説明

P2X7受容体アンタゴニストとして作用するキノリン誘導体

本発明は、式(I)


の化合物、その製造方法、それを含む医薬組成物、医薬組成物の製造方法、およびリウマチ性関節炎、炎症性腸疾患またはクローン病の治療におけるその使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノリン誘導体、その製造方法、治療におけるその使用、それを含む医薬組成物および医薬組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リガンド開口型イオンチャネルであるP2X受容体(以前はP2Z受容体として知られていた)は、主に炎症/免疫過程に関与することが知られている様々な細胞型、具体的に、マクロファージ、肥満細胞およびリンパ球(TおよびB)に存在する。P2X受容体の細胞外ヌクレオチド類、特にアデノシン三リン酸での活性化は、インターロイキン−1β(IL−1β)の遊離および巨細胞形成(マクロファージ/ミクログリア細胞)、脱顆粒(肥満細胞)および増殖(T細胞)およびアポトーシスおよびL−セレクチン脱落(リンパ球)に至る。P2X受容体はまた抗原提示細胞(APC)、ケラチン生成細胞、唾液腺腺房細胞(耳下腺細胞)、肝細胞およびメサンギウム細胞にも存在する。病因においてP2X受容体が役割を有し得る炎症、免疫または心血管系疾患の処置に有用なP2X受容体アンタゴニストとして有効な化合物を取得することが望まれている。
【0003】
P2X受容体アンタゴニストとして作用する薬物の重要な特性は、それが高い効力を有することである。さらに、かかる薬物が、さらに薬物の効果を増強するために、優れた選択性および薬物動態学的特性を有することも望まれる。一例として、かかる薬物がヒトether-a-go-go関連遺伝子(hERG)がコードするカリウムチャネルに対して低い活性を示すことが有益であり得る。この点に関して、インビトロでのhERG結合に対する低活性が、インビボでの低活性の指標である。
【0004】
キノリニル基を含むP2Xアンタゴニストは、WO2003/080579、WO2004/106305、WO2005/009968およびWO2006/059945から既知である。WO2004/106305に記載されている一群の化合物に一般的に包含されるある化合物が、有益な医薬特性を有することが、驚くべきことに判明した。例えば、高い効力を有することに加えて、本発明の化合物はhERG結合に対して非常に低い活性を示し、医薬として使用するその適性が高められている。
【発明の概要】
【0005】
本発明によって、それ故、式(I)
【化1】

の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0006】
本発明の化合物は、溶媒和された、例えば水和された、ならびに溶媒和されていない形態で存在し得ることは理解されよう。本発明は全てのかかる溶媒和された形態を包含することは理解されるべきである。
【0007】
本発明の化合物は、非常に高いP2Xアンタゴニスト活性を有する。加えて、それは、ヒトether-a-go-go関連遺伝子(hERG)がコードするカリウムチャネルに対して非常に低い親和性を有し、故に、安全域に関して有利である。
【0008】
式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩を含み、これらに限定されない。
【0009】
本発明の化合物は、ピロリジニル環の3位(すなわち−NHCHCHOH置換基が直接結合する炭素原子)にキラル中心を有する。本発明において、このキラル中心の立体化学的配置は、カーン・インゴルド・プレローグ・システムの指定により、そして下記式(I)の構造に示される通り、(S)である。
【化2】

【0010】
当然、本発明の(S)立体異性体は、(R)立体異性体との混合物として存在してよい。例えば、(S)立体異性体は、(R)立体異性体と1:1混合物で存在し得る。
【0011】
一つの態様において、本発明は、光学的に純粋である式(I)の化合物を提供する。本明細書の文脈において、光学的純粋は、鏡像体過剰率(e.e.)で定義され、それは、存在する各鏡像体の量とこれらの量の合計に対する比の差として計算され、パーセントで表す。例えば、95%の一方の鏡像体と5%の他方の鏡像体を含む調製物は、90%の鏡像体過剰率(e.e.)である[すなわち(95−5)/(95+5)×100]。本発明の光学的に純粋な化合物は、少なくとも90%のe.e.を有する。本発明の一態様において、光学的に純粋な化合物は、少なくとも95%のe.e.を有する。本発明のさらなる態様において、光学的に純粋な化合物は、少なくとも98%のe.e.を有する。
【0012】
式(I)の化合物の、ACD Labs, Toronto, CanadaのIUPAC naming packageにより決定し化学名は、6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]−2−{(3S)−3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−ピロリジン−1−イル}キノリン−5−カルボキサミドである。
【0013】
本発明の一態様において、6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]−2−{(3S)−3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−ピロリジン−1−イル}キノリン−5−カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩である化合物が提供される。
【0014】
本発明の化合物は無水であっても水和物の形であってもよい。従って、本発明の一態様は、水和物の形の式(I)の化合物を提供する。水和された形のとき、本化合物の水含量は、温度または相対的湿度の関数として変わり得る。例えば、特定の条件(例えばある設定された温度/相対的湿度)下の本化合物の水含量は、ヘミ、一または二水和されていてもよく、または水含量は非化学量論的であってよい。本発明の非化学量論的に水和された物質の水含量は、例えば0.1%〜8%w/wの範囲であり得る。
【0015】
本発明は、さらに上に定義した式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の製造方法であって:
(a) 式(II)
【化3】

の化合物と式(III)
【化4】

〔式中、PGは保護基(例えばシリル保護基、例えばトリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ベンジルエーテル類、例えばベンジル、パラ−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジルおよびエステル保護基、例えばアセテートおよびベンゾエート)である〕
の化合物を、還元的アミノ化条件下で反応させ、そして所望により本化合物の薬学的に許容される塩を形成させることを含む、方法を提供する。
【0016】
(II)と(III)の反応は、メタノール、エタノール、ジクロロメタンまたはN−メチルピロリジンのような極性有機溶媒単独または酢酸との組み合わせ中、ナトリウムシアノボロハイドライド、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライドまたは水素化ホウ素ナトリウムのような適当な還元剤の存在下で行い得る。本反応は、0℃〜100℃の範囲の温度、例えば25℃で行うのが還元であり得る。
【0017】
式(III)の化合物は市販されているか、文献から既知であるか、または当業者に既知の技術を使用して製造し得る。
【0018】
式(II)の化合物はスキーム1に記載の通り製造し得る。
【化5】

