説明

PCルーフ桁とその圧入工法および、PCルーフ桁を用いた路盤下横断構造物

【課題】路盤下横断構造物に中間壁を設ける場合に合理的な構造とし、かつ合理的な施工方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
PCルーフ桁本体の両側部に一対の継手金物を有し、かつ、PCルーフ桁本体の部材長手方向に連通する中空部を有するPCルーフ桁において、部材長手方向に連通する中空部16が間隔をおいて平行に複数設けられ、隣り合う中空部16間の隔壁部は、構造上の内蔵桁20とされていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレストレストコンクリートルーフ桁(以下、PCルーフ桁という)とその圧入工法および、PCルーフ桁を用いた路盤下横断構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道や道路または既設建物の下側にこれらを横断する地中構造物(路盤下横断構造物ともいう)を構築するにあたり、地上構造物の側方に仮設した発進立坑に高さ調節可能な架台を介して推進機を設置し、その前部に中空部を有するPCルーフ桁を配置し、前記の中空部にスクリュウオーガを嵌挿させた状態でPCルーフ桁を装着する。そして、スクリュウオーガで掘削しながら前記推進機を作動して発進立坑側から到達立坑に向かってPCルーフ桁を圧入し、同時に隣り合うPCルーフ桁間は、該PCルーフ桁に設けた継手金物を互いに係合させることにより、地中構造物の天井部や床部や側部となる壁を作り、その内部を掘削排土して地中構造物を築造する工法が知られている。また、角形鋼管(先導管)をその内部を掘削しながら発進立坑側から到達立坑に到達するまで先行して推進させ、その後に角形鋼管を到達立坑から押し出しながらPCルーフ桁を圧入する角形鋼管先行後推進置換工法がある。
【0003】
図7、図8には、枠形の四角形断面の地下構造物を築造した例が示されている。この路盤下横断構造物1では、天井部2の壁を構成する、前後方向に延長した複数のPCルーフ桁3と、床部4を構成する、前後方向に延長した複数のPCルーフ桁3と、側壁部9を構成する前後方向に延長した複数のPCルーフ桁3のそれぞれの交差部(四角形壁の角部)に中空の角部鋼製箱桁5を配置し、各PCルーフ桁3と、角部鋼製箱桁5内においてPCルーフ桁3に対向する側に設けた側板6と、その側板6の内面に配置された定着金具7とにわたって、PCルーフ桁3に配設のシース19に横締めPC鋼材8および10を挿通して横締めし、さらに、角部鋼製箱桁5の内部に補強鉄筋(図示せず)を配置し、角部鋼製箱桁5内に経時硬化性材11を充填して路盤下横断構造物1が構成されている。また、各PCルーフ桁3の対向する両側部にはL形のガイド金具兼用の継手金物12が設けられていて、上下方向または横方向に隣り合うPCルーフ桁3は、この一対の継手金物12を係合することにより、隣り合うPCルーフ桁3がずれないように連結される。また、継手金物12は、PCルーフ桁3の圧入時にはそのガイドとなる。隣り合うPCルーフ桁3の目地部には無収縮モルタルなど経時硬化性の目地材13が充填されている。
【0004】
また、図8に示すように四角形断面の地下構造物1における側壁部9間のスパンが大きくなると、地下構造物の天井部2と床部4における横に並列接合したPCルーフ桁3の間に中間壁(中間支柱)14を設けて、天井部2の鉛直荷重を中間壁14で支持させて築造することがあるが、この場合、PCルーフ桁3の中空部16の部位は強度的に弱いので、中間壁(中間支柱)14がこの中空部16にこないように天井部2と床部4のPCルーフ桁3を割り付けすることが必要である。
【0005】
