説明

X線検査方法およびX線検査装置

【課題】医療診断分野において、少ない被曝量で、しかも軟組織で、小さな異常組織等も確実に検出できるX線検査装置およびX線検査方法を提供する。
【解決手段】この発明は、被写体にファンビーム状のX線を入射させ、被写体を透過してX線検出器13に入射する透過X線像をX線検出器13で検出し、画像処理して屈折X線画像として再構成することで、透過X線像によるX線撮影では、差異が検出されにくい軟組織の異常や被写体内のボイドを画像出力として得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医療診断分野や非破壊検査分野に用いられるX線検査方法およびX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばX線診断装置やX線CT装置などのX線検査装置では、X線管から放射されたX線ビームを被写体に照射し、被写体を透過する透過X線像を検出器などで検出することにより、被写体中に含まれる異なるX線伝播媒質間のX線吸収能の差を反映したX線吸収像を透過X線像として画像化している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年では、X線管の焦点を微小化すること、および被写体と検出器との距離を離して拡大撮影することの併用により、通常のX線吸収能の違いによるX線吸収像に重なって、異なるX線伝播媒質間の境界部分を輪郭強調するX線屈折像の画像成分を撮影する新しい撮影原理が注目されている。この撮影原理では、被写体中の異なるX線伝播媒質間の屈折率の違いにより、異なるX線伝播媒質の境界面でのX線ビームの屈折により境界面の輪郭に沿う領域に形成されるX線屈折像が生じるものである。この撮影原理によれば、従来に比べて画像がより鮮明となり、より微細なものを識別することが可能となる改善効果が示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
ところで、マンモグラフィーなどの軟組織の医療診断分野では、検出器にスクリーンフィルム系、蓄積蛍光体、もしくは固体撮像デバイスを使用することが一般的であり、X線管の管電圧を20〜39kVpと低くし、低エネルギーのX線ビームを利用している。特に、モリブテン(MO)またはロジウム(RH)を陽極ターゲットとするX線管を使用することにより、モリブテン(MO)またはロジウム(RH)の特性X線を主成分とする低エネルギーのX線ビームを利用するのが一般的である。低エネルギーのX線ビームを使用することにより、乳房中の病巣のように、周辺の正常組織とのX線吸収能の違いが比較的小さい異物に対しても、識別可能な吸収コントラストを得ることができる。
【0005】
また、非破壊検査分野では、厚い被写体の内部の異物やボイド(空気で満たされた空洞)などをX線検査する場合、十分な強度の透過X線量を確保する必要があるため、薄い被写体の場合に比べてX線管の管電圧を高くして、入射X線の実効エネルギーを高くしている。
【特許文献1】特開平1−161645号公報(第2−3頁)
【特許文献2】特開2001−194738号公報(第2−3頁、図1−2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、マンモグラフィーなどの軟組織の医療診断分野では、X線管の管電圧を20〜39kVpと低くし、低エネルギーのX線ビームを利用することにより、乳房中の病巣のように、周辺の正常組織とのX線吸収能の違いが比較的小さい異物に対しても、識別可能な画像コントラストを得ることができる。しかしながら、X線管の管電圧を35kVp以上の値に増大させ、X線のエネルギーを高くするほど、人体のX線吸収能が低くなり、X線吸収能の違いによる吸収コントラストが得られなくなり、識別困難となってくる。このような識別困難となる画像は利用価値のないものと見なされていた。
【0007】
一般的に、X線診断でのX線のエネルギーが低いほど患者の被爆線量は増大することが知られている。これは、X線のエネルギーが低いほど、人体によるX線吸収能が高くなるため、透過X線量が低下するという物理現象に起因している。すなわち、透過X線量を検出して画像を形成するが、透過X線量が高いほどノイズの小さい画像が得られるので、同等のノイズレベルの画質を得るためにはある一定の透過X線量が必要となり、そのために入射X線量はX線のエネルギーが低いほど増大させることになるためである。
【0008】
このような理由により、マンモグラフィーなどの軟組織の医療診断分野では、X線管の低管電圧での撮影が原則であるため、管電圧をより高くして被爆線量を低下させることが困難であった。
【0009】
さらに、マンモグラフィーなどの軟組織の医療診断分野では、通常よりも厚い被写体の場合には、薄い被写体の場合に比べてより高い管電圧で撮影せざるを得ず、その結果、石灰化のような微小な異常の識別能が低下してしまうという問題もあった。
【0010】
