VEGF−特異的なヒト抗体
【課題】VEGF(Vascular endothelial growth factor)−特異的なヒト抗体を提供する。
【解決手段】VEGFは、発生過程の血管形成及び血管新生に決定的な役割をすることが知られている。VEGFに特異的に結合するヒトから誘導された相補性決定領域(CDR)とフレームワーク領域(FR)で構成されたヒト抗体。VEGFに特異的なヒト抗体は、前記VEGFが過発現して惹起される疾患の診断、疾患の分類、映像化、治療及び予後の判定などに使用することができる。
【解決手段】VEGFは、発生過程の血管形成及び血管新生に決定的な役割をすることが知られている。VEGFに特異的に結合するヒトから誘導された相補性決定領域(CDR)とフレームワーク領域(FR)で構成されたヒト抗体。VEGFに特異的なヒト抗体は、前記VEGFが過発現して惹起される疾患の診断、疾患の分類、映像化、治療及び予後の判定などに使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VEGF(Vascular endothelial growth factor)−特異的なヒト抗体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
VEGFは、発生過程の血管形成及び血管新生に決定的な役割をすることが知られていて(Soker S等,J Cell Biochem.2002年,第85巻,357−368頁)、VEGFR1が血管内皮細胞の他に大腸癌、膵臓癌細胞にも過発現して直接的に腫瘍の進行、転移に関与することが報告されていて、VEGFR1は、血管新生、腫瘍の成長と転移、炎症などにおいて重要な役割をすると見なされている(Wey JS等,Cancer,2005年,第104巻,427−438頁;Fan F等,Oncogene,2005年,第24巻,2647−2653頁)。VEGFは、腫瘍血管新生において最も重要な因子中の一つで、腎臓癌(Tomisawa M等,Eur J Cancer ,1999年,第35巻,133−137頁)、肺癌(Volm M等,Int J Cancer,1997年,第74巻,64−68頁)、乳癌(Yoshiji H等,Cancer Res.,1996年,第56巻,2013−2016頁)、卵巣癌(Sowter HM等,Lab Invest.,1997年,第77巻,607−614頁)など大部分の腫瘍組織で発現され、腫瘍細胞だけではなく腫瘍基質細胞でも分泌する。腫瘍の成長を阻害するために、VEGF拮抗剤を使用した試みとして、マウス抗ヒトVEGFモノクローナル抗体は、試験管で腫瘍細胞の成長には特別に影響を及ぼさない一方、癌動物モデルで腫瘍血管新生及び腫瘍成長を明白に阻害する効果を示した(Kim KJ等,Nature,1993年,第362巻,841−844頁;Borgstrom P等,Cancer Res.,1996年,第56巻,4032−4039頁)。
【0003】
VEGFが実際に腫瘍以外に多くの疾病とも関連性が高いという事実は、広く知られていて、これに対する治療剤開発も多角度に試みられている。代表的な例として、新生血管生成と係わる疾患である慢性関節リウマチ(RA)、糖尿病性網膜症、虚血性網膜症及び乾癬などが挙げられ、VEGFがこのような疾病に重要な要因として作用することが明らかにされている。RAの場合、対照群の患者に比較してRA患者の血清VEGFの量が上昇することが確認された(Ikeda M等,J Pathol.,2000年,第191巻,426−33頁)。また、糖尿病患者で血漿VEGFが上昇するが、上昇した血糖が内皮に毒性影響を及ぼして高血糖性不完全低酸素状態を誘導する。これは、VEGF生成を誘導して糖尿病で内皮損傷と障害とが関係あることを示している(Lim HS等,Diabetes Care,2004年,第27巻,2918−24頁)。また、網膜でVEGFの過度な分泌は、眼内新生血管、血腫を引き起こして視覚障害/盲目になる。増殖糖尿病網膜症(PDR)及び糖尿病性黄斑浮腫と関連した視力喪失を防止して、レーザー治療のような破壊的な治療と関連した副作用を避けるための努力として、VEGFのすべての亜形に選択的に結合するヒト化されたモノクローナル抗VEGF抗体断片を使用する。Genentech社によって生産された、rhuFab V2と呼ばれるこの化合物は、現在臨床研究中であり、PDRまたは糖尿病性黄斑浮腫を防止するのに効果を示している(Heier JS,Program and abstracts of the American Academy of Ophthalmology 2002 Annual Meeting;October 20−23,Orlando,Florida)。
【0004】
現在40種以上の多様な血管新生抑制剤が、多様な種類の腫瘍に対して臨床開発が進行されている。VEGF及びVEGF受容体は、最も代表的な標的として、活性、信号伝達、生産を阻害する薬剤が含まれる。VEGF阻害剤では、抗体、水溶性VEGF受容体(VEGFtrap)などがある。腫瘍治療剤としての血管新生抑制剤では、ヒト化抗VEGFモノクローナル抗体であるベバシズマブ(bevacizumab;AvastinTM,Genentech)が、大規模の臨床試験で転移性大膓癌患者の生命延長の効果を示すことによって、2004年2月にFDAの承認を受けた。したがって、このような抗VEGFヒトモノクローナル抗体の開発は、新生血管の治療を含めたそれと係わった多様な疾患の治療のための有望な候補物質として、副作用を極小化させて臨床及び前臨床に使用することができる長所を有していて、これを使用した多方面の治療剤開発が注目されているのは、当然である。
【0005】
それで、本発明者等は、VEGFに特異的に結合する14種のヒト抗体を選別して、前記ヒト抗体が既存のヒト化抗VEGFモノクローナル抗体であるアバスチンと類似水準の結合能及び中和能を有し、マウスVEGFと交差反応性を示すことを確認して、本発明のヒト抗体が、VEGF過発現疾患の治療に効果的に使用できることを提示することにより本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、VEGFに特異的なヒト抗体を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、前記ヒト抗体の重鎖またはその断片を暗号化するポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチド及びヒト重鎖の不変領域を含む発現ベクターを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、前記ヒト抗体の軽鎖またはその断片を暗号化するポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチド及びヒト軽鎖の不変領域を含む発現ベクターを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、前記ヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、前記ヒト抗体の軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、前記ヒト抗体の重鎖またはその断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクター、及び軽鎖またはその断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを同時に宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、前記形質転換体を培養して、VEGFに特異的なヒト抗体を製造する方法を提供することである。
【0013】
また、本発明は、前記ヒト抗体を含む組成物を提供することである。
【0014】
また、本発明は、前記ヒト抗体を含む製薬組成物を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、薬学的に有効な量の前記ヒト抗体を個体に投与する工程を含む、VEGFが過発現して惹起される疾患を治療する方法を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、前記ヒト抗体及び放射線アイソトープを含む組成物を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、前記放射線アイソトープを含む組成物が癌細胞と接触する工程を含む、試験管内のVEGFが過発現する癌の免疫検出方法を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、前記放射線アイソトープを含む組成物の診断的有効量を個体に投与する工程を含む、生体内でVEGFが過発現する癌の映像化方法を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、前記放射線アイソトープを含む組成物を使用する、VEGFが過発現する癌の生体内治療方法を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、前記放射線アイソトープを含む組成物を使用する、VEGFが過発現する癌治療の予後評価方法を提供することである。
【0021】
本発明の他の目的は、前記ヒト抗体を動物実験モデルに投与する工程を含む、前記ヒト抗体の副作用を測定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記目的を達成するために、本発明は、配列番号5〜17からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域(以下、HCDR)1、配列番号18〜30からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するHCDR2及び配列番号31〜43からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するHCDR3を含む、重鎖可変領域(VH)を含む重鎖またはその断片;及び、
配列番号57〜69及び配列番号130〜配列番号142からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域(以下、LCDR)1、配列番号70〜82及び配列番号143〜配列番号152からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するLCDR2及び配列番号83〜93及び、配列番号153〜配列番号164からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)を含む軽鎖またはその断片を含むVEGFに特異的なヒト抗体を提供する。
【0023】
また、本発明は、前記ヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0024】
また、本発明は、前記ヒト抗体の軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0025】
また、本発明は、前記ヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供する。
【0026】
また、本発明は、前記ヒト抗体の軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供する。
【0027】
また、本発明は、前記ヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクター、及び軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを同時に宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供する。
【0028】
また、本発明は、前記形質転換体を培養して、VEGFに特異的なヒト抗体を製造する方法を提供する。
【0029】
また、本発明は、前記ヒト抗体を含む組成物を提供する。
【0030】
また、本発明は、前記ヒト抗体を含む製薬組成物を提供する。
【0031】
また、本発明は、薬学的に有効な量の前記ヒト抗体をVEGFが過発現して惹起される疾患にかかった個体に投与する工程を含む、VEGFが過発現して惹起される疾患を治療する方法を提供する。
【0032】
また、本発明は、前記ヒト抗体、ヒト抗体の軽鎖または重鎖、またはその免疫学的に活性を有した断片及び放射線アイソトープを含む組成物を提供する。
【0033】
また、本発明は、前記放射線アイソトープを含む組成物が癌細胞と接触する工程を含む、試験管内のVEGFが過発現する癌の免疫検出方法を提供する。
【0034】
また、本発明は、1)前記放射線アイソトープを含む組成物の診断的有効量を個体に投与する工程;及び、
2)前記個体に対する検出映像を得る工程を含む、生体内でVEGFが過発現する癌の映像化方法を提供する。
【0035】
また、本発明は、
1)前記放射線アイソトープを含む組成物を個体の静脈内に投与する工程;
2)前記工程1)の組成物を検出して腫瘍細胞を確認する工程;
3)工程2)で確認された腫瘍細胞を手術的切除によって除去する工程を含む、VEGFが過発現する癌の生体内治療方法を提供する。
【0036】
また、本発明は、
1)前記放射線アイソトープを含む組成物を腫瘍細胞が除去された患者の静脈内に投与する工程;
2)前記工程1)の組成物を検出して腫瘍細胞を確認する工程;
3)工程2)で腫瘍細胞が検出されなければ、腫瘍細胞がすべて除去されたと判断することを特徴とする、VEGFが過発現する癌治療患者の予後評価方法を提供する。
【0037】
同時に、本発明は、前記ヒト抗体をVEGFを過発現する疾患にかかった動物実験モデルに投与する工程を含む、前記ヒト抗体の副作用を測定する方法を提供する。
【発明の効果】
【0038】
本発明のVEGFに特異的なヒト抗体は、前記VEGFが過発現して惹起される疾患の診断、疾患の分類、映像化、治療及び予後判定などに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】pYK602−VEGFベクターでのVEGFタンパク質発現をウエスタンブロットで確認した結果を示した図である。
【図2】pYK602−VEGF、pYK602−His−VEGF及びpYK603−VEGFベクターでのVEGFタンパク質発現をウエスタンブロットで比較した結果を示した図である。
【図3】pYK603−VEGFベクターでのVEGFタンパク質発現をウエスタンブロットで確認した結果を示した図である。
【図4】精製されたVEGFをSDS−PAGEで確認した結果を示した図である。
【図5】パンニング1〜3次でのファージ抗体探索結果を示した図である。
【図6】VEGFに対するヒトVEGFモノクローナルファージ抗体の多様性をフィンガープリンティングを通じて確認した結果を示した図である。
【図7a】VEGFに対するヒトVEGFモノクローナルファージ抗体の重鎖CDRで使用されているポリペプチドを分析した結果を示した図である。
【図7b】VEGFに対するヒトVEGFモノクローナルファージ抗体の重鎖CDRで使用されているポリペプチドを分析した結果を示した図である。
【図7c】VEGFに対するヒトVEGFモノクローナルファージ抗体の重鎖CDRで使用されているポリペプチドを分析した結果を示した図である。
【図8a】VEGFに対するヒトVEGFモノクローナルファージ抗体の軽鎖CDRで使用されているポリペプチドを分析した結果を示した図である。
【図8b】VEGFに対するヒトVEGFモノクローナルファージ抗体の軽鎖CDRで使用されているポリペプチドを分析した結果を示した図である。
【図8c】VEGFに対するヒトVEGFモノクローナルファージ抗体の軽鎖CDRで使用されているポリペプチドを分析した結果を示した図である。
【図9a】ヒトVEGFモノクローナル抗体の結合特異性を比較した結果を示した図である:a:C5、E9、F6、G12、A4、C11、及びF2。
【図9b】ヒトVEGFモノクローナル抗体の結合特異性を比較した結果を示した図である:b:H7、G9、C9、B12、F9、D12及びC12。
【図10】HUVEC細胞でヒトVEGFモノクローナル抗体の管形成を抑制する中和能を確認した結果を示した図である。
【図11】ヒトVEGFモノクローナル抗体のhVEGFとmVEGFに対する交差反応性を測定した結果を示した図である。
【図12a】pNATAB Hベクターの開列地図を示した図である。
【図12b】pNATAB Lベクターの開列地図を示した図である。
【図13a】pYK602ベクターの開列地図を示した図である。
【図13b】pYK602−Hisベクターの開列地図を示した図である。
【図13c】pYK603−Hisベクターの開列地図を示した図である。
【図14】パンニング1〜3次でのLCシャフリングライブラリファージ抗体探索結果を示した図である。
【図15】LCシャフリングモノクローナルファージ抗体の多様性をフィンガープリンティングを通じて確認した結果を示した図である。
【図16】LCシャフリングモノクローナルファージ抗体の軽鎖CDRで使用されているポリペプチドを分析した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明で使用した用語を説明する。
「可変領域」というのは、抗原と特異的に結合する機能を遂行しながら配列上の多くの変異を見せる抗体分子の部分を意味し、可変領域には、CDR1、CDR2及びCDR3が存在する。前記CDRの間には、フレームワーク領域(FR)部分が存在して、CDR環を支持する役割をする。
【0041】
「相補性決定領域」は、抗原の認識に関与する環状の部位であり、この部位の配列が変わることによって抗体の抗原に対する特異性が決定される。
【0042】
「パンニング(panning)」は、ファージの外壁にペプチドを発現するファージライブラリから、標的分子(抗体、酵素、細胞表面レセプターなど)と結合する性質を有したペプチドを表面に発現しているファージのみを選択し出す過程を意味する。
【0043】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0044】
本発明は、配列番号5〜17からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域(以下、HCDR)1、配列番号18〜30からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するHCDR2及び配列番号31〜43からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む重鎖またはその断片;及び、
配列番号57〜69及び配列番号130〜配列番号142からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域(以下、LCDR)1、配列番号70〜82及び配列番号143〜配列番号152からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号83〜93及び配列番号153〜配列番号164からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)を含む軽鎖またはその断片を含むVEGFに特異的なヒト抗体を提供する。
【0045】
好ましくは、前記重鎖可変領域は、配列番号44〜56からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有し、前記軽鎖可変領域は、配列番号94〜106及び配列番号165〜配列番号178からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する。
【0046】
前記抗体は、全長抗体形態であるのみならず、抗体分子の機能的な断片を含む。全体抗体は、2個の全長の軽鎖及び2個の全長の重鎖を有する構造で、それぞれの軽鎖は、重鎖とジスルフィド結合で連結されている。抗体分子の機能的な断片というのは、抗原結合機能を保有している断片を意味し、抗体断片の例としては、(i)軽鎖の可変領域(VL)及び重鎖の可変領域(VH)と軽鎖の不変領域(CL)及び重鎖の最初の不変領域(CH1)からなるFab断片;(ii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iii)単一抗体のVL及びVHドメインからなるFv断片;(iv)VHドメインからなるdAb断片(Ward ES等,Nature,1989年,第341巻,544−546頁];(v)分離したCDR領域;(vi)2個の連結されたFab断片を含む2価断片であるF(ab’)2断片;(vii)VHドメイン及びVLドメインが抗原結合部位を形成するよう結合させるペプチドリンカーによって結合された単一鎖Fv分子(scFv);(viii)二重特異的な単一鎖Fvニ量体(PCT/US92/09965)及び、(ix)遺伝子融合によって製作された多価または多重特異的断片であるディアボディ(diabody)WO94/13804)などを含む。
【0047】
本発明では、VEGFに対するヒト抗体をファージディスプレイ技術を使用してscFv形態で得て、モノファージクローン形態でスクリーニングすることで、VEGFに特異的な14種のモノクローナルファージを得た。
【0048】
