説明

PPAR活性化剤としてのベンズ環付加された化合物

本発明は、式(I)の化合物〔式中、R6およびR7は式(II)であり、R4およびR5またはR5およびR6は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、明細書で定義されているような環を形成し、そしてX1、X2、Y1〜Y4、R1〜R13およびnは本明細書に特定されたとおりである〕およびその全ての鏡像異性体、ならびに薬学的に許容されうる塩および/またはエステルに関する。本発明は、さらに、そのような化合物を含む医薬組成物、それらの製造方法、およびPPARδおよび/またはPPARαアゴニストにより調節される疾患の治療および/または予防用のそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I:
【0002】
【化11】

【0003】
〔式中、
1は、O、S、またはCH2であり;
1は、水素またはC1-7アルキルであり;
2は、水素またはC1-7アルキルであるか、あるいはX1がCH2であるとき、R2は、水素、C1-7アルキルまたはC1-7アルコキシであり;
3は、水素またはC1-7アルキルであり;
4およびR5またはR5およびR6は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、互いに結合して環を形成し、かつR4およびR5またはR5およびR6は、一緒になって、
−CH=CH−CH=CH−、
−CH=CH−S−、−S−CH=CH−、−CH=CH−O−、−O−CH=CH−、
−(CH2p−、−O−(CH2q−または−(CH2q−O−であり、
(ここで、pは、3、4または5であり、qは、2または3である);
4およびR6は、上で定義された環構造に組み込まれているか、あるいは互いに独立に、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロゲン、C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、フルオロ−C1-7アルキル、シアノ−C1-7アルキルまたはシアノであり;
7およびR8は、互いに独立に、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロゲン、C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、フルオロ−C1-7アルキル、シアノ−C1-7アルキルまたはシアノであり;
6およびR7の一つは、
【0004】
【化12】

【0005】
(式中、
2は、S、O、またはNR9であり;
9は、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、フルオロ−C1-7アルキル、ヒドロキシ−C2-7アルキル、またはC1-7アルコキシ−C2-7アルキルであり;
1、Y2、Y3およびY4は、NまたはC−R12であり、Y1、Y2、Y3およびY4の1または2は、Nであり、他のものは、C−R12であり;
10は、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、またはフルオロ−C1-7アルキルであり;
11は、水素、C1-7アルキル、またはC1-7アルコキシ−C1-7アルキルであり;
12は、存在ごとに、互いに独立に、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、フルオロ−C1-7アルキル、C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、ヒドロキシ−C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ−C1-7アルキル、カルボキシ−C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、カルボキシ−C1-7アルキル、モノ−またはジ−C1-7アルキル−アミノ−C1-7アルキル、C1-7アルカノイル−C1-7アルキル、C2-7アルケニル、およびC2-7アルキニルから選択され;
13は、アリールまたはヘテロアリールであり;
nは、0、1または2である)であるが
但し、
1がOであり、R2およびR3が水素であり、
6が、
【0006】
【化13】

【0007】
であり、
2がOまたはSであり、R10およびR11が水素である、式Iの化合物は除く〕
の新規なベンズ環付加された(benzannelated)化合物およびその鏡像異性体、ならびに薬学的に許容されうるその塩およびエステルに関する。
【0008】
クロマニルおよびインダニル誘導体は、PCT特許出願WO03/084916号明細書に記載されている。
【0009】
式Iの化合物は、脂質モジュレーターおよびインスリン感度増強剤として有用である。特に、式Iの化合物は、PPAR活性化剤である。
【0010】
ペルオキシソーム増殖活性化受容体(PPAR)は、核ホルモン受容体スーパーファミリーの一員である。PPARは、遺伝子発現を制御し、また多重の代謝経路を調節しているリガンド活性化転写因子である。三種のサブタイプが記載されており、それらは、PPARα、PPARδ(PPARβとしても知られている)、およびPPARγがある。PPARδは、遍在的に発現される。PPARαは、肝臓、腎臓、および心臓で主に発現される。PPARγの少なくとも二つの主要なイソフォームが存在する。PPARγ1はほとんどの組織で発現されるが、より長いイソフォームであるPPARγ2はほぼ独占的に脂肪細胞で発現される。PPARは、グルコースおよび脂質のホメオスタシスおよび代謝、エネルギーバランス、細胞分化、炎症、ならびに心臓血管事象の制御を含む種々の体内応答を調節する。
【0011】
冠動脈疾患を有する全患者の約半数は、低濃度の血漿HDLコレステロールを有する。HDLのアテローム保護機能は、約25年前に最初に脚光を浴び、HDLレベルに影響を及ぼす遺伝的および環境的因子の探索が促進された。HDLの保護機能は、コレステロールの逆輸送と名づけられた過程でのその役割に由来する。HDLは、動脈壁のアテローム性硬化病変部におけるものを含む、末梢組織における細胞からのコレステロールの除去を仲介する。その後、HDLは、そのコレステロールを、胆汁に変換して、排除するために、肝臓およびステロール−代謝性臓器へ移送する。フラミンガム研究からのデータは、HDL−Cレベルが、LDL−Cレベルとは関係なく、冠動脈疾患のリスクを予測するものであることを示した。35mg/dl未満のHDL−Cを有する20歳以上のアメリカ人の中での年齢調整罹患率は、16%(男性)および5.7%(女性)である。現在、HDL−Cの相当な増加は、種々の処方でのナイアシンでの処置により達成されている。しかしながら、かなりの副作用により、このアプローチの治療上の潜在能力が制限されている。
【0012】
米国における1千4百万人の2型糖尿病と診断された患者の90%もの多くが、過体重または肥満であり、2型糖尿病患者は高い比率で、リポタンパク質濃度の異常を有している。総コレステロールが240mg/dlより多い者の比率は、糖尿病の男性の37%であり、その女性の44%である。LDL−Cが160mg/dlより多い者の対応する割合は、それぞれ31%および44%であり、HDL−Cが35mg/dl未満であるものの割合は、それぞれ28%および11%である。糖尿病は、患者がインスリンの作用に正しく応答する能力を部分的に失うことにより、患者のグルコースの血中レベルを調節する機能が損なわれる疾患である。2型糖尿病(T2D)は、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)とも呼ばれ、先進国において全糖尿病患者の80〜90%がそれに苦しんでいる。T2Dにおいては、膵臓のランゲルハンス島は依然としてインスリンを産生している。しかしながら、インスリンの作用の対象器官、主に筋肉、肝臓、および脂肪組織は、インスリン刺激に対して強い抵抗性を示す。体は、生理的に正常ではないほど高いインスリンレベルをもたらすことにより、補償し続けるが、膵臓のインスリン産生能力が消耗および衰弱するため、疾患の後の段階において、最終的にはインスリン分泌は減少する。したがって、T2Dは、インスリン抵抗性、脂質異常血症、高血圧、内皮機能障害、および炎症性アテローム性動脈硬化症を含む多重合併疾患を伴う、代謝性心臓血管疾患症候群である。
【0013】
脂質異常血症および糖尿病に対する現在の第一選択の治療は、一般に、低脂肪−低グルコース食、運動、および減量を含んでいる。しかしながら、その順守は中程度であり、病気が進行するにつれ、脂質異常血症に対しては脂質調整剤、例えばスタチンおよびフィブレート、またインスリン抵抗性に対しては血糖低下薬、例えばスルホニルウレアまたはメトホルミンでの種々の代謝欠損症の処置が必要となる。患者自身のインスリンに対して患者を再度感受性にし(インスリン感度増強剤)、それにより、血中グルコースおよびトリグリセリド濃度を正常に戻して、多くの場合、外からのインスリンの必要をなくするあるいは少なくとも減少させる、有望な新しい種類の薬剤が最近導入されている。ピオグリタゾン(アクトス(Actos登録商標))およびロシグリタゾン(アバンジア(Avandia登録商標))は、チアゾリジンジオン(TZD)の種類のPPARγアゴニストに属し、いくつかの国でNIDDMに対して認可されたそれらの種類の第一のものであった。しかしながら、これらの化合物は、(トログリタゾンで見られるように)稀ではあるが重篤な肝毒性を含む副作用をもたらす。それらはまた、患者の体重を増加させる。したがって、より安全で副作用の少ない、新規で、より有効な薬剤が緊急に必要とされている。最近の研究では、PPARγの増強作用が、より高い治療能力を有する化合物をもたらす、すなわち、そのような化合物は、現在の処置と比べて、HDL−C上昇に対する優れた効果およびインスリンレベルの正常化への追加的なプラスの効果と共に、脂質プロフィールを改善するという証拠が提供されている(Oliver et al; Proc Nat Acad Sci USA 2001; 98: 5306-11)。さらに最近の観察では、トリグリセリド減少におけるその周知の役割に加えて、インスリン感作に対する独立したPPARα媒介性の作用があることが示唆されている(Guerre-Millo et al; J Biol Chem 2000; 275: 16638-16642)。したがって、選択的PPARδアゴニストまたは追加のPPARα活性を有するPPARδアゴニストは、PPARγアゴニストで見られる体重増加のような副作用なしで、優れた治療効能を示すと思われる。
【0014】
本発明の新規な化合物は、PPARδに結合しかつ選択的に活性化するか、またはPPARδおよびPPARαに同時にまた非常に効率的に結合しかつ共活性化し、また非常に改善された薬物動態学的特性を有するので、この分野で公知の化合物を超えている。したがって、これらの化合物は、PPARγに作用せずに、PPARδおよびPPARα活性化の抗脂質効果と抗血糖効果を組み合わせる。その結果、HDLコレステロールは増加し、トリグリセリドは低下し(=改善された脂質プロフィール)、また血漿グルコースとインスリンは減少する(=インスリン増感作用)。さらに、そのような化合物は、LDLコレステロールを減少させ、血圧を降下させ、炎症性アテローム性動脈硬化を是正する。そのような化合物はまた、炎症性疾患、例えば関節リウマチ、変形性関節症および乾癬の治療に有用であると思われる。合併された脂質異常血症とT2D疾患症候群の多様な様相が、PPARδ選択的アゴニストおよびPPARδとαコアゴニストにより対処されるので、この分野ですでに公知の化合物に比べて、それらはより高い治療能力を有すると期待される。
【0015】
したがって、本発明の目的は、上記の特徴を有する化合物を提供することである。さらに、本発明の化合物は、公知の化合物に比べて、改善された薬理学的な特性を示す。
【0016】
特記のない限り、下記の定義は、本明細書の発明を記載するために使用される種々の用語の意味および範囲を説明し、明確にするために示される。
【0017】
用語「アルキル」は、単独または他の基と組み合わされて、炭素原子1〜20個、好ましくは炭素原子1〜16個、より好ましくは炭素原子1〜10個の分岐鎖状または直鎖状の一価飽和脂肪族炭化水素基を意味する。
【0018】
用語「低級アルキル」または「C1-7アルキル」は、単独または他の基と組み合わされて、炭素原子1〜7個、好ましくは炭素原子1〜4個の分岐鎖状または直鎖状の一価アルキル基を意味する。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルおよび本明細書中で具体的に例示されている基のような基により更に例示される。
【0019】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
【0020】
用語「フルオロ低級アルキル」または「フルオロ−C1-7アルキル」は、フッ素で一置換または多置換されている低級アルキル基を意味する。フルオロ低級アルキル基の例は、例えば、−CF3、−CH2CF3、−CH(CF32および本明細書中で具体的に例示されている基である。
【0021】
用語「アルコキシ」は、基R’−O−を意味し、ここでR’は、アルキルである。用語「低級アルコキシ」または「C1-7アルコキシ」は、基R’−O−を意味し、ここでR’は、低級アルキルである。低級アルコキシ基の例は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシおよびヘキシルオキシである。好ましいものは、本明細書中で具体的に例示されている低級アルコキシ基である。
【0022】
用語「アルキルチオ」は、基R’−S−を意味し、ここでR’は、アルキルである。用語「低級アルキルチオ」または「C1-7アルキルチオ」は、基R’−S−を意味し、ここでR’は、低級アルキルである。C1-7アルキルチオ基の例は、例えば、メチルチオまたはエチルチオである。好ましいものは、本明細書中で具体的に例示されている低級アルキルチオ基である。
【0023】
用語「モノ−またはジ−C1-7アルキル−アミノ」は、C1-7アルキルでモノ−またはジ−置換されている、アミノ基を意味する。モノ−C1-7アルキル−アミノ基として、例えば、メチルアミノまたはエチルアミノが挙げられる。用語「ジ−C1-7アルキル−アミノ」は、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノまたはエチルメチルアミノである。好ましいものは、本明細書中で具体的に例示されているモノ−またはジ−C1-7アルキル−アミノ基である。
【0024】
用語「カルボキシ低級アルキル」または「カルボキシ−C1-7アルキル」は、カルボキシ基(−COOH)で一置換または多置換されている低級アルキル基を意味する。カルボキシ低級アルキル基の例は、例えば、−CH2−COOH(カルボキシメチル)、−(CH22−COOH(カルボキシエチル)および本明細書中で具体的に例示されている基である。
【0025】
用語「アルカノイル」は、基R’−CO−を意味し、ここでR’は、アルキルである。用語「低級アルカノイル」または「C1-7アルカノイル」は、基R’−O−を意味し、ここでR’は、低級アルキルである。低級アルカノイル基の例は、例えば、エタノイル(アセチル)およびプロピオニルである。好ましいものは、本明細書中で具体的に例示されている低級アルコキシ基である。
【0026】
用語「低級アルケニル」または「C2-7アルケニル」は、単独または組み合わされて、オレフィン性結合および7個まで、好ましくは6個まで、特に好ましくは4個までの炭素原子を含む直鎖状または分岐鎖状炭化水素残基を意味する。アルケニル基の例は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニルおよびイソブテニルである。好ましい例は2−プロペニルである。
【0027】
用語「低級アルキニル」または「C2-7アルキニル」は、単独または組み合わされて、三重結合および7個まで、好ましくは6個まで、特に好ましくは4個までの炭素原子を含む直鎖状または分岐鎖状炭化水素残基を意味する。アルキニル基の例は、エチニル、1−プロピニル、または2−プロピニルである。
【0028】
用語「シクロアルキル」または「C3-7シクロアルキル」は、炭素原子3〜7個を含む飽和炭素環式基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。
【0029】
用語「アリール」は、フェニルまたはナフチル基、好ましくはフェニル基に関連し、これらは場合によりハロゲン、ヒドロキシ、CN、CF3、NO2、NH2、N(H,低級アルキル)、N(低級アルキル)2、カルボキシ、アミノカルボニル、低級アルキル、低級フルオロアルキル、低級アルコキシ、低級フルオロアルコキシ、アリールおよび/またはアリールオキシで一置換または多置換、特に一置換または二置換されていることができる。好ましい置換基は、ハロゲン、CF3、低級アルキル、低級フルオロアルコキシおよび/または低級アルコキシである。具体的に例示されているアリール基が好ましい。
【0030】
用語「ヘテロアリール」は、窒素、酸素および/または硫黄から選択される1、2または3個の原子を含むことができる芳香族の5員または6員環を意味し、例えば、フリル、ピリジル、1,2−、1,3−および1,4−ジアジニル、チエニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イミダゾリルまたはピロリルである。用語「ヘテロアリール」は、さらに、5員または6員環を2個含む二環式芳香族基(これらの環のうちの1個または両方は、窒素、酸素または硫黄から選択される1、2または3個の原子を含むことができる)を意味し、例えば、インドールもしくはキノリン、または部分的に水素化された二環式芳香族基、例えばインドリニルである。ヘテロアリール基は、用語「アリール」に関連して前述した置換パターンを有していてもよい。好ましいヘテロアリール基は、例えば、上記のように、好ましくはハロゲン、CF3、低級アルキルおよび/または低級アルコキシで場合により置換されていることができるチエニルおよびフリルである。
【0031】
用語「保護基」は、例えば、アシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ベンジル、シリルまたはイミン誘導体などの基を意味し、それらは、官能基の反応性を一時的にブロックするために使用される。周知の保護基は、例えば、アミノ基の保護に使用することができるt−ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニルもしくはジフェニルメチレン、またはカルボキシ基の保護に使用することができる低級アルキル−、β−トリメチルシリルエチル−およびβ−トリクロロエチル−エステルである。ヒドロキシ基の保護に使用することができる保護基は、例えば、ベンジル、トリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリルである。
【0032】
「異性体」は、同一の分子式を有するが、それらの原子の結合の性質もしくは順序またはそれらの原子の空間での配置が異なる化合物である。それらの原子の空間での配置が異なる異性体は、「立体異性体」と称される。互いに鏡像ではない立体異性体は、「ジアステレオ異性体」と称され、重ね合わせられない鏡像である立体異性体は、「鏡像異性体」またはある場合には光学異性体と称される。4個の同一ではない置換基に結合している炭素原子は、「キラル中心」と称される。
【0033】
用語「薬学的に許容されうる塩」は、薬学的に許容されうる塩基と式(I)の化合物との塩、例えば、アルカリ塩、例としてNa−およびK−塩、アルカリ土類塩、例としてCa−およびMg−塩、およびアンモニウムまたは置換アンモニウム塩、例としてトリメチルアンモニウム塩を包含する。用語「薬学的に許容されうる塩」もそのような塩に関する。
【0034】
式(I)の化合物は、また、溶媒和、例えば、水和することもできる。溶媒和は、製造過程で実施することができるか、または例えば、最初は無水である式(I)の化合物の吸湿性の結果として生起し得る(水和)。用語の薬学的に許容されうる塩は、また、薬学的に許容されうる溶媒和物をも含む。
【0035】
用語「薬学的に許容されうるエステル」は、カルボキシ基がエステルに変換されている、式(I)の化合物の誘導体を包含する。低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、低級アルコキシ低級アルキル、アミノ低級アルキル、モノ−またはジ低級アルキルアミノ低級アルキル、モルホリノ低級アルキル、ピロリジノ低級アルキル、ピペリジノ低級アルキル、ピペラジノ低級アルキル、低級アルキルピペラジノ低級アルキルおよびアラルキルエステルが適切なエステルの例である。メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびベンジルエステルが好ましいエステルである。メチルおよびエチルエステルが特に好ましい。用語「薬学的に許容されうるエステル」は、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの、生物に対して非毒性である無機または有機酸により、ヒドロキシ基が対応するエステルに変換されている式(I)の化合物をさらに包含する。
【0036】
詳細には、本発明は式(I):
【0037】
【化14】

