説明

N−(ヘテロアリール)−1−ヘテロアリール−1H−インドール−2−カルボキサミドの誘導体、これらの調製およびこれらの治療用途

本発明は、一般式Iの化合物[式中、X、X、X、Xは、水素もしくはハロゲン原子またはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、C−C−アルコキシル、C−C−フルオロアルコキシル、シアノ、C(O)NR、ニトロ、NR、C−C−チオアルキル、−S(O)−C−C−アルキル、−S(O)−C−C−アルキル、SONR、NRCOR、NRSOもしくはアリール基(該アリール基は、場合によって置換されている。)を独立に表し;Wは、1、2、3または4位で窒素原子に結合している式IIの縮合二環式基であり;Aは、O、SおよびNから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5から7員の複素環であり;Aの炭素および/または窒素原子は、場合によって置換されており;Yは、場合によって置換されているヘテロアリールである。]に関し、前記化合物は、塩基または酸への付加塩の状態ならびに水和物または溶媒和物の状態にある。本発明は、調製方法および治療用途にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、TRPV1(またはVR1)型の受容体に対してインビトロおよびインビボでの拮抗活性を示す、N−(ヘテロアリール)−1−ヘテロアリール−1H−インドール−2−カルボキサミドから誘導された化合物である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の第1の主題は、下記の一般式(I)に相当する化合物に関する。
【0003】
本発明のもう1つの主題は、一般式(I)の化合物の調製のための方法に関する。
【0004】
本発明のもう1つの主題は、特に薬剤または医薬組成物における、一般式(I)の化合物の使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の化合物は、一般式(I)に相当する
【0006】
【化1】

[式中:
、X、X、Xは、互いに独立に、水素もしくはハロゲン原子またはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、C−C−アルコキシル、C−C−フルオロアルコキシル、シアノ、C(O)NR、ニトロ、NR、C−C−チオアルキル、−S(O)−C−C−アルキル、−S(O)−C−C−アルキル、SONR、NRCOR、NRSOまたはアリール基(該アリールは、ハロゲンまたはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、C−C−アルコキシル、C−C−フルオロアルコキシル、ニトロもしくはシアノ基から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されている。)を表し;
Wは、1、2、3または4位で窒素原子に結合している式:
【0007】
【化2】

の縮合二環式基を表し;
Aは、O、SまたはNから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5から7員の複素環を表し;
Aの1つまたは複数の炭素原子は、水素原子またはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、C−C−アルコキシル、C−C−シクロアルコキシル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレンオキシ、アリール、アリール−C−C−アルキレン、オキソまたはチオ基から選択される1つまたは複数の基で場合によって置換されており;
Aの1つまたは複数の窒素原子は、該窒素がオキソ基で置換された炭素原子に隣接している場合にRで場合によって置換されており、またはその他の場合にRで場合によって置換されており;
Yは、ハロゲン原子またはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、ヒドロキシル、C−C−アルコキシル、C−C−フルオロアルコキシル、C−C−チオフルオロアルキル、シアノ、C(O)NR、ニトロ、NR、C−C−チオアルキル、SH、−S(O)−C−C−アルキル、−S(O)−C−C−アルキル、−S(O)−C−C−シクロアルキル、−S(O)−、C−C−シクロアルキル、SONR、NRCOR、NRSO、アリール−C−C−アルキレンもしくはアリール基(該アリールおよびアリール−C−C−アルキレンは、ハロゲンまたはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、C−C−アルコキシル、C−C−フルオロアルコキシル、ニトロもしくはシアノ基から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されている。)から選択される1つまたは複数の基で場合によって置換されているヘテロアリールを表し;
およびRは、互いに独立に、ハロゲン原子またはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、アリール−C−C−アルキレンもしくはアリール基を表し;またはRおよびRは、これらに結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼピニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニルもしくはホモピペラジニル基を形成し、この基は、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、アリール−C−C−アルキレンもしくはアリール基で場合によって置換されており;
およびRは、互いに独立に、水素原子またはC−C−アルキル、アリール−C−C−アルキレンもしくはアリール基を表し;
は、C−C−アルキル、アリール−C−C−アルキレンまたはアリール基を表し;
は、水素原子またはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、アリール−C−C−アルキレンもしくはアリール基を表し;
は、水素原子またはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、アリール−C−C−アルキレン、C−C−アルキル−C(O)−、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン−(CO)−、C−C−フルオロアルキル−C(O)−、C−C−シクロアルキル−C(O)−、アリール−C(O)−、アリール−C−C−アルキレン−C(O)−、C−C−アルキル−S(O)−、C−C−フルオロアルキル−S(O)−、C−C−シクロアルキル−S(O)−、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン−S(O)−、アリール−S(O)−、アリール−C−C−アルキレン−S(O)−もしくはアリール基を表す。]。
