説明

NK1受容体アンタゴニストとしての5−[5−[2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−2−メチルプロパノイルメチルアミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)]−2−ピリジニル−2−アルキル−プロリンアミド

本発明は、NK1受容体への拮抗作用が有益である疾病または状態の治療において有用な、式(I)
【化1】


(式中、RはC1−4アルキルを表す)
で表される化合物、またはその薬学上許容される塩を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬理活性を有する新規なプロリンアミドピリジン化合物、その調製方法、それを含む組成物、およびその医学上の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2005/002577号(F. Hoffmann-La Roche AG)、国際公開第2006/013050号(F. Hoffmann-La Roche AG)、および国際公開第2007/028654号(SmithKline Beecham Corporation)に、統合失調症を治療するためのNK1/NK3二重アンタゴニストであると主張される一連のピリジン誘導体について記載されている。
国際公開第02/16324号(F. Hoffmann-La Roche AG)には、NK1受容体アンタゴニストとしての4−フェニルピリジン誘導体について記載されている。
【発明の開示】
【0003】
第1の態様によれば、本発明は式(I)
【0004】
【化1】

(式中、RはC1−4アルキルを表す)
で表される化合物、またはそれらの薬学上許容される塩を提供する。
【0005】
式(I)で表される化合物は、従来の薬学上許容される酸、例えばマレイン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、酢酸、フマル酸、サリチル酸、硫酸、クエン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、およびメタンスルホン酸のような酸と共に酸付加塩を形成し得る。
本発明の化合物の幾つかは、水性および有機溶媒のような溶媒から結晶化、または再結晶化され得る。このような場合には溶媒和物が形成され得る。本発明はその範囲内に、水和物を含む化学量論的な溶媒和物、および、凍結乾燥のような過程により産生され得る可変量の水を含む化合物を含む。
それ故、式(I)で表される化合物の塩、溶媒和物、および水和物は本発明の態様を形づくる。
【0006】
ここで用いられる「塩」は、無機もしくは有機の酸または塩基、四級アンモニウム塩、および内部に形成された塩から調製された、本発明の化合物のいずれの塩も指す。薬学上許容される塩は、その親化合物に比較したより高い水溶性により、医学応用へ特に適する。このような塩は明らかに、薬学上許容される陰イオンまたは陽イオンを有している。本発明の化合物の適切な薬学上許容される塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸、ならびに有機酸、例えば酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、カンファー硫酸、イソチオン酸、ムチン酸、ゲンチジン酸、イソニコチン酸、糖酸、グルクロン酸、フロ酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルフィン酸、アルギン酸、ガラクツロン酸、およびアリールスルホン酸、例えばベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸により形成される酸付加塩を含む。薬剤的に許容されない陰イオンを有する塩は、薬学上許容される塩の調製のために有用な中間体として、および/または治療目的ではない、例えばin vitroの状況における使用のために、本発明の範囲内である。
【0007】
本発明はその範囲内に、式(I)で表される化合物の塩の、可能な全ての化学量論的および非化学量論的な形態を含む。
【0008】
式(I)で表される化合物は、結晶形として得られる可能性がある。これらの結晶形またはそれらの混合物は、本発明の範囲内に包含されることが理解されなければならない。
【0009】
さらに、式(I)で表される化合物の結晶形の幾つかは多形で存在し得り、これらは本発明に含まれる。
【0010】
以下、式(I)で表される化合物、その薬学上許容される塩、本発明のいずれの態様において定義される、その溶媒和物、水和物、および結晶形(化学過程での中間体化合物を除く)は、「本発明の化合物」と称される。
【0011】
対象発明は、同位体により標識された化合物もまた含み、これらは式(I)で説明されるものと同一であるが、1以上の原子が、通常天然に見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置換されている。本発明の化合物またはその薬学上許容される塩に取り込み可能な同位元素の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素、および塩素の同位元素、例えばH、H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123Iおよび125Iを含む。
【0012】
前述の同位元素および/またはその他の原子のその他の同位元素を含む本発明の化合物は、本発明の範囲内である。同位体により標識された本発明の化合物、例えばH、14Cのような放射性同位元素が取り込まれたものは、薬物および/または基質の組織分布アッセイに有用である。トリチウム標識された、すなわちH、および、炭素−14、すなわち14C同位元素は、それらの調製の容易さおよび検出能により特に好ましい。11Cおよび18F同位元素はPET(positron emission tomography:陽電子放出断層撮影)に特に有用であり、125I同位元素はSPECT(single photon emission computerized tomography:単一光子放出コンピュータ断層撮影)に特に有用であり、全て脳の画像処理に有用である。さらに、重水素、すなわちHのような比較的重い同位元素による置換は、より大きな代謝安定性、例えばin vitro半減期の増大、または必要な投薬量の減少からもたらされるある種の治療的な利点を可能にすることから、ある状況下では好ましいであろう。同位体により標識された本発明の化合物は一般に、以下のスキームおよび/または実施例中に開示される手順の実行により、同位体標識されていない試薬を、容易に入手可能な同位体標識された試薬に置き換えることにより調製できる。
【0013】
当業者は、式(I)で表される化合物が、2個の不斉炭素原子(すなわち(Ia)から(Id)の式中に*で示される炭素原子)を含むことを理解するであろう。
【0014】
【化2】

【0015】
【化3】

【0016】
【化4】

【0017】
【化5】

【0018】
くさび形の結合は、該結合が紙面の上にあることを示し、これはβ配置を指す。破線の結合は、該結合が紙面の下にあり、かつα配置にあることを示す。
【0019】
ピロリジン環の炭素5における立体配置は、化合物が(Ia)および(Ic)についてはS、化合物(Ib)および(Id)についてはRである。
【0020】
RまたはS立体配置の割り当ては、Cahn, Ingold and Prelog, Experientia 1956,12, 81の規則に従ってなされた。
【0021】
本発明は式(I)で表される化合物の上記ジアステレオ異性体または鏡像異性体の全て、およびラセミ体を含むそれらの混合物を包含し、かつ式(I)で表される化合物への言及は、他に記載のない限り前記立体異性体の全てを含むことが理解されるであろう。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、Rはメチルを表す。
【0023】
さらなる実施形態によれば、本発明の化合物は:
(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(Ie);
【0024】
【化6】

(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−L−プロリンアミド(If);
【0025】
【化7】

(5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(Ig);
【0026】
【化8】

からなるリストより選択されるか、または(Ie)、(If)もしくは(Ig)の薬学上許容される塩である。
【0027】
さらなる実施形態によれば、本発明の化合物は(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(Ie)、またはその薬学上許容される塩である。
【0028】
さらなる実施形態によれば、本発明の化合物は、(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(Ie)である。
【0029】
さらなる実施形態によれば、本発明の化合物は(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(Ie)の塩酸塩である。
【0030】
さらなる実施形態によれば、本発明の化合物は(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(Ie)のビス−塩酸塩である。
【0031】
さらなる実施形態によれば、本発明の化合物は(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(Ie)の酒石酸塩である。
【0032】
さらなる実施形態によれば、本発明の化合物は(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(Ie)の安息香酸塩である。
【0033】
さらなる実施形態によれば、本発明の化合物は(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(Ie)のフマル酸塩である。
【0034】
さらなる実施形態によれば、本発明の化合物は(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(Ie)のクエン酸塩である。
【0035】
本発明はまた、式(I)で表される化合物、またはその薬学上許容される塩の調製方法も提供し、該方法は式(II)
【0036】
【化9】

(式中、RはC1−4アルキルを表す)
で表される化合物を、20〜70℃のような適切な温度においてメタノールのような適切な溶媒中でアンモニアと共に反応させることと、それに続く任意の薬学上許容される塩への変換を含んでなる。
【0037】
さらなる実施形態によれば、本発明の化合物は、THFまたはメタノールのような適切な溶媒中でNaBHのような適切な還元剤を0℃ないし室温の範囲の適切な温度において用いるか、またはTHFのような適切な溶媒中のボランテトラヒドロフラン複合体溶液を−78℃ないし室温の範囲の適切な温度において用いるか、またはジクロロメタンのような適切な溶媒中でトリフルオロ酢酸の存在下にシアノ水素化ホウ素ナトリウムもしくはトリアセトキシ水素化ホウ素を室温のような適切な温度において用いる、式(III)
【0038】
【化10】

(式中、RはC1−4アルキルを表す)
で表される化合物の還元と、それに続く任意の薬学上許容される塩への変換を含んでなる方法によって調製できる。
【0039】
式(II)で表される化合物は、式(IV)
【0040】
【化11】

(式中、Pは適切な保護基を表す)
で表される化合物のアルキル化と、それに続く保護基Pの除去によって調製され得る。アルキル化反応は典型的には、式(IV)で表される化合物を、THFのような適切な溶媒中のリチウムビス(トリメチル)アミドのような適切な塩基と共に−78℃ないし室温の範囲の適切な温度において数分ないし数時間の範囲の間反応させ、続いて適切な求電子試薬R−X[式中、RはC1−4アルキルを表し、Xは適切な脱離基、例えばハロゲン (すなわちヨード)、メシル、トシル、トリフルオロメタンスルホニルを表す]を、−78℃ないし高温の範囲の適切な温度においてin situ添加することを含んでなる。保護基pの除去は、N保護基除去のための公知の手順を用いて実行できる。従って例えば、PがBocを表す場合、前記脱保護反応はジクロロメタンのような適切な溶媒中のトリフルオロ酢酸により、室温のような適切な温度において実行できる。
【0041】
本発明のさらなる実施形態によれば、式(II)または(IV)で表される化合物は、THFまたはメタノールのような適切な溶媒中でNaBHのような適切な還元剤を0℃ないし室温の範囲の適切な温度において用いるか、またはTHFのような適切な溶媒中のボランテトラヒドロフラン複合体溶液を−78℃ないし室温の範囲の適切な温度において用いるか、またはアセトニトリルのような適切な溶媒中でNHCl飽和水溶液の存在下にシアノ水素化ホウ素ナトリウムを室温のような適切な温度において用いる、式(V)
【0042】
【化12】

(式中、Raは水素またはC1−4アルキルを表す)
で表されるイミン化合物の還元と、任意にそれに続く保護基PによるアミンNの保護によって調製され得る。
【0043】
本発明のさらなる実施形態によれば、式(II)または(IV)で表される化合物は、式(VI)
【0044】
【化13】

[式中、Raは水素またはC1−4アルキルを表し、LGは適切な脱離基、例えばメシラートまたはトシラートを表し、かつPは適切な窒素保護基、例えばtertブチルオキシカルボニル(Boc)を表す]で表される化合物の反応により得られる可能性があり、この反応は窒素保護基Pの脱保護と、それに続く、得られた脱保護中間体のin situ環化反応によるプロリン誘導体の形成と、任意にそれに続く保護基PによるアミンNの保護により(II)または(IV)を得ることを含んでなる。従って、例えばPがBocを表す場合、前記脱保護反応は典型的に、式(VI)で表される化合物をジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸の混合物と反応させることを含んでなり得る。In situ環化は、水性炭酸ナトリウムを用いるワークアップの間に室温で行われてよい。
【0045】
式(V)で表される化合物は、式(VII)
【0046】
【化14】

[式中、Raは水素またはC1−4アルキルを表し、Pは適切な窒素保護基、例えばtertブチルオキシカルボニル(Boc)を表す]で表される化合物の反応により調製され得り、この反応は窒素保護基Pの脱保護と、それに続く、金属により触媒される得られた遊離アミノエステルの分子内環化によって化合物(V)を形成することを含んでなる。
【0047】
例えばPがBocを表す場合、前記脱保護反応は典型的に、式(V)で表される化合物をジクロロメタン中でトリフルオロ酢酸と反応させることを含んでなる。脱保護された中間体は次に、Ag(I)触媒、例えばAgOTfのような適切な金属触媒を用いて、アセトニトリルのような適切な溶媒中で室温にて環化されてよい。前記環化反応のためのさらなる適切な金属触媒は、例えばPdCl2(MeCN)2のようなPd(II)触媒を含む(Bart C.J.van Esseveldt et al J.Org. Chem 2005, 70, 1791-1795を参照)。
【0048】
式(VII)で表される化合物は、式(VIII)
【0049】
【化15】

(式中、LG1はハロゲン原子(例えば塩素)のような適切な脱離基を表す)
で表される化合物と、アセチレンアミノエステル(IX)
【0050】
【化16】

(式中、Pは窒素保護基を表し、Raは水素またはC1−4アルキルを表す)
との、CuI存在下での薗頭カップリングにより調製され得る。この反応はパラジウム(0)の存在下に不活性溶媒中で行われてよい。適切なパラジウム触媒の例は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を含むがこれらに限定されない。パラジウム(II)源を用い、in situでパラジウム(0)触媒を発生させることもまた可能である。適切なパラジウム(II)源の例は、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、トリフルオロ酢酸パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(II)、および二塩化ビス(ジフェニルホスフィノ−フェロセン)パラジウム(II)を含むがこれらに限定されない。この反応に適切な溶媒は、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ベンゼン、1,2−ジメトキシエタン、および1−メチル−2−ピロリジノンを含むがこれらに限定されない。所望により、反応内に塩基およびホスフィンが添加物として含まれてよい。適切な塩基の例は、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、およびそれらの混合物のような、トリアルキルアミンを含む。適切なホスフィン添加物の例は、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、およびエチレンビス(ジフェニルホスフィン)を含むがこれらに限定されない。
【0051】
LGがメシラート基を表す、式(VI)で表される化合物は、以下のスキームに従って取得され得る:
【0052】
【化17】

工程(i)は、典型的には式(X)(式中、Raは水素またはC1−4アルキルを表し、Pは窒素基を表す)で表されるN−酸化物と無水酢酸とを100℃で反応させることを含んでなる。V. Boekelheide Journal of American Chemical Society 1954, vol 76 pages 1286-1291.を参照のこと。
工程(ii)は、典型的には式(XI)で表される化合物とNaCOの、アルコールすなわちメタノールのような適切な溶媒の存在下での塩基により触媒される加水分解を含んでなる。
工程(iii)は、典型的には式(XII)で表される化合物とメタンスルホニルクロリドとをジクロロメタンのような適切な溶媒、およびトリエチルアミンのような適切な塩基の存在下で反応させることを含んでなる。
【0053】
式(X)で表される化合物は、以下のスキームに従って調製され得る:
【0054】
【化18】

工程(i)は、典型的にはアセチレンアミノエステル(VII)(式中、Raは水素またはC1−4アルキルを表し、Pは窒素基を表す)の、これらの化合物に適切な従来の還元技術を用いる還元を含んでなる。適切な還元条件は有機合成の当業者には明らかとなり得り、例えば水素雰囲気下での炭素上のパラジウムを含み得る。
【0055】
工程(ii)は、典型的には、3−クロロ過安息香酸(m−CPBA)のような適切な酸化剤を用いる、ジクロロメタンのような適切な溶媒中での、室温のような適切な温度における(XIII)の酸化を含んでなる。
【0056】
式(IX)で表される化合物は、対応するプロパルギルグリシン誘導体(XIV)
【0057】
【化19】

