説明

X線撮像用ラインイメージセンサ及びX線撮像装置

【課題】 空間分解能の向上が図れるX線撮像用ラインイメージセンサを提供する。
【解決手段】 X線検出用ガスが封入された容器5と、容器5内に配置されたプリント基板3と、プリント基板3の一方の主面に並行に配置された複数のストリップ状の第1の信号電極1aと、プリント基板3の他方の主面に並行に配置された複数のストリップ状の第2の信号電極1bと、容器5内に複数の第1の信号電極1aと対向配置され、所定電圧が第1の信号電極1aとの間に印加される第1の高電圧電極板2aと、容器5内に複数の第2の信号電極1bと対向配置され、所定電圧が第2の信号電極1bとの間に印加される第2の高電圧電極板2bとを備え、プリント基板3の主面に垂直な方向から見て隣合う第2の信号電極2bの間に第1の信号電極1aが位置するように、複数の第1の信号電極1a及び複数の第2の信号電極1bが配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間や物体等のX線(エックス線)透過像等を得るために用いられるX線撮像用ラインイメージセンサ及びそれを用いたX線撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品などの商品の生産ラインにおいて商品への異物混入等の検出に、搬送コンベアによって連続搬送されてくる被検査物に対してX線を照射し、そのX線の透過状態をX線検出器で検出して、被検査物中に異物が混入していないか等を検査するX線検査装置が用いられている。
【0003】
また、空港等において、爆発物、刃物、銃器などの危険物や麻薬などの持ち込みを防ぐために、乗客の全身をX線写真撮影するX線撮像装置がある。また、医療診断用のために人体をX線写真撮影するX線撮像装置がある。
【0004】
以上のようなX線検査装置やX線撮像装置には、X線の検出器として、例えば特許文献1に開示されたようなX線撮像用ラインイメージセンサを用いることができる。
【0005】
図3(a)は、従来のX線撮像用ラインイメージセンサの断面図であり、図3(b)は、図3(a)におけるB−B線断面図である。
【0006】
このX線撮像用ラインイメージセンサは、軸方向に長い検出領域を有する円柱状の検出器であって、キセノンガスなどの希ガスが封入された外形が円柱状の金属製容器5内に、プリント基板3上にストリップ状に多数形成された信号電極1と、これらの信号電極1と対向して配置された高電圧電極板2と、それぞれの信号電極1と信号線7によって接続され信号電極1に蓄積された電荷を順次読み出すマルチプレクサ回路4等が設けられている。プリント基板3、高電圧電極板2及びマルチプレクサ回路4は、基礎架台9に固定されるように取り付けられている。
【0007】
この場合、高電圧電極板2に、マイナス数kVの負の電位が電線8を介して与えられる。金属製容器5はその外壁に溝6が形成され、この溝6部分を通過したX線は、信号電極1と高電圧電極板2との間に侵入し、キセノン原子に衝突して電子とイオンに解離させる。解離した電子は近くの信号電極1に集められて蓄積される。
【0008】
多数の信号電極1に集められた電荷は、マルチプレクサ回路4によってX線透過信号として順次読み出されて、外部の画像処理装置に伝送される。外部の画像処理装置では、順次入力されるX線透過信号から1次元X線透過像を生成し、さらに2次元に展開することにより2次元X線透過像を得ることができる。
【特許文献1】特開2005−257598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の構成では、図3(b)に示されるように、プリント基板3上に多数の信号電極1が等ピッチで配置されており、この信号電極1のピッチが空間分解能となる。この空間分解能の向上を図るために、信号電極1の幅を狭くして狭ピッチにするとX線検出感度が低下するという弊害が生じる。
【0010】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、上記のような弊害を生じることなく、空間分解能の向上を図ることができるX線撮像用ラインイメージセンサ及びX線撮像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のX線撮像用ラインイメージセンサは、X線検出用ガスが封入された容器と、前記容器内に配置された絶縁板と、前記絶縁板の一方の主面に並行に配置された複数のストリップ状の第1の信号電極と、前記絶縁板の他方の主面に、前記第1の信号電極の延在方向に延在しかつ前記第1の信号電極の並び方向と同じ方向に並んで配置された複数のストリップ状の第2の信号電極と、前記容器内に前記複数の第1の信号電極と間隙を有して対向配置され、各々の前記第1の信号電極との間隙に存在する前記X線検出用ガスが電離することにより発生する電荷を前記第1の信号電極に集めるための所定電圧が前記第1の信号電極との間に印加される板状の第1の対向電極と、前記容器内に前記複数の第2の信号電極と間隙を有して対向配置され、各々の前記第2の信号電極との間隙に存在する前記X線検出用ガスが電離することにより発生する電荷を前記第2の信号電極に集めるための所定電圧が前記第2の信号電極との間に印加される板状の第2の対向電極とを備え、前記絶縁板の主面に垂直な方向から見て隣合う前記第2の信号電極の間に前記第1の信号電極が位置するように、前記複数の第1の信号電極及び前記複数の第2の信号電極が配置されている。
