説明

RFIDラベル検品装置及び検品方法

【課題】 歩留まり率の向上と、製造効率及び作業効率の向上とを図ったRFIDラベル検品装置を提供する。
【解決手段】 RFIDラベル検品装置100−1は、RFIDラベル210内のRFIDタグ204とアンテナ104との通信状態によりRFIDラベル210の良否を判定し、剥離ローラ108を回転させて、不良と判定したRFIDラベル210を台紙202から剥離する。更に、RFIDラベル検品装置100−1は、ローラ114、118a、118b及び巻き取り軸119を回転させて交換用RFIDラベル216を搬送し、台紙202における剥離されたRFIDラベル210が仮着されていた位置に、ローラ120によりその交換用RFIDラベル216を仮着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグを内包するRFIDラベルが帯状台紙に等間隔に仮着されたRFIDラベル用紙の検品装置及び検品方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品の在庫管理や販売管理等を容易にすべく、ICチップとアンテナを内蔵し、非接触で情報の電気的な書き込み及び読み出しを可能とするRFID(Radio Frequency IDentification)タグが開発されている。このRFIDタグは、内蔵するICチップに大量の情報を記憶することができ、無線(電磁誘導)により非接触で情報を送受信することができ、また、偽造が困難なためセキュリティにも優れている。このようなRFIDタグは、例えば用紙に内包されてRFIDラベルとして利用される。
【0003】
RFIDラベル製造装置は、所定間隔で配置されたRFIDタグを台紙に仮着し、更にRFIDタグの上面に印刷用紙を貼付した状態で搬送し、RFIDタグ及び印刷用紙を型抜きする。この型抜きされたRFIDタグと印刷用紙とによってRFIDラベルが構成される(例えば、特許文献1乃至5参照)。
【0004】
このようなRFIDラベル製造装置は、搬送や貼付の精度等を向上させるべく、RFIDタグの搬送経路には多くのテンションローラが用いられている。このため、RFIDタグに張力や押圧力がかかったり、紙と紙が擦れ合うことによって静電気が生じて、ICチップが破損し、RFIDラベルが不良となってしまうことがある。このような問題に対し、RFIDラベルの製造工程においてRFIDラベルに不良が生じた場合に、これを検出する手法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
【特許文献1】特開2002−72886号公報
【特許文献2】特開2002−134635号公報
【特許文献3】特開2002−279389号公報
【特許文献4】特開2002−347143号公報
【特許文献5】特開2003−6596号公報
【特許文献6】特開2004−86785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の手法では、RFIDラベルの不良が検出されるだけであり、作業者が手作業で不良となったRFIDラベルを剥がして良品のRFIDラベルに張り替える必要があり、製造効率が低下する。また、製造工程においてこのような張り替え作業が行われない場合には、不良のRFIDラベルがそのままRFIDラベルを製品等に貼り付ける現場に送られることになるため、歩留まり率が低下し、更には、貼り付けの現場において作業者が手作業で不良となったRFIDラベルを剥がして破棄するとともに、正常なRFIDラベルを作成して貼り付ける作業が必要となり、貼付作業の効率が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、前述したような従来の問題を解決するためになされたもので、歩留まり率の向上と、製造効率及び作業効率の向上とを図ったRFIDラベル検品装置及び検品方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るRFIDラベル検品装置は、RFIDタグを内包するRFIDラベルが帯状の台紙に等間隔に仮着されたRFIDラベル用紙を検品するものであって、前記RFIDラベルの良否を判定するRFIDラベル良否判定手段と、前記RFIDラベル良否判定手段により不良と判定された前記RFIDラベルを前記台紙から剥離するRFIDラベル剥離手段と、前記RFIDラベル剥離手段により剥離された前記RFIDラベルが仮着されていた前記台紙上の位置に、交換用RFIDラベルを仮着するRFIDラベル仮着手段とを有する。
【0008】
この構成により、不良のRFIDラベルは、台紙から剥離され、その剥離された位置には交換用RFIラベルが仮着される。従って、RFIDラベルの歩留まり率が向上し、更には作業者が手作業で不良のRFIDラベルを剥離する作業を行う必要がなく、製造効率及び作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0009】
