蒸発して、移動可能梁14aと14bの低温表面に移動するように、機械的構造12に対して、空間的に配置されている。この様にして、移動可能梁14aと14bの厚さは増し(図6参照)、その結果、MEMS共振器10の出力の周波数が上がる。例えば、移動可能梁14aと14bの表面に原子層を数層(即ち、1nmの範囲内)加えるだけで、2MHzの連続固定−固定支持二梁共振器(図5に示す様な共振器10)の周波数を114ppm変えることができる(移動可能梁14aと14bが、長さ185μm、幅9μmの範囲内にある場合)。式1及び式2は、共振器の梁の剛性と幅の関係を示している。
【0057】
図6に示すように、周波数調整構造30が単結晶及び/又は多結晶シリコンで構成されている場合、単結晶及び/又は多結晶シリコンの表面が約1200℃を越える温度まで抵抗加熱されると、周波数調整構造30の表面の原子は、蒸発して、周囲の低温表面(例えば、移動可能梁14aと14b)に移動し始める。この様にして、移動可能梁14aと14bは、蒸発した材料32が付け加わることによって厚みが増す。更に、移動可能梁14a及び/又は14bのばね定数も上がる。
【0058】
本発明のこの態様の或る実施形態では、機械的構造12は、薄膜又はウェーハレベル封入技法を使ってチャンバ内に封入される。これに関し、引き続き図6を参照すると、MEMS共振器10は、チャンバ38を密閉する1つ又は複数の封入層(ここでは36aと36b)を含む封入構造34を含んでいる。図示の実施形態では、封入構造34は、第1封入層36aと第2封入層36bを含んでいる。トレンチ絶縁接点を有するマイクロ電気機械システムの特許出願に詳細に記載されているように、或る実施形態では、第1封入層36aは、移動可能梁14aと14bを含む機械的構造12を保全し、間隔を空けて配置し、及び/又は保護するために、二酸化シリコン又は窒化シリコンの様な犠牲層の上に蒸着される。その後、通路又は換気口(この断面には図示していない)が封入層36a内に形成及び/又はエッチングされ、犠牲層及び犠牲/絶縁層40(基板上に配置されている)の少なくとも選択された部分をエッチング及び/又は取り除けるように、又はこれを容易に行えるようになる。
【0059】
犠牲層及び犠牲/絶縁層40の少なくとも選択された部分をエッチングし及び/又は取り除き、例えば、移動可能梁14aと14bを解放した後、第2封入層36bが、第1封入層36aの上と、第1封入層36a内の換気口又は通路の中及び/又は上に蒸着され、チャンバ38を「密閉」する。
【0060】
注記すると、他の薄膜封入技法も適している。実際、先に述べたように、現在既知のものであれ今後開発されるものであれ、全ての薄膜封入技法が本発明の範囲に入るものとする。
【0061】
MEMS共振器10の周波数を少しだけ変えたい場合は、移動可能梁14aと14bの高張力区域22以外の区域を選択的に厚くできるように、周波数調整構造30を設計し配置するのが好都合である。図7に示すように、或る実施形態では、周波数調整構造30は、移動可能梁14aと14bに面して配置されている。しかしながら、この実施形態では、周波数調整構造30は、移動可能梁14aと14bの高張力区域22に面してはいない。この様にして、周波数調整構造30の表面原子の大部分は、抵抗加熱に応じて蒸発し、移動可能梁14aと14bの高張力区域22以外の区域に移動する。従って、移動可能梁14aと14bは、蒸発材料32が加わることによって厚くなるが、MEMS共振器10の周波数への影響又は効果は、高張力区域22が厚くなった場合ほど大きくはない。
【0062】
これに対して、図8A及び8Bでは、周波数調整構造30を、高張力区域22だけに面し及び/又は近接して適切に配置することによって、基本的に移動可能梁14aと14bの高張力区域22だけを選択的に増厚するようになっている。この実施形態では、容易に周波数を大きく変えることができる。
【0063】
注記すると、図5と図7の周波数調整構造30は、固定電極18と一体化又は統合されている。これに対して、図8Aの周波数調整構造30は独立した構造であり、従って固定電極18と一体化又は統合されていない。一体型及び非一体型の周波数調整構造30の全ての入れ替えと組み合わせは、本発明の範囲に入るものとする。(例えば、一体型及び非一体型両方の周波数調整構造30を図示している図8B参照)。
【0064】
