説明

T細胞賦活化剤及びT細胞賦活化法

【課題】 霊芝由来のラノスタン系化合物について、従来知られていない新規且つ有用な機能を提供する。
【解決手段】 霊芝由来のラノスタン型トリテルペン系化合物を有効成分とするT細胞賦活剤を提供したもので、該ラノスタン型トリテルペン系化合物又はこれを含む霊芝抽出物によりT細胞増殖と、サイトカイン産生の増大をもたらし、医薬品の製造や、飲食品の製造、サプリメントの製造に添加してT細胞賦活化作用を有する各種製品をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫賦活化剤、特に、T細胞賦活化剤及びT細胞賦活化法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、霊芝由来の特定のラノスタン型トリテルペン化合物を血管新生阻害剤とする発明が特許文献1に記載されている。また、霊芝由来のラノスタン型トリテルペン系化合物を発癌予防剤とした発明が特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特開2004-196761公報
【特許文献2】特開2005-35898公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の特許文献1は、特定のラノスタン型トリテルペン化合物は血管新生阻害に有効であることを教示した発明であり、特許文献2は、ラノスタン型トリテルペン系化合物は、エプスタイン・バール・ウイルス(EBV)活性化抑制効果を有することを教示した発明である。
本発明者等は、霊芝由来のラノスタン型トリテルペン系化合物につき、上記の特許文献1及び2の夫々のラノスタン型トリテルペン化合物の上記の夫々の機能の観点は全く異なる新規な機能を見出すべく、免疫賦活作用に貢献するT細胞の増殖やサイトカイン産生にどのような影響を与えるか検討し、下記する新しい機能を見出したもので、茲に開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、請求項1に記載の通り、霊芝由来のラノスタン型トリテルペン系化合物を有効成分とするT細胞賦活化剤に存する。
更に本発明は、請求項2に記載の通り、ガノデリン酸C2、コンパウンドC6、ガノデリンG、ガノデリン酸γ、ガノデリン酸B、ガノデリン酸A、ガノデリン酸α、ガノデリン酸C、ガノデリン酸C1&A、ルシジュモールA、ガノデルマノントリオール、ガノデルマトリオール、ルシジュモールB、ガノデリオールF及びガノデルマノンジオールを含む霊芝抽出物を有効成分とするT細胞賦活化剤に存する。
更に本発明は、請求項3に記載の通り、該霊芝抽出物の希釈液を有効成分とするT細胞賦活化剤に存する。
更に本発明は、請求項4に記載の通り、上記の霊芝抽出物又は希釈した霊芝抽出物を有効成分として含む医薬品、サプリメント又は飲食品に存する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1,2又は3に係る発明によれば、該ラノスタン型トリテルペン系化合物、これを含む霊芝抽出物、或いは該霊芝抽出物の希釈液をT細胞賦活剤として用いることにより、後記に明らかにするように、T細胞増殖反応の増大やサイトカイン産生の増加をもたらすなど、優れたT細胞賦活化機能をもたらす。
請求項4に係る発明によれば、霊芝抽出物又は希釈した霊芝抽出物を有効成分として含有するサプリメント、医薬品、飲食品により、T細胞賦活化による免疫機能の増進をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明で原料である霊芝とは、霊芝子実体の他、霊芝の胞子でも良い。また、霊芝の種類としては、サルノコシカケ科マンネンタケ(Ganoderma tsugae)が広く用いられるが、Ganoderma lucidum、その他所望の種類の霊芝が使用できる。一般に、霊芝の原料は、生のまま、或いは乾燥物のいずれでもよい。また、霊芝子実体は粉砕し、胞子は凍結粉砕処理したものを使用することが好ましい。
【0007】
霊芝子実体や霊芝胞子からラノスタン型トリテルペン系化合物を抽出するには、有機溶媒を使用する。有機溶媒としては、クロロホルム、エチルアルコール、メチルアルコール、エーテルなど所望のものを選択する。霊芝子実体から抽出する実施の1例を示すと、乾燥した霊芝子実体を粉砕し、その粉砕物に10倍程度の有機溶媒により加熱還流抽出を行い、霊芝抽出物を得た。この抽出物を無水エタノールで溶解し、これを恒温槽内に投入放置後、遠心分離して上清を取り、フィルターにより濾過して霊芝抽出物の原液を得る。
