説明

UV照射によって誘発される皮膚の色素沈着を妨げるための化粧品組成物

化粧品担体中に、
- MC−1レセプターへのα−MSHの結合を妨げる少なくとも1種の薬剤、
- ET−1の合成を妨げる少なくとも1種の薬剤、
- SCFの合成を阻害する少なくとも1種の薬剤、
- チロシナーゼを阻害する少なくとも1種の薬剤
を含むことを特徴とする、局所用化粧品組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、UV照射によって誘発される皮膚の色素沈着を妨げるための局所用化粧品組成物である。
【0002】
第一の態様では、可能な限り色素沈着現象を抑えることを望む場合に、この組成物はUVA及びUVB遮断剤(UVA及びUVBフィルター)の不存在下で、より色の薄い皮膚に用いられる。この場合、この組成物は特にアジア人を意図している。第二の態様では、この組成物はさらにUVA及びUVB遮断剤を含み、少なくとも2つの適用がある。第一の適用は日焼け防止剤としての使用である。この場合もまた、主な市場はアジア市場であるが、北アフリカ及び中東市場も関係がある。第二の適用は、UV照射の影響に応答して高色素沈着現象を発現している皮膚に対してである。
【背景技術】
【0003】
メラニンは、皮膚の着色に関わる色素である。これらは2種類の色素、フェオメラニン及びユーメラニン、の様々な割合の混合によって得られる。ユーメラニン(真のメラニン)は黒又は茶色の色素であり、完全に光を吸収し、したがって真の光防護機能を有している。フェオメラニン(赤色メラニン)は橙黄色色素であり、これはより少ない保護しかもたらさない。非常に色白の皮膚、赤毛のヒトの皮膚(フォトタイプI)は主にフェノメラニンを含んでいる。
【0004】
メラニンは、メラノサイト中でチロシンの存在下でチロシンから作られ、これは表皮の基底層中で起こる。これがメラニン形成の過程である。メラニンの合成は特にメラノソーム中で起こり、これがメラノサイトの樹状突起の末端に運ばれ、次にケラチノサイトに輸送される。皮膚の表面に存在するメラニンを通して、可視及びUV照射の一部が吸収される。
【0005】
アジアの人々のなかでは、皮膚をできるだけ色白に保つのが慣習である。UV照射の影響が心配されるようになる前でさえ、とりわけ、アジア人は皮膚の色素沈着を防ぐこと、すなわち、より色白の顔色を作りだすために、メラニンの生産を抑制することを望んでいる。特にハイドロキノンに基づく多くの組成物がこの目的のために提案されてきており、ハイドロキノンは、チロシナーゼ活性を阻害することによってメラニン合成を止めることにより、メラニン形成に直接作用する。この分子は耐容性に劣るという欠点を有しており、過剰に用いた場合には刺激を引き起こす。さらに、それはメラノサイトを破壊し、完全に白い脱色した領域をもたらす。これらの変化は不可逆である。2001年1月以来、ヨーロッパにおけるハイドロキノンの化粧品への使用はその毒性のために制限されており、ヒドロキノンは医薬処方に用いられることだけができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願人は、
- 直接、チロシナーゼ活性を阻害することによってメラニン合成を阻害することによるだけでなく、
- 間接的に、ケラチノサイトによるその産生がUV照射によって刺激され、またメラニン形成に役割を演じる特定の仲介役である限り、ケラチノサイトによるその仲介役の産生を阻害することによっても、
メラニン形成を止める物質を含ませることによって、従来技術の製品とは異なる新しい化粧品組成物を完成した。
【0007】
これらの仲介役は以下のとおりである:
【0008】
第一に、α−MSH:(α-メラノサイト刺激ホルモン)、光照射されたケラチノサイトによって産生された神経ペプチドホルモンであって、これは光誘起色素沈着において主要な役割を演じる。これがメラノサイトの表面上でMC−1レセプターに結合すると、メラノサイトの増殖を誘発し、それらの樹状性(デンドリシティー)を強め、チロシナーゼ活性を高め、ユーメラニンの産生を誘発する。
【0009】
第二に、エンドセリン−1(ET−1)があり、これは強い血管収縮活性を有する21アミノ酸のペプチドである。これも、増大したメラノサイト増殖と樹状性(デンドリシティー)を誘発し且つメラニン形成を刺激するメラノサイトレセプター(ETA及びETB)に作用する。
