説明

X線干渉計撮影装置及びX線干渉計撮影方法

【課題】実用的な構成により高画質な画像が得られるX線干渉計撮影を可能とする。
【解決手段】焦点サイズが0.03〜3(mm)のX線を照射するX線管、X線検出器、X線管とX線検出器間においてX線管に近接して配置される第0格子、X線管とX線検出器間においてX線検出器に近接して配置される第2格子、第0格子と第2格子間に配置される第1格子、を備え、第0格子の一辺の大きさA(mm)が下記式1を満たすX線干渉計撮影装置。
(式1)A≧A・α−1+(1−α−1)・F+(1−α−1)・k
上記式1において、AはX線検出器の一辺の大きさ(mm)、αは拡大率を示す。X線管の焦点と第0格子間の距離をd(mm)、X線管の焦点とX線検出器間の距離をd(mm)としたとき、α=d/d。Fは規格に従って求められたX線管の焦点サイズ(mm)。kはX線管の焦点移動量(mm)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線干渉計撮影装置及びX線干渉計撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
診断に広く用いられる医療用のX線画像のほとんどは、吸収コントラスト法による画像である。吸収コントラスト法では、X線が被写体を透過したとき、被写体の各部分でX線強度の減衰の差が生じる結果、コントラストが形成される。
これに対し、電磁波の1種であるX線の波動としての性質を利用し、X線回折による物質の構造解析の研究が行われてきた。医療の分野では、X線が物体を透過した後、X線の位相が変化することに着目して画像化する位相コントラスト法が開発された。
【0003】
吸収コントラスト法は骨等のX線吸収が大きい被写体の撮影に有効であり、位相コントラスト法はX線吸収が小さい被写体に有効である。位相コントラスト法は、通常の吸収コントラスト法によっては画像として現れにくい乳房や関節軟骨、関節周辺等の軟部組織に対するX線画像診断への適用が期待されている。
【0004】
Fitzgeraldによる位相コントラスト法の分類によれば(R. Fitzgerald, Phase-sensitive X-ray imaging, Phy. Today 2000;53(7):23-26参照)、インライン型の位相コントラスト法は乳房撮影に実用化され(例えば、特許文献1参照)、広く利用されている。干渉計を用いる位相コントラスト法では、マッハツエンダー型干渉計(例えば、特許文献2参照)や、タルボ干渉計(例えば、非特許文献1参照)が検討されている。
【0005】
タルボ干渉計は、Talbotによって発見されたタルボ効果を利用した干渉計であり、広く知られている。タルボ効果とは、一定の周期でスリットが設けられた第1の格子を、干渉性の光が透過すると、光の進行方向に一定周期でその格子像を結ぶ現象をいう。この格子像は自己像と呼ばれる。タルボ干渉計はこの原理を利用し、自己像を結ぶ位置に第2の格子を配置し、この第2の格子の位置をわずかにずらすことで生じる干渉縞(モアレ)を測定する。タルボ干渉計を用いるX線干渉計撮影法は、干渉性X線を発生するX線源を光源として用い、第1の格子の前に物体を配置するとモアレ像が乱れることから、このモアレ像を用いた演算によって被写体像を再構成する方法である。
【0006】
干渉性のX線を生じるX線源として、一般的にマイクロフォーカスX線源が用いられるが、マイクロフォーカスX線源はX線量が極めて少なく、人体の撮影には不向きである。
干渉性のX線として、放射光X線からの単色平行X線も用いることもできるが、放射光施設はSpring8等のように巨大な装置であり、実用的ではない。
【0007】
広く医療現場で利用するには、焦点サイズが0.03〜3.0(mm)のX線管が実用的である。しかし、このX線管では干渉性が十分なX線を得ることは極めて困難である。この問題を解消する方法として、タルボ・ロー法が知られている(例えば、特許文献3、4参照)。タルボ・ロー法によれば、X線管の焦点にできるだけ近い位置に回折格子、これを第0格子というが、第0格子を配置してこの第0格子によりあたかも点線源がいくつも連なってそれぞれからX線が照射されるように構成することで、タルボ効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3861572号公報
【特許文献2】特開平10−248833号公報
【特許文献3】米国特許第5812629号
【特許文献4】特開2008−145111号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】P. Cletens, J. P. Guigay, C. De Martino et al. Fractional Talbot imaging of phase grating with hard x rays, Optc. Lett. 1997;22(14): 1059-1061
