説明

O−デスメチルベンラファキシンの単離されたヒドロキシおよびN−オキシド代謝産物および誘導体および治療方法

本発明は、ヒドロキシ−DV代謝産物、ヒドロキシ−DV−グルクロニド代謝産物、N−オキシド−DV代謝産物、およびベンジル−ヒドロキシ−DV代謝産物を含む、デスメチルベンラファキシンの代謝産物または誘導体として特徴付けられる新規な単離された化合物を提供する。本発明は、本発明のいずれかの代謝産物または誘導体と、医薬上許容される担体または賦形剤とを組み合わせて含む、医薬組成物を包含する。本発明はまた、哺乳動物における少なくとも1種の中枢神経系障害を治療する方法であって、その必要とする哺乳動物に、有効量の本発明の化合物を提供することを含む、方法を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出典明示によりその全内容を本願明細書の一部とする、2006年10月25日付出願の米国仮出願番号第60/854063号について優先権を主張するものである。
本発明はDV(O−デスメチルベンラファキシン)の代謝産物または誘導体により特徴付けられる単離された化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
化学名が1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−メトキシフェニル)エチル]シクロヘキサノールであるベンラファキシンは、モノアミン神経伝達物質の取り込み、すなわち、臨床的な抗うつ活性に付随する作用機序での強力な阻害剤であることが解っている。その新規な構造から、ベンラファキシンは入手可能な他の抗うつ薬、例えば三環式抗うつ薬、デシプラミン、ノストリプチリン、プロトリプチリン、イミプラミン、アミトリプチリン、トリミプラミンおよびドキセピンとは関係のない作用機序を有する。
【0003】
ベンラファキシンの作用機序は、モノアミン神経伝達物質である、セロトニンおよびノルエピネフリンの取り込みを強力に阻害することと関連付けられると、考えられる。それほどではないとしても、ベンラファキシンはまた、ドパミン取り込みを阻害するも、モノアミンオキシダーゼに対する阻害活性を有しない。ヒトにおけるベンラファキシンの主たる代謝産物であるO−デスメチルベンラファキシンは同じような薬理特性を示す。ベンラファキシンのノルエピネフリンおよびセロトニン(5−HT)取り込みの阻害能は、三環式抗うつ薬の阻害能に匹敵あるいは凌ぐと予測されている。Montgomery, S.A.、Venlafaxine:A New Dimension in Antidepressant Pharmacotherapy、J. Clin. Psychiatry, 54(3):119 (1993)。
【0004】
伝統的な三環式抗うつ薬とは反対に、ベンラファキシンは、インビトロにてムスカリン性、ヒスタミン作動性またはアドレナリン作動性受容体に対する親和性を実質的に有しない。これら受容体との薬理活性は、三環式抗うつ薬に認められる種々の抗コリン作動性、鎮痛性および心血管性作用と関連付けられる。
【0005】
ベンラファキシンは米国特許第4535186号(Husbandsら)に開示されており、以前に抗うつ薬として有用であると報告されている。
【0006】
化学的に1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−フェノール)エチル]シクロヘキサノールと称されるO−デスメチルベンラファキシン(「DV」)はベンラファキシンの主な代謝産物であり、ノルエピネフリンおよびセロトニンの取り込みを阻害することが知られている。Klamerus, K. J.ら、“Introduction of the Composite Parameter to the Pharmacokinetics of Venlafaxine and its Active O−Desmethyl Metabolite”、J. Clin. Pharmacol. 32:716−724(1992)。独特な特性を有するO−デスメチルベンラファキシンの特に有用な新規な塩の形態、すなわちO−デスメチルベンラファキシンコハク酸塩(「DVS」)が米国特許第6673838号に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4535186号
【特許文献2】米国特許第6673838号
【非特許文献】
【0008】
Montgomery, S.A.、Venlafaxine:A New Dimension in Antidepressant Pharmacotherapy、J. Clin. Psychiatry, 54(3):119 (1993)
【非特許文献1】Klamerus, K. J.ら、“Introduction of the Composite Parameter to the Pharmacokinetics of Venlafaxine and its Active O−Desmethyl Metabolite”、J. Clin. Pharmacol. 32:716−724(1992)
【非特許文献2】Howell, S.R.ら、“Metabolic Disposition of 14C−Venlafaxine in Mouse, Rat, Dog, Rhesus Monkey and Man,” Xenobiotica 23(4):349359(1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来は、その遊離塩基であるか、塩であるかのいずれかの形態である、ベンラファキシンより形成される代謝産物の限定された理解だけが存在した。したがって、ベンラファキシンの代謝産物について、ある程度の情報が知られていたが(Howell, S.R.ら、“Metabolic Disposition of 14C−Venlafaxine in Mouse, Rat, Dog, Rhesus Monkey and Man,” Xenobiotica 23(4):349359(1993)を参照のこと)、従来技術では代謝性生成物すべての完全な理解を欠いており、したがってその活性の完全な理解を欠くものであった。本発明者らは、この度、生成される代謝産物およびその最終用途をさらに詳細に理解したものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、DVの代謝産物または誘導体として特徴付けられる新規な単離された化合物、その対応する医薬組成物および治療方法を提供する。
【0011】
具体的には、本発明は、式:
【化1】

[式中:
ヒドロキシ基は、点線の四角で示されるように、シクロヘキシル環の2−位(オルト位)または3−位(メタ位)に結合している]
で示される、単離されたヒドロキシ−DV代謝産物または誘導体、あるいはその医薬上許容される塩を包含する。一の実施形態において、その単離されたDV代謝産物は2−ヒドロキシ−DV代謝産物である。もう一つ別の実施形態において、単離されたDV代謝産物は3−ヒドロキシ−DV代謝産物である。
【0012】
本発明はまた、式:
【化2】

[式中:
ヒドロキシ基は、点線の四角で示されるように、シクロヘキシル環の2−位(オルト)、3−位(メタ)または4−位(パラ)に結合している]
で示される、単離されたヒドロキシ−DVグルクロニド代謝産物または誘導体、あるいはその医薬上許容される塩を包含する。一の実施形態において、その単離されたDV代謝産物は2−ヒドロキシ−DVグルクロニド代謝産物である。もう一つ別の実施形態において、単離されたDV代謝産物は3−ヒドロキシ−DVグルクロニド代謝産物である。第三の実施形態において、単離されたDV代謝産物は4−ヒドロキシ−DVグルクロニド代謝産物である。
【0013】
本発明はさらには、式:
【化3】

で示される、単離されたN−オキシドDV代謝産物または誘導体、あるいはその医薬上許容される塩を包含する。
【0014】
本発明はさらには、式:
【化4】

[式中、ヒドロキシ基は、ベンジルの2−位または3−位に結合している]
で示される、単離されたベンジルヒドロキシ−DV代謝産物または誘導体、あるいはその医薬上許容される塩を包含する。一の実施形態において、その単離されたDV代謝産物は2−ベンジルヒドロキシ−DVである。もう一つ別の実施形態において、単離されたDV代謝産物は3−ベンジルヒドロキシ−DVである。
【0015】
同様に、本発明は、本発明の代謝産物または誘導体のいずれかと、医薬上許容される担体または賦形剤とを組み合わせて含む、医薬組成物を包含する。本発明は、哺乳動物における少なくとも1種の中枢神経系障害を治療する方法であって、その必要とする哺乳動物に有効量の本発明の化合物を提供することを含む方法を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】DVSの代謝産物として特徴付けられる新規な単離された化合物を示す。図1(A)は独特なヒドロキシル−DV化合物を示す。シクロヘキサノール環上のOH基は点線の四角内に示されるいずれの位置にあってもよい。図1(B)は独特なヒドロキシル−DVグルクロニドを示す。シクロヘキサノール環上のOH基は点線の四角内に示されるいずれの位置にあってもよい。図1(C)はN−オキシドDV化合物を示す。図1(D)はベンジルヒドロキシ−DV化合物を示す。ベンジル環上のOH基は点線の四角内に示されるいずれの位置にあってもよい。
【図2】2−ヒドロキシDV化合物の合成方法を示す。
【図3】2−ヒドロキシ−DVグルクロニドの合成方法を提供する。
【図4】N−オキシドDV化合物の合成方法を示す。
【図5】ベンジルヒドロキシ−DVの合成方法を示す。
【図6】DVSをラットに単回経口投与(20mg/kg)した後の代表的なラジオクロマトグラムを提供する。図6(A)は投与から1時間経過後の雄の血漿を示す。図6(B)は投与から0−8時間経過後に採集した雄の尿を示す。図6(C)は投与から0−8時間経過後に採集した雄の糞便を示す。
【図7】m/z264のDVSについての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを示す。
【図8】ラットにおけるm/z280のM6についての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを示す。明細書および図面を通して、数字の前にある文字「M」は本明細書に記載される代謝産物をいう。
【図9】ラットにおけるm/z440のM7についての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを示す。
【図10】ラットにおけるm/z250のM10についての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを示す。
【図11】[m+h](m/z250)の合成N,O−ジデスメチルベンラファキシンについての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを示す。
【図12】ラットにおけるm/z426のM13についての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを提供する。
【図13】ラットにおけるm/z280のN−オキシドDVについての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを提供する。
【図14】DVSをイヌに単回経口投与(30mg/kg)した後の代表的なラジオクロマトグラム代謝産物プロファイル、(a)投与1時間後の血漿、(b)投与8−24時間後に採集した尿、および(c)投与0−24時間後に採集した糞便を示す。
【図15】イヌにおけるm/z280のM6についての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを提供する。
【図16】イヌにおけるm/z440のM7についての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを示す。
【図17】イヌにおけるm/z280のM9についての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを示す。
【図18】イヌにおけるm/z250のM10についての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを提供する。
【図19】イヌにおけるm/z456のM12についての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを示す。
【図20】イヌにおけるm/z426のM13についての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを示す。
【図21】m/z236のM14についての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを提供する。
【図22】[m+h](m/z236)の合成N,N,O−トリデスメチルベンラファキシンについての分解スキーム案およびその生成物を示す。
【図23】イヌにおけるm/z280のN−オキシドDVについての分解スキーム案およびその生成物のイオンスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
I.本発明の化合物
A.単離されているDV代謝産物または誘導体
【0018】
本発明は、有益な特性があると期待される、DVの新たに同定された代謝産物および誘導体に関する。該化合物のいくつかは天然の代謝産物(体内にて、またはそのための実験モデルにて、酵素反応により、あるいは他の反応により産生されるもの)であるが、他は実質的に同様の活性を示すと考えられる関連する構造物(誘導体)である。図1はこれら化合物の構造を示す。
【0019】
図1(A)に示されるように、(2または3)−ヒドロキシ−DV化合物は、ヒドロキシル基がシクロヘキシル環の2−位または3−位の炭素の一つと結合したヒドロキシル化DV誘導体である。2−および3−位の炭素は図1(A)の点線の四角内の炭素である。2−および3−位の炭素で可能性として合計8個の結合部位があるが、対称であるため、環の2−位と2−位の炭素の組で4種の異なる化合物が生じる。したがって、ヒドロキシ基は2−位の炭素の2つの位置のいずれか、あるいは3−位の炭素のいずれかの位置に結合しうる。
【0020】
シクロヘキシル環の2−、3−または4−位のいずれかがヒドロキシル化されているDV代謝産物をグルクロニド化操作に付し、図1(B)に示されるシクロヘキシルヒドロキシ−DVグルクロニドを形成してもよい。このヒドロキシ基は点線の四角内のいずれの炭素に結合してもよい。
【0021】
図1(C)はN−オキシドDV、すなわちジメチルアミン基の窒素に酸素が付いたDVS誘導体を示す。
【0022】
図1(D)はベンジルヒドロキシDV、すなわちベンジル環の2−位または3−位のいずれかの炭素にヒドロキシ基が結合したDVS代謝産物または誘導体を示す。
【0023】
本願は各化合物の構造、DVの代謝性生成物としての化合物に対する情報、単離および/または合成、ならびに各化合物について考えられる活性を示す図面を提供する。
1.インビボにおけるラット実験より特徴付けられる化合物
【0024】
DVSの代謝作用を、ラットにて、20mg/kg(遊離塩基の量で計算)のものを単回経口投与して調査した。DVSは広くかつ迅速にラットにて主にO−デスメチルベンラファキシンO−グルクロニド(DVグルクロニド)に代謝された。DVグルクロニドは分析したすべての血漿および尿のサンプルにて優勢的な薬物関連の化合物であった。
【0025】
M1−M6の6種の異なるヒドロキシ代謝産物をLC/MSで検出し、あるサンプルはラジオクロマトグラフィーで検出した。これらの代謝産物において、ヒドロキシル基はシクロヘキサノール環の2−、3−および4−位に結合し、6個の異なる化合物、M1−M6を生成する。これらのヒドロキシDV代謝産物のグルクロニドはラットにて観察されなかった。N−オキシドDVがLC/MSを介してラットの血漿、尿および糞便中で観察された。さらなる代謝産物も観察された。

