説明

RFIDリーダ

【課題】金属部品に対して直接貼付したRFIDタグを読むことができるRFIDリーダを提供することを目的とする。
【解決手段】ICチップを搭載したアンテナが外皮フィルムでラミネートされたフレキシブルなインレット1が金属パイプ20に貼り付けられている。RFIDリーダ10は、主アンテナ11の電波放射面11aに、インレット1とほぼ同じ大きさの補助アンテナ12が設置されている。インレット1を読み込む際に、補助アンテナ12は、インレット1の長手方向の両端に行くにしたがってインレット1の表面から離れる方向になっている。RFIDリーダの主アンテナから放射される質問波(電波)はインレットの両端部分に到達する。質問波に応答してインレットの両端部分から放射される応答波は補助アンテナに到達し、補助アンテナの電波増幅作用によってRFIDタグとRFIDリーダとの間の通信距離を延ばすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップに記録されたID(Identification:識別情報)などの情報をRF(Radio Frequency:無線周波数)で送信するRFID(Radio Frequency Identification)タグを読むことができるRFIDリーダに関し、特に、金属面に装着したRFIDタグを読むことができるRFIDリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
汎用的なRFIDタグは、ICチップを搭載した小型アンテナがフィルムでラミネートされて薄型かつフレキシブルに構成されている。したがって、このようなフレキシブルなRFIDタグは、様々な形状の部品に対して容易に貼付することができるので、リーダライタによって、例えば40mm以内でRFIDタグをかざせば、ICチップに記録されている部品情報を非接触で読み取ることができる。例えば、生産現場などにおいて、組立部品に対応した帳票に貼付されているRFIDタグに各部品の属性などを記録しておけば、製品の製造履歴などを管理することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−149004号公報(段落0011〜0013、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、生産現場などにおいては、フレキシブルなRFIDタグを帳票に貼付するのではなく、組立部品に直接貼付したいという要求もある。ところが、生産現場などで組み立てられる部品は非金属部品もあれば金属部品もある。金属部品に対して上記のようなフレキシブルなRFIDタグを直接貼付した場合は、リーダライタからRFIDタグ内の小型アンテナへ放射される電波は殆んど金属部品に吸収されてしまい、RFIDタグ内の小型アンテナから外部へ放射される電波は著しく低下してしまう。したがって、RFIDタグの電界強度が著しく弱くなって通信距離が低下するので、リーダライタをRFIDタグに接触させてもICチップの情報を読み取ることができない。
【0004】
また、RFIDタグの表面にほぼ同じ大きさの金属箔を搭載して、この金属箔を補助アンテナとして構成したRFIDタグも知られているが、このような補助アンテナを設けたRFIDタグを非金属部品に貼付した場合は、補助アンテナの電波増幅作用によってRFIDタグとリーダライタとの間の通信距離は、例えば140mmぐらいに著しく延びる。しかし、表面に補助アンテナを設けたRFIDタグを金属部品に貼付した場合は、RFIDタグ内の小型アンテナが金属部品の金属面と補助アンテナとで覆われてシールドされてしまうので、リーダライタからの電波は殆んどRFIDタグ内の小型アンテナへ到達しない。その結果、小型アンテナから補助アンテナへは、殆んど電波が放射されないので、補助アンテナの電波増幅作用が殆んど行われなくなってRFIDタグの通信距離が著しく低下し、前記のフレキシブルなRFIDタグと同様、リーダライタを補助アンテナに接触させてもICチップの情報を読み取ることができない。
【0005】
なお、組立部品の中には表面が湾曲状になった部品も存在するが、RFIDタグのフレキシブル性を利用すれば表面が湾曲状の部品に対しても容易に貼付することができる。しかし、表面が湾曲状の金属部品にフレキシブルなRFIDタグを直接貼付した場合においても、補助アンテナがあるか否かに関わらずそのRFIDタグの通信距離は著しく低下する。
【0006】