本発明の具体的な実施例で組換え技術で得たVEGF(図1〜図4参照)をモノクローナル抗体の製造に使用した。前記VEGFを多様性を有したヒト由来scFvライブラリ細胞から製造したライブラリファージと反応してパンニングさせた後、VEGF抗原に強く結合するモノクローナルをスクリーニングした(表1、2及び図5参照)。前記選別されたモノクローナルをフィンガープリンティングで確認した後(図6参照)、それぞれの配列を分析して抗体のVHとVLのCDR部位を確認した(表5及び図7、8参照)。前記抗体と生殖系列抗体群の類似性をNCBIのIg BLASTプログラム(//www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)を使用して確認した結果(表6参照)、14種のVEGFに特異的なファージ抗体を得た。前記選別されたモノクローナル抗体は、G12>D12>E9>F6>H7>C5>B12>G9>F9>C11>F2>A4>C9>C12の順序でVEGFに対する結合能を示し(図9a及び図9b参照)、VEGFによって誘導されるHUVEC細胞の毛細管類似管形成を顕著に抑制することが観察された(図10参照)。また、アバスチンと似た中和能を示したE9、F6及びG12モノクローナル抗体は、すべてマウスVEGFに対してヒトVEGF程度の高い親和力を示して交差反応した(表8、表9及び図11参照)。アバスチンは、マウスVEGFに対して全く交差反応しないので、前記アバスチンによる副作用のための動物実験研究が難しいことが報告されたが、本発明のVEGF中和ヒト抗体は、マウスと交差反応するので、本発明のVEGF中和ヒト抗体が既存の抗癌剤であるアバスチンとエピトープの異なる確率が確実に高くなり、本発明のVEGF中和ヒト抗体は、マウスVEGFに対して高い交差反応を示すので、動物実験研究に容易いに使用できる。
【0049】
前記アバスチンと似た中和能を示したF6及びG12モノクローナル抗体を対象に、軽鎖がシャフリングしたライブラリファージを製造した。前記製造したライブラリファージとVEGFを反応させてパンニングさせた後、VEGF抗原に強く結合するモノクローナルをスクリーニングした(表10、11及び図14参照)。前記選別されたモノクローナルをフィンガープリンティングで確認した後(図15参照)、それぞれの配列を分析して抗体のVHとVLのCDR部位を確認し、LCシャフリングして選別された抗体のVHのCDR領域が同一で、VLのCDR領域を比較した(表12及び図16参照)。前記抗体と生殖系列抗体群の類似性を確認した結果(表13参照)、15種のVEGFに特異的なLCシャフリングモノクローナルファージ抗体を得て、これらのVEGFに対する結合能が確認された(表14参照)。前記LCシャフリングモノクローナルファージ抗体のヒトVEGFに対する結合能を確認した結果、2C11、2G03、2C05及び2F10を除外して、F6及びG12と類似の程度の高い親和力を示した。
【0050】
また、本発明は、前記ヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0051】
また、本発明は、前記ヒト抗体の軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0052】
本発明の具体的な実施例で組換え技術によって得たVEGFを使用して、VEGF抗原に強く結合するモノクローンをスクリーニングした(表1、2及び図5参照)。前記選別されたモノクローンをフィンガープリンティングで確認した後(図6参照)、それぞれの配列を分析して抗体のVHとVLのCDR部位を確認した(表5及び図7、8参照)。前記抗体と生殖系列抗体群の類似性を確認した結果(表6参照)、15種のVEGFに特異的なファージ抗体を得た。前記選別されたモノクローナル抗体のVEGFに対する結合能を測定し(図9a及び図9b参照)、VEGFによって誘導されるHUVEC細胞の毛細管類似管形成を顕著に抑制することが観察された(図10参照)。また、アバスチンと似た中和能を示したE9、F6及びG12モノクローナル抗体は、すべてマウスVEGFとヒトVEGFに対して高い親和力を示して交差反応した(表8、表9及び図11参照)。アバスチンは、マウスVEGFに対して全く交差反応しないので、前記アバスチンによる副作用のための動物実験研究が難しいことが知られているが、本発明のVEGF中和ヒト抗体は、マウスと交差反応するので、本発明のVEGF中和ヒト抗体が既存の抗癌剤であるアバスチンとエピトープが異なる確率が確実に高くなった。本発明のVEGF中和ヒト抗体は、マウスVEGFに対して高い交差反応を示すので、動物実験研究に容易に用いられる。
【0053】
本発明のヒト抗体の軽鎖及び重鎖またはその断片を暗号化するポリヌクレオチドは、コドンの縮退性によって、または前記ヒト抗体の軽鎖及び重鎖またはその断片を発現させようとする生物で選好されるコドンを考慮して、コード領域から発現されるヒト抗体の軽鎖及び重鎖またはその断片のアミノ酸配列を変化させない範囲内でコード領域に多様な変形が成り立ち得、コード領域を除いた部分でも遺伝子の発現に影響を及ぼさない範囲内で多様な変形または修飾が成り立ち得、そのような変形遺伝子も本発明の範囲に含まれることを当業者はよく理解することができるだろう。すなわち、本発明のポリヌクレオチドは、これと同等な活性を有するタンパク質をコードする限り、一つ以上の核酸塩基が置換、欠失、挿入またはこれらの組合わせによって変異することができ、これらも本発明の範囲に含まれる。このようなポリヌクレオチドの配列は、単鎖または二重鎖であり得、DNA分子またはRNA(mRNA)分子であり得る。
【0054】
前記発現ベクターの製作時には、前記ヒト抗体の軽鎖及び重鎖またはその断片を生産しようとする宿主細胞の種類によってプロモーター、ターミネーター、エンハンサーなどのような発現調節配列、膜標的化または分泌のための配列などを適切に選択して目的によって多様に組み合わせることができる。
【0055】
本発明の発現ベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、バクテリオファージベクター及びウイルスベクターなどを含むが、これに制限されない。相応しい発現ベクターは、プロモーター、オペレーター、開始コドン、終結コドン、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーのような発現調節エレメントの他にも、膜標的化または分泌のためのシグナル配列またはリーダー配列を含み、目的によって多様に製造することができる。発現ベクターのプロモーターは、構成的または誘導性であり得る。前記シグナル配列には、宿主が大腸菌の場合には、PhoAシグナル配列、OmpAシグナル配列などが、宿主がバシラス属の菌の場合には、α−アミラーゼシグナル配列、サブチリシンシグナル配列などが、宿主が酵母の場合には、MFαシグナル配列、SUC2シグナル配列などが、宿主が動物細胞の場合には、インスリンシグナル配列、α−インターフェロンシグナル配列、抗体分子シグナル配列などを使用することができるが、これに制限されない。また発現ベクターは、ベクターを含む宿主細胞を選択するための選択マーカーを含むことができ、複製可能な発現ベクターの場合、複製起源を含む。
【0056】
また、本発明は、前記ヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供する。
【0057】
また、本発明は、前記ヒト抗体の軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供する。
【0058】
また、本発明は、前記ヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクター、及び軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを同時に宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供する。
【0059】
本発明の具体的な実施例では、モノクローナルファージの軽鎖及び重鎖を暗号化する遺伝子を得てそれぞれベクターに連結した後、前記発現ベクターを同時に宿主細胞に導入して発現された全長IgG形態のヒト抗体を確認した。前記ヒト抗体を得て、VEGFに対する結合能(図9a及び図9b参照)、中和能(図10参照)及びマウス及びヒトVEGFに対する交差反応性(表8、表9及び図11参照)を確認した。
【0060】
本発明による前記発現ベクターを適切な宿主細胞、例えば、大腸菌または酵母細胞などに形質転換させた後、形質転換された宿主細胞を培養することで、本発明によるヒト抗体の軽鎖及び重鎖またはその断片を大量生産することができる。宿主細胞の種類による適切な培養方法及び培地条件などは当該分野の通常の技術者に知られた公知技術から当業者が容易に選択することができる。前記宿主細胞は、大腸菌またはバシラス・サブティリスのような原核生物であり得る。また、サカロマイセスセルビシエのような酵母、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞から由来した真核細胞であり得る。前記動物細胞は、自家または同種異系動物細胞であることがより好ましい。自家または同種異系動物細胞に導入してつくられた形質転換体は、個体に投与されて癌を治療する細胞治療などに使用され得る。前記宿主細胞への発現ベクター導入方法は、当業者に公知されたどの方法を使用してもかまわない。
【0061】
また、本発明は、
1)前記形質転換体を培養する工程;及び
2)前記培養液から前記ヒト抗体を精製する工程を含む、VEGFに特異的なヒト抗体の製造方法を提供する。
【0062】
前記培養培地としては、当業者に公知された培養培地の中から形質転換体に相応しい培地を選択して使用することが好ましい。前記抗体精製方法は、当業者に公知されたどんな精製方法も使用可能である。
【0063】
本発明の具体的な実施例では、モノクローナルファージの軽鎖及び重鎖を暗号化する遺伝子を得てそれぞれベクターに連結した後、前記発現ベクターを同時に宿主細胞に導入して発現した全長IgG形態のヒト抗体を確認した。前記ヒト抗体を得て、VEGFに対する結合能(図9a及び図9b参照)、中和能(図10参照)及びマウス及びヒトVEGFに対する交差反応性(表8、表9及び図11参照)を確認した。
【0064】
また、本発明は、前記ヒト抗体を含む組成物を提供する。
【0065】
また、本発明は、前記ヒト抗体を含む製薬組成物を提供する。
【0066】
前記VEGFが過発現して惹起される疾患は、癌または新生血管生成と係わる疾患である。前記癌は、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択されたいずれかひとつであることが好ましいが、これに限定されず、VEGFが過発現する癌はすべて可能である。また、前記新生血管生成と係わる疾患には、慢性関節リウマチ(RA)、糖尿病性網膜症、虚血性網膜症、乾癬、増殖糖尿病網膜症(PDR)及び糖尿病性黄斑浮腫などがある。
【0067】
本発明の具体的な実施例で、VEGFに対する結合能を示した(図9a及び図9b参照)VEGFモノクローナル抗体は、ヒト臍帯静脈内皮細胞株で、VEGFによって誘導されるHUVEC細胞の毛細管類似管形成を顕著に抑制することが観察された(図10参照)。また、アバスチンと似た中和能を示すE9、F6及びG12モノクローナル抗体は、すべて、マウスVEGFに対してヒトVEGF程度の高い親和力を示して交差反応した(表8、表9及び図11参照)。アバスチンは、マウスVEGFに対して全く交差反応しないので、前記アバスチンによる副作用のための動物実験研究が難しいことが知られていたが、本発明のVEGF中和ヒト抗体はマウスと交差反応するので、本発明のVEGF中和ヒト抗体が既存の抗癌剤であるアバスチンとエピトープの異なる確率が確実に高くなり、本発明のVEGF中和ヒト抗体は、マウスVEGFに対して高い交差反応を示すので、動物実験研究に容易に使用できる。それで、本発明のモノクローナル抗体は、VEGFが過発現された疾患予防及び治療用組成物として有用に使用することができる。
【0068】
本発明の製薬組成物は、前記VEGFに特異的なヒト抗体または前記形質転換体を選択的に含むことができ、前記成分に追加で同一または類似の機能を示す有効成分を1種以上含むことができる。また、本発明の製薬組成物投与のために、前記で記載した有効成分以外に、追加で薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含んで製造することができる。例えば、薬剤学的に許容可能な担体では、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エチルアルコール、リポソーム及びこれら成分中の一つ以上の成分を混合して使用することができ、必要によって抗酸化剤、緩衝液及び静菌剤など他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液及び乳濁液などのような注射用剤形に製剤化することができ、標的細胞に特異的に作用するように標的細胞に特異的な抗体またはその他リガンドを前記の担体とともに結合させて使用することができる。同時に、当該技術分野の適正な方法またはレミングトンの文献(Remington’s Pharmaceutical Science,Mack Publishing Company,Easton PA)に記載された方法などを使用して各疾患または成分によって好ましく製剤化することができる。
【0069】
本発明の製薬組成物は、非経口で投与することができ、非経口投与は、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射または胸部内注射注入方式による。非経口投与用剤形に製剤化するためには、本発明の製薬組成物は、安定剤または緩衝剤とともに混合して溶液または懸濁液に製造し、それをアンプルまたはバイアルの単位投与型に製剤化する。
【0070】
本発明の製薬組成物は、投与経路によって多様な形態で製造することができる。例えば、本発明の製薬組成物は、注射用途に相応しい滅菌水溶液または分散液の形態に製造することができ、または凍結乾燥技術を使用してフリーズドライされた形態で製造することができる。フリーズドライされた製薬組成物は、典型的に約4℃で維持され、補助剤を含むか含まない安定化溶液、例えば、食塩水または/及びHEPESによって復元され得る。
【0071】
本発明の方法を実施するにおいて、投与される製薬組成物の量に影響を及ぼす因子としては、これに限定されるものではないが、投与方式、投与頻度、治療が進行中の特定疾病、疾病の重症度、疾病の病歴、個体が異なる治療剤とともに協力治療法が進行中かどうか、及び治療が進行中の個体の年齢、身長、体重、健康、及び身体条件を含む。一般的に治療が進行中の患者の体重が増加するほど、本発明の製薬組成物をさらに多い量で投薬することが好ましい。
【0072】
同時に、本発明の製薬組成物は、化学的療法と並行して投与することができる。
【0073】
また、本発明は、薬学的に有効な量の前記ヒト抗体をVEGFが過発現して惹起される疾患にかかった個体に投与する工程を含む、VEGFが過発現して惹起される疾患を治療する方法を提供する。
【0074】
前記VEGFが過発現して惹起される疾患は、癌または新生血管生成と係わる疾患である。前記癌は、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択されたいずれかひとつであることが好ましいが、これに限定されず、VEGFが過発現する癌はすべて可能である。また、前記新生血管生成と係わる疾患には、慢性関節リウマチ、糖尿病性網膜症、虚血性網膜症、乾癬、増殖糖尿病網膜症と糖尿病性黄斑浮腫などがある。
【0075】
本発明の具体的な実施例で、VEGFに対する結合能を示した(図9a及び図9b参照)VEGFモノクローナル抗体は、ヒト臍帯静脈内皮細胞株で、VEGFによって誘導されるHUVEC細胞の毛細管類似管形成を顕著に抑制することが観察された(図10参照)。また、アバスチンと似た中和能を示したE9、F6及びG12モノクローナル抗体はすべて、マウスVEGFに対してヒトVEGF程度の高い親和力を示して交差反応した(表8、表9及び図11参照)。アバスチンは、マウスVEGFに対して全く交差反応しないので、前記アバスチンによる副作用のための動物実験研究が難しいことが知られているが、本発明のVEGF中和ヒト抗体は、マウスと交差反応するので、本発明のVEGF中和ヒト抗体が既存の抗癌剤であるアバスチンとエピトープが異なる確率が明確に高くなり、本発明のVEGF中和ヒト抗体は、マウスVEGFに対して高い交差反応を示すので、動物実験研究に容易に使用できる。それで、本発明のモノクローナル抗体は、VEGFが過発現された疾患の予防及び治療に有用に使用することができる。
【0076】
本発明が適用可能な個体は、脊椎動物で、哺乳動物が好ましく、さらに好ましいのは、ネズミ、ウサギ、ギニアピッグ、ハムスター、犬、猫のような実験動物で、最も好ましいのは、チンパンジー、ゴリラのような類人猿類の動物である。
【0077】
本発明のヒト抗体の投与方法は、使用目的によって非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内または局所などに投与する方法)で可能で、静脈投与が好ましい。場合によって固形癌に対する投与では、抗体の接近を早く容易にするために局所的な投与が好ましいこともある。投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率及び疾患の重症度等によってその範囲が多様である。1回の投与量は、約5〜500mg/m2の量で一単位または数単位で投与することができる。前記有効量は、前記患者を治療する医師の裁量によって調節することができる。
【0078】
本発明のヒト抗体は、患者の治療のために単独または手術、ホルモン治療、薬物治療及び生物学的反応調節剤と並行して使用することができる。
【0079】
また、本発明は、前記ヒト抗体、ヒト抗体の軽鎖または重鎖、またはその免疫学的に活性を有した断片及び放射線アイソトープを含む組成物を提供する。
【0080】
前記組成物は、VEGFが過発現して惹起される疾患の放射線免疫治療用及び検出用に有用に使用することができる。前記VEGFが過発現して惹起される疾患は、癌または新生血管生成と係わる疾患である。前記癌は、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択されたいずれかひとつであることが好ましいが、これに限定されず、VEGFが過発現する癌はすべて可能である。また、前記新生血管生成と係わる疾患には、慢性関節リウマチ、糖尿病性網膜症、虚血性網膜症、乾癬、増殖糖尿病網膜症と糖尿病性黄斑浮腫などがある。
【0081】
本発明の具体的な実施例で、モノクローナルVEGF抗体は、VEGFに対する高い結合能を示すことを確認した(図9a及び図9b参照)。それで、本発明のモノクローナル抗体は、VEGFが過発現して惹起される疾患の放射線免疫治療用及び放射線アイソトープを含む組成物として有用に使用することができる。
【0082】
好ましい放射線アイソトープの例では、3H、11C、14C、18F、64Cu、76Br、86Y、99mTc、111In、123I、177Lu及びこれらの混合物及び組合わせを含む。前記放射線アイソトープは、ヒト抗体と結合したりヒト抗体が結合した運搬体に含まれることを特徴とする。
【0083】
また、本発明は、前記放射線アイソトープを含む組成物を癌細胞と接触する工程を含む、試験管内でVEGFが過発現する癌の免疫検出方法を提供する。
【0084】
前記VEGFが過発現する癌は、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択されたいずれか一つであることが好ましいが、これに限定されず、VEGFが過発現する癌はすべて可能である。
【0085】
本発明の具体的な実施例で、モノクローナルVEGF抗体は、VEGFに対する高い結合能を示すことを確認した(図9a及び図9b参照)。それで、本発明のモノクローナル抗体は、VEGFが過発現する放射線アイソトープを含む組成物として有用に使用することができる。
【0086】
前記放射線アイソトープを含む組成物は、洗浄や複合体の分離などその後の工程を容易にするために、固形基質に結合することができる。固形基質は、例えば合成樹脂、ニトロセルロース、ガラス基板、金属基板、グラスファイバー、微細球体及びミクロビーズなどがある。また、前記合成樹脂には、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、PVDF及びナイロンなどがある。
【0087】
また、癌細胞は、前記放射線アイソトープを含む組成物と接触の前に適当な程度に希釈することができる。
【0088】
また、本発明は、1)前記放射線アイソトープを含む組成物の診断的有効量を個体に投与する工程;及び、
2)前記個体に対する検出映像を得る工程を含む、生体内でVEGFが過発現する癌の映像化方法を提供する。
【0089】
前記VEGFが過発現する癌は、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択されたいずれか一つであることが好ましいが、これに限定されず、VEGFが過発現する癌はすべて可能である。
【0090】
本発明の具体的な実施例で、モノクローナルVEGF抗体は、VEGFに対する高い結合能を示すことを確認した(図9a及び図9b参照)。それで、本発明のモノクローナル抗体は、VEGFが過発現する癌の映像化方法に有用に使用することができる。
【0091】
前記検出映像は、近赤外光イメージング、PET、MRIまたは超音波イメージングによって得ることを特徴とする。
【0092】
また、本発明は、
1)前記放射線アイソトープを含む組成物を個体の静脈内に投与する工程;
2)前記工程1)の組成物を検出して腫瘍細胞を確認する工程;
3)工程2)で確認された腫瘍細胞を手術的切除によって除去する工程を含む、VEGFが過発現する癌の生体内治療方法を提供する。
【0093】
前記VEGFが過発現する癌は、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択されたいずれか一つであることが好ましいが、これに限定されず、VEGFが過発現する癌はすべて可能である。
【0094】
本発明の具体的な実施例として、VEGFに対する結合能を示した(図9a及び図9b参照)VEGFモノクローナル抗体は、ヒト臍帯静脈内皮細胞株で、VEGFによって誘導されるHUVEC細胞の毛細管類似管形成を顕著に抑制することが観察された(図10参照)。また、アバスチンと似た中和能を示したE9、F6及びG12モノクローナル抗体は、すべて、マウスVEGFに対してヒトVEGF程度の高い親和力を示して交差反応した(表8、表9及び図11参照)。アバスチンは、マウスVEGFに対して全く交差反応しないので、前記アバスチンによる副作用のための動物実験研究が難しいことが知られていたが、本発明のVEGF中和ヒト抗体はマウスと交差反応するので、本発明のVEGF中和ヒト抗体が既存の抗癌剤であるアバスチンとエピトープが異なる確率が明確に高くなり、本発明のVEGF中和ヒト抗体はマウスVEGFに対して高い交差反応を示すので、動物実験研究に容易に使用できる。それで、本発明のモノクローナル抗体は、VEGFが過発現する癌予防及び治療に有用に使用することができる。