2.インビボのイヌ実験より特徴付けられる化合物
【0026】
DVSのビーグル犬での代謝を、30mg/kg(遊離塩基)を単回経口投与することで測定した。DVSは広くかつ迅速にイヌにて代謝された。DVグルクロニドは尿および血漿サンプルをラジオクロマトグラフィーに付して検出された最も豊富な代謝産物であった。
【0027】
化合物M1−M6をLC/MSを介して血漿、尿および糞便にて観察した。化合物M11およびM12を(ラジオクロマトグラフィーおよびLC/MSを介して)尿にて観察した。N−オキシドDVを(LC/MSを介して)血漿にて、(LC/MSを介して)尿にて、(ラジオクロマトグラフィーおよびLC/MSを介して)糞便にて観察した。さらなる代謝産物も観察した。
【0028】
要約すれば、DVSはイヌにおいて迅速かつ広範に多くの代謝産物に代謝された。検出された最も豊富な代謝産物がDVO−グルクロニドであった。最新の研究で観察された代謝産物は、経口投与した後のラットの血漿、尿、および糞便にて観察されたものと類似するものであり、ビーグル犬ではより多くの代謝産物が観察されている。
B.活性
【0029】
本発明の化合物は代謝産物またはDSVの誘導体として検出され、ベンラファキシンおよびDVSの活性と同様の型の活性を示すと考えられている。ヒドロキシ−DVグルクロニドは、グルクロニドが活性の前にインビボにて切断される、プロドラッグとして作用すると考えられている。グルクロニドの切断は、胃腸管にて特に活性であり得るβ−グルクロニダーゼの作用を介するか、あるいは胃中の条件などの酸性条件下で起こりうる。ヒドロキシル−DVおよびN−オキシドDV化合物はその現行の形態で活性であると考えられている。本発明の化合物は、当該分野にて周知である、受容体アッセイ結合試験ならびにインビボ代謝および効能試験を用いて特異的生物活性について試験してもよい。実施例5を参照のこと。
C.合成
1.遊離塩基化合物の合成
【0030】
本発明の化合物は、有機合成の分野にて公知の合成方法と一緒に、または当業者がこれらの方法を変形しながら、以下に記載の方法を用いて調製することができる。一般に、Comprehensive Organic Synthesis, “Selectivity, Strategy & Efficiency in Modern Organic Chemistry”, I. Fleming, Pergamon Press, New York編(1991);Comprehensive Organic Chemistry, “The Synthesis and Reactions of Organic Compounds”, J.F. Stoddard, Pergamon Press, New York編(1979)を参照のこと。適当な方法として、限定されるものではないが、後記する方法が挙げられる。
【0031】
図2は本発明の2−ヒドロキシDV化合物を合成する一の方法を提供する。この合成の第一の工程にて、4−(ジメチルカルバモイルメチル)フェノールをベンジル基で保護する。臭化ベンジル保護基は、その最終工程の間に除去するのが容易であるから、本発明の化合物の合成方法に用いるのに最適である。しかしながら、他の保護基を用いることもできる。
【0032】
第二の工程にて、リチウムジイソプロピルアミドを試薬として用いて、保護された2−ヒドロキシシクロヘキサノン(そのヒドロキシで保護されている)の酸性溶液を適宜添加する。適当な保護基は当該分野にて知られており、ベンジル−、トリメチルシリル−、またはtert−ブチル−ジメチルシリル基が挙げられる。
【0033】
第三の工程にて、水素化アルミニウムリチウムを用いてケトンを除去する。別法として、ホウ水素化ナトリウムを用いてケトンを除去してもよい。最終工程は保護基の除去を示す。適宜保護された3−置換シクロヘキサノンを用い、同様の方法を使用して3−ヒドロキシDV化合物を合成することができる。加えて、この方法を利用し、適宜保護された4−置換シクロヘキサノンを用いて、4−ヒドロキシDV化合物を調製しうる。
【0034】
図3はヒドロキシDVグルクロニドを合成する一の方法を提供する。この方法では、図示されるように、適当なヒドロキシ−DV化合物をグルクロニドのトリクロロイミダートとカップリングさせる。
【0035】
図4はN−オキシドDV化合物を合成する一の方法を提供する。この方法では、O−デスメチルベンラファキシンを3−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)で酸化することでN−オキシドDVが調製される。
【0036】
ベンジルヒドロキシDV化合物は、Yardley, JPら、「2-phenyl-2-(hydroxycycloalkyl)ethylamine Derivatives:Synthesis and Antidepressant Activity」、Journal of Medicinal Chemistry、33(10):2899−905(1990)に記載の操作に従って調製され得る。当業者は合成スキームをYardleyにて記載されている他の構造物の調製に適合させ、2−ベンジルヒドロキシDV化合物および3−ヒドロキシDV化合物が望ましいとする本発明の知見を考慮して、その両方の化合物を合成することもできる。例えば、(3,4−ビス−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸で出発し、図5に示されるように、3−置換ベンジルヒドロキシDVを調製し得る。もう一つ別の例として、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸を用い、2−置換ベンジルヒドロキシDV化合物を調製し得る。別法として、Yardleyの操作に従って、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−フェニル)−アセトニトリルおよび(3,4−ビス−ベンジルオキシ−フェニル)−アセトニトリルを用い、対応する2−および3−置換ベンジルヒドロキシDV化合物を調製することができる。
2.塩の合成
【0037】
本発明の化合物はその遊離塩基および塩の形態の両方で有用性を有する。本発明の塩基性化合物の医薬上許容される酸付加塩は、遊離塩基を、非毒性の塩を形成する当量の酸と反応させることにより一般に形成される。具体的な酸は無機または有機のいずれかの酸であり、塩酸、臭化水素酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、硫酸、リン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、エタンスルホン酸、グルコン酸、グルタミン酸、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パーモ酸、パントテン酸、p−トルエンスルホン酸およびその同様の酸を包含する。非経口投与の場合には水溶性の塩が用いられるが、遊離塩基または医薬上許容される塩のいずれも、本発明の化合物の経口または非経口投与に適用可能である。
3.立体化学
【0038】
本発明の化合物はエナンチオマーとして存在し、特記しない限り、本発明はラセミ混合物ならびに本発明の化合物の立体化学的に純粋な形態(R−エナンチオマーおよびS−エナンチオマーの両方の形態)を包含する。
D.単離
【0039】
また、本発明の化合物は、該化合物を含有する血漿、尿または糞便から、あるいは該化合物を含有するインビトロシステムより、当該分野にて公知の方法を用いて単離することもできる。具体的には、個々の代謝産物の分離に導く条件下で、例えば、2種の移動相AおよびBの直線的勾配を利用し、ここで実施例1−2に記載されるように、移動相Aは10mM酢酸アンモニウム、pH5.5であり、移動相Bはアセトニトリルであり、分離をもたらす流速で利用する、分取用HPLC(prep-HPLC)を用いて単離され得る。
【0040】
かかる単離された化合物は、純粋な形態であっても、あるいは実質的に純粋な形態であってもよく、天然の環境から分離されていることを意味する。実質的に純粋な化合物としては、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、75%、70%、65%の純度を有することが挙げられる。
E.医薬剤形
【0041】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は、本発明の付加的な態様を提供する。活性成分は、錠剤、カプセル、ならびに種々の着色剤、フレーバ、安定化剤および風味マスキング物質を含有するエリキシルおよび懸濁液などの液体製剤を含む、通常のいずれの経口用剤形に組み合わせることもできる。経口用剤形を構成する場合、活性成分を、澱粉、炭酸カルシウム、ラクトース、シュークロースまたはリン酸二カルシウムと混合し、打錠またはカプセル化工程を助成することができる。添加剤としてのステアリン酸マグネシウムは、必要ならば、有用な滑剤機能を提供する。活性成分は医薬上許容される滅菌液体担体、例えば滅菌水、滅菌有機溶媒あるいは両者の混合液に溶解または懸濁させることができる。液体担体は非経口用注射に適する担体である。活性成分が充分に可溶性である場合、担体としての生理食塩水に溶かすことができ;仮にあまりに溶けない場合、時に、適当な有機溶媒、例えば水性プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール溶液に溶かすこともできる。一般に、10ないし75重量%のグリコールを含有する水性プロピレングリコールが適している。他の例として、細分割した活性成分を水性澱粉またはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液に、あるいは適当な油、例えばアラキス油に分散させることにより他の組成物を製造することができる。滅菌溶液または懸濁液である液体医薬組成物は、筋肉内、腹腔内または皮下注射により利用することができる。
【0042】
本発明の化合物を、慣用的な製薬技法に従って、医薬担体または賦形剤(例えば、医薬上許容される担体または賦形剤)と組み合わせ、医薬組成物または剤形を形成することができる。適当な医薬上許容される担体または賦形剤として、限定されるものではないが、Remington’s, The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro, A.R.編、第19版、1995、Mack Pub. Co.)に記載のものが挙げられる。「医薬上許容される」なる語は、動物、例えば哺乳動物(例えば、ヒト)に投与した場合、生理学的に耐容でき、典型的には、アレルギーまたは異常高進、眩暈などの同じような予期せぬ反応を惹起しない添加物または組成物をいう。経口用液体医薬組成物の場合、医薬担体または賦形剤は、限定されるものではないが、水、グリコール、油、アルコール、矯味矯臭剤、保存剤、着色剤等を包含し得る。経口用固体医薬組成物は、限定されるものではないが、澱粉、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤を包含してもよい。医薬組成物および剤形はまた、ベンラファキシン、O−デスメチルベンラファキシンあるいはその上記した塩を含んでもよい。
【0043】
剤形は、限定されるものではないが、錠剤、トローチ、ロゼンジ、分散液、懸濁液、坐剤、軟膏、湿布、ペースト、散剤、クリーム、液剤、カプセル(カプセル化球体を含む)またはパッチを包含する。剤形はまた、即時放出製剤ならびに放出を制御、持続、拡張または遅延させるのに適する製剤を包含しうる。錠剤および球体は、要すれば、標準的水性または非水性技法により被覆されていてもよい。
【0044】
医薬組成物は、例えば錠剤またはカプセルのように、単位剤形であってもよい。かかる形態において、組成物を適量の活性成分を含有する単位用量に細分割してもよく;単位剤形を包装した組成物、例えば包装散剤またはバイアルもしくはアンプルとすることができる。単位剤形は、カプセル、カシェまたは錠剤そのものとすることができ、あるいはパッケージの中に適当な数の単位剤形を入れることもできる。単位用量の組成物中の活性成分の量は、個々の要求および活性成分の活性に応じて、変更しても、あるいは調整してもよい。
II.治療方法
A.治療され得る疾患
【0045】
本発明の方法は、その必要とする哺乳動物に、有効量の1つ、または複数の本発明の化合物を投与することを含む。
【0046】
本発明の化合物はベンラファキシンおよびO−デスメチルベンラファキシンの活性と同様の型の活性を有すると考えられる。ヒドロキシ−DVグルクロニドは、インビボにてグルクロニド付加物を失い、対応するヒドロキシル−DV化合物を形成する、プロドラッグとして作用し得る。グルクロニドの切断は、胃腸管にて特に活性である、β−グルクロニダーゼの作用を介するか、あるいは胃の中での条件のような酸性条件下で起こりうる。残りの化合物は、その現行の形態で活性であると考えられている。
【0047】
Reviews in Contemporary Pharmacology、第9巻(5)、293−302頁(1998)に記載されるように、O−デスメチル−ベンラファキシンは、表1に示される薬理特性を有する。
【表1】