【0019】
2,6−ジクロロキノリン−5−カルボン酸(WO2004/106305)を、室温で、ジクロロメタン中塩化オキサリルおよびジメチルホルムアミドで処理することにより対応する酸クロライドに変換した。次いで、酸クロライドを、ジクロロメタン中1−(アミノメチル)−シクロヘプタノール(V)(W.C. Vincek, C.S. Aldrich, R.T. Borchardt and G.L. Grunewald, J. Med. Chem., 1981, 21(1), 7-12)の溶液を添加することによりアミド(VI)に変換した。次いで、アミド(VI)を、炭酸カリウムの存在下、還流しているアセトニトリル中、(S)−3−アミノピロリジン(VII)(Alfa Aesar、99%ee)と反応させて、アミン(II)を得た。
【0020】
本発明の方法において、当業者が認識するように、出発物質または中間体化合物中のヒドロキシル、カルボキシルまたはアミノ基のようなある種の官能基を保護基で保護する必要があり得る。故に、式(I)の化合物の製造は、特定の段階での1個以上の保護基での保護および/またはその除去を含み得る。官能基の保護および脱保護は‘Protective Groups in Organic Synthesis’, 2nd edition, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Wiley-Interscience (1991)および‘Protecting Groups’, P.J. Kocienski, Georg Thieme Verlag (1994)に記載されている。上記式(I)の化合物は、慣用法を使用して薬学的に許容される塩に変換してよい。
【0021】
本発明の化合物は有益な効力、選択性および薬物動態学的特性を有する。例えば、本発明の化合物は、ヒトether-a-go-go関連遺伝子(hERG)がコードするカリウムチャネルに対して低親和性を有する。この点に関して、hERGがコードするカリウムチャネルと相互作用し、その結果K流出による細胞の陰電位を回復させる薬物は、QT間隔の延長をもたらし、後天性QT延長症候群(LQT)をもたらし得る[M. C. Sanguinetti, C Jiang, M. E. Curran, M. T. Keating, Cell 1995, 81, 299-307;およびK. Finlayson et al., Eur. J. Pharm. 2004, 500, 129-142]。その結果、これは、トルサード・ド・ポアンツ(TdP)として知られる、死に至る可能性のある不整脈を誘発し得る[W. Haferkamp et al., Eur. Heart J. 2000, 21, 1216-1331]。心血管分野の使用を意図しないのであれば、心臓のチャネル、特にhERGチャネルに対する作用を欠く新たな化学物質が、改善された安全性プロファイルを提供し、QT延長効果を有する薬物を超える治療上および新薬承認上の利点を有することになる。Kiss et al (Assay Drug Dev. Technol. 2003, 1, 127-135)は、hERGのようなイオンチャネル活性を阻止する化合物の能力をアッセイする方法を記載している。SpringthorpeおよびStrandlund(WO2005037052)は、IKrカリウム(hERG)に結合する化合物の効果をアッセイする方法を記載している。
【0022】
本発明の化合物はまた、薬物動態学的パラメーターにより決定して、許容される経口バイオアベイラビリティも示す。本発明の化合物はまた低血漿タンパク質結合も示す。本発明の化合物はまたインビトロリン脂質症(phospholipodosis)スクリーニングにおいて低活性を示す。
【0023】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、次のものの処置に有益であり得る:
1. 呼吸器:次のものを含む気道の閉塞性疾患:気管支、アレルギー性、内因性、外因性、運動誘発性、薬剤誘発性(アスピリンおよびNSAID誘発性を含む)および粉塵誘発性喘息を含む、間欠性および永続性両方の、全ての重症度の、および気道過敏反応性の他の原因を含む、喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);感染性および好酸球性気管支炎を含む気管支炎;気腫;気管支拡張症;嚢胞性線維症;サルコイドーシス;農夫肺および関連疾患;過敏性肺炎;原因不明線維化肺胞炎、特発性間質性肺炎、抗新生物治療および結核およびアスペルギルス症および他の真菌感染を含む慢性感染に合併する線維症を含む、肺線維症;肺移植の合併症;肺脈管構造の血管炎性および血栓性障害、および肺高血圧;気道の炎症性および分泌状態と関連する慢性の咳、および医原性咳の処置を含む、鎮咳活性;薬物性鼻炎、および血管運動性鼻炎を含む、急性および慢性鼻炎;神経性鼻炎(枯草熱)を含む、通年性および季節性アレルギー性鼻炎;鼻のポリープ症;一般的な風邪、および呼吸器多核体ウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス(SARSを含む)およびアデノウイルスによる感染を含む、急性ウイルス感染;
【0024】
2. 骨および関節:原発性、および、例えば、先天的股関節異形成症に二次性の両方の、骨関節症/骨関節症と関連する、またはそれらを含む、関節炎(arthritides);頚部および腰部脊椎炎、および背下部および頚部痛;リウマチ性関節炎およびスチル病;強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎および未分化脊椎関節症(spondarthropathy)を含む血清反応陰性脊椎関節症;敗血症性関節炎および他の感染関連関節症(arthopathies)およびポット病およびポンセ病を含む結核のような骨障害;尿酸塩痛風、ピロリン酸カルシウム沈着疾患、およびカルシウムアパタイト関連腱、滑液包および滑膜炎症を含む、急性および慢性結晶誘発滑膜炎;ベーチェット病;原発性および二次性シェーグレン症候群;全身性硬化症および限局型強皮症;全身性エリテマトーデス、混合型結合組織疾患、および未分化結合組織疾患;皮膚筋炎および多発性筋炎を含む炎症性ミオパシー;リウマチ性多発筋痛症;どんな関節分布であれ特発性炎症性関節炎(arthritides)を含む若年性関節炎および関連症候群、およびリウマチ熱およびその全身合併症;巨細胞性動脈炎、高安動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、結節性多発性動脈炎、顕微鏡的多発動脈炎、およびウイルス感染、過敏症反応、クリオグロブリン、およびパラプロテインと関連する脈管炎を含む、脈管炎;背下部痛;家族性地中海熱、マックル・ウェルズ症候群、および家族性アイルランド熱(Familial Hibernian Fever)、キクチ病;薬剤誘発性関節痛(arthalgias)、腱炎(tendonititides)、およびミオパシー;
【0025】
3. 傷害[例えば運動傷害]または疾患による筋骨格障害の疼痛および結合組織リモデリング:関節炎(arthritides)(例えばリウマチ性関節炎、骨関節症、痛風または結晶性関節症)、他の関節疾患(例えば椎間板変性または側頭下顎関節変性)、骨リモデリング疾患(例えば骨粗鬆症、ページェット病または骨壊死)、多発性軟骨炎、強皮症、混合型結合組織障害、脊椎関節症または歯周疾患(例えば歯周炎);
【0026】
4. 皮膚:乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎または他の湿疹性皮膚炎、および遅延型過敏症反応;植物および光皮膚炎;脂漏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、扁平苔癬、硬化性萎縮性苔癬、壊疽性膿皮症、皮膚サルコイド、円板状エリテマトーデス、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、脈管炎、毒性紅斑、皮膚好酸球増加症、円形脱毛症、男性型禿頭、スウィート症候群、ウェーバー・クリスチャン症候群、多形性紅斑;感染性および非感染性両方の蜂巣炎;脂肪織炎;皮膚リンパ腫、非黒色腫皮膚癌および他の形成異常病巣;固定薬疹を含む薬剤誘発性障害;
【0027】
5. 眼:眼瞼炎;通年性および春季アレルギー性結膜炎を含む、結膜炎;虹彩炎;前部および後部ブドウ膜炎;脈絡膜炎;自己免疫性;網膜に影響する変性または炎症性障害;交感神経性眼炎を含む眼炎;サルコイドーシス;ウイルス、真菌および細菌を含む、感染;
【0028】
6. 胃腸管:舌炎、歯肉炎、歯周炎;逆流性を含む食道炎;好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎を含む大腸炎、直腸炎、肛門掻痒症;セリアック病、過敏性腸症候群、および腸から離れて作用し得る食物関連アレルギー(例えば偏頭痛、鼻炎または湿疹);
【0029】
7. 腹部:自己免疫性、アルコール性およびウイルス性を含む肝炎;肝臓の線維症および硬変;胆嚢炎;急性および慢性両方の膵炎;
【0030】
8. 尿生殖器:間質性および糸球体腎炎を含む腎炎;ネフローゼ症候群;急性および慢性(間質性)膀胱炎およびハンナー潰瘍を含む膀胱炎;急性および慢性尿道炎、前立腺炎、精巣上体炎、卵巣炎および卵管炎;外陰部腟炎;ペイロニー病;勃起不全(男女両方);
【0031】
9. 同種移植片拒絶反応:例えば、腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、皮膚または角膜の移植後または輸血後の急性および慢性のもの;または慢性移植片対宿主病;
【0032】
10. CNS:アルツハイマー病およびCJDおよびnvCJDを含む他の認知症になる障害;アミロイド症;多発性硬化症および他の脱髄症候群;脳アテローム性動脈硬化症および脈管炎;側頭動脈炎;重症筋無力症;内臓痛、頭痛、偏頭痛、三叉神経痛、非定型顔面痛、関節および骨痛、癌および腫瘍侵襲に起因する疼痛、糖尿病性、ヘルペス後、およびHIV関連ニューロパシーを含む神経障害性疼痛症候群を含む、急性および慢性疼痛(中枢起源であれ末梢起源であれ、急性、間欠性または永続性の);神経サルコイドーシス;悪性、感染性または自己免疫性過程の中枢および末梢神経系合併症;
【0033】
11. 橋本甲状腺炎、グレーブス病、アジソン病、真性糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、好酸球性筋膜炎、高IgE症候群、抗リン脂質抗体症候群を含む他の自己免疫およびアレルギー性障害;
【0034】
12. 炎症性または免疫学的要因を伴う他の障害;後天性免疫不全症候群(AIDS)、ハンセン病、セザリー症候群、および新生物随伴症候群を含む;
【0035】
13. 心血管:冠血管および末梢循環に影響するアテローム性動脈硬化症;心膜炎;心筋炎、心筋サルコイドを含む炎症性および自己免疫心筋症;虚血再灌流傷害;感染性(例えば梅毒性)を含む、心内膜炎、弁膜炎、および大動脈炎;脈管炎;深部静脈血栓症および静脈瘤の合併症を含む、静脈炎および血栓症を含む、近位および末梢静脈の障害;
【0036】
14. 腫瘍学:前立腺、乳房、肺、卵巣、膵臓、腸および結腸、胃、皮膚および脳の腫瘍および骨髄(白血病を含む)およびリンパ増殖系に影響する悪性腫瘍、例えばホジキンおよび非ホジキンリンパ腫を含む、一般的な癌の処置;転移疾患および腫瘍再発、および新生物随伴症候群の予防および処置を含む;および
【0037】
15. 胃腸管:セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、判定不能大腸炎、過敏性腸障害、過敏性腸症候群、非炎症性下痢、腸から離れた部位に発現する食物関連アレルギー、例えば、偏頭痛、鼻炎および湿疹。
【0038】
従って、本発明は、治療に使用するための、上に定義した式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0039】
他の局面において、本発明は、治療に使用するための医薬の製造における、上に定義した式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0040】
本明細書の文脈において、用語“治療”は、これと異なる具体的指示がない限り、“予防”も含む。用語“治療的”および“治療的な”もこれに従い解釈すべきである。
【0041】
他の局面において、本発明は、リウマチ性関節炎の処置のための、上に定義した式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0042】
他の局面において、本発明は、リウマチ性関節炎の処置に使用するための医薬の製造における、上に定義した式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0043】
他の局面において、本発明は、喘息または慢性閉塞性肺疾患の処置のための、上に定義した式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0044】
他の局面において、本発明は、喘息または慢性閉塞性肺疾患の処置に使用するための医薬の製造における、上に定義した式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0045】
