説明

X線回折装置

【課題】 結晶子の方位や結晶の配向の程度等を極点図を用いて視覚的に明確、簡単且つ迅速に把握できるようにする。
【解決手段】 極点図のためのデータを得るX線測定装置と、そのX線測定装置によって得られた測定データを記憶するメモリと、画像を表示する表示装置と、メモリに記憶されたデータに基づいて表示装置に表示するための画像データを生成する画像データ生成回路とを有するX線回折装置である。画像データ生成回路は、メモリに記憶された極点図のためのデータに基づいて、極点図に対応した球面表示データであって球の中心が方位の原点である球面表示データを生成する。表示装置はその球面表示データに基づいて極点図を3次元球面図34によって球体表示する。極点図を本来の姿である球面分布で表示するので見易くて正確な判定ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極点図を得るためのX線回折装置に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶は、原子から成る固体であって、その原子が3次元空間で周期的に同じ様式を繰り返すような配列をとっているものである。また、結晶格子は、結晶を構成する複数の原子の配列によって形成される枠組みである。この結晶格子内の点が格子点である。全ての格子点は、互いに平行で等間隔な平面群の上に載せることができ、このような平面は格子面と呼ばれる。結晶内において複数の格子面は互いに平行に並び、結晶に入射するX線の波長と複数の格子面の間隔との間で、いわゆるブラッグの回折条件が満足されると、各格子面で散乱したX線が互いに強め合って、特定の角度方向に強度の強いX線が出る。この強度の強いX線が回折線である。
【0003】
また、単結晶は、結晶内部の全体にわたって完全に原子配列の向き(すなわち、結晶軸の方向)が揃っている結晶のことである。また、多結晶は、それぞれが特定の原子配列の方向を持った多数の結晶粒の集合体である。ここで、特定の原子配列の方向を持った1つの結晶粒は単結晶と見なすことができる結晶の集まりということができるものであり、この結晶粒は結晶子と呼ばれることもある。
【0004】
一般に、結晶を中心とする球(いわゆる、投影球)と、結晶の格子面の法線との交点を極という。図13において、符号Cを結晶とし、その周りに投影球SPを考えたとき、例えば(001)面、(100)面の各格子面に対する極は、投影球SP上で(001)及び(100)で示す点である。この投影球SPをポーラーネット(Polar Net)PN上にステレオ投影、すなわち平射投影することによってそのポーラーネットPN上に得られる図形が極点図である。この極点図は極図形と呼ばれることもある。この極点図を用いれば、多結晶の配向状態、すなわち多結晶の方位を適切に表示できる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この極点図を得るためのX線回折装置として、次のような装置が知られている。すなわち、この装置では、試料に対するX線入射角度θを所定角度に保持し、X線検出器によって検出するX線の回折角度2θを所定角度に保持し、試料のあおり角度χ及び試料の面内回転角度φを変化させながら、あおり角度χ及び面内回転角度φで特定される個々の試料位置における回折線の強度Iを測定する。そして、測定によって得られた(χ、φ、I)のデータを
χ=α、 φ=β …… (1)
の式、あるいはその他適宜の換算式を用いて極点データ(α,β,I)に変換し、図14に示すポーラーネット上にプロットすることにより、極点図を得ることができる。なお、上記の(1)式あるいはその他の換算式については後で説明する。特許文献1の図8には、そのようにして得られた極点図の一例が示されている。特許文献1の図8に示された姿の極点図は、X線強度を等高線によって表示しており、それ故、このような極点図は等高線表示図(Contour Map)と呼ばれている。極点図を等高線表示図の姿でCRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Device)等といった画像表示装置を用いて画像として表示することは従来から行われている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−056304号公報(第2頁、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
等高線表示図の姿で2次元的、すなわち平面的に描かれた極点図は、熟練者にとっては有益な情報を提供する非常に便利な図である。しかしながら、この極点図は、本来は球面上に点在する極を平面上にステレオ投影したものであるので、複数の極の間の位置関係がゆがんでいる状態になっている。従って、熟練者でない者にとっては、分かり難い面を持った図であると言えるかもしれない。以下、このことについて説明する。
【0008】
例えば、立方晶で(111)面に対応する2θ角で極点図を測定すると、極点図上には図15に示すような4つの等価な回折面P1,P2,P3,P4に由来するピークが観測される。c軸が試料面法線SNと一致する場合には、各ピークを示すベクトルは図16(a)に符号P1〜P4で示す方向にあり、極点図上では図16(b)に符号P1〜P4で示すように表現される。
【0009】