【0048】
かくして、本発明の化合物、組成物および方法は、限定されるものではないが、うつ病(限定されるものではないが、大うつ病性障害、双極性障害および気分変調を包含する)、線維筋痛、不安、パニック障害、広場恐怖症、心的外傷後ストレス障害、月経前不快気分障害(月経前症候群としても知られている)、注意力欠如障害(過活動と共にまたは無し)、強迫性障害(抜毛癖を含む)、社会不安障害、全般性不安障害、自閉症、統合失調症、肥満、神経性無食欲症、神経性過食症、ジル・デュ・ラ・トゥレット症候群、血管運動フラッシング、コカインおよびアルコール依存症、性機能不全(早漏を含む)、境界型人格障害、慢性疲労症候群、失禁(便失禁、溢流性尿失禁、受動失禁、反射性尿失禁、腹圧性尿失禁、急迫性尿失禁、労作性尿失禁および尿失禁を含む)、疼痛(限定されるものではないが、片頭痛、慢性腰痛、幻肢痛、中心性疼痛、神経因性疼痛、例えば、糖尿病性神経障害およびヘルペス後神経障害を包含する)、シャイ・ドレーガー症候群、レイノー症候群、パーキンソン病、てんかん等を含む、少なくとも1つの中枢神経系障害を患っている、あるいは罹患しやすい患者を治療するのに用いることができる。本発明の化合物および組成物はまた、以前にうつ病であって、今は回復の状態にある患者を継続して治療することを含め、うつ病のぶり返し、再発の防止に、認知障害の治療に、認識促進の誘発に、および/または老年性認知症、アルツハイマー病、記憶障害、健忘症、健忘症候群を患っている患者における気分の高揚に、ならびに喫煙または他のタバコ使用の中断の計画に用いることもできる。加えて、本発明の化合物および組成物はうつ状態およびうつ状態でない女性の視床下部性無月経の治療に用いることもできる。
B.投与および用量
【0049】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物における上記した疾病を治療、予防、阻害または緩和する方法であって、有効量の本発明の化合物をその必要とする哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。有効量は上記した病態の1または複数の徴候を予防、阻害または緩和するのに十分な量である。
【0050】
上記した病態を治療、予防または緩和するのに有効な用量は治療すべき病態の重篤度および投与経路で変化するであろう。用量および投与頻度もまた、個々のヒト患者の年齢、体重、応答および過去の病歴に応じて変化するであろう。一般に、本明細書中に記載される病態について推奨される一日用量の範囲は、本発明の化合物を一日に10mgないし1000mgとするものである。他の適当な用量として、50mgないし800mg/日、75mgないし600mg/日、100mgないし500mg/日、および150mgないし300mg/日、ならびに200mg/日が挙げられる。特定の用量として、上記したすべての端点を包含する。用量は遊離塩基を単位として記載されており、特定の医薬上許容される塩を単位として記載されていない。患者を管理するにおいて、治療は低用量で開始され、必要ならば増加させる。したがって、ヒト以外の患者の用量は当業者により調節されうる。
【0051】
本発明の化合物はまた、ベンラファキシン、O−デスメチルベンラファキシン、DVSまたは他のその医薬上許容される塩と組み合わせて提供されてもよい。本発明の化合物はまた、他の既知の精神学的に活性な化合物、例えば、他の抗うつ剤または抗不安剤、ホルモン治療剤、疼痛用医薬および他の治療剤と一緒に提供されてもよい。
【0052】
有効量の目的の化合物を患者に提供するのにいずれの適当な投与経路も利用しうる。例えば、経口、経粘膜(例えば、経鼻、舌下、口腔、経直腸または経膣)、非経口(例えば、静脈内または筋肉内)、経皮および皮下投与を利用しうる。
【0053】
以下の実施例は例示であり、本発明を限定することを意図とするものではない。
実施例
実施例1. 単回経口投与した後のスプレーグドーリーラットでの[14C]DVSの代謝作用
【0054】
6個のヒドロキシDV化合物およびN−オキシドDV化合物、ならびに他の化合物を、以下のように、雌雄のラットに単回強制経口投与した後に尿、糞便および血漿中の[14C]DVSに対する代謝特性にて検出した。
【0055】
放射性標識の[14C]DVS(バッチ番号CFQ13003、[シクロヘキシル−1−14C]DVS)をAmersham Biosciences(バッキンガムシャ、UK)より購入した。非標識DVS(バッチRB1636;遊離塩基65.2%)をWyeth Research、ローゼス・ポイント、ニューヨーク州より入手した。DVSの平均分子量は381.5であり、O−デスメチルベンラファキシンが69.0重量%を占める。[14C]DVS(バルクドラッグ)の比活性は144μCi/mg(遊離塩基では209μCi/mg)であり、HPLCにより放射性検出法を用いて測定した場合、遊離塩基の放射性純度(radiopurity)は99.3%であった。
【0056】
経口投与用液剤の調製用水をEM Science(ギブスタウン、ニュージャージ州)より入手した。メチルセルロースおよびポリソルベート80を、各々、Sigma Chemical Co.(セントルイス、ミズーリー州)およびMallinckrodt Baker(フィリップスバーグ、ニュージャージ州)から購入した。尿および血漿サンプル、糞便ホモジネート抽出物および投薬液剤アリコート中の放射活性を計数するのに使用する液体シンチレーションカクテルはUltima Gold(登録商標)(Perkin Elmer、ウェルズリー、マサチューセッツ州)であった。
【0057】
Oximate80Robotic Automatic Sampler(Perkin Elmer)を備えたModel 307 Tri Carb Sample Oxidizerを血液および糞便サンプルを燃焼するのに使用した。PermaFluor(登録商標)E液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer)、Carbosorb(登録商標)E(Perkin Elmer)二酸化炭素吸収装置およびHPLC等級水を用いて、該オキシダイザーにてサンプルを燃焼することで発生した放射活性二酸化炭素をトラップした。糞便ホモジネートおよび血液サンプルを燃焼のためコンバスト・コーン(combusto cone)およびカバーパッド(Perkin Elmer)に移した。
【0058】
投与の際に、雄で体重が0.311と0.345kgの間にあり、雌で0.263と0.311kgの間にあるスプレーグドーリーラット(雄12匹、雌6匹)を用いた。動物は自由に食物および水を摂取した。報告を容易にするため、動物を雄ラットで001Mから012Mの番号を付し、雌ラットで001Fから006Fの番号を付した。尿および糞便を採集するのに、最終時点で、性別に、3匹の動物を個々に代謝ケージに収容した。他の動物は、個々に、標準ケージに収容した。
【0059】
経口投薬液剤を86.4mLの3.0mg/mL(2.0mg/mL、遊離塩基)の非標識DVS溶液を3.6mLの4.3mg/mL(3.0mg/mL、遊離塩基)の[14C]DVS溶液と組み合わせることで調製した。液剤を水中0.25%ポリソルベート80、0.5%メチルセルロースで調製した。[14C]DVS(バルクドラッグおよび投薬液剤)の放射性化学純度、比活性および濃度を放射性検出装置を備えたHPLCを用いて測定した。投薬液剤のアリコートを、投薬液剤の比活性および放射活性濃度を測定するために投薬前、投薬中および投薬後に採取した。
【0060】
各動物の標的用量は、強制経口投与を介して、30mg/kg(遊離塩基;3.0mg/mL、10mL/kg、250μCi/kg)[14C]O−デスメチルベンラファキシンであった。
【0061】
全血(約5mL)を、心穿刺により、適当な時点(雄ラットで1、4、8および24時間、雌ラットで1および8時間、各時点で性別毎にN=3)でヘパリン処理した試験管に採集した。全血の3部構成のアリコート(200μL)をコンバスト・コーンに入れ、秤量し、風乾させた。これらのサンプルを酸化させた。残りの血液を5000xg、4℃で10分間(Model Legend RT centrifuge, Sorvall)遠心分離に付した。得られた血清を新たな試験管に移し、3部構成のアリコート(100mL)を放射活性含量について分析した。残りの血漿を代謝産物の分析まで−70℃で貯蔵した。
【0062】
尿および糞便を性別で3匹の動物から別々にドライアイス上で採集した。雄ラットで0−8および8−24時間、雌ラットで0−8時間で採集した。糞便サンプルを約5倍容量(v/w)の水で均質化した。約0.4グラムのホモジネートのアリコートをコンバスト・コーンに入れ、秤量し、風乾させた。ついで、これらのサンプルを酸化させた。残りの尿サンプルおよび糞便ホモジネートを代謝産物の分析まで−70℃で貯蔵した。
【0063】
血液サンプルおよび糞便ホモジネートを、捕獲剤としてCarbosorb(登録商標)E(6mL)およびシンチラントとしてPermaFluor(登録商標) E(10mL)を用い、Model 307 Tri Carb sample oxidizerにて酸化した。酸化効率を14C Spec Chec(Perkin Elmer)、既知の放射活性の標体を酸化することで測定し、98.7%であると決定した。各サンプルの読取値から基底読取値(対照血液または糞便サンプルの平均値)を差し引いた。尿および血漿のアリコートを10mLのUltima Gold(登録商標)シンチレーション流体を添加した直後に分析した。
【0064】
すべての放射活性測定を、Tri Carb Model 3100 TR液体シンチレーション計数器(Perkin Elmer)と、Ultima Gold(登録商標)またはトルエン標準曲線とを一緒に用いて行った。1分当たりのカウント(CPM)を、既知の放射活性の外部標体を用いることで1分当たりの崩壊(DPM)に変換した。各標体のクエンチを外部放射活性標体の変換スペクトル指数(tSIE)により測定した。検出下限を基底値の2倍と規定した。
血漿の代謝産物サンプル
【0065】
投薬の1、4および8時間後に採集した血漿サンプルを代謝産物プロファイルについて分析した。0.5mLの血漿のアリコートを等容量のアセトニトリルと混合し、約10分間氷上に置き、ついで3500rpm、4℃でSorvall Super 21遠心分離機を用いて10分間遠心分離に付した。上澄の流体を新たな試験管に移した。上澄を放射活性について分析した。その上澄をTurbo Vap (Zymark、ホピントン、マサチューセッツ州)中、窒素流の下で濃縮し、アセトニトリルを除去した。水性残渣のアリコートをHPLCで分析し、代謝産物をプロファイルした。選択されたサンプルはLC/MSでも分析し、その放射活性ピークを特徴付けた。
【0066】
ラットの血漿中の[14C]DVSの安定性を測定した。[14C]DVS(0.01mg/mL、最終濃度)を対照となるラットの血漿に添加し、37℃に設定した振盪水浴にてインキュベートした。アリコート(0.5mL)を0、1、4、8および24時間で取り出した。サンプルを上記のように抽出し、HPLC分析により放射性純度をアッセイした。
尿の代謝産物サンプル
【0067】
すべての尿サンプルを代謝産物プロファイルについて分析した。0.5mLの尿のアリコートを3500pm、4℃でSorvall Super 21遠心分離機を用いて10分間遠心分離に付した。上澄を新たな試験管に移し、放射活性含量をHPLCで分析してプロファイルした。選択されたサンプルはLC/MSでも分析し、その放射活性ピークを特徴付けた。
【0068】
ラットの尿中の[14C]DVSの安定性を測定した。[14C]DVS(0.13mg/mL、最終濃度)を対照となるラットの尿に添加し、37℃に設定した振盪水浴にてインキュベートした。アリコート(0.5mL)を0、1、4、8および24時間で取り出した。サンプルを上記のように抽出し、HPLC分析により放射性純度をアッセイした。
糞便の代謝産物サンプル
【0069】
投薬後8時間と24時間の間に雄のラットより採集した糞便ホモジネートを代謝産物プロファイルについて分析した。約1グラムの糞便ホモジネートのアリコートを3500rpm、4℃でSorvall Super 21遠心分離機を用いて10分間遠心分離に付した。上澄を新たな試験管に移した。残渣を1mLの水:アセトニトリル(1:1、v:v)に再び懸濁させ、上記したように遠心分離に付した。得られた上澄を最初の上澄と合し、残渣を1mLのアセトニトリルに再び懸濁させた。懸濁液を上記しように遠心分離に付し、上澄を合し、放射活性について分析した。ついで、上澄をTurbo Vapにて窒素流下で濃縮し、アセトニトリルを除去した。水性残渣のアリコートをプロファイルについてHPLCで分析した。選択されたサンプルはLC/MSでも分析し、その放射活性ピークを特徴付けた。
サンプル分析
【0070】
Waters Alliance model 2690 HPLCシステム(Waters Corp.、ミルフォード、マサチューセッツ州)を用いてクロマトグラフィー分析を行った。該装置はビルトイン型自動サンプラーを備えており、225nmでモニター観察するように設定されたModel 248 TunableUV検出装置、および250μL LQTRフローセルを含むFloOneβModel 525放射活性フロー検出装置(Perkin Elmer)とインラインに設置された。Ultima Flow Mシンチレーション流体の流速は1mL/分であり、シンチレーションカクテルは移動相に対して5:1の混合割合を提供した。代謝産物のピークの分離を、2種の移動相、AおよびBの線状勾配を用い、Phenomenex Luna C18(2)カラム、150x2.0mm、5ミクロン(Phenomenex、トランス、カリフォルニア州)で行った。移動相Aは10mM酢酸アンモニウム、pH6.0であり、移動相Bはアセトニトリルであった。流速は0.2mL/分であった。移動相を表2に示すように流した。
【表2】