図9Aに示すように、制御回路24は、1つ又は複数の周波数調整構造30を抵抗加熱して機械的構造12(例えば、移動可能梁14aと14bの一部)に材料を加えることによって、MEMS共振器10の周波数を調整し、整調し、設定し、画定し、及び/又は選択するのに必要な(電源26からの)電流を判定及び/又は計算する。制御回路24は、図1と図4に関連して述べた方法と同一又は同様の方法で作動する。簡潔を期して、その議論は繰り返さない。
【0065】
第3態様では、本発明は、(最終パッケージングの前及び/又は後で)光源(例えば、レーザー)の出力を使って周波数調整構造30を加熱し、MEMS共振器10の出力の周波数を調整し、整調し、設定し、画定し、及び/又は選択する方法に着目している。本発明のこの態様のMEMS共振器10は、先に述べた薄膜又はウェーハレベル封入技法を使ってチャンバ内に封入されている。MEMS共振器10の周波数は、(周波数調整構造30からの蒸発を介して)機械的構造12(例えば移動可能又は拡張可能な電極)に材料を加えることによって、調整され、整調され、及び/又は設定される。或る実施形態では、材料は、移動可能電極の選択された部分(例えば、高応力又は高張力区画)に追加される。別の実施形態では、材料は、移動可能電極の活性区画(例えば、固定電極に面する区画)の全部又は実質的に全部で変化し、及び/又はそこから取り除かれる。
【0066】
図10に示すように、本発明のこの態様の或る実施形態では、光源44(例えば、1つ又は複数のレーザー、ランプ、発光ダイオード(LED)、電気要素、又は高エネルギー放射を作り出すための他の機構)は、光46を所定の波長で出力する。光46は、集束され、周波数調整構造30に入射し、その結果、周波数調整構造30を加熱する。周波数調整構造30が単結晶及び/又は多結晶シリコンで構成されている場合、表面は、約1000℃から1200℃を越える温度まで加熱される。従って、周波数調整構造30の単結晶及び/又は多結晶シリコン表面の原子は、蒸発し、相対する移動可能梁14aと14bの周囲の低温表面への移動を開始する。この様にして、移動可能梁14aと14bは、蒸発した材料32によって厚くなる。更に、移動可能梁14a及び/又は14bのばね定数も下がる。
【0067】
最終パッケージング前に、機械的構造12が、薄膜又はウェーハレベル封入技法を使ってチャンバ内に封入される場合、封入材料によって又は封入材料に吸収されない(即ち、封入構造が光源44と光46に透過性である)光学特性(例えば波長と焦点)を有する光源44と光46を利用すれば好都合である。引き続き図10を見ると、MEMS共振器10は、チャンバ38を密閉するための第1及び封入層36aと36bを含む封入構造34を含んでいる。トレンチ絶縁接点を有するマイクロ電気機械システムの特許出願に詳細に記載されているように、或る実施形態では、封入構造34は、多結晶シリコン又はアモルファスシリコン材料で構成されている。つまり、第1封入層36aは、例えば、多結晶シリコン又はアモルファスシリコンであり、第1封入層36aを覆って、又は第1封入層36aに通気状態に蒸着されチャンバを密閉している第2封入層36bも、多結晶シリコン又はアモルファスシリコンで構成されている。
【0068】
この実施形態では、約700nmから約1900nmの波長を含んでいる光46が、周波数調整構造30上に集束される。この状態の下では、封入構造34は光46に対して十分に「透過性」であり、そのエネルギーは、周波数調整構造30に印加され及び/又は集束される(集束領域48参照)。周波数調整構造30の単結晶及び/又は多結晶シリコン表面の原子は、相対する移動可能梁14aと14bの周囲の低温表面に移動する。この様にして、移動可能梁14aと14bは、蒸発した材料32によって厚くなる。
【0069】
注記すると、この実施形態では、MEMS共振器10の加熱と周波数調整は、最終パッケージング前で且つ封入後に実行される。更に、加熱と周波数調整は、パッケージが光46(及びその波長)に対して十分に透過性であれば、最終パッケージングの後で実行してもよい。
【0070】
垂直方向局所加熱は、幅広のレーザービームを1つの水平面内の或るスポットだけに集束することによっても実現される。多結晶シリコン又はアモルファスシリコンで構成されている封入構造34は、光46に対して十分に透過性であるが、周波数調整構造30の多結晶シリコン表面の原子を蒸発させ、蒸発した材料32を移動可能梁14aと14bの上に蒸着させるには、下に横たわる周波数調整構造30が光46を吸収して加熱される必要がある。注記すると、垂直方向の集束は、封入構造34及び基板42内の加熱を低減し、機械的構造12の上又は中の所望及び/又は所定の場所に高温のスポット(三次元領域)を作り出すように最適化される。
