説明

T型カルシウムチャンネルに活性を有した新規イソインドリノン誘導体及びその製造方法

【課題】本発明は、新規なイソインドリノン誘導体またはその薬剤学的に許容可能な塩及びその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、T型カルシウムチャンネル拮抗剤として有効な下記の化学式1で表されるイソインドリノン誘導体またはその薬剤学的に許容可能な塩を提供し、かつベンジル置換体を有するイソインドリノンカボキシル酸誘導体と多様な置換基を有するピペリジニルプロピルアミン誘導体をアミド化反応させる工程を含む、前記イソインドリノン誘導体の製造方法、およびそれら化合物を有効成分として含む薬剤組成物を提供する。
【化1】


式中、R1〜R6は、本明細書で定義したものと同様である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、T型カルシウムチャンネルに対して薬学的活性を示すイソインドリノン誘導体またはその薬剤学的に許容可能な塩、それら化合物の製造方法、及びそれら化合物を有効成分として含む薬剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カルシウムチャンネルは、神経細胞の刺激によってカルシウムの濃度を高めることによって細胞内の多様な信号伝達に重要な役割をする。このようなカルシウムチャンネルは、高電圧活性化カルシウムチャンネル(high-voltage activated calcium channel)と低電圧活性化カルシウムチャンネル(low-voltage activated calcium channel)に分けられ、代表的な低電圧活性化カルシウムチャンネルがT型カルシウムチャンネルである。
【0003】
T型カルシウムチャンネルは、中枢筋肉、副腎の内分泌腺、洞房結節、心臓などに存在して、T型カルシウムチャンネルの拮抗剤は、てんかん、高血圧などの脳疾患と狭心症などの心臓疾患治療に効果があることが知られている(非特許文献1〜5)。また、最近では、T型カルシウムチャンネルの拮抗剤が慢性痛症治療に効果があると発表された (非特許文献6)。例えば、T型カルシウムチャンネルの拮抗剤としてミベフラジル(Mibefradil)とエトスクシミド(Ethosuximide)が脊髄神経結紮(spinal nerve ligation)動物モデルで機械的熱的誘発反応の阻害程度が薬物投与量につれて変ると報告されることによって、T型カルシウムチャンネルの拮抗剤が神経性痛症治療に効果があることを示した(非特許文献6〜9)。また、カルシウムは、細胞内信号伝達物質として重要な役割をして多様な細胞作用を調節する。細胞作用の中でカルシウムは、細胞成長に関与することが知られていてT型カルシウムチャンネルの拮抗剤が坑癌効果を示すだろうという予測が可能である(非特許文献10)。
【0004】
現在まで、T型カルシウムチャンネルの拮抗剤として市販されたミベフラジル(Mibefradil)は、高血圧と狭心症治療剤として使用されたが、ミベフラジルは多様な他の薬との相互作用のため販売が禁止された。そのような理由で、T型カルシウムチャンネルの拮抗剤の至急な開発が求められている。
【0005】
現在までT型カルシウムチャンネルの拮抗剤を開発しようとする多くの努力がなされたが、選択的なT型カルシウムチャンネルの拮抗剤は極めて稀である。T型カルシウムチャンネルに作用する物質として、特許文献1及び2などには、キナゾリンを基本骨格構造に有する化合物が開示されていて、特許文献4にはイソクサゾールを基本骨格構造に有する化合物が開示されていて、特許文献5には、1,3-ジオキソイソインドールを基本骨格構造に有する化合物が開示されている。
【0006】
しかし、相変らずT型カルシウムチャンネルに選択的で薬物動力学プロファイルが良好で、ADME(吸収、分配、代謝、排出)が良くて高血圧、癌、てんかん、神経性痛症などと関連した疾病治療に有効なT型カルシウムチャンネルの拮抗剤が求められている。
【0007】
【特許文献1】大韓民国特許登録第784,195号
【特許文献2】大韓民国特許登録第754,325号
【特許文献3】大韓民国特許登録第616,099号
【特許文献4】大韓民国特許登録第743,255号
【非特許文献1】Hosravani, Houman等, "Effects of Cav3.2 channel mutations linked to idiopathic generalized epilepsy", Annals of Neurology, 2005年, 第57(5)巻, 745-749頁
【非特許文献2】Vitko, Iuliia等, "Functional characterization and neuronal modeling of the effects of childhood absence epilepsy variants of CACNA1H, a T-type calcium channel", Journal of Neuroscience, 2005年, 第25(19)巻, 4844-4855頁
【非特許文献3】Clozel, Cardiovas Drugs Ther., 1990年, 第4巻, 731-736頁
【非特許文献4】Hefti, Arzneimittelforschung, 1990年, 第40巻, 417-421頁
【非特許文献5】Moosmang, Sven等, "Antihypertensive Effects of the Putative T-Type Calcium Channel Antagonist Mibefradil Are Mediated by the L-Type Calcium Channel Cav1. 2", Circulation Research, 2006年, 第98(1)巻, 105-110頁
【非特許文献6】Flatters, Sarah J. L., "T-type calcium channels:A potential target for the treatment of chronic pain", Drugs of the Future, 2005年, 第30(6)巻, 573-580頁
【非特許文献7】Barton, Matthew E. 等, "The antihyperalgesic effects of the T-type calcium channel blockers ethosuximide, trimethadione, and mibefradil", European Journal of Pharmacology, 2005年, 第521巻, 79-85頁
【非特許文献8】Flatters, Sarah J. L. 等, "Ethosuximide reverses paclitaxel-and vincristine-induced painful peripheral neuropathy", Pain, 2004年, 第109巻, 150-161頁
【非特許文献9】Dogrul, Ahmet等, "Reversal of experimental neuropathic pain by T-type calcium channel blockers", Pain 2003年 第105(1-2)巻 159-168頁
【非特許文献10】Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 2003年, 第4巻, 517-529頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記の問題点を解決するためのもので、本発明の目的は、新規構造のイソインドリノン誘導体またはその薬剤学的に許容可能な塩を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、前記イソインドリノン誘導体を製造する方法を提供することにある。
【0010】
本発明のまた他の目的は、前記イソインドリノン誘導体またはその薬剤学的に許容可能な塩を有効成分として含むT型カルシウムチャンネル拮抗作用を有する薬剤組成物を提供することにある。
【0011】
本発明のまた他の目的は、前記イソインドリノン誘導体またはその薬剤学的に許容可能な塩を有効成分として含む高血圧、癌、てんかん、神経性痛症の疾患治療用薬剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明はT型カルシウムチャンネル拮抗剤として有効なイソインドリノン誘導体またはその薬剤学的に許容可能な塩を提供する。
【0013】
また、本発明はベンジル置換体を有するイソインドリノンカボキシル酸誘導体と多様な置換基を有するピペリジニルプロピルアミン誘導体をアミド化反応させる工程を含む、前記イソインドリノン誘導体を製造する方法を提供する。
【0014】
さらに、本発明は前記イソインドリノン誘導体またはその薬剤学的に許容可能な塩を有効成分として含むT型カルシウムチャンネル拮抗作用を有する薬剤組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は前記イソインドリノン誘導体またはその薬剤学的に許容可能な塩を有効成分として含む高血圧、癌、てんかん、神経性痛症の疾患治療用薬剤を提供する。
【0016】