【0008】
一般式(I)の化合物において:
−複素環AまたはヘテロアリールYの1つまたは複数の硫黄原子は、酸化形(S(O)またはS(O))であってよく;
−複素環AまたはヘテロアリールYの1つまたは複数の窒素原子は、酸化形(N−酸化物)であってよい。
【0009】
本発明の文脈において、基Wの例として、インドリル、イソインドイル、インドリニル、イソインドリニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾオキサゾリニル、イソベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ジヒドロベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、イソベンゾチアゾリル、ジヒドロイソベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾオキサジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ベンゾチアジニル、ジヒドロベンゾチアジニル、シンノリニル、キナゾリニル、ジヒドロキナゾリニル、テトラヒドロキナゾリニル、キノキサリニル、ジヒドロキノキサリニル、テトラヒドロキノキサリニル、フタラジニル、ジヒドロフタラジニル、テトラヒドロフタラジニル、テトラヒドロベンズ[b]アゼピニル、テトラヒドロベンズ[c]アゼピニル、テトラヒドロベンズ[d]アゼピニル、テトラヒドロベンゾ[1,4−b]ジアゼピニル、テトラヒドロベンゾ[1,4−e]ジアゼピニル、テトラヒドロベンゾ[1,4−b]オキサゼピニルまたはテトラヒドロベンゾ[1,4−b]チアゼピニル基に言及することができる。
【0010】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、化合物の第1のサブグループは、X、X、XおよびXが、互いに独立に、水素もしくはハロゲン原子またはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、C−C−アルコキシル、C−C−フルオロアルコキシル、シアノ、C(O)NR、ニトロ、NR、C−C−チオアルキル、−S(O)−C−C−アルキル、−S(O)−C−C−アルキル、SONR、NRCORもしくはNRSO基を表す化合物からなる。
【0011】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、化合物の第2のサブグループは、X、X、XおよびXが、互いに独立に、水素もしくはハロゲン原子またはC−C−アルキルもしくはC−C−フルオロアルキル基を表す化合物からなる。
【0012】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、化合物の第3のサブグループは、X、XおよびXが、水素原子を表す化合物からなる。
【0013】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、化合物の第4のサブグループは、X、XおよびXが、水素原子を表し、Xが、ハロゲン原子、より詳しくはフッ素原子を表す化合物からなる。
【0014】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、化合物の第5のサブグループは、Wが、1、2、3または4位で窒素原子に結合している式:
【0015】
【化3】

の縮合二環式基を表し、
Wが、インドリル、イソインドイル、インドリニル、イソインドリニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾオキサゾリニル、イソベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ジヒドロベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、イソベンゾチアゾリル、ジヒドロイソベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾオキサジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ベンゾチアジニル、ジヒドロベンゾチアジニル、シンノリニル、キナゾリニル、ジヒドロキナゾリニル、テトラヒドロキナゾリニル、キノキサリニル、ジヒドロキノキサリニル、テトラヒドロキノキサリニル、フタラジニル、ジヒドロフタラジニル、テトラヒドロフタラジニル、テトラヒドロベンズ[b]アゼピニル、テトラヒドロベンズ[c]アゼピニル、テトラヒドロベンズ[d]アゼピニル、テトラヒドロベンゾ[1,4−b]ジアゼピニル、テトラヒドロベンゾ[1,4−e]ジアゼピニル、テトラヒドロベンゾ[1,4−b]オキサゼピニル、テトラヒドロベンゾ[1,4−b]チアゼピニル基から選択され;前記基Wの1つまたは複数の炭素および/または窒素原子は、一般式(I)において定義されたように場合によって置換されている化合物からなる。
【0016】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、化合物の第6のサブグループは、Wが、インドリル基を表し;
前記基Wの1つまたは複数の炭素および/または窒素原子は、一般式(I)において定義されたように場合によって置換されている化合物からなる。
【0017】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、化合物の第7のサブグループは、
Wが、ベンズイミダゾリルおよびインドリル基から選択され;および/または
Aの1つまたは複数の炭素原子が、1つまたは複数のC−C−アルキル基、または特にメチル基で場合によって置換されており;および/または
Aの1つまたは複数の窒素原子が、(C−C−アルキル基、または特にメチル基を表す)Rで場合によって置換されている化合物からなる。
【0018】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、化合物の第8のサブグループは、
Wが、ベンズイミダゾール−5−イルおよびインドール−5−イル基から選択され;および/または
Aの1つまたは複数の炭素原子が、1つまたは複数のC−C−アルキル基、より詳しくはメチルで場合によって置換されており;および/または
Aの1つまたは複数の窒素原子が、(C−C−アルキル基、より詳しくはメチルを表す)Rで場合によって置換されている化合物からなる。
【0019】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、化合物の第9のサブグループは、
Yが、1つまたは複数のC−C−アルキル基、より詳しくはメチルで場合によって置換されているピリジニルを表す化合物からなる。