(式中、Raは水素またはC1−4アルキルを表す)
により、酸からのエステルの取得および窒素基の保護についての当業者に公知の、従来の方法を用いて調製され得る。Floris P.J.T. Rutjes, Advanced Synthesis & Catalysis, 346(7), 823-834; 2004.を参照のこと。
【0058】
式(III)で表される化合物は、式(V)(式中、RaはC1−4アルキルを表す)で表される化合物とアンモニアとを、メタノールのような適切な溶媒中で、20〜70℃のような適切な温度において反応させることにより調製され得る。
【0059】
式(I)で表される化合物を、塩、例えば薬学上許容される塩として分離することが望まれる場合、これは遊離塩基型の式(I)で表される化合物と適当な量の適切な酸を、アルコール(例えばエタノールまたはメタノール)、エステル(例えば酢酸エチル)またはエーテル(例えばジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン)のような適切な溶媒中で反応させることにより達成され得る。
【0060】
薬学上許容される塩はまた、式(I)で表される化合物のその他の薬学上許容される塩を含むその他の塩からも、従来の方法を用いて調製され得る。
【0061】
式(I)で表される化合物の特異的な鏡像異性体またはジアステレオ異性体が必要とされる場合、これは例えば適当な光学活性のある出発物質(XIV)、すなわちL−プロパルギルグリシン(XIVa)およびD−プロパルギルグリシン誘導体(XIVb)
【0062】
【化20】

【0063】
【化21】

(式中、Raは水素またはC1−4アルキルを表す)
から、ここに記載される一般的方法のいずれをも用いて取得され得る。
【0064】
従って、ここに記載される一般的方法と、それに続く、該方法の好都合な点でのジアステレオ異性体混合物の分離を用いることにより、例えばジアステレオ異性体(Ia)および(Ib)は、(XIVa)(式中、RaはC1−4アルキルを表す)から開始して取得され得り、かつジアステレオ異性体(Ic)および(Id)は、(XIVb)(式中、RaはC1−4アルキルを表す)から開始して取得され得る。
あるいは、ここに記載される一般的方法と、それに続く、該方法の好都合な点でのジアステレオ異性体混合物の分離を用いることにより、例えばジアステレオ異性体(Ia)(Ib)(Ic)および(Id)は、(XIVa)または(XIVb)(式中、Raは水素を表す)から開始して取得され得る。
【0065】
従って、式(II)で表されるジアステレオ異性体、すなわち(IIa)および(IIb)は、中間体(Va)(式中、RはC1−4アルキルを表す)から以下のスキームに従って取得され得り、
【0066】
【化22】

かつジアステレオ異性体(IIc)および(IId)は、中間体(Vb)(式中、RはC1−4アルキルを表す)から以下のスキームに従って取得され得る。
【0067】
【化23】

工程(i)および(ii)は、二つのジアステレオ異性体(IIa)および(IIb)の混合物、ならびに二つのジアステレオ異性体(IIc)および(IId)の混合物それぞれを得るための還元を含んでなり、化合物(V)から化合物(II)を調製するためにここに記載される手順に等しい手順と、それに続く、クロマトグラフィーまたは結晶化のような従来の手段による、前記ジアステレオ異性体の混合物の単一ジアステレオ異性体への分離が用いられる。
【0068】
本発明のさらなる実施形態によれば、ジアステレオ異性体(IIa)および(IIb)は、中間体(VIa)(式中、RはC1−4アルキルを表す)から以下のスキームに従って取得され得り、
【0069】
【化24】

かつジアステレオ異性体(IIc)および(IId)は、中間体(VIb)(式中、RはC1−4アルキルを表す)から以下のスキームに従って取得され得る。
【0070】
【化25】

工程(i)および(ii)は、二つのジアステレオ異性体(IIa)および(IIb)の混合物、ならびに二つのジアステレオ異性体(IIc)および(IId)の混合物を得るための環化を含んでなり、化合物(VI)から化合物(II)を調製するためにここに記載される手順に等しい手順と、それに続く、クロマトグラフィーまたは結晶化のような従来の手段による、前記ジアステレオ異性体の混合物の分離が用いられる。
工程(i)および(ii)はまた、保護基Pの除去も含んでなる。
【0071】
本発明のさらなる実施形態によれば、ジアステレオ異性体(IId)および(IIb)は、中間体(IVa)から以下のスキームに従って取得され得る。
【0072】
【化26】

工程(i)は、二つのN−保護ジアステレオ異性体(IId)および(IIb)の混合物を得るための、適切な求電子試薬R−X(式中、RはC1−4アルキルを表し、Xは適切な脱離基を表す)によるアルキル化反応を含んでなり、化合物(IV)から化合物(II)を調製するためにここに記載される手順に等しい手順と、それに続く、クロマトグラフィーまたは結晶化のような従来の手段による、前記ジアステレオ異性体の混合物の分離が用いられる。
工程(ii)は、保護基Pの除去を含んでなる。
【0073】
本発明のさらなる実施形態によれば、ジアステレオ異性体(IIa)および(IIc)は、中間体(IVb)から以下のスキームに従って取得され得る。
【0074】
【化27】

工程(i)は、二つのN−保護ジアステレオ異性体(IIc)および(IIa)の混合物を得るための、適切な求電子試薬R−X(式中、RはC1−4アルキルを表し、Xは適切な脱離基を表す)によるアルキル化反応を含んでなり、化合物(IV)から化合物(II)を調製するためにここに記載される手順に等しい手順と、それに続く、クロマトグラフィーまたは結晶化のような従来の手段による、前記ジアステレオ異性体の混合物の分離が用いられる。
工程(ii)は、保護基Pの除去を含んでなる。
【0075】
化合物(II)から化合物(I)を得るためにここに記載される手順に等しい手順を用いて、化合物(IIa)、(IIb)、(IIc)、および(IId)は、(Ia)、(Ib)、(Ic)、および(Id)に変換され得る。
【0076】
さらなる実施形態によれば、式(I)で表されるジアステレオ異性体、すなわち(Ia)および(Ib)は、以下のスキームに従い、化合物(III)から化合物(I)を調製するためにここに記載される手順に等しい手順を用いる、二つのジアステレオ異性体(Ia)および(Ib)の混合物を得るための還元と、それに続く、クロマトグラフィーまたは結晶化のような従来の手段による前記ジアステレオ異性体の混合物の分離によってジアステレオ異性体(IIIa)(式中、RはC1−4アルキルを表す)から取得され得る。
【0077】
【化28】

【0078】
従って、式(I)で表されるジアステレオ異性体、すなわち(Ic)および(Id)は、以下のスキームに従い、化合物(III)から化合物(I)を調製するためにここに記載される手順に等しい手順を用いる、二つのジアステレオ異性体(Ic)および(Id)の混合物を得るための還元と、それに続く、クロマトグラフィーまたは結晶化のような従来の手段による前記ジアステレオ異性体の混合物の分離によってジアステレオ異性体(IIIb)(式中、RはC1−4アルキルを表す)から取得され得る。
【0079】
【化29】

