説明

SOCチップに基づく電磁誘導炉回路

【課題】本発明は、SOC(チップオンシステム)チップに基づく電磁誘導炉に用いられる回路を提供している。
【解決手段】この回路は、パワーインバータ回路と、CHK−S008タイプのSOCチップを備えている。CHK−S008タイプのSOCチップ内には、CPUと、複数のコンパレータと、オペアンプと、A/D変換部と、IGBT駆動制御モジュールとが集積されている。当該回路は、IGBT駆動制御モジュールと、1つのコンパレータと、外部駆動回路と、このIGBT駆動制御モジュールの出力端とこのコンパレータの非反転入力端との間に接続された外部帰還回路とを備えた帰還激励型のIGBT駆動部を含み、このコンパレータの出力端はこのIGBT駆動制御モジュールの帰還端に接続され、この外部駆動回路は、このIGBT駆動制御モジュールの出力端とこのパワーインバータ回路の入力端との間に接続され、このパワーインバータ回路を駆動する。この外部帰還回路は、IGBT駆動パルス信号をこのチップの内部に帰還させて、IGBT駆動パルス信号の波形を修正し最適化し、この外部帰還回路は、同期信号が弱い場合に、同期信号を激励する役割を果たして、同期信号の商用電力が低いときに失効されるのを避けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーによって加熱する電磁誘導炉の技術分野に属し、特に、SOC (System on a Chip)チップに基づく電磁誘導炉回路に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、主流の家庭用の電磁誘導炉のアプリケーション回路は、一般に、クワッドコンパレータ又はデュアルコンパレータ、及び多くの抵抗、容量、ダイオード、三極管等のディスクリート部品を用いて、同期回路や、共振回路、駆動回路、サージ電流保護回路等の回路を構成し、MCU制御に合わせて、メイン共振回路や各種類の基本的な保護機能を実現している。現在のこのような回路は、部品数が多く、故障箇所も多くて、生産やメンテナンスが難しく、全体のコストが高いとの欠点がある。
多数電磁誘導炉は、いずれもLC共振回路の両端のIGBTのソース電圧と直流電圧をサンプリングすることにより、1つのコンパレータの比較処理でシステムの同期信号を生じるが、商用電力の電圧が低い場合、ダンプリング信号はかなり弱くて、コンパレータの非反転を引き起こしやすく、同期が失効となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来の電磁誘導炉の技術に存在する上記の欠陥を避けるために、SOCチップ内に、電磁誘導炉の動作の信頼性が向上し、生産コストが削減するように、CPU、若干のコンパレータ、オペアンプ、CPU制御によるIGBT駆動制御モジュールが集積され、多種類の最適設計された保護回路を配置するSOCチップに基づく電磁誘導炉回路を提供している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の電磁誘導炉回路は、整流ブリッジと、フィルタと、IGBT及びLC共振回路からなるパワーインバータ回路と、制御手段と、を備えるSOCチップに基づく電磁誘導炉回路において、
制御手段は、CHK−S008タイプのSOCチップを用い、このSOCチップのチップ内には、CPUと、CPUの対応する入力端にそれぞれ接続された若干のコンパレータと、1つのオペアンプと、A/D変換部と、CPUの一方の出力端に接続されたIGBT駆動制御モジュールとが集積され;さらに、
【0005】
前記SOCチップのチップ内の前記IGBT駆動制御モジュールと、第1のコンパレータと、外部駆動回路と、並びに、前記IGBT駆動制御モジュールの出力端と第1のコンパレータの非反転入力端との間に接続された外部帰還回路とを備える帰還激励型のIGBT駆動部であって、前記第1のコンパレータの出力端は前記IGBT駆動制御モジュールの帰還端に接続され、前記外部駆動回路は、前記IGBT駆動制御モジュールの出力端とパワーインバータ回路の入力端との間に接続され、IGBT駆動制御モジュールの出力パルス信号を増幅し、パワーインバータ回路が動作するようにする帰還激励型のIGBT駆動部と;
前記SOCチップのチップ内の前記第1のコンパレータと、第1のコンパレータの入力端に接続された同期信号サンプリング回路と、前記IGBT駆動制御モジュールの出力端と第1のコンパレータの非反転入力端との間に接続された前記外部帰還回路とを備え、前記外部帰還回路が前記IGBT駆動制御モジュールから出力されたパルス信号を第1のコンパレータの非反転入力端に帰還させる同期信号検出回路とを備えることを特徴とする。