本発明は、前記のような問題点に鑑みてなされたものであり、表面が湾曲状または平面状の金属部品に対して直接貼付したRFIDタグを読むことができるRFIDリーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明のRFIDリーダは、ICチップを搭載したアンテナがフィルムでラミネートされて表面が湾曲状の金属部材に搭載されたインレット(例えば、インレット1)と送受信するRFIDリーダであって、インレットに対向するRFIDリーダのアンテナ部の電波放射面(例えば、電波放射面11a)に、平面状の金属箔(例えば、補助アンテナ12)を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のRFIDリーダは、ICチップを搭載したアンテナがフィルムでラミネートされて平面状の金属面に搭載されるインレットと送受信するRFIDリーダであって、インレットに対向するRFIDリーダ用アンテナ部の電波放射面に、長手方向の少なくとも一方の先端部分に行くにしたがってインレットの表面から離れる方向に湾曲状に形成される、金属箔を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のRFIDリーダによれば、表面が湾曲状または平面状の金属部品に対して直接貼付したRFIDタグを所望の通信距離を確保して読むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
《発明の概要》
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)に係るRFIDリーダについて好適な例をあげて説明するが、理解を容易にするために、まず、本発明におけるRFIDリーダの概要について説明する。
【0011】
本発明のRFIDリーダは、ICチップの搭載されたアンテナがフィルムでラミネートされた薄くてフレキシブルなインレットを湾曲状の金属パイプなどに貼り付けた際のRFIDリーダであり、RFIDリーダの主アンテナ(第1のアンテナ)の前面に、主アンテナの表面(つまり、電波放射面)に対してインレットとほぼ同じ大きさの金属箔(補助アンテナ)を設けた。これによって、使用者などがRFIDリーダによってRFIDタグを読もうとするとき、電界強度の強いインレットの両端部分においてインレットが金属パイプと補助アンテナによってシールドされないように所望の隙間が形成される。したがって、RFIDリーダの主アンテナから放射される電波(質問波)はインレットの両端部分に到達する。質問波に応答してインレットの両端部分から放射される電波(応答波)は補助アンテナに到達し、補助アンテナの電波増幅作用によってRFIDタグとRFIDリーダとの間の通信距離を延ばすことができる。
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明におけるRFIDリーダの実施形態の幾つかについて詳細に説明する。
【0013】
《第1の実施形態》
図1は、本発明におけるRFIDリーダを用いてRFIDタグを読む場合を示す説明図である。RFIDリーダ10の主アンテナ11の電波放射面11aに補助アンテナ12を設けている。補助アンテナ12は、金属箔(例えば、アルミニウム箔)で形成される。読取対象であるRFIDタグ(以下、インレットという。)1は、湾曲状の金属パイプ20に貼り付けられている。インレット1の構成については、図2および図3において説明する。なお、ここで言うインレット1とは、前記の背景技術で述べたフレキシブルなRFIDタグと同じ構成のものである。
【0014】
図2は、RFIDタグであるインレットの内部を示す構造図である。図2(a)はインレット1を分解した状態を示す斜視図、(b)はインレット1の上面図である。また、図3は、図2(b)のA−A断面図において表面を外皮フィルム5でラミネートした状態を示すインレット1の完成図である。
【0015】
図2に示すインレット1の内部構成は、ポリイミド樹脂などの樹脂材料からなる厚さが0.1mm程度の基板フィルム2の上面に、錫メッキなどを施した銅箔製のアンテナ3が形成されている。なお、アンテナ3は厚さが数十ミクロン程度であるので、基板フィルム2の上面に金属蒸着を施すことによってアンテナ3を形成することも可能である。このアンテナ3の中央部付近にはインピーダンスマッチング用のスリット3aが形成され、このスリット3aを跨ぐようにしてICチップ4が搭載されている。
【0016】
