説明

X線診断装置

【課題】診断対象領域に対し特に空間分解能に優れた画像データを生成する。
【解決手段】被検体を透過したX線を検出する検出器及び前記検出器より高い空間分解能を有した高精細検出器を有するハイブリッド検出器と、前記高精細検出器の撮影領域と前記被検体の診断対象領域とが対応するように前記ハイブリッド検出器を前記被検体の近傍で回動させる検出器移動手段と、前記検出器を用いて収集された投影データ及び前記高精細検出器を用いて収集された高精細投影データに基づいて前記高精細検出器の撮影領域において高い空間分解能を有した画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データを表示する表示手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、診断対象領域における高精細画像データを選択的に収集することが可能なX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置、MRI装置、あるいはX線CT装置等を用いた医用画像診断は、コンピュータ技術の発展に伴って急速な進歩を遂げ、今日の医療において必要不可欠なものとなっている。特に、カテーテル手技の発展に伴って進歩を遂げている循環器領域のX線画像診断は心血管系をはじめ全身の動静脈を対象としており、通常、造影剤が投与された血管領域のX線撮影により収集される透視画像データの観察によって行なわれる。
【0003】
循環器領域の診断を目的としたX線診断装置は、X線発生部及びX線検出部(以下、これらを纏めて撮像系と呼ぶ。)、撮像系を保持する保持部、患者を載置する天板等を備え、上述の天板や保持部に設けられたCアーム等を所望の方向へ移動させることにより被検体の血管領域に対し最適な方向からのX線撮影を可能にしている。
【0004】
上述のX線診断装置が有する空間分解能は、通常、X線検出部に設けられた検出器の検出素子幅や検出素子間隔等によって決定され、従って、通常の空間分解能を有する検出器(標準検出器)を用いて200μm以下の幅を有する穿通枝等の細い血管やこれらの血管に挿入される非対称ステント等の微細な血管内デバイスの画像化を行なう場合、十分な解像度を有した画像データを得ることは困難な場合が多い。
【0005】
このような問題点を解決するために、上述の標準検出器の他に高い空間分解能を有した高精細検出器を別途装備し、標準検出器を用いて生成された画像データにおける上述の血管や血管内デバイスの空間分解能が不十分な場合には標準検出器を高精細検出器に交換することにより良質な画像データを収集する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−229270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1に記載された方法によれば微細な血管や血管内デバイスに対して良質な画像データを得ることができる。しかしながら、この方法を適用して標準検出器の場合と同様な広範囲の画像データを収集するためには多くの検出素子が必要となり、更に、これらの検出素子から出力されるデータ量の増加に伴なって各種データ処理回路の高速化・高性能化が要求される。このため、通常は標準検出器より小さな高精細検出器が用いられている。
【0008】
従って、高精細検出器を用いた従来の方法では、空間分解能に優れた広範囲の画像データを得ることは困難であり、又、標準検出器から高精細検出器への完全切り替えにより標準検出器による広範囲な画像データと高精細検出器による空間分解能に優れた狭範囲な画像データを同時に観察することは不可能であった。
【0009】
更に、標準検出器で収集した画像データに基づいて高精細検出器の配置位置を設定する際、複雑な移動機構を用いた検出器の交換作業は当該X線検査を担当する医療従事者にとって大きな負担となっていた。
【0010】
本発明の実施例は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い空間分解能を有する高精細検出器と通常の空間分解能を有する検出器が一体化されたハイブリッド検出器を被検体の近傍で移動(回動)させることにより、高い空間分解能を有する画像データを診断対象領域あるいはこの診断対象領域を含む広範囲な領域において容易に収集することが可能なX線診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の第1の実施例におけるX線診断装置は、被検体に対するX線照射によって得られた投影データに基づいて画像データを生成するX線診断装置において、前記被検体を透過したX線を検出する検出器及び前記検出器より高い空間分解能を有した高精細検出器を有するハイブリッド検出器と、前記高精細検出器の撮影領域と前記被検体の診断対象領域とが対応するように前記ハイブリッド検出器を前記被検体の近傍で回動させる検出器移動手段と、前記検出器を用いて収集された投影データ及び前記高精細検出器を用いて収集された高精細投影データに基づいて前記高精細検出器の撮影領域において高い空間分解能を有した画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データを表示する表示手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】
又、請求項4に係る本発明の第2の実施例におけるX線診断装置は、被検体に対するX線照射によって得られた投影データに基づいて画像データを生成するX線診断装置において、前記被検体を透過したX線を検出する検出器及び前記検出器より高い空間分解能を有した高精細検出器を有するハイブリッド検出器と、前記ハイブリッド検出器を前記被検体の近傍で回動させる検出器移動手段と、前記検出器を用いて収集された投影データ及び前記高精細検出器を用いて収集された高精細投影データに基づいて前記高精細検出器の撮影領域において高い空間分解能を有した画像データを生成する画像データ生成手段と、前記ハイブリッド検出器の回動に伴って得られた高分解能領域の位置が異なる複数の前記画像データの各々から抽出した前記高分解能領域の画像データを合成して高精細画像データを生成する画像データ合成手段と、前記高精細画像データを表示する表示手段とを備えたことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例におけるX線診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施例のX線検出部が備えるハイブリッド検出器の具体的な構成を示す図。
【図3】同実施例のハイブリッド検出器を構成する平面検出器を説明するための図。
【図4】同実施例のX線診断装置が備えるX線検出部の具体的な構成を示すブロック図。
【図5】同実施例のX線診断装置が備える画像データ生成部の具体的な構成を示すブロック図。
【図6】同実施例の移動機構部に設けられた検出器移動機構を示す図。
【図7】同実施例のX線検出部が備えるハイブリッド検出器の回動を説明するための図。
【図8】同実施例のX線診断装置が備える保持部とこの保持部を移動させる保持部移動機構を説明するための図。
【図9】同実施例における診断用画像データの生成手順を示すフローチャート。
【図10】同実施例のX線検出部が備えるハイブリッド検出器の変形例を示す図。
【図11】本発明の第2の実施例におけるX線診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図12】同実施例における高精細画像データの生成方法を説明するための図。
【図13】同実施例における高精細画像データの生成手順を示すフローチャート。
【図14】本発明の第1の実施例及び第2の実施例におけるハイブリッド検出器及びこのハイブリッド検出器を回動させる検出器移動機構の変形例を示す図。
【図15】本発明の第1の実施例及び第2の実施例におけるハイブリッド検出器及びこのハイブリッド検出器を回動させる検出器移動機構の他の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