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、実用的なX線管を使用する場合、X線管の回転陽極は熱電子線の照射のため発熱し、X線の照射位置がずれる焦点移動という現象が起こる場合がある(関善隆、円谷喜明、土肥元達他、X線管装置の焦点移動量低減技術の開発、MEDIX、2002,Vol.36,p32-36参照)。X線の波長は1/10Åオーダーと非常に短いため、タルボ・ロー法に用いられる各回折格子のスリットの周期幅は数μmと、一般のX線撮影装置には無い、極めて高い精度によって撮影装置が構成されている。そのため、焦点移動が生じたとき、第0格子のサイズが小さすぎると、第0格子のスリットを通過しないX線が生じ、モアレの形成そのものが阻害されることが考えられる。X線管の発熱は避けられず、実用化にあたっては焦点移動を勘案して第0格子を構成することが必要と考えられる。
【0011】
また、第0格子のサイズを決定するには、タルボ・ロー法は被写体とX線検出器間を離間させる拡大撮影の1種であることを考慮する必要がある。X線検出器の大きさに対して第0格子が小さすぎてはモアレの形成が阻害される部分が生じるし、逆に大きすぎても不要に高精度のスリットを設けることとなり、無駄が大きい。
【0012】
さらに、拡大撮影は被写体とX線検出器間を離間させるため、被写体に接するようにX線検出器を配置する通常のX線撮影に比べて撮影装置の全長が大きくなりがちである。しかし、撮影室内のスペースを考えれば、撮影装置の全長が3mを超えることは現実的ではない。一般の医療施設に設置する実用的な撮影装置とするためには、撮影装置全体のサイズや、撮影部位等の撮影対象の大きさを勘案した装置設計が必要となる。
【0013】
本発明の課題は、実用的な構成により、高画質な画像が得られるX線干渉計撮影を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、
焦点サイズが0.03〜3(mm)のX線を照射するX線管と、
X線検出器と、
前記X線管と前記X線検出器間において前記X線管に近接して配置される第0格子と、
前記X線管と前記X線検出器間において前記X線検出器に近接して配置される第2格子と、
前記第0格子と前記第2格子間に配置される第1格子と、を備え、
前記第0格子の一辺の大きさA(mm)が下記式1を満たすX線干渉計撮影装置が提供される。
(式1)A≧A・α−1+(1−α−1)・F+(1−α−1)・k
ただし、上記式1において、AはX線検出器の一辺の大きさ(mm)である。αは拡大率を示し、X線管の焦点と第0格子間の距離をd(mm)、X線管の焦点とX線検出器間の距離をd(mm)としたとき、α=d/dである。Fは規格に従って求められたX線管の焦点サイズ(mm)である。kはX線管の焦点移動量(mm)である。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、
前記第0格子の一辺の大きさA(mm)が下記式2を満たす請求項1に記載のX線干渉計撮影装置が提供される。
(式2)A≧A・α−1+(1−α−1)・β・F+(1−α−1)・k
ただし、上記式2において、βは焦点サイズFを基準として焦点のすそ野の大きさに応じて設定する係数であり、1≦β≦5である。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、
前記X線管の焦点と前記X線検出器間の距離d(mm)は、d≦3000である請求項1又は2に記載のX線干渉計撮影装置が提供される。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、
焦点サイズが0.03〜3(mm)のX線を照射するX線管と、X線検出器と、前記X線管と前記X線検出器間において前記X線管に近接して配置される第0格子と、前記X線管と前記X線検出器間において前記X線検出器に近接して配置される第2格子と、前記第0格子と前記第2格子間に配置される第1格子と、を備えるX線干渉計撮影装置によるX線干渉計撮影方法であって、
前記第0格子の一辺の大きさA(mm)が下記式1を満たすX線干渉計撮影方法が提供される。
(式1)A≧A・α−1+(1−α−1)・F+(1−α−1)・k
ただし、上記式1において、AはX線検出器の一辺の大きさ(mm)である。αは拡大率を示し、X線管の焦点と第0格子間の距離をd(mm)、X線管の焦点とX線検出器間の距離をd(mm)としたとき、α=d/dである。Fは規格に従って求められたX線管の焦点サイズ(mm)である。kはX線管の焦点移動量(mm)である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、焦点サイズを持つ実用的なX線管を用いたときに、第0格子の一辺の大きさを、十分なX線強度のX線を検出するのに最適な大きさに設計することができる。焦点移動が生じた場合も、十分なX線強度のX線を検出することができ、実用的な構成によって、高画質な画像が得られるX線干渉計撮影が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態に係るX線干渉計撮影装置を示す図である。
【図2】X線干渉計撮影に係る各構成部の位置関係を示す図である。
【図3】第0格子の斜視図である。
【図4】本体部の機能的構成を示す図である。
【図5】タルボ干渉計の原理を説明する図である。
【図6】第0格子の一辺の大きさの設計について説明する図である。