【0095】
また、本発明は、
1)前記放射線アイソトープを含む組成物を腫瘍細胞が除去された患者の静脈内に投与する工程;
2)前記工程1)の組成物を検出して腫瘍細胞を確認する工程;
3)工程2)で腫瘍細胞が検出されなければ、腫瘍細胞がすべて除去されたと判断することを特徴とする、癌治療患者の予後評価方法を提供する。
【0096】
同時に、本発明は、前記ヒト抗体を動物実験モデルに投与する工程を含む、前記ヒト抗体の副作用を測定する方法を提供する。
【0097】
前記動物実験モデルは、VEGFが過発現して惹起される疾患にかかった動物が好ましい。
【実施例】
【0098】
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明する。
【0099】
但し、下記の実施例は、本発明を例示するだけのものであって、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるのではない。
【0100】
<実施例1>VEGF抗原タンパク質製造
<1−1>VEGF遺伝子クローニング
<1−1−1>YK602を使用してクローニング
韓国生命工学研究院ヒト遺伝体機能研究産業団のKUGI(Korean UniGene Information)からヒトVEGF遺伝子を含んでいるプラスミド(UG−0036−D12)の分譲を受けた。前記プラスミドを鋳型DNAにして、前記VEGFのドメインのみを発現させるために正方向プライマー(配列番号1:5’−GCTCTAGAGTGATGAACTTTCTGCTGTCTT−3’)及び逆方向プライマー(配列番号2:5’−CGGAATTCCCGCCTCGGCTTGTCACA−3’)を使用して遺伝子を下記の条件で増幅した後、XbaIとEcoRIで処理した後、リガーゼを使用してpcDNA3.1/myc−His(−)ベクター(V80020:Invitrogen,米国)にサブクローニングした。PCR条件は、全体反応液が50μlの時、鋳型は500ngになるように入れて、94℃で5分、95℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分30秒で、25サイクル、72℃で10分間反応させてPCR産物を得た。
【0101】
前記pcDNA3.1−VEGFを鋳型DNAにして、正方向プライマー(配列番号3:5’−CAGGGGGCCGTGGGGGCCGCAGAAGGAGGAGGGCAG−3’)及び逆方向プライマー(配列番号4:5’−TAGCGGCCGACGCGGCCAACCGCCTCGGCTTGTCACA−3’)を使用して遺伝子を下記条件で増幅した後、SfiIで処理した後、リガーゼを使用してpYK602ベクター(図13a)にサブクローニングした。PCR条件は、全体反応液が50μlの時、鋳型は100ngになるように入れて、94℃で5分、95℃で30秒、58℃で30秒、72℃で1分で、25サイクル、72℃で10分間反応させてPCR産物を得た。併せて、前記サブクローニングしたpYK602−VEGFベクターの塩基配列を確認した。
【0102】
<1−1−2>pYK602−HisとpYK603を使用してクローニング
実施例1−1−1と同一な方法でpcDNA3.1−VEGFを鋳型にして、pYK602−His(図13b)とpYK603ベクター(図13c)にVEGFをサブクローニングした。併せて、前記サブクローニングしたpYK602−His−VEGFとpYK603−VEGFベクターの塩基配列を確認した。
【0103】
<1−2>VEGFタンパク質発現及び精製
<1−2−1>pYK602を使用してVEGF発現確認
まず、150mmの皿10枚に5×106293E細胞を敷いた後、翌日前記サブクローニングしたpYK602−VEGFベクター10μgをPEI(23966:Polysciences,Inc,米国)を処理して形質転換した。翌日成長培地(無血清DMEM)に交換した後、二日ごとに上澄み液を得て、10%SDS−PAGEゲルで電気泳動した後、ウエスタンブロットで確認した。
【0104】
具体的に、前記1回目から7回目まで継代培養の上澄み液VEGF20μlがローディングされた10%SDS−PAGEゲル2枚を100Vで2時間位電気泳動した後、NC膜(HATF00010:millipore,米国)に85Vで2時間伝達した。以後、膜を4%スキムミルクin TBSTで4℃で一晩中遮断した。以後、商業的に購買した抗ヒトFc−HRP(0.8mg/ml;製品番号31413:Thermo Sci,米国)を4%スキムミルクin TBSTに1:4000に希釈して常温で1時間反応させた。TBSTで10分に一回ずつ5回洗浄した後、現像(12145:Intron,米国)してタンパク質の発現量を比較した。
【0105】
その結果、図1に示したように、VEGFは7回目の継代培養まで発現し、全般的にVEGFの発現量は、あまり多くなく、2回目及び3回目で発現量が多かった。
【0106】
また、前記上澄み液をプロテインAカラム(17−1279−03:GE Healthcare,米国)を使用して1.5ml/分の速度で精製した後、0.25mg/mlのタンパク質を得て、これをPBSに透析した後、沈殿物が生じることを確認した。
【0107】
それで、相対的に沈澱が少なく生成されるpYK602−HisとpYK603ベクターに再サブクローニングした。
【0108】
<1−2−2>pYK602−HisとpYK603を使用してVEGF発現確認
サブクローニングされたpYK602−His−VEGFとpYK603−VEGFベクターを実施例1−2−1の方法で形質導入した後、何回も継代培養しながら上澄み液を得た。
【0109】
pYK602−VEGF、pYK602−His−VEGF及びpYK603−VEGFベクターの1次及び2次継代培養上澄み液を10%SDS−PAGEゲルで電気泳動した後、ウエスタンブロットで確認した。また、沈殿物生成も確認した。
【0110】
その結果、図2に示したように、pYK602−VEGFとpYK602−His−VEGFベクターは、発現量が類似で相対的な沈殿物形成も少なく、pYK603−VEGFベクターでは、相対的にそれより発現量が少なく示された。
【0111】
それで、最終的にpYK602−His−VEGFベクターを使用してVEGFを発現させて精製した。
【0112】
<1−2−3>pYK602−His−VEGFベクター発現確認
150mmの皿10枚に5×106293E細胞を敷いて、pYK602−His−VEGFベクターを形質導入した後、継代培養しながら1〜7次継代培養の上澄み液300mlを得た。前記上澄み液を10%SDS−PAGEゲルで電気泳動した後、ウエスタンブロットで確認した。
【0113】
その結果、図3に示したように、2及び3次上澄み液で発現量が最も多かった。
【0114】
<1−2−4>VEGFタンパク質発現及び精製
前記2及び3次上澄み液を50mlに濃縮した後、300mlのNi−NTA結合緩衝溶液(Qiagen,米国)に交換した後、再び50mlに濃縮した。前記濃縮液にNi−NTAビーズ(1024473,Qiagen,米国)を添加して4℃で2時間結合した後、洗浄して溶離した。
【0115】
前記溶離液をメンブレイン(10K,132574:SPECTRAPOR,米国)に入れた後、4℃で4lのPBS溶液に4時間以上緩衝溶液を代えた後、再びあらかじめ冷やしておいた4lのPBS溶液に入れて一晩中透析して緩衝溶液を交換した。一晩中透析した後、e−チューブに移して、ブラッドフォード方法でタンパク質濃度を測定した後、10%SDS−PAGEゲルで確認した(図4)。
【0116】
その結果、600μgのVEGFタンパク質を得た。
【0117】
<実施例2>ライブラリファージの製造
多様性を有したヒト由来scFvライブラリ細胞2.7×1010を2×YT CM[トリプトン(CONDA,1612.00)17g、酵母エキス(CONDA,1702.00)10g、NaCl(sigma,S7653−5Kg)5g、クロラムフェニコール(sigma,C0857)34μg/ml)]、2%グルコース(sigma,G5400)及び5mM MgCl2(sigma,M2393)を含む培地(3l)で37℃で2〜3時間培養した後(OD600=0.5〜0.7)、ヘルパーファージを感染させて2×YTCMK[2×YT CM、カナマイシン(sigma、K1876)70μg/ml、1mM IPTG(ELPISBIO、IPTG025)]培地に30℃で16時間培養した。培養した細胞を遠心分離(4500rpm、15分、4℃)した後、上澄み液に4%PEG(Fluka,81253)6000と3%NaCl(sigma,S7653)を添加してよく溶解した後、氷で1時間反応させた。再び、遠心分離(8000rpm、20分、4℃)した後、ペレットにPBSを添加して溶解した後、遠心分離(12000rpm、10分、4℃)してライブラリファージを含む上澄み液を新しいチューブに入れて4℃で保管した。
【0118】
<実施例3>モノクローナル抗体の製造
<3−1>パンニング(Panning)過程
実施例1で得た精製されたVEGF抗原50μgをImmunosorbチューブ(Nunc470319)に4mlのコーティング緩衝溶液[Na2CO3(sigma,S7795)1.59g、NaHCO3(sigma,S8875)2.93g、NaN3(sigma,S2002)、0.2g]で4℃で16時間程度ローテイターでコーティングした後、室温で2時間PBSに溶解してスキムミルク[(BD,232100)−4%in 1XPBS]を使用してイムノチューブ位置で遮断した。免疫チューブに実施例2で製造したライブラリファージ2mlを添加して室温で2時間反応させ、PBST(0.05%)で5回、PBSで2回洗浄した。洗浄後、特異的に結合したscFv−ファージだけ100mM TEA(Sigma T−0886)に溶離して、溶出したファージを大腸菌(XL1−Blue,stratagene,200249)に感染させて増幅した。最初のパンニングで増幅されたファージをPBST洗浄回数のみ増やして(2次:13回、3次:23回)同一な方法で2次及び3次パンニングを行なった。
【0119】
その結果、表1に示したように、2次から抗原に対するファージのコロニー力価が1000倍以上増幅されることを確認した。
【0120】
【表1】
【0121】
<3−2>ファージELISAによるファージ抗体探索
<3−2−1>パンニング結果確認
1次から3次までパンニングして氷らせておいた細胞貯蔵品を5mlの2×YTCM、2%グルコース、5mM MgCl2培地にOD600=0.1になるように入れた後、37℃で2〜3時間(OD600=0.5〜0.7)培養した。以後、M1ヘルパーファージを感染させて2×YTCMK、5mM MgCl2、1mM IPTG培地に30℃で16時間培養した。ここで、VEGFと関係ない発生過程に関連あるWW45抗原に特異的に結合する、本発明の実施例どおりつくられた単一ファージ抗体(#39)を対照群に使用した。培養細胞を遠心分離した後(4500rpm、15分、4℃)上澄み液(1次〜3次パンニングpoly scFv−ファージ)を新しいチューブに移した。96ウェル免疫プレート(NUNC 439454)にVEGF抗原をウェル当り100ngずつ4℃で16時間程度コーティング緩衝溶液で処理してコーティングした後、PBSに溶解したスキムミルク(4%)を使用して各ウェルを遮断した。ウェルごとにPBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlで洗った後、1次〜3次パンニングpoly scFV−ファージを各ウェルに100μlずつ入れて常温で2時間反応させた。再び、ウェルごとにPBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlを使用して、4回洗浄した後、二次抗体である抗−M13−HRP(Amersham27−9421−01)を1:2000に希釈して室温で1時間反応させた。PBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlで洗浄した後、OPD精製(Sigmap 8787−TAB)をPC緩衝溶液[C6H8O7.H2O(sigma,C0706)5.1g、Na2HPO4(sigma,S7907)7.3g]に溶解した基質溶液を作ってウェル当り100μlずつ入れて10分間発色させた後、490nmで吸光度を分光光度計(MolecularDevice,米国)で測定した。
【0122】
その結果、図5に示したように、VEGF抗原に対する結合能が2次ポリクローナルscFv−ファージプールから増強して、2次に結合能が飽和状態に至り、タグされたHisに対する値は、相対的に低かった。
【0123】
<3−2−2>モノクローナル抗体選別
前記結合能が大きいポリクローナルファージ抗体群(3次パンニング)で得たコロニーを2×YTCM、2%グルコース、5mM MgCl2培地1mlを含んだ96ディープウェルプレート(バイオニア90030)で、37℃で16時間培養した。培養した細胞のOD600値が0.1になるように100〜200μlを取って1mlの2×YTCM、2%グルコース、5mM MgCl2培地に希釈した後、96ディープウェルプレートで37℃でOD600値が0.5〜0.7になるように2〜3時間培養した。M1ヘルパーファージをMOI値が1:20になるように感染させた後、2×YTCMK、5mM MgCl2、1mM IPTG培地に30℃で16時間培養した。培養した細胞を遠心分離(4500rpm、15分、4℃)した後、上澄み液を取って4%PEG6000と3%NaClを添加してよく溶解した後、氷で1時間反応させた。再び遠心分離(8000rpm、20分、4℃)した後、ペレットにPBSを添加して溶解した後、遠心分離(12000rpm、10分、4℃)して上澄み液を取って新しいチューブに移して、3次パンニングして得たモノクローナルscFvファージを4℃で保管した。
【0124】
以後、96ウェル免疫プレートにVEGF抗原をウェル当り100ngずつ入れて、4℃で16時間コーティングした後、PBSに溶解したスキムミルク(4%)を使用して各ウェルを遮断した。ウェルごとにPBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlを使用して洗浄した後、3次パンニングして得たモノクローナルscFvファージを各ウェルに100μlずつ入れて常温で2時間反応させた。再び、ウェルごとにPBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlを使用して4回洗った後、2次抗体である抗−M13−HRPを1/2000に希釈して室温で1時間反応させた。PBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlで洗浄した後、発色させて吸光度490nmで測定した。
【0125】
その結果、抗原VEGFに対する結合能が、1.5以上の50個のモノクローナルファージ(表2で強調したもの)を選別した。
【0126】
【表2】
【0127】
<3−3>モノクローナルファージ分類及び検査
<3−3−1>フィンガープリンティングによる検証
1次選別されたモノクローナル50個のモノクローナル細胞1μlとTaq.DNAポリメラーゼ(ゼンダックス5U/μl)0.2μl、50p/μlの正方向プライマー(pelB5、配列番号125:5’−CTAGATAACGAGGGCAAATCATG−3’)及び逆方向プライマー(cla3、配列番号126:5’−CGTCACCAATGAAACCATC−3’)0.2μl、10×緩衝溶液3μl、10mM dNTP mix0.6μl、蒸留水24.8μlを混合して、コロニーPCR(iCycler iQ、BIO−RAD)を行なった。PCRプログラムの条件を、下記表3に示す。
【0128】
【表3】
【0129】
前記コロニーPCR産物は、1%アガロースゲル(Seakem LE,CAMERES 50004)で確認し、BstNI(Roche11288075001,10U/μl)0.2μlを加えて、37℃で2〜3時間反応させた。反応条件は、下記の表4のとおりである。前記切断した産物を8%DNAポリアクリルアミドゲルで確認した。
【0130】
【表4】
【0131】
前記コロニーPCR産物は、1%アガロースゲル(Seakem LE,CAMERES 50004)で確認し、BstNI(Roche11288075001,10U/μl)0.2μlを取って、37℃で2〜3時間反応させた。反応条件は、下記の表5のとおりである。前記切断した産物を8%DNAポリアクリルアミドゲルで確認した。
【0132】
その結果、図6に示したように、BstNIによって切られられたモノクローナルファージ抗体の断片に対して多様性が確認された。
【0133】
<3−3−2>塩基配列分析による検証
前記50種のモノクローナルファージを2×YTCM、2%グルコース、5mM MgCl2培地(5ml)に37℃で16時間培養した。培養したモノクローンからDNA精製キット(Nuclogen5112)を使用してDNAを得た後、配列番号125のpelB5プライマーを使用した配列分析を依頼した(ソルジェント、韓国)。
【0134】
その結果、表5、図7及び図8に示されたように、選別された抗体のVHとVLのCDR領域を確認した。
【0135】
これら抗体と生殖細胞系列抗体群の類似性をNCBIのIg BLASTプログラム(//www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)を使用して調査した結果、14種のVEGFに特異的なファージ抗体を得て、それを下記表6に整理して提示した。特に、重鎖の場合、ヒト生殖細胞系列配列と89.9%から約96%までの相同性を示し、軽鎖の場合は89.2%から約97%の相同性を示した。また、それぞれのヒト抗体の重鎖及び軽鎖のCDR3で使用されているポリペプチドを分析して、互いに配列が異なることを確認した。
【0136】
【表5−1】
【表5−2】
【0137】
【表6】
【0138】
<実施例4>VEGFに対するヒト抗体の特性分析
<4−1>結合能測定
VEGFに対する実施例3で選別された14種のモノクローナルファージ抗体の結合能を測定するため、実施例3−2の方法で結合能をそれぞれ測定した。
【0139】
その結果、図9a及び図9bに示したように、前記14種のモノクローナルファージ抗体の結合能順位は、G12>D12>E9>F6>H7>C5>B12>G9>F9>C11>F2>A4>C9>C12だった。
【0140】
<4−2>全長IgG変換分析
VEGFに対するモノクローナルファージ抗体をファージでIgG全長ベクターに転換するために、重鎖はモノクローナルDNA1μlと10pmole/μl表7の重鎖正方向プライマーと重鎖逆方向プライマー、10×バッファー5μl、10mM dNTP mix 1μl、pfu DNA重合酵素(ソルジェント、2.5U/μl)0.5μl、蒸留水を混合してコロニーPCR(iCycler iQ、BIO−RAD)を行なった。また、軽鎖も表7の軽鎖正方向及び逆方向プライマーを使用して同一な方法でコロニーPCRを行なった。
【0141】
【表7−1】
【表7−2】
【表7−3】
【0142】
PCRの結果得られた重鎖遺伝子をDNAゲル抽出キット(Qiagen)で精製した後、pNATAB Hベクター(図12a)1μl(10ng)、重鎖(100〜200ng)15μl、10×バッファーファー2μl、リガーゼ(1U/μl)1μl、蒸留水を混合して室温で1〜2時間放置して前記ベクターと連結した。前記ベクターを形質転換用細胞(XL1−blue)とともに氷に30分放置した後、42℃で90秒間熱衝撃を与えて形質導入した。再び氷に5分間放置した後、LB培地1mlを注入して1時間37℃で培養した。LB Amp固体培地に塗抹した後、37℃で16時間培養した。単一コロニーをLB Amp液体培地5mlに接種して、37℃で16時間培養した。前記培養液からDNA−prep.キット(Nuclogen)を使用してDNAを抽出した。
【0143】
また、軽鎖は、pNATAB Lベクター(図12b)を使用して前記と同じ方法で DNAを抽出した。
【0144】
前記得られたDNAのCMV−proFプライマー(配列番号127:AAA TGG GCG GTA GGC GTG)を使用した塩基配列分析を依頼した(ソルジェント)。
【0145】
その結果、全長IgGに転換したVEGFに対する14個のクローンファージの重鎖と軽鎖の配列が、ファージ抗体の配列と一致することを確認した。
【0146】
<4−3>全長IgGの検証
293E細胞(Invitrogen)に、PEI40μgと全長形態抗体重鎖DNA10μg、軽鎖DNA10μgを入れて、共同形質感染をして得られた上澄み液をウエスタンブロットで確認した。対照群には、正常ヒトIgG(Jackson Lab)を使用した。
【0147】
その結果、対照群と比較して成功的に全長IgG形態に転換されたことを確認した。
【0148】
<4−4>管形成抑制分析を通じた抗−VEGF抗体の中和能確認
約80%コンフルエンス状態のヒト臍帯静脈内皮細胞であるHUVEC細胞(C2517A:Lonza)の単一細胞層を1%FBSを添加したEBM−2(CC3156、Cambrex)培地に交替して37℃/5%CO2培養器で4時間栄養飢餓状態にした。以後、細胞をトリプシンで集めて3×105/mlで栄養飢餓培地に懸濁した。細胞懸濁液100μlと精製された本発明のヒトVEGFAb溶液150μl(VEGF Abは栄養飢餓培地に希釈して4μg/mlの濃度で処理)、陰性対照群に正常ヒトIgGを4μg/mlの濃度で処理または陽性対照群にアバスチン(Genentech)を4μg/mlの濃度で処理して37℃で一時間事前インキュベーションした。事前インキュベーションをする途中に24ウェルプレートに氷で冷やしたマトリゲル(354230:BD Bio−science,米国)を200μlずつ入れて37℃/5%CO2培養器で30分間ホモゲナイジングした。反応が終わった細胞とAbの混合物に組換えヒトVEGFを20ng/mlの濃度で添加した後、マトリゲル上に入れて、37℃/5%CO2で培養した。16時間培養した後、管形成を測定するために3.7%パラホルムアルデヒド500μlを入れて30分間室温で固定した。次に、0.01%クリスタルバイオレット/100mM NaBorate 500μlで30分間染色し、乾燥させて100倍率の顕微鏡で管の形成程度を観察した。