【0071】
自動サンプラーおよびダイオードアレイUV検出装置を含む、Agilent Model 1100 HPLCシステム(Agilent Technologies、ウィルミントン、デラウェア州)をLC/MS分析に用いた。UV検出装置は200ないし400nmをモニター観察するように設定された。分離を5ミクロンPhenomenex Luna C18(2)カラム、150x2.0mm(Phenomenex)で達成した。カラム温度は25℃であった。移動相および勾配プログラムは以下のとおりであった。
【0072】
代謝産物の特徴化に用いたマススペクトロメータはMicromass Q−TOF−2 四極子飛行時間ハイブリッドマススペクトロメータ(Micromass, Inc., ベバリー、マサチューセッツ州)であった。該マススペクトロメータはエレクトロスプレーイオン化(ESI)インターフェースを備えており、陽イオン化モードにて操作された。該マススペクトロメータのセッティングを表3に列挙する。
【表3】

【0073】
放射活性ピークのデータ収集および解析には、FloOne分析ソフトウェア(version 3.65、Packard BioScience、ボストン、マサチューセッツ州)を利用した。コンピュータプログラムMicrosoft Excel(登録商標)97を用いて平均値および標準偏差を計算した。MassLynxソフトウェア(version 3.5)を用いてLC/MSデータを分析した。
結果
【0074】
放射分析検出装置を備えたHPLCによって測定した[14C]DVS(バルク化合物)の放射化学純度および比活性は、各々、99.3%および209μCi/mg(遊離塩基)であった。投薬溶液中の[14C]O−デスメチルベンラファキシンの濃度、放射純度および比活性は、各々、2.05mg/mL、97.8%および11.7μCi/mgであった。投薬溶液の投与前、中および後のアリコートは同様の濃度および純度を有した。[14C]DVSの平均投与用量は19.9±0.24mg/kg(遊離塩基)であった。この用量は30mg/kg(遊離塩基)の標的用量から逸脱した。というのも、投与製剤の最初の秤量がDVSがO−デスメチルベンラファキシン(遊離塩基)のコハク酸塩であることを考慮しなかったからである。
対照ラットの尿および血漿中の[14C]DVSの安定性
【0075】
14C]DVSは対照ラットの尿および血漿の両方で37℃で24時間まで安定であった。ラット血漿の[14C]DVSの放射純度はいずれの時点でも98.9%よりも大きく、その一方でラット尿では放射純度はいずれの時点でも99.5%よりも大きかった。
血液の血漿への分配
【0076】
血液および血漿中の放射活性の濃度、ならびに血液の血漿への分配を表4に示す。雄と雌のラットの間の血液または血漿にて検出される放射活性の濃度にて有意な違いはなかった。雄ラットの放射活性全体の平均血漿中濃度は、投薬後1、4、8および24時間後で、各々、11.0、1.48、0.89および0.07μg当量/mLであった。雌ラットの場合、放射活性全体の平均血漿中濃度は、投薬後1および8時間後で、各々、9.90および0.92μg当量/mLであった。1、4および8時間の時点で、血液の血漿に対する放射活性の割合は、両方の性で0.59と0.67の間の範囲にあり、24時間の時点で雄ラットでは0.99であった。
【表4】

【0077】
血漿からの放射活性の平均抽出効率は98.7±13.0%であった(データは示さず)。投薬1時間後に雄ラットより採集したラット血漿の代表的なラジオクロマトグラムを図6(A)に示す。投薬後1時間および4時間では、DVグルクロニド(表4にてM7として列挙されている)がラジオクロマトグラフィーで検出される顕著なピークであった。投薬後1時間および4時間、雄ラットで、各々、血漿中放射活性の88.7および93.6%がDVグルクロニドピークと関連付けられた。雌ラットにおいては、DVグルクロニドが投薬後1時間で血漿中放射活性の86.6%を占めた。8時間および24時間のサンプルはラジオクロマトグラフィーにより分析されるのに十分な放射活性を有しなかった。血漿サンプルで唯一の別の主たるラジオクロマトグラフィーのピークが未変換DVSであり、それを検出すると、血漿中放射活性の2.6と10%の間を占めた。いくつかの血漿サンプルで検出された別の従たる代謝産物がとして、シクロヘキサン環でヒドロキシル化された代謝産物が挙げられる(M1−M6、ヒドロキシDV化合物)。M1−M6は、個々に、各時点で血漿中、放射活性の2%未満を占めた。
【0078】
ラジオクロマトグラムでは存在しないさらに従たる代謝産物をラット血漿にて検出し、LC/MSで特徴付けた(表5)。これらの代謝産物はN−オキシドDV、N,O−ジデスメチルベンラファキシン(M10)、N,O−ジデスメチルベンラファキシンO−グルクロニド(M13)を包含する。
【表5】

尿の代謝産物プロファイル
【0079】
尿が主たる排泄経路であり、50%以上の放射活性用量が投薬後の最初の8時間以内の尿サンプルにて回収され、85%が投薬後24時間以内に回収された。尿中で検出された放射活性濃度を、ラジオクロマトグラフィー分析に付した後の放射活性の%分布として、表6に示す。投薬後0−8時間に集めたラット尿の代表的なラジオクロマトグラムを図6(B)に示す。分析したすべてのサンプルにて検出された優勢的な放射活性ピークはDVグルクロニド(M7)であり、それは各時点のすべての尿サンプル中で検出された放射活性ピークの約75%を占めた。未変換[14C]DVSは尿中に検出された放射活性の9ないし20%を占めた。ラジオクロマトグラフィーにより尿中に少量の2種のヒドロキシル−DV化合物が検出された。このうちの一つがこれらの代謝産物の最も豊富なM2を含むものであり、尿中の放射活性の7.5%までを占める。
【表6】

【0080】
ラジオクロマトグラムでは存在しないさらに従たる代謝産物を尿にて検出し、LC/MSで特徴付けた(表5)。これらの代謝産物はM3、M4、M5、M6、N−オキシドDV、N,O−ジデスメチルベンラファキシン(M10)、N,O−ジデスメチルベンラファキシンO−グルクロニド(M13)を包含する。
糞便の代謝産物プロファイル
【0081】
ラジオクロマトグラフィー分析に付す前の8−24時間糞便サンプルからの放射活性の抽出効率は74.9±1.9%であった(データは示さず)。少しの割合の放射活性用量(約10%)だけが投薬の24時間以内に糞便にて排泄された。0.1%未満の放射活性用量が0−8時間の糞便サンプルにて排泄された。個々のラットからの糞便中の回収%およびラジオクロマトグラフィー分析に付した放射活性の分布を図7に示す。投薬後8−24時間で集めたラット糞便の抽出物の代表的なラジオクロマトグラムを図6(C)に示す。ラジオクロマトグラフィーにより検出された最も顕著なピークがN,O−ジデスメチルベンラファキシン(M10)であり、糞便中の放射活性の34%を占めた。糞便中の放射活性の約21%は未変換DVSであった。N−オキシドDVは糞便中の放射活性の7%を占めた。ヒドロキシル化代謝産物M1−M6を合わせると、糞便中の放射活性の約38.6%を占め、個々の代謝産物は糞便中の放射活性の1.7ないし12.2%の範囲にあった。少量のO−デスメチルベンラファキシンO−グルクロニド(M7)がLC/MSによってのみ糞便中で観察された。
【表7】

