説明

PARP阻害化合物、組成物及び使用方法

【課題】PARP阻害化合物、組成物及び使用方法の提供。
【解決手段】本発明は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)を阻害し、癌治療法の化学増感に有用であるテトラアザフェナレン−3−オン化合物に関する。従来及び最新の化学療法剤の多くでは副作用として一般的に末梢神経障害が誘発される。本発明はさらに、化学療法により誘発される神経障害を、高い信頼性をもって予防又は治療する手段を提供する。また、本発明は、テモゾロマイド等の化学療法剤の効能を高める上での、開示するPARP阻害化合物の使用に関する。また、本発明は、電離放射線に対して腫瘍細胞を放射線増感するための、開示するPARP阻害化合物の使用に関する。また、本発明は、DNA修復に欠損がある癌を治療するための、開示するPARP阻害化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)を阻害するテトラアザフェナレン−3−オン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、核酵素であるポリ(アデノシン5’−ジホスホ−リボース)ポリメラーゼ[「ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ」又は「PARP」、また、ADPRT(NAD:タンパク質(ADP−リボシルトランスフェラーゼ(重合)))及びPARS(ポリ(ADP−リボース)シンセターゼ)ともよばれる]の阻害剤に関し、化合物、及び本明細書にて開示する化合物を含有する組成物を提供する。さらに、本発明は開示されたPARP阻害剤を癌を治療するために使用する方法を提供する。
【0003】
化学増感剤として癌治療に使用され、虚血又は内毒素性ストレス後の細胞損傷を抑制するPARP阻害剤の開発に大きな関心が寄せられている。特に、強力なPARP−1阻害剤を用いた前臨床試験ではテモゾロマイド細胞毒性の増強が確認されているが、これは、N−メチルグアニン及びN−メチルアデニンの不完全なプロセシングによって、塩基除去修復が阻害され、その結果、細胞毒性が示されたことによるものである。現在は、PARP阻害剤の共投与によりインビトロ又はインビボのいずれにおいてもテモゾロマイドの細胞毒性が増強されることを示した多くの前臨床データが存在する(非特許文献1)。
【0004】
DNAメチル化剤であるテモゾロマイドはDNA損傷を誘発するが、そのDNA損傷は、O−アルキルグアニンアルキルトランスフェラーゼ(ATase)及びポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ−1(PARP−1)に依存した塩基除去修復により修復される。テモゾロマイドは、神経膠腫及び悪性黒色腫の治療に用いられる、経口投与可能な単官能性DNAアルキル化剤である。テモゾロマイドは速やかに吸収され、自然に分解されて活性モノメチルトリアゼンである5−(3−メチル−1−トリアゼノ)イミダゾール−4−カルボキサミドとなる。モノメチルトリアゼンによっていくつかのDNAメチル化産物が形成される。その主な種は、N−メチルグアニン(70%)、N−メチルアデニン(9%)及びO−メチルグアニン(5%)である。O−メチルグアニンは、O−アルキルグアニンアルキルトランスフェラーゼによって修復されない場合、DNA複製の際にチミンと誤対合することにより細胞毒性を呈する。この誤対合は、ミスマッチ修復タンパク質によって娘鎖上で認識され、チミンは除去される。しかし、ATaseの媒介によりメチル付加物が除去されて親鎖中の元のO−メチルグアニンヌクレオチドが修復されない限り、チミンは再挿入される可能性がある。未修復のO−メチルグアニンヌクレオチドと向かい合う部分でのチミンの除去及び取り込みが無益に繰り返されることによって、鎖が切断された状態が持続し、ミスマッチ修復系の一部であるMutS系によってG2−M細胞周期停止及びアポトーシス開始のシグナルが送られる。テモゾロマイドによってより多くの量が形成されるN−メチルグアニン及びN−メチルアデニンヌクレオチドアルキル化産物は、塩基除去修復により速やかに修復される(非特許文献1)。
【0005】
PARP阻害剤による化学増感は、テモゾロマイドの場合に制限されない。細胞毒性薬は概して、又は、放射線は、PARP−1の活性化を誘導し得るものであるが、PARP−1の阻害剤は化学療法及び放射線照射によるDNA損傷効果及び細胞毒性効果を増強し得ることが示されている(非特許文献2)。DNA損傷剤に応答して起こるPARP−1媒介のDNA修復は、腫瘍での薬剤耐性のメカニズムを示しており、この酵素を阻害することによって、電離放射線の活性及びいくつかの細胞毒性抗腫瘍剤(テモゾロマイド及びトポテカンを含む)の活性が増強されることが示されている。Sutoらは、特許文献1で、電離放射線又は化学療法剤が腫瘍細胞に及ぼす致死効果を増強するために用いられるイソキノリン類をいくつか開示している。非特許文献3においては、PARP活性の阻害、腫瘍細胞の増殖低下、及び、腫瘍細胞をアルキル化剤と併用治療した場合の顕著な相乗効果が開示されている。このことから、PARP−1は、DNAを損傷させる癌治療の効果を高めるための重要な治療標的となる可能性がある。
【0006】
また、PARP阻害剤は、二本鎖DNA修復の相同組み換え(HR)経路に欠損がある細胞の増殖を阻害し得る。非特許文献4及び5を参照。この作用は、化学増感剤を用いなくても発揮される(同上文献)。HR欠損に関連した状態として、BRCA−1欠損、BRCA−2欠損、及びファンコーニ貧血関連癌などが知られている(非特許文献6)。ファンコーニ貧血との関連が確認されているタンパク質として、FANCA、FANCB、FANCC、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、FANCL及びFANCMが挙げられる(同上文献)。概説は、非特許文献7及び8を参照。
【0007】
多数の公知のPARP阻害剤が、非特許文献9及び10中に記載されている。しかし、上述した方法でこれらのPARP阻害剤を使用すると望ましくない副作用が同時に起こるため、これらのPARP阻害剤の有効な使用は制限されている。非特許文献11を参照。
【0008】
上記に加えて、PARP阻害剤は、以下の国際特許出願に開示されかつ記載されている:特許文献2〜12。現状の技術についての包括的な概説は、Li及びZhangにより非特許文献12に公開されている。
【0009】
腫瘍細胞を化学療法剤の細胞毒性作用に対して化学増感することにより細胞毒性剤の致死性を増強するというPARP阻害剤の能力は、とりわけ、特許文献13〜15、非特許文献13〜18、特許文献16及び17に報告されている。
【0010】
末梢神経障害が誘発されるということは、化学療法剤による治療が制限されている要因として一般的に知られているもののひとつである(非特許文献19)。化学療法により誘発される神経障害は、従来の化学療法剤(例えば、タキソール、ビンクリスチン、シスプラチン)や、新型の化学療法剤(例えば、ベルケイド、エポチロン)の多くを用いた場合に生じる副作用である。用いた物質によって異なるが、純感覚性かつ痛みを伴う神経障害(シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチンの使用時)又は自律神経系の関与を伴う又は伴わない混合型の感覚運動神経障害(ビンクリスチン、タキソール、スラミンの使用時)が結果として生じる可能性がある。神経毒性は、用いる薬剤の総累積投与量及び種類に左右される。薬剤を一回だけ適用した後でさえも神経障害が生じる場合もある。症候が完全に回復しない場合がしばしば見られ、機能を回復するのに長期間の再生が必要とされる。今日まで、化学療法により誘発される神経障害を確実に予防又は治療することができる薬剤はほとんど存在しない。
【0011】
化学療法剤が腫瘍細胞に及ぼす致死効果を増強する一方で、副作用が非常に少ない、効果的かつ強力なPARP阻害剤が依然として必要とされている。
【0012】
また、PARP阻害剤は、低酸素腫瘍細胞を放射線増感する上で有効であり、さらに、放射線療法後の腫瘍細胞DNAの潜在的致死損傷の回復を妨げる上でも有効であることが報告されている。これらはPARP阻害剤のDNA修復を妨げる能力によるものであると推測される(特許文献18〜20)。
【0013】
最近発行された刊行物において、PARP阻害剤は、乳癌関連遺伝子1及び2(BRCA1/2)が欠損した乳癌細胞を破壊することが示唆されている。これらの研究は、PARP阻害剤がBRCA1/2関連乳癌の治療に有効である可能性を示唆している(非特許文献20〜22)。
【0014】
電離放射線及び/又は化学療法剤が腫瘍細胞に及ぼす致死効果を増強するもの、或いは、二本鎖DNA修復の相同組み換え(HR)経路に欠損がある細胞の増殖を阻害するものであり、なおかつ、副作用が非常に少ない、効果的かつ強力なPARP阻害剤が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,177,075号明細書(Suto et al.)
【特許文献2】国際公開第00/42040号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/39070号パンフレット
【特許文献4】国際公開第00/39104号パンフレット
【特許文献5】国際公開第99/11623号パンフレット
【特許文献6】国際公開第99/11628号パンフレット
【特許文献7】国際公開第99/11622号パンフレット
【特許文献8】国際公開第99/59975号パンフレット
【特許文献9】国際公開第99/11644号パンフレット
【特許文献10】国際公開第99/11945号パンフレット
【特許文献11】国際公開第99/11649号パンフレット
【特許文献12】国際公開第99/59973号パンフレット
【特許文献13】米国特許出願公開第2002/0028815号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2003/0134843号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2004/0067949号明細書
【特許文献16】国際公開第98/33802号パンフレット(Griffin R.J.,et al.)
【特許文献17】国際公開第2005/012305号パンフレット(Helleday T,et al.)
【特許文献18】米国特許第5,032,617号明細書
【特許文献19】米国特許第5,215,738号明細書
【特許文献20】米国特許第5,041,653号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Plummer,et al.,Clin.Cancer Res.,11(9),3402(2005)
【非特許文献2】Kock,et al.,45 J.Med.Chem.4961(2002)
【非特許文献3】Weltin et al.,“Effect of 6(5H)−Phenanthridinone,an Inhibitor of Poly(ADP−ribose) Polymerase,on Cultured Tumor Cells”,Oncol.Res.,6:9,399−403(1994)
【非特許文献4】Bryant et al.,“Specific killing of BRCA2−deficient tumours with inhibitors of poly(ADP−ribose) polymerase,” Nature 434,913(2005)
【非特許文献5】Farmer et al.,“Targeting the DNA repair defect in BRCA mutant cells as a therapeutic strategy,” Nature 434,917(2005)
【非特許文献6】McCabe et al.,“Deficiency in the Repair of DNA Damage by Homologous Recombination and Sensitivity to Poly(ADP−Ribose) Polymerase Inhibition,” Cancer Res.66.8109(2006)
【非特許文献7】Zaremba et al.,“PARP Inhibitor Development for Systemic Cancer Targeting,” Anti−Cancer Agents in Medicinal Chemistry 7,515(2007)
【非特許文献8】Lewis et al.,“Clinical poly(ADP−ribose) polymerase inhibitors for the treatment of cancer,” Curr.Opin.Investigational Drugs 8,1061(2007)
【非特許文献9】Banasik et al.,“Specific Inhibitors of Poly(ADP−Ribose) Synthetase and Mono(ADP−Ribosyl)−Transferase”,J.Biol.Chem.,267:3,1569−75(1992)
【非特許文献10】Banasik et al.,“Inhibitors and Activators of ADP−Ribosylation Reactions”,Molec.Cell.Biochem.,138,185−97(1994)
【非特許文献11】Milam et al.,“Inhibitors of Poly(Adenosine Diphosphate−Ribose) Synthesis;Effect on Other Metabolic Processes,” Science,223,589−91(1984)
【非特許文献12】Li and Zhang,IDrugs 2001,4(7):804−812(PharmaPress Ltd ISSN 1369−7056)
【非特許文献13】White AW,et al.,14 Bioorg.and Med.Chem Letts.2433(2004)
【非特許文献14】Canon Koch SS,et al.,45 J.Med.Chem.4961(2002)
【非特許文献15】Skalitsky DJ,et al.,46 J.Med.Chem.210(2003)
【非特許文献16】Farmer H,et al.,434 Nature 917(14 April 2005)
【非特許文献17】Plummer ER,et al.,11(9)Clin.Cancer Res.3402(2005)
【非特許文献18】Tikhe JG,et al.,47 J.Med.Chem.5467(2004)
【非特許文献19】Quasthoff and Hartung,J.Neurology,249,9−17(2002)
【非特許文献20】Farmer et al.,Nature 2005,434,917
【非特許文献21】DeSoto and Deng,Intl.J.Med.Sci.2006,3,117
【非特許文献22】Bryant et al.,Nature,2005,434,913
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、本明細書中で説明する化合物、その誘導体、及びポリ(ADP−リボース)ポリメラ−ゼ(「PARP」)を阻害するためのその使用、該化合物を含む組成物、並びに本明細書中で説明する身体不調の影響を治療するための該PARP阻害剤の製造方法及び使用方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、式(I)のテトラアザフェナレン−3−オン化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0019】
【化1】

【0020】
式中、Rは
(a)NR[Rは、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(C−Cシクロアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、(C−Cシクロアルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
上記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され;
は、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(C−Cシクロアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、(C−Cシクロアルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
上記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され;
及びRは独立して0〜4つの置換基で置換されており、該0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル及びアミノから選択されるが、
但し、R及びRが両方ともメチルでなくてもよく、Rが水素である場合にRが(フェニル)プロプ−1−イルでなくてもよい];又は、
(b)0〜4つの置換基で置換されているアリールオキシ[該0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、NR、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
上記において、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
2つ以上の置換基がNRの形態である場合、それぞれのR及びRは独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択される];又は、
(c)独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、かつ、0〜4つの置換基を有するヘテロサイクリル[該0〜4つの置換基は独立して、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、チオカルボニル、シアノ、イミノ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、スルフヒドリル、チオアルキル、ジオキサ−スピロエチル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
上記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
2つ以上の置換基がNRの形態である場合、それぞれのR及びRは独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
上記0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、0〜4つの追加の置換基でさらに置換されており、この追加の置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル及びアミノから選択されるが、
但し、RがN−ピペリジニル、N−ピロリジニル、又は、N−モルホリニル基である場合、Rは少なくとも1つの置換基を有する]。
【0021】
ある実施形態において、式(I)の各ヘテロサイクリルの環はそれぞれ独立して、5〜7員環(原子数5〜7)である。
【0022】
ある実施形態では、式(I)のヘテロサイクリルの少なくとも1つの環に1、2又は3つの窒素原子を含む。
【0023】
ある実施形態において、式(I)のヘテロサイクリルは1〜3つの環で構成される。ある実施形態において、ヘテロサイクリルは、独立してO、N及びSから選択される1〜7つのヘテロ原子を含む。ある実施形態において、ヘテロサイクリルは1〜2つの環で構成される。ある実施形態において、ヘテロサイクリルは1つの環で構成される。ある実施形態において、式(I)中に存在する種々のヘテロサイクリルはそれぞれ独立して1〜3つの環で構成される。ある実施形態において、式(I)中に存在する種々のヘテロサイクリルはそれぞれ独立して1〜2つの環で構成される。ある実施形態において、式(I)中に存在する種々のヘテロサイクリルはそれぞれ独立して1つの環で構成される。
【0024】
ある実施形態において、式(I)のヘテロサイクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピリジニル、ピリミジニル、ジヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ジヒドロピラジニル、テトラヒドロピラジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピロリル、ジヒドロピロリル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、ピラゾリル、ジヒドロピラゾリル、アゼパニル、[1,2]ジアゼパニル、[1,3]ジアゼパニル、[1,4]ジアゼパニル、インドリル、ジヒドロインドリル、イソインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、及び、テトラヒドロイソキノリル、又は、それらのサブセットからなる群より選択される。
【0025】
また、本発明は、(i)治療上有効な量の式(I)の化合物、及び、(ii)薬学的に許容される基剤を含む医薬組成物に関する。
【0026】
本発明は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラ−ゼ(PARP)のインビトロ及び/又はインビボでのポリメラーゼ活性を阻害する化合物、並びに、本明細書にて開示する化合物を含む組成物を提供する。
【0027】
本発明は、溶液、細胞、組織、器官又は器官系においてポリ(ADP−リボース)ポリメラ−ゼ(PARP)のインビトロ及び/又はインビボでのポリメラーゼ活性を阻害、制限及び/又は制御する方法を提供する。一実施形態において、本発明は、ヒト等の哺乳動物において、局所的又は全身的にPARP活性を制限又は阻害する方法を提供する。
【0028】
一実施形態において、本発明は、癌を治療するための化学増感方法であって、癌細胞を、細胞毒性を増強する式(I)のテトラアザフェナレン−3−オン化合物又はその薬学的に許容される塩と接触させ、さらにその腫瘍又は癌細胞を抗癌剤と接触させることを含む方法を提供する。
【0029】
本発明のある実施形態は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の少なくとも1つを、第1の用量で、それを必要とする患者に単回又は反復投与し、ある程度の期間をおいて、有効量の化学増感がもたらされるようにした後、引き続いて、化学療法剤の少なくとも1つを、第2の用量で、上記患者に単回又は反復投与する、化学増感方法を提供する。
【0030】
本発明のある態様は、薬学的に許容される遊離塩基、塩、水和物、エステル、溶媒和物、立体異性体及びこれらの混合物からなる群より選択される形態の式(I)の化合物を含む医薬製剤を提供する。別の態様によれば、医薬製剤はさらに、薬学的に許容される基剤と、必要に応じて化学療法剤とを含む。限定されないが、上記化学療法剤の例は以下に列挙する。下記の各実施形態は本発明の説明を目的としたものでしかなく、本願の特許請求の範囲をなんら限定することを目的とするものではない。一実施形態において、本発明の医薬製剤は、薬学的に許容される基剤中に本発明の化合物を含む。別の実施形態において、本発明の医薬製剤は、薬学的に許容される基剤中に本発明の化合物の薬学的に許容される塩を含む。別の実施形態において、本発明の医薬製剤は、薬学的に許容される基剤中に本発明の化合物と一つ以上の化学療法剤とを含む。別の実施形態において、本発明の医薬製剤は、薬学的に許容される基剤中に本発明の化合物の薬学的に許容される塩と一つ以上の化学療法剤とを含む。上記化学療法剤の例を以下に列挙するが、化学療法剤はそれらに限定されるものではない。
【0031】
本発明の追加的な態様によれば、化学増感化合物及び化学療法剤は、実質的に同時に投与される。
【0032】
本発明の一つの態様によれば、化学療法剤は、テモゾロマイド、アドリアマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン2、イリノテカン、パクリタキセル、タキソイド類、ダクチノマイシン、ダノルビシン(danorubicin)、4’−デオキシドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(pilcamycin)、マイトマイシン、ネオマイシン及びゲンタマイシン、エトポシド、4−OHシクロホスファミド、白金配位錯体、トポテカン、その治療上有効なアナログ及び誘導体、並びに、これらの混合物からなる群より選択される。好ましい態様によれば、化学療法剤はテモゾロマイドである。
【0033】
他の実施形態において、本発明は、癌の影響を治療する方法、及び/又は、癌細胞を放射線増感して癌細胞の放射線療法に対する感受性を高めることによって、放射線療法後、腫瘍細胞が、DNAの潜在的致死損傷から回復するのを妨げる方法を提供する。この実施形態の方法は、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。この実施形態の方法は、癌細胞を特異的かつ優先的に放射線増感することによって、癌細胞の放射線療法に対する感受性を非腫瘍細胞よりも高めることに関する。
【0034】
また、本発明は、治療を必要とする対象における癌の治療法であって、治療上有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を上記対象に投与することを含む方法をも提供する。ここで、上記癌の細胞は二本鎖DNA切断の修復に欠損を有するものである。一実施形態において、二本鎖DNA切断の修復における上記欠損は、相同組み換えにおける欠損である。一実施形態において、上記癌細胞は、BRCA−1欠損、BRCA−2欠損、BRCA−1及びBRCA−2欠損、並びに、ファンコーニ貧血からなる群より選択される表現型を有する。
【0035】
別の実施形態において、BRCA1/2関連乳癌の治療法であって、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、本発明の化学増感方法、本発明の放射線増感方法、又は、二本鎖DNA切断の修復に欠損がある癌細胞に対する本発明の癌治療方法において用いる化合物は、式(I)又はその薬学的に許容される塩から選択される化合物である。別の態様において、上記化合物は、下記物質及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される。
【0037】
【化2】