次に、本発明のT細胞賦活化試験に使用する霊芝クロロホルム抽出物の調製法を詳述する。
乾燥粉砕した霊芝子(Ganoderma tsugae)の実体350gを有機溶媒クロロホルム(3L)により3回、1回3時間で加熱還流抽出を行い、16gの霊芝クロロホルム抽出物(以下GChEと略称する)を得た。この抽出物を0.25g:1mlの比率で、無水エタノールを用いて溶解し、これを56℃の恒温槽に30分間置いてから、4℃、1500rpmで20分間遠心して上清を取り、フィルター(孔径0.45μm)で濾過し調製したものを原液とした。
該原液をメタノールを用いて10倍の濃度に希釈溶解し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。HPLCによる分析条件は、1)ポンプはCCPM-II、2)カラムはODS-801 TS、3)検出器はUV-8020、霊芝トリテルペンアルコール体は243nm、霊芝トリテルペンアシド体は250nmに設定、4)溶出液は1% AcOH/H2O-CH3CN(アルコール体:0 min、45:55;40min、40:60)と2% AcOH/H2O-CH3CN(アシド体:0 min、75:25;40min、70:30;70min、60:40)である。
一方、該GChEの原液に含有する各成分の単離、構造式の同定方法は、公知の手段で、即ち、Chem. Pharm. Bull. 46(10)1607-1612(1998), Chem. Pharm. Bull. 50(6)837-840(2002)及びChem. Pharm. Bull. 48(7)1026-1033(2000)に記載の方法で行った。
その結果、該GChEの原液には、下記表1に示すような各化合物の含有量と全化合物の総量111.7mg/mlが含まれており、図1,図2及び図3に示す15種類の既知のラノスタン型トリテルペン系化合物が含まれていることが明らかになった。
【0008】
【表1】

【実施例】
【0009】
次に、上記の調製したGChEの免疫系への影響、特にT細胞賦活化(増殖反応及びサイトカイン酸性)機能について、C57BL/6マウス(8〜16週令、雄及び雌)を用い、次のように試験を行った。
(1) 試薬:
前記の調製したGChEの原液(表1に記載のように、総トリテルペン系化合物が111.7mg/mlが含まれている)と、T細胞活性化物質としてSEA及び抗CD3抗体を用意した。
(2) 細胞培養液:
細胞培養液として、胎児牛血清(FCS)10%、5×10-5M2-メルカプトエタノール、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン100μg/mlを含有するRPMI(Gibco BRL, NY.USA)1640培地を用意した。
(3) 単クローン性抗体(mAb):
mAb28-16-8s(抗-I-Ab、IgM)、RL.172.4(抗-CD4、IgM)、83.12.5(抗-CD8、IgM)、HO13(抗-Thy-1.2、IgM)を細胞の調製に、PE標識GK1.5(抗-CD4、IgG、Becton Dickinson Co., Mountain View, CA USA)、FITC標識53-6.7(抗-CD8、IgG、Becton Dickinson Co.)及びFITC標識ヤギ抗マウスIgG(Tago Inc, Burlingama, CA USA)を細胞の調製後の確認に用いた。
(4) 各種細胞の調製:
(a) 脾細胞の調製
前記のC57BL/6マウスから脾臓を摘出し、この脾臓を冷ハンクス液中でスライドガラスを用いて潰し、ステンレススチールメッシュを通して脾細胞を単離した。単離した細胞を0.83%トリス塩化アンモニウム溶液を用いて赤血球を溶血させた後、2%牛胎児血清を添加した冷ハンクス液で3回洗浄し、RPMI培養液を添加して細胞浮遊液を得た。かくして得られた細胞浮遊液を0.83%トリス塩化アンモニウム溶液を用いて赤血球を溶血させた後、冷ハンクス液で3回洗浄し、脾細胞、即ち、T細胞を得た。
(b) アクセサリー細胞の調製:
脾細胞をmAb HO13腹水、即ち、抗Thy-1.2, IgM抗体と幼若モルモット血清で37℃、30分処理後、マイトマイシンC(50μg/ml)で37℃、30分処理し、パーコール(比重1.055)を用いた比重分離法で死細胞を除去してアクセサリー細胞として用いた。
(c) CD4+T細胞とCD8+T細胞の調製:
前記の精製C57BL/6マウス脾細胞を28-16-8s、RL.172.4或いは83.12.5と幼若モルモット血清で処理し、パーコール(比重1.055)を用いて死細胞を除去した後に10%FCSを添加した冷ハンクス液で3回洗浄して得た。調整後、CD4+T細胞分画にCD8+T細胞が、CD8+T細胞分画にCD4+T細胞が含まれないことをフローサイトメーターで確認した。
【0010】
これらの材料を用いて、前記のGChEのT細胞賦活試験を下記のように行った。
試験例1
前記の霊芝抽出物(GChE)の脾細胞(T細胞)増殖反応試験:
96穴マイクロプレート(Corning Glass Works. N.Y. USA)を用い、3穴/試験群として、C57BL/6マウスから得た上記の脾細胞(T細胞)を5×10-5/wellを各穴群に等しく投入すると共に、前記の調製した細胞培養液に、前記のGChEの原液をエチルアルコールで希釈した後、或いは希釈することなくそのまま添加し、添加後の培養液のGChEの濃度が1/100,1/1000,1/10000及び1/100000となるように調製したGChEの濃度が異なる4種類の培養液を投入して4種類の各3穴/GChE添加群を設ける一方、GChEを添加しない前記の細胞培養液を投入して3穴/無添加群を設けた後、37℃、5%CO2の培養条件下で72時間培養した。尚、その培養終了6時間前に3H-thymidine(New England Nuclear、Boston、MA USA)(0.5μCi/穴)(1被検体サンプルにつき3穴)の細胞内への取り込みをMLC-2001(ALOKA TOKYO JAPAN)を用いてT細胞増殖反応を測定した。成績は各穴のcount per minute(cpm)の平均値として示した。
上記の試験結果を図4に示す。
図4から明らかなように、脾細胞、即ち、T細胞の増殖反応は、GChEの添加群とGChE無添加群を対比すると、その3H-チミジンの取り込み量(cpm×10-2)が示すように、培養液に添加したGChEの濃度が1/100及び1/1000と高濃度のGChE添加群は、GChE無添加群よりT細胞の増殖反応は低下した結果を得たが、GChEの濃度が1/10000及び1/100000の低濃度の添加群は、無添加群よりT細胞増殖反応は高くなることが判った。茲で、GChEの原液に含まれる総トリテルペン量は111.7mg/mlであるから、上記の1/100の濃度は1117μg/mlの含有量に相当し、その1/1000の濃度は111.7μg/mlの含有量に相当し、その1/10000の濃度は11.17μg/mlの含有量に相当し、その1/100000の濃度は1.117μg/mlの含有量に相当する。このことから、GChEの含有量が約12μg/ml以下の低濃度であれば、T細胞増殖が高まる効果をもたらすことが判った。
【0011】
試験例2
GChEをT細胞活性化物質、SEAに共存させた場合のT細胞増殖反応試験:
試験例1の通りに夫々調製した3穴/試験群、即ち、GChE無添加群、GChEの濃度1/100,1/1000,1/10000,1/100000の4種類の各3穴/GChE添加群を多数作製し、これらの群に既知のT細胞活性化物質としてSEAを0.1ng/ml〜10ng/mlの範囲で添加量を変えて添加し、各群の前記のマウス脾細胞(5×10-5/well)を試験例1と同じ培養条件で72時間培養し、夫々の群のT細胞増殖反応を測定した。その結果を図5に示す。
同図から明らかなように、3H-チミジンの取り込み量(cpm×10-3)は、SEAの投与量の増大に伴い、無添加群、高濃度1/100及び1/1000の添加群、低濃度1/10000及び1/100000の添加群は増大する。即ち、T細胞増殖反応が増大するが、高濃度1/100及び1/1000の添加群は、SEA投与量の増大に伴い、無添加群より取り込み量が低下する傾向となる。これに対し、低濃度の1/10000及び1/100000の添加群は、SEA0.1〜10ng/mlの全範囲において、常に、SEAのみが投与された無添加群に比し、その取り込み量は増大し、従って、T細胞増殖反応を増進することが判る。換言すれば、SEAが同じ投与量において、常にT細胞増殖反応が増進することが判る。従って、T細胞活性化物質の存在下で低濃度のGChEを共存させることにより、T細胞増殖反応を著しく増進させる効果をもたらすことが判った。
【0012】
試験例3
GChEをT細胞活性化物質、SEAに共存させた場合のT細胞のIL-2産生試験:
試験例2と同様に、GChE無添加群、GChEの濃度1/100,1/1000,1/10000,1/100000の4種類のGChE添加群を多数用意し、これらの群にT細胞活性化物質としてSEAを0.1ng/ml、1ng/ml及び10ng/mlと投与量を変えて添加し、前記のマウス脾細胞(T細胞)を試験例1と同じ培養条件で72時間培養し、夫々の群の培養上清中のIL-2を測定した。その結果を図6に示す。
その測定は次のように行った。即ち、マウス脾細胞、CD4+T細胞或いはCD8+T細胞を、SEAの濃度0,0.1ng/ml,1ng/ml及び10ng/ml,GChEの濃度、0,1/100,1/1000,1/10000及び1/100000、培養時間24hr、48hr及び72hrの種々の条件で24穴或いは48穴培養プレート(Corning Glass Works)を用いて培養した。培養上清中のIL-2活性はIL-2依存性CTLL-2細胞を用いて測定した。4倍系列で希釈した実験培養上清と2倍系列で希釈した既知単位(200 units/ml)のrIL-2を夫々50μl/穴(1被検体サンプルにつき3穴)にCTLL-2細胞(3×103/穴)を96穴マイクロプレートに50μl/穴ずつ分注し、24時間培養した。IL-2活性は培養終了4時間前に添加した3H-thymidine(0.5μCi/穴)の細胞内への取り込みをMLC-2001を用いて測定した。結果はrIL-2を用いて得られた標準曲線から算出し、units/mlとして示した。
同図から明らかなように、そのSEAの0.1,1及び10(ng/ml)のいずれの投与量においても、低濃度の1/10000及び1/100000のGChE添加群のIL-2産生は、SEA単独を投与した無添加群のIL-2産生に比し高く、且つSEAの投与量の増大に伴い、IL-2産生が著しく増大する効果をもたらす。換言すれば、低濃度のGChEをSEAと共存させることにより、SEA単独を存せしめた場合に比しIL-2産生を著しく増大することができることが判った。
【0013】
試験例4
SEA存在下でのGChE共存によるマウスCD4+T細胞及びCD8+T細胞のIL-2産生試験:
前記の精製CD4+T細胞(1×106/ml)及びCD8+T細胞(1×106/ml)の夫々につき、前記の調製したT細胞除去脾細胞(1×106/ml)をアクセサリー細胞として、無添加群、高濃度の1/1000添加群及び低濃度の1/10000添加群に夫々SEAの投与量、即ち、濃度0.1ng/mlの存在下で、試験例1と同じ条件で72時間培養し、夫々の群のCD4+T細胞及びCD8+T細胞によるIL-2産生を測定した。その結果を図7に示す。
同図から明らかなように、SEA単独刺激によるCD4+T細胞のIL-2産生に比し、低濃度1/10000のGChEを共存させた場合にCD4+T細胞のIL-2産生の著しい増強効果をもたらすことが判った。
【0014】
試験例5
SEA存在下でのGChE共存によるマウスCD4+T細胞及びCD8+T細胞のIFN-γ産生試験:
前記の精製CD4+T細胞(1×106/ml)及びCD8+T細胞(1×106/ml)の夫々につき、前記のT細胞除去脾細胞(1×106/ml)をアクセサリー細胞として、無添加群、高濃度の1/1000添加群及び低濃度の1/10000添加群に夫々SEAの投与量、即ち、濃度0.1ng/mlの存在下で、試験例1と同じ条件で72時間培養し、夫々の群の培養上清中のIFN-γ産生を測定した。
IFN-γの測定は、マウス脾CD4+T細胞或いはCD8+T細胞を種々の条件で24穴或いは48穴培養プレート(Corning Glass Works)を用いて培養した。培養上清中のIFN-γ活性はSandwich ELISA(BD Biosciences. CA USA)を用いて測定した。測定結果はpg/mlとして示した。上記の試験結果を図8に示す。
同図に明らかなように、SEA単独刺激によるCD4+T細胞のIFN-γ産生に比し、低濃度1/10000のGChEを共存させた場合にCD4+T細胞のIFN-γ産生の著しい増強効果をもたらすことが判った。
【0015】
試験例6
T細胞活性化物質、抗CD3抗体存在下でのGChE共存によるCD4+T細胞及びCD8+T細胞のIFN-γ産生試験:
CD4+T細胞(1×106/ml)及びCD8+T細胞(1×106/ml)の夫々について、前記のT細胞除去脾細胞(1×106/ml)をアクセサリー細胞として、試験例5で調製したと同じGChE無添加群、高濃度の1/1000添加群及び低濃度の1/10000添加群に夫々抗CD3抗体0.3μg/mlの存在下で、試験例1と同じ培養条件で72時間培養し、その夫々の群の培養上清中のIFN-γ産生を測定した。その結果を図9に示す。