【0038】
〔式中、
1は、O、S、またはCH2であり;
1は、水素またはC1-7アルキルであり;
2は、水素またはC1-7アルキルであるか、あるいはX1がCH2であるとき、R2は、水素、C1-7アルキルまたはC1-7アルコキシであり;
3は、水素またはC1-7アルキルであり;
4およびR5またはR5およびR6は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、互いに結合して環を形成し、かつR4およびR5またはR5およびR6は、一緒になって、
−CH=CH−CH=CH−、
−CH=CH−S−、−S−CH=CH−、−CH=CH−O−、−O−CH=CH−、
−(CH2p−、−O−(CH2q−または−(CH2q−O−であり、
(ここで、pは、3、4または5であり、qは、2または3である);
4およびR6は、上で定義された環構造に組み込まれているか、あるいは互いに独立に、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロゲン、C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、フルオロ−C1-7アルキル、シアノ−C1-7アルキルまたはシアノであり;
7およびR8は、互いに独立に、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロゲン、C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、フルオロ−C1-7アルキル、シアノ−C1-7アルキルまたはシアノであり;
6およびR7の一つは、
【0039】
【化15】

【0040】
(式中、
2は、S、O、またはNR9であり;
9は、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、フルオロ−C1-7アルキル、ヒドロキシ−C2-7アルキル、またはC1-7アルコキシ−C2-7アルキルであり;
1、Y2、Y3およびY4は、NまたはC−R12であり、Y1、Y2、Y3およびY4の1または2は、Nであり、他のものは、C−R12であり;
10は、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、またはフルオロ−C1-7アルキルであり;
11は、水素、C1-7アルキル、またはC1-7アルコキシ−C1-7アルキルであり;
12は、存在ごとに、互いに独立に、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、フルオロ−C1-7アルキル、C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、ヒドロキシ−C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ−C1-7アルキル、カルボキシ−C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、カルボキシ−C1-7アルキル、モノ−またはジ−C1-7アルキル−アミノ−C1-7アルキル、C1-7アルカノイル−C1-7アルキル、C2-7アルケニル、およびC2-7アルキニルから選択され;
13は、アリールまたはヘテロアリールであり;
nは、0、1または2である)であるが;
但し、
1がOであり、R2およびR3が水素であり、
6が、
【0041】
【化16】

【0042】
であり、
2がOまたはSであり、R10およびR11が水素である、式Iの化合物は除く〕
の化合物およびその鏡像異性体、ならびに薬学的に許容されうるその塩およびエステルに関する。
【0043】
本発明の式Iの好ましい化合物は、R1が水素である、化合物である。
【0044】
また、X2が−NR9であり、R9が、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、フルオロ−C1-7アルキル、ヒドロキシ−C2-7アルキル、またはC1-7アルコキシ−C2-7アルキルである、本発明の式Iの化合物が好ましい。
【0045】
9が、C1-7アルキルである、本発明の式Iのそれらの化合物が特に好ましい。より好ましくは、R9がメチルである。
【0046】
そのような好ましい化合物の例は、以下のものである:
〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エチル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸;
〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−プロピル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸;
〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−ブチル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸;および
2−メチル−2−(4−{メチル−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメチル〕−アミノ}−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルオキシ)−プロピオン酸。
【0047】
さらに、X1が、SまたはCH2である、本発明の式Iの化合物が好ましい。
【0048】
1が、CH2である、式Iの化合物が特に好ましい。
【0049】
以下の化合物は、そのような化合物の例である:
〔rac〕−2−メトキシ−3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イル)−プロピオン酸;
3−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸;および
3−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸。
【0050】
そのような化合物のさらなる例は:
3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−プロピオン酸、
3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イル)−プロピオン酸、
3−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸、
3−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸;および
3−{4−〔5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−2−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸、
である。
【0051】
式Iのさらに好ましい化合物は、R10が、C1-7アルキルであるもの、より好ましくは、R10が、メチルまたはエチルであるものである。
【0052】
そのような化合物の例は、〔rac〕−(4−{1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸である。
【0053】
また、R2が、C1-7アルキルである、本発明の式Iの化合物が好ましい。より好ましくは、R2はメチルである。
【0054】
特に好ましい式Iの化合物は、R2およびR3が、C1-7アルキルであるものである。好ましくは、R2およびR3はメチルである。
【0055】
さらに、本発明の式Iの好ましい化合物は、X1が、Oであり、R2およびR3が、C1-7アルキルであるものである。
【0056】
以下の化合物がそれらの好ましい例である:
2−メチル−2−(3−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ)−プロピオン酸、
2−メチル−2−{3−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イルオキシ}−プロピオン酸、
2−(3−{2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ〕−2−メチル−プロピオン酸、
2−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−ナフタレン−2−イルオキシ}−2−メチル−プロピオン酸、
2−(4−{2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸、
2−メチル−2−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イルオキシ)−プロピオン酸、および
2−メチル−2−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−2−イルオキシ〕−プロピオン酸。
【0057】
13が、アリールである、式Iの化合物が好ましい。R13が、非置換フェニルまたは、C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、ハロゲン、フルオロ−C1-7アルキルおよびシアノからなる群より選択される、1〜3個の基で置換されているフェニルである、式Iのそれらの化合物がより好ましく、R13が、ハロゲンまたはフルオロ−C1-7アルキルで置換されているフェニルである、それらの化合物が特に好ましい。R13が4−トリフルオロメチルフェニルである、それらの化合物が特に好ましい。
【0058】
また、式I−A:
【0059】
【化17】

【0060】
〔式中、
4およびR5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、環を形成し、かつR4およびR5は、一緒になって、
−CH=CH−CH=CH−、
−CH=CH−S−、−S−CH=CH−、−CH=CH−O−、−O−CH=CH−、
−(CH2p−、−O−(CH2q−または−(CH2q−O−であり、
(ここで、pは、3、4または5であり、qは、2または3である);
1、X2、Y1〜Y4、R1、R2、R3、R7、R8、R10、R11、R13およびnは請求項1に定義されたとおりである〕
を有する、本発明の式Iの化合物(但し、X1がOであり、R2およびR3が水素であり、X2がOまたはSであり、R10およびR11が水素である、式I−Aの化合物は除く)が好ましい。
【0061】
さらに好ましい式Iの化合物は、式I−B:
【0062】
【化18】

【0063】
〔式中、
4およびR5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、環を形成し、かつR4およびR5は、一緒になって、
−CH=CH−CH=CH−、
−CH=CH−S−、−S−CH=CH−、−CH=CH−O−、−O−CH=CH−、
−(CH2p−、−O−(CH2q−または−(CH2q−O−であり、
(ここで、pは、3、4または5であり、qは、2または3である);
1、X2、Y1〜Y4、R1、R2、R3、R6、R8、R10、R11、R13およびnは請求項1に定義されたとおりである〕
を有する化合物である。
【0064】
さらに、式I−C:
【0065】
【化19】

【0066】
〔式中、
5およびR6は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、環を形成し、かつR5およびR6は、一緒になって、
−CH=CH−CH=CH−、
−CH=CH−S−、−S−CH=CH−、−CH=CH−O−、−O−CH=CH−、
−(CH2p−、−O−(CH2q−または−(CH2q−O−であり、
(ここで、pは、3、4または5であり、qは、2または3である);
1、X2、Y1〜Y4、R1、R2、R3、R4、R8、R10、R11、R13およびnは請求項1に定義されたとおりである〕
を有する、式Iの化合物も好ましい。
【0067】
整数nは、0、1、または2である。式Iの好ましい化合物は、nが0または1、より好ましくはnが0であるものである。
【0068】
本発明の式Iの好ましい化合物は、R4およびR5またはR5およびR6が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、互いに結合して環を形成し、かつR4およびR5またはR5およびR6が、一緒になって、−CH=CH−CH=CH−または−(CH2p−(pは4である)であるものである。特に好ましくは、R4およびR5またはR5およびR6が、一緒になって、−CH=CH−CH=CH−であるそれらの化合物である。
【0069】
1、Y2、Y3およびY4は、NまたはC−R12であり、Y1、Y2、Y3およびY4の1または2は、Nであり、他のものは、C−R12である。R12は、存在ごとに、互いに独立に、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、フルオロ−C1-7アルキル、C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、ヒドロキシ−C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ−C1-7アルキル、カルボキシ−C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、カルボキシ−C1-7アルキル、モノ−またはジ−C1-7アルキル−アミノ−C1-7アルキル、C1-7アルカノイル−C1-7アルキル、C2-7アルケニル、およびC2-7アルキニルから選択される。好ましくは、R12は、存在ごとに、互いに独立に、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、フルオロ−C1-7アルキル、C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、ヒドロキシ−C1-7アルキル、およびC1-7アルキルチオ−C1-7アルキルから選択される。より好ましくは、R12は、水素、C1-7アルキルおよびC3-7シクロアルキルから選択される。
【0070】
本発明の好ましい化合物は、例えば、Y1、Y2、Y3およびY4の1つが、Nであり、他のものが、C−R12であるものであり、したがって、ピリジル基を有する化合物を意味する。Y1がNであり、Y2、Y3およびY4が、C−R12である式Iのそれらの化合物、例えば、基:
【0071】
【化20】

【0072】
を含む式Iの化合物が、特に好ましい。
【0073】
本発明のさらに好ましい化合物は、Y1、Y2、Y3およびY4の2つが、Nであり、他のものが、C−R12であるものであり、したがって、ピラジニル基またはピリミジニル基またはピリダジニル基を含む化合物を意味する。
【0074】
1およびY4がNであり、Y2およびY3がC−R12であるものである、式Iの化合物、例えば、ピリミジニル基:
【0075】
【化21】

【0076】
を含む式Iの化合物が特に好ましい。
【0077】
また、Y1およびY3がNであり、Y2およびY4がC−R12である、式Iの化合物、例えば、ピラジニル基:
【0078】
【化22】

【0079】
を含む式Iの化合物が好ましい。
【0080】
12は、好ましくは水素、C1-7アルキル、またはC3-7シクロアルキルである。R12がC1-7アルキルまたはC3-7シクロアルキルである、式Iの化合物が、特に好ましい。
【0081】
式Iの好ましい化合物の例は、以下のものである:
〔rac〕−〔4−(メチル-{1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エチル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸;
〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−プロピル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸;
〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−ブチル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸;
〔rac〕−2−メトキシ−3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イル)−プロピオン酸;
3−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−プロピオン酸;
3−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル}−プロピオン酸;
3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−プロピオン酸;
3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イル)−プロピオン酸;
3−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル}−プロピオン酸;
3−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−プロピオン酸;
3−{4−〔5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−2−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル}−プロピオン酸;
〔rac〕−(4−{1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸;
2−メチル−2−(4−{メチル−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメチル〕−アミノ}−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルオキシ)−プロピオン酸;
2−メチル−2−(3−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ)−プロピオン酸;
2−メチル−2−{3−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イルオキシ}−プロピオン酸;
2−(3−{2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸;
2−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−ナフタレン−2−イルオキシ}−2−メチル−プロピオン酸;
2−(4−{2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸;
2−メチル−2−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イルオキシ)−プロピオン酸;及び
2−メチル−2−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−2−イルオキシ}−プロピオン酸。
【0082】
以下の化合物が特に好ましい:
〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−ブチル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸;
〔rac〕−2−メトキシ−3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イル)−プロピオン酸;
3−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−プロピオン酸;
3−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル}−プロピオン酸;
3−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−プロピオン酸;
2−(3−{2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸;
2−(4−{2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸;及び
2−メチル−2−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イルオキシ)−プロピオン酸。
【0083】
さらに、式Iの化合物の薬学的に許容されうる塩および式Iの化合物の薬学的に許容されうるエステルは、それぞれ、本発明の好ましい実施態様を構成する。
【0084】
式Iの化合物は1個以上の不斉炭素原子を有することができ、光学的に純粋な鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、例えばラセミ化合物、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体ラセミ化合物またはジアステレオ異性体ラセミ化合物の混合物の形態で存在することができる。光学的に活性な形態は、例えば、ラセミ化合物の分割、不斉合成または不斉クロマトグラフィー(キラル吸着剤または溶離剤を用いたクロマトグラフィー)により得ることができる。本発明は、これらの形態の全てを包含する。
【0085】
本発明の一般式Iの化合物が、官能基において誘導体化され、インビボで再び親化合物に変換されうる誘導体を提供してもよいことが理解される。インビボで一般式Iで示される親化合物を産生できる、生理的に許容され、代謝的に不安定な誘導体も、本発明の範囲内である。
【0086】
本発明のさらなる態様は、上で定義される、式Iの化合物の製造方法であって、式II:
【0087】
【化23】