【0149】
その結果、図10に示したように、精製されたVEGFAbは、陽性対照群より明らかな管形成抑制を示した。
【0150】
E9、F6、G12及びC5の4種類の抗体の中で、C5を除く3種類の抗体はすべて、VEGFによって誘導されるHUVEC細胞の毛細管類似管形成を顕著に抑制することが観察され、これにより、本発明のVEGFに対するヒト抗体の中和能を確認できた。
【0151】
<4−5>抗−VEGF抗体のマウスでの交差反応確認
また、各抗体がヒトVEGFだけでなくマウスVEGFに対して交差反応するかどうかを調べるため、ELISAを行なった。
【0152】
二つの96ウェル免疫プレートに、組換えヒトVEGF(293−VE,R&D systems,米国)と組換えマウスVEGF(493−MV,R&D systems,米国)タンパク質をウェル当り50ngずつ4℃で16時間程度コーティング緩衝溶液でコーティングした後、PBSに溶解したスキムミルク(4%)を使用して各ウェルを遮断した。ウェルごとにPBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlを加えて洗った後、アバスチンを対照群にしてE9、F6及びG12モノクローナル抗体を333nMから1/3ずつ順次に希釈して二つの抗原がコーティングされたプレート各々のウェルに同時に100μlずつ入れて常温で2時間反応させた。再びウェルごとに、PBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlを加えて4回洗った後、二次抗体である抗−ヒトFc−HRPを1:3000に希釈して室温で30分間反応させた。PBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlで洗った後にOPD錠をPC緩衝溶液に入れて基質溶液を作り、ウェル当り100μlずつ入れて5分間発色させた後、吸光度490nmで分光光度計で測定した。
【0153】
ELISA結果は、Graphpad prism ver.4 software(CA 92037:Graphpad Software Inc.,米国)を使用して分析した。
【0154】
その結果、図10でアバスチンと似た中和能を示したE9、F6及びG12モノクローナル抗体はすべて、マウスVEGFに対してヒトVEGF程度の高い親和力を示さして交差反応した(表8、表9及び図11)。また、最大の中和能を示したF6抗体は、一貫性をもってアバスチンより約2倍も低いKD値を示した。このことから、本発明のVEGF中和ヒト抗体が既存の抗癌剤であるアバスチンとエピトープの異なる確率が確実に高くなった。
【0155】
【表8】
【0156】
【表9】
【0157】
<実施例5>VEGFF6及びG12モノクローナル抗体のLCシャフリング遂行
<5−1>LCシャフリングライブラリの製造
実施例3で得た、モノクローナルF6とG12のscFv−ファージで重鎖部分をSfiIを50℃で処理して2時間ごとにSfiIを追加して3回繰り返した後、ゲル溶離した。また、ライブラリプラスミドであるpYG100をSfiIで50℃で4時間処理した後、もう一度処理して一晩中制限して、ゲル溶離した。前記切られたモノクローナルF6とG12の重鎖断片とベクターの濃度を測定した後、ベクター:重鎖断片=1:5のモル濃度で全体1μg/100μlに合わせて、10ユニットリガーゼで2〜4時間程度室温で連結させた。連結された産物をエチルアルコールで濃縮した後、蒸留水に溶解した連結された産物20μlをXL1−BLUE細胞1×109個/100μlに電気穿孔法で形質導入した。37℃で一晩中培養した後、15%グリセロール2XYT 500μlに入れて−70℃で保管し、力価測定の結果、2.1×106多様性が示された。
【0158】
<5−2>LCシャフリングライブラリファージの製造
実施例5−1で製造した、多様性を有したヒト由来VEGFF6 & G12 LCシャフリングscFvライブラリ細胞2.1×106を対象に、実施例2と同一な方法でライブラリファージを製造した。
【0159】
<5−3>LCシャフリングモノクローナル抗体の製造
実施例1で得た精製されたVEGF抗原50μgと実施例5−2で製造したライブラリファージ2mlを使用して、実施例3と同一な方法でファージパンニング、パンニング結果の確認、モノクローナル抗体選別及びモノクローナルファージ分類及び検査を行なった。
【0160】
パンニング結果、表10に示したように、1次から力価が高く示され、2次で抗原に対するファージのコロニー力価が、5倍以上増幅することを確認した。
【0161】
【表10】
【0162】
また、パンニング結果をELISAで確認した結果、図14に示したように、VEGF抗原に対する結合能が、LCシャフリングしたポリクローナルscFv−ファージプール(pools)から増強して1次に結合能が飽和状態に至り、テグされたHisに対する値は、相対的に低かった。
【0163】
また、モノクローナル抗体選別の結果、VEGF抗原に対する結合能が2.0以上の 61個のモノクローナルファージ(表11で強調したもの)を選別した。ここで、LCシャフリングに使用したF6とG12を陽性対照群に使用した。
【0164】
【表11】
【0165】
また、フィンガープリンティングによる検証の結果、図15に示したように、BstNIによって切られたモノクローナルファージ抗体の断片に対して多様性が確認された。
【0166】
同時に、塩基配列分析による検証結果、表12に示したように、選別された抗体のVHとVLのCDR領域を確認した。前記選別された抗体と生殖細胞系列抗体群の類似性を調査した結果、F6と同一なHCを有しLCのみ異なる12種のVEGFに特異的なファージ抗体を得、G12と同一なHCを有しLCのみ異なる3種のVEGFに特異的なファージ抗体を得た(表13)。特に、軽鎖の場合、90.1%で約94.4%の相同性を示した。また、各々のヒト抗体の軽鎖のCDR1、2、3で使用されているポリペプチドを分析し、互いに配列が異なることを確認した。図16では、LCシャフリングして選別された抗体のVHのCDR領域が同一で、VLのCDR領域を比較した。
【0167】
【表12−1】
【表12−2】
【0168】
【表13】
【0169】
<実施例6>LCシャフリングヒト抗体の特性分析
<6−1>結合能測定
実施例5−3で選別されたLCシャフリングモノクローナル抗体を対象に、実施例4−1と同一な方法で結合能を測定した。その結果、表14に示したように、前記15種のLCシャフリングモノクローナルファージ抗体の抗原に対する結合能が確認された。
【0170】
【表14】
【0171】
<6−2>全長IgG変換分析
実施例5−3で選別されたLCシャフリングモノクローナルファージ抗体をIgG全長ベクターに転換するため、表15のプライマー対を使用して実施例4−2と同一な方法でコロニーPCRを遂行することで、重鎖はpNATAB Hベクター(図12a)、軽鎖はpNATAB Lベクター(図12b)に連結した。前記ベクターからDNAを抽出して、塩基配列分析を依頼した結果、全長IgGに転換したLCシャフリングモノクローナルファージ抗体に対する15個のクローンファージの重鎖と軽鎖の配列がファージ抗体の配列と一致することを確認した。
【0172】
【表15−1】
【表15−2】
【表15−3】
【0173】
<6−3>抗−VEGF抗体の結合能確認
また、各LCシャフリングモノクローナルファージ抗体が、F6とG12と比較してVEGFに対する結合能を確認するために、実施例4−5と同一な方法でELISAを行なった。
【0174】
その結果、表16に示したように、2C11、2G03、2C05及び2F10の場合のみ結合程度が非常に弱く、残りは陽性対照群と類似の程度の高い親和力を示した。
【0175】
【表16】
【配列表フリーテキスト】
【0176】
配列番号1:VEGF フォワードプライマー
配列番号2:VEGF リバースプライマー
配列番号3:pcDNA3.1−VEGF フォワードプライマー
配列番号4:pcDNA3.1−VEGF リバースプライマー
配列番号5:A4 HC−CDR1
配列番号6:B12 HC−CDR1
配列番号7:C11 HC−CDR1
配列番号8:C12 HC−CDR1
配列番号9:C5 HC−CDR1
配列番号10:C9 HC−CDR1
配列番号11:D12 HC−CDR1
配列番号12:E9 & F6 HC−CDR1
配列番号13:F2 HC−CDR1
配列番号14:F9 HC−CDR1
配列番号15:G12 HC−CDR1
配列番号16:G9 HC−CDR1
配列番号17:H7 HC−CDR1
配列番号18:A4 HC−CDR2
配列番号19:B12 HC−CDR2
配列番号20:C11 HC−CDR2
配列番号21:C12 HC−CDR2
配列番号22:C5 HC−CDR2
配列番号23:C9 HC−CDR2
配列番号24:D12 HC−CDR2
配列番号25:E9 & F6 HC−CDR2
配列番号26:F2 HC−CDR2
配列番号27:F9 HC−CDR2
配列番号28:G12 HC−CDR2
配列番号29:G9 HC−CDR2
配列番号30:H7 HC−CDR2
配列番号31:A4 HC−CDR3
配列番号32:B12 HC−CDR3
配列番号33:C11 HC−CDR3
配列番号34:C12 HC−CDR3
配列番号35:C5 HC−CDR3
配列番号35:C9 HC−CDR3
配列番号37:D12 HC−CDR3
配列番号38:E9 & F6 HC−CDR3
配列番号39:F2 HC−CDR3
配列番号40:F9 HC−CDR3
配列番号41:G12 HC−CDR3
配列番号42:G9 HC−CDR3
配列番号43:H7 HC−CDR3
配列番号44:VEGF A4 重鎖
配列番号45:VEGF B12 重鎖
配列番号46:VEGF C11 重鎖
配列番号47:VEGF C12 重鎖
配列番号48:VEGF C5 重鎖
配列番号49:VEGF C9 重鎖
配列番号50:VEGF D12 重鎖
配列番号51:VEGF E9 & VEGF F6 重鎖
配列番号52:VEGF F2 重鎖
配列番号53:VEGF F9 重鎖
配列番号54:VEGF G12 重鎖
配列番号55:VEGF G9 重鎖
配列番号56:VEGF H7 重鎖
配列番号57:A4 LC−CDR1
配列番号58:B12 LC−CDR1
配列番号59:C11 LC−CDR1
配列番号60:C12 LC−CDR1
配列番号61:C5 LC−CDR1
配列番号62:C9 LC−CDR1
配列番号63:D12 LC−CDR1
配列番号64:E9 & F6 LC−CDR1
配列番号65:F2 LC−CDR1
配列番号66:F9 LC−CDR1
配列番号67:G12, 2A09 & 2E11 LC−CDR1
配列番号68:G9 LC−CDR1
配列番号69:H7 LC−CDR1
配列番号70:A4 LC−CDR2
配列番号71:B12 LC−CDR2
配列番号72:C11 LC−CDR2
配列番号73:C12 LC−CDR2
配列番号74:C5 LC−CDR2
配列番号75:C9 LC−CDR2
配列番号76:D12 LC−CDR2
配列番号77:E9 & F6 LC−CDR2
配列番号78:F2 LC−CDR2
配列番号79:F9 LC−CDR2
配列番号80:G12, 2E11, 2G04 & 2G12 LC−CDR2
配列番号81:G9 LC−CDR2
配列番号82:H7 LC−CDR2
配列番号83:A4 & H7 LC−CDR3
配列番号84:B12 LC−CDR3
配列番号85:C11 LC−CDR3
配列番号86:C12 LC−CDR3
配列番号87:C5 LC−CDR3
配列番号88:C9 LC−CDR3
配列番号89:D12 & F2 LC−CDR3
配列番号90:E9 & F6 LC−CDR3
配列番号91:F9 LC−CDR3
配列番号92:G12 LC−CDR3
配列番号93:G9 LC−CDR3
配列番号94:VEGF A4 軽鎖
配列番号95:VEGF B12 軽鎖
配列番号96:VEGF C11 軽鎖
配列番号97:VEGF C12 軽鎖
配列番号98:VEGF C5 軽鎖
配列番号99:VEGF C9 軽鎖
配列番号100:VEGF D12 軽鎖
配列番号101:VEGF E9 & VEGF F6 軽鎖
配列番号102:VEGF F2 軽鎖
配列番号103:VEGF F9 軽鎖
配列番号104:VEGF G12 軽鎖
配列番号105:VEGF G9 軽鎖
配列番号106:VEGF H7 軽鎖
配列番号107:NATVH7−1
配列番号108:NATVH3−1
配列番号109:NATVH1−2
配列番号110:NATVH2−1
配列番号111:NATVH3−2
配列番号112:NATVH1−1
配列番号113:NATVH7−2
配列番号114:NATJH−ALL
配列番号115:NATVK1−1
配列番号116:NATVL10
配列番号117:NATVL2
配列番号118:NATVL9
配列番号119:NATJK−R7
配列番号120:NATJK−R1
配列番号121:NATJK−R2
配列番号122:NATJL1−R
配列番号123:NATJK−R5
配列番号124:NATJL2−R
配列番号125:pelB5プライマー
配列番号126:cla3プライマー
配列番号127:CMV−proFプライマー
配列番号128:NATVH7−3
配列番号129:NATJK−R3
配列番号130:2B05 LC−CDR1
配列番号131:2C11 LC−CDR1
配列番号132:2D10 LC−CDR1
配列番号133:2F01 LC−CDR1
配列番号134:2G03 LC−CDR1
配列番号135:2G04 LC−CDR1
配列番号135:2G12 LC−CDR1
配列番号137:2H07 LC−CDR1
配列番号138:2H08 LC−CDR1
配列番号139:2H09 LC−CDR1
配列番号140:2C05 LC−CDR1
配列番号141:2F09 LC−CDR1
配列番号142:1F10 LC−CDR1
配列番号143:2A09 & 2H07 LC−CDR2
配列番号144:2B05 & 2G03 LC−CDR2
配列番号145:2C11 LC−CDR2
配列番号146:2D10 LC−CDR2
配列番号147:2F01 LC−CDR2
配列番号148:2H08 LC−CDR2
配列番号149:2H09 LC−CDR2
配列番号150:2C05 LC−CDR2
配列番号151:2F09 LC−CDR2
配列番号152:1F10 LC−CDR2
配列番号153:2A09 & 2D10 LC−CDR3
配列番号154:2B05 & 2G12 LC−CDR3
配列番号155:2C11 & 2G03 LC−CDR3
配列番号156:2E11 LC−CDR3
配列番号157:2F01 LC−CDR3
配列番号158:2G04 LC−CDR3
配列番号159:2H07 LC−CDR3
配列番号160:2H08 LC−CDR3
配列番号161:2H09 LC−CDR3
配列番号162:2C05 LC−CDR3
配列番号163:2F09 LC−CDR3
配列番号164:1F10 LC−CDR3
配列番号165:VEGF LC シャッフリング 2A09 軽鎖
配列番号166:VEGF LC シャッフリング 2B05 軽鎖
配列番号167:VEGF LC シャッフリング 2C11 & 2G03 軽鎖
配列番号168:VEGF LC シャッフリング 2D10 軽鎖
配列番号169:VEGF LC シャッフリング 2E11 軽鎖
配列番号170:VEGF LC シャッフリング 2F01 軽鎖
配列番号171:VEGF LC シャッフリング 2G04 軽鎖
配列番号172:VEGF LC シャッフリング 2G12 軽鎖
配列番号173:VEGF LC シャッフリング 2H07 軽鎖
配列番号174:VEGF LC シャッフリング 2H08 軽鎖
配列番号175:VEGF LC シャッフリング 2H09 軽鎖
配列番号176:VEGF LC シャッフリング 2C05 軽鎖
配列番号177:VEGF LC シャッフリング 2F09 軽鎖
配列番号178:VEGF LC シャッフリング 1F10 軽鎖
配列番号179:NATVH2−3
配列番号180:NATVL13
配列番号181:NATVK3
配列番号182:NATVL13
配列番号183:NATVK1−1
配列番号184:NATVL12
配列番号185:NATVL13
配列番号186:NATJL1−R
配列番号187:NATJK−R2
配列番号188:NATJL1−R
配列番号189:NATJL1−R
配列番号190:NATJK−R2
配列番号191:NATJL5−R
【技術分野】
【0001】
本発明は、VEGF(Vascular endothelial growth factor)−特異的なヒト抗体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
VEGFは、発生過程の血管形成及び血管新生に決定的な役割をすることが知られていて(Soker S等,J Cell Biochem.2002年,第85巻,357−368頁)、VEGFR1が血管内皮細胞の他に大腸癌、膵臓癌細胞にも過発現して直接的に腫瘍の進行、転移に関与することが報告されていて、VEGFR1は、血管新生、腫瘍の成長と転移、炎症などにおいて重要な役割をすると見なされている(Wey JS等,Cancer,2005年,第104巻,427−438頁;Fan F等,Oncogene,2005年,第24巻,2647−2653頁)。VEGFは、腫瘍血管新生において最も重要な因子中の一つで、腎臓癌(Tomisawa M等,Eur J Cancer ,1999年,第35巻,133−137頁)、肺癌(Volm M等,Int J Cancer,1997年,第74巻,64−68頁)、乳癌(Yoshiji H等,Cancer Res.,1996年,第56巻,2013−2016頁)、卵巣癌(Sowter HM等,Lab Invest.,1997年,第77巻,607−614頁)など大部分の腫瘍組織で発現され、腫瘍細胞だけではなく腫瘍基質細胞でも分泌する。腫瘍の成長を阻害するために、VEGF拮抗剤を使用した試みとして、マウス抗ヒトVEGFモノクローナル抗体は、試験管で腫瘍細胞の成長には特別に影響を及ぼさない一方、癌動物モデルで腫瘍血管新生及び腫瘍成長を明白に阻害する効果を示した(Kim KJ等,Nature,1993年,第362巻,841−844頁;Borgstrom P等,Cancer Res.,1996年,第56巻,4032−4039頁)。
【0003】
VEGFが実際に腫瘍以外に多くの疾病とも関連性が高いという事実は、広く知られていて、これに対する治療剤開発も多角度に試みられている。代表的な例として、新生血管生成と係わる疾患である慢性関節リウマチ(RA)、糖尿病性網膜症、虚血性網膜症及び乾癬などが挙げられ、VEGFがこのような疾病に重要な要因として作用することが明らかにされている。RAの場合、対照群の患者に比較してRA患者の血清VEGFの量が上昇することが確認された(Ikeda M等,J Pathol.,2000年,第191巻,426−33頁)。また、糖尿病患者で血漿VEGFが上昇するが、上昇した血糖が内皮に毒性影響を及ぼして高血糖性不完全低酸素状態を誘導する。これは、VEGF生成を誘導して糖尿病で内皮損傷と障害とが関係あることを示している(Lim HS等,Diabetes Care,2004年,第27巻,2918−24頁)。また、網膜でVEGFの過度な分泌は、眼内新生血管、血腫を引き起こして視覚障害/盲目になる。増殖糖尿病網膜症(PDR)及び糖尿病性黄斑浮腫と関連した視力喪失を防止して、レーザー治療のような破壊的な治療と関連した副作用を避けるための努力として、VEGFのすべての亜形に選択的に結合するヒト化されたモノクローナル抗VEGF抗体断片を使用する。Genentech社によって生産された、rhuFab V2と呼ばれるこの化合物は、現在臨床研究中であり、PDRまたは糖尿病性黄斑浮腫を防止するのに効果を示している(Heier JS,Program and abstracts of the American Academy of Ophthalmology 2002 Annual Meeting;October 20−23,Orlando,Florida)。
【0004】
現在40種以上の多様な血管新生抑制剤が、多様な種類の腫瘍に対して臨床開発が進行されている。VEGF及びVEGF受容体は、最も代表的な標的として、活性、信号伝達、生産を阻害する薬剤が含まれる。VEGF阻害剤では、抗体、水溶性VEGF受容体(VEGFtrap)などがある。腫瘍治療剤としての血管新生抑制剤では、ヒト化抗VEGFモノクローナル抗体であるベバシズマブ(bevacizumab;AvastinTM,Genentech)が、大規模の臨床試験で転移性大膓癌患者の生命延長の効果を示すことによって、2004年2月にFDAの承認を受けた。したがって、このような抗VEGFヒトモノクローナル抗体の開発は、新生血管の治療を含めたそれと係わった多様な疾患の治療のための有望な候補物質として、副作用を極小化させて臨床及び前臨床に使用することができる長所を有していて、これを使用した多方面の治療剤開発が注目されているのは、当然である。
【0005】