また、図15のc軸が試料面法線SNから少しずれた場合には、各ピークを示すベクトルは図17(a)に符号P1〜P4で示す方向にあり、極点図上では図17(b)に符号P1〜P4で示すように表現される。図17(a)から理解できるように、球面表示の場合には、ベクトルP1〜P4間の幾何学的な関係、例えばベクトルP1〜P4の成す角度等は、結晶子の方位(今の場合はc軸)が試料面法線SNの方向からずれていても変わらない。
【0010】
一方、図17(b)に示すポーラーネット上ではc軸の方向が変わると、ピークの位置関係がゆがんだ状態で視認される。このように、ピークの位置関係がゆがんでしまうと、熟練者でない者にとっては、ピークとピークとの関係が分かり難くなってしまうおそれがある。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、結晶子の方位や結晶の配向の程度等を極点図を用いて視覚的に明確、簡単且つ迅速に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るX線回折装置は、試料にX線を照射し、前記試料からの回折X線を測定し、そのデータを極点図で表示するX線回折装置において、前記試料からの回折X線を測定し、そのデータを得る回折X線測定手段と、該回折X線測定手段によって得られたデータを記憶するデータ記憶手段と、画像を表示する表示手段と、前記データ記憶手段に記憶されたデータに基づいて前記表示手段に表示するための画像データを生成する画像データ生成手段とを有し、該画像データ生成手段は、前記データ記憶手段に記憶された前記データに基づいて、前記試料の回折ベクトルおよび該回折ベクトルの方向の回折X線強度分布を球面で表示する球面表示データであって、球面表示の座標原点である球の中心が前記回折ベクトルの始点であり、球面上の座標が前記回折ベクトルの終点である球面表示データを生成し、前記表示手段は前記球面表示データに基づいて前記試料の極点図を球体表示することを特徴とする。
【0013】
極点図を2次元的な等高線表示図によって表示するようにした従来のX線分析装置では、表示される複数の極点間の位置関係が実際の球面上での位置関係に対してゆがみを生じるので、複数の極点の位置関係、すなわち物質内の複数の結晶子の方位、を視覚的に迅速に正確に把握することが難しかった。これに対し、本発明に係るX線回折装置によれば、極点図を球体表示するようにしたので、結晶子の方位を視覚的にきわめて容易且つ正確に判定できる。
【0014】
次に、本発明に係るX線回折装置において、前記画像データ生成手段は測定された前記データに基づいて半球表示データを生成すると共に、前記半球表示データに基づいて残りの半球分の表示データを演算によって生成し、前記表示手段は前記極点図を球体表示することが望ましい。
【0015】
2次元的な等高線表示図によって極点図を表示する場合は、半球分の極点図データがあれば十分である。また、通常のX線測定装置においては、試料の裏側にX線を当てて測定を行うことが難しいので、得られる測定データは試料の半球分のデータであることが多い。半球分のデータだけに基づいて極点図を球体表示すると、表示される球体の極点図は半球分だけとなり、残りの半球には極点図が表示されないことになる。この状態では、結晶子の方位を視覚的に正確に判断しようという本願発明の目的が不十分になる場合があるかもしれない。
【0016】
これに対し、上記のように、極点図の球面表示データのうちの残り半分のデータを演算によって求め、その演算した半球分のデータを測定によって求めた半球分のデータにつなぎ合わせて表示すれば、極点図を球面全体によって表示できるようになる。こうすれば、結晶子の方位の判定をさらに一層明確にできるようになる。特に、一対の半球をつなぎ合わせる部分のX線強度の変化の様子を把握することが容易となる。
【0017】
次に、本発明に係るX線回折装置において、前記画像データ生成手段は、前記球面表示データに基づいて該球面表示データにおける座標原点を中心として当該表示球体を任意の方向へ任意の角度回転させた場合に相当する球面表示データを演算によって求め、前記表示手段は、球体表示を該表示球体の座標原点を中心として回転させる表示を行うことが望ましい。
【0018】
この構成によれば、試料を固定するときに生じる位置や向きのずれや、試料そのものが持つ方位のずれ等があっても、表示球体を回転して観察したい角度位置で見ることができ、より正確な判定を行うことができる。
【0019】
次に、本発明に係るX線回折装置は、前記データ記憶手段に記憶されたデータに基づいて極点に相当するピークを求めるピークサーチ手段をさらに有することができる。そしてこの場合には、前記画像データ生成手段は求められた前記ピークの球面座標と座標原点とを結ぶ線に相当する画像データを生成し、そして、前記表示手段は極点図の球体表示に加えて前記ピークの球面座標と座標原点とを結ぶ線を表示することが望ましい。また、座標原点からピーク座標に向かう矢印で表示することがより望ましい。こうすれば、観察者は、表示された線や矢印を見ることにより、極点の位置を極めて容易且つ正確に判定できる。
【0020】