【0080】
式(VIII)で表される化合物は、国際公開第2005/002577号により提供される方法論に従って調製され得る。
【0081】
化合物(XIV)は公知の化合物である(Martin,et al. Angewandte Chemie, International Edition (2006) , 45(9), 1439-1442.)。
【0082】
式(XIVa)または(XIVb)で表される化合物は、ラセミ体混合物から鏡像異性体を分離することで知られる従来の方法を用いて、ラセミ体化合物(XIV)から取得され得る。あるいは、式(XIVa)または(XIVb)で表される化合物(式中、Raは水素を表す)は、例えばBachem AG、CSPS Pharmaceuticals, Inc、およびNagase & Co., Ltd.から市販されている。式(XIVb)で表される化合物(式中、Raはメチルを表す)はNagase & Co., Ltd.から市販されている。
【0083】
式(I)で表される化合物およびその薬学上許容される塩は、サブスタンスPおよびその他のニューロキニンを含むタキキニンに対する親和性を有し、かつそれらの特異的アンタゴニストである。
【0084】
タキキニンは、共通のカルボキシル末端配列(Phe−X−Gly−Leu−Met−NH2)を共有するペプチドのファミリーである。これらは下等および進歩した生命形の両方の生理機能に積極的に関与する。哺乳類の生命形における主要なタキキニンは、サブスタンスP(SP)、ニューロキニンA(NKA)およびニューロキニンB(NKB)であり、これらは神経伝達物質および神経調節物質として作用する。哺乳類のタキキニンは、幾つかのヒトの疾病の病態生理の一因となり得る。
タキキニン受容体の三つの型、すなわちNK1(SP選択的)、NK2(NKA選択的)およびNK3(NKB選択的)が同定されており、これらは中枢神経系(CNS)および末梢神経系にわたって広く分布する。
【0085】
本発明の化合物は、特にNK1受容体の選択的アンタゴニストである。
【0086】
本発明の化合物のNK1受容体における選択性は、NK2およびNK3受容体に対して100倍を超える。
【0087】
本発明の化合物は、NK1受容体の拮抗作用が有益である状態の治療に有用である。
【0088】
本発明の文脈内で、ここで用いられる徴候について記載する語は、アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association )により発表されたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th Edition (DSM-IV) および/またはInternational Classification of Diseases, 10th Edition (ICD-10) において分類される。ここで言及される疾患の様々な亜型は、本発明の一部として企図される。以下にリストされる疾病の後の括弧内の数は、(DSM−IV)による分類コードを指す。
【0089】
式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩は以下の疾患の治療に使用されてよい:
大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合性エピソードおよび軽躁病エピソードを含むうつ病および気分障害;大うつ病性障害、気分変調性障害(300.4)、他に特定されないうつ病性障害(311)を含むうつ病性障害;双極I型障害、双極II型障害(軽躁病エピソードを伴う反復性大うつ病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および他に特定されない双極性障害(296.80)を含む双極性障害;うつ病性の特徴、大うつ病様エピソード、躁病性の特徴、および混合性の特徴を伴う亜型を含む、一般身体疾患による気分障害(293.83)を含むその他の気分障害、うつ病性の特徴、躁病性の特徴、および混合性の特徴を伴う亜型を含む物質誘発性気分障害;および特定不能の気分障害(296.90)、
【0090】
パニック発作を含む不安障害;広場恐怖を伴わないパニック障害(300.01)および広場恐怖を伴うパニック障害(300.21)を含むパニック障害;広場恐怖;パニック障害の病歴のない広場恐怖(300.22)、動物型、自然環境型、血液−注射−外傷型、状況型およびその他の型の亜型を含む特定恐怖(300.29、以前の単一恐怖)、社会恐怖(社会不安障害、300.23)、強迫性障害(300.3)、心的外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、一般身体疾患による不安障害(293.84)、物質誘発性不安障害、分離不安障害(309.21)、不安を伴う適応障害(309.24)および特定不能の不安障害(300.00)、
【0091】
物質依存症、物質欲求および物質乱用のような物質使用障害を含む物質関連障害;物質中毒、物質離脱、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘性障害、物質誘発性精神病性障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性の性的機能不全、物質誘発性睡眠障害、および幻覚剤持続性知覚異常(フラッシュバック)のような物質誘発性障害;アルコール依存(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性持続性健忘性障害、アルコール誘発性精神病性障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性の性的機能不全、アルコール誘発性睡眠障害、および特定不能のアルコール関連障害(291.9)のようなアルコール関連障害;アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘発性精神病性障害、アンフェタミン誘発性気分障害、アンフェタミン誘発性不安障害、アンフェタミン誘発性の性的機能不全、アンフェタミン誘発性睡眠障害、および特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9)のようなアンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害;カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘発性不安障害、カフェイン誘発性睡眠障害、および特定不能のカフェイン関連障害(292.9)のようなカフェイン関連障害;大麻依存(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘発性精神病性障害、大麻誘発性不安障害、および特定不能の大麻関連障害(292.9)のような大麻関連障害;コカイン依存(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘発性精神病性障害、コカイン誘発性気分障害、コカイン誘発性不安障害、コカイン誘発性の性的機能不全、コカイン誘発性睡眠障害、および特定不能のコカイン関連障害(292.9)のようなコカイン関連障害;幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚異常(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘発性精神病性障害、幻覚剤誘発性気分障害、幻覚剤誘発性不安障害、および特定不能の幻覚剤関連障害(292.9)のような幻覚剤関連障害;吸入剤依存(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘発性持続性認知症、吸入剤誘発性精神病性障害、吸入剤誘発性気分障害、吸入剤誘発性不安障害、および特定不能の吸入剤関連障害(292.9)のような吸入剤関連障害;ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)、および特定不能のニコチン関連障害(292.9)のようなニコチン関連障害;アヘン類依存(304.00)、アヘン類乱用(305.50)、アヘン類中毒(292.89)、アヘン類離脱(292.0)、アヘン類中毒せん妄、アヘン類誘発性精神病性障害、アヘン類誘発性気分障害、アヘン類誘発性の性的機能不全、アヘン類誘発性睡眠障害、および特定不能のアヘン類関連障害(292.9)のようなアヘン類関連障害;フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘発性精神病性障害、フェンシクリジン誘発性気分障害、フェンシクリジン誘発性不安障害、および特定不能のフェンシクリジン関連障害(292.9)のようなフェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害; 鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬依存(304.10)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬乱用(305.40)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬中毒(292.89)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬離脱(292.0)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬中毒せん妄、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬離脱せん妄、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬持続性認知症、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬持続性健忘性障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性精神病性障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性気分障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性不安障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性の性的機能不全、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性睡眠障害、および特定不能の鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬関連障害(292.9)のような鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬関連障害;多物質依存(304.80)のような多物質関連障害;およびタンパク質同化ステロイド、硝酸塩吸入剤、および亜酸化窒素のような、その他の(または不明の)物質関連障害、
【0092】
原発性睡眠障害、例えば原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)、および特定不能の睡眠異常(307.47)のような睡眠異常;原発性睡眠障害、例えば悪夢障害(307.47)、夜驚症(307.46)、睡眠時遊行症(307.46)、および特定不能の睡眠時随伴症(307.47)のような睡眠時随伴症;他の精神疾患に関連した不眠症(307.42)および他の精神疾患に関連した過眠症(307.44)のような他の精神疾患に関連した睡眠障害;一般身体疾患による睡眠障害、特に神経障害、神経因性疼痛、下肢静止不能症候群、心および肺疾患のような疾病に付随する睡眠妨害;および、不眠症型、過眠症型、睡眠時随伴症型および混合型の亜型を含む物質誘発性睡眠障害;睡眠時無呼吸および時差ぼけ症候群、を含む睡眠障害、
【0093】
制限型およびむちゃ食い/排出型の亜型を含む神経性無食欲症(307.1)のような摂食障害;排出型および非排出型の亜型を含む神経性過食症(307.51);肥満;過食症;むちゃ食い障害;および特定不能の摂食障害(307.50)、
【0094】
自閉症性障害(299.00)、アスペルガー障害(299.80)、レット障害(299.80)、小児期崩壊性障害(299.10)、および特定不能の広範性障害(299.80、非定型の自閉症を含む)を含む自閉症スペクトラム障害、
【0095】
注意欠陥/多動性障害合併型(314.01)、注意欠陥/多動性障害注意力障害優位型(314.00)、注意欠陥/多動性障害多動性−衝動性型(314.01)および特定不能の注意欠陥/多動性障害(314.9)の亜型を含む、注意欠陥/多動性障害;多動性障害;小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)、および特定不能の発症型(312.89)の亜型を含む行為障害、反抗挑戦性障害(313.81)、および特定不能の破壊的行動障害のような、破壊的行動障害;およびトゥレット障害(307.23)のようなチック障害、
【0096】
妄想性人格障害(301.0)、統合失調質人格障害(301.20)、統合失調型人格障害(301.22)、反社会性人格障害(301.7)、境界性人格障害(301.83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301.81)、回避性人格障害(301.82)、依存性人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)、および特定不能の人格障害(301.9)の亜型を含む人格障害。
【0097】
本発明の化合物は、性的欲求低下障害(302.71)および性嫌悪障害(302.79)のような性的欲求障害を含む性的機能不全;女性の性的興奮の障害(302.72)および男性の勃起障害(302.72)のような性的興奮の障害;女性のオルガズムの障害(302.73)、男性のオルガズムの障害(302.74)および早漏(302.75)のようなオルガズムの障害;性交疼痛症(302.76)および膣痙(306.51)のような性交疼痛障害;特定不能の性的機能不全(302.70);露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、窃触症(302.89)、小児性愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯的フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)、および特定不能の性嗜好異常(302.9)のような性嗜好異常;小児の性同一性障害(302.6)、および青年または成人の性同一性障害(302.85)のような性同一性障害;および特定不能の性的障害(302.9)に有用であり得る。
【0098】
本発明の化合物はまた、抗炎症剤としても有用であり得る。これらは特に、喘息、インフルエンザ、慢性気管支炎および関節リウマチにおける炎症の治療において;クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患のような消化管の炎症性疾患および非ステロイド性抗炎症剤により誘導された損傷;疱疹および湿疹のような皮膚の炎症性疾患;膀胱炎のような膀胱の炎症性疾患、過活動膀胱および切迫性尿失禁;ならびに眼および歯の炎症の治療において有用であり得る。
【0099】
本発明の化合物はまた、アレルギー性疾患、特に蕁麻疹のような皮膚のアレルギー性疾患、および鼻炎のような気道のアレルギー性疾患の治療にも有用であり得る。
【0100】
本発明の化合物はまた、嘔吐(emesis)、すなわち吐き気、むかつきおよび吐くこと(vomiting)の治療にも有用である。嘔吐は急性嘔吐、遅延性嘔吐、および予測性嘔吐を含む。本発明の化合物は、誘導された嘔吐の治療にも有用である。嘔吐は例えば、アルキル化剤、例えばシクロホスファミド、カルムスチン、ロムスチンおよびクロラムブシルのような癌化学療法剤;細胞傷害性抗生物質、例えばダクチノマイシン、ドキソルビシン、マイトマイシン−Cおよびブレオマイシン;抗代謝産物剤、例えばシタラビン、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル;ビンカアルカロイド、例えばエトポシド、ビンブラスチンおよびビンクリスチン;およびその他、例えばシスプラチン、ダカルバジン、プロカルバジンおよびヒドロキシ尿素;のような薬物ならびにそれらの組み合わせ;放射線宿酔;放射線療法、例えばがん治療におけるような、胸部または腹部への照射;毒物;代謝性疾患、もしくは感染症、例えば胃炎が原因となる毒素、または細菌性もしくはウィルス性の胃腸感染症の間に放出されるような毒素;妊娠;乗り物酔い、回転性めまい、浮動性めまいおよびメニエール病のような前庭障害;術後の不調;胃腸管閉塞;胃腸運動の低下;内臓性、例えば心筋梗塞または腹膜炎;片頭痛;頭蓋内圧の上昇;頭蓋内圧の低下(例えば高山病);モルヒネのようなオピオイド鎮痛薬;ならびに、びらん性GERDおよび症候性GERDまたは非びらん性GERDのような胃食道逆流症(GERD)、胃酸過多症(acid indigestion)、食物および飲料の過剰摂取、胃酸過多(acid stomach)、溜飲、呑酸/逆流症、突発性の胸焼け、夜間の胸焼け、および食事により誘導される胸焼けのような胸焼け、消化不良および機能性消化不良により誘導され得る。
【0101】
本発明の化合物はまた、過敏性腸症候群、びらん性GERDおよび症候性GERDまたは非びらん性GERDのような胃食道逆流症(GERD)、胃酸過多症(acid indigestion)、食物および飲料の過剰摂取、胃酸過多(acid stomach)、溜飲、呑酸/逆流症、突発性の胸焼け、夜間の胸焼け、および食事により誘導される胸焼けのような胸焼け、消化不良および機能性消化不良(例えば潰瘍様消化不良、運動障害様消化不良、および不特定の消化不良)慢性便秘症のような消化器疾患;乾癬、掻痒症および日焼けのような皮膚疾患;アンギナ、血管性頭痛およびレイノー病のような血管攣縮性疾患;くも膜下出血に続く脳血管痙攣のような脳虚血;強皮症および好酸球性肝姪症のような線維症および膠原病;全身性エリテマトーデスのような免疫亢進または抑制に関連する疾患、および結合組織炎のようなリウマチ性疾患;および咳の治療にも有用であり得る。
【0102】
本発明の文脈内での「疼痛」との語は、慢性炎症性疼痛(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ性脊椎炎、痛風性関節炎および若年性関節炎に付随する疼痛);筋骨格痛;腰痛および頸部痛;捻挫および筋挫傷;神経因性疼痛;交感神経依存性疼痛;筋炎;癌および線維筋痛に付随する疼痛;片頭痛に付随する疼痛;群発頭痛および習慣性頭痛に付随する疼痛;インフルエンザまたはその他のウィルス感染、例えば感冒に付随する疼痛;リウマチ熱;機能性腸疾患、例えば非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛および過敏性腸症候群に付随する疼痛;心筋虚血に付随する疼痛;術後疼痛;頭痛;歯痛;月経困難症;神経痛;線維筋痛症候群;複合性局所疼痛症候群(CRPSタイプIおよびII);神経因性疼痛症候群(糖尿病性神経障害;化学療法による神経因性疼痛の誘導;坐骨神経痛;非特異的腰痛;多発性硬化症の疼痛;HIV関連神経障害;ヘルペス後神経痛;三叉神経痛を含む);および身体外傷、切断術、癌、毒素または慢性炎症状態からもたらされる疼痛を含む。
【0103】
本発明の化合物は、全身性の悪液質、感染症または悪性腫瘍に二次的な悪液質、ならびにAIDS、腎不全、心不全および肺機能不全に二次的な悪液質を含む悪液質に有用であり得る。
【0104】
本発明の化合物はまた、癌、慢性閉塞性肺疾患、結核、慢性心不全、および末期の腎不全を患う患者の臨床的進展を特徴付ける衰弱状態である、食欲不振−悪液質症候群を患う患者の治療にも有用であり得る。
【0105】
ここに述べる疾患の様々な型および亜型は、すべて本発明の一部として企図される。
【0106】
本発明の化合物は、うつ病、不安症、睡眠障害、または嘔吐の治療または予防に特に有用である。
【0107】
本発明はそれ故、式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩を治療法での使用のために提供する。
【0108】
従って本発明はまた、式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩を、上記疾患の治療または予防における治療的物質として使用するためにも提供する。
【0109】
本発明はさらに、式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩を、うつ病、不安症、睡眠障害、または嘔吐の治療に使用するために提供する。
【0110】
本発明はさらに、ヒトを含む哺乳類においてタキキニンにより仲介される状態の治療または予防の方法を提供し、該方法は治療的に有効な量の式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩を患者へ投与することを含んでなる。
【0111】
本発明はさらに、ヒトを含む哺乳類においてNK1受容体の拮抗作用が有益である状態の治療または予防の方法を提供し、該方法は治療的に有効な量の式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩を患者へ投与することを含んでなる。
【0112】
本発明はさらに、ヒトを含む哺乳類における上記疾患の治療または予防の方法を提供し、該方法は治療的に有効な量の式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩を患者へ投与することを含んでなる。
【0113】
本発明はさらに、ヒトを含む哺乳類におけるうつ病、不安症、睡眠障害、または嘔吐の治療または予防の方法を提供し、該方法は治療的に有効な量の式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩を患者へ投与することを含んでなる。
【0114】
別の態様によれば、本発明はタキキニンにより仲介される状態の治療に使用する薬剤の製造において、式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩の使用を提供する。
【0115】
別の態様によれば、本発明はNK1受容体の拮抗作用が有益である状態の治療に使用する薬剤の製造において、式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩の使用を提供する。
【0116】
別の態様によれば、本発明は上記疾患の治療に使用する薬剤の製造において、式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩の使用を提供する。
【0117】
別の態様によれば、本発明はうつ病、不安症、睡眠障害、または嘔吐の治療に使用する薬剤の製造において、式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩の使用を提供する。
【0118】
治療法に用いられる場合、式(I)で表される化合物は通常標準的な医薬組成物へと処方される。このような組成物は標準的な手順を用いて調製できる。
【0119】
本発明はさらに、式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩、および薬学上許容される担体を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0120】
本発明はさらに、式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩、および薬学上許容される担体を含んでなる、上記疾患の治療に使用するための医薬組成物を提供する。
【0121】
本発明の化合物は、精神病性障害を治療または阻止するために以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)抗精神病薬;ii)錐体外路の副作用のための薬物、例えば抗コリン薬(例えばベンズトロピン、ビペリデン、プロシクリジンおよびトリヘキシフェニジル)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン)およびドーパミン作動薬(例えばアマンタジン);iii)抗うつ薬;iv)抗不安薬;およびv)向知性薬、例えばコリンエステラーゼ阻害薬(例えばタクリン、ドネペジル、リバスチグミンおよびガランタミン)。
【0122】
本発明の化合物は、うつ病および気分障害を治療または阻止するために、抗うつ薬と組み合わせて使用することができる。
【0123】
本発明の化合物は、疼痛を治療または阻止するために、オピオイド鎮痛薬と組み合わせて使用することができる。
【0124】
本発明の化合物は、双極性障害を治療または阻止するために、以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)気分安定薬;ii)抗精神病薬;およびiii)抗うつ薬。
【0125】
本発明の化合物は、不安障害を治療または阻止するために、以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)抗不安薬;およびii)抗うつ薬。
【0126】
本発明の化合物は、ニコチン離脱を改善およびニコチン欲求を減少させるために、以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)ニコチン補充療法、例えばニコチンベータ−シクロデキストリンの舌下剤およびニコチンパッチ;およびii)ブプロピオン。
【0127】
本発明の化合物は、アルコール離脱を改善およびアルコール欲求を減少させるために、以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)NMDA受容体アンタゴニスト、例えばアカンプロセート;ii)GABA受容体アゴニスト、例えばテトラバメート(tetrabamate);およびiii)オピオイド受容体アンタゴニスト、例えばナルトレキソン。
【0128】
本発明の化合物は、アヘン剤離脱を改善およびアヘン剤欲求を減少させるために、以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)オピオイドmu受容体アゴニスト/オピオイドカッパ受容体アンタゴニスト、例えばブプレノルフィン;ii)オピオイド受容体アンタゴニスト、例えばナルトレキソン;およびiii)血管拡張性の降圧薬、例えばロフェキシジン。
【0129】
本発明の化合物は、睡眠障害を治療または阻止するために、以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)ベンゾジアゼピン系薬、例えばテマゼパム、ロルメタゼパム、エスタゾラム、およびトリアゾラム;ii)非ベンゾジアゼピン系催眠剤、例えばゾルピデム、ゾピクロン、ザレプロン、およびインディプロン;iii)バルビツール酸系薬、例えばアプロバルビタール、ブタバルビタール、ペントバルビタール、セコバルビタール、およびフェノバルビタール;iv)抗うつ薬;v)その他の鎮静剤−催眠剤、例えば抱水クロラールおよびクロルメチアゾール。
【0130】
本発明の化合物は、食欲不振症を治療するために、以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)食欲刺激薬、例えばシプロヘプチジン(cyproheptidine);ii)抗うつ薬;iii)抗精神病薬;iv)亜鉛;およびv)月経前薬剤(premenstrual agents)、例えばピリドキシンおよびプロゲステロン。
【0131】
本発明の化合物は、過食症を治療または阻止するために、以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)抗うつ薬;ii)オピオイド受容体アンタゴニスト;iii)制吐薬、例えばオンダンセトロン;iv)テストステロン受容体アンタゴニスト、例えばフルタミド;v)気分安定薬;vi)亜鉛;およびvii)月経前薬剤(premenstrual agents)。
【0132】
本発明の化合物は、自閉症を治療または阻止するために、以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)抗精神病薬;ii)抗うつ薬;iii)抗不安薬;およびiv)刺激薬、例えばメチルフェニデート、アンフェタミン製剤、およびペモリン。
【0133】
本発明の化合物は、ADHDを治療または阻止するために、以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)刺激薬、例えばメチルフェニデート、アンフェタミン製剤、およびペモリン;およびii)非刺激薬、例えばノルエピネフリン再取り込み阻害薬(例えばアトモキセチン)、アルファ2アドレナリン受容体アゴニスト(例えばクロニジン)、抗うつ薬、モダフィニル、およびコリンエステラーゼ阻害薬(例えばガランタミンおよびドネゼピル(donezepil))。
【0134】
本発明の化合物は、人格障害を治療するために、以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)抗精神病薬;ii)抗うつ薬;iii)気分安定薬;およびiv)抗不安薬。
【0135】
本発明の化合物は、男性の性的機能不全を治療または阻止するために、以下の薬剤と組み合わせて使用することができる:i)ホスホジエステラーゼV阻害薬、例えばバルデナフィルおよびシルデナフィル;ii)ドーパミンアゴニスト/ドーパミン輸送阻害薬、例えばアポモルヒネおよびブプロプリオン(buproprion);iii)アルファアドレナリン受容体アンタゴニスト、例えばフェントラミン;iv)プロスタグランジンアゴニスト、例えばアルプロスタジル;v)テストステロンアゴニスト、例えばテストステロン;vi)セロトニン輸送阻害薬、例えばセロトニン再取り込み阻害薬;v)ノルアドレナリン輸送阻害薬、例えばレボキセチンおよびvii)5−HT1Aアゴニスト、例えばフリバンセリン。
【0136】
本発明の化合物は、女性の性的機能不全を治療または阻止するために、男性の性的機能不全に特定化された同薬剤、およびそれに加えてエストラジオールのようなエストロゲンアゴニストと組み合わせて使用することができる。
【0137】
抗精神病薬は、定型抗精神病薬(例えばクロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、トリフロペラジン、チオチキセン、ハロペリドール、モリンドン、およびロキサピン);および非定型抗精神病薬(例えばクロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドン、およびアミスルプリド)を含む。
【0138】
抗うつ薬は、セロトニン再取り込み阻害薬(例えばシタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、およびセルトラリン);セロトニン/ノルアドレナリン二重再取り込み阻害薬(例えばベンラファキシン、デュロキセチン、およびミルナシプラン);ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(例えばレボキセチン);三環系抗うつ薬(例えばアミトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン、およびトリミプラミン);モノアミンオキシダーゼ阻害薬(例えばイソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジン、およびトラニルシプロミン);およびその他(例えばブプロピオン、ミアンセリン、ミルタザピン、ネファゾドン、およびトラゾドン)を含む。
【0139】
気分安定薬は、リチウム、バルプロ酸ナトリウム/バルプロ酸/ジバルプロエクス、カルバマゼピン、ラモトリギン、ガバペンチン、トピラマート、およびチアガビンを含む。
【0140】
抗不安薬は、アルプラゾラムおよびロラゼパムのようなベンゾジアゼピン系薬を含む。
【0141】
オピオイド鎮痛薬は、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カルフェンタニル、コデイン、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、フェンタニル、ハイドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メサドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、プロポキシフェン、レミフェンタニルおよびスフェンタニルを含む。
【0142】
本発明の化合物は、てんかん、うつ病および気分障害、精神病性障害、または疼痛を治療するために、Naチャネル遮断薬と組み合わせて使用することができる。
【0143】
Naチャネル遮断薬との組み合わせの文脈内で「てんかん」との語は、発作性疾患およびてんかん症候群を含むことを意図する。以下に述べるてんかんおよび発作の様々な型は、本発明の一部として企図される:部分発作起始(側頭葉てんかん、新皮質てんかん、およびラスムッセンに取って代わる)、全般発作起始、レノックス・ガストー症候群の発作(強直性、脱力、ミオクローヌス、意識消失、および全身性強直性間代性)、欠伸発作症候群、および若年性ミオクローヌスてんかん。
【0144】
本発明の化合物とNaチャネル遮断薬との組み合わせはまた、抗けいれん剤で治療可能および/または阻止可能な疾患、例えば外傷後てんかんを含むてんかん、強迫性障害(OCD)、睡眠障害(概日リズム障害、不眠症およびナルコレプシーを含む)、チック(例えばジル・ド・ラ・トゥレット症候群)、運動失調、筋強剛(痙縮)、および顎関節機能不全の治療および/または阻止にも有用であり得る。
【0145】
Naチャネル遮断薬との組み合わせの文脈内で「精神病性障害」との語は:
i)妄想型(295.30)、破瓜型(295.10)、緊張型(295.20)、識別不能型(295.90)および残遺型(295.60)の亜型を含む、統合失調症;統合失調症様障害(295.40);双極型およびうつ型の亜型を含む、統合失調感情障害(295.70);色情型、誇大型、嫉妬型、被害型、身体型、混合型および不特定型の亜型を含む、妄想性障害(297.1);短期精神病性障害(298.8);共有精神病性障害(297.3);妄想を伴う、および幻覚を伴う亜型を含む、一般的な症状に起因する精神病性障害;物質誘発性妄想を伴う(293.81)、および幻覚を伴う(293.82)亜型を含む、精神病性障害;および特定不能の精神病性障害(298.9)を含む。
【0146】
Naチャネル遮断薬との組み合わせの文脈内で「疼痛」との語は、慢性炎症性疼痛(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ性脊椎炎、痛風性関節炎および若年性関節炎に付随する疼痛);筋骨格痛;腰痛および頸部痛;捻挫および筋挫傷;神経因性疼痛;交感神経依存性疼痛;筋炎;癌および線維筋痛に付随する疼痛;片頭痛に付随する疼痛;群発頭痛および習慣性頭痛に付随する疼痛;インフルエンザまたはその他のウィルス感染、例えば感冒に付随する疼痛;リウマチ熱;機能性腸疾患、例えば非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛および過敏性腸症候群に付随する疼痛;心筋虚血に付随する疼痛;術後疼痛;頭痛;歯痛;月経困難症;神経痛;線維筋痛症候群;複合性局所疼痛症候群(CRPSタイプIおよびII);神経因性疼痛症候群(糖尿病性神経障害;化学療法による神経因性疼痛の誘導;坐骨神経痛;非特異的腰痛;多発性硬化症の疼痛;HIV関連神経障害;ヘルペス後神経痛;三叉神経痛を含む);および身体外傷、切断術、癌、毒素または慢性炎症状態からもたらされる疼痛を含む。
【0147】
Naチャネル遮断薬との組み合わせの文脈内で「うつ病および気分障害」との語は、
大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合性エピソードおよび軽躁病エピソードを含むうつ病および気分障害;大うつ病性障害、気分変調性障害(300.4)、他に特定されないうつ病性障害(311)を含むうつ病性障害;双極I型障害、双極II型障害(軽躁病エピソードを伴う反復性大うつ病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および他に特定されない双極性障害(296.80)を含む双極性障害;うつ病性の特徴、大うつ病様エピソード、躁病性の特徴、および混合性の特徴を伴う亜型を含む、一般身体疾患による気分障害(293.83)を含むその他の気分障害、うつ病性の特徴、躁病性の特徴、および混合性の特徴を伴う亜型を含む物質誘発性気分障害;および特定不能の気分障害(296.90)を含む。
【0148】
一実施形態によれば、本発明の化合物とNaチャネル遮断薬との組み合わせの投与によって治療され得る「うつ病および気分障害」は双極性障害である。
【0149】
一実施形態によれば、ここで上に定義された組み合わせは、ホスフェニトイン(Cerebyx(商標)、Prodilantin(商標)、Pro-Epanutin(商標)、またはCereneu(商標));オクスカルバゼピン(Trileptal(商標)、Oxrate(商標)、またはWockhardt(商標));フェニトイン;カルバマゼピン(カルバトロール、Equetro(商標));リドカイン(ALGRX−3268);サフィナミド(NW−1015);ラルフィナミド(NW−1029);ラコサミド((2R)−2−(アセチルアミノ)−3−メトキシ−N−(フェニルメチル)プロパンアミド);ルフィナマイド(RUF−331);3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物、および(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物からなる群より選択されるNaチャネル遮断薬を含んでなる。
【0150】
さらなる実施形態によれば、ここで上に定義された組み合わせは、ホスフェニトイン(Cerebyx(商標)、Prodilantin(商標)、Pro-Epanutin(商標)、またはCereneu(商標))、オクスカルバゼピン(Trileptal(商標)、Oxrate(商標)、またはWockhardt(商標))、フェニトイン、カルバマゼピン(カルバトロール、Equetro(商標))、リドカイン(ALGRX−3268)、サフィナミド(NW−1015)、ラルフィナミド(NW−1029)、ラコサミド((2R)−2−(アセチルアミノ)−3−メトキシ−N−(フェニルメチル)プロパンアミド)、およびルフィナマイド(RUF−331)からなる群より選択されるNaチャネル遮断薬を含んでなる。
【0151】
さらなる実施形態によれば、ここで上に定義された組み合わせは、
3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン;
R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジン;
(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン;
(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン;
(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミド、
またはそれらの薬学上許容される塩もしくは溶媒和物からなる群より選択されるNaチャネル遮断薬を含んでなる。
【0152】
さらなる実施形態によれば、ここで上に定義された組み合わせは、3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物である、Naチャネル遮断薬を含んでなる。
化合物3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジンおよびその薬学上許容される塩および溶媒和物は、付与された欧州特許第0021121B号および米国特許第4,602,017号に記載される。化合物3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジンおよびその薬学上許容される塩および溶媒和物は、欧州特許第0021121B号および米国特許第4,602,017号に記載されるいずれの方法を用いても調製され得る。
【0153】
別の実施形態によれば、ここで上に定義された組み合わせは、R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物である、Naチャネル遮断薬を含んでなる。
化合物R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジンおよびその薬学上許容される塩および溶媒和物は、1997年3月13日に公開されたPCT公報、国際公開第97/9317号に記載される。化合物R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジンおよびその薬学上許容される塩および溶媒和物は、国際公開第97/9317号に記載されるいずれの方法を用いても調製され得る。
【0154】
さらなる追加の実施形態によれば、ここで上に定義された組み合わせは、(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミドまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物である、Naチャネル遮断薬を含んでなる。
化合物(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミドおよびその薬学上許容される塩および溶媒和物は、PCT公報、国際公開第2007/042239号に記載される。化合物(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミドおよびその薬学上許容される塩および溶媒和物は、国際公開第2007/042239号に記載されるいずれの方法を用いても調製され得る。
【0155】
さらなる追加の実施形態によれば、ここで上に定義された組み合わせは、(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オンまたはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物である、Naチャネル遮断薬を含んでなる。
化合物(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オンおよびその薬学上許容される塩および溶媒和物は、PCT公報、国際公開第2007/042240号に記載される。化合物(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オンおよびその薬学上許容される塩および溶媒和物は、国際公開第2007/042240号に記載されるいずれの方法を用いても調製され得る。
【0156】
一実施形態によれば、本発明の化合物とNaチャネル遮断薬との組み合わせは、ホスフェニトイン(Cerebyx(商標)、Prodilantin(商標)、Pro-Epanutin(商標)、またはCereneu(商標));オクスカルバゼピン(Trileptal(商標)、Oxrate(商標)、またはWockhardt(商標));フェニトイン;カルバマゼピン(カルバトロール、Equetro(商標));リドカイン(ALGRX−3268);サフィナミド(NW−1015);ラルフィナミド(NW−1029);ラコサミド((2R)−2−(アセチルアミノ)−3−メトキシ−N−(フェニルメチル)プロパンアミド);ルフィナマイド(RUF−331);3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物、および(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物からなる群より選択されるNaチャネル遮断薬;ならびに(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなる。
【0157】
従って本発明は、さらなる態様において、本発明の化合物と共にさらなる単数または複数の治療薬を含んでなる組み合わせを提供する。
【0158】
上で言及された組み合わせは医薬処方物の形における使用に都合よく提供され得り、従って、上に定義される組み合わせと共に薬学上許容される担体または賦形剤を含んでなる医薬処方物は、本発明のさらなる態様を含んでなる。このような組み合わせの個々の成分は、別々の、または組み合わせた医薬処方物において、連続的または同時のいずれかにより投与されてよい。
【0159】
本発明の化合物が、同じ疾病状態に対して活性のある第二の治療薬と組み合わせて使用される場合、各化合物の用量は、化合物が単独で使用される場合の用量とは異なる可能性がある。当業者は適当な用量を容易に理解するであろう。
【0160】
従って一実施形態によれば、本発明の化合物とNaチャネル遮断薬との組み合わせは、それらのうち少なくとも一が治療量未満用量で提供される。
【0161】
治療量未満用量(subtherapeutic dose)は、単独で投与された場合、患者に有意な臨床的利点を生じるために要求される薬物用量よりも少ない薬物用量を意味することが意図される。
【0162】
一実施形態によれば、本発明の化合物とNaチャネル遮断薬との組み合わせは、ホスフェニトイン(Cerebyx(商標)、Prodilantin(商標)、Pro-Epanutin(商標)、またはCereneu(商標));オクスカルバゼピン(Trileptal(商標)、Oxrate(商標)、またはWockhardt(商標));フェニトイン;カルバマゼピン(カルバトロール、Equetro(商標));リドカイン(ALGRX−3268);サフィナミド(NW−1015);ラルフィナミド(NW−1029);ラコサミド((2R)−2−(アセチルアミノ)−3−メトキシ−N−(フェニルメチル)プロパンアミド);ルフィナマイド(RUF−331);3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物、および(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物からなる群より選択される治療量未満用量のNaチャネル遮断薬;ならびに本発明の化合物を含んでなる。
【0163】
別の実施形態によれば、本発明の化合物とNaチャネル遮断薬との組み合わせは、ホスフェニトイン(Cerebyx(商標)、Prodilantin(商標)、Pro-Epanutin(商標)、またはCereneu(商標));オクスカルバゼピン(Trileptal(商標)、Oxrate(商標)、またはWockhardt(商標));フェニトイン;カルバマゼピン(カルバトロール、Equetro(商標));リドカイン(ALGRX−3268);サフィナミド(NW−1015);ラルフィナミド(NW−1029);ラコサミド((2R)−2−(アセチルアミノ)−3−メトキシ−N−(フェニルメチル)プロパンアミド);ルフィナマイド(RUF−331);3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物、および(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物からなる群より選択されるNaチャネル遮断薬;ならびに治療量未満用量の本発明の化合物を含んでなる。
【0164】
さらなる実施形態によれば、本発明の化合物とNaチャネル遮断薬との組み合わせは、ホスフェニトイン(Cerebyx(商標)、Prodilantin(商標)、Pro-Epanutin(商標)、またはCereneu(商標));オクスカルバゼピン(Trileptal(商標)、Oxrate(商標)、またはWockhardt(商標));フェニトイン;カルバマゼピン(カルバトロール、Equetro(商標));リドカイン(ALGRX−3268);サフィナミド(NW−1015);ラルフィナミド(NW−1029);ラコサミド((2R)−2−(アセチルアミノ)−3−メトキシ−N−(フェニルメチル)プロパンアミド);ルフィナマイド(RUF−331);3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物、および(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物からなる群より選択されるNaチャネル遮断薬;ならびに式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなり;このような式(I)で表される化合物およびNaチャネル遮断薬化合物の両方が治療量未満用量にて投与される。
【0165】
一実施形態によれば、本発明の化合物とNaチャネル遮断薬との組み合わせは、ホスフェニトイン(Cerebyx(商標)、Prodilantin(商標)、Pro-Epanutin(商標)、またはCereneu(商標));オクスカルバゼピン(Trileptal(商標)、Oxrate(商標)、またはWockhardt(商標));フェニトイン;カルバマゼピン(カルバトロール、Equetro(商標));リドカイン(ALGRX−3268);サフィナミド(NW−1015);ラルフィナミド(NW−1029);ラコサミド((2R)−2−(アセチルアミノ)−3−メトキシ−N−(フェニルメチル)プロパンアミド);ルフィナマイド(RUF−331);3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物、および(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物からなる群より選択される治療量未満用量のNaチャネル遮断薬;ならびに(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなる。
【0166】
別の実施形態によれば、本発明の化合物とNaチャネル遮断薬との組み合わせは、ホスフェニトイン(Cerebyx(商標)、Prodilantin(商標)、Pro-Epanutin(商標)、またはCereneu(商標));オクスカルバゼピン(Trileptal(商標)、Oxrate(商標)、またはWockhardt(商標));フェニトイン;カルバマゼピン(カルバトロール、Equetro(商標));リドカイン(ALGRX−3268);サフィナミド(NW−1015);ラルフィナミド(NW−1029);ラコサミド((2R)−2−(アセチルアミノ)−3−メトキシ−N−(フェニルメチル)プロパンアミド);ルフィナマイド(RUF−331);3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物、および(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物からなる群より選択されるNaチャネル遮断薬;ならびに治療量未満用量の(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなる。
【0167】
さらなる実施形態によれば、本発明の化合物とNaチャネル遮断薬との組み合わせは、ホスフェニトイン(Cerebyx(商標)、Prodilantin(商標)、Pro-Epanutin(商標)、またはCereneu(商標));オクスカルバゼピン(Trileptal(商標)、Oxrate(商標)、またはWockhardt(商標));フェニトイン;カルバマゼピン(カルバトロール、Equetro(商標));リドカイン(ALGRX−3268);サフィナミド(NW−1015);ラルフィナミド(NW−1029);ラコサミド((2R)−2−(アセチルアミノ)−3−メトキシ−N−(フェニルメチル)プロパンアミド);ルフィナマイド(RUF−331);3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物、および(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物からなる群より選択されるNaチャネル遮断薬;ならびに(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩を含んでなり;このような化合物(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミドおよびNaチャネル遮断薬化合物の両方が治療量未満用量にて投与される。
【0168】
従って本発明はまた、本発明の化合物とNaチャネル遮断薬化合物の組み合わせを、治療法における使用のためにも提供する。
【0169】
従って本発明はまた、(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩と、3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物、および(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物からなる群より選択されるNaチャネル遮断薬化合物との組み合わせを;てんかん、うつ病および気分障害、精神病性障害、または疼痛の治療または予防における治療的物質として使用するためにも提供する。
【0170】
一実施形態によれば、本発明は本発明の化合物とNaチャネル遮断薬化合物の組み合わせを、てんかん、うつ病および気分障害、精神病性障害、または疼痛の治療または予防における治療的物質として使用するために提供する。
【0171】
一実施形態によれば本発明は、(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩と、3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物、および(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩からなる群より選択されるNaチャネル遮断薬化合物との組み合わせを;てんかん、うつ病および気分障害、精神病性障害、または疼痛の治療または予防における治療的物質として使用するために提供する。
【0172】
本発明はさらに、治療的に有効な量の本発明の化合物とNaチャネル遮断薬化合物との組み合わせを患者へ投与することを含んでなる、ヒトを含む哺乳類におけるてんかん、うつ病および気分障害、精神病性障害、または疼痛の治療または予防の方法を提供する。
【0173】
本発明はさらに、治療的に有効な量の(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩と、3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物、および(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩からなる群より選択されるNaチャネル遮断薬化合物との組み合わせを患者へ投与することを含んでなる、ヒトを含む哺乳類におけるてんかん、うつ病および気分障害、精神病性障害、または疼痛の治療または予防の方法を提供する。
【0174】
別の態様によれば、本発明はてんかん、うつ病および気分障害、精神病性障害、または疼痛の治療に使用する薬剤の製造において、本発明の化合物とNaチャネル遮断薬化合物との組み合わせの使用を提供する。
【0175】
別の態様によれば、本発明はてんかん、うつ病および気分障害、精神病性障害、または疼痛の治療に使用する薬剤の製造において、(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩と、3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;R(−)−2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物;(2R,5R)−2−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−7−メチル−1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−6−オン、またはその薬学上許容される塩もしくは溶媒和物、および(5R)−5−(4−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−L−プロリンアミド、またはその薬学上許容される塩からなる群より選択されるNaチャネル遮断薬化合物との組み合わせの使用を提供する。
【0176】
治療法に用いられる場合、本発明の化合物とNaチャネル遮断薬化合物との組み合わせは通常標準的な医薬組成物へと処方される。このような組成物は標準的な手順を用いて調製できる。
【0177】
本発明はさらに、本発明の化合物とNaチャネル遮断薬化合物との組み合わせ、および薬学上許容される担体を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0178】
本発明はさらに、てんかん、うつ病および気分障害、精神病性障害、または疼痛の治療における使用のための、本発明の化合物とNaチャネル遮断薬化合物との組み合わせ、および薬学上許容される担体を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0179】
周囲温度および気圧に適切な混合により調製され得る本発明の医薬組成物は、通常、経口、非経口、または直腸投与に適合するよう、錠剤、カプセル、経口液体調製品、散剤、顆粒、舐剤、再構成可能な粉末、注射もしくは点滴可能な溶液または懸濁液、または坐薬の形であってよい。一般に、経口投与が可能な組成物が好ましい。
【0180】
経口投与のための錠剤およびカプセルは単位用量の形であってよく、かつ従来の賦形剤、例えば結合剤、注入剤、錠剤化潤滑剤、崩壊剤、および許容される湿潤剤を含んでよい。錠剤は、通常の医薬業務における公知の方法に従ってコートされてよい。
【0181】
経口液体調製品は例えば、水性もしくは油性の懸濁液、溶液、乳濁液、シロップ、またはエリキシル剤の形であってよいか、または使用前に水もしくはその他の適切なビヒクルにより再構成するための乾燥製品の形であってよい。このような液体調製品は、従来の添加物、例えば懸濁剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を含んでよい)、保存料、および所望により従来の香味剤または着色剤を含んでよい。
【0182】
非経口投与のため、本発明の化合物またはその薬学上許容される塩、および無菌ビヒクルを利用して液体単位剤形が調製される。化合物は使用するビヒクルおよび濃度に依存して、ビヒクル中に懸濁できるかまたは溶解できる。溶液の調製において、化合物は適切なバイアルまたはアンプルに充填して密閉する前に、注射用に溶解してフィルター滅菌できる。補助剤、例えば局所麻酔薬、保存料および緩衝剤は、ビヒクル中に有利に溶解される。安定性を増大させるため、組成物はバイアル充填後に凍結させ、減圧下で水分を除去できる。非経口の懸濁液は実質的に同じ様式にて調製されるが、化合物はビヒクル中に溶解される代わりに懸濁され、滅菌は濾過では達成できない。化合物は、無菌ビヒクルへの懸濁前にエチレンオキシドへ暴露することにより滅菌できる。化合物の均一な分布を促進するため、組成物中に界面活性剤または湿潤剤が有利に含まれる。
【0183】
経皮投与に適切な組成物は、軟膏、ゲル、およびパッチを含む。
【0184】
組成物は投与方法に応じて、0.1重量%ないし99重量%、好ましくは10ないし60重量%の有効物質を含み得る。前述の疾患の治療に使用される化合物の用量は、疾患の重篤度、患者の体重、およびその他同様の因子による通常の様式において変動するであろう。しかしながら、一般的な指針としての適切な単位用量は、1.0ないし200mg、さらに適切には5ないし100mgであってよく、このような単位用量は1日1回を超えて、例えば1日に2または3回投与されてよい。このような治療法は、数週間または数か月間に延長され得る。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】図1は、実施例7の化合物のXRPDパターンである。
【実施例】
【0186】
実施例
以下の中間体および実施例は、本発明の化合物の調製を例証する。
【0187】
各出発物質に続く手順において、通常は記述への参照が提供される。これは単に熟練化学者への補助として提供されるものである。出発物質は必ずしも参照のバッチから調製されていない可能性がある。
【0188】
【化30】