また、本発明に係るRFIDラベル検品装置は、前記RFIDラベル良否判定手段が、前記RFIDタグとの間で通信を行うアンテナと、前記アンテナの近傍に配置され、電磁波を遮断するシールド部材とを有し、前記RFIDタグとの通信に異常が生じた場合に、該RFIDタグを内包する前記RFIDラベルを不良であると判定する。
【0010】
この構成により、通信異常を原因とするRFIDラベルの不良を適切に検出することができる。また、アンテナが同時に複数のRFIDタグとの間で通信を行うことを防止し、不良が生じたRFIDラベルを確実に特定することが可能となる。
【0011】
また、本発明に係るRFIDラベル検品装置は、前記RFIDラベル剥離手段が、外周部の所定位置に突起が形成された第1のローラを有し、前記第1のローラが回転して、前記突起が前記RFIDラベル用紙の裏面を押圧し、前記台紙から前記RFIDラベルを剥離する。
【0012】
この構成により、第1のローラの突起がラベル用紙の裏面を押圧すると、その押圧位置に仮着されているRFIDラベルが台紙から浮き上がって剥離される。
【0013】
また、本発明に係るRFIDラベル検品装置は、前記RFIDラベル剥離手段が、進退動可能な棒状体を有し、前記棒状体が進出して、先端が前記RFIDラベル用紙の裏面を押圧し、前記台紙から前記RFIDラベルを剥離する。
【0014】
この構成により、棒状体の先端がラベル用紙の裏面を押圧すると、その押圧位置に仮着されているRFIDラベルが台紙から浮き上がって剥離される。
【0015】
また、本発明に係るRFIDラベル検品装置は、前記RFIDラベル剥離手段が、前記台紙のテンションを緩和するテンション緩和機構を有し、前記棒状体が進出する時に、前記テンション緩和機構により前記RFIDラベル用紙のテンションが緩和される。
【0016】
この構成により、棒状体の先端が台紙を押圧する時に、RFIDラベル用紙のテンションが緩和されるため、棒状体の押圧によるラベル用紙の破断を予防することができる。
【0017】
また、本発明に係るRFIDラベル検品装置は、前記ラベル仮着手段が、第2のローラを有し、前記第2のローラが回転して、前記交換用RFIDラベルを前記台紙に向けて押圧する。
【0018】
また、本発明に係るRFIDラベル検品装置は、前記ラベル仮着手段が、前記交換用RFIDラベルを吸引し、前記RFIDラベル剥離手段により剥離された前記RFIDラベルが仮着されていた前記台紙の位置上で噴出する吸引・噴出手段を有する。
【0019】
また、本発明に係るRFIDラベル検品装置は、前記RFIDラベル剥離手段により剥離された前記RFIDラベルが仮着されていた前記台紙の位置を検知する位置検知手段を有する。
【0020】
また、本発明に係るRFIDラベル検品方法は、RFIDタグを内包するRFIDラベルが帯状の台紙に等間隔に仮着されたRFIDラベル用紙の検品方法であって、前記RFIDラベルの良否を判定するRFIDラベル良否判定工程と、前記RFIDラベル良否判定工程により不良と判定された前記RFIDラベルを前記台紙から剥離するRFIDラベル剥離工程と、前記RFIDラベル剥離工程により剥離された前記RFIDラベルが仮着されていた前記台紙上の位置に、交換用RFIDラベルを仮着するRFIDラベル仮着工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るRFIDラベル検品装置及び検品方法によれば、不良のRFIDラベルが台紙から剥離され、その剥離された位置には交換用RFIラベルが貼り付けられるため、RFIDラベルの歩留まり率が向上し、更には作業者が手作業で不良のRFIDラベルを剥離する作業を行う必要がなく、製造効率及び作業効率の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態の第1のRFIDラベル検品装置について、図面を用いて説明する。図1及び図2は、本発明の実施の形態における第1のRFIDラベル検品装置の構成を示す図である。図1は通常時の状態を示し、図2は不良なRFIDラベルを検出した時の状態を示す。
【0023】
図1及び図2のRFIDラベル検品装置100−1では、帯状の台紙202と、当該台紙202に所定間隔で仮着されたRFIDラベル210とによって構成されるラベル用紙212が搬送される。
【0024】
図3は、台紙202の断面図である。同図に示すように、台紙202は、ベース層230と当該ベース層230の上面に配置されるシリコン層231とによって構成される。図4は、台紙202と当該台紙202に仮着されるRFIDラベル210とによって構成されるラベル用紙212の上面図、図5は、当該上面図におけるX−X線断面図である。これらの図に示すように、RFIDタグ204は、ICチップ223及びアンテナ224から構成されており、周囲をフィルム層222によって保護されている。更に、フィルム層222の周囲には粘着層226が形成され、当該粘着層226の上面には印刷層252が配置されて、RFIDラベル210が構成される。そして、このRFIDラベル210が台紙202に仮着されることによって、ラベル用紙212が構成される。