【0012】
この構成によれば、それぞれの第1の信号電極と第1の対向電極との間隙が1つの画素に対応する1つのX線検出領域(第1のX線検出領域)になるとともに、それぞれの第2の信号電極と第2の対向電極との間隙が1つの画素に対応する1つのX線検出領域(第2のX線検出領域)になり、第1及び第2の信号電極の並び方向に第1のX線検出領域と第2のX線検出領域とが交互に並んで配置されるとともに、第1のX線検出領域が絶縁板の一方の主面側に配置され、第2のX線検出領域が絶縁板の他方の主面側に配置されるため、信号電極の幅を狭くすることによるX線検出感度の低下という弊害を生じることなく、空間分解能の向上を図ることができる。
【0013】
また、前記複数の第1の信号電極の数と前記複数の第2の信号電極の数が同じであり、前記絶縁板の主面に垂直な方向から見て隣合う前記第1の信号電極の間に前記第2の信号電極が位置するように、前記複数の第1の信号電極及び前記複数の第2の信号電極が前記第1の信号電極の並び方向に互いにずれて配置されていてもよい。
【0014】
また、前記第1の対向電極と各々の前記第1の信号電極との間隙に存在する前記X線検出用ガスが外部から侵入するX線によって電離され、この電離によって発生し前記第1の信号電極へ集められる電荷と、前記第2の対向電極と各々の前記第2の信号電極との間隙に存在する前記X線検出用ガスが外部から侵入するX線によって電離され、この電離によって発生し前記第2の信号電極へ集められる電荷とを、順次、読み出し信号として読み出して外部へ出力する信号読み出し回路が、前記容器内に設けられていてもよい。
【0015】
このように、容器内に信号読み出し回路を設けているため、例えば外部の画像処理装置と信号読み出し回路とを接続することにより、全ての信号電極に関する読み出し信号を順次、画像処理装置へ入力することができ、外部装置(この場合は画像処理装置)と接続する配線の簡素化が図れる。
【0016】
また、本発明のX線撮像装置は、上記の信号読み出し回路が設けられたX線撮像用ラインイメージセンサと、前記X線撮像用ラインイメージセンサに対してX線を照射するX線照射器と、前記X線照射器からX線が照射されており、被写体が前記X線撮像用ラインイメージセンサと前記X線照射器との間を前記X線撮像用ラインイメージセンサの絶縁板の主面に垂直な方向へ移動するように、前記被写体と前記X線撮像用ラインイメージセンサ及び前記X線照射器との相対的な位置を変化させているときに、前記X線撮像用ラインイメージセンサの信号読み出し回路から出力される読み出し信号に基づいて前記被写体の2次元X線透過像を生成する画像処理装置とが備えられている。
【0017】
この構成によれば、生成される2次元X線透過像の空間分解能の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上に説明した構成を有し、空間分解能の向上を図ることができるX線撮像用ラインイメージセンサ及びX線撮像装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1(a)は、本発明の実施の形態のX線撮像用ラインイメージセンサ(以下、「X線ラインセンサ」という)の断面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−A線断面図である。
【0021】
このX線ラインセンサは、軸方向に長い検出領域を有する円柱状の検出器であって、キセノンガスなどの希ガス(X線検出用ガス)が数百kPa〜数MPaにて封入された外形が円柱状の金属製容器5内に、絶縁板であるプリント基板3の両面にストリップ状に多数形成された信号電極1a、1bと、高電圧電極板(板状の対向電極)2a、2bと、それぞれの信号電極1a、1bに蓄積された電荷を順次読み出すマルチプレクサ回路4等が設けられている。
【0022】