前記CHK−S008タイプのSOCチップのチップ内には、メモリが内蔵され、このメモリ内のある領域には、CPUが校正プログラムを実行する際に電磁誘導炉のパワーを校正するための電流校正パラメータが記憶されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る電磁誘導炉回路はSOCチップ技術を用い、このSOCチップにはCPUコア制御技術が内蔵され、周波数を安定にし、パワーチューブ制御信号を主動的に出力する効果があり、外乱に影響されにくい利点がある。また、チップが高度に集積され、周辺アプリケーション回路が簡単のため、生産やメンテナンスの難しさとコストを大きく低下させている。
また、SOCチップのチップ内のIGBT駆動制御モジュールと、外部駆動回路と、外部帰還回路等からなる帰還激励型のIGBT駆動回路を用いることで、IGBT駆動制御モジュールから出力されたパルス信号が外部帰還回路を介してチップ内部に帰還され、IGBT駆動波形を修正し、パルス信号の波形を最適化して、動作効率を向上している。加えて、外部帰還回路によって、同期信号が弱い場合に激励の役割を果たして、同期信号の商用電力が低いときに失効されるのを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の原理ブロック図である。
【図2】その実施例の回路図である。
【図3】図2の実施例に用いられるCHK−008型のSOCチップの内部回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施例に基づいて本発明を詳しく説明する。
図1〜図3を参照すると、電磁誘導炉回路は、主に、整流ブリッジ1と、フィルタ2と、IGBT及びLC共振回路からなるパワーインバータ回路4と、制御手段8とを備えている。制御手段8の外部には、さらに、電流サンプリング回路3や、入力交流電源の電圧信号を検出する電圧検出回路9、同期サンプリング回路5、外部駆動回路6、外部帰還回路7等が設けられている。
制御手段8は、図3に示すようなCHK−S008タイプのSOCチップを用い、このSOCチップのチップ内にはCPUが集積されており、CPUの対応する入力端にそれぞれ接続された4個のコンパレータCP0〜CP3と、オペアンプOPと、
A/D変換部と、CPUのPPG信号出力端に接続されたIGBT駆動制御モジュールとを備えている。CHK−S008タイプのSOCチップのチップ内には、その他のMCU又は表示駆動チップとデータ通信するための通信モジュールやメモリ等がさらに集積されている。
【0009】
そのうち、CHK−S008タイプのSOCチップのチップ内のメモリ内のある領域には、CPUが校正プログラムを実行する際に電磁誘導炉のパワーを校正するための電流校正パラメータが記憶されている。前記メモリ内には、製品情報を記憶するための記憶領域が配置され、この記憶領域には、例えば、製品バーコード、メーカー番号、シリアルナンバー、製造日等の電磁誘導炉の製品情報を記憶することができる。また、キー操作により、デジタルチューブ又はLEDに製品情報を表示させて、情報セキュリティ効果を高めることができ、大幅に製品の偽造の難易さを増加させる。CHK−S008タイプのSOCチップは、16
PINパッケージを用いている。
【0010】
前記SOCチップチップ内のIGBT駆動制御モジュールと、コンパレータCP0と、外部駆動回路6と、コンパレータCP0の非反転入力端とIGBT駆動制御モジュールの出力端との間に接続された外部帰還回路7とが帰還激励型のIGBT駆動部を構成しており、コンパレータCP0の出力端はIGBT駆動制御モジュールの帰還端に接続され、外部駆動回路6は、IGBT駆動制御モジュールの出力端とパワーインバータ回路4の入力端(即ち、IGBTのゲート)との間に接続され、パワーインバータ回路を動作させるように、IGBT駆動制御モジュールの出力パルス信号を増幅する。
【0011】
前記SOCチップチップ内のコンパレータCP0と、コンパレータCP0の入力端に接続された同期サンプリング回路5と、外部の帰還回路7とが同期信号検出回路を構成しており、この外部帰還回路7は、コンパレータCP0の非反転入力端と前記IGBT駆動制御モジュールの出力端との間に接続されている。この外部帰還回路は、前記IGBT駆動制御モジュールから出力されたパルス信号をコンパレータCP0の非反転入力端に帰還させる。
【0012】