それで、本発明者等は、VEGFに特異的に結合する14種のヒト抗体を選別して、前記ヒト抗体が既存のヒト化抗VEGFモノクローナル抗体であるアバスチンと類似水準の結合能及び中和能を有し、マウスVEGFと交差反応性を示すことを確認して、本発明のヒト抗体が、VEGF過発現疾患の治療に効果的に使用できることを提示することにより本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、VEGFに特異的なヒト抗体を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、前記ヒト抗体の重鎖またはその断片を暗号化するポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチド及びヒト重鎖の不変領域を含む発現ベクターを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、前記ヒト抗体の軽鎖またはその断片を暗号化するポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチド及びヒト軽鎖の不変領域を含む発現ベクターを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、前記ヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、前記ヒト抗体の軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、前記ヒト抗体の重鎖またはその断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクター、及び軽鎖またはその断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを同時に宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、前記形質転換体を培養して、VEGFに特異的なヒト抗体を製造する方法を提供することである。
【0013】
また、本発明は、前記ヒト抗体を含む組成物を提供することである。
【0014】
また、本発明は、前記ヒト抗体を含む製薬組成物を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、薬学的に有効な量の前記ヒト抗体を個体に投与する工程を含む、VEGFが過発現して惹起される疾患を治療する方法を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、前記ヒト抗体及び放射線アイソトープを含む組成物を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、前記放射線アイソトープを含む組成物が癌細胞と接触する工程を含む、試験管内のVEGFが過発現する癌の免疫検出方法を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、前記放射線アイソトープを含む組成物の診断的有効量を個体に投与する工程を含む、生体内でVEGFが過発現する癌の映像化方法を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、前記放射線アイソトープを含む組成物を使用する、VEGFが過発現する癌の生体内治療方法を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、前記放射線アイソトープを含む組成物を使用する、VEGFが過発現する癌治療の予後評価方法を提供することである。
【0021】
本発明の他の目的は、前記ヒト抗体を動物実験モデルに投与する工程を含む、前記ヒト抗体の副作用を測定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記目的を達成するために、本発明は、配列番号5〜17からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域(以下、HCDR)1、配列番号18〜30からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するHCDR2及び配列番号31〜43からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するHCDR3を含む、重鎖可変領域(VH)を含む重鎖またはその断片;及び、
配列番号57〜69及び配列番号130〜配列番号142からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域(以下、LCDR)1、配列番号70〜82及び配列番号143〜配列番号152からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するLCDR2及び配列番号83〜93及び、配列番号153〜配列番号164からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)を含む軽鎖またはその断片を含むVEGFに特異的なヒト抗体を提供する。
【0023】
また、本発明は、前記ヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0024】
また、本発明は、前記ヒト抗体の軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0025】
また、本発明は、前記ヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供する。
【0026】
また、本発明は、前記ヒト抗体の軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供する。
【0027】
また、本発明は、前記ヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクター、及び軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを同時に宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供する。
【0028】
また、本発明は、前記形質転換体を培養して、VEGFに特異的なヒト抗体を製造する方法を提供する。
【0029】
また、本発明は、前記ヒト抗体を含む組成物を提供する。
【0030】
また、本発明は、前記ヒト抗体を含む製薬組成物を提供する。
【0031】
また、本発明は、薬学的に有効な量の前記ヒト抗体をVEGFが過発現して惹起される疾患にかかった個体に投与する工程を含む、VEGFが過発現して惹起される疾患を治療する方法を提供する。
【0032】
また、本発明は、前記ヒト抗体、ヒト抗体の軽鎖または重鎖、またはその免疫学的に活性を有した断片及び放射線アイソトープを含む組成物を提供する。
【0033】
また、本発明は、前記放射線アイソトープを含む組成物が癌細胞と接触する工程を含む、試験管内のVEGFが過発現する癌の免疫検出方法を提供する。
【0034】
また、本発明は、1)前記放射線アイソトープを含む組成物の診断的有効量を個体に投与する工程;及び、
2)前記個体に対する検出映像を得る工程を含む、生体内でVEGFが過発現する癌の映像化方法を提供する。
【0035】
また、本発明は、
1)前記放射線アイソトープを含む組成物を個体の静脈内に投与する工程;
2)前記工程1)の組成物を検出して腫瘍細胞を確認する工程;
3)工程2)で確認された腫瘍細胞を手術的切除によって除去する工程を含む、VEGFが過発現する癌の生体内治療方法を提供する。
【0036】
また、本発明は、
1)前記放射線アイソトープを含む組成物を腫瘍細胞が除去された患者の静脈内に投与する工程;
2)前記工程1)の組成物を検出して腫瘍細胞を確認する工程;
3)工程2)で腫瘍細胞が検出されなければ、腫瘍細胞がすべて除去されたと判断することを特徴とする、VEGFが過発現する癌治療患者の予後評価方法を提供する。
【0037】
同時に、本発明は、前記ヒト抗体をVEGFを過発現する疾患にかかった動物実験モデルに投与する工程を含む、前記ヒト抗体の副作用を測定する方法を提供する。
【発明の効果】
【0038】
本発明のVEGFに特異的なヒト抗体は、前記VEGFが過発現して惹起される疾患の診断、疾患の分類、映像化、治療及び予後判定などに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】pYK602−VEGFベクターでのVEGFタンパク質発現をウエスタンブロットで確認した結果を示した図である。
【図2】pYK602−VEGF、pYK602−His−VEGF及びpYK603−VEGFベクターでのVEGFタンパク質発現をウエスタンブロットで比較した結果を示した図である。
【図3】pYK603−VEGFベクターでのVEGFタンパク質発現をウエスタンブロットで確認した結果を示した図である。
【図4】精製されたVEGFをSDS−PAGEで確認した結果を示した図である。
【図5】パンニング1〜3次でのファージ抗体探索結果を示した図である。
【図6】VEGFに対するヒトVEGFモノクローナルファージ抗体の多様性をフィンガープリンティングを通じて確認した結果を示した図である。
【図7a】VEGFに対するヒトVEGFモノクローナルファージ抗体の重鎖CDRで使用されているポリペプチドを分析した結果を示した図である。
【図7b】VEGFに対するヒトVEGFモノクローナルファージ抗体の重鎖CDRで使用されているポリペプチドを分析した結果を示した図である。
【図7c】VEGFに対するヒトVEGFモノクローナルファージ抗体の重鎖CDRで使用されているポリペプチドを分析した結果を示した図である。
【図8a】VEGFに対するヒトVEGFモノクローナルファージ抗体の軽鎖CDRで使用されているポリペプチドを分析した結果を示した図である。
【図8b】VEGFに対するヒトVEGFモノクローナルファージ抗体の軽鎖CDRで使用されているポリペプチドを分析した結果を示した図である。
【図8c】VEGFに対するヒトVEGFモノクローナルファージ抗体の軽鎖CDRで使用されているポリペプチドを分析した結果を示した図である。
【図9a】ヒトVEGFモノクローナル抗体の結合特異性を比較した結果を示した図である:a:C5、E9、F6、G12、A4、C11、及びF2。
【図9b】ヒトVEGFモノクローナル抗体の結合特異性を比較した結果を示した図である:b:H7、G9、C9、B12、F9、D12及びC12。
【図10】HUVEC細胞でヒトVEGFモノクローナル抗体の管形成を抑制する中和能を確認した結果を示した図である。
【図11】ヒトVEGFモノクローナル抗体のhVEGFとmVEGFに対する交差反応性を測定した結果を示した図である。
【図12a】pNATAB Hベクターの開列地図を示した図である。
【図12b】pNATAB Lベクターの開列地図を示した図である。
【図13a】pYK602ベクターの開列地図を示した図である。
【図13b】pYK602−Hisベクターの開列地図を示した図である。
【図13c】pYK603−Hisベクターの開列地図を示した図である。
【図14】パンニング1〜3次でのLCシャフリングライブラリファージ抗体探索結果を示した図である。
【図15】LCシャフリングモノクローナルファージ抗体の多様性をフィンガープリンティングを通じて確認した結果を示した図である。
【図16】LCシャフリングモノクローナルファージ抗体の軽鎖CDRで使用されているポリペプチドを分析した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明で使用した用語を説明する。
「可変領域」というのは、抗原と特異的に結合する機能を遂行しながら配列上の多くの変異を見せる抗体分子の部分を意味し、可変領域には、CDR1、CDR2及びCDR3が存在する。前記CDRの間には、フレームワーク領域(FR)部分が存在して、CDR環を支持する役割をする。
【0041】
「相補性決定領域」は、抗原の認識に関与する環状の部位であり、この部位の配列が変わることによって抗体の抗原に対する特異性が決定される。
【0042】
「パンニング(panning)」は、ファージの外壁にペプチドを発現するファージライブラリから、標的分子(抗体、酵素、細胞表面レセプターなど)と結合する性質を有したペプチドを表面に発現しているファージのみを選択し出す過程を意味する。
【0043】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0044】
本発明は、配列番号5〜17からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域(以下、HCDR)1、配列番号18〜30からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するHCDR2及び配列番号31〜43からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む重鎖またはその断片;及び、
配列番号57〜69及び配列番号130〜配列番号142からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域(以下、LCDR)1、配列番号70〜82及び配列番号143〜配列番号152からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するLCDR2、及び配列番号83〜93及び配列番号153〜配列番号164からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)を含む軽鎖またはその断片を含むVEGFに特異的なヒト抗体を提供する。
【0045】
好ましくは、前記重鎖可変領域は、配列番号44〜56からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有し、前記軽鎖可変領域は、配列番号94〜106及び配列番号165〜配列番号178からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する。
【0046】
前記抗体は、全長抗体形態であるのみならず、抗体分子の機能的な断片を含む。全体抗体は、2個の全長の軽鎖及び2個の全長の重鎖を有する構造で、それぞれの軽鎖は、重鎖とジスルフィド結合で連結されている。抗体分子の機能的な断片というのは、抗原結合機能を保有している断片を意味し、抗体断片の例としては、(i)軽鎖の可変領域(VL)及び重鎖の可変領域(VH)と軽鎖の不変領域(CL)及び重鎖の最初の不変領域(CH1)からなるFab断片;(ii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iii)単一抗体のVL及びVHドメインからなるFv断片;(iv)VHドメインからなるdAb断片(Ward ES等,Nature,1989年,第341巻,544−546頁];(v)分離したCDR領域;(vi)2個の連結されたFab断片を含む2価断片であるF(ab’)2断片;(vii)VHドメイン及びVLドメインが抗原結合部位を形成するよう結合させるペプチドリンカーによって結合された単一鎖Fv分子(scFv);(viii)二重特異的な単一鎖Fvニ量体(PCT/US92/09965)及び、(ix)遺伝子融合によって製作された多価または多重特異的断片であるディアボディ(diabody)WO94/13804)などを含む。
【0047】
本発明では、VEGFに対するヒト抗体をファージディスプレイ技術を使用してscFv形態で得て、モノファージクローン形態でスクリーニングすることで、VEGFに特異的な14種のモノクローナルファージを得た。
【0048】
本発明の具体的な実施例で組換え技術で得たVEGF(図1〜図4参照)をモノクローナル抗体の製造に使用した。前記VEGFを多様性を有したヒト由来scFvライブラリ細胞から製造したライブラリファージと反応してパンニングさせた後、VEGF抗原に強く結合するモノクローナルをスクリーニングした(表1、2及び図5参照)。前記選別されたモノクローナルをフィンガープリンティングで確認した後(図6参照)、それぞれの配列を分析して抗体のVHとVLのCDR部位を確認した(表5及び図7、8参照)。前記抗体と生殖系列抗体群の類似性をNCBIのIg BLASTプログラム(//www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)を使用して確認した結果(表6参照)、14種のVEGFに特異的なファージ抗体を得た。前記選別されたモノクローナル抗体は、G12>D12>E9>F6>H7>C5>B12>G9>F9>C11>F2>A4>C9>C12の順序でVEGFに対する結合能を示し(図9a及び図9b参照)、VEGFによって誘導されるHUVEC細胞の毛細管類似管形成を顕著に抑制することが観察された(図10参照)。また、アバスチンと似た中和能を示したE9、F6及びG12モノクローナル抗体は、すべてマウスVEGFに対してヒトVEGF程度の高い親和力を示して交差反応した(表8、表9及び図11参照)。アバスチンは、マウスVEGFに対して全く交差反応しないので、前記アバスチンによる副作用のための動物実験研究が難しいことが報告されたが、本発明のVEGF中和ヒト抗体は、マウスと交差反応するので、本発明のVEGF中和ヒト抗体が既存の抗癌剤であるアバスチンとエピトープの異なる確率が確実に高くなり、本発明のVEGF中和ヒト抗体は、マウスVEGFに対して高い交差反応を示すので、動物実験研究に容易いに使用できる。
【0049】
前記アバスチンと似た中和能を示したF6及びG12モノクローナル抗体を対象に、軽鎖がシャフリングしたライブラリファージを製造した。前記製造したライブラリファージとVEGFを反応させてパンニングさせた後、VEGF抗原に強く結合するモノクローナルをスクリーニングした(表10、11及び図14参照)。前記選別されたモノクローナルをフィンガープリンティングで確認した後(図15参照)、それぞれの配列を分析して抗体のVHとVLのCDR部位を確認し、LCシャフリングして選別された抗体のVHのCDR領域が同一で、VLのCDR領域を比較した(表12及び図16参照)。前記抗体と生殖系列抗体群の類似性を確認した結果(表13参照)、15種のVEGFに特異的なLCシャフリングモノクローナルファージ抗体を得て、これらのVEGFに対する結合能が確認された(表14参照)。前記LCシャフリングモノクローナルファージ抗体のヒトVEGFに対する結合能を確認した結果、2C11、2G03、2C05及び2F10を除外して、F6及びG12と類似の程度の高い親和力を示した。
【0050】
また、本発明は、前記ヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0051】
また、本発明は、前記ヒト抗体の軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0052】
本発明の具体的な実施例で組換え技術によって得たVEGFを使用して、VEGF抗原に強く結合するモノクローンをスクリーニングした(表1、2及び図5参照)。前記選別されたモノクローンをフィンガープリンティングで確認した後(図6参照)、それぞれの配列を分析して抗体のVHとVLのCDR部位を確認した(表5及び図7、8参照)。前記抗体と生殖系列抗体群の類似性を確認した結果(表6参照)、15種のVEGFに特異的なファージ抗体を得た。前記選別されたモノクローナル抗体のVEGFに対する結合能を測定し(図9a及び図9b参照)、VEGFによって誘導されるHUVEC細胞の毛細管類似管形成を顕著に抑制することが観察された(図10参照)。また、アバスチンと似た中和能を示したE9、F6及びG12モノクローナル抗体は、すべてマウスVEGFとヒトVEGFに対して高い親和力を示して交差反応した(表8、表9及び図11参照)。アバスチンは、マウスVEGFに対して全く交差反応しないので、前記アバスチンによる副作用のための動物実験研究が難しいことが知られているが、本発明のVEGF中和ヒト抗体は、マウスと交差反応するので、本発明のVEGF中和ヒト抗体が既存の抗癌剤であるアバスチンとエピトープが異なる確率が確実に高くなった。本発明のVEGF中和ヒト抗体は、マウスVEGFに対して高い交差反応を示すので、動物実験研究に容易に用いられる。
【0053】
本発明のヒト抗体の軽鎖及び重鎖またはその断片を暗号化するポリヌクレオチドは、コドンの縮退性によって、または前記ヒト抗体の軽鎖及び重鎖またはその断片を発現させようとする生物で選好されるコドンを考慮して、コード領域から発現されるヒト抗体の軽鎖及び重鎖またはその断片のアミノ酸配列を変化させない範囲内でコード領域に多様な変形が成り立ち得、コード領域を除いた部分でも遺伝子の発現に影響を及ぼさない範囲内で多様な変形または修飾が成り立ち得、そのような変形遺伝子も本発明の範囲に含まれることを当業者はよく理解することができるだろう。すなわち、本発明のポリヌクレオチドは、これと同等な活性を有するタンパク質をコードする限り、一つ以上の核酸塩基が置換、欠失、挿入またはこれらの組合わせによって変異することができ、これらも本発明の範囲に含まれる。このようなポリヌクレオチドの配列は、単鎖または二重鎖であり得、DNA分子またはRNA(mRNA)分子であり得る。
【0054】
前記発現ベクターの製作時には、前記ヒト抗体の軽鎖及び重鎖またはその断片を生産しようとする宿主細胞の種類によってプロモーター、ターミネーター、エンハンサーなどのような発現調節配列、膜標的化または分泌のための配列などを適切に選択して目的によって多様に組み合わせることができる。
【0055】
本発明の発現ベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、バクテリオファージベクター及びウイルスベクターなどを含むが、これに制限されない。相応しい発現ベクターは、プロモーター、オペレーター、開始コドン、終結コドン、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーのような発現調節エレメントの他にも、膜標的化または分泌のためのシグナル配列またはリーダー配列を含み、目的によって多様に製造することができる。発現ベクターのプロモーターは、構成的または誘導性であり得る。前記シグナル配列には、宿主が大腸菌の場合には、PhoAシグナル配列、OmpAシグナル配列などが、宿主がバシラス属の菌の場合には、α−アミラーゼシグナル配列、サブチリシンシグナル配列などが、宿主が酵母の場合には、MFαシグナル配列、SUC2シグナル配列などが、宿主が動物細胞の場合には、インスリンシグナル配列、α−インターフェロンシグナル配列、抗体分子シグナル配列などを使用することができるが、これに制限されない。また発現ベクターは、ベクターを含む宿主細胞を選択するための選択マーカーを含むことができ、複製可能な発現ベクターの場合、複製起源を含む。