【図7】X線のX線強度分布を示す図である。
【図8】X線検出器に入射するX線のX線強度分布を示す図である。
【図9】X線強度の低下による画質低下の例を示す図である。
【図10】すそ野が広がる他の形状のX線強度分布の例を示す図である。
【図11】焦点移動が生じた場合に、X線検出器に入射するX線のX線強度分布を示す図である。
【図12】(a)鳥手羽の骨の図である。(b)(a)の骨をX線干渉計撮影装置により撮影して得られた再構成画像である。
【図13】実施例2に係るX線干渉計撮影装置のX線検出器に入射するX線のX線強度分布を示す図である。
【図14】実施例3に係るX線干渉計撮影装置のX線検出器に入射するX線のX線強度分布を示す図である。
【図15】比較例1に係るX線干渉計撮影装置のX線検出器に入射するX線のX線強度分布を示す図である。
【図16】比較例2に係るX線干渉計撮影装置のX線検出器に入射するX線のX線強度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係るX線干渉計撮影装置1を示す図である。X線干渉計撮影装置1はタルボ・ロー干渉計によるX線干渉計撮影を行う。
X線干渉計撮影装置1は、図1に示すように、X線管2、X線検出器3、第0格子4、第1格子5、第2格子6、被写体台7、本体部8を備えて構成されている。
【0022】
図2は、X線干渉計撮影に係るX線管2、第0格子4、第1格子5、第2格子6、X線検出器3の位置関係を示している。
図2に示すように、第0格子4はX線管2とX線検出器3間にあって、X線管2に近接する位置に配置される。第2格子6はX線管2とX線検出器3間にあって、X線検出器3に近接する位置に配置される。第1格子5は第0格子4と第2格子6間に配置される。被写体台7は第0格子4と第1格子5間にあって第1格子5に近接するように設置される。X線管2の焦点と第0格子4間の距離をd、X線管2の焦点とX線検出器3間の距離をd、第0格子4と第1格子5間の距離をd、第1格子5と第2格子6間の距離をdで示す。
【0023】
X線管2はX線を発生させ、照射する。X線管2としては、例えば医療現場で広く一般に用いられているクーリッジX線管や回転陽極X線管を用いることができる。陽極としてはタングステンやモリブデンが一般的に用いられる。X線管2に用いられる高圧発生器は、コンデンサー型、単層電流型、2相電流型、3相電流型、インバータ式がある。X線管電圧は20〜100(kV)が好ましい。
【0024】
X線管2の焦点サイズF(mm)は0.03≦F≦3である。さらに好ましくは0.1〜1(mm)である。上記クーリッジX線管等のように一般的に実用されているX線管は0.03〜3(mm)の焦点サイズのものが多い。
【0025】
X線管2の焦点サイズFは、スリット法や点線源法のように規格化された測定方法によって求められる。規格としてはJISのZ4102、Z4704、IEC60336等が挙げられる。何れの規格によって測定してもよいが、本実施形態ではIEC60336により測定された焦点サイズFを採用する。
【0026】
第0格子4は回折格子であり、図3に示すようにx方向に複数のスリット42が所定間隔で設けられている。スリット42はフォトリソグラフィー技術により、シリコンやタングステン、鉛、金といったX線の遮蔽力が大きい、つまりX線の吸収率が高い材質の基板41に形成される。例えば、レジスト層をスリット状にマスクし、UVを照射することでスリットのパターンをレジスト層に転写する。露光によってパターンと同じ形状のスリット構造を得て、電鋳法によりスリット構造間に金属を埋め込み、第0格子4を形成する。スリット42はX線透過部、それ以外の基板41部分はX線遮蔽部として機能する。
【0027】
スリット42の周期wは1〜60(μm)である。1周期はスリット42の幅w01と、スリット42間にあるX線遮蔽部43の幅w02との和をいう。スリット42の幅w01は1周期wの1〜60(%)の長さであり、さらに好ましくは10〜40(%)である。スリット42の高さh(z方向の長さ)は1〜500(μm)であり、好ましくは1〜150(μm)である。
【0028】
スリット42の周期wは、第1格子5のスリットの周期をw(μm)とすると、下記式により求めることができる。
=w・(d+d)/d
この式を満たすように周期wを決定することにより、第0格子4及び第1格子5の各スリットを通過したX線による自己像が、それぞれ第2格子6上で重なり合い、いわばピントが合った状態とすることができる。
【0029】
基板41においてスリット42の周期構造が無い部分、つまりスリット42を囲む枠部分は、コリメータに該当し、干渉性が低い不要なX線を遮蔽するX線遮蔽部として機能する。これにより、画像周辺における画質低下を防ぐことが可能である。また、スリット42の強度を維持することができ、スリット42の精度維持につながる。第0格子4を設置する際には取付け用の取付部材を第0格子4の周辺に取り付けるが、スリット42の周辺に枠部分を設けることにより、この取付けも容易となり、取付時においてもスリット42の精度を維持することができる。枠部分の幅は数mm程度に形成すればよい。この枠部分も含めて第0格子4全体の大きさは3.0(mm)四方から20(mm)四方が好ましい。