すなわち、アンテナ3の中央部における給電部分には、ICチップ4とアンテナ3との間でインピーダンスマッチングを行うためのかぎ状(L字型)のスリット3aが形成され、このスリット3aでかぎ状に囲われた部分がスタブとして形成される。また、ICチップ4には、スリット3aを跨ぐような間隔で複数の電極が形成されている。そして、スリット3aを跨ぐようにしてICチップ4の各電極を接続すると、スリット3aでかぎ状に囲われたスタブが、アンテナ3とICチップ4の間に直列に接続されることになる。アンテナ3とICチップ4との間では、スタブが直列のインダクティブ成分として作用する。したがって、このインダクティブ成分によってICチップ4内のキャパシティブ成分が相殺され、アンテナ3とICチップ4のインピーダンスがマッチング(整合)される。
【0017】
前記のようにアンテナ3にインピーダンスマッチング用のスリット3aを形成することにより、アンテナ3をダイポールアンテナで形成した場合、電波周波数の波長をλとしたときにアンテナ3の長さは、電気的長さがλ/4ぐらいでも通信距離は数センチメートル以上を確保することができる。例えば、周波数が2.45GHzの電波を使用した場合のアンテナ3の長さは30mm程度であっても40mm程度の通信距離を実現することができる。なお、アンテナ3の幅は、特に制約はないが、例えば2mm程度になっている。
【0018】
なお、図2のように基板フィルム2とアンテナ3とICチップ4で積層されたエレメントは、図3に示すように外皮フィルム5によってラミネートされてインレット1を構成している。したがって、図3に示すように、基板フィルム2とアンテナ3とICチップ4が外皮フィルム5でラミネートされたインレット1の大きさは、例えば、幅が3mm、長さが35mm、厚さが0.6mm程度になっている。
【0019】
図3のように構成されたインレット1を金属パイプ20(図1参照)の上に直接搭載すると、従来のRFIDリーダによれば、インレット1へ放射された電波は殆んど金属パイプ20で吸収されるかまたは金属パイプ20で乱反射されるためにインレット1内のアンテナ3へ到達しない。したがって、インレット1のアンテナ3から外部へは殆んど電波が飛ばない。そのため、インレット1とRFIDリーダの通信距離は殆んど零(ぜろ)である。
【0020】
また、インレット1を金属パイプ20上に直接搭載し、そのインレット1の反対側の面にインレット1とほぼ同じ大きさの補助アンテナを搭載した場合についても、インレット1の内部のアンテナ3が金属パイプ20と補助アンテナとによってシールドされてしまうので、RFIDリーダからインレット1へは電波が殆んど到達しない。したがって、インレット1のアンテナ3から外部へは殆んど電波が飛ばないために、インレット1とRFIDリーダの通信距離は殆んど零である。そこで、本発明の第1の実施形態に係るRFIDリーダ10では、図1に示すように、RFIDリーダ10の主アンテナ11の電波放射面11aに補助アンテナ12を設け、補助アンテナ12の形状を工夫してインレット1の通信距離を延ばすことを実現した。
【0021】
図4は、本発明の第1の実施形態におけるRFIDリーダおよびインレットを示す断面図である。適宜図1および図3を参照して説明する。図4に示すように、RFIDリーダ10の主アンテナ11の電波放射面11aに補助アンテナ12を設けている。一方、インレット1は、金属パイプ20の湾曲状の表面に貼り付けている。RFIDリーダ10を用いてインレット1を読む場合(送受信する場合)、補助アンテナ12をインレット1の湾曲部分の頂点において略接線方向に対向させる。これにより、補助アンテナ12とインレット1の間にはインレット1の頂点の部分と比較して、両端部分の隙間aが大きく生じる。
【0022】
ここで、補助アンテナ12をインレット1の湾曲部分の頂点において略接線方向に対向させる理由について説明する。インレット1を形成するアンテナ3は、中心部分に給電点が存在するので、アンテナ3の中心部分は、電圧が低いために電界強度も弱い。しかし、アンテナ3の両端部分は、電圧が高いために電界強度も強い。そのため、電界強度の強いアンテナ3の両端部分において、アンテナ3と補助アンテナ12の間に所望の隙間aを設ければ、RFIDリーダ10から放射される電波(質問波)はアンテナ3の両端部分に到達する。すると、質問波に応答して、アンテナ3の両端部分から放射される電界強度の強い電波(応答波)は補助アンテナ12に到達する。ここで、補助アンテナ12は電波増幅作用を呈するので、補助アンテナ12から放射された電波の電界強度はさらに強くなり、その結果、RFIDリーダ10とインレット1との間の通信距離(例えば、H)が延びる。あるいは、読み取り(通信)不可能であったものが読み取り(通信)可能になる。