【0082】
ラット血漿、尿および糞便中のDVSおよびその代謝産物に対するマススペクトルをLC/MSおよびLC/MS/MS分析により得た。ラットのDVS代謝産物の構造的特徴化を表5に要約する。LC/MSデータはDVSのグルクロニド(M7)、N,O−ジデスメチルベンラファキシン(M10)およびヒドロキシル化生成物(M1−M6)への代謝反応を示した。これら代謝産物、DVS、N−オキシドDVおよび従たる代謝産物(M13)のマススペクトルの特徴化を後記する。
DVS
【0083】
DVS標体のマススペクトルの特徴を代謝産物との比較のために分析した。DVSのLC/MSスペクトルにおいて、プロトン化分子イオン、[M+H]はm/z264で観察された。図7は、衝突誘起解離(CID)より得られたDVSのm/z264のマススペクトルの生成物、および分解スキームの提案を示す。分子イオンからHOが喪失すると、m/z246の生成物イオンが得られる。さらにジメチルアミノ基が喪失すると、m/z201の生成物イオンが得られる。シクロヘキサノール基がDVSから喪失することでm/z164の生成物イオンが示された。m/z58の生成物イオンは(CHNCHによるものであった。加えて、m/z107、133、145、159および173の生成物イオンは、各々、DVS分子のメチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシル−フェノール部分に相当する。したがって、これらのイオンを用いてジメチルアミノ、ヒドロキシベンジルおよびシクロヘキサノール基に局在化される代謝作用の部位を検出することができた。
代謝産物M1、M2、M3、M4、M5およびM6(ヒドロキシDV化合物)
【0084】
代謝産物M1ないしM6はm/z280の[M+H]を生成し、それはDVSよりも16Da大きく、ヒドロキシル化またはN−酸化を示唆した。図8はM6についてm/z280スペクトルの生成物を示す。代謝産物M1ないしM6についてのマススペクトルデータは類似していた。分子イオンからのHOの喪失でm/z262の生成物イオンが得られた。代謝産物についてm/z58、107および217の生成物イオンと、DVSについてm/z58、107および201とを対比して、シクロヘキサン環が代謝作用の部位であることが分かる。したがって、代謝産物M1ないしM6は、シクロヘキサン環を酸化部位として有するヒドロキシDVS代謝産物であると提案された。
代謝産物M7(O−デスメチルベンラファキシンO−グルクロニド、DVグルクロニド)
【0085】
この代謝産物の[M+H]はm/z440で観察され、それは分子量が439であることを示した。図9はM7についてm/z440スペクトルの生成物を示す。該分子イオンから176Daを喪失すると、m/z280のイオンが得られ、それはこの分子がグルクロニドであることを示した。m/z246、201、159、145、133、107および58の生成物イオンもまた、DVSで観察された。マススペクトルデータはコンジュゲーションの部位を示さなかった。しかしながら、DVSは同じようにHOを喪失しており、m/z246で[MH−HO]を生成する(図7)。これらのHOの喪失はシクロヘキサノール基より生じた。このことはシクロヘキサノールよりもむしろフェノールがグルクロニド化の部位であることを示すものである。加えて、フェノール基はコンジュゲーションの点からより代謝的に適当な部位であった。したがって、M7はフェノール基をコンジュゲーションの部位として有するDVSのO−グルクロニドであると同定された。
代謝産物M10(N,O−ジデスメチルベンラファキシン)
【0086】
M10についての[M+H]がm/z250で観察された。図10はM10についてm/z250スペクトルの生成物を示す。HOがm/z250の分子イオンから喪失すると、m/z232の生成物が生成された。その後でメチルアミンがm/z232から喪失すると、m/z201の特徴的な生成物が得られた。このこと、およびm/z58の生成物イオンの欠如は、DVSのジメチルアミノ基がN−デメチル化によりメチルアミノ基に変換されたことを示した。M10のm/z250マススペクトルの生成物は、合成N,O−ジデスメチルベンラファキシンのm/z250マススペクトルの生成物と適合した。図11は合成N,O−ジデスメチルベンラファキシンのm/z250マススペクトルの生成物を示す。したがって、M10はN,O−ジデスメチルベンラファキシンであると同定された。
代謝産物M13(N,O−ジデスメチルベンラファキシンO−グルクロニド)
【0087】
この代謝産物の[M+H]をm/z426で観察し、それは分子量が425であることを示した。図12はM13の生成物イオンスペクトルを示す。m/z426から176Daの喪失により、m/z250のイオンが得られる。シクロヘキサノール基からHOが喪失すると、m/z408のベースピークが生じる。m/z408のイオンから176Daの喪失はm/z232のM10の特徴的な生成物をもたらした。その後、m/z232からメチルアミンが喪失し、m/z201の生成物イオンが得られた。従って、M13はグルクロニド化の部位としてのフェノール基を有するN,O−ジデスメチルベンラファキシンO−グルクロニドであると提案された。
N−オキシドDV
【0088】
このDVS関連の成分についての[M+H]をm/z280で観察し、それはヒドロキシル化またはN−酸化を示した。図13はこの関連する化合物のm/z280マススペクトルの生成物を示す。[M+H]イオンから61Daの喪失はm/z219の生成物イオンをもたらした。このことはN−オキシドと一致するジメチルヒドロキシアミンの喪失に相当した。したがって、この代謝産物はDVSのN−オキシドであると同定された。
実施例2 単回経口投与したビーグル犬における[14C]O−デスメチルベンラファキシンの代謝作用
【0089】
(2または3)−ヒドロキシDV化合物、ヒドロキシDVグルクロニド、N−オキシドDV化合物ならびに他の化合物およびベンジルヒドロキシ化合物を、以下のように、雄のビーグル犬に単回強制経口投与した後に尿、糞便および血漿中の[14C]DVSに対する代謝特性にて検出した。
材料および方法
【0090】
放射性標識の[14C]DVS(バッチ番号CFQ13003、[シクロヘキシル−1−14C]DVS)をAmersham Biosciences(バッキンガムシャ、UK)より購入した。非標識DVS(バッチRB1636;遊離塩基65.2%)をWyeth Research、ローゼス・ポイント、ニューヨーク州より入手した。DVSの平均分子量は381.5であり、遊離塩基でのO−デスメチルベンラファキシンが69.0重量%を占める。[14C]DVS(バルクドラッグ)の比活性は144μCi/mg(遊離塩基では209μCi/mg)であり、HPLCにより放射性検出法を用いて測定した場合、遊離塩基の放射性純度は99.3%であった。
【0091】
経口投与用液剤の調製用水をEM Science(ギブスタウン、ニュージャージ州)より入手した。メチルセルロースおよびポリソルベート80を、各々、Sigma Chemical Co.(セントルイス、ミズーリー州)およびMallinckrodt Baker(フィリップスバーグ、ニュージャージ州)から購入した。尿および血漿サンプル、糞便ホモジネート抽出物および投薬液剤アリコート中の放射活性を計数するのに使用する液体シンチレーションカクテルはUltima Gold(登録商標)(Perkin Elmer、ウェルズリー、マサチューセッツ州)であった。
【0092】
Oximate−80Robotic Automatic Sampler(Perkin Elmer)を備えたModel 307 Tri−Carb Sample Oxidizerを血液および糞便サンプルを燃焼するのに使用した。PermaFluor(登録商標)E液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer)、Carbosorb(登録商標)E(Perkin Elmer)二酸化炭素吸収装置およびHPLC等級水を用いて、該オキシダイザーにてサンプルを燃焼することで発生した放射活性二酸化炭素をトラップした。糞便ホモジネートおよび血液サンプルを燃焼のためのコンバスト・コーンおよびカバーパッド(Perkin Elmer)に移した。
動物
【0093】
投与の際に、体重が14.4と16.2kgの間にある雄のビーグル犬(n=4)(インハウスコロニーより調達)を用いた。報告を容易にするため、動物に番号5ないし8と番号付けした。投薬調製、動物の投薬およびサンプル採集は、Wyeth Research、パールリバー、ニューヨーク州でなされた。
投薬調製、投薬および分析
【0094】
19.0mgの[14C]DVSと4168.3mgの非標識DVSを270mLのビヒクル(水中0.25%ポリソルベート80、0.5%メチルセルロース)に懸濁させることで経口用投薬液剤を調製した。[14C]DVS(バルクドラッグおよび投薬液剤)の放射性化学純度、比活性および濃度を放射性検出装置を備えたHPLCを用いて測定した。投薬液剤の2部構成のアリコートを、投薬液剤の比活性および放射活性濃度を測定するために投薬前、投薬中および投薬後に採取した。
【0095】
各動物の標的用量は、強制経口投与を介して、30mg/kg(遊離塩基;10mg/mL、3mL/kg、30μCi/kg)[14C]DVSであった。この標的用量は、かかる用量が以前の薬物動態学的研究にて用いられたため、選択された。加えて、この用量を皮下的に投与すると、雄スプレーグドーリーラットの脳中のノルエピネフリンレベルを有意に増大させた。
採血および分析
【0096】
投薬の1、4、8および24時間後にヘパリン処理した試験管に採集した全血(約10mL)(各時点でN=4)を分析した。1mLの血液を放射活性濃度を測定するのに用いられる新たな試験管に移した。採血の2時間以内に4℃で遠心分離に付すことで血漿を得た。血漿および全血サンプルを分析のためにドライアイスに乗せてWyeth Research, Biotransformation Division(カレッジビル、ペンシルベニア州)に運んだ。全血の3部構成のアリコート(200μL)をコンバスト・コーンに入れ、風乾させた。ついで、これらのサンプルを酸化させ、放射活性含量について分析した。残りの血漿を代謝産物の分析まで−70℃で貯蔵した。
【0097】
イヌ毎に、尿および糞便を別々に集め、尿はドライアイス上で、糞便は室温で採集した。尿は0−8および8−24時間で、糞便は0−24時間で採集した。尿および糞便サンプルを分析のためにドライアイスに乗せてWyeth Research, Biotransformation Division(カレッジビル、ペンシルベニア州)に運んだ。糞便サンプルを約5倍容量(v/w)の水で均質化した。約0.2グラムのホモジネートのアリコートをコンバスト・コーンに入れ、秤量し、風乾させた。ついで、これらのサンプルを酸化させ、放射活性含量を測定した。残りの尿サンプルおよび糞便ホモジネートを代謝産物の分析まで−70℃で貯蔵した。
【0098】
血液サンプルおよび糞便ホモジネートを、捕獲剤としてCarbosorb(登録商標)E(6mL)およびシンチラントとしてPermaFluor(登録商標)E(10mL)を用い、Model 307 Tri Carb sample oxidizerにて酸化した。各サンプルの読取値から基底読取値(対照血液または糞便サンプルの平均値)を差し引いた。尿および血漿のアリコートを10mLのUltima Gold(登録商標)シンチレーション流体を添加した直後に分析した。
【0099】
すべての放射活性測定を、Tri Carb Model 3100 TR液体シンチレーション計数器(Packard BioScience、ボストン、マサチューセッツ州)と、Ultima Gold(登録商標)またはトルエン標準曲線とを一緒に用いて行った。1分当たりのカウント(CPM)を、既知の放射活性の外部標体を用いることで1分当たりの崩壊(DPM)に変換した。各標体のクエンチを外部放射活性標体の変換スペクトル指数(tSIE)により測定した。検出下限を基底値の2倍と規定した。
血漿の代謝産物サンプル
【0100】
投薬の1および4時間後に採集した血漿サンプルを代謝産物プロファイルについて分析した。1mLの血漿のアリコートを等容量のアセトニトリルと混合し、少なくとも10分間氷上に置き、ついでEppendorf Model 5415C遠心分離機を用い、14000rpmで10分間遠心分離に付した。上澄の流体を新たな試験管に移した。上澄を放射活性について分析した。その上澄をTurbo Vap(Zymark、ホピントン、マサチューセッツ州)中、窒素流の下で濃縮し、アセトニトリルを除去した。水性残渣のアリコートをHPLCで分析し、プロファイルした。選択されたサンプルはLC/MSでも分析し、その放射活性ピークを特徴付けた。
【0101】
イヌの血漿中の[14C]DVSの安定性を測定した。[14C]DVS(0.012mg/mL、最終濃度)を対照となるイヌの血漿に添加し、37℃に設定した振盪水浴にてインキュベートした。2部構成のアリコート(1mL)を0、1、4、8および24時間で取り出した。サンプルを上記のように抽出し、HPLC分析により放射性純度をアッセイした。
尿の代謝産物サンプル
【0102】
投薬後の8時間と24時間の間に採集した尿サンプルを代謝産物プロファイルについて分析した。尿のアリコートをEppendorf Model 5415C遠心分離機を用い、14000rpmで10分間遠心分離に付した。上澄を新たな試験管に移し、放射活性含量についてHPLCにより分析し、代謝産物をプロファイルした。選択されたサンプルはLC/MSでも分析し、その放射活性ピークを特徴付けた。
【0103】
イヌの尿中の[14C]DVSの安定性を測定した。[14C]DVS(0.025mg/mL、最終濃度)を対照となるイヌの尿に添加し、37℃に設定した振盪水浴にてインキュベートした。アリコート(1mL)を0、1、4、8および24時間で取り出した。サンプルを上記のように抽出し、HPLC分析により放射性純度をアッセイした。
糞便の代謝産物サンプル
【0104】
投薬後24時間までに採集した糞便ホモジネートを代謝産物プロファイルについて分析した。約2グラムの糞便ホモジネートのアリコートを新たな試験管に移し、等容量のアセトニトリル(v/w)を加え、該試験管を攪拌させた。ついで、サンプルをEppendorf Model 5415C遠心分離機を用い、14000rpmで10分間遠心分離に付した。上澄を新たな試験管に移した。残渣を1mLのアセトニトリルに再び懸濁させ、上記したように遠心分離に付した。得られた上澄を最初の上澄と合し、放射活性について分析した。ついで、上澄をTurbo Vapにて窒素流下で濃縮し、アセトニトリルを除去した。水性残渣のアリコートをHPLCで分析し、プロファイルした。選択されたサンプルはLC/MSでも分析し、その放射活性ピークを特徴付けた。
サンプル分析
【0105】
Waters Alliance model 2690 HPLCシステム(Waters Corp.、ミルフォード、マサチューセッツ州)を用いてクロマトグラフィー分析を行った。該装置はビルトイン型自動サンプラーを備えており、225nmでモニター観察するように設定されたModel 2487 TunableUV検出装置、および250μL LQTRフローセルを含むFloOne β Model 515放射活性フロー検出装置(Perkin Elmer)とインラインに設置された。Ultima Flow Mシンチレーション流体の流速は3mL/分であり、シンチレーションカクテルは移動相に対して3:1の混合割合を提供した。代謝産物のピークの分離を、2種の移動相、AおよびBの線状勾配を用い、Phenomenex Luna C18(2)カラム、250x4.6mm、5ミクロン(Phenomenex、トランス、カリフォルニア州)で行った。移動相Aは10mM酢酸アンモニウム、pH5.5であり、移動相Bはアセトニトリルであった。流速は1mL/分であった。移動相を表8に示すように流した。
【表8】

