RFIDタグ及びその製造方法
【目的】パッチアンテナに孔を明けたり、あるいは、パッチアンテナにDC的に給電する必要がないRFIDタグ及びその製造方法を提供する。
【構成】タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグにおいて、該RFIDタグは、LSIチップが搭載された所定線幅の線状アンテナ、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ、線状アンテナとパッチアンテナ間を高周波結合する高周波結合部を備えている。高周波結合部は、例えば、パッチアンテナにスロットを形成し、線状アンテナとしての微小ダイポールアンテナの一端が該スロットと交叉するように積層配置することにより形成され、該微小ダイポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる。
【構成】タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグにおいて、該RFIDタグは、LSIチップが搭載された所定線幅の線状アンテナ、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ、線状アンテナとパッチアンテナ間を高周波結合する高周波結合部を備えている。高周波結合部は、例えば、パッチアンテナにスロットを形成し、線状アンテナとしての微小ダイポールアンテナの一端が該スロットと交叉するように積層配置することにより形成され、該微小ダイポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグ及びその製造方法に係わり、特にタグアンテナとしてパッチアンテナ(平面アンテナ)を備え、導電性物体あるいは非導電性物体あるいは液体を含む物体に貼り付けて使用しても所要の特性を発揮するRFIDタグ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流通業界、運送業界等において、個々の製品情報を管理する方法として、製品自体に、あるいは製品の箱にバーコードを印刷あるいは貼付し、このバーコードをバーコードリーダによって読取る方法が広く用いられている。しかし、かかるバーコード処理方法では、バーコードを読取る際、バーコードリーダをバーコードに接触させなければならず、読み取り作業が面倒であった。また従来のバーコード処理方法では、バーコード自体に新たな情報を追加あるいは更新することができない問題があった。
このため、近年、バーコードに替わって物品等にRFID(Radio Frequency Identification)タグをつけ、物品の情報を無線(電磁結合)で非接触で読み取ることが要求され、実用化されつつある。RFIDタグは、ICカードの機能に情報の無線通信機能を追加したもので、情報記録可能な不揮発性メモリを備えているが電池(電源部)を有していない。このため、タグ読み取り装置はRFIDタグのメモリから情報を非接触で読み取る際、電磁波でRFIDタグに電力を供給し、該メモリから情報を読み取るようになっている。かかるRFIDタグによれば、作業性の大幅な向上を図ることができ、しかも、RFIDタグとの間で認証機能、暗号化等の技術を用いることにより、優れたセキュリティを確保することができる。
【0003】
図38はRFIDタグの説明図であり、読み取り装置1はアンテナ2より送信データで変調した無線信号(電磁波)をRFIDタグ3に送信する。無線タグ3のアンテナ3aは受信信号を整流回路3bと変復調回路3cに入力する。整流回路3bは無線信号を直流電圧に変換して変復調回路3cと論理回路3dに供給し、電源として動作する。変復調回路3cは読み取り装置1から送られてきた制御データを復調し、論理回路3dに入力する。論理回路3dは該制御データ(コマンド)に応じた論理処理を行なって、例えば内蔵のメモリに記憶されている情報を読み取って変復調回路3cに入力する。変復調回路3cは論理回路から入力された情報を用いて搬送波を変調して無線でアンテナ3aから読み取り装置1に送信する。
RFIDタグとして種々のタイプが提案されている。その1つとしてプラスチックや紙などの誘電体ベースシート上に電波通信用のアンテナパターンとICチップ(LSI)を搭載したものがある。かかるRFIDタグは非導電性の物体に貼り付けられると通信距離等に関して所要の性能が得られる。しかし、スチール等の金属に貼り付けられる場合、該金属によりRFIDタグの通信用電波が阻害されて通信距離の低下などの不具合が生じる。
【0004】
図39はかかる不具合発生の説明図であり、図39(A)は半波長のダイポールアンテナパターンを備えたRFIDタグを非導電性物体(図示せず)に貼り付けた場合の説明図であり、リーダライターのアンテナより放射される電波によりダイポールアンテナDPにICチップに必要な電力(開放電圧V)が発生する。また、ダイポールアンテナに電流Iを流してリーダライターのアンテナに向けて電磁波を送信することができる。
しかし、金属物体にダイポールアンテナパターンを備えたRFIDタグを貼り付けた場合、金属表面において電界の接線方向成分が境界条件から0となり、周囲電界が0となる。このため、RFIDタグのICチップに必要な電力を供給することができない。またタグアンテナからリーダライターのアンテナに向け電磁波を送信(散乱)することもできない。すなわち、図39(B)に示すように、金属物体MTLにダイポールアンテナパターンDPを備えたRFIDタグを貼り付けた場合、ダイポールアンテナDPに電流Iを流すと、写像原理により金属物体MTLに逆方向に電流が流れるイメージIMGが発生する。このイメージにより、ダイポールアンテナ電流Iにより発生する電磁界が打ち消され、RFIDタグのICチップに必要な電力を供給することができず、しかも、タグアンテナからリーダライターのアンテナに向け電磁波を送信することもできなくなる。以上から金属表面に貼り付けてもアンテナ利得が劣化せず、電磁波の送受信が可能なタグアンテナを備えたRFIDタグが要望される。
【0005】
そこで、図39(C)に示すように、金属物体MTL表面からダイポールアンテナパターンDPまでの距離Dを大きくしてイメージの影響を低減することが考えられるがRFIDタグの厚みが大きくなって使用上の問題が生じる。また、UHF帯のRFIDシステムは他の周波数帯に比べ、通信距離が長いという利点を持つが、UHF帯のダイポール型タグアンテナは通常半波長(約16cm)程度の長さが必要である。この長さはタグアンテナを誘電体に貼り付けたり折り曲げたりすることで確保し、かつ小形化しているが、狭帯域になってしまう。以上から、RFIDタグの小型化、及び小形化してもアンテナ利得が劣化せず、しかも、極力帯域が広くなるようなタグアンテナを備えたRFIDタグが要望される。
また、タグアンテナの受信電力をLSIチップに効率よく供給するためにタグアンテナとLSIチップのインピーダンスがマッチング(整合)している必要がある。このため、インピーダンス変換回路が必要となるが、RFIDタグの製造コストが高くなる。このため、インピーダンス変換回路を使用せずにタグLSIチップとタグアンテナの整合を取る必要がある。すなわち、インピーダンス変換回路を使用しなくてもLSIチップとのインピーダンス整合が取れるようにしたタグアンテナを備えたRFIDタグが要望される。
【0006】
従来のダイポールアンテナを備えたRFIDタグは上記のように金属に貼り付けると通信距離が劣化するという問題がある。このため、UHF帯においても幾つかの金属対応タグアンテナが開発されているが(特許文献1参照)、いずれも厚さ4mm以上、長さ10cm以上と大きいものばかりであった。
このため、本願出願人は、金属表面に貼り付けても電磁波の送受信が可能な小型アンテナを備えたRFIDタグを提案している(特許文献2参照)。この提案されたRFIDタグ10は、図40に示すように直方体状の誘電体部材11と、この誘電体部材11の表面に設けられてループアンテナを形成する送受信用のアンテナパターン12と、このアンテナパターン12にチップ搭載パッド13を介して電気的に接続されたICチップ15と、を備えている。このループアンテナ構成のRFIDタグによれば小型、薄型の構造にもかかわらず、金属表面に貼り付けても電磁波の送受信が可能で通信距離を長くでき、しかも、広い帯域でゲインをほぼ一定にでき、更に、インピーダンス変換回路が無くても整合を取ることができる。しかし、ループアンテナ構成のRFIDタグを製造するには、側面メッキ加工などの複雑な工程、あるいは、絶縁フィルムを誘電体部材に巻きつける工程が必要となり、製造コストが高くなり、あるいは、高い巻き付け位置精度が要求される問題がある。
【0007】
そこで、最近、パッチアンテナをRFIDタグのタグアンテナとして使用することが提案されている。このパッチアンテナ構成のRFIDタグによれば、ループアンテナ構成のRFIDタグのように側面メッキ加工や巻きつけ作業が不要となる。
しかし、パッチアンテナをRFIDタグのアンテナに適用するには、RFIDタグのLSIチップとインピーダンスマッチングさせなければならない。通常、パッチアンテナへの給電は、50Ω給電線と整合がとれる位置より該パッチアンテナに給電すればよいが、LSIチップのインピーダンスは50Ωから大きく異なる値になり、インピーダンス変換回路が必要になる。また、従来のパッチアンテナでは、給電のためにパッチアンテナに孔を明ける必要があり、加工コストが高くつく問題がある。
インピーダンス変換回路が不要で、かつ、給電のための孔を明ける必要のないRFIDタグのパッチアンテナが提案されている(特許文献3)。この提案されている方法はパッチアンテナにタグLSIがDC的に接続された状態で給電するもので、接続線の線幅や長さを調整してインピーダンスマッチングを行なうものであるが、給電部の構造が複雑になりやすいという問題がある。また低い周波数、低い誘電率の基板を想定した場合、整合回路パターン並びに四分の一波長変換機がアンテナ全体に対して占める割合が大きくなる。
【特許文献1】特開2002−298106号公報
【特許文献2】特開2006−53833
【特許文献3】US6215401
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上から本発明の目的は、金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しないRFIDタグ及びその製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、給電のためにパッチアンテナに孔を明ける必要がなく、あるいは、パッチアンテナにDC的に接続する必要がないRFIDタグ及びその製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、インピーダンス変換回路が不要なRFIDタグ及びその製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、高利得の小型、薄型構造のRFIDタグ及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
・RFIDタグ
本発明はタグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグであり、LSIチップが搭載された給電用パターン、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ、前記給電用パターンと前記パッチアンテナ間を高周波結合する高周波結合部を備えている。
【0010】
本発明のRFIDタグは、更に、一方の側に前記給電用パターン、パッチアンテナ、高周波結合部が形成され、他方の側にグランドとしての導電パターンが形成された誘電体と、該パッチアンテナの一辺とグランド間を誘電体の側面において短絡する短絡部を備えている。
本発明のRFIDタグにおいて、代表的な給電用パターンはダイポールアンテナやモノポールアンテナおよびループアンテナである。
【0011】
上記本発明のRFIDタグにおいて、前記パッチアンテナにスロットが形成され、前記給電用パターンとしての微小ダイポールアンテナの一端が該スロットと交叉するように積層配置され、該微小ダイポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる。
上記本発明のRFIDタグにおいて、前記パッチアンテナに切り欠きが形成され、線状アンテナとしての微小ダイポールアンテナの一端が該切り欠きに高周波的に結合され、該微小ダイポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる。
上記本発明のRFIDタグにおいて、前記微小ダイポールアンテナの中央に前記LSIチップが搭載され、該LSIチップを中心に前記パッチアンテナと左右対称となるように別のパッチアンテナが設けられ、前記パッチアンテナと前記微小ダイポールアンテナの一端の位置関係と、該別のパッチアンテナと前記微小ダイポールアンテナの他端の位置関係が同じである。
【0012】
・RFIDタグの製造方法
本発明はタグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグの製造方法である。
このRFIDタグの製造方法は、両面プリント基板の表面をエッチングすることにより、LSIチップが搭載される給電用パターンとタグアンテナとして動作するパッチアンテナをそれぞれ基板の表面に形成し、かつ、給電用パターンとタグアンテナ間が高周波結合するように形成するステップ、前記プリント基板裏面の導電パターンをグランドとするステップ、前記LSIチップを前記給電用パターンに実装してRFIDタグを製造するステップを有している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、LSIチップが搭載された給電用パターン、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ、前記給電用パターンと前記パッチアンテナ間を高周波結合する高周波結合部を備え、給電用パターンより高周波的にパッチアンテナに給電するため、パッチアンテナに孔を明ける必要がないためRFIDタグを簡単に加工することができ、加工コストを下げることができる。
また、本発明によれば、パッチアンテナをタグアンテナとして利用しているため、グランド側の物資の特性に影響されないため、金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
また、本発明によれば、パッチアンテナの利得はループアンテナなどに比べて大きく、しかも、厚みや、金属の導電率、誘電体の損失等を調整することにより,パッチアンテナの利得を更に大きくでき、サイズを小型にできる。
また、本発明によれば、給電用パターンとしてのダイポールアンテナやモノポールアンテナに並列インダクタとして動作するループパターンを接続し、該パターンの寸法を調整することにより、あるいは給電用パターンの長さ、スロット長、切り欠き長などを調整することにより、LSIチップとインピーダンスマッチングさせることが可能になり、インピーダンス変換回路を不要にできる。
また、本発明によれば、パッチアンテナの一辺とグランド間を短絡するようにしたから、パッチアンテナのサイズを半分にしてRFIDタグを小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(A)第1実施例
図1は第1実施例のRFIDタグの説明図であり、(A)は誘電層を除去した場合の斜視図、(B)は誘電層が透明であるとした場合の側面図、(C)はパッチアンテナと微小ダイポールアンテナの位置関係を示す平面図である。側面図では構成が明確となるように各部の厚みを実際より厚くして示している。