【0025】
再び、図1及び図2に戻って説明する。RFIDラベル検品装置100−1におけるラベル用紙212の搬送経路上には、上流側から順に、ローラ102a及び102bと、ローラ110と、ローラ122とが配置される。これらローラ102a、102b、110及び122は、図示しない例えばV字型ベルトにより連結されており、後述する用紙搬送モータの駆動により回転してラベル用紙212に当接し、当該ラベル用紙212を下流側に搬送する。
【0026】
ラベル用紙212の搬送経路上には、上流側から順に、ローラ102a及び102bと、ローラ110との間にアンテナ104と剥離ローラ108とが配置され、ローラ110とローラ122との間にラベル無し検出センサ112が配置される。
【0027】
アンテナ104は、ラベル用紙212におけるRFIDラベル210内のRFIDタグ204との間で通信を行う。このアンテナ104の近傍には、外部からの電磁波を遮断し、アンテナ104の通信領域を規制して、1つのRFIDタグ204との間でのみ通信を可能とするためのシールド部材106が配置されている。
【0028】
剥離ローラ108は、外周部の所定位置に突起が形成された形状を有する。ラベル用紙212は、剥離ローラ108が当接することによって搬送方向が転換し、搬送経路上のローラ110へ供給される。通常時は、図1に示すように、剥離ローラ108は、外周部における突起が形成されていない部分がラベル用紙212の裏面に当接している。一方、不良なRFIDラベルを検出した時は、図2に示すように、剥離ローラ108は、回転し、外周部における突起がラベル用紙212の裏面に当接する。これにより、RFIDラベル210が台紙202から浮き上がって剥離される。剥離ローラ108の近傍には、トレイ109が配置されており、台紙202から剥離されたRFIDラベル210が搭載される。
【0029】
ラベル無し検知センサ112は、台紙202上にRFIDラベル210が存在しないことを検知する。具体的には、ラベル無し検知センサ112は、上述した剥離ローラ108によってRFIDラベル210が台紙202から剥離されることにより、台紙202上にRFIDラベル210が所定間隔で存在しなくなった場合に、その領域(ラベル無し領域)を検知する。
【0030】
また、ラベル用紙212の搬送経路上におけるローラ122の下流側には、巻き取り軸124が配置される。この巻き取り軸124は、ラベル用紙212の巻き径に応じて巻き取り力を調整することができるように図示しないクラッチ機構を有しており、後述する巻き取り用モータの駆動により、常時ラベル用紙212を巻き取っている。
【0031】
RFIDラベル仮着機構111−1において、帯状の台紙214と、当該台紙214に所定間隔で仮着された交換用のRFIDラベル216とにより構成される交換用ラベル用紙218の搬送経路上には、上流側から順に、RFIDラベル仮着機構111−1を構成する交換用ラベル用紙218を巻回して装着する供給軸113と、ローラ114と、ローラ118a及び118bと、巻き取り軸119とが配置される。
【0032】
交換用RFIDラベル216は、RFIDラベル210と同一の構造を有するものであり、通信障害の生じることのない良品である。
【0033】
ローラ114、118a、118b及び巻き取り軸119は、図示しないギアやV字型ベルト等により連結されており、後述する交換用紙搬送モータの駆動により回転する。このうち、ローラ114は、供給軸113から繰り出される交換用ラベル用紙218に当接し、当該交換用ラベル用紙218を下流側に搬送する。
【0034】
ラベル用紙212の搬送経路には、ローラ114とローラ118a及び118bとの間に用紙検出センサ115と剥離板116とが配置される。このうち、剥離板116は、ローラ114とローラ118a及び118bとの間であって、且つ、ラベル用紙212の搬送経路上におけるラベル無し検出センサ112とローラ122との間に配置される。
【0035】
用紙検知センサ115は、交換用ラベル用紙218の用紙切れを検知するとともに、剥離板116へ繰り出される交換用RFIDラベル216の先端を検知し、台紙202へ交換用RFIDラベル216を貼り付けるタイミングを検知する。
【0036】
剥離板116は、交換用ラベル用紙218のうち、巻き取り軸119に引っ張られる台紙214のみを転向させる。これにより、図2に示すように、交換用RFIDラベル216は、台紙214から剥離される。台紙214から剥離した交換用RFIDラベル216は、台紙202におけるラベル無し領域に配置される。
【0037】
ローラ118a及び118bは、剥離板116によって転向した台紙214と当接し、当該台紙214を下流側に搬送する。巻き取り軸119は、台紙214の巻き径に応じて巻き取り力を調整することができるように図示しないクラッチ機構を有しており、当該台紙214を巻き取る。
【0038】