【0189】
位置2における立体中心の相対配置(以下に示すように、絶対配置は位置5における立体中心の固定された配置に基づく)は、2D H、H‐ROESY NMR、2D H、H‐NOESY NMR、または1D H,H‐NOE差分NMR分光法実験に基づいて特定された。
【0190】
化合物は、ACD/Name PRO 6.02 化学命名ソフトフェア((Advanced Chemistry Development Inc.、トロント、オンタリオ州、M5H2L3、カナダ)を用いて命名される。
【0191】
収率は他に記載のない限り、産物が100%の純度であったと仮定して算出された。
【0192】
陽子磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Varian装置で300、400、500、または600MHz、またはBruker装置で300MHzおよび400MHzのいずれかにおいて記録された。化学シフトは、残余の溶媒ラインを内部標準として用い、ppm(δ)により記録された。分割パターンは、s,一重線;d,二重線;t,三重線;q,四重線;m,多重線;b,広幅、としてデザインされた。NMRスペクトルは25ないし90℃の範囲の温度にて記録された。一を超える配座異性体が検出された場合、最も豊富なものについての化学シフトを報告した。
【0193】
HPLC(ウォークアップ)により示されるHPLC分析:rt=x分は、Agilent 1100シリーズ装置において、Luna 3u C18(2) 100Aカラム(50x2.0mm、3μm粒径)[移動相および勾配:100%(水+0.05%TFA)ないし95%(アセトニトリル+0.05%TFA)8分間,カラムT=40,流量=1ml/分,UV検出波長=220nm]を用いて行った。この方法論の使用は、記載される化合物の分析的な性質決定において「HPLC」により示される。
【0194】
全イオン流(TIC)ならびにMSおよびピークに付随するUVスペクトルと共同するDAD UVクロマトグラフィーによる追跡は、2996PDA検出器を備え、かつ陽性または陰性のエレクトロスプレーイオン化モードで操作されるWaters Micromass ZQ(商標)質量分析計に結合されたUPLC/MS Acquity(商標)システムにおいて取得された[LC/MS−ES(+または−):分析はAcquity(商標)UPLC BEH C18カラム(50x2.1mm,1.7μm粒径)を用いて行った。移動相:A−水+0.1%HCOH/B−CH3CN+0.06%HCOH.勾配:t=0分3%B,t=0.05分6%B,t=0.57分70%B,t=1.06分99%B0.389分間持続,t=1.45分3%B,停止時間1.5分.カラムT=40℃。流速=1.0mL/分.質量範囲:ES(+):100−1000amu.ES(−):100−800amu.UV検出範囲:210−350nm。この方法論の使用は、記載される化合物の分析的な性質決定において「UPLC」により示される。
【0195】
直接導入質量スペクトル(MS)は、ES(+)およびES(−)イオン化モード[ES(+):質量範囲:100−1000amu.導入溶媒:水+0.1%HCOH/CHCN50/50.ES(−):質量範囲:100−1000amu.導入溶媒:水+0.05%NHOH/CHCN50/50]において操作されるAgilent MSD 1100質量分析計によって取得された(この方法論の使用は、記載される化合物の分析的な性質決定において「MS」により示される)。
【0196】
他に記載のない限り、示差走査熱量測定(DSC)は、TA Q1000システムで毎分10℃の走査速度により、1ないし2mgのサンプル量を用いて行った。
【0197】
マイクロ波照射に関する反応にはPersonal Chemistry Emrys(商標)Optimizerを使用した。
【0198】
フラッシュシリカゲルクロマトグラフィーは、シリカゲル230−400メッシュ(Merck AG、ダルムシュタット、ドイツより供給)上で、またはVarian Mega Be-Siプレパックドカートリッジ上で、またはプレパックドBiotageシリカカートリッジ上で、またはプレパックドRediSepシリカカートリッジ上で行った。
【0199】
SPE−SCXカートリッジは、Varianにより供給されるイオン交換固相抽出カラムである。SPE−SCXカートリッジと共に用いる溶出剤は、メタノールとそれに続く2Nアンモニアメタノール溶液である。
【0200】
幾つかの調製品の精製は、Biotage手動フラッシュクロマトグラフィー(Flash+)またはBiotageシリカカートリッジを用いるSPX(Biotage)による自動フラッシュクロマトグラフィーのいずれか、またはRediSepシリカカートリッジを用いるCompanion CombiFlash(ISCO)による自動フラッシュクロマトグラフィーを用いて行われた。
【0201】
SPE−Siカートリッジは、Varianにより供給されるシリカ固相抽出カラムである。
【0202】
X線粉体回折(XRPD)分析は、PANalytical X' Pert Pro粉体回折計、モデルPW3040/60、シリアル番号DY1379にて、X' Celerator検出器を用いて行った。取得条件は:照射:CuKα,発生装置電圧:40kV,発生装置電流:45mA,開始角:2.0゜2シータ,終了角:40.0°2シータ,ステップサイズ:ステップあたり0.0167゜2シータ,時間:31.75秒、試料回転:1秒 回転時間,入射ビーム光学系:ニッケルフィルター,0.02ラジアン ソーラースリット,10mmビームマスク,自動発散スリット(照射距離を10mmに設定),ビームナイフ回折ビーム光学系:自動反散乱(automatic anti scatter)スリット(照射距離を10mmに設定),0.02ラジアン ソーラースリットであった。サンプルは、ゼロバックグラウンドプレートを用いて提出された。
【0203】
以下の表に、使用される略語を収載する。
AgOTf トリフルオロメタンスルホン酸銀(I)
BH3.THF ボランテトラヒドロフラン複合体
Boc-無水物 二炭酸ジ−tert−ブチル
CDCl3 クロロホルム−d
DCM ジクロロメタン
DiPA ジイソプロピルアミン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
HCl 塩酸
MeOH メタノール
Na2SO4 硫酸ナトリウム
NaHCO3 炭酸水素ナトリウム
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
TEA トリエチルアミン
CD 円二色性
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
UPLC 超高速液体クロマトグラフィー
DAD ダイオードアレイ検出器
TBME ボランテトラヒドロフラン複合体
h 時間
min 分
r.t. 室温
【0204】
中間体1
メチル(2S)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−ペンチノアート
【0205】
【化31】