第1実施例のRFIDタグは、絶縁フィルム31(図1(B))上に印刷あるいはエッチングにより形成されたパッチアンテナ32と、両面プリント基板33の表面をエッチングすることにより形成された微小ダイポールアンテナ34と、プリント基板裏面の導電パターンで形成されたグランド(GND)35を積層して構成されている。絶縁フィルム31として、可撓性を有する熱可塑性プラスチック例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニル(PVC)を用いることができる。波長λに比べてきわめて短い長さのダイポールアンテナのことを微小ダイポールアンテナという。ダイポールアンテナは線状アンテナに属する。
パッチアンテナ32には微小ダイポールアンテナ34と高周波結合するための細長の所定寸法のスロット36が形成されている。微小ダイポールアンテナ34は所定線幅の直線形状を備え、その中央部にRFIDタグのLSIチップ37がチップボンディング技術により実装され、該微小ダイポールアンテナ34の左右にインピーダンス調整用の導電パターン(並列インダクタ)38a,38bが接続されている。微小ダイポールアンテナの一端直線部はパッチアンテナ32に形成したスロット36と交叉するように積層配置され、該微小ダイポールアンテナ34よりパッチアンテナ32に高周波的に給電するようになっている。
並列インダクタ38a,38bは微小ダイポールアンテナと一体に形成され、所定線幅を備え、その長さはタグアンテナがLSIチップ37にインピーダンスマッチングするように調整されている。なお、図1は2つの並列インダクタ38a,38bを接続した例であるが1つでも良い。また、ダイポールアンテナ34の下側直線部を折り曲げて全体のサイズを小さくすることができる。
【0015】
図2(A)に示すようにパッチアンテナの1辺のサイズdをλ/2にし、所定周波数でパッチアンテナを共振させると、すなわち、電流Jをパッチアンテナ表面で往復させると、図2(B)に示すようにY軸(水平)方向に偏波を持つ電波がパッチアンテナに垂直方向(Z軸方向)に放射する。この電波はパッチアンテナのグランド側の物資の特性に影響されない。このため、第1実施例のRFIDタグを金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
また、パッチアンテナの利得はループアンテナなどより高く、しかも、厚みや金属の導電率、誘電体の損失等を調整することにより利得を大きくできるため、第1実施例のRFIDタグのサイズを小型にできる。
また、第1実施例のRFIDタグでは、LSIチップが搭載された微小ダイポールアンテナとパッチアンテナ間をDC的に接続せず、高周波結合するだけでよいため、パッチアンテナに孔を明けたり、あるいは、DC接続が必要でないためRFIDタグを簡単に加工することができ、加工コストを下げることができる。
また、微小ダイポールアンテナに並列インダクタとして動作するループパターンを接続し、該パターンの寸法を調整することにより、あるいは、ダイポールアンテナの長さ、スロット長などを調整することにより、インピーダンス変換回路を使用しないでタグアンテナとLSIチップとのインピーダンスマッチングを取ることができる。
【0016】
(B)第2実施例
(a)構造
図3(A)は第2実施例のRFIDタグの平面図である。第2実施例のRFIDタグでは、両面プリント基板41の表面をエッチングすることにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ42と微小ダイポールアンテナ43がそれぞれ形成され、基板の裏面の導電パターン(図示せず)がグランドとして使用される。パッチアンテナ42の下部中央には細長の切り欠き44が形成されている。すなわち、切り欠き44がパッチアンテナ42の内部方向に向かって直線的に形成され、微小ダイポールアンテナ43の一端直線部43aが該切り欠きの中に設けられている。
所定線幅の微小ダイポールアンテナ43は逆L字状に折り曲げて直線部43a,43bを備え、その折曲がり近傍にRFIDタグのLSIチップ45がチップボンディング技術により実装されている。また、該微小ダイポールアンテナ43の右側にはインピーダンス調整用の導電パターン(並列インダクタ)46が接続されている。並列インダクタ46は微小ダイポールアンテナと一体に形成され、所定線幅を備え、その長さs2はタグアンテナがLSIチップ37にインピーダンスマッチングするように調整される。
微小ダイポールアンテナの一端直線部43aはパッチアンテナ42に形成した細長の切り欠き44に挿入され、該切り欠きを介して微小ダイポールアンテナ43とパッチアンテナ42間が高周波的に接続される。すなわち、微小ダイポールアンテナ43よりパッチアンテナ42に高周波的に給電するようになっている。
パッチアンテナの1辺のサイズdをλ/2にし、所定周波数でパッチアンテナを共振させると、すなわち、電流Jをパッチアンテナ表面で往復させると、第1実施例の場合と同様に電波がパッチアンテナに垂直方向に放射する。この電波はパッチアンテナのグランド側の物資の特性に影響されない。このため、第2実施例のRFIDタグを金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
【0017】
図3(B)は基板サイズを小さくするためのパッチアンテナの端部に矩形の切り欠き47a、47bを形成した例であり、(a1+a2+a3+2×a4)の電気長が波長の半分と概略等しくなるように切り欠きを形成する。このようにすれば、縦サイズの寸法を2×a4だけ短くできる。ただし、a4を大きくしすぎるとアンテナ利得が小さくなるため、適度な値にする必要がある。
図3(A),(B)の第2実施例において、パッチアンテナ42と微小ダイポールアンテナ43を同一誘電体表面に形成したが、積層して構成することもでき、それぞれの製造方法は後述する。また、微小ダイポールアンテナ43は基板のサイズを小さくするために逆L字状に折り曲げて形成しているが、サイズを重視しなければ折り曲げる必要はない。
図4(A),(B)は図3のRFIDタグの実際の寸法及び基板特性を示すもので、基板サイズは78mm×44mm×1.2mmである。また、微小ダイポールアンテナの一端43aの線幅は2.0mm、他端43bの線幅は1.0mm、切り欠き44と微小ダイポールアンテナ43間のスペース間隔は0.5mm、並列インダクタ46とパッチアンテナ先端部の間隔は0.5mmである。
図4の寸法および基板特性を備える第2実施例のRFIDタグにおいて、パッチアンテナに加える周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの各種特性をシミュレーションした。ただし、LSIチップが動作するために必要な最小パワーを−10.00dBm、リーダライターのアンテナに供給されるパワーを27.00dBm、リーダライタアンテナ利得を9.00dBiとしている。
【0018】
(b)各種特性
図5は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの各種シミュレーション結果であり,(1)LSIチップのサセプタンスBcp,抵抗Rc、リアクタンスXc、(2)タグアンテナの抵抗Ra, リアクタンスXa、整合係数q、SパラメータS11、利得、および(3)リーダライターのアンテナに直線偏波および円偏波のアンテナをそれぞれ使ったときの通信距離を示している。タグアンテナは、パッチアンテナと微小ダイポールアンテナを組み合わせた部分である。
【0019】
・整合特性
図6はタグアンテナのインピーダンスを示すスミスチャートであり、周波数を850MHzから980MHzまで変化するとタグアンテナのインピーダンスはIPTで示すように丸を描くように変化する。そして、図5の特性結果より950〜953MHz付近におけるタグアンテナのインピーダンスがLSIチップ45の入力インピーダンスにほぼ整合する値となる。
LSIチップとタグアンテナで構成されるRFIDタグの等価回路は図7に示すようになる。すなわち、等価回路はLSIチップとタグアンテナの並列回路で表わされ、LSIチップは抵抗RcとコンデンサCc(リアクタンスはXc)の並列回路で表わされ、タグアンテナは抵抗RaとインダクタンスLa(リアクタンスはXa)の並列回路で表わされる。このRFIDタグにおける整合の条件はRc=Ra、|Xc|=Xaであり、図5より950〜953MHz付近で第2実施例のRFIDタグはこの整合条件を満たしている。
・利得特性及びS11特性
図8は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのタグアンテナの利得を示しており、パッチアンテナが953MHz近傍で共振しており、そこで高い利得(ゲイン)が得られている。
図9は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのSパラメータS11の特性図である。SパラメータS11はLSIチップとのインピーダンスマッチングの度合を表わし、950〜953MHz付近において最小値を示している。
【0020】
・通信距離
図10は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの通信距離を示し、リーダライターのアンテナに直線偏波のアンテナを使った場合であり、953MHz近傍で最大になっている。RFIDタグの通信距離rは概略以下の式で与えられる。
【数1】
ここで、λは波長、Ptはリーダライタアンテナに加えたパワー、GtおよびGrはそれぞれタグアンテナおよびリーダライタアンテナのアンテナゲイン、PthはLSIチップが動作するために必要なパワーの最小値である。また、ZcおよびZaはそれぞれ、LSIチップとタグアンテナの複素インピーダンスである。
・整合調整
並列インダクタ46の寸法によっては、タグアンテナとLSIチップのインピーダンスマッチングを取れない場合がある。かかる場合には微小ダイポールの長さS1または並列インダクタ46の寸法s2またはs1とs2の両方を調整する。寸法s2を大きくすると、図11(A)のスミスチャート上で周波数を変化させたときのインピーダンス軌跡IPTが描く円が矢印方向に移動すると共に僅かに大きくなる。これは図7に示す等価回路において、タグアンテナの並列インダクタンスLaが大きくなったことに対応し、より大きなタグLSIの並列容量Ccを打ち消せることを意味する。一方寸法s1を大きくすると図11(B)に示すようにインピーダンスの軌跡は、時計回りもしくは反時計回りにはあまり回転せず、円の大きさが大きくなる方向に変化する。これは図7に示す等価回路において、タグアンテナの並列抵抗Raが小さくなったことに対応し、より小さなタグLSIの並列抵抗Raを打ち消せることを意味する。そこで、寸法s2または寸法s1またはs1とs2の両方を調整してインピーダンス軌跡IPTを移動し、所望の周波数でインピーダンスマッチングが取れるようにする。
【0021】
(c)効果
第2実施例によれば、放射する電波はパッチアンテナのグランド側の物資の特性に影響されない。このため、第2実施例のRFIDタグを金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
また、パッチアンテナの利得はループアンテナなどより高く、しかも、厚みや金属の導電率、誘電体の損失等を調整することにより利得を大きくできるため、第2実施例のRFIDタグのサイズを小型にできる。
また、第2実施例のRFIDタグでは、LSIチップが搭載された微小ダイポールアンテナとパッチアンテナ間をDC的に接続せず、高周波結合するだけでよいため、パッチアンテナに孔を明けたりする必要がなく、しかも、DC接続が不要のためRFIDタグを簡単に加工することができ、加工コストを下げることができる。
また、微小ダイポールアンテナに並列インダクタとして動作するループパターンを接続し、該パターンの寸法を調整することにより、あるいは、ダイポールアンテナの直線部43bの長さs0や、切り欠き長s1などを調整することにより、インピーダンス変換回路を使用しないでLSIチップとインピーダンスマッチングを取ることができる。
【0022】
(C)第3実施例
図12は第3実施例のRFIDタグの平面図であり、図3(A)の第2実施例のタグアンテナを並列に接続した構成を有している。
タグアンテナとして動作する2つのパッチアンテナ42,42′と微小ダイポールアンテナ43は、それぞれ両面プリント基板41の表面をエッチングすることにより形成され、図示しないが基板の裏面の導電パターンがグランドとなっている。直線状の微小ダイポールアンテナ43の中央にはLSIチップ45が実装され、該LSIチップを中心にパッチアンテナ42とパッチアンテナ42′が左右対称となるようにが形成されている。また、パッチアンテナ42と微小ダイポールアンテナの一端43aの位置関係と、パッチアンテナ42′と微小ダイポールアンテナの他端43bの位置関係は全く同一になっている。更に、並列インダクタ46a,46bが微小ダイポールアンテナ43の上下に対称に接続されている。
第3実施例のRFIDタグによれば、タグアンテナの利得を大きくでき、電波を遠くまで飛ばすことが可能になるが、サイズが倍になる。
図13は第1実施例のタグアンテナを並列に接続した場合の平面図であり、図12のRFIDタグと同等の効果がある。
【0023】
(D)第4実施例
(a)構造
図14(A),(B)は第4実施例のRFIDタグの平面図で、(A)は全体図、(B)は点線で囲んだ部分の拡大図である。第4実施例のRFIDタグでは、両面プリント基板51の表面をエッチングすることにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ52と微小モノポールアンテナ53がそれぞれ形成され、基板の裏面の導電パターン(図示せず)がグランドとして使用される。波長λに比べてきわめて短い長さのモノポールアンテナのことを微小モノポールアンテナという。モノポールアンテナは線状アンテナに属する。
パッチアンテナ52の左側端部には浅い切り欠き52aが形成され、この切り欠きに微小モノポールアンテナ53の所定線幅のアンテナ部53aが配置されている。該切り欠きを介して微小モノポールアンテナ53とパッチアンテナ52間が高周波的に接続される。すなわち、微小モノポールアンテナ53よりパッチアンテナ52に高周波的に給電するようになっている。パッチアンテナ52の右側端部には基板サイズを小さくするために、(a1+a2+a3+2×a4)の電気長がλ/2と概略等しくなるように切り欠き52bが形成されている。
微小モノポールアンテナ53の逆L字のアンテナ部53aの先端にはインピーダンス調整用のループ状の導電パターン(並列インダクタ)53bが接続され、ループ中間部にRFIDタグのLSIチップ54がチップボンディング技術により実装されている。並列インダクタ53bは微小モノポールアンテナと一体に形成され、所定線幅を備え、その長さs2はタグアンテナがLSIチップ54とインピーダンスマッチングするように調整される。
パッチアンテナ52の1辺の長さをλ/2にし、所定周波数で該パッチアンテナを共振させると、すなわち、電流Jをパッチアンテナ表面で往復させると、第1、第2実施例の場合と同様に電波がパッチアンテナに垂直方向に放射する。この電波はパッチアンテナのグランド側の物資の特性に影響されない。このため、第4実施例のRFIDタグを金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
図14の第4実施例では、パッチアンテナ52と微小モノポールアンテナ53を同一誘電体表面に形成したが、積層して構成することもでき、それぞれの製造方法は後述する。
図15(A),(B)は図14のRFIDタグの実際の寸法及び基板特性を示すもので、基板サイズは78mm×44mm×1.2mmである。また、微小モノポールアンテナの線幅は1.0mm、切り欠き52aと微小モノポールアンテナ53間のスペース間隔は0.5mmである。
【0024】
(b)各種特性
図15の寸法および基板特性を備える第4実施例のRFIDタグにおいて、パッチアンテナに加える周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの各種特性をシミュレーションした。ただし、LSIチップが動作するために必要な最小パワーを−10.00dBm、リーダライターのパワーを27.00dBm、利得を9.00dBiとしている。