RFIDラベル仮着機構111−1を構成するローラ120は、ラベル用紙212の搬送経路上における剥離板116とローラ122との間に配置される。このローラ120は、ラベル用紙212の搬送に伴って従動し、剥離板116によって台紙214から剥離された交換用RFIDラベル216を台紙202の側に押圧する。この押圧によって交換用RFIDラベル216は、台紙202におけるラベル無し領域に仮着される。
【0039】
図6は、第1のRFIDラベル検品装置100−1の制御系の構成を示す図である。図6において、CPU150は、RFIDラベル検品装置100−1の全体を制御する。不揮発性メモリ152は、RFIDラベル検品装置100−1の制御において実行される各種プログラムを格納するROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等によって構成される。RAM(Random Access Memory)154には、RFIDタグ204から読み出された情報等が格納される。外部インタフェース(I/F)156は、ホスト300との間で通信を行う。操作制御部158は、各種ボタンや操作パネル(図示せず)を有する操作部160を制御する。
【0040】
リーダライタ162は、アンテナ104を介して、RFIDタグ204との間で通信を行う。リーダライタ制御部164は、このリーダライタ162との間でシリアル通信等を行い、当該リーダライタ162による通信を制御する。なお、リーダライタ162の回路をリーダライタ制御部164に組み込んだ構成であっても良い。
【0041】
ローラ制御部166は、剥離ローラ108を回転させるローラモータ168の駆動を制御する。搬送制御部170は、ラベル用紙212を搬送するローラ102a、102b、110及び122を駆動する搬送モータ172と、ラベル用紙212を巻き取る巻き取り軸124を駆動する巻き取り用モータ173とを制御する。搬送制御部182は、交換用ラベル用紙218を搬送するローラ114、118a、118b及び交換用ラベル用紙218の台紙214を巻き取る巻き取り軸119を駆動する交換用紙搬送モータ183を制御する。センサ制御部174は、ラベル無し検知センサ112を制御する。同様に、センサ制御部178は、用紙検知センサ115を制御する。
【0042】
次に、第1のRFIDラベル検品装置100−1の動作例について説明する。
【0043】
まず、CPU150は、台紙202及びRFIDラベル210からなるラベル用紙212が搬送されている状態において、リーダライタ制御部164に対し、RFIDラベル210内のRFIDタグ204との通信を指示する。リーダライタ制御部164は、この指示に従って、リーダライタ162及びアンテナ104を介して、RFIDタグ204へ読み出し信号を送信する。この読み出し信号を受信したRFIDタグ204は、内部のICチップ223の記憶メモリに記憶されている情報を送信する。リーダライタ162は、この情報を、アンテナ104を介して受信した場合、リーダライタ制御部164へ出力する。CPU150は、リーダライタ制御部164からの情報の取得状態に基づいて、アンテナ104の通信対象とするRFIDラベル210が不良であるか否かを判定する。ここでは、CPU150は、リーダライタ制御部164からの情報を取得した場合、RFIDラベル210が良品であると判定し、取得することができなかった場合には、RFIDラベル210が不良であると判定する。
【0044】
RFIDラベル210が不良である場合には、CPU150は、ローラ制御部166に対してローラモータ168の駆動を指示する。ここで、CPU150は、ラベル用紙212の搬送速度、アンテナ104と剥離ローラ108との距離、及び、剥離ローラ108の回転速度に基づいて、不良のRFIDラベル210が剥離ローラ108へ到達するタイミングで、剥離ローラ108の外周部における突起がラベル用紙212における不良のRFIDラベル210の仮着された位置の裏面に当接するように、適切なタイミングでローラ制御部166に対してローラモータ168の駆動を指示する。
【0045】
ローラ制御部166は、CPU150の指示に応じて、ローラモータ168を駆動させる。これにより、図2に示すように、剥離ローラ108が回転し、外周部における突起がラベル用紙212における不良のRFIDラベル210の仮着された位置の裏面に当接し、不良のRFIDラベル210が台紙202から浮き上がって剥離され、トレイ109に搭載される。
【0046】
次に、CPU150は、ラベル無し検知センサ112によって台紙202上にRFIDラベル210が存在しないことが検知されたか否かを判定する。剥離ローラ108によって不良のRFIDラベル210が台紙202から剥離されると、台紙202におけるラベル無し領域がラベル無し検知センサ112に到達した時に、当該ラベル無し検知センサ112は、そのラベル無し領域を検知する。ラベル無し検知センサ112による検知情報は、センサ制御部174を介してCPU150へ送られ、CPU150は、この検知情報によって、ラベル無し検知センサ112によって台紙202上にRFIDラベル210が存在しないことが検知されたことを認識することができる。