【0010】
最後にケラチノサイトで産生され、メラノサイトの表面のc−kitレセプターに結合するステムセルファクター(SCF)がある。SCF発現はUV照射時に増大し、メラノサイト数と樹状性と、メラニン形成の増大を誘発する。
【0011】
ET−1及びSCFはメラニン形成の活性化に相乗的に作用することも示されている。
【0012】
本出願人の知るところでは、チロシナーゼ活性の古典的な阻害(直接作用)と組み合わせて、ケラチノサイト刺激を阻害すること(間接作用)によって、光で誘発される色素沈着の問題に取り組むことは誰も考えたことがない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
したがって、第一の場合、本発明は、
化粧品担体中に、
- メラノサイトの表面に存在するMC−1レセプターへのα−MSHの結合を妨げる少なくとも1種の薬剤、
- ET−1の合成を妨げる少なくとも1種の薬剤、
- SCFの合成を阻害する少なくとも1種の薬剤、
- チロシナーゼ活性を阻害する少なくとも1種の薬剤
を含むことを特徴とする、化粧品組成物に関する。
【0014】
当業者は、適切な試験を行うことによって、想定する機能を満足する可能性ある候補をどのように決定するか知っている。α−MSHについては、正常なヒトメラノサイト培養物中のメラニン合成の刺激に対する、候補分子の阻害効果を測定することでありうる。ET−1及びSCFについては、正常なヒトケラチノサイトによるET−1及びSCFの分泌に対する、候補化合物の阻害効果を測定することでありうる。チロシナーゼについては、試験管内で、すなわち細胞なしで行われる。すなわち、チロシナーゼが活性化された場合に色が変化する物質が存在するところへチロシナーゼを入れる。阻害物質が存在する場合には、全く(またはほとんど)色の変化が生じない。
【0015】
この組成物は、より特に、抗色素沈着剤として用いられる。
【0016】
有利な態様では、MC−1レセプターへのα−MSHの結合を妨げる薬剤は、化学合成によって得られる、生体模倣技術によるヘキサペプチド−2(バイオミメティックヘキサペプチド−2)及び/又は生体模倣技術によるノナペプチド−1(バイオミメティックノナペプチド−1)であり、これはα−MSHレセプターに対して親和性を有する。実際には、α−MSH結合を妨げる薬剤、特に上述した2つのペプチドは、組成物の0.00001〜1質量%、好ましくは0.0001〜0.0004質量%を構成する。
【0017】
同様に、ET−1合成を妨げる薬剤は、有利には、アンドログラフォリド(andrographolide)、好ましくはアンドログラフィス・パニクラータ(Andrographis paniculata)の葉の抽出物の形態のアンドログラフォリドである。実際には、それは組成物の0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜0.1質量%を構成する。
【0018】
同様に、SCF合成及びチロシナーゼ活性を阻害する薬剤は同じであり、有利には、パルマリア・パルマータ(Palmaria palmata)といわれる藻類の水性抽出物、好ましくは5〜50%の乾燥物質量を含む水性抽出物である。実際には、この抽出物は組成物の0.01〜25質量%、理想的には1〜4質量%である。
【0019】
さらに、そしてこれは本発明の第二の側面であるが、本出願人の知るところでは、従来技術の非色素沈着組成物のいずれも、UV照射によって誘発される日焼け又は高色素沈着現象を抑制又は停止させなかった。この高色素沈着は、特に、茶黒子あるいは「肝斑」として現れる。
【0020】
この問題を解決するために、本発明の化粧品組成物は、さらに、少なくとも1種のUVB及びUVA遮断剤(フィルター)及び/又はUVA/UVB遮断剤(フィルター)、並びに任意に場合によっては少なくとも1種の無機遮断剤(ミネラルスクリーン)を含む。
【0021】
言い換えれば、本発明は、この場合、UVA及びUVB遮断剤、又は無機遮断剤を用いてUV照射の多くの部分の通過を防ぎ、さらに、皮膚を通って入り込むUV照射の残りの部分によって誘発されるメラニンの産生及び発現を、直接(チロシナーゼ活性の刺激の阻害)及び間接的(ケラチノサイトによって分泌される仲介役によるメラノサイト刺激の阻害))に阻害する。