【0023】
言い換えると、電界強度の強いアンテナ3の両端部付近においては、アンテナ3と補助アンテナ12は、空気やエポキシ樹脂などの誘電体による隙間aを介して比較的隔てられているので、アンテナ3の両端部付近から放射された強い電波は、シールドされることなく、補助アンテナ12へ放射される。さらに、金属板21で反射された電波(応答波)も補助アンテナ12へ放射される。これによって、補助アンテナ12が、アンテナ3から直接放射された電波(応答波)と金属板21から反射された電波(応答波)との電波増幅作用を行うことで強い電界強度となるために通信距離を延ばすことができる。
【0024】
図5は、本発明の第1の実施形態におけるRFIDリーダおよびインレットを示す他の断面図である。図5に示すように、補助アンテナ12に誘電体13を設けた場合である。誘電体13を設けることにより、RFIDタグの通信距離を延ばすことができる。すなわち、誘電体13の誘電率によって波長短縮効果を呈するので、インレット1に内蔵されたアンテナ3(図1参照)の物理的長さ(つまり、実際の長さ)は、電気的長さλ/4より短くなるが、電気的長さはλ/4を維持している。なお、λは使用電波の波長である。
【0025】
例えば、電波周波数が2.45GHzであって、誘電体13がない場合において、アンテナ3の電気的長さがλ/4のときの物理的長さは30mmであるとしたとき、誘電体13を配置した場合において、その誘電体13の誘電率による波長短縮効果によって波長λが1/2に短縮したとすると、アンテナ3の電気的長さをλ/4に保持しても物理的長さは15mmとなる。
【0026】
言いかえると、図5のように誘電体13を配置することによって、アンテナ3の物理的長さは15mmで電気的長さλ/4を維持して、例えば、50mmの通信距離を確保できるところを、実際にはアンテナ3の物理的長さは30mmになっているので、波長短縮効果による電気的長さはλ/2まで長くなったことになる。したがって、アンテナ3の電気的長さはλ/4からλ/2に延びたことになるので、通信距離は50mmよりさらに延びることになる。つまり、誘電体13の誘電率が大きいほど、大きな波長短縮効果を呈して通信距離を延ばす方向に作用する。例えば、誘電体13として、比誘電率が2の発泡ポリプロピレン、比誘電率が3.6のガラスエポキシなどを用いることが好ましい。
【0027】
図6は、本発明の第1の実施形態におけるRFIDリーダおよびインレットを示すその他の断面図である。図6に示すように、補助アンテナ12を包み込むようにして誘電体14を設けた場合である。本実施形態においては、図5に示した実施形態と同様に、誘電体14を設けることにより、RFIDタグの通信距離を延ばすことができる。
【0028】
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、表面が平面状の金属部品に対して直接貼付したインレット1を所望の通信距離を確保して読むことができるようにするため、補助アンテナ12を湾曲させた場合について説明する。
【0029】
図7は、本発明の第2の実施形態におけるRFIDリーダおよびインレットを示す断面図である。適宜図2、図3を参照して説明する。すなわち、図2に示すフレキシブルなインレット1を金属板21の表面に貼り付けている。一方、RFIDリーダ10の補助アンテナ12は、インレット1のアンテナ3(図2参照)とほぼ同じ長さと幅の金属箔で形成されている。しかも、この補助アンテナ12は、RFIDリーダ10によって、インレット1を読み込む際に、インレット1のアンテナ3と平行に配置されているのではなく、誘電体15の上にアンテナ3の長手方向の両端に行くにしたがってアンテナ3の表面から離れる方向に湾曲状に形成したことに特徴がある。
【0030】
ここで、補助アンテナ12を湾曲させた理由について説明する。インレット1を形成するアンテナ3は、中心部分に給電点が存在するので、アンテナ3の中心部分は、電圧が低いために電界強度も弱い。しかし、アンテナ3の両端部分は、電圧が高いために電界強度も強い。そのため、電界強度の強いアンテナ3の両端部分において、アンテナ3が金属板21と補助アンテナ12によってシールドされないように湾曲にすれば(つまり、アンテナ3と補助アンテナ12の間に所望の隙間aを設ければ)、RFIDリーダ10から放射された電波はアンテナ3の両端部分に到達する。したがって、アンテナ3の両端部分から放射された電界強度の強い電波は補助アンテナ12に到達する。これによって、補助アンテナ12は電波増幅作用を呈するので、補助アンテナ12から放射された電波の電界強度はさらに強くなり、その結果、RFIDリーダ10とインレット1との間の通信距離が延びる。