【0088】
〔式中、R1は、C1-7アルキルであり、R2〜R8は上で定義されたとおりであり、R6またはR7は、−OH、−SHまたは−NHR9(ここで、R9は上で定義されたとおりである)である〕
の化合物を、式III:
【0089】
【化24】

【0090】
(式中、Y1〜Y4、R10、R11、R13およびnは上で定義されたとおりであり、R14は、−OH、−Cl、−Br、−Iまたは他の脱離基である)
の化合物と反応させて、式I:
【0091】
【化25】

【0092】
(式中、R6またはR7は、
【0093】
【化26】

【0094】
であり、X2は、O、S、または−NR9であり、R1は、C1-7アルキルであり、X1、Y1〜Y4、R2〜R13およびnは上で定義されたとおりである)
の化合物を得、さらに、場合により、エステル基を加水分解して、R1が水素である、式Iの化合物を得る方法である。
【0095】
上で記載されたように、本発明の式(I)の化合物は、PPARδおよび/またはPPARαアゴニストにより調節される疾患の治療および/または予防用の医薬として使用することができる。そのような疾患の例は、糖尿病、特に、インスリン非依存性糖尿病、脂質およびコレステロールレベルの増加、特に、低HDL−コレステロール、高LDL−コレステロール、もしくは高トリグリセリドレベル、アテローム硬化性疾患、代謝性症候群(シンドロームX)、肥満、高血圧、内皮性障害、凝血原状態、脂質異常血症、多嚢胞性卵巣症候群、炎症性疾患(例えば、クローン病、炎症性腸疾患、大腸炎、膵臓炎、肝臓の胆汁鬱帯/線維症、関節リウマチ、変形性関節症、乾癬および他の皮膚疾患、ならびに例えばアルツハイマー病または障害を受けた/改善し得る認識機能(impaired/improvable cognitive function)などの炎症性成分を有する疾患)および増殖性疾患(例えば、脂肪肉腫、大腸癌、前立腺癌、膵臓癌および乳癌などの癌)である。低HDL−コレステロールレベル、高LDL−コレステロールレベル、高トリグリセリドレベル、および代謝性症候群(シンドロームX)の治療用の医薬としての使用が好ましい。
【0096】
したがって、本発明はまた上で定義された化合物と、薬学的に許容しうる担体および/または助剤とを含む医薬組成物に関する。
【0097】
さらに、本発明は、治療上活性な物質として、特にPPARδおよび/またはPPARαアゴニストにより調節される疾患の治療および/または予防用の治療上活性な物質として使用されるための、上で定義された化合物に関する。そのような疾患の例は、糖尿病、特に、インスリン非依存性糖尿病、脂質およびコレステロールレベルの増加、特に、低HDL−コレステロール、高LDL−コレステロール、もしくは高トリグリセリドレベル、アテローム硬化性疾患、代謝性症候群(シンドロームX)、肥満、高血圧、内皮性障害、凝血原状態、脂質異常血症、多嚢胞性卵巣症候群、炎症性疾患、例えば関節リウマチ、変形性関節症、乾癬および他の皮膚疾患、ならびに増殖性疾患である。
【0098】
他の実施態様において本発明は、PPARδおよび/またはPPARαアゴニストにより調節される疾患を治療および/または予防する方法であって、式(I)の化合物をヒトまたは動物に投与することを含む方法に関する。そのような疾患の好ましい例は、糖尿病、特に、インスリン非依存性糖尿病、脂質およびコレステロールレベルの増加、特に、低HDL−コレステロール、高LDL−コレステロール、もしくは高トリグリセリドレベル、アテローム硬化性疾患、代謝性症候群(シンドロームX)、肥満、高血圧、内皮性障害、凝血原状態、脂質異常血症、多嚢胞性卵巣症候群、炎症性疾患、例えば関節リウマチ、変形性関節症、乾癬および他の皮膚疾患、ならびに増殖性疾患である。
【0099】
本発明は、さらに、PPARδおよび/またはPPARαアゴニストにより調節される疾患の治療および/または予防における、上で定義されたの化合物の使用に関する。そのような疾患の好ましい例は、糖尿病、特に、インスリン非依存性糖尿病、脂質およびコレステロールレベルの増加、特に、低HDL−コレステロール、高LDL−コレステロール、もしくは高トリグリセリドレベル、アテローム硬化性疾患、代謝性症候群(シンドロームX)、肥満、高血圧、内皮性障害、凝血原状態、脂質異常血症、多嚢胞性卵巣症候群、炎症性疾患、例えば関節リウマチ、変形性関節症、乾癬および他の皮膚疾患、ならびに増殖性疾患である。
【0100】
加えて本発明は、PPARδおよび/またはPPARαアゴニストにより調節される疾患の治療および/または予防用の医薬の調製における、上で定義されたの化合物の使用に関する。そのような疾患の好ましい例は、糖尿病、特に、インスリン非依存性糖尿病、脂質およびコレステロールレベルの増加、特に、低HDL−コレステロール、高LDL−コレステロール、もしくは高トリグリセリドレベル、アテローム硬化性疾患、代謝性症候群(シンドロームX)、肥満、高血圧、内皮性障害、凝血原状態、脂質異常血症、多嚢胞性卵巣症候群、炎症性疾患、例えば関節リウマチ、変形性関節症、乾癬および他の皮膚疾患、ならびに増殖性疾患である。そのような医薬は、上記で定義された化合物を含む。
【0101】
式Iの化合物は、下記で示される方法、実施例で示される方法、または類似の方法により製造することができる。個別の反応工程における適切な反応条件は、当業者に公知である。出発材料は、市販されているか、あるいは下記に示されている方法と類似の方法、本文もしくは実施例中で引用されている参考文献に記載されているか、またはこの分野で公知の方法により調製できる。
【0102】
式Iの化合物は、下記で示される方法、実施例で示される方法、または類似の方法により製造することができる。個別の反応工程における適切な反応条件は、当業者に公知である。出発材料は、市販されているか、あるいは下記に示されている方法と類似の方法、本文もしくは実施例中で引用されている参考文献に記載されているか、またはこの分野で公知の方法により調製できる。
【0103】
一般構造Iを有する化合物、特に、式Ia〜Imの化合物の合成は、スキーム1〜スキーム5に記載されている。スキーム6〜スキーム9は、ヘテロ環5(スキーム1)の合成を記載しており、11(スキーム3)、8(スキーム4)および8(スキーム5)と同一である。
【0104】
一般構造Iを有する化合物、特に、X1およびX2が酸素である、式Iaの化合物の合成は、スキーム1に従って達成することができる。
【0105】
【化27】

【0106】
ヒドロキシアルデヒドまたはヒドロキシアリールアルキルケトン1(ここで、R4およびR5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、互いに結合して環を形成する)は、公知であるか、あるいはこの分野で公知の方法〔例えば、国際特許出願(2002)179pp.WO02/92084A1〕により調製できる。アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリルまたはN,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムのような塩基の存在下で、室温から140℃の範囲の温度でのフェノール1のα−ハロエステル化合物2との反応は、対応するエーテル化合物3に導く(工程a)。ジクロロメタンのような溶媒中での、例えばメタクロロ過安息香酸でのバイヤービリガー酸化は、化合物4に導く(工程b)。ヘテロ環5(スキーム6〜9に概括したように調製)は、周知の方法に従って、フェノール4と縮合する(工程c):R14がヒドロキシ基を表す場合は、例えば、試薬としてトリフェニルホスフィンおよびジ−tert−ブチル−、ジイソプロピル−またはジエチル−アゾジカルボキシラートを用いて、ミツノブ反応を介して;この変換は、好ましくはトルエン、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフランのような溶媒中、周囲温度で実施される。あるいはまた、R14がハロゲン化物、メシラート、トシラートまたはトリフラート部分を表す場合は、ヘテロ環5を、フェノール4と、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトンまたはメチルエチルケトンのような溶媒中、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムのような塩基の存在下、室温から140℃の範囲の温度、好ましくは約50℃で反応させて、エーテル化合物Iaを得ることができる(工程c)。これらは場合により、例えば、テトラヒドロフラン/エタノール/水のような極性溶媒混合物中、LiOHまたはNaOHのような水酸化アルカリで処理する標準的手順に従って加水分解され、カルボン酸Iaを得ることができる。あるいは、化合物4を、例えば、ベンジル−、メトキシカルボニル、またはSEM−〔(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ−〕保護官能性を有する、好適にモノ保護された前駆体6から製造できる。そのような前駆体6は、公知であるか、あるいはこの分野で周知の方法を用いて製造することができる。化合物1について記載のα−ハロエステルとの反応および保護官能性の引き続いての除去により、化合物4が得られる。
【0107】
同じ反応手順での類似の反応スキームは、二種の異性体化合物シリーズに応用して、一般式Iの化合物、特に、式IbおよびIcの化合物が得られる:
【0108】
【化28】

【0109】
一般式Iを有する化合物、特に、X1がOであり、X2が窒素である式Idの化合物の合成は、スキーム2および3に従って達成される。
【0110】
【化29】

【0111】
4およびR5が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、互いに結合して環を形成している、スキーム2のニトロフェノール2は、市販されているか、公知であるか、あるいはRTと120℃の間で、酢酸中で62%HBr水溶液での脱メチル化により、アニソール3から合成することができる(工程b)。あるいは、フェノール1を、十分に確立された方法に従って、例えばEt2Oのような溶媒中で水/濃塩酸中のNaNO3の溶液で、次いで、RTで無水酢酸を加えて、パラ位でニトロ化して〔P. Keller, Bull. Soc. Fr. 1994, 131, 27-29の手順に従う〕、フェノール2を与える(工程a)。ニトロフェノール2は、次いで、EtOHまたはMeOHのようなアルコール中、Pd/Cおよび場合によりHClまたはAcOHのような酸の存在下にRTで水素を用いて水素化されて、アニリン4を与える(工程c)。中間体4は、次いで、10℃〜RTの間でアセトニトリルまたはアセトンのような溶媒中でK2CO3またはCs2CO3の存在下に活性エステル化合物5、例えばブロモ酢酸エステル5を用いて酸素においてアルキル化されて、スキーム2の中間体6を与える(工程d)。活性エステル5は、市販されているか、あるいはこの分野で公知の方法により製造することができる。トリフラート5は、対応するアルコールから調製することができる。アニリン6は、別に、2工程の手順:まず、上記のようにO−アルキル化し、続いて、MeOHまたはEtOHのようなアルコール中、場合によりAcOHまたはHClのような酸の存在下にPd/Cで水素化することにより、化合物5およびニトロフェノール2から合成することができる。RT〜還流で、テトラヒドロフラン中、ジ−tert−ブチルジカーボナートでBOC−保護することにより、化合物7が得られる(工程f)。化合物7は、また、化合物6の合成について記載されたように、K2CO3またはCs2CO3で、エステル5およびBOC−保護アニリン8から直接合成することができる(工程g)。
【0112】
【化30】

【0113】
スキーム3の中間体7は、場合により水素化ナトリウムおよび反応性アルキルハロゲン化物、メシラートまたはトリフラートを用いて窒素においてアルキル化して、化合物9を与える(工程h、スキーム3)。0℃〜RTでの標準的なBOC−脱保護(TFA/CH2Cl2、またはジオキサン中のHCl)は、(工程i、スキーム3)のアニリン10を与える。0℃〜RTで、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドまたはテトラヒドロフラン中での水素化ナトリウムまたは炭酸ナトリウム、カリウムもしくはセシウムを用いる、活性化ヘテロ環11(R14はハロゲン化物またはメタンスルホナートである)との反応は、化合物Idに導く(工程k)。あるいは、R14がOHであるヘテロ環11は、0℃でCH2CH2中で無水トリフルオロメタンスルホン酸/2,6−ジ−tert−ブチルピリジンと処理することにより、その場で、対応するトリフラートに変換することができる。次いで、このトリフラートを、RT〜60℃の間でニトロメタン中で塩基として2,6−ジ−tert−ブチルピリジンの存在下にアニリン10と反応させると、化合物Idが得られる〔Belostotskii, Anatoly M., Hassner, A., Tetrahedron Lett. 1994, 35(28), 5075-6の手順に従う〕(工程k)。二級アニリン化合物Id(R9=H)は、RT〜65℃の間で、NaH2PO3およびホルムアルデヒドの水溶液で還元的にメチル化することができ[Loibner, H., Pruckner, A., Stuetz, A., Tetrahedron Lett. 1984, 25, 2535-2536]、R9がMeである化合物Idを与える。引き続いて、テトラヒドロフラン/EtOHまたは他の好適な溶媒中、水性LiOH、NaOHまたはKOHで加水分解することにより、遊離酸の形態のスキーム3の化合物Idが製造される。
【0114】
同じ反応手順での類似の反応スキームは、二種の異性体化合物シリーズに応用して、一般式Iの化合物、特に、式IeおよびIfの化合物が得られる:
【0115】
【化31】

【0116】
スキーム2に記載の手順の代替として、窒素含有中間体は、フェノール性ヒドロキシル部位を有する好適な中間体から調製することができる。場合により1以上の保護官能性を有するそのような中間体において、フェノール性OH基は、この分野で公知の方法により対応する芳香族NH2官能性で置き換えることができる。例えば、Tetrahedron Letters 43(42), 7617-7619 (2002)に記載のような3工程の手順:i)フェノール部位のそのトリフルオロメタンスルホナートへの変換(トリフリック酸無水物(triflic anhydride)、2,6−ルチジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタン、0℃〜室温);ii)約120℃の温度でのシュレンク管中での、ベンゾフェノンイミン、ジ−パラジウム−トリス(ジベンジリデンアセトン)錯体、S−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、炭酸セシウム、トルエン;iii)好ましくは室温で、湿テトラヒドロフラン中で触媒量の塩酸での処理により、芳香族NH2基が遊離される。
【0117】
一般構造Iを有する化合物、特に、X1がCH2であり、X2が酸素である式Igの化合物の合成は、スキーム4に従って達成される。
【0118】
【化32】

