説明

SGLTの阻害物質として有用な化合物の製造方法

本発明は、腸又は腎臓に存在している、ナトリウム−グルコース共輸送体(SGLT)に対して阻害活性を有する化合物の新規製造方法を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年9月10日出願の、米国仮出願第60/971,067号、及び2008年1月3日出願の、米国仮出願第61/018,822号の利益を請求し、これらはその全文が本明細書に参考として組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、腸又は腎臓に存在しているナトリウム−グルコース共輸送体(SGLT)に対して阻害活性を有する化合物を製造するための新規方法を目的とする。
【背景技術】
【0003】
食事療法及び運動療法は、真性糖尿病の処置に不可欠である。これらの療法において患者の症状が十分に制御されないとき、糖尿病処置のためにインスリン又は経口抗糖尿病剤をさらに用いる。現在、ビグアニド化合物、スルホニル尿素化合物、インスリン抵抗性改善剤、及びα−グルコシダーゼ阻害物質が、抗糖尿病剤として用いられている。しかしながら、これらの抗糖尿病剤は、種々の副作用を有する。例えば、ビグアニド化合物は、乳酸アシドーシスを引き起し、スルホニル尿素化合物は、著しい低血糖を引き起し、インスリン抵抗性改善剤は、浮腫及び心不全を引き起し、α−グルコシダーゼ阻害物質は、腹部膨満及び下痢を引き起す。このような状況下で、このような副作用を有しない、真性糖尿病を処置するための新規薬物を開発することが望まれている。
【0004】
近年、高血糖症が真性糖尿病の発症及び進行性障害に関与していること、すなわちグルコース毒性理論が報告されている。つまり、慢性高血糖症は、インスリン分泌の低下を導き、さらにインスリン感受性を低下させ、結果として、血中グルコース濃度が増加して、真性糖尿病が自己悪化する(self-exacerbate)[Diabetologia、第28巻、119ページ(1985年);Diabetes Care、第13巻、610ページ(1990年)等を参照]。それ故、高血糖症を処置することにより、上述の自己悪化サイクルが遮断され、その結果真性糖尿病の予防又は処置が可能になる。
【0005】
高血糖症を処置する方法の1つとして、過剰な量のグルコースを直接尿に排出させ、その結果血中グルコース濃度を正常化することが考えられる。例えば、腎臓の近位尿細管に存在するナトリウム−グルコース共輸送体を阻害することにより、腎臓におけるグルコースの再吸収が阻害され、これによりグルコースの尿への排出が促進され、その結果血中グルコース濃度が低下する。実際に、SGLT阻害活性を有するフロリジンを糖尿病動物モデルに連続皮下投与することにより、高血糖症は正常化され、その血中グルコース濃度を長時間正常に保つことができ、その結果インスリン分泌及びインスリン抵抗性が改善されることが確認されている[Journal of Clinical Investigation、第79巻、1510ページ(1987年);ibid.、第80巻、1037ページ(1987年);ibid.、第87巻、561ページ(1991年)等を参照]。
【0006】
さらに、SGLT阻害剤で長期間糖尿病動物モデルを処置することにより、腎臓で全く有害な作用を受けることなく、又は電解質の血中濃度が不均衡になることなく、インスリン分泌応答及び動物のインスリン感受性は改善され、結果として、糖尿病性腎症及び糖尿病性神経障害の発症及び進行が防がれた[Journal of Medicinal Chemistry、第42巻、5311ページ(1999年);British Journal of Pharmacology、第132巻、578ページ(2001年)、ウエタ(Ueta)、イシハラ(Ishihara)、マツモト(Matsumoto)、オク(Oku)、ナワノ(Nawano)、フジタ(Fujita)、サイトー(Saito)、アラカワ(Arakawa)、Life Sci.、近刊、(2005年)を参照]。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記から、SGLT阻害物質は、糖尿病患者の血中グルコース濃度を低下させることにより、インスリン分泌及びインスリン抵抗性を改善し、さらに真性糖尿病及び糖尿病性合併症の発症並びに進行を防ぐことが期待できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式(I):
【0009】
【化1】

[式中、環A及び環Bは以下のうち1つであり:
(1)環Aは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり、環Bは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環、場合により置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環、もしくは場合により置換されていてもよいベンゼン環である;又は
(2)環Aは場合により置換されていてもよいベンゼン環であり、環Bは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環、もしくは場合により置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環であり、ここでYは縮合二環式複素環の複素環に結合する;又は
(3)環Aは場合により置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環であり、ここで糖部分X−(糖)及び部分−Y−(環B)はともに縮合二環式複素環の同じ複素環上にあり、環Bは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環、場合により置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環、もしくは場合により置換されていてもよい不飽和のベンゼン環である;
Xは炭素原子であり;
Yは−(CH2n−であり、ここでnは1又は2であり;
但し、環Aにおいて、Xは不飽和結合の一部である]
の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩、又はそのプロドラッグを製造する方法であって、
【0010】
【化2】

【0011】
アルキルリチウムの存在下にて、有機溶媒中で、約0℃〜約−78℃の範囲内の温度において、式(V)の化合物を式(VI−S)の化合物と反応させて、式(VII)の対応する化合物を生成せしめ;
【0012】
【化3】

【0013】
トリアルキルシランの存在下にて、有機溶媒中で、式(VII)の化合物を、BF3OEt2と反応させて、式(VIII)の対応する化合物を生成せしめ;
【0014】
【化4】

【0015】
有機塩基の存在下にて、ニート(neat)で又は有機溶媒中で、式(VIII)の化合物を無水酢酸又は塩化アセチルと反応させて、式(IX)の対応する化合物を生成せしめ;
【0016】
【化5】

【0017】
式(IX)の化合物を脱保護して、式(I)の対応する化合物を生成せしめる;ことを含んでなる方法を目的とする。
【0018】
一実施形態において、本発明は、式(I−S):
【0019】
【化6】

の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩(1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼンとしても知られる)を製造する方法であって、
【0020】
【化7】

【0021】
アルキルリチウムの存在下にて、有機溶媒中で、約0℃〜約−78℃の範囲内の温度において、式(V−S)の化合物を式(VI−S)の化合物と反応させて、式(VII−S)の対応する化合物を生成せしめ;
【0022】
【化8】

【0023】
トリアルキルシランの存在下にて、有機溶媒中で、式(VII−S)の化合物をBF3OEt2と反応させて、式(VIII−S)の対応する化合物を生成せしめ;
【0024】
【化9】

【0025】
有機塩基の存在下にて、ニートで又は有機溶媒中で、式(VIII−S)の化合物を無水酢酸又は塩化アセチルと反応させて、式(IX−S)の対応する化合物を生成せしめ;
【0026】
【化10】

【0027】
式(IX−S)の化合物を脱保護して、式(I−S)の対応する化合物を生成せしめる;ことを含んでなる方法を目的とする。
【0028】
本発明は、式(I−S)の化合物の再結晶化方法をさらに目的とする。本発明の一実施形態において、式(I−S)の化合物は、貧溶媒(anti-solvent)としてヘプタンを用いて、酢酸エチル及び水の混合物から再結晶化される。
【0029】
本発明は、式(I−S):
【0030】
【化11】

の化合物の結晶形態であって、本明細書に記載するような粉末X線回折パターンのピークによって特徴づけられる結晶形態をさらに目的とする。一実施形態において、本発明は、貧溶媒としてヘプタンを用いて、酢酸エチル及び水の混合物から式(I−S)の化合物を再結晶化することにより製造される、式(I−S)の化合物の結晶形態を目的とする。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、式(I−K):
【0032】
【化12】

の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩(1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンとしても知られる)を製造する方法であって、
【0033】
【化13】

【0034】
アルキルリチウムの存在下にて、有機溶媒中で、約0℃〜約−78℃の範囲内の温度において、式(V−K)の化合物を式(VI−S)の化合物と反応させて、式(VII−K)の対応する化合物を生成せしめ;
【0035】
【化14】

【0036】
式(VII−K)の化合物を脱保護して、式(X−K)の対応する化合物を生成せしめ;
【0037】
【化15】

【0038】
トリアルキルシランの存在下にて、有機溶媒中で、式(X−K)の化合物を、BF3OEt2と反応させて、式(VIII−K)の対応する化合物を生成せしめ;
【0039】
【化16】

【0040】
有機塩基の存在下にて、ニートで又は有機溶媒中で、式(VIII−K)の化合物を無水酢酸又は塩化アセチルと反応させて、式(IX−K)の対応する化合物を生成せしめ;
【0041】
【化17】

【0042】
式(IX−K)の化合物を脱保護して、式(I−K)の対応する化合物を生成せしめる;ことを含んでなる方法を目的とする。
【0043】
本発明は、式(I−K):
【0044】
【化18】

の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩(1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンとしても知られる)の結晶形態をさらに目的とし、この結晶形態は、本明細書に記載するような粉末X線回折パターンのピークを特徴とし得る。一実施形態において、本発明は、式(I−K)の化合物の結晶形態の製造及び/又は単離方法を目的とする。
【0045】
本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかに従って製造される製品をさらに目的とする。
【0046】
本発明の実例は、製薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物、及び本明細書に記載の方法のいずれかに従って製造される製品である。本発明の実例は、本明細書に記載の方法のいずれかに従って製造される製品と、製薬学的に許容され得る担体とを混合することにより製造される医薬組成物である。本発明の実例は、本明細書に記載の方法のいずれかに従って製造される製品と、製薬学的に許容され得る担体とを混合することを含んでなる、医薬組成物の製造方法である。
【0047】
本発明の実例は、製薬学的に許容され得る担体と、本明細書に記載されるような、式(I−S)の化合物の結晶形態又は式(I−K)の化合物の結晶形態とを含む医薬組成物である。本発明の実例は、本明細書に記載されるような、式(I−S)の化合物の結晶形態又は式(I−K)の化合物の結晶形態と、製薬学的に許容され得る担体とを混合することにより製造される医薬組成物である。本発明の実例は、本明細書に記載されるような、式(I−S)の化合物の結晶形態又は式(I−K)の化合物の結晶形態と、製薬学的に許容され得る担体とを混合することを含んでなる、医薬組成物の製造方法である。
【0048】
本発明の例証は、治療的に有効な量の上記化合物、結晶形態又は医薬組成物のいずれかを、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、SGLTにより媒介される疾患を処置する(真性糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、創傷治癒の遅延、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸の血中濃度の上昇、グリセロールの血中濃度の上昇、高脂血症、肥満、高トリグリセリド症、シンドロームX、糖尿病性合併症、アテローム性動脈硬化症又は高血圧症の進行もしくは発症を処置する又は遅延させることを含む)方法である。
【0049】
本発明の更なる例証は、単独で、又は抗糖尿病剤、糖尿病性合併症処置剤、抗肥満剤、血圧降下剤、抗血小板剤、抗アテローム性動脈硬化症剤、及び/もしくは抗高脂血症剤の少なくとも1種と組み合わせて、治療的に有効な量の上記化合物、結晶形態又は医薬組成物のいずれかを、処置を必要とする患者に投与することを含んでなる、1型及び2型真性糖尿病を処置する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】式(I−S)の化合物の結晶形態についての代表的なXRDパターン。
【図2】RINT−ULTIMA3(リガク(Rigaku)、日本、東京)X線回折装置で測定したときの、式(I−K)の化合物の結晶形態の代表的なX線粉末回折パターン。
【図3】X線回折装置X’Pert Pro MPD(フィリップス(Philips))X線回折装置で測定したときの、式(I−K)の化合物の結晶形態の代表的なX線粉末回折パターン。
【図4】鉱油中における式(I−K)の化合物の結晶の代表的な赤外線スペクトル。
【図5】KBrペレットからの式(I−K)の化合物の結晶の代表的な赤外線スペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明は、式(I):
【0052】
【化19】