メタノール(200ml)中の(2S)−2−アミノ−4−ペンチン酸溶液(Bachem AG,10g,88mmol)に、塩化チオニル(30ml,411mmol)を0℃にて滴下して加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒および過剰の塩化チオニルを蒸発させて、残渣を1,4−ジオキサン(150ml)/NaHCO3飽和溶液(100ml)に溶解し;ジオキサン(20ml)中のboc−無水物溶液(22.17ml,95mmol)を滴下して加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで抽出し(3x200ml)、組み合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過および蒸発させて表題化合物を無色の油として得た(20g,88mmol,収率100%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ(ppm): 5.35 (m, 1H), 4.52 (m, 1H), 3.79 (s, 3H), 2.75 (m, 2H), 2.05 (s, 1H), 1.47 (s, 9H)。UPLC:Rt0.65分,m/z228[M+H]および128[M−BOC+H]。キラル分析、クロマトグラフィー条件:[カラムChiralcel OJ-H(25x0.46cm),5μ;移動相:n−ヘキサン/2−プロパノール 85/15%v/v;流速1.0ml/分;DAD215nm,CD225nm]Rt5.5分,100%e.e。
【0206】
中間体2
メチル(2S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−ペンチノアート
【0207】
【化32】

トリエチルアミン(2ml)/ジイソプロピルアミン(8ml)中の、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−[6−クロロ−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−3−ピリジニル]−N,2−ジメチルプロパンアミド(国際公開第2005/002577号、中間体4D,1g,1.877mmol)、メチル(2S)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−ペンチノアート(中間体1、1.279g,5.63mmol)、Pd(PPhCl(0.066g,0.094mmol)ヨウ化銅(I)(0.018g,0.094mmol)、トリフェニルホスフィン(0.049g,0.188mmol)溶液を、100℃においてマイクロ波照射下に30分間熱した。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system)により、カラム40+M、およびシクロヘキサンないしシクロヘキサン/酢酸エチル7:3を溶出剤として用いて精製し、表題化合物を白色の固体として得た(750mg,1.036mmol,収率55.2%)。UPLC:Rt1.02分,m/z724[M+H]
【0208】
中間体3
メチル(2S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボキシレート
【0209】
【化33】

無水ジクロロメタン(10ml)中のメチル(2S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−ペンチノアート溶液(中間体2,750mg,1.036mmol)にトリフルオロ酢酸(3ml,1.036mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。溶媒および過剰のトリフルオロ酢酸を真空化で除去し、残渣をSPE−SCXカートリッジ(10g)により精製した。得られた淡黄色の固体をアセトニトリル(10ml)に溶解し、AgOTf(26.6mg,0.104mmol)を加えて、反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルに溶解して濾過した。有機層を回収し、蒸発させて表題化合物を浅黄色の固体として得た(645mg,1.034mmol,収率100%)。UPLC:Rt0.95分,m/z624[M+H]
【0210】
中間体4および5
メチル(5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−L−プロリナート(4)およびメチル(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−L−プロリナート(5)
【0211】
【化34】