【0056】
また、本発明は、前記ヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供する。
【0057】
また、本発明は、前記ヒト抗体の軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供する。
【0058】
また、本発明は、前記ヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクター、及び軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを同時に宿主細胞に導入してつくられた形質転換体を提供する。
【0059】
本発明の具体的な実施例では、モノクローナルファージの軽鎖及び重鎖を暗号化する遺伝子を得てそれぞれベクターに連結した後、前記発現ベクターを同時に宿主細胞に導入して発現された全長IgG形態のヒト抗体を確認した。前記ヒト抗体を得て、VEGFに対する結合能(図9a及び図9b参照)、中和能(図10参照)及びマウス及びヒトVEGFに対する交差反応性(表8、表9及び図11参照)を確認した。
【0060】
本発明による前記発現ベクターを適切な宿主細胞、例えば、大腸菌または酵母細胞などに形質転換させた後、形質転換された宿主細胞を培養することで、本発明によるヒト抗体の軽鎖及び重鎖またはその断片を大量生産することができる。宿主細胞の種類による適切な培養方法及び培地条件などは当該分野の通常の技術者に知られた公知技術から当業者が容易に選択することができる。前記宿主細胞は、大腸菌またはバシラス・サブティリスのような原核生物であり得る。また、サカロマイセスセルビシエのような酵母、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞から由来した真核細胞であり得る。前記動物細胞は、自家または同種異系動物細胞であることがより好ましい。自家または同種異系動物細胞に導入してつくられた形質転換体は、個体に投与されて癌を治療する細胞治療などに使用され得る。前記宿主細胞への発現ベクター導入方法は、当業者に公知されたどの方法を使用してもかまわない。
【0061】
また、本発明は、
1)前記形質転換体を培養する工程;及び
2)前記培養液から前記ヒト抗体を精製する工程を含む、VEGFに特異的なヒト抗体の製造方法を提供する。
【0062】
前記培養培地としては、当業者に公知された培養培地の中から形質転換体に相応しい培地を選択して使用することが好ましい。前記抗体精製方法は、当業者に公知されたどんな精製方法も使用可能である。
【0063】
本発明の具体的な実施例では、モノクローナルファージの軽鎖及び重鎖を暗号化する遺伝子を得てそれぞれベクターに連結した後、前記発現ベクターを同時に宿主細胞に導入して発現した全長IgG形態のヒト抗体を確認した。前記ヒト抗体を得て、VEGFに対する結合能(図9a及び図9b参照)、中和能(図10参照)及びマウス及びヒトVEGFに対する交差反応性(表8、表9及び図11参照)を確認した。
【0064】
また、本発明は、前記ヒト抗体を含む組成物を提供する。
【0065】
また、本発明は、前記ヒト抗体を含む製薬組成物を提供する。
【0066】
前記VEGFが過発現して惹起される疾患は、癌または新生血管生成と係わる疾患である。前記癌は、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択されたいずれかひとつであることが好ましいが、これに限定されず、VEGFが過発現する癌はすべて可能である。また、前記新生血管生成と係わる疾患には、慢性関節リウマチ(RA)、糖尿病性網膜症、虚血性網膜症、乾癬、増殖糖尿病網膜症(PDR)及び糖尿病性黄斑浮腫などがある。
【0067】
本発明の具体的な実施例で、VEGFに対する結合能を示した(図9a及び図9b参照)VEGFモノクローナル抗体は、ヒト臍帯静脈内皮細胞株で、VEGFによって誘導されるHUVEC細胞の毛細管類似管形成を顕著に抑制することが観察された(図10参照)。また、アバスチンと似た中和能を示すE9、F6及びG12モノクローナル抗体は、すべて、マウスVEGFに対してヒトVEGF程度の高い親和力を示して交差反応した(表8、表9及び図11参照)。アバスチンは、マウスVEGFに対して全く交差反応しないので、前記アバスチンによる副作用のための動物実験研究が難しいことが知られていたが、本発明のVEGF中和ヒト抗体はマウスと交差反応するので、本発明のVEGF中和ヒト抗体が既存の抗癌剤であるアバスチンとエピトープの異なる確率が確実に高くなり、本発明のVEGF中和ヒト抗体は、マウスVEGFに対して高い交差反応を示すので、動物実験研究に容易に使用できる。それで、本発明のモノクローナル抗体は、VEGFが過発現された疾患予防及び治療用組成物として有用に使用することができる。
【0068】
本発明の製薬組成物は、前記VEGFに特異的なヒト抗体または前記形質転換体を選択的に含むことができ、前記成分に追加で同一または類似の機能を示す有効成分を1種以上含むことができる。また、本発明の製薬組成物投与のために、前記で記載した有効成分以外に、追加で薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含んで製造することができる。例えば、薬剤学的に許容可能な担体では、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エチルアルコール、リポソーム及びこれら成分中の一つ以上の成分を混合して使用することができ、必要によって抗酸化剤、緩衝液及び静菌剤など他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液及び乳濁液などのような注射用剤形に製剤化することができ、標的細胞に特異的に作用するように標的細胞に特異的な抗体またはその他リガンドを前記の担体とともに結合させて使用することができる。同時に、当該技術分野の適正な方法またはレミングトンの文献(Remington’s Pharmaceutical Science,Mack Publishing Company,Easton PA)に記載された方法などを使用して各疾患または成分によって好ましく製剤化することができる。
【0069】
本発明の製薬組成物は、非経口で投与することができ、非経口投与は、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射または胸部内注射注入方式による。非経口投与用剤形に製剤化するためには、本発明の製薬組成物は、安定剤または緩衝剤とともに混合して溶液または懸濁液に製造し、それをアンプルまたはバイアルの単位投与型に製剤化する。
【0070】
本発明の製薬組成物は、投与経路によって多様な形態で製造することができる。例えば、本発明の製薬組成物は、注射用途に相応しい滅菌水溶液または分散液の形態に製造することができ、または凍結乾燥技術を使用してフリーズドライされた形態で製造することができる。フリーズドライされた製薬組成物は、典型的に約4℃で維持され、補助剤を含むか含まない安定化溶液、例えば、食塩水または/及びHEPESによって復元され得る。
【0071】
本発明の方法を実施するにおいて、投与される製薬組成物の量に影響を及ぼす因子としては、これに限定されるものではないが、投与方式、投与頻度、治療が進行中の特定疾病、疾病の重症度、疾病の病歴、個体が異なる治療剤とともに協力治療法が進行中かどうか、及び治療が進行中の個体の年齢、身長、体重、健康、及び身体条件を含む。一般的に治療が進行中の患者の体重が増加するほど、本発明の製薬組成物をさらに多い量で投薬することが好ましい。
【0072】
同時に、本発明の製薬組成物は、化学的療法と並行して投与することができる。
【0073】
また、本発明は、薬学的に有効な量の前記ヒト抗体をVEGFが過発現して惹起される疾患にかかった個体に投与する工程を含む、VEGFが過発現して惹起される疾患を治療する方法を提供する。
【0074】
前記VEGFが過発現して惹起される疾患は、癌または新生血管生成と係わる疾患である。前記癌は、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択されたいずれかひとつであることが好ましいが、これに限定されず、VEGFが過発現する癌はすべて可能である。また、前記新生血管生成と係わる疾患には、慢性関節リウマチ、糖尿病性網膜症、虚血性網膜症、乾癬、増殖糖尿病網膜症と糖尿病性黄斑浮腫などがある。
【0075】
本発明の具体的な実施例で、VEGFに対する結合能を示した(図9a及び図9b参照)VEGFモノクローナル抗体は、ヒト臍帯静脈内皮細胞株で、VEGFによって誘導されるHUVEC細胞の毛細管類似管形成を顕著に抑制することが観察された(図10参照)。また、アバスチンと似た中和能を示したE9、F6及びG12モノクローナル抗体はすべて、マウスVEGFに対してヒトVEGF程度の高い親和力を示して交差反応した(表8、表9及び図11参照)。アバスチンは、マウスVEGFに対して全く交差反応しないので、前記アバスチンによる副作用のための動物実験研究が難しいことが知られているが、本発明のVEGF中和ヒト抗体は、マウスと交差反応するので、本発明のVEGF中和ヒト抗体が既存の抗癌剤であるアバスチンとエピトープが異なる確率が明確に高くなり、本発明のVEGF中和ヒト抗体は、マウスVEGFに対して高い交差反応を示すので、動物実験研究に容易に使用できる。それで、本発明のモノクローナル抗体は、VEGFが過発現された疾患の予防及び治療に有用に使用することができる。
【0076】
本発明が適用可能な個体は、脊椎動物で、哺乳動物が好ましく、さらに好ましいのは、ネズミ、ウサギ、ギニアピッグ、ハムスター、犬、猫のような実験動物で、最も好ましいのは、チンパンジー、ゴリラのような類人猿類の動物である。
【0077】
本発明のヒト抗体の投与方法は、使用目的によって非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内または局所などに投与する方法)で可能で、静脈投与が好ましい。場合によって固形癌に対する投与では、抗体の接近を早く容易にするために局所的な投与が好ましいこともある。投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率及び疾患の重症度等によってその範囲が多様である。1回の投与量は、約5〜500mg/m2の量で一単位または数単位で投与することができる。前記有効量は、前記患者を治療する医師の裁量によって調節することができる。
【0078】
本発明のヒト抗体は、患者の治療のために単独または手術、ホルモン治療、薬物治療及び生物学的反応調節剤と並行して使用することができる。
【0079】
また、本発明は、前記ヒト抗体、ヒト抗体の軽鎖または重鎖、またはその免疫学的に活性を有した断片及び放射線アイソトープを含む組成物を提供する。
【0080】
前記組成物は、VEGFが過発現して惹起される疾患の放射線免疫治療用及び検出用に有用に使用することができる。前記VEGFが過発現して惹起される疾患は、癌または新生血管生成と係わる疾患である。前記癌は、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択されたいずれかひとつであることが好ましいが、これに限定されず、VEGFが過発現する癌はすべて可能である。また、前記新生血管生成と係わる疾患には、慢性関節リウマチ、糖尿病性網膜症、虚血性網膜症、乾癬、増殖糖尿病網膜症と糖尿病性黄斑浮腫などがある。
【0081】
本発明の具体的な実施例で、モノクローナルVEGF抗体は、VEGFに対する高い結合能を示すことを確認した(図9a及び図9b参照)。それで、本発明のモノクローナル抗体は、VEGFが過発現して惹起される疾患の放射線免疫治療用及び放射線アイソトープを含む組成物として有用に使用することができる。
【0082】
好ましい放射線アイソトープの例では、3H、11C、14C、18F、64Cu、76Br、86Y、99mTc、111In、123I、177Lu及びこれらの混合物及び組合わせを含む。前記放射線アイソトープは、ヒト抗体と結合したりヒト抗体が結合した運搬体に含まれることを特徴とする。
【0083】
また、本発明は、前記放射線アイソトープを含む組成物を癌細胞と接触する工程を含む、試験管内でVEGFが過発現する癌の免疫検出方法を提供する。
【0084】
前記VEGFが過発現する癌は、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択されたいずれか一つであることが好ましいが、これに限定されず、VEGFが過発現する癌はすべて可能である。
【0085】
本発明の具体的な実施例で、モノクローナルVEGF抗体は、VEGFに対する高い結合能を示すことを確認した(図9a及び図9b参照)。それで、本発明のモノクローナル抗体は、VEGFが過発現する放射線アイソトープを含む組成物として有用に使用することができる。
【0086】
前記放射線アイソトープを含む組成物は、洗浄や複合体の分離などその後の工程を容易にするために、固形基質に結合することができる。固形基質は、例えば合成樹脂、ニトロセルロース、ガラス基板、金属基板、グラスファイバー、微細球体及びミクロビーズなどがある。また、前記合成樹脂には、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、PVDF及びナイロンなどがある。
【0087】
また、癌細胞は、前記放射線アイソトープを含む組成物と接触の前に適当な程度に希釈することができる。
【0088】
また、本発明は、1)前記放射線アイソトープを含む組成物の診断的有効量を個体に投与する工程;及び、
2)前記個体に対する検出映像を得る工程を含む、生体内でVEGFが過発現する癌の映像化方法を提供する。
【0089】
前記VEGFが過発現する癌は、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択されたいずれか一つであることが好ましいが、これに限定されず、VEGFが過発現する癌はすべて可能である。
【0090】
本発明の具体的な実施例で、モノクローナルVEGF抗体は、VEGFに対する高い結合能を示すことを確認した(図9a及び図9b参照)。それで、本発明のモノクローナル抗体は、VEGFが過発現する癌の映像化方法に有用に使用することができる。
【0091】
前記検出映像は、近赤外光イメージング、PET、MRIまたは超音波イメージングによって得ることを特徴とする。
【0092】
また、本発明は、
1)前記放射線アイソトープを含む組成物を個体の静脈内に投与する工程;
2)前記工程1)の組成物を検出して腫瘍細胞を確認する工程;
3)工程2)で確認された腫瘍細胞を手術的切除によって除去する工程を含む、VEGFが過発現する癌の生体内治療方法を提供する。
【0093】
前記VEGFが過発現する癌は、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択されたいずれか一つであることが好ましいが、これに限定されず、VEGFが過発現する癌はすべて可能である。
【0094】
本発明の具体的な実施例として、VEGFに対する結合能を示した(図9a及び図9b参照)VEGFモノクローナル抗体は、ヒト臍帯静脈内皮細胞株で、VEGFによって誘導されるHUVEC細胞の毛細管類似管形成を顕著に抑制することが観察された(図10参照)。また、アバスチンと似た中和能を示したE9、F6及びG12モノクローナル抗体は、すべて、マウスVEGFに対してヒトVEGF程度の高い親和力を示して交差反応した(表8、表9及び図11参照)。アバスチンは、マウスVEGFに対して全く交差反応しないので、前記アバスチンによる副作用のための動物実験研究が難しいことが知られていたが、本発明のVEGF中和ヒト抗体はマウスと交差反応するので、本発明のVEGF中和ヒト抗体が既存の抗癌剤であるアバスチンとエピトープが異なる確率が明確に高くなり、本発明のVEGF中和ヒト抗体はマウスVEGFに対して高い交差反応を示すので、動物実験研究に容易に使用できる。それで、本発明のモノクローナル抗体は、VEGFが過発現する癌予防及び治療に有用に使用することができる。
【0095】
また、本発明は、
1)前記放射線アイソトープを含む組成物を腫瘍細胞が除去された患者の静脈内に投与する工程;
2)前記工程1)の組成物を検出して腫瘍細胞を確認する工程;
3)工程2)で腫瘍細胞が検出されなければ、腫瘍細胞がすべて除去されたと判断することを特徴とする、癌治療患者の予後評価方法を提供する。
【0096】
同時に、本発明は、前記ヒト抗体を動物実験モデルに投与する工程を含む、前記ヒト抗体の副作用を測定する方法を提供する。
【0097】
前記動物実験モデルは、VEGFが過発現して惹起される疾患にかかった動物が好ましい。
【実施例】
【0098】
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明する。
【0099】
但し、下記の実施例は、本発明を例示するだけのものであって、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるのではない。
【0100】
<実施例1>VEGF抗原タンパク質製造
<1−1>VEGF遺伝子クローニング
<1−1−1>YK602を使用してクローニング
韓国生命工学研究院ヒト遺伝体機能研究産業団のKUGI(Korean UniGene Information)からヒトVEGF遺伝子を含んでいるプラスミド(UG−0036−D12)の分譲を受けた。前記プラスミドを鋳型DNAにして、前記VEGFのドメインのみを発現させるために正方向プライマー(配列番号1:5’−GCTCTAGAGTGATGAACTTTCTGCTGTCTT−3’)及び逆方向プライマー(配列番号2:5’−CGGAATTCCCGCCTCGGCTTGTCACA−3’)を使用して遺伝子を下記の条件で増幅した後、XbaIとEcoRIで処理した後、リガーゼを使用してpcDNA3.1/myc−His(−)ベクター(V80020:Invitrogen,米国)にサブクローニングした。PCR条件は、全体反応液が50μlの時、鋳型は500ngになるように入れて、94℃で5分、95℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分30秒で、25サイクル、72℃で10分間反応させてPCR産物を得た。
【0101】
前記pcDNA3.1−VEGFを鋳型DNAにして、正方向プライマー(配列番号3:5’−CAGGGGGCCGTGGGGGCCGCAGAAGGAGGAGGGCAG−3’)及び逆方向プライマー(配列番号4:5’−TAGCGGCCGACGCGGCCAACCGCCTCGGCTTGTCACA−3’)を使用して遺伝子を下記条件で増幅した後、SfiIで処理した後、リガーゼを使用してpYK602ベクター(図13a)にサブクローニングした。PCR条件は、全体反応液が50μlの時、鋳型は100ngになるように入れて、94℃で5分、95℃で30秒、58℃で30秒、72℃で1分で、25サイクル、72℃で10分間反応させてPCR産物を得た。併せて、前記サブクローニングしたpYK602−VEGFベクターの塩基配列を確認した。
【0102】
<1−1−2>pYK602−HisとpYK603を使用してクローニング
実施例1−1−1と同一な方法でpcDNA3.1−VEGFを鋳型にして、pYK602−His(図13b)とpYK603ベクター(図13c)にVEGFをサブクローニングした。併せて、前記サブクローニングしたpYK602−His−VEGFとpYK603−VEGFベクターの塩基配列を確認した。
【0103】
<1−2>VEGFタンパク質発現及び精製
<1−2−1>pYK602を使用してVEGF発現確認
まず、150mmの皿10枚に5×106293E細胞を敷いた後、翌日前記サブクローニングしたpYK602−VEGFベクター10μgをPEI(23966:Polysciences,Inc,米国)を処理して形質転換した。翌日成長培地(無血清DMEM)に交換した後、二日ごとに上澄み液を得て、10%SDS−PAGEゲルで電気泳動した後、ウエスタンブロットで確認した。
【0104】
具体的に、前記1回目から7回目まで継代培養の上澄み液VEGF20μlがローディングされた10%SDS−PAGEゲル2枚を100Vで2時間位電気泳動した後、NC膜(HATF00010:millipore,米国)に85Vで2時間伝達した。以後、膜を4%スキムミルクin TBSTで4℃で一晩中遮断した。以後、商業的に購買した抗ヒトFc−HRP(0.8mg/ml;製品番号31413:Thermo Sci,米国)を4%スキムミルクin TBSTに1:4000に希釈して常温で1時間反応させた。TBSTで10分に一回ずつ5回洗浄した後、現像(12145:Intron,米国)してタンパク質の発現量を比較した。
【0105】
その結果、図1に示したように、VEGFは7回目の継代培養まで発現し、全般的にVEGFの発現量は、あまり多くなく、2回目及び3回目で発現量が多かった。
【0106】
また、前記上澄み液をプロテインAカラム(17−1279−03:GE Healthcare,米国)を使用して1.5ml/分の速度で精製した後、0.25mg/mlのタンパク質を得て、これをPBSに透析した後、沈殿物が生じることを確認した。
【0107】
それで、相対的に沈澱が少なく生成されるpYK602−HisとpYK603ベクターに再サブクローニングした。
【0108】
<1−2−2>pYK602−HisとpYK603を使用してVEGF発現確認
サブクローニングされたpYK602−His−VEGFとpYK603−VEGFベクターを実施例1−2−1の方法で形質導入した後、何回も継代培養しながら上澄み液を得た。
【0109】
pYK602−VEGF、pYK602−His−VEGF及びpYK603−VEGFベクターの1次及び2次継代培養上澄み液を10%SDS−PAGEゲルで電気泳動した後、ウエスタンブロットで確認した。また、沈殿物生成も確認した。
【0110】
その結果、図2に示したように、pYK602−VEGFとpYK602−His−VEGFベクターは、発現量が類似で相対的な沈殿物形成も少なく、pYK603−VEGFベクターでは、相対的にそれより発現量が少なく示された。