【0038】
【化3】

【0039】
【化4】

【0040】
【化5】

【0041】
【化6】

【0042】
【化7】

【0043】
また、本発明は、化学療法により誘発される末梢神経障害を治療する手段を提供する。本発明の一つの態様によれば、神経障害の症候の進行を予防するか、又は、上記症候の重篤性を緩和することを目的として、本発明の化合物を、化学療法剤の少なくとも1つを投与する前に投与するか、又は化学療法剤の少なくとも1つと同時に投与する。さらに別の態様によれば、患者の神経障害の症候を治療するか、又は、上記症候の重篤性を緩和することを目的として、本発明の化合物を、化学療法剤の少なくとも1つを投与した後に投与する。他の態様において、本発明は、哺乳動物の体内での癌細胞の増殖を抑制、遅延又は停止させる方法であって、化学療法剤の投与を含み、さらに、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、上記化学療法剤の抗腫瘍活性を増強するのに十分な量で投与することを含む方法を提供する。
【0044】
本発明のさらに他の態様及び利点は、以下の詳細な説明により、当業者にはすぐに明らかとなるであろう。詳細な説明においては、本発明を実施する際に考えられる最良の形態を単に例示することで本発明の好ましい実施形態を示し、説明している。十分に理解されるであろうが、本発明は他の異なる実施形態も採り得るものであり、いくつかの細部については、本発明から逸脱することなく、自明な点は種々改変することが可能である。従って、下記説明は、その性質上、例示的なものであり、本発明はこの説明の内容に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】PARP−1阻害化合物[13]+TMZの経口投与によって、B16黒色腫モデルを有するマウスの生存率が高まったことを示す図である。
【図2】PARP−1阻害化合物[13]+TMZの経口投与によって、頭蓋内SJGBM神経膠腫モデルにおいて生存率が高まったことを示す図である。
【図3】PARP−1阻害化合物[37]+TMZの経口投与によって、B16黒色腫モデルを有するマウスの生存率が高まったことを示す図である。
【図4】PARP−1阻害化合物[37]+TMZの経口投与によって、頭蓋内SJGBM神経膠腫モデルにおいて生存率が高まったことを示す図である。
【図5】PARP−1阻害化合物[37]の経口投与+放射線照射によって、頭頚部癌モデルにおいて腫瘍増殖が阻害されたことを示す図である。
【図6】PARP−1阻害化合物[37]の経口投与によって、BRCA1変異腫瘍の増殖が阻害されたことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、本明細書中で説明する化合物、その誘導体、及びポリ(ADP−リボース)ポリメラ−ゼ(「PARP」)を阻害するためのその使用、該化合物を含む組成物、並びに電離放射線の腫瘍細胞への細胞毒性効果を増強することにより癌の影響を治療、予防及び/又は改善するための該化合物の製造方法及び使用方法を提供する。
【0047】
本発明は、本明細書中で説明する化合物、その誘導体、及びポリ(ADP−リボース)ポリメラ−ゼ(「PARP」)を阻害するためのその使用、該化合物を含む組成物、並びに化学療法剤の腫瘍細胞への細胞毒性効果を増強することにより癌の影響を治療するための該化合物の製造方法及び使用方法を提供する。
【0048】
本発明は、腫瘍及び/又は癌細胞を治療するための化学増感方法であって、癌細胞を式(I)の化合物と接触させ、さらにその癌細胞を抗癌剤と接触させることを含む方法を提供する。
【0049】
本発明は、本明細書中で説明する化合物、その誘導体、及びポリ(ADP−リボース)ポリメラ−ゼ(「PARP」)を阻害するためのその使用、該化合物を含む組成物、並びに二本鎖DNA修復の相同組み換え(HR)経路に欠損がある細胞の増殖を阻害するための該化合物の製造方法及び使用方法を提供する。
【0050】
本発明の化合物及び組成物は、癌治療用の放射線増感剤又は化学増感剤の存在下又は非存在下で使用できる。該化合物及び組成物は、癌が二本鎖DNA修復の相同組み換え(HR)経路に欠損を有する場合に放射線増感剤又は化学増感剤の非存在下で使用するのが好ましい。該欠損は、BRCA−1欠損、BRCA−2欠損、BRCA−1/BRCA−2欠損、及び、ファンコーニ貧血に関連したものであり、これらの表現型を有する。
【0051】
ファンコーニ貧血は、遺伝的異質性を有する疾患であり、ファンコーニ貧血に罹患した患者では癌のリスクが大幅に高まる。11個のタンパク質がファンコーニ貧血と関連している。FANCA、FANCB、FANCC、FANCE、FANCF、FANCG及びFANCMは核内コア複合体を形成する。該複合体がFANCLと相互作用し、FANCD2にユビキノンが取り込まれる。修飾されたFANCD2はDNA架橋の修復に必要である。FANCd2がDNA損傷部位に蓄積し、BRCA−1及びBRCA−2と会合する。
【0052】
HR欠損との関連が考えられる癌の例として、乳癌及び卵巣癌が挙げられる。本発明の方法により治療される乳癌としてはあらゆる種類の乳癌が挙げられ、好ましくは浸潤性腺管癌及び浸潤性小葉癌が挙げられる。本発明の方法により治療される卵巣癌としてはあらゆる種類の卵巣癌が挙げられ、好ましくは上皮性卵巣腫瘍、胚細胞性卵巣腫瘍及び性索間質腫瘍が挙げられる。
【0053】
本発明の化合物は、米国特許出願第10/853,714号(その全体を本明細書に引用して援用する)に開示された出発物質及び方法を用いて合成することができる。
【0054】
本発明の組成物中で使用される式(I)の化合物等の本発明の化合物は、典型的には、ポリ(ADP−リボース)ポリメラ−ゼのインビトロ阻害でのIC50が、約20μM以下、好ましくは約10μM未満、より好ましくは約1μM未満となるか、又は、好ましくは約0.1μM未満、最も好ましくは約0.01μM未満となるであろう。
【0055】
PARP阻害化合物のIC50を決定する簡便な方法は、Trevigan(メリーランド州ゲーサーズバーグ)の精製組み換えヒトPARPを用いるPARPアッセイであり、以下の通りである:まずPARP酵素アッセイのための準備として、氷上で、100mMのTris−HCl(pH8.0)、1mMのMgCl、28mMのKCl、28mMのNaCl、3.0μg/mlのDNaseI活性化ニシン精子DNA(Sigma(ミズーリ州))、30マイクロモルの[H]ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(62.5mCi/ミリモル)、15マイクログラム/mlのPARP酵素、及び種々の濃度の被験化合物からなる100マイクロリットルの容積としたものを用意する。酵素を添加し、25℃で混合物をインキュベートすることにより反応を開始する。2分間インキュベートした後、氷冷30%(w/v)トリクロロ酢酸(500マイクロリットル)を添加することにより反応を終結させる。生成した沈殿をグラスファイバーフィルター(Packard Unifilter−GF/C)上に移し、70%エタノールで3回洗浄する。フィルターを乾燥させた後、シンチレーション計数により放射能を測定する。本発明の化合物は、この阻害アッセイにおけるIC50が数nM〜20μMの範囲にある、強力な酵素活性を有することが分かった。
【0056】
本明細書中で用いる「アルキル」は、指定された数の炭素原子を含む分岐鎖状又は非分岐鎖状の飽和炭化水素鎖を意味する。例えば、特に明記しない限り、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル炭化水素鎖とは、1〜6個の炭素原子を含むものである。その例としては、特に限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどの置換基が挙げられる。ある実施形態において、アルキル鎖は分岐鎖状又は非分岐鎖状C−C炭素鎖である。ある実施形態において、アルキル鎖は分岐鎖状又は非分岐鎖状C−C炭素鎖である。ある実施形態において、アルキル鎖は分岐鎖状又は非分岐鎖状C−C炭素鎖である。ある実施形態において、アルキル鎖は分岐鎖状又は非分岐鎖状C−C炭素鎖である。ある実施形態において、アルキル鎖は分岐鎖状又は非分岐鎖状C−C炭素鎖である。ある実施形態において、アルキル鎖は分岐鎖状又は非分岐鎖状C−C炭素鎖である。ある実施形態において、アルキル鎖は分岐鎖状又は非分岐鎖状C−C炭素鎖である。
【0057】
「アルケニル」は、指定された数の炭素原子を含む分岐鎖状又は非分岐鎖状の不飽和炭化水素鎖を意味する。例えば、特に明記しない限り、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル炭化水素鎖とは、少なくとも1つの二重結合を有する2〜6個の炭素原子を含むものである。その例としては、特に限定されないが、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、tert−ブテニル、n−ペンテニル、n−ヘキセニルなどの置換基が挙げられる。ある実施形態において、アルケニル鎖は分岐鎖状又は非分岐鎖状C−C炭素鎖である。ある実施形態において、アルケニル鎖は分岐鎖状又は非分岐鎖状C−C炭素鎖である。ある実施形態において、アルケニル鎖は分岐鎖状又は非分岐鎖状C−C炭素鎖である。ある実施形態において、アルケニル鎖は分岐鎖状又は非分岐鎖状C−C炭素鎖である。
【0058】
「アルコキシ」は、−OZ(式中、Zは、本明細書中で定義するアルキルである)基を意味する。また、Zは、1〜6個の炭素原子を含む分岐鎖状又は非分岐鎖状の飽和炭化水素鎖であってもよい。
【0059】
本明細書中で接頭語として用いる「シクロ」は、閉環の特徴を有する構造をいう。
【0060】
「ハロ(ハロゲン)」は、特に明記しない限り、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード部分のうちの少なくとも1つを意味する。
【0061】
本明細書中にて説明する「NR」、「NR」、「NR」及び「NREF」のそれぞれは独立して、アミノ(NH)さらには置換アミノを包含する。例えば、NRは−NH(CH)、−NH(シクロヘキシル)、及び、−N(CHCH)(CH)であってもよい。2つ以上の置換基が「NR」、「NR」、「NR」又は「NREF」の形態である場合、それぞれのR、R、R、R、R又はRは独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択される。これらの例は本発明を例示的に説明することを目的としたものでしかなく、これらになんら限定されることはない。
【0062】
「アリールカルボニル」は、本明細書中にて説明するアリールで置換されたカルボニル基をいう。例えば、特に限定されないが、フェニルカルボニル及びナフチルカルボニルが挙げられる。
【0063】
「アルキルカルボニル」は、本明細書中にて説明するアルキルで置換されたカルボニル基をいう。例えば、特に限定されないが、アシル及びプロピルカルボニルが挙げられる。
【0064】
「アルコキシカルボニル」は、本明細書中にて説明するアルコキシで置換されたカルボニル基をいう。例えば、特に限定されないが、メトキシカルボニル及びtert−ブチロキシカルボニルが挙げられる。
【0065】
「Ar」又は「アリール」は、1つ以上の閉環を有する芳香族炭素環部分をいう。例えば、特に限定されないが、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントラセニル、ビフェニル及びピレニルが挙げられる。
【0066】
「ヘテロサイクリル」は、1つ以上の閉環を有し、その少なくとも1つの環内に1つ以上のヘテロ原子(例えば、酸素、窒素又は硫黄)を有する環状部分をいう。該環状部分において、その1つ又は複数の環は独立して、芳香族、非芳香族、縮合環状、及び/又は橋かけ構造を有するものであってもよい。例えば、特に限定されないが、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピリジニル、ピリミジニル、ジヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ジヒドロピラジニル、テトラヒドロピラジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピロリル、ジヒドロピロリル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、ピラゾリル、ジヒドロピラゾリル、アゼパニル、[1,2]ジアゼパニル、[1,3]ジアゼパニル、[1,4]ジアゼパニル、インドリル、ジヒドロインドリル、イソインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、及び、テトラヒドロイソキノリルが挙げられる。
【0067】
「アリールアルキル」は、アリールで置換されたアルキル基をいう。例えば、特に限定されないが、ベンジル、フェニルエチル及びフェニルプロピルが挙げられる。
【0068】
「アルキルアリール」は、アルキルで置換されたアリール基をいう。例えば、特に限定されないが、トリル及びジメチルフェニルが挙げられる。
【0069】
「シクロアルキル」は、非芳香族である環状炭化水素部分をいう。例えば、特に限定されないが、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロペンテン、シクロへキセン、シクロヘプテン及びシクロオクテンが挙げられる。
【0070】
「神経傷害」という用語は、神経組織に対する損傷及びそれから生じる障害又は死のいずれかをいう。神経傷害の原因は、代謝性、毒性、神経毒性、医原性、熱的又は化学的なものがあり、例えば、特に限定されないが、虚血、低酸素症、脳血管障害、外傷、手術、圧力、圧排効果(mass effect)、出血、放射線、血管攣縮、神経変性疾患、感染、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ミエリン化/脱ミエリン化プロセス、癲癇、認知障害、グルタミン酸異常、及び、それらの副作用が挙げられる。
【0071】
「神経保護的」という用語は、神経傷害を低減、停止又は改善する効果、及び、神経傷害を受けている神経組織を保護、蘇生又は復活させる効果をいう。
【0072】
「神経変性の予防」という用語は、神経変性疾患を予防できること、及び、神経変性疾患に既に罹患した又はその症候を有する患者における神経変性の進行を予防できることを含む。
【0073】
「治療(する)(treating)」という用語は、
(i)疾患、障害及び/又は身体不調が生じ易い傾向があるが、未だ発症しているとは診断されていない動物において、当該疾患、障害又は身体不調を発生させないようにすること;及び/又は、
(ii)当該疾患、障害又は身体不調を阻害する、即ち、その発現を停止させること;及び/又は、
(iii)当該疾患、障害又は身体不調を和らげる、即ち、当該疾患、障害及び/又は身体不調を退縮させること
をいう。
【0074】
本明細書中で用いる「化学増感剤」という用語は、治療上有効な量で動物に投与されて化学療法剤の抗腫瘍活性を増強する分子(低分子量の分子など)として定義される。このような化学増感剤は、例えば、化学療法剤を所定用量投与した場合の腫瘍増殖の遅延若しくは停止効果を増大させるのに、又は、抗腫瘍能を維持しつつ用量を低減できることによって化学療法剤の副作用を改善するのに、有用である。
【0075】
本明細書中で用いる「放射線増感剤」という用語は、治療上有効な量で動物に投与されて、電磁放射線に対して放射線増感する細胞の感受性を増大させる、かつ/又は、電磁放射線で治療可能な疾患の治療を促進する分子(低分子量の分子など)であると定義される。電磁放射線で治療可能な疾患には、新生物疾患、良性及び悪性腫瘍、並びに、癌細胞が挙げられる。本明細書中には挙げられていない他の疾患の電磁放射線治療もまた、本発明は対象としている。
【0076】
「有効(な)量」とは、所望の効果を得るのに必要な量をいう。
【0077】
「置換(された)」とは、指定の基上の少なくとも1つの水素が別の基で置き換わっていることを意味する。但し、その指定の基の通常の価数は越えていないものとする。置換基を1つ以上含むいずれの基に関しても、立体的に実現不可能な置換や、合成不可能な置換、及び/又は、本質的に不安定な置換が導入されたものはいずれも考えていない。本明細書中にて説明する本発明のある実施形態において、それ自体が置換基である基が、さらに置換基で置換されていてもよい。例えば、以下に示す化合物は、説明を目的としたものであることを注記しておくが、その化合物においては、ピペラジニル環はヘテロサイクリルであるが、このヘテロサイクリルは、本明細書中にて説明する0〜4つの置換基で置換されていてもよい。この化合物の例において、ピペラジニル環は、アリールがフェニルであるアリールスルホニルで置換されており、またそのアリールスルホニルは、本明細書中にて説明するように、さらに0〜4つ置換されていてもよい。下記化合物の例においては、フェニルスルホニル部分はtert−ブチルでさらに置換されている。このような例は、本発明の説明を目的としたものでしかなく、これらになんら限定されることはない。
【0078】
【化8】