プリント基板3は支持部を介して基礎架台9に取り付けられ、プリント基板3の一主面(図中、上側の表面)には、ストリップ状の電極片からなる複数の信号電極1aが並行に形成され、他主面(図中、下側の表面)には、ストリップ状の電極片からなる複数の信号電極1bが並行に形成されている。信号電極1aと信号電極1bとは、プリント基板3の上下に信号電極1a、1bの並び方向へ交互に並んで配置されている。すなわち、多数の信号電極1a、1bは共に金属製容器5の軸方向に並ぶように形成され、かつ軸方向に垂直な方向に延びるように形成されている。これらの信号電極1a及び信号電極1bはそれぞれ同じピッチP1で配置されるとともに、信号電極1aと信号電極1bとはP1/2ずれて配置されている。信号電極1a及び信号電極1bはそれぞれ、例えば、0.2mm幅、80mm長の電極片からなり、ピッチP1=0.4mmで、1024個並行に配置されている。この場合の空間分解能は0.2mmである。このような信号電極1a、1bは、プリント基板製造技術を適用することによって比較的容易に製作することができる。
【0023】
高電圧電極板2aは、プリント基板3の一主面側に、複数の信号電極1aと所定の距離を隔てて対向して配置された金属板からなり、支持部を介して基礎架台9に取り付けられている。また、高電圧電極板2bは、プリント基板3の他主面側に、複数の信号電極1bと所定の距離を隔てて対向して配置された金属板からなり、支持部を介して基礎架台9に取り付けられている。高電圧電極板2aと信号電極1aとの距離と、高電圧電極板2bと信号電極1bとの距離とは等しい。高電圧電極板2aは、天井から垂下した電線8に接続されていて、信号電極1aとの間に高電圧を印加するために、マイナス数kVの負の電位が電線8を介して与えられる。また、図示されていないが、高電圧電極板2bも同様に電線8に接続されており、信号電極1bとの間に高電圧を印加するために、マイナス数kVの負の電位が与えられる。
【0024】
また、マルチプレクサ回路4は、集積回路で構成されて基礎架台9上に搭載され、信号電極1a、1bの蓄積電荷を読み出すために、各信号電極1a、1bと信号線7によって接続されている。
【0025】
金属製容器5は、例えばアルミニウム等で作製され、その外壁にその軸方向に延びるように溝6a、6bを形成することにより薄肉化されたX線入射部5a、5bが設けられている。X線入射部5a、5bは、プリント基板3の主面に垂直な方向において、信号電極1aと高電圧電極板2aとの間の空間、及び信号電極1bと高電圧電極板2bとの間の空間にそれぞれ対応する位置に形成されている。
【0026】
外部から金属製容器5のX線入射部5aを通過したX線は、信号電極1aと高電圧電極板2aとの間に侵入してキセノン原子に衝突して電子とイオンに解離させる。同様にX線入射部5bを通過したX線は、信号電極1bと高電圧電極板2bとの間に侵入してキセノン原子に衝突して電子とイオンに解離させる。解離した電子は、信号電極1aと高電圧電極板2aとの間及び信号電極1bと高電圧電極板2bとの間に印加されている高電圧の作用により近くの信号電極1a、1bに集められて蓄積される。例えば、各1024個(合計2048個)の信号電極1a、1bの蓄積電荷は、マルチプレクサ回路4によってX線透過信号(読み出し信号)として順次読み出されて、外部の画像処理装置へ出力される。
【0027】
ここで、それぞれの信号電極1aと高電圧電極板2aとの間隙が1つの画素に対応する1つのX線検出領域になるとともに、それぞれの信号電極1bと高電圧電極板2bとの間隙が1つの画素に対応する1つのX線検出領域になる。したがって、それぞれの信号電極1a、1bから読み出されるX線透過信号が1つの画素の信号になり、それぞれの信号電極1a、1bが各画素に対応して設けられている。それぞれの信号電極1a、1bと高電圧電極板2a、2bとの間に侵入するX線の侵入深さがそれぞれの画素の階調に対応する。
【0028】
マルチプレクサ回路4は、例えば、図1(b)のように配置された信号電極1a、1bのうち、左端の信号電極から、右方向に配置された信号電極の順に右端の信号電極までのX線透過信号を読み出し出力するように構成されている。この場合、上側の信号電極1aのX線透過信号と下側の信号電極1bのX線透過信号とが交互に読み出され、外部の画像処理装置において、全ての信号電極1a、1bから1回ずつ読み出されたX線透過信号に基づいて1次元透過像のデータが生成される。この場合、上側の信号電極1aに対応する画素と下側の信号電極1bに対応する画素とは、距離yの分、上下にずれて配置されているため、1次元透過像においては画素がジグザグ状に並んだ状態である。しかしながら、後述の図2でも示されるように、本実施の形態のX線ラインセンサ22を例えば上から下へ移動(走行)させ、その移動中に全ての信号電極1a、1bから繰り返し読み出されるX線透過信号に基づいて2次元透過像を生成するように構成されるため、2次元透過像においては上側の信号電極1aに対応する画素の間に下側の信号電極1bに対応する画素が形成され、水平方向の画素のピッチは、P1/2になる。
【0029】
