説明

RFID用インレット及びその製造方法

【課題】RFID用インレットにおいて入力用のバンプ電極及びGND用のバンプ電極のみの接合強度を測定する。
【解決手段】RFID用インレットの組み立てにおいて、チップ搭載領域4cの第3パターン4fが第1パターン4d及び第2パターン4eから分離されていることにより、超音波を印加してバンプ電極2を金属パターン4に接続する際に、第3パターン4fは梁となるようなパターンによって支持されていないため、超音波の振動に合わせて動く。これにより、チップ支持用のバンプ電極2cと第3パターン4fの接合力を、入力用のバンプ電極2aと第1パターン4dの接合力やGND用のバンプ電極2bと第2パターン4eの接合力に比べて弱くすることができ、バンプ電極2の接続強度検査において、入力用のバンプ電極2a及びGND用のバンプ電極2bのみの接合強度を測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID用インレット及びその製造技術に関し、特に、RFID用チップがフリップチップ接続されるRFID用インレットに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド樹脂フィルムからなる絶縁フィルムの一面に接着したCu箔からなるアンテナと、このアンテナに接続された半導体チップとを備えた電子タグ用インレットにおいて、半導体チップの主面上に、Auバンプ9a、9bとダミーのAuバンプ9c、9dとが形成された構造を有する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ポリイミド樹脂フィルムからなる絶縁フィルムの一面に接着したCu膜からなるアンテナと、このアンテナに接続された半導体チップとを備えた電子タグ用インレットにおいて、半導体チップのAuバンプ(9a、9b、9c、9d)がAu−Sn共晶合金層を介してリードパターンに接続された構造を有する技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−86644号公報
【特許文献2】特開2004−355469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、非接触型の電子タグやRFID(Radio Frequency IDentification)用タグ等に搭載されるRFID用インレットが開発されている。このRFID用インレットの薄型化を実現するためには、RFID用インレットに搭載されるRFID用チップ(以降、単にチップともいう)をフィルム等の上に設けられた金属パターンにフリップチップ接続して実装することが有効である。
【0005】
ここで、RFID用チップの主面には、入力用とGND用のパッドの合計2パッドが形成されているが、フリップチップ接続する際にバンプ電極が2つしかチップの主面に配置されていない場合、安定してチップを実装することが困難であることから、前記特許文献1及び2に示すように、チップ支持用のバンプ電極(ダミーバンプ電極)も意図的に設けることが有効である。
【0006】
しかしながら、このようなダミーバンプ電極を有するRFID用チップをフリップチップ接続した場合、本願発明者は以下の問題を発見した。
【0007】
すなわち、チップは、超音波を用いてバンプ電極と金属パターンとの接合が行われるが、チップ支持用のバンプ電極(ダミーバンプ電極)が形成されていると、チップ支持用のバンプ電極と金属パターンとの接合も同時に行われるため、後の工程で、入力用のバンプ電極及びGND用のバンプ電極の接合強度を検査する際、入力用のバンプ電極及びGND用のバンプ電極のみの接合強度を測定できないことが問題である。
【0008】
また、チップ支持用のバンプ電極が確実にアンテナ部と接合していても、本来接合しておく必要がある入力用のバンプ電極及びGND用のバンプ電極の接合信頼性を向上できないことが問題である。
【0009】
本発明の目的は、RFID用インレットにおいて入力用のバンプ電極及びGND用のバンプ電極のみの接合強度を測定することができる技術を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、RFID用インレットにおいて入力用のバンプ電極及びGND用のバンプ電極の接合信頼性を向上することができる技術を提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0013】
すなわち、本発明は、以下の工程を含むものである。(a)整合回路部、及び前記整合回路部と一体に形成されたアンテナ部を有する金属パターンが貼り付けられた支持部材を準備する工程;(b)回路素子及び複数のバンプ電極が形成された主面、及び前記主面と反対側の裏面を有するRFID用チップを、前記主面が前記金属パターンと対向するように、前記複数のバンプ電極を介して前記整合回路部のチップ搭載領域に配置する工程。さらに、(c)前記RFID用チップの前記裏面側から治具を介して超音波を印加し、前記複数のバンプ電極と前記金属パターンとを接合する工程;ここで、前記RFID用チップの前記複数のバンプ電極は、前記回路素子と電気的に接続された入力用のバンプ電極と、前記回路素子と電気的に接続されたGND用のバンプ電極と、前記回路素子と電気的に接続されないチップ支持用のバンプ電極とを有している。また、前記チップ搭載領域は、前記入力用のバンプ電極と接続される第1パターンと、前記GND用のバンプ電極と接続される第2パターンと、前記チップ支持用のバンプ電極と接続される第3パターンとを有し、前記第3パターンは、前記第1及び第2パターンから分離されている。
【0014】