他の局面において、本発明は、炎症性腸疾患またはクローン病の処置のための、上に定義した式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0046】
他の局面において、本発明は、炎症性腸疾患またはクローン病の処置に使用するための医薬の製造における、上に定義した式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0047】
本発明はまたリウマチ性関節炎の処置方法であって、患者に治療的有効量の上に定義した式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0048】
本発明はまた閉塞性気道疾患(例えば喘息またはCOPD)の処置方法であって、患者に治療的有効量の上に定義した式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0049】
本発明はまた炎症性腸疾患またはクローン病の処置方法であって、患者に治療的有効量の上に定義した式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0050】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、温血動物、例えばヒトの治療的処置に使用するために、該成分は、通常、標準的薬務に従い、医薬組成物に製剤される。
【0051】
それ故、他の局面において、本発明は、式(I)の化合、またはその薬学的に許容される塩(活性成分)、および薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を含む、医薬組成物を提供する。さらなる局面において、本発明は、活性成分と薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を混合することを含む、該組成物の製造方法を提供する。投与方式によって、本医薬組成物は、例えば、0.05〜99%w(重量%)、例えば0.05〜80%w、例えば0.10〜70%w、例えば0.10〜50%wの活性成分を含み、全ての重量パーセントは全組成物に基づく。
【0052】
本発明の医薬組成物は、処置が望まれる疾患状態に対して標準的な方法で、例えば局所(例えば肺および/または気道または皮膚に)、経口、直腸または非経腸投与で投与してよい。この目的のために、本発明の化合物は、当分野で既知の方法により、例えば、エアロゾル剤、乾燥粉末製剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、散剤、顆粒剤、水性または油性溶液または懸濁液、(脂質)エマルジョン、分散性粉末剤、坐薬、軟膏、クリーム剤、滴剤および滅菌注射用水性または油性溶液または懸濁液に製剤し得る。
【0053】
本発明の適当な医薬組成物は、単位投与形態で経口投与に適するもの、例えば0.1mg〜1gの活性成分を含む錠剤またはカプセル剤である。
【0054】
他の局面において、本発明の医薬組成物は、静脈内、皮下または筋肉内注射に適するものである。各患者は、例えば、0.01mgkg−1〜100mgkg−1、例えば0.1mgkg−1〜20mgkg−1の本発明の化合物の静脈内、皮下または筋肉内投与量を受け、本組成物は、1日あたり1〜4回投与する。静脈内、皮下および筋肉内投与量は、ボーラス注射の手段により与えてよい。あるいは、静脈内投与量を一定期間にわたる連続輸液により与えてもよい。あるいは、各患者は、1日非経腸投与量とおおよそ等価な1日経口投与量を服用し、本組成物は、1日あたり1〜4回投与される。
【0055】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本発明の化合物を含む医薬組成物または製剤を、記載した状態の1種以上の処置のための、他の1種または複数種の薬物と同時にまたは連続的に、または組み合わせ製剤として投与する、組み合わせ治療に関する。
【0056】
特に、リウマチ性関節炎、骨関節症、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬、および炎症性腸疾患のような(しかしこれらに限定されない)炎症性疾患の処置のために、本発明の化合物を下記の薬物と組み合わせてよい。
【0057】
シクロオキシゲナーゼ阻害性一酸化窒素ドナー(CINOD);グルココルチコステロイド(局所、経口、筋肉内、静脈内、または関節内経路のいずれで投与するものであれ);メトトレキサート;レフルノミド;ヒドロキシクロロキン;d−ペニシラミン;オーラノフィンまたは他の非経腸または経口金製剤;鎮痛剤;ジアセレイン;関節内治療、例えばヒアルロン酸誘導体;および栄養補助食品、例えばグルコサミン。
【0058】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、アルファ−、ベータ−、およびガンマ−インターフェロン類;インシュリン様増殖因子I型(IGF−1)を含む、サイトカインまたはサイトカイン機能のアゴニストまたはアンタゴニスト(サイトカインシグナリング経路に作用する薬物、例えばSOCS系のモジュレーターを含む)の組み合わせに関する。
【0059】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、ケモカイン受容体機能のモジュレーター、例えばCCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10およびCCR11(C−Cファミリーについて);CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4およびCXCR5(C−X−Cファミリーについて)およびC−X−CファミリーについてCXCR1のアンタゴニストの組み合わせに関する。
【0060】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、ドキシサイクリンのような薬物を含む、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、すなわち、ストロメライシン、コラゲナーゼ、およびゼラチナーゼ、ならびにアグリカナーゼ;特にコラゲナーゼ−1(MMP−1)、コラゲナーゼ−2(MMP−8)、コラゲナーゼ−3(MMP−13)、ストロメライシン−1(MMP−3)、ストロメライシン−2(MMP−10)、およびストロメライシン−3(MMP−11)およびMMP−9およびMMP−12の阻害剤の組み合わせに関する。
【0061】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、ロイコトリエン生合成阻害剤、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤または5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、例えば;ジロートン;ABT−761;フェンレウトン;テポキサリン;Abbott−79175;Abbott−85761;N−(5−置換)−チオフェン−2−アルキルスルホンアミド;2,6−ジ−tert−ブチルフェノールヒドラゾン類;メトキシテトラヒドロピラン類、例えばZeneca ZD−2138;化合物SB−210661;ピリジニル−置換2−シアノナフタレン化合物、例えばL−739,010;2−シアノキノリン化合物、例えばL−746,530;またはインドールまたはキノリン化合物、例えばMK−591、MK−886、およびBAY×1005の組み合わせに関する。
【0062】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、フェノチアジン−3−1s、例えばL−651,392;アミジノ化合物、例えばCGS−25019c;ベンゾキサルアミン類、例えばオンタゾラスト;ベンゼンカルボキシミドアミド類、例えばBIIL 284/260;およびザフィルカスト、アブルカスト(ablukast)、モンテルカスト、プランルカスト、ベルルカスト(verlukast)(MK−679)、RG−12525、Ro−245913、イラルカスト(CGP 45715A)、およびBAY×7195のような化合物から成る群から選択されるロイコトリエン(LT)B4、LTC4、LTD4、およびLTE4の受容体アンタゴニストの組み合わせに関する。
【0063】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、例えばテオフィリンおよびアミノフィリンを含むメチルキサンタニン;PDE4阻害剤、アイソフォームPDE4Dの阻害剤、またはPDE5の阻害剤を含む、選択的PDEアイソザイム阻害剤の組み合わせに関する。
【0064】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、経口的、局所的または非経腸的に適用するヒスタミン1型受容体アンタゴニスト、例えばセチリジン、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、アクリバスチン、テルフェナジン、アステミゾール、アゼラスチン、レボカバスチン、クロルフェニラミン、プロメタジン、シクリジン、またはミゾラスチンの組み合わせに関する。
【0065】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、プロトンポンプ阻害剤(例えばオメプラゾール)または胃保護性ヒスタミン2型受容体アンタゴニストの組み合わせに関する。
【0066】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、ヒスタミン4型受容体のアンタゴニストの組み合わせに関する。
【0067】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、アルファ−1/アルファ−2アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮剤交感神経刺激剤、例えばプロピルヘキセドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、シュードエフェドリン、ナファゾリンヒドロクロライド、オキシメタゾリンヒドロクロライド、テトラヒドロゾリンヒドロクロライド、キシロメタゾリンヒドロクロライド、トラマゾリンヒドロクロライドまたはエチルノルエピネフリンヒドロクロライドの組み合わせに関する。
【0068】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、ムスカリン受容体(M1、M2、およびM3)アンタゴニストを含む抗コリン作動剤、例えばアトロピン、ヒヨスチン、グリコピロレート、イプラトロピウムブロマイド、チオトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイド、ピレンゼピンまたはテレンゼピンの組み合わせに関する。
【0069】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、ベータ−アドレナリン受容体アゴニスト(ベータ受容体サブタイプ1−4を含む)、例えばイソプレナリン、サルブタモール、フォルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、ビトルテロールメシレート、またはピルブテロール、またはそのキラル鏡像体の組み合わせに関する。
【0070】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、クロモン、例えばクロモグリク酸ナトリウムまたはネドクロミルナトリウムの組み合わせに関する。
【0071】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、グルココルチコイド、例えばフルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン、シクレソニドまたはフロ酸モメタゾンの組み合わせに関する。
【0072】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、核ホルモン受容体、例えばPPARを調節する薬物の組み合わせに関する。
【0073】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、免疫グロブリン(Ig)またはIg製剤またはIg機能を調節するアンタゴニストまたは抗体、例えば抗IgE(例えばオマリズマブ)の組み合わせに関する。
【0074】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、他の全身性にまたは局所的に適用する抗炎症剤、例えばサリドマイドまたはその誘導体、レチノイド、ジトラノールまたはカルシポトリオールの組み合わせに関する。
【0075】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、アミノサリチレート類およびスルファピリジン例えばスルファサラジン、メサラジン、バルサラジド、およびオルサラジン;および免疫調節剤、例えばチオプリン類、およびコルチコステロイド、例えばブデソニドの組み合わせの組み合わせに関する。