【0119】
4およびR5がそれらが結合している炭素原子と一緒になって、互いに結合して環を形成している、アルデヒド1は、公知であるか、またはこの分野で公知の方法により調製することができる〔例えば、国際特許出願(2002)、179pp.WO02/92084A1〕。アルデヒド1は、好ましくは0℃〜溶媒の還流温度の間で、炭酸カリウム、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン(DBU)、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンまたはナトリウムtert−ブチラートのような塩基の存在下に、イソプロパノール、ジクロロメタンもしくはテトラヒドロフランまたはそれらの混合物のような溶媒中で、塩化(1,2−ジエトキシ−2−オキソエチル)トリフェニルホスホニウムまたは臭化(1,2−ジメトキシ−2−オキソエチル)トリフェニルホスホニウムなどのウィッティッヒ塩2と反応させて、Eおよび/またはZ異性体としてのアクリル酸エステル3を与える(工程a)。あるいは、ホルナー−エモンズ反応は、例えば、テトラヒドロフランまたは1,2−ジメトキシエタンのような溶媒中で、場合によりメチレン基で置換されているホスホン酸ジメチル(メトキシカルボニル)メチル、水素化ナトリウムのような塩基を用いて、化合物1の不飽和エステル3への変換に使用することができる。メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸、ジクロロメタンおよびそれらの混合物のような溶媒中で、好ましくは、室温で1気圧の水素圧で、触媒として炭素上のパラジウムを用いるアクリルエステル3の水素化は、エステル7を与えるが、但し、保護基は還元的に開裂させることができる(工程e)。
【0120】
あるいは、アルデヒド1は、好ましくは、テトラヒドロフランのような溶媒中で、約−78℃の温度で、酢酸エステル4のエノラート(好ましくは、テトラヒドロフランのような不活性溶媒中で、リチウムジイソプロピルアミドのような非求核性強塩基で4を処理することにより、−78℃で調製されたリチウムエノラート)と反応させて、ジアステレオ異性体の混合物としてのアルドール生成物5を与える(工程b)。化合物5中のベンジル位のヒドロキシ基の除去は、0℃〜60℃の間でトリフルオロ酢酸それ自体またはジクロロメタンのような好適な溶媒中で、三フッ化ホウ素のようなルイス酸またはトリフルオロ酢酸のようなプロトン酸の存在下に、例えば、トリエチルシランのような還元剤を用いて行うことができ、保護されたフェノール化合物6が得られる(工程d)。標準的な技術、例えば、水素およびパラジウムのような触媒を使用する触媒的水素化により、あるいは室温〜溶媒の還流温度の間で、ジクロロメタンのような溶媒中で、ジメチルスルフィドおよび三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートを用いることにより、保護基、例えば、ベンジル基を引き続いて除去して、フェノール化合物7が得られる(工程g)。触媒的水素化は、不飽和エステル3を化合物6に変換するために用いることができる(工程f)。化合物3中の保護基がベンジル基である場合、1工程の水素化手順は、直にフェノール化合物7を与える。触媒的水素化は、また、ベンジル位のヒドロキシ官能性およびベンジル保護基の同時除去のために用いることができ、好ましくは、およそ室温で100バールまでの水素圧で、アルコールのような溶媒中で、シュウ酸のような酸の存在下に触媒として炭素上のパラジウムを用いて、1工程で、化合物5は化合物7に変換される(工程dおよびg)。別法として、化合物5は、室温〜溶媒の還流温度の間の温度で、好ましくは、生成した水を除去できる条件下に(例えば、ディーンスタークトラップを用いて、またはモレキュラーシーブの存在下に)、ベンゼンまたはトルエンのような溶媒中で、触媒量のパラトルエンスルホン酸のような酸で処理して、アクリル酸エステル3を得ることができる(工程c)。フェノール7をヘテロ環8と縮合して化合物Igを生成することは、スキーム1に概括されているようにして行うことができる。
【0121】
同じ反応手順での類似の反応スキームは、二種の異性体化合物シリーズに応用して、一般式Iの化合物、特に、式IhおよびIiの化合物が得られる:
【0122】
【化33】

【0123】
一般構造Iを有する化合物、特に、X1がCH2であり、X2が窒素である式Ikの化合物の合成は、スキーム5に従って達成される。
【0124】
【化34】

【0125】
ニトロフェノール化合物3および5は、公知であるか、市販されているか、またはこの分野で公知の方法により調製することができる、ニトロアルデヒド1から、スキーム4中の化合物3および5の合成について記載された反応と同様に、ウィッティッヒ/ホルナー−エモンズまたはアルドール反応により調製される(工程aおよびb)。触媒的水素化は、同時に起こるベンジル位のヒドロキシ官能性の除去(化合物5)または二重結合還元(化合物3)とニトロ基の還元とに用いることができ、好ましくは、室温付近の温度で100バールまでの水素圧で、アルコールのような溶媒中で、場合によりシュウ酸のような酸の存在下に触媒として炭素上のパラジウムを用いて行われる(工程c)。水素とは異なるR9置換基を有する化合物7は、スキーム2および3中に記載されているように、まずBOC基の導入、アルキル化およびBOC保護官能性の除去により得られる。アニリン7をヘテロ環8と縮合して化合物Ikを生成することは、スキーム3に概括されているようにして行うことができる。
【0126】
同じ反応手順での類似の反応スキームは、二種の異性体化合物シリーズに応用して、一般式Iの化合物、特に、式IlおよびImの化合物が得られる:
【0127】
【化35】


【0128】
スキーム5に記載の手順の代替として、窒素含有中間体は、フェノール性ヒドロキシル官能性を有する好適な中間体から調製することができる。場合により1以上の保護官能性を有するそのような中間体において、フェノール性OH基は、この分野で公知の方法により対応する芳香族NH2官能性で置き換えることができる。例えば、Tetrahedron Letters 43(42), 7617-7619 (2002)に記載され、そしてスキーム2および3の文脈で議論された3工程の手順により。
【0129】
一般構造Iを有する化合物、特に、X1および/またはX2がSである化合物の合成は、X1および/またはX2が酸素である対応する類縁体の合成と極めて同様に、達成される。好適な硫黄含有中間体は、公知であり、この分野で公知の方法により調製することができる。またはフェノール性中間体から、W Zhi-Liang and AP Kozikowski (J. Org. Chem. 2003, 2003年10月10日にウエブで発行)で記載されたように調製される:好ましくは0℃〜室温の間で、メタノールのような溶媒、ナトリウムチオシアナート、臭化ナトリウムおよび臭素でフェノール性中間体を処理して、対応する4−チオシアナトフェノールを得;0℃付近の温度でテトラヒドロフランのような溶媒中で水素化リチウムアルミニウムでの引き続いての還元は、次いで、対応する4−メルカプトフェノールを与える。あるいは、芳香族SH部位を有する中間体は、フェノール性ヒドロキシ官能性を有する好適な中間体から調製することができる。場合により1以上の保護官能性を有するそのような中間体において、フェノール性OH基は、この分野で公知の方法により、対応するフェノール性SH官能性で置き換えることができる。例えば、J. Labelled Compound & Radiopharmaceuticals 43(7), 683-691, 2000に記載されたような3工程の手順:i)フェノール部位のそのトリフルオロメタンスルホナートへの変換(トリフリック無水物、トリエチルアミン、ジクロロメタン、低温、好ましくは−30℃付近);ii)60℃〜150℃の温度範囲でのトルエンおよびテトラヒドロフランのような溶媒混合物中で、トリイソプロピルシランチオラート、テトラキス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(0)でのトリフラートの処理;iii)好ましくは0℃付近でメタノール中、塩化水素での硫化シリルの処理により、フェノール性SH部位が遊離される。
【0130】
一般式Iの化合物は、ラセミ化合物の形態で得られる。ラセミ化合物は、例えば、(R)もしくは(S)−1−フェニル−エチルアミン、(R)もしくは(S)−1−ナフタレン−1−イル−エチルアミン、ブルシン、キニンまたはキニジンのような光学的に純粋なアミンとの結晶化によるジアステレオマー塩を介する対掌体の分離、またはキラル吸着剤もしくはキラル溶離剤のいずれかを用いる特異的クロマトグラフィー法による対掌体の分離のような、当該分野において既知の方法によりそれらの対掌体に分離することができる。
【0131】
スキーム6〜スキーム9は、ヘテロ環5(スキーム1)の合成を記載しており、11(スキーム3)、8(スキーム4)および8(スキーム5)と同一である。
【0132】
【化36】

【0133】
ピリジン5および6は、ケトン1から合成することができる(スキーム6)。37%HClのような酸の存在下に、エタノールのような溶媒中でパラホルムアルデヒドおよびジメチルアミン塩酸塩とケトン1の混合物は、2〜10時間加熱還流すると、アミノ−ケトン2を与える(工程a)。酢酸中で2〜8時間還流して化合物2と3−アミノ−クロトン酸エステル3とを反応させると、エステル4が得られる(工程b)。エステル4は、THFのような溶媒中で、−30℃〜室温で、30分〜3時間、水素化ジイソブチルアルミニウム溶液(トルエン中)で還元することができ、アルコール5を与える。0℃〜室温で5分〜1時間、ジクロロメタン中で、アルコール5と塩化チオニルとを反応させると、塩化物6が得られる。
【0134】
【化37】

【0135】
クロロメチルピリミジン7およびピリミジンメタノール化合物6の合成は、スキーム7に記載されている。室温〜還流で、1〜8時間、無水酢酸中で、3−オキソ−エステル1をオルトギ酸トリエチルと反応させると、3−エトキシ−アクリル酸エステル3のE/Z混合物が得られる(工程a)。ジケト−エステル2は、アセトニトリル中で炭酸セシウムの存在下に、メチルトリフラートと反応させると、O−メチル化生成物3を与え(工程b)[S. W. McCombie et al. Bioorganic & Medical Chemistry Letters 13 (2003) 567-571]、このようにして、置換エノールエーテル3(R12’はHではない)が得られる。室温でのアルカリtert−ブトキシドの存在下のエタノール中でのアミジン塩酸塩4との反応は、エステル5を与える(工程c)。エステル5は、THFのような溶媒中で、−30℃〜室温で、30分〜3時間、水素化ジイソブチルアルミニウム溶液(トルエン中)で還元することができ、アルコール6が得られる(工程d)。0℃〜室温で5分〜1時間、ジクロロメタン中で、アルコール6と塩化チオニルとを反応させると、塩化物7が得られる(工程e)。
【0136】
【化38】

【0137】
アルコール4および塩化物5の一般的な合成が、スキーム8に示されている。室温〜90℃で2〜8時間、炭酸セシウム、炭酸カリウムまたはフッ化セシウムと共に、トルエン、ジメトキシエタン、エタノールまたはDMF中で、Pd(PhP)4またはPdCl2(dppf)〔1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)−ジクロロパラジウム(II)xCH2CH2(1:1)〕を用いる、ボロン酸1と、6−ハロ−ピリダジン−3−カルボン酸エステル2、5−ハロ−ピラジン−2−カルボン酸エステル2、6−ハロ−ニコチン酸エステル2、5−ハロ−ピリジン−2−カルボン酸エステル2、2−ハロ−ピリミジン−5−カルボン酸エステル2または5−ハロ−ピリミジン−2−カルボン酸エステル2とのスズキカップリングは、エステル3を与える(工程a)。エステル2は、市販されているか、当業者に公知の方法で調製することができる。エステル3は、THFのような溶媒中で、−30℃〜室温で、30分〜3時間、水素化ジイソブチルアルミニウム溶液(トルエン中)で還元することができ、アルコール4を与える(工程d)。0℃〜室温で5分〜1時間、ジクロロメタン中で、アルコール4と塩化チオニルとを反応させると、塩化物5が得られる(工程c)。
【0138】
【化39】