すなわち、矩形断面のエレメントであるPCルーフ桁3は、地上構造物の側方に開削した発進立坑から到達立坑に向けて地中を推進させるもので、一般にスクリュウオーガで地盤を掘削し掘削土砂を後方に排斥しながらPCルーフ桁3を後から押してに圧入される。このためPCルーフ桁3は、図1(b)に示すように、該桁の中央部に、部材長手方向に連通した一つの中空部16を設けてあり、また、対向する両側に一対の断面L字型のガイド兼用の継手金物12を有している。
【0006】
既述したが、PCルーフ桁の圧入工法には直接推進工法と角形鋼管先行後推進置換工法がある。直接推進工法は、中空部を有する先導管の後部にPCルーフ桁3を後続させて直接推進させる。また、角形鋼管先行後推進置換工法では、複数本の角形鋼管を先行して推進させ、その後にPCルーフ桁3を後続させて角形鋼管と置き換えるように推進させる工法である。前記の各工法によりPCルーフ桁3を横方向または上下方向に多数並列して並べて圧入すると共に、各PCルーフ桁3の継手金物12の相互を係合させて図8のような四角形断面の壁枠を構築し、その内部を掘削して路盤下横断構造物1が構築される。なお、この種の従来技術としては、特許文献1〜7がある。
【0007】
【特許文献1】特開昭57-100231号公報
【特許文献2】特開昭61-95199号公報
【特許文献3】特開昭62-117990号公報
【特許文献4】特開平1-102197号公報
【特許文献5】特開平3-156095号公報
【特許文献6】特開平5-171888号公報
【特許文献7】特開平6-307183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
路盤下横断構造物を築造する際に用いられる従来のPCルーフ桁は、一つの中空部(中空ボイド)を有する矩形断面のPCルーフ桁本体の両側に一対のガイド金具兼用の継手金物を取り付けたエレメントであり(図1b)、これを直接推進工法もしくは角形鋼管先行後推進置換推進工法にて施工を行う。この工法はPCルーフ桁を傷めることがなく、また、中掘りした後を圧入させること、およびガイド兼用の継手金物を介して先行して圧入した隣のPCルーフ桁と係合していることで後から押すだけで安定して圧入でき、施工時の手間がかからない工法であるが、次の問題点があった。
【0009】
すなわち、図7に示すように、四角形断面の路盤下横断構造物における側壁部間のスパンが大きくなると中間壁(中間支柱)を設けて天井部のPCルーフ桁を支持させて築造することが必要であり、この場合、PCルーフ桁の中空部の部位は上下方向の力に強度的に弱いから、この中空部の部位を避けてPCルーフ桁の継ぎ目部で支えることになる。しかし、この継ぎ目部に中間壁の上下端面が位置するように天井部と床部のPCルーフ桁を割り付けるのは困難な作業であり、このため、一つの中空部を有する従来のPCルーフ桁を用いると、不経済な構造計画となってしまう。
【0010】
また、一つの中空部を設けたPCルーフ桁は1本ごとに圧入施工するため、多数回の推進サイクルや、先行して推進した角形鋼管からPCルーフ桁への置き換え施工サイクルを多数回必要とし、これらの施工手間の合理化の改善が望まれていた。
【0011】
そこで、本発明は、前記の課題を解決する方法として、複数の中空部を有する桁構造とし、これを1つのエレメントとしたPCルーフ桁を創案すると共に、このPCルーフ桁を用いた合理的な構造の路盤下横断構造物と、角形鋼管先行後推進置換工法で施工するに際し、PCルーフ桁の推進サイクルあるいは角形鋼管との置き換え施工サイクルを大幅に短縮することを可能としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するため、本発明は、次のように構成する。
【0013】
第1発明の並列する複数の中空部を有するPCルーフ桁においては、PCルーフ桁本体の両側部に一対の継手金物を有し、かつ、PCルーフ桁本体の部材長手方向に連続する中空部を有するPCルーフ桁において、部材長手方向に連通する中空部が間隔をおいて平行に複数設けられ、隣り合う中空部間の隔壁は、構造用の内蔵桁とされていることを特徴とする。
【0014】