次に、本発明に係るX線回折装置において、前記画像データ生成手段は、前記球面表示データにおける座標原点を中心として当該表示球体を任意の方向へ任意の角度回転させた場合に相当する球面表示データを演算によって求めると共に、演算によって求めた該球面表示データを立面地形図、平面地形図、等高線表示図に変換し、前記表示手段は、球体表示を該表示球体の座標原点を中心として回転させる表示を行うと共に、前記球面表示データから変換された立面地形図、平面地形図、等高線表示図のうちいずれか1つを同一画面上に同時に表示することが望ましい。こうすれば、観察者は球体表示とともに、立面地形図、平面地形図、等高線表示図のいずれか1つを観察することにより、極点の位置を極めて容易且つ正確に判定できる。
【0021】
なお、本発明において回折X線測定手段によって求められるデータと、極点図を球体表示する際の球面上の座標との関係を説明すれば、次の通りである。
極点測定データは、図18(a)において、回折ベクトルdと試料面法線ベクトルnの成す角から定義されるαと、試料面法線周りの回転角βとによって表わされる。ここで、回折ベクトルdは、出射X線方向の単位ベクトルをsとし、入射X線方向の単位ベクトルをs0として、
d=s−s0
で与えられる。また、αは次式で定義される。
α=90°−(nとdの成す角)
【0022】
(α,β)で与えられる測定点と、球面上の座標(x、y、z)との関係式は、
x=cosαcosβ、 y=cosαsinβ、 z=sinα
となる。
【0023】
次に、測定点(α,β)と装置のゴニオメータ角との対応を図2(a)に示した反射法を例にとって説明する。図18(b)に示すように、試料のあおり角をχとし、試料面法線回りの回転角をφとする。s0,sの張る平面と試料面との成す角が0°になる時をχ=0、成す角が90°になる時をχ=90とすると、
χ=α、 φ=β …… (1)
が成り立つ。このようなゴニオメータ角度から(α,β)への変換は図1のX線測定装置2によって行われる。例えば、インプレーン回折装置から極点データ(α,β,I)を得る方法は上記の特許文献1に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るX線回折装置をその実施形態を例示して説明する。なお、本発明がその実施形態に限定されないことはもちろんである。
図1は、本発明に係るX線回折装置の一実施形態を示している。ここに示すX線回折装置1は、回折X線測定手段としてのX線測定装置2と、制御装置3と、表示手段としての表示装置4と、印字装置であるプリンタ6と、そしてキーボード、マウス等といった入力装置7とを有する。
【0025】
X線測定装置2は、例えば、図2(a)に示す反射法極点測定装置2A又は図2(b)に示す透過法極点測定装置2Bによって構成される。測定に際しては反射法極点測定装置2A及び透過法極点測定装置2Bのいずれか一方が用いられるのであるが、いずれの測定装置を選択するかは、試料Sの入射X線に対するあおり角度χの測定範囲に応じて決定する。
【0026】
図2(a)の反射法極点測定装置2Aは、試料SのX線入射側にX線源8a及び発散規制スリット9aを有する。また、試料SのX線出射側にX線カウンタ11a及び受光スリット12aとを有する。X線源8aは、例えば、通電によって発熱して熱電子を放出するフィラメントすなわち陰極と、その陰極に対向して配置されるターゲットすなわち対陰極とによって構成される。より詳しくは、X線源8aは、フィラメントから放出された熱電子がターゲット上に衝突する領域であるX線焦点によって形成される。本実施形態の反射法極点測定装置2Aでは、X線源8aからポイントフォーカスのX線を取り出すことにする。しかし、ラインフォーカスを取り出すようにしても良いことは、もちろんである。
【0027】
試料Sは図示しない試料支持装置によって支持されている。この試料支持装置は、試料Sをあおり軸線χ及び面内回転軸線φの2軸線を中心として回転可能に支持する。また、この試料支持装置には、試料Sをあおり軸線χの回りに回転駆動する回転駆動装置が付設され、さらに、試料Sを面内回転軸線φの回りに回転駆動する回転駆動装置が付設される。これらの回転駆動装置は、例えば、サーボモータ、パルスモータ等といった回転速度を制御可能な電動モータを動力源として構成できる。実際の測定にあたっては、試料Sの入射X線に対するあおり角度χを所定のステップ角度、例えば3°又は5°で変化させ、さらに、個々のあおり角度χにおいて面内回転角度φを0°〜360°の範囲で連続的又は間欠的に回転させながら、試料Sから出る回折線の強度Iを所定間隔の面内回転角度ごとにX線カウンタ11aによって測定する。これにより、(χ、φ、I)の組み合わせから成る測定データが得られる。さらに、(χ,φ)を上記の(1)式、あるいは必要に応じて選定されるその他の変換式を用いて(α,β)に変換し、これにより、極点データ(α,β,I)が得られる。
【0028】
一方、図2(b)の透過法極点測定装置2Bは、試料SのX線入射側にX線源8b及び発散規制スリット9bを有する。また、試料SのX線出射側にX線カウンタ11b及び受光スリット12bを有する。本実施形態のX線源8bからはラインフォーカスのX線を取り出すことにする。しかし、ポイントフォーカスを取り出すようにしても良いことは、もちろんである。この透過法極点測定装置2Bにおいても、試料Sは駆動装置によって駆動されて、所定のステップ角度であおり軸線χの回りにあおり回転し、面内回転軸線φの回りに面内回転し、それらの回転の間に(χ、φ、I)のデータを測定する。さらに、図1のX線測定装置2内で(χ,φ)を(α,β)に変換し、極点データ(α,β,I)を得る。反射法極点測定装置2A及び/又は透過法極点測定装置2Bによって得られた(α,β,I)の極点データは、図1において、制御装置3へ伝送される。