[式中、X、Y、環A、環Bは本明細書に定義の通りである]の化合物を製造する方法を目的とする。式(I)の化合物は、哺乳類種の腸及び腎臓に存在するナトリウム−グルコース共輸送体に対する阻害活性を呈し、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、肥満、及び創傷治癒の遅延のような、真性糖尿病又は糖尿病性合併症の処置に有用である。当業者はさらに、本明細書に記載の化合物又は結晶形態のいずれかは、必要に応じて、他の抗糖尿病剤、抗高血糖症剤、及び/又は他の疾病を処置する剤の1種以上と組み合わせて用いてもよく、同じ剤形で、もしくは別々の経口剤形で、又は注入により投与してもよいことを認識する。
【0053】
国際公開第2005/012326号は、1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンとしても知られる式(I−K)の化合物、及び1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼンとしても知られる式(I−S)の化合物を含む、ナトリウム−グルコース共輸送体(SGLT)の阻害物質である化合物の部類を開示している。国際公開第2005/012326号は、さらに、糖尿病、肥満、糖尿病性合併症等を処置するための、式(I−K)の化合物、及び式(I−S)の化合物を含む上記化合物の使用を開示している。
【0054】
本発明は、さらに、式(I−S)の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩;及び式(I−K)の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩を製造する方法を目的とする。
【0055】
本発明は、さらに、本明細書により詳細に記載するような、式(I−S)の化合物の新規結晶形態、及び式(I−K)の化合物の新規結晶形態を目的とする。本発明は、さらに、本明細書により詳細に記載するような、式(I−S)の化合物、及び式(I−K)の化合物の結晶形態を製造する方法を目的とする。
【0056】
用語「ハロゲン原子」又は「ハロ」は、塩素、臭素及びフッ素を意味し、塩素及びフッ素が好ましい。
【0057】
用語「アルキル基」は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖飽和一価炭化水素鎖を意味する。1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基が好ましく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基がより好ましい。その例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、4,4−ジメチルペンチル基、オクチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、及びその種々の分枝鎖異性体である。さらに、アルキル基は場合により且つ独立して、必要に応じて、以下に列挙するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0058】
用語「アルキレン基」又は「アルキレン」は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖二価飽和炭化水素鎖を意味する。1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレン基が好ましく、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルレンル基がより好ましい。その例は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等である。必要に応じて、アルキレン基は場合により上述の「アルキル基」と同じ様式で置換されていてもよい。アルキレン基が上記定義のようにベンゼン環の2つの異なる炭素原子に結合する場合、それらは結合する炭素原子とともに、環化(annelated)5、6又は7員炭素環を形成し、場合により1つ以上の以下に定義する置換基に置換されていてもよい。
【0059】
用語「アルケニル基」は、2〜12個の炭素原子、及び少なくとも1つの二重結合を有する直鎖又は分枝鎖一価炭化水素鎖を意味する。好ましいアルケニル基は、2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニル基であり、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニル基がより好ましい。その例は、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、4−ペンテニル基、3−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、3−オクテニル基、3−ノネニル基、4−デセニル基、3−ウンデセニル基、4−ドデセニル基、4,8,12−テトラデカトリエニル基等である。アルケニル基は、場合により且つ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0060】
用語「アルケニレン基」は、2〜12個の炭素原子、及び少なくとも1つの二重結合を有する直鎖又は分枝鎖二価炭化水素鎖を意味する。2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニレン基が好ましく、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルケニレン基がより好ましい。その例は、ビニレン基、プロペニレン基、ブタジエニレン基等である。必要に応じて、アルキレン基は、場合により、必要に応じて以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。アルケニレン基が上記定義のようにベンゼン環の2つの異なる炭素原子に結合する場合、それらは結合する炭素原子とともに、環化5、6又は7員炭素環(例えば、縮合ベンゼン環)を形成し、場合により1つ以上の以下に定義する置換基に置換されていてもよい。
【0061】
用語「アルキニル基」は、少なくとも1つの三重結合を有する直鎖又は分枝鎖一価炭化水素鎖を意味する。好ましいアルキニル基は、2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキニル基であり、2〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキニル基がより好ましい。その例は、2−プロピニル基、3−ブチニル基、2−ブチニル基、4−ペンチニル基、3−ペンチニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、2−ヘプチニル基、3−ヘプチニル基、4−ヘプチニル基、3−オクチニル基、3−ノニニル基、4−デシニル基、3−ウンデシニル基、4−ドデシニル基等である。アルキニル基は、場合により且つ独立して、必要に応じて以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0062】
用語「シクロアルキル基」は、3〜12個の炭素原子を有する単環式又は二環式一価飽和炭化水素環を意味し、3〜7個の炭素原子を有する単環式飽和炭化水素環がより好ましい。その例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等のような、単環式アルキル基及び二環式アルキル基である。これらの基は、場合により且つ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。シクロアルキル基は場合により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、場合により必要に応じて環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環及び縮環した不飽和炭化水素環は、場合により且つ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0063】
用語「シクロアルキリデン基」は、3〜12個の炭素原子を有する単環式又は二環式二価飽和炭化水素環を意味し、3〜6個の炭素原子を有する単環式飽和炭化水素環が好ましい。その例は、シクロプロピリデン基、シクロブチリデン基、シクロペンチリジン基、シクロヘキシリデン基等のような、単環式アルキリデン基及び二環式アルキリデン基である。これらの基は、場合により且つ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。それに加えて、シクロアルキリデン基は場合により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、場合により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、場合により且つ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0064】
用語「シクロアルケニル基」は、4〜12個の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する単環式又は二環式一価不飽和炭化水素環を意味する。好ましいシクロアルケニル基は、4〜7個の炭素原子を有する単環式不飽和炭化水素基である。これらの例は、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等のような単環式アルケニル基である。これらの基は、場合により且つ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。それに加えて、シクロアルケニル基は場合により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、場合により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、場合により且つ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0065】
用語「シクロアルキニル基」は、6〜12個の炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する単環式又は二環式不飽和炭化水素環を意味する。好ましいシクロアルキニル基は、6〜8個の炭素原子を有する単環式不飽和炭化水素基である。その例は、シクロオクチニル基、シクロデシニル基のような単環式アルキニル基である。これらの基は、場合により、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。それに加えて、シクロアルキニル基は、場合により且つ独立して、飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、場合により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環は、場合により且つ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0066】
用語「アリール基」は、6〜10個の炭素原子を有する単環式又は二環式一価芳香族炭化水素基を意味する。その例は、フェニル基、ナフチル基(1−ナフチル基及び2−ナフチル基を含む)である。これらの基は、場合により且つ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。それに加えて、アリール基は場合により飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環と縮環してもよく(上記飽和炭化水素環及び不飽和炭化水素環は、場合により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい)、縮環した飽和炭化水素環又は不飽和炭化水素環は、場合により且つ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0067】
用語「不飽和の単環式複素環」は、独立して窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する不飽和炭化水素環を意味し、好ましいものは、独立して窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜7員飽和又は不飽和炭化水素環である。その例は、ピリジン、ピリミジンン、ピラジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、4,5−ジヒドロオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール等である。その中でも、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、及びチアゾールを好ましく用いることができる。「不飽和の単環式複素環」は、場合により且つ独立して、必要に応じて、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0068】
用語「不飽和の縮合二環式複素環」は、上述の不飽和の単環式複素環と縮環した飽和又は不飽和炭化水素環を含む炭化水素環を意味し、上記飽和炭化水素環及び上記不飽和炭化水素環は、場合により、必要に応じて、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子、SO又はSO2を含有してもよい。「不飽和の縮合二環式複素環」としては、例えば、ベンゾチオフェン、インドール、テトラヒドロベンゾチオフェン、ベンゾフラン、イソキノリン、チエノチオフェン、チエノピリジン、キノリン、インドリン、イソインドリン、ベンゾチアゾール、ベンゾキサゾール、インダゾール、ジヒドロイソキノリン等が挙げられる。さらに、「複素環」としてはまた、その可能なN−又はS−オキシドが挙げられる。
【0069】
用語「ヘテロシクリル」は、上述の不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環の一価基、及び上述の不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環の飽和バージョンの一価基を意味する。必要に応じて、ヘテロシクリルは、場合により且つ独立して、以下に言及するような1〜4個の置換基に置換されていてもよい。
【0070】
用語「アルカノイル基」は、ホルミル基を意味し、「アルキル基」をカルボニル基に結合させることにより形成されるものである。
【0071】
用語「アルコキシ基」は、「アルキル基」を酸素原子に結合させることにより形成されるものを意味する。
【0072】
上記各基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ−シクリルカルボニル基、アルコキシ−カルボニル基、アルケニルオキシ−カルボニル基、アルキニルオキシ−カルボニル基、シクロアルキルオキシ−カルボニル基、シクロアルケニル−オキシ−カルボニル基、シクロ−アルキニル−オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ−シクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニル−カルボニルオキシ基、アルキニル−カルボニルオキシ基、シクロアルキル−カルボニルオキシ基、シクロアルケニル−カルボニルオキシ基、シクロアルキニル−カルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロ−シクリルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニル−チオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニル−チオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキル−アミノ基、モノ−又はジ−アルカノイルアミノ基、モノ−又はジ−アルコキシ−カルボニル−アミノ基、モノ−又はジ−アリールカルボニル−アミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキル−スルホニル−アミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキル−カルバモイル基、モノ−又はジ−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニル−スルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキル−スルフィニル基、シクロアルケニルスルフィニル基、シクロアルキニル−スルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリル−スルフィニル基、アルキル−スルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニル−スルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリール−スルホニル基、及びヘテロシクリルスルホニル基が挙げられる。上述の各基は場合によりこれらの置換基に置換されていてもよい。
【0073】
さらに、ハロアルキル基、ハロ−低級アルキル基、ハロアルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、ハロフェニル基又はハロヘテロシクリル基のような用語は、アルキル基、低級アルキル基、アルコキシ基、低級アルコキシ基、フェニル基又はヘテロシクリル基(以後、アルキル基等、と称する)がそれぞれ1つ以上のハロゲン原子に置換されていることを意味する。好ましいものは、1〜7個のハロゲン原子に置換されているアルキル基等であり、より好ましいものは、1〜5個のハロゲン原子に置換されているアルキル基等である。同様に、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ−低級アルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシ−低級アルコキシ基、及びヒドロキシフェニル基のような用語は、1つ以上のヒドロキシ基に置換されているアルキル基等を意味する。好ましいものは、1〜4個のヒドロキシ基に置換されているアルキル基等であり、より好ましいものは、1〜2個のヒドロキシ基に置換されているアルキル基等である。さらに、アルコキシアルキル基、低級アルコキシアルキル基、アルコキシ−低級アルキル基、低級アルコキシ−低級アルキル基、アルコキシアルコキシ基、低級アルコキシアルコキシ基、アルコキシ−低級アルコキシ基、低級アルコキシ−低級アルコキシ基、アルコキシフェニル基、及び低級アルコキシフェニル基のような用語は、1つ以上のアルコキシ基に置換されているアルキル基等を意味する。好ましいものは、1〜4個のアルコキシ基に置換されているアルキル基等であり、より好ましいものは、1〜2個のアルコキシ基に置換されているアルキル基等である。
【0074】
用語「アリールアキル(arylakyl)」及び「アリールアルコキシ」は、単独で又は別の基の一部として用いられるとき、アリール置換基を有する上記のようなアルキル及びアルコキシ基を指す。
【0075】
本明細書中の式の定義で用いられる用語「低級」は、特に規定しない限り、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖炭素鎖を意味する。より好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖炭素鎖を意味する。
【0076】
用語「プロドラッグ」は、酢酸塩、ピバル酸塩、炭酸メチル、安息香酸塩等を生成するための従来の方法により、式Iの化合物の1つ以上のヒドロキシ基を、アルキル、アルコキシ又はアリールに置換されているアシル化剤と反応させることにより形成される、エステル又は炭酸塩を意味する。さらに、プロドラッグはまた、エステル又はアミドを含み、これは同様に、式Iの化合物の1つ以上のヒドロキシ基を、従来の方法により、縮環剤を用いて、α−アミノ酸又はβ−アミノ酸と反応させることにより形成される。
【0077】
式Iの化合物の製薬学的に許容され得る塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のようなアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のようなアルカリ土類金属塩;亜鉛又はアルミニウム塩;アンモニウム、コリン、ジエタノールアミン、リジン、エチレンジアミン、t−ブチルアミン、t−オクチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−メチルグルコサミン、トリエタノールアミン、及びデヒドロアビエチルアミン、のような有機塩基塩;塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等のような無機酸塩;又は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等のような有機酸塩;又はアスパラギン酸、グルタミン酸のような酸性アミノ酸塩等が挙げられる。
【0078】
本発明の化合物はまた、立体異性体の混合物又はそれぞれの純粋なもしくは実質的に純粋な異性体を含む。例えば、本化合物は場合によりいずれか1つの置換基を含有する炭素原子に、1つ以上の不斉中心を有してもよい。それ故、式Iの化合物は、鏡像異性体もしくはジアステレオマー又はその混合物の形で存在してもよい。本化合物(I)が二重結合を含有するとき、本化合物は、幾何異性(シス−化合物、トランス−化合物)の形で存在してもよく、本化合物(I)がカルボニルのような不飽和結合を含有するとき、本化合物は、互変異性体の形で存在してもよく、本化合物はまた、これらの異性体又はその混合物を含む。ラセミ混合物、鏡像異性体又はジアステレオマーの形の出発化合物を、本化合物を製造する方法で用いてもよい。本化合物がジアステレオマー又は鏡像異性体の形で得られるとき、それらはクロマトグラフィー又は分別晶出のような従来の方法により分離できる。
【0079】
さらに、本化合物(I)は、その分子内塩、水和物、溶媒和物又は多形を含む。
【0080】
本発明の場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環の例としては場合により、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、シクロアルキニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、モノ−又はジ−アルカノイルアミノ基、モノ−又はジ−アルコキシカルボニルアミノ基、モノ−又はジ−アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、モノ−又はジ−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、シクロアルケニルスルフィニル基、シクロアルキニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニルスルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びヘテロシクリルスルホニル基からなる群から選択される1〜5個の置換基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環が挙げられ、ここで各置換基は場合によりこれらの置換基にさらに置換されていてもよい。
【0081】
本発明の場合により置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環の例としては、場合により、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデン−メチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニル−カルボニル基、シクロアルキニル−カルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシ−カルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシ−カルボニル基、シクロアルキニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、シクロ−アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロ−アルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロシクリル−カルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、モノ−又はジ−アルカノイル−アミノ基、モノ−又はジ−アルコキシカルボニルアミノ基、モノ−又はジ−アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキル−スルホニルアミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、モノ−又はジ−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、シクロ−アルケニルスルフィニル基、シクロアルキニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロ−アルケニルスルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びヘテロシクリルスルホニル基からなる群から選択される1〜5個の置換基に置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環が挙げられ、ここで各置換基は場合によりこれらの置換基にさらに置換されていてもよい。
【0082】
本発明の場合により置換されていてもよいベンゼン環の例としては場合により、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、シクロアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、シクロアルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロシクリルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、シクロアルキニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロシクリルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロシクリルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、シクロアルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、モノ−又はジ−アルカノイルアミノ基、モノ−又はジ−アルコキシカルボニルアミノ基、モノ−又はジ−アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルフィニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルフィニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、モノ−又はジ−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルケニルスルフィニル基、アルキニルスルフィニル基、シクロアルキルスルフィニル基、シクロアルケニルスルフィニル基、シクロアルキニルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロシクリルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アルキニルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルケニルスルホニル基、シクロアルキニルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロシクリルスルホニル基、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンジオキシ基、及びアルケニレン基からなる群から選択される1〜5個の置換基に置換されていてもよいベンゼン環が挙げられ、ここで各置換基は場合によりこれらの置換基にさらに置換されていてもよい。
【0083】
さらに場合により置換されていてもよいベンゼン環の例としては、アルキレン基に置換されて、それに結合する炭素原子とともに環化炭素環を形成するベンゼン環が挙げられ、またアルケニレン基に置換されて、それに結合する炭素原子とともに縮合ベンゼン環のような環化炭素環を形成するベンゼン環が挙げられる。
【0084】
場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環の好ましい例としては場合により、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環が挙げられる。
【0085】
場合により置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環の好ましい例としては、場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環が挙げられる。
【0086】
場合により置換されていてもよいベンゼン環の好ましい例としては、場合により、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンジオキシ基、及びアルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよいベンゼン環が挙げられる。
【0087】
本発明の別の好ましい実施形態において、場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環は、場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり;
場合により置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環は、場合により、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキル−スルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環であり;
場合により置換されていてもよいベンゼン環は、場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル(alklsulfinyl)基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、及びアルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよいベンゼン環であり;
ここで不飽和の単環式複素環、不飽和の縮合二環式複素環、及びベンゼン環上の上述の置換基のそれぞれは、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、フェニル基、アルキレンオキシ基、アルキレンジオキシ基、オキソ基、カルバモイル基、及びモノ−又はジ−アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基にさらに置換されていてもよい。
【0088】
好ましい実施形態において、場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環は、場合により、独立して、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり;
場合により置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環は、場合により、独立して、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環であり;
場合により置換されていてもよいベンゼン環は、場合により、独立して、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、フェニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、及びアルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよいベンゼン環であり;
ここで不飽和の単環式複素環、不飽和の縮合二環式複素環、及びベンゼン環上の上述の置換基のそれぞれは、独立して、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、フェニル基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、及びモノ−又はジ−アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基にさらに置換されていてもよい。
【0089】
別の好ましい実施形態において、
(1)環Aは、場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり;
環Bは、不飽和の単環式複素環、不飽和の縮合二環式複素環又はベンゼン環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、及びアルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されてもよく;
(2)環Aは、場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、及びアルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよいベンゼン環であり;
環Bは、不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されてもよく;あるいは
(3)環Aは、場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環であり;
環Bは、不飽和の単環式複素環、不飽和の縮合二環式複素環又はベンゼン環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、スルファモイル基、モノ−又はジ−アルキルスルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−又はジ−アルキルカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニル基、ヘテロシクリル基、アルキレン基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されてもよく;
ここで環A及び環B上の上述の置換基はそれぞれ、場合により、独立して、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルカノイル基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、フェニル基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、及びモノ−又はジ−アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい。
【0090】
本発明のより好ましい実施形態において、環A及び環Bは、
(1)環Aは場合により、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はオキソ基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり、環Bは、(a)場合により、ハロゲン原子;シアノ基;低級アルキル基;ハロ−低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロ−低級アルコキシ基;モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基に置換されていてもよいフェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基に置換されていてもよいヘテロシクリル基;に置換されていてもよいベンゼン環;(b)場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ(mo-)もしくはジ−低級アルキルアミノ基;ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基に置換されていてもよいフェニル基;及び場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基に置換されていてもよいヘテロシクリル基から選択される基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環;あるいは(c)場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基;ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基に置換されていてもよいフェニル基;及び場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基に置換されていてもよいヘテロシクリル基から選択される基に置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環であり;
(2)環Aは場合により、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、フェニル基又は低級アルケニレン基に置換されていてもよいベンゼン環であり、環Bは、(a)場合により、ハロゲン原子;シアノ基;低級アルキル基;ハロ−低級アルキル基;フェニル−低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロ−低級アルコキシ基;モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基又はカルバモイル基に置換されていてもよいフェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基又はカルバモイル基に置換されていてもよいヘテロシクリル基;に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環;(b)場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、フェニル−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−(mo-)もしくはジ−低級アルキルアミノ基;ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基に置換されていてもよいフェニル基;及び場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基に置換されていてもよいヘテロシクリル基から選択される基に置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環であり;あるいは
(3)環Aは場合により、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はオキソ基に置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環であり、環Bは、(a)場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−(mo-)もしくはジ−低級アルキルアミノ基;ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基に置換されていてもよいフェニル基;及び場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基に置換されていてもよいヘテロシクリル基から選択される基により置換されていてもよいベンゼン環;(b)場合により、ハロゲン原子;シアノ基;低級アルキル基;ハロ−低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロ−低級アルコキシ基;モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基に置換されていてもよいフェニル基;あるいは場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基に置換されていてもよいヘテロシクリル基;に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環;あるいは(c)場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−(mo-)もしくはジ−低級アルキルアミノ基;ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基に置換されていてもよいフェニル基;及び場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基から選択される基に置換されていてもよいヘテロシクリル基から選択される基に置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環である。
【0091】
別のより好ましい実施形態において、Yは、−CH2−であり、環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、フェニル基、及び低級アルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよいベンゼン環であり、環Bは、それぞれ、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、フェニル−低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ−低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、ハロ−低級アルコキシフェニル基、低級アルキレンジオキシフェニル基、低級アルキレンオキシフェニル基、モノ−又はジ−低級アルキルアミノフェニル基、カルバモイルフェニル基、モノ−又はジ−低級アルキルカルバモイルフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、シアノへテロシクリル基、低級アルキルへテロシクリル基、低級アルコキシヘテロシクリル基、モノ−又はジ−低級アルキルアミノヘテロシクリル(alkylaminoheterocycyclyl)基、カルバモイルヘテロシクリル基、及びモノ−又はジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環である。
【0092】
別のより好ましい実施形態において、Yは、−CH2−であり、環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり、環Bは、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ−低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、シアノへテロシクリル基、低級アルキルへテロシクリル基、及び低級アルコキシヘテロシクリル基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよいベンゼン環である。
【0093】
さらに、別の好ましい実施形態において、Yは、−CH2−であり、環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり、環Bは、それぞれ、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、シアノフェニル基、低級アルキルフェニル基、ハロ−低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、ハロ−低級アルコキシフェニル基、ヘテロシクリル基、ハロヘテロシクリル基、シアノへテロシクリル基、低級アルキルへテロシクリル基、及び低級アルコキシヘテロシクリル基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい、不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環である。
【0094】
本発明のより好ましい実施形態において、Xは炭素原子であり、Yは−CH2−である。
【0095】
さらに、別の好ましい実施形態において、環A及び環Bは:
(1)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子、場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、フェニル基、及び低級アルケニレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよいベンゼン環であり;
環Bは、不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子;場合により、ハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基に置換されていてもよい低級アルキル基;場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基又はカルバモイル基に置換されていてもよいフェニル基;場合により、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基又はカルバモイル基に置換されていてもよいヘテロシクリル基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されてもよく;
(2)環Aは場合により、独立して、ハロゲン原子、場合により低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり;
環Bは場合により、独立して、ハロゲン原子;場合によりハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基に置換されていてもよい低級アルキル基;場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基に置換されていてもよいフェニル基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基に置換されていてもよいヘテロシクリル基;低級アルキレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよいベンゼン環であり;
(3)環Aは、場合により、独立して、ハロゲン原子、場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり;
環Bは、不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子;場合によりハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基に置換されていてもよい低級アルキル基;場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基に置換されていてもよいフェニル基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基に置換されていてもよいヘテロシクリル基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されてもよく;
(4)環Aは、場合により、独立して、ハロゲン原子、場合により低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環であり;
環Bは、場合により、独立して、ハロゲン原子;場合によりハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基に置換されていてもよい低級アルキル基;場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基に置換されていてもよいフェニル基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基に置換されていてもよいヘテロシクリル基;及び低級アルキレン基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよいベンゼン環であり;あるいは
(5)環Aは、場合により独立して、ハロゲン原子、場合により低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり;
環Bは、不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環であり、これらはそれぞれ場合により、独立して、ハロゲン原子;場合によりハロゲン原子、低級アルコキシ基又はフェニル基に置換されていてもよい低級アルキル基;場合によりハロゲン原子又は低級アルコキシ基に置換されていてもよい低級アルコキシ基;シクロアルキル基;シクロアルコキシ基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基に置換されていてもよいフェニル基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基に置換されていてもよいヘテロシクリル基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい。
【0096】
本発明の別の好ましい実施形態において、Yは環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは、場合により、ハロゲン原子、場合によりハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルキル基、低級アルコキシ基又はフェニル基に置換されていてもよいベンゼン環であり、環Bは、場合により、独立して、ハロゲン原子;場合によりハロゲン原子又はフェニル基に置換されていてもよい低級アルキル基;低級アルコキシ基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基又は低級アルコキシ基に置換されていてもよいフェニル基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基又は低級アルコキシ基に置換されていてもよいヘテロシクリル基;及びオキソ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環である。
【0097】
本発明の別のより好ましい実施形態において、Yは環Aの3位に結合し、それに対してXは1位にあり、環Aは、場合により、ハロゲン原子、低級アルキル基及びオキソ基から選択される置換基に置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり、環Bは、場合により、ハロゲン原子;場合によりハロゲン原子又はフェニル基に置換されていてもよい低級アルキル基;低級アルコキシ基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基又は低級アルコキシ基に置換されていてもよいフェニル基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基又は低級アルコキシ基に置換されていてもよいヘテロシクリル基;及び低級アルキレン基からなる群から選択される置換基に置換されていてもよいベンゼン環である。
【0098】
不飽和の単環式複素環の好ましい例としては、独立して窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1又は2つのヘテロ原子を含有する5又は6員不飽和の複素環が挙げられる。より具体的には、好ましいのは、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロピリジン及びチアゾールである。好ましい不飽和の縮合二環式複素環としては、独立して窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1〜4つのヘテロ原子を含有する9又は10員不飽和の縮合複素環が挙げられる。より具体的には、好ましいのは、インドリン、イソインドリン、ベンゾチアゾール、ベンゾキサゾール、インドール、インダゾール、キノリン、イソキノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、チエノチオフェン及びジヒドロイソキノリンである。
【0099】
本発明のより好ましい実施形態において、環Aは、場合により、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基及びフェニル基からなる群から選択される置換基に置換されていてもよいベンゼン環であり、環Bは、チオフェン、フラン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン及びベンゾチアゾールからなる群から選択される複素環であり、ここで複素環は、場合により、以下の群:ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、フェニル−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、フェニル基、ハロフェニル基、低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、チエニル基、ハロチエニル基、ピリジル基、ハロピリジル基及びチアゾリル基から選択される置換基に置換されていてもよい。
【0100】
さらに別の好ましい実施形態において、Yは−CH2−であり、環Aは、チオフェン、ジヒドロイソキノリン、ジヒドロイソオキサゾール、トリアゾール、ピラゾール、ジヒドロピリジン、ジヒドロインドール、インドール、インダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン及びイソインドリンからなる群から選択される不飽和の単環式複素環又は不飽和の縮合二環式複素環であり、ここで複素環は場合により以下の群:ハロゲン原子、低級アルキル基及びオキソ基から選択される置換基に置換されてもよく、環Bは、場合により、以下の群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロ−低級アルコキシ基から選択される置換基に置換されていてもよいベンゼン環である。
【0101】
本発明のさらに好ましい実施形態において、環Aは、ハロゲン原子又は低級アルキル基に置換されているベンゼン環であり、環Bは、フェニル基又はヘテロシクリル基に置換されているチエニル基であり、このフェニル基及びヘテロシクリル基は、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロ−低級アルコキシ基から選択される1〜3個の置換基に置換されている。
【0102】
さらに、本発明の別の態様において、式Iの化合物の好ましい例としては、環Aが、
【0103】
【化20】