【0030】
第1格子5は、第0格子4と同様にx方向に複数のスリットが設けられた回折格子である。第1格子5は、第0格子4と同様にUVのフォトリソグラフィーによって形成することもできるし、いわゆるICP法によりシリコン基板に微細細線で深堀加工を行い、シリコンのみで格子構造を形成することとしてもよい。第1格子5の大きさは20(mm)四方から半切サイズである。スリットの周期は1〜20(μm)であり、スリットの幅はスリット周期の20〜70(%)とする。好ましくは、35〜60(%)である。また、第1格子5のスリットの高さは1〜100(μm)である。
【0031】
第1格子5として位相型を用いる場合、スリットの高さは、スリットの周期を形成する2種類の素材(X線透過部とX線遮蔽部)による位相差がπ/8〜15×π/8となる高さとする。好ましくは、π/4〜3×π/4となる高さである。一方、第1格子5として吸収型を用いる場合、スリットの高さは、X線遮蔽部によりX線が十分吸収される高さとする。
【0032】
第1格子5が位相型である場合、第1格子5と第2格子6間の距離dは、次の条件をほぼ満たすことが必要である。
=(m+1/2)・w/λ
なお、mは整数であり、λはX線の波長である。
【0033】
第2格子6は、第0格子4と同様にx方向に複数のスリットが設けられた回折格子である。第2格子6をフォトリソグラフィーにより形成することができる点は、第0格子4と同じである。第2格子6の大きさは20(mm)四方から半切サイズである。第2格子6のスリットの周期は1〜20(μm)である。スリットの幅は周期の30〜70(%)であり、好ましくは35〜60(%)である。スリットの高さは1〜100(μm)である。
【0034】
第2格子6は、第1格子5に対し相対的に所定角度だけ回転させて配置される。つまり第2格子6の面はz方向に対し垂直ではなく、傾いている。これにより、X線検出器3の検出面上にモアレが形成される。
第2格子6は、X線検出器3に当接するように配置することが好ましい。第2格子6とX線検出器3間の距離が大きくなるほど、X線検出器3により得られるモアレ画像がボケるからである。当接させる場合、第2格子6はX線検出器3と一体に構成してもよい。
【0035】
X線検出器3はX線を検出し、そのX線量に応じてデジタルデータの画像を生成する。X線検出器3としては、FPD(Flat Panel Detector)を用いることができる。FPDは、シンチレータプレートによって検出されたX線を、アモルファスシリコン又はCCD(Charge Coupled Device)により電気信号に変換する間接変換型、アモルファスセレンにより検出したX線を直接的に電気信号に変換する直接変換型の何れを用いてもよい。
【0036】
間接変換型は、アモルファスシリコンのプレート上に、X線検出器3の各画素を構成するフォトダイオードのプレートが形成される。各画素はフォトダイオードとTFTスイッチにより構成される。各列にコントロールラインが設けられ、その列のスイッチを全て動作させるため、連続的に電圧が加えられる。各行には読み出しラインがあり、特定の列が動作すれば、当該列の全ての画素から読み出しラインに信号が流れる。フォトダイオードのプレート上には、CsIやGd2O2S等のシンチレータプレートが配置される。X線検出器3に入射したX線はシンチレータプレートに吸収され、発光した光により、フォトダイオードの各画素に電荷が蓄積される。
【0037】
直接変換型は、アモルファスセレンの熱蒸着により、100〜1000(μm)の膜圧のセレン膜がガラス上に形成されている。薄膜トランジスタ(TFT)のアレイ上にアモルファスセレン膜と電極が蒸着される。アモルファスセレン膜がX線を吸収するとき、電子正孔対の形で物質内に電圧が遊離され、TFTスイッチを使用して電極間の電圧信号が読み取られる。
【0038】
X線検出器3の画素サイズは10〜200(μm)であり、さらに好ましくは50〜100(μm)である。
【0039】
上記X線管2の焦点からX線検出器3までの距離dは、3000(mm)以下であることが好ましい。X線干渉計撮影装置1を撮影室内に設置できるようにするためであり、一般的に撮影室の大きさは3(m)程度だからである。
【0040】
X線管2の焦点と第0格子4間の距離dは、5〜200(mm)である。好ましくは5〜50(mm)である。
X線管2の焦点と第1格子5間の距離は、300〜5000(mm)であり、好ましくは400〜1500(mm)である。
X線管2の焦点と第2格子6間の距離は、400〜5000(mm)であり、好ましくは500〜2000(mm)である。
X線管2の焦点とX線検出器3間の距離dは、400〜5000(mm)であり、好ましくは500〜2000(mm)である。
【0041】
本体部8は、図4に示すように、制御部81、操作部82、表示部83、通信部84、記憶部85を備えて構成されている。
制御部81は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部85に記憶されているプログラムとの協働により、各種処理を実行する。例えば、制御部81はX線管2によるX線の照射を制御し、ユーザによる操作部82の操作に応じて、X線干渉計撮影を開始させる。