【0111】
それで、最終的にpYK602−His−VEGFベクターを使用してVEGFを発現させて精製した。
【0112】
<1−2−3>pYK602−His−VEGFベクター発現確認
150mmの皿10枚に5×106293E細胞を敷いて、pYK602−His−VEGFベクターを形質導入した後、継代培養しながら1〜7次継代培養の上澄み液300mlを得た。前記上澄み液を10%SDS−PAGEゲルで電気泳動した後、ウエスタンブロットで確認した。
【0113】
その結果、図3に示したように、2及び3次上澄み液で発現量が最も多かった。
【0114】
<1−2−4>VEGFタンパク質発現及び精製
前記2及び3次上澄み液を50mlに濃縮した後、300mlのNi−NTA結合緩衝溶液(Qiagen,米国)に交換した後、再び50mlに濃縮した。前記濃縮液にNi−NTAビーズ(1024473,Qiagen,米国)を添加して4℃で2時間結合した後、洗浄して溶離した。
【0115】
前記溶離液をメンブレイン(10K,132574:SPECTRAPOR,米国)に入れた後、4℃で4lのPBS溶液に4時間以上緩衝溶液を代えた後、再びあらかじめ冷やしておいた4lのPBS溶液に入れて一晩中透析して緩衝溶液を交換した。一晩中透析した後、e−チューブに移して、ブラッドフォード方法でタンパク質濃度を測定した後、10%SDS−PAGEゲルで確認した(図4)。
【0116】
その結果、600μgのVEGFタンパク質を得た。
【0117】
<実施例2>ライブラリファージの製造
多様性を有したヒト由来scFvライブラリ細胞2.7×1010を2×YT CM[トリプトン(CONDA,1612.00)17g、酵母エキス(CONDA,1702.00)10g、NaCl(sigma,S7653−5Kg)5g、クロラムフェニコール(sigma,C0857)34μg/ml)]、2%グルコース(sigma,G5400)及び5mM MgCl2(sigma,M2393)を含む培地(3l)で37℃で2〜3時間培養した後(OD600=0.5〜0.7)、ヘルパーファージを感染させて2×YTCMK[2×YT CM、カナマイシン(sigma、K1876)70μg/ml、1mM IPTG(ELPISBIO、IPTG025)]培地に30℃で16時間培養した。培養した細胞を遠心分離(4500rpm、15分、4℃)した後、上澄み液に4%PEG(Fluka,81253)6000と3%NaCl(sigma,S7653)を添加してよく溶解した後、氷で1時間反応させた。再び、遠心分離(8000rpm、20分、4℃)した後、ペレットにPBSを添加して溶解した後、遠心分離(12000rpm、10分、4℃)してライブラリファージを含む上澄み液を新しいチューブに入れて4℃で保管した。
【0118】
<実施例3>モノクローナル抗体の製造
<3−1>パンニング(Panning)過程
実施例1で得た精製されたVEGF抗原50μgをImmunosorbチューブ(Nunc470319)に4mlのコーティング緩衝溶液[Na2CO3(sigma,S7795)1.59g、NaHCO3(sigma,S8875)2.93g、NaN3(sigma,S2002)、0.2g]で4℃で16時間程度ローテイターでコーティングした後、室温で2時間PBSに溶解してスキムミルク[(BD,232100)−4%in 1XPBS]を使用してイムノチューブ位置で遮断した。免疫チューブに実施例2で製造したライブラリファージ2mlを添加して室温で2時間反応させ、PBST(0.05%)で5回、PBSで2回洗浄した。洗浄後、特異的に結合したscFv−ファージだけ100mM TEA(Sigma T−0886)に溶離して、溶出したファージを大腸菌(XL1−Blue,stratagene,200249)に感染させて増幅した。最初のパンニングで増幅されたファージをPBST洗浄回数のみ増やして(2次:13回、3次:23回)同一な方法で2次及び3次パンニングを行なった。
【0119】
その結果、表1に示したように、2次から抗原に対するファージのコロニー力価が1000倍以上増幅されることを確認した。
【0120】
【表1】
【0121】
<3−2>ファージELISAによるファージ抗体探索
<3−2−1>パンニング結果確認
1次から3次までパンニングして氷らせておいた細胞貯蔵品を5mlの2×YTCM、2%グルコース、5mM MgCl2培地にOD600=0.1になるように入れた後、37℃で2〜3時間(OD600=0.5〜0.7)培養した。以後、M1ヘルパーファージを感染させて2×YTCMK、5mM MgCl2、1mM IPTG培地に30℃で16時間培養した。ここで、VEGFと関係ない発生過程に関連あるWW45抗原に特異的に結合する、本発明の実施例どおりつくられた単一ファージ抗体(#39)を対照群に使用した。培養細胞を遠心分離した後(4500rpm、15分、4℃)上澄み液(1次〜3次パンニングpoly scFv−ファージ)を新しいチューブに移した。96ウェル免疫プレート(NUNC 439454)にVEGF抗原をウェル当り100ngずつ4℃で16時間程度コーティング緩衝溶液で処理してコーティングした後、PBSに溶解したスキムミルク(4%)を使用して各ウェルを遮断した。ウェルごとにPBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlで洗った後、1次〜3次パンニングpoly scFV−ファージを各ウェルに100μlずつ入れて常温で2時間反応させた。再び、ウェルごとにPBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlを使用して、4回洗浄した後、二次抗体である抗−M13−HRP(Amersham27−9421−01)を1:2000に希釈して室温で1時間反応させた。PBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlで洗浄した後、OPD精製(Sigmap 8787−TAB)をPC緩衝溶液[C6H8O7.H2O(sigma,C0706)5.1g、Na2HPO4(sigma,S7907)7.3g]に溶解した基質溶液を作ってウェル当り100μlずつ入れて10分間発色させた後、490nmで吸光度を分光光度計(MolecularDevice,米国)で測定した。
【0122】
その結果、図5に示したように、VEGF抗原に対する結合能が2次ポリクローナルscFv−ファージプールから増強して、2次に結合能が飽和状態に至り、タグされたHisに対する値は、相対的に低かった。
【0123】
<3−2−2>モノクローナル抗体選別
前記結合能が大きいポリクローナルファージ抗体群(3次パンニング)で得たコロニーを2×YTCM、2%グルコース、5mM MgCl2培地1mlを含んだ96ディープウェルプレート(バイオニア90030)で、37℃で16時間培養した。培養した細胞のOD600値が0.1になるように100〜200μlを取って1mlの2×YTCM、2%グルコース、5mM MgCl2培地に希釈した後、96ディープウェルプレートで37℃でOD600値が0.5〜0.7になるように2〜3時間培養した。M1ヘルパーファージをMOI値が1:20になるように感染させた後、2×YTCMK、5mM MgCl2、1mM IPTG培地に30℃で16時間培養した。培養した細胞を遠心分離(4500rpm、15分、4℃)した後、上澄み液を取って4%PEG6000と3%NaClを添加してよく溶解した後、氷で1時間反応させた。再び遠心分離(8000rpm、20分、4℃)した後、ペレットにPBSを添加して溶解した後、遠心分離(12000rpm、10分、4℃)して上澄み液を取って新しいチューブに移して、3次パンニングして得たモノクローナルscFvファージを4℃で保管した。
【0124】
以後、96ウェル免疫プレートにVEGF抗原をウェル当り100ngずつ入れて、4℃で16時間コーティングした後、PBSに溶解したスキムミルク(4%)を使用して各ウェルを遮断した。ウェルごとにPBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlを使用して洗浄した後、3次パンニングして得たモノクローナルscFvファージを各ウェルに100μlずつ入れて常温で2時間反応させた。再び、ウェルごとにPBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlを使用して4回洗った後、2次抗体である抗−M13−HRPを1/2000に希釈して室温で1時間反応させた。PBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlで洗浄した後、発色させて吸光度490nmで測定した。
【0125】
その結果、抗原VEGFに対する結合能が、1.5以上の50個のモノクローナルファージ(表2で強調したもの)を選別した。
【0126】
【表2】
【0127】
<3−3>モノクローナルファージ分類及び検査
<3−3−1>フィンガープリンティングによる検証
1次選別されたモノクローナル50個のモノクローナル細胞1μlとTaq.DNAポリメラーゼ(ゼンダックス5U/μl)0.2μl、50p/μlの正方向プライマー(pelB5、配列番号125:5’−CTAGATAACGAGGGCAAATCATG−3’)及び逆方向プライマー(cla3、配列番号126:5’−CGTCACCAATGAAACCATC−3’)0.2μl、10×緩衝溶液3μl、10mM dNTP mix0.6μl、蒸留水24.8μlを混合して、コロニーPCR(iCycler iQ、BIO−RAD)を行なった。PCRプログラムの条件を、下記表3に示す。
【0128】
【表3】
【0129】
前記コロニーPCR産物は、1%アガロースゲル(Seakem LE,CAMERES 50004)で確認し、BstNI(Roche11288075001,10U/μl)0.2μlを加えて、37℃で2〜3時間反応させた。反応条件は、下記の表4のとおりである。前記切断した産物を8%DNAポリアクリルアミドゲルで確認した。
【0130】
【表4】
【0131】
前記コロニーPCR産物は、1%アガロースゲル(Seakem LE,CAMERES 50004)で確認し、BstNI(Roche11288075001,10U/μl)0.2μlを取って、37℃で2〜3時間反応させた。反応条件は、下記の表5のとおりである。前記切断した産物を8%DNAポリアクリルアミドゲルで確認した。
【0132】
その結果、図6に示したように、BstNIによって切られられたモノクローナルファージ抗体の断片に対して多様性が確認された。
【0133】
<3−3−2>塩基配列分析による検証
前記50種のモノクローナルファージを2×YTCM、2%グルコース、5mM MgCl2培地(5ml)に37℃で16時間培養した。培養したモノクローンからDNA精製キット(Nuclogen5112)を使用してDNAを得た後、配列番号125のpelB5プライマーを使用した配列分析を依頼した(ソルジェント、韓国)。
【0134】
その結果、表5、図7及び図8に示されたように、選別された抗体のVHとVLのCDR領域を確認した。
【0135】
これら抗体と生殖細胞系列抗体群の類似性をNCBIのIg BLASTプログラム(//www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)を使用して調査した結果、14種のVEGFに特異的なファージ抗体を得て、それを下記表6に整理して提示した。特に、重鎖の場合、ヒト生殖細胞系列配列と89.9%から約96%までの相同性を示し、軽鎖の場合は89.2%から約97%の相同性を示した。また、それぞれのヒト抗体の重鎖及び軽鎖のCDR3で使用されているポリペプチドを分析して、互いに配列が異なることを確認した。
【0136】
【表5−1】
【表5−2】
【0137】
【表6】
【0138】
<実施例4>VEGFに対するヒト抗体の特性分析
<4−1>結合能測定
VEGFに対する実施例3で選別された14種のモノクローナルファージ抗体の結合能を測定するため、実施例3−2の方法で結合能をそれぞれ測定した。
【0139】
その結果、図9a及び図9bに示したように、前記14種のモノクローナルファージ抗体の結合能順位は、G12>D12>E9>F6>H7>C5>B12>G9>F9>C11>F2>A4>C9>C12だった。
【0140】
<4−2>全長IgG変換分析
VEGFに対するモノクローナルファージ抗体をファージでIgG全長ベクターに転換するために、重鎖はモノクローナルDNA1μlと10pmole/μl表7の重鎖正方向プライマーと重鎖逆方向プライマー、10×バッファー5μl、10mM dNTP mix 1μl、pfu DNA重合酵素(ソルジェント、2.5U/μl)0.5μl、蒸留水を混合してコロニーPCR(iCycler iQ、BIO−RAD)を行なった。また、軽鎖も表7の軽鎖正方向及び逆方向プライマーを使用して同一な方法でコロニーPCRを行なった。
【0141】
【表7−1】
【表7−2】
【表7−3】
【0142】
PCRの結果得られた重鎖遺伝子をDNAゲル抽出キット(Qiagen)で精製した後、pNATAB Hベクター(図12a)1μl(10ng)、重鎖(100〜200ng)15μl、10×バッファーファー2μl、リガーゼ(1U/μl)1μl、蒸留水を混合して室温で1〜2時間放置して前記ベクターと連結した。前記ベクターを形質転換用細胞(XL1−blue)とともに氷に30分放置した後、42℃で90秒間熱衝撃を与えて形質導入した。再び氷に5分間放置した後、LB培地1mlを注入して1時間37℃で培養した。LB Amp固体培地に塗抹した後、37℃で16時間培養した。単一コロニーをLB Amp液体培地5mlに接種して、37℃で16時間培養した。前記培養液からDNA−prep.キット(Nuclogen)を使用してDNAを抽出した。
【0143】
また、軽鎖は、pNATAB Lベクター(図12b)を使用して前記と同じ方法で DNAを抽出した。
【0144】
前記得られたDNAのCMV−proFプライマー(配列番号127:AAA TGG GCG GTA GGC GTG)を使用した塩基配列分析を依頼した(ソルジェント)。
【0145】
その結果、全長IgGに転換したVEGFに対する14個のクローンファージの重鎖と軽鎖の配列が、ファージ抗体の配列と一致することを確認した。
【0146】
<4−3>全長IgGの検証
293E細胞(Invitrogen)に、PEI40μgと全長形態抗体重鎖DNA10μg、軽鎖DNA10μgを入れて、共同形質感染をして得られた上澄み液をウエスタンブロットで確認した。対照群には、正常ヒトIgG(Jackson Lab)を使用した。
【0147】
その結果、対照群と比較して成功的に全長IgG形態に転換されたことを確認した。
【0148】
<4−4>管形成抑制分析を通じた抗−VEGF抗体の中和能確認
約80%コンフルエンス状態のヒト臍帯静脈内皮細胞であるHUVEC細胞(C2517A:Lonza)の単一細胞層を1%FBSを添加したEBM−2(CC3156、Cambrex)培地に交替して37℃/5%CO2培養器で4時間栄養飢餓状態にした。以後、細胞をトリプシンで集めて3×105/mlで栄養飢餓培地に懸濁した。細胞懸濁液100μlと精製された本発明のヒトVEGFAb溶液150μl(VEGF Abは栄養飢餓培地に希釈して4μg/mlの濃度で処理)、陰性対照群に正常ヒトIgGを4μg/mlの濃度で処理または陽性対照群にアバスチン(Genentech)を4μg/mlの濃度で処理して37℃で一時間事前インキュベーションした。事前インキュベーションをする途中に24ウェルプレートに氷で冷やしたマトリゲル(354230:BD Bio−science,米国)を200μlずつ入れて37℃/5%CO2培養器で30分間ホモゲナイジングした。反応が終わった細胞とAbの混合物に組換えヒトVEGFを20ng/mlの濃度で添加した後、マトリゲル上に入れて、37℃/5%CO2で培養した。16時間培養した後、管形成を測定するために3.7%パラホルムアルデヒド500μlを入れて30分間室温で固定した。次に、0.01%クリスタルバイオレット/100mM NaBorate 500μlで30分間染色し、乾燥させて100倍率の顕微鏡で管の形成程度を観察した。
【0149】
その結果、図10に示したように、精製されたVEGFAbは、陽性対照群より明らかな管形成抑制を示した。
【0150】
E9、F6、G12及びC5の4種類の抗体の中で、C5を除く3種類の抗体はすべて、VEGFによって誘導されるHUVEC細胞の毛細管類似管形成を顕著に抑制することが観察され、これにより、本発明のVEGFに対するヒト抗体の中和能を確認できた。
【0151】
<4−5>抗−VEGF抗体のマウスでの交差反応確認
また、各抗体がヒトVEGFだけでなくマウスVEGFに対して交差反応するかどうかを調べるため、ELISAを行なった。
【0152】
二つの96ウェル免疫プレートに、組換えヒトVEGF(293−VE,R&D systems,米国)と組換えマウスVEGF(493−MV,R&D systems,米国)タンパク質をウェル当り50ngずつ4℃で16時間程度コーティング緩衝溶液でコーティングした後、PBSに溶解したスキムミルク(4%)を使用して各ウェルを遮断した。ウェルごとにPBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlを加えて洗った後、アバスチンを対照群にしてE9、F6及びG12モノクローナル抗体を333nMから1/3ずつ順次に希釈して二つの抗原がコーティングされたプレート各々のウェルに同時に100μlずつ入れて常温で2時間反応させた。再びウェルごとに、PBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlを加えて4回洗った後、二次抗体である抗−ヒトFc−HRPを1:3000に希釈して室温で30分間反応させた。PBS−ツイーン20(0.05%)0.2mlで洗った後にOPD錠をPC緩衝溶液に入れて基質溶液を作り、ウェル当り100μlずつ入れて5分間発色させた後、吸光度490nmで分光光度計で測定した。
【0153】
ELISA結果は、Graphpad prism ver.4 software(CA 92037:Graphpad Software Inc.,米国)を使用して分析した。
【0154】
その結果、図10でアバスチンと似た中和能を示したE9、F6及びG12モノクローナル抗体はすべて、マウスVEGFに対してヒトVEGF程度の高い親和力を示さして交差反応した(表8、表9及び図11)。また、最大の中和能を示したF6抗体は、一貫性をもってアバスチンより約2倍も低いKD値を示した。このことから、本発明のVEGF中和ヒト抗体が既存の抗癌剤であるアバスチンとエピトープの異なる確率が確実に高くなった。
【0155】
【表8】
【0156】
【表9】
【0157】
<実施例5>VEGFF6及びG12モノクローナル抗体のLCシャフリング遂行
<5−1>LCシャフリングライブラリの製造
実施例3で得た、モノクローナルF6とG12のscFv−ファージで重鎖部分をSfiIを50℃で処理して2時間ごとにSfiIを追加して3回繰り返した後、ゲル溶離した。また、ライブラリプラスミドであるpYG100をSfiIで50℃で4時間処理した後、もう一度処理して一晩中制限して、ゲル溶離した。前記切られたモノクローナルF6とG12の重鎖断片とベクターの濃度を測定した後、ベクター:重鎖断片=1:5のモル濃度で全体1μg/100μlに合わせて、10ユニットリガーゼで2〜4時間程度室温で連結させた。連結された産物をエチルアルコールで濃縮した後、蒸留水に溶解した連結された産物20μlをXL1−BLUE細胞1×109個/100μlに電気穿孔法で形質導入した。37℃で一晩中培養した後、15%グリセロール2XYT 500μlに入れて−70℃で保管し、力価測定の結果、2.1×106多様性が示された。
【0158】
<5−2>LCシャフリングライブラリファージの製造
実施例5−1で製造した、多様性を有したヒト由来VEGFF6 & G12 LCシャフリングscFvライブラリ細胞2.1×106を対象に、実施例2と同一な方法でライブラリファージを製造した。
【0159】
<5−3>LCシャフリングモノクローナル抗体の製造
実施例1で得た精製されたVEGF抗原50μgと実施例5−2で製造したライブラリファージ2mlを使用して、実施例3と同一な方法でファージパンニング、パンニング結果の確認、モノクローナル抗体選別及びモノクローナルファージ分類及び検査を行なった。
【0160】
パンニング結果、表10に示したように、1次から力価が高く示され、2次で抗原に対するファージのコロニー力価が、5倍以上増幅することを確認した。
【0161】
【表10】
【0162】
また、パンニング結果をELISAで確認した結果、図14に示したように、VEGF抗原に対する結合能が、LCシャフリングしたポリクローナルscFv−ファージプール(pools)から増強して1次に結合能が飽和状態に至り、テグされたHisに対する値は、相対的に低かった。
【0163】
また、モノクローナル抗体選別の結果、VEGF抗原に対する結合能が2.0以上の 61個のモノクローナルファージ(表11で強調したもの)を選別した。ここで、LCシャフリングに使用したF6とG12を陽性対照群に使用した。
【0164】
【表11】
【0165】
また、フィンガープリンティングによる検証の結果、図15に示したように、BstNIによって切られたモノクローナルファージ抗体の断片に対して多様性が確認された。
【0166】
同時に、塩基配列分析による検証結果、表12に示したように、選別された抗体のVHとVLのCDR領域を確認した。前記選別された抗体と生殖細胞系列抗体群の類似性を調査した結果、F6と同一なHCを有しLCのみ異なる12種のVEGFに特異的なファージ抗体を得、G12と同一なHCを有しLCのみ異なる3種のVEGFに特異的なファージ抗体を得た(表13)。特に、軽鎖の場合、90.1%で約94.4%の相同性を示した。また、各々のヒト抗体の軽鎖のCDR1、2、3で使用されているポリペプチドを分析し、互いに配列が異なることを確認した。図16では、LCシャフリングして選別された抗体のVHのCDR領域が同一で、VLのCDR領域を比較した。