[式中、R1a、R2a、R3a、R1b、R2b及びR3bは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、フェニル基、フェニルアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基又はフェニルスルホニル基である]であり、
環Bが、
【0104】
【化21】

[式中、R4a及びR5aは、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アルキル基;ハロアルキル基;ハロアルコキシ基;ヒドロキシアルキル基;アルコキシアルキル基;フェニルアルキル基;アルコキシアルコキシ基;ヒドロキシアルコキシ基;アルケニル基;アルキニル基;シクロアルキル基;シクロアルキリデンメチル基;シクロアルケニル基;シクロアルキルオキシ基;フェニルオキシ基;フェニルアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基;アルカノイルアミノ基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;カルバモイル基;モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基;アルカノイル基;アルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;アルキルスルフィニル基;アルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキレンジオキシ基、アルキレンオキシ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、カルバモイル基又はモノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基に置換されていてもよいフェニル基;あるいは場合によりハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、カルバモイル基又はモノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基に置換されていてもよいヘテロシクリル基であり、あるいはR4a及びR5aは、互いにその末端で結合して、アルキレン基を形成し;
4b、R5b、R4c及びR5cは、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アルキル基;ハロアルキル基;ハロアルコキシ基;ヒドロキシアルキル基;アルコキシアルキル基;フェニルアルキル基;アルコキシアルコキシ基;ヒドロキシアルコキシ基;アルケニル基;アルキニル基;シクロアルキル基;シクロアルキリデンメチル基;シクロアルケニル基;シクロアルキルオキシ基;フェニルオキシ基;フェニルアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基;アルカノイルアミノ基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;カルバモイル基;モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基;アルカノイル基;アルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;アルキルスルフィニル基;アルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基又はモノ−もしくはジ−アルキルアミノ基に置換されていてもよいフェニル基;あるいは場合によりハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基又はハロアルコキシ基に置換されていてもよいヘテロシクリル基である]である化合物が挙げられる。
【0105】
より好ましいのは、R1a、R2a、R3a、R1b、R2b及びR3bが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はフェニル基であり;
4a及びR5aが、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;低級アルキル基;ハロ−低級アルキル基;フェニル−低級アルキル基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基,カルバモイル基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基に置換されていてもよいフェニル基;あるいは場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルバモイル基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基に置換されていてもよいヘテロシクリル基であり、あるいはR4a及びR5aは互いにその末端で結合して低級アルキレン基を形成し;
4b、R5b、R4c及びR5cが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基である化合物である。
【0106】
さらに好ましいのは、環Bが、
【0107】
【化22】

[式中、R4aは、場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基に置換されていてもよいフェニル基;あるいは場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルバモイル基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基に置換されていてもよいヘテロシクリル基であり、
5aは水素原子であり、あるいは
4a及びR5aは互いにその末端で結合して低級アルキレン基を形成する]である化合物である。
【0108】
さらにより好ましいのは、環Aが、
【0109】
【化23】

[式中、R1aはハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、R2a及びR3aが水素原子である]であり;環Bが、
【0110】
【化24】

[式中、R4aは、場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基及びモノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される置換基に置換されていてもよいフェニル基;あるいは場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルバモイル基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基に置換されていてもよいヘテロシクリル基であり、R5aは水素原子であり、Yは−CH2−である]である化合物である。
【0111】
より好ましい実施形態において、R4aは、場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基に置換されていてもよいフェニル基;あるいは場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基に置換されていてもよいヘテロシクリル基である。
【0112】
本発明の別の好ましい実施形態において、好ましい化合物は、以下の式IA:
【0113】
【化25】

[式中、RAは、ハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり;RBは、場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基及びモノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよいフェニル基;又は場合によりハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基及びモノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される1〜3個の置換基に置換されていてもよいヘテロシクリル基であり;RCは水素原子であり;あるいは一緒になったRB及びRCは、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基に置換されていてもよい縮合ベンゼン環である]により表すことができる。
【0114】
好ましい実施形態において、RAはハロゲン原子又は低級アルキル基であり、RCは水素原子であり、RBは、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基及びモノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される1〜3個の置換基に置換されているフェニル基;又はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基及びモノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されているヘテロシクリル基である。このような化合物の化学構造は、以下の式(IA’):
【0115】
【化26】

[式中、RAはハロゲン原子又は低級アルキル基であり、環Cは、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンオキシ基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基及びモノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されているフェニル基;又はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、カルバモイル基及びモノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されているヘテロシクリル基である]により表すことができる。
【0116】
より好ましい実施形態において、環Cは、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基及びモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基からなる群から選択される1〜3個の置換基に置換されているフェニル基;又はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロ−低級アルコキシ基からなる群から選択される置換基に置換されているヘテロシクリル基である。
【0117】
中でも、環Cが、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基に置換されているフェニル基;あるいはハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基に置換されているヘテロシクリル基である化合物が好ましい。
【0118】
好ましいヘテロシクリル基としては、独立して窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1もしくは2つのヘテロ原子を含有する5又は6員ヘテロシクリル基、あるいは独立して窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する9又は10員ヘテロシクリル基が挙げられる。特に、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キノリニル基、テトラゾリル基及びオキサゾリル基が好ましい。
【0119】
さらに好ましい実施形態において、環Cは、ハロゲン原子もしくはシアノ基に置換されているフェニル基、又はハロゲン原子に置換されているピリジル基である。
【0120】
本発明の別の好ましい実施形態において、好ましいのは、環Aが、
【0121】
【化27】

[式中、R1aは、ハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、R2a及びR3aは水素原子である]であり;環Bが、
【0122】
【化28】

[式中、R4b及びR5bは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロ−低級アルコキシ基である]である化合物である。
【0123】
本発明の別の態様において、化合物Iの好ましい例としては、以下の式IB:
【0124】
【化29】

[式中、R8、R9及びR10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基であり;
【0125】
【化30】

により表される基は、
【0126】
【化31】

[式中、R6a及びR7aは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルキリデンメチル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、モノ−もしくはジ−アルキルカルバモイル基、アルカノイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基であり、R6b及びR7bは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基又はアルコキシ基である]である]により表される化合物が挙げられる。
【0127】
式IBにより表される化合物の中でも、より好ましいのは、R8、R9及びR10が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ−低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基又は低級アルコキシ−低級アルコキシ基であり、
【0128】
【化32】

により表される基が、
【0129】
【化33】

[式中、R6a、R7aは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ−低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基、低級アルコキシ−低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロ−低級アルコキシ基又は低級アルコキシ−低級アルコキシ基である]であり、又は
【0130】
【化34】

により表される基が、
【0131】
【化35】

[式中、R6b及びR7bは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ−低級アルキル基又は低級アルコキシ基である]である化合物である。
【0132】
本発明の別の態様において、化合物Iの好ましい例としては、以下の式IC:
【0133】
【化36】

[式中、環B’は、場合により置換されていてもよいベンゼン環、場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環、又は場合により置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環である]により表される化合物が挙げられる。
【0134】
環B’の好ましい例としては、ベンゼン環及び複素環が挙げられ、これらは両方ともハロゲン原子;シアノ基;場合によりハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルキル基;場合によりハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルコキシ基;低級アルカノイル基;モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基;低級アルコキシカルボニル基;カルバモイル基;モノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、場合によりハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルコキシ基、低級アルカノイル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される置換基(単数又は複数)に置換されていてもよいフェニル基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、場合によりハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルコキシ基、低級アルカノイル基、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ基、低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基又はモノ−もしくはジ−低級アルキルカルバモイル基から選択される置換基(単数又は複数)に置換されていてもよいヘテロシクリル基;アルキレン基;及びオキソ基からなる群から選択される置換基(単数又は複数)を有してもよい。
【0135】
環B’のより好ましい例としては、ハロゲン原子;シアノ基;場合によりハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルキル基;場合によりハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルコキシ基;モノ−又はジ−低級アルキルアミノ基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、場合によりハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルコキシ基に置換されていてもよいフェニル基;場合によりハロゲン原子、シアノ基、場合によりハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルキル基、場合によりハロゲン原子に置換されていてもよい低級アルコキシ基に置換されていてもよいヘテロシクリル基からなる群から選択される置換基に置換されていてもよいベンゼン環が挙げられる。
【0136】
本発明の好ましい化合物は、以下の群:
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−(6−エチルベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル)ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(5−チアゾリル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−(5−フェニル−2−チエニル−メチル)ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(2−ピリミジニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(2−ピリミジニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(3−シアノフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(4−シアノフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(6−フルオロ−2−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−2−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(3−ジフルオロメチル−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(3−シアノフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−シアノフェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−フルオロ−3−(5−(3−シアノフェニル)−2−チエニルメチル)ベンゼン;
その製薬学的に許容され得る塩;及びそのプロドラッグから選択してもよい。
【0137】
本発明の好ましい化合物としては、
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(3−シアノ−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン又はその製薬学的に許容され得る塩、又はそのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−シアノ−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン又はその製薬学的に許容され得る塩、又はそのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン又はその製薬学的に許容され得る塩、又はそのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(3−シアノ−フェニル)−2−チエニルメチル]ベンゼン又はその製薬学的に許容され得る塩、又はそのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−[5−(6−フルオロ−2−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン又はその製薬学的に許容され得る塩、又はそのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−2−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン又はその製薬学的に許容され得る塩、又はそのプロドラッグ;
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン又はその製薬学的に許容され得る塩、又はそのプロドラッグ;及び
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−フルオロ−3−(5−(3−シアノフェニル)−2−チエニルメチル)ベンゼン又はその製薬学的に許容され得る塩、又はそのプロドラッグが挙げられる。
【0138】
明細書、特にスキーム及び実施例で使用される略語は、以下の通りである。
【0139】
【表1】