【0076】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、抗細菌剤、例えばペニシリン誘導体、テトラサイクリン、マクロライド、ベータ−ラクタム、フルオロキノロン、メトロニダゾール、吸入アミノグリコシド;アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、アマンタジン、リマンタジン、リバビリン、ザナミビル(zanamavir)およびオセルタミビル(oseltamavir)を含む抗ウイルス剤;プロテアーゼ阻害剤、例えばインジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、およびサキナビル;ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えばジダノシン、ラミブジン、スタブジン、ザルシタビンまたはジドブジン;または非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えばネビラピンまたはエファビレンツの組み合わせに関する。
【0077】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、心血管剤、例えばカルシウムチャネルブロッカー、ベータ−アドレナリン受容体ブロッカー、アンギオテンシン−変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシン−2受容体アンタゴニスト;脂質低下剤、例えばスタチンまたはフィブラート;血液細胞形態学のモジュレーター、例えばペントキシフィリン;血栓溶解、または抗凝血剤、例えば血小板凝集阻害剤の組み合わせに関する。
【0078】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、CNS剤、例えば抗鬱剤(例えばセルトラリン)、抗パーキンソン剤(例えばデプレニル、L−ドーパ、ロピニロール、プラミペキソール、MAOB阻害剤、例えばセレギリン(selegine)およびラサギリン、comP阻害剤、例えばタスマール、A−2阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、ドーパミンアゴニストまたは神経型一酸化窒素合成酵素の阻害剤)、または抗アルツハイマー剤、例えばドネペジル、リバスチグミン、タクリン、COX−2阻害剤、プロペントフィリンまたはメトリホナートの組み合わせに関する。
【0079】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、急性または慢性疼痛の処置に使用する薬物、例えば中枢性にまたは末梢性に作用する鎮痛剤(例えばオピオイドまたはその誘導体)、カルバマゼピン、フェニトイン、ナトリウムバロプロエート、アミトリプチリン(amitryptiline)または他の抗抗鬱剤、パラセタモール、または非ステロイド性抗炎症剤の組み合わせに関する。
【0080】
本発明は、さらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、非経腸的または局所的(吸入を含む)に適用する局所麻酔剤、例えばリグノカインまたはaその誘導体の組み合わせに関する。
【0081】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩はまた、ホルモン剤、例えばラロキシフェン、またはビホスホネート、例えばアレンドロネートを含む、抗骨粗鬆症剤と組み合わせても使用できる。
【0082】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩と:(i)トリプターゼ阻害剤;(ii)血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;(iii)インターロイキン変換酵素(ICE)阻害剤;(iv)IMPDH阻害剤;(v)VLA−4アンタゴニストを含む接着分子阻害剤;(vi)カテプシン;(vii)キナーゼ阻害剤、例えばチロシンキナーゼ(例えばBtk、Itk、Jak3またはMAP、例えばゲフィチニブまたはメシル酸イマチニブ)、セリン/スレオニンキナーゼ(例えばMAPキナーゼ、例えばp38、JNK、タンパク質キナーゼA、BまたはC、またはIKKの阻害剤)、または細胞サイクル制御に関与するキナーゼ(例えばサイクリン依存性キナーゼ)の阻害剤;(viii)グルコース−6ホスフェートデヒドロゲナーゼ阻害剤;(ix)キニン−B1.−またはB2.−受容体アンタゴニスト;(x)抗痛風剤、例えばコルヒチン;(xi)キサンチンオキシダーゼ阻害剤、例えばアロプリノール;(xii)尿酸排泄促進剤、例えばプロベネシド、スルフィンピラゾンまたはベンズブロマロン;(xiii)成長ホルモン分泌促進物質;(xiv)トランスフォーミング増殖因子(TGFβ);(xv)血小板由来増殖因子(PDGF);(xvi)線維芽細胞増殖因子、例えば塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF);(xvii)カプサイシンクリーム;(xviii)タキキニンNK1またはNK3受容体アンタゴニスト、例えばNKP−608C、SB−233412(タルネタント)またはD−4418;(xix)エラスターゼ阻害剤、例えばUT−77またはZD−0892;(xx)誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤;(xxi)TH2細胞上に発現する化学誘引物質受容体相同性分子(例えばCRTH2アンタゴニスト);(xxii)P38の阻害剤;(xxiii)トール様受容体(TLR)の機能を調節する薬物、(xxiv)他のプリン性受容体の活性を調節する薬物;または(xxv)転写因子活性化の阻害剤、例えばNFkB、API、またはSTATSの組み合わせに関する。
【0083】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩はまた癌の処置の既存の治療剤と組み合わせても使用でき、例えば適切な薬物は次のものを含む:
(i)内科的腫瘍学において使用される抗増殖性/抗新生物剤またはそれらの組み合わせ、例えばアルキル化剤(例えばシスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、窒素マスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンまたはニトロソウレア);代謝拮抗剤(例えば葉酸代謝拮抗剤、例えば5−フルオロウラシルまたはテガフールのようなフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシウレア、ゲムシタビンまたはパクリタキセル);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン、例えばアドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシンまたはミトラマイシン);有糸分裂阻害剤(例えばビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンまたはビノレルビン、またはタキソイド、例えばタキソールまたはタキソテール);またはトポイソメラーゼ阻害剤(例えばエピポドフィロトキシン例えばエトポシド、テニポシド、アムサクリン、トポテカンまたはカンプトテシン);
【0084】
(ii)細胞増殖抑制剤、例えば抗エストロゲン(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンまたはヨードキシフェン)、エストロゲン受容体下方制御因子(例えばフルベストラント)、抗アンドロゲン(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミドまたは酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、ロイプロレリンまたはブセレリン)、プロゲストーゲン(例えば酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、レトロゾール、ボラゾールまたはエキセメスタン)または5α−レダクターゼの阻害剤、例えばフィナステリド;
【0085】
(iii)癌細胞侵襲を阻止する薬物(例えばマリマスタットのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤またはウロキナーゼプラスミノーゲンアクティベーター受容体機能の阻害剤);
【0086】
(iv)増殖因子機能の阻害剤、例えば:増殖因子抗体(例えば抗erbb2抗体トラスツマブ、または抗erbb1抗体セツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤、上皮細胞増殖因子ファミリーの阻害剤(例えばEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、例えば−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、AZD1839)、−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI−774)または6−アクリルアミド−−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI 1033))、血小板由来増殖因子ファミリーの阻害剤、または肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤;
【0087】
(v)抗血管新生剤、例えば血管内皮細胞増殖因子の作用を阻害するもの(例えば抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ、WO97/22596、WO97/30035、WO97/32856またはWO98/13354に開示された化合物)、または他の機構により作用する化合物(例えばリノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害剤またはアンジオスタチン);
【0088】
(vi)血管傷害剤、例えばコンブレタスタチンA4、またはWO99/02166、WO00/40529、WO00/41669、WO01/92224、WO02/04434またはWO02/08213に開示された化合物;
【0089】
(vii)アンチセンス治療で使用される薬物、例えば上記標的の一つに指向するもの、例えばISIS 2503、抗rasアンチセンス;
【0090】
(viii)遺伝子治療法、例えば異常遺伝子、例えば異常p53または異常BRCA1またはBRCA2を置換する方法、GDEPT(遺伝子指向酵素プロドラッグ治療)法、例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌ニトロレダクターゼ酵素を使用するものおよび化学療法または放射線療法に対する患者耐容性を高めるための方法、例えば多剤耐性遺伝子治療に使用する薬物;または
【0091】
(ix)免疫治療法、例えば患者腫瘍細胞の免疫原性を高めるエキソビボおよびインビボでの方法、例えばサイトカイン類、例えばインターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子でのトランスフェクション、T細胞アネルギーを低下させる方法、トランスフェクト免疫細胞、例えばサイトカイントランスフェクト樹状細胞を使用した方法、サイトカイントランスフェクト腫瘍細胞株を使用した方法および抗イディオタイプ抗体を使用した方法で使用される薬物。
【0092】
本発明を、ここで、下記の説明的実施例を参照してさらに説明する。実施例において、NMRスペクトルは、300または400MHzいずれかのプロトン周波数でVarian Unity分光計で測定した。MSスペクトルを、Agilent 1100 MSD G1946D分光計またはHewlett Packard HP1100 MSD G1946A分光計のいずれかで測定した。分取HPLC分離を、溶離剤として0.1%水性トリフルオロ酢酸:アセトニトリル、0.1%水性アンモニア:アセトニトリルまたは0.1%酢酸アンモニウム:アセトニトリルを使用するWaters Symmetry(登録商標)またはXterra(登録商標)カラムを使用して行った。マイクロ波反応は、CEM Discoverシングル・モード・マイクロ波で行った。化合物および中間体を、ACD Labs, Toronto, Canadaにより提供されるIUPAC naming packageにより命名した。
【実施例】
【0093】
実施例1
6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]−2−{(3S)−3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−ピロリジン−1−イル}キノリン−5−カルボキサミド
a) 2,6−ジクロロ−N−((1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル)キノリン−5−カルボキサミド
【化6】