【0106】
自動サンプラーおよびダイオードアレイUV検出装置を含む、Agilent Model 1100 HPLCシステム(Agilent Technologies、ウィルミントン、デラウェア州)をLC/MS分析に用いた。UV検出装置は200ないし400nmをモニター観察するように設定された。分離を5ミクロンPhenomenex Luna C18(2)カラム、150x2mm(Phenomenex)で達成した。カラム温度は25℃であった。移動相および勾配プログラムを表2に列挙する。LC/MS分析操作を選択する場合、固体シンチレーションフローセルを備えたβ-RAM Model 3 放射活性フロー検出装置(IN/US Systems Inc.、タンパ、フロリダ州)を用いる必要があった。
【0107】
代謝産物の特徴化に用いたマススペクトロメータはMicromass Q−TOF−2 四極子飛行時間ハイブリッドマススペクトロメータ(Micromass, Inc.、ベバリー、マサチューセッツ州)およびFinnigan LCQ Decaイオントラップマススペクトロメータ(ThermoFinnigan、サンノゼ、カリフォルニア州)であった。該マススペクトロメータはエレクトロスプレーイオン化(ESI)インターフェースを備えており、陽イオン化モードにて操作された。該マススペクトロメータのセッティングを表9および8表10に列挙する。
【表9】

【表10】

【0108】
DVSのグルクロニド化の部位を確認するのに、イヌ肝臓ミクロソームを用いてインキュベーションを行った。これらのインキュベーションでは、DVSとベンラファキシンのグルクロニド化を比較した。簡単に言えば、ベンラファキシンまたはDVS(100μM)をイヌ肝臓ミクロソーム(1mg/mK)およびMgCl(10mM)と一緒に0.1Mリン酸ナトリウム/カリウム緩衝液中でインキュベートした。サンプルを37℃に設定した振盪水浴にて2分間プレインキュベートした。UDPGA(最終濃度1mM)を添加することで反応を開始させた。付加的な一連のインキュベーションをベンラファキシンについてUDPGAおよびNADPH生成システムを用いて行った。インキュベーション容量は全体で500μLであり、インキュベーションの長さは合計で30分であった。500μLのアセトニトリルを添加して反応を停止させ、上記のように処理した。サンプルをLC/MSにより分析した。
【0109】
放射活性ピークを積分するのに、FloOne分析ソフトウェア(version 3.65、Packard BioScience)を利用した。コンピュータプログラムMicrosoft Excel(登録商標)97を用いて平均値および標準偏差を計算した。MassLynxソフトウェア(version 3.5)を用いてLC/MSデータを分析した。
結果
【0110】
放射分析検出装置を備えたHPLCによって測定した[14C]DVS(バルク化合物)の放射化学純度および比活性は、各々、99.3%および209μCi/mg(遊離塩基)であった。投薬溶液中の[14C]O−デスメチルベンラファキシンの濃度、放射純度および比活性は、各々、10.3mg/mL、98.3%および1.037μCi/mgであった。投薬溶液の投与前、中および後のアリコートは同様の濃度および純度を有した(データは示さず)。[14C]DVSの平均投与用量は31.0±0.18mg/kg(遊離塩基)であった。
【0111】
14C]DVSは対照イヌの尿および対照イヌの血漿中、37℃で24時間まで安定であった。24時間まで、および24時間を含め、いずれの時点でも有意な分解生成物はラジオクロマトグラフィーで検出されなかった。
【0112】
酸化効率を14C−Spec-Chec(Perkin Elmer)、既知の放射活性の標体を酸化することで決定し、99.1%であると決定された。各時点での血液および血漿中の放射活性の濃度、ならびに血液の血漿への分配を表11に示す。雄イヌの放射活性全体の平均血漿中濃度は、投薬後1、4、8および24時間後で、各々、13.3、16.9、7.43および0.81μg当量/mLであった。各時点で、血液の血漿に対する放射活性の割合は、0.51と0.64の間の範囲にあった。
【表11】

血漿の代謝産物プロファイル
【0113】
血漿からの放射活性の平均抽出効率は87.6±10.1%であった(データは示さず)。投薬1時間後に採集したイヌ血漿の代表的なラジオクロマトグラムを図14(A)に示す。DVグルクロニド(M7)が検出される顕著なピークであった。投薬後1時間および4時間では、血漿中に検出される放射活性の77.5および96.4%がM7ピークと関連付けられた。8時間および24時間のサンプルはラジオクロマトグラフィーにより分析されるのに十分な放射活性を有しなかった。血漿中で検出される唯一別の放射活性成分が未変換DVSであった。
【0114】
イヌの血漿中の9種の付加的な従たる代謝産物をLC/MSで特徴付けた(表12)。これらの代謝産物はシクロヘキサノール環上でヒドロキシル化されている6種の代謝産物(M1−M6、ヒドロキシDV化合物)、N,O−ジデスメチルベンラファキシン(M10)、N,O−ジデスメチルベンラファキシンO−グルクロニド(M13)、およびN−オキシドDVを包含する。
【表12】

尿の代謝産物プロファイル
【0115】
尿が主たる排泄経路であり、平均75%の放射活性用量が投薬後24時間以内の尿サンプルにて回収された。尿中で検出された放射活性濃度を、ラジオクロマトグラフィー分析に付した後の放射活性の%分布として、表13に示す。投薬後8−24時間に集めたイヌの尿の代表的なラジオクロマトグラムを図14(B)に示す。分析したすべての尿のサンプルにて検出された優勢的な放射活性ピークはO−デスメチルベンラファキシンO−グルクロニド(M7、DVグルクロニド)であり、尿中で検出された放射活性ピークの約85%を占めた。N,O−ジデスメチルベンラファキシンO−グルクロニド(M13)は尿中で検出された薬物関連のピークの約4%を占めた。未変換[14C]DVSは尿中で検出された放射活性の4ないし8%を占めた。代謝産物M11およびM12(シクロヘキサン環上でヒドロキシル化されている代謝産物のグルクロニドコンジュゲート、「ヒドロキシDVグルクロニド」)は、各々、尿中で検出される放射活性の平均2および4%を占めた。M11ピークは、各々がLC/MSによりシクロヘキサン環上でヒドロキシル化されている代謝産物のグルクロニドコンジュゲートであると同定されている、一緒に溶出する代謝産物を含有した。
【表13】

【0116】
10種のさらに従たる代謝産物を尿のLC/MS分析で特徴付けた。これらの従たる代謝産物はM1−M6、ベンジル基上でヒドロキシル化されている代謝産物(M9)、N,O−ジデスメチルベンラファキシン(M10)、N,N,O−トリデスメチルベンラファキシン(M14)、およびN−オキシドDV(表12)を包含する。
糞便の代謝産物プロファイル
【0117】
ラジオクロマトグラフィー分析に付す前の0−24時間糞便サンプルからの放射活性の抽出効率は76.8±6.2%であった(データは示さず)。糞便中の回収%およびラジオクロマトグラフィーに付した後の放射活性の分布を表14に示す。少しの割合の放射活性用量(約3%)だけが投薬の24時間以内に糞便中に排泄された。投薬後0−24時間で集めたイヌの糞便の抽出物の代表的なラジオクロマトグラムを図14(C)に示す。4つの放射活性ピークが検出され、未変換DVSが各クロマトグラムにて検出された優勢的なピークであり、糞便中の放射活性の平均76%を占めた。次に豊富な放射活性ピークがM10であり、糞便に排泄された放射活性の約12%を占めた。N−オキシドDVおよびN,N,O−トリデスメチルベンラファキシン(M14)もまた、糞便抽出物のラジオクロマトグラム中に存在し、各々、約7および5%を占めた。
【表14】