本発明(1)は、下記の化学式1で表されるイソインドリノン誘導体または薬剤的に許容可能なその塩である:
【化1】

式中、R1〜R5はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、及びヒドロキシ基を示し、R6は水素原子、C1〜C6アルキル基、またはアリール基である。
本発明(2)は、前記R1〜R5が、水素原子、またはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素の中から選択されたハロゲン原子であり、前記R6が、水素原子、メチル基、エチル基、ノーマルプロピル基、イソプロピル基、ノーマルブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、またはフェニル基であることを特徴とする、本発明(1)に記載のイソインドリノン誘導体または薬剤的に許容可能なその塩である。
本発明(3)は、前記イソインドリノン誘導体が、
(1)2-ベンジル-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(2)2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(3)2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(4)2-(3-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(5)2-(4-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(6)2-(3-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(7)2-(4-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(8)2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(9)2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(10)2-ベンジル-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(11)2-(3-フルオロベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(12)2-(4-フルオロベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(13)2-(3-クロロベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(14)2-(4-クロロベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(15)2-(3-ブロモベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(16)2-(4-ブロモベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(17)2 (3-アイオドベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(18)2-(4-アイオドベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(19)2-ベンジル-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(20)N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(21)N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(22)2-(3-クロロベンジル)-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(23)2-(4-クロロベンジル)-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(24)2-(3-ブロモベンジル)-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(25)2-(4-ブロモベンジル)-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(26)N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(27)N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(28)2-ベンジル-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(29)2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(30)2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(31)2-(3-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(32)2-(4-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(33)2-(3-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(34)2-(4-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(35)2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(36)2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(37)2-ベンジル-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(38)2-(3-フルオロベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(39)2-(4-フルオロベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(40)2-(3-クロロベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(41)2-(4-クロロベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(42)2-(3-ブロモベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(43)2-(4-ブロモベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(44)2-(3-アイオドベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(45)2-(4-アイオドベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(46)2-ベンジル-N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(47)N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(48)N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(49)N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-クロロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(50)N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-クロロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(51)2-(3-ブロモベンジル)-N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(52)2-(4-ブロモベンジル)-N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(53)N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(54)N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(55)2-ベンジル-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(56)2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(57)2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(58)2-(3-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(59)2-(4-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(60)2-(3-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(61)2-(4-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(62)2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、及び