また、本発明は、支持部材と、整合回路部、及び前記整合回路部と一体に形成されたアンテナ部を有し、前記支持部材上に配置された金属パターンと、回路素子及び複数のバンプ電極が形成された主面、及び前記主面と反対側の裏面を有し、前記主面が前記金属パターンと対向するように、前記整合回路部のチップ搭載領域に前記複数のバンプ電極を介して搭載されたRFID用チップとを含んでいる。さらに、前記RFID用チップの前記複数のバンプ電極は、前記回路素子と電気的に接続された入力用のバンプ電極と、前記回路素子と電気的に接続されたGND用のバンプ電極と、前記回路素子と電気的に接続されないチップ支持用のバンプ電極とを有している。また、前記チップ搭載領域は、前記入力用のバンプ電極と接続される第1パターンと、前記GND用のバンプ電極と接続される第2パターンと、前記チップ支持用のバンプ電極と接続される第3パターンとを有し、前記第3パターンは、前記第1及び第2パターンから分離されている。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0016】
RFID用インレットにおいて、整合回路部のチップ搭載領域の第3パターンが第1及び第2パターンから分離されていることにより、超音波印加によるフリップチップ接続時のチップ支持用のバンプ電極の接合力を、入力用のバンプ電極の接合力やGND用のバンプ電極の接合力に比べて弱くすることができ、バンプ電極の接合強度検査において入力用のバンプ電極及びGND用のバンプ電極のみの接合強度を測定することができる。
【0017】
入力用のバンプ電極とGND用のバンプ電極のみの接合だけを管理すればよいため、入力用のバンプ電極やGND用のバンプ電極の接合の品質維持を容易に行うことができ、RFID用インレットにおける入力用のバンプ電極及びGND用のバンプ電極の接合信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下の実施の形態では特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0019】
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0020】
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1のRFID用インレットの構造の一例を示す平面図、図2は図1のA部の構造を拡大して示す部分拡大平面図、図3は図2のA−A線に沿って切断した構造を示す拡大部分断面図である。また、図4は図1に示すRFID用インレットの組み立て手順の一例を示す製造フロー図、図5は図1に示すRFID用インレットに搭載されるRFID用チップの主面側の構造の一例を示す平面図、図6は図1に示すRFID用インレットの組み立てで用いられるベースフィルム上の金属パターンの一例を示す平面図である。さらに、図7は図1に示すRFID用インレットの組み立てにおけるフリップチップボンディング時の構造の一例を示す部分平面図、図8は図7のA−A線に沿って切断した構造を示す拡大断面図、図9は図7のB−B線に沿って切断した構造を示す拡大断面図、図10は図1に示すRFID用インレットの組み立てにおけるフリップチップボンディング後の接合強度測定の状態の一例を示す断面図である。
【0023】
また、図11は図1に示すRFID用インレットの組み立てにおける保護用樹脂塗布時の構造の一例を示す部分平面図、図12は図11のA−A線に沿って切断した構造を示す拡大断面図、図13は図1に示すRFID用インレットの組み立てにおける保護用樹脂硬化時の構造の一例を示す部分平面図、図14は図13のA−A線に沿って切断した構造を示す拡大断面図である。さらに、図15は図1に示すRFID用インレットの組み立てにおける通信特性検査時の構造の一例を示す部分平面図、図16は図15の通信特性検査時の構造の一例を示す部分側面図、図17は図1に示すRFID用インレットの組み立てにおける金属パターン付きベースフィルムの流れ方向の一例を示す部分平面図、図18は図1に示すRFID用インレットの組み立てにおける保護用樹脂硬化後のベースフィルムの流れ方向の一例を示す部分平面図である。また、図19は図1に示すRFID用インレットの組み立てにおける製品巻き取り構造(外巻き)の一例を示す平面図、図20は図1に示すRFID用インレットの組み立てにおける製品巻き取り構造(内巻き)の一例を示す平面図、図21は本発明の実施の形態1の第1変形例のRFID用インレットの内部構造を示す部分平面図、図22は本発明の実施の形態1の第2変形例のRFID用インレットの内部構造を示す部分平面図である。
【0024】
本実施の形態1のRFID用インレットは、非接触型のRFIDタグ用のインレットであり、例えば、通信回路を備えたRFID用チップ1と、金属箔等からなる小型アンテナとを有するものである。なお、本実施の形態1で使用する周波数帯域は、860MHzから960MHzのUHF帯域であるが、もちろんこの周波数帯域以外のものであっても良い。
【0025】
図1〜図3に示すRFID用インレット7の構成について説明すると、細長い長方形の絶縁性のベースフィルム(支持部材)3と、その表面に貼り付けられた金属箔からなる金属パターン4と、複数のバンプ電極2を介してフリップチップボンディングで金属パターン4に電気的に接続されたRFID用チップ1と、RFID用チップ1の外周部に塗布された保護用樹脂8とからなる。保護用樹脂8は、RFID用チップ1と金属パターン4の間、及びRFID用チップ1とベースフィルム3の間にも充填されている(図12参照)。
【0026】
なお、図2及び図3では接合部等の構造説明のために、保護用樹脂8は省略して示している。
【0027】
また、ベースフィルム3は、樹脂シート等であってもよく、例えば、ポリエチレン・テレフタレートあるいはポリエチレン・ナフタレート等を主要な成分とする絶縁性の樹脂からなる。
【0028】
さらに、ベースフィルム3上に接着、かつ配置された金属パターン4は、メタル薄膜パターン(金属箔)であり、例えば、アルミニウムを主要な成分とする薄膜からなる。金属パターン4は、図1に示すように、RFID用チップ1が電気的に接続されたループ(枠)状の整合回路部4aと、この整合回路部4aと一体に形成され、かつ整合回路部4aの両側に配置されたアンテナ部4bを有している。
【0029】
また、RFID用チップ(半導体素子、RFIDタグ・チップ)1は、図5に示すように、回路素子1c及び複数のバンプ電極2が形成された主面1a、及び主面1aと反対側の裏面1bを有している。そこで、RFID用チップ1は、主面1aが金属パターン4と対向するように、図2に示すように整合回路部4aのチップ搭載領域4cに複数のバンプ電極2を介して搭載されている。すなわち、RFID用チップ1は、フリップチップボンディングによって金属パターン4に接続されている。