【0140】
一般に、商業使用のためには、製品が良好な取り扱い品質を呈することが好ましい。さらに、商業使用のためには、製品が実質的に純粋で結晶性の形態であるように生産されて、製剤が厳格な医薬要件及び仕様を満たすことを可能にすることが好ましい。さらに、商業用規模の製造では、製品が容易に濾過でき、容易に乾燥する形態であることが好ましい。最後に、製品は、特殊な保管条件を必要とすることなく、長期間安定であることが好ましい。
【0141】
本明細書で使用するとき、特に指摘がない限り、用語「単離形」は、化合物が、別の化合物(一種又は複数)との任意の固体混合物、溶媒系又は生物学的環境から分離された形態で存在することを意味するものとする。一実施形態において、式(I)の化合物、式(I−S)の化合物、式(I−K)の化合物、式(I−S)の化合物の結晶形態及び/又は式(I−K)の化合物の結晶形態は、単離形で存在する及び/又は製造される。
【0142】
本明細書で使用するとき、特に断りのない限り、用語「実質的に純粋な」は、単離した化合物中の不純物のモルパーセントが、約5モルパーセント未満、好ましくは約2モルパーセント未満、より好ましくは約0.5モルパーセント未満、最も好ましくは約0.1モルパーセント未満であることを意味する。一実施形態において、式(I)の化合物、式(I−S)の化合物、式(I−K)の化合物、式(I−S)の化合物の結晶形態及び/又は式(I−K)の化合物の結晶形態は、実質的に純粋な形で存在する及び/又は製造される。
【0143】
本明細書で使用するとき、特に断りのない限り、用語「実質的に対応する塩形を含まない」は、式(I)の化合物を説明するために用いるとき、単離した式(I)の塩基中の対応する塩形のモルパーセントが、約5モルパーセント未満、好ましくは約2モルパーセント未満、より好ましくは約0.5モルパーセント未満、最も好ましくは約0.1モルパーセント未満であることを意味する。一実施形態において、式(I)の化合物、式(I−S)の化合物、式(I−K)の化合物、式(I−S)の化合物の結晶形態及び/又は式(I−K)の化合物の結晶形態は、実質的に対応する塩形を含まない形で存在する及び/又は製造される。
【0144】
一実施形態において、本発明は、実質的に純粋な、式(I)の化合物を製造する方法を目的とする。別の実施形態において、本発明は、実質的に純粋な、式(I−S)の化合物を製造する方法を目的とする。別の実施形態において、本発明は、実質的に純粋な、式(I−K)の化合物を製造する方法を目的とする。
【0145】
一実施形態において、本発明は、実質的に対応する塩形を含まない、式(I)の化合物を製造する方法を目的とする。別の実施形態において、本発明は、実質的に対応する塩形を含まない、式(I−S)の化合物を製造する方法を目的とする。別の実施形態において、本発明は、実質的に対応する塩形を含まない、式(I−K)の化合物を製造する方法を目的とする。
【0146】
本明細書で使用するとき、用語「患者」は、処置、観察又は実験の対象である動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。好ましくは、患者は、処置及び/又は予防するべき疾病又は疾患の少なくとも1つの症状を経験及び/又は示している。
【0147】
本明細書で使用するとき、用語「治療的に有効な量」は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められている、処置されている疾病又は疾患の症状の緩和を含む組織系、動物又はヒト内で生体学的反応又は医薬反応を引き出す活性化合物又は医薬的薬剤の量を意味する。
【0148】
本明細書で使用するとき、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む製品、及び特定の量の特定の成分の組み合わせから直接的又は間接的に得られる任意の製品を包含することを意図する。
【0149】
本発明の式(I)の化合物は、ナトリウム−グルコース共輸送体に対する優れた阻害活性、及び優れた血中グルコース低下効果を呈する。それ故、本発明の化合物は、真性糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、創傷治癒の遅延、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸の血中濃度の上昇、グリセロールの血中濃度の上昇、高脂血症、肥満、高トリグリセリド症、シンドロームX、糖尿病性合併症、アテローム性動脈硬化症又は高血圧症の、進行もしくは発症を処置する又は遅延させるのに有用である。特に、本発明の化合物は、真性糖尿病(1型及び2型真性糖尿病等)、糖尿病性合併症(糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症のような)もしくは肥満の処置もしくは処置に有用である、又は食後の高血糖症の処置に有用である。
【0150】
本発明の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩は、経口的又は非経口的のいずれかで投与してもよく、好適な医薬品の形態で用いることができる。経口投与するために好適な医薬品としては、例えば、錠剤、顆粒、カプセル、散剤等のような固体製剤;又は溶液製剤、懸濁液製剤、もしくはエマルション製剤等が挙げられる。非経口投与するために好適な医薬品としては、例えば、坐剤;注入のために蒸留水を用いる注入製剤及び点滴静注製剤、生理食塩水、もしくは水性グルコース溶液;又は吸入製剤が挙げられる。
【0151】
式(I)の本化合物又はその製薬学的に許容され得る塩の用量は、投与経路、年齢、体重、患者の状態、又は処置されるべき疾患の種類及び重篤度に応じて変化してもよく、通常、約0.01〜300mg/kg/日又はその任意の範囲内、好ましくは約0.1〜50mg/kg/日又はその任意の範囲内、好ましくは約0.1〜30mg/kg/日又はその任意の範囲内である。
【0152】
式Iの化合物は、必要に応じて、1種以上の他の抗糖尿病剤、1種以上の糖尿病性合併症処置剤、及び/又は1種以上の他の疾患の処置剤と組み合わせて用いてもよい。本化合物及びこれらの他の剤は、同じ剤形で、もしくは別々の経口剤形で、又は注入により、投与してもよい。
【0153】
他の抗糖尿病剤としては、例えば、インスリン、インスリン分泌促進物質もしくはインスリン増感剤を含む抗糖尿病剤又は抗高血糖症剤、あるいはSGLT阻害とは異なる作用機序を有する他の抗糖尿病剤が挙げられ、1、2、3もしくは4種のこれらの他の抗糖尿病剤を、好ましくは、用いてもよい。これらの具体例は、ビグアニド化合物、スルホニル尿素化合物、α−グルコシダーゼ阻害物質、PPARγ作用物質(例えば、チアゾリジンジオン化合物)、PPARα/γ二重作用物質、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP4)阻害物質、ミチグリニド化合物及び/又はナテグリニド化合物、並びに、インスリン、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、PTP1B阻害物質、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害物質、RXR修飾因子及び/又はグルコース6−ホスファターゼ阻害物質である。
【0154】
他の疾患の処置剤としては、例えば、抗肥満剤、血圧降下剤、抗血小板剤、抗アテローム性動脈硬化症剤及び/又は抗高脂血症剤が挙げられる。
【0155】
式IのSGLT阻害物質は、必要に応じて、糖尿病性合併症の処置剤と組み合わせて用いてもよい。これらの剤としては、例えば、PKC阻害物質及び/又はACE阻害物質が挙げられる。
【0156】
それらの剤の投薬量は、年齢、体重、及び患者の状態、並びに投与経路、剤形等に応じて変化してもよい。
【0157】
これらの医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、顆粒もしくは散剤の剤形で、ヒト、類人猿、イヌ等を含む哺乳類種に経口的に投与してもよく、又は注入製剤の剤形で、非経口的に投与してもよく、又は経皮貼付剤の剤形で、鼻腔内に投与してもよい。
【0158】
当業者は、特に指示がない限り、反応工程(単数又は複数)は、適切な条件下で、周知の方法に従って行われて、場合の生成物を提供することを認識するであろう。
【0159】
好適な溶媒、塩基、反応温度、並びに他の反応パラメータ及び成分の例は、本明細書で以下に詳細に説明される。当業者は、上記例の列挙が、以後の特許請求の範囲に記載される発明を決して限定する意図はなく、そのように解釈すべきではないことを認識する。
【0160】
当業者は、さらに、本明細書に提示された明細書及び特許請求の範囲において、試薬又は試薬のクラス/種類(例えば、塩基、溶媒等)が方法の1を超える工程に引用されている場合、個々の試薬は、各反応工程に関して独立して選択され、同一であっても又は互いに異なっていてもよいことを認識するであろう。例えば、方法の2つの工程が、試薬として有機又は無機塩基を挙げている場合、第1工程に関して選択される有機又は無機塩基は、第2工程の有機又は無機塩基と同一でも又は異なっていてもよい。
【0161】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書に記載する量的表現の一部は、用語「約」で修飾しない。用語「約」が明確に用いられていようといまいと、本明細書に記載する全ての量はその実際値を指すことを意味し、またこのような値の実験及び/又は測定条件による近似値を含む、当該技術分野における通常の技量に基づいて合理的に推測されるようなこのような値の近似値を指すことも意味する。
【0162】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書の量的表現のいくつかは、約量X〜約量Yの範囲として列挙される。範囲が列挙されていようといまいと、範囲は、列挙された上限及び下限に限定されるものではなく、約量X〜約量Yの全範囲、又はその中の任意の範囲を含むと理解される。
【0163】
本明細書で使用するとき、特に指摘がない限り、用語「窒素保護基」は、窒素原子に結合してその窒素原子が反応に参加することから保護することができ、また反応後に容易に除去できる基を意味するものとする。好適な窒素保護基としては、カルバメート−式−C(O)OR[式中、Rは、例えばメチル、エチル、t−ブチル、ベンジル、フェニルエチル、CH2=CH−CH2−等である]の群、アミド−式−C(O)−R’[式中、R’は、例えばメチル、フェニル、トリフルオロメチル等]の基、N−スルホニル誘導体−式−SO2−R”式中、R”は、例えばトリル、フェニル、トリフルオロメチル、2,2,5,7,8−ペンタミチルクロマン−6−イル−、2,3,6−トリメチル−4−メトキシベンゼン等]の基が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な窒素保護基は、T.W.グリーン(Greene)&P.G.M.ワッツ(Wuts)、有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)、ジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley & Sons)、1991年のような教科書に見つけることができる。
【0164】
当業者は、本発明の反応工程を、様々な溶媒又は溶媒系中で行うことができ、この反応工程はまた、適切な溶媒又は溶媒系の混合物中でも行うことができることを認識するであろう。
【0165】
本発明による化合物を製造する方法により立体異性体の混合物が生じる場合、これらの異性体は、分取クロマトグラフィーのような従来の技術により分離することができる。化合物はラセミ体で製造してもよく、又は個々の鏡像異性体をエナンチオ特異的合成、又は分割のいずれかにより製造してもよい。化合物は、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸のような光学的に活性な酸とともに塩を形成することによりジアステレオマー対を形成した後、分別結晶化及び遊離塩基の再生を行うような、標準的な技術により、その成分であるエナンチオマーに分割することができる。化合物は、ジアステレオマーエステル又はアミドの形成と、その後のクロマトグラフ分離及びキラル補助基の除去により分割することもできる。あるいは、化合物は、キラルHPLCカラムを使用して分割してもよい。
【0166】
本発明の化合物の任意の製造方法中、関与する任意の分子の感受性又は反応性基を保護することが必要且つ/又は望ましい場合がある。これは、「有機化学における保護基(Protective Groups in Organic Chemistry)」(J.F.W.マコーミー(McOmie)編、プレナム・プレス(Plenum Press)、1973年)、及びT.W.グリーン(Greene)&P.G.M.ワッツ(Wuts)、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」(ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、1991年)に記載されているもののような、従来の保護基を用いて達成できる。保護基は、当該技術分野において既知の方法を用いて、都合のよいその後の段階で除去してよい。
【0167】
当業者は、本明細書に記載する任意の方法において、ヒドロキシ基、オキソ基、カルボキシ基等のような、式(I)の化合物の反応性置換基を、合成経路に沿って好適な時点で、既知の方法に従って好ましく保護し、次いで脱保護することを認識する。
【0168】
本発明は、以下のスキーム1に概要を述べるような、式(I)の化合物を製造する方法を目的とする。
【0169】
【化37】

【0170】
したがって、既知の化合物又は既知の方法により製造される化合物である、式(V)の好適に置換された化合物を、既知の化合物又は既知の方法により製造される化合物である、式(VI−S)の化合物であって;式(VI−S)の化合物が、好ましくは約1.0〜約2.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約1.0〜約1.25モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、最も好ましくは約1.2モル当量の量で存在する化合物と;
トリメチルシリルメチルリチウム、メシチルリチウム(すなわち、2,4,6−トリメチルフェニルリチウム)、トリエチルシリルメチルリチウム、好ましくはトリメチルシリルメチルリチウム等のようなアルキルリチウムであって;好ましくは約2.0〜約3.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約2.0〜約2.5モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、最も好ましくは約2.0モル当量の量で存在するアルキルリチウムの存在下にて;また
THF、ヘキサン、ペンタン、MTBE、ジオキサン等、好ましくはTHFのような有機溶媒中で;約0℃〜約−78℃の範囲内又はその中の任意の範囲内、好ましくは約−40℃の温度にて反応させて;式(VII)の対応する化合物を生成せしめる。
【0171】
好ましくは、アルキルリチウムを式(V)の化合物と式(VI−S)の化合物との混合物に添加する。
【0172】
当業者は、式(V)の化合物をあるいは、トリメチルシリル(TMS)置換基を、トリエチルシリル、フェニルジメチルシリル等のような1つ以上の好適に選択される代替シリル基に置換された、式(VI−S)の化合物と反応させてもよい(上記のように)ことを認識する。
【0173】
式(VII)の化合物を、好ましくは約2.0〜約10.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約2.0〜約6.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、最も好ましくは約3.0モル当量の量で存在するBF3OEt2と、好ましくは約2.0〜約10.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約2.0〜約6.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、最も好ましくは約3.0モル当量の量で存在する、Et3SiH等のような好適に選択されるトリアルキルシランの存在下にて(好ましくは、BF3OEt2のトリアルキルシランに対する比は約1:1である);また
DCM、DCE、アセトニトリル、トルエン等のような有機溶媒中で、又は上記有機溶媒の混合物中で、好ましくはDCM中で;好ましくは約0℃〜約−40℃の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約−30℃の温度にて反応させて;式(VIII)の対応する化合物を生成せしめる。
【0174】
当業者は、式(VII)の化合物をあるいは、既知の方法に従って脱保護して(例えば、HCl等のような好適に選択される酸と反応させることにより)、式(X)の対応する化合物を生成せしめることを認識し、
【0175】
【化38】