【0167】
【表12−1】
【表12−2】
【0168】
【表13】
【0169】
<実施例6>LCシャフリングヒト抗体の特性分析
<6−1>結合能測定
実施例5−3で選別されたLCシャフリングモノクローナル抗体を対象に、実施例4−1と同一な方法で結合能を測定した。その結果、表14に示したように、前記15種のLCシャフリングモノクローナルファージ抗体の抗原に対する結合能が確認された。
【0170】
【表14】
【0171】
<6−2>全長IgG変換分析
実施例5−3で選別されたLCシャフリングモノクローナルファージ抗体をIgG全長ベクターに転換するため、表15のプライマー対を使用して実施例4−2と同一な方法でコロニーPCRを遂行することで、重鎖はpNATAB Hベクター(図12a)、軽鎖はpNATAB Lベクター(図12b)に連結した。前記ベクターからDNAを抽出して、塩基配列分析を依頼した結果、全長IgGに転換したLCシャフリングモノクローナルファージ抗体に対する15個のクローンファージの重鎖と軽鎖の配列がファージ抗体の配列と一致することを確認した。
【0172】
【表15−1】
【表15−2】
【表15−3】
【0173】
<6−3>抗−VEGF抗体の結合能確認
また、各LCシャフリングモノクローナルファージ抗体が、F6とG12と比較してVEGFに対する結合能を確認するために、実施例4−5と同一な方法でELISAを行なった。
【0174】
その結果、表16に示したように、2C11、2G03、2C05及び2F10の場合のみ結合程度が非常に弱く、残りは陽性対照群と類似の程度の高い親和力を示した。
【0175】
【表16】
【配列表フリーテキスト】
【0176】
配列番号1:VEGF フォワードプライマー
配列番号2:VEGF リバースプライマー
配列番号3:pcDNA3.1−VEGF フォワードプライマー
配列番号4:pcDNA3.1−VEGF リバースプライマー
配列番号5:A4 HC−CDR1
配列番号6:B12 HC−CDR1
配列番号7:C11 HC−CDR1
配列番号8:C12 HC−CDR1
配列番号9:C5 HC−CDR1
配列番号10:C9 HC−CDR1
配列番号11:D12 HC−CDR1
配列番号12:E9 & F6 HC−CDR1
配列番号13:F2 HC−CDR1
配列番号14:F9 HC−CDR1
配列番号15:G12 HC−CDR1
配列番号16:G9 HC−CDR1
配列番号17:H7 HC−CDR1
配列番号18:A4 HC−CDR2
配列番号19:B12 HC−CDR2
配列番号20:C11 HC−CDR2
配列番号21:C12 HC−CDR2
配列番号22:C5 HC−CDR2
配列番号23:C9 HC−CDR2
配列番号24:D12 HC−CDR2
配列番号25:E9 & F6 HC−CDR2
配列番号26:F2 HC−CDR2
配列番号27:F9 HC−CDR2
配列番号28:G12 HC−CDR2
配列番号29:G9 HC−CDR2
配列番号30:H7 HC−CDR2
配列番号31:A4 HC−CDR3
配列番号32:B12 HC−CDR3
配列番号33:C11 HC−CDR3
配列番号34:C12 HC−CDR3
配列番号35:C5 HC−CDR3
配列番号35:C9 HC−CDR3
配列番号37:D12 HC−CDR3
配列番号38:E9 & F6 HC−CDR3
配列番号39:F2 HC−CDR3
配列番号40:F9 HC−CDR3
配列番号41:G12 HC−CDR3
配列番号42:G9 HC−CDR3
配列番号43:H7 HC−CDR3
配列番号44:VEGF A4 重鎖
配列番号45:VEGF B12 重鎖
配列番号46:VEGF C11 重鎖
配列番号47:VEGF C12 重鎖
配列番号48:VEGF C5 重鎖
配列番号49:VEGF C9 重鎖
配列番号50:VEGF D12 重鎖
配列番号51:VEGF E9 & VEGF F6 重鎖
配列番号52:VEGF F2 重鎖
配列番号53:VEGF F9 重鎖
配列番号54:VEGF G12 重鎖
配列番号55:VEGF G9 重鎖
配列番号56:VEGF H7 重鎖
配列番号57:A4 LC−CDR1
配列番号58:B12 LC−CDR1
配列番号59:C11 LC−CDR1
配列番号60:C12 LC−CDR1
配列番号61:C5 LC−CDR1
配列番号62:C9 LC−CDR1
配列番号63:D12 LC−CDR1
配列番号64:E9 & F6 LC−CDR1
配列番号65:F2 LC−CDR1
配列番号66:F9 LC−CDR1
配列番号67:G12, 2A09 & 2E11 LC−CDR1
配列番号68:G9 LC−CDR1
配列番号69:H7 LC−CDR1
配列番号70:A4 LC−CDR2
配列番号71:B12 LC−CDR2
配列番号72:C11 LC−CDR2
配列番号73:C12 LC−CDR2
配列番号74:C5 LC−CDR2
配列番号75:C9 LC−CDR2
配列番号76:D12 LC−CDR2
配列番号77:E9 & F6 LC−CDR2
配列番号78:F2 LC−CDR2
配列番号79:F9 LC−CDR2
配列番号80:G12, 2E11, 2G04 & 2G12 LC−CDR2
配列番号81:G9 LC−CDR2
配列番号82:H7 LC−CDR2
配列番号83:A4 & H7 LC−CDR3
配列番号84:B12 LC−CDR3
配列番号85:C11 LC−CDR3
配列番号86:C12 LC−CDR3
配列番号87:C5 LC−CDR3
配列番号88:C9 LC−CDR3
配列番号89:D12 & F2 LC−CDR3
配列番号90:E9 & F6 LC−CDR3
配列番号91:F9 LC−CDR3
配列番号92:G12 LC−CDR3
配列番号93:G9 LC−CDR3
配列番号94:VEGF A4 軽鎖
配列番号95:VEGF B12 軽鎖
配列番号96:VEGF C11 軽鎖
配列番号97:VEGF C12 軽鎖
配列番号98:VEGF C5 軽鎖
配列番号99:VEGF C9 軽鎖
配列番号100:VEGF D12 軽鎖
配列番号101:VEGF E9 & VEGF F6 軽鎖
配列番号102:VEGF F2 軽鎖
配列番号103:VEGF F9 軽鎖
配列番号104:VEGF G12 軽鎖
配列番号105:VEGF G9 軽鎖
配列番号106:VEGF H7 軽鎖
配列番号107:NATVH7−1
配列番号108:NATVH3−1
配列番号109:NATVH1−2
配列番号110:NATVH2−1
配列番号111:NATVH3−2
配列番号112:NATVH1−1
配列番号113:NATVH7−2
配列番号114:NATJH−ALL
配列番号115:NATVK1−1
配列番号116:NATVL10
配列番号117:NATVL2
配列番号118:NATVL9
配列番号119:NATJK−R7
配列番号120:NATJK−R1
配列番号121:NATJK−R2
配列番号122:NATJL1−R
配列番号123:NATJK−R5
配列番号124:NATJL2−R
配列番号125:pelB5プライマー
配列番号126:cla3プライマー
配列番号127:CMV−proFプライマー
配列番号128:NATVH7−3
配列番号129:NATJK−R3
配列番号130:2B05 LC−CDR1
配列番号131:2C11 LC−CDR1
配列番号132:2D10 LC−CDR1
配列番号133:2F01 LC−CDR1
配列番号134:2G03 LC−CDR1
配列番号135:2G04 LC−CDR1
配列番号135:2G12 LC−CDR1
配列番号137:2H07 LC−CDR1
配列番号138:2H08 LC−CDR1
配列番号139:2H09 LC−CDR1
配列番号140:2C05 LC−CDR1
配列番号141:2F09 LC−CDR1
配列番号142:1F10 LC−CDR1
配列番号143:2A09 & 2H07 LC−CDR2
配列番号144:2B05 & 2G03 LC−CDR2
配列番号145:2C11 LC−CDR2
配列番号146:2D10 LC−CDR2
配列番号147:2F01 LC−CDR2
配列番号148:2H08 LC−CDR2
配列番号149:2H09 LC−CDR2
配列番号150:2C05 LC−CDR2
配列番号151:2F09 LC−CDR2
配列番号152:1F10 LC−CDR2
配列番号153:2A09 & 2D10 LC−CDR3
配列番号154:2B05 & 2G12 LC−CDR3
配列番号155:2C11 & 2G03 LC−CDR3
配列番号156:2E11 LC−CDR3
配列番号157:2F01 LC−CDR3
配列番号158:2G04 LC−CDR3
配列番号159:2H07 LC−CDR3
配列番号160:2H08 LC−CDR3
配列番号161:2H09 LC−CDR3
配列番号162:2C05 LC−CDR3
配列番号163:2F09 LC−CDR3
配列番号164:1F10 LC−CDR3
配列番号165:VEGF LC シャッフリング 2A09 軽鎖
配列番号166:VEGF LC シャッフリング 2B05 軽鎖
配列番号167:VEGF LC シャッフリング 2C11 & 2G03 軽鎖
配列番号168:VEGF LC シャッフリング 2D10 軽鎖
配列番号169:VEGF LC シャッフリング 2E11 軽鎖
配列番号170:VEGF LC シャッフリング 2F01 軽鎖
配列番号171:VEGF LC シャッフリング 2G04 軽鎖
配列番号172:VEGF LC シャッフリング 2G12 軽鎖
配列番号173:VEGF LC シャッフリング 2H07 軽鎖
配列番号174:VEGF LC シャッフリング 2H08 軽鎖
配列番号175:VEGF LC シャッフリング 2H09 軽鎖
配列番号176:VEGF LC シャッフリング 2C05 軽鎖
配列番号177:VEGF LC シャッフリング 2F09 軽鎖
配列番号178:VEGF LC シャッフリング 1F10 軽鎖
配列番号179:NATVH2−3
配列番号180:NATVL13
配列番号181:NATVK3
配列番号182:NATVL13
配列番号183:NATVK1−1
配列番号184:NATVL12
配列番号185:NATVL13
配列番号186:NATJL1−R
配列番号187:NATJK−R2
配列番号188:NATJL1−R
配列番号189:NATJL1−R
配列番号190:NATJK−R2
配列番号191:NATJL5−R
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号5〜17からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域(以下、HCDR)1、配列番号18〜30からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するHCDR2及び配列番号31〜43からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)、好ましくは、前記重鎖可変領域が、配列番号44〜56からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する前記重鎖可変領域を含む重鎖またはその断片;及び、
配列番号57〜69及び配列番号130〜配列番号142からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域(以下、LCDR)1、配列番号70〜82及び配列番号143〜配列番号152からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するLCDR2及び配列番号83〜93及び配列番号153〜配列番号164からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)、好ましくは前記軽鎖可変領域が、配列番号94〜106及び配列番号165〜配列番号178からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する前記軽鎖可変領域を含む軽鎖またはその断片を含むVEGFに特異的なヒト抗体。
【請求項2】
請求項1のヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片をコードするポリヌクレオチド。
【請求項3】
請求項1のヒト抗体の軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片をコードするポリヌクレオチド。
【請求項4】
請求項2のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項5】
請求項3のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項6】
請求項4の発現ベクター及び/または請求項5の発現ベクターを宿主細胞に導入してつくられた形質転換体。
【請求項7】
1)請求項6の形質転換体を培養する工程;及び
2)前記培養液から請求項1のヒト抗体を精製する工程を含む、VEGFに特異的なヒト抗体の製造方法。
【請求項8】
請求項1のヒト抗体を含む製薬組成物。
【請求項9】
VEGFが過発現して惹起される疾患、好ましくは、前記VEGFが過発現して惹起される疾患が、癌、好ましくは前記癌が、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択される癌;または新生血管生成と係わる疾患、好ましくは前記新生血管生成と係わる疾患は、慢性関節リウマチ、糖尿病性網膜症、虚血性網膜症、乾癬、増殖糖尿病網膜症及び糖尿病性黄斑浮腫からなる群から選択される疾患の予防及び治療に使用されることを特徴とする、請求項8に記載の製薬組成物。
【請求項10】
化学的療法と並行して投与することを特徴とする、請求項8に記載の製薬組成物。
【請求項11】
請求項1のヒト抗体、前記ヒト抗体の軽鎖または重鎖、またはその免疫学的に活性を有した断片及び放射線アイソトープを、好ましくは放射線アイソトープは、3H、11C、14C、18F、64Cu、76Br、86Y、99mTc、111In、123I、177Lu及びこれらの混合物及び組合わせからなる群から選択されることを特徴とする放射線アイソトープを含む組成物。
【請求項12】
VEGFが過発現して惹起される疾患、好ましくは前記VEGFが過発現して惹起される疾患が、癌、好ましくは前記癌が、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択される癌;または新生血管生成と係わる疾患、好ましくは前記新生血管生成と係わる疾患が、慢性関節リウマチ、糖尿病性網膜症、虚血性網膜症、乾癬、増殖糖尿病網膜症及び糖尿病性黄斑浮腫からなる群から選択される疾患の放射線免疫治療用及び検出用に使用されることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記放射線アイソトープが、ヒト抗体と結合したりヒト抗体が結合された運搬体に含まれることを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項11の組成物を癌細胞と接触する工程を含む試験管内のVEGFが過発現する癌、好ましくは前記VEGFが過発現する前記癌が、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択される癌の免疫検出方法。
【請求項15】
1)請求項11の組成物の診断的有効量を個体に投与する工程;及び、
2)前記個体に対する検出映像、好ましくは前記検出映像が近赤外光イメージング、PET、MRIまたは超音波イメージングによって得られる検出映像を得る工程を含む生体内でVEGFが過発現する癌、好ましくは前記VEGFが過発現する癌が、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択される癌の映像化方法。
【請求項1】
配列番号5〜17からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域(以下、HCDR)1、配列番号18〜30からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するHCDR2及び配列番号31〜43からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変領域(VH)、好ましくは、前記重鎖可変領域が、配列番号44〜56からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する前記重鎖可変領域を含む重鎖またはその断片;及び、
配列番号57〜69及び配列番号130〜配列番号142からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域(以下、LCDR)1、配列番号70〜82及び配列番号143〜配列番号152からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するLCDR2及び配列番号83〜93及び配列番号153〜配列番号164からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)、好ましくは前記軽鎖可変領域が、配列番号94〜106及び配列番号165〜配列番号178からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有する前記軽鎖可変領域を含む軽鎖またはその断片を含むVEGFに特異的なヒト抗体。
【請求項2】
請求項1のヒト抗体の重鎖またはその免疫学的に活性を有した断片をコードするポリヌクレオチド。
【請求項3】
請求項1のヒト抗体の軽鎖またはその免疫学的に活性を有した断片をコードするポリヌクレオチド。
【請求項4】
請求項2のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項5】
請求項3のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項6】
請求項4の発現ベクター及び/または請求項5の発現ベクターを宿主細胞に導入してつくられた形質転換体。
【請求項7】
1)請求項6の形質転換体を培養する工程;及び
2)前記培養液から請求項1のヒト抗体を精製する工程を含む、VEGFに特異的なヒト抗体の製造方法。
【請求項8】
請求項1のヒト抗体を含む製薬組成物。
【請求項9】
VEGFが過発現して惹起される疾患、好ましくは、前記VEGFが過発現して惹起される疾患が、癌、好ましくは前記癌が、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択される癌;または新生血管生成と係わる疾患、好ましくは前記新生血管生成と係わる疾患は、慢性関節リウマチ、糖尿病性網膜症、虚血性網膜症、乾癬、増殖糖尿病網膜症及び糖尿病性黄斑浮腫からなる群から選択される疾患の予防及び治療に使用されることを特徴とする、請求項8に記載の製薬組成物。
【請求項10】
化学的療法と並行して投与することを特徴とする、請求項8に記載の製薬組成物。
【請求項11】
請求項1のヒト抗体、前記ヒト抗体の軽鎖または重鎖、またはその免疫学的に活性を有した断片及び放射線アイソトープを、好ましくは放射線アイソトープは、3H、11C、14C、18F、64Cu、76Br、86Y、99mTc、111In、123I、177Lu及びこれらの混合物及び組合わせからなる群から選択されることを特徴とする放射線アイソトープを含む組成物。
【請求項12】
VEGFが過発現して惹起される疾患、好ましくは前記VEGFが過発現して惹起される疾患が、癌、好ましくは前記癌が、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択される癌;または新生血管生成と係わる疾患、好ましくは前記新生血管生成と係わる疾患が、慢性関節リウマチ、糖尿病性網膜症、虚血性網膜症、乾癬、増殖糖尿病網膜症及び糖尿病性黄斑浮腫からなる群から選択される疾患の放射線免疫治療用及び検出用に使用されることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記放射線アイソトープが、ヒト抗体と結合したりヒト抗体が結合された運搬体に含まれることを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項11の組成物を癌細胞と接触する工程を含む試験管内のVEGFが過発現する癌、好ましくは前記VEGFが過発現する前記癌が、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択される癌の免疫検出方法。
【請求項15】
1)請求項11の組成物の診断的有効量を個体に投与する工程;及び、
2)前記個体に対する検出映像、好ましくは前記検出映像が近赤外光イメージング、PET、MRIまたは超音波イメージングによって得られる検出映像を得る工程を含む生体内でVEGFが過発現する癌、好ましくは前記VEGFが過発現する癌が、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌及び卵巣癌からなる群から選択される癌の映像化方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−131009(P2010−131009A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268214(P2009−268214)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(508139457)コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(508139457)コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (19)
【Fターム(参考)】
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