【0030】
なお、図1に示すように金属パターン4のアンテナ部4bは、RFID用チップ1を中心として、その両側にほぼ対称に配置されている。また、アンテナ部4bの形状は、例えば、ダイポール・アンテナ(単一ダイポール・アンテナ(Single Dipole Antenna))であり、2つの極(又は電極)を有している。
【0031】
本実施の形態1のRFID用インレット7では、図5に示すようにRFID用チップ1の主面1aに4つのバンプ電極2が設けられているが、これらは、回路素子1cと電気的に接続された入力用のバンプ電極2aと、回路素子1cと電気的に接続されたGND用のバンプ電極2bと、回路素子1cと電気的に接続されないチップ支持用のバンプ電極(ダミーバンプ電極)2cである。つまり、RFID用チップ1には、1つの入力用のバンプ電極2a(入力端子)と、1つのGND用のバンプ電極2b(GND端子)と、2つのチップ支持用のバンプ電極2cが設けられている。
【0032】
ただし、RFID用チップ1では前記入力端子と前記GND端子とにおいて、例えば、前記入力端子は、出力端子に切り換わってもよく、あるいは、前記入力端子と前記GND端子の双方が、同時に入出力の機能を担ってもよい。また、チップ支持用のバンプ電極(ダミーバンプ電極)2cは、チップ支持構造の安定性を保つために配置されたバンプである。
【0033】
これらのバンプ電極2に対応してフリップチップボンディングが可能なように、図2に示す金属パターン4におけるチップ搭載領域4cは、入力用のバンプ電極2aと電気的に接続される第1パターン4dと、GND用のバンプ電極2bと電気的に接続される第2パターン4eと、チップ支持用のバンプ電極2cと接続される第3パターン4fとを有しており、第3パターン4fは円形であるとともに、第1パターン4d及び第2パターン4eから分離されている。
【0034】
すなわち、図6に示すように、金属パターン4から成る整合回路部4aのチップ搭載領域4cには、RFID用チップ1のバンプ電極2と接続するための第1パターン4d、第2パターン4e及び第3パターン4fが設けられており、それらのうち、第1パターン4dと第2パターン4eは、開口部4gを挟んでその両側に配置され、それぞれが開口部4gと反対側の端部で整合回路部4aに接続されている。言い換えれば、第1パターン4dと第2パターン4eのそれぞれは、整合回路部4aの一部であり、この整合回路部4aと一体に形成されている。なお、図1及び図2に示すように、チップ搭載領域(チップ・ボンディング部)4c内で見れば、第1パターン4dと第2パターン4eも互いに分離されているが、整合回路部4aの領域内で見れば、第1パターン4dと第2パターン4eは一体に形成されている。つまり、チップ搭載領域4cの外側で第1パターン4dと第2パターン4eは一体に形成されている。また、チップ搭載領域4c内において、第1パターン4dの面積は、第2パターン4eの面積とほぼ同じ大きさである。
【0035】
また、ダミーバンプ電極となるチップ支持用のバンプ電極2cと接続する2つの第3パターン4fは、それぞれ第1パターン4d、第2パターン4e及び整合回路部4aから分離しており、それぞれは浮島状に形成されている。また、2つの第3パターン4fのそれぞれの面積は、第1パターン4d(又は、第2パターン4e)の面積、第1パターン4d及び第2パターン4eを有する整合回路部4aの面積、又はこの整合回路部4aとアンテナ部4bの総面積よりも小さい。
【0036】
ここで、ベースフィルム3上への金属パターン4の形成方法について説明する。
【0037】
本実施の形態1の金属パターン4は、例えば、グラビア印刷と呼ばれる印刷方式でベースフィルム3上に形成される。この方式は、ベースフィルム3上に接着剤を介して金属箔を貼り付け、その後、所望のパターンにインクを塗布し、エッチング液に浸すことで、インクが塗布されたパターンの周囲の金属箔が削り取られ、最後に残ったインクを薬液によって除去することで、所望のパターンの金属箔(金属パターン4)を形成できる。
【0038】
なお、グラビア印刷の場合、エッチングにより不要な金属箔を除去するため、金属パターン4を形成する際、四角形よりも、円形や楕円の方が形成し易い。
【0039】
また、本実施の形態1では、RFID用チップ1をフリップチップボンディングによって金属パターン4に接合する際に、超音波と熱(例えば、80℃程度)をRFID用チップ1に印加して接合している。つまり、接合ツールを介して印加された超音波を用いて、金属パターン4にRFID用チップ1のバンプ電極2を擦り付け、これにより金属パターン4とバンプ電極2を金属間接合させるのであるが、その際、適度な加熱も行うことで接合の安定度を高める(プロセスマージンを大きくする)ことができる。
【0040】
しかしながら、本実施の形態1のRFID用インレット7は、上記したように、金属パターン4のチップ搭載領域4cのダミーバンプ電極に接合する第3パターン4fを、第1パターン4d、第2パターン4e及び整合回路部4aから分離している。すなわち、梁となるようなパターンによって第3パターン4fを支持していない。そのため超音波を用いてバンプ電極2を金属パターン4に接続する際に、第3パターン4fを超音波の振動方向(第1方向9)6に沿って動かすことができる。
【0041】
これにより、チップ支持用のバンプ電極(ダミーバンプ電極)2cと第3パターン4fの接合力を、入力用のバンプ電極2aと第1パターン4dの接合力やGND用のバンプ電極2bと第2パターン4eの接合力に比べて弱くすることができる。
【0042】
その結果、図10に示すようなフリップチップ接続後のバンプ電極2の接続強度検査において、入力用のバンプ電極2aと第1パターン4dの接合力やGND用のバンプ電極2bと第2パターン4eの接合力における本来の接合力を知ることができる。
【0043】