【0042】
操作部82は撮影条件等の入力操作に用いるキー群や、表示部83のディスプレイと一体に構成されたタッチパネルを備え、これらの操作に応じた操作信号を生成して制御部81に出力する。
表示部83はディスプレイに各種操作画面等を表示する。
【0043】
通信部84は通信インターフェイスを備え、ネットワーク上の画像処理装置等の外部装置と通信する。例えば、通信部84は、X線検出器3により得られ、記憶部85に記憶されたモアレ画像を画像処理装置に送信する。
【0044】
記憶部85は、制御部81により実行されるプログラム、プログラムの実行に必要なファイルやデータを記憶している。また、記憶部85は、X線検出器3によって得られたモアレ画像を記憶する。
【0045】
上記のように構成されたX線干渉計撮影装置1によるX線干渉計撮影方法について説明する。
最初に、図5を参照して、タルボ干渉計の原理について説明する。
図5に示すように、X線管2から照射されたX線が、一定の周期でスリットが設けられた第1格子5を透過すると、透過したX線がz方向に一定の間隔で像を結ぶ。この像を自己像といい、自己像が形成される現象をタルボ効果という。自己像を結ぶ位置に第2格子6が配置され、当該第2格子6は第1格子5と平行な位置からわずかに回転されて傾けられているので、第2格子を透過したX線により干渉縞の像(以下、モアレ画像という)Mが得られる。X線管2と第1格子5間に被写体Hが存在する場合、被写体HによってX線の位相がずれるため、図5に示すようにモアレ画像Mでは被写体Hの辺縁を境界に干渉縞が乱れる。このようにしてX線検出器3により得られたモアレ画像Mを演算することによって干渉縞の乱れを検出し、被写体像を画像化することができる。
【0046】
上記タルボ干渉計は、X線源が理想的な点線源であることを前提としている。タルボ・ロー干渉計によるX線干渉計撮影方法は、図2に示すように、X線源であるX線管2と第1格子5との間にあってX線管2に近い位置に、複数のスリットを持つ第0格子4を配置し、第0格子4のスリットをX線が透過することで、あたかも点線源が複数連なってX線が照射されているかのように多光源化する方法である。これにより、X線源が理想的な点線源ではなく、焦点がある程度大きい場合にも、タルボ干渉計と同様のタルボ効果を得ることができる。
【0047】
X線検出器3によって得られたモアレ画像は、ネットワーク上の画像処理装置に送信され、画像処理装置において当該モアレ画像から被写体像が再構成される。画像処理装置は、モアレ画像から位相情報を求め、縞走査法により微分位相像を算出する。具体的には、X線干渉計撮影時、第1格子5、第2格子6が、それぞれの格子の1周期より短い間隔で等間隔毎に複数ステップ移動され、ステップ毎に撮影が行われてモアレ画像が得られる。画像処理装置は、各モアレ画像において各画素のステップ毎の強度変化を求め、当該強度変化より微分位相を算出する。ステップ数は2〜20、さらに好ましくは3〜10である(参照文献(1)K.Hibino, B.F.Oreb and D.I.Farrant, Phase shifting for nonsinusoidal wave forms with phase-shift errors, J.Opt.Soc.Am.A, Vol.12, 761-768(1995)、参照文献(2)A.Momose, W.Yashiro, Y. Takeda, Y.Suzuki and T.Hattori, Phase Tomography by X-ray Talbot Interferometetry for biological imaging, Jpn. J. Appl. Phys., Vol.45, 5254-5262(2006))。
【0048】
上記のように複数枚のモアレ画像を用いずとも、1枚のモアレ画像からフーリエ変換によって微分位相像を求めることもできる。モアレ画像の足し合わせ方法を変えることにより、一般のX線撮影で得られる吸収コントラスト画像と等価な画像を得ることができる。また、小角散乱コントラスト画像を得ることができる。
【0049】
算出された微分位相像又は微分位相像を積分して得られる位相像は、被写体像の再構成画像として用いられる。再構成画像はディスプレイに表示し、医療用のイメージャやプリンタによってプリントすることが可能である。
【0050】
本実施形態において、第0格子4は、一辺の大きさA(mm)が下記式1を満たすように構成される。一辺の大きさAとは、図3に示すようにx方向又はy方向においてスリット42の周期構造が存在する部分の長さをいう。スリット42の周期構造はx方向、y方向の何れも同じ大きさに構成されることもあるし、異なる大きさに構成されることもある。どちらの場合も、x方向の一辺の大きさA、y方向の一辺の大きさAは、それぞれ式1を満たすように構成される。
(式1)A≧A・α−1+(1−α−1)・F+(1−α−1)・k
ただし、上記式1において、AはX線検出器3の一辺の大きさ(mm)である。αは拡大率を示し、X線管2の焦点と第0格子4間の距離をd(mm)、X線管2の焦点とX線検出器3間の距離をd(m)としたとき、α=d/dである。Fは規格に従って求められたX線管2の焦点サイズ(mm)である。kはX線管2の焦点移動量(mm)である。