(63)2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド
からなる群から選択されることを特徴とする、本発明(1)に記載のイソインドリノン誘導体または薬剤的に許容可能なその塩である。
本発明(4)は、下記スキーム1で表されるように、
窒素下から化学式2で表される、3-ブロモ-4-メチル安息香酸を臭化メチルマグネシウム(CH3MgBr)とn-ブチルリチウムを使用してアリールリチウムに転換させた後、二酸化炭素でカルボキシル化(carboxylation)して化学式3で表されるジカルボキシル酸化合物を得る工程(工程1)、
前記化学式3で表されるジカルボキシル酸化合物をアルキルエステル化反応させて化学式4で表されるジエステル化合物を得る工程(工程2)、
前記化学式4で表されるジエステル化合物を臭素化(bromination)を遂行して化学式5で表される臭素化合物を得る工程(工程3)、
前記化学式5で表される臭素化合物を前記化学式6で表されるベンジルアミン化合物を使用してSN2タイプアルキル化(alkylation)と環化(cyclization)を遂行して化学式7で表されるイソインドリノン母核構造化合物を得る工程(工程4)、
前記化学式7で表される化合物に加水分解反応を遂行して化学式8で表されるイソインドリノンカルボキシル酸誘導体を得る工程(工程5)、及び
前記化学式8で表されるイソインドリノンカルボキシル酸誘導体と化学式9で表されるピペリジニルプロピルアミン誘導体をアミド化反応を遂行して化学式1で表されるイソインドリノン誘導体を得る工程(工程6)
を含む、イソインドリノン誘導体の製造方法である:
【化2】

前記スキーム1で、R1〜R6は各々前記化学式1で定義したものと同様である。
本発明(5)は、本発明(1)に記載のイソインドリノン誘導体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、T型カルシウムイオンチャンネルの活性によって誘発される疾患の予防用または治療用組成物である。
本発明(6)は、前記T型カルシウムイオンチャンネルの活性によって誘発される疾患が、高血圧、癌、てんかんまたは神経性痛症であることを特徴とする、本発明(5)に記載の組成物である。
【発明の効果】
【0017】
本発明による組成物に有効成分として含有されるイソインドリノン誘導体またはその薬学的に許容可能塩は、HEK293細胞株のT型カルシウムチャンネルでカルシウムイオンの流れを有意的に抑制することが示された(実験例及び表2参照)。したがって、本発明による組成物は、T型カルシウムチャンネル活性を効果的に抑制するので、T型カルシウムチャンネルの活性によって誘発される高血圧、癌、てんかん、神経性痛症などの疾病の予防または治療剤として有用に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明は、下記化学式1で表されるイソインドリノン誘導体またはその薬剤学的に許容可能な塩を提供する。
【0020】
【化1】

【0021】
式中、R1〜R5はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、及びヒドロキシ基を示し、R6は水素原子、C1〜C6アルキル基、またはアリール基を示す。
【0022】
本発明による前記化学式1で表されるイソインドリノン誘導体における置換基をもう少し詳しく説明する。「アルキル基」は、1〜6個の炭素原子を有した直鎖状、分鎖状及び環状の炭素鎖をすべて含み、例えばメチル基、エチル基、ノーマルプロピル基、イソプロピル基、ノーマルブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがある。「ハロアルキル基」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、アイオドのようなハロゲン原子が1〜13個含まれ、1〜6個の炭素原子を有した直鎖状、分鎖状及び環状の炭素鎖をすべて含み、例えばフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,2-ジクロロエチル基、1,1-ジクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基などがある。「アルコキシ基」は、酸素に連結された炭素のアルキル基を意味するもので、ここでアルキルは前記で定義したものと同様である。「アリール基」は、ベンゼン環基を意味するもので、アリールは最小限6個の原子を有した一つの環、または最小限10個の原子を有した二つの環や隣接炭素原子に二重結合で共鳴安定化した状態をいい、アリール基では、フェニル基、ナフチル基などが含まれ得る。前記のアリール基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基などの中から選択された置換体を一つ以上置換することもできる。「ベンジル基」は、アリール基にメチレンが置換され、置換されたメチレン炭素が他の原子に共有結合を形成することができる作用基をいう。
【0023】
前記化学式1で表されるイソインドリノン誘導体において、好ましくは前記R1〜R5は、水素原子、またはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素の中から選択されたハロゲン原子で、前記R6は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、またはフェニル基である。
【0024】
前記化学式1で表されるイソインドリノン誘導体をより具体的に下記に例示する。
化合物1:2-ベンジル-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物2:2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物3:2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物4:2-(3-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物5:2-(4-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物6:2-(3-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物7:2-(4-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物8:2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物9:2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物10:2-ベンジル-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物11:2-(3-フルオロベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物12:2-(4-フルオロベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物13:2-(3-クロロベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物14:2-(4-クロロベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物15:2-(3-ブロモベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物16:2-(4-ブロモベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物17:2 (3-アイオドベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物18:2-(4-アイオドベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物19:2-ベンジル-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物20:N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物21:N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物22:2-(3-クロロベンジル)-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物23:2-(4-クロロベンジル)-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物24:2-(3-ブロモベンジル)-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物25:2-(4-ブロモベンジル)-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物26:N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物27:N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物28:2-ベンジル-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物29:2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物30:2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物31:2-(3-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物32:2-(4-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物33:2-(3-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物34:2-(4-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物35:2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物36:2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物37:2-ベンジル-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物38:2-(3-フルオロベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物39:2-(4-フルオロベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物40:2-(3-クロロベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物41:2-(4-クロロベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物42:2-(3-ブロモベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物43:2-(4-ブロモベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物44:2-(3-アイオドベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物45:2-(4-アイオドベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物46:2-ベンジル-N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物47:N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物48:N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物49:N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-クロロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物50:N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-クロロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物51:2-(3-ブロモベンジル)-N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物52:2-(4-ブロモベンジル)-N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物53:N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物54:N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物55:2-ベンジル-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物56:2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物57:2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物58:2-(3-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物59:2-(4-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物60:2-(3-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物61:2-(4-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
化合物62:2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、及び
化合物63:2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド。
【0025】
本発明による前記化学式1で表されるイソインドリノン誘導体は、当該技術分野で通常的な方法によって薬剤学的に許容可能な塩を形成することができる。例えば、塩酸、臭素酸、スルホン酸、アミド硫酸、リン酸、硝酸のような無毒性の無機酸、またはアセト酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸のような無毒性の有機酸とともに薬剤学的に許容可能なこれらの酸が付加した塩を形成することもできる。
【0026】
また、本発明の前記化学式1で表されるイソインドリノン誘導体は薬剤学的に許容される塩だけではなく、通常の方法によって製造することができるすべての塩、水和物及び溶媒化物をすべて含む。
【0027】
本発明による付加塩は、通常の方法で製造することができる。例えば、化学式1の化合物を水混化性有機溶媒、例えばアセトン、メタノール、エチルアルコール、またはアセトニトリルなどに溶解して過量の有機酸を加えたり無機酸の酸水溶液を加えた後、沈澱させたり結晶化させたりして製造することができる。続いて、この混合物から溶媒や過量の酸を蒸発させた後、乾燥させて付加塩を得たりまたは析出した塩を吸引ろ過して製造することができる。
【0028】
また、本発明は下記スキーム1で表されるように、
窒素下で化学式2で表される3-ブロモ-4-メチル安息香酸を臭化メチルマグネシウム(CH3MgBr)とn-ブチルリチウムを使用してアリールリチウムに転換させた後、二酸化炭素でカルボキシル化して化学式3で表されるジカルボキシル酸化合物を得る工程(工程1)、
前記化学式3で表されるジカルボキシル酸化合物をアルキルエステル化反応させて化学式4で表されるジエステル化合物を得る工程(工程2)、
前記化学式4で表されるジエステル化合物を臭素化(bromination)を遂行して化学式5で表される臭素化合物を得る工程(工程3)、
前記化学式5で表される臭素化合物を前記化学式6で表されるベンジルアミン化合物を使用して、SN2タイプアルキル化と環化を遂行して化学式7で表されるイソインドリノン母核構造化合物を得る工程(工程4)、
前記化学式7で表される化合物に加水分解反応を遂行して化学式8で表されるイソインドリノンカルボキシル酸誘導体を得る工程(工程5)、及び
前記化学式8で表されるイソインドリノンカルボキシル酸誘導体と化学式9で表されるピペリジニルプロピルアミン誘導体をアミド化反応を遂行して化学式1で表されるイソインドリノン誘導体を得る工程(工程6)
を含む、イソインドリノン誘導体の製造方法を提供する。
【0029】
【化2】

前記スキーム1で、R1〜R6は各々前記化学式1で定義したものと同様である。
【0030】
以下、本発明による製造方法を詳細に説明する。
【0031】
まず、窒素下で前記化学式2で表される、3-ブロモ-4-メチル安息香酸を臭化メチルマグネシウム(CH3MgBr)とn-ブチルリチウムを使用してアリールリチウムに転換させた後、二酸化炭素でカルボキシル化して前記化学式3で表されるジカルボキシル酸化合物を得る(工程1)。すなわち、前記化学式2で表される3-ブロモ-4-メチル安息香酸をテトラヒドロフランなどの極性有機溶媒に溶解した後、-20℃〜20℃の範囲で臭化メチルマグネシウム(CH3MgBr)を添加した後、-80℃〜-60℃の温度を維持しながらn-ブチルリチウムを徐々に滴下する。滴下が完了すると、反応溶液の温度を常温に上げて反応を完結させる。