図16は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの各種測定結果であり,(1)LSIチップのサセプタンスBcp,抵抗Rc、リアクタンスXc、(2)タグアンテナの抵抗Ra, リアクタンスXa、整合係数q、SパラメータS11、利得、および(3)リーダライターのアンテナに直線偏波および円偏波のアンテナをそれぞれ使ったときの通信距離を示している。
・整合特性
図17はタグアンテナのインピーダンスを示すスミスチャートであり、周波数を850MHzから980MHzまで変化するとタグアンテナのインピーダンスはIPTで示すように小丸を描くように変化する。そして、図16の特性結果より953MHz付近におけるタグアンテナのインピーダンスがLSIチップ54の入力インピーダンスにほぼ整合する値となる。
【0025】
・利得特性及びS11特性
図18は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのタグアンテナの利得を示しており、パッチアンテナが953MHz近傍で共振しており、そこで高い利得(ゲイン)が得られている。
図19は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのSパラメータS11の特性図である。SパラメータS11はLSIチップとのインピーダンスマッチングの度合を表わし、953MHz付近において最小値を示し、−20dB以下になっている。
・通信距離
図20は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの通信距離を示し、リーダライターのアンテナに直線偏波のアンテナを使った場合であり、953MHz近傍で通信距離が最大になっている。
・整合調整
並列インダクタ53bの寸法によってはインピーダンスマッチングを取れない場合がある。かかる場合には並列インダクタ53bの寸法s2を調整する。寸法s2を小さくすると、図21のスミスチャート上で周波数を変化させたときのインピーダンス軌跡IPTが描く円が反時計回りに回転する。そこで、寸法s2を調整してインピーダンス軌跡IPTの円を回転させ所望の周波数でインピーダンスマッチングが取れるようにする。
【0026】
(c)効果
第4実施例によれば、放射する電波はパッチアンテナのグランド側の物資の特性に影響されない。このため、第1実施例のRFIDタグを金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
また、パッチアンテナの利得はループアンテナなどより高く、しかも、厚みや金属の導電率、誘電体の損失等を調整することにより利得を大きくできるため、第4実施例のRFIDタグのサイズを小型にできる。
また、第4実施例のRFIDタグでは、LSIチップが搭載された微小モノポールアンテナとパッチアンテナ間をDC的に接続せず、高周波結合するだけでよいため、パッチアンテナに孔を明けたりする必要がなく、しかも、DC接続が不要のためRFIDタグを簡単に加工することができ、加工コストを下げることができる。
また、微小モノポールアンテナに並列インダクタとして動作するループパターンを接続し、該パターンの寸法s2を調整することにより、あるいはモノポールアンテナの直線部の長さs1やs3などを調整することにより、インピーダンス変換回路を使用しないでLSIチップとインピーダンスマッチングを取ることができる。
【0027】
(E)第5実施例
第4実施例では給電パターンとして微小モノポールアンテナ53をパッチアンテナ52の浅い切り欠きに配置し、微小モノポールアンテナ53とパッチアンテナ52間を高周波的に接続し、該微小モノポールアンテナよりパッチアンテナ52に給電する場合であった。しかし、微小モノポールアンテナ53の代わりに所定線幅のループパターンを配置し、該ループパターンよりパッチアンテナに給電するように構成することもできる。
(a)構造
図22は第5実施例のRFIDタグの平面図である。第5実施例のRFIDタグでは、両面プリント基板61の表面をエッチングすることにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ62と給電パターンとしてのループパターン63がそれぞれ形成され、基板の裏面の導電パターン(図示せず)がグランドとして使用される。
パッチアンテナ62の左側端部には浅い切り欠き62aが形成され、この切り欠きに所定線幅のループパターン63が配置されている。該切り欠きを介してループパターン63とパッチアンテナ62間が高周波的に接続され、ループパターン63よりパッチアンテナ62に高周波的に給電するようになっている。ループパターン下端部にはRFIDタグのLSIチップ64がチップボンディング技術により実装されている。ループパターン63の長さs2はタグアンテナがLSIチップ64とインピーダンスマッチングするように調整される。
パッチアンテナ62の1辺の長さをλ/2にし、所定周波数で該パッチアンテナを共振させると、すなわち、電流Jをパッチアンテナ表面で往復させると、第1、第2実施例の場合と同様に電波がパッチアンテナに垂直方向に放射する。この電波はパッチアンテナのグランド側の物資の特性に影響されない。このため、第5実施例のRFIDタグを金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
図22の第5実施例では、パッチアンテナ62とループパターン63を同一誘電体表面に形成したが、積層して構成することもでき、それぞれの製造方法は後述する。
図23(A),(B)は図22のRFIDタグの実際の寸法及び基板特性を示すものである。また、ループパターン63の線幅は1.0mm、切り欠き62aとループパターン63間のスペース間隔は0.5mmである。
【0028】
(b)各種特性
図23の寸法および基板特性を備える第5実施例のRFIDタグにおいて、パッチアンテナに加える周波数を840MHzから980MHzまで変化したときの各種特性をシミュレーションした。
・整合特性
図24はタグアンテナのインピーダンスを示すスミスチャートであり、周波数を840MHzから980MHzまで変化するとタグアンテナのインピーダンスはIPTで示すように小丸を描くように変化する。そして、953MHz付近におけるタグアンテナのインピーダンスがLSIチップ64の入力インピーダンスにほぼ整合する値となる。
【0029】
・利得特性及びS11特性
図25は周波数を840MHzから980MHzまで変化したときのタグアンテナの利得を示しており、パッチアンテナが953MHz近傍で共振しており、そこで高い利得(ゲイン)が得られている。
図26は周波数を840MHzから980MHzまで変化したときのSパラメータS11の特性図である。SパラメータS11はLSIチップとのインピーダンスマッチングの度合を表わし、953MHz付近において最小値を示し、−20dB以下になっている。
・通信距離
図27は周波数を840MHzから980MHzまで変化したときの通信距離を示し、リーダライターのアンテナに直線偏波のアンテナを使った場合で、953MHz近傍で最大になっている。ただし、通信距離は、LSIチップが動作するために必要な最小パワーを−10.00dBm、LSIチップの並列抵抗Rcを800Ω、LSIチップの並列容量Ccを1.2pF、リーダライターのパワーを27.00dBm、利得を9.00dBiとして計算している。
・整合調整
ループパターン63の寸法によってはインピーダンスマッチングを取れない場合がある。かかる場合にはループパターン63の寸法s2を調整する。寸法s2を小さくすると、スミスチャート上で周波数を変化させたときのインピーダンス軌跡IPT(図24参照)が描く円が反時計回りに回転する。そこで、寸法s2を調整してインピーダンス軌跡IPTの円を回転させ所望の周波数でインピーダンスマッチングが取れるようにする。
【0030】
(c)効果
第5実施例によれば、放射する電波はパッチアンテナのグランド側の物資の特性に影響されない。このため、第1実施例のRFIDタグを金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
また、パッチアンテナの利得はループアンテナなどより高く、しかも、厚みや金属の導電率、誘電体の損失等を調整することにより利得を大きくできるため、第5実施例のRFIDタグのサイズを小型にできる。
また、第5実施例のRFIDタグでは、LSIチップが搭載されたループパターンとパッチアンテナ間をDC的に接続せず、高周波結合するだけでよいため、パッチアンテナに孔を明けたりする必要がなく、しかも、DC接続が不要のためRFIDタグを簡単に加工することができ、加工コストを下げることができる。
また、ループパターンの寸法s2を調整することにより、あるいはs3などを調整することにより、インピーダンス変換回路を使用しないでLSIチップとインピーダンスマッチングを取ることができる。
【0031】
(F)第6実施例
第6実施例はパッチアンテナの一辺とグランド間を短絡することによりRFIDタグのサイズを小型化する実施例である。
(a)構造
図28は第6実施例のRFIDタグの説明図であり、(A)は斜視図、(B)は(A)におけるAA矢視断面図、(C)は(A)においてB矢視方向からみた場合の斜視図である。
第5実施例のRFIDタグ(図22)においてパッチアンテナ62の1辺の長さをλ/2にして所定周波数で該パッチアンテナを共振させると、Y軸方向の電界Eが図29に示すように変化し、中央部で電界が零になる。これは、中央部でパッチアンテナとグランドを短絡しても電界分布が変化せず、第5実施例と同様に電波をパッチアンテナと垂直な方向に放射できることを意味して入る。
図28の第6実施例のRFIDタグは、かかる原理に基づいてパッチアンテナ62の一辺とグランド65間を短絡部66により基板61の側面において短絡し、これにより、パッチアンテナ62のサイズを第5実施例のRFIDタグに比べて約1/2にしている。すなわち、Y軸方向の長さをλ/4にしている。
第6実施例のRFIDタグは、パッチアンテナの一辺とグランド間が短絡されている点及びサイズが異なる点を除けば、第5実施例のRFIDタグとほぼ同様の構成を備えている。両面プリント基板61の表面をエッチングすることにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ62と給電パターンとしてのループパターン63がそれぞれ形成され、該基板61の裏面の導電パターン65((B)参照)がグランドとして使用され、パッチアンテナの一辺とグランド間が短絡部66により基板側面で短絡されている。この短絡部66は例えばメッキ加工により形成することができる。
【0032】
パッチアンテナ62の端部には切り欠き62aが形成され、この切り欠きに所定線幅のループパターン63が配置されている。該切り欠きを介してループパターン63とパッチアンテナ62間が高周波的に接続され、ループパターン63よりパッチアンテナ62に高周波的に給電するようになっている。ループパターン63の端部にはRFIDタグのLSIチップ64がチップボンディング技術により実装されている。ループパターン63の長さs2はタグアンテナがLSIチップ64とインピーダンスマッチングするように調整される。また、切り込み67の深さs5を調整することにより共振周波数を調整することができる。
各種調整は、第1〜第5実施例と同様な方法で調整可能である。例えば、上面パッチアンテナ62に設けた切込み67の深さs5を変えることで、パッチの共振周波数を調整することができる。また、給電パターン63の長さs2を変えることで、タグアンテナの入力インピーダンスを調整することが可能である。具体的な例として、インピーダンスおよび通信距離の周波数特性をシミュレーションした結果をそれぞれ図30、図31に示す。
図30は、基板(誘電体)の比誘電率を8.0、誘電損失を0.002、誘電体の大きさを30mm×30mm×2.5mmとしたRFIDタグを無限導体板上に置いたときのインピーダンスを、スミスチャート上にプロットしている。ループパターン63の寸法s2によってはインピーダンスマッチングを取れない場合があるいが、その場合には該寸法s2を調整する。寸法s2を小さくすると、スミスチャート上で周波数を変化させたときのインピーダンス軌跡IPTが、矢印方向に反時計回りに回転するから、所望の周波数でインピーダンスマッチングが取れるように寸法s2を調整する。
図31は周波数を900MHzから980MHzまで変化したときの通信距離を示す。通信距離の算出に当たっては、搭載されるタグLSIおよびリーダライタ(RW)アンテナの特性を次のように仮定した。すなわち、953MHzでのタグLSIインピーダンスを32−j109[Ω]、RWアンテナへの供給パワー0.5[W]、RWアンテナゲイン[9dBi]と仮定した。この通信距離のシミュレーション結果より明らかなように、UHF帯RFIDタグとしての周波数帯域(952-954MHz)において実用上十分な飛距離(約、2.6m)が得られている。
第6実施例によれば、第1〜第5実施例の利点に加えてRFIDタグのサイズを半減できるという利点がある。
なお、第6実施例は、パッチアンテナとグランドを短絡してサイズを半減するという原理を第5実施例のRFIDタグに適用した例であるが、該原理を第1〜第4実施例のRFIDタグにも適用してサイズを半減することができる。
【0033】
(G)変形例
第1〜第6実施例のタグアンテナは、図2に示すようにY軸方向に直線偏波する電波を水平面(パッチアンテナ面)に垂直方向に放射するものであり、当然、Y軸方向に直線偏波し、かつ、パッチアンテナ面に垂直方向から入射する電波を最も効率よく受信できる。しかし、X軸方向に直線偏波する電波が入射した場合には受信できない。そこで、円偏波の電波を発射し、かつ、任意の方向に直線偏波する電波が入射しても受信できるようにする。
図32は円偏波の電波の放射及び受信が可能なパッチアンテナの構成例である。図32(A)は電流Jが往復する方向に斜めにパッチアンテナPATTの一部71,72を切断した例、図32(B)は電流Jが往復する方向に斜めにパッチアンテナPATTにスロット73を形成した例である。
【0034】
(H)RFIDタグの製造方法
(a)第1の製造方法
図33はRFIDタグの第1の製造方法の説明図であり、第2実施例のRFIDタグの製造に適用した例であるが、第3、第4実施例のRFIDタグの製造にも適用ができる。
両面に導電パターンが被着されている両面プリント基板41を準備し、該両面プリント基板41の表面をエッチングすることにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ42と、LSIチップが搭載される微小ダイポールアンテナ43と、並列インダクタ46形成する。しかる後、LSIチップ45をチップボンディングにより微小ダイポールアンテナ43上に実装してRFIDタグを作成する。なお、両面プリント基板41の裏面の導電パターンをタグアンテナのグランドGNDとして使用する。
【0035】
(b)第2の製造方法
図34はRFIDタグの第2の製造方法の説明図であり、第2実施例のRFIDタグの製造に適用した例であるが、第3、第4実施例のRFIDタグの製造にも適用ができる。
PET等の絶縁フィルム41a上に印刷により、あるいはエッチングにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ42と、LSIチップが搭載される微小ダイポールアンテナ43と、並列インダクタ46を形成し、LSIチップ45をチップボンディングにより微小ダイポールアンテナ43上に実装する。
ついで、片面に導電パターンが被着されている片面プリント基板41bを用意し、該片面プリント基板41bの導電パターンが形成されていない面に前記絶縁フィルム41aを接着剤、両面テープなどで貼り付け、RFIDタグを作成する。
なお、片面プリント基板41bの裏面の導電パターンをタグアンテナのグランドGNDとして使用する。また、片面プリント基板41b上に窪み48を形成し、該窪みにLSIチップが嵌るようにすれば、絶縁フィルム41aが凸凹することはない。
【0036】
(c)第3の製造方法
図35はRFIDタグの第3の製造方法の説明図であり、第2実施例のRFIDタグの製造に適用した例であるが、第3、第4実施例のRFIDタグの製造にも適用ができる。