第2発明の路盤下横断構造物においては、路盤下地盤を横断するように圧入された天井部の複数のPCルーフ桁と、床部の複数のPCルーフ桁とを備えた路盤下横断構造物において、少なくとも天井部と床部と間に設けた中間壁の上下方向の端部は、天井部に設けた第1の発明における並列する複数の中空部を有するPCルーフ桁における構造用の内蔵桁と、床部に設けた第1の発明に記載のPCルーフ桁における構造用の内蔵桁との間に介在されるように設けられていることを特徴とする。
【0015】
第3発明のPCルーフ桁の圧入工法においては、角形鋼管をその中空部を通して掘削土砂を排土しながら発進部から到達部にわたって先行して圧入した後、前記角形鋼管に後続するPCルーフ桁の押圧によって、該角形鋼管を到達部から押し出しながらPCルーフ桁を地盤に圧入するPCルーフ桁の圧入工法において、複数の角形鋼管を、それぞれの中空部を通して掘削土砂を排土しながら発進部から到達部わたって順次先行して圧入し並列に配置した後、この複数の角形鋼管に第1の発明に記載のPCルーフ桁を後続させ、該PCルーフ桁の押圧によって複数の角形鋼管を同時に到達部から押し出しながら該PCルーフ桁を地盤に圧入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のPCルーフ桁は、従来の複数のPCルーフ桁を並列に一体化したごとき構造であり、部材長手方向に連通する中空部が間隔をおいて平行に複数設けられ、隣り合う中空部間の隔壁は、構造用の内蔵桁とされていて、横幅も拡がっているので、中間壁(支柱)は、割り付けが困難なPCルーフ桁の継ぎ目部を回避して、PCルーフ桁の幅方向の範囲内において、中空部の隔壁部からなる構造用内蔵桁の部位に中間壁(支柱)の上下端が位置するように割り付けが可能であるので、従来の一つの中空部を有するPCルーフ桁に比べて、その割り付け作業が容易で施工作業が合理化され、経済的な構造計画を達成でき、さらに路盤下横断構造物の強度も向上する。
【0017】
また本発明は、複数本の角形鋼管を順次先行して推進した後に、複数の中空部を有するPCルーフ桁で前記複数の角形鋼管を同時に押して到達立坑側から押し出しながら置き換えるので、従来のPCルーフ桁の複数本分を一度に置換でき、従来に比べて置換施工サイクルを数分の1に短縮できる。さらに本発明のPCルーフ桁は、従来のPCルーフ桁の複数本分に相当するので、桁の両側部に配設する継手金物が少なくとも一組以上不要となり、隣り合うPCルーフ桁の目地部を処理するための目地部工をほぼ半減でき施工工程を簡易化できる。さらに、PCルーフ桁の製作時の型枠も底板のみを拡幅するだけでよく、側枠は従来のまま転用できるので、この点でも経済的である。なお、本発明は、中間壁(支柱)がない路盤下横断構造物にも適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図1〜図6を参照して説明する。
【0019】
本発明の特徴はPCルーフ桁の構造と、このPCルーフ桁を用いた中間壁(中間支柱)を有する路盤下横断構造物と、このPCルーフ桁の地中への圧入施工法にある。
【0020】
図1(a)は本発明に係るPCルーフ桁17を示し、PCルーフ桁本体17aの両側部に一対の断面L形のガイド金具を兼用する継手金物12を有し、かつ、PCルーフ桁本体17aの部材長手方向に連通する2つの中空部16が間隔をおいて平行に設けられ、隣り合う2つの中空部16間の隔壁部は、部材長手方向に連続し、構造用の内蔵桁20とされている。前記の内蔵桁20は、中間壁(中間支柱)を有する路盤下横断構造物の中間壁(中間支柱)を支承する構造用の支承壁として機能する内蔵桁である点に特徴がある。
【0021】
なおPCルーフ桁に3つ以上の中空部を設けもよく、この場合は複数の中空部の間に複数の内蔵桁が構成される。
【0022】
