TRPV1アゴニスト化合物、ならびにTRPV1アゴニスト化合物を製造および使用するための方法
TRPV1アゴニスト化合物およびそれらの合成方法および使用を本明細書に記載する。具体的に特定された化合物に加えて、カプサイシンプロドラッグ、ジェミニダイマー、および相互プロドラッグも記載する。TRPV1アゴニスト化合物の処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチ等の形態であってよい。記載された該化合物、組成物またはプロドラッグを用いて、医学的疾患を治療する方法も提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2005年4月25日に出願された、米国仮特許出願第60/675,027号に対する優先権を主張する。米国仮特許出願第60/675,027号は、その全体が参考として援用される。
【0002】
(分野)
本明細書中に記載される化合物および方法はカプサイシノイドおよびそれらの関連エステル(例えば、脂肪族エステル、親水性エステル等)、ジェミニダイマー(gemini dimer)、およびプロドラッグ(例えば、PEG化プロドラッグ、リンカー部位を含むまたは含まない相互プロドラッグ等)、およびそれらの合成および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
カプサイシンは唐辛子中の刺激性成分である。それは一過性受容体の潜在的バニロイド1受容体(TRPV1;以前はバニロイド受容体1(VR1)として知られていた)、小さな直径の感覚ニューロン上に優先的に発現されるリガンド−ゲーテッド非選択的カチオンチャネル、特に、痛みまたは有害な感覚の検出において特殊化されたC繊維に対する高度に選択的なアゴニストである。TRPV1はカプサイシン、熱および細胞外酸性化を含む有害な刺激に応答し、これらの刺激に対する同時暴露を統合するであろう(Caterina MJ,Julius D.The vanilloid receptor: a molecular gateway to the pain pathway. Annu Rev Neurosci. 2001.24:487−517参照)。TRPV1発現(カプサイシン感受性)侵害受容器の活性化の初期効果は燃えるような感覚、痛覚過敏、異なる胃痛症および紅斑である。しかしながら、低濃度のカプサイシンに対する延長された暴露または高濃度のカプサイシンまたは他のTRPV1アゴニストに対する単一の暴露の後に、小さな直径の感覚軸索はカプサイシンまたは熱刺激を含む種々の刺激に対して感受性が低くなる。この延長された暴露もまた低下した痛み応答によって特徴付けられる。カプサイシンのこの後期の効果は、しばしば、「除感作」と言われ、種々の疼痛症候群および他の疾患の治療のためのカプサイシン処方の開発のための原理である。(非特許文献1参照)。
【0004】
カプサイシン、カプサイシノイドおよびTRPV1アゴニストは複数の病気の軽減で有用であろう。例えば、それらを用いて神経障害的疼痛(糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、HIV/AIDS、外傷負傷、複合領域的疼痛症候群、三叉神経痛、先端紅痛症および幻想四肢痛を含む),混合侵害受容および/または神経障害混合病因(例えば、癌)によって生じる疼痛、変形性関節症、線維筋痛症、下部背中疼痛、炎症性痛覚過敏、陰前庭炎または心因性外陰部疼痛症(vulvodynia)、嚢胞性間隙性洞ポリープ、神経発生または過剰活性膀胱、前立腺過形成、鼻炎、外科的処置、外傷、直腸過敏、口腔内しゃく熱症候群、口腔粘膜炎、ヘルペス(または他のウィルス感染)、前立腺肥大、皮膚炎、かゆみ、掻痒、耳鳴り、乾癬、いぼ、癌(特に皮膚癌)、頭痛、および皴を治療することができる。
【0005】
多数の送達デバイスおよび処方が利用可能であって、カプサイシンを送達するために開発されている。しかしながら、これらのデバイスおよび処方の多くに伴う問題の1つは、カプサイシンまたは他のTRPV1アゴニストの投与に伴う同時疼痛(薬物の刺激によるしゃく熱感)である。加えて、これらの処方およびデバイスの多くは延長されたまたは維持された送達に適しない。
【0006】
従って、TRPV1アゴニストの投与に伴う低下した刺激の能力を有する改良された送達デバイスおよび処方を提供するのが望ましいであろう。加えて、改良された皮膚ファルマコキネティックス、および意図された作用部位に対する延長されたまたは維持された送達能力を有する改良された送達デバイスおよび処方を提供するのが望ましいであろう。最後に、いくつかの場合には、カプサイシン、カプサイシノイド、またはTRPV1アゴニストと共にもう1つの薬理学的に活性な化合物を送達するのが望ましいであろう。
【非特許文献1】Bley KR.Recent developments in transient receptor potential vanilloid receptor 1 agonist−based therapies. Expert Opin Investig Drugs.2004.13(11):1445−1456
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
カプサイシン、そのアナログおよび他のTRPV1アゴニストの固有の刺激を最小化し、または排除する1つの方法は、その構造的誘導体が身体に送達された後に、および/またはそれがその作用部位に到達した後に、親薬物が放出されるように親分子の化学構造を修飾することである。親薬物の化学的放出キネティックスは2つの重要な特性、すなわち、(a)低下したおよび/または遅延された刺激および(b)薬理学的活性の延長された期間の延長されたおよびゆっくりとした放出を付与することができる。そのような構造的修飾は、処方または送達デバイスについての特殊な要件に対する信頼性を排除して、TRPV1アゴニストの投与に伴う急性刺激を低下させる。しかしながら、そのような処方および送達デバイスの技術を用いて、同様に薬物送達および/または患者の心地よさの特徴をさらに改良することができる。
【0008】
かくして、本明細書中に記載されたカプサイシン、カプサイシノイドまたは他のTRPV1アゴニスト化合物を化学的に修飾して、カプサイシン、カプサイシノイド、または他のTRPV1アゴニストが酵素的および/または加水分解変換を通じて生体利用可能となる速度を制御する。加えて、カプサイシン、カプサイシノイド、または他のTRPV1アゴニストの刺激および/または効率は、加水分解の特定の速度および/またはTRPV1上のアゴニスト結合部位への制限されたアクセスおよび/またはもし化合物が受容体に結合するとした場合のTRPV1を活性化する能力いずれかを呈することができる誘導体の選択によって制御することができる。例えば、エステルまたは他の加水分解可能なリンカー基は、投与に際して、酵素および/または水が結合の加水分解を誘導して、親薬物(あてはまる場合には、カプサイシン、カプサイシノイドまたは他のTRPV1アゴニスト)を放出できるように、カプサイシン、カプサイシノイド、または構造的に同様なTRPV1アゴニストのフェノール位置に共有結合させることができる。リンカー基は、酵素系および/または単純な水性加水分解に対して感受性である単純なエステルまたはより複雑な官能基によって構成することができる。エステルプロドラッグでは、刺激は治療相を実質的に超えて遅延させることができ、または救済投薬または治療前局所麻酔剤を必要としないレベルまで低下させることができよう。
【0009】
カプサイシンまたは他のバニロイドのプロドラッグを含有する処方物は、親薬物と同様な必要な有利な治療効果を生じつつ、よく許容されるはずである。加えて、修飾されたカプサイシノイドの物理化学的特性は、減少した水素結合、および水に対する脂質への増大した分配によって皮膚取り込みを改良することができる。同様な改良は、他のプロドラッグの皮膚適用のために記載されている。Sloan,K.B.1992.Topical and Ocular Drug Delivery,Marcel Dekker,New York参照。
【0010】
いくつかの薬物のプロドラッグ、および健康製品は市販されており、または臨床的調査に付されている。その例はナルトレキソン、ケトプロフェン、エステルC、エステルEおよびプロプラノロールを含む。これらの製品で記載された利点は改良された許容性、増大した生物学的利用性、および効率を含む。カプサイシンのプロドラッグは、同一の改良された特徴の多くを呈することができる。カプサイシン分子の芳香族環上の4−位におけるフェノール性ヒドロキシル基は化学的修飾に対する高度に接近可能標的であり、物理化学的および薬理化学的増強に導く。例えば、標的化された薬物送達および薬理学的応答を支配するいくつかの属性は:(1)受容体部位結合、(2)ミクロファルマコキネティックス(細胞または組織区画内への局所化)、(3)作用部位または他の組織での滞留時間、(4)代謝および腎臓クリアランス速度、および(5)用量応答である。
【0011】
本明細書中に記載されたカプサイシン、カプサイシノイドまたは他のTRPV1アゴニストでは、活性剤はプロドラッグの生体内変換に続いて作用部位へ送達されるか、あるいはそれが作用部位に到達した後に生体内変換が起こるか、あるいはそれがこれら2つの生体内変換のパターンの組合せである。かくして、本明細書中に記載されたカプサイシン、カプサイシノイド、または他のTRPV1アゴニストは経時的にゆっくりと送達されて、カプサイシンまたは他のカプサイシノイドおよびTRPV1アゴニストへの迅速な暴露に伴う刺激のバーストを和らげることができる。プロドラッグ誘導体は、それが(例えば、結合部位への制限された接近性のため)TRPV1受容体に結合しないように、および/または結合が有意なTRPV1活性化を誘導しないように合成することができる。TRPV1への結合のための構造的な要件は評価されている(Walpole CS,Bevan S,Bloomfield G,Breckenridge R,James IF,Ritchie T,Szallasi A,Winter J, Wrigglesworth R.Similarities and differences in the structure−activity relationships of capsaicin and resiniferatoxin analogues.J Med Chem.1996.39(15):2939−2952参照)。TRPV1リガンドの芳香族部分において、慎重な構造的変化は、TRPV1結合および結果としての受容体作動を維持するための4−ヒドロキシおよび3―メトキシ基の近接の必要性を示した。(単純なアルキル化を含む)遊離ヒドロキシルの置換の結果、減少した結合がもたらされた。我々が本明細書中に記載する変形のいくつかにおいて、我々は、意図して、4−ヒドロキシ位置を不安定なエステルまたは他の加水分解可能な基で誘導体化して、TRPV1結合をブロックし、それにより、直後の刺激応答を和らげる。これらの変形において、誘導体のリンカー基は加水分解されて、そのリンカーの固有のかつ特異的性質によって支配される制御方法で遊離カプサイシンを放出する。カプサイシンまたはカプサイシノイドの受容体部位結合の開始の修飾時間に加えて、実質的により多くの薬物を、より長い期間にわたって遅延および持続放出のために投与することができる。そのような放出プロフィールは、化学的修飾を通じて親薬物の物理化学的特性を変化させることなく仕立てるのは困難であろう。
【0012】
このアプローチでは、刺激および同時神経発生炎症は管理可能なはずである。すなわち、本明細書中に記載された化合物の結果、そこでは、実質的な治療関連疼痛はもたらされない。同様に、刺激は遅延されるかまたは低下され、あるいは低いまたは無視できる強度での長い期間にわたることさえできよう。加えて、本明細書中に記載された化合物および処方物の使用は、TRPV1アゴニストが投与されつつある場合、局所麻酔予備処理に対する必要性を緩和できる。同様に記載された化合物および処方物の使用は、治療関連疼痛を制御するための強い救済投薬に対する必要性を緩和または低下させることができる。
【0013】
従って、本明細書中に記載するのはカプサイシノイド化合物およびそれらの合成および使用方法である。いくつかの変形において、該化合物は以下の式:
【0014】
【化5】
[式中、Rは水素、および置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC2−C20アルキルよりなる群から選択される]
を有する。いくつかの変形において、Rは水素、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、およびイソブチルよりなる群から具体的には選択される。なお他の変形において、Rは―(CH2)nCH3であり、nは1ないし19の整数、2ないし5の整数、6ないし10の整数または11ないし19の整数である。これらの化合物の処方物もまた記載されており、ここに、該処方は液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチなどである。
【0015】
式:
【0016】
【化6】
[式中、R1は水素、および置換された置換されていない、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択され、R2は置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される]
を有する他の化合物が記載される。R1およびR2の双方において、アルキル基が不飽和である場合、各不飽和の結合は、他の不飽和の結合の立体配置から独立して、シスまたはトランス立体配置いずれかを有することができる。
【0017】
同様に、式:
【0018】
【化7】
[式中、R1はそれ自体活性剤である]
を有する他の化合物が記載される。いくつかの変形において、R1はガバペンチンまたはプレガバリンなどのようなカルシウムチャネルモジュレーター/抗痙攣剤である。いくつかの他の変形において、プロドラッグ部分R1は、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、サルチル酸、アセチルサルチル酸、ジルフルニザール、フェノプロフェン、エトドラッグ、インドメタシン、メフェナミン酸、ナプロキセンン、スリンダックなどのような鎮痛剤/抗炎症剤である。R2は置換された置換されていない、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される。R2が不飽和のアルキル基である場合、各不飽和結合は、他の不飽和結合とは独立してシスまたはトランス立体配置いずれかであり得る。いくつかの変形において、R2は(3E)−2−メチルオクタ−3−エンまたは(3Z)−2−メチルオクタ−3−エンまたはN−オクタンである。
【0019】
同様に、該化合物は以下の式:
【0020】
【化8】
[式中、R1はプロドラッグ部分であり、ヒドロキシギ酸のようなリンカーを通じてカプサイシンに結合した活性剤である]
を有することができる。1つの変形において、R1はナルブフィン、ペンタゾシン、ブトルファノール、デゾシン、ブペルノルフィン(bupernorphine)、ナルトレキソン、レボルファノール、モルフィン、シクロールファン、レバロルファン、シラゾシン、ナロキソン、ナルメフェンン、ナロルフィン、オキシロルファン、フェナゾシン、ロペラミド、コデイン、ヒドロモルフォン、エポモルフィン、ノルモルフィン、エトルフィンおよびトラマドールのようなオピオイド受容体アゴニストまたはアンタゴニストである。R2は置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される。R2が不飽和のアルキル基である場合、各不飽和の結合は、他の不飽和の結合とは独立してシスまたはトランス立体配置いずれかであり得る。
【0021】
いくつかの変形において、R2は(3E)−2−メチルオクタ−3−エンまたは(3Z)−2−メチルオクタ−3−エンまたはn−オクタンである。
【0022】
いくつかの変形において、プロドラッグ部分はオピオイドである。これは、雰囲気温度にて過剰のトリエチルアミンを滴下しつつ、0℃にて、無水ジクロロメタン中で等モル量のTRPV1アゴニストおよびオピオイドをクロロギ酸トリクロロメチルと反応させることによって調製することができる。モル比率を変化させて、最終生成物のより高い収率および/または精製を容易とすることができる。モルホリンと接合されたカプサイシンの構造を例として以下に示すが、限定されるものではない。他のオピオイドは同様に連結することができる。
【0023】
【化9】
カプサイシンは胃を空にするのを増強させるか(Debreceni A,Abdel−Salam OM,Figler M,Juricskay I,Szolcsanyi J,Mozsik G.Capsaicin increases gastric emptying rate in healthy human subjects measured by 13C−labeled octanoic acid breath test.J Physiol Paris.1999.93(5):455−460)、または全腸通過を増大させる(Gonzalez R,Dunkel R,Koletzko B,Schusdziarra V,Allescher HD.Gonzalez R,Dunkel R,Koletzko B,Schusdziarra V,Allescher HD.Effect of capsaicin−containing red pepper sauce suspension on upper gastrointestinal motility in healthy voluteers.Dig Dis Sci.1998.43(6):1165−1171)のいずれか行うと報告されている。これらの効果は、胃の通過時間を減少させ、便秘を引き起こすオピオイドアゴニスト薬物の広く認識された傾向とは反対である。2mg/kgまでのカプサイシンの経口用量レベルが報告された有害効果なくしてヒトに投与されてきた(Nelson AG,Glickman−Weiss E,Day R.The effect of capsaicin on the thermal and metabolic responses of men exposed to 38℃ for 120 minutes.Wilderness Environ Med.2000.11(3):152−156)ので、本明細書中に記載されたタイプのカプサイシノイド−オピオイド相互プロドラッグは際立った治療的利点を供することができる可能性が高い。まず、TRPV1アゴニストの胃推進傾向はオピオイドアゴニストの胃阻害結果を相殺し、それにより、オピオイド鎮痛剤の最もひどい(および用量制限的)副作用の1つを軽減する。第二に、オピオイド鎮痛剤とカプサイシンとの共投与で予測されたように(例えば、米国特許公開20030064122.M Goldberg et al.April 3,2003;米国特許公開20060034872.CJ Woolf.February 16,2006参照)、カプサイシノイド−オピオイドアゴニスト相互プロドラッグは乱用抑制に関する利点を有するであろう。前記したヒドロキシギ酸(または他の)リンカーの化学的または代謝的加水分解は、もしカプサイシン−オピオイドアゴニスト相互プロドラッグが咀嚼または鼻息によって乱用されれば、カプサイシノイドを迅速に放出するはずである。結果において、口腔または洞に放出されたカプサイシノイドの高い刺激は引き続いての乱用を強く抑止するであろう。
【0024】
もう1つの変形において、R1は以下に示すベンラファキシンのような抗鬱剤である。
【0025】
【化10】
もう1つの変形において、R1はアセトアミノフェン、サリチル酸エチル、サリチル酸メチルまたはピロキシカムのような非ステロイド抗炎症剤である。なおもう1つの変形において、R1はケタミンである。
【0026】
TRPV1アゴニストを含有するジェミニダイマーおよび相互プロドラッグもまた乾癬の治療で有用であろう。乾癬の治療のための局所カプサイシンの効率はよく確立されている(例えば、Ellis CN,Berberian B,Sulica VI,Dodd WA,Jarratt MT,Katz HI,Prawer S,Krueger G,Rex IH Jr,Wolf JE.A double−blind evaluation of topical capsaicin in pruritic psoriasis.J Am Acad Dermatol.1993.29(3):438−442参照)。他の局所剤も知られており、乾癬を治療するのに用いられる(Del Rosso Do JQ.Combination topical therapy for the treatment of psoriasis.J Drugs Dermatol.2006.5(3):232−234)。従って、他の局所乾癬療法と組み合わせたカプサイシン、カプサイシノイドまたはTRPV1アゴニストは増強された効率を示すことができる。その例として、カプサイシンおよびカルシポトリエンを含有する相互プロドラッグをここに示す。
【0027】
【化11】
他のコルチコステロイド(乾癬に対し有効)およびアントラリンのようなTRPV1アゴニストおよび他の抗乾癬剤の相互プロドラッグも記載する。
【0028】
これらの化合物を含む処方物も記載される。
【0029】
本明細書中に記載された処方物および方法で用いるTRPV1アゴニストプロドラッグも提供される。1つの変形において、TRPV1アゴニストプロドラッグはプロドラッグ部分の共有結合によって修飾されたTRPV1アゴニストを含み、ここに、プロドラッグ部分は、カプサイシンのTRPV1受容体への効果的な結合を一過的に禁止する。他の変形において、TRPV1アゴニストプロドラッグは、プロドラッグ部分の共有結合によって修飾されたTRPV1アゴニストを含み、ここに、プロドラッグ部分はTRPV1アゴニストの持続放出を容易とする。
【0030】
いくつかの変形において、プロドラッグ部分は、TRPV1アゴニストのフェノール性水素のプロドラッグ部分での置換によってTRPV1アゴニストに結合される。プロドラッグ部分は、例えば、アシルまたはアルコキシであってよい。いくつかの変形において、それはアシルである。なお他の変形においてプロドラッグ部分はm−PEGである。これらのプロドラッグの処方物もまた記載され、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチなどの形態であってよい。すなわち、プロドラッグが局所、非経口および経口使用のために処方することができる。