【0139】
1または2である鎖長nを含むスキーム9中のアルコール1は、この分野で周知の方法により、例えば、一級アルコールを好適な脱離基、例えばハロゲン化物(2、工程a)に変換し、続いて。シアン化物と反応させてニトリル3を形成し(工程b)、酸4にケン化する(工程c)ことにより、n+1個の炭素原子の鎖長を有する類縁体に変換することができる。酸4は、さらに、例えば、テトラヒドロフラン中のジボランを用いることにより、一級アルコール5(R10=H,R11=H)に変換することができる(工程d)。場合により、そのようなアルコール5は、アルコール1〜5について記載された合成を繰り返すことにより、n+1個の炭素原子の鎖長に延長することができる。水素とは異なる置換基R10および/またはR11を導入するために、シアノ中間体3をアルキルグリニャール試薬R10MgXと、エーテルまたはテトラヒドロフランのような溶媒中、0℃と溶媒の還流温度の間で反応させて、対応するR10CO−アルキルケトン6を形成し(工程e)、あるいは水素化ジイソブチルアルミニウムを用いて、対応するアルデヒド6(R10=H)を形成することができる。エーテルまたはテトラヒドロフランのような溶媒中でのアルキルリチウム試薬R11Liでの化合物6の処理は、アルコール5を与え(工程f);好ましくは−15℃〜40℃の間の温度での、テトラヒドロフランまたはエーテルのような溶媒中での水素化リチウムアルミニウムまたはエタノールまたはメタノールのような溶媒中での水素化ホウ素ナトリウムでの化合物6の処理は、R11=Hであるアルコール5を与える(工程f)。キラル中心を有するアルコール化合物5は、場合により、この分野で周知の方法、例えば、キラルHPLCカラムでのクロマトグラフィーまたは光学的に純粋な酸で誘導体化してエステルを形成し、それを従来のHPLCクロマトグラフィーで分離し、次に対掌体として純粋なアルコール5に戻すことにより、光学的に純粋な対掌体に分離することができる。ケトン6の対応するスキーム9の二級アルコール5への還元は、また、エナンチオ選択的な方法で行うことができ、(R)もしくは(S)−アルコール5に導く。例えば、Corey et al. (E. J. Corey, R. K. Bakshi, S. Shibata, J. Am. Chem. Soc. 1987, 109, 5551-5553)に従って、ボラン−ジメチルスルフィド錯体およびキラル触媒として(S)−もしくは(R)−2−メチル−CBS−オキサアザボロリジンを用いて、テトラヒドロフラン中、好ましくは−78℃と周囲温度の間の温度で処理することにより、または、Brown et al. (P. V. Ramachandran, B. Gong, A. V. Teodorovic, H. C. Brown, Tetrahedron: Asymmetry 1994, 5, 1061-1074)に従って、(+)−もしくは(−)−B−クロロジイソピノカンフェイル−ボラン(DIP−Cl)で処理することによる。アルデヒド6(R10=H,n=0)は、また、この分野で公知の方法、例えば、好ましくは室温〜ジクロロメタンの還流温度の間の温度で、ジクロロメタン中のピリジニウムクロロクロマートで処理することにより、または好ましくは室温で、ジクロロメタンのような溶媒中、二酸化マンガンで処理することにより、一級アルコール1から合成することができる(工程g)。これらのアルデヒド6は、好ましくは上で議論した条件下で、アルキル有機金属化合物との反応を通して、対応する二級アルコール5に変換することができる。最後に、スキーム9のアルコール5は、例えば、好ましくは−20℃〜室温の温度範囲で、トリエチルアミンのような塩基の存在下にジクロロメタン中で塩化メタンスルホニルでまたは0℃〜室温でジクロロメタン中、塩化チオニルで処理することにより、あるいは好ましくは室温〜溶媒の還流温度の温度範囲で、テトラヒドロフランのような溶媒中で四塩化炭素または四臭化炭素とトリフェニルホスフィンとの反応により、あるいは−30℃〜室温の間で、ジクロロメタン中でトリフリック無水物、2,6−ルチジンおよび4−ジメチルアミノピリジンで処理することにより、式7の化合物に変換され、このようにして、それぞれ、メタンスルホナート、トリフラート、塩化物または臭化物として、式7の化合物を得る(工程h)。
【0140】
以下の試験を、式(I)の化合物の活性を決定するために行った。
【0141】
行われたアッセイについての背景情報は、Nichols JSら "Development of a scintillation proximity assay for peroxisome proliferators-activated receptor gamma ligand binding domain", (1998) Anal. Biochem. 257:112-119中に見出すことができる。
【0142】
ヒトPPARδおよびPPARαならびにマウスPPARγの完全長cDNAクローンは、各々ヒト脂肪およびマウス肝臓cRNAからRT−PCRにより得られ、プラスミドベクターにクローニングされ、DNAシーケンシングにより確認された。バクテリアおよび哺乳動物の発現ベクターが構築されて、PPARδ(aa139〜442)、PPARγ(aa174〜476)およびPPARα(aa167〜469)のリガンド結合ドメイン(LBD)に融合したグルタチオン−s−トランスフェラーゼ(GST)およびGal4DNA結合ドメインタンパク質を製造した。これを達成するために、LBDをコードするクローニングされた配列の部分は、PCRにより完全長クローンから増幅され、次いで、プラスミドベクターにサブクローニングされた。最終クローンは、DNA配列分析により確認された。
【0143】
GST−LBD融合タンパク質の誘導、発現、および精製は、標準的な方法により大腸菌株BL21(pLysS)細胞中で行った(Ausbelら編集、Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Press参照)。
【0144】
放射性リガンド結合アッセイ
PPARδ受容体結合は、HNM10(50mMヘペス、pH7.4、10mM NaCl、5mM MgCl2、0.15mg/mlの脂肪酸を含まないBSAおよび15mM DTT)中でアッセイされた。各96穴反応に対して、500ng当量のGST−PPARδ−LBD融合タンパク質および放射性リガンド、例えば20000dpmの{2−メチル−4−〔4−メチル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−チアゾール−5−イル−ジトリチオメチルスルファニル〕−フェノキシ}−酢酸を、振盪により、50μlの最終容量で10μgSPAビーズ(Pharmacia Amersham)に結合した。得られたスラリーを1時間RTでインキュベートし、次いで2分間1300gで遠心分離した。結合していないタンパク質を含む上清を除去し、受容体がコートされたビーズを含む半乾燥ペレットを50μlのHNMに再懸濁した。放射性リガンドを加え、反応物をRTで1時間インキュベートし、試験化合物の存在下に行ってシンチレーション近似カウントを決定した。すべての結合アッセイは、96穴プレート中で行い、結合したリガンドの量は、Optiplateを用いるPackard TopCount(Packard)で測定した。用量応答曲線は、10-10M〜10-4Mの濃度範囲内で、三重に行った。
【0145】
PPARα受容体結合は、TKE50(50mMトリス−HCl、pH8、50mM KCl、2mM EDTA、0.1mg/mlの脂肪酸を含まないBSAおよび10mM DTT)中でアッセイされた。各96穴反応に対して、140ng当量のGST−PPARα−LBD融合タンパク質を、最終容量50μlで振盪により10μgのSPAビーズ(Pharmacia Amersham)に結合した。得られたスラリーを1時間RTでインキュベートし、次いで2分間1300gで遠心分離した。結合していないタンパク質を含む上清を除去し、受容体がコートされたビーズを含む半乾燥ペレットを50μlのTKEに再溶解した。放射性リガンドの結合のために、例えば10000dpmの 2(S)−(2−ベンゾイル−フェニルアミノ)−3−{4−〔1,1−ジトリチオ−2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エトキシ〕−フェニル}−プロピオン酸または2,3−ジトリチオ−2(S)−メトキシ−3−{4−〔2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エトキシ〕−ベンゾ〔b〕チオフェン−7−イル}−プロピオン酸50μlを加え、反応物をRTで1時間インキュベートし、シンチレーション近似カウントを行った。すべての結合アッセイは、96穴プレート中で行い、結合したリガンドの量は、Optiplateを用いるPackard TopCount(Packard)で測定した。非特異的な結合は、10-4M非標識化合物の存在下に決定した。用量応答曲線は、10-10M〜10-4Mの濃度範囲内で、三重に行った。
【0146】
PPARγ受容体結合は、TKE50(50mMトリス−HCl、pH8、50mM KCl、2mM EDTA、0.1mg/mlの脂肪酸を含まないBSAおよび10mM DTT)中でアッセイされた。各96穴反応に対して、140ng当量のGST−PPARγ−LBD融合タンパク質を、最終容量50μlで振盪により10μgのSPAビーズ(Pharmacia Amersham)に結合した。得られたスラリーを1時間RTでインキュベートし、次いで2分間1300gで遠心分離した。結合していないタンパク質を含む上清を除去し、受容体がコートされたビーズを含む半乾燥ペレットを50μlのTKEに再溶解した。放射性リガンドの結合のために、例えば10000dpmの 2(S)−(2−ベンゾイル−フェニルアミノ)−3−{4−〔1,1−ジトリチオ−2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エトキシ〕−フェニル}−プロピオン酸50μlを加え、反応物をRTで1時間インキュベートし、シンチレーション近似カウントを行った。すべての結合アッセイは、96穴プレート中で行い、結合したリガンドの量は、Optiplateを用いるPackard TopCount(Packard)で測定した。非特異的な結合は、10-4M非標識化合物の存在下に決定した。用量応答曲線は、10-10M〜10-4Mの濃度範囲内で、三重に行った。
【0147】
ルシフェラーゼ転写レポーター遺伝子アッセイ
ベビーハムスター腎臓細胞(BHK21 ATCC CCL10)を、10%FBSを含むDMEM培地中で、37℃、95%O:5%CO雰囲気で生育した。細胞を10細胞/穴の濃度で6穴プレートに接種し、次いで、pFA−PPARδ−LBD、pFA−PPARγ−LBDまたはpFA−PPARα−LBD発現プラスミドのいずれか+レポータープラスミドでバッチートランスフェクトした。トランスフェクションは、Fugene6試薬(Roche Molecular Biochemicals)で、示唆されたプロトコールに従って達成された。トランスフェクションの6時間後、細胞をトリプシン処理により集め、96穴プレートに10細胞/穴の濃度で接種した。細胞付着をさせて24時間後、培地を除去し、試験物質または対照リガンドを含むフェノールレッドを含まない培地100μlで置換した(最終DMSO濃度:0.1%)。細胞を24時間、物質とともにインキュベーションした後、上清50μlを廃棄し、50μlのルシフェラーゼConstant−Light reagent(Roche Molecular Biochemicals)を細胞を溶解するために加え、ルシフェラーゼ反応を開始した。ルシフェラーゼの発光をPackard TopCountで測定した。試験物質の存在下の転写活性化を、物質の不存在下にインキュベートした細胞に対しての、倍率活性化で表現した。EC50値は、XLfitプログラム(ID Business Solutions Ltd. UK)を用いて計算した。
【0148】
本発明の化合物の遊離酸(R1は水素である)は、PPARδに対して、0.5nM〜10μM、好ましくは1nM〜100nMのIC50値を示し、またPPARαに対して、1nM〜10μM、好ましくは10nM〜5μMのIC50値を示す。R1が水素ではない化合物は、R1が水素である化合物にインビボで変換される。以下の表は、本発明のいくつかの選択された化合物についての測定値を示す。
【0149】
【表1】