なお、水平方向の画素のピッチ(P1/2)に対して、信号電極1aと高電圧電極板2aとの間の中心位置(レベルh1)と、信号電極1bと高電圧電極板2bとの間の中心位置(レベルh2)との上下方向の距離yが非常に短く、上側の信号電極1aに対応する画素と下側の信号電極1bに対応する画素との上下の位置ずれが無視できる場合には、画像処理装置において、1次元透過像における画素の配置が直線状に並んでいるものとみなして2次元透過像を生成するようにしてもよい。
【0030】
例えば、信号電極1a、1bの各々の幅及びピッチP1が、図3に示された信号電極1の幅及びピッチと同じであるとすれば、図3の場合の空間分解能がP1であるのに対し、本実施の形態の場合の空間分解能はP1/2となる。
【0031】
このように本実施の形態では、上側のそれぞれの信号電極1aと高電圧電極板2aとの間隙が1つの画素に対応する1つのX線検出領域(第1のX線検出領域)になるとともに、下側のそれぞれの信号電極1bと高電圧電極板2bとの間隙が1つの画素に対応する1つのX線検出領域(第2のX線検出領域)になり、信号電極1a、1bの並び方向に第1のX線検出領域と第2のX線検出領域とが交互に並んで配置されるとともに、第1のX線検出領域がプリント基板3の一主面側に配置され、第2のX線検出領域がプリント基板3の他主面側に配置されるため、信号電極の幅を狭くすることによるX線検出感度の低下という弊害を生じることなく、空間分解能の向上を図ることができる。
【0032】
なお、図1(b)の例では、上側の信号電極1aと下側の信号電極1bとが、信号電極1a、1bの並び方向に対して間隔をあけずに交互に配置されているが、交互に配置されていれば、間隔をあけてあってもよいし、互いに一部が重なっていてもよい。
【0033】
また、高電圧電極板2a、2bは、それぞれの信号電極1a、1bと対向して電圧を印加できれば、網目状に形成された電極からなるものであってもよいし、あるいは櫛状に形成された電極であってもよい。
【0034】
また、上側の信号電極1aと下側の信号電極1bとを配設するための絶縁板として、穴等が空いていない完全な板であるプリント基板3を用いたが、この絶縁板は、完全な板ではなくても、両面に信号電極1a、1bを保持し、かつ上側の信号電極1aと下側の信号電極1bとの電気的な絶縁を維持できるもの、例えば、スポンジのように無数の穴があいていても、スポンジのようには変形しない板状の絶縁性隔壁部材であってもよい。
【0035】
図2は、図1に示されたX線ラインセンサを用いた一例のX線撮像装置の概略構成を示す斜視図である。
【0036】
このX線撮像装置は、X線照射器21と、図1に示されたX線ラインセンサ22と、画像処理装置としても機能するコンピュータ23と、ディスプレイ24と、キーボード25とを備えている。さらに、X線照射器21とX線ラインセンサ22とを同期させて例えば上下(図中の矢印方向:正確にはプリント基板3の主面に垂直な方向)に走行させる機構部(図示せず)が備えられ、例えば、X線照射器21とX線ラインセンサ22との間に人間(被写体)を立たせて、X線照射器21とX線ラインセンサ22とを同期して上下に走行させて全身のX線像を撮影し、ディスプレイ24に表示させることができる。このX線撮像装置は、キーボード25から動作の開始及び停止等を操作でき、コンピュータ23によって全体の動作が制御される。
【0037】
X線照射器21には、X線の上下方向の広がりを制限するスリット等が備えられて、図2中の破線で示されるようにX線が扇状に照射される。このX線は人体などを通過してX線ラインセンサ22にて検出される。X線照射器21とX線ラインセンサ22とを同期させて例えば上から下へ走行させ、その走行中に、X線ラインセンサ22の全ての信号電極1a、1b(図1)から繰り返し読み出されるX線透過信号がマルチプレクサ回路4(図1)からコンピュータ23へ出力される。コンピュータ23では、マルチプレクサ回路4から順次出力される各X線透過信号と、それらの各X線透過信号が信号電極1a、1bから読み出されるときのX線ラインセンサ22の走行位置の情報とを対応させて内部メモリに記憶する。
【0038】
さらに、コンピュータ23では、内部メモリに記憶されるマルチプレクサ回路4から出力されたX線透過信号とX線ラインセンサ22の走行位置の情報とを基に2次元X線透過像を生成し、そのデータを内部メモリに記憶する(画像処理装置としての機能)。キーボード25を操作することにより、内部メモリに記憶された2次元X線透過像をディスプレイ24に表示させることができる。
【0039】