【0079】
「対象」とは、インビトロ又はインビボでの細胞又は組織、動物又はヒトをいう。動物又はヒトの対象は「患畜」又は「患者」という場合もある。
【0080】
「動物」とは、感覚機能及び随意運動力を有し、生存に酸素及び有機物(食物)を必要とする生体をいう。特に限定されないが、例えば、ヒト、哺乳類、霊長類等が挙げられる。
【0081】
概して、本発明の化合物及び組成物は、ヒト等の動物の体内で、壊死又はアポトーシス、大脳虚血及び再灌流障害又は神経変性疾患による細胞損傷又は細胞死を治療又は予防するのに用いることができる。本発明の化合物及び組成物は、細胞の寿命及び増殖能力を拡張するのに用いることができ、従って、これに関連する疾患を治療又は予防するのに用いることができる。即ち、本発明の化合物及び組成物は、老化細胞の遺伝子発現を変えたり、低酸素腫瘍細胞を放射線増感したりする。好ましくは、本発明の化合物及び組成物は、壊死若しくはアポトーシスによる細胞損傷若しくは細胞死に起因する組織損傷を治療若しくは予防するのに、及び/又は、NMDA毒性を介して若しくは介さないでニューロン活性に影響を与えるのに用いることができる。本発明の化合物は、グルタミン酸介在性神経毒性及び/又はNO介在性生物学的経路を治療するのに有用であるが、この限りではない。さらに、本発明の化合物は、本明細書にて説明するように、PARPの活性化に関連するその他の組織損傷を治療又は予防するのに用いることができる。
【0082】
本発明は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)のポリメラーゼ活性をインビトロ及び/又はインビボで阻害する化合物、並びに、本明細書にて開示する化合物を含む組成物を提供する。
【0083】
本発明は、溶液、細胞、組織、器官又は器官系のいずれかにおけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)のポリメラーゼ活性をインビトロ及び/又はインビボで阻害、制限及び/又は制御する方法を提供する。一実施形態において、本発明は、ヒト等の哺乳動物においてPARP活性を局所的又は全身的に制限又は阻害する方法を提供する。
【0084】
本発明の化合物は、PARP阻害剤として作用し、化学療法剤の細胞毒性効果を化学増強することにより癌を治療又は予防する。本発明の化合物は、PARP阻害剤として作用し、放射線の細胞毒性効果に対して細胞を増感することにより癌を治療又は予防する。本発明の化合物は、PARP阻害剤として作用し、BRCA1/2関連乳癌を治療又は予防する。
【0085】
本発明の化合物は1つ以上の不斉中心を有していてもよく、従って、立体異性体混合物(ラセミ体及び非ラセミ体)として、あるいは、個別のエナンチオマー又はジアステレオマーとして製造することができる。個別の立体異性体は、光学活性な出発物質を用いることによって、又は、合成のある適切な段階で中間体のラセミ体若しくは非ラセミ体混合物を分割することによって、又は、式(I)の化合物を分割することによって、得ることができる。個別の立体異性体並びに立体異性体の混合物(ラセミ体及び非ラセミ体)は、本発明の範囲に含まれることは理解できるものと考えられる。
【0086】
本発明の化合物は、遊離塩基の形態で、薬学的に許容される塩、薬学的に許容される水和物、薬学的に許容されるエステル、薬学的に許容される溶媒和物、薬学的に許容されるプロドラッグ、薬学的に許容される代謝物の形態で、及び、薬学的に許容される立体異性体の形態で有用である。これらの形態は全て本明細書にて開示する内容の範囲に含まれる。
【0087】
「薬学的に許容される塩」、「水和物」、「エステル」又は「溶媒和物」は、所望の薬理学的活性を有する本発明の化合物の塩、水和物、エステル又は溶媒和物をいう。但し、生物学的に望ましくないものや、それ以外の意味で望ましくないものは含まない。有機酸は、塩、水和物、エステル又は溶媒和物、例えば、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、重硫酸塩、スルファミン酸塩、硫酸塩、ナフチル酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、トシル酸塩及びウンデカン酸塩などを製造するのに用いることができる。無機塩は、塩、水和物、エステル又は溶媒和物、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩及びチオシアン酸塩などの製造に用いることができる。
【0088】
好適な塩基の塩、水和物、エステル又は溶媒和物の例には、アンモニアの水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩、ナトリウム塩、リチウム塩及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩及び亜鉛塩が含まれる。
【0089】
また、塩、水和物、エステル又は溶媒和物は、有機塩基によっても形成することができる。本発明の化合物の薬学的に許容される塩基の付加塩、水和物、エステル又は溶媒和物の形成に適した有機塩基としては、非毒性で、かつ、当該塩、水和物、エステル又は溶媒和物を形成するのに十分に強いものが挙げられる。例示として、そのような有機塩基の部類には、モノ−、ジ−及びトリアルキルアミン(例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン及びジシクロヘキシルアミン);モノ−、ジ−又はトリヒドロキシアルキルアミン(例えば、モノ−、ジ−及びトリエタノールアミン);アミノ酸(例えば、アルギニン及びリジン);グアニジン;N−メチル−グルコサミン;N−メチル−グルカミン;L−グルタミン;N−メチル−ピペラジン;モルホリン;エチレンジアミン;N−ベンジル−フェネチルアミン;(トリヒドロキシ−メチル)アミノエタンなどが挙げられる。例えば,“Pharmaceutical Salt”J.Pharm.Sci,66:1,1−19(1977)を参照されたい。従って、塩基性窒素含有基は、以下に挙げられる物質で4級化することができる:塩化、臭化及びヨウ化メチル、塩化、臭化及びヨウ化エチル、塩化、臭化及びヨウ化プロピル、並びに、塩化、臭化及びヨウ化ブチルなどの低級アルキルハロゲン化物;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル及びジアミルなどの硫酸ジアルキル;塩化、臭化及びヨウ化デシル、塩化、臭化及びヨウ化ラウリル、塩化、臭化及びヨウ化ミリスチル、並びに、塩化、臭化及びヨウ化ステアリルなどの長鎖ハロゲン化物;並びに、臭化ベンジル及びフェネチルなどのアラルキルハロゲン化物。
【0090】
塩基性化合物の酸付加塩、水和物、エステル又は溶媒和物は、本発明の化合物の遊離塩基を適当な酸又は塩基を含む水溶液又はアルコール水溶液又は他の適切な溶媒に溶解させ、溶液を蒸発させて塩を単離することにより製造することができる。あるいは、本発明の化合物の遊離塩基を酸と反応させることもでき、また、酸基を有する本発明の化合物を塩基と反応させることもでき、よって、反応が有機溶媒中で行われ、この場合、塩を直接単離するか、又は、溶液を濃縮することにより塩を得ることができる。
【0091】
「薬学的に許容されるプロドラッグ」は、生体内で変換された後でその薬理学的効果を発揮するような、本発明の化合物の誘導体をいう。プロドラッグは、化学的安定性の改善、患者受容性及びコンプライアンスの改善、バイオアベイラビリティーの改善、作用期間の延長、臓器選択性の改善、処方の改善(例えば水溶性の増大など)、及び/又は、副作用(例えば毒性など)の低減を目的として処方される。プロドラッグは、Burgers Medicinal Chemistry and Drug Chemistry,Fifth Ed,Vol.1,pp.172−178,949−982(1995)に記載されているような当該分野で公知の方法を用いて、本発明の化合物から容易に製造することができる。例えば、本発明の化合物は、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を1つ以上エステルに変換することにより、プロドラッグへと変えることができる。
【0092】
「薬学的に許容される代謝物」は、代謝的な変換を受けた薬剤をいう。体内に入った後、大半の薬剤は、それらの物性及び生物学的効果を変化させ得る化学反応の基質となる。この代謝的変換は化合物の極性に通常影響を与えるものであり、それにより、薬剤の体内での分散のされ方や、体内からの排泄のされ方が変わる。しかし、治療上の効果を発揮させるために薬剤の代謝が必要とされる場合もある。例えば、代謝拮抗剤類の抗癌剤は、癌細胞に輸送された後で活性型に変換される必要がある。多くの薬剤は何らかの代謝的変換を受けるため、薬剤代謝に影響を与える生化学的反応は多種多様であろう。薬剤代謝の主要な部位は肝臓であるが、他の組織が関与する場合もある。
【0093】
さらに、本発明の方法は、癌を治療するのに、並びに、癌及び/又は腫瘍細胞を化学増感及び放射線増感するのに用いることができる。本明細書中で用いる「癌」という用語は、広義に解釈される。本発明の化合物は、「抗癌剤」の効果を増強することができる。該「抗癌剤」という用語には、「抗腫瘍細胞増殖剤」、「化学療法剤」、「細胞増殖抑制剤」、「細胞毒性剤」及び「抗新生物剤」もまた包含される。「BRCA1/2関連乳癌」という用語は、乳癌細胞が乳癌腫瘍抑制遺伝子BRCA1及び/又はBRCA2に欠損を有する乳癌を包含する。
【0094】
例えば、本発明の方法は、ACTH産生腫瘍、急性リンパ球性白血病、急性非リンパ球性白血病、副腎皮質癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、皮膚T−細胞リンパ腫、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、有毛細胞白血病、頭頚部癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小細胞及び/又は非小細胞)、悪性腹膜滲出、悪性胸膜滲出、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、卵巣(胚細胞)癌、前立腺癌、膵臓癌、陰茎癌、網膜芽細胞腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌腫、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、栄養膜新生物、子宮癌、膣癌、外陰癌及びウィルムス腫瘍などの癌の治療に有用である。
【0095】
特に限定されないが、ある実施形態において、癌細胞及び/又は腫瘍細胞は、脳癌、黒色腫、頭頚部癌、非小細胞肺癌、精巣癌、卵巣癌、結腸癌、及び、直腸癌からなる群より選択される。
【0096】
また、本発明は、(i)治療上有効な量の式(I)の化合物、及び、(ii)薬学的に許容される基剤を含む医薬組成物に関する。
【0097】
本発明の化合物の好ましい実施形態の有用性及び投与に関する上記議論は、本発明の医薬組成物にも適用される。
【0098】
本明細書中で用いる「薬学的に許容される基剤」という用語は、任意の基剤、希釈剤、賦形剤、懸濁化剤、滑沢剤、アジュバント、ビヒクル、デリバリーシステム、乳化剤、崩壊剤、吸着剤、保存剤、界面活性剤、着色料、香料又は甘味料をいう。
【0099】
これらの目的のため、本発明の組成物は、薬学的に許容される従来の非毒性基剤を含む投与処方で経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、吸着により、吸収により、局所的に、経直腸的に、経鼻的に、口腔内に、経膣的に、脳室内に、若しくは移植リザーバを介して投与することもできるし、又は、任意の他の簡便な投与形態により投与することもできる。本明細書中で用いる非経口的という用語には、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、胸骨内及び頭蓋内注射又は注入技術が含まれる。
【0100】
非経口的に投与される場合、本組成物は、通常、薬学的に許容される基剤を含んだ単回投与用の無菌の注射可能な形態(溶液、懸濁液又は乳液)であり、好ましくは、受容者の血液と等張なものである。このような無菌の注射可能な形態の例には、無菌の注射可能な水性又は油性の懸濁液が挙げられる。これらの懸濁液は、当該分野で公知の技術に従って、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて処方することができる。また、無菌の注射可能な形態は、非経口的に許容される非毒性の希釈剤中又は溶媒中の無菌の注射可能な溶液又は懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオール溶液であってもよい。許容されるビヒクル及び溶媒としては、水、生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液、等張性の塩化ナトリウム溶液及びハンクス溶液を用いることができる。さらに、無菌の不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒体として従来使用される。この目的のために、任意の無刺激性の不揮発性油を用いることができ、例えば、合成モノ又はジグリセリド、コーン油、綿実油、ピーナツ油及びゴマ油が挙げられる。オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及びオレイン酸などの脂肪酸並びにそのグリセリド誘導体(オリーブ油及びヒマシ油、特にこれらのポリオキシエチル化体を含む)は、注射可能薬剤の製造に有用である。また、これらの油性溶液又は懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤を含んでいてもよい。
【0101】
無菌の生理食塩水は基剤として好ましく、本発明の化合物は、溶液とするのに十分に水溶性である場合が多い。基剤は、溶解度、等張性及び化学的安定性を増強する物質、例えば、抗酸化剤、緩衝剤及び保存剤などの添加剤を少量含んでいてもよい。
【0102】
経鼻又は口腔投与に適した製剤(自己推進性(self−propelling)の粉体分配製剤)は、約0.1%〜約5%w/wの活性成分、例えば1%w/wの活性成分を含んでいてもよい。従って、本発明のヒト用医薬用途の製剤は、活性成分を、薬学的に許容される基剤と、必要に応じて処方される他の治療上の成分と共に含む。
【0103】
経口的に投与される場合、本組成物は、通常、当該分野で公知の従来の装置及び技術を用いて、錠剤、カシェ剤、散剤、顆粒、ビーズ、チュアブル錠剤、カプセル、液体、水性懸濁液又は溶液などの単回投与形態あるいは類似の投与形態に製剤化されるであろう。このような製剤は、典型的には、固体、半固体又は液体の基剤を含む。基剤としては、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、鉱油、カカオバター、カカオ脂、アルギン酸塩、トラガカントゴム、ゼラチン、シロップ、メチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0104】
本発明の組成物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の単回又は分割用量を含むカプセル又は錠剤として投与されるのが好ましい。本組成物は、単回又は分割容量で無菌の溶液、懸濁液又は乳液として投与してもよい。錠剤は、ラクトース及びコーンスターチなどの基剤、並びに/又は、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を含んでいてもよい。カプセルは、ラクトース及び乾燥コーンスターチなどといった希釈剤を含んでもよい。
【0105】
錠剤は、活性成分を、必要に応じて1つ以上の補助成分と共に圧縮又は成形することにより製造することができる。圧縮錠剤は、適切な機械中で、散剤又は顆粒などの自由流動性を有する形態の活性成分を、必要に応じて結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と共に混合して、圧縮することにより製造できる。成形錠剤は、適切な機械で、粉末活性成分と、不活性液状希釈剤で湿潤化した適切な基剤との混合物を成形することにより製造することができる。
【0106】
また、本発明の化合物は、坐剤の形態で経直腸的に投与することができる。これらの組成物は、室温では固体であるが直腸温では液体であるために直腸で融解して薬剤を放出できるような適切な非刺激性の賦形剤と該薬剤とを混合することによって製造することができる。このような材料には、カカオバター、ミツロウ及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0107】
また、本発明の組成物及び方法は、制御放出技術を適用することもできる。このため、例えば、本明細書にて開示する化合物を、数日かけて制御放出させる目的で疎水性ポリマーマトリックスに配合してもよい。よって、本発明の組成物は、頻繁に再投与する必要なく長期間にわたってPARP阻害剤の有効濃度を提供するのに適した固体インプラント又は外用パッチに成形することができる。このような制御放出フィルムは当該技術分野で周知である。特に好ましいものは、経皮デリバリーシステムである。この目的に一般的に用いられ、本発明において使用できる他のポリマーの例としては、外用又は内服で用いることができる非分解性エチレン−酢酸ビニルコポリマー、分解性乳酸−グリコール酸コポリマーが挙げられる。ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール)などの特定のヒドロゲルもまた有用であり得るが、上述したような他のポリマー放出システムよりも放出サイクルが短い。
【0108】
一実施形態において、基剤は、適当な時間放出特性及び放出動力学を有する固体生分解性ポリマー又は生分解性ポリマーの混合物である。よって、本発明の組成物は、頻繁に再投与する必要なく長期間にわたって本発明の化合物の有効濃度を提供するのに適した固体インプラントに成形することができる。本発明の組成物は、当業者に公知の任意の適切な様式で生分解性ポリマー又はポリマー混合物に配合することができるため、生分解性ポリマーと共に均一なマトリックスを形成させたり、何らかの方法でポリマー中に封入したり、固体インプラントに成形したりすることができる。
【0109】
一実施形態においては、生分解性ポリマー又はポリマー混合物を使用して、本発明の医薬組成物を含む軟質の「デポー剤」を形成させることができる。「デポー剤」は、流動性の液体として、例えば注射により投与できるが、投与後は注射部位の周辺の局所に医薬組成物が保持されるのに十分な粘性を維持する性質をもつものである。このように形成されたデポー剤の分解時間は、選択したポリマー及びその分子量により、数日間から数年間に及ぶ。ポリマー組成物を注射可能な形態で用いることにより、切開する必要がなくなる場合さえある。いずれにしても、可撓性又は流動性を有し、かつドラッグデリバリーに適した「デポー剤」は、周囲組織に対する外傷を最小限に抑えながら、体内でそのデポー剤が占有する空間の形状に、その形状を適合させるであろう。本発明の医薬組成物は治療上有効な量で用いられ、この量は、所望の放出特性、増感効果を発揮するために要する医薬組成物の濃度、及び、治療のために医薬組成物を放出するべき期間の長さにより決定してもよい。
【0110】
本発明の化合物は、組成物中において治療上有効な量で用いられる。該組成物は、滅菌してもよく、並びに/又は、保存剤、安定化剤、膨潤(welling)剤若しくは乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調整するための塩、及び/若しくは、緩衝剤などのアジュバントを含ませてもよい。さらに、上記組成物はまた、他の治療上有益な物質、例えば、特に限定されないが、本明細書中に列挙する特定の化学療法剤などのような他の治療上有益な物質を含んでいてもよい。上記組成物は、従来の混合、顆粒化又はコーティング方法に従って製造され、約0.1〜75重量%、好ましくは約1〜50重量%の本発明の化合物を含む。
【0111】
中枢神経系を標的とした有効な治療であるためには、本発明の化合物は、末梢から投与された場合に血液−脳関門を容易に通過するのが望ましい。血液−脳関門を通過できない化合物は、脳室経路又は脳への投与に適した他の適当なデリバリーシステムにより、効果的に投与することができる。
【0112】
医薬用途では、治療上の効果を達成するために必要な活性成分の量は、個々の化合物、投与経路、治療される哺乳動物、及び、治療される個々の障害又は疾患により変動するであろう。本明細書中の上述の症状のいずれかに罹患した又はおそらく罹患するであろう哺乳動物に対しての本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩の適切な全身用量は、活性成分化合物として約0.1mg/kg〜約100mg/kgの範囲であり、典型的用量は約1〜約10mg/kgである。
【0113】
しかし、任意の個々の患者に対しての特定の用量レベルは、用いる特定の化合物の活性、年齢、体重、総体的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬剤の組み合わせ、及び、治療される個々の疾患の重篤性、及び、投与形態等の種々の因子により決定されることは理解できるであろう。
【0114】
通常の技術を有する医師又は獣医師であれば、処置が行われる症状の予防的処置又は治療的処置のための化合物の有効量を決定しかつ処方することが容易であることは理解できるであろう。その手順において、医師又は獣医師は、適切であると考えられる場合には、例えば、静脈内ボーラスを用いた後、静脈内注入したり、非経口的又は経口的に繰り返し投与したりすることができる。活性成分は単独で投与することもできるが、活性成分を製剤として提供することが好ましい。
【0115】
本発明の組成物を含む投与形態を製造する場合、本化合物は、ゼラチン、α化デンプンなどの結合剤;水素添加植物油、ステアリン酸などの滑沢剤;ラクトース、マンノース及びスクロースなどの希釈剤;カルボキシメチルセルロース及びデンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤;ポビドン、ポリビニルアルコールなどの懸濁化剤;二酸化ケイ素などの吸収剤;メチルパラベン、プロピルパラベン及び安息香酸ナトリウムなどの保存剤;ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80などの界面活性剤;着色料;フレーバー剤;並びに、甘味料などといった従来の賦形剤と混合することもできる。薬学的に許容される賦形剤は、薬学分野において周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,ペンシルベニア州イーストン(例えば、2000年第20版)、及び、Handbook of Pharmaceutical Excipients,American Pharmaceutical Association,ワシントンD.C.,(例えば、1986年、1994年及び2000年のそれぞれ第1版、第2版及び第3版)に記載されている。
【0116】
本発明は、本明細書中にて説明する動物におけるいずれかの疾患又は障害を治療するための医薬品の製造における、式(I)の化合物の使用に関する。一実施形態において、本発明の化合物は、癌を治療するのに用いられる。好ましい実施形態において、本発明の化合物は、電離放射線の細胞毒性効果を増強するのに用いられる。上記実施形態において、本発明の化合物は、放射線増感剤として作用する。別の好ましい実施形態において、本発明の化合物は、化学療法剤の細胞毒性効果を増強するのに用いられる。上記実施形態において、本発明の化合物は、化学増感剤として作用する。別の好ましい実施形態において、本発明の化合物は、二本鎖DNA修復の相同組み換え(HR)経路に欠損がある細胞の増殖を阻害するのに用いられる。
【0117】
DNAを損傷するよう作用する薬理学的に許容される化学療法剤はいずれも、本発明の化学療法剤として適している。特に、本発明は、化学療法上有効な量の少なくとも1つの化学療法剤の使用を意図している。該化学療法剤としては、以下に限定されないが、テモゾロマイド、アドリアマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン2、イリノテカン、パクリタキセル、トポテカン、タキソイド類、ダクチノマイシン、ダノルビシン(danorubicin)、4’−デオキシドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(pilcamycin)、マイトマイシン、ネオマイシン、ゲンタマイシン、エトポシド、4−OHシクロホスファミド、白金配位錯体、トポテカン、及び、これらの混合物が挙げられる。好ましい態様によれば、上記化学療法剤はテモゾロマイドである。
【0118】
本明細書中に含まれる発明により、本発明の化合物及び組成物が、化学療法剤に対する腫瘍及び/又は癌細胞の放射線増感及び/又は化学増感などにより、癌を治療及び/又は予防する際の、並びに、二本鎖DNA修復の相同組み換え(HR)経路に欠損がある細胞の増殖を阻害する際の有用性が示されている。
【0119】
下記実施例は、本発明の説明を目的としたものでしかなく、本願の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0120】
一実施形態において、本発明は、式(I)のテトラアザフェナレン−3−オン化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0121】
【化9】