撹拌しているジクロロメタン(600ml)中の2,6−ジクロロキノリン−5−カルボン酸(40.0g)(WO2004/106305、実施例76、工程b)の溶液に、窒素下、室温でジメチルホルムアミド(0.13ml)および塩化オキサリル(36.2ml)を2時間にわたり、3回に分けて滴下した。混合物を次いで室温で18時間撹拌した。混合物を真空で濃縮し、ジクロロメタン(400ml)を添加し、混合物を、ジクロロメタン(600ml)中の1−(アミノメチル)シクロヘプタノールヒドロクロライド(32.7g)(W.C. Vincek, C.S. Aldrich, R.T. Borchardt and G.L. Grunewald, J. Med. Chem., 1981, 21(1), 7-12)およびトリエチルアミン(69.1ml)の溶液に、0℃で15分間にわたり滴下した。混合物を1時間撹拌し、次いで水(400ml)を添加した。混合物を真空下で濾過し、固体を連続的に水(2×400ml)、アセトニトリル(400ml)およびジエチルエーテル(400ml)で洗浄し、次いで真空で乾燥させて、副題生成物を無色固体として得た(59.0g)。
m/z 367(M+H, 100%).
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 8.24(1H, d), 7.99(1H, d), 7.70(1H, d), 7.47(1H, d), 6.52 - 6.42(1H, m), 3.59(2H, d), 1.87 - 1.44(12H, m).
【0094】
b) 2−[(3S)−3−アミノピロリジン−1−イル]−6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]−キノリン−5−カルボキサミド
【化7】