【0020】
、X、X、X、WおよびYが、同時に、化合物の上記のサブグループにおいて定義された通りである化合物は、第10のサブグループを形成する。
【0021】
本発明の文脈において:
−tおよびzが、1から7の値を取り得るC−Cは、tからz個の炭素原子を有し得る炭素鎖を意味すると理解され、例えば、C−Cは、1から3個の炭素原子を有し得る炭素鎖を意味すると理解され;
−アルキルは、飽和、直鎖または分枝鎖、脂肪族基を意味すると理解される。例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチルまたはペンチル基などに言及することができ;
−アルキレンは、飽和、直鎖または分枝鎖、二価アルキル基を意味すると理解され、例えば、C1−3アルキレン基は、直鎖または分枝鎖である1から3個の炭素原子の二価の炭素鎖、より詳しくはメチレン、エチレン、1−メチルエチレンまたはプロピレンを表し;
−アルキレンオキシは、酸素原子を含むアルキレンを意味すると理解され;
−シクロアルキルは、環状炭素基を意味すると理解される。例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基などに言及することができ;
−フルオロアルキルは、1つまたは複数の水素原子がフッ素原子で置換されているアルキル基を意味すると理解され;
−アルコキシルは、アルキル基が上記に定義された通りである−O−アルキル基を意味すると理解され;
−シクロアルコキシルは、シクロアルキル基が上記に定義された通りである−O−シクロアルキル基を意味すると理解され;
−フルオロアルコキシルは、1個または複数の水素原子がフッ素原子で置換されているアルコキシル基を意味すると理解され;
−チオアルキルは、アルキル基が上記に定義された通りである−S−アルキル基を意味すると理解され;
−チオフルオロアルキルは、1個または複数の水素原子がフッ素原子で置換されているチオアルキル基を意味すると理解され;
−アリールは、6および10個の間の炭素原子を含む芳香族環式基を意味すると理解される。アリール基の例として、フェニルまたはナフチル基に言及することができ;
−複素環は、O、SまたはNから選択される1から5個のヘテロ原子を含む、芳香族の、部分不飽和または飽和の5から12員の基を意味すると理解され;複素環の例として、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼピニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロピロリル、テトラヒドロピリジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、フラニル、チオフェニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはトリアジニル基に言及することができ;
−ヘテロアリールは、O、SまたはNから選択される1から8個のヘテロ原子を含む、芳香族の、5から14員の、単環、二環または三環式複素環式基を意味すると理解され;
単環式ヘテロアリールの例として、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、フラニル、チオフェニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはトリアジニル基に言及することができ;
二環式ヘテロアリールの例として、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチアゾリル、イソキノリニル、ピロロ[2,3−c]ピリジニル、ピロロ[2,3−b]ピリジニル、ピロロ[3,2−b]ピリジニル、ピロロ[3,2−c]ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニルまたはキノキサリニル基に言及することができ;
三環式ヘテロアリールの例として、ピリド[1,2−a]ベンズイミダゾリル、チアゾロ[1,2−a]ベンズイミダゾリルまたはイミダゾ[1,2−a]ベンズイミダゾリル基に言及することができ;
−ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味すると理解され;
−「オキソ」は、「=O」を意味すると理解され;
−「チオ」は、「=S」を意味すると理解される。
【0022】
式(I)の化合物は、1個または複数の不斉炭素原子を含み得る。これらは、鏡像異性体またはジアステレオ異性体の形態で存在し得る。これらの鏡像異性体またはジアステレオ異性体、さらにラセミ混合物を含めたこれらの混合物は、本発明の一部を形成する。
【0023】
式(I)の化合物は、塩基の形態または酸との付加塩の形態で存在し得る。このような付加塩は、本発明の一部を形成する。
【0024】
これらの塩は、薬学的に許容される酸を用いて有利に調製されるが、例えば式(I)の化合物の精製または単離において有用な他の酸の塩も本発明の一部を形成する。
【0025】
一般式(I)の化合物は、水和物または溶媒和物の形態、すなわち、水の1個または複数分子または溶媒との結合または会合の形態で存在することがある。このような水和物および溶媒和物も本発明の一部を形成する。
【0026】
本明細書の以下において、用語「脱離基」は、電子対の脱離を伴って異方性結合(heterolytic bond)を開裂させることによって、分子から容易に分裂し得る基を意味すると理解される。従って、この基は、例えば置換反応中に、別の基で容易に置き換えられ得る。このような脱離基は、例えば、ハロゲン化物またはメタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、トリフレート、アセテートなどの活性化ヒドロキシル基である。脱離基およびさらにこれらの調製のための参考の例は、「Advances in Organic Chemistry」、J.March、5th Edition、Wiley Interscience、2001に記載されている。
【0027】
本発明に従って、一般式(I)の化合物は、以下のスキーム1により図解されたプロセスに従って調製され得る。
【0028】
スキーム1によれば、一般式(IV)の化合物は、一般式(II)の化合物(ここで、X、X、XおよびXは、一般式(I)において定義されたとおりであり、Dは、C−C−アルコキシル基を表す。)の、一般式(III)の化合物(ここで、Yは、一般式(I)において定義されたとおりであり、LGは、脱離基を表し、またはLGは、ヒドロキシル基を表す。)との反応によって得ることができる。
【0029】
この反応は、炭酸カリウムまたはリン酸三カリウムなどの塩基の存在下で、好ましくは、触媒量の(ヨウ化銅などの)金属塩および(1,2−ジメチルアミノシクロヘキサンなどの)添加剤の存在下で実施し得る(Buchwald S.L.、J.Org.Chem.、2004、69、5578−5587)。