【0047】
ラベル無し検知センサ112によって台紙202上にRFIDラベル210が存在しないことが検知された場合、CPU150は、供給軸113に巻回されて装着されている交換用ラベル用紙218が台紙214における交換用RFIDラベル216の配置間隔に対応する長さだけ繰り出されるように、搬送制御部182に対して交換用紙搬送モータ183の駆動を指示する。ここで、CPU150は、ラベル用紙212の搬送速度、ラベル無し検知センサ112と剥離板116との距離、交換用ラベル用紙218の搬送速度、用紙検知センサ115による交換用RFIDラベル216の先端の検知タイミング、及び、用紙検知センサ115と剥離板116との距離に基づいて、剥離板116によって台紙214から剥離された交換用RFIDラベル216が台紙202のラベル無し領域に配置されるように、適切なタイミングで、搬送制御部182に対して交換用紙搬送モータ183の駆動を指示する。
【0048】
搬送制御部182は、CPU150の指示に応じて、交換用紙搬送モータ182を駆動させる。これにより、図2に示すように、ローラ114、118a、118b及び巻き取り軸119が回転し、供給軸113に巻回されて装着されている交換用ラベル用紙218が台紙214における交換用RFIDラベル216の配置間隔に対応する長さだけ繰り出され、更に、当該交換用ラベル用紙218の台紙214が剥離板116によって方向が転換して巻き取り軸219に巻き取られる。そして、1枚の交換用RFIDラベル216が剥離板116によって台紙214から剥離されて、台紙202のラベル無し領域に配置される。更に、交換用RFIDラベル216は、ローラ120によって台紙202の側に押圧されることにより、ラベル無し領域に仮着される。
【0049】
なお、上記実施の形態において、アンテナ104の通信によって不良のRFIDラベル210が検出されて、剥離ローラ108が外周部の突起をラベル用紙212における不良のRFIDラベル210の仮着された位置の裏面に当接するタイミング、及び、ラベル無し検知センサ112が台紙202上にRFIDラベル210が存在しないこと(前工程で、アンテナ104の通信対象とするRFIDラベル210が不良であると判定され、剥離ローラ108がその不良のRFIDラベル210を剥離した台紙202の位置)を検出し、RFIDラベル仮着機構111−1が台紙202に向けて交換用ラベル216を繰り出すタイミングは、予め不揮発性メモリ152に記憶させて動作時にCPU150が読み込む方法や、操作部160における図示しないボリュームやキー操作によりタイマ値を設定する方法でも良く、適宜変更可能である。
【0050】
第1のRFIDラベル検品装置100−1によれば、通信異常が生じて不良となったRFIDラベル210が、剥離ローラ108の回転によって台紙202から剥離され、台紙202におけるラベル無し領域には、良品の交換用RFIDラベル216が仮着される。従って、製品であるラベル用紙212におけるRFIDラベルの歩留まり率が向上する。また、作業者が手作業で不良のRFIDラベル210を剥離する作業を行う必要がなく、製造効率及び作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0051】
次に、本発明の実施の形態の第2のRFIDラベル検品装置について、図面を用いて説明する。図7及び図8は、本発明の実施の形態における第2のRFIDラベル検品装置の構成を示す図である。図7は通常時の状態を示し、図8はRFIDラベルの不良発生時の状態を示す。
【0052】
第2のRFIDラベル検品装置100−2を第1のRFIDラベル検品装置100−1と比較すると、第2のRFIDラベル検品装置100−2は、剥離ローラ108を有していない一方、テンション調整機構130、剥離機構135及びエアシリンダ140を有する。
【0053】
テンション調整機構130及び剥離機構135は、ラベル用紙212の搬送経路上においてアンテナ104とローラ110との間に、上流側からテンション調整機構130、剥離機構135の順に配置される。
【0054】
テンション調整機構130は、バネ131と当該バネ131の先端に取り付けられたローラ132とによって構成される。ラベル用紙212は、ローラ132が当接することによって搬送方向が転換する。剥離機構135は、棒状体のシリンダ136及び当該シリンダ136の先端に取り付けられた剥離板137によって構成される。
【0055】
通常時は、図7に示すように、剥離機構135のシリンダ136が退出しており、ラベル用紙212に当接しておらず、テンション調整機構130のバネ131が伸張している。一方、不良なRFIDラベルを検出した時は、図8に示すように、剥離機構135のシリンダ136が進出し、剥離板137がラベル用紙212の裏面に当接する。この時、剥離板137の進出によりラベル用紙212のテンションが高くなるが、テンション調整機構130のバネ131が縮退することによってラベル用紙212のテンションが緩和される。そして、剥離板137がラベル用紙212の裏面に当接することによって台紙202が折れ曲がり、RFIDラベル210が台紙202から浮き上がって剥離される。台紙202から剥離されたRFIDラベル210はトレイ109に搭載される。