【0031】
同様に、カプサイシンのジェミニダイマーが本明細書中で記載される。ジェミニダイマーに対するバックグラウンドについては、Hammell DC,Hamad M,Vaddi HK,Crooks PA,Stinchcomb AL.A duplex ”Gemini” prodrug of naltrexone for transdermal delivery.J Control Release.2004.97(2):283−90参照。ジェミニダイマーを含む処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチなどとして処方することができる。
【0032】
TRPV1アゴニストを含有する相互プロドラッグも本明細書中で記載される。(相互プロドラッグの一般的記載については、Otagiri M,Imai T,Fukuhara A.Improving the pharmacokinetic and pharmacodynamic properties of a drug by chemical conversion to a chimera drug.J Control Release.1999.62(1−2):223−229参照)。例えば、カプサイシンおよびl−メントールを含有する相互プロドラッグを本明細書中で記載する。相互プロドラッグを含む処方物は液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチなどとして処方することができる。
【0033】
該化合物、組成物および処方物を用いる種々の医学的疾患または症候群を治療する方法も提供される。一般に、これらの方法は、該化合物または組成物を局所、非経口、経粘膜または経口送達する工程を含む。いくつかの変形において、治療すべき医学的疾患は疼痛であり、これは限定されるものではないが、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、HIV関連神経障害、複合領域的疼痛症候群、癌、神経負傷、癌化学療法、心因性外陰部疼痛症(vulvodynia)、外傷、外科的処置、慢性筋骨格疼痛、下部背中疼痛、変形性関節症または慢性関節リウマチを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
I.TRPV1化合物
脂肪族エステル
本明細書中に記載するのは疼痛および他の医学的疾患を治療するのに有用な化合物、処方および方法である。いくつかの化合物は式:
【0035】
【化12】
[式中、R1は水素、および置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択され、R2は置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される]
を有する。R1およびR2の双方において、該アルキル基が不飽和である場合、各不飽和の結合は、他の不飽和結合から独立して、シスまたはトランス立体配置いずれかであり得る。
【0036】
いくつかの変形において、R1は、具体的には、水素、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、およびイソブチルよりなる群から選択される。なお他の変形において、R1は−(CH2)nCH3であり、nは1ないし19の整数、2ないし5の整数、6ないし10の整数、または11ないし19の整数である。いくつかの変形において、R2は(3E)−2−メチルオクタ−3−エンまたは(3Z)−2−メチルオクタ−3−エン−オクタンである。これらの化合物の処方も記載され、ここに、該処方物は液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチなどである。
【0037】
カプサイシン、カプサイシノイドのプロドラッグ、および他のTRPV1アゴニストのプロドラッグも記載される。1つの変形において、プロドラッグは結合部位の共有結合によって修飾されたTRPV1アゴニストを含み、ここに、プロドラッグ部分はアゴニストによるTRPV1への効果的な結合、またはTRPV1の活性化を一時的に禁止する。他の変形において、プロドラッグはプロドラッグ部分の共有結合によって修飾されたカプサイシン、カプサイシノイド、または他のTRPV1アゴニストを含み、ここに、プロドラッグ部分はカプサイシンの持続放出を容易とする。いくつかの変形において、プロドラッグはオルバミル(Hughes SR,Buckley TL,Brain SD.Olvanil:more potent than capsaicin at stimulating the efferent function of sensory nerves.Eur J Pharmacol.192.219(3):481−484.)のようなカプサイシン、またはカプサイシノイドを含む。他の変形において、プロドラッグはレシノフェラトキシンのようなTRPV1アゴニストを含む。
【0038】
いくつかの変形において、プロドラッグ部分は、TRPV1アゴニストのフェノール性水素のプロドラッグ部分での置換によってTRPV1アゴニストに結合させる。プロドラッグ部分は、例えば、アシルまたはアルコキシであり得る。いくつかの変形において、それはアシルである。他のプロドラッグは以下の式:
【0039】
【化13】
[式中、R1は水素、および置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択され、R2は置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される]
によって記載することができる。R1およびR2の双方において、アルキル基が不飽和である場合、各不飽和結合は、他の不飽和結合とは独立して、シスまたはトランス立体配置いずれかであり得る。
【0040】
TRPV1アゴニストのプロドラッグ部分との共有結合連結はR1およびR2の構造とは独立している。
【0041】
いくつかの変形において、R1はアシルまたはアルコキシである。これらの化合物を含む処方物も記載される。もう1つの変形において、R1はm−PEGである。なおもう1つの変形において、R1はカプサイシンの「ジェミニ」ダイマーをかくして形成する。R2は置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される。R1およびR2の双方において、該アルキル基が不飽和である場合、各不飽和結合は、他の不飽和結合とは独立して、シスまたはトランス立体配置いずれかであり得る。いくつかの変形において、R2は(3E)−2−メチルオクタ−3−エンまたは(3Z)−2−メチルオクタ−3−エンまたはn−オクタンである。これらの分子のいずれも、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチなどを含む種々の医薬上許容される処方に含めることができる。
【0042】
いくつかの変形において、レシニフェラトキシンのフェノール性水素はプロドラッグ部分によって置換される。プロドラッグ部分は、例えば、アシルまたはアルコキシであり得る。いくつかの変形において、それはアシルである。他のプロドラッグは以下の式:
【0043】
【化14】
[式中、R1は置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される]
によって記載することができる。いくつかの変形において、R1はアシルまたはアルコキシである。もう1つの変形において、R1はm−PEGである。なおもう1つの変形においてR1はカプサイシンである。これらの化合物を含む処方も記載される。これらの分子のいずれも、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチなどを含む種々の医薬上許容される処方に含めることができる。
【0044】
親水性エステル
カプサイシン、カプサイシノイド、または他のTRPV1アゴニストのフェノール性ヒドロキシルをポリヒドロキシル化官能基でエステル化して、TRPV1受容体と相互作用するその能力を損なう一方で、有意な水性溶解性を付与することができる。エステル基は短い鎖のアルコールまたはポリオールであってよく、あるいは、別法として、イン・ビボでのカプサイシンの放出を可能とする十分な代謝または加水分解不安定性を備えた長鎖誘導体であってよい。長鎖エステル誘導体の例は、加水分解可能リンカー基の共有結合によって形成することができるカプサイシンのポリエチレングリコールコンジュゲートである。1つのそのような官能性化ポリエチレングリコールは、スクシネート末端PEG、または活性化された末端カルボキシル基を有するPEGである。これらの誘導体は、カプサイシンのフェノール性ヒドロキシルとで活性化されたエステルを形成できる。他の末端カルボキシル化PEG誘導体は、1以上のメチレン基およびグルタレートを含有するPEGの直接的カルボキシメチル化を含む。
【0045】
PEG化カプサイシン、カプサイシノイドまたは他のTRPV1アゴニストはより高い水性溶解性を有し、作用部位への直接的投与によってカプサイシンの局所的組織への制御された送達を供する。PEGコンジュゲートエステルは、投与に際して加水分解し、カプサイシンを作用部位へ直接的に遊離させる。この結果、カプサイシン、カプサイシノイドまたは他のTRPV1アゴニストの、周囲の組織への局所化された送達がもたらされ、潜在的な頚曝露を最小化する。
【0046】
本明細書中に記載された親水性エステルの物理的および化学的特性もまた修飾されて、加水分解の速度、ファルマコキネティックスおよびファルマコダイナミックスを制御することができる。例えば、リポソームによる処方の改良は、ポリエチレングリコール−コンジュゲーテッドカプサイシンで可能であり得る。
【0047】
カプサイシンのPEG化は、受容体部位結合の必要な要素であることが示されているカプサイシンのフェノール性ヒドロキシルを占めることによって、PEG鎖の立体障害のため、TRPV1受容体へのカプサイシンへの結合を低下させることができる。カプサイシンが薬理学的作用を誘導するためには、PEG部位はまず加水分解されて、遊離カプサイシンを放出しなければならない。従って、遊離カプサイシンに伴う刺激および毒性は代謝活性化に先立っておこらない。
【0048】
ジェミニダイマー
カプサイシン、カプサイシノイド、または他のTRPV1アゴニストの基本的組織への送達および投与は、カルボニルブリッジを通じてフェノール性ヒドロキシル基を共有結合により連結することによって新規なプロドラッグへの変換により有意に修飾することができ、R2およびR3の構造とは独立している。以下に示す構造はこのタイプのダイマーを表す:
【0049】
【化15】
[式中、R2およびR3は、独立して、置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される]
R2およびR3双方において、該アルキル基が不飽和である場合、各不飽和結合は、他の不飽和結合とは独立して、シスまたはトランス立体配置いずれかであり得る。いくつかの変形において、R2単独、またはR2およびR3双方は(3E)−2−メチルオクタ−3−エンまたは(3Z)−2−メチルオクタ3−エン−オクタンである。
【0050】
ナルトレキソンのデュプレックスジェミニダイマーはイン・ビトロ実験で迅速な加水分解を示し、モノマーのみを受容体流体に送達する(Hammell DC,Hamad M,Vaddi HK,Crooks PA,Schinchkomb AL.A duplex “Gemini”prodrug of naltrexone for trandermal delivery.J Control Release.2004.97(2):283−90参照)。イン・ビトロ浸透データは、ヒト皮膚への該ダイマーの外的適用が受容体流体中でのナルトレキソンの2倍高いレベルを供したことを示唆した。カプサイシンジェミニダイマーは、2つのカプサイシン分子をホスゲンとフェノール性ヒドロキシルを介して反応させ、カプサイシンのデュプレックスジェミニダイマーを生じさせる同一の合成手法に従って作成された。この分子は、改良された皮膚への取り込みおよび引き続いての遊離カプサイシンを放出させる皮膚中での加水分解も示すことができる。
【0051】
前記したように、TRPV1アゴニストのジェミニダイマーの結果、やはり遅延されたまたは低下された刺激がもたらされ得る。ヒドロキシル基の自由なアクセスがTRPV1結合に必要であるので、そのような化合物は、ダイマー結合が加水分解されるような時までTRPV1受容体において薬理学的に不活性であると予測される。
【0052】
相互プロドラッグ
本発明の1つの他の態様は、l−メントール(またはいずれかの他の活性剤)およびカプサイシン(またはいずれかの他の適当なTRPV1アゴニスト)のような2つの活性剤を同時に送達するデュアルプロドラッグ可能性である。例えば、l−メントールは局所または局所的鎮痛剤として用いられ、TRPM8としても知られた冷受容体の選択的アゴニストである。Jordt SE,McKemy DD,Julius D.Lessons from peppers and peppermint:the molecular logic of thermosensation.Curr Opin Neurobiol.2003.13(4):487−492参照。多くの慢性疼痛症候群において、C線維のTRPV1アゴニストでの、およびAδ―ファイバーのTRPM8アゴニストでの同時活性化は、侵害受容器脱感作のプロセスの間により小さな疼痛を生じさせると予測される。Anand P.Capsaicin and menthol in the treatment of itch and pain:recently cloned receptors provide the key.Gut.2003.5(9):1233−5参照。カプサイシンおよびl−メントールプロドラッグを以下に示す。
【0053】
【化16】
Helicobacter Pylori感染と共に、胃における過剰な酸の分泌、胃粘膜血流、エタノール、喫煙およびストレスの低下、疼痛および炎症を治療するためのCOX阻害剤の過剰な使用は、胃粘膜びらんおよび潰瘍形成の原因と考えられる。また、時々、過剰のカプサイシン消費は、TRPV1アゴニストによって生じる潜在的刺激を考慮すると胃潰瘍を促進しかねないと認められる。事実、潰瘍を持つ患者は、しばしば、カプサイシン消費を制限するかまたは回避するかのいずれかの指示を受ける。しかしながら、近年行われている研究は、カプサイシンが酸分泌を刺激せず、現実には阻害し、アルカリ粘膜分泌を刺激し、胃粘膜血流を刺激することを明らかにした。カプサイシンは、胃における求心性ニューロン、および負傷を引き起こす剤に対する保護のためのシグナルを刺激することによって作用する。疫学的概観は、胃潰瘍は、低い唐辛子消費を報告する集団においてより共通していることを示唆する。これらの因子の全ては、カプサイシンまたは他のTRPV1アゴニストが現実には潰瘍を妨げ治癒するのを助けるはずであるという考えを裏付ける。Satyanarayana MN.Capsaicin and gastric ulsers.Crit Rev Food Sci Nutr.2006.46(4):275−328参照。従って、カプサイシンおよびCOX阻害剤の相互プロドラッグは、COX阻害剤単独よりもより低い速度での胃粘膜びらんを呈することができる。その例として、限定されるものではないが、カプサイシンおよびナプロキセンの相互プロドラッグを以下に示す:
【0054】
【化17】
カプサイシンおよびCOX阻害剤の相互プロドラッグは、特に慢性投与によって低下した胃腸の刺激および損傷を呈することができる。同様な観察が、ヒスタミン受容体アンタゴニストと組み合わせたCOX阻害剤の相互プロドラッグでなされている(Fukuhara A,Imai T,Otagiri M.Streoselective disposition of flurbiprofen from a mutual prodrug with a histamine H2−antagonist to reduce gastrointestinal lesions in the rat.Chirality.1996.8(7):494−502)。
【0055】
加えて、ガバペンチンの局所または局所的投与が疼痛管理で有用であり得る証拠が存在する(Carlton SM,Zhou S.Attenuation of formalin−induced nociceptive behaviors following local peripheral injection of gabapentin.Pain.1998.76(1−2):201−207)。従って、局所的ガバペンチンは米国における多数の調合医薬において利用可能である(例えば、http://www.drugsandthings.com/Pain_Management.html#Shingles%20Formula)。かくして、ガバペンチンまたはプレガバリンとカプサイシン(またはいずれかの他のTRPV1アゴニスト)との組合せは慢性疼痛症候群の治療においてユニークな用途を呈することができる。その例として、限定されるものではないが、カプサイシンおよびガパペンチン相互プロドラッグを以下に示す:
【0056】
【化18】
II.処方物
本明細書中に記載されたTRPV1アゴニストは経口、非経口(筋肉内、腹腔内、静脈内、または皮下注射)、局所(受動的に、またはイオントフォレシスまたはソノフォレシス、エレクトロフォレーションを使用)、経粘膜(例えば、鼻、膣、直腸、または舌下)、肺(例えば、乾燥粉末吸入を介する、または経口投与経路によって、または生体侵食インサートを用いて投与することができ、各投与経路に適した投与形態に処方することができる。
【0057】
局所
前記したTRPV1アゴニストは局所投与で用いることができ、ここに標的化作用部位は真皮および/または表皮で見出される皮膚侵害受容器である。かくして、クリーム、ゲル、パッチまたは軟膏を、局所投与を意図した増粘剤および浸透増強剤を含む医薬賦形剤で調製することができる。組成物は、例えば、TRPV1アゴニストの約0.01ないし約20重量%の範囲とすることができる。本明細書中に記載された処方と共に用いるのに有用であり得る例示的な浸透増強剤は、限定されるものではないが、以下のものを含む:d−ピペルトンおよびオレイン酸;l−メントンおよびオレイン酸;l−メントンおよびオレイン酸エチル;l−メントンおよびベンジルアルコール;エチレングリコールおよびl−メントン;ベンジルアルコールおよびオレイルアルコール;l−メントンおよびセチルアルコール;1,3−ブタンジオールおよびオレイン酸;ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびl−メントン;エチレングリコールおよびオレイン酸;ミリスチン酸イソプロピル;オレイルアルコールおよび1,3−ブタンジオール;l−メントンおよび酪酸イソプロピル;l−メントンおよび1,3−ブタンジオール;n−へキサンおよびオレイン酸;メントンおよびメタノール;メチルノネン酸およびn−へキサン;オレイルアルコールおよびプロプレングリコール;メチルノネノイックアルコールおよびジメチルアセタミド、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、カプリルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エトキシジグキコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサントリオール2−ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、カプリル酸、吉草酸、ヘプタン酸、ペラルゴン酸(pelagonic acid)、カプリン酸、イソ吉草酸、ネオペンタン酸、トリメチルへキサン酸、ネオデカン酸、イソステアリン酸、ネオヘプタン酸、ネオノナン酸、n−デカン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メチル、n−酪酸イソプロピル、吉草酸エチル、プロピオン酸メチル、セバシン酸ジエチル、オレイン酸エチル、n−へキサン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、尿素、ジメチルアセタミド、ジエチルトルアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルオクタミド、ジメチルデカアミド、1−ヘキシル−4−メトキシカルボイル−2−ピロリドン、1−ラウリル−4−カルボキシ−2−ピロリドン、1−メチル−4−カルボキシ−2−ピロリドン、1−アルキル−4−イミダゾリン−2−オン、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1−ラウリル−2−ピロリドン、1−ヘキシル−4−カルボキシ−2−ピロリドン、1−メチル−4−メトキシカルボニル−2−ピロリドン、1−ラウリル−4−メトキシカルボニル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、N−ココアルキルピロリドン、N−ジメチルアミノプロピルピロリドン、N−タロウアルキルピロリドン、N−シクロヘキシルピロリドン、1−ファルネシルアザシクロヘプタン−2−オン、1−ゲラニルゲラニルアザシクロへプタン−2−オン、(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドンの脂肪酸エステル、1−ゲラニルアザシクロヘプタン−2−オン、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン(Azone(登録商標))、1−(3,7−ジメチルオクチル)アザシクロヘプタン−2−オン、1−ゲラニルアザシクロヘキサン−2−オン、1−(3,7,11−トリメチルドデシル)アザシクロヘプタン−2−オン、1−ゲラニルアザシクロペンタン−2,5−ジオン、1−ファルネシルアザシクロペンタン−2−オン、ベンジルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、エタノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン;ヘキサメチレンラウラミドおよびその誘導体、塩化ベンザルコニウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム;塩化セチルピリジニウム、クエン酸、コハク酸、サリチル酸、臭化シリシレートセチルトリメチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム;塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム;塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、スパン20、スパン40、スパン60、スパン80、スパン85、ポロキサマー231、ポロキサマー182、ポロキサマー184、Brij30、Brij35、Brij93、Brij96、スパン99、Myrj45、Myrj51、Myrj52、ミグリオール840、グリコホリック、タウロコリックのナトリウム塩、レシチン、コール酸ナトリウム、デスオキシコール酸、D−リモネン、α−ピネン、β−カレン、α−テルピネオール、テルピネン−4−オール、カルボール、カルボン、プレゴン、ピペリトン、Ylang ylang、メントン、アニス、ケノポジウム、ユーカリ、リモネンオキサイド、α−ピネノキサイド、シクロペンテンオキサイド、1,8−シネオール、シクロヘキセンオキサイド、N−ヘプタン、N−オクタン、N−ノナン、N−デカン、N−ウンデカン、N−ドデカン、N−トリデカン、N−テトラデカン、N−ヘキサデカン、精油(例えば、茶木油)、および前記のいずれかの混合物。