さらに、入力用のバンプ電極2aやGND用のバンプ電極2bそれぞれの本来の接合力を知ることができるため、入力用のバンプ電極2aとGND用のバンプ電極2bのみの接合だけを管理すればよく、したがって、入力用のバンプ電極2aやGND用のバンプ電極2bの接合の品質維持を容易に行うことができる。
【0044】
これにより、RFID用インレット7における入力用のバンプ電極2a及びGND用のバンプ電極2bの接合信頼性を向上することができる。
【0045】
さらに、本実施の形態1のRFID用インレット7においては、第3パターン4fが第1パターン4d及び第2パターン4eから分離していることに加えて、図2に示すように、RFID用チップ1と平面的に重なる第1パターン4dの面積が、RFID用チップ1と平面的に重なる第3パターン4fの面積よりも大きく形成されている。同様に、RFID用チップ1と平面的に重なる第2パターン4eの面積は、RFID用チップ1と平面的に重なる第3パターン4fの面積よりも大きく形成されている。
【0046】
これにより、チップ支持用のバンプ電極(ダミーバンプ電極)2cと第3パターン4fの接合力を、入力用のバンプ電極2aと第1パターン4dの接合力や、GND用のバンプ電極2bと第2パターン4eの接合力に比べてより確実に弱くすることができる。
【0047】
その結果、入力用のバンプ電極2aと第1パターン4dの接合力やGND用のバンプ電極2bと第2パターン4eの接合力における本来の接合力をより確実に知ることができる。
【0048】
次に、第3パターン4fの面積(大きさ)とは別に、超音波の振動方向6(第1方向9)に沿った方向の第3パターン4fの幅に着目する。RFID用チップ1は、第1方向9に沿った一対の辺である第1辺1dと、第1方向9と交差する第2方向10に沿った一対の他の辺である第2辺1eを有している。その際、RFID用チップ1と平面的に重なる第1パターン4dの第1方向9に沿った方向の幅(a)は、RFID用チップ1と平面的に重なる第3パターン4fの第1方向9に沿った方向の幅(b)よりも大きく形成されている(a>b)。なお、第2パターン4eと第3パターン4fの関係についても同様である。
【0049】
このように第3パターン4fが第1パターン4d及び第2パターン4eから分離していることに加えて、第3パターン4fの超音波の振動方向6(第1方向9)の幅を第1パターン4dより狭くすることでも、前記面積を小さくするのと同様に、チップ支持用のバンプ電極(ダミーバンプ電極)2cと第3パターン4fの接合力を、入力用のバンプ電極2aと第1パターン4dの接合力や、GND用のバンプ電極2bと第2パターン4eの接合力に比べてより確実に弱くすることができる。
【0050】
その結果、入力用のバンプ電極2aと第1パターン4dの接合力やGND用のバンプ電極2bと第2パターン4eの接合力における本来の接合力をより確かに知ることができる。
【0051】
次に、本実施の形態1のRFID用インレットの製造方法を図4に示す製造フローを用いて説明する。
【0052】
まず、図4のステップS1に示すダイシングを行う。ここでは、図示しないウエハに対してダイシングを行って図5に示すRFID用チップ1を取得する。RFID用チップ1は、回路素子1c及び複数のバンプ電極2が形成された主面1a、及び主面1aと反対側の裏面1bを有している。すなわち、RFID用チップ1には、その主面1a側の内部に通信回路等の回路素子1cが形成されており、さらに主面1aの4つの角部には、それぞれめっき等で形成されたバンプ電極2が設けられている。これら4つのバンプ電極2のうち、1つは回路素子1cと電気的に接続された入力用のバンプ電極2aであり、他の1つは回路素子1cと電気的に接続されたGND用のバンプ電極2bである。さらに残りの2つは回路素子1cと電気的に接続されないチップ支持用のバンプ電極(ダミーバンプ電極)2cである。
【0053】
その後、ステップS2に示すフリップチップボンディングを行う。まず、図17に示す金属パターン付きベースフィルム20を準備する。ここで、図1及び図6に示すように、支持部材であるベースフィルム3の表面には、ループ状の整合回路部4aと、整合回路部4aと一体に形成され、かつ整合回路部4aの両側に配置されたアンテナ部4bとを有する金属パターン4が貼り付けられている。
【0054】
さらに、ループ状の整合回路部4aの一部は、図6に示すように、開口部4gによって金属パターン4が途切れており、ここの領域がチップ搭載領域4cとなっている。チップ搭載領域4cには、入力用のバンプ電極2aと電気的に接続される第1パターン4dと、この第1パターン4dと開口部4gを挟んで配置され、かつGND用のバンプ電極2bと電気的に接続される第2パターン4eと、チップ支持用のバンプ電極2cと電気的に接続される第3パターン4fとが形成されており、第3パターン4fは円形であり、第1パターン4d及び第2パターン4eから分離されて浮島状に形成されている。
【0055】
図17に示す金属パターン付きベースフィルム20を準備した後、図8及び図9に示すように、RFID用チップ1を、その主面1aがベースフィルム3上の金属パターン4と対向するように、複数のバンプ電極2を介して整合回路部4aのチップ搭載領域4cに配置する。その際、図7に示すように、第1パターン4d上に入力用のバンプ電極2aを配置し、第2パターン4e上にGND用のバンプ電極2bを配置し、さらに第3パターン4f上にチップ支持用のバンプ電極(ダミーバンプ電極)2cを配置する。
【0056】
この状態で、図8に示すように、RFID用チップ1の裏面1b側から接合ツール(治具)5を介して超音波を印加し、複数のバンプ電極2と金属パターン4とを接合する。
【0057】
なお、本実施の形態1のRFID用インレット7では、ベースフィルム3上に貼り付けられた金属パターン4のうち、図2に示すようにチップ搭載領域4cにおいて、RFID用チップ1と平面的に重なる第1パターン4dの面積が、RFID用チップ1と平面的に重なる第3パターン4fの面積よりも大きくなるように形成されている。さらに、第3パターン4fは、第1パターン4d及び第2パターン4eから分離されて浮島状に形成されている。
【0058】