【0022】
メラニン形成に関与する主な要因に作用することによって、本発明の組成物は、ほとんど色素沈着していない皮膚又はわずかに色素沈着している皮膚のための、特にアジア市場のための日焼け防止製品として、あるいはUV光で誘発される高色素沈着に対抗するための製品として用いることができる。
【0023】
無機遮断剤、及びUVB又はUVA/UVB遮断剤は、皮膚へのUVB照射の侵入を抑制することを意図している。遮断剤(フィルター)の特性に応じて、UVA照射の70〜98%が止められる。UVB照射に対する皮膚防御能力は、SPF指数によって特徴付けられる。所定のUVB照射に対して、UVB遮断剤又はUVB/UVAの適用後に、この指数は、保護された皮膚上で紅斑を引き起こすUV照射量と、保護されていない皮膚上で紅斑を引き起こすUV照射量との間の比である。例としては、20のSPF指数は、紅斑を引き起こすために20倍多いUV照射が必要であること、すなわちUVBの95%が止められていることを意味する。50の指数は、UVB光の98%が止められていることを意味する。本発明では、UVB及び/又はUVA/UVB遮断剤は、組成物に、少なくとも20、有利には少なくとも50のSPF指数を付与するように選択される。
【0024】
当業者は、現在の国際基準(Colipa、FDA)に準拠した指針に適合させるために、適切な成分及びそれらの比率を選択する立場にあり、特にUVB又はUVAは以下のものを含む群から選択される:
【0025】
- パラアミノ安息香酸誘導体:
- PABA、
- エチルPABA、
- エチルジヒドロキシプロピルPABA(Amerchol社によって販売されているAmerscreen(登録商標)P)、
- エチルへキシルジメチルPABA(特に「ESCALOL(登録商標)507」の名称で販売されている)、
- グリセリルPABA、
- PEG−25PABA(「UVINUL(登録商標)P25」の名称で販売されている)、
【0026】
- サリチル酸誘導体:
- ホモサレート(「EUSOLEX(登録商標)HMS」の名称で販売されている)、
- エチルへキシルサリシレート(「NEO HELIOPAN(登録商標)OS」の名称で販売されている)、
- ジプロピレングリコールサリシレート(「DIPSAL(登録商標)」の名称で販売されている)、
- TEAサリシレート(「NEO HELIOPAN(登録商標)TS」の名称で販売されている)、
【0027】
- ジベンゾイルメタン誘導体:
- ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
- イソプロピルジベンゾイルメタン、
【0028】
- 桂皮酸誘導体:
- エチルへキシルメトキシシンナメート(特に、「ESDALOL 557」、「NEOHELIOPAN TYPEAV」、「UVINUL MC80」の名称で販売されている)、
- イソプロピルメトキシシンナメート、
- イソアミルメトキシシンナメート(商品名「NEO HELIOPAN(登録商標)E 1000」で販売されている)、
- シノキセート(Cinoxate)、
- DEAメトキシシンナメート、
- グリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメート、
【0029】
- β,β’−ジフェニルアクリレート誘導体:
- オクトクリレン(特に商品名「UVINUL(登録商標)N539」で販売されている)、
- エトクリレン(特に商品名「UVINUL(登録商標)N35」で販売されている)、
【0030】
- ベンゾフェノン誘導体:
- ベンゾフェノン−1(商品名「UVINUL(登録商標)400」で販売されている)、
- ベンゾフェノン−2(商品名「UVINUL(登録商標)D50」で販売されている)、
- ベンゾフェノン−3あるいはオキシベンゾン(商品名「UNIVUL(登録商標)M40」で販売されている)、
- ベンゾフェノン−4(商品名「UVINUL(登録商標)MS40」で販売されている)、
- ベンゾフェノン−5、
- ベンゾフェノン−6(商品名「HELISORB(登録商標)11」で販売されている)、
- ベンゾフェノン−8(商品名「SPECTRA-SORB(登録商標)UV24」で販売されている)、