【0058】
軟膏は、典型的には、4つの認められたクラス、すなわち、油性基剤、乳化性基剤、エマルジョン基剤、および水溶性基剤から選択される慣用的な軟膏基剤を含有する。ローションは摩擦なくして皮膚または粘膜表面に適用される製剤であり、典型的には、活性剤を含む固体粒子を水またはアルコール基剤に存在させる液体または半液体製剤である。ローションは、通常は固体の懸濁液であり、好ましくは、本発明の目的では、水中油型の液体エマルジョンを含む。当該分野で知られたクリームは水中油型または油中水型いずれかである粘性液体または半固体エマルジョンである。典型的な処方物はゲルの形態、例えば、半固体、懸濁液タイプの系の形態で、または溶液の形態であってもよい。局所適用のなおもう1つの形態はパッチとすることができる。パッチは、ミクロ貯蔵庫、モノリシック、または液体貯蔵庫のような種々のタイプのものである。これらのタイプの全てのパッチは、有効成分の1つとしての本発明の分子で調製することができる。
【0059】
非経口
カプサイシン、カプサイシノイド、およびほとんどのTRPV1アゴニストは水性溶液に難溶解性である。他の有利な特性に加えて、改良された水性溶解度を付与するために調整されたこれらの分子のプロドラッグがここに記載される。これらの化合物は、静脈内または筋肉内注射を、または疼痛、炎症および/または病気の部位(例えば、関節炎をおこした関節)への直接的設置を意図した適当な水性懸濁液または溶液に処方することができる。処方は、所望により、水、セーライン、または注射用の他の滅菌媒体と共に適当な緩衝液および安定化賦形剤を含むことができる。
【0060】
非経口投与用の本発明による製剤は滅菌水性および非水性の溶液、懸濁液、またはエマルジョンを含む。非水性溶媒またはビークルの例はプロピレングリコールポリエチレングリコール、オリーブ油およびトウモロコシ油のような植物油、ゼラチン、およびオレイン酸エステルのような注射可能な有機エステルである。そのような投与形態は保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のような補助剤を含有してもよい。それらは、例えば、細菌保持フィルターを介する濾過によって、滅菌剤を組成物に一体化させることによって、照射によって、または加熱によって滅菌することができる。
【0061】
パッチ
前記したTRPV1アゴニストはパッチ中に処方してもよい。パッチデザインは、接着剤マトリックス、ミクロ液体貯蔵庫または多層液体貯蔵庫中の薬物を含むことができる。脂肪族プロドラッグは好ましい状態として油形態で存在させることができる。これらの物質は、それらがミクロ貯蔵庫を形成できる場合には、直接的にパッチに処方することができる。他の組成物は接着剤マトリックス中にナノまたはミクロ粒状懸濁液を含むことができる。
【0062】
経口
本明細書中に記載されるカプサイシン、カプサインシノイドおよびTRPV1アゴニスト化合物もまた経口送達することができ、経口処方は腸溶コーティングを含むことができる。親油性または親水性親油性バランス(「HLB」)のような物理化学的特性の変化は、組織取り込みを最適化し、それにより、誘導体化形態の生物学的利用性を改良するように仕立てることができる。
【0063】
経口投与用の固体投与形態はカプセル、錠剤、丸剤、粉末および顆粒を含む。そのような固体投与形態においては、活性化合物は、典型的には、スクロース、ラクトースまたは澱粉のような少なくとも1つの不活性な医薬上許容される担体と混合される。そのような投与形態は、通常のプラクティスのように、不活性な希釈剤以外のさらなる物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤を含むことができる。カプセル、錠剤、および丸剤の場合には、投与形態は緩衝剤を含むこともできる。前記したように、錠剤および丸剤は、加えて、腸溶コーティングで調製することができる。
【0064】
経口投与用の液体投与形態は、所望により、水のような当該分野で通常使用される不活性な希釈剤を含有するエリキシルと共に、医薬上許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップを含む。そのような不活性な希釈剤に加えて、本明細書中に記載された液体投与形態は湿潤剤、乳化および懸濁化剤、および甘味、フレーバーおよび香料剤のような補助剤を含むこともできる。
【0065】
粘膜
経口生物学的利用性と同様に、粘膜投与方法は、膀胱点滴注入または経口粘膜炎のような投与のための改良された性能を示すことができる。これらの処方はクリーム、ゲル、軟膏または油/水エマルジョンを含むことができる。直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは、活性物質に加えて、カカオバターまたは坐薬ワックスのような賦形剤を含有することができる坐薬である。鼻または舌下投与用の組成物もまた当該分野で良く知られた標準的な賦形剤で調製することもできる。
【0066】
III.使用の方法
疼痛および他の医学的疾患を治療する方法も記載される。一般に、これらの方法は、既に記載された化合物およびプロドラッグ(すなわち、TRPV1アゴニスト)を皮膚、経皮、局所または全身送達して、種々の医学的疾患または病気のうちの1つを治療する工程を含む。いくつかの変形において、望まない疾患は疼痛である。例えば、疼痛は、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、HIV関連神経障害、複合領域的疼痛症候群、癌、神経障害、癌化学療法、心因性外陰部疼痛症(vulvodynia)、外傷、外科的処置、慢性筋肉骨格疼痛、下部背中疼痛、変形性関節症または慢性関節リウマチに関連し得る。他の変形において、治療すべき疾患は、限定されるものでないが、乾癬、かゆみ、掻痒、癌、前立腺肥大、皴、静脈洞炎、鼻炎、脱毛症または男性型多毛症を含む。
【0067】
本発明の組成物中の有効成分の用量は、用いる投与形態に依存して変化させることができる。しかしながら、全ての場合において、有効成分の量は、適当な投与形態が得られるようなものとすべきである。選択される用量は所望の治療効果、投与の経路、および所望の治療の期間に依存する。一般に、毎日の0.001ないし30mg/kg体重の間の用量レベルを哺乳動物に投与する。
【0068】
以下の実施例は説明目的ためだけのものであり、特許請求の範囲を限定する意図ではない。
【0069】
IV.実施例
実施例1:(ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の合成
(ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の調製:
【0070】
【化19】
ギ酸(0.53mL、13.8ミリモル;Aldrich)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸(EDCI)(2.26g、11.8ミリモル;BACHEM)を、続いてDMAP(180mg;Aldrich)を無水ジクロロメタン(20mL;Aldrich)中のカプサイシン(1.2g、3.93ミリモル;Torcan Chemical LTD)の溶液に加えた。反応混合物を窒素下で4時間撹拌し、より多くのジクロロメタン(Fisher Scientific)で希釈し、ブライン(Fisher Scientific)で洗浄し、MgSO4(Spectrum)で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(Sorbent)に付した。カラムをヘキサン(Fisher Scientific)中の30%酢酸エチル(Fisher Scientific)で溶出させた。1.3gの生成物が透明な油として得られたが、この生成物のNMRは、カプサイシンの約5ないし6%が存在することを示した。従って、この生成物を前記反応条件に再度付した。引き続いて、1.05gのギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルを80.2%収率にて透明な油として得た。1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と合致した(図1、2および3参照)。生成物のマススペクトル分析は所望の構造と合致した(図4参照)。生成物のHPLC分析は96.7%(AUC)純度を示した(図5参照)。生成物の元素分析(図6)は、少量の水が恐らくは生成物に吸収されたことを示す。C19H27NO4として 計算値:C、68.44;H、8.16;N、4.20 実測値C、67.93;H、8.21;N、4.20
【0071】
【化20】
実施例2:(酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の合成
(酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の調製
【0072】
【化21】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。これに、酸塩化物(1.5当量;Aldrich)、続いてトリエチルアミン(2当量;Aldeich)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、さらに1時間で室温まで暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄し、続いて希塩酸(Fisher Scientific)、ブライン、飽和NaHCO3水溶液(Aldrich)、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中30%酢酸エチル)に付した。
【0073】
クロマトグラフィーの後、1.0gの生成物が白色固体として得られた。得られた生成物をさらにヘキサンでトリチュレート(triturate)して、0.94gの酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルを86.0%収率にて白色固体として得た。1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と合致した(図7および8)。生成物のマススペクトル分析は所望の構造と合致した(図9)。生成物のHPLC分析は98.0%(AUC)純度を示した(図10)。生成物の元素分析(図11)もまた所望の構造と合致した:C20H29NO4として 計算値C、69.14;H、8.41;N、4.03 実測値:C、69.06;H、8.39;N、4.06
実施例3:(プロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の合成
(プロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の調製:
【0074】
【化22】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。酸塩化物(1.5当量:Aldrich)、続いてトリエチルアミン(2当量;Aldrich)をこの溶液に加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、室温までさらに1時間で暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄し、続いて、希塩酸(Fisher Scientific)、ブライン、飽和NaHCO3水溶液(Aldrich)、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中30%酢酸エチル)に付した。
【0075】
クロマトグラフィーの後、1.09gのプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルが94.0%収率にて淡黄色油として得られた。1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と合致した(図12および13)。生成物のマススペクトル分析は所望の構造と合致した(図14)。生成物のHPLC分析は99.6%(AUC)純度を示した(図15)。生成物の元素分析(図16)は所望の構造とやはり合致した:C21H31NO4として 計算値:C、69.78;H、8.64;N、3.87 実測値:C、69.56;H、8.74;N、3.92。
【0076】
実施例4:(ブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の合成
(ブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の調製
【0077】
【化23】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。これに、酸塩化物(1.5当量;Aldrich)、続いてトリエチルアミン(2当量;Aldrich)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、さらに1時間で室温まで暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄し、続いて希塩酸(Fisher Scientific)、ブライン、飽和NaHCO3水溶液(Aldrich)、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中30%酢酸エチル)に付した。
【0078】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。これに酸塩化物(1.5当量)、続いてトリエチルアミン(2当量)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、さらに1時間で室温まで暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブライン、続いて、希塩酸、ブライン、飽和NaHCO3水溶液、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中30%酢酸エチル)に付した。
【0079】
クロマトグラフィーの後、1.18gのブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルが96.0%収率にて白色固体として得られた。1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と合致した(図17および18)。生成物のマススペクトル分析は所望の構造と合致した(図19)。生成物のHPLC分析は98.9%(AUC)純度を示した(図20)。生成物の元素分析(図21)は所望の構造とやはり合致した:C22H33NO4として 計算値:C、70.37;H、8.86;N、3.73 実測値:C、70.29;H、8.90;N、3.75。
【0080】
実施例5:(2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニル)の合成
(2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニル)の調製:
【0081】
【化24】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。これに酸塩化物(1.5当量:Aldrich)、続いてトリエチルアミン(2当量:Aldrich)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、さらに1時間で室温まで暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄し、続いて、希塩酸(Fisher Scientific)、ブライン、飽和NaHCO3水溶液(Aldrich)、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中30%酢酸エチル)に付した。
【0082】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。これに酸塩化物(1.5当量)、続いてトリエチルアミン(2当量)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、さらに1時間で室温まで暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブライン、続いて希塩酸、ブライン、飽和NaHCO3水溶液、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中の30%酢酸エチル)に付した。
【0083】
クロマトグラフィーの後、1.18gの2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニルが92.5%収率にて透明な油として得られた。1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と合致した(図22および23)。生成物のマススペクトル分析は所望の構造と合致した(図24)。生成物のHPLC分析は99.6%(AUC)純度を示した(図25)。生成物の元素分析(図26)は所望の構造にやはり合致した:C23H35NO4として 計算値:C、70.92;H、9.06;N、3.60 実測値:C、70.63;H、9.22;N、3.65。
【0084】
実施例6:(オクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニル)の合成
(オクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニル)の調製:
【0085】
【化25】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。酸塩化物(1.5当量;Aldrich)、続いてトリエチルアミン(2当量;Aldrich)をこの溶液に加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、さらに1時間で室温まで暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブライン、続いて希塩酸(Fisher Scientific)、ブライン、飽和NaHCO3水溶液(Aldrich)、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中30%酢酸エチル)に付した。
【0086】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。これに酸塩化物(1.5当量)、続いてトリエチルアミン(2当量)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、室温までさらに1時間で暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブライン、続いて希塩酸、ブライン、飽和NaHCO3水溶液、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、および濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中30%酢酸エチル)に付した。
【0087】
クロマトグラフィーの後、1.27gのオクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニルが97.0%の収率にて白色固体として得られた。1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と合致した(図27および28)。生成物のマススペクトル分析は所望の構造と合致した(図29)。生成物のHPLC分析は100.0%(AUC)純度を示した(図30)。生成物の元素分析(図31)は所望の構造とやはり合致した:C36H61NO4として 計算値:C、75.61;H、10.75;N、2.45 実測値:C、75.60;H、10.79;N、2.44。
【0088】
実施例7:モノPEG化カプサイシンのようなマクロ分子コンジュゲートの合成
カプサイシンまたはカプサイシノイドのポリエチレングリコール加水分解性エステルコンジュゲートは、芳香族ヒドロキシル基と適当な活性化されたポリエチレングリコール誘導体との反応によって調製することができる。1つのそのような例は以下に示すようなmPEGスクシンアミドのカプサイシンでのエステル化である。
【0089】
【化26】