メタノール(10ml)中のメチル(2S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボキシレート溶液(中間体3、640mg,1.026mmol)に、0℃にて水素化ホウ素ナトリウム(40.8mg,1.078mmol)を加え、反応混合物を同じ温度で2時間攪拌した。反応をNaHCO 5%溶液(1ml)により消失させ、溶媒を蒸発させた。残渣を水(20ml)で希釈し、酢酸エチル(3x50ml)で抽出した。有機層を乾燥(NaSO)、濾過、および蒸発させ、残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system)により、カラム40+M、およびシクロヘキサン/酢酸エチル7:3ないし酢酸エチル100%を溶出剤として用いて精製した。
二つの産物を分離した。
(第1溶出)(中間体4):メチル(5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−L−プロリナート(160mg,0.256mmol,収率24.92%)白色の固体、1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 8.30 (s, 1 H) 8.03 (s, 1 H) 7.75 (br. s., 2 H) 7.39 (s, 1 H) 7.17 (d, 1 H) 7.10 (br. s., 1 H) 7.06 (br. s., 1 H) 4.37 - 4.46 (m, 1 H) 3.91 - 3.99 (m, 1 H) 3.64 (s, 3 H) 2.29 (br. s., 3 H) 2.18 - 2.24 (m, 1 H) 2.08 - 2.13 (m, 1 H) 2.10 (br. s., 3 H) 1.80 - 1.91 (m, 1 H) 1.74 (br. s., 1 H) 1.50 (br. s., 3 H) 1.36 (br. s., 3 H)、相対立体化学はROESY(双極子相関:H−2,H−5に対するH−11;H−11,H−3,−3’,−4’に対するH−2;H−11,H−3’,−4,−4’ に対するH−5)により決定した。以下の構造に示す原子の番号付けはNMRデータとの関連の目的のみのために含まれる。UPLC:Rt0.81分(ブロードシグナル),m/z626[M+H]
【0212】
【化35】

【0213】
(第2溶出)(中間体5):メチル(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−L−プロリナート(220mg,0.352mmol,収率34.3%)白色の固体、1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ(ppm): 8.30 (s, 1 H) 8.03 (s, 1 H) 7.76 (br. s., 2 H) 7.57 (br. s., 1 H) 7.19 (d, 1 H) 7.11 (s, 1 H) 7.09 (br. s., 1 H) 4.26 - 4.36 (m, 1 H) 3.83 - 3.92 (m, 1 H) 3.60 (s, 3 H) 2.27 (br. s., 3 H) 2.15 - 2.23 (m, 1 H) 2.06 - 2.11 (m, 1 H) 2.08 (br. s., 3 H) 1.84 (br. s., 1 H) 1.66 - 1.75 (m, 1 H) 1.51 (br. s., 3 H) 1.36 (br. s., 3 H)、相対立体化学はROESY(双極子相関:H−5に対するH−13;H−13,H−2,H−3,−4,−4’に対するH−5;H−5,H−3,−3’,4に対するH−2)により決定した。以下の構造に示す原子の番号付けはNMRデータとの関連の目的のみのために含まれる。UPLC:Rt0.79分(ブロードシグナル),m/z626[M+H]
【0214】
【化36】

【0215】
中間体6
1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2S,5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−1,2−ピロリジンジカルボキシレート
【0216】
【化37】

DCM(10ml)中のメチル(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−L−プロリナート溶液(中間体5、490mg,0.783mmol)に二炭酸ジ−tert−ブチル(0.200ml,0.862mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system;溶出剤:1:0ないし1:1 シクロヘキサン/酢酸エチル;25Mカートリッジ)により精製して、表題化合物を白色の固体として得た(525mg,0.723mmol,収率92%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.19 - 8.45 (m, 1 H) 7.94 - 8.11 (m, 1 H) 7.54 - 7.93 (m, 3 H) 6.84 - 7.30 (m, 3 H) 4.73 - 5.08 (m, 1 H) 4.23 - 4.46 (m, 1 H) 3.47 - 3.75 (m, 3 H) 0.69 - 3.40 (m, 25 H). UPLC: Rt 1.03 min, m/z 726 [M+H]+
【0217】
中間体7および8
1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2R,5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−1,2−ピロリジンジカルボキシレート(7)および1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2S,5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−1,2−ピロリジンジカルボキシレート(8)
【0218】
【化38】

無水THF(5ml)中の1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2S,5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−1,2−ピロリジンジカルボキシレート溶液(中間体6、300mg、0.413mmol)に、THF中の1Mリチウムビス(トリメチルシリル)アミド溶液(0.496ml,0.496mmol)を−78℃にて加え、反応混合物を室温で10分間攪拌した。ヨードメタン(0.103ml,1.65mmol)を加え、反応混合物を室温で30分間攪拌した。反応を塩水(1ml)により消失させ、水(10ml)で希釈して、酢酸エチル(3x30ml)で抽出した。組み合わせた有機層を乾燥(NaSO)、濾過、および蒸発させ、残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system;溶出剤:95:5ないし6:4 シクロヘキサン/酢酸エチル;25Mカートリッジ)により精製した。
二つの産物を分離した:
(第1溶出)1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2R,5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−1,2−ピロリジンジカルボキシレート(中間体7、31mg,0.042mmol,収率10.14%)、白色の固体。1H NMR (400 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 8.29 - 8.46 (m, 1 H) 7.74 - 7.85 (m, 1 H) 7.63 - 7.75 (m, 2 H) 6.84 - 7.35 (m, 4 H) 5.10 - 5.36 (m, 1 H) 3.66 - 3.87 (m, 3 H) 0.75 - 2.73 (m, 28 H). MS: m/z 740 [M+H]+ and 762 [M+Na]+。キラル分析、クロマトグラフィー条件:[カラムChiralcel AD-H(25x0.46cm);移動相:n−ヘキサン/2−プロパノール 85/15%v/v;流速1.0ml/分;DAD210〜340nm,CD230nm]Rt4.21分,94.6%e.e。
(第2溶出)1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2S,5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−1,2−ピロリジンジカルボキシレート(中間体8、200mg,0.27mmol,収率65.4%)、白色の固体。1H NMR (400 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 8.24 - 8.46 (m, 1 H) 7.59 - 7.98 (m, 4 H) 6.77 - 7.36 (m, 3 H) 5.00 - 5.27 (m, 1 H) 3.47 - 3.75 (m, 3 H) 0.83 - 2.73 (m, 28 H). MS: m/z 740 [M+H]+ and 762 [M+Na]+
【0219】
中間体9
メチル(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリナート
【0220】
【化39】

無水ジクロロメタン(2ml)中の1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2R,5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−1,2−ピロリジンジカルボキシレート溶液(中間体7、30mg,0.041mmol)にTFA(0.6ml,7.79mmol)を加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒および過剰のTFAを蒸発させ、残渣をSPE−SCXカートリッジにより精製して、表題化合物を白色の固体として得た(25mg,0.039mmol,収率96%)。HPLC:Rt5.68分.MS:m/z640[M+H]
【0221】
中間体10
メチル(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−L−プロリナート
【0222】
【化40】

無水ジクロロメタン(3ml)中の1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2S,5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−1,2−ピロリジンジカルボキシレート溶液(中間体8、50mg,0.068mmol)にTFA(1ml,12.98mmol)を加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒および過剰のTFAを蒸発させ、残渣をSPE−SCXカートリッジにより精製して、表題化合物を白色の固体として得た(42mg,0.066mmol,収率97%)。HPLC:Rt5.79分.MS:m/z640[M+H]および662[M+Na]
【0223】
中間体11
メチル(2R)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−ペンチノアート
【0224】
【化41】

メタノール(100ml)中の(2R)−2−アミノ−4−ペンチン酸溶液(5g,44.2mmol)に、塩化チオニル(15ml,206mmol)を0℃にて滴下して加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒および過剰の塩化チオニルを蒸発させて、残渣を1,4−ジオキサン(75ml)およびNaHCO3飽和溶液(50ml)に溶解し;ジオキサン(10ml)中のBoc−無水物溶液(10.78ml,46.4mmol)を滴下して加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで抽出し(3x100ml)、組み合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過および蒸発させて表題化合物を無色の油として得た(10g,44.0mmol,収率100%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ(ppm): 5.35 (m, 1H), 4.52 (m, 1H), 3.79 (s, 3H), 2.75 (m, 2H), 2.05 (s, 1H), 1.47 (s, 9H)。キラル分析、クロマトグラフィー条件:[カラムChiralcel OJ-H(25x0.46cm),5μ;移動相:n−ヘキサン/2−プロパノール 85/15%v/v;流速1.0ml/分;DAD215nm,CD225nm]Rt6.9分,100%e.e。
【0225】
中間体12
メチル(2R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−ペンチノアート
【0226】
【化42】

トリエチルアミン(2ml)/ジイソプロピルアミン(8ml)中の、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−[6−クロロ−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−3−ピリジニル]−N,2−ジメチルプロパンアミド(国際公開第2005/002577号、1.05g,1.97mmol)、メチル(2R)−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−ペンチノアート(中間体11、1.343g,5.91mmol)、Pd(PPhCl(69mg,0.098mmol)ヨウ化銅(I)(19mg,0.100mmol)、およびトリフェニルホスフィン(52mg,0.198mmol)溶液を、100℃においてマイクロ波照射下に30分間熱した。上に報告した試薬量を常に使用して、反応を3回行った。反応混合物を組み合わせ、蒸発乾固させた。最終反応未精製物を水中(50ml)に取得し、DCMで抽出した(3x50ml)。有機相を回収し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて濃縮した。シクロヘキサン/EtOAc[4CVにおいて、シクロヘキサン100ないしシクロヘキサン/EtOAc 70/30、次にシクロヘキサン/EtOAc 70/30]溶出を用いる、Si(SP1,65Mカラム)における精製によって表題化合物を黄褐色の固体として得た(2.4g,3.32mmol,収率56.1%)。UPLC:Rt1.02分,m/z724[M+H]。キラル分析、クロマトグラフィー条件:[カラムChiralpak AD-H(25x0.46cm);移動相:n−ヘキサン/エタノール 70/30%v/v;流速0.8ml/分;DAD210〜340nm,CD250]Rt13.43分,99.2%e.e。
【0227】
中間体13
メチル(2R)−2−アミノ−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−4−ペンチノアート
【0228】
【化43】

無水ジクロロメタン(45ml)中のメチル(2R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−ペンチノアートの氷冷した溶液(中間体12、2.4g,3.32mmol)にトリフルオロ酢酸(15ml)を滴下して加え、得られた反応混合物を室温で1時間撹拌した。揮発物を蒸発させた。反応未精製物を飽和NaHCO水溶液[pH=7まで](30ml)中に取得し、DCM(2x50ml)で抽出した。有機層を回収し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて表題化合物を茶色の固体として得た(1.85g,2.97mmol,収率89%)。UPLC:Rt0.78分,m/z624[M+H]。
【0229】
中間体14
メチル(2R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボキシレート
【0230】
【化44】

方法A
無水アセトニトリル(25ml)中のメチル(2R)−2−アミノ−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−4−ペンチノアート溶液(中間体13、1.85g,2.97mmol)にトリフルオロメタンスルホン酸銀(0.381g,1.483mmol)を少しずつ加え、得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。揮発物を、室温、真空下で蒸発させた。残基をジクロロメタン中に取得し、セライトのプラグを通して濾過した後、2.2gの表題化合物を茶色の固体として得た(この物質は残余のアセトニトリルを幾らか含んでいたため、全体としての回収量は理論的な量よりも高めであった)。UPLC:Rt0.95分,m/z624[M+H]。
【0231】
方法B
ジクロロメタン(15ml)中のメチル(2R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−ペンチノアート溶液(中間体12、1g,1.382mmol)にTFA(5ml,64.9mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。溶媒および過剰のTFAを蒸発させ、残渣をSPE−SCXカートリッジにより精製して、中間体13を得た。この残渣をアセトニトリル(14ml)に溶解してトリフルオロメタンスルホン酸銀(0.036g,0.138mmol)を加え;反応混合物を60℃で6時間攪拌した。溶媒を蒸発させて残渣をDCM(15ml)中に溶解し、金属触媒を濾過して除いた。
有機溶液を蒸発させ、表題化合物をオレンジ色の固体として得た(800mg,1.283mmol,収率93%)。UPLC:Rt0.95分,m/z624[M+H]。
【0232】
中間体15および16
メチル(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−D−プロリナート(15)およびメチル(5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−D−プロリナート(16)
【0233】
【化45】

方法A
THF(20.85ml)中のメチル(2R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボキシレート溶液(方法Aにより得られた中間体14、1.3g,2.085mmol)に、THF(6.25ml,6.25mmol)中の1M BHTHF溶液を−40℃においてゆっくりと加え、反応混合物を同じ温度で2時間攪拌した。反応をMeOH(2ml)により消失させ、室温で2時間攪拌した。溶液を塩水(50ml)で希釈して、酢酸エチル(3x80ml)で抽出した。有機層を乾燥(NaSO)、濾過、および蒸発させて、残渣を、カラム40+M、および溶出剤としてシクロヘキサン/酢酸エチル 7:3ないし酢酸エチルを用いる、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system)により精製して二つの化合物を得た:
(第1溶出)(中間体15)メチル(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−D−プロリナート(350mg,0.559mmol,収率26.8%)1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ(ppm): 8.30 (s, 1H), 8.03 (s, 1H), 7.75 (br.s, 2H), 7.39 (s, 1H), 7.17 (d, 1H), 7.10 (br.s, 1H), 7.06 (br.s, 1H), 4.37 - 4.46 (m, 1H), 3.91 - 3.99 (m, 1H), 3.64 (s, 3H), 2.29 (br.s, 3H), 2.18 - 2.24 (m, 1H), 2.08 - 2.13 (m, 1H), 2.10 (br.s., 3H), 1.80 - 1.91 (m, 1H), 1.68 - 1.81 (br.s, 1H), 1.50 (br.s., 3H), 1.36 (br.s, 3H)。相対立体化学は、対応する鏡像異性体(中間体4)とのNMRスペクトルの比較により特定された。UPLC:Rt0.76分(ブロードシグナル),m/z626[M+H]。
(第2溶出)(中間体16)メチル(5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−D−プロリナート(355mg,0.567mmol,収率27.2%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ(ppm): 8.30 (s, 1H), 8.03 (s, 1H), 7.76 (br.s, 2H), 7.57 (br.s, 1H), 7.19 (d, 1H), 6.92 - 7.26 (m, 2H), 4.26 - 4.36 (m, 1H), 3.83 - 3.92 (m, 1H), 3.60 (s, 3H), 2.20 - 2.36 (m, 3H), 2.15 - 2.24 (m, 1H), 2.03 - 2.16 (m, 4H), 1.79 - 1.90 (m, 1H), 1.66 - 1.76 (m, 1H), 1.12 - 1.57 (m, 6H)。相対立体化学は、対応する鏡像異性体(中間体5)とのNMRスペクトルの比較により特定された。UPLC:Rt0.78分(ブロードシグナル),m/z626[M+H]。
方法B
メタノール(10ml)中のメチル(2R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボキシレート溶液(方法Bにより得られた中間体14、650mg,1.042mmol)に、水素化ホウ素ナトリウム(43.4mg,1.147mmol)を0℃において加え、反応混合物を同じ温度で2時間攪拌した。反応をNaHCO3 5%溶液(1ml)により消失させ、溶媒を蒸発させた。残渣を水(20ml)で希釈して、酢酸エチル(3x50ml)で抽出した。有機層を乾燥(NaSO)、濾過、および蒸発させて、残渣を、カラム40+M、および溶出剤として7:3 シクロヘキサン/酢酸エチルないし酢酸エチルを用いる、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system)により精製した。二つの異なる産物が分離された:
【0234】
(第1溶出)(中間体15)メチル(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−D−プロリナート(100mg,0.160mmol,収率15.34%)白色の固体、
(第2溶出)(中間体16)メチル(5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−D−プロリナート(160mg,0.256mmol,収率24.54%)白色の固体。
【0235】
中間体17
1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2R,5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−1,2−ピロリジンジカルボキシレート
【0236】
【化46】