【0150】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容されうる塩とエステルは、医薬として、例えば経腸、非経口または局所投与の医薬製剤の形態で使用することができる。それらは、例えば、経口的に、例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、ハードおよびソフトゼラチンカプセル、液剤、乳剤または懸濁剤の形態で、経直腸的に、例えば座薬の形態で、非経口的に、例えば注射用液または点滴用液の形態で、あるいは局所的に、例えば軟膏、クリームまたは油剤の形態で投与することができる。
【0151】
医薬製剤の製造は、当業者に慣用の方法で、所与の式(I)の化合物およびその薬学的に許容されうるものを、適切で、非毒性で、不活性な、治療上相容性の固体または液体担体材料および、必要に応じて、通常の医薬助剤と共に、医薬投与形態にすることによって達成される。
【0152】
適切な担体材料は、無機担体材料のみならず、有機材料もそうである。そこで、例えば、ラクトース、コーンスターチもしくはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩が、錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、およびハードゼラチンカプセル用の担体材料として使用することができる。ソフトゼラチンカプセルに好適な担体材料は、例えば、植物油、ワックス、脂肪ならびに半固体状および液状ポリオールである(しかしながら、ソフトゼラチンカプセルの場合は、有効成分の性質によっては、担体が不要である)。液剤およびシロップ剤の製造用の好適な担体材料は、例えば、水、ポリオール、スクロース、転化糖などである。注射用液に好適な担体材料は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセリンおよび植物油である。座薬に好適な担体材料は、例えば、天然または硬化油、ワックス、脂肪および半固体状または液状ポリオールである。局所製剤に好適な担体材料は、グリセリド、半合成および合成グリセリド、水素化油、液状ワックス、液状パラフィン、液状脂肪アルコール、ステロール、ポリエチレングリコールおよびセルロース誘導体である。
【0153】
通常の安定剤、保存料、湿潤剤および乳化剤、粘度改善剤、風味改善剤、浸透圧を変化させる塩、緩衝物質、溶解剤、着色剤およびアスキング剤、ならび抗酸化剤が医薬助剤として考慮される。
【0154】
式(I)の化合物の投与量は、制御すべき疾患、患者の年齢および個々の状況、ならびに投与方法に応じて広い範囲内で変化しうるが、当然のことながら、各々の特定の場合において、個々の必要に適応される。成人患者に対して、約1mg〜約1000mg、特に約1mg〜約100mgの一日用量が考慮される。投与量に応じて、一日用量をいくつかの投与単位で投与することが好都合である。
【0155】
医薬製剤は、好都合には、約0.1〜500mg、好ましくは0.5〜100mgの式(I)の化合物を含む。
【0156】
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するためのものである。しかしながら、それらはその範囲を一切限定するものではない。
【0157】
実施例
略語:
AcOEt=酢酸エチル、n−BuLi=n−ブチルリチウム、DBU=1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、DEAD=ジエチルアゾジカルボキシラート、DIAD=ジイソプロピルアゾジカルボキシラート、DIBAL−H=水素化ジイソブチルアルミニウム、DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、DMPU=1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、eq.=当量、h=時間、DMSO=ジメチルスルホキシド、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、i.V.=減圧下、LDA=リチウムジイソプロピルアミド、POCl3=オキシ塩化リン、RT=室温、TFA=トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン。
【0158】
実施例1
〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エチル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸
【0159】
A](4−ヒドロキシ−ナフタレン−1−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
市販の4−アミノ−ナフタレン−1−オール塩酸塩3.00g(18.47mmol)を、無水THF19mlに懸濁し、0℃で、トリエチルアミン2.70ml(19.4mmol)およびジ−tert−ブチルジカーボナート4.837g(22.2mmol)で連続的に処理した。次いで、反応を、80℃で1時間行った。冷却後、混合物を粉砕氷/NH4Clに注ぎ、AcOEtで2回抽出し、水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒をエバポレートし、続いてヘキサン/AcOEtから結晶化して、標題化合物3.337gを融点182〜183℃の赤みがかった結晶として得た。
MS:258.0(M−H)
【0160】
B](4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸エチルエステル
4−ヒドロキシ−ナフタレン−1−イル−カルバミン酸tert−ブチルエステル3.33g(12.8mmol)をアセトン60mlに溶解し、0℃で、炭酸セシウム4.60g(1.1eq.)、KI0.107g(0.05eq.)およびブロモ酢酸エチル1.42ml(1.0eq.)で連続的に処理した。周囲温度で1h激しく攪拌した後、溶媒をエバポレートし、残渣をAcOEtに再溶解した。水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒をエバポレートし、続いてフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/AcOEt=75/25)により、標題生成物4.28gをオフホワイトの結晶として得た。
MS:346.2(M+H)、363.3(M+NH4
【0161】
C]〔4−(tert−ブトキシカルボニルメチルアミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸エチルエステル
無水DMF37mlに溶解した、上で調製した(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸エチルエステル4.28g(12.4mmol)に、0℃で、NaH0.644g(鉱油中60%、1.3eq.)を加えた。5分後にMeI 1.55ml(2eq.)を加え、反応を、0℃で10分間そして、周囲温度で1h行った。粉砕氷/KHSO4に注ぎ、AcOEtで2回抽出し、水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒をエバポレートし、続いてフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/AcOEt=8/2)により、標題生成物3.90gを無色油状体として得た。
【0162】
D](4−メチルアミノ−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸エチルエステル
CH2CH2 110mlに溶解した、上で調製した〔4−(tert−ブトキシカルボニルメチルアミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸エチルエステル3.90g(10.9mmol)に、滴下ロートを通して、TFA27.9mlを15分以内で加えた。RTでさらに30分後、溶媒の大部分をi.V.で除去し、残渣をNaHCO3とAcOEtの間で分配した。冷水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒をエバポレートし、続いてフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/AcOEt=8/2)により、標題生成物2.25gをオフホワイトの結晶として得た。
MS:260.2(M+H)
【0163】
E]〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エチル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸エチルエステル
上で調製した(4−メチルアミノ−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸エチルエステル0.095g(0.37mmol)および〔rac〕−3−(1−クロロ−エチル)−2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン0.220g(下記の1G]参照、2.0eq.)を、DMSO2.8ml中で、NaI0.110g(1eq.)およびDBU0.168g(1.5eq.)で処理した。40℃で20h攪拌した後、反応混合物を粉砕氷/KHSO4に注ぎ、AcOEtで2回抽出し、水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒をエバポレートし、続いてフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/AcOEt=85/15)により、標題生成物0.055gを淡褐色油状体として得た。
MS:523.5(M+H)
【0164】
F]〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エチル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸
上で調製した〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エチル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸エチルエステル0.055g(0.11mmol)を、0.6mlのTHF/EtOH=1/1に溶解し、1NNaOH0.33ml(3eq.)で処理し、0℃で2h保持した。次いで、反応混合物を粉砕氷/AcOEt/希HClに注ぎ、有機層を水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレートして、乾固させた。ヘキサン/AcOEtから結晶化して、最終的に、標題化合物0.040gを融点157〜158℃のオフホワイトの結晶として得た。
MS:493.1(M−H)
【0165】
1E]で使用した試薬は、以下のようにして合成した:
【0166】
G]3−ジメチルアミノ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロパン−1−オン塩酸塩
4−(トリフルオロメチル)アセトフェノン(4.97g、26.4mmol)、パラホルムアルデヒド(1.586g、2eq.)、ジメチルアミン塩酸塩(3.231g、1.5eq.)をEtOH7ml中で一緒に混合し、37%HCl0.08mlで処理し、5h加熱還流した。周囲温度に冷却し、ろ過し、少量の冷EtOHで洗浄して、標題化合物4.59gを融点128〜142℃(分解)の白色の結晶として得た。
MS:246.3(M+H)
【0167】
H]2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル
上で調製した3−ジメチルアミノ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロパン−1−オン塩酸塩4.59g(16.3mmol)および3−アミノクロトン酸メチルエステル1.86g(1.00eq.)をAcOH50mlに溶解し、4h加熱還流した。冷却後、溶媒の大部分をi.V.でエバポレートし、残渣をAcOEtに溶解し、水およびブラインで洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をエバポレートし、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/AcOEt=8/2)に付して、最終的に標題生成物2.40gを淡黄色ワックス状の固体として得た。
MS:296.1(M+H)
【0168】
I]〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−メタノール
無水THF7ml中の、上で合成した2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル1.00g(3.39mmol)を0℃に冷却し、DIBAL−H溶液7.06ml(トルエン中1.2M、2.5eq.)と1h反応させた。氷/NH4Clで注意深くクエンチし、AcOEtで2回抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をエバポレートして、粗生成物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/AcOEt=7/3)により精製して、最終的に標題生成物0.875gを融点76〜78℃のオフホワイトの固体として得た。
MS:268.1(M+H)
【0169】
J]2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−カルバルデヒド
上で調製した〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−メタノール1.00g(3.74mmol)をCH2Cl2 19mlに溶解し、MnO2 3.253g(10eq.)で処理した。周囲温度で4h激しく攪拌した後、反応混合物をセライト上でろ過し、CH2Cl2で注意深くリンスした。溶媒をエバポレートすると、標題化合物0.902gが得られ、NMRで純粋であり、そのまま次の工程に使用した。
MS:266.2(M+H)
【0170】
K]〔rac〕−1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エタノール
上で調製した2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−カルバルデヒド0.470g(1.77mmol)を無水THF9mlに溶解し、−10℃で、3M塩化メチルマグネシウム溶液(THF中)0.89mlで処理した。15分後、反応混合物を注意深く粉砕氷/NH4Clに注ぎ、AcOEtで2回抽出し、水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレートして乾固させると、標題化合物0.508gが得られ、NMRで純粋であった。
MS:282.2(M+H)
【0171】
L]〔rac〕−3−(1−クロロ−エチル)−2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン
上で調製した〔rac〕−1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エタノール0.472g(1.68mmol)をCH2Cl2 8mlに溶解し、0℃で、SOCl2 0.399ml(2eq.)で滴下処理した。反応混合物を0℃で5分間、RTで30分間保持した。粉砕氷/NaHCO3に注ぎ、AcOEtで2回抽出し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をエバポレートして、純粋な標題化合物0.488gを淡黄色油状体として得た。
MS:299.1、301.1(M)
【0172】
実施例2
〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−プロピル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸
【0173】
A]〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−プロピル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸エチルエステル
無水DMSO3.2ml中に溶解した、〔rac〕−3−(1−クロロ−プロピル)−2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン0.164g(下記の2C]参照)および上で調製した(4−メチルアミノ−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸エチルエステル0.149g(0.575mmol)に、K2CO3 0.0867g(0.627mmol)およびNaI0.0856g(0.575mmol)を連続的に加えた。反応を60℃で15h行った。粉砕氷/NH4Clに注ぎ、AcOEtで2回抽出し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をエバポレートし、続いてフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/AcOEt=9/1)により、標題生成物0.043gを淡黄色油状体として得た。
MS:537.6(M+H)
【0174】
B]〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−プロピル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸
上で調製した〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−プロピル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸エチルエステル0.042g(0.078mmol)を、0.84mlのTHF/EtOH=1/1に溶解し、0℃で1NNaOH0.24ml(3eq.)で処理し、周囲温度で2h保持した。次いで、反応混合物を希HClでpH7に中和し、AcOEtで抽出し、有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレートして、乾固させた。ヘキサン/AcOEtから結晶化後に、標題化合物0.033gを融点76〜78℃の黄色がかった結晶として得た。
MS:509.6(M+H)
【0175】
必要な試薬は、以下のようにして合成した:
【0176】
C]3−ジメチルアミノ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロパン−1−オン塩酸塩
3−(トリフルオロメチル)アセトフェノン(5.00g、26.6mmol)、パラホルムアルデヒド(1.596g、2eq.)、ジメチルアミン塩酸塩(3.25g、1.5eq.)をEtOH7ml中で一緒に混合し、37%HCl0.08mlで処理し、5h加熱還流した。周囲温度に冷却し、ろ過し、少量の冷EtOHで洗浄して、標題化合物5.58gを融点144〜146℃(分解)の白色結晶として得た。
MS:246.2(M+H)
【0177】
D]2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル
上で調製した3−ジメチルアミノ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロパン−1−オン塩酸塩5.57g(19.76mmol)および3−アミノクロトン酸メチルエステル2.28g(1.00eq.)をAcOH60mlに溶解し、4h加熱還流した。冷却後、溶媒の大部分をi.V.でエバポレートし、残渣をAcOEtに溶解し、水およびブラインで洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をエバポレートし、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/AcOEt=89/11)に付して、最終的に、標題化合物2.00gを融点47〜49℃(分解)の淡黄色結晶として得た。
MS:295.1(M)
【0178】
E]〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−メタノール
無水THF14ml中の、上で合成した2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル1.96g(6.62mmol)を0℃に冷却し、DIBAL−H溶液13.8ml(トルエン中1.2M、2.5eq.)と1h反応させた。氷/NH4Clで注意深くクエンチし、AcOEtで2回抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をエバポレートして、粗生成物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/AcOEt=55/45)により精製して、最終的に、標題化合物1.66gを融点75〜77℃の白色結晶として得た。
MS:268.1(M+H)
【0179】
F]2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−カルバルデヒド
上で調製した〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−メタノール3.00g(11.2mmol)をCH2Cl2 56mlに溶解し、MnO2 14.6g(15eq.)で処理した。周囲温度で2h激しく攪拌した後、反応混合物をセライト上でろ過し、CH2Cl2で注意深くリンスした。溶媒をエバポレートすると、標題化合物2.659gが融点61〜63℃の白色結晶として得られた。
MS:266.0(M+H)
【0180】
G]〔rac〕−1−〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−プロパン−1−オール
上で調製した2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−カルバルデヒド0.600g(2.66mmol)を無水THF11mlに溶解し、−15℃で、2.5M塩化エチルマグネシウム溶液(THF中)1.08mlで処理した。30分後、反応混合物を注意深く粉砕氷/NH4Clに注ぎ、AcOEtで2回抽出し、水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレートして乾固させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/AcOEt=8/2)により、最終的に、純粋な標題生成物0.473gを融点97〜99℃の白色結晶として得た。
MS:266.0(M+H)
【0181】
H]〔rac〕−3−(1−クロロ−プロピル)−2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン
上で調製した〔rac〕−1−〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−プロパン−1−オール0.468g(1.58mmol)をCH2Cl2 7.6mlに溶解し、0℃で、SOCl2 0.23ml(2eq.)で滴下処理した。反応混合物を0℃で5分間、RTで30分間保持した。粉砕氷/NaHCO3に注ぎ、AcOEtで2回抽出し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をエバポレートして、純粋な標題化合物0.496gを淡黄色油状体として得た。
MS:314.1、316.1(M+H)
【0182】
実施例3
A]〔rac〕−〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−ブチル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸
標題化合物は、実施例2と同様に、ただし、工程A]において、〔rac〕−3−(1−クロロ−プロピル)−2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジンの代わりに〔rac〕−3−(1−クロロ−ブチル)−2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジンを用いて、黄色泡状体として調製した。
MS:521.2(M−H)
【0183】
必要な試薬
B]〔rac〕−3−(1−クロロ−ブチル)−2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン
は、実施例2G]〜H]と同様に、ただし、塩化エチルマグネシウムの代わりに塩化プロピルマグネシウムを用いて、黄色油状体として調製した。
MS:327.2、329.2(M)
【0184】
実施例4
〔rac〕−2−メトキシ−3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イル)−プロピオン酸
【0185】
A]4−ベンジルオキシ−ナフタレン−2−カルバルデヒド
(4−ベンゾイルオキシ−ナフタレン−2−イル)−メタノール〔PCT国際出願(1997)WO97/09311A1〕4.00g(15.1mmol)をEtOAc160mlに溶解し;次いで、二酸化マンガン54.1gを少しずつ加え、反応混合物を周囲温度で30分間攪拌した。暗色の懸濁液をディカライト(dicalite)を用いてろ過し;次いで、溶媒をエバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/AcOEt=4:1)により、標題化合物3.20gを無色油状体として得た。
MS:262.2(M)
【0186】
B]3−(4−ベンジルオキシ−ナフタレン−2−イル)−2−メトキシ−(Z,E)−アクリル酸メチルエステル
CH2Cl2 140ml中の塩化(1,2−ジメトキシ−2−オキソエチル)トリフェニルホスホニウム(実施例4F])22.92g(57.2mmol)の溶液に、テトラメチルグアニジン7.87ml(61mmol)を0℃で加え、混合物を周囲温度まで暖めた。次いで、反応混合物を、上で調製した4−ベンジルオキシ−ナフタレン−2−カルバルデヒド5.00g(19.1mmol)で処理し、40℃で22時間攪拌した。次いで、それをエバポレートし、残渣をAcOEtと水/HClの間で分配した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、そしてエバポレートした。残渣をSiO2クロマトグラフィー(n−ヘキサン/AcOEt=98:2〜95:5)にかけ、標題化合物5.70gを無色固体として得た。
MS:348.1(M)
【0187】
C]〔rac〕−3−(4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イル)−2−メトキシ−プロピオン酸メチルエステル
上で調製した3−(4−ベンジルオキシ−ナフタレン−2−イル)−2−メトキシ−(Z,E)−アクリル酸メチルエステル5.70g(16.4mmol)をTHF90mlに溶解し;Pd−C(10%)1.15gを加え、反応混合物を周囲温度で、大気圧で、2時間、水素化した。続いて、それをディカライトを用いてろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/AcOEt=4:1)により、標題化合物3.95gを黄色油状体として得た。
MS:259.1(M−H)
【0188】
D]〔rac〕−2−メトキシ−3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イル)−プロピオン酸メチルエステル
上で調製した〔rac〕−3−(4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イル)−2−メトキシ−プロピオン酸メチルエステル0.26g(1.0mmol)、2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エタノール0.30g(1.05mmol)(下記実施例4K]参照)およびトリフェニルホスフィン0.31g(1.20mmol)をTHF10mlに溶解した。攪拌反応混合物を0℃に冷却し、THF5ml中のジ−tert−ブチルアゾジカルボキシラート0.27g(1.15mmol)の溶液を滴下し、反応物を周囲温度まで暖めた。20時間後、溶媒をエバポレートしし、残渣をクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘキサン/AcOEt=9:1〜1:1)により精製し、標題化合物0.45gを淡黄色油状体として得た。
MS:524.4(M+H)
【0189】
E]〔rac〕−2−メトキシ−3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イル)−プロピオン酸
上で調製した〔rac〕−2−メトキシ−3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イル)−プロピオン酸メチルエステル0.43g(0.82mmol)を、15mlのTHF/MeOH(2:1)に溶解し;次いで、攪拌溶液に、LiOH溶液(水中1モル濃度)1.64mlを加えた。1時間後、反応混合物を粉砕氷/HClに注ぎ、CH2Cl2 で2回抽出し;有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、エバポレートした。残渣をクロマトグラフィー〔SiO2、CH2Cl2/MeOH(0〜5%MeOH)〕により精製し、純粋な標題化合物0.42gを淡黄色固体として得た。
MS:508.3(M−H)
【0190】
実施例4B]で使用した塩化(1,2−ジメトキシ−2−オキソエチル)トリフェニルホスホニウムは、以下のようにして調製した:
【0191】
F]塩化(1,2−ジメトキシ−2−オキソエチル)トリフェニルホスホニウム
ヨウ素0.45g(3.5mmol)を塩化アセチル105ml(1.48mol)に加え;次いで、2,2−ジメトキシ−酢酸メチルエステル165.4g(1.23mol)を30℃未満で20分以内で加え、室温で1時間、50℃で25分間攪拌を続けた。続いて、反応混合物を48℃/280ミリバールでエバポレートし、粗2−クロロ−2−メトキシ−酢酸メチルエステル236.69gを得た。次いで、粗2−クロロ−2−メトキシ−酢酸メチルエステルを、ジクロロメタン500mlに溶解したトリフェニルホスフィン323.2mg(1.23mol)の溶液に15分以内で加え、その間、温度は16℃〜26℃に保持した。引き続き、反応物を室温で20時間攪拌し、45℃/250ミリバールでエバポレートし、残渣をジクロロメタン/酢酸エチルから結晶化して、塩化(1,2−ジメトキシ−2−オキソエチル)トリフェニルホスホニウム400.7gを無色固体として得た;微量分析C2222ClO3P:計算値;Cl 8.82% 実測値;Cl 8.84%〔試料中に見出された水0.38%に対して補正した値〕。
【0192】
実施例4D]で使用した2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エタノールは、以下のようにして調製した:
【0193】
G]3−クロロメチル−2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン
ジクロロメタン(100ml)中の〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−メタノール(26.7g;100mmol)(実施例1I])の懸濁液に、0℃で、塩化チオニル10.9ml(150mmol)を0.5時間以内で加えた。周囲温度で1時間、攪拌を続けた。その後、氷水を加え、混合物を激しく攪拌した。次いで、層を分離し、水相をジクロロメタン100mlで抽出した。合わせた有機相を水、炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレートしたのち、標題化合物27.9gを淡褐色固体として得た。
MS:285.0(M)
【0194】
H]〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−アセトニトリル
上で調製した3−クロロメチル−2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン27.2g(95.2mmol)を、ジメチルスルホキシド100mlに溶解し;シアン化ナトリウム5.9g(120mmol)を加え、混合物を室温で18時間攪拌した。その後、反応混合物を氷と水の混合物に注ぎ、続いて、tert−ブチルメチルエーテル400mlを3回に分けて用いて抽出した。合わせた有機層を水、次いでブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒をエバポレートしたのち、標題化合物25.2gを淡黄色固体として得た。
MS:276.1(M)
【0195】
I]〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−酢酸
上で調製した〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−アセトニトリル25g(90mmol)、水酸化ナトリウム20g(500mmol)、水60mlおよびプロパノール250mlの混合物を、100℃で激しく攪拌した。加水分解は、2時間後に完結した。次いで、反応混合物をエバポレートして乾固させ、残渣を水70mlに溶解し;次いで、冷8N水性HCl60mlを加え、酸を酢酸エチル250mlを3回に分けて用いて抽出し;合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレートして乾固した。標題化合物25.1gを淡黄色固体として得た。
MS:296.0(M+H)
【0196】
J]〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−酢酸メチルエステル
メタノール25ml中の上で調製した〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−酢酸2.55g(8.63mmol)の溶液を−10℃に冷却し;塩化チオニル1.88ml(25.9mmol)を加えた。次いで、反応混合物を周囲温度で2時間、攪拌した。続いて、溶液を氷水と攪拌し、次いで、tert−ブチルメチルエーテル50mlを3回に分けて用いて抽出した。合わせた有機相を水、炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒をエバポレートしたのち、標題化合物2.6gを淡褐色固体として得た。
MS:309.1(M)
【0197】
K]2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エタノール
乾燥テトラヒドロフラン15ml中の、上で調製した〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−酢酸メチルエステル2.6g(8.40mmol)を、テトラヒドロフラン5ml中の水素化リチウムアルミニウム0.38g(10mmol)の攪拌懸濁液に、アルゴン雰囲気下に、15分以内で加えた。反応は、発熱的であった。続いて、混合物を室温で1時間攪拌した。次いで、アルゴン下に、気体の発生が止むまで、攪拌および冷却しながら、酢酸エチル1ml、続いて水を反応混合物に滴下した。反応混合物を酢酸エチル50mlで希釈し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液をi.V.でエバポレートし、ジクロロメタンとtert−ブチルメチルエーテル(4:1容量/容量)の混合物を溶離液として用いて、残渣をSiO2クロマトグラフィーにかけた。それにより、標題化合物1.88gを白色固体として得た。
MS:281.1(M)
【0198】
実施例5
3−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸
【0199】
A](E)−3−(4−ベンジルオキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル〕−アクリル酸エチルエステル
無水エタノール10ml中の4−ベンジルオキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−カルボキシアルデヒド〔PCT国際出願(2002)、WO2002/092084A1〕0.9g(3.38mmol)の冷却懸濁液に、ホスホノ酢酸トリエチル0.75ml(3.7mmol)および粉末状ナトリウムエチラート0.225g(3.7mmol)を連続的に加えた。次いで、混合物を周囲温度で1時間攪拌した。続いて、反応混合物を粉砕氷/希塩酸に注ぎ、生成物をtert−ブチルメチルエーテルで2回抽出し;有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、最終的にエバポレートして、標題化合物1.15gを淡褐色固体として得た。
MS:336.2(M)
【0200】
B]3−(4−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸エチルエステル
上で調製した(E)−3−(4−ベンジルオキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル〕−アクリル酸エチルエステル1.15g(3.41mmol)を、テトラヒドロフラン20mlに溶解し、周囲温度および大気圧で、10%のパラジウム炭素0.3gで水素化した。触媒をろ過し、溶媒をエバポレートして、標題化合物0.84gを灰色固体として得た。
MS:248.2(M)
【0201】
C]3−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸エチルエステル
アセトニトリル5ml中の、上で調製した3−(4−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸エチルエステル103mg(0.41mmol)、3−クロロメチル−2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン(実施例4G])118mg(0.41mmol)および炭酸セシウム175mg(0.54mmol)の混合物を60℃で2時間攪拌した。次いで、溶媒をi.V.でエバポレートし、ジクロロメタンとtert−ブチルメチルエーテル(98:2、容量/容量)の混合物を溶離液として用いて、残渣をSiO2クロマトグラフィーにかけた。それにより、標題化合物169mgを白色固体として得た。
MS:498.4(M+H)
【0202】
D]3−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸
上で調製した3−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸エチルエステル160mg(0.32mmol)を、エタノール5mlに溶解し;2N水酸化リチウム水溶液1.0mlを加え、溶液を1時間加熱還流した。次いで、溶液を室温に冷却し、2N塩酸水溶液1.0mlを加えた。白色の析出固体をろ取し、水洗し、乾燥した。それにより、標題生成物140mgをオフホワイトの固体として得た。
MS:468.3(M−H)
【0203】
実施例6
3−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸
実施例5C]および5D]に記載の手順と同様に、3−(4−ヒドロキシ−ナフタレン−1−イル)−プロピオン酸エチルエステル[Helvetica Chimica Acta (2001), 84(8), 2198-2211]を、3−クロロメチル−2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン(実施例4G])と反応させて、3−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を淡ピンク色固体として得た。
MS:464.2(M−H)
【0204】
実施例7
3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−プロピオン酸
実施例4D]および4E]に記載の手順と同様に、3−(4−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸エチルエステル(実施例5B])を、2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エタノール(実施例4K])と反応させて、3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−プロピオン酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を無色固体として得た。
MS:482.3(M−H)
【0205】
実施例8
3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イル)−プロピオン酸
実施例4D]および4E]に記載の手順と同様に、3−(4−ヒドロキシ−ナフタレン−1−イル)−プロピオン酸エチルエステル[Helvetica Chimica Acta (2001), 84(8), 2198-2211]を、2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エタノール(実施例4K])と反応させて、3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イル)−プロピオン酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を無色固体として得た。
MS:478.1(M−H)
【0206】
実施例9
3−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸
A]実施例5C]および5D]に記載の手順と同様に、3−(4−ヒドロキシ−ナフタレン−1−イル)−プロピオン酸エチルエステル[Helvetica Chimica Acta (2001), 84(8), 2198-2211]を、5−クロロメチル−4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン(実施例9E])と反応させて、3−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を無色固体として得た。
MS:491.1(M−H)
【0207】
9A]で使用した5−クロロメチル−4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジンを以下のようにして合成した。
【0208】
B](E,Z)−2−シクロプロパンカルボニル−3−エトキシ−アクリル酸メチルエステル
無水酢酸100ml中の3−シクロプロピル−3−オキソ−プロピオン酸メチルエステル10g(70.34mmol)、オルトギ酸トリエチル23.4ml(140.68mmol)の溶液を、150℃で5h還流した。反応混合物を減圧下に95℃で濃縮して、粗(E,Z)−2−シクロプロパンカルボニル−3−エトキシ−アクリル酸メチルエステル14.35gを得た。
MS:199.3(M+H)
【0209】
C]4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸エチルエステル
エタノール50ml中の4−トリフルオロメチル−ベンズアミジンHCl 4.74g(18.19mmol)に、ナトリウムt−ブトキシド1.818g(18.186mmol)を加えた。2分後、粗(E,Z)−2−シクロプロパンカルボニル−3−エトキシ−アクリル酸メチルエステル3.605gを加え、次いで反応混合物をRTで一晩攪拌した。エタノールを減圧下に除去し、残渣をエーテル中に取り、1NHClおよび水で洗浄した。エーテル溶液を減圧下に濃縮し、粗生成物を、AcOEt/ヘプタン1:3を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、純粋な4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸エチルエステル4.25gを得た。
MS:337.1(M+H)
【0210】
D]〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−メタノール
10分以内に、トルエン中の1.2M DIBALH溶液31.6ml(37.9mmol)を、THF50ml中の4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸エチルエステル4.25g(12.64mmol)のドライアイスで冷却(−50℃)した溶液に加えた。反応混合物を−50℃で30分間攪拌し、温度をRTに上げた後、RTで1時間攪拌した。反応混合物をエーテル中に取り、1NHClおよび水で洗浄した。溶媒を減圧下に濃縮して、純粋な〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−メタノール3.72gを得た。
MS:295.1(M+H)
【0211】
E]5−クロロメチル−4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン
ジクロロメタン20ml中の〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−メタノール1.9g(6.456mmol)および塩化チオニル0.515ml(7.1mmol)の混合物を、RTで1h攪拌した。反応混合物をエーテル中に取り、重炭酸ナトリウム溶液および水で洗浄した。エーテル相を減圧下に濃縮して、純粋な5−クロロメチル−4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン1.97gを得た。
MS:313.1(M+H、1Cl)
【0212】
実施例10
3−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−プロピオン酸
実施例5C]および5D]に記載の手順と同様に、3−(4−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸エチルエステル(実施例5B])を、5−クロロメチル−4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン(実施例9E])と反応させて、3−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−プロピオン酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を無色固体として得た。
MS:495(M−H)
【0213】
実施例11
3−{4−〔5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−2−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル}−プロピオン酸
実施例5C]および5D]に記載の手順と同様に、3−(4−ヒドロキシ−ナフタレン−1−イル)−プロピオン酸エチルエステル[Helvetica Chimica Acta (2001), 84(8), 2198-2211]を、2−ブロモメチル−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン(実施例11C])と反応させて、3−{4−〔5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−2−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル}−プロピオン酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を無色固体として得た。
MS:451.1(M−H)
【0214】
上記の手順で使用した、必要な構築ブロック、2−ブロモメチル−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジンは、以下のように調製した:
【0215】
B]2−メチル−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン
水15ml中の炭酸ナトリウム7.95g(75mmol)の溶液を、1,2−ジメトキシエタン50mlとエタノール30mlの混合物中の5−ブロモ−2−メチルピリミジン2.6g(15mmol)(Coll. Czech. Chem. Comm. 14 (1949), 223-235)、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンボロン酸4g(21mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.52g(0.45mmol)の混合物に加えた。その後、混合物を80℃で2時間攪拌し、有機溶媒の大部分を留去することにより濃縮した。引き続いて、残渣を、tert−ブチルメチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機相を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、最後にエバポレートした。残渣を、ジクロロメタン/tert−ブチルメチルエーテル(9:1容量/容量)の混合物を溶離液として用いて、シリカゲルクロマトグラフィーにかけた。標題化合物3gを緑色がかった固体として得た。
MS:239.2(M+H)
【0216】
C]2−ブロモメチル−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン
2−メチル−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン0.31g(1.3mmol)、N−ブロモコハク酸イミド0.255g(1.43mmol)および2,2’−アゾビス−(2−メチル−プロピオニトリル)0.15g(0.91mmol)を四塩化炭素5mlに溶解し、混合物を75℃で攪拌した。N−ブロモコハク酸イミド0.13g(0.73mmol)および2,2’−アゾビス−(2−メチル−プロピオニトリル)0.075g(0.046mmol)の二つに分けた部分を、それぞれ4時間および8時間後に、反応混合物に加え、加熱をさらに16時間続けた。周囲温度に冷却した後、混合物を、ジクロロメタンを溶離液として用いて、シリカゲルクロマトグラフィーにかけた。標題化合物0.145gを淡黄色固体として得た。
MS:316.0(M、1Br)
【0217】
実施例12
〔rac〕−(4−{1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸
A](4−ベンジルオキシ−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸エチルエステル
アセトニトリル30ml中の4−ベンジルオキシ−ナフタレン−1−オール2g(8mmol)[Journal of Medicinal Chemistry (1985), 28(6), 822-4]、ブロモ酢酸エチル2.67g(16mmol)および炭酸セシウム3.12g(9.6mmol)の混合物を、60℃で3時間攪拌した。続いて、反応混合物をエバポレートして乾固させ、残渣を水とtert−ブチルメチルエーテルの間で分配した。有機相を分離し、水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、最後にエバポレートした。n−ヘプタンから結晶化させて、標題化合物2.23gを白色結晶として得た。
MS:337.3(M)
【0218】
B](4−ヒドロキシ−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸エチルエステル
上で調製した(4−ベンジルオキシ−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸エチルエステル2.23g(6.62mmol)を、テトラヒドロフラン20mlに溶解し、周囲温度および大気圧で、触媒として10%のパラジウム炭素0.5gで水素化した。触媒をろ過し、溶媒をエバポレートして、標題化合物1.2gを淡褐色固体として得た。
MS:245.2(M−H)
【0219】
C]〔rac〕−(4−{1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸
実施例5C]および5D]に記載の手順と同様に、(4−ヒドロキシ−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸エチルエステルを、〔rac〕−3−(1−クロロ−エチル)−2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン(実施例1L])と反応させて、〔rac〕−(4−{1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を淡黄色固体として得た。
MS:480.2(M−H)
【0220】
実施例13
2−メチル−2−(4−{メチル−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメチル〕−アミノ}−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルオキシ)−プロピオン酸
【0221】
A]2−メチル−2−(4−メチルアミノ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルオキシ)−プロピオン酸エチルエステル
実施例1A]〜1D]に記載の手順と同様に、4−アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール[Journal of Heterocyclic Chemistry (1982), 19(3), 633-7]を、ジ−tert−ブチルジカーボナートと反応させて、(4−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを得た。アセトニトリル中、80℃でブロモイソ酪酸エチルおよびCs2CO3との引き続く反応は、2−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルを与え;次いで、この化合物をN,N−ジメチルホルムアミド中でヨウ化メチル、水素化ナトリウムで処理すると、2−〔4−(tert−ブトキシカルボニル−メチル−アミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルオキシ〕−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルが得られ、最後にジクロロメタン中でTFAと反応させて、標題化合物を粘稠な褐色油状体として得た。
MS:292.3(M+H)
【0222】
B]2−メチル−2−(4−{メチル−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメチル〕−アミノ}−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルオキシ)−プロピオン酸
実施例5C]および5D]に記載の手順と同様に、2−メチル−2−(4−メチルアミノ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルオキシ)−プロピオン酸エチルエステルを、3−クロロメチル−2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン(実施例4G])と反応させて、2−メチル−2−(4−{メチル−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメチル〕−アミノ}−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルオキシ)−プロピオン酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を無色固体として得た。
MS:511.3(M−H)
【0223】
実施例14
2−メチル−2−(3−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ)−プロピオン酸
【0224】
A]実施例4D]および4E]に記載の手順と同様に、2−(3−ヒドロキシ−ナフタレン−1−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル(実施例14C])を、2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エタノール(実施例4K])と反応させて、2−メチル−2−(3−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ)−プロピオン酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を淡黄色固体として得た。
MS:508.3(M−H)
【0225】
実施例14A]で使用した2−(3−ヒドロキシ−ナフタレン−1−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルは、以下のように調製した:
【0226】
B]2−(3−メトキシカルボニルオキシ−ナフタレン−1−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル
炭酸4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イルエステルメチルエステル2.65g(12.1mmol)[Journal of Agricultural and Food Chemistry (1994), 42(12), 2970-2]をN,N−ジメチルホルムアミド100mlに溶解し;次いで、炭酸セシウム4.93g(15.1mmol)を加え、反応混合物を2℃に冷却した。ブロモイソ酪酸エチル2.12ml=2.79g(13.9mmol)を滴下し、反応混合物を周囲温度で48時間攪拌した。続いて、冷水とエーテルとの間で分配し、エーテルで2回抽出し;有機相を水洗し、乾燥(MgSO4)し、エバポレートした。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/MeCl2のグラジエント)により精製して、最終的に、標題化合物1.44gを無色油状体として得た。
MS:332.1(M)
【0227】
C]2−(3−ヒドロキシ−ナフタレン−1−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル
2−(3−メトキシカルボニルオキシ−ナフタレン−1−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル1.35g(4.1mmol)をEtOH30mlに溶解し、5℃に冷却し;攪拌しながら、ナトリウムエトキシドの溶液(EtOH中21%)1.66ml=1.45g(4.5mmol)を加え、次いで、反応混合物を周囲温度まで暖めた。1時間後、粉砕氷/MeCl2に注ぎ、pHをAcOH(1N)で5〜6に調整し、反応混合物を続いてMeCl2で2回抽出し;有機相を水洗し、乾燥(MgSO4)し、エバポレートした。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、MeCl2/MeOHのグラジエント)により精製して、最終的に、標題化合物0.95gを淡褐色油状体として得た。
MS:273.2(M−H)
【0228】
実施例15
2−メチル−2−{3−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イルオキシ}−プロピオン酸
実施例4D]および4E]に記載の手順と同様に、2−(3−ヒドロキシ−ナフタレン−1−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル(実施例14C])を、〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−メタノール(実施例1I])と反応させて、2−メチル−2−{3−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イルオキシ}−プロピオン酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を淡黄色固体として得た。
MS:494.2(M−H)
【0229】
実施例16
2−(3−{2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ〕−2−メチル−プロピオン酸
A]実施例4D]および4E]に記載の手順と同様に、2−(3−ヒドロキシ−ナフタレン−1−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル(実施例14C])を、2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−エタノール(実施例16B])と反応させて、2−(3−{2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ〕−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を淡黄色固体として得た。
MS:535.3(M−H)
【0230】
手順16A]で使用した2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−エタノールは、以下のように調製した:
【0231】
B]2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−エタノール
〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−酢酸メチルエステル〔実施例4H]〜4J]に記載の手順と同様に、5−クロロメチル−4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン(実施例9E])から調製〕0.60g(1.78mmol)を無水THF10mlに溶解し、0℃に冷却した。次いで、DIBAL−H溶液3.18ml(トルエン中1.2M)と反応させ、混合物を室温で2h攪拌した。氷/THF/H2Oで注意深くクエンチし、AcOEtで2回抽出し、希HCl溶液およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をエバポレートして、粗生成物を得、それをジクロロメタン/n−ヘプタンから結晶化することにより精製して、最終的に標題生成物0.53gを淡黄色固体として得た。
MS:309.2(M+H)
【0232】
実施例17
2−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−ナフタレン−2−イルオキシ〕−2−メチル−プロピオン酸
A]実施例4D]および4E]に記載の手順と同様に、2−(4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル(実施例17D])を、〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−メタノール(実施例9D])と反応させて、2−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−ナフタレン−2−イルオキシ〕−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を黄色固体として得た。
MS:521.2(M−H)
【0233】
実施例17A]で使用した2−(4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルは、以下のように調製した:
【0234】
B]炭酸メチルエステル4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−ナフタレン−2−イルエステル
炭酸4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イルエステルメチルエステル4.62g(21.2mmol)[Journal of Agricultural and Food Chemistry (1994), 42(12), 2970-2]をMeCl2 150mlに溶解し、塩化2−(トリメチルシリル)−エトキシメチル4.95ml=4.71g(25.4mmol)を加え、この混合物を2℃に冷却した。N−エチル−ジイソプロピルアミン11.1ml=8.38g(63.5mmol)を滴下し、次いで、反応物を周囲温度まで暖めた。48時間後、粉砕氷に注ぎ、MeCl2で2回抽出し;有機相を水洗し、乾燥(MgSO4)し、エバポレートした。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン/MeCl2のグラジエント)により精製して、炭酸メチルエステル4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−ナフタレン−2−イルエステル5.57gを無色油状体として得た。
MS:348.1(M)
【0235】
C]4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−ナフタレン−2−オール
炭酸メチルエステル4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−ナフタレン−2−イルエステル5.82g(16.7mmol)をメタノール 100mlに溶解し、5℃に冷却し;ナトリウムメトキシド(MeOH中5.4モル濃度)3.4ml=3.30g(18.4mmol)を加え、次いで、反応混合物を室温まで暖めた。1時間後、粉砕氷に注ぎ、pHをAcOH(1N)で5〜6に調整し、反応混合物を続いてMeCl2で2回抽出し;有機相を水洗し、乾燥(MgSO4)し、エバポレートした。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、n−ヘプタン/MeCl2のグラジエント)により精製して、4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−ナフタレン−2−オール4.23gを淡褐色油状体として得た。
MS:289.1(M−H)
【0236】
D]2−(4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル
2−メチル−2−〔4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−ナフタレン−2−イルオキシ〕−プロピオン酸エチルエステル1.58g(3.90mmol)(実施例14Bに記載の手順と同様に、4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−ナフタレン−2−オール、ブロモイソ酪酸エチル、炭酸セシウムから調製)をEtOH20mlに溶解し;次いで、1.95mlのHCl/EtOH−溶液(6モル濃度)を滴下した。室温で7時間攪拌後、溶媒をエバポレートして除去し、残渣を水とMeCl2の間で分配した。有機相を分離し、水洗し、乾燥(MgSO4)し、エバポレートした。粗生成物を、AcOEt/ヘプタンのグラジエントを用いてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、純粋な2−(4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル1.06gを淡褐色油状体として得た。
MS:275.1(M+H)
【0237】
実施例18
2−(4−{2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕エトキシ}−ナフタレン−2−イルオキシ〕−2−メチル−プロピオン酸
実施例4D]および4E]に記載の手順と同様に、2−(4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル(実施例17D])を、2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−エタノール(実施例16B])と反応させて、2−(4−{2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕エトキシ}−ナフタレン−2−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を淡黄色固体として得た。
MS:535.3(M−H)
【0238】
実施例19
2−メチル−2−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イルオキシ)−プロピオン酸
実施例4D]および4E]に記載の手順と同様に、2−(4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル(実施例17D])を、2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エタノール(実施例4K])と反応させて、2−メチル−2−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イルオキシ)−プロピオン酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を橙色固体として得た。
MS:508.3(M−H)
【0239】
実施例20
2−メチル−2−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−2−イルオキシ}−プロピオン酸
実施例4D]および4E]に記載の手順と同様に、2−(4−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル(実施例17D])を、〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−メタノール(実施例1I])と反応させて、2−メチル−2−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−2−イルオキシ〕−プロピオン酸エチルエステルを得、それを引き続いてケン化して、標題化合物を黄色固体として得た。
MS:494.2(M−H)
【0240】
実施例A
以下の成分を含むフィルムコート錠剤は、慣用の方法で作製できる:
成分 錠剤あたり
核:
式(I)の化合物 10.0mg 200.0mg
微晶質セルロース 23.5mg 43.5mg
水和ラクトース 60.0mg 70.0mg
ポビドンK30 12.5mg 15.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.5mg 17.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg 4.5mg
(核重量) 120.0mg 350.0mg
フィルムコート:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 3.5mg 7.0mg
ポリエチレングリコール6000 0.8mg 1.6mg
タルク 1.3mg 2.6mg
酸化鉄(黄色) 0.8mg 1.6mg
二酸化チタン 0.8mg 1.6mg
【0241】
活性成分を篩に通し、微晶質セルロースと混合し、混合物を、水中のポリビニルピロリドンの溶液で顆粒化する。顆粒をデンプングリコール酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムと混合し、圧縮して、それぞれ120または350mgの核が得られる。核に、上記のフィルムコートの水性溶液または懸濁液を塗布する。
【0242】
実施例B
以下の成分を含むカプセルは、慣用の方法で作製できる:
成分 カプセルあたり
式(I)の化合物 25.0mg
ラクトース 150.0mg
トウモロコシデンプン 20.0mg
タルク 5.0mg