【0051】
点線源ではなく、焦点サイズFを持つX線管2を用いるので、照射されるX線のX線強度分布は中心からすそ野が広がるような形状を有する。このようなX線強度分布をさらに考慮する場合、一辺の大きさAは下記式2を満たす必要がある。
(式2)A≧A・α−1+(1−α−1)・β・F+(1−α−1)・k
ただし、上記式2において、βは焦点サイズFを基準として焦点のすそ野の大きさに応じて設定する係数であり、1≦β≦5である。
【0052】
上記式1及び式2において、第1項A・α−1はタルボ・ロー干渉計によるX線干渉計撮影が拡大撮影であることを考慮して設けられている。図6に示すように、X線源が点線源である場合を想定すると、第0格子4の一辺Aは少なくともr1に該当する大きさが必要である。r1はX線検出器3の大きさA、距離d、dから、r1=A・α−1と求められる。
【0053】
上記式1の第2項(1−α−1)・Fは、X線管2が点線源ではなく、焦点サイズFを持つことを考慮して設けられている。焦点が焦点サイズFを持つ場合、図6に示すように、焦点が点であると考える点線源の場合に対しr2の大きさだけ、第0格子4の一辺の大きさAを大きくする必要がある。r2は、焦点サイズFと距離d、dからr2=(1−α−1)・Fと求められる。
【0054】
上記式2の第2項(1−α−1)・β・Fは、X線管2のすそ野を含めた焦点の大きさがさらに考慮されている。
図7は、X線管2から照射されるX線のLSF(Line Spread Function)を示している。図7において横軸の位置はx方向又はy方向の位置を示す。図7に示すように、X線管2から発生するX線は、中心からすそ野が広がったガウス分布状のX線強度分布を示す。そのため、X線管2の焦点の大きさはどの相対X線強度のときの大きさを採用するかによって変わってくる。前述のIEC60336の規格によって測定される焦点サイズFは、相対X線強度が15%となるときの大きさをX線管2の焦点サイズFとして採用したものである。このように規格に従って求められた焦点サイズFは、用いるX線管2を選択する際の基準として用いられる。
【0055】
相対X線強度が15%のときの焦点サイズF(mm)を基準に、係数β(1≦β≦5)によって各相対X線強度のときの焦点の大きさをβ・Fで表す。βが大きいほど、焦点の大きさβ・Fには、X線強度分布のすそ野部分がより多く考慮される。例えば、図7に示すように、β=1.5のとき、β・Fで表される焦点の大きさは、β=1のときよりすそ野側の大きさが採用される。すなわち、係数βはモアレ画像を形成するX線として、X線強度分布において広がったすそ野部分をどの程度考慮すべきかを表す指標であるといえる。
【0056】
図8は、X線検出器3に入射するX線のX線強度分布を示す図である。図8において、横軸の位置はx方向又はy方向の位置を表し、距離Aに該当する位置はX線検出器3が配置されている位置を示す。βが大きいほど、β・Fで表される焦点の大きさは大きくなるので、図8に示すように、相対線強度が99%以上となる領域Vは、β=1の場合よりβ=1.5の場合の方が大きい。β=1の場合、β=1.5よりもX線検出器3の検出面の端部においてX線強度が低下しやすいといえる。
【0057】
X線検出器3の検出面においてX線強度が低下すると、図9に示すように微分位相像においてX線強度の低下部分のアーチファクトが顕著になり、最終的に得られる再構成画像の画質が大きく低下する。
このように、すそ野が広がるX線強度分布において、どの相対X線強度のときの大きさを焦点の大きさとしてとらえるかによって、十分なX線強度が得られない部分が生じる場合があることから、広がったすそ野部分を考慮して第0格子4の一辺の大きさAを決定する必要がある。式2の第2項(1−α−1)・β・Fは、式1の第2項(1−α−1)・Fに対し、X線検出器3において十分なX線強度のX線が検出されるように、規格に従って求められた焦点の大きさFに代えて、X線強度分布のすそ野部分も考慮された焦点の大きさβ・Fが用いられている。
【0058】
なお、焦点のX線強度分布は、図7に示すようにすそ野部分がゆるやかに収束していくガウス分布状ではなく、図10に示すような形状を有する場合がある。ガウス分布状の場合、β=1.5程度の設定でよいが、図10に示す形状の場合、すそ野が占める割合が大きくなるため、βも1〜5程度と、大きく設定する必要がある。一般的に用いられるX線管であれば、1≦β≦5の設定により焦点の大きさβ・Fを表すことができる。
【0059】
上記式1及び式2の第3項(1−α−1)・kは、X線管2の焦点移動を考慮して設けられている。
X線管2において焦点移動が生じた場合、X線強度の低下により画質の低下が起こる場合がある。例えば、焦点移動が生じると、図11に示すようにX線強度分布の位置が焦点の移動に伴ってシフトする。その結果、X線検出器3の検出面端部にX線強度が低い領域が多く含まれ、検出面の端部がX線強度不足となる。X線強度不足によって画質が低下することは、図9を参照して前述した通りである。
【0060】