しかも、医療診断分野では、血管、腎盂系、胆嚢、胆管、卵管、リンパ系、消化管、気管支などをX線検査する場合、ヨード化合物などの造影剤を注入して周辺組織とのX線吸収能の違いを大きくする必要があるが、造影剤の注入が被検査者の負担となる問題がある。
【0011】
また、非破壊検査分野では、厚い被写体の内部の異物やボイド(空気で満たされた空洞)などをX線検査する場合、十分な強度の透過X線量を確保する必要があるため、薄い被写体の場合に比べてX線管の管電圧を高くして、入射X線の実効エネルギーを高くする必要がある。しかし、入射X線の実効エネルギーを高くすると、異物やボイドなどの大きさが小さかったり、異物やボイドなどとこれらを取り囲む正常部位のX線吸収能との差が小さい場合には、透過X線強度差が小さく、識別能が低下する場合があった。これは厚みが大きいほど識別能が低下するため、ある厚みの閾値を越えると全く識別困難となっていた。
【0012】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、医療診断分野では被爆を低減できるとともに小さい異常なども確実に検出でき、非破壊検査分野では厚い被写体でも内部構造を確実に検出できるX線検査方法およびX線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、ファンビーム状のX線を被写体に照射して、前記被写体を透過するX線を、X線検出器で検出した透過X線像を用いるX線検査方法において、前記被写体に入射する前記ファンビーム状のX線の進行方向に沿って前記被写体を直進透過して前記X線検出器に入射する透過一次X線以外のX線を出力画像として表示させることを特徴とするX線検査方法、を提供するものである。
【0014】
またこの発明は、被写体中の第1X線伝播媒質のX線屈折率および第1X線伝播媒質とX線屈折率の異なる第2X線伝播媒質との間のX線吸収率の差が10%以下となる管電圧が印加されることで、所定の特性のX線を放射するX線管と、前記X線管と前記被写体との間に配置され、前記X線管から放射されたコーンビーム状のX線ビームから複数に分割されたファンビーム状のX線を形成するマルチスリットコリメータと、前記ファンビーム状のX線が前記被写体を透過した透過X線を検出するX線検出器と、前記被写体を透過した透過X線のうち前記被写体を直進透過して前記X線検出器の任意の画素に入射する透過一次X線をカットし、前記第1X線伝播媒質と第2X線伝播媒質との間の境界面において前記複数のファンビーム状のX線の屈折により前記境界面の輪郭に沿う領域に形成される屈折X線像を得る画像処理装置と、を備えていることを特徴とするX線検査装置、を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
以上説明した通り、この発明のマルチスリットコリメータにより分割されたX線ビームの照射と、透過一次X線が入射する画素のピクセル値を「0」または「一定値」とし、透過一次X線が入射しない画素により、被写体中の第1X線伝播媒質と第2X線伝播媒質との間の境界面においてファンビーム状のX線の屈折により境界面の輪郭に沿う領域に形成される屈折X線像のみを画像信号として検出するため、軟組織の検査においても、X線管の管電圧を高解像度の得られる高い管電圧とすることができる。すなわち、さまざまな大きさや密度の検査対象にX線を照射して透過X線強度を得るX線検査装置および検査方法として、被写体中の異物やボイドを、被写体の組成に拘わらず、しかも少ない被爆量で、検査可能となる。
【0016】
これにより、検査対象物が生体、特に人体である場合に、X線被爆量を低減できる。
【0017】
また、特にマンモグラフィー等の軟組織に対する医療診断分野においては、通常よりも厚い被写体の場合には、薄い被写体の場合に比べてより高い管電圧で撮影せざるを得ず、その結果、石灰化のような微小な異常の識別能が低下してしまうという問題があったが、異常組織や異物を、僅かな被爆量で検出可能である。
【0018】
さらに、医療診断分野では、血管、腎盂系、胆嚢、胆管、卵管、リンパ系、消化管、気管支等をX線により検査する場合に、従来は、ヨード化合物等の造影剤を注入して、周辺組織とのX線吸収能の違いを大きくする必要があるが、被検査者への造影剤の注入等の負担が不要となる。
【0019】
また、透過X線量が高い(多い、すなわち吸収が少ない)ほど、ノイズの少ない画像が得られることから、X線管の管電圧を高め、高エネルギーのX線ビームを利用可能な本願発明のX線検査装置および検査方法を用いることにより、異常組織やボイド等の大きさが小さい場合や、それらをとり囲む正常部位のX線吸収能との差が小さい場合においても、識別能が低下することなく、確実に検出可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1に示すX線検査装置1は、検査対象物である被写体OのX線透過あるいは吸収を検出するための所定波長及び所定エネルギー強度のX線ビームを出力するX線源であるX線管11と、被写体Oを透過したX線ビームすなわち透過X線を検出するX線検出器(X線像検出器)13を有する。なお、X線検査装置1においては、図示する通り、少なくともX線管11は、被写体Oに向けて放射されるX線ビームが進行する方向と直交する方向に旋回される。