【0071】
ここには多くの発明を記載し、図示している。本発明の特定の実施形態、特徴、材料、構成、属性、及び利点について説明し、図示しているが、本発明には、この他にも、異なる及び/又は同様の実施形態、特徴、材料、構成、属性、構造及び利点のあることが、詳細な説明、図面及び特許請求の範囲から明らかであると理解頂きたい。而して、ここに記載し、図示している本発明の実施形態、特徴、材料、構成、属性、構造及び利点は、網羅性のあるものではなく、この他の、同様な或いは異なる実施形態、特徴、材料、構成、属性、構造及び利点も、本発明の範囲に含まれるもの理解頂きたい。
【0072】
例えば、先に述べたように、多くの(直接及び間接)温度感知及びフィードバック技法及び/又は構成も、本発明に使用することができる。全ての温度感知及びフィードバック技法及び/又は構成は、先に述べたものを含めて、現在既知であるか今後開発されるかを問わず、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0073】
更に、電流を加熱要素に供給する電源は、移動可能梁及び/又は周波数調整構造の抵抗加熱の柔軟性を高めるため、1つ又は複数の独立した供給源を含んでいてもよい。(例えば、図9B−9D参照)。例えば、複数の電源の1つは、1つ又は複数の周波数調整構造「専用」であり(図9A、9D参照)、及び/又は、或る電源は、1つ又は複数の移動可能梁「専用」である(例えば図9B、9C、9D参照)。この点で、周波数調整構造及び/又は移動可能梁の加熱は、1つ又は複数の電源を通して独立して制御される。周波数調整構造及び/又は移動可能梁を独立して又は従属して制御することの全ての入れ替え及び構成も、本発明に含まれるものとする。注記すると、制御回路24は、図1と図4に関連して述べたのと同一又は同様の方法で電源26を作動及び/又は制御する。簡潔を期して、この議論は繰り返さない。
【0074】
更に、本発明は、現在既知であるか今後開発されるかを問わず、どの様な温度センサー又は感知技法を使用してもよい。例えば、本発明は、移動可能梁自体を、共振器内に配置されている第1温度センサーと少なくとも1つの第2温度センサーとして使用し、例えば、加熱要素から離れているか、そこから十分離して配置されている基板の温度を測定して、加熱要素が、センサーが基板の温度を検知し、サンプリングし、及び/又は測定するのを妨げないようにしている温度感知技法を使用してもよい。この実施形態では、移動可能梁の非適合温度は、所望の梁温度と基板の温度の温度差に依存する。従って、この差を計算し、及び/又は求めることによって、移動可能梁の実際の温度は、例えば、先に述べた差と実際の温度を相関付けているルックアップ表を使って、近似又は推定することができる。
【0075】
代わりに、制御回路は、移動可能梁の温度を見積もるのに、所望の梁の温度と基板の温度の間の温度差を用いる所定の又は数学的な関係を使用してもよい。そのような温度感知技法は、移動可能梁の温度見積もりを相当に改良するので、結果的に、MEMS共振器の出力信号の周波数の精度が高まる。
【0076】
本発明は、例えば最終ウェーハ精査で、精査ステーション上でウェーハレベルで加熱されるパッケージングされていない共振器でも実施することができる。開放プラスチックパッケージ(即ち、事前成形パッケージ)も使用することができる。代わりに、本発明は、蓋が取り付けられ、及び/又は固定される前の、パッケージング済みの共振器でも実施することができる。
【0077】