PET等の絶縁フィルム41a上に印刷により、あるいはエッチングにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ42と、LSIチップが搭載される微小ダイポールアンテナ43と、並列インダクタ46形成し、LSIチップ45をチップボンディングにより微小ダイポールアンテナ43上に実装する。
ついで、PETなどの誘電体41cと銅やアルミなどの導電シート41dを用意し、該誘電体41cの一面に前記絶縁フィルム41aを接着剤、両面テープなどで貼り付け、ついで、誘電体41cの他面に導電シート41dを貼り付けてRFIDタグを作成する。
なお、絶縁体41c上に窪み48を形成し、該窪みにLSIチップが嵌るようにすれば、絶縁フィルム41aが凸凹することはない。
【0037】
(d)第4の製造方法
図36はRFIDタグの第4の製造方法の説明図であり、第2実施例のRFIDタグの製造に適用した例であるが、第1、第3、第4実施例のRFIDタグの製造にも適用ができる。
PET等の絶縁フィルム41a上に印刷により、あるいはエッチングにより、LSIチップが搭載される微小ダイポールアンテナ43と、並列インダクタ46形成し、LSIチップ45をチップボンディングにより微小ダイポールアンテナ43上に実装する。
また、両面に導電パターンが被着されている両面プリント基板41eを準備し、該両面プリント基板41eの表面をエッチングすることにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ42を形成し、両面プリント基板41eの裏面の導電パターンをタグアンテナのグランドGNDとして使用する。
ついで、両面プリント基板41eのパッチアンテナ42が形成されている面に前記絶縁フィルム41aを接着剤、両面テープなどで貼り付けてRFIDタグを作成する。
尚、両面プリント基板41e上に窪み48を形成し、該窪みにLSIチップが嵌るようにすれば、絶縁フィルム41aが凸凹することはない。
この第4の製造方法によれば、国によって使用する周波数帯域が異なる場合であっても、両面プリント基板として1種類のパッチアンテナ42が形成された両面プリント基板41eを全ての国に共通に設けるだけでよい。
【0038】
(e)第5の製造方法
図37はRFIDタグの第5の製造方法の説明図であり、第2実施例のRFIDタグの製造に適用した例であるが、第1、第3、第4実施例のRFIDタグの製造にも適用ができる。
PET等の絶縁フィルム41a上に印刷により、あるいはエッチングにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ42を形成する。
また、両面に導電パターンが被着されている両面プリント基板41eを準備し、該両面プリント基板41eの表面をエッチングすることにより、LSIチップが搭載される微小ダイポールアンテナ43と並列インダクタ46を形成し、LSIチップ45をチップボンディングにより微小ダイポールアンテナ43上に実装する。ただし、両面プリント基板41eの裏面の導電パターンをタグアンテナのグランドGNDとして使用する。
ついで、両面プリント基板41eの微小ダイポールアンテナ43が形成されている面に前記絶縁フィルム41aを接着剤、両面テープなどで貼り付けてRFIDタグを作成する。
この第5の製造方法によれば、国によって使用する周波数帯域が異なる場合であっても、絶縁フィルムとして1種類のパッチアンテナ42が形成された絶縁フィルム41aを全ての国に共通に設けるだけでよい。
【0039】
・付記
(付記1)
タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグにおいて、
LSIチップが搭載された給電用パターン、
タグアンテナとして動作するパッチアンテナ、
前記給電用パターンと前記パッチアンテナ間を高周波結合する高周波結合部、
を備えたことを特徴とするRFIDタグ。
(付記2)
一方の側に前記給電用パターン、パッチアンテナ、高周波結合部が形成され、他方の側にグランドとしての導電パターンが形成された誘電体、
該パッチアンテナの一辺とグランド間を誘電体の側面において短絡する短絡部、
を備えたことを特徴とする付記1記載のRFID。
(付記3)
該RFIDタグは、給電用パターンとして動作する線状アンテナパターンを備えている、
ことを特徴とする付記1または2記載のRFIDタグ。
(付記4)
該RFIDタグは、給電用パターンとして動作するループパターンを備えている、
ことを特徴とする付記1または2記載のRFIDタグ。
(付記5)
前記パッチアンテナにスロットが形成され、前記線状アンテナとしての微小ダイポールアンテナの一端が該スロットと交叉するように積層配置され、該微小ダイポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる、
ことを特徴とする付記3記載のRFIDタグ。
(付記6)
前記パッチアンテナに切り欠きが形成され、前記線状アンテナとしての微小ダイポールアンテナの一端が該切り欠きに高周波的に結合され、該微小ダイポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる、
ことを特徴とする付記3記載のRFIDタグ。
(付記7)
前記微小ダイポールアンテナの中央に前記LSIチップが搭載され、該LSIチップを中心に前記パッチアンテナと左右対称となるように別のパッチアンテナが設けられ、
前記パッチアンテナと前記微小ダイポールアンテナの一端の位置関係と、該別のパッチアンテナと前記微小ダイポールアンテナの他端の位置関係が同じである、
ことを特徴とする付記5または6記載のRFIDタグ。
(付記8)
前記微小ダイポールアンテナに並列インダクタとして動作するループパターンが接続されてなることを特徴とする付記5乃至7記載のRFIDタグ。
(付記9)
該RFIDタグは、更に、並列インダクタとして動作するループパターンを備え、
該ループパターンの中間に前記LSIチップが搭載され、該ループパターンの端部と線状アンテナ部の端部を接続してモノポールアンテナが形成され、該モノポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる、
ことを特徴とする付記1または2記載のRFIDタグ。
(付記10)
タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグの製造方法において、
両面プリント基板の表面をエッチングすることにより、LSIチップが搭載される給電用パターンとタグアンテナとして動作するパッチアンテナをそれぞれ基板の表面に形成し、かつ、該給電用パターンとタグアンテナ間が高周波結合するように形成し、
前記プリント基板裏面の導電パターンをグランドとし、
前記LSIチップを前記給電用パターンに実装してRFIDタグを製造する、
ことを特徴とするRFIDタグの製造方法。
(付記11)
タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグの製造方法において、
絶縁フィルム上に印刷により、あるいはエッチングにより、LSIチップが搭載される給電用パターンとタグアンテナとして動作するパッチアンテナをそれぞれ形成し、かつ、給電用パターンとタグアンテナ間が高周波結合するように形成し、
前記LSIチップを前記給電用パターンに実装し、
該絶縁フィルムを片面プリント基板の上に接着し、該プリント基板裏面の導電パターンをグランドとする、
ことを特徴とするRFIDタグの製造方法。
(付記12)
タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグの製造方法において、
絶縁フィルム上に印刷により、あるいはエッチングにより、LSIチップが搭載される給電用パターンを形成し、
前記LSIチップを前記給電用パターンに実装し、
両面プリント基板の表面をエッチングすることによりタグアンテナとして動作するパッチアンテナを形成し、かつ、プリント基板裏面の導電パターンをグランドとし、
前記絶縁フィルムを前記プリント基板の表面に接着することによりRFIDタグを製造する、
ことを特徴とするRFIDタグの製造方法。
(付記13)
タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグの製造方法において、
絶縁フィルム上に印刷により、あるいはエッチングにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナを形成し、
両面プリント基板の表面をエッチングすることによりLSIチップが搭載される給電用パターンを形成し、かつ、プリント基板裏面の導電パターンをグランドとし、
前記LSIチップを前記給電用パターンに実装し、
前記絶縁フィルムを前記プリント基板の表面に接着することによりRFIDタグを製造する、
ことを特徴とするRFIDタグの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施例のRFIDタグの説明図である。
【図2】パッチアンテナより放射する電波の説明図である。
【図3】第2実施例のRFIDタグの平面図である。
【図4】第2実施例のRFIDタグの実際の寸法及び基板特性である。
【図5】周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの各種シミュレーション結果である。
【図6】タグアンテナのインピーダンスを示すスミスチャートである。
【図7】LSIチップとタグアンテナで構成されるRFIDタグの等価回路である。
【図8】周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのタグアンテナの利得特性である。
【図9】周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのSパラメータS11の特性図である。
【図10】周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの通信距離特性である。
【図11】並列インダクタの寸法s2を調整し、スミスチャート上で周波数を変化させたときのインピーダンス軌跡説明図である。
【図12】第3実施例のRFIDタグの平面図である。
【図13】第1実施例のタグアンテナを並列に接続した場合の平面図である。
【図14】第4実施例のRFIDタグの平面図である。
【図15】第4実施例のRFIDタグの実際の寸法及び基板特性である。
【図16】第4実施例において周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの各種シミュレーション結果である。
【図17】タグアンテナのインピーダンスを示すスミスチャートである。
【図18】周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのタグアンテナの利得特性である。
【図19】周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのSパラメータS11の特性図である。
【図20】周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの通信距離特性である。
【図21】並列インダクタの寸法s2を調整し、スミスチャート上で周波数を変化させたときのインピーダンス軌跡説明図である。
【図22】第5実施例のRFIDタグの平面図である。
【図23】第5実施例のRFIDタグの実際の寸法及び基板特性である。
【図24】タグアンテナのインピーダンスを示すスミスチャートである。
【図25】周波数を840MHzから980MHzまで変化したときのタグアンテナの利得特性である。
【図26】周波数を840MHzから980MHzまで変化したときのSパラメータS11の特性図である。
【図27】周波数を840MHzから980MHzまで変化したときの通信距離特性である。
【図28】第6実施例のRFIDタグの説明図である。
【図29】パッチアンテナにおけるY軸方向の電界Eの説明図である。
【図30】第6実施例のインピーダンスをスミスチャート上にプロットしたインピーダンス/周波数特性である。
【図31】通信距離の周波数特性である。
【図32】円偏波の電波の放射及び受信が可能なパッチアンテナの構成例である。
【図33】RFIDタグの第1の製造方法の説明図である。
【図34】RFIDタグの第2の製造方法の説明図である。
【図35】RFIDタグの第3の製造方法の説明図である。
【図36】RFIDタグの第4の製造方法の説明図である。
【図37】RFIDタグの第5の製造方法の説明図である。
【図38】RFIDタグの説明図である。
【図39】従来のRFIDタグの不具合発生の説明図である。
【図40】従来のRFIDタグの斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
31 絶縁フィルム
32 パッチアンテナ
33 両面プリント基板
34 微小ダイポールアンテナ
35 グランド
36 スロット
37 LSIチップ
38a,38b 並列インダクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグ及びその製造方法に係わり、特にタグアンテナとしてパッチアンテナ(平面アンテナ)を備え、導電性物体あるいは非導電性物体あるいは液体を含む物体に貼り付けて使用しても所要の特性を発揮するRFIDタグ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流通業界、運送業界等において、個々の製品情報を管理する方法として、製品自体に、あるいは製品の箱にバーコードを印刷あるいは貼付し、このバーコードをバーコードリーダによって読取る方法が広く用いられている。しかし、かかるバーコード処理方法では、バーコードを読取る際、バーコードリーダをバーコードに接触させなければならず、読み取り作業が面倒であった。また従来のバーコード処理方法では、バーコード自体に新たな情報を追加あるいは更新することができない問題があった。
このため、近年、バーコードに替わって物品等にRFID(Radio Frequency Identification)タグをつけ、物品の情報を無線(電磁結合)で非接触で読み取ることが要求され、実用化されつつある。RFIDタグは、ICカードの機能に情報の無線通信機能を追加したもので、情報記録可能な不揮発性メモリを備えているが電池(電源部)を有していない。このため、タグ読み取り装置はRFIDタグのメモリから情報を非接触で読み取る際、電磁波でRFIDタグに電力を供給し、該メモリから情報を読み取るようになっている。かかるRFIDタグによれば、作業性の大幅な向上を図ることができ、しかも、RFIDタグとの間で認証機能、暗号化等の技術を用いることにより、優れたセキュリティを確保することができる。
【0003】
図38はRFIDタグの説明図であり、読み取り装置1はアンテナ2より送信データで変調した無線信号(電磁波)をRFIDタグ3に送信する。無線タグ3のアンテナ3aは受信信号を整流回路3bと変復調回路3cに入力する。整流回路3bは無線信号を直流電圧に変換して変復調回路3cと論理回路3dに供給し、電源として動作する。変復調回路3cは読み取り装置1から送られてきた制御データを復調し、論理回路3dに入力する。論理回路3dは該制御データ(コマンド)に応じた論理処理を行なって、例えば内蔵のメモリに記憶されている情報を読み取って変復調回路3cに入力する。変復調回路3cは論理回路から入力された情報を用いて搬送波を変調して無線でアンテナ3aから読み取り装置1に送信する。
RFIDタグとして種々のタイプが提案されている。その1つとしてプラスチックや紙などの誘電体ベースシート上に電波通信用のアンテナパターンとICチップ(LSI)を搭載したものがある。かかるRFIDタグは非導電性の物体に貼り付けられると通信距離等に関して所要の性能が得られる。しかし、スチール等の金属に貼り付けられる場合、該金属によりRFIDタグの通信用電波が阻害されて通信距離の低下などの不具合が生じる。