【0176】
これを次いで、好ましくは約2.0〜約10.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約2.0〜約6.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、最も好ましくは約3.0モル当量の量で存在するBF3OEt2と、好ましくは約2.0〜約10.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約2.0〜約6.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、最も好ましくは約3.0モル当量の量で存在する、Et3SiH等のような好適に選択されるトリアルキルシランの存在下にて(好ましくは、BF3OEt2のトリアルキルシランに対する比は約1:1である);また
DCM、DCE、アセトニトリル、トルエン等のような有機溶媒中で、又は上記有機溶媒の混合物中で、好ましくはDCM中で;好ましくは約0℃〜約−40℃の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約−30℃の温度にて反応させて;式(VIII)の対応する化合物を生成せしめる。
【0177】
式(VIII)の化合物を、無水酢酸又は塩化アセチル、好ましくは既知の化合物である無水酢酸であって、好ましくは約4.0〜約6.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約4.5〜約5.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、最も好ましくは約5.0モル当量の量の無水酢酸と;
N−メチルモルホリン(NMM)、TEA、ピリジン等、好ましくはNMMのような有機塩基であって、好ましくは約3.0〜約6.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約5.0モル当量の量の有機塩基の存在下にて;場合により、DMAP等のような触媒の存在下にて;好ましくは触媒量のDMAPの存在下にて;
ニートで、又はTHF、アセトニトリル等、好ましくはTHFのような有機溶媒中で;好ましくは、約−10℃〜約室温の範囲内又はその中の任意の範囲内、好ましくは約0℃〜約室温の範囲内の温度にて反応させて;式(IX)の対応する化合物を生成せしめる。
【0178】
化合物(IX)を、好ましくはスラリー化又は溶媒中に溶解し、好ましくはスラリー化し;次いで濾過し、好ましくは高温で濾過して、不純物及び/又は副生成物を除去する。
【0179】
式(IX)の化合物を、既知の方法に従って脱保護する。例えば、式(IX)の化合物を、LiOH、NaOH等、好ましくはLiOHのような好適に選択される塩基であって、好ましくは約0.1〜約1.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約0.25〜約0.5モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、最も好ましくは約0.5モル当量(例えば、触媒量)の量で存在する塩基と;水:THF:メタノールの比が好ましくは約1:2:3である、水、THF及びメタノールの混合物中で;好ましくは室温にて反応させて、式(I)の対応する化合物を生成せしめる。
【0180】
化合物(I)の化合物を、好ましくは、既知の方法に従って単離及び/又は再結晶化する。
【0181】
一実施形態において、本発明は、以下のスキーム2に概要を述べるような、式(I−S)の化合物を製造する方法を目的とする。
【0182】
【化39】

【0183】
したがって、既知の化合物又は既知の方法により製造される化合物である、式(V−S)の好適に置換された化合物を、既知の化合物又は既知の方法により製造される化合物である、式(VI−S)の化合物であって;式(VI−S)の化合物は、好ましくは約1.0〜約2.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約1.0〜約1.25モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、最も好ましくは約1.2モル当量の量で存在する化合物と;
トリメチルシリルメチルリチウム、メシチルリチウム(すなわち、2,4,6−トリメチルフェニルリチウム)、トリエチルシリルメチルリチウム、好ましくはトリメチルシリルメチルリチウム等のようなアルキルリチウムであって;好ましくは約2.0〜約3.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約2.0〜約2.5モル当量又はその中の任意の範囲内、最も好ましくは約2.0モル当量の量で存在するアルキルリチウムの存在下にて;また
THF、ヘキサン、ペンタン、MTBE、ジオキサン等、好ましくはTHFのような有機溶媒中で;約0℃〜約−78℃の範囲内又はその中の任意の範囲内、好ましくは約−40℃の温度にて反応させて;式(VII−S)の対応する化合物を生成せしめる。
【0184】
好ましくは、アルキルリチウムを式(V−S)の化合物と式(VI−S)の化合物との混合物に添加する。
【0185】
当業者は、式(V−S)の化合物をあるいは、トリメチルシリル(TMS)置換基を、トリエチルシリル、フェニルジメチルシリル等のような1つ以上の好適に選択される代替シリル基に置換された、式(VI−S)の化合物と反応させてもよい(上記のように)ことを認識する。
【0186】
式(VII−S)の化合物を、好ましくは約2.0〜約10.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約2.0〜約6.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、最も好ましくは約3.0モル当量の量で存在するBF3OEt2と、好ましくは約2.0〜約10.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約2.0〜約6.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、最も好ましくは約3.0モル当量の量で存在する、Et3SiH等のような好適に選択されるトリアルキルシランの存在下にて(BF3OEt2のトリアルキルシランに対する比は約1:1である);また
DCM、DCE、アセトニトリル、トルエン等のような有機溶媒中で、又は上記有機溶媒の混合物中で、好ましくはDCM中で;好ましくは約0℃〜約−40℃の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約−30℃の温度にて反応させて;式(VIII−S)の対応する化合物を生成せしめる。
【0187】
式(VIII−S)の化合物を、無水酢酸又は塩化アセチル、好ましくは既知の化合物である無水酢酸であって、好ましくは約4.0〜約6.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約4.5〜約5.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、最も好ましくは約5.0モル当量の量の無水酢酸と;
N−メチルモルホリン(NMM)、TEA、ピリジン等、好ましくはNMMのような有機塩基であって、好ましくは約3.0〜約6.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約5.0モル当量の量の有機塩基の存在下にて;場合により、DMAP等のような触媒の存在下にて;好ましくは触媒量のDMAPの存在下にて;
ニートで、又はTHF、アセトニトリル等、好ましくはTHFのような有機溶媒中で;好ましくは約−10℃〜約室温の範囲内又はその中の任意の範囲内、好ましくは約0℃〜約室温の範囲内の温度にて反応させて;式(IX−S)の対応する化合物を生成せしめる。
【0188】
化合物(IX−S)を、好ましくはスラリー化又は溶媒中に溶解し、好ましくはスラリー化し;次いで好ましくは高温で濾過して、不純物及び/又は副生成物を除去する。好ましくは、メタノール、エタノール等、好ましくはメタノールのような有機溶媒中で式(IX−S)の化合物の混合物をスラリー化又は溶解し、好ましくはスラリー化し、次いで好ましくは高温で濾過して、不純物及び/又は副生成物を除去する。
【0189】
式(IX−S)の化合物を、既知の方法に従って脱保護する。例えば、式(IX−S)の化合物を、LiOH、NaOH等、好ましくはLiOHのような好適に選択される塩基であって、好ましくは約0.1〜約1.0モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、より好ましくは約0.25〜約0.5モル当量の範囲内又はその中の任意の範囲内、最も好ましくは約0.5モル当量(例えば、触媒量)の量で存在する有機塩基と;水:THF:メタノールの比が好ましくは約1:2:3である、水、THF及びメタノールの混合物中で;好ましくは室温にて反応させて、式(I−S)の対応する化合物を生成せしめる。
【0190】
式(I−S)の化合物を、好ましくは再結晶化する。一実施形態において、式(I−S)の化合物を、以下の方法に従って再結晶化する:
工程A:式(I−S)の化合物を、酢酸エチル、メタノール、エタノール等、好ましくは酢酸エチルのような有機溶媒中に溶解し、次いで場合により濾過する;
工程B:工程Aの混合物を、約25℃〜約45℃の範囲内の温度、好ましくは約30〜約35℃の範囲内の温度に加熱し、次いで場合により濾過する;
工程C:工程Bで製造した混合物に、好ましくは約1.0〜約2.0モル当量、より好ましくは約1.5モル当量の水を添加する;
工程D:工程Cで製造した混合物に、好ましくは酢酸エチル:ヘプタンの最終体積:体積比が約1:1〜約1.5:1、より好ましくは約1.2:1の範囲になるような量で、ヘプタンをゆっくりと添加して(初期沈殿物に、すなわち、ヘプタンは貧溶媒として作用する);
式(I−S)の化合物の沈殿物を生成せしめ、この沈殿物を好ましくは既知の方法に従って濾過し、次いで乾燥させる。
【0191】
好ましくは、式(I−S)の化合物の再結晶化において、ヘプタンの添加後、得られる混合物を式(I−S)の化合物の場合の多形で種結晶化(seed)する。
【0192】
本発明は、式(I−S)の化合物の新規結晶形態をさらに目的とする。本発明は、式(I−K)の化合物の新規結晶形態をさらに目的とする。
【0193】
当業者は、結晶形態を特徴化するいくつかの方法が存在すること、及び、本発明が選択された方法又は本発明の化合物の特徴化で用いられる器具に限定されることを意図しないことを認識する。例えば、粉末x線回折パターンに関して、実験パターン中のパターンピーク強度は、当該技術分野において既知であるように、主に製造されたサンプル中における好ましい配向(結晶の非ランダム配向)のために、変化する場合がある。よって、本発明の範囲は、当業者に評価されている特徴化の変動の見地から考慮しなければならない。
【0194】
本発明は、さらに式(I−S)の化合物の結晶形態を目的とする。
【0195】
【化40】

【0196】
一実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるような再結晶化方法に従って製造した式(I−S)の化合物の結晶形態を目的とする。別の実施形態において、本発明は、以下の再結晶化方法に従って製造した式(I−S)の化合物の結晶形態を目的とする:
工程A:酢酸エチルに式(I−S)の化合物を溶解して、混合物Aを生成せしめ;次いで場合により混合物Aを濾過する;
工程B:混合物Aを約30℃〜約35℃の範囲内の温度に加熱して、混合物Bを生成せしめ;次いで場合により混合物Bを濾過する;
工程C:約1.5モル当量の水を混合物Bに添加して、混合物Cを生成せしめる;
工程D:混合物Cにヘプタンをゆっくりと添加して、式(I−S)の化合物の結晶形態を生成せしめる;
工程E:濾過及び乾燥により、式(I−S)の化合物の結晶形態を単離する。
【0197】
本発明は、式(I−K)の化合物の新規結晶形態をさらに目的とする。
【0198】
【化41】