2,6−ジクロロ−N−((1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル)キノリン−5−カルボキサミド(100g)、炭酸カリウム(83g)、(S)−3−アミノピロリジン(Alfa Aesar、99%ee)(41ml)およびアセトニトリル(1L)の混合物を、撹拌しながら、82℃で窒素雰囲気下、8時間加熱した。混合物を次いで室温に冷却し、水(3.3L)に注ぎ、混合物を1時間撹拌し、その後濾過し、水(2×300ml)、アセトニトリル(200ml)で洗浄し、真空で乾燥させて、副題生成物を薄黄色固体として得た(94.0g)。
m/z 417(M+H, 100%).
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ 7.88(1H, d), 7.58(1H, d), 7.36(1H, d), 6.69(1H, d), 6.64(1H, t), 3.86 - 3.68(3H, m), 3.67 - 3.58(1H, m), 3.53(2H, d), 3.36 - 3.27(1H, m), 2.52 - 2.33(1H, m), 2.30 - 2.16(1H, m), 1.94 - 1.18(13H, m).
【0095】
c) 2−{(3S)−3−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]ピロリジン−1−イル}−6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]キノリン−5−カルボキサミド
【化8】

2−[(3S)−3−アミノピロリジン−1−イル]−6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]−キノリン−5−カルボキサミド(17.6g)をジクロロメタン(300ml)に懸濁し、モレキュラー・シーブ(17.6g)を窒素雰囲気下添加した。[[(1,1−ジメチルエチル)−ジメチルシリル]−オキシ]アセトアルデヒド(7.2ml)を、撹拌しながら5分間にわたり滴下し、混合物を室温で6時間撹拌した。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(17.9g)を一度に添加し、混合物を室温でさらに17時間撹拌し、その後水(10ml)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌し、シリカ上、真空で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、1:2:97−1:8:91 メタノール中7M NH:メタノール:ジクロロメタンとして勾配溶出)で精製して、副題生成物を無色固体として得た(16.0g)。不純フラクション(4.1g)をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、1:2:97−1:8:91 メタノール中7M NH:メタノール:ジクロロメタンとして勾配溶出)で再精製して、第2回目の副題生成物を得た(2.8g)。
m/z 575(M+H, 100%).
1H NMR(300MHz, DMSO) δ 8.40(1H, t), 7.77(1H, d), 7.53 - 7.39(2H, m), 6.91(1H, d), 4.17(1H, s), 3.78 - 3.00(9H, m), 2.64(2H, t), 2.14 - 2.00(1H, m), 1.83 - 1.72(1H, m), 1.70 - 1.26(12H, m), 0.81(9H, d), 0.00(6H, s).
【0096】
d) 6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]−2−{(3S)−3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−ピロリジン−1−イル}キノリン−5−カルボキサミド
【化9】

テトラヒドロフラン(125ml)中の2−{(3S)−3−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]ピロリジン−1−イル}−6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]キノリン−5−カルボキサミド(26.0g)の溶液に、塩化水素(50ml、ジオキサン中4M)を、10分間にわたり、内部温度を30℃未満に維持するために氷浴で冷やしながら滴下した。混合物を室温で2.5時間撹拌し、その後真空で濃縮した。粗生成物をMeOH(30ml)に再溶解し、クロマトグラフィー(SiO、1:4:95−1:10:89 メタノール中7M NH:メタノール:ジクロロメタンとして勾配溶出)で精製した。純粋フラクションを真空濃縮し(20.1g)、次いでアセトニトリル:メタノール(99:1、400ml総量)で18時間スラリー化し、その後濾過し、アセトニトリル(30ml)で洗浄した。固体を真空で乾燥させて、表題化合物を無色固体として得た(18.5g)。
m.p.=138−140℃
m/z 461(M+H, 100%).
1H NMR(400MHz, DMSO) 8.44(1H, t), 7.81(1H, d), 7.52(1H, d), 7.48(1H, d), 6.94(1H, d), 3.73 - 3.27(9H, m), 2.63(2H, td), 2.15 - 2.05(1H, m), 1.86 - 1.77(1H, m), 1.73 - 1.31(12H, m).
【0097】
実施例2
6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]−2−{(3S)−3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−ピロリジン−1−イル}キノリン−5−カルボキサミド水和物
【化10】