注記すると、アンカー16は、自立形の方形として示しているが、機械的構造12を、例えば基板に固定できるのであれば、どの様なアンカー構造であってもよい。つまり、アンカー16は、基板に直接取り付けてもよいし、仲介/上在層又は構造を介して基板に対して固定してもよい。実際、アンカー16は、現在既知であるか今後開発されるかを問わず、どの様な形態の錨着技法を使用してもよい。例えば、本発明は、2003年7月25日出願の非仮特許出願第10/627,237号「SOI基板を有するマイクロ電気機械システム用のアンカーと、それを製作するための方法」(以後「マイクロ電気機械システム用のアンカー特許出願」)に記載され図示されている錨着技法を使用してもよい。この点で、本発明によるMEMS共振器10のあらゆる及び全ての実施形態は、マイクロ電気機械システム用のアンカー特許出願に記載され図示されているアンカー(及び錨着技法)を使って、例えば基板に錨着してもよい。簡潔を期して、ここに記載し図示している本発明と組み合わせて実施されるマイクロ電気機械システム用のアンカー特許出願の錨着技法は、詳しくは繰り返さない。しかしながら、例えば、実施形態及び/又は本発明の全ての特徴、属性、代替案、材料、技法、及び利点を含む、マイクロ電気機械システム用のアンカー特許出願の内容全てを、参考文献としてここに援用する旨明記する。
【0078】
更に、MEMS共振器10は、先に述べたように、現在既知であるか今後開発されるかを問わず、どの様な薄膜封入技法を使って封入してもよい。例えば、本発明は、2003年6月4日出願の非仮特許出願第10/454,867号「マイクロ電気機械システムと、それを封入し作成する方法」(以後「マイクロ電気機械システムと封入方法の特許出願」)に記載され、図示されている封入技法を使用してもよい。この点で、本発明によるMEMS共振器10のあらゆる及び全ての実施形態は、マイクロ電気機械システムと封入方法の特許出願に記載され、図示されている技法を使って封入してもよい。更に、本発明によるMEMS共振器10は、マイクロ電気機械システムと封入方法の特許出願に記載され、図示されているように、機械的構造を製作し、接点区画及び/又は場領域を他の導電性材料から電気的に絶縁する技法を含んでいるか、使用してもよい。簡潔を期して、ここに記載し、図示している本発明と組み合わせて実施されるマイクロ電気機械システムと封入方法の特許出願の封入及び絶縁技法については、繰り返さない。しかしながら、例えば、実施形態及び/又は本発明の全ての特徴、属性、代替案、材料、技法、及び利点を含むマイクロ電気機械システムと封入方法の特許出願の内容全てを、参考文献としてここに援用する旨明記する。
【0079】
更に、本発明の代表的な実施形態について、マイクロ機械構造又は要素を含むマイクロ電気機械システムの文脈で説明してきたが、本発明はこれに限定されるわけではない。むしろ、ここに記載している発明は、例えば、ナノ電気機械共振器を含む他の電気機械システムにも適用することができる。この様に、本発明は、リソグラフィの様な製作技法や、機械的構成要素を、概ねマイクロ電子機器に匹敵する尺度にまで小さくする他の精密製作技法に従って作られた共振器の様な電気機械システムにも適している。
【0080】
先に述べたように、MEMS共振器10は、先に論じたものを含めて、現在既知であるか又は今後開発されるかを問わず、どの様な型式のMEMS設計及び/又は制御を使用してもよい。例えば、容積型共振器(例えば、図11、12参照)並びに面内及び面外の全方向に振動する共振器も適用可能である。図示の例の共振器の構成は、限定の意味に解し又は解釈すべきではない。
【0081】
容積型共振器の場合、周波数は、共振器の幾何学形状と材料に比例する。周波数は、振動方向の幅に直接比例する。従って、材料の(固定電極18a及び18bと一体になっている相対する周波数調整構造30からの)蒸着は、容積型共振器の伸縮式電極50の長さを増す(例えば、図11、12参照)。この様にして、MEMS共振器10の周波数は低くなる。
【0082】
代わりに、容積型共振器の移動可能梁14は、本発明の第1態様で説明したように(電源26及び/又は光源44を使って)加熱される。つまり、最初に、移動可能梁14の材料がアニールされ、その後、MEMS共振器10の周波数の変化が、制御回路24によって測定され、検知され、サンプリングされ、及び/又は判定される。移動可能梁14の表面材料も、高電流(l)又は高い強度の光46の印加による溶融及び/又は蒸発によって変化し、その後、MEMS共振器10の周波数の変化が、制御回路24によって測定され、検知され、サンプリングされ、及び/又は判定される。
【0083】
本発明の代表的な実施形態は、移動可能梁14aと14bから横方向に変位している周波数調整構造を描いてきたが、周波数調整構造は、それに加え、又はその代わりに、垂直方向に配置してもよい。従って、周波数調整構造を機械的構造12の上方及び/又は下方に組み込むことによって、材料を、垂直面に蒸着させてもよい。この技法は、面内及び面外の全方向に振動する共振器10には好都合である。