無水ジクロロメタン(DCM)(11ml)中のメチル(5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−D−プロリナート溶液(中間体16、700mg,1.119mmol)に二炭酸ジ−tert−ブチル(0.286ml,1.231mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system;溶出剤:1:0ないし1:1 シクロヘキサン/酢酸エチル;25Mカートリッジ)により精製して、表題化合物を白色の固体として得た(512mg,0.706mmol,収率63.1%)。UPLC:Rt1.03分,m/z726[M+H]
【0237】
中間体18および19
1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2S,5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−1,2−ピロリジンジカルボキシレート(18)および1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2R,5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−1,2−ピロリジンジカルボキシレート(19)
【0238】
【化47】

無水テトラヒドロフラン(THF)(2ml)中の1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2R,5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−1,2−ピロリジンジカルボキシレート溶液(中間体17、150mg、0.207mmol)に、ヘキサン類中の1Mリチウムビス(トリメチルシリル)アミド溶液(0.248ml,0.248mmol)を−78℃にて加え、反応混合物を−30℃で30分間攪拌した。次に反応混合物を−78℃に冷却し、ヨードメタン(0.019ml,0.31mmol)を加え、得られた反応混合物を同じ温度で1時間攪拌した。反応を塩水(1ml)により消失させ、水(4ml)で希釈して、酢酸エチル(2x10ml)で抽出した。組み合わせた有機層を乾燥(NaSO)、濾過、および蒸発させ、残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Biotage system;溶出剤:1:0ないし6:4 シクロヘキサン/酢酸エチル;12Mカートリッジ)により精製した。
(第1溶出)1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2S,5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−1,2−ピロリジンジカルボキシレート(中間体18、7mg,9.46μmol,収率4.58%).UPLC:Rt1.09分,m/z740[M+H]+。
(第2溶出)1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2R,5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−1,2−ピロリジンジカルボキシレート(中間体19、70mg,0.095mmol,収率45.8%).UPLC:Rt1.06分,m/z740[M+H]+。
【0239】
中間体20
メチル(5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリナート
【0240】
【化48】

無水ジクロロメタン(DCM)(2ml)中の1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル(2R,5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−1,2−ピロリジンジカルボキシレート溶液(中間体19、70mg,0.095mmol)にTFA(0.5ml,6.49mmol)を加え、反応混合物を室温で2.5時間攪拌した。溶媒および過剰のTFAを蒸発させ、残渣をSPE−SCXカートリッジにより精製して、表題化合物を白色の固体として得た(55mg,0.086mmol,収率91%)。HPLC:Rt0.76分(ブロードピーク),m/z640[M+H]
【0241】
中間体21
メチル(2R)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−メチルペンタ−4−イノアート
【0242】
【化49】

(2R)−2−アミノ−2−メチルペンタ−4−イン酸(1.3kg)をメタノール(6.5L)に懸濁し、2±3℃に冷却した。混合物を塩化チオニル(1.48L)で、2±3℃において少なくとも30分を超えて処理した。混合物を40±3℃で少なくとも17時間熱し、次にH NMRによる反応の完了(COR)のためにサンプリングした。いったん完了した後、混合物を低容積(約1容積)に減らし、次にトルエン(約2x2.5L)と共沸し、蒸発乾固させて未精製のメチル(2R)−2−アミノ−2−メチルペンタ−4−イノアートを得、次にこれをジオキサン(9.1L)で希釈した。懸濁液を水性炭酸カリウム(2.82Kgを5.46Lの水に溶解)で周囲温度にて処理し、少なくとも30分間攪拌した。次に二炭酸ジ−tert−ブチル(BOCO)(2.43Kg)を加え、混合物を40±3℃、不活性雰囲気下で攪拌しながら少なくとも17時間熱した。混合物をH NMRによる反応の完了(COR)のためにサンプリングし、いったん完了した後、混合物を濾過して固体を除き、次に酢酸エチル(5L)で混合し、攪拌して分離した。有機層を水(5L)で洗浄し、次に有機層を分離して無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を次に透明な油へと濃縮し、これは静置により結晶化された。未精製産物をシクロヘキサン(2.6L)から結晶化させ、さらにシクロヘキサン(2.6L)で洗浄した。産物を真空中で35℃にて乾燥させ、表題化合物(1.5kg)が供給された。1H NMR (400MHz, MeOD-d4) δppm: 1.42 (9H, s), 1.46 (3H, s), 2.32-2.34 (1H, m), 2.65-2.71 (1H, dd), 2.92-2.99 (1H, d), 3.70 (3H, s)。
【0243】
中間体22
メチル(2R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリジン−2−イル]−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−メチルペンタ−4−イノアート
【0244】
【化50】

4:1 ジイソプロピルアミン:トリエチルアミン(3.75L)中の、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−[6−クロロ−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリジン−3−イル]−N,2−ジメチルプロパンアミド(国際公開第2005/002577号 中間体4D)(750g)、PdCl(PhP)(19.8g)、CuI(5.4g)、PhP(14.8g)をフラスコに入れ、熱して還流した。4:1 ジイソプロピルアミン:トリエチルアミン(3.7L)中の中間体21(441.2g)を、7〜8時間にわたりゆっくりと加えた。混合物をさらに14〜18時間、中間体21が消費されるまで熱した。混合物を熱い状態で濾過(filtered hot)してPrNH.HClを除き、4:1 ジイソプロピルアミン:トリエチルアミン(0.75L)で洗浄した。固体をn−ヘプタン(3.75L)で洗浄し、混合物を室温に冷却した。結晶化が起こった際には混合物をn−ヘプタン(7.5L)で希釈し、さらに1時間攪拌した。固体を濾過し、n−ヘプタン(3.75L)で洗浄した。固体を真空下、40℃にて乾燥させ、表題化合物(839.1g)を得た。
1H NMR (500MHz, DMSO-d6) δppm: 1.36-1.45 (18H, m), 2.12 (3H, s), 2.86-2.91 (1H, d), 3.18-3.24 (1H, br. d.), 3.64 (3H, s), 7.09-7.19 (3H, m), 7.41 (1H, s), 7.75 (2H, s) 8.01 (1H, s), 8.37 (1H, s)。
【0245】
中間体23
メチル(2R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリジン−2−イル]−2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボキシレート
【0246】
【化51】

メチル(2R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリジン−2−イル]−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−メチルペンタ−4−イノアート(中間体22、1.23Kg)を、室温、不活性雰囲気下で6.2LのDCMに懸濁した。次に混合物を熱して還流した(30℃で透明な溶液が得られた)。TFA(990ml)を1時間にわたり滴下して加えた。得られた溶液を還流時に少なくとも6時間攪拌し、次に20℃±5℃に冷却した。水(6.15L)を加え、二相の混合物を15分間攪拌した。層を分離し、水層(上部)を廃棄した。DCM層に6.1Lの10%w/w水性炭酸カリウムを加え、二相の混合物を15分間攪拌した。層を分離し、水層(上部)を廃棄した。DCM層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過した。上記のDCMにアセトニトリル(620ml)を加え、容器内にトリフルオロメタンスルホン酸銀(128.4g)もまた加えた。次に得られた混合物を熱して還流し、24時間攪拌した。次に20℃に冷却し、8.6Lの飽和塩化アンモニウムで反応消失させた。混合物を20℃で1時間攪拌し、次に0℃に冷却して1時間攪拌した。次に塩化銀沈殿を冷たい状態で濾過(filtered cold)し、得られた二相の溶液を20℃に温めた。層を分離した。上部の水層を廃棄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発乾固させて表題化合物(1067.6g)を得た。
1H NMR (500MHz, 333K, DMSO-d6) δppm: 1.42 (6H, br. s.), 1.47 (3H, s), 1.90-1.96 (1H, m), 2.11 (3H, s), 2.36-2.44 (1H, m), 2.52 (3H, s), 3.18-3.25 (3H, m), 3.65 (3H, s), 7.05-7.10 (1H, m), 7.13-7.19 (2H, m), 7.77 (2H, s), 7.90 (1H, s), 7.99 (1H, s), 8.49 (1H, s)。
【0247】
中間体24
(2R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリジン−2−イル]−2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボキサミド
【0248】
【化52】

メチル(2R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリジン−2−イル]−2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボキシレート(中間体23、1.06Kg)を、メタノール中の7Mアンモニア20.44L中に懸濁した。混合物を少なくとも5日間、20℃で穏やかに攪拌した。混合物を大気圧における蒸留により、半量まで濃縮した。得られた溶液を次に40℃に冷却し、1時間攪拌した。得られたスラリーを次に3時間にわたって0℃に冷却し、0℃で2時間熟成させた。次に表題化合物を濾過により分離し、ケーキを氷冷したメタノール(1.1L)で洗浄した。湿ったケーキを40℃/真空にて乾燥させ、表題化合物を得た(841.3g)。
1H NMR (500MHz, 333K, DMSO-d6) δppm: 1.39 (3H, s), 1.43 (6H, br. s.), 1.91-1.97 (1H, m), 2.15 (3H, s), 2.21-2.28 (1H, m), 2.53 (3H, s), 3.07-3.20 (2H, m), 6.79-6.94 (2H, br. d.), 7.06-7.11 (1H, br. t.), 7.15-7.20 (2H, m), 7.78 (2H,s), 7.99 (1H, s), 8.14 (1H,s), 8.47 (1H, s)。
【0249】
実施例1
(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド
【0250】
【化53】

メチル(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリナート(中間体9、25mg,0.039mmol)を、MeOH(3ml,21.0mmol)中の7Nアンモニア溶液に溶解し、反応混合物を60℃にて48時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Companion system;溶出剤:99:1 ジクロロメタン/MeOHないし95:5 ジクロロメタン/MeOH;12gカートリッジ)により精製して、表題化合物を白色の固体として得た(16mg,0.026mmol,収率65.5%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.32 - 8.42 (m, 1 H) 8.02 - 8.09 (m, 1 H) 7.68 - 7.87 (m, 2 H) 7.50 - 7.58 (m, 1 H) 7.43 (s, 1 H) 6.95 - 7.28 (m, 4 H) 4.19 - 4.38 (m, 1 H) 3.04 - 3.24 (m, 1 H) 2.54 (s, 3 H) 2.19 (s, 3 H) 1.99 - 2.42 (m, 2 H) 1.56 - 1.87 (m, 2 H) 1.37 (s, 3 H) 1.42 (s, 6 H)。相対立体化学アンチは、シンジアステレオ異性体(実施例3)のNMRスペクトルとの比較により特定された:スペクトルは異なっていた。HPLC:Rt5.49分.MS:m/z625[M+H]および647[M+Na]
【0251】
実施例2
(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド塩酸塩
【0252】
【化54】

(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(実施例1、16mg,0.026mmol)をジエチルエーテル(2ml)に溶解し、ジエチルエーテル(30μl)中の1N HClを加えた。懸濁液を粉砕して、表題化合物を白色の固体として得た(16mg,0.024mmol,収率92%)。HPLC:Rt5.46分.MS:m/z625[M+H]および647[M+Na](遊離塩基)。
【0253】
実施例3
(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−L−プロリンアミド
【0254】
【化55】

メチル(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−L−プロリナート(中間体10、42mg,0.066mmol)を、MeOH(3ml,21.0mmol)中の7Nアンモニア溶液に溶解し、反応混合物を60℃にて48時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(Companion system;溶出剤:99:1 ジクロロメタン/MeOHないし95:5 ジクロロメタン/MeOH;12gカートリッジ)により精製して、表題化合物を白色の固体として得た(28mg,0.045mmol,収率68.3%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.31 (s, 1 H) 8.04 (s, 1 H) 7.89 - 7.99 (m, 1 H) 7.60 - 7.87 (m, 2 H) 7.44 (s, 1 H) 6.90 - 7.24 (m, 4 H) 4.39 - 4.60 (m, 1 H) 3.21 - 3.32 (m, 1 H) 2.53 (s, 3 H) 2.21 (s, 3 H) 1.45 (s, 6 H) 1.38 (s, 3 H) 1.16 - 2.37 (m, 4 H)、相対立体化学シンは、CH(8)とCH(5)の間の双極子相関により確認した。HPLC:Rt5.48分.MS:m/z625[M+H]
【0255】
実施例4
(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−L−プロリンアミド塩酸塩
【0256】
【化56】

(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−L−プロリンアミド(実施例3、28mg,0.045mmol)をジエチルエーテル(2ml)に溶解し、ジエチルエーテル(50μl)中の1N HClを加えた。懸濁液を粉砕して、表題化合物を白色の固体として得た(28mg,0.042mmol,収率93%)。HPLC:Rt5.45分.MS:m/z625[M+H](遊離塩基)。
【0257】
実施例5
(5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド
【0258】
【化57】

メチル(5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリナート(中間体20、30mg、0.047mmol)をMeOH(3ml)中の7Nアンモニア溶液に溶解し、反応混合物を50℃で48時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、表題化合物を白色の固体として得た(27mg,0.043mmol,収率92%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.31 (s, 1 H) 8.04 (s, 1 H) 7.89 - 7.99 (m, 1 H) 7.60 - 7.87 (m, 2 H) 7.44 (s, 1 H) 6.90 - 7.24 (m, 4 H) 4.39 - 4.60 (m, 1 H) 3.21 - 3.32 (m, 1 H) 2.53 (s, 3 H) 2.21 (s, 3 H) 1.45 (s, 6 H) 1.38 (s, 3 H) 1.16 - 2.37 (m, 4 H)、サンプルのスペクトルは配座異性体の混合物(室温におけるスペクトル内の太い線)からなる。相対立体化学シンは、1.31ppmにおける−CH(8)と4.48ppmにおけるCH(5)の間の双極子相関により確認した。UPLC:Rt0.75分(ブロードピーク)、m/z625[M+H]。HPLC:Rt5.06分。
【0259】
実施例6
(5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド塩酸塩
【0260】
【化58】

(5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(実施例5、27mg,0.043mmol)をジエチルエーテル(2ml)に溶解し、ジエチルエーテル中の1N HClを加えた。懸濁液を粉砕して、表題化合物を白色の固体として得た(26mg,0.039mmol,収率91%)。UPLC:Rt0.77分(ブロードピーク),m/z625[M+H](遊離塩基)。HPLC:Rt5.18分。
【0261】
実施例7
(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド無水結晶形1
【0262】
【化59】