【0030】
次いで、一般式(I)の化合物は、上記で得られた一般式(IV)の化合物の、一般式(V)の化合物のアミド(ここで、Wは、一般式(I)において定義された通りである。)との、トルエンなどの溶媒の還流下での反応によって得られる。一般式(V)の化合物のアミドは、一般式(V)のアミンにトリメチルアルミニウムを事前に作用させることによって調製される。
【0031】
【化4】

【0032】
一般式(I)、(II)および(IV)の化合物(ここで、X、X、Xおよび/またはXは、シアノ基またはアリールを表す。)は、文献に記載されたまたは当業者に知られた方法に従って、一般式(I)、(II)および(IV)の対応する化合物(ここで、X、X、Xおよび/またはXは、脱離基、例えば臭素を表す。)に対して実施される、パラジウムなどの金属により触媒されるカップリング反応によって得ることができる。
【0033】
一般式(I)、(II)および(IV)の化合物(ここで、X、X、Xおよび/またはXは、C(O)NR基を表す。)は、文献に記載されたまたは当業者に知られた方法に従って、一般式(I)、(II)および(IV)の対応する化合物(ここで、X、X、Xおよび/またはXは、シアノ基を表す。)から得ることができる。
【0034】
一般式(I)、(II)および(IV)の化合物(ここで、X、X、Xおよび/またはXは、−S(O)−C−C−アルキルまたは−S(O)−C−C−アルキル基を表す。)は、文献に記載されたまたは当業者に知られた方法に従って、一般式(I)、(II)および(IV)の対応する化合物(ここで、X、X、Xおよび/またはXは、C−C−チオアルキル基を表す。)の酸化によって得ることができる。
【0035】
一般式(I)、(II)および(IV)の化合物(ここで、X、X、Xおよび/またはXは、NR、NRCORまたはNRSO基を表す。)は、文献に記載されたまたは当業者に知られた方法に従って、例えば、還元および次いでのアシル化またはスルホニル化によって、一般式(I)、(II)および(IV)の対応する化合物(ここで、X、X、Xおよび/またはXは、ニトロ基を表す。)から得ることができる。
【0036】
一般式(I)、(II)および(IV)の化合物(ここで、X、X、Xおよび/またはXは、NR、NRCORまたはNRSO基を表す。)は、文献に記載されたまたは当業者に知られた方法に従って、塩基、ホスフィンおよびパラジウムベースの触媒の存在下での、それぞれ、アミン、アミドまたはスルホンアミドとのカップリング反応によって一般式(I)、(II)および(IV)の対応する化合物(ここで、X、X、Xおよび/またはXは、例えば、臭素原子を表す。)から得ることができる。
【0037】
一般式(I)、(II)および(IV)の化合物(ここで、X、X、Xおよび/またはXは、SONR基を表す。)は、Pharmazie 1990、45、346に記載されたものと類似の方法によって、または文献に記載されたもしくは当業者に知られた方法に従って得ることができる。
【0038】
一般式(I)の化合物(ここで、Rは、水素原子を表す。)は、例えば、パラジウムにより触媒される水素化によって、または文献に記載されたもしくは当業者に知られた任意の方法によって、一般式(I)の化合物(ここで、例えば、Rは、フェニルメチル基を表す。)から得ることができる。
【0039】
前述において、
−一般式(II)の化合物は、市販されており、または文献に記載された多数の方法に従って調製される(例えば、D.Knittel、Synthesis、1985、2、186;T.M.Williams、J.Med.Chem.、1993、36(9)、1291;特開2001−151771公報)。
【0040】
−式(III)の化合物は、市販されており、または当業者に知られた方法を用いて入手できる。
【0041】
−化合物(V)および他の反応物は、(これらの調製方法が記載されていない場合)、市販されており、または文献に記載されている(例えば、WO03/049702、WO03/068749)。
【0042】
以下の実施例は、本発明による化合物の調製を記載している。本実施例は、限定するものではなく、単に本発明を例示するものである。例示された化合物の番号は、表1に記載された番号を指す。微量元素分析、LC−MS(液体クロマトグラフィー−質量分析)分析ならびにIRおよび/またはNMRスペクトルによって、得られた化合物の構造が確認される。
【実施例1】
【0043】
(化合物No.10)
N−(1,2−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)−5−フルオロ−1−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−1H−インドール−2−カルボキサミド
1.1 エチル5−フルオロ−1−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−1H−インドール−2−カルボキシレート
4.35g(21mmol)のエチル5−フルオロ−1H−インドール−2−カルボキシレート、4.29g(23.1mmol)の2−ブロモ−4,6−ジメチルピリジン、9.36g(44.1mmol)のリン酸三カリウム、0.66ml(4.2mmol)の1,2−ジメチルアミノシクロヘキサン、0.2g(1.05mmol)のヨウ化銅および21mlの無水トルエンを圧力管に添加する。この管を閉じ、反応混合物を110℃で5日間撹拌する。この時間の後、混合物を水の100mlの溶液に注ぎ、媒体のpHを酢酸の添加によってpH5に調節する。100mlの酢酸エチルを添加する。有機相を分離し、50mlの水および50mlの飽和水性塩化ナトリウム溶液で連続して洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、次いで減圧下で濃縮する。残渣を分取クロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチル)によって精製する。5.56gの期待生成物が得られ、この生成物は、合成の続きでそのまま使用される。
【0044】
1.2 N−(1,2−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)−5−フルオロ−1−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物No.10)