【0084】
本説明を通して使用している「共振器」、「MEMS共振器」又は「マイクロ機械共振器」は、幅広い等級のマイクロ機械加工構造と、これらの構造の有用な組み合わせを包含している。その様な組み合わせは、通常、共振器を駆動し、電力供給し、監視し、制御するのに用いられる回路の様な電子回路を含んでいる。穴、溝、片持ち梁、曲がり梁、ばね、整調フォーク、膜、基板アンカー、電気接点などの様なマイクロ機械加工構造は、変換器の様なより複雑な装置のためのブロックを作っている。変換器は、一般的に、或る形態のエネルギーを他の形態のエネルギーに変換できるあらゆる装置である。センサーと作動器を含む変換器は、本発明の利点を享受し易い型式の装置の一例である。
【0085】
最新の共振器は、少なくとも1つのマイクロ機械加工構造を含んでいることが多く、総称して以後「梁構造」と呼ぶ。この用語は、外部の(例えば、電気的、磁気的、及び/又は物理的)力によって作動するときに、機械的に動くように設計されているあらゆる変換器を包含するように、広い意味に解釈される。単一曲がり梁、複数梁の音叉は、梁構造の一例である。梁構造という用語には、連続構造と不連続構造の両方が含まれている。
【0086】
なお、本発明をSOIと関連付けて説明してきたが、他の基板も適していることに留意されたい。例えば、第1半導体層は、例えば、シリコン、ゲルマニウム、炭素など周期律表のIV列の材料であってもよいし、例えば、シリコンゲルマニウム又は炭化ケイ素などそれらの組み合わせでもよいし、例えば、ガリウムりん、アルミニウムガリウムりんなどIII−V列の化合物、又は他のIII−V列の組み合わせでもよいし、例えば、窒化ケイ素、酸化珪素、炭化アルミニウム又は酸化アルミニウムなどIII、IV、V又はVI列の組み合わせでもよいし、例えば、ケイ化ニッケル、ケイ化コバルト、炭化タングステン又はケイ化プラチナゲルマニウムなど金属のケイ化物、ゲルマニウム化物及び炭化物でもよいし、りん、砒素、アンチモン、ホウ素、又はアルミニウムドーピングされたシリコン又はゲルマニウム、炭素、又はシリコンゲルマニウムなどの組み合わせを含むドーピングされた派生材でもよいし、単結晶、多結晶、ナノ結晶又はアモルファスを含む様々な結晶構造を備えた材料でもよいし、例えば(ドーピングされているかいないかに関わらず)単結晶及び多結晶構造の領域を備えた、結晶構造の組み合わせを備えた材料であってもよい。実際、第1半導体層は、金属でも、金属系材料であってもよい(その場合、第1基板層上に配置された第1導体層である)。注記すると、機械的構造(例えば、移動可能梁14)は、第1半導体層について先に述べたのと同じ材料で構成される。
【0087】
なお、「回路」という用語は、とりわけ、単一の構成要素、又は(集積回路形態か否かを問わず)能動的及び/又は受動的で、所望の機能を提供又は実行するため一つに連結されている複数の構成要素を意味する。「回路」という用語は、とりわけ、(集積回路か否かを問わず)回路、その様な回路のグループ、プロセッサ、状態マシン、状態マシンのグループ、ソフトウェア、ソフトウェアを実行するプロセッサ、又は、(集積回路か否かを問わず)回路、その様な回路のグループ、状態マシン、状態マシンのグループ、ソフトウェア、プロセッサ及び/又はソフトウェアを実行するプロセッサ、プロセッサと回路、及び/又はプロセッサとソフトウエァを実行する回路、の組み合わせを意味する。
【0088】
最後に、「データ」という用語は、とりわけ、アナログ又はデジタル形態の何れかを問わず、電流又は電圧信号を意味している。「測定」という用語は、とりわけ、サンプリング、感知、検査、検知、監視、及び/又は捕捉を意味する。「測定する」又は同様の句は、例えば、サンプリングし、感知し、検査し、検知し、監視し、及び/又は捕捉することを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1態様の或る実施形態による、整調フォーク梁構造に配置された2つの発振梁を有する共振器の上面図である。
【図2A】本発明の第1態様の第2実施形態による、整調フォーク梁構造に配置された2つの発振梁を有する共振器の上面図である。
【図2B】本発明の第1態様の第2実施形態による、整調フォーク梁構造に配置された2つの発振梁を有する共振器の上面図である。