以下に述べる本発明の第1の実施例におけるX線診断装置では、通常の空間分解能を有する検出器と高い空間分解能を有する高精細検出器によって構成されるハイブリッド検出器を被検体の周囲で回動させることによりその診断対象領域に高精細検出器の撮影領域を配置して前記被検体に対するX線照射を行なう。そして、被検体を透過したX線を上述の検出器及び高精細検出器を用いて検出し、検出器からの検出信号に基づいて生成された投影データと高精細検出器からの検出信号に基づいて生成された高精細投影データを用いて診断対象領域において高い空間分解能を有する診断用画像データを生成する。
【0016】
尚、本実施例では通常の空間分解能を有する検出器としての平面検出器と前記検出器より高い空間分解能を有する高精細検出器としての高精細平面検出器とが一体化されたハイブリッド検出器について述べるが、これに限定されるものではなく、例えば、高精細平面検出器の替わりにマイクロアンギオ(Micro Angio)用の高精細検出器を用いてもよい。
【0017】
(装置の構成)
本発明の実施例におけるX線診断装置の構成と機能につき図1乃至図8を用いて説明する。尚、図1は、X線診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図5は、このX線診断装置が備える画像データ生成部の具体的な構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すX線診断装置100は、被検体150に対しパイロット撮影モード及び本撮影モードのX線照射を行なうX線発生部1と、被検体150を透過したX線を後述する平面検出器及び高精細平面検出器を用いて2次元的に検出し、これらの検出結果に基づいて投影データ及び高精細投影データを生成するX線検出部2と、投影データ及び高精細投影データを処理して位置決め用画像データの生成と診断対象領域において高い空間分解能を有する画像データ(以下では、診断用画像データと呼ぶ。)の生成を行なう画像データ生成部3と、得られた位置決め用画像データ及び診断用画像データを表示する表示部5を備え、更に、被検体150を載置する天板6と、後述するX線発生部1のX線照射部11及びX線検出部2のハイブリッド検出器21(撮像系)を保持する保持部7と、ハイブリッド検出器21、保持部7及び天板6の移動とその制御を行なう移動機構部8と、被検体情報の入力、X線照射条件を含むX線撮影条件の設定、高分解能領域の指定、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部9と、X線診断装置100が有する上述の各ユニットを統括して制御するシステム制御部10を備えている。
【0019】
X線発生部1は、X線管111及びX線絞り器112を有するX線照射部11と、高電圧制御部121及び高電圧発生器122を有する高電圧発生部12を備えている。X線照射部11のX線管111は、X線を発生する真空管であり、加熱された陰極(フィラメント)から生ずる熱電子を高電圧発生部12から供給される直流高電圧により加速させてタングステン陽極に衝突させX線を発生させる。
【0020】
一方、X線絞り器112は、被検体150に対する被曝線量の低減と画像データの画質向上を目的として用いられ、X線管111から放射されたX線を所定の照射領域に絞りこむ絞り羽根(上羽根)、絞り羽根に連動して移動することにより散乱線や漏れ線量を低減する下羽根及び吸収量が少ない媒質を透過したX線を選択的に低減させてハレーションを防止する補償フィルタ(何れも図示せず)を有している。
【0021】
高電圧発生部12の高電圧発生器122は、X線管111の陰極から発生する熱電子を加速するために陽極と陰極の間に印加する高電圧を発生させ、高電圧制御部121は、入力部9からシステム制御部10を介して供給されるX線照射条件に基づいて高電圧発生器122の管電流/管電圧、照射時間、照射繰返し周期等を制御する。
【0022】
次に、X線検出部2は、通常の空間分解能を有する平面検出器及び高い空間分解能を有する高精細平面検出器によって構成され、被検体150を透過したX線を電荷(信号電荷)に変換するハイブリッド検出器21と、平面検出器から読み出された信号電荷に基づいて投影データを生成する投影データ生成部22と、高精細平面検出器から読み出された信号電荷に基づいて高精細投影データを生成する高精細投影データ生成部23を備えている。尚、上述の平面検出器及び高精細平面検出器によるX線検出方式には、X線を直接電荷に変換する方式と、一旦光に変換した後電荷に変換する方式があり、本実施例では前者を例に説明するが後者であっても構わない。
【0023】
本実施例のX線検出部2に設けられたハイブリッド検出器21は、図2(a)に示すように微小な複数の検出素子が列方向及びライン方向に対し間隔d1で2次元配列された平面検出器211と、微小な複数の検出素子が間隔d2(d2<d1)で2次元配列された高精細平面検出器212によって構成される。そして、平面検出器211の一部(例えば、平面検出器211の左上領域)を高精細平面検出器212によって置き換えることにより矩形状のハイブリッド検出器21が形成され、その中央部には回転中心213が設けられている。一方、図2(b)は、図2(a)に示した平面検出器211及び高精細平面検出器212のA−A断面を示している。尚、図2では、d2/d1=1/2の場合について示しているが、これに限定されない。
【0024】
このように構成された平面検出器211及び高精細平面検出器212の検出素子は、被検体150を透過したX線を感知して入射X線量に比例した信号電荷を生成する光電膜と、光電膜に発生した信号電荷を蓄積する電荷蓄積コンデンサと、電荷蓄積コンデンサに蓄積された信号電荷を所定のタイミングで読み出すTFT(薄膜トランジスタ)を備えている。以下では説明を簡単にするために、例えば、2つの検出素子が列方向(図2の上下方向)及びライン方向(図2の左右方向)に対して配列されている場合の平面検出器211の構成と機能について説明する。
【0025】
図3に示した平面検出器211では、光電膜26−11、26−12、26−21、26−22の第1の端子と、電荷蓄積コンデンサ27−11、27−12、27−21、27−22の第1の端子とが接続され、更に、その接続点はTFT28−11、28−12、28−21、28−22のソース端子へ接続される。一方、光電膜26−11、26−12、26−21、26−22の第2の端子は、図示しないバイアス電源に接続され、電荷蓄積コンデンサ27−11、27−12、27−21、27−22の第2の端子は接地される。更に、ライン方向のTFT28−11及びTFT28−21のゲートはゲートドライバ24の出力端子24−1に共通接続され、TFT28−12、及びTFT28−22のゲートはゲートドライバ24の出力端子24−2に共通接続される。
【0026】
又、列方向のTFT28−11及び28−12のドレイン端子は信号出力線29−1に共通接続され、TFT28−21及び28−22のドレイン端子は信号出力線29−2に共通接続される。そして、信号出力線29−1、29−2は投影データ生成部22の入力端子に接続されている。一方、ゲートドライバ24は、X線照射によって検出素子25の光電膜26で発生し電荷蓄積コンデンサ27にて蓄積された信号電荷を読み出すために、TFT28のゲート端子に対して読み出し用の駆動パルスを供給する。
【0027】
図1へ戻って、X線検出部2の投影データ生成部22は、平面検出器211から読み出された電荷を電圧に変換する電荷/電圧変換器と、電荷/電圧変換器の出力をデジタル信号に変換するA/D変換器と、デジタル変換された投影データを時系列信号に変換するパラレル/シリアル変換器と、時系列的に出力された1次元の投影データを順次保存して2次元の投影データを生成する投影データ記憶部(何れも図示せず)を備えている。尚、上述の電荷/電圧変換器及びA/D変換器は、平面検出器211の信号出力線29と等しいチャンネル数を有している。
【0028】