【0056】
エアシリンダ140は、RFIDラベル仮着機構111−2を構成するものであり、ラベル用紙212の搬送経路上における剥離板116とローラ122との間に配置される。このエアシリンダ140は、シリンダ141と当該シリンダ141の先端に取り付けられたエア噴出・吸引部142とによって構成される。通常時は、図7に示すように、エア噴出・吸引部142はエアの噴出及び吸引を行っていない。一方、不良なRFIDラベルを検出した時は、図8に示すように、エア噴出・吸引部142は、エアを吸引することにより、剥離板116によって台紙214から剥離された交換用RFIDラベル216を吸い付ける。更に、シリンダ141が進出し、エア噴出・吸引部142は、エアを噴出させることにより、交換用RFIDラベル216を、台紙202におけるラベル無し領域に配置する。
【0057】
図9は、第2のRFIDラベル検品装置100−2の制御系の構成を示す図である。第2のRFIDラベル検品装置100−2の制御系を第1のRFIDラベル検品装置100−1と比較すると、第2のRFIDラベル検品装置100−2の制御系は、ローラ制御部166を有していない一方、剥離機構135の駆動を制御する剥離機構制御部192、及び、エアシリンダ140の駆動を制御するエア制御部184を有する。
【0058】
次に、第2のRFIDラベル検品装置100−2の動作例について説明する。
【0059】
まず、CPU150は、台紙202及びRFIDラベル210からなるラベル用紙212が搬送されている状態において、アンテナ104の通信対象とするRFIDラベル210が不良であるか否かを判定する。
【0060】
RFIDラベル210が不良である場合には、CPU150は、剥離機構制御部192に対して剥離機構135の駆動を指示する。ここで、CPU150は、アンテナ104と剥離機構135の距離、ラベル用紙212の搬送速度、及び、剥離機構135におけるシリンダ136の進出速度に基づいて、不良のRFIDラベル210が剥離機構135に到達するタイミングで剥離板137がラベル用紙212に当接するように、適切なタイミングで、剥離機構制御部192に対して剥離機構135の駆動を指示する。
【0061】
テンション調整機構180は、CPU150の指示に応じて、テンション調整機構130を駆動させる。同様に、剥離機構制御部192は、CPU150の指示に応じて、剥離機構135を駆動させる。これにより、図8に示すように、不良のRFIDラベル210が剥離機構135に到達するタイミングで、当該剥離機構135におけるシリンダ136が進出し、剥離板137がラベル用紙212の裏面に当接するとともに、テンション調整機構130のバネ131が縮退することによってラベル用紙212のテンションが緩和されて、不良のRFIDラベル210が台紙202から浮き上がって剥離され、トレイ109に搭載される。
【0062】
次に、CPU150は、ラベル無し検知センサ112によって台紙202上にRFIDラベル210が存在しないことが検知されたか否かを判定する。
【0063】
ラベル無し検知センサ112によって台紙202上にRFIDラベル210が存在しないことが検知された場合、CPU150は、搬送制御部182に対して交換用紙搬送モータ183の駆動を指示するとともに、エアシリンダ140に対してエアの吸引を指示する。搬送制御部182は、この指示に応じて、交換用紙搬送モータ183を駆動させる。これにより、図8に示すように、ローラ114、118a、118b及び巻き取り軸119が回転し、供給軸113に巻回されて装着されている交換用ラベル用紙218が台紙214における交換用RFIDラベル216の配置間隔に対応する長さだけ繰り出され、更に、交換用ラベル用紙218の台紙214が剥離板116によって方向が転換して巻き取り軸219に巻き取られる。そして、1枚の交換用RFIDラベル216が剥離板116によって台紙214から剥離される。一方、エアシリンダ140におけるエア噴出・吸引部142は、CPU150の指示に応じてエアを吸引することにより、剥離板116によって台紙214から剥離された交換用RFIDラベル216を吸い付ける。そして、シリンダ141が進出し、エア噴出・吸引部142がエアを噴出させることにより、交換用RFIDラベル216が台紙202におけるラベル無し領域に配置される。更に、交換用RFIDラベル216は、ローラ120によって台紙202の側に押圧されることにより、ラベル無し領域に仮着される。
【0064】