【0199】
式(I−K)の化合物の結晶形態の代表的なサンプルについて、図2に示すように、RINT−ULTIMA3(リガク(Rigaku)、日本、東京)粉末X線回折装置を用いて、CuKα放射及び以下の設定:(a)スキャン速度:1.00度/分;(b)ターゲット:CuKα;(c)電圧:40kV;(d)電流:40mA;(e)スキャン範囲:3〜40.0度;及び(f)サンプリング幅:0.0200度を用いて、X線粉末回折スペクトルを測定した。
【0200】
さらに、式(I−K)の化合物の結晶形態の代表的なサンプルについて、図3に示すように、フィリップス(Philips)X’Pert Pro MPD粉末X線回折装置を用いて、CuKα放射及び以下の設定:(a)スキャン速度:0.207度/分;(b)ターゲット:CuKα;(c)電圧:45kV;(d)電流:40mA;(e)検出器:X’celerator;(f)スキャン範囲:3〜35度;(g)ステップサイズ:0.0165度;及び(h)ステップあたりの時間:10.16秒を用いて、X線粉末回折パターンを測定した。
【0201】
図4に示すように、鉱油中の式(I−K)の化合物の結晶形態の代表的なサンプルについて、また図5に示すように、K−Brペレット中の、赤外線スペクトルを測定した。以下の本明細書の図4及び5に示すように、化合物(I−K)の結晶形態の赤外線スペクトルにおいて、縦軸は透過率(%)であり、横軸は波長(cm-1)である。
【0202】
鉱油中の式(I−K)の化合物の結晶形態のフーリエ変換赤外線(FT−IR)スペクトルは、4cm-1の分解能で記録した。図4に示すIRスペクトルは、4回のスキャンの合計を表す。IRスペクトルは、化合物(I−K)に存在する官能基に一致する、1492、1463、1377、1268、1065及び1023cm-1で主な特徴的な吸収バンドを示す。
【0203】
KBrペレット中の化合物(I−K)の結晶形態のフーリエ変換IRスペクトルは、4cm-1の分解能で記録した。図5に示すIRスペクトルは、64回のスキャンの合計を表す。IRスペクトルは、3431、3321、1493、1269、1065及び1024cm-1で主な特徴的な吸収バンドを示す。
【0204】
熱重量分析は、式(I−K)の化合物の結晶形態の代表的なサンプルで行った。実施した熱重量分析の方法論は、以下の通りである:7.35mgの化合物(I−K)の結晶形態を計量し、TG−8120(リガク、日本)用のアルミニウムのセルホルダーに移した。式(I−K)の化合物の結晶形態の熱重量(TG)熱曲線を、次いで、5℃/分の加熱速度で、周囲温度〜200℃の範囲の典型的な測定により、測定した。式(I−K)の化合物の結晶形態は、熱重量分析で、水和物又は溶媒和物形で存在することは観察されなかった。
【0205】
本発明は、さらに、式(I−K)の化合物の溶液を形成することと、溶液から結晶形態を沈殿させることと、を含んでなる、化合物(I−K)の結晶形態を製造する方法を目的とする。式(I−K)の化合物の結晶形態は、式(I−K)の化合物の適切な溶媒の溶液から得ることができる。場合によっては、いくつかの不純物は結晶化阻害物質として作用することがあり、このような不純物は、当業者が容易に認識するように、シリカゲルカラムクロマトグラフィーのような、従来の様式を用いて除去する必要がある。しかしながら、式(I−K)の化合物の結晶形態は、いくつかの不純物を含有する式(I−K)の化合物から得てもよい。
【0206】
式(I−K)の化合物の結晶形態は、式(I−K)の化合物の好適に選択された溶媒の溶液から製造することができる。好適な溶媒の例としては、ケトン(例えば、アセトン、2−ブタノン)、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸メチル)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール)、及びこれらの溶媒の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい溶媒としては、酢酸エチルのようなエステルが挙げられる。場合によっては、貧溶媒を式(I−K)の化合物の溶液に添加することができる。貧溶媒の例としては、アルカン(ヘキサン、ヘプタン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル)、及びこれらの溶媒の混合物が挙げられる。
【0207】
好ましい式(I−K)の化合物の結晶形態を製造する方法は、加温した適切な溶媒(例えば、エステル)に、式(I−K)の粗又は非晶質化合物(例えば、国際公開第2005/012326号に記載の手順に従って製造した)を溶解させることと、次いで必要に応じて貧溶媒を得られる溶液に添加し、その後得られる溶液を冷却及び濾過することと、を含んでなる。化合物(I−K)の結晶が形成される正確な条件は、経験的に決定できる。
【0208】
当業者は、式(I−K)の化合物の結晶形態は、対応する式(I−K)の化合物の非晶質よりも単離が容易であり、さらに、冷却後結晶化溶媒から濾過し、洗浄及び乾燥することができることを認識する。
【0209】
本発明は、さらに、式(I−S)の結晶形態又は式(I−K)の化合物の結晶形態、及び製薬学的に許容され得る担体を含んでなる医薬組成物を目的とする。
【0210】
本発明の式(I−S)の化合物の結晶形態及び式(I−K)の化合物の結晶形態は、さらに、ナトリウム−グルコース共輸送体(SGLT2)の阻害物質として有用であり、優れた血中グルコース低下効果を呈する。一実施形態において、本発明の式(I−S)の結晶形態及び式(I−K)の化合物の結晶形態は、真性糖尿病(1型及び2型真性糖尿病等)、糖尿病性合併症(糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症のような)、食後の高血糖症、創傷治癒の遅延、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸の血中濃度の上昇、グリセロールの血中濃度の上昇、高脂血症、肥満、高トリグリセリド症、シンドロームX、アテローム性動脈硬化症又は高血圧症の、進行もしくは発症の処置、予防又は遅延に有用である。
【0211】
本発明は、さらに、製薬学的に許容され得る担体とともに、本明細書に記載の任意の方法に従って製造する化合物を含有する医薬組成物を含む。活性成分として本明細書に記載した本発明の化合物の1つ以上を含有する医薬組成物は、従来の医薬品配合技術に従って、化合物(単数又は複数)を医薬担体とよく混合することによって製造できる。担体は、場合の投与経路(例えば、経口、非経口)に応じて様々な形態をとってよい。したがって、縣濁剤、エリキシル剤及び液剤のような液体経口製剤では、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、安定剤、着色剤等が挙げられ、散剤、カプセル剤及び錠剤のような固体経口製剤では、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等が挙げられる。固体経口製剤は、糖のような物質でコーティングされてもよく、又は主要な吸収部位を調節するために腸溶コーティングされていてもよい。非経口投与では、担体は通常、滅菌水からなり、溶解度の上昇又は保存のために他の成分を添加してもよい。注入用の縣濁液又は溶液はまた、水性担体を適切な添加剤とともに用いて製造してもよい。
【0212】
本発明の医薬組成物を製造するために、活性成分としての1つ又はそれ以上の本発明の化合物を、従来の医薬品配合技術に従って、医薬担体とともにしっかりと混合するが、この担体は、例えば経口又は筋内内のような非経口投与に望ましい製剤の形態に応じて様々な形態をとることができる。経口剤形における組成物の製造には、任意の通常の医薬媒体を用いることができる。したがって、例えば、縣濁剤、エリキシル剤及び液剤のような液体経口製剤では、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤及び同様物が挙げられ、散剤、カプセル剤、カプレット剤、ジェルキャップ及び錠剤のような固体経口製剤では、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等が挙げられる。投与が容易であるため、錠剤及びカプセル剤は最も有利な経口投薬量単位形であり、その場合、固体医薬担体が明らかに使用される。所望により、錠剤は、標準的な技術により、糖コーティング又は腸溶コーティングされてよい。非経口の場合、担体は、通常、滅菌水を含むが、例えば、溶解性を助けるなどの目的のため、又は保存のために他の成分を含んでよい。注入用の縣濁液も製造することができ、その場合、適切な液体担体、懸濁化剤等を使用することができる。本明細書の医薬組成物は、投薬量単位、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、注射液、茶さじ一杯等あたり、上述した有効投薬量を送達するのに必要な活性成分の量を含むであろう。本明細書の医薬組成物は、単位用量、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、注射液、坐剤、茶さじ等当たり、約0.01〜1000mg又はその中の任意の範囲を含み、また、約0.01〜300mg/kg/日又はその中の任意の範囲、好ましくは約0.1〜50mg/kg/日又はその中の任意の範囲の投薬量で投与してもよい。しかしながら、この投薬量は、患者の要件、処置される症状の重篤度、及び使用される化合物に応じて変わり得るものである。連日投与又は周期後投与のいずれを用いてもよい。
【0213】
好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下もしくは直腸投与、又は吸入もしくは吹送による投与のための、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒、無菌非経口溶液又は縣濁液、定量エアゾール又は液体噴霧剤、ドロップ、アンプル、自動注入装置又は坐薬のような単位剤形である。あるいは、組成物は、週1回又は月1回投与に好適な形態で存在することができ、例えば、デカン酸塩のような活性化合物の不溶性塩は、筋肉内注入のためのデポー製剤を提供するよう適合され得る。錠剤のような固体組成物の製造に関しては、主要活性成分を、医薬担体、例えば、トウモロコシデンプン、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、又はゴムのような従来の錠剤化成分、及び他の医薬希釈剤、例えば水と混合して、本発明の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩の均質混合物を含む固体予備処方組成物を形成する。これらの予備処方組成物を均質と称するとき、これは、活性成分が組成物全体にむらなく分散し、その結果、組成物は同等に効果的な、錠剤、丸剤及びカプセル剤のような剤形に容易に分割できることを意味する。この固体予備配合組成物は、次に0.01〜約1000mgの本発明の活性成分を含有する、上述した種類の単位剤形に分割される。新規な組成物の錠剤又は丸剤は、長期間作用するという利点を付与する剤形を提供するためにコーティングすることができる、又は別の方法で配合することができる。例えば、錠剤又は丸剤は、内側投与成分及び外側投与成分を含むことができ、後者は前者の外被の形態である。2つの成分は、胃での崩壊を阻止し、また内側成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、又は放出を遅延させることができる腸溶性の層により分離されることができる。このような腸溶性層又はコーティング用には様々な材料を使用することができ、そのような材料としては、セラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような材料を伴う多数のポリマー酸が挙げられる。
【0214】
経口投与又は注入投与用に本発明の新規組成物を組み込み得る液体形としては、水性液剤、好適に香味付けされたシロップ剤、水性又は油性縣濁剤、及び綿実油、ゴマ油、ヤシ油又はピーナッツ油のような食用油を含む香味付けされたエマルション、並びにエリキシル剤及び同様の医薬賦形剤が挙げられる。水性縣濁剤のための好適な分散剤又は懸濁化剤としては、合成及び天然ゴム、例えばトラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン又はゼラチンが挙げられる。
【0215】
本発明に記載される処置方法は、また、本明細書に定義される任意の化合物、及び製薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物を用いて実施してもよい。医薬組成物は、約0.01mg〜1000mgの化合物又はその中の任意の範囲、好ましくは約10〜500mgの化合物を含んでもよく、選択される投与モードに好適な任意の形態に構成することができる。担体は、結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、着香剤、甘味剤、保存剤、染料、及びコーティングが挙げられるがこれらに限定されない必要且つ不活性な医薬賦形剤を含む。経口投与用に好適な組成物は、丸剤、錠剤、カプレット剤、カプセル剤(それぞれ、迅速放出、時限放出及び持続放出製剤を含む)、顆粒、及び散剤などの固体形態、並びに液剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、及び縣濁剤などの液体形態を含む。非経口投与用に有用な形態としては、滅菌液剤、エマルション及び縣濁液が挙げられる。
【0216】
有利なことに、本発明の化合物は、1回に1日量を投与してもよく、又は全1日量を1日2回、3回又は4回に分割して投与してもよい。さらに、本発明のための化合物は、当業者に周知の、好適な鼻腔内賦形剤の局所使用による経鼻投与形で、又は経皮皮膚貼付剤を介して投与してもよい。経皮送達系の形で投与するために、投薬量の投与は、勿論、投薬レジメン全体にわたって断続的ではなく連続的であろう。
【0217】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態での経口投与のために、活性薬物成分をエタノール、グリセロール、水等のような、経口、非毒性、製薬学的に許容され得る不活性担体と組み合わせることができる。さらに、場合又は必要であれば、好適な結合剤;滑沢剤、崩壊剤及び着色剤を混合物中に組み込むこともできる。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、ブドウ糖又はβ−乳糖などの天然糖、トウモロコシ甘味剤、アカシア、トラガカントのような天然及び合成ゴム、又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0218】
液体は、合成及び天然ゴム、例えば、トラガカント、アカシア、メチル−セルロース等のような好適に香味付けされた懸濁化剤又は分散剤の形態をとる。非経口投与のためには、滅菌縣濁液及び溶液が望ましい。静脈内投与が望ましいとき、好適な保存剤を一般に含有する等張製剤を用いる。
【0219】
本発明の医薬組成物を製造するには、活性成分として本明細書に記載の任意の方法に従って製造される化合物を、従来の医薬配合技術に従って、医薬担体とともにしっかりと混合するが、その担体は、投与(例えば、経口又は非経口)に場合される製剤の形態に応じて、非常に様々な形態をとることができる。製薬学的に許容され得る好適な担体は、当技術分野にて周知である。これらの製薬学的に許容され得る担体のいくつかの説明は、米国薬剤師会(American Pharmaceutical Association)及び英国薬剤師会(Pharmaceutical Society of Great Britain)出版の「医薬賦形剤便覧(Handbook of Pharmaceutical Excipients)」に見出すことができる。
【0220】
医薬組成物を配合する方法は、例えば、マーセル・デッカー社(Marcel Dekker, Inc)出版の、リーベルマン(Lieberman)ら編、「薬学的剤形:錠剤(Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets)」、第2版、改訂及び増刷済(Expanded)、第1〜3巻、エービス(Avis)ら編、「薬学的剤形:非経口薬剤(Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications)」、第1〜2巻、及びリーベルマンら編、「薬学的剤形:分散システム(Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems)」、第1〜2巻のような多数の刊行物に記載されている。
【0221】
本発明の化合物は、本明細書に記載した疾病の処置が必要な際にはいつでも、任意の前述の組成物で、当技術分野にて確立された投与レジメンに従って投与することができる。
【0222】
1日量は、ヒト成人につき1日当たり0.01〜1,000mg、又はその中の任意の範囲の幅広い範囲で変動し得る。経口投与では、組成物は、好ましくは、処置される患者に対する投薬量の症候性調節のために0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、30.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、及び500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供される。有効量の薬物は、通常、約0.01mg/kg〜約300mg/kg体重/日又はその中の任意の範囲の投薬量水準、好ましくは約0.01mg/kg〜約100mg/kg又はその中の任意の範囲の投薬量水準で供給される。より好ましくは、範囲は、約0.01〜約50.0mg/kg体重/日又はその中の任意の範囲であり、さらにより好ましくは約0.01〜約30.0mg/kg体重/日又はその中の任意の範囲である。化合物は、1日あたり1〜4回のレジメンで投与されてもよい。
【0223】
投与すべき最適用量は、当業者により容易に決定することができ、また使用される特定の化合物、投与モード、製剤の強度、投与モード、及び疾病症状の進行により変動するであろう。さらに、患者の年齢、体重、食事及び投与時間を含む、処置する具体的な患者と関連する因子が、投薬量を調整する必要性をもたらす。
【0224】
当業者は、好適な、既知の及び一般に認められた細胞及び/又は動物モデルを使用したインビボ及びインビトロの両方での試験により、試験化合物の所定の疾患を処置又は予防する能力を予測できることを認識するであろう。
【0225】
当業者はさらに、健康な患者及び/又は所定の疾患に罹患している患者におけるファースト・イン・ヒューマン(first-in-human)試験、投与量決定試験、及び有効性試験を含むヒト臨床試験が、臨床及び医療分野で周知の方法に従って完了し得ることを認識するであろう。
【0226】
以下の実施例は、本発明の理解を補助するために記載され、以下の特許請求の範囲に記載される本発明を如何様にも限定することを意図するものではなく、また解釈されるべきではない。
【0227】
以下の実施例において、いくつかの合成生成物は、残留物として単離されたものとして列挙されている。当業者は、用語「残留物」が、生成物が単離された物理的状態を限定するものではなく、例えば、固体、油、発泡体、ゴム、シロップ等を含み得ることを理解するであろう。
【実施例】
【0228】
(実施例1)
(5−ブロモ−2−メチル−フェニル)−[5−(4−フルオロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−メタノン
【0229】
【化42】

【0230】
工程A:
250mLの3つ口丸底フラスコに、周囲温度(20℃)で、5−ブロモ−2−メチル安息香酸(22.5g、0.10モル)、CH2Cl2(100mL)及びDMF(0.25mL)を入れた。塩化オキサリル(12mL、0.13モル)を、内部温度が25℃未満に維持されるように添加した。活発な気体の発生が観察された。反応混合物を、アルゴン下で、周囲温度にて一晩攪拌し、次いで揮発性物質を減圧下で除去した。得られた残留物(酸塩化物化合物)をDCM(50mL)中に溶解し、窒素雰囲気下に取っておいた。
工程B:
別の500mLの3つ口丸底フラスコに、AlCl3(15.0g、0.11モル)及び100mLのCH2Cl2を添加した。懸濁液を氷浴中で−10℃に冷却し、次いで2−(4−フルオロフェニル)チオフェン(18.2g、0.10モル)を添加し、続いて上記工程Aのように製造した混合物を添加した。30分後、氷浴を取り除き、得られた混合物を周囲温度において2〜3時間攪拌した。得られた混合物を−12℃に冷却し、水(20mL)、続いて2NのHCl(20mL)及びヘプタン(100mL)をゆっくりと添加することによりクエンチした。沈殿物が形成された。得られた混合物を1〜2時間攪拌し、次いで濾過して、黄色固体として表題の化合物を得た。
【0231】
(実施例2)
2−(5−ブロモ−2−メチル−ベンジル)−5−(4−フルオロ−フェニル)−チオフェン
【0232】
【化43】

【0233】
3.0Lの4つ口丸底フラスコに、上記実施例1のように製造した化合物(119g、0.317モル)、トリエチルシラン(148mL、0.926モル)、ジクロロメタン(700mL)及びアセトニトリル(700mL)を入れた。得られた混合物を、攪拌しながら氷浴中で−8℃に冷却し、温度が0℃を超えないように三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯塩(115mL、0.915モル)を滴下した。得られた混合物を室温に加温し、一晩攪拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、IPA(1.0L)で希釈し、濾過し、水で洗浄して、固体を生成せしめた。IPAからの固体の再結晶化により、黄色固体として表題の化合物を生成せしめた。
【0234】
(実施例3)
2−(4−フルオロ−フェニル)−5−(5−ヨード−2−メチル−ベンジル)−チオフェン
【0235】
【化44】

【0236】
1.0Lの4つ口反応フラスコに、上記実施例2のように製造した化合物(100g、276.80ミリモル)、ヨウ化ナトリウム(82g、553.59ミリモル)及びヨウ化胴(I)(2.6g、13.84ミリモル)を入れた。得られた混合物を排気し、アルゴンでパージし、次いでトルエン(261mL)、ジグリム(56mL)及びN,N’−ジメチル−エタン−1,2−ジアミン(2.7mL、27.68ミリモル)で処理し、得られた混合物を一晩110℃に加温した。出発物質の消費時、得られた混合物を室温に冷却し、次いでセライト(Celite)(登録商標)を通して濾過し、EtOAcで洗浄し、NH4OHで抽出した。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮して固体を生成せしめた。固体を濾過し、ヘプタンから再結晶化して、オフホワイトの固体として表題の化合物を生成せしめた(m.p.107℃)。
【0237】
(また、クレイパー(Klaper),A.、バックウォルド(Buchwald),S.L.、「アリールハロゲン化物における銅触媒ハロゲン交換:芳香族フィンケルスタイン反応(Copper-Catalyzed Halogen Exchange in Aryl Halides: An Aromatic Finkelstein Reaction)」、J. Am. Chem. Soc.、2002年、124巻、14844〜14814ページを参照のこと。)
【0238】
(実施例4)
2,3,4,6−テトラ−O−トリメチルシリル−β−D−グルコラクトン
【0239】
【化45】

【0240】
5.0Lの3つ口丸底フラスコに、THF(1.55L)中のグルコラクトン(155.2g、0.871モル)及び4−メチルモルホリン(766mL、6.96モル)を入れた。冷却した(−10℃)混合物に、クロロトリメチルシラン(660mL、5.21モル)を、温度が5℃を超えないような速度で添加した。1時間後、反応混合物を約35〜40℃に5時間加熱し、次いでアルゴン下にて、周囲温度において一晩攪拌した。得られた混合物を−10℃に冷却し、激しい発熱が観察されるまで水(500〜600mL)をゆっくりと添加した。得られた混合物を4.0Lの水及び2.5Lのヘプタンで希釈した。層を分離し、有機相を水性第一リン酸ナトリウム(1.5L)、水(1.0L)及び食塩水(1.0L)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、次いで真空下で濃縮して、淡黄色液体として表題の化合物を生成せしめた。
【0241】
(実施例5)
【0242】
【化46】

【0243】
2.0Lの3つ口丸底フラスコに、上記実施例3のように製造した化合物(100g、232.68ミリモル)、上記実施例4のように製造した化合物(141g、302.49ミリモル)及びテトラヒドロフラン(750mL)を入れた。得られた混合物を−40℃に冷却しているとき、ヘキサン中の1.0M(トリメチルシリル)メチルリチウム(489mL、489ミリモル)を、内部温度を約−40℃以下に維持しながら、添加漏斗を用いて混合物に入れた。添加の完了後、std.NaHCO3(200mL)で反応をクエンチし、室温に加温した。相を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過及び濃縮して、濃厚な油として表題の化合物を生成せしめた。
【0244】
(実施例6)
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−(5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル)ベンゼン
【0245】
【化47】

【0246】
2.0Lの3つ口丸底フラスコに、上記実施例5のように製造した化合物(232g、310ミリモル)及びジクロロエタン(700mL)を入れた。得られた黄色溶液を、攪拌しながら、氷浴中で−30℃に冷却した。トリエチルシラン(132mL、826ミリモル)を添加し、続いて温度が−20℃を超えないように、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯塩(95.0mL、756ミリモル)をゆっくりと添加した(1.75時間)。添加完了のおよそ30分後、氷浴を取り除き、得られた黄色混合物を、アルゴン下にて、1.0〜1.5時間、周囲温度において攪拌した。反応完了時、得られた混合物を冷水(800mL)に注いだ。酢酸エチル(300mL)を添加し、層を分離した。有機層を飽和重炭酸塩溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して緑色の発泡体として表題の化合物を生成せしめた。
【0247】
(実施例7)
【0248】
【化48】