この状態で、図7及び図8に示すように、RFID用チップ1の裏面1b側から接合ツール5によってRFID用チップ1に超音波を印加してフリップチップボンディングを行う。その際、超音波の振動方向6が図2に示す第1方向9と沿った方向となるように接合ツール5によって超音波を印加する。なお、第1方向9は、RFID用チップ1の主面1aの4つの辺のうちの少なくとも何れか1辺に沿った方向であり、本実施の形態1では、第1パターン4dと第2パターン4eが並んでいる方向である。
【0059】
この第1方向9を振動方向6として超音波を印加すると、第3パターン4fは第1パターン4d及び第2パターン4eから分離して浮島状に形成されていることにより、図9に示すように、2つの第3パターン4fは両者とも梁となるようにパターンによって支持されていないため、超音波の振幅に合わせて第1方向9に動く(C矢印のように動く)。超音波印加時に金属パターン4(この場合、第3パターン4f)が動くと、超音波が伝わりにくくなるため、その結果、バンプ電極2と金属パターン4の接合力が弱まるという現象が起こる。
【0060】
したがって、チップ支持用のバンプ電極2cと第3パターン4fの接合力を、入力用のバンプ電極2aと第1パターン4dの接合力や、GND用のバンプ電極2bと第2パターン4eの接合力に比べて弱くすることができる。
【0061】
すなわち、チップ支持用のバンプ電極2cの接合力を、入力用のバンプ電極2aやGND用のバンプ電極2bの接合力に比べて確実に弱くすることができる。
【0062】
なお、超音波印加時には、熱(例えば、80℃程度)も併用してRFID用チップ1に印加して接合することが望ましい。
【0063】
また、図2に示すように本実施の形態1のRFID用インレット7においては、RFID用チップ1と平面的に重なる第1パターン4dの面積が、RFID用チップ1と平面的に重なる第3パターン4fの面積よりも大きく形成されている。同様に、RFID用チップ1と平面的に重なる第2パターン4eの面積は、RFID用チップ1と平面的に重なる第3パターン4fの面積よりも大きく形成されている。
【0064】
これによっても、チップ支持用のバンプ電極(ダミーバンプ電極)2cと第3パターン4fの接合力を、入力用のバンプ電極2aと第1パターン4dの接合力や、GND用のバンプ電極2bと第2パターン4eの接合力に比べてより確実に弱くすることができる。
【0065】
さらに、超音波の振動方向6(第1方向9)に沿った方向の第3パターン4fの幅に着目した場合、RFID用チップ1は、第1方向9に沿った一対の辺である第1辺1dと、第1方向9と交差する第2方向10に沿った一対の他の辺である第2辺1eを有しており、RFID用チップ1と平面的に重なる第1パターン4dの第1方向9に沿った方向の幅(a)は、RFID用チップ1と平面的に重なる第3パターン4fの第1方向9に沿った方向の幅(b)よりも大きく形成されている(a>b)。なお、第2パターン4eと第3パターン4fの関係についても同様である。
【0066】
このように第3パターン4fの超音波の振動方向6(第1方向9)に沿った方向の幅を第1パターン4dより狭くすることでも、前記面積を小さくするのと同様に、チップ支持用のバンプ電極(ダミーバンプ電極)2cと第3パターン4fの接合力を、入力用のバンプ電極2aと第1パターン4dの接合力や、GND用のバンプ電極2bと第2パターン4eの接合力に比べてより確実に弱くすることができる。
【0067】
次に、フリップチップボンディングを完了した組み立て途中の製品について、抜き取り検査として行うバンプ電極2の接合状態の品質検査について説明する。
【0068】
前記バンプ電極2の接合状態の品質検査では、図10に示すように、RFID用チップ1を接合強度測定治具13で押し付けて、金属パターン4からバンプ電極2が剥がれた時の強度を、接合強度測定計12の値から読み取る。この値は、バンプ電極2が破断する際の、各バンプ電極2に加えられるせん断力の合計値である。一般的にバンプ電極2の数が4つの場合、測定値が、例えば100g以上であったら安定した接合であると考えられる。
【0069】
接合強度の具体的な測定方法は、金属パターン4の第1パターン4dと第2パターン4eの上に跨がって配置されるRFID用チップ1の側面1fに対して、接合強度測定治具13により第1パターン4d側から第3パターン4f側に向かう荷重を付与する。すなわち、図10に示す荷重付与方向14に沿ってRFID用チップ1の側面1fに対して所定の荷重を付与する。そして、金属パターン4から入力用のバンプ電極2aとGND用のバンプ電極2bが剥がれた時の接合強度測定計12の値を読み取り、これにより、入力用のバンプ電極2aとGND用のバンプ電極2bの接合強度を知ることができる。
【0070】
つまり、本実施の形態1のRFID用インレット7の組み立てにおいて、金属パターン4の整合回路部4aのチップ搭載領域4cの第3パターン4fが第1パターン4d及び第2パターン4eから分離されていることにより、超音波を印加してバンプ電極2を金属パターン4に擦り付けて接続する際に、第3パターン4fは梁となるようなパターンによって支持されていないため、支持形態が弱く超音波の振動に合わせて動く。つまり、第3パターン4fは、独立した形態であるため、超音波の振動に対してベースフィルム3とともに揺れ動いてしまい、金属同士の擦りが発生しにくい。これに対して、第1パターン4d及び第2パターン4eは、それぞれ梁となる支持パターン4hによって支えられているため、支持形態が強く超音波の振動に合わせて揺れ動く量は第3パターン4fに比べて遥かに小さい。
【0071】
したがって、チップ支持用のバンプ電極2cと第3パターン4fの接合力を、入力用のバンプ電極2aと第1パターン4dの接合力や、GND用のバンプ電極2bと第2パターン4eの接合力に比べて弱くすることができる。
【0072】
その結果、フリップチップ接続後のバンプ電極2の接合強度検査において、入力用のバンプ電極2aと第1パターン4dの接合力や、GND用のバンプ電極2bと第2パターン4eの接合力の本来の接合力を知ることができる。
【0073】
すなわち、RFID用インレット7の組み立てにおいて、入力用のバンプ電極2a及びGND用のバンプ電極2bのみの接合強度を測定することができる。
【0074】