なお、上記実施の形態において、アンテナ104の通信によって不良のRFIDラベル210が検出されて、剥離機構135におけるシリンダ136が進出し、剥離板137がラベル用紙212における不良のRFIDラベル210の位置の裏面に当接するタイミング、及び、ラベル無し検知センサ112が台紙202上にRFIDラベル210が存在しないこと(前工程で、アンテナ104の通信対象とするRFIDラベル210が不良であると判定され、剥離板137がその不良のRFIDラベル210を剥離した台紙202の位置)を検出し、RFIDラベル仮着機構111−2が台紙202に向けて交換用ラベル216を繰り出すタイミングは、予め不揮発性メモリ152に記憶させて動作時にCPU150が読み込む方法や、操作部160における図示しないボリュームやキー操作によりタイマ値設定する方法でも良く、適宜変更可能である。
【0065】
第2のRFIDラベル検品装置100−2によれば、通信異常が生じて不良となったRFIDラベル210が、剥離機構135のシリンダ136の進出によって台紙202から剥離され、台紙202におけるラベル無し領域には、エアシリンダ140の駆動によって良品の交換用RFIDラベル216が配置され、更に仮着される。従って、製品であるラベル用紙212におけるRFIDラベルの歩留まり率が向上する。また、作業者が手作業で不良のRFIDラベル210を剥離する作業を行う必要がなく、製造効率及び作業効率の向上を図ることが可能となる。また、不良のRFIDラベル210が台紙202から剥離される際には、テンション調整機構130によって台紙202のテンションが緩和されるため、剥離機構135のシリンダ136の進出によって台紙202のテンションが大きくなって破断することが予防される。
【0066】
なお、上述した実施形態では、CPU150は、ラベル無しセンサ112によって台紙202上にRFIDラベル210が存在しないことが検知された場合に、搬送制御部182に対して交換用紙搬送モータ183の駆動を指示したが、アンテナ104の通信対象とするRFIDラベル210が不良であると判定した場合に、搬送制御部182に対して交換用紙搬送モータ183の駆動を指示しても良い。この場合、CPU150は、ラベル用紙212の搬送速度、アンテナ104と剥離板116との距離、交換用ラベル用紙218の搬送速度、用紙検知センサ115による交換用RFIDラベル216の先端の検知タイミング、及び、用紙検知センサ115と剥離板116との距離に基づいて、剥離板116によって台紙214から剥離された交換用RFIDラベル216が台紙202のラベル無し領域に配置されるように、適切なタイミングで、搬送制御部182に対して交換用紙搬送モータ183の駆動を指示する。
【0067】
また、第2のRFIDラベル検品装置100−2において、テンション調整機構130及び剥離機構135に代えて、第1のRFIDラベル検品装置100−1における剥離ローラ108を有する構成であっても、同様に本発明を適用することができる。
【0068】
さらに、上記実施の形体では、ラベル用紙212の搬送路に剥離ローラ108、ローラ132及びローラ110を用いて、ラベル用紙212を搬送するように説明したが、ラベル用紙212の搬送路を平坦とした場合は、RFIDラベル剥離手段として、ラベル用紙212の搬送路でアンテナ104の下流に、ラベル用紙212の上空に進退動し外周に粘着材が塗布され回動可能な粘着ローラを設け、アンテナ104で不良なRFIDラベル210を検出した場合に、上記粘着ローラを進出させ不良なRFIDラベル210に当接させることで剥離するものとしてもよく、RFIDラベル剥離手段をラベル用紙212の搬送形態に合わせて、適宜変更可能である。
【0069】
さらにまた、本RFIDラベル検品装置を、RFIDラベルの製造ラインの後工程に設けることや、製品化され巻回されたRFIDラベル用紙の検品用に単独で構成した機器としてもよく、この場合、導入コストを最小限に止めることができる他、RFIDラベルの歩留まり率が向上し、更には製造効率及び作業効率の向上を図ることが可能となり、種々の効果を奏することは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1のRFIDラベル検品装置の通常時の構成を示す図である。
【図2】第1のRFIDラベル検品装置の不良なRFIDラベルを検出した時の構成を示す図である。
【図3】台紙の断面図である。
【図4】ラベル用紙の上面図である。
【図5】ラベル用紙の断面図である。
【図6】第1のRFIDラベル検品装置の制御系の構成を示す図である。
【図7】第2のRFIDラベル検品装置の通常時の構成を示す図である。
【図8】第2のRFIDラベル検品装置の不良なRFIDラベルを検出した時の構成を示す図である。
【図9】第2のRFIDラベル検品装置の制御系の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
100−1、100−2 RFIDラベル検品装置
102a、102b、110、114、118a、118b、120、122、132 ローラ
104 アンテナ
106 シールド部材
108 剥離ローラ