成分を篩に通し、混合し、サイズ2のカプセルに充填する。
【0243】
実施例C
注射用液は、以下の組成を有することができる:
式(I)の化合物 3.0mg
ゼラチン 150.0mg
フェノール 4.7mg
炭酸ナトリウム 最終pH7を得るように
注射液用の水 1.0mlに
【0244】
実施例D
以下の成分を含むソフトゼラチンカプセルは、慣用の方法で作製できる:
カプセル内容物
式(I)の化合物 5.0mg
黄色ワックス 8.0mg
水素化大豆油 8.0mg
部分水素化植物油 34.0mg
大豆油 110.0mg
カプセル内容物の重量 165.0mg
ゼラチンカプセル
ゼラチン 75.0mg
グリセリン85% 32.0mg
カリオン83 8.0mg(乾燥物)
二酸化チタン 0.4mg
黄色酸化鉄 1.1mg
【0245】
活性成分を、他の成分の温溶融物に溶解し、混合物を、適当なサイズのソフトゼラチンカプセルに充填する。充填したソフトゼラチンカプセルを通常の手順に従って処理する。
【0246】
実施例E
以下の成分を含むサッシェ剤は、慣用の方法で作製できる:
式(I)の化合物 50.0mg
ラクトース、微粉末 1015.0mg
微晶質セルロース(AVICEL PH 102) 1400.0mg
カルボキシメチルセルロースナトリウム 14.0mg
ポリビニルピロリドンK30 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 10.0mg
風味用添加剤 1.0mg
【0247】
活性成分を、ラクトース、微晶質セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムと混合し、水中のポリビニルピロリドンの混合物で顆粒化する。顆粒をステアリン酸マグネシウムおよび風味用添加剤と混合し、サッシェに充填する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