次に、X線検出部2の更に詳細な構成を示した図4を用いてハイブリッド検出器21の平面検出器211と投影データ生成部22の構成と機能について説明する。尚、図4では、説明を簡単にするために、検出素子25がライン方向に対してM個、列方向に対してN個配列された平面検出器211について述べるが、実際には、図2に示したようにその一部が高精細平面検出器212によって置き換えられる。
【0029】
図4において、平面検出器211は、上述のようにライン方向に対してM個、列方向に対してN個配列された検出素子25を有している。そして、ライン方向に配列されたM個の検出素子25が有する駆動端子(即ち、図3に示すTFT28のゲート端子)はゲートドライバ24の出力端子に共通接続される。
【0030】
一方、列方向に配列されたN個の検出素子25が有する出力端子(即ち、図2に示すTFT28のドレイン端子)は信号出力線29に共通接続され、この信号出力線29は、投影データ生成部22が備える電荷/電圧変換器221の入力端子に接続される。
【0031】
そして、X線発生部1のX線照射部11は、システム制御部10から供給される制御信号に従って被検体150に対しX線を照射し、平面検出器211の検出素子25は、被検体150を透過したX線を受信して入射X線量に比例した信号電荷を電荷蓄積コンデンサ27(図3参照)に蓄積する。このX線照射が終了すると、電荷蓄積コンデンサ27に蓄積された電荷を読み出すためにシステム制御部10はゲートドライバ24にクロックパルスを供給し、ゲートドライバ24は、出力端子24−1乃至24−Nにおいて駆動パルスを順次出力する。一方、出力端子24−1に接続されたTFT28−11乃至28−M1のゲート端子に上述の駆動パルスが供給されると、TFT28−11乃至28−M1は導通状態となり、電荷蓄積コンデンサ27−11乃至27−M1に蓄えられた信号電荷は信号出力線29−1乃至29−Mに出力される。
【0032】
次いで、信号出力線29−1乃至29−Mに出力された信号電荷は、電荷/電圧変換器221−1乃至221−Mにおいて電圧変換され、更に、A/D変換器222−1乃至222−Mにおいてデジタル信号に変換された後パラレル/シリアル変換器223のメモリ223−1乃至223−Mに保存される。そして、上述のメモリ223−1乃至223−Mに一旦保存されたデータはシリアルに読み出され投影データ記憶部224に保存される。
【0033】
同様にして、出力端子24−2乃至24−Nの各々に接続されたTFT28のゲート端子に読み出し用の駆動パルスが順次供給されると、前記駆動パルスが供給されたTFT28は導通状態となり、このTFT28に接続された電荷蓄積コンデンサ27に蓄えられている信号電荷は信号出力線29−1乃至29−Mに出力される。そして、これらの信号電荷に対し、上述と同様の電荷/電圧変換、A/D変換及びパラレル/シリアル変換が行なわれ、得られたデータは投影データ記憶部224に保存される。このとき、投影データ記憶部224には2次元の投影データが生成される。
【0034】
以上、平面検出器211と投影データ生成部22の構成と機能について説明したが、高精細平面検出器212及びこの高精細平面検出器212において検出された信号電荷に基づいて高精細投影データを生成する高精細投影データ生成部23も同様の構成と機能を有している。
【0035】
次に、図1に示した画像データ生成部3の具体的な構成と機能につき図5のブロック図を用いて説明する。この画像データ生成部3は、補間処理部31、位置ずれ検出部32、投影データ合成部33、画像データ処理部34及び画像データ記憶部35を備えている。
【0036】
補間処理部31は、図示しない演算処理部を備え、投影データ生成部22の投影データ記憶部224から読み出した配列間隔d1で構成される2次元的な投影データに対し列方向及びライン方向の補間処理を行なうことにより、高精細投影データ生成部23が略同一のタイミングで生成した高精細投影データと等しい配列間隔d2(d2=d1/2)を有する投影データに変換する。
【0037】
位置ずれ補正部32は、例えば、図示しない相互相関演算処理部を備え、高精細投影データ生成部23から供給される高精細投影データと上述の補間処理部31から出力される補間処理後の投影データに対しパターンマッチング処理を行なって投影データと高精細投影データとの位置ずれを検出し、この検出結果に基づいて投影データ間の位置ずれや大きさの差異を補正する。
【0038】
投影データ合成部33は、位置ずれ等が補正された投影データ及び高精細投影データを合成することにより高精細平面検出器212の撮影領域において高い空間分解能が得られる位置決め用画像データ及び診断用画像データを生成する。そして、画像データ処理部34は、得られた位置決め用画像データ及び診断用画像データに対し輪郭強調やノイズ低減を目的としたフィルタリング処理等の画像処理を必要に応じて行ない、画像処理された位置決め用画像データ及び診断用画像データは画像データ記憶部35に一旦保存される。
【0039】
再び図1へ戻って、表示部5は、表示データ生成部51、変換処理部52及びモニタ53を有し、表示データ生成部51は、画像データ生成部3から供給される位置決め用画像データに対し高精細平面検出器212の撮影領域情報を付加して第1の表示データを生成し、同様にして、画像データ生成部3から供給される診断用画像データに対し被検体情報やX線撮影条件等の付帯情報を付加して第2の表示データを生成する。一方、変換処理部52は、上述の第1の表示データ及び第2の表示データに対しD/A変換やテレビフォーマット変換等の変換処理を行なってモニタ53に表示する。尚、モニタ53として、高精細投影データに基づいて生成された画像データが劣化することなく表示されるように高い性能を有したモニタが用いられ、このモニタ53の上部に被検体150の頭部近傍が位置するような画像データの回転処理が変換処理部52において行なわれる。
【0040】
次に、保持部7は、床置き方式の場合にはCアームを、又、天井走行方式の場合にはΩアームを有し、CアームあるいはΩアームの一方の端部近傍にはX線発生部1のX線照射部11が取り付けられ、他の端部近傍にはX線検出部2のハイブリッド検出器21が取り付けられている。そして、被検体150を挟むように取り付けられたX線照射部11及びハイブリッド検出器21を前記Cアームあるいは前記Ωアームと共に被検体150の周囲で移動あるいは回動させることにより当該X線撮影における撮影位置や撮影方向の設定が行なわれる。
【0041】
次に、移動機構部8は、ハイブリッド検出器21をその中央部に設けられた回転中心213(図2参照)の周囲で回動させる検出器移動機構81と、X線照射部11及びハイブリッド検出器21(撮像系)が取り付けられたCアームあるいはΩアームを被検体150の周囲で移動あるいは回動させる保持部移動機構82と、天板6を被検体150の体軸方向(図1のz方向)及び体軸に対して垂直な方向(図1のx方向及びy方向)へ移動させる天板移動機構83と、検出器移動機構81、保持部移動機構82及びと天板移動機構83の移動/回動を制御する機構制御部84を備えている。
【0042】
検出器移動機構81は、図6に示すように通常の空間分解能を有する平面検出器211と高い空間分解能を有する高精細平面検出器212とが一体化されたハイブリッド検出器21を保持する検出器保持部811と、ハイブリッド検出器21が装着された検出器保持部811を所望の方向へ回動させる検出器回転用モータ812を有している。この場合、ハイブリッド検出部21は、その回転中心213が検出器保持部811の回転軸Axと一致するように取り付けられ、検出器回転用モータ812は、機構制御部84から供給される検出器移動制御信号に従って検出器保持部811及びハイブリッド検出器21を回転軸Axの周囲で回動させる。尚、上述の回転軸Axは、X線照射に用いられるX線管111の焦点とハイブリッド検出器21の回転中心213とを結ぶ撮影軸に対して略平行になるように配置され、前記撮影軸に対して垂直な面内(図6のx−z平面)でハイブリッド検出器の回動が行なわれる。
【0043】