【0029】
図1において、制御装置3はコンピュータを用いて構成されている。具体的には、CPU(Central Processing Unit)17と、RAM(Random Access Memory)18と、ROM(Read Only Memory)19と、外部記憶装置としてのハードディスク21と、それらの機器を結ぶバス22とを有する。バス22には、データ処理部23、データ解析部24、及び画像データ生成部26が接続される。また、画像データ生成部26には、ビデオメモリ27及びD/Aコンバータ28が順次に接続される。そして、コンバータ28の出力端子に表示装置4が接続される。ハードディスク21の内部には、極点測定を行うためのプログラムソフト13が格納され、さらに、X線測定装置2によって求められた極点データ(α,β,I)を記憶するためのデータファイル14が設けられる。
【0030】
データ処理部23は、X線測定装置2によって求められた極点データ(α,β,I)に対して、解析をし易くするための処理、例えば、平滑化処理、バックグラウンド除去処理等を行う。このデータ処理部23は、単独の回路として構成することもできるし、あるいは、ハードディスク21内のプログラム13の中にソフト的に組み込むこともできる。
【0031】
データ解析部24は、X線測定装置2によって求められた極点データ(α,β,I)を直接に又はデータ処理部23を介して間接的に取り込んで、希望の解析を行う。ここで言う解析とは、測定されたデータに基づいて新たな情報を作成する処理のことを言う。このような解析処理としては、例えば、求められた測定データをグラフとして表示したときに得られるピーク波形のピーク値を求める処理、いわゆるピークサーチが考えられる。このデータ解析部24は、単独の回路として構成することもできるし、あるいは、ハードディスク21内のプログラムの中にソフト的に組み込むこともできる。
【0032】
画像データ生成部26は、周知のように、3次元画像処理部及び2次元画像処理部を有し、X線測定装置2によって求められた(α,β,I)の極点データを表示装置4の画面上に3次元的、2次元的、及び/又は1次元的に表示するためのデータ処理を行う。この画像データ生成部26も、単独の回路として構成することもできるし、あるいは、ハードディスク21内のプログラムの中にソフト的に組み込むこともできる。
【0033】
ビデオメモリ27は、例えば、B(青),G(緑),R(赤)のそれぞれに関する1フレーム分の複数の画素の色データを格納するためのメモリである。また、D/Aコンバータ28は、ビデオメモリ27に格納された各画素に対応するデジタル色信号を表示装置4の駆動に適したアナログ信号に変換する。表示装置4がデジタル信号に対応した機器である場合には、このD/Aコンバータ28は不要である。
【0034】
画像データ生成部26は、入力された(α,β,I)の極点データに基づいて、例えば、次のような処理を行う。
(a)3次元座標空間内における3次元モデル(すなわち3次元物体、すなわち3次元オブジェクト)の形状をポリゴンを単位とするポリゴンメッシュによって演算によって定義する。具体的には、3次元モデルの頂点の座標、境界線、及び面を表現する方程式のパラメータ等を定義する。
【0035】
(b)以上で求められた3次元モデルデータは仮想的に設定された原点を基準とする絶対座標であるが、これを、与えられたある視点位置を基準としたスクリーン空間上の座標値に置き換える。スクリーン空間というのは2次元空間のことであり、このステップにおいて、3次元画像データが2次元画像データに変換される。
【0036】
(c)以上で求められた2次元化されたポリゴンにより、B,G,Rのビデオ信号を生成する。このとき、見えない部分を表示しない処理(すなわち、陰面処理)等が行われる。
【0037】
以下、上記構成より成るX線回折装置の動作について説明する。
まず、図2(a)の反射法極点測定装置2A及び/又は図2(b)の透過法極点測定装置2Bを用いて、試料Sについてのあおり角度χ、面内回転角度φ、回折線強度Iを測定する。あおり角度χについては、例えば0°〜90°を測定範囲とする。また、面内回転角度φについては、例えば0°〜360°を測定範囲とする。また、あおり角度χを変化させる際のステップ角度は、例えば3°又は5°とする。これらの範囲は、部分極点を求める場合のように、例えば、あおり角χ:30°〜60°、面内回転角度φ:0°〜90°のように、測定の種類に応じて適宜に変更して設定される。この測定により、複数の(χ,φ,I)のデータが得られ、さらに、(χ,φ)→(α,β)の変換により、極点データ(α,β,I)が得られる。CPU17は、得られた複数の(α,β,I)のデータをプログラム13に従ってハードディスク21内のデータファイル14に記憶する。また、CPU17はデータファイル14に記憶されたデータをデータ処理部23、データ解析部24、画像データ生成部26等へ送る。
【0038】
従来の装置では、以上のようにして求められた(α,β,I)の極点データを図14のポーラーネット上にプロットすることによって、例えば、図3に示す2次元的な等高線表示図(Contour Map)31を作成していた。本実施形態においても、図1の画像データ生成部26はそのような等高線表示図31を画像表示するための画像データを生成する。そして、必要に応じてその等高線表示図31を表示装置4の画面上に表示する。また、必要に応じてその等高線表示図31をプリンタ6によって印字する。