〔式中、
1は、O、S、またはCH2であり;
1は、水素またはC1-7アルキルであり;
2は、水素またはC1-7アルキルであるか、あるいはX1がCH2であるとき、R2は、水素、C1-7アルキルまたはC1-7アルコキシであり;
3は、水素またはC1-7アルキルであり;
4およびR5またはR5およびR6は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、互いに結合して環を形成し、かつR4およびR5またはR5およびR6は、一緒になって、
−CH=CH−CH=CH−、
−CH=CH−S−、−S−CH=CH−、−CH=CH−O−、−O−CH=CH−、
−(CH2p−、−O−(CH2q−または−(CH2q−O−であり、
(ここで、pは、3、4または5であり、qは、2または3である);
4およびR6は、上で定義された環構造に組み込まれているか、あるいは互いに独立に、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロゲン、C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、フルオロ−C1-7アルキル、シアノ−C1-7アルキルまたはシアノであり;
7およびR8は、互いに独立に、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロゲン、C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、フルオロ−C1-7アルキル、シアノ−C1-7アルキルまたはシアノであり;そして
6およびR7の一つは、
【化2】


(式中、
2は、S、O、またはNR9であり;
9は、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、フルオロ−C1-7アルキル、ヒドロキシ−C2-7アルキル、またはC1-7アルコキシ−C2-7アルキルであり;
1、Y2、Y3およびY4は、NまたはC−R12であり、Y1、Y2、Y3およびY4の1または2は、Nであり、他のものは、C−R12であり;
10は、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、またはフルオロ−C1-7アルキルであり;
11は、水素、C1-7アルキル、またはC1-7アルコキシ−C1-7アルキルであり;
12は、存在ごとに、互いに独立に、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、フルオロ−C1-7アルキル、C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、ヒドロキシ−C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ−C1-7アルキル、カルボキシ−C1-7アルコキシ−C1-7アルキル、カルボキシ−C1-7アルキル、モノ−またはジ−C1-7アルキル−アミノ−C1-7アルキル、C1-7アルカノイル−C1-7アルキル、C2-7アルケニル、およびC2-7アルキニルから選択され;
13は、アリールまたはヘテロアリールであり;そして
nは、0、1または2である)であるが;
但し、
1がOであり、R2およびR3が水素であり、
6が、
【化3】


であり、
2がOまたはSであり、そしてR10およびR11が水素である、式Iの化合物は除く〕
の化合物およびその鏡像異性体、ならびに薬学的に許容されうるその塩およびエステル。
【請求項2】
1が水素である、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項3】
2が−NR9であり、R9が、水素、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、フルオロ−C1-7アルキル、ヒドロキシ−C2-7アルキル、またはC1-7アルコキシ−C2-7アルキルである、請求項1または2記載の式Iの化合物。
【請求項4】
9が、C1-7アルキルである、請求項3記載の式Iの化合物。
【請求項5】
〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エチル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸;
〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−プロピル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸;および
〔4−(メチル−{1−〔2−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−ブチル}−アミノ)−ナフタレン−1−イルオキシ〕−酢酸、
からなる群より選択される、請求項4記載の式Iの化合物。
【請求項6】
2−メチル−2−(4−{メチル−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメチル〕−アミノ}−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルオキシ)−プロピオン酸、
である請求項4記載の式Iの化合物。
【請求項7】
1が、SまたはCH2である、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項8】
1が、CH2である、請求項7記載の式Iの化合物。
【請求項9】
2−メトキシ−3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イル)−プロピオン酸;
3−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸;および
3−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸、
からなる群より選択される、請求項8記載の式Iの化合物。
【請求項10】
3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−プロピオン酸、
3−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イル)−プロピオン酸、
3−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸、
3−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸、および
3−{4−〔5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−2−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イル〕−プロピオン酸、
からなる群より選択される、請求項8記載の式Iの化合物。
【請求項11】
10が、C1-7アルキルである、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項12】
(4−{1−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ)−酢酸、
である請求項11記載の式Iの化合物。
【請求項13】
2が、C1-7アルキルである、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項14】
3が、C1-7アルキルである、請求項13記載の式Iの化合物。
【請求項15】
1が、Oであり、R2およびR3が、C1-7アルキルである、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項16】
2−メチル−2−(3−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ)−プロピオン酸、
2−メチル−2−{3−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−1−イルオキシ}−プロピオン酸、
2−(3−{2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−1−イルオキシ〕−2−メチル−プロピオン酸、
2−{4−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イルメトキシ〕−ナフタレン−2−イルオキシ}−2−メチル−プロピオン酸、
2−(4−{2−〔4−シクロプロピル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イルオキシ)−2−メチル−プロピオン酸、
2−メチル−2−(4−{2−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル〕−エトキシ}−ナフタレン−2−イルオキシ)−プロピオン酸、および
2−メチル−2−{4−〔2−メチル−6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルメトキシ〕−ナフタレン−2−イルオキシ〕−プロピオン酸、
からなる群より選択される、請求項15記載の式Iの化合物。
【請求項17】
13が、非置換フェニルまたは、C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、ハロゲン、フルオロ−C1-7アルキルおよびシアノからなる群より選択される、1〜3個の基で置換されているフェニルである、請求項1〜16のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項18】
13が、ハロゲンまたはフルオロ−C1-7アルキルで置換されているフェニルである、請求項17記載の式Iの化合物。
【請求項19】
式I−A:
【化4】


〔式中、
4およびR5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、環を形成し、かつR4およびR5は、一緒になって、
−CH=CH−CH=CH−、
−CH=CH−S−、−S−CH=CH−、−CH=CH−O−、−O−CH=CH−、
−(CH2p−、−O−(CH2q−または−(CH2q−O−であり、
(ここで、pは、3、4または5であり、qは、2または3である);
1、X2、Y1〜Y4、R1、R2、R3、R7、R8、R10、R11、R13およびnは請求項1に定義されたとおりである〕
を有する、請求項1記載の式Iの化合物(但し、X1がOであり、R2およびR3が水素であり、X2がOまたはSであり、R10およびR11が水素である、式I−Aの化合物は除く)。
【請求項20】
式I−B:
【化5】


〔式中、
4およびR5は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、環を形成し、かつR4およびR5は、一緒になって、
−CH=CH−CH=CH−、
−CH=CH−S−、−S−CH=CH−、−CH=CH−O−、−O−CH=CH−、
−(CH2p−、−O−(CH2q−または−(CH2q−O−であり、
(ここで、pは、3、4または5であり、qは、2または3である);
1、X2、Y1〜Y4、R1、R2、R3、R6、R8、R10、R11、R13およびnは請求項1に定義されたとおりである〕
を有する、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項21】
式I−C:
【化6】


〔式中、
5およびR6は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、環を形成し、かつR5およびR6は、一緒になって、
−CH=CH−CH=CH−、
−CH=CH−S−、−S−CH=CH−、−CH=CH−O−、−O−CH=CH−、
−(CH2p−、−O−(CH2q−または−(CH2q−O−であり、
(ここで、pは、3、4または5であり、qは、2または3である);
1、X2、Y1〜Y4、R1、R2、R3、R4、R8、R10、R11、R13およびnは請求項1に定義されたとおりである〕
を有する、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項記載の化合物の製造方法であって、式II:
【化7】


〔式中、R1は、C1-7アルキルであり、R2〜R8は上で定義されたとおりであり、R6またはR7は、−OH、−SHまたは−NHR9(ここで、R9は上で定義されたとおりである)である〕
の化合物を、式III:
【化8】


(式中、Y1〜Y4、R10、R11、R13およびnは上で定義されたとおりであり、R14は、−OH、−Cl、−Br、−Iまたは他の脱離基である)
の化合物と反応させて、式I:
【化9】


(式中、R6またはR7は、
【化10】


であり、X2は、O、S、または−NR9であり、R1は、C1-7アルキルであり、X1、Y1〜Y4、R2〜R13およびnは上で定義されたとおりである)
の化合物を得、さらに、
場合により、エステル基を加水分解して、R1が水素である、式Iの化合物を得る、方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法により製造された、請求項1〜21のいずれか一項記載の化合物。
【請求項24】
請求項1〜21のいずれか一項記載の化合物と、薬学的に許容しうる担体および/または助剤とを含む医薬組成物。
【請求項25】
PPARδおよび/またはPPARαアゴニストにより調節される疾患の治療および/または予防用の請求項24記載の医薬組成物。
【請求項26】
治療上活性な物質として使用するための、請求項1〜21のいずれか一項記載の化合物。
【請求項27】
PPARδおよび/またはPPARαアゴニストにより調節される疾患の治療および/または予防用の治療上活性な物質として使用するための、請求項1〜21のいずれか一項記載の化合物。
【請求項28】
PPARδおよび/またはPPARαアゴニストにより調節される疾患を治療および/または予防する方法であって、請求項1〜21のいずれか一項記載の化合物をヒトまたは動物に投与することを含む方法。
【請求項29】
PPARδおよび/またはPPARαアゴニストにより調節される疾患の治療および/または予防用の医薬の製造のための、請求項1〜21のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項30】
糖尿病、インスリン非依存性糖尿病、脂質およびコレステロールレベルの増加、特に、低HDL−コレステロール、高LDL−コレステロール、もしくは高トリグリセリドレベル、アテローム硬化性疾患、代謝性症候群(シンドロームX)、肥満、高血圧、内皮性障害、凝血原状態、脂質異常血症、多嚢胞性卵巣症候群、炎症性疾患および増殖性疾患の治療および/または予防用の請求項28または29記載の使用および/または方法。
【請求項31】
低HDL−コレステロールレベル、高LDL−コレステロールレベル、高トリグリセリドレベル、および代謝性症候群(シンドロームX)の治療および/または予防用の請求項30記載の使用および/または方法。
【請求項32】
本明細書中で実質的に記載される新規化合物、工程、方法、ならびにそのような化合物の使用。

【公表番号】特表2007−509998(P2007−509998A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538707(P2006−538707)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012199
【国際公開番号】WO2005/049572
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】