図7は、被検体150の診断対象領域が高精細平面検出器212の撮影領域に含まれるように図6のx−z平面内で回動するハイブリッド検出器21を説明するための図であり、図7(a)は、回動前における平面検出器211の撮影領域Ra及び高精細平面検出器212の撮影領域Rb、図7(b)は、回動後における平面検出器211の撮影領域Ra及び高精細平面検出器212の撮影領域Rbを夫々示している。
【0044】
即ち、図7(a)に示すように、例えば、パイロット撮影モードにて予め収集された位置決め用画像データとこの位置決め用画像データに重畳された高精細平面検出器212の撮影領域情報を観測することにより血管B1の分岐部を示す診断対象領域B2が高精細平面検出器212の撮影領域Rbに含まれていないことが判明した場合、移動機構部8の機構制御部84は、入力部9からシステム制御部10を介して供給される高分解能領域の設定情報に基づいて生成した検出器移動制御信号を検出器移動機構81の検出器回転用モータ812へ供給する。
【0045】
そして、この検出器移動制御信号を受信した検出器回転用モータ812は、検出器保持部811に取り付けられたハイブリッド検出器21を回転軸Axの周囲で所定方向へ回動させ、図7(b)に示すように診断対象領域B2が高精細平面検出器212の撮影領域Rbに含まれる位置に配置する。このように高精細平面検出器212の撮影領域Rbを診断対象領域B2へ移動させた状態で本撮影モードのX線撮影を行なうことにより診断対象領域B2において高い空間分解能を有した診断用画像データを得ることができる。
【0046】
次に、図1に示した移動機構部8の保持部移動機構82は、機構制御部84から供給される保持部移動制御信号に従ってX線照射部11及びハイブリッド検出器21(撮像系)が取り付けられた保持部7を被検体150の周囲で移動あるいは回動させる機能を有し、例えば、床置き方式では、図8(a)に示すようにスタンド71に対して回転自在に取り付けられたCアームホルダ72のφ方向への移動やCアームホルダ72に対してスライド自在に取り付けられたCアーム73のθ方向への移動等を行なうことにより被検体150の診断対象領域に対するX線撮影の位置や方向を設定する。
【0047】
即ち、図8(b)に示すように撮像系が取り付けられたCアーム73をθ方向へスライド移動させることにより、X線撮影方向(即ち、撮像系の撮影軸Az)を頭部方向(CRA)及び尾部方向(CAU)へ移動させることが可能となり、このCアーム73が取り付けられたCアームホルダ72をφ方向へ回動することにより、第1斜位方向(RAO)及び第2斜位方向(LAO)へ移動させることが可能となる。従って、Cアーム73のθ方向に対するスライド移動とCアームホルダ72のφ方向に対する回動を組み合わせることによりX線撮影方向を任意に設定することができる。尚、図8に示したCアーム73の上端部近傍には、ハイブリッド検出器21を回動させる検出器移動機構81が上述のハイブリッド検出器21と共に取り付けられている。
【0048】
次に、図1に示した移動機構部8の天板移動機構83は、天板6を有する図示しない寝台部に設けられ、機構制御部84から供給される天板移動制御信号に従って天板6を被検体150の体軸方向(図1のz軸方向)及び体軸方向に垂直な方向(図1のx方向及びy方向)へ移動させることにより被検体150の診断対象領域を撮像系に対して好適な位置へ配置する機能を有している。
【0049】
一方、機構制御部84は、入力部9からシステム制御部10を介して供給される高分解能領域の設定情報に基づき、設定された高分解能領域にハイブリッド検出器21の高精細平面検出器212が配置されるようなハイブリッド検出器21の回動を実行させるための検出器移動制御信号を生成し検出器移動機構81へ供給する。
【0050】
同様にして、入力部9からシステム制御部10を介して供給される保持部7及び天板6を移動させるための指示信号に基づいて生成した保持部移動制御信号及び天板移動制御信号を保持部移動機構82及び天板移動機構83へ供給する。
【0051】
入力部9は、表示パネルやキーボード、トラックボール、ジョイスティック、マウスなどの入力デバイスを備えたインタラクティブなインターフェースであり、位置決め用画像データの収集を目的としたパイロット撮影モード及び診断用画像データの収集を目的とした本撮影モードの選択を行なう撮影モード選択機能91と位置決め用画像データに対し高分解能領域の設定を行なう高分解能領域設定機能92を備えている。又、被検体情報の入力、X線照射条件を含むX線撮影条件の設定、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定、各種コマンド信号の入力等も上述の表示パネルや入力デバイスを用いて行なわれる。
【0052】
次に、システム制御部10は、図示しないCPUと記憶回路を備え、入力部9から供給された上述の入力情報や設定情報は前記記憶回路に一旦保存される。そして、前記CPUは、前記記憶回路に保存された入力情報及び設定情報や入力部9から直接供給される入力情報及び設定情報に基づいてX線診断装置100が有する上述の各ユニットを統括的に制御し、平面検出器211と高精細平面検出器212が一体化されたハイブリッド検出器21による診断用画像データの収集とその表示を実行させる。
【0053】
(診断用画像データの生成手順)
次に、ハイブリッド検出器21を用いた本実施例における診断用画像データの生成手順につき図9のフローチャートを用いて説明する。
【0054】
診断用画像データの生成に先立ち、X線診断装置100を操作する医師や検査師等(以下では、これらを纏めて操作者と呼ぶ。)は、入力部9において被検体情報を入力した後、パイロット撮影モード及び本撮影モードにおけるX線撮影条件、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定を行ない、これらの入力情報や設定情報をシステム制御部10の記憶回路に保存する(図9のステップS1)。
【0055】
上述の初期設定が終了したならば、操作者は、被検体150が載置された天板6と、被検体150の周囲に設けられた撮像系を保持するCアーム73を所定の方向へ移動/回動させることにより被検体150に対するX線撮影の位置及び方向を設定する(図9のステップS2)。
【0056】
次いで、操作者は、入力部9においてパイロット撮影モードの選択と撮影開始コマンドを入力し、このコマンド信号がシステム制御部10へ供給されることにより、ハイブリッド検出器21を用いたパイロット撮影モードのX線撮影が開始される(図9のステップS3)。
【0057】
即ち、システム制御部10は、自己の記憶回路から読み出したX線撮影条件のX線照射条件とX線を発生するための指示信号を高電圧発生部12の高電圧制御部121へ供給し、この指示信号を受信した高電圧制御部121は、前記X線照射条件に基づいて高電圧発生器122を制御しX線照射部11のX線管111に高電圧を印加する。そして、高電圧が印加されたX線管111は、X線絞り器112を介して被検体150に対しパイロット撮影モードのX線を所定期間照射し、被検体150を透過したX線は、その後方に設けられたX線検出部2のハイブリッド検出器21によって検出される。
【0058】
このとき、ハイブリッド検出器21の平面検出器211において2次元配列された検出素子25の光電膜26は、被検体150を透過したX線を受信しそのX線透過量に比例した信号電荷を電荷蓄積コンデンサ27に蓄積する。そして、X線照射が終了したならばゲートドライバ24は、システム制御部10から供給されたクロックパルスに基づいて平面検出器211のTFT28に対し駆動パルスを供給し電荷蓄積コンデンサ27に蓄積された信号電荷を順次読み出す。
【0059】
読み出された上述の信号電荷は、投影データ生成部22の電荷・電圧変換器221において電圧変換され、更に、A/D変換器222においてデジタル信号に変換された後パラレル・シリアル変換器223のバッファメモリに1ライン分の投影データとして一旦保存される。次いで、パラレル・シリアル変換器223は、自己のバッファメモリに保存された投影データをライン単位でシリアルに読み出し、投影データ記憶部224に順次保存する。
【0060】