【0004】
図39はかかる不具合発生の説明図であり、図39(A)は半波長のダイポールアンテナパターンを備えたRFIDタグを非導電性物体(図示せず)に貼り付けた場合の説明図であり、リーダライターのアンテナより放射される電波によりダイポールアンテナDPにICチップに必要な電力(開放電圧V)が発生する。また、ダイポールアンテナに電流Iを流してリーダライターのアンテナに向けて電磁波を送信することができる。
しかし、金属物体にダイポールアンテナパターンを備えたRFIDタグを貼り付けた場合、金属表面において電界の接線方向成分が境界条件から0となり、周囲電界が0となる。このため、RFIDタグのICチップに必要な電力を供給することができない。またタグアンテナからリーダライターのアンテナに向け電磁波を送信(散乱)することもできない。すなわち、図39(B)に示すように、金属物体MTLにダイポールアンテナパターンDPを備えたRFIDタグを貼り付けた場合、ダイポールアンテナDPに電流Iを流すと、写像原理により金属物体MTLに逆方向に電流が流れるイメージIMGが発生する。このイメージにより、ダイポールアンテナ電流Iにより発生する電磁界が打ち消され、RFIDタグのICチップに必要な電力を供給することができず、しかも、タグアンテナからリーダライターのアンテナに向け電磁波を送信することもできなくなる。以上から金属表面に貼り付けてもアンテナ利得が劣化せず、電磁波の送受信が可能なタグアンテナを備えたRFIDタグが要望される。
【0005】
そこで、図39(C)に示すように、金属物体MTL表面からダイポールアンテナパターンDPまでの距離Dを大きくしてイメージの影響を低減することが考えられるがRFIDタグの厚みが大きくなって使用上の問題が生じる。また、UHF帯のRFIDシステムは他の周波数帯に比べ、通信距離が長いという利点を持つが、UHF帯のダイポール型タグアンテナは通常半波長(約16cm)程度の長さが必要である。この長さはタグアンテナを誘電体に貼り付けたり折り曲げたりすることで確保し、かつ小形化しているが、狭帯域になってしまう。以上から、RFIDタグの小型化、及び小形化してもアンテナ利得が劣化せず、しかも、極力帯域が広くなるようなタグアンテナを備えたRFIDタグが要望される。
また、タグアンテナの受信電力をLSIチップに効率よく供給するためにタグアンテナとLSIチップのインピーダンスがマッチング(整合)している必要がある。このため、インピーダンス変換回路が必要となるが、RFIDタグの製造コストが高くなる。このため、インピーダンス変換回路を使用せずにタグLSIチップとタグアンテナの整合を取る必要がある。すなわち、インピーダンス変換回路を使用しなくてもLSIチップとのインピーダンス整合が取れるようにしたタグアンテナを備えたRFIDタグが要望される。
【0006】
従来のダイポールアンテナを備えたRFIDタグは上記のように金属に貼り付けると通信距離が劣化するという問題がある。このため、UHF帯においても幾つかの金属対応タグアンテナが開発されているが(特許文献1参照)、いずれも厚さ4mm以上、長さ10cm以上と大きいものばかりであった。
このため、本願出願人は、金属表面に貼り付けても電磁波の送受信が可能な小型アンテナを備えたRFIDタグを提案している(特許文献2参照)。この提案されたRFIDタグ10は、図40に示すように直方体状の誘電体部材11と、この誘電体部材11の表面に設けられてループアンテナを形成する送受信用のアンテナパターン12と、このアンテナパターン12にチップ搭載パッド13を介して電気的に接続されたICチップ15と、を備えている。このループアンテナ構成のRFIDタグによれば小型、薄型の構造にもかかわらず、金属表面に貼り付けても電磁波の送受信が可能で通信距離を長くでき、しかも、広い帯域でゲインをほぼ一定にでき、更に、インピーダンス変換回路が無くても整合を取ることができる。しかし、ループアンテナ構成のRFIDタグを製造するには、側面メッキ加工などの複雑な工程、あるいは、絶縁フィルムを誘電体部材に巻きつける工程が必要となり、製造コストが高くなり、あるいは、高い巻き付け位置精度が要求される問題がある。
【0007】
そこで、最近、パッチアンテナをRFIDタグのタグアンテナとして使用することが提案されている。このパッチアンテナ構成のRFIDタグによれば、ループアンテナ構成のRFIDタグのように側面メッキ加工や巻きつけ作業が不要となる。
しかし、パッチアンテナをRFIDタグのアンテナに適用するには、RFIDタグのLSIチップとインピーダンスマッチングさせなければならない。通常、パッチアンテナへの給電は、50Ω給電線と整合がとれる位置より該パッチアンテナに給電すればよいが、LSIチップのインピーダンスは50Ωから大きく異なる値になり、インピーダンス変換回路が必要になる。また、従来のパッチアンテナでは、給電のためにパッチアンテナに孔を明ける必要があり、加工コストが高くつく問題がある。
インピーダンス変換回路が不要で、かつ、給電のための孔を明ける必要のないRFIDタグのパッチアンテナが提案されている(特許文献3)。この提案されている方法はパッチアンテナにタグLSIがDC的に接続された状態で給電するもので、接続線の線幅や長さを調整してインピーダンスマッチングを行なうものであるが、給電部の構造が複雑になりやすいという問題がある。また低い周波数、低い誘電率の基板を想定した場合、整合回路パターン並びに四分の一波長変換機がアンテナ全体に対して占める割合が大きくなる。
【特許文献1】特開2002−298106号公報
【特許文献2】特開2006−53833
【特許文献3】US6215401
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上から本発明の目的は、金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しないRFIDタグ及びその製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、給電のためにパッチアンテナに孔を明ける必要がなく、あるいは、パッチアンテナにDC的に接続する必要がないRFIDタグ及びその製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、インピーダンス変換回路が不要なRFIDタグ及びその製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、高利得の小型、薄型構造のRFIDタグ及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
・RFIDタグ
本発明はタグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグであり、LSIチップが搭載された給電用パターン、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ、前記給電用パターンと前記パッチアンテナ間を高周波結合する高周波結合部を備えている。
【0010】
本発明のRFIDタグは、更に、一方の側に前記給電用パターン、パッチアンテナ、高周波結合部が形成され、他方の側にグランドとしての導電パターンが形成された誘電体と、該パッチアンテナの一辺とグランド間を誘電体の側面において短絡する短絡部を備えている。
本発明のRFIDタグにおいて、代表的な給電用パターンはダイポールアンテナやモノポールアンテナおよびループアンテナである。
【0011】
上記本発明のRFIDタグにおいて、前記パッチアンテナにスロットが形成され、前記給電用パターンとしての微小ダイポールアンテナの一端が該スロットと交叉するように積層配置され、該微小ダイポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる。
上記本発明のRFIDタグにおいて、前記パッチアンテナに切り欠きが形成され、線状アンテナとしての微小ダイポールアンテナの一端が該切り欠きに高周波的に結合され、該微小ダイポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる。
上記本発明のRFIDタグにおいて、前記微小ダイポールアンテナの中央に前記LSIチップが搭載され、該LSIチップを中心に前記パッチアンテナと左右対称となるように別のパッチアンテナが設けられ、前記パッチアンテナと前記微小ダイポールアンテナの一端の位置関係と、該別のパッチアンテナと前記微小ダイポールアンテナの他端の位置関係が同じである。
【0012】
・RFIDタグの製造方法
本発明はタグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグの製造方法である。
このRFIDタグの製造方法は、両面プリント基板の表面をエッチングすることにより、LSIチップが搭載される給電用パターンとタグアンテナとして動作するパッチアンテナをそれぞれ基板の表面に形成し、かつ、給電用パターンとタグアンテナ間が高周波結合するように形成するステップ、前記プリント基板裏面の導電パターンをグランドとするステップ、前記LSIチップを前記給電用パターンに実装してRFIDタグを製造するステップを有している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、LSIチップが搭載された給電用パターン、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ、前記給電用パターンと前記パッチアンテナ間を高周波結合する高周波結合部を備え、給電用パターンより高周波的にパッチアンテナに給電するため、パッチアンテナに孔を明ける必要がないためRFIDタグを簡単に加工することができ、加工コストを下げることができる。
また、本発明によれば、パッチアンテナをタグアンテナとして利用しているため、グランド側の物資の特性に影響されないため、金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
また、本発明によれば、パッチアンテナの利得はループアンテナなどに比べて大きく、しかも、厚みや、金属の導電率、誘電体の損失等を調整することにより,パッチアンテナの利得を更に大きくでき、サイズを小型にできる。
また、本発明によれば、給電用パターンとしてのダイポールアンテナやモノポールアンテナに並列インダクタとして動作するループパターンを接続し、該パターンの寸法を調整することにより、あるいは給電用パターンの長さ、スロット長、切り欠き長などを調整することにより、LSIチップとインピーダンスマッチングさせることが可能になり、インピーダンス変換回路を不要にできる。
また、本発明によれば、パッチアンテナの一辺とグランド間を短絡するようにしたから、パッチアンテナのサイズを半分にしてRFIDタグを小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(A)第1実施例
図1は第1実施例のRFIDタグの説明図であり、(A)は誘電層を除去した場合の斜視図、(B)は誘電層が透明であるとした場合の側面図、(C)はパッチアンテナと微小ダイポールアンテナの位置関係を示す平面図である。側面図では構成が明確となるように各部の厚みを実際より厚くして示している。
第1実施例のRFIDタグは、絶縁フィルム31(図1(B))上に印刷あるいはエッチングにより形成されたパッチアンテナ32と、両面プリント基板33の表面をエッチングすることにより形成された微小ダイポールアンテナ34と、プリント基板裏面の導電パターンで形成されたグランド(GND)35を積層して構成されている。絶縁フィルム31として、可撓性を有する熱可塑性プラスチック例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニル(PVC)を用いることができる。波長λに比べてきわめて短い長さのダイポールアンテナのことを微小ダイポールアンテナという。ダイポールアンテナは線状アンテナに属する。
パッチアンテナ32には微小ダイポールアンテナ34と高周波結合するための細長の所定寸法のスロット36が形成されている。微小ダイポールアンテナ34は所定線幅の直線形状を備え、その中央部にRFIDタグのLSIチップ37がチップボンディング技術により実装され、該微小ダイポールアンテナ34の左右にインピーダンス調整用の導電パターン(並列インダクタ)38a,38bが接続されている。微小ダイポールアンテナの一端直線部はパッチアンテナ32に形成したスロット36と交叉するように積層配置され、該微小ダイポールアンテナ34よりパッチアンテナ32に高周波的に給電するようになっている。
並列インダクタ38a,38bは微小ダイポールアンテナと一体に形成され、所定線幅を備え、その長さはタグアンテナがLSIチップ37にインピーダンスマッチングするように調整されている。なお、図1は2つの並列インダクタ38a,38bを接続した例であるが1つでも良い。また、ダイポールアンテナ34の下側直線部を折り曲げて全体のサイズを小さくすることができる。
【0015】
図2(A)に示すようにパッチアンテナの1辺のサイズdをλ/2にし、所定周波数でパッチアンテナを共振させると、すなわち、電流Jをパッチアンテナ表面で往復させると、図2(B)に示すようにY軸(水平)方向に偏波を持つ電波がパッチアンテナに垂直方向(Z軸方向)に放射する。この電波はパッチアンテナのグランド側の物資の特性に影響されない。このため、第1実施例のRFIDタグを金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
また、パッチアンテナの利得はループアンテナなどより高く、しかも、厚みや金属の導電率、誘電体の損失等を調整することにより利得を大きくできるため、第1実施例のRFIDタグのサイズを小型にできる。
また、第1実施例のRFIDタグでは、LSIチップが搭載された微小ダイポールアンテナとパッチアンテナ間をDC的に接続せず、高周波結合するだけでよいため、パッチアンテナに孔を明けたり、あるいは、DC接続が必要でないためRFIDタグを簡単に加工することができ、加工コストを下げることができる。
また、微小ダイポールアンテナに並列インダクタとして動作するループパターンを接続し、該パターンの寸法を調整することにより、あるいは、ダイポールアンテナの長さ、スロット長などを調整することにより、インピーダンス変換回路を使用しないでタグアンテナとLSIチップとのインピーダンスマッチングを取ることができる。
【0016】
(B)第2実施例
(a)構造
図3(A)は第2実施例のRFIDタグの平面図である。第2実施例のRFIDタグでは、両面プリント基板41の表面をエッチングすることにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ42と微小ダイポールアンテナ43がそれぞれ形成され、基板の裏面の導電パターン(図示せず)がグランドとして使用される。パッチアンテナ42の下部中央には細長の切り欠き44が形成されている。すなわち、切り欠き44がパッチアンテナ42の内部方向に向かって直線的に形成され、微小ダイポールアンテナ43の一端直線部43aが該切り欠きの中に設けられている。
所定線幅の微小ダイポールアンテナ43は逆L字状に折り曲げて直線部43a,43bを備え、その折曲がり近傍にRFIDタグのLSIチップ45がチップボンディング技術により実装されている。また、該微小ダイポールアンテナ43の右側にはインピーダンス調整用の導電パターン(並列インダクタ)46が接続されている。並列インダクタ46は微小ダイポールアンテナと一体に形成され、所定線幅を備え、その長さs2はタグアンテナがLSIチップ37にインピーダンスマッチングするように調整される。
微小ダイポールアンテナの一端直線部43aはパッチアンテナ42に形成した細長の切り欠き44に挿入され、該切り欠きを介して微小ダイポールアンテナ43とパッチアンテナ42間が高周波的に接続される。すなわち、微小ダイポールアンテナ43よりパッチアンテナ42に高周波的に給電するようになっている。