- ベンゾフェノン−9(商品名「UNIVUL(登録商標)DS-49」で販売されている)、
- ベンゾフェノン−12、
【0031】
- ベンジリデンカンファー誘導体:
- 4−メチルベンジリデンカンファー(商品名「EUSOLEX(登録商標)6300」で販売されている)、
【0032】
- ベンズイミダゾール誘導体:
- フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(特に商品名「EUSOLEX(登録商標)232」で販売されている)、
- ジソジウムフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸塩(商品名「NEO HELIOPAN(登録商標)AP」で販売されている)、
【0033】
- トリアジン誘導体:
- エチルへキシルトリアゾン(商品名「UVINUL(登録商標)T150」で販売されている)、
- ジエチルへキシルブタミドトリアゾン(商品名「UVASORB(登録商標)HEB」で販売されている)、
- (ビス-エチルへキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)Tinosorb S、
【0034】
- ベンゾトリアゾール誘導体:
- ドロメトリゾールトリシロキサン(「SILATRIZOLE(登録商標)」の名称で販売されている)、
- メチレンビス-ベンゾトリアゾールテトラメチルブチルフェノール(商品名「MIXXIM(登録商標)BB/100」の名称で固体形態で、あるいは商品名「TINOSORB(登録商標)M」の名称で水性分散液中に微細化した形態で販売されている)、
【0035】
- アントラニル酸誘導体:
- メチルアントラニレート(商品名「NEO HELIOPAN(登録商標)MA」で販売されている)、
【0036】
- イミダゾリン誘導体:
- エチルへキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート、
【0037】
- ベンザルマロネート誘導体:
- ベンザルマロネート官能基をもつポリオルガノシロキサン(商品名「PARSOL(登録商標)SLX」で販売されている)、
【0038】
- ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルへキシルベンゾカイン(商品名「Uvinul(登録商標)A+」で販売されている)、
【0039】
- 及びそれらの混合物。
【0040】
本発明の組成物は、真珠光沢剤、顔料、あるいは、被覆されているか又は被覆されていない金属酸化物ナノ顔料(一次粒子の平均粒径:一般に5nm〜100nm、好ましくは10nm〜50nm)、例えば、チタン酸化物(ルチル及び/又はアナターゼの形態のアモルファス又は結晶)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、又は酸化セリウムのナノ顔料、及びそれらの混合物(これらは全て個々に周知のUV光保護剤である)も含むことができる。古典的な被覆剤はまた、アルミナ及び/又はステアリン酸アルミニウムである。
【0041】
実際には、これらの遮断剤は、組成物の2〜40質量%、好ましくは組成物の15〜30質量%である。
【0042】
全ての場合に、UVA/UVB遮断剤は以下のものからなる群から選択されることが有利である:
- ビス-エチルへキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン:Tinosorb S
- メチレンビス-ベンゾトリアゾールテトラメチルブチルフェノール:Tinosorb M
【0043】
無機遮断剤は、有利には以下の群から選択される:
- TiO
- ZnO
【0044】
本発明の化粧用組成物は一般的には局所的に適用される。
【0045】
本組成物は、皮膚への局所適用のために通常用いられる全ての薬剤形態、特に、水中油型、又は油中水型、又は多重エマルション(multiple emulsion)、シリコーン化したエマルション、マイクロエマルション、又はナノエマルションとして存在できる。この組成物は、多かれ少なかれ液状であり、非排他的に、白又は着色した、クリーム、軟膏、乳液、ローション、美容液(セラム)、又はゲルの外観を有することができる。
【0046】