【0039】
表示装置4の画面上に表示される等高線表示図31は、白黒の単色表示であっても良いし、白黒以外の任意の1色の単色表示であっても良いし、あるいは、等高線が示す強度に応じて色相が変化するようなカラー表示であっても良い。なお、図3及びこれ以降の図面において、SN(Sample Normal)は試料面法線方向を示し、RD(Rolling Direction)は圧延方向を示し、TD(Transverse Direction)は横方向を示している。ここで、圧延方向RDは、試料Sが圧延処理によって形成される膜材料等であることを念頭に置いた場合の圧延方向という意味であり、圧延処理を受けることなく形成された物質に関しては必ずしも該当する方向が存在しないかもしれない。しかしながら、そのような圧延処理を受けない物質に関しても慣習的に何等かの特徴的な方向を圧延方向と称することが多いので、本実施形態でもRDの称呼を用いるものとする。なお、SN軸、RD軸及びTD軸は色分けして表示した方が見易くなる。例えば、SN軸を黄色で表示し、RD軸を赤色で表示し、TD軸を緑色で表示することができる。
【0040】
等高線表示図31において、等高線は回折線強度の等しい位置をつないだ線を示しており、強度の強さは、線の色相、もしくは色の濃淡、もしくは線のスタイル(例えば、実線、破線、鎖線等)を変えることで表現される。図中、符号Q1及びQ2で示す部分は最も強い回折線が測定された点を示している。熟練した測定者であれば、この等高線表示図31を見ることにより、試料S内の結晶子の方位を迅速且つ正確に判定できると思われる。しかしながら、熟練者で無い者にとっては、この等高線表示図31を観察して結晶子の方位を即座に且つ正確に判定することはかなり難しいと考えられる。そこで、本実施形態の装置では、極点測定の結果を表示装置4の画面上に表示するに際して、以下のような工夫を施している。
【0041】
図1の画像データ生成部26は、測定された(α,β,I)の極点データに基づいて図3に示した等高線表示図31に相当する画像データを生成するのに加えて、図4に示す平面地形図(Flat Topo Map)32に相当する画像データを生成する。そして、必要に応じてその平面地形図32を表示装置4の画面上に表示する。また、必要に応じてその平面地形図32をプリンタ6によって印字する。なお、等高線表示図31及び平面地形図32の両方を1つの画面上に同時に表示するようにしても良い。
【0042】
この平面地形図32が表示している内容は図3の等高線表示図31と同じである。この平面地形図32では、図3の等高線表示図31における等高線の粗密の違いを、色相の違いによって表わしたり、同じ色相で濃淡の違いによって表わしたりしている。例えば、同じ色相で濃淡の違いによって表示する場合を考えれば、回折線が検出されなかったバックグラウンド部分を最も濃い色、例えば「黒」で表示し、回折線が最も強かった部分を最も薄い色、例えば「白」で表示し、回折線の強度が強くなるに従って、「黒」→「灰色」→「白」の順で連続的なグラデーション表示を行うことができる。
【0043】
また、色相の違いによって表わす場合を考えれば、例えば、回折線が検出されなかったバックグラウンド部分を「紫色」で表示し、回折線が最も強かった部分を「赤色」で表示し、回折線の強度が強くなるに従って、「紫色」→「青色」→「緑色」→「黄緑色」→「黄色」→「赤色」のように色相が連続して徐々に変化するような表示を行うことができる。もちろん、各色の中間部分は各色の中間色で表示される。以上のようにして表示される平面地形図32を観察すれば、観察者は結晶子の方位や試料の配向の度合いを視覚的に容易に判定できる。
【0044】
次に、図1の画像データ生成部26は、測定された(α,β,I)の極点データに基づいて、図3に示した等高線表示図31に相当する画像データ及び図4に示した平面地形図32に相当する画像データを生成するのに加えて、図5に示す立面地形図(Elevation Topo Map)33に相当する画像データを生成する。そして、必要に応じてその立面地形図33を表示装置4の画面上に表示する。また、必要に応じてその立面地形図33をプリンタ6によって印字する。なお、等高線表示図31、平面地形図32及び立体地形図33のいずれか2つの組み合わせ又はそれら3つの全部を1つの画面上に同時に表示するようにしても良い。
【0045】
この立面地形図33が表示している内容は、図3の等高線表示図31や図4の平面地形図32と同じである。この立面地形図33では、図3の等高線表示図31における等高線が示す強度の違いを、立体的な高さの違いとして表示している。従って、これを観察する者は、回折線の強度の違いをより一層容易且つ正確に判定でき、それ故、結晶子の方位や試料の配向の度合いを視覚的に、より一層容易に判定できる。なお、この立面地形図33において、回折線の強度の違いを高さの違いとして表示することに加えて、その違いを色相の違い又は濃淡の違いによって表示することもできる。
【0046】