【図3】本発明の第1態様による、共振器の出力の周波数を調整及び/又は整調する代表的な構成の概略図である。
【図4】本発明の第1態様による、共振器の代表的な整調技法の流れ図である。
【図5】本発明の第2態様の第1実施形態による、整調フォーク梁構造に配置された2つの発振梁と、一体型の周波数調整構造とを有する共振器の上面図である。
【図6】点線A−A’に沿って切った、図6及び図7の共振器の概略断面図である。
【図7】本発明の第2態様の別の実施形態による、整調フォーク梁構造に配置された2つの発振梁と、一体型の周波数調整構造とを有する共振器の上面図である。
【図8A】本発明の第2態様の別の実施形態による、整調フォーク梁構造に配置された2つの発振梁と、非一体型の周波数調整構造とを有する共振器の上面図である。
【図8B】本発明の第2態様の更に別の実施形態による、整調フォーク梁構造に配置された2つの発振梁と、非一体型の周波数調整構造とを有する共振器の上面図である。
【図9A】本発明の第3態様による、共振器の出力の周波数を調整及び/又は整調する代表的な構成の概略図である。
【図9B】本発明の第3態様による、共振器の出力の周波数を調整及び/又は整調する代表的な構成の概略図である。
【図9C】本発明の第3態様による、共振器の出力の周波数を調整及び/又は整調する代表的な構成の概略図である。
【図9D】本発明の第3態様による、共振器の出力の周波数を調整及び/又は整調する代表的な構成の概略図である。
【図10】本発明の第3態様による、レーザーの様な光源と組み合わせて共振器の出力の周波数を調整及び/又は整調するための、図5の共振器の、点線A−A’に沿って切った概略断面図である。
【図11】本発明の或る実施形態による、拡張可能要素と2つの固定された電極とを有する容積型共振器の上面図である。
【図12】点線A−A’に沿って切った、図11の容積型共振器の概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEMS共振器の共振周波数を調整する方法であって、前記MEMS共振器は、第1電気接点を含む第1基板アンカーと、第2電気接点を含む第2基板アンカーと、第1端部が前記第1基板アンカーによって固定され、第2端部が前記第2基板アンカーによって固定されている梁構造とを備えており、前記MEMS共振器は第1共振周波数を含んでいる、MEMS共振器の共振周波数を調整する方法において、
前記第1電気接点に印加する第1加熱電流を選択する工程と、
前記第1加熱電流を前記MEMS共振器に印加する工程と
を含み、
前記第1加熱電流を印加する工程は、前記第1加熱電流を前記第1電気接点から前記第2電気接点へ流して前記梁構造を抵抗加熱する工程を含んでおり、これに応じて、前記第1梁構造の材料が変化して前記MEMS共振器の第2共振周波数を提供する、方法。
【請求項2】
前記MEMS共振器の前記第1共振周波数を測定する工程であって、前記第1加熱電流は測定した前記第1共振周波数に基づいて選択される、測定する工程を更に含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記MEMS共振器の前記第2共振周波数を測定する工程と、
前記第1電気接点に印加する第2加熱電流を計算する工程と、
前記第2加熱電流を前記MEMS共振器に印加する工程と
を含み、
前記第2加熱電流を印加する工程は、前記第2加熱電流を前記第1電気接点から前記第2電気接点へ流して前記梁構造を抵抗加熱する工程を含んでおり、これに応じて、前記第1梁構造の材料が変化して前記MEMS共振器の第3共振周波数を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記梁構造は、多梁整調フォーク構造を備えており、前記多梁整調フォーク構造内の各梁は、前記第1基板アンカーによって固定されている第1端部と、前記第2基板アンカーによって固定されている第2端部とを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1電流は、前記梁構造を、300℃を越えるまで抵抗加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1電流は、前記梁構造を、約900℃と約1200℃の間に抵抗加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記梁構造は高張力区域を備えており、前記高張力区域は、前記第1電流に応じて抵抗加熱され、前記高張力区域の材料を変化させる、請求項7に記載の方法。