一方、ハイブリッド検出器21の高精細平面検出器212において2次元配列された検出素子25においても上述と同様の手順によって自己の電荷蓄積コンデンサ27に蓄積された信号電荷は順次読み出され、高精細投影データ生成部23の電荷・電圧変換器221、A/D変換器222及びパラレル・シリアル変換器223は、電荷蓄積コンデンサ27から読み出された信号電荷に対し電荷・電圧変換、A/D変換及びパラレル・シリアル変換を行なって高精細投影データを生成する。そして、得られた高精細投影データは投影データ記憶部224に保存される(図9のステップS4)。
【0061】
平面検出器211を用いた投影データの生成及び高精細平面検出器212を用いた高精細投影データの生成が終了したならば、画像データ生成部3の補間処理部31は、投影データ生成部22の投影データ記憶部224から読み出した配列間隔d1で構成される2次元的な投影データに対して列方向及びライン方向の補間処理を行なうことにより高精細投影データ生成部23において生成された高精細投影データと等しい配列間隔d2(d2<d1)の投影データに変換する。
【0062】
一方、位置ずれ補正部32は、高精細投影データ生成部23の投影データ記憶部224から読み出した高精細投影データと上述の補間処理部31から供給された補間処理後の投影データに対しパターンマッチング処理を行なって投影データと高精細投影データとの位置ずれを検出し、この検出結果に基づいて投影データ間の位置ずれや大きさの差異を補正する。
【0063】
そして、投影データ合成部33は、位置ずれ等が補正された投影データ及び高精細投影データを合成して位置決め用画像データを生成し、画像データ処理部34は、得られた位置決め用画像データに対して輪郭強調やノイズ低減を目的としたフィルタリング処理等の画像処理を必要に応じて行なう。
【0064】
次いで、表示部5の表示データ生成部51は、システム制御部10から供給されたパイロット撮影モードにおけるハイブリッド検出器21の位置情報を受信し、この位置情報に基づいて生成した高精細平面検出器212の撮影領域情報を画像データ生成部3の画像データ処理部34から供給されたパイロット撮影モードの位置決め用画像データに重畳して表示データを生成し、変換処理部52を介してモニタ53に表示する(図9のステップS5)。
【0065】
このとき、表示部5に表示された位置決め用画像データの診断対象領域が高精細平面検出器212の撮影領域に含まれていない場合、操作者は、入力部9が有する高分解能領域設定機能92を用いて位置決め用画像データの診断対象領域に対し高分解能領域を設定する(図9のステップS6)。
【0066】
入力部9からシステム制御部10を介して高分解能領域の設定情報を受信した移動機構部8の機構制御部84は、位置決め用画像データの診断対象領域に設定された高分解能領域へ高精細平面検出器212の撮影領域を移動させるための検出器移動制御信号を生成して検出器移動機構81の検出器回転用モータ812へ供給する。そして、検出器回転用モータ812は、検出器移動制御信号に従って検出器保持部811に取り付けられたハイブリッド検出器21を回転軸Axの周囲で回動させることによりハイブリッド検出器21を構成する高精細平面検出器212の撮影領域を被検体150の診断対象領域へ移動させる(図9のステップS7)。
【0067】
次いで、高精細平面検出器212の撮影領域が診断対象領域に移動したことを確認した操作者は、入力部9において本撮影モードの選択と撮影開始コマンドを入力し(図9のステップS8)、このコマンド信号がシステム制御部10へ供給されることにより、ハイブリッド検出器21を用いた本撮影モードにおける投影データ及び高精細投影データの生成とこれらの投影データに基づく診断用画像データの生成及び表示が上述のステップS4及びステップS5と同様の手順によって行なわれる(図9のステップS9及びステップS10)。
【0068】
一方、上述のステップS5において表示部5に表示された位置決め用画像データの診断対象領域が高精細平面検出器212の撮影領域に含まれている場合、操作者は、入力部9において本撮影モードの選択と撮影開始コマンドを入力し(図9のステップS8)、このコマンド信号がシステム制御部10へ供給されることにより、本撮影モードにおける投影データ及び高精細投影データの生成とこれらの投影データに基づく診断用画像データの生成及び表示が行なわれる(図9のステップS9及びステップS10)。
【0069】
(変形例)
次に、本実施例におけるハイブリッド検出器の変形例につき図10を用いて説明する。この変形例におけるハイブリッド検出器21cは、図10(a)に示すように微小な複数の検出素子が列方向及びライン方向に対して所定間隔で2次元配列された平面検出器211cと、微小な複数の検出素子が平面検出器211cの配列間隔より狭い間隔で2次元配列された高精細平面検出器212cによって構成される。そして、平面検出器211cの中央部を縦断するように高精細平面検出器212cを配置することにより円形状のハイブリッド検出器21cが形成され、その中央部には回転中心213cが設けられている。
【0070】
一方、図10(b)及び図10(c)は、被検体150の診断対象領域B2cが高精細平面検出器212cの撮影領域Rbcに含まれるように回動するハイブリッド検出器21cを説明するための図であり、図10(b)は、回動前における平面検出器211cの撮影領域Rac及び高精細平面検出器212cの撮影領域Rbcを、図10(c)は、回動後における撮影領域Rac及び撮影領域Rbcを夫々示している。
【0071】
即ち、図10(b)に示すように、例えば、パイロット撮影モードにて予め収集された位置決め用画像データとこの位置決め用画像データに重畳された高精細平面検出器212cの撮影領域情報を観測することにより特定の方向に伸張した診断対象領域B2cの全てが高精細平面検出器212cの撮影領域Rbcに含まれていない場合、移動機構部8の検出器移動機構81に設けられた検出器回転用モータ812は、機構制御部84から供給される検出器移動制御信号に従って検出器保持部811に取り付けられた円形状のハイブリッド検出器21cを回転中心213cの周囲で所定方向へ回動させ、図10(c)に示すような診断対象領域B2cが撮影領域Rbcに含まれる位置に配置する。
【0072】
このように撮影領域Rbcの長手方向と診断対象領域B2cの伸張方向とが一致する位置にハイブリッド検出器21cを配置した状態で本撮影モードのX線撮影を行なうことにより特定の方向に伸張した比較的広範囲な診断対象領域B2cにおいて高い空間分解能を有した診断用画像データを得ることが可能となる。
【0073】
以上述べた本発明の第1の実施例によれば、高い空間分解能を有する高精細平面検出器と通常の空間分解能を有する平面検出器とが一体化されたハイブリッド検出器を被検体の近傍で回動させることにより、高精細平面検出器の撮影領域を診断対象領域に対して設定することができる。このため、診断対象領域において高い空間分解能を有する診断用画像データを容易に得ることが可能となる。
【0074】
特に、診断対象領域において空間分解能に優れた診断用画像データを収集する際、従来のような複雑な移動機構を用いた平面検出器から高精細平面検出器への交換作業が不要となるため、当該X線撮影における操作者の負担が軽減するのみならず検査効率を改善することができる。
【0075】
又、平面検出器による投影データと高精細平面検出器による高精細投影データを同時に収集することができるため、高精細平面検出器の撮影領域に配置された診断対象領域における狭範囲な高分解能画像データと平面検出器の撮影領域に配置された周囲臓器における広範囲な画像データの同時観察が可能となるため診断精度は大幅に向上する。
【0076】
更に、同一のハイブリッド検出器を用いて位置決め用画像データと診断用画像データの収集が行なわれるため、診断対象領域に対する高精細検出器の正確な配置が可能となり本撮影モードにおけるX線撮影のやり直しを防止することができる。
【0077】
一方、上述の変形例によれば、特定の方向に走行した血管等の比較的広範囲な診断対象領域に対しても高精細検出器の撮影領域を配置することができるため、当該診断対象領域において高い空間分解能を有する診断用画像データを容易に得ることが可能となる。
【実施例2】