【0249】
2.0Lの3つ口丸底フラスコに、上記実施例6のように製造した化合物(119g、0.25モル)、4−メチルモルホリン(145mL、1.30モル)、DMAP(3.25g、0.026モル)及び1.0LのTHFを入れた。得られた薄緑色の混合物を、攪拌しながら氷浴中で−10℃に冷却し、温度が0℃を超えないように無水酢酸(125mL、1.30モル)を滴下した。添加完了の15分後、氷浴を取り除いた。得られた混合物を1.0時間周囲温度において攪拌し、次いで30〜35℃にて減圧下で濃縮して、大部分の溶媒を除去した。得られた混合物を10%リン酸(約300mL)で希釈し、これによりクリーム色の沈殿物が形成された。得られた混合物を、酢酸エチル(600〜800mL)、THF(200〜300mL)及びトルエン(200〜300mL)の混合物中に溶解した。完全な溶液が得られたら、層を分離し、有機層を飽和重炭酸塩溶液及び食塩水で洗浄し、次いで乾燥及び濃縮して、濃厚な残留物を生成せしめた。メタノールを残留物に添加すると、溶液からオフホワイトの固体が沈殿した。スラリーを30分間攪拌し、次いで濾過して、オフホワイトの固体として表題の化合物を生成せしめた。
【0250】
(実施例8)
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−(5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル)ベンゼン
【0251】
【化49】

【0252】
フラスコに、THF(820mL)及びMeOH(1.23L)中に上記実施例7のように製造した化合物(185g、302ミリモル)を入れた。攪拌した懸濁液に、水酸化リチウム一水和物(6.33g、147ミリモル)の水溶液(410mL)を添加した。周囲温度において一晩攪拌した後、揮発性物質を除去し、得られた残留物を酢酸エチル(500〜600mL)で希釈した。層を分離し、水層を酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。まとめた有機層を食塩水(250mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、脆性発泡体として表題の化合物を生成せしめた。
【0253】
(実施例9)
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−(5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル)ベンゼンの結晶化
【0254】
【化50】

【0255】
1.0Lの3つ口丸底フラスコに、上記実施例8のように製造した化合物(96.9g、217ミリモル)、水(6.0mL、333ミリモル)及び酢酸エチル(275mL)を入れた。得られた溶液を、アルゴン下にて、攪拌しながら35℃に加熱した。溶液が曇るまでヘプタンを滴下し(155mLのヘプタン)、続いて14.2gの種結晶を添加した。1.5〜2.0時間、35℃で攪拌した後、追加のヘプタン(30mL、合計185mL)を添加した。得られた混合物をさらに30分間攪拌し、次いで濾過した。濾過ケークを約56%の酢酸エチル/ヘプタン(50mL)で洗浄し、乾燥させて、ふわふわしたオフホワイトの結晶質固体として表題の化合物を生成せしめた。
【0256】
上記実施例1〜9に記載されているような手順を複数回実行して、複数のバッチの1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−(5−(4−フルオロフェニル)−2−チエニルメチル)ベンゼン(式(I−S)の化合物)を生成せしめた。式(I−S)の化合物(実施例1〜9の手順に従って製造した)の代表的なサンプルについて測定したときの、融点、質量スペクトル、及び1HNMRは以下の通りである:
融点:106〜107℃;
質量スペクトル:m/z(LCMS API−ES)467(M+Na);
1H NMR(CD3OD):δ=2.32(s,3H)、3.35〜3.53(m,4H)、3.71(d,1H,J=11.9Hz)、3.90(d,1H,J=11.9Hz)、4.13(d,1H,J=9.3Hz)、4.17(s,2H)、4.9(s,4H)、6.70(d,1H,J=3.7Hz)、7.04〜7.14(m,3H)、7.18(d,1H,J=7.8Hz)、7.26(d,1H,J=7.8Hz)、7.33(s,1H)、7.52〜7.60(m,2H)。
【0257】
上記実施例9に記載したように単離した、式(I−S)の化合物の結晶形態の代表的なサンプルを、CuKα放射、30mA、40KV;1/12°の発散スリット、0.2の受光スリット;0.016°2θ/秒のスキャン速度で4〜35°2θをスキャン、及びアルミニウムのサンプルホルダーを用いて、回折装置を利用して、そのx線粉末回折により特徴付けした(その代表的な例を図1に示す)。
【0258】
式(I−S)の化合物の結晶形態は、以下の表1に列挙するような、その粉末XRDピークにより(好ましくは約10%超の相対強度を有する粉末XRDピークにより、より好ましくは約25%超の相対強度を有する粉末XRDピークにより、さらにより好ましくは約35%超の相対強度を有する粉末XRDピークにより、さらにより好ましくは約50%超の相対強度を有する粉末XRDピークにより)特徴付けすることができる。
【0259】
【表2】

【0260】
(実施例10)
(2−クロロ−5−ヨード−フェニル)−[5−(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−イル]−メタノン
【0261】
【化51】

【0262】
工程A:
5.0Lの4つ口丸底フラスコに、周囲温度(20℃)で2−クロロ−5−ヨード安息香酸(470.8g、1.66モル)、CH2Cl2(1.6L)及びDMF(5.0mL、0.03モル)を入れた。塩化オキサリル(170mL、1.94モル)を、内部温度が25℃未満に維持されるように添加した。添加によりわずかに発熱し、活発に気体が発生した。得られた混合物を、アルゴン下で、周囲温度にて一晩攪拌し、次いで揮発性物質を減圧下で除去した。得られた残留物(酸塩化物化合物)をジクロロメタン(500mL)で希釈し、窒素雰囲気下に取っておいた。
工程B:
別の5.0Lの3つ口丸底フラスコに、AlCl3(487.0g、3.65モル)及び1.5LのCH2Cl2を添加した。冷却した(−12℃)混合物に、2−フルオロ−5−(2−チエニル)ピリジン(299.0g、1.66モル)を添加し、続いて上記工程Aのように製造した混合物を添加した。20分後、氷浴を除去し、得られた混合物を周囲温度において2〜3時間攪拌した。反応が完了したら、得られた混合物を−12℃に冷却し、水(400〜500mL)、続いて2NのHCl(100mL)及びヘプタン(100mL)をゆっくりと添加することによりクエンチした。反応温度は、水によるクエンチ中、32℃を超えないようにした。得られた混合物を一晩周囲温度において攪拌し、沈殿物を形成させた。得られた混合物を濾過し、水で洗浄して、乾燥させて、固体を生成せしめた。固体を酢酸エチルから再結晶化して、金色固体として表題の化合物を生成せしめた。
【0263】
(実施例11)
5−[5−(2−クロロ−5−ヨード−ベンジル)−チオフェン−2−イル]−2−フルオロ−ピリジン
【0264】
【化52】

【0265】
5.0Lの4つ口丸底フラスコに、上記実施例10のように製造した化合物(350g、0.787モル)、トリエチルシラン(650mL、4.07モル)及びアセトニトリル(1.75L)を入れた。得られた混合物を、30℃に加熱し、次いで温度が58℃を超えないように三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯塩(500mL、3.98モル)を滴下した。周囲温度において攪拌を続けた。完了後、得られた混合物を冷却した(5℃)水性重炭酸ナトリウム溶液(2.0Lの水中に400g)に添加した。水性混合物を周囲温度において1時間攪拌し、次いで酢酸エチル(500mL)で希釈した。層を分離し、水層を酢酸エチル(2×400mL)で抽出した。まとめた有機物を食塩水で洗浄し、乾燥及び濃縮して、淡茶色固体を生成せしめた。固体を熱トルエン(約1.5〜1.75L)中に溶解させ、シリカゲル(250g)で処理し、ヘプタン(1.0L)で希釈し、30〜40分間攪拌し、次いで加熱濾過した。体積が減少したたため、さらにヘプタンを添加した。室温冷却すると、溶液から固体が沈殿した。得られた混合物を濾過して、黄色固体として表題の化合物を生成せしめた。
【0266】
(実施例12)
【0267】
【化53】

【0268】
1Lの三角フラスコに、上記実施例11のように製造した化合物(94.4g、219.70ミリモル)、上記実施例4のように製造した化合物(102g、219.70ミリモル)及びテトラヒドロフラン(585mL)を入れた。得られた混合物を、セライト(Celite)(登録商標)を満たした焼結ガラスの漏斗及びモレキュラーシーブを通して濾過し、4AE(10g)をオーバーヘッド攪拌棒と、窒素排気口と、熱電対と、体積アダプタを備える添加漏斗と、を備えた2.0Lの3つ口丸底フラスコに入れた。得られた混合物を、次いでドライアイス/アセトン浴を介して−70℃に冷却した。添加漏斗に、内部温度を約−60℃未満に維持しながら、ヘキサン(450mL、450ミリモル)中の1.0Mの(トリメチルシリル)メチルリチウムを入れた。添加完了後、得られた混合物を−30℃に加温し、次いで2Lの分液漏斗中の攪拌したNaHCO3(400mL、50%飽和)混合物にクエンチし、ヘプタン(200mL)で希釈し、相を分離した。有機相を水(20mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、次いで相を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮して、濃厚な油として表題の化合物を生成せしめた。
【0269】
(実施例13)
【0270】
【化54】

【0271】
冷浴、添加漏斗、温度センサ、窒素排気口及びオーバーヘッド攪拌棒を備える2Lの3つ口丸底フラスコに、上記実施例11のように製造した生成物(100g、232.73ミリモル)及び上記実施例4のように製造した化合物(130.4g、325.8ミリモル)を入れ、続いてTHF(660mL)を添加した。得られた混合物を、次いでアセトン中のドライアイス浴を介して−70℃に冷却した。添加漏斗に、トリメチルシリルメチルリチウム(210mL、413.70ミリモル)を入れ、内部温度を約−70℃未満に維持するように、反応混合物にゆっくりと添加した。添加後、得られた混合物をさらに20分間攪拌した。得られた混合物を、2MのHCl(250mL、500.00ミリモル)を添加漏斗を介して添加することにより徐々に増やした。得られた混合物を、次いで室温に加温し、次いで分液漏斗に移して、酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。有機相を分離し、乾燥させ(MgSO4)、得られた混合物を濾過し、濃縮して、濃厚な油として表題の化合物を生成せしめた。
【0272】
(実施例14)
【0273】
【化55】

【0274】
3.0Lの4つ口丸底フラスコに、上記実施例13のように製造した化合物(112g、0.23モル)及びアセトニトリル(1.0L)を入れた。得られた混合物を、攪拌しながら、氷浴中で−20℃に冷却した。トリエチルシラン(185mL、1.16モル)を添加し、続いて温度を−20℃に維持するように、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯塩(150mL、1.20モル)をゆっくりと添加した。添加完了後、得られた濃いオレンジ色の混合物をゆっくりと0℃に加温した。完了後、重炭酸ナトリウムの水溶液(500mLの蒸留水中に200g)を、得られた混合物に添加し、層を分離した。有機層を濃縮して、アセトニトリルの大部分を除去し、次いで酢酸エチル(350mL)で希釈した。水層を塩化ナトリウムで飽和させ、次いで酢酸エチル(350mL)で抽出した。まとめた有機層を飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上(135g)で乾燥させ、濃縮して、黄色発泡体として表題の化合物を生成せしめた。
【0275】
(実施例15)
【0276】
【化56】

【0277】
500mLの3つ口丸底フラスコに、THF(160mL)中に、上記実施例14のように製造した化合物(23.56g、50.0ミリモル)、4−メチルモルホリン(27.5mL、250ミリモル)及びDMAP(0.60g、4.86ミリモル)を入れた。得られた黄色混合物を、攪拌しながら氷浴中で−10℃に冷却し、次いで温度が0℃を超えないように、無水酢酸(23.6mL、250ミリモル)を滴下した。添加完了の15分後、氷浴を取り除いた。得られた混合物を1.5時間周囲温度において攪拌し、次いで約30〜35℃にて減圧下で濃縮して、大部分の溶媒を除去した。得られた残留物を酢酸エチル(100〜150mL)中に溶解させ、1NのHCl(100〜150mL)で希釈した。層を分離し、水層を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。まとめた有機層をそれぞれ100mLの水、飽和重炭酸塩溶液及び食塩水で洗浄し、次いで乾燥及び濃縮して、湿った固体を生成せしめた。固体を熱メタノール(300〜425mL)から再結晶化して、淡黄色固体として表題の化合物を生成せしめた。
【0278】
(実施例16)
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−メチル−3−(5−(6−フルオロ−ピリド−3−イル)−2−チエニルメチル)ベンゼン
【0279】
【化57】

【0280】
250mLの1つ口丸底フラスコに、THF(50mL)中の上記実施例15のように製造した化合物(8.52g、13.4ミリモル)及びメタノール(50mL)を入れた。攪拌した懸濁液に、3Nの水酸化ナトリウム(1.2mL、3.60ミリモル)を添加した。得られた混合物を周囲温度において1時間攪拌した。揮発性物質を除去し、得られた残留物を酢酸エチル(50mL)で希釈した。層を分離し、水層を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。まとめた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、半分の体積に濃縮して、固体沈殿物を生成せしめた。表題の化合物を、クリーム色の固体として濾過により単離した。
【0281】
式(I−K)の化合物(上記実施例に記載の手順に従って製造した)の代表的なサンプルについて測定したときの、融点、質量スペクトル及び1HNMRスペクトルは以下の通りである:
融点:130〜132℃;
質量スペクトル:m/z(LCMS API−ES)466(M+H);
1H NMR(DMSO−d6):δ=3.05〜3.31(m,4H)、3.45(dt,1H,J=5.3Hz,J=12.2Hz)、3.70(dd,1H,J=5.3Hz,J=11.4Hz)、4.02(d,1H,J=9.7Hz)、4.28(d,2H,J=3.5Hz)、4.46(t,1H,J=6.2Hz)、4.89(d,1H,J=6.2Hz)、4.99(d,2H,J=5.3Hz)、6.93(d,1H,J=3.5Hz)、7.21(dd,1H,J=3.5Hz,J=8.3Hz)、7.28(dd,1H,J=2.0Hz,J=8.3Hz)、7.39〜7.48(m,3H)、8.17(ddd,1H,J=16.2Hz,J=8.3Hz,J=2.6Hz)、8.46(s,1H)。
【0282】
例えば上記実施例16に記載のように製造した式(I−K)の化合物は、以下の表2に列挙するような、その粉末XRDピークにより(好ましくは、約10%超の相対強度を有する粉末XRDピークにより、より好ましくは約25%超の相対強度を有する粉末XRDピークにより、さらにより好ましくは約35%超の相対強度を有する粉末XRDピークにより、さらにより好ましくは約50%超の相対強度を有する粉末XRDピークにより)特徴付けすることができる。
【0283】
【表3】