【0032】
次に、前記化学式3で表されるジカルボキシル酸化合物を硫酸などの酸を使用したアルキルエステル化反応させて、前記化学式4で表されるジエステル化合物を得る(工程2)。すなわち、前記化学式3で表されるジカルボキシル酸化合物をメタノールなどのアルコール溶媒に溶解させた後、硫酸などの酸を添加して還流する条件で反応を完結させる。
【0033】
次に、得られた前記化学式4で表されるジエステル化合物は、N-ブロモスクシンイミド(NBS)を使用した臭素化を遂行して前記化学式5で表される臭素化合物を得る(工程3)。すなわち、前記化学式4で表されるジエステル化合物をジクロロメタンなどの有機溶媒に溶解させた後に、臭素化試薬例えば、NBSとベンゾイックペロキシアンハイドライドを加えて還流する条件で反応を完結させる。
【0034】
次に、前記化学式5で表される臭素化合物を前記化学式6で表される多様なベンジルアミン化合物を使用して、SN2タイプアルキル化と環化を遂行して前記化学式7で表されるイソインドリノン母核構造化合物を得る(工程4)。前記アルキル化反応と環化反応は連続的に遂行して、反応温度は80℃〜150℃の加熱条件を維持することが好ましい。前記反応は、塩基が存在する条件で遂行することができ、ここで塩基にはモノ、ジまたはトリアルキルアミンのような有機塩基を使用することができる。
【0035】
次に、前記化学式7で表される化合物をLiOHなどのハイドロキシサイド(OH-)を使用した加水分解反応を遂行して前記化学式8で表されるイソインドリノンカルボキシル酸誘導体を得る(工程5)。前記加水分解反応は、通常の方法で遂行し、例えば水が含まれた有機溶媒下で水酸化リチウム(LiOH)を使用して遂行することができ、反応は常温の温和な条件でも円滑に遂行される。
【0036】
次に、最後に前記化学式8で表されるイソインドリノンカルボキシル酸誘導体と前記化学式9で表されるピペリジニルプロピルアミン誘導体をアミド化反応を遂行して目的とする前記化学式1で表されるイソインドリノン誘導体を得る(工程6)。前記アミド化反応は、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジオキサンの中から選択された溶媒内で、1-エチル-3-(3’-ジメチルアミノ-プロピル)カルボジイミド・塩酸塩(EDCI)及びヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール(HOBT)を使用して、20℃〜30℃の常温近くの温度条件で遂行する。
【0037】
本発明による製造方法において、原料物質に使用する前記化学式2で表される3-ブロモ-4-メチル安息香酸と前記化学式6で表されるベンジルアミン化合物は、公知化合物であり、市販されている製品を購入して使用することができる。また、他の原料物質の前記化学式9で表されるピペリジニルプロピルアミン誘導体も公知化合物であり、公知文献によって容易に製造してすぐに使用することができる。
【0038】
さらに、本発明は前記化学式1で表されるイソインドリノン誘導体またはその薬剤学的に許容可能な塩を有効成分として含む薬剤組成物を提供する。
【0039】
T型カルシウムチャンネルは、中枢筋肉、副腎の内分泌腺、洞房結節、心臓などに存在して、T型カルシウムチャンネルの拮抗剤は、てんかん、高血圧などの脳疾患と狭心症などの心臓疾患治療に効果があることが知られている(非特許文献1〜5)。また、最近では、T型カルシウムチャンネルの拮抗剤が慢性痛症治療に効果があると発表された(非特許文献6)。
【0040】
また、カルシウムは、細胞内信号伝達物質として重要な役割をして多様な細胞作用を調節する。細胞作用の中でカルシウムは、細胞成長に関与することが知られていてT型カルシウムチャンネルの拮抗剤が坑癌効果を示すだろうという予測が可能である(非特許文献10)。
【0041】
本発明による組成物に有効成分として含有されるイソインドリノン誘導体またはその薬学的に許容可能塩は、HEK293細胞株のT型カルシウムチャンネルでカルシウムイオンの流れを有意的に抑制することが示された(実験例及び表2参照)。したがって、本発明による組成物は、T型カルシウムチャンネル活性を効果的に抑制するので、T型カルシウムチャンネルの活性によって誘発される高血圧、癌、てんかん、神経性痛症などの疾病の予防または治療剤として有用に使用することができる。
【0042】
本発明の薬剤組成物は、前記化学式1で表される化合物またはその薬剤学的に許容可能な塩と共にその他の一般的な担体、補助剤または希釈剤などを含ませて通常の剤形化方法で剤形化して経口投与または非経口投与にふさわしい形態に製造することができる。経口投与の場合には、錠剤、カプセル剤、溶液、シロップ剤、懸濁剤などの形態に製造することができ、非経口投与の場合には、腹腔、皮下、筋肉、経皮に対する注射剤の形態に製造することができる。
【0043】
本発明の薬剤組成物であるT型カルシウムチャンネル拮抗剤として、1日有効投与量は成人を基準に0.01〜1000mg/日であるが、投与用量は、患者の年齢、体重、性別、投与形態、健康状態及び疾患の程度によって変わり得、医師または薬剤師の判断によって一定時間間隔で1日1回ないし数回に分割して投与することもできる。
【0044】
上述のような本発明を、次の実施例及び実験例を通じてより詳しく説明するが、本発明はそれら実施例及び実験例に限定されるものではない。
【実施例】
【0045】
2-ベンジル-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド(化学式1)の製造
工程1:4-メチルイソフタル酸(化学式3)の製造
窒素気圧下で3-ブロモ-4-メチル安息香酸(化学式2)(5g、23.3mmol)をTHFに溶解した後、0℃で臭化メチルマグネシウム、3.0Mジエチルエーテル溶液(8.5ml、25.6mmol)をゆっくり滴下させた後、撹拌して、温度を下げて-65℃でn-ブチルリチウム、1.6Mヘキサン溶液(29ml、46.5mmol)を加えた後、3時間程度撹拌した。温度を-40℃に上げてドライアイスを入れて撹拌させて温度を常温に上げた。反応進行の確認は、TLC[CH2Cl2:MeOH=4:1]で確認した。反応が完結した後、反応混合物に飽和したNH4Clを加えて、エチルアセテートで抽出した。そして、水層を1N HClでpH1に合わせてエチルアセテートでもう一度抽出した。有機層を無水MgSO4で乾燥させた後、ろ過して減圧濃縮して、4-メチルイソフタル酸(化学式3)を95%の収率で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.52 (s, 1H), 8.03 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.40 (d, 1H, J = 6.7 Hz), 2.64(s, 3H)
【0046】
工程2:ジメチル4-メチルイソフタレート(化学式4)の製造
窒素気圧下で、4-メチルイソフタル酸(化学式3)(5g、27.8mmol)をメタノール(120ml)に溶解して、濃い硫酸(5ml)を加えた後、80℃で24時間還流した。反応進行の確認は、TLC[Hex:EA=1:1]で確認した。反応が完結した後、溶媒を飛ばして飽和NaHCO3を加えてCHCl3で抽出した。有機層を無水MgSO4で乾燥させた後、ろ過して減圧濃縮させた。濃縮物をカラムクロマトグラフィー[Hexane:EtOAc=5:1]で精製して、ジメチル4-メチルイソフタレート(化学式4)を0.68g(74%)得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.57 (s, 1H), 8.05 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 3.93 (s, 3H), 3.92 (s, 3H), 2.67 (s, 3H)
【0047】
工程3:ジメチル4-(ブロモメチル)イソフタレート(化学式5)の製造
ジメチル4-メチルイソフタレート(化学式4)(4g、19.2mmol)を精製されたジクロロメタンに溶解して、N-ブロモスクシンイミド(NBS、4.8g、26.9mmol)とベンゾイックペロキシアンハイドライド(0.47g、19.2mmol)を加えて加圧容器を使用して、80℃で24時間撹拌した。反応進行の確認は、TLC[Hex:EA=3:1]で確認した。反応が完結した後、飽和NaHCO3を加えてジクロロメタンで抽出した。有機層を無水MgSO4で乾燥させた後、ろ過して減圧濃縮させた。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー[Hexane:EtOAc=20:1]で精製して4gの生成物、ジメチル4-(ブロモメチル)イソフタレート(化学式5)を4g(70%)得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ 8.61 (s, 1H), 8.13 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.55 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 5.00 (s, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.95 (s, 3H)