次に、図1の画像データ生成部26は、測定された(α,β,I)の極点データに基づいて、図3に示した等高線表示図31に相当する画像データ、図4に示した平面地形図32に相当する画像データ、及び図5に示す立面地形図33に相当する画像データを生成するのに加えて、あるいは、それらの画像データを生成するのに代えて、図6に示す3次元球面図34に相当する3次元画像データを生成する。そして、必要に応じてその3次元球面図34を表示装置4の画面上に単独で表示する。また、必要に応じてその3次元球面図34をプリンタ6によって印字する。なお、等高線表示図31、平面地形図32、立体地形図33、及び3次元球面図34のいずれか2つの組み合わせ又はいずれか3つの組み合わせ又はそれら4つの全部を1つの画面上に同時に表示するようにしても良い。
【0047】
この3次元球面図34が表示している内容は、図3の等高線表示図31や図4の平面地形図32や図5の立面地形図33と内容的には同じであるが、画像データとしては異なっている。詳しく言えば、図3の等高線表示図31、図4の平面地形図32、及び図5の立面地形図33の元となっているデータは、いずれも、図13に示したポーラーネットPN上に投影された2次元的なデータに相当する。これに対し、図6の3次元球面図34の元になっているデータは図13の投影球SP上のデータそのもの、すなわち3次元データに相当する。図1の画像データ生成部26は、測定された極点データ(α,β,I)に基づいてそのような3次元球面図の3次元画像データを生成する。
【0048】
図2(a)及び図2(b)に示した極点測定装置2A及び2Bは試料Sの片側の面について測定を行うので、結晶子の片側の面についてのデータを採取することになり、結晶子の裏側の面についてのデータは得られない。このため、図6の3次元球面図34に関しては球の半分、すなわち半球分の表示(図6では上側半分)だけが成されており、下側半分は単なる一様な黒表示となっている。
【0049】
3次元球面図34は図1の画像データ生成部26内の3次元画像処理部によって生成された3次元画像データに基づいて表示されたものであるので、周知の通り、任意の点を中心として3次元球面図34を回転させたような状態を表示することができる。例えば、球面図34の原点Oを中心として球面図34を回転させて、図6で今見えているデータの裏側に隠れているデータを表側に回転移動させることができる。
【0050】
また、矢印A方向、すなわち試料面法線SNの上方から球面図34を見たいと思う場合には、SNに相当する部分が中心に来るように球面図34を原点Oを中心として回転させれば良い。ところで、図6の3次元球面図34と図3の等高線表示図31とは同じ極点データ(α,β,I)に基づいて形成されたものであるので、図6において矢印A方向から試料面法線SNを中心として球面図34を平面的に見ると、観察される表示は図3の等高線表示図31と同じであるように思われる。しかしながら、実際には両者は異なっている。
【0051】
例えば、図6においてRD方向の球頂面部分には薄い色で表示されたX線強度分布X0が認められ、この強度分布X0は図3あるいは図4においてRD部分に表示されている。しかしながら、図6において矢印A方向から球面図34を平面的に見た場合にはそのX線分布X0は視認できない。1つの球の頂面部分を矢印A方向から見た場合、矢印A方向に対して90°間隔であるRD部分の頂面部分は視界に入らない。このことは、図3の等高線表示図31や図4の平面地形図32は図13のポーラーネットPN上の投影図を表示しているのに対し、図6の3次元球面図34は図13の投影球SPそれ自体を表示しているということから、容易に理解できる。
【0052】
換言すれば、図3の等高線表示図31は球面状に載っているデータを正確に平面的に投影しているのではなく、少しゆがんだ状態で平面的に表示していると言うことができる。従って、例えば、極点Q1及び極点Q2の位置関係を確認したいというとき、等高線表示図31上では、必ずしも正確な位置確認ができないかもしれないということである。このことは、熟練者でない観察者にとっては特に不都合なことである。これに対し、図6の3次元球面図34は図13の投影球上のデータそのものを3次元的に表示しているので、観察者は極点Q1と極点Q2との位置関係を視覚的判断によって極めて容易に判定でき、その判定は正確なものである。特に、3次元球面図34を原点Oを中心としてマウス操作によって回転させながら観察を行えば、極点Q1と極点Q2との位置関係を種々の方向から非常に正確に判定できる。
【0053】
また、極点図を用いた結晶子の方位等の判定は、球面上に存在する複数の極点の間の球面上における距離や球面原点からの角度を基準として行われるものである。従来は、この判定を図3に示す等高線表示図31から推測して行っていたわけであるが、図6の3次元球面図34を用いれば、球面上での距離や球面原点からの角度は直感的に、迅速に、且つ間違いなく正確に行うことができる。
【0054】
次に、図6の3次元球面図34が上側半分の半球分の表示を行うことは既述の通りであるが、図1の画像データ生成部26は図7に示すように、測定された(α,β,I)の極点データに基づいて、図6に示す3次元球面図34の上半球分に相当する3次元画像データを生成すると共に、図7に示す3次元球面図34’の下半球分Yに相当する3次元画像データを生成する。下半球分のデータは、例えば、上半球分のデータと原点Oを中心に点対称の関係にあるものとして演算によって求めることができる。こうして生成されたデータに基づいて、必要に応じて、球面全体の3次元球面図34’を表示装置4の画面上に表示することができる。
【0055】