図2、図3には、本発明のPCルーフ桁17を用いて築造した実施形態1に係る路盤下横断構造物21を示す。この路盤下横断構造物21では、2つの中空部16を有するPCルーフ桁17によって天井部23と底部24と側壁部25からなる四角形断面の壁枠が築造されている。また、両側壁部25の間において、天井部23と底部24との間に中間壁(中間支柱)14が設けられている。この中間壁(中間支柱)14は、側壁部間のスパンが比較的大きくて天井部23の中間部の荷重を支える場合などに設けられる。
【0023】
PCルーフ桁には、一般にスクリュウオーガによる中掘り推進工法を適用できるように中空部16が設けられている。しかし、中空部16は強度的に弱いので、従来では路盤下横断構造物21に中間壁14を構築する場合は、PCルーフ桁3の中空部16が外れた位置、つまり、隣り合うPCルーフ桁3の継ぎ目部15が中間壁の端面内に位置するように配置することが必要であるが、単体部材である左右両側の2つのPCルーフ桁3はずれ動きやすく、したがって、継ぎ目部15の位置が定まりにくく、従来のPCルーフ桁3では天井部2と床部4に位置決めしながら配設する際の、左右方向の各PCルーフ桁3の割り付けが難しかった。
【0024】
本発明の実施形態1に係るPCルーフ桁17では、桁同士の継ぎ目部15および、中空部16の部位を回避し、複数の中空部16の間に形成された構造用の内蔵桁20を中間壁14の端面内に位置させることで、該PCルーフ桁17の強度を確保して中間壁14に接合できる。なお、内蔵桁20の強度は前記中間壁14の強度と同等以上の圧縮支持力を発揮させる高強度コンクリートであると前記壁厚寸法を薄くすることができる。なお、PCルーフ桁17はプレキャストプレストレストコンクリート製であり、部材断面内に埋め込み配置されているPC鋼材等は省略した。
【0025】
つまり、内蔵桁20は単体部材であるPCルーフ桁17の一部であるから、このPCルーフ桁17を位置決めすることで、容易確実に内蔵桁20を中間壁14の端面内に位置させることができる。したがって、実施形態1では、天井部23と床部24にPCルーフ桁17を位置決めしながら該PCルーフ桁17の左右方向の割り付けが容易となる。18は、割り付け調整用の場所打ちコンクリートブロックである。なお、PCルーフ桁17の継ぎ目部15を一対のガイド金具を兼ねる継手金物12で係合させること、継ぎ目部15に目地材13を充填すること、天井部23と側壁部25と床部24が交差する部位に角部鋼製箱桁5を設け、横締めPC鋼材8、10で結合すること、角部鋼製箱桁5内に補強鉄筋を配筋し、経時硬化性材11を充填することは従来と同様である。
【0026】
図4は、本発明のPCルーフ桁17を用いて築造した実施形態2に係る路盤下横断構造物21aを示す。この路盤下横断構造物21aでは、本発明のPCルーフ桁17と従来構造のPCルーフ桁3を組み合わせることによって天井部23と底部24と側壁部25からなる矩形断面の壁枠が構築され、実施形態1と同様に両側壁部25の間において、天井部23と底部24との間に中間壁(中間支柱)14が設けられている。
【0027】
実施形態2においては、本発明のPCルーフ桁17と従来のPCルーフ桁3を組み合わせて壁を構築しており、天井部23および床部24を構成するPCルーフ桁17、3のうち、少なくとも中間壁(中間支柱)14の上部と下部の位置には、本発明に係る複数の中空部16を有したPCルーフ桁17がくるように配設してあり、かつ、実施形態1と同様に、中間壁14の上部と下部の端面内にPCルーフ桁17における構造用の内蔵桁20が位置するように設けてある。中間壁(中間支柱)14の下端を支える床部24のPCルーフ桁17の複数の中空部16には、図4のように経時硬化性の充填材26を充填し、上方からの荷重に対して一層強度を確保できる構造としてもよい。その他の構造は実施形態1と同じである。
【0028】