【請求項8】
前記梁構造は高張力区域を備えており、前記高張力区域は、前記第1加熱電流に応じて、前記梁構造の他の部分より相当に高い温度まで加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
MEMS共振器の共振周波数を調整する方法であって、前記MEMS共振器は、第1電気接点を含む第1基板アンカーと、第2電気接点を含む第2基板アンカーと、第1端部が前記第1基板アンカーによって固定され、第2端部が前記第2基板アンカーによって固定されている梁構造とを備えており、前記MEMS共振器は第1共振周波数を含んでいる、MEMS共振器の共振周波数を調整する方法において、
第1加熱電流を前記MEMS共振器に印加する工程を含み、
前記第1加熱電流を印加する工程は、前記第1加熱電流を前記第1電気接点から前記第2電気接点へ流して前記梁構造を抵抗加熱する工程を含んでおり、これに応じて、前記第1梁構造の材料が蒸発して前記MEMS共振器の第2共振周波数を提供し、
前記MEMS共振器の前記第2共振周波数を測定する工程を含む、方法。
【請求項10】
前記MEMS共振器の前記第1共振周波数を測定する工程と、
測定した前記第1共振周波数に基づいて前記第1加熱電流を決める工程と、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記MEMS共振器の前記第2共振周波数を測定する工程と、
前記第1電気接点に印加する第2加熱電流を決める工程と、
前記第2加熱電流を前記MEMS共振器に印加する工程と
を含み、
前記第2加熱電流を印加する工程は、前記第2加熱電流を前記第1電気接点から前記第2電気接点へ流して前記梁構造を抵抗加熱する工程を含んでおり、これに応じて、前記第1梁構造の材料が変化して前記MEMS共振器の第3共振周波数を提供する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記梁構造は、多梁整調フォーク構造を備えており、前記多梁整調フォーク構造内の各梁は、前記第1基板アンカーによって固定されている第1端部と、前記第2基板アンカーによって固定されている第2端部とを備えている、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1電流は、前記梁構造を、300℃を越えるまで抵抗加熱する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第1電流は、前記梁構造を、約900℃と約1200℃の間に抵抗加熱する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記梁構造は少なくとも1つの高張力区域を備えており、前記高張力区域は、前記第1加熱電流に応じて、前記梁構造の他の部分より相当に高い温度まで加熱される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記梁構造は多結晶シリコン材料で構成されており、前記第1電流は、前記梁構造を、約900℃と約1200℃の間に抵抗加熱する、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記梁構造は多結晶シリコン材料で構成されており、前記第1電流は、前記梁構造を、約1200℃を越える温度まで抵抗加熱する、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
MEMS共振器の共振周波数を調整する方法であって、前記MEMS共振器は、梁構造と周波数調整構造とを備えており、前記周波数調整構造は、多結晶シリコンで構成されており、第1及び第2電気接点を含んでおり、前記MEMS共振器は第1共振周波数を含んでいる、MEMS共振器の共振周波数を調整する方法において、
第1加熱電流を前記周波数調整構造に印加する工程を含み、
前記第1加熱電流を印加する工程は、前記第1加熱電流を前記第1電気接点から前記第2電気接点へ流して前記周波数調整構造を抵抗加熱する工程を含んでおり、これに応じて、前記周波数調整構造の材料が蒸発し、前記梁構造の上に蒸着して、前記MEMS共振器の第2共振周波数を提供し、