また、必要に応じてその3次元球面図34’をプリンタ6によって印字することもできる。なお、図3の等高線表示図31、図4の平面地形図32、図5の立面地形図33、図6の半球3次元球面図34、及び図7の全球3次元球面図34’のいずれか2つの組み合わせ、いずれか3つの組み合わせ、いずれか4つの組み合わせ又はそれら5つの全部を1つの画面上に同時に表示するようにしても良い。
【0056】
次に、図1の画像データ生成部26は、測定された(α,β,I)の極点データに基づいて、図7に示すような3次元球面図34’に相当する3次元画像データを生成すると共に、その3次元球面図34’を原点Oを中心として角度360°内の任意の方向へ回転移動させた状態に相当する3次元画像データを生成し、その生成した画像データに従って表示装置4の画面に3次元球面図34’を表示する。例えば、図7において、入力用器具であるマウスを操作して画面上のポインタで球面上の任意の点をグリップし、そのグリップした点をマウスのドラッグ操作によって任意の方向へ任意の角度だけ原点Oを中心としてドラッグしたとする。すると、画面上には、ポインタの移動に応じて球面が原点Oを中心として回転移動する動作が表示され、球面上に描かれた濃淡又は色分けの測定結果パターンが球面の回転と同時に回転する姿が映し出される。これを見た観察者は、極点図上のどの位置にピークがあるかを極めて明確に且つ迅速に判定できる。
【0057】
例えば、今、図8に示すように画面上にSN軸の近傍が広く表示された状態の3次元球面図34’が表示されているものとする。この姿の3次元球面図34’を図5に示すような立面地形図33に変換して表示すれば、図9に示すような立面地形図33が表示されることになる。図8に示す姿の球面図34’のうちSN軸に近い部分をマウス操作によってポインタによってグリップし、さらに原点Oを中心として矢印Bのようにドラッグによって回転移動させてRD軸のところまで持ち運ぶと、3次元球面図34’は図10に示すような姿となる。この姿の3次元球面図34’を図5に示すような立面地形図33に変換して表示すれば、図11に示すような立面地形図33が表示されることになる。
【0058】
図8と図10は、それぞれ、球面図34’の回転当初と回転完了後の姿を表示しているが、ポインタ表示が球面図をドラッグによって回転させる間、球面図上のX線強度パターンはその回転に従って時々刻々と変化する。従って、観察者は球面図上の複数の極点の位置関係を極めて迅速に且つ正確に把握することができる。なお、画面の一部領域、例えば画面の左側領域を使って3次元球面図34’の図8から図10へ至る変化を時々刻々と表示するのに加えて、画面の残りの領域、例えば画面の右側領域を使って立面地形図33の図9から図11へかけての変化を時々刻々と表示すれば、複数の極点間の位置関係をさらに一層明確に判定できる。
【0059】
なお、図8に矢印Bで示すような球面図34’の回転表示は、複数の極点間の位置関係を分かり易くするという上記の効果に加えて、図2の試料Sを所定の測定位置に固定するときに生じる試料位置の誤差や、試料の向きの誤差や、試料Sそのものが持つ方位のずれ等を画面表示の上で補正できるという効果を奏することができる。
【0060】
次に、図1のデータ解析部24は測定された極点データ(α,β,I)に基づいてピークサーチ処理を実行することができる。このピークサーチ処理は、例えば図7の3次元球面図34’の球面上でどの位置にX線強度のピーク値が存在するかを演算によって求める処理である。このピーク処理によってピーク位置が求められたときには、ピーク位置であることを示すマーク、例えば「×」マークを図3から図11に示した各図形上に表示することが望ましい。こうすれば、観察者はピーク位置を容易に判定でき、観察者間での判定のバラツキを抑えることができる。
【0061】
また、ピークサーチ処理によってピーク位置が認定された場合、図1の画像データ生成部26は、図12に示すように、ピーク位置である極点Q1と原点Oとを結ぶ矢印線R1及びピーク位置である極点Q2と原点Oとを結ぶ矢印線R2に相当する画像データを生成し、その生成した画像データに従って表示装置4の画面に矢印線R1及びR2を表示する。これにより、極点Q1と極点Q2とが原点Oの回りに成す角度Φを視覚的に正確に認識できる。
【0062】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、図1では、3次元画像処理部及び2次元画像処理部を有する画像データ生成部26と、ビデオメモリ27と、D/Aコンバータ28とによって画像データ処理部を構成したが、図6、図7、図8、図10,図12に示した3次元球体図34,34’に相当する3次元画像データを生成できる回路でありさえすれば、任意の回路構成によって画像データ処理部を構成できる。
【0063】
また、極点図のためのデータを求めるX線測定装置は、図2(a)及び図2(b)に示した装置に限られず、極点図のためのデータを求めることができる限りにおいて任意の構成の測定装置を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係るX線回折装置は、物質を構成する結晶子の方位や多結晶物質の配向度合い等をX線を用いて観察する場合に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係るX線回折装置の一実施形態を示す回路ブロック図である。