なお、図2は、図1に示されたX線ラインセンサを用いたX線撮像装置の一例であり、本実施の形態のX線ラインセンサを用いたX線撮像装置は図2の構成に限られるものではない。例えば、X線照射器21とX線ラインセンサ22とを走行させる代わりに、固定されたX線照射器21とX線ラインセンサ22との間を横切るように被写体を移送させるように構成されていてもよい。また、被写体は、人間に限られるものではなく、他の生物や物体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、空間分解能の向上を図ることができるX線撮像用ラインイメージセンサ及びX線撮像装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態のX線撮像用ラインイメージセンサの断面図であり、(b)は、図1(a)におけるA−A線断面図である。
【図2】図1に示されたX線撮像用ラインイメージセンサを用いた一例のX線撮像装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】(a)は、従来のX線撮像用ラインイメージセンサの断面図であり、(b)は、図3(a)におけるB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1a、1b 信号電極
2a、2b 高電圧電極板
3 プリント基板
4 マルチプレクサ回路
5 容器
5a、5b X線入射部
6a、6b 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線検出用ガスが封入された容器と、
前記容器内に配置された絶縁板と、
前記絶縁板の一方の主面に並行に配置された複数のストリップ状の第1の信号電極と、
前記絶縁板の他方の主面に、前記第1の信号電極の延在方向に延在しかつ前記第1の信号電極の並び方向と同じ方向に並んで配置された複数のストリップ状の第2の信号電極と、
前記容器内に前記複数の第1の信号電極と間隙を有して対向配置され、各々の前記第1の信号電極との間隙に存在する前記X線検出用ガスが電離することにより発生する電荷を前記第1の信号電極に集めるための所定電圧が前記第1の信号電極との間に印加される板状の第1の対向電極と、
前記容器内に前記複数の第2の信号電極と間隙を有して対向配置され、各々の前記第2の信号電極との間隙に存在する前記X線検出用ガスが電離することにより発生する電荷を前記第2の信号電極に集めるための所定電圧が前記第2の信号電極との間に印加される板状の第2の対向電極とを備え、
前記絶縁板の主面に垂直な方向から見て隣合う前記第2の信号電極の間に前記第1の信号電極が位置するように、前記複数の第1の信号電極及び前記複数の第2の信号電極が配置されているX線撮像用ラインイメージセンサ。
【請求項2】
前記複数の第1の信号電極の数と前記複数の第2の信号電極の数が同じであり、
前記絶縁板の主面に垂直な方向から見て隣合う前記第1の信号電極の間に前記第2の信号電極が位置するように、前記複数の第1の信号電極及び前記複数の第2の信号電極が前記第1の信号電極の並び方向に互いにずれて配置されている請求項1に記載のX線撮像用ラインイメージセンサ。
【請求項3】
前記第1の対向電極と各々の前記第1の信号電極との間隙に存在する前記X線検出用ガスが外部から侵入するX線によって電離され、この電離によって発生し前記第1の信号電極へ集められる電荷と、前記第2の対向電極と各々の前記第2の信号電極との間隙に存在する前記X線検出用ガスが外部から侵入するX線によって電離され、この電離によって発生し前記第2の信号電極へ集められる電荷とを、順次、読み出し信号として読み出して外部へ出力する信号読み出し回路が、前記容器内に設けられた請求項1に記載のX線撮像用ラインイメージセンサ。
【請求項4】
請求項3に記載のX線撮像用ラインイメージセンサと、
前記X線撮像用ラインイメージセンサに対してX線を照射するX線照射器と、
前記X線照射器からX線が照射されており、被写体が前記X線撮像用ラインイメージセンサと前記X線照射器との間を前記X線撮像用ラインイメージセンサの絶縁板の主面に垂直な方向へ移動するように、前記被写体と前記X線撮像用ラインイメージセンサ及び前記X線照射器との相対的な位置を変化させているときに、前記X線撮像用ラインイメージセンサの信号読み出し回路から出力される読み出し信号に基づいて前記被写体の2次元X線透過像を生成する画像処理装置とが備えられたX線撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−210683(P2008−210683A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47180(P2007−47180)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(800000057)財団法人新産業創造研究機構 (99)
【出願人】(303026235)株式会社湊川金属テストピース製作所 (7)
【出願人】(592216384)兵庫県 (258)
【Fターム(参考)】