前記MEMS共振器の前記第2共振周波数を測定する工程を含む、方法。
【請求項19】
前記MEMS共振器の前記第1共振周波数を測定する工程と、
測定した前記第1共振周波数に基づいて前記第1加熱電流を決める工程と、を更に含んでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記MEMS共振器の前記第2共振周波数を測定する工程と、
前記第1電気接点に印加する第2加熱電流を決める工程と、
前記第2加熱電流を前記周波数調整構造に印加する工程と
を含み、
前記第2加熱電流を印加する工程は、前記第2加熱電流を前記第1電気接点から前記第2電気接点へ流して前記周波数調整構造を抵抗加熱する工程を含んでおり、これに応じて、前記周波数調整構造の追加の材料が前記梁構造の上に蒸着して、前記MEMS共振器の第3共振周波数を提供する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記梁構造は、多梁整調フォーク構造を備えており、前記多梁整調フォーク構造内の各梁は、第1基板アンカーによって固定されている第1端部と、第2基板アンカーによって固定されている第2端部とを備えている、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記周波数調整構造は、前記MEMS共振器の固定電極に一体化されている、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記第1電流は、前記周波数調整構造を、900℃と1200℃の間に抵抗加熱する、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記梁構造は少なくとも1つの高張力区域を備えており、前記第1加熱電流に応じて、前記周波数調整構造の材料は前記高張力区域の上に蒸着する、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記梁構造は複数の高張力区域を備えており、前記第1加熱電流に応じて、前記周波数調整構造の相当量の蒸発した材料が前記高張力区域の上に蒸着する、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記周波数調整構造と前記梁構造は多結晶シリコン材料で構成されており、前記第1電流は、前記周波数調整構造を、約900℃を越える温度に抵抗加熱する、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記周波数調整構造と前記梁構造は多結晶シリコン材料で構成されており、前記第1電流は、前記周波数調整構造を、約1200℃を越える温度に抵抗加熱する、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記周波数調整構造は固定電極に一体化されている、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記梁構造は複数の高張力区域を備えており、前記第1加熱電流に応じて、前記周波数調整構造の相当量の蒸発した材料が前記高張力区域以外の区域の上に蒸着する、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
前記周波数調整構造と前記梁構造は多結晶シリコン材料で構成されており、前記第1電流は、前記周波数調整構造を、約900℃を越える温度に抵抗加熱する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記周波数調整構造と前記梁構造は多結晶シリコン材料で構成されており、前記第1電流は、前記周波数調整構造を、約1200℃を越える温度に抵抗加熱する、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−535275(P2007−535275A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510707(P2007−510707)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/000745
【国際公開番号】WO2005/109639
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】