10mLの無水ジクロロメタン中のカプサイシン(160mg、0.5ミリモル)およびポリ(エチレングリコール)(n)モノメチルエーテルモノ(スクシンイミジルスクシネート)エステル(平均MW=1900、1.0g、0.5ミリモル)の溶液に雰囲気温度にてトリエチルアミン(100mg、1ミリモル)を加えた。反応混合物を雰囲気温度にて6時間撹拌した。反応混合物のTLC分析は反応の未完了を示した(TLC条件:DCM中10%メタノール)。148mgのジイソプロピルエーテルアミン(1.1ミリモル)を反応混合物に加えた。反応混合物を雰囲気温度にて一晩撹拌した。反応混合物のTLC分析は反応の進行を示さなかった。反応混合物をDCMで希釈し、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をメチルtert−ブチルエーテルでトリチュレートして、未反応のカプサイシンを除去した。濾過からの収集された白色固体を少量のDCMに溶解させ、シリカゲルカラムに負荷した。カラムをDCM中の5ないし10%メタノールで溶出した。(TLCによって示された単一のスポットとしての)純粋な生成物を含む画分を合わせ、濃縮乾固して、395mgのPEG化カプサイシン(40%収率)を白色固体として得た。いくらかの不純物と共に主成分としての生成物を含有するより多くの画分があった。得られたPEG化カプサイシンの1H−NMRは所望の構造と合致した(図37参照)。
【0090】
ポリエチレングリコール誘導体は、種々の鎖の長さおよび分散物にてNektar Transforming Therapeutics,San Carlos,CAから入手可能である。
【0091】
実施例8:{4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェノキシ}ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル(カプサイシンのジェミニダイマー)の合成
カルボネート連結カプサイシン分子の合成は以下のように行うことができる。
【0092】
【化27】
無水ジクロロメタン(20mL)中のカプサイシン(1.0g、3.3ミリモル)の溶液を氷浴によって0℃まで冷却した。これに、クロロギ酸トリクロロメチル(162mg、0.82ミリモル)を0℃で加え、続いて、トリエチルアミン(1.98g、19.6ミリモル)を滴下した。滴下の後、反応混合物を窒素下で0℃にて1時間撹拌し、次いで、さらに2時間で雰囲気温度まで暖めた。反応混合物をジクロロメタン(DCM)で希釈し、5%K2CO3水溶液、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中の40%−80%酢酸エチル)を介して精製して、0.9gのカプサイシンのジェミニダイマー(86.5%収率)を白色固体として得た。得られたカプサイシンのジェミニダイマーの1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と一致した(図32、33参照)。
【0093】
実施例9:{4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチルオキシフェニルギ酸(1S、2S、5R)−5−メチル−2−(メチルエチル)シクロヘキシル(カプサイシンのl−メントール相互プロドラッグ)の合成
【0094】
【化28】
無水ジクロロメタン(10mL)中のカプサイシン(0.7g、2.3ミリモル)およびクロロギ酸(−)−メンチル(0.5g、2.3ミリモル)の溶液に雰囲気温度にてトリエチルアミン(0.45g、4.5ミリモル)を滴下した。滴下の後、反応混合物を雰囲気温度にて2時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(DCM)で希釈し、5%K2CO3水溶液、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中の30%ないし50%酢酸エチル)を介して精製して、0.98gのカプサイシンのl−メントール相互プロドラッグ(87%収率)を透明な粘性油として得た。得られたカプサイシンのl−メントール相互プロドラッグの1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と一致した(図34、35参照)。生成物のマススペクトル分析は所望の構造と一致した(図36)。
V.分析
添付の図面は、本明細書中に記載された種々の化合物の種々の1H−NMRおよび13C−NMRスペクトル、マススペクトル、HPLC分析、および元素分析を示す。
【0095】
HPLC方法:AltimaC18、5ミクロン、250×4.6mmカラム。移動相A:0.1% TFAを含有する水。移動相B:アストニトリル中の0.1% TFA。注入容量:20μL。試料濃度:10mLのアセトニトリル中5mg。液速:1ml/分。HPLCカラムを雰囲気温度で用いた。
【0096】
1H−NMRおよび13C−NMR分析:1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルは500MHz FT−NMRスペクトロメーター(Varian Instruments Anova)を用いて得られた。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの1H−NMRを供する。
【図2】図2は、ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの13C−NMRを供する。
【図3】図3は、ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの13C−NMRを供する(拡大図)。
【図4】図4は、ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのマススペクトルである。
【図5】図5は、ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのHPLC分析である。
【図6】図6は、ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの元素分析を供する。
【図7】図7は、酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの1H−NMRを供する。
【図8】図8は、酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの13C−NMRを供する。
【図9】図9は、酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのマススペクトルである。
【図10】図10は、酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのHPLC分析である。
【図11】図11は、酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの元素分析を供する。
【図12】図12は、プロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの1H−NMRを供する。
【図13】図13は、プロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル13C−NMRを供する。
【図14】図14は、プロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのマススペクトルである。
【図15】図15は、プロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのHPLC分析である。
【図16】図16は、プロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの元素分析を供する。
【図17】図17は、ブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの1H−NMRを供する。
【図18】図18は、ブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの13C−NMRを供する。
【図19】図19は、ブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのマススペクトルである。
【図20】図20は、ブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのHPLC分析である。
【図21】図21は、ブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの元素分析を供する。
【図22】図22は、2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの1H−NMRを供する。
【図23】図23は、2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの13C−NMRを供する。
【図24】図24は、2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのマススペクトルである。
【図25】図25は、2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのHPLC分析である。
【図26】図26は、2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの元素分析を供する。
【図27】図27は、オクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの1H−NMRを供する。
【図28】図28は、オクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの13C−NMRを供する。
【図29】図29は、オクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのマススペクトルである。
【図30】図30は、オクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのHPLC分析を供する。
【図31】図31は、オクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの元素分析である。
【図32】図32は、{4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェノキシ}ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの1H−NMRを供する。
【図33】図33は、{4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェノキシ}ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの13C−NMRを供する。
【図34】図34は、{4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニル}ギ酸(1S,2S,5R)−5−メチル−2−(メチルエチル)シクロヘキシルの1H−NMRを供する。
【図35】図35は、{4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニル}ギ酸(1S,2S,5R)−5−メチル−2−(メチルエチル)シクロヘキシルの13C−NMRを供する。
【図36】図36は、{4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニル}ギ酸(1S,2S,5R)−5−メチル−2−(メチルエチル)シクロヘキシルのマススペクトルである。
【図37】図37は、2−[(2−メトキシエトキシ)]nエチルブタン−1,4−ジオン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニルの1H−NMRを供する。
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2005年4月25日に出願された、米国仮特許出願第60/675,027号に対する優先権を主張する。米国仮特許出願第60/675,027号は、その全体が参考として援用される。
【0002】
(分野)
本明細書中に記載される化合物および方法はカプサイシノイドおよびそれらの関連エステル(例えば、脂肪族エステル、親水性エステル等)、ジェミニダイマー(gemini dimer)、およびプロドラッグ(例えば、PEG化プロドラッグ、リンカー部位を含むまたは含まない相互プロドラッグ等)、およびそれらの合成および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
カプサイシンは唐辛子中の刺激性成分である。それは一過性受容体の潜在的バニロイド1受容体(TRPV1;以前はバニロイド受容体1(VR1)として知られていた)、小さな直径の感覚ニューロン上に優先的に発現されるリガンド−ゲーテッド非選択的カチオンチャネル、特に、痛みまたは有害な感覚の検出において特殊化されたC繊維に対する高度に選択的なアゴニストである。TRPV1はカプサイシン、熱および細胞外酸性化を含む有害な刺激に応答し、これらの刺激に対する同時暴露を統合するであろう(Caterina MJ,Julius D.The vanilloid receptor: a molecular gateway to the pain pathway. Annu Rev Neurosci. 2001.24:487−517参照)。TRPV1発現(カプサイシン感受性)侵害受容器の活性化の初期効果は燃えるような感覚、痛覚過敏、異なる胃痛症および紅斑である。しかしながら、低濃度のカプサイシンに対する延長された暴露または高濃度のカプサイシンまたは他のTRPV1アゴニストに対する単一の暴露の後に、小さな直径の感覚軸索はカプサイシンまたは熱刺激を含む種々の刺激に対して感受性が低くなる。この延長された暴露もまた低下した痛み応答によって特徴付けられる。カプサイシンのこの後期の効果は、しばしば、「除感作」と言われ、種々の疼痛症候群および他の疾患の治療のためのカプサイシン処方の開発のための原理である。(非特許文献1参照)。
【0004】
カプサイシン、カプサイシノイドおよびTRPV1アゴニストは複数の病気の軽減で有用であろう。例えば、それらを用いて神経障害的疼痛(糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、HIV/AIDS、外傷負傷、複合領域的疼痛症候群、三叉神経痛、先端紅痛症および幻想四肢痛を含む),混合侵害受容および/または神経障害混合病因(例えば、癌)によって生じる疼痛、変形性関節症、線維筋痛症、下部背中疼痛、炎症性痛覚過敏、陰前庭炎または心因性外陰部疼痛症(vulvodynia)、嚢胞性間隙性洞ポリープ、神経発生または過剰活性膀胱、前立腺過形成、鼻炎、外科的処置、外傷、直腸過敏、口腔内しゃく熱症候群、口腔粘膜炎、ヘルペス(または他のウィルス感染)、前立腺肥大、皮膚炎、かゆみ、掻痒、耳鳴り、乾癬、いぼ、癌(特に皮膚癌)、頭痛、および皴を治療することができる。
【0005】
多数の送達デバイスおよび処方が利用可能であって、カプサイシンを送達するために開発されている。しかしながら、これらのデバイスおよび処方の多くに伴う問題の1つは、カプサイシンまたは他のTRPV1アゴニストの投与に伴う同時疼痛(薬物の刺激によるしゃく熱感)である。加えて、これらの処方およびデバイスの多くは延長されたまたは維持された送達に適しない。
【0006】
従って、TRPV1アゴニストの投与に伴う低下した刺激の能力を有する改良された送達デバイスおよび処方を提供するのが望ましいであろう。加えて、改良された皮膚ファルマコキネティックス、および意図された作用部位に対する延長されたまたは維持された送達能力を有する改良された送達デバイスおよび処方を提供するのが望ましいであろう。最後に、いくつかの場合には、カプサイシン、カプサイシノイド、またはTRPV1アゴニストと共にもう1つの薬理学的に活性な化合物を送達するのが望ましいであろう。
【非特許文献1】Bley KR.Recent developments in transient receptor potential vanilloid receptor 1 agonist−based therapies. Expert Opin Investig Drugs.2004.13(11):1445−1456
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
カプサイシン、そのアナログおよび他のTRPV1アゴニストの固有の刺激を最小化し、または排除する1つの方法は、その構造的誘導体が身体に送達された後に、および/またはそれがその作用部位に到達した後に、親薬物が放出されるように親分子の化学構造を修飾することである。親薬物の化学的放出キネティックスは2つの重要な特性、すなわち、(a)低下したおよび/または遅延された刺激および(b)薬理学的活性の延長された期間の延長されたおよびゆっくりとした放出を付与することができる。そのような構造的修飾は、処方または送達デバイスについての特殊な要件に対する信頼性を排除して、TRPV1アゴニストの投与に伴う急性刺激を低下させる。しかしながら、そのような処方および送達デバイスの技術を用いて、同様に薬物送達および/または患者の心地よさの特徴をさらに改良することができる。
【0008】
かくして、本明細書中に記載されたカプサイシン、カプサイシノイドまたは他のTRPV1アゴニスト化合物を化学的に修飾して、カプサイシン、カプサイシノイド、または他のTRPV1アゴニストが酵素的および/または加水分解変換を通じて生体利用可能となる速度を制御する。加えて、カプサイシン、カプサイシノイド、または他のTRPV1アゴニストの刺激および/または効率は、加水分解の特定の速度および/またはTRPV1上のアゴニスト結合部位への制限されたアクセスおよび/またはもし化合物が受容体に結合するとした場合のTRPV1を活性化する能力いずれかを呈することができる誘導体の選択によって制御することができる。例えば、エステルまたは他の加水分解可能なリンカー基は、投与に際して、酵素および/または水が結合の加水分解を誘導して、親薬物(あてはまる場合には、カプサイシン、カプサイシノイドまたは他のTRPV1アゴニスト)を放出できるように、カプサイシン、カプサイシノイド、または構造的に同様なTRPV1アゴニストのフェノール位置に共有結合させることができる。リンカー基は、酵素系および/または単純な水性加水分解に対して感受性である単純なエステルまたはより複雑な官能基によって構成することができる。エステルプロドラッグでは、刺激は治療相を実質的に超えて遅延させることができ、または救済投薬または治療前局所麻酔剤を必要としないレベルまで低下させることができよう。
【0009】
カプサイシンまたは他のバニロイドのプロドラッグを含有する処方物は、親薬物と同様な必要な有利な治療効果を生じつつ、よく許容されるはずである。加えて、修飾されたカプサイシノイドの物理化学的特性は、減少した水素結合、および水に対する脂質への増大した分配によって皮膚取り込みを改良することができる。同様な改良は、他のプロドラッグの皮膚適用のために記載されている。Sloan,K.B.1992.Topical and Ocular Drug Delivery,Marcel Dekker,New York参照。
【0010】
いくつかの薬物のプロドラッグ、および健康製品は市販されており、または臨床的調査に付されている。その例はナルトレキソン、ケトプロフェン、エステルC、エステルEおよびプロプラノロールを含む。これらの製品で記載された利点は改良された許容性、増大した生物学的利用性、および効率を含む。カプサイシンのプロドラッグは、同一の改良された特徴の多くを呈することができる。カプサイシン分子の芳香族環上の4−位におけるフェノール性ヒドロキシル基は化学的修飾に対する高度に接近可能標的であり、物理化学的および薬理化学的増強に導く。例えば、標的化された薬物送達および薬理学的応答を支配するいくつかの属性は:(1)受容体部位結合、(2)ミクロファルマコキネティックス(細胞または組織区画内への局所化)、(3)作用部位または他の組織での滞留時間、(4)代謝および腎臓クリアランス速度、および(5)用量応答である。
【0011】
本明細書中に記載されたカプサイシン、カプサイシノイドまたは他のTRPV1アゴニストでは、活性剤はプロドラッグの生体内変換に続いて作用部位へ送達されるか、あるいはそれが作用部位に到達した後に生体内変換が起こるか、あるいはそれがこれら2つの生体内変換のパターンの組合せである。かくして、本明細書中に記載されたカプサイシン、カプサイシノイド、または他のTRPV1アゴニストは経時的にゆっくりと送達されて、カプサイシンまたは他のカプサイシノイドおよびTRPV1アゴニストへの迅速な暴露に伴う刺激のバーストを和らげることができる。プロドラッグ誘導体は、それが(例えば、結合部位への制限された接近性のため)TRPV1受容体に結合しないように、および/または結合が有意なTRPV1活性化を誘導しないように合成することができる。TRPV1への結合のための構造的な要件は評価されている(Walpole CS,Bevan S,Bloomfield G,Breckenridge R,James IF,Ritchie T,Szallasi A,Winter J, Wrigglesworth R.Similarities and differences in the structure−activity relationships of capsaicin and resiniferatoxin analogues.J Med Chem.1996.39(15):2939−2952参照)。TRPV1リガンドの芳香族部分において、慎重な構造的変化は、TRPV1結合および結果としての受容体作動を維持するための4−ヒドロキシおよび3―メトキシ基の近接の必要性を示した。(単純なアルキル化を含む)遊離ヒドロキシルの置換の結果、減少した結合がもたらされた。我々が本明細書中に記載する変形のいくつかにおいて、我々は、意図して、4−ヒドロキシ位置を不安定なエステルまたは他の加水分解可能な基で誘導体化して、TRPV1結合をブロックし、それにより、直後の刺激応答を和らげる。これらの変形において、誘導体のリンカー基は加水分解されて、そのリンカーの固有のかつ特異的性質によって支配される制御方法で遊離カプサイシンを放出する。カプサイシンまたはカプサイシノイドの受容体部位結合の開始の修飾時間に加えて、実質的により多くの薬物を、より長い期間にわたって遅延および持続放出のために投与することができる。そのような放出プロフィールは、化学的修飾を通じて親薬物の物理化学的特性を変化させることなく仕立てるのは困難であろう。
【0012】