【0118】
ラジオクロマトグラムでは検出されなかった8種の付加的な従たる代謝産物が、糞便抽出物をLC/MS分析に付すことで特徴付けられた。これらの代謝産物は、M1−M6、M7およびM9を包含した(表12)。
液体クロマトグラフィー/質量分析による代謝産物の特徴化
【0119】
イヌ血漿、尿および糞便中のDVSおよびその代謝産物に対するマススペクトルをLC/MSおよびLC/MS/MS分析により得た。イヌのDVS代謝産物の構造的特徴化を表12に要約する。LC/MSデータはDVSのグルクロニド(M7)、N−デスメチルDVS(M10)およびモノ酸化生成物への代謝反応を示した。DVSおよび14種の代謝産物のマススペクトルの特徴化を後記する。
DVS
【0120】
DVS標体のマススペクトルの特徴を代謝産物との比較のために分析した。DVSのLC/MSスペクトルにおいて、プロトン化分子イオン、[M+H]はm/z264で観察された。図7は、衝突誘起解離(CID)より得られたDVSのm/z264のマススペクトルの生成物、および分解スキームの提案を示す。分子イオンからHOが喪失すると、m/z246の生成物イオンが得られる。さらにジメチルアミノ基が喪失すると、m/z201の生成物イオンが得られる。シクロヘキサノール基がDVSから喪失することでm/z164の生成物イオンが示された。m/z58の生成物イオンは(CHNCHによるものであった。加えて、m/z107、133、145、159および173の生成物イオンは、各々、DVS分子のメチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシル−フェノール部分に相当する。したがって、これらのイオンを用いてジメチルアミノ、ヒドロキシベンジルおよびシクロヘキサノール基に局在化される代謝作用の部位を検出することができた。
【0121】
代謝産物M1、M2、M3、M4、M5およびM6(ヒドロキシDV化合物)はm/z280の[M+H]を生成し、それはDVSよりも16Da大きく、ヒドロキシル化またはN−酸化を示唆した。図15はM6についてm/z280スペクトルの生成物を示す。代謝産物M1ないしM6についてのマススペクトルデータは類似していた。分子イオンからのHOの喪失でm/z262の生成物イオンが得られた。代謝産物についてm/z58、107および217の生成物イオンと、DVSについてm/z58、107および201とを対比して、シクロヘキサン環が代謝作用の部位であることが分かる。したがって、代謝産物M1ないしM6は、シクロヘキサン環を酸化部位として有するヒドロキシDV代謝産物であると提案された。
【0122】
代謝産物M7(O−デスメチルベンラファキシンO−グルクロニド、DVグルクロニド)
この代謝産物の[M+H]はm/z440で観察され、それは分子量が439であることを示した。図16はM7についてm/z440スペクトルの生成物を示す。該分子イオンから176Daを喪失すると、m/z264の生成物イオンが得られ、それはこの代謝産物がDVSのグルクロニドであることを示した。マススペクトルデータはコンジュゲーションの部位を示さなかった。イヌ肝臓ミクロソームとDVSまたはベンラファキシンと共に行われるインキュベーションを利用してグルクロニド化の部位を測定した。UDPGAのみ存在する場合、ベンラファキシンではなく、DVSのグルクロニド化が観察された。ベンラファキシンのグルクロニド化はUDPGAとNADPHの両方の存在において観察されるに過ぎない。ベンラファキシンより形成されるグルクロニドは、M7と同じ[M+H]および保持時間を有し、それはO−デスメチル化が起こり、つづいてフェノール性ヒドロキシル基のグルクロニド化が生じた結果であった。DVSとベンラファキシンの間の構造的な違いは、DVSのフェノール性ヒドロキシル基がベンラファキシン上でメチル化されているということである。これにより、DVS関連の化合物のグルクロニド化にはフェノール基が必要とされることが明らかになった。したがって、M7はコンジュゲーション部位としてフェノール基を有するDVのO−グルクロニドであることが提案された。
代謝産物M9
【0123】
代謝産物M9はm/z280の[M+H]を生成し、それはDVSよりも16Da大きく、ヒドロキシル化またはN−酸化を示唆した。図17はM9についてm/zスペクトルの生成物を示す。m/z123、149および161の生成物イオンは、各々、m/z107、133および145の対応するDVS生成物イオンよりも分子量が16Da大きく、それはベンジル基のヒドロキシル化を意味する。したがって、M9は酸化部位としてベンジル基を有するヒドロキシDVであった。
代謝産物M10
【0124】
M10についての[M+H]がm/z250で観察された。図18はM10についてm/z250スペクトルの生成物を示す。HOのm/z250の分子イオンからの喪失はm/z232の特徴的な生成物を生成させた。その後でメチルアミンがm/z232から喪失すると、m/z201の生成物が得られた。このこと、およびm/z58の生成物イオンの欠如は、DVのジメチルアミノ基がN−デメチル化によりメチルアミノ基に変換されたことを示した。加えて、M10のm/z250マススペクトルの生成物は、合成N,O−ジデスメチルベンラファキシンのm/z250マススペクトルの生成物と適合した。したがって、M10はN,O−ジデスメチルベンラファキシンであると同定された。
代謝産物M11a、M11b、M11cおよびM12(ヒドロキシDVグルクロニド)
【0125】
M11a、M11b、M11cおよびM12についての[M+H]をm/z456で観察し、それは分子量が455であることを示した。図19はM12のm/z456スペクトルの生成物を示す。M11a、M11b、M11cおよびM12のマススペクトルデータは類似していた。該分子イオンから176Daの分子量が喪失すると、m/zが280のイオンが得られ、それはヒドロキシDV代謝産物の[M+H]であった。マススペクトルデータはコンジュゲーション部位を示さなかった。代謝産物M7にて検討されたDVSとベンラファキシンとのインビトロにおけるグルクロニド化実験の結果に基づき、フェノール基がコンジュゲーション部位として提案された。代謝産物についてm/z58、107および217の生成物イオンと、DVSについてm/z58、107および201とを対比すると、シクロヘキサン環がヒドロキシル化されていることが分かる。したがって、M11a、M11b、M11cおよびM12はヒドロキシDVS代謝産物のO−グルクロニドであると提案された。
【0126】
代謝産物M13(N,O−ジデスメチルベンラファキシンO−グルクロニド)
この代謝産物の[M+H]をm/z426で観察し、それは分子量が425であることを示した。図20はM13の生成物イオンスペクトルを示す。m/z426から176Daの喪失により、m/z250のイオンが得られる。シクロヘキサノール基からHOが喪失すると、m/z408のベースピークが生じる。m/z408のイオンから176Daの喪失はm/z232のM10の特徴的な生成物をもたらした。その後、m/z232からメチルアミンが喪失し、m/z201の生成物イオンが得られた。従って、M13はグルクロニド化の部位としてのフェノール基を有するN,O−ジデスメチルベンラファキシンO−グルクロニドであると提案された。
【0127】
代謝産物M14はm/z236の[M+H]を生成した。図21はM14についてm/z236スペクトルの生成物を示す。該分子イオンからH2OおよびNH3が喪失すると、m/z201の生成物を生成した。このこと、およびm/z58の生成物イオンの欠如はN−ジデメチル化を示す。m/z107、133、145、159および173の生成物イオンもまた、DVSで観察された。M14のm/z236マススペクトルの生成物は、図22に示される合成N,N,O−トリデスメチルベンラファキシンのマススペクトルと一致した。したがって、M14はN,N,O−トリデスメチルベンラファキシンであると同定された。
N−オキシドDV
【0128】
このDVS関連の成分についての[M+H]をm/z280で観察し、それはヒドロキシル化またはN−酸化を示した。図23はこの関連する化合物のm/z280マススペクトルの生成物を示す。[M+H]イオンから61Daの喪失はm/z219の生成物イオンをもたらした。このことはN−オキシドと一致するジメチルヒドロキシアミンの喪失に相当した。したがって、この代謝産物はN−オキシドDVであると同定された。
実施例3.2−ヒドロキシ−DV化合物の合成
【0129】
本発明の2−ヒドロキシ−DV化合物を以下の方法を用いて製造してもよい。ジメチルホルムアミド(DMF)中の4−(ジメチルカルバモイルメチル)フェノールをKCOで、つづいて臭化ベンジルで処理した。該混合物を室温で攪拌し、つづいて60℃で1時間攪拌した。該混合物を濃縮し、DMFを除去し、EtOAcで希釈し、水で洗浄した。MgSOを加えて乾燥させ、該混合物を濾過し、低容量に濃縮する。ヘキサンを加えてケタール中間生成物を沈殿させる。固体を濾過により集め、乾燥させる。
【0130】
2−ベンジルオキシ−シクロヘキサノンのTHT/MeOH(100mL/50mL)中溶液を酸(例えば、HCl)で処理し、ついで室温で攪拌させる。該反応物を飽和KCOでクエンチし、EtOAcで抽出し、油にまで濃縮する。生成物を熱EtOAc/ヘキサンから結晶化させ、図2に示されるようにケトン中間体を得る。
【0131】
ケトンのTHF中溶液を水素化アルミニウムリチウム(LAH)ペレットのTHF中懸濁液に−78℃で添加した。該混合物を室温にまで加温し、少なくとも3時間攪拌する。該反応物をMeOHで、つづいて10%NaOHでクエンチし、少なくとも3時間攪拌する。固体を濾過で除去し、洗浄(例えば、THFで洗浄)し、濃縮して固体を得る。得られた固体をEtOAc/ヘキサンで再結晶し、対応するベンジルエーテルを得る。
【0132】
Pd/Cと一緒に100mLのエタノール中で攪拌し、加圧下で一夜水素化することで両方のベンジル保護基を除去してもよい。該固体を濾過で、つづいてエタノールで洗浄することで精製する。固体に濃縮し、EtOAc/ヘキサンで結晶化させて最終生成物を得る。
実施例4 2−ヒドロキシDVグルクロニド化合物の合成
【0133】
2−ヒドロキシDVグルクロニド化合物は以下のように合成してもよい。2−ヒドロキシDV(1.0g、3.6ミリモル)および2.05g(4.3ミリモル)のトリクロロイミデートの塩化メチレン(15mL)中溶液に、BFOEt(0.54mL、4.4ミリモル)を5分間にわたって滴下する。反応物を窒素雰囲気下で一夜攪拌する。ついで、該反応混合物をNaHCO(飽和)に注ぎ、塩化メチレンで抽出する。有機層を分離し、乾燥させて真空下で濃縮する。該粗残渣をショートシリカカラムに通し、塩化メチレン−メタノールで溶出する。濾液を濃縮し、保護2−ヒドロキシDVO−グルクロニドを得る(図3を参照)。
【0134】
保護2−ヒドロキシDVグルクロニド(トリアセチルメチルエステル)(1.0g、1.7ミリモル)をジオキサン−MeOH−HO(2:1:1)8mLの混合液に溶かし、LiOH(0.4g、17ミリモル)を加え、得られた溶液を60℃で1時間加熱する。ついで、該反応混合物を冷却し、酢酸で希釈する。該混合物を真空下で濃縮し、残渣を塩化メチレン−メタノールと共にシリカ上に注ぎ、2−ヒドロキシDVグルクロニドを得ることができる。
実施例5 N−オキシドDVの合成
【0135】
N−オキシドDVを以下のような化学合成法を用いて調製した。図4に示されるN−オキシドDV Iを調製するのに:ODV(1.0g、3.8ミリモル)をクロロホルム(45mL)に溶かし、0℃に冷却した。ついで、MCPBA(0.786g、4.56ミリモル)/クロロホルム(15mL)を該反応混合物に滴下した。該反応物を窒素雰囲気下で一夜攪拌させた。温度をこの間に室温にまで加温させた。ついで、該反応混合物をクロロホルムでプレパックされている塩基性アルミナカラム(40g)上に注いだ。反応混合物をアルミナカラム上に吸着させ、ついでクロロホルム(150mL)を該カラムに(加圧なしで)通した。次に、メタノール:クロロホルムの混合液(1:3)を該カラムに通し、所望の生成物を溶出させた。生成物を含有するフラクションを濃縮し、得られた固体をクロロホルムに溶かし、セライトパッドを通過させた。濾液を濃縮し、所望のN−オキシド(1.26g、>100%)を白色固体として得た。融点171−173℃。H NMR(DMSO−d)δ(ppm):0.68−1.64(m,10H)、2.95(s,3H)、3.14(s,3H)、3.19(d,J=5.7Hz,1H)、3.54(d,J=12.7Hz,1H)、 3.89(dd,J=7.5Hzおよび7.3Hz,1H)、6.67(d,J=8.4Hz,2H)、6.98(d,J=8.4Hz,2H)、9.51(s,1H);(M+H) 280;(M−H) 278;元素分析 C1625NOとして:C, 68.79;H, 9.02;N, 5.01;測定値:C, 57.64;H, 7.36;N, 3.73;分析HPLC(5−95%アセトニトリル/水);210nMで98.4%;230nMで99.3%
【0136】
図4に示されるN−オキシドDV II[(S)− 4−[2−ジメチルアミノ−1−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−エチル]−フェノールのN−オキシド]を化合物Iとして調製した。該化合物は白色固体である(1.03g、97.3%)。融点175−176℃。H NMR(DMSO−d)δ(ppm):0.68−1.64(m,10H)、2.95(s,3H)、3.14(s,3H)、3.19(d,J=5.7Hz,1H)、3.54(d,J=12.7Hz,1H)、3.89(dd,J=7.5Hzおよび7.3Hz,1H)、6.67(d,J=8.4Hz, 2H)、6.98(d,J=8.4Hz,2H)、9.51(s,1H);(M+H) 280;(M−H) 278;元素分析 C1625NOとして:C, 68.79;H, 9.02;N, 5.01;測定値 C, 60.62;H, 7.84;N, 4.02;分析HPLC(5−95%アセトニトリル/水);210nMで98.0%、230nMで99.0%;旋光度;−15.49(クロロホルム不純物について修正)。
【0137】
(R)− 4−[2−ジメチルアミノ−1−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−エチル]−フェノールのN−オキシド(III)を化合物IおよびIIのように調製した(図4を参照)。このN−オキシドDVは白色粉末である(0.88g、82.9%)。融点181−182℃;H NMR(DMSO−d)δ(ppm):0.68−1.64(m,10H)、2.95(s,3H)、3.14(s,3H)、3.19(d,J=5.7Hz,1H)、3.54(d,J=12.7Hz,1H)、3.89(dd,J=7.5Hzおよび7.3Hz,1H)、6.67(d,J=8.4Hz,2H)、6.98(d,J=8.4Hz,2H)、9.51(s,1H);(M+H) 280;(M−H) 278;元素分析 C1625NOとして:C, 68.79;H, 9.02;N, 5.01;測定値:C, 67.10;H, 8.92;N, 4.77;旋光度;+19.07(クロロホルム不純物について修正)
実施例6 活性を測定するための受容体結合実験
【0138】
本発明の化合物を受容体アッセイ結合実験を用いて生物学的活性について試験した。これらの実験は以下の刊行物に記載されており、メリーランド州、ハノーバー、Novascreenからも入手可能である。使用可能な受容体結合アッセイは、限定されるものではないが、アドレナリン作動性α−2A(ヒト)結合アッセイ(D.B. Bylundら、J Pharmacol & Exp Ther, 245(2):600-607(1988);JA Totaroら、Life Sciences, 44:459-467(1989));ドーパミン輸送体結合アッセイ(Madrasら、Mol. Pharmacol., 36:518-524;JJ Javitchら、Mol Pharmacol, 26:35-44(1984));ヒスタミンH1結合アッセイ(Changら、J Neurochem, 32:1658-1663(1979);JI Martinez−Mirら、Brain Res, 526:322-327(1990);EEJ Haaksmaら、Pharmacol Ther, 47:73-104(1990));イミダゾリン結合アッセイ(CM Brownら、Brit. J Pharmacol, 99(4):803-809(1990);ムスカリン性M5(ヒト組換え体)結合アッセイ(NJ Buckleyら、Mol Pharmacol, 35:469-476(1989);ノルエピネフリン輸送体(ヒト組換え体)結合アッセイ(R. Raismanら、Eur J Pharmacol, 78:345-351(1982);S.Z. Raismanら、Eur J Pharmacol, 72:423(1981));セロトニン輸送体(ヒト)結合アッセイ(RJ・D’Amatoら、J Pharmacol & Exp Ther, 242:364-371(1987);NL Brownら、Eur J Pharmacol, 123:161-165(1986))を包含する。細胞機能アッセイは、ノルエピネフリン輸送体(NET−T)ヒト(A. Galliら、J Exp Biol, 198:2197-2212(1995);およびセロトニン輸送体(ヒト)アッセイ(D’Amatoら、前掲およびNL Brownら、Eur J Pharmacol, 123:161-165(1986))を包含する。結果は受容体の阻害%として測定され得る。
実施例7 微小透析実験における本発明の化合物のインビボ効能
【0139】
本発明の化合物は、例えば、雄のスプレーグドーリラットでの微小透析実験にて評価されてもよい。MT Taberら、「Differential effects of coadministration of fluoxetine and WAY-100635 on serotonergic neurotransmission in vivo:sensitivity to sequence of injections,” Synapse, 38(1):17-26(Oct. 2000)を参照のこと。この技法は自由行動囓歯動物の脳における化合物の神経化学の作用を捕獲しうる。該作用はラットの背外側前頭皮質、うつ病と因果関係がある、および/またはうつ病の治療に関与していると考えられる脳の領域にて実験されてもよい。セロトニンに対するどのような作用が観察され得るかを知るために、本発明の化合物(30mg/kgの用量、皮下)を選択的5−HT1Aアンタゴニスト、N−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキシアミドと組み合わせて試験してもよい。このことを行う根拠は、5−HT放出を制御するソマトデンドリティック(somatodendritic)5−HT1A自己受容体を遮断することにある。この操作により、5−HT1A受容体を脱感作するために、化合物単独での長期(14日)神経化学実験を行う必要性が排除される。適当な実験の条件を以下に列挙する:
動物:雄のスプレーグドーリラット(280−35g)
脳領域:背外側(DL)前頭皮質(A/P+3.2mm、M/L±3.5mm、D/V−1.5mm)
投与:手術回復の24時間後
プローブ挿入から平衡で3時間経過後
1時間40分のベースライン
1−[2−ジメチルアミノ−1−(4−フェノール)エチル]−シス−1,4−
シクロヘキサンジオール(30mg/kg、経口)の20分前に5−HT1A
アンタゴニスト、N−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジ
ニル]エチル]−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキシアミド
(0.3mg/kg、皮下)を投与する
サンプル収集:注射後3時間2分の間サンプルを収集する
分析:HPLC−ECDで5−HTレベルを定量する
【0140】
これらの条件下で、インビボ神経化学作用が観察されてもよい。比較のために、ベンラファキシンおよびフルオキセチンのような他のSNRIおよびSSRIと、5−HT1Aアンタゴニストとの組み合わせのインビボ神経化学作用を観察してもよい。
【0141】
明細書は、完全には、該明細書にて引用されている参考文献の教示を考慮して理解される。明細書の実施形態は発明の実施形態の例示を提供するものであり、発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。当業者は、他の実施形態が本発明により包含されることを容易に理解する。この明細書に引用されている刊行物および特許はすべて出典明示によりその全体を本明細書の一部とする。引用文献により本明細書の一部とされた事項が本明細書の記載と矛盾する、または一致しない場合、本明細書の記載がそのような事項に優先する。本明細書の参考文献の引用は、かかる参考文献が本発明の先行文献であるとすることを認めるものではない。
【0142】
特記しない限り、特許請求の範囲を含め、本明細書中で使用される成分量、反応条件等を表す数値はすべて、あらゆる場合で、「約」なる語により修飾されるものと認識されるべきである。したがって、逆に特記しない限り、数値パラメーターは近似値であり、本発明が得ることを目的とする所望の特性に応じて変化しうる。最低限でも、特許請求の範囲と均等である原理を適用することを制限するものではなく、各数値パラメーターは有意な桁の数字、通常の四捨五入などの方法を考慮して解釈されるべきである。
【0143】
特記しない限り、一連の要素の前にある「少なくとも」なる語は、その一連のすべての要素をいうと理解されるべきである。当業者であれば、単なる慣用的な実験を行うことで、本明細書に記載の発明の具体的な実施形態と均等な範囲を理解あるいは解明することができるであろう。かかる均等な範囲は添付する特許請求の範囲により包含されるものである。
実施例8 デスベンラファキシンの付加的な代謝産物
【0144】
本発明の付加的な実施形態として、以下のデスベンラファキシン代謝産物が挙げられる:
【化5−1】