また、入力用のバンプ電極2aやGND用のバンプ電極2bのみの接合力を知ることができるため、入力用のバンプ電極2aとGND用のバンプ電極2bのみの接合だけを管理すればよく、したがって、管理項目を少なくすることができ、入力用のバンプ電極2aやGND用のバンプ電極2bの接合の品質維持を容易に行うことができる。
【0075】
なお、接合の品質維持を容易に行えるため、接合不良等が発生しても迅速に不良原因を把握して不良を改善させることができ、RFID用インレット7における入力用のバンプ電極2a及びGND用のバンプ電極2bの接合信頼性を向上することができる。
【0076】
また、入力用のバンプ電極2aとGND用のバンプ電極2bのみに対して超音波印加時のパラメータ(超音波出力や時間等)を管理すればよいため、ダミーバンプ電極を含む4つのバンプ電極全てを略均一に接合させる場合に比べてマシンタクトの低下を抑制することができる。
【0077】
さらに、入力用のバンプ電極2aとGND用のバンプ電極2bのみに対して超音波印加時のパラメータ(超音波出力や時間等)を管理すればよいため、ダミーバンプ電極を含む4つのバンプ電極全てを略均一に接合させる場合に比べて接合ツール5の長寿命化を図ることができる。
【0078】
次に、フリップチップボンディング完了後、図4に示すステップS3の保護用樹脂塗布を行う。ここでは、図11及び図12に示すように、第1パターン4dと第2パターン4eに跨がるRFID用チップ1の第1辺1dの近傍に対して、ノズル11を介して保護用樹脂8を滴下し、金属パターン4とRFID用チップ1の間、及びベースフィルム3とRFID用チップ1の間に保護用樹脂8を浸透させて充填する。
【0079】
その後、図4に示すステップS4の保護用樹脂硬化を行う。ここでは、図13及び図14に示す保護用樹脂8を紫外線15または熱によって硬化させる。すなわち、RFID用チップ1の各側面1fの周囲と、RFID用チップ1の下部(フリップチップ接続部)に充填した保護用樹脂8に対して、紫外線15または熱を印加して保護用樹脂8を硬化させる。
【0080】
その後、図4に示すステップS5の通信特性検査を行う。ここでは、図15及び図16に示すように、ベースフィルム3上に並んで形成された複数のRFID用インレット7のうちの1つずつと、これらRFID用インレット7の下方に配置された検査用アンテナ16との間で、所定の検査用の信号17を相互に送受信してRFID用インレット7の通信特性検査を行う。すなわち、検査用アンテナ16の上方に複数のRFID用インレット7が形成されたベースフィルム3を配置して、このベースフィルム3を流れ方向18に移動させてベースフィルム3上のRFID用インレット7を順次移動させて検査用アンテナ16上に配置されたRFID用インレット7と検査用アンテナ16との間で信号17を送受信して通信特性検査を行う。
【0081】
その後、図4に示すステップS6の梱包及びステップS7の出荷を行う。ここでは、ステップS5の通信特性検査で合格と判定された図18に示すようなベースフィルム3上のRFID用インレット7を、図19に示す外巻き方法または図20に示す内巻き方法でリール19に巻き取り、このリール19に巻き取った状態で図示しない梱包箱等に収納してステップS7の出荷を行う。
【0082】
次に、図21に示す本実施の形態1のRFID用インレット7の第1変形例と、図22に示す第2変形例について説明する。
【0083】
まず、図21に示す第1変形例のRFID用インレット7は、金属パターン4のチップ搭載領域4cにおいて、第1パターン4d、第2パターン4e及び整合回路部4aから分離した第3パターン4fが、第1方向9に交差する第2方向10に沿って細長い形状に形成されている。
【0084】
すなわち、RFID用インレット7は、矩形(長方形)に形成された第3パターン4fを有しており、RFID用チップ1と平面的に重なる第1パターン4dの第1方向9に沿った方向の幅(a)が、RFID用チップ1と平面的に重なる第3パターン4fの第1方向9に沿った方向の幅(b)よりも大きく形成されている(a>b)とともに、第2方向10に沿って細長く形成されている。つまり、第3パターン4fは、細長い長方形を成し、この長方形の長手方向が第2方向10に沿うように配置されている。なお、第2パターン4eと第3パターン4fの関係についても同様である。
【0085】
このように第3パターン4fを長方形で形成し、かつその長手方向が第2方向10に沿うように配置することで、RFID用チップ1のチップ支持用のバンプ電極2cとこの第3パターン4fをフリップチップボンディングで接続する際のバンプ電極2の位置ずれのマージンを増やすことができる。もし、バンプ電極2に位置ずれが生じ、第3パターン4fから脱落した場合には、RFID用チップ1が傾いてしまい、実装性が低下してしまう。しかしながら、本変形例では第3パターン4fの面積を、図6に示す円形よりも大きくしているため、バンプ電極2が脱落する問題を抑制できるため、図6の形状に比べ、RFID用チップ1の実装性の向上を図ることができる。また、第3パターン4fの第1方向9に沿った幅(b)を、第1パターン4dの第1方向9に沿った方向の幅(a)よりも細く形成しているため、チップ支持用のバンプ電極2cと第3パターン4fとの接合強度を低下させることができる。これにより、フリップチップ接続後のバンプ電極2の接合強度検査において、入力用のバンプ電極2aと第1パターン4dの接合力や、GND用のバンプ電極2bと第2パターン4eの接合力の本来の接合力を知ることができる。
【0086】
さらに、グラビア印刷によってベースフィルム3上に金属パターン4を形成する際に、第3パターン4fを長方形(矩形)にすることにより、第3パターン4fの形成を容易に行うことができる。
【0087】
次に、図22に示す第2変形例のRFID用インレット7は、金属パターン4のチップ搭載領域4cにおいて長方形の第3パターン4fが1つだけ設けられているものである。すなわち、図21に示す第1変形例のRFID用チップ1のチップ支持用のバンプ電極2cは、RFID用チップ1の角部に対応して2つ設けられていたが、図22に示す第2変形例のRFID用チップ1のチップ支持用のバンプ電極2cは、1つだけが設けられているものである。すなわち、チップ支持用のバンプ電極2cが入力用のバンプ電極2aとGND用のバンプ電極2bの両方と略等しい距離の位置に設けられており、このチップ支持用のバンプ電極2cに対応して1つの第3パターン4fが設けられているものである。