このアプローチでは、刺激および同時神経発生炎症は管理可能なはずである。すなわち、本明細書中に記載された化合物の結果、そこでは、実質的な治療関連疼痛はもたらされない。同様に、刺激は遅延されるかまたは低下され、あるいは低いまたは無視できる強度での長い期間にわたることさえできよう。加えて、本明細書中に記載された化合物および処方物の使用は、TRPV1アゴニストが投与されつつある場合、局所麻酔予備処理に対する必要性を緩和できる。同様に記載された化合物および処方物の使用は、治療関連疼痛を制御するための強い救済投薬に対する必要性を緩和または低下させることができる。
【0013】
従って、本明細書中に記載するのはカプサイシノイド化合物およびそれらの合成および使用方法である。いくつかの変形において、該化合物は以下の式:
【0014】
【化5】
[式中、Rは水素、および置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC2−C20アルキルよりなる群から選択される]
を有する。いくつかの変形において、Rは水素、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、およびイソブチルよりなる群から具体的には選択される。なお他の変形において、Rは―(CH2)nCH3であり、nは1ないし19の整数、2ないし5の整数、6ないし10の整数または11ないし19の整数である。これらの化合物の処方物もまた記載されており、ここに、該処方は液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチなどである。
【0015】
式:
【0016】
【化6】
[式中、R1は水素、および置換された置換されていない、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択され、R2は置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される]
を有する他の化合物が記載される。R1およびR2の双方において、アルキル基が不飽和である場合、各不飽和の結合は、他の不飽和の結合の立体配置から独立して、シスまたはトランス立体配置いずれかを有することができる。
【0017】
同様に、式:
【0018】
【化7】
[式中、R1はそれ自体活性剤である]
を有する他の化合物が記載される。いくつかの変形において、R1はガバペンチンまたはプレガバリンなどのようなカルシウムチャネルモジュレーター/抗痙攣剤である。いくつかの他の変形において、プロドラッグ部分R1は、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、サルチル酸、アセチルサルチル酸、ジルフルニザール、フェノプロフェン、エトドラッグ、インドメタシン、メフェナミン酸、ナプロキセンン、スリンダックなどのような鎮痛剤/抗炎症剤である。R2は置換された置換されていない、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される。R2が不飽和のアルキル基である場合、各不飽和結合は、他の不飽和結合とは独立してシスまたはトランス立体配置いずれかであり得る。いくつかの変形において、R2は(3E)−2−メチルオクタ−3−エンまたは(3Z)−2−メチルオクタ−3−エンまたはN−オクタンである。
【0019】
同様に、該化合物は以下の式:
【0020】
【化8】
[式中、R1はプロドラッグ部分であり、ヒドロキシギ酸のようなリンカーを通じてカプサイシンに結合した活性剤である]
を有することができる。1つの変形において、R1はナルブフィン、ペンタゾシン、ブトルファノール、デゾシン、ブペルノルフィン(bupernorphine)、ナルトレキソン、レボルファノール、モルフィン、シクロールファン、レバロルファン、シラゾシン、ナロキソン、ナルメフェンン、ナロルフィン、オキシロルファン、フェナゾシン、ロペラミド、コデイン、ヒドロモルフォン、エポモルフィン、ノルモルフィン、エトルフィンおよびトラマドールのようなオピオイド受容体アゴニストまたはアンタゴニストである。R2は置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される。R2が不飽和のアルキル基である場合、各不飽和の結合は、他の不飽和の結合とは独立してシスまたはトランス立体配置いずれかであり得る。
【0021】
いくつかの変形において、R2は(3E)−2−メチルオクタ−3−エンまたは(3Z)−2−メチルオクタ−3−エンまたはn−オクタンである。
【0022】
いくつかの変形において、プロドラッグ部分はオピオイドである。これは、雰囲気温度にて過剰のトリエチルアミンを滴下しつつ、0℃にて、無水ジクロロメタン中で等モル量のTRPV1アゴニストおよびオピオイドをクロロギ酸トリクロロメチルと反応させることによって調製することができる。モル比率を変化させて、最終生成物のより高い収率および/または精製を容易とすることができる。モルホリンと接合されたカプサイシンの構造を例として以下に示すが、限定されるものではない。他のオピオイドは同様に連結することができる。
【0023】
【化9】
カプサイシンは胃を空にするのを増強させるか(Debreceni A,Abdel−Salam OM,Figler M,Juricskay I,Szolcsanyi J,Mozsik G.Capsaicin increases gastric emptying rate in healthy human subjects measured by 13C−labeled octanoic acid breath test.J Physiol Paris.1999.93(5):455−460)、または全腸通過を増大させる(Gonzalez R,Dunkel R,Koletzko B,Schusdziarra V,Allescher HD.Gonzalez R,Dunkel R,Koletzko B,Schusdziarra V,Allescher HD.Effect of capsaicin−containing red pepper sauce suspension on upper gastrointestinal motility in healthy voluteers.Dig Dis Sci.1998.43(6):1165−1171)のいずれか行うと報告されている。これらの効果は、胃の通過時間を減少させ、便秘を引き起こすオピオイドアゴニスト薬物の広く認識された傾向とは反対である。2mg/kgまでのカプサイシンの経口用量レベルが報告された有害効果なくしてヒトに投与されてきた(Nelson AG,Glickman−Weiss E,Day R.The effect of capsaicin on the thermal and metabolic responses of men exposed to 38℃ for 120 minutes.Wilderness Environ Med.2000.11(3):152−156)ので、本明細書中に記載されたタイプのカプサイシノイド−オピオイド相互プロドラッグは際立った治療的利点を供することができる可能性が高い。まず、TRPV1アゴニストの胃推進傾向はオピオイドアゴニストの胃阻害結果を相殺し、それにより、オピオイド鎮痛剤の最もひどい(および用量制限的)副作用の1つを軽減する。第二に、オピオイド鎮痛剤とカプサイシンとの共投与で予測されたように(例えば、米国特許公開20030064122.M Goldberg et al.April 3,2003;米国特許公開20060034872.CJ Woolf.February 16,2006参照)、カプサイシノイド−オピオイドアゴニスト相互プロドラッグは乱用抑制に関する利点を有するであろう。前記したヒドロキシギ酸(または他の)リンカーの化学的または代謝的加水分解は、もしカプサイシン−オピオイドアゴニスト相互プロドラッグが咀嚼または鼻息によって乱用されれば、カプサイシノイドを迅速に放出するはずである。結果において、口腔または洞に放出されたカプサイシノイドの高い刺激は引き続いての乱用を強く抑止するであろう。
【0024】
もう1つの変形において、R1は以下に示すベンラファキシンのような抗鬱剤である。
【0025】
【化10】
もう1つの変形において、R1はアセトアミノフェン、サリチル酸エチル、サリチル酸メチルまたはピロキシカムのような非ステロイド抗炎症剤である。なおもう1つの変形において、R1はケタミンである。
【0026】
TRPV1アゴニストを含有するジェミニダイマーおよび相互プロドラッグもまた乾癬の治療で有用であろう。乾癬の治療のための局所カプサイシンの効率はよく確立されている(例えば、Ellis CN,Berberian B,Sulica VI,Dodd WA,Jarratt MT,Katz HI,Prawer S,Krueger G,Rex IH Jr,Wolf JE.A double−blind evaluation of topical capsaicin in pruritic psoriasis.J Am Acad Dermatol.1993.29(3):438−442参照)。他の局所剤も知られており、乾癬を治療するのに用いられる(Del Rosso Do JQ.Combination topical therapy for the treatment of psoriasis.J Drugs Dermatol.2006.5(3):232−234)。従って、他の局所乾癬療法と組み合わせたカプサイシン、カプサイシノイドまたはTRPV1アゴニストは増強された効率を示すことができる。その例として、カプサイシンおよびカルシポトリエンを含有する相互プロドラッグをここに示す。
【0027】
【化11】
他のコルチコステロイド(乾癬に対し有効)およびアントラリンのようなTRPV1アゴニストおよび他の抗乾癬剤の相互プロドラッグも記載する。
【0028】
これらの化合物を含む処方物も記載される。
【0029】
本明細書中に記載された処方物および方法で用いるTRPV1アゴニストプロドラッグも提供される。1つの変形において、TRPV1アゴニストプロドラッグはプロドラッグ部分の共有結合によって修飾されたTRPV1アゴニストを含み、ここに、プロドラッグ部分は、カプサイシンのTRPV1受容体への効果的な結合を一過的に禁止する。他の変形において、TRPV1アゴニストプロドラッグは、プロドラッグ部分の共有結合によって修飾されたTRPV1アゴニストを含み、ここに、プロドラッグ部分はTRPV1アゴニストの持続放出を容易とする。
【0030】
いくつかの変形において、プロドラッグ部分は、TRPV1アゴニストのフェノール性水素のプロドラッグ部分での置換によってTRPV1アゴニストに結合される。プロドラッグ部分は、例えば、アシルまたはアルコキシであってよい。いくつかの変形において、それはアシルである。なお他の変形においてプロドラッグ部分はm−PEGである。これらのプロドラッグの処方物もまた記載され、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチなどの形態であってよい。すなわち、プロドラッグが局所、非経口および経口使用のために処方することができる。
【0031】
同様に、カプサイシンのジェミニダイマーが本明細書中で記載される。ジェミニダイマーに対するバックグラウンドについては、Hammell DC,Hamad M,Vaddi HK,Crooks PA,Stinchcomb AL.A duplex ”Gemini” prodrug of naltrexone for transdermal delivery.J Control Release.2004.97(2):283−90参照。ジェミニダイマーを含む処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチなどとして処方することができる。
【0032】
TRPV1アゴニストを含有する相互プロドラッグも本明細書中で記載される。(相互プロドラッグの一般的記載については、Otagiri M,Imai T,Fukuhara A.Improving the pharmacokinetic and pharmacodynamic properties of a drug by chemical conversion to a chimera drug.J Control Release.1999.62(1−2):223−229参照)。例えば、カプサイシンおよびl−メントールを含有する相互プロドラッグを本明細書中で記載する。相互プロドラッグを含む処方物は液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチなどとして処方することができる。
【0033】
該化合物、組成物および処方物を用いる種々の医学的疾患または症候群を治療する方法も提供される。一般に、これらの方法は、該化合物または組成物を局所、非経口、経粘膜または経口送達する工程を含む。いくつかの変形において、治療すべき医学的疾患は疼痛であり、これは限定されるものではないが、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、HIV関連神経障害、複合領域的疼痛症候群、癌、神経負傷、癌化学療法、心因性外陰部疼痛症(vulvodynia)、外傷、外科的処置、慢性筋骨格疼痛、下部背中疼痛、変形性関節症または慢性関節リウマチを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
I.TRPV1化合物
脂肪族エステル
本明細書中に記載するのは疼痛および他の医学的疾患を治療するのに有用な化合物、処方および方法である。いくつかの化合物は式:
【0035】
【化12】
[式中、R1は水素、および置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択され、R2は置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される]
を有する。R1およびR2の双方において、該アルキル基が不飽和である場合、各不飽和の結合は、他の不飽和結合から独立して、シスまたはトランス立体配置いずれかであり得る。
【0036】
いくつかの変形において、R1は、具体的には、水素、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、およびイソブチルよりなる群から選択される。なお他の変形において、R1は−(CH2)nCH3であり、nは1ないし19の整数、2ないし5の整数、6ないし10の整数、または11ないし19の整数である。いくつかの変形において、R2は(3E)−2−メチルオクタ−3−エンまたは(3Z)−2−メチルオクタ−3−エン−オクタンである。これらの化合物の処方も記載され、ここに、該処方物は液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチなどである。
【0037】
カプサイシン、カプサイシノイドのプロドラッグ、および他のTRPV1アゴニストのプロドラッグも記載される。1つの変形において、プロドラッグは結合部位の共有結合によって修飾されたTRPV1アゴニストを含み、ここに、プロドラッグ部分はアゴニストによるTRPV1への効果的な結合、またはTRPV1の活性化を一時的に禁止する。他の変形において、プロドラッグはプロドラッグ部分の共有結合によって修飾されたカプサイシン、カプサイシノイド、または他のTRPV1アゴニストを含み、ここに、プロドラッグ部分はカプサイシンの持続放出を容易とする。いくつかの変形において、プロドラッグはオルバミル(Hughes SR,Buckley TL,Brain SD.Olvanil:more potent than capsaicin at stimulating the efferent function of sensory nerves.Eur J Pharmacol.192.219(3):481−484.)のようなカプサイシン、またはカプサイシノイドを含む。他の変形において、プロドラッグはレシノフェラトキシンのようなTRPV1アゴニストを含む。
【0038】
いくつかの変形において、プロドラッグ部分は、TRPV1アゴニストのフェノール性水素のプロドラッグ部分での置換によってTRPV1アゴニストに結合させる。プロドラッグ部分は、例えば、アシルまたはアルコキシであり得る。いくつかの変形において、それはアシルである。他のプロドラッグは以下の式:
【0039】
【化13】
[式中、R1は水素、および置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択され、R2は置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される]
によって記載することができる。R1およびR2の双方において、アルキル基が不飽和である場合、各不飽和結合は、他の不飽和結合とは独立して、シスまたはトランス立体配置いずれかであり得る。
【0040】
TRPV1アゴニストのプロドラッグ部分との共有結合連結はR1およびR2の構造とは独立している。
【0041】
いくつかの変形において、R1はアシルまたはアルコキシである。これらの化合物を含む処方物も記載される。もう1つの変形において、R1はm−PEGである。なおもう1つの変形において、R1はカプサイシンの「ジェミニ」ダイマーをかくして形成する。R2は置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される。R1およびR2の双方において、該アルキル基が不飽和である場合、各不飽和結合は、他の不飽和結合とは独立して、シスまたはトランス立体配置いずれかであり得る。いくつかの変形において、R2は(3E)−2−メチルオクタ−3−エンまたは(3Z)−2−メチルオクタ−3−エンまたはn−オクタンである。これらの分子のいずれも、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチなどを含む種々の医薬上許容される処方に含めることができる。
【0042】
いくつかの変形において、レシニフェラトキシンのフェノール性水素はプロドラッグ部分によって置換される。プロドラッグ部分は、例えば、アシルまたはアルコキシであり得る。いくつかの変形において、それはアシルである。他のプロドラッグは以下の式:
【0043】
【化14】
[式中、R1は置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される]
によって記載することができる。いくつかの変形において、R1はアシルまたはアルコキシである。もう1つの変形において、R1はm−PEGである。なおもう1つの変形においてR1はカプサイシンである。これらの化合物を含む処方も記載される。これらの分子のいずれも、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョン、パッチなどを含む種々の医薬上許容される処方に含めることができる。
【0044】
親水性エステル
カプサイシン、カプサイシノイド、または他のTRPV1アゴニストのフェノール性ヒドロキシルをポリヒドロキシル化官能基でエステル化して、TRPV1受容体と相互作用するその能力を損なう一方で、有意な水性溶解性を付与することができる。エステル基は短い鎖のアルコールまたはポリオールであってよく、あるいは、別法として、イン・ビボでのカプサイシンの放出を可能とする十分な代謝または加水分解不安定性を備えた長鎖誘導体であってよい。長鎖エステル誘導体の例は、加水分解可能リンカー基の共有結合によって形成することができるカプサイシンのポリエチレングリコールコンジュゲートである。1つのそのような官能性化ポリエチレングリコールは、スクシネート末端PEG、または活性化された末端カルボキシル基を有するPEGである。これらの誘導体は、カプサイシンのフェノール性ヒドロキシルとで活性化されたエステルを形成できる。他の末端カルボキシル化PEG誘導体は、1以上のメチレン基およびグルタレートを含有するPEGの直接的カルボキシメチル化を含む。
【0045】
PEG化カプサイシン、カプサイシノイドまたは他のTRPV1アゴニストはより高い水性溶解性を有し、作用部位への直接的投与によってカプサイシンの局所的組織への制御された送達を供する。PEGコンジュゲートエステルは、投与に際して加水分解し、カプサイシンを作用部位へ直接的に遊離させる。この結果、カプサイシン、カプサイシノイドまたは他のTRPV1アゴニストの、周囲の組織への局所化された送達がもたらされ、潜在的な頚曝露を最小化する。
【0046】
本明細書中に記載された親水性エステルの物理的および化学的特性もまた修飾されて、加水分解の速度、ファルマコキネティックスおよびファルマコダイナミックスを制御することができる。例えば、リポソームによる処方の改良は、ポリエチレングリコール−コンジュゲーテッドカプサイシンで可能であり得る。
【0047】
カプサイシンのPEG化は、受容体部位結合の必要な要素であることが示されているカプサイシンのフェノール性ヒドロキシルを占めることによって、PEG鎖の立体障害のため、TRPV1受容体へのカプサイシンへの結合を低下させることができる。カプサイシンが薬理学的作用を誘導するためには、PEG部位はまず加水分解されて、遊離カプサイシンを放出しなければならない。従って、遊離カプサイシンに伴う刺激および毒性は代謝活性化に先立っておこらない。
【0048】
ジェミニダイマー
カプサイシン、カプサイシノイド、または他のTRPV1アゴニストの基本的組織への送達および投与は、カルボニルブリッジを通じてフェノール性ヒドロキシル基を共有結合により連結することによって新規なプロドラッグへの変換により有意に修飾することができ、R2およびR3の構造とは独立している。以下に示す構造はこのタイプのダイマーを表す:
【0049】
【化15】
[式中、R2およびR3は、独立して、置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される]
R2およびR3双方において、該アルキル基が不飽和である場合、各不飽和結合は、他の不飽和結合とは独立して、シスまたはトランス立体配置いずれかであり得る。いくつかの変形において、R2単独、またはR2およびR3双方は(3E)−2−メチルオクタ−3−エンまたは(3Z)−2−メチルオクタ3−エン−オクタンである。
【0050】