【0048】
工程4:メチル2-ベンジル-3-オキソイソインドリン-5-カルボキシレート(化学式7)の製造
ジメチル4-(ブロモメチル)イソフタレート(化学式5)(1g、3.48mmol)をトルエンに溶解してトリエチルアミン(1.46ml、10.4mmol)とベンジルアミン(0.38ml、3.48mmol)を加えて加圧容器を使用して、110℃で3〜4時間撹拌した。反応進行の確認は、TLC[Hex:EA=1:1]で確認した。反応が完結した後、エチルアセテートとH2O、飽和NaHCO3水溶液、10%KHSO4水溶液、NaCl水溶液で順に抽出して、有機層を無水MgSO4で乾燥させた後、ろ過して減圧濃縮させた。物質をカラムクロマトグラフィー[Hexane:EtOAc=3:1]で精製して、メチル2-ベンジル-3-オキソイソインドリン-5-カルボキシレート(化学式7)を0.69g(70%)得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.56 (s, 1H), 8.22 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.46 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.30-7.35 (m, 5H), 4.82 (s, 2H), 4.32 (s, 2H), 3.97 (s, 3H)
【0049】
工程5:2-ベンジル-3-オキソイソインドリン-5-カルボキシル酸(化学式8)の製造
メチル2-ベンジル-3-オキソイソインドリン-5-カルボキシレート(化学式7)(0.5g、1.78mmol)をTHF:メタノール:H20を3:1:1の体積比で混合した溶媒に溶解して、LiOH?H2O(0.30g、7.11mmol)を添加した後、1時間撹拌した。反応進行の確認は、TLC[Hex:EA=1:1]で確認した。反応が完結した後、1N HClでpH4に合わせてエチルアセテートとNa2SO4で抽出した。有機層を無水MgSO4で乾燥させた後、ろ過して減圧濃縮させて、2-ベンジル-3-オキソイソインドリン-5-カルボキシル酸(化学式8)を85%の収率で得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.17 (s, 1H), 8.18 (s, 1H), 8.14 (d, 1H, J = 8.0Hz), 7.67 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.21-7.36 (m, 5H), 4.73(s, 2H), 4.44 (s, 2H)
【0050】
工程6:2-ベンジル-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド(化学式1)の製造
窒素気圧下で、2-ベンジル-3-オキソイソインドリン-5-カルボキシル酸(化学式8)(100mg、0.374mmol)、1-エチル-3-(3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(EDCI、0.144g、0.749mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール (HOBT、0.025g、0.187mmol)を精製ジクロロメタンに溶解して、常温で2時間撹拌した。TLC[CH2Cl2:MeOH=4:1]で確認後、温度を-40℃に下げて3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-アミン(80μl、0.562mmol)を添加した後、3〜4時間撹拌した。反応進行と結果の完結は、TLC[Hex:EA=1:1]で確認した。反応終了後、反応混合物をNaHCO3、CH2Cl2で二度抽出して、有機層を無水MgSO4で乾燥させた後、ろ過した。ろ過液を減圧濃縮させて濃縮液をカラムクロマトグラフィー[CH2Cl2:MeOH=20:1]に供して、2-ベンジル-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド(化学式1)96mg(73%)を得た。そして、エーテル性HClを使用して固体化して塩酸塩を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.85 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 8.14 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.42 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 7.26-7.35 (m, 5H), 4.80 (s, 2H), 4.28 (s, 2H), 3.59 (q, 2H, J = 5.4 Hz). 2.66 (t, 2H, J = 5.7 Hz), 2.59 (s, 4H), 1.85-1.91 (m, 2H), 1.70-1.91 (m, 4H), 1.53 (s, 2H)
【0051】
前記方法によって化学式1で表される化合物を合成した。製造された前記化学式1で表される化合物の分光学的データは、次の表1に示した。
【0052】
(表1)













【0053】
一方、本発明による前記化学式1で表される新規化合物は、目的によって多くの形態で製剤化が可能である。下記には、本発明による前記化学式1で表される化合物を活性成分として含有したいくつかの製剤化方法を例示するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0054】
製剤1:錠剤(直接加圧)
活性成分5.0mgを篩にかけた後、ラクトース14.1mg、クロスポビドンUSNF0.8mg及びステアリン酸マグネシウム0.1mgを混合して加圧して錠剤にした。
【0055】
製剤2:錠剤(湿式作製)
活性成分5.0mgを篩にかけた後、ラクトース16.0mgとデンプン4.0mgを混合した。ポリソルベート80 0.3mgを純粋な水に溶解した後、この溶液の適量を添加した後、微粒化した。乾燥後に微粒を篩にかけた後、コロイダルシリコンジオキサイド2.7mg及びステアリン酸マグネシウム2.0mgと混合した。微粒を加圧して錠剤にした。
【0056】
製剤3:粉末とカプセル剤
活性成分5.0mgを篩にかけた後、ラクトース14.8mg、ポリビニルピロリドン10.0mg、ステアリン酸マグネシウム0.2mgとともに混合した。混合物を適当な装置を使用して堅いNo.5ゼラチンカプセルに充填した。
【0057】
製剤4:注射剤
活性成分として100mgを含有させ、その他にもマンニトール180mg、Na2HPO4?12H2O 26mg及び蒸留水2974mgを含有させて注射剤を製造した。
【0058】
一方、本発明による前記化学式1で表される新規化合物に対しては、下記の実験例に示したような方法で、T型カルシウムチャンネルに対する拮抗作用に対してテストをした。実験結果として、FDSS6000を使用してT型カルシウムチャンネルに対する抑制率(%)を求め、優秀な活性を示すいくつかの化合物を中心に自動パッチクランプを使用してIC50を求めた。
【0059】
[実験例]
実験例1:FDSS6000を使用したT型カルシウムチャンネル活性検索方法
活性検索の12〜24時間前にポリ-L-リジン(0.05mg/ml)で処理された96ウェルプレートに96ウェル細胞分配器(Titertek製品)を使用して、α1G T型カルシウムチャンネルとKir2.1が安定的に発現されているHEK293細胞株(α1G細胞株:KCTC10519BP、韓国生命工学研究院遺伝子銀行)の細胞を1ウェル当り4×104の密度で分注した。実験当日、96ウェルプレートに付着した細胞は、96ウェルプレート自動洗浄器(Bio Tek)を使用してHEPES緩衝溶液(NaCl 150mM、KCl 5mM、MgCl2 1mM、CaCl2 2mM、HEPES 10mM、グルコース 10mM、pH7.4)で3回洗浄した後、5μMフルオ-3/AMと0.001%プルロニック(Pluronic)F-127を含むHEPES緩衝溶液の室温条件で1時間反応させて、蛍光染料で標識した後、HEPES緩衝溶液で再び2回洗浄した。その後、FDSS6000機器測定10分前に、CaCl2 10mMを含むHEPES緩衝溶液で1回洗浄して、最終体積を81μlに調整した。細胞が準備された96-ウェルプレートとは別に、T型カルシウムチャンネルを活性化させるKCl(最終濃度75mM)と遮断剤薬物を含む2個の96ウェル薬物プレートを準備した。大部分の細胞基盤HTS機器の場合、薬物注入に必要な液体アプリケーションシステムはあるが、液体吸入システムはないため、検索しようとする遮断剤薬物及びKClを5倍の高濃度で10mM CaCl2 HEPES緩衝溶液に27μlずつ準備して、細胞プレートの最終体積である135μlに1/5に希釈して測定した。具体的なFDSS6000測定条件としては、20秒の基準数値記録後、75秒間の薬物前処理後、KCl投与によって変化する細胞内カルシウム濃度変化を測定して、試験物質を処理しない対照群での340/380割合値の面積を100%にして、試験物質の抑制効果に対する百分率(%)抑制効果を求めた。常に10μMのミベフラジルを対照薬物に使用した。