【図2】図1のX線回折装置で用いるX線測定装置の一例を示す図である。
【図3】極点図を等高線表示図によって表わした図である。
【図4】極点図を平面地形図によって表わした図である。
【図5】極点図を立面地形図によって表わした図である。
【図6】極点図を半球分の球体表示によって表わした図である。
【図7】極点図を全球分の球体表示によって表わした図である。
【図8】極点図の他の部分を全球分の球体表示で表わした図である。
【図9】図8の球体表示を立面地形図に変換して表示した図である。
【図10】図8の球体表示を表示画面上で回転移動させた状態を示す図である。
【図11】図10の球体表示を立面地形図に変換して表示した図である。
【図12】極点図の他の表示形態を示す図である。
【図13】極点図の原理を説明するための図である。
【図14】ポーラーネットの一例を示す図である。
【図15】結晶の格子面の一例を示す図である。
【図16】格子面と極の位置との1つの関係を示す図である。
【図17】格子面と極の位置との他の1つの関係を示す図である。
【図18】極点測定データとX線測定装置の軸角度との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1.X線回折装置、 2A.反射法極点測定装置、 2B.透過法極点測定装置、
3.制御装置、 4.表示装置、 6.プリンタ、 7.入力装置、
8a,8b.X線源、 9a,9b.発散規制スリット、
11a,11b.X線カウンタ、 12a,12b.受光スリット、
21.ハードディスク、 22.バス、 26.画像データ生成部、
31.等高線表示図、 32.平面地形図、 33.立面地形図、
34,34’.3次元球面図(球体表示)、 PN.ポーラーネット、
Q1,Q2.極点、 R1,R2.矢印線、 S.試料、 SP.投影球、
X0.X線強度分布、 Y.球体表示の下半球分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料にX線を照射し、前記試料からの回折X線を測定し、そのデータを極点図で表示するX線回折装置において、
前記試料からの回折X線を測定し、そのデータを得る回折X線測定手段と、
該回折X線測定手段によって得られたデータを記憶するデータ記憶手段と、
画像を表示する表示手段と、
前記データ記憶手段に記憶されたデータに基づいて前記表示手段に表示するための画像データを生成する画像データ生成手段とを有し、
該画像データ生成手段は、前記データ記憶手段に記憶された前記データに基づいて、前記試料の回折ベクトルおよび該回折ベクトルの方向の回折X線強度分布を球面で表示する球面表示データであって、球面表示の座標原点である球の中心が前記回折ベクトルの始点であり、球面上の座標が前記回折ベクトルの終点である球面表示データを生成し、
前記表示手段は前記球面表示データに基づいて前記試料の極点図を球体表示する
ことを特徴とするX線回折装置。
【請求項2】
請求項1記載のX線回折装置において、
前記画像データ生成手段は測定された前記データに基づいて半球表示データを生成すると共に、前記半球表示データに基づいて残りの半球分の表示データを演算によって生成し、
前記表示手段は前記極点図を球体表示する
ことを特徴とするX線回折装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のX線回折装置において、
前記画像データ生成手段は、前記球面表示データに基づいて該球面表示データにおける座標原点を中心として当該表示球体を任意の方向へ任意の角度回転させた場合に相当する球面表示データを演算によって求め、
前記表示手段は、球体表示を該表示球体の座標原点を中心として回転させる表示を行う
ことを特徴とするX線回折装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のX線回折装置において、
前記データ記憶手段に記憶されたデータに基づいて、極点に相当するピークを求めるピークサーチ手段をさらに有し、
前記画像データ生成手段は求められた前記ピークの球面座標と座標原点とを結ぶ線に相当する画像データを生成し、
前記表示手段は極点図の球体表示に加えて前記ピークの球面座標と座標原点とを結ぶ線を表示する
ことを特徴とするX線回折装置。
【請求項5】
請求項3記載のX線回折装置において、
前記画像データ生成手段は、前記球面表示データにおける座標原点を中心として当該表示球体を任意の方向へ任意の角度回転させた場合に相当する球面表示データを演算によって求めると共に、演算によって求めた該球面表示データを立面地形図、平面地形図、等高線表示図に変換し、
前記表示手段は、球体表示を該表示球体の座標原点を中心として回転させる表示を行うと共に、前記球面表示データから変換された立面地形図、平面地形図、等高線表示図のうちいずれか1つを同一画面上に同時に表示する
ことを特徴とするX線回折装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−71377(P2006−71377A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−253382(P2004−253382)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000250339)株式会社リガク (206)
【Fターム(参考)】