ナルトレキソンのデュプレックスジェミニダイマーはイン・ビトロ実験で迅速な加水分解を示し、モノマーのみを受容体流体に送達する(Hammell DC,Hamad M,Vaddi HK,Crooks PA,Schinchkomb AL.A duplex “Gemini”prodrug of naltrexone for trandermal delivery.J Control Release.2004.97(2):283−90参照)。イン・ビトロ浸透データは、ヒト皮膚への該ダイマーの外的適用が受容体流体中でのナルトレキソンの2倍高いレベルを供したことを示唆した。カプサイシンジェミニダイマーは、2つのカプサイシン分子をホスゲンとフェノール性ヒドロキシルを介して反応させ、カプサイシンのデュプレックスジェミニダイマーを生じさせる同一の合成手法に従って作成された。この分子は、改良された皮膚への取り込みおよび引き続いての遊離カプサイシンを放出させる皮膚中での加水分解も示すことができる。
【0051】
前記したように、TRPV1アゴニストのジェミニダイマーの結果、やはり遅延されたまたは低下された刺激がもたらされ得る。ヒドロキシル基の自由なアクセスがTRPV1結合に必要であるので、そのような化合物は、ダイマー結合が加水分解されるような時までTRPV1受容体において薬理学的に不活性であると予測される。
【0052】
相互プロドラッグ
本発明の1つの他の態様は、l−メントール(またはいずれかの他の活性剤)およびカプサイシン(またはいずれかの他の適当なTRPV1アゴニスト)のような2つの活性剤を同時に送達するデュアルプロドラッグ可能性である。例えば、l−メントールは局所または局所的鎮痛剤として用いられ、TRPM8としても知られた冷受容体の選択的アゴニストである。Jordt SE,McKemy DD,Julius D.Lessons from peppers and peppermint:the molecular logic of thermosensation.Curr Opin Neurobiol.2003.13(4):487−492参照。多くの慢性疼痛症候群において、C線維のTRPV1アゴニストでの、およびAδ―ファイバーのTRPM8アゴニストでの同時活性化は、侵害受容器脱感作のプロセスの間により小さな疼痛を生じさせると予測される。Anand P.Capsaicin and menthol in the treatment of itch and pain:recently cloned receptors provide the key.Gut.2003.5(9):1233−5参照。カプサイシンおよびl−メントールプロドラッグを以下に示す。
【0053】
【化16】
Helicobacter Pylori感染と共に、胃における過剰な酸の分泌、胃粘膜血流、エタノール、喫煙およびストレスの低下、疼痛および炎症を治療するためのCOX阻害剤の過剰な使用は、胃粘膜びらんおよび潰瘍形成の原因と考えられる。また、時々、過剰のカプサイシン消費は、TRPV1アゴニストによって生じる潜在的刺激を考慮すると胃潰瘍を促進しかねないと認められる。事実、潰瘍を持つ患者は、しばしば、カプサイシン消費を制限するかまたは回避するかのいずれかの指示を受ける。しかしながら、近年行われている研究は、カプサイシンが酸分泌を刺激せず、現実には阻害し、アルカリ粘膜分泌を刺激し、胃粘膜血流を刺激することを明らかにした。カプサイシンは、胃における求心性ニューロン、および負傷を引き起こす剤に対する保護のためのシグナルを刺激することによって作用する。疫学的概観は、胃潰瘍は、低い唐辛子消費を報告する集団においてより共通していることを示唆する。これらの因子の全ては、カプサイシンまたは他のTRPV1アゴニストが現実には潰瘍を妨げ治癒するのを助けるはずであるという考えを裏付ける。Satyanarayana MN.Capsaicin and gastric ulsers.Crit Rev Food Sci Nutr.2006.46(4):275−328参照。従って、カプサイシンおよびCOX阻害剤の相互プロドラッグは、COX阻害剤単独よりもより低い速度での胃粘膜びらんを呈することができる。その例として、限定されるものではないが、カプサイシンおよびナプロキセンの相互プロドラッグを以下に示す:
【0054】
【化17】
カプサイシンおよびCOX阻害剤の相互プロドラッグは、特に慢性投与によって低下した胃腸の刺激および損傷を呈することができる。同様な観察が、ヒスタミン受容体アンタゴニストと組み合わせたCOX阻害剤の相互プロドラッグでなされている(Fukuhara A,Imai T,Otagiri M.Streoselective disposition of flurbiprofen from a mutual prodrug with a histamine H2−antagonist to reduce gastrointestinal lesions in the rat.Chirality.1996.8(7):494−502)。
【0055】
加えて、ガバペンチンの局所または局所的投与が疼痛管理で有用であり得る証拠が存在する(Carlton SM,Zhou S.Attenuation of formalin−induced nociceptive behaviors following local peripheral injection of gabapentin.Pain.1998.76(1−2):201−207)。従って、局所的ガバペンチンは米国における多数の調合医薬において利用可能である(例えば、http://www.drugsandthings.com/Pain_Management.html#Shingles%20Formula)。かくして、ガバペンチンまたはプレガバリンとカプサイシン(またはいずれかの他のTRPV1アゴニスト)との組合せは慢性疼痛症候群の治療においてユニークな用途を呈することができる。その例として、限定されるものではないが、カプサイシンおよびガパペンチン相互プロドラッグを以下に示す:
【0056】
【化18】
II.処方物
本明細書中に記載されたTRPV1アゴニストは経口、非経口(筋肉内、腹腔内、静脈内、または皮下注射)、局所(受動的に、またはイオントフォレシスまたはソノフォレシス、エレクトロフォレーションを使用)、経粘膜(例えば、鼻、膣、直腸、または舌下)、肺(例えば、乾燥粉末吸入を介する、または経口投与経路によって、または生体侵食インサートを用いて投与することができ、各投与経路に適した投与形態に処方することができる。
【0057】
局所
前記したTRPV1アゴニストは局所投与で用いることができ、ここに標的化作用部位は真皮および/または表皮で見出される皮膚侵害受容器である。かくして、クリーム、ゲル、パッチまたは軟膏を、局所投与を意図した増粘剤および浸透増強剤を含む医薬賦形剤で調製することができる。組成物は、例えば、TRPV1アゴニストの約0.01ないし約20重量%の範囲とすることができる。本明細書中に記載された処方と共に用いるのに有用であり得る例示的な浸透増強剤は、限定されるものではないが、以下のものを含む:d−ピペルトンおよびオレイン酸;l−メントンおよびオレイン酸;l−メントンおよびオレイン酸エチル;l−メントンおよびベンジルアルコール;エチレングリコールおよびl−メントン;ベンジルアルコールおよびオレイルアルコール;l−メントンおよびセチルアルコール;1,3−ブタンジオールおよびオレイン酸;ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびl−メントン;エチレングリコールおよびオレイン酸;ミリスチン酸イソプロピル;オレイルアルコールおよび1,3−ブタンジオール;l−メントンおよび酪酸イソプロピル;l−メントンおよび1,3−ブタンジオール;n−へキサンおよびオレイン酸;メントンおよびメタノール;メチルノネン酸およびn−へキサン;オレイルアルコールおよびプロプレングリコール;メチルノネノイックアルコールおよびジメチルアセタミド、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、カプリルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エトキシジグキコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサントリオール2−ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、カプリル酸、吉草酸、ヘプタン酸、ペラルゴン酸(pelagonic acid)、カプリン酸、イソ吉草酸、ネオペンタン酸、トリメチルへキサン酸、ネオデカン酸、イソステアリン酸、ネオヘプタン酸、ネオノナン酸、n−デカン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メチル、n−酪酸イソプロピル、吉草酸エチル、プロピオン酸メチル、セバシン酸ジエチル、オレイン酸エチル、n−へキサン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、尿素、ジメチルアセタミド、ジエチルトルアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルオクタミド、ジメチルデカアミド、1−ヘキシル−4−メトキシカルボイル−2−ピロリドン、1−ラウリル−4−カルボキシ−2−ピロリドン、1−メチル−4−カルボキシ−2−ピロリドン、1−アルキル−4−イミダゾリン−2−オン、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1−ラウリル−2−ピロリドン、1−ヘキシル−4−カルボキシ−2−ピロリドン、1−メチル−4−メトキシカルボニル−2−ピロリドン、1−ラウリル−4−メトキシカルボニル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、N−ココアルキルピロリドン、N−ジメチルアミノプロピルピロリドン、N−タロウアルキルピロリドン、N−シクロヘキシルピロリドン、1−ファルネシルアザシクロヘプタン−2−オン、1−ゲラニルゲラニルアザシクロへプタン−2−オン、(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドンの脂肪酸エステル、1−ゲラニルアザシクロヘプタン−2−オン、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン(Azone(登録商標))、1−(3,7−ジメチルオクチル)アザシクロヘプタン−2−オン、1−ゲラニルアザシクロヘキサン−2−オン、1−(3,7,11−トリメチルドデシル)アザシクロヘプタン−2−オン、1−ゲラニルアザシクロペンタン−2,5−ジオン、1−ファルネシルアザシクロペンタン−2−オン、ベンジルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、エタノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン;ヘキサメチレンラウラミドおよびその誘導体、塩化ベンザルコニウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム;塩化セチルピリジニウム、クエン酸、コハク酸、サリチル酸、臭化シリシレートセチルトリメチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム;塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム;塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、スパン20、スパン40、スパン60、スパン80、スパン85、ポロキサマー231、ポロキサマー182、ポロキサマー184、Brij30、Brij35、Brij93、Brij96、スパン99、Myrj45、Myrj51、Myrj52、ミグリオール840、グリコホリック、タウロコリックのナトリウム塩、レシチン、コール酸ナトリウム、デスオキシコール酸、D−リモネン、α−ピネン、β−カレン、α−テルピネオール、テルピネン−4−オール、カルボール、カルボン、プレゴン、ピペリトン、Ylang ylang、メントン、アニス、ケノポジウム、ユーカリ、リモネンオキサイド、α−ピネノキサイド、シクロペンテンオキサイド、1,8−シネオール、シクロヘキセンオキサイド、N−ヘプタン、N−オクタン、N−ノナン、N−デカン、N−ウンデカン、N−ドデカン、N−トリデカン、N−テトラデカン、N−ヘキサデカン、精油(例えば、茶木油)、および前記のいずれかの混合物。
【0058】
軟膏は、典型的には、4つの認められたクラス、すなわち、油性基剤、乳化性基剤、エマルジョン基剤、および水溶性基剤から選択される慣用的な軟膏基剤を含有する。ローションは摩擦なくして皮膚または粘膜表面に適用される製剤であり、典型的には、活性剤を含む固体粒子を水またはアルコール基剤に存在させる液体または半液体製剤である。ローションは、通常は固体の懸濁液であり、好ましくは、本発明の目的では、水中油型の液体エマルジョンを含む。当該分野で知られたクリームは水中油型または油中水型いずれかである粘性液体または半固体エマルジョンである。典型的な処方物はゲルの形態、例えば、半固体、懸濁液タイプの系の形態で、または溶液の形態であってもよい。局所適用のなおもう1つの形態はパッチとすることができる。パッチは、ミクロ貯蔵庫、モノリシック、または液体貯蔵庫のような種々のタイプのものである。これらのタイプの全てのパッチは、有効成分の1つとしての本発明の分子で調製することができる。
【0059】
非経口
カプサイシン、カプサイシノイド、およびほとんどのTRPV1アゴニストは水性溶液に難溶解性である。他の有利な特性に加えて、改良された水性溶解度を付与するために調整されたこれらの分子のプロドラッグがここに記載される。これらの化合物は、静脈内または筋肉内注射を、または疼痛、炎症および/または病気の部位(例えば、関節炎をおこした関節)への直接的設置を意図した適当な水性懸濁液または溶液に処方することができる。処方は、所望により、水、セーライン、または注射用の他の滅菌媒体と共に適当な緩衝液および安定化賦形剤を含むことができる。
【0060】
非経口投与用の本発明による製剤は滅菌水性および非水性の溶液、懸濁液、またはエマルジョンを含む。非水性溶媒またはビークルの例はプロピレングリコールポリエチレングリコール、オリーブ油およびトウモロコシ油のような植物油、ゼラチン、およびオレイン酸エステルのような注射可能な有機エステルである。そのような投与形態は保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のような補助剤を含有してもよい。それらは、例えば、細菌保持フィルターを介する濾過によって、滅菌剤を組成物に一体化させることによって、照射によって、または加熱によって滅菌することができる。
【0061】
パッチ
前記したTRPV1アゴニストはパッチ中に処方してもよい。パッチデザインは、接着剤マトリックス、ミクロ液体貯蔵庫または多層液体貯蔵庫中の薬物を含むことができる。脂肪族プロドラッグは好ましい状態として油形態で存在させることができる。これらの物質は、それらがミクロ貯蔵庫を形成できる場合には、直接的にパッチに処方することができる。他の組成物は接着剤マトリックス中にナノまたはミクロ粒状懸濁液を含むことができる。
【0062】
経口
本明細書中に記載されるカプサイシン、カプサインシノイドおよびTRPV1アゴニスト化合物もまた経口送達することができ、経口処方は腸溶コーティングを含むことができる。親油性または親水性親油性バランス(「HLB」)のような物理化学的特性の変化は、組織取り込みを最適化し、それにより、誘導体化形態の生物学的利用性を改良するように仕立てることができる。
【0063】
経口投与用の固体投与形態はカプセル、錠剤、丸剤、粉末および顆粒を含む。そのような固体投与形態においては、活性化合物は、典型的には、スクロース、ラクトースまたは澱粉のような少なくとも1つの不活性な医薬上許容される担体と混合される。そのような投与形態は、通常のプラクティスのように、不活性な希釈剤以外のさらなる物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤を含むことができる。カプセル、錠剤、および丸剤の場合には、投与形態は緩衝剤を含むこともできる。前記したように、錠剤および丸剤は、加えて、腸溶コーティングで調製することができる。
【0064】
経口投与用の液体投与形態は、所望により、水のような当該分野で通常使用される不活性な希釈剤を含有するエリキシルと共に、医薬上許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップを含む。そのような不活性な希釈剤に加えて、本明細書中に記載された液体投与形態は湿潤剤、乳化および懸濁化剤、および甘味、フレーバーおよび香料剤のような補助剤を含むこともできる。
【0065】
粘膜
経口生物学的利用性と同様に、粘膜投与方法は、膀胱点滴注入または経口粘膜炎のような投与のための改良された性能を示すことができる。これらの処方はクリーム、ゲル、軟膏または油/水エマルジョンを含むことができる。直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは、活性物質に加えて、カカオバターまたは坐薬ワックスのような賦形剤を含有することができる坐薬である。鼻または舌下投与用の組成物もまた当該分野で良く知られた標準的な賦形剤で調製することもできる。
【0066】
III.使用の方法
疼痛および他の医学的疾患を治療する方法も記載される。一般に、これらの方法は、既に記載された化合物およびプロドラッグ(すなわち、TRPV1アゴニスト)を皮膚、経皮、局所または全身送達して、種々の医学的疾患または病気のうちの1つを治療する工程を含む。いくつかの変形において、望まない疾患は疼痛である。例えば、疼痛は、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、HIV関連神経障害、複合領域的疼痛症候群、癌、神経障害、癌化学療法、心因性外陰部疼痛症(vulvodynia)、外傷、外科的処置、慢性筋肉骨格疼痛、下部背中疼痛、変形性関節症または慢性関節リウマチに関連し得る。他の変形において、治療すべき疾患は、限定されるものでないが、乾癬、かゆみ、掻痒、癌、前立腺肥大、皴、静脈洞炎、鼻炎、脱毛症または男性型多毛症を含む。
【0067】
本発明の組成物中の有効成分の用量は、用いる投与形態に依存して変化させることができる。しかしながら、全ての場合において、有効成分の量は、適当な投与形態が得られるようなものとすべきである。選択される用量は所望の治療効果、投与の経路、および所望の治療の期間に依存する。一般に、毎日の0.001ないし30mg/kg体重の間の用量レベルを哺乳動物に投与する。
【0068】
以下の実施例は説明目的ためだけのものであり、特許請求の範囲を限定する意図ではない。
【0069】
IV.実施例
実施例1:(ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の合成
(ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の調製:
【0070】
【化19】
ギ酸(0.53mL、13.8ミリモル;Aldrich)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸(EDCI)(2.26g、11.8ミリモル;BACHEM)を、続いてDMAP(180mg;Aldrich)を無水ジクロロメタン(20mL;Aldrich)中のカプサイシン(1.2g、3.93ミリモル;Torcan Chemical LTD)の溶液に加えた。反応混合物を窒素下で4時間撹拌し、より多くのジクロロメタン(Fisher Scientific)で希釈し、ブライン(Fisher Scientific)で洗浄し、MgSO4(Spectrum)で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(Sorbent)に付した。カラムをヘキサン(Fisher Scientific)中の30%酢酸エチル(Fisher Scientific)で溶出させた。1.3gの生成物が透明な油として得られたが、この生成物のNMRは、カプサイシンの約5ないし6%が存在することを示した。従って、この生成物を前記反応条件に再度付した。引き続いて、1.05gのギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルを80.2%収率にて透明な油として得た。1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と合致した(図1、2および3参照)。生成物のマススペクトル分析は所望の構造と合致した(図4参照)。生成物のHPLC分析は96.7%(AUC)純度を示した(図5参照)。生成物の元素分析(図6)は、少量の水が恐らくは生成物に吸収されたことを示す。C19H27NO4として 計算値:C、68.44;H、8.16;N、4.20 実測値C、67.93;H、8.21;N、4.20
【0071】
【化20】
実施例2:(酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の合成
(酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の調製
【0072】
【化21】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。これに、酸塩化物(1.5当量;Aldrich)、続いてトリエチルアミン(2当量;Aldeich)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、さらに1時間で室温まで暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄し、続いて希塩酸(Fisher Scientific)、ブライン、飽和NaHCO3水溶液(Aldrich)、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中30%酢酸エチル)に付した。
【0073】
クロマトグラフィーの後、1.0gの生成物が白色固体として得られた。得られた生成物をさらにヘキサンでトリチュレート(triturate)して、0.94gの酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルを86.0%収率にて白色固体として得た。1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と合致した(図7および8)。生成物のマススペクトル分析は所望の構造と合致した(図9)。生成物のHPLC分析は98.0%(AUC)純度を示した(図10)。生成物の元素分析(図11)もまた所望の構造と合致した:C20H29NO4として 計算値C、69.14;H、8.41;N、4.03 実測値:C、69.06;H、8.39;N、4.06