【0088】
なお、RFID用チップ1におけるダミーバンプ電極となるチップ支持用のバンプ電極2cの設置数は、RFID用チップ1の支持における安定度が維持可能な範囲であれば、1つであっても、2つであっても、あるいは3つ以上であってもよい。
【0089】
(実施の形態2)
図23は本発明の実施の形態2のRFID用インレットのベースフィルム上の金属パターンの一例を示す部分平面図、図24は本発明の実施の形態2の変形例のRFID用インレットの内部構造を示す部分断面図である。
【0090】
本実施の形態2のRFID用インレット7は、ベースフィルム3のチップ搭載領域4cにおいて、図23のD部に示すように、図2に示すような第3パターン4fが一切設けられていないものである。
【0091】
つまり、第3パターン4fを設けないことで、フリップチップボンディングの際の超音波印加時に、RFID用チップ1側のチップ支持用のバンプ電極2cは何れのパターンとも接続することはない。
【0092】
したがって、バンプ電極2の接合強度測定(検査)の際には、入力用のバンプ電極2aやGND用のバンプ電極2bのみの接合強度を測定することができる。
【0093】
なお、図23に示す構造では、第3パターン4fが設けられていないため、その分、フリップチップボンディング後のRFID用チップ1の支持状態の安定度が低下することが懸念される。そこで、図24に示すRFID用インレット7では、チップ支持用のバンプ電極2cに、さらに第3パターン4fの厚さに相当する高さのスタッドバンプ2dを接合して不足分のバンプ高さを補っている。これにより、フリップチップボンディング後のRFID用チップ1の支持状態の安定度を高めることができる。すなわち、RFID用チップ1をベースフィルム3に対して略水平になるように支持することができる。さらに、超音波接合時の品質の安定化を図ることができる。
【0094】
本実施の形態2のRFID用インレット7及びその製造方法によって得られるその他の効果については、前記実施の形態1で説明したものと同様であるため、その重複説明は省略する。
【0095】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0096】
例えば、前記実施の形態1では、第3パターン4fが円形や長方形の場合を取り上げて説明したが、第3パターン4fの形状は、楕円や正方形、あるいは他の多角形であってもよい。なお、楕円の場合は、図21又は図22のように、金属パターン4の長辺が第2方向10に沿うように、金属パターン4を形成することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、RFID用チップを有する電子装置の製造技術に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施の形態1のRFID用インレットの構造の一例を示す平面図である。
【図2】図1のA部の構造を拡大して示す部分拡大平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿って切断した構造を示す拡大部分断面図である。
【図4】図1に示すRFID用インレットの組み立て手順の一例を示す製造フロー図である。
【図5】図1に示すRFID用インレットに搭載されるRFID用チップの主面側の構造の一例を示す平面図である。
【図6】図1に示すRFID用インレットの組み立てで用いられるベースフィルム上の金属パターンの一例を示す平面図である。
【図7】図1に示すRFID用インレットの組み立てにおけるフリップチップボンディング時の構造の一例を示す部分平面図である。
【図8】図7のA−A線に沿って切断した構造を示す拡大断面図である。
【図9】図7のB−B線に沿って切断した構造を示す拡大断面図である。
【図10】図1に示すRFID用インレットの組み立てにおけるフリップチップボンディング後の接合強度測定の状態の一例を示す断面図である。
【図11】図1に示すRFID用インレットの組み立てにおける保護用樹脂塗布時の構造の一例を示す部分平面図である。
【図12】図11のA−A線に沿って切断した構造を示す拡大断面図である。
【図13】図1に示すRFID用インレットの組み立てにおける保護用樹脂硬化時の構造の一例を示す部分平面図である。
【図14】図13のA−A線に沿って切断した構造を示す拡大断面図である。
【図15】図1に示すRFID用インレットの組み立てにおける通信特性検査時の構造の一例を示す部分平面図である。
【図16】図15の通信特性検査時の構造の一例を示す部分側面図である。
【図17】図1に示すRFID用インレットの組み立てにおける金属パターン付きベースフィルムの流れ方向の一例を示す部分平面図である。
【図18】図1に示すRFID用インレットの組み立てにおける保護用樹脂硬化後のベースフィルムの流れ方向の一例を示す部分平面図である。
【図19】図1に示すRFID用インレットの組み立てにおける製品巻き取り構造(外巻き)の一例を示す平面図である。
【図20】図1に示すRFID用インレットの組み立てにおける製品巻き取り構造(内巻き)の一例を示す平面図である。
【図21】本発明の実施の形態1の第1変形例のRFID用インレットの内部構造を示す部分平面図である。
【図22】本発明の実施の形態1の第2変形例のRFID用インレットの内部構造を示す部分平面図である。
【図23】本発明の実施の形態2のRFID用インレットのベースフィルム上の金属パターンの一例を示す部分平面図である。
【図24】本発明の実施の形態2の変形例のRFID用インレットの内部構造を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0099】
1 RFID用チップ
1a 主面
1b 裏面
1c 回路素子
1d 第1辺
1e 第2辺
1f 側面
2 バンプ電極
2a 入力用のバンプ電極
2b GND用のバンプ電極
2c チップ支持用のバンプ電極
2d スタッドバンプ