実施例2の一般的条件:NMRスペクトルをBruker Avance 360MHz、Bruker Avance 400MHzまたはBruker DPX250 250MHz分光計のいずれかで測定した。
【0098】
a) 1−[(トリメチルシリル)オキシ]シクロヘプタンカルボニトリル
シクロヘプタノン(1001.0g)およびヨウ化亜鉛(10.0g)を反応容器に入れた。トリメチルシリルシアニド(1311ml)を、温度を20℃〜25℃に維持しながら5回等量で添加し、反応を2時間撹拌して、表題化合物を薄黄色油状物として得た(2049.0g)。
1H NMR δCDCl3 1.91-1.82(2H, m), 1.75-1.64(2H, m), 1.53-1.26(8H, m), 0.00(9H, s)
【0099】
b) 1−(アミノメチル)シクロヘプタノール
テトラヒドロフラン(738ml)中の1−[(トリメチルシリル)オキシ]シクロヘプタンカルボニトリル(737.5g)を、テトラヒドロフラン中1モル濃度のリチウムアルミニウムハイドライド溶液(4980ml)およびテトラヒドロフラン(369ml)を含む容器に、55℃〜60℃の温度を維持しながら入れた。テトラヒドロフラン(738ml)を入れ、反応を3時間、60℃〜65℃で撹拌した。反応を10〜15℃に冷却し、水(193ml)、予め混合した水酸化ナトリウム溶液[水(389ml)、水酸化ナトリウム(69g)]、テトラヒドロフラン(738ml)および水(193ml)を、15℃〜25℃の温度を維持しながら添加した。混合物を70分間撹拌し、濾過した。フィルターケーキをテトラヒドロフラン(1476ml)で2回線上した。濾液および洗液を合わせ、反応容器に入れ、約1480mLまで65℃〜70℃で濃縮した。混合物を15℃〜25℃に冷却し、テトラヒドロフラン(369ml)と共に容器に移し、表題化合物(381g)を、テトラヒドロフラン(1613ml)中無色溶液として得た。
1H NMR δCDCl3 4.61(2H, s), 2.44(2H,s), 1.63-1.15(12H, m)
【0100】
c) 1−(アミノメチル)シクロヘプタノールヒドロクロライド
アセチルクロライド(264ml)およびテトラヒドロフラン(191ml)を、2−プロパノール(1143ml)を含む容器に、10℃〜15℃の温度を維持しながら入れた。テトラヒドロフラン(1613ml)およびテトラヒドロフラン(381ml)中の1−(アミノメチル)シクロヘプタノール(381g)を、10℃〜15℃の温度を維持しながら入れた。反応混合物を50分間撹拌し、濾過した。フィルターケーキを予め混合したテトラヒドロフラン/2−プロパノール[テトラヒドロフラン(267ml)、2−プロパノール(114ml)]、およびテトラヒドロフラン(1905ml)で洗浄した。フィルターケーキを40℃で23時間乾燥させて、表題化合物を無色固体として得た(464g)。
1H NMR δCD3OD 4.97(3H, s), 2.91(2H,s), 1.80 - 1.48(12H, m).
【0101】
d) 2,6−ジクロロ−N−((1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル)キノリン−5−カルボキサミド
塩化チオニル(249ml)およびトルエン(276ml)を、2,6−ジクロロキノリン−5−カルボン酸(276.0g)およびトルエン(2760ml)を含む容器に入れた。反応混合物を80℃〜85℃で3時間撹拌した。反応混合物を約1380mLまで30℃〜40℃で濃縮した。トルエン(2760ml)を入れ、混合物を、約1380mLまで30℃〜40℃で濃縮した。トルエン(828ml)を入れ、得られた溶液およびトルエン(276ml)を1−(アミノメチル)シクロヘプタノールヒドロクロライド(205g)、トリエチルアミン(491ml)およびトルエン(1930ml)を含む反応容器に0℃〜10℃で入れた。反応を0℃〜5℃で1時間、次いで2時間、20℃〜25℃撹拌した。水(2200ml)を入れ、混合物を40分間撹拌し、濾過した。フィルターケーキを水(1100ml)で2回、トルエン(1380ml)、水(1100ml)およびトルエン(1380ml)で洗浄した。フィルターケーキを40℃で41時間乾燥させて、表題化合物をオフホワイト色固体として得た(375.76g)。
1H NMR δDMSO 8.65(1H, t), 8.24(1H, d), 8.01(, 1H, d), 7.89(1H, d), 7.72(1H,d), 4.27(1H, s), 3.36(2H,d), 1.74 - 1.32(12H, m)
【0102】
e) 2−[(3S)−3−アミノピロリジン−1−イル]−6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]−キノリン−5−カルボキサミド
(S)−3−アミノピロリジン(96ml)およびアセトニトリル(300ml)を、2,6−ジクロロ−N−((1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル)キノリン−5−カルボキサミド(300.0g)、炭酸カリウム(249.0g)およびアセトニトリル(2400ml)を含む容器に入れた。反応混合物を20時間加熱還流した。水(6900ml)を20℃〜25℃で入れた。混合物を95分間撹拌し、濾過した。フィルターケーキを水(1200ml)およびアセトニトリル(1200ml)で洗浄した。フィルターケーキを40℃で48時間乾燥させて、表題化合物を黄色固体として得た(283g)。
1H NMR δDMSO 8.45(1H, t), 7.82(1H,d), 7.56 - 7.46(2H, m), 6.95(1H, d), 4.21(1H, s), 3.71 - 3.48(4H, m), 3.36 - 3.23(3H, m), 2.15 - 2.06(1H, m), 1.83 - 1.32(13H, m).
【0103】
f) 2−{(3S)−3−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]ピロリジン−1−イル}−6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]キノリン−5−カルボキサミド
[[(1,1−ジメチルエチル)−ジメチルシリル]−オキシ]アセトアルデヒド(66.3g)およびテトラヒドロフラン(150ml)を、2−[(3S)−3−アミノピロリジン−1−イル]−6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]−キノリン−5−カルボキサミド(158.7g)、硫酸マグネシウム(75.0g)、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(175.5g)およびテトラヒドロフラン(1350ml)を含む容器に、15℃〜25℃で入れた。反応混合物を20時間撹拌し、予め混合した炭酸水素ナトリウム溶液[水(730ml)、炭酸水素ナトリウム(72.2g)]を入れた。ヘプタン混合物(150ml)を入れ、混合物を90分間撹拌し、層を分離した。有機層を予め混合した炭酸水素ナトリウム溶液[水(730.3ml)、炭酸水素ナトリウム(72.2g)]を入れた容器に再添加し、30分間撹拌し、その後層を分離した。有機層を水(750ml)で洗浄し、反応容器に再び入れた。テトラヒドロフラン(1500ml)を入れ、混合物を約1500mLまで40℃〜45℃で濃縮した。テトラヒドロフラン(1500ml)を入れ、混合物を約1500mLまで40℃〜45℃で濃縮し、濾過した。フィルターケーキをテトラヒドロフラン(150ml)で洗浄し、濾液および洗液を合わせ、反応容器に入れた。ヘプタン(1500ml)を入れ、混合物を約1500mLまで40℃〜50℃で濃縮した。ヘプタン(1500ml)を入れ、混合物を約1500mLまで40℃〜50℃で濃縮した。混合物を15℃〜20℃に冷却し、75分間撹拌し、濾過した。フィルターケーキをヘプタン(300ml)で洗浄し、フィルター上で乾燥させて、粗表題化合物を薄黄色固体として得た(182.8g)。
粗表題生成物(170g)を、メタノール(170ml)および2−プロパノール(510ml)と共に反応容器に入れた。混合物を40℃〜45℃に温め、40分間撹拌した。混合物を18℃〜23℃に冷却し、2.5時間撹拌した。混合物を0〜5℃に冷却し、1時間撹拌し、濾過した。フィルターケーキを予め混合したメタノール/2−プロパノール[メタノール(85ml)、2−プロパノール(255ml)で洗浄し、40℃で乾燥させて、表題化合物をオフホワイト色固体として得た(124g)。
1H NMR δDMSO 8.40(1H, t), 7.77(1H, d), 7.53 - 7.39(2H, m), 6.91(1H, d), 4.17(1H, s), 3.78 - 3.00(9H, m), 2.64(2H, t), 2.14 - 2.00(1H, m), 1.83 - 1.72(1H, m), 1.70 - 1.26(12H, m), 0.81(9H, d), 0.00(6H, s).
【0104】
g) 6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]−2−{(3S)−3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−ピロリジン−1−イル}キノリン−5−カルボキサミド水和物
予め混合した塩酸溶液[cHCl(516.0g)、水(4813ml)]を、2−{(3S)−3−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]ピロリジン−1−イル}−6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]キノリン−5−カルボキサミド(525.0g)およびトルエン(5250ml)を含む反応容器に20℃〜30℃で入れた。反応混合物を25℃〜30℃で20時間撹拌し、濾過した。フィルターケーキを水(525ml)で洗浄した。濾液および洗液を合わせ、層を分離した。水性層をトルエン(2625ml)で洗浄し、反応容器に入れた。予め混合した重炭酸カリウム溶液[水(1803ml)、重炭酸カリウム(601.3g)]およびn−ブタノール(5250ml)を25℃〜30℃で入れ、得られた混合物を67分間撹拌した。相を分離し、水性相をn−ブタノール(2625ml)で抽出した。ブタノール相を合わせ、水(2600.0ml)で4回洗浄した。この時点でブタノール溶液を、同一規模の反応からのブタノール溶液と合わせた。溶液を濾過し、フィルターケーキをn−ブタノール(1050ml)で洗浄した。濾液および洗液を合わせ、約9.5Lまで40℃〜50℃で濃縮した。n−ブタノール(1050ml)を入れ、約9.5Lまで40℃〜50℃で濃縮した。n−ブタノール(1050ml)を入れ、約10.5Lまで40℃〜50℃で濃縮した。n−ブタノール(1050ml)を入れ、約10.5Lまで40℃〜50℃で濃縮した。n−ブタノール(1050ml)を入れ、約10.5Lまで40℃〜50℃で濃縮した。混合物を約5.3Lまで40℃〜50℃で濃縮した。混合物を40℃〜50℃で61時間維持し、ヘプタン混合物(5250ml)を40℃〜50℃で入れた。混合物を40℃〜50℃で60分間および20〜25℃で92分間撹拌し、濾過した。フィルターケーキを予め混合したヘプタンおよびn−ブタノール[ヘプタン(2100ml)、n−ブタノール(2100ml)]で洗浄した。フィルターケーキを40℃で30時間、60℃で24時間、65℃で19時間および80℃で9時間乾燥させて、表題化合物をオフホワイト色固体として得た(524.4g)。
1H NMR δdmso 8.44(1H, t), 7.81(1H, d), 7.52(1H, d), 7.48(1H, d), 6.94(1H, d), 3.73 - 3.27(9H, m), 2.63(2H, td), 2.15 - 2.05(1H, m), 1.86 - 1.77(1H, m), 1.73 - 1.31(12H, m).
【0105】
一貫して水和された形態を得るために、得られた2−{(3S)−3−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)アミノ]ピロリジン−1−イル}−6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]キノリン−5−カルボキサミドを次の通り処理した。ハステロイ容器に6−クロロ−N−[(1−ヒドロキシシクロヘプチル)メチル]−2−{(3S)−3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−ピロリジン−1−イル}キノリン−5−カルボキサミド(40g、1wt)、トルエン(7.0vol、280mL)および水(11.2mL、7.0当量)入れ、内容物を45〜50℃に加熱し、この温度で22時間撹拌した。混合物を次いで18〜23℃に1時間かけて冷却し、次いで18〜23℃でさらに1時間寝かせ(aged)、その後窒素流および真空下に濾過した。濾過に6分間かかった。ケーキをトルエン(80mL、2.0vol)および水(3.2mL、0.08vol.)の混合物で洗浄し、フィルター上で30分間、窒素下流下で乾燥させ、その後除去した。生成物を46.7gの薄黄色固体として単離した。湿物質(35.2g)の一部を、真空下、18〜23℃で72時間乾燥させて、30.2gの表題化合物(100%回収率、比例計算)。生成物の水含量は、Mitsubishi CA-20(Predicta OM-1000)水分計を使用したKarl Fischerタイトレーションにより、1.7%w/wであると決定された。
【0106】
薬理学的分析
P2Xアッセイ
ある種の化合物、例えばベンゾイルベンゾイルアデノシン三リン酸(bbATP)はP2X受容体のアゴニストであることが知られており、原形質膜における孔の形成に影響する(Drug Development Research(1996), 37(3), p.126)。その結果、この受容体を、bbATPを使用して、臭化エチジウム(蛍光DNAプローブ)の存在下に活性化させたとき、細胞内のDNAに結合した臭化エチジウムの蛍光の増加が観察される。蛍光の増加はP2X受容体活性化の指標であり、故にP2X受容体に対する化合物の効果を定量するために使用できる。
【0107】
この方法で、本発明の化合物をP2X受容体でのアンタゴニスト活性について試験した。故に、試験を96ウェル平底マイクロタイタープレートで行い、ウェルを250μlの、10−4M 臭化エチジウムを含むTHP−1細胞(2.5×10細胞/ml)の200μlの懸濁液、10−5M bbATPを含む25μlの高カリウム緩衝液、および典型的に30μM−0.001μMの濃度の試験化合物を含む25μlの高カリウム緩衝液を含む、試験溶液で満たした。プレートをビニールシートで覆い、37℃で1時間インキュベートした。プレートを次いでPerkin-Elmer蛍光プレートリーダーで、励起520nm、放出595nm、スリット幅:Ex 15nm、Em 20nmで読んだ。比較目的で、bbATP(P2X受容体アゴニスト)およびピリドキーサル5−ホスフェート(P2X受容体アンタゴニスト)を、対象として別々に試験に使用した。得られた読み取り値から、pIC50値を計算し、この値は、bbATPアゴニスト活性を50%低下させるのに必要な試験化合物濃度の負の対数である。
【0108】
hERG結合プロトコール
hERGアッセイを、WO2005/037052に記載の方法で行った。ヒトether-a-go-go関連遺伝子(hERG)遺伝子によりコードされているイオンチャネルサブユニットに対する化合物の親和性(pIC50)を、フィルター・ウォッシュ形式(filter wash format)でHEK(ヒト胚性腎臓)細胞膜に対する放射性リガンド3,7−ビス[2−(4−ニトロ[3,5−H]フェニル)エチル]−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンの競合的結合により決定した。
【0109】
膜を、3時間、室温で試験化合物の連続希釈、最終濃度1nMの放射性リガンド3,7−ビス[2−(4−ニトロ[3,5−H]フェニル)エチル]−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、およびアッセイ緩衝液(10mM HEPES、130mM NaCl、5mM KCl、1mM EGTA、0.8mM MgCl2、pH7.4)とインキュベートした。アッセイを、200μLの最終体積で、1%(v/v)ジメチルスルホキシド存在下で行った。非特異的結合を、10μMアステミゾール存在下の3,7−ビス[2−(4−ニトロ[3,5−H]フェニル)エチル]−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンの結合を測定することにより決定した。このインキュベーション中、GF/Bフィルタープレートを、コーティング溶液(0.3%(v/v)ポリエチレンイミンおよび0.2%(w/v)BSA)に浸した。インキュベーション後、アッセイプレートをプレコートしたGF/BフィルタープレートにTomtec harvesterを使用して回収した。
【0110】
3,7−ビス[2−(4−ニトロ[3,5−H]フェニル)エチル]−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン結合の50%減少に必要な化合物濃度の負の対数でとして定義されるpIC50を決定した。‘未満’の数値は、試験した最高濃度である記載の濃度で<50%阻害を示した。
【0111】
P2XアッセイおよびhERG結合プロトコールの結果
本発明の化合物は、8.4のpIC50値を有し、非常に高いP2Xアンタゴニスト活性を示した。さらに、本化合物は、試験した最高濃度で50%未満の阻害である、極めて低いhERG活性を示した。表1は、本発明の化合物およびWO2004/106305に例示された(実施例29、36、44および50)比較化合物のP2X pIC50値およびhERG pIC50値を示す。
【表1】