焦点移動が生じても十分なX線強度のX線がX線検出器3において検出されるように、図6に示すように、焦点移動する範囲r3に該当する分だけ第0格子4の一辺の大きさAを大きくする必要がある。r3は、焦点移動量kと拡大率αとからr3=(1−α−1)・kと求められる。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、X線干渉計撮影装置1は、焦点サイズFが0.03〜3(mm)のX線を照射するX線管2と、X線検出器3と、X線管2とX線検出器3間においてX線管2に近接して配置される第0格子4と、X線管2とX線検出器3間においてX線検出器3に近接して配置される第2格子6と、第0格子4と第2格子6間に配置される第1格子5と、を備え、第0格子4の一辺の大きさA(mm)が上記式1を満たす。
【0062】
これにより、焦点サイズFを持つ実用的なX線管2を用いた場合でも、X線検出器3において十分なX線強度が得られるように、第0格子4を設計することができる。また、実用的なX線管2は焦点移動を生じることがあるが、焦点移動が生じてもX線検出器3において十分なX線強度が得られるように、第0格子4を設計することができる。
このように、本実施形態によれば、実用的な構成により、X線吸収が小さい軟体組織等も高感度に撮影することが可能となる。MRI(Magnetic Resonance Imaging)等の高度な撮影装置を用いずとも高画質な画像を得ることができる。
【0063】
また、第0格子4の一辺の大きさA(mm)は下記式2を満たす。
(式2)A≧A・α−1+(1−α−1)・β・F+(1−α−1)・k
これにより、中心からすそ野が広がるX線強度分布であることを考慮して、X線検出器3により十分なX線強度のX線を検出できるように、第0格子4の大きさAを設計することができる。
【0064】
また、X線管2の焦点とX線検出器3間の距離d(mm)は、d≦3000であるので、3(m)程度の医療施設の撮影室内にX線干渉計撮影装置1を設置することができる。
【実施例】
【0065】
(1)実施例1
下記実験条件によりX線干渉計撮影装置を構成した。
X線管:焦点サイズF=0.4(mm)のタングステンターゲット、付加フィルターは2.5(mm)のアルミニウムを用い、管電圧40(kVp)とした。
第0格子:周期w=30(μm)、スリット幅w01=10(μm)、高さh=100(μm)のスリットを構成した。スリット部分はフォトレジストで構成し、X線遮光部は金で構成した。
第1格子:周期w=4.5(μm)、スリット幅2.25(μm)、高さ3(μm)のスリットを構成した。スリット部分はフォトレジストで構成し、X線遮光部は金で構成した。
第2格子:周期w=5.3(μm)、スリット幅2.65(μm)、高さ30(μm)のスリットを構成した。スリット部分はフォトレジストで構成し、X線遮光部は金で構成した。
X線検出器:Gd2O2Sのシンチレータプレートを持つ間接変換型を用いた。画素サイズ15(μm)、一辺の大きさA=60(mm)、検出面積は60(mm)四方である。
【0066】
X線管、第0格子〜第2格子、X線検出器は次の距離を設けて配置した。
X線管の焦点位置と第0格子間の距離d=50(mm)、第0格子と第1格子間の距離d=1689(mm)、第1格子と第2格子間の距離d=298(mm)、第2格子とX線検出器間の距離は5(mm)である。この構成の下では、d=2042(mm)であり、α=40.84である。
X線管の焦点移動量k=0.2(mm)(焦点移動発生前の位置を基準に±0.1(mm)の焦点移動)、β=1.5とし、これら条件の下、0番格子の一辺の大きさAが式2を満たすように、x方向、y方向ともにA=2.25(mm)に決定した。
【0067】
下記表1に実施例1の主な条件を示す。
【表1】

【0068】
上記構成のX線干渉計撮影装置によって図12(a)に示す鳥の手羽を撮影した。図12(b)は撮影によって最終的に得られた再構成画像である。図12(b)に示すように、軟骨等の軟体組織まで画像化できており、高感度な撮影が行われたことがわかる。
【0069】
(2)実施例2
上記実施例1に係るX線干渉計撮影装置において、X線管の焦点サイズFを変更した他は実施例1と同様の条件により、実施例2に係るX線干渉計撮影装置を構成した。実施例2における主な条件を上記表1に示す。これらの条件から式2を満たすように第0格子の一辺の大きさAを、A=2.22(mm)に決定した。
【0070】
図13は、実施例2に係るX線干渉計撮影装置において、X線検出器に入射するX線のX線強度分布を示している。
図13に示すように、x方向における焦点移動が±0.1(mm)ある場合でも、X線検出器の検出面上ではX線強度の低下は無い。焦点移動が生じてもX線強度が99%以上となる有効領域Vの大きさは、X線検出器の一辺の大きさAを超える65.5(mm)であった。
【0071】
(3)実施例3
上記実施例1に係るX線干渉計撮影装置において、X線管の焦点サイズF、係数βを変更した他は実施例1と同様の条件により、実施例2に係るX線干渉計撮影装置を構成した。実施例2における主な条件を上記表1に示す。これらの条件から式1を満たすように第0格子の一辺の大きさAを、A=2.03(mm)に決定した。
【0072】
図14は、実施例3に係るX線干渉計撮影装置において、X線検出器に入射するX線のX線強度分布を示している。