109 トレイ
111−1、111−2 RFIDラベル仮着機構
112 ラベル無し検知センサ
113 供給軸
116、137 剥離板
119、124 巻き取り軸
130 テンション調整機構
131 バネ
132 ローラ
135 剥離機構
136、141 シリンダ
140 エアシリンダ
142 エア噴出・吸引部
150 CPU
152 不揮発性メモリ
154 RAM
156 外部インタフェース
158 操作制御部
160 操作部
162 リーダライタ制御部
164 リーダライタ
166 ローラ制御部
170、182 搬送制御部
172 搬送モータ
173 巻き取り用モータ
174、178 センサ制御部
183 交換用紙搬送モータ
184 エア制御部
202、214 台紙
204 RFIDタグ
210 RFIDラベル
212 ラベル用紙
216 交換用RFIDラベル
218 交換用ラベル用紙
222 フィルム層
223 ICチップ
224 アンテナ
226 粘着層
230 ベース層
231 シリコン層
252 印刷層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグを内包するRFIDラベルが帯状の台紙に等間隔に仮着されたRFIDラベル用紙の検品装置であって、
前記RFIDラベルの良否を判定するRFIDラベル良否判定手段と、
前記RFIDラベル良否判定手段により不良と判定された前記RFIDラベルを前記台紙から剥離するRFIDラベル剥離手段と、
前記RFIDラベル剥離手段により剥離された前記RFIDラベルが仮着されていた前記台紙上の位置に、交換用RFIDラベルを仮着するRFIDラベル仮着手段とを有することを特徴とするRFIDラベル検品装置。
【請求項2】
前記RFIDラベル良否判定手段は、前記RFIDタグとの間で通信を行うアンテナと、
前記アンテナの近傍に配置され、電磁波を遮断するシールド部材とを有し、
前記RFIDタグとの通信に異常が生じた場合に、該RFIDタグを内包する前記RFIDラベルを不良であると判定することを特徴とする請求項1に記載のRFIDラベル検品装置。
【請求項3】
前記RFIDラベル剥離手段は、外周部の所定位置に突起が形成された第1のローラを有し、
前記第1のローラが回転して、前記突起が前記RFIDラベル用紙の裏面を押圧し、前記台紙から前記RFIDラベルを剥離することを特徴とする請求項1又は2に記載のRFIDラベル検品装置。
【請求項4】
前記RFIDラベル剥離手段は、進退動可能な棒状体を有し、
前記棒状体が進出して、先端が前記RFIDラベル用紙の裏面を押圧し、前記台紙から前記RFIDラベルを剥離することを特徴とする請求項1又は2に記載のRFIDラベル検品装置。
【請求項5】
前記RFIDラベル剥離手段は、前記台紙のテンションを緩和するテンション緩和機構を有し、
前記棒状体が進出する時に、前記テンション緩和機構により前記RFIDラベル用紙のテンションが緩和されることを特徴とする請求項4に記載のRFIDラベル検品装置。
【請求項6】
前記ラベル仮着手段は、第2のローラを有し、
前記第2のローラが回転して、前記交換用RFIDラベルを前記台紙に向けて押圧することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のRFIDラベル検品装置。
【請求項7】
前記ラベル仮着手段は、前記交換用RFIDラベルを吸引し、前記RFIDラベル剥離手段により剥離された前記RFIDラベルが仮着されていた前記台紙の位置上で噴出する吸引・噴出手段を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のRFIDラベル検品装置。
【請求項8】
前記RFIDラベル剥離手段により剥離された前記RFIDラベルが仮着されていた前記台紙の位置を検知する位置検知手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のRFIDラベル検品装置。
【請求項9】
RFIDタグを内包するRFIDラベルが帯状の台紙に等間隔に仮着されたRFIDラベル用紙の検品方法であって、
前記RFIDラベルの良否を判定するRFIDラベル良否判定工程と、
前記RFIDラベル良否判定工程により不良と判定された前記RFIDラベルを前記台紙から剥離するRFIDラベル剥離工程と、
前記RFIDラベル剥離工程により剥離された前記RFIDラベルが仮着されていた前記台紙上の位置に、交換用RFIDラベルを仮着するRFIDラベル仮着工程とを有することを特徴とするRFIDラベル検品方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−163838(P2006−163838A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354690(P2004−354690)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】