1.54mlのトリメチルアルミニウム(トルエン中2M)を、19.2mlの無水トルエン中の0.34g(2.11mmol)の5−アミノ−1,2−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール(国際公開第2002/059110号パンフレット)の溶液にアルゴン下で添加する。50℃で15分間撹拌後、段階1.1において得られた0.6g(1.92mmol)のエチル5−フルオロ−1−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−1H−インドール−2−カルボキシレートを添加する。反応混合物を4時間環流し、次いで周囲温度で一晩撹拌する。これを150gの氷および70mlの酢酸エチルに注ぐ。水相を分離し、30mlの酢酸エチルで2回抽出する。有機相を合わせ、50mlの1N水酸化ナトリウム溶液、50mlの水で2回、次いで50mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回連続的に洗浄する。有機相を、最終的に硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、次いで減圧下で濃縮する。残渣を分取クロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/メタノール)によって精製する。0.71gの固体が得られ、この固体を減圧下で乾燥する。
M.p.:130−140℃
H NMR(CDCl)、δ(ppm):2.4(s,3H);2.57(s,3H);2.58(s,3H);3.71(s,3H);7.15(m,7H);7.6(m,2H);8.7(s,交換可能 1H)。
【0045】
以下の化合物を実施例1に記載されたものと類似の方法によって調製した。
【0046】
N−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)−5−フルオロ−1−(ピリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物No.1)
H NMR(CDCl)、δ(ppm):3.70(s,3H);6.33(d,1H);6.99(m,2H);7.18(m,4H);7.32(m,3H);7.78(s,1H);7.89(s,1H);8.70(s,2H)。
【0047】
N−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)−5−フルオロ−1−(ピリジン−3−イル)−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物No.2)
H NMR(CDCl)、δ(ppm):3.79(s,3H);6.41(d,1H);7.09(m,3H);7.21(m,3H);7.42(m,2H);7.82(m,3H);8.7(s,2H)。
【0048】
N−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)−5−フルオロ−1−(ピリジン−2−イル)−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物No.3)
H NMR(DMSO D)、δ(ppm):3.73(s,3H);6.31(d,1H);7.12(t×d,1H);7.29(d,1H);7.48(m,7H);7.89(s,1H);7.98(t×d,1H);8.52(m,1H);10.41(s,1H)。
【0049】
N−(1,2−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)−5−フルオロ−1−(ピリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物No.4)
H NMR(d−DMSO)、δ(ppm):2.50(s,3H);3.72(s,3H);7.19(t×d,1H);7.38(m,2H);7.51(m,4H);7.62(d,1H);7.88(s,1H);8.20(d,2H);10.51(s,1H)。
【0050】
N−(1,2−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)−5−フルオロ−1−(ピリジン−2−イル)−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物No.5)
H NMR(d−DMSO)、δ(ppm):2.50(s,3H);3.70(s,3H);7.11(t×d,1H);7.45(m,7H);7.84(d,1H);8.02(t×d,1H);8.55(d,1H);10.49(s,1H)。
【0051】
N−(1,2−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)−5−フルオロ−1−(ピリジン−3−イル)−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物No.6)
H NMR(CDCl)、δ(ppm):2.55(s,3H);3.72(s,3H);7.05(m,2H);7.21(m,2H);7.41(m,2H);7.60(m,2H);7.80(m,1H);8.02(s,1H);8.72(m,2H)。
【0052】
N−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)−5−フルオロ−1−(4−メチルピリジン−2−イル)−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物No.7)
H NMR(d−DMSO)、δ(ppm):2.40(s,3H);3.75(s,3H);6.32(d,1H);7.11(t×d,1H);7.34(m,7H);7.53(d×d,1H);7.91(s,1H);8.39(d,1H);10.38(s,1H)。
【0053】
N−(1,2−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)−5−フルオロ−1−(4−メチルピリジン−2−イル)−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物No.8)
H NMR(d−DMSO)、δ(ppm):2.40(s,3H);2.49(s,3H);3.68(s,3H);7.10(t×d,1H);7.24(d,1H);7.40(m,6H);7.82(s,1H);8.38(d,1H);10.45(s,1H)。
【0054】
N−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)−5−フルオロ−1−(2−メチルピリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物No.9)
H NMR(d−DMSO)、δ(ppm):2.55(s,3H);3.72(s,3H);6.34(d,1H);7.20(m,8H);7.59(d×d,1H);7.89(s,1H);8.56(d,1H);10.34(s,1H)。
【0055】
N−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)−5−フルオロ−1−(4,6−ジメチルピリジン−2−イル)−1H−インドール−2−カルボキサミド(化合物No.11)