【0022】
X線管11は、図示しない陽極ターゲットが、例えばW(タングステン)またはタングステンを50原子%以上含有する材質であり、管電圧として40kVp以上の電圧が印加されることで、所定特性のX線を放射可能な周知のX線管装置である。また、図示しない陽極ターゲット上での焦点の大きさ(焦点サイズ)Sは、直径が概ね50μmであることが好ましい。
【0023】
X線検出器13は、例えば固体撮像装置であり、例えばX線を直接電気信号に変換する直接型固体撮像装置や、X線を蛍光膜で光に変換し、その光を電気信号に変換する間接型固体撮像装置が利用可能である。なお、周知のX線イメージインテンシファイアを用い、その出力蛍光像を撮像装置(カメラ)により撮像してもよい。
【0024】
なお、X線検出器13として、間接型固体撮像装置を用いる場合には、その蛍光膜に、例えばヨウ化セシウムを母材とする蛍光膜が利用される。その場合、ヨウ化セシウムのX線ビームの透過方向の厚みは、好ましくは100〜600μmである。また、X線イメージインテンシファイアを用いる場合においても、その入力蛍光膜には、ヨウ化セシウムを母材とする蛍光膜を用い、かつそのX線の透過方向の厚みを100〜600μmとすることが好ましい。
【0025】
X線管11と被写体Oとの間には、ファンビームであるX線ビームを複数(単位長さ当たりの数は、X線検出器13の検出セル(画素)が配列されている個数であるチャンネル数よりも少ない数か同数)に分割するマルチスリットコリメータ15が位置されている。マルチスリットコリメータ15は、図2により以下に説明する通り、X線管11の焦点を中心として、x方向に沿って、所定間隔で複数のスリットが配列されたもので、入射するX線の一部を遮蔽、または吸収することによりファンビームを複数本(単位長さ当たりの数がチャンネル数よりも少ない数か同数)のX線ビームに分割できる。従って、すなわち、X線管11から出力されたX線ビームは、マルチスリットコリメータ15により複数に分割されたファンビームの集合体として被写体Oに照射される。マルチスリットコリメータ15により複数に分割され、被写体Oを透過したX線ビームすなわち透過X線は、X線検出器13に入力される。
【0026】
X線検出器13から出力されたX線濃度分布すなわち被写体Oを透過した透過X線像は、画像処理装置21による画像処理により、後段に説明する屈折X線像に変換される。
【0027】
なお、X線検査装置1において、X線管11とX線検出器13との間の空間であって、マルチスリットコリメータ15により複数に分割されたX線ビームが被写体Oに照射される照射位置には、被写体Oを、所定の結像条件を満たすように保持する検体保持部(ステージ)17が設けられている。ステージ17は、少なくともy方向に移動可能であって、被写体Oを、X線による撮影に適した撮影条件の得られる撮影位置に位置させる。なお、マルチスリットコリメータ15は、マルチスリットコリメータ移動機構19により、ファンビームの広がり方向とほぼ直交する方向に沿って微小移動される。従って、X線検出器13においては、マルチスリットコリメータ15の微小移動を単位として、(微小移動毎に)所定回数だけ、被写体Oが撮像される。
【0028】
X線検査装置1にはまた、X線管11からのX線ビームの出力や停止等を制御するとともに、画像処理装置21から出力される画像出力の表示、および主電源のオン/オフ等を制御する制御ユニット51が、一体に、あるいは所定の位置に、配置されている。なお、制御ユニット51には、X線検出器13により検出されたX線濃度分布すなわち透過X線画像や画像処理装置21により処理された画像出力あるいは検査装置1の動作状態などが表示可能な表示装置53や、検査装置1の動作を制御するための制御情報や画像処理のための信号入力に利用される操作入力装置55が設けられている。
【0029】
図2は、X線管11から放射されるX線ビームとX線検出器13との位置関係、および検出画素の配列を示す。
【0030】
図2に示すように、X線管11から放射されるX線ビーム(ファンビーム)は、マルチスリットコリメータ15により断面方向(X線が進行する方向と直交する方向)の広がりが制限されることで、広がりの広いファン角(z方向)、ならびにファン角と直交するコーン角(x方向)とによりその断面形状が規定される。
【0031】
X線検出器13は、X線ビームのファン角方向ならびにコーン角方向のそれぞれの方向について、被写体Oの幅方向(x方向)および長さ方向(z方向)の全域を検査可能な個数(チャンネル数)の(すなわちl個×m列の)画素を有する。
【0032】