【0122】
式中、Rは
(a)NR[Rは、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(C−Cシクロアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、(C−Cシクロアルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
上記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され;
は、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(C−Cシクロアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、(C−Cシクロアルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
上記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され;
及びRは独立して0〜4つの置換基で置換されており、該0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル及びアミノから選択されるが、
但し、R及びRが両方ともメチルでなくてもよく、Rが水素である場合にRが(フェニル)プロプ−1−イルでなくてもよい];又は、
(b)0〜4つの置換基で置換されているアリールオキシ[該0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、NR、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
上記において、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
2つ以上の置換基がNRの形態である場合、それぞれのR及びRは独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択される];又は、
(c)独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、かつ、0〜4つの置換基を有するヘテロサイクリル[該0〜4つの置換基は独立して、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、チオカルボニル、シアノ、イミノ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、スルフヒドリル、チオアルキル、ジオキサ−スピロエチル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
上記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
2つ以上の置換基がNRの形態である場合、それぞれのR及びRは独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
上記0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、0〜4つの追加の置換基でさらに置換されており、この追加の置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル及びアミノから選択されるが、
但し、RがN−ピペリジニル、N−ピロリジニル、又は、N−モルホリニル基である場合、Rは少なくとも1つの置換基を有する]。
【0123】
ある実施形態において、式(I)の各ヘテロサイクリルの環はそれぞれ独立して、5〜7員環(原子数5〜7)である。
【0124】
ある実施形態では、式(I)のヘテロサイクリルの少なくとも1つの環に1、2又は3つの窒素原子を含む。
【0125】
ある実施形態において、式(I)のヘテロサイクリルは1〜3つの環で構成される。ある実施形態において、ヘテロサイクリルは、独立してO、N及びSから選択される1〜7つのヘテロ原子を含む。
【0126】
ある実施形態において、式(I)のヘテロサイクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピリジニル、ピリミジニル、ジヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ジヒドロピラジニル、テトラヒドロピラジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピロリル、ジヒドロピロリル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、ピラゾリル、ジヒドロピラゾリル、アゼパニル、[1,2]ジアゼパニル、[1,3]ジアゼパニル、[1,4]ジアゼパニル、インドリル、ジヒドロインドリル、イソインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、及び、テトラヒドロイソキノリルからなる群より選択される。
【0127】
別の実施形態において、本発明は、下記物質及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物を提供する。
【0128】
【化10】

【0129】
【化11】

【0130】
【化12】

【0131】
【化13】

【0132】
【化14】

【0133】
【化15】

【0134】
ある実施形態において、本発明は下記化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0135】
【化16】

【0136】
ある実施形態において、本発明は下記化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0137】
【化17】

【0138】
ある実施形態において、本発明は、化学療法を必要とする哺乳動物の癌細胞を化学増感する方法であって、本明細書中にて説明する式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を上記哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。ある実施形態において、上記哺乳動物はヒトである。ある実施形態において、上記投与は、上記化合物及び薬学的に許容される基剤を含む医薬組成物の投与である。ある実施形態において、上記化学増感方法は、さらに、化学療法剤を上記哺乳動物に投与することを含む。ある実施形態において、上記化学増感化合物及び上記化学療法剤は、実質的に同時に投与される。
【0139】
ある実施形態において、本発明は、化学療法を必要とする哺乳動物の癌細胞を化学増感する方法であって、本明細書中にて説明する化合物[7]〜[28]、[30]〜[46]、[50]〜[66]、[69]、[72]、[74]〜[76]、及び、これらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物を上記哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。ある実施形態において、上記哺乳動物はヒトである。ある実施形態において、上記投与は、上記化合物及び薬学的に許容される基剤を含む医薬組成物の投与である。ある実施形態において、上記化学増感方法は、さらに、化学療法剤を上記哺乳動物に投与することを含む。ある実施形態において、上記化学増感化合物及び上記化学療法剤は、実質的に同時に投与される。
【0140】
ある実施形態において、本発明の化学療法剤は、テモゾロマイド、アドリアマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン2、イリノテカン、パクリタキセル、トポテカン、タキソイド類、ダクチノマイシン、ダノルビシン(danorubicin)、4’−デオキシドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(pilcamycin)、マイトマイシン、ネオマイシン、ゲンタマイシン、エトポシド、4−OHシクロホスファミド、白金配位錯体、及び、これらの混合物からなる群より選択される。ある実施形態において、上記化学療法剤はテモゾロマイド又はその塩である。
【0141】
ある実施形態において、本発明は、放射線療法を必要とする哺乳動物の癌細胞を放射線増感する方法であって、本明細書中にて説明する式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を上記哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。ある実施形態において、上記哺乳動物はヒトである。ある実施形態において、上記投与は、上記化合物及び薬学的に許容される基剤を含む医薬組成物の投与である。
【0142】
ある実施形態において、本発明は、放射線療法を必要とする哺乳動物の癌細胞を放射線増感する方法であって、本明細書中にて説明する化合物[7]〜[28]、[30]〜[46]、[50]〜[66]、[69]、[72]、[74]〜[76]、及び、これらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物を上記哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。ある実施形態において、上記哺乳動物はヒトである。ある実施形態において、上記投与は、上記化合物及び薬学的に許容される基剤を含む医薬組成物の投与である。
【0143】
ある実施形態において、本発明は、本明細書中に記載されるような式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される基剤とを含む医薬組成物を提供する。ある実施形態において、上記医薬組成物はさらに、本明細書中に記載されるような化学療法剤を含む。
【0144】
ある実施形態において、本発明は、本明細書中にて説明するような化合物[7]〜[28]、[30]〜[46]、[50]〜[66]、[69]、[72]、[74]〜[76]、及び、これらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物を含む医薬組成物を提供する。ある実施形態において、上記医薬組成物はさらに、本明細書中にて説明する化学療法剤を含む。
【0145】
ある実施形態において、本発明の化学増感方法及び/又は放射線増感方法により治療される癌細胞は、ACTH産生腫瘍、急性リンパ球性白血病、急性非リンパ球性白血病、副腎皮質癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、皮膚T−細胞リンパ腫、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、有毛細胞白血病、頭頚部癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小細胞及び/又は非小細胞)、悪性腹膜滲出、悪性胸膜滲出、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、卵巣(胚細胞)癌、前立腺癌、膵臓癌、陰茎癌、網膜芽細胞腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌腫、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、栄養膜新生物、子宮癌、膣癌、外陰癌及びウィルムス腫瘍からなる群より選択される。ある実施形態において、本発明の化学増感方法及び/又は放射線増感方法により治療される癌細胞は、脳癌、黒色腫、頭頚部癌、精巣癌、卵巣癌、乳癌、非小細胞肺癌、及び、直腸癌からなる群より選択される。
【0146】
ある実施形態において、本発明は、二本鎖DNA修復の相同組み換え(HR)経路に欠損があるとの特徴を有する癌に罹患した哺乳動物の治療法であって、本明細書中にて説明する式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を上記哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。ある実施形態において、上記哺乳動物はヒトである。ある実施形態において、上記投与は、上記化合物及び薬学的に許容される基剤を含む医薬組成物の投与である。ある実施形態において、上記癌細胞は、i)BRCA−1欠損、ii)BRCA−2欠損、iii)BRCA−1及びBRCA−2欠損、並びに、iv)ファンコーニ貧血からなる群より選択される表現型を有する。ある実施形態において、上記癌細胞は乳癌又は卵巣癌から選択される。
【0147】
ある実施形態において、本発明は、二本鎖DNA修復の相同組み換え(HR)経路に欠損があるとの特徴を有する癌に罹患した哺乳動物の治療法であって、本明細書中にて説明する化合物[7]〜[28]、[30]〜[46]、[50]〜[66]、[69]、[72]、[74]〜[76]、及び、これらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物を上記哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。ある実施形態において、上記哺乳動物はヒトである。ある実施形態において、上記投与は、上記化合物及び薬学的に許容される基剤を含む医薬組成物の投与である。ある実施形態において、上記癌細胞は、i)BRCA−1欠損、ii)BRCA−2欠損、iii)BRCA−1及びBRCA−2欠損、並びに、iv)ファンコーニ貧血からなる群より選択される表現型を有する。ある実施形態において、上記癌細胞は乳癌又は卵巣癌から選択される。
【0148】
開示化合物の合成手順
【0149】
【化18】