【0078】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。この第2の実施例におけるX線診断装置では、通常の空間分解能を有する検出器及び高い空間分解能を有する高精細検出器を一体化して構成したハイブリッド検出器を被検体の周囲で回動させることにより高分解能領域の位置が異なる複数の画像データを順次収集し、得られたこれらの画像データの各々から抽出した高分解能領域の画像データを合成することにより広範囲な領域において高い空間分解能を有する高精細画像データを生成する。
【0079】
尚、本実施例におけるハイブリッド検出器も上述の第1の実施例と同様にして、通常の空間分解能を有する検出器としての平面検出器と前記検出器より高い空間分解能を有する高精細検出器としての高精細平面検出器によって構成される場合について述べるが、これに限定されるものではない。
【0080】
(装置の構成)
本実施例のX線診断装置につき図11及び図12を用いて説明する。尚、このX線診断装置の全体構成を示す図11のブロック図において、図1に示したX線診断装置100の各ユニットと同一の構成及び機能を有するユニットは同一の符号を付加し詳細な説明は省略する。
【0081】
即ち、図11に示す本実施例のX線診断装置200は、被検体150に対してX線照射を行なうX線発生部1と、被検体150を透過したX線を平面検出器211及び高精細平面検出器212を用いて2次元的に検出し、これらの検出結果に基づいて投影データ及び高精細投影データを生成するX線検出部2と、投影データ及び高精細投影データを処理して所定の領域において高い空間分解能を有する複数の画像データを生成する画像データ生成部3aと、これらの画像データの各々から抽出した高分解能領域の画像データを合成することにより広範囲な高精細画像データを生成する画像データ合成部4と、得られた高精細画像データを表示する表示部5aを備え、更に、被検体150を載置する天板6と、X線発生部1のX線照射部11及びX線検出部2のハイブリッド検出器21(撮像系)を保持する保持部7と、ハイブリッド検出器21、保持部7及び天板6の移動とその制御を行なう移動機構部8aと、被検体情報の入力、X線照射条件を含むX線撮影条件の設定、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部9aと、X線診断装置200が有する上述の各ユニットを統括して制御するシステム制御部10aを備えている。
【0082】
画像データ生成部3aは、図示しない補間処理部、位置ずれ検出部、投影データ合成部、画像データ処理部及び画像データ記憶部を備え、前記補間処理部は、ハイブリッド検出器21が所定の位置に配置された際に投影データ生成部22が生成した2次元的な投影データに対し列方向及びライン方向の補間処理を行なうことにより、高精細投影データ生成部23が略同一のタイミングで生成した高精細投影データと等しい配列間隔で構成される投影データに変換する。
【0083】
前記位置ずれ補正部は、高精細投影データ生成部23から供給される高精細投影データと上述の補間処理部から出力される補間処理後の投影データに対しパターンマッチング処理を行なって投影データと高精細投影データとの位置ずれを検出し、この検出結果に基づいて投影データ間の位置ずれや大きさの差異を補正する。
【0084】
一方、前記投影データ合成部は、位置ずれ等が補正された投影データ及び高精細投影データを合成して高精細平面検出器212の撮影領域においてのみ高い空間分解能を有した画像データを生成する。そして、前記画像データ処理部は、ハイブリッド検出器21を回動させることによって収集された複数の画像データに対し輪郭強調やノイズ低減を目的としたフィルタリング処理等の画像処理を必要に応じて行ない、処理後の画像データをハイブリッド検出器21の位置情報と共に前記画像データ記憶部に保存する。即ち、前記画像データ記憶部には、ハイブリッド検出器21を回動させることによって収集された高分解能領域の位置が異なる複数の画像データがハイブリッド検出器21の位置情報(回動角度情報)を付帯情報として保存される。
【0085】
次に、画像データ合成部4は、画像データ生成部3aの画像データ記憶部に一旦保存された高分解能領域が異なる複数の画像データとハイブリッド検出器21の位置情報を読み出す。そして、前記画像データの各々から抽出した高分解能領域の画像データをハイブリッド検出器21の位置情報に基づいて合成することにより広範囲な高精細画像データを生成する。
【0086】
表示部5aは、表示データ生成部51a、変換処理部52及びモニタ53を有し、表示データ生成部51aは、画像データ合成部4から供給される広範囲な高精細画像データに対し被検体情報やX線撮影条件等の付帯情報を付加して表示データを生成する。一方、変換処理部52は、上述の表示データに対しD/A変換やテレビフォーマット変換等の変換処理を行ない、被検体150の頭部が上方に位置するようにモニタ53に表示する。
【0087】
次に、移動機構部8aは、ハイブリッド検出器21をその中央部に設けられた回転中心(図2参照)の周囲にて所定角度間隔Δηで回動させる検出器移動機構81aと、X線照射部11及びハイブリッド検出器21(撮像系)が取り付けられたCアームあるいはΩアームを被検体150の周囲で移動あるいは回動させる保持部移動機構82と、天板6を被検体150の体軸方向及び体軸に対して垂直な方向へ移動させる天板移動機構83と、検出器移動機構81a、保持部移動機構82及びと天板移動機構83の移動/回動を制御する機構制御部84aを備え、検出器移動機構81aは、図6において既に示したようにハイブリッド検出器21を保持する検出器保持部811と、検出器保持部811を所望の方向へ回動させる検出器回転用モータ812を有している。
【0088】
一方、機構制御部84aは、入力部9aからシステム制御部10aを介して供給される指示信号に基づき、ハイブリッド検出器21を所定の角度間隔Δηで順次回動させるための検出器移動制御信号を生成し検出器移動機構81aへ供給する。
【0089】
次に、回転中心の周囲を角度間隔Δηでステップ状に回動するハイブリッド検出器21を用いて生成された高分解領域の位置が互いに異なる複数の画像データと、前記画像データの各々から抽出された高分解能領域の画像データをハイブリッド検出器21の位置情報に基づいて合成することにより生成された広範囲な高精細画像データにつき図12を用いて説明する。
【0090】
図12(a)乃至図12(d)は、平面検出器211及び高精細平面検出器212によって構成されたハイブリッド検出器21をΔη(Δη=90度)間隔で時計方向へ順次回動させることにより得られた画像データIma乃至Imdを示しており、各々の画像データにおける領域Raは、通常の空間分解能を有する平面検出器211の撮影領域を、又、領域Rbは、高い空間分解能を有する高精細平面検出器212の撮影領域を示している。
【0091】
一方、図12(e)は、画像データ合成部4によって生成された広範囲な高精細画像データImxを示しており、この高精細画像データImxは、画像データIma乃至Imdの各々から抽出した高分解能領域(高精細平面検出器212の撮影領域)Rbの画像データをハイブリッド検出器21の位置情報ηに基づいて合成することにより得ることができる。
【0092】
図11へ戻って、入力部9aは、表示パネルやキーボード、トラックボール、ジョイスティック、マウスなどの入力デバイスを備えたインタラクティブなインターフェースであり、被検体情報の入力、ハイブリッド検出器21の回動角度間隔Δηの設定、X線照射条件を含むX線撮影条件の設定、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定、各種コマンド信号の入力等を行なう。
【0093】
システム制御部10aは、図示しないCPUと記憶回路を備え、入力部9aから供給された上述の入力情報や設定情報は前記記憶回路に一旦保存される。そして、前記CPUは、前記記憶回路に保存された入力情報及び設定情報や入力部9aから直接供給される入力情報及び設定情報に基づいてX線診断装置200が有する上述の各ユニットを統括的に制御し、平面検出器211と高精細平面検出器212が一体化されたハイブリッド検出器21を角度間隔Δηで回動させることにより高分解能領域の位置が互いに異なる複数の画像データの生成と、これらの画像データに基づく広範囲な高精細画像データの生成及び表示を実行させる。