マルチスリットコリメータ15は、上述したX線ビームが被写体Oに到達できるエネルギー(被爆量)を制限可能に、例えばポリイミド等であるX線透過部材15Aと、例えば鉛(Pb)等であり、個々のX線透過部材15Aを両側から挟みこむX線遮蔽材15Bとを含み、少なくとも、X線透過部材15Aが、上述したチャンネル数(l)よりも少ない数、例えば「l/4」か又は同数となるように積層された構造を有する。なお、X線透過部材15Aの厚さ(x方向)は概ね30μmで、そのピッチ(X線遮蔽部材15BとX線透過部材の厚さを足した値)は概ね100μmである。また、マルチスリットコリメータ15の全体の厚さ(x方向,幅とも呼ばれる)および直交する長さ(z方向)は、それぞれ、概ね150mmである。
【0033】
図3は、X線検出器13により検出された出力画像データを用い、屈折X線像すなわち散乱X線像を得るための画像処理装置21による画像処理の方法の具体例を示す。
【0034】
既に説明した通り、X線検出器13は、X線ビームのファン角方向(z方向)にm列、X線ビームのコーン角方向(x方向)にl個の画素(検出セル)がマトリクス状に配置されている。
【0035】
X線管11のX線焦点から出射され、被写体Oの通常領域(第1X線伝播媒質)、すなわち異物やボイド(空気で満たされた空洞)等以外の領域を通過(透過)したX線ビーム(ファンビームのうちのマルチスリットコリメータ15で制限されたX線ビーム)は、図3に点線で示すように、X線ビームの進行方向に沿って直進透過し、透過一次X線として、そのままX線検出器13の所定の画素に、入射(結像)される。なお、被写体Oが存在しない場合も同様に、X線ビームは、X線ビームの進行方向に沿ってそのままX線検出器13の任意の画素に結像される(透過一次X線像)。
【0036】
これに対して、被写体O中の異物やボイド(空気で満たされた空洞)すなわち第2X線伝播媒質等に差し掛かったX線ビームは、異物やボイドの材質に応じ、第1X線伝播媒質と第2X線伝播媒質との間の境界面において、境界面の輪郭に沿って所定量(角度)屈折され、図3に実線で示すように、被写体Oの通常領域を通過(透過)したX線に比較して広がりが与えられて、屈折X線像として、X線検出器13の任意の画素に入射(結像)される。
【0037】
透過X線画像は上述した透過一次X線像と屈折X線像とが混在したものである。屈折X線像に対応する画素のピクセル値は透過一次X線のそれに比べてかなり小さいが、以下に述べる画像処理により、屈折X線像のみを抽出して出力することができる。本質を逸脱しない範囲で単純化するため被写体による散乱X線の影響は無視できると仮定して説明する。
【0038】
方法1:予め被写体なし(被写体を「被写体OにX線ビームを照射するための空間」19から一旦除去した状態)で、取得したX線画像データをもとに、所定の閾値よりも大きいピクセル値を有する画素の位置情報を不要画素位置情報として記憶装置57に記憶させる。ここで不要画素位置情報には、更にこれらの画素に隣接または近接する所定範囲の画素を含めても良い。その後、被写体Oを「X線ビームを照射するための空間」19に位置させて透過X線画像データを取得する。この透過X線画像を構成する個々の画素のうち、前記不要画素位置情報に対応する画素のピクセル値を「0」に置き換え、前記不要画素位置情報に対応する画素以外の画素のピクセル値のみを変更しない画像処理を行うことにより、屈折X線像が得られる。
【0039】
方法2:上記の方法1で、予め被写体なし(被写体を「被写体OにX線ビームを照射するための空間」19から一旦除去した状態)で取得したX線画像の代わりに、屈折X線像を生じさせず、かつ被写体の平均的なX線吸収特性、X線散乱特性に近い均一材料からなる被写体ファントーム(phantom)を「被写体OにX線ビームを照射するための空間」19に位置させて取得したX線画像を用いる方法。
【0040】
方法3:被写体Oを「X線ビームを照射するための空間」19に位置させて取得した透過X線画像データのみを利用して屈折X線像を抽出する方法。透過X線画像を構成する個々の画素のうち、そのピクセル値が所定の閾値以上である場合には「0」に置き換え、閾値未満である場合には変更しない画像処理を行うことにより、屈折X線像が得られる。ここで、更にピクセル値が所定の閾値以上である画素に隣接または近接する所定範囲の画素のピクセル値を含めて「0」に置き換えても良い。
【0041】
上記した実施例では、被写体による散乱X線が画像に影響しないことを仮定して述べて来たが、散乱X線の画像への影響は画像全体に一様なグレア(glare)をもたらすのみである。従って、散乱X線の画像への影響が無視できない場合でも、画像処理で、所定の閾値以上のピクセル値を有する画素に対して、そのピクセル値を「0」に置き換える代わりに、「一定値」に置き換える画像処理を行えば良い。また、更にピクセル値が所定の閾値以上である画素に隣接または近接する所定範囲の画素のピクセル値を含めて「一定値」に置き換える画像処理を行っても良い。この「一定値」は、診断者が、出力された屈折X線像を観察しながらその値を変更する作業を繰り返すことにより、最も見易い、言い換えるとスリット形状に対応したアーチファクトのない屈折X線像を得ることができる。
【0042】
屈折X線像は、被写体Oの第1X線伝播媒質と第2X線伝播媒質との間の境界面においてファンビーム状のX線の屈折により前記境界面の輪郭に沿う領域に形成されるX線屈折像であり、そのため画像があるか否かのみが識別可能であれば良く、その階調数は、4ビット以下でよい。より好ましくは、1ビットでもかまわない。