【0150】
手順A:3−ニトロ−フタル酸ジメチルエステル[2]の製造
【0151】
4−ニトロ−イソベンゾフラン−1,3−ジオン[1](150g,0.78mol)のMeOH(2L中)溶液を攪拌しながら、これに濃硫酸(50mL)を添加した。反応液を加熱し16時間還流した。混合溶液を室温まで冷却した後、氷冷水(3L)に注ぎ込むと、重質の白色沈殿物が形成した。この沈殿物を15分間粉砕し、濾別し、得られた固体を十分に水洗し、乾燥させることにより、白色固体として3−ニトロ−フタル酸ジメチルエステル[2](120g,65%)を得た。H NMR(300MHz,DMSO−d):8.54(d,J=7.25Hz,1H),8.42(d,J=7.82Hz,1H),7.98(t,J=8.20Hz,1H),3.99(s,3H),3.98(s,3H).13C NMR:52.03,52.29,111.02,115.67,119.08,131.80,133.68,148.80,167.64,168.63.
【0152】
手順B:3−アミノ−フタル酸ジメチルエステル[3]の製造
【0153】
化合物[2](205g,1.0mol)をMeOH(2L)に溶解させた。触媒量の10%Pd/Cを添加し、溶液をParr水素添加装置によってH(45psi)下、室温で一晩中水素添加した。Celite(登録商標)を通して濾過し、蒸発させることにより、3−アミノ−フタル酸ジメチルエステル[3]を定量的収率で得た。H NMR(300MHz,DMSO−d):7.26(t,J=7.33Hz,1H),6.94(d,J=8.34Hz,1H),6.77(d,J=8.33Hz,1H),6.12(s,2H),3.77(s,3H),3.76(s,3H).13C NMR:51.51,51.77,110.50,115.16,118.56,131.26,133.16,148.28,167.12,168.11.
【0154】
手順C:2−クロロメチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−5−カルボン酸メチルエステル[4]の製造
【0155】
クロロアセトニトリル(100mL)を1,4−ジオキサン(130mL)中で室温下、攪拌した。乾燥したHClガスを溶液中で30分間バブリングさせた後、3−アミノ−1,2−フタル酸ジメチルエステル[3](30g)を添加した。反応液を約3時間還流すると、重質の白色沈殿物が形成した。懸濁液を氷浴中冷却し、濾過し、ペンタンで洗浄して、残留溶媒を全て除去した。分析上純粋な白色固体[4](30g,83%)を単離した。H NMR(300MHz,DMSO−d):7.88(t,J=8.33Hz,1H),7.79(d,J=7.08Hz,1H),7.52(d,J=7.33Hz,1H),4.60(s,2H),3.84(s,3H);13C NMR:42.21,54.86,119.95,127.77,130.86,135.71,136.78,150.59,155.70,162.49,171.24.
【0156】
一般的手順D:化合物[5]の製造
【0157】
一般的手順Dを用いて化合物[4]のクロロ基をアミン等の求核試薬で置換して、化合物[5]を形成する。クロロ化合物[4]の無水DMF又はMeCN溶液に炭酸カリウムとアミン等の求核試薬とを添加する。反応混合物を70℃の温度で12時間加熱し、室温まで冷却する。反応混合物に水を添加した後、酢酸エチルを添加する。有機層を集め、水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を減圧下で除去する。溶離液として酢酸エチル/ヘキサンを用いてカラムクロマトグラフィにより残留物をシリカゲル上で精製することにより、生成物[5]を50〜95%の収率で得る。一例を化合物[7]の製造において示した。
【0158】
一般的手順E:化合物[6]の製造
【0159】
2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン環は、ヒドラジンを用いて化合物[6]を縮合することにより形成できる。化合物[6]の無水エタノール溶液に過剰量の無水ヒドラジンを室温で添加する。得られた溶液を一晩中還流し、室温まで冷却する。氷冷水を添加し、白色固体を分離する。該固体を減圧濾過により回収し、水及び少量のメタノールで洗浄することにより、白色固体生成物[6]を40〜90%の収率で得る。一例を化合物[7]の製造において示した。
【実施例1】
【0160】
8−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[7]の製造
【0161】
一般的手順Dに従う。MeCN(25ml)、4−ヒドロキシピペリジン(0.46mg,4.5mmol)、[4](1.0g,3.9mmol)及び炭酸カリウム(1g,7mmol)の溶液を窒素雰囲気下で還流し、一晩中攪拌した。反応混合物を蒸発乾固してジクロロメタンで抽出した。9:1のジクロロメタン/MeOHを用いてシリカカラムで精製することにより、オフホワイト色の固体として2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−5−カルボン酸メチルエステル[7a](1.05g,84%)を得た。
【0162】
一般的手順Eに従う。化合物[7a](1.0g,3.1mmol)のEtOH(20mL中)溶液に、還流時、ヒドラジン一水和物(7mL,大過剰)を添加し、一晩中加熱した。反応液を室温まで冷却し、HO(15mL)を添加すると、重質の白色沈殿物が形成した。濾過し、1:1のEtOH/HOで洗浄することにより、分析上純粋な白色固体[7](0.6g,64%)を得た。MP:168〜171℃;MS(ES+):300;H NMR(300MHz,CDOD):1.46−1.55(m,2H),1.71−1.75(m,2H)2.15−2.23(m,2H)2.70−2.75(m,2H)3.16−3.18(m,1H)3.25(s,2H)3.47−3.55(m,1H)7.30−7.33(m,1H)7.60−7.64(m,2H).元素分析:C1517.1.7HOの計算値:C,56.45;H,6.06;N,21.94;実測値:C,56.10;H,6.00;N,22.25.
【0163】
化合物[7]は酸を含ませて処方することができる。例えば、90℃の[7](0.6g,2.0mmol)の1,4−ジオキサン/DMF(9:1)(10mL中)溶液にMsOH(0.14mL,2.1mmol)を添加すると、重質の白色沈殿物が形成した。濾過し、ジエチルエーテル中で粉砕することにより、オフホワイト色の固体として[7]のメシル酸塩(0.5g,63%)を得た。H NMR(300MHz,DMSO−d):1.55−1.58(m,2H),1.78−1.82(m,2H),2.15(s,3H),3.15−3.50(m,4H),3.63−3.65(m,1H),4.04(s,2H),7.24(d,J=8.5Hz,1H),7.51−7.66(m,2H),11.73(s,1H)
【0164】
元素分析:C1517.1CHSOH.2HOの計算値:C,44.54;H,5.84;N,16.23,S,7.43;実測値:C,44.48;H,5.76;N,16.27,S,7.60.
【0165】
下記化合物は、対応する適切なアミンを用いて化合物[7]の製造と同様の手順で合成した。
【0166】
8−(4−フェニル−ピペラジン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[8]の製造
【0167】
一般的手順Dにおいて1−フェニルピペラジンを用いて合成した。最終2工程の全収率:52%。MS(ES+):361;H NMR(300MHz,DMSO−d):2.65−2.68(m,4H),3.19−3.22(m,4H)3.39(s,2H);6.78(t,J=7.2Hz,1H);6.95(d,J=8.0Hz,2H),7.19(t,J=7.2Hz,2H),7.48−7.51(m,1H),7.62−7.64(d,J=7.2Hz,1H),7.75(t,J=8.0Hz,1H),11.23(s,br,1H),11.78(s,1H);元素分析:C2020・2.0HOの計算値:C,60.59;H,6.10;N,21.20;実測値:C,60.48;H,6.05;N,21.35.
【0168】
8−(4−ベンジル−ピペリジン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[9]の製造
【0169】
一般的手順Dにおいて1−ベンジルピペラジンを用いて合成した。最終2工程の全収率:20%。MS(ES−):372;H NMR(300MHz,DMSO−d):1.22−1.50(m,5H),2.45−2.55(m,4H),2.85(d,2H),3.28(s,2H),7.14−7.19(m,3H),7.25−7.30(m,2H),7.50(d,J=7.0Hz,1H),7.62(d,J=7.7Hz,1H),7.75(t,J=7.7Hz 1H),11.25(s,br,1H),11.76(s,1H);元素分析:C2223の計算値:C,70.76;H,6.21;N,18.75;実測値:C,70.36;H,6.18;N,18.63.
【0170】
8−フェノキシメチル−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[10]の製造
【0171】
一般的手順Dにおいてフェノールを用いて合成した。最終2工程の全収率:60%。MS(ES+):293;H NMR(300MHz,DMSO−d):4.90(s,br,3H),7.00(t,J=6.6Hz,1H),7.08(d,J=8.2Hz,2H),7.34(t,J=7.7Hz,2H),7.45(d,J=7.7Hz,1H),7.65(d,J=7.7Hz,1H),7.76(t,J=7.2Hz,1H),11.20(s,br,1H),11.80(s,1H).元素分析:C1612・0.75HO・0.25Nの計算値:C,61.24;H,4.66;N,20.08;実測値:C,61.06;H,4.27;N,20.13;
【0172】
8−[4−(4−フルオロ−フェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[11]の製造
【0173】
一般的手順Dにおいて4−(4−フルオロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン塩酸塩を用いて合成した。最終2工程の全収率:24%。MS(ES+):376;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.51−2.53(s,br,2H),2.77(t,J=5.4Hz,2H),3.24(s,br,2H),3.46(s,2H),6.16(m,1H),7.16(t,J=8.8Hz,2H),7.46−.7.52(m,3H),7.63(d,J=7.8Hz,1H),7.44(t,J=7.8Hz,1H),11.18(s,br,1H),11.79(s,1H).[11]のメシル酸塩を調製した。H NMR(400MHz,DMSO−d):2.34(s,3H),2.84(bs,2H),3.66(m,2H),4.11(m,2H),4.36(s,2H),6.21(m,1H),7.25(t,J=8.8Hz,2H),7.43(d,J=7.4Hz,1H),7.56−7.59(m,2H),7.72(d,J=7.4Hz,1H),7.82(t,J=7.5Hz,1H),11.25(s,br,1H),11.76(s,1H).元素分析:C2118FN・1.0CHSOH.0.2HOの計算値:C,55.62;H,4.75;N,14.74;S,6.75;実測値:C,55.65;H,4.71;N,14.73;S,6.74.
【0174】
8−[4−(4−クロロ−フェニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[12]の製造
【0175】
一般的手順Dにおいて1−(4−クロロフェニル)−ピペラジンを用いて合成した。最終2工程の全収率:23%。[12]のメシル酸塩を調製した。MS(ES+):396;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.33(s,3H),4.31(s,2H),7.03(d,J=9.3Hz,2H),7.31(d,J=9.3Hz,2H),7.43(d,J=8.5Hz,1H),7.72(d,J=8.5Hz,1H),7.82(t,J=7.9Hz,1H),11.23(s,br,1H),11.90(s,1H).元素分析:C2019ClN・1.0CHSOHの計算値:C,51.37;H,4.72;N,17.12;S,6.53;実測値:C,51.27;H,4.91;N,17.03;S,6.48.
【0176】
8−(4−フェニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[13]の製造
【0177】
一般的手順Dにおいて4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジンを用いて合成した。最終2工程の全収率:80%。MS(ES+):358;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.56(m,2H),2.78(t,J=5.5Hz,2H),3.25(d,J=2.6Hz,2H),3.47(s,2H),6.19(s,1H),7.23−7.27(m,1H),7.24(t,J=7.6Hz,2H),7.45(d,J=7.1Hz,2H),7.51(d,J=8.9Hz,1H),7.62(d,J=7.1Hz,1H),7.75(t,J=8.0Hz,1H),11.27(s,br,1H),11.78(s,1H).[13]のメシル酸塩を調製した。H NMR(400MHz,DMSO−d):2.34(s,3H),2.84−2.88(m,2H),3.65−3.69(m,2H),4.13(s,2H),4.37(s,2H),6.21−6.25(m,1H),7.32−7.44(m,4H),7.53(d,J=8.6Hz,2H),7.72(d,J=7.3Hz,1H),7.82(t,J=8.1Hz,1H),11.30(s,br,1H),11.93(s,1H).元素分析:C2119O.1.0CHSOH.0.4HOの計算値:C,57.35;H,5.21;N,15.20;S,6.96;実測値:C,57.30;H,5.16;N,15.29;S,7.10;
【0178】
8−[(3,4−ジクロロ−ベンジルアミノ)−メチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[14]の製造
【0179】
一般的手順Dにおいて3,4−ジクロロベンジルアミンを用いて合成した。最終2工程の全収率:10%。[14]のメシル酸塩を調製した。MS(ES+):375;H NMR(300MHz,DMSO−d):2.33(s,3H),4.06(s,2H),4.33(s,2H),7.39(d,J=8.0Hz,1H),7.53−7.57(m,1H),7.69−7.88(m,4H),11.31(s,br,1H),11.91(s,1H).
【0180】
8−{[2−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−メチル}−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[15]の製造
【0181】
一般的手順Dにおいて3−フルオロフェネチルアミンを用いて合成した。最終2工程の全収率:12%。[15]のメシル酸塩を調製した。MS(ES+):338;H NMR(300MHz,DMSO−d):2.34(s,3H),3.02−3.08(m,2H),3.34−3.38(m,2H),4.14(s,2H),7.08−7.18(m,3H),7.37−7.44(m,2H),7.71(d,J=7.8Hz,1H),7.82(t,J=7.8Hz,1H),11.92 11.35(s,br,1H),(s,1H).
【0182】
8−[(3−トリフルオロメチル−ベンジルアミノ)−メチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[16]の製造
【0183】
一般的手順Dにおいて3−(トリフルオロメチル)ベンジルアミンを用いて合成した。最終2工程の全収率:14%。[16]のメシル酸塩を調製した。MS(ES+):374;H NMR(300MHz,DMSO−d):2.33(s,3H),4.10(s,2H),4.43(s,2H),7.39(d,J=7.6Hz,1H),7.69−7.86(m,5H),7.99(s,1H),11.25(s,br,1H),11.91(s,1H).元素分析:C1918O・1.0CHSOH.1.0HOの計算値:C,46.82;H,4.14;N,14.37;S,6.58;実測値:C,46.81;H,4.17;N,14.64;S,6.35.
【0184】
8−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デク−8−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[17]の製造
【0185】
一般的手順Dにおいて4−ピペリドンエチレンケタールを用いて合成した。最終2工程の全収率:10%。MS(ES−):370;H NMR(300MHz,DMSO−d):1.69−1.71(m,4H),2.57(s,br,4H),3.35(s,2H),3.87(s,4H),7.51(d,J=7.8Hz,1H),7.62(d,J=7.7Hz,1H),7.74(t,J=7.8Hz,1H),11.23(s,br,1H),11.76(s,1H).元素分析:C1719・0.2HOの計算値:C,59.19;H,5.67;N,20.30;実測値:C,59.03;H,5.60;N,20.63.
【0186】
8−{[2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−エチルアミノ]−メチル}−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[18]の製造
【0187】
一般的手順Dにおいて3,4−ジクロロフェネチルアミンを用いて合成した。最終2工程の全収率:17%。[18]のメシル酸塩を調製した。MS(ES−):387;H NMR(300MHz,DMSO−d):2.36(s,3H),3.04(t,J=8.2Hz,2H),3.37(t,J=8.1Hz,2H),4.14(s,2H),7.30−7.43(m,2H),7.61−7.75(m,3H),7.79−7.84(m,1H),11.31(s,br,1H),11.91(s,1H).
【0188】
8−{[2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−メチル}−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[19]の製造
【0189】
一般的手順Dにおいて2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミンを用いて合成した。最終2工程の全収率:39%。[19]のメシル酸塩を調製した。MS(ES−):387;H NMR(300MHz,DMSO−d):3.74(s,3H),3.13(t,J=8.1Hz,2H),3.30(t,J=8.2Hz,2H),4.15(s,2H),7.40−7.43(m,1H),7.62−7.72(m,4H),7.79−7.85(m,1H),11.35(s,br,1H),11.92(s,1H).
【0190】
8−[(1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクト−3−イルアミノ)−メチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[20]の製造
【0191】
一般的手順Dにおいて(S)−(−)−3−アミノキヌクリジンを用いて合成した。最終2工程の全収率:23%。[20]のメシル酸塩を調製した。MS(ES+):325;H NMR(300MHz,DMSO−d):1.97−2.03(m,3H),2.20−2.35(m,1H),2.35−2.44(m,2H),2.42(s,3H),3.72−3.80(m,6H),4.15−4.21(m,1H),4.38(s,2H),7.46(d,J=7.6,1H)7.69−7.72(m,1H),7.78−7.84(m,1H),8.63(s,br,3H).
【0192】
8−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[21]の製造
【0193】
一般的手順Dにおいてエチルピペラジンを用いて合成した。最終2工程の全収率:35%。[21]のメシル酸塩を調製した。MS(ES+):313;H NMR(300MHz,DMSO−d):1.25,(t,J=7.4Hz,3H),2.41(s,6H),2.51−3.87(m,10H),3.87(s,2H),7.70(d,J=8.0Hz,1H),7.81(d,J=7.9Hz,1H),7.91(t,J=8.1Hz,1H),9.82(s,1H),11.96(s,1H).13C NMR(DMSO−d):157.40,155.99,140.65,135.96,133.84,126.72,119.71,118.65,115.85,56.09,50.30,49.05,48.66,8.51.元素分析:C1620O・2.0CHSOH.1.2HOの計算値:C,40.84;H,5.43;N,15.79;実測値:C,41.09;H,5.82;N,15.97.
【0194】
8−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[22]の製造
【0195】
一般的手順Dにおいてメチルピペラジンを用いて合成した。最終2工程の全収率:29%。[22]のメシル酸塩を調製した。MS(ES+):299;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.38(s,3H),2.58−2.63(m,2H),3.09−3.18(m,4H),3.40−3.45(m,2H),3.51(s,2H),7.50(d,J=7.8Hz,1H),7.67(d,J=7.8Hz,1H),7.79(t,J=7.8Hz,1H),9.53(s,br,1H),11.85(s,1H).元素分析:C1518O・1.15CHSOH.1.0HOの計算値:C,45.44;H,5.81;N,19.69;S,8.64;実測値:C,45.18;H,5.88;N,19.83;S,8.68;
【0196】
8−(4−ベンジル−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[23]の製造
【0197】
一般的手順Dにおいて1−ベンジル−[1,4]ジアゼパンを用いて合成した。最終2工程の全収率:24%。MP:140〜142℃;MS(ES−):387;H NMR(400MHz,CDCl):1.88(m,2H),2.77(m,4H),2.89(m,4H),3.62(s,2H),3.69(s,2H),7.20−7.42(m,6H),7.45(s,br,1H),7.74(t,J=7.8Hz,1H),7.87(d,J=7.6Hz,1H),11.50(s,br,1H);元素分析:C2224O・1.35HOの計算値:C,64.01;H,6.52;N,20.36;実測値:C,64.18;H,6.59;N,20.46.
【0198】
[23]のHCl塩を調製した。[23](0.5g)のジオキサン(20mL中)溶液中でHClガスを30分間バブリングさせた。該溶液を室温で一晩中攪拌した。濾過後、沈殿物をジオキサンで洗浄することにより、分析上純粋なオフホワイト色の固体として[23]のHCl塩(0.25g,48%)を得た。H NMR(400MHz,DO):2.08(m,2H),3.36(m,4H),3.56(m,4H),4.04(s,2H),4.24(s,2H),7.02(d,1H),7.20−7.35(m,5H);7.36(d,1H),7.45(t,1H);元素分析:C2224O・2.0HCl.1.15HOの計算値:C,54.81;H,5.92;N,17.43;実測値:C,54.81;H,5.92;N,17.36.
【0199】
4−(3−オキソ−2,9−ジヒドロ−3H−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−8−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル[24]の製造
【0200】
一般的手順Dにおいて[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸t−ブチルエステルを用いて合成した。最終2工程の全収率:30%。MP:219〜221℃;MS(ES−):397;H NMR(400MHz,CDCl):1.46(s,9H);1.88(m,2H);2.83(m,4H);3.50(m,4H);3.59(s,2H);7.63(m,1H),7.72−7.86(m,3H),11.90(s,br,1H).元素分析:C2026.0.5HOの計算値:C,58.95;H,6.68;N,20.62;実測値:C,58.83;H,6.69;N,20.60.
【0201】
8−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[25]の製造
【0202】
一般的手順Dにおいて1−(4−フルオロ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパンを用いて合成した。最終2工程の全収率:35%。MP:163〜165℃;MS(ES−):405;H NMR(400MHz,CDCl):1.87(m,2H),2.72(m,4H),2.88(m,4H),3.63(s,2H),3.65(s,2H),6.99(t,J=8.4Hz,2H),7.30(m,3H)7.61(s,br,1H),7.78(m,1H);7.93(d,J=7.3Hz 1H),10.82(s,br,1H).元素分析:C2223O.1.5HOの計算値:C,60.96;H,6.05;N,19.39;実測値:C,61.07;H,5.97;N,19.59.
【0203】
[25]のメシル酸塩を調製した。H NMR(400MHz,DO):2.06(m,2H),2.70(s,3H),3.06(m,2H),3.24(m,2H),3.46(m,4H),3.65(s,4H),3.74(s,2H),4.33(s,2H),7.25(m,3H),7.46(m,3H),7.62(t,J=8.4Hz,1H).元素分析:C2223FNO・1.3CHSOH.0.5C.2.0HOの計算値:C,49.70;H,5.97;N,13.74;S,6.82;実測値:C,49.40;H,5.97;N,13.37;S,6.65.
【0204】
8−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[26]の製造
【0205】
化合物[24]から合成した。[24](1.5g,3.7mmol)のCHCl(30mL中)溶液にTFA(6mL)を室温で攪拌しながら添加した。30分後、溶媒を留去し、残留物をアセトニトリルで洗浄することにより、分析上純粋な白色固体(1.0g,90%)を得た。MP:147〜149℃;MS(ES−):297;H NMR(400MHz,DO):1.96(m,2H),2.82(t,2H),3.01(t,2H),3.28(t,4H),3.53(s,2H),7.22(d,1H),7.47(d,1H),7.61(t,1H).元素分析:C1518O・1.1CFCOH.1.0HOの計算値:C,46.76;H,4.81;N,19.02;実測値:C,46.64;H,4.98;N,19.02.
【0206】
8−[4−(2−トリフルオロメチル−ベンゾイル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[27]の製造
【0207】
化合物[26]から合成した。化合物[26](0.2g,0.6mmol)のCHCl(5mL中)溶液にTEA(1mmol)及び2−トリフルオロメチル−ベンゾイルクロリド(0.8mmol)を添加した。反応液を室温で一晩中攪拌した。溶媒を留去した後、残留物をセミ分取HPLCで精製することにより、固体(収率:15%)を得た。MP:140〜142℃;MS(ES−):469;H NMR(400MHz,CDCl):1.92−2.10(m,2H),2.91−3.10(m,4H),3.36−3.44(m,2H),3.64−3.74(m,2H),3.93(m,2H),7.38(m,1H),7.57(m,3H),7.79(m,2H),7.93(m,1H).元素分析:C2321・0.9HClの計算値:C,54.89;H,4.39;N,16.70;実測値:C,54.93;H,4.43;N,16.34.
【0208】
8−[4−(3−クロロ−ベンゾイル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[28]の製造
【0209】
化合物[26]から合成した。化合物[26](0.2g,0.6mmol)のCHCl(5mL中)溶液にTEA(1mmol)及び3−クロロ−ベンゾイルクロリド(0.8mmol)を添加した。反応液を室温で一晩中攪拌した。溶媒を留去した後、残留物をセミ分取HPLCで精製することにより、固体(収率:16%)を得た。MP:147〜149℃;MS(ES−):436;H NMR(400MHz,CDCl):1.88−2.08(m,2H),2.86−3.07(m,4H),3.52−3.71(m,4H),3.81−3.89(m,2H),7.33−7.43(m,4H),7.62(d,1H),7.81(t,1H),7.90(t,1H).元素分析:C2221ClN・0.7HOの計算値:C,54.89;H,4.39;N,16.70;実測値:C,54.93;H,4.43;N,16.34.
【0210】
8−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[30]の製造
【0211】
一般的手順Dにおいて1−ピリジン−2−イル−ピペラジンを用いて合成した。最終2工程の全収率:20%。[30]のメシル酸塩を調製した。MS(ES−):360;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.37(s,6H),3.52(s,br,4H),3.93(s,br,4H),4.30(s,2H),6.93(t,J=6.6Hz,1H),7.25(d,J=8.6Hz,1H),7.47(d,J=7.8Hz,1H),7.73(d,J=7.8Hz,1H),7.82−7.91(m,2H),8.16−8.18(m,1H),11.96(s,1H).元素分析:C1919O.1.9CHSOH.1.2HOの計算値:C,44.38;H,5.17;N,17.33;S,10.77;実測値:C,44.21;H,5.19;N,17.28;S,10.68.
【0212】
8−{[2−(2−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−メチル}−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[31]の製造
【0213】
一般的手順Dにおいて2−(2−フルオロ−フェニル)−エチルアミンを用いて合成した。最終2工程の全収率:20%。[31]のメシル酸塩を調製した。MS(ES−):336;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.41(s,5H),3.02(t,J=7.6Hz,2H),3.32(t,J=8.3Hz,2H),4.16(s,2H),7.19(t,J=8.8Hz,2H),7.32−7.35(m,2H),7.42(d,J=7.8Hz,1H),7.71(d,J=7.8Hz,1H),7.82(t,J=8.1Hz,1H),9.10(s,br,1H),11.92(s,1H).元素分析:C1816FNO.1.75CHSOH.0.75HOの計算値:C,45.70;H,4.76;N,13.49;S,10.81;実測値:C,45.45;H,4.69;N,13.42;S,11.10.
【0214】
8−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[32]の製造
【0215】
一般的手順Dにおいて4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジンを用いて合成した。最終2工程の全収率:57%。[32]のメシル酸塩を調製した。MS(ES−):377;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.40(s,5H),3.45(s,br,4H),3.59(s,br,4H),4.37(s,2H),7.03−7.15(m,4H),7.44(d,J=7.8Hz,1H),7.72(d,J=7.8Hz,1H),7.83(t,J=7.8Hz,1H),9.8(s,br,1H),11.94(s,1H).元素分析:C2019FNO.1.65CHSOHの計算値:C,46.85;H,5.01;N,15.14;S,9.53;実測値:C,46.74;H,5.15;N,15.14;S,9.53.
【0216】
8−{[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−メチル}−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[33]の製造
【0217】
一般的手順Dにおいて2−(4−フルオロ−フェニル)−エチルアミンを用いて合成した。最終2工程の全収率:19%。[33]のメシル酸塩を調製した。MS(ES−):336;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.38(s,6H),3.06−3.10(m,2H),3.30−3.34(m,2H),4.18(s,2H),7.19−7.22(m,2H),7.34−7.42(m,3H),7.71(d,J=8.6Hz,1H),7.82(t,J=7.8Hz,1H),9.6(s,br,1H),11.92(s,1H).元素分析:C1816FNO.2.0CHSOHの計算値:C,45.36;H,4.57;N,13.22;S,12.11;実測値:C,45.34;H,4.58;N,13.16;S,11.88.
【0218】
8−(4−アセチル−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[34]の製造
【0219】
一般的手順Dにおいて[1,4]ジアゼパン−1−イル−エタノンを用いて合成した。最終2工程の全収率:16%。MP:191〜193℃;MS(ES−):339;H NMR(400MHz,CDCl):2.11(s,3H),2.84−2.93(m,4H),3.56−3.76(m,6H),7.66(m,1H),7.83−7.92(m,2H),9.3(s,br,1H),11.3(s,br,1H).元素分析:C1720.0.6HOの計算値:C,58.14;H,6.08;N,23.93;実測値:C,58.09;H,6.18;N,24.08.
【0220】
8−(フェネチルアミノ−メチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[35]の製造
【0221】
一般的手順Dにおいてフェネチルアミンを用いて合成した。最終2工程の全収率:29%。[35]のメシル酸塩を調製した。MS(ES−):358;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.32(s,3H),3.00−3.04(m,2H),3.31−3.36(m,2H),4.15(s,1H),7.27−7.42(m,6H),7.71(d,J=7.8Hz,1H),7.82(t,J=7.8Hz,1H),9.70(s,br,1H),11.92(s,1H).元素分析:C1817O.1.0CHSOH.1.8HOの計算値:C,50.95;H,5.54;N,15.64;S,7.16;実測値:C,50.95;H,5.54;N,15.64;S,7.16;
【0222】
8−(4−フェニル−ピペリジン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[36]の製造
【0223】
一般的手順Dにおいて4−フェニル−ピペリジンを用いて合成した。最終2工程の全収率:33%。MS(ES−):318;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.87−1.93(m,4H),2.37−2.46(m,2H),2.56(m,1H),3.10−3.14(m,2H),3.54(s,2H),7.17−7.34(m,5H),7.56(bs,1H),7.76(t,J=7.8Hz,1H),7.93(d,J=7.8Hz,1H),11.10(s,br,1H),11.76(s,1H).[36]のメシル酸塩を調製した。H NMR(400MHz,DO):2.08(m,4H),2.95(m,1H),3.34(m,2H),3.84(m,2H),4.23(s,2H),7.21−7.39(m,6H),7.59(m,1H),7.70(m,1H).元素分析:C2121O.1.3CHSOH.0.5HOの計算値:C,54.29;H,5.56;N,14.19;S,8.45;実測値:C,54.03;H,5.65;N,13.98;S,8.64.
【0224】
8−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[37]の製造
【0225】
一般的手順Dにおいてイソインドリンを用いて合成した。最終2工程の全収率:40%。MS(ES−):316;H NMR(400MHz,DMSO−d):3.77(s,2H),4.04(s,4H),7.20−7.30(m,4H),7.49(d,J=7.8Hz,1H),7.6(d,J=7.8Hz,1H),7.74(t,J=7.8Hz,1H),11.34(s,br,1H),11.78(s,1H).[37]のメシル酸塩を調製した。H NMR(400MHz,DMSO−d):2.34(s,3H),4.64(s,2H),4.87(s,4H),7.39−7.46(m,5H),7.72(d,J=7.8Hz,1H),7.83(t,J=8.1Hz,1H),11.30(s,br,1H),11.95(s,1H).元素分析:C1815O.1.25CHSOH.2.0HOの計算値:C,48.83;H,5.11;N,14.79;S,8.46;実測値:C,48.80;H,5.11;N,14.97;S,8.71.
【0226】
8−(4−ベンゼンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[38]の製造
【0227】
化合物[26]から合成した。[26](0.2g,0.67mmol)のCHCl(5mL中)溶液に、TEA(2mmol)及びベンゼンスルホニルクロリド(1mmol)を添加した。混合液を室温で一晩中攪拌した。溶媒を留去した後、残留物をHO(10mL)に注ぎ込み、生成物を分取HPLCで精製することにより、分析上純粋な白色固体(収率:5%)を得た。MP:265〜268℃;MS(ES−):437;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.79(m,2H),2.50(m,4H),2.79(m,4H),3.51(s,2H),7.44(d,1H),7.62−7.79(m,7H),11.1(s,br,1H),11.75(s,1H).元素分析:C2122S.0.5HOの計算値:C,56.36;H,5.18;N,18.78;S,7.17;実測値:C,56.44;H,5.12;N,19.00;S,7.19.
【0228】
[38]のメシル酸塩を調製した。MS(ES+):439;H NMR(400MHz,DO):2.18(m,2H),2.35(s,6H),3.36(m,2H),3.65(m,6H),4.3(s,2H),7.24(d,1H),7.51−7.71(m,7H).元素分析:C2122S.1.8CHSOH.1.0HOの計算値:C,43.50;H,5.00;N,13.35;S,14.26;実測値:C,43.61;H,5.00;N,13.15;S,14.59.
【0229】
8−(4−ピリジン−4−イル−ピペラジン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[39]の製造
【0230】
一般的手順Dにおいて1−(4−ピリジル)ピペラジンを用いて合成した。最終2工程の全収率:10%。MS(ES−):360;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.80(t,J=5.0Hz,4H),3.61(t,J=5.0Hz,4H),3.99(s,2H),6.83(d,J=7.1Hz,2H),7.42−7.45(m,1H),7.73−7.81(m,2H),8.26(d,J=7.1Hz,2H),11.20(s,br,1H),11.90(s,1H).[39]のHCl塩を調製した。H NMR(400MHz,DO):2.74−2.77(m,4H),3.43(s,2H),3.35−3.69(m,4H),6.93(d,J=7.1Hz,2H),7.13(d,J=8.0Hz,1H),7.37(d,J=7.8Hz,1H),7.58(t,J=7.8Hz,1H),7.92(d,J=7.1Hz,2H).元素分析:C1919O・1.0HCl.2.5HOの計算値:C,51.53;H,5.69;N,22.14;Cl,8.00;実測値:C,51.46;H,5.69;N,21.90;Cl,8.27.
【0231】
8−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[40]の製造
【0232】
一般的手順Dにおいて4−ベンジル−ピペラジンを用いて合成した。最終2工程の全収率:12%。MS(ES−):373;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.44(s,br,4H),3.35(s,br,4H),3.48(s,2H),7.23−7.34(m,5H),7.49(d,J=8.8Hz,1H),7.62(d,J=7.8Hz,1H),7.74(t,J=7.8Hz,1H),11.10(s,br,1H),11.77(s,1H).[40]のHCl塩を調製した。H NMR(400MHz,DO):2.54−2.70(m,2H),3.10−3.50(m,6H),3.48(s,2H),4.35(s,2H),7.20(d,J=8.1Hz,1H),7.45(t,J=7.8Hz,1H),7.47−7.51(m,5H),7.62(t,J=8.1Hz,1H).元素分析:C2122O・1.0HCl.2.5HOの計算値:C,55.32;H,6.19;N,18.43;実測値:C,55.54;H,6.08;N,18.32.
【0233】
8−(4−メチル−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[41]の製造
【0234】
一般的手順Dにおいて1−メチル−[1,4]ジアゼパンを用いて合成した。最終2工程の全収率:24%。MS(ES−):311;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.75(m,2H),2.26(s,3H),2.55(m,4H),2.79(m,4H),3.48(s,2H),7.52(d,J=8.2Hz,1H),7.64(d,J=7.2Hz,1H),7.75(t,J=8.1Hz,1H),11.55(s,1H).元素分析:C1620O.0.95HOの計算値:C,58.33;H,6.70;N,25.51;実測値:C,58.32;H,6.65;N,25.53.
【0235】
8−[4−(1H−インドール−3−イル)−ピペリジン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[42]の製造
【0236】
一般的手順Dにおいて3−ピペリジン−4−イル−1H−インドールを用いて合成した。最終2工程の全収率:19%。MS(ES−):397;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.83−1.94(m,4H),2.31(m,2H),2.50(s,2H),2.79−2.99(m,3H),6.96−7.09(m,3H),7.32(d,J=8.1Hz,1H),7.54−7.63(m,3H),7.75(t,J=7.3Hz,1H),10.79(s,1H),11.80(s,1H).[42]のメシル酸塩を調製した。H NMR(400MHz,DMSO−d):2.15(m,4H),2.32(s,3H),3.11(m,1H),3.52(m,2H),3.73(m,2H),4.29(s,2H),7.10−7.18(m,3H),7.36(d,1H);7.46(d,J=8.2Hz,1H),7.69−7.83(m,3H),10.91(s,1H),11.93(s,1H).元素分析:C2322O.1.0CHSOH.1.25HOの計算値:C,55.23;H,5.62;N,16.91;S,6.14;実測値:C,55.27;H,5.53;N,16.95;S,6.00.
【0237】
8−[(2−ピリジン−4−イル−エチルアミノ)−メチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[43]の製造
【0238】
一般的手順Dにおいて4−エチルアミノ−ピリジンを用いて合成した。最終2工程の全収率:10%。[43]のHCl塩を調製した。MS(ES−):319;H NMR(400MHz,DO):3.28(t,J=7.8Hz,2H),3.53(t,J=7.8Hz,2H),4.09(s,2H),7.02(d,J=8.0Hz,1H),7.35(d,J=8.0Hz,1H),7.52(t,J=8.0Hz,1H),7.70(d,J=5.3Hz,2H),8.52(d,J=5.3Hz,2H).元素分析:C1716O.1.3HCl.2.6HO.0.1Nの計算値:C,47.52;H,5.38;N,20.27;実測値:C,47.12;H,5.26;N,20.67.
【0239】
8−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[44]の製造
【0240】
一般的手順Dにおいて1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンを用いて合成した。最終2工程の全収率:30%。MS(ES−):330;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.81−2.90(m,4H);3.52(s,2H),3.72(s,2H),7.05−7.25(m,4H),7.51(d,J=7.8Hz,1H),7.63(d,J=8.0Hz,1H),7.74(t,J=8.0Hz,1H),11.30(s,br,1H),11.91(s,1H).元素分析:C1917Oの計算値:C,68.87;H,5.17;N,21.13;実測値:C,68.34;H,5.19;N,21.30.
【0241】
[44]のメシル酸塩を調製した。MS(ES−):330;H NMR(400MHz,DO):2.80(s,3H),3.31(t,2H),3.85(m,2H),4.47(s,2H),4.68(s,2H),7.23(d,J=7.8Hz,1H),7.28−7.42(m,4H),7.67(d,J=8.0Hz,1H);7.80(t,J=7.9Hz,1H).元素分析:C1917O.1.12CHSOH.2.0HOの計算値:C,50.87;H,5.41;N,14.74;S,7.56;実測値:C,50.89;H,5.47;N,14.84;S,7.63.
【0242】
8−(5,6−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[45]の製造
【0243】
一般的手順Dにおいて5,6−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンを用いて合成した。最終2工程の全収率:29%。MS(ES−):311;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.79(s,4H),3.49(s,2H),3.61(s,2H),3.67(s,3H),3.70(s,3H),6.69(d,J=8.8Hz,2H),7.48(d,J=7.6Hz,1H),7.63(d,J=7.8Hz,1H),7.74(t,J=7.6Hz,1H),11.55(s,1H).元素分析:C2121の計算値:C,64.44;H,5.41;N,17.89;実測値:C,64.24;H,5.43;N,17.98.
【0244】
[45]のメシル酸塩を調製した。MS(ES−):330;H NMR(400MHz,DO):2.82(s,3H),3.21(t,2H),3.65−3.85(m,8H),4.48(s,2H),4.60(s,2H),6.75(s,1H),6.83(s,1H),7.38(d,1H),7.71(d,1H),7.82(t,1H).元素分析:C2121.1.18CHSOH.1.75HOの計算値:C,49.70;H,5.49;N,13.07;S,7.03;実測値:C,49.77;H,5.49;N,13.17;S,7.03.
【0245】
8−[4−(3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[46]の製造
【0246】
化合物[26]から合成した。[26](0.2g,0.67mmol)のCHCl(5mL中)溶液に、TEA(2mmol)及び3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルクロリド(1mmol)を添加した。混合液を室温で一晩中攪拌した。溶媒を留去した後、残留物をHO(10mL)に注ぎ込み、生成物を分取HPLCで精製することにより、分析上純粋な白色固体(収率:15%)を得た。MS(ES+):507;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.82(m,2H),2.73−2.81(m,4H),3.25−3.42(m,6H),7.44(d,J=7.8Hz,1H),7.63(d,J=7.2Hz,1H),7.74(t,J=7.8Hz,1H),7.89(t,J=8.2Hz,1H),8.04−8.13(m,3H),11.10(s,br,1H),11.75(s,1H).元素分析:C2221S.1.1HOの計算値:C,50.21;H,4.44;N,15.97;S,6.09;実測値:C,50.19;H,4.54;N,15.50;S,5.97.
【0247】
【化19】