パッチアンテナの1辺のサイズdをλ/2にし、所定周波数でパッチアンテナを共振させると、すなわち、電流Jをパッチアンテナ表面で往復させると、第1実施例の場合と同様に電波がパッチアンテナに垂直方向に放射する。この電波はパッチアンテナのグランド側の物資の特性に影響されない。このため、第2実施例のRFIDタグを金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
【0017】
図3(B)は基板サイズを小さくするためのパッチアンテナの端部に矩形の切り欠き47a、47bを形成した例であり、(a1+a2+a3+2×a4)の電気長が波長の半分と概略等しくなるように切り欠きを形成する。このようにすれば、縦サイズの寸法を2×a4だけ短くできる。ただし、a4を大きくしすぎるとアンテナ利得が小さくなるため、適度な値にする必要がある。
図3(A),(B)の第2実施例において、パッチアンテナ42と微小ダイポールアンテナ43を同一誘電体表面に形成したが、積層して構成することもでき、それぞれの製造方法は後述する。また、微小ダイポールアンテナ43は基板のサイズを小さくするために逆L字状に折り曲げて形成しているが、サイズを重視しなければ折り曲げる必要はない。
図4(A),(B)は図3のRFIDタグの実際の寸法及び基板特性を示すもので、基板サイズは78mm×44mm×1.2mmである。また、微小ダイポールアンテナの一端43aの線幅は2.0mm、他端43bの線幅は1.0mm、切り欠き44と微小ダイポールアンテナ43間のスペース間隔は0.5mm、並列インダクタ46とパッチアンテナ先端部の間隔は0.5mmである。
図4の寸法および基板特性を備える第2実施例のRFIDタグにおいて、パッチアンテナに加える周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの各種特性をシミュレーションした。ただし、LSIチップが動作するために必要な最小パワーを−10.00dBm、リーダライターのアンテナに供給されるパワーを27.00dBm、リーダライタアンテナ利得を9.00dBiとしている。
【0018】
(b)各種特性
図5は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの各種シミュレーション結果であり,(1)LSIチップのサセプタンスBcp,抵抗Rc、リアクタンスXc、(2)タグアンテナの抵抗Ra, リアクタンスXa、整合係数q、SパラメータS11、利得、および(3)リーダライターのアンテナに直線偏波および円偏波のアンテナをそれぞれ使ったときの通信距離を示している。タグアンテナは、パッチアンテナと微小ダイポールアンテナを組み合わせた部分である。
【0019】
・整合特性
図6はタグアンテナのインピーダンスを示すスミスチャートであり、周波数を850MHzから980MHzまで変化するとタグアンテナのインピーダンスはIPTで示すように丸を描くように変化する。そして、図5の特性結果より950〜953MHz付近におけるタグアンテナのインピーダンスがLSIチップ45の入力インピーダンスにほぼ整合する値となる。
LSIチップとタグアンテナで構成されるRFIDタグの等価回路は図7に示すようになる。すなわち、等価回路はLSIチップとタグアンテナの並列回路で表わされ、LSIチップは抵抗RcとコンデンサCc(リアクタンスはXc)の並列回路で表わされ、タグアンテナは抵抗RaとインダクタンスLa(リアクタンスはXa)の並列回路で表わされる。このRFIDタグにおける整合の条件はRc=Ra、|Xc|=Xaであり、図5より950〜953MHz付近で第2実施例のRFIDタグはこの整合条件を満たしている。
・利得特性及びS11特性
図8は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのタグアンテナの利得を示しており、パッチアンテナが953MHz近傍で共振しており、そこで高い利得(ゲイン)が得られている。
図9は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのSパラメータS11の特性図である。SパラメータS11はLSIチップとのインピーダンスマッチングの度合を表わし、950〜953MHz付近において最小値を示している。
【0020】
・通信距離
図10は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの通信距離を示し、リーダライターのアンテナに直線偏波のアンテナを使った場合であり、953MHz近傍で最大になっている。RFIDタグの通信距離rは概略以下の式で与えられる。
【数1】
ここで、λは波長、Ptはリーダライタアンテナに加えたパワー、GtおよびGrはそれぞれタグアンテナおよびリーダライタアンテナのアンテナゲイン、PthはLSIチップが動作するために必要なパワーの最小値である。また、ZcおよびZaはそれぞれ、LSIチップとタグアンテナの複素インピーダンスである。
・整合調整
並列インダクタ46の寸法によっては、タグアンテナとLSIチップのインピーダンスマッチングを取れない場合がある。かかる場合には微小ダイポールの長さS1または並列インダクタ46の寸法s2またはs1とs2の両方を調整する。寸法s2を大きくすると、図11(A)のスミスチャート上で周波数を変化させたときのインピーダンス軌跡IPTが描く円が矢印方向に移動すると共に僅かに大きくなる。これは図7に示す等価回路において、タグアンテナの並列インダクタンスLaが大きくなったことに対応し、より大きなタグLSIの並列容量Ccを打ち消せることを意味する。一方寸法s1を大きくすると図11(B)に示すようにインピーダンスの軌跡は、時計回りもしくは反時計回りにはあまり回転せず、円の大きさが大きくなる方向に変化する。これは図7に示す等価回路において、タグアンテナの並列抵抗Raが小さくなったことに対応し、より小さなタグLSIの並列抵抗Raを打ち消せることを意味する。そこで、寸法s2または寸法s1またはs1とs2の両方を調整してインピーダンス軌跡IPTを移動し、所望の周波数でインピーダンスマッチングが取れるようにする。
【0021】
(c)効果
第2実施例によれば、放射する電波はパッチアンテナのグランド側の物資の特性に影響されない。このため、第2実施例のRFIDタグを金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
また、パッチアンテナの利得はループアンテナなどより高く、しかも、厚みや金属の導電率、誘電体の損失等を調整することにより利得を大きくできるため、第2実施例のRFIDタグのサイズを小型にできる。
また、第2実施例のRFIDタグでは、LSIチップが搭載された微小ダイポールアンテナとパッチアンテナ間をDC的に接続せず、高周波結合するだけでよいため、パッチアンテナに孔を明けたりする必要がなく、しかも、DC接続が不要のためRFIDタグを簡単に加工することができ、加工コストを下げることができる。
また、微小ダイポールアンテナに並列インダクタとして動作するループパターンを接続し、該パターンの寸法を調整することにより、あるいは、ダイポールアンテナの直線部43bの長さs0や、切り欠き長s1などを調整することにより、インピーダンス変換回路を使用しないでLSIチップとインピーダンスマッチングを取ることができる。
【0022】
(C)第3実施例
図12は第3実施例のRFIDタグの平面図であり、図3(A)の第2実施例のタグアンテナを並列に接続した構成を有している。
タグアンテナとして動作する2つのパッチアンテナ42,42′と微小ダイポールアンテナ43は、それぞれ両面プリント基板41の表面をエッチングすることにより形成され、図示しないが基板の裏面の導電パターンがグランドとなっている。直線状の微小ダイポールアンテナ43の中央にはLSIチップ45が実装され、該LSIチップを中心にパッチアンテナ42とパッチアンテナ42′が左右対称となるようにが形成されている。また、パッチアンテナ42と微小ダイポールアンテナの一端43aの位置関係と、パッチアンテナ42′と微小ダイポールアンテナの他端43bの位置関係は全く同一になっている。更に、並列インダクタ46a,46bが微小ダイポールアンテナ43の上下に対称に接続されている。
第3実施例のRFIDタグによれば、タグアンテナの利得を大きくでき、電波を遠くまで飛ばすことが可能になるが、サイズが倍になる。
図13は第1実施例のタグアンテナを並列に接続した場合の平面図であり、図12のRFIDタグと同等の効果がある。
【0023】
(D)第4実施例
(a)構造
図14(A),(B)は第4実施例のRFIDタグの平面図で、(A)は全体図、(B)は点線で囲んだ部分の拡大図である。第4実施例のRFIDタグでは、両面プリント基板51の表面をエッチングすることにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ52と微小モノポールアンテナ53がそれぞれ形成され、基板の裏面の導電パターン(図示せず)がグランドとして使用される。波長λに比べてきわめて短い長さのモノポールアンテナのことを微小モノポールアンテナという。モノポールアンテナは線状アンテナに属する。
パッチアンテナ52の左側端部には浅い切り欠き52aが形成され、この切り欠きに微小モノポールアンテナ53の所定線幅のアンテナ部53aが配置されている。該切り欠きを介して微小モノポールアンテナ53とパッチアンテナ52間が高周波的に接続される。すなわち、微小モノポールアンテナ53よりパッチアンテナ52に高周波的に給電するようになっている。パッチアンテナ52の右側端部には基板サイズを小さくするために、(a1+a2+a3+2×a4)の電気長がλ/2と概略等しくなるように切り欠き52bが形成されている。
微小モノポールアンテナ53の逆L字のアンテナ部53aの先端にはインピーダンス調整用のループ状の導電パターン(並列インダクタ)53bが接続され、ループ中間部にRFIDタグのLSIチップ54がチップボンディング技術により実装されている。並列インダクタ53bは微小モノポールアンテナと一体に形成され、所定線幅を備え、その長さs2はタグアンテナがLSIチップ54とインピーダンスマッチングするように調整される。
パッチアンテナ52の1辺の長さをλ/2にし、所定周波数で該パッチアンテナを共振させると、すなわち、電流Jをパッチアンテナ表面で往復させると、第1、第2実施例の場合と同様に電波がパッチアンテナに垂直方向に放射する。この電波はパッチアンテナのグランド側の物資の特性に影響されない。このため、第4実施例のRFIDタグを金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
図14の第4実施例では、パッチアンテナ52と微小モノポールアンテナ53を同一誘電体表面に形成したが、積層して構成することもでき、それぞれの製造方法は後述する。
図15(A),(B)は図14のRFIDタグの実際の寸法及び基板特性を示すもので、基板サイズは78mm×44mm×1.2mmである。また、微小モノポールアンテナの線幅は1.0mm、切り欠き52aと微小モノポールアンテナ53間のスペース間隔は0.5mmである。
【0024】
(b)各種特性
図15の寸法および基板特性を備える第4実施例のRFIDタグにおいて、パッチアンテナに加える周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの各種特性をシミュレーションした。ただし、LSIチップが動作するために必要な最小パワーを−10.00dBm、リーダライターのパワーを27.00dBm、利得を9.00dBiとしている。
図16は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの各種測定結果であり,(1)LSIチップのサセプタンスBcp,抵抗Rc、リアクタンスXc、(2)タグアンテナの抵抗Ra, リアクタンスXa、整合係数q、SパラメータS11、利得、および(3)リーダライターのアンテナに直線偏波および円偏波のアンテナをそれぞれ使ったときの通信距離を示している。
・整合特性
図17はタグアンテナのインピーダンスを示すスミスチャートであり、周波数を850MHzから980MHzまで変化するとタグアンテナのインピーダンスはIPTで示すように小丸を描くように変化する。そして、図16の特性結果より953MHz付近におけるタグアンテナのインピーダンスがLSIチップ54の入力インピーダンスにほぼ整合する値となる。
【0025】
・利得特性及びS11特性
図18は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのタグアンテナの利得を示しており、パッチアンテナが953MHz近傍で共振しており、そこで高い利得(ゲイン)が得られている。
図19は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのSパラメータS11の特性図である。SパラメータS11はLSIチップとのインピーダンスマッチングの度合を表わし、953MHz付近において最小値を示し、−20dB以下になっている。
・通信距離
図20は周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの通信距離を示し、リーダライターのアンテナに直線偏波のアンテナを使った場合であり、953MHz近傍で通信距離が最大になっている。
・整合調整
並列インダクタ53bの寸法によってはインピーダンスマッチングを取れない場合がある。かかる場合には並列インダクタ53bの寸法s2を調整する。寸法s2を小さくすると、図21のスミスチャート上で周波数を変化させたときのインピーダンス軌跡IPTが描く円が反時計回りに回転する。そこで、寸法s2を調整してインピーダンス軌跡IPTの円を回転させ所望の周波数でインピーダンスマッチングが取れるようにする。
【0026】
(c)効果
第4実施例によれば、放射する電波はパッチアンテナのグランド側の物資の特性に影響されない。このため、第1実施例のRFIDタグを金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
また、パッチアンテナの利得はループアンテナなどより高く、しかも、厚みや金属の導電率、誘電体の損失等を調整することにより利得を大きくできるため、第4実施例のRFIDタグのサイズを小型にできる。
また、第4実施例のRFIDタグでは、LSIチップが搭載された微小モノポールアンテナとパッチアンテナ間をDC的に接続せず、高周波結合するだけでよいため、パッチアンテナに孔を明けたりする必要がなく、しかも、DC接続が不要のためRFIDタグを簡単に加工することができ、加工コストを下げることができる。
また、微小モノポールアンテナに並列インダクタとして動作するループパターンを接続し、該パターンの寸法s2を調整することにより、あるいはモノポールアンテナの直線部の長さs1やs3などを調整することにより、インピーダンス変換回路を使用しないでLSIチップとインピーダンスマッチングを取ることができる。
【0027】
(E)第5実施例
第4実施例では給電パターンとして微小モノポールアンテナ53をパッチアンテナ52の浅い切り欠きに配置し、微小モノポールアンテナ53とパッチアンテナ52間を高周波的に接続し、該微小モノポールアンテナよりパッチアンテナ52に給電する場合であった。しかし、微小モノポールアンテナ53の代わりに所定線幅のループパターンを配置し、該ループパターンよりパッチアンテナに給電するように構成することもできる。
(a)構造
図22は第5実施例のRFIDタグの平面図である。第5実施例のRFIDタグでは、両面プリント基板61の表面をエッチングすることにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ62と給電パターンとしてのループパターン63がそれぞれ形成され、基板の裏面の導電パターン(図示せず)がグランドとして使用される。