【0043】
なお、被写体Oを透過した透過X線像の検出においては、マルチスリットコリメータ移動機構19(または回転制御ユニット63(図4参照))の制御によりマルチスリットコリメータ15がファンビームの広がり方向とほぼ直交する方向に沿って微小移動される。従って、X線検出器13においては、マルチスリットコリメータ15の微小移動を単位として、(微小移動毎に)所定回数だけ、被写体Oが撮像されることは、先に説明した通りである。これにより、X線検出器13のチャンネル方向(l列方向)に分割された被写体Oの複数の画像が、得られる。最終的な検査画像は、これら複数の画像を合成することにより得られる。
【0044】
また、X線管11の管電圧すなわち詳述しないがX線管の陽極に印加される電圧は、放射されるX線ビームの強度が、第1X線伝播媒質による吸収(または吸収率)と第2X線伝播媒質による吸収(または吸収率)との差が、10%以内に収まるように設定される。この場合、管電圧としては、40〜150kVpが好ましい。この撮影原理(画像処理方法)によれば、従来の撮影方法に比べ、画像がより鮮明となり、より微細なものや軟組織を識別することが可能となる。
【0045】
上述したように、透過一次X線が入射した画素のピクセル値を「0」または「一定値」とし、透過一次X線が入射しない画素により、被写体中の第1X線伝播媒質と第2X線伝播媒質との間の境界面においてファンビーム状のX線の屈折により境界面の輪郭に沿う領域に形成される屈折X線像のみを画像信号として検出するため、軟組織の検査においても、X線管の管電圧を高解像度の得られる高い管電圧とすることができる。すなわち、X線管11の管電圧としては、周知の軟組織向けの低い管電圧のX線管に広く利用される20〜35kVpに比較して高く、これまでは、軟組織向けの組成の撮影には利用されることのない、管電圧が利用可能であり、その結果、被写体が人体、特に乳房等である場合において、被爆量が低減可能である。
【0046】
図4は、図1に示したX線検査装置の画像処理装置および制御ユニットの概要を説明する機能ブロック図である。
【0047】
図4に示すように、被写体Oを指示するステージ17は、駆動ユニット61により、少なくとも上述したy方向(図1ないし図3参照)に移動され、被写体OをX線による撮影に適した撮影条件で撮影可能に、位置させる。また、マルチスリットコリメータ15は、回転制御ユニット63(マルチスリットコリメータ移動機構19)により、ファンビームの広がり方向とほぼ直交する方向に沿って微小移動される。
【0048】
X線検出器13からの画像信号(ピクセル値)は、信号増幅ユニット71を介して所定レベルまで増幅され、画像処理装置21による上述のデジタル処理により画像処理され、被写体Oの屈折X線像として表示装置53に表示される。また、信号処理ユニット71を介して増幅され取り込まれた画像信号および画像処理装置21により処理された画像データ(出力画像)は、記憶装置57に記憶される。なお、信号増幅ユニット71と画像処理装置21、又は信号増幅ユニットとX線検出器13とは、明確に区分される必要はなく、一体であってもよいことはいうまでもない。
【0049】
X線ビームは、電源制御ユニット81により制御される電源装置83により図示しない陰極(フィラメント)が加熱されることで放出される電子線の(X線管11の)図示しない回転陽極の所定の位置への衝突により、回転陽極(ターゲット)から所定のタイミングで、出力される。なお、X線管11は、詳述しないが冷却ユニット91によりX線管11内部に供給される冷媒により、所定の温度を上限として冷却される。
【0050】
図5は、図1に示したX線検査装置の別の実施の形態を示す。なお、図5において、図1に示した要素と同一の要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。また、図1に示した要素に類似するが、図5に示す装置に固有の要素には、「100」を加算した符号を付してその説明を簡素化する。
【0051】
図5に示すX線検査装置101は、X線管11と、被写体Oを透過した透過X線を検出するX線検出器13を有する。X線検出器13とX線管11との間には、図6に説明するように、図2により先に説明した例に比較して、z方向の大きさが制限されているマルチスリットコリメータ115が、配置されている。なお、マルチスリットコリメータ115とX線管11は、保持構造は詳述しないが、構体117により、一体に保持されている。また、少なくともX線管11とマルチスリットコリメータ115は、構体117により、被写体Oに向けて放射されるX線ビームが進行する方向(y方向)と直交する方向に旋回(微小移動)される。
【0052】
マルチスリットコリメータ115は、図6に示すように、例えばX線透過部材115Aの厚さ(x方向)は概ね30μmで、そのピッチ(X線遮蔽部材115BとX線透過部材の厚さを足した値)は概ね100μmである。また、マルチスリットコリメータ115の全体の幅(x方向)は概ね150mmで、直交する長さ(z方向)は概ね20mmに規定されている。