【0248】
一般的手順F:化合物[47A]及び[47B]の製造:
【0249】
一般的手順Fを用いて化合物[4]のクロロ基をピペラジン又は[1,4]ジアゼパンで置換して、化合物[47A]又は[47B]を形成する。[4](1当量)のアセトニトリル溶液を攪拌しながら、これにピペラジン又は[1,4]ジアゼパン(大過剰)を窒素ブランケット下で添加した。得られた溶液を一晩中攪拌した後、蒸発乾固した。9:1のジクロロメタン:メタノールを用いて粗製物質をシリカプラグに通して精製することにより、白色固体として、4−オキソ−2−ピペラジン−1−イルメチル−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−5−カルボン酸メチルエステル[47A]、又は、2−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−5−カルボン酸メチルエステル[47B]を得た。
【0250】
一般的手順G:化合物[48A]及び[48B]の製造
【0251】
アミン[47A]又は[47B]を種々のスルホニルクロリドと反応させて、スルホニルアミド[48A]又は[48B]を得る。[47A]又は[47B](1当量)のピリジン溶液を攪拌しながら、これに種々のスルホニルクロリド(1.1当量)を添加した。反応液を一晩中攪拌した後、蒸発乾固した。その後、残留物をジクロロメタンで抽出し、塩水で洗浄した。生成物を蒸発乾固して、さらに精製せずに使用した。
【0252】
一般的手順E:化合物[49A]及び[49B]の製造
【0253】
2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン環は、ヒドラジンを用いて化合物[48A]又は[48B]を縮合することにより形成できる。化合物[6]の無水エタノール溶液に過剰量の無水ヒドラジンを室温で添加する。溶液を一晩中還流し、室温まで冷却する。氷冷水を添加し、白色固体を分離する。該固体を減圧濾過により回収し、水及び少量のメタノールで洗浄することにより、白色固体生成物[6]を40〜90%の収率で得る。一例を化合物[49A]及び[49B]の製造において示した。
【実施例2】
【0254】
8−[4−(4−メトキシ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[50]の製造
【0255】
[4](2.2g,8.73mmol,1当量)のアセトニトリル(200mL中)溶液を攪拌しながら、これにピペラジン(14g,0.162mol,大過剰)を窒素ブランケット下で添加した。得られた溶液を一晩中攪拌した後、蒸発乾固した。9:1のジクロロメタン:メタノールを用いて粗製物質をシリカプラグに通して精製することにより、綿毛状白色固体として4−オキソ−2−ピペラジン−1−イルメチル−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−5−カルボン酸メチルエステル[47A](2.0g)を得た。MS(ES−):301;H NMR(400 MHz,DMSO−d):2.40−2.43(m,4H),2.69−2.72(m,4H),3.41(s,2H),3.83(s,3H),7.44(d,J=7.2Hz,1H),7.74(d,J=8.2Hz,1H),7.82(t,J=7.8Hz,1H).
【0256】
[47A](170mg,0.56mmol,1当量)のピリジン(5mL中)溶液を攪拌しながら、これに4−メトキシベンゼンスルホニルクロリド(130mg,0.62mmol,1.1当量)を添加し、鮮黄色溶液を調製した。反応液を一晩中攪拌した後、蒸発乾固した。その後、蝋状の残留物をジクロロメタンで抽出し、塩水で洗浄した。粗製物質をEtOH(10mL)及びヒドラジン一水和物(5mL,大過剰)に溶解させた。得られた溶液を一晩中還流すると、重質の白色沈殿物が形成された。この沈殿物を濾過し、エチルエーテルで洗浄し、乾燥させることにより、オフホワイト色の固体を得た。その後、該固体をクロマトグラフィで精製することにより、分析上純粋な化合物[50](112mg)を得た。[50]のメシル酸塩を調製した。最終3工程の全収率:8%。MS(ES+):455;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.34(s,3H),3.19(bs,4H),3.44(bs,4H),3.89(s,3H),4.20(s,2H),7.25(d,J=9.0Hz,2H),7.72(d,J=7.8Hz,1H),7.70−7.83(m,4H),11.20(s,br,1H),11.93(s,1H).元素分析:C2122S.1.5CHSOH.3.0HO.0.1Nの計算値:C,41.20;H,5.29;N,13.24;S,12.22;実測値:C,41.07;H,5.09;N,13.53;S,12.62.
【0257】
下記化合物は、対応する適切なスルホニルクロリドを用いて化合物[50]の製造と同様の手順で合成した。
【0258】
8−[4−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[51]の製造
【0259】
一般的手順Gにおいて3−フルオロ−ベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[47A]を用いて合成した。[51]のメシル酸塩を調製した。最終3工程の全収率:35%。MS(ES−):441;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.31(s,3H),3.25(bs,4H),3.39(bs,4H),4.15(s,2H),7.42(d,J=7.8Hz,1H),7.65−7.71(m,4H),7.78−7.82(m,2H),11.78(s,1H).元素分析:C2019S.1.25CHSOH.2.4HOの計算値:C,42.43;H,4.87;N,13.87;S,11.91;実測値:C,42.13;H,4.79;N,13.48;S,11.89.
【0260】
8−[4−(トルエン−4−スルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[52]の製造
【0261】
一般的手順Gにおいてトルエン−4−スルホニルクロリド及び化合物[47A]を用いて合成した。[52]のメシル酸塩を調製した。最終3工程の全収率:38%。MS(ES−):438;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.36(s,3H),2.45(s,3H),3.20(bs,4H),3.46(bs,4H),4.22(s,2H),7.43(d,J=7.8Hz,1H),7.54(d,J=7.8Hz,2H),7.68−7.81(m,4H),11.90(s,1H).元素分析:C2122S.1.3CHSOH.4.0HOの計算値:C,42.25;H,5.58;N,13.22;S,11.61;実測値:C,42.63;H,5.53;N,13.40;S,11.90.
【0262】
8−(4−ベンゼンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[53]の製造
【0263】
一般的手順Gにおいてベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[47A]を用いて合成した。[53]のメシル酸塩を調製した。最終3工程の全収率:30%。MS(ES−):438;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.70(s,3H),3.36(bs,4H),3.51(bs,4H),4.14(s,2H),7.11(d,J=8.0Hz,1H),7.40−7.70(m,7H),11.90(s,1H).元素分析:C2020S.1.2CHSOH.2.5HO.0.08Nの計算値:C,43.36;H,5.17;N,14.67;S,12.01;実測値:C,43.00;H,5.17;N,15.05;S,12.40.
【0264】
8−[4−(3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[54]の製造
【0265】
一般的手順Gにおいて3−トリフルオロ−ベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[47A]を用いて合成した。[54]のメシル酸塩を調製した。最終3工程の全収率:15%。MS(ES−):438;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.32(s,3H),3.26−3.35(m,8H),4.10(s,2H),7.43(d,J=8.0Hz,1H),7.69−7.80(m,2H),7.98−8.26(m,4H),11.92(s,1H)
【0266】
元素分析:C2119S.1.3CHSOH.2.0HOの計算値:C,40.99;H,4.35;N,12.86;S,11.29;実測値:C,40.71;H,4.60;N,12.68;S,11.50.
【0267】
8−[4−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[55]の製造
【0268】
一般的手順Gにおいて4−クロロベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[47A]を用いて合成した。[55]のメシル酸塩を調製した。最終3工程の全収率:15%。MS(ES−):458;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.31(s,3H),3.18(bs,4H),3.40(bs,4H),3.98(s,2H),7.43(d,J=7.7Hz,1H),7.68−7.84(m,5H),11.90(s,1H).元素分析:C2019ClNS.1.3CHSOH.2.0HOの計算値:C,41.27;H,4.59;N,13.56;S,11.90;実測値:C,41.07;H,4.66;N,13.30;S,11.89.
【0269】
8−[4−(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[56]の製造
【0270】
一般的手順Gにおいて4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[47A]を用いて合成した。[56]のHCl塩を調製した。最終3工程の全収率:42%。MS(ES−):441;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.31(s,3H),3.18(bs,4H),3.40(bs,4H),3.98(s,2H),7.43(d,J=7.8Hz,1H),7.68−7.84(m,5H),11.90(s,1H).
【0271】
8−[4−(4−イソプロピル−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[57]の製造
【0272】
一般的手順Gにおいて4−イソプロピルベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[47A]を用いて合成した。[57]のメシル酸塩を調製した。最終3工程の全収率:22%。MS(ES−):465;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.26(d,J=6.8Hz,6H),2.33(s,3H),3.01−3.05(m,1H),3.16−3.32(m,10H),7.41(d,J=8.1Hz,1H),7.59(d,J=8.6Hz,2H),7.68−7.80(m,4H),11.89(s,1H).元素分析:C2326S.1.35CHSOH.1.75HO.0.1Nの計算値:C,46.35;H,5.64;N,13.76;S,11.94;実測値:C,46.01;H,5.62;N,13.80;S,12.33.
【0273】
8−[4−(4−tert−ブチル−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[58]の製造
【0274】
一般的手順Gにおいて4−tertブチルベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[47A]を用いて合成した。[58]のメシル酸塩を調製した。最終3工程の全収率:23%。MS(ES−):480;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.25(s,9H),2.21(s,3H),3.05−3.15(m,8H),3.99(bs,2H),7.32(d,J=8.1Hz,1H),7.59−7.72(m,6H),11.81(s,1H).元素分析:C2428S.1.5CHSOH.2.75HOの計算値:C,45.42;H,5.90;N,12.46;S,11.89;実測値:C,45.23;H,5.76;N,12.84;S,12.17.
【0275】
8−[4−(4−イソプロピル−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[59]の製造
【0276】
一般的手順Gにおいて4−イソプロピルベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[47B]を用いて合成した。最終2工程の全収率:22%。MS(ES−):479;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.23(d,6H),1.79(m,2H),2.40−2.55(m,4H),2.71−2.90(m,4H),3.00(m,1H),3.48(s,2H),7.48(m,3H),7.73(m,4H),11.80(s,1H).元素分析:C2428Sの計算値:C,59.98;H,5.87;N,17.49;S,6.67;実測値:C,60.02;H,5.85;N,17.55;S,6.52.
【0277】
8−[4−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[60]の製造
【0278】
一般的手順Gにおいて4−クロロ−ベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[47B]を用いて合成した。最終3工程の全収率:8%。MS(ES−):472;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.80(m,2H),2.73−2.78(m,4H),3.50(m,4H),3.69(s,2H),7.45(d,J=8.2Hz,1H),7.71−7.83(m,6H),10.95(s,br,1H),11.76(s,1H).[60]のメシル酸塩を調製した。H NMR(400MHz,DO):1.92(m,2H),2.73(s,5H),3.50−3.77(m,8H),4.36(s,2H),7.49(d,J=7.2Hz,1H),7.75(t,J=8.1Hz,2H),7.78−7.93(m,4H).元素分析:C2121ClNS.1.61CHSOHの計算値:C,39.57;H,4.99;N,12.25;S,12.20;実測値:C,39.50;H,5.29;N,12.57;S,12.47.
【0279】
8−[4−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[61]の製造
【0280】
一般的手順Gにおいて3−フルオロ−ベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[47B]を用いて合成した。最終2工程の全収率:16%。MS(ES+):457;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.79(m,2H),2.70−2.81(m,4H),3.26−3.40(m,4H),3.48(s,2H),7.45(d,J=7.3Hz,1H);7.55−7.74(m,6H),11.10(s,br,1H),11.75(s,1H).元素分析:C2121FNS.1.15HOの計算値:C,52.85;H,4.92;N,17.61;S,6.72;実測値:C,52.88;H,4.93;N,17.43;S,6.48.
【0281】
8−[4−(4−メトキシ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[62]の製造
【0282】
一般的手順Gにおいて4−メトキシ−ベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[47B]を用いて合成した。最終2工程の全収率:21%。MS(ES+):469;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.78(m,2H),2.72−2.79(m,4H),3.30−3.39(m,4H),3.48(s,2H),3.84(s,3H),7.14(d,J=8.2Hz,2H),7.48(d,J=8.1Hz,1H),7.63(d,J=7.2Hz,1H);7.09−7.22(m,3H),11.10(s,br,1H),11.80(s,1H).元素分析:C2224S.1.0HOの計算値:C,54.31;H,5.39;N,17.27;S,6.59;実測値:C,54.38;H,5.34;N,17.28;S,6.19.
【0283】
8−[4−(4−tert−ブチル−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[63]の製造
【0284】
一般的手順Gにおいて4−t−ブチル−ベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[47B]を用いて合成した。最終2工程の全収率:14%。MS(ES−):493;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.31(s,9H),1.79(m,2H),2.73−2.86(m,4H),3.26−3.41(m,4H),3.48(s,2H),7.45(d,J=8.6Hz,1H),7.62−7.76(m,6H),11.20(s,br,1H),11.80(s,1H).元素分析:C2530Sの計算値:C,60.71;H,6.11;N,16.99;S,6.48;実測値:C,60.78;H,6.10;N,17.08;S,6.36.
【0285】
8−[4−(4−アミノ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[64]の製造
【0286】
一般的手順Gにおいて4−ニトロ−ベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[47B]を用いて合成した。最終2工程の全収率:14%。MS(ES−):452;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.76(m,2H),2.71−2.79(m,4H),3.21−3.31(m,4H),3.46(s,2H),6.01(s,2H),6.64(d,J=8.6Hz,2H),7.39(d,J=8.6Hz,2H),7.48(d,J=8.0Hz,1H),7.63(d,J=7.9Hz,1H),7.74(t,J=7.8Hz,1H),11.10(s,br,1H),11.75(s,1H).元素分析:C2123S.0.5HOの計算値:C,54.53;H,5.23;N,21.20;S,6.93;実測値:C,54.50;H,5.24;N,20.84;S,6.74.
【0287】
8−[4−(ビフェニル−4−スルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[65]の製造
【0288】
一般的手順Gにおいてビフェニル−4−スルホニルクロリド及び化合物[47B]を用いて合成した。最終2工程の全収率:10%。MS(ES−):513;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.82(m,2H),2.73−2.83(m,4H),3.29−3.41(m,4H),3.48(s,2H),7.47−7.53(m,4H),7.62(d,J=8.1Hz,1H),7.68−7.78(m,3H),7.82−7.93(m,4H),11.00(s,br,1H),11.75(s,1H).元素分析:C2726S.2.3HOの計算値:C,58.32;H,5.55;N,15.11;S,5.77;実測値:C,58.24;H,4.89;N,15.10;S,5.79.
【0289】
8−[4−(4−アミノ−ベンゼンスルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[66]の製造
【0290】
一般的手順Gにおいて4−ニトロベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[47A]を用いて合成した。[66]のメシル酸塩を調製した。最終3工程の全収率:35%。MS(ES−):438;H NMR(400MHz,DMSO−d):2.32(s,3H),3.13(bs,4H),3.42(bs,4H),4.18(s,2H),6.71(d,J=8.8Hz,2H),7.40−7.43(m,3H),7.70−7.80(m,2H),11.20(s,br,1H),11.92(s,1H).元素分析:C2021S.1.3CHSOH.2.75HOの計算値:C,41.67;H,5.20;N,15.97;S,12.01;実測値:C,41.76;H,5.25;N,15.92;S,12.22.
【0291】
【化20】