実施例3:(プロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の合成
(プロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の調製:
【0074】
【化22】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。酸塩化物(1.5当量:Aldrich)、続いてトリエチルアミン(2当量;Aldrich)をこの溶液に加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、室温までさらに1時間で暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄し、続いて、希塩酸(Fisher Scientific)、ブライン、飽和NaHCO3水溶液(Aldrich)、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中30%酢酸エチル)に付した。
【0075】
クロマトグラフィーの後、1.09gのプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルが94.0%収率にて淡黄色油として得られた。1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と合致した(図12および13)。生成物のマススペクトル分析は所望の構造と合致した(図14)。生成物のHPLC分析は99.6%(AUC)純度を示した(図15)。生成物の元素分析(図16)は所望の構造とやはり合致した:C21H31NO4として 計算値:C、69.78;H、8.64;N、3.87 実測値:C、69.56;H、8.74;N、3.92。
【0076】
実施例4:(ブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の合成
(ブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル)の調製
【0077】
【化23】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。これに、酸塩化物(1.5当量;Aldrich)、続いてトリエチルアミン(2当量;Aldrich)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、さらに1時間で室温まで暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄し、続いて希塩酸(Fisher Scientific)、ブライン、飽和NaHCO3水溶液(Aldrich)、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中30%酢酸エチル)に付した。
【0078】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。これに酸塩化物(1.5当量)、続いてトリエチルアミン(2当量)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、さらに1時間で室温まで暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブライン、続いて、希塩酸、ブライン、飽和NaHCO3水溶液、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中30%酢酸エチル)に付した。
【0079】
クロマトグラフィーの後、1.18gのブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルが96.0%収率にて白色固体として得られた。1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と合致した(図17および18)。生成物のマススペクトル分析は所望の構造と合致した(図19)。生成物のHPLC分析は98.9%(AUC)純度を示した(図20)。生成物の元素分析(図21)は所望の構造とやはり合致した:C22H33NO4として 計算値:C、70.37;H、8.86;N、3.73 実測値:C、70.29;H、8.90;N、3.75。
【0080】
実施例5:(2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニル)の合成
(2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニル)の調製:
【0081】
【化24】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。これに酸塩化物(1.5当量:Aldrich)、続いてトリエチルアミン(2当量:Aldrich)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、さらに1時間で室温まで暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄し、続いて、希塩酸(Fisher Scientific)、ブライン、飽和NaHCO3水溶液(Aldrich)、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中30%酢酸エチル)に付した。
【0082】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。これに酸塩化物(1.5当量)、続いてトリエチルアミン(2当量)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、さらに1時間で室温まで暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブライン、続いて希塩酸、ブライン、飽和NaHCO3水溶液、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中の30%酢酸エチル)に付した。
【0083】
クロマトグラフィーの後、1.18gの2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニルが92.5%収率にて透明な油として得られた。1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と合致した(図22および23)。生成物のマススペクトル分析は所望の構造と合致した(図24)。生成物のHPLC分析は99.6%(AUC)純度を示した(図25)。生成物の元素分析(図26)は所望の構造にやはり合致した:C23H35NO4として 計算値:C、70.92;H、9.06;N、3.60 実測値:C、70.63;H、9.22;N、3.65。
【0084】
実施例6:(オクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニル)の合成
(オクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニル)の調製:
【0085】
【化25】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。酸塩化物(1.5当量;Aldrich)、続いてトリエチルアミン(2当量;Aldrich)をこの溶液に加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、さらに1時間で室温まで暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブライン、続いて希塩酸(Fisher Scientific)、ブライン、飽和NaHCO3水溶液(Aldrich)、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中30%酢酸エチル)に付した。
【0086】
15mLのジクロロメタン中のカプサイシン(1当量)の溶液を氷浴によって冷却した。これに酸塩化物(1.5当量)、続いてトリエチルアミン(2当量)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、室温までさらに1時間で暖めた。反応混合物をより多くのジクロロメタンで希釈し、ブライン、続いて希塩酸、ブライン、飽和NaHCO3水溶液、およびブラインで順次洗浄し、MgSO4で乾燥し、および濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中30%酢酸エチル)に付した。
【0087】
クロマトグラフィーの後、1.27gのオクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニルが97.0%の収率にて白色固体として得られた。1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と合致した(図27および28)。生成物のマススペクトル分析は所望の構造と合致した(図29)。生成物のHPLC分析は100.0%(AUC)純度を示した(図30)。生成物の元素分析(図31)は所望の構造とやはり合致した:C36H61NO4として 計算値:C、75.61;H、10.75;N、2.45 実測値:C、75.60;H、10.79;N、2.44。
【0088】
実施例7:モノPEG化カプサイシンのようなマクロ分子コンジュゲートの合成
カプサイシンまたはカプサイシノイドのポリエチレングリコール加水分解性エステルコンジュゲートは、芳香族ヒドロキシル基と適当な活性化されたポリエチレングリコール誘導体との反応によって調製することができる。1つのそのような例は以下に示すようなmPEGスクシンアミドのカプサイシンでのエステル化である。
【0089】
【化26】
10mLの無水ジクロロメタン中のカプサイシン(160mg、0.5ミリモル)およびポリ(エチレングリコール)(n)モノメチルエーテルモノ(スクシンイミジルスクシネート)エステル(平均MW=1900、1.0g、0.5ミリモル)の溶液に雰囲気温度にてトリエチルアミン(100mg、1ミリモル)を加えた。反応混合物を雰囲気温度にて6時間撹拌した。反応混合物のTLC分析は反応の未完了を示した(TLC条件:DCM中10%メタノール)。148mgのジイソプロピルエーテルアミン(1.1ミリモル)を反応混合物に加えた。反応混合物を雰囲気温度にて一晩撹拌した。反応混合物のTLC分析は反応の進行を示さなかった。反応混合物をDCMで希釈し、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をメチルtert−ブチルエーテルでトリチュレートして、未反応のカプサイシンを除去した。濾過からの収集された白色固体を少量のDCMに溶解させ、シリカゲルカラムに負荷した。カラムをDCM中の5ないし10%メタノールで溶出した。(TLCによって示された単一のスポットとしての)純粋な生成物を含む画分を合わせ、濃縮乾固して、395mgのPEG化カプサイシン(40%収率)を白色固体として得た。いくらかの不純物と共に主成分としての生成物を含有するより多くの画分があった。得られたPEG化カプサイシンの1H−NMRは所望の構造と合致した(図37参照)。
【0090】
ポリエチレングリコール誘導体は、種々の鎖の長さおよび分散物にてNektar Transforming Therapeutics,San Carlos,CAから入手可能である。
【0091】
実施例8:{4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェノキシ}ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル(カプサイシンのジェミニダイマー)の合成
カルボネート連結カプサイシン分子の合成は以下のように行うことができる。
【0092】
【化27】
無水ジクロロメタン(20mL)中のカプサイシン(1.0g、3.3ミリモル)の溶液を氷浴によって0℃まで冷却した。これに、クロロギ酸トリクロロメチル(162mg、0.82ミリモル)を0℃で加え、続いて、トリエチルアミン(1.98g、19.6ミリモル)を滴下した。滴下の後、反応混合物を窒素下で0℃にて1時間撹拌し、次いで、さらに2時間で雰囲気温度まで暖めた。反応混合物をジクロロメタン(DCM)で希釈し、5%K2CO3水溶液、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中の40%−80%酢酸エチル)を介して精製して、0.9gのカプサイシンのジェミニダイマー(86.5%収率)を白色固体として得た。得られたカプサイシンのジェミニダイマーの1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と一致した(図32、33参照)。
【0093】
実施例9:{4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチルオキシフェニルギ酸(1S、2S、5R)−5−メチル−2−(メチルエチル)シクロヘキシル(カプサイシンのl−メントール相互プロドラッグ)の合成
【0094】
【化28】
無水ジクロロメタン(10mL)中のカプサイシン(0.7g、2.3ミリモル)およびクロロギ酸(−)−メンチル(0.5g、2.3ミリモル)の溶液に雰囲気温度にてトリエチルアミン(0.45g、4.5ミリモル)を滴下した。滴下の後、反応混合物を雰囲気温度にて2時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(DCM)で希釈し、5%K2CO3水溶液、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮乾固した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてヘキサン中の30%ないし50%酢酸エチル)を介して精製して、0.98gのカプサイシンのl−メントール相互プロドラッグ(87%収率)を透明な粘性油として得た。得られたカプサイシンのl−メントール相互プロドラッグの1H−NMRおよび13C−NMRは所望の構造と一致した(図34、35参照)。生成物のマススペクトル分析は所望の構造と一致した(図36)。
V.分析
添付の図面は、本明細書中に記載された種々の化合物の種々の1H−NMRおよび13C−NMRスペクトル、マススペクトル、HPLC分析、および元素分析を示す。
【0095】
HPLC方法:AltimaC18、5ミクロン、250×4.6mmカラム。移動相A:0.1% TFAを含有する水。移動相B:アストニトリル中の0.1% TFA。注入容量:20μL。試料濃度:10mLのアセトニトリル中5mg。液速:1ml/分。HPLCカラムを雰囲気温度で用いた。
【0096】
1H−NMRおよび13C−NMR分析:1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルは500MHz FT−NMRスペクトロメーター(Varian Instruments Anova)を用いて得られた。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの1H−NMRを供する。
【図2】図2は、ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの13C−NMRを供する。
【図3】図3は、ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの13C−NMRを供する(拡大図)。
【図4】図4は、ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのマススペクトルである。
【図5】図5は、ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのHPLC分析である。
【図6】図6は、ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの元素分析を供する。
【図7】図7は、酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの1H−NMRを供する。
【図8】図8は、酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの13C−NMRを供する。
【図9】図9は、酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのマススペクトルである。
【図10】図10は、酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのHPLC分析である。
【図11】図11は、酢酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの元素分析を供する。
【図12】図12は、プロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの1H−NMRを供する。
【図13】図13は、プロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニル13C−NMRを供する。
【図14】図14は、プロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのマススペクトルである。
【図15】図15は、プロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのHPLC分析である。
【図16】図16は、プロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの元素分析を供する。
【図17】図17は、ブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの1H−NMRを供する。
【図18】図18は、ブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの13C−NMRを供する。
【図19】図19は、ブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのマススペクトルである。
【図20】図20は、ブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのHPLC分析である。
【図21】図21は、ブタン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの元素分析を供する。
【図22】図22は、2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの1H−NMRを供する。
【図23】図23は、2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの13C−NMRを供する。
【図24】図24は、2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのマススペクトルである。
【図25】図25は、2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのHPLC分析である。
【図26】図26は、2,2−ジメチルプロパン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの元素分析を供する。
【図27】図27は、オクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの1H−NMRを供する。
【図28】図28は、オクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの13C−NMRを供する。
【図29】図29は、オクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのマススペクトルである。
【図30】図30は、オクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルのHPLC分析を供する。
【図31】図31は、オクタデカン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの元素分析である。
【図32】図32は、{4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェノキシ}ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの1H−NMRを供する。
【図33】図33は、{4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェノキシ}ギ酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メチオキシフェニルの13C−NMRを供する。
【図34】図34は、{4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニル}ギ酸(1S,2S,5R)−5−メチル−2−(メチルエチル)シクロヘキシルの1H−NMRを供する。
【図35】図35は、{4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニル}ギ酸(1S,2S,5R)−5−メチル−2−(メチルエチル)シクロヘキシルの13C−NMRを供する。
【図36】図36は、{4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニル}ギ酸(1S,2S,5R)−5−メチル−2−(メチルエチル)シクロヘキシルのマススペクトルである。
【図37】図37は、2−[(2−メトキシエトキシ)]nエチルブタン−1,4−ジオン酸4−[((6E)−8−メチルノナ−6−エノイルアミノ)メチル]−2−メトキシフェニルの1H−NMRを供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