パッチアンテナ62の左側端部には浅い切り欠き62aが形成され、この切り欠きに所定線幅のループパターン63が配置されている。該切り欠きを介してループパターン63とパッチアンテナ62間が高周波的に接続され、ループパターン63よりパッチアンテナ62に高周波的に給電するようになっている。ループパターン下端部にはRFIDタグのLSIチップ64がチップボンディング技術により実装されている。ループパターン63の長さs2はタグアンテナがLSIチップ64とインピーダンスマッチングするように調整される。
パッチアンテナ62の1辺の長さをλ/2にし、所定周波数で該パッチアンテナを共振させると、すなわち、電流Jをパッチアンテナ表面で往復させると、第1、第2実施例の場合と同様に電波がパッチアンテナに垂直方向に放射する。この電波はパッチアンテナのグランド側の物資の特性に影響されない。このため、第5実施例のRFIDタグを金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
図22の第5実施例では、パッチアンテナ62とループパターン63を同一誘電体表面に形成したが、積層して構成することもでき、それぞれの製造方法は後述する。
図23(A),(B)は図22のRFIDタグの実際の寸法及び基板特性を示すものである。また、ループパターン63の線幅は1.0mm、切り欠き62aとループパターン63間のスペース間隔は0.5mmである。
【0028】
(b)各種特性
図23の寸法および基板特性を備える第5実施例のRFIDタグにおいて、パッチアンテナに加える周波数を840MHzから980MHzまで変化したときの各種特性をシミュレーションした。
・整合特性
図24はタグアンテナのインピーダンスを示すスミスチャートであり、周波数を840MHzから980MHzまで変化するとタグアンテナのインピーダンスはIPTで示すように小丸を描くように変化する。そして、953MHz付近におけるタグアンテナのインピーダンスがLSIチップ64の入力インピーダンスにほぼ整合する値となる。
【0029】
・利得特性及びS11特性
図25は周波数を840MHzから980MHzまで変化したときのタグアンテナの利得を示しており、パッチアンテナが953MHz近傍で共振しており、そこで高い利得(ゲイン)が得られている。
図26は周波数を840MHzから980MHzまで変化したときのSパラメータS11の特性図である。SパラメータS11はLSIチップとのインピーダンスマッチングの度合を表わし、953MHz付近において最小値を示し、−20dB以下になっている。
・通信距離
図27は周波数を840MHzから980MHzまで変化したときの通信距離を示し、リーダライターのアンテナに直線偏波のアンテナを使った場合で、953MHz近傍で最大になっている。ただし、通信距離は、LSIチップが動作するために必要な最小パワーを−10.00dBm、LSIチップの並列抵抗Rcを800Ω、LSIチップの並列容量Ccを1.2pF、リーダライターのパワーを27.00dBm、利得を9.00dBiとして計算している。
・整合調整
ループパターン63の寸法によってはインピーダンスマッチングを取れない場合がある。かかる場合にはループパターン63の寸法s2を調整する。寸法s2を小さくすると、スミスチャート上で周波数を変化させたときのインピーダンス軌跡IPT(図24参照)が描く円が反時計回りに回転する。そこで、寸法s2を調整してインピーダンス軌跡IPTの円を回転させ所望の周波数でインピーダンスマッチングが取れるようにする。
【0030】
(c)効果
第5実施例によれば、放射する電波はパッチアンテナのグランド側の物資の特性に影響されない。このため、第1実施例のRFIDタグを金属や液体を含む物体に貼り付けても通信距離が劣化しない。
また、パッチアンテナの利得はループアンテナなどより高く、しかも、厚みや金属の導電率、誘電体の損失等を調整することにより利得を大きくできるため、第5実施例のRFIDタグのサイズを小型にできる。
また、第5実施例のRFIDタグでは、LSIチップが搭載されたループパターンとパッチアンテナ間をDC的に接続せず、高周波結合するだけでよいため、パッチアンテナに孔を明けたりする必要がなく、しかも、DC接続が不要のためRFIDタグを簡単に加工することができ、加工コストを下げることができる。
また、ループパターンの寸法s2を調整することにより、あるいはs3などを調整することにより、インピーダンス変換回路を使用しないでLSIチップとインピーダンスマッチングを取ることができる。
【0031】
(F)第6実施例
第6実施例はパッチアンテナの一辺とグランド間を短絡することによりRFIDタグのサイズを小型化する実施例である。
(a)構造
図28は第6実施例のRFIDタグの説明図であり、(A)は斜視図、(B)は(A)におけるAA矢視断面図、(C)は(A)においてB矢視方向からみた場合の斜視図である。
第5実施例のRFIDタグ(図22)においてパッチアンテナ62の1辺の長さをλ/2にして所定周波数で該パッチアンテナを共振させると、Y軸方向の電界Eが図29に示すように変化し、中央部で電界が零になる。これは、中央部でパッチアンテナとグランドを短絡しても電界分布が変化せず、第5実施例と同様に電波をパッチアンテナと垂直な方向に放射できることを意味して入る。
図28の第6実施例のRFIDタグは、かかる原理に基づいてパッチアンテナ62の一辺とグランド65間を短絡部66により基板61の側面において短絡し、これにより、パッチアンテナ62のサイズを第5実施例のRFIDタグに比べて約1/2にしている。すなわち、Y軸方向の長さをλ/4にしている。
第6実施例のRFIDタグは、パッチアンテナの一辺とグランド間が短絡されている点及びサイズが異なる点を除けば、第5実施例のRFIDタグとほぼ同様の構成を備えている。両面プリント基板61の表面をエッチングすることにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ62と給電パターンとしてのループパターン63がそれぞれ形成され、該基板61の裏面の導電パターン65((B)参照)がグランドとして使用され、パッチアンテナの一辺とグランド間が短絡部66により基板側面で短絡されている。この短絡部66は例えばメッキ加工により形成することができる。
【0032】
パッチアンテナ62の端部には切り欠き62aが形成され、この切り欠きに所定線幅のループパターン63が配置されている。該切り欠きを介してループパターン63とパッチアンテナ62間が高周波的に接続され、ループパターン63よりパッチアンテナ62に高周波的に給電するようになっている。ループパターン63の端部にはRFIDタグのLSIチップ64がチップボンディング技術により実装されている。ループパターン63の長さs2はタグアンテナがLSIチップ64とインピーダンスマッチングするように調整される。また、切り込み67の深さs5を調整することにより共振周波数を調整することができる。
各種調整は、第1〜第5実施例と同様な方法で調整可能である。例えば、上面パッチアンテナ62に設けた切込み67の深さs5を変えることで、パッチの共振周波数を調整することができる。また、給電パターン63の長さs2を変えることで、タグアンテナの入力インピーダンスを調整することが可能である。具体的な例として、インピーダンスおよび通信距離の周波数特性をシミュレーションした結果をそれぞれ図30、図31に示す。
図30は、基板(誘電体)の比誘電率を8.0、誘電損失を0.002、誘電体の大きさを30mm×30mm×2.5mmとしたRFIDタグを無限導体板上に置いたときのインピーダンスを、スミスチャート上にプロットしている。ループパターン63の寸法s2によってはインピーダンスマッチングを取れない場合があるいが、その場合には該寸法s2を調整する。寸法s2を小さくすると、スミスチャート上で周波数を変化させたときのインピーダンス軌跡IPTが、矢印方向に反時計回りに回転するから、所望の周波数でインピーダンスマッチングが取れるように寸法s2を調整する。
図31は周波数を900MHzから980MHzまで変化したときの通信距離を示す。通信距離の算出に当たっては、搭載されるタグLSIおよびリーダライタ(RW)アンテナの特性を次のように仮定した。すなわち、953MHzでのタグLSIインピーダンスを32−j109[Ω]、RWアンテナへの供給パワー0.5[W]、RWアンテナゲイン[9dBi]と仮定した。この通信距離のシミュレーション結果より明らかなように、UHF帯RFIDタグとしての周波数帯域(952-954MHz)において実用上十分な飛距離(約、2.6m)が得られている。
第6実施例によれば、第1〜第5実施例の利点に加えてRFIDタグのサイズを半減できるという利点がある。
なお、第6実施例は、パッチアンテナとグランドを短絡してサイズを半減するという原理を第5実施例のRFIDタグに適用した例であるが、該原理を第1〜第4実施例のRFIDタグにも適用してサイズを半減することができる。
【0033】
(G)変形例
第1〜第6実施例のタグアンテナは、図2に示すようにY軸方向に直線偏波する電波を水平面(パッチアンテナ面)に垂直方向に放射するものであり、当然、Y軸方向に直線偏波し、かつ、パッチアンテナ面に垂直方向から入射する電波を最も効率よく受信できる。しかし、X軸方向に直線偏波する電波が入射した場合には受信できない。そこで、円偏波の電波を発射し、かつ、任意の方向に直線偏波する電波が入射しても受信できるようにする。
図32は円偏波の電波の放射及び受信が可能なパッチアンテナの構成例である。図32(A)は電流Jが往復する方向に斜めにパッチアンテナPATTの一部71,72を切断した例、図32(B)は電流Jが往復する方向に斜めにパッチアンテナPATTにスロット73を形成した例である。
【0034】
(H)RFIDタグの製造方法
(a)第1の製造方法
図33はRFIDタグの第1の製造方法の説明図であり、第2実施例のRFIDタグの製造に適用した例であるが、第3、第4実施例のRFIDタグの製造にも適用ができる。
両面に導電パターンが被着されている両面プリント基板41を準備し、該両面プリント基板41の表面をエッチングすることにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ42と、LSIチップが搭載される微小ダイポールアンテナ43と、並列インダクタ46形成する。しかる後、LSIチップ45をチップボンディングにより微小ダイポールアンテナ43上に実装してRFIDタグを作成する。なお、両面プリント基板41の裏面の導電パターンをタグアンテナのグランドGNDとして使用する。
【0035】
(b)第2の製造方法
図34はRFIDタグの第2の製造方法の説明図であり、第2実施例のRFIDタグの製造に適用した例であるが、第3、第4実施例のRFIDタグの製造にも適用ができる。
PET等の絶縁フィルム41a上に印刷により、あるいはエッチングにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ42と、LSIチップが搭載される微小ダイポールアンテナ43と、並列インダクタ46を形成し、LSIチップ45をチップボンディングにより微小ダイポールアンテナ43上に実装する。
ついで、片面に導電パターンが被着されている片面プリント基板41bを用意し、該片面プリント基板41bの導電パターンが形成されていない面に前記絶縁フィルム41aを接着剤、両面テープなどで貼り付け、RFIDタグを作成する。
なお、片面プリント基板41bの裏面の導電パターンをタグアンテナのグランドGNDとして使用する。また、片面プリント基板41b上に窪み48を形成し、該窪みにLSIチップが嵌るようにすれば、絶縁フィルム41aが凸凹することはない。
【0036】
(c)第3の製造方法
図35はRFIDタグの第3の製造方法の説明図であり、第2実施例のRFIDタグの製造に適用した例であるが、第3、第4実施例のRFIDタグの製造にも適用ができる。
PET等の絶縁フィルム41a上に印刷により、あるいはエッチングにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ42と、LSIチップが搭載される微小ダイポールアンテナ43と、並列インダクタ46形成し、LSIチップ45をチップボンディングにより微小ダイポールアンテナ43上に実装する。
ついで、PETなどの誘電体41cと銅やアルミなどの導電シート41dを用意し、該誘電体41cの一面に前記絶縁フィルム41aを接着剤、両面テープなどで貼り付け、ついで、誘電体41cの他面に導電シート41dを貼り付けてRFIDタグを作成する。
なお、絶縁体41c上に窪み48を形成し、該窪みにLSIチップが嵌るようにすれば、絶縁フィルム41aが凸凹することはない。
【0037】
(d)第4の製造方法
図36はRFIDタグの第4の製造方法の説明図であり、第2実施例のRFIDタグの製造に適用した例であるが、第1、第3、第4実施例のRFIDタグの製造にも適用ができる。
PET等の絶縁フィルム41a上に印刷により、あるいはエッチングにより、LSIチップが搭載される微小ダイポールアンテナ43と、並列インダクタ46形成し、LSIチップ45をチップボンディングにより微小ダイポールアンテナ43上に実装する。
また、両面に導電パターンが被着されている両面プリント基板41eを準備し、該両面プリント基板41eの表面をエッチングすることにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ42を形成し、両面プリント基板41eの裏面の導電パターンをタグアンテナのグランドGNDとして使用する。
ついで、両面プリント基板41eのパッチアンテナ42が形成されている面に前記絶縁フィルム41aを接着剤、両面テープなどで貼り付けてRFIDタグを作成する。
尚、両面プリント基板41e上に窪み48を形成し、該窪みにLSIチップが嵌るようにすれば、絶縁フィルム41aが凸凹することはない。
この第4の製造方法によれば、国によって使用する周波数帯域が異なる場合であっても、両面プリント基板として1種類のパッチアンテナ42が形成された両面プリント基板41eを全ての国に共通に設けるだけでよい。
【0038】
(e)第5の製造方法
図37はRFIDタグの第5の製造方法の説明図であり、第2実施例のRFIDタグの製造に適用した例であるが、第1、第3、第4実施例のRFIDタグの製造にも適用ができる。
PET等の絶縁フィルム41a上に印刷により、あるいはエッチングにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナ42を形成する。
また、両面に導電パターンが被着されている両面プリント基板41eを準備し、該両面プリント基板41eの表面をエッチングすることにより、LSIチップが搭載される微小ダイポールアンテナ43と並列インダクタ46を形成し、LSIチップ45をチップボンディングにより微小ダイポールアンテナ43上に実装する。ただし、両面プリント基板41eの裏面の導電パターンをタグアンテナのグランドGNDとして使用する。
ついで、両面プリント基板41eの微小ダイポールアンテナ43が形成されている面に前記絶縁フィルム41aを接着剤、両面テープなどで貼り付けてRFIDタグを作成する。
この第5の製造方法によれば、国によって使用する周波数帯域が異なる場合であっても、絶縁フィルムとして1種類のパッチアンテナ42が形成された絶縁フィルム41aを全ての国に共通に設けるだけでよい。
【0039】
・付記
(付記1)
タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグにおいて、
LSIチップが搭載された給電用パターン、
タグアンテナとして動作するパッチアンテナ、
前記給電用パターンと前記パッチアンテナ間を高周波結合する高周波結合部、
を備えたことを特徴とするRFIDタグ。
(付記2)
一方の側に前記給電用パターン、パッチアンテナ、高周波結合部が形成され、他方の側にグランドとしての導電パターンが形成された誘電体、
該パッチアンテナの一辺とグランド間を誘電体の側面において短絡する短絡部、
を備えたことを特徴とする付記1記載のRFID。
(付記3)
該RFIDタグは、給電用パターンとして動作する線状アンテナパターンを備えている、
ことを特徴とする付記1または2記載のRFIDタグ。
(付記4)
該RFIDタグは、給電用パターンとして動作するループパターンを備えている、