【0060】
詳しいカルシウム映像化技術としては、FDSS6000に装着されたキセノンランプ4個の光源を照らしてコンピューター制御フィルターホイール(computer-controlled filter wheel)によって励起波長(340nm及び380nm)を選択的に細胞に露出させた。毎1.23秒間隔でデータを得て、515nm高帯域通過フィルター(High-pass filter)を通過して入ってきた放出蛍光(emitter fluorescence light)は、機器の中に内蔵した冷却CCDカメラを経てデジタル蛍光分析機によって96ウェル上でのウェル各々に対して平均340/380の比率値で得た。すべての映像データと分析は、ハママツホトニクス(Hamamatsu Photonics)から提供されたFDSS6000専用プログラムを使用した。
【0061】
本発明による新規化合物のT型カルシウムチャンネルに対するカルシウム移動の抑制率(%)結果は、下記の表2に示した。
【0062】
実験例2:自動パッチクランプを使用したT型カルシウムチャンネルに対するイオン電流阻害度測定
1.細胞培養と準備
α1G T型カルシウムチャンネルとKir2.1が安定的に発現されているHEK293細胞株(α1G細胞株:KCTC10519BP)を韓国生命工学研究院遺伝子銀行から提供を受けて使用した。95%酸素と5%二酸化炭素が供給される37℃の細胞培養器で、T型カルシウムチャンネル発現細胞は、10%牛胎児血清(FBS)が含まれたDMEM培地(ダルベッコ改変イーグル培地)で、hERGチャンネルの場合は、10%FBSが含まれたMEM培地で培養した。hERGチャンネルを発現させるために、使用する20時間前に1μg/mlのドキシサイクリン(doxycycline)を培地に処理して、Tet-発現システム(Tet-expression system)を活性化した。実験に使用する細胞は、3日に1度ずつ継代して50〜80%程度培養皿に満ちた時に使用した。実験前にトリプシン-EDTA(0.25×)を使用して細胞を皿から分離した後、ピペットを使用して単一細胞に作った後、遠心分離機(1100rpm、3分)を使用してトリプシンを除去して細胞外部溶液を添加して、室温でパッチライナー(Patchliner)で自動浮遊させたものを使用した。
【0063】
2.実験溶液
T型カルシウムチャンネルの活性測定のための溶液組成としては、細胞外部溶液には、NaCl 140mM、CaCl2 2mM、KCl 4mM、MgCl2 1mM、D-グルコース 5mM、HEPES(pH7.4)10mMを使用し、細胞内部溶液には、KCl 50mM、NaCl 10mM、KF 60mM、MgCl2 2mM、HEPES 10mM、EGTA(pH7.2)20mMを使用した。全細胞状態を良好に維持するために、seal強化溶液を添加して、T型カルシウムチャンネル発現細胞の場合には、10mM Ba2+を含んだ細胞外部溶液を添加した後、記録した。T型カルシウムチャンネル活性測定のためには、各実験化合物は、100%ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して100mMストック溶液に作って、Ba2+が添加された細胞外部溶液に加えて、10nM〜100μMに希釈してIC50を測定した。
【0064】
3.電気生理学的技法とデータ処理
自動パッチクランプ機器であるNPCc-16パッチライナー(Patchliner:Nanion Technologies, ドイツ)を使用して室温で全細胞パッチクランプ技法でEPC10(HEKA, ドイツ)増幅器を通じて電流を測定した。細胞浮遊液と各種実験溶液は機器によって自動でチップ(NPC-16 Chip, Nanion Technologies, ドイツ)に分注された。T型カルシウムチャンネル活性を測定するために細胞膜電位を-100mVに固定して、-20mVで300ms間低分極させた時の内向電流を10秒間隔で測定した。化合物は、各濃度で約20秒程度細胞に処理した。実験データ分析プログラムIGOR Pro(WaveMetrics, 米国)を使用して、化合物によるピーク電流の抑制程度を自動で計算してIC50値を求めた。その結果は次の表2に示した。
【0065】
(表2)T型カルシウムチャンネル拮抗作用

【0066】
表2に示したように、本発明による化合物は、T型カルシウムチャンネルに対する拮抗作用(IC50)が0.62〜9.77μMであり、優れた拮抗作用を示すので、T型カルシウムチャンネルの活性によって誘発される高血圧、癌、てんかん、神経性痛症などの疾病の予防または治療剤として有用に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明による前記化学式1で表される新規イソインドリノン誘導体は、T型カルシウムチャンネルに対する拮抗作用を有しているので、高血圧、癌、てんかん、神経性痛症などと関連する疾病の予防または治療剤として有用に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表されるイソインドリノン誘導体または薬剤的に許容可能なその塩:
【化1】

式中、R1〜R5はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、及びヒドロキシ基を示し、R6は水素原子、C1〜C6アルキル基、またはアリール基である。
【請求項2】
前記R1〜R5が、水素原子、またはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素の中から選択されたハロゲン原子であり、前記R6が、水素原子、メチル基、エチル基、ノーマルプロピル基、イソプロピル基、ノーマルブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、またはフェニル基であることを特徴とする、請求項1に記載のイソインドリノン誘導体または薬剤的に許容可能なその塩。
【請求項3】
前記イソインドリノン誘導体が、
(1)2-ベンジル-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(2)2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(3)2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(4)2-(3-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(5)2-(4-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(6)2-(3-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(7)2-(4-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(8)2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(9)2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(10)2-ベンジル-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(11)2-(3-フルオロベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(12)2-(4-フルオロベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(13)2-(3-クロロベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(14)2-(4-クロロベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(15)2-(3-ブロモベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(16)2-(4-ブロモベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(17)2 (3-アイオドベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(18)2-(4-アイオドベンジル)-N-(3-(2-メチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(19)2-ベンジル-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(20)N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(21)N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(22)2-(3-クロロベンジル)-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(23)2-(4-クロロベンジル)-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(24)2-(3-ブロモベンジル)-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(25)2-(4-ブロモベンジル)-N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(26)N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(27)N-(3-(2-エチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(28)2-ベンジル-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(29)2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(30)2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(31)2-(3-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(32)2-(4-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(33)2-(3-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(34)2-(4-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(35)2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(36)2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-プロピルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(37)2-ベンジル-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(38)2-(3-フルオロベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(39)2-(4-フルオロベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(40)2-(3-クロロベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(41)2-(4-クロロベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(42)2-(3-ブロモベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(43)2-(4-ブロモベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(44)2-(3-アイオドベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(45)2-(4-アイオドベンジル)-N-(3-(2-イソプロピルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(46)2-ベンジル-N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(47)N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(48)N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(49)N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-クロロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(50)N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-クロロベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(51)2-(3-ブロモベンジル)-N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(52)2-(4-ブロモベンジル)-N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(53)N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(54)N-(3-(2-ブチルピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソイソインドリン-5-カルボキサミド、
(55)2-ベンジル-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(56)2-(3-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(57)2-(4-フルオロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(58)2-(3-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(59)2-(4-クロロベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(60)2-(3-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(61)2-(4-ブロモベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、
(62)2-(3-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド、及び
(63)2-(4-アイオドベンジル)-3-オキソ-N-(3-(2-フェニルピペリジン-1-イル)プロピル)イソインドリン-5-カルボキサミド
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のイソインドリノン誘導体または薬剤的に許容可能なその塩。
【請求項4】
下記スキーム1で表されるように、
窒素下から化学式2で表される、3-ブロモ-4-メチル安息香酸を臭化メチルマグネシウム(CH3MgBr)とn-ブチルリチウムを使用してアリールリチウムに転換させた後、二酸化炭素でカルボキシル化(carboxylation)して化学式3で表されるジカルボキシル酸化合物を得る工程(工程1)、
前記化学式3で表されるジカルボキシル酸化合物をアルキルエステル化反応させて化学式4で表されるジエステル化合物を得る工程(工程2)、
前記化学式4で表されるジエステル化合物を臭素化(bromination)を遂行して化学式5で表される臭素化合物を得る工程(工程3)、
前記化学式5で表される臭素化合物を前記化学式6で表されるベンジルアミン化合物を使用してSN2タイプアルキル化(alkylation)と環化(cyclization)を遂行して化学式7で表されるイソインドリノン母核構造化合物を得る工程(工程4)、
前記化学式7で表される化合物に加水分解反応を遂行して化学式8で表されるイソインドリノンカルボキシル酸誘導体を得る工程(工程5)、及び
前記化学式8で表されるイソインドリノンカルボキシル酸誘導体と化学式9で表されるピペリジニルプロピルアミン誘導体をアミド化反応を遂行して化学式1で表されるイソインドリノン誘導体を得る工程(工程6)
を含む、イソインドリノン誘導体の製造方法:
【化2】

前記スキーム1で、R1〜R6は各々前記化学式1で定義したものと同様である。
【請求項5】
請求項1に記載のイソインドリノン誘導体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、T型カルシウムイオンチャンネルの活性によって誘発される疾患の予防用または治療用組成物。
【請求項6】
前記T型カルシウムイオンチャンネルの活性によって誘発される疾患が、高血圧、癌、てんかんまたは神経性痛症であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。

【公開番号】特開2010−13434(P2010−13434A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267348(P2008−267348)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(502336265)コリア インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (7)
【Fターム(参考)】