[式中、R1は、水素、および置換または非置換の飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択され、R2は、置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される]
の化合物。
【請求項2】
R1が水素、および置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C10アルキルよりなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1が水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、およびイソブチルよりなる群から選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
R1が―(CH2)nCH3であり、nが1ないし19の整数である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
nが2ないし5の整数である、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
nが6ないし10の整数である、請求項4記載の化合物。
【請求項7】
nが11ないし19の整数である、請求項4記載の化合物。
【請求項8】
R2が(3E)−2−メチルオクタ−3−エン、(3Z)−2−メチルオクタ−3−エン、およびn−オクタンよりなる群から選択される、請求項3記載の化合物。
【請求項9】
R2が―(CH2)nCH3であり、nが1ないし19の整数である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
nが2ないし5の整数である、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
nが6ないし10の整数である、請求項9記載の化合物。
【請求項12】
nが11ないし19の整数である、請求項9記載の化合物。
【請求項13】
R2が(3E)−2−メチルオクタ−3−エンである、請求項8記載の化合物。
【請求項14】
R2が(3Z)−2−メチルオクタ−3−エンである、請求項8記載の化合物。
【請求項15】
R2がn−オクタンである、請求項8記載の化合物。
【請求項16】
請求項1記載の化合物を含む処方物であって、該処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョンまたはパッチである、処方物。
【請求項17】
式:
【化2】
[式中、Rは水素、および置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC2−C20アルキルよりなる群から選択される]
の化合物。
【請求項18】
Rがアシルである、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
Rがアルコキシである、請求項17記載の化合物。
【請求項20】
請求項17記載の化合物を含む処方物であって、該処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョンまたはパッチである、処方物。
【請求項21】
式:
【化3】
[式中、Rは水素、および置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC2−C20アルキルよりなる群から選択される]
の化合物。
【請求項22】
Rがアシルである、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
Rがアルコキシである、請求項21記載の化合物。
【請求項24】
請求項21記載の化合物を含む処方物であって、該処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョンまたはパッチである、処方物。
【請求項25】
式:
【化4】
[式中、Rは水素、および置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC2−C20アルキルよりなる群から選択される]
の化合物。
【請求項26】
Rがアシルである、請求項25記載の化合物。
【請求項27】
Rがアルコキシである、請求項25記載の化合物。
【請求項28】
請求項25記載の化合物を含む処方物であって、該処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョンまたはパッチである、処方物。
【請求項29】
TRPV1アゴニストプロドラッグであって、プロドラッグ部分の共有結合によって修飾されたTRPV1アゴニストを含み、ここで、該プロドラッグ部分は、TRPV1受容体への結合、または該受容体の活性化を制限する、TRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項30】
前記TRPV1アゴニストがカプサイシノイドである、請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項31】
前記TRPV1アゴニストがカプサイシンである、請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項32】
前記TRPV1アゴニストがノニバミドである、請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項33】
前記TRPV1アゴニストがシバマイドである、請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項34】
前記TRPV1アゴニストがオルバニルである、請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項35】
TRPV1アゴニストのフェノール性水素のプロドラッグ部分での置換によって、該プロドラッグ部分がTRPV1アゴニストに結合される、請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項36】
前記プロドラッグ部分がアシルまたはアルコキシである、請求項35記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項37】
前記プロドラッグ部分がアシルである、請求項36記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項38】
請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグを含む処方物であって、該処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョンまたはパッチである、処方物。
【請求項39】
請求項1記載の化合物を含む、パッチ。
【請求項40】
請求項17記載の化合物を含む、パッチ。
【請求項41】
請求項21記載の化合物を含む、パッチ。
【請求項42】
請求項25記載の化合物を含む、パッチ。
【請求項43】
請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグを含む、パッチ。
【請求項44】
カプサイシンプロドラッグであって、プロドラッグ部分の共有結合によって修飾されたカプサイシンを含み、ここで、該プロドラッグ部分は、カプサイシンの持続放出を容易にする、カプサイシンプロドラッグ。
【請求項45】
前記プロドラッグ部分が、カプサイシンのフェノール性水素のプロドラッグ部分での置換によってカプサイシンに結合されている、請求項44記載のカプサイシンプロドラッグ。
【請求項46】
前記プロドラッグ部分がm−PEGである、請求項44記載のプロドラッグ。
【請求項47】
相互プロドラッグであって、少なくとも1つの他の化合物に共有結合されたカプサイシンを含み、ここで、該少なくとも1つの他の化合物が疼痛を治療することができる、相互プロドラッグ。
【請求項48】
前記少なくとも1つの他の化合物がl−メントールである、請求項47記載の相互プロドラッグ。
【請求項49】
前記少なくとも1つの他の化合物がCOX阻害剤である、請求項47記載の相互プロドラッグ。
【請求項50】
前記少なくとも1つの他の化合物がオピオイド鎮痛剤である、請求項47記載の相互プロドラッグ。
【請求項51】
請求項47記載の相互プロドラッグを含む処方物であって、該処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョンまたはパッチである、処方物。
【請求項52】
TRPV1アゴニストのジェミニダイマーを含む、組成物。
【請求項53】
前記TRPV1アゴニストがカプサイシノイドである、請求項52記載の組成物。
【請求項54】
前記TRPV1アゴニストがカプサイシンである、請求項52記載の組成物。
【請求項55】
前記ジェミニダイマーが2つの異なるTRPV1アゴニストからなる、請求項52記載の組成物。
【請求項56】
請求項52記載の組成物を含む処方物であって、該処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョンまたはパッチである、処方物。
【請求項57】
請求項1記載の化合物、請求項17記載の化合物、請求項21記載の化合物、請求項25記載の化合物、請求項29記載のプロドラッグ、請求項44記載のプロドラッグ、請求項47記載の相互プロドラッグ、または請求項52記載の組成物を、局所投与、皮膚投与、経皮投与または全身投与する工程を含む、疼痛を治療する方法。
【請求項58】
治療すべき医学的疾患が、疼痛であり、特に、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、HIV関連神経障害、複合領域的疼痛症候群、癌、神経負傷、癌化学療法、心因性外陰部疼痛症(vulvodynia)、外傷、外科的処置、慢性筋肉骨格疼痛、下部背中疼痛、変形性関節症または慢性関節リウマチに関連する疼痛である、請求項52記載の方法。
【請求項59】
治療すべき医学的疾患が、乾癬、かゆみ、掻痒、癌、結腸ポリープ、前立腺肥大、皴、静脈洞炎、鼻炎、脱毛症および男性型多毛症から選択される、請求項52記載の方法。
【請求項1】
式:
【化1】
[式中、R1は、水素、および置換または非置換の飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択され、R2は、置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C20アルキルよりなる群から選択される]
の化合物。
【請求項2】
R1が水素、および置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC1−C10アルキルよりなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1が水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、およびイソブチルよりなる群から選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
R1が―(CH2)nCH3であり、nが1ないし19の整数である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
nが2ないし5の整数である、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
nが6ないし10の整数である、請求項4記載の化合物。
【請求項7】
nが11ないし19の整数である、請求項4記載の化合物。
【請求項8】
R2が(3E)−2−メチルオクタ−3−エン、(3Z)−2−メチルオクタ−3−エン、およびn−オクタンよりなる群から選択される、請求項3記載の化合物。
【請求項9】
R2が―(CH2)nCH3であり、nが1ないし19の整数である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
nが2ないし5の整数である、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
nが6ないし10の整数である、請求項9記載の化合物。
【請求項12】
nが11ないし19の整数である、請求項9記載の化合物。
【請求項13】
R2が(3E)−2−メチルオクタ−3−エンである、請求項8記載の化合物。
【請求項14】
R2が(3Z)−2−メチルオクタ−3−エンである、請求項8記載の化合物。
【請求項15】
R2がn−オクタンである、請求項8記載の化合物。
【請求項16】
請求項1記載の化合物を含む処方物であって、該処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョンまたはパッチである、処方物。
【請求項17】
式:
【化2】
[式中、Rは水素、および置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC2−C20アルキルよりなる群から選択される]
の化合物。
【請求項18】
Rがアシルである、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
Rがアルコキシである、請求項17記載の化合物。
【請求項20】
請求項17記載の化合物を含む処方物であって、該処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョンまたはパッチである、処方物。
【請求項21】
式:
【化3】
[式中、Rは水素、および置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC2−C20アルキルよりなる群から選択される]
の化合物。
【請求項22】
Rがアシルである、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
Rがアルコキシである、請求項21記載の化合物。
【請求項24】
請求項21記載の化合物を含む処方物であって、該処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョンまたはパッチである、処方物。
【請求項25】
式:
【化4】
[式中、Rは水素、および置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐したC2−C20アルキルよりなる群から選択される]
の化合物。
【請求項26】
Rがアシルである、請求項25記載の化合物。
【請求項27】
Rがアルコキシである、請求項25記載の化合物。
【請求項28】
請求項25記載の化合物を含む処方物であって、該処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョンまたはパッチである、処方物。
【請求項29】
TRPV1アゴニストプロドラッグであって、プロドラッグ部分の共有結合によって修飾されたTRPV1アゴニストを含み、ここで、該プロドラッグ部分は、TRPV1受容体への結合、または該受容体の活性化を制限する、TRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項30】
前記TRPV1アゴニストがカプサイシノイドである、請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項31】
前記TRPV1アゴニストがカプサイシンである、請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項32】
前記TRPV1アゴニストがノニバミドである、請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項33】
前記TRPV1アゴニストがシバマイドである、請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項34】
前記TRPV1アゴニストがオルバニルである、請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項35】
TRPV1アゴニストのフェノール性水素のプロドラッグ部分での置換によって、該プロドラッグ部分がTRPV1アゴニストに結合される、請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項36】
前記プロドラッグ部分がアシルまたはアルコキシである、請求項35記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項37】
前記プロドラッグ部分がアシルである、請求項36記載のTRPV1アゴニストプロドラッグ。
【請求項38】
請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグを含む処方物であって、該処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョンまたはパッチである、処方物。
【請求項39】
請求項1記載の化合物を含む、パッチ。
【請求項40】
請求項17記載の化合物を含む、パッチ。
【請求項41】
請求項21記載の化合物を含む、パッチ。
【請求項42】
請求項25記載の化合物を含む、パッチ。
【請求項43】
請求項29記載のTRPV1アゴニストプロドラッグを含む、パッチ。
【請求項44】
カプサイシンプロドラッグであって、プロドラッグ部分の共有結合によって修飾されたカプサイシンを含み、ここで、該プロドラッグ部分は、カプサイシンの持続放出を容易にする、カプサイシンプロドラッグ。
【請求項45】
前記プロドラッグ部分が、カプサイシンのフェノール性水素のプロドラッグ部分での置換によってカプサイシンに結合されている、請求項44記載のカプサイシンプロドラッグ。
【請求項46】
前記プロドラッグ部分がm−PEGである、請求項44記載のプロドラッグ。
【請求項47】
相互プロドラッグであって、少なくとも1つの他の化合物に共有結合されたカプサイシンを含み、ここで、該少なくとも1つの他の化合物が疼痛を治療することができる、相互プロドラッグ。
【請求項48】
前記少なくとも1つの他の化合物がl−メントールである、請求項47記載の相互プロドラッグ。
【請求項49】
前記少なくとも1つの他の化合物がCOX阻害剤である、請求項47記載の相互プロドラッグ。
【請求項50】
前記少なくとも1つの他の化合物がオピオイド鎮痛剤である、請求項47記載の相互プロドラッグ。
【請求項51】
請求項47記載の相互プロドラッグを含む処方物であって、該処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョンまたはパッチである、処方物。
【請求項52】
TRPV1アゴニストのジェミニダイマーを含む、組成物。
【請求項53】
前記TRPV1アゴニストがカプサイシノイドである、請求項52記載の組成物。
【請求項54】
前記TRPV1アゴニストがカプサイシンである、請求項52記載の組成物。
【請求項55】
前記ジェミニダイマーが2つの異なるTRPV1アゴニストからなる、請求項52記載の組成物。
【請求項56】
請求項52記載の組成物を含む処方物であって、該処方物は、液体、錠剤、カプセル、ゲル、クリーム、エマルジョンまたはパッチである、処方物。
【請求項57】
請求項1記載の化合物、請求項17記載の化合物、請求項21記載の化合物、請求項25記載の化合物、請求項29記載のプロドラッグ、請求項44記載のプロドラッグ、請求項47記載の相互プロドラッグ、または請求項52記載の組成物を、局所投与、皮膚投与、経皮投与または全身投与する工程を含む、疼痛を治療する方法。
【請求項58】
治療すべき医学的疾患が、疼痛であり、特に、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、HIV関連神経障害、複合領域的疼痛症候群、癌、神経負傷、癌化学療法、心因性外陰部疼痛症(vulvodynia)、外傷、外科的処置、慢性筋肉骨格疼痛、下部背中疼痛、変形性関節症または慢性関節リウマチに関連する疼痛である、請求項52記載の方法。
【請求項59】
治療すべき医学的疾患が、乾癬、かゆみ、掻痒、癌、結腸ポリープ、前立腺肥大、皴、静脈洞炎、鼻炎、脱毛症および男性型多毛症から選択される、請求項52記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図32】
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【図37】
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【図12】
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【図18】
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【図27】
【図28】
【図29】
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【図32】
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【図36】
【図37】
【公表番号】特表2008−539253(P2008−539253A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509075(P2008−509075)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/015785
【国際公開番号】WO2006/116485
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(505080910)ニューロジェシックス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/015785
【国際公開番号】WO2006/116485
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(505080910)ニューロジェシックス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
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