【0053】
なお、図5に示すX線検出器101を用いる場合、画像処理は、X線検出器13において検出する画像が、マルチスリットコリメータ15およびX線管13の連続的な移動により、連続して被写体Oが撮像されることに依存して、その処理方法、例えば画像の取り込みタイミング等が変更されるが、画像処理の基本的な内容は、先に説明した例と同様である。
【0054】
なお、マルチスリットコリメータ115とX線管11とをユニットとすることにより、マルチスリットコリメータ115に向けてX線管11から放射されるX線ビームの範囲がずれることが低減されることは言うまでもない。
【0055】
図7は、図1および図5に示したX線検査装置のさらに別の実施の形態を示す。なお、図7において、図1または図5に示した要素と同一の要素には、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。また、図1または図5に示した要素に類似するが、図7に示す装置に固有の要素には、「200」を加算した符号を付して、その説明を簡素化する。
【0056】
図7に示すX線検査装置201においては、X線管11と、被写体Oを透過した透過X線を検出するX線検出器213と、図6により先に説明したx方向の大きさが制限されているマルチスリットコリメータ115が、保持構造は詳述しないが、構体219により、一体に保持されている。また、少なくともX線管11とマルチスリットコリメータ115とX線検出器213とは、構体219により、被写体Oに向けて放射されるX線ビームが進行する方向(y方向)と直交する方向に、一体的に旋回される。
【0057】
このように、図5に示すX線検出器においては、X線管11とマルチスリットコリメータ115とを構体117により保持するとともに、X線検出器213を構体219により一体の保持し、被写体Oに向けて放射されるX線ビームが進行する方向(y方向)と直交する方向に旋回させることにより、X線検出器213の大きさを低減可能である。
【0058】
このことは、X線検出器213から出力される透過X線像の画像処理に利用される信号処理ユニット71(画像処理装置21)の記憶容量を低減できる。また、処理すべき画像情報が低減されることにより、画像処理が高速化できることが期待される。
【0059】
なお、図5または図7に示したX線検査装置は、図8に一例を示すX線検出器301のように、X線管11とX線検出器13(213)が、x方向に平行に移動されるものであってもよい。また、X線管11、マルチスリットコリメータ15(115)およびX線検出器13(213)のそれぞれは、例えば図8に示す構体321により、マルチスリットコリメータ115とおよびX線検出器13とが一体に保持され、X線管11が独立に設けられてもよい。
【0060】
図9は、図1、図5、図7および図8により説明したX線検査装置のさらに別の実施の形態を示す。
【0061】
図9に示すX線検査装置1001は、X線管1011と、検査対象物である被写体Oを透過した透過X線を検出するX線検出器(X線像検出器)1013を有する。なお、X線管1011とX線検出器1013とは、接続構体1019により、被写体Oを、X線管1011とX線検出器1013との間に規定される検査位置に位置させた状態で、被写体OにX線ビームを照射可能に、一体に保持され、被写体Oに向けて放射されるX線ビームが進行する方向(y方向)と直交する方向に、一体的に旋回される。
【0062】
また、図9に示したX線検査装置1001においては、図7を用いて先に説明したX線検査装置と同様に、X線検査装置1013の大きさを低減することも可能である。
【0063】
この場合、既に説明したと同様の理由により、X線管1011の出力すなわち被写体Oに照射されるX線ビームのエネルギー(被爆量)を低減可能であることに加え、X線検出器1013から出力される透過X線像の画像処理に利用される信号処理ユニット71(図4参照、画像処理装置21で共用することも可能)の記憶容量を低減できる。また、処理すべき画像情報が低減されることにより、画像処理が高速化できることが期待される。
【0064】
以上説明したように、さまざまな大きさや密度の検査対象にX線を照射して透過X線強度を得るX線検査装置およびX線検査方法として、被写体中の異物やボイドを、被写体の組成に拘わらず、しかも少ない被爆量で、検査可能である。また、従来、軟組織(特に乳房)向けに独立した装置として提供されている特別なX線検査装置において、X線管装置の管電圧を高めることが可能となり、被写体の被爆量を一層低減できる。
【0065】
これにより、検査対象物が生体、特に人体である場合に、近年重要視されている検査用X線によるX線被爆を低減できる。
【0066】