H NMR(CDCl)、δ(ppm):2.41(s,3H);2.58(s,3H);3.78(s,3H);6.41(d,1H);7.05(m,4H);7.3(m,5H);7.86(s,1H);8.58(s,1H)。
【0056】
本発明による一般式(I)のいくつかの化合物の化学構造および物理的性質が表1に示されている。本表において、「M.p.」の列は、摂氏温度(℃)での生成物の融点を記載している。
【0057】
【表1】

【0058】
本発明の化合物をインビトロでの薬理試験にかけ、この薬理試験は、治療活性を有する物質としてのこれらの利益を実証した。
【0059】
ラットDRGへのカプサイシンにより誘発された電流の阻害の試験
−ラット後根神経節(DRG)細胞の初代培養:
DRGのニューロンは、TRPV1受容体を天然に発現する。
【0060】
新生児ラットDRGの初代培養物を、1日齢ラットから調製する。解剖後すぐに、神経節をトリプシン処理し、これらの細胞を穏やかな粉砕によって機械的に解離する。細胞を、10%のウシ胎仔血清、25mM KCl、2mMグルタミン、100μg/mlのゲンタマイシンおよび50ng/mlのNGFを含有するEagle基礎培養培地中に再懸濁し、次いで、ラミニンで被覆されたカバーガラス上に付着させ(1カバーガラスあたり0.25×10個の細胞)、次いで、これらのカバーガラスを12ウェルCorningディッシュに置く。細胞を、5%のCOおよび95%の空気を含む加湿雰囲気において37℃で温置する。非ニューロン細胞の増殖を防ぐために、シトシンβ−D−アラビノシド(1μM)を培養後48時間に添加する。培養の7−10日後に、カバーガラスをパッチクランプ試験用の実験チャンバー中に移す。
【0061】
−電気生理学的解析:
細胞試料を収容している測定チャンバー(体積800μl)を、Hoffman光学系(Modulation Contrast、New York)を備えた倒立顕微鏡(Olympus IMT2)のステージに置き、400×の倍率で観測する。チャンバーは、8個の入口を有し、ポリエチレンチューブ(開口500μm)からなるその単一の出口が試験中の細胞から少なくとも3mmに置かれる溶液のディストリビューターを用いて連続的に重力によって注入(2.5ml/分)される。パッチクランプ技術の「全細胞」構成を使用した。ホウケイ酸ガラスピペット(抵抗5−10Mオーム)を、3D圧電マイクロマニピュレーター(Burleigh、PC1000)を用いて細胞の近くに運ぶ。全体の電流(膜電位は−60mVに設定)を、Pclamp8ソフトウェア(Axon Instruments)で制御されたPCに接続したAxopatch 1D増幅器(Axon Instruments、Foster city、California)により記録する。電流プロットを紙に記録し、同時にデジタル的に記録(サンプリング周波数15から25Hz)し、これをPCのハードディスク上で取得する。
【0062】
1マイクロモルのカプサイシン溶液の適用は、DRG細胞(電圧は−70mVに設定)についての侵入陽イオン電流を生じる。受容体の脱感作を最小化するために、カプサイシンの2つの適用の間の1分の最低間隔を守る。制御期間(カプサイシン単独応答の安定化)の後、試験化合物を、4から5分の時間、所与の濃度(10nMまたは0.1nMの濃度)で単独で適用し、この間、いくつかのカプサイシン+化合物の試験を実施する(最大阻害を得る。)。結果は対照カプサイシン応答の阻害の%として表される。
【0063】
カプサイシン応答(1μM)の阻害の百分率は、10nMから0.1nMの濃度で試験された本発明の大部分の活性化合物について20%および100%の間である(表2の実施例を参照されたい)。
【0064】
従って、本発明の化合物は、TRPV1型の受容体の有効なインビトロ拮抗剤である。
【0065】
【表2】

【0066】
これらの試験の結果は、本発明の大部分の活性化合物は、TRPV1受容体の刺激を阻害することを示している。
【0067】
従って、本発明の化合物は、薬剤の調製、特にTRPV1型の受容体が関与する疾患の予防または治療用の薬剤の調製のために使用され得る。
【0068】
従って、その態様のもう1つによれば、本発明の主題は、式(I)の化合物、または薬学的に許容される塩、またはさらに前記化合物の水和物もしくは溶媒和物を含む薬剤である。
【0069】
これらの薬剤は、療法において、特に、痛みおよび炎症、慢性の痛み、神経障害性の痛み(外傷性の痛み、糖尿病性の痛み、代謝性の痛み、感染症に関連した痛み、毒性の痛み、抗癌剤治療または医原性治療により誘発された痛み)、(骨)関節炎の痛みまたはリウマチ痛、線維筋痛、背痛、癌に関連した痛み、三叉神経痛、頭痛、片頭痛、歯痛、火傷、日焼け、咬傷または刺傷、ヘルペス後神経痛、筋肉痛、神経圧迫(中枢および/または末梢)、骨髄および/または脳損傷、虚血(骨髄および/または脳の)、神経変性、出血性血管障害(骨髄および/または脳の)または脳卒中後の痛みの予防および/または治療において用いられる。
【0070】
本発明の化合物は、糖尿病などの代謝性障害の予防および/または治療にも使用され得る。
【0071】
本発明の化合物は、膀胱の機能亢進、膀胱反射亢進、膀胱不安定、失禁、頻尿、尿失禁、膀胱炎、腎疝痛、骨盤過敏症および骨盤痛などの泌尿器障害の予防および/または治療用の薬剤の調製に使用され得る。
【0072】
本発明の化合物は、外陰部痛、卵管炎または月経困難に伴う痛みなどの婦人科の障害の予防および/または治療用の薬剤の調製に使用され得る。
【0073】
これらの生成物は、胃・食道逆流障害、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、機能性消化不良、大腸炎、IBS、クローン病、膵炎、食道炎または胆石疝痛などの胃腸障害の予防および/または治療用の薬剤の調製にも使用され得る。
【0074】
同様に、本発明の生成物は、喘息、咳、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支収縮および炎症性障害などの呼吸器障害の予防および/または治療用にも使用され得る。これらの生成物は、乾癬、掻痒、(皮膚、眼または粘膜の)炎症、ヘルペスおよび帯状ヘルペスの予防および/または治療用にも使用され得る。
【0075】
本発明の化合物は、うつ病の治療にも使用され得る。
【0076】
本発明の化合物は、多発性硬化症などの中枢神経系の疾患の治療にも使用され得る。
【0077】
その態様のもう1つによれば、本発明は、活性成分として本発明による化合物を含む医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、少なくとも1種の本発明による化合物または前記化合物の薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物の有効量、および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0078】
前記賦形剤は、薬剤形態および所望の投与の方法に従って、当業者に知られた通常の賦形剤から選択される。