【0094】
(高精細画像データの生成手順)
次に、ハイブリッド検出器21を用いた本実施例における高精細画像データの生成手順につき図13のフローチャートを用いて説明する。
【0095】
高精細画像データの生成に先立ち、X線診断装置200を操作する医師や検査師等の操作者は、入力部9aにおいて被検体情報を入力した後、X線照射条件を含むX線撮影条件の設定、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定、更には、ハイブリッド検出器21の初期位置(η=0)及び回動角度間隔Δηの設定等を行ない、これらの入力情報や設定情報をシステム制御部10aの記憶回路に保存する(図13のステップS11)。上述の初期設定が終了したならば、操作者は、被検体150が載置された天板6と、被検体150の周囲に設けられた撮像系を保持するCアーム73を所定の方向へ移動/回動させることにより被検体150に対するX線撮影の位置及び方向を設定する(図13のステップS12)。
【0096】
次いで、操作者は、入力部9aにおいて撮影開始コマンドを入力し、このコマンド信号がシステム制御部10aへ供給されることにより、ハイブリッド検出器21を用いたX線撮影が開始される(図13のステップS13)。このとき、入力部9aからシステム制御部10aを介してハイブリッド検出器21の初期位置情報を受信した移動機構部8aの機構制御部84aは、この位置情報に基づいて検出器移動制御信号を生成し、検出器回転用モータ812は、前記検出器移動制御信号に基づいて検出器保持部811を回転軸Axの周囲で回動させることにより検出器保持部811に取り付けられたハイブリッド検出器21を初期位置に配置する(図13のステップS14)。
【0097】
一方、上述の撮影開始コマンドを受信したシステム制御部10aは、図9のステップS4あるいはステップS9と同様の手順によってX線発生部1及びX線検出部2が備える各ユニットを制御し、被検体150を透過したX線をハイブリッド検出器21の平面検出器211及び高精細平面検出器212を用いて検出することにより投影データ及び高精細投影データを生成する(図13のステップS15)。
【0098】
次に、画像データ生成部3aの補間処理部は、ハイブリッド検出器21が所定の位置へ回動した際に投影データ生成部22が生成した2次元的な投影データに対して列方向及びライン方向の補間処理を行なうことにより、高精細投影データ生成部23が略同一のタイミングで生成した高精細投影データと等しい配列間隔を有する投影データに変換する。次いで、位置ずれ補正部は、高精細投影データ生成部23から供給された高精細投影データと上述の補間処理部から出力された補間処理後の投影データに対しパターンマッチング処理を行なって投影データと高精細投影データとの位置ずれを検出し、この検出結果に基づいて投影データ間の位置ずれや大きさの差異を補正する。
【0099】
一方、投影データ合成部は、位置ずれ等が補正された投影データ及び高精細投影データを合成して高精細平面検出器212の撮影領域において高い空間分解能を有した画像データを生成する。そして、画像データ処理部は、前記画像データに対し輪郭強調やノイズ低減を目的としたフィルタリング処理等の画像処理を必要に応じて行ない、処理後の画像データをハイブリッド検出器21の初期位置情報と共に画像データ記憶部に保存する(図13のステップS16)。
【0100】
初期位置(η=0)に配置されたハイブリッド検出器21による画像データの生成と保存が終了したならば移動機構部8aの機構制御部84aは、システム制御部10aから供給される指示信号と回動角度間隔Δηの情報に基づき、ハイブリッド検出器21を上述の初期位置からΔηだけ時計方向へ回動させるための検出器移動制御信号を生成し、検出器回転用モータ812は、前記検出器移動制御信号に従って検出器保持部811を回転軸Axの周囲で回動させることにより検出器保持部811に取り付けられたハイブリッド検出器21をη=Δηの位置に配置する(図13のステップS14)。
【0101】
次いで、システム制御部10aは、上述のステップS15及びステップS16と同様の手順によってX線発生部1、X線検出部2及び画像データ生成部3aが備える各ユニットを制御し、ハイブリッド検出器21の平面検出器211及び高精細平面検出器212を用いた投影データ及び高精細投影データの生成と、これらの投影データに基づいた画像データの生成を行なう。そして、得られた画像データはハイブリッド検出器21の位置情報(η=Δη)を付帯情報として画像データ生成部3aの画像データ記憶部に保存される(図13のステップS15及びステップS16)。
【0102】
以下同様の手順によって、ハイブリッド検出器21の回動、投影データ及び高精細投影データの生成及び画像データの生成/保存を繰り返し行ない、予め設定されたハイブリッド検出器21の回動が終了したならば、画像データ合成部4は、画像データ生成部3aの画像データ記憶部に保存された高分解能領域の位置が互いに異なる複数の画像データとこれらの画像データに付加されたハイブリッド検出器21の位置情報を読み出す。そして、前記画像データの各々から抽出した高分解能領域の画像データをハイブリッド検出器21の位置情報に基づいて合成することにより広範囲な高精細画像データを生成し、表示部5aのモニタ53に表示する(図13のステップS17)。
【0103】
以上述べた本発明の第2の実施例によれば、高精細検出器と通常の検出器が一体化されたハイブリッド検出器を回動させることにより、高い空間分解能を有する高精細検出器の撮影領域を所望の領域に設定することができる。
【0104】
又、前記ハイブリッド検出器を順次回動させることによって高分解能領域の位置が互いに異なる複数の画像データを生成し、これらの画像データの各々から抽出した高分解能領域の画像データを合成することにより広範囲な高精細画像データを生成することができる。この方法によれば、比較的狭い撮影領域を有する高精細検出器を用いて広範囲な高精細画像データを得ることが可能となる。
【0105】
更に、前記ハイブリッド検出器を回動させることによって得られた複数の画像データを合成して広範囲な高精細画像データを生成することにより、高精細検出器の構造が簡単となり、比較的廉価なX線診断装置の実現が可能となる。
【0106】
以上、本発明の第1の実施例及び第2の実施例とその変形例について述べてきたが、本発明は、上述の実施例及びその変形例に限定されるものではなく、更に変形して実施することが可能である。例えば、上述の第1の実施例及びその変形例におけるX線診断装置100あるいは第2の実施例におけるX線診断装置200が備えるハイブリッド検出器21(21c)は、通常の空間分解能を有する検出器としての平面検出器211(211c)と前記検出器より高い空間分解能を有する高精細検出器としての高精細平面検出器212(212c)によって構成される場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、特許文献1に記載されているようなCCD(Charge-Coupled Device)上にシンチレータとしてのCsIが搭載されたマイクロアンギオ(Micro Angio)用の高精細検出器を高精細平面検出器212(212c)の替わりに用いてもよい。
【0107】
又、上述の実施例及びその変形例では、検出器211(211c)及び高精細検出器212(212c)が同一平面上に構成されたハイブリッド検出器21(21c)について述べたが、これらの検出器は、図14あるいは図15に示すように異なる面上に配置されていても構わない。例えば、図14に示す矩形状の検出器211x及びこの検出器211xの前面(下方)に配置された矩形状の高精細検出器212xは、各々の検出素子配列面がx−z平面に対して並行になるように検出器保持部811a及び高精細検出器保持部811bに取り付けられ、これらの保持部を検出器回転用モータ812a及び高精細検出器回転用モータ812bによって回転軸Axxの周囲で回動させることにより検出器211xの撮影領域及び高精細検出器212xの撮影領域を回転軸Axxの周囲で移動させることができる。