実施形態2によっても実施形態1と同様の作用効果が奏される。すなわち、従来は、天井部2および床部4のPCルーフ桁3の中空部16を避けて、継ぎ目部15に中間壁14を配置していたため、左右方向のPCルーフ桁3の割り付けが難しかったが、実施形態2では、PCルーフ桁17の継ぎ目部15ではなく、中空部16間に形成された構造用の内蔵桁20を中間壁14の端面内に位置させることで、PCルーフ桁17の強度を確保して中間壁14に接合できる。そして、内蔵桁20は単体部材であるPCルーフ桁17の一部であるから、PCルーフ桁17を位置決めし、従来のPCルーフ桁3と組み合わせて圧入することで、容易確実にPCルーフ桁17の内蔵桁20を中間壁14の端面内に位置させることができ、天井部23と床部24における各PCルーフ桁17の割り付けが容易となる。
【0029】
実施形態1、2において、PCルーフ桁17は、従来の角形鋼管先行後推進置換工法で効率的に圧入できる。図5〜図6によって説明すると、角形鋼管27は先端に刃口27aを有すると共に、先端部内側にテーパー状の斜面27bが設けられている。角形鋼管27の中空部28を通してスクリュウオーガ29を挿通し、これらを発進立坑30に装備した推進機31に連結し、スクリュウオーガ29により角形鋼管27の先端の地盤を掘削し、掘削土を中空部28を通して排出しながら、同時に推進機31の作動により所要数の角形鋼管27を先行して推進させ、隣接する角形鋼管27の継手金物32と係合させながら築造予定構造物の輪郭に沿わせて、かつ、本発明に係るPCルーフ桁17と同じ幅の本数以上の角形鋼管27を発進立坑30から到達立坑まで順次推進させる。
【0030】
その後、この複数本の角形鋼管27の後端部に一つのPCルーフ桁17の先端部を嵌合して接合し、発進立坑30の側で推進機31によりPCルーフ桁17の後端部を押圧し、角形鋼管27を到達側立坑33から押し出しながら、発進立坑30から到達側立坑の全長に渡りPCルーフ桁17を圧入することで、角形鋼管27とPCルーフ桁17の置き換え作業が終了する。
【0031】
PCルーフ桁17の圧入に際しては、ガイド金具を兼用する継手金物12を係合させながら安定した状態で圧入し、かつ、推進した角形鋼管27を比較的に少ない推進力で押し出しながら、この角形鋼管27に後続して確実に圧入できる。しかも、本発明ではPCルーフ桁17が、従来のPCルーフ桁の複数本分に相当するので、従来の複数本分のPCルーフ桁を一度に置き換えでき、従来に比べて置き換え施工サイクルを1/2から数分の1に(すなわち中空部の数に応じて)短縮できる。
【0032】
また、PCルーフ桁の圧入工法は、角形鋼管27をその中空部を通して掘削土砂を排土しながら発進部から到達部にわたって先行して圧入した後、前記角形鋼管27に後続するPCルーフ桁の押圧によって、該角形鋼管27を到達部から押し出しながらPCルーフ桁を地盤に圧入する従来公知のPCルーフ桁の圧入工法を使用でき、その場合において、複数の角形鋼管27を、それぞれの中空部を通して掘削土砂を排土しながら発進部から到達部わたって順次先行して圧入し並列に配置した後、この複数の角形鋼管27に本願発明のPCルーフ桁17を後続させ、該PCルーフ桁17の押圧によって複数の角形鋼管27を同時に到達部から押し出しながら該PCルーフ桁17を地盤に圧入するようにすればよい。
【0033】
前記のように、PCルーフ桁17を角形鋼管27と置き換えながら圧入するが、従来の2本分のPCルーフ桁に相当する本発明の1本のPCルーフ桁17を圧入できる。したがって、PCルーフ桁17の使用により、従来に比べて置換施工サイクルを1/2に短縮できる。
【0034】
さらに、本発明のPCルーフ桁17は、桁の両側部に配設する継手金物12が一組以上不要となり、さらに、隣り合うPCルーフ桁17の継ぎ目部15を処理するための目地部工をほぼ半減でき、施工工程を簡易化できる。さらに、PCルーフ桁17の製作時の型枠も底板のみを拡幅するだけでよく、側枠は従来のまま転用できるので、この点でも経済的である。なお、本発明は、中間壁(支柱)がない路盤下横断構造物にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(a)は、本発明に係るPCルーフ桁の斜視図、(b)は従来のPCルーフ桁の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る路盤下横断構造物の正面説明図である。