【0079】
経口、舌下、皮下、筋内、静脈内、局所、局部、気管内、鼻内、経皮または直腸投与用の本発明の医薬組成物において、上記の式(I)の活性成分、またはこの可能な塩、溶媒和物もしくは水和物は、上記に記載された障害または疾患の予防または治療のために、標準の薬剤賦形剤との混合物としての単位投与形態で動物およびヒトに投与され得る。
【0080】
適切な単位投与形態は、錠剤、軟質または硬質ゼラチンのカプセル、粉末、顆粒および経口溶液または懸濁液などの経口形態、舌下、口腔、気管内、眼内および鼻内投与形態、吸入による投与用の形態、局所、経皮、皮下、筋内または静脈内投与形態、直腸投与形態およびインプラントを含む。局所適用について、本発明による化合物は、クリーム、ゲル、軟膏またはローションで使用され得る。
【0081】
一例として、錠剤形態における本発明による化合物の単位投与形態は、次の成分を含み得る。
本発明による化合物 50.0mg
マンニトール 223.75mg
クロスカラメロースナトリウム 6.0mg
コーンスターチ 15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.25mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
【0082】
前記単位形態は、ガレヌス形態による、体重1kgあたり0.001から30mgの活性成分の連日投与を可能にする用量を含む。
【0083】
より高い用量またはより低い用量が適切である特定の場合が存在することもあり、このような用量は、本発明の範囲から逸脱するものではない。通常の慣行に従って、各患者にとって適切な用量は、投与の方法ならびに前記患者の体重および感受性に従って医師によって決定される。
【0084】
その態様のもう1つによれば、本発明は、上記に示された疾患の治療方法にも関し、この方法は、本発明による化合物、またはこの薬学的に許容される塩、または水和物もしくは溶媒和物の1つの有効量の患者への投与を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基形態または酸との付加塩の形態の、さらに水和物または溶媒和物の形態の一般式(I)に相当する化合物
【化5】

[式中:
、X、X、Xは、互いに独立に、水素もしくはハロゲン原子またはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、C−C−アルコキシル、C−C−フルオロアルコキシル、シアノ、C(O)NR、ニトロ、NR、C−C−チオアルキル、−S(O)−C−C−アルキル、−S(O)−C−C−アルキル、SONR、NRCOR、NRSOまたはアリール基(該アリールは、ハロゲンまたはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、C−C−アルコキシル、C−C−フルオロアルコキシル、ニトロもしくはシアノ基から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されている。)を表し;
Wは、1、2、3または4位で窒素原子に結合している式:
【化6】

の縮合二環式基を表し;
Aは、O、SまたはNから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5から7員の複素環を表し;
Aの1つまたは複数の炭素原子は、水素原子またはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、C−C−アルコキシル、C−C−シクロアルコキシル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレンオキシ、アリール、アリール−C−C−アルキレン、オキソまたはチオ基から選択される1つまたは複数の基で場合によって置換されており;
Aの1つまたは複数の窒素原子は、前記窒素がオキソ基で置換された炭素原子に隣接している場合にRで場合によって置換されており、またはその他の場合にRで場合によって置換されており;
Yは、ハロゲン原子またはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、ヒドロキシル、C−C−アルコキシル、C−C−フルオロアルコキシル、C−C−チオフルオロアルキル、シアノ、C(O)NR、ニトロ、NR、C−C−チオアルキル、SH、−S(O)−C−C−アルキル、−S(O)−C−C−アルキル、−S(O)−C−C−シクロアルキル、−S(O)−、C−C−シクロアルキル、SONR、NRCOR、NRSO、アリール−C−C−アルキレンもしくはアリール基(前記アリールおよびアリール−C−C−アルキレンは、ハロゲンまたはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、C−C−アルコキシル、C−C−フルオロアルコキシル、ニトロもしくはシアノ基から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されている。)から選択される1つまたは複数の基で場合によって置換されているヘテロアリールを表し;
およびRは、互いに独立に、ハロゲン原子またはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、アリール−C−C−アルキレンもしくはアリール基を表し;またはRおよびRは、これらに結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼピニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニルもしくはホモピペラジニル基を形成し、この基は、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、アリール−C−C−アルキレンもしくはアリール基で場合によって置換されており;
およびRは、互いに独立に、水素原子またはC−C−アルキル、アリール−C−C−アルキレンもしくはアリール基を表し;
は、C−C−アルキル、アリール−C−C−アルキレンまたはアリール基を表し;
は、水素原子またはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、アリール−C−C−アルキレンもしくはアリール基を表し;
は、水素原子またはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン、C−C−フルオロアルキル、アリール−C−C−アルキレン、C−C−アルキル−C(O)−、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン−(CO)−、C−C−フルオロアルキル−C(O)−、C−C−シクロアルキル−C(O)−、アリール−C(O)−、アリール−C−C−アルキレン−C(O)−、C−C−アルキル−S(O)−、C−C−フルオロアルキル−S(O)−、C−C−シクロアルキル−S(O)−、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキレン−S(O)−、アリール−S(O)−、アリール−C−C−アルキレン−S(O)−もしくはアリール基を表し;