【0284】
(実施例17)
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンの結晶化
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン(発泡体、23.1g;国際公開第2005/012326号に記載のように製造した)を、酢酸エチル(345mL)中に溶解させ、それに1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンの結晶形態の種を添加した。混合物を30分間還流させ、次いで50℃で14時間攪拌した。室温に冷却した後、沈殿物を濾過により回収し、酢酸エチル(100mL)で洗浄し、乾燥させて、無色の結晶として、結晶質1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン(20.34g)を生成せしめた。
【0285】
mp131〜134℃
2221ClFNO5Sについて算出した要素分析:C,56.71;H,4.54;N,3.01;F,4.08;Cl,7.61;S,6.88;測定値:C,56.59;H,4.55;N,3.01;F,4.00;Cl,7.60;S,6.94。
【0286】
(実施例18)
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン
メタノール−テトラヒドロフラン(75ml−75mL)の混合物中の1−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1−β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−(5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル)ベンゼン(9.64g;国際公開第2005/012326号に記載のように製造した)の溶液に、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28%、0.09mL)を添加し、得られた混合物を1.5時間、アルゴン雰囲気下で、室温で攪拌した。有機溶媒を減圧下で蒸発させて、それに食塩水(200mL)を添加した。混合物を酢酸エチル(500mL)で抽出し、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。活性炭で処理した後、不溶性物質を漉し取り、濾液を減圧下で蒸発させた。残留物を酢酸エチル(60mL)中に溶解させ、それに1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンの種結晶を添加した。混合物を50℃で2.5時間攪拌し、45分間還流させ、室温で一晩攪拌した。沈殿した結晶を粉砕し、混合物をもう一度50℃で30分間攪拌し、45分間還流させ、室温で一晩攪拌した。沈殿した結晶を回収し、酢酸エチル(40mL)で2回洗浄し、乾燥させて、1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン(5.59g)の無色の結晶を生成せしめた。
【0287】
mp131〜133℃
【0288】
(実施例19) 参照例A
【0289】
【化58】

【0290】
工程(1):1−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−(5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル)ベンゼンの製造
1−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−(5−ブロモ−2−チエニルメチル)ベンゼン(13.5g;国際公開第2005/012326号に記載のように製造した)、2−フルオロピリジン−5−ボロン酸(フロンティア・サイエンティフィック(Frontier Scientific)、4.63g)、フッ化セシウム(19.96g)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.53g)の、1,2−ジメトキシエタン(200mL)懸濁液を、1.5時間還流させた。反応混合物を飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物を酢酸エチル中に溶解させ、混合物を活性炭で処理し、アミノシランで処理したシリカゲル(27mL)パッドを通して濾過した。濾液を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(ヘキサン:酢酸エチル:ジクロロメタン2:1:1)、メタノールから再結晶化させて、無色の結晶として1−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−(5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル)ベンゼン(8.33g)を生成せしめた。
【0291】
mp161〜162℃
IR(ヌジョール(Nujol))1736、1493、1463、1379、1229、1215cm-1
APCI−質量m/Z 634/636(M+H)、651/653(M+NH4
1H−NMR(DMSO−d6)δ1.72(s,3H)、1.93(s,3H)、1.99(s,3H)、2.01(s,3H)、4.07〜4.14(m,3H)、4.28(s,1H)、4.71(d,J=9.8Hz,1H)、4.96(t,J=9.5Hz,1H)、5.08(t,J=9.5Hz,1H)、5.36(t,J=9.5Hz,1H)、6.90(d,J=3.7Hz,1H)、7.22(dd,J=8.7,2.5Hz,1H),7.31〜7.32(m,1H)、7.39(d,J=2Hz,1H)、7.44〜7.48(m,2H)、8.14〜8.18(m,1H)、8.45(d,J=2.0Hz,1H)。C3029ClFNO9Sの計算値:C,56.83;H,4.61;Cl,5.59;F,3.0;N,2.21;S,5.06。実測値:C,56.8;H,4.47;Cl,5.6;F,2.91;N,2.29;S,4.93。
工程(2):1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンの製造
上記工程(1)のように製造した化合物(8.33g)をメタノール(200mL)−テトラヒドロフラン(100mL)中に溶解させ、それにナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液、5滴)を添加し、混合物を室温で4時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し(クロロホルム:メタノール100:0〜88:12)、イソプロピルエーテル−2プロパノールとともに粉砕して、無色の粉末として1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼン(4.61g)を生成せしめた。
【0292】
APCI−質量m/Z 466/468(M+H)、483/485(M+NH4
1H−NMR(DMSO−d6)δ3.07〜3.27(m,4H)、3.38〜3.49(m,1H)、3.67〜3.80(m,1H)、4.02(d,J=9.4Hz,1H)、4.27(app d,J=3.1Hz,2H)、4.33(d,J=4.2Hz,1H)、4.85(d,J=5.7Hz,1H)、4.95(dd,J=5.0,3.8Hz,2H)、6.92(d,J=3.7Hz,1H)、7.18〜7.22(m,1H)、7.26〜7.29(m,1H)、7.40〜7.44(m,3H)、8.13〜8.19(m,1H)、8.44〜8.45(m,1H)。
【0293】
(実施例20)
経口組成物の特定の実施形態として、実施例9で製造した化合物100mgを、十分な微粉乳糖とともに配合し、580〜590mgの合計量を得て、サイズOの硬質ゲルカプセル剤を満たした。
【0294】
前述の明細書は、例示を目的として提供される実施例とともに、本発明の原理を教示するが、本発明の実践は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に含まれるすべての通常の変形、改作及び/又は修正を包含することが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、環A及び環Bは以下のうち1つであり:
(1)環Aは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環であり、環Bは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環、場合により置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環、もしくは場合により置換されていてもよいベンゼン環である;又は
(2)環Aは場合により置換されていてもよいベンゼン環であり、環Bは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環、もしくは場合により置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環であり、ここでYは該縮合二環式複素環の複素環に結合する;又は
(3)環Aは場合により置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環であり、ここで糖部分X−(糖)及び部分−Y−(環B)はともに該縮合二環式複素環の同じ複素環上にあり、環Bは場合により置換されていてもよい不飽和の単環式複素環、場合により置換されていてもよい不飽和の縮合二環式複素環、もしくは場合により置換されていてもよい不飽和のベンゼン環である;
Xは炭素原子であり;
Yは−(CH2n−であり、ここでnは1又は2であり;
但し、環Aにおいて、Xは不飽和結合の一部である]
の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩、又はそのプロドラッグを製造する方法であって、
【化2】

アルキルリチウムの存在下にて、有機溶媒中で、約0℃〜約−78℃の範囲内の温度において、式(V)の化合物を式(VI−S)の化合物と反応させて、式(VII)の対応する化合物を生成せしめ;
【化3】

トリアルキルシランの存在下にて、有機溶媒中で、式(VII)の化合物をBF3OEt2と反応させて、式(VIII)の対応する化合物を生成せしめ;
【化4】

有機塩基の存在下にて、ニート(neat)で又は有機溶媒中で、式(VIII)の化合物を無水酢酸又は塩化アセチルと反応させて、式(IX)の対応する化合物を生成せしめ;
【化5】

式(IX)の化合物を脱保護して、式(I)の対応する化合物を生成せしめる;
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
式(VI−S)の化合物が約1.0〜約1.25モル当量の範囲内の量で存在する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルキルリチウムが(トリメチルシリル)メチルリチウムであり、アルキルリチウムが約2.0〜約2.5モル当量の範囲内の量で存在する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アルキルリチウムが有機溶媒中で式(V)の化合物と式(VI−S)の化合物との混合物に添加される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
BF3OEt2が約2.0〜約6.0モル当量の範囲内の量で存在し、トリアルキルシランがEt3SiHであり且つ約2.0〜約6.0モル当量の範囲内の量で存在する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
BF3OEt2:Et3SiHのモル比が約1:1である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式(VIII)の化合物を無水酢酸と反応させ、無水酢酸が約4.5〜約5.0モル当量の範囲内の量で存在する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
有機塩基がNMMである請求項1に記載の方法。
【請求項9】
式(VIII)の化合物を触媒量のDMAPの存在下にて無水酢酸と反応させる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
式(IX)の化合物を塩基と反応させることにより脱保護する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
式(I−S):
【化6】

の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩、又はそのプロドラッグを製造する方法であって、
【化7】

アルキルリチウムの存在下にて、有機溶媒中で、約0℃〜約−78℃の範囲内の温度において、式(V−S)の化合物を式(VI−S)の化合物と反応させて、式(VII−S)の対応する化合物を生成せしめ:
【化8】

トリアルキルシランの存在下にて、有機溶媒中で、式(VII−S)の化合物をBF3OEt2と反応させて、式(VIII−S)の対応する化合物を生成せしめ;
【化9】

有機塩基の存在下にて、ニートで又は有機溶媒中で、式(VIII−S)の化合物を無水酢酸又は塩化アセチルと反応させて、式(IX−S)の対応する化合物を生成せしめ;
【化10】

式(IX−S)の化合物を脱保護して、式(I−S)の対応する化合物を生成せしめる;
ことを含んでなる方法。
【請求項12】
式(VI−S)の化合物が約1.0〜約1.25モル当量の範囲内の量で存在する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アルキルリチウムが(トリメチルシリル)メチルリチウムであり、アルキルリチウムが約2.0〜約2.5モル当量の範囲内の量で存在する請求項11に記載の方法。
【請求項14】
アルキルリチウムが有機溶媒中で式(V−S)の化合物と式(VI−S)の化合物との混合物に添加される請求項11に記載の方法。
【請求項15】
BF3OEt2が約2.0〜約6.0モル当量の範囲内の量で存在し、トリアルキルシランがEt3SiHであり且つ約2.0〜約6.0モル当量の範囲内の量で存在する請求項11に記載の方法。
【請求項16】
BF3OEt2:Et3SiHのモル比が約1:1である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式(VIII−S)の化合物を無水酢酸と反応させ、無水酢酸が約4.5〜約5.0モル当量の範囲内の量で存在する請求項11に記載の方法。
【請求項18】
有機塩基がNMMである請求項11に記載の方法。
【請求項19】
式(VIII−S)の化合物を触媒量のDMAPの存在下にて無水酢酸と反応させる請求項11に記載の方法。
【請求項20】
式(IX−S)の化合物をさらにメタノール中でスラリー化し、濾過する請求項11に記載の方法。
【請求項21】
式(IX−S)の化合物を塩基と反応させることにより脱保護する請求項11に記載の方法。
【請求項22】
式(I−S):
【化11】

の化合物の再結晶化方法であって、
(a)式(I−S)の化合物を有機溶媒中に溶解させて、混合物Aを生成せしめ;
(b)混合物Aを約25℃〜約45℃の範囲内の温度に加熱して、混合物Bを生成せしめ;
(c)約1.0〜約2.0モル当量の水を混合物Bに添加して、混合物Cを生成せしめ;
(d)ヘプタンを混合物Cに添加して、式(I−S)の化合物の懸濁液を生成せしめ;
(e)式(I−S)の化合物を単離する
ことを含んでなる方法。
【請求項23】
有機溶媒が酢酸エチルである請求項22に記載の方法。
【請求項24】
混合物Aを約30℃〜約35℃の範囲内の温度に加熱する請求項22に記載の方法。
【請求項25】
約1.5モル当量の水を混合物Bに添加する請求項22に記載の方法。
【請求項26】
ヘプタンを約1.2:1.0の酢酸エチル:ヘプタンの最終体積:体積比が得られる量で混合物Cに添加する請求項23に記載の方法。
【請求項27】
式(I−K):
【化12】

の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩を製造する方法であって、
【化13】

アルキルリチウムの存在下にて、有機溶媒中で、約0℃〜約−78℃の範囲内の温度において、式(V−K)の化合物を式(VI−S)の化合物と反応させて、式(VII−K)の対応する化合物を生成せしめ:
【化14】

式(VII−K)の化合物を脱保護して、式(X−K)の対応する化合物を生成せしめ;
【化15】

トリアルキルシランの存在下にて、有機溶媒中で、式(X−K)の化合物をBF3OEt2と反応させて、式(VIII−K)の対応する化合物を生成せしめ;
【化16】

有機塩基の存在下にて、ニートで又は有機溶媒中で、式(VIII−K)の化合物を無水酢酸又は塩化アセチルと反応させて、式(IX−K)の対応する化合物を生成せしめ;
【化17】

式(IX−K)の化合物を脱保護して、式(I−K)の対応する化合物を生成せしめる;
ことを含んでなる方法。
【請求項28】
式(VI−S)の化合物が約1.0〜約1.25モル当量の範囲内の量で存在する請求項27に記載の方法。
【請求項29】
アルキルリチウムが(トリメチルシリル)メチルリチウムであり、アルキルリチウムが約2.0〜約2.5モル当量の範囲内の量で存在する請求項27に記載の方法。
【請求項30】
アルキルリチウムを有機溶媒中で式(V−K)の化合物と式(VI−S)の化合物との混合物に添加する請求項27に記載の方法。
【請求項31】
BF3OEt2が約2.0〜約6.0モル当量の範囲内の量で存在し、トリアルキルシランがEt3SiHであり且つ約2.0〜約6.0モル当量の範囲内の量で存在する請求項27に記載の方法。
【請求項32】
BF3OEt2:Et3SiHのモル比が約1:1である請求項31に記載の方法。
【請求項33】
式(VIII−K)の化合物を無水酢酸と反応させ、無水酢酸が約4.5〜約5.0モル当量の範囲内の量で存在する請求項27に記載の方法。
【請求項34】
有機塩基がNMMである請求項27に記載の方法。
【請求項35】
式(VIII−K)の化合物を触媒量のDMAPの存在下にて無水酢酸と反応させる請求項27に記載の方法。
【請求項36】
式(IX−K)の化合物を塩基と反応させることにより脱保護する請求項27に記載の方法。
【請求項37】
式(I−S):
【化18】

の化合物の結晶形態であって、以下のX−線回折パターンのピーク:
【表1】

により特徴づけられる結晶形態。
【請求項38】
(a)式(I−S):
【化19】

の化合物を酢酸エチル中に溶解させて、混合物Aを生成せしめ;
(b)混合物Aを約30℃〜約35℃の範囲内の温度に加熱して、混合物Bを生成せしめ;
(c)約1.5モル当量の水を混合物Bに添加して、混合物Cを生成せしめ;
(d)ヘプタンを混合物Cに添加して、式(I−S)の化合物の懸濁液を生成せしめ、ここでヘプタンを約1.2:1.0の酢酸エチル:ヘプタンの最終体積:体積比を得られる量で混合物Cに添加し;
(e)式(I−S)の化合物を単離する
ことを含んでなる請求項37に記載の結晶形態の製造方法。
【請求項39】
1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンの結晶形態。
【請求項40】
式(I−K):
【化20】

の化合物の結晶形態であって、CuKα放射を用いて測定される以下の粉末X線回折の2θ値:14.60±0.2、16.38±0.2、18.62±0.2、19.20±0.2、19.86±0.2及び20.76±0.2によって特徴づけられる結晶形態。
【請求項41】
図2に示すものと実質的に同じ粉末X線回折パターンを有する、1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンの結晶形態。
【請求項42】
図3に示すものと実質的に同じ粉末X線回折パターンを有する、1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンの結晶形態。
【請求項43】
図4に示すものと実質的に同じ赤外線スペクトルを有する、1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンの結晶形態。
【請求項44】
図5に示すものと実質的に同じ赤外線スペクトルを有する、1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンの結晶形態。
【請求項45】
式(I−K):
【化21】

の化合物の結晶形態であって、以下のX線回折パターンのピーク:
【表2】

により特徴づけられる結晶形態。
【請求項46】
(a)1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンの溶液を生成せしめ;
(b)沈殿又は再結晶化により溶液から結晶形態を結晶化させる
ことを含んでなる1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンの結晶形態の製造方法。
【請求項47】
治療的に有効な量の1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンの結晶形と、薬剤として許容される担体と、を含む医薬組成物。
【請求項48】
治療的に有効な量の1−(β−D−グルコピラノシル)−4−クロロ−3−[5−(6−フルオロ−3−ピリジル)−2−チエニルメチル]ベンゼンの結晶形態を処置を必要とする患者に投与することを含んでなる、真性糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、創傷治癒の遅延、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸の血中濃度の上昇、グリセロールの血中濃度の上昇、高脂血症、肥満、高トリグリセリド症、シンドロームX、糖尿病性合併症、アテローム性動脈硬化症、又は高血圧症の進行もしくは発症を処置又は遅延させるための方法。
【請求項49】
式(IX−S):
【化22】

の化合物又はその塩。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−539092(P2010−539092A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524235(P2010−524235)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/075700
【国際公開番号】WO2009/035969
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】