なお、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形もしくは変更が可能である。また、個々の実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよく、その場合、組み合わせによる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明が提供されるX線検査装置の一例を示す概略図。
【図2】図1に示すX線検査装置のX線管から放射されるX線ビーム(ファンビーム)とX線検出器の検出セル(画素)の配列の関係を説明する概略図。
【図3】図1に示すX線検査装置に組み込まれるマルチスリットコリメータを用いて得られる透過X線中の透過一次X線および屈折X線が入射される画素を説明する概略図。
【図4】図1に示すX線検査装置の画像処理装置および制御ユニットを説明する概略図。
【図5】図1に示すX線検査装置の別の実施形態を説明する概略図。
【図6】図5に示すX線検査装置に組み込まれるマルチスリットコリメータの一例を説明する概略図。
【図7】図1に示すX線検査装置のさらに別の実施形態を説明する概略図。
【図8】図1に示すX線検査装置のさらにまた別の実施形態を説明する概略図。
【図9】図1、図5、図7および図8に示したX線検査装置とは異なる透過X線検出方法を用いるX線検査装置の実施の形態を示す概略図。
【符号の説明】
【0068】
1,101,201,1001…X線検査装置、11,1011…X線管(X線源)、13,213,1013…X線検出器(X線像検出器)、15,115,1015…マルチスリットコリメータ、17…ステージ(検体保持部)、117…構体、219…接続構体、321…接続構体、21…画像処理装置、51…制御ユニット、53…表示装置、55…操作入力装置、57…記憶装置、61…駆動ユニット、63…回転制御ユニット、71…信号増幅ユニット、81…電源制御ユニット、83…電源装置、91…冷却ユニット、O…検査対象物(被写体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンビーム状のX線を被写体に照射して、前記被写体を透過するX線を、X線検出器で検出した透過X線像を用いるX線検査方法において、
前記被写体に入射する前記ファンビーム状のX線の進行方向に沿って前記被写体を直進透過して前記X線検出器に入射する透過一次X線以外のX線を出力画像として表示させることを特徴とするX線検査方法。
【請求項2】
前記透過一次X線以外のX線を前記出力画像として表示させるために、前記被写体に前記X線を照射する前に前記被写体なしまたは均質な材質からなる被写体ファントームに前記ファンビーム状のX線を照射して、前記透過一次X線が入射する前記X線検出器の画素を予め記憶させ、前記画素またはさらにそれに隣接する所定範囲の画素に対応するピクセル値を「0」または「一定値」とする画像処理を行うことを特徴とする請求項1記載のX線検査方法。
【請求項3】
前記透過一次X線以外のX線を前記出力画像として表示させるために、前記被写体の透過一次X線がX線検出器に入射することに対応する各画素のピクセル値のうちの所定の閾値以上のピクセル値を「0」または「一定値」とする画像処理を行うことを特徴とする請求項1記載のX線検査方法。
【請求項4】
前記出力画像の階調数は、4ビット以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のX線検査方法。
【請求項5】
前記出力画像の階調数は、1ビットであることを特徴とする請求項4記載のX線検査方法。
【請求項6】
前記被写体よりもX線源側(X線源と被写体の間)に、スリットコリメータを配置し、前記X線源のX線焦点から放射されたコーンビーム状のX線を、前記スリットコリメータを透過させることによりファンビーム状に整形したX線を前記被写体に入射させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のX線検査方法。
【請求項7】
前記スリットコリメータは、前記ファンビーム状のX線の広がり方向(ファンビームの広がり方向)とほぼ直交する方向に沿って所定間隔で複数のスリットが並べられたマルチスリットコリメータであり、前記X線源の前記X線焦点から放射されたコーンビーム状のX線から複数のファンビーム状のX線ビームを形成させて前記被写体に入射させることを特徴とする請求項6記載のX線検査方法。
【請求項8】
前記スリットコリメータを、前記X線焦点を中心として、前記ファンビーム状のX線の広がり方向とほぼ直交する方向に沿って回転移動して複数位置に配置し、それぞれのスリット位置に対応して複数回撮影された前記透過一次X線以外のX線の像を合成して表示させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のX線検査方法。
【請求項9】
前記スリットコリメータを、前記X線焦点を中心として、前記ファンビーム状のX線の広がり方向とほぼ直交する方向に沿って回転移動させながら連続的に前記透過一次X線以外のX線の像を撮影し、その画像を合成して得られる合成画像を表示させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のX線検査方法。