3 ベースフィルム(支持部材)
4 金属パターン
4a 整合回路部
4b アンテナ部
4c チップ搭載領域
4d 第1パターン
4e 第2パターン
4f 第3パターン
4g 開口部
4h 支持パターン
5 接合ツール(治具)
6 振動方向
7 RFID用インレット
8 保護用樹脂
9 第1方向
10 第2方向
11 ノズル
12 接合強度測定計
13 接合強度測定治具
14 荷重付与方向
15 紫外線
16 検査用アンテナ
17 信号
18 流れ方向
19 リール
20 金属パターン付きベースフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含むことを特徴とするRFID用インレットの製造方法:
(a)整合回路部、及び前記整合回路部と一体に形成されたアンテナ部を有する金属パターンが貼り付けられた支持部材を準備する工程;
(b)回路素子及び複数のバンプ電極が形成された主面、及び前記主面と反対側の裏面を有するRFID用チップを、前記主面が前記金属パターンと対向するように、前記複数のバンプ電極を介して前記整合回路部のチップ搭載領域に配置する工程;
(c)前記RFID用チップの前記裏面側から治具を介して超音波を印加し、前記複数のバンプ電極と前記金属パターンとを接合する工程;
ここで、
前記RFID用チップの前記複数のバンプ電極は、前記回路素子と電気的に接続された入力用のバンプ電極と、前記回路素子と電気的に接続されたGND用のバンプ電極と、前記回路素子と電気的に接続されないチップ支持用のバンプ電極とを有し、
前記チップ搭載領域は、前記入力用のバンプ電極と接続される第1パターンと、前記GND用のバンプ電極と接続される第2パターンと、前記チップ支持用のバンプ電極と接続される第3パターンとを有し、
前記第3パターンは、前記第1及び第2パターンから分離されている。
【請求項2】
請求項1記載のRFID用インレットの製造方法において、前記RFID用チップと平面的に重なる前記第1パターンの面積は、前記RFID用チップと平面的に重なる前記第3パターンの面積よりも大きいことを特徴とするRFID用インレットの製造方法。
【請求項3】
請求項1記載のRFID用インレットの製造方法において、前記治具は、前記超音波の印加により、第1方向に沿って振動し、前記RFID用チップと平面的に重なる前記第1パターンの前記第1方向に沿った方向の幅は、前記RFID用チップと平面的に重なる前記第3パターンの前記第1方向に沿った方向の幅よりも大きいことを特徴とするRFID用インレットの製造方法。
【請求項4】
請求項3記載のRFID用インレットの製造方法において、前記第3パターンは、前記第1方向に交差する第2方向に沿って細長く形成されていることを特徴とするRFID用インレットの製造方法。
【請求項5】
請求項3記載のRFID用インレットの製造方法において、前記第1方向は、前記RFID用チップの前記主面の4つの辺のうちの少なくとも何れか1辺に沿った方向であることを特徴とするRFID用インレットの製造方法。
【請求項6】
請求項1記載のRFID用インレットの製造方法において、前記第3パターンを2つ有しており、前記2つの第3パターンは、それぞれ前記第1及び第2パターンから分離して浮島状に形成されていることを特徴とするRFID用インレットの製造方法。
【請求項7】
請求項1記載のRFID用インレットの製造方法において、前記(c)工程の後、前記第1パターンと前記第2パターンの上に跨がって配置される前記RFID用チップの側面に対して、前記第1パターン側から前記第3パターン側に向かう荷重を付与して前記入力用のバンプ電極及び前記GND用のバンプ電極の接合強度を検査することを特徴とするRFID用インレットの製造方法。
【請求項8】
支持部材と、
整合回路部、及び前記整合回路部と一体に形成されたアンテナ部を有し、前記支持部材上に配置された金属パターンと、
回路素子及び複数のバンプ電極が形成された主面、及び前記主面と反対側の裏面を有し、前記主面が前記金属パターンと対向するように、前記整合回路部のチップ搭載領域に前記複数のバンプ電極を介して搭載されたRFID用チップと、
を含み、
前記RFID用チップの前記複数のバンプ電極は、前記回路素子と電気的に接続された入力用のバンプ電極と、前記回路素子と電気的に接続されたGND用のバンプ電極と、前記回路素子と電気的に接続されないチップ支持用のバンプ電極とを有し、
前記チップ搭載領域は、前記入力用のバンプ電極と接続される第1パターンと、前記GND用のバンプ電極と接続される第2パターンと、前記チップ支持用のバンプ電極と接続される第3パターンとを有し、
前記第3パターンは、前記第1及び第2パターンから分離されていることを特徴とするRFID用インレット。
【請求項9】
請求項8記載のRFID用インレットにおいて、前記RFID用チップと平面的に重なる前記第1パターンの面積は、前記RFID用チップと平面的に重なる前記第3パターンの面積よりも大きいことを特徴とするRFID用インレット。
【請求項10】
請求項8記載のRFID用インレットにおいて、
前記RFID用チップは、第1方向に沿った一対の第1辺と、前記第1方向と交差する第2方向に沿った一対の第2辺を有し、
前記入力用のバンプ電極及び前記GND用のバンプ電極は、前記第1方向に沿って配置され、
前記RFID用チップと平面的に重なる前記第1パターンの前記第1方向に沿った方向の幅は、前記RFID用チップと平面的に重なる前記第3パターンの前記第1方向に沿った方向の幅よりも大きいことを特徴とするRFID用インレット。
【請求項11】
請求項10記載のRFID用インレットにおいて、前記第3パターンは、前記第2方向に沿って細長く形成されていることを特徴とするRFID用インレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−134686(P2010−134686A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309792(P2008−309792)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】