【化5−2】

【化5−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中:
ヒドロキシ基はシクロヘキシル環上の2−位または3−位の一つの炭素に結合する]
で示される単離されたDV代謝産物または誘導体、あるいはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
ヒドロキシ基がシクロヘキシル環上の2−位の炭素に結合している、請求項1記載の単離されたDV代謝産物または誘導体。
【請求項3】
ヒドロキシ基がシクロヘキシル環上の3−位の炭素に結合している、請求項1記載の単離されたDV代謝産物または誘導体。
【請求項4】
式:
【化2】

[式中:
ヒドロキシ基はシクロヘキシル環上の2−位、3−位または4−位の一つの炭素に結合する]
で示される単離されたDV代謝産物または誘導体、あるいはその医薬上許容される塩。
【請求項5】
ヒドロキシ基がシクロヘキシル環上の2−位の炭素に結合している、請求項4記載の単離されたDV代謝産物。
【請求項6】
ヒドロキシ基がシクロヘキシル環上の3−位の炭素に結合している、請求項4記載の単離されたDV代謝産物。
【請求項7】
ヒドロキシ基がシクロヘキシル環上の4−位の炭素に結合している、請求項4記載の単離されたDV代謝産物。
【請求項8】
式:
【化3】

で示される単離されたDV代謝産物または誘導体、あるいはその医薬上許容される塩。
【請求項9】
式:
【化4】

[式中:
ヒドロキシ基はベンジル上の2−位または3−位の一つの炭素に結合する]
で示される単離されたDV代謝産物または誘導体、あるいはその医薬上許容される塩。
【請求項10】
ヒドロキシ基がベンジル上の2−位の炭素に結合している、請求項9記載の単離されたDV代謝産物。
【請求項11】
ヒドロキシ基がベンジル上の3−位の炭素に結合している、請求項9記載の単離されたDV代謝産物。
【請求項12】
請求項1、請求項4、請求項8または請求項9に記載の化合物および医薬上許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項13】
1つまたは複数のベンラファキシン、O−デスメチルベンラファキシンまたはO−デスメチルベンラファキシンコハク酸塩、あるいはその医薬上許容される塩をさらに含む、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
哺乳動物における少なくとも1種の中枢神経系障害を治療する方法であって、その必要とする哺乳動物に、有効量の請求項1、請求項4、請求項8または請求項9に記載の化合物を提供することを含む、方法。
【請求項15】
化合物が経口投与される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
【化5−1】

【化5−2】

【化5−3】

より選択される単離されたDV代謝産物またはその誘導体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図17−1】
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【図17−2】
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【図18−1】
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【図18−2】
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【図19−1】
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【図19−2】
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【図20−1】
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【図20−2】
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【図21−1】
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【図21−2】
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【図22−1】
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【図22−2】
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【図23−1】
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【図23−2】
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【公表番号】特表2010−507667(P2010−507667A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534631(P2009−534631)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/022525
【国際公開番号】WO2008/051558
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(591011502)ワイス エルエルシー (573)
【Fターム(参考)】