実施例の図2において、整流ブリッジ1、フィルタ2、及びパワーインバータ回路4は、一般的回路を用いることができ、パワーインバータ回路4は、IGBT1とLC共振回路とからなり、LC共振回路は、IGBTのソースとフィルタの出力端との間に接続され、共振コイルは、電磁誘導炉の加熱プレート内に設けられ、動作する時に、共振コイルに高周波の交番磁界を生じ、この高周波の交番磁界が鉄製の調理装置を通じることにより、渦電流が生じ、熱エネルギーに変換される。
【0013】
帰還激励型のIGBT駆動部は、CHK−S008タイプのSOCチップのチップ内のIGBT駆動制御モジュールと、コンパレータCP0と、外部駆動回路6と、抵抗R9と容量C9が直列接続されてなる外部帰還回路7とを備え、外部帰還回路7は、IGBT駆動制御モジュールの出力端(3
Pin)とコンパレータCP0の非反転入力端(15 Pin)との間に接続され、コンパレータCP0の出力端はIGBT駆動制御モジュールの帰還端に接続され、IGBT駆動制御モジュールから出力されるパルス信号は、外部帰還回路7とコンパレータCP0を介して、IGBT駆動制御モジュールの内部に帰還され、IGBTの駆動波形を修正し、パルス信号の波形を最適化し、動作効率を向上する。外部駆動回路6は、前記IGBT駆動制御モジュールの出力端とパワーインバータ回路4のIGBTゲートとの間に接続され、パワーインバータ回路を動作させるように、IGBT駆動制御モジュールの出力パルス信号を増幅する。
【0014】
外部駆動回路6は、三極管Q1、Q2、Q3、及び抵抗R13、R14からなり、Q1のコレクタはR14を介して電源の正極端に接続され、ベースはR13を介して電源の正極端に接続され、Q2、Q3のベースにはQ1コレクタが接続され、Q2コレクタには電源の正極端が接続され、Q3のコレクタとQ1のエミッタはいずれもグランドされ、Q2、Q3のエミッタには、その外部駆動回路6としての出力端に接続され、この出力端は、電流制限のR16を介してIGBTチューブのゲートに接続され、Q1のベースには、前記SOCチップのチップ内のIGBT駆動制御モジュールの出力端3
Pinに接続される。
同期信号検出回路は、前記SOCチップのチップ内のコンパレータCP0と、コンパレータCP0に接続された同期サンプリング回路5と、抵抗R9及び容量C9が直列接続されてなる外部帰還回路7とを含み、この外部帰還回路は、コンパレータCP0の非反転入力端とIGBT駆動制御モジュールの出力端との間に接続される。
同期サンプリング回路5は、IGBTのソース電圧が採集されるようにIGBTソースに接続された抵抗R4、R5、R6の直列分岐回路と、LC共振回路の前端の直流電圧を基准として採集するための抵抗R2、R3直列分岐回路と備えている。電磁加熱の際、同期ダンプリング信号はコンパレータCP0に入れ比較されて同期信号を生じ、CPUへ与え、商用電力の電圧が低い場合に、コンパレータCP0の2つの入力端の信号が弱い。その時、コンパレータにはオフセット存在するため、コンパレータの非反転を招きやすく、同期が失効される。それに対して、前記SOCチップのチップ内のIGBT駆動制御モジュールで生じる信号は強く、R9、C9を介してコンパレータCP0の非反転入力端に帰還され、同期信号が弱い場合に激励役割を果たして、同期信号の商用電力が低い時に失効されることを避けることができる。
【0015】
ダイオードD1、D2や、ダイオードD1及びD2の負極に接続された分圧抵抗R17
、R18、容量C22等から一般的電圧検出回路9を構成され、ダイオードD1、D2の正極は、それぞれ整流ブリッジBG1の交流入力線に接続され、電圧検出回路9の出力はSOCチップの入力端7Pinに接続される。
整流ブリッジBG1とIGBTドレインと間に直列接続されたコンスタンタン線抵抗RK1や、抵抗R8等から電流サンプリング回路3が構成され、電流サンプリング回路3の出力は前記SOCチップの入力端13Pinに接続され、この電流サンプリング回路3と前記SOCチップ内のオペアンプOPとで電流検出回路を構成する。この電流検出回路から出力される電流信号と電圧検出回路9から出力される電圧検出信号は、チップ内のA/D変換部で変換された後に、CPUに入力され、パワーを算出する。
前記SOCチップのチップ内のコンパレータCP1と、上記した同期サンプリング回路5としての抵抗R4、R5、R6の直列分岐回路とから一般的IGBT反跳高圧制限回路が構成され、抵抗R5、R6の共通端は抵抗R7を介して、CPUに接続されたコンパレータCP1の非反転入力端と接続され、反跳高圧が設定値を超えた場合に、出力パワーを適宜に低く調整する。
【0016】
前記SOCチップのチップ内のコンパレータCP2と外部のサージ電圧サンプリング回路とは、サージ電圧検出回路を構成することができ、