【0292】
化合物[71]を製造するための一般的手順L。[70](1.0当量)のTHF溶液を窒素雰囲気下で攪拌しながら、これにTEA(1mL,過剰)と、スルホニルクロリド又は酸塩化物のいずれか(1.2当量)とを添加した。反応液を4時間攪拌し、その後、蒸発させ、CHCl/HOで抽出し、乾燥させて濃縮した。9:1のCHCl/MeOHを用いてカラムクロマトグラフィにより粗製物質をさらに精製することにより、分析上純粋な生成物[71]を得た。
【実施例3】
【0293】
(3−オキソ−2,9−ジヒドロ−3H−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−8−イルメチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル[69]の製造
【0294】
2−アミノメチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−5−カルボン酸メチルエステル[67]を製造するための手順H。密閉管内で、0℃の7N NH(大過剰)のMeOH溶液(25mL)に化合物[4](1.0g,4.0mmol)を添加した。その後、混合液を60℃の温度で4時間加熱した。混合液を蒸発乾固し、CHCl(2×50mL)に溶解させ、再度蒸発させた。生成物をさらに精製せずにそのまま使用した。
【0295】
2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−メチル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリン−5−カルボン酸メチルエステル[68]を製造するための手順I。TEA(2mL,過剰)と、触媒量のDMAPと、化合物[67](手順Hより)とを含むCHCl溶液(50mL)に、boc無水物(2.6g,3当量)を室温で添加した。反応液を60分間攪拌し、その間に、全ての固体が溶液に溶解した。得られた溶液を蒸発乾固し、CHCl及び5%MeOHを用いてカラムクロマトグラフィにより精製することにより、分析上純粋な化合物[68](0.5g)を得た。
【0296】
[69]を製造するための手順J。化合物[68](5g)をヒドラジン一水和物(10mL)及びエタノール(25mL)に溶解させた。出発物質がTLCにより検出されなくなるまで混合液を4時間還流した。反応液を冷却し、冷水(100mL)に注ぎ入れ、EtOAc(2×25mL)で抽出した。有機層を塩水の後に硫酸マグネシウムで乾燥した。9:1のCHCl/MeOHを用いてカラムクロマトグラフィにより精製することにより、分析上純粋な化合物[69](2.7g)を得た。MS(ES−):314;H NMR(400MHz,CDCl):1.45(s,9H),3.90(s,2H),6.15(bs,1H),6.94−7.30(m,3H),12.38−12.43(m,br,2H).元素分析:C1517.0.2HOの計算値:C,56.49;H,5.50;N,21.96;実測値:C,56.61;H,5.60;N,21.85.
【0297】
8−アミノメチル−2,9−ジヒドロ−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−3−オン[70]の製造
【0298】
[70]を製造するための手順K。化合物[69](250mg)をTFA(4mL)と共にCHCl(10mL)に溶解させた。反応液を室温で一晩中攪拌すると、重質の白色沈殿物が形成した。この沈殿物を濾別し、CHClで洗浄し、減圧下で乾燥させることにより、分析上純粋な物質として化合物[70]のTFA塩を定量的収率で得た。MS(ES+):216;H NMR(400MHz,DO):3.97(s,2H),6.91(d,J=8.2Hz,1H),7.23(d,J=7.8Hz,1H),7.43(t,J=8.0Hz,1H).元素分析:C10O.1.3CFCOOH.0.2HOの計算値:C,41.27;H,2.86;N,19.10;実測値:C,41.00;H,3.04;N,19.25.
【0299】
4−メチル−N−(3−オキソ−2,9−ジヒドロ−3H−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−8−イルメチル)−ベンゼンスルホンアミド[72]の製造
【0300】
一般的手順Lにおいて4−メチルベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[70]を用いて合成した。化合物[72]の収率:20%。MS(ES−):368;H NMR(400MHz,CDCl):2.27(s,3H),3.93(s,2H),7.28−7.43(m,3H),7.67−7.78(m,4H),11.43(s,1H),11.83(s,1H).元素分析:C1715Sの計算値:C,55.27;H,4.09;N,18.96;S,8.68;実測値:C,54.93;H,4.09;N,18.63;S,8.33.
【0301】
N−(3−オキソ−2,9−ジヒドロ−3H−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−8−イルメチル)−ベンゼンスルホンアミド[74]の製造
【0302】
一般的手順Lにおいてベンゼンスルホニルクロリド及び化合物[70]を用いて合成した。化合物[74]の収率:25%。MS(ES−):354;H NMR(400MHz,CDCl):3.95(d,J=5.0Hz,2H),7.44(d,J=7.8Hz,1H),7.45−7.60(m,3H),7.67−7.77(m,2H),7.91−7.93(m,2H),8.24(t,J=8.8Hz,1H),11.24(s,1H),11.83(s,1H).元素分析:C1613S.1.0HOの計算値:C,51.47;H,4.05;N,18.76;S,8.59;実測値:C,51.17;H,4.20;N,18.73;S,8.31.
【0303】
N−(3−オキソ−2,9−ジヒドロ−3H−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−8−イルメチル)−アセトアミド[75]の製造
【0304】
一般的手順Lにおいて無水酢酸及び化合物[70]を用いて合成した。化合物[75]の収率:22%。MS(ES−):256;H NMR(400MHz,DMSO−d):1.91(s,3H),4.05(s,2H),7.32(d,J=8.1Hz,1H),7.49−7.81(m,2H),8.40(t,J=8.3Hz,1H).11.25(s,1H),11.75(s,1H).元素分析:C1211.0.5HOの計算値:C,54.13;H,4.54;N,26.30;実測値:C,54.14;H,4.52;N,26.00.
【0305】
4−ニトロ−N−(3−オキソ−2,9−ジヒドロ−3H−1,2,7,9−テトラアザ−フェナレン−8−イルメチル)−ベンザミド[76]の製造
【0306】
一般的手順Lにおいて4−ニトロ−ベンゾイルクロリド及び化合物[70]を用いて合成した。化合物[76]の収率:25%。MS(ES−):363;H NMR(400MHz,CDCl):3.99(s,2H),7.18−7.20(m,1H),7.34−7.38(m,1H),7.75−7.90(m,2H),8.20−8.32(m,2H),8.40−8.48(m,3H).
【0307】
インビトロPARP阻害能力−IC50
【0308】
PARP阻害化合物のIC50を決定する簡便な方法は、Trevigan(メリーランド州ゲーサーズバーグ)の精製組み換えヒトPARPを用いるPARPアッセイである。このアッセイは以下のように行う:まずPARP酵素アッセイのための準備として、氷上で、100mMのTris−HCl(pH8.0)、1mMのMgCl、28mMのKCl、28mMのNaCl、3.0μg/mlのDNaseI活性化ニシン精子DNA(Sigma(ミズーリ州))、30マイクロモルの[H]ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(62.5mCi/ミリモル)、15マイクログラム/mlのPARP酵素及び種々の濃度の被験化合物からなる100マイクロリットルの容積としたものを用意する。酵素を添加し、25℃で混合物をインキュベートすることにより反応を開始する。2分間インキュベートした後、氷冷30%(w/v)トリクロロ酢酸(500マイクロリットル)を添加することにより反応を終結させる。生成した沈殿をグラスファイバーフィルター(Packard Unifilter−GF/C)上に移し、70%エタノールで3回洗浄する。フィルターを乾燥させた後、シンチレーション計数により放射能を測定する。本発明の化合物は、この阻害アッセイにおいてIC50が数nM〜20μMの範囲という強力な酵素活性を有することが分かった。
【0309】
上述のPARPアッセイを用いて、下記化合物のIC50の概算値を得た。
【0310】
【表1】

【0311】
【表2】

【0312】
【表3】

【0313】
【表4】

【0314】
【表5】

【0315】
【表6】

【0316】
【表7】

【0317】
【表8】

【0318】
【表9】

【0319】
【表10】

【0320】
【表11】

【0321】
化合物[13]のインビボでの効能
1)B16黒色腫のマウス頭蓋内モデル:
【0322】
C57BL/6J(H−2/H−2)由来のマウス黒色腫細胞系B16を、10%ウシ胎児血清(Invitrogen(イタリア、ミラノ))、2mM L−グルタミン、100単位/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシン(Flow Laboratories(バージニア州マクリーン))を含むRPMI−1640で37℃、5%COの加湿雰囲気下で培養した。TMZはSchering−Plough Research Institute(ニュージャージー州ケニルワース)より提供された。化合物[13]は、カリウムを含まない70mM PBSに溶解させた。
【0323】
頭蓋内移植のため、細胞(0.03mlのRPMI−1640中に10)を、0.1mlのガラスマイクロシリンジ及び使い捨て27−ゲージ針を用いて前頭骨の中央(center−middle)領域に挿入し、2mmの深さに頭蓋内(ic)注射した。マウス黒色腫B16細胞(10)を雄B6D2F1(C57BL/6 × DBA/2)マウスにic注射した。腫瘍接種前に、ケタミン(100mg/kg)及びキシラジン(5mg/kg)を0.9%NaCl溶液(10ml/kg/ip)に添加し、この溶液により動物を麻酔した。治療のタイミングを決めるために、脳における腫瘍増殖の組織学的評価を腫瘍接種の1〜5日後に行った。
【0324】
TMZ投与の15分前に化合物[13]を経口投与した。対照マウスには毎回、薬剤ビヒクルを注射した。担癌マウスでは、接種後48時間で処置を開始したが、その時点において周囲の脳組織への腫瘍の浸潤は組織学的に明らかであった。マウスを、1日1回、5日間、10mg/kgの投与量を強制経口投与することにより化合物[13]で処置した。
【0325】
担癌マウスでは、周囲の脳組織への腫瘍の浸潤が組織学的に明らかであった場合に、接種後2日目に処置を開始した。マウスを化合物[13]+TMZで5日間毎日処置し、死亡率を90日間観測した。生存期間中央値(MST)を決定し、寿命の増加率(ILS)を以下のように算出した。{[処置マウスのMST(日)/対照マウスのMST(日)]−1}×100。処置群と対照群の生存曲線を比較することにより処置の有効性を評価した。
【0326】
マウスに関する全手順及び管理は、国及び国際的ガイドライン(European Economy Community Council Directive 86/109、OLJ318、Dec.1,1987及びNIH Guide for care and use of laboratory animals,1985)に従って行った。
【0327】
生存曲線は、カプラン−マイヤー積極限推定量(Kaplan−Meier product−limit estimate)により作成し、様々な群(動物8個体/群)間の統計的差異をイェーツの補正を用いてログランク検定により評価した(software Primer of Biostatistics,McGraw−Hill(ニューヨーク州ニューヨーク))。統計的有意性はp=0.05水準で判断した。差異は、P<0.05の場合、統計的に有意であるとした。
【0328】
結果として、10mg/kgの化合物[13]を経口投与することで、化合物[13]+TMZの組み合わせで処置したマウスの生存期間が著しく長くなり、TMZを単一の薬剤として服用させた動物で観察された生存期間よりも有意に高い(P<0.0001)ことが示された。対照群とTMZ処置群の生存期間に有意差は確認されなかった(図1)。
【0329】
2)マウスのSJGBM2神経膠腫の頭蓋内異種移植モデル:
【0330】
マウスのSJGBM2神経膠腫の頭蓋内異種移植モデルにおいて化合物[13]を試験した(Tentori,et al.Clin.Cancer Reser.2003,9,5370)。この目的のため、化合物[13]をTMZ投与の15分前に一度、10mg/kgでpo(経口)投与した。
【0331】
化合物[13]の10mg/kgの投与量が有効であることが分かった(図2)。それをTMZと組み合わせることで、MTSが22.5日(TMZのみ)から25日へと長くなった(P=0.002)。
【0332】
化合物[37]のインビボでの効能
1)B16黒色腫のマウス頭蓋内モデル:
【0333】
実験は化合物[13]において上述されたように行った。化合物[37](5mg/kg又は12.5mg/kg)の経口投与により、CNS部位で増殖するB16黒色腫に対するTMZの効能が高まるか否かを調査した。結果として、B16黒色腫を有するマウスにおいて、12.5mg/kgの化合物[37]+TMZの組み合わせで処置した群の平均生存期間が、TMZを単一の薬剤として服用させた動物で観察された平均生存期間よりも有意に高いことが示された(図3)。
【0334】
2)マウスのSJGBM2神経膠腫の頭蓋内異種移植モデル:
【0335】
次に、化合物[37]の効能を、ヌードマウスのヒト多形性神経膠芽腫異種移植(SJGBM2)の同所性モデルを用いて調査した。TMZを、単一の薬剤として使用した場合、又は、化合物[37](10mg/kg又は20mg/kg)と5日間組み合わせて使用した場合、又は、化合物[37](MGI25036)(10mg/kg)と5日間組み合わせて使用してから単一の薬剤としての化合物[37](100mg/kg)で14日間処置した場合の、SJGBM2の応答を図4に示す。結果は、化合物[37](10mg/kg又は20mg/kg)+TMZの経口投与により、対照群又はTMZで処置した動物に比べて、担癌マウスの生存が著しく長期化したことを示している。この腫瘍モデルにおいて、TMZは効果がなかったことに留意すべきである。10mg/kgの化合物[37]+TMZで5日間処置してから高投与量の化合物[37](100mg/kg)で14日間処置した場合では、10mg/kgの化合物[37]+TMZで5日間処置した場合に比べて、動物の生存率が著しく高まった。
【0336】
3)頭頚部扁平上皮細胞癌腫の放射線治療の増強
【0337】
既に遺伝的特性が決定されており、Johns Hopkins University Head and Neck Laboratoriesが最初にヒト腫瘍外植片から得たものであるヒトHNSCC細胞系JHU012を使用した。該細胞系を、37℃加湿インキュベータ内で、5%CO下、10%ウシ胎児血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPMI−1640培地に保持した。6週齢雄BALB/cヌードマウスnu/nuに対して実験を行った。この動物を無作為に以下の処置群に分けた。1群:対照、2群:放射線のみ(2グレイ(gy)/日を2日間)、3群:化合物[37](100mg/kg)のみの経口投与(PO)を1日1回×17、4群:化合物[37](30mg/kg)PO+放射線、5群:化合物[37](100mg/kg)PO+放射線。各群は8個体のマウスで構成されていた。トリブロモエタノール(3〜5mL)を腹腔内注射してマウスを麻酔した。腫瘍を1×10細胞で皮下注射して右脇腹に定着させた。細胞注射14日後に、腫瘍を外科的に露出し、カリパスを用いて3次元で測定した。その後、化合物[37]を3〜5群の処置群に経口投与した。4群及び5群では、化合物[37]を放射線照射(2gy/日を2日間)の15分前に動物に服用させた。腫瘍細胞接種後31日目に、腫瘍を再び外科的に露出し、カリパスを用いて3次元で測定した。化合物[37]の100mg/kgの経口投与+放射線で処置した5群(実験終了時の腫瘍容積=209.04mm)においては、対照の1群(実験終了時の腫瘍容積=585.9mm)と比較して、腫瘍増殖の有意な阻害(p<0.01)が確認された(図5)。30mg/kgの化合物[37]を放射線と組み合わせた場合には、放射線のみの場合と比較して、腫瘍増殖阻害への有意な効果はみられなかった(図5)。さらに、100mg/kgの化合物[37]のPOを1日1回×17のみでは、ビヒクル対照と比較して、腫瘍増殖阻害への有意な効果はみられなかった(図5)。これらの結果によって、一方の処置方法のみの場合とは対照的に、高投与量の化合物[37]を放射線と組み合わせた場合に効果が高まったことが示される。
【0338】
4)BRCA−1欠損腫瘍を有するマウスにおける腫瘍増殖への化合物[37]の効果
【0339】
1×10のBRCA−1ヌル細胞を雌nu/nuマウス(6〜7週齢、Harlan Sprague Dawley(インディアナ州インディアナポリス))の右脇腹に皮下注射した。約10〜14日後、腫瘍は約100mmになっていた。平均腫瘍サイズが各群間で同様なものとなり、標準偏差が最小となるように、マウスを各群に振り分けた。振り分けた次の日から投与を開始し、週に3回、腫瘍容積を観測した。腫瘍の長径と短径を測定し、(l×w)/2により容積を算出した。腫瘍が1500mmに達した時点でマウスを試験から外した。「終点までの時間」又はTTE(腫瘍が1500mm以上に達するのにかかる日数)が試験の終点である。化合物[37]を2〜3日毎に検量し、ボトル入り無菌水(J.T.Baker,Ultrapure Bioreagent 4221−02)に可溶化し、10mg/mlとした。試験開始(1日目)から28日間毎日、上記化合物を経口投与した。BRCAモデルにおいて単独の薬剤として有効であることが示されている周知のPARP阻害剤(Bryant et al)を用いて陽性対照を利用した。実験開始日から陽性対照薬剤を25mg/kg IP、1日1回×5で投与した。試験は2回行ったが、その両方において、100mg/kgの化合物[37]はBRCA−1ヌルモデルにおける腫瘍増殖を著しく遅延させるのに有効であった。化合物[37]の投与を28日目に停止すると、腫瘍は約10〜14日後に増殖し始めた。2回行った実験の両方において、化合物[37]は、ビヒクル対照と比較して腫瘍増殖を有意に遅延させただけでなく、陽性対照と比較しても腫瘍増殖を遅延させた(P<0.05)。
【0340】
本明細書にて開示する化合物と、先行技術に係る類似の化合物を投与した種々の哺乳動物のバイオアベイラビリティー及び脳内/血漿内濃度を比較する試験を行った。先行技術に係る化合物は下記式を有するものである。
【0341】
【化21】