【請求項10】
前記透過一次X線以外のX線の像は、前記被写体中の第1X線伝播媒質および前記第1X線伝播媒質とX線屈折率の異なる第2X線伝播媒質との間の境界面で前記入射X線が屈折された屈折X線を含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のX線検査方法。
【請求項11】
X線管の管電圧を、被写体中の第1X線伝播媒質のX線吸収率と、識別対象物質を構成し、前記第1X線伝播媒質とX線屈折率が異なる第2X線伝播媒質のX線吸収率Xの差が10%以下となる管電圧に設定し、前記管電圧に設定された状態で、屈折X線を含む透過X線像を形成させることを特徴とする請求項10記載のX線検査方法。
【請求項12】
被写体中の第1X線伝播媒質のX線屈折率および第1X線伝播媒質とX線屈折率の異なる第2X線伝播媒質との間のX線吸収率の差が10%以下となる管電圧が印加されることで、所定の特性のX線を放射するX線管と、
前記X線管と前記被写体との間に配置され、前記X線管から放射されたコーンビーム状のX線ビームから複数に分割されたファンビーム状のX線を形成するマルチスリットコリメータと、
前記ファンビーム状のX線が前記被写体を透過した透過X線を検出するX線検出器と、
前記被写体を透過した透過X線のうち前記被写体を直進透過して前記X線検出器の任意の画素に入射する透過一次X線をカットし、前記第1X線伝播媒質と第2X線伝播媒質との間の境界面において前記複数のファンビーム状のX線の屈折により前記境界面の輪郭に沿う領域に形成される屈折X線像を得る画像処理装置と、
を備えていることを特徴とするX線検査装置。
【請求項13】
前記X線管に印加される管電圧は、前記被写体を乳房とする場合に40ないし150kVpに設定されることを特徴とする請求項12記載のX線検査装置。
【請求項14】
前記マルチスリットコリメータを、前記X線焦点を中心として、前記ファンビームの広がり方向とほぼ直交する方向に沿って回転移動して複数位置に位置させるマルチスリットコリメータ移動機構をさらに有し、
前記マルチスリットコリメータの前記複数位置に対応して複数回撮影された前記屈折X線像を合成して出力画像を得ることを特徴とする請求項12または13記載のX線検査装置。
【請求項15】
前記マルチスリットコリメータを、前記X線焦点を中心として、前記ファンビームの広がり方向とほぼ直交する方向に沿って連続して回転移動するマルチスリットコリメータ移動手段をさらに有し、
前記マルチスリットコリメータの前記連続移動中に連続的に撮影された前記屈折X線像を合成して出力画像を得ることを特徴とする請求項12または13記載のX線検査装置。
【請求項16】
前記マルチスリットコリメータと前記検出器とを、前記X線焦点を中心として、前記ファンビームの広がり方向とほぼ直交する方向に沿って回転移動して複数位置に配置する検出器移動機構をさらに有し、
前記マルチスリットコリメータの前記複数位置に対応して複数回撮影された前記屈折X線像を合成して出力画像を得ることを特徴とする請求項12または13記載のX線検査装置。
【請求項17】
前記マルチスリットコリメータと前記検出器とを、前記X線焦点を中心として、前記ファンビームの広がり方向とほぼ直交する方向に沿って連続して回転移動する検出器移動機構をさらに有し、
前記マルチスリットコリメータの前記連続移動中に連続的に撮影された前記屈折X線像を合成して出力画像を得ることを特徴とする請求項12または13記載のX線検査装置。
【請求項18】
前記X線管は、前記マルチスリットコリメータおよび前記検出器と一体的に、前記X線ン焦点を中心として回転することにより、前記X線ビームの照射方向が変化されることを特徴とする請求項14ないし17のいずれかに記載のX線検査装置。
【請求項19】
前記X線管と前記マルチスリットコリメータと前記検出器とを、前記ファンビームの広がり方向とほぼ直交する方向に沿って平行移動して複数位置に配置するマルチスリットコリメータ移動機構をさらに有し、
前記マルチスリットコリメータの前記複数位置に対応して複数回撮影された前記屈折X線像を合成して出力画像を得ることを特徴とする請求項12または13記載のX線検査装置。
【請求項20】
前記X線管と前記マルチスリットコリメータと前記検出器とを、前記ファンビームの広がり方向とほぼ直交する方向に沿って連続平行移動するマルチスリットコリメータ移動手段をさらに有し、
前記マルチスリットコリメータの前記連続平行移動中に連続的に撮影された屈折X線像を合成して出力画像を得ることを特徴とする請求項12または13に記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−330530(P2007−330530A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166182(P2006−166182)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)
【Fターム(参考)】