図14に示すように、x方向における焦点移動によって、X線検出器の検出面端部において若干X線強度の低下が見られるが、X線強度の低下が生じる程度と領域は小さく、診断上画質に問題は無い。焦点移動が生じてもX線強度が99%以上となる有効領域Vの大きさは55.6(mm)であった。
【0073】
(4)比較例1
比較例1ではX線管の焦点移動を考慮せずに第0格子の一辺の大きさAを決定した。比較例1における主な条件を上記表1に示す。異なる条件があること以外は、実施例1と同様に比較例1に係るX線干渉計撮影装置を構成した。また、これらの条件から下記式3により第0格子の一辺の大きさAを、A=1.84(mm)に決定した。このAの値は式1を満たさない。
(式3) A≧A・α−1+(1−α−1)・β・F
【0074】
図15は、比較例1に係るX線干渉計撮影装置において、X線検出器に入射するX線のX線強度分布を示している。
図15に示すように、焦点移動によって、X線検出器の検出面端部にかなりのX線強度の低下が見られる。焦点移動が生じてもX線強度が99%以上となる有効領域Vの大きさは48.4(mm)であった。A=60(mm)であるので、±0.1(mm)の焦点移動が生じると、画像端部から約5.8(mm)分の領域について画質が低下する。
【0075】
(5)比較例2
比較例2ではX線管の焦点移動及び焦点の大きさを考慮せずに第0格子のサイズAを決定した。比較例2における条件を上記表1に示す。条件が異なる以外は、実施例1と同様に比較例2に係るX線干渉計撮影装置を構成した。また、これらの条件から下記式4により第0格子の一辺の大きさAを、A=1.47(mm)に決定した。このAの値は式1を満たさない。
(式4) A≧A・α−1
【0076】
図16は、比較例2に係るX線干渉計撮影装置において、X線検出器に入射するX線のX線強度分布を示している。
図16に示すように、焦点移動によって、X線検出器の検出面端部にかなりのX線強度の低下が見られる。X線強度が99%以上の有効領域Vの大きさは33.7(mm)であった。A=60(mm)であるので、±0.1(mm)の焦点移動が生じると、画像端部から約13.1(mm)分の領域について画質が低下する。
【符号の説明】
【0077】
1 X線干渉計撮影装置
2 X線管
3 X線検出器
4 第0格子
42 スリット
43 X線遮蔽部
5 第1格子
6 第2格子
7 被写体台
8 本体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点サイズが0.03〜3(mm)のX線を照射するX線管と、
X線検出器と、
前記X線管と前記X線検出器間において前記X線管に近接して配置される第0格子と、
前記X線管と前記X線検出器間において前記X線検出器に近接して配置される第2格子と、
前記第0格子と前記第2格子間に配置される第1格子と、を備え、
前記第0格子の一辺の大きさA(mm)が下記式1を満たすX線干渉計撮影装置。
(式1)A≧A・α−1+(1−α−1)・F+(1−α−1)・k
ただし、上記式1において、AはX線検出器の一辺の大きさ(mm)である。αは拡大率を示し、X線管の焦点と第0格子間の距離をd(mm)、X線管の焦点とX線検出器間の距離をd(mm)としたとき、α=d/dである。Fは規格に従って求められたX線管の焦点サイズ(mm)である。kはX線管の焦点移動量(mm)である。
【請求項2】
前記第0格子の一辺の大きさA(mm)が下記式2を満たす請求項1に記載のX線干渉計撮影装置。
(式2)A≧A・α−1+(1−α−1)・β・F+(1−α−1)・k
ただし、上記式2において、βは焦点サイズFを基準として焦点のすそ野の大きさに応じて設定する係数であり、1≦β≦5である。
【請求項3】
前記X線管の焦点と前記X線検出器間の距離d(mm)は、d≦3000である請求項1又は2に記載のX線干渉計撮影装置。
【請求項4】
焦点サイズが0.03〜3(mm)のX線を照射するX線管と、X線検出器と、前記X線管と前記X線検出器間において前記X線管に近接して配置される第0格子と、前記X線管と前記X線検出器間において前記X線検出器に近接して配置される第2格子と、前記第0格子と前記第2格子間に配置される第1格子と、を備えるX線干渉計撮影装置によるX線干渉計撮影方法であって、
前記第0格子の一辺の大きさA(mm)が下記式1を満たすX線干渉計撮影方法。
(式1)A≧A・α−1+(1−α−1)・F+(1−α−1)・k
ただし、上記式1において、AはX線検出器の一辺の大きさ(mm)である。αは拡大率を示し、X線管の焦点と第0格子間の距離をd(mm)、X線管の焦点とX線検出器間の距離をd(mm)としたとき、α=d/dである。Fは規格に従って求められたX線管の焦点サイズ(mm)である。kはX線管の焦点移動量(mm)である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−253157(P2010−253157A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108998(P2009−108998)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】