前記複素環Aまたは前記ヘテロアリールYの1つまたは複数の硫黄原子は、酸化形であってよく;
前記複素環Aまたは前記ヘテロアリールYの1つまたは複数の窒素原子は、酸化形であってよい。]。
【請求項2】
、X、XおよびXが、互いに独立に、水素もしくはハロゲン原子またはC−C−アルキルもしくはC−C−フルオロアルキル基を表すことを特徴とする、塩基形態または酸との付加塩の形態の、さらに水和物または溶媒和物の形態の、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
、XおよびXが、水素原子を表すことを特徴とする、塩基形態または酸との付加塩の形態の、さらに水和物または溶媒和物の形態の、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
、XおよびXが、水素原子を表し、Xが、ハロゲン原子を表すことを特徴とする、塩基形態または酸との付加塩の形態の、さらに水和物または溶媒和物の形態の、請求項3に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
Wが、1、2、3または4位で窒素原子に結合している式:
【化7】

の縮合二環式基を表し;
Wが、インドリル、イソインドイル、インドリニル、イソインドリニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾオキサゾリニル、イソベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ジヒドロベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、イソベンゾチアゾリル、ジヒドロイソベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾオキサジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ベンゾチアジニル、ジヒドロベンゾチアジニル、シンノリニル、キナゾリニル、ジヒドロキナゾリニル、テトラヒドロキナゾリニル、キノキサリニル、ジヒドロキノキサリニル、テトラヒドロキノキサリニル、フタラジニル、ジヒドロフタラジニル、テトラヒドロフタラジニル、テトラヒドロベンズ[b]アゼピニル、テトラヒドロベンズ[c]アゼピニル、テトラヒドロベンズ[d]アゼピニル、テトラヒドロベンゾ[1,4−b]ジアゼピニル、テトラヒドロベンゾ[1,4−e]ジアゼピニル、テトラヒドロベンゾ[1,4−b]オキサゼピニル、テトラヒドロベンゾ[1,4−b]チアゼピニル基から選択され;前記基Wの(1つまたは複数の)炭素および/または窒素原子は、請求項1に記載の一般式(I)において定義されたように場合によって置換されていることを特徴とする、塩基形態または酸との付加塩の形態の、さらに水和物または溶媒和物の形態の、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
Wが、ベンズイミダゾリルおよびインドリル基から選択され;Aの1つまたは複数の炭素原子が、1つまたは複数のC−C−アルキル基で場合によって置換されており;Aの1つまたは複数の窒素原子が、C−C−アルキル基を表すRによって場合によって置換されていることを特徴とする、塩基形態または酸との付加塩の形態の、さらに水和物または溶媒和物の形態の、請求項5に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
Wが、ベンズイミダゾール−5−イルおよびインドール−5−イル基から選択され;Aの1つまたは複数の炭素原子が、1つまたは複数のC−C−アルキル基で場合によって置換されており;Aの1つまたは複数の窒素原子が、C−C−アルキル基を表すRによって場合によって置換されていることを特徴とする、塩基形態または酸との付加塩の形態の、さらに水和物または溶媒和物の形態の、請求項6に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
Yが、1つまたは複数のC−C−アルキル基で場合によって置換されているピリジニルを表すことを特徴とする、塩基形態または酸との付加塩の形態の、さらに水和物または溶媒和物の形態の、請求項1から7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
一般式(IV):
【化8】

の化合物
[式中、X、X、X、XおよびYは、請求項1に記載の一般式(I)において定義された通りであり、Dは、C−C−アルコキシル基を表す。]が、溶媒の還流下で一般式(V):
【化9】

の化合物のアミド
[式中、Wは、請求項1に記載の一般式(I)において定義された通りである。]と反応させられ、一般式(V)の化合物のアミドが、一般式(V)のアミンにトリメチルアルミニウムを事前に作用させることによって調製されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の調製方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容される塩またはさらに水和物もしくは溶媒和物を含むことを特徴とする薬剤。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物またはこの化合物の薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物およびさらに少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項12】
TRV1型の受容体が関与する疾患の予防または治療用の薬剤の調製のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項13】
痛み、炎症、代謝障害、泌尿器障害、婦人科の障害、胃腸障害、呼吸器障害、乾癬、掻痒、(皮膚、眼または粘膜の)炎症、ヘルペス、帯状ヘルペス、多発性硬化症およびうつ病の予防または治療用の薬剤の調製のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2010−516662(P2010−516662A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545975(P2009−545975)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000055
【国際公開番号】WO2008/107544
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】