本発明の組成物は、化粧品及び皮膚科学製剤の分野で通常用いられる担体(例えば、脂質、乳化剤及び共乳化剤、親水性又は親油性ゲル化剤、親水性又は親油性物質、保存料、抗酸化剤、溶媒、香料、フィラー、親水性及び親油性フィラー、着色物質、中和剤、浸透促進剤、及びポリマー)を含むことができる。
【0047】
本発明は、先に説明した組成物の局所適用による、皮膚の脱色素、日焼け防止、あるいはUV光線によって誘発される高色素沈着を防止することを目的とする美容上の処置法にも関する。
【0048】
本発明と本発明から得られる利点は、以下の例によって十分に説明される。
【実施例】
【0049】
〔例1: ヒトの生きている皮膚外植片に対する化粧品配合物の脱色素活性の実証〕
[本研究の目的]
この研究の目的は、ヒトの生きている皮膚外植片への長期のUVA/B照射後(太陽シミュレーター)の、本発明による配合物の脱色素活性を評価することであった。試験される製品の脱色素効果は、分光比色計測定によって示した。
【0050】
[試験した配合物]
【表1】

【0051】
[プロトコル]
1.外植片の調製
15のヒトの皮膚外植片(中間のフォトタイプのもの)を調製し、特別の培地で生かしておいた。この外植片を以下のとおりに分けた(各条件ごとに3つの外植片):
- 対照「C」:未処理、照射なし
- 配合の対照「F」:処理あり、照射なし
- 対照+UV「C UV」:未処理、照射あり
- 配合1+UV「F UV」:処理あり、照射あり
【0052】
2.処理
製品(1.5g/cm)を、小さなスパチュラ又は濾紙円板を使用して外植片に局所適用した。この外植片を2日毎に処理した。
【0053】
3.長期UVA/B照射
毎日、8日間、「C UV」、「F UV」の群に、太陽光照射のスペクトルに相当する1.125J/cm(6〜8%のUVB)のUVA照射を受けさせた。
この照射は、起こりうるフィルター効果を排除するために、製品での処理後30分に行った。
【0054】
4.分光比色計測定
皮膚の着色の強さを、比色計によってD0、次にD8で測定した。その結果は以下のITAインデックスで変数を計算することによって表す:
ITA=[ArcTan((L−50)/b)]×180/3.1415
式中: - L:明度(暗から淡)を表す
- b:青から黄色の範囲を表す
【0055】
この値は、異なる皮膚の色を分類することを可能にする(ITAが明るいほど、皮膚は明るい):
- 明るい色の皮膚:55>ITA>41
- 中間の皮膚:41>ITA>28
- オリーブ色の皮膚:28>ITA>10
【0056】
〔結果〕
下の表は、得られた結果を示している。
【0057】
【表2】

【0058】
・対照外植片の色は変化しなかった。
・本発明の配合物による処理では、それらの色合いが顕著に明るくなっている(+11%)(A)。
・長期のUV照射は日焼けの概観を刺激し、それゆえに8日後の非常に大きな色素沈着である(皮膚は中間色からオリーブ色に変化した)。本発明によって処理したことで、外植片はその当初の色合い(B)を保った。
【0059】
メラニン形成の過程を混乱させることによって、本発明の配合物は、太陽光への曝露によって誘発される外植片の色素沈着を防ぎ(B)、色素沈着がある領域の脱色素(逆効果)(A)を防止した。
【0060】
〔例2: 薬剤配合〕
[1.明色化サンクリーム]
【0061】
【表3】

【0062】
[2.明色化セラム]
【0063】
【表4】

【0064】
[3.脱色素クリーム]
【0065】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品担体中に、
- MC−1レセプターへのα−MSHの結合を妨げる少なくとも1種の薬剤、
- ET−1の合成を妨げる少なくとも1種の薬剤、
- SCFの合成を阻害する少なくとも1種の薬剤、
- チロシナーゼ活性を阻害する少なくとも1種の薬剤
を含むことを特徴とする、局所用化粧品組成物。
【請求項2】
MC−1レセプターへのα−MSHの結合を妨げる前記薬剤が、ヘキサペプチド2及び/又はノナペプチド1であることを特徴とする、請求項1記載の化粧品組成物。
【請求項3】
MC−1レセプターへのα−MSHの結合を妨げる前記薬剤が、組成物の0.00001〜1質量%、好ましくは0.0001〜0.0004質量%を構成することを特徴とする、請求項1記載の化粧品組成物。
【請求項4】