【0342】
比較試験は以下のように行った。
【0343】
水溶液中のPARP阻害剤を、ボーラス(<1分)静脈注射又は強制経口投与のいずれかで投与した。イヌに対しては、静脈内投与及び経口投与を、1週間のウォッシュアウト期間を挟んで各投与法を行うクロスオーバー計画で行った。化合物のスクリーニング投与量はそれぞれ30mg/kgとした。マウスに対しては、各時点で3個体の動物をCO窒息させて屠殺し、心穿刺により採血した。ラットやイヌに対しては、所定の数の動物から血液サンプルを様々な時点において逐次採取した。ラットに対しては、ある量の血液を採取した後すぐに、この採取した血液の2倍の量の1:1の提供者ラット血液:ヘパリン添加生理食塩水を導入した。血液サンプルをヘパリン添加容器に移し、短時間混合してから、氷上で保管し、その後遠心分離を行って血漿を調製した。その血漿を未使用の容器に移して、≦−70℃で保管し、その後、生物分析を行った。試験例のうち、いくつかにおいては、屠殺後に脳又は腫瘍組織を採取し、≦−70℃で保管した後、生物分析を行った。
【0344】
血漿サンプルにアセトニトリルを加えて沈殿を生じさせた後、液体成分を留去して、再度液体を加えて液状へと還元することにより処理した。脳及び腫瘍組織サンプルをリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)を用いて均質化し、アセトニトリルで沈殿させた後、液体成分を留去して、再度液体を加えて液状へと還元した。このようにして得られたサンプルを、LC−MS/MSで分析して、マトリックス検量線用標準液と対比した。生物分析法の性能は、品質管理サンプルの成績によって検証した。概ね、血漿中の定量の下限は5ng/mLであった。組織中の定量の下限は、均質化時の希釈度によって変わり得るが、通常は15〜20ng/gであった。
【0345】
血漿内、脳内及び腫瘍内濃度データを、WinNonlin Professional Version 4.1を使用してノンコンパートメント薬物動態解析により処理した。線形/対数則(Linear/Log rule)を用いてAUCを算出した。ラムダZ相の時点を外観検査により選択した。最終相の勾配を重み無し線形回帰により算出した。
【0346】
マウス、ラット及びイヌにおいて、各選択的PARP阻害剤の血漿内及び組織内の基本的な薬物動態特性を試験した。評価の結果、これらの系統の化合物は全ての種において経口的なバイオアベイラビリティーを有し、脳及び腫瘍組織に達したようであった。表1に、マウス及びラットにおける化合物[8]、[13]、[36]及び[37]及び比較化合物の経口バイオアベイラビリティー(PO)、並びに、マウス及びラットにおけるこれら5つの化合物の脳/血漿比(B/P)をまとめる。
【0347】
表2に比較試験の結果をまとめる。結果から、先行技術に係る化合物はバイオアベイラビリティーが良好である一方で、脳内濃度と血漿内濃度との比が非常に低いことが示される。予想されなかったことであるが、式(I)の本明細書にて開示する化合物は、先行技術に係る化合物に比べて、脳内濃度と血漿内濃度との比が良好である。これらの結果から、先行技術に係る化合物と比較して、本明細書にて開示する化合物が思いもよらないことに、治療的有用性が必要とされる中枢神経系において利用できることがわかる。
【0348】
表2:選択された式(I)の化合物のバイオアベイラビリティー(PO)及び脳内濃度と血漿内濃度との比(B/P)の、先行技術に係る関連化合物との比較
【0349】
【表12】

【0350】
本発明を上記の通り説明したが、本発明を多くの方法により改変し得るということは明らかであろう。このような改変は、本発明の趣旨及び範囲内であるとみなされ、このような改変は全て、添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されるものである。
【0351】
参照による援用
本明細書中に引用する全ての刊行物、特許公報及び特許付与前の特許出願公開公報は、それぞれ個別の刊行物又は特許出願が具体的にかつ独立して参照として援用されるように、本明細書に引用して援用され、あらゆる目的のためのものである。不一致がある場合、本発明が優先されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化1】

{式中、Rは
(a)NR[Rは、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(C−Cシクロアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、(C−Cシクロアルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され;
は、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(C−Cシクロアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、(C−Cシクロアルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され;
及びRは独立して0〜4つの置換基で置換されており、該0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル及びアミノから選択されるが、
但し、R及びRが両方ともメチルでなくてもよく、Rが水素である場合にRが(フェニル)プロプ−1−イルでなくてもよい];又は、
(b)0〜4つの置換基で置換されているアリールオキシ[該0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、NR、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
2つ以上の置換基がNRの形態である場合、それぞれのR及びRは独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択される];又は、
(c)独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、かつ、0〜4つの置換基を有するヘテロサイクリル[該0〜4つの置換基は独立して、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、チオカルボニル、シアノ、イミノ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、スルフヒドリル、チオアルキル、ジオキサ−スピロエチル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
2つ以上の置換基がNRの形態である場合、それぞれのR及びRは独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
前記0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、0〜4つの追加の置換基でさらに置換されており、この追加の置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル及びアミノから選択されるが、
但し、RがN−ピペリジニル、N−ピロリジニル、又は、N−モルホリニル基である場合、Rは少なくとも1つの置換基を有する]}。
【請求項2】
前記ヘテロサイクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピリジニル、ピリミジニル、ジヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ジヒドロピラジニル、テトラヒドロピラジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピロリル、ジヒドロピロリル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、ピラゾリル、ジヒドロピラゾリル、アゼパニル、[1,2]ジアゼパニル、[1,3]ジアゼパニル、[1,4]ジアゼパニル、インドリル、ジヒドロインドリル、イソインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、及び、テトラヒドロイソキノリルからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下記物質、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物。
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【請求項4】
下記化合物:
【化8】

又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
下記化合物:
【化9】

又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
化学療法を必要とする哺乳動物の癌細胞を化学増感する方法であって、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を前記哺乳動物に投与することを含む方法:
【化10】

{式中、Rは
(a)NR[Rは、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(C−Cシクロアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、(C−Cシクロアルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され;
は、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(C−Cシクロアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、(C−Cシクロアルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され;
及びRは独立して0〜4つの置換基で置換されており、該0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル及びアミノから選択されるが、
但し、R及びRが両方ともメチルでなくてもよく、Rが水素である場合にRが(フェニル)プロプ−1−イルでなくてもよい];又は、
(b)0〜4つの置換基で置換されているアリールオキシ[該0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、NR、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
2つ以上の置換基がNRの形態である場合、それぞれのR及びRは独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択される];又は、
(c)独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、かつ、0〜4つの置換基を有するヘテロサイクリル[該0〜4つの置換基は独立して、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、チオカルボニル、シアノ、イミノ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、スルフヒドリル、チオアルキル、ジオキサ−スピロエチル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
2つ以上の置換基がNRの形態である場合、それぞれのR及びRは独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
前記0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、0〜4つの追加の置換基でさらに置換されており、この追加の置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル及びアミノから選択されるが、
但し、RがN−ピペリジニル、N−ピロリジニル、又は、N−モルホリニル基である場合、Rは少なくとも1つの置換基を有する]}。
【請求項7】
前記ヘテロサイクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピリジニル、ピリミジニル、ジヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ジヒドロピラジニル、テトラヒドロピラジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピロリル、ジヒドロピロリル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、ピラゾリル、ジヒドロピラゾリル、アゼパニル、[1,2]ジアゼパニル、[1,3]ジアゼパニル、[1,4]ジアゼパニル、インドリル、ジヒドロインドリル、イソインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、及び、テトラヒドロイソキノリルからなる群より選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
前記哺乳動物はヒトである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記投与は、前記化合物及び薬学的に許容される基剤を含む医薬組成物の投与である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
さらに、化学療法剤を前記哺乳動物に投与することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記化学増感化合物及び前記化学療法剤は、実質的に同時に投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記化学療法剤は、テモゾロマイド、アドリアマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン2、イリノテカン、パクリタキセル、トポテカン、タキソイド類、ダクチノマイシン、ダノルビシン、4’−デオキシドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、ネオマイシン、ゲンタマイシン、エトポシド、4−OHシクロホスファミド、白金配位錯体、及び、これらの混合物からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記化学療法剤はテモゾロマイド又はその塩である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記癌細胞は、ACTH産生腫瘍、急性リンパ球性白血病、急性非リンパ球性白血病、副腎皮質癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、皮膚T−細胞リンパ腫、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、有毛細胞白血病、頭頚部癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小細胞及び/又は非小細胞)、悪性腹膜滲出、悪性胸膜滲出、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、卵巣(胚細胞)癌、前立腺癌、膵臓癌、陰茎癌、網膜芽細胞腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌腫、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、栄養膜新生物、子宮癌、膣癌、外陰癌及びウィルムス腫瘍からなる群より選択される、請求項6、12又は13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記癌細胞は、脳癌、黒色腫、頭頚部癌、精巣癌、卵巣癌、乳癌、非小細胞肺癌、及び、直腸癌からなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
下記物質、及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物と、薬学的に許容される基剤とを含む医薬組成物。
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【請求項17】
さらに、テモゾロマイド、アドリアマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン2、イリノテカン、パクリタキセル、トポテカン、タキソイド類、ダクチノマイシン、ダノルビシン、4’−デオキシドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、ネオマイシン、ゲンタマイシン、エトポシド、4−OHシクロホスファミド、白金配位錯体、及び、これらの混合物からなる群より選択される化学療法剤を含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記化学療法剤はテモゾロマイド又はその塩である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
化学療法を必要とする哺乳動物の癌細胞を化学増感する方法であって、下記物質及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を前記哺乳動物に投与することを含む方法。
【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【請求項20】
前記哺乳動物はヒトである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記投与は、前記化合物及び薬学的に許容される基剤を含む医薬組成物の投与である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
さらに、少なくとも1つの化学療法剤を前記哺乳動物に投与することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記化学増感化合物及び前記化学療法剤は、実質的に同時に投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの化学療法剤は、テモゾロマイド、アドリアマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン2、イリノテカン、パクリタキセル、トポテカン、タキソイド類、ダクチノマイシン、ダノルビシン、4’−デオキシドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、ネオマイシン、ゲンタマイシン、エトポシド、4−OHシクロホスファミド、白金配位錯体、及び、これらの混合物からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記化学療法剤はテモゾロマイド又はその塩である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記癌細胞は、ACTH産生腫瘍、急性リンパ球性白血病、急性非リンパ球性白血病、副腎皮質癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、皮膚T−細胞リンパ腫、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、有毛細胞白血病、頭頚部癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小細胞及び/又は非小細胞)、悪性腹膜滲出、悪性胸膜滲出、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、卵巣(胚細胞)癌、前立腺癌、膵臓癌、陰茎癌、網膜芽細胞腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌腫、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、栄養膜新生物、子宮癌、膣癌、外陰癌及びウィルムス腫瘍からなる群より選択される、請求項19、24又は25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記癌細胞は、脳癌、黒色腫、頭頚部癌、精巣癌、卵巣癌、乳癌、非小細胞肺癌、及び、直腸癌からなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
放射線療法を必要とする哺乳動物の癌細胞を放射線増感する方法であって、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を前記哺乳動物に投与することを含む方法:
【化23】

{式中、Rは
(a)NR[Rは、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(C−Cシクロアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、(C−Cシクロアルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され;
は、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C1−Cアルケニル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(C−Cシクロアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、(C−Cシクロアルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され;
及びRは独立して0〜4つの置換基で置換されており、該0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル及びアミノから選択されるが、
但し、R及びRが両方ともメチルでなくてもよく、Rが水素である場合にRが(フェニル)プロプ−1−イルでなくてもよい];又は、
(b)0〜4つの置換基で置換されているアリールオキシ[該0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、NR、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
2つ以上の置換基がNRの形態である場合、それぞれのR及びRは独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択される];又は、
(c)独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、かつ、0〜4つの置換基を有するヘテロサイクリル[該0〜4つの置換基は独立して、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、チオカルボニル、シアノ、イミノ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、スルフヒドリル、チオアルキル、ジオキサ−スピロエチル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
2つ以上の置換基がNRの形態である場合、それぞれのR及びRは独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
前記0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、0〜4つの追加の置換基でさらに置換されており、この追加の置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル及びアミノから選択されるが、
但し、RがN−ピペリジニル、N−ピロリジニル、又は、N−モルホリニル基である場合、Rは少なくとも1つの置換基を有する]}。
【請求項29】
前記ヘテロサイクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピリジニル、ピリミジニル、ジヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ジヒドロピラジニル、テトラヒドロピラジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピロリル、ジヒドロピロリル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、ピラゾリル、ジヒドロピラゾリル、アゼパニル、[1,2]ジアゼパニル、[1,3]ジアゼパニル、[1,4]ジアゼパニル、インドリル、ジヒドロインドリル、イソインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、及び、テトラヒドロイソキノリルからなる群より選択される、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
前記哺乳動物はヒトである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記投与は、前記化合物及び薬学的に許容される基剤を含む医薬組成物の投与である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記癌細胞は、ACTH産生腫瘍、急性リンパ球性白血病、急性非リンパ球性白血病、副腎皮質癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、皮膚T−細胞リンパ腫、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、有毛細胞白血病、頭頚部癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小細胞及び/又は非小細胞)、悪性腹膜滲出、悪性胸膜滲出、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、卵巣(胚細胞)癌、前立腺癌、膵臓癌、陰茎癌、網膜芽細胞腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌腫、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、栄養膜新生物、子宮癌、膣癌、外陰癌及びウィルムス腫瘍からなる群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記癌細胞は、脳癌、黒色腫、頭頚部癌、精巣癌、卵巣癌、乳癌、非小細胞肺癌、及び、直腸癌からなる群より選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
放射線療法を必要とする哺乳動物の癌細胞を放射線増感する方法であって、下記物質及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物を前記哺乳動物に投与することを含む方法。
【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【請求項35】
前記哺乳動物はヒトである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記投与は、前記化合物及び薬学的に許容される基剤を含む医薬組成物の投与である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記癌細胞は、ACTH産生腫瘍、急性リンパ球性白血病、急性非リンパ球性白血病、副腎皮質癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、皮膚T−細胞リンパ腫、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、有毛細胞白血病、頭頚部癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小細胞及び/又は非小細胞)、悪性腹膜滲出、悪性胸膜滲出、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、卵巣(胚細胞)癌、前立腺癌、膵臓癌、陰茎癌、網膜芽細胞腫、皮膚癌、軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌腫、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、栄養膜新生物、子宮癌、膣癌、外陰癌及びウィルムス腫瘍からなる群より選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記癌細胞は、脳癌、黒色腫、頭頚部癌、精巣癌、卵巣癌、乳癌、非小細胞肺癌、及び、直腸癌からなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
二本鎖DNA修復の相同組み換え(HR)経路に欠損があるとの特徴を有する癌に罹患した哺乳動物の治療法であって、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を前記哺乳動物に投与することを含む方法:
【化30】

{式中、Rは
(a)NR[Rは、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(C−Cシクロアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、(C−Cシクロアルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され;
は、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C1−Cアルケニル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(C−Cシクロアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、(C−Cシクロアルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され;
及びRは独立して0〜4つの置換基で置換されており、該0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル及びアミノから選択されるが、
但し、R及びRが両方ともメチルでなくてもよく、Rが水素である場合にRが(フェニル)プロプ−1−イルでなくてもよい];又は、
(b)0〜4つの置換基で置換されているアリールオキシ[該0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、NR、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
2つ以上の置換基がNRの形態である場合、それぞれのR及びRは独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択される];又は、
(c)独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、かつ、0〜4つの置換基を有するヘテロサイクリル[該0〜4つの置換基は独立して、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、チオカルボニル、シアノ、イミノ、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、NR(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、スルフヒドリル、チオアルキル、ジオキサ−スピロエチル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)カルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)オキシカルボニル、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)オキシカルボニル、アリールカルボニル、スルホニル、アリールスルホニル、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、アリール(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)、アリール(C−Cシクロアルキル)、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)アリール、(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)アリール、(C−Cシクロアルキル)アリール、アリール、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル)、及び、ヘテロサイクリル(直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル)からなる群より選択され、
前記において、ヘテロサイクリルはそれぞれ、独立してO、N又はSから選択される1〜7つのヘテロ原子を有し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
2つ以上の置換基がNRの形態である場合、それぞれのR及びRは独立して、水素、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、及び、C−Cシクロアルキルからなる群より選択され、
前記0〜4つの置換基はそれぞれ独立して、0〜4つの追加の置換基でさらに置換されており、この追加の置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルキル、直鎖状又は分岐鎖状C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル及びアミノから選択されるが、
但し、RがN−ピペリジニル、N−ピロリジニル、又は、N−モルホリニル基である場合、Rは少なくとも1つの置換基を有する]}。
【請求項40】
前記ヘテロサイクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピリジニル、ピリミジニル、ジヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ジヒドロピラジニル、テトラヒドロピラジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピロリル、ジヒドロピロリル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、ピラゾリル、ジヒドロピラゾリル、アゼパニル、[1,2]ジアゼパニル、[1,3]ジアゼパニル、[1,4]ジアゼパニル、インドリル、ジヒドロインドリル、イソインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、及び、テトラヒドロイソキノリルからなる群より選択される、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
前記哺乳動物はヒトである、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記投与は、前記化合物及び薬学的に許容される基剤を含む医薬組成物の投与である、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記癌細胞は、i)BRCA−1欠損、ii)BRCA−2欠損、iii)BRCA−1及びBRCA−2欠損、並びに、iv)ファンコーニ貧血からなる群より選択される表現型を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記癌細胞は乳癌又は卵巣癌から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
二本鎖DNA修復の相同組み換え(HR)経路に欠損があるとの特徴を有する癌に罹患した哺乳動物の治療法であって、下記物質及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物を前記哺乳動物に投与することを含む方法。
【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【請求項46】
前記哺乳動物はヒトである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記投与は、前記化合物及び薬学的に許容される基剤を含む医薬組成物の投与である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記癌細胞は、i)BRCA−1欠損、ii)BRCA−2欠損、iii)BRCA−1及びBRCA−2欠損、並びに、iv)ファンコーニ貧血からなる群より選択される表現型を有する、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記癌細胞は乳癌又は卵巣癌から選択される、請求項45に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−540655(P2010−540655A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528132(P2010−528132)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/078606
【国際公開番号】WO2009/046205
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(509316350)エーザイ インク. (2)
【Fターム(参考)】