DCM(6.55L)中の攪拌した(2R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリジン−2−イル]−2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボキサミド(中間体24、0.82Kg)溶液に、TFA(0.2L)を室温で加えた。得られた溶液を0℃に冷却した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.423Kg)を少しずつ加え、反応を2〜4時間攪拌した。反応にMeOH(0.4L)を加え、次に水を注意深く加え、続いて3M NaOH(4.0L)を加えてpHを12に上げた。層を分離してDCM層を保持した。水層をDCM(0.8L)で洗浄して、層を分離した。有機層を組み合わせ、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、回転式エバポレーターにより濃縮して、(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(実施例1)および(5S)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(実施例5)を、おおよそ4:1の混合物である白色の発泡体として得た(859.5g)。このような混合物(0.8Kg)にTBME(6L)を加え、得られた溶液を濾過した。溶液を室温で一晩攪拌した。得られた懸濁液を濾過し、ケーキをTBME(0.8L)ですすいだ。湿気のある固体を真空下で乾燥させ、表題化合物が、約97%の純度である白色の結晶性固体として供給された(446.4g)。
次にこの化合物(598.8g)を室温で酢酸エチル(1.2L)に懸濁し、次に熱して還流した。得られた熱い溶液を濾過/浄化して、いずれの粒状の物質も除去した。メチルシクロヘキサン(6.0L)を還流時に濾過物へゆっくりと添加すると、添加の終わりまでには白色の懸濁液が生じた。熱い懸濁液を4時間にわたって20℃に冷却し、次に20℃のままで一晩攪拌した。懸濁液を濾過し、メチルシクロヘキサン(1.2L)ですすぎ、次に真空下で40℃、26時間乾燥させ、表題化合物が、約99%の純度である白色の結晶性固体として供給された(527g)。
1H NMR (500MHz, 353K, DMSO-d6) δppm: 1.40 (3H, s), 1.42 (6H, s), 1.65-1.70 (1H, m), 1.78-1.85 (1H, m), 2.11-2.24 (5H, m) 3.08 (1H, br. s.), 4.31-4.34 (1H, t), 7.03-7.07 (1H, m), 7.13-7.17 (2H, m), 7.37 (1H, s) 7.76 (2H, s), 7.96 (1H, s), 8.32(1H, s)。
DSCによる融解開始、198.7℃。
DSCサーモグラムは、TA Instruments Q2000示差走査熱量計を用いて得た。サンプルはアルミニウムパン内へ秤量し、蓋を上に載せ、密閉することなく軽く圧着した。実験は10℃/分の加熱率を用いて行った。
【0263】
2θ角(゜)および面間隔d(Å)を考慮すると、実施例7の化合物は以下のXRPDパターン特性を示す:(表1)。
【0264】
【表1】

【0265】
実施例7の化合物のXRPDパターンを図1に示す。XRPDパターンは2シータ角に関して表され、上に述べた手順(実施例の項)に従い、銅Kα X照射を用いる回折計によって得られた。
【0266】
実施例8
[(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド酒石酸塩]
酸を溶解させるため、酒石酸(126.15mg,1当量)にアセトン(7ml)を加えた。次に該酸溶液を500mgの(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(実施例1)に加えた。得られたスラリーを500rpmで撹拌しながら温度サイクル(0〜40℃)へと設定した。1時間後、濃厚なゲル用の物質が形成された。次に物質の可動性を改善するため、アセトン(13ml)をさらに加えた。反応を撹拌しながら、さらに3日間温度サイクルに供した。固体を分離し、45℃で一晩乾燥させ、表題化合物を結晶形として得た(463mg)。DSCによる融解開始、211℃。
【0267】
実施例9
[(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド安息香酸塩]
酸を溶解させるため、安息香酸(102.65mg,1当量)にトルエン(3.5ml)を加えた。次に該酸溶液を500mgの(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(実施例1)に加えた。40℃に熱し、次に20℃に冷却した後、反応にトルエンからの小スケール蒸発実験により得られた(50mg)実施例1の安息香酸塩結晶を播種した。次に反応を3日間温度サイクルに供した。形成された固体を分離し、45℃で一晩乾燥させ、表題化合物を結晶形として得た(374mg)。DSCによる融解開始、131℃。
【0268】
実施例10
[(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミドクエン酸塩]
HPLCバイアル中に、25mgの(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド(実施例1)、続いて7.6mg(1当量)のクエン酸を分配した。次に250μLのトルエンを固体の上に分注し、反応を500rpmで撹拌しながら温度サイクル(0〜40℃)へと設定した。2.5日後、固体を周囲温度にて濾過して分離した。DSCによる融解開始は90℃であり、それに分解が続く。
【0269】
実施例11
(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミドビス−塩酸塩
【0270】
【化60】

0℃に冷却した、無水ジエチルエーテル(1000mL)中の(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミド溶液(実施例1、107.45g,172mmol)に、塩酸(1M、Et2O中)(353mL,353mmol)を30分間に滴下して加えた。懸濁液を0℃で30分間、次に室温で1時間撹拌した。
揮発物を真空下で蒸発させた。表題化合物を白色の固体として得た(118.7g,収率99%)。
HPLC:Rt=5.168分。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.43 (br. s., 1 H), 9.10 (br. s., 1 H), 8.52 (s, 1 H), 7.99 - 8.15 (m, 2 H), 7.84 (s, 1 H), 7.64 - 7.89 (m, 2 H), 7.54 (s, 1 H), 6.96 - 7.29 (m, 3 H), 4.87 - 5.09 (m, 1 H), 2.50 (s, 3 H), 2.35 (br. s., 3 H), 2.01 - 2.43 (m, 4 H), 1.72 (s, 3 H), 1.42 (br. s., 6 H)。
【0271】
生物学的データ
本発明の化合物は以下のアッセイに従い、in vitro生物活性を試験されてよい。
【0272】
NK結合親和性の測定
本発明の化合物のNK1結合親和性は、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞に安定的に発現するヒトNK1受容体に対する放射性リガンドとして[H]−GR205171を用いる、以下の濾過結合アッセイを用いて決定した(C. Griffante et al, Br. J. Pharmacol. 2006, 148, 39-45; H. M. Sarau et al, J. Pharmacol. Experimental Therapeutics 2000, 295(1), 373-381 and D.T. Beattie et al., Br. J. Pharmacol. 1995, 116, 3149-3157を参照)。
【0273】
ヒトのクローン化されたニューロキニンNK1受容体を安定的に発現するCHO細胞は、10%ウシ胎仔血清および2mM L−グルタミンを補充したダルベッコ変法イーグル培地/F12ハム(DMEM/F12ハム)中で培養した。細胞は37℃の加湿されたインキュベーター内で5%COにて維持された。コンフルエントに達した細胞をPBS/EDTA(5mM)により回収し、その後遠心分離(1000g、8分、4℃)によりペレットにした。膜を調製するため、細胞ペレットを10倍量の膜調製緩衝液で均一化し、遠心分離した(48,000g、20分、4℃)。その後膜を500μLの一定分量として再懸濁し、使用まで−80℃にて保管した。
【0274】
結合アッセイは96ウェル深底ポリプロピレンプレート(Whatman)内で、100μlのインキュベーション緩衝液(50mM HEPES,pH7.4、3mM MnCl、および0.02%BSAを含む)、4μlのDMSO(総結合)またはDMSOに溶解した増加する濃度(最終濃度1pM〜1μM)の本発明の化合物、100μlのインキュベーション緩衝液中の放射性リガンド[H]−GR205171(最終濃度0.2nM)、および200μlのインキュベーション緩衝液中のヒトNK1−CHO細胞膜懸濁液(最終濃度4μg/ml)からなる400μlの量で行った。非特異的結合は、1μMの未標識GR205171の添加により決定した。インキュベーションは室温で60分間進行させた。セルハーベスター(Perkin-Elmer)を用い、0.5%ポリエチレンイミン(PEI)に予め浸漬したGF/Cフィルタープレートを通した迅速な濾過と、それに続く1ml氷冷0.9%NaClによる3回の洗浄によって反応を停止させた。フィルタープレートを乾燥させ、保持された放射活性をTop Count(Perkin-Elmer)によってカウントした。
特異的結合は、1μM GR205171存在下での結合として判断された非特異的結合から、総結合を差し引くことにより決定された。特異的結合のパーセント阻害は、本発明の化合物の各濃度、および特異的結合を50%阻害するために必要とされる濃度として定義され、濃度反応曲線から得られるIC50に対して決定された。
親和性の値は阻害定数(pKi,)の負の対数として表され、放射リガンドの解離定数(K)およびそのアッセイにおける濃度を用いるCheng-Prusoff方程式により、IC50から算出された。
【0275】
実施例11の化合物は5回の独立した実験により試験され、平均の親和性値はpKi=9.88±0.07であった。
【0276】
NKの機能的効力の測定
NK受容体とその予想されるリガンドとの相互作用により誘導される細胞内カルシウム放出の阻害に対する本発明の化合物の効果を決定するために、FLIPR技術を用いる機能的アッセイにより本発明の化合物をさらに特徴付けた。ヒトNK1、NK2、およびNK3受容体を発現する組み換えBacMamウィルスにより一過性に形質転換されたヒトU2OS細胞を研究に使用した(J. P. Condreay et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1999, 96(1): 127-132を参照)。簡単に述べると、U2OS細胞を組織培養フラスコから回収し、細胞濃度200〜300K/mlに再懸濁して、NKR遺伝子を保有するBacMamウィルスと1%(v/v)のウィルス/細胞比において混合した。次に10〜15K細胞/ウェルを、384ウェルGreiner bio-oneプレート内の培地(10%FBSを含むDMEM)中にまき、37℃、5%COで一晩インキュベートした。培地を吸引した後、18〜24時間後に、30μL/ウェル緩衝液(20mM HEPESを含むハンクス液)中の細胞質カルシウム指示薬Fluo−4カルシウム3色素(Molecular Devices Co.)を細胞に負荷し、CO中で37℃60分間インキュベートした。次に、様々な濃度の化合物を含む10μL/ウェルアッセイ緩衝液(20mM HEPESを含むハンクス液)を細胞に加え、37℃で30分間インキュベートした。最後に、0.1%BSAを含むアッセイ緩衝液中のNKRリガンド10μL/ウェルを細胞に加え、蛍光シグナルをFLIPRシステムで読み取った。サブスタンスP、NKA、およびNKBペプチドを、それぞれNK1、NK2、およびNK3受容体のリガンドとして使用した。各化合物のIC50値を、11点の3x希釈阻害曲線により決定した。各アンタゴニストの効力(fpK)を、別の実験により決定されたリガンドのEC50を用いるCheng-Prusoff方程式により、pIC50から算出した。
【0277】
実施例11、実施例2、4、および6の化合物はNKの機能的効力アッセイにおいて試験された。少なくとも2回の測定の平均として得られた対応するPki値を以下の表2に示す。
【0278】
【表2】

【0279】
本発明の化合物の中枢神経系透過およびNK受容体結合能力は、Rupniak & Williams, Eur. Jour. of Pharmacol., 1994により記載されるスナネズミフットタッピングモデルを用いて決定されてよい。
【0280】
NK受容体アゴニストGR73632(R.M. Hagan et al., Neuropeptides 1991, 19 (2), 127-135)の脳室内(icv)投与によってスナネズミに特徴的な後肢のフットタッピング(GFT)が誘導され、これは強力なNK受容体アンタゴニストにより阻害できる。スナネズミフットタッピングの典型は以下のように実行される;スナネズミに本発明の化合物を服用させ、続く適当な前処置時間に酸素/イソフルラン混合物を用いて麻酔した。次に頭蓋を露出し、5μLのGR73632(3pmol濃度)を、カフ付きの25G針を用いてブレグマ下4mmの深さに挿入することにより、側脳室に直接注射した(脳室内投薬)。スナネズミを注射後直ちに個別の透明な観察箱内に置き、回復させた。スナネズミが正向反射を取り戻すに従い、反復性の後肢タッピングの持続時間を5分周期にわたり記録した。NK1アゴニストにより誘導されるタッピングの50%を阻害するために必要とされる試験化合物の用量はmg/kgで表され、これはID50値と呼ばれる。
GR73632により誘導されるフットタッピング行動は、0.3、1.0、および3.0mg/kg p.o.の実施例11によって有意に減弱され(P<0.01)、算出されたID50は約0.2mg/kg(ID50、約5ng/ml血漿)であった。
【0281】
本発明の化合物はまた、有効な前臨床試験、例えばマーモセットヒト脅威試験(marmoset human threat test)(Costall et al., 1988)において抗不安活性を示すことも見出された。
【0282】
この研究では、研究室内で繁殖させた、2歳齢を超える、体重300〜500gの雄および雌のコモンマーモセットを使用した。動物は、25±1℃、60%の湿度、および12時間の明/暗サイクル(0600に点灯し、夜明けおよび夕暮れを30分シミュレートする)を維持する飼育室において、つがいで飼育された。試験は、ホームケージに置かれた動物について行われた。
【0283】
試験1時間前に、動物をビヒクル(0.5%HPMC)または試験化合物(1ml/kg)で経口処置した。少なくとも3日間の休薬期間の後に処置の再割り当てを行い、全ての動物が全ての処置を受けた時点で研究は完了した。この研究では、ヒトによる脅威への反応による特異的な行動的姿勢の回数およびジャンプの回数が分析された。試験中に記録された姿勢はCostall et al (1988)に記載され、ケージの後ろからケージの前へのジャンプの回数により、鎮静または自発運動刺激の可能性を評価するための自発運動活性の指標が提供された。
【0284】
上記の手順に従って実施例11を0.1、0.3、または1mg/kgにおいて投与すると、該化合物は動物が実行する姿勢の回数を用量依存的に減少させ、これは0.3および1mg/kgにおいて統計学的有意に達した(*P<0.01)。結果を表3に報告する。この効果は動物が実行するジャンプの回数の減少を伴わないことから、該化合物の抗不安効果であると解釈される。
【0285】
【表3】

【0286】
マーモセットヒト脅威試験(marmoset human threat test)における実施例11の結果を表3に示す。結果は、姿勢の回数の平均±SEM(n=7)およびジャンプの回数の平均±SEM(n=4)により表される。データは化合物の各用量とビヒクル処置とを比較し、Statisticaソフトウェア(バージョン8.0)を用いて一方向性の分散分析(ANOVA)、続いてダネット検定に供された。ビヒクルに対する統計学的に有意な相違を*P<0.01で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、RはC1−4アルキルを表す)
で表される化合物、またはそれらの薬学上許容される塩。
【請求項2】
Rが、メチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式:
【化2】

で表される、式(I)で表される化合物、またはそれらの薬学上許容される塩。
【請求項4】
(5R)−5−[5−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−ピリジニル]−2−メチル−D−プロリンアミドである化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物またはそれらの薬学上許容される塩と薬学上許容される担体または賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項6】
治療法における使用のための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
NK1受容体への拮抗作用が有益である状態の治療における使用のための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
うつ病、不安症、睡眠障害、または嘔吐の治療における使用のための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
NK1受容体への拮抗作用が有益である状態を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項10】
うつ病、不安症、睡眠障害、または嘔吐を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項11】
ヒトを含む哺乳類におけるNK1受容体への拮抗作用が有益である状態の治療または予防の方法であって、治療的に有効な量の式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩を患者へ投与することを含んでなる方法。
【請求項12】
ヒトを含む哺乳類におけるうつ病、不安症、睡眠障害、または嘔吐の治療または予防の方法であって、治療的に有効な量の式(I)で表される化合物またはその薬学上許容される塩を患者へ投与することを含んでなる方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−520834(P2011−520834A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508893(P2011−508893)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055700
【国際公開番号】WO2009/138393
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(510289308)グラクソ、ウェルカム、マニュファクチャリング、プロプライエタリー、リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO WELLCOME MANUFACTURING PTE LTD
【Fターム(参考)】