前記SOCチップのチップ内のコンパレータCP3と外部のサージ電流サンプリング回路とは、サージ電流検出回路を構成することができ、さらに、前記CPU及び/又は前記IGBT駆動制御モジュールにより、電磁誘導炉システムをサージ電圧又はサージ電流から保護する。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流ブリッジと、フィルタと、IGBT及びLC共振回路からなるパワーインバータ回路と、制御手段と、を備えるSOCチップに基づく電磁誘導炉回路において、
制御手段は、CHK−S008タイプのSOCチップを用い、このSOCチップのチップ内には、CPUと、このCPUの対応する入力端にそれぞれ接続された若干のコンパレータと、1つのオペアンプと、A/D変換部と、CPUの一方の出力端に接続されたIGBT駆動制御モジュールとが集積され;さらに、
前記SOCチップのチップ内の前記IGBT駆動制御モジュールと、第1のコンパレータと、外部駆動回路と、並びに、前記IGBT駆動制御モジュールの出力端と第1のコンパレータの非反転入力端との間に接続された外部帰還回路とを備える帰還激励型のIGBT駆動部であって、前記第1のコンパレータの出力端は前記IGBT駆動制御モジュールの帰還端に接続され、前記外部駆動回路は、前記IGBT駆動制御モジュールの出力端とパワーインバータ回路の入力端との間に接続され、パワーインバータ回路が動作するようにする帰還激励型のIGBT駆動部と;
前記SOCチップのチップ内の第1のコンパレータと、第1のコンパレータの入力端に接続された同期信号サンプリング回路と、前記IGBT駆動制御モジュールの出力端と前記第1のコンパレータの非反転入力端との間に接続された前記外部帰還回路とを備え、前記外部帰還回路が前記IGBT駆動制御モジュールから出力されたパルス信号を第1のコンパレータの非反転入力端に帰還させる同期信号検出回路とを備えることを特徴とする電磁誘導炉回路。
【請求項2】
前記CHK−S008タイプのSOCチップには、メモリが内蔵され、このメモリ内のある領域には、CPUが校正プログラムを実行する際に電磁誘導炉のパワーを校正するための電流校正パラメータが記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導炉回路。
【請求項3】
前記メモリ内の製品情報記憶領域には、電磁誘導炉の製品情報が記憶されていることを特徴とする請求項2に記載の電磁誘導炉回路。
【請求項4】
前記CHK−008型SOCチップのチップ内には、さらに、その他のCPU又は表示駆動チップとデータを受け渡すための通信モジュールが集積されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁誘導炉回路。
【請求項5】
前記外部駆動回路は、三極管Q1、Q2、Q3、及び抵抗R13、R14からなり、三極管Q1のコレクタはR14を介して電源の正極端に接続され、ベースはR13を介して電源の正極端に接続され、三極管Q2、Q3のベースには三極管Q1のコレクタが接続され、三極管Q2のコレクタには電源の正極端が接続され、三極管Q3のコレクタと三極管Q1のエミッタはグランドされ、出力端として三極管Q2、Q3のエミッタは接続され、この出力端にはIGBTのゲートが接続され、三極管Q4のベースには、前記SOCチップのチップ内のIGBT前段駆動モジュールの出力端が接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁誘導炉回路。
【請求項6】
前記外部帰還回路は、抵抗R9と容量C9が直列接続されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁誘導炉回路。
【請求項7】
前記CHK−S008タイプのSOCチップは、16 PINパッケージを用いていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁誘導炉回路.



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−525289(P2011−525289A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513850(P2011−513850)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/CN2009/001365
【国際公開番号】WO2010/066097
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(510310303)シンセン市シンフイ科科技有限公司 (3)
【Fターム(参考)】