【0031】
言い換えると、電界強度の強いアンテナ3の両端部付近においては、アンテナ3と補助アンテナ12は、空気やエポキシ樹脂などの誘電体による隙間aを介して比較的隔てられているので、アンテナ3の両端部付近から放射された強い電波(応答波)は、シールドされることなく、補助アンテナ12へ放射される。さらに、金属板21で反射された電波(応答波)も補助アンテナ12へ放射される。これによって、補助アンテナ12が、アンテナ3から直接放射された電波と金属板21から反射された電波との電波増幅作用を行うことで強い電界強度となるために通信距離を延ばすことができる。
【0032】
さらに、補助アンテナ12が湾曲状になっていることによって、補助アンテナ12から外部へ放射された電波は補助アンテナ12の中心線方向へ収斂(しゅうれん)していくので、所定の距離においては電界強度がさらに強くなる。そのため、RFIDリーダ10を電波が収斂する位置付近におけば、リーダライタは比較的強い電波を受信することができるので、より確実にRFIDタグの情報を読み取ることができる。
【0033】
図8は、本発明の第2の実施形態におけるRFIDリーダおよびインレットを示す他の断面図である。図8に示すように、補助アンテナ12を包み込むようにして誘電体16を設けた場合である。本実施形態においては、図5に示した実施形態と同様に、誘電体16を設けることにより、RFIDタグの通信距離を延ばすことができる。
【0034】
本発明のRFIDリーダ10は、ICチップ4の搭載されたアンテナ3がフィルムでラミネートされた薄くてフレキシブルなインレット1を湾曲状の金属パイプ20などに貼り付けた際のRFIDリーダ10であり、RFIDリーダ10の主アンテナ11の前面に、主アンテナ11の表面(つまり、電波放射面11a)に対してインレット1とほぼ同じ大きさの金属箔(補助アンテナ12)を設けた。これにより、インレット1と補助アンテナ12の長手方向の先端部分との間に所望の隙間aを形成している。従って、インレット1の先端部分で送受信される電波はシールドされることがないので、インレット1の先端部分からの電波は効果的に補助アンテナ12へ放射される。したがって、補助アンテナ12の電波増幅作用によって通信距離を延ばすことができる。つまり、本発明のRFIDリーダ10によれば、インレット1を湾曲状の金属パイプ20に貼り付けたときは補助アンテナ12を平面状にすることによって所望の隙間aを形成し、インレット1を平面状の金属部品に貼り付けたときは補助アンテナ12を湾曲状にすることによって所望の隙間aを形成することができるので、表面が平面または湾曲な金属部品に対してインレット1を直接貼付しても、所望の通信距離を確保することが可能となる。したがって、電力会社やガス会社などにおいて金属配管や電力ケーブルなどに貼付して配管や配線を管理するために有効に利用することができる。
【0035】
実施形態では、RFIDリーダとして説明したが、本発明をRFIDリーダライタに適用してもよい。また、実施形態では、ラミネートされたインレットを示したが、ラミネートされている必要はない。つまり、図2において、符号5で示される外皮フィルムは必須ではない。但し、アンテナに搭載されたICチップを保護する表面側(RFIDリーダ側)のフィルム(保護膜)はあった方が好ましい。
【0036】
また、実施形態の変形として、表面が湾曲状の金属部材に搭載されたインレット1と送受信するRFIDリーダ10は、インレット1に対向するRFIDリーダ用の主アンテナ11の電波放射面11aに、長手方向の少なくとも一方の先端部分に行くにしたがってインレット1の表面から離れる方向に湾曲状に形成される、金属箔(補助アンテナ12)を設けてもよい。
【0037】
すなわち、本発明のRFIDリーダ10は、金属部材に搭載されたインレット1と送受信するRFIDリーダであって、RFIDリーダ10の主アンテナ11の電波放射面11aに金属箔(補助アンテナ12)を有し、インレット1と金属箔の少なくとも一方に、受信面から裏面側に曲がる曲部を構成しているので、金属部品に対してインレット1を直接貼付しても、所望の通信距離を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明におけるRFIDリーダを用いてRFIDタグを読む場合を示す説明図である。