【0108】
同様にして、図15に示す円形状の検出器211y及びこの検出器211yの前面に配置された扇型状の高精細検出器212yは、各々の検出素子配列面がx−z平面に対して並行になるように検出器保持部811a及び高精細検出器保持部811bに取り付けられ、これらの保持部を検出器回転用モータ812a及び高精細検出器回転用モータ812bにより回転軸Axyの周囲で回動させることにより検出器211yの撮影領域及び高精細検出器212yの撮影領域を回転軸Axyの周囲で移動させることができる。
【0109】
特に、図14あるいは図15に示した方法によれば、検出器211x(211y)及び高精細検出器212x(212y)の各々に対応した検出器回転用モータ812a及び高精細検出器回転用モータ812bを有しているため、検出器211x(211y)と高精細検出器212x(212y)を独立に回動させることが可能となる。このため、例えば、上述の第2の実施例において広範囲な高精細画像データを生成する場合、高精細検出器212x(212y)のみを回動させることによって収集した狭範囲な高精細画像データを合成することにより広範囲な高精細画像データを得ることができる。又、検出器211x(211y)を備えた従来のX線診断装置に対する高精細検出器212x(212y)の追加も容易に行なうことができる。
【0110】
一方、上述の第1の実施例及び第2の実施例によれば、平面検出器211を用いて収集した投影データと高精細平面検出器212を用いて収集した高精細投影データを合成して診断用画像データあるいは画像データを生成する場合について述べたが、投影データを用いて生成した画像データ及び高精細投影データを用いて生成した画像データを合成して上述の診断用画像データあるいは画像データを生成してもよい。
【0111】
又、上述の第2の実施例では、画像データ合成部4によって生成された広範囲な高精細画像データのみを表示部5aに表示する場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、画像データ生成部3aによって順次生成された高分解能領域の位置が異なる複数の画像データを表示してもよい。この表示方法によれば、操作者は、表示部5aにおいて順次表示される前記画像データの観察により、被検体150に対する高分解能領域の設定状況をモニタリングすることが可能となる。
【符号の説明】
【0112】
1…X線発生部
11…X線照射部
111…X線管
112…X線絞り器
12…高電圧発生部
121…高電圧制御部
122…高電圧発生器
2…X線検出部
21…ハイブリッド検出器
211…検出器(平面検出器)
212…高精細検出器(高精細平面検出器)
22…投影データ生成部
23…高精細投影データ生成部
3、3a…画像データ生成部
4…画像データ合成部
5、5a…表示部
6…天板
7…保持部
8、8a…移動機構部
81、81a…検出器移動機構
82…保持部移動機構
83…天板移動機構
84、84a…機構制御部
9、9a…入力部
91…撮影モード選択機能
92…高分解能領域設定機能
10、10a…システム制御部
100、200…X線診断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対するX線照射によって得られた投影データに基づいて画像データを生成するX線診断装置において、
前記被検体を透過したX線を検出する検出器及び前記検出器より高い空間分解能を有した高精細検出器を有するハイブリッド検出器と、
前記高精細検出器の撮影領域と前記被検体の診断対象領域とが対応するように前記ハイブリッド検出器を前記被検体の近傍で回動させる検出器移動手段と、
前記検出器を用いて収集された投影データ及び前記高精細検出器を用いて収集された高精細投影データに基づいて前記高精細検出器の撮影領域において高い空間分解能を有した画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記画像データを表示する表示手段とを
備えたことを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記診断対象領域に対して高分解能領域を設定する高分解能領域設定手段を備え、前記検出器移動手段は、前記高分解能領域設定手段から供給される設定情報に基づいて前記ハイブリッド検出器を回動させ前記高精細検出器の撮影領域を前記診断対象領域に配置することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記高分解能領域設定手段は、前記画像データ生成手段によって予め生成された位置決め用画像データに基づいて前記高分解能領域の設定を行なうことを特徴とする請求項2記載のX線診断装置。
【請求項4】
被検体に対するX線照射によって得られた投影データに基づいて画像データを生成するX線診断装置において、
前記被検体を透過したX線を検出する検出器及び前記検出器より高い空間分解能を有した高精細検出器を有するハイブリッド検出器と、
前記ハイブリッド検出器を前記被検体の近傍で回動させる検出器移動手段と、
前記検出器を用いて収集された投影データ及び前記高精細検出器を用いて収集された高精細投影データに基づいて前記高精細検出器の撮影領域において高い空間分解能を有した画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記ハイブリッド検出器の回動に伴って得られた高分解能領域の位置が異なる複数の前記画像データの各々から抽出した前記高分解能領域の画像データを合成して高精細画像データを生成する画像データ合成手段と、
前記高精細画像データを表示する表示手段とを
備えたことを特徴とするX線診断装置。
【請求項5】
前記画像データ合成手段は、前記画像データの生成における前記ハイブリッド検出器の位置情報に基づいて前記高分解能領域の画像データに対する合成を行なうことを特徴とする請求項4記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記ハイブリッド検出器は、前記検出器としての平面検出器と前記高精細検出器としての高精細平面検出器を備えることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載したX線診断装置。
【請求項7】
前記ハイブリッド検出器は、一体化された前記検出器及び前記高精細検出器を有することを特徴とする請求項1又は請求項4に記載したX線診断装置。
【請求項8】
前記画像データ生成手段は、前記投影データ及び前記高精細投影データの位置ずれを補正し、補正後の投影データ及び高精細投影データを合成することによって前記画像データを生成することを特徴とする請求項1又は請求項4に記載したX線診断装置。
【請求項9】
前記検出器移動手段は、前記X線照射に用いられるX線管の焦点と前記ハイブリッド検出器の検出面とを結ぶ撮影軸に平行な軸の周囲で前記ハイブリッド検出器を回動させることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載したX線診断装置。
【請求項10】
前記検出器移動手段は、少なくとも前記高精細検出器を回動させる検出器回転用モータを備え、前記高精細検出器を前記検出器に対し独立させて回動させることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載したX線診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−255098(P2011−255098A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134295(P2010−134295)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】