【図3】図2の一部を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る路盤下横断構造物の正面説明図である。
【図5】(a)は、本発明のPCルーフ桁を角形鋼管との置き換え推進工法にて施工を行う態様を示す斜視図、(b)は、地中に圧入されるPCルーフ桁を示す断面説明図である。
【図6】(a)は、置き換え推進工法において角形鋼管を圧入している状態の縦断面説明図、(b)は、角形鋼管の後端をPCルーフ桁で押圧推進し置き換えている状態の縦断面説明図である。
【図7】従来の路盤下横断構造物の正面説明図である。
【図8】図7の一部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 路盤下横断構造物
2 天井部
3 PCルーフ桁
4 床部
5 角部鋼製箱桁
6 側板
7 定着金具
8 横締めPC鋼棒
9 側壁部
10 横締めPC鋼棒
11 経時硬化性材料
12 継手金物
13 目地材
14 中間壁(中間支柱)
15 継ぎ目部
16 中空部
17 PCルーフ桁
17a PCルーフ桁本体
18 割り付け調整用場所打ちコンクリートブロック
19 シース
20 内蔵桁
21 路盤下横断構造物
21a 路盤下横断構造物
23 天井部
24 床部
25 側壁部
26 充填材
27 角形鋼管
27a 刃口
27b 斜面
28 中空部
29 スクリュウオーガ
30 発進立坑
31 推進機
32 継手金物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCルーフ桁本体の両側部に一対の継手金物を有し、かつ、PCルーフ桁本体の部材長手方向に連続する中空部を有するPCルーフ桁において、部材長手方向に連通する中空部が間隔をおいて平行に複数設けられ、隣り合う中空部間の隔壁は、構造用の内蔵桁とされていることを特徴とする並列する複数の中空部を有するPCルーフ桁。
【請求項2】
路盤下地盤を横断するように圧入された天井部の複数のPCルーフ桁と、床部の複数のPCルーフ桁とを備えた路盤下横断構造物において、少なくとも天井部と床部と間に設けた中間壁の上下方向の端部は、天井部に設けた請求項1における並列する複数の中空部を有するPCルーフ桁における構造用の内蔵桁と、床部に設けた請求項1に記載のPCルーフ桁における構造用の内蔵桁との間に介在されるように設けられていることを特徴とする路盤下横断構造物。
【請求項3】
角形鋼管をその中空部を通して掘削土砂を排土しながら発進部から到達部にわたって先行して圧入した後、前記角形鋼管に後続するPCルーフ桁の押圧によって、該角形鋼管を到達部から押し出しながらPCルーフ桁を地盤に圧入するPCルーフ桁の圧入工法において、複数の角形鋼管を、それぞれの中空部を通して掘削土砂を排土しながら発進部から到達部わたって順次先行して圧入し並列に配置した後、この複数の角形鋼管に請求項1に記載のPCルーフ桁を後続させ、該PCルーフ桁の押圧によって複数の角形鋼管を同時に到達部から押し出しながら該PCルーフ桁を地盤に圧入することを特徴とするPCルーフ桁の圧入工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−233683(P2006−233683A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52971(P2005−52971)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000103769)オリエンタル建設株式会社 (136)
【出願人】(593025446)日本ケーモー工事株式会社 (6)
【Fターム(参考)】