【0112】
本発明の化合物は、5nM以下の濃度のP2X IC50値を示した。さらに、hERGについて100μMの濃度でIC50を示すのに十分な活性を示さなかった。従って、本発明の化合物は、>20,000のP2X:hERG親和性比を有する。比較化合物であるWO2004/106305の実施例29、36、44および50の化合物は、各々、32μM、8μM、13μMおよび13μMの濃度のhERG IC50を示し、P2X IC50を示すために63nM、6nM、13nMおよび32nMが必要であった。従って、それらのP2X:hERG親和性比は、各々わずか502、1258、1000および398である。
【0113】
バイオアベイラビリティ − ラットPK
薬物動態学的パラメーターおよび概念を、体内での化合物の運命を述べるためにDMPKで使用した。化合物の分布および分泌は、血漿濃度−時間プロファイルに反映される。適切な投与、サンプリングおよび分析により、キー・パラメーター(クリアランス、体積、半減期、バイオアベイラビリティなど)が決定できる。
【0114】
試験化合物を、典型的に雄Sprague Dawleyラットの尾静脈の右側面に、DMA:水(40:60 v/v)中3mg/kg(1ml/kg)の投与量で静脈内投与した。ラットに、0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、w/v)/0.1%Tween 80(v/v)の水溶液中、5mg/kg(2ml/kg)の投与量で経口投与した。血液サンプル(200μl)を、静脈内投与後尾静脈の左側面から2分、4分、8分、15分、30分、60分、120分、180分、300分、420分、720分および1440分および経口投与後0分、20分、40分、60分、120分、180分、300分、420分、720分および1440分に連続的に採取した。血漿を遠心分離により調製した。
【0115】
試験化合物の血漿濃度を決定するために、50μlのメタノールを50μlの各試験サンプルに添加し、一方40μlのメタノールを、較正線およびQCを作成するために使用する信頼できる標品を10μl添加された対照血漿の50μl等量分に添加した。最後に、化学的に類似の内部標準を含む100μlのメタノールを各サンプルに、標準およびQCに添加し、最終体積を200μlとした。次いで、全血漿サンプルを徹底的に混合し、−20℃で少なくとも1時間徹底的に混合し、その後遠心分離した。得られた上清を、コーン電圧および衝突エネルギー両方の最適化により適切な、選択的かつ感受性の方法が作られた後に、HPLC−MSMSにより分析した。
【0116】
薬物動態学的パラメーターを、WinNonLin(登録商標)における非コンパートメント分析を使用して、濃度−時間から導いた。バイオアベイラビリティを、次の式を使用して計算した:F=AUC経口×投与量静脈内/AUC静脈内×投与量経口
本発明の化合物は、次の薬物動態学的データを示した:ラット経口バイオアベイラビリティ=14%
【0117】
インビトロリン脂質症プロトコール
リン脂質症を誘発する可能性のある化合物の評価を、初代ラット肝細胞におけるリン脂質の蓄積を報告するインビトロ蛍光アッセイにより決定した。肝細胞をHan Wistarラットから、2段階コラゲナーゼ消化法により単離した。次いで、肝細胞をコラーゲン被覆96ウェルプレート中、ウイリアムのE培地で平板培養した。細胞を1時間静置して付着させ、次いで、培地をHepatozyme細胞培養培地中、250μg.ml−1 コラーゲンの溶液に置き換えた。
【0118】
次いで、細胞を48時間、培地を24時間眼に交換しながら培養した。単離48時間後に、培地を蛍光リン脂質N−(6−テトラメチルローダミンチオカルバモイル)−1,2−ジヘキサデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DHPE−TRITC)(5μg.ml−1)を添加したHepatozymeに変えた。この時点で、試験化合物を、肝細胞に最終濃度0.4%のジメチルスルホキシド(試験化合物用の溶媒として使用)での一定範囲の濃度の連続希釈で添加した。
【0119】
細胞をさらに24時間インキュベートし、次いで核着色剤Hoechst 33342(最終濃度2μM)およびパラホルムアルデヒド溶液(最終濃度4%)を含むリン酸緩衝化食塩水(PBS)溶液の添加により固定した。プレートを室温に30分間維持し、次いで3回PBS溶液で洗浄した。
【0120】
次いで肝細胞の画像を、自動化顕微鏡台(GE In Cell Analyser 3000)を使用して獲得した。次いで画像分析アルゴリズムを使用して、細胞生存能および生存可能肝細胞内のDHPE−TRITCラベル蓄積を評価した。次いで試験化合物で観察された定量化した蓄積を、媒体のみに暴露された細胞において観察された蓄積を示す0、および10μM アミオダロンに暴露された細胞を示す1の範囲に標準化した。細胞生存能が>50%であるときの、試験化合物の用量応答中の最大蓄積を、この最大蓄積が観察されたときの投与量であるとして、記載する。>50%細胞毒性を引き起こした最低投与量も記載する。個々の細胞における毒性を、集積した、点状形態への核標識の変化として把握する。
【0121】
リン脂質症が観察される投与量は、インビボでのリン脂質症の発生率と逆に相関することが知られている(David K Monteith, Ryan E Morgan & Bartley Halstead (2006) “In vitro assays and biomarkers for drug-induced phospholipidosis”. Expert Opinion on Drug Metabolism & Toxicology, vol.2 (5), pp687-696)。
【0122】
本発明の化合物は、(10μM アミオダロン対照に対して)0.9の最大蓄積を、71μMの最大蓄積濃度で示す。さらに、それは198μMの最低毒性濃度を示す。比較として、WO2004/106305の実施例44は、0.6の最大蓄積を8μMの最大蓄積濃度で示し、そして23μMの最低毒性濃度を示す。
【0123】
血漿タンパク質結合の測定
血漿タンパク質結合の程度を、化合物をヒト血漿と水性緩衝液の間で37℃で平衡透析し、HPLC−MS/MSにより血漿および緩衝液中の化合物濃度を測定することにより決定した。
【0124】
透析セル(分子量カットオフ5000)を、水で濯ぎ、続いて透析緩衝液に最低1時間浸すことにより調製した。透析緩衝液は、等張緩衝化食塩水pH7.4であった。化合物のジメチルスルホキシド中の貯蔵溶液を、0.5mMの濃度で調製した。
【0125】
化合物のDMSO中の貯蔵溶液を、血漿1mlに対し10μlのDMSOの比率で添加した。これにより、血漿溶液中、5μMの濃度で各化合物を含む1%DMSOとなった。
【0126】
次いで透析セルを調製し、セルの半分を750μlの透析緩衝液で満たし、セルの他の半分を、750μlの化合物の血漿溶液で満たした。調製が済むと、セルを密閉し、インキュベーターボックスに37℃で置いた。次いでこれらのセルを平衡化するため最低4時間回転させた。
【0127】
平衡化後、500μlの緩衝液サンプルを取り、100μlの血漿と共にHPLCバイアルに入れ(6倍希釈血漿中のサンプル)、そして100μlの血漿サンプルを取り、500μlの透析緩衝液と共にHPLCバイアルに入れた(6倍希釈血漿中のサンプル)。
【0128】
次いでサンプルをHPLC−MS/MSを使用して分析した。4点較正曲線を、貯蔵溶液を、0.013μM、0.05μM、0.25μMおよび1.25μMの濃度に6倍希釈血漿で希釈することにより得て、これをこの順番で、そしてその後緩衝液サンプル、次いで血漿サンプルの順で注入した。
【0129】
計算
サンプルチュの化合物濃度を、較正曲線を自動的に計算し、検体中の化合物の濃度を名イソするMassLynx version 4.1ソフトウェア(Waters/Micromassにより製造)を使用して決定した。血漿タンパク質結合を、次の式を使用して、血漿中で結合した化合物のパーセンテージ(結合パーセント)として測定した濃度から決定した;
【数1】

本発明の化合物は、70%のヒト血漿タンパク質結合(結合%)を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を混合することを含む、請求項2に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項4】
治療に使用するための、請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
リウマチ性関節炎の処置に使用するための医薬の製造における、請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項6】
炎症性腸疾患またはクローン病の処置に使用するための医薬の製造における、請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項7】
請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法であって、式(II)
【化2】

の化合物と、式(III)
【化3】

〔式中、PGは保護基である。〕
を還元的アミノ化条件下に反応させ、そして
所望により本化合物の薬学的に許容される塩を形成させることを含む、方法。

【公表番号】特表2011−505356(P2011−505356A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535919(P2010−535919)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【国際出願番号】PCT/SE2008/051370
【国際公開番号】WO2009/070116
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】