同図から明らかなように、抗CD3抗体単体での刺激によるCD8+T細胞のIFN-γ産生に比し、低濃度1/10000のGChEを共存させた場合は、CD8+T細胞のIFN-γ産生の著しい産生増強をもたらすことが判った。
【0016】
以上の試験例1〜6から明らかなように、霊芝より得た抽出物(エキス)に含有する図1,図2及び図3に示すラノスタン型トリテルペン系化合物は、3H-チミジン取り込み量の増大、従って、T細胞増殖及びサイトカイン産生の増加に効果をもたらす優れたT細胞賦活化機能を有することが認められた。また、特に、低濃度に希釈された霊芝抽出物は、T細胞賦活化効果が特に増大する効果をもたらす。また、このことから、該霊芝抽出物の原液を、精製水、エタノール、その他の所望の希釈液やその他の食用に適した添加物で1万分の1以下に希釈してT細胞賦活剤として使用することが好ましいことが判る。
従って、上記の15種類のラノスタン型トリテルペン化合物を含む霊芝抽出物の原液又はその希釈液を、そのまま、或いは乾燥物、粉砕物などとし、錠剤、カプセル形など種々の形態に成形加工したサプリメント製品の製造に、種々の飲食品の製造過程、或いは注射薬、内服薬、外用薬などの各種医薬品の製造過程において、その適量を添加配合し、該霊芝抽出物が希釈化されて含有するT細胞賦活化作用を有する健康食品や医薬品として利用することができる。
【0017】
尚、上記の実施例では、有機溶剤としてクロロホルムを使用した試験例を示したが、その他の有機溶媒でもクロロホルムと同様に、前記の15種類のトリテルペン化合物を抽出することができ、また、その夫々の抽出物は、霊芝クロロホルム抽出物と同様のT細胞活性機能を有する
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】霊芝抽出物に含まれる酸類画分の9種類のラノスタン型トリテルペン系化合物の構造式を示す。
【図2】該霊芝抽出物に含まれるアルコール類画分の1種類のラノスタン型トリテルペン系化合物の構造式を示す。
【図3】該霊芝抽出物に含まれるアルコール類画分の5種類のラノスタン型トリテルペン系化合物の構造式を示す。
【図4】霊芝クロロホルム抽出物の濃度の変化によるマウス脾細胞増殖への影響を示すグラフ。
【図5】霊芝クロロホルム抽出物の濃度とSEA投与量の変化によるマウス脾細胞増殖への影響を示すグラフ。
【図6】T細胞活性化物質SEAの存在下、共存させる霊芝クロロホルム抽出物の濃度の変化によるマウス脾細胞のIL-2産生への影響を示すグラフ。
【図7】T細胞活性化物質SEAの存在下、共存させる霊芝クロロホルム抽出物の濃度の変化による精製マウスCD4+T細胞とCD8+T細胞のIL-2産生への影響を示すグラフ。
【図8】T細胞活性化物質SEAの存在下、共存させる霊芝クロロホルム抽出物の濃度の変化による精製マウスCD4+T細胞とCD8+T細胞のIF-γ産生への影響を示すグラフ。
【図9】T細胞活性化物質抗CD3抗体の存在下、共存させる霊芝クロロホルム抽出物の濃度の変化による精製マウスCD4+T細胞とCD8+T細胞のIFN-γ産生への影響を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
霊芝由来のラノスタン型トリテルペン系化合物を有効成分とするT細胞賦活化剤。
【請求項2】
ガノデリン酸C2、コンパウンドC6、ガノデリンG、ガノデリン酸γ、ガノデリン酸B、ガノデリン酸A、ガノデリン酸α、ガノデリン酸C、ガノデリン酸C1&A、ルシジュモールA、ガノデルマノントリオール、ガノデルマトリオール、ルシジュモールB、ガノデリオールF及びガノデルマノンジオールを含む霊芝抽出物を有効成分とする請求項1に記載のT細胞賦活化剤。
【請求項3】
該霊芝抽出物の希釈液を有効成分とする請求項2に記載のT細胞賦活化剤。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の霊芝抽出物を有効成分として含有する医薬品、サプリメント又は飲食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−261968(P2007−261968A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86940(P2006−86940)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(596103765)株式会社霊芝総合研究所 (2)
【Fターム(参考)】