ことを特徴とする付記1または2記載のRFIDタグ。
(付記5)
前記パッチアンテナにスロットが形成され、前記線状アンテナとしての微小ダイポールアンテナの一端が該スロットと交叉するように積層配置され、該微小ダイポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる、
ことを特徴とする付記3記載のRFIDタグ。
(付記6)
前記パッチアンテナに切り欠きが形成され、前記線状アンテナとしての微小ダイポールアンテナの一端が該切り欠きに高周波的に結合され、該微小ダイポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる、
ことを特徴とする付記3記載のRFIDタグ。
(付記7)
前記微小ダイポールアンテナの中央に前記LSIチップが搭載され、該LSIチップを中心に前記パッチアンテナと左右対称となるように別のパッチアンテナが設けられ、
前記パッチアンテナと前記微小ダイポールアンテナの一端の位置関係と、該別のパッチアンテナと前記微小ダイポールアンテナの他端の位置関係が同じである、
ことを特徴とする付記5または6記載のRFIDタグ。
(付記8)
前記微小ダイポールアンテナに並列インダクタとして動作するループパターンが接続されてなることを特徴とする付記5乃至7記載のRFIDタグ。
(付記9)
該RFIDタグは、更に、並列インダクタとして動作するループパターンを備え、
該ループパターンの中間に前記LSIチップが搭載され、該ループパターンの端部と線状アンテナ部の端部を接続してモノポールアンテナが形成され、該モノポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる、
ことを特徴とする付記1または2記載のRFIDタグ。
(付記10)
タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグの製造方法において、
両面プリント基板の表面をエッチングすることにより、LSIチップが搭載される給電用パターンとタグアンテナとして動作するパッチアンテナをそれぞれ基板の表面に形成し、かつ、該給電用パターンとタグアンテナ間が高周波結合するように形成し、
前記プリント基板裏面の導電パターンをグランドとし、
前記LSIチップを前記給電用パターンに実装してRFIDタグを製造する、
ことを特徴とするRFIDタグの製造方法。
(付記11)
タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグの製造方法において、
絶縁フィルム上に印刷により、あるいはエッチングにより、LSIチップが搭載される給電用パターンとタグアンテナとして動作するパッチアンテナをそれぞれ形成し、かつ、給電用パターンとタグアンテナ間が高周波結合するように形成し、
前記LSIチップを前記給電用パターンに実装し、
該絶縁フィルムを片面プリント基板の上に接着し、該プリント基板裏面の導電パターンをグランドとする、
ことを特徴とするRFIDタグの製造方法。
(付記12)
タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグの製造方法において、
絶縁フィルム上に印刷により、あるいはエッチングにより、LSIチップが搭載される給電用パターンを形成し、
前記LSIチップを前記給電用パターンに実装し、
両面プリント基板の表面をエッチングすることによりタグアンテナとして動作するパッチアンテナを形成し、かつ、プリント基板裏面の導電パターンをグランドとし、
前記絶縁フィルムを前記プリント基板の表面に接着することによりRFIDタグを製造する、
ことを特徴とするRFIDタグの製造方法。
(付記13)
タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグの製造方法において、
絶縁フィルム上に印刷により、あるいはエッチングにより、タグアンテナとして動作するパッチアンテナを形成し、
両面プリント基板の表面をエッチングすることによりLSIチップが搭載される給電用パターンを形成し、かつ、プリント基板裏面の導電パターンをグランドとし、
前記LSIチップを前記給電用パターンに実装し、
前記絶縁フィルムを前記プリント基板の表面に接着することによりRFIDタグを製造する、
ことを特徴とするRFIDタグの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施例のRFIDタグの説明図である。
【図2】パッチアンテナより放射する電波の説明図である。
【図3】第2実施例のRFIDタグの平面図である。
【図4】第2実施例のRFIDタグの実際の寸法及び基板特性である。
【図5】周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの各種シミュレーション結果である。
【図6】タグアンテナのインピーダンスを示すスミスチャートである。
【図7】LSIチップとタグアンテナで構成されるRFIDタグの等価回路である。
【図8】周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのタグアンテナの利得特性である。
【図9】周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのSパラメータS11の特性図である。
【図10】周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの通信距離特性である。
【図11】並列インダクタの寸法s2を調整し、スミスチャート上で周波数を変化させたときのインピーダンス軌跡説明図である。
【図12】第3実施例のRFIDタグの平面図である。
【図13】第1実施例のタグアンテナを並列に接続した場合の平面図である。
【図14】第4実施例のRFIDタグの平面図である。
【図15】第4実施例のRFIDタグの実際の寸法及び基板特性である。
【図16】第4実施例において周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの各種シミュレーション結果である。
【図17】タグアンテナのインピーダンスを示すスミスチャートである。
【図18】周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのタグアンテナの利得特性である。
【図19】周波数を850MHzから980MHzまで変化したときのSパラメータS11の特性図である。
【図20】周波数を850MHzから980MHzまで変化したときの通信距離特性である。
【図21】並列インダクタの寸法s2を調整し、スミスチャート上で周波数を変化させたときのインピーダンス軌跡説明図である。
【図22】第5実施例のRFIDタグの平面図である。
【図23】第5実施例のRFIDタグの実際の寸法及び基板特性である。
【図24】タグアンテナのインピーダンスを示すスミスチャートである。
【図25】周波数を840MHzから980MHzまで変化したときのタグアンテナの利得特性である。
【図26】周波数を840MHzから980MHzまで変化したときのSパラメータS11の特性図である。
【図27】周波数を840MHzから980MHzまで変化したときの通信距離特性である。
【図28】第6実施例のRFIDタグの説明図である。
【図29】パッチアンテナにおけるY軸方向の電界Eの説明図である。
【図30】第6実施例のインピーダンスをスミスチャート上にプロットしたインピーダンス/周波数特性である。
【図31】通信距離の周波数特性である。
【図32】円偏波の電波の放射及び受信が可能なパッチアンテナの構成例である。
【図33】RFIDタグの第1の製造方法の説明図である。
【図34】RFIDタグの第2の製造方法の説明図である。
【図35】RFIDタグの第3の製造方法の説明図である。
【図36】RFIDタグの第4の製造方法の説明図である。
【図37】RFIDタグの第5の製造方法の説明図である。
【図38】RFIDタグの説明図である。
【図39】従来のRFIDタグの不具合発生の説明図である。
【図40】従来のRFIDタグの斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
31 絶縁フィルム
32 パッチアンテナ
33 両面プリント基板
34 微小ダイポールアンテナ
35 グランド
36 スロット
37 LSIチップ
38a,38b 並列インダクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグにおいて、
LSIチップが搭載された給電用パターン、
タグアンテナとして動作するパッチアンテナ、
前記給電用パターンと前記パッチアンテナ間を高周波結合する高周波結合部、
を備えたことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
一方の側に前記給電用パターン、パッチアンテナ、高周波結合部が形成され、他方の側にグランドとしての導電パターンが形成された誘電体、
該パッチアンテナの一辺とグランド間を誘電体の側面において短絡する短絡部、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のRFID。
【請求項3】
該RFIDタグは、給電用パターンとして動作する線状アンテナパターンを備えている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のRFIDタグ。
【請求項4】
該RFIDタグは、給電用パターンとして動作するループパターンを備えている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記パッチアンテナにスロットが形成され、前記線状アンテナとしての微小ダイポールアンテナの一端が該スロットと交叉するように積層配置され、該微小ダイポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる、
ことを特徴とする請求項3記載のRFIDタグ。
【請求項6】
前記パッチアンテナに切り欠きが形成され、前記線状アンテナとしての微小ダイポールアンテナの一端が該切り欠きに高周波的に結合され、該微小ダイポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる、
ことを特徴とする請求項3記載のRFIDタグ。
【請求項7】
前記微小ダイポールアンテナの中央に前記LSIチップが搭載され、該LSIチップを中心に前記パッチアンテナと左右対称となるように別のパッチアンテナが設けられ、
前記パッチアンテナと前記微小ダイポールアンテナの一端の位置関係と、該別のパッチアンテナと前記微小ダイポールアンテナの他端の位置関係が同じである、
ことを特徴とする請求項5または6記載のRFIDタグ。
【請求項8】
前記微小ダイポールアンテナに並列インダクタとして動作するループパターンが接続されてなることを特徴とする請求項5乃至7記載のRFIDタグ。
【請求項9】
該RFIDタグは、更に、並列インダクタとして動作するループパターンを備え、
該ループパターンの中間に前記LSIチップが搭載され、該ループパターンの端部と線状アンテナ部の端部を接続してモノポールアンテナが形成され、該モノポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる、
ことを特徴とする請求項1または2記載のRFIDタグ。
【請求項10】
タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグの製造方法において、
両面プリント基板の表面をエッチングすることにより、LSIチップが搭載される給電用パターンとタグアンテナとして動作するパッチアンテナをそれぞれ基板の表面に形成し、かつ、該給電用パターンとタグアンテナ間が高周波結合するように形成し、
前記プリント基板裏面の導電パターンをグランドとし、
前記LSIチップを前記給電用パターンに実装してRFIDタグを製造する、
ことを特徴とするRFIDタグの製造方法。
【請求項1】
タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグにおいて、
LSIチップが搭載された給電用パターン、
タグアンテナとして動作するパッチアンテナ、
前記給電用パターンと前記パッチアンテナ間を高周波結合する高周波結合部、
を備えたことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
一方の側に前記給電用パターン、パッチアンテナ、高周波結合部が形成され、他方の側にグランドとしての導電パターンが形成された誘電体、
該パッチアンテナの一辺とグランド間を誘電体の側面において短絡する短絡部、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のRFID。
【請求項3】
該RFIDタグは、給電用パターンとして動作する線状アンテナパターンを備えている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のRFIDタグ。
【請求項4】
該RFIDタグは、給電用パターンとして動作するループパターンを備えている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記パッチアンテナにスロットが形成され、前記線状アンテナとしての微小ダイポールアンテナの一端が該スロットと交叉するように積層配置され、該微小ダイポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる、
ことを特徴とする請求項3記載のRFIDタグ。
【請求項6】
前記パッチアンテナに切り欠きが形成され、前記線状アンテナとしての微小ダイポールアンテナの一端が該切り欠きに高周波的に結合され、該微小ダイポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる、
ことを特徴とする請求項3記載のRFIDタグ。
【請求項7】
前記微小ダイポールアンテナの中央に前記LSIチップが搭載され、該LSIチップを中心に前記パッチアンテナと左右対称となるように別のパッチアンテナが設けられ、
前記パッチアンテナと前記微小ダイポールアンテナの一端の位置関係と、該別のパッチアンテナと前記微小ダイポールアンテナの他端の位置関係が同じである、
ことを特徴とする請求項5または6記載のRFIDタグ。
【請求項8】
前記微小ダイポールアンテナに並列インダクタとして動作するループパターンが接続されてなることを特徴とする請求項5乃至7記載のRFIDタグ。
【請求項9】
該RFIDタグは、更に、並列インダクタとして動作するループパターンを備え、
該ループパターンの中間に前記LSIチップが搭載され、該ループパターンの端部と線状アンテナ部の端部を接続してモノポールアンテナが形成され、該モノポールアンテナよりパッチアンテナに給電が行なわれる、
ことを特徴とする請求項1または2記載のRFIDタグ。
【請求項10】
タグアンテナとLSIチップを備えたRFIDタグの製造方法において、
両面プリント基板の表面をエッチングすることにより、LSIチップが搭載される給電用パターンとタグアンテナとして動作するパッチアンテナをそれぞれ基板の表面に形成し、かつ、該給電用パターンとタグアンテナ間が高周波結合するように形成し、
前記プリント基板裏面の導電パターンをグランドとし、
前記LSIチップを前記給電用パターンに実装してRFIDタグを製造する、
ことを特徴とするRFIDタグの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【公開番号】特開2008−67342(P2008−67342A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1989(P2007−1989)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
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