ET−1の合成を妨げる前記薬剤が、アンドログラフォリド(andrographolide)であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
前記アンドログラフォリドが、アンドログラフィス・パニクラータ(Andrographis paniculata)の葉の抽出物の形態であることを特徴とする、請求項4に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
アンドログラフィス・パニクラータ(Andrographis paniculata)の葉の前記抽出物が、組成物の0.001〜10質量%を構成する、請求項5に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
SCF合成及びメラニン活性を阻害する薬剤が同じであって且つパルマリア・パルマータ(Palmaria palmata)の水性抽出物であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
パルマリア・パルマータ(Palmaria palmata)の前記水性抽出物が、組成物の0.01〜25質量%を構成する、請求項7に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
- MC−1レセプターへのα−MSHの結合を妨げる薬剤がヘキサペプチド2であり、
- ET−1の合成を妨げる薬剤がアンドログラフィス・パニクラータ(Andrographis paniculata)の葉の抽出物であり、
- SCF合成及びメラニン活性を阻害する薬剤が同じあって且つパルマリア・パルマータ(Palmaria palmata)の水性抽出物である、
ことを特徴とする、請求項1記載の化粧品組成物。
【請求項10】
さらに、
- 少なくとも1種のUVB及び/又はUVB/UVA遮断剤、
- 少なくとも1種のUVA遮断剤、
- 任意で場合により、少なくとも1種の無機遮断剤
を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
前記の有機UVB又はUVA/UVB遮断剤の性質及びそれらの割合が、組成物に、少なくとも20、有利には少なくとも50のSPFを付与するように選択されることを特徴とする、請求項10に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
前記有機UVA又はUVB遮断剤が、パラアミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジリデンカンファー誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、アントラニル酸誘導体、イミダゾリン誘導体、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルへキシルベンゾエート、及びそれらの混合物を含む群から選択され、これらの遮断剤が組成物の2〜40質量%を構成することを特徴とする、請求項10に記載の化粧品組成物。
【請求項13】
前記無機遮断剤がTiO及びZnOを含む群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の化粧品組成物。
【請求項14】
抗色素沈着剤としての、請求項1〜9のいずれか一項記載の組成物の美容目的の使用。
【請求項15】
日焼け防止剤としての、請求項10〜13のいずれか一項に記載の組成物の美容目的の使用。
【請求項16】
UVで誘発される高色素沈着を防止する薬剤としての、請求項10〜13のいずれか一項に記載の組成物の美容目的の使用。

【公表番号】特表2011−510053(P2011−510053A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543547(P2010−543547)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050061
【国際公開番号】WO2009/092972
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(505247627)
【Fターム(参考)】