【図2】RFIDタグであるインレットの内部を示す構造図である。
【図3】図2(b)のA−A断面図において表面を外皮フィルムでラミネートした状態を示すインレットの完成図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるRFIDリーダおよびインレットを示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるRFIDリーダおよびインレットを示す他の断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるRFIDリーダおよびインレットを示すその他の断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態におけるRFIDリーダおよびインレットを示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるRFIDリーダおよびインレットを示す他の断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 インレット
2 基板フィルム
3 アンテナ
3a スリット
4 ICチップ
5 外皮フィルム
10 タグリーダライタ
11 主アンテナ
11a 電波放射面
12 補助アンテナ(金属箔)
20 金属パイプ
a 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップを搭載したアンテナを有してなり、表面が湾曲状の金属部材に搭載されたインレットと送受信するRFIDリーダであって、
前記インレットに対向する前記RFIDリーダのアンテナ部の電波放射面に、平面状の金属箔を有する
ことを特徴とするRFIDリーダ。
【請求項2】
前記金属箔は、前記インレットの湾曲部分の頂点において略接線方向に配置することにより、前記インレットと送受信する
ことを特徴とする請求項1に記載のRFIDリーダ。
【請求項3】
前記金属箔は、前記インレットに対向する側の面に、所望の誘電率を有する誘電体を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のRFIDリーダ。
【請求項4】
前記金属箔は、前記電波放射面に対向する側の面に、所望の誘電率を有する誘電体を有する
ことを特徴とする請求項3に記載のRFIDリーダ。
【請求項5】
ICチップを搭載したアンテナを有してなり、平面状の金属面に搭載されるインレットと送受信するRFIDリーダであって、
前記インレットに対向する前記RFIDリーダ用アンテナ部の電波放射面に、長手方向の少なくとも一方の先端部分に行くにしたがって前記インレットの表面から離れる方向に湾曲状に形成される、金属箔を有する
ことを特徴とするRFIDリーダ。
【請求項6】
前記金属箔は、前記インレットに対向する側の面に、所望の誘電率を有する誘電体を有する
ことを特徴とする請求項5に記載のRFIDリーダ。
【請求項7】
前記金属箔は、前記電波放射面に対向する側の面に、所望の誘電率を有する誘電体を有する
ことを特徴とする請求項6に記載のRFIDリーダ。
【請求項8】
ICチップを搭載したアンテナを有してなり、表面が湾曲状の金属部材に搭載されたインレットと送受信するRFIDリーダであって、
前記インレットに対向する前記RFIDリーダ用アンテナ部の電波放射面に、長手方向の少なくとも一方の先端部分に行くにしたがって前記インレットの表面から離れる方向に湾曲状に形成される、金属箔を有する
ことを特徴とするRFIDリーダ。
【請求項9】
ICチップを搭載したアンテナを有してなり、金属部材に搭載されたインレットと送受信するRFIDリーダであって、
前記RFIDリーダ用アンテナ部の電波放射面に金属箔を有し、前記インレットと前記金属箔の少なくとも一方に、受信面から裏面側に曲がる曲部を構成する
ことを特徴とするRFIDリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−301151(P2008−301151A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144400(P2007−144400)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】