説明

N−デアセチルチオコルヒチン誘導体、その使用およびそれを含有する医薬製剤

式(I)の一連のN−デアセチルチオコルヒチン誘導体[式中、リンカーは、二価の直鎖または分枝のC1〜C8アルキル残基、C3〜C8シクロアルキル、フェニレンまたはC4〜C6複素環であり;G1およびG2結合部は、同じか異なってもよく、−CO−、−CONH−、R2が水素または直鎖C1〜C4アルキル残基である−CR2−基であるか、あるいはG1−リンカー−G2基は−CO−基である]が開示される。式(I)の化合物は、抗増殖、抗炎症、抗関節炎および抗ウイルス活性を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
N−デアセチルチオコルヒチン誘導体、その使用およびそれを含有する医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
コルヒチンおよびチオコルヒチンは、以前から医学的慣行で知られている。コルヒチンは、痛風および関連する炎症状態の療法に使用される。3−O−デメチルチオコルヒチングルコシドは、痙縮および拘縮による筋肉痛の筋弛緩薬(miorelaxant)として使用される。しかし、両者の場合、これらの化合物の使用はその高い毒性のために制限される。
【0003】
コルヒチンおよびチオコルヒチンはまた、既知の細菌発育抑制化合物、すなわち、チューブリンとの相互作用により微小管を不安定化することができる化合物である。いくつかのコルヒチンおよびチオコルヒチン誘導体の抗腫瘍薬として可能な使用が研究されてきた。それらは治療係数が低いために、これらはいずれも成功しなかった。唯一の例外としては、白血病の治療のために60年代に療法に導入され、その後より有効なビンカ(Vinca)アルカロイドに置き換えられたデメコルヒチンがある。
【0004】
WO01/68597には、チオコルヒチン残基が直鎖脂肪族アミドまたはアミド−ウレイド架橋を介して連結されたチオコルヒチン二量体が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の開示
本発明は、式IのN−デアセチルチオコルヒチン誘導体
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、
リンカーは、二価の直鎖または分枝のC1〜C8アルキル残基、C3〜C8シクロアルキル、フェニレンまたはC4〜C6複素環であり、
1およびG2結合部は、同じか異なっていてもよく、−CO−、−CONH−、R2が水素または直鎖C1〜C4アルキル残基である−CR2−基であるか、あるいはG1−リンカー−G2基は−CO−基である]に関する。
【0008】
式Iの化合物は、抗増殖、抗炎症、抗関節炎および抗ウイルス活性を有する。
発明の開示
今回、式Iの化合物は、特に、MDR(多剤耐性)表現型を発現する細胞に対して、コルヒチンおよびチオコルヒチンより高い抗増殖活性を有することを見出した。
【0009】
本発明の化合物はまた、WO01/68597に開示された二量体より有利である。さらに、リンカー中への芳香族塩基性残基の導入は、化合物の細胞毒性の次元のオーダーを増加させることを見出した。チオコルヒチン残基をその空間中に適切に配向し得るリンカーの導入は、耐性腫瘍に対する作用スペクトルを増幅する。式Iの化合物の細胞毒性は、最も有効な抗腫瘍薬のものに匹敵し、他方では、耐性腫瘍に対する作用スペクトルが極めて広いことが証明された。
発明の詳細な開示
次式のN−デアセチルチオコルヒチン誘導体
【0010】
【化2】

【0011】
[式中、
リンカーは、二価の直鎖または分枝のC1〜C8アルキル残基、C3〜C8シクロアルキル、フェニレンまたはC4〜C6複素環であり、
1およびG2結合部は、同じか異なってもよく、−CO−、−CONH−、R2が水素または直鎖C1〜C4アルキル残基である−CR2−基であるか、あるいはG1−リンカー−G2基は−CO−基であり、
ただし、G1およびG2が共にCOの場合、またはG1が−CONH−であり、かつG2が−CO−の場合は、リンカーはアルキル残基とは異なる]が開示される。
【0012】
アルキル二価の残基の例は、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を有する直鎖の残基を含む。
【0013】
シクロアルキル基の例は、1,3−シクロヘキシレンおよび1,4−シクロヘキシレンを含む。
【0014】
フェニレン基の例は、1,2−、1,3−または1,4−フェニレンを含む。
【0015】
複素環基の例は、その環の例えば、3,5または2,5または2,6位の2個の炭素原子を介してG1およびG2基に結合されたピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピペリジニル、ピペラジニルを含む。
【0016】
1およびG2は、好ましくは共にCOまたはCONHである。
【0017】
リンカーは、好ましくは、上記に定義されたように、フェニレン、シクロアルキレンまたは複素環基、好ましくは、少なくとも1個の塩基性窒素を含む複素環基である(ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペリジニル)。
【0018】
式Iのいくつかの特定の化合物の式を以下に報告する。
表1
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
式Iの化合物は、抗増殖、抗炎症、抗関節炎および抗ウイルス活性を有する。
【0022】
本発明の化合物は、下記のように調製される。
【0023】
1=G2=CO(ビスアミド)である式Iの本発明の化合物は、不活性溶媒中でN−デアセチルチオコルヒチンを所望のジカルボン酸の活性化誘導体と反応させることにより調製される。活性化ジカルボン酸誘導体の中でも、酸塩化物および特にトリフルオロ酢酸との混合無水物が特に好ましい。不活性溶媒の中でも塩素化溶媒が特に好ましい。別法としては、DMAP(4−N,N−ジメチルアミノピリジン)および縮合剤、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)の存在下で、N−デアセチルチオコルヒチンを所望のジカルボン酸と、室温または加熱下で出発生成物が見えなくなるまで激しく攪拌して反応させる。
【0024】
1=G2=CONH(ビス尿素)である式Iの本発明の化合物は、不活性溶媒中でN−デアセチルチオコルヒチンを所望のビスイソシアネートと反応させることにより調製される。選択するイソシアネートが市販されていない場合は、それは、対応するヒドロキサム酸のカルボジイミドおよび塩基による処理によるロッセン転位によりin situで生成される。あるいは、イソシアネートは、対応するアミドの四酢酸鉛による処理により生成される。
【0025】
1およびG2が−CR2−基(ビスアミン)である化合物は、N−デアセチルチオコルヒチンの適当なジアルデヒドによる還元的アミノ化により調製される。あるいは、このビスアミンは、チオコルヒチン窒素の適当なハロゲンまたはトシル誘導体によるアルキル化により得られる。まれには、このビスアミンは、対応するビスアミドからボランによる還元により調製される。
【0026】
異なるG1およびG2を有する化合物は、上に挙げた方法の組合せにより2ステップで調製される。
【0027】
式Iの化合物の活性度は、様々な耐性を発現する多数の腫瘍細胞に対して評価される。最も興味深い活性度が、卵巣、結腸、肝臓および膵臓腫瘍系で観察されている。
【0028】
表2は、本発明のいくつかの化合物のIC50値(ナノモルで表された)を、WO01/68597の実施例3に開示された二量体と比較して報告する。
【0029】
【表3】

【0030】
細胞毒活性度は、M.C.Alleyら、Cancer Research 1998、48、589〜601により記載された手順に従って評価した。
【0031】
特許請求に係るスペーサーを有するこのチオコルヒチン二量体のすべては、抗増殖、抗炎症および抗ウイルス活性を持つことが証明された。したがって、これらの化合物は、種々の起源の新形成、変形性慢性関節リウマチの治療およびそのレトロウイルス成分が確認されたカポジ腫瘍の治療に有用である。活発に増殖する組織における細胞増殖の抑制と組み合わせたウイルス複製の抑制する作用は、いくつかのヒト腫瘍の起源を考慮すると特に興味深い。
【0032】
このために、本発明の化合物は、静脈内、非経口、経口、経皮投与に適した薬剤組成物として投与される。本発明の特に有用な態様は、血漿タンパク質、特に特別設計のヒトアルブミンとの複合体の調製物に関する。これらの誘導体のタンパク質複合体は、アルブミンの濃厚な溶液にジオキサンに溶解したこの化合物を、関与する分子種の間の反応が可能な時間内に添加することにより得られる。生理学的pHおよびイオン強度の条件下で2種の分子種(アルブミンおよびコルヒチン誘導体)を反応させた後、得られた溶液を凍結乾燥する。凍結乾燥した溶液が絶対無菌条件下で調製された場合は、これを直ちに静脈注射に使用することができる;この凍結乾燥した溶液は、適当な適合性のある賦形剤中に分散後、圧縮され、経口経路により投与されて、非経口の経路により得られるものと類似した薬剤の血漿濃度をもたらすことができる。血漿タンパク質を使用することに代わる方法としては、この化合物の水溶解度が劣ることを仮定すれば、ヒトの非経口の投与に適した様々に官能化されたシクロデキストリンまたはアクリルマトリックスを使用することが有利である。
【0033】
この化合物の用量は、投与経路に応じて1〜20mg/m2体面積の範囲にある。好ましい投与経路は、局所領域注射、静脈内および経口投与である。
【0034】
組成物の例は、凍結乾燥したバイアル、担持された凍結乾燥錠剤および飲用に適した溶液を含む。Tween、CremophorおよびこれらのPEGまたはアルコールとの適当な混合物などの、投与に許容される程度にこの化合物を溶解する任意の他の薬剤も本発明に含まれる。
【0035】
以下の実施例は、本発明を詳細に例示する。
【0036】
実施例
実施例1 − 3,5−ピリジンジカルボン酸ビス−(N−デアセチルチオコルヒチン)アミド
10gのN−デアセチルチオコルヒチンを60mlの塩化メチレンに溶解する。次いで、2.24g(0.5当量)の3,5−ピリジンカルボン酸、1.64g(0.5当量)のN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)および8.3g(1.5当量)のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を、激しい攪拌下で添加する。この混合物を、TLC(AcOEt:MeOH 10:1)により反応を監視しながら、試薬が見えなくなるまで攪拌したままにする(約12時間)。次いで、この溶液をセライトを通してろ過し、パッドを塩化メチレン(2×100ml)で洗浄する。組み合わせた有機相を、先ず同体積の1N HClで、次いでIN NaOHで洗浄する。この有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥し、真空下で蒸発させる。この残渣を、シリカゲル(AcOEt:MeOH 10:1)によるろ過により精製する。得られた生成物を真空下40℃で静止乾燥機中で一晩乾燥して、7.5gの最終生成物を得る。
【0037】
1HNMR(300MHz,CDCl3):1.00〜1.42(m,2H)、1.50〜2.00(m,2H)、2.05〜2.30(m,2H)、2.30〜2.50(m,2H)、2.52(s,3H,SMe)、3.71(s,3H,MeO−1)、3.90(s,3H,MeO−2)、3.96(s,3H,MeO−3)、4.80〜4.92(m,2H,H−7)、6.47(s,2H,H−8)、7.18(d,12.0Hz,2H,H−12)、7.38(d,12.0Hz,2H,H−11)、7.67(s,2H,H−4)、8.52(br s,2H,NH)、9.28(s,2H,H−2’+H−6’)、9.60(s,1H,H−4’);
13CNMR(75MHz,CDCl3):182.64、164.25、158.88、154.12、152.59、152.34、151.33、141.92、139.33、135.48、134.47、132.74、129.04、128.54、127.48、125.71、107.74、61.88、61.61、56.49、53.03、30.09、15.41。
【0038】
IR(KBr):2934、2854、1664、1605、1540、1485、1424、1403、1349、1321、1266、1235、1195、1153、1137、1095、1051、1021、978、921、842、796、703。
【0039】
実施例2 − トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ビス−(N−デアセチルチオコルヒチン)アミド
10gのN−デアセチルチオコルヒチンを60mlの塩化メチレンに溶解する。次いで、2.31g(0.5当量)のトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1.64g(0.5当量)のDMAPおよび8.3g(1.5当量)のDCCを、激しい攪拌下で添加する。この混合物を12時間攪拌したままにし、TLC(AcOEt:MeOH 10:1)により監視し、次いで、セライトを通してろ過し、パッドを塩化メチレン(2×20ml)で洗浄する。組み合わせた有機相を、同体積の1N HCl、IN NaOHおよびブラインで洗浄し、Na2SO4により乾燥する。溶媒を減圧下で蒸発させた後、この残渣を直接カラムクロマトグラフィー(AcOEt:MeOH 12:1)により精製する。この生成物をメタノール(10体積/体積)から結晶化し、真空下40℃で静止乾燥機中で一晩乾燥して、6.6gの純粋な化合物を得る。
【0040】
1HNMR(300MHz,CDCl3):1.30〜1.45(m)、1.45〜1.70(m,2H)、1.80〜1.89(m)、1.89〜2.10(m)、2.18〜2.56(m)、2.43(s,3H,SMe)、3.69(s,3H,MeO−1)、3.92(s,3H,MeO−2)、3.97(s,3H,MeO−3)、4.80〜4.92(m,2H,H−7)、6.47(s,2H,H−8)、7.09(d,12.0Hz,2H,H−12)、7.34(d,12.0Hz,2H,H−11)、7.86(s,2H,H−4)、8.93(br s,2H,NH)。
【0041】
13CNMR(75MHz,CDCl3):182.44、176.35、158.52、153.80、152.96、151.55、141.97、139.22、135.04、134.69、129.93、127.09、126.37、107.04、62.39、61.68、56.45、51.13、44.59、36.92、30.63、29.61、27.84、15.36。
【0042】
IR(KBr):3442、3285、2934、2855、1674、1602、1532、1484、1454、1424、1403、1390、1348、1321、1281、1256、1236、1195、1153、1136、1094、1022、982、942、921、841、619、582。
【0043】
実施例3 − 3,5−ベンゼンジカルボン酸ビス−(N−デアセチルチオコルヒチン)アミド
5gのイソフタル酸から出発して実施例1の手順に追従して、この生成物を結晶性固体として得る(収率:82%)。
【0044】
1HNMR(300MHz,CDCl3):1.00〜1.42(m,2H)、1.50〜2.00(m,2H)、2.05〜2.30(m,2H)、2.30〜2.50(m,2H)、2.52(s,3H,SMe)、3.71(s,3H,MeO−1)、3.90(s,3H,MeO−2)、3.96(s,3H,MeO−3)、4.80〜4.92(m,2H,H−7)、6.47(s,2H,H−8)、7.18(d,12.0Hz,2H,H−12)、7.38(d,12.0Hz,2H,H−11)、7.67(s,2H,H−4)、8.52(br s,2H,NH)、8.05(m,2H,H−4’+H−6’)、8.50(m,1H,H−2’)、7.46(dd,8.0Hz,H−5’)。
【0045】
実施例4 − N−デアセチルチオコルヒチン1,4−フェニレンジアミンビス尿素
2.0gのN−デアセチルチオコルヒチンを150mlの無水テトラヒドロフランに溶解する。次いで、0.5当量の1,4−フェニレンジイソシアネート(0.4g)を添加する。この反応混合物を、TLC(DCM−EtOH 95:5、Rf=0.30)により監視しながら、室温で2日間攪拌したままにする。溶媒を蒸発除去し、この粗製物を酢酸エチルから再結晶させて、0.95gの純粋な生成物を得る(38%)。
【0046】
1HNMR(300MHz,DMSO−d6):1.72〜1.88(m)、2.08〜2.36(m)、2.58〜2.70(m)、2.42(s,3H,SMe)、3.58(s,3H,MeO−1)、3.82(s,3H,MeO−2)、3.87(s,3H,MeO−3)、4.24〜4.35(m,2H,H−7)、6.82(s,2H,H−8)、7.17(d,12.0Hz,2H,H−12)、7.27(d,12.0Hz,2H,H−11)、7.13(s,2H,H−4)、8.52(br s,2H,NH)。
【0047】
実施例5 − n−デアセチルチオコルヒチン1,3−フェニレンジアミンビス尿素
2.0gのN−デアセチルチオコルヒチンおよび0.4gの1,3−フェニレンジイソシアネートから出発して実施例IVの手順に追従して、所望の生成物を得る(収率:42%)。
【0048】
1HNMR(300MHz,DMSO−d6):1.72〜1.88(m)、2.08〜2.36(m)、2.58〜2.68(m)、2.43(s,3H,SMe)、3.58(s,3H,MeO−1)、3.83(s,3H,MeO−2)、3.87(s,3H,MeO−3)、4.24〜4.35(m,2H,H−7)、6.82(s,2H,H−8)、7.18(d,12.0Hz,2H,H−12)、7.28(d,12.0Hz,2H,H−11)、7.14(s,2H,H−4)、8.48(br s,2H,NH)。
【0049】
実施例6 − 2,9−ジアザセバシン酸ビス−(N−デアセチルチオコルヒチン)アミド
2.0gのN−デアセチルチオコルヒチンおよび0.4gの1,4−ブタンジイソシアネートから出発して実施例IVの手順に追従して、所望の生成物を得る(収率:63%、0.4g)。TLC(DCM−EtOH=95:5)Rf=0.38。
【0050】
1HNMR(300MHz,CDCl3):1.80〜1.95(m)、2.38〜2.54(m)、2.70〜2.95(m)、3.40〜3.60(m)、2.50(s,3H,SMe)、3.69(s,3H,MeO−1)、3.95(s,3H,MeO−2)、3.98(s,3H,MeO−3)、4.54〜4.65(m,2H,H−7)、6.58(s,2H,H−8)、7.21(d,12.0Hz,2H,H−12)、7.43(d,12.0Hz,2H,H−11)、7.81(s,2H,H−4)、8.20(br s,2H,NH)。
【0051】
実施例7 − 1,3−ベンゼンメチレンビス−N−デアセチルチオコルヒチン
2.0gのN−デアセチルチオコルヒチンを100mlのクロロホルムに溶解する。0.5当量のイソフタルアルデヒドジメチルアセタールおよび0.01%のピリジニウムトシレートを添加する。この混合物を、一晩還流し、室温に冷却させておき、氷浴中に置く。8当量のトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、この混合物を1日間攪拌したままにする。次いで、この溶液をろ過し、同体積の0.1N HCLおよび次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄する。この有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥し、溶媒を蒸発除去する。この粗製物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、0.49gの生成物を得る。
【0052】
1HNMR(300MHz,CDCl3):1.00〜1.42(m,2H)、1.50〜2.00(m,2H)、2.05〜2.30(m,2H)、2.30〜2.50(m,2H)、2.52(s,3H,SMe)、3.71(s,3H,MeO−1)、3.90(s,3H,MeO−2)、3.96(s,3H,MeO−3)、4.80〜4.92(m,2H,H−7)、6.47(s,2H,H−8)、7.18(d,12.0Hz,2H,H−12)、7.38(d,12.0Hz,2H,H−11)、7.67(s,2H,H−4)、8.52(br s,2H,NH)、7.02(m,5H)。
【0053】
実施例8 − ヒトアルブミンと複合化された3,5−ピリジンジカルボン酸ビス−(N−デアセチルチオコルヒチン)アミドの注射用製剤
1gの3,5−ピリジンジカルボン酸ビス−(N−デアセチルチオコルヒチン)アミドを20mlのジオキサンに溶解する。得られた溶液をアルブミンの5%生理的溶液中に徐々に滴下して、均一な乳状懸濁液を得る。この混合物を、2時間無菌の条件で攪拌したままにし、次いで凍結乾燥する。
【0054】
この凍結乾燥した生成物は、注射経路による投与に直ちに使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

[式中、
リンカーは、二価の直鎖または分枝のC1〜C8アルキル残基、C3〜C8シクロアルキル、フェニレンまたはC4〜C6複素環であり、
1およびG2結合部は、同じか異なってもよく、−CO−、−CONH−、R2が水素または直鎖C1〜C4アルキル残基である−CR2−基であるか、
あるいはG1−リンカー−G2基は−CO−基であり、
ただし、G1およびG2が共にCOの場合、またはG1が−CONH−であり、かつG2が−CO−の場合は、リンカーは二価のアルキル残基とは異なる]。
【請求項2】
1およびG2が共にCOまたはCONHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
リンカーが、フェニレン、C5〜C6シクロアルキレンまたは複素環基である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
リンカーが、2〜6個の炭素原子を有する二価の直鎖アルキル残基から選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
リンカーが、1,3−シクロヘキシレンおよび1,4−シクロヘキシレンから選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項6】
リンカーが、1,2−、1,3−または1,4−フェニレンから選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項7】
リンカーが、3,5または2,5または2,6位でG1およびG2基に結合されたピリジル、ピペリジニル、ピペラジニルから選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項8】
抗腫瘍、抗関節炎、抗炎症および抗ウイルスに使用するための式Iの化合物。
【請求項9】
活性成分として式Iの化合物を含有し、適当な担体および/または賦形剤を混合する薬剤組成物。

【公表番号】特表2007−520486(P2007−520486A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550141(P2006−550141)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000987
【国際公開番号】WO2005/075418
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(591092198)インデナ